令和6年6月6日(金曜日)
WEB会議
【石田参事官補佐】 定刻となりましたので、ただいまから、「高校生のための学びの基礎診断」に関する有識者会議を開催いたします。本日は、御多用の中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
冒頭につきましては、事務局のほうで進行させていただきます。私は文部科学省初等中等教育局高校参事官付の参事官補佐をしております石田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議は、ウェブ会議システムによる開催とさせていただいております。
委員の皆様におかれましては、ウェブ会議システムを利用する観点からのお願いでございますが、御発言に当たりましては、インターネット上で傍聴されている方がいらっしゃいますので、聞き取りやすいよう、はっきりと御発言いただくなどの御配慮をいただきますようお願いいたします。また、御発言の都度お名前をおっしゃっていただく、御発言以外のときはマイクをミュートにしていただく、また御発言に当たりましては、「手を挙げる」ボタンを押していただき、御発言終了後は「手を下ろす」ボタンを押していただくなどの御配慮をいただけるとありがたく存じます。御協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
続きまして、本日の資料は議事次第にございますとおり、資料1から3となっておりますので、不足等ございましたら、事務局のほうにお申しつけいただければと存じます。
それでは、資料1により、本有識者会議につきまして御説明をさせていただいた上で、委員の皆様の御紹介に移りたいと思います。
資料1を御覧ください。「1.趣旨」にございますとおり、本有識者会議は、平成30年3月6日に策定されました「『高校生のための学びの基礎診断』の認定基準・手続等に関する規程」に基づきまして、「高校生のための学びの基礎診断」の制度及び高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクル構築に向けた測定ツールの普及促進等に関する検討を行うために設置されたものでございます。
また、「2.検討事項」というところでございますが、本有識者会議におきましては、(1)基礎診断制度に関する事項、(2)測定ツールの普及促進に関する事項、(3)高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクル構築に関する事項等について、検討・整理するものとされております。
「3.構成員」につきましては、後ほど委員の皆様を御紹介させていただきます。
また、(2)といたしまして、必要に応じて構成員以外からの意見を求めることができることとされております。
「4.有識者会議の運営」につきましては、本会議は構成員の過半数が出席しなければならないこととされております。
本有識者会議の公開につきまして、「5.開示・公開」にございますとおり、公開を原則としております。本日は、報道関係者や一般の方向けにYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきいただければと思います。
また、傍聴につきましては、報道関係者より録音及び写真撮影の希望のお申出をいただいておりまして、事務局においてこれを許可しておりますので、委員の皆様におかれましては御了承いただければと存じます。
また、「6.検討期間」といたしまして、「2.検討事項」に掲げる事項につき、検討の必要がある場合に本会議を開催し、また、開催に係る事項が取りまとめられた際に廃止することとされております。
それでは、資料1の名簿に沿って、委員の皆様を御紹介申し上げます。オンラインの会議でございますので、委員の先生方におかれましては、会釈のみで御挨拶をいただければと存じます。名簿順に従って御紹介をさせていただきます。
荒瀬克己委員でございます。
内田隆志委員でございます。
清水実憲委員でございます。
竹内理委員でございます。
田村知子委員でございます。
鶴海尚也委員でございます。
寺尾尚大委員でございます。
なお、岡本和夫委員、長塚篤夫委員、藤森裕治委員におかれては、本日は御欠席でございます。
本有識者会議の座長を選出したいと考えておりますけれども、事務局案といたしまして、本有識者会議の座長を荒瀬克己委員にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
【石田参事官補佐】 ありがとうございます。
そういたしましたら、荒瀬座長から一言御挨拶をお願いいたします。
【荒瀬座長】 今、座長ということで御指名をいただきました荒瀬でございます。よろしくお願いいたします。
もう皆さん御承知のとおり、この「高校生のための学びの基礎診断」は、全ての高校生の基礎学力をしっかりと保障していく、それによって、彼ら自身が自分で様々な学びを展開していけるようにする、そういったことを目指すための基礎学力の定着度を見る、そのためのものでございます。
このことにつきましては、各高等学校で様々な形で、民間のものを使ったり、あるいは県で御開発になったものを使われたりとか、いろいろしているわけですけれども、ともかく、それぞれの生徒が基礎学力をきちんと身につけていくことが非常に重要であるということで取り組んでいるところでございます。
皆様からの様々な御意見をいただきながら、この取組がよりよいものになるようにということで、進行役を務めさせていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
【石田参事官補佐】 荒瀬座長、ありがとうございました。
それでは、ここからの議事進行につきましては、荒瀬座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。それでは、皆さん、よろしくお願いいたします。
会議最初ということでございますので、事務局からも御発言をお願いしたいと思います。田中参事官、よろしくお願いいたします。
【田中参事官】 初等中等教育局参事官高校担当の田中でございます。委員の皆様におかれましては、大変御多忙のところ、本日は本有識者会議に御参加いただいておりますことに、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
先生方に御案内のとおり、学びの基礎診断は平成30年に制度化されまして、今、6年間運用されております。測定ツールの認定期間が3年ということですので、3年前、令和3年に再度認定を行いました。今年そこから3年を過ぎまして、また認定ツールの認定を行うというような年でございます。こういった年にあたりまして、本有識者会議の開催をお願いさせていただいたところでございます。
本日は、議題は大きく二つでございますけれども、まず「高校生のための学びの基礎診断」、この活用状況について、事務局のほうで委託調査等を行っております。これについて、まず御報告をさせていただきたいというふうに考えております。続きまして、この基礎診断の認定基準・手続等に関する規程について、この在り方の見直しの必要性等について御議論いただきたいと思っております。
本日は、学びの基礎診断のこれまでの6年間の成果と課題、それから、今、荒瀬座長からお話がありましたように、この基礎診断の本来の趣旨を実現していくために、さらなる改善方策をどうすべきか、そういった点につきまして様々御議論いただきまして、御助言を賜れればと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
では、議事に入りたいと思います。今御紹介がありましたが、議題の1といたしまして、「高校生のための学びの基礎診断」の活用状況について意見交換をしたいと思いますが、その前に、事務局から活用状況の調査結果について御報告いただきたいと思います。石田参事官補佐、よろしくお願いいたします。
【石田参事官補佐】 承知いたしました。ありがとうございます。
