今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会 (第8回)議事録

1.日時

令和6年6月19日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB開催(傍聴はYouTube Live上のみ)

3.議題

  1. 中間整理案について
  2. 意見交換について

4.議事録

【無藤座長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから、今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会第8回を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 本日の会議の資料などにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  本会議はZoomを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくよう、お願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますよう、お願いいたします。委員の皆様には、御不便をおかけすることもあるかと存じますが、御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は傍聴の御希望をいただいた報道関係者と一般の方向けに、本検討会の模様をYouTube Liveにて配信しております。加えて、報道関係者の方々から撮影及び録音の申出を頂戴しており、これを許可しておりますので、あらかじめ御承知おきください。
 本日の会議資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1と資料2、参考資料1から3となっております。
【無藤座長】  それでは早速、議題に入りますけれど、本日は、これまでの議論を整理して作成した中間整理案がお手元に行っていると思います。それを基に意見交換を行ってまいりたいと思います。
 これから、最終まとめに向けまして、本検討会の設置目的でありますが、3要領・指針に基づく教育活動の成果及び課題の検証、そして、今後の教育課程、指導、評価等の在り方につきまして、議論を一層深めてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 なお、現在、主に小学校以降の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方について検討を行う有識者検討会も別途開催されているところでありまして、その有識者検討会に、今日御出席の秋田座長代理から、本日の中間整理案と意見交換の内容を御報告いただく運びになってございますので、あらかじめ御承知おきください。
 それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  それでは、資料1を御覧いただければと思います。時間の制約もあるため、駆け足の説明となると思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、1ページ目の「はじめに」を御覧ください。
 近年、政府におきましては、こども・子育て政策の強化を図ってまいりました。待機児童が大きく減少するなど、一定の成果が見られておりまして、令和5年12月に閣議決定された「こども未来戦略」では、量の拡大から質の向上へと政策の重点を移すことが示されております。
 次のページになります。
 本年は、現行の3要領・指針が施行されてから7年目に当たりますが、3要領・指針への理解が深まり、着実な実践が積み重ねられてきているところでありますが、いまだ共通理解が不十分な点や解釈に大きな差異がありまして、3要領・指針をよりよく実現していくための対応が必要となっていること。
 また、2040年以降の社会を見据えまして、持続可能な社会を維持・発展させていく人材を育成する観点からのさらなる教育の充実も必要となっていることを示しているところであります。
 次の3ページを御覧ください。
 第1章では、「社会と共有したい幼児教育の基本的な考え方」を示しております。
 1番の「幼児教育の重要性」では、丸2つ目からになりますが、幼児教育については、人生初期の質の高い教育がその時期の発達にとって必要であることや、その後の人生において長期に渡って学業達成や職業生活、家庭生活など多面的によい効果をもたらすなど、様々な研究成果で明らかになってきておるところです。
 このような幼児教育の重要性を踏まえまして、全ての幼児に格差なく質の高い幼児教育を保障し、幼児一人一人のよさや可能性を伸ばしながら、生涯にわたる生活や学習の基盤となる生きる力の基礎を育み、それぞれが人生においてウェルビーイングの向上を実現していくことができるようにすることが必要であるとしております。
 次に2番になりますけれども、まずは発達の捉え方として、1つ目の丸ですが、人は生まれながらにして、自然に成長していく力と同時に、周囲の環境に対して自ら能動的に働きかけようとする力を有しており、環境と関わり合う中で、生活に必要な能力や態度を獲得していくと考えられること。
 また、次のページになりますが、2つ目の丸で、かつては、大人に教えられたとおりに幼児が覚えていくという側面が強調されることもありましたが、幼児期は、幼児自身が自発的・能動的に環境と関わりながら、生活の中で状況と関連づけて身につけていく時期であること。
 そして、2つ丸を飛ばして、「このように」から御覧いただければと思いますが、幼児期の学びは身体の諸感覚を通して対象に関わることにより成り立つものであり、成長が著しいこの時期に、豊かで多様な多様な体験を十分に行うことができるようにすることが、将来にわたる健全な発達や社会の変化に柔軟に対応する力を育成することにつながることを示しております。
 次に、3番の「幼児教育の基本」ですが、このような幼児期の発達の特性を踏まえた教育を行うことが求められておりまして、幼児教育施設においては、3要領・指針に基づき、「環境を通して行う教育」を基本としていることなどを示しているところであります。
 次に、6ページを御覧いただければと思います。ここからが現行3要領・指針に基づく教育活動の青果と課題の検証を示したものになります。
 (1)「豊かな体験」からになりますが、幼児期の発達の特性を踏まえまして、幼児期こそ、様々な人やものなどに直接関わり、心身体の諸感覚を通してものの性質や仕組みを感じ取ったり気づいたりする体験や、人との関係が深まっていく体験などを積み重ねていくことが重要であるとしています。
 一番下の丸に飛びますが、しかし、家庭や地域におきまして、幼児の発達に必要な直接的・具体的な体験を十分に確保することが困難になってきておりまして、幼児教育施設において、様々な人やもの、自然や文化等と直接的・具体的に触れて関わり、豊かな体験をする機会を積極的に設けていくことが一層必要となっているということを示しております。
 次に、7ページの(2)を御覧ください。
 1つ目の丸になりますけれども、幼児期の認識や思考については、知識・技能などを教え込むことではなく、幼児が遊びを通して、わくわくして楽しいと感じる多様な体験をしながら、小学校以降の生活や学習の資質・能力を育んでいくようにすることが重要であることを示しております。
 次に、このページの一番下の丸に飛びますけれども、一方、3要領・指針は大綱的基準であり、一部の幼児教育施設におきましては、おのおのの解釈により、子供の興味・関心ではなく、SNS等からの偏った情報や、それらに影響を受けました一部の保護者のニーズを優先するなどし、ややもすると、幼児の発達にふさわしくない教育活動が行われているとの指摘があります。
 今後、さらに少子化が進行するとともに、幼児に対する保護者の期待が過熱化し、幼児教育施設の競争が激化することにより、幼児教育の基本から見て、必ずしも適切とは言えない教育が行われていくことが危惧されております。
 幼児教育施設におきましては、幼児が自発的に遊ぶ中で、主体的に自己発揮し、充実感や満足感を味わったり、友達と一緒に活動したり協力したりする楽しさを味わったりできるようにしていくことが重要であり、そのことが、小学校以降の学びや人間性の基礎を育み、幼児のウェルビーイングにつながることについて、改めて認識することが必要であること。
 また、その下の丸になりますけれども、国におきましては、幼児期の発達の特性や幼児期にふさわしい教育の在り方について、保護者や地域等に対する一層の普及啓発に取り組んでいくことが必要であるとしております。
 (3)につきましては、一番最後の丸を御覧いただければと思いますけれども、一定の成果が上がってきているものの、幼児教育において育みたい資質・能力と5領域のねらい及び内容、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」との関係について、より実践的な調査研究を進め、幼児教育の充実につなげていくことが必要であるとしております。
 (4)「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」につきましては、一番下の丸を御覧いただければと思いますけれども、課題としては、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に幼児を当てはめて、できる・できないと幼児を分析的に評価したり、特定の方に当てはまるよう指導したりするなどの課題が指定されているところです。また、小学校関係者の中には、どのように活用していいか分からないなどの課題も生じております。
 次の10ページになります。そのため、国や地方自治体においては、研修等を通じて一層の理解・啓発を図ることが必要であるとしています。
 次に(5)でありますが、2つ目の丸を御覧いただければと思いますけれども、活動全体により育まれていく資質・能力についての理解が、幼児期にふさわしい評価としての幼児理解の高まりや指導の改善につながっていくため、先生はこれらの実施に必要となる幼児教育の専門性を高めていくことが必要であるとしております。
 次に、2番の(1)「ICTの活用」について御覧いただければと思います。
 ICTを活用して、様々な取組が幼児教育施設においても行われてきているところであります。10ページの一番下の丸になりますが、情報化は年々進行しておりまして、家庭においても、スマートフォンやタブレット端末などによりインターネットを利用している5歳児が約8割となっているほか、小学校においては1年生から1人1台端末の整備が行われております。
 このような近年の状況に鑑みて、国においては、ICTの効果的な活用方法等について、より実践的な調査研究を進め、その上で、例えば1クラスに複数台の幼児向けタブレット端末やWi-Fiなどを配慮するなど、必要な環境整備についても健闘することが重要であるとしています。
 次に、(2)になります。1つ目の丸にあるとおり、社会の多様化が進む中で、誰一人取り残されることなく、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会の実現を目指し、その実現に向けた社会的包摂を推進する必要があります。
 次のページを御覧ください。このページの下から2つ目の丸から御覧いただければと思いますけれども、幼児教育の重要性に鑑みれば、幼児の障害や文化的・言語的背景などの特性を踏まえた教育を行っていくことが必要であり、そのためには、幼児教育施設の先生等の専門知識の向上を図るとともに、特別な配慮を必要とする幼児への継続的な支援を可能にする体制づくりが重要であります。
 また、国及び地方自治体においては、幼児教育施設が必要とする専門知識を有する人材を育成するなど人的体制の充実を図り、幼児教育アドバイザーなどを積極的に派遣して、支援していくことなどが求められるとしております。
 次に、(3)の「預かり保育」です。
 幼稚園においては、預かり保育を実施する園が増加している中で、実際にどのように預かり保育に取り組めばよいのか困惑している幼稚園もあるなどの課題が生じております。
 このため、幼稚園におけるいわゆる預かり保育について、より実践的な調査研究を進め、預かり保育の充実につなげていく必要があるとしております。
 次に、(4)であります。
 幼稚園におきましては、満3歳児が在籍する園も増加しておりますが、満3歳児は本来2歳児クラスに相当する年齢であることや、年度途中から入園することなどを踏まえまして、当該年齢における発達や特性を踏まえた指導についての調査研究が必要となっております。
 また、幼保連携型や認定こども園、保育所におきましては、次のページになりますけれども、就園の有無も含めて多様な対応であることや、様々な発達状況にある満3歳未満児の実態を踏まえながら、満3歳以上児の幼児教育との円滑な接続や、幼保小の接続を見通した乳幼児期における教育の一貫性・連続性の確保という観点から、幼児教育の内容の充実を図っていくことが重要であることを示しております。
