「令和の日本型学校教育」を推進する学校の適正規模・適正配置の在り方に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録

1.日時

令和7年8月8日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 ※対面・WEB会議の併用(傍聴はYouTube Live上のみ)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 通学時間、通学距離、通学手段等の通学環境について
  2. 公共施設との複合化・共用化

4.議事録

【貞広座長】  皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより、第5回「令和の日本型学校教育」を推進する学校の適正規模・適正配置の在り方に関する調査研究協力者会議を開催いたします。
 本日は、御多用の中、また、猛暑の中、皆様御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 会議に先立ちまして、文部科学省において人事異動があったとのことですので、まずは事務局より御紹介をお願いいたします。

【小倉教育改革調整官】  事務局でございます。本日、制度改革室長の草野が不在となるため、代理にて事務局を務めます教育改革調整官をしております小倉です。よろしくお願いします。
 それでは、人事異動について紹介します。
 学習基盤審議官の堀野晶三になります。

【堀野学習基盤審議官】  よろしくお願いします。

【小倉教育改革調整官】  初等中等教育企画課長の黄地吉隆です。

【黄地初等中等教育企画課長】  よろしくお願いします。

【小倉教育改革調整官】  人事異動につきましては以上です。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 それでは、本日の会議開催方式と資料につきましても、事務局より御説明をお願いいたします。

【小倉教育改革調整官】  事務局でございます。
 本会議は、ウェブと対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催をさせていただきます。報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御出席者の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含めて、会議中はオンにしていただきますようお願いします。
 次に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にあるとおりです。また、参考資料1は、前回会議で御議論いただいた「これまでの議論の整理(案)」について、座長一任となっていたものを、委員の皆様からの御意見を踏まえ修文を行い、成案となったものです。不足等ございましたらお知らせください。よろしいでしょうか。
 事務局からは以上でございます。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 それでは早速でございますが、本日の議題に入ります。議題1の「通学時間、通学距離、通学手段等の通学環境」について議論できればと存じます。
 本日は、岡山大学教授の橋本成仁先生に参加いただいています。橋本教授からは、「小学生の通学手段についての分析」と題して御発表をいただきます。御発表の後、質疑応答、意見交換に入りたいと思います。
 それでは、橋本先生、よろしくお願いいたします。

