「令和の日本型学校教育」を推進する学校の適正規模・適正配置の在り方に関する調査研究協力者会議(第1回)議事録

1.日時

令和7年3月5日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 ※対面・WEB会議の併用(傍聴はYouTube Live上のみ)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 公立小中学校の適正規模・適正配置について
  2. 貞広委員からの御発表
  3. 丹間委員からの御発表

4.議事録

【貞広座長】  では、定刻となりましたので、ただいまより、「令和の日本型学校教育」を推進する学校の適正規模・適正配置の在り方に関する調査研究協力者会議を開催いたします。本日は御多忙の中、また足元の悪い中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は本日司会を務めます貞広と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事に入ります前に、望月初等中等局長より一言御挨拶を頂戴します。よろしくお願いいたします。

【望月初等中等教育局長】  皆さん、こんにちは。このたび御多忙のところ、調査研究協力者会議の委員をお引き受けいただきまして、どうもありがとうございます。
 私が申し上げるまでもなく、少子化が進んでございまして、学校の適正規模・適正配置、学校の統廃合等については、もう今やどこの地域でも切実な課題であると考えてございます。文部科学省では、平成27年に公立小中学校の適正規模・適正配置に関する手引を作成いたしました。各自治体がそれを参考としていただいて、それぞれの地域の事情、実情を踏まえまして、この10年間、いろんな形で子供たちの学びを豊かにしていく観点から、いろんな検討を重ねたり、あるいは工夫をされていると承知してございます。
 現在、GIGAスクール構想を進めていることも承知をしているところでございますが、このGIGAスクール構想の中にあっても、子供たちの学びというのは、教師や地域の方からのface to faceでの学びというものを基本としながら、より効果的にデジタルを使っていって、新たな学びの姿を教職員全体の環境整備とともに進めていこうということを今、これは国を挙げてというか、国も自治体も、それから学校も一体となって進めているところでございます。
 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実という中において、これからますます児童生徒の数も減少としていくことが予想される中で、学校の適正規模・適正配置に関する検討や、あるいは学校施設の老朽化の状況なども鑑みて、いろんな意味で教育環境をどう地域の実情も踏まえた形で整えていくかということを改めて検討する必要があるのではないかという観点から、今回のこの協力者会議を設置させていただきました。
 27年の手引のときに、実はその策定に御参画いただきました貞広先生に今回座長をお願いしてございまして、今回、この27年の手引の改定なども視野に置きながら、皆様方の御知見、それからこの10年、あるいはこの先また10年、20年で起こってくる状況なども踏まえた形で、御専門の観点、あるいは現場での実践の観点も含めまして、御意見、御知見をいただきまして、この会は、そんなにずっと長くやろうと思っていませんけれども、およそ大体1年ぐらいの間で御検討いただければ幸いでございます。
 どの地域でも、今、課題となっていることにつきまして、今回こうして新しく会議体を設けさせていただくことにつきまして、是非、多くの皆様方に自分事としてそれぞれ考えていただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【貞広座長】  ありがとうございます。今言及いただきました、その27年の手引ですけれども、そのときはそのときで、最大限の知恵を集約して練り上げてつくったものだったんですけれども、恐らく我々が想定した以上に状況の変化というものがあって、今回再検討が必要になったということと理解しております。ありがとうございました。
 続きまして、本調査研究協力者会議につきまして、主な検討事項、開催方法等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

【渡邉教育制度改革室長】  初等中等教育企画課教育制度改革室長の渡邉でございます。よろしくお願いいたします。
 資料の1を御覧いただければと思います。本調査研究協力者会議の開催についての決定の文書ということでございます。
 1.の趣旨につきましては、今、局長から御説明させていただいたところでございますので、割愛をさせていただければと思います。
 2.の主な検討事項でございますけれども、4つ挙げさせていただいております。まず1点目、教育効果や通学負担、また効果的な遠隔教育の実施等を踏まえた学校、学年、学級の適正規模、学校の適正配置の在り方について、改めての御検討をお願いしたいということが1点目であります。
 2点目が、弾力的な学校配置を可能とする仕組みということで、具体的にはスクールバス等の通学支援でありますとか、分校・寄宿舎の設置などを含めたその在り方について、御検討をお願いしたいということでございます。
 3点目が効果的、効率的な学校の存立に資する工夫ということで、具体的には他の公共施設の複合化でありますとか、社会体育施設との共用化等、そういったことの在り方についてということでございます。
 4点目その他ということで、学校の適正規模・適正配置を推進する教育行財政の在り方ということで、この中には廃校の活用ということも含まれてこようかとも思いますけれども、そういったことを挙げさせていただいております。
 以上、これらに限定されるものではございませんけれども、主なものとして検討事項として挙げさせていただいているものでございます。
 3.開催方法でございますけれども、委員の皆様をこの後、御紹介をさせていただきたいと思います。そして、2つ目にあるとおり、本会議は原則として公開をしてございまして、本日もオンラインにより多く傍聴をいただいているという状況でございます。
 少し順番が前後しますけれども、本日の資料の確認を引き続きさせていただければと思います。議事次第にございますとおり、今私が申し上げました資料の1番から資料の4番まで、本日資料を御用意しております。不足等がございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。
 それでは、続きまして、本協力者会議の委員の皆様を資料1の別紙に委員名簿がございますので、それに沿いまして御紹介をさせていただければと思います。
 本日、オンラインで御参画いただいておりますけれども、加藤崇英委員でございます。よろしくお願いいたします。

【加藤委員】  加藤でございます。よろしくお願いいたします。

【渡邉教育制度改革室長】  そして、冒頭より座長をお務めいただいております貞広斎子委員でございます。

【貞広座長】  よろしくお願いいたします。

【渡邉教育制度改革室長】  猿田和孝委員でございます。

【猿田委員】  よろしくお願いします。

【渡邉教育制度改革室長】  丹間康仁委員でございます。

【丹間委員】  よろしくお願いします。

【渡邉教育制度改革室長】  牧野光朗委員でいらっしゃいます。

【牧野委員】  よろしくお願いします。

【渡邉教育制度改革室長】  皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 私から一旦以上でございます。
 
【貞広座長】  ありがとうございます。それでは、早速でございますが、本日の議題に入ります。議題1といたしまして、公立小中学校の適正規模・適正配置に関わる現在の状況につきまして、文部科学省より御説明をいただきます。では、渡邉教育制度改革室長、よろしくお願いいたします。