 次に、(5)になります。
 1つ目の丸の最後になりますが、在園児のみならず、地域の子供に幼児教育の機能の施設を積極的に開放することが求められます。
 2つ目の丸の真ん中後段ぐらいになりますけれども、未就園児の親子登園や、こども誰でも通園制度などによる子供の預かりにおいても、幼児教育の特性を生かした活動を提供することにより、子供が入園後の生活にスムーズに移行しやすくなることなどが期待されるということを示しております。
 次に、15ページになります。「幼児教育と小学校教育との円滑な接続」です。
 2つ目の丸にあるとおり、小学校学習指導要領におきましても、各教科の指導において「幼稚園教育要領などに示す幼児期の終わりまでに育ってほしい姿との関連を考慮すること」が明記されました。
 これにより、幼保小接続が進んできているという成果もありますが、全国的に見ると、幼保小の接続に関する取組はいまだ不十分であるという課題も生じております。
 また、文部科学省の調査結果によれば、小学校低学年において、いじめの認知件数が多く、また、登校児童の増加率が高いことを踏まえますと、いじめ・不登校対策の観点からも、幼保小接続期の教育の充実について検討を行い、対策に取り組むことが重要となっていると考えております。
 次のページです。とりわけ、大きく増加している小学校低学年の不登校につきましては、今後その要因分析をさらに進める必要がありますが、幼児教育施設と小学校での学びや生活の段差が大きいと、子供が不安や戸惑いを感じて主体的に自己発揮しにくくなることなどが指摘されております。
 そのため、3つ目の丸にありますとおり、とりわけ小学校の入学当初におきましては、幼児教育との指導方法の連続性・一貫性を確保していくことが重要であるとしています。
 この点、小学校以降の教育におきましても、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善の取組が進められております。
 17ページになります。一番上の段落になりますが、子供それぞれの興味・関心や一人一人の個性に応じた多様で質の高い学びを引き出すことを求められているものでありまして、小学校の学習の在り方の改善を目指すものとなっております。
 また、GIGAスクール構想も進んでおりまして、1人1台端末の環境整備が進んだ現在におきましては、子供が求める経験や知識に自ら自由にアクセスすることが可能であるなど、環境を通した教育についての省力化と高度化が可能になっていると考えられます。
 こうした状況も踏まえまして、小学校教育におきましては、新たなICT環境、先端技術も活用しながら、環境を通して行う教育という幼児教育の基本的な考え方を参考にした効果的な教育実践の研究・普及を行っていくことが考えられるとしています。
 次に、最後に第3章になります。
 「必要な条件整備」の(1)です。一番最後の丸にありますとおり、地方自治体におきましては、幼児期及び幼保小接続期の教育に関しては、教育委員会が一元的に所管したり、また、関係部局が所管する場合においても、教育委員会が一定の責任を果たす組織体制を構築することなどにより、幼児教育段階から高等学校教育段階までの教育の一貫性・連続性を確保した施策を展開することが重要であるとしています。
 また、(2)では、我が国の幼児教育は、私立の幼児教育施設が果たしている役割は非常に大きいこと。
 そして2つ目の丸からは、そのような中で、公立幼稚園が減少の一途をたどっておりますが、地域の幼児教育の質向上に向けて、その専門的知見やノウハウを提供するなど、重要な役割を果たしてきていることを示しております。
 次の19ページになりますが、1つ目の丸にありますとおり、地方自治体は、このような公立幼稚園の役割を踏まえまして、域内において公立幼稚園が果たすべき役割を明確化し、その役割を果たせるように、公立幼稚園における3年保育や預かり保育の実施、認定こども園への移行などについて検討することが必要であるとしています。
 また、その下の附属幼稚園におきましても、広域のネットワークを形成しながら、地域の幼児教育を牽引する役割を果たしていくことが重要であることや、また、認定こども園が増加傾向にあるため、そのような研究を進める観点から、附属幼稚園の認定こども園への移行を検討することも考えられるとしております。
 次に(3)になりますが、地方自治体におきましては、幼児教育センターの設置やアドバイザーの配置、それらの活用を推進することが重要であり、一番下の丸にありますとおり、特に都道府県におきましては、自ら設置するセンターやアドバイザーの派遣により、域内の市町村を支援するほか、幼児教育センターやアドバイザーを近隣の市町村にも活用できるように、広域連携を促進していくことが大事であるとしております。
 また、質を高め合う体制づくりでは、上から3つ目の丸にありますとおり、設置者や施設類型を問わない幼児教育施設の合同研修の実施や、幼児教育アドバイザーなどの育成に取り組んでいくことが必要であること。
 また、国公私立の幼児教育施設をつなげるネットワークやプラットフォームを構築していくこと。
 そして、さらには、自園はもとより他園の園内研修・公開保育等のコーディネートも行える地域の研修コーディネーターを育成していくことが重要であるとしております。
 また、21ページになりますが、架け橋プログラムを一層推進していくということで、2つ目の丸にありますとおり、架け橋プログラム促進の体制を構築していくことが重要であること。
 そして、(4)の「EBPMの推進」にありますとおり、大規模縦断調査等も実施いたしまして、その成果を生かした幼児教育の研究者や実務家との協議を重ねながら、幼児教育の施策の検討を進めていくことが重要であるとしています。
 最後に、研究ネットワークの構築、22ページになりますけれども、EBPMを推進するためにはネットワークを構築することが必要であるとして、国研の幼児教育研究センターが中核としての役割を果たしつつ、地域の幼児教育センターとのネットワークも構築し、国研の研究と幼児教育センターの調査研究が相まって、我が国全体の幼児教育の振興へとつなげていくことが重要であるということを示しております。
 長くなり、申し訳ありません。事務局から説明は以上となります。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは早速、意見交換に入りたいと思いますが、今の資料、少し長いので、2つに分けて、意見交換を行いたいと思います。
 まず、第1章と第2章について一まとめでの意見交換、そして、それが終わった後に、第3章に入っての意見交換を行いたいと存じます。
 それでは早速、入ります。御発言を希望される方は挙手ボタンを押していただいて、よろしくお願いいたします。順次、指名させていただければと思います。いつものように、指名された方はミュートを解除して御発言いただき、御発言が終わりましたら、「手を下げる」ボタンを押してください。それでは、よろしくお願いいたします。どなたからでも結構です。あるいは大豆生田委員と秋田委員と奈須委員は途中退席と伺っていますが、何かあれば早めにでも。いかがですか。特になければあれですけれど。
 では、大豆生田委員、お願いします。
【大豆生田委員】  よろしくお願いします。
 ちょっとお話しさせていただきますけれども、本当に丁寧に取りまとめいただき、ありがとうございました。十分に読み込めていないところもあるんですけれども、私から1章、2章に関して、1点ずつ、お話しさせていただきます。
 まず、1章の3の「幼児教育の基本」のところでしょうかね、多様な子供ということで、これから、全ての子供ということを考えたときに、例えばその例示の中に、病気の子供みたいなことを具体的に上げることが可能であれば上げたほうが、よりそこが明確になってよいのかなと思いましたというのが、第1章に関して1つだけ取り上げるとすれば、そこの点です。
 それから、続いて第2章についてですけれども、2の(5)「地域における幼児教育施設の役割」というところになりますが、園がこれから地域の中核的な存在であり、地域の様々な人との交流について触れていただいていること、とてもうれしく読ませていただきました。はじめの100か月の育ちビジョンのところでも、この辺りのことはかなり議論したところですけれども、これから、いわゆる中高年、高齢者の世代と、それから小中高生とか青年世代も含めたそこの関わりみたいなことを、つまり、これまで乳幼児と関わりを持つことが少なくなってきてしまった人たちとの交流機会をどうつくるかが、こども真ん中社会づくりの鍵になるのではないかと考えます。その辺りをどう強調するかということで、そこにも十分、文章として書いていただいているんですけれども、例えば具体的に、学校との連携ということで、架け橋以外にも、小中高校生との交流みたいなことが書けないだろうかと思ったという点があります。
 それから、地域のあらゆる企業とか、商店街とか、農家とかの交流、それは子供にとっての社会資源、学びの資源として有効なだけではなくて、まち全体の持続可能性という観点からもとても重要かなと思いながら、その点、読ませていただきました。
 こども誰でも通園制度との絡みのことでも地域のことを書いてあるんですけれども、もしかすると、その辺りのことを書き分けていただくのも、その一つかなと思いましたということで、2章についてはそんなことを思いました。
 3章のことは言わないほうがいいですよね、ごめんなさい。
【無藤座長】  でも、途中で退席されるわけですから、では、今言ってください。
【大豆生田委員】  いいですか、ごめんなさい。申し訳ないです。
【無藤座長】  はい、大丈夫です。
【大豆生田委員】  3章で、必要な条件整備の(3)の「幼児教育施設への支援体制」のところに該当するかなと思うんですけれども、前回、Yサポのことで、中堅リーダー、地域の支援者のことについて明記いただいてありがとうございます。
 それに加えて、地域における研修の在り方みたいなこともそこに記されることが必要かなと思うんですけれど、例えばエピソードを持ち寄ったり、公開保育のことを書かれているんですけれども、実践を持ち寄る中で、対話的で、継続的で、往環型の研修というのがこれからすごく必要で、それは実は架け橋においても、園側と小学校がそれを一緒にやることの可能性もあると考えますので、その辺りのことも、もし可能であればと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。最初のほうのところで、若干のコメントですけど、病児の保育については、もちろん病児保育という概念も実例もありますけれど、それは保育所としての一環だと思うんですが、幼稚園との関連で、私の記憶の限りでは、きちんと議論されていないかなとも思うんです。その辺は幼児教育課ともちょっと相談したいと思います。
 それから、小中高の子供、生徒と幼児の交流というのは、もちろん中学、高校では家庭科とかその他のところでの園訪問というのが一応カリキュラムに入っている。ちょっとコロナで中断したと思いますけれども、それを含めた拡充は必要なことだと思うので、どこまで書けるかというのを、ちょっと検討しようと思います。
 地域人材というのは、子供が地域に関わることは重要な姿の1つにも入れましたけれど、もっと積極的に地域の方々の持っているリソースとおっしゃいましたかね、その活用というのは何かの形で入れたいと思います。
 3章のほうは、また、全体としては後で議論しますが、研修の在り方のより詳しい書き込みも、大豆生田委員が以前話していただいたような方向で検討していると思います。ありがとうございます。
 それでは次ですが、坂﨑委員、お願いします。
【坂﨑委員】  おはようございます。坂﨑でございます。私も途中で抜けてしまいますので、あの……。
【無藤座長】  ああ、そうですか、どうぞ。
【坂﨑委員】   ページに沿って行きたいと思います。
 「はじめに」の2ページ辺りで、いわゆる2040年以降のところと、中央教育審議会の生きる力のことで、やはり、VUCAの時代の話をきちんと書いていることは良いのではないかなと思いました。
 ウェルビーイングの向上と全ての子供ですので、インクルージョンがこれから重要な概念になると思っていましたが、インクルージョンに関しては11ページ以降に書かれているので良いのではないかなと思いました。
 第1章の4ページ目です。3の「幼児教育の基本」の2つ目の丸に、「幼児が思わず関わりたくなるような魅力的な環境を構成し」という言葉がありました。私の感覚なのかもしれませんが、平成30年の指針・要領で、子供の主体性がすごく強くうたわれたと思うんです。
