今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会 (第10回)議事録

1.日時

令和6年8月9日(水曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省 WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式(傍聴はYouTube Live上のみ)

3.議題

  1. 団体ヒアリング
  2. 意見交換

4.議事録

【無藤座長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会(第10回)を開きたいと思います。
 本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の会議の資料などにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  本会議は、ウェブ会議と対面による会議を組み合わせたハイブリッド方式にて開催をさせていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をお掛けすることもあるかと存じますが、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、傍聴の御希望をいただいた報道関係者と一般の方向けに本検討会の模様をYouTube Liveにて配信をしております。加えて、報道関係者の方々から撮影及び録音の申出を頂戴しており、これを許可しておりますので、あらかじめ御承知おきください。
 本日の会議資料については、議事次第にございますとおり、資料1から6と、参考資料1から3となっております。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】  それでは早速、議題1に入りたいと思います。本日ですけれども、本有識者検討会において取りまとめた参考資料1の中間整理について、五つの団体から御意見を頂戴するということでありますが、全日本私立幼稚園連合会、全国保育協議会、日本保育協会、全国私立保育連盟、全国認定こども園協会の皆様より御意見を頂戴したいと思います。まず、関係団体の皆様より中間整理に関する御意見をいただいた後に、委員の皆様からの御質問、意見交換の時間を設けたいと思います。関係団体の皆様には、大変短い時間で恐縮でございますけれども、それぞれに5分程度ということで御意見の発表をよろしくお願いいたします。
 それでは、先ほど申し上げた順番ですけれども、まず、全日本私立幼稚園連合会様より御発表をお願いいたします。
【全日本私立幼稚園連合会】  全日本私立幼稚園連合会常任理事の加藤篤彦です。今回はこの機会をいただきまして、誠にありがとうございます。4点申し上げます。
 1点目は、「はじめに」のところですけれども、この中間整理においては、幼児教育の重要性あるいは質の向上ということが一番大事なところなので、その点をすっきりと述べていただければありがたいという願いでございます。
 2点目です。共生社会を目指すための学校教育ということについては、一つの大きなテーマになり得るものと思っております。最初に、第1章、3、幼児教育の基本の四つ目の丸のところに、「一人一人の特性や発達の課題等に応じて」という記述がございます。全くそれはもうそのとおりでありますけれども、共生社会を目指していくためには、2)のところ、幼児が友達との関わりの中で、他者への思いやりを深め、多様な幼児の特性を自然に受け止めて、幼児同士のウェルビーイングにつながるような幼児教育を目指すというような、これはこの中間整理にある文言をいろいろ加えて作った部分でございますけれども、当該の幼児への個別の配慮のみならず、その周りにいる子供たちが多様な個性を受け止められるような教育というものを目指すことが共生社会につながっていくものと思いますので、それを構造的に最初に頭出しがあって段々に具体になっていくわけですけれど、頭の部分でも位置付けをお願いできればと考えております。
 3)、近年、配慮が必要なお子さんは大変増加してございます。今まではクラスの中に数名の子供に対して特別に支援をするというような意識がありましたけれど、今や多様な子供たちが共に暮らしているという状態です。そういった意味では、個別の合理的配慮のみならず、園の教職員の連携を含めた基礎的環境整備の充実、園の全体での環境調整ということが、これは第2章の(2)にも書いてあるんですけれども、それをより強化して、詳しくお伝えいただければありがたいと思います。この基礎的環境整備が分厚くなれば、個別の配慮の量は減っていくはずなので、そのような意識付けということが大事だと思っております。
 3番目、幼稚園の入園前と卒園後の小学校教育との接続についてですけれども、今、幼児教育、いわゆる幼稚園が担当している満3歳から卒園までのところ、その手前の学齢の2歳あるいは満2歳というお子様との関わりも増えてきているところです。この幼児教育との関わりについて、調査研究をお進めいただけるとありがたいと思います。また、幼児教育センターの設置やアドバイザーの任命が進んでいるところでありますけれども、当然、進行している基礎自治体の中でうまくいっているところは多様な幼児教育施設との連携が図られているわけで、そういった意味で、地域において幼児教育の質向上を進めるに当たっては、私立幼稚園等も参画できるように配慮するというところは強く打ち出していただければと思います。また、地方自治体において、事務担当の分掌としては持っていらっしゃるんだけれども、教育という視点で貫くという部署がなかなか安定してございません。そのようなところを明確にお示しいただければと思います。また、架け橋プログラムの一層の推進を願うところです。
 4番目、学校評価との関係についてです。1)ですけれども、現行の教育要領にも学校評価という連携が書いてございます。実施率も徐々に上昇していると聞いておりますけれども、一方で、今の教育要領にも位置付いている社会に開かれた教育課程とかカリキュラムマネジメントと学校評価は、往還した連携した仕組みになっているはずです。ところが、まだその理解が十分得られていないところから、評価自体が目的化してしまう、あるいは質の向上に伴わない評価が行われているケースが散見されています。幼児教育の質の向上のために学校評価があるので、その在り方をきちんと更に位置付けていただければありがたく存じます。
 また、幼児教育センターやアドバイザーが急激な人口減少によってなかなか確保しにくいという表記もございましたけれども、それを補完する一つのシステムとしてオンデマンド研修というものがあります。オンデマンド研修というと、教職員支援機構でのオンデマンド研修が行われているということはもちろん承知しておりますけれども、どちらかというとメインは義務教育であって、また、このうち、私たちの現場では処遇改善加算2というものがあって、それと支援機構の研修は連動していない、あるいはそういう証明が出ないという状況にございます。
 今、私ども全日本私立幼稚園幼児教育研究機構でも、文部科学省からの委託研究をいただいた成果を基にしたオンデマンド研修を配信してございまして、それは基礎自治体の処遇改善加算にも対応したものであります。このように、公益の民間の組織との連携、これは教育要領の改訂と直接的にはつながりませんけれど、いろいろなリソースを使っていくということは大事な考え方ではないかと思っております。その中で研修を、きちんと学んだことを履歴として残していくということが、学校評価についてもいろいろな考え方がある中で、ちゃんと学んでいるということが見える化されて実績として残るという研修履歴というものは非常に重要な分かりやすい指標とも思っております。今後学校評価などの際には、研修量が十分に確保されているかどうかということも大事な観点かと思います。
 それから、3)ですけれども、処遇改善加算2というのは60時間がリミットになっていて、それで給付は上限を迎えることになります。しかし、幼児教育というものは学び続けるということが大事なことであって、60時間で終わっていい話ではありません。なので、どうぞ、研修履歴の蓄積はどんどん増やしていくということが大事なので、そのような観点からも、研修履歴のこと、あるいは処遇改善加算2が終わった後も学び続けるということが大事だということは、この中間整理の中でも大事に取り扱っていただければありがたく思います。
 最後に、4)のところで、私どもの財団法人では、ECEQという公開保育を利用した幼児教育質向上のシステムを持ってございます。あるいは、そのためのコーディネーターも養成していますので、そういったことも連携ができればと思っております。別の資料になりますけれども、公益法人の改定がこの後行われる中で、新しい資本主義主義が目指す、民間も公的役割を担う社会の実現というものも掲げられているところです。そういう中で、文部科学省とそれぞれの幼児教育団体との連携もこれからまた推進できればと思っております。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは次に、全国保育協議会よりお願いいたします。
【全国保育協議会】  御案内いただきました、全国保育協議会常任協議員、そして、全国保育士会副会長の北野久美と申します。今回はこのようなヒアリングの機会をいただきまして、本当にありがとうございました。全体的にも、本当にどの項目も込められた思いとか、言葉の整理がすばらしいと思いつつ、しかし、現場からの意見として、養護と教育が一体となった保育という観点から少し意見を申し上げさせていただきます。ただ、私は初めに示された中間整理への意見でしたので、もしかしたらページ数や言葉が若干違っているかもしれません。お許しください。
 全体に対する意見でございますけれども、本整理においては、幼児期というのが想定されていて、表記にも「幼児期」という言葉が多く使われております。しかし、「はじめに」のところにも記載されているように、やはり乳幼児期における育ちや経験が重要ということで、是非、「幼児期」という表記を「乳幼児期」という視点で御検討いただけたらありがたいと思います。
