令和6年8月22日(木曜日)10時00分~12時00分
文部科学省 WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式(傍聴はYouTube Live上のみ)
【無藤座長】 皆様、定刻となりましたので、ただいまから、今後の幼児教育の教育課程指導評価等の在り方に関する有識者検討会(第11回)を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会議の資料などにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】 本会議は、ウェブ会議と対面による会議を組み合わせたハイブリッド方式にて開催させていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくよう、お願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますよう、お願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
また、本日は傍聴の御希望をいただいた報道関係者と一般の方向けに、本検討会の模様をYouTube Liveにて配信しております。加えて、報道関係者の方々から、撮影及び録音の申出を頂戴しており、これを許可しておりますので、あらかじめ御承知おきください。
本日の会議資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1から6、参考資料1から3となっております。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは、本日の議題の1番目に入りたいと存じます。
本日でありますけれども、本有識者検討会において取りまとめました参考資料1に中間整理というものが置いてございますけれど、それに対して、全国国公立幼稚園・こども園長会、全国認定こども園連絡協議会、認定こども園連盟、全国連合小学校長会の皆様より、御意見を頂戴したいと思います。
まず、関係団体の皆様より、中間整理に関する御意見をいただきまして、その後に、まとめて委員の皆様からの御質問、また、御意見の交換の時間を設けたいと存じてございます。関係団体の皆様には、もしそこでの御質問があれば、まとめる形で振りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。関係団体の皆様には、短い時間で恐縮ですけれど、それぞれ5分程度とお願いしてございます。その時間での発表をよろしくお願いいたします。
それでは、順番でありますが、まず、全国国公立幼稚園・こども園長会より御発表をよろしくお願いいたします。
【全国国公立幼稚園・こども園長会】 全国国公立幼稚園・こども園長会副会長の森山未来と申します。勤務園は渋谷区立山谷幼稚園です。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
貴重なヒアリングの機会をいただきまして、ありがとうございます。これまでも、この有識者検討会で議論されていること、また、中間整理案の内容について、全国の会員とも情報共有をしてまいりました。今回のヒアリングに際しましても、全国から前向きな声が多く寄せられたところです。5分という時間ですので、思いをぎゅっと収められるように、少々早口にはなりますが、お話をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず初めに、全国国公立幼稚園・こども園長会の各園が要領等に基づいた幼児教育の実現を目指して真摯に取り組んできた内容が、そのまま、この中間整理にまとめられたのではないかと受け止めております。
また、国が目指している幼児教育の在り方が分かりやすく整理され、幼児教育に携わる関係者のみならず、小学校以降の教育関係者、保護者、地域関係者、行政関係者にも理解を促して、社会全体で幼児教育の重要性を共有する内容としてまとめられたことにも期待しております。
そして、中間整理の中で、公立幼稚園の役割について、前例を見ない形で明記していただいたことに対して感謝する思い、国公立幼稚園に与えられた役割を果たして、幼児教育の振興に、さらに寄与する思いも強くしております。
では、意見についてですが、資料にも掲載させていただいています6点について、御説明させていただきます。
1点目は、遊びへの理解が幼児期にふさわしいものとして広く共有されるようにということです。中間整理では、幼児の遊びに関する説明が丁寧に記述され、自発的な活動としての遊びが幼児期特有の学習であることが示されています。幼児が遊びそのものに没頭し、夢中になって試行錯誤する過程にこそ学びがあり、このような遊びを生み出す環境を構成することが幼児教育の質の高さにつながると考えます。一方で、遊びが様々な捉え方をされている実態を大変危惧もしております。中間整理の具体的な遊びに関する記述は、遊びの体験が教科学習につながるところに着地するようにも読み取れます。できましたら、幼児が遊び込む姿を具体的に盛り込むようにして、幼児教育で考えるところの豊かな遊びが多くの人に理解されるように示していただきたいなと思います。
また、小学校以降で展開される学習者主体の教育は、幼児教育で実践される自発的な活動である遊びが基盤となっていることを普及啓発していくことも大事です。このことのために、文部科学省の幼児教育課や他課、小学校長会とも連携して取組を推進できるよう、お願いしたいと思います。
続いて2点目です。国や地方自治体とともに乳幼児教育の質向上の取組を推進できるようにということです。国公幼では、これまでも地域に根差した実践的な調査研究、研修等を進めてきたところですが、蓄積された研修と研究に裏づけられた実践を国の施策や各地方自治体の幼児教育の推進に役立てていただきたいと思います。さらに、本会に所属するこども園の割合は年々増えております。ゼロ歳児からの教育という観点で実践研究に取り組む必要性も感じております。発達を踏まえた環境を通した総合的な指導や遊びへの援助など、本会が積み重ねてきた研究のノウハウを、これからの時代に求められる教育課題にも――ここでは乳幼児教育の質向上ですが――生かしていただければと思います。
3点目は、幼児の体験を豊かにすることを目的としてICT機器が活用されるようにということです。あくまでも「幼児の体験を豊かにすることを目的として」というところが重要です。中間整理では、現代的諸課題に応じて検討すべき事項として、ICTの活用についても触れられていますが、記述にあるようなICTを活用した取組には、まだまだ地域によって差がございます。今後は、幼児の遊びの環境の一部としてデジタル媒体を整備することが望まれるのではないかと考えますが、国が幼児教育におけるICT活用好事例とともに明確に発信し、自治体、各園に担わせるのではないICT機器導入の支援策を講じていただきますよう、お願いいたします。
4点目は、幼児教育と小学校教育の円滑な接続が子どもの未来の育ちへとつながるようにということです。中間整理の公立幼稚園の役割でも触れられているとおり、今後は、さらに域内の小学校と幼児教育施設を縦と横をつなぐ結節点となれるよう、地域の教育の質向上に向けて、人、教育内容の双方をつなぐ役割を果たしていきたいと考えています。また、自園の教育を地域に開くことによって、幼児教育における自発的な活動としての遊び、環境を通して行う教育という教育の考え方が、小学校以降の指導法ともつながって共有されていくようにしたいとも考えます。「活動の主体は幼児であること」と「子供一人一人が自立した学習者である」という考えは同じものです。「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実させ、授業改善につなげられることが求められる中、小学校においても幼児教育における「環境を通して行う教育」を積極的に取り入れられるよう、国、地方自治体、教育委員会が各校の取組を後押ししていただくよう、お願いいたします。
ちなみに、文部科学省が作成した「遊びは学び 学びは遊び」の動画は、国公幼でも活用を大いに呼びかけているところですが、さらに広く社会に伝わるよう、動画を用いた普及啓発をもっとリードしていただければとも思います。
5点目は、公立幼稚園の役割として示された事項を確かに果たせるようにということです。中間整理の中で、公立幼稚園が直面する厳しい現状と、これまで果たしてきた役割の重要性について触れていただきました。公立幼稚園が地域全体の教育の質向上に向けた取組を推進し、今後は私立幼稚園を含む他園とも協働していくために、学び合い、高め合う関係性を築くことに努め、地域の拠点園としての役割を果たしていく思いを新たにしております。
今、全国の公立園では、園児数減少による閉園の動きが加速化していますが、地方自治体管轄の公立園だからこそ、園を存続させ、教育を維持管理することが可能になるのではないかと考えます。中立性、公共性を保った幼児教育が各地域で展開されることも重要になるのではないかと私たちは考えております。国が地方自治体の教育委員会に対して、この中間整理に記載されている役割を公立幼稚園が果たすことができるよう、強く働きかけていただくことをお願いいたします。また、公立幼稚園が認定こども園化することにより、所管課が教育委員会から他の関係部局に移され、質の高い教育実践を支えてきた研修・研究の機会が与えられない、研修を選択できないなどの例が散見されております。どの幼児教育施設にあっても、質の高い幼児教育が求められる今、教育公務員特例法にあるように、職責を遂行するための研究と修養に努め、自ら主体的に研修を受けることができる仕組みの維持を各自治体に働きかけていただきたいと思います。
また、少人数化が進む園の教育活動についても、全国の園では地域と一体となった取組が工夫され、これまでと同等の人数での保育をスタンダードとする保育スタイルがある一方で、少人数でも充実した教育活動を実現できるよう実践が進められています。このような実践の検証と推進は、公立園だからこそ果たされる役割でもあります。取組を後押ししていただければと思います。
最後に6点目となります。国立大学附属幼稚園が幼児教育の質向上に貢献できるようにということです。国立大学附属幼稚園では、これまでも公開保育・研究会を行い、先進的な実践研究を行ってまいりました。質の高い幼児教育を担う人材の輩出、地域との交流人事、指導資料の開発にも寄与してまいりましたが、各地域の教育委員会等と連携して、地域の幼児教育に貢献していることにも引き続き御理解いただき、国立大学附属幼稚園の存在意義を明確に示し、役割を果たせるような環境整備を進めていただければと思います。
長くなりましたが、以上6点となります。ありがとうございました。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは2番目ですけれども、全国認定こども園連絡協議会より、お願いいたします。
【全国認定こども園連絡協議会】 全国認定こども園連絡協議会の上田と申します。本日は、会長の戸巻が体調不良により、代読させていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
連絡協議会からは、7点ほど提案させていただきます。
