児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議(令和5年度)(第3回) 議事要旨

1.日時

令和6年3月15日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web開催

3.議題

  1. 令和5年の児童生徒の自殺の状況について
  2. 「ICTを活用した悩みや不安を抱えた児童生徒の早期把握・早 期支援」の取組状況について
  3. 自殺予防教育のモデル構築に向けての議論の整理
  4. 子供の自殺が起きたときの背景調査の在り方について
  5. その他

4.出席者

委員

 新井委員,赤間委員,川井委員,窪田座長,阪中委員,坪井委員,松本委員,宮田委員
 

文部科学省

 仲村生徒指導室長

5.議事要旨

【事務局】 それでは、ただいまより令和5年度第3回児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
  会議開催に当たりまして、事務的な連絡をさせていただきます。本協議会はウェブ会議方式にて開催いたします。円滑な進行を行う観点から、恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外を含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいただきます。
 それでは、ここから座長に進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【座長】  おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議題に入りたいと思います。議題の1、令和5年の児童生徒の自殺の状況について、及び、議題の2、ICTを活用した悩みや不安を抱えた児童生徒の早期把握、早期支援の取組状況について、この2つをまとめて事務局から説明をお願いいたします。
  ※事務局より資料1、資料2の説明があった。
【座長】  御説明ありがとうございました。
 事務局から、令和5年の自殺者数の暫定値及び、これまで議論してきましたICTを活用した早期把握の予算事業についての取組状況を御報告いただきました。御説明についての御質問等ございましたら、どうぞお願いいたします。御質問等、おありの委員の先生、どうぞ挙手をお願いいたします。
 単純なことを、ちょっと私、現況のところなんですけれども、自殺者数のところで、4月、10月が突出して、10月が特に突出していると思うんですけど、何か現時点で分析はありますか。
【事務局】  現時点で暫定値というところもあって、具体的には確定値が出た段階で、もう少し具体的に、厚労省の統計でも原因動機の部分、ここも今はまだ公表されていませんけれども、その辺が出てくると思います。昨年は高校生男子が多かったところもありますが、学業が多かった印象ですけど、今回、高校生女子のほうが増えてきていますので、その部分での変化ですとか、そういうことがもう少し、分かってくればいいかなと思っています。
 ただ、2枚目のところを見たとき、2ページ目のほうですけれども、おおむね10月が多いというところについては、ほかの中学生ですとかも含めて、ここが多くなってきているということですので、もう少し9月、10月の状況というのは、よくよく確認したいなと思っております。 
【座長】  ありがとうございます。本当に女子がすごく増えていることについても、全体としてもそうなんですけど、背景についての分析、引き続きよろしくお願いいたします。
 いかがでしょう、委員、どうぞ。
【委員】  コロナ禍に入ってから一気に女子、高校生女子が上がって、その後ずっと推移しながら、ずっと高止まりになったまま、また増えているという感じになっています。もちろん、数としては男子も決して引けをとっていないわけなんですけれども、どうしても、自分がいつも見ている場所で見えてきた風景しか話ができない部分があるんですけれども、本当に今、高校生年代の女子が、市販薬の乱用、依存でたくさん僕らの外来に来ているんです。もう本当、さばき切れないような状況になっていて、実はその中で自殺死亡事例も出ているんです。
 本当に、ほかの省庁、厚生労働省なんかで、いろいろな未成年に対する販売云々の取組とかがあるけれども、実は、使っていても地獄なんだけど、やめても地獄な子たちばかりなんです。生き延びるために使っていると。
 例えば学校における薬物乱用防止教育って、どうしても違法薬物に特化した非行とか逸脱的な行動の範疇で行われているんだけれども、実は自殺予防教育と少し合流してやっていかなければいけないんじゃないかなとか、多分学校の先生方もそういった生徒の対応に、ほとんどどうしていいか分からないという感じになってしまっているんです。相当そういった子たちが1人いるだけでも負担になってしまうし、ともすれば、もう学校来なくていいから病院に行ってみたいな感じになっちゃうんだけど、でも学習の機会が確実に失われているという現実なんかもあって、何となく文科省の自殺対策の取組の中で、こういったことに関する議論というのがあまり、非常に数としては、教室の中では少数派であるからかもしれないんだけど、あまり議論の俎上に出てこないというのが、ずっと疑問に思っていることだと、これが、まず、最初に私からのコメントなんです。
 それから、あと、後段のほうでのICTの話なんですけど、こういうのを利用することによって本当にピックアップは高くなってくる、問題を抱えている子たちをかなり幅広にピックアップすることができるだろうなという期待感はあるんだけれども、本当にこれはいちゃもんみたいな感じなんですけれども、ある意味、2017年からSOSの出し方教育をやってきて、もしかすると、それで子供たちの援助希求能力は高くなっているかもしれないけど、児童生徒の自殺者という数を見てみると、それを直近のアウトカムで評価すること自体がナンセンスなのかもしれないけど、むしろ増えているようなところがあって、SOSを出して失望している子供たちが増えているのではないかと、そういう見方もどうしてもしていかなければいけないのかなと思っています。
 ピックアップが増えて、それに対する、その対応で先生方が、本当に大わらわになっている中で、必ず少数、本当に深刻な問題が混じってきているはずで、それを見落としたり、それにきちんと対応するだけの能力が学校側にあるのかということ。しかも、学校の中でスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなんかも含めていろいろ対応するということもあるんだけれども、やはり自殺リスクの高い子供たちというのは、家庭も含めた支援が必要になってくることがあるんだけれども、実際、私立学校なんかの場合には、どうしても地域の保健行政機関との連携というのがなかなかしにくいというか、学校の場所と生活の場所がかなり離れている場合もあったりもして、そういう意味では、どういうふうにして、包括的な家族も含めた支援体制をつくることができるのかなんていうことなんかも多分議論していかなければいけないなと思っています。
 だから、ICTを用いた対策を進めることは構わないんだけれども、必ずその中に含まれてくる非常にヘビーなケースですよね。それを想定した議論というのもどこかで意識していかなければいけないんじゃないかなと思いまして、あまりにも大き過ぎる、私の質問なので、多分答えようがないとは思うんですけれども、一応コメントとして、こういう問題意識を持っていますということを、話をさせていただきました。以上です。
【座長】  ありがとうございます。委員ならではのコメント、何か事務局からございますか。まとめてでいいですか、現時点では。取りあえず承って。
【事務局】 少しだけ、委員のお話をいただいたところについて、我々のほうでできる、今の回答をさせていただくと、1つ目の薬物乱用については、おっしゃるとおり、自殺予防教育としても非常に重要な部分だと思っております。ただ、現在、まさに市販薬の濫用についての取組というか、どのようにやっていくかというところは、別途検討を文科省としてもしているところがありますので、そちらと併せて連携してよくやっていきたいと考えております。