【渡邉教育制度改革室長】  それでは、資料の2を御覧いただければと思います。本件に係ります学校の適正規模・適正配置に関連しまして関係の資料を集めたものとなってございます。本日時間も限られてございますので、主なところのみ、かいつまんで御紹介をさせていただければと思います。
 最初にスライドの5番をお願いしたいと思います。公立小中学校の数と児童生徒の数の推移ということで、平成元年から令和6年度までをグラフに表しているものでございますけれども、少子化と相まって学校の数、児童生徒の数ともに大きくこの間減少しているということでもございますし、また、少子化の進行に伴ってこうした傾向が継続することが想定されるということでございます。
 次の6番目のスライドでありますけれども、公立小学校の学級数の割合を経年の推移でお示ししたものでございます。右下の点線囲みにございますように、学校教育法施行規則において、小学校の学級数について12学級以上18学級以下を標準とするというように定めてございます。すなわち1学年2から3学級ということでございますけれども、グラフの中に丸囲みでお示ししていますように、この標準の規模に満たない学校が近年減少傾向にはございますけれども、いまだ約4割あるというところでございます。
 次の7番目のスライドを御覧いただければと思います。こちらは中学校について同じ情報を整理したものでございますけれども、中学校の標準学級数も右下にありますとおり、12学級以上18学級ということで、1学年にしますと4から6学級ということになりますけれども、丸囲みにありますように、同様の傾向がございまして、いまだ5割のところで標準に満たない学校があるというところでございます。
 次のスライドの8番でありますけれども、公立の義務教育学校の数と児童生徒の数の推移をお示ししたものでございます。義務教育学校は平成28年度から制度化されてございますけれども、適正規模を図る上での一つの手段としても活用されて、その学校数、児童生徒数とともにこの間伸びてきているという状況がございます。
 少し飛んでいただきまして、スライドの14番をお願いできればと思います。「学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」ということで、文部科学省において、近年では2年に1回をめどに調査を行っているものでございます。その概要をお示ししたものでありますけれども、赤枠囲みの中にありますとおり、まず都道府県に対する調査として、域内の市区町村における学校規模適正化に関する現状認識ということを問うていますところ、半分以上の市区町村において検討課題になっているというように答えていただいているところが81%の都道府県ということでございます。
 また、下の赤枠内でありますけれども、市区町村に対する調査において、域内の学校の適正規模に関する認識として、「おおむね適正規模である」とお答えいただいているのが25%ということで、それ以外につきましては、何らか地域においてその適正規模の課題があると認識されているというような状況がございます。
 次に、スライドの16番をお願いできればと思います。公立学校施設を取り巻く状況ということで、公立小中学校の経年別の保有面積を棒グラフで表しているものでありますけれども、色がついております学校の部分、半数以上の施設が築40年以上経過しているということで、そのうちピンク色の部分、約7割が改修を要する施設と整理をされておりまして、学校施設の老朽化が進行しているということで、その安全上の不具合等が生じることも懸念されているという状況でございます。
 次に、少し飛びまして、スライドの24番をお願いできればと思います。学校の適正規模・適正配置に関する基本的な考え方ということで、文部科学省として従前お示しをしている内容でございます。児童生徒が集団の中で個々の資質や能力を伸ばしていくという学校の特質を踏まえると、学校は一定の規模を確保することが望ましいということで、先ほど御紹介をしましたような学校の標準規模を定めているという状況でございますが、下の点線囲みでございます。学校規模の適正化というのは、あくまで児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据えるべきだということで、例えば統廃合の結果、極端に長距離の通学が求められるというようなことは課題にもなってくるということでございます。
 また、2つ目の丸にありますように、学校は教育の場だけでなく、その地域のコミュニティーの核としての役割もあるということでございまして、そういったことも総合的に勘案して、統廃合することも、小規模校として存続させることも、設置者である自治体において御判断いただく必要があると、そういうようにしてございます。
 次のスライド25からが、冒頭より話が出ております、平成27年に策定しました公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引、その概要についてお示しをしているものでございます。
 まず、1番のところで今申し上げたような基本的な考え方を整理しますとともに、2番の学校規模の適正化のところにおきまして、学級数の状況ごとに必要となる対応の大まかな目安ということをお示しし、3番、学校の適正配置(通学条件)というところで、従来施設の基準として、小学校についてはおおむね4キロ以内、中学校についてはおおむね6キロ以内という基準があるわけでございますけれども、加えてスクールバス等の利用を含めた場合の通学時間として1時間以内を一応の目安としてお示ししているなどしております。
 次のスライドですけれども、4番でございます。学校統合を検討する場合の留意事項として、保護者・地域住民と教育ビジョンを共有しながら、理解を得ながら協議を進めること、その留意点や工夫の例をお示ししていますのとか、5番ですけれども、一方で小規模校を存続させる場合の教育の充実方策ということで、メリットを最大化して、逆にデメリットを最小化するような工夫の例などをお示ししているところでございます。
 6番はまた、休校した学校の再開についての工夫例でありますとか、スライド27番におきましては、都道府県の指導・助言・援助の在り方ということについてもお示しをしているということで、本件に係る様々な観点からの場合に応じた手引ということをお示ししているところでございます。
 次に、スライドの35番まで飛んでいただければと思うんですけれども、文部科学省としての関連の予算支援方策などについてまとめているものでございます。
 まず、一番上にありますのは、今申し上げた手引きということでございますけれども、予算に関連するものとして、左側半分は学校統合に関連するものであります。
 1つ目として、施設整備への補助ということで、原則2分の1の国庫の負担であるとか補助といったものを支援していることでありますとか、2点目として、教員定数の加配措置ということで、統合前後の期間に係る指導体制の構築を図るものでありますとか、3点目として、スクールバス等の購入費補助ということで、統合に伴うものも含めてのスクールバス等の購入費、通学支援などに係るものを予算として用意しているというものでございます。
 また、右上の緑の部分でありますけれども、一方で小規模校を存続させる場合の教育活動の充実のためのものとして、小規模校への教員定数の加配措置などとして複式学級の解消を図れるような定数の加配などもしているという状況でございます。
 次に、スライドの37番をお願いできればと思います。論点の一つにも挙げさせていただきました、学校を中心とした他の公共施設との複合化・共用化につきまして、その施設の高機能化・多機能化を図るでありますとか、公共施設の有効活用、ないしはその財政負担の軽減等のために、こうした取組も期待されるというところでございますけれども、下の表の中にありますとおり、放課後児童クラブとか、地域防災備蓄倉庫との複合化なども含めますと、何らかの形でそういった複合化などを行っているところが約40%あるというものでございます。
 次のスライド、38番でありますけれども、そうした複合化・集約化に係る施設に係る予算として、そういった複合化・集約化を図る事業につきまして、改築事業や長寿命化改良事業、通常3分の1であるところを2分の1に引き上げているというような取組をしているところでございます。
 次にスライド39をお願いできればと思います。特に学校のプールということで、近年、昨年でも、学校のプールの水の止め忘れで被害が生じたとか、プールでの痛ましい事故でありますとか、その管理についての課題が近年においても課題になっているところでございます。そうしたことにつきまして、学校プールを共同利用するでありますとか、公営プールや民営プールを共同利用するでありますとか、ないしはその学校のプールを社会体育施設として整備をして活用していると、そのような事例なども自治体に対しましてお示しをしているというものでございます。
 最後に資料が飛びますけれども、スライドの60番でございます。本件は大きな課題になっているということで、文部科学省にも日々、各自治体の皆様からお問合せをいただいているところでございます。その中に少なからず、他の自治体の優良な事例を教えてほしいというものも多く含まれているところでございまして、そういったニーズも含めまして、毎年度、文部科学省では学校魅力化フォーラムというものを開催して、統廃合の事例でありますとか、小規模校を存続させて魅力ある教育活動を行っている事例などを含めまして御紹介させていただいているということで、委員にも加わっていただいております秋田県五城目町の取組など、昨年も御紹介させていただくなど、取組をしているところでございます。
 その他本資料につきまして様々ございますけれども、割愛をさせていただきます。必要に応じて御参照いただければと思います。
 私からは以上でございます。

