令和8年1月16日(金曜日)10時~12時
対面・Web会議の併用
1.外国人児童生徒等の就学・進学・就職機会の確保について(ヒアリング)
2.ヒアリングを踏まえた意見交換
3.その他
【佐藤座長】
定刻になりましたので、ただいまから、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議第10回を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多用のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は議題が2つあり、議題1では、外国人児童生徒等の就学・進学・就職の確保に関するヒアリングとして、高階委員から大阪府立の高校や大阪府の進学・就職に関する取組について御発表いただき、就学に関する取組については事務局から御説明いただきます。
議題2では、ヒアリングを踏まえて、外国人児童生徒等の就学・進学・就職の確保について議論を深めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
では、議事に入る前に、事務局から2点、報告をいただきますので、説明をお願いします。
【片桐調査官】
それでは、事務局から2点、報告をさせていただきます。
1点目は、参考資料5の令和8年度予算案について、2点目は、参考資料6の「こども若者★いけんぷらす」についてです。
まず、参考資料5についてです。来年度の予算案につきまして、昨年12月26日に閣議決定がされましたので、外国人児童生徒等教育に関する予算案の概要を報告させていただきます。
「外国人児童生徒等への教育の充実」については、令和8年度予算額案は約15億円となっており、前年度予算額の12.5億円から2.5億円増えています。また、令和7年度補正予算額として0.2億円があります。
主な内容としまして、まず、補助金「外国人の子供の就学促進事業」については、今年度と同額の9,500万円となっており、就学状況の把握等を進め、不就学を防止し、全ての外国人の子供の教育機会の確保を目指しています。
また、「帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業」については、約11.5億円が約14億円と拡充を図っており、自治体の指導・支援体制の構築を支援することとしています。
調査研究事業としましては、一番下に「外国人児童生徒等に対する指導および支援体制の充実に関する調査研究事業」として新規事業があります。これは、この会議において委員の皆様から、全ての教師等が資質・能力を育成するための日本語指導を体系的・専門的に実施できるよう、その考え方や指導内容・指導方法等の全体像を示す必要があるという御意見をいただいておりますので、この調査研究において日本語指導のガイドラインを作成し周知することで、全ての学校において外国人児童生徒等に対する指導がさらに充実していくことを目指していきたいと考えております。
続きまして、参考資料6、「こども若者★いけんぷらす」についてです。昨年11月に実施いたしました「こども若者★いけんぷらす」につきまして、概要を報告させていただきます。
本会議におきまして、当事者である子供たちの声を聞き、政策や実践に反映すべきという御意見をいただきました。
そのため、外国人児童生徒等の教育の充実を検討する際にも、当事者である外国につながる子供たちの声を直接聞き、その経験や視点から学ぶことが重要と考えました。そこで、こども家庭庁の事業を活用し、本会議における検討課題に合わせ、4つの質問としました。
参加対象者は、外国につながる高校生で、昨年11月に9名の高校生から、学校生活や支援などについて意見を聞き取りました。
主に来日当初の学校生活についての不安や驚き、子供たち目線での必要な支援、今後の進路に関すること、本会議でも重視している「自分の強み」についてです。
各テーマについて、幾つか子供たちの声を紹介させていただきます。
学校生活につきましては、全く別の言語、文化の中でかなり大変で、最初の1年はずっと帰りたいと思っていた。学校に国際教室があることで、学校の悩みを話せる場所・相手がいてよかった。自分の意志と関係なく、強制的に日本へ行けという感じだったなど、言語のみならず、文化の違いで戸惑ったことや、日本語教室の存在が助けになったとのことです。
支援の在り方については、母国で13歳で勉強する数学の内容と、日本で13歳で勉強する数学の内容が違う。数学の内容について、英語か母国語で教えてもらうようなサポートがあるとよいなと思う。スライドに写真や動画を入れて、それを見ながら先生が教えてくれると分かりやすい。日本語の勉強のための授業があるとうれしい。授業中のスマートフォンの使用が駄目で、翻訳もできなかったのはつらかったなど、教科学習では、母国との学ぶ順番や内容についての違いから困難を抱えていたことや、理解するためには母語での支援が必要であること。また、教科学習と併せて日本語そのものについて学びたいとの意見がありました。ICTについては、翻訳ツールとして必要性を感じている生徒がいる一方、使い方によっては難しさがあるとのことでした。
進路支援については、入試のシステムが分からなかった。進路に関して正しい情報を教えてほしい。授業以外でも、もっとサポートがあったらよいなと感じる。ホームルームで毎週水曜日、将来のことを考える機会をつくってくれている。英語の先生になりたいと言ったら適切な大学を紹介してくれたりしているなど、生徒にとっては進路に関する情報等が不足していることや、進路支援は生徒の進路選択に役立っているとのことでした。
自分の強みやどんな社会にしたいかについては、それぞれの経験に基づき意見を述べていただきましたので、ぜひ御覧いただければと思います。
今回のヒアリングでは、生徒たちがこれまでの経験を振り返りながら、同じ境遇にある仲間に共感し、互いに意見を交わす姿が非常に印象的でした。また、自身の声が今後の社会に役立つことがうれしいとの思いも伝えてくれました。今後は、報告書に子供たちの意見を反映した形で取りまとめを行い、施策の検討に生かしていきたいと考えております。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。大変面白い参考になる資料ですね。ありがとうございました。
それでは、議題1、外国人児童生徒等の就学・進学・就職の確保について、高階委員から御発表と、事務局からの説明をいただきます。
まずは、就学について、事務局からお願いいたします。
【片桐調査官】
それでは、資料1、就学に関する取組について、御説明させていただきます。
外国人児童生徒等の就学・進学・就職機会の確保について、皆様に御議論いただくに当たりまして、就学については、各自治体において、住民登録窓口での働きかけや教育委員会との情報共有、新1年生に対する外国語での就学案内の送付、不就学または就学状況が不明な子供に対して電話や家庭訪問による就学状況の確認・就学促進などが進められているところです。就学前、就学後においては、学校生活への円滑な適応を目指した初期段階における学びの場の充実が必要であるため、初期段階の現状や方向性などについて、資料にまとめさせていただきましたので、説明させていただきます。
まず、現状につきましては、日本語指導が必要な児童生徒の増加に伴い、初めて受け入れる学校や日本語指導の経験が少ない教員が指導に当たる状況が増加しているほか、指導体制の整備が追いつかない状況も見られます。特別な配慮に基づく指導を受けられていない児童生徒が約1割います。
学校生活への円滑な適応に向け、学齢期に近い外国人幼児のためのプレスクールや来日直後の外国人の子供を対象とした初期集中指導・支援等の取組が一部の自治体において実施されています。
外国等から編入・転入する日本語指導が必要な児童生徒を対象とした学校生活への円滑な適応支援の充実が必要であり、学校における長期的な指導・支援を前提としつつ、来日直後の初期の段階においては、外部人材や関係機関等と積極的に連携した初期集中指導・支援等の学びの充実が必要ではないかと考えられます。
初期段階においては、様々な取組があり、各学校において、別室等で日本語指導を行ったり、就学前の幼児を対象として、入学後の学校生活への円滑な適応につなげるためのプレスクール、学齢期の子供を対象として、学校入学前や入学後初期段階に初期の日本語指導等を集中的に行うプレクラスや初期指導教室、指導者や支援者の確保が難しい地域では、オンラインによる日本語指導、その他放課後の支援などがあり、地域の状況に応じ、これらの取組を選択的に取り入れたり、複合的な仕組みを整えることが重要です。
また、右の図に来日後の主な指導・支援の流れを示していますが、プレクラスや初期指導教室等で学んだ後は、在籍校での日本語指導につなげていくことが重要です。
参考に、「外国人児童生徒受入れの手引き」のプレクラス・初期指導教室を開設する場合の留意点について書かれている部分の抜粋を載せています。
指導内容については、在籍校の管理職や学級担任、教科担任等とともに十分に検討することや、初期指導教室は、日本語だけでなく、生活適応指導も大切であることなどが書かれています。
初期段階における学びの場の充実の方向性としては、学校生活への円滑な適応や生きた日本語の習得、日本人児童生徒等との人間関係の構築、関わりを通じた社会的、常道的発達等の観点から、在籍学校・学級との交流や、一定期間の後、在籍学級・学校への学びへの移行が重要です。
一方、外国人児童生徒の受入れ状況や指導体制の状況は、地域や学校によって大きく異なり、学齢等に応じて効果的な初期集中指導・支援等の機関や場所、内容が異なることもあります。
このような状況を踏まえまして、さらなる充実に向けては、既に取組を進めている事例の周知のほか、自治体が日本語を集中的に学ぶプログラムの充実を図り、プレクラス等を含む就学前後の初期段階での支援体制を構築することが考えられます。
この後の議題2では、就学・進学・就職機会の確保について御議論いただきますので、その際、その実施形態に応じて必要となる対応や注意点は何か。例えば、教室の位置づけや運営体制、終了後の学校への接続の在り方、教室で扱う内容、合計時間や期間、実施場所、デジタル技術の活用などについて御意見をいただければと思います。
また、プレクラスやプレスクールは、ある程度の人数の児童生徒を集めて行うものですが、例えば、散在地域など拠点をつくることが難しい場合には、例えば、オンラインを活用して複数の児童生徒が同時に指導を受けることも考えられます。その場合の在籍学級との接続や扱う内容、時間や期間などについて、必要となる対応や注意点についても御議論いただければと思います。
なお、この資料で「プレスクール」、「プレクラス」としていますのは、就学状況調査の際の定義に合わせまして、プレスクールは「就学前の幼児を対象として、入学後の学校生活への円滑な適応につなげるための教育・支援等の取組」、プレクラス・初期指導教室は「学齢期の子供を対象として、学校入学前や入学後初期段階に、初期の日本語指導等を集中的に行う取組」としています。
以上、就学に関する取組を説明させていただきました。議題2において意見交換を行いますので、その際には、これらの取組をさらに充実させるための御意見をいただければと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、引き続き、高階委員より御発表をお願いします。
【高階委員】
皆さん、おはようございます。大阪わかば高校の高階です。
それでは、私の方から、府立高校における外国につながりのある生徒支援の取組みの中でも、本日は、就学機会の確保や進路保障の取組みを中心に話をさせていただきます。
先に簡単に自己紹介ですが、私は、2006年に教員生活をスタートさせまして、初任校では様々なマイノリティ生徒に出会いました。その後、11年間、府の教育庁のほうで指導主事を務め、そこで外国人問題を含め、大阪府における人権教育の歴史であったり課題を学んできました。そして今年度から、大阪わかば高校で校長を務めております。