 もう1点目の、おっしゃるとおり、ICTで把握した子たちをしっかりと専門機関に必要な場合、つなげていくということが非常に重要だと考えています。今、この資料に掲載しておりませんけれども、国のほうでつくっております、子供の自殺対策緊急強化プランの中では、一応各都道府県にしっかりとした専門チームをつくるということを今、明記して、こちらは厚労省のほうで今、取り組んでいただいております。したがいまして、もちろん学校のみで抱え込めない事案だと思いますので、しっかりと専門機関と連携してやっていくということ、一方で、委員のおっしゃるとおり、学びの継続という部分は、これは学校としてしっかり取り組める部分だと思いますので、合わせてやっていくということが重要だろうと思っております。
 以上になります。
【座長】  ありがとうございました。それでは、委員、お手が挙がっておりましたので、お願いします。
【委員】  ありがとうございます。今、委員がおっしゃったことと重なってしまうことではあるんですけれども、特にICTで、子供がいろいろな形で発信してくると思うんです。その発信の仕方には、先ほどありましたように、聞いておいてもらえばいいんだよということもあるだろうけれども、その発信されたものに対して、読んだ教員がどう答えていいのか分からなかったり、あるいは、これはもう発信の、ICTの分野ではない対面で誰かが対応しなければいけないんじゃないかということも恐らく出てくると思うんです。
 そのときに、担任の先生なり何なりが読んでどうしていいか分からない状況になってしまっているのではないかな。いろいろ教員の負担増というところも問題になっているとありましたけれども、先生たちとしては、どうしたら、これどう答えていいのか分からないというところの戸惑いというのが物すごく増えてくるだろうなと思っています。
 それが、おざなりな対応をしているがために、かえってストレスを出したための失望という先ほどのところにつながってしまうというところからしますと、ITを使った相談に対して来たときに、その言葉に対して窓口になった人がどう対応するのか、そこの答え方も含めて、本当は詳細な研究をしてマニュアルをつくっておいてあげないと、現場の先生たちが答えきれないし、子供の失望が広がるだろうとすごく思います。
 それは一つ一つ、本当に個別に違うので、全てに対応するというようなマニュアルは作成しきれないというのは分かりますけれども、少なくとも、こう来たらばそうだったんだね、ちょっと1度会って話をしようよとか、一度スクールソーシャルワークの先生、スクールカウンセラーの先生と話をしてみようよと、とにかくここでは言うとか、対面につなぐとか、そういった、もう少し細やかなマニュアルを専門の先生方、あるいは、こういう相談をしている、自殺予防だけではないかもしれません、LINE相談をしている人たちの実例なども踏まえたマニュアルをつくって、現場できちっと勉強しないと、学校ごとに学べといっても対応の仕方が分からないんじゃないかということがすごく心配になりました。
 以上です。
【座長】  ありがとうございました。いかがでしょうか。
【事務局】 委員、ありがとうございます。おっしゃるとおり、体制構築といいますか、どのように対応するか、私のほうの説明でも申し上げましたけど、実際、じゃあそれを誰が見て、これは担任の先生が見るのか、それともSCの先生が見るのか、そういうところもしっかり決めた上でやっていかないと、子供たちが発したSOSというのが宙ぶらりんに浮いてしまうというところが非常に危惧されるなと考えております。なので、一つ、私どもとしましても、この事業をやっていくに当たって、実際に委託を受けた各教育委員会での取組状況というのは細かく把握を来年度していきたいと思いますし、把握した情報を基に、そのレベル感、毎日の心の状態を把握していくのか、あるいは、実際のいじめの相談みたいなところをやるのか、それとも、ここで想定されるような援助要請というようなところも含めて把握していくのかによって、恐らく体制というところは変わってくるだろうと思いますので、そういうところと併せて、しっかりとした学校へのサポートというのができているかというところを確認していくような形で取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか、この件に対して。
【委員】  すいません。もう一回だけ。
【座長】  お願いします。
【委員】  ICTの委託事業をするに当たって、効果検証のアウトカムをどのように設定するのかというのはすごく大事だと思うんです。やりっ放しではまずいので効果検証しなければいけないし、とは言っても、それを簡単に、自殺者の数が減ったとか増えたとかということアウトカムにするのは、多分、現象としては非現実的だと思うんです。何らかのもっと中間的な変数みたいなものを設定する必要が、それに関して何かお考えとかありますか。
【座長】  いかがでございましょうか。
【事務局】 委員、ありがとうございます。先ほどの話と繰り返しになるんですけれども、恐らく把握してくる情報によって、アウトカムというところも変わってくるだろうと思っています。ただ、我々としても共通した形での、これは取ってくださいということを今、各教育委員会に投げようと思っていまして、相談がどれぐらい上がってくるようになったのかということですとか、おっしゃるように、自殺の数ではなかなか測れませんけれども、例えば、もう少しいじめの認知件数みたいなところであれば、ある程度、数字としては、取りやすいと思います。なので、少し既にやっている教育委員会でのところでお話しさせていただきましたけども、相談件数ですとか認知件数というのが上がってくるだろうと。
 そのときに、学校としてしっかりと把握して対応できていたかどうか、そこまで含めてできていれば、恐らく行けるんだと思いますけれども、そこが難しいようであれば、体制と併せてもう少し考えていくということも必要だろうと思いますので、こういうところも含めながら、来年度は取り組んでいきたいと思っています。
【座長】  ありがとうございます。あと、この点について、後ほどでもいいんですけど、あとお一人ぐらいいかがですか。委員、どうぞ。
【委員】  お願いします。委員方がおっしゃったことに、同感です。学校でも、今、自傷行為や薬物、市販薬を飲んだりしたら、もう学校へ来ないで家庭で見てほしい、学校に居場所がなく施設で暮らしているハイリスクな子どもたちもそのような状況になったら学校では見られないと言われることがあると聞きます。、また、病院につないでいたら、もう学校は丸投げしてしまうみたいなことも少なくないので、今、危機対応チームとかのことも触れられたと思うのですけれども、そういう学校と連携した支援体制をしっかり築かないと、子供の失望や先生方の戸惑いばかりが増えるかもしれないと、懸念しています。
 それから、もう1点ですけれども、資料2の7ページですけれども、7モデル校における導入準備で自殺予防教育を行うとありますが、ICTで早期発見、早期対応ということを目指すことと並行して実施することが大事かなと思います。これはセットで実施されるというこいいんでしょうか。
【座長】  いかがでしょう。SOSの出し方に関する教育を。
【事務局】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、自殺予防教育として、まずは、子供たちの援助を高めるための取組というのをやった上で導入していくということがより効果的だろうと考えておりますので、こういうことも併せてやっていただきたいというように、各教育委員会にお願いをしているところです。既にやっていただいているところもあるかもしれないですけれども、やっていないところでは、この後で話をさせていただきますけれども、併せて自殺予防教育の今、モデル構築ということもやっていきたいと思っていますので、一緒に連携してやっていくと考えております。
【座長】  ありがとうございました。先ほどの委員から出ていた薬物乱用防止教育、薬物防止教育ってシンナーとかそういうのではない市販薬ということも含め、この後の議題の自殺予防教育のモデル構築のところで、また、それにどういうことを反映させればいいのかというところで、この辺り、議論になるかなと思ったりして伺っておりました。