【貞広座長】  ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして御質問等がある方は、対面の方は名札を立てていただき、オンラインの方は手を挙げるボタンを押していただければと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。また後でも御質問は受け付けられますので、何かありましたらお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして議題2に移りたいと思います。では、議題2ですけれども、私のほうから露払いということで資料の提出をさせていただいておりますので、そちらの説明をさせていただければと思います。資料3を御参照いただければと思います。未整理でたくさんスライドを作ってしまったので、全てに言及するということではなく、かいつまんでお話をさせていただければと思います。
 まず、1ページ目をお願いいたします。こちらは自己紹介です。私は何年かかけて、いろいろな機会をいただいて、学校の適正規模・適正配置、私は学校再配置という言葉を使っていますけれども、その研究をさせていただく機会に恵まれてまいりました。文科省さんの委託研究に関わることもありましたし、科研費をいただいて、この課題に関わってきたっこともあります。本日この中で御紹介したいと思っているものは、文科省の委託研究や、千葉市さんからの委託研究「千葉市における小・中学校の適正規模・適正配置の在り方について」というものについてです。
 後者は、こういう報告書になっているんですけど、学校規模と子供たちの学力の関係性や、先生方から見た教育活動と学校規模の関係性や、統廃合の経験の有無ということについて定量的に分析をさせていただいているものです。また、「学校規模態様・学校ネットワーキングの可能性と学校教育活動」というのは、これは文科省さんの委託研究で、紙媒体の報告書にはなっていないんですけど、文科省のホームページに恐らく残っているんだと思います。次のページにそのアウトプットの一例を地図として挙げています。道路ネットワーク距離を使って小中学校のネットワーキングがどれぐらい可能かということをシミュレーションしたものです。実際には、どうしても1割ぐらいの小学校については、なかなか物理的なネットワークも難しいというような結果が出てきているものですけれども、そういう研究をしてきています。
 また、科研費のほうでは、実は今日御参加いただいている茨城大の加藤先生とか、筑波大学の丹間先生と一緒に、いろいろな地域の学校適正配置の政策についてフィールドワークなどをさせていただいてきました。その中では、小規模だからどう、大規模だからどうというのではなく、それぞれの学校規模に応じた適切な学校マネジメントの在り方があって、その不一致が起こっているときにマネジメントクライシスが起こるということであるとか、ですから、デメリットとメリットが反転している状況の中で、それが相殺されるので比較的中規模だと、そういうマネジメントクライシスが起こりにくかったというようなことが実証されたところです。
 また、私が研究代表をしている2011年からの研究ですと、これは今日、丹間先生のお話の中でも出てくると思うんですけれども、行政側がこれで統廃合しますとバンと一つのプランを出すというのではなく、エビデンス等で検証された幾つかのプランを出す中で、住民の方々がそれを学んで、学習して、どれを選択するか自ら主体的に考えるプロセスが必要であるということや、科研の一番最後に書いてあるのは、全然私どもとは領域の違う都市工学の先生がやっている基盤研究に参加をしているんですけど、コンセプトはウォーカブルシティというのですね。人間が健康で暮らすためにはできるだけ歩いて暮らせるようなまちづくり、都市づくりをするというときに、日本の学校は歩いて通えるということ、それも子供たちだけで通えるという、とんでもなく世界的にはレアな、これは資産だと思うんですけれども、これをどんなメリットがあるのかとか、いかに残していくかということを研究しています。
 私はこれとは別に、実は昔、半分面白くてというか、道草の研究をしたことがあります。子供たちが、本当は下校時に道草しちゃいけないんですけど、いろんなところで先生の目もなく、保護者の目もないところで、自由で多様な実体験をして楽しんで、いろいろ若干、本当に危険だとまずいんですけど、ちょっとぎりぎりぐらいの冷やっとするような経験もしつつ、その経験を積んでいく道草のメリットのようなものを研究したことがあります。それもこのウォーカブルシティという考え方にも通底するものかもしれません。
 次のスライドが、今もう映していただいていますけれども、こういう結果を幾つか、3つだけ挙げていますけれども、このような論文にまとめさせていただいています。
 次のスライドに行ってください。基本的に、今日御報告する基本となっているのは、この「人生100年時代の学びと勤労の多様化~学びは学齢期に閉じ込められない」ということです。上にあるのが3ステージモデル、下がマルチ・ステージモデルと言われるものです。私は昭和の人間ですので、完全にこの3ステージモデルを想定した生き方をしてきているわけですけれども、これからは、一人の人が複数の仕事を経験したりとか、学び直して別の仕事に携わったりとか、また全く別の活動をしたりということで、学齢期だけに学んでという社会ではもう既になくなっています。
 私の研究室の卒業生もファーストキャリアといって、ずっと同じ会社で勤めるということをほぼもう最初から想定しておらず、3年ごとに職場を変えし、その中で学びながらキャリアアップしていくということを想定しています。そのようなキャリアプランの下では恐らく学校にいる間、18歳まで、または22歳までに学べば済むということではなくなるわけです。
 次のスライドをお願いします。そうすると、今までのような知識集約型からむしろ知識活用型や価値創成型にいくと考えられます。そうすると、学齢期だけ学んでいればいいとか、知識を集約してればいいということではなくて、むしろ生涯にわたる自律的な学習者になり、自立的であり続けるために、いかに学齢期の基礎的な学びをベースにつくっていくかということが大事になると思います。
 幾つかキーワードを挙げていますけれども、学校学力から生涯学力へとか、学び続ける能力は、個々人が生きていく上での基本スペックのサバイバルツールであるとか、または、だからこそ、学校の先生方も、この学校段階を卒業するときの子供を想定するというよりも、この子たちが例えば35歳ぐらいになったときにどういう社会のつくり手になるのか。そのために子供たちに今どういう学びや学び方ということを保障しなければいけないのかという思考を持っていただくことが必要だと思っています。
 次のスライドをお願いします。丹間先生や加藤先生といろんなところにフィールドワークに行きますと、確かに人口はすごく減少していて、子供たちの数もすごく少なくなっているんだけれども、地域の文化的とか教育的価値の重視とか、そういうポテンシャルがすごく高い地域があって、小さい学校だから子供たちの学びが保障されていないとか、地域の方々がその学びの保障に関わっていないというわけではないことがわかります。言い換えれば、地域の文化的ポテンシャルとか教育を重視する具体的な姿勢によって、いかようにも小さな学校も支えられているような状況もあります。
 そういう地域はたくさんあるんですけれども、ただ、こうした文化資源の過剰依存というのは、せっかく持っているこういう資産は目減りする可能性もあるということで、不断に修正や新陳代謝が必要になるだろうという危機感も持っています。
 地域にとって主体的・継続的な学習者は地域の最重要な資源ですし、個人にとっても個々人が生きていく上の基本スペックになるわけです。そうなると、主体的・継続的な学習者を、いかに小中学校の学びをベースや核として育成していくのかということが必要になります。そのための適正規模・適正配置という考え方になると考えています。
 次のスライドをお願いします。ここでは、唯一の適正規模・適正配置は存在するのかという問いかけや、次のスライドだと、教育効果の面から適正規模・適正配置が存在するのかという問いかけを書かせていただいております。結論としましては、国際的に見ても、学校規模と教育効果に関わる複数国の横断的レビューの結果、知見の一般性と信頼性を併せ持つような、ランドマークとなるような研究はないという結論がメタ分析からなされています。
 つまり、’one-size-fits-all’ solution、つまり、全てのものを解決するようなベストのサイズは存在しないということです。地域特性や諸条件は様々です。また、学校も様々なサイズがあるので、むしろ様々なサイズがあるということを想定して、今目の前にある学校の学校規模を最適にするように、これはサイズを変えるのではなく、地域や教育行政が適切な方策を取れるかということが問われているということだと思います。
 また、その方策を取るときに、これは27年の手引にもありましたけれども、小規模校と大規模校のメリットとデメリットというのは反転していることに着目する必要があります。これは実際に定量的にも分析して確認をしているわけですけれども、この正負の効果が反転しているということは、今の目の前の規模を最適規模にするために、この正負を反転させるような手だてを必ず取っていく必要があるということが分かります。
 10ページ、11ページのスライドは、実際に学校の先生方のローカル・ノレッジということに着目をして、正負の効果が反転しているものを定量的に分析したものを参考として載せています。
 12枚目に行ってください。12から14枚目のところは、これまでの研究知見から見た政策への含意をまとめています。
 含意の1です。統合と非統合、適正規模校と非適正規模校を二項対立的に捉え、一方のみを評価することは慎重である必要があると思います。むしろ、反転する正負の効果を明確に捉えた上で、ほかの諸要素を含めて、各自治体が当事者として総合的に判断をする必要がある。これは手引と全く重複するものだと思います。
 その際に考慮するべきほかの要素としては、例えば物理的な統合可能性だけではなく、施設の老朽化の程度であるとか、今後の学習指導要領改訂に伴う学びのスタイルの変化等が想定されると思います。
 合意2です。統合施策を選択する場合も、小規模校を残すことを選択する場合も、反転するメリットを最大化し、デメリットを最小化する支援策を自治体が講じる必要があります。例えば、統合においては、生徒指導上の課題が深刻化しないように、一方、小規模校を残す場合は、子供のコミュニケーションの多様性が損なわれたり、教員の負担が過重になったりしないように、学校間連携の仕組みや人員配置も含めた具体的な支援の力を強める必要があると思います。世界的に見ても、こうした学校のネットワーキングというものは複数の国で導入をされて、効果を上げているものであります。