 一方、それが少し行き過ぎているようなところがあって、これはここに書かれていることと、後ほど書くことが望ましいかどうかは別にしまして、今後はどちらかというと、子供の主体性と保育の主体性というか、いわゆる子供と保育者の学びとか教えの過程を共同してつくっていく、いわゆるCo-agencyとか共同エージェンシーと呼ばれるようなことというのが大事だと思いますので、評価として今回、片一方に行き過ぎたところがあるのではないかなということを少し考えています。ここに書かれていることがどうかということではなくて、やはり、一緒の学びがどこかで記述されることが望ましいのではないかなと思っています。
 第2章に行きたいと思います。
 6ページの人との関係の希薄化については、ここはすごく大きな点だなと思って、この点を書いてくださったことはありがたいと思います。
 また、8ページに書かれています、いわゆる、ある意味では行き過ぎた幼児教育の部分に対する指摘も、この点は良いのではないかと思います。
 9ページの2つ目の丸ですけど、「一方、幼児教育において」というところの小学校教育との関連性の難しさの指摘についても、私もこれは同感であります。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の部分の問題はないのですが、実際には、これが架け橋プログラムを通したりしてということですが、架け橋プログラムそのものが、この後でなければ出てこないのねということで、こういう形で整理されたのだと思っています。
 11ページに関しまして、いわゆるICTとかSNSと幼児期の体験の重要性が書かれています。ここ、少し考えてみると、相当難しいなと思っています。体験の重要性とICTの活用というのが、やはり反比例しないような配慮が必要なのではないかなと思います。家庭におけるSNSの一般化と体験不足というのは多くなっているのですが、一方、保育現場ではなかなかGIGA構想が進まないことも含めて、そういうことが全く行われていないという幼児教育の弱さもどう考えていくかというと、体験の重要性とICTの活用を併存していくというのは、今後、ある程度、進めていく事が必要なのではないかなと思います。
 特別な配慮のところで社会的包摂を書いてくださったこと、また、特に3つ目の丸のところに、「幼児教育の基本は同じであることに留意が必要である」と書いたのは、とても大きいと思います。実は、ここのところが、多くの特別支援をやっている方々に抜けてしまうのです。保育所保育指針が基にあって、ガイドラインに進むということがなかなか理解されていないことを含めて、ここは非常に大きなことだと思います。
 12ページに障害の専門のことが書かれているのですけれど、教育そのものに関わらないことではあるとは思いますが、いわゆる財源の関係があると思います。自治体によって、障害の対応に非常に格差がある、一定ではないというところに、やはり一般財源問題があるのではないかなと思います。
 13ページ、満3歳以上の問題については、ここが「幼稚園等における」なので、これはこれ以上の問題がないと思いますが、本来は「幼稚園等」だけではなくて、満3歳問題が基本的にあることのほうが大きいのではないかと思います。ですから、満3歳問題をどうしていくのかというのが今後の大きな課題だと思います。
 小学校の接続のことを話して終わりますが、私は小学校の接続がうまくいかなかったのは、やはり令和2年3月の一斉休校、コロナによることがうまくいかなかった大きな要因だと考えています。ですので、もしもそういうことがなければ、ある程度進んでいたのではないかということと、15ページの4点目にいわゆる不登校やいじめのことが書かれたということも非常に大きな進展ではないか、なかなか書きにくいところをきちんと書いたというのは立派だなと思っています。
 第1章と第2章に関わって、ざっと読んだところで意見を申し上げました。申し訳ありません。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。多岐にわたる御意見でしたけど、若干コメントさせていただくと、保育士はどう関わるかももう少し言い出したほうがいいという御意見で、これは子供の主体的な関わりを強調することがいけないとかという話ではなくて、それを実現するためにも、周りの環境や保育者の配慮、関わりが重要だということだと思うので、現行の幼稚園教育要領で言えば、その辺りはいろいろなところに書いてあるのと、それから特に保育者のいろいろな役割があるという話とともに、保育者が子供の様子を記録して、見直して、指導計画を検討していくという広い意味での評価ですけれど、その辺に入れてあることになるんですが、そこが見えにくいのかもしれないなということですね。
 Co-agencyとか寄与したいというのは、今の段階ではまだ入れにくいというのが正直なところですけれど、これは中教審全体である程度入る状況になれば、もちろん考えるのかなと理解しております。
 満3歳というのは、幼稚園教育としてはどうするのかということをどう組み込むのかも、この方向として書けるかというと、今まだ検討があまり足らないというのが私の正直な印象ですけど、少なくとも、それが大事だということは分かるようにしたいと思います。
 それでは、秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】  ありがとうございます。
 ページに沿っていきたいと思います。この間に、事務局が丁寧に、目配りの利いたおまとめをいただきましたことに、まず、感謝を申し上げたいと思います。
 まず、3ページ目の「幼児教育の重要性」というところでありますけれども、2つ目の丸等で「幼児教育については」と書かれているんですけれども、その後、OECD等の知見を引いていますので、例えば「幼児教育については、乳児期の発達とともに」とか「乳児期と続いて」とか、「人生初期の」という前に、「乳児期」という言葉を、幼児教育だけを重要だとOECDは言っているのではなく、乳幼児期の保育・教育の重要性が学術的にも脳科学的にも出ているので、幼児期の年齢層だけにターゲットを当てた知見ではないので、ここはより正確に書いていただいたほうがよろしいのではないかと考えるとところがまず1点目になります。
 そして、2点目ですけれども、1章の「3.幼児教育の基本」というところで、環境や生活経験の違いがあるということが丸で書かれているんですけれども、後ほども出てくるんですが、これまではこう書いていたんですけれども、こども誰でも通園をはじめ、様々な幼児期の人がいるので、「家庭環境や生活経験、それまでの保育経験の違いがある」ということを入れていただくのが、今、乳児期、これからこども誰でも通園制度が入ることによって、やはり保育の経験がいろいろな人がいるという事実は家庭環境に帰すことではないので、そこを一言入れていただけるとよろしいのではないかと思ったところです。
 それから6ページ目の(1)「豊かな体験」ということで、スマホとか、体験が減っているということで、疑似体験が増えているということだけが書かれているんですが、もう1点書いていただきたいのは、実は幼児期の絵本体験が家庭では減っているということです。小学校1年生の不読率が18%でありまして、乳幼児期に家庭に絵本等がない子供が増えていること、また文部科学省の調査で分かっているのは、乳幼児の保育者の方々には、絵本等の文化的なメディアの研修というものが幼稚園の新任研以外には一切なく、全てあとは園内研に任されてしまっていています。しかし、ほかの研修が忙しくて、絵本などは研修で扱われていないということです。実は子供の文化的な体験、絵本だけではありませんが、歌であったり、様々な体験が少なくなっているというところ、そして保育者自身の専門性も薄くなっているというようなところについては、何らかのことが文部科学省のデータで出ておりますので、入れられないかと考えるところでございます。
 それから、その次になりまして、少し先に行くんですけれど、先ほどもお話がありました10ページの「幼児教育施設におけるICTの活用」という言葉です。ICTの活用というのは、インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーというものの活用ですけれども、幼児教育における、例えばデジタル基盤の整備というようなことが最も重要でありまして、例えば、テクノロジーとして、デジタルでもインターネットにつなぐだけではなくて、デジタル顕微鏡を使うとか、それから、デジタルの様々な環境を構成して、そこに子供が自ら遊びの中で関わるようなことが現実には起こってきています。ICTというと、タブレットとか端末だけを考えがちでありますけれども、むしろ、小学校以上のデジタル学習基盤と、デジタル教科書とは違いますけれども、乳幼児期、幼児期においても、そうしたデジタル環境基盤の充実ということが、大事かと思います。ここにWi-Fiのことを書いていただいたんですけれども、この頃、小学校からの声で聞くのは、小中はGIGA端末とWi-Fi環境整備が行われたけれども、接続連携で幼児教育施設と通信しようにもWi-Fiが十分でないというようなことが言われています。そうした環境の整備というもの全体が今後必要だという、端末を配れという話ではなく、そういうものがあることが子供の環境として、これからデジタルの環境と具体的な直接体験の環境とが環境を通して両面共に重要になってくるという意味での「デジタル環境」という言葉が入るとよろしいのではないかと考えたというところになります。
 また、いわゆる預かり保育というところについて、検討が必要だと書いてくださっているんですが、可能であれば、「預かり」という言葉から、こども基本法もできました。親が子供を預けるのではなく、預かり時間における子供自身の学ぶ権利の保障というものを環境としてどうしていくのかという名称に検討して変えていくことも必要ではないかと、ここでは書けないと思うんですけれど、何とかそこの充実も御検討の項目に入れていただけるといいと思います。
 それから、地域というところで、先ほど大豆生田委員も言われましたように、地域というものをより広く、高齢者や小中高、いろいろな地域の人的リソース、商店街や文化施設などのことが、そこに入るといいんだろうと思います。
 それから最後のところですが、幼児教育と小学校教育の円滑な接続に関しては、大変丁寧に書き込んでくださっているんですけれども、本年4月から文部科学省で出しておりますリーフレット並びに動画を活用しますと、やはり、これが「主体的、対話的で深い学び」、それと「個別最適な学びと協働的な学び」の環境の基盤として、まさに子供が自分で                                                                                      遊びたい環境を選び、自分でつくり、共につくり出し、そして友達と関わるということが個別最適な学びと協働的な学びの基盤をまさに園がつくっているというようなところが、もう一つ、今後の検討課題として入れられるとよろしいのではないかと思ったところです。
 それから最後に、この章立てには立っていないんですけれども、今、幼児教育で重要なのは、加配の人も含め、チームで保育をしたり、教育を行っていく。そして、園においても、チームの連携やチーム園として運営を行っていくことがあります。保育所やこども園では認定こども園教育保育要領や保育所保育指針では書き込んでいるんですけれども、幼稚園教育要領では、研修をはじめ、そういう園運営の部分が今までなかったんですけれども、今後を考えますと、チームで専門性を高めていくというところが園の中の体制として重要であるということが何らかの形で書けないのかと考えたというところになります。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。どれも大事なことばかりですけれども、多少のコメントですが、乳児期を入れるというのは、誤解を避ける意味で必要かと思います。用語はちょっと曖昧な部分がありまして、幼児期というのは、教育基本法上、乳幼児期を指す、これは法令根拠があるわけですけれど、幼児教育というのは、そういう法令根拠がはっきりしていないところがありまして、文部科学省が出しているものでも、3歳以上の幼児を指している場合と、乳幼児を指している場合と、実は混在しているはずなんですね。この報告は、幼児教育課が担うという意味では、多分3歳以上のはずですけれども、そこら辺をどう使うかは、こども家庭庁の考えもあるんでしょうけれど、調整していただければと思います。
 それから絵本体験、あるいはそれ以外の文化的体験というものの記述が弱いというのは、おっしゃるとおりです。幼稚園教育要領にはもちろん書いてはあるんですけれども、それを実践にどう生かすかということで、現場での状況を私はよく分かっていませんが、やはりコロナがかなりきいたなというのは、いろいろな意味で、例えば子供を集めて読み聞かせって一時期やめましたけれども、でも、それ以外のいろいろな要因が絡んでいる気がいたしますので、そこもちょっと触れられればと思います。
 さらに、デジタル基盤の問題も広げて考えるべきだということ。
