初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議(第3回) 議事録

1.日時

令和6年9月3日(火曜日)9時00分~11時00分

2.場所

Web会議による開催

3.議題

  1. 委員からの発表及び意見交換
  2. その他

4.配付資料

5.議事録

初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議 第3回

令和6年9月3日

【石川座長】  定刻になりましたので、ただいまから初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議、第3回目となりますが、開催したいと思います。
 本日は、御多忙の中、出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 本日、江間委員は御欠席、森田委員は途中で中座されると伺っております。
 まずは会議開催方式及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【学校デジタル化PT伊勢本】  事務局の伊勢本でございます。今回は前回と同様、原則オンライン方式にて開催させていただきます。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようよろしくお願いします。
 カメラについては、御発言時以外も含めて会議中はオンにしていただきますようよろしくお願い申し上げます。
 委員の皆様におかれましては御不便をおかけすることもあるかと思いますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局より資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1から5まで、参考資料が1と2となっております。御不明な点がございましたらお申しつけください。どうぞよろしくお願いします。
【石川座長】  ありがとうございます。
 なお、本日は報道関係者と一般の傍聴者の方々向けに本会議の模様をZoomウェビナーにて配信をしております。御承知おきいただければと思います。
 それでは、議題に入りたいと思います。本日の議題は、委員からの発表及び議論ということになっております。これまでの会で学習指導要領に関する指摘があったこと、何点か御指摘がありましたので、そのことを踏まえまして、本日の進め方としては、まず、文科省より現行の学習指導要領の考え方、学習の基盤となる資質・能力、それから情報活用能力や発達段階においての記載を発表いただきます。その後、今井委員、鈴木委員,佐藤委員、吉田委員の順で、提出資料に基づき話題提供いただき、その後にガイドラインの改訂等に向けたコメント、質疑、議論の時間を後半にまとめて取りたいと思っております。
 まずは今回のガイドラインに関連する現行の学習指導要領の考え方等について、短い時間で申し訳ないんですが、文部科学省より説明をお願いいたします。
 それでは、初等中等教育局教育課程課の武藤課長にお願いいたします。
【武藤教育課程課長】  文科省教育課程課長の武藤でございます。資料1に基づいて学習指導要領と、それから、その基になった発達段階の考え方について御説明したいと思います。1枚おめくりお願いします。
 まず、現行学習指導要領の考え方ということでございますが、新しい時代に必要となる資質・能力の育成、それから評価の充実ということで、主に「何ができるようになるか」、「何を学ぶか」、それから「どのように学ぶか」、この3つでイメージをつくっております。
 まず分かりやすいのが一番左下の「何を学ぶか」という、いわゆるコンテンツのことでありますけれども、これ非常に大事なことなので、今回、非常に大きく見直してやっておりますが、極めて社会の変化が激しい中で、コンテンツだけ学んでいてはなかなか厳しかろうということで、「何ができるようになるか」、言わばコンピテンシーの考え方というのを色濃く打ち出しているところでございます。すなわち、ただの知識ではなくて、生きて働く知識・技能であったり、あるいは未知の状況に対応できる思考力・判断力・表現力等であったり、さらには学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性等、こういった新しい時代に必要になる資質・能力を育てていきたい、こういう考え方でございまして、これを本気になって追求していくということであれば、「どのように学ぶか」という学習過程が大事になるということで、右下でございますけれども、主体的・対話的で深い学びの視点から学習過程を改善すると。
 こういうセットで、全体としては、真ん中ですが、よりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくるという目標を共有して、社会に開かれた教育課程をつくっていくと、こういう考え方に立っているところでございます。
 次のページを御覧ください。ちなみにこの学習指導要領がつくられた前提としての「改訂の経緯」というところで、この会議に関連するAIに関する記述があるところであります。
 まず、「改訂の経緯」の最初のパラグラフでが、今の子供たちやこれらから誕生して成人する子供たちが社会で活躍する頃には、社会構造あるいは雇用環境が、かなり大きく、それから急速に変化して、予測が困難な時代になっているという現状認識が示されています。
 そしてその変化の1つとして、人工知能の飛躍的な進化というものが取り上げられて、人工知能が自ら知識を概念的に理解し、思考し始めているとも言われ、現在の目でみればいろいろと御意見もあるところだと思いますが、当時はこういうことが書かれておりました。
 そういう中で、雇用の在り方、それから学校において獲得する知識の意味にも大きな変化をもたらすのではないか、この予測も示されていると。このことは同時に、人工知能がどれだけ進化し思考できるようになったとしても、その思考の目的を与えたり、目的のよさ・正さ・美しさを判断したりできるのは人間の最も大きな強みであると、こういうことの再認識につながっている。
 ほかにもたくさんありますけれども、例えばこういうことが前提となって、今ほどの学習指導要領がつくられているということでございます。
 次のページよろしくお願いいたします。この中で非常に大事なコンセプトとして、教科等横断的な資質・能力ということで、第2、2の(1)のところですが、言語能力と情報活用能力(情報モラルを含む。)、それから問題発見・解決能力等、この3つを学習の基盤となる資質・能力ということで位置づけていまして、教科等横断的な視点で教育課程の編成を図るということになっております。
 次のページをお願いします。この情報活用能力についてもう少し詳しく2枚のスライドを御用意してあります。イというところですけれども、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり、自分の考えを形成する。こういうことのために必要な資質・能力であると位置づけております。
 将来の予測が難しい社会で情報を主体的に捉えながら、何が重要かを主体的に考え、そして見いだした情報を活用しながら、他者と協働し、新たな価値の創造に挑んでいくと。このためにこうした力の育成が必要であろうということでありまして、その次のペーパーを御覧ください。
 さらに学習指導要領解説総則編というところでもう少し詳しく具体的に書いてあるんですけれども、コンピューター等の情報手段を適切に用いて情報を得る、整理・比較する、発信・伝達する、あるいは保存・共有する、こういうことができるような力であって、それから、そうした活動を遂行する上で、例えば基本的な操作の習得や、プログラミング的な思考、情報モラル、情報セキュリティー、統計等々、かなり幅広い観点に立っている力でございます。
 その次のページに行きますと、情報活用能力というのが、平成28年の中教審の答申で3つの柱で整理をしています。もともと最初のボックスのところにありました「情報活用の実践力」、それから「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画する態度」、こういう3つの観点で、黒い四角の8つの要素を基に整理をしていたのが、今回の学習指導要領の資質・能力の3つの柱ということで、左下のボックスですけども、「知識・技能」、それから「思考力・判断力・表現力等」、それから「学びに向かう力・人間性等」、この3つの柱でこの答申の中で整理をしているということでございます。
 いずれにせよ、1枚戻っていただくと、コンピューター等の情報手段を適切に用いるという話があったり、さらにもう1枚戻っていただくと、情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題発見・解決する考えを形成するという話でございますので、情報技術の中で、最新のものとして生成AIというのが今学校現場で様々な形で活用されたり、あるいは活用されなかったり、あるいは様々なトライアルがなされているという中で、昨年の7月、基本的には学習指導要領をベースにしながらガイドラインが作られ、その改訂の議論を今先生方にしていただいていると、こういうことだろうと思っております。
 一気に飛んで最後のペーパーに移っていきたいと思います。今回の学習指導要領、情報活用能力の全体を含めて、どのような発達段階に関する考え方に基づいてつくられたのかということを整理したものでございます。
 まず黄色いところの左上に「児童生徒の心身の発達の段階や特性」ということがあります。
 まず小学校低学年です。低学年は、学習の質に大きく関わる語彙量を増やす。基礎的知識・技能の定着、それから感性を豊かに働かせて、身近な出来事から気づきを得て考えることなど、中学年以降の学習の素地を形成していく時期である。
 こういうふうに位置づけられておりまして、その隣の発達の支援という観点でいきますと、幼児の自己中心性は残っているけれども、他の児童の立場を認めたり理解したりする能力も徐々に発達をしてくると。最後の3行目、行ってよいことと悪いことの区別がしっかり自覚でき、社会生活上の決まりが確実に身につくよう、繰り返し指導するなどの指導上の工夫が必要である。
 続いて中学年、左側ですけれども、2行目、具体的な活動や体験を通して、低学年で身につけたことをより各教科等の特質に応じた学びにつなげていく時期であるということで、指導事項も次第に抽象的な内容に近づいていく段階。
 右側に行きまして、2行目ですが、自分の行為の善悪について、ある程度反省しながら認識できるようになると。このため、自分を内省できる力を身につけて、自分の特徴を自覚し、よいところを伸ばそうとする意識を高められるような指導上の工夫が必要である。
 続いて高学年ですけれども、抽象的な思考力が高まる時期であり、教科等の学習内容の理解をより深め、中学校以降につなげていくことが重要。
 右側、共感能力が発達してくる。自律的な態度が発達してくる。自分の行為を自分の判断で決定しようとすることに伴って、責任感が強くなり批判的な能力も備わる。自律的な傾向を適切に育てるように配慮すること。それから併せて情報の観点、いつも必ず生徒指導上の問題が関わってきますけれども、生徒指導上の課題が早期化しているということへの配慮事項といったことも書いています。
 続いて中学校に参りまして、小学校と比べて心身の発達上の変化が著しく、生徒の能力・適性、興味・関心等の多様化が一層進展する。内面的な成熟へと進む。性的にも成熟し、知的な面では抽象的、論理的な思考が発達すると。
 こういうことが書いてあるわけでありまして、この上に立って高校ですけれども、心身の全面にわたる発達が急激に進む時期であると。義務教育の基礎の上に立って自らの在り方や生き方を考えさせ、将来の進路を選択する能力や態度を育成するというようなことが書かれているわけでありまして、もちろん一概に言えないわけですれけども、全体としては、こういう発達段階、発達の特性に関する考え方が基になりながら、先ほどの指導要領の整理をされていると、こういうことだろうと思っております。
 私からの説明は以上でございます。
【石川座長】  どうもありがとうございます。