 スライド14枚目に行ってください。合意3です。このように考えると、恐らく学校のマネジメントも、小規模校は小規模校なりの、中規模校は中規模校なりの、大規模校は大規模校なりのマネジメントがあります。校長のマネジメントの重要性が改めて示されています。与えられているリソースを最大限活用するにはどうしたらいいのかというカリキュラムマネジメントの視点も重要になってくると思います。
 管理職は、メリットとデメリットの判定を見極めて、規模に合致したマネジメントを行う必要がありますし、校長研修などでも、規模とマネジメントについての関係性というのはあまり行われてこなかったと思うんですけれども、これはリソース活用効果の最大化という観点から、恐らくもう少し学校の先生、校長先生方に考えていただくということも大事かなと思います。
 では15枚目に行ってください。では、自治体さんのほうにはどのようなことをお願いしたいのかということです。まず、1つ目は新しい能力観に基づく学習環境の整備です。これはGIGAスクール構想の導入によってもフェーズがかなり変わったと思いますけれども、small is beautifulだけではないということです。小集団であればいいということだけではないので、主体的・対話的で深い学びを実現し、子供たちに価値創成型の学力を身につけるにはどういう環境が必要なのかということを考えていただくということです。更に、これ以上統合できない1小1中の先とか、統合しても小規模校である学校の先を思考する必要があるということです。
 最後に、動態的相互参照モデルの駆動と書きましたけれども、文科省さんが手引をつくってくれる、都道府県の教育委員会が何をしてくれる、それもすごく重要ですけれども、当事者たるは基礎自治体の学校設置者の方々です。それぞれ状況が多様なので、文科省がばちっとこういう手引をつくりましたので、皆さん、これに依拠して全部やってくださいというのがなかなかうまくいかないということも体感的にお分かりだと思います。多様な地域があるからこそ、知恵は地域でこそ生まれるんだと思います。
 主体的に新たな解と価値を創成していただき、それを相互に参照して、例えば似た自治体であるとか、グッドプラクティスを行っているような自治体を参照していただきながら、自分のところではそれを調整して、どういう形だといい学校のありようが達成できるのかということを考えていただく、こういう主体性が必要であると思います。
 かなり飛んでいただきまして、20枚目のスライドをお願いいたします。学校規模に関しては、大規模校の問題も今、最大瞬間風速的にタワマンができたりするとあるんですけど、日本全体としては、いかに小規模校を弱体化させないかということが一つのテーマになってくると思います。小規模校を残すならということで、まず費用効果への対応ということは迫られると思います。言いたくないですけれども、これも避けて通れないということです。
 相対的に恵まれない条件整備であるとか、工夫が限られる教育活動への対応ということも考える必要があります。中規模・大規模校で小集団の学習集団をつくり出すことはできるんです。機動的な学級編制を、学びの内容であるとかスタイルに応じて、学校の先生方が適切に作り上げていくことはできるんですけれども、なかなか小規模校ということになると、そういう機動的な学級編制や教育活動の駆動というのも難しくなってくる側面はどうしてもあるので、これをどうするかということです。
 また、学校というのは子供だけが育つ場ではなくて、学校の先生方も育つ場です。多様な教職員集団の中で、いろいろな学び合いをして教師が育っていくといったときに、小さな学校だとなかなか育ちにくいというところもあります。諸外国でも、学びのネットワーキングといって、子供の学びだけではなく教職員の学びを確保するために、複数学校で連携して学びのコミュニティーを作るような取組もされています。こうした工夫を凝らし、リソースや知恵の狭隘化をいかに教育委員会の支援の下で防いでいくかということが重要だと思います。学校へ丸投げするのではなく、教育委員会がしっかりと考えていただく必要があるだろうということです。
 21枚目のスライドをお願いします。そこで考えられるのが1単位学校をいかにパワーアップしていくかという問題だと思います。ここでは4種のパワーアップのネットワーキングを提案しています。福祉政策などをはじめとする他の政策領域とのネットワーキング、2つ目が複数学校のネットワーキング、3番目が恐らく丹間先生がフォーカスしてお話をくださると思いますけど、地域のネットワーキング、そして4番目が自治体間のネットワーキングです。
 時間の関係がございますので、この中で2つ目の複数学校のネットワーキングと、4番目の自治体間のネットワーキングについてお話をさせていただきたいと思います。
 23枚目のスライドをお願いいたします。複数学校のネットワーキングで必要とされる観点はそちらにお示ししているとおりで、もうこれは皆さん御承知のことかと思います。事例としては、縦のネットワーキングと横のネットワーキングと書きましたけれども、例えば縦としては、小中一貫教育であるとか、幼小中高での一貫した育成システムが考えられますし、横のネットワーキングとしては、小小連携などが考えられます。また、縦も横ものネットワーキングということを考えると、一つの中学校と複数、または一つの小学校で構成をする学校園で子供の学びを支援していくという在り方、これはいろいろな地域でなされていると思います。
 また、事務的にも共同実施、これもいろいろな自治体でされていますし、チェーンスクールという名前をつけて、学校のネットワーキングを推進している自治体さんもありますし、または、イギリスではフェデレーションという言葉を使って、1人の統括校長が複数の学校を支援してマネジメントするというような事例もあります。
 また、日本国内に目を移しますと、COREハイスクールネットワーク構想と、今、高等学校のネットワークを作って、小規模校の学びを保障するという垣根事業を文科省さんがやっていらっしゃいますけれども、正にこれも複数学校のネットワーキングによって学びの弱体化を防ぐ、むしろ充実を考えていくということになると思います。
 25枚目のスライドをお願いいたします。4番目のネットワークとして自治体間のネットワーキングというものを挙げました。一つの自治体では、学校規模や学習集団、学校間ネットワークを確保できない自治体さんが少なからずあります。1小1中の地域であるとか、また、その1小1中でも非常に小さくなってしなってしまっている。また、それを縦のネットワーキングで義務教育学校化しても、その義務教育学校も小さいという地域もあります。または、1自治体の財政力等では十分な条件整備ができないであるとか、指導主事が配置できないので、実際にはその学校の支援ができないというような自治体もあります。
 そうすると、一つの自治体で全部自前で学校を設置するということも相対化される可能性がでてきます。複数の自治体が特定の政策で連携する仕組み、共同処理の制度を使って、例えば広域連携の制度であるとか、教育委員会の共同設置であるとか、隣接自治体の教育委託であるとか、広域地域を前提とした高等学校も含めた教育の保障を考えるというような在り方もあると思います。
 幾つかこれは実際にこういうのを導入している自治体さんも、文科省さんも御承知だと思いますけれども、あります。ただ、非常に制度的な導入のハードルが高いので、主体となる自治体の方々に丸投げしてやってねというのは難しいと思うんですよね。広域の行政主体である都道府県の教育委員会の政策支援とか、マッチングの仲介であるとか、こうしたものも恐らく必要になってくると思います。
 その一つのアイデアの中身みたいのを、模式図にしたのが次のスライドですけれども、例えば先ほど渡邉さんの説明の中にも分校というキーワードが出てきていましたけれども、例えば私も、歩いて通える近くの学校があるというこの日本の伝統はすごく大事だと思っているんです。ただその一方で、多様性を担保した教育集団の中で、主体的・対話的な深い学びが行われるということも重要です。
 そう考えると、例えば小学校4年生までは歩いて通える地域の小学校の分校に通い、5・6年生から本校に通うということも想定されるかもしれません。また、中学校は少し規模をたっぷり取って、そこで大きな集団の中で学ぶということを考えることもできます。更に、そのときに、それぞれ本校といってもそんなに大きくない本校になる可能性もあるので、全部を今のような本校的なシステムにしなくてもいいかもしれないとも思います。校長先生を置かず、一つの統括校長のような方が4校ぐらいを統括してマネジメントをして、それぞれの学校には教頭先生だけがいるというような形で、統括校長がここでいうと、1つの中学校と3つの小学校、そして2つの分校のマネジメントを行うというようなイメージです。
 また、地域社会の中でこれを支えていくということもあると思いますし、地域の高等学校が小学校から中学校、高等学校への一貫した学びとか、その地域の最大の資産である市民の育成ということを考えて、そこまで、高等学校まで見据えたようなマネジメントを行っていくということもあると思います。これぐらいの規模にしますと、恐らく、スクール・ビジネス・マネジャーと書きましたけど、これはバージョンアップ版の事務職員みたいのを想定しているんですが、とかスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、スクールロイヤーとか、または指導主事も今以上に配置できる可能性は高まるのではないかというイメージです。
 最後のスライドをお願いします。ここまでですと元気が出ませんので、未来を志向して、いいところを見ていきたいなというところです。まず1つ目は、学校は地域の核で、避難所にもなるんですけれども、第一義的には子供たちが育つ教育施設だということは押さえたいということです。そして先ほど幾つかのネットワーキングなどのお話をしましたけれども、これは地域の最適解というのはその地域独自のものですので、オーダーメードのカクテルを思考していただく、それは地域ごとにということです。その好事例が国の施策に反映をされるというようなこともあると思いますし、都道府県の教育委員会の役割も非常に重要だということです。
 ただ、こうしたネットワーキングにも限界が存在をします。物理的な距離の絶対性というものがありますので、ここをあまり低く見積もってはいけないなということもあります。例えば対面型で全ての学校をフルスペックにするということを本当にずっと続けていていいのだろうか。そういう側面から先ほど分校のシステムの導入なども提案をさせていただいたところでございます。
 以上、整いませんが、私からの話題提供とさせていただきました。ありがとうございます。
 これはどうしましょうか。丹間先生からも御報告いただいた後でいいですよね。では、続きまして議題3に移ります。丹間委員から御発表いただきます。よろしくお願いいたします。

