令和6年7月25日(木曜日)10時00分~12時00分
Web会議による開催
※冒頭非公開
【石川座長】 これより報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をZoomウェビナーにて配信したいと思います。事務局の皆様、ウェビナーの開始をお願いいたします。
本会議の座長を務めます石川正俊でございます。ここまでは会議の運営規則の議論のために非公開とさせていただきましたが、運営規則が決定されましたので、ここからは会議を公開で行いたいと思います。
それでは、議事に先立ちまして、森孝之学習基盤審議官より冒頭の御挨拶をいただきたいと思います。
森学習基盤審議官、よろしくお願い申し上げます。
【森学習基盤審議官】 文部科学省学習基盤審議官の森でございます。一言御挨拶を申し上げたいと存じます。
まず、委員の皆様方におかれましては、本日、大変お忙しい中、この検討会に御参画いただきまして、誠にありがとうございます。御礼を申し上げます。
2022年11月にOpenAI社のGPT-3.5がリリースされて以来、生成AIはこの数年で瞬く間に性能が高まり、社会を大きく変える存在となってございます。この変化が初等中等教育にも影響をもたらすことは言うまでもございません。皆様御案内のとおり、文部科学省では昨年7月に、初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインを作成し、公表いたしました。生成AIの教育利用に関しましては、学習指導要領に示す資質・能力の育成を阻害しないか、また、教育活動の目的を達成する上で効果的か否かで利用の適否を判断すべきであるという原則的な考え方の下、生成AIを取り巻くリスクや懸念に対策を講じることができる一部の学校を生成AIパイロット校といたしまして、令和5年度は52校、令和6年度は66校を指定し、学校現場における知見の蓄積を行ってまいりました。また、校務利用に関しましては、パイロット校における取組のほかにも実証事業に取り組んできているところでございます。しかしながら、ガイドラインの策定後も、マルチモーダル化や応答スピードの加速など、AIモデル自体が日々進化していることやRAGの技術の進展も含めまして、生成AIをアプリケーションや製品に組み込んだサービスを提供する事業者が登場し、社会実装が進んでおります。生成AIに関する動きはまさに日進月歩の状況でございます。
今般の検討会議では、こうした技術の進化や海外の動向、また、これまでの国内の学校現場での取組状況なども踏まえまして、学校現場は生成AIにどのように向き合うべきか、そして、文部科学省として生成AIの教育利用や校務利用に関しましてどのような方針を取っていくべきかについて御議論を賜りたいと考えてございます。また、暫定的ガイドラインでお示ししている内容や構成についても、検討会議での議論を踏まえて、改めるべき部分は改めてまいりたいと、このように考えてございます。生成AIという大きなうねりに適切に対応し、今後の学校教育、そして学校の教職員のリテラシー向上、働き方の改革にも取組を発展させていきたいと考えてございますので、ぜひ皆様方からの忌憚のない御意見を賜りたいと考えてございます。
本検討会議における積極的な御議論を賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【石川座長】 森審議官、ありがとうございました。
続きまして、本日は初回ですので、皆様から自己紹介をいただきたいと思います。この会議の検討テーマについては後ほど御意見をいただく時間がございますので、ここでは一言ずつ自己紹介をお願いしたいと思います。
まずは私から参ります。本会議の座長を務めます、東京理科大学学長の石川正俊です。よろしくお願いいたします。
それでは、資料1-1の構成員名簿の順番に相澤委員からお願いしたいと思いますが、本日は今井むつみ委員が御欠席と聞いておりますので、相澤委員、江間委員、佐藤委員、鈴木委員、利根川委員、藤村委員、細田委員、森田委員、吉田委員の順で自己紹介をお願いいたします。
相澤委員、よろしくお願いいたします。
【相澤委員】 国立情報学研究所の相澤と申します。専門が自然言語処理でございまして、技術の立場からの参加となります。よろしくお願いいたします。
【石川座長】 では、江間委員、よろしくお願いします。
【江間委員】 東京大学の江間と申します。よろしくお願いします。専門は科学技術と社会についてということで、主にAIに関していろいろと、その社会的影響について研究でしたり、いろいろな国内外の委員で活動させていただいております。よろしくお願いいたします。
【石川座長】 佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 お世話になります。信州大学教育学部准教授の佐藤でございます。専門分野は教育工学、特に情報教育やメディアリテラシー教育、それから教育の情報化について取り組んでいる者でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【石川座長】 鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 東京学芸大学附属小金井小学校、鈴木秀樹です。昨年3月から生成AIを小学校の授業で活用するということを進めております。よろしくお願いします。
【石川座長】 利根川委員、お願いします。
【利根川委員】 NPO法人みんなのコード代表の利根川です。私ども、情報教育を支援するNPOとして、昨年から学校向けの生成AIの環境を開発し、100校に提供するというような取組をしております。また、私自身がもともとエンジニアのバックグラウンド、かつ、今回民間企業がいらっしゃらないというところもありますので、そういった点も含めて、学校現場と実社会と、その両方の点から貢献できたらと思っております。よろしくお願いいたします。
【石川座長】 藤村委員、お願いいたします。
【藤村委員】 鳴門教育大学教員養成DX推進機構長の藤村でございます。私のほうは、教員養成大学ということで、生成AIの学習利用と校務利用の研究をするとともに、大学のほうでは既に、生成AIに対応した教員をどう養成するかということで、昨年度まず第1世代を出しまして、今後さらに充実させるということを行っている次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
【石川座長】 細田委員、お願いいたします。
【細田委員】 皆様、おはようございます。よろしくお願いいたします。私、前さいたま市教育長、ちょうど1年前までさいたま市の教育長をやっておりました。ただいまは兵庫教育大学の客員教授や東京大学の公共政策大学院のほうで非常勤講師としてお世話になったりしております。ちょうど1年前までさいたま市の教育長をやっておりまして、それもさらに遡ること、ちょうど生成AIが出たときですが、そのときに動物的勘で、これは直ちにみんなで研究しなきゃいけないと思いまして、さいたま市教育委員会の中に生成AIの教育活動への利活用についての研究会というのを立ち上げて、議論を始めたりとかしてきたと、そんな経験もございます。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。
【石川座長】 吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】 皆様、よろしくお願いいたします。東京大学の吉田と申します。専門は教育工学でして、教育における生成AIの活用に関する情報提供や研究などを行っております。よろしくお願いいたします。
【石川座長】 大変申し訳ありませんでした。森田委員を飛ばしてしまいました。森田委員、お願いいたします。
【森田委員】 つくば市教育委員会教育長の森田と申します。つくば市では、幸せな学校づくり、そしてその学びのためにICT活用をどんどん進めているわけですけれども、その中にAIというものも、全校挙げて活用するということで取り組んでいるところです。市町村教育委員会の事例として貢献できればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【石川座長】 どうも失礼いたしました。
皆様、ありがとうございました。
本会議にはオブザーバーとして、内閣府科学技術・イノベーション事務局、経済産業省、総務省にも御参加いただいております。
それでは、本日の議事、初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する論点についてに移りたいと思います。
まずは事務局から、これまでの取組について御説明をお願いいたします。
【寺島学校情報基盤・教材課長】 座長、ありがとうございます。文部科学省の学校情報基盤・教材課長の寺島でございます。それでは、私のほうから、資料2-1に基づきまして、これまでの取組を簡単に御説明したいと思います。資料は2-1でございます。
1ページおめくりいただきまして、この資料でありますけれども、冒頭森審議官からも言及ございましたけれども、現在の、ちょうど1年前につくった暫定的なガイドラインのポイントをまとめた資料がこれでございます。1ポツのところに基本的な方向性というものが書いてありますけれども、幾つか、矢印の下に123というふうに囲みで書いてある部分がございますけれども、これが今の基本的な考え方ということでございますけれども、これは少し次のスライドで御紹介したいと思います。
そして、今のガイドラインでは、2ポツとして、こういったような基本的な方向性を踏まえて、利用の適否に関する考え方ということで、適切ではないと考えられる例と活用が考えられる例ということで幾つか例示しているというような構成になっているところでございます。例えば、利用が適切でないと考えられる例としては、1番にございますように、情報モラルを含む情報活用能力が十分でない段階で自由に使わせる、これは適当ではない。それから2番でありますけれども、例えばコンクール、レポート・小論文などについて、生成物をそのまま自己の成果物として応募・提出する、こういったものは適切ではないということを例示しているところでございます。一方で、活用が考えられる例としては、例えば1、情報モラル教育の一環として、生成AIが生成する誤りを含む回答を教材として使用すること。あるいは2番目として、生成AIをめぐる議論について生徒自身が主体的に考え、議論する過程で、その素材として活用する場合。あるいは3番として、グループの考えをまとめる活動の途中の段階で、生徒同士で一定の議論やまとめをした上で、足りない視点を見つけ議論を深める目的で活用する。こういった例などは活用が考えられるものとして、幾つか例示しているというところでございます。
次のスライドをお願いします。先ほど申し上げましたけれども、基本的な考え方、3つに分けて整理しております。先ほどのページでは123というふうに囲んであったところに対応しているものでございますけれども、3つ箱がございますが、1つ目の箱を御覧いただきますと、これは学習の場面で扱うときにどう考えるかということを基本的な考え方をまとめたものでございますけれども、そこの囲みにございますように、生成AIを取り巻く懸念やリスクに十分な対策を講じることができる一部の学校において、個人情報あるいはセキュリティー等に十分に留意しつつ、パイロット的な取組を進めて、成果・課題を十分に検証し、今後のさらなる議論に資することが必要と。学習の場面では、まずはしっかりと対策を講じることができる学校からパイロット的に進めるということが現在のガイドラインの基本的な考え方ということでございます。2つ目のところでありますけれども、一方で、いわゆるファクトチェックを含む情報活用能力の育成というのは、これは全生徒に大変重要なことであるということが2つ目の丸でございます。ここに書いてございますように、全ての学校で、情報の真偽を確かめることの習慣づけも含めて、情報活用能力を育む教育活動を一層充実させることが必要である、これが基本的な考え方の2つ目でございます。そして、3つ目でございますけれども、これは校務で教職員が使う場合を想定したときの基本的な考え方でありますけれども、教員研修や校務での適切な活用に向けた取組を推進し、教師のAIリテラシー向上や働き方改革につなげる必要があるということで、どちらかといえば学習のほうは慎重に検討しながらというようなスタンスに立っておりますけれども、校務のほうは、働き方改革を含めて、可能なところは積極的に活用していいのではないかということを基本的な考え方として昨年度まとめたガイドラインには示しているところでございます。
