外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(令和7年度)(第5回)議事録

1.日時

令和7年7月25日(金曜日)16時~18時

2.場所

対面・Web会議の併用

3.議題

1.指導内容の深化・充実に関するこれまでの議論の整理
2.指導体制の確保・充実について
3.その他

4.議事録

【佐藤座長】
 定刻になりましたので、ただいまから外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議第5回を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては御多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日、議題が2つあり、議題1においては、指導内容の深化・充実に関する議論の整理としまして、これまでの会議で委員の皆様からいただいた御意見などを事務局で資料1としてまとめていただいていますので、これについて事務局からの説明の後、委員の皆様からの御意見をいただきたいと思っています。
 議題2においては、指導体制の確保・充実について、事務局が作成した主な検討課題について、まず説明をしていただきます。また、指導体制の構築に当たっては教員と支援員等との連携が必要ですけれども、支援員には登録日本語教員も含まれ、この制度、昨年度から運用が始まったものですので、登録日本語教員制度についても説明をしていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題1、指導内容の深化・充実に関する議論の整理に移ります。
 まず、事務局に資料を準備していただいておりますので、説明をお願いいたします。
 
【片桐調査官】
 ありがとうございます。これまでの会議で委員の皆様からたくさんの御意見をいただきました。特に指導内容の深化・充実に関していただいた御意見を前回の会議資料1としてお示しさせていただき、さらに御意見をいただきましたので、今回、資料1、外国人児童生徒等の教育の充実に関するこれまでの議論の整理(案)としてまとめております。
 まず、背景・総論についてです。グローバル化が進展し、少子化などが進む中、一人一人のよさの認識や他者を尊重する共生社会の実現は不可欠であることや、学校教育においては、多様性を包摂し、一人一人の可能性を開花させる教育の実現が求められ、他者のウェルビーイングを思いやることができる教育環境の整備や、ストレングス・アプローチの考え方の下、全ての子供たちが持っている「長所・強み」に着目して、可能性を引き出し発揮させていく視点を取り入れることや多様性の尊重によるマジョリティーの変容も大切です。子供を取り巻く家庭や地域、学校、教育行政等がつながり、ネットワークを形成しながら支援を行っていくことや、言葉の役割と学校の教育活動全体を通じて、外国人児童生徒等のことばの力を育むことが求められています。
 分野ごとの検討事項としまして、四角で囲っている内容は、第1回の会議資料において指導内容の深化・充実についての主な検討事項としてお示ししたものです。委員の皆様からは、外国人児童生徒等の資質・能力を育成するための指導の在り方や、全ての教師や支援員等が子供たちに質の高い学びを提供するための方策について御意見をいただきました。
 資質・能力を育成するための「日本語指導」の再定義については、これまで一人一人の教師や支援員の方々の日々の試行錯誤や創意工夫により子供たちの学びが支えられてきたこと、初期指導にとどまらず、日本語と母語の力を活用して「知識、技能」、「思考力、判断力、表現力等」の一体的な育成を図る必要があること、外国人児童生徒等が主体的に学ぶことができるよう、「学びに向かう力、人間性等」も重要な要素であることなどの御意見をいただきました。
 多様性を包摂する学校教育・在籍学級での学びの在り方については、ユニバーサルな視点での学級づくり等の方策の検討が求められること、例えば、やさしい日本語の活用や指導・支援の多層的な実施や、教員間や学校間での個々の児童生徒の学びの情報の共有などが必要であること、また、多言語・多文化を尊重する環境づくりの重要性や、学校全体で多文化共生の教育に取り組む際には管理職のリーダーシップや教職員の理解促進などが重要であるとの御意見をいただきました。
 児童生徒の様々な「力」を引き出し、効果的な指導を行うための方策については、全ての教師や支援員等が体系的・専門的な指導が実施できるよう全体像を示すことの必要性や、その際、言葉の教育として教える内容や多文化・多言語の児童生徒の特性なども踏まえて留意すべき事項についても検討が必要であること、その留意すべき事項として、例えば、ことばの力の適切なアセスメントや、外国につながりがあり、かつ、障害がある子供への支援の検討、学びの連続性などが必要であるとの御意見をいただきました。また、資質・能力の育成のためには、これまでの日本語指導で示されてきた課題解決型の学習を通して言葉も学ぶといった考え方も踏まえ、その方策を示すことや、在籍学級での学習や各教科において必要な配慮を示すことも期待されています。加えて、デジタル技術や学習語彙の活用の方策の検討が必要であること、デジタル技術の活用は、デジタル教科書の活用の議論の方向性を踏まえることや、学習ソフト等の翻訳ソフトの効果的な方法の検討が必要であることや、学習語彙を含む学習言語に関する適切な指導方法等の検討が必要であるとの御意見をいただきました。
 なお、資料の4ページ目は、参考として今後の主な検討事項を記載しています。これは第1回の会議資料でお示しした内容と同じです。現在、1の指導内容について御意見をいただきましたので、今後の有識者会議では、2の指導体制の確保・充実、3の日本語指導担当教師等の指導力の向上、4の外国人児童生徒等の就学・進学・就職機会の確保という順で、議論を進めていきます。
 本日は、この資料1に指導内容の深化・充実についてこれまでの御意見をまとめておりますので、今日は特に在籍学級での学びの在り方や、効果的な指導のための方策として指導内容・方法等を含めた全体像に必要な要素や、デジタル技術の効果的な活用などについて御意見をいただければと思います。
 なお、指導内容に関しては、一旦議論の整理としておりますが、本日いただく御意見も踏まえまして、内容の整理・充実を図ってまいります。また、さらに深めることが必要な事項については、今後また折を見て指導内容に関する議論の機会を設けたいと考えております。
 説明は以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、約1時間ほど皆様からの御意見を伺う時間がありますので、どなたからでも結構ですので、御意見があれば挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。事務局から、今までの議論を踏まえて、背景・総論を改めて提案いただきました。さらに我々のこの後の議論を踏まえて修正が加えられると思いますが、これまでの図ではなくて、文章として示していただきました。それから、4回指導内容の深化・充実について議論してきましたが、これまでの議論を踏まえてこのようにまとめていただきました。さらにこういう観点が必要なのではないか、あるいはもう少し違う観点から議論が必要なのではないかといった点について、御意見をいただきたいと思います。指導内容の深化・充実についてはこういう方向でまとめていくことになりますけれども、ぜひこの際、皆様からさらに御意見をいただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
 小島委員、どうぞ。
 
【小島委員】
 小島でございます。取りまとめいただきまして、ありがとうございます。
 お話を伺って、改めて学習指導要領で求められる力というところが私はすごく、全ての子供に必要な力であるということを強調するべきだと考えております。この間、年齢に伴う認知的な発達を支えることばの力を目指して「ことばの力のものさし」を作成してきたんですけれども、その過程では、全国52か所の小中高の先生方、そしてNPOの関係者と検証しながら進めてきました。この「ことばの力のものさし」を検証するなかで、ここでの子供の捉え方は、大変受け入れやすかったんですよね。それは、この4月以降文部科学省発表後、私、各地の教育委員会さんの研修等に行かせていただくんですけれども、そこでも同様で、とても先生方に受け入れられやすいと感じております。それはなぜかと考えていったときに、すべての子供に学習指導要領で求められる力をつけさせたいとずっと現場の先生方たちが感じられていて、そのためにどのように日本語の指導も行ったらよいのか、と考えていらしたからではないかと。そのことが言語化されたものが「ことばの力のものさし」だったということなのかなと感じております。特に、これまで日本語指導が必要な子供たちをある種本当にど真ん中にというか、真ん中に据えて教育をされてきた、実践されてきた先生、現場の先生ほど、より、学習指導要領に求められる力を育てるために何ができるのか、というところに非常に共感していただいているように感じております。そうした立場からなんですけれども、2点申し上げたいと思います。
 前回の会議と繰り返しになるんですけれども、私はやはり学習指導要領の各教科への記載というのは必須と考えます。総則には示されているんですけれども、やはり全ての先生方に御理解いただくという意味で、学校種別、そして教科別に外国人児童生徒等についての記載というのをぜひ取り扱っていただきたいというのが繰り返し求めたいところでございます。
 もう一つ、2つ目が教員基礎定数の改善の点でございます。それは体制についてというところになっていくんでしょうか。特に高校において、強くその点を出していただく必要が出てくるのではないかと思っております。といいますのも、高校では高校入試によってかなり自治体格差があり、特に一般入試とは別に特別な選抜による入学枠を持っている自治体さんのなかでも、入学者の定員内の中に設置している場合と定員の外に設置している場合とに、大きく2種類に分かれています。定員外で特別枠設置されている自治体については、いわゆる合格者が確定した後に、先生方たちの配置ということがある種柔軟に対応されるような場合というのがあるものの、入学者の定員内の中に特別入学枠等が設置されている自治体さんについては、やはりなかなか日本語指導が必要な高校生たちに対応いただけるような教員の配置というのは難しいのが実際でございます。ですので、そんなところも柔軟な対応が求められてくるのではないかというふうに体制については思うところです。
 以上になります。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。前回に引き続き、学習指導要領に各教科の指導上の配慮事項の記載が必要なのではないかという御要望、それから、2つ目は基礎定数についてですが、これは2の教員の配置のところでまた議論を深めていきたいと思います。御意見として承りたいと思います。
 ほか、いかがですか。オチャンテ委員、どうぞ。
 