そのため、本日はできるだけ本校における取組みにとどまらず、大阪府全体の取組みについても説明させていただければと感じております。
資料等につきましては、あらかじめ府の教育庁とも調整済みであることを申し添えます。
本日は、ここにある4点について話をさせていただきます。
最初に、大阪府における取組みです。
外国人教育を進めていく上で、府の教育庁では、在日外国人に関わる教育における指導の指針を定めております。こちらは令和6年2月に改正したもののうちの一部抜粋という形になります。
大阪府では、歴史的にしんどさを抱える子どもたちを中心に据える教育を実践してまいりました。2つ目にも関連しますけれども、決して日本への同化を求めるのではなくて、アイデンティティ保障の取組みと、その人らしく日本社会で生きることができる指導に努めてきたところです。生徒がアイデンティティを確立していく上で、本名を大切にすることは本人にとっても非常に大きな意味を持つことでありまして、大阪府としても、外国ルーツ生徒が本名を使用することのできる環境の醸成にも努めてきたところです。このことは、今日の資料には提示していませんけれども、きちんとこの指針にも明記されています。
そういったことを前提に、こちらは、入学者選抜における配慮事項の変遷ですが、大阪府では、1989年から、日本語指導が必要な生徒に対する配慮を実施しており、ここにあるように、「ふりがな表」の配布であったり、問題文へのルビ打ち、また、小論文における日本語以外の使用、辞書の持込みといった様々な配慮を充実させてきたところです。これらの根底の考え方としては、その生徒が本来持っている学力、思考力、判断力、意欲、こういったものを測るという考えがございます。
こちらにつきましては、いわゆる日本語指導が必要な生徒のための特別枠入試、大阪府ではよく「枠校」と呼んだりしていますけれども、枠校選抜の変遷になっています。2001年に2校からスタートしまして、現在は、本校を含め8校で枠校選抜を実施しております。この枠校の設置に向けては、当時、府の教育委員会と高校の先生方による頻繁な意見交換がなされたというふうに聞いています。
この資料には記載がありませんけれども、令和7年度入試では、大阪わかば高校は枠として20名、ほかの7校につきましては、それぞれ16人の枠が設けられております。
こちらはその「枠」入試の実施概要となります。
学力検査は、数学、英語、作文ということで、先ほど申し上げましたように、作文につきましては、日本語以外の使用を認めています。
ここでポイントなのは、決して日本語の力を測るための試験ではないということになります。
こちらは、こういった枠があるということも大きいのですが、高校の進学段階での就学に向けた取組みをいくつか書かせていただいています。
いろいろなことをしていますけれども、代表的なものとして、多言語進路ガイダンスであったり、多文化共生フォーラムといったことを実施しています。こちらは、ロールモデルとなる高校生の先輩からの話であったり、高校側からの話を聞くことで、中学生が進路に展望を持つことにつなげることを目的に実施しています。こういった取組みを通じて、日本語指導が必要な生徒の高校進学率、直近の令和6年度の卒業生につきましては、96.4%となっております。
また、大阪府では、定員内不合格を出さないという方針でこれまで進めています。そういったことも、この進学率には大きく影響しているのかなと思われます。
続いて、こちらは、枠校8校の取組みをまとめています。
枠校の特徴としまして、日本語学習のみならず、母語継承語の学習を行っているということが挙げられます。
また、その下の3つ目の丸に「つながる力」とありますけれども、外国につながりのある生徒同士が交流する機会であったり、スピーチ大会を通じて、こういったつながる力の育成にも力を入れています。
こういった取組みを通じて、生徒たちのアイデンティティの確立や自尊感情の育成とともに、進路保障・自己実現をめざしています。
この「つながる力」の枠の右下に、小さく赤字で「教科外活動として」と書かれていますけれども、大阪わかば高校では、こういった取組みを、基本的には、授業のカリキュラムの中に組み込んで実施しています。
先に25ページですが、最後から2枚目のスライドを見ていただければと思うんですが、こちらは、本校で実施している日本語関係の科目をまとめています。
単に日本語指導をするということではなくて、常にキャリアと日本語を関連づけて教育課程に組み込んでいるというのが特徴的かなと思います。
ここで米印がついているものは特別の教育課程で実施していますが、例えば、1年次の日本語コミュニケーションでは、スピーチをしたり、地元の小さい子たちに向けた多言語絵本の読み聞かせをするなど、キャリア支援と日本語の学習を関連づけて実施しています。
また、2、3年次のところを見ていただきますと、右側のほうに、日本語実践というものがございます。こちらもまさに地域とのつながりということで、母語と日本語を生かして社会に貢献するということで、ここも地域と関わりを深めながら日本語を学ぶ機会を設けています。
さらに、最終年次では、日本語キャリア演習であったり、日本語コミュニケーション演習、こういった活動を通じて、まさにキャリアと日本語を関連づけて学習を進めています。
すみません。前のスライドに戻ります。枠校以外にも当然、大阪府には日本語指導が必要な生徒たちが多くいますので、いくつかの取組みを紹介させていただきます。1は入学前のプレ日本語学習、また、日本語指導だけではなくて、オリエンテーションなども実施しています。また、4については、高校に入ってからですが、オンラインでの日本語講習会を実施したり、府教委が主催で、5の進路支援説明会、こういったことも大阪府では実施しています。
続いて、2つめに、大阪わかば高校のキャリア支援ということで、本校は、セーフティネットの役割として、令和2年度に開校したまだ歴史の浅い高校です。前後期制の単位制の学校となります。開校2年後の令和4年度に枠校となりました。
スクールミッションとしましては、ここに書かれている形になります。大きくこの下線部の2点という形になります。
本校の外国につながりのある生徒の数になるんですが、全校生徒が470名ですが、その約4割が外国につながりのある生徒となっています。中国ルーツとネパールルーツの生徒、この2つで本校の場合は全体の約7割を占めております。
キャリア支援の方針として、いくつか大事なところを書かせていただいています。本校では、互いに違いを認め合い、共に生きる態度を身につける人権教育を大切にしています。最終的には、子供たちが自ら「選ぶチカラ」を身につけて、進路を保障するということにこだわっています。
また、2つめの近畿統一応募用紙、こちらは、わかばの取組みというよりも、近畿全体での取組みではありますけれども、本人の能力とは関係のない事柄による就職差別を防ぐということで、大阪府では、こういった人権教育をずっと積み重ねてきたところです。このことも非常に大きいかなと思います。
また、3つ目にも書かせていただいていますけれども、じっくりと時間をかけて育成するということに重きを置いてくれている企業が大阪府には多くあるかなと思います。
4つ目につきましては、これは外国につながりのある生徒だけのことではありませんけれども、支援が必要な生徒に対して、キャリア教育コーディネーターやスクールソーシャルワーカーの力を借りながら、チームわかばとして子どもたちを支えています。
次のスライドになります。
就職支援につきましては、まず何よりも入学時のヒアリングが非常に大事だというふうに考えています。入学時に外国につながりのある生徒につきましては、保護者同席の下、ヒアリングを実施しています。そこで在留資格や過去の学校の通学履歴、日本語の習得状況などを確認しています。その際に使用しているヒアリングシートにつきましては、本日のスライドの最後にもつけておりますので、またご覧おきいただければと思います。
また、この2と3ですが、高校卒業後、就職を希望している生徒につきましては、2年次に、先行学習という位置づけで、様々な種類の事業所を訪問するといったインターンシップを実施しています。こういったことを通じて、生徒たちが主体的に「選ぶチカラ」を高めるということに力を入れているところです。
4は、通訳の方に入っていただくということですが、保護者の願いと本人の希望にずれが生じるということは少なからず起きます。そのため、府の教育庁から派遣される通訳の方を活用して保護者懇談を行い、保護者にも正しい進路情報を伝え、生徒・保護者が同じ方向を向くことができるように支援を行っています。
また、本校の場合、在留資格が家族滞在の生徒も非常に多いということもありますので、高卒で就職が内定すれば、現在は、一定の条件を満たせば、「特定活動」や「定住」に切り替えることができますので、そういった情報もきちんと伝えるようにしています。
こちらは、実際のインターンシップの様子をいくつか写真を載せておきました。
本校の生徒の中には、アルバイトをしたいけれども一歩を踏み出せない生徒、アルバイトをしたとしても、言葉や態度で注意されてしまい続かない生徒もいます。この授業を通じて、生徒たちは日本で就労することに対してイメージを膨らませ、自分の立ち位置を理解するとともに、やればできるという自信を持ってくれています。様々な企業を見に行くことで、生徒の自己分析、自己理解が進んでいるように感じています。そういった活動を通じて、会社で使用する日本語をもっと教えてほしいとか、敬語などを勉強したい、そういった前向きな声が生徒の方から出てくるといったこともあります。
次のスライドになります。
こちらは、進学の支援ということで、1の入学時のヒアリング、こちらは先ほどと同じなんですが、進学になってきますと、やはりお金の面が1つポイントになってきます。日本学生支援機構の奨学金につきましては、渡日年度がいつかによって申請の可否なども変わってきますので、入学時にきちんと確認するようにしています。
また、2ですが、積極的にオープンキャンパスへの参加を促し、正しい情報を得るようにしています。多くの場合、本校の教員がオープンキャンパスに付き添い、保護者にも来てもらうようにしています。
3は、帰国生や渡日生徒のための入試であったり、外国語といった得意科目だけで受験できる大学などもありますので、そういった生徒の強みを生かすことも重要かなと思っています。
4、5はご覧ください。
次のスライドですが、本校はまだ卒業生が多く出ていませんので、こちらは今年度の卒業予定生の進路希望を記載させていただきました。
専門学校を入れますと、おおむね5割が進学、4割が就職となっております。外国ルーツ生徒の中で、今年度、学校紹介就職を希望している生徒は14名おりますが、現在、13名が内定をいただいているというところでございます。その13名のうち12名は在留資格が家族滞在となっておりますので、在留資格の変更が必要な生徒という形になります。
ここからは、大阪府における現状と課題について説明させていただきます。
ここまで大阪府における取組みまたは大阪わかば高校におけるキャリア支援について話をしてきましたけれども、こちらは、文科省が実施している「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等調査」の結果になります。
例えば、中退率につきましては、大阪府の場合、全校生徒で見ると、大阪府は1.8%ということで全国の1.1%よりも非常に悪い状況になっています。しかし、ここを日本語指導が必要な高校生で切り取って見てみますと、大阪府の中退率は4.3%ということで、全国と比較すると低い数値となっております。
ほかの数字を見てみますと、非正規雇用率については、大阪府の日本語指導が必要な高校生も35.7%ということで、まだ課題はありますけれども、おおむね日本語指導が必要な高校生の数値は、全国と比べると割にいい傾向なのかなと思います。ただ、全ての高校生と比較すると、まだまだ厳しい状況であり、さらなる支援が求められるかなと思います。