次のページでございますけれども、先ほど1番のところで御紹介しましたように、学習の場面ではまずはパイロット的に取り組んでいくのだという基本的な考え方に立っておりますけれども、今、こういった基本的な考え方に立って、この赤い矢印、下に行くに従って、4番の日常使いする段階へと進んでいくわけでありますけれども、まずはこのパイロット的な取組の中で、123番のような段階を帯びながら、今様々な事例を積み重ねているというところでございます。
次のページをお願いいたします。今申し上げましたように、このパイロット的な取組ということに昨年度から取り組んでおりまして、昨年度、そして今年度も引き続き取組を進めているところでございます。ここに書いてございますような学校をパイロット校として指定いたしまして、先ほどのページに1234という段階がありましたけれども、どちらかといえば123あたりのところの様々な事例を出していただいているというところでございます。冒頭、森田教育長からもございましたように、つくば市の学校にも協力していただいているところでございます。
次のページ、これが今年度の取組の学校の一覧でございます。
次の7ページをお願いいたします。まだこのパイロット事業、昨年度の後半から始まったばかりということでございますので、まだそんなにたくさんの事例が出てきているわけではございませんけれども、昨年度来開始している学校の中で幾つか、このような事例が生まれていますということを少し紹介したいと思いますけれども、左上は小学校での例ということでございます。小学校の左上のところ、実施概要を見ていただきますと、AIについての基本知識を確認する。授業で先生がAIについての基本知識を確認するような授業をやった上で、生成AIを利用して作成した記事と、それから実際の新聞記事、レポート等を比較しながら、どちらが生成AIが作成したものだろうかというようなことを議論するというような、こういった授業を展開しております。児童の反応のところに書いてございますように、情報をすぐに信じるのではなくて、様々な資料と照らし合わせて、自分の経験を基に考えることが大切だと感じたというような反応が出ておりますけれども、まさに情報活用能力、情報モラル教育を身につける授業の一環としてこういう取組を行われているというところでございます。
右上でございますけれども、これは中学校の英語での取組でありますが、これは英作文あるいはスピーキングの中で生成AIを活用して、英作文で必要な部分を訂正してもらうというようなところに取り組んでいる様子でございます。そこの生徒のところにございますように、音声入力をすることで自分の発音の正しさも確認できたということで、こういう使い方も進んでいるところでございます。
それから、左下、これは中学校の国語でございますけれども、グループごとに設定した問題について話し合う活動を行う場面で、先ほどガイドラインのところの活用が想定される例でも少し申し上げましたけれども、AIに一つの論点を提示してもらうというような使い方で使った例が左下でございます。
それから、右下、高等学校の例でありますけれども、これは高等学校の情報科の授業で、実際に生成AIにコードを作成してもらいながらホームページを作成するというような取組も行われているところでございます。
それから、次のページですけれども、左の上、これは高等学校の美術の授業での取組例でございますけれども、絵が2枚出ておりますが、上のほうの絵は、一番最初、生徒がまず自分で構想を考えて、デッサン、スケッチしたものでございますけれども、その上で、様々、生成AIにいろんなイメージの画像を作成してもらい、その画像を幾つか見ながら自分のスケッチ構想をさらに練ったという例でありますけれども、その下の最終的なスケッチというのは、生成AIが生成した画像を見ながら自分で構想を膨らませて、最終的にこういったスケッチを完成させていったという例でございます。
それから、右上でありますけれども、これ高等学校の漢文の授業でありますけれども、老子の一節を読んで、ここで触れられている場面というのは一体どういう場面なんだろうかということを子供たちが議論して、プロンプトに実際に、こういう場面ではなかろうか、こういう画像を生成してくれということをプロンプトに打ち込んだというようなことでありますけれども、ここに出ている絵が、果たしてこれが本当にそうなのかは分かりませんけれども、生徒たちは、こういった場面ではなかろうかということを議論しながら画像生成して、またさらに理解を深めていったと、こういったような例でございます。
それから、下2つは校務での利用ということでございますけれども、左下のところは学校行事あるいは保護者案内のたたき台などを作成している例、そして、右下のところはアンケートの集計・分析などで活用している例、こういった例が校務での利用例としてパイロット校では幾つか事例が出てきているというような状況でございます。
次のページをお願いします。昨年度実証していただいたパイロット校に幾つかアンケート形式で調査した結果でございますけれども、10ページをお願いいたします。これは先ほど申し上げましたように、このパイロット校の取組自体は昨年度の後半からスタートしたものでございますし、まだまだ分母が少ないものでございますので、この調査結果から直ちに言えるということではないんですけれども、一つの参考ということで少し御紹介させていただきたいと思いますけれども、この左側のグラフのところに123という数字が書いてあると思いますが、それが右側の得られる示唆のところに対応するデータということでございます。
右側の文章のところの得られる示唆のところを少し見ていただきますと、1のところでありますけれども、総論的には、学習意欲や創造性が低下すると懸念されていたが、パイロット校においては、そのような感触を持った学校関係者は現状ほとんど存在しないということで、左上のグラフのところを見ていただくと、1と囲んであるところですけれども、学習意欲が低下した、あるいは創造性が低下したというところは、「そう思う」、「とてもそう思う」という回答になりますけれども、そういうふうに回答した学校はなかったということでございます。ほとんどのところが「あまりそう思わない」、「まったくそう思わない」と回答していますので、学習意欲や創造性は低下していないと答えたというところでございます。
示唆の2でございますけれども、生成AIの回答をうのみにしてしまうケース、生成AIの仕組みを理解せずに使ってしまうケースは、パイロット校であっても一定程度存在したということでございます。左上のグラフ、2と書いてあるところでありますけれども、多くはうのみにはしていないというふうに回答しているんですけれども、やはり水色の部分あるいは紫の部分のところも一定程度回答が出ていますので、こういったところにはやはり課題がまだあるのではないかというところでございます。
それから、3ポツ目に書いてありますように、生成AIの仕組み自体の理解はやはりまだ難しい部分も存在すると。どういうふうに生徒自身の理解度を高めていくかというところが一つの課題というところでございます。
それから、4、少し飛ばしまして、5でありますけれども、児童生徒が適切に活用する場面を選択できるわけでは必ずしもないということでございますので、適切なガイダンスを基に児童生徒の活用環境を整える必要があるのではないか、こういった示唆も得られているところでございます。
それから、次のページ、これは校務の活用の場面での少しアンケートを取ったところでありますけれども、得られる示唆の1ポツの後半にございますように、まだまだ教員が校務で生成AIを慣れた状態で使うというところまでは進んでいないということが見てとれるわけでございます。一方で、2のところに書いてありますように、今回参加したパイロット校のほぼ全ての学校が校務での利活用を進めていきたいと考えているという結果が2のほうで出ております。3ポツ、右上のグラフのところでありますけれども、実際にどのように使ったかというところが3のところに書いてあるわけでありますが、先ほどの例でも少し紹介しましたけれども、まだ今の使い方の例としては、定型的な文章の作成でありますとか、教材や練習問題のたたき台、こういった活用の仕方にとどまっていると言ったほうがいいのかもしれませんけれども、まだこういった取組事例が挙がってきているというような状況でございます。それから、最後、4番、左下のグラフのところでありますけれども、使っている先生方がどういうところから情報を得ているかというところを調査したものでありますけれども、やはり教員のコミュニティー内での情報源というのが非常に大きいということが見てとれるというところでございます。
それから、12ページ目、これまでのパイロット事業を踏まえながら、今少し課題として、あるいはこれから取り組んでいかなければいけないものとして我々が認識しているものを幾つかまとめたところでございますけれども、下のところの現状課題というところでありますが、1ポツ目のところにございますように、まだまだこの事例は少ない状況でございますので、引き続きこういった成果・課題の検証が必要であるということ。それから、2つ目のポツでありますけれども、実はパイロット校の実証環境では完全にセキュアな環境ということを構築して実践しているわけではないので、個人情報の取扱いなど、非常に制限された状態の中で使っているということでございますけれども、こういったセキュアな環境での実証環境というのはこれから引き続きやっていく必要があるのではないかということ。それから、3つ目のところに書いてございます、今パイロット校では五十数校、六十数校ということで取り組んできておりますけれども、パイロット校以外から創出される事例も収集していく必要があるのではないかということ。それから、最後のポツに書いておりますが、今の活用事例のほとんどは汎用の基盤モデルというものを使っているわけでございますけれども、これは通常、大人が利用することを想定しておりますので、子供たち、児童生徒が使うときには少し言葉が難しかったりとか、少し適切じゃない場面も出てくるわけでございますので、こういった教育分野に合わせた、教育課題に対応するような活用の検証ということをやっていく必要があるのではないかということが、今、パイロットをやってきて、少し課題として認識しているところでございます。最後に書いてございますように、引き続き成果・課題を検証しながら、様々な視点で検討していく必要があるだろうと考えております。
それから、13ページ、これは先ほどのパイロット事業とはまた別の取組として今少し実証をやっておりますけれども、昨年度の補正予算を使いまして、今年度、校務での利用では、真ん中の事業内容のところ、赤字で書いてあるところでございますが、先ほど申し上げましたように、パイロット事業ではセキュアな環境というのは、そういった環境は構築できていない状況だったんですが、今年度、セキュアな環境の中で校務でどういうふうに活用することができるのかということを少し実証事業を始めたというところでございます。これは今始まったところということでございます。
それから、最後のページを御覧いただきたいと思います。これは私どもが今年の4月に出しました教育DXに係る当面のKPIということでございますけれども、ここに、生成AIの関連で申し上げますと、上の緑のところで赤で囲んであるところがございますけれども、校務での活用については、半数ぐらいの学校で活用する学校が出てくるというところを目指して取り組んではどうかというところを当面のKPIとして定めているということを最後に御紹介させていただきます。
すみません。少し駆け足で恐縮でございましたけれども、初等中等教育段階における生成AIに関するこれまでの取組ということで簡単に御紹介を申し上げました。私からは以上でございます。
【石川座長】 どうもありがとうございます。