まず1点目ですけれども、幼児教育の課題が中心にまとめられていることについてというところです。要約しますと、第3章の必要な条件整備(1)地方自治体における幼児教育担当部局の在り方にも大きく関係することで、幼保担当部局の連携・協働や一元化をより一層推進することが大切かと考えております。できる限り一元化する方向で進めることによって、認定こども園として、部署がばらばらではなくて、1つの部署で対応していただけることが、すごくありがたいなと思っております。特に幼児教育の中でも、幼稚園の預かり保育と長時間保育での取扱いの違いもありますし、キャリアアップ研修の要件、配慮すべき子供への補助の在り方、家賃借り上げ等の支援も違います。事務的な手続だけでもかなり煩雑なので、この課題も解決するべき実態があるかなと考えております。
2点目です。こどもまんなか社会をどう実現していくかというところになっております。現在、子供たちが置かれる環境、幼稚園教育要領を実現できる社会というところでさせていただけたらなと思っております。特に一例として、下記にも述べられているように、この夏の猛暑は、熱中症警戒アラートがかなり続いております。外で遊べない日が毎日続きました。このような状況が来年以降も続くのであれば、戸外で遊ぶ楽しさを味わう経験を子供たちにさせるためには、空調の整備の強化や遮光ネットの工事費など、子供が伸び伸びと遊べる環境を求めて見直す施策を行うことは急務だと考えております。このことを踏まえて、実際に2番については述べておきます。
3番について、お話をさせていただきます。こども家庭庁からは「はじめの100か月の育ちビジョン」が示されて、アタッチメントの重要性が示されている一方で、保護者が置かれた状況や考え方によっては、安心も得られずに、挑戦する機会を得にくい状況となっていると考えております。また、子供の育ちにとって必要な友達と十分に関わって遊ぶ経験の少ない子供たちも多く、その子供たちの中には、子育て環境の不安定さや育ちの要因が不足することで、配慮や支援の必要な子供たちになっている現状もあります。
乳幼児施設における幼児教育に限定した環境ではなく、家庭や社会における子供にとってふさわしい環境をどう実現していくかという視点は、もう少し強調して考えるべきだと思っております。
4つ目です。幼児理解に基づいた評価について。幼児教育の評価は、中間整理にも書かれているように、幼児一人一人のよさや可能性を把握していくものと考えます。そのためには、「ほかの幼児との比較や一定の基準に対する到達度についての評定によって捉えるものではないことや、他の幼稚園教諭・保育士・保育教諭等の話合い等を通してより多面的に幼児を捉えること」が求められるとの記述がありますが、このことは、多様性・包摂性のある社会、共生社会の現実とも大きく関係する幼児教育の基本的な評価の考え方であると考えます。ところが、小学校教育との接続を考えた場合、このような評価が社会に受け入れられる状況にはなっていない現状があり、一人一人の幼児の資質・能力を育むのであれば、評価の考え方、記録の仕方等を改めて検討する必要があると感じております。
5つ目です。幼稚園等が行う、いわゆる預かり保育についてです。幼稚園や認定こども園では、教育課程に関わる教育時間だけではなく、預かり保育を利用する幼児がかなり増えております。預かり保育を教育課程に関わる教育時間外としていることもあり、預かり保育担当の保育者に対して、園内での評価も低いなどの弊害が起こっている現状にもあります。その一方で、夕方の保育や地域を巻き込んだ異年齢保育といった教育課程に関わる教育時間だけでは実現しにくかった保育や、園行事等を考慮せずに遊びに専念できる保育に面白さを感じている保育者も出てきております。預かり保育については、専任配置も含めた、より一層充実したものや、さらなる好事例を集める研究や研修体制の充実を希望します。
6番目、幼児教育と小学校教育との円滑な接続についてです。小学校の授業改善は、幼保小の架け橋プログラム等を通じて、小学校側が幼児教育の本質を理解することで可能になると考えております。幼児教育が公の教育の場として役割を果たすのであれば、「幼保小の架け橋プログラム」の推進を進めていく中で、幼児期の遊びを遊び込む経験が小学校以上の探究活動や学びにつながっていくことを様々な機会を生かして小学校にも周知していただけると幸いです。
最後、7番目、幼児教育施設の支援等の体制です。当協議会もそうですが、今、新採研やキャリアアップ研修などを通して、往還型研修を意識して行っております。実践を中心にした研修であるにもかかわらず、参加者からも、かなり好評をいただいているのが現状です。
こういった機会の中で、今後、幼児教育アドバイザーという制度が充実していくのであれば、全国認定こども園等の団体が行う研修の運営についても、会員園の会費だけに頼る形ではなくて、実際に研修実績に応じてでも構いませんので、何らかの公的な補助が団体に支払われる仕組みがあると、今回の課題も解決されるのではないかと考えております。
以上となります。ありがとうございました。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは3番目に、認定こども園連盟、お願いいたします。
【認定こども園連盟】 今回の検討会で問題意識として挙げられた点について意見をさせていただきます。
まずは、認定こども園教育要領等については、もう少し職員や保護者にも理解できるような文脈と構成にしていただきたいと思っております。理由といたしましては、大変うれしいことに、理由1に書いておりますが、国においては、非認知能力の重要性である自発的な活動としての遊びの重要性を保護者や地域に対して一層の普及啓発に取り組んでいくということは、今まで私たちだけの施設や地域社会だけでこういう取組を行いましても、権威がないために、なかなか理解してくださいません。国において一層の普及啓発に取り組んでいくことと、遊びの中で人間性を醸成していくという環境構成や遊びが重要であることを国が敷衍していただくということは大変うれしく存じます。したがいまして、現行の要領等は、現場人でも分かりやすいように、受け手に伝わるような工夫改善をお願いしたいと思います。
理由2には第三者評価の問題意識が書かれておりましたが、第三者評価の質の見える化については、まだ、教育・保育の質とは何かという定義がされていない現状から鑑みてみれば、やはり、教育の質というものは、教育要領の中にきちんと書かれているんだよということが分かりやすく、普遍性と汎用性を持って、保護者にもみんな共有化されるようにしていただかないと、国が一生懸命取り組んでいっても、なかなか理解してくださらないのではないかという心配があります。
理由3は、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の問題意識の中で、幼児教育関係者の中には、幼児期の終わりまでに育ってほしいと姿に幼児を当てはめて、できる・できないということが書いてございます。それから、「幼児期の終わりにまでに育ってほしい姿」の中で、5領域との関係をどう実践につなげていくかが難しいという指摘もございました。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の具体的活用等については、研修をやって、一層の理解・啓発をすることが必要だと書いてございますので、ここも利用する我々、保護者にも理解できるようにしていただきたいという点をお願い申し上げたいと思います。
それから、2枚目になりますが、幼児教育施設におけるICT活用につきましては、私は活用上の留意点は非常に難しいものがあるのではないかと思います。
それは、コロナ禍において、あたかも多くの園でICTの活用が実践されたような記述になっていますが、私どもは、そのような事例を寡聞にして知りません。非常に特殊な、ごく一部の事例を過度に一般化しているような印象を受けております。そのような調査結果、エビデンスについて、残念ながら、目にする機会に恵まれておりません。
また、小6、小3を対象とした全国学力テストでも、SNSや動画視聴が多くなるほど「平均正答率が低くなる」という報道も見受けられております。
ICTによって多くの情報を得ることは確かに大きいわけですが、気がつかないうちに「フィルターバブル」、見たい情報しか見ない、自分と似た価値観や考えがつながり、同じ意見に繰り返し触れることで自分の意見が強化されていく「エコチェンバー」という事態に陥ってしまうことは大人でも多々あることでございまして、誤った情報を正しいと思い込んでしまう懸念は考慮されていないように感じられます。
私の大学の頃の後輩たちが小学校、中学校、高等学校の教諭になっておりまして、同窓会、学友会でいろいろ聞いてみましたら、授業でタブレット端末に触れさせることでのメリットは、一斉にクラス全体が騒がず静かになる、沈黙させる道具としては最高の教育ツールであると揶揄していました。5歳児でも家庭ではYouTubeを見ていない子供はいません、ほとんど全部が見ております。操作を熟知している子供も少なくなく、盲目的なICTの導入には疑問を抱かざるを得ないということでございます。
この前、大きなニュースになりましたが、5歳が音声入力で入れたことが話題になりました。そういうものが今自然に行われている中で、あえて認定こども園や保育園等でそれをやる必要性があるかということでございます。
フィンランドなど、既に子供とネットの適切な距離感を制限するという方向性で模索している国が増えている中で、わざわざ無為的にICTを幼児教育に持ち込むような必要性を感じられませんので、導入には提供側の相当な研修や配慮も必要ではないかと考えております。
特に私が経験していることは、タブレット端末で、画面上に出た瞬間に「何も考えずに押す」という、いわゆる脊髄反射することが常にあり、果たして思考力の醸成や記憶力の持続につながるのかと疑問を持ちます。さらに非認知能力との関係に、活動の配慮として、その関係性に係属させることにも非常に苦慮するのではないかと思います。
次に、国公立の幼稚園のことが書いてありますが、時間がないので、これは飛ばします。
「公開保育」につきましては、長時間勤務の実態がある中で、どう対応するかという問題が非常に壁になっているかと思います。
「第三者評価」につきましては、なかなか難しい課題があるのではないかと思います。賛成でありますが、課題が多くありまして、誰がこれを行うのかということと、諸外国で行われている質の評価の指標というものがここに書かれておりますが、幼児教育政策や行政に実際どのように活用され、どれほど普及しているかという疑問といいますか、エビデンスがあれば教えていただきたいと思います。
3番目に書きました現在の保育の第三者評価が遅々として進まないことはこういう理由でございまして、特に4番のところは、評価の結果の「よしあし」に関わらず、全て公表になりますと、受審しないほうが得だということになります。
やらせるためには、法律で縛るのか、園は、これをやるとメリットがある、利益がある、これをやらないと損になる、というように仕組みを変えていく必要性はあるのではないかと思います。
最後に、星印のところに書いてありますが、特に私立保育園では、これまで園が独自に築き上げた教育・保育の個性や多様性が失われるのではないかという懸念があります。
以上です。少し時間をオーバーして失礼いたしました。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは最後になりますけれども、全国連合小学校校長会より、お願いいたします。
【全国連合小学校長会】 全連小の植村でございます。日頃から大変お世話になり、ありがとうございます。また、今回のおまとめ、本当にありがとうございます。