 また、17ページ、二つ目の項目に「なお、保護者の育児に」と記載されているんですけれども、長時間保育や幼児教育のみに子供の成長を求めるのではなくて、やはり家庭や地域社会と支え合って子供の成長につなげていくという視点が重要であることから、この書きぶりも少し整理が必要なのかなとも思いましたし、全国一律の保育というものを求めるのではなく、やはり地域によって様々な文化、風習その他があることを前提に、その様々な文化、風習といったことも考慮いただきたいところでございます。
 3ページ目、二つ目の項目に「恵まれない境遇にある子供」とありますけれども、これは決して貧困というような金銭的な問題だけではなくて、様々な要因、家庭環境とか保護者の抱える課題、とりわけ保護者が抱える課題というもの、それから、地域性というものがありますので、必ずしも子供たちが安心して、また、集中して質の高い保育・教育を受けられない状況にあるということも御留意いただけたらと思います。
 4ページ目、二つ目の項目、生活に必要な能力や態度などの獲得についてのところでございますが、自発的・能動的に環境に関わりながら身に付けていくものとされております。保育者がその環境をいかに構築していくかが重要であるという視点を含んでいただくとともに、生活に必要な能力や態度というものが何を示すのかというものをもしかしたら具体的に示す必要があるのかもしれないと思いました。
 8ページ目、最後の項目でございます。自発的な活動としての遊びについての部分です。文字や数量を機械的に暗記させることや、一人一人の思いを置き去りにした一方的な指導等についての懸念点が記載されています。これは本当にとても大事なことで、子供たちは豊かな遊びを通して成長するものだと思っております。教育・保育施設は3要領・指針に基づいて教育・保育を行っておりますが、次の改訂においては是非、社会情勢、環境の変化を踏まえながら、乳幼児期の育ちを重視したものとして、それを中心課題として捉えていただきたいと思います。
 10ページ目、二つ目の項目でございます。幼児期において育みたい資質・能力についてのところ、保育所、認定こども園では、養護と教育が一体となった保育を重要視して行っております。保育における教育は、知識を伝える、教えるということだけではなく、環境を通して一人一人の子供の興味・関心を引き出すこと、この内容にもこれがかなり含まれてはいるんですけれども、「幼児教育施設において、小学校以降の生活や学習につながる資質・能力を育むことが求められている」というところで、小学校の準備期間と捉えられてしまうのではないかという懸念がございます。決して就学前保育、就学前教育は小学校の準備期ではなく、生涯にわたっての人間形成の基礎を培うものとして私たちは捉えておりますし、この中間整理案の中にも随所にこの言葉がちりばめられております。しかし、「小学校以降の」という部分が強調されますと、小学校の準備期間と受け止められるのではないかという危惧もございますので、幼稚園を含む就学前の子供の育ちに対する基本的な考え方として含めていただきたいところでございます。
 10ページ、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿について、「5歳児後半に見られるようになる資質・能力が育まれている幼児の具体的な姿として、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」」というふうにあります。しかし、これが5歳児後半に自然に見られるものではなくて、入所当初から、あるいはもう0歳児の育ちのところから始まっているものと捉えておりますので、ここもまた前項目と同じですけれども、5歳児後半とか、小学校以降という言葉が、もしかしたら5歳児のみの姿に捉えられてしまう可能性もあると思いますので、0歳児から保育者が意識して関わって育んでいるものということを念頭に記載に留意していただけたらと思いました。
 12ページ、幼児教育施設におけるICTの活用のところでございます。これは私が申し上げることではないとは思うんですけれども、活用方法について表記する、これはとても大事なことだと思っておりますが、低年齢児に対する弊害、リスク、これもかなりあるということも併せて提起すべきではないかなと思っています。内斜視の危険性とかそういったことも含めて書いておくべきではないかなと思いました。
 12ページ、特別の配慮を必要とする幼児への指導についてでございます。ここで一言で外国籍とくくられてあるんですけれども、日本語のコミュニケーションが可能な外国籍の御家族もいれば、そうでない御家族もいらっしゃいます。配慮が必要なことが記載されていますけれども、外国籍というひとくくりで書かれてしまうことには留意が必要なのではないかなと思いました。
 そして、新しく送られてきた中間案の中で、私、最初には、先生という言葉に対して、これは先生ではなく違う表現がいいのではないかと申し上げたんですけれども、新しく送られてきたものの中には、保育士、幼稚園教諭、保育教諭という言葉が使われておりました。これは素朴な疑問なんです。ここで教えていただきたいんですけれども、保育士は資格です。幼稚園教諭は免許です。しかし、保育教諭は立場の名前なので、これが併記されるというのは何か意図があるのか、あるいは何かお考えがあるのか、本当にこれは素朴な疑問でございます。教えていただけたらいいなと思いました。
 以上でございます。
【無藤座長】  基本的に今日は皆様方団体の御発言のヒアリングですので、お聞きして、我々が考えるという立場で臨んでおりますけれど、今の最後の点は割と明確なことので私の方でお答えすると、基本的には、幼稚園で働く幼児教育に関わる人は幼稚園教諭と呼んで、かつ幼稚園教育要領でもそのような表記を基本的にはしております。それから、保育所においては保育士が、保育所保育を専門的に携わる人として、やはりこれも保育士として明記されています。そして、認定こども園においては、保育教諭という言い方で、認定こども園における教育・保育を担う専門的な役を担う人として保育教諭という言い方を採用しております。
 要するに、それぞれの施設において働く職名として三つを併記しているんですけれども、幼稚園の場合には幼稚園教諭という職名は同時に免許名である。それから、保育士の場合は、そこで働く職名と同時に資格名である。保育教諭については職名と免許資格が二重になっている。こういうふうに法令的には理解されるんだと思います。すみません、余計なことを申し上げました。
【全国保育協議会】  ありがとうございました。
【無藤座長】  それでは、次ですけれど、日本保育協会よりお願いいたします。
【日本保育協会】  日本保育協会保育問題検討委員会委員、髙木麻里と申します。このたびはこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。それでは、私から意見を述べさせていただきます。
 まず初めに、2ページに記載されている3要領・指針をよりよく実現していくための対応として、3要領・指針を一本化することが大変重要であると考えています。子供の幼児期に育ってほしい姿というのは、どの幼稚園であれ、こども園であれ、保育所であれ共通するものであり、また、未来の保育者となる養成校の学生の学びの観点からも一本化が望ましいと考えて申し上げさせていただきます。
 続いて、7ページの第2章(2)に示されているような、自発的な活動としての遊びについてですが、こちら、昨日頂いた本日の資料は大変丁寧にまとめていただいておりましたので、内容としては私の意見で出させていただいたものは割愛させていただきます。ただ、乳幼児期に、幼児期としての自発的な活動としての遊びについて、教育として重要であることを国民全体に周知していただくことが、早期教育を期待するような保護者の考え方を変えていくことであり、今後の幼児教育の推進となっていくと考えています。これらを踏まえて、乳幼児期の教育の用語についてですが、「教育」は教え育つという観点が強いことから、乳幼児期の教育は保育であるということをまた周知していただき、幼児期に求められていることは保育ともなりますので、「保育」という用語に統一する御検討もいただけたらと思っています。
 続きます。15ページの幼稚園におけるいわゆる預かり保育の教育活動という点においても、先ほど申し上げたように保育と教育という言葉が混在しています。困惑につながる要因になってしまっているのではないかと感じています。関連しまして、19ページの「環境を通して行う教育」という使い方も、乳幼児期を通して捉える場合で考えて、環境を通した学びの機会とした方が適切ではないかと考えています。
 1ページ戻りますが、14ページの障害のある幼児への指導に関する情報がいまだ十分でないという点についてですが、子供と日々接している保育者が最も対応を理解していると考えます。その保育者の努力と工夫に研修という形が多く設けられていますが、研修だけではやはり目の前にいる子供に対応するということが難しいこともありますので、助言を受けられる体制をもっと広げていただくことを強く望みます。
 17ページからの小学校との接続に関する架け橋プログラムについて、本年度からは公定価格上、加算扱いとされている中、その進展は自治体においての格差が激しく、全国的に早急に解消する取組を行っていただきたいと考えます。架け橋期のカリキュラムの策定に関しては、自治体ばかりではなく、接続先の小学校あるいは地域においての違いが出ていることも、その格差の要因と考えます。25ページには、幼保小の架け橋プログラムの推進には教育委員会が中心となりと示されていますが、教育委員会の指導主事が小中学校の教員等で組織されることから、教育委員会の人員については幼児教育施設の関係者も関わることを御考慮いただきたいです。
 またちょっと戻らせていただきます。22ページからの幼児教育アドバイザー等についてお話しさせていただきます。こども家庭庁のこども家庭ソーシャルワーカーと、社会福祉を含む幅広い専門性を有する者がその担い手となれるよう、また、その反対に幼児教育アドバイザーが、幼児教育の専門性を有する者がこども家庭ソーシャルワーカーの担い手としても、互いの知識を合わせた形で幼児教育施設のサポートを総合的に行えることが望ましいと考えています。保育所由来の認定こども園での幼児教育と、幼稚園由来の認定こども園の幼児教育、これらが研修等も含めて一体的であるとはなかなか感じられず、認定こども園となっても名称は保育所あるいは幼稚園が残っている施設があることを踏まえて、社会に困惑を招いているのでないかと考えます。これらを鑑みて認定こども園は、現制度から幼保連携型に一本化することも御検討いただけたらと思っています。