 現行の学習指導要領のこの委員会の関連部分を的確にまとめていただいて、どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆様からの発表に移りたいと考えております。先ほども冒頭に申し上げましたように、発表の後に議論の時間を用意してございます。この議論の時間の中で委員の方々の発言機会を確保したいと考えておりますので、発表の方、事前に資料を拝見しますと、大部の資料を御用意なさっているんですが、大変申し訳ないんですが、ポイントをまとめて的確にコンパクトに理性を持った発表をいただければなと思っております。
 発表いただく委員の先生方には15分以内と事前にお伝えしておりますので、ぜひとも守っていただくようにお願いいたします。
 鈴木先生は何か、鈴木委員は事前に大分御用意いただいたようで、大変ありがとうございます。御準備、感謝申し上げます。
 それでは、まずは今井委員から発表をお願い申し上げます。
【今井委員】  では、資料を共有させていただきますね。今聞こえていますでしょうか。
【石川座長】  聞こえています。
【今井委員】  では、始めさせていただきます。皆様、おはようございます。今井でございます。前回の第1回、第2回欠席いたしまして、大変申し訳ございません。今日は、私、この問題について自分の認知科学の観点から非常に関心を持っておりまして、お話しさせていただきたいこともたくさんございますが、15分ということで、何とか時間を守りたいと思っておりまして、その代わり補足資料ということで、幾つか補足資料を提出させていただきました。
 その1つは、岩波書店から岩波新書として、今月20日頃ですが、『学力喪失-認知科学による回復への道筋』という書籍を刊行いたします。そちらの最終章にまさにAIとどういうふうに向き合って子供が学んでいくのかということをまとめて書いておりますので、そちらのほうを岩波書店の許可を取った上で資料として提出させていただきましたので、ぜひ今日の補足資料として御照覧いただければと思っております。
 では、早速始めさせていただきます。この委員会は初等中等教育段階において生成AIを利活用するということなんですが、必ずしも利活用に完全ポジティブというわけではなく、結論ありきではなくて、利点、不利点を含めて検討していくということで、そういうことを私の認知科学の観点からお話しできればと思うのですが、やはり第1回、第2回の先生方の議論からもありましたように、この文脈を、この問題を学習指導要領と切り離して情報教育の文脈だけで検討していいのかというような問題がございます。それは私はそんなことはなくて、これは本当に学習指導要領と切っても切り離せない問題だと思っております。やっぱり単にこの問題は情報教育ということではなくて、子供たちにこの時代にどのような資質・能力を身につけてほしいのかという文脈で、その中でやっぱり一番の生成AIのリスクというのは、様々なリスクもあるのですが、認知科学の点からいうと、一番大きな懸念点というのは、学びのエピステモロジーというものに対するリスクなんだと思うんですね。
 エピステモロジーというのは、先ほどの文部科学省の課長さんからの御発表にもありましたように、大事な資質・能力として、児童生徒に身につけていただきたい、もらいたい大事な資質・能力として、知識・スキル、それから2番目に思考力・判断力・表現力で、3番目が学びに向かう態度ということで、まさにここが最も大事なもので、これを私たちはエピステモロジーと呼んでおりますが、AIというのがエピステモロジーにどういう影響を及ぼすのかというのは教育の研究において非常に大きなテーマでありまして、ただ、この結果が調査によって明らかになるのは随分先、10年後になるかもしれません、きちんとした調査をしたら。でも、私たちは待っているわけにいかないので、やっぱり今の段階でどういうことが懸念されるのかということは押さえておくべきなんだと思っております。
 その上で、前回の御発表で、今井翔太先生からの御発表だったと思うのですが、子供たちが生成AIのすごい能力に対して無力感を感じてしまうのではないかというような御発表があったんですが、私はそういうふうには考えません。むしろ、子供たちが、ここで懸念されるのは、簡単に答えを得る道具、簡単に答えが出る道具で、さらに言うと、検索エンジン、グーグルなどの検索エンジンは、リストから自分で選ばないといけないわけですが、生成AIは答えを返してくれるので、その返し方がどんどんどんどん巧みに流暢になっているので、それで、もうこれで宿題はいいや、これでもう分かったからいいやという気持ちになってしまうと、これは非常に多大なネガティブな影響があるのではないかなと感じております。
 他方、学校現場は本当に今飽和状態だと思うんですね。この複雑な時代の中で、学ばなくてはいけない知識、あるいは、知識・能力、とにかくたくさん学ばなくてはいけない。活動も授業もそれを盛り込まなくてはいけないというと、本当に飽和状態で、ですので、生成AIについての利活用を学校現場でどうするかということを考える上で、やっていいか悪いかという問題だけではなくて、現在飽和状態にある学校現場の中でこれを入れる意義がどのぐらい、対費用効果としてどのくらいあるかという議論はするべきなのではないかなあと思います。
 その中で、これを入れたら何かを削らなくてはいけないような状況で何を削るのか。そこまで全体像を考えた上で利活用を考え、授業の中で活用するのでしたら、活用の仕方を考えなくてはいけないのかなと思っております。
 これは先ほど申し上げましたが、子供に何を学んでほしいのかということ、私、現行の学習指導要領でも非常に的確に書かれていると思うんですが、その中でやはりもう1回、この問題と絡んで、学習指導要領と一緒に、この問題と一緒に再検討する必要があるのかなと思っております。
 複雑な現代を幸せに生きるために、子供たちが何を学ばなくては、学校で何を学ばなくてはいけないのかといったときに、知識はもちろん大事なんですが、でもその知識を全部今の子供が学校にいる時間の中で、授業の中でカバーすることは多分不可能だと思うんですね。しかも現状でも、本当にあれこれ、子供が習得しなくてはいけない知識が多過ぎて、でも私自分で調査した、開発した「たつじんテスト」ということで、非常に基礎的な、単元内容ではなくて、数とか言葉とか思考力の本当に一番ミニマムな基礎的なところでどのぐらい子供が単元内容の学習に向かう力があるのかということを検討する、それを見るためのテストを開発したわけですが、そうすると、本当に70%の子供はその準備ができていないというような、そういう印象を持っております。
 それなので、1つの考え方としては、必要な知識を知識として全部教えるということは多分無理で、むしろそこで大事なのは自走できる学び手を育てるということなんだと思うんですね。
 結局、知識=学力というのが、決してこれは文部科学省の現行の学習指導要領の中での学習観ではないというのは明らかなんですが、一般社会においてまだまだ知識=学力というエピステモロジーが非常に浸透していると思っております。その中で、やっぱり社会のエピステモロジーが変わることがとても大事なのではないでしょうか。大事なのは、学ぶ力、学力を開くと、和語に開くと学ぶ力になるわけですね。学力=知識ではなくて、学力=学ぶ力なんだというようなエピステモロジーを子供だけではなくて先生にも社会にも浸透する必要があるのかなと個人的に思っております。
 その中で、学ぶ力に必要な資質・能力、要素、資質というか、要素ですね、要素・資質というのは、私、ここに4つの言葉を挙げさせていただきました。1つは「記号接地」、2つ目が「アブダクション」推論、3つ目が「メタ認知能力」、4つ目が「エピステモロジー」です。
 今日頂いた時間の中で説明することはできないのですが、9月に刊行される岩波新書の中で詳しくこの4つの概念をデータとともに説明しておりますので、ぜひ皆様にはお読みいただきたいなと思っております。
 これらの資質を、あるいは要素を個別に取り上げて教えることができるのかというと、結論を申し上げると、できません。でも、教科単元の授業活動の中でこれらの資質を育む工夫はいくらでもできます。そういう通常の事業活動の中でちょっとした工夫を、観点を入れてちょっとした工夫でいくらでもこれらの先ほどの4つの要素を育むことは可能だと思うんですね。
 最後に1つだけ、AIと人間がどう違うのかということを、思考力、特に推論能力というところでお話しさせていただきたいと思います。先ほどの武藤課長さんの御発表の中にもありました、前回の指針の中で、AIが知識を概念的に理解し、思考を始めているというような、そういう記述がありましたけれども、AIと人間が、じゃあ、本当にAIが人間に近い思考をしているのかというと、実は大きな違いがあるんですね。
 1つは、AIというのは、ビッグデータがあって、データから統計的な帰納をする帰納推論、インダクションというものですが、帰納推論をする。そこからしか学習しないんですが、人間は、帰納推論ではなくて、アブダクションというと非常に特殊な推論をします。アブダクションと帰納推論というのがどう違うかということを考えることは非常に大事だと思っておりまして、帰納推論というのは、部分に関する情報に基づいて、部分が属する分野について一般化すると。だから、これ思考していないかというと、一般化というのは思考なので、思考と言えるんだと思うんですよね。ただ、やっぱり一般化の分野が非常に限られている。狭い。人類がしてきたような非常に分野を超えた創造性というのが本質的にAIのやり方と一致しているかというと、そうは思えないわけです。
 アブダクションというのは、本当に我々が観察できない何かを仮定して、違う種類の何かを推論する。それは直接に創造性というものに結びつくわけです。
 結局帰納推論からは、次に何が起こるか。例えば握っているボール、手を離せば落ちる。何々から手を離せば落ちる。上に、空中にあるもの、手を離せば落ちるということから、次に、何を落としても落下するということは分かっても、その仕組み、その事実の中に重力というようなものを見ることはできないわけですが、アブダクションというのは、それはなぜなのかということを考えるわけですよね。そういうような性質のものです。
 これを例えば、数々の楽器の音からそれらの音そのものとは違う調和的な音楽をつくるようなものだと言っています。
 結局、大事なことは、生きた知識は外から移植できないということなんですね。これは人間の先生にとっても、AI家庭教師はもとより、人間の先生にとっても、知識って外から移植できないわけです。でも、人間の創造的な知識は、帰納推論からではなくて、アブダクションから生まれるということで、だからその創造的な知識を子供が自走して学んで推論できるような、そういう工夫を教育でしていかなくてはいけないということだと思うんですね。
 生きた知識にはまず直観というものが必要です。本質を見抜く直観が必要で、これは、もう時間もないんですが、一言だけちょっと言わせていただくと、情報の本質は何かという問題にも結びついていて、これはお読みいただくということで、詳しくはお話ししないですけれど、先日、新型コロナの分科会の会長をされていつもプレスリリースをされていた尾身茂先生とお話しする機会があって、尾身先生は専門家として、結論だけではなくて、何か提言を提出するときに、結論だけではなくて必ずエビデンスとそこに至る思考過程を一緒に出して、提出して、それで一緒に考えてくださいということで提出してきたんだけれども、社会の人たちは必ずしもそうではなくて、思考過程、エビデンスを全く見ずに、ただ結論だけでいいとか悪いとか感情的に反応しているということで、情報の本質を捉えることができていないのではないかというような、そういうようなことをおっしゃっていて、やっぱり情報量が多ければ多いほど情報の本質って見極めるのが難しくなる。今は本当に難しい状況にあるわけです。
 その中でやっぱり直観を育てるということこそが情報教育の本質なのではないかということで、本委員会で必ず押さえるべきポイントとして提案させていただきたいのですが、まず生成AIの使い方の注意とか、AIの有効活用の仕方ということを学校で教えることは有益だとは思うのですが、先ほど述べた対費用効果、限られた時間の中で本当にそれだけで情報の本質を見抜く直観が育つのかということを考えた上で是非を検討するべきだと思います。