 それから、預かり保育について、名称をここで変えるべきだというのは確かにちょっと書きにくい気がしますが、預かり保育として子供がそこにいる以上は、幼稚園としての教育活動はなされるべきであるわけですので、ということは書いてあることなので、そこをもう少しはっきりさせたいと思います。
 4章についての個別最適につながるという指摘、また、幼稚園のチーム保育の問題も、もちろん、実践的に重要だと考えました。
 それでは、奈須委員、お願いします。
【奈須座長代理】  よろしくお願いいたします。
 幼児教育と小学校教育の円滑な持続のところ、これまでにないぐらい、しっかり踏み込んで、経緯を説明しつつ書いてくださっているなと思っています。ずっと説明が続いて、一番最後の丸のところで、「こうした状況も踏まえ、小学校教育においては、環境を通して行う教育という幼児教育の基本的な考え方を参考にした」ということになっていて、これが大事だと思いますし、デジタル学習基盤というのも、まさにこれを今求めていて、小学校でもこういった機運が高まっているので、幼児教育の側からこういう御提起をしてくださるのはありがたいなと思っていますが、そうすると、環境を通して行う教育とセットのものとして、16ページの上から3つ目のポツの2行目ですが、「幼児教育においては、幼児は生まれながらにして自ら学びを展開していく力を有しているという考え方を基に」、この子供観ですね、子供は有能な学び手だという、これがとても大事で、これがあるから、環境を通して行う教育ができるわけですよね。
 すると、17ページの一番最後のところにも、やはり、小学校でもこの考え方を共有してほしいというのは入れたらどうかなと思います。例えば、2行目の「学びを提供するために」の後に、「子供は生まれながらにして自ら学びを展開していく力を有しているという考え方に立つ」とか、すると当然、小学校も、ICTなんかを使いつつ、環境を通して行うということに踏み込んでいってほしいということに素直になるのかなと思っています。
 そう考えたときに、16ページの先ほどの幼児教育のところですけど、幼児教育においては、幼児は生まれながらにして自ら学びを展開していくというんだけど、では、小学校、児童になったらなくなるのかという話ですよね。生まれながらにしてあるんだから一生涯あるわけですけど、ここを「幼児は」としてしまうと、児童生徒はもうないと誤解する人がいて、そんなことはないわけで、だからこれ、「子供は生まれながらにして」ですよね。乳児もそうですしね、乳児はいよいよそうです。だから、幼児教育だから「幼児は」と書いているんだけど、小学校だから「児童は」と書いてしまうのと同じだけれども、もっと一般的に、子供という存在はということですよね。そうしてくださると、最後も、子供はそうなんだから小学校だって、もちろん小学校は前に立って先生が教えるのも一定程度あるし、それもいいんですが、幾らかは環境を通して行う教育に踏み込んでいってほしいということがあっていいのかなということを一つ思いました。
 それから、17ページのその一つ前のポツのところですけど、「また、かつては、その環境整備に」というのがちょっと唐突な感じはあって、だから、小学校においても環境を通して行う教育の考え方に立った取組というのは少ないですけど、あったわけですね。だから、それがあってもいいのかなと。小学校においても環境を通した教育の理念に立つ取組というのは散見されたんだと、ただ、かつては厳しかったんだという、この辺が幼児教育と小学校は大分事情が違うので、そこが今回、デジタル学習基盤ということで大きく可能性が広がっているということ、それが結果的に幼児教育との理念的な、子供観も含めた理念的な連携接続の好機になっているというストーリーが可能かなと思いますし、それは小学校側にとっても、とてもありがたいなと思って伺っておりました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。特に最初の御指摘の部分は、確かに幼児教育において云々の前に、そもそも子供は生まれながらにして自ら学びを展開して力を有しているという考えがあるんでしょうから、「子供」という表記でよさそうですし、私としては、そこに「子供は生まれながらにして、自ら環境に関わり、学びを展開し」と両方入れてしまうほうが筋が通ると今思いました。
 それでは、古賀委員、お願いします。
【古賀委員】  ありがとうございます。
 ここまでの議論を丁寧にまとめていただきまして感謝申し上げます。
 まず、第1章のタイトルのところで、「社会と共有したい幼児教育の基本的な考え方」と出てきておりまして、平成29年の「社会に開かれた」というところから「社会と共有したい」と、より積極的なこれからの時代をつくる姿勢が打ち出されているように感じました。
 一方で、各所にあります「先生」という呼称につきましては、様々な意味で用いられる俗称でもあって、Co-agencyとか、先ほど坂﨑委員からもありましたけれども、共主体とか、こういった今後の保育実践において重要な概念が出てきている中で、今から「先生」という上下関係が表されてきた敬称をこういった文章に用いていくのはいかがなものかと思います。「教師」や「保育者」は役割名称ですけれども、「先生」は敬称であるということを御理解いただいいて、以前の意見にも重ねての意見となって恐縮ですけれども、御検討をお願いしたいと思います。
 それから5ページ目の2つ目の丸辺りから3つ目の丸辺りですけれども、先ほどの御意見ともちょっと重なりますが、環境を通して行うということをすごく丁寧に解きほぐして書いていただいていると思うんですけれども、「教師の意図性」という言葉が、やはり、ちょっと欲しいと思いました。例えば、3つ目の白丸の冒頭、「幼児は、このように構成された環境の下で」というところに、「このように教育的な意図を持って構成された環境の下で」というような文言が入れられないかなと思いました。
 7ページ目に行きます。(2)「自発的な活動としての遊び」の上から5つ目の白丸に「言語能力」という言葉が出てきます。それまでのところでは、数量感覚であるとか思考力などに関して具体的な事例を用いた説明がありますけれども、言語についても、幼児教育において、どのような活動を重視しているのか伝わる内容が入れられると、その後の8ページに、「一方的な指導で文字等への興味・関心の芽を摘む」というような表現が出てきましたけれども、そこら辺りと併せて、理解していただきやすくなるのではないかと感じました。
 先ほど秋田委員からもありましたけれども、絵本や言葉遊び、歌といったものから、遊びを振り返って話したりするというようなことも、このところ大切にされてきているかと思います。そういったことは小学校との接続といった意味でも重要な部分かと思いましたので、御検討いただけたらと思います。
 9ページです。(4)「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の一番下の白丸になりますけれども、ちょっと細かいんですが、2行目に「できる・できないと幼児を分析的に評価したり」と出てきますけれども、分析的であることは特に悪いことではないので、二分法的にとか、要は育ちのプロセスを見ることが重要であるのに、一時点の姿を診断的に見ることと誤解されてはならないので、その点がもう少し正確に伝わるような文言の調整をお願いできたらと思いました。
 12ページ目です。上から3つ目の白丸、多国籍の幼児についてのところになりますけれども、「日本語をどの程度理解できるのかも含めて、外国籍等の幼児が有する文化的・言語的背景等を踏まえ、幼児の実態に応じた日本語の指導を実施することが重要である」と書かれています。かなり踏み込んだ記載かなと思うんですけれども、日本語の指導がどのように現場に響いていくのかというところが、ちょっと気になるところです。母国語であるとか家庭の文化を大切にしながらというような、その辺りの配慮の文言を入れられないかと感じました。
 13ページです。「預かり保育」についてですけれども、これまでの検討の中でちょっと十分意見してこられなかったところで、この段階から申し上げるのも大変恐縮ですけれども、今後、こども誰でも通園制度が実施となることを見据えて、一層の広がりが想定される預かり保育ですが、この時間帯、幼稚園で保育している人たちのほとんどが非正規労働者です。預かり保育の時間帯の教育活動をいわゆるお教室のようなところに外注しているような実態もあります。預かり保育の質をどう考えるのか、従前から既に問題になっていたことであると思いますけれども、ゼロ、1、2歳児の保育や長時間保育に一層幼稚園が関わるようになっていくという流れの中で、しっかりとした質を担保する財政面や構造的な条件の整備の検討に入る段階ではないかと思いますので、今後の検討としてでも御考慮いただけたらと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。幾つかですが、「先生」という呼称についてどうするかは前にも御指摘があって、幼児教育課としてもいろいろ検討して、変えにくいという結論なのかもしれませんけれども、古賀委員に限らずというか、ここにいらっしゃる委員以外に聞いても、何となく抵抗を感じる場合が、幼稚園の場合も保育園の場合ですけど、あるのと、特に保育所の一部は、あえて「先生」を使わないという、別に使っても使わなくてもいいでしょうけど、使わないという立場の方もいらっしゃって、何となく、無用な混乱を起こす感じがどうしてもあるので、どう工夫できるか、今、知恵がありませんけれど、また、御検討をお願いしたいと思います。
 それから、「教師の意図性」というのはごもっともです。
 それから、言語能力の具体的なというのは、もちろん、領域、言葉や10の姿の一つに言葉による伝えがあって、言及することができるのかなと思います。
 それから、「2分法的」という表現ということとか、日本語指導については、母語というんですかね、残すとか、文化とか家庭との連携を並行させてということですよね。
 最後の預かりについて、「財政面」と明記できるか分かりませんけれども、一応、今でも「一層の充実」ということが出ているんですが、先ほどの御意見も併せながら、教育活動としての意義をもっと明確にするということは書き込むことで検討したいと思います。
 それでは、若山委員、お願いします。
【若山委員】  よろしくお願いします。
 第1章、第2章について、4点お話しさせていただきたいと思います。
 まず1つ目に、「はじめに」のところです。私、この検討会に出させていただいて、3要領・指針の趣旨を理解しようとしたり、それについて取り組んだりする先生方や団体が多くあることが見えてきたなという印象を持っています。
 そのため、この「はじめに」の4段落目、「この点について」から始まる段落ですけれども、そこの4行目の「設置の促進など取組を進めてきている」という文章の後に、そのまま続けて、5段落目、「こうした状況下において、本有識者検討会が設置された」というところにつなげていくので十分なのではないかなという印象を持ちました。
 ここで、今の段階では、この点についての段落で、「いまだ数多くの課題がある」と書いてあるんですけれども、本検討会の議論を通していった先に課題が見えてきたということが報告書の最後のほうのどこかに出てくれば十分なのではないかなと思いましたので、どうかなと思って、お伝えさせていただきました。
 そして2つ目が表記ですけれども、3ページ目の「1.幼児教育の重要性」の2個目の丸で「恵まれない」という表現が出てきていて、この表現、何か少し引っかかるなと思いました。そういうふうに使う慣習があるのか分からないんですけれども、ちょっと引っかかりますので、例えば出典先の文言で、「一定の基準を下回る所得世帯の」など、客観的な表記に置き換えてはどうなのかなという感じを持ちました。
 そして3つ目は、2.幼児期の発達の特性、3ページ目のところで述べられているんですけれども、ここでいろいろ特性を述べていただいていることに加えて、今回この検討会では3要領・指針の実施状況を調べていくことが趣旨としてあったと思うので、現行の3要領・指針に基づいた幼児の発達の特性をもう少し書いていってもいいのかなと思っていて、すみません、これ、無藤先生編の文献ですけれども、見えますか、これが中央教育審議会の答申のところで、別添資料1で出ているものですけれど、そこから文言を持ってきて、例えば、基本的な生活習慣の話であるとか、ここで書かれているような3資質・能力に基づく幼児の発達の特性というものがもう少し書かれると、3要領・指針に基づく検討会という感じがするのかなと思いました。