では皆様、お手元、画面の資料2-1から2-3に基づきまして御説明させていただきますので、御覧いただければと思います。
まず資料2-1に基づきまして、令和3年度に実施いたしました委託事業の調査結果の概要を御報告させていただきたいと思います。
2ページ目を御覧ください。こちらの調査は、高等学校等の学校現場における実態把握といたしまして、基礎データを取得することを目的に行ったものでございます。
本調査の対象といたしましては、平成29年度認定の25ツールとしておりまして、教科は国語、数学、英語、その3教科分ということになっております。
アンケート回答の対象校といたしましては、5,031校から1,000校を無作為に抽出しておりまして、こちらに関しましては、全都道府県、国公私別のバランスが偏りないことを確認したという形で調査したものでございます。
3ページ目を御覧ください。調査項目といたしましては、回答属性の把握に加えまして、基礎学力への施策の把握、認定ツール等の活用状況等について調べたものでございます。こちらの項目に関しまして、ウェブアンケート調査を通じて回答を求めたものでございます。
では、4ページ目を御覧ください。生徒の基礎学力を把握するために実施している方法・結果の活用状況ということでございますけれども、こちらの下のグラフは、左側に手段、方法が縦に並べて書かれております。それぞれについて、「実施しており、十分に活用できている」ですとか、「実施しており、一部活用できている」等の回答がそれぞれパーセンテージかということが示されている図でございます。
上の水色の四角を御覧いただければと思いますが、「実施しており、十分に活用できている」及び「実施しており、一部活用できている」という、図の深緑と薄緑のところの合計数に関しましては、「4.学校の定期考査」というものが89%で最も多いという回答でございます。続きまして、「5.学校の日常的な小テスト」、そして「6.授業での理解状況の確認」、そして、基礎診断の認定ツールということになりますけれども、「1.民間等の検定試験」が71.1%ということになっております。
では5ページを御覧ください。「高校生のための学びの基礎診断」認定ツールの利用状況でございます。3教科の認定ツールにつきましては、83.1%の高等学校において一つ以上のツールを利用しているということが分かっております。また、3教科の認定ツールと教科別、英、国、数の認定ツールを合わせますと、約86.6%の高等学校が一つ以上のツールを利用していることが分かるということでございます。
6ページ目を御覧ください。認定ツールを活用した基礎学力の測定・定着における課題及び認定ツールを利用していない理由について調査したものでございます。図の赤で囲われている部分になりますけれども、「認定ツールを活用した基礎学力の測定や定着における課題」といたしまして、いずれの教科も「認定ツール検定料の経済的負担」、また、「認定ツールの基礎学力における学力差への適合」という回答が多いということが分かりました。
また、「認定ツールを利用していない理由」といたしまして、「検定費用」、それから、「自校の生徒の学力に合わない」という回答が多いということが分かっております。
認定ツール等を利用している理由でございますけれども、先ほどの話と逆になりますが、「自校の生徒の学力に合っている」ということ、また、「検定結果が生徒へのフィードバックとして役立つ」という回答が多いという結果が出ております。
続きまして、認定ツール等の活用方法ということでございますけれども、この認定ツール等を「利用している」かつ「十分に活用できている」、「一部活用できている」というふうに回答した高等学校に確認したところ、活用方法について、「01.(P)生徒自身での学習改善」に効果的であるという回答が最も多いという結論が出ております。それ以外にも、この表の左側の01から22まで、いろいろなことについて確認いたしまして、そのまま右を御覧いただきますと、それぞれの項目について効果があるというふうに答えているもの、役に立っているという回答になっているものが何%ずつ出ているかということが御覧いただける資料になっております。
では、資料2-2を御覧いただければと思います。こちらが令和4年度の委託調査結果の概要でございます。こちらの調査では、学びの基礎診断等の円滑な運用・利活用の状況等の把握を通じて、高等学校におけるPDCAサイクルの確立促進につなげることを目的として、その活用方策・効果等に関するインタビュー調査を実施したということでございます。
では次のページを御覧ください。(1)にございますとおり、「学びの基礎診断」の活用方策・効果等に関するインタビュー調査を実施いただいたものでございまして、具体的には(1)の下の矢印のところでございますが、公立高校の設置者として「学びの基礎診断」を推進・活用している都道府県・政令市、また、その域内の高校に対しまして、その活用方策・効果等についてインタビュー調査を実施し、また、その行っている取組や工夫、今後の課題についてインタビューした結果をまとめていると。
そして、(2)ですが、多様な背景を有するお子さんたちの基礎学力の定着に関するインタビュー調査も、あわせて実施していただいたという調査でございます。
「学びの基礎診断」の活用方策・効果等に関するインタビュー調査を実施した概要でございますけれども、資料2-1の「実施概要」のところにございますとおり、活用を推進している教育委員会と高等学校に対するインタビューを取りまとめ、北海道から熊本県まで5つの教育委員会に御協力をいただいております。
北海道では、全ての道立高校等におきまして基礎診断を実施していて、約8割が道独自で開発した学力テストを診断ツールとして採用しているということでございます。学力の推移を経年で可視化するなど、工夫をしながら取り組んでいらっしゃるということでございます。
また愛知県におきましても、県内の全ての全日制高校と定時制・通信制の希望校において活用しているということでございます。具体的な実施方法については各校で決定しているということでございます。
山口県教育委員会におきましては、全ての県立高校で使っておりまして、実践研究等を行うとともに、県立高校にその報告を展開しているという取組をされています。
高知県教育委員会におきましては、使用するツール、実施時期も含めて教育委員会で方針を決定し、受検費用も県負担とするということで、県として統一的な活用を進めているというところが特徴的でございます。
また、熊本県教育委員会におきましても、全ての高等学校を対象として活用を推進しています。方針は教育委員会として示されていますが、具体的な実施時期や活用ツールにつきましては各学校で決めていただいているというものでございます。
5ページ目を御覧ください。インタビュー項目につきましてはこちらに記載のとおりとなっております。
6ページ目を御覧ください。インタビュー結果のサマリーということですけれども、それぞれの教育委員会の方針に基づいて取り組んでいただいているということではあるのですが、活用推進方法としましては、教育委員会で大枠の方向性を決めて、具体的なツールや実施時期は各学校において決めていただくという例もありましたが、先ほど申し上げましたとおり、県で統一的な取組を行っている例もあったということでございます。
高知県、熊本県におきましては、県の教育計画の中で基礎学力に関する目標値を定め、その取組を計画の一環として位置づけているということも見られました。その上で、各学校における計画書であるとか報告書であるとか、そういったものを運用するなどして、学びの基礎診断をしっかりと活かしながら、各校での活用促進支援を行っていたということが分かっております。
診断結果の活用方法ですが、教育委員会において、全体として学力の状況や推移を把握するということも見られました。また、指導主事の先生方が学校を訪問されて指導、助言を行われるときに、その学校のデータに基づいて授業改善の方針を相談するなどのコミュニケーションツールとしても使われていたということが分かっております。