【橋本教授】  よろしくお願いします。橋本です。
 では早速、画面を共有して始めたいと思います。
 では、発表させていただきたいと思います。私からは、小学生の通学手段についての分析ということでお話しさせていただきます。
 まずは、これ、今日お話しするもののデータがどういうものなのかということなんですけれども、ウェブアンケート調査を行っております。これは科研の研究グループで行った調査を用いておるんですけれども、2023年の10月末から11月の半ばまでという期間で調査を行っております。
 回収サンプル数は6,000ということなんですけれども、6,000票集めはしましたけれども、その回答の中に、言っていることが矛盾しているもの、こういうものがございましたので、スクリーニングを実施しまして、5,611票、これを用いて分析しております。
 調査対象者なんですけれども、全国の公立の小学校に通う児童と同居する20歳から50歳までの女性と。要するに、子供さんに直接聞くのではなくて、その保護者の方、お母さん方に聞いているということでございます。
 回収したデータなんですけれども、回収の状況は、今この地図上に表示しておりますけれども、全国で取りましたので、5,600と言いながらも、県ごとに見るとかなりばらつきがあって、市町村ごとにはとても分析できないところも出てきたというようなところでございました。
 地方別に見ると、こういうような状況だということです。
 中身なんですけれども、お母さん方の年齢層から見ると、30代・40代の方がほぼほぼであって、4割・6割というようなところかなというところでございます。
 その次に、今日お話する中で非常に鍵になるところなんですけれども、徒歩の通学時間(登校時)というものを書いております。これは子供さんが学校まで歩いてどれくらいかかりますかという質問です。実はスクールバスなんかをもうずっと使っていて歩いていませんという方についても、歩いたら一体何分かかりますかと。要するに、自宅と学校との距離感、これを示していただくというための質問として使っております。ですので、10分未満から20分未満と、こういうような状況に今なっているということです。20分未満が6割以上を占めているというような状態でございます。
 今度は児童の学年ですけれども、お母さん方に聞きましたけれども、お子さんは何年生ですかという質問です。これは実は子供さんが2人3人いる場合、一番年の小さい子、例えば、5年生と2年生に子供がいるよという場合は、2年生と回答していただくというような形にしておりますので、低学年の割合が必然的に高くなってくるというようなことになっております。
 児童の性別につきましては、男女半々というような形でございます。
 ここから本題に入っていくんですけれども、通学手段の基礎的な集計ということで、11月の前半に実際調査しておりますけれども、その前、過去1か月間の登校時に利用した通学手段を書いてくださいということで、家族が車とかあるいは自転車で送迎するというようなもの、そういうことをどのくらいの頻度しましたかというような質問です。これが月6日以上、月1~5日、あるいは、0というようなことで聞いております。これ、本当はもうちょっと細かく聞いていたんですけれども、月1~5というのは、週に1回程度というイメージです。月6日以上というのが、週に2日以上というようなイメージになるかなということでございます。
 全く送迎してないというのが8割方いるというようなことです。ほかにも、スクールバスをどの程度使いましたか、あるいは、鉄道だとか路線バスだとか、あるいは、子供が自転車通学というのもありますので、そういうようなものも聞いております。
 今のところこういう状態だということでございます。基本的には多くの方が徒歩で通学していて、一部家族が送迎しているというような状況が見えてきました。
 ちょっと配付した資料には載っけていなかったんですけれども、実は昨日、私、学会でこれを発表しておりまして、その際に質問を受けたことで、ここにちょっと今つけております。
 この原票のデータからもう一回見直しているんですけれども、過去1か月の登校に家族の車、自転車による送迎を利用した回数というようなことで、より細かく見せております。
 昨日受けた質問というのは、送迎というのはもう毎日毎日されているのではないのかということで、週に1日とか2日とかというのは本当にどうなのというような質問だったんですけれども。実際、本当に毎日しているかもしれませんけれども、月に11日以上というのは5.4%ということで、我々、細かく選択肢で上げておりましたので、こういうような状況だったということでございます。ですので、ずっと毎日毎日送迎しているという方も確かにいらっしゃるとは思いますけれども、実はそうでなくて、週に何回かタイミングが合えば、何かの条件がそろえばというようなことで送迎されるという方が結構いるのではないのかなというようなところでございます。
 その次、家族の車・自転車による送迎というところがやはりポイントかなということで、そこについて徒歩の通学時間、学校までの距離ということになるかなというふうにお話ししましたけれども、そこと併せて分析してみました。クロス集計してみました。そうすると、やはり週に1回ぐらい、あるいは、2回以上というようなことになってくると、20分を超えた距離にいる子供たちの割合が高くなってきます。その辺が一つ大きな数字として出てくるのかなと思っております。
 ほかにも、スクールバスを利用するのと徒歩通学時間というようなところを見てみますと、スクールバス利用ありの場合は、徒歩での通学時間が40分以上と相当に遠くなるというようなところが出てくるかなというようなところでございます。
 鉄道・バス・タクシーについても同様で、これもやはり距離が相当あるというようなことが出てきます。
 自転車通学、こういうようなものもございまして、こちらもやはり距離が遠くなると、ということでございます。
 と言いながらも、最初に申しましたように、家族の送迎というところに着目して我々は研究しておりますので、そこに関して、個人属性とか、地域の特性、近隣の住民の方との関係性、歩行環境、これを掛け合わせて分析していこうというようなことをやっております。ですので、以降はここについて、家族の送迎についてお話しします。
 家族による送迎と回答者(母親)の年齢というようなことなんですけれども、先ほど回答していただいた方はおおむね30代・40代が多いよということでございましたけれども、家族の送迎の回数というようなことで見ていくと、送迎頻度が高いところというのは、20代・30代、比較的若めのお母さん方というのがやや多くなっているのかなというような傾向は得ております。
 あと、その方々、仕事としてはどういう状況なのか、母親の職業ということで見ておりますけれども、送迎の頻度が高くなるところ、この辺りはフルタイムで勤務されている方が多いなと。専業主婦の方が多いのかなとか思っていたんですけれども、どうやら違っているらしいと。我々の中の議論では、フルタイムは、自分が仕事へ行くときについでに乗っけていってあげるというようなことを結構やられているのかなというように考えております。
 あとは、居住形態ということで、これはアパート・マンション、いわゆる集合住宅と戸建て住宅というような形で見たときに、戸建て住宅のほうが送迎している割合というのが高くなっているというようなことが見えてきました。
 子供の性別、男の子と女の子でどちらがと。これは実は統計的な分析をしたところ、有意差が見られないということですので、男の子であっても女の子であっても同じ扱いというようなことになります。有意差は見られなかったということでございます。
 あとは、学年が違えばというようなところも気になりまして見ておりました。それほど明確な差はないような気はするんですけど、赤線は入れていませんけれども、よくよく見れば、月0日、ずっと歩いているというのは、3年生以上のところがやや高いのかなというようなところですので、逆に言えば、1・2年生を送迎するのは少し気にはかけているのかなというようなところかと思います。
 家庭で自家用車の保有台数、これがどうなんだろうかというようなことなんですけれども、家庭の中に2台、3台ある場合、この場合、やはり送迎する頻度が増えてきているというようなことが見えてきております。
 あとは、居住地の区分ということで、三大都市圏、三大都市圏を除いた政令指定都市、中核市、その他の市町村というところで、どこに居住しているのかということで分析してみました。そうすると、送迎頻度の高いところってどこなのかというと、やはり都市圏ではなく、大きな都市ではなく、その他の市町村というところが多いというような傾向が見えてきております。
 今度は人口密度ということなんですけれども、実は、このアンケート調査で住所を聞いておりまして、ただし、細かい住所は答えていただけないというか、答えていただかないようにしておりまして、7桁の郵便番号を答えていただくというような調査をしております。この郵便番号区で、それをGIS上で分析に使っておりまして、郵便番号区内で可住地になっているようなところ、要するに、山だとかそこを除いて、人が住めるよというような場所で、そこでの人口密度を出しております。ですので、若干按分していたりなんかもしますけれども、一応参考になるのかなということで、郵便番号区別で可住地の人口密度を分けてやっております。
 そうすると、頻度が高いところというか、送迎しているよという人たちがいるところってどこかというと、人口密度が低いところ、1平方キロ当たり1,000人未満であるとか、あるいは、2,000人まで、3,000人までというような形になってきますけれども、そういうようなところでどうやら送迎が多いようだということが分かってきました。