 最後に、幼児教育についての「指導」の表記については、教え導くという直接的な表記ではなく、子供の主体性を尊重する要素がある場合は「援助」という表記に御検討いただくこともお願いできればと思います。
 駆け足になりましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは、次です。全国私立保育連盟よりお願いいたします。
【全国私立保育連盟】  全国私立保育連盟常務理事の丸山と申します。本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。頂きました中間報告に基づいて、私たちの意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、0歳からの学びと幼児教育の捉え方でございます。「はじめに」において、0歳から18歳の子供の発達や学びが連続していることを踏まえる必要があると記載されているにもかかわらず、3ページ以降には「幼児教育」と記載されております。そこに若干の違和感をまた感じております。そして、そこに記されている内容ですけれども、3歳以降の子供を想定していると思われる内容でございます。0歳から学びが始まり、そこから連続性を持って学びが続くならば、ここは是非、「乳幼児教育」とするべきではないかと思います。また、その内容も、0歳からの学びをしっかりと視点として持っていただきたいと、そのように考えております。
 次に、質の高い教育・保育を担保するためにでございます。5ページに、「幼児一人一人の思いや気持ちを受け止めることを通して」といろいろと書かれております。また、その後の段には、「同年齢であっても個人の発達差が著しいほか、家庭環境」云々と記載が続いております。御指摘のように、質の高い教育・保育を担保するためには、より丁寧な関わりが求められております。その一方で、職員配置基準はOECD各国と比して低い水準にとどまっております。これは様々なところで要望されているところでございますけれども、より、質の高い教育を行うためには、配置基準の改善というのが必要であろうと思います。そのために改善を求めたいと思います。
 そして次に、幼児教育施設におけるICTの活用についてでございます。実際に各保育現場、教育現場におきましては、ICTを活用した様々な記録の統合とか、保護者への保育の内容の発表とか、そういったものが日々行われております。一方で、導入時には補助金の設定がありましたけれども、機器の更新や日々の運用には補助金もなく、また、公定価格にもそこは反映されておりません。これを文部科学省にお伝えするのは筋は違うとは思いますけれども、持続可能なICTの活用を行うためにも公定価格への反映を是非お願いしたいと思います。
 次に、13ページにあります、幼稚園における預かり保育についてです。現在、多くの私立の幼稚園において、夕方、夏季・冬季の長期休園期間に預かり保育を実施しておりますけれども、では、その行われている内容はどうかといいますと、外部講師による有料の英語教室や運動教室、また、絵画教室などが行われているものも散見されます。このことによって、講師料を支払うことができない保護者のいわゆる逆選択のようなものが発生しているのではないかと感じております。そして、中間報告の中にも、就学前の過剰な教育活動について警鐘が鳴らされておりますけれども、これらのことが就学前の過剰な教育活動を一方であおってしまっているようなことはないのかなと感じております。家庭の経済状況に頼らない預かり保育の実施をお願いしたいと思っております。
 次に、幼児教育と小学校教育との円滑な接続についてです。もしかしたら、これは地域間の格差が一番出ているところかもしれません。子供たちがギャップを感じることなく小学校へ通うためには、小学校教育の大胆な変革というものが望まれるのではないかと思っております。前回の指針の改訂以降、保育現場では、一方的に大人が保育を進めるのではなく、子供たちと話合いや、子供たちの気持ちをくみながら様々なことを決定していくと、そのような方法に保育を変えていっております。では、小学校ではどうなのというところも感じます。是非、大胆な変革を全国様々な場所で行えるようにしていただきたいと思います。
 また、近年、公立の就学前施設の統廃合・民営化によって民間園が増加する中で、公立教員等によって組織されがちな教育委員会が、民間施設との連携に非常に不慣れでありまして、福祉部局との連携も進まずに混乱しているという場面も見られます。文科省として、教育委員への民間就学前施設の代表者を推奨するなど、大胆な連携強化策を打ち出していただきたいと思います。
 次に、地方自治体における幼児教育担当部局の在り方についてでございます。これは教育委員会における一元的な所管が述べられているわけですけれども、教育委員会では福祉的な視点が十分ではないと私どもは感じております。なので、福祉・保健の窓口として多様化した妊産婦・子供と家庭への問題への対応を求められている中では、教育委員会が一元的に所管するのではなく、様々な機関が関わることが必要ではないかと、そのように考えます。
 最後です。EBPMの推進ということで、まさにこれは望むところでございます。そこに連動した予算措置、また、教員の配置等が子供たちのために必要だと思いますので、是非お願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは次に、最後ですけれども、全国認定こども園協会よりお願いいたします。
【全国認定こども園協会】  では、特定非営利活動法人全国認定こども園協会の代表理事の王寺直子でございます。本日はこのような検討会の場で発言させていただくこと、本当にありがとうございます。発言時間は5分ということでございますので、手短に発言させていただきます。
 また、今回の中間整理に対する意見書という形で資料を提出しておりますので、御確認いただければと思います。意見書には1から7までの項目で意見を上げさせていただいておりますが、発言ではまとめて、かいつまんで発言させていただきます。
 では、まずもって、文科省において今後の幼児教育について検討会が立ち上がり、すばらしい先生方が委員となっておられる検討会が開催されていることに大きな期待を持っております。この検討内容が具体的にどのような施策に生かされていくものかも含めて、期待しているところです。また併せて、この国に育つ全ての子供の最善の利益となるために、引き続き議論を深めていただきたくお願い申し上げます。
 それでは、今回意見書に記した内容を総じて申し上げれば、まず、文章内にもあるように、0歳から18歳までの子供の発達や学びが連続していることを踏まえれば、施設種別や類型に子供たちが区分されることなく、また、大変失礼な言い方かもしれませんけれども、各省庁の所管や縦割り行政、また、プライドにより子供たちが振り回されることなく、子供が権利の主体であることを前提に、この国の全ての子供を主体とした、こども基本法に言う「こども」が主語となる、子供真ん中の取組になることが大変重要であると考えます。現状ではこの国では、生まれた子供が18歳になるまでの間には様々なはざまが存在している現状です。それをそのままにせず、0歳から18歳までを広く捉えて、福祉面、教育面の両面から一貫的に支え、育む必要があると考えております。そのためには、所管省庁、部局の枠を超え、全ての子供の育ちを中心とした議論がなされ、推進されていることを心から願っております。
 特に幼保小の架け橋プログラムにおいては、全ての5歳児クラスを持つ全ての保育施設がこのプログラムに関わる必要があり、そのためには、施設・小学校はもとより、教育委員会を含む地方自治体における子供に関わる部署全体で取り組んでいただかなくては実現しません。もっと言えば、このプログラムを全国的に展開するとすれば、省庁の枠を超え、国全体で強く推進される必要があります。どうか施設・小学校の当事者だけではなく、全体で関わっていただけるよう推進していただきたくお願い申し上げます。
 最後に、意見書に記載していました5及び6の3要領・指針の一本化、また、保育や幼児教育の法的に持つ意味の統一については、以前何度も無藤先生も議論されたように、法律的には大変難しい問題があるということは承知の上で記載させていただいております。しかし、日本の子供たちを一貫して育むためにも、3要領・指針を一本化し、ナショナルカリキュラムとして据えるべきであります。保育や幼児教育の法的に持つ意味の統一も併せて進めていただきたくお願い申し上げます。どうか今後も子供からの目線で全ての子供の視点で御検討いただきたくお願い申し上げます。
 私からは以上でございます。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは、ただいま五つの団体代表の方から様々な視点からの意見をいただきまして、ありがとうございました。それでは、五つの関係団体からいただいた意見を踏まえて、残り75分ぐらいですが、委員の方々と共に議論、また、質疑応答をしたいと考えております。そして、委員の皆様方につきましては、関係団体の皆様への御質問、また、更にお伺いしたいことをお出しいただくとともに、御発表を踏まえての委員としての御意見も頂戴できればと思います。
 なお、できる限り多くの皆様から御意見をいただくために、委員の皆様からは1回当たりで3分程度という短い時間ですけれども、御発言をよろしくお願いいたします。そして、やり方はいつものとおりなんですけれども、対面で御出席の委員の皆様も含めて、発言を希望される方は「挙手ボタン」を押してください。そして、御発表後に、さらに「挙手ボタン」を押せば消えるようになってございます。こちらとしては、順次「手を挙げる」ボタンを押していただいた方に御発言をいただきますけれども、また、事務局の方でその順番など気付いたところで教えていってください。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、どなたからでも結構ですけれども、御発言をお願いしたいと思います。特定の団体への質問でも、あるいはそこに出た意見でも、あるいは全体的なことでも何でも構わないわけですが、そして各団体からは、一つ一つというよりは、全体まとめて後で御発言いただけるようにお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