まず、全連小としての基本スタンスですけれども、今回の中間整理の視点であるとか内容を肯定的に受け止め、確実な実現を目指すというところでございます。その上で、ペーパーに従って、大きく3つの柱で、ちょっとポイントを絞ってお話をさせていただきます。
1.幼児教育全般についてでございます。全連小としては、学校、園の指導・運営体制の充実であるとかICT環境の整備と新しい時代の学びの環境整備が不可欠と考えており、要望活動を様々行っております。
今回の中間整理の中で、幼児期での学びの基盤を育むこと、好奇心や探究心を育むことや環境を通した学びの充実等の考え方は、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な実現と共通したものがあると受け止め、これからの授業創造の中核になる考え方ではないかなと考えております。小学校としては、こういった考え方が次期の学習指導要領の改訂にもつながるものと期待しているところでございます。
2.幼小の接続についてでございます。全連小では様々な調査研究活動を行っておりますけれども、その中で重視する項目として、異校種との連携、幼小中の接続を意識した教育計画の実施等を挙げているところでございます。
2ページ目になりますけれども、今回の中間整理を受けて、やはり「学びの連続性」の観点から、幼児から大人までの発達を考慮し、幼児教育を基盤として教育を展開するということ。環境を通じた学びを重視し、幼児教育と小学校教育を連携させるということが重要であると改めて考えております。
幼児教育においてデジタル環境を整えていくということについても必要であると考えております。ただ、幼児期においては、やはり、直接的・具体的な体験が重要であるということから、幼児期に育てるICT教育に関わる能力等について、今後になると思いますが、検討することが求められるのではないかなと考えております。
3.必要な条件整備についてでございます。地域の幼児期及び幼保小接続の教育の充実に向けては、ここでも述べられているとおり、教育委員会の役割というのは非常に重要だと考えております。ただ、地域の幼児教育施設については、公私立のこども園であるとか保育園、幼稚園というのがあり、それぞれ教育方針、それから規模等も様々な現状があると思います。また、保護者の幼児教育に求めるものも様々で、このような多様化、複雑化する状況の中で、地域の幼児教育の充実を図るためには、教育委員会をはじめ、地域の自治体の役割が重要になってくると考えております。「幼保小の架け橋プログラム」の取組の成果を生かしながら、連携等について充実を図っていくことが重要だと考えております。
簡単ですが、以上でございます。ありがとうございました。
【無藤座長】 ありがとうございました。
様々な視点からの御意見を頂戴いたしました。
それでは、4つの関係団体から、いろいろな意見をいただいたところを踏まえて、残りの時間、80分ぐらいでしょうか、質疑応答、意見交換を行いたいと思います。
委員の皆様には、御発表いただいた関係団体の皆様への御質問、また、さらにお伺いしたいこと、あるいは御発表を踏まえての御意見などがございましたら、どういうものでも結構ですので、よろしくお願いいたします。その際に、できる限り多くの皆様から御意見をいただくために、毎回のことですけれど、委員の皆様からは1回当たり3分程度ということで御発言をよろしくお願いいたします。そして、これもいつものとおりですが、「手を挙げる」ボタンを押していただいた順番に指名させていただきます。私、時々見逃しますので、事務局でチェックしていただきたいと思いますけれど、発言が終わりましたら、「手を下げる」ボタンを押して、挙手を取り下げてください。それでは、どなたからでも結構でございます。この部屋に来ていらっしゃる方とリモートの方と、もちろん、どちらでも御自由に発言できるので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
では、まず、鍋田委員。
【鍋田委員】 本日はありがとうございました。横浜市の鍋田です。私からは、公立保育園の現場からの声ということで、幾つか述べさせていただきたいと思います。
まずは、全国国公立幼稚園・こども園長会の森山様の御意見、ありがとうございました。裏面の1つ目の丸になりますでしょうか、「文部科学省が作成した「遊びは学び 学びは遊び」の動画については、さらに広く社会に伝わるよう」という御意見が書いてありますけれども、私もこの検討会を通してまとめられている幼児の特性や幼児教育の基本というものを幼児教育の実践者や在園の保護者のみに共有するのではなく、社会全体に広く知っていただけるよう、さらに大胆な周知方法を考えていただき、普及が図れるよう、保育園としても希望しているところです。
そして、丸の2つ目になりますでしょうか、公立幼稚園の役割として示された事項を確かに果たせるようにというところで、下のほう、「自ら主体的に研修を受けることができる仕組みの維持を各自治体に働きかけていただきたい」というところですが、保育士につきましては、これまで資格取得後の更新研修などもない中で、知識の更新ですとか技術の向上については、おのおのの必要感に委ねてきたのではないかと感じています。キャリアアップ研修が充実してきたことなどにもよりまして、民間園の学びの機会が増えているとも考えられるのですが、公立園では一部受けられる研修の枠が少なくなるという実情もあります。指針の改訂や自己評価ガイドラインなどによって自身の保育を振り返る機会は得られてきているのですが、今後は公立園も保育者としてのキャリア形成や学びの仕組みの充実が図られる必要があると私も感じております。
次に、一般社団法人認定こども園連盟様の発表でしたけれども、2ページ目になります。幼児教育施設におけるICTの活用についての疑問というところでした。お話のように、ICTの活用については、現時点では検討が必要な課題もたくさんあると思っています。保育園においても、日常的に遊びや学びのツールとして活用することは、あまり現実的ではないと考えています。保育園というところは、テレビとか、タブレットとか、スマホなどの画面視聴ができない環境であって、それが子供にとっても望ましいという思いもあります。
しかし、小学校がGIGAスクール構想を推進していく流れですとか家庭のICT環境を踏まえますと、保育者とともに適切なICTの活用方法を楽しみながら学べる機会になるとも考えられると思っています。身の回りにないものとの出会いも期待できるかもしれません。いずれにしても十分な検討が必要であると思いました。
そして2ページ目、下の黒丸のところですけれども、こちら、先ほど飛ばされていたかと思うんですけれども、2行目に当たりますでしょうか、「記載がないことから公立保育園では代替できないということを示唆しているようで」というところがあります。横浜市の話になりますけれども、横浜市では公立幼稚園や公立認定こども園がございませんので、公立保育園が地域のネットワークの事務局園などを担うようになっております。この検討会の中では、地域や自治体などにより状況が様々であることを前提に議論がなされていると思いますので、各地域の保育環境を支える役割を既存の公立幼児教育施設が担っていくということで解釈するのではいかがかと思います。
続いての黒丸で、「公開保育」についてもお話がありましたけれども、また私どもの話で申し訳ないんですが、横浜市では、公開保育の概念を変換することから始めています。日常の保育を見せ合う、そして肯定的な振り返りをするというところを目指して、今進めております。自園でも外部からほかの方を招いてという公開保育がありまして、その日は多少緊張感はありますけれども、ほとんど特別な準備はせずに実施しているという状況です。
質問ではなく、意見と私の感じたところでありますが、以上です。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】 ありがとうございました。
4つの報告のいろいろなところに触れながら、新たな提案をしていただきましたけれど、例えば研修を受けるというところも、御指摘のように、研修の量そのものは10年単位で見れば極めて増えたと思いますが、それが全ての人にうまく行き渡るかとか、あるいは、例えばキャリアアップ研修を受けたその後の研修の在り方とか、いろいろな角度で検討すべき余地があると思います。
そういう研修と絡みながら、公開保育というのは今、幼稚園も保育園も公立も民間も広がりつつあると思いますが、その仕組みをどうサポートしていくかという必要があるということも、もっともだと思っています。
さらに、多分、鍋田先生の御意見の一つは、横浜市などは公立幼稚園がないので、報告書で言う公立幼稚園の役割のかなりは公立保育所が果たすというところがあるわけで、その辺の書き方は配慮してほしいという意味として理解しました。
ICTの問題は、さらにほかの委員の方も御指摘いただけると思いますし、先ほどの4つのヒアリングでも様々な御意見がありましたけど、もちろん、報告書としては、慎重、かつ、しかし、現実に使われている実態、さらに小学校のGIGAスクールあるいは家庭の状況を展望して、適切な使い方とは何かを模索し、中間整理で書ける範囲をもう少し書き込みたいと考えております。
さて、それでは若山委員、お願いいたします。
【若山委員】 よろしくお願いします。
先生方、このたびは御発表ありがとうございました。頂いた意見書の内容も、今日の内容もお聞かせいただいて、中間整理、今回出されたものをめぐって、いろいろな現状とか実態とかがあるということを改めて教えていただいて勉強になりました。ありがとうございました。その上で、各団体様に幾つか質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
まず、全国国公立幼稚園・こども園長会様の意見書についてですが、1つ目の丸ですかね、「遊びの体験が教科学習につながるところに着地しており」というところがあるかと思います。「遊びの体験が教科学習につながるところに着地している」ように読めると言っていただいたかと思うんですが、これは今回の整理案の中の自発的な活動としての遊びの節の部分の丸のほとんどが小学校の教科学習に着地していると読み取れると感じられたということでよろしいのでしょうか。どこから着地していると読み取れたのか教えていただきたいなと思いました。
そして次に、全国認定こども園連絡協議会様の意見書の4の幼児理解に基づいた評価についてで、「評価の考え方、記録の仕方等を、改めて検討する必要性を感じています」と書いていただいております。
一方で、今回の中間整理では、記録に関して「ドキュメンテーション」や「ポートフォリオ」などの言葉が挙げられて説明があります。この中間性整理の記載にはない別の記録や評価に関する記載が必要だとお考えで、そのための検討が必要だとお考えと理解してよろしいのでしょうか、教えていただきたいと思います。
そして、一般社団法人認定こども園連盟様の今のICTのところです。今の中間整理では、2の現代的諸課題に応じて検討すべき事項の1)幼児教育施設におけるICTの活用の5つ目の丸に留意事項が幾つか書いてあって、「幼児のさらなる意欲的な活動の展開につながるか、幼児の発達に即しているかなどについて考慮することや、ICTの操作の習得を目的とした活動にならないこと、先生の一方的な指導の道具となることのないように留意するように」と記載があります。
一方で、頂いた意見書の今出ているところでは、「活動上の留意点の検討は非常に難しいものになる」という記載があります。
この2つを合わせて考えてみると、ちょっとよく分からなくなってきて、現整理案の中で、どのような留意点を示すべきとお考えがあれば教えていただきたいと思います。