【オチャンテ委員】
 資料をまとめてくださって、ありがとうございました。特に背景の4つ目の丸、子供たちを取り巻く家庭や地域、学校、教育行政などの中に家庭を位置づけられていることがとてもよかったと思います。支援は、そうしたネットワークを形成しながら行うことが重要であると示されていて、大変共感しました。やはり保護者を巻き込みながらチームとして子供たちの自己実現を支えていくということは非常に求められると感じています。その点を各先生にも伝わるように示していただけると、さらによいのではと思いました。ありがとうございます。これは意見でもあり、感想でもあります。
 あと、児童生徒及びその情報の共有についても書いてあるのですけれど、私が関わっているところでは、小学校、中学校では比較的うまく情報共有や連携がされています。しかし、高校になると、連絡が途切れてしまうケースが多いようです。もちろん義務教育ではなくなることや、個人情報の問題があることも分かりますが、高校の先生方も子どもたちの日本語力をきちんと理解した上で、どのような支援が必要なのかということも含めて検討する必要もあるのかなと思います。特に、私が関わっているところでは、日本生まれの子供たちが多く、「外国人枠」に当てはまらない生徒が多いです。一般の日本人と同じ入試を受けて入学していますが、様々な課題を抱えながら高校に通っており、支援を受けられず退学につながるようなケースも見てきました。そのため、いろいろな現場を見ていても、高校の先生方の意識はまだ十分ではないとよく聞きます。ですので、この点についても「高校にもつながっている、関係している」ということが分かるような書き方をしたほうがいいのかもしれないと思いました。
 すみません。一旦終わります。以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。家庭についてはオチャンテ委員の強い御意見もありましてここに入ったということで、御意見ありがとうございます。そして、高等学校における情報共有の在り方、あるいは高等学校に特化した指導内容の深化・充実について記載が必要なのではないかという御意見だと思いますので、これはまた検討できればと思います。
 それでは、高階委員、それから吉田委員の手が挙がっていますので、高階委員、それから吉田委員の順でお願いします。
 
【高階委員】
 大阪わかば高校の高階です。取りまとめていただきまして、ありがとうございました。
 何か修正とか追加ということではなく、感想めいた話になりますけれども、資料1の2ページの一番最後の丸のほうで、多文化共生教育に取り組む際の文言を書いていただいていますけれども、本当にここに書いてあるとおりで、外国につながりのある生徒が在籍している学校だけではなくて、どの学校でもこういう取組みは今後絶対必要になってくるだろうなと思います。特に最近思うんですけれども、こういう外国につながりのある生徒が在籍している学校というのは決して特別ではなくて、もう今後そういうのがどの学校も当たり前になるというのが目の前に迫っているんじゃないかなと思います。どの学校もこういった多文化共生教育というのは間違いなく重要になってきますので、こういうマイノリティーの子どもたちを支えたいと、そういうマインドを持った先生、またそういう管理職というのをいかに増やしていくか、そこがポイントなんじゃないかなと思いますので、ここに書いてあることを引き続き進めていただければなと感じました。
 以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、吉田委員、どうぞ。
 
【吉田委員】
 まとめていただきまして、ありがとうございました。何点か、事務局が出されている資料に関連してお話をさせていただきたいと思います。
 資料の2ページ目の「多様性を包摂する学校教育・在籍学級での学びの在り方」というところですけれども、2点目に「学校・学級に多様な子供がいることを前提としたやさしい日本語の活用等を含めたユニバーサルな支援から、特定の集団や個人に対する指導・支援を多層的に実施する多層型支援システムや、在籍学級と特別の教育課程の学びの連続性、知見の相互共有の在り方等も含めて検討を行うことが重要である」、ここは非常に大事なところだろうと思っているのですが、本当に短いところにぎゅっといろいろな要素が詰まった文になっていて、これで本当に伝わるだろうかという心配があります。最終的な答申では、より具体的に、もう少し説明する文言を加えて整理していただくとよいではないかと考えます。
 そして、その次の「また」から後の部分なんですけれども、「在籍学級の担任と日本語指導担当教師間や」云々という、この一文なのですが、ここに支援員が入っていないのです。これは体制の話と関わりますが、集住地域では教員の方が中心に日本語指導を担当されていることが多いと思いますが、散在地域においては、以前から話題になっているように、支援員の役割が大きいのです。本当にその学校に1人しか日本語指導が必要な子がいないというような状況があって、拠点校方式も取れず、巡回方式でも先生が回り切れないというような地域で、支援員がサポートに入っています。そういう支援員あるいは母語支援員というのは、オチャンテ委員がお話しくださったように非常に重要な存在です。連携は、担任や日本語指導担当教師間で終わるのではなくて、ここに日本語支援員や母語支援員というのが入ってくることが必要なのではないかと思っています。今後も当面は、支援員が対応することが間違いなくあるからです。それから、母語支援員については、本当は母語の話せる教師がいれば一番いいんですけれども、そこまでの状況にはなかなかならないだろうという現実を踏まえた上で、やはり必要なのではないかと思います。それが1点です。
 それから、資質・能力を伸ばすという点が今回非常に大きく取り上げられているわけですが、指導や支援を必要とする年数について、どのぐらいの期間が必要なのかが全く触れられていない点に問題を感じます。取り出しの指導をする期間は2年や3年など、自治体によって異なっている現実がありますが、子供の教科学習言語能力の獲得には5年以上はかかるということが研究ではっきりしている以上、実際には、取り出しが終わった後も、何らかの支援は必要なわけです。取り出しの対象ではなくなったからまったくみんなと同じというわけではないということを、在籍学級の指導者によく理解してもらわなければ、子供たちの資質・能力を十分伸ばしていくことはできないと思います。ですので、例えば教科学習言語能力を伸ばすには5年以上かかるということに留意して、特別の教育課程などの対応が終了した後も、母語が異なる多文化・多言語の子供に対しては、在籍学級において学習上の配慮や適切な支援が必要なのだということを、もう少し強いメッセージとして伝えるといいのではないかと思いました。
 そして、最後のほうにデジタル技術の活用ということが触れられていて、ここもちょっと注意が必要なのではないかと思います。デジタル教科書などは大変有用だと思っていますし、翻訳ソフトも最近とても優秀になっているので、その効果的な活用を進めることはもちろん大切なことだと思っています。ただ、日本語教育、子供の第二言語教育について十分現場に理解が広がっていない状況においては、「翻訳ソフトがあるから大丈夫」という発想になってしまうことは、非常に怖いと思っています。まだ学んでいない新たな概念を幾ら翻訳されても、母語でも知らないことが分かるわけはないからです。教師が、新たな概念を教える、つかませていくということがとても大切です。そうした意味で、翻訳ソフト頼りにならないようにしていく必要があります。この「効果的な活用」にそれが含まれるといえばいえるかもしれませんが、現場には生じがちな、「翻訳ソフトがあるから大丈夫」という誤解を生まないようにすることが大切で、そうなるのが非常に怖いということを常々思っています。この点について、何らかの補足があるといいと考えています。
 以上です。ありがとうございました。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 次に、徳永委員、どうぞ。
 
【徳永委員】
 ありがとうございます、取りまとめいただいて。特に前回発言させていただいたネットワークをつくりながら支援をしていくということについて今回入れていただいて、とても重要なメッセージだと思って聞いておりました。ありがとうございます。
 私からは細かい点、2点ですけれども、1つ目が資料1の3ページ目の児童生徒の様々な「力」を引き出して効果的な指導を行うための方策の検討というところの2つ目に、留意すべき事項として、子供の実態把握の重要性について入れていただきたいと思いました。ここで例としてことばの力の適切なアセスメントが挙げられていたと思いますが、ことばの力以外にも、出身国での学習経験とか来日理由ですとか、あるいは家庭背景とか文化的背景、宗教的背景などをきちんと把握することが重要だということを文言として報告書に入ることが重要ではないかと思っています。例えば最近、様々な学校でムスリムの子供たちが増えていて、給食とか授業とか、あるいはお祈りなどに関して、保護者と相談して連携しながら、宗教的な配慮が必要になっていると聞きます。それも子供たちの背景とか、ニーズをきちんと理解しないと、ニーズに応えていくことが難しいので、もう既に発言はさせていただいていますが、改めて、子供の力を引き出すためにも、子供たちの背景をきちんと理解することが重要だと思いました。その上で、文化とか言語とか宗教的な背景に配慮するということを強調してもいいと今回改めて思いました。
 もう一点目は、同じページの4点目のところで、「学校では対応困難な母語の力を引き出すことを含め」というところで、細かいことですが、「学校では対応困難な」という、この表現がとても気になりました。子供の母語ができない教員であっても、母語を尊重した授業や活動をすることは可能だと思いますし、既に子供の母語が話せる教員、母語教育を実施している自治体もありますし、あるいは先ほどから議論になっている母語支援員とか通訳の方と連携していろいろな実践をしている事例もあるので、最初から対応が困難と言ってしまっていいのかというところで、とても細かい表現の話ですけれども、ここは再検討してもいいと思いました。
 私からは以上2点です。ありがとうございます。
 
【佐藤座長】
 子供の実態把握の必要性という点と「対応困難な母語の力」という文言についての修正が必要ではないかというご意見でした。これは、AIの活用を強調するためにこういう文言になっているんだろうと思いますけれども、この表現をどうするかというお話だったと思います。ありがとうございます。
 次、バトラー委員長、お願いします。
 