 下に少し書いてありますけれども、人口密度が低いと送迎行動が行われる傾向が見られるし、特に週6日以上、1週間に1回よりももっと多くというような形になると、人口密度2,000というような数字、こういうのが出てきておりますということです。
 あと、小中学生の割合ということで、全国で平均で7.3%というようなことなんですけど、これを先ほどと同じように郵便番号区内、要するに、7桁の郵便番号区の中で、そこの人口に占める小中学生の割合というようなものを出しております。そうすると、全国平均よりも少ない辺り、そうなってくると送迎の頻度が多いなと。要するに、少子化がより進んでいるところということになろうかと思いますけれども、そういうところで送迎している頻度がどうやら高そうだというようなことが見えてきております。
 都市計画の関係でいうと、市街化区域とか市街化調整区域というようなところがございますけれども、あるいは、区域区分の外というようなところになるんですけど、要するに、郊外に行けば行くほど、町なかではなくて郊外部、あるいは、もうちょっと遠いところというところになればなるほど、やはり送迎の頻度が高くなってきているというようなことが分かってきております。
 あとは、土地利用、住居系だとか工業系だとか商業系だとかございますけれども、そもそも用途が示されてないというような、用途地域の外、地域外というようなところがやはり高いと。これは先ほどのものと同じような内容でございます。
 あと、これが年降水量。ごめんなさい、ここでちょっと単位を間違えています。さっきの人口のやつをぺたんと貼っちゃって、数字だけ変えちゃっていたので、間違えていますけど、これは降水量ですので、この平方キロメートルというのは要らないんですけれども、せいぜいパー年ぐらいのものなんですけれども、年間の降水量が高いところ、そういうようなところがどうやら送迎の頻度が高くなっているようだと。やはり雨が降っているから、雨が強いから送っていってあげるというようなことが発生しているのではないかというふうに思っております。国内の年平均で1,700とかそういうような数字がございますので、ある程度高いところ・低いところというイメージかと思いますけれども、いずれにしてもこういうようなことでございます。
 あとは、年平均気温というようなものと比べてみました。平均気温が高いところ、あるいは、平均気温が低いところ、そういうところで送迎する頻度がどうやら上がってきているというようなことがございます。両極端というか、特に夏場だったら高いところはというようなところもあろうかと思いますし、冬場だったら低いところがということもあろうかと思います。これ、調査自体は11月ぐらいですので、それほど極端な時期ではないとは思いますけれども、いずれにしても、場所として見てみると、平均気温が高い地域・低い地域で多くなっているよというようなことでございます。
 あと、ついでに豪雪地帯だったらどうだろうということで分析してみましたけれども、豪雪地帯、豪雪地帯対策特別措置法で指定されている区域という定義でやっておりますけれども、そういうところもやや送迎頻度というのが上がっているというようなことでございます。
 これは、今度は傾斜角度と。要するに、住んでいるところが平地なのか山間地なのかというようなことになってくるかと思いますけれども、やはり傾斜がきついほど送迎頻度が高くなると。何となく予想できることだとは思いますけれども、平地のところと比べて、当然道もくねくねしているし、遠いし、あるいは、上り下りもあるしというようなことで、送りが多くなっているというようなことだと思われます。
 ここからは近隣の住民の方との関係性みたいなところでお話をしております。家族による送迎行動と、近隣の人は子供を見守ってくれているという意識ありかなしかというようなところでございます。これでいうと、今ここを赤線でつけておりますけど、見守ってくれている、そうは思わないよという人たち、そこが多くなってくるところというのが送迎頻度が高くなっていると。要するに、地域での見守り活動みたいないろんなことをやられておりますけれども、そもそも近所の方がどういうふうな感じなのかなと。お互いの関係性というようなところも関わってくるかなというところでございます。
 こちらは、近所の人は信頼できない、そう思うと。何て質問をしているんだというような感じなんですけれども、ちょっとそれを聞いてみると、やはりあまり信用できないなというような形になってくると送迎頻度が高くなってくるというようなところでございまして、これは地域の関係性ということになろうかと思います。近所の親は自分の子供の友達を知っていると、要するに、子供を直接知っている、さらにその交友関係も知っている、要するに、どれだけ地域のコミュニティが密なものになっているのかということを示すかと思いますけれども、そう思わないというようなところになってくると、やはりそういう頻度が高くなってきているというようなところがございます。
 近所の大人は子供が安全でトラブルに遭わないように努めてくれている、そう思わないと。ですので、何となくやっぱり地域のコミュニティの強さ、そういうようなものが、延々とずっと同じことを言っているんですけれども、送迎の頻度というものと関わってきているというようなことになります。
 今度は、歩行環境について聞いているところでございます。近所のほとんどの道には歩道があると。これ、当てはまらないというところ、その辺りについて、だんだん送迎頻度が高くなってくると。いろんな通学中の事故の報道なんかもございますけれども、何でこんなところを歩いているのというような、歩道もないところを歩いているというような映像もいろいろ出てきますけれども、やはり歩道の整備率が低いという状況、あるいは、もうそこしか道はないというような状況下で、親も安心して送り出せはしないと、どうしても乗せていってあげるよというようなことになりがちだということかと思います。
 あと、これは、近所を走る車のほとんどは制限速度を超えていると。今度は車の速度の話です。制限速度を超えて速い速度で走っているなと思っているような方たちは、やはり送迎の頻度が高まっているというようなことになっております。
 今度は、近所を走る車のほとんどは、歩行者のいる横断歩道で止まってくれると。やっぱりそう思わない・当てはまらないというような回答をされる方は、送迎頻度が高くなると。通学路点検なんかでも、我々も参加することはあるんですけれども、やはりどうしても横断歩道だとか交差点部、その辺りは非常に親も心配しているし、学校関係者も心配している場所、そこで車は止まってくれるかどうかというようなところが結構意識に出ているのかなというようなところでございます。
 あとは、これ、横断歩道、信号機があるかというようなところなんですけれども、それがやはりあまりないな、当てはまらないなというような方は、どうしても送迎の頻度が高まるというようなことになっております。
 近所では、歩行者や自転車は、家の中から簡単に見ることができる。要するに、衆人環視というか、通りに多くの視線があるかというようなことなんですけれども、これもやっぱり当てはまらない、人気がないところを子供が歩いているとか、そういうことになろうかと思いますけれども、そうなってくると送迎する頻度が高くなってくるというようなことでございます。
 今度は防犯的な視点になりますけれども、不審者のおそれがあるので、友達と一緒でも自宅周辺で子供を遊ばせるのは不安だと、これに当てはまると、こっちが要するにネガティブな方向になりますけれども、当てはまるという方がやっぱり送迎頻度は高くなるというようなことでございます。
 あるいは、近所は犯罪率が高く、夜間は(誰かと一緒でも)子供が安全に歩けないというようなところ、このような意識があるところでは送迎頻度は高まると。ですので、先ほどから交通安全の環境であり、防犯の環境であり、やはりそこに危険性を感じるというような場合は送迎しているよというようなことでございます。
 ということで、今、個人属性とか地域の特性、近隣住民との関係、歩行環境というようなことで個別にクロス集計の結果をお見せいたしました。それを使って、今度は順序ロジスティック回帰というようなことをやってみましたと。これは、要するに、それぞれの項目で有意差があったりなかったりしましたけれども、どの項目が最も影響力があるのかなということを示すために行った分析ということでございます。
 その結果なんですけれども、これ、青の方向、右の方向へ出ているほう、それが、要するに、送迎が増える方向というようなことでございます。これで見ていただくと、歩行、徒歩通学時間20分以上であると、やっぱり送迎が増えてくるよと、これが一番効いていますということです。
 その次に効いているのは、可住地の人口密度。これは人口密度が高いとそうでもないけど、低くなると送迎が増えてくるというような傾向でした。
 あとは気温だとか幾つかの項目が出てきておりますけれども、一番強かったのが20分以上の歩行時間、それぐらいの距離と、そして、そこに人がいるかどうかというようなところが効いておりますということでございました。何となく普通の感覚どおりの結果かなと思いますけれども、一応アンケート調査、全国で調査をしてみるとこういう結果だったということでございます。
 これをまとめますと、今お話ししたとおりでございますけれども、通学時間20分以上というようなところだとか、あるいは、都市的な土地利用の進んでいない地域だとか、やはり人の目が行き届かないだとか、あるいは、人はいるけどそこの関係性にちょっと不安があるだとか、あるいは、もう歩かせること自体が大丈夫かと、交通安全上あるいは防犯上というようなところ、こういうようなところが影響しているよというようなところでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。