【渡邉委員】  ここで聞くことがいいかどうかは分からないながら、あえて五つの団体の方に話をさせていただきます。
 三つの要領・指針を一緒にしようというのは、僕はすごく重要だと思ってはいるんです。ただ、私個人は、ゆうゆうのもりを保育園と幼稚園別々で設立して認定こども園になって、それから、港北幼稚園は幼稚園のままで運営を行っています。幼児教育と保育をどの一緒にしていくかという話は、団体とか行政とかが本当に一つにしていくのかというのを真剣に考えないとできないと思っています。小学校との架け橋の接続の中では教育という観点が重視され、小学校の先生たちとはどういうふうに子供を育てるかという話なんですけれども、そこだけでなく、もっと本当に根本的な話をしないとこの議論はやっぱり進まないかなというのを一番自分の中では感じております。
 保育士とか幼稚園教諭とか保育教諭とか、認定こども園をやってきながら、言葉の使い方が違うとか、園児とか子供とかという表記の仕方も違うとか、様々なところに違いがあります。もう一方で、保育というと、子供を預けたいという親たちからは預かってもらえればいいという考え方もある。三つの要領・指針では、子供たちを育てなければいけないことは確かですが、例えばこの夏の暑いときに、こども家庭庁も含めていろいろなところから、熱中症アラートが出たら外で遊んでいては駄目だと言うんですけれども、いやいや、夏の暑い中でも子供を育てなければいけない現実がある。
 そう考えると、子供たちがのびのび遊べるためにどうしたらいいのとかというのを、子供の実態に即して真剣に考えないと、要領・指針では子供をこういうふうに育てなさいと言うけれども、本当にそれを育てるために今後どのような幼児教育・保育か求められるのかを、現場の人間もそうですし、行政もそうですし、国もそうなのかもしれません、みんなで議論していく必要があります。子供のことを真ん中に幼児教育・保育を考えていくというときに、一本化って本当にできると思っておられるのかどうかをお聞きしたい答えづらいかもしれないけれども、僕からすると、やっぱりこの議論を避けては通れないかなと思ってはいるので、皆さん方の率直な御意見を聞かせていただけたらありがたいというのが私からの質問です。
【無藤座長】  今のことも含めて後でまとめて適宜お願いししますけれども、私、座長として発言をどこまでするか迷いつつ発言するんですけれど、3要領・指針を一本化するとか統合するという議論とか方向を出すのは、本有識者検討会に委ねられた議題の範囲がありますが、それをかなり超える気がしているんです、正直に言って。ですから、これまでそこに触れた委員がもしかしたらいたもしれませんけれども、大きく取り上げてはいないわけですね。
 この有識者検討会は、基本的にはこれまでの3要領・指針の在り方とか、それが現場にとってどうであるか、また、当然それに伴っての様々な施策があるわけですけれど、それの現状とか有効性とか、それをどう手直ししていくことが必要かの議論をしているわけなんですね。ですから、多分3要領・指針を統合化するというのは、それぞれ根拠法がありますので、法令改正が必要だと思うんですけれども、そうすると、この規模の会議ではちょっと手に余る。だから、別に発言していただいていいんですけれども、特にヒアリングでいらっしゃる皆さんに発言していただいて、それを制約する気はありませんけれども、それをこの検討会で取り上げてこの報告に入れるのは厳しいなというのが、申し訳ありませんが、正直なところでございます。でも、議論は自由にやりましょう。
 では次に、若山委員、お願いします。
【若山委員】  よろしくお願いいたします。若山です。今回ヒアリングの機会で、毎日子供たちや保護者、そして地域の様々な方々と関わっておられる先生方の御意見を聞かせていただいて、本当に学ぶことがあると改めて感じました。貴重な御意見ありがとうございました。まず、ちょっと私が不勉強なもので教えていただきたいなという点を2点御質問させていただいて、その後、今回のヒアリングの御意見の中で幾つか自分の専門のところからピックアップさせていただいて、今の現中間まとめのどの部分をどんなふうに修正していけそうかなということを考えたことをお話しできればと思いました。
 まず、質問なんですけれども、全日本私立幼稚園連合会様の資料1の中に、3、幼稚園の入園前と卒園後の小学校教育との接続についての2)の中に、「「地域において幼児教育の質向上を進めるにあたっては、私立幼稚園等も参画できるよう配慮する」等の記述をお願いします」というところがあります。これは現状どのような参画の実態を踏まえての記述の追加のお願いなのかが私はよく分からず、また教えていただければなと思いました。
 そして二つ目が、資料2の全国保育協議会様のところなのですが、恵まれない境遇にある子供についての中で、金銭的な問題だけではなくて、様々な要因があって地域性が恵まれないという書き方になっているのかなと思うんですが、この地域性が恵まれないというのは一体どういうことが実際問題として起こっているのかということを教えていただければと思って2点質問させていただきました。
 この後なんですけれども、私の専門部分から中間まとめをどのように修正できるかなというのを考えたことをお話しさせていただきたいんですけれども、今回のヒアリングの中で全日本私立幼稚園連合会様の中に学校評価に関する指摘があったかと思います。乳幼児教育・保育施設における全体的な計画に基づく質向上の議論や、それに関する現行3要領・指針、解説の記載からも、学校評価の視点というのは重要な点だなと思いました。それに加えて全国保育協議会様の御意見の中に、「幼児期」だけでなく「乳幼児期」と表記する点という御指摘もあったかと思います。このような「乳幼児期」という表記については、ほかの団体様からも上がってきたところかと思っています。また、日本保育協会様からは、「保育」という用語を使うという御意見もありました。
 これらのいろいろな情報を踏まえていくと、本中間まとめの11ページに全体的な計画の記載の部分があるんですけれども、その11ページの文章を次のように修正してはどうかなと思いました。具体的には11ページの(5)幼児理解に基づいた評価の二つ目の丸、下から2行の「また」以降を次のように修正してはどうかなと思います。例えばですが、乳幼児教育、保育施設の教育及び保育活動全体の質向上のためには、評価を生かした指導計画等の改善はもとより、家庭や地域、外部の関係機関との連携により、全体的な計画の見直しを図っていくことも重要であるとしてはどうかと思いました。
 ここはちょっと全体というのが何となく違和感があるかなとも思うんですけれども、この言葉、保育活動全体の質の向上のためにという言葉にすることで、入園した頃の姿から10の姿に至るプロセスがあるということを示唆したり、さらには、全体的な計画に関わるそのほかの計画、例えば食育とか子育て支援とか地域の教育施設の利用や行事など、その辺りのことも含む幅広いニュアンスとなるようになるのではないかなと思って御提案しました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。今の若山委員の御指摘で、これも座長としての整理で発言させていただきますけれども、それぞれの団体の幾つかからも御発言がありましたけれども、「幼児期」とか「幼児教育」という言い方が何を指すかということが全体として十分には明示されていないのはおっしゃるとおりだと思います。
 一応文部科学省の議論の流れの中で、従来から「幼児教育」というのはもう20年ぐらい使っていると思うんですけれども、その根拠は教育基本法第11条の幼児期の教育にありまして、それは家庭教育、地域の教育とともに幼稚園・保育園の教育を含めていて、かつその「幼児期」は乳幼児期を指すということが確定しているんですね。これは当時の条文の解釈とか国会答弁で確定していると聞いております。そういう意味では、文部科学省の使い方としては、例えば乳幼児期とか、幼稚園に限らず保育所も認定こども園も含むということも当然あって議論しているわけなんです。ただ、それがこれだけいろいろな方が疑問を出されると、十分通じていないところもあるので、もう少しそれを砕きたいと思います。
 もう一つは、「保育」という言葉なんですけれども、これはもともと児童福祉法に保育というのが出てくるわけですけれど、それのために、例えば保育指針でも保育とありますし、認定こども園でも保育とあります。それから、幼稚園は実は学校教育法の目標のところで保育すると入っていて、それぞれ少し意味合いが違うところがあるんですけれども、少なくとも児童福祉法上の保育というのは、例えば学童保育とかあるように、極めて多様な児童福祉法の対象とするところの児童というのは18歳までですけれども、その様々な過程、養育に準じた活動なんですかね、正確な定義が私あんまりよく分かっていませんけれども、広い意味があるんですね。
 ですから、それを例えば保育指針の場合には、保育所保育指針を丁寧に読んでいただくと分かりますけれども、保育所の保育ということが文脈上はっきりさせてありますし、認定こども園の場合は、幼保連携型認定こども園における保育というふうに文脈上分かるように書いてあります。それから、幼稚園教育においての保育するというのは、これは相当古くからそうされておりますけれど、幼稚園における個別的な子供に対する行為を保育すると広く呼んでいると思うんですけれども、だから、その辺の整理というのはかなり法令の専門家を交えてきちっとやる必要があるので、これもこの有識者検討会の見識を超えるところが正直に言ってあるというので、ちょっとおわびしたいと考えています。
 それはそれとして、若山委員の提案はきちんと考えたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、田中委員、お願いします。
