令和7年11月10日(月曜日)10時~12時
対面・Web会議の併用
1.日本語指導担当教師等の指導力の向上について(ヒアリング)
2.ヒアリングを踏まえた意見交換
3.その他
【佐藤座長】
おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議、第8回になりますけれども、開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多用のところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は議題が二つあり、議題(1)においては、日本語指導担当教師等の指導力の向上に関するヒアリングとして、浜田委員から教員に求められる専門性や指導力の向上について御発表いただき、次に、千葉大学の藤川教育学部長から千葉大学教育学部における取組について御発表いただきます。よろしくお願いいたします。議題(2)では、ヒアリングを踏まえて、日本語指導担当教師等の指導力の向上について議論を深めていきたいと思います。
では、議事に入る前に、指導力の向上について議論するに当たって、事務局に主な検討事項についての資料を御準備いただいておりますので、まず説明をお願いします。
【片桐調査官】
よろしくお願いいたします。事務局としまして、日本語指導担当教師等の指導力の向上について意見交換していただくに当たりまして、主な検討事項をまとめた資料を作成しましたので、説明させていただきます。
資料3となります。指導力の向上につきましては、主に教員養成の在り方、教師等の採用、研修について御意見をいただければと思います。
まず、教員養成の在り方についてです。現状としましては、教員養成のコアカリキュラムにおいて「障害はないが特別の教育的ニーズのある幼児、児童及び生徒の把握や支援」の項目で、目標に、母国語や貧困の問題等による特別の教育的ニーズとされています。また、文部科学省として、教員の養成・研修のモデルプログラムを開発し、周知しているところです。このモデルプログラムは、教員の指導経験や、地域や学校の課題等に応じた体系的な養成・研修を実施できるようにしているものですので、少し説明させていただければと思います。
モデルプログラムにつきましては、参考資料5に概要等をつけております。このプログラムは、日本語教育学会に委託して作成していただき、2019年度に完成したものです。指導経験、地域や学校の現状・課題等に応じて目標とする資質・能力を決定し、授業や研修内容の選定をし、カリキュラムが決定できるものです。モデルプログラムでは、外国人児童生徒等教育を担う教員の資質・能力モデルを豆の木モデルとして、資質・能力の4要素と課題領域、それぞれに求められる具体的な力などを示しています。外国人児童生徒等教育には、「捉える力」、「育む力」など四つの力が必要で、「捉える力」、「育む力」、「つなぐ力」が相互に関わりながら実践を動かし、「変える/変わる力」がそれぞれ推し進めるという関係にあります。
例えば、「捉える力」には子供の実態把握や社会的背景の理解が必要ですが、3ページ目と4ページに求められる具体的な力の表をつけております。例えば、子供の実態把握のために求められる力は、子供のシグナルを見逃さず、子供の心理的状況を文化適応や家族の状況に関連づけてなどの力が必要です。その力をつけるためには、主な内容として、A、外国人児童生徒等教育の課題、B、文化適応などが書かれていますが、これは力を身につけるための研修の内容です。
5から8ページ目に、研修の内容とどのような内容項目にすればいいかが示されている表をつけております。このように、モデルプログラムでは、外国人児童生徒等教育を担う教員の資質・能力や求められる具体的な力、そのための養成・研修の内容などが示されています。
次に、日本語指導担当教師等の養成に当たっては、中央教育審議会の教員養成部会等の動きも踏まえる必要がありますので、関係すると思われる部分について説明させていただければと思います。
参考資料6は、昨年12月に中央教育審議会から、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について諮問された内容の概要です。
諮問を受けまして、教員養成部会では、教員の養成・採用・研修、特に教育課程に係る議論がなされ、今年10月に論点整理がまとめられました。参考資料7は、教員養成部会の論点整理の概要です。主な検討事項として、マル1の教職課程の在り方の二つ目に、教師の育成は、その教育課程だけではなく、その課程も含めた全体で行われるべきなので、その中で共通で学ぶべきものというものがありつつも、それに加えて、学生が自らの強み、専門性を高められるような柔軟なカリキュラムにするべきではないか。その下、また、教職課程で学んだことをきちんと成果確認もできるような設計にしていくべきではないかということなどが示されており、ワーキングで議論されていくことになっています。
参考資料8はワーキングの資料になりますが、養成段階としては、まず、その大学での学びを採用時に確認し、さらにその後の初任者研修等で向上させる設計となっています。この養成の部分については、学校教育の今日的課題や次期学習指導要領の考え方、大学全体の教育をどうしていくのかという議論と併せて考えなければならない、どういった教職課程の在り方が必要かなどについて議論がされています。
参考資料9もワーキングの資料となります。教職課程・免許・大学院課程ワーキングでは、教員養成段階で身につけるべき資質・能力と学ぶべき内容、学び方、それらを担保する方策について検討することとしています。資質・能力の論点については、共通で身につけるべきものと強み、専門性をどのように整理するのかということ、また、資質・能力を連続的に向上させていくため、採用・研修でどのように測り、伸ばしていくかなどが挙げられています。4ページ目になりますが、学ぶべき内容等の論点については、全ての大学の教職課程で共通的に学ぶべき内容はどのようなものかなどが挙げられています。
このような教員養成部会の状況や先ほど説明したモデルプログラム等の現状を踏まえまして、資料3の主な検討事項に戻りますが、教員養成の在り方の二つ目のポツ、外国人児童生徒等が増加、多様化しているため、教員となる全ての学生が一定の知識を身につけておくことが一層重要であり、全ての学生が共通して学ぶべき基礎的な知識や専門性として身につけておくべき発展的な内容はどのようなことがあるか、御意見をいただければと思います。
三つ目、教職と日本語教育のいずれの専門性も兼ね備えた人材育成のため、教員免許と登録日本語教員の両方を取得できるようなカリキュラムの工夫や、登録日本語教員の資格取得に必要な実践研修を学校現場でも実施できるため、そのようなモデルとなる事例を構築し、周知することが必要だと考えられます。
また、専門知識を持った教員以外の方が学校において指導する場合、例えば特別非常勤講師制度の活用が考えられますが、その場合、例えば、教員が作成した指導計画に基づいて指導を行ったり、指導に当たる前に研修を受けることなどが必要だと考えられますが、その場合に留意すべきことなどについて御意見をいただければと思います。
2ページ目になります。採用についてです。文部科学省からは、令和5年に教師の採用の改善に関する通知を出しており、教員採用においては、教育課題に対応した専門性を持った人材の採用に努めるように依頼しており、多様な専門性の一つとして、外国人児童生徒等に対する教育支援が挙げられています。日本語教育の学習歴や資格等を考慮し、一部試験免除や特別の選考の実施などを求めているため、これらの事例の周知により取組を進めることが必要だと考えています。このような採用を促進する際の課題や取組を進める工夫などについて御意見をいただければと思います。
最後、研修についてです。現状としましては、文部科学省の作成しているモデルプログラムや研修動画、教職員支援機構の研修などがあります。令和7年2月には、教員の資質向上の指針の策定の一部改正により、勤務経験を通じた職能成長の例として、日本語指導などの特別な教室での勤務経験等のキャリアパスの設定が示されました。研修を行うに当たっては、研修の内容や指導者をどうするか、それを継続できるかなどの問題がありますが、質の高い研修を実施するため、例えば、研修パッケージを作成したり、文部科学省や教職員支援機構の研修を通知で周知することが考えられますが、さらに促進するために考えられることはないか。また、研修を実施するに当たって、指導できる者がない、人事異動などで継続されないなどの課題があり、教育委員会における指導主事の育成や外部機関との連携も必要ですが、例えば、オンラインの活用での指導主事対象の研修の実施や、学校運営協議会制度などを活用して組織的な連携、運営の整備を図るなど、有効な方策について御意見をいただければと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
今の説明について、もし質問等があれば、後ほどの議論の中で時間を取っていますので、意見交換の場で受けたいと思います。
それでは、議題(1)、日本語指導担当教師等の指導力の向上について、浜田委員、藤川教育学部長から御発表いただきます。
まず、浜田委員よりお願いいたします。
【浜田副座長】
失礼いたします。浜田です。では、画面を共有させていただきます。見えておりますでしょうか。ありがとうございます。
それでは、日本語指導担当教師等の指導力の向上についてということで、20分ということですので、できるだけ手際よくお話しできるように努めたいと思います。
今回の有識者会議では、日本語指導の再定義ということが会議のキーワードの一つになっているかと思います。これまでの私どもの対応を考えてみると、日本語ができない子供が学校にやってきた、あるいは学校に行けていない、あるいは進学ができていないと、さあ大変ということで、いろいろな課題に対応するということをその都度やってきたと思います。そして、横浜市の発表もございましたが、それなりに成果を上げてきたということもございますが、しかし、やはり現在、困難にも直面しているということがあるかと思います。前回、吉田委員の御発表にありましたように、やはり課題に対応していくというアプローチですと、課題とそもそも認識されていないという場合には非常に対応が遅れていると。実際には困難が目の前にあっても、どうしようもないというふうに放置されているという現場も多いのではないかと感じています。そこで、やはり、外国人の子供たちの教育について、明確なゴールというのを社会全体として共有して、取組を進めていく必要があるのではないかと感じております。前回も齋藤委員のほうから、指導のためのガイドラインが必要ではないかという御発言があり、私も同じように考えております。そうしたゴールを共有した上で、誰が教育を行うのか、そのために教員にどのような専門性が求められるのか、そして、その専門性を向上させるための具体的な方策ということで考えていく必要があるのではないかと考えております。
では、まず最初に、何をゴールにするかということですけれども、ゴールというのは、一人一人の子供をどういうふうにするのかということの前に、まずやはり社会全体として外国人との共生をどのように進めていくのかというところから確認しなければならないと思っております。
これについては、例えば「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」を政府が発表しておりまして、その中で、例えば日本社会を共につくる社会の一員ですとか、あるいは能力を最大限に発揮できるですとか、あるいは個人の尊厳と人権が尊重されるといったような方向性が既に示されているところでもあります。また、次期学習指導要領の方向性として、基本的な考え方三つ挙げられておりますが、その中の一つが多様性の包摂ということで挙げられているということも委員の皆様御承知のとおりかと思います。