【貞広座長】  ありがとうございました。
 学校の配置基準が、通学距離4キロ、6キロ、1時間ということを想定して、自力で通うということを前提としているということと比べると、相当インパクトのある御報告をいただいたのではないかと私なりに理解いたしました。ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御発表につきまして、質疑応答、意見交換に入ります。御質問や御意見等おありの方は、対面の方は名札を立てていただき、オンラインの方は画面の「挙手」ボタンを押していただくようお願いいたします。順次私のほうから指名をさせていただきます。いかがでしょうか。
 丹間委員、どうぞ。

【丹間委員】  御発表ありがとうございました。子供たちの登下校が実際にどうなっているのかということで、送迎行動が、保護者の通学に対する不安の表れでもあるということも大変よく分かりました。
 その上でお尋ねしたいのが、前提的なことなんですが、3ページの徒歩通学時間で、歩いていった場合にどれくらいの距離なのかというデータがございましたが、これは子供の足でというようなことなのか、あるいは、一般的な大人の足でということなのか、確認できたらありがたいです。お願いします。

【橋本教授】  ありがとうございます。
 アンケート調査ですので、回答者がどういうつもりで答えたかというところはなかなかコントロールできないんですけれども、我々の趣旨としては、子供さんが歩いてどれくらいかというように一応聞いてはおります。

【丹間委員】  分かりました。ありがとうございます。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】  加藤でございます。橋本先生、ありがとうございました。大変興味のある内容で、特に時間ということで、分かりやすく御発表いただきました。大変参考になりました。
 あえて時間だったとは思うんですが、距離的なイメージで言うと、1.5~6キロ以上あると送迎頻度が高いみたいなイメージを、あえて言うと、持っていいのかどうかというところが一つ質問です。
 もう一つは、ちょっとこれは違った観点なんですけれども、私、茨城大学、茨城県の周辺のところは、子供たちが集団で通学する文化がございます。例えば、同じ距離とか同じ時間とかでも、子供たちが集団で通学する文化があると送迎頻度が減りそうなイメージがあるんですけれども。集団がいいとか悪いとかというのは、また是非というか、意見があったりするんですけれども、もしもその辺り何か御存じでしたら教えていただければと思います。
 以上2点になります。よろしくお願いいたします。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 恐らく1点目については、実際の距離感だけではなく、なぜ距離の条件ではなく時間距離ということで御質問されたのかということの御質問でもあろうかと思います。橋本先生、よろしくお願いいたします。

【橋本教授】  ありがとうございます。
 我々、この質問票を作るときに、距離、道のりみたいなことも考えましたし、時間というのもありかなということで、どちらを採用しようかということで考えました。
 最終的には、距離というのはちょっと分かりにくいのかな。特に、道のりで答えてくれたのか、本当の距離で答えられたのか分からなくなることが過去にありまして、やっぱり子供の足で何分ですかというのが親御さんにとっても一番分かりやすいということで、そういうような意図で使っております。
 20分というのが、これは実は1年生と6年生で本当は歩行速度が全然違うので何とも言いにくいところはございますけれども、1年生であっても、20分であれば1キロ以上当然行けるかなと。特に朝、うちの子供なんかも今3年生で歩いて行っていますけれども、普通に歩くよりもパタパタ走りながら友達と行ったりなんかしていますので、それぐらいの距離なのかなというような気はしております。それが1点目です。
 2つ目の御質問は、友達と一緒に行ったり、あるいは、集団登校でというようなことなんですけど、今回の発表の中には入れておりませんけれども、実はやはり誰かと一緒に行くというようなことがあると、歩いていくというのは非常に飛躍的に高くなります。ですので、その場合は、親も送っていくみたいなことはしなくなるというような結果は出てきております。
 以上でございます。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 加藤委員、何かコメントはありますでしょうか。

【加藤委員】  ありがとうございます。大丈夫です。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 ほか、いかがですか。
 では、牧野委員、どうぞ。

【牧野委員】  ありがとうございます。
 分析自体は、そうだろうなと思う話ではあるんですけれども、前提としてちょっとお聞きしたいんですが、登校時だけ調べているのは、何か理由があるんですか。なぜ下校時まで聞かなかったのかというのについては。

【貞広座長】  1つでよろしいですか。
 では、先生、どうぞ。

【橋本教授】  行きと帰り両方聞くというのももちろんありかなと思ったんですけれども、まず問題数が物すごく多くなるというところがあって、そこはどっちかにしようかなと。
 実は、たくさんの子供が学童だとか、要するに、学校からそのまま自宅へ帰るわけではなくて、学童保育へ行っていて、それを親は実は迎えに行くみたいなことが非常に多く起こっております。ですので、それを入れると、歩いていくけど帰りは親が迎えに来るというようなのがたくさんある。あるいは、場合によっては、そのままどこか習い事に行っちゃうというようなものがたくさん出てきますので、そこについては、じゃ、今回は行きをどうしようかということで、登校のところのみを取っているというような状況です。

【牧野委員】  分かりました。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、私からも2つ御質問させていただきたいと思います。先ほどちょっと冒頭で申し上げたんですけれども、時間距離で1時間程度まではというような基準になっていることと比較すると、この分水嶺が20分というのはすごく強い印象を持つんですね。これ、分水嶺は30分以上ではなくて、やっぱり20分だったのかということを一つお伺いしたいのと、あともう一つ、割と気象条件のネガティブな印象が出ていますよね。これ、どれぐらいのあんばいで我々は捉えたらいいのか。
 というのは、今、どんなところでも、どんなに暑いところでも、どんなに寒いところでも、どんなに雪が降るところでも同じ条件にしているわけですよね。これをもう少し地域の、地域住民の力ではいかんともしがたい気象条件ということを想定して、基準をもう少し緩やかにするとか、そういうことも視野に入ってくるレベルだと、先生が実際にデータを触られてお考えなのか、この2つを伺いたいと思います。

【橋本教授】  ありがとうございます。
 20分が分水嶺なのかということなんですけれども、統計的に分析していくと、やっぱり20分のところで一番強く効いたので、ここを採用しているというのが一つです。
 あと、その次の質問が、暑いところも寒いところもということなんですけれども、実は先ほど私ちょっと言いました、実は学会に昨日参加していてということがあったんですけれども、同じグループの人の研究の中で昨日発表があった中には、20分を超えると、今度は熱中症の心配が出てくると。実は熱中症の症状が出たことはありますかみたいな調査とひもづけてやってみると、やっぱり20分ぐらい、これを超え始めると、そういう経験が出始めていると。
 特にこの数年、やたらと夏場が暑いというような状況も併せると、あまり長期間、1時間も歩かせるってどうなのというようなことは当然考えなければいけない。それは秋とか春にどうという話ではないんですけれども、やっぱり夏場に関して、大人も歩かないのに、日傘もささずに子供を本当に歩かせるのかと。特に集団でたくさんの子供がいれば、何か体調不良だったら何とかなるんだけど、1時間も歩くというのはやっぱり相当に距離があるので、一人で歩く区間は相当長くなりますので、それは大変な問題なのかなと。逆に、今度は雪で積もってというところを子供を一人で歩かせますかということになると、そこもやはり本来は問題あるのではないかなというふうに思います。

【貞広座長】  どうもありがとうございます。ほかの研究も併せて、大変重要な御指摘をいただきました。ありがとうございます。
 また、20分分水嶺問題は、私、38ページの順序ロジスティック回帰分析の結果が面白くて、とても味わい深くて、ずっと見ちゃうんですけれども、ダミー変数をいろいろ入れてみて、ここが一番強く効いたので、20分以上のダミーをここに入れてくださっているという理解でよろしいですかね。