 その中で、私は必要なのは、学ぶ力、自走できる学び手をつくることだと思うので、その中で、情報の本質を見抜く、自分で学ぶことができる、判断ができる、そういうようにする支援をするために何が必要なのかということを、それをぜひガイドラインに、生成AIの教育現場での利活用現場へのガイドラインに盛り込んでいただきたいなと思っております。
 では、以上です。ちょっとオーバーしてしまって誠に申し訳ございません。
【石川座長】  どうもありがとうございます。時間過ぎておりますので、次の御発表に移りたいと思います。
 鈴木委員、よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】  よろしくお願いします。私は小学校の教員をやっているので、いつ何かで子供がどうかして呼び出されることもあるかもしれないと思ってムービーを用意してきました。こちらを流させていただきます。よろしくお願いします。
「それでは、私の発表を始めさせていただきます。私が今までに行ってきた実践から、今、生成AIに対してどのようなことを考えているか、お話をさせていただきます。
 私が初めて生成AIを活用した授業を行ったのは2023年の3月でした。そのときには道徳だったのですけれども、それなりに手応えを得たので、これはもうちょっと子供たちに生成AIについて詳しく教えてあげたいなと思ったのですね。
 そこで、詳しいマイクロソフトの方とオンラインでつないで子供たちに向けてレクチャーをしていただきました。これは前のガイドラインにもあった、『生成AIがどのような仕組みで動いているかという理解』が重要ということと重なる考え方だったんですが、非常に難しいなということが分かりました。仕組みの話に入った途端に、子供たち、途端に集中力が落ちたんですね。これはなぜだろうと考えると無理もなくて、そのとき私が担任していたのは4年生だったのですが、小学校4年生、算数の「データの活用」のところでいうと、この程度のことなのですね、やっているのは。あるいは5年生、6年生と来てこのぐらいなのですが、そういう子たちに、生成AIは統計的にどうしたこうしたとか、確率が何のかんのという話をしてもちょっと難しいわけです。
 ただ、体験を通して生成AIに対する態度を養うことは可能なのではないかと考えて、翌年は、また4年生を担任したのですけれども、1年間をかけてしっかり生成AIを活用していこうと。その姿をたくさん見せることで、子供たちの中に生成AIに対する態度を養うことができないだろうかということを試みました。
 たくさん授業をやったのですけれども、幾つかだけ紹介しますが、7月にガイドラインが出たのに呼応したように行った国語の授業についてまずは紹介したいと思います。
 「お礼の気持ちを伝えよう」というところで、型に沿った手紙を書くと改まった気持ちを伝えられるよ、ということを学ぶ単元です。
 宿泊生活でお世話になった管理人さんにお礼の気持ちを伝える手紙を書いてみようと。子供たちが書いた後にAIにも書かせてみようということをやってみました。
 AIに書かせるに当たっては、プロンプトは子供たちと相談してこのように考えました。箇条書のところは教科書に載っているそのままの順番ですけれども、これで恐らくAIはちゃんと手紙を書けるだろうと思ったわけです。
 出てきたものを子供たちに共有したのですけれども、もちろんAIパっとつくったのですが、子供たちからはいろいろとこれはおかしいということが出てきました。青いところは形式や表現の話ですが、赤いところはそもそも内容が違うと。管理人さんにはそんな声はかけられていないとか、そもそも炎天下じゃなかったよというふうに、AIが書いてきた文章が宿泊生活の内容と間違っているというような指摘がありました。
 何でAIは間違えちゃったのだろうと私が聞くと、子供たちからは、それは当たり前でしょうと。宿泊生活でどんなことがあったか、僕らはプロンプトに書かなかったし、AIはそもそも宿泊生活を体験していないのだからできるわけがないというようなことを言ったわけです。
 私からは、そうだよねと。AIは大量のデータ持っていてすごいけれど、君たちが体験の中でどんな感情を抱いたのか、どんな感動を得たのかというところは分かってないわけだよねと。お礼の手紙を書くのだったらそこじゃないの?と言うと、子供たちは猛烈に自分の書いたお礼の手紙を、あっ、これを書き足そうかなというふうに直す。そういった学びにつなげることができました。
 もう1つ、実践を御紹介します。これはぜいたくなのですけれども、12月と1月に行った図工の鑑賞の授業で、人間とAIが同じプロンプトで絵画を生成したらどうなるか比較してみようという授業でした。
 まず、12月に画家が来て、絵を描くってこんなことだよということを子供たちにレクチャーします。次に子供たちが画家とAIと両方に描いてもらうためのプロンプトをつくります。それを持って画家が帰ると。年明けに出来上がった絵を持ってもう1回画家が来校します。そこで、その絵を見てからいよいよChatGPTに絵を描かせてみて、比較しようという、そういう授業でした。
 まず、12月に画家が来たときは、こういう自分の作品を見せながら、絵を描くに当たってはいろんな思いを込めて描いているんだよというふうなことを子供たちに話してくれました。次に子供たちがプロンプトを考えます。画家はこれを持って帰りました。シマエナガという鳥の絵を描いてくれというプロンプトです。
 年明け、出てきた絵がこちらになります。子供たちから非常に歓声が上がったんですけれども、いろいろ質問もあって、この絵にも画家の感情が入っているのですかというふうな質問がありました。画家からはそうだよと。これにもいろんな思いが込められているんだよというふうな答えがありました。
 次、いよいよ生成AIに同じプロンプトで絵を描かせてみました。出てきた絵がこちらになります。これに対する子供たちの反応は、「思っていたものと違うので修正して」というものでした。そこでプロンプトを書き足して、もう1回出させたのがこちらになります。これに対する子供たちの反応は、「思っていたものと違うので修正して」というものでした。そこでさらにプロンプトを書き足してもう1回出させたのがこちらの絵になります。これに対する子供たちの反応は「もういいです」というものでした。
 ここまでやったところで私からも画家に聞いてみました。「AIは何回も修正したけれども、あなただったら修正してくださいと言われたらどうしますか」と。そうすると画家は、思いを込めて描いているので、そのリクエストにはお断りしますと答えたんですね。
 これは決定的に違うなと。AIは、駄目な絵だけど、何回もやってくれると。ところが人間は断るんだというので、子供たちも随分えーっというふうになりました。
 そこで私から、じゃあ、人間とAIとでどういうところが違うのだろうとその授業で聞いてまとめたのがこちらになります。
 注目していただきたいのは一番下なのですが、AIは「ただ絵を描いているだけ」というのは、表現は小学校4年生なりですけれども、かなり実は的確にAIの本質を子供たちなりにつかんでいるのではないかなと考えます。
 その後、翌年、この学年を持ち上がって今5年生を担任しているのですけれども、クラス替えがありました。そうするとどういうことになるかというと、クラスの3分の1は私と一緒に1年間がっつりと生成AIを体験してきた子たち、3分の2は生成AIの経験が浅い子たちと、そういうふうなクラスになりました。そのクラスを対象に行った国語の授業の話をさせてください。
 今までの授業は全部教師が生成AIを操作して、その結果を子供たちに共有するというものだったのですが、今度御紹介する授業は、子供たち自身が生成AIを操作する、そういう授業でした。
 やったのは、原因と結果を表す文をつくって、その判定をAIにさせようというものでした。原因と結果がよく分かるような文をつくってみますので、原因と結果の関係がよく分かるかどうか判定してくださいというプロンプトでもって投げ込むわけです。
 実際に子供たちがどんなふうなのをやったかというと、例えばこれなのですが、「僕は今おなかが痛いです。なぜなら賞味期限切れの牛乳を飲んだからです」というような文を書いたらAIが回答してくると。
 子供たちが納得する場合もありますが、納得しない場合もあったのですね。このときは納得しなかったのですけれども、AIは順番入れ替えたほうがいいよというふうなアドバイスをしてきたのですが、子供たちからは、いや、別に結果から書いたって原因と結果の関係は分かると。順番はこのままでいいだろう。あるいは文は2つに分けたほうがよい場合もあると4年生で学んだのだからいいじゃないかみたいなことを出してきました。
 この授業を振り返って思うのですが、全児童に対して即時フィードバックが得られるのは、これは人間の教師では絶対無理なので、AIのいいところだなと思うわけです。ただ、正しいアドバイスを返してくるとは限らない。これはどうかというと、実はこの授業においては悪くないんですね。どういうことか。普通授業において教師が何か言ったら、それに対して子供は文句言えないんですね。受け取るしかない。ところが、AIが相手だと、正直に納得いかないと言えるわけです。納得いかないと言っているときに子供が何を考えているかというと、原因と結果の関係を明らかにする文ってどういった文だ、こういうものだよね。だからAIのこの答えは納得がいかないと考えているわけです。
 つまり、生成AIが間違った回答をしてくるわけですけれども、それさえ教科の目的達成に寄与するような授業設計というのは可能なのですね。こういう授業をやっぱり我々やっていくべきなのだろうと思います。
 が、難しいのは、この授業においても、「へえー、そうなんだ」というふうな感想を持ってしまった子はいたのです。それはなぜかというと、それが経験なんですね。AIの経験が浅い子たちはAIが出してきた答えに対してついつい素直に受け取ってしまいがちというところがあります。
 ですから、子供が生成AIを実際に触る前に、たくさんAIってこういうふうな回答を返してくるものなのだという経験を積むことがすごく大事なんじゃないかなと私は考えます。
 ひとまずのまとめとしてはこういうふうなことになりまして、AIの経験を積むと、AIに対しての冷静な態度を養って、その後操作するのであればいい使い方ができるのではないかなと思うわけです。
 そのときに大事なのが、教科の目的達成に生成AI活用が寄与するような授業というのはお話ししたとおりですけれども、もう一つ、学ぶことの納得感獲得に生成AI活用が寄与するような授業ができるといいなと思います。
 というのは、例えばこれ、前のガイドラインで言われていた、コンクールの作品やレポート・小論文などにAIをかませて、そこで出てきたものをそのまま提出するのは不適切ですよというふうなものがありました。もちろんこれは不適切ですけれども、今やそれで済んでしまうようなコンクールとかレポートとか小論文とか、そういう課題の出し方が不適切だと問われている時代に我々入っているのだろうと思います。
 読書感想文コンクールというと、結果しか実際には見てないわけですね。それだと子供たちからこういうふうな問いが出てくるのは仕方がないだろうと思います。でも、実際には、子供たちが読書感想文を書くときってもっといろいろ面倒くさいことをたくさんやっているのですね。その上で読書感想文が出てくるわけで、本来はこっちをもっと見てあげないといけないのだろうと思います。
 こっちを見て評価する上では、その前段階として、子供たちの中の「読みたい」とか、「読んで感動したいんだ」という気持ちを掘り起こすことが大事です。それを「伝えたい」と思ったところで、ようやく読書感想文が意味を持ってくるわけです。
 そういうことまで掘り起こしてくるのであれば、そこまでできていれば、文章をつくる過程でAIを使うようなことは全然ありだろうと思うのですが、ただ結果だけを問うような課題の出し方をしていると、何でそれを学ぶ必要があるのですかということを子供たちから言われることになるだろうと思います。
 ですから、私が学ぶことの納得感獲得に生成AI活用が寄与するような授業が必要だろうというのはそういうことなのですね。学ぶことの納得感が得られない状態だと、じゃあ、AIに任せればいいやというふうなことになってしまいます。学ぶことに十分納得して、その上でAIを使おうとならないとこれからの授業は厳しいだろうなと考えています。
 今出している図が私としては大体のまとめになるのですけれども、実際にはいろいろと課題が多くて考えなければいけないことも多いなと思っているのですが、それはそれとして、これから先生方と一緒に議論しながら私も考えていきたいなと思っております。