 それでは、また後ほど、この件に関することもおっしゃっていただけたらいいと思いますので、議題の3のほうにまいりたいと存じます。自殺予防教育のモデル構築に向けての議論の整理ということで、初めに、本日、やむを得ず御欠席の委員から、さいたま市における自殺予防教育の実施状況についての資料を提示いただいておりますので、事務局のほうで代わりに御説明いただきたいと存じます。
 そして、それを参考としながら、文部科学省で来年度取り組む自殺予防教育のモデル構築について、これまで2回の会議で議論してまいりましたが、それを整理しながら御説明を伺いたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
  ※事務局より【資料3】及び【資料4】を説明があった。
【座長】  御説明ありがとうございました。モデル構築を考える上でもさいたま市の事例は、イメージアップに役に立つ資料を頂けたかと思います。
 それでは、これまでの御説明を受けて、種々御意見を、日の議論の一番中心的なところでございますので、様々な視点から御意見等をいただければと思います。
【委員】  ありがとうございました。さいたま市の事例、とても参考になるかと思うんですが、1点お願いします。
 3ページ目、様々な教育活動の中で、SOSを出すことができる態度やスキルの育成と示されて、その下のところです。下の三角のところに、様々な活動の中でと示されているんですけども、内容を見てみると、各学年、小中高という特別活動で1時間と示されているように感じるんですが、特別活動以外でも、さいたま市では何かやられているのかということを1点確認させていただければと思います。お願いします。
【事務局】  ありがとうございます。恐らく、SOSを、実際の授業としては特活でやっていただいているということなんだろうと思います。ただ、さいたま市のほうの説明資料に、少し下のほうにありますけれども、留意点というところにありますけれども、下のほうですが、学級経営を中心とした日々の教育活動の中でも、子供が安心して相談することができる雰囲気をつくっていくということ、それから、これは先生のほうですけれども、子供のSOSに気づく視点を常に持つことが大切であるということも併せて伝えていると聞いております。
 必ずしも、目に見える形で実際に問いかけというのは、恐らくそういった特活の授業のところで活用していると思いますけれども、それ以外のところでも、そういった子供たちが相談しやすい環境をつくっていくということは取り組まれているのかなと理解をしたところです。
 私の解釈かもしれませんけれども、説明は以上です。
【委員】  ありがとうございます。これまでの会議の議論でも出てきましたけれども、特別活動も一つの場だとは思いますが、道徳だとか、あと、中学校でいうと保健体育の保健の授業ですとか、関連する教科の授業とかにも位置づけて、明確にこの教科でやるんだということをはっきりさせることが、もう一方で必要なのかなということを感じますので、今後、モデルをやっていくときには、そういったことも合わせて取り組むようなことが必要なんじゃないかなと感じています。よろしくお願いします。
【座長】  ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。
 実際に保健の中でストレスのことが扱われていますし、高校の保健ではメンタルヘルスの問題が入ってきていますし、それから、薬物のこととか性のことなんかは今、特別に、既に中学校とか高校で取組がございますので、そういうものとの関連とか位置づけとかということもできるのかなと思って、私も拝見していました。 
【委員】  全体に関わって、5点ほど触れたいと思います。1点目は、ハイリスクの児童生徒のフォローアップについてですが、これはとても大事なことだと思っておりますので、委員がおっしゃっているように、教員がハイリスクの子供が教室にいるんだということをしっかり認識するということがとても重要だと思いますし、そうしたハイリスクの児童生徒への配慮も分かりやすく示していくということが、ますます今後も必要だと思いますので、しっかり位置づけていくことが大事だと思います。
 2点目は、自殺予防教育の核となる内容を充実させることの大切さについてですが、自殺ということを前面に出すというよりも、心の苦しさということを前面に出して、さいたま市でも「いのちの支え合い」を学ぶ授業の中でそういう観点があったと思いますし、委員の「子どもの自殺予防ガイドブック」でも、苦しみの中で命を支える3つの柱というのがありますし、また、座長の実践でも、「誰にでも心が苦しいときがあるから」というような、児童生徒に受入れやすい、自殺ということよりも、心の安全安心の環境づくりということから始めるということを示していくことが、教員にとって自殺予防教育が難しいと感じるハードルを下げることになっていくのではないかと思いますので、そのことを分かりやすく伝えることが必要だと思います。
 3点目は、学校教育に長く携わってきた経験から、下地づくりの教育や安全安心な学校環境づくりが非常に必要であると考えておりまして、自殺予防教育の「核となる内容」は、年間に何回か計画的に実施していると思いますけれども、「下地づくりの教育」や、安全安心な「校内の環境づくり」は、極端な言い方をすると、毎日必要であるということを示すことが必要であると考えています。不登校対策のCOCOLOプランでは、「学校で過ごす時間の中で最も長い授業を改善」と言っていますが、学校で過ごす時間の中で最も長い授業の中で、意図的に安心感を生み出すような授業を行うことが必要であると考えます。委員の本の中に、「自立は依存先を増やすこと」というメッセージを引用したところがありますが、子供たち、特に高校生は、1人で抱え込むことが非常に多く、どう依存していくかということ、安心して人に困ったことやつまずいたことを話せる状況をつくるということは、いきなりSOSを出してねといっても難しく、授業の中で、グループで協議しなければ、話合いをしなければ、相談しなければ、なかなか解決に至らないような問題を設定しておいて、一生懸命考えながら、人の意見を聞いたり人の助けを得なければ解決しないという経験をたくさん行うこと、それは協働的な学びの重要な観点だと思いますが、それを意図的に行うことが、学習指導と関連づけながら、生徒指導の充実を図るということになると思いますから、それが、自殺予防教育にもつながる毎日の教育であるということが分かるような示し方をしていただければと思います。毎日困ったこと、つまずいたことをお互いに助け合うような経験をする授業をつくることが、援助希求的態度の促進につながることである思います。
 4点目は、時期的な観点についてですが、高校生は児童生徒の自殺者数の6割以上を占めていますが高校になると、小中学校と比較すると、心の問題を扱うことが少なくなるのではないかと思います。日本の高校はいわゆる輪切りの成績で入学しますから、中学校での学力的な位置が、例えば真ん中ぐらいであった生徒が、場合によっては、100人、200人の集団の一番下になってしまうことがあります。それは決して絶望することではないのですが、そのことでつまずくことがあります。
 高校に入って、自分の位置づけが変わり、自尊感情が著しく傷つくようなとき、入学して春から夏にかけての時期がとても大事だと考えます。また、もう一つは、高校卒業に向けて、進路を決めるとき、将来の希望が実現できるかどうかというときに、親の大きな期待があって、親とのあつれきで非常に苦しんでいくという状況もたくさん見られますので、3年生の夏頃に、進路問題で、将来の希望の危機のあるときが大事だと考えます。それぞれの高校で、この時期はみんな悩み始めると思われる時期に、進路指導とともに、併せて自殺予防教育と言わなくてもいいのですが、心の教育も必ず入れる必要があるということを示すことが大事だと考えます。こうした、高校における自尊感情や将来の希望の危機がある時期に、自殺予防教育を行うことが大切であると考えます。