【橋本教授】  そうですね。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 また追加でという御質問ありましたら、橋本先生、お忙しい中、会議の最後までお残りいただけるということですので、また次の議題の後、途中でも御質問がありましたら、お申し出いただければと思います。ありがとうございました。
 そして、何よりも橋本先生、貴重な御報告をいただきまして、ありがとうございました。

【橋本教授】  ありがとうございました。貴重な機会をいただいて、ありがとうございます。

【貞広座長】  では、続きまして、議題2の「公共施設との複合化・共用化」に移りたいと思います。福島大臣官房文教施設企画・防災部施設助成課長、御説明をお願いいたします。

【福島施設助成課長】  よろしくお願いいたします。文部科学省の施設助成課長でございます。私のほうからは、学校を中心とした他の公共施設との複合化・共用化についてということで説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料の1ページでございます。まず、ここに公立小中学校の施設の特性と課題ということで書かせていただいております。大きく3つ掲げておりますけれども、まずは、学校というのが地域コミュニティの核ということで、公立の小中学校につきましては、学齢期の児童生徒の学習・生活の場であるということはもちろんでございますけれども、それ以外の様々な活動等を通しまして、地域コミュニティの核としての機能も併せ持っているところでございます。
 また、全体の学校施設が目指す方向性としまして、そこにございますとおり、新しい学びに応じたICTの発展に応じた端末でございますとか、あるいは、新しい時代の学びを実現する学校施設を目指した新しい施設のつくり方、安全・安心な教育環境の確保ということが大前提でございますけれども、そういった形で進んできております。
 ただ、一方で、昭和40年代・50年代に多くの学校がつくられておりまして、多くの学校施設が一斉に老朽化してきていると。ここに書いてございますが、全体の約半数の施設が築40年以上、そのうちの大体7割に改修が必要な状況というところでございます。したがいまして、限られた財源の中で、教育環境の向上と老朽化対策を一体的に進めていく必要があると。また、トータルコスト縮減に向けて、計画的・効率的な施設整備が必要になるというふうに考えております。
 その関係で、私どもとしては、改築ということだけではなくて、長寿命化改修という形で施設の寿命を延ばしていくような取組ですとか、あとは、政府全体の取組として、個別施設計画をつくって、その中でうまく平準化しながらやっていくといったことを進めているところでございます。
 続きまして、2ページでございます。学校施設の複合化に関する現状ということでございます。平成27年11月に私ども有識者会議で検討いたしまして、報告書を取りまとめているところでございますけれども、その中で触れられていることでございますけれども、学校施設の複合化に関する現状というところで、少子高齢化に伴いまして、人口の構成ですとか社会構造が変わっているということで、公共施設の総量でございますとか、あるいは、老人福祉施設・児童福祉施設などへの需要など、公共施設の利用の需要が変わってきていると。また、その維持管理費が増大しているということで、計画的に整備することによって財政負担の平準化、これを進めていく必要があると思っています。
 併せまして、先ほど少し申し上げましたけれども、老朽化対策の検討に当たりまして、より効果的・効率的な学校施設の整備・活用が求められておりますので、その観点から、学校施設と他の公共施設との複合化の需要が高まっているというふうに考えております。
 続きまして、3ページをお開きいただきたいと思います。ここは複合化・共用化についてというふうに題しておりますけれども、複合化・共用化をすることで、施設機能の高機能化・多機能化が行われると。そのことによりまして、児童生徒や地域住民の多様な学習環境をつくり出していく、あるいは、公共施設の有効活用、財政負担の軽減等にもつながることが期待されるというふうに捉えております。
 令和4年度の9月1日時点の調査でございます。それが左下のほうにございますけれども、調査したところを見ますと、現在、公立小中学校等の複合化の事例といたしましては、全国で1万1,000程度と捉えております。
 では、どういうところと公共施設は複合化しているのかというところで、大きく文教施設、それから社会福祉施設、それからそれ以外の施設というふうに3つに大きく分類しておりますけれども、それぞれ見ていただくと、体育館、放課後児童クラブ、地域防災備蓄倉庫といったものが多い状況になっているのが現状でございます。
 続きまして、4ページでございます。ここは複合化による代表的な事例を通しまして、こういう効果があるのではないかということをお示ししているものでございます。
 1つ目は、志木小学校の例でございます。図書館の関係でございますけれども、こういった形で公共施設の機能を共用化することで、学習環境を高機能化・多機能化することができるのではないかと。
 それから、2点目でございますが、これは宇治市の例でございますけれども、小学校と老人福祉施設ということで、児童生徒と施設利用者との交流、これを促進するということ。
 それから、3点目でございますが、これは地域における生涯学習やコミュニティの拠点の形成につながる可能性があるのではないかということでございます。
 それから、4点目、これは体育館との関係でございますけれども、部活動への指導など専門性のある人材、あるいは、地域住民との連携による学校への支援、こういった効果があるのではないかということでございます。
 それから、⑤につきましては、(1)(2)とお示しておりますけれども、敷地の有効活用でございますとか、既存の学校施設の活用ということで、より公共施設を効果的・効率的に活用できるのではないかということで挙げさせていただいているところでございます。
 続きまして、5ページでございます。一方でといいますか、学校施設の複合化の課題ということで、少し整理をさせていただいております。
 複合化に当たりましては、地方公共団体の中の部局間の連携、それから、教職員、地域との合意形成、これを図るプロセスの構築が重要ということでございますので、ここでは、整備計画の早い段階から、意見を出し合って合意形成を図っていくような過程といったものを書かせていただいております。
 それから、施設設計上の工夫ということで3点書かせていただいております。
 不特定多数の人が施設を利用するということで、児童生徒もですし、地域住民の方もやはり安心に利用していただけるということで、ハード面・ソフト面の両面の対応策が必要ではないかというのが1点目でございます。
 それから、2点目、これはどうしてもいろんな方が出入りするということでございますので、動線の交錯ですとか互いの音など、児童生徒と施設利用者の互いの施設の活動への支障の緩和ということも念頭に置いていく必要があると考えております。
 それから、3点目は、管理面ということで、専有部分・共同利用部分の施設の管理区分や、ランニングコストなどの会計区分をしっかりしていく必要があると思っています。
 こういったことに気をつけていただくことで、下に書いてございますような効果が期待できるのではないかというふうに考えております。
 6ページでございますが、ここからは事例を紹介させていただきたいと思います。