また各学校においてでございますけれども、もちろん生徒個人へのコミュニケーションを取りながら、学びを深めていただくということはありますが、クラス・学年単位での状況の把握ですとか、各教科の授業にフィードバックを行うなどの使われ方もしているということが分かってきております。
活用により得られた効果・今後の課題というところでございますけれども、指標で見ている教育委員会もございますし、一つ目の矢印の二行目でございますが、今後、授業改善への活用強化ですとか、生徒の学びのモチベーション、そして学習状況との組合せによって、より深い分析の実施を行っていくことが必要なのではないかということで、課題意識として挙げられたものもございます。
高等学校において、まずは子供たちの学力の客観的な把握、そして子供たちへのフィードバックへの活用ができているという声も聞かれたわけですが、一方で、生徒の学習意欲の維持、そして継続的な学習につなげていくことが必要であるという声が複数聞かれたということでございます。
最後に費用負担の在り方でございますが、生徒負担としている自治体が多かったですが、そうではなく、県で持っていただいているところもあるようでございます。今回のヒアリング先においては、費用負担が課題という声は、学校によってはあったということでございます。特に、定時制・通信制高校等での意見として、費用負担が受検の障壁になり得るという声や、国や自治体からの補助を求める声も一部あったということでございます。
ここまでが令和4年の結果になります。
そして、資料2-3を御覧いただければと思います。令和5年度の委託調査の概要になります。令和5年度は、国内で提供されている民間の測定ツール、つまり、学びの基礎診断の認定を受けているツール以外のものについて、どういったものがあるかということを整理いただいたものでございます。
表にまとめていただいておりまして、今回6つの測定ツールについて取り上げていただいておりますけども、NPO法人、企業、一般財団法人と、様々ございまして、例えば、①NPO法人eboardでは、学習に困難を感じている生徒さんの特徴に応じて学びやすいような工夫がされていたりですとか、動画を使った学習後に練習問題を解くというサイクルを回しながら、学習と到達度・定着度を測定するという特徴が見られたりですとか、②株式会社メディア・ファイブのLearning Skeleton AIでは、かなり幅広い科目を対象にツールが使われておりまして、勉強が苦手な生徒さんでも学習に抵抗を感じないような工夫がなされていたり、AIによる分析が導入されているという例もありました。
また、株式会社Libryでも様々な科目がありまして、生徒自身が効率的な学習ができるように、自ら問題検索、苦手分野の分析等ができるような機能や、子供たちの理解度に応じた難しさの問題が出題できる機能があるということでございました。
また、TOEICに関しましては、学校が希望する日時でいつでもオンラインで受験できるということや、到達度試験ではなく熟達度試験であるということが、その特徴として挙げられます。
また、株式会社すららネットのすららに関しましては、英、国、数の科目の他に、理科と社会に関しましては、小中学校の内容につきましても、学年を問わず、高校生でも使うことができるということがございまして、アニメーション形式の授業等も導入されていると。生徒の個別のカリキュラムが作られていて、学力の定着に活かすことができるという特徴がございます。
また、株式会社ライフイズテック社のLife is Tech! Lessonにつきまして、情報Ⅰに関するツールでございますが、実際にプログラミングを体験しながら学ぶことができるというところが特徴でございます。
以上、令和3年度から5年度の委託調査について概要を御説明させていただきました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
それでは、今、資料2-1から2-3までを基にして御説明いただいたわけでありますけれども、今後の「高校生のための学びの基礎診断」の在り方について、具体的な問題意識や留意すべき視点等、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。御質問ももちろんお願いしたいと思います。
委員の皆様は、御発言に当たりましては、「手を挙げる」のボタンを押していただきましてお示しいただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
一言申し上げますと、資料2-2ですけれども、「1.検討の全体像」というところの背景の一つ目に、「高等学校においては、全ての高校生が社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付けられるよう『共通性の確保』を図りつつ、生徒一人一人の特性等に応じた多様な可能性を伸ばすための『多様性への対応』を併せて進めることによって」という表記になっているわけですが、ちょっとこれは実際に調査をしていただいた時期の関係があると思うんですけれども、御案内のように中教審の高等学校教育の在り方ワーキンググループの中間まとめでは、これまで「共通性の確保と多様性への対応」という表現をしていたのを、順番を変えまして、「多様性への対応と共通性の確保」としています。まず、それぞれの生徒一人一人が多様であるということから出発して、しかし、共につけなければならない力とは何なんだろうかということを考えていく、そういう方向に動いておりますので、その点からすると、ちょっと違和感をお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんけれども、調査の時期の関係でこのような表現になっていると思われます。
では、ありがとうございます。寺尾委員、お願いいたします。
【寺尾委員】 大学入試センターの寺尾です。よろしくお願いいたします。
二点確認をお願いしたいのですけれども。確認事項ということです。まず、資料2-1のところで、スライド番号にして6ページ目なのですけれども、認定ツールを利用していない理由の左側で、学力差への適合というところで高い評定結果というか、当てはまると評定する学校さんが多かったというお話だったのですが、これは学力差をカバーできていない、何というのでしょうか、学力差の適合とは何を意図した項目だったのかというところをお伺いしたいと、ここが一点目です。
続けていきましょうか、それともそれぞれいきましょうか。
【荒瀬座長】 どうぞお続けください。
【寺尾委員】 ありがとうございます。二点目は資料2-2なのですけれども、スライド番号の6ページ目のところで、インタビューの結果は大変貴重で興味深く拝見させていただいたのですが、活用推進方法として高知県さん、熊本県さんでやられている、目標値を定めるということが、ある種望ましい方向性なのかところがちょっと気になりました。
例えば、全国学力・学習状況調査でも、正答率いくついくつまでにみたいなところは、暗に自治体ごとに設定されていたりすることもあったりするかもしれないのですけれども、この学びの基礎診断ということに鑑みて、こういった自治体ごとの目標設定、それを目指すみたいなことというのが、国全体として望ましい促進すべき方向性なのかというところは、少し議論の余地があるだろうなと感じました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
じゃ、一つ一つといいますか、お一人お一人で御質問が出ましたら、お答えいただきたいと思います。いかがでしょうか。二点ございました。
【石田参事官補佐】 寺尾先生、ありがとうございます。御質問いただきましたことについて、一つずつ御説明させていただきたいと思います。
まず、一点目の認定ツールの基礎学力における学力差への適合ということですけれども、こちらの定義といたしましては、同一校内、同じ学校内における学力差があったり、それから認定ツールの想定する基礎学力、その認定ツールが想定している内容というのが、ちょっとお子さんたちにとって難しい内容になっていて、その学校のお子さんたちの学力と認定ツールの想定している難易度であったりとか、そこにちょっと差があるような状況のことを指しているというのが、まず一点目でございます。