 ひとまずのまとめをこちらに書きましたけれども、一番下、最後の納得感の獲得というところにつながるのですが、それは生成AI時代にも学ぶ必要があるのかという問い、これを子供たちが抱く前にまず我々がよく考えないといけないのではないかなと。それは次の学習指導要領にもつながるものではないかなと思うので、ガイドラインのどこかに何かしらの提言は入れるべきだろうと考えております。
 実践を見たいというふうなお話もありましたので、実践についての情報をこちらに載せておきました。御参考になれば幸いです。
 以上です。
 ということで、私からの発表は以上で終わります。ありがとうございました。
【石川座長】  どうもありがとうございます。現場の状況を的確に御説明いただきまして、ありがとうございます。
 では、続きまして、佐藤委員、御発表お願いいたします。
【佐藤委員】  よろしくお願いいたします。信州大学の佐藤でございます。
 私からは学習指導要領における情報活用能力の位置づけや、その実態等を踏まえて意見を申し上げたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 少しだけ自己紹介になりますが、東京都の小学校の教諭を経て研究職に転身している者で、専門分野は教育工学であったり、情報教育、メディアリテラシー教育でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、この論点についてお話しいたしますと、生成AIの活用に関しては、情報モラルを含む情報活用能力が十分育成されていない段階で自由に使わせることはどうなのかというようなことが前回ガイドラインで示されているところでございます。
 それから、生成AIの学ぶ段階ということも示されているわけですが、十分、育成とはどの程度で、具体的に何をいつからやればいいのかということは書かれていないという状況に関しての意見でございます。
 そもそも情報活用能力とは何かということに関しましては、武藤課長が先ほどお話しいただきましたので、少し省略して申し上げたいと思います。こちら、資料を基に整理をしているわけですけども、そもそも情報活用能力の経緯でいきますと、臨教審から教育課程審議会、昭和61年から平成2年の会議、平成9年の会議を経て18年の初等中等教育における教育の情報化に関する検討会で整理されているのが3観点8要素になります。これは先ほど課長からもお話があったとおりでございます。
 それから、IE-School事業というもので情報活用能力の体系表例というものが出ておりまして、こちらも学習指導要領に対応している形で整理がされているところでございます。
 学習指導要領に関しては先ほど課長から詳しくお話しいただきましたけども、学習の基盤となる資質・能力として情報活用能力が記載されているほか、生成AIに関しましていいますと、予測困難な時代において主体的に捉えて活用するとか、身近な情報技術を手段として活用していくこと。情報を比較すること、学習活動を遂行する上で必要なものになるということが示されているところでございます。
 これまでを少し整理してみますと、1つ目が、3観点8要素で整理されていていること、2つ目が、資質・能力で整理されていること、そして学習指導要領において情報活用能力と生成AIの利活用に関する整理としては以下が示されていくのではないかと思いますけども、生成AIの技術を活用した上で、問題解決・発見、役割・影響・法・マナー、それから責任などに関して、科学的に理解していくことであったり、学習や生活に効果的に活用することであったり、主体的に参画する態度を身につけていくことが必要なのではないかということが現在の学習指導要領からは読み取れることができるのではないかと思います。
 これらを踏まえて情報活用能力の状況について私からは詳しく申し上げたいと思います。まずOECDのPISA2018に関しましては、読解力、これはCBTに移行した2015年から低下していると言われているところでございます。
 この読解力に関してですけども、読解力は、情報を探し出すこと、それから理解する、評価する、熟考するということが定義になっているわけですけども、1の探し出すということと評価し、熟考するということが低かったと言われております。
 特に生成AIに関わってファクトチェックというような観点でいいますと、評価し、熟考するというところが関係すると考えられます。前回8%程度から2022年は14%程度まで向上はしているものの、ほかの項目よりは低いというような、そういう状況になっております。こうした質や信憑性を評価するような活動があまりできてないのではないかと考えられます。
 それからICTの活用の話になりますが、探究やPBLでICTが活用されていないことや、主体的に情報が活用できていないのではないかと考えられると思います。
 さらに、自律学習を行う自信というのが諸外国に比べて低いと言われているところでございます。これは先ほどから今井委員と鈴木委員がおっしゃっているように、主体的な学びや、個別最適な学びに関して、生成AIの利活用を進めていく上では非常に重要になってくるのではないかと思うところでございます。
 さらに昨年ですけども、情報活用能力に関する意見交流会というものがございました。その中で整理されているところでございますが、こうして生成AIのような新技術についても、問題解決の基礎となる学習活動の中で適切に取り入れられることということが非常に大事だと示されておりまして、こういった観点からも、情報活用能力を育成していくという中でも個別最適な学びというものが必要になってくるのではないかと言われているところでございます。
 さらに、情報活用能力がまだまだというような指摘もございます。デジタル技術の基本的な操作の習得が十分ではないという指摘はもちろんあるわけですけども、そういった中で生成AIを使っていくということにはもちろん懸念があるわけで、情報端末の活用の観点をさらに充実させていく必要があるのではないかと捉えているところでございます。
 それから、学校現場で情報活用能力が十分に理解されていないとも言われています。これは私も非常に感じるところでございますけども、例えば教員研修の中で、情報担当者や研究主任の先生方が集まる会で情報活用能力について質問をするわけですね。説明どのくらいできますかと聞いてみますと、なかなかうまく答えられない先生が多いなという印象です。
 こういう中で情報活用能力というようなことの育成を求めていっても、なかなか理解されていないところで、じゃあ、どういったものが情報活用能力なのかというようなことは学校現場でなかなか認識できないとすれば、実践もあまり進まないのではないかと考えられるわけです。
 ですから、十分に理解していただくためにはどうしたらいいかということも少し検討事項だと考えております。
 少し私の研究分野のことで申し上げたいと思うんですが、これは私が今研究していること、一番上になるんですが、最近生成AIが生成した混成型テキストを子供がどのぐらい読めるのかというような、そういう研究を始めております。
 こういったことをやってみると、違和感とか批判的な記述ができる子供とそうじゃない子に分かれていくわけですけども、生成AIがつくった情報を子供に見せると、ぴんとくる子供とぴんとこない子供がいるわけです。そういったものが記述に反映されていくわけですけど、つまり、批判的に書けるか、あるいは素直に読んでしまうのかという話なんですが、調べてみますと、素直に読んでしまう子供は情報活用能力の学習歴が非常に乏しいなという印象を持っております。
 それから、きちんと読めている、ちょっとこれは怪しい記事かなとか、これ本当なんですかねみたいな、そういった記事を書く子供は、情報活用能力の学習歴を聞くと、こういった学習をしてきたであるとか、この時期にこういうことをやってきましたというような、そんなことをお話をしてくださいます。
 まだ研究途中ですが、こういったことは大学生でも結構似た傾向があるなと感じております。大学生でも比較的うその情報とか、本当ではない情報、こういったものを見せたときに、素直に受けてしまう学生は、やはり情報活用能力、情報教育というものをきちんと勉強した覚えがないというような、そんなことを言ったりしております。
 この辺りで感じるところは、やはり情報活用能力がきちんとやられていることというのが非常に大事になるんじゃないかなということですね。先ほど今井委員がおっしゃっていた直観が働くというような話に非常に近いんじゃないかなと僕は感じているところでございます。
 さて、鈴木委員が実践紹介されたように、リーディングDXの生成AIパイロット校でも実践されているところでございます。この生成AIのパイロット校の実践を分類してみたところ、ファクトチェックに関わるような項目、多面的に情報を検討する、試行錯誤するというような、そういった実践がまだまだ少ないなというような印象をデータから受けているところでございます。
 そして、3観点8要素でも整理したところですけども、情報モラルに関わる「情報社会に参画する態度」の実践に関しても、ほかの観点に比べると比較して少ないなと。もちろん情報モラルが参画する態度以外にも知識や科学的な理解は必要なわけですけども、比較をしてみると少ない印象を持っております。
 国でも情報活用能力調査というものが行われております。2014年と2022年に実施されていまして、小学校5年生、中学校2年生、高校2年生を対象としております。
 ここでは、今、現段階で生成AIをどの段階から活用すればよいのか、そういったことの参考になる資料だと捉えております。レベル1からレベル9の問題に対して生成AIに関わりそうなファクトチェックに関わりそうな項目を右に挙げてみましたけども、小学生から高校生までどのくらいできているのかということが示されているのがこのデータになります。
 これらのエビデンスがどのぐらい参考になるのかということを考えていかなければいけないのが生成AIガイドラインに関わるところかなと捉えております。
 これまでの議論を整理してみましたけども、特に読解力に関して言われているところでございますが、PBLや探求や自律学習という観点、情報活用能力が十分に理解されていないという観点、そして、批判的に読解した経験がない、情報活用能力を勉強した経験がないという子供たちは、生成AIがつくった情報を目の当たりにしたときに、あまりぴんとこないというような、そんな実態があるというのが私から申し上げられることかなと思っております。
 最後にガイドライン改訂に関する意見でございますけども、整理しますと、まず1つ目は、学習観の転換に関しては、委員の先生方がおっしゃっているとおりかと思います。
 2つ目、情報活用能力に関しましては、エビデンスという観点でいきますと、情報活用能力調査等の結果や実態を踏まえて具体的な学習活動を明確に示していく必要があると捉えております。
 特に情報の収集、整理、分析、評価・改善、多面的・多角的な情報の検討、試行錯誤という場面でございます。こうしたところはメディアリテラシー教育であるとかファクトチェックに関わる実践がこれまでも蓄積があると思いますが、これらをきちんと記述していく必要があるのではないかと捉えております。
 それから、生成AIの利活用に関しましては、学校現場ではどうしても段階的にどうしていけばいいのかという議論が出てまいります。先ほどの情報活用能力調査の結果を踏まえてもし考えるのであればということで整理をしてみたところでございますが、まず、今までの整理は、2から5が書いてあったと思います。2が1になっているという形です。
 ですけども、いろんなことを見ていくと、生成AIの情報が読めないとか、ぴんとこないとか、直観的に何も思わないとかということを考えていくと、生成AIを活用する前に達成しておきたい情報活用能力の段階があるのではないかと僕は捉えているところでございます。
 同時に情報活用能力の育成・発揮ということが前提になりますけども、情報活用能力調査、せっかく行われているところでございますので、きちんと改めて再度私も分析し直したいなと思いますが、これらを前提とした上で取り組むことができればなと考えているところでございます。
 私からの発表は以上となります。ありがとうございました。
【石川座長】  どうもありがとうございます。御経験に基づき、割と俯瞰的な立場から様々な御意見をいただきました。