 1点目は、豊中市の庄内さくら学園というところで、ここは子育て支援センター・図書館・介護予防センター等との複合施設ということで御紹介しております。ここは従来の小中学校の老朽化、それから、少子化による学校クラスの削減といった教育課題を解決するということも踏まえまして、地域にあります3つの小学校と2つの中学校を統合して義務教育学校にするということだったわけですけれども、これに加えまして、老朽化した公民館などの公共施設、それから、地域活性化のための子育て支援センター・図書館などの地域拠点施設を同一敷地に併設して計画した事例でございます。こちら、2023年4月に開校したものでございます。
 この学校につきましては、学校と地域が一体となって、子供から大人まで多様な関係の中で、子供たちが学んで、子育てや地域活動を支援できる場として計画しております。ですので、右側に写真がございますけれども、あいさつロードとか2階のデッキというふうに書いてございますけれども、学校と地域拠点施設との間の、地域の人たちが誰でも行き来できるような通路を通して、また、その2階のデッキでございますけれども、学校と地域拠点施設を相互に行き来できるような連絡橋のようなものを設けて、地域と関わる領域をつくり出しているということでございます。
 また、地域拠点施設との併設ということで、次のページでございますけれども、例えば、介護予防センターの利用者から子供たちが囲碁や将棋を教わるといったような場合ですとか、そういった形で、利用者などの地域住民と児童生徒の交流が活性化するですとか、あるいは、学校、地域拠点、それから、地域のNPOとの連携によりまして、放課後の児童の居場所などをつくり出すといったような取組をしているところでございます。また、ここは地域開放施設などの場におきましては、コミュニティスクールの活動も積極的に展開しているというふうに承知をしているところでございます。
 続きまして、8ページ、これは北海道の安平町立早来学園というところの事例でございます。こちらも2023年4月に開校した事例でございます。
 こちら、町内の3つの小学校と1つの中学校を統合して、これも義務教育学校とするということと併せまして、図書館、それから、特別教室を地域住民と共有できるようなものとして計画した事例でございます。右側の上のほうに図がございますけれども、黄色のところが地域住民とシェアできるところ、それから、ブルーは共有スペースといった形でやっております。
 この地域の開放エリアにつきましては、学校の中心に配置をすることによりまして、例えば、図書室につきまして、児童生徒と地域の人が自由に利用できるような共有スペースとすると。特別教室は、学校が利用していないときに地域の人が利用できるようなスペースとするという形で、可能な限り地域住民の方に積極的に開放しているような事例でございます。
 やはりセキュリティの問題もございますので、こういった形でICTを活用した予約システムですとか、あるいは、スマートロックなどを導入してセキュリティを確保して、学校施設の開放につきまして、職員の皆様方の労力に頼らず実施する形にしております。また、地域に開放される施設を学校の中央に配置したり、仕切りをガラスにしたりするということで、互いの活動が見えるようにすると。今映しているスライドの中では、左のほうの写真にございますけれども、ガラスの仕切りや窓で中の様子を見ることができると。こういった形で互いの活動が見えるようにするということで、学校と地域を混ぜて共創できるような空間をつくっているというところでございます。
 図書室でございますけれども、ここは公民館の図書室として終日地域住民が利用できるようにしておりまして、イベントなどで利用できるような多目的スペースでございますとか、あるいは、オフィスワークとして利用可能なスペース、こういった形で、世代を超えて子供たちと地域住民が自由に交流できると、そういった場になっております。
 続きまして、10ページでございます。こちらは埼玉県の吉川市立美南小学校というところでございます。こちらのほうにつきましては、公民館と老人福祉施設、それから、子育て支援センターとの複合施設ということでございます。
 こちら、駅の開発等に伴って、新興住宅地の学校整備におきまして、多世代が利用できるような複合施設として整備をするということでつくられたものと承知しております。新興住宅地の中で地域コミュニティの形成を図ることを意図してつくられているというものでございます。
 ここにつきましては、公民館等の諸施設のほか、学校の特別教室ですとか体育館を地域開放することを前提に計画されております。したがいまして、真ん中の上のほうに図が書いてございますけれども、1階に特別教室ですとか公民館、高齢者施設等がありまして、2階・3階のほうに教室があるという形になっております。
 普通教室・職員室を2階以上に配置することで、施設管理の負担を軽減しております。これにつきましては、また、整備にかかる財政負担につきましても、単体で整備するよりも軽減されているというふうに承知をしております。
 最後の事例といたしましては、埼玉県の志木市立志木小学校の事例でございます。
 こちらにつきましては、これは平成15年の複合化でございますけれども、もともとは明治7年にできた古い学校でございます。ここにつきまして、公民館と図書館と複合した施設にしているものでございます。これにつきましては、公共施設の老朽化・耐震化問題の解決策として、学校と複合した事例ということになっております。
 ここの地域につきましては、従来から地域コミュニティに守られてきた学校と社会教育施設の学社融合の施設ということで、地域に開かれた学校として整備をしているものでございます。
 これにつきましては、学校生活の中で、日常的に公共図書館を利用していただくとか、あるいは、小学校のクラブ活動や課外活動を公民館の利用団体が支援する、そういった形で、地域の人々と交流することで自然と社会性を身につける工夫等を行っているところでございます。
 この学校につきましては、動線はあえて明確に分けずに、見通しがよい諸室の配置などのハード面ですとか、あるいは、先生方だけではなくて、複数の施設の職員が一緒に児童を見るといった形の管理体制などのソフトを組み合わせた柔軟な防犯対策をとるということで、子供たちの活動範囲を狭めることなく学校運営しているという事例でございます。
 こういった形で全国でいろいろそれぞれ工夫をして取り組んでおられるところでございまして、私ども施設の関係のほうで申し上げると、令和4年度の関係でございますけれども、学校と学校以外の施設につきまして複合化する場合に、補助率について引上げをするとか、そういったような支援も行っているところでございます。
 こういった事例の収集等を通しまして、引き続きこういった取組を支援していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【貞広座長】  ありがとうございました。
 これまで、この観点については取り出して議論をしてこなかった点でございます。新たな観点として議題にしていただいているところでございますが、ただいまの御説明につきまして、質疑応答、意見交換に入りたいと思います。御質問や御意見おありの方は、「挙手」ボタンを押していただく、名札を立てていただく等、お申し出いただければと存じます。いかがでしょうか。
 私から確認なんですが、福島さん、これ、今日6ページ以降でお出しいただいている事例は、これ全て新築、既存の再利用というか、既存の学校施設の活用というよりも、一から全部新しくつくったものというふうに考えてよろしいですか。