それから、高知県と山口県の話なのですけれども、これにつきましては、どんな形で目標値として置いているかということを簡単に御紹介させていただきたいと思いますが、まず、高知県におきましては、学力定着把握検査におきまして、D3層と言われます、学習内容がまだ十分に定着しておらず、進学や就職の際にちょっと困難が生じるのではないかということが予想される生徒さんの割合を、一定のパーセント、ここでは15%と当時記載していますけれども、そのパーセント以下にするということであったり、熊本県さんの場合は、学びの基礎診断で学力が向上した生徒さんの割合を指標としていまして、令和元年度に52.9%だった数値を、令和5年度までに65%まで上げたいと、例えばそういう使われ方をしているということを御報告させていただきたいと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。寺尾委員、よろしいですか。
【寺尾委員】 ありがとうございます。大変よく分かりました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
では、続きましてお願いしたいと思います。田村委員、お願いいたします。
【田村委員】 失礼いたします。よろしくお願いします。
もしかしたら私が見逃してしまったのかもしれないのですけれども、この学びの基礎診断のツールはどれぐらいの割合でコンピューターベースになっているのでしょうかということを、一つお尋ねしたいです。
恐らくこれからどんどんとコンピューターベースになっていくと思うのですけれども、その効用としまして、もちろんアダプティブ・ラーニングというところや、双方向性があるものもございますし、そしてCBTであれば即時的に生徒さんたちにフィードバックがきますので、生徒さんたちの学習ツールとして使えるのではないかと思います。つまり、テストを受けるだけじゃなくて、自分で自律的な学習者になるための学習ツールにもつながっていくものだろうというふうに思います。そういう観点でのツールも、御発表いただいた中にはあったかなというふうに思っております。ということで、どれぐらいCBTになっているのかなということが一点、お尋ねです。
それからもう一点が、特にCBTになるとやりやすいと思うのですけれども、生徒さんからのテストツールに対するフィードバックというのは、皆さんどれぐらい集めていらっしゃるのかなと気になります。生徒さん自身が自分で学んでいくために診断ツールを使っていく、あるいは先生方の授業改善にも使えますので、そういうために、診断ツール自体を絶え間なく改善していくということが求められるかと思うのですけれども、そのために生徒さんたちによるフィードバックがどれぐらい行われているのかなと。ぜひそういう観点も入れていただきたいというのが、私からの質問と、それから意見でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。まず質問のほうからお願いできますでしょうか。
【石田参事官補佐】 田村先生、ありがとうございます。すみません、現時点においてCBTになっているツールが何%あるかということを、この場でお答えすることが難しく、お示しができないのですけれども。
【田村委員】 いえいえ。
【石田参事官補佐】 おっしゃられるように、CBTを活用したツールもございます。一方で、紙媒体のものも当然ございまして、それはもちろん企業の方の商品開発という観点もございますし、もう一つ、学校側で通信環境等のこともありまして紙を使っているケースもありますし、先生方や教育委員会の方々のお考えがあって、そういった手段を取られているということもあろうかと思います。お答えになっていなくて申し訳ございません。
【田村委員】 いえ、とんでもありません。CBTになった場合にはどういう可能性が広がっていくのかということを検討していくというか、そういう必要があるかなと。もちろん紙のよさも十分あるかなというふうには思います。ありがとうございます。
【石田参事官補佐】 ありがとうございます。
【荒瀬座長】 二つ目におっしゃったその御意見は、今のCBTといいますか、コンピューターベース上でやるか、やらないかということとも深く関わるので、今後こういったことについても検討していくということで、むしろこの後半のほうで今後の認定に関する内容があるんですけど、これを認定基準にするかどうかはちょっと別としましても、そういったことについてぜひ研究してほしいといったことは要望ができるとは思いますので、そちらのほうでもまた取り上げさせていただくということで、田村先生、よろしいですか。
【田村委員】 はい。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
他にはいかがでしょうか。清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 ありがとうございます。この制度がスタートして、コロナ禍もあって、学校現場で認定ツールを使った取組が順調に進行するか、ちょっと心配もあったのですけど、結果を見る限り、7割以上がツールを利用されていたりということで、システムはうまく動いていったなという感じを全体としてはもちました。
その中で少し気になったところが、資料2-1の6枚目のスライドです。やはり検定料の経済的な負担が少し要因としては大きいような感じを受けまして、高知県のように県がサポートしているところや、北海道のように独自に開発しているところはあるのですけれども、全体としてそういうサポートがあるところはどのくらいなのかという点です。全体の状況がお分かりかというのをちょっとお伺いしてみたいなと思いました。それが一つです。
【荒瀬座長】 じゃ、まずはそれでよろしいですか。
【清水委員】 はい。後ほど別件でもう一点お伺いします。
【荒瀬座長】 分かりました。じゃ、今のサポートのあるところの割合といいますか、どれぐらいの率になっているかということですが、いかがでしょうか。
【石田参事官補佐】 ありがとうございます。今、清水先生が御指摘くださいました資料2-2、令和4年度の調査におきましては、最後の6ページ目のところに記載させていただいておりますとおり、高知県が県負担、それから、北海道では道独自で開発したテストを無料でやっているということ等が分かっているところでございます。
また、高等学校が実施する取組に対する、教育委員会や学校法人の設置者が負担している状況といたしまして、基礎診断の認定ツールに関しましては、9.2%が設置者の負担があるということでございます。この中では、設置者が全額負担しているケース、一部負担しているケース等、若干対応にばらつきはあるのですけれども、一部以上負担しているというケースは9.2%ということでございます。
【清水委員】 どうもありがとうございました。
もう一件よろしいでしょうか。
【荒瀬座長】 はい。お願いいたします。
【清水委員】 インタビュー調査の結果に、非常に興味深い情報がたくさんあるなと思って拝見していました。その中でスライドの6番に、今後の課題的な記載がありましたけれども、客観的な把握やフィードバックへの活用ができるという好ましい結果に対して、学習意欲の維持や継続的な学習につなげていくことが課題だと。これは、学びの基礎診断の根幹に関わるところのような感じもしまして、この辺り、複数聞かれたとありますけれども、ツールの中のコンテンツの問題なのか、あるいは運用上の問題なのか、その辺のところも何か情報があればお伺いしてみたいなと思いました。
つまり、学びの基礎診断の設計の段階で、いわゆる基礎基本のガチガチのものではなくて、少し日常事象を取り入れた活用型の問題を入れようとか、そういうような議論がありましたので、学習意欲を高めるとか、継続的に学ぶということも設計の中には入っていたのかなと思ったものですから、その辺のところがちょっと課題として大事な点で挙がってきているなと思って、質問させていただきました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。一点目のその負担に対する何らかの措置をどう取るのかというのは、これはスタート時点から出ていた御意見でもありまして、これはまとめのところで記載もされていたかと思います。