 続きまして、吉田委員、御発表をお願いいたします。
【吉田委員】  今聞こえているでしょうか。
【石川座長】  聞こえております。
【吉田委員】  ありがとうございます。それでは、私から情報提供させていただきます。よろしくお願いいたします。
 私の簡単な自己紹介は、本当に手短にと思っていますが、様々な肩書を頂きながら、教員の支援をメインに研究ですとか活動をしております。最近は特に生成AIに関係するような研究ですとか、研修や助言、講演なども行っているというような状況でございます。
 今回は、私がこれまでに行ってきた生成AIに関する主な取組を御紹介した上で、先生方からいただいている反応ですとかニーズを御共有して、その上でガイドラインの改訂に向けてコメントをしたいと考えております。
 まずはこれまでに私が行ってきた生成AIに関する主な取組なのですが、幾つかありまして、分かりやすい例でいいますと、教員向けのオンライン講座を公開したことがございます。これはもう1年以上前にはなるんですが、内容はそこまで古くはなっていないというところもありまして、これに関しては後ほど少し詳しく紹介したいと思います。
 それであったり、各所での研修や講演ですとか、動画の作成ですとか、現在も定期的なオンラインイベントを実施していたりですとか、あと、教育に関する生成AIコミュニティーを運営していたりですとか、また研究などをしているというような状態で、様々な活動をしながら、先生方のコメント、初等中等、高等も含めて様々な先生方の反応やニーズを把握している状態でございます。
 以前実施した講座に関してなんですが、この当時、2023年の5月13日に、非常に長かったんですが、4時間で実施したものがございまして、こちらはChatGPTがこの頃は一強だったというところから分かりやすく「ChatGPT講座」と銘打っているんですが、当日は650名以上が参加してくださいまして、アンケートでもほとんどがよい評価で、最高評価も8割以上ということで、あと、資料や動画は公開しておりまして、その動画が4時間40分ほどあるんですが、8.5万回ほど再生されております。
 内容に関しては、ChatGPTについてということで、概要だったり、使い方だったり、できること、仕組みなどを共有したりですとか、活用に際して注意点が幾つもありますので、そういったものの提示ですとか、少しコアな情報を知りたいという方には関連知識として機械学習の話も、簡単でありますが、触れていたりですとか、最後にはChatGPTと教育の関係性ということで、国内外における大学の対応ですとか教育に与える影響の可能性ということを話させていただきました。
 参加者の方々が基本的にポジティブに捉えてくださっていまして、未経験でどのように使ったらいいのか戸惑っていましたが、広く門戸を開いてくださり、しかも無料なので、とてもありがたく受講しましたということだったり、職場で教育の敵みたいに扱われているChatGPTですが、絶対に可能性があるはずだと思っていました、単純に楽しかったですというようなポジティブな意見いただいたりですとか、やはり長かったので、内容を絞って時間はもう少し短いほうがいいかもですとか、講師の声が時々裏返るというような、少しこれは許してほしいというところはあるんですが、こういった様々なコメントをいただきました。
 好評でもありますし、やはり時間はたっていますので、2024年の冬頃に更新版の、ChatGPTだけにはフォーカスせず、教員向けの生成AI講座も公開しようかなと考えているところです。
 このような講座ですとか定期的なオンラインイベント、研修などを通して、様々な生成AIに対する教員の反応やニーズが出てきておりまして、主なものをこちらで共有したいと思います。
 圧倒的に多いのは、基本的な情報を知らないですとか、知りたいという方ですね。実際に研修などさせていただきますと、ほとんどの方が、多くの場合、名前やうわさしか知らずに何か怖いと思っていらっしゃるんですが、実際に生成AIのデモを見せたりですとか、可能性や限界を知ってもらったり、実際に操作の場面を見せたりということなどを通して、意外と自分でも利用できるんだということに気づいてくださる方が多いです。
 そういう意味では、そもそも理解の促進ですとか、デモの共有ですとか、体験型の研修というものが求められるのかなと思っております。
 また、生成AI関連の情報の更新が非常に頻繁に行われるので、そういった意味では最新の情報を知りたいというニーズもございまして、基本的な情報に加えて定期的に新しい情報を提供するということも重要だろうなと感じております。
 その点、私の立場としては、イベントの定期的な開催だったり、オンラインコミュニティーを運営していたりですとか、実は9月中に公開したいと思っているんですが、ワンストップで教育と生成AIに関する情報が、基本的なところと最新の情報も分かるようなポータルサイト重要かなと思っていまして、そういったものも今、開発しているところです。
 やはり多かった意見としましては、学校内での利用が難しいという意見が幾つもございまして、さらにその理由は非常に多いんですね。多様なんですね。例えば生成AIがフィルタリングでブロックされているので利用できないということであったり、管理職や同僚の理解を得るコストがとても高い、教員間で温度差があるですとか、そもそも教育委員会が禁止しているですとか、勤務状況として余裕がなく、生成AIの活用を検討する時間をつくるのが難しいということだったりということで、この後のコメントでも述べさせていただきますが、私としては、国、自治体、教育委員会、学校の管理職などがうまく環境をつくるということは非常に重要だろうなと思っております。
 また、児童生徒による不正利用に懸念があるというコメントも幾つも出てくるんですが、これはまさに鈴木先生がおっしゃってくださったとおり、生成AI時代に対応した授業設計ですとか課題設計が重要になるだろうなと感じておりまして、ある種、部分的には転換していくですとか、最終的には大きく転換していく必要はあるのかなと思っております。
 ほかにも様々な反応やニーズがございまして、そもそも生成AIリテラシーを明確化してほしいですとか、情報活用能力との関係性を明確化してほしいですとか、実際に外国籍の児童生徒やさらに保護者との対応で非常に活用できていて一律に禁止はしてほしくないですとか、特別支援教育において活用できているですとか、そういったコメントをいろいろいただいておりまして、やはり様々な多様なニーズ、反応があるので、それを収集する仕組みですとか、それを基に対応するような仕組みづくりというのも重要なのだろうなということを私なりの活動を通して感じているところでございます。
 それらを踏まえてガイドラインの改訂に向けてコメントさせていただきたいんですが、まず初めに、生成AIが今後どうなっていくのかというところではあるのですが、基本的に多くの企業が、レポートでも出しているとおり、社会のインフラの一つになる可能性が高いだろうなと考えております。
 そういった意味では、初等中等教育段階から理解する機会であったり、触れてもらう機会を設けることが肝要であろうと感じております。
 また、そもそもAIが万能ではないですとか、人間中心にAIを使うということを知ってもらうことも非常に重要かなと感じております。
 また、生成AIの登場というのは予測困難な時代の一例であるなと感じておりまして、関係者全員で、児童生徒のみならず、教職員なども含めた関係者のよりよい人生のために、立場ごとに行えることを行って、環境づくりであったり取組を進めていくことが肝要かなと考えております。
 具体的には、国や自治体、教育委員会などは、現場での試行だったり検討を支援するようなガイドラインだったり仕組みを構築するであったり、現場における検討や活用を一律に禁止しない。これまた後ほど少し詳しく紹介したいと思いますが、一律に禁止しないということであったり、あと、教員に対しては、負担は大きくなってしまうんですが、新技術の理解・活用。活用をうまくすれば、働き方改革といいますか、作業の効率化にもつながるはずなので、こういった活用を促したりですとか、教員自体が児童生徒が安心して失敗できるような環境を整備するというところも重要になると思っていますし、管理職がそもそも教員による活用検討を禁止しないですとか、促す、横展開するという姿勢も非常に重要になってくるのかなと思いますし、研究者は研究者で、基礎的な技術を開発する者もいれば、活用可能性に関する検討ですとか、それをベースにした情報発信なども非常に重要になるだろうと感じておりまして、やはり多くのステークホルダーがそれぞれができることを最大限やっていくということが非常に重要かなと思っていまして、これらの連携や対応自体が今後の予測困難な時代における社会の在り方を検討する上での基盤ともなり得るだろうなと感じておりまして、生成AIの登場に対する対応というものも非常に重要なものになってくるだろうなと感じております。
 そして、これは完全に私見にはなるんですが、生成AI時代・予測困難な時代に求められる資質・能力が何かといったところで、多くの人間の平均以上の能力を持つAIが出てくるということも言われていまして、そうすると自分のやれることは何だろうということである種自尊心がなくなってしまう場合もあるかと思いますので、そういった意味では、自尊心を育むような教育というのも非常に重要だろうなと感じておりまして、やはり同じ人生体験をしている人間は世の中に1人しかいないわけですね。それはAIでは代替不可能で、その人生経験を踏まえた感性ですとか、思考、判断というものは非常に貴重なものなので、そういったものを育むというところは重要なポイントかなとも思いますし、もう少し実践的な話になってきますと、予測困難なことが起こり続けるようになってくると思うので、コロナもそうでしたし、生成AIもそうでしたし、そういう意味では、新しく生まれる情報技術であったり事象を正しく理解して、その可能性だったりリスクを把握した上で行動できる、対応するというような柔軟性、弾力性も必要になってくるのかなと思っております。
 また、これは生成AIに特に関係するところになるんですが、マネージメント力、コミュニケーション能力というところで、生成AIはうまく使うと非常に強力な部下であったり、サポーターであったり、パートナーとして活躍できるんですね。そういう意味では、うまくマネージメント力だったり、問題発見・解決能力、ほかにももちろん重要な資質・能力がございますが、こういったものが非常に重要になってくるのかなと思っておりまして、特に重要なポイントは、やはり生成AIは、生成AIのみならず、AIは責任を持たない、責任は人間が持つというところで、人間中心にAIを使うというところが、今後、AIに関していうと重要なポイントになってくるのかなと思っております。
 ここからは具体的にガイドラインの改訂に向けて、ガイドラインを通して活用や検討の環境を整えるのがよいのではないかというコメントをさせていただきたいんですが、大きく分けて2つポイントがありまして、まず、国として標準化できることは標準化した上で具体的な方法論を共有することで多くの先生方の負担が減るなと感じております。
 具体的には、よく言われること、私、研修などもしていてよく言われることなんですが、例えば保護者の同意の取り方をどうすればいいのかですとか、どのような手順で生成AIを利用すればいいのかということはよく聞かれます。そういう意味では、国としてこういったステップで生成AI使えますよというような手順を提示したりですとか、例えば保護者同意のテンプレートをつくるというようなことをしていただけると、各教員、各学校の負担が一気に下がると思いますので、こういったことはひとつ考えられるなと思いますし、あと、先生方からよく聞かれるのは、著作権侵害が心配だということなんですが、実は授業目的であれば、著作権法の35条である程度緩和して使える状態になっているんですね。というようなことを明示的に示すですとか、それに関係するんですが、何がOKで何がNGなのかが分からないので、なかなか一歩踏み出せないという方も多いので、具体的な利用OKな例ですとか、これは絶対にやめてねというような例を出すことによって、より、ある種安心に使えるような環境を提供するというのも重要かなと思っています。
 具体的に言うと、例えば一般サービスでも、基本的に個人情報や機密情報を入力しなければ、少なくとも教員は基本的に利用できるわけなので、こういったところは示して、それこそ教員の研修にも使ってもらうだったり検討してもらうということは非常に重要なのかなと思っております。