【福島施設助成課長】  豊中ですとか早来は、新しくつくった事例だと承知しています。
 志木小などは、これは恐らく改築をした事例ではないかと思うんですけれども。

【貞広座長】  一部古い施設を利用してということですか。

【福島施設助成課長】  施設も活用してということでございます。

【貞広座長】  なるほど、分かりました。これ、学校のところが古い施設なんですかね。

【福島施設助成課長】  だと思います。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 あんまりぴかぴかの事例ばっかりだと、いろんな自治体さんが、ちょっとこれは無理みたいな感じになってしまうかなという危惧もありまして、確認をさせていただいたところでした。
 委員の皆様からいかがでしょう。今日、なかなか初出の論点ですので、にわかにというところはあろうかと思いますけれども。
 猿田委員、どうぞ。

【猿田委員】  猿田です。よろしくお願いします。
 私たち五城目町でも学校を改築して都市公園と共用化するというのが一番大きい最初のステップだったんですけれども、その中で、施設整備する際に、我々もすごく住民と対話しながら進めてきたんですけれども、セキュリティの問題というのがすごく大きかったんですね。
 令和2年に学校が完成した以降は、実は、地域の人が入ることによって、逆にセキュリティが高まるというような認識を持っていまして、その辺の感覚って、やはり整備する前、共用化や複合化する前って皆さん不安に思われるものなのかなというのは、率直にちょっとお聞きしたいなという思いでおります。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 この辺り、福島課長、情報をお持ちでしたらお示しいただければと思いますが、いかがでしょうか。もろもろ多様かと思いますけれども。

【福島施設助成課長】  何かそういったものについて調査というわけではないんですけれども、話をお聞きしますと、やはり複合化に限らず、学校開放もそうですけれども、やはり安全面につきましては多く声が寄せられているということは事実かなと思います。
 実際に、例えば、学校によっては、同じ敷地の中に学校もあって放課後児童クラブ等もあるんですけれども、中では行き来ができないようになっていて、子供たちが一旦外に出て、回り込んで入ると、そういった形で動線を分けているようなところもあるというふうに承知しております。
 ただ、今日御紹介した事例を見ましても、やはりハードとソフトを両方組み合わせるというところが多いのかなと思っておりまして、これはハードだけではなかなか難しいですし、やはりソフト面のところで、お互いの関係性をつくっていくと、両方の対応が必要なのかなというふうには考えております。

【貞広座長】  猿田委員、何かコメントをお持ちでしょうか。

【猿田委員】  地域の人が入ることによって、学校を使うということも、お互いにとってメリットがある。学校側がやはり一番心配するのは安全性という面だと思うんですけれども、この各事例を見ていても思うんですけれども、逆に、地域の大人が安全や安心を担保してくれる存在になってくれるとスムーズにいくのではないかなと思って、いつもこの手のものを拝見しております。
 以上です。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 今、猿田委員がおっしゃったような正の駆動をさせるようなソフトとハードの組合せの工夫が恐らく必要なんだと思うんですけれども、それも地域特性に応じてということで、一様には言えないのかもしれません。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 丹間先生、どうぞ。

【丹間委員】  御報告ありがとうございました。
 特別教室の共用化についてお尋ねしたいと思います。特に公民館と学校を複合化した場合に、これも自治体や地域によるのかもしれませんけど、公民館は比較的平日の午前中の時間帯の稼働率が高いというか、サークルの方たちがその時間に使われるというようなことが多いかと思いまして。やはり複合化というと、空間と時間を共有していくということになって、もちろん学校の教育活動が優先されてくるとなると、なかなか地域の方が平日の午前中の時間帯を中心に活動しづらくなるというような面とか課題とかというのがあるのかないのか、あるいは、あった場合に、それをどのような形で克服していけばよいのかということで、何か事例等の情報も含めてありましたら、教えていただきたいと思います。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 実は時間が重なっているのではないかということですよね。

【丹間委員】  そうです。

【貞広座長】  何か情報をお持ちでしたら、お願いいたします。

【福島施設助成課長】  個別の事例でというのは今承知していないのですけれども、当然、今おっしゃられたように、学校の施設として整備をされているということであれば、やはり学校の教育活動に一定程度配慮してという形になるのかなと思っております。
 ただ、一方で、やはり今おっしゃられたように、時間の調整ですとか、教室を使うにしても、例えば、机の配置を変えたりとか、そういうところからいろんなことがあるので、その辺りは御苦労されているのかなと思いますが、私が今お聞きした範囲では、学校のほうですごく困っているという話は、まだあまりお聞きしたことはないです。
 ただ、今後進めていって、普通教室はないと思いますので、特別教室がやはり一つ焦点だと思いますけれども、進んでいけば、そういったものは生じ得るのかなと。あと、体育館なんかであれば、昼は子供たちが使って、夜は地域の方が使うという、これはよくある話なのかなと思っていますが。
 それ以外に、今の話ともちょっと違いますけれども、学校とそれ以外の施設ですと、休日等も違うということになりますので、例えば、建物全体を一斉に掃除をしようと思っても、学校は休みなんですが、それ以外の施設は普通に動いているとか、そういったこともありますので、こういったところで、目に見えないところで、今おっしゃられたようないろんな調整というような課題は生じているのかなというふうには認識しています。

【丹間委員】  ありがとうございます。
 いずれの事例も、つくっていく過程で、部局間での調整はもちろんですけど、地域の方々も参画されて取り組まれていると思いましたので、そういう中で、いろいろ地域の新しい活動が生まれてくるといいなと思いますし、この写真で示していただいたところが、重なり合う部分から新たに生まれている価値の部分だと思いましたので、既存の機能を一緒にしていくという複合化ではなくて、何か新しい学びとか価値とかを生み出していくための複合化ということにすごく期待したいなと考えているところです。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 では、牧野委員、どうぞ。

【牧野委員】  ありがとうございます。
 個別の話というよりは、そもそも論的な話をちょっとお聞かせいただきたいんですけど。もともとこの検討会議は、適正規模・適正配置の検討会議なので、これを出してきているということは、それとどう絡めていくかという、そのスタンスをお聞きしたいんですよね。
 つまり、適正規模・適正配置を積極的に進めていこうというような地域の中で、こうした動きが出てきたことに対して、文科省としては、それを積極的に支援していくよということなのか。まさに戦略的な話だと思うんですよ。文科省として、どういうふうな位置づけをしているのかというところだと思うんですね。
 それについて、申し訳ないんですけど、福島課長の話って、割と受け身的な話をされていて、そういうのが出てきたらこうしますという話をしているんですけど、ここで検討するとすれば、やっぱりもう少し踏み込んだスタンスが必要なのではないかという気がするんですけど、いかがでしょうか。

【貞広座長】  どなたがお答えになりますでしょうか。
 じゃ、小倉さんですか、お願いいたします。

【小倉教育改革調整官】  事務局の小倉でございます。
 今、非常に難しい御指摘をいただいてしまいまして、少し回答に困っておりますが。
 ただ、今回、この適正規模・適正配置の会議で、この複合化・共用化にした観点は、やはり教員の負担であるとか、先ほど丹間先生からもありました新しい学びの価値とか、あとは、前回までに、社会教育がこういった施設、学校の適正配置・適正規模の議論に非常に関わってくると。この際に、統廃合とかに伴った施設整備のこういった複合化が、まさにそういった側面を後押しする可能性は高いのかなと思うことで、今回議題として取り上げていますし、そういった一例が出てくればなというところです。
 ただ、文科省としては、まだこれは一例でありますし、議論の段階なので、この時点で私のほうからスタンスはというところは少し回答はまだ難しいところでございますが、まずはそのような感覚を事務局としては持っております。
 もし助成課のほうから補足なり……。
 学基審のほうから御説明いただきます。ありがとうございます。