 最後、4番目に、4ページ目に「3.幼児教育の基本」という節があると思うんですけれども、これに加えて、幼児教育の方法という節が新設できないのかなと思いながら見ていました。現行3要領・指針等で共通して特徴的な幼児教育の方法というのが恐らくあると思うんですが、例えば現行であれば、資質・能力をねらいと内容に基づく、活動全体で育むことであるとか、幼小接続を見越して10の姿を用いたり、小学校と共有して幼児教育を行っていることや、全体的な計画作成を行う辺りは共通しているところだと思うので、そうした方法で、現行、幼児教育を行っているという方法論を述べられたらどうなのかなという印象を持ちました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。「はじめに」の書き方のところは、御指摘がロジカルな感じがしますので、もう一度全体を見直したいと思います。それから、「恵まれない」という言い方はちょっと、ここではヘックマンを引用しているんですかね。ヘックマンでどう使っていたか覚えておりませんけれども、「恵まれない」という日本語に該当する英語を使っていることは確かなんですけど、どういう言い方がふさわしいか考えます。それ以外のことも御指摘もっともだと思いますので、ちょっと膨らませる形で検討したいと思います。ありがとうございます。
 それでは、岸野委員、お願いします。
【岸野委員】  失礼します。事務局の皆様におかれましては、中間取りまとめ、本当にありがとうございました。私から2点、意見を申し上げたいと思います。
 一つは、小学校以降の教育とのつながりに関するところです。7ページの「幼児教育の基本に関する事項」、(2)の「自発的な活動としての遊び」に関連して、3つ目や5つ目のところで小学校以降の教育とのつながりが書かれていますが、小学校以降もこうした自発的な活動としての遊びを通して培われた学び方のようなものが同様に重要になるのではないかと思います。そうした連続性が表現として入れ込めるといいのではないかと思いました。というのも、小学校移行に向けた準備に関わって、園のほうも様々誤解があるようなことを依然として聞くことがあるからです。例えば、「各教科等の学習で得ていく知識・技能なども、子供が心を動かし、自ら試し、考えながら実感を持ってこそ身につけられるものであり、より豊かな資質・能力の育成には、幼児のこうした自発的な活動としての遊びで経験してきた学びこそが重要である」といったような感じのことを入れ込むのはどうかなと思いました。
 ただ、小学校以降のところについて、どこまでこちらで書き込めるかというところは、ちょっと私も判断がつかないんですが。もしくは3の16、17ページの「幼児教育と小学校教育との円滑な接続」のところなどにも関わるかなと思うので、こういったところに「小学校以降の教育においても幼児期の学びがつながっていく」ということを入れ込んでもいいのかもしれないとも思いました。
 ここでは、とりわけ入学当初のことが割と中心に書かれているように見え、もちろん「小学校以降の教育においても」とか、「環境を通して行う教育」を参考にというふうにはあるんですが、より踏み込んで、入学当初に限らず、「教科等の学習においても」ということや、あるいは、環境を通して行う教育が個別的な興味や関心や意欲につながるというだけでなく、「学習をより深めることにつながるんだ」ということにも踏み込んで記述できるといいかなとも思いました。さらにはそうした効果的な教育実践に向けて、幼保小で協働して取り組んでいくことの必要性といったことも可能な範囲で踏み込めるといいのではないかと思いました。
 2点目は、先ほど秋田委員からもチームということがありましたが、その問題意識とも重なるんですが、評価と、それから、記録と同僚性に関するようなところです。10ページの(5)の「幼児理解に基づいた評価」に関連して、2つ目や3つ目の丸のところで専門性を高めていくことや、記録を蓄積して、家庭と一体に幼児の成長を支えることが書かれていますが、個々の保育者が幼児理解に基づいた評価について、同僚とともに対話を行ったり、また、記録を検討し合ったりして、振り返りながら専門性を高めることが重要であり、それに向けて、組織としてもマネジメントを行っていくことが大切であるといったように、同僚性とか記録、組織マネジメントの重要性を改めてこういったところに入れ込むのはどうかなと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。それぞれおっしゃる方向で、特に小学校についてどのぐらいここで書けるかというのはちょっと、中教審の教育課程課のほうでなさっている調整なので、少し時間がかかると思いますけれども、基本的にはその方向で検討したいと思います。
 それでは、田中委員、お願いします。
【田中委員】  よろしくお願いします。本当に丁寧に中間の取りまとめしていただきまして、感謝申し上げます。私のほうから、まず13ページの「幼稚園が行ういわゆる預かり保育」についての記述のところですけれども、3つ目辺りに書かれていることに関して、教育課程に係る教育時間と預かり保育に係る教育時間において行う教育内容、それから、幼児の体験のつながりをどのように捉えていくかが課題という辺りですが、預かり保育に係る教育時間において行う教育を受ける子供も、受けない子供もいますよね。これが認定こども園においても、1号認定の子供と、2号認定のお子さんと、状況としては重なってくる課題かなと思っています。まずこのことを確認できればと思います。
 預かり保育が教育として充実していくべきだということには異論はないというのは、まず申し上げたいんですが、では、どうするのが課題になるのかということですけども、教育課程に係る教育時間と預かり保育に係る教育時間が連続して全く同じというか、完全に連続しているということも違うはずだと思っています。といいますのも、預かり保育を受けない子供、それから、認定こども園においては、1号認定の子供が、仲間とともに遊びや生活をつくり上げることから、一部、知らないところで置き去りにされてしまうことにならないように配慮することが必要だと思います。
 また、全員が長時間の保育を受けている保育所においても、一日の流れの中で、集団で生活するからこそ得られる経験を、自発的な活動としての遊びの中で保障できるような遊びとか生活の流れを大事にすることが必要だなと思います。大事にしてくださっている施設もあれば、仲間とともに遊びや生活をつくり出す経験は十分に保障できているかなということをちょっと疑問に感じるような環境づくりになってしまっているところも見たりもしますので、そこら辺りにも言及できないかなということも思いました。
 15ページの幼保小接続期の教育ですが、2つ目のところに、幼児期の教育から小学校教育に円滑に移行できるという意図とともに、例えば低学年の教育が、低学年の子供の発達の特性に応じた教育となるようにということが期待されていると考えています。両者は同義なのかもしれないんですけれども、低学年の教育に何を期待するのかということが織り込まれるほうがより分かりやすくなるのではないのかなと考えました。
 あと、16ページのところでは、ここでも本当に小学校教育に対する問題提起も丁寧に記述してくださっていてありがたいなと思って読ませていただきました。一方で、一部のということになるとは思うんですけれども、その範囲がどれだけのものか、自分も実態としてはつかめていないところはありますけれども、やはり幼児教育のほうへの問題提起も入れてはどうなのかなということも思いました。
 このまとめの7ページから8ページにかけて、幼児の発達にふさわしくない教育活動が行われていることへの警鐘にも触れていただいているとは思いますが、可能であれば、今申し上げた辺りでも、幼児期における前倒し教育によって、例えば1年生の学習が既習なものとなってしまってつまらなくなっているような状況だとか、1年生の学習での学びの楽しみを奪ってしまうことになっていませんかというような問題提起を入れてはどうかなということを思いました。
 一部の幼児教育施設においては、つまり、7ページから8ページの辺りに書かれている、SNS等からの偏った情報やそれに影響を受けた一部の保護者のニーズによる教育を安易にしている施設は、むしろ保護者の啓発を行うとともに、真に幼児教育で大切にすべき方向への転換を図るべきだというメッセージをもう少し踏み込んで出せないかなということを思いました。
 また、この保護者の啓発に当たっては、文部科学省が作成された動画が本当に役に立つと自分は思いながら見せていただいています。この動画の情報に、自分は、もしかすると乳児健診とかそういうときからもう保護者が触れられる仕組みづくりができないだろうかと思います。つまり、幼児教育施設を選択する際には、もう既に幼児期にふさわしい教育についての知識を保護者が得られているという状況ができないかな、むしろできてほしいなということを期待したいと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。預かり保育については、預かり保育の時間帯において様々なタイプの今、1号、2号、プラス預かりということになるんですけど、入り混じったり、逆にもう既に帰宅していたりという、2つの状況。これは認定こども園で既にあるわけですけれども、幼稚園の広がりの中でさらに増えてきたと思いますので、その辺の幾つかの類型のお子さんに対する配慮が見えるようにしたいと思います。
 それから、小学校とのつながりで、低学年教育の特質をどこまで書けるかというのはちょっと、先ほどと同じように、教育課程課のほうでの小学校以上の議論、調整の中で書けるところを書くか、あるいは言及するかということになると思います。
 接続に当たっても、幼児期におけるある種の早期教育の問題、また、そのことを含めた保護者への啓発のことは大事なので、直接的に今、乳児健診という形ではないんでしょうけれども、もう少し広げたいと思います。ありがとうございました。
 では、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  ありがとうございます。まずは中間の取りまとめ、ありがとうございました。とても端的で、読みやすくて、非常に分かりやすい内容になっているなと思っております。ありがとうございます。
 私のほうからは、6ページの第2章のところで、白丸の4番目です。直接体験の重要性と、デジタルデバイスの利用時間が増加しているところでは、対比例にならないようにという御意見もありましたけれども、ここのところは保護者の意識が著しく変化していて、例えば小学校でもプログラミングが始まったことによって、幼児期からのプログラミングの習い事が盛んになったり、ゲームコンテンツも盛んに行われることで、保護者が小学校教育に対して安心してしまうというところもあり、直接体験の重要性とデバイスとの関係についての説明が非常に難しいなと現場では感じています。
 それと同時に、(2)の「自発的な活動としての遊び」のところに関しても、これが幼児期の教育の重要性ですけれども、意識をどう啓発していくか。先ほど田中先生もおっしゃっていましたけれども、どういうふうに保護者や社会に幼児教育の重要性についての意識の啓発をしていくのか、インパクトがあるように発信していくのかが非常に大事かなと思っております。遊び違い、環境違いというところを理解してもらうことが現場としては難しいと感じているところでございます。
 8ページから9ページに関しての(3)、「幼児教育において育みたい資質・能力」のところでも同じようなことが言えますが、3つの資質・能力が幼児期から高等教育まで継続的に連続しているということをまだまだ知らない方々が非常に社会でも多いと思っています。この辺のところもネットニュースに上がるくらい資料を上げていくといいのではないかと思っています。
 また、10ページの、秋田先生がおっしゃっていたデジタル基盤の整備ですけれども、これも全国的に見て、非常に少ない整備、十分でない整備が言えると思いますので、この辺の整備については、書いてあることも大事なのですが、まず基本、基盤をしっかり整備していただくということは非常に早急に必要なのではないかと思っております。
13ページの預かり保育のことについてですけれども、私もこども園になって11年、幼稚園から移行しましたので、教育課程時間と教育課程に係る時間の預かり保育の連続性や持ち方、やり方、保育については非常に専門性を伴う高い資質を要すると実感しています。どのように預かり保育を捉えていくのかというところも考えるべきなのではないかなと思っております。
 乳幼児期に対する教育的な視点、(5)にも関わってくると思いますが、こちらも教師の専門性、保育者の専門性が非常に必要だと思っておりまして、3歳、4歳、5歳の保育、幼児教育から見た乳児の教育の視点というところも非常に大事な視点になってくるかなと考えています。同時に、専門性を今、高めていかなくてはという視点から、人材の確保が非常に難しいというところも現実的にあります。
 そして、幼保小の接続期の教育については、動画や資料を作成していただきまして、ありがとうございました。私の園でも外に貼って、啓発に努めておりますが、0歳児の時から、大事だと思っておりますので、私も地域に出て、この動画や資料を広めているところです。やはり保護者の方々が、0歳の時からこれから受けることのできる乳幼児教育のことが分かった上で、幼稚園やこども園、保育園を選択できる、我が子が受ける教育の選択ができることが分かることが大事なのではと思います。つまり皆さんが乳幼児の教育の重要性を分かって選択できるようになることが必要かなと思っております。