また、今おっしゃっていただいた学習意欲の維持とか継続的な学習につなげる、これはもう非常に重要なポイントでありますので、ここについて、コンテンツなんだろうか、あるいは運用の問題なのだろうかということがありますけれども、今、清水先生がおっしゃることに、私のほうもちょっとあわせて付け加えさせていただきますと、資料2-1のほうでも、8ページ目の「認定ツール等の活用方法」というところで、「全てのツールにおいて、『01.(P)生徒自身での学習改善』が最も多い」と書いてあって、これは大変よいことと読み取れるのか、はたまたもう生徒に任せっきりで、結局そのサポートが十分できていないということになってくると、清水先生がおっしゃった運用面の問題ということも出てくるのかなと思うんですが、その辺りどの程度までつかんでおられるのかというのをお聞かせいただけますか。
【石田参事官補佐】 ありがとうございます。清水先生もありがとうございます。
事細かにというところまでは難しい部分もあるのですが、いろいろな教育委員会さんとお話をさせていただいたり、今回御説明させていただいた資料等を通じて事務局として把握していることといたしましては、使っているツールそのものが、例えば、家庭学習と連動するような形になっていると、より定着であったり、子供たちの学びのサイクルが見えてきてよりよいのではないかというような御意見もあれば、子供たちの行動としまして、テストまでは一生懸命やる気を持って頑張っているのだけれども、テストが終わると安心して、モチベーションのアップダウンをコントロールするのが難しいというケースがあったり、もちろん中だるみにつながらないように活用していただいているケースもありますけれども、そういった御意見があったり、また一緒に伴走してくださる先生方の御負担という観点からの難しさもあるというお声もあったり、様々でございます。
【荒瀬座長】 清水先生、いかがですか。
【清水委員】 ひとまず、またそういういろいろな情報があるとありがたいなと思って、ちょっと伺ってみました。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。この会議自体も本当に久しぶりの会議ということになりますので、ちょっと継続的にどんな活用の仕方になっているのかとか、どんな課題があって、どう改善を図ろうとしているのかというのがちゃんとリアルタイムに見えないのが、非常に課題であるかなと改めて思いました。どうしていくのか、ちょっとまた参事官付のほうでもお考えいただけるとありがたいと思います。
では、寺尾委員、お願いいたします。
【寺尾委員】 すみません、連続で私ばかり申し訳ありません。一点、資料2-3に関しまして、各論に入っちゃうかもしれませんし、実は資料3-1のところで申し上げようか迷ったのですけれども、教科、情報の扱いというところは少し議論があるんだろうなと思っていました。といいますのは、資料3-1でも、認定基準の話合いをこれからするのだと思うのですけれども、今は英語、数学、国語の3教科を中心にということだと思うのですが、やっぱり共通テストでも情報Ⅰが一つ独立して立ちますので、ある程度学びの基礎診断に情報という教科、科目を入れるかどうかというところは、結構焦点だろうなと。
その上で資料2-3を拝見しますと、やっぱり情報Ⅰをやっていらっしゃるところが、認定していないところで一事業者ぐらいしかないということなのですけれども、これって私、聞き逃しちゃったかもしれないですが、令和5年度時点の委託調査の結果ということなのでしたっけ。
【石田参事官補佐】 寺尾先生、ありがとうございます。こちらは令和5年度の委託調査なのですけれども、これは世の中にある全ての調査というよりは、世の中にあるツールを、いろんな角度から見つけていただいたということで、ライフイズテックだけではないというふうに。
【寺尾委員】 なるほど。
【石田参事官補佐】 すみません、分かりづらい説明で失礼いたしました。
【寺尾委員】 ありがとうございます。より精緻化されました。網羅的な調査というよりはポイントを絞って、公表されている情報を、こういうものがあり得るということを代表的に出していただいたということなのですね。
【石田参事官補佐】 はい。
【寺尾委員】 分かりました。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
では続きまして、内田委員、お願いいたします。内田委員、ミュートになっているようです。
【内田委員】 失礼いたしました。
寺尾委員の御質問でちょっと素朴な疑問が生じましたのでお尋ねするのですが、この認定ツールについて各学校が使用する際、どの時期に活用される学校が多いのか、データがございましたら御紹介いただければありがたいと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
【石田参事官補佐】 内田先生、ありがとうございます。こちらに関しましては、網羅的にどの時期に実施しているかということを調査したものがあるわけではなく、自治体さんによって様々ということでございます。一部御紹介させていただきたいと思いますが、例えば本日、資料2-2で御紹介させていただきました、令和4年度の調査の中で把握したものでございますと、北海道では、春頃にテストを行いまして、教育庁で集計、採点をして、6月ぐらいにその結果を学校に送って、7月以降に改善に使っていただくというケースがあったりですとか、高知県では、大体4月と9月に実施、その後変更があったようなのですけれども、大体春と秋ぐらいに実施しているという例があったりですとか、また他のところでは、学校によっては春、秋、冬で実施しているところもあったりですとか、大体年2、3回実施している学校が、令和4年度の調査では多かったようにお見受けしております。
【内田委員】 ありがとうございます。
【荒瀬座長】 内田先生、いいですか。
【内田委員】 ちょっとお尋ねしましたのは、比較的春の段階でやっている学校については、前年度の指導状況を把握して、その後、在校生をどのように指導していくかということを把握するためにちょっと活用するような学校が、どの場合も多いような気がしまして、そうしますと、特に高1の春にやっているところは中学校までの学習ということになりますので、情報というところはちょっと把握し切れないかなということで、2年生、3年生になりますと、寺尾委員が言われるように、情報についても有効になるかと思いますけれども、英、数、国ベースで基礎学力の定着に向けた指導改善というと、高校の実態としては、中学校の指導、学習状況を踏まえた状況把握、それから指導への活用ということが多いかなと思いまして御質問した次第です。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。PISAが15歳を対象でやっていて、高校生の力というよりも、それまでの、中学校までの力が見られているのだということとよく似たお話で、それは今のお話だと、情報がどういう意味を持つのかということになれば、非常に重要なお話かと思います。
そうしましたら、もう既に議題の2のほうの「高校生のための学びの基礎診断」の認定基準・手続等に関わる内容にも関わってまいりますので、そちらの説明もいただいた上で、御意見を引き続きいただければと思いますが、よろしいでしょうか。今、議題の1の活用状況に関するところで、特にこれは確認しておきたいとか、こういう意見を言いたいとかいう委員の方、いらっしゃいましたら。よろしいですか。
では、議題の2に入らせていただきます。それでは、引き続き御説明をよろしくお願いします。石田さん。