【田中委員】  失礼します。意見の中に、資料4の全国私立保育連盟さんの資料の一番最後の辺り、地方自治体における幼児教育担当部局の在り方についてというところで、教育委員会による一元的な所管についての御意見をいただいているのがあります。ここに、特にということで、様々な対応をするときに教育委員会だけでいいのかというのは確かにおっしゃるとおりだなと思ってお話をお聞きしたんですけれども、今、このたびの中間整理の20ページの辺りのところに対する御意見と思って見せていただいていました。
 一つ目の丸のところに「一元化」という言葉は使われているんですけれども、幼児教育の質向上、幼保小の接続等の取組を一体的に推進するためにというところでの一元化ということも加えられて言葉は使われているんですが、幼保担当部局の連携協働という言葉も一緒に使われていたりします。また、二つ目の丸のところでは、下から2行目辺りに、児童福祉等の専門部局とも連携しつつ、そこに教育委員会が積極的に関与してという記述があります。三つ目には、また、2行目辺りに教育委員会が一元的に所管するということに関しては、その前に書いてある「幼児期及び幼小接続期の教育に関しては」という辺りでも書かれています。その先については、「又は他の関係部局が所管する場合においても」云々ということが書かれています。
 一定程度、教育に関するところについてはやっぱり教育委員会が主導するのが自分なんかは望ましいと思うんですけれども、そのほかに関してやっぱりほかの関係部局が連携するというのは当然ある。今のこの書きぶりでまだちょっと物足りないという辺りが、私の方が不勉強で分からないものですから、こういった教育に関するところは教育委員会が積極的に関与するということは残したいなと思うので、そこにどういう表現があるとより思われていることが盛り込まれていくのかというところが、また具体的にもしありましたら教えていただけたらと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。教育委員会がというのは、乳幼児期の教育のあらゆるものを教育委員会がやるという趣旨では書いてなくて、小学校とのつながりのところで強調しているんですけれど、その辺がちょっと紛れているのと、それから、先ほどからの議論にも関連しますが、「教育」という用語も、学校教育ないしそれに準ずるんですかね。教育というのと、養護と教育ということを保育所保育は特に児童福祉法で定義しますけれども、そこで言う教育というのがずれがあるわけですね。その辺りで、それほど大きなずれではないような気はしますけれども、そういう親法律ごとの教育の意味合いがちょっと変わるというところで難しいんですけれども、誤解があまりないような書き方をもうちょっと考えたいと思っております。よろしくお願いします。
 さて、では、次の発言御希望の方いますか。河合委員、それでは、お願いします。
【河合委員】  御説明等ありがとうございました。御意見もありがとうございます。私から二つお話とお聞きしたいことがあります。
 感じましたのは、いわゆる幼児期の終わりまでに育ってほしい姿、10の姿の共通理解の難しさを改めて先生方の御意見で思っているところです。実は文章のところにも、10ページのところ、「5歳児後半までに見られるようになる」の前提として、「5領域に示されているねらい及び内容に基づく活動全体を通して」とあるところが、施設種別関係なく、入園から修了まで、教育課程とか全体的な計画の中で5領域をバランスよくそれぞれの園の特徴において配置した、その計画に基づいた豊かな教育活動・保育があることで自然に見られてくると、そういうような意味合いで使っているように感じておりますが、この辺りが今後また共通理解を図って正しく理解していくというところで非常に重要なんだなということを改めて感じたところです。
 あと、これは御質問になりますが、この10の姿が出て、大事に意識されたり、念頭に置かれるがあまりに、0歳児の保育においてもとか小さなお子さんの保育においても、その先の姿を目指していくような、またちょっと誤解のあるような捉え方があると聞いたことがあるのですが、その辺りもし実情がありましたら教えていただけると大変勉強になるなと考えております。
 2点目ですけれども、先ほど皆様からも出てたと思うんですが、特に全日本私立幼稚園連合会様からのところでオンデマンドの研修、資料のお話がありました。確かに様々なところで、質の向上のための資料、それから、研修の方法が編み出されていると思いますので、どこでも使えるような、何でしょう、クラウドなのか、そこに行ったらこんな資料があるということが、誰でもがアクセスできるようなそのような方策があることも、それぞれの園で自律的に質の向上を図るために、又は地域で様々な施設類型が一緒に学ぶ、そういう研修の資料として使えることは大変有効ではないかなと感じました。
 以上2点です。ありがとうございます。
【無藤座長】  ありがとうございました。ちょっと私が今日発言し過ぎですみませんが、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿というのも2017年の改訂で入れたわけですけれども、一つは幼児期の終わりまでにという幼児期の終わりが何で強調されているかというと、幼稚園、保育園、認定こども園が責任を持つのはそこまでだからで、あそこに示された姿が小学校に入った途端にもちろん消えるわけでもないし、完成するわけでもないので、その後も続くという暗黙の想定はあります。
 それから、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿のベースというのは、資質能力と5領域のねらいなので、当然ながらそれは乳幼児期全体を通して育ってきて、その具体的なあそこに書かれた姿としては、主には年長ぐらいを想定して描いていると、そういうことですので、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の具体的な育ちそのものは、当然ながら、例えば5領域の中で、あるいは資質・能力からで、資質・能力の書き方も、要するに、別にそれは乳児にないという話ではなくて、乳児から始まっている、あるいは幼稚園は3歳から始まっているという想定でやっているということは、改訂の議論の記憶を呼び覚ましていただきました。
 それでは、古賀委員、お願いしたいと思います。
【古賀委員】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。今日は貴重な御意見をたくさん聞かせていただきまして、本当に貴重な勉強させていただきまして、ありがとうございました。2点ございます。
 1点目は、学校評価のことですけれども、資料1の中で、裏面、4のところで学校評価のことが書かれています。様々、学校評価とか保育の評価とかいう辺りも私も考えてきたんですけれども、ここで「幼児教育の質向上のためにも学校評価というあり方を更に位置づける必要があります」とおっしゃってくださっているんですけれども、これは具体的には、これまでの例えば自己評価、学校関係者評価、第三者評価等保育に関わる評価というものがあるわけですが、これからの評価の在り方としてどういったことが更に求められるのかという辺りでもう少し教えていただけたらと思いました。
 私の中では、やっぱり実践に還っていく評価の重要性というのがこれからもっと高まっていくだろうと思うんですけれども、これまでの検討の中で、地域の連携の中で新たな評価の仕組みというのが作っていけないのかとか、いろいろと意見を申し上げたところもございました。この資料に今回書いていただいている内容の中で、実践に還っていくとか、さらにこれからの学校評価の在り方というところで御提案等があればお聞かせいただけたらと思いました。
 2点目です。複数の方からの中でですが、例えば資料3の中で、助言が受けられる体制が強く求められるというようなことが挙げられていましたり、資料4では、外国籍であったりとか、様々な特性・発達の課題等に応じて教育を行うというようなことが求められている中での職員配置基準とかいうことが述べられていました。例えば、これから様々な子供さんが更に増えていくというようなこととかも、現状、保育の現場の中でも、かなり専門性の高い様々な対応が求められているところだと思います。小学校以上のところでは、チーム学校とか、様々な専門職と協働しながらやっていくというような多職種連携がもうこれから当たり前になっていくような中だと思うんですけれども、幼児教育・保育の中でこういった様々な子供にふさわしい教育を行う専門性の担保の在り方というんでしょうか、恐らく単なる人数配置の問題ではなくて、専門性を高く備えた人がどういうふうに現場にいることを作れるかというか、そういうような体制づくりの辺りで何か御意見等ありましたら、更にお聞かせいただけたらと思いました。
 ありがとうございます。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。2点目はまたそれぞれから御意見いただきたいんですけれど、最初の点を、念のための注釈を入れますが、学校評価と言っているのは、学校ということは当然、幼稚園の話になっていますが、それはなぜかというと、実は幼稚園における学校評価と呼んでいるものが、小中高と連動して法律で規定してあるので、一番かちっと出来ているんですね。フォーマルな意味ですけれども。では、保育所、認定こども園にはそれに該当するものがないかというとそんなことはないので、例えば保育指針には、保育指針の中に施設としての自己評価をすることが求められているわけですね。そういう意味ではむしろ園評価と呼ぶ方が適切かもしれませんが、一応形式的な意味では学校評価がかちっと出来ているという感じでしょうかね。という意味で、例えばという参考として挙げてある。意味合いとしては、園というか幼児教育施設というか、その営み自体を自己評価する必要があるよということだと御理解いただきたいと思って、この書き方ももう一度吟味したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、坂﨑委員、お願いします。
【坂﨑委員】  坂﨑でございます。3点あって、3点目は今の古賀先生と似ているので、割愛しようかと思います。