こういった、外国人であるかないかにかかわらず、社会に参加し、活躍できるような社会ということを考えていった場合に、そういった社会のつくり手になる子供というのはどんな子供であるかということについても明確にしていく必要があると思います。これも既に様々なところで提案がなされておりまして、例えば、前回の中央教育審議会の答申では、共生社会の一員として今後の日本を形成する存在であるということですとか、あるいは教育振興基本計画の中でも、本会議でも何度も挙げられておりますように、子供の持つ多様性というのを長所・強みとして生かす視点といったようなことが既に述べられているかと思います。こういったことを踏まえて、日本語指導の再定義、何を目指すのかということを考えてみますと、多様な言語文化背景の子供たちがその多様性を強みとしながら共生社会の形成者として社会の発展に主体的に寄与する、そういった姿が浮かんでくるのではないか。したがって、日本語指導の再定義というのは、こういった力を養うものとして日本語指導を改めて捉え直すということではないかと思います。
したがって、このような目標を踏まえて、そのために必要な教育はどのようなものか、それを実施する体制はどのように整えるべきか、あるいは、それを担う指導者の資質・能力とはどのようなもので、それをどう養っていくのかというふうに議論を進めていくことが必要になると考えております。
このように考えますと、外国人の子供の教育というのは到底日本語指導者だけでは担い切れないということが明らかになってくるかと思います。もちろん、これも何度もこの委員会で御意見が出ているかと思いますが、教員全体について、やはり必要な資質・能力を考えていく必要があるのではないかと思っております。これは、外国人児童生徒が在籍する学校の組織を簡略化して示したものです。これを見ますと、特に関連が深いのは、もちろん担任教師ですとか、あるいは日本語指導を担当する教員ということになるかもしれませんが、ここに示しましたように、学校の内外の様々な教職員、全ての教職員が直接・間接に外国人児童生徒の指導に関わっているということになります。それこそ養護の先生あるいは栄養教諭の先生、学校事務職員の方、用務職員の方に至るまで、全ての教職員が何らかの形で関わりを持つということですので、全ての学校関係者が一定の専門性を持っておく必要があるのではないかと思います。そして、管理職ですとか主幹教諭、それから様々な主任の先生方について、それぞれの役割ごとに行う支援、行う対応というのは異なっていますので、それぞれの役割ごとに求められる専門性というのも異なっている。ですので、その養成についても別個に考えていく必要があるのではないかと思っております。
例えばということで、教科学習に直接関わる教育課程の部分に着目して考えていきたいと思います。第1回の本会議で2階建ての話が教育課程に関連してあったかと思います。2階建ての教育課程ということで考えますと、これが通常の教育課程としますと、日本語指導が必要な児童生徒の教育課程というのは、その部分の一部を特別の教育課程によって指導するということになるかと思います。これが在籍学級での教育課程ではカバーできない特別のニーズに対応する部分ということになるわけで、これが言わば2階部分になるのかと思います。ただ、横溝委員の御発表の中に、日本語指導教室で輝くのではなくて、日本語指導が必要な子供たちが在籍学級で輝くことが大事なんだというお話もあったと思います。この2階部分にいるということが最終目標ではなく、やはり在籍学級の学習活動に参加するということがこの特別の教育課程の目標であると。そのことによって、本当の意味での社会参画の力も養成されるのではないかと。こういうふうに考えますと、日本語指導で養う資質・能力、子供たちに養う資質・能力というのは、日本語を道具として在籍学級での学びに参加できるようになる力の育成ということになろうかと思いますし、在籍学級のほうでは、こういった子供たちが学習活動に包摂されるように指導していくということが必要になると思います。そして、それは次期学習指導要領の中でも重視されている観点であります、多様な他者の理解・尊重ということの実現にもつながっていくのではないかと思います。そして、これは教科教育、教科学習だけではなくて、学校生活、学校における活動全体についてこのような発想で進めていく必要があると考えます。また、母語・母文化のことはここには入れておりませんけれども、このプロセスの中で母語や母文化をリソースを使って、この子供たちが学んでいくということももちろん含まれているということでございます。
ただ、現実に今の学校を見ていますと、非常に残念なことですけれども、教員の業務負担、これは負担感ということも含みますけれども、それが増える中で、教育課題というのが分離されている、一つ一つ切り離されていっている傾向というのが見受けられるように思います。自分たちの本来の仕事ではないとか、余計な負担を負わされているといったような意識です。そして、それが結果的に日本語指導担当者への丸投げになっているという状況もあろうかと思います。ただ、子供たちの言語学習の特性を考えてみますと、そうやって切り離して教育をするということではなく、やはり在籍学級での対応というのが鍵になってくるのではないか。子供たちは、動機づけというのが、そういった切り離された中で動機づけを得るというのは非常に難しいということもございます。また、演繹的に学ぶのが発達段階によって非常に不得手であるということもございますので、例えば留学生について、かつては短期集中型のコースで、ゼロからスタートして1年で新聞が読めるようになりますといったようなことが目標にされていたこともあったわけですけれども、子供の場合にはそのようなインテンシブな学習というのは非常に難しいと考えます。また、一定の経験のある人を担任にということも行われているかと思いますけれども、それだけでは解決しない。教科担任制、小学校でも進められておりますし、中学校以上、学年団といったような方向性で指導していくということも多く行われておりますので、個別の教員が意識を持っているだけでは、全体に課題を共有して、方向性を統一して指導していくということが非常に難しいということがあります。したがって、全教員が「包摂」の理念を共有し、その理念の下で指導や支援の在り方を理解し実践できる力を備える必要があるのではないか、これが全教員が備えるべき力につながっていくのではないかと思います。そして、これは抽出で日本語指導するのとはまた異なる力ということになります。
教員に求められる専門性につきましては、先ほども御説明がございましたけれども、日本語教育学会が文部科学省から受託いたしまして、豆の木モデルの開発を行いました。その概要については先ほど非常に丁寧に御説明をいただいたので、ここでは省略させていただきたいと思います。
先ほども御説明ありましたように、求められる具体的な力というのをモデルの中で示しておりまして、この四つの力が八つの課題領域に作用すると。そのときに求められる力についても具体的に目標として示しているところです。教職課程コアカリキュラムに当てはめると、全体目標に相当するような内容について明確にしているというところです。ただ、これらは共通的な目標でありますので、先ほど申し上げたように、具体的に教員が各役割を果たす、あるいはキャリアパスの中でこの力を使っていくということを考えますと、それぞれが担当する職務、役割あるいは場面において、これらの力をもう少し具体的に検討していく必要があるのではないかと考えます。
また、もう一つの観点は、登録日本語教員という新しい制度ができまして、その登録日本語教員の持つ専門性と学校教育における日本語指導の専門性との関係です。登録日本語教員を学校教育の中で活用するということの機運というのは非常に高まっておりまして、各自治体でも教員採用試験で、登録日本語教員として登録されている方に試験の得点、プラス何点という形で加点するといったような自治体がどんどん増えているという状況で、非常にありがたいと思うんですが、ただ、両者は守備範囲が違っているということには注意が必要だと考えています。この表では、左側に日本語教育、右側に学校教育という形で置いておりますけれども、対象が児童生徒、成人と分かれておりまして、登録日本語教員の専門性というのはここに位置づくのではないかと考えています。登録日本語教員は、留学生を対象にする教育が基本になっておりますので、成人の留学生、成人の学習者が対象であるということと、それから養成段階修了の資格であるということです。養成段階修了時に求められる力というのは、教育課程を踏まえて授業を計画できる。つまり、自分自身で教育課程をつくらなくても、それを理解して授業を計画できればいいということになっています。一方で、日本語指導に必要な力というのはここになるだろう。豆の木モデルもこの辺りを想定してつくられております。対象が児童生徒、年少者であるというだけではなくて、初任段階ですので、個別の指導計画を作成するといったようなことも求められてくるわけです。これは養成段階の次の段階で求められる力になります。ですので、登録日本語教員の資格を持つ方が活躍いただくというときに、このギャップをどのように埋めていくかというのが非常に重要な課題になるかと思います。特別非常勤という形で活躍されるということが期待される。そして、免許状を有する教員と連携しながら日本語指導に当たっていただく。それぞれ、特別非常勤講師の方は日本語教育の専門性、免許状を有する教員の場合には学校教育の専門性を生かしながら連携していくということになるわけですけれども、この登録日本語教員の方と豆の木モデルの間のギャップをきちんと埋められるような制度というのを確立していくことが重要であると考えます。
さて、豆の木モデルに戻って、職種や役割別に豆の木モデルに示された資質・能力をもう一度整理し直すということが必要になるわけですけれども、先ほどから申し上げているように、全体の社会としての目標あるいは子供像の目標といったようなものを踏まえ、指導のガイドラインというのを作成し、それを踏まえて役割別の資質・能力というのも整理していく必要があると思います。ですので、これは仮の案ということですけれども、教員全体の目標としては、例えば、ここにあるような、「多様な言語文化の背景をもつ児童生徒が、言語や文化の違いがあっても、それを強みとして在籍学級での学習活動等に参加し、社会の形成者になるための力を養うことができるよう、言語文化背景の違いによる発達や学習過程の特徴を踏まえて、学習活動等における工夫や必要な支援を行うことができる」といったようなことで、この中に具体的に、学習内容としては、発達や学習過程の特徴ですとか、言語・文化の違いがあっても学習活動に参加できるような工夫、必要な支援といったようなことが織り込まれているということになります。そして、日本語指導者については、日本語指導の意義や役割、先ほどのような2階建ての、最終的には1階の授業に参加できるということを目標にしているということを理解した上で、他の教員と連携し、そして言葉の力を見取った上で指導を行っていくといったようなことになるかと思います。そして、これらをほかの教員の専門性、教職専門ですとか教科教育などと関連づけながら養っていく必要があると思います。
さて、こういった力を具体的にどのように養っていくかということで、ヒントとして、現在、私自身が自身の勤務校で行っている取組についても御紹介しながらお話しさせていただきたいと思います。8年前、教職課程コアカリキュラムがつくられまして、再課程認定があったときに、京都教育大学では必修科目の一部に外国人児童生徒等教育に関する内容を含めました。具体的には、教職論という必修科目の1単位時間分です。私自身がこれを担当しているわけですけれども、必修科目になって非常によかったなと思うのは、必修であることによって、学生たちが、外国人の子供たちの課題はこれから自分たちが考えていくべき課題なんだというふうな、非常に主体的に取り組む態度というのが養われているという点が非常によかったのではないかなと思います。その他必修科目でいろいろな取扱いをする可能性があると思いますが、もちろん外国人教育の専門の先生ばかりではありませんので、例えばゲストスピーカーなどを活用して、学校現場あるいは地域と連携しながら授業を行っていくといったようなことが考えられるのではないかと思います。