 また、具体的な注意点とその対策を提示するなども考えられるかなと思っております。
 また、2点目も非常に重要なポイントかなと思っておりまして、各対象へ具体的な言及をしていただけるとより動きやすいかなと思っております。というのも、全般に言及していると、それぞれの人たちが、それぞれ自分は関係ないと思いがちだと思うんですが、例えば自治体、教育委員会、学校の管理職の方に関しては、セキュリティーポリシー改訂も含めて、検討や活用の体制づくりを促すですとか、あと、こちら非常に重要になると思うんですが、一律的な禁止を禁止するというようなことはぜひ盛り込んでいただきたいなと思っておりまして、というのも、そもそも一律に禁止されてしまうと、働き方改革に貢献し得るような教員による使い方も検討すらできない環境になってしまうわけです。
 そういう意味では、やはり先生方の負担、より大きくなってしまいますし、一律的な禁止は禁止するというようなスタンスを取っていただけるとまた大きく変わることなのではないかなと思っております。
 あと、学校の管理職に関しては、活用を検討・実施できるような組織づくりだったり文化づくり、若手に任すですとか、そういったところを促すというのも非常に重要なポイントだと思いますし、一教員に対しては、具体的な実例を共有して、校務や授業における活用ができるですとか検討ができるということを促すというのも一つの方法かなと思っております。
 この大きな2つのポイントは合わせ技だと思っておりまして、それぞれの対象の方々が動きやすくするためにも具体的な方法論を提示してあげるとよいかなと思っております。
 続いて、教育への影響に関して簡単に触れたいんですが、これが非常に複層的です。一つ一つは詳しくは説明しませんが、実は生成AIは分野によって性能が異なります。分かりやすい例で言えば、プログラミングは非常に高パフォーマンスな一方、数学ではそこまで高い評価を得ていなかったりですとか、さらに言うと、モデルによっても性能が異なるんですね。GPT-3.5と4でも違いますし、4と4oでも違いますし、さらにGPT-4とグーグルのGeminiでも違いますし、モデルによっても違います。さらにややこしいことに利用時期によっても違うというような論文が出ていたりですとか、あとさらに、例えばChatGPT-3.5の中にも幾つもバージョン、さらにサブバージョン、マイナーバージョンというんですけど、マイナーバージョンがあるんですが、実はマイナーバージョンによっても性能が異なることが分かっていたりですとか、最新のモデルが必ずしも性能が高いわけじゃなかったりですとか、実は使い方によって学習への影響が異なる。使い方によって授業内の演習の成績は高いんだけれども、テストの成績は低いですとか、実は使い方によっても変わるというところがございまして、実は非常に影響が複層的です。
 そういう意味では、臨機応変な対応ですとか、情報収集が肝要だろうなと感じております。
 ただ、そうはいっても、得意分野はありまして、要約ですとか、文章作成ですとか、アイデア出し、プログラミング、翻訳など全般的に得意な分野があるので、その強みを生かす活用法は汎用的になるのかなとは思っております。
 そして、再現性担保のためにも情報収集のときにこのような要素を把握しておくことも重要かなと思っております。
 最後に重要なポイントとして、こういったものを導入するとなると、導入が目的化してしまうことがあるんですが、生成AIはあくまでも技術であるので、技術を使う。なので、使えるところでは使う、使えないところでは使わないというある種冷静な判断といいますか、態度が重要かなと思っておりますし、AIリテラシーの明確化も重要になってくるだろうと感じております。
 少々長くなってしまい、申し訳ございませんが、私からの情報提供は以上になります。ありがとうございました。
【石川座長】  どうもありがとうございます。現場の反応も含めて御説明いただきました。
 それでは、これ以降、各委員より様々な観点から話題提供いただいたので、これ以降、質疑応答、意見交換に入りたいと思います。なるべく多くの委員の方々の発言機会を確保させていただきたいと思っておりますので、発言は手短にお願いいたしたいと思います。
 委員会としてガイドラインを取りまとめていくという方向性があるんですが、それの観点から今までの議論を私なりに考えますと、何層か、2回目でしたかね、議論がありましたように、上位の層と下位の層との議論がこの委員会の中では混じっているということがありますので、そこは少し分けて考える必要がある。当然関連はあるんですが、分けて考える必要があるということで、全体を見渡すという意味では、生成AIの技術動向をお聞きして、大分進んでいるという現状認識があると思うんですが、それ以外も、生成AIの使い方に関する現状認識というものは共通の情報を得たかなと思っておりますので、それに関するものの御意見もいただきたいと思います。
 それから、学習指導要領、今日御説明いただいたんですが、それに含まれるレベルでの学びや学力といったものに関する観点、教育全般に関する観点というのが一つあるかと思います。
 これらのレベルとは違うレベルで、後半の3人の方々が具体的な例で御説明いただいたので、今までの総論のところを踏まえた上での話にはなるんですが、学校現場でのどういったガイドラインを出せばよいかという方向性、それから、学校現場において具体的な留意事項、先ほどの吉田委員も大分おっしゃっていましたけど、具体的な留意事項をどのようにまとめていくかといった観点、そういった現場レベルでの観点の議論があるかと思っています。
 この後の議論では、どの辺りのレベルの話をしているかというのを意識した上で御発言いただかないと混乱する可能性がありますので、そこいらを意識して御発言いただければと思います。
 それでは、委員の方、どなたからでも結構ですが、御発言いただければと思います。
 藤村先生。
【藤村委員】  ありがとうございます。鳴門教育大学の藤村でございます。委員の皆様、すばらしい御発表ありがとうございました。大変勉強になりました。
 私のほうからは、今座長がおっしゃったようにレイヤーをはっきり分けて整理したいと思っております。
 まず、上のほうのレイヤーの話に関していうと、実は私かねがね感じているのは、インターネットを教育現場に導入すべきかどうか。遠い昔でいえば鉛筆を現場に導入すべきかどうかといったときの議論に似たものではないかと捉えています。
 大所高所から考えて、将来子供たちと先生方のウエルビーイング、一人一人のウエルビーイングと考えたときには、恐らく活用したほうがよかろうという先ほどの吉田先生やそれから鈴木先生のお話なんか聞いていますと、そのとおりだなあと考えています。そこについては、そういう方向性でいってはどうかというのが1点目です。
 2点目です。具体的なガイドラインのレイヤーについてのお話です。今までのお話を聞いていると、子供たちの活用と教員の活用をきちんと整理されていないなというのを心配しています。教員の校務での活用ですと、働き方改革もありますし、さらに教育委員会の活用ですと、ダッシュボードを今までつくり込んでいたものを、そうではなくて多様なデータを生成AIも活用してセキュリティーも担保しながら分析することで、EBPM、可能になったり、よりよい学校改善可能になったりという可能性がありますので、そこは教育委員会の活用、教員の活用、子供の活用みたいな、しっかりと誰がという主語を明らかにして整理していただきたいと思います。
 3点目です。これは具体的なガイドラインの内容及び観点については、鈴木委員と吉田委員のおっしゃるとおりだなと思って聞いておりました。したがって、いかにみんなが悩んでいる点を整理して明快に答えを出してあげれるのか。それからこれは検討中だよということでペンディングですということもはっきり明示すべきだと思っていますので、そのような点で御御検討いただければと思いました。
 以上でございます。
【石川座長】  どうもありがとうございます。2点目の2つの子供と教員の視点を変えるべきだということはそのとおりでございまして、第1回目にそれは分けて考えましょうという発言があったんですが、どうも皆さんの短い中での御発表だったので、それは一緒に御説明いただいたんですが、そこを分けることはそんなに難しくないかなとは思っております。よろしくお願いいたします。
 では、利根川委員、どうぞ。
【利根川委員】  皆様ありがとうございました。私もちょっと上のレイヤーや下のレイヤーというところ、それぞれの発表者へのコメントみたいこと、ちょっと入り混じって発言させていただきますが、私も全体として、あくまで人間が中心であり、AIは脇役であり技術であるというところで、子供たちの生きる力を育んでいくんだというところは、いろいろな議論が出たものの、今の学習指導要領のコンセプトから見ても大きく同じところ見えるかなと思いました。
 その上で、佐藤先生の情報活用能力と今の指導の中で先生がどうなのかという整理は非常に大事なポイントだったのかなと思っており、ほぼほぼ全面的に賛同ですというところでございます。
 ただ1点だけ、もう少し留意したほうがいいかなというのは、最後の生成AIを育んでいくに当たって情報活用能力の段階のところですね。ああいうふうに示すと、日本の学校の先生、真面目なので、1、2、3、4、5みたいな段階的な指導計画みたいなのを立てる傾向にあるなというところがありますので、ちょっとメッセージだけ、先生がどう受け取ってどう行動するのかというところだけちょっと留意するといいのかなと思いましたが、そのほかはまさにそのとおりだと思っております。
 吉田先生のところ、ここも働き方の観点も含めまして、名前しか知らずとか、うわさしか知らない、怖がっているところ、言わば食わず嫌いを避けていこうというところ、我々もまさに大事だと感じておりますし、その上で、禁止を禁止というのも本当に必要かなと思っておりまして、やろうというところ、現場の先生とか校長先生とかが思っても、その上のレイヤーでとめられてしまい、残念な状況になっているというのは毎週のように聞きますので、そういったところができないかというのはぜひ思っております。
 また、子供の観点からも、特別支援及び外国籍の子などの状況については、今、デマンドサイドの学習みたいなキーワードも出ていますように、活用しない手はないかなと考えております。
 鈴木先生のところについては、非常に勉強させていただきました。生成AIだろうと、検索エンジンだろうと、ウィキペディアだろうと、コンピューターの情報を批判的に読み解くというところは大事だなというところもそうですし、学ぶことの納得感ですとか、それは生成AIに学ぶ必要があるのかというポイントは考えられるべきかなと思っております。
 今井先生についても、ポジ・ネガ両面を捉えて議論するというところは、我々もまさにそのとおりかなと思っておりますし、懸念事項にどう対応していくのか、子供が学びたいという動機がやはり大事かなと思っておりますし、子供たちがどういうふうな、どのような資質・能力が必要なのかというところは合意です。
 ただ、私のプレゼンでも申し上げましたが、子供たちは、学校で扱わなかったとて、例えば私たちの調査でも、過半数の高校生は授業外でAIに触れていくわけですよね。子供たちを取り巻く情報の社会や環境は変化していっていて、その中でどういった資質・能力を育む必要があるのか、何をどう学ぶのか。私からは、学習指導要領で定義されている情報活用能力をどう育むのかみたいな観点で申し上げましたが、子供の学びがどうあるべきなのかというのを建設的に議論できるようにしていくというのが大事かなと思っております。
 また、個人的な感想になりますし、自分のプレゼンでは触れなかったんですけれども、AIとかコンピューターではできない人間の感性を育むことの重要性については、今井先生の御発表に個人的に賛同しているというところでございます。
 私からは一旦以上とさせていただきます。
【石川座長】  どうもありがとうございます。利根川委員おっしゃるように、様々な状況、様々な対象を考えてメッセージを出していく必要があるかなとは思うんですが、座長としてガイドラインをまとめる観点からしますと、それって物すごく難しいことをおっしゃっているような、長い文章でだーっと書くのはできるんだと思うんですけど、一方で、どなたかの御意見がありましたように、長過ぎるガイドラインは使われないというのもあるので、そこをどうするかというのがなかなか難しいかなという感想を持ちました。皆さんと議論させていただければなと思います。