最後に、全国連合小学校長会様の意見書の幼小接続についてで、コロナの影響もあってか、連携が途切れてしまうというところがあったかと思います。そうしたケースがあることを教えていただいたんですが、その後、接続の取組が途切れたままで、再開されないケースもあるのかなと読み取れたんですが、そういうことがあるのか。また、どういう理由で再開されないのかという理由を御存じでしたら教えていただきたいと思いました。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。
それぞれの御質問は、最後に、それぞれの団体に、他の意見なども併せてまとめて御回答をお願いしたいと思います。
それでは岸野委員、お願いいたします。
【岸野委員】 失礼します。各団体の皆様、本当に貴重な御意見をありがとうございました。各団体の御意見を伺って、改めて大事だなと思ったことを3点申し上げたいと思います。
ちょうど若山委員や鍋田委員と重なるところもありますが、まず1つ目が、先ほど若山委員もおっしゃったような全国国公立幼稚園・こども園長会の遊びと教科学習の関係のところです。「遊びの体験が教科学習につながるところに着地している」という指摘について、私自身は、疑問もありつつも、でも、確かに配慮すべきところだなとも思いました。遊びが、いずれ教科学習がうまく進むことを目的に行われるというのではなく、もちろん教育的な配慮のある環境構成は決定的に重要ですが、しかし、子供からすると、何かの力をつけるために遊ぶのではなく、遊ぶことそのものが目的であり、そうした自発的な活動としての遊びそのものに意味があるのだ、それがひいては学びにつながっていくのだというところをもう少し強調する、矢印の向きについて強調する、というようなことが思いとしてあるのかなと解釈いたしました。また後で、先ほどの若山委員への回答に含めて、その辺りも少し伺えればと思います。
2つ目は、これも若山委員と重なるんですが、全国認定こども園連絡協議会の指摘の中の評価観の問題のところです。私も幼児理解に基づいた評価についての御指摘、大変重要だと思いました。家庭や小学校との連携の中でも度々葛藤の起こるところでもあり、こうした幼児教育における評価観というのが重要なかぎになる部分だと思います。社会的にはどうしても、ねらいや基準に照らして達成度を評価するというような評価のフレームが前提になりがちですが、子供の学びのプロセスを多面的に捉え、その背景の状況を捉え返すということがやはり評価の本質であり、ドキュメンテーション等を通して、発達の状況を共有するというところだけでなく、こうした評価観そのものも共有していくことが重要だということを改めて感じました。その辺りもどのようにお考えか、先ほどの質問と併せてお聞きできればと思います。
3つ目は、認定こども園連盟の飛ばされたところでありまして、また、鍋田委員から先ほど御意見があったところで重なりますが、公立幼稚園の閉鎖や民営化の問題と公開保育の問題のところです。私も福井県の例になってしまいますけれども、福井県でも、やはり公立幼稚園の閉鎖や民営化の現状に直面しているところで、そうしたリーダー的な役割を担う公立幼稚園がない中では、やはり、公立こども園、保育所や私立園のネットワークが決定的に重要になり、それを支えるコーディネーターの共同体をいかに市町で組織していくかということが問われるのではないかと思っています。福井県では県のセンターの支えの下で、こうしたネットワークが基盤となり、先生方が自分たちの園での課題意識の下で、公開保育をはじめとした研修に取り組むようになっています。先ほど鍋田委員もおっしゃっていましたけれども、日常の保育を短時間でも気軽に見合うというところから始めて、負担感よりも、より学び合う価値を実感していき、可能なところから、先ほど申し上げたようなネットワークを結んだ他園や小学校にも保育を開き、子供の学びを一緒に考えていくということが展開していますので、そういった意味で、どうすると、できるだけ負担を減らし、価値の高い学び合う場として保育を見合い、語り合う場をつくっていくのかというところ、さらに検討していくことが必要だということも併せて、改めて盛り込めるといいのかなと思いました。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。やはり、これも基本的には御質問ということですので、最後に、それぞれ受け止めて、お話をいただきたいと思います。
それでは田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 失礼します。ちょっと電波の状況が悪くて途中で途切れてしまうかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
私からは、まず、全国認定こども園連絡協議会さんの資料2からですが、2枚目の先ほども若山委員、岸野委員からも出されていました幼児理解に基づいた評価についての下から4行目の辺り、「小学校教育との接続を考えた場合、このような評価が社会的に受け入れられる状況にはなっていない現実があり」ということが言われています。ここら辺りがどういう状況なのかというのが、多分、私の知らないような現実というのがおありなのかな、感じていらっしゃるのかなと思いましたので、少し具体に教えていただければありがたいなと思いました。
それから、資料3の認定こども園連盟さんのものについてです。こちらもちょっと重なるところがあります。ICTの活用について、ここに御意見いただいたようなことについては、かなり配慮をした上でということが議論の中で話されてきましたので、その点は改めて誤解のないように思っていただきたいという気持ちを強く持ちました。特に、1つ目の一番最後に「盲目的なICTの導入には」と書かれているんですけれども、これも先ほど御指摘がありましたが、中間整理案の一番最後のところに書かれていることと、それから、6ページの第2章の2つ目の丸の辺りでも、ここら辺には懸念を感じている辺りは記述がありますので、決して盲目的な導入ということを思っているのではないということが伝わるようにしたいなと思いました。
あと、どちらかというと、ネットの利用のイメージで思っていらっしゃるというのをすごく感じました。私が知っている、あるいはうちの園でやっている取組というのは、1つの道具としてICT機器を使って、子供たちが遊びを積み上げるとか、友達に発信するとか、分かり合うみたいなことで、非常に効果を感じていることがありますので、恐らく、ICT活用ということが言葉の定義としてきちんとないんだろうと見たんですけれども、ここら辺りで活用のイメージのズレが起こっているのかなということも感じました。
3ページ目、これも御指摘が重なっているところです。一番上の「幼稚園と保育園の差異を提起する意図に違和感が残る」ということを書かれているところが、中間整理案の22ページの辺りのことかと思って聞かせていただきました。「地方自治体は、このような地域における」という文章の下3行の辺りに、「なお、既に公立幼稚園がない地方自治体においては、公立の認定こども園等」ということで、「等」の中に組み込んだ形で記載されているのが現状かと思いますので、例えば、ここに「保育園」ということで入れるのか、何かしら解決の方法がありそうだなと思いながら聞かせていただきました。
一番最後のところに、質評価のことについて大きな懸念を示されているんですけれども、今開発されている日本独自の資料については、説明していただいて、かなり海外のものとは違って、日本の保育文化に合うよいものを開発していただいているのを私は感じましたので、そこら辺りのことは、この情報が広く伝わることが大事なのかなということと、伝え方に関しても、指摘されているような配慮は十分考えた上で、使い方についても提案いただいているという現状がありますので、ここら辺りの情報の共有をより一層進めていくというのが大事なことかなと思いました。
一番最後に書かれている「各園が独自に築き上げてきた教育・保育の個性や多様性が失われる」という辺りは、例えば公立園でも市町が違えば取組に個性があり違っていることもあります。個性が失われるということは、多分、地域差というか、そこら辺をうまく使って、よさとしては生かしていけると思うんですけれども、要領指針にのっとった上で、各園独自の個性とか多様性というのは大事だと思われるんですけれども、要領指針にのっとっていないような状況というのは改善が必要だという状況もあるとも思います。個性、多様性というのが、要領指針にのっとってのものは、失われてしまうようなものが開発されているのではないという感覚を私は持っています。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。
幾つか御質問と、それから田中先生の御見解を出していただきましたけれども、ちょっと加えると、この整理案で、もしかしたらICTの活用等の分かりにくさがまだあるのかなと思いますので、具体的に、主に幼児、年長児ぐらいでしょうけれど、活用事例というのが文部科学省の委託事業その他であるんですけれど、その辺を踏まえておりますので、それがどういうものか分かるようにしたい。例えば、そこには多分、ネット、子供がアクセスで自由に使うということは想定されていないだろうと思いますけれど、そこははっきりさせたいと思います。
それから、質の評価の問題は、これも注みたいなことですけれど、日本の風土に合った、もちろん欧米の質、評価を参考にしながら、日本の風土に合った質の評価、尺度の開発というのは、既に複数、開発が完成しているまでではないんですけど、例えば、この会議でも、国立教育政策研究所から発表していただいたりした尺度もあります。それがおいおい実用化していくだろうということが一つあります。
それとともに、この報告では、幼稚園教育要領等々の幼児教育保育を進める中で行う評価、日常的評価といいますか、子供の様子を見ながら記録を取ったりして振り返って改善していくという意味での形成的な評価の話と、それから、保育者や園の自己評価、ある程度の期間、1年に1回か、もうちょっと細かいは別としてという試み、これは例えば厚生労働省の自己評価のガイドライン、既に数年前に出ておりますけれども、さらに文部科学省というか、幼稚園は学校教育の一環として、学校教育においての自己評価というのは法的な義務づけに大分前からなっておりますけれども、そういうのを踏まえております。
しかし、それと別に「第三者評価」というのは、幼稚園、保育園、こども園の義務づけにはなっていないわけです。現状にある第三者評価は主に保育所対象で、保育所対象の第三者評価というのは、私の知る限りは福祉施設数の第三者評価のアレンジだろうと思いますので、十分、保育の在り方に合っているかどうかについては難しさがあるように思います。
さらに御指摘のように、特に私立幼稚園においては、創立の理念が十分に大事にされているわけですけれど、それを大事にしながらも、日本の幼児教育、保育として、3領域・指針の考えの中で進めるという組合せが必要になってくるんですけれど、そういうことも含めて、第三者評価の問題というのは、今後、どこかではきちんと議論をしていただきたいと、この報告では要望するぐらいになるんですけれど、書き込みたいと考えております。ありがとうございました。
さて、御質問、御意見、さらなる方は挙手されていますか。
坂﨑さん、秋田さん、大豆田さんの順番で。
坂﨑委員から。
【坂﨑委員】 よろしくお願いします。3点ほど、お話をしたいと思います。