また、先ほど全体の御説明にありましたように、教職課程コアカリキュラムについても言及があるわけですけれども、今の到達目標は、組織的な対応の必要性の理解というところでとどまっていますので、具体的に、こういった子供たちの学習過程の理解ですとか、あるいは支援の方法についても含めていく必要があると思います。今、必修科目の1時間で担当していると言ったんですけれども、1時間ではなかなか、この対応の必要性の理解というところまでが精いっぱいですので、もう少し時間数は増やす必要があるかと思っています。
それからもう一つは、先ほども強み、基本的な教職専門のところに加えて、強みという観点で考えていく必要があるのではないかということがございました。現在、京都教育大学では得意分野づくりといったことで、関連の科目をパッケージ化して履修証明書を出すというようなことも行っております。この中には、理論的な科目だけではなく、実地研究という形で、実際にボランティアに行って、振り返りをして学ぶといったようなものも含まれております。
現職教員の研修の可能性というのも考えていきたいと思います。当面の課題としました。現職者については、新しい学習指導要領ができた段階でその考え方を普及するといったようなことが行われると思いますので、その段階で浸透を図るような研修が必要だと思いますけれども、当面の課題としては、例えば、教員経験の少ない人が日本語指導を担当されるということが非常に多くて、そういった方を対象にするような研修が必要ではないかというようなことですとか、あるいは教師教育者が不足している。現実には、指導主事の先生ですとか、管理職も含めて指導していくということになっていくわけですけれども、その教師教育ができる人が不足しているので、そういった方への研修というのも提供していく必要があると思います。
また、登録日本語教員制度の活用をめぐりましては、例えば養成段階で、教職科目と登録日本語教員の養成科目の見直しを丁寧に行って、共有化できる、両方の資格が取れるというようなことも必要ですし、あるいは現職の先生方が勤務校で教壇実習ができるようなシステムを登録実践研修中心につくっていただくということもあります。採用後の研修については、先ほど申し上げたとおりで、登録日本語教員の方に必要な資質・能力を身につけていただけるような制度というのが必要ですし、そういったことを必須の科目として、必須の項目として、きめ細かな支援事業にも入れていただければいいのかなと思います。
いずれにしましても、教員養成部会の中では、大学院での学びとの関連というのも考えられています。例えば、登録日本語教員の方が大学院に進まれて、そこで教員免許を取られるとか、あるいは反対に現職教員の方が教職大学院に進学された際に日本語指導についても学ばれると、そういったことも含めて、教員養成部会の議論とも歩調を合わせて考えていく必要があるかと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、少し時間がオーバーしていますけれども、浜田委員の御発表につきまして、御質問がありましたら挙手ボタンをお願いします。あるいは挙手でも結構でございます。いかがでしょうか。
小島委員、どうぞ。
【小島委員】
浜田委員、御発表いただきまして、ありがとうございます。私から質問1点、お願いいたします。
こうした教職課程に多文化・多言語の学生、いわゆる当事者ですが。そうした外国につながる学生さんで、教職を目指して入学されるような方たちというのはいらっしゃったりしますか。そして、そうした学生たちはその後のキャリアというのはどのように歩んでいかれていくのか、もし、先生の大学での様子なんかも教えていただけたらなと思います。
【浜田副座長】
ありがとうございます。現在、自身が外国にルーツを持つ学生の進学というのはやはり非常に増えてきていると私自身も感じています。ただ、やはり、教職はブラックと、教員そのものの待遇が非常に厳しい中で、教職に就くことを断念するといったような学生もおりますので、やはり教員というものの待遇全体を改善するという中で、そういった背景を持つ人たちもより教職に就きやすくなっていくのではないかと考えております。
以上です。
【小島委員】
ありがとうございます。
【佐藤座長】
私から一ついいですか。得意分野づくりで、6単位から10単位で、パッケージ化されているという話ですが、これは大学の独自設定科目みたいなものですか。それとも、教職科目や教科に関する科目の読み替えみたいなものですか。
【浜田副座長】
それぞれの科目はいろいろなカテゴリーに属していまして、本学では、独自科目に当たるものもありますし、それから国語の学生の専攻専門に当たるようなものもございます。ただ、どの専攻に属する学生でも履修ができるようになっていまして、そういったものを自由単位として履修するとか、あるいは多数の科目が選択の候補としてある中で、意識的にそういったものをそろえていくというような形でパッケージとして履修ができるような仕組みになっています。
【佐藤座長】
124単位を超えて取るという理解でいいんですか。
【浜田副座長】
超えずに取ることも可能です。
【佐藤座長】
そうですか。
【浜田副座長】
専攻によって違うかと思いますが。
【佐藤座長】
分かりました。ありがとうございました。
よろしいですか。ほかに、また後で自由討論のところで、意見交換のところでまた、もしあれば伺いたいと思います。
それでは、次に千葉大学の藤川教育学部長より御発表をお願いいたします。
【藤川教育学部長】
千葉大学教育学部長の藤川と申します。本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。資料を共有させていただきます。同じものを既に配付いただいているかと思いますので、御覧になりやすいほうで御覧いただけたらと思います。本日はよろしくお願いいたします。
私からは、千葉大学教育学部が文科省さんの地域教員希望枠という取組に採択されておりまして、この中で「外国にルーツのある子の支援」について取組を行っておりますので、これについて、まだ本格実施は令和9年度からなんですけれども、準備が進められている段階でございます。この途中経過等を御説明させていただきまして、教員養成教育におけるこの種の問題についての取組について、何か皆様に参考になればと思っております。よろしくお願いいたします。
先ほど京都教育大学の取組について浜田先生からお話を伺いまして、もしかしたら千葉大学よりずっと進んでいらっしゃると思いますので、これはあくまでも手をつけ始めたところの事例というふうに捉えていただくのがいいかなと思っております。
一応、地域教員希望枠というものについて簡単に確認をお願いできたらと思いますが、これは令和6年度から文科省で募集をされている取組でございまして、令和6年度はほかの20大学と共に、千葉大学含めて21大学が採択をしていただきました。千葉大学としては、千葉県が地域ということになりますので、千葉県ということを考えたときに、「地域に愛着をもち、『日本の縮図』千葉県の教育課題に強い教員の養成」というコンセプトで応募させていただきました。千葉県というのは、どうも特徴が分かりにくい県かもしれないんですけれども、都市部から農村部、漁村部に至るまで、日本の各地の様々な特徴が一つの県に凝縮されているところが特徴であろうということで、こういった千葉県というものについてしっかり学生が愛着を持って、この地で教育に貢献したいと思えるような教育をしていこうというコンセプトであります。
千葉県にある教育課題というのは、課題としても日本全国の縮図のようになっているだろうと考えました。次のスライドにありますように、千葉県・千葉市の教育課題について、教育委員会などからヒアリングを行いまして、全県共通の課題もあれば、その中の狭いエリアごとの課題もあるということを確認いたしました。結果的には、全県共通の課題が全国共通の課題でもあるということで、黄色地のところです。この四つのテーマを主に扱えるようにしたいということにいたしました。ざっと見ていただきますと、一つ目が、発達障害等、特別な支援を要する児童生徒への適切な対応。これは特に通常校における対応ということで取り組もうということにいたしました。二つ目に、ICT活用とか教育DXの推進。これは、一部進んでいる地域もあるんですけれども、なかなか進まない地域もありまして、こういうところの強みが必要であろうということを考えました。三つ目がいじめ・不登校への対応で、これはもうどこの地域もそうだと思いますけれども、千葉県内も各地域それぞれで大変な課題となっているということで、課題として挙げております。四つ目に、外国にルーツを持つ児童生徒への指導・支援の充実ということで、千葉県は外国から来ているお子さんが多分なかなか多いところだと思うんですけれども、一部の成田とか四街道とか千葉市の一部などでは本当に外国から来たお子さんが多い学校などもございまして、こういった学校での教育は非常に重要な課題になっています。また、散在地域というんでしょうか。外国のお子さんが少ない地域でも少しずついらっしゃるというところが多くて、いずれにしても、千葉県内どこでもこうしたことが課題であるということで、この四つの課題を、千葉県の県共通の課題で、全国にも通じる課題と捉えました。
そして、地域教員希望枠という取組については、この図で示されているように、大学入学前の高校生段階から教育関連活動を推進して、これ、このときには地域教育貢献選抜という仮称でしたが、分かりにくいので、地域教員希望枠という名前にしました。地域教員希望枠という入試を定員63名で令和9年度入試から実施することにいたしました。そして、先ほどの四つのテーマについて、テーマ・プログラムというものを設けまして、いずれか一つをこの地域教員希望枠で入学した学生は必須、それ以外の学生は自由選択で履修するということを計画しております。そして、採用や配置においても県教委・千葉市教委に配慮をお願いしています。千葉県と千葉市は一体となって教員採用試験は行っておりまして、採用決定後にそれぞれの関係の学校等に配置が決まっていくということになるんですけれども、この採用・配置の際に、採用での優遇というのはあまり大学としてはお願いしていなくて、むしろ強みを生かした配置をしていただきたいということをお願いしております。これはまだこれからですので、令和13年度の採用から該当しますので、少し先になりますが、今御検討いただいておりまして、学んだことを強みとして生かせるような初任校に配置していただきたいというお願いをしているところです。将来は卒業生が地域のリーダー教員となって活躍するということを目指しているということでございまして、千葉県・千葉市の教育委員会と千葉大学教育学部が強力に連携しながらこういった取組を進めていき、教員不足解消と、強みを持ったリーダー教員を育成するという取組をしているところでございます。
テーマ・プログラムというのが今回の外国にルーツのある子への支援に関連するところなんですが、これは今うちのホームページに載っている内容ですけれども、ここでテーマ・プログラムと称しているのは、講義・演習6単位とインターンシップ1単位、合計7単位を履修するとデジタルバッジがもらえて、このテーマ・プログラムを履修したということになります。これは教育学部の専門科目だけではなくて、全学の共通科目なども含まれておりまして、卒業要件の枠組みとは別に、副専攻的な感じですかね。この特別なプログラムを履修したという証明は、卒業要件上の区分とは別に設ける予定で準備しております。テーマ・プログラムは、ここに示されている四つでございまして、通常校での特別支援、外国にルーツのある子への支援、いじめ・不登校への対応、ICT活用と授業改革、こういった四つのテーマを今予定しています。インターンシップについては、千葉県教育委員会・千葉市教育委員会と相談させていただいておりまして、外国にルーツのある子への支援に関しては、基本的に、多くのお子さんが在籍している学校で、こういったお子さんへの指導・支援にお詳しい先生方の下でインターンシップをさせていただくという計画をしています。また、インターンシップだけでなくて、教育実習についてもテーマ・プログラムに合った形の教育実習というものをある程度できないかということで、学生が選択したテーマに近い形での教育実習指導を教育実習協力校にはお願いしていくということも相談しているところでございます。そのほかは、一応、今公表しているのはここに書かれているとおりということでございます。