ただいまの御説明に対しましての御意見、御質問等は後ほど意見交換の際にまとめてお受けしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、総務省、経済産業省より、AIの事業者ガイドラインに関して御説明をお願いできればと思います。
【総務省 山野参事官】 総務省の山野と申します。よろしくお願いいたします。時間が限られておりますので、前半、AI事業者ガイドラインの背景ですとか概要について総務省から、後半で具体的な中身について経産省さんから御説明させていただきたいと思います。
では、まず資料の2ページ目を御覧ください。こちら、策定の経緯になってございます。簡単に御紹介いたしますと、昨年5月になりますが、江間先生にも御参加いただいておるAI戦略会議というのが政府全体の会議体として立ち上がりました。ここは最初に、昨年5月に、暫定的な論点整理と一番上に書いてございますが、というものを取りまとめまして、AIに関する、特に生成AIに対しますリスクへの対応としまして様々な論点を整理しております。その中の一つが、既存のガイドラインを統合、インテグレートして、アップデートして、新たに広範な事業者を対象としましたガイドライン案をつくるということが提言されたところでございます。これを受けまして、我々総務省、経済産業省さんが一体となりまして新たなガイドラインを検討してきたというものになります。その下、2つ下のポツになりますけれども、今年の頭に案をつくり、パブリックコメントも実施した上で、先ほど申したAI戦略会議にも報告しまして、4月になりますが、AI事業者ガイドラインを公表してございます。バージョン1.0としておりまして、今後も状況の変化、激しく動いてございますので、随時アップデートしていくという意味で1.0版としているものでございます。なお、検討に当たりましては、昨年、我が国が国際的な議論を主導しました広島AIプロセスと、国際的なルールメーキングがございましたので、その内容もほぼ全て、かみ砕いた形で取り込んだ形のガイドラインとなっております。
次の3ページ目を御覧ください。背景と目的の簡単なものになります。たくさん書いてございますけれども、ポイントだけ申しますと、このガイドラインでございますが、事業者の皆様にきちんとリスクを認識していただいた上で、イノベーションの促進、それからリスクの対応、これを両立するために、関係者と連携しながら、様々なステークホルダーが関係しますので、自ら考えてガバナンスをしていっていただく、それをもって皆でAIを安全に正しく使っていくような環境を醸成していくということを目的としてございます。そのため、このガイドラインはかなり理念的、原則的なこともたくさん書いてございますので、各分野ごとにそれぞれ深掘りしたような検討をしていただきたいというような趣旨でつくっているものでございます。
ちょっと飛びまして、8ページを御覧ください。時間も限られていますので、ちょっと飛ばさせていただきます。このAI事業者ガイドラインが対象としております主体でございますけれども、その名のとおり、AI事業者がまず対象です。この事業者というのは事業に使う者なんですけれども、例えば、左から行きますと、AIを開発する方、開発してサービス提供する方ですね。それから、真ん中にございます、AIのサービスをユーザーに対して提供する方。それから、その横にございますが、事業としてAIを利用する方と、大きくこの3つの主体に分けて、それぞれ対応していただきたいこと、事項をまとめているという形になります。この提供者、開発者、利用者ですけれども、当然、全て一緒に、全てをやっている事業者もございますし、一部だけをやっているような方もいます。これはケースによってばらばらです。特に提供者の場合、AIの開発は自らはしないけれども、AIのサービス、システムを提供するということで書いているんですけれども、提供する形も、オレンジ色で2つ、2段に分けて上下に書いてございますけれども、まず1つ、上にあるように、AIのサービスをそのまま利用者のほうに渡すような形で提供するようなケースもありますし、その下段にありますが、提供者がAIシステム自体は運用しまして、例えばID・パスワードでAIシステムに利用者が入って使うと、サービス自体は提供者がマネジメントしているというような形も、いろいろあろうかと思います。それぞれに応じて適正に利用・運用していただくために必要な事項というのを書いてございますが、全てのケースに一個一個かみ砕いているわけではないので、それぞれのところで、これを踏まえて御対応が必要と、検討していただくことが必要という中身になっています。
それから、11ページ目を御覧ください。まず、その前に10ページを軽く御紹介したいと思います。大体の構成だけ触れさせていただきますと、本編と別添に分かれております。本編のほうが、第2部というところに全主体に共通的な事項を書いています。3部、4部、5部にそれぞれ、開発者、提供者、利用者に分けて具体的なことを書いているということになります。別添でございますけれども、補足情報、それから具体的に取組をされているような事業者の事例、それから参考になるような海外の情報等々をまとめているもので、かなり大部のものになります。それが別添になります。
最後に11ページ目です。AI事業者ガイドラインの対象範囲なんですけれども、広島AIプロセスのほうでは主に高度なAIシステムという、昨年度来広まってきております基盤モデルを中心としたような、かなりマルチパーパスなものを対象としておりますが、このAI事業者ガイドラインでは、一般的なAI、高度でもないような、一般的に使われるものも全て対象としてございます。かなり幅広いものを対象としてございます。そういった意味で、この三角形の絵にございますように、かなり裾野の広い対象範囲としています。下のほうに基本理念・原則と書いてございますが、共通の土台として理念・原則というのも、これまでの議論、それから海外での議論を踏まえて、今回改めてまとめているところです。
最後に、次のページでございますが、そのうち基本理念だけ触れさせていただきますと、例えば人間の尊厳が尊重されるですとか、それからダイバーシティーとかインクルージョンの観点、それからサステーナビリティーの観点等々を全体的な基本理念として置いてございます。このために必要なことを、その次のページ以降に出てきますが、基本的な10個の原則にくくりまして細かく書いているという中身になります。
以降、中身については、経済産業省の船越さんから御説明いただけると思いますので、よろしくお願いします。
【経済産業省 船越企画官】 経済産業省の船越ですけれども、お声届いていますでしょうか。それでは、私、スライド13のほうから、経産省の船越から説明させていただければと思います。
スライド13でございますけれども、こちらは、AIの活用による目指すべき社会の実現のために、先ほど山野参事官のほうから御説明ありましたように、各主体が共通して取り組む内容を共通の指針として整理したものであります。こちらの共通の指針でございますけれども、左側にありますように、人間中心のAI社会原則を土台としつつ、青色の枠囲みが国内のガイドライン、そして、オレンジ色の枠囲みが諸外国の議論状況、こちらを踏まえまして共通要素を抽出・整理したものとなっております。AIの開発者、提供者、利用者の各主体に共通する共通の指針としては、各主体が取り組む事項として7項目、そして、社会と連携した取組が期待される事項として3項目、合計10項目として整理しております。
スライド14ページ、お願いいたします。スライド14は、先ほど整理された各共通の指針に対しまして、それぞれどのような点に留意するのかというものを整理したものであります。時間の関係上、太字の項目を中心に御説明いたします。まず、人間中心ですけれども、こちらはAIが生成した偽情報・誤情報・偏向情報が社会を不安定化・混乱させるリスクが高まっていることを認識した上で必要な対策を講じる。また、社会的弱者によるAIの活用を容易にするように注意を払うという点でございます。続きまして、安全性ですけれども、リスクへの対策を講じる。続きまして、公平性、こちらについては、不当で有害な偏見及び差別をなくすように努める。また、バイアスに留意するという点でございます。プライバシー保護の観点では、個人情報保護法等の関連法令の遵守等をするということをまとめております。続きまして、セキュリティー確保でございますけれども、リスクに対応するための留意事項を確認するという点でございます。
スライド15をお願いいたします。引き続き、各主体が取り組む事項として、透明性ということで、ステークホルダー、関係者に対して合理的な範囲で適切な情報を提供する。アカウンタビリティー、説明責任ということで、AIガバナンスに関するポリシー等を公表する。そして、8、9、10は社会と連携した取組として整理しておりますけれども、教育・リテラシーについては、十分なレベルのAIリテラシーを確保する。ステークホルダー、関係者に対しても教育を行うといった点をまとめております。
続きまして、これまでは各主体に共通する指針を御紹介いたしましたが、各主体ごとに留意する項目もございます。時間の関係上、学校現場により大きく関連するAIの提供者、そしてAIの利用者がそれぞれ留意する項目について御紹介したいと思いますので、スライド20について、お手元の資料もお開きいただければと思います。スライド20でございますけれども、AI提供者に関する事項となっております。AI提供者は、AIの稼働と適正な利用を前提としたAIシステム・サービスの提供を実現することが重要となります。より具体的には、スライド8で説明いたしましたフローに沿っての説明となります。
スライド左側に少しPという文字がありますけれども、これは提供者を意味するプロバイダーの頭文字のPとなったものです。同様に、このスライドの前には、AI開発者に関する説明スライドといたしまして、AI開発者、ディベロッパーのDを用いておりますし、これ以降のスライドで紹介いたしますAI利用者につきましては、ビジネスユーザーのU、ユーザーのUを用いて表現しております。
そして、スライド20ですけれども、AI提供者がAIシステム実装時に留意する事項といたしましては、リスクを最小限に抑える、AI開発者の想定利用環境とAI利用者の利用環境に違いがないかどうかを確認する、検討する、バイアスを検討する、判断根拠を定期的に評価する、また、プライバシー保護対策を講じる、セキュリティー対策を講じるという点をまとめております。
スライド21をお願いいたします。スライド21は、提供者がシステム・サービスの提供後に留意する点となっております。こちらにおきましては、適切な目的で利用されているかを定期的に検証する。AIシステム・サービスにおけるプライバシー侵害につきまして、侵害を認識した場合は適切に対処するとともに、再発の防止を検討する。あとは、AIを利用しているという事実や適切・不適切な使用方法等の情報提供を行うという点ですね。AI利用者に対して適正な利用を促す。個人情報を入力する際の留意点についての情報を提供するといった点が挙げられます。
続きまして、スライド22をお願いいたします。こちらは、AIの利用者がどのような点に留意するかという点でございます。AIの利用者は、AI提供者が意図した範囲内で継続的に適正な利用、そして必要に応じたAIシステムの運用を行うことが重要であり、より効果的なAI利用のために必要な知見を習得することが期待されるとまとめております。より具体的には、AI利用者がAIシステム・サービスを利用するときにどのような点で留意するのかといった点でございますけれども、右側の太字にありますように、AI提供者が設計において想定した範囲内で利用する。様々なリスク要因を確認した上で利用する。AI出力結果の利用の判断を行う。そして、AIシステム・サービスへ個人情報を不適切に入力しないように注意を払う。そして、AI提供者によるセキュリティー上の留意点についても遵守する。出力結果を取得し、その結果を活用するという判断をされた際には、その結果を関係者に対して合理的な範囲で情報提供する。また、AIの出力結果を特定の個人または集団に対する評価の参考とする場合は、人間による合理的な判断の下、説明責任を果たす。そして最後に、AI提供者が定めたサービス規約を遵守するといった点をまとめております。
以上、駆け足となりましたが、総務省、経産省からのAI事業者ガイドラインの説明となります。以上です。