 以上でございます。ありがとうございます。
【無藤座長】  いろいろ指摘していただきましたけれども、保護者にどう広げるかという問題とともに、幾つか難しい点。特にICTの基盤整備とともに、ICTが、ある意味では非常に受け身に使われるとか、体験と無関係になってしまうという問題をどう変えていくかという御指摘だと理解しました。ありがとうございました。
 それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  よろしくお願いいたします。本当に中間取りまとめ案、ありがとうございました。結構踏み込んで書いてくださって、すごくわくわくしました。私からは3点お願いします。
 最初に、「幼児教育の重要性」というのを3ページに書いていただいて、その1番目に「基本的生活習慣」という言葉を載せていただきました。ありがとうございます。先ほど若山先生が御指摘くださいましたように、やはり基本的生活習慣は遊びを支えていくと私は思っていますので、この幼児期の発達の特性の中で、やはり幼児期にふさわしい生活ということをちょっと書いていただけるといいかなと思っております。これがここなのか、それとも、第2章の14ページぐらいの、長時間保育に対するちょっとした懸念みたいなところに来るのかは分からないのですが、やはり幼児期にふさわしい、生活の連続性の中で幼児期の教育が行われていくわけなので、そこを取り上げていただけるとうれしいです。
 もう一つ、「幼児期の発達の特性」のところですけれども、一人一人、個々のことを丁寧に書いてくださっていますが、幼児期の発達には必ず友達との関わりだったり、群れて遊ぶ中での様々な育ちというのがあって、それが幼児期の発達の一つの特性ではないかと私は思っているので、もしよろしければ、混じり合うというか、友達との生活という中、友達との中での育ちみたいなことも書いていただけるといいかなと思いました。
 3つ目です。3つ目は、やはり先ほど大豆生田先生もおっしゃっていましたが、地域ということで、14ページ、第2章になりますが、この地域の中で、やはり小中高生との関わりというのは、今後とても大切なテーマになるのではないかと私は思っています。それも、できれば日常的に関われるような仕組みをつくれないだろうかと考えております。非日常的に、「かわいかったね」で終わるのではなく、やはり日常的な関わりの中で、子供理解であるとか、保育者の専門性であるとか、そういうことに小中高生が気づく、そこが今後幼児教育を目指す人たちを増やしていくというところにつながっていけるといいなと考えております。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。生活習慣と言うのか、生活の連続性、幼児期にふさわしい生活、何らかの意味で、多分、初めのほうのところでの書き込みだと理解します。それから、一人一人と言うときに、当然、幼児教育、とりわけ幼稚園教育は集団としての在り方を大事にしながらの教育ですから、集団で仕込むという意味ではなく、友達関係を大切にする中でという辺りをぜひ入れたいと思います。
 それと、特に地域、小中高校生がスペシャルイベントというよりは、もっと日常的にというのは御指摘のとおりだと思います。
 それでは、河合委員、お願いします。
【河合委員】  河合でございます。お取りまとめ、本当にありがとうございました。私からは、記述に関して2点と、あと、載るかどうかは別として、考えたことを2つ、お話をさせてください。
 まず記述についてですが、8ページのところの3つ目辺りになろうかと思うんですけれど、先ほど秋田委員から絵本のこともありましたように、絵本ですとか、それから、具体的な教材研究とか、技能的な専門性とか、そうしたことが研修の中で少しウエートが下がっているというような状況があるかと思います。教材研究に関することを文化的な絵本なども含めてこの辺りに入れておけるとよいかなと考えました。
 2点目です。11ページですが、「特別な配慮を必要とする幼児への指導」も丁寧にお書きいただいて、本当にありがたく思いました。その中で、3つ目から4つ目に入るかと思うんですが、専門性が必要、それから、関係機関との連携、こうしたことを書いている中で、保育者の専門性、幼児教育の専門性を生かしながら関係者と協力していく重要性、この辺りのことが入ると大変ありがたいかなと思います。教えてもらって高めていくことと合わせて、子供たちに合わせた支援の工夫ですとか、集団の中でみんなで育っていくという辺りは、幼児教育の先生方の持っている専門性が非常に高いので、ぜひ明記していただければと思いました。
 あとは、感想ですとか、今後ということになりますが、幼小接続のところで、先ほど来話題になっている17ページの辺りですけれども、環境を通して行う教育ということが、今後、小学校以降の教育とも共通のワードとして考えられていくことはとても大切だと思っています。そこに、今回の有識者会議で様々御意見をいただいて学びましたが、幼児期も小学校以降も、なるほど、教育の考え方はそうだよねと納得できるような、そうした教育観。先ほど子供観がありましたが、指導法の観点ですとか、そういったことが併せて入っていくことで、よりこれまで進められてきた接続のことが実感を伴って、当事者としてさらに進んでいくことが期待できるなと思いました。これは感想と今後期待したいことです。
 最後になりますが、地域としてというところに関わり、あと、今後の第3章にも関わると思うんですが、私の体感として、幼児教育施設、幼稚園は、みんなのウェルビーイングを育むのにとてもふさわしい場所だなと感じているんです。それは子供が小さいので、送り迎えで足を運ぶことも多かったり、直接的な体験の関係で、様々な方と連携を図る機会も多く持てるということ、それがこれまでもしてきたことですが、核となって、関わる人みんなのウェルビーイングを育んでいける可能性を大きく持っているんだということをこれから考えていきたいなと思っています。
 今ここでどう書けるかはちょっと別のことですけれども、子供を真ん中にしながら、園が様々な人のプラットフォームとなって、共に力を発揮して、共にウェルビーイングを育んでいく、子供も大人もというところで、さらに考えていきたいと思っているところです。
 以上です。ありがとうございます。
【無藤座長】  ありがとうございました。最初に御指摘の教材研究とか、ある意味で、指導技能という言い方は古いかもしれませんが、その辺り、特に、各種の文化財等々に関わっている改めての重要性というのは御指摘のとおりだと思います。それと、「特別な配慮を必要とする幼児」と言うときに、当然ながら、幼児教育の専門家としての保育者の考え、技能を生かす中で、他の専門性と基本線はもう少しはっきりさせたいと思います。それ以外もありがとうございました。
 では、渡邉委員、お願いします。
【渡邉委員】  これだけまとめていただいたことに対してはすごく感謝するとともに、これを読ませていただきながら、自分でいろいろ考えたことをお話ししていきたいと思います。また、皆さんの発表も聞かせていただきながら考えてはいたこともあります。一つは、14ページの一番下のところに、親が変化しているというところが本当にあって、保護者の考え方も変化している。この中にどうやって幼児教育が入り込んでいくかというか、その重要性を認めてもらうようにしていくかというのが大きいかなと思っています。6ページの一番下に、「家庭や地域において、幼児の発達が必要な」というところで、幼児教育施設について、安全で安心で子供が自由に伸び伸びと遊びながら様々な人やもの、自然や文化と直接的、具体的に触れて、豊かな体験をすると書かれています。本来的にこれが幼児教育の本質なんだろうと思ってはいます。
 とはいえ、今日の参加者の中で、私立幼稚園は多分私だけなので、私が言わなければいけないことだと思うんですけど、学校法人、今、園児が減少して解散してというところが神奈川県でも出てきたりすると、幼児教育というのは本当に大事だと社会でどこまで認めてくれるかという話はとても大きな課題といえます。この発言は、すみません。3章のことになってしまいますけど、その中で、国公立幼稚園だけの話ではなくて、いやいや、幼稚園とか幼保連携型認定こども園の役割とは何だ、少子化の中で何をするのかということを考えなければいけないというところでいくと、やはり改めて幼児教育とは何かというのを考えざるを得ないなと思っております。
 そのときに、子供を育てることはもちろんこれまでも幼稚園は丁寧にやってきたんですけど、子供が育つ中で、やはり親もちゃんと育っていくとか、親も子供と関わっていく中で、子供が育っていくことが大事なんだということが改めて強調されたり、それから、これまでの話の中でもありましたが、地域の中で小中学生が関わったり、いろいろな人たちが園と関わることの大事さも訴えていく必要があります。少子化で子供の数が少ない市町村は、ユニセフの、CFCIという取り組み、「子どもにやさしいまちづくり」に取り組んでまちづくりをしているという視点なども大事にしながら、子供の数を増やしていく取り組みでも幼児教育が基盤になるんだということを本当に前面に出さないと、今までどおりにしていても地域に人は集まらないし、子供の数は増えない。
 そのときに、では幼児教育は何かといったとき、やはり幼児期にふさわしい生活だと思っています。そうであれば、預かり保育とか乳児の生活ということも入れ込んでいくし、地域も入ってくるのが自然です。そうなると、認定こども園的にはなるんですけど、でも、その中で本当に子供が育っていく、人と人との関係の中で育っていくし、豊かな経験を通して育った子供が、それが小学校教育に続いていくんだという流れを明確にしていく。小学校教育で取り上げている内容のもっと以前の、ある意味ではもっともっと、前段階ではあるんだけど、芽生えとかという表現ではなくて、本当に人間が生きる上での基礎の基礎、本当にすごく人間形成の一番大きなところを幼児教育が担っているんだ、それが幼児教育なんだというものをパーンと出さないと、幼児教育が消えていくような危機感も感じています。言葉を選ばずに言ったら、園庭なくてもいいとか、駅の近くで保護者が預けやすければいいとか、何かちょっとサービスをやっていてくれればいい、何かお稽古事のようなことを教えてくれればいいというようなことをやっていれば子どもが集まる傾向が強くなっていく。いやいや、今の子供たちが豊かに育つためには、幼児教育の考え方を、これは別に公立であろうと、私学であろうと、国立であろうと、みんなそのことが大事なんだと。こういうような生活をするんだということを今は考えなきゃいけないと思っています。
 不登校の話であれば、親も含めて、親子関係がちゃんとなっていくということがとても大事で、学校で何を教えるか、教えないかという話はもちろんあるけど、親子関係がうまくいっていなかったら、子供に関心を持たなかった保護者の子供たちがいろいろ訴えていることで、どれだけ小学校の先生たちが苦しんでいるかということも考える必要があります。そこは幼児教育としてやはり親も含めて引き受ける役割があると思っています。本来的には子供の声が地域に広がってきて、少子化の中でも、若い人たちが子供たちを産もうとか、子供たちが元気にいるところがまちとして健全なんだ、地域として健全なんだというような流れに今していかないと、この先、10年後ではもう遅い気がしていて、せっかくこの報告書にまとめていただいて、いろいろなところに、本当に大事なことは書いてはあるんですけど、それをどういうふうに社会に訴えていくかというところで考えたらいいです。
 それからあと、もう一つだけ。今、どこの園でもグレーゾーンの子が多いというのもすごくあって、これは配慮が必要な子だと分かっていれば対応はできるんですけど、その診断がでていなかったり、親が自分の子供の個性だと思っていたりしていると、園の対応が非常に難しいという問題もあります。今、横浜の小学校に入るときの特別支援相談センターに相談する子供が、10年前は3,000人だったんですけど、今、6,000人面談する状況になっていると聞きました。やっぱりどこかで、異常という言い方はおかしいかもしれないけど、本当に子供たちにふさわしい生活をしていない子たちが何らかの形で不登校になったり、グレーゾーンなったり、いろいろなところでレッテルを貼られたりという中で、子供たちは本当に豊かに育っているんだろうかという問い直しをするべきだと思います。どこでどうやってするかといったら、せっかくこういうところで、皆さん、それこそ学識経験者の方も、いろいろな方、行政の方も関わっているときに、改めて考えて、内容としてはこのようなことを打ち出していってほしいんです。その上で、そのことが本当に社会に広がっていくというか、認知されていくためにはというところでは改めて考えていただかないと、預かり保育なんて本当に悲惨なところ、パートの方だけというのは僕もよく知っていて、そこでは話し合いもできないし、先生同士が情報交換を他園の先生達ともすることができないという声も聞きます。