じゃあ、具体的にどういう授業科目を準備するかというところが今困っているところでございまして、特に、外国にルーツのある子への支援に関しては、特別支援教育との関係がなかなかややこしいなということで、少し調整しているところでございます。先ほど浜田先生のお話にもございましたけれども、現状での教職課程コアカリキュラムでは、外国にルーツのある子への支援というのは、特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解のところにコアカリキュラムでは入っているんですよね。実際、本学でも、「特別な教育的ニーズの理解とその支援Ⅰ」という授業で、必修授業ですけど、ここで扱っております。右側がシラバスでございますが、このシラバスでは第4回というところで外国ルーツと特別な教育的ニーズということを入れています。ただ、これがやりづらいというところは当然ありまして、先ほど浜田先生もおっしゃっていましたけど、1回ではなかなか、それなりの内容しか扱えないというか、突っ込んだ内容が扱いにくいということがまずございますし、指導する教員の側も、発達障害等の特別支援について詳しい人と外国にルーツのある子への支援について詳しい人というのは違うわけですよね。ですので、ゲスト講師を呼んだりして工夫してやってはいるのですが、これだけではなかなか強みにならないということははっきりしておりまして、ここをどう考えていくかというのが我々の検討の一つの出発点のようなところがございました。
一方で、もう象徴的な授業科目をつくっていかないとまずいだろうということで、これは今年度から実施されているんですけれども、国語科教育講座の言語学が専門の安部朋世教授、副学部長でもある方なんですが、この安部教授にお願いをして、モデル的な授業をつくっていただいております。これは今年度後期から実施されているものでございまして、授業科目名が分かりにくいのでどうしようかということはまだ検討中なんですが、今年度の授業科目名は「国語学講義IV(世界の中の日本語)」ということで、あくまでも日本語学の先生でいらっしゃるので、日本語の授業の一環として、教免法上でいうと、中学校や高校の国語科の、いわゆる教科専門のところの言語学のところで扱うということにしています。ですので、このままですと多分、中学校の国語の免許を取る学生しか取らないような授業なんです。これが今後どうなっていくかということは課題なんですが、現状ではとにかく必要な内容をある程度網羅した授業をしっかりつくってみようということで、この「国語学講義IV」という授業で、もうほぼ全体が外国にルーツのある子供たちへの支援を扱う授業ということでつくっていただきました。もちろん安部先生1人ではなかなか限界がありますので、ゲスト講師なども呼んで行うということでございます。
概要とか目標は記載のとおりでございまして、お読みいただけたらと思うのですが、各回の内容というところを見ていただくと、2単位、15回の授業でございます。90分15回ということでございますが、「はじめに」というところで基礎的なデータなどを示して、そして、外国人児童生徒等教育の現状1、2、3というので第2回から第3回まで扱っておりまして、一つ目が国語科教科書との関連。これは安部先生、もともとお詳しいということがあります。この中ではリライト教材を扱う。日本語があまり得意でないお子さんのために分かりやすくリライトした教材の事例なども紹介されています。これは、文献で発表されているものを中心に安部先生が解説しているということのようでございます。国語科教育学とか日本語教育学とか日本語学とかという関連する様々な学問領域がございますが、その学問領域の関係等についてもこの第2回、第3回あたりで扱っていると聞いております。そういった、現状、文献等で安部先生が把握されていることを扱っているのが第4回までで、第5回あたりからゲストが来るという構成になっていて、これは現場の日本語教育等に詳しい方、実践者の方とか、文部科学省の教科調査官にもお願いしたと聞いていますけれども、こういった方々にゲスト講師をお願いしていまして、具体的な、2言語を学ばなければいけない児童生徒の実例であるとか、生活言語と学習言語の課題であるとか、学校口語文法と日本語教育文法、こういったことについて、恐らくこういった授業では定番の内容だと思いますけれども、こういうものについては、安部先生がお話しするよりは、直接お子さんにも関わっていらしたゲストの方に話していただこうということで、非常勤講師の形で1回2回来ていただくということでやっておられると聞いております。今のところ、それぐらいの展開なので、その先のことについて詳しく聞いていないんですけれども、8回目以降は各学校段階の具体的な事例等を紹介していき、ディスカッションなどもしていく。場合によっては一部演習的なこともやっていくのかもしれません。そういう授業展開だと聞いております。本人から説明してもらえば一番よかったんですが、すみません、間接的なのであまり詳しい御説明はできないんですが、このような授業を今年度試験的に行っているというのが現状でございます。
ほかの授業をどうするかというのは今検討中なのですが、令和9年度に向けて準備中ですけれども、既存の授業科目で使えるものがあまりないのが現状です。つまり、千葉大学教育学部では、これまでこの種のことについてはほぼ授業で扱えていないということが反映されていると思います。ほかの三つのテーマのプログラムについては、かなり既存の授業科目があるんです。特別支援に関しても、令和元年度にカリキュラムを大幅に変えたときにかなり通常校での特別支援関連の科目を増やしまして、必修も法令的に求められている単位数よりも多くしていますし、選択科目も幾つか設けているんです。ほかのICTとかいじめ・不登校についても関連科目はあるんですけれども、この外国にルーツのある子への支援というのは、必要だからやろうと今回決めたわけですが、既存のものをそのまま使えるというのはほぼないというのが現状でして、じゃあどうするかということで検討しているところでございます。
今日伺ったりしているお話も踏まえて、さらに検討を深めたいと考えていますが、考え方としては、まず、異文化理解とか多文化共生とか、そういった方向での授業科目というのは入れる必要があるだろうということで、これは近い授業科目はありますし、教育学部だけではなくて、ほかの学部の教員が担当している全学向けの科目でも関連するものがあるので、そういうものを幾つか入れようかということは考えております。
国語学とか日本語教育関係については当然必要ですし、これは安部先生がかなりやっていただいているので、先ほどの科目を含めて幾つか用意できるかなと。本来は、もっと専門性を高めるためには、この種の科目を増やさなければいけないということは認識しているのですが、現段階でいきなりたくさんは増やせないということで、可能であれば、今後、国語関係の教員の欠員が生じたときに後任で、日本語教育がちゃんとできる、しかも国語教育もできる教員を採用できるといいのかなということは話題にはしているんですけれども、まだなかなか具体的な教員採用の話まではできていません。やはり専任の教員がいないとなかなかこの種の授業科目の充実というのは難しいと考えておりまして、教員人事との関係もあるというところがございます。
それから、学校現場や地域での支援の実際についての授業科目につきましては、千葉県教育委員会・千葉市教育委員会の御協力もいただいて、指導主事の方等に非常勤で来ていただくということも相談しているところでございます。ただ、県や市で伺っても、これについて物すごく詳しくて、力のある人というのはそういないと言われていまして、むしろ千葉大学の名誉教授の方が県や市の指導主事さん向けの講習をやっていたりするという状況があって、なかなか適任者がいないということが悩みでございます。他方で、例えば千市は数年前に夜間中学を設置しまして、その夜間中学では3分の2が外国から来た生徒さんなんです。ですので、夜間中学での実践がかなり蓄積されつつあって、夜間中学の国語の先生などが非常に熱心に日本語指導などもされているということは聞いており、そういった夜間中学の先生などとの情報交換も今しているところでございまして、教育委員会などにお任せし過ぎるだけではなくて、こちらから実践に関わっていらっしゃる方とのコンタクトも取りながら、いい講師の方を探そうというような取組をしております。
それから、四つ目に、教育センター等で実施されている教員研修に学生も参加させていただくということについては、ほかのテーマを含めて御相談しているところでございます。これは、県に元いらした実務家教員の方が調整してくださっていまして、その実務家教員の方いわく、やはり県や市での教員研修、夏休み等に関係する研修はそれなりにありますし、学べるものはたくさんあるので、現場の先生と一緒に研修を受けるというのも学生にとっていい機会ですから、そういうものを単位化するということもできるんじゃないかということで、いじめ・不登校等のほかのテーマも含めて、県教委・市教委に御協力をお願いしているところでございます。今、そういったことを集中的に相談しているところです。
インターンシップについては、先ほど申し上げたとおりです。先ほどの夜間中学での実施についても交渉しているところでございます。
それから、うちの附属小学校と附属中学校では帰国生教育というのを一応やっているので、帰国学級なども小学校にありますから、そこを変えて、外国にルーツのある子のための学級とかに変えて、そこと接続できないかというのは検討はしているんですが、多分、令和9年度には全然間に合わないので、附属学校の将来構想の中で変えていけないかという議論を始めているところでございます。
そして、教育実習についても先ほど申し上げましたように相談をしているというようなことで、本当に今ばたばたで、あまり具体的なお話ができなくて恐縮なんですが、いろいろなルートで、力をつけるのに必要な授業科目をそろえていこうということを調整している段階でございます。令和9年度から実施なので、来年度の前半ぐらいまでにはめどを立てたいと考えております。
次が一応、このテーマ・プログラムでこういうことを扱う必要があるかなという内容をざっと挙げてみたというところで、あまり意味はないというか、いろいろな資料とかを見て、こういうことが必要だよねという確認をしているということで、参考までにつけさせていただきました。
まとめなんですけれども、悩ましく思える点が幾つかありまして、やはり、学生の専門によらず、外国にルーツのある子への支援については重点的に学ぶ学生を増やしたいと考えています。ですので、カリキュラム上も、特に国語が専門とかということと関係なく、どの学生もこういったプログラムが学べるようにする予定です。他方で、やはり日本語の指導ということがどうしても中核になってくると思います。そうなると、やはり国語教育が専門の学生でないとベースができていないというところもありまして、この辺りをどういうふうにバランスを取っていくかというのはすごく悩ましいなと考えています。もちろん学部段階でそこまで専門的なことはできないというふうに割り切れば、仮に国語が専門でなくても、日本語教育については少しかじったくらいでも、現職になってから、また研修等でさらに力をつけられるだろうと考えていますけれども、どういうバランスを取ってこのテーマを学ぶ学生を増やしていくかというのは課題かなと考えています。
次に、先ほども申し上げましたが、現状の教職課程コアカリキュラムでは、外国にルーツのある子への支援の話が特別支援教育関連科目で扱われていまして、これについて、関係の方にはかなり抵抗感もあるみたいでして、これをどうするかということはぜひ、我々だけでは決められないので、文部科学省でも検討いただきたいなと思っております。
三つ目ですが、ほかのテーマは教育委員会とか学校現場で必要なことというのは結構確立しているように思うんですけれども、なかなか、教育委員会側に聞いても、このテーマについて具体的にどんなことを学んでほしいのかというのがはっきりしていないんです。ですから、我々のほうで考えなければいけないということで、本当に試行錯誤しながら、しかし現場に役立つようにと考えなければいけなくて、すごく難しいので、現場から何が求められるのかということがだんだん確立してくるとやりやすいなとは思っているところでございます。