【石川座長】 山野参事官、船越企画官、御説明どうもありがとうございました。
それでは、ここまでの取組などを踏まえまして、事務局より資料3、論点案に基づき説明をお願いいたします。
【寺島学校情報基盤・教材課長】 座長、ありがとうございます。それでは、引き続きまして、資料3に基づきまして、論点案ということで事務局が作成したものを御説明させていただきたいと思います。あくまでこれから委員の先生方の御議論の参考になればということで、こういうことが考えられるのではないかということでまとめたものでございます。
資料3、1ページ目の囲みのところにございますように、まずちょっと前提として幾つか書いておりますけれども、1つ目の丸にございますように、現在の暫定的なガイドラインは、昨年の時点で一定の考え方を国として示したものであって、学校関係者が生成AIの活用の適否について判断する際の参考資料という位置づけでございます。したがって、一律に禁止あるいは活用の義務づけをするような性質のものではないというのが基本的な性格でございます。その上で、作成から約1年が経過した現在において、以下、これから申し上げるような論点に関わって、現行のガイドラインの改訂ということも考えられるのではないかということを今回の議論の前提にしているということでございます。
以下、考えられる論点ということでありますけれども、1つ目のところは、生成AIに関わるサービス・技術の進展についてということでございます。
1つ目の丸にございますように、現行のガイドラインは、言わばChatGPTを前提にしたような、ほとんどがChatGPTをまずは想定して作成されているというような経緯がございます。一方で、現在ではテキストだけではなく、画像、音声、動画など様々なマルチモーダルな生成AIが利用できる状況になっているというところでございます。こうした昨年からの技術の進展を踏まえて、学校現場における画像生成AI等の利用について新たに加えるべき留意事項などがあるのかどうかということを1つ目の論点として書かせていただいております。
それから、2つ目の丸ということでございますけれども、これも、現在のガイドラインはどちらかというと、例えばChatGPTそのものをそのまま利用するということを前提にした書き方になっているわけでございますけれども、現在では、そのまま利用したサービスだけではなくて、この基盤モデルをAPI利用したアプリケーションなどの教育サービスを提供する事業者も様々出てきている状況でございます。そういった中で、生成AIを搭載した学校向けの教育サービスの導入に際して、追加的に学校現場や学校設置者が留意すべき点あるいは一定の考え方、こういうものを示す必要があるのではないかというところが技術の進展に係る論点の例ということでございます。
それから、2ポツ目のところでありますけれども、生成AIをめぐる様々な議論の進展についてということで、1つ目の丸、今まさに総務省さん、経産省さんから御説明いただきましたけれども、AI事業者ガイドラインが定められたということがございます。アンダーラインを引いてあるところでありますけれども、このようなAIに係る国内の議論を受けて、初等中等教育段階の学校教育分野における方向性として追加的に示すべき事項があるのかどうか。今、経産省さん、総務省さんから全体としてお話をいただきましたけれども、こういった考え方を受けて、特に教育分野、学校分野で特有の論点というものがあるのかどうかということを1つ目の丸に書いてございます。
それから、2つ目の丸でございますけれども、諸外国でも様々な、同じような議論が進められていると我々は認識しております。私どもの認識では、本年秋から冬頃にかけて各国でも様々な方針が出てくるということが想定されているわけでございますので、こういった諸外国における検討の時期、内容、こういったものも見ながら検討を進めていくべきではないかということを書いてございます。
それから、次のページの3ポツ目でございますけれども、利用者や利用場面に応じた配慮事項等についてということでありますけれども、現在のガイドラインも、校務での利用あるいは学習での利用、あるいは発達段階ごとの利用ということも分けながら書かれているわけではありますけれども、少し大ざっぱにくくっている部分もございますので、1つ目の丸にありますように、生成AIを児童生徒が利用する場合と教職員が利用する場合で留意すべき観点は異なるということから、それぞれの場合についてより細かく、配慮事項等を分かりやすく示すべきではないかということが問題意識でございます。
(1)、児童生徒が学びにおいて利用する場面のところでございますけれども、アンダーラインのところにございますように、小学校、中学校、高等学校の各学校段階あるいは児童生徒の発達段階に応じて、生成AIを利用する際の取扱いや留意点について、具体的に違いを示していく必要があるのではないかというのが1つ目の問題意識でございます。冒頭申し上げましたように、今、割と少し、ちょっとまとめて書いてあるような記述になっておりますけれども、学校段階とか発達段階、これをより細かく議論する必要があるのではないかということでございます。
それから、丸の2つ目でございますけれども、現行ガイドラインでも、冒頭説明いたしましたように、情報モラルを含む情報活用能力の育成は大変重要であると書いているわけでございますけれども、アンダーラインにございますように、こういった力の育成というのはますます重要になってくると考えられますけれども、さらに、今のガイドラインに加えて、どういう観点の資質・能力がより必要になるのか、こういったところも議論を深めるべきではないかということでございます。
それから、3つ目の丸でございますけれども、先ほど現行ガイドラインの「適切でないと考えられる例」と「活用が考えられる例」、幾つか例示して示しておきましたけれども、先ほど紹介したようなパイロット校の取組・実践、こういった積み重ねが出てまいりましたので、新たにこういった事例として加えるべきものというのはどういうものがあるのかということを3つ目の丸で書いてございます。
それから、(2)の教職員が校務で活用する場合ということでございますけれども、1つ目の丸に書いてございますように、中教審の提言の中でも、校務での利用というのは働き方改革に資するのではないかということが指摘されているところでございます。アンダーラインのところでありますけれども、こうした状況を踏まえて、教職員の働き方改革に資する生成AIの校務での活用を推進するためにはどういう施策を講じる必要があるのかということを1つ目の丸で書いてございます。
それから、2つ目の丸のところでございますけれども、これも少し先ほどパイロット事業のところで御紹介を申し上げましたけれども、現在のガイドラインでは、個人情報を含む機微な情報は扱わないという想定で記載されております。これは当然、汎用的なものをそのまま使うということを前提にしているわけでございますけれども、他方で、セキュアな環境を整えることでこういった情報を扱うことができるというような技術の進展も進んでいるところでございますので、例えば、こういった情報を扱う際の環境の設定、どういうところに留意するべきか、こういったことも議論を深めるべきではないかというところが2つ目の丸でございます。
それから、3つ目の丸でございますけれども、これは先ほどの子供たちの学習の場面と同様に、校務での利用で事例としてどのようなものが考えられるのか、こういったところももう少し加えて議論すべきではないかということで論点として提示しております。
それから、最後、4番目でございますけれども、教師に求められる役割についてということで書いてございますが、現行のガイドラインでは、学校現場における判断を適切に行うためにも教師の側に一定のリテラシーが必要であると記載されているところでございますけれども、今後ますます技術が進展していく中で、教師のAIリテラシーを育むための方策、あるいは、こういった時代に教師に求められる役割というものはどういうものが考えられるのか、こういったことも論点として議論すべきではないかということで提示したところでございます。
この資料は、冒頭申し上げましたように、事務局として、こういうことを議論していくのがよいのではないかという一つの例としてお示ししたものでございますけれども、これからの委員の先生方の議論の参考になればということで提示したものでございます。当然、これ以外のところの論点も様々あると思いますので、この後、先生方、様々な観点からの御議論をしていただければと思っております。
資料3の説明は以上でございます。
【石川座長】 ありがとうございました。
ただいま事務局より幅広い論点案を提示いただきました。これから質疑応答に入りたいと思います。今御説明いただきましたように、本検討会が扱う案件は、様々な視点、様々な観点あるいは様々な配慮が必要なものでございます。大所高所から、あるいは事例のレベルから、様々な観点での議論をいただければと思います。また、進歩が激しい分野というのが、この検討では非常に難しい案件だと私は思っております。その点も配慮いただいて、様々な御意見をいただければなと思っております。特に資料3の論点案に触れる形で委員の皆様から御意見、御質問を頂戴したく存じます。なお、本日御欠席の今井委員からは、資料4のとおり、事前に御意見をいただいております。今日は初回ですので、御出席いただいている皆さん、委員全員の方から御発言をいただきたいと思っております。進行に御協力いただきますようお願いいたします。単純な算数をしますと、50分取ってありまして、10名いらっしゃいますので、5分以内ということなんですが、できれば4分ぐらいをめどに御発言いただけるとありがたいと思います。言い足らない方もいらっしゃるかもしれませんが、御協力のほどよろしくお願いいたします。御発言いただける方は挙手ボタンで挙手していただき、それに対して私のほうから御指名いたしますので、よろしくお願いいたします。どなたかいらっしゃいますでしょうか。どなたかいらっしゃいませんか。藤村委員、お願いいたします。
【藤村委員】 時間がもったいないですので、少し口火を切らせていただこうと思います。私のほうは前回のガイドラインの策定のほうも関与させていただきましたが、随分進んできたので、ここで改めて検討するというのは本当にすばらしいことだなと思っております。先ほど座長がお話しいただいたように、論点に沿ってということでしたので、4つの論点ごとに少し御意見を申し上げたいと思います。
まず1つ目が、論点の1つ目ですね。1番、生成AIに関わるサービス・技術の進展についてということですけれども、従来はChatGPTなど、そのまま使うことだったけれどもと先ほど御説明がありましたが、まさにそのとおりで、今、学校現場でちょっと危機的な状況があるなと認識しています。といいますのは、従来、文書生成AIについてのガイドラインで大体ガイドラインを示したにもかかわらず、現場ではもぐりで画像生成AIですとか映像生成AIですとかを利用してしまう。例えばそれは著作権に触れる可能性が日本の場合、非常に高かったり、それからまた、ChatGPT-4oが出たばかりですけれども、それをAPI連携させて無償で提供するサービスというのが結構あって、現場でも浸透してきて、先生方が使っている状況があります。大事なのは、恐らく多様なサービスが出てきたから、それらを整理してタイプごとにガイドラインを示す必要があるのではないかなということが1つ目です。ぜひその辺、御検討いただきたいと。
2点目です。議論の進展ということですけれども、ここでの視点は、教育についてどうかという視点が一番大事だというのは全く異論ありませんが、もう一点お考えいただきたいのは、これから日本の国の将来、子供たちの将来を考えて、人口減少社会になって、生産年齢人口が減り、高齢者人口が増えて、ほぼ同数になってくるのがもう30年後に迫っている。そうしたら、そのときに労働生産性を上げないと、これからの子供のウェルビーイングも、高齢者のウェルビーイングもないよねと、そういう国としての大きな動きの視点というのも実は将来の子供たちのウェルビーイングを考える上では必要なのではないかなと考えておりますので、その点も御議論いただけたら幸いです。