課題につきましては、大阪府だけではなくて、もしかしたら全国的にも同じような傾向があるかもしれませんが、やはり急増する日本語指導が必要な生徒への対応、また、日本語指導が必要な生徒をこれまで以上に受け入れることのできる新たな仕組みなどを考える必要があるのかなと思っています。
最後に、大阪わかば高校の今後の展望ということで、こちらの資料につきましては、大阪府が既に公表している資料になりますが、令和10年度から、本校は、日本語指導が必要な生徒のための「拠点校」になることが決まっておりまして、敷地内に推進室をつくり、大阪府や本校がこれまで蓄積してきた日本語指導のノウハウ、キャリア支援の取組み、学校体制の構築など、そういったノウハウをほかの学校に広く伝えていきたいというふうに考えています。
また、本校も全日制に改編されることが決まっておりまして、これまで以上に外国ルーツの生徒を柔軟に受け入れるとともに、多文化共生に強い関心を持っている日本ルーツの生徒にもぜひ入学してきてもらい、共生社会の担い手を多く輩出していきたいというふうに考えています。
最後に、今年度、本校生徒が自身の思いを朝日新聞に送付したところ、「声」欄に掲載されましたので、2つほど紹介させていただきます。
2名とも次の4月から日本で就職することが決まっておりまして、左側の生徒は、「お互いを尊重し、笑顔で働ける職場をつくっていきたい」と、右側の生徒は、「努力すればすてきな未来をつくれるはず」と力強く語ってくれていることを大変うれしく思っています。
今は日本では支援される場面が多い生徒たちかもしれませんけれども、私にとっては、大阪わかばのこういった生徒たちは希望そのものです。高校生活を通じて自信をつけるとともに、生きる力を身につけ、共生社会の担い手となってくれることを強く願っているところです。
少し時間がオーバーしましたけれども、私からの説明は以上となります。ありがとうございました。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの高階委員からの御発表につきまして御質問がありましたらお願いしたいのですが、最初に、オチャンテ委員が10時50分で退出されるというふうに聞いておりますので、質問ないし、後ほどのヒアリングを踏まえた意見交換での意見でも結構ですので、まずオチャンテ委員のほうからお願いできますか。
【オチャンテ委員】
ありがとうございます。すみません。授業の都合により途中で早めに退出しないといけないので、御迷惑をおかけします。
感想にはなるんですけれども、以前、わかば高校に見学させていただいたことがあります。特に印象的だったのは、生徒一人一人、生き生きしているんです。すごく自信にあふれていたんです。
たまたま発表の場を見る機会だったんですけれども、内容はヘイト的なスピーチに関する考えをディベートするものであった。恐らく社会に出てからそういうような問題に直面するであろうと思っているような、そういった内容に高校生の段階から触れていく、考えていく、その点は非常に意義深いと感じました。またさらにキャリアや就職につながるような支援を受けられる体制が整っている点も、非常にすばらしいなと感じました。
また、日本語教員とか、担当教員に任せているのではなく、学校全体の使命と、先ほどもスクールミッションという言葉が出たんですが、本当に学校全体としての使命で子供たちを受け入れ取り組んでいる姿勢が強く印象に残りました。
一方で、日本で生まれ、幼少期から日本で生活している子供たちに対しては、日本語の学習支援やキャリア支援など、継続的に手厚い支援がやはり必要だと感じています。わかば高校は「枠校」であるため、来日の年齢といった条件もあるかと思いますが、特に一般の高校に関しては、そこまでの手厚い支援体制は整っていないのではないでしょうか。おそらく小学校や中学校では、比較的に充実した支援が受けられていると思います。しかし、高校になると、学校によっては、大阪に限らず、私自身いろいろなところに関わる中で見てきましたが、小学校、中学校で受けられていた支援が一気になくなってしまうケースもあります。特に進学校では、学習面では子どもたちが何とかついて行けていても、環境になじめず、結果的に辞めてしまう子供たちの実態も見てきました。そうした点は課題だと感じています。来日年齢の違いや将来的な定住の見込みがあるかどうかによって受けられる支援やその内容に差が生じる状況は、あまり望ましいものではないのではないかと考えています。
また、保護者に働きかけていく点や、理解を促すような取組も重要だと思っています。いろいろな高校でも、進路については手厚い支援が行われていますが、キャリアに関しては、保護者の理解が十分に得られていない場合もあり、その結果、非正規就職へと流れていくような話もよく耳にします。そのため、保護者の理解を得ること、そして保護者のサポートを得ることで、子供たちはより深くキャリアについて考えられるようになるのではないかと思います。
また、これまで、小学校、中学校における外国につながる子供たちの教育については、高校進学に関しても、本当に各地でさまざまな取組が行われるようになってきたと思います。しかし、就職に関する取組については、まだ十分とは言えない状況ではないかなと思います。
自分の希望や特性に合った職業につなげること、また、社会人として自立していくための支援は非常に重要な要素だと思っています。先ほどのわかば高校では「オーダーメードな進路支援」という表現がありましたが、まさにそれは必要なのではないかなと思います。
自分の強みが分からない子供たちや若者が多くいると実感しています。たとえば、言語ができることを強みだと捉え、進路として大学で言語や国際系の専攻を学ぶよう勧められるものの、それがうまく就職につながらず、結果的に非正規や非常勤で働いている若者も見てきました。そうした状況を見ていると、やはり実際の強みや、自分が持っているものが就職にどのようにつながっていくのかという点も含めて考えていく必要があると感じています。恐らく、家庭や保護者から十分なキャリアに関する支援を受けられていないケースもある中で、学校においてキャリアについて考えていく姿勢はとても重要なのではないかと思っています。
あと、最後になりますが、当事者の御意見を聞くことは本当にすばらしいことだと思いました。特に、コメントの中に、学校に国際教室があることで、学校の悩みを話せる場所や相手がいてよかったという声があった点が印象的でした。けれど、これはよく聞かれる意見ですが、国際教室、日本語教室があることで、日本語学習の面や、ほかの日本人の学生との交流が少なくなるのではないか、といった指摘もあるかと思います。しかし、やはり初期段階においては、こうした国際教室や日本語教室の果たす役割は非常に大きいのではないでしょうか。また、そうした先生方は、学習だけでなく、カウンセリング的な役割も担っている場合が多いと思います。そのため、どの年齢で、どのような支援が必要なのかについて、もう少し丁寧に考えていく必要があるのではないかと感じています。
すみません。長くなって、まとまっていないけれど、これで一旦、私の話は終わります。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、ほかの方で、高階委員の御発表につきまして御質問がある方は、どうぞ。
小島委員、どうぞ。
【小島委員】
高階先生、御発表ありがとうございました。大阪の取組、そしてわかば高校のこれまでの成果、枠校になってからの御実践の様子がとてもよく分かる御発表をいただいて、ありがとうございます。
私からは、3点、質問させてください。
1点目が、入試についてです。
入試で、大阪では、枠校という形で設置されて、数学と英語、そして作文、作文については日本語以外の言語での回答が可能という御説明がございました。そうした受験方法で高校に入学した生徒たちが、高校ではどんな成長が見られるのか。具体的に、この入試で合格した高校生たちの成長の様子などをお聞かせいただけたらなと思います。どうしても日本語のテストがない、日本語以外で評価するということに対して、まだまだ他地域では進んでいないかなと思いますので、大阪ではこれまで日本語以外の言語で入試にて評価したからこそ、生徒たちの成長が見えていたら教えていただけたらなと思います。
2つ目が、この入試等で合格した生徒たちに対して大阪の高校で大切にされていることということで、アイデンティティのことですとか、母語・母文化についてのお話がございました。そうした生徒たちに対して、授業内で学べるような環境をつくっているという御説明があったんですけれども、そうした授業を設定することによって、冒頭、事務局のほうから御説明あった「自分の強み」を見いだすところにつながっているのか否か、その点について教えていただけたらなと思います。特に、ネイティブの教員が配置されているということでしたので、そうした先生の存在意義などについても御紹介いただけたらうれしいです。
3点目が、就学機会の保障及び進路の保障から、特に進路について、就職とか進学についてのお話がされていたんですけれども、そうつながっていくためにも、高校の中では必履修科目があるかなと思いますので、そうした教科の学びについてです。特にプレの日本語学習会も行っていらっしゃるということでしたので、そうした日本語指導を必要とする子供たちに対して学校で工夫されている点、補足資料でヒアリングシートがありましたので、丁寧に子供たちの様子などもアセスメントされながらされているのかなと思ったので、そうしたことをすることで、教科の学習で工夫されている点などがあったら教えていただけたらなと思います。
以上、3点になります。よろしくお願いいたします。
【佐藤座長】
お願いします。
【高階委員】
ありがとうございます。
1つ目の日本語以外で評価していることについてということですけれども、大阪府、特に枠校に関しては、やはり先生方の意識の中にも、入試が影響しているかは分かりませんけれども、根底に生徒そのものをきちんと見ようという意識はすごく強いかなと思います。日本語ができない生徒というふうに捉えるのではなくて、多くの先生方が複数の言語、複数の文化を持つ可能性のある生徒たちというふうに見ているので、そうすることで子どもたちはすごく安心して学校生活を送ってくれているかなと思います。あとはやはり、社会では生きづらさを抱えていても、学校に行けば、自分の得意な言語、母語でしゃべられる友達がいるというのも子供たちの成長意欲にはつながっているのかなというふうに思います。
2つ目の母語、母文化を設定することで自分の強みの把握とかにつながっているのかということですけれども、やはりそれは、今の1つ目とも非常に関連しますけれども、非常に大きいかなと思います。
あと、やはり大きいのは、ネイティブの先生方がいるということ、これは単に母語、継承語を学ぶというだけではなくて、やはりその授業は本当に安心して、自分の得意な母語、継承語で先生と話ができますので、そこでアイデンティティの確立、これにはもう間違いなくつながっているかなと思います。現状、わかば高校では、卒業まで必ず週2時間ですが、必ず母語、継承語の授業を生徒たちは取っているという形になります。
あと、3つ目のキャリアの部分ですが、何か工夫されていることということで、必履修科目につきましては、基本的にはやさしい日本語で授業を実施しています。私もよく授業を見に行きますけれども、当然、必履修科目なので学習はするんですけれども、日本語学習と関連づけて必履修科目の授業を先生方はしてくださっているかなと思います。
あと、本校の日本語指導、プレの日本語学習も含めてですけれども、本校では、先ほどオチャンテ先生も言ってくださいましたけれども、やはり話す、聞くということにかなり時間を割いて、生徒たちがまさに主体的に思考する、対話するという時間をできるだけ多く確保しています。日本語指導に関わる先生方はきちんとそういった共通認識を持った上で系統的に指導しているというのが本校で工夫していることかなと思います。
以上となります。
【小島委員】