いずれにしても、全てが手探りのような状況で、迷いながら、悩みながら、いろいろな方と御相談しつつ進めているようなところでございまして、新たに取組を始めるとこんな感じになるということの一つの例として受け止めていただければ幸いです。
本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。一旦、私からは以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、今、藤川学部長の御発表について御質問等がありましたらお願いできますか。いかがでしょうか。
【浜田副座長】
一つだけよろしいでしょうか。浜田です。
【佐藤座長】
はい、どうぞ、浜田委員。
【浜田副座長】
すみません。先ほどテーマ・プログラムの単位数の設定について、6単位必修ということで、本学も得意分野づくりがたまたま同じぐらいの単位数だったんですけれども、ちょっと感覚的に決めているところがございまして、もし6単位必修とかいったようなことで何か基になった考え方みたいなのがあるようでしたら教えていただければと思います。お願いいたします。
【藤川教育学部長】
率直に言って、感覚的です。卒業単位数がかなり多くなってしまっているんです。複数免許を推奨しておりまして、多くのコースで複数免許を義務づけたりしているので、そもそも免許を取るためだけでも相当の単位数を学生は履修しなければいけないわけです。しかも、このテーマ・プログラムはやはり卒業必修の科目だけではそろえられないと考えましたので、どうしても従来の卒業必要単位数に加えなければいけない。自由履修単位数の状況などを見て、6単位プラスインターンシップ。インターンシップはもともと必修にしていた経緯もあるので、このインターンシップの流用という7単位というのが限界かなと思い、これくらい学べばある程度自信を持って現場に初任者として立てるかなというところで、6単位プラスインターンシップ1単位としました。
【浜田副座長】
ありがとうございます。
【佐藤座長】
ほか、いかがですか。
小島委員、どうぞ。
【小島委員】
御発表いただきまして、ありがとうございます。もし御存じでしたら教えていただきたいなと思いました。具体的な授業の内容で、国語学講義というお話がございましたけれども、こうした日本語指導が必要な子供たちに対しての評価の在り方ですね。ここでの評価というのは成績判定などの学習の到達目標を示しますが、そうした評価の在り方ついて学生たちに指導されるようなことというのはこの中では組み込まれているのかどうかがちょっと見えなかったものですから、教えていただけたらなと思いました。
以上です。
【藤川教育学部長】
申し訳ありません。評価については聞いておりませんで、即答できません。よろしければ、またメール等で事務局に御連絡を差し上げて回答させていただけますでしょうか。
【小島委員】
はい。ありがとうございます。
【佐藤座長】
では、よろしくお願いいたします。
齋藤委員、どうぞ。
【齋藤委員】
大変参考になるお話で、いろいろ悩みながら進めているのはうちも同じですので、ありがとうございます。
1点教えていただきたいんですけれども、中学校の国語の免許を取る学生が取りやすいようになってしまいがちというお話があったんですが、その仕組みがちょっとよく分からなかったんですけれども、このテーマのもの自体は全学、全学といいますか、教職を取る学生さん皆さんに開かれていると思うんですが、担当される安部先生が国語学の御専門で、タイトルが国語学講義4であるからということと、国語の学生だけが取りやすいような状態ということとの関係がちょっと分からなかったので、うちで科目をどこに設置するかなどを検討する上でも参考になるかと思いますので、教えていただければと思います。お願いします。
【藤川教育学部長】
ちょっと分かりにくいんですけれども、「国語学講義IV」という授業科目が、卒業要件上で学生が見ると、中学校の国語の免許を取るコースのための授業科目としてあるんですね。現状では、それしかないわけです。テーマ・プログラムは令和9年度からなので、今学んでいる学生は、中学校の国語のコースあるいは中学校の国語の免許を取るための授業科目一覧のところにしかこの授業科目はないんですよね。ですので、中学校の国語を取る人向けかなというふうにどうしてもなってしまっていて、これからどうやって分かりやすく、誰でも取れるんだというふうにしていくかというのは課題だというところがあります。ただ、内容的にもやはり中学校の国語の免許に対応するような授業にしているので、あまり国語の素養がない学生にとっては、ややつらい可能性はあるということも考えられます。
【齋藤委員】
ありがとうございます。
【藤川教育学部長】
ありがとうございます。
【佐藤座長】
平田委員、どうぞお願いします。
【平田委員】
お世話になります。平田です。教育委員会の立場から、私だけの個人的なことかもしれないので、全部の都道府県に共通ということではないですけれども、幾つか発言をさせていただければと思います。先ほど藤川先生のお話の中に、教育委員会でこういうことをしてほしいということを、すごくありがたいことに言っていただいたので、そのことについて幾つか、ただ、群馬県に関してのことであるということを御了解ください。
まず第1に、日本語指導ということについては、これは学級担任にもお願いすることなので、それはもちろん大事なことだと思います。その上でなのですが、まず、この多文化の子供たちが、外国ルーツの子供たちや、あるいは日本語の指導が必要な子供たちが入ってきて、その子たちに対しての支援というところを強く押し出してしまうと、なかなか、例えば地域社会等からの理解、それだったら日本の子供にもやってみたいなことになってしまいます。いろいろな子供たち、外国ルーツの子供も含めて様々な子供が来るということは、日本の子供、通常の子供にとって、彼らが共生社会の一員になっていくために非常に大事であると思うんです。ですので、例えば、これはひょっとしたら文部科学省にお願いするかもしれないけれども、外国ルーツの人たちが共生社会の一員となるためにということに加えてというか、とともに、みんなにとってこれが大事なんだということを何か強く書いてもいいんじゃないかと思います。その上で、例えば大学生、教職課程の学生さんにはぜひ外国ルーツの人たちと触れ合う機会を何か持ってもらえるとうれしい。そうすると、彼らのすてきさが分かる。何か言葉、本当に彼らは日本人にないすてきさをいっぱい持っているので、そこと触れ合う機会が何かの形でできたらいいなと思います。と同時に、これも留学してということではもちろんないんだけれど、アウエーの地での体験というのがあったらいいんじゃないか。つまり、いきなり外国から来た児童生徒にとっては、やはり言葉も通じないし、文化も違う。そういうアウエーの地で学校生活を送ることの大変さを何らかの形で知ってもらえるといいなと思います。
あともう一つが、個別の指導計画が必要になっていきます。日本語能力が様々であるということに加えて、例えば教科の学びの進度も国によってまちまちですので、日本語能力から来た学びにくさなのか、それとも、そこは学んでいないから大変なのか、あるいは他国にはない教科というのもあると思います。また、文化の違い、国によって学び方も違うので、日本の学校でやっている学び方とのそごによって学びがしにくいということも起きているかもしれない。なので、どうしても個別の指導計画、個別に指導していくということがとても大事になっていきます。そのときに、新任の先生がそれはできないのはもちろんそうなので、ほかの人、ほかの学校内の人も含めて、他者の協力を得ながら個別の指導を行っていくことがどれだけ大事かということを何かの機会に伝えていただけたらありがたいと思います。
以上です。
【藤川教育学部長】
大変貴重な御助言をありがとうございます。今いただいたことを踏まえて、また授業科目等を練ってまいりたいと思います。
【平田委員】
ありがとうございます。
【佐藤座長】
それでは、よろしゅうございますでしょうか。
藤川教育学部長、ありがとうございました。
【藤川教育学部長】
ありがとうございました。
【佐藤座長】
それでは、議題(2)、ヒアリングを踏まえた意見交換に移ります。日本語指導担当教師等の指導力の向上について、資料3で示されている検討事項について、それを踏まえながら浜田委員と藤川教育学部長から御発表いただきました。これから議論を深めていきたいと思います。担当教師の指導力の向上というのはかなり幅広い議論になりますので、先ほど事務局のほうからお話があったように、養成段階で全ての学生が共通して学ぶべきものは一体どんなことなのか、専門性として身につけるべき内容はどんなことなのか、登録日本語教師との関わりをどうしていくのか、それまでの日本語指導の学習歴、資格、実務経験などを考慮したような採用の在り方、さらに研修の在り方についても、初任者から専門的な研修までの体系性を持った研修の在り方をどうしたらいいのかといったことなどについて、ここで議論してほしいという依頼がございました。こうしたことを踏まえながら、これからそれぞれ皆さんから意見をお伺いしたいと思いますので、どなたからでも結構ですので、挙手ボタンないし挙手でお願いできればと思います。
小島委員からどうぞ。
【小島委員】
ありがとうございます。私からは3点と思っております。
一つが、今お話ございました、専門性として身につけておくべき点ですけれども、私は評価の在り方と思っております。現在、三つの観点別に評価がなされていて、特に知識・技能、そして思考・判断・表現についてのところなんですけれども、そこではどうしてもペーパーテストで評価されることが多いです。ここでの評価というのは、総括的な評価のこと、成績判断ですとか、いわゆる最後の学習目標の達成のところのことを示しております。特にペーパーテストの中で、知識・技能についてテストでここの部分ができれば、この単元のここは理解したよねというふうに連動してしまっているような評価が、いわゆる校内ですとか教科の中で確立していることが多いように私自身、学校現場で関わっていると感じているところです。日本語指導が必要な子供たちの評価についても、それが在籍学級の子供たちと同様にペーパーテストで行われるパターンが多く、そのテストにパスするために技術的なスキルというのがどうしても、取り出し授業であっても優先されてしまうような指導が行われてしまう場合が多いです。実際のテスト、こちらは小学校4年生の息子のものですけれども、このように、ここができればというのが指導、知識・技能であったりですとか思考・判断・表現というのがここの単元での評価と連動しています。それによって、テストにパスするための指導が優先されてしまう。子供たちにとっての個別最適な学びを指導では実現されていても、評価では少しかけ離れてしまうような、せっかく取り出し授業等があって、特別な教育課程があっても、指導と評価が一体化されていない場合が多いように感じてしまいます。それは、高校入入試そのものの評価でも、同様のように感じているところです。そこでです。繰り返しになってしまうんですけれども、学習指導要領の全ての教科の中に、「日本語能力に配慮し、適切な評価を受けられるように工夫すること」という一文等を入れていただきたいです。あわせて、その適切な評価の工夫というのは何なのかというところを、この外国人児童生徒の教育に携わる教師、教員の専門性として身につけるべきところに私は位置づけていくべきではないかと考える次第です。これが1点目です。