 まず、1点目は、今日皆様方のお話を聞いての感想なんですけれども、平成27年に今の学校種・施設種というのが大体決まったわけですね。27年の段階で認定こども園の要領がまず1回出て、その後、平成31年に今の指針・要領が三つが告示化されているわけです。そうすると、一本の横串を刺して三つの資質・能力とか10の姿というものを、同じ考えのものを違う施設種や学校種に置いて約七、八年たったところでいうと、関係者方々の今日の感覚は、それぞれ少しずつやっぱり違うのだなと思いました。そうすると、次の改訂のときには、やはりもう一度、例えば三つの資質・能力や10の姿を進めていくとすれば、齟齬の内容に丁寧にもう少しやっていかなければならない。やっぱり違う施設があるとすれば、そこに、実際には保育所と幼稚園とか持っているものが違うので変わっていいわけですけれども、どういうふうに今の懸念される部分を進めていくことが望ましいのかなと聞かせていただきました。
 2点目は、例えば小学校の接続の話を含めていうと、評価に当たるわけですけれども、今後、架け橋プログラムが全体に関わっていくということは、保育所も含めて同じ対応になります。一方、それは学校でない保育所にとりましては、学校評価は対象に今なっていません。例えば学校評価と公開保育で公定価格上の加算が幼稚園や認定こども園に付いているわけですけれども、学校評価というものとまた別にして、公開保育を保育所がいわゆる小学校の文化として公開授業や学校評価があるものに対して架け橋プログラムとのとの関係でどう進めていくのか、こういうことがきちんとされなければ10年後にまた齟齬を生むのではないかなと思います。
 3点目は、いつも話をしている、障害に関わることなんですけれども、先ほど古賀先生がお話をしていることも含めてです。やはり職種でいうと、乳児を考えたときに、少し看護師の配置の在り方があったり、臨床心理士とかそういう人たちをどういうふうに、チームの保育をどう作っていくのかというのは、これから大きな課題になるなというふうに今日のお話も聞いて思いました。全体としては、いわゆる新要領の目指すものと様々な事業体、事業実施によるそれぞれの立場によって少し隔たりがあるなということを感じるわけですが、それをどう埋めていくのかという作業は、私たちもそうですし、今後これからも強く行っていくべきではないかなと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。それぞれに十分考えたいと思います。
 それでは、次の方いらっしゃいますか。大豆生田委員、お願いします。
【大豆生田委員】  玉川大学の大豆生田です。遅れての参加で申し訳ありません。今日私、皆さんのお話を聞けなかったので、資料を読ませていただいている発言になるので、十分ではなくて申し訳ないんですけれども、3点お話しさせてください。
 1点目は感想でもあるんですけれども、共通して、これだけの団体の方がいらっしゃる中で、全ての子供、乳幼児という表現、それから、ナショナルカリキュラム等、全ての子供の一体化したものを保育として大事にしたいということが共通に出され、保育の質の向上が重要だということが共通に出されたことをうれしく思っています。その一方で、先ほどの無藤先生のお話にもあるように、そのことの制度的な難しさみたいなことがある中で、このことをどういうふうにこれから実現していくかということがとても重要だということを改めて先生方のお言葉から力強く伺いまして、ありがとうございます。
 2点目です。その中で、架け橋のことをどうするかということが一つ大きなテーマになるわけですけれども、例えば丸山先生のお話の中で、大胆な連携の強化ということをおっしゃっています。今もかなり自治体は頑張っているかなと思うし、幼児教育センターを作る中では特にそういう動きも含めてあるのだと思いますけれども、それに加えて、大胆な連携ということが、更に何かそのことの具体的な案などがもしおありであれば、そのことをお伺いできるとよいなと思いながら聞かせていただいたというのが2点目です。
 それから、3点目に関しては、さっき古賀委員がおっしゃられたことと共通します。学校評価のこと、古賀先生の言葉で言うと、実践に返っていく評価ということのお話でした。恐らく評価ということが今後、研修だとか公開保育なども含めた実践に伴った評価ということが恐らく大事になっていくのかなと思っているので、私もその辺りのことについて、評価ということの今後の在り方についてもし御意見いただければありがたいなと思ったという、以上3点です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは、次、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  ありがとうございました。貴重な御意見をいただきました。
 私からお伺いしたいことが、架け橋プログラムのことです。大豆生田先生もおっしゃっていらっしゃいましたが、皆さんが架け橋プログラムのところを記載していただいています。現実に現場で進んでいるのかいないのか、なぜ進んでいないのか。「架け橋プログラムを推進をしてください」という記載に込められる思いは何か。この有識者会議でもご意見を伺いたい視点です。どのようにすると進むのか、その辺がもっと具体的に知ることができたらと感じた次第です。
 あと、もう1点目です。髙木先生が幼児教育アドバイザーのところの記載を細かくしていただいています。ありがとうございます。アドバイザーの役割についてはやはりいろいろな捉え方があることを感じさせていただきました。アドバイザーにいろいろな役割を持たせていくと、かえって混乱するのではないかというようなところも、実際に感じます。ソーシャルワーカー的なことの専門的な方と、幼児教育に関する専門的なアドバイザーがいることで相まって一緒に考えることができると、いろいろな知恵が出てくるのではないかと思います。専門的な分野はそれぞれが分業し時にはその専門性を一つの力にすることで、幼児教育アドバイザーに過度な負担を与えないという視点も大事であると思いました。そして幼児教育アドバイザーは、幼児教育の質の向上のための役割が重要であると考えます。 ありがとうございました。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。それでは、次ですけれども、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  よろしくお願いいたします。本日は、私は小学校校長の立場なので、様々御意見をいただいて、勉強しなければいけないところもあり、やっているところもあるんだけどななんていう思いもあったりとかして、そういった中で共通に認識を図っていくために、今回とても重要な議論が行われているなと思います。
 私もこの会議に参加させていただいてまず大きく揺さぶられた言葉は、これは当たり前のことになるんですが、学習指導要領は、幼児期から高校までの教育課程の連続性を強調して、特に幼児期等の教育と小学校教育の接続に関する重要性が現行の学習指導要領で論じられています。やはり授業・保育というものを通して子供たちをよくしていくというところで共通の観点を持っていくということが非常に大切であると思うとともに、小学校でもやっぱり学びが変わってきていて、それはやはり環境を通した学びを重視して、小学校教育と幼児教育を連携する必要があるという言葉です。やはり教育課程を考えていくという上で一番大事なとか、この連携のための話というのは、やはり同じ目線で子供たちを見て、自信を持ってやっていきましょうというようなところがすごく示されているものを認識していく、それを広げていく作業じゃないかなと思っています。
 資質・能力は連続性があって、幼児教育は小中学校に大きな影響を与えるということはもう私も身に染みて感じています。また、もともとやはり子供が有能であるということ、外から身に付けさせるんじゃなくて、有能さを顕在化させるという意味では、小学校教育は個別最適な学びと協働的な学びを実現しようというキーワードを基に、授業改善、カリキュラムマネジメント、また、評価に関しても様々な取組を進めている学校もあります。例えば私の学校では、なるべく子供に学びを預けようということでやっていることを、近くの幼稚園の先生たちに、「参加し、見てもらって、御意見もらえませんか」と言ったら、毎回10名ぐらい来てくれるんです。なので、学びとしての連続性というものをやはり大事に見取っていくことが今後非常にキーワードになるんじゃないかなと思っています。
 そういった意味では、今回の中間報告ではそのことはお示しさせていただきますし、これが次の学習指導要領にまたつながっていくということ、若しくはひいては幼児教育の教育課程の次期ということにもつながっていくのじゃないのかなと思います。学びの連続性の観点からやはりこれから協働して進めていきたいなと思っているんですが、幼稚園はうまくいくのかなという手応えは自分なりに学校で感じているんですが、保育園、保育所の方が学校で例えば同時に授業を見てということになると、かなり生で、ライブでやるのは非常に難しかったりとかするところもあるので、そういったところの観点からも、時間を生む意味での働き方というものも考えていく必要もあるのかなと改めて感じさせていただきました。
 ありがとうございました。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは、尾上委員、よろしくお願いします。
【尾上委員】  ありがとうございます。この有識者会議で、今日は保育3団体と認定こども園協会様ですけれども、次回はまたいろいろな団体のヒアリングということで、まず子供たちに関わる、そういう団体の皆様の率直な御意見を聞けたということが、私自身は大変有意義だったと思います。
 それで一つ、私も現場の人間なもので、研究者の先生方とは全然レベルが違うものですから、やっぱり言葉とか語句とか解釈の違いがそれぞれの現場によってあるんだなと私自身も含めてそういう感想がございますので、可能ならば、注釈ではございませんが、そういった基本的な語句の解釈について、いま一度、整理というか、何かそういうお示しをいただけたら、より会議がスムーズにいくのかなということをまず思いました。