 横浜は、今、預かり保育を「わくはま」と名前を変えて、わくわくするような預かり保育を行おうといった研修会もやったりはするんですけど、預かり保育を利用する子供たちに対して熱意を持っている人たちがちゃんと声を出して、それが認められるような、そういうような何かこう、新たな方向性みたいなものを出せるように、それを支えてくれるような答申になっていただけたらありがたいなと感じてはいます。
 以上です。まとまらなくて申し訳ありません。
【無藤座長】  ありがとうございました。非常に大事なことを御指摘いただいて、私の言い方になりますけど、「こどもまんなか社会」と言うときの子供が、ただそこにいるのではなくて、まさに子供が自由に伸び伸びと遊んでいる姿を真ん中に置くという意味になってほしいなと思いました。ありがとうございます。
 それでは、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  今まで様々議論されてきたことを、同席させていただいて、このようにまとまっていくのだなということで、そのありがたさとすばらしさを感じているところです。事務局の方々、御苦労さまでございます。ありがとうございます。
 江東区で、私の実践の話を既にお聞きいただいたと思うんですが、年に2回行われている連携教育、先週の水曜日実施しました。子供たちが主体的に動くのはどうしたときだろうということを、保幼小中、全部の教員が集まって、グループに分かれて話している姿はとても何か、共通項を探るといった意味では有意義なものだったなと思っています。
 そして、実は校内研究を本校は今日実施するんですが、近隣の幼稚園の先生が10名来てくれます。私、こんなに来てくれると思っていなかったというか、やはり姿を見合うのが大事なので、幼稚園側から見てもらって、本校の研究をどんどん突き上げてもらいたいというか、私たちが育ってきたのは、こういう目標があるんですということを、もしくはまだ届いていないかなみたいなことをお互い感じ合えればいいなと考えた。提案したんですが、園長先生が何と、5園長先生、副園長先生含めて10名いらっしゃるということで、園長先生の姿勢も、私はやはり自分たちが教えている取組の先を見てみたいということになってきているのかなと思って、大変うれしく、この会での話合いなども共有させていただきたいなと思っているところです。
 それで私が、2点ほどあるのは、まず「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に関する記述が、9ページから10ページの頭にかけてあるんです。私もお聞きしたいところもあるんですが、この10の姿をもう絶対的なものとしてやっていくのか、それとも、要は、絶対なものとして周知していくのか。それとも、これからやはり、ちょっとここら辺、分かりづらかったのではないかということでアレンジして、検討していくという機会があるのかどうかというのも多少気になってはいるんですね。
 なぜかというと、今、私は手元で、以前、文科省のほうで出された「一人一人のよさを未来へつなぐ-学校教育のはじまりとしての幼稚園教育-」というリーフレットを見せていただいて、そこの3ページのところに、学校教育を通して、「幼稚園から高校の学校教育を通して育む力」というふうに書いてあるんですが、その中で書いてある改めて10の姿と、幼稚園としてのまとめのところを見ていると、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を学習の面で捉えると、例えば健康な心と体は、どちらかというと日常生活の部分であって、自立心とか協同性であるところとか、私が最も重要だと思っているのは、言葉による伝え合いというところが、すごく学校としては研究を通して授業を行っているので捉えやすい部分だと考えたんです。
 そうしたときに、こういった知識・技能で当てはまりますよとか、思考力、判断力とか、学びに向かう力と分けて書いていただいたところには、話合いの、協同的に何かをつくるために話し合うという部分は記載されていなかったりするんですね。奈須先生がお話しされていたように、子供たちの可能性を信じて任せていく授業というところを考えたときに、やはり彼らが主役になっていくときには、こういった10の姿というのは当然、私はつなげていけると思っているんですが、どうも学びとして捉えると、随分この中には軽重があるんじゃないかな。小学校として捉えやすい部分という、学びとして捉えやすい部分と、生活として捉えていった部分というふうに、10の固まりではなくて、10が幾つかの色に染まるような分かれ方があるんじゃないかなと若干感じたところです。
 ですので、報告書のほうには、理解・啓発と書いてあるんですけども、何かこう、改善に向けてみたいな部分もあるんでしたら記載したほうがいいのかなと思って、ちょっと私はその辺り、幼児教育でこれがどう動いているのかが分からないので、私はそこに絶対性があるという前提でこれが書かれているような気がしましたので、そこがちょっと気になるところなのかなと思っています。課題があるんだったら、こういう課題だというところを小学校もやはり正直に伝えてもらいたいなというところがあります。
 あともう1点は、14ページから小学校の――14ページじゃないかな。違ったかな。15ページから、連携にかけてあるところでは本当にすごく大事な部分だなと思っています。ぜひ、小学校もアクセスを意識しないといけないんですが、幼稚園のこれを、先生方が本当に時間を取って学校を見に来るということができるんだなということが分かった。このときには、やはり自分たちが、ちょっと小学校を見てみようというような意識を持っていただけると、学校としてはいつでもオーケーです、来てくださいと言えるので、そのときに授業を、どうですかというような提供もできるようなシステムにしていけたらいいのかなと思っています。
 若干、文章の読み取りにもよるんですけど、これを読むと、管理職の意識が小学校に寄っていないかという気もちょっとしなくもないんです。なので、幼稚園の先生方や保育園の園長先生方の意識というものも、ちょっと自分たちの成果を見に行こうみたいな意識になってくれるといいのかなというふうに今の段階では思っているところです。
 以上です。ありがとうございます。
【無藤座長】  ありがとうございました。幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿は当然、次の要領・指針の検討の中で変えるべきか、そのまま過不足はないかなど検討していただけると期待しておりますけれど。今の段階でどういう課題があるかということも記入していく必要がありますので、この辺は各委員の御発言の中で。ただ理解不足というだけでいいのか、もうちょっと書き込みたいと思います。
 それから、幼児教育側と小学校教育側の保育者、教師が互いに保育・授業を見合うことはもっと、当然両方側ですので、それがもっと見えるようにしたいと思います。
 それでは、ちょっと時間がかかりましたけれども、1章、2章の議論をある程度いたしました。第3章について、ちょっと時間が足りなくなってきましたけれども、簡潔な形で御指摘をお願いして、そして、毎回申し上げますけれど、不足のところは、ぜひメールその他で事務局にお知らせいただくような形で補っていただければと思います。
 それでは、第3章をめぐっての御意見いただけますか。既に第3章に関わる部分も、意見もいただいてはいるんですけど、さらにということで。
 では、岸野委員、お願いします。
【岸野委員】  すみません。失礼します。簡潔に申し上げたいと思います。全体を通して、私としても重要だなと思ってきた、施設類型を超えた研修やネットワークということが入れ込まれて、自治体への問題提起が明確になされたなと思いました。その上で2点お願いいたします。
 1点は、20ページの「地域一体で幼児教育の質を高め合う体制作り」のところです。最初のところで、大豆生田委員からも、エピソード等の記録を基に、対話を通した研修の在り方といったところの指摘もありましたが、今、NITS、教職員支援機構を中心に、研修観の転換といったことも提起されていますので、そうしたことも踏まえて、研修の在り方について実践に関する対話的な省察や、協働での探究が重要であるといったような、そういった研修の在り方についてより踏み込んだ記述をするということに賛同したいなと思いました。
 2点目は、21ページ、22ページのEBPMの推進の記載に関連して、国において、大規模縦断調査の追跡調査が実施されて、そうした結果を踏まえて検討していくということがあり、大変重要だと思いますが、一方で同時に、近年のOECDや諸外国における幼児教育に関する議論や施策の動向についても調査研究を行って、それらの成果等も参考にしながら、我が国としては、今後の幼児教育の在り方や方向性をどういうふうにしていくという検討を進めていくことが重要ではないかなと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。研修の在り方をもっと、どうあるべきかという姿に向けてというのを書き込むのは必要だと思います。EBPMに関連して、あるいは、もう少し広い意味での幼児教育の在り方の世界的な議論とか、データですね。OECD、それから、実を言うとOECDは、当然ながらヨーロッパプラスオセアニアが中心ですけど、それ以外のアメリカと、それから、実は今、幼児教育の検討というのは世界的に広がっているので、ほとんどの国でやっているので、その大部分は英語で読めるので、その辺はもう組織的にサーチして、例えば南米とか東ヨーロッパ、OECDに入っている国もあります。ない国もありますけど、重要だなと考えております。
 では、次に秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】  ありがとうございます。3章に関してですけれども、まず1点は、岸野委員が言われたように、ここには出ていないんですが、教職員支援機構は、個別最適な学びと協働的な学びを教員に研修として提供していくという形の姿を今、求めています。ぜひそこに、幼児教育に関しても、あるいは幼小中高という校種間連携、接続の問題なども扱っていただく形を組み込むことが今後の保育者、教師の学びを一体的に考えていく上で重要だと考えます。
 それから2点目は、国からの報告書の中では、国公立の幼稚園の役割が書かれているんですけれども、あと、実は自治体というところでも、私立幼稚園は県レベルになるわけです。都道府県が管轄で、管轄が、所管が基礎自治体ではありません。そこの連携や、今後、私立幼稚園が全体の幼稚園を考えたときには、やはり大半になっていく中での幼稚園の在り方、また、認定こども園、保育園それぞれの独自の役割ということを書き込むほうが、ここは国公立の幼稚園だけを幼児教育で重視しているような形の書きぶりになっていると思います。そうではないんだ、私立幼稚園は私立幼稚園ならではの役割があること、また、私立、民営や、こども園や保育所が、幼児教育の全国で無償化の中で、教育の機関として重要な役割を担っているというところについての役割も少し書き込んで、地域で連携を行っていくということを述べていくことが、全体の国の報告書としては重要になるのではないかと思います。
 また、今後、こども家庭庁との連携の中だと思いますが、幼児教育の推進におきまして、ここに書くべきなのか、ちょっと難しいんですけれども、今、何万人かの幼児教育を受けていない子供たちの話というのは、ここまで全く出てきておりません。しかし、全ての子供の幼児教育を保障していくというところは、多分、文部科学省だけでは、そこの対応は難しいと思うんですけれども、やはり幼児教育を受けることが小学校以上の教育の基盤をつくっていますので、どの施設類型に通うにしても、そういう無登園の子供たちを支援していくことが地域の体制として重要であるということも書き込んでいただくことが、全ての子供の幼児教育を考えたときに重要かなと考えます。そこの点はどこにも言及がないので、ぜひどこか一言でいいので、何万人といる子供たちについて入れていただきたいと思います。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。教職員支援機構との関連は、研修の拡充で極めて重要なので入れたほうがいいのと、もっとそこに幼児教育、また、幼小、その他の接続もぜひ力を入れてほしいという要望ぐらいは書いていいかもしれません。
 それから、基礎自治体において私立幼稚園との連携を深めるべきだと書いていいのかどうかよく分かりませんが、重要なことは明らかで、当然、私立幼稚園というものが今後の幼児教育の、保育所と認定こども園と並んで、恐らく、幼稚園の代表になっていますので、重要だということも明らかだと思います。