 ほかいかがでしょうか。
 佐藤先生。
【佐藤委員】  すいません。佐藤でございます。先ほどはありがとうございました。今ほど利根川委員から御意見いただいたことについて少しだけお話をいたします。段階的に示すことに関しましても、前提として、やはり情報活用能力に関する理解といいますか、そういったものが進んでいない、及んでないと考えていけば、何か示していく必要があると思っているというところでお示しさせていただいたということです。
 生成AIをいつから学ぶのかということは、もちろん地域差、学校差、教員差というのはあるわけですけども、ただしそれにしても最低限やっておかなければいけない学習内容や最低限やっておかなければいけない学び方に関しては示していくべきかなと。明確に示さなければ、やっぱり何やったらいいだろうと、これは吉田委員につながっていく意見、議論になるかなと捉えているところでございます。
 以上です。
【石川座長】  ありがとうございます。その後、相澤先生、細田先生の順でお願いします。まずは相澤先生、お願いします。
【相澤委員】  非常に興味深いお話をたくさんいただきありがとうございました。私からは上のほうのレイヤーについて何点かです。
 本日御紹介いただいた講義の例などは非常に参考になりましたし、これまでの会議でご意見が出たAIを使う場合と使わない場合の対比が重要であるとかAIを含む多様なアプローチの比較が重要であるなども参考になりました。
 ですので、そういったことも含めて、教材やノウハウの共有の仕組みというのが重要であると感じています。
 また、これからの子供たちというのは、生成AIと検索エンジンの区別はなく、一体化して情報環境として捉える世代だと思うので、今回は生成AIということですけれども、やはり学校教育全体、情報教育全体の中で考えていくということは重要であると感じました。
 2点目として、生成AIは、これまでのお話ですと、コマーシャルに提供されているAPI経由で利用を想定されていると思いますが、生成AIというのは、ユーザー側の要求に適応して調整、調律されるものですので、利用者が育てるという観点もあり、学校現場からこういうAIあるいは情報環境が教育には必要だというメッセージをサービス側に出していくということも重要になってくると感じています。つまり、教育に必要なAIは何なのかという現場の声をフィードバックできるような仕組みが今後は必要になってくると感じました。
 以上です。
【石川座長】  どうもありがとうございます。今回の議論の中で、生成AIの本質、理論的なバックグラウンド辺りを詳しく議論はしてないので、その辺りは相澤先生にぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 こういう議論の中で現象論的に捉えるという側面が強く出過ぎますと、それもまたひとつ問題でして、本質的に理論的にどこまでできるかという議論も多少はないといけないかなという気もするんですね。この点は相澤先生よろしくお願いいたします。
 では、細田先生、お願いいたします。
【細田委員】  よろしくお願いします。大変学びの多い御発表をいただきました。感謝申し上げます。
 この議論はガイドラインをどうするかという議論でございますので、大前提として、大きな姿勢としては活用していきましょうということがスタートラインだと思いますので、それは共通理解ということでよろしいのではないかと思っているわけです。
 そして、その中で、鈴木委員とそれから佐藤委員中心として、子供たちも、そして実は大学生も共通して見える現象としては、AIの経験が浅い子供や学生たちが結局リスクをはらんでいるというか、ハルシネーションについても心配をしていかなくちゃならないというような実践の結果も御発表がありましたので、とりわけ初等中等教育段階では、具体的にどう使っていったらいいのかということを具体性を持って示していく、教師に示していくということが大変重要になるのではないかと思いますので、実務家の立場としても、OKとNGがきちんとガイドラインで出していくことが大切ではないかと思うわけです。
 レイヤーの高いところで言えば、皆さんたちがずっとどの方も同じようにおっしゃっているように、要は自走して学んでいける力、学ぶ力そのものをつけていくためにAIをどう使っていくかという、そこについては、皆さん、同じような御意見を持っていらっしゃると思いますので、レイヤーの高いところでは相当皆さん共通の思いを持っていらっしゃるんじゃないかなと今日の御発表を伺いながら感じました。
 以上です。
【石川座長】  どうもありがとうございます。ちょっとOKとNGだけでという御発言ではあったんですけれども、先ほど藤村委員や利根川委員なんかのお話をしますと、ペンディングだとか例外とかというのも入れていかないとなかなか難しいかなという場面も想定されるので、そこも場面によっては考えていかなきゃいけないかなと私たちは思っていますが。
【細田委員】  そうですね。OKとNGをきちんと出してもらうと、もちろんそれだけではないんですけれども、学校現場は安心して使えるというような意味でございます。すいません、補足です。
【石川座長】  ガイドラインでまとめるというところではそこが一番難しいんじゃないかなという気がするんですね。先ほど、ガイドラインが出ると、それに従ってしまうという力が働くということもあるので、それが強過ぎると、現場で例外措置をしたほうがいい場面であるとかペンディングにしておいたほうがいい場面であるとかというのがとまらなくなっちゃう、そういう場面を適用されなくなっちゃうという危険性もあるので、ガイドラインをまとめる際にはそこいらをうまく書かないといけないかなという気はしますね。
 いかがでしょうか。
【細田委員】  それからもう一つだけちょっと言い忘れちゃったんですけれども、ガイドラインなんですけれども、私、ほかの分野でのガイドラインを作った議論に関わらせていただいたときに、グッドプラクティスといいますか、活用の事例みたいなものが、別冊でもいいんですけど、豊富にありますと、それをそれぞれの現場、自治体や学校現場において、自分たちのレベル感で逆引きにして使えるというような経験もありますので、なかなか時間的にも議論の時間が少ないので、そうはいかないかもしれないんですけれども、そんな考え方も全然ないわけじゃないと思っています。
【石川座長】  前回もグッドプラクティスだけではなくてバッドプラクティスも一緒にという御意見もあったように思いますので、何らかの形でそういうのが出るといいなとは思うんですが、さて、まとめ方としてどうするかは後でまた御相談させていただきたいなと思っております。
 ほかいかがでしょうか。
 なければちょっと私のほうから。ありますか。今井先生。
 ミュートになっています。
【今井委員】  今日の私以外の3人の先生方のお話、大変、学ばせていただいて興味深く聞かせていただきました。特に鈴木委員のお話は大変示唆に富むというか、こういうふうに使えば生成AIも有効なんだろうなと思わせていただける事例を提供いただいたと思います。これをガイドラインでどういうふうに反映させるかというのはなかなか難しいと思うんですけれども、事例集を提供するのは有効だとは思うんですが、多分それはガイドラインとは別の場所でということになるのではないかなと思います。
 やっぱりガイドラインとして考えないといけないのは、以前にも私コメントさせていただいたんですが、鈴木委員のような先生をたくさん、鈴木委員以外でも、あるいは学芸大附属のような、そういう環境でなくて、普通の学校の先生たちがどういうふうにこの問題に取り組んでいけるか。特に物すごく日々いろんなことをしなくちゃいけなくて物すごく忙しい中でどういうふうに工夫していけるのかということはなかなか難しい問題で、それについて真剣に考えないといけないのかなと思います。
 私、自分の発表中に、すごい急いで言わせていただいたんですが、いろいろやったことは、やることはいいと思うんですが、それを入れることで、従来やってきたことをどういうふうに、削除するのか、従来やってきたことに入れ込むのかとか、どういうふうに今までやってきたことと折り合いをつけるのかというような観点はすごい大事なのかなと思います。
 もう一つは、私、これも資料としてコメントとして出させていただいたんですが、生成AIが早晩スマホのようなインフラ、当たり前のインフラになるときに、どこまで学校でやる必要があるのかということも、スマホの教育は特にやっていないですよね。でもスマホはすごく使いこなしているわけですね。
 ただ、スマホの技術的には使いこなしていて、情報を探すとか、ゲットするとか、特に自分にお得な情報はゲットするのは非常にうまくなっている感じなんですが、反対に情報の本質を見れているかというと、全然それにつながっていかないのかなという、非常に表層的な情報をゲットするところのスキルにたけていく方向に行っているような気がするので、そこについてどういうふうに考えるのかなというか、どういう指針を出すのかなというのはこの委員会で非常に大事なポイントなのではないかなと思います。
 失礼いたします。
【石川座長】  ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
【鈴木委員】  本日はありがとうございました。レイヤーでいうとちょっとどういうことになるのか分からないんですが、今回のガイドライン、もちろん今の学習指導要領に対して対応したものでなければもちろんならないわけですけれども、今までの議論を伺っていると、次の学習指導要領をにらんだことも話題に出てきますよね、どうしても。今の今井先生のお話もそうですけれども。
 そうすると、それはガイドラインとして書くようなことではないのかもしれないんですけれども、私も発表の中でお話ししましたが、やっぱり何らかの提言なり何なりというふうなことにならざるを得ないんじゃないのかなと思うんですね。そこもちょっとどう整理していいか分かりませんが、入れたほうがいいような気はだんだんとしてまいりました。
 恐らく、今日佐藤先生のお話を伺っていても、例えば小学校であれば情報という授業をどうするみたいなこととかやっぱり考えざるを得ないところに来ているなと思うんですね。その辺についても、結論は出さないにしても、こういうふうなことを議論する時期に来ていますよというふうなことぐらいはやっぱり入れないとかなというふうな気がしてきております。ということを申し上げたくて手を挙げました。
 以上です。
【石川座長】  ありがとうございます。今の学習指導要領に書いてあることに関しては従わなきゃいけないというのは、それはそうなんですが、書いてないことに関してはそれなりに表現の仕方さえ間違いない表現の仕方をすればガイドラインに書き込むことはできるかなと思います。今の学習指導要領、割と総論的にきれいにできている形になっているので、今の指導要領を否定するという御意見は今まで出てこなかったような気がするので、そこは問題ないかなと。
 書いてないところはあるとすれば、そこはどういう文章にするかよく考えなきゃいけないんですけど、それは付け加えること自体は問題はないかなと思います。
 ほかの先生方いかがでしょうか。
 私からどなたにというわけではないんですけれども、今日御発表の方々の中の一番下のレイヤーの話なんですけど、どうしても座長の立場上、まとめることを考えると、これいろんな御意見、それからいろんなケース、いろんな場面、それからいろんな条件とかも混じり合った、全体の方向性は見えているとしても、一番下のレイヤーで考えると、個別具体的な案件が並列的にだーっと並ぶことになっている。今までの議論もそうなっていると思うんですが、これをある程度まとめていかないと、受け取る側、先生方や児童の人たち、受け取る側が大変混乱する。先ほど利根川委員の御発言にもコメントしましたけど、ガイドラインがめちゃくちゃ長いというのは読まれないということもあるので、そこをどうまとめていくかということに関しては、少し考えないといけない。ただ、皆さんの御意見を考えると、いろんな場面、いろんなケース、いろんな対処に対しては、いろいろ工夫して、全部に対応するような方向が必要であるというような御意見だったように思いますし、一部は生成AIがうまく活用できるし、一部は活用できないといったようなことも入れていかなきゃいけないという話だと思うんですが、何かその辺りをうまくまとめる方法ってありますかね。ガイドラインを階層化するという究極の手段があるんですけれども、これはこれでどうかなという気もするし、今でいうとリンクを張って順番にリンクをたどっていけばネスティングでどうにかなるというやり方もあるとは思うんですが、何かいいアイデアをいただけるとありがたいと思うんですが、どうでしょう。