 最後、5点目です。多くの自殺予防教育のモデルがありますし、新しいものもこれから考えていくことが必要だと思いますが、日本中の全ての教室にまでは届いていないのではないかという思いがありまして、時には、世界で最も子供が自殺する国というような表現をされる状況の中で、本当に一人一人の先生方が自分の教室で、自殺予防教育に取り組んでいるかといったら、余裕がないこともあり、そこまで考えられていないこともあると思います。そこで、できれば文部科学省が都道府県や市町村の教育委員会に対して、初任者や管理職あるいは中堅教員の研修で、必修で受けるような研修においては、必ず自殺予防教育に関する内容を位置づけるように働きかけるとよいと考えています。教育委員会として、現在の自殺の状況も踏まえて、自殺予防教育の内容を研修の中に必ず位置づけるようにメッセージを出して、教育委員会が責任を持って、全ての学校で自殺予防教育が実施されるようにすること、その際、学校では校長先生のスタンスが大きく影響すると思いますので、特に校長研修で実施されるようになればいいと考えます。
 以上、5点申し上げました。よろしくお願いします。
【座長】  先生の貴重な御経験に基づく、大変貴重な御意見たくさん賜ったと存じます。特に、これは承ってということで、今後に生かす形になればと思います。
【委員】  さいたま市の教育の案を見ていて、改めて、命の支え合いとか、あと、生命尊重とかというところの例示で出してあるので、いろいろ考えちゃったんですけど、赤ちゃん触れ合い体験とか、どのような効果を期待しているのかななんて思ったりとかして、そういうことが生命尊重する態度にどういうふうにつながってくるんだろうかとか、いろいろ、これは例示なので、これをやるという意味ではないのかも分からない。具体的な指導場面の例なので。下地づくりで多分一番大事なのは、本当に先ほど委員がおっしゃったように、毎日のことのような気がしちゃっているんですよね。学校の先生が、教室の運営をするときに、例えば、少数派の意見を尊重する態度とか、あと突飛な意見でも、それをいきなりいいとか悪いとかジャッジするんじゃなくて、事情を聴いてという、そういうスタンスが自分の意見が大事にされていると。その延長線上で、生命の尊重とかがあるような気がしていて、赤ちゃんと触れ合って理念とか、そういうことではないんだろうなと思っていて、これはなかなかプログラムとかマニュアルの中に落とし込めることではないんだろうけれども、物の考え方の根っこの部分で、こういう理念に走っちゃう人たちはなんだかなと思うんです。赤ちゃんと触れ合うと命が大事に思えるようになったりとか、そういうことではないような気がしています。これは本当に感想です。
【委員】  質問として2つありまして、さいたま市の取組に関係して、今分かれば知りたいですし、分からなければ、今後、教えてもらえれば、さいたま市さんに教えてもらえればいいと思っている質問です。
 1つは、さいたま市では10年以上にわたってこのプログラムをやってきていますけれども、プログラムをやってきたことによる効果とか、効果ですよね。それから、なかなか難しいなということとか、そういった総括的なこととして、何か整理されているものがあるのかということが一つ。
 それから、もう一つは、10年にわたってやっていると、途中途中いろいろな新たな取組をやったり、プログラムを改善したりしていくと思うんですけれども、そういった新たな取組や、それから改善するときのプロセス、どういうふうにして改善すべき内容を汲み上げていっているのかと、そういった体制と言えばいいですか、そういう形を、もし分かれば知りたいということです。これからやろうとしている、モデルづくりをやるに当たって参考になるのかなと思って、お尋ねしています。
 以上です。
【事務局】 すいません。委員、ありがとうございます。私どもにいただいたペーパーの中では触れられていないので、確認の上、追って御連絡させていただければと思います。以上です。
【委員】  ありがとうございます。ここに書いてあることということよりも、書いていなかったに近いんですけれども、PTAの、もちろん親御さんたちへの教育ということも書いてあったんですが、もう少し、学校の中の先生たち以上に、親御さんたちや地域の方たちが、子供の自殺がどうして起きているのかということについてのことを知る場面というのがないと、というのをすごく感じています。
 それは新聞、テレビ、ネット、いろいろなことがあるんだろうと思うんですけど、大人たちにそのこと、ここに書いてある大切なことをきちっと把握してもらうという取組というのを、広報体制というんでしょうか、組んでいかないとならないんじゃないかなと。学校の写真だけが頑張っても、これ、どうにもならないだろうなというのを思っています。
 その辺り、保育園の全入制ができたのは、1人のお母さんが、保育園落ちた、日本死ねみたいな、ああいうのを掲げたことでわーっと火がついて、保育園全入みたいになったこともあるじゃないですか。市民の方たちがこれはいかんと思えるような働きかけがどこかから起きないのかなというのを思いました。そういう市民の中の動きというのはないものなんでしょうか。あるいは、マスコミ関係でそういうのがないんでしょうかということを伺えれば。
【事務局】 委員、ありがとうございます。重要な指摘だと理解をしています。文科省としてのアプローチとしては、おっしゃるように、PTAですとか、学校の中で、そういう保護者の方に啓発、これは、むしろ設置者側から積極的に親御さんにもアプローチできるような形がつくれればいいなとは思っております。
 あと、いわゆる社会的な啓発という部分も近いと思いますけれども、そこは今、子供の自殺対策、政府のプランの中でも、しっかりとゲートキーパーとしての研修というところをしっかり普及させていくというところが重要だということで、これ、私は厚労省ですとかこども家庭庁と連携して、そこの取組というのは進めていきたいと考えております。
 具体的に、こういうやり方でやっていきたいというところまでは、私からはまだ申し上げられないですけれども、国の中で考えていることとしては、以上になります。以上です。
【座長】  ありがとうございます。これに関連して、例えば、地域でこういう取組があるよとか、そういう情報をお持ちだったりとかという先生がいらしたら、加えていただけたらと思いますし、それ以外のことでも。
 私はいろいろなところでお話しするときに、学校で自殺予防をなぜやらなきゃいけないかというときに、学校に責任があるとかそういうことではなくて、学校は地域の拠点だし、そこにいろいろな人が集ってというか、学校発信だったり、学校に人々が寄り集まったりして子供たちを見ていくという意味で、学校が機能できるといいというか、その可能性があるところだと常々考えているんですけれども、何らか、そういうことがやれるための、ある意味、体制づくりというんですか、学校の中だけでさえ大変なのにというようなところもあるかなと常々思ったりもしていて、いろいろな連携が必要なんていうお話のときに、そういうことがやれるための体制では何が必要なのかなということも常々、感じたりしていたので、大変共感してお聞きしました。ありがとうございます。 
【委員】  いろいろなことが出てきていて、先生たちが、やっていくのは大変だなと思うのではないかという危惧があります。今やっていることを、自殺予防教育の観点から見直して、すでにやっていることが、実は自殺予防につながっているんだとか、日常の教育活動でちょっと声をかけることだとか、少し雑談することだとかも、自殺予防につながっているんだということを先生たちが意識することが物すごく大事だと思っています。そうでないと、自殺予防教育を幅広くやろうとしていくことが、先生たちに負担感を抱かせないだろうかということを懸念しています。
 また、ハイリスクの子を支え、どう命を守っていくのかといったときに、やはり教員だけでは厳しいという気がしていて、やろうとしていることは間違いではないけれど、いざやるとなったときに、本当に今の学校の体制でやれるのだろうかというところが、弱気なんですけれども、引っかかるところなんです。ですから、例えば、スクールカウンセラーを今は週1日、小学校は週1日も行っていないですけれども、誰が担い手になるのだといったときに、その担い手にスクールカウンセラーがなれるように、常勤化が難しければ、週に1日を2日にするとかということをやらないと難しいのではないかと思っています。そうすることで、スクールカウンセラーがハイリスクな子への対応を中心的に受け持つとか、あるいは自殺予防の授業づくりを先生と協働で進めていくとかして、分担して取り組んでいかないと、何もかも自分たちがやるのかという感じになって、先生たちが負担感だけを抱いてしまうのではないかと危惧します。