まず1点目は、全国国公立幼稚園・こども園長会の森山さんからお話をいただいた中の2つ目の丸のところ、私は非常に重要だなと思って、書かれている国や地方自治体とともに乳幼児教育の質向上の取組を推進できるようにというところとどう関わるか分からないのですけど、最後の文面に、やはり国公立であれ、認定こども園化になっている現状から、ゼロ歳児からの教育という観点をどう考えて実践研究をしていくのか。また、発達を踏まえた環境を通した総合的な指導や遊びへの援助、こういうノウハウが次の時代の教育課程にも必要なのではないかということに関しては、私も強く思っています。決してイコールではありませんけれども、やはり、令和8年から誰でも通園制度のようなことも行われる中で、保育かどうかという問題はあるとは思いますけれど、子供たちの発達を見守りも含めて、さらに平成27年から認定こども園の仕組みができた中で、満3歳から分断するというだけではなく、学校教育としてどうするのかというのはあると思いますけれど、子供の育ちを考えたときには、100か月のビジョンも含めて、ある意味で、実践も含めた研究とか遊びの援助というのは0歳児から必要だろうなと思って、この点については、まず1点目、これから先、さらに必要になっていくのだろうなと思いました。
2つ目は、皆さんの幼保小に関わる提言と、さらに今日、小学校の代表の先生が来ていただいて、それをどう受け止めているかということに関しては、少し安心をし、進めていただきたいなと思いました。
例えば森山さんのほうからは、4つ目の裏の幼児教育と小学校の円滑な接続のところで、小学校においても幼児教育における「環境を通して行う教育」を積極的に取り入れてほしいということを書いていますし、協議会さんのほうでも、6番目の接続のところに、やはり遊び込む経験が小学校以上の探究活動や学びにつながっていくことを周知していただきたい。どちらかというと保育団体からのそういうような言葉に対して、いわゆる全連小さんのほうからは、同じようなことで、1つ目の意見のところで、好奇心や探究心を育む、環境を通した学びと個別最適・協働的な学びの実現は共通したものがある。
さらに、裏のほうには、この学びの連続性に対して、環境を通じた学びを重視して、幼児教育と小学校教育を連携させることが重要であるというふうに書かれている。こういう、お互いがやはり歩み寄ることがとても大事なのではないかというふうに、今回思いました。
全国連合小学校校長さんの中から、最後の意見の中で、少し私は考えることがあって、実は小学校以前の、いわゆる乳幼児教育施設がたくさんの学校種や施設種があるけれども、連携をを進めるに当たって、幼保小の架け橋プログラムがなかなか進まないということも含めて言うんですけれど、逆に言うと、幼保小の架け橋プログラムを実践していくことによって、実践を進めることによってお互いが学び得ることがあると思うので、ゆっくり進めば進むほど難しいことが多く、それよりは架け橋プログラムを進めていくことによって、実践していくことによって、幼小接続も含めて、近づいていくのではないかなというふうに思います。
3つ目、小笠原先生のところがお話をしてくださいましたたくさんの指摘の中で、2つ、意見が違うところが少しありました。
公開保育に関しては確かに負担感があるのだと思いますが、令和2年から、ここに関する多少の加算が出ていることも考えていくと、そういうことも含めて、書かれているような負担感の問題をある種、課題の解決にできないかなというふうに思いました。
しかしながら、私も同じ立場にあるので、現実の例えば66時間の保育をどうしていくかとか、そういうことを考えていく中で公開保育をどうしていくのかという難しいことはあるのだと思いますけれども、公開をしていくことによって、保育の社会化というか、社会に私たちの保育を広めていくということでは、一つの大きなことなのではないかと思います。
蛇足ですが、第三者評価においては私も、ここに書かれていることが、あまりにも課題が多過ぎて、私はどちらかというと賛成だとはなかなか言い難いんです。
私は青森県で、この第三者評価者の第1号でした、実は、なかなか進まないのはどうしてかというのは小笠原先生が書いたとおりだと思うので、根本的に、ここに関しては考え直す必要があるのではないかと思います。
以上です。長くてごめんなさい。
【無藤座長】 ありがとうございました。大事なことばかりですけど、例えば0歳児からの教育というものが、どちらかと言えば幼稚園を中心とする団体から出てくるということも、大きな時代的意義があるということ。
それから、最後の第三者評価の様々な問題は本当にそうだと思いますけれど、といって、恐らく第三者評価の問題が、これからすぐ実施するという話ではなくて、しかしながら重要性、社会的な要請としての重要性が出てくるかもしれないと思って、この報告をまとめておりますので、それらの問題を挙げるとともに、どうそれを解決するかという方向で考えたいと思っております。
それでは、秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】 4つの団体からの貴重な御報告、どれもとても参考になる御意見をいただきましたこと、感謝、御礼を申し上げたいと思います。
その上で、まず国公立幼稚園・こども園長会からの御意見の中で、やはり研修の問題として、逆に移管されたがゆえに、公立の幼稚園の先生が研修は制約されるような状況が生まれているということについては、やはり、こうしたことが起こらないように、全ての子供の保育・教育に関わる人の研修権が保障されていくことが重要です。また、実はこれまであまり述べてきていないんですが、キャリアアップ研修は充実してきているんですが、キャリアアップ研修が、例えば今後、幼稚園教育要領や保育所保育指針の改訂とか、重要な事項と連動して内容の見直しが行われていくということが、実はこども家庭庁、こども基本法、それから100か月ビジョンとかいろいろなものは、キャリアアップ研修には何も内容が盛り込まれるようになっておりませんが含まれることが必要です。
そういうことについての連動も改めて御提案いただきながら、それは公立・私立・民営かかわらず受けているような体制を、どう研修でつくっていくのかということを考えていくことが必要かなと思いました。
一方で、最後の国立大学附属幼稚園について、私はこの文章に残念な気持ちを持っております。これまで、質の高い云々、それから指導資料の開発も寄与してきたから理解をしてほしいという、こういう時代ではないと思います。
もっと、各県に1つしかないのだから、広域で幼児教育センター等と連動をするなど、自分たちが何を、ネットワーク形成の中核にどう担っていくことができるのかということであったり、それから、多様な子供たちが増えてきている中で、どういうふうにそういう子供たちを支えることができるのかを実践研究したりしてほしいと考えます。今、国立大附属幼稚園の多くは定員割れしてきているということは、どうしてニーズがなくなっているのかということを考え、もっと御自分たちの役割を、理解してほしいじゃなくて、これからの時代のビジョン、国立大附属幼稚園が何を担うべきかというビジョンをより明確にしながら、本当に、だから必要だという、多様な子供たちや、その地域の広域に自分たちが考えなければならないことを考えてほしいと思います。それから、先ほどのICTの話などもありましたけれども、そうしたことも含めて先進的な、やっぱり大学との連携が取れる国立大の附属園だからこそできることをやっていただきたいというふうに、私は強く願うものであります。これまでの御貢献を理解すると同時に、そこはとても残念だし、今後ぜひビジョンをつくっていかなければならないのではないかと思うということが、まず1点です。
研修に関連しましては、キャリアアップの問題と同時に、ICTについて、幼児教育の中で使うということと併せて、やはりそれはどうあったらいいかということの保育者への研修等が必ずセットになると思います。特にインターネットを使うとか、業者の何かを使うという意味ではなくて、私は「ICT」という言い方をこの頃控えて、極力「デジタル」とか「メディア」として、紙もあれば物もあれば、遊びの媒体として一つの道具、仲立になるものにはデジタルもありますよねということをお伝えしています。そういう意味での環境ということを考えていくことが大事かと思います。
ちょっと長くなってすみません、2点目であります。
認定こども園連絡協議会のほうから出していただいた、私は、幼稚園が行う預かりということについて、前から「預かり」という文言が、保育所等でも一時預かりではなくて子供中心に、「誰でも通園」と子供の環境を良質という視点に変わってきている中で、「預かり」という言葉においての吟味が必要ですし、預かりを充実するために専任配置などが私も重要だと思います。「預かり」ではなく、やっぱり「夕方保育」とか、これから日中の時間の、早朝とか夕方の保育の質をどう上げていくのかということも考えていくというような視点も大事なのではないかと、御提案をいただいて思った次第であります。
3点目は小学校のほうの、全国連合小学校長会の御提案、ありがたいと思いながら、ぜひ伺ってみたいことがあります。これは質問です。
無藤先生もそうだと思いますし、私も20年間ほど、この文科省の幼小連携接続に関わってきています。毎回、今回はもう最後かと思っていますが、架け橋という新しいものを出しても、10年ごとぐらいに出しては消え、出しては消えするわけです。
これも、新たな架け橋プログラムは楽しみだ、やっていこうというのが、また、二、三年の予算が終わったら終わりになってはならないと思っています。
その時に、校長会から御覧になって、持続可能な連携・接続のためには何が必要なのか。私が10年ぐらい関わってきた学校等も、モデルの学校には関わるんです。でもなかなか、それが今もずっと続いている学校というのはほとんどないんですよね。指定のときは頑張っている、その先生は知識を持っている、その時にどうやったらいいのかをぜひ教えていただきたいと思います。それから、環境を通しての教育というものを園でも行う、学校でもデジタル学習環境というだけではない環境ということで、環境の連続性ということが大事だと思います。この夏、私がいろいろなところで聞いてきたこととしては、例えば園児が小学校の図書館を利用させてもらうことによって絵本を選ぶとか、選ぶ経験の幅が広がるとか、それから避難訓練を一緒にさせていただくことによって様々な交流が生まれるとか、そういう環境とか事業を連続するというような発想も大事かなと思いました。
以上、ちょっと3点、長くなりましたが発言させていただきました。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。
今、秋田委員の発言、幾つも重要な点をおっしゃっていただきましたけれども、ちょっと時間の関係で一、二、指摘させていただきますけれど、一つは預かり保育というところで、おっしゃるとおり重要なんですが、そもそも「預かり保育」という言い方は、いろいろ調べても法令上の正規の言い方ではないっぽい――ぽいという言い方もあれですけど。「教育課程外の教育活動」とは書いてありますけど。
確かに、文科省として預かり保育を幼稚園で認めたときに「預かり保育」という言い方をしてきたのだから、慣例的な言い方だと思うんですけど、「教育課程外の教育活動」って「教育活動」はついているけれど、じゃあ、どういう意味の中身の教育活動か、しっかり、確かに議論していなかったというのは私の反省でもありまして、恐らく考えるべきだなということをつくづく思いました。