次、3点目、児童生徒と教員でそれぞれの検討が必要というのは、私、教員養成大学におりますので、まさにこの部分について最先端の研究をしようと思って頑張っているんですけれども、子供たち、先生方と共通なものと別なものというのがあるということが分かってきました。例えば、生成AIの仕組み、可能性、限界、問題点に関しては児童生徒も教職員も両方理解すべきである。児童生徒が配慮しなきゃならないことと教職員が配慮しなきゃならないこと、それは違うということもありますので、そこを整理してぜひ、共通なものと違うものとするといいのかなと思いました。
4番目、教師の役割ですけれども、これは教員養成と教育委員会の研修の役割が非常に大きいと考えておりますので、この辺についても、こういうポイントを踏まえた教員養成と教職員研修をすべきだみたいなものを示せると、次期ガイドライン、いいのではないかなと思いました。
以上でございます。
【石川座長】 どうもありがとうございます。多様なAIをタイプ別にという御意見と、労働生産性を向上する視点が必要である。それから、児童生徒と教員は、共通な課題もあれば、別な課題もある。それから、教員養成に配慮した観点も必要ではないかという御意見だと承りました。
ほかの方、いかがでしょうか。先ほど利根川さんでしたか、お手を挙げていたような気がするんですが。
【利根川委員】 ありがとうございます。私も1年前に出したガイドライン、関わらせていただきました。今お話ししながら、大分昔だなと感じながらも、そのことを思い出しました。当時出たガイドライン、当時としては非常に先進的なものを非常に早いタイミングで出していたかなと私も認識しておりますし、実際そういった声、諸外国の同様のことをやっている方からも聞いております。しかしながら、事務局の説明ありましたように、この1年間、プロダクト面でいっても、ChatGPT中心に3つ程度の記載だったものが、非常に多様なプロダクトが提供されていまし、私どもも学校向けにみんなで生成AIコースも提供しておりますし、マルチモーダルとか画像生成ですとか、そういったことも進化は非常に著しいです。加えて、進展という意味では、もう一個、実践の面ですね。当時は鈴木先生とか私どもの支援先とかが多少始めていた程度で、極めて限られた実践だったんですね。ただ、この1年で、文科省のAIパイロット校だけでなく、私たちのほうも支援して、生成AI100校プロジェクトみたいな形で生成AIの環境提供とかしておりました。多くの学校現場で実践が行われてきまして、子供の変化も、子供の様子も見えてきたかなと思います。論点3において、実践側の進展も技術の側に加えて非常に重要な議論の要素であると考えておりますので、ぜひこの1年の実践とか子供の様子というところが論点3に書き加えられるといいのではないかなと思っております。
今回、このガイドラインの改訂というところが大事な責務かと思っておりますが、そういった技術面と実践面、両方の進展を考えますと、見え消しレベルの改訂ではなくて、もうゼロベースでつくり直すんだぐらいの議論が必要なのではないかなと。事務局への負担はかかってしまいますが、それがこの委員の責務ではないかと考えております。
では、ガイドラインをつくり直すに当たって考えなきゃいけないところとして、私は、技術をどのように活用するのかという哲学の面がまず大事なんじゃないかなと考えております。長い目でテクノロジーの歴史を振り返りますと、蒸気機関ができた後のラッダイト運動みたいに、人間を不要にする方向に技術を活用する場合と、逆に、CTスキャンとかよく例示されるんですけど、人間がよりよい仕事をする側に技術を活用する、そういった2種類の方向性があるんですよね。今回のAIについても、資料2-2にも人間中心という話が、先ほど経産省さん、総務省さんからの説明でありましたように、児童生徒が考えなくなったりとか、先生が不要になるとか、そういう方向ではなくて、児童生徒の学習がよりよくなる、先生の教育がより充実する、そんな未来をつくる議論ができるといいかなと考えております。
機会があれば私からも発表させていただきたいと思うんですけれども、この1年の進捗という意味で、私どもの感想として、小学校段階からも適切に学習機会を提供することが有効だと考えております。今のガイドラインの記載にも、児童生徒の発達の段階や実態を踏まえという記載がありますが、今回、各地で様々な実践をなさっている先生方、御一緒しているかと思いますので、ぜひその先生方が御覧になって、子供たちの様子とか変化とか、それがベースとなって改訂の議論がなされるとよいのではないかと考えております。
また、私たちが各地の学校と協業する中、ちょっと匿名化させていただいて、とある県立高校の先生が、「これから社会に出ていくに当たって、生徒にはこういう生成AIを体験させなきゃいけないと思っているが、教員が技術の進歩の速さについていけないのではないかと焦っている」というようなことをおっしゃっていました。すごく強い危機感があるんですよね。しかし、その県の教育委員会が中学校の実践校を募ったところ、全然応募が来なかったりというところで、テクノロジーとか社会の側がすさまじい速さで進む中で、学校教育が従来のある種村社会的なところに閉じ籠もることなく、この教育を受ける子供たちが活躍する2050年代を見据えた議論が必要であると考えております。藤村先生から先ほど「もぐり」なんていう単語もありましたけど、各種調査からも、生成AIを教室で扱わなかったとて、児童生徒が生成AIを使う時代が来ているというのが明らかになってきているかと思います。これはもう生成AIに限らず、新しい技術というのは、これまでにない利便性はもちろんあるんですけれども、課題、この両方出てくるんですよね。課題があるからといって安易に否認するのではなくて、じゃあ、その課題を認識した上で、どうやったらその課題を、問題を減少させられるのか、対策を考えることが大事ですし、一方、便利だからといって安易に使うのではなくて、その特徴を知った上で適切に使う。そういう光と影の両面を捉えて、過信にも不信にもならないように、どういった機会提供が適切かというのを議論できるのがいいかなと考えております。この生成AIについては、児童生徒に適切な機会を教育することは令和の時代の公教育の責務だと、責任だと私たちは考えておりますし、これはここにお集まりの皆様にはきっと御賛同いただけるんじゃないかと考えております。その上で、どういったのが適切かというところの議論ができるといいかと考えております。
また、今、令和の時代の公教育の責任だと私申し上げましたが、あらゆる子供が受ける公教育という観点においては、ダイバーシティー・エクイティー&インクルージョンの観点、これは非常に大事ですね。そのとき、2つの面に注意が必要かと考えています。1つ目がAIの側のバイアスです。海外の方と生成AIの教育について議論すると、日本人はハルシネーションをすごく気にするんですよね。ちょっとそれは横に置いておいて、海外の方はそれよりもバイアスへの心配が圧倒的に多く聞かれます。もう一方は人間の側ですね。AI教育を推進するプレーヤー側のバイアスです。ここについて、新しいテクノロジーに親しみを持ちやすい、歴史上そもそも男性に偏っていたりするところなんですけど、そちら側の意見だけでなく、ちょっとAIと距離があった方たちも含めて、有効な教育機会の提供ができるように留意しながらここでの議論を進めていくのが非常に大事だと思っております。
そして、今回のガイドラインが出る頃には次の指導要領の議論が始まるかと。これは非常に大事、私の一番最後に言いたい、一番言いたいところなんですけど、このガイドラインは重要で有効ではあるんですけれども、ガイドラインだけで学校の教育、現場が変わるかというと、そうはならないですね。この会議でも、基本のスコープはガイドラインのところだと思うんですけれども、どういった学習が、教育がこの先必要なのかという議論が皆様とできるとよいのではないかなと思います。
ちょっとすみません、長くなってしまったかもしれませんが、皆様と、半年弱かな、よい議論ができるのを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。
【石川座長】 どうもありがとうございます。技術の進歩に対して十分な対応が必要であるということと、実践面もきちんと見ていく必要がある。それから、最終的にガイドラインで足りるのかという御意見だったような気がします。あとは、様々なバイアスがあるので、それも配慮が必要だという御意見だったというふうに受け止めました。
ほかの委員の方、いかがですか。まず、では、鈴木委員、森田委員の順で、まず鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】 よろしくお願いします。時間の限りと思いますけれども、まず1つ目は、前回のガイドラインが出たときに非常に大きく感じた違和感のことからお話ししたいんですが、情報活用能力の視点からだけ見ていていいのかというところが一番大きな違和感でした。生成AI活用によって、必要なのは、本来であれば、まさに問題発見・解決能力のほうなんじゃないのかなと思っていたので、学習指導要領で言われている学習の基盤となる資質・能力の3つのうち、やっぱりどれも必要になっていくんだろうと、言語能力も含めて。そこまで全部カバーしたような形のガイドラインであるべきではないかなということを1つは思っています。
2つ目ですが、適切な例、不適切な例というのが前回のガイドラインのときに報道なんかでもすごく取り上げられたんですけれども、具体例を挙げていったら切りがないだろうと思います。ですから、何がいけないのか、あるいは何が望ましいのかというところの原理原則を示すようなものでないと、もうちょっと対応できないんじゃないのかなと思っています。例えば前回非常に話題になったのは、レポートにそのまま生成AI使って、それで出したら駄目ですよというのがありましたけれども、あれなんかは、確かにそれは不適切なんですけれども、それよりも、生成AIでもってぱっと出したものを出せば、それで何とかなってしまうようなレポートの出し方自体が不適切だということを問われる時代に今もう入っているということなんだと思うんです。つまり、教育の内容であったり教育の方法だったりというものをやっぱり問い直さざるを得ない、そういう時代に今入っているんだろうと思います。そう考えると、ここでの議論が、さっき利根川委員もちらっとおっしゃっていましたけれども、次の学習指導要領の議論にやっぱり反映されないと仕方がないし、次の学習指導要領、この生成AIのこと抜きには絶対考えられないと思うので、そこに対する提言も含んだものであるべきではないかなというようなことを思っています。
3番目、前回のガイドラインが表紙に、右上のほうに「機動的な改訂を想定」と書いてあったんですが、出てから1年以上たってやっと改訂の議論が始まるのは、やっぱりこれは機動的とは言い難いだろうと私は思っています。これだけ進化の速いものを相手にしているので、これから機動的に改訂していくというのは一体どういうことなのかということもちょっとここで話し合えるといいのではないかなと思っています。
それから最後に、今日欠席されている今井委員から出ていた資料は非常に読み応えがあって、考えることが多いんですけれども、記号接地に関わる懸念は確かにそのとおりだと思うんですが、私の経験から言うと、やっぱり授業の実践の仕方によっては、生成AIというのは意味を捉えていないと、本当にただ生成しているだけなんだ、出しているだけなんだということは、子供が自分自身で気づいて、言葉にして出してくるんです。ですから、一体どういう授業をすれば児童を記号接地させるためのツールとして生成AIが役立つのかというところ、どういう授業が大事なのかというところはこれからやっぱりもっともっとやっていかなくちゃいけないところだなと思っているんですけれども、それをどうガイドラインに反映させるかというところを考えていきたいなと思っておりました。
以上です。
【石川座長】 ありがとうございます。様々な御意見いただきました。情報の活用だけに閉じるべきではない、あるいは適切・不適切のサンプルだけにとどまるべきではなく、少し抽象度を上げた議論も必要である。さらには学習指導要領への提案も必要。それから、機動的改訂、これはなかなか難しいかもしれませんが、順次改訂する仕組みも考えたほうがいいのではないか。それから、記号接地に関していろいろと現場のほうの観点からの御意見をいただきました。