 ですから、地域の人材、今、委員おっしゃったように、学校を社会に開いて、多様な人材を学校の中に入れるようにして一緒にやっていくことが実現できるかどうかが、一つの大きな課題なのではないかと思っています。
 それから、教員だけではありませんが、自殺予防に対しての意識をどう持ったらよいのかも課題だと思います。何か、まだ自殺をする子は特別な子だというような認識があったり、その子の問題だという捉え方があったりします。もちろん、個に還元せざるを得ないような原因で自殺をする子もいるでしょうが、もしかしたら、我々が子供を自殺に追いやっている社会とか状況をつくっているのではないかという意識をどれだけ持てるのかということも大きな課題だと思っています。
 ですから、先ほど教職員の研修の大切さというご指摘も委員から出ましたが、私も、教職員がゲートキーパーになっていくためには当然必要なことだと思うし、保護者も同じだと思っています。そのときに、いろいろな知識を身につけるということも大事ですが、子供に対する見方をどう我々が持っていくのか、つまり、自殺をしてしまうリスクの高い特別な子がいるという見方ではなくて、自殺に向かってしまうような状況を我々がつくり出しているのではないかという観点に立つことが重要なのだと思っています。そうでないと、なかなか子供への接し方とかという意味で、自殺を防ぐというところにいけないのではないか、そういう認識の視点を根底から問い直していくということが必要なのではないかと考えています。
 最後に、先ほど成果指標の話も出てきました。委員がおっしゃっているように、私もとても大事なことだと思っています。授業をやる前と後、あるいは1年間の子供たちの変化というのを、自殺防止を軸に、幅広く見ていく必要があるだろうと思っています。
 あと、一番大事なことは、子供たちが今、何を望んでいるのかがわかっているのかなということです。私たちは、こうして子供をこうやれば守れるのではないかと思って議論している訳ですが、じゃあ、子供自身が実際に、どうしてほしいのかとか、自分がどうなりたいのかと、今、どう思っているのかということを、もっと子供の声から直接知りたい、知らなければならないのではないかと思っています。モデル案をこれからつくっていくわけですけれども、もちろん私たちが持っている知識なり経験なりというのをカリキュラムに反映していくことになると思いますが、子供たち自身が今、何に悩んで何に困っていて、何をしたいのか、そういうことを、子供の声を通して聞けないかなと思っています。だから、成果指標といったときにも、量的な分析をしていくだけではなくて、質的なレベルで子供たちがどんなふうに授業を受けて変わったのかとか、何を得たのかとか、何がまだ自分ではもやもやしているのか、といったこともを拾い出していくことが必要なのではないかと思いました。
 具体的にどうすればよいのかということは言えないですけれどども、そんなことを感じています。 
【座長】  ありがとうございます。基本的な認識というか、その辺りに関しての、再度確認すべきということの御指摘かなと思います。いかがですか。
 私自身も、圧倒的に専門職の配置が不足しているということは、本当に否めないと思っています。これだけの状況の中で、もちろん御尽力いただいて、少しずつではありますけど増えてはいますが、先ほどの学校が開かれるという意味でいくと、ソーシャルワーカーのような連携の担い手がきちんと配置されるであるとか、メンタルヘルスのことに関して言えば、スクールカウンセラーがきちんと配置されることであるとかが必要です。実際は,非常に少ない、本当に少ないんですよね。全国で平均するとスクールカウンセラーの配置は週に4時間ぐらいで、それも本当に少ないところになると、月に1回4時間とかいう学校もあったりとかで、そういう中で、先生方の負担というのは大きいと思います。
【委員】  今まで、委員や座長が言われたように、専門職の方が学校に入っていただくことが大事だと思っています。それとともに、私は学校の先生方といろいろ話す中で、メンタルヘルスのことや教育相談にすごく尽力されている方もおられます。小学校でも中学校でも高校でも。そういう方は担任を持ちながら、児童生徒の話を分かろうとして聞いておられたり、地域の専門機関と連携されていたり、SCやSSWのつなぎ役として学校全体のことをやっておられる。特に小学校では担任を持ちながらというのがほとんどで、もう本当にぱんぱんの状態だと思います。中学校では、割と加配とかあって、生徒指導主事は授業8時間とかゼロの学校もあります。教育相談コーディネーターの役割を担っておられる方も、きっちり時間的な保障をされることが大事だと思っています。教員で、そういう時間的に余裕のある方が各学校にいるような人的な配置が、必要だと思っています。
 それから、予算がつくと、そこからいろいろなものが動くんだなと思いますので、学校現場にも、必要な予算を回すことが必要と思います。また、保護者の方に自殺予防の正しい知識を得てもらうためにも、学校が研修の機会を設ければ、10分の10お金が出るんだとか、そのような仕組みがあればと思います。予算の関係で保護者の研修もずっと続けたいけどできないとかという声も聞いたことがありますので、費用の面でもバックアップがあるとより実施されるかなと思いました。 
【座長】  ありがとうございます。専門職の活用という点でも、先生方の中のコーディネーターの役割は非常に重要だという御指摘がありますが、本当にそのとおりだと思いました。 
【委員】  ありがとうございます。今、学校の先生たちが大変なんだという話がありましたけれども、全くそのとおりで、我が本校も、今年から週2回、今年度から週2回のスクールカウンセラー配置ですが、週3日はスクールカウンセラーはいない状態になります。あと、スクールソーシャルワーカーが配置されていますけれども、エリアの小学校と合わせて、1人が週2回来るということなので、4校で週2回しか配置されていません。つまり、自分の学校には、本当に半日ぐらいしかいられないという状態です。
 そういう専門職が学校に常駐していないということは、とても大きな問題だと思いますし、先ほどのICTを、何かあったときは直ちに対応するということをする意味でも、先生たちにそれを求めるのはもう限界があるんじゃないかなと思います。
 一方で、これもこれまでの会議で申し上げましたように、新規採用教員がどんどん入ってきている状態になっています。その先生たちは、もう授業をするだけで精いっぱいという状態で生活をしています。そういう先生たちが、今度はこういった子供たちの心のケアのところまで、どうやって余裕を持ってやるかということを考えると今、委員が言われたように、教員の人的配置とか日々の授業時数を減らすことだとか、子供と向き合う時間をちゃんとつくることだとかということを、ただ単に残業時間を減らすという意味の働き方改革ではなくて、もっと子供にちゃんと向き合えるための働き方の余裕を持たせるということが必要だと思いますし、教員の働き方自体が10年前とは全く変わってきちゃっているということ、授業の仕方も一斉指導ではなくなって個別になってきていますし、働き方が変わっているという中で体制が変わってないということが一番の問題じゃないかなと感じています。よろしくお願いします。
【座長】  ありがとうございました。まさに現場に即した、今の現場の状況をお伝えいただき、ありがとうございます。東京都は、本当にそれでも週2日スクールカウンセラーがおられるのかとか、スクールソーシャルワーカーもそれだけ配置されている形で、北九州市民としては羨ましく思ったりもいたしましたが、ありがとうございます。
 それでは、議論も尽きないと思うのですが、次の議題もございますので、次の議題にいけたらと思います。それでは、議題4として、子供の自殺が起きたときの背景調査の在り方について用意されておりますので、26年に改訂版が出ておりまして、既にそれに関わった委員の先生方もたくさんおられますけれども、事務局より、背景調査の指針の概要、取組状況、課題等についてお話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【事務局】 事務局です。先生方ありがとうございます。これまでの今年度の議論から、次年度に向けてという趣旨で、この議題4はセットをさせていただいています。