【石田参事官補佐】 ありがとうございます。続きまして、議題2に関しまして、規程の改訂案の御説明をさせていただきたいと思います。資料3-1と資料3-2がございまして、資料3-2の抜粋したものが資料3-1になりますので、主に資料3-1に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
規程の改訂案についてということでございますけれども、「4.認定基準等」というところがございます。「4.認定基準等」の「(1)認定基準」、「①出題に関すること」とございまして、こちらにございますとおり、「英語は『聞く』『読む』『話す』『書く』の4技能を測定することを明らかにしていること。ただし、国語、数学及び英語の3教科セットの測定ツールにおける英語の『話す』技能については、2024年度までの間に利活用されるものに限り、測定することに代えて問題、解答例及び採点基準を提供することとしても差し支えない。なお、2024年度までに『話す』技能について測定ツールで対応できるように努めること。」というのが、現在の規程でございます。
こちらに関しまして、中央の「改訂(案)」という欄を御覧いただければと思いますが、「2024年度」を「2027年度」に修正するということが、今回お示ししている案でございます。
この「話す」の扱いにつきまして、4技能の測定ツールにつきましては、先ほど田村先生から御指摘があったときにお話ししたこととも関連するのですけれども、学校現場において測定する環境が整備されているとはまだ言えないことと、測定に関する技術開発にも時間を要しているという状況を踏まえまして、2024年度までの利活用に限った弾力的な運用を、2027年度までに延長するというものでございます。
それから二点目でございますが、同じく「①出題に関すること」の修辞上の修正になりますが、「新高等学校学習指導要領」というところの頭の「新」を取るということでございます。その理由といたしましては、令和4年度から順次年次進行で実施されている新学習指導要領につきまして、令和6年度には全面実施されているということです。
それから、同じく「4.認定基準等」の「(1)認定基準」、「③運営その他に関すること」なのですけれども、こちらに新設で一つ付け加えたい点がございます。中央の「改訂(案)」という欄にございますとおり、「生徒の学習改善や教師による指導の工夫・充実に資するため、生徒の学習状況・学習に対する姿勢や生活習慣等を把握することのできるアンケートを実施するように努めること。また、当該アンケート結果について、分析し、統計化されたデータを公表するよう努めること。」を追加したいというものでございます。
こちらの改訂理由なのですけれども、高校生の学習状況等に関する実態把握について、今後この学びの基礎診断をより効果的に活用していく検討を進めていくという観点から、生徒さんの学習状況、それから学びに対する姿勢や生活習慣等の実態を把握していくことが考えられるということでございます。そのため、生徒の学習状況等のアンケートを実施して、その結果を分析し、統計化した形でデータを公表することが傾向を見るのによいのではないかということで、努力義務とする項目を追記したらどうかということでございます。
それから最後になりますが、「6.附則」でございます。こちらには、施行日を記載するとともに、令和6年度の認定手続の申請期限を9月中旬までにするというものでございます。こちらに関しましては、認定を受けようとする民間事業者等は、認定を受けようとする年度の6月末までに、様式1から5の申請に必要な事項を記入の上、文部科学省に提出するということが、「5.認定に関する手続」、「(1)申請」という項目において記載されているのですけれども、今年度は有識者会議、審査委員会を経まして規程を改訂した後、申請していただくことを考えております。
締切りの時期につきましては、決まり次第、文部科学省のホームページにて掲載させていただくということを考えております。
御説明は以上になります。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
先ほどお話の出ていた情報Ⅰをどうするのかということは、ここに盛り込まれておりませんで、内田委員からの御発言がありましたけれども、実施の時期ということを考えると、盛り込めるかどうかの検討も必要になってくるということかと思います。
この件、御質問、御意見がございましたら、またお願いいたします。いかがでしょうか。竹内委員、お願いいたします。
【竹内委員】 ちょっと基本的なことの質問なのですけれども、この診断の基本的な原理から考えたときに、皆さんの、生徒さんの習熟度というか、到達度のほうを測定して、指導に活かしていくというような形のものだと思っていたのですけれども、資料2-3のところを見ますと、中にはその到達度ではなく、習熟度を中心に見ているようなツールも何か存在しているようなのですが、この辺りは、全体としてどういう統一見解を持てばいいのかというのをちょっと教えていただくと、非常にありがたいなと思っています。
具体的に言いますと、TOEICのところで、TOEICというのは習熟度テストになっていて、指導要領に基づいた到達度というようなところを見ているという形ではないので、この辺りどのように今後選んでいくときに考えていくべきなのか、少し御意見をいただけましたらありがたいなと思っております。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。何人かの委員から、御発言の御意思をいただきましたので、ちょっとまとめて後から事務局のほうでお願いできればと思います。
内田委員、寺尾委員、鶴海委員の順でお願いいたします。内田委員、どうぞ。
【内田委員】 失礼いたします。最初の1番の英語のことについてちょっとお尋ねをしたいと思います。4技能、2027年まで目標で「話す」というところも入れていくというお話でしたけれども、先ほど調査の御説明の中にもありましたが、例えばツールであるとか、Wi-Fiの環境であるとか、そういったところを整備したり、あるいは採点に関わる人やシステムを整備したりということで、費用がかかるということがちょっと懸念されます。そういったものの補助であるとか、あるいは低廉な価格に抑えるなどの方向性というのがもしあるようでしたら、御説明いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
方向性としてはやはり4技能をきちんと身につけて、それを現場で把握するということが、指導改善につながると思いますので、そういった費用的な負担について、あるいは環境的な負担について、今後もし改善するようであれば御示唆いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
では、寺尾委員、お願いいたします。
【寺尾委員】 ありがとうございます。寺尾です。
先段から論点を出させていただいています情報のことなのですが、さっき他の先生方からもあったように、実施時期との関係って結構大事な観点だろうなと思っていまして、実際、私がお話を聞く限りでは、やっぱり基本、共通テストで入るということを想定して、3年生で情報科をやられているような学校さんもありますので、1、2年生の場合に情報の基礎診断があって、これでちゃんと学力を評価できるのかというところは、大きな論点になるだろうなというふうに思っていますので、私自身は結構ニュートラル、あまり強い意見があるわけではありませんので、論点として情報が入るのか、入らないのか、選択、必履修という強い枠組みがある中で、共通テストでも一つの番組として一つの試験コマとして立ち上がった中で、入るのか、入らないのかというところの論点は、いろんな観点からすべきだろうなと思っていました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
では、鶴海委員、お願いいたします。
【鶴海委員】 失礼いたします。情報について、先ほど寺尾先生からもお話がございました。教育課程上の配置という点では、寺尾先生がおっしゃられたとおり、3年生で配置されているところもあれば、1年生、2年生で授業を実施される学校もあります。もう一つ、国語、数学、英語との違いとして、単年度で学習指導が終わってしまうという点があります。