 それと、やはりこの会の限界として、座長から、いろいろ御意見はごもっともであるかということでございますが、繰り返しになるかもしれませんけれども、少なくとも子供を取り巻く3団体の先生方がやはり要領・指針の統一を考えていらっしゃるとか、幼小接続について、十分その方向性は分かるが、非常にまだ取組の格差がやはり地域によってあるということの現実、せっかくいろいろな要領・指針をひもといても、結局それが実施されない限りは絵に描いた餅になるということの認識を私自身も強く持ちましたし、そういう点でも今日は大変勉強になったと思います。残り時間、いろいろな御質問があるので、是非、団体の皆様の御意見をまた更に聞きたいなと思います。
 すみません、最後に1点だけ。幼稚園の預かり保育について若干誤解があるというので、立場上言わせていただきます。幼稚園にもちろん預かり保育というのは昔からもうずっとあるわけですけれども、今、新2号と俗に言われるように、フルタイマーの方ではなくても、パートタイマーでかなり幼稚園にも預かり保育のお子さんが多いです。それで当然、体操教室とかいわゆる御指摘のいろいろな稽古事、それは幼稚園でも保育所でも認定こども園さんでもやっておられることであって、逆にお稽古事をなさらないと預からないということは決してございません。ほとんどの方は、やっぱりどうしても働いていらっしゃる方のために、幼稚園も夏休みも預かっているのがほとんどでございまして、その子たちのほとんどが何か稽古事をやっているという実態はないということだけは是非御理解いただけたらありがたいなと思っております。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】  ありがとうございました。最後の御指摘もありがとうございます。
 それでは、鍋田委員、お願いいたします。
【鍋田委員】  各団体の先生方、本日はありがとうございました。大変共感できる部分もありました。私は保育所の保育をしておりますので、この検討会に参加させていただいている中で、言葉の使い方というところで、やはり意味合いが少しずつ違うというのは先ほど無藤先生から御説明いただいて大分納得したところがありました。これまでも時々やはり引っかかるところがあるのですね。そういった意味では各施設によって捉え方が違うというのは本当に実感しております。実際、国民の皆さんの中で法令の違いがあるのかということすら分からない方がいらっしゃるかと思いますし、丁寧な説明とか今後の方向性みたいなものが少し入ってくれると良いのではないかと、感想ですが、思いました。
 あとは、ほかの委員の皆様にお話しいただいたところと共通になりましたので、以上でございます。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。御出席の委員の皆様から、いろいろな角度で御意見、また質問もいただきましたので、各団体にお話を戻しますけれども、お一人5分ぐらいになります。非常に大きな問題がたくさん出ているので、5分では足りないとは思いますが、恐縮ですけれども、5分ということで、まず、私立幼稚園、加藤先生から、最初の発言順でお願いしたいと思います。
【全日本私立幼稚園連合会】  ありがとうございます。それでは、私の方から3点お応えします。
 一つは、先ほどセンターの話を若山先生からいただきました。富山県は大変順調に全体で進行なさっていらっしゃる県と把握しております。ただ、県や基礎自治体によっては、やっぱりどうしても教育委員会は公立の学校を所管していることが多いので、私立や保育所になかなかアプローチがうまくいかない、こちら側としてもうまくそこが乗れないということがあったりするということがあるので、あえて申し上げることをいたしました。
 2番目に、オンデマンド研修に関してです。本当に東京のように養成大学がいっぱいあるところは豊かに先生方をお招きできるのですが、都道府県によっては養成大学がないとか、研修会場までの移動時間がかかるという地域もございますので、初めの一歩としてオンデマンド研修がベースとして流れているというのは有効だろうと思います。もちろんそれが全てではなく、それぞれの対面のよさ、それから、対話のよさ、あるいは園内研、園内研を発表するなど、そういういろいろなその後の高まりというものも必要だと捉えています。
 学校評価についてですが、一つは、幼児教育の質というものが問われている中において、質をどう担保しているのかということを見える化しないとならない時代だという認識を持っています。ですから、それをどうやってきちんと世間様にお示しできるのかが大切です。社会に開かれた教育課程やカリキュラムマネジメントについて、学校として、幼稚園としてどうマネジメントして向上させていくかという視点はとても大事で、先ほど古賀先生からお話しいただいた例えば専門家を入れたチーム幼稚園を作ったときに、それで良しとせずに、それは本当に機能したのかとか、それをどういうふうに機能させていくのかという質の向上に向けてのPDCAサイクルというのは、やっぱり園として重点的な目標を定めて、それをどう回したのかということを、保護者も含めて、あるいは地域も含めてきちんと御説明をさしあげるというようなことが必要になっているんだろうと思います。
 そういった意味で、ここの中間まとめにある幼児理解に基づいた評価というのは、保育の営みにおける評価の課題ですから、やはりそれは学校という組織の中において組織をどう回していくのか、それはどのように子供たちに良い影響を与えたのかということを示していく必要があるんだろうと思います。それに合わせて先生たちの研修量というものは連動すると考えられますから、その記録と蓄積は、別途必要なんだろうと思っています。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは、北野先生、お願いいたします。
【全国保育協議会】  北野でございます。いろいろなことが問われたのでどこからお答えしようかと思っているところではございますが、私が考える私の保育への思いは、やはり子供の健全育成と、保護者の就労支援と、子育て支援・地域支援というのが三つの大きな柱であると思って保育をさせていただいております。
 そういった中でやはり私たちに求められるソーシャルワーカー的な役割、決して社会福祉士ではありませんが、しかし、ソーシャルワーク的な役割が必要になってきています。それが子供に対すると、やはり先ほどからお話にも出ているように、若干発達が気になるとか、緩やかな育ちをしているとか、そういったお子さんが増えてまいりましたので、そのお子さんに対しての、私たちの専門性がどこで生かされるかとなった場合、オールマイティーではありませんので、やはりそこに専門家のアドバイス、助言あるいは配置、毎日ではなくても、巡回相談であっても、そういったものが必要と思われる中に何がありますかと問われると、やはりSTさん、OTさん、PTさんの力は大きいと思っています。
 また、看護師配置は全園ではないので、きちんと配置されているわけではありません。しかし、今のように感染症オンパレードな状態になってきていますし、温暖化のこともありまして本当に体調不良のお子さんが多い中、看護師配置というのは特にお願いしたいことでもあります。先ほど坂﨑先生のお話にもありました臨床心理士さん、そういった心のケアということで言えば、今申し上げたような人材が配置されればそれはうれしいことではありますけれども、それがかなわないのであれば、きちんと連携できて、毎週、何日にとかそういう決まった状態で、そのお子さんのことをちゃんと話せる配置・巡回、そういったものは必要だと思っております。
 また、保護者さんに関しましては、やはり貧困だけではなく、虐待、それから、愛情不足ではなくて、どう愛情を掛けたらいいか分からないという保護者さんに対して、愛着の形成とか、愛情の掛け方、本当に関わり方、お膝に座らせて絵本を読むこの大事さ、こういった一つ一つをお伝えしている立場でございますので、そういった時間も実は欲しいとも思っているところです。
 それから、地域で恵まれない境遇で地域性というところで御質問があったと思うんですけれども、これは先ほどから皆さんのお話にもあるように、富山ではとか、東京ではとか、あるいは、佐藤委員の、うちの小学校ではとあるんですけれども、それが全国ではないわけです。そうなった場合に、やはり様々な要因の中で、家庭環境であればそこにどこまで踏み入れることができるのかとか、あるいはこういう言葉は使いたくないですけれども、一般的に使われている地域ガチャのような、ここに行けばこのセンターがあるよ、ここに行けばこれは無償だよ、ここに行けばこれは十分な対応を受けられるよというような、まだまだ格差がある時点で言わせていただければ、ここに地域性というのが恵まれない環境の中の一つに入ってくるということが申し上げたいことでございました。
 また、言葉の捉え方で、本当に無藤先生にお答えいただいたので、ああそうなのか、ああそうなのかと思う面が私でさえあるので、きっと一般の方はもっと思うだろうなという思いと同時に、やはりこの中でも、5歳からとか、5歳にとか、5歳という言葉が多用されているので、そこはやはり私たち関係者でも誤解を招くなと。乳児からの育ちというものが含まれているとはいえ、そこが飽くまでも5歳5歳と言われると、やはり準備のようなそういった誤解も招きやすいのかなとも思いましたので、そこの文言の整理が、私も私の組織の中できちんと発信していきたいと思いますけれども、注釈、解説の中に入れていただくとありがたいです。
 それから、最終的に一本化の問題はいろいろな問題があると思うんですけれども、既に3歳以上は整合性を図りとか、あるいは認定こども園と保育所では未満児の姿もかなり共通しています。であるならば、やはり全ての子供を真ん中に置いて、全ての子供の育ちを保障するということであれば、何とか一つの道を作ることができないのかなと個人的には思っております。
 すみません、以上でございます。
【無藤座長】  ありがとうございます。注釈その他で分かりやすくというのは、努力したいと思います。最後の一本化の話は、私が申し上げたのは反対と賛成ではなくて、この検討会の権限を超えているので、是非ほかで出してくださいねという意味です。よろしくお願いいたします。
 それではその次、髙木先生、お願いいたします。