 いわゆる事後の対応としてどのようにやっていくかというところを、同時並行で考えていく必要はあるかなというところで用意をさせていただいています。文科省のほうでは、ここの多くの先生方が入っていただいて作成したものと認識していますけれども、26年に背景調査の指針というものをつくっております。目的はまさに、学校として、子供の自殺が起きたということについて、どのように今後の再発防止ですとか、そういうものに考えていくかというところを、一つ国としての指針という位置づけで策定したものになります。
 大きくは、まず、1ページ目の概要で御説明をさせていただければと思いますが、現状、先生方も御案内の部分もあると思いますけれども、おさらいということで少しお話をさせていただくと、いわゆる全ての事案について、今、全ての学校において基本調査というものをまずやっていただいています。これはどちらかと言いますと、調査というよりは今、学校として把握している情報を収集して整理するという位置づけが強いものになります。
 1枚目の基本調査のところにありますとおり、学校において行うというところで、何か分析、専門的なことをやるというよりは、事実関係をまず整理していくというところで、右側にありますけれども、過去の記録の確認ですとか、教職員の方への聞き取りみたいなことを通じて把握した情報を整理していくということになっております。
 この背景調査の指針では、いわゆる2段階になっていまして、1つ目は今、申し上げた基本調査です。次が詳細調査という位置づけでして、設置者が判断と赤字でありますけれども、次のような場合には、より専門家も交えた形で、詳細に事実関係の確認、それから、調査内容のところにありますとおり、自殺に至る過程というところの分析を可能な限り行っていくということになっております。少なくとも次の場合は移行というところは、学校生活に関係する様子とですとか、あるいは御遺族から御要望があったという場合に行っていくという形になっております。
 もう少し詳細、具体的に説明をさせていただきます。次の2ページになります。基本調査というところからですけれども、まず、自殺が疑われる事案が発生したという場合には、速やかにまず、着手するということで、公表している、公表していないに関わらず、学校として、教職員から聞き取りを行う。それから、過去の指導記録みたいなところを確認をするというところをまず、行うということになっております。
 次に、詳細調査への移行の判断というところで、今、この背景調査の指針においては、第三者的な立場の方に意見を求めたり、外部の専門家に求めたりしつつ、以下のような場合には、必ず詳細調査に移行するということで示していまして、学校生活に関係する要素が背景に疑われるということ、そして御遺族の要望がある場合ということになっています。
 学校生活に関係する要素、4つ例示しています。いじめ、体罰、学校の友人関係ということで、いじめの場合には、すべからくいじめ暴対法に基づく、恐らく重大事態該当するものが一般的だと思いますので、そちらの法律にも沿いつつ、やっていくということになると思いますし、それ以外の場合においても、基本的には詳細調査に移行していくということが今、示されているところです。
 下のほうに、2つほど留意点を入れていますけれども、御遺族の中には恐らく御遺族の方から望まれない、希望されないという場合もあると思いますけれども、こういった必ず移行しないといけない場合という場合については、御理解を得て可能な範囲での調査を行っていくということになっております。それから、下のポツはよく言われることですけども、実際に事案が起きてからそういった組織をつくっていくということについては、時間がかかるというところもありますので、平時からそういった準備をしておくということ。それから、子供たちの徐々に記憶ですとか、そういうものもなくなっていく中ですので、速やかにアンケートですとか聞き取りが必要な場合にはやっていくというところを書いております。
 具体的な詳細調査の内容ですけれども、基本調査を踏まえつつ、外部の専門家、ここにいらっしゃるような先生方、専門家の方に入っていただいた上で、1つ目のポツの赤字にありますとおり、事実関係の確認をしていくというところに限らず、自殺に至るまでの過程を丁寧に探っていくということ、そして、そういった追い込まれた心理というところを解明して、それを基にしっかりとした再発防止策を考えていくということが示されているところです。
 2つ目のポツにあるとおり、今の指針においては、公立学校にあっては、基本的に学校の設置者が主体として行うということになっております。
 また、3点目については、専門性はもとより、中立的な立場の方に入っていただいて公平中立に行っていくということも重要だということも示されています。
 また、進め方ですけれども、おおむねこれもいろいろなパターンがあると思いますが、基本調査の確認を行いつつ、関係機関からも聞き取りを行うと。その上で、状況に応じては、子供たち、関係する仲の良かった子ですとか同じクラスの子ですとか、そういった子たちにも、亡くなった自殺の事実を伝えた上で知っていることがないかというような聞き取り調査を行っていく。そして、御遺族からも聞き取りを行うというような形で進めていくことが一般的には考えられるということで、指針の中で示しているところです。
 また、合わせて、こういった調査を踏まえて、しっかりとした再発防止、どういったところに学校としての課題、どうしてこういうことになってしまったのかというところの課題を見つけ出すということ、それから、子供を直接対象とする自殺予防教育の実施も含めて、最善策というのをしっかりとまとめていくということが示されています。
 また、最後のところに、赤字で入れていますけれども、こういった調査を行っていくということについては御遺族の了解、それから聞き取り等を行うということもありますので、関係する児童生徒や保護者の理解や協力、そして心のケアの体制を整えた上でやっていくということが非常に重要だということで今、指針の中では示されているところです。
 4ページのところで、昨年の問題行動、国のほうでやっております問題行動等調査、いじめや不登校、それから自殺の件数も、学校が把握した分を調査していますけれども、この調査の中で、昨年度、初めて背景調査の指針の実施状況というところを調査していますので、これについても御説明をさせていただいております。
 大きくは3つの点をまずは確認していまして、1つ目は基本調査の実施件数、それから、実際に詳細調査に移行した実施件数、そして最後、こういった詳細調査の実施に当たっては、事前に御遺族にも意向を確認するということになっていますけれども、そういったことがなされているかどうかというところについて調査を行っております。
 まず、左からいきますと、基本調査については、学校が把握した自殺事案は411件、総数でしたので、令和4年度411件について、全て基本調査を実施しているということで回答がありました。次、真ん中で、詳細調査についてですけれども、こちらは411のうち、19件で実施していたということになっております。最後、右側で御遺族への説明については、全体のうち、244件で行われていたということで、およそ6割程度だったということが確認をされております。
 下のほうの箱囲みのところに行きますけれども、今申し上げたとおり、基本調査を実施は全件で行っていたが、詳細調査については、全体の4.6%だったということ、それから御遺族に説明している件数というのは、全体の約6割程度だったということが分かっております。
 実際に詳細調査へ移行しなかった理由について、詳しく一部ですけれども、確認を取っていったところ、基本調査の中での概要が把握できていたと。また、学校生活に起因する要素がないということですとか、あるいは遺族から希望されなかったということなどが理由として挙げられておりました。
 また、御遺族への説明について、説明していなかったことについて、状況を確認したところ、基本調査でまず事案の概要が把握はできていた。詳細調査の説明の前に、遺族から基本調査以上の細かい調査、詳細な調査というのを希望しないということがあったので、説明をしなかったという回答があったりなどをしております。