【丹間委員】  よろしくお願いします。今日は、「学校統廃合をめぐる住民の合意形成と力量形成」というテーマで話題提供をさせていただきます。
 私は、大学の卒業論文のときから学校統廃合をテーマにして、それからずっと同じテーマで研究を続けてきました。当時大学生だった私は、これまで当たり前のようにあったものがなくなるということの意味を考えていました。ちょうど地域に目を向けると学校統廃合が進んでいて、住民の方や保護者の方にとって当たり前だった存在の学校がなくなっていくと。ただ、学校がなくなるんですけれども、全てが消えるわけではなくて、残っていくものもありますし、なくなる中で何をどう残していくのかというようなことがスタートで、今まで研究をしてきました。
 2枚目のスライドです。私の問題意識をここに書かせていただきました。まずは今、少子高齢型の人口減少が進んでいるということです。少子化の影響を受けますと、原理的には学校教育についてはどうしても縮小していかざるを得ない面がある。他方で、子供の数は減っているんですけど、高齢者の方の割合は増えているということです。そうすると生涯にわたって生き生きと学び続けるという意味で、社会教育については、むしろ充実させていくことも必要なのではないかということです。
 ですので、学校を単独で考えるのではなくて、その地域において生涯にわたって学び続けられる環境をまず考えて、その中で学校をどういう仕組みとプロセスでつくっていけばいいのかについて考えているところです。
 先ほど、平成27年の手引の話がありました。その後に教育政策が時代とともに変わってきている中で、ほかの関連する教育施策との整合性も大事です。つまり、学校統廃合を行うのであれば、それによって、例えば地域とともにある学校づくりについても、より進展していかなければならないという問題意識を持っています。
 そういったことを踏まえて、学校の適正規模や適正配置を、社会教育も視野に入れながら見ていくということが必要なのではないかと考えます。学校の規模と配置を基礎的な視点としつつも、その学校を持続的に経営していくためには、地域の資源や地域の環境を把握して、その上でそれぞれの自治体が判断していくということが必要なのではないか。そして、その地域の資源や環境というのは、今そこにあるというだけではなくて、長い時間をかけて育てていくというものでもあります。そういう点で社会教育も視野に入れております。
 次、3枚目のスライドです。項番の2で、「学習と協働に基づく学校統廃合」としました。これまでの私の研究を少し紹介させていただきます。
 私が学校統廃合の施策を、いろいろな自治体で、行政の担当者の方であるとか、それから住民の方にもインタビューをして、質的なケーススタディをこれまで実施してきました。1990年代の自治体では、これは教育行政というよりも一般行政、まちづくりや市民活動の分野では、協働という言葉が非常に多く使われるようになりました。コラボレーション、あるいはパートナーシップというような意味合いでの協働が広がっていました。しかし、教育政策の中でも特に学校統廃合をめぐっては、当時、住民組織が結成されて反対運動を展開するなど、行政との対立的な状況もございましたし、また、住民といっても一枚岩ではなくて、その中には葛藤が生じるような状態もみられました。
 協働といったときには、この図にありますように、行政と住民が対等の立場に立つんだということが言われてきたわけですけれども、実際には、その次の、4枚目のスライドの図にあるように、行政が持っている情報と住民が持っている情報が違ったり、目的も異なったりするということですから、むしろ対等ではなくて、非対等な状況をスタートにして、そこから住民参加を実質化させていくことが大事なのではないかと考えております。
 そして、5枚目のスライドに入りまして、そのためには何が必要なのかということで、この赤い矢印、つまり住民たちが自分たちで行政の持っていない情報を集めていくとか、あるいは、統廃合をめぐっては例えば行政が年少人口の推計をはじめ様々な情報を住民の方々に提供するわけですけれども、そうした推計とはまた異なる推計を自分たちで作っていくというようなことがあります。
 それから、目的に関しては、行政が学校統廃合を進めていく目的と、住民たちがその学校について考えている目的、これは異なるわけですけれども、そういった目的が変化していく、変容していくという意味での学習で、これは、学びといったほうが分かりやすいかもしれませんが、そういった学びのプロセスが非常に大事になってくるのではないかと考えます。
 ここでの学びというのも、先ほど貞広委員の報告のスライドの5枚目で、生涯にわたる自律的学習者ということで生涯学力という言葉がありました。これは、単に新たな知識や技能を身につけるという学びだけではなくて、自身の既存の価値観や考え方が変わっていくというような意味での学びも想定していく必要があるということです。
 ですから、当初は、自分が出身だった母校であるし、学校がなくなるなんて考えられないと思っていた住民が、その後、今の子供たちが通っている学校の状況や様々な教育政策、そして学校で努力されている取組などを目の当たりにして、もともとの考え方から変わっていくというような、そういうプロセスがあると思うんです。これはlearnとしての学びというよりは、unlearnとしての学びです。学びほぐしていくような、そういう地域の住民や保護者の方たちの学びをしっかり自治体としてもフォローしていく、サポートしていく、そういうことを抜きにしては学校統廃合への合意というのはなかなか形成されないのではないかと考えます。学校統廃合を実施することで、むしろ地域が学校から遠ざかってしまうということを起きないようにするために、こういった住民たちの学びということに注目をしてきました。
 時間に限りがありますので、少しだけ事例を紹介させていただきます。6枚目のスライドで、3番「閉校後の地域を見据えた学校統廃合」ということで、ケース1は島根県の山間地の事例ですけれども、当初反対していた住民たちが、UIターン定住促進活動を展開しました。つまり、行政が示した人口推計にならないように、何とか移住者を獲得しようとか、出身者に帰ってきてもらおうと。実際にはそういう活動を一生懸命やっても、なかなか定住というのは進まない。ただ、この活動を実施したことによって、かなり住民たちの意識も変わって、様々な地域づくりや地域振興の活動がその後起きてきました。
 こうした活動を通して、小さくなっていた小学校の児童数が増えたりとか、学校を存続できたりというような結果にはならず、結局は廃校されてしまうんですけれども、しかし、その後、地区公民館を活動拠点にして、地元の子供を地元で、放課後や学校の休みのときに育て続けるというような取組が可能になったということです。
 それからケースの2つ目は、こちらは秋田県内の事例になりますけれども、小学校が統廃合されるタイミングで地区公民館の職員が増えたり予算が強化されたりしたと。ここでは5つの小学校を1つに大きく統合しました。そうすると、なかなかそれぞれの地区で学校と共に行ってきた活動、例えばこれまでは太鼓を伝承していく活動を、学校を中心に取り組んでいましたが、それは統合校ではなかなか継承できないと。そういったときに、統合前の通学区域ごとに地区公民館がありますので、公民館がこれまでの活動を引き継いで実施すると。閉校後も地域における学びの拠点を残して、コミュニティを維持しているという事例です。
 7枚目のスライドに入りまして、この図に示した赤の矢印の部分、学習に基づく住民の成長というのが非常に大事になってくる。現在の自治体の状況を見ますと、学校を統廃合するまでは、これは学校教育行政マターとなっていますが、その後は地域振興行政マターとして、地域づくりの問題だということで、ここで途切れてしまうわけなのです。ここの間のところを是非連続性を持ったプロセスとして進めていくということが鍵になってくると考えています。
 そして、8枚目のスライドにありますように、公民館です。公民館は全国の総数でみても、小学校の数よりは少ないですけれども、中学校の数よりは多いと。また、近年減少していますけれども、様々なコミュニティセンターへの改組等は進んでいるものの、それぞれの学校区ごとに施設があるのであれば、是非そこを強化することによって、学校統廃合を実施しても、そのもともとの旧学区のコミュニティを大事にしながら、子供の学校教育については広くなった新学区の統合先で実施していくというような、そういうビジョンが描けるのではないかということです。
 そして、9枚目のスライドに入ります。これは千葉県を例に地図を描いたものですが、学校統廃合が進んでいる一方で、10枚目のスライドと併せて見ていただければと思いますが、地域と学校の協働体制も整備が進んできています。コミュニティ・スクールでは、例えば育てたい子供像、子供観、あるいは学校運営に関わって学校観や教育観について、地域の方たち、保護者の方たち、そして学校との間で話し合われるわけですけれども、そうした議論と、地域の学校の今の規模や配置をどう考えるのかという議論は重なり合ってくる問題なのではないかということです。一方では、地域との協働体制を深めつつ、地域の中の学校を場合によっては統廃合していかなければならないという課題に向き合っていくことが必要になってきているということです。
 最後に、大きな5番、11枚目のスライドと12枚目のスライドですけれども、「学校適正規模・適正配置政策への論点」をいくつか挙げさせていただきます。
 1つ目は、学校組織と地域社会を対比したときに、学校組織はフォーマルで、定まった型に基づきつつ組織されています。他方で、地域社会というのはインフォーマルな組織、そして団体から成り立つ多様な成員の集合であるということです。そして学校については、学齢期の子供を基本的に対象にしているわけですから、子供の数に依拠して存立していると。他方で地域については、ゆりがごから墓場までが対象です。したがって、少子高齢化という動向の中では、学校教育体制は縮小に向かうかもしれませんが、それ以外の領域をいかに充実させていくか、いかにして地域における学びの場を失わないようにしていくかということが大事だと考えています。
 そして、学校も統廃合が進んでいますが、他方で地域も過疎化が進んでいたり、様々な課題を抱えたりしているということで、学校と地域は共にある存在として本当に頼りになる相手かというのを見極めていくことが大事になると思います。それは地域の文化的なポテンシャルという言い方もできるかもしれませんし、そういったものを支えていくというのは、もちろん学校との関わりを通して地域住民、保護者が育っていくということもあるわけです。地域のもう一つの核として、社会教育体制の中で例えば公民館の役割が大事になってくるのではないかと考えています。
 最後、12枚目のスライドに進みますけれども、「良くも悪くも学校中心で議論していては、かえって学校の行き先を照らせない」ということです。これは『月刊社会教育』という雑誌に、学校統廃合問題の当事者である自治体や地域住民の方々へのエールのつもりで書いた記事ですけれども、人口推計や通学条件、そういったものを検討するだけではなくて、学校が協働可能な地域資源、そしてネットワーキングの話が貞広委員からもありましたけれども、連携可能な他校だけではなくて、更に他機関の状況なども把握して、展望していかなくてはならないのではないかと考えています。
 地域と学校を共生に向かわせていくために、そのプロセスに住民の主体形成、それから地域のエンパワーメントの機会をしっかりと設けていく。学校教育の部局だけでは解決が難しい課題だと考えています。
 以上となります。