【日本保育協会】  皆様のお話を伺って、まず河合委員ですか、幼児期の育ちの10の姿のことなんですけれども、実際現場では、じゃ、それを目指してやっているとか、多分内容としては、要領とか指針に書かれているように、多分その子その子の発達を踏まえて、この5ページに書かれているような教育的な意図を持った環境構成を作るということを目指していけるのが、一番ふさわしい形で連続した学びにつながっていくのではないかなと思ってお話を伺っていました。
 そしてあと、小学校の連携についてのカリキュラム、架け橋なんですけれども、佐藤委員のところが大変積極的にやっていらっしゃるというところで、やはり保育園、こども園としても、じゃ、関わろうと思ったときに、私たちの地域に関しては、小学校が既にもうカリキュラムが出来てしまっていて、1年が始まってしまうとそこに入っていくのにはもう遅い。なので、そういったところで策定する時期というものを何かコミュニケーションを取っていくことで、多分コミュニケーションさえ取れる機会があれば、実現は早いのではないかなというのが私の印象でした。
 あと、古賀委員と坂﨑委員のおっしゃっていた、私も気になっている、現場での助言についてなんですが、やっぱり先ほど北野先生もおっしゃったように、なかなか現場に専属でというのは難しいのが現状ですし、先ほども申し上げたように、子供たちの姿を日々見ている職員、保育者がやっぱりその子供の姿で悩むことを適切に、それが臨床心理士なのか、果たして看護師なのか、そういうことが相談できる窓口とか、助言が受けられる体制があることで、更に保育者の専門性が高まっていくのではないかなというのが私の印象です。
 あと、一本化のこと、一元化のことは、私も考えがいろいろございますので、また意見をさせていただければと思います。ただ、一つだけ、小学校が、ここでも19ページで示しているように、入学がゼロではないと言っているように、やっぱり幼稚園の教育要領に関しても、3歳がゼロではないわけですよね。だから、そこを踏まえると、やっぱり0から私たちの6までというのが同じ方向性で統合して、あるべきことを把握しながら認識していってもいけるのではないかなというのが印象です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは、丸山先生、お願いいたします。
【全国私立保育連盟】  ありがとうございました。まず、最初に預かり保育につきまして、私の不十分な認識で不快な思いを抱かれましたら、大変申し訳なく思います。申し訳ございませんでした。
 そして、御質問いただいた点についてです。幼児教育担当部局の在り方についてというところと、教育委員会の関与の仕方でございますけれども、昨今の労働力不足を背景に、外国籍のお子さんが非常に増えております。中には、教育の場に就くのがなかなか困難なお子さんもいらっしゃいます。そういったところで、総合的な福祉の観点というか、ソーシャルワーク的な観点でハンドリングする必要があるなというのを非常に感じております。日本語を十分に理解できないまま小学校に上がるお子さんもいますし、そうすると、小学校での授業にどこまでついていけるかなという非常に不安を抱きながら小学校に送り出すような状態もございますので、御検討いただけたらなと思います。
 そして、これは大豆生田先生から御質問いただきました、大胆な連携の強化ってどんなことがありますかというところですけれども、私の保育園で、小学校から「是非授業を見に来てください」とお声を掛けられたことは、残念ながら今まで1回もないんです。私たちの方から「見せてください」、「行かせてください」とお願いしない限り、「どうぞ見てください」みたいなことは発生していないので、そこは小学校が必ずその地域の保育園、幼稚園、認定こども園に見学に行かなければいけないとか、そのようなことを決めていただかない限り、教頭先生や校長先生の個人の資質で左右されてしまうというような危惧を非常に感じております。いっときこの教頭先生がいるときには良好な関係だったのに、その先生が異動してしまうと途端に関係がなくなってしまうというのは、残念なことでございます。
 指針については、なかなか看板を背負っていると難しいなというところがありますが、いろいろな捉え方がありますが、子供のことを考えるならば当然一本化であるべきだろうし、また、1948年の指針であったように、家庭でも利用できるような、家庭でも参考にできるようなそんな指針の在り方が望ましいなと、そのように考えております。
 以上でございます。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは最後に、王子先生、お願いします。
【全国認定こども園協会】  本日の会議で大変私自身が勉強させていただいたような感じいたします。特に文言については、無藤先生の丁寧な解釈として理解を示したところでございます。
 まず最初に、架け橋プログラムの件ですけれども、実情はどうなっているのですかというような御質問がございました。本当に私の狭い県の話で申し訳ないんですけれども、教育センターで何度も、架け橋についてモデル事業に手を挙げてほしいというようなことも申し上げたんですけれども、なかなかそれを実践していただくような小学校がないわけです。小学校の先生方に聞くと、大変忙しいのにそのような時間を取ることが不可能ですというようなお話をいただくわけなんです。先ほど丸山先生もおっしゃったように、ある時期、校長先生がとてもそれを推進されていらっしゃって、やりましょうとおっしゃっていただくことはあるんですけれども、その先生がよそへ転勤されますと、ぱたっと連携が止まるんです。ということは、一貫して継続的にこれをやるべきだというような概念がないんじゃないかなということをすごく毎年転勤になるたびに感じているところです。
 また、私どもは昔に幼児教育センター事業をパイロット事業として文科省のを受けたことがございます。その名残で、各小学校、また、各保育施設に、公開授業、また、公開保育を交互でやるということを行ってもう20年以上行っております。ただ、残念なことに、その趣旨がよく分からないまま、毎回保育園や幼稚園、認定こども園に保育参観に来られるのは校長か教頭なんです。普通の時間に先生たちが出てこられないとおっしゃるんですね。それは午前中が保育の活動として見ていただく時間ですので、それを普通の先生は、特に低学年の先生が参観するなんてとても無理とおっしゃって、毎回来られるのは校長先生です。校長先生はただ、「本当に上手にできました」とか何か訳の分からない謝辞で終わるわけなんですね。
 これが趣旨が全く分かっていないじゃないかなと毎回毎回申し上げるんですけれども、ただ、やった感だけはあって、うちは連携をやっていますというような、加算の対象にはなりますよ、マルに付けていいですよと言われるわけなんです。そういうことでいいのだろうかと毎回私は申し上げているところですが、加算も取りたいし、本当に泣く泣くこれはマルを付けているような状態なんです。何が言いたいかというと、全国一律に校長先生並びに管理職の皆さんが、これが絶対に必要である、そして、こうやらなければならないというような、文科省からそういうことをきちんと申し入れていただければ、校長先生が赴任されれば変わるということはなく、継続的につながっていけるし、そういうことにならないかなと思っております。
 それから、本当に無藤先生には申し訳ないけれども、もう随分昔から3要領・指針は一本にしてほしいと。先ほども、いやいや、ここの場では難しい、これはいろいろな法律を踏まえなければならないと、以前から何度も私どもは聞かされているところです。ならば、この国にはナショナルカリキュラムはあるんですか。では、ナショナルカリキュラムを作ればいいんです。3本を一本にしようということでは難しいのであれば、新たにこの国の国民の子供を0から18までどのように育てていくべきか。先日出ましたビジョンの中でもうたわれています。ならば、ナショナルカリキュラムを作ればいいんじゃないかなと。本当に単細胞的な考え方で申し訳ないですけれども、はっと今、私なりに突然考えたまでを申し上げたまでです。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】  最後の点は、先ほど申し上げた以上のことはこういう場では言えませんけれども。
 先ほどの架け橋のことは何人の方もおっしゃって、念のために申し上げると、ここでこの報告に入れてございますけれども、実はこの検討会と並行して架け橋プログラムの政策を今、幼児教育課として実施中で、全国十数か所の自治体に委嘱して、今その評価作業も進めて、この秋にある程度まとめる予定です。それとともに、本年度で架け橋プログラムの委嘱事業そのものは終わるんですけれども、それは架け橋が終了するという意味ではなくて、それを今度は全国化することになるわけです。それについては並行して、私も関わっておりますので、努力していきたいと思っています。念のために付け加えました。
 それでは、一通り御発言いただきまして、あと10分ということでほぼ時間ですので、是非ということでなければ、ここまでにさせていただきたいと思います。
 本日、関係団体の皆様から様々な御意見を頂戴いたしました。それを参考にいたしまして、更に本有識者検討会での議論を深め、また、報告書をまとめる作業を私の責任で行っていく予定でございます。
 また、発言時間が十分でなく、この場で発言できなかったこと、また、十分な説明・解説ができなかったこともあろうと思いますので、これは関係団体の皆様も、また、各委員の皆様も是非メールその他で事務局までお寄せいただくようによろしくお願いいたします。
 最後に、事務局より連絡事項をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  次回の検討会は、資料6のとおり、8月22日木曜日10時から12時を予定しております。次回も関係団体の皆様からのヒアリングを予定しております。委員の皆様におかれましては、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。関係団体の皆様も本日はありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――