二つ目が、教員の採用時のところでございます。母語ですとか母文化を継承しながら日本社会の市民として活躍する人材というのは、外国人児童生徒にとって物すごく身近なロールモデルであり、重要になっていきますよね。それは同時に、日本人の子供たちにとっても、外国の文化ですとか言葉だったりを肯定的に捉える場だったりとか、そうした教育が身近にあるということは、異文化理解の教育の機会としても大変有益だと考えます。それが先ほど数々の委員の中でもお話が出ていたかなと思います。しかしながら、外国籍の教員の教員任用について、いまだ大きな壁があるのが実際です。全ての都道府県や指定都市の教育委員会では、外国籍の子供たちに対しての受験資格は認めています。しかし、ほとんどの自治体では、任用の制限内、常勤講師での採用になってしまっています。それによって、学年主任だったりとか指導主事になることができないですとか、特に給与だったりとか退職手当等の手当等にも差があるとか、生涯賃金の格差が大きいのが実際の任用になってしまっています。ですので、先ほど浜田委員のお話にもございましたとおり、外国につながる子供たちが大学に入学するということはもう日常になりました。そして、特に彼らたちは小学校、中学校、高校を日本で終え、そのときに教えてもらった先生たち、あの先生みたいになりたい、こうした先生のようになっていきたいと物すごく志高く思い、教員を目指して大学に入学しています。しかしながらこうした現実を入学後知るようなパターンが多く、若者たちは教職から離れていってしまうのが実際です。そんな姿を私はこれまで何人も若者たち見てきました。そのため、任用の在り方というところの改善を求めたいです。それが外国につながる子供たち、若者たちの教員採用等にもつながっていく、それがひいては日本社会を豊かにしていくことにつながっていくと私は信じております。
3点目になります。現職教員の先生方たちの研修方法についてです。これまで私自身、様々な地域で研修講師に取り組んできまして、現職教員の先生方、実際日本語指導に携わっていらっしゃる先生たちに対しても、やはり個人にも光が当たる仕組みというのが私は日常的に非常に重要ではないかと考えます。まだまだこの分野に対しての理解というのは、学校の中でも、そして地域の中でも希薄だというのが実際であり、それが散在地域、集住地域問わず、そこは共通しているのではないのかなと思います。それによって、日本語指導になった先生方たち、担当になった先生たちも、他の実践を見たことないというような先生方たちも多いです。このような途上である今の段階だからこそなんですけれども、私は少し丁寧にこの先生たちを育てることができるような取組を行う必要があると考えます。具体的にはですけれども、外部人材による伴走支援ですとか、広域でもう少し先生方自身が取組を共有できるような仕組みというのをつくっていくということが必要ではないかと考えます。例えばですけれども、文部科学省に外国人児童生徒等教育アドバイザーが30人ほどいらっしゃるかなと思うんですけれども、そうしたメンバーとのコラボをしながら、アドバイザーたちが活動するような近隣地域の学校だったりとか地域だったりとかで実践していらっしゃいます先生方たちに伴走支援をしていくようなことだったりですとか、そこの地域、エリアですね。例えば九州地域とか東北地域とかというような、少し地域の中の広域で、先生方たちの取組をお互い、先生方の実践を発表し合ったりですとか見せ合ったり、また意見交換できるような場づくりというのをもう少し意図的につくることができないだろうかと考えます。といいますのも、先生方たち御自身が授業方法のスキルが上がっていくことも重要なんですけれども、あわせて、外国人児童生徒の教育については、学校全体の体制も一緒に見直していかないと、どうしても子供にとって個別最適な学びが実現できないという現実があるからです。ですので、学校の外ではなく、学校の中で、先生方たちと目の前の子供たちにどう指導があるべきかというのを伴走支援型で行っていくということが私は非常に重要であるのではないかと考えております。それが子供たちにも、そして先生にも光が当たるような仕組みになっていくんじゃないのかなと思い、提案したいなと思いました。
以上になります。
【佐藤座長】
それでは、高階委員からお願いできますか。
【高階委員】
私のほうからもこの事務局作成メモに沿って3点ほどお伝えできればと思います。
一つ目が、学生が学ぶべき基礎的な知識としてどのような内容があるのかという点です。今、学校現場には、外国につながりのある生徒だけではなくて、障がいのある生徒であったり、性的マイノリティーであったり、貧困、虐待とか、本当様々ないわゆるマイノリティーの子どもたちがたくさんいますので、そういうマイノリティーの子どもたちに思いを馳せることができる学生というのを育てていただけるとすごくありがたいなと思います。、先ほどの発表でもあったと思うんですけれども、やはり一つは当事者との出会いというのは非常に効果的なのではないかなと思います。また、それに付随して、高校現場というのは適格者主義的な考えが残念ながら残っている場合もあるかなと思います。例えば、外国につながりのある生徒のことで言うと、最低限の日本語ができるようになってから高校に入ってきてほしいというような、ちょっと間違ったメッセージがあったりも、残念ながらありますので、そういう面でも人権感覚の高い人材を、これはもちろん採用後も各自治体でも頑張らないといけないことですけれども、大学のほうでもそういったことに取り組んでいただけるとありがたいなと思います。
二つ目は、この事務局作成メモの中で、日本語教育の専門性を有する人材の確保が課題だというような表現があるかと思います。これは正しいとは思うんですが、要は、人材がいないわけではなくて、学校現場で働きたいと思っている人材はいるんですけれども、働く仕組みがない。高校のことで言いますと、例えば、国語科の教員免許を持っていて、日本語指導もできるという方は、どうしても教科ごとの採用になりますので、配置された学校で必ずしも日本語指導ができるとは限らないということで、採用試験を受けることをちゅうちょしてしまっている方も実際おられます。なので、非常に高い能力があるにもかかわらず、非常勤講師や常勤講師という選択を取らざるを得ないという方もいますので、各自治体でもできる方策かもしれませんけど、そういった方が堂々と働ける、そういった方の採用の在り方なんかも考えていただけたらありがたいなと思います。
三つ目は情報提供のような話になりますが、この事務局作成メモに特別非常勤講師の活用についても書かれているかと思います。これはもしかしたら日本語指導に関連、日本語指導のことを想定した特別非常勤講師のことかもしれませんけれども、大阪府の府立高校では、この特別非常勤講師を活用して母語指導を実施しています。これは生徒の数、在籍する生徒が仮に例えば1人、例えばウルドゥー語の生徒が1人とかいう場合であっても、母語を保障するという観点から、大学等とも連携しながら、そういった人材を見つけて、特別非常勤講師として母語支援をしておりますので、そういった仕組みも今後全国に展開されるといいのではないかなと考えております。
3点、私のほうからは以上となります。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、横溝委員、どうぞ。
【横溝委員】
私も事務局メモに沿って3点ほどお話をさせていただけたらと思います。
まず、教員養成の在り方についてですが、横浜市としては、幅広く子供たちのことを知っておいていただけたらと思っています。特に、日本人、外国人にかかわらず、児童生徒理解というのは非常に重要になってくると思いますので、まさに先ほど高階委員もおっしゃいましたけど、現場に行って、子供たちがどういうふうに活動したりとか、どんないいところがあるかということを知っていただきながら教員になっていただきたいと思っております。その際に、特に外国につながる子供たちを受け入れたり、それから、学校づくり、体制づくりをするときにそういった専門性を発揮していただけるような学生がいたら、ぜひそういった教員になっていただきたいなと思っております。
それから、先ほど国語科教員がというところがありましたが、本市の事例を見ていきますと、もちろん英語科、国語科の教員は多いんですが、音楽科の先生もいますし、理科、社会の先生もいます。それぞれの専門性を発揮して、非常に分かりやすく、楽しい授業をしているのが現状ですので、あまり教科にかかわらず、外国につながる子供たちに関わっていただきたいなと思っております。
それから、教育委員会としては、それぞれの地域の大学とやはり連携していくことが重要かなと思っています。手前みそになりますが、我々横浜市としては、外国につながる子供たちの研修をたくさん行っている状況があります。そこに横浜国立大学の学生に来ていただきながら、一緒に研修に参加していただいています。教員の実態を知っていただくということも重要ですし、横浜市内にもそれぞれ地域差がありますので、そういったことを知っていただきながら、横浜に必ずしも採用になるわけではないと思うんですけど、全国にそういった学生が広がっていっていただけたらなと思っております。
それから、最後、現職教員の研修に関してですが、私も外国人児童生徒等教育アドバイザーとして各地を回っている現状がありますが、1回きりだと十分やはり研修ができていないなという現状があります。そこで、国として、どういった研修が必要なのかというところ、プログラムと、それからやはり、オンデマンドでも構わないとは思うんですが、しっかり研修の内容を国として整えていただくということが今後非常に重要になってくるのかなと思っております。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、野口委員、どうぞ。
【野口委員】
御発表ありがとうございました。次期学習指導要領ワーキンググループが今それぞれ始まり、私は現在、特別支援教育ワーキンググループと、特定分野に特異な才能のある子供の特別の教育課程に関するワーキンググループの二つ、そして本会議、と合計3つのマイノリティ性にかかわる会議に入っております。まず、一言で「障害」と言っても様々な種類の障害があります。発達障害のみでなく、視覚障害、聴覚障害の子たちも通常の学校に在籍する子が増えているという状況があります。外国にルーツのある子、日本語指導が必要な子、その中もいろいろな子供たちがいて、性的マイノリティーの子、特異な才能のある子、先ほど高階委員からもあったように、貧困や虐待のある子、不登校状態にある子と、とにかく、全ての教職員が全てのカテゴリーを専門的に学ぶのは難しいです。それぞれの部会やワーキンググループで、教職員にはこのような専門性が必要だとそれぞれ言う。それぞれ自分の専門分野については学んでほしいので。しかし、やはり限界があると思っています。ただ全てをどんどん付け足す形ではない形で、すべての子どもが包摂される学校をどうつくったら良いのか、知恵を絞っていく必要があるということを私は改めて感じています。今日事務局から御説明のあった、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理が出ましたが、こちら、今日ちょっと参考資料にあるかわかりませんが18ページにこれからの教師には本当に多様な力が必要になると。このような複合的な専門性を修得するためには、個々の問題を並列的に取り扱うのではなく、多様性に関する教育、対人関係の基礎的理解、学校組織の理解と経営などに関する中核的な考え方を基盤にして、養成段階、大学院段階、現職研修段階を貫く体系的な教育を整備することが必要ではないかということが記載されていて、まさにそのとおりだなと思っています。全ての教職員に必要な、この多様性に関わる資質・能力というのを整理するということが改めて必要だと思っています。例えば、生徒指導、教科指導でもそれぞれコアカリキュラムがあるわけですが、現在のコアカリキュラムというのを多様性の包摂を踏まえたものにやはり変えていくということがまずポイントになります。私は今、東京学芸大学で非常勤講師として生徒指導、進路指導を教えていますが、その中でも当然、多様性については扱うわけですよね。やはりそれが全ての大学において保証されることが必要だと思います。例えば、教科ごとのコアカリキュラムにおいても、国語の専門性として、多様な子供たちにどのように国語を教えていくのということを必ず扱うようにしていくという、ここを土台に据えていかないといけないのではないのかなと思います。その際に共通するのが、社会モデルの考え方だと思います。先ほど適格主義の話もありましたが、多様な子供たちを今の学校の普通に合わせるのではなくて、むしろ今の普通の側に問題があると考えて、授業の在り方や学校文化を多様性を前提としたものに変えていく、そうすることでいろいろな障壁を解消していくという視点を全ての先生方に持っていただくということが重要だと思います。それは、特定のマイノリティーの子供だけではなくて、全ての子供に資するものになる。例えば、多様性を前提とした国語の授業ってどんな授業なんだろう、と考える機会が、養成段階でも、その後の研修においても必要だと思います。改めて、次期学習指導要領においては、「多様性の包摂」が柱として掲げられています。そのほかにも、例えば特別活動の在り方も、民主主義や共生社会の担い手を育むことに焦点が当てられるようになります。学習指導要領が変化することによって、教員養成がセットで変わっていくということが改めて重要だなと思っています。大学で教える側も縦割りになっています。。ゲストティーチャーでうまくやっていらっしゃる学校さんとかもあると思うんですけれども、大学で教える側がいろいろな専門性を結集して、共通点を見出して、統合していくことが必要なのではないかと思います。その上でテーマ別の専門性を学んでいくという方向性ですよね。2019年から特別支援教育は教職課程において必修化されました。私も去年まで教えていましたが、先ほど藤川先生がおっしゃったように、今はその中に日本語指導が必要な子供への対応というのが含まれているが、それをどう考えるか。当然、先ほど御指摘があったように、特別支援教育を教える立場が十分に日本語指導について教えられるかというと、そこは難しかったりする部分もあると思うので、そこをどう整理していくのかというのは、この会議だけではなくて、それぞれ、いろいろなマイノリティー性の専門性を持っている人たちが自分ごととして考えていかなければならないなと思っています。例えば、多様性理解のような包括的な授業が追加であったほうがいいのか、あるいは大学の特色を生かしてテーマ別のようなものがあったらいいのか、そういったところはいろいろな立場の人たちで合意形成をしていく必要があるのかなと思っています。
いずれにしても、先ほども御指摘がありましたが、今、採用の段階で、大学で学んだことが生かせていないというすごくもったいないことが起こっていると思うんですよね。せっかく日本語指導についてちゃんと学んだのに、それが生かされていないとか、特別支援でもそういったことがあるので、いずれにしても採用の段階で大学で学んだ専門性が確実に生かされるような配置がなされる、そういう仕組みというのをセットで考えていく必要があるのかなと思っています。
私からは以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
では、バトラー委員、お願いします。
【バトラー委員】
ありがとうございます。私はアメリカ在住なので、日本の現状、現在の研修についてはあまり申し上げることはできないんですけれども、今検討がなされている大学院レベルでの研修についてちょっとコメントさせていただきたいと思います。たまたま私はアメリカで、この大学院レベルでの研修に25年以上携わっておりまして、いろいろメリット・デメリットがあると思います。現職の先生方に対する大学院レベルでの研修の機会というのは非常にいいものだと思っております。アメリカも州によっていろいろ違いがあるんですけれども、ペンシルベニア州では初等教育・中等教育の教員免許を取った上でESL、つまり第二言語としての英語指導の資格を取るという形になっているので、ESLの免許を取得したい先生にとっては、大学院での研修が必要になります。やはり、現職の担任の先生なり教科の先生がダブルでESLの免許を取る、そういうチャンスがあるということはメリットが大きいと思います。現実的には英語の先生がESLの免許を重ねて取られることが多いんですけれど、しかし、時には数学の先生だったり、社会の先生だったり、美術の先生だったりという方々が研修を受けて、ESLの資格を取っていかれるということがあります。やはりそのメリットというのは非常に大きくて、そういった先生方というのは、状況によって、ESLの先生になったり担任に戻ったり、ESLの先生になったり教科教員に戻ったりということで、ESLと教科の両方のことがよく分かっていて、それぞれのニーズもよく見えているわけです。そして、こうした先生方がESLと教科の他の先生方の間のリエゾンになっていく、橋渡しになっていくというような役割も果たされていますので、これは非常にメリットのあるやり方なのではないかと思います。ただ、もちろん、この制度をうまく機能させていくには、資金面、それから時間面での支援というのが不可欠になります。大学院でESLの資格を取るために、現職のお仕事を例えば1年間お休みできたり、資金面での支援というのも必要になる。そしてまた、二つの資格を取ったということの何かインセンティブですね。それが制度上、絶対に必要になると思います。こういう条件がもし整えられるのであれば、大学院において現職の先生方が日本語の専門の資格を取られるというのは、非常にいい、メリットのあるシステムだと思います。
一方、登録日本語教員の方に大学院で学校教員の資格を取っていただく、これも非常にいいと思います。ただ、恐らく、内容というか、フォーカスする部分が学校の現職の先生とは少し違ってくるのかなと思います。やはり学校という場所での実践の研修に重みを置くということが重要なのではないかと思います。私も学生を見ていまして、実践、教育実習がどれぐらい充実していたかどうかというのが、やはりその教員資格プログラムの満足度というのを大きく左右するというのはもう実感しております。実習の場所によって経験の差というのがあまり大きいというのは問題なので、我々のプログラムでは、実習先に全部丸投げをするのではなくて、メンターを一緒に派遣して、細かな指導をその場で一緒にしていくというのもやっております。学部でここまでやるのは人的リソースの面からもちょっと無理だと思うんですけれども、大学院だと、学生の数も絞られてきますし、こういったようなことも制度的には可能になるのかなと思います。
それから、卒業生とのパイプを維持していくということがすごく大切だと思います。実習を行う際にも、例えば卒業生のところに協力してやっていただくとか、そういったようなことをすることによって、今度、卒業生の側も新しい知識を得るというチャンスを得られることにもなりますし、やはり気持ちの上でもネットワークみたいな、結びつきというのも生まれますので、そういった卒業生とのパイプというのも研修プログラムの中で最大限に生かしていくというのが大切なのではないかと思っています。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
オチャンテ委員、どうぞ。
【オチャンテ委員】
ありがとうございます。
そうですね。まず、幼保小の接続にもフォーカスする必要もあるのかなと思いながら、子供たちと、小学校入学前からの幼児と関わる先生方とか保育者の研修も併せて、もちろん養成段階においても、人権教育とか異文化理解などに関する共通理解を深める必要もあるのではないかな。先ほども出ていた包括的な理念、包摂的な理念を共有することも重要であるのではないかなと思いました。
先ほどのお二人の発表の中にもあったんですけど、独自のプログラムで学生の強みを生かすことはとても私も重要だなと思いながら、ただ、その学生にとってどのようなメリットがあるのかなと。もちろん専門的な分野の知識を身につけるという点では本当に大きな価値があると思うんです。しかし、これも発表の中には出たんですが、多くの学生は複数の免許を取得するために、履修しなければならない科目が本当に多くて、なかなかこのような科目を必修として履修する時間的な余裕はない学生も多いんですよね。そのため、学生にとってインセンティブとなるような仕組み、つまり、大変でも受講したほうが得なんだと感じられるような魅力をつけることも必要なのではないかなと思いました。例えば、このプログラムを修了することで、登録日本語教員ではないんですけど、こういったプログラムを修了して、採用試験には何かの加点があるとか、学生が具体的なメリットと感じられる仕組みも必要なのではないかなと感じました。
そして、例えば、学んだ、強みとなったものが実際現場で使っていける、専門性を生かしていける環境を整えることも必要なのではないかなと思います。あわせて、現場の先生も割と結構いろいろな、日本語資格を持っているとか、長年外国の子供たちと関わっていて、すごく能力を持った先生の異動で、なかなかその専門性を生かせないような現場の中の実態があるので、やはりそういった経験を持った、またはそういった資質・能力を持った先生方が、現場でもそういった能力が認められ、生かしていけるような環境づくりも必要なのではないかなと思いました。
以上です。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
徳永委員、どうぞ。
【徳永委員】
ありがとうございます。先ほど浜田委員やほかの委員からも指摘がありました、全ての学校関係者に一定の専門性が必要だということに非常に賛同しました。ある特定の学生や教員が外国人児童生徒教育について学ぶのではなくて、全ての学生、教員が学ぶことを必修化していく、その流れは非常に重要だと思いました。
その点と関連して、教員養成、研修の在り方全体の中に多様性の教育や外国人児童生徒の教育を位置づけていくことが、先ほど野口委員からもありましたように、とても重要だと思っています。今、教員養成部会での教職課程の議論の中で、体系化や構造化の必要性について議論されていると伺いましたので、教育振興基本計画でも指摘されている、多様な教育ニーズへの対応や、多様性、公正、包摂性、その中に外国人児童生徒への対応や支援も含めて、教員養成や教員研修全体の中に位置づけていくことをぜひやっていただきたいと思います。個別に議論するだけではなくて、やはりほかの課題と重なり合いがあると思いますので、大きな枠組みに入れていただきたいと改めて今日お話を伺いながら思いました。
私自身も今、教員研修や教職課程の授業を大学で担当していますが、外国人児童生徒の教育に関心があまりなく、関わったことがない学生もいます。あるいは教員で、外国人児童生徒との関わりは少なくても、貧困家庭の子供や障害のある子供を担当して、いろいろなスキルや専門性を持つ先生たちもいらっしゃいますので、そういった経験を生かしながら外国人児童生徒教育について学べることで、これまで培ってきたいろいろな経験とかスキルが転用され、生かされていくと思います。ですので、いろいろな課題と共通する視点として、例えば平等と公正、差別や排除、マジョリティーの特権、長所や強みの視点などを最初に押さえながら、その後、各論でそれぞれ個別の課題を扱っていくことを研修や授業の中で行っています。多分、こういった視点がないと、教員の多忙化や、外国人児童生徒の在籍数が少ないという学校も多く、現場の厳しい状況がある中で、なかなか対応が難しいと思いますので、ぜひ開いた議論をできるといいと思います。
もう一点、先ほど浜田委員からモデルプログラムの説明もありましたけれども、こういった教員の資質・能力の向上を目指して既にいろいろなプログラムが開発されていて包括的、そして体系的にモデルプログラムも作成されていると思いますが、これが教育委員会や大学、国際交流協会などでどのように活用されているのか、教員や研修の在り方に実際に変化があったのか、活用する難しさ、つくったものがどう生かされているのかなど、現場の声や調査がなされているのであれば、ぜひ伺ってみたいと思いました。多分、そういった調査もしながら、今後、教員養成、研修の在り方を議論できるといいと思いました。
以上です。ありがとうございました。
【佐藤座長】
ありがとうございました。
それでは、吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】
よろしくお願いします。私からはまずやはり、私も教員養成の大学に、学部におりますので、まず大学の現状と、それを踏まえて、今出されている検討事項に対応した形で少し御提案をしたいなと思います。その後、ちょっとだけ研修の話を付け加えさせていただければと思います。