続きまして、森田委員、お願いいたします。
【森田委員】 つくば市教育長の森田です。
議論の観点については、今3人の委員の方から御意見いただいて、そうだなと思いながら拝聴しておりました。そういう中で、教育委員会として感じることをお話しさせていただきたいんですけれども、これはもうGIGAスクールの議論でもあることなんですけれども、活用の差がかなり大きいんじゃないのかなと、AIについてはもう本当に大きいものがあるのではないかなと感じています。そういう中で、その差を生んでいるものは何かというと、やはり教員の理解を深める、そして活用の事例を深めるような研修というのがなかなかうまく進んでいないのではないかというところと、それから、先生方も半信半疑、おっかなびっくりというところもあるのではないかなというところなんです。ですから、KPIの指標も、活用50%を目指すと言いながら、今1%であるという、本当にこれはしっかり考えないといけないと思っていますので、ガイドラインに附属するものになるかもしれないんですけれども、研修の事例であるとか活用の事例であるとか、そういうものがやはり提供されるようなことをしっかりやっていかないと進まないのではないかなと感じています。ですから、保護者の理解も、これ結構大事な部分なんですよね。保護者がまだまだ、本当に使って大丈夫なのというところもあります。ですから、つくば市としては、保護者向けのリーフレットも作って配布したんですけれども、そういう全ての方々の安心度を上げていかないといけないのではないかと、そんなふうに思っています。同意の取り方も結構、13歳以上の活用の場合、ほかの市町村の方から、同意をどんなふうに取ったんですかと、そういう問合せも結構ありますので、そんなところも、中心の議論ではないですけれども、周辺の議論としてしていくべきではないかなと、そんなふうに思っています。
以上です。
【石川座長】 どうもありがとうございました。学校によって活用の差がある、それから、先生、保護者の理解も必要である、全て安心度を高める努力が必要ではないかという御意見、それから、同意の取り方等は注意が必要であるという御意見と承りました。
続きまして、細田委員、お願いいたします。
【細田委員】 よろしくお願いいたします。皆様の議論、大変参考になりまして、ありがとうございます。
私、まず第一番に申し上げたいことは、これ、データを取っている、何かバックアップがあるわけではないんですけれども、さいたま市の教員たちと話をしていて思っていることなんですけれども、生成AIに関するこれまでの取組で、グッドプラクティスも出ているんですけれども、現実問題は、パイロット校とそれ以外の学校、パイロット校五、六十校ということですが、それ以外の学校とは全く別世界であるということですね。学校の中で議論もあまりされていないような状況。あまりというか、全く議論されていないし、教師も、もちろん子供たちも、触ったこともないというような現状があるということをやはり1つは申し上げたいと思います。本当にパイロット校とそれ以外のところでは別世界である。少なくとも私の知る限りはということです。
その上で、皆様の議論で、やっぱりこの分野はとにかくどんどん差が開いてくるということをおっしゃっていて、まさにその真っただ中にあるわけですね。そうなっていきますと、ガイドラインとして、これから日本の教育は、将来を担っていく、意思決定をしていく目の前の子供たちにどう育ってもらいたいかというようなことを見据えて、国として生成AI、AIなりを学校教育の中でどんなふうに使っていくのかというあたりのところの大きな方向性をやっぱり一度きちんとこのガイドラインの冒頭のところでも出していく、目線合わせみたいなものが必要なのかなと思います。そのことが、先ほどつくば市の教育長さんもおっしゃっておいでのように、保護者も教員も恐る恐るなわけですので、その恐る恐るのところに少し、国として生成AIを、AIを教育活動の中にこんなふうに使っていく、そして子供たちに将来こういう力をつけていきたいということをはっきり示していくことが、皆さんの恐る恐るに対して少し力を添えることができるのではないかということです。そこからさらに発展させたところに、やはり次の学習指導要領への提言が具体的に必要になっていくのではないかと、こんなふうに思っております。
以上です。
【石川座長】 どうもありがとうございます。パイロット校とそれ以外のギャップが激しいという御意見と、国としての大きな方向性を示すべきだということで、学習指導要領にも反映させてはどうかということだという意見と承りました。
続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 ありがとうございます。信州大、佐藤でございます。私からは論点3について3点申し上げたいと思っています。
1つ目は、情報活用能力に関しましてです。ガイドラインのほうには既に示されているところですけれども、さらなる強化であったり促進の明記が必要かなと考えております。研究的に、学術的に調査してみますと、情報活用能力の学習経験が乏しい場合、これは児童生徒、それから学生もそうなんですけれども、こうした状態ですと、生成AIが生成した情報をきちんと読み解けないという傾向がよく見えてまいります。そして、その傾向に関しては、これまでの生成AIではない誤情報であったりとか、うその情報、偽情報とか、そういった感覚のものであっても読み解けていないことが分かっております。ファクトチェックという話になりますけれども、情報活用能力の観点だと、探求における情報活用とかというところが該当するわけですけれども、情報を比較するとか、批判的思考を働かせて真偽や判断、見極めることということが一層重要になってくるわけですけれども、そこでは特に学習経験が非常に必要で、学習経験がないと勘が働かないというようなことですね。見方、考え方が働かないということが非常に多いなと思っていますので、その学習経験をどう増やしていくかというような、そんなことがガイドラインに明記されていくといいなと考えております。それから、同時に、情報活用能力のほうでは、情報社会に参画する態度というか、情報社会の仕組みや技術、その考え方を理解するというところも非常に大事になってくると思いますので、そういった面で生成AIの特性を学ぶということは必要になってくると考えています。そう考えていきますと、現在の情報活用能力の体系表例では足りない項目もありますので、情報活用能力に関する議論も同時にしていって、修正していく必要があるのではないかと捉えております。現在のところ、こうした生成AIの利活用をしていくために具体的に情報活用能力の中ではどのような指導をしていけばいいかという要素は示されていないので、この点についても検討、明記していかなければ、何となく情報活用能力という大きい枠で示されていて、学校現場はどうしていいのかというような、そんな考え方でいるなという印象を持っていますので、きちんと調査したり明記していく必要があると捉えています。
2つ目でございます。これは個別最適な学びや協働的な学び、主体的な学びに関してでございます。先ほども鈴木委員がおっしゃっていましたけれども、読書感想文やレポートに関して話題に上がってくるわけですけれども、児童、生徒、学生の学習への態度、姿勢というのが大きく利活用に影響すると考えています。そうした意味では、令和の日本型学校教育に示されている個別最適な学びというところが大きく関わってくると僕は考えておりまして、一律一斉の課題の設定でなくて、児童生徒が主体的あるいは問題解決的、探求的に学習に取り組んでいく中での上手な利活用というのが前提となってくるのではないかと捉えております。こうしたことは、先ほどの資料2の10ページのデータがございましたけれども、リーディングDXスクールの中で適切に教育活動が取り組まれているというようなことがデータには表れているかなと捉えております。こうした議論は今後の学習指導要領の改訂に向けても位置づけられていく必要があるのではないかと捉えているところでございます。
3つ目に関しては、校務で生成AIを利用していくということの順序性に関しましてです。しばしばICTを活用するということが学校現場で取り上げられるときに、授業から入っていくということが非常に多かったと思うんですけれども、GIGAスクール構想でうまく上手に進められている自治体や学校を見ていきますと、やはり最初に先生方が校務で利活用を促進して、その中で慣れていきながら生成AIを、あるいはICTを使っていくというところがうまく進められている自治体様でございます。そういった観点でも、校務の情報化と働き方改革において生成AIはどう使っていくかということが示されていく必要があると思いますけれども、これも児童生徒と同じように、生成AIに先生が慣れていくというところで、適切にどう慣れていくかというフローみたいなものが先生方に示されていくといいのではないかと考えておりますが、現在のところ、生成AIの利活用を先生方にも禁止している自治体様もございますので、その辺りもガイドラインに示されていく必要があると捉えております。
私からは以上になります。よろしくお願いいたします。
【石川座長】 どうもありがとうございます。特に情報活用の観点から、学習経験の重要性、あるいは具体的なサンプルがあったほうがいいのではないか。それから、児童生徒個別対応という点での活用も考えられるのではないか。それから、校務での経験が重要になるのではないかと、先生方の経験を積み重ねることが重要になるのではないかという御意見だと承りました。
続きまして、江間委員、お願いいたします。
【江間委員】 私は前回の委員会に入っておらず、最後にコメントするというような関わりでしかなかったんですけれども。非常に今までの議論も勉強になっております。私のほうからは、教育に特化した議論というのは私は今までしていなかったので、もしかしたらちょっと外れていることもあるかもしれませんが、大きく枠組みのことについてお伺いしたいことや皆様と議論したいことということで3点ございます。
まず1点目なのですけれども、ガイドラインとされた場合に、その範囲というのはどこまでになるのかということをお伺いしたいというか、皆さんと議論させていただきたいなと思っています。もしもこれは既に議論されているということであったら、すみません。皆さんは学校教育の話をされています。先ほど森田委員から保護者の方へのお話というのもございましたけれども、例えば塾ですとか学童とか、サマースクールみたいな学外活動、課外活動的な部分でのAIの利用というのはこのガイドラインの範囲に入ってくるのかが分からなかったというか、気になったところがあるので、そこをお伺いしたいなと思ったところでございます。それが1点目です。
2点目ですが、皆様のお話をお伺いしていて、この委員会で話し合うことのスコープというのを少し整理してもいいのかなと思いました。ガイドラインをつくるということで集まっている方々であると思いますし、問題意識といたしましては、文科省さんのほうでも最初にありましたように、画像生成AIとか、とにかく技術の新しい発展が出てきているので、それに対応していかなければならないとかいうこともあります。その意味ではやはり、絶対に気をつけなければいけないこととか、前回チェックリストとかもございましたけれども、ある意味、今、子供たちが例えばトラブルに巻き込まれないようにですとか、知財の話とかもいろいろ発展というか、進展がございましたので、そういうところも踏まえて、考えるべきこと、指針みたいなことは1つ確かに更新していくべき点というのは非常にあるだろうと思います。一方で、具体事例の共有というのもある種必要なのではないかなとお話を聞いていて思ったところではございます。やはり先ほどの細田委員のほうのお話でもありました。ただ、パイロット校ではできているけど、できていないところがあると。先生方としても、最初の御説明にもありましたように、事例は教員間で共有されていて、そこで、やってみようという話があるというところがあるので、これはガイドラインというよりは事例集のような形で何か別として出していくということが、最初それこそ藤村委員がおっしゃっていたようなタイプ別みたいなところにもつながっていくというので、それはまたガイドラインとは別になってくるのではないのかなと思ったところでございます。その上で、先ほど利根川委員のほうからもございました理念の話ですとか哲学の話、あとそれから、皆様、ほかの方々も多くおっしゃっていましたけれども、指導要領への政策提言みたいな、今後それこそ教育はどうあるべきかみたいなのは、これはやはりガイドラインとはレイヤーが違うと思っております。仕組みからこれからどう考えていかなければならないのかですとか、そういうことはまたこれは考えていく必要があるのかなと。なので、本日皆様のお話を伺っただけでも結構異なるレイヤー、ガイドラインですとか事例集ですとか政策提言みたいなのがあるので、まずそれを、第1回ということなので、こちらで整理することが必要かと。全部を1つに詰め込もうとすると、これは誰に読んでもらいたいものなのかという対象が異なるものでございます。そこをまず腑分けするということから始めるのが重要かなと思いました。250とか300ページあるガイドラインは誰も読まないものになりますので、対象を絞った上で分けていくということが大事かなと思います。