 未就園児の問題は、こども家庭庁のほうでいろいろ議論されていると聞いていますけれども、いわゆる子ども・子育て支援制度の中に入っているのではないけれども、ある種の広い意味での幼児教育施設の場合と、全くそれらとも無縁であるという場合と、複雑なようですけれど、その把握の仕方に入り込まなくても、どの子供もここでよい幼児教育を受けることは意味があるということは書き込めるはずだと考えております。ありがとうございました。
 それでは、古賀委員、お願いします。
【古賀委員】  ありがとうございます。順番に申し上げます。18ページの「必要な条件整備」、「国公立幼稚園等の役割」の1つ目の白丸ですけれども、「私立幼稚園等においては、建学の精神に基づく創意工夫のある教育活動が行われてきているところである」という文章の後に、それらは要領・指針等の内容を踏まえてあるものであることを前提としているというような内容が入れられないでしょうか。
 これは公立、私立、関係なくですけれども、私がこれまで関わった園で、環境を通した保育は行っていませんというようなことを言い切られたこともあり、そういったことは許されないということがまず理解されないと、先ほどの文字指導のところでも申し上げたような関心・意欲の芽を摘む状況が今後も起こり得ます。いかなる園においても要領・指針に書いてある自発的な遊びを中心とするといったことは、前提条件であるということは押さえていただきたいと思います。
 それ以降のところで、公立幼稚園の役割についてですけれども、公立幼稚園においては、地域の多様な子供が育ち合うという姿と、保育の実践の記録、それに基づく分析、実践研究が積み重ねられてきております。それらはこれまでの幼児教育に関わる施策の基盤として機能してきたものと考えます。ですので、地域の子供の実態に基づく実践研究は、公立園の担う役割として挙げられるかと思います。また、今後の幼児教育の重要性を社会に共有していくというときに、これまで自治体の関係部局と連携しながら必要な資料づくりや取組というものを公立園の先生方が行ってこられたということも今後引き継がれる役割かと思いましたので、地域社会への幼児教育の発信という役割についても追加項目として御検討いただけたらと思います。
 19ページです。1つ目の白丸のところです。公立幼稚園の認定こども園の移行というところが出てきますけれども、今後の地域の幼児教育の拠点となり、小学校との連携接続を推進していくハブとしての役割を持つということを考えると、この認定こども園化が教育委員会所管のものであるということが重要になるかと思います。様々な自治体で、この認定こども園化に伴って、教育委員会所管でなくなったことによって、研修体制を一本化できないという障壁も生まれてきています。今後の連携・接続を一層推進していく中で、公立幼稚園のことについてですけれども、教育委員会所管の認定こども園というのは重要な点かと思いましたので、御検討いただけたらと思いました。
 同じ19ページ、2つ目の白丸、国立大学附属幼稚園は、大学の養成教育との連携や地域との連携、地域との交流人事による質の高い幼児教育を担う人材育成の機能や、指導資料の開発にも数多く携わってきたこともぜひ加えていただきたいと思いました。
 そして、同じページの下から2つ目、幼児教育センターや幼児教育アドバイザーの設置につきまして、法令等に明確に位置づけることについて検討すること、地方自治体への財政支援も含めて検討すべきとあって、非常にありがたいと思いました。持続可能な在り方となることや、全国どの自治体でも質の高い幼児教育を目指すシステムが構築されるということ。これはその後の項目に来る地域間の連携も併せてですけれども、お考えいただいて、非常にありがたいと思いました。
 施設種別関係なく、訪問指導ができる幼児教育アドバイザーといったことが、諸外国にある全ての幼児教育施設の質向上へのシステムの第一歩だと思いますので、ぜひその点、もう一歩、明示していただけたらありがたいと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。全部は触れられませんけれども、公立幼稚園が果たす使命、それから、国立附属幼稚園が果たしてきた使命をもっと、いろいろ重要なことがあるという御指摘はそのとおりだと思います。
 また、私立幼稚園も要領・指針の下でというのは当たり前過ぎるので、あまり、一々書いていないんですけど、当たり前でもちゃんと書こうということで理解しました。
 それと、認定こども園化が教育委員会の下でやるべきだとはちょっと書きにくいと私は判断しますけれど、教育委員会が関与すべきだということは書けると思うので、それは従来もあった文章のような気がしますので、その辺がちょっと、法令的な難しさにあまり入り込まないで、何とか工夫したいと思います。ありがとうございました。
 では、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  ありがとうございます。18ページから、「必要な条件整備」ということは、第1章と第2章を達成するために必要な条件整備なのかなというふうに第3章は捉えております。
 まず(1)の教育委員会の記載ですが、本当に踏み込んで書いていただいてありがとうございました。教育委員会の関与は非常に大事かなと思っております。幼児教育なので、乳幼児からの教育なので、やはり教育委員会が携わっていくということは非常に大事なことだと思っています。ありがとうございます。
 それから、(2)の国公立幼稚園等の役割についてです。本当に非常に細かく書いていただいて、私たちがやってきた役割、そして、今後も果たすべき役割だなと思っておりますし、国公立園は、国や自治体が教育に責任を果たす場としても重要な役割を担っていると思っております。各園の経営のみならず、地域の全体の幼児教育を考えて、そして、発展することを私たちも、私たちを教育資源として積極的に活用していただくことも重要なことだと思っておりますし、これからも寄与していきたいと思っております。ありがとうございます。
 以上です。
【無藤座長】  大事な御指摘、強調していただきました。
 それでは、田中委員、お願いします。
【田中委員】  失礼します。私もまず、所管する部局が、教育委員会が責任を持つということが明確に示されたということは非常に大事なことだなと思っています。市町によっては、市長部局がおれば、教育委員会は手を離そうみたいなことを待っているような状況の話も聞いたりすると、いやいや、そうではないでしょうということを思いますので、ぜひここは強烈にアピールしたいところだなと思います。
 これはちょっと、ここに書けるかどうか難しいかなとは思うんですが、条件整備を考えたときに、もちろん私立の数も多いですので、そこが果たしていく役割は大きいとは思います。先ほども高橋委員がおっしゃられていたように、公立幼稚園のこと、これからの果たすべき大事なことというのがあって、そのことを果たしたいがために、現場のほうでは、例えば3年保育は、子供のことを考えたら絶対必須でしょうと思うんですけれども、3年保育は実施できないとか、実施されても1クラスだけというような状況も聞きますし、預かり保育がないことでニーズに合わないということであれば、預かり保育を実施したい。でも、それは許してもらえない。あるいは人が措置されておるか、あるいは中途半端な時間の設定しかできないことを聞いたりします。
 あるいは、認定こども園の移行も考えようということで思われていても、それもできないと。現場では、組織としてはなかなかこう、公立だからこそ、うまく思う方向に動いていきにくいような、現場ではどうにもできない状況も聞きます。国立大学も認定こども園への移行も検討するようなことも踏み込んで書いてくださっているところなどは、実際にされているところも出てきましたけれども、何かしらこういう大きな動きができるような発信が何かこう、どこかでできないかな。していただいているんですけども、もっと強烈にできないかなということもちょっと思いながら見せていただきました。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。特に幼稚園教育が満3歳以上で、少なくとも、いわゆる3歳からが基本だと書きにくいんですけど、一応5歳からでも自由なんですけれど、何というかな、幼稚園教育要領の構成はもう3歳からになっているので、それがもう少しにじみ出る形はできるかどうか分かりませんが、預かり保育も含めてちょっと考えたいと思います。
 それでは、渡邉委員、お願いします。
【渡邉委員】  先ほどの発言でちょっと触れてはいたことです。まずは、古賀委員が言われたように、やはり幼稚園教育要領にのっとっているというのは、私学でもそれが当然だというのはきちんと書いてもらっていいと思ってはいます。また、私学の幼稚園は本当にいろいろあるんですけど、私学だからこそ子供のことを考えた実践もできるということも取り上げてくれたらいいかなと思います。ここで触れていいかどうか分かりませんが、先日のこども環境学会で、北海道の安平町の実践を聞きました。民間の認定こども園の園長先生がその町の教育長になって、子供の声を聞きながら小学校をつくって、すごく面白い取り組みでした。
 小学生はみんな顔認証で小学校のどこにでも入れて、地域の人も小学校内にどんどん入ってくるので、交流や学びもありながら、子供たちの安全も確保されている。やはりこんな保育や教育をやりたいと思った人が作り出していく実践の魅力というのは、大事だと感じています。行政などでは、担当が変わっていってしまうと、また新たにやり直しのようなことが起こります。そう考えると、私学は私学のよさみたいなものがあるということも触れてもらっていいかなと思っています。それから、今は、主に3歳から5歳までの話をしているんですけど、誰でも通園制度というのを幼稚園でやろうとすると、0、1、2歳児の知識や知見がなければいけないし、満3歳保育もやらないと、満3歳になったら、その子供たちは、有料でないと園に来れないみたいな話にもなってきます。すでに法律ができてしまっているとすると、やはり乳児期の話もきちんと幼稚園でそこには幼保連携型認定こども園も入るんですけど、そういうことも踏まえておかないと、時代に取り残されるという感じになるかなと思っています。
 私学は行政との兼ね合いの中でもすごく難しいことがあります。でも、やはり行政がそこを考えていただく必要があります。私立幼稚園から考えると、やはり教育委員会というのは、遠い存在と思ってます。どちらかと言ったら、横浜でいえばこども青少年局とかそちらのほうが距離が近いと思っています。教育委員会も含め、小学校の先生方は、大多数はやはり中学校を向いていたり、幼児教育に向いてくれなかったりというところもあったりするので、幼児教育を本当に大事にしようというのは、教育委員会も考えていただきたいし、教育委員会の中で、乳幼児のことも含めて考えてくれたり、預かり保育のことや配慮の必要な子どものことも含めて考えてもらう。そうやって子供のことを中心に、本当に子供まんなか社会をつくろうという形でどういうふうに各自治体が考えていただくかということがとても重要だと思っています。そういうことを進めていかないと、これからの時代に生きる子供にとって本当に幸せな生活が保障できるかといったら、なかなかそういうのはできないのではないかと考えております。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。私立幼稚園のもっと積極的な在り方ということを含めて御意見いただきました。
 時間が若干過ぎてしまって申し訳ございません。ここまでにさせていただきたいと思いますけれど、途中でも申し上げたように、発言時間、極めて制約が強かったので、御発言いただけない部分はぜひメールで事務局までお寄せください。そして、これもまとめの案でありますけれど、まだしばらく議論を続けるわけですが、といっても、あまりぎりぎりになると直せなくなりますので、できる限りその都度、思いつかれたことは何でも事務局にお寄せください。
 そしてもう一つ、会議の冒頭に申し上げましたが、今後の教育課程、学習指導、学習評価等の在り方に関する有識者検討会というものが開かれているわけですけれど、それについて、本日の中間整理案と意見交換の内容を報告したいと。具体的には、出席を秋田座長代理にお願いするんですが、その内容につきましては、座長である私と秋田座長代理に御一任いただくということでよろしゅうございますか。
 はい。ありがとうございます。
 最後に、事務局より連絡事項があれば、よろしくお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  次回の検討会は、資料2のとおり、7月24日水曜日10時から12時を予定しております。本日いただいた御意見を踏まえて修正させていただきまして、改めて中間整理案について御議論いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤座長】  それでは、本日予定した議事はここで全て終了いたしましたので、これで閉会いたします。4分ほど過ぎたようで申し訳ございませんでした。それでは、どうもありがとうございました。

―― 了 ――