アセスメントをしてその結果を得た後、それを学習指導の改善にどう活かしていくのか。子供たちの側で言えば、それは個別にやっていくしかないという形になりますし、教員の側からすれば、次の学年の改善に活かしていくという形しかないということになります。なかなか情報を設定していくのは難しいなと思って、発言させていただきました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
今、鶴海委員のほうから、情報の時期もそうだし、継続しての指導ということでありましたが、寺尾先生、それに関して何か御意見ございますでしょうか。
【寺尾委員】 おっしゃるとおりだと考えています。私自身が論点として出させていただきましたのは、やっぱりセンターにも、免許をちゃんと持った教員の先生が大変足りないというお話は寄せていただいている中で、この民間事業者が提供する学びの基礎診断というツールが、先生方、あるいは高校生の助けになったらなという観点で、要は先生が足らないところでも、この学びの基礎診断で情報というのが入っていることによって、助けられる部分というのがあるのかなというふうに考えまして、発言させていただいた次第で、おっしゃることはごもっともだなと思って伺っておりました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。情報の教諭の足りなさというのは、これは非常に大きな課題になっていまして、それに関わっては、私が今おります教職員支援機構も、認定試験で情報を復活させるということで、現在取組を進めているところであります。ありがとうございました。
では、今の情報の件は、委員同士の御意見の中で一定の共通理解が図られるのではないかなと思うのですけれども、竹内委員と内田委員から御指摘のあった英語に関することにつきまして、事務局のほうでお考えをどうぞお願いいたします。
【石田参事官補佐】 まず、竹内委員、ありがとうございます。前提といたしまして、私の説明が分かりづらくて申し訳なかったのですが、資料2-3につきましては、令和5年度の委託調査なのですけれども、認定ツールとして認定されたもの以外の測定ツールについて、一部取り上げてお示しをしているということで、その前提の資料ということになりますので、言葉を添えさせていただければと思っております。
その上でということになりますが、「高校生のための学びの基礎診断」制度ができたときには、冒頭、荒瀬座長からもお話がございましたけれども、基礎学力の確実な習得と定着、そして学習意欲の喚起を図るためにということで、この議論がスタートしたということがございます。そういった意味で、必ずしも到達度を測ることが駄目ということではもちろんございませんけれども、そこだけに特化したものではないというのが、この制度のもともとの考え方、そして今に至るまで大事にしている点であると思います。
【荒瀬座長】 今、到達度を必ずしも測るものではないというふうにおっしゃいましたが、竹内委員のほうからは、本来到達度を測るものなんじゃないかと。それに対して習熟度を測るものが入っているのはおかしいのではないかという御発言がありましたので、ちょっと逆になっているんじゃないでしょうか。
【石田参事官補佐】 大変失礼いたしました。申し訳ありません。
【荒瀬座長】 竹内委員、そういう趣旨でしたよね、御発言は。
【竹内委員】 はい。そのような趣旨で発言させていただきました。いずれにせよ、私は、どちらをするかというコンセンサスを取っておかないと、後々審査のときに大変かなと思いましたので、その確認をしたいというのが主な質問の趣旨でございます。
【石田参事官補佐】 大変失礼いたしました。申し訳ありません。
【荒瀬座長】 だから竹内委員がおっしゃったのが基本的な基礎診断の考え方として進めているので、その意味で言うと、公開情報調査概要という、この資料2-3に載っている6つの測定ツールというのは、こういったものを確認してみたらこんなのがあるということですよね。
【石田参事官補佐】 はい。そうです。
【荒瀬座長】 では、ちょっともう一度この資料の趣旨を改めておっしゃっていただけると。
【石田参事官補佐】 資料2-3に関しましては、学びの基礎診断の認定を受けているツールを除いた、国内の民間の測定ツールについて調べたものです。基礎診断の認定ツール以外のものですので、この中には、様々な手法、様々な目的で提供されているツールが含まれているという前提でございます。
ですので、今、言っていただきましたとおり、到達度を測るもの以外のものも含まれているということでございます。それもあわせて載せさせていただいて、様々なものがあるということをお示ししたということでございます。大変失礼いたしました。
【竹内委員】 ありがとうございました。ある意味、一定の方向さえここで確認ができれば、今後審査しやすくなると思いますので、その辺でコンセンサスを取りたいなということと、ちょっと先ほどの内田委員のお話と関係しているのですけれども、4技能試験とよく言うんですが、実際指導要領的には5領域で、「話す」ということを二つに割って、発表とやり取りという形をしておりますので、ある意味指導要領的にいくと、4技能よりも5つの領域を全て見るようなテストを、すぐにできるものではないので今後検討していってほしいとか、あるいは2027年に向けて検討を、各社ともしていただきたいという書きぶりのほうがいいのかなという感じはしましたので、追加としてお話しさせていただきます。ありがとうございました。
【石田参事官補佐】 ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。竹内先生、御専門のお立場からありがとうございました。
内田委員からも、その今の英語の話で、今後の改善の方向性についてどうなのだろうかという御指摘でありましたが。
では、田中参事官、お願いいたします。
【田中参事官】 御質問ありがとうございます。その費用の面というのは、先ほどの議題のときも御提示いただいておりましたけれども、非常に重要な問題かと思っています。実際この4技能、今5つの領域だという御指摘もいただいたところでありますが、どうしてもそういったものをやるとお金がかかってくる。今この基礎診断に対して、国が公費で負担するという制度設計にはなっておりません。先ほど、9%という数字もありましたけれども、一部高知県等積極的に公費負担していただいていますが、全体としてはそうではないと。
そういう中で、その4技能、あるいは5領域を求めると、間違いなくコスト増加にはつながる可能性が高くてと、そういったこともありまして、今回の我々事務局の案としてお示しした中では、現状ちょっと今の猶予策を延ばしていると、そういうことで考えさせていただいたところです。そういうことで、これに対する経済的支援ということは、ちょっと今すぐになかなかお答えすることは難しいという状況です。
一方で技術的なことで言いますと、近年特にAIの発展は非常に目覚ましいものがある中で、その「話す」というところも含めて、AIがある程度活用できるようになってきているのではないかというふうにも、私は今、担当部署ではありませんけれども、担当部署のほうでもそのようにも捉えていまして、これも今後の研究ということになりますが、直ちにこの基礎診断の測定ツールで使うということは、現状ではまだその目途は立っているわけではありませんけれども、そういったAIの活用というのも、この「話す」という部分に使えるのであれば、それはコストの低下にもつながる可能性もあると思いますので、こういったことは、私は担当部署ではありませんけれども、文部科学省としても着目していくポイントではないかと考えているところでございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
内田委員、いかがでしょうか。