それから最後の、持続可能な連携・接続の在り方にするにはどうしたらいいかは、この会議でもっと詳しく議論するにはもう時間がないんですけれど、でも一応、そういうことはぜひ言っていただいて、どうすればいいかと。
ここには田村視学官もいらっしゃるし、小学校の学習指導要領ないしそれにまつわる施策もお考えだと思うんですけれど、2017年に改訂したときに、小学校学習指導要領の総則にかなり接続が明記されて、各教科ごとに、低学年の教育は幼児教育を受けてというのもかなり書き入れたわけです。
それは私が委員であり、田村先生もまとめる立場として御努力いただいて入れて、秋田さんが指摘されるように、指導要領に書くと実施されるということがないのは承知していたはずではあるのに、やっぱりそうであったなというのが正直なところで、指導要領をやったら数年でうまくいくかというと、コロナが入ったせいもあるんですけれども、だからこそ、改めて架け橋というか、もっとやろうよというふうにしているんですけど、そういう数年ごとの運動をしないと駄目なのか。もうちょっと、ふだんの日常的な教育・保育活動の中で、自然にじわじわと広がり安定していくような仕組みづくりってできないかというのは本当に考えなきゃいけないと身に染みているところなので、付け加えさせていただきました。
すみません、では大豆生田委員、お願いします。
【大豆生田委員】 すみません、手こずってしまいました。御提案ありがとうございました。とても考えさせていただくことがたくさんありました。その中で、なるべく重ならないようなところで、それぞれに意見と御質問をさせていただければと思います。
全国国公立幼稚園・こども園長会さんですけれども、今回、遊びのことに関してもICTのことに関しても、それから小学校との接続のことに関しても、どう、このことがきちんと伝わるかということの御提案をくださっていること、とても重要だというふうに思っています。
まさにこの、どういうふうにこれを見える化していくかということが、これからとても重要な課題で、この中でも、小学校との接続のところでの「遊びは学び、学びは遊び」のような、そういうふうな発信も含めて、こういうことが多分これからとても重要になってくるかなと思っています。
その一方で、実際に園児数の問題も含めて、どう保護者が理解者、遊びが学びであることを個々の園がどういうふうにしていくかということに関しては、この中でも、取り組んでいかれるというふうに書かれていますけれども、やっぱり実際は、各園のかなり個性的な努力ということが必要になるのかなというふうに思っています。その辺りのことについても、もし具体的にお話しいただければというふうに思いました。ありがとうございます。
それから、全国認定こども園連絡協議会に関してですけれども、3番の中で、乳幼児施設における幼児教育に限定した環境だけでなく、家庭や社会における子供にとってふさわしい環境をどう実現していくかという視点を強調すべきというふうに書かれています。
これは、子ども家庭庁の「はじめの100か月の育ちビジョン」に関して、この点、かなり強調しているわけですけれども、ここの場の中でもしその点を書くとすれば、それは園との関わりの中で、家庭や地域の充実みたいなことをおっしゃっているのかというあたりのことを、もう少し具体的に教えていただければというふうに思います。というのは、やっぱり園との関わりの中で家庭や地域の豊かさにつながることは、これからとても重要なテーマだと思いますので、その辺りのことをお話しいただけると幸いです。
続いて、認定こども園連盟さん、小笠原先生のところですけれども、公開保育について先ほどもありましたけど、少し違う視点からですけれども、「公開保育」という言葉がイメージするものが随分異なるのではないかというふうに思っています。
公開保育の日までに準備をかなりして、1日かけて公開し、助言まで含めての1日コースのようなものもあれば、園内で気軽に公開し合ったり、地域で見せ合ったりというふうなことも含めて、多分これから、そういう小さなことも含めて公開保育が広がっていくことが大事なのではないかというふうに私は考えています。
そうすると、もしかするとそういうふうなことが分かるような記述もここで必要なのかなというふうに、ここでの実際の職員の長時間の勤務実態はおっしゃるとおりだと思いますので、その辺りのことも含めて、そういうふうな方向性であれば、この公開保育ということはむしろ前向きに考えていったほうがいいのではないかと思いますけれども、その辺りはいかがでしょうかということです。
続いてですけれども、全国連合小学校長会様、ありがとうございます。今回、環境を通した学びを重視し、幼児教育と小学校教育の連携であるとか、実践的な交流が活発になるようなということを書いてくださっていて、とてもうれしく力強く、お話を伺わせていただきました。
そうした中で、この中で教育委員会の役割ということで、地域の中での役割ということをおっしゃってくださっていますけれども、現状もかなり力を入れてくださっていると思うんだけれども、現場から聞こえてくる声は、そこが進まないということが大きな課題だというふうに思っています。もし、そこがもう一歩進むようなアイデア等ございましたら、教えていただけると幸いです。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは、少し急がせていただいて、河合委員、お願いします。
【河合委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
4団体の皆様、様々な御意見、本当に学びになりますし、参考になりました。ありがとうございます。私からは全体を通して1つ、やはり地域の幼児教育の質向上という点で、仕組みづくり、体制づくりということの重要性を改めて感じたところです。
公立幼稚園がある自治体におかれましては、公立幼稚園は、私立幼稚園が創立の理念をお持ちなのと同じように、その自治体の目指す教育というのを受け止めながら実践をしていく園としての重要性があると思います。
公立幼稚園がある自治体においては、御発表にあったとおり、その地域内での位置づけですとか、活用と言うとちょっと語弊がありますが、これまでの御経験や蓄積を、どう力を発揮しやすくなるかといったことを含めた仕組みづくりが、期待が持てるところだと思っております。そこでは、公立幼稚園の関係者の方々が、積極的にこんなことができるという提案もしていただいて、御一緒に進めていくということも一つかと思います。
一方、公立幼稚園のない自治体も多くございます。実は幼児教育の基本を大切にして実践されている施設種別、それから園の類型関係なく、そうした園は多くあるのだと思います。ですから、そうした実践されている園、またはこれを機に具現化していこうとする園が、自治体にどれくらいあるのかを把握していただいたり、そうした園が核となって、地域の質向上に向けていく、その仕組みづくりが自治体の教育委員会等を中心に求められるところだろうと思います。
こちらのほうは、これまであったように公開保育のノウハウ等も含めて、それぞれの園が参加しやすく、進めやすいようなコーディネートをするという役割が一つ加わるのではないかというふうに考えています。
そして、小学校長会の御発言、本当に私も力強く思いました。「環境を通して行う」ということがキーワードになりながら、子供たち、自立した、そして主体的な学習者を共に育てていくというところで、大変期待を大きく持っているところです。
質問したいことを次に申し上げます。重ならない部分です。
今、評価観の共有というのも大変重要だと改めて思いました。小学校での評価でも、いわゆる個人内評価のように児童のよさを捉えていくということもあろうかと思います。幼児教育における評価とのつながりを感じやすいような、そうした取組についても教えていただけると、お互いに納得して共有部分を見つけていくという点で、大切ではないかと思います。教えていただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
【無藤座長】 幾つか御質問をいただきました。ありがとうございます。
それでは、鈴木委員、お願いしします。
【鈴木委員】 よろしくお願いいたします。4団体の方々、本当に御意見ありがとうございました。大変学びになりました。これまで多くの先生方がいろいろおっしゃってくださったので、私は全く視点を変えて、ぜひ、これは行政へのお願いということなんですが、全国認定こども園連絡協議会の御意見の中に、この猛暑の中で熱中警戒アラートとかが続いて、空調の整備云々の話がありましたが、現実は、例えば保育室の冷暖房というのは、もう9割以上、設置されているところが多い状況なんですけれども、それ以外、特別室だったり体育館だったりは、小学校もそうですけれども非常に低いです。
その中で、遊びを支え生み出す環境というのを広い視点で見ると、やっぱり環境整備をお願いしたいです。日常だけではなく、今もう、非日常じゃないんですよね、この災禍の多い日本においては。
なので、日常の防災対策としても、やっぱり遊べる環境の遮光ネットであったり、保育室以外の空調の整備であったりということが、逆に言うと、地域の中の子供の遊び場にもなり得る、園がそこを受け入れられるという状況で、遊びがつくれるのではないかというふうに思っているので、施設整備の視点を大事にしてほしいなと思います。特に幼稚園は、設置基準からいっても垂直避難が難しい状況にあるので、そういうところをちゃんと考えて、広がりを持っていただけるといいなと思います。
それが多分、認定こども園連絡協議会の方が3番に書いた、家庭や社会における子供にとってふさわしい云々というところにもつながっていくのではないかなというふうに私は考えております。
ということで、今後の園における防災・減災も含めての設備に関しての視点をぜひ考えていただけたら、現代的な課題にもつながっていくのではないかというふうに思っております。よろしくお願いします。
以上です。
【無藤座長】 狭い意味での保育を超えた園の環境整備、防災等も含めて、また地域にも広げてという、新たな視点をありがとうございました。
渡邉委員、お願いします。
【渡邉委員】 よろしくお願いします。あらかじめちょっとお話ししておきますと、私、2番目に意見の発表をした全国認定こども園連絡協議会の役員もしていますので、何かあったらそこの質問にも答えなければと思って、皆さんの質問を聞いてはいました。
そこに関しては、何かありましたら後でちょっと補足をさせて頂きます。皆さんのお話を聞きながら、私はやっぱり鍋田委員が最初に言っていただいたみたいに、横浜の異質性という言い方が適切かどうか分かりませんけど、公立がないところでずっと幼児教育・保育にかかわってきたこともあって公立幼稚園の役割というか、いや私立幼稚園から見ると、教育委員会がちょっと遠く見えるとかいうところがあったりします。小学校の校長会からお話があったように、私立幼稚園が多様さが――「多様さ」という言い方がいいかどうか分かりませんが、様々な幼児教育・保育があり過ぎて、小学校の先生が戸惑うだろうなということもすごい感じています。そこをどうやって小学校との接続の中でやっていくかということは、幼稚園教育要領等に書かれている内容かどうかというだけではなくて、現実の問題として子供たちをどう育てていくかということを、改めて考えなきゃいけないと思っております。