いえ、ありがとうございます。母語の力も含めて、入学時で生徒のもつすべての力を把握する、母語を含めて子供たちを評価されているという点が、やはり教科の学習だったり、学校の各プログラムだったりの中ですごく生かされている。そのことが、きっと最後の御紹介にあった大阪府での中退率や進学率が、全国と比較して異なる点に大きく関係しているということがとてもよく分かりました。表面的な日本語の力だけではなく、子供たちの頭の中の力を物すごく評価されているということと、その力を伸ばしていくということを大事にされているゆえのこの結果であることがとてもよく分かりました。質問に御回答をいただいて、ありがとうございました。
【佐藤座長】
では、続いて、浜田委員と齋藤委員、どうぞ、続けてお願いします。
【浜田副座長】
では、浜田のほうから先に質問させていただきます。3点ほど教えていただきたいと思います。
まず1点目、日本語を入学時には見ずに、入学してからしっかり日本語力をつけて進路実現につなげておられるということで、例えば、4年生の授業として、日本語キャリア演習とか、日本語コミュニケーション演習というのがありまして、就職や進学に必要なキャリアについて学ぶというようなことが書かれていまして、非常にすばらしい授業だなと思ったんですけれども、具体的に、就職につながる日本語というのはどんな感じのことをされているのかというのを、校長先生のほうで御承知になっている範囲でいいので教えていただければというのが1点目です。
先に質問を全部申し上げてしまいます。
それから2点目、オチャンテ委員のほうからもありましたように、保護者の方の影響が就職には非常に大きいというようなことがございます。わかば高校では、就職支援の1つとして保護者懇談をされているというのもすばらしい取組だなというふうに思ったんですけれども、具体的に、保護者の方に正しい情報を理解していただくというところで、どんな情報をどんなふうにお伝えして理解を促進しているのかという辺りも、御承知の範囲で教えていただければというふうに思います。
それから、3点目です。最後のところで、わかば高校で蓄積されたノウハウを他校にも発信していくということがございまして、これも大変すばらしい取組で期待をしたいというふうに伺ったんですけれども、学校の中で、例えば、大阪府の学校については様々な研究論文も出ておりますけれども、枠校の意義として、教員が枠校で勤務することで学んでいくというようなこととか、あるいは、生徒たちも枠校で学ぶことによって、いわゆる多文化共生に対して意識づけがされていくというようなことが言われています。そういう点で、例えば、校内で、転勤してこられたばかりの先生方もいらっしゃると思うんですけれども、先ほど先生のお話の中にもあったような、子供たちを複数の言語を持つ生徒というふうに見られるようになったりとか、あるいは、やさしい日本語で教科の授業ができるようになったりとか、そういうふうになっていくのに、どういうふうなプロセスというか、周りからの支援とか、あるいは、実際に研修をされているとか、そういうようなことがあるのかということを教えていただきたいということと、それから、生徒同士も、多分、自然に多文化共生的な意識で関われる生徒ばかりではないと思うんですけれども、何か生徒指導とか、あるいは学級経営、学校づくりの中でされていることがあれば教えていただきたいというふうに思います。
以上でございます。
【高階委員】
ありがとうございます。私が把握している範囲ということで3点、質問をいただきましたけれども、1つ目の4年次のキャリア、日本語キャリア演習ということで、就職や進学に必要なキャリアについて学ぶということで、ここにつきましては、まさに、本当に基本的な、例えば、求人票の見方などもそうですし、企業に行ったときの挨拶の仕方とか、それこそ名刺交換の仕方とか、そういったこともそうですし、試験のときの、やはり文化が違いますので、本当に細かいことですけれども、面接室の入り方とか、礼の仕方とか、そういったことも含めて、この授業の中で生徒たちには指導をしているという形になります。
あと、2つ目の保護者への正しい情報というところですけれども、やはりここも保護者によっては、例えば、非正規が当たり前といいますか、そもそも大学に進学するということを前提に考えていない、でも子どもは実は大学に行きたいと思っているということもありますし、就職するにしても、そもそも、日本の場合はやはり正規就労ということが重要視されると思うんですが、そこの考え方が全然違うということもありますので、そういった考え方、もしずっと日本での生活を考えているのであれば、いずれ正規就労ということを考えていきましょうねとか、大学進学についても、お金の仕組み、また、奨学金制度があるという、そういった仕組みを知らない保護者の方もいますので、まさにそういった正しい情報を正確に伝えるということで、生徒の考えと保護者の考えの方向性を同じ方向にしていくという作業を丁寧にしているというところになります。
あと、3つ目が、先生に関する質問だったかなと思いますけれども、こちらにつきましては、正直、大阪府全体で見たときに、全ての先生方が最初からそういったノウハウを持っているということはないかなと思います。ただ、大阪府の特徴として、誰一人取り残さないという人権教育をずっと積み重ねてきた実践がやはり大きいのかなと思います。当然、初任者研修のときから、人権教育についてはかなり時間を割いて実施しますし、そういった外国ルーツの生徒だけにかかわらず、様々なマイノリティ生徒の支援、また、当事者から話を聞く、そういったことを繰り返し先生方は研修を受けていますので、やはりそういった積み重ねがあって、そういったマインドを持った先生が大阪府には非常に多いというのは誇れる部分なのかなというふうには思っています。なので、わかば高校に転勤してきた先生方は、最初は、当然、ほとんどノウハウを持っていない先生がほとんどです。なので、わかば高校に来てから、そういったノウハウを身につけているというのが実態かなと思います。
以上となります。
【佐藤座長】
それでは、齋藤委員、どうぞ。
【齋藤委員】
齋藤です。ありがとうございます。私も貴校を訪問させていただきましたが、ちょうどキャリアの日本語関係の授業を拝見いたしました。職業経験をした企業さんにお礼の手紙を書くという活動で、キャリアに日本語の学習を関連づけてなさっている授業を拝見したことがあります。生徒さんたちが生き生きと授業に参加し、しかも実用的であり、自分の将来を切り開く日本語として意味づけをしながら学んでいる姿を拝見しました。ありがとうございました。
それで、私からは1点ご質問です。ちょうど浜田委員が最後に御質問なさった今後のセンター的な機能を果たす拠点校という点について、つまり、将来の展望に関して少しお話をお伺いしたいと思いました。
先進事例の紹介などをすると、人的配置があり、体制が整っている学校だからこそできるんですよというような意見がよく耳に入ってきます。そういう点で、わかば高校さんも、ある種、人も配置され、それから、2学期制になっており、最初の半年は日本語を基礎的なところから学べるというような制度があり、また、単位制であり、生徒さんたちが自分のペースで学べる仕組みを持っていたりします。そこで得られた経験的あるいは意図的に実施してきた成果をほかの高校さんに伝えていくときに、単なるハウツーでは、多分うまく伝わっていかないかと思うんです。その点で、センター的な機能を果たす上で、特に小中学校と違う高等学校という、学科も違う場合もありますし、全日か定時制かという違いもあり、先ほどの単位制か、学年制かという違いと、仕組みの違いが大きい中で、どういうところに軸を置いて、拠点校として、これまで蓄積してきたわかば高校さんの経験を伝えていくといいのかということについて、今、高階校長先生がお考えになっていることを少し教えていただけるとありがたいです。同じことで、いつも私も迷っているところですので、よろしくお願いします。
【高階委員】
ありがとうございます。非常に難しい質問だなと正直思います。
おっしゃるとおりで、例えば、分かりやすい話、わかば高校で使っている教材をそのままどうぞと提供したところで、それが必ずうまくいくとは限らないかなと思います。なので、やはり大事なことは、その学校に応じた持続可能な仕組みをきちんと作るということが何より大事なのかなと思います。
特に、少数散在校の場合は、支援に関わっている先生が1人だけというようなこともよくある話ですので、そういった仕組みづくりについていろいろ助言はできるかなと思っています。なので、わかばの仕組みをそのまま移しても意味がありませんので、そういう体制づくり、1人だけの先生ではなくて、せめて複数人でのチームをつくる、そのチームを作る手法などについて、いろいろアドバイスはできるかなと。あとは、例えば成績評価のことであったり、進路保障の取組み、そういったものはもしかしたらそのまま通用できる部分もあるかもしれませんので、そういったところはきちんと伝えつつ、先ほど申し上げたように、どうやったらそういう体制がつくれるかと、持続可能な仕組みが作れるのかというところのアドバイス、そういったところで力を発揮できるのではないかなというふうに感じております。
【齋藤委員】
ありがとうございます。引き続き、ぜひ御相談させてください。ありがとうございます。
【佐藤座長】
それでは、ありがとうございました。
高階委員、ありがとうございました。
それでは、議題2、ヒアリングを踏まえた意見交換に移っていきたいと思いますけれども、今、報告いただいた高階委員からの発表、それから、事務局からの説明にあった就学に関する取組等を踏まえて議論を深めていけたらと思いますので、まず事務局のほうから説明をお願いします。
どうぞ。
【片桐調査官】
ありがとうございます。前回の会議におきまして、外国人児童生徒等の就学・進学・就職機会の確保について、御議論いただきたい内容を説明させていただきましたので、本日の配付資料の参考資料4としております。ここでは簡単に説明をさせていただきます。
まず、就学促進のための方策の在り方については、令和2年の指針に基づき、自治体において、住民登録窓口での働きかけや教育委員会との情報共有が進められ、不就学の可能性のある子供は減少しているところ、これらの取組をさらに進めるためにはどのようなことが考えられるか。
初期段階における学びの場を充実させるためのプレスクール等の取組の推進については、先ほどの議題1で説明させていただいたとおり、資料2の4ページ目にあるように、プレスクール等を実施する際に必要となる点や注意点は何か。
参考資料4に戻りまして、進学・就職につきましては、高校入試の配慮事項に関する通知で特別定員枠の設定や受検に際しての配慮等の取組の推進を依頼しており、取り組む自治体は増えていますが、さらに進めるために考えられる方策は何か。
キャリア教育やキャリア支援、保護者への対応については、今年度、調査研究を実施しているところですが、さらに推進するために、関係機関や大学、企業等との連携、保護者への対応などについての課題や取組を進めるために考えられる方策は何か。
先ほどの高階委員の御発表では、高校入試の状況や高校におけるキャリア支援等の取組について御紹介いただきましたので、このような先進事例を参考にしながら御議論いただければと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございます。
それでは、皆さんから、これから御意見をいただきたいと思います。全員にぜひ意見を伺いたいと思いますので、お一人約4分程度で簡潔にお願いします。もし足らない場合は、後ほどメールで事務局のほうにお知らせいただければと思います。
前回同様、こちらから名簿順に指名をさせていただいて御意見をいただきたいと思いますので、それでは、今日は工藤委員は欠席でございますので、小島委員からお願いできますか。
【小島委員】
トップバッターで、すみません。
では、3つ、今のお話を伺っていて思ったところがございました。
1つは、プレクラスの件でございます。
今から20年前になるんですけれども、私は岐阜県可児市の教育委員会に務めておりまして、その際に取り組んだ一つが、このプレスクラスの設置でございました。プレクラスを設置したことが、今、20年たって可児市を見てみても、大変効果的であったなというふうに理解しているところです。
特にそこで行った内容ですけれども、やはり子供たちの力を把握するというアセスメントの役割が大きかったように思っております。ですので、いわゆる表層面である日本語の力のみを短期で伸ばすことも重要です。重要なんですけれども、それだけではなく、「ことばの力のものさし」を今回開発する過程でも改めて理解した点が、子供たちのこれまでの知識や学習を踏まえて、教科の活動を初期の中で行っていくことで日本語の力が伸びていくという点です。その点が初期のプレクラスの中でもっと広がっていくような仕掛けというか、仕組みづくりが重要になってくるのではないのかなと思っています。
プレクラスの指導が、「あいうえお」から始まっていくですとか、漢字の1年生から始まってしまうんですけれども、そうではなく。「ことばの力のものさし」の実践ガイドでも各学校が御紹介してくださったんですけれども、例えば天気という概念は子供たちが分かっている、ですので、自分たちの国の気温だったりとかと今の日本の気温を比較しながら、自分の国々の気温と比べて高いとか低いとかというところの持っている知識や概念とをフルに活用しながら日本語を学習していくですとか、給食という教育活動を理解していくのにも、五大栄養素等も含めて一緒に理解していくだったりとか。教科の内容と一緒に、そして子どもたち自身が持っている今までの経験や知識というものを生かしながら、初期の日本語学習はできるので、そんなプレクラスの設置の在り方がもう少し拡充していくような形がいいのかなというふうに考えた点です。
2つ目が、先ほどの高階委員のお話でもありましたが、キャリアでの日本語の評価です。どうしてもJLPT(日本語能力検定試験)のグレードを求められてしまっているように思っています。
ですけれども、目的が異なるものである中で、でも、それしか今は日本語の力を評価できるものがないので、安易にそちらにいきがちなんですけれども、私はJLPTでなくてもっと日本語参照枠がキャリアでの評価につながっていく、就職や進学で評価されていくような仕組みができてほしいと強く思います。そうなりますと「ことばの力のものさし」での評価とも重なっていくように思っております。
今回、「ことばの力のものさし」の作成に当たっては、わかば高校さんも一緒に取り組んできたところなんですけれども、子供たちの日本語の力を「ことばの力のものさし」で評価していくことは日本語教育の参照枠での評価と重なっていくことがわかりました。
ですので、JLPTだけでキャリアの場面、就職時に評価されるような仕組みではなく、学校教育だからこそ、そこで学んだ日本語の力については、「ことばの力のものさし」と「日本語教育の参照枠」で評価されるよう、もう少し社会の中で、そして就職の中で浸透していくような仕組みが同時にできていくように環境整備ができるといいなと思ったところです。
最後になります。入試の点です。
お話にあったとおり、文部科学省のほうから高校入試時での日本語指導が必要な受験生への配慮の重要性ということが、いろいろな形で発信されていて、通知等も出ているというのは、従来と大きく変わってきているところだなというふうに思っております。
ですけれども、その中で、具体的な配慮の例が、どうしても試験科目軽減とか、入試で書かれた文字への配慮、漢字のルビの振りという、いわゆる分かりやすい表面的な日本語対応のみになってしまっています。高階委員がおっしゃっていた大阪での入試で重要視されている思考・判断・表現を支える力を評価するところに配慮が必要なんですという点が、フォーカスがいくような例の提示も必要なのかなと思っております。
高階委員のお話にあったとおり、日本語だけではなくて母語の力も評価できることが子供たちの強みの理解にもつながっていて、そのことが、ひいては進学だったり進路だったりにつながっているというお話がございました。ですので、日本語を母語にしない子供たちの高校入試での配慮では、表面的な日本語の力という見やすいところだけではなくて、子供たちの思考・判断・表現を支える力、年齢相当の部分をも評価されるような配慮への重要性がもっと広まっていくといいなというふうに思いました。
以上になります。
【佐藤座長】
次、齋藤委員、お願いできますか。
【齋藤委員】
ありがとうございます。それでは、私から、プレクラスのことを中心に意見を申し上げさせていただきたいと思います。
最近、いろいろな自治体、教育委員会から、初期段階の日本語集中指導クラスに関して御相談を受けることが多くなっています。そこで非常に大きな課題になっているのが、どういう立場の人が、どういう専門性を持ってプレクラスの指導に当たるのかという点です。それによって、教育内容の構成にかなり影響が出てきます。こういう内容をと提示したとしても、それを指導担当者が、実施する上で具体化し実装化するときに、担当者の経験や専門性によって、かなり実質的な中身が変わってしまう可能性があると感じています。
プレクラスの開設において、そこに教員免許を持っている、教員免許を持っている教員を配置できるかどうか。また、可能であれば、それを教育委員会の組織の中に置き、教諭という形で正式に採用された方が配置され、コーディネートができるようにしていくことが、私としてはよいと思うのですが、現実的に今すぐにそれができる状態ではないという点も理解しております。そうだとしで、プレクラスで学ぶ内容を、単なる日本語の知識や技能、形式面の知識・技能に焦点を当てるのではなく、その子供たちが年齢相応の力を発揮しながら、学校生活に適応できる、学校の学習活動に参加できる、そして将来的には日本社会の中で自分らしく生きられるようにするための最初のステップにできたらと思います。学んだ知識・技能を、彼らの、今後、学校で、社会で遭遇する問題・課題を解決するため、ことばを運用する力として発展させていくような、また、培ってきた力を伸ばしていくような言語教育が必要だと考えています。指導者の専門性として、成人の日本語教育の専門性を持っているというだけでお願いしては、問題が大きくなる可能性があるということについて、私たちは共有しながら、共通の認識で議論しているわけです。けれども、実際に市町村単位でプレクラスを設置するときに、教員不足という中ですが、学校教育についての専門性、子供の成長・発達についての専門性、それから、異文化適応や異文化理解であったり、あるいは、小さい頃から実施する必要性の高いキャリア教育についての経験や見識というようなものを、プレクラスの中で実際に発揮できるような人材の配置を何とか実現していきたいと思います。また、登録日本語教師の制度ができていますけれども、その制度で資格を得た方々が、その専門性に加えて、今お話ししたような専門性や知識を学ぶ場を提供する仕組みもプレクラス開設と併せて進めていくことが必要と強く感じているところです。
すみません。長くなってしまっていますが、 これまで既に外部人材にお願いしており、、その方々にプレクラスでの指導もお願いしたいという場合もあると思います。その場合も、指導内容を再検討する機会であったり、教育課程の編成で、今までの指導がより生きるような形要素を検討する場であったり、学校教育の一環として再編することを併せて進める必要があると思います。これまでの貢献に敬意を示した上で、プレクラスとして実施する上で必要なことを学ぶ機会も併せて提供する必要があるかと思います。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、佐古委員、お願いできますか。
【佐古委員】
ありがとうございます。高階先生、非常に興味深い御発表ありがとうございます。多分これは大阪の教育土壌にしっかり根づいた実践なのかなと思いながら聞いておりました。
私が興味を持ちました点の1点目は、感想めいたお話なんですけれども、高階先生の発表中のお言葉では、「選ぶチカラ」という話が出てまいりましたけれども、要は、生徒の自立支援というものをメインに置きながら、そこに日本語教育として必要な段階なり要素を整理された上で教育をやっておられるということと、それとともに、これも資料の中にありましたが、キャリアコーディネーターとかソーシャルワーカーを活用されて、つまり、生徒が自らの生活なりキャリアを実現していくことについて、必要な支援をしっかりと入れて、それと日本語指導をパラレルに行っておられるというところは、私、非常に興味を持ちました。
言いたいことは、恐らく外国人の子供たちが、あるいは日本語指導が必要な子供たちが日本で自分なりの生活を実現することを考えると、日本語の指導を軸としながらも、今の御発表のようなトータルな、つまり、自立支援等を含むようなトータルな支援体制を構築しないとなかなか難しいという印象を持ちました。そのためには、恐らくこれを全部教員でやるというのは難しい話なので、これはサポートの必要性に応じてコーディネーターの配置などをこれから重視しないといけないかなと思って聞いておりました。これはこの会議の前々回あたりで委員の方からもそういうような御発言があったかと記憶しているんですが、やっぱり多文化共生ということを軸にしながら、一人一人の子供のキャリアを開いていけるような、あるいは関係機関とつないでいけるような、そういうコーディネーターの配置を一方では強力に進めるということは私は必要かなと思って聞いておりました。
それからもう1つ、拠点校という考え方です。これも非常に興味を持ちまして、これはそもそもミッションとして、そういう役割を持つ学校を整備するということだと思うんですが、その知見をほかの学校に渡していく、これも後で高階先生が補足されましたが、単なるノウハウではなくて、仕組みづくりについてきちんと伝えていきながら、学校が持続可能な形で生徒の教育に関われるような、そういう学校を増やしていくというようなお考えだと思いましたが、それも非常に興味を持ちました。
こういう拠点校を各都道府県に設置するという方向も、私はもう少し積極的に考えたほうがいいのではないかと思います。これは冒頭の事務局の資料の中に、支援事業の予算として入っているということなんだけれども、何かそれで大丈夫かなと。もう少し各都道府県に外国人等生徒の教育の拠点になる学校を整備して、そのノウハウをそれ以外の学校にも展開できるような仕組みを、もう少し国が積極的に政策として出されるということも、今日のお話を聞いていると必要かなという気を持ちました。
以上でございます。ありがとうございました。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
高階委員、今の佐古委員のお話で、何か補足するようなこと、あるいは、お答えするようなことはございますか。
【高階委員】
指摘していただいたとおりで、やはり日本語指導だけしていても進路保障にはつながらないのは間違いないので、本当にトータルで、当然、中には、これは日本ルーツ生徒でもそうですけれども、福祉機関につなぐような生徒もいますし、そもそも生活基盤がきちんとしていない生徒も本校にはいますので、本当にトータルで地域の力を借りながら、まさに本校の場合、生野区役所にありますので、生野区やNPOといった力も借りながら、地域で生徒たちを支えているという状況です。本当にそれはもう間違いなく大事だと思います。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
拠点校方式というのは、今、大事だというお話でしたが、前の有識者会議で拠点校方式というものをかなり提案していたんですけれども、今、事務局のほうで何かございますか。拠点校方式について。今、佐古委員のほうから御指摘がありましたけれども。
【片桐調査官】
ありがとうございます。以前の会議で指導体制について御議論いただいた際に、指導の在り方として、学校で行う場合と、拠点校の場合と、支援員が巡回する場合というパターンを示させていただいて、これは受入れの手引きのほうに書いているところなんですけれども、今回の有識者会議の中で、それについても、より詳しい情報というか内容をこちらとしても示す必要があると思っておりまして、地域の実情は様々ですので、例えばこういうやり方がありますよというものを、今も手引きでは示してはいるんですけれども、その内容をさらに充実させたものを手引きの改訂などで示したりですとか、指導主事を集めての会議などもこちらでやっておりますので、そういったところで伝達するという形で支援していけたらなと思っております。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、徳永委員、お願いできますか。
【徳永委員】
ありがとうございます。先ほど冒頭で「こども若者★いけんぷらす」の事業での高校生の聞き取りについて、大変貴重な取組の報告をありがとうございました。生徒さんたちの声を大切にして報告書を作成していき、施策づくりでも参考にできたらよいと改めて思いました。今回は9名の生徒という限られた取組でもあったと思いますので、ぜひこの形も参考にして、あらゆる自治体、あらゆる学校で、似たような取組が展開されて、声を聞く仕組みづくりが進んでいくことを非常に強く期待しております。
参考資料4の外国人生徒の進学・就職の促進方策について、2点ほどお伝えしたいと思います。
1つ目は、「特別枠について」、今日、高階委員からもいろいろ御報告がありましたけれども、特別定員枠の設定とか受検の配慮の取組の推進について、今後より多くの自治体で進めていき、学校現場や地域、生徒のニーズに合わせて特別枠を設定していくことが非常に重要だと思っています。先ほど高階委員から、大阪府では高校と教育庁との間で話合いをしながら進めていったと報告がありましたけれども、自治体によってはトップダウンで特別枠ができて、現場との間にそごが生まれてしまったり、なかなか現場との調整が難しいという事例も聞きますので、どのような高校を設定するのかとか、現場のニーズを踏まえて丁寧に進めていくことも大事だと思いました。
あと、特別枠を増やして終わりではなくて、やはり枠ができた後の支援体制をどうつくっていくのかというところも考えていく必要があると思います。いろいろな高校から、特別枠ができて、外国につながる生徒が急増して、なかなか十分な支援ができないまま教員への負担が大きくなってしまった、丁寧な支援ができず中退に至ってしまったという事例も聞きますので、長期的な視点で効果検証をしながら丁寧に特別枠を広げていったり、拠点校をつくって進めていくということが求められていると、今日改めて、お話を伺いながら考えました。
2点目は、キャリア支援について、わかば高校の取組は大変すばらしいと思いました。キャリアコーディネーターがいることや、在留資格についてきちんとヒアリングをして、保護者を含めて相談していくということ、インターンシップを行っていることなど、そういった先進事例なども、報告書作成の中で、今後キャリア支援についてもう少し書き込んでいくと思いますので、参考にできるといいと思います。
その点で、キャリア支援について今回の資料の中では、進学とか就職という点が書かれていたと思いますがライフキャリアのような長期的な視点から、こういった生徒さんが、複数の国とか文化や言語を行ったり来たりしながら人生を切り開いていく、そのためのスキルとか力を身につけていくという、より広い意味でのキャリア支援が重要だということも書き込んでいくといいのではないかと思います。
あとは、今日いろいろなお話が出ているように、強みを生かしていくとか、エンパワーメントの視点からキャリア支援をやっていくことが大事だということもぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
それと関連して、高校段階のキャリア教育について多くの議論があると思いますが、やはり今、高校卒業後の就職ですとか、あるいは専門学校とか大学に進学する若者が増えていて、そこも含めて考えていく必要があると思います。私自身は大学教員として外国ルーツの学生たちと関わったり、あるいは当事者の学生の大学経験についての研究もしていますが、まだまだ、大学に入ったはいいけれども、その後の困難が本当にたくさんあって、言語や経済的な理由で大学進学への壁があるということだったりとか、特別入試がある大学には入れたけれども、その後に、教職員から、留学生として認識されてしまって、外国ルーツの学生固有のニーズとか経験が理解されずに支援につながらなかった、それで中退してしまったという事例も聞きます。また、日本語の授業を取りたかったけれども履修ができなかったとか、キャリア支援を受けたかったけれども、それが留学生や日本人学生を対象にしたもので受けられなかったなどいろいろな困難を聞きます。これは大学の事例ですけれども、高校から就職や大学等への進学後についても想定しながら、広い意味での長期的な視点でキャリア支援の在り方をぜひ考えていけたらいいと改めて思いました。
以上です。ありがとうございます。
【佐藤座長】
キャリア支援について、短期的なキャリア支援の課題・方策というのは喫緊の課題ではありますけれども、それ以上に少し中長期的な視点、あるいは進学後の対応というようなところも含めた記述が必要ではないかというお話でした。
何か事務局からありますか、今のお話について。
【片桐調査官】
ありがとうございます。すみません。この文章としてはちょっと短絡的な書き方になっていて本当に申し訳ないんですけれども、私どももキャリア支援といったときに、高校だけ、中学だけということは考えていなくて、今年度、キャリア教育やキャリア支援に関する調査研究を実施しているんですけれども、将来の担い手となっていただく、強みや長所を生かして、将来に羽ばたいていただくためにという視点で、調査研究を進めておりますので、報告書のほうでもそのような内容を書かせていただければと思います。
【佐藤座長】
そうですね。キャリア支援とキャリア教育というところを、特にキャリア教育について少し書き込む必要があると思いますので、ぜひ考えていきましょう。
ありがとうございました。
それでは、バトラー委員、お願いできますか。
【バトラー委員】
ありがとうございます。私のほうからは、就学の促進に関して、アメリカの事例なども参考にしながらお話をさせていただきたいと思います。
プレスクールというのはアメリカでも非常に期待されている1つの手段ではありますが、やはり英語学習者の間の就学率が、そうでない児童に比べて低いということが問題になっています。理由としてはいろいろありますが、大きな理由としては、情報の収集が難しいということがあります。先ほど住民台帳等々を利用しながらできるだけ就学率を高めていく努力をされているというお話がありましたが、アメリカでもそういうことはされています。ただ、最近では、例えば、それぞれの移民グループの間でよく使われているSNSといったようなものを活用しながら、できるだけ多くの人々に周知していく、できるだけ多くの子供を救っていくという努力がされています。
あと、これはちょっと今の日本の現状には即さないかもしれないんですが、やはり不法移民であるとか、入国してきたときは合法だったんだけれども、在留資格が切れてしまいましたといったような保護者の場合、足がつくのを恐れて公の機関に登録しないということが多いので、アメリカの場合は、少なくとも教育委員会は移民のステータス、合法であるかどうかというステータスを聞かない、またもしそういった不法であるかどうかの情報を入手した場合でも、移民局であるとか、該当機関と情報を共有しないという仕組みになっています。保護者の中には、不法であるということを恐れて子供を学校にやらないということが多々ありますので、それを防ぐためにこのような措置が取られているということを情報としてお伝えさせていただきます。
それから、プレスクールと重なる部分もあるんですけれども、ヘッドスタートプログラムというものがあります。これは、英語学習者だけを対象としたものではなくて、低所得者を対象としたものになります。ただ、英語学習者の保護者の中には低所得の人々が多いので、非常に重複する部分があります。ある一定の所得に満たない人、そして、地域によっていろいろ規定は違いますけれども、大体子供が7歳から8歳ぐらいまでの間だと、このヘッドスタートプログラムに入ることができると言われています。
ヘッドスタートプログラムが効果を奏するのに一番大きな要因として言われているのが、子供だけを教育するのではなくて、保護者も一緒に授業を取らなければいけないという点です。保護者と子供がドッキングした形でのプログラムの仕組みを持っているところが効果的に機能していると言われています。先ほど高階委員のほうからも発表がありましたけれども、やはり保護者とのコミュニケーションが非常に重要で、特にアメリカに入国してまだ間もない保護者の場合、学校や教育システムに不慣れなので、学校や教育制度に関する情報を提供するであるとか、もっと広く、医療であるとか、食生活であるとか、生活全般の情報を提供したりしています。それから、移民の中には、家で英語を話さないと英語の習得が遅れるのではないかと心配し、保護者が子供に母語を話すことをなかなかためらったりして、家族間のコミュニケーションに支障が生じるというケースも多々あるということから、母語でのコミュニケーションの重要性といった正しい言語習得の情報などを保護者に伝える保護者向けのクラスがあるというところが成功の鍵というふうに言われています。
最後に、初期指導に関してなんですけれど、初期指導をどれぐらいやるか、これは本当に長い間アメリカでも多くの議論がなされていて、明確な答えはありません。もちろん個々の子供の学習状況であるとか、それ以前の学習経歴であるとか、さまざまな要因が大きく関わってくるので、簡単に何年というわけにはいかないわけです。実際に20年ぐらい前に、カリフォルニア州は、初期指導を最長1年までというふうに決めて、1年間はとにかく集中的に英語を学んでもらいましょう、1年間たったら、どれぐらい英語を習得したかにかかわらず原教室に入ってもらいますという、かなり乱暴な政策が取られていまして、それが20年ぐらい続いていました。「Prop 227」といわれるものです。その間に非常に大きな問題が生じました。個人差もありますが、多くの場合、そもそも1年未満で教科学習に必要な英語が十分に身につくはずもないわけです。特に学年が上のほうの子供たちに関しては非常に大変なケースがたくさん出てきたということで、数年前にやっとこの法がなくなったというような状況です。
初期指導に関しては2つ要になる点があると思います。一つめはアセスメントです。どういったようなアセスメントを行うことによって初期指導が十分であるのか、メインストリームに入っていいですよという決断を下すのか、そのアセスメントの仕組み、妥当性、公平性、そういったようなことを十分に整備、精査する必要があります。それから、多角的な複数のアセスメントを行うということが非常に重要であると言われています。
もう1つは、原教室に入った後の支援、サポートです。原教室での支援、サポートがどれぐらいスムーズに進んでいくかということによって初期指導の効果も左右されるということになると思います。
アセスメントの整備、特に学習言語的な、教科学習を行うに当たってレディネスがあるかどうかをはかる複数のアセスメントを整備していくということ、そして原教室へ入ったあとのサポートの充実が、少なくとも私はアメリカの事例を見ていてとても重要だと感じています。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
そうですね。このプレクラスの問題も、今、バトラー委員からあったように、アセスメントの問題、それから運営体制、誰が担当するかとか、教室で扱う内容をどうするかとかという議論がかなり山積しているわけですけれども、それをどういうふうにしてやっていくのかという点について議論を詰める必要があるかもしれませんね。課題だけはいっぱい出てくるんですが、どうするかというところを書き込めるかどうか、あるいは、課題として提示するのかというようなところで少し議論が必要かなというふうに思っています。
続きまして、浜田委員、お願いできますか。
【浜田副座長】
ありがとうございます。浜田です。
4点ほどお話しさせていただきたいと思います。
まず1点目が、プレクラス(初期指導教室)についてです。
日本語の内容については、先ほど齋藤委員から詳しい御提案があったと思いますけれども、現状として、環境整備として、やはり保護者の送迎が必須であるというふうな形で運営されている学校が非常に多いかな、クラスが多いかなというふうに思います。それは安全を考えると当然のことなんですけれども、やはりそこのところがネックになって活用ができない子供たちが多くいるということがありますので、ぜひ送迎手段を、例えば財政的なバックアップを行うような補助事業ですとか、あるいは、そこのところをうまく自治体で確保しているような例があれば御紹介いただくとか、その部分の手当ても非常に重要ではないかなというふうに思っています。
それと、先ほどちょうどバトラー後藤委員からも御指摘がありましたけれども、初期指導教室があると、あたかももう日本語がぺらぺらになった子供が帰ってきて、在籍の先生も子供も何も配慮しなくても大丈夫だみたいな幻想がやはりいまだに広がっていまして、プレクラスから帰ってきた子供が十分にコミュニケーションできないという場面に遭遇すると、いやいや、もっと初期指導を、時間数を増やすべきではないかみたいな議論にすぐ進みがちなんですけれども、バトラー後藤委員がおっしゃってくださったように、初期指導を終えた子供たちをどういうふうにクラスで受け入れるかということが非常に大事ですし、多様性の包摂という観点から、やはり在籍学級の教師も含めてコミュニケーションの在り方も調整していく必要があるということを、プレクラスマニュアルのほうにもぜひ書き込んでいただきたいなというふうに思います。
それから2点目、高校進学についてです。
今回、枠校設置というのは強く御提案くださっていまして、以前から文科省のほうからは各自治体に働きかけをくださっていて、それも非常に重要だというふうに思うんですけれども、ただ、枠があっても、どうしても枠には入れず、枠のいろいろな条件から外れて一般の高校に入学せざるを得ないという生徒もたくさんいます。そういった意味からは、やはり高校の先生方全般の意識の改革、あるいはスキルアップということも含めて必要かなというふうに考えています。
そして、先ほどもありましたように、どうしてもそこでうまくいかないと退学、あるいは通信制高校等への転校というふうなことが実際にあります。通信制高校では、実はかなり外国ルーツの生徒さんの在籍率が高まっているのではないかなというふうに思っているんですけれども、その辺りの実態の把握ですとか、あるいは支援というようなことも今後検討が必要かなというふうに思っています。
それから3点目、就職ということですけれども、先ほど、わかば高校でも企業インターンシップのお話がございました。ぜひこの取組、広がってほしいなというふうに思っているんですけれども、既に幾つかのNPOでは、企業インターンシップを企業からの奨学金と結びつけて実施するというような、アメリカでの取組に学んでいるというふうに聞いているんですけれども、そういったことも行われていたり、あるいは検討が始まっていたりします。そういった事例についても、ぜひ共有を図っていただきたいなというふうに思います。
最後、4点目です。先ほど、わかば高校の高階委員に、キャリアを見据えた言葉の力についても質問をさせていただきました。やはり大きな視点で、学校で学ぶことと、それから就業場面で求められる力をどういうふうに移行させていくかというトランジションの問題は、別に外国ルーツの子供だけではなくて、大学も含めまして非常に大きな問題だというふうには考えるんですけれども、その観点から、やはり就労場面で求められる日本語能力を見据えて、どのように教育を行っていくかということもすごく大事ではないかなというふうに考えています。
先ほど小島委員からJLPTのお話があったんですけれども、実は、JLPTの得点と、日本語教育の参照枠の基になっているCEFRのレベルの対応づけというのは既に実証研究が終わっておりまして、今、JLPTの成績の書類には、参考値という形ですけれども、CEFRのレベルが示されるようになっています。本当は日本語教育の参照枠のレベルとしていただきたいところなんですけれども、恐らくJLPTは世界中で行われておりますので、CEFRのレベルとの対応づけというふうな形になっているんだと思うんですけれども、ですので、得点としては、JLPTと日本語教育の参照枠はつながっているというふうな形になっているんですけれども、小島先生からもお話がありましたように、「ことばの力のものさし」ではかれるような力を、どう就労の力、あるいは、もっと一生を通したキャリアアップの力につなげていくかということを考えていくことが大事なのではないかなというふうに思っています。
先ほどわかば高校での取組の質問をさせていただいたときに、履歴書の書き方とか、かなり実用的な面での取組のお話があったんですけれども、わかば高校での教育全体を考えてみたときに、もっと広い視点で、例えば、思考・判断・表現の力ですとか、問題解決能力みたいなものも、恐らく日本語教育の中で、あるいは高校教育全体としてつけているからこそ実用的な力が生きてくるということだというふうに思いますので、そういったキャリア全体を見据えた言葉の力をどう養っていくか、あるいは、「ことばの力のものさし」ではかっている力をどう就労の力につなげていくかというような具体的な提案みたいなものを、今後、そういったものが必要になってくるのではないかなというふうに思います。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
今、浜田委員から幾つか、データの話であるとか事例の話が出ましたけれども、何か事務局のほうからお答えすることはありますか。
【片桐調査官】
よろしいでしょうか。
日本語指導が必要な児童生徒については隔年で調査をさせていただいているところなんですけれども、その中で高校については、全日制、定時制、通信制ということで調査はしておりますので、この辺りが参考になるかと思います。
【佐藤座長】
それでは、吉田委員が入られたということですので、吉田委員、お願いできますか。
【吉田委員】
遅れての参加になり失礼しました。
会議の前半のお話が聞けていなくて大変申し訳ないのですが、論点については、1つはプレクラスについて、もう1つはキャリア教育及びキャリア支援についてと伺っておりますので、それについて考えたところをお話しさせていただきたいと思います。
まず1点目のプレクラスについてですけれども、初期指導が必要な子供だけどこかに集めてプレクラスをやりましょうというのは、散在地域ではあまり現実的ではありません。もちろんプレクラスで扱うべき内容が提示されることによって、受け入れ初期において、どのような指導をしていくかを明らかになること自体はとても大切なことだと思います。日本の学校生活に適応できるように準備し、基礎的な日本語をある程度学べるようにしてから、本格的に学校に参加するという発想自体はとても大切だと思いますし、できればそこに、先ほどバトラー委員がおっしゃったように、保護者も参加できるとさらにいいとも思います。しかし、散在地域でそれをやろうとすると、結局やる場所はそれぞれの在籍校になるのかなということです。同時期に複数の子供が編入してくるわけではないことを考えると、現実的には在籍する学校の中でプレクラス的な内容をやっていく、そこに保護者も参加できるような形をつくるということになるのではないかと思います。
もうひとつ、プレクラスのことを考えたとき、先ほど浜田委員からもありましたけれども、私が非常に怖いと思っているのが、プレクラスをつくることによって、結果的に、学校が「皆と同じようにできるまではプレクラスでやってくれればいい。それまではクラスには参加せられない」というような発想になって、排除のほうに振れてしまうことです。それが非常に怖いと思っています。
実際に、散在地域のある市では、南アジアから来た子供の受け入れにあたって、学区の学校が、「ある程度日本語ができるようになってからにしてほしい」、「生活習慣も日本と違うので、日本の学校生活に適応できるようにさせてから来させてほしい」と、受け入れに難色を示すということがありました。「生活指導も含めて、教育委員会で指導してから学校に送ってください」ということで、その子供たちは結局、学校に拒否されたような形で、教育委員会の研修センターで、1か月以上、ぽつんと学ぶという状況になってしまいました。もちろん、そんなにすぐに日本語ができるようになるわけでもないですし、学校側にはその子どもの母語や母文化を尊重するという姿勢もありませんでした。受け入れにあたって、学校は何も変わろうとしなかった、率直に言えば、非常に排除的だったのではないかと思っています。結果として子供は、学校に通うようになってからもなかなか学習に参加できない状況が続きました。その時の子どもは、今、高校生になっていて、ひろだい多文化リソースルームの支援員が高校で支援していますが、平仮名や片仮名がまだ万全ではないという状態です。もう日本に何年もいるのに、なぜそういう状況が生じてしまったのかということを、今でも考えています。非常に悲しいことが起こってしまったと私は感じています。
こういう経験を踏まえると、プレクラスがあるとなったときに、学校が、「じゃあ、プレクラスでやってきてください、うちは変わらなくていいですね」となってしまう可能性です。そこが一番怖いと思っています。
今回のこの会議で出していく答申では、資質・能力の育成までを視野に入れた日本語指導、つまり、教科学習言語能力の伸長までを視野に入れた日本語指導を提起することになると思います。そのことを考えると、子どもの第二言語習得、特に教科学習言語能力の伸長には長い年数がかかることについて教員がしっかりと理解することが不可欠であり、プレクラスの導入がプレクラスへの丸投げにならないようにすることです。導入と同時に教員研修や支援員研修などをしっかりと入れていくことが欠かせないとと考えます。
このことを強く申し上げるのは、散在地域では、受け入れ経験がなく言語的なマイノリティの子供が在籍することを全く想定していない学校に、突然そういう子供たちが入ってくることが少なくないからです。教員養成の中で、日本語指導についても、多文化共生についてもほとんど学んできていない先生方がまだまだ大半を占めています。私も高校教員を経験していますが、自分が受けてきた教員養成の教育を考えてみたときに、そういうことは全く教職課程の中には入っていなかったのです。どこで学んだかというと、学校外のいろいろな民間団体で日本語支援を一生懸命されている団体の方々から学ばせていただいたり、派遣されて通った大学院で、希望して齋藤ひろみ先生の日本語教育の授業を取ったりして学びました。そのように自分から学びに行かなければ、全く学べなかったのです。今の散在地域の受け入れた経験がない学校の先生方の大半は、そういう状況にあるということです。
ですので、プレクラスで扱う内容に加えて、導入にあたっては教員研修、支援員研修で学校が取り組むべきことについて学ぶことも必要だということを併せて書いていただけたらいいのかなというふうに思います。具体的には、この会議の中でも強調されてきたストレングスアプローチの考え方や、それから、資質・能力の育成にまでつながる日本語教育に非常に時間がかかるのだということ、そのためにできる教室での配慮もあるのだということ、それはしなければならないことなのだということをきちんと伝えていくということが大変重要なのではないかと思っています。
キャリア支援については、今日、大阪わかばのお話が聞けなくて大変申し訳なかったんですけれども、資料を見る限り、本当にすばらしい実践だと思っていて、既に多くの先生方が、いろいろとお話しされていると思いますので、1点だけお話しさせていただきたいと思います。私は、神奈川県で長く高校教員をしていた経緯もあって、現在も神奈川のフィールドとは関わりがあります。神奈川県教育委員会は、かながわ国際交流財団と、NPO多文化共生教育ネットワークかながわと3者で合同して、高校に入った日本語指導が必要な子供たちの在籍状況と進路を把握しています。これは特別枠に該当する子供たちだけではなくて、一般の受験で入ってくる子も含めて、入学時に全て把握して、1年、2年、3年とずっと在籍状況も追って、卒業時にどういう進路に行っているか、進学・就職なども含めてデータを取っています。これはかながわ国際交流財団のホームページで公開されていますけれども、毎年、積み重ねています。