【内田委員】 ありがとうございました。この費用的な部分、あるいは技術的な部分がある程度解消しますと、共通テストにおいても、民間ではなくて共通テストの中に、こういった内容も盛り込める可能性が出てくるかと思いますので、高校側にとっては、全国一斉に共通の土俵でということも視野に入れられるかと思いまして、質問させていただきました。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。
認定基準に関しては、欄としては4つの項目が示されているわけでありますけれども。この「4.認定基準等」の三つ目。三つ目でこれはお分かりいただけますかね。上から三つ目、下から二つ目のところです。ここの「4.認定基準等」、「(1)認定基準」の「③運営その他に関すること」というところで、新たにこれを加えるという内容であります。
「生徒の学習改善や教師による指導の工夫・充実に資するため、生徒の学習状況・学習に対する姿勢や生活習慣等を把握することのできるアンケートを実施するように努めること。また、当該アンケート結果について、分析し、統計化されたデータを公表するよう努めること。」ということで、理由はその右に書いていただいているわけでありますけれども、これはまさに、先ほどもちょっと申しました高等学校教育の在り方ワーキンググループ等で、高校生の実態をどう把握するのかというときに、いろいろなデータはあるわけですが、せっかく学びの基礎診断をやっているわけだから、その中で質問紙調査等で得られた情報を、個人や学校を特定するというのはもちろん必要ないわけでありますけれども、我が国全体であるとか、あるいは、場合によったら幾つかのカテゴリーを考えてもいいのかもしれませんが、そういった今後の高校教育の在り方に関する議論に活かせるような形でのデータ提供を求められるとよいのではないかという趣旨で書き込まれたものであるというふうに思いますが、こういったことについても、もし特段の御意見がございましたらお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
寺尾委員、お願いいたします。
【寺尾委員】 ありがとうございます。これは文言上の問題かもしれませんが、生活習慣というのが何を指すのかというところで、結構プライバシーまで踏み込んで、食習慣とか睡眠習慣まで答えさせられると、何かそれはそれでどうかなという気はしていて、ここの趣旨が何であるかということと、高校教育に活かすということであれば、生活というよりは、学習習慣というふうに狭めてはどうかなとは思うのですが、その辺りはどういうフォーカスなのか、ちょっとお聞かせいただきたいです。
【荒瀬座長】 なるほど。ありがとうございます。
いかがですか。寺尾先生がおっしゃるのはもっともな気がしますね。
【石田参事官補佐】 そうですね。
【荒瀬座長】 どうぞ。
【田中参事官】 御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりかなと思います。ここで、すみません、ちょっと言葉の練り方が十分足りなかったかなと反省するところでありますけれども、生活習慣も、簡単に言うと、夜更かししがちだ、朝起きられない、もちろんいろんな理由、病気的な理由で苦手だという生徒さんもいらっしゃいますけれども、まさに生活習慣がちゃんとできていないとか、食事がちゃんとバランスよく取れているかとか、読書習慣があるかとか、そういったところは恐らく学力と関係しているのだろうとは思いますが、だからといってそこを事細かに聞くべきかどうか。
これは基本的には学力のツールでありますので、そこまで聞くというのを、努力義務とはいえ、そこは言われてみれば踏み込み過ぎかなという気はいたしますので、今日の委員の御意見を踏まえて、ここは座長の御指導もいただきながら、適正化を図るべきかなというふうに事務局としては考えております。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。寺尾先生、ありがとうございました。
では、内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 失礼いたします。寺尾先生から今お話がありましたけれども、実際に担任等が学習に関して指導する際に、生活習慣、特に朝御飯を食べてきたか、夜どのぐらい睡眠を取ったか、あるいはスマホをどのぐらいいじっているかとか、そういったことは学習に非常に影響が出る項目でもあります。また、今社会的に非常に課題になっている不登校の問題とも密接に関係があるというところで、本来であれば学習について聞くテストではあるのですけれども、そういったデータは最終的に議論する上では非常に有効になる可能性がありますので、削るのはちょっともったいない気はしております。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。実際の指導という場面を考えたときには必要なのではないかという御意見で、お二人の御意見、いずれも重要な御指摘かと思います。この件、特に御意見があればまたおっしゃっていただきたいと思うのですけれども、もしよろしければ、最終的にどういう形にするかということにつきましては、事務局とも相談いたしまして、まとめたものを改めて皆様にお送りして確認していただく、そういう進め方をさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。特に今ございましたら御意見を頂戴いたしますが。
そうしましたら、今申し上げましたように、他の認定基準、あるいは手続に関する規程の改訂案とともに、もう一度考えまして、まとめたものを皆様にお届けするということで進めさせていただきたいと思います。
内田先生のおっしゃったことも寺尾先生のおっしゃったことも、全くもっともかと思いますが、ただ私自身、まだ考えることはいたしますけれども、具体的に学習習慣を知るということがやっぱり中心のツールであるというふうには考えられるのかなと思っておりますので、事務局ともちろん相談いたしますし、その他御意見がございましたらメール等で事務局に頂戴できれば、それも踏まえて検討させていただきますけれども、基本的には内田先生のおっしゃったことは、現場の取組として大切であるということは思いながらも、全体的なことを考えたときには、寺尾先生のおっしゃった方向で考えさせていただこうかなと、そういう方向で今思っているということをあえて申し上げておきたいと思います。
御意見がございましたら、ぜひ御遠慮なく、事務局のほうに頂戴いたしましたら、それを踏まえて考えさせていただいて、最終的にまとめたものを皆様に送らせていただくということでお願いいたします。
よろしいでしょうか。何か今御意見がございましたら、これにかかわらず、他のことでももちろん結構でございます。よろしいですか。
では、ございませんようでありますので、それではちょっと時間は早いんですけれども、ここまでといたします。今日、大変貴重な御意見をたくさんいただきました。それを基にいたしまして事務局と相談いたしまして、最終のこの改訂案をまとめさせていただいて、皆様に御確認いただくということにしたいと思います。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは本日はここまでとさせていただきます。
では、今後の予定につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。石田さん、お願いいたします。
【石田参事官補佐】 委員の皆様、そして座長、本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。今、座長からもお話しいただきましたとおり、事務局にて座長に御相談させていただきながら、修正した規程案を、追って委員の皆様にお送りさせていただきます。
これ以外のことにつきましても、御意見や何かございましたら、事務局に御連絡をいただければと思います。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
それでは、本日はこれで閉会をいたします。ありがとうございました。
初等中等教育局参事官(高等学校担当)