【貞広座長】  堀野さん、お願いいたします。

【堀野学習基盤審議官】  教育委員会の立場からすると、少子化に伴う統廃合とかという話になってきますけれども、自治体全体の立場からしますと、学校以外にも老朽化した公共施設をどうしていくかというマネジメントの問題があります。
 そうして、全体を恐らく自治体が見渡したときに、学校は学校だけで単体でこれを建て替えるんですかという話になりますので、やっぱり自治体の古い公民館なり、自治体の持っている福祉施設なり、そういったものの建て替えと学校の建て替えというのをある意味両にらみで、市全体からすると、そういう考え方になってくると思います。
 そういったときに、教育委員会としても、ほかの施設と一体化することによって、学校だけ建て替えてくれと言ってもなかなかそうはいかないところを、市の体育館も古いんだから一緒にやっていただくといったような形で、複合化していくというのは一つの施設マネジメント全体の方法かなということで、軌を一にするところがあるというのと、あと、併せまして、働き方改革の観点からも、結局、学校が体育館を夜貸すというときも、先生が責任あるんですかとなると、なかなかやりづらいので、これは市の施設として、市の体育館として施設すれば、市のほうで管理しますし、そこまでいかなくても、動線を分けてもらえば指定管理者にしてもらって、学校の先生は、そこを動線を分けておけば外から教室には入れませんという形でつくってもらって、指定管理者にやってもらえば、学校の先生が夜まで管理する必要はないというやり方ができるので、こういう新築のところではそういうことが可能だということで、併せて、両面からいこうかなということなので。

【牧野委員】  いいですか。
 今の審議官の話は、まさに私も思っていることで、そういった考え方をすることを文科省としても後押ししていきますよということをどれだけ打ち出せるか。それは恐らく当検討会議の主要課題である適正規模・適正配置とも十分絡んでくる話だと思うんですね。
 だから、今こうやっているんですよということについての現状の共有ということについては、私もこういった事例があるということをお聞きして大変ありがたいんですが、そこからさらにもうちょっと踏み込んで、こういったことをやるためには、どういったストラテジーを考えていくか、まさにアセットマネジメントの話も出していただきましたけれども、そういう今の自治体がやらなければいけないことに対して、どれだけ文科省としてそれを一緒に考えていけるかという、そのスタンスをぜひ私は打ち出してほしいなと、そういうふうに思います。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 この後、これまでの議論の整理の中に加えていくことになるのかもしれません。ありがとうございます。
 ほかの委員の方々、いかがでしょうか。
 実は、今日御出席の橋本先生、御専門でいらっしゃるように思ったりもするので、もし御意見ありましたら、遠慮なくお伝えいただければと思います。

【橋本教授】  じゃ、一つだけよろしいですか。

【貞広座長】  よろしいですか。お願いいたします。

【橋本教授】  私、先ほどの最初の議題と少し関連させてお話ししたいと思います。
 先ほどの送迎するしないみたいなところで、地域が子供を見守っているというイメージがあるかないかとか、地域とのコミュニティがきちんとできているかどうかというのがすごく大事だというようなお話をしました。そういう意味で、今回出していただいているやつというのは、学校と地域をどうつなげていくのかということで、すごく大事な話だと思っております。
 というのは、私も小学生の子供がいるんですけども、卒業しちゃうと学校と関わりは全くなくなるんですね。昔は関わりがあったけど今全然関わりがない人たちというのが学校の周りにもたくさん住んでいて、そういう方々にとっては、学校といっても、ほとんど入らない、関係ない施設と。当然、そこに所属している小学生ともあまり関係がなくなってくるというところがございますので、どれだけ地域の共有の空間として学校が使えるのかと、そういうような視点で見ていただけると、学校に周りの方々が来られるタイミングって一体いつなんだ、どういう用途で来られるんだろう、それがここに機能として入っていると、地域の方が学校とやっぱり密接な意識を持てるようになってくると。
 そうすると、子供たちに対してやっぱり声かけもするようになるし、そういうような関係がつくれるのではないのかなというようなところは思っておりまして、そういう意味で、平日の昼間になかなか使いにくい部分はございますけれども、何らかの形で地域の人が学校に出入りしているという状況をつくれるというのは魅力的な話かなというふうに思っておりました。
 以上です。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 ちょっと私、圧強めなものですから、ずうずうしく突然御指名してしまいまして、大変申し訳ありませんでした。ありがとうございます。
 ほかの委員の方、もし御質問、御意見ありましたら承りますが、いかがですか。よろしいでしょうか。
 では、最後に一個、御質問というか意見なんですけど、今まで学校の適正規模・適正配置ということを検討してきたんですが、複合施設ということを考えると、適正配置のありようって、ちょっと学校単体とは違うように思うんですよね。複合施設になったときにどう適正配置をするのかというのは、別途、併せて、余力があればですけれども、考えて、少なくともこういうふうに各地域がこんな観点から検討してここの配置を決めるみたいな、若干幾つかの道筋をお示しできるような議論ももしかしたら必要なのかなというふうに考えました。これは単に意見ですので、特段の応答は結構です。ありがとうございます。
 では、皆様、よろしいでしょうか。
 事務局に伺いますが、これは本日だけではなくて、今後も継続して議論していただく議題となるということになりましょうか。

【小倉教育改革調整官】  御発言のとおりでございます。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 ということですので、今日は議論のシーズをまいていただきましたので、その後また委員の皆様からこの観点についても御意見をいただければと思います。ありがとうございました。
 では、本日の議題全体を通じまして、委員の皆様からその他御発言などがありましたらお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 事務局からよろしいですか。
 今日、これまでの議論の整理について参考資料を出していただいていますけれども、こちらは皆さんに御覧いただくということで。分かりました。
 私、時間が余る会議の座長ってあまりやっていないので。ありがとうございます。
 今日はシーズということで、今後継続の審議とさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、本日はこれまでとさせていただきます。何よりも御足労いただきまして、貴重な御報告をいただきました橋本先生、ありがとうございました。
 本日皆様方からいただいた意見も踏まえまして、今後もさらに議論を深めてまいりたいと思います。
 最後に、事務局より次回の予定についてお願いいたします。

【小倉教育改革調整官】  事務局でございます。
 次回の協力者会議の日程につきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。
 事務局からは以上です。

【貞広座長】  ありがとうございます。
 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これにて閉会いたします。ありがとうございました。
 

 

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