最後、3点目なんですけれども、理念の話、私も大事だと思っておりまして、皆様ともこちら御議論させていただければなとも思っているんですけれども、やはり生成AIが出てくることによって、私たちは一体何を子供たちに学んでほしいのか、どういう学習をしていけばいいのかということを考えていくことが大事だなと思っておりますし、それはこの場だけではないともちろん思っているんですけれども、そういう議論の端緒を出していくということは大事だと私自身も思っております。以前、英語教師の方々とお話をされていたときに、子供たちだけではなく、保護者から、機械翻訳があるのに何で英語を学習しなければいけないんだというような話が出てきたというようなコメントを聞いて、私は英語の先生のそれに対する答えというのがすごく気に入ったんですけれども、まず1点は、そもそも出てきたものの真偽を確認するために英語は学ぶ必要がありますよねと。もう一個は、英語という外国語を学ぶことによって、母国語、自分たちが今持っているスキルということをしっかり理解するというようなことにもつながっていくんだというようなことをお話しされていました。理念といいますか、学ぶこととは一体そもそもどういうことなのだということを改めて、生成AIという技術があることによって、それをある意味、鏡として、どういうふうにそれを適切に扱っていくのかというようなことを考えさせるような、ある意味、教育理念よりもう少し、もしかしたら1段上かもしれないんですけれども、技術との付き合い方ということを改めて考えること、大事なのではないかなと思いました。
すみません。長くなりましたが、以上3点でございます。よろしくお願いします。
【石川座長】 どうもありがとうございます。1点目はガイドラインの範囲はどういうものかという、これは定義を含めて考えたらどうか。それから2点目は、委員会でのスコープを整理すべきではないかということで、いろんなレイヤーの考え方を、どういった対象を考えて整理するかということだと思います。それから、理念あるいはその上の概念が教育手段、教育方法に関係するようにするのが重要ではないかという御意見と承りました。
それでは、吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】 ありがとうございます。私としては、まず、私のスタンスとしまして、本会議をベースにして作成されるガイドラインですとか仕組みというものを通して、いかに教育現場の先生方が大きな不安なく安心して動ける環境ですとか、その方針を提供できるのかというところがポイントだと考えております。ただ、先ほど江間委員が御指摘されたように、この会議のスコープの整理も非常に重要だなとも思っておりますので、そこのスコープの明確化も併せてしていただけるとよいのかなと思っております。
まず1点目に関しまして、1点目といいますか、文科省のガイドラインについてなんですが、大枠、基本的に賛同はしておりまして、ただ、やはり改善できそうな点は幾つかあるなと思っております。具体的には、例えばなんですが、結局、ガイドラインをベースに、何が、どのような場面で使ってよくて、どのような場面では絶対に使ってはいけないのかというような、完全に黒、完全に白なものを具体的に記述していただくことによって、教員は、これは絶対やっては駄目なんだ、これは逆にやってもいいんだということで安心して使えるかなと思っております。というのも、例えばいろいろなところで講演や研修させていただくんですが、著作権のことについてよく聞かれるんですが、やはり、著作権について気をつけましょうだと、どこの点について気をつければいいのかというところがよく分からないというところございまして、ただ実際、例えば今、SARTRASが提供している制度に参加していれば、授業目的であればある程度緩和された形で著作物を使えるというような状況もございますので、そういった情報、何が具体的にオーケーで、何が具体的に駄目なのか、グレーなところはどこなのかなど、そういった具体的な行動につながるような情報を盛り込むというのも非常に重要なポイントかなと思っております。そういう意味では、今後構築されるセキュアな活用環境だけではなくて、外部サービスを使うときのポイント、分かりやすく、個人情報を入力しないですとか、そういったところも併せて、より明確に記述することで、具体的な行動を促すというようなポイントは1つ重要なところかなと思っております。
少し細かいところにはなるんですが、現状ですと、かなりプロンプト、指示出しの仕方に寄った形で書かれてはいるんですが、やはり様々なモデルが出てきまして、それぞれのモデルで得意・不得意なことも出てきているんですね。そういう意味では、モデルによってできることが違うですとか、さらに言うと、モデルのバージョンによっても違うですとか、実際に私の研究でも分かってきたんですけど、モデルのバージョンでも、そのバージョンの中にさらにマイナーなバージョンというものがありまして、何月に出てきたモデルによっても違ったりするんです。という意味では、結局どこまで情報を入れるかという話にもなるんですが、そういったモデルですとか、バージョン、マイナーバージョンによっても違うというようなところも出てきていますので、やはり最新の情報を踏まえた情報提供というものも非常に重要なのではないかなと考えております。
また、論点のところで、学校別、学校種別で情報提供するのも重要じゃないかということで、それに関しては私も非常に同意でして、それに加えてといいますか、先ほど活用事例集という話もありましたが、それも私も非常に賛同いたします。
また、全ての情報を1つにまとめると、やはり誰も見ないような、多くの人は見ないようなものになってしまうと思いますので、例えば簡易版で、全教員に見てもらいたいような内容を入れたもの、それに加えて、より詳細を知りたい方が参照できるような、具体的にどういったところで使ってよくて、使ってはいけないのかというような、具体的に、より情報を豊富に入れた詳細版などを提供することによって、各学校でも、結局、ICTの担当者がいて、その人が主に使って、どんどん横に広めていくという流れも多く見ていますので、全教員用の簡単に読めるようなものに加えて、手引といいますか、詳細が書かれているようなものを提供するというのも1つあってもいいのかなというような、これはジャストアイデアではあるんですが、考えていたところでございます。
また、先ほどセキュアな活用環境を整備しているという御発表をいただいたんですが、そういった環境を国として整えられるのであれば、それはすばらしいことだなと思っておりますが、1点といいますか、まず重要なポイントは、やはり使いにくいシステムですとなかなか利活用は進まないので、ユーザーインターフェースですとかユーザー体験、ユーザーエクスペリエンス(UX)は重視していただければなと思っております。具体的には、利用者アンケートを定期的に取って、その結果を踏まえて改善するというような、そういったサイクルが回せるような仕組みをつくっていただくのは非常に重要なのかなと思っております。また、そういったセキュアな活用環境を整えると同時に、外部サービスの利用を否定するような論調にはなってほしくないなと思っておりまして、というのも、やはり日進月歩でサービスが展開されておりますので、そういった意味では、新しいサービスを使って検討していくということも非常に重要だと考えております。そういう意味では、セキュアな活用環境も重要ではあるんですが、外部サービスは排除しないような形で、ある種併用するような、併用できるような環境ですとかガイドライン、仕組みを整えていくのは非常に重要かなと思っております。という意味では、外部サービスを使う際の明確なNGポイントなどをやはりガイドラインですとか様々な情報提供するというところは重要なポイントになってくるかなと思っております。
最後に、教員に対してどのように情報提供していくか、教員に対してどのような支援ができるかという観点なんですが、やはり私としては、研修も非常に重要だと思いますし、大規模な研修、オンラインでもできるようになりますので、そういったものを行っていくというのも一つの方法かとも思っております。また、やはり情報の更新が速いので、情報提供するウェブサイトの構築というのも非常に重要だなと思っておりまして、これは別途私が、ニーズがあるだろうなというのと同時に、様々な方とお話ししているとニーズがあるということなので、この夏休みを使って、教育における生成AI活用に関するウェブサイトを作ろうかなと思っているんですが、そのような、私が開発しなくてもいいかもしれないんですが、やはり情報を定期的に更新できるような、それこそ逐次更新できるようなものがあると、教員にとっても、それを参照すればいいというような状況をつくれるので、ガイドラインという、重たく、例えば1年に1回更新というものに合わせて適宜アップデートできるような仕組みというのも1つ重要なポイントになるのかなと思った次第でございます。
少々、すみません、長くなってしまいましたが、以上です。
【石川座長】 どうもありがとうございます。絶対駄目、絶対オーケーというのをベースに、具体的な行動につながるようなガイドラインの必要性、あるいは、様々なモデルによってでき方が違っているので、最新の情報の提供をしたいと。それから、セキュアな環境も重要性があるので、技術の進歩をうまく取り込んだ形で、セキュアな環境を含めて環境整備に取り組んでいただきたい。それから、教育に対する観点からすれば、情報の更新に対するサイトがあるといいのではないかという御意見だったと承りました。
相澤委員、お願いいたします。
【相澤委員】 相澤でございます。よろしくお願いします。私は今回初めての参加ということで、バックグラウンドも教育とは異なって、技術寄りなので、少し具体的なスペシフィックな観点からですけれども、3点コメントをさせていただきます。
まず、AIの多様性について大変重要な御指摘が幾つもあったと思います。学校教育あるいは一般のリテラシーとして、例えば新聞を読むときは複数のものを読み比べるというのは基本だと思うんですけれども、AIについても同じことで、AIが多様化してきますので、性質の異なるAI、あるいは、生成AIにとどまらず、機械翻訳ですとか検索エンジンとかを複数使うということは非常に重要なのではないかと私自身は考えております。組み合わせることによって弱点、利点が見えてきて、それを補って使いこなすというのが一つのリテラシー教育で、そういった観点もあってもよいのではないかなと思いました。
2番目は、AIの事業者のガイドラインの中でモニタリングという言葉がバイアスとペアで語られていました。それは提供者の側でしたけれども、利用者の観点からいってもモニタリングというのは非常に重要です。特に学校の現場においては恐らく先生方が生徒さんに対して提供する側になるので、そういったところでモニタリングを意識していくというのは重要だと感じました。言語モデルによって、国語――日本語の場合、日本語と国語というのは大体同一なんですけれども、国語が変わっていくということは実際にあって、学術論文の世界では既にChatGPT-4が好んで使う用語が論文の中で顕著に増えているという事象は観察されています。学校教育の基本たる、そういった国語ですとか、あるいは倫理的な概念というものは言語モデルの中にバイアスとして反映されていくものなので、そういった観点からも、モニタリングというのは重要になってくるのではないかなと感じました。