【貞広座長】  ありがとうございました。ただいま御発表いただきました丹間委員の御報告と、資料1の文部科学省、事務局よりの御説明、また資料2の文部科学省さんからの御報告、資料3の私からの話題提供等につきまして、御質問または御意見がある方はお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。御意見ということでも結構ですけれども、いかがですか。初回で情報量が多いこともありますので。
 私から1点、丹間委員に御質問申し上げてもよろしいでしょうか。
 すごく貴重な御報告をいただきまして、ありがとうございます。私も気持ちや考え方が重なる部分が多々あって、なるほどと思わせていただくところがたくさんあったんですけれども、12枚目のスライドのところの中頃に、「小規模でも存続させる場合も、小規模校だから統合する場合も、原理は同じ」の後に、「教育への意思と力量が地域にあるかどうかが重要」というフレーズがあります。恐らく何となくイメージは、丹間委員と私とフィールドワークに一緒に行っていたということもあって、共有していると思うんですけど、もう少しほかの方にも伝わるような言語化すると、かみ砕くとどんなことになりますでしょうか。

【丹間委員】  ありがとうございます。学校が存在しているということ自体が地域の住民の方や保護者の方にとっては、もう前提となっているというか、自明視されたものになっているわけですから、仮に小規模化が進んでいても、それは受け身で小規模になっているなということでしかないと。もちろん一部にはそういう学校を選択制等の中であえて選んでいくというような保護者の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、それを受け身ではなくて、こういう学校にしていきたいとか、こういう学校づくりをしていきたいというところに、地域の方たちや保護者の方たちが参画していくというようなことが非常に大事になってくると考えます。
 ですから、単に統廃合に反対であるとか、小規模校を残してほしいとか、そういうふうに行政にお願いするというような地域では、もう存続は難しいんじゃないかなと思います。これは統廃合する場合も同じです。地域の方たちがどんな統合校づくりをするのかというところに、いかに参加してもらうかということ、そこが大事だなということで書かせていただきました。