ただ、子供の育ちということを考えていったときに、横浜では、幼保小の取組の中で結構分かってくださる校長先生とか小学校の先生たちがいると、すっと進んで行くんですけど、逆に幼稚園のほうから小学校のほうになかなか声が出せないというのは、横浜以外の市町村で聞いたりすることもあったりします。公立幼稚園があるから必ずしも教育委員会を通して小学校との接続がうまくいっているかといったら、教育委員会があっても幼児教育の考え方が小学校に浸透していかないというところがあります。秋田先生が言われたみたいに、架け橋プログラムなどの取り組みが形で終わってしまうのではなくて、中身として子供の育ちをどうやって考えていくかということが大きいんだろうなというふうに思っています。
その中で、私自身の園が、「教える」という園の保育から、子供の遊びを大事にした保育に変えてきたというときに、これは全国認定こども園連絡協議会の意見の中にも入れれている評価の話につながるんですけども、そもそもどういう子供を育てようとするかという資質・能力の話や、それから、どんな子供をどのように育てていくのかというところの方法論とか評価論とか指導計画の考え方とか、様々な教育・保育の基本のところを、どこかで一回改めて見直す必要があると感じています。子供の声を聴いて、環境を通して子供の主体性を大事にするような子供の育ちを、今の小学校の先生方に分かってもらうためには、そのハードルは結構高いところがあるというような思いを持っています。
その一方で、今の日本の子供たちをどう育てるかといったところでは、今回出した中間整理のように、幼児教育が小学校教育に本当に分かっていただくというようなことをどういうふうに進めていくか。それも、僕は架け橋が入り口だと思っていて、架け橋プログラムをすればいいということではなくて、架け橋プログラムをすることによって幼児教育と小学校教育がどういうふうにつながっていくか、そこの中で子供たちの育ち、つまりは遊び込むことが探究につながっていくし、それが本当に、一人一人が自分たちで考えたり問題解決していくという形になっていくということが、本当に理解し合える場になるだろうと思ってます。幼児教育と小学校教育が同じ方向を向くこととか、そのことの大事さが、0歳、1歳、2歳の子供を育てる保護者の方が、園を選ぶとか、子育てを初めてしようとする人たちも、このように子供たちが育っていくことがいいんだというふうにつながっていくことを、今回の中間整理を通して進んでいくといいなということを切に願っています。
そういう意味では、小学校校長会という全国的な組織で、幼児教育が大事なんだというのを各小学校へ伝えていくような機会を持っていただけたらありがたいかなと思っています。
それに付随して、これは私の素朴な意見なんですけど、やっぱり1年生にICTがあったから、横浜のある小学校のスタートカリキュラムがすごく面白かった。学校探検に行ったときに、一人一人が本当に自分の気に入ったところの写真を撮っていて、ほかの子たちと意見を交換して、「ここ面白かったよ」とか「あれ撮ったよ」とか、それをまた次の授業で、国語の授業で自分で発表していたりするときにも、どの写真を選ぶかとか、人の意見を聞いて、また自分はどうするかとか、個別最適に、自分のやりたいことをちゃんと発表しながら、それがまた協働的に学び合うみたいなことって、ICTがあったからできた授業を見させていただきました。幼児教育の中でも、一人一人の子供のことを理解するということはとても難しく、どこまで保育者が理解できているかというところでいったとき、幼児教育でも小学校教育でも同じ土俵につながっていくようなことってあるんだろうなと思いました。そう考えると、今の子供たちがよりよく育っていくということがどういうふうに考えられるかというのは、僕ら団体も考えなければいけないですし、公立幼稚園が担ってきたとか国立の幼稚園が担ってきたこともすごく大事だろうし、小学校の先生方にそこを理解していただくということも、より、こういう機会を通して進んでいけばいいかなというふうに思っています。やっぱり原点に戻ると、子供をどう育てていくかということを、今の社会の中でどう育てていくことが大事なのかということを、施設や組織の枠を超えて考えられたらいいのかなということを感じて、皆さんの意見を聞かせていただきました。ありがとうございました。
【無藤座長】 ありがとうございます。
それでは、そろそろ時間ですが、奈須委員、お願いします。
【奈須座長代理】 簡単にですが、今日、全連小のほうからお話しいただいたことですが、むしろ委員の皆さんが少し意外な感じを持って、そして歓迎されていたというのが、私にはとても印象的でした。
小学校畑の僕らからすれば、今日、全連小がお話しくださったことぐらいが、むしろ小学校の動き――まだまだ全体的な動きではないですけど最先端ということでもなくて、かなり共有化された動きだということだろうと思います。
ここで考えるのは、こういう異校種間の議論のときに、幼小連携とかいうと相手があるわけですが、その相手がやっていることをどのぐらいのものとしてイメージするか、これがやはりずれがちで、評価あるいは教科、あるいはICTということについて、小学校はこうですよねということを想定していろんな議論をするし、今回の文章にも書かれていると思うんですけれども、向こうがこうだろうとこちらが思っていることよりも向こうは変わっているというようなことが常々あって、少なくとももう指導要領とか中教審答申のレベルでは、多分、幼児教育の皆さんがお考えになっているよりは――理念的なレベルですよ、だから地域の小学校がそうなっているかといったらなっていないこともあると思いますけれども、理念的なとか政策的なことは実はもっと動いていて、教科に着地するということもそうですが、「教科」の意味が大分変わっているので、それが教科書とか授業でそうなっているかというと、まだまだなっていませんけれども、何を想定して議論をしたり文章を書くかというのはなかなか難しいなということを、今日の御議論を聞きながら、私は逆に小学校畑の人間として思っていました。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。
まだあろうと思うんですけれど、それぞれの団体からの、いろんな御質問が出ましたので、御回答というのをお願いしたいんですけれど、すみません、段取りが悪くて、それぞれの団体で3分または4分以内でないとちょっと不可能になりました。申し訳ありません。
じゃあ、御発表の最初の順番と同様ということで、まず、全国国公立幼稚園・こども園長会から、全ての質問に網羅的にでなくて、まとめてよろしくお願いいたします。
【全国国公立幼稚園・こども園長会】 様々な御意見ありがとうございました。最初に御質問いただいた、「遊びが教科に着地しているように」というところについてなのですが、お話にもございましたけれども、7ページのところについて記載させていただいたものです。
こちらの記載が教科に着地しているように読み取れるのですが、こちらは、「具体的な遊びに関する記述が」ということで記載させていただきました。
といいますのも、7ページにはかなり粒が小さくいろいろ具体的なことが書かれているのですけれども、例えばですが、5ページの最後のところの白丸の辺りには全体を通して遊びのことが大事だという記載はあるのですが、ここにも子供たちが豊かに遊んで学んでいくというような、少し具体的な遊びの姿があってもいいのではないかという思いをお伝えさせていただいたところです。教科に着地させるつもりでこちらが書かれているのではないということも理解はしております。
それから、遊びが保護者にも伝わっていくようにどのような取組を、ということをお話しいただきましたけれども、やはり各園でも、遊びへの理解が広がっていくように切に願う中で、何をしていくかは本当に多岐にわたると思います。やはり保護者の方に直接見ていただいたり、それから感じていただいたりする機会をどのようにつくっていくかというのが、すごく大事なのではないかと思っています。
そのために、やはり保護者と信頼関係を築く中で、こんなに楽しいことをしているとか、こんなに夢中になっているというような、わくわくする学びが子供たちの遊びの中にはたくさんあるということを生き生きと語ることのできる先生方が育っていくということも、すごく大事なのではないかとも思っています。そのための研修ですとか、日々の振り返りですとか、先ほど来から出ていますけれども、そういう時間をどうやってつくっていくかというところにもつながるのではないかというふうに思います。
以上で回答になっていますでしょうか。ありがとうございました。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは2番目、全国認定こども園連絡協議会、お願いします。
【全国認定こども園連絡協議会】 ありがとうございます。先ほど渡邉委員から御回答もあったところもあったんですけども、少し簡単に、現場感覚での発言もさせていただけたらなと思っています。
4の評価については、小学校教育との接続を考えたというところで、評価が社会的に受けられる状況になってない状況というところも先ほど述べさせていただきましたけども、ねらい達成度の評価とか、学びのプロセスとか、日々の振り返りの中で保育を行っているところではありますけども、小学校の接続において持ってくると、どうしても保幼小の連携では、「座れますか」とか「はさみで切れますか」とか、そういった形のできる・できない評価にどうしてもなりがちかなというところは感じているところであります。
委員の方からも御質問がありましたが、どちらかといえば、小学校と幼稚園・保育園・認定こども園が、どうやったらつながりやすい評価ができるのかというところを、架け橋とかでも議論していただきたいな、また、好事例も含めていただけたらなと思っているところではあります。
2点目に、大豆生田先生から御質問いただきました子供の育ちについてなんですけども、園との関わりの中でぜひやっていただきたいなというふうに思っています。
今、ただ、長時間保育というところもかなり増えてきております。その中で、育児が楽しいんだというところだったり、育児の魅力というところを保護者の方と園と地域でできれば、よりよい関係性になれるんじゃないかなというところで連絡協議会は考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは3番目、認定こども園連盟、お願いいたします。
【認定こども園連盟】 たくさんの御意見をいただきありがとうございました。当方としては、御質問は大豆生田先生のみと私は理解しておりまして、大変申し訳ございませんが、大豆生田先生の御質問にお答えしたいと思います。
ただ、私は検討委員会の皆様の中間整理を読んだときの、あくまでその文字づらをそのままに、私自身のリテラシーの範囲の中で忠実に書いたつもりでございます。検討委員会で提言された委員の先生方の問題意識の提示について、行間を読むことは全く私、用いておりませんので、今まで当初から当方に御指摘をいただいたことにつきましては、十分私も承知しているところでございます。
大豆生田先生の公開保育の在り方については、大変いい御意見をいただきましてありがとうございます。これも、公開保育について書かれたままの、私の経験知から、超過勤務とか残業の上限規制というものに対してどうするんだろうかということがあります。
これは、働き方改革がありましたときから大きく私たちの労働は変わりました。残業の上限規制が非常に厳しくなりまして、こんなことを言うと申し訳ないんですけど、まさに「働くな改革」になっているなと、私はこういうふうに思っております。
保育士の、保育教諭の労働というのは大変長いということでありますが、そのために認定こども園におきまして、特に幼保連携型認定こども園になりましたら随分、職員も増えて助かっているようでございますが、大豆生田先生のおっしゃるような、創意工夫やアイデアを持って公開保育の園内で気軽に公開し合ったり、地域で見せあったりという、いろいろな形をつくっていく、ということであれば、ぜひどこかでモデル的なものとかいろいろなパターンをお示しいただき、これも公開保育と言えますよということを示していただければ、公開保育に取り組みたいと皆さん思うことだと思います。