キャリア支援、キャリア教育と言ったときに、私、本当に大切なのは、大きな考え方として、出口指導ではないということですよね。もちろん出口も大事なんですけれども。高校の指導の中で一番残念なことは、多くの生徒が途中で去っていく現実があるということです。中退がとても多いという現実です。だから、キャリアの問題を考えるときには、中退ということを抜かすことはできない。出口だけ見ていても駄目だということをすごく思っています。
先ほどお話しした調査は、当然、在籍状況をずっと把握していきますので、中退が生じれば、それも把握するわけです。入ってきた生徒が、中退などで去っていくことも含めて、全て入り口から出口までどうなっていくか、その間にどんな支援が行われたのかということを教育委員会が責任を持って把握しようとする、そういう取組が今後求められるのではないかと思います。そういった調査に基づいて、じゃあ、高校でどんな支援をすれば、そういう子供たちが支えられるのか、そういうことを明らかにしていくということが大切ではないかと思っています。
以上です。ありがとうございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
吉田委員、ちょっと伺いたいんですけれども、散在地域で、このプレクラスをつくるときのハイブリッド方式というようなものについての可能性というのはどうなんですか。今、自校式と拠点校方式という2つの議論がある。もう1つ、ハイブリッド方式が当然考えられるんだと思うので、これをやっているところもあると思うんですけれども、散在地域ではどうですか。
【吉田委員】
現実的には、オンラインを活用するという面もあります。例えば、今年の夏、ある市に、ベトナムから日本語ゼロの子供が小学校と中学校に入るという事例がありました。ここでは、夏休み中に教育委員会のセンターの場所を借りて、ひろだい多文化リソースルームの支援員が行って、プレクラス的な内容を少しやりました。いろいろな事情があって数日しかできなかったんですけれども、数日は指導するということをやっていました。
その際に、母語でどの程度の力を持っているか、「ことばの力のものさし」の包括的なことばの力はどうなのかということを把握したいと思ったので、母語アセスメントをしたかったのですが、散在地域では当然、ベトナム語に堪能でアセスメントができる人材というのは存在しない、いらっしゃらないという実態があります。そこで、大阪大学の近藤美佳先生を御紹介いただいて、近藤美佳先生にオンラインでアセスメントをしていただきました。これで、学校側はとても安心していました。学校から見ると、やはり最初の頃は、なかなか学校への適応が難しかったりする場合もありますし、日本語が十分でない中で、どこまで伝わっているのか、理解しているのか、なかなか学力が測れない中で、心配される。もしかしたらこの子は障害があるのではないかとか、そういうことも考える、心配されるということがあります。包括的なことばの力をはかるアセスメントをやって、年齢相応にちゃんとベトナム語で読めるということを確認することができたので、学校の先生方は大変安心されていました。ですので、散在地域では、必要な資源がエリアにないということは当然あり得ます。こうした面では、オンラインの活用はとても有効だろうと思います。
ただし、やっぱり画面の前でじっとしているということ自体が、小学校低学年では、多分難しいと思います。アセスメントだけだったら、1時間で、横に大人がついてベトナム語で話してくれるので、小学校2年生に入った子も、ちゃんとアセスメントは受けられましたし、頑張って本も読んでくれてよかったんですけれども、プレクラスの内容を小学校低学年にオンラインでやるというのは、やっぱりちょっと難しいのではないかなと私は思っています。子どもの年齢や、こちらで対応する教員がいるかどうかなど、状況によるところもあると思います。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
時間ですけれども、最後に、高階委員、全体的に何か、今日、御意見ございますか。
【高階委員】
私のほうは、わかばの取組は十分発表できたかと。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
【高階委員】
1点補足だけできますと……。
【佐藤座長】
どうぞ。
【高階委員】
本校は、プレの日本語学習はやっているんですけれども、あくまで秋に入学してきた生徒のみ、プレの日本語学習が今実施できていまして、4月に入学してきた生徒については現状、できていませんので、そこだけ補足で追加させていただきたいと思います。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
齋藤委員、手が挙がっていますが、何かありますか。
【齋藤委員】
時間がないところ、すみません。1点、あちらこちらの担当者から質問を受ける点に関してです。プレクラスとの関係で、初期指導を担当する方が教員免許を持たない場合の指導内容についてです。教員免許を持たないので、学校の教科内容に踏み込んだ教育をしないでほしいというような行政担当者からの指導があるそうです。子供たちの成長・発達という点からも、初期指導が終わった後、積極的に教室で学習に参加するためにも、一定程度、初期段階から教科と関わるような言語の教育をすることは必要な訳ですが、それが認められていない。その辺りについて、特別の教育課程として実施するときには教員免許を持った教員が担当者になる必要があることとの関係が影響しているようです。を指導の充実に向けて制度の運用を進めていきたいところですけれども、規制・制約をする方向で制度の解釈が生じているのかもしれません。プレクラスの設置・運営に関する検討内容として議論が必要かと思います。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございます。
最後、釜井課長から手が挙がっていますので、どうぞお願いします。
【釜井国際教育課長】
佐藤座長、ありがとうございます。今までのところ、もうお時間の関係がありますので、今日も高階先生のプレゼンテーションに続きまして大変貴重な御意見を賜りましたので、しっかりこれから座長の下の取りまとめ作業のほうに生かしてまいりたいと思います。
各論のほうだけ、御指摘いただいたところを端的に回答を申し上げますけれども、小島先生のほうから御指摘いただいた、理解した内容を、日本語教育にとどまらずに、いかに教科学習のほうにつなげていくかということを、ずっと今までの御議論でもいただいていたと思いますので、それをしっかり参考にして、踏まえていければと思います。
参照枠、それから「ことばの力のものさし」をどのように学習活動、社会活動、これからの社会的な活躍に生かしていくかということも重要な視点だと思います。思考・判断・表現のほうに、どのように生かしていくかという点だと思います。
それから、齋藤先生のほうから、先ほど2回目の御発言の際にも、まさにそうだなと思いましたのは、教育内容、単に日本語指導のみならず、学校教育として、質をどのように担保していけばいいかという点だと思います。そういう中におきまして、いわゆるプレクラスも含めまして、初期指導段階の教育内容の強化をどういうようにしていくというところが非常に重要だと思っていまして、今までの議論でも御指摘いただきましたとおり、成人と子供は違うと。つまり、学習をこれからしていくに当たってというところも気をつけないといけないですし、学校教育の専門性、それからキャリア教育の専門性、それから様々な専門性を持った方が、いかに有機的に連携しながら学校教育の中で、あるいはそれ以外のものも含まれるかもしれませんけれども、チーム学校として生かしていくかという視点でやっていくことが重要だということで改めて感じました。
それから、佐古先生のほうから御指摘いただきました、まさに生きていく力、それから管理職、教員の方の働き方改革の関係もありますので、いかに管理職の方にご理解をいただきながら、チーム学校として様々なコーディネーターとか、そういったところがしっかり本当に連携しながらやっていくということも大事だと思いますし、あと、拠点校方式、こちらは初期指導を強化する上での、初期指導に限らずなんですけれども、そういった方策の1つになると思いますが、そういったところを現場目線のスタンスとして、しっかり反映できるようにしていけるようにできればと思います。
徳永先生のほうからは、現場のニーズ、それからキャリアの上でも長いスパンで、ライフキャリアに基づきまして長期的な視点でということは非常に重要だと思っていますので、そういったところも報告書の内容に反映できるようにしていければというふうに思っています。
バトラー先生のほうからは、諸外国の事例、それからヘッドスタートプログラムということで、保護者の重要性、今までも御議論で保護者とどういうふうにコミュニケーションしていくかということも非常に重要だというところを複数御指摘いただきましたし、アセスメントのところが大事だということでございます。
それから、浜田先生のほうからは、やはり進学の関係とか就職の関係も含めまして、私どものほうも地元に根差した形でNPOの存在も非常に認識しているところでございますので、しっかりそういった、まさに繰り返しなんですが、チーム学校として、様々な機関、ステークホルダーと連携しながらどうやっていくかということが非常に重要だと思いますので、そういった視点も盛り込ませていただければというように思っております。
最後、吉田先生のほうから御指摘いただきました散在地域ということで、今までも御議論いただきましたとおり、オンライン、ICTの力をどのように活用していくかというのが重要な論点の1つだと認識しておりますけれども、夏に吉田先生のほうから御指摘いただきましたとおり、比較的低学年の段階では、なかなか活用方法が難しいとか、そういったところもございますので、そういったところの支援も考えていければと思いますし、複数の先生のほうから御指摘いただきました、プレクラスをつくるからといっても、長いスパンで見たときに、教育内容はずっと続いていきますので、まさに学校側の支援と、それから、ちょっと言い方が正確かということはあるんですけれども、排他主義ということではなくて、いかに日本社会の一員として共生社会につながった学校教育を形成していくかというのは重要な目線だと思いますので、そういったところもしっかり踏み込んで書いていければと思っております。
ちょっと雑駁な回答でございますけれども、以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
いろいろ議論いただきまして、ありがとうございました。少し時間がオーバーしましたけれども、今日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
最後、課長に少しまとめていただきましたけれども、事務局のほうで整理をしていただきたいと思います。
最後に、事務局のほうから連絡事項があればお願いいたします。
【片桐調査官】
ありがとうございます。今後のスケジュールにつきまして、資料3に示しております。次回、第11回は2月20日金曜日14時から16時、第12回は3月16日月曜日10時から12時を予定しております。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
いよいよ2月20日は報告書の原案が出てくると思いますので、ぜひそれをめぐって議論を深めていただければというふうに思います。
少し時間がオーバーしましたけれども、本日の会議はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
総合教育政策局国際教育課