【貞広座長】  ありがとうございます。恐らく一朝一夕に醸成できるということではないので、恐らくその協働のプロセスということが重要だという御指摘があったと思うんですけれども、なかなか行政の側でやろうとしてスイッチが入るわけでも、どこで駆動するかなかなか分かりにくいところだけれども、その協働の中で、主体者となって、そういう意思や力量をつくり上げていくという土壌がないと難しいということですかね。ありがとうございます。
 私から先に質問させていただいてすみません。御質問でなくて御意見でも結構ですが、いかがでしょうか。

【常盤木初等中等教育企画課長】  せっかく第1回目ですので、各委員の皆様から自己紹介も兼ねまして、是非。

【貞広座長】  私は大学教員の習い性で指名してしまいそうなので、あまりそういうのはやりたくないので。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。

【猿田委員】  では私から。五城目町の猿田です。
 改めて、お二人の委員の方から意見の発表を聞きまして、この適正化という言葉の主語というか、誰にとっての適正化なのかということをすごく考えさせられた時間でした。私たち、私は教育委員会の職員ですので、教育委員会としての適正化と、地域にとっての適正化と、また学校、校長や教員にとっての適正化という、すごくいろんな意味があるんだなということを改めて考えさせられました。
 五城目町は次回、事例発表させていただきますけども、その際にまた、改めて紹介したいと思います。大変勉強になりました。

【貞広座長】  ありがとうございます。その主語によって適正が違ってくる場合が少なからずあるので、話題として難しいというところだと思います。ありがとうございます。
 では牧野委員、お願いいたします。

【牧野委員】  改めまして、牧野でございます。よろしくお願いします。
 委員の紹介のところにも書いていただいていますが、今は追手門学院大学の地域創造学部の教授という立場でありますけれども、その前は、長野県の飯田市長として4期16年、実際に市政経営に携わらせていただいたところでありまして、この学校の適正化につきましても、その中で実際に携わってきたというところがございます。お二方のお話を聞いている中で、非常に、実際にやってきた者として考えさせられることが多かったので、大変ありがたく思ったところであります。
 お二方の話にもあったように、恐らく学校の中だけで考えていくにはもう限界が来ているというのは、私もずっとやってきて考えているところでありまして、だからこそ、いろんな機関と連携をしながら、協働しながら、こういった適正化を考えていかなければいけないという、そういった状況になっているということは常に感じています。
 だから逆に言うと、文科省さんからの話があったこの話も、文科省としての立場というのは多分こうだろうけれど、それをやるためには、実は文科省の中の枠だけではなかなか厳しいよというところは正直あるところでありまして。つまり学校教育だけを見て、適正規模の配置の在り方とか、配置の話をするというのは厳しい。正直言ってそういう状況ではないかなということを思います。
 また、具体的な話は、次回私からさせていただきますけれど、例えばさっきの学校の地区の中だけで自己完結しているということは実はあまりないんです。本当は。いろんな考え方が実はあって、地域の中で、例えばこの地区で、小学校をどうするんだとか、あるいは中学校をどうするんだという話はもちろんあるんですけど、そのときにその地区だけで考えて解決するかというと、そうでもなかったりするわけですよね。市全体で考えたほうがいいんじゃないかということもあるし、更にはもっと周りも巻き込んで、生活圏・経済圏全体で考えたほうがいいかもしれない。そういった様々な考え方の中で適正な在り方を考えていかないと、なかなか解決が見えてこないのかなと。
 座長の出されたこの縦横の学校間連携、自治体間連携というのは、非常に私も見ていて興味深いなと思ったんですけど。と言いますのは、ここに高等学校が入っているというのが、私は非常に興味深く見させていただいているんです。と言いますのは、私はずっと文科省さんとの関わりはどちらかというと高校教育改革でずっと関わってきていますので、実際に中教審の臨時委員も高校教育改革の立場で入らせていただいていましたし、今もマイスター・ハイスクール事業の企画評価会議の主査(座長)もさせていただいていますけど、非常に高校教育と地域の小中学校をどういうふうに連携させるかというのはとても重要なテーマだと思っています。
 特に、多分、猿田委員もそうだと思うんですけど、地域の子供たちの置かれている状況というのは、結局、高校を卒業するまでに、どれだけその地域のことに深く関わるかということに、かなりかかってきているというのがあって。だからこそ、小中学校において、地域のとの関わりを非常に持てるような教育、それこそ探求していく、そういったものが今大事にされていると思うし、高校を卒業するまでの間にということであれば、当然その直前である高校の3年間が非常に重要な時期であると。
 実は、そこのところで地域と全く関わりを持たなかった高校生と、地域と非常に関わりを持った高校生というのは、その後も地域との関わり方が物すごく変わるわけです。これはもう、実際にそういう地域人教育をやってきた立場としても実感としてあるわけです。
 ただ、実際にやってきて、実はこの連携というところはかなり大変だということも実感しております。特にこの高校と小中学校というのは、実はかなり連携が大変でありまして、というのは、市町村、基礎自治体は、何だかんだ言って小中学校、義務教育を教育委員会は主体的に考えてきているんです。高校は何だかんだ言って都道府県ですよ。あるいは、私学もありますけど。でも、そういった意味でいくと、県教委と実は市町村教委の学校教育という立場から連携するというのは実は物すごく大変でして。私も地域人教育を地元の県立高校でやるときに、高校の壁を乗り越えるのが一番大変だったんすね。
 というか、学校教育で考えていると乗り越えられなかった。それをどうしたかというと、丹間委員からお話があったんですけど、社会教育です。つまり、高校教育の地域人教育、地域との関わりを進めていくために、地域を将来担ってもらえるような人材を育成するためには、学校教育課同士で連携するというのは厳しい。だけど、市町村のほうで社会教育の立場であれば、実はうまく連携できるわけです。つまり、都道府県の教育委員会の管轄である高校教育と、市町村の社会教育の担当課であれば、これは何とかやっていけると。
 具体的にいうと公民館です。公民館の主事が間に入ることによって、高校の現場と地域をスムーズにつなげることができたというのが、実際にこの地域人教育をやってきて、私が一番実感したことです。つまり、ここにかかっている連携というのは、そういう、実際にやってみると、いろんな壁があって、それを乗り越えていくために、その地域において全体で考えていかないと、なかなか厳しいものがあるよというのが私がやってきた実態です。
 地域人教育は、今の飯田OIDE長姫高校と飯田市と協定を結んで進めてきたことで、よく御存じの島根の岩本さんが頑張ってやっていた島前高校と並んで地域人教育の双璧と文科省さんでも評価してもらっていますけど、そういう連携のときに、どういったことが一番課題なのかということは、絶えずしっかりと見ていかないと、なかなかうまくいかないのかなと。
 そのときに、これから先はまた申し訳ないですけど、いいですか。文科省さんとしての役割は何よということを私自身が思うのは、実際にマイスター・ハイスクール事業でもやってきて思うんですけど、他事例を要するにお話ししたり、それをフォーラムという話でいろんな発信をしたりという、そのこと自体はもちろん価値があることだと思うんですが、文科省さんなりの現場への入り方というものは考えていっていただけると有り難いかなと。マイスター・ハイスクールのときも、最初の議論は正にここに書かれていたようなことでやっていたんですけど、主に私ですけど、企画評価会議の中では、これだけじゃ絶対マイスター・ハイスクールは無理だと。つまり連携するということでいうと、地元の産業界と、学校現場である高校を連携させるというのが正にマイスター・ハイスクールの中の一番の肝だったんですけれど、それが難しいわけですよね。学校現場の中だけで考えたら連携ができない典型なわけですよ。
 それをどうやって実現させるかということを文科省の立場で考えたときに、予算をつけて、それで頑張って学校でやってくれと、さっき丸投げという話がありましたけど、丸投げじゃ無理です。連携させるのに丸投げは無理なので。したがって、そこの後のプロセスをちゃんとフォローしていくための伴走支援が必要だと。伴走支援をしたほうがいいよという話を企画評価会議として意見をさせてもらって、そのための予算も取ってもらって、実際にやったら、企画評価会議も正に、さっきのフィールドワークじゃないですけど、学校現場にずっと行って、実際に伴走支援の効果はどうだというお話も聞かせてもらったんですけど、それがなければなかなかここまで行かなかったという話が多いです。
 つまり、今回のこの適正規模・適正配置の在り方も、恐らく、他事例を見て、これでやってくれた人には予算をつけますよと言っているだけではなかなかうまくいかなくて、ある程度そのプロセスにコミットする仕組みをどういうふうにするかということは考えていく必要があるのかなと。お二人のお話を聞いていて、正にその連携を作るためのプロセスに対しても、どこまで文科省としてコミットしていくことが必要なのかなということを思ったというところでございます。
 私からは以上であります。