今までの公開保育といいますのは、残業上限規制がありませんので、大豆生田先生がおっしゃるとおり、事前準備から後の片づけまで全部して、さらに公開保育の評価・反省までをして、そこで終わるとそしてまた、評価・反省したことについて書きまとめて、またそれを参加した方に配付するという、前段から後段まで大変な作業があるということしか私は経験しておりませんので、そこのところを連盟として申し上げたつもりでございます。
以上でちょうど3分でございますので、終わります。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは、最後ですが、全国連合小学校長会からお願いいたします。
【全国連合小学校長会】 全連小でございます。様々の御意見、また御質問等ありがとうございました。なかなか難しい御質問もあって、全て上手に答えられるか分かりませんけれども、全連小として、また場合によっては一校長として、率直に今考えていることをお話しさせていただきます。
まず、コロナ禍に関わるところでございますけれども、コロナの3年間は大変厳しくて、途切れたことも多々あります。今その再開の状況ということですけれども、新たな連携の姿を再構築しているというのが小学校の現状でございます。したがって時間がかかると。3年間のコロナ禍ですので、まだ5年度6年度ですので、これからかなと思います。
その理由として、現実の話なんですけれども、やっぱり教員とか保育者の経験不足というのは大きなところがあります。特に新規採用教員、若手は、大学時代にオンラインでしか講義を受けていないというのがたくさん入ってきています。そういった中で、どういうふうにしていくかというのが今、課題です。
ただ、実際に交流をしたり、または教員同士が参集することによって、これはすばらしいということを実感しているのが現実ですので、それを大事にしたいと思います。
次に、幼児教育と小学校教育を連携させることが重要であり、架け橋プログラムを実践していくというお話ですが、そのとおりだと思います。ぜひ、積極的に進めていきたいと思います。
続きまして、持続可能な幼小連携、どうしたらいいかということで、なかなか根本的な問いだと思いますので、今考えていることだけお話をします。
小学校現場の生の声としては、もう教育課題が多様化、複雑化しています。例えば不登校。小学校10万人、中学校20万人、合わせて30万人という現実に直面している中で、本当に現場は大変です。
その中で、例えば幼小連携または小中連携をすると、そういった教育課題の解決へつながるんだということがはっきりすると、持続可能になるのではないかと私は考えます。
大変だけれども、子供たちのためにこんないいことがあるんだということの必要感であるとか、教員にとって、または子供たち・保護者にとっての成就感、そういったことの実感が鍵ではないかと考えます。
併せて、もう一方のアイデアということですけれども、なかなかこれは難しいと思うんですが、やっぱりトップダウンとボトムアップを使い分けながら、教育委員会等々とも連携しながら、学校現場としてやっていきたいなというふうに思っております。
最後に評価についてですが、なかなか難しいと思うんですが、そもそも何のための評価なのかと考えたときに、子供にとっては次への意欲につながるように、教師にとっては指導と評価の一体化の視点から授業改善につながるように、というふうに考えています。
したがって、幼児教育においても小学校教育においても、やはり子供たちのよさを認める、もう少し言えば伸びを認めるということを大事にしたいなというふうに考えております。
ちょっと十分なお答えにならなかったと思いますが、以上でございます。本日は誠にありがとうございました。
【無藤座長】 ありがとうございました。
本日、議題が3つございますけれど、その1が団体ヒアリング、2が意見交換ということで、ほぼ時間でございますので、本日はこの辺りにさせていただきたいと思います。
本日、関係団体の皆様からたくさんの意見を頂戴し、また、委員の方々からも意見をたくさん出していただきましたので、引き続き、それらを考慮しながら、本有識者検討会での議論を深めていきたいというふうに考えてございます。
また、いつものお願いでございますけれど、ここで十分御発言できなかったものについては、メールなどで事務局までお寄せください。
そして、残り10分ほどで短くなりましたけれど、最後のその他の議題がございます。
本日、その他の議題として用意されているのは、文部科学省側からの報告であります。お聞きいただきたいという意味ですけれど、現在文部科学省において検討している、幼稚園設置基準の見直しの検討状況について、この場で説明していただきたいと思います。
これは恐らく、我々がこのこと自体を議論するという意味ではないのですけれど、今後の教育課程の検討等に何らかの影響を持つと考えたので、説明をお願いしました。よろしくお願いいたします。
【佐藤課長補佐】 どうもありがとうございます。文部科学省幼児教育課の佐藤でございます。本日はお時間いただきましてどうもありがとうございます。幼稚園施設基準の見直しについて御説明をさせていただきます。
幼稚園設置基準では、1学級の幼児数や教職員の配置、施設や設備の整備に関し、当面必要な最低限の水準を定めております。
その中で、現在、1学級の幼児数は原則として35人以下と定められておりまして、平成7年に原則40人以下から35人以下へと引き下げられて以降、見直しをされておりません。
一方で、現在、幼稚園における学級規模は徐々に縮小してきておりまして、令和5年5月1日時点では、幼稚園における1学級の幼児数が30人以下の割合は94%というふうになっております。
また、保育所等を含む児童福祉施設における職員配置基準の最低基準が引き下げられたほか、公立小学校においても全学年の学級規模を35人以下とするように、この数年の間で、幼稚園を取り巻く教育施設における学級編成や職員配置に関する基準の改善が図られているところです。
また、実際に幼児教育の内容の面に関しましても、外国にルーツのあるお子さんですとか、障害を持つお子様など、特別な配慮を要する幼児の増加など、より一層、子供一人一人の置かれた状況や発達の特性等に応じ、行き届いた教育を推進するため必要な環境の整備を行うことが求められております。
このようなことから、現在の学級編成の基準につきまして、現在の35人から原則30人以下とする改正を検討することとしたいというふうに考えております。
なお、幼稚園設置基準において、学級数を基礎として教職員数や施設面積などを定めているところ、学級編成基準の引下げにより学級数が増加するということに伴いまして、教職員数の増加や施設面積の増加、保育室の増加などが必要となる園も存在する可能性があるところ、令和6年7月、先月に調査を行いましたところ、こうした影響のあると見込まれる園は、速報値になりますけれども約4%というふうになっております。
このような調査の結果も踏まえ、幼稚園設置基準の見直しについて、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
【無藤座長】 ありがとうございました。
この見直し自体、文部科学省として進められると聞いております。そして、最後にあるように、影響を受けるところは多少あるそうなので、それについても文部科学省としてどう対応するかの検討をされるということだと理解しております。
私は加える必要はないんですけれど、一言だけ言えば、この基準というのは学級編成の上限を示しますので、つまり30人までというのは、小学校も同じですけど、現実の平均としては十数名とか二十数名のあたりが増えていくだろうということです。30人ぴったりのがたくさんできるはずはないという意味で御理解ください。
御質問あれば受けられるんですけれど、いかがでしょうか。
秋田委員、どうぞ。
【秋田座長代理】 質問ではなく意見でございます。このような形で前向きに引下げをされるということは本当に望ましいこと、質の向上という点でも、また実際の影響も見てくださっているというところは大変すばらしいことだと思います。
しかしながら、御存じのように、こども家庭庁のほうで配置基準の定数の引下げが75年ぶりに行われております。それに対して幼稚園の場合は、3・4・5歳、満3歳・3歳・4歳・5歳が同じ数になっているわけです。
今回の引き下げはすばらしい検討だと思いますが、中長期的にはさらに、施設類型にかかわらず、今までは幼稚園と保育園での時間の違いというようなこともあったと思うんですけれど、今後の在り方としてはその辺りも、次の一歩としてはどこかで考慮して、より一層の、特に満3歳・3歳の、実質のクラス人数は違うとしても、引下げを考えていただけるとありがたいのではないかと思います。
これも、子ども子育て支援制度に入っている幼稚園の場合には、それに関連した手当が出ると思うんですけれど、私学助成の園の場合にはそうならないというようなことも起こり得ます。ですので、ぜひ、この辺りも今後考えていただきたいと思いまして、1点だけ意見を言わせていただきました。
以上です。
【無藤座長】 また余計なことを言いますけど、国の法令的な基準では、幼稚園の場合には5歳・4歳・3歳のそれぞれにおいて今後は30人以下になりそうであるということで、要するに、4・5歳に対して3歳を減らしたりはしていないわけです。その辺が、こども家庭庁というのは保育所等ですけれども、齟齬が生まれているという御指摘です。
ただ、現実問題として、例えばいろいろな、特に私立幼稚園などは自園努力だと思うんですけど、3歳の実人数を4・5歳に対してかなり減らしているというところが非常に多いと思います。それなりにそこに補助を出している自治体もなくはないですが、国基準としては一緒だという問題を御指摘いただいたということが1つ。
それから、学校教育法上、満3歳からの幼稚園就園が可能なので、部分的にはそれをされておりますけれども、そこら辺の満3歳の学級編成の在り方や、そこでの定数の問題はしっかりと確立されてはいないので、その辺が、ということが秋田委員の御指摘かと理解いたしました。ありがとうございました。
さて、それでは時間が近づきましたので、本日として、ここまでにさせていただきたいと思います。
先ほど申し上げたように、発言時間が常に短くて、この場で御発言いただけないことが多々あろうと思いますので、それはメールによって事務局までお寄せください。
特に9月は報告のまとめになる予定というか、そうしたいという希望といいますか、でありますので、ぜひよろしくお願いいたします。
最後に、事務局より連絡事項がございます。
【横田幼児教育企画官】 次回の検討会は、資料6のとおり、9月20日金曜日の13時半から15時半を予定しております。委員の皆様におかれましては、引き続き御協力のほどよろしくお願いします。
本日は、関係団体の皆様、ありがとうございます。
【無藤座長】 ありがとうございました。
9月20日に報告書の最終版になるかどうかは分からないんですけど、各種調整をしていきますけれど、できる限りそれに近づけていく。予定としては10月も可能ですので、そちらにずれ込むかもしれません。ちょっと分からないところがありますが、よろしくお願いいたします。
それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――