【バトラー委員】
 ありがとうございます。今話があったICTとまさにAIのことについて、2点ほどちょっとお話ししたいと思います。
 さっき吉田委員のほうから、翻訳ソフトに頼り切るというのはとても危険であるという話がありまして、私もまさに同感であります。翻訳ソフトをいかに使っていくかという事例を収集して、それを共有していくというシステムを構築していくことが大切なのかなと思います。テクノロジーは日々進化していきますので、それに応じて新しい使い方というのも出てくるかと思うんですけれども、そういった情報を小まめに集めていき、それを先生方に周知していくという、何かそういうシステムが必要だと思います。
 それから、ICTの中でも特にAIに関しては、やはり倫理面での配慮というのが必要です。もし生徒に使わせる場合には、生徒が倫理面に配慮しながらAIを使用できるような指導というものを何らかの形で教員が行っていく必要があると思っています。特に低学年の指導をしている先生は、子どもたちにAI使用エチケットなどというような感じの指導をすることも必要なのではないかと思います。例えば、相手がAIであろうとも汚い言葉でののしってはいけませんとか、そういった言葉を使うと、AIのほうでもそれを学習してしまうということで、AIは人間でなくても、やはりリスペクトを持ってAIと共に学習していく対象として見ていきましょうとか、そういったような指導、使用エチケットですね。こうした指導も教員研修の中に含めていくなど、何らかの形でAIに関するエチケットだとか倫理面だとか、そういった言葉をちょっと入れていただけるといいかなと思います。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。今バトラー委員からあったAIの倫理的な配慮については、文科省のほかのところでこういうものはつくられているんでしょうか。今回答いただかなくても結構ですけれども、もしあれば、そういうものを参考にできると思いますので、検討いただければと思います。ありがとうございました。
 次は、横溝委員、お願いします。
 
【横溝委員】
 取りまとめいただき、ありがとうございました。僕のほうから3点お話をさせていただきます。
 1つは、3ページ目の外国人児童生徒の長所・強みを引き出す、可能性を引き出す指導・支援というところで、やはり教員の研修は非常に重要だなと感じております。前回も伝えましたが、各自治体のみでこういった研修をしていくというのは非常に難しい部分があると思いますので、教員が使う全国教員研修プラットフォームPlantをうまく活用できるような仕組みをやはり整えていただきたいなと感じました。
 それから、2点目が、先ほどから出ています母語支援者との関わりというところで、学校としても今までは、子供たちの話していることが分からないから、ただ単に通訳をお願いするという活用をしているような学校ももしかしたら多かったのかなと思いますが、今後はぜひ母語支援者にも子供たちの強みを引き出してもらって、それを教員と連携しながら子供たちを高めるという指導・支援体制がもっともっとできていけばいいなと感じました。
 それから、3ページ目の2つ目の丸のところですね。「幼小中高から生涯学習までを通じた学びの連続性」というところが、学校としては、これ、非常に弱い部分かなと思っています。小は小、中は中というところで、今後ますます学校間の連携を強めていくということが大事かなと感じると同時に、地域と一緒に連携をしていくというよりよい実践なんかも示していただけたらなと思っております。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 続いて、佐古委員、ではお願いします。
 
【佐古委員】
 ありがとうございます。2点ほど、これはまだまとまった意見ではないんですが、疑問があって、発言いたします。
 1点目は、在籍学級での外国人児童生徒等の指導の深化・充実ということで、地域性にもよると思いますが、まず担うのは学級の担任の先生方だと思うのですが、そういう学級担任の先生方の外国人児童生徒等に対する指導についての力をどこでどんなふうにつけるのかというのがちょっと私にはまだよく見えていません。前回も発言いたしましたが、現行の教員養成課程の中にこれを入れ込むというのはなかなかカリキュラム的には大変だと思っておりますので、そうなってくると、先ほど御指摘ありましたように、入職後の研修というものをやはりもう少し整備するということと、場合によっては大学院レベルで、やや専門的なものを含めて修得してもらうというような、そういう方向性も少し明らかにしたほうがはっきりするんじゃないかと思っています。
 2つ目は、ちょっとこれは議論がずれてしまうか分からないのですが、もちろんこの会議の主なテーマが日本語指導に置かれているということは私も理解しているんですけれども、例えば様々文化的な背景が違う子供さんがおられて、その子供さんに学校の教育を充実させていくということになると、当然、学校の先生だけではなくて、その学級にいる子供たちに、そういう子供さんがいるということについての理解とか、あるいはそういう子供さんとの関わり方についての一定の指導、つまり、言い方を換えると、ターゲットとなる外国人等だけではなくて、それを取り巻く学級の子供たちへの指導というものも非常に重要性があるかと思っております。そういうものもやはり広げた形で入れ込んでおくということが必要ではないかと思っております。もう少しその辺はあってもいいのではないかと思っています。
 以上、2点です。ありがとうございました。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。今、佐古委員の1番目の御指摘の学級担任の資質、研修の必要性は、3のところで議論していきたいと思います。ただ研修は、指導内容の深化・充実と絡めながら、どのように充実させていくかという議論が必要ですので、深めていきたいと思います。2番目の御指摘は、ほかの子供に対する指導が必要だというご意見でした。多様性を包摂する学びの在り方で、具体的な記述が必要なのではないかという御意見でした。この点いついてはぜひ加えていければと思いました。
 ほかにどうですか。浜田委員、どうぞ。
 
【浜田副座長】
 資料1のところということで、何点かお話しさせていただきます。
 在籍学級での学びの在り方の重要性ということについて改めてここに整理していただいたこと、非常にありがたく思います。ここのところに具体例として「やさしい日本語の活用等」となっていまして、恐らく、やさしい日本語でというのが一番現場の先生には理解しやすいことなので、この例が挙がっているというのはいいことだなと思うんですけれども、実際には言葉遣いをやさしくしたり、あるいははっきりしたりするだけではなくて、もっと授業構造全体に関わるようなことですとか学習の活動の形態みたいなところについても工夫が必要だと思うんですけれども、反対に言うと、なかなかそこのところに先生方の発想が届かないというのが現状かと思いますので、ここに具体的なことをどれだけ書けるかというのは分からないんですけれども、もう少し具体的な例が何らかの形で見えるようにしていただけたら、なおありがたいかなと思っております。
 それから、子供たちの様々な力を引き出す方策ということで、少し論点がずれるかもしれないんですけれども、評価の問題も非常に大事なのではないかと思っています。現状、もちろん学校によっていろいろな評価の仕方がありまして、子供たちのいろいろな言語の力を見取りながら非常に柔軟に対応してくださっている学校もあれば、日本語はできないので空欄になってしまうというような学校もまだまだあるという現状です。今回、学習指導要領のほうでも恐らく評価について議論が進んでおりますので、もしかするとそちらの議論を待ってからのほうがいいかもしれないんですけれども、やはり外国人の子供たちの力についてどのように評価するかということ、いま一度この有識者会議のほうでも何らかのガイドラインというのを示していただければ非常にありがたいかなと思っております。
 取り急ぎ、2点だけお伝えさせていただきます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 一通り皆さんの御意見を伺いました。
 私からも幾つか、取りまとめのところでお話しします。吉田委員がお話しされていた、多様性を包摂する学校教育・在籍学級での学びの在り方の2つ目の丸のところがやはり分かりにくいなと思います。特に、ユニバーサルな支援から多層型支援システムというつなぎが分かりにくいので、分かりやすくする必要があると思いました。多層型支援システムという概念が曖昧ですので、分かりにくいなという点が私が読んで思いました。
 2点目は前回も齋藤委員からの御指摘があったんですけど、3ページ目の最初の丸のところで、「その考え方や指導内容・方法等を含めた全体像を示す必要がある」ということが、一体どのように、何をどう示していくのかという点が分かりにくいので、イメージをつけていくためにももう少し書き込む必要があると思いました。それから3点目は、今浜田委員がおっしゃったことに関わるんですが、やはり評価の在り方をどうしていくのかという点です。例えば3ページ目の5つ目のところに、「様々な教育活動と関連付けながら、課題解決型の学習を通して言葉も学んでいく」。そうすると、子供たちの評価を、言葉の力プラスアルファが必要で、何を、どのように評価をしていくのかについて書き込む必要があると思いました。
 この3点について疑問に思いましたけれども、全体的に前回より分かりやすくまとめていただいています。デジタル技術の活用のところで、効果的な活用方法を示すというように表現されていますが、バトラー委員や吉田委員のお話にもありましたが、翻訳ソフトの活用方法について、ともすると非常に矮小化されてしまうので、その辺のところをどういうふうにして記述していくのかという点を工夫する必要があると思いました。
 それから、徳永委員の子供の実態把握というのは大事な話ですし、JSLのカリキュラムの開発からずっと、子供の実態把握が最初の出発点だということを強調してきましたので、改めてどこかにそういう記述が必要だと思いました。
 ほかにどうでしょうか。皆さん、もう少し足りなかったところがあればさらに付け加えて、もう少し時間がありますので、お話、御意見を伺う時間があると思いますので、どうでしょうか。
 あるいは、事務局のほうから何か、今までの御意見についてお話しいただくようなことがございますか。よろしいですか、御意見として伺っておくということで。いろいろな記述を足したほうがいいところとか、やはり分かりにくいところがありますので、修正していくということでよろしいと思いますけれども、事務局のほうから今までの御意見について何か回答があればお願いします。よろしいですか。
 
【オチャンテ委員】
 1点ですが、先ほどの評価のことで、現場の先生方、特に日本語教員の先生方からよく聞くんですけど、日本語教室での授業内容が児童生徒の評価や判定に反映されないことが多い、という点です。日本教室で育まれていく資質・能力が正当に評価されないので、そういうことに課題を感じている現場の先生の声をよく聞きます。現在の小学校の制度では、日本語教室で授業を受けている児童生徒については、取り出し指導している教科の評価を差し替えることが認められてはいるけれど、しかし、内申書では低い判定になったり、それがやはり高校進学につなげられなく、現場の先生方も大きな困難に感じています。ですので、今後、日本語指導や取り出しの授業を受けていることが、子供たちの評価にどうつながるのかが大きな課題だと感じました。
 すみません。意見になります。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。評価と評定をどうするかということですね。当然これ、議論の対象になっていくと思いますので、これはどこかで議論する必要があると思います。
 ほかにいかがでしょうか。課長、今までの御意見について、もし何かあれば御発言いただければと思います。どうぞ。
 
【釜井国際教育課長】
 すみません。国際教育課長の釜井です。佐藤先生、本当にありがとうございます。
 今、委員の皆様方から大変貴重な御意見をいただきました。ぜひこれらの意見を踏まえましてブラッシュアップさせていただければと思います。前回ポンチ絵みたいなものを提示させていただいたんですけれども、それからちょっと頑張って、事務局のほうでもできるだけ書き下してというのもありましたが、なおもうちょっとブラッシュアップできる余地があるということでございますので、ぜひ反映させながらやっていければと思います。例えば、御指摘ありましたとおり、2ページ目のところにつきましては、若干やはり分かりにくいような発言、表現もございましたし、3ページ目のところのまさに全体像のところ、もうちょっと予見可能性のほうを出すためにしっかりやっていかないといけないというところありましたので、そこもしっかりやらせていただきます。
 それから、各論でございますが、佐古先生から御指摘のありました、いわゆる各担任の研修のほうにどういうふうに生かしていくかという点で、まさに教職の養成過程におきましてどこまで入れるかという議論もありますし、あとは大学院の教育ですね。それから、やはり重要だと思っておりますのは、現職の教員の先生、管理職を含めて、そういった先生のほうにどういうふうに現職教員の講習も含めましてやっていくかというのはやはり非常に重要な視点だと思います。後半の論点になると思いますけれども、強靱化のほうともよく連携を取りながらやらせていただければと思います。
 それから、佐古先生からも御指摘併せてありましたような、多文化共生のために日本人のほうの児童生徒に対してもどういうふうに教育していくかという点、これは学習指導要領の改訂の教育課程企画特別部会のほうでも議論になっていますけれども、ストレングス・アプローチということで、いかに強みを生かしながらやっていくかということとも関連していると思いますので、そちらもしっかり連携しながら対応していければと思います。
 それから、今日、浜田先生等のほうから御指摘ありました評価の点は、非常に重要な視点だと考えております。具体的に教育内容のほうと評価のほうについてはやはりセットで考えるべきだと思いますので、そういったところもぜひ今後しっかり検討のほうを深化していければと思います。
 取り急ぎ、私のほうから以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 バトラー委員、お願いします。どうぞ。
 
【バトラー委員】
 意見ではなくて質問なんですけれども、今の評価と関連して、日本語が母語でない児童生徒が、例えば学力に問題があると診断されたときに、それが日本語能力によるものなのか、つまりまだ日本語の学習が途中のためそうなっているのか、それとも何らかの特殊支援の対象になるべきかどうかという、その診断、判定の方法というのは今日本ではどうなっているんでしょう。
 
【佐藤座長】
 いかがでしょうか。実際にはなかなか難しい問題ですね。横溝委員、何かありますか。横浜の例で具体的に、今バトラー委員からの御質問のように、言葉の問題なのか、それとも異文化適応、不適応の問題なのか、本当に障害なのかという、その辺のところの診断といいますか、具体的にどんなふうにされているのか、あるいは具体的な基準があるかどうかというようなことはいかがでしょうか。お分かりの範囲で結構ですので、お願いします。
 
【横溝委員】
 横浜の場合は、うちの他課になりますけど、特別支援のほうで、日本語による、子供たちの全体を見ながらアセスメントしていくという方法を取っております。ただ、子供たちの母語での対応はできていない現状がありますので、全て本当に言葉の問題なのかどうかというところは十分把握はできていないという部分があります。
 それから、日本語指導に関わる先生方からもよくこういった御質問があるんですが、我々教員が判定することはできませんので、やはり子供たちに関わる先生方、多角的にいろいろな部分から捉えながら子供たちを見ていく必要があると思いますし、ここでまさに話題になっています、子供たちに何ができて、この先どこまでできるかということをやはりスモールステップで見ていって、できることを伸ばしていこうということで、委員会としてはいつもいろいろな部分での研修で伝えているようなのが現状になります。
 
【バトラー委員】
 ありがとうございました。これはアメリカでもすごく大きな問題で、やはりきちんとしたアセスメントができていないというのが1点と、それから、例えば担任の先生でもいいですし、日本語の先生でもいいのですが、何かちょっと気になる点があったときに、誰に、どういうふうに相談して、どのような支援を受けるかの決定をしたらいいのかというシステムが構築されていないと、そのまま放置されてしまったり、逆に、本当は日本語の問題なのに特別支援のほうに回されてしまうというようなケースが海外でも多々あります。すぐにというわけにはいかないかと思いますが、そのようなシステム作りを徐々に確立していく必然性があるのではないかと思います。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございます。
 事務局から何か。どうぞ。
 
【片桐調査官】
 ありがとうございます。参考にというところでございますが、「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況調査」というのを私どものほうで2年に1回やっておりまして、その中で、特別支援学級での就学決定時の日本語のコミュニケーション能力についての判断方法というのも調査項目として行っております。まず、大前提としまして、「日本語指導が必要な児童生徒」というのは、この受入状況調査では、日本語で日常会話が十分にできない児童生徒、もしくは、日本語日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じている児童生徒ということで受入状況調査のほうは行っております。その日本語指導が必要な児童生徒について、特別支援学級で教育を受けるかどうかというのを決定する際に自治体がどのようなことをしているかといいますと、調査項目として挙げておりますのが、DLA等の客観的な日本語能力判定方法に基づいて診断しているですとか、日常生活や学校生活の学習の様子、それから児童生徒が来日してからの期間、家庭での日本語使用頻度考慮などが、それから、教育委員会が教育支援委員会等を開催するに当たりまして、構成員に、日本語教育の面から支援する方法を検討できる関係者を含めているなどの方法で行っているところでございます。
 また、「障害のある子供の教育支援の手引」というものがございまして、この中に障害のある外国人児童生徒についての記載がございます。本日の参考資料4の52ページにこの手引の中の関係部分を抜粋しております。障害のある子供の教育支援の手引の中で、市区町村教育委員会による教育的ニーズの整理と必要な支援方策の内容の検討という事項がございまして、その中の一つとして、「障害のある外国人の子供について」がございます。ここでは、様々な通知などを参考としながら、障害のある外国人の子供一人一人の障害の状態等や教育的ニーズ、本人及び保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況を踏まえた総合的な観点から判断すること等が必要であることや、その際、文化的背景などが異なることに留意すること、就学時に決定した学校や学びの場は、固定したものではなく、子供の発達の程度や適応の状況などを勘案しながら、柔軟に変更できるようにすることが適当であることなどが書かれております。
 以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。実際の現場で前に伺ったところでは、田中ビネー式、あるいはウェクスラー式の知能検査を使っているようなところがあるようです。ただ、子供の母語でやっているわけではないとか、翻訳に問題があるとか、複言語で実施されていないとかというような問題があるにもかかわらず、その結果を使ってレッテルを貼ってしまうというような問題も現実に起きているようです。私が聞いたのは七、八年前の話なんですけれども、それ以降、改善されているのかどうか、ちょっと分かりません。事務局から御説明があったように、配慮する必要があることは分かっているけれども、横溝委員の話にあったように、学校の先生もなかなかできていないのが現状です。専門家との連携がどうしても必要になってきますが、専門家だからといって、多言語に対応することは難しいという問題もあると思います。この点については議論を詰める必要があると思いました。
 ほか、どうでしょうか。御質問でも結構ですが、よろしいですか。議題2のところで説明していただいた後にまた議論する時間が取れると思いますので、取りあえずこの議題1のところはここまでとさせていただきます。今までの取りまとめにプラスして、今日また皆様からいただいた御意見を基にこれを修正して、改めて提案していきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題2の「指導体制の確保・充実について」に移っていきます。指導体制について議論するに当たって、事務局に主な検討事項についての資料を準備していただいておりますので、説明をお願いします。また、冒頭に申し上げましたけれども、指導体制の構築に当たって、教員と支援員等との連携が必要ですけれども、支援員には登録日本語教員も含まれますので、この制度、昨年度から運用が始まったものですので、登録日本語教員制度についても説明をしていただきたいと思います。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【片桐調査官】
 それでは、指導体制の確保・充実につきまして、主な内容として考えられる事項を資料2としてまとめておりますので、説明させていただきます。次回以降は指導体制の確保・充実について御議論いただきたいため、事務局として御検討いただきたい内容を主な検討事項としてまとめております。
 指導の在り方については、集住地域と散在地域における支援の在り方としまして、外国人児童生徒等が増加し、多様化している状況において、きめ細かい指導・支援をさらに推進するためには、地域の実情を踏まえ、自治体や学校においてどのような支援の在り方が求められるか。外国人児童生徒の受入体制づくりについては、手引において拠点校の設置や巡回指導等を示し、各自治体において取組が進められているところですが、今後、体制づくりを推進する上で、効果的に機能する状況や工夫について考えられることは何か。また、指導体制の構築において、地理的な課題や支援人材のリソースが不足するといった課題を解決するために、デジタル技術の活用が今後見込まれますが、活用する際に留意すべきことは何か。校内体制の整備については、多様性を包摂する学校づくりに向けて、外国人児童生徒等教育の校内組織への位置づけ等が効果的に機能するために必要な要素や方策は何か。
 日本語指導担当教師の配置やキャリアパスについては、基礎定数化されている日本語指導担当教師の配置・運用の在り方や日本語指導担当教師の経験が生かされるキャリア形成の促進に向けて必要なことは何か。
 日本語指導補助者や母語支援員との連携については、日本語と母語の力を活用した資質・能力を育成するための指導を実施していくために、日本語指導補助者や母語支援員が担う役割や教員との効果的な連携について考えられることは何か。また、学校において登録日本語教員の活躍を促進するために、どのような方策が考えられるか。
 関係機関との連携については、地域の支援団体や大学、企業等と教育委員会・学校が連携し、指導体制の構築をさらに促進することが求められているが、そのための方策として求められることは何か。
 以上のとおり、事務局として、指導体制の確保・充実についての主な検討事項を挙げさせていただきました。
 これらの項目に関係する資料やデータ等は、参考資料4に掲載させていただきました。
 指導体制の在り方の拠点校方式については、参考資料4の61ページに手引に書かれている内容を載せています。左側の図、拠点校を設置して、域内の日本語指導が必要な児童生徒が通級を行うケース、真ん中の図、日本語指導担当教師が複数の学校への巡回指導を行うケース、右の図、学校に日本語指導担当教員を配置し、その学校において日本語指導、教科指導等を行うケースを示しています。また、これらの仕組みは、日本語指導が必要な児童生徒の成長によって柔軟に活用する視点が必要であることも記載しており、例えば拠点校の初期指導教室で指導を受けた後、在籍校において巡回による指導を受けるよう移行することなどが考えられます。
 62ページには、手引に掲載されている、外国人児童生徒等教育に関する様々な機関等との連携の図を掲載しています。
 63ページから65ページは、指導体制に関して、令和3年度と令和5年度の受入状況調査での結果を掲載しています。
 63ページの指導体制については、自治体において様々な工夫がされており、拠点校の設置、拠点校の設置に加え教員の巡回指導、支援員による巡回指導・支援などです。一方、整備していないという自治体も半数近くあり、その主な理由は、日本語指導の対象となる児童生徒がいない・少ない、通常学級内で支援できているとなっており、全体として見ると、在籍学校における指導が多くなっています。また、下の表はICT活用についてで、ICTを活用している自治体は増加しています。
 64ページの人員配置については、担当教員、母語支援員、日本語指導補助者等の人材配置を行う都道府県・市町村が増加しています。また、受入体制については、関係機関との連携、拠点校・支援センターの設置、日本語指導教室の設置を行う都道府県・市町村が増加しています。
 65ページの研修については、担当教員、母語支援員、日本語指導補助者や各担当教員向けの研修を行う都道府県・市町村が増加しています。情報提供については、就学に関する窓口、ガイドブック、保護者へのガイダンス等の様々な情報提供を行う都道府県・市町村が増加しています。
 このように、自治体におかれては様々な取組を進めてくださっているところですが、外国人児童生徒等がさらに増加している状況があります。こうした中でさらに指導体制を充実させるためにはどのようなことが考えられるのか、既存の手引等で既に示された内容も参考に、今後新たに示すべき内容や発展させるべき内容など、資料2の主な検討事項を基に御議論いただければと思います。そのため、今日の会議では、この資料2に示した検討事項について、さらに深めたほうがよい事項や追加したほうがよい事項などがありましたら御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、登録日本語教員制度について、日本語教育課から説明させていただきます。よろしくお願いします。
 
【降籏日本語教育課長】
 失礼いたします。日本語教育課長の降籏と申します。よろしくお願いいたします。私のほうからは、「登録日本語教員制度について」ということで、昨年度から開始しております、登録日本語教員制度について御説明させていただきます。
 こちらは、昨年度から始まっております日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律の概要でございます。まず、上のところの趣旨のところにありますが、日本語学校が、法務省の告示校という形であるわけでございますけれども、これまでの日本語教育をより教育の質を高めるという観点から、昨年度から文部科学省が日本語教育学校を認定するという認定制度が始まっております。そして、この認定日本語教育機関で教える教員につきましては、文部科学大臣が登録をする登録日本語教員制度をつくったというのがこの法律の肝で、太い赤字の中で書いてあるところでお示しするものであります。
 この「認定日本語教育機関」、「登録日本語教員」について、この認定作業や登録作業を文部科学省のほうで進めているわけでございますけれども、この登録日本語教員をいろいろなところで活用しようという方向性を出しておりまして、この資料の左下、教育関係のところに「外国人の子供の支援など」という項目がありますが、この1つ目のポツのところにありますように、国内にいる外国人児童生徒や、在外教育施設に通う日本人児童生徒に対して、研修を受けた登録日本語教員を積極的に活用する仕組みを検討するという方向性を打ち出しているところでございます。
 そして、登録日本語教員ということでございますが、国が実施をしております「日本語教員試験」に合格して、文部科学大臣の登録を受けた「登録実践研修機関」が実践する「実践研修」などを修了した者を「登録日本語教員」ということで登録しているわけでございますが、今年の1月時点での登録の申請が1万248名ということで、今年の6月時点でありますが、9,418名の登録を済ませているところであります。登録の作業を順次進めているものですので、もう少ししましたら全員の登録が行われるというように、数字が上がっていくという状況でございます。
 既にお話を申し上げましたが、この登録日本語教員制度の概要ということで、上側のほうから、養成機関ルートと試験ルートがございます。養成機関ルートというのは、国が登録をした登録日本語教員養成機関を受けて、それから、そこの実践研修機関による実践研修を受け日本語教員試験の応用試験を受験することによって登録可能になるというコースであります。その下のところにあります試験ルートというのは、基礎試験と応用試験の2つに合格して、実践研修機関の研修を受けた後に、その合格・修了者が登録申請できるということで、いろいろなルートを設けているところでございます。下のところの左側にあります指定試験機関というのは、日本語教員試験を実施しているわけでございますけれども、現在は文部科学省が年1回実施しております。秋ぐらいに実施しているわけでございますが、基礎試験、応用試験を実施し、この試験の後に、右側にございますが、下のところですね。登録実践研修機関の研修を受けて、それが済んだら文部科学省に登録の申請をし、登録をするという流れになっているところでございます。
 先ほども、口頭で分かりづらくて恐れ入りますが、養成機関ルートと試験ルートということでより詳しくお示しをしているものであります。左側の養成機関ルートは、登録実践研修機関と、その左側の登録日本語教員養成機関、これが一体的に行われている機関で学んだ方、ここを修了した方は日本語教員試験の基礎試験が免除されて、応用試験を受けていただき、この応用試験に合格したら実践研修に進みます。一番左側は、実践研修と養成機関が一体的になっているものですので、実践研修というのは事実上受けていただいているという形になります。したがって、応用試験に合格して、修了されると、登録日本語教員の登録に進むことができるということを示しております。養成機関ルート、右側真ん中の欄でございますけれども、登録日本語教員養成機関の登録を受けた機関で課程を修了された方、大学では25単位、専門学校などでは375単位時間と書かれていますが、ここの課程を修了された方は、左側と同じように、日本語教員試験の基礎試験は免除し、応用試験に臨んでいただきます。ただ、この応用試験を受けた後に、実践研修はまた別のところ、国が登録している実践研修機関で研修を受けていただいて、この研修を受け終わった後に登録日本語教員に進んでいただくということを示しております。そして、一番右側、試験ルートでございますが、養成機関とかの課程を受けないで、基礎試験と応用試験、こちらに両方合格していただいた後に、国が登録している実践研修機関で実践研修を受けて、登録日本語教員の登録を受けることになります。なお、法務省の告示校で指導していただいている現職の日本語教員の方につきましては、経過措置ということで、またこれと異なる違うルートを複数用意しているところでございます。
 日本語教員試験というふうに私のほうから説明を申し上げておりましたが、この日本語教員試験の概要についての資料がこちらになります。上側に基礎試験というものと応用試験というものがございまして、人によりまして、基礎試験が必要な方、また必要でない方が出てまいります。このように、御自身がどういう試験が必要なのかというところに応じて受験料などが変わってきます。右側に昨年度、令和6年度の実績をお示ししておりますが、昨年秋、11月17日に第1回の実施をしておりまして、真ん中ら辺に、下側にありますが、受験者数が1万7,000人を超える受験をしていただき、合格者数などは御覧のとおりとなっております。
 そして、国の登録日本語教員養成機関ということで、この登録日本語教員養成機関というのは、その名のとおり、登録日本語教員を養成するための日本語教員養成課程を実施するものでございます。真ん中、3つ目のポツのところで、この養成課程のコアカリキュラムを定めておりまして、このカリキュラムに示されました「必須の教育内容」というのを49項目用意しておりまして、これを網羅的に学修する教育課程であることを求めています。下側のところの、「登録日本語教員実践研修・養成課程コアカリキュラム」において示された日本語教師の養成における教育内容ということでお示ししておりますが、この5つの区分、「社会・文化・地域」、「言語と社会」というふうに5つ区分がございますが、右側にそれぞれ必須の教育内容を、1から50項目がございます。先ほど49の項目と申しましたが、下から2段目のところの右側に教育実習と、これは実践、教育実習のところでございますので、この実習を外すと49の項目になるということで御理解いただければと存じます。
 この養成機関とまた別のものとして、登録の実践研修機関、実際に研修を受けていただく機関でございますけれども、この実践研修機関では、2つ目のポツでありますけれども、「実践研修コアカリキュラム」を文科省のほうで定めておりまして、①から⑥、オリエンテーション、授業見学、授業準備、模擬授業、教壇実習、振り返りということで、これらを含む、1単位時間45分以上の時間を45単位時間以上の教育プログラムを実施いただくことにしております。実際にその学習項目につきましては、6つの学習項目と到達目標ということで下のところに書いております。
 それで、今御説明申し上げましたのが登録日本語教員制度に関係するものでございますが、次のスライドでは、実際に東京学芸大学の教育学部で日本語教員の養成プログラムということで、学校の先生を目指す学校の教員免許と、この登録日本語教員の資格を同時に、両方の取得を想定した養成課程というものを東京学芸大学の教育学部では「日本語教員養成プログラム」ということで実施していただいておりまして、その御紹介をさせていただきます。2つ目のポツ「学校教育教員養成課程初等教育専攻国語コース」ということで、東京学芸大学の国語コースの開設科目の中で「日本語教員養成プログラム」を設置いただいております。この日本語教員養成プログラムの必修単位を修得された学生は、先ほど説明申し上げました認定法に基づく養成課程の修了者といたしまして、日本語教員の試験の基礎試験が免除となります。前提といたしまして、東京学芸大学は、文科省の登録日本語養成機関の登録をもう既に受けていただいているというのが前提でございます。そして、一番下の4つ目になりますが、この日本語教員養成プログラムの科目というものは、この東京学芸大学の学校教員養成コースの必修科目と選択科目で位置づけられておりまして、この赤枠のところでお示しされているものが、国語コースの専攻科目における選択が24単位分、そして、緑枠でくくられています3つの科目、6単位分ですね。この6単位分というものが、必修26単位と選択4単位ということで東京学芸大学のほうで用意されておりまして、これらを履修されると、先ほど説明させていただいた登録日本語教員養成機関のコアカリキュラムを満たすということで、登録ができるということで工夫をされています。学校教員の免許を取るのと同時に資格を取っていただける工夫という好事例で、このような取組が広がっていくことを期待しているところでございます。
 次のスライドは、実際に登録日本語教員のコアカリキュラムの中で、実践研修の中で教壇実習を行っていただくわけでございますけれども、特に学校の現職の先生が小学校などで御指導いただいているときに、この教壇実習というのを小学校で実施するという場合の基準というものを、文部科学省のほうで用意しておりまして、その御説明をさせていただきたいと思います。
 5番、で書いてあります、教壇実習機関に関する事項とありまして、教壇実習機関は認定日本語教育機関としておりますが、以下の全てを満たす場合には認定日本語教育機関以外も可能とするとしておりまして、この中のニ)というところで、小学校などを教壇実習機関とする場合は、受講者が、この登録日本語教員養成機関の登録を受けた者が設置する大学が提供する養成課程を修了する見込みであることということで、小学校、や附属小学校とかと連携しながら、登録日本語教員養成機関と連携を図りながら、こういった工夫というものもできるのではないかと思っているところでございます。
 下のほうの丸は、登録実践研修機関の登録などに当たって確認すべき事項ということで文科省のほうからお示ししているものでございます。この赤字のところ、教壇実習機関が小学校等の場合には、当該小学校などにおいて日本語指導のための特別の教育課程または高等学校における日本語指導のための学校設定科目を実施していることを確認することとするということで、教壇実習を必ずしも認定日本語教育機関などで実施している実践研修でなくても、小学校などでも実施することができることを制度上整備しています。
 御説明が長くなって恐れ入ります。こちらは現職の日本語学校で御指導いただいている日本語教師の養成、また現職の日本語教師の研修に関係する事業で、日本語教育課が実施しているものの御紹介になります。左側にございます現職日本語教師研修プログラム普及事業ということで、主に日本語教師のキャリア形成に必要な研修をやっております。その、下のほうにございます、初任日本語教師研修として、この中の③、児童生徒等とございますが、これは日本語学校や日本語教師の方が児童生徒などに教える際にポイントになることを研修するコースを設けているところでございます。真ん中の(2)のところにつきましては、日本語教師養成・研修推進拠点事業ということで、大学や認定日本語教育機関と連携をしながら日本語教師の養成や研修を実施するためにネットワークをつくっていくことを目的とした事業でございます。
 1枚飛んでいただきまして、一番最後のスライドの13番をお願いいたします。真ん中の日本語教師養成拠点事業ということで、今、全国を6つのブロックで実施させていただいておりまして、それぞれの拠点となる大学と、協議会と書いてありますが、連携先のネットワークということで、それぞれの地域において、日本語教師の養成や研修にかかるネットワークを今整備しているところでございます。このような取組を行いながら、日本語教師の質の向上に取り組んでいるところでございます。
 少し説明の時間が長くなって恐れ入りますが登録日本語教師の制度についての御説明でございます。よろしくお願いいたします。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。齋藤委員、何かありますか、補足的に。今、課長から説明ありましたけれども、学芸大の仕組みについて何か補足があればお願いします。
 
【齋藤委員】
 ありがとうございました。十分に御説明いただいていますので、特に補足はございません。ありがとうございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、今、指導体制に関する主な検討事項ということで事務局のほうから提案していただきましたが、日本語指導補助者(登録日本語教員を含む)との連携についてこれから議論していくということで、私ども自身がまずは登録日本語教師についてきちっと理解する必要がありますので、説明していただきました。質問ありますか。分からないところ、あるいはもう少しこれは説明してほしいということがあれば、まずは御質問からあればいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。バトラー委員、どうぞ。
 
【バトラー委員】
 ありがとうございました。今、学芸大学の実践をすごくすばらしいなと思って伺っていたんですけれども、行く行くは小学校なり中学校、高校の学校教員の免許プラス日本語教員の免許を取ってもらうというのが最終的なモデルプランになっていくんでしょうか。そういったモデルを文部科学省としては今後計画されているのかどうかというのをちょっとお伺いしたいと思いました。
 
【佐藤座長】
 まずは政策的にどうなのかということと、学芸大ではどういう方針でいるのかというのは齋藤さんに聞けば分かりますか。どうでしょうか。
 
【降籏日本語教育課長】
 バトラー先生、ありがとうございます。これ、大学の取組になるわけでございますので、大学のほうで、学校教員の免許と登録日本語教員の資格、両方取りやすいということで工夫をしていただいているものでありまして、私どものほうとしては、こういったことをぜひ広めて、やっていただけるとありがたいなと思っています。ただ、このようにしてほしいというのを制度的にがちっとはめていくとか、そういったことは今のところ考えているものではございませんで、東京学芸大学さんのほうでこのような取組が出てきた、まさにこれは大学のほうの創意工夫でございますので、こういった取組がほかの大学でも広がっていけるように、我々としてはこういったことを宣伝とかする方向で当面考えていきたいなと思っているところでございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 齋藤委員、何かありますか。
 
【齋藤委員】
 ありがとうございます。東京学芸大学としては、学校の教員を輩出する、育てるということを中心に考えています。私が所属しているのは学校教育教員養課程の初等教育専攻の中の、国語科教育を中心に力をつけていくコースではあるのですけれども、本学には現代教育実践コースで国際理解を専攻する学生もいます。また、教員養成課程ではなく、教員免許取得が卒業要件となっていない教育支援課程があり、そこには、多文化共生教育というコースを専攻する学生もいます。今までは国語コ-スの学生しか、先ほど降旗課長に御紹介いただいた日本語教育関係の科目を取ることに積極的になりにくい状況があったんですけれども、今回この日本語教員養成プログラムを設置したことによって、ほかの、司書教諭、保育士、社会教育主事、学校司書等と同じように、本学で卒業までに単位を取って実習を受ければ資格を得られるようになります。これらの諸資格と並んだ資格として登録日本語教員の養成プログラムを位置づけております。ですので、徐々に周知されれば、もともと関心を持っていてもこれまで機会が得られなった学生が、教員養成課程で教師の免許を取り、日本語教育の専門性を高めて卒業していくことを強く期待しています。その方向で大学の事務の方とも相談しながら進めたいと思っているところです。まだ実習に関しては、実践研修機関としての登録ができておりませんので、そこをどうしていくのかということが課題にはなっています。バトラー先生おっしゃるように、できれば諸資格を得ることによって教員のキャリアパスにこの専門性を持つことが一般の教員の専門性プラスアルファの力として社会的に認知されるような仕組みが必要かと思います。それは、大学が押し出すだけではなく、文科省さんにも検討いただければと思いますし、それぞれの自治体の教育委員会が教員の専門性として認めていくような動きを積極的に前に出していかないと実効性は生まれないと思います。国のトップダウンでも、私たち大学で幾らプッシュしても、なかなか難しい部分もありますので。その辺りについては、教育委員会で研修に関わられている皆さん方の御意見なども伺えればと思っているところです。
 すみません、長くなってしまいました。ありがとうございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 オチャンテ委員、どうぞ。
 
【オチャンテ委員】
 先ほどの齋藤委員と同じ、コメントが重なるんですけど、やはりこの登録日本語教員養成プログラムに対して、より魅力と感じられるようなインセンティブ等の導入がちょっと求められるのではないかなと思うんです。例えば教員採用試験などでプラス評価につながるとかそういった取組とかが、学生の学習意欲、関心の向上につながるような取組が求められるのではないかなと思うんです。私自身も学生と関わっていて、教員養成大学にいるんですけど、やはり複数の免許を取る学生が非常に多くて、必須科目を取るだけでも精いっぱいでとても忙しい状況です。そのため、日本語教員養成プログラムに関心はあっても、なかなか最後まで履修できる学生は少なくて、そこに大きな課題を感じています。同じように、人権や異文化理解といった内容の授業も必須ではなく選択科目になっているため、関心のある一部の学生しか履修せず、それ以外の学生が受けられません。本来であれば教員を目指す学生の多くに履修して欲しい内容であり、学生のうちに必要な資質・能力を身につけることが大切だと思うのですが、そこに大きな課題だと感じています。
 すみません。以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 佐古委員、いかがですか。今、バトラー委員のほうから御質問がありましたけど、教員養成系大学として、両方、2本立てでいくのか。どうぞ。
 
【佐古委員】
 私も本日、東京学芸大学のこのプログラムの話、大変興味深くお聞きいたしました。それで、1つ、これは確認めいた質問なんですが、これは日本語教員養成プログラムなので、国語コースの学生だけに限定されているわけではないんですよね。他コースであっても、日本語教員の養成プログラムで日本語教師の資格を取ろうとする者については対応されていると、このような理解でよろしいでしょうか。
 
【齋藤委員】
 そのとおりです。
 
【佐古委員】
 私はそういう方向がやはりあるだろうと思います。つまり、教員になるときに、教科の専攻にかかわらず、やはり日本語の教育についての、本日の議論で出ましたが、学習用語等の理解等を教室で徹底するときに、日本語教育についての基礎的な理解を持つということがあることが望ましいと思いますので、その点では専攻教科にかかわらないプログラム方式がいいと思います。
 それともう一点は、これ、オチャンテ委員がおっしゃったように、とはいうものの、やはり教員養成課程の学生は忙しいので、こういう日本語教員の養成プログラムを履修した者については、何らかのインセンティブを準備しておかないと、なかなか学生は履修しないと思います。例えば教員採用試験の際の今様々な加点措置がありますけれども、そういう加点措置にはっきりと明示するようなことを打ち出すようなことも必要ではないかと思います。
 私も非常に興味を持ってお聞きしました。ありがとうございました。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、高階委員、どうぞ。
 
【高階委員】
 私のほうから2点です。1点は情報提供と、もう一点は要望となります。まず1点目について、大阪府では、令和7年度教員採用選考テストから、日本語指導資格所有者に対して加点制度が導入されております。例えば、大学院とかで必要な養成課程を履修している場合は採用試験で加点される制度が始まっています。
 もう一点は、この登録日本語教員制度について、いい制度だとは思うんですけれども、例えば本校の大阪わかば高校でもそうなんですが、高校のほうで日本語を指導している先生については、実はそういった免除措置がなくて、一から試験を受けなければいけないというところで、これは確かに、高校で日本語指導している先生まで免除等してしまうと、線引きが難しいとか、そういったハードルがあるのかなとは思うんですが、例えば校長からの推薦とか、校長からの具申とか、そういった根拠になるような資料があれば、試験のほうで、免除とか、何かそういったことがあると非常にありがたいな思います。
 以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございます。
 降籏課長、お願いします。
 
【降籏日本語教育課長】
 今のバトラー先生と佐古先生が言っていただいたインセンティブが働くところというところですけれども、まさに今高階先生からお話いただきましたが、大阪府の公立学校の教員採用選考テストでは、日本語指導の資格所有者、すなわち登録日本語教員の資格を取った方については、一次選考の得点に10点の加点をするという対応をされて、インセンティブを働かせるという事例があります。先ほど高階先生から御紹介いただいたとおりですが、こういったものをほかの都道府県の教員採用試験でも取り入れていただくことによって、インセンティブが出てくると思ったところでございます。
 以上、補足でございました。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、吉田委員、どうぞ。
 
【吉田委員】
 よろしくお願いします。弘前大学の吉田です。
 本学はまだ登録申請をしていませんが、経過措置中で、日本語教師養成プログラムを運用している大学のひとつです。本学も教育学部の学生を対象に26単位、実習を含めて26単位が取れるように来年度の申請を予定しています。しかし、現在学んでいる学生の様子を見ていると、それほど多くの学生が履修できる状況にないという実態があります。先ほどの学芸大学も国語コースの事例になっていましたが、本学の場合も制度としては教育学部の学生全員を対象にしていますが、実際に単位を取っていくことを想定したときに、日本語教師養成プログラムの単位を取れるのは国語コースと英語コース、辛うじて社会科のコースくらいでないと難しいと思います。教育学部では、2種類の教員免許を取ることを前提にしているので時間割も複雑で、皆が取れるようなところに日本語教育プログラムの授業を置くことは難しいです。また、学生が取る単位数も非常に多くなっていきます。教育学部では2つの校種の免許を取るというのがスタンダードですので、小学校と中学校を取る、あるいは中学校と高校を取るために、時間割は相当ぱんぱんな状態になるわけです。このため、専攻する教科の科目と日本語教師養成プログラムの選択科目をかなり重複させることができる国語や英語といった限られた教科を専攻する学生しか事実上取れないというのが、現実的なところだと思います。本学も日本語教師養成プログラムを進めているので、もちろん、日本語の指導教員になっていく方々が登録日本語教員の資格を取るということは1ついい方向性だろうなとは思っているのですが、今進めようとしている外国につながる子供の資質・能力を伸ばす教育について考えたときに、日本語の指導教員になる人だけがこうした知識を持っていても、学校現場での指導はたぶんうまく回らないと考えます。そうであるとすれば、いろいろな教科の教員になっていく学生たちが免許にひもづいたような形で、日本語教育や多文化共生教育に関わる内容をある程度専門的に学べるような仕組みが必要だと思います。第2回に、バトラー委員がカリフォルニアのCLADの紹介をしてくださいましたが、同じような形を日本でもつくることはできるのではないか、そういうことも一つの方向性だと感じました。教員免許の上のプラスアルファの資格として、多文化・多言語の子供の教育についてある程度の専門性につながる資格を取れるというような制度を構想していくのも1つ可能性としてあるだろうと考えています。それは教員免許の上に乗せていくもの、教員の基礎免許の上に取ることができるプラスアルファの資格というような位置づけになると思いますので、この登録日本語教員の制度とはちょっと違うと思います。もちろん併存することは可能ではないかとは思います。要は、日本語指導教員になって、専門的に取り出しの授業を担当したり、学校設定科目を担当したり、国際教室を担当したりするという先生に求める専門的な資格と、在籍学級で多文化・多言語の子どもを指導するそれ以外の先生に求められる資格は違うということです。今後は、在籍学級に、必ず多文化・多言語の子供たちがいることになるので、そうした発想が必要だと思います。カリフォルニアのCLADの場合は、英語学習者が1名以上いるクラスで指導するための資格の一つと位置付けられていて、ほとんどの教員が取っているというお話でしたけれども、そのようなことが今後、日本にも必要なのではないかということです。これはもしかしたら3の教員養成のほうの議論かもしれません。すみません。ただ、今、登録日本語教員の話が大きく出てきているので、これだけで話が進んでしまうと、ちょっとどうなのかなと思いましたので。繰り返しになりますが、弘前大学も登録日本語教員の養成機関としてこれから申請させていただこうと思っていますし、推進もしています。現在3年生で来年は実習を経験する学生もいますので実習の調整等もやっています。ただ、登録日本語教員だけでうまくいくかというと、資質・能力を伸ばすという点から考えると、それではちょっと難しいのではないかと考えているということをお伝えしたいと思いました。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 まずは釜井課長、御発言ください。
 
【釜井国際教育課長】
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。登録日本語教員等の関係は、先ほど降籏課長のほうから御説明したとおりだとは思いますが、私ども国際教育課としては、外国人児童生徒、日本語指導が必要な日本国籍の方も含みますけれども、それらの方に対してどのように教育のほうを全体としていくかというのがやはり大事だと思うんです。先ほど吉田先生のほうからも御指摘がありましたとおり、登録日本語教員につきまして、できる限り活用していくというのはありますが、一方で全体としてチームとして、そのほかの教員、それから支援者、母語支援者も含めて、全体として組み合わせながらやっていくというのが非常に大事だと思いますので、ぜひそういった全体像のほうを俯瞰しながらやっていければと考えているところでございます。
 それから、教員養成の話がございましたけれども、先生方御承知のとおり、教員養成部会におきまして、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するという観点で今議論中でございますので、今日の議論も教育人材政策課のほうにもお伝えさせていただきながら、シナジーを持ってその検討のほうをさせていただければと思います。
 それから、本日の前半部分の御議論におきまして、特別支援教育との関係の話もございました。各種、文科省についても手引ですとか通知とかを出してきておりますが、前回、前々回のほうでも御指摘がありましたように、いかに本当に現場にDLA、それからことばのものさしを含めて定着させて、現場の先生方のほうに役に立つようにするかという、やはり現場目線でやっていくということが大事だと思いますので、そういった意味で、きめ細かく指導することによって、特別支援教育との線引き、あるいは母語と組み合わせることによって真に理解力のほうを図れるような形で、横溝先生のほうもおっしゃっていたと思うんですけれども、そういったところでしっかりやっていければと思います。
 CLADの議論のほう、第2回のほうであったと思いますが、我々も今後ちょっと、何ができるかも含めて検討していければと思います。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、浜田委員、どうぞ。
 