まず、弘前大学の現状ですけれども、先ほど浜田委員が、1単位時間だけやっていますと、全員対象にやっていますというのはまさに同じで、学部では、特別な教育的ニーズの理解とその支援の中で15単位時間やるわけですけれども、プラス試験とかになるわけですが、そこの中の1時間でオムニバスで私が入ってやっているという形になります。これは、現在のコアカリキュラムに対応するためにそういう形を取っているということになります。教職大学院では、教育における社会的包摂という授業の中で、様々な社会・経済的な背景から排除されがちな子供たちをいかに包摂するかという視点で、半分は貧困のこと、そして半分は外国につながる多文化・多言語の子供たちのことをやっています。それも私が担当しています。これに加えて、教育学部に日本語教師養成プログラムを置いています。これは登録日本語教員にまだ申請ができていなくて、経過措置対象ですけれども、その中でいろいろな科目、社会科、英語科教育法とか、そういうのも実際に当てはまるわけですけれども、そうではなくて、コアに当たる50項目を基本的にはそれでカバーできるようにと考えている科目が、6科目12単位やって、そこには実習も2単位含まれているんですけれども、その部分を全部教養科目に置いています。現時点では、この日本語教師養成プログラムを取れるのは教育学部だけなんですが、いろいろな事情があって。ただ、形としては実は他学部の教職課程とかに関心のある子たちも、子供のことだと思って取ってくる人もいるというような状況になっています。先ほど群馬県の平田委員のほうから、実際に子供たちと接するような経験をというお話がありましたけれども、実は教職大学院の学生、ストレートマスターの学生や日本語教師養成プログラムを履修している学部生などで希望があれば、今、教育委員会とNPO法人のほうで連携して支援員を派遣するので、その支援員として行ってもらう。そこにスーパーバイザーがサポートする形になるんですけれども、そういうこともしています。ただ、こういうふうな体制を取っていますが、実際問題として、日本語教師養成プログラムは、前にも申し上げましたが、複数免許を取るというやはり今の教育学部の流れがあるので、時間割がパンパンです。ですので、実際に、次で4年生になって実習をやる子たちがいるんですけど、結局3人しか取れないという状況になっています。
加えて、今のやはり体制の難しさというのが、教育学部に日本語教育専門の教員がいないという状況があります。私は教育社会学が専門で、多文化共生とかというところをテーマに、実際多文化・多言語の子供の教育を扱ってきているので、それに加えて日本語教育専門の先生に非常勤で入ってもらって、これを回していくというような体制になっています。やはり多くの大学では、日本語教育の専門の先生というのは留学生対応部門にいて、決して教育学部にいないんです。やはり教育学部の教員というのは免許に対応して、これだけの人をそろえなきゃいけないという、課程認定を受けるために人をそろえていくので、そこに今、免許と関係ない日本語教育の先生が入ってくる余地というのが残念ながらあまりないというのが現状だと思います。そこも変えないと、できればやはり教育学部に日本語教育の専門の先生に入ってほしい。そういう状況をつくるために、免許の在り方とかもやはり考えていかないと難しいところがあるなということを感じています。
そして、今日、事務局のほうから出されている検討事項のメモということに関して言うと、先ほどから、徳永委員も今おっしゃってくださいましたように、全員がやる部分というのは今の1単位時間じゃ絶対足りないので、それはやはりもうちょっと拡充する必要があるだろう。例えば、今私が考えて、うちの大学だったらということでいうと、私が日本語教師養成プログラムの中で置いている多文化共生の社会と言語という授業があって、それは半分以上子供のことをやっています。なので、それは例えば2単位は全員が取る。さらに、事務局がお考えなのは、プラスアルファの専門性をつけた人も出したいというと、この2単位の上にさらにオプションとして、登録日本語教員の科目にしている初めての日本語教育とか日本語教育方法論とか、それも少しずつ子供のことを入れるようにしているので、ただ、登録日本語教員というのは成人対象が基本になっているので、そこは工夫しないと駄目なんですけど、そのようなものをオプションで取っていくようなことが考えられるのかな。登録日本語教員を取るというのはかなりハードルの高いことだと思うので、全員が学ぶべき内容、少しの専門性を持っている人が学ぶ内容、そして登録日本語教員を目指す人が取る内容というふうに3段階ぐらいになるのかなと、今の大学の、本学のことを踏まえると感じています。
あと、特別非常勤講師ということが出されているので、それに関して意見なんですけれども、これ、ここに書かれていることだと、何となく先ほどからの御意見とか、登録日本語教員の人がここにはまっていくかのようなちょっと雰囲気も感じているんですが、実際の散在地域の状況でいうと、とにかく人材がいないんです。それを一生懸命かき集めてやっているというのが実態としてはあります。経験を積んでもらって積んでもらって、スーパーバイザーがつきながら学校に入っていただける状況をつくっていくというようなところで、登録日本語教員でないと特別非常勤講師にはなれませんというのだとちょっときついかなということが一つ。実際には、現場で経験を積んで、そういう資格がなくても非常にいい教育支援をされている方というのがいらっしゃるという現実があると思っています。
それともう一つ、特別非常勤講師とした瞬間に、学校に所属する人となってしまって、横のつながりがないと、これはこれでかなりきついんじゃないかなと思っています。今、前に御説明差し上げたように、弘前大学の場合は、多文化スーパーバイザーが横でつなぎ、支援員同士が交流して情報交換できるような体制をつくっています。そういうものがなくて、ぽつんと、非常勤講師、はい、資格あるから入りました、学校さんとやってくださいというのだとかなりきつい。今まだ学校組織はそこまでになっていないかなと思います。
研修についてですが、正直、いろいろな教育課題がある中で、この日本語教育だけをテーマに研修やっても、なかなか集まらないかなと思っています。やはりニーズがあるところでやらないと駄目だと思うんです。なので、今、教育委員会が結構連絡協議会とかを持ってやっていることもありますので、そういったような現実に動いているものをちょっと精査していただいて、青森県だと、関係教員をできるだけ集めて年2回やっています。そういう場を研修の場にしていくというようなイメージもありなのかなと思っています。そして、実際に各学校のケース会議や校内研修、ここが大事だと思います。
以上でございます。
【佐藤座長】
ありがとうございます。
齋藤委員お願いします。
【齋藤委員】
じゃあ、すみません。時間、ちょっとだけいただきます。
野口委員がおっしゃられたことは本当にいつも感じているところで、やはり個別の領域を平らに並べて研修しても、受けた人間がそれを関連づけて、自分の実践のための視点としてもう一度再構築することができていないということを強く感じます。
それで、もうチャットのほうに並べ立てたので見ていただければと思うんですけれども、現状の問題というところをお話しさせていただくと、雇用に関して言うと、日本語学校の成人を対象とした教育を専門とする方々をアウトソーシングで雇っているなんていう自治体もあります。それは経済力があるからこそできているという話なわけですけれども、でも、そこで起きている問題というのは、学校から、子供たちの情報はその人たちにはやれないと、外部の人なので。派遣で来ているようなものだし、教育委員会の派遣ではないので、その担当されている方々も、子供に教えたことがないのに、どうしたらいいんだか分からない。研修にいらしたときには、「この子たちの問題・課題を解決するための言葉の力として日本語を指導してほしいんですよ」なんてお話ししても、「いや、学校で何しているかとか、何が課題なのかとか、先生方とコンタクト取れないから分からないんですよね」と言って、大人と同じ教育されるわけです。彼女たち、彼らたちも困っている。お金だけは使っている。これでは全然意味がないと思うので、私としてはやはり、学校が受け入れて、その子供たちの教育に責任を持って実施するには、教員に力を持ってもらうことがまずは必要だと思うんです。それらもチャットに書いたので御覧ください。
その上でなんですけれども、現実問題として、昨日も実は研修会といいますか、勉強会をしましたけれども、地域に分かれて行ったんです。私は山形会場に行ったんですが、そこには指導員の方が集まっていて、山形には教員でこういうのを専門にする人はほとんどいないんです。何でも指導員へ丸投げなんです。一方で、浜松の会場で参加された皆さんのお話聞くと、多くが学校での教育経験を持っていて、学校での教育を包括的に捉えられるような視点で実践について語り合っている。両方、目の前のことに一生懸命取り組んでいるんですけれども、それぞれの専門性が十分にうまく交換できたり、お互いがいい意味で補完的に、教育の現場を有機的につなぎ合わせた、子供にとってのいい環境ができる状態ができていない。そんな中で、地域の自治体による実態の違いで、誰が担当しているのかによって求められる専門性は異なるし、その専門性を高める必要があると同時に、どこに行っても一定の、包括的にこのことについて関わり、コーディネートできるような教育人材というのが必ずいる状態というのを、それは人の配置という体制面と、それから人材育成という今日のテーマと関わるところでぜひとも実現していく必要があるかなと思っています。
あともう一点だけ、やはり母語支援者の方、母語ができるからというので雇用されて、通訳としてはとても有能かもしれないですし、それは大事なんですけれども、母語の支援の人がいないと指導できないんだと思っているような自治体もあって、そうすると、その子の母語ができる支援員がいないから対応できないといって待機させたり、何でも、英語ができれば対応できますかと言って、英語だけで何かしようとしたりというような、雇用といいますか、人を配置する側の、それこそ指導主事の方なのか、あるいは教育委員会の事務方の方なのか分からないんですけれども、そういった方々にも学んでいただくような機会、教員だけじゃなくて、が必要かなと思いました。
すみません、長くなってしまいました。以上です。ありがとうございました。
【佐藤座長】
ありがとうございました。今日はもう時間迫ってまいりましたけれども、資料3にあるように、日本語指導担当教師等の指導力の向上について少し議論を深めました。それぞれいろいろな意見をいただきましたが、なかなか教員養成の課題は難しいですね。大学の教員養成の在り方の問題、さらには一般大学の教職課程での在り方というようなことも考える必要があります。私どもの立場からすれば、外国人児童生徒に関わる個別の施策あるいは個別の科目で専門性を高めたいという思いはありますけれども、今日の議論の中であったように、なかなかその難しさもあるということでした。しかも、専門性を高めていくためには、やはり教員免許の制度の在り方自体も多分問われるような話になってくるかと思います。いずれにしても、現在の教養科目、それから教科専門、あるいは教職科目といったようなところの中にこういう内容をどれだけ位置づけられるかというところが勝負になっていくかなと思います。今日いただいた意見を踏まえながら、事務局として原案をまとめていただいて、皆さんにお諮りしながら、また議論を深めていければと思います。
最後、事務局より、連絡事項があればお願いいたします。
【片桐調査官】
今日もたくさんの御意見をありがとうございました。教員養成・採用・研修と御意見をいただきまして、特に教員養成の部分は教員養成部会のほうでまさに今検討しているところでございますので、関係課と連携を取りながら、こちらの会議も進めていければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最後、資料4に示しておりますが、次回の会議の日程についてです。次回、第9回は12月18日木曜日の10時から12時を予定しております。
以上でございます。
【佐藤座長】
それでは、本日の会議、これで閉会いたします。皆さん、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
総合教育政策局国際教育課