 これが今の背景調査の取組状況というところです。
 5ページは、少し事務局のほうから課題の提案といいますか、先生方から、今回については今、様々な御意見いただきたいということで、幾つか課題の論点を説明させていただいていますけれども、まず、上の箱囲みのところですが、いじめの重大事態調査については、実は今年度から重大事態調査報告書等を収集して、今、分析等も行っておるところです。その中で、別途ガイドライン、いじめのほうはガイドラインもありますけれども、そちらについて、見直しの議論を進めているところです。
 一方で、詳細、背景調査の指針というものについては、前回の改定が26年ですので、ちょうど10年がおよそ経過する状況と考えております。また、これまでも議論中でありました児童生徒の自殺の状況、それから学校を取り巻く環境も変化していく中で、見直しに向けた議論というものを必要ではないかと考えております。
 今、事務局として、おおよそですけれども、考えているようなポイントは大きく4点だろうということで、下に提示させていただいています。まず、1つ目は基本調査ですけれども、全ての全件で実施するということで、情報を収集して整理するということになっていますけれども、実際に何を確認をしていって、どういう観点で見るのかというところをもう少し具体的に整理していけないかということが1つ目の提案です。
 次に、詳細調査への移行について、必ず移行すべき事案というのは3点ありますけれども、ここについても、特に学校生活に関係する要素が背景に疑われるという部分について、より具体化していく必要があるのではないかということです。一般的に、様々な複合的要因があるという中で、少し実態を踏まえつつ、もう少し何を必ずやらなきゃいけないのかというところを明記していきたいと考えています。
 それから、3点目、こういった御遺族への説明ということがどうしても必要になってくるわけですけれども、現状、今、学校等で恐らく行われていることになっております。こういうものについて、御遺族の協力も不可欠な中で、もう少し背景調査の中でどういうことの説明をしてということをより整理して、分かりやすく示していくことが必要ではないかと考えております。
 最後、詳細調査についても、実際、何をどの程度明らかにしていくのかというところについて、いわゆる調査事項みたいなところが今、理念としては、いわゆる自殺に至る過程を探っていくということではありますけれども、ある程度、こういった事案について、おおよそのモデルということを、標準的な調査事項ということが示すことができれば、より移行した後の取組ということにつながるのではないかなと考えていますので、4点目も一応、事務局として提案させていただいた次第です。
 一応、事務局からの説明は以上です。
【座長】  ありがとうございました。課題について、示していただきました。本当に早いもので、改訂版が出てから10年たっているということで、見直しということに向けて、本日は今年度、最後ですので、具体的な検討は来年度ということになるかと思いますけれども、ブレインストーミング的に時間が許す限り、お気づきの点であるとか、もっとこういうことが必要であるとか、そういうことをお話しいただければと思います。
 新しく委員に加わってくださった先生方につきましては、もう少し確認したいこととかというのもおありかもしれません。そういうことも含めて、どうぞ、どのようなことでも結構ですので、出していただければと思います。よろしくお願いいたします。
【委員】  ありがとうございます。この調査がされたということ、令和4年度の統計が取られたということ、大変貴重だと思っていますが、この調査内容ですが、どのような報告書が出たかというようなことまで把握できるんでしょうか。
 要するに、これからの来年度の指針の見直しについて、そこのデータというのはとても必要だなと思っているんですが、どのようなものでしょうか。
【事務局】 事務局です。この数字自体は、令和4年度に事案が発生して、今、詳細調査を実施中という扱いが多いと考えています。昨年度から、一応、詳細調査報告書といういわゆる出来上がったものについては、これも義務ではなく、どうしても任意になってしまいますけども、御遺族からも了解をいただいた上で、国のほうに提供をしていただきたいということで、各教育委員会にはお願いしています。
 ただ、令和4年度も件数として19件でしたし、今来ているものも、非常に数としては2桁ぐらいの数字の件数ですが、一応実施したものの報告書については、今、国のほうに随時いただいているところです。以上です。
【委員】  すいません。いいですか。詳細調査はそうですけど、基本調査のほうの内容も把握はできるんでしょうか。結果を。
【事務局】 現状としては、基本調査の調査結果については、特段、今提供はいただいていないので、こちらでは把握はしていない状況です。
【委員】  そうすると、今回、提起されている課題について、基本調査でどこまでが把握されて、どうして詳細調査に移らずに、詳細調査にどうして移ったかということを分析するには、基本調査でどのようなことが分かったから詳細調査に移らなかったというのも分からないと分析ができないと思うんですが、その点はいかがですか。
【事務局】 先生おっしゃるとおり、実態も踏まえた上でやっていく必要があると思っております。全ての事案、どうしていくかというのは、まだ検討はしていない状況ですけれども、おっしゃるとおり、実態把握をした上で見直しということを進めていきたいと考えています。
【座長】  確認ですけど、当初はチェックリスト形式の基本調査を全件提出していただいていた時期があったと理解していて、一旦分析をした経緯があったと思うのですが、その後、収集をしなくなったという理解。何か以前もそういう質問が出て、御回答いただいたことがあったと思うんですけど、そういう理解でよろしいんですか。
【事務局】 そうですね。26年頃までは自殺事案についての分析というのを行っていたと理解をしています。今現状としては、国のほうには今、事件等報告書という形で、チェックリストというよりは、具体的に、その子の学校での状況ですとか、あるいはふだんの状況がどうだったか、その後、実際に事案が起きた後に学校としてどのような対応を行っていたかというところは、一応、いわゆる自由記述というような形で提供はしていただいていて、我々としては、それを基に、少し対応状況を確認するということを行っております。
 ただ、いわゆる基本調査結果としてそれを提出いただいたというよりは、いわゆる事案が起きたので、今、学校としてこういう状況で、こういうことを対応していますということを報告してもらうような形に今は移っている状況です。以上です。
【座長】  そうすると、事件等報告書自体は文科省で収集しておられて、そのデータはあると。
【事務局】 そうですね。事件等報告書は全て、我々のほうで整理して保管しております。
【座長】  でも、それはイコール基本調査ではないということですか。
【事務局】 そうですね。同じようなことをやっていますので、学校として把握している情報を整理しているものにはなると思うんですけれども、私どもとしては、基本調査結果ということでいただいたものではございませんので、そこには当然、基本調査で確認された要素も入ってきていると思いますけど、それ以外の要素も入れた形で今、収集はしているところです。
【座長】  ありがとうございました。この件、本当に最初から関わってくださった委員の先生もおられますけれども、いかがですか。委員、どうぞ。
【委員】  見直しの中で、課題として最後に挙がっていた、詳細調査にどういうケースで移行していくのか、というところをしっかりと考えていく必要があると思っています。
 児童生徒の自殺を防ぐということで考えていったときに、背景に一体何があるのかというのが分からなければ、手だては打てない。自殺事案が起きました、基本調査をやりました、学校生活にはあまり関係なさそうです、詳細調査には移行しません、ということで今までやってきたところがあるわけです。これは、学校調査の限界でもあるのですが、実際に自殺事案を見ていると、家庭の問題が絡んでいたり、あるいは、薬物の問題が絡んでいたり、いろいろなことが絡んでいる。そこの調査は極端に言えば、ないわけです。学校が絡んでいる可能性のあるところだけで背景を捉えようとしていて、それで、手だてを打っていくというのは、背景を知って分析して対策を考えるという意味でいうと、不十分なのではないかと思っています。