 皆さんの議論のまとめ方、私が感じているところはそういうところなので、そこが間違っているといえば、それも御意見いただければと思うんですが、いかがでしょうか。
 藤村委員、どうぞ。
【藤村委員】  ありがとうございます。私も座長おっしゃるとおり、長いガイドラインは読まれないというのはまさにおっしゃるとおりだと思います。特に先生方の特性として、文字ばっかりだと読まないという特性もあるぐらいですから、その辺を配慮したガイドライン、ビジュアルで構造的で分かりやすいものがいいのかなと思っております。
 これまで私も文科省とか、総務省とか、いろんなところでガイドライン作ったときに、階層化でやったのが、ガイドラインはシンプルに、それについてちょっと解説書みたいなのが別途あって、ちょっと詳しく見たいなというのはそっちを参照すればいいと。それから事例集もまた別途みたいな形で、そういう階層化することがいいんじゃないかなと思ったのでちょっと申し上げました。
 以上でございます。
【石川座長】  どうもありがとうございます。利根川委員。
【利根川委員】  ありがとうございます。対象者が明示されているような章立てというか、そこは必要かなと思いまして、先生はここをまず押さえるべしみたいなところはあるのかなと思います。
 あと、その上で、すごい上位のレイヤー、生きる力が大事だとか、情報活用能力の中でみたいな話と個別のマル・バツの中間の階層のところがガイドラインとしては本質かなと思いますので、大きく分けると階層は3つ。対象者はまた3つなのか4つなのかみたいなところが入れてくるといいんじゃないかなと思います。個人的には、教科書が読めない子供との指摘もある中で、先生がなかなか文字を読んでいただけないというところは、忙しさもある中で、歯がゆいなあという思いはあるんですけれども、とはいえ、受取手に伝わりやすいように情報を整理するというのはこのタイミングで必要かなと思いまして、私から言うのも変かもしれないですけど、いろいろ各委員が好き勝手言ったところを事務局の方々に整理いただくとかも必要なんじゃないかなと思いましたが、ちょっと、すいません、差し出がましいですが、私はそんなことを思っております。
【石川座長】  ありがとうございます。今の利根川委員を私なりの解釈で言いますと、最近の大学のホームページは、受験生へ、教員の方へ、企業の方へと書いてあるので、そういったような構想、3層に分けてという御意見だったように受け止めます。
 鈴木委員、どうぞ。
【鈴木委員】  私も好き勝手言っているほうなので本当に申し訳ないなと思うんですけれども、さっき相澤委員がおっしゃった、現場の声をフィードバックできる仕組みをつくっておくということが結構重要だなと思っています。相澤委員はサービス側にメッセージを出す重要性という文脈でおっしゃったんですけれども、ガイドラインに対してもやっぱりフィードバックがあっていいんじゃないかなと。恐らくこれがOK、これがNGというのを細かく出されたら、学校現場は息が詰まるばっかりなので、本当に原則的なものにしたほうがいいと思うんです。ただ、実際やってみてこうだった、ああだったというのは、我々もまだまだ全然足りないところなので、そこは、それを学校現場からどう吸い上げるかという仕組みをつくって、それを入れられれば、学校現場の先生方としては非常に納得がいくというか、そういうものになるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【石川座長】  どうもありがとうございます。以前の議論でも、フィードバックもそうですし、それから技術の進歩に対して改訂をどうやっていくかというようなものを機能としては入れていく必要があるのではないかという議論はあったかなと思います。
 では、佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】  佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
これまでのICTの活用、1人1台の情報端末の活用を見ていきますと、先生方が自信を持って取り組めるということが大前提になるかと思います。
 そういう観点でいきますと、例えばリーディングDX事業とか見ておりますと、きちんと取り組めている自治体であるとか学校様は、校務でもクラウドや1人1台を使えているという傾向にあります。これはやはり先生方が自信を持って取り組んでいるから校務でもやれるんだということだと思いますし、校務でやれているから授業でもやれるんだというような、そんな構造がございます。
 そういう観点から言いますと、吉田委員がおっしゃっていたように、先生方がきちんと使えていける環境であるとか、先生方が自信を持って取り組めるような、安心して取り組めるような、そんな校務のような進め方ということも大事かと捉えております。
 その上で、子供たちというような話になっていくと思うわけですけども、一番最初に武藤課長から現行学習指導要領の考え方、何を学ぶか、何ができるようになるか、どのように学ぶのかというような、そういった観点を示していただきました。それから発達段階も示していただいております。
これらを踏まえた上で情報活用能力が段階的に示されていくことで、学校や先生方が安心して、安全に、どのように取り組んでいけばいいのかということが分かりやすく示せるのではないかと捉えたところでございます。
 以上になります。
【石川座長】  どうもありがとうございます。冒頭藤村委員の発言にもありましたけど、校務とそれから教育のところは少し分けて書こうではないかというのは前提としてありますので、ここは皆さん、御同意いただけるかなと思います。
 では、細田委員、どうぞ。
【細田委員】  自分が国から出されるガイドラインとかの様々な発出されるものを、どういうものが見やすいかなあとか活用するかなと考えたときに、まず、文章で本編があって、そしてそれを図で概要版として出されているものが、使い勝手がよくて、図の概要版をよく見まして、そこから本編に行って、もう少し理念的なことも知りたいと思うと、そこを往還するとか、行ったり来たりしながら活用したなと思います。
 そして、もし時間的にも余裕があるならば、そこに事例集がくっつくというと、非常に使い勝手がいいなというのを自分が使ってみて思った経験があります。
 以上です。
【石川座長】  どうもありがとうございます。ちょっと私先ほど申し上げましたけど、ファイルにしてホームページにも上げてリンクにして、ネスティングでどんどんどんどん事例集まで届くような形というのはいいんですけど、文科省の中では印刷できないものは許されないのかもしれないですけど、どうなんでしょうねというのがあります。ちょっと皆さんで工夫していければなと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】  今までの皆様のコメントに全て同意といいますか、やはり私としても、まずガイドラインはシンプルにして、プラスアルファの解説は解説として別途出すですとか、事例集は別途出すというところ、非常に重要だと考えていますし、ガイドライン、非常に見やすくするというのを重要だと考えていまして、すごい実務的な話をすると、デザイナーは入れても、予算があるのかどうかというところもあるのかもしれないですが、やはりデザイナーを入れて、見やすい、伝わるガイドラインにしていただくというのも一つの方法かなと思っておりまして、もちろん手弁当でやるというのもあるんですが、やはりデザイナーが入るだけで見た目が一気に変わったりはするので、そういったことも可能ならば御検討いただけるとよいのかなと思いました。
 以上です。
【石川座長】  どうもありがとうございます。予算に関しては後で御相談させていただきますが、ただ、読まれるガイドライン、実効力のあるガイドラインを作ろうという意欲を感じました。
 皆様の御意見をいろいろとお聞きしていますと、冒頭にあったように、児童生徒向けの部分と、あるいは教育向けの部分とそれから公向けの部分を分けて考えましょう、分けて議論しましょう、分けて記述しましょうということに関しては異論はなかったように思いますので、この方向は一つ維持したい。
 それからもう一つは、各層、レベルを少し分けて記述しなきゃいけないなというのも皆さん割と御同意いただいているかなと思いますので、総論的な部分と各論、現場サイドの部分というのは少し、どういうふうに分けるかは後で考えるとして、とにかく分けて考える、分けて記述しなきゃいけないかなという議論は皆さん御異論はなかったように思いますし、御同意いただけるかなと思います。
 それからもう一つ、様々な場面で様々な対応を取るべきである、それから一律に禁止すべきことを禁止すべきであるというような御意見もあったように、例外であるだとか、ペンディングにするであるとかというのをある程度許容した形にしなきゃいけないなというのも割と多くの方がおっしゃっていたような気がします。
 ただ、それはまとめるほうからしますと、各論併記でだーっと長くなってしまうので、そこはちょっと工夫が要るかなとは思うんですけれども、それはあるかなと思います。
 それから総論的な意味でいうと、先ほど細田委員は前提として活用していきましょうという話だったんですが、これ活用していきましょうなんですが、ちゃんと注意して活用していきましょうという話であって、ポジティブな面とネガティブな面をうまく書いていかないと、ポジティブな面だけというガイドラインではないような気もします。
 そこを最終的には我々の意見を述べる場ではなくて、最終的に受け取る先生方がどう受け取ってどのように行動していくかというところにつなげていかなきゃいけないという観点は私としては外さないほうがいいんじゃないか。先生がどう受け取るかという観点でガイドラインを作っていかなきゃいけないんじゃないかなという気はします。
 ちょっとまとめとしては拙いまとめでありまして、このまとめでは多分足らないので、議論としては、かなり網羅的に議論してきたかなと思っております。次回もう少し有識者委員の方からの話題提供を予定しているんですけれども、これまとめる間隔からしますと、秋から冬にかけてまとめることをめどとしておりますので、そろそろちょっとしたディスカッションペーパーがないといけないかなということもありますので、関係省庁や事業者、それから委員や有識者の方からお話をいただいたことを前提、あるいは踏まえて、事務局のほうでこれまでの意見を整理していただこうかなと思います。
 繰り返しの御意見になるのも効率的ではないので、たたき台として今までの意見を整理していただいて、次回の会議資料にしていただければと思っております。
 時間の都合で十分に御発言いただけなかった委員もいらっしゃると思いますので、御意見等があれば事務局のほうにメールでいただければと思います。
 次回のものは意見の整理ですので、各論併記になることはお許しいただくとして、今までの意見を少しまとめた形で全体をまとめる方向に持っていきたいなと思っています。
 ちょっと座長としてはそれをやらないと、割と各論併記になりがちな案件なので、少し読んでもらえるガイドラインにまとめていきたいなと思っていますので、御協力のほどよろしくお願いします。また皆さんのアイデアを期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 では最後に、次回の予定について事務局から説明をお願いいたします。
【学校デジタル化PT伊勢本】  事務局の伊勢本でございます。次回の検討会議の日程はまた追って事務局のほうからメールで御連絡させていただきます。
 以上です。
【石川座長】  では以上をもちまして、本日予定した議事は全て終了いたしました。これで閉会といたします。今日は御出席ありがとうございます。
 

―― 了 ――

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