3番目は、吉田先生も触れていらっしゃいました研修ですけれども、これからの時代でありますので、ぜひオンライン研修、あるいは、よりインタラクティブな研修というものを、早い段階で教材づくりに入って、かつ柔軟にアップデートしていくということは重要だと思います。あと、学校の内外という話題がでましたが、学校の外にいらっしゃる保護者の方々に、どういうふうに学校の現場で生成AIを使おうとしているかを知っていただくためにも、もうちょっと広い関係者に提供できるような形でのプログラムがあってもいいのかなと感じました。
以上です。
【石川座長】 ありがとうございます。AIにいろんな種類があるので、複数のAIを使うべきだ。それから、言語モデルにいろいろなことが反映されるので、そこにも配慮が必要。それから、研修は重要であるという御意見と伺いました。
ここまでで全員から一言ずつ伺いました。皆さん、大変貴重な、重要な観点からの御指摘をいただきまして、ありがとうございます。江間委員もおっしゃっていましたけど、いろんなレイヤーで今日は御発言いただいたので、私の頭の中でレイヤーごとの整理がまだできていない状態ではありますけれども、レイヤー、こういうのは生成AIに任せたほうがいいんじゃないかという気もしないではないんですけれども、各レイヤーでの整理というのが必要だなと座長として感じました。それから、レイヤーごとに、受け取る人が誰であって、その受け取る人に対してどういうふうな効果あるいは配慮が必要かというものを考える必要があると皆様共通しておっしゃっていたと。あるときは生徒児童、あるときは保護者、あるときはそれ以外の方というのがあったように思います。それから、皆様、個別の事例を出すほうがいいとおっしゃる方も何人か見受けられましたし、最終のガイドラインの形としてはいろんなことが考えられるのではないかと受け止めました。ただ、ちょっとだけ心配は、皆さんいろいろと、私も冒頭に申し上げましたけど、様々な観点、様々な視点、様々な配慮が必要であるというような発言をしたのですが、そのとおりになってしまって、これ、技術の進歩に合わせて急速にいろんなことを決めていこうという時間の中で、様々な視点を全部検討するという時間のかかる作業とのある意味矛盾が生じておりまして、これをどういうふうに整理していくかというのはちょっと私も悩ましいなというふうに、これは感想にしかすぎないんですけど、思いました。短期間でまとめられるものと長期を必要とするものが今日の御意見の中には混在していたような気がして、それをうまく整理する必要があるかなという思いを抱きました。それ以外にも、この検討会というのは何回かしか設定されていないんですが、それでも数か月かかるので、生成AIがその間に進歩するということも十分考えられています。それで、吉田委員もおっしゃっていましたけど、ちょっとしたサイトに、頻度高く更新するようなサイトというのも一つの考え方としてはあるかなと思うんですが、誰がやるかという話になると大体難しくなってしまうという問題もあるので、その辺、実行につながるようなプランというのを考えるのは今後の課題かなと思っていまして、今日いただいた御意見の全てを実行に移すというのはまず無理だと、時間と労力からして無理だと思うので、どのレベルの議論とどういった方向性の議論を重要視するかというのを今後皆さんと議論させていただければなと思っております。
ちょっとだけ、あと5分ぐらいは余裕があるので、どうしてももう一言意見をしたいという方がいれば1件だけお受けしますが、どなたかいらっしゃいますか。よろしいですか。藤村先生と吉田塁先生、5分しかありませんので、手短にお願いします。
【藤村委員】 一瞬で終わります。
【石川座長】 じゃあ、藤村先生、どうぞ。
【藤村委員】 どうしてもというのは何かというと、全国の教育委員会の助言が入った原稿、学校への助言が入っていると、教育委員会が議会対策のために安直に禁止しているというところが圧倒的に多いです。うちはまだ使わせていないから大丈夫ですと言うために禁止するのは、それは本末転倒だなと。子供の将来のために、先生方のためにというのを考えるようなことを強くアピールできたらいいなと思ったので、ちょっと言わせていただきました。
以上です。
【石川座長】 ありがとうございます。議会対策も考えろということですね。
それから、吉田委員、よろしくお願いします。
【吉田委員】 ありがとうございます。細かい点なんですが、ちょっと重要な点として、先ほど言えなかった話として、総務省、経産省の方の資料の中で、事業者に対して何か追加の観点はありませんかという話があったんですが、法的な観点で、生成AIを使ったサービス、生成AIを開発して提供するサービスではなく、生成AIを使った、ラップしたようなサービスは、利用規約次第で日本では13歳未満でも使っていいのかというところは整理していただけると大変ありがたいなと思っておりまして、私が調べられる範囲だと、そこまで十分調べられていないんですが、ちょっと分からない状況がございまして、アメリカだとまた話が違ったり、ただ、アメリカが提供しているサービスを日本で使う場合にはどうなのかですとか、そういったところは実は、13歳未満でも使ってもいいかどうかによって、使える活用の自由度も変わりますし、必要に応じてまたそこを変えるという可能性もあるので、もし教育現場で、特に小学校で使うという観点では重要かなと思っておりまして、AIの活用の年齢制限に関しては法的な観点でどういった状況なのかということも併せてまとめていただけると大変ありがたいなと思っておりました。
簡単ですが、以上です。
【石川座長】 分かりました。年齢制限のことを配慮すべきという御意見と承りました。
それでは、委員の皆様からの御発言はここまでとして、今の御発言を聞いて、事務局、寺島課長として何かコメント等ございますでしょうか。
【寺島学校情報基盤・教材課長】 ありがとうございます。大変様々な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
途中、江間委員から少し質問のような形があったかなと思ったのでコメントしようかと思ったんですけれども、今、1つ前に座長がまとめていただきましたので、スコープをどこまでどうするかということ自体がまさにこの検討会議の議論ということにはなるんだと思うんですけれども、少し江間委員から御質問いただいたところで、ガイドラインの範囲はどこまでなのか、学校の中だけなのか、外を含むのかという、そこだけ少しコメントしておきますと、今のガイドラインを前提にすれば、基本的には学校の中の話を念頭に置いてこのガイドラインはつくられているということになっております。したがって、これを前提に議論を、この延長で進めていくんだとすれば、その範囲はそこだということになると思いますし、いや、それを超えてもう少しということは当然、それそのものが議論になるんだろうと思いますけれども、現在のガイドラインはそういうことを前提にしているということと、それから、スコープはどこまでということで、先ほど座長も、いろんなレイヤーのところがあるので、整理しながら考えていかなければいけないという話もあったと思いますけれども、今、事務局のイメージというか、そこだけ少しコメントしておきますと、吉田委員からもございましたように、これはガイドラインですので、学校現場の先生方が読んで、具体的に考えられるようにする、不安なく考えられるようにするということがやはり大事なのかなと思います。誰に何を読んでほしいのかというような江間委員の指摘がございましたけれども、その問いに答えるとすれば、やはり学校、教育委員会、現場の先生がまず読んで分かる、そして、ある意味そのまま活用できる、そういったことがスコープの最初になるのではないかなと思っております。そういった意味では、何人かの先生から、具体的な事例を豊富にすべきだという御意見もございました。一方で、あまり具体的なことを書き過ぎると切りがなくなるので、原理原則にすべきだというようなお話もございましたけれども、学校現場の先生が読んで活用できるという観点からしますと、これを本文に入れるか、ちょっと分けて事例編みたいなものにするか、いろんな形式はあると思うんですけれども、少し事例ということも出しながらやるということが、学校現場で使えるガイドラインという意味では、そういうことも考えられるのかというのを、今事務局としてはそういうふうに思っておりましたけれども、まさに今日いろんな御意見をいただいて、それそのものがこの会議のいろいろな議論になるかなと思いますので、また座長の御指導の下に、どういったところで絞り込んでいくかというのは、これからの議論の参考にしていきたいなと思っております。
すみません。ちょっとだけコメントさせていただきました。
【石川座長】 ありがとうございます。やはりこれ、まとめ方が非常に難しい案件になると私も思いますので、皆様の御協力をいただければなと思います。本日、様々な形の御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。引き続き次回以降、意見交換を進めていきたいと思います。次回以降、いろんな方の御意見を伺う機会がございますので、またよろしくお願いいたします。
では、今後のスケジュールに関しまして、事務局より説明をお願いいたします。
【寺島学校情報基盤・教材課長】 ありがとうございます。それでは、資料5を御覧いただければと思います。資料5、「検討会議の今後のスケジュール(イメージ)」ということでございますけれども、これは下の※のところに書いてありますように、これはあくまで現時点で我々事務局が想定したスケジュールのイメージでございますので、まさに今日もいろんな御議論があったように、今後の議論の進展に応じて当然変更の可能性はあるということだろうと思いますけれども、当面のイメージということでお示しさせていただきます。今日、7月の末でございますけれども、この後、8月から9月にかけては少しヒアリングなども実施していきたいと考えております。具体的なヒアリングの候補、これからまた座長とも御相談しながらということでありますけれども、例えば事業者からのヒアリングということも入れてはどうかなと思いますし、また有識者の先生方のヒアリングも入れてはどうかなと思いますし、あるいは、この委員になっていらっしゃる先生方からの御発表ということも少し入れていきたいなと思っておりますので、この後何回かはヒアリングという形で進めていければなと思っております。そういったことを踏まえまして、9月から、秋から冬というふうに書いておりますけれども、この具体的なガイドラインの改訂の議論ということに進んでいければいいかなと今思っておりますけれども、ここに書いてありますのは一つの目安でありますので、この間何回検討会議を開くのか、どれぐらいのタイミングで取りまとめになるのかというのはこれからということでありますけれども、あくまでイメージとして一旦ここで共有させていただければと思います。
以上でございます。
【石川座長】 どうもありがとうございます。
本日、様々な形で活発な御議論をいただきまして、ありがとうございます。時間の都合で私がちょっと制限するような発言をしてしまい、十分に御発言できなかった委員の方もいらっしゃるかと思いますので、もし御意見等がございましたらば、事務局宛てにメールをいただければと思います。次回以降も時間が足らない部分に関してはメールを活用していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後になりますが、次回の予定について事務局から御説明をお願いいたします。
【中村学校デジタル化PTサブリーダー】 事務局の中村でございます。
次回の本検討会議の日程につきましては、準備でき次第、追って事務局から御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【石川座長】 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。本日、御出席ありがとうございました。
―― 了 ――
初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチーム