外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(令和7年度)(第4回)議事録

1.日時

令和7年7月7日(月曜日)15時~17時

2.場所

対面・Web会議の併用

3.議題

1.指導内容の深化・充実に関するこれまでの議論の整理
2.外国人児童生徒等を包摂する教育、指導内容の深化・充実について(ヒアリング)
3.その他

4.議事録

【佐藤座長】
 それでは、皆さん、定刻になりましたので、ただいまから外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議、第4回になりますけれども、開催いたします。
 委員の皆様におかれましては御多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は議題が2つありまして、議題1においては、指導内容の深化・充実に関する議論の整理としまして、これまでの会議で皆様からいただいた御意見などを事務局で、お手元にあります資料1としてまとめていただいていますので、これについて事務局からの説明の後、委員の皆様からの御意見をいただきたいと思います。
 そして議題2においては、外国人児童生徒等を包摂する教育、指導内容の深化・充実に関するヒアリングとして平田委員から発表いただき、さらに指導内容の深化・充実の議論を深めていきたいと思います。どうぞ今日もよろしくお願いいたします。
 それでは、議題1、指導内容の深化・充実に関する議論の整理に移ります。
 まず、事務局に資料を準備いただいておりますので、御説明をお願いします。よろしくお願いします。
 
【片桐調査官】
 ありがとうございます。
 それでは、これまでの会議で委員の皆様からたくさんの御意見をいただきましたので、こちら、資料1「外国人児童生徒等教育の充実に関するこれまでの議論の整理(素案)」としてまとめております。画面共有をさせていただきます。
 1ページ目は、外国人児童生徒等教育の背景や総論として、委員の皆様からいただいた御意見をまとめているものです。
 まず左側、グローバル化が進展し、少子化などが進む中、一人一人のよさの認識や他者を尊重する共生社会の実現は不可欠です。
 真ん中、学校教育においては、多様性を包摂し、一人一人の可能性を開花させる教育の実現、多様性を認め合い、他者のウェルビーイングを思いやることができる教育環境を整備することが求められています。
 右側、ストレングス・アプローチの考え方の下、全ての子供たちが持っている長所・強みに着目し、可能性を引き出して発揮させていく視点を取り入れることや、多様性の尊重によるマジョリティの変容も大切です。
 下の図は、外国人児童生徒等への支援の充実に向けてのイメージで、これを実現するために、全ての子供の可能性を開花できるような方策や、支える大人たちが子供たちの可能性を引き出すために考えられる方策につきましては、この資料の3ページ目に参考資料としてつけております。これは第2回の会議でお示しした資料と同じとなっております。
 資料の2ページ目は、指導内容の深化・充実に関する議論についてまとめています。
 1、資質・能力を育成するための「日本語指導」については、特別の教育課程が制度化されて以降、着実に活用が進み、教師や支援員等の方々の日々の御尽力により、子供たちの学びが支えられてきました。日本語と教科の統合学習による質の向上については、日本語と母語の力を活用した「知識・技能」と「思考力、判断力、表現力等」の一体的な育成が目的であることを明確化する方向で再定義し、学校教育法施行規則等の規定の改正が必要だと考えられます。
 2、多様性を包摂する学校教育・在籍学級での学びの在り方については、多様性を強みにしていけるよう、ユニバーサルな視点での学級づくり・授業づくりなどの具体的な方策を検討していくことが求められています。外国人児童生徒等が自己肯定感を育みながら、学びに向かい、安心して学校生活を過ごすためには、多言語・多文化を尊重する環境づくりが重要であり、他の児童生徒にとっても、異文化理解や多文化共生について考えを深める機会となります。
 3、児童生徒の力を引き出す効果的な指導については、全ての教師や支援員等が資質・能力を育成するための指導を体系的・専門的に実施し、多様性を強みにできる学校づくりを目指していけるよう、その考え方や指導内容・方法等を含めた全体像を示す必要があります。その際、指導における具体的な指標や、ことばの教育として教える内容や多文化・多言語の児童生徒の特性等も踏まえて留意すべき事項については、さらに検討を進める必要があります。加えて、母語の力を引き出すことを含め、デジタル技術の活用や、日本語指導が必要のない児童生徒への応用も含めた、教科学習での学習語彙の活用についても検討が必要です。
 4、指導体制の充実については、日本語指導補助者・母語支援員の一層の配置促進や教師との効果的な連携に向けて、実態把握や具体的な連携の在り方等を示していくことが急務であり、教師や支援員等の外国人児童生徒等教育の専門性の向上や外部機関との連携等に関しても、さらなる議論が必要です。
 これらの事項にかかわらず、様々な論点があるかと思いますけれども、ぜひ御議論いただきたいと思っております。
 なお、第3回までの資料は、事務局のほうで画面共有が可能となっておりますので、必要に応じてお知らせいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、今、説明のありましたように2枚目、指導内容の深化・充実に関する議論の整理について、事務局のほうでまとめていただきましたけれども、これに対する疑問あるいは違う論点等があると思います。どなたからでも結構ですので、挙手ボタンないしは挙手でも結構ですので、お知らせください。いかがですか。
 小島委員の挙手ボタンが挙がっていますね。では、小島委員、どうぞお願いします。
 
【小島委員】
 おまとめいただいた内容、ありがとうございます。
 お話を伺って、私は学習指導要領についての内容を提案したいなと強く思った次第です。といいますのも、2020年度の改訂で、特別支援教育については教員が取り組むべき指導上の配慮事項の考え方が具体的に示されていますけれども、これまでの議論とか、私自身の研究活動の経験を踏まえますと、学習指導要領における外国人児童生徒等への指導上の配慮事項の記載が今、総則には示されているんですけれども、学校種別、各教科にも外国人児童生徒等についての明記がありませんので、必要ではないかと考えた次第でございます。
 そうすることによって、外国人児童生徒等についても、各学校種別、そして何よりも各教科での指導上の配慮が示されることが理解されて、それらの考え方も、今お示しいただいた内容等も浸透していくでしょうし、全教員が意識化していくことにもつながっていくと考えた次第です。もっと言えば、それによって個別最適の具体化につながっていくことになっていくでしょうし、先ほどの資料でお示しいただきました、全ての子供が豊かな可能性を開花できるようにというところをより具現化させていくのではないのかなと考えます。
 特に、この合理的配慮の明示によって、基礎となる環境整備が学校内だけではなくて、自治体でも整備されることにつながっていくでしょうし、そのことは文部科学省で出された2020年の指針で「高等高校等への進学の促進」が示されていますけれども、その中での公立高校の入学の在り方、特に入試の在り方というところにも関係してくる、即した促進にもつながってくるのではないか、と思った次第です。
 以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。今、小島委員から3点御指摘いただきましたが、1番目は学習指導要領の指導上の配慮事項が必要、特に各教科等の配慮事項の記述が必要ではないかというという点です。これは資料2枚目の3番目の「多様性を強みにできる学校づくりを目指していけるよう、その考え方や指導内容・方法等を含めた全体像を示す必要がある」という点とも関わってきます。これは、そのようなイメージでよろしいですか。とても大事な指摘だと思いますけれども、どうでしょうか。
 
【片桐調査官】
 ありがとうございます。佐藤委員がおっしゃってくださったように、3のところで「その考え方や指導内容・方法等を含めた全体像を示す必要がある」としておりますので、こちらでもちろん、それぞれの校種とか教科、配慮についても検討させていただければと思っております。
 それから、この全体像を示すのが、何かガイドライン的なものなのか、学習指導要領なのかというところも併せて検討させていただければと思っております。
 
【佐藤座長】
 学習指導要領に記述するとなると、なかなか大きな仕事になると思いますが、各教科の配慮をガイドラインとして示すということは当然あり得るだろうと思います。学習指導要領に記述することが全国の学校の先生方に役立つんではないかという小島委員の御指摘ですので、検討していただきたいと思います。
 あと、合理的配慮として、学校内にとどまらず地域の環境整備については、資質・能力を育成するための「日本語指導」の議論だけでなく、次の論点である体制の問題にも関連しますのでさらに議論を深められればと思いました。
 高校進学、入試の在り方についても、とても大事な点ですので、もう少し議論を深められればなと思いました。
 ほかにございませんか。では佐古委員からお願いします。
 
【佐古委員】
 ありがとうございます。私は、議論の説明を受けまして、私の立場からいたしますと、補強する必要があるかなと思いますのは、外国人児童生徒等の教育というものがこれからの教員にとって共通に求められる内容だということになりますと、今後の教員養成教育におけるガイドラインになるかよく分かりませんが、そういうものを明らかにするということと、それから、教員になった後の研修です。研修体制・体系というものの充実を図るということを少し付け加えておく必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。教員養成制度、学生に対してどのような教育が必要か、あるいは研修体制については、指導内容の深化・充実に関する論点に入れるのか、それとも体制整備のところで議論を深めるのか、事務局としてはどのように考えておられますか。
 
【片桐調査官】
 佐古委員、御指摘をありがとうございます。
 第1回の会議から教員養成課程の学生さんへの教育の必要性というのは言われていましたので、今後、指導体制も議論することになりますので、そちらで詳しくお話をさせていただければと思います。
 
【佐藤座長】
 体制のところで議論をしていきますが、指導内容の深化にも関連しますので併せて議論が深められればいいと思います。その際にまた佐古委員から御指摘いただければと思います。
 それでは、オチャンテ委員、どうぞ。
 
【オチャンテ委員】
 資料をおまとめくださってありがとうございます。ここに関係しているかどうかは分からないんですけれども、外国人保護者の教育的な関与についてあまり書かれていないように感じていて、外国人児童生徒の学習環境を整える上では、外国人保護者の教育的な関与は極めて重要な要素であるのではないかなと思っていて、例えば4番の「指導体制の充実に向けて」のところに母語支援員と学校との連携というところがあるんですけれども、
そこに保護者と学校、また教師との効果的な連携に向けた実態把握、もっともうまくいっているところもあるかと思うので、何かそういう具体的にうまくいっているようなケースとかを取り上げる必要もあるのかなと思って、どこかで保護者、家庭の関与について何か一言書いていく必要があるのかなと思ったりしました。ここかどうか、また別なところに当てはまるかは分からないんですけれども。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 今のご指摘は「指導体制の充実に向けて」という4番のところにうたっていますので、そこでどういうことが可能なのか、あるいはうまくいっている事例などを紹介しながら、これからの進め方を示すということも必要かと思います。
 それでは、吉田委員、どうぞ。
 
【吉田委員】
 ありがとうございます。事務局のみなさま、おまとめいただきまして、ありがとうございました。全体としてはいいのかなと思いましたが、もうちょっと踏み込んで書いていくことが必要な部分もあるのではないかと思ってお聞きしていました。
 例えば、ことばの力のものさしについて小島委員から御報告がありましたが、資質・能力を伸ばす指導のためには、来日時期や年齢などを踏まえながら、その子の内側に包括的なことばがどのぐらい育っているのかというところをきちんと見取って指導していくということが非常に重要になってくると思います。東京外国語大学の研究成果を踏まえると、その辺りが多分これまでとは少し違ってくるのだろうと思います。集住地域などでは初期指導は充実してきているわけですけれども、年齢相応の教科の学びに入っていく段階を充実させていくためには、来日時期や年齢を踏まえて、母語も含む包括的なことばの力を育てていくこと、それを教科指導の中でおこなっていくこと、そうした部分が大切だということをもう少し強く打ち出してもいいのではないかと思いました。
 体制の話は今後ということですので、少し体制とも絡んでしまうお話になって恐縮なのですが、今お話ししたような子供のことばの力の発達を意識して、その資質・能力の育成までを視野に入れて指導していこうといったときに、その担い手は誰なのか、ということが問われてくると思います。現状では、子供の発達については、教育学部の学生や教員は比較的学んできている。一方で、日本語教育では、登録日本語教員養成が行われているわけですけれども、子供の発達に主眼が置かれているわけではない。どうしても対象が成人というところが大きいように思います。子供の日本語教育には、成人とは違う部分があって、そこがとても大切なわけですが、この部分は日本語教育に携わってきた方であっても「今まで子供を教えたことはあまりありません」という方だとあまり詳しくないということがあると思います。子どもの発達と日本語教育、その2つが重なるところというのが今後とても大事になってくると思うので、養成段階でも教員研修でも考えていかなければならないだろうと思っています。
 そして、指導の内容のお話に戻ると、先ほど小島委員から、各教科の学習指導要領に指導上の配慮事項などを入れていったほうがいいのではないかというお話がありました。今後とても大事なのは、担任や教科担当をされる先生方に、日本語指導教員や支援員などと連携しながら、自ら対応していっていただくことだと思います。そのためには、小島委員の御提案も大切なポイントですし、それに加えて、それぞれの学校において、ケース会議や校内研修を充実させていくことも必要になると思います。その辺りの校内における体制整備が大変重要になっていくと考えます。
 最後に、ICTの活用ですが、AIの活用にもついても今回少し触れられていると思うんですけれども、先ほどの包括的なことばの力がその子供の中でどう育っているかということと関係して、考えていかなければならないポイントがあると思います。現場に入って先生方とお話ししていると、翻訳ソフトがあれば大丈夫、と考えてしまう傾向があります。確かにこちらの言っていることが伝わっていない状態は心配だと思いますし、仕方がない面もあると思いますけれども、翻訳ソフトがあっても、母語でその概念を獲得していなければ、いくら翻訳しても意味がないわけです。ICTについては、その辺の活用の在り方まで含めて、もうちょっと丁寧に触れていかないと誤解を招いてしまうところもあるのかなと思いました。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。今回、資料2は、かなり簡潔に論点を示していただきましたので、今の吉田委員の話は3番のところをもう少し詳しくする必要があるということだと思います。実際の報告書は当然詳しく書き込んでいきますので、その中で、包括的な言葉の力とか、ICT活用の仕方の問題も含めて書き込んでいくということになると思います。
 続いて、徳永委員、どうぞ。
 
【徳永委員】
  これまでの議論を踏まえて修正していただいて、ありがとうございます。
 私から2点、細かな点ですけれども、1点目は、これまで議論にあったと思いますが、この資料1のイメージ案についてです。イメージ案はすごくインパクトがあるので、皆さんと議論したいと思いましたが、気になったのが、学校や教員が子供たちの強みを引き出すというのが前面に出ているように見えて、今回、地域・社会というのをその周りに追加していただきましたが、何かもう少し地域との連携とかつながりという文言をこのイメージ案の隣に入れたりとか、あるいは家庭や地域、学校がつながりながらネットワークをつくりながら子供たちの可能性を引き出すということが伝わるようなイメージにしていただくと、よりインパクトがあると改めて思いました。
 2つ目は、資料1の右側に「マジョリティの変容」と書かれていて、これまで何度もマジョリティの変容というのが今回の会議の中でも出てきていますが、そもそもこのマジョリティの変容というのは何を意味しているのかというところまで踏み込んだ議論が必要だと思いました。異文化理解とか多文化共生の理解を深めるという重要性は分かりますが、その上でマジョリティ、特に日本人の教員や児童生徒が、外国につながる子供たちが日常的に経験している差別や偏見とか抑圧状況についての理解を深めたり、あるいはマジョリティが持つ特権に気づいていったり、あるいはどのように共にいろいろな障壁を取り除き、差別構造を変えていけるかなどを考えることもマジョリティの変容の中には入ると思いました。
 多文化教育の研究の中でも、日本人性を問い直す教育とか、マジョリティの意識や行動を変えていくための研究や実践の蓄積などもあるので、もう少しこのマジョリティの変容とか、多文化共生の教育、多文化教育というものが何を意味しているのか、すごく抽象的な概念だと思いますので、その具体まで示せるとよりインパクトがあると思いました。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。このイメージ図に地域・社会の指導体制を踏まえて、地域のの関わり方を加えていくということと、マジョリティという言葉の使い方についてご意見をいただきました。マジョリティが具体的に誰なのかと言われると、大人や学校、教師を意味することもありますし、日本で生まれ育った子供たちもマジョリティなると思います。この辺のところを明確にすることと、マジョリティ側の変容についてはどのように変容していくのかまで書く必要があるのではないかという御指摘です。とても大事な点ですが、事務局で御意見はありますか、今の質問に。
 
 
【釜井国際教育課長】
 5人の先生から御指摘いただきましたので、ぜひ反映させながら議論していければと思います。
 まず最初に小島先生から教科、学習指導要領の話がございましたけれども、本有識者会議と、同時並行的に教育課程企画特別部会で学習指導要領の改訂に向けた検討・作業をやっているということで、そこと有機的に連携しながらやっております。ぜひしっかり、どこまで学習指導要領における総則、それから教科の記載に書くかということはございますけれども、しっかり検討していければと思います。
 それから、佐古先生、吉田先生から研修の話がございました。前回、特に教員養成の課程においてどこまで本当に盛り込むのか、あるいは管理職に対する研修とか現職教員に対する研修をどうやっていくんだというかなり多くの議論がありましたので、ぜひその辺りをしっかり今後の議論で深化させていただければと思います。
 それから、オチャンテ委員から、保護者、それから地域との連携、徳永先生からも同じような御指摘をいただきましたけれども、議論を深めれば深めるほど、学校だけではなくて、地域、それから保護者、それから地域のNPO、産業界との連携も必要になってくると思いますので、ぜひ全体感を持って議論していければと考えております。
 吉田先生からは、併せて初期指導等の連続とか言葉の発達の連続上の観点で、今後より個に応じた形での教育が重要なんだというのは御指摘のとおりだと思いますし、ICT、それから生成AIのお話もありますので、そちらをぜひ横展開していくというのは文科省の、まさに国の役割だと思っております。それに当たりましては教員による教科指導と有機的に連携させながらやっていくという視点も非常に重要だと思いますので、ぜひそういったモデル的な事例の収集、それからそれを展開させていくということも併せてやっていければと思います。
 何分、資料1の2ページ目が容量的に限りがございましたが、ぜひ先生方の意見を踏まえまして反映するとともに、今後の議論に反映していければと思っています。
 ちょっと長くなってしまいましたが、以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。今、課長からお話しいただいたように、学習指導要領の改訂に向けて、小島委員から指摘があったような話を我々のほうでもしっかりまとめて、要求できるような形で提案できれば一番いいと思います。今回、指導内容の深化・充実について議論していますが、それ以外のことでももちろん結構ですので、どんどん出していただければと思います。
 それでは、バトラー委員、お願います。
 
【バトラー委員】
 ありがとうございます。先ほど吉田委員からICTに関するコメントがありましたけれども、私も一言ICTに関して付け加えたいなと思っていることがあります。ICTの活用の仕方なんですが、我々が考えている目標としたい言語能力を子供たちに身につけてもらうためのツールとしてのICTの使い方というのは、確かに一つあると思います。例えば先ほど出た翻訳ソフトをどのように使っていくかといった、ツールとしての使い方は1点あると思います。ただ、それ以前に、デジタルテクノロジーが普及していく中で、これから子供たちが身につけるべき能力そのものも変容してきていると思うんです。つまり、ゴールとするべき能力の変化というものを我々もしっかりと捉えていく必要があるのではないか、それに対する議論が必要なのではないかと思います。例えば、すごく身近な例で言うと、漢字をきちんと書くということは今までとても大事なスキルだと考えられていましたが、恐らくそれほど重要ではなくなってくるだろうということが考えられるわけです。そういった形で変化していく必要な能力というものは何か、ICT時代にどういう能力が必要なのかという根本的な議論というのも必要なのかなと考えます。文部科学省のほうで、例えばGIGAスクール構想とか、教科書のデジタル化という政策を進めていらっしゃるので、こういった別の政策とのタイアップというのもちゃんとこの議論の中に含めていく必要があるのかなと思います。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございます。確かに、ICTというのはツールとしての使い方だけでは決してありませんので、ここのデジタル技術の活用、あるいはゴールとしての目標自体の変化ということも併せて議論が必要だということですね。
 浜田委員、どうぞ。
 
【浜田副座長】
 ありがとうございます。浜田です。1から4までそれぞれについて、1つずつぐらい意見を言わせていただければと思っております。
 まず1の「日本語指導」の再定義というところで、日本語と教科の統合学習の重要性ということを挙げていただいて非常にありがたいと思っているんですけれども、ここのところで「知識・技能」、それから「思考力、判断力、表現力等」というのが挙がっているんですけれども、実は学習指導要領でいうところの、学びに向かう人間性というのも非常に重要な要素なのではないかと思っています。現場の先生方の中には、日本に来たのになぜ日本語を勉強しないのかとお考えになっている先生もまだまだいらっしゃったりしますし、子供たちが主体性を発揮できるとか、あるいは認知能力を幼い段階から養っていくということは非常に重要なことですので、ぜひ学びに向かう人間性とか認知能力の涵養についても記述を加えていただければと思います。
 それから、2番目の多言語・多文化を尊重する環境についてということです。これも恐らくほとんどの現場の先生方は、なるほど、そのとおりだと言ってくださると思うんですけれども、例えばですけれども、文化祭で民族舞踊を発表するのはいいけれども、授業中に母語でしゃべったりするのは困るみたいにおっしゃる先生方も幾人かいらっしゃったりしまして、でも、実はその母語が通じる仲間同士との学び合いというのは非常に重要な学びの要素だったりすると思うんです。ですので、多言語・多文化を尊重するということが具体的にどういうことなのかということを少し事例なども挙げながら加えていただければ、より多くの方に理解していただけるのかなと思っています。
 それから、3つ目の力を引き出す具体的な方策というところで、今回は「ことばの力のものさし」という非常にいいツールができたと思っているんですけれども、このものさしを具体的により多くの先生に活用していただくために、たくさん事例ですとか、ものさしをどのように使うかということがより分かりやすくなるような発信をしていく必要があるのではないかと、そうしないと宝の持ち腐れになるのではないかと思っています。
 現場に研修などで伺うと、よく伺うのが、これまでDLAでいろいろな蓄積をしてきたんだけれども、その蓄積が今回の新しいものさしとどのようにつなげていけばいいかということで不安を持っておられる先生方はたくさんいらっしゃいますので、そこのところのつなぎというか、そういったものをお示しできればいいかなということが1点と、それから先ほどから学習指導要領の話も出ていますけれども、例えば現在でも在籍学級での支援について、学習指導要領の解説のところを見ると、結構ポイントになることは書かれているんですけれども、なかなか伝わっていないということと、それから子供たちの実情に合わせて、日本語能力や認知発達の段階に合わせて在籍学級での支援の仕方を変えていく必要があると思って、そのものさしに合わせたそれぞれの段階での支援のポイントみたいなものも、ぜひ学習指導要領あるいは解説の方に盛り込んでいただければありがたいかなと思っています。
 それから4点目、指導体制の充実に向けてということで、養成研修についても今、委員の先生からたくさん御意見が出ていたんですけれども、一つ、国際的な調査でありますTALISなどでも、在籍の先生方が多文化状況での教授になれていないということがこれまで多々指摘されているところでもあります。ですので、今回は日本語指導補助者あるいは母語支援員の体制の調査をされるということですけれども、ぜひ在籍学級での先生方の教授行動ですとか、在籍学級の担当者の意識ですとか、そういったところについても調査の対象に含めていただければありがたいかなと思います。
 それから、学部の養成についても、先ほど重要性についていろいろ御発言があったんですけれども、実際に学部段階で外国人の子供たちについて学んでもらおうにもなかなかリソースがないといったことも現状かと思うんです。例えばですけれども、自治体、教育委員会と連携していただくようなことをもっと進めていただくと、例えばほとんどの自治体には日本語指導あるいは外国人教育専門の方がいらっしゃるはずなので、そこと連携することで学部教育の充実が図られるのではないかということも考えています。
 ですから、最後、1点ですけれども、かねてより登録日本語教員の活用ということで今後の課題が挙げられているわけですけれども、一つ、今、登録日本語教員の資格を持った方にどうやって学校での指導に入っていただくかということが議論の中心になっていますが、反対に、既に子供たちの指導に当たっておられる先生に登録日本語教員の資格を持っていただくという、そういった方向性からの議論も非常に重要だと思っています。ただ、現状、様々な状況で指導に当たっておられる先生がいらっしゃいますので、慎重に議論を進めていかなければいけないというのは事実ですので、今後また指導体制については議論が続けられていくのかと思うんですけれども、ぜひ様々な御意見をいただければと思っております。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。4点にわたって御指摘いただきましたけれども、それぞれについてとても重要な点でありますので、これから資料2のところに付け加えていくべきものだと思います。特に4点目の在籍学級の教師の意識調査については、事務局として今回意識調査をやると聞いていますけれども、どういう内容になりますか。
 日本語指導補助者・母語支援員の実態調査を想定していると思いますけれども、それに加えて在籍学級の担当する教員を対象にした調査が必要ではないかという浜田委員のご意見です。これはどうでしょうかね。少し検討していただくということでよろしいですか。
 
【片桐調査官】
 ありがとうございます。こちらの実態把握や具体的な連携の在り方というところに日本語指導補助者・支援員という書き方をしているんですけれども、最終目的ではもちろん、教員だけでは難しいところをいろいろな方々に御協力いただいて進めていくというところでございますので、その調査をするときの内容とか、そういったところについても今後、浜田先生の御意見などを参考にしながら、もう少し深めていけたらなと思っております。
 
【浜田副座長】
 よろしくお願いいたします。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 平田委員は入っておられますか。ありがとうございます。今、お2人ほど手が挙がっておりますので、そのお2人の御意見を伺った上で平田委員から御発表をお願いしたいと思います。ではまず齋藤委員、それから横溝委員、そのほか残りの方は平田委員の御発表が終わった後にまたお話を伺いたいと思います。齋藤委員、横溝委員、続けてお願いいたします。
 
【齋藤委員】
 すみません。お時間いただき、ありがとうございます。ヒアリングのときにもお話しさせていただいたことと関連して、2点述べさせていただきます。
 1点目が資料1の2枚目の3番に関わることです。先ほど来、学習指導要領に対応という要望であったり、ガイドラインを作成するというお話がありましたけれども、ここに示されている「具体的な考え方や指導内容や方法を含めた全体像」の構成を実際にはどうしていくのかということを、ぜひ詰めて検討いただき、形としてのイメージがこの有識者会議の中で一定程度共有できるとよろしいのではないかと思います。
 といいますのは、昨日、午前、午後で研修を2種類行ったのですけれども、その参加者から、「3か月間の初期指導の取り出しの日本語指導をしていますが、1か月、平仮名だけ教えていました。猛反省しています」という声がありました。というのは、「平仮名を覚えないうちは次のことは学べないんだ」と前任の担当者から引継ぎをし、それを守ってきたということでした。昨日の研修で、教科と日本語の統合学習の具体的な実践事例などを御紹介したところ、それではよくないんだということに、もやもやした思いがあったそうですけれども、この研修を受けてはっきりと意識できたとおっしゃっていました。先輩教員あるいは運営している側が「まずは平仮名」と一言言えば、講師として1時間単位で教育している立場では勝手に変えることができないという状況があります。ということで、「具体的に全体像を示す」内容にどの程度の具体性を持たせるかというところも、ぜひ御検討を進めていただきたいと思います。 具体的に教える項目というものの例示も必要になるかと思いますが、、ただし、「これを教えなさい」という網羅的な要素として示すというのではなく、こういうタイプにはこういう内容を教えるということが具体的に例示されることが必要かと思われます。
 それから、2点目ですけれども、少し大きいことになります。背景・総論に3つポイントが挙げられていますが、その中に、外国人児童生徒等教育の今大きな検討対象になっている日本語指導の内容、ことばの教育、母語の問題等の言語に関わる要素が含まれていないということについて、私としては残念に思います。3つのうちのどこかに、ストレングス・アプローチに言及するところでもよろしいと思いますが、そこには母語も入るでしょうし、何か言語に関わる文言を加えてはいかがでしょうか。DeSeCoの前のコンピテンシー理論であれば、相互作用的に言語を用いる力というのは3つのキーコンピテンシーの一つに含まれますが、この背景・総論の中に配置していただけるといいのではないかと思います。
 時間をいただきました。ほかにもいろいろありますけれども、ここまでとさせていただきます。ありがとうございます。
 
【佐藤座長】
 私も、齋藤委員が今言った全体像とは何なのかということをどのようにして示すのかというのはなかなか難しいなとこれを見て思っていました。齋藤委員がお話ししていただいたので、これを検討する必要があると思いました。
 では、横溝委員、お願いします。
 
【横溝委員】
 お時間をいただきありがとうございます。私自身も、研修の充実という点では非常に大事だと思っております。特に行政にいると、管理職、それから一般教員の研修をどう充実させていくかということを常に考えているような状況になります。学校職員全体で外国人児童生徒の現状を捉え、彼らの可能性を引き出す指導の工夫というものをみんなで議論していく必要があるなと思っております。
 ただ、それぞれの自治体を考えると、誰がこの研修を行うかというのは非常に大きな課題だと思っております。全国研修システム(Plant)がありますので、ぜひそれを活用して、特に年次研修で必ずこの外国人児童生徒教育に関する研修を通過するというシステムを構築していただくということをぜひ検討していただけたらなと思っております。
 短いですが、以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、今いろいろな御意見をいただきました。また事務局でまとめていただきますが、ただ1枚にまとめるというのはなかなか難しいですね。今回は私たちの議論を深めるために簡略化していただいていると思いますけれども、その簡略化した分、どうしてももやもやした部分が残ってしまいます。いろいろな御意見をいただいていますので、改めてまとめ方についても工夫して、次に生かしていければと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題2に入ります。そして議題2を踏まえた上でさらに皆さんから御意見をいただきたいと思います。外国人児童生徒等教育に積極的に取り組まれている群馬県の指導内容や指導体制等について、平田委員及び本日は群馬県教育委員会義務教育課池田主事にもお越しいただいていますので、御発表いただいて、学校現場の状況を踏まえた上で、さらに指導内容の深化・充実について議論を深めていきたいと思います。
 それでは、平田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【平田委員】
 ありがとうございます。群馬県教育委員会の平田でございます。本日、外国人児童生徒等の教育の充実に係る群馬県の取組についてお話をする時間をいただき、誠にありがとうございます。本日の御報告は、まず取組の理念を平田が、その後、具体的な取組については、本県で中心となって担当している事務局の池田指導主事が行わせていただきます。池田は昨年度、文部科学省の教育DX推進室に群馬県から派遣させていただいたのですが、その折に外国人児童生徒の教育充実についてもこちらの国際教育課の皆様方と意見交換をさせていただいて、彼を通して群馬県も学ばせていただいた次第でございます。それでは、説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 こちらは、集住地域での児童生徒の動画になります。集住地域の小中学校の授業においては、外国人児童生徒イコール助けが必要な存在とは見ていなくて、外国人児童生徒も日本人の生徒も、ペアワークやグループワークなどでそれぞれ強みを発揮して学びを深める活躍をするのが当たり前となっている様子が見られます。
 まず、こちらは、外国人児童生徒が英語で得意な発音をして発表している点であったり、あるいは先ほど粘土をやっていたかと思いますが、あちらのように図画工作などの創作活動の領域に豊かな発想を示していたり、あるいは道徳であったり、学級活動などの話合いの場面において、外国人児童生徒がいることによって、日本人の生徒も外国人の生徒もそれぞれ、より多様な視点・発想から話合いができているという状況です。
 続きまして、こちらが給食の風景になります。集住地域において外国人児童生徒は特別な存在ではなくて、これらの給食のときに、右上にいる男の子が宗教上の理由により肉を使用したシュウマイとか中華スープを飲むこと、食べることができません。その分彼は自分で食べることのできるサラダをたくさん盛りつけて自分で食べて、ほかの子供たちはそれをごく自然のこととして受け入れています。このように、多くの外国人児童生徒がいることによって、学校生活の中にある様々な違いを当たり前のこととして日本人の生徒にも外国人の生徒にも受け入れられる環境が整っていると、逆にとてもよいことだと考えております。
 資料2の2ページに示すものが私たちが目指すものです。左に示す群馬県総合計画では、持続可能な多文化共生・共創社会の実現を目指して、多様性を生かして群馬に新しい価値を生み出すことを大きな目標にしています。
 その中で、教育委員会として目指すものが右のほうに書いてあります。まず、外国人児童生徒と日本人児童生徒が対等な関係を築けるように全ての教職員が注意をすること、次に、学校の学びを通して、国籍等にかかわらず、全ての児童生徒が将来地域社会の一員として共生する力を身につけていくこと、最後に、学校がものすごく多様でありますので、その多様性を生かして新しい価値を生み出しながら、学校自体が多文化共生・共創社会づくりの推進に寄与していくこと、これが群馬県教育委員会の目指すものであります。
 3ページをご覧ください。取組の柱として狙っていることがこちらの3つです。1つ目は、日本語指導を直接担当する教員だけに全てを任せてしまうのではなくて、全ての教員に一定水準の専門性を備えてもらうことにより、学校全体で指導支援していくことを目指しています。県教育委員会ではウェブ上のポータルサイト「ハーモニー」を運営していますが、そこでは管理職も含めた全ての教職員に対して情報提供を続けています。集住地域で培われた知見を県内全域に広めて、指導体制や指導・支援の質の向上に資するように、県内全ての市町村の教職員を対象に研究協議会を行っています。また、県総合教育センターの長期研修員が日本語指導スーパーバイザーとして、具体的な支援に当たります。そのことによって県として蓄積した知見を散在地域に広げることもできるし、またそこで得た経験・知見を教育センターに持ち帰って、教職員向けの研修を充実させたり、あるいは新たなる施策づくりに生かしてもらったりしています。
 2つ目が地域差をなくすことです。散在化傾向によりこれまで対象となる児童生徒がいなかった地域・学校も全く無関係ではなくて、いつでも受け入れられる体制を構築し、充実していくことが県の急務になっています。地域の実情に応じて、集住地域では、母語支援員等の配置促進により、指導体制の一層の充実を図り、また散在地域では、先ほど御紹介した日本語指導スーパーバイザーを派遣して、人材育成、指導体制構築に努めています。
 3つ目の柱について説明します。日本語指導は学校教育の一側面であり、学校生活全体を見通して児童生徒を支援していくことがとても大切です。ですので、心理面のカウンセリングや対象児童生徒の保護者も含めた包括的な支援の充実を進めています。ポルトガル語、スペイン語、英語、日本語による心理カウンセリング、電話相談を実施し、学校生活への適応の難しさを抱える児童生徒及びその保護者に寄り添う対応を進めているところです。
 4ページをご覧ください。こちらは、私たちが大切にすべき価値観です。こちら、先ほど紹介したポータルサイト「ハーモニー」にも基本的な考え方としてこのページの内容を示しています。そして、全ての関係者に周知を図っているところです。研修等でも必ず特に強調してこの点を伝えています。
 1つ目は、外国人児童生徒等を受け入れることは、学校にとっても日本人児童生徒にとってもマイナスではなくて、受け入れる学校、教員、子供たちにとって大きなメリットがあるということです。
 2つ目は、受け入れる際に最優先されるのは、学校全体から見守られ、安心できる環境づくりがとても大切ということです。
 3つ目は、母語や母文化を尊重し、そこに視点を当てた支援を進めることが、対象となる児童生徒の持っている力を引き出すことにつながるということです。
 4つ目は、日本語能力として、生活言語として使える段階か、さらに論理的な思考を支える学習言語として使える段階かなどを丁寧に見取ることがとても大切だということです。学習のしづらさが言語によるものなのか、学びの内容の理解ができていないことに起因するものなのか、あるいは特別支援の助けが必要なのか、子供の状況に応じた支援を行うことがとても大切としています。
 5つ目は、当県の目指す多文化共生社会の実現に向けて、学校教育が果たす役割がとても大きいということをみんなで自覚しましょうということ。この5点が私たちが大切にしている価値観です。
 それでは次に、具体的な取組について、池田指導主事から御報告させていただきます。
 
【池田指導主事】
 それでは、ここから、群馬県の取組を具体的に御説明いたします。
 資料5ページをご覧ください。まずはアセスメントについてです。本県では、日本語指導を必要とする児童生徒へのアセスメントとしまして、文科省作成のDLAを広く活用しております。特に散在地域におきましては、先ほど申し上げました広域を巡回している日本語指導スーパーバイザー(JSV)が実際に活用しながら促進を図っているところでございます。また、本県では、集住地域のノウハウを県内に周知することで、県内全体の取組の質を高めております。
 アセスメントにつきましては、こちらの資料右側にございます、伊勢崎市が開発し、過去に文部科学大臣賞を頂いた実績のあるISESAKIステップについて県内に周知しております。こちらのポイントは、日本語の力を日常会話の力と学習活動に参加する力に分けて示していること、またそれをそれぞれ7つの段階、ステップに分けて示していることでございます。また、例えば話す力につきましては、ステップ1では、「一語文・二語文で必要なことを伝え始める段階」とされて、ステップ2では、「学校生活や学習活動でよく聞く言葉を理解し、話し始める」と示され、ステップ3では、「学習活動に参加し、日本語で学び始める」とあります。このように、在籍学級とのつながりを意図して言葉の力を整理している、そのように構成された資料でございます。さらに、これらのステップと支援方法のヒントが一覧で示されることで、日本語指導を直接担当していない学級担任でも児童生徒の段階に応じた支援ができるように、そのようなつくりになっております。
 本県では、DLAで年間に数回程度、言葉の力を見取りつつ、ISESAKIステップのように、学級担任でも支援に結びつけられるような示し方で日本語教室と在籍学級をつなげていく、そのようなアセスメントの在り方を促進しております。
 次の資料に参ります。日本語指導について御説明いたします。本県では、日本語指導を初期指導、中期指導、日本語と教科の統合学習に分けております。県総合教育センターにおける長期研修員の実践研究によりまして、県独自の資料を作成しております。資料の上に示すほうが初期指導に関わる「ぐんまのぐんぐんガイド」でございます。下に示したものが中期指導に関わるもので、「ぐんまのかけはし」というガイドブックでございます。初めて日本語指導を担当する方でもイメージしやすいように、具体的な指導プログラムを掲載してございます。また、「ぐんぐんガイド」につきましては、児童生徒を受け入れる段階から学校として準備していることなども含めて広く掲載しております。いずれもこちらはポータルサイト「ハーモニー」でダウンロードが可能で、広く県内の先生方に活用いただいております。
 次の資料に参ります。在籍学級における学びについて御説明いたします。日本語指導を必要とする児童生徒も、学校生活において最も多くの時間を過ごすのが在籍学級となります。そこで本県では、在籍学級の環境を整えることが学びの充実に結びつくと考えまして、在籍学級や教科指導の担任が日常的にできる支援について整理し、「ハーモニー」等で周知しております。
 私たちが大切にしておりますのは、教師の力のみで支援するということではなく、児童生徒が相互に支え合う、そのような学級文化を育むことです。日本語指導を必要とする児童生徒の強みやよさを十分に生かすことで、日本語指導を必要とする児童生徒が一方的に助けを必要とするような存在ではなく、互いに助け合い支え合いながら互いの学びを充実させる仲間、そのような仲間として活躍していくことを理想としております。また、在籍学級における授業につきましては、日本語指導が必要な児童生徒のみを対象として考えるのではなく、より広く、視覚化や動作化などの工夫をすることで、どの児童生徒にとっても分かりやすい授業を目指していただくことを、現場の先生方にまずお伝えしております。そのことを前提とし、取り出し指導をしている日本語教室等との連携の充実を図っております。
 続きまして、日本語指導におけるICT活用について御説明いたします。外国にルーツを持つ子供たちにとりまして、同じルーツや言語を持つ子供たちと一緒に学ぶ機会は大変貴重となります。そこで力を発揮しているのが、左側にございますオンライン会議アプリです。校内にいる異学年の子供たちをつないだり、あるいは他校の子供たちとつないだりすることで、母語を用いた自然な対話により学習を進めていくような実践がございます。
 また、県内の先生方に大変好評をいただいているのが、右側で紹介しております翻訳アプリのVoiceTraです。こちらは、総務省管轄の国立研究機関が開発したアプリであることから、信頼度が高いことはもちろんですが、再翻訳という機能があるため、伝えたい内容が適切なものであるかどうかの判断ができる、このようなところから学校から信頼を得ているものです。
 例えば、行事の振り返りを作文で書くといった場合、日本語の文章として書くことが求められていることがありますが、母語ならば十分に書く力があるといった場合には、まずは母語で文章を書きます。それを翻訳した際に、自分の書き表したい意図が十分に伝わっているかどうか、それを再翻訳でその子供が実際に自分で確かめながら書く、そのような学習活動でこのアプリは力を発揮しています。将来的には生成AIを活用して、外国人児童生徒等の学びを一層充実させたり、その保護者と学校との連携を深めたりすることに役立ててまいりたいと考えております。
 資料9ページをご覧ください。母語・母文化を尊重することについて御説明いたします。本県では、多文化共生・共創社会の実現に向けて、条例、基本計画が策定されております。外国人県民がその多様性を生かして新たな価値を創造、地域に活力を生むことが期待されております。それを受けまして、学校教育につきましては、マイノリティの視点から多文化共生教育を考えることを大切にしております。特に外国ルーツの子供たちには、そのルーツに誇りを持って生活することを願っております。
 ある小学校でこんなことがございました。外国ルーツの児童が調べたことを発表する際、日本語を使って伝えることも能力的には十分できるのですが、あえて母語で発表したいと担任に申し出たそうです。その児童にとって、自身のルーツや母語は誇りであり、強い思いがあるとのことでした。担任から相談を受け、職員はみな賛同しまして、その児童が母語で発表できるような環境を整えるために、例えば翻訳した字幕を表示する仕組みを設置すること、あらかじめほかの児童に事前指導をしておくなど、このようなことを話し合って準備を進めたそうです。発表当日は、その児童は全て母語で話をしました。聞いている児童たちは、字幕を参考にしながらも、母語に真剣に耳を傾けていた、このような様子が見られたそうです。
 これは群馬県内の集住地域の一例ではございますが、このような児童生徒、職員集団が散在地域を含めまして県内のどの学校でも見られることを期待し、母語・母文化の尊重について県としてのメッセージを発信し続けております。
 資料P10をご覧ください。包括的支援施策について御説明いたします。説明の冒頭、カウンセリング等の心理サポートを行っていることを伝えましたが、それ以外の取組として、キャリア教育の視点でも取組を進めております。ポータルサイト「ハーモニー」に掲載している資料の中でも特に魅力的なものが、ロールモデルインタビュー動画です。外国ルーツで、日本の学校に通っていた高校生と社会人にインタビューした内容を動画で公開しております。各学校におきまして、日本で学ぶ今、将来の自分の姿を結びつけて考える、そのような機会に活用いただいております。
 また、外国籍の保護者にとりまして、特に難解な進学に関する情報も多言語で整理、動画としてまとめて公開しております。動画だけでなく、県内の児童生徒・保護者を対象に進路説明会等も開催しております。本県では、エージェンシーを発揮する自立した学習者の育成を目指しておりますが、日本語指導を必要とする児童生徒にとっては、日本でキャリア形成していくことのイメージを持つことに課題があることが多く、そうした支援を一層充実させることが必要であると考えております。
 資料11ページをご覧ください。指導体制づくりについて御説明いたします。本県では、市町村の住民登録担当課や教育委員会の担当指導主事との連携を大切にしております。特に就学前に事務局と家庭、学校と家庭がいかにつながるか、このことが重要と考えておりますので、文科省で実施している「外国人の子供の就学状況等調査」や「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」といった機会を生かしまして、回答内容を踏まえて、担当者間で対話をして意識すべきことを共有するようにしております。また、市町村教育委員会の指導主事につきましては、担当者が毎年変わるということも少なくないため、県が主催する指導主事会議に部会を設定しまして、外国人児童生徒等教育に関わる思いを共有しております。また、地域のコミュニティとのつながりを持つ国際交流協会や母語支援をしていただけるような方が活発につながるような地域日本語教室との連携も大切にしております。
 校内の体制づくりにつきましては、集住地域の取組を参考にしまして、広域を巡回している日本語指導スーパーバイザー(JSV)が散在地域の校内体制づくりについて助言をしております。左下の図でお示ししたものはその一例でございまして、地域の実情に応じた体制づくりが少しずつ進められております。個別の指導計画を活用していくことで、校内の様々な立場の職員を結びつけ、指導体制の充実を図りたいと考えております。
 資料12ページをご覧ください。最後に、本県の課題と対応について御説明いたします。本県の課題のうち一つは、資料の左側にございます日本語指導担当以外の教職員の関わりを一層充実させることにございます。もう一つは、右側にございます、教諭以外の人的リソースを拡充させることにございます。
 1つ目の課題につきましては、日本語指導を直接担当している教諭以外がどのように関わるのか、その具体例を実際に見ていただく機会が必要と考えまして、集住地域の学校で開催している日本語指導に係る研究協議会におきまして、日本語教室等の取り出し指導をしている教室だけではなく、在籍学級で担任等が行う通常の授業も公開の対象とすることで、学校全体の指導の在り方を考える機会としております。
 また、散在地域におきましては、広域を巡回しているJSVの特徴を生かしまして、巡回日以外、JSVがいない日の指導をいかに充実させるかを学校とともに考えていくことで、関係する教職員を広げていくとともに、関わった教職員の職能成長を促しております。また、県総合教育センターにおきまして、地域の中核を担う人材が研修を行う特別研修や長期研修の講座の中で、多文化共生教育に関わる内容を含めることで、人材育成を図っております。こうした取組により、日本語指導を直接担当する教職員以外でも、適切に指導に関われる環境を整えております。
 2つ目の課題につきましては、教諭のみの対応には限界があると考えております。昨今活用が進んでおります翻訳アプリの導入は、児童生徒の主体的な学習を促し、母語による学びを補助するなど、大変効果的であると認識しております。しかし、文化的な背景を理解し、日本での生活や学びに苦労した経験を有する母語支援員等の存在を翻訳アプリで代替させることは不可能と考えます。集住地域ではある程度安定して人材を見つけることができますが、散在地域では母語対応ができる方を探すことは大変困難です。散在地域におけるキーパーソンの発掘が必要と考えております。
 また、これに関わり、今後大きな課題となっていくのが、心理検査の対応です。学校現場では、学習が困難な状況にある児童生徒につきまして、日本語能力に課題があるのか、知的発達によるものなのか、見極めが大変困難であるという声がございます。外国ルーツの児童生徒に対する心理検査については、本来は母国版の心理検査キットを使用する必要がございます。また、そのキットで実際に検査できるのは母国で資格を持つ人とされております。現在、集住地域である本県の伊勢崎市におきまして取組を開始しておりますが、対応が必要とされる国や地域の数が多いことから、これを県内にそのまま広げていくことは現時点では難しいと考えております。いずれにせよ、県としては、外国ルーツの子供たちが安心して学べる環境を整えるために、教諭以外の人的リソースの拡充が必要であると考え、様々な努力を続けております。
 以上で、本県の取組について発表を終わります。御清聴いただきましてありがとうございました。
 
【平田委員】
 ありがとうございました。
 
【佐藤座長】
 平田委員、池田指導主事、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの発表につきまして御質問などがありましたら、お願いいたします。小島委員、どうぞ。
 
【小島委員】
  ありがとうございます。とてもすてきな魅力的なすばらしい実践を発表くださってありがとうございます。質問を2つさせてください。
 1つが、今お話にございましたJSVの方、また母語やルーツにつながる支援員さんたちのことについてです。この方たちの処遇等はどのようになっていらっしゃるのか、待遇等も含めて、教えていただきたいと思いました。
 2つ目が、こうした学級担任をされていらっしゃる先生方たちの採用についてです。群馬でも早くから取り組みをされている地域がおありで、この20年、30年間のなかで外国につながる子供たちがかなり育ってこられたのかなと想像いたします。そうしたいわゆるかつて「外国につながる子どもたち」、育ってきた方たちですが、群馬の中で育てられてきた人材が教職等につながっていくという場面の中で、積極的な採用等をされているような対応や取り組み等があるのか、教えていただけたらなと思いました。
 以上になります。
 
【佐藤座長】
 2点について平田委員、お願いできますか。
 
【平田委員】
 JSVは、県総合教育センターの長期研修員が担っています。
 
【池田指導主事】
 母語支援員につきましては、基本的には県内の市町村集住地域で任用いただいておりまして、県としては、その任用に関わる費用について、財政支援しているというところでございます。また、県立夜間中学校、県立高校に派遣している方については、県で任用しております。
 
【平田委員】
 地域の方の採用ということは、今あまり進んでいなくて、そんなには多くないですけれども、ただいらっしゃいます。非常にありがたい存在で、増えていけばいいなと思いますが、現状ではそれほど多くない状況です。
 以上です。
 
【小島委員】
 ありがとうございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。オチャンテ委員、どうぞ。
 
【オチャンテ委員】
 御発表、ありがとうございます。すばらしい取組を行われているのだと思って感心しました。
 一つ教えていただきたいのは、心理サポートが行われているということが発表の中にありましたけれども、恐らく通訳の方が間に入っているのか。そういう場合だと、通訳の方は、もし研修を受けているのであれば、どういった研修を受けているのかということを教えていただきたいのと、結構私の周りに、カウンセリングを受けたいけれども、スクールカウンセラーを断る、学校のカウンセリングを受けたくないと言われるような保護者が多いんですけれども、そういった実態がある中でのどういった取組を行われているのかなということは少し気になりました。
 あと、もし進学とか、先輩のロールモデルの取組もあったけれども、高等学校の進学率または退学率とかがもし分かれば、ぜひ教えていただければと思っています。
 以上です。
 
【平田委員】
 ありがとうございます。まず心理面サポート、伊勢崎はどうしていますか。
 
【池田指導主事】
 心理サポート事業につきましては、県の委託事業として行っております。皆さん、カウンセラーの資格をお持ちの方に務めていただいております。
 また、新たな人材発掘ということで、心理コーディネーター養成講座を開催しており、今回は17名ほどの方が参加いただいて、次の世代を担っていただくような方の育成も同時に行っているという状況でございます。
 
【平田委員】
 それは母語でカウンセリングを受けることは難しいかと思うので、通訳が入るのですか。
 
【池田指導主事】
 こちらは、カウンセリングの資格を持っている方が母語を使える方なので、ポルトガル語、スペイン語、英語に対応いただいていますので、保護者の方とも直接の会話、それから児童生徒とも直接の会話ができる。このような状況でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 続きまして、佐古委員、どうぞ。
 
【佐古委員】
 ありがとうございました。非常に魅力的なというか、興味のある発表をありがとうございました。
 私は2点ほど質問させていただきたいと思いますが、1点目は、スライド番号7番、在籍学級における学びということでございまして、これは学級づくりと授業づくり、2つのことが書かれておりますが、これは外国人の児童生徒等だけではなくて、広く日本の子供たちに対しても、安心して、そして分かりやすい授業という点では効果があると思いますが、これはそもそも外国人の児童生徒等に対する取組として考慮されたものなのか、それとも、そうではなくて一般的に、私は先ほど申し上げましたが、分かりやすく安心した学校づくりという文脈で考えられたものなのかということを教えていただきたい。これが1点目です。
 2点目は、スライド番号の11ページに個別の指導計画というものが出てまいりまして、これで教職員の指導をつなごうという工夫がされているということがございましたが、これも先ほどの質問と同じような趣旨なんですが、外国人の児童生徒ということに限定した個別の指導計画ということなのか、それとももう少し広い観点で、それ以外のことも含めて、気になる子供たちに対する個別の指導計画という取組となっているのかということ、この2点を教えていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【佐藤座長】
 よろしくお願いします。
 
【池田指導主事】
 1点目の在籍学級における学びにつきましては、こちらは当初、日本語指導を必要とする子供たちへの支援を想定して資料を作りましたが、これを日本語指導を担当しない教職員にも広く御理解いただけるように、県教育委員会として、誰にとっても分かりやすい授業になりますよという御案内をして、周知を図っております。
 2点目の個別の指導計画につきましては、特別の教育課程の編成に関わる個別の指導計画ですので、こちらは日本語指導に関わるものということでございます。こちらは、個別の指導計画はただつくって終わりではなくて、つくったものを複数の職員で何度も何度も見直したり修正したりすることで情報共有ツールとして活用しているというのが、群馬県の使い方でございます。
 以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、高階委員、お願いできますか。
 
【高階委員】
 高階です。貴重な発表をありがとうございました。
 資料の中で、全ての教員が一定水準の専門性を備えることというのが、3つの柱の一つとして取り上げられていましたけれども、この点については、大阪府においてもすごく重要な要素かなと思っています。大阪府に関して言うと、どうしても俗人的といいますか、先生方の熱い想いに頼ってきたところが否定できないかなと思っています。したがって、持続可能な制度となるよう、先生方の育成というのが課題の一つかなと私自身は認識しているんですけれども、何かその辺りについて取り組んでおられることがあれば、教えていただければなと思います。
 
【佐藤座長】
 では、お願いします。
 
【池田指導主事】
 一定水準の専門性につきましては、あまり難解なところではなくて、ポータルサイトの「ハーモニー」内の「基本を知る」というメニューで、冒頭、平田教育長が御説明申し上げた内容をどの先生にも御理解いただくということが、我々が想定している一定水準でございます。
 教員の育成につきましては、今、散在地域で巡回しているJSVの取組がまさにその仕組みです。直接の指導をJSVの本務としているわけではなくて、学校に対する、あるいは先生方に対する助言というのを一番の仕事としてお願いしております。実際にJSVが指導する姿を見ていただくことも研修となりますが、入り込み指導や、取り出し指導といったことを実際に散在地域の先生方に実践していただいて、学んでいただく。そこに多くの先生方が関わることによって、散在地域で日本語指導についてある程度知っているという方が増えていく、そのようなことを想定しております。
 また、総合教育センターの研修講座で、先ほど申し上げたとおり、中核を担うような先生方には改めて研修の機会を設けておりますので、そういったところで人材育成を図っていくということでございます。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは次に、横溝委員、吉田委員、野口委員と3人手が挙げられていますので、その順に簡潔にお願いできればありがたいです。よろしくお願いします。
 
【横溝委員】
 すてきな発表をありがとうございました。横溝です。先ほどの高階委員とちょっとかぶるところがあるんですが、全ての教員が一定水準の専門性というところで、教員の研修回数とか、何かそういった指標があったりするんでしょうか。教えていただけたらと思います。
 
【佐藤座長】
 お願いします。
 
【池田指導主事】
 特に研修回数等で定めているものではないということで、御理解いただければと思います。
 
【佐藤座長】
 では、吉田委員、どうぞ。
 
【吉田委員】
 ご発表、ありがとうございました。集住地域と散在地域が一つの県の中にあって、集住地域で得られた知見や人材、スキルが、散在地域の指導に生かされているというところが、とても素晴らしいモデルだなと思ってお話を伺いました。
 それで、質問させていただきたいのですが、先ほど母語支援者の待遇について話題が出たのですけれども、金額とかをお聞きしたいというのではなく、雇用の在り方をお聞きできればと思います。会計年度任用職員のような雇用のされ方なのでしょうか、という点をお伺いしたいです。
 それから、先ほど佐古委員も言及されていたスライドの11枚目についてですが、八幡モデルの校内指導体制の特徴について教えていただければと思います。この図は、例えば、個別の指導計画を中心に年度内で何度もケース会議を繰り返していくようなことをイメージしている図、という見方でよろしいのでしょうか。
 そしてもう一つ、先ほど御質問があった、私がもしかしたら回答を聞き逃したかもしれないのですが、高校の進学率、そしてその子たちが高校でどのくらい続いているのかというところの情報をいただくことは、今日は難しいでしょうか。すみません。もし分かれば、とても大切なところなので、教えていただければと思いました。お願いいたします。
 
【佐藤座長】
 では、お願いします。
 
【池田指導主事】
 失礼いたします。まずは母語支援員さんの待遇ですが、皆さんは会計年度任用職員ということで承知しております。
 2点目、八幡モデルにつきましては、こちらはJSVを配置しておりました高崎市の中学校区で行われた実践ですが、小学校、中学校、それから保護者、地域──地域というのは国際交流協会が母体になりますが、これを含めた連携のモデルとなります。個別の指導計画を使って相互に何度もやり取りをすることで、切れ目のない指導・支援の充実を図ったというような実例でございます。
 3点目、進学率につきましては、県全体ではなくて、「帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業」を活用している地域の中では100%近くの実績があるというのが今お伝えできるところでございます。
 以上でございます。
 
【吉田委員】
 ありがとうございました。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは、最後、野口委員、お願いします。
 
【野口委員】
 すみません、途中からの参加になりましたが、すばらしい御発表、ありがとうございました。特にこの在籍学級における学びというところは、障害のある子たちにとっても非常に有効だと思います。
 1点、質問なんですが、最後に課題の部分で、多言語版の心理検査に対応可能な人材ということがありました。現状、アセスメントがすごく難しいと思うんですけれども、この子はもしかしたら知的発達障害の傾向があるのかもしれないなという気づきの部分もすごく難しいのかなと思っていて、そこの部分は今どのような形で、何か基準があるのか、どういった形で学校内で共有されているのかというのをお聞きしてもよろしいでしょうか。お願いします。
 
【池田指導主事】
 こちらは大変難しい課題がございまして、正確な心理検査ということはもちろん難しいです。集住地域においては、母語支援員さんが入ることで、ある程度の見取りは可能にしていますが、そこに正確性があるかというと少し疑問があるというところで、伊勢崎市では取組を始めたということです。
 散在地域においては、当然、地域の教育支援委員会等で手続を進めているところですが、時折保護者から心配な声もありますので、丁寧な対応はしていますが、各言語に対応したツールや資格のある方がいないと、そういった声に正確に応えることが難しいと考えております。実際の子供たちの指導については、子供たちが能力を発揮できないような指導が展開されているわけではなく、それぞれの強み、よさ、能力を発揮できるような環境で学び続けているというのが現状でございます。あくまでも群馬県としては、今後の課題ということで御理解いただければと思います。
 以上でございます。
 
【野口委員】
 ありがとうございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございます。
 それでは、平田委員、池田指導主事からの御発表は、これで質疑を終えたいと思います。どうもありがとうございました。
 
【平田委員】
 どうもありがとうございました。
 
【佐藤座長】
 それでは、今の発表も踏まえまして、資料1、指導内容の深化・充実に関するこれまでの議論について、さらに議論を深めていきたいと思います。ぜひ各委員に1回は発言をしていただきたいと思いますので、先ほどまだ御発言をされておられない工藤委員、高階委員、それから野口委員の順にお願いします。事務局から説明のあった資料も含めて何でも結構ですので、お話しいただければと思います。まずは、工藤委員からお願いいたします。
 
【工藤委員】
 よろしくお願いいたします。資料1の2ページ目のところ、特に私は、3に示していただきました、「力」を引き出し、効果的な指導を行うための方策の検討というところで、母語の力を引き出すというところで、丸ポチの2点目のところに、デジタル活用も含めながら、「教科学習での学習語彙の活用について、具体的推進方策を検討すべきである」と御記載いただいたのがとてもありがたく思っております。学校で現在指導しているところでも、日本語指導に取り出しの形で行っているときに教科指導は進んでいるわけで、戻ってきて教科指導に入っていきますけれども、そこは現在担当する教科担当の教員も、日本語教室に行って日本語を学べば教科の学習もできるんだという認識があります。そうではなくて、母語の力を活用しながら学習効果を見ていかなければいけないという部分では、学習語彙というのは日本語の語彙だけではなくて母語の語彙という意味も含めまして、現在は本校でも、教科書によってはデジタル教科書の形でマルチリンガル教科書が配信されている教科がございます。もちろん教科書会社によってしまうので、現状、本校では理科と数学については母語が、もちろん10言語しか提供されていないので、あればということなんですが、それは母語による教科書そのもの、実際に日本語で学習している生徒と同じものを母語で見られるということがあります。そういった活用も、本来教科書というのは、この会議ではないのかもしれませんが、別のところでデジタル教科書の活用というのは議論されていると思いますので、そういった意味の具体的推進方策として検討できればありがたく思っております。
 私からは以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。具体的に、この3の2つ目の丸のところを今御指摘いただいたところです。
 それでは、高階委員、お願いいたします。
 
【高階委員】
 私も、学校現場の校長として一番関心が高いのは、3番の児童生徒の様々な「力」を引き出し、効果的な指導を行うための方策の検討の部分です。先ほど発言した内容とも少し重複しますけれども、そこのポイントというのは、いかに教員を育成するのかという点かと思っています。高校における教員というのは、各教科で採用されていますので、それプラスアルファ、生徒の日本語指導を、そういう能力を持ち合わせた先生にお願いしているという現状があります。実態として、日本語指導をする能力がなければ教員になれないということはありませんので、ハードルの高い話かもしれませんけれども、その辺りの制度化が進むと、そういった先生方も安心して学校現場で力を発揮できるのかなと感じております。
 感想めいた話ですが、以上となります。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 次は、野口委員、いかがですか。
 
【野口委員】
 ありがとうございます。すみません、冒頭の説明を聞けていないのですが、私としては、この2つ目の多様性を包摂する学校教育・在籍学級での学びの在り方というところで、そもそもの通常の在籍学級において多様性を包摂できるようにしていく、またユニバーサルな視点での学級づくり、授業づくりが展開される、そのための具体的な方策というところが位置づけられるというのは、非常に重要だと思っています。先ほどお話にあったデジタルの話もここに含まれるのではないのかなと思います。
 ちょうど先日4日にあった教育課程企画特別部会の中で、障害のある子供の教育課程の在り方について私から意見をしました。その際にも、基礎的な環境整備、例えば情報の提示の仕方というのを口頭だけではなくて、視覚的なものだったりとか、映像を用いたりとか、そういった情報の提示方法の多様性あるいは子供の表現方法の多様性というところを具体的に学習指導要領に盛り込んでいく必要があるのではないかということも提案しました。基礎的環境整備は障害のある子だけではなくて、外国につながりのある子にとっても改めて有効かと思いますので、一緒に推進していけたらなと思いました。
 ただし、先ほど御質問を差し上げた点で、障害のある子、障害があるかもしれないというところの気づきの部分がまた難しかったりすると思います。そこの部分について、すみません、既に何かツールがあるのかもしれませんが、何かしら調査・開発できたほうがいいのではないのかなと思っています。
 また併せて、母語で発達検査等をできる人材というのは本当に少ないと思うので、何かしら国全体でそういったオンラインでできる機関が必要なのか、特に特に話せる人が少ない言語の場合は非常に難しいと思うので、そこは国全体として方策を今後考えていく必要があるのではないのかなと思いました。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 今、齋藤委員の手が挙がっていますが、もう一人、平田委員のほうから、今日御発表をありがとうございました。もし今、画面で共有されているこの点について、あるいは1枚目について、何か御意見がございましたらぜひお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
【平田委員】
 どうもありがとうございます。
 資料1のところの、円がだんだん広がっていくところです。先ほどこの御意見もあったかと思うのですが、これだと、学校があって地域・社会という、この学校がまず受けて、それから地域・社会というところが、これは一緒にやっていくぐらいの色づけであったりとか、先ほど御意見があったように、一緒にやっていくような、こことここが連携してやっていくような図に変わるとよりいいかなと思います。段階的に関わりがということでは少しないようには思うので、この円を少し工夫していただけるとすごくありがたいと思いました。すみません。ありがとうございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。先ほど徳永委員からもこれは御指摘いただきましたけれども、なかなかこれは難しいですよね、この図の表し方というのは。端的に表現すれば、詳細な内容が消えてしまう。これは、図がいいのか、言葉がいいのか、これからまだ工夫が必要だと思いますが、いずれにしても、学校だけではなくて、学校を支える地域とともに子供たちを育てていくというイメージができるようなものがあればいいという意見でした。群馬県の取組もそうだったと思いますので、ぜひそういう方向で検討していきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、齋藤委員から、どうぞお願いいたします。
 
【齋藤委員】
 ここまでの議論を、日本語と教科の統合学習との関わりに集約しながら検討を進めていただければと思っているということを発言させていただきます。
 ICTの活用のお話がありました。次に、母語の活用、母語を生かすという話もありました(改行を削除)ストレングス・アプローチで、彼らはこれまでに学んできた学習の経験であったり、あるいは知識・技能、それから生活経験も含めて、それを生かしていくことの重要性の指摘もありました。これらの点を、内容に関わる学習を通して、探究型の活動の中で、言葉を一緒に使いながら高めていくという考え方に基づき関連付けて教育することを提案する必要があると思います。今の学習指導要領になってからの、アクティブラーニングの考え方などがまさにそれだと思いますが、この点を改めて、今回提示される指導内容・方法等を含めた全体像の中に明確にお示しいただきたいと思うところです。
 それは私の要望というよりも、先ほど来、群馬県の学校での学級づくりの中の授業の工夫であったり、それから先生方からICT活用で母語を利用できるようにというお話もありました。また、前半、吉田委員からも、母語翻訳頼りになってはならないという指摘とも関わります。母語の支援員がいればそれでいい、お任せみたいな現状も実はあります。ここまで皆さんが議論なさってきたことを、授業の質の向上というところで生かすために、教科に限らず、トピック型でも結構ですから、統合学習の授業運営についての考え方、それから授業づくりの方法、そして必要な授業の構成要素等を新たに今回提示いただけるとよろしいのではないかと思います。
 
その中で、学習語彙をどう扱うかということも多分併せて検討できるのではないかと思います。
 ありがとうございます。以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。齋藤委員も中心になってつくってきたJSLカリキュラムはまさにそういうことの発想が入っていたと思います。さらに探究型、プロジェクト型学習もこの新たな「日本語指導」の再定義のところで必要だという話だと思います。これは3のところでぜひそういう視点を生かすべきだという話だったと思いますけれども、個人的には大賛成です。
 ほかにどうでしょうか。どうぞ、せっかくですので、まだ残っている時間がありますので、御発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。それでは、吉田委員、バトラー委員から手が挙がっていますので、どうぞお願いします。
 
【吉田委員】
 ありがとうございます。先ほど私は「ことばの力のものさし」の話などをもうちょっと詳しく、とお話しさせていただきましたけれども、本当にこの3番目のところについて、どれだけ具体的に示されるのかということがとても重要だろうと思います。教科担当の先生や担任の先生などが在籍学級でどんなことができるのか、そこを具体的に伝えていくということをしないと、なかなか「でも現実的にはね」となってしまうのかなと思っています。
 ここでは出ていないので言うと、「やさしい日本語」を使うということも、本当はとても大切なのではないかと思っています。翻訳しても分からない新たな概念を学ばせなければならないときに、どんなことができるのかということが重要だからです。私はもともと高校にいたものですから思うのですが、高校の先生は教科専門ということで、専門的なことを専門的な言い方で説明するということには長けていらっしゃるんですけれども、それをいかに「やさしい日本語」で伝えられるのかということが大事になってくるのではないかと思います。そして、それは必ずしも日本語指導が必要な子供たちだけではなくて、ともすれば学びについていきにくい発達障害や学習障害を持った子供たちにとっても、「やさしい日本語」で伝えていくことは効果的であろうと思います。
 もちろんAIなどもそのためにも使えると思います。例えば、今のAIはすごいなと思うのは、専門的なことばを示して、「これをやさしい日本語にしてください」と言うと、一応頑張って「やさしい日本語」にしてくるんですよね。幾つかのAIなどで私も試してみたりしたのですが、例えばそのようなこともできたりします。
 教科指導の先生は、教科の単元の内容を教えなければということが大前提としてあります。だからこそ、その際に何ができるのかを示していくことが大切なのだと思います。「少し手はかかるかもしれませんが、でもこんな工夫はできますよね」、「こんなことはやってもらいたいんですよ」というかたちで、伝えていくことができればいいと思います。その上で、日本語指導を専門にしている先生や支援員と連携して、「今日、授業ではこんな様子でした」と伝え合いながら、双方でいろいろな工夫をしていくことができればいいなと思っています。この3のところをどれだけ厚くできるのかというのがとても大事ではないかということを改めてお伝えしたいなと思いました。ありがとうございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 前のJSLをつくったときに、あまりに学習指導要領の枠に縛られて、内容が非常に固定化してしまうという問題もあったんです。つまり、学年主義になってしまいますので、その辺の難しさもあると思うんです。内容が明確になるというよさと同時に逆に学年に縛られるという難しさもあるので、ぜひここは議論を皆さんと深めていければいいなと思います。
 バトラー委員、ではお願いします。
 
【バトラー委員】
 私のほうから、4番の指導体制の充実に向けてという点で1つ提案があります。情報の共有というのが非常に大切で、今日の発表でも本当に痛感したところですけれども、その中で、ひとりひとりの個別の児童の学びの情報の共有というのも非常に重要なのではないかなと思っております。外国につながる子供の中には、転校を繰り返したりとか、違う地域に行ったりとか、そういう場合もよくあるわけです。それから、同じ地域にいても、小学校と中学校、中学校と高校といった、学校間の情報共有というのが必ずしもスムースにいっていないケースがあるのかなと思います。
 私がたまたま知っている例で、韓国からの子供だったんですけれども、中学校1年生で、日本語の会話を聞いている限りではもう全く外国の子供かどうか分からないというほど高いレベルなんですけれども、日本語での読み書きはほとんどできないケースがありました。中学校の先生がびっくりして、この子は何らかの障害があるのではないかということで、特別支援教室に回したりとか、いろいろあったんですけれども、後で蓋を開けてみたら小学校の頃に不登校になり、学校にほとんど行く機会がなかったことがわかりました。こうした情報が学校間でなかなか共有しにくいということがあるかと思います。ですから、今、デジタルICTの利用の一つとして、個々の子供の学びの情報というものをいろいろな学校間で共有できる、また担任Sの先生と日本語の先生も共有できるといった何らかのシステムづくりというものがあるといいのかなと思いました。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。特別の教育課程では個別の指導計画をつくるということになっています。その個別の指導計画を学校だけに閉じ込めずに、ポートフォリオとしてほかと共有できるような仕掛けをつくるということであれば、十分対応可能ではないかなと、今バトラー委員の話を伺って思いました。ですから、制度的な枠組みはあるので、それをどのようにして運用していくのかという点について議論を深めていければなと思った次第です。
 
 オチャンテ委員、どうぞお願いします。
 
【オチャンテ委員】
 ありがとうございます。1ページの素案のところなんですけれども、今日はいろいろな意見が出たのでまた変わっていくとは思うんですけれども、先ほどの保護者とも関連はするんですが、「子供たちを支える大人」と書いているんですけれども、この中に保護者も含まれているかどうか、少し気になりました。図を見ると、学校があって地域があるんですけれども、保護者はどこに位置づけられているかが見えづらく、少しもやもやしながら見ていました。恐らくこれから変わっていくと思うんですけれども、保護者、家庭はどのようにこの枠組みに入るのか、明確にしていただけると分かりやすくなると思い。意見を付させていただきました。
以上です。
 
【佐藤座長】
 これは、事務局、どうですか。子供、大人、学校全体と書かれていますので、教師だけではなくて保護者も含まれているように理解できると思うんですが、事務局のほうはどうですか。
 
【片桐調査官】
 ありがとうございます。こちらの図については、学校全体、大人、子供と示させていただいているんですけれども、こちらの3ページ目に参考資料というのをつけておりまして、それぞれの説明が実はあって、この2の「大人」の最後のところに「家庭・地域・関係機関と連携」というものもありますので、保護者というのももちろん入ってくるところなんですけれども、こういった辺りがよく分かるように、皆様からたくさん御意見をいただきましたので、イメージ図のほうも考えさせていただければと思います。
 
【佐藤座長】
 オチャンテ委員、よろしいですか。確かにこの3ページの2のところに「家庭・地域」とあります。
 
【オチャンテ委員】
 参考資料の中には1点、書かれてはいるのですが、学校だけではどうしても対応できないことがたくさんあるので、やはり保護者も巻き込んでいかないといけないのかなと、私は強く感じています。それが、誰から見ても分かるような形で示していく必要があるのではないかと思い、コメントさせていただきました。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございます。確かにそうですよね。この図の描き方はなかなか難しいですよね。先ほど話をしたように、簡略化すると、もともと含まれていたものが消えたり、いろいろと難しさはあります。図がいいのか、あるいはほかの書き方がいいのか、その辺のところをまた改めて少し事務局と相談もしてみたいと思います。
 ほかにいかがですか。どうぞ、残りあと10分くらいありますので、もう少し皆さんの御意見を伺えると思いますので、この際ですから、どうぞ皆さん自由に。
 
では小島委員どうぞ。
 
【小島委員】
 ありがとうございます。次の話になるのかなと思いつつも、先ほどの論点の4つ目になるのかなと思いながら、母語支援員さんたちのところですね。支援体制の充実というところでは、先ほどの群馬県の御報告でもございましたけれども、すごく大事なポジションでいらっしゃるものの、待遇というところについては、身分が不安定なところが大きいと思っています。非正規雇用だったりとか、ボランティアという扱いが、これから調査されるところではあるかもしれませんけれども、待遇というところについて改善できるような対応、特に制度設計というところとか財政支援というのは大きいんではないのかなと考えます。
 一方、それに併せてですけれども、こうした群馬県をはじめ集住地域であったところについては、そうした子供たちがかなり成長していると思うんです。大阪府もそうだと思います。そうした方たちがより活躍できるようなところ、特に多様な言語に対応できる教諭ですとか、多様な背景を持っている方たちが学校現場の中で積極的に活躍できるような対応というのが制度を展開されるような形になっていくことが、より指導体制の充実につながっていくのではないのかなと、本日の発表も伺って思ったところでした。
 以上になります。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。どうしても財政的な裏づけというのは必要になるので、その辺のところをどうするかというのは、また議論をしていければと思います。
 それでは、吉田委員、齋藤委員、お願いします。
 
【吉田委員】
 ありがとうございます。先ほど話題になった、円の重なりについてちょっと考えたことがあったので、一言だけ申し上げたいなと思います。保護者をどこに入れるのかといったときに、この「子供」のすぐ外側の小さい輪になっている「子供たちを支える大人」のところに保護者は入るのではないかと考えます。外側の地域や社会と家庭を一緒にしてしまうのではなくて、「子供たちを支える大人」のほうに保護者が入ってくるのではないかということです。実際に青森県の支援でケース会議を行うときには、保護者に入ってもらうということをよくやっています。保護者は、地域社会とは位置づけが違って、本当にすぐ子供の隣で教員と連携しながら育てていく存在だと思うからで、外側に置いてはまずいのではないかということを考えました。これをお伝えしたいと思いました。ありがとうございました。
 
【佐藤座長】
 とても重要な指摘ですよね。ありがとうございます。改めてこの図をどうするか、考えていきましょう。
 それから、では、齋藤委員、どうぞ。
 
【齋藤委員】
 すみません、手短にということで、1点目ですけれども、児童生徒の情報をどのように共有しながら把握し、学びのサポートの連続性をつくっていくかというところに関してです。横浜市の研修でのエピソードですので、横溝委員にお話しいただいたほうがよいのかもしれませんが、学校内でロイロノートを利用して、教員間で子供たちの実態を共有しながら内容を検討したという取り組みがありました。リーダー研修という、日本語指導を長年なさっている方々の研修の一環として、先生方自身が課題を設定して検討するプロセスで、学校の中で情報共有の仕組みを開拓していったというケースです。学校単位あるいは、先ほどであれば群馬県ではもう進めているのかもしれないんですけれども、デジタルで学習ログを活用するということです。セキュリティの問題はとても大事ですけれども、モデルのようなものを提供しながら検討していくということが考えられると思いました。他にも、Teamsを活用している高等学校さんなどもあります。
 それからもう1点ですが、先ほど、日本語指導・外国人児童生徒等教育に関して学習指導要領にはどのように載せることができるんだろうかという話題がでました。目指す資質・能力について、グローバルな観点から、またこれまで検討したOECDの資質・能力では大きな資質・能力項目になるため、学習指導要領の「知識・技能」、「思考力、判断力、表現力」、「学びに向かう力」との関係として、どのようにマッチングさせる、配置するかが難しいという問題があるのではないでしょうか。今後の検討のポイントになるのではないかと思います。そこで、指導要領には教科それぞれに目標が設定され、その目標を達成するために3側面の資質・能力を高めるという書きぶりになっているかと思います。それを参考に、この「日本語指導」の再定義のプロセスで、目指す資質・能力の検討を進めるのがよいのではないかと思います。学習指導要領で掲げている「知識・技能」「思考・判断・表現力」「学びに向かう力・人間性」という3つの資質・能力の枠組みをうまく利用しつつ、外国人児童生徒等の日本語指導で目指す資質・能力の設定を行うことを、提案させていただきます。
 以上です。
 
【佐藤座長】
 それでは、横溝委員、さっきの横溝委員に話をしてもらったほうがいいという齋藤委員のお話ですので、付け加えていただければと思います。
 
【横溝委員】
 手短に話すのはとても難しいんですが、外国につながる子供たちが横浜市には非常に多いので、それぞれの国際教室担当者が自分の学校の課題を見つけながら1年間研究を進めるということをやっています。日本語指導の先生方が、より専門性を高めるためにというところで研修を続けているような現状です。またどこかでお話しできたらと思っています。
 せっかく当てていただいたのでもう1点だけ。先ほどの群馬県の御発表の中で、外国人児童生徒といることがより多様な状況をつくり出すことができるとか、日本人と外国人が対等な関係を構築するというのが非常に重要だなと思っています。そのイメージがどこかで皆さんと共有しながら先生方に広まっていけば、さらに子供たちがよりよい活動ができるのではないかなと感じました。
 すみません、うまく説明できなくて。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは時間が迫ってまいりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきます。
 本日は、平田委員、それから池田指導主事に発表いただきました。ありがとうございました。改めてお礼申し上げます。また、皆さんから様々な御意見、御提案をいただきました。これまたお礼を申し上げたいと思います。
 本日いただいた御意見等は、事務局のほうで整理していただきたいと思います。なかなか1枚にまとめるのは難しいということがあります。どういう形で我々の議論を深めていくために論点を出すのがいいか検討していただければと思います。
 最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
 
【片桐調査官】
 皆様、今日もたくさんの御意見をどうもありがとうございました。資料の内容面も、イメージ図にも、たくさんの御意見をいただきましたので、こちらを踏まえまして、またまとめまして、次の回に提示させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後、資料3になりますが、次回以降の日程についてでございます。第5回の会議は7月25日金曜日の16時から、その次の第6回の会議は8月28日木曜日の10時からを予定しております。
 以上でございます。
 
【佐藤座長】
 ありがとうございました。改めて、7月25日16時、それから8月28日10時ということですので、ぜひ予定をお願いします。
 それでは、本日の会議はこれにて閉会したいと思います。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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