【貞広座長】  ありがとうございます。複数の重要な御指摘をいただきました。構想もさることながら、いかに実装させていくかということが重要で。そのためには、丸投げじゃなくて伴走支援こそが肝じゃないかというお話でした。今日、私の資料の中で、COREハイスクールネットワークとか、垣根事業の、これは高校の話ですけど、これはかなり伴走支援されているんですよね。文科省さんがというか、文科省さんが委託された先の方が伴走支援をしていて。そうすると実装できるところも出てくるというところがありました。
 また、御指摘いただいた生活圏・経済圏を想定してというのは、私も全くそう思っていて、言葉足らずですけれども、あえて高等学校というのを出させていただいています。この会議体は、恐らく小中学校の適正規模・適正配置ということだと思いますけれども、高等学校も適正規模・適正配置の正に水際にあるというところで、いかに弱体化させないで残すか残さないかという話をしているわけですよね。その中で一つの生活圏・経済圏の事例として、高等学校ということを出させていただいたんですけれども。
 構想の先の実装に向けての御意見もいただきました。どうもありがとうございます。
 では続きまして、オンラインから加藤委員、いかがでしょうか。

【加藤委員】  失礼します。本日、入試の関係の業務でどうしても外せませんでした。申し訳ございません。
 2人の委員の先生方は、かつて一緒に研究させていただいたので、研究的な成果は、もう今日全部出されてしまったので、後出しで出す手が次回苦しいなと思いました。お二方もそれぞれいろいろなところで統廃合の委員をされていると思
 貞広先生と丹間先生と研究させていただいた後ぐらいですか、主に私の茨城大学の茨城県内の統廃合、適正配置の審議会の委員長みたいなものと、それから併せて、ちょうど各自治体の教育振興基本計画の会議というんでしょうか、大体何かそういうものとセットでやるようなパターンが多くて。自治体全体と、学校の配置というか教育委員会の計画と、昨今はそういうのが一体的に非常に動いているというようなところは感じていますし、今日の御発表でもそういうところの重要性を再認識しました。
 今日の御発表でも、特に丹間先生と貞広先生のスライドの中でも、統廃合の後、利活用とか、あとどういう前向きな未来というか、展望を抱いていくんだというようなところのお話があって、私も、審議会等に関わると、その重要性をすごく感じますし、その重要性を一生懸命話そうとするんですが、私の関わったところだけではないですけど、多分一般的に言っていいと思うんですけども、いつになったらやらなくてはいけないのかというところがどうしても鍵になるんです。
 その基準はどこかという話になって、今日の冒頭の手引の話に行くという、どうしても最短距離でその話に行って話を進めたいという方が一方にいるのと、一方では、子供たちの未来とか地域の未来をもう少しゆったり考えるという、こういう両極で揺れ動くというんですか、そういうところなのかなと思います。
 次回少しお話しできればと思いますけれども、特にいつやるかという前に、いつやるかというのをいつ考えるか。いつやるかというのを判断する前に、いつ考えるかというときに何が材料になるかということが、また次になって、その材料とは何ですかと私のところに電話がかかってくるというような逆算的な形になるんです。そうすると、そもそもそういう会議を立ち上げていいのかどうなのかみたいなところから、自治体さんはすごく悩まれていらっしゃっているなと思います。
 そういう意味では、統廃合後の夢というか、展望を描くまでのロードマップみたいなのが、どこから始まっていくんだというのが手引にあってもいいのかなと私自身は思っております。今日御発表いただいたお二人の資料と、先ほどお話しいただいたお二人の委員の方のお話を拝聴しまして、次回そういったところで少し、私の研究というよりは経験的なところでお話しできる範囲でできればなと思いました。
 私から以上でございます。

【貞広座長】  ありがとうございます。加藤先生は次回、話題提供いただけるということですね。ありがとうございます。
 座して待っても、ほかの選択肢がなくなってしまっているような状態から話合いを始めると、もういつやるのかということだけを考えるしかなくなるので、まだ複数の選択肢があるうちから、協働的な、お互いの学び合いの中でどうするかということを思考できるという前段階が必要なのかもしれません。それによって、やっと座が温まってというところなのかもしれませんけれども、ありがとうございます。
 一巡して全ての委員の方にコメントはいただいたんですけれども、ほかに何かある方がいらっしゃったらいかがでしょうか。丹間委員、何か。

【丹間委員】  先ほど加藤委員の発言でロードマップという話も出ましたが、この学校の適正規模・適正配置を自治体で検討して地域に持っていったことで、かえってそれで行政に対する不信感が高まってしまうというようなことは避けなければならないと考えています。
 それから、自治体に関しても、平成の市町村合併でかなり広域化していますので、先ほど牧野委員がおっしゃったように、自治体の中でもその地区の中だけでは完結しない問題です。一つの市町村といっても、その一つの適正の基準を定めただけで全ての地区に同じ基準が適用できるのかというのも非常に難しい課題になっているなと受け止めたところです。

【貞広座長】  ありがとうございます。ほかに皆様から何かありますでしょうか。
 それでは、第1回目ということですので、事務局から何かありますか。

【常盤木初等中等教育企画課長】  担当課長の常盤木でございます。本日は誠にありがとうございました。第1回ということで、でも第1回から非常に重要な視点をいただけたと思っております。ありがとうございます。
 別にほかの会議のことを言うことはないですけども、委員の皆さんにはもう本当に言い尽くすぐらいしゃべっていただけるように、少人数の協力者会議にさせていただいていますので、次回以降も、是非、どんなことでも結構です。文科省への正に指導でも結構ですので、是非これからも、有り難いと思っております。引き続き、渡邉室長から、よろしくお願いします。本当にありがとうございました。

【貞広座長】  渡邉室長からお願いします。

【渡邉教育制度改革室長】  クローズで、大丈夫ですか。

【貞広座長】  ありがとうございます

【常盤木初等中等教育企画課長】  本会議では思う存分話していただいて構いません。

【貞広座長】  どうもありがとうございます。次回以降も積極的に御意見をいただければと思います。先生方の御知見が頼りでございますので、是非御協力をお願いいたします。
 では、事務局にお返しをいたします。

【渡邉教育制度改革室長】  ありがとうございました。それでは次回の日程でございますけれども、次回の協力者会議につきましては、事務局から既にお知らせしてございますけれども、3月26日水曜日を予定してございます。また、詳細は事務局より追って御連絡をさせていただきます。

【貞広座長】  ありがとうございました。それでは、本日予定いたしました議事は全て終了いたしましたので、これにて閉会をいたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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