【浜田副座長】
 失礼いたします。手を挙げている間に委員の皆さんがいろいろおっしゃってくださったので、ほとんど重なっていることが多いんですけれども、いろいろな背景の方を組み合わせながら活躍していただくというお話の中で、やはり、高階先生のお話にありましたように、現在日本語指導に当たっておられる方にも登録日本語教員の資格を取っていただくという観点もすごく大事だと思っています。例えばなんですけれども、先ほどの課長からの御説明の中で、法務省告示校ですね。現在の枠組みでいいますと認定日本語教育機関ですけれども、そこで教えておられる方については経過措置で登録日本語教員になりやすいようなシステムがあるというお話もございましたので、もちろん一定の基準というのは必要だと思いますけれども、既に日本語指導補助者として学校で活躍されている方については登録日本語教員になっていただくようなルートを新たに考えるというようなこともあるかなと思っております。
 それから、高階先生のお話の中に試験免除というようなお話があったんですけれども、別の先生方の御意見では、むしろ実践研修のほうが難しい。試験については自分でそれこそ空き時間に勉強してクリアすることはできるけれども、実践研修となりますと、仕事を休んでそういったところに通って単位を取らなければいけないということで、実践研修も非常にハードルが高いというような話がありました。これも例えばですけれども、教職大学院で現職者の先生が専門実習の一部分をみなしという形で、今お仕事をしている部分とかこれまでの経歴の部分をもって代えるということをされていますので、そういった形での実践研修の部分の評価といったようなことも1つ検討としてはあり得るのかなと思っております。
 すみません。以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、バトラー委員、どうぞ。
 
【バトラー委員】
 ありがとうございます。先ほど吉田委員のほうからCLADのことがありましたので、ちょっとアメリカの事例を補足させていただきますと、CLADは、吉田先生もおっしゃったように、教科の先生ないしは担任の先生を対象としたもので、それとはまた別にESLの資格というのがあります。ESLの免許が不随した形で一般の小学校免許、または中高の免許をひとつの教員免許プログラムで取ってもらうというのはやはり物理的にかなり無理があるということで、小学校免許、中学校免許にプラスアルファする形でESLの免許を取ってもらうという形式をとっている州が多いです。ペンシルベニア州なんかもそのうちの一つになっています。ただ、州によっては違いがあって、別に小学校免許を取っていなくても、ESLの免許だけで小学校で教えることができる、ないしは中学校、高校で、中高の免許を持っていなくてもESLの資格だけで教えることができるという州もあって、ばらつきがあります。教員免許を持っている人がさらにアドオンの形でESLの免許を取るという場合に、それがもう制度化されており、それ以外に選択肢がないという場合はみんな取りますけれども、でも、オチャンテ委員がおっしゃったように、やはりかなりインセンティブがないとなかなかそれをやってもらいにくいということは現実的にあります。ただ、このアドオン型のメリットとしては、両方の免許を持っているということで、ESLの先生の地位の向上には貢献していると思います日本の現状では、そこまで強制するというのはなかなか難しいと思いますけれども、アメリカの場合はこういうふうになっています。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 小島委員ですか。手が挙がっていますか。どうぞ。
 
【小島委員】
 ありがとうございます。今のバトラー委員の話も伺いながら、そして今までの先生方のお話を伺っている中で、例えば自分の周りにいるような学生たち、東京外国語大学も研修推進拠点のほうには入っているんですけれども、教員養成を主にした大学ではないものの、学生たちがある一定教職を取っているんですよね。そして、プラス、今回こうしたプログラムが本学の中で始まっている、日本語教師養成が始まっている中でも、かなりの学生たちが、子供の教育に関わりたいと思っている人たちがいるということが学内の調査の中でも分かってきたところです。そうしたときに、先ほど高階委員も、インセンティブとして、そうした教員の採用のときに加点をされているということなんですけれども、加点もすごく重要ではあるものの、もう少しフラッグを立ててほしいというか、若者たちに、こういうことが職業として、学校として、自治体としてウエルカムなんだというところを物すごく立てていただきたいなというのは強く思うところです。どうしても今働いている姿、大人たちの姿を見たときに、こうした子供の日本語の教育に関わっている者の大人たちの姿というのは、どうしてもボランティアというところのほうが強くて、なかなか将来が描けないというか、すごく興味があって関わりたいんだけれども、それは専門職として認められないよねというようなものがあるものですから、すごく専門職として認められるような形の社会構造というのかな、システムをつくっていくことが、冒頭に齋藤委員がおっしゃったように、ボトムアップは物すごく私たち頑張ってやっていますので、それを職業として、そして専門職として認めていけるような、採用だったりとか、社会の受皿のほうがなっていくようなことが、今回のこの体制の中で、少し提案の中で出せたらいいなと願います。
 あわせてなんですけれども、先ほどのバトラー委員のお話を伺っている中で、私は、これからの教育の中で母語支援員さんとの連携というのは物すごく重要だと思っています。ですけれども、母語支援員さん自身の雇用というのも不安定であることで、その方たちが継続的にできないですとか、また一部の地域に限られているというところがあります。そうした方たちの地位向上というのも大きいと思うんです。そうなったときに、そうした方たちの専門職というところを認められるようなところというのがもっと制度的に確立していくといいなと思うんですよね。そう思いながら見渡していったときに、自分自身が関わる自治体として、例えばというところで、群馬県の太田市は早くからそれを制度化していき、行政特区でだったと思うんですけれども、つくられて、日本以外の国で発行された教員免許状を日本で臨時免許として授与できるですとか、また、市町村の負担としてその人材を教員として採用できるというのを行政改革のときに、構造改革のとき、2004年だったと思うんですけれども、つくってきた。それが今は全国に開放されていると思うんですけれども、それが太田市だけが今できてしまって、もう15年、20年たとうとしているのに、広がらない。そういうことができるんだというものももっと出ていくことが、母語支援員さんたちを支援員さんで終わらせないという、教員として、教育者の1人としてリスペクトできるような制度設計に持っていけるといいなと思った次第です。
 すみません。以上になります。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 浜田委員、どうぞ。
 
【浜田副座長】
 資料1のところで、管理職も含めて多文化共生の教育に取り組むための研修がということがございましたけれども、その中に日本語指導者あるいは母語支援者との連携ということもぜひ入れていただきたいと思います。私たち、日本語指導者の皆さんには、連携が大事ですよということを、研修なので、度々お伝えしていて、日本語指導者の方は、連携したいと、しなければならないと思ってくださっているんですけど、なかなかやはり学校の体制の中で難しいということがございますので、そのこともぜひ加えていただきたいと思いました。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 今日は指導体制に関する検討事項ということでしたが、特に登録日本語教員の御説明があったので、それを中心にして議論を進めてきましたが、齋藤委員、指導内容の深化・充実に関することでもし御意見があれば時間の関係で簡潔にお願いします。
 
【齋藤委員】
 すみません、1点だけ。すみません。簡潔にうまく伝えられるか分かりませんが、本日、富山県で研修をしてまいりました。そのときに、日本語と教科の統合学習の研修をしたんですけれども、そこで先生方から出た疑問として、教科の資質・能力、知識・技能と、それから思考・判断・表現力と学びに向かう力とというふうなところがあったとして、あるわけですけれども、そこに統合学習の場合、日本語の力をどう設定するかというときに、その3つの資質・能力、評価観点との関係を日本語の力を目標として設定するときにどのようにしたらいいんだろうかということが非常に難しい問題として先生方は悩んでいらっしゃるというお話がありました。これは一つの具体の例なんですけれども、こういった学習
指導要領で示されている教育内容であったり資質・能力あるいは各教科の目標というものと、日本語の力をつけるために今回の提案の中で指標を具体的に示していく、全体像を示していくとあるんですけれども、日本語だけが独自の枠組みで提案されても、先生方としては、日本語と教科を関連づけた教育をするときに、そこにどういった形での有機的な関係性というのを見いだしていいのかということが難しいと、なかなか教科との統合学習に踏み切れない、積極的に臨めないという様子が今日、特に指導主事の先生や管理職の先生方からの声としてありましたので、前回も小島委員からお話があったと思うんですけど、教科等の指導要領と今回出す日本語の指導についての指標との関係、関わりということを少し大きい枠組みとして見える形で提示していただけると、いくとよろしいのかなと思いました。
 以上です。すみません。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。今日、小島委員からも改めてそのお話をいただきましたし、それから、指導内容に関わることでは、その考え方、指導内容・方法等を含めた全体像を示す必要があるが、具体的に何なのかという点がまだ曖昧ですので、今後検討する必要があるかなと思います。次回以降、今日の議論を踏まえて、少し提案をしていただければと思います。
 ありがとうございました。時間が迫ってまいりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。本日、また皆様から様々な御意見、御提案をいただき、どうもありがとうございました。改めまして、皆さんからいただいたものを事務局のほうで整理していただきたいと思います。
 それでは、最後に、文部科学省において人事異動があったということですけれども、今日お見えでいらっしゃいますでしょうか。では、よろしくお願いいたします。
 
【塩見局長】
 失礼いたします。文部科学省の総合教育政策局長に7月15日付で着任いたしました塩見と申します。本日は遅れての参加となりまして、大変失礼いたしました。皆様に大変熱心な御議論いただきましたこと、感謝申し上げます。どうぞこれからよろしくお願い申し上げます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 では、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
 
【片桐調査官】
 ありがとうございます。本日も積極的な御意見をたくさんいただきまして、どうもありがとうございます。資料1の指導内容のほうにつきましては、皆様からいただいた意見をより具体的に書ける部分があるかと思いますので、もう少し詳しく書いて、委員の皆様に御議論いただいた内容ですとか、その意図ですとか、そういったところがしっかり伝わるように検討させていただければと思います。資料2の指導体制につきましては、次回以降、こういった検討事項について御議論いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後に今後のスケジュールについてです。第6回につきましては、8月28日木曜日の10時から12時を予定しております。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。指導内容の深化・充実に関しては、もし皆さんからまた御意見あればメール等でお願いできればありがたいです。追って事務局から、いつまでというような期限も含めてお知らせをいただければと思います。
 それでは、本日の会議、これで閉会したいと思います。どうも御参加ありがとうございました。

 
―― 了 ――

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