 ですから、学校がやれないところを、もう少し家庭の問題とか、あるいは社会状況だとかというところに踏み込んだ詳細調査を、学校や教育委員会が主体になるということではなくて、別の機関なりが進めていくことが必要なのではないかと強く感じています。
 実際に背景調査をやっているのは、いじめの重大事態ということでやっているケースが非常に多いと思います。そうすると、いじめと自死というところの影響関係を中心に見ていくことになる。実際には、自死に至るいろいろな要因があるのだけれども、それをなかなか浮かび上がらせることは難しい。そうすると、いじめと自死とか学校問題と自死、というところだけが結びついてしまい、本当はもっと手だてを打つべきところがあるとしても、今の背景調査だけだとつかみきれないのではないかという、不安というか、疑問というか、モヤモヤするところがあって、文科省マターとしてだけではなくて多角的な方向からの調査をすることが考えられないかなと思うところがあります。
【座長】  ありがとうございました。それこそ、2ページ、自殺対策プランの中に要因分析の話が入っていますよね、こども家庭庁の。そういうところで、こども家庭庁が主体となって、実際やっていくとか、そこら辺、どんな状況なんでしょうか。
【事務局】 ありがとうございます。今、御指摘の点、おっしゃるとおりで、いろいろな子供たちの自殺が増えている中で、どういうところに今、社会的な部分も含めて影響があるのかという分析というのは、今、座長おっしゃられたとおり、こども家庭庁のほうでの要因分析というのが並行して行われているところです。
 そういう背景もある中で、背景調査の指針というもので、学校としてやれることというところ、それから学校としての再発防止ということを、恐らく今までこれもやってきているわけなんだろうと思うんですけれども、その中でできること、できないことがあると思いますので、そういうところを整理していくことが重要なのかなと私どもとしては考えているところです。以上です。 
【委員】  お願いします。学校の課題だけではなくて、家庭や社会を考えていくというのは本当に大事で、委員が言われたことに同感します。
 それとともに、今回、先ほど出していただいた基本調査では、学校が知り得た自殺案件は全部基本調査をされたということですよね。すごいことだなと、思うのですけれども、問題行動調査、令和4年度のを見ますと、自殺した児童生徒が置かれていた状況、これは概要版を今、映してくださっていると思うんですが、元のデータを見ると、高校は学校が把握した生徒たちの置かれていた状況では、学業不振が1.1%です。
 警察庁の調査では、学業不振が高校生の自殺の原因として一番多いと示されています。そのことにびっくりされる先生もいます。基本調査をするときに、委員が言われたように、子供をどう捉えるか、生徒理解をどうするか、で数値が変わってくると思います。高校生の自殺の原因で学業不振が1%だというのは、やはりどうなのかなと懸念を抱かざるを得ません。研修の中で、分かりやすい授業、双方向の授業、授業の創意工夫が自殺予防につながるのだということは、いつもお伝えするようにしているんですけれども、それに対してのコメントもよくいただくので、今までいろいろな委員が言われたように、分かる授業をどうやっていくかということや、学業不振をどう捉えるのかということを先生方が学び直す機会が必要かなと思っています。
【座長】  具体的にどういうことを盛り込むかという辺りについては、また次に、具体的には検討できればと思いますけど、現時点で今、委員おっしゃってくださったように、こういうことも必要なんじゃないかとかということでお気づきの点とかありましたら。ある程度チェックリスト形式みたいな形で、そういうところに目が向くようにというんですか、捉えたものが自由記述で上がってくるというのは、見えているものしか見えてこないのでと思ったりも少しして、その辺はまた議論できればと思ったりしていました。
【委員】  ありがとうございます。詳細調査をやっているのが、19件で4.6%という数字を見て、とても驚きがあるんですけど、もっと学校生活が絡んでいる件が多いんじゃないかなという気はしていたんですけれども、これしかなかったのかというのがすごく驚きを持って受け止めています。
 詳細調査に行くときの判断というのは、これ設置者が判断すると1枚目に書いてあるかと思うんですけれども、これは要するに、区市町村教育委員会とかが詳細調査に行くかどうかの判断をしているという理解でよろしいんでしょうか。
【事務局】 委員、ありがとうございます。おっしゃるとおり、今、背景調査の指針の中では、基本調査の結果というのは、いわゆる全設置者のほうに報告がされると。その上で、設置者のほうにおいて、そういった基本調査の結果などを踏まえて、詳細調査に移行するかどうかを判断していくというような形になっております。
【委員】  なるほど。ということは、このデータだけで考えると、95.4%は学校生活にあまり起因しないということになったり、起因したとしても、遺族の要望がない場合なんだと思われるわけですけれども、そうなると、もっと自殺予防を考えるときに、あまり学校、学校というよりは、さっきから議論しているように、家庭とか、もっと違うところの対策を打っていかないといけないというのは、さっきの委員が言われたりすることと全く同感で、95.4%のところを何とかしなきゃいけないと強く思うんですけれども、学校は学校でやらなきゃいけないところがあると思うんですけれども、95.4という数字を何か、根本的に対策を立てていかなきゃいけないんじゃないかなというのをとても強く感じています。すいません、あの意見だけで。
【委員】  今の委員のお話も、このデータから見るとそういうふうに見えてしまう、見てしまう、私はこれ懸念としてあるんですけれども、要は裏返しでいうと、裏返しというか、95.4%というのは学校に起因しないというふうに御家族、当事者が言っているとも捉えられてしまう面があるのかなと。ということは、学校の問題として対応しなきゃいけないのは4.6%しかないですと読み取られてしまうと、これはまたいけないかなと思います。
 難しい話なんですけれども、当事者がどう考えたかということについて、御家族、一定の調査というか、これは御協力いただかなければどうしようもないんですけれども、そういう試みというか、そういった目線も入れることは必要なのかなと思います。ちょっと難しい話なんですけれども、一つの考え方、懸念として、発言させていただきました。
【座長】  ありがとうございました。御説明をしていないところが、遺族とのやり取りが、これについてなされてないところが40%あったりということも含めてという点ですね。
【委員】  すいません、私、学校ではないんですけど、今、自殺をした子供さんの調査に関わっているんです。精神科医の方やケースワーカーの方と一緒に関わっているんですが、学校側ではないんですけど、施設側の職員さんたちの傷つきというのが非常に深くて、調査自体、あるいは調査の結果、分かってきた対応のまずさというのは、後づけになれば幾らでも見えちゃうんですが、そうしたものをきちっと伝えることに戸惑いを感じるほど、周囲にいた大人たちの傷つきが深くて、これって本当に大変なことだなと。
 再発防止のためには、きちっと調査をし、振り返り、そして結果をきちんと伝えていかなければ現場は変わっていかないというのはよくよく分かるんですが、実際には物すごく難しいんだなというのを感じております。
 そうした亡くなった子供さんの周囲にいた、御遺族もそうでしょうけれども、教員の方たちの傷つきというものを、これどういうふうに今後、調査をしていくにはと考えるかというのは、もう少ししっかり踏まえておいたほうがいいかなというのが現在感じていることです。
【座長】  ありがとうございました。周囲の子供のケア等ということは書かれていますけど、その辺りの関係の方のケアということと同時にというか並行してやらないと、というあたりは非常に重要な視点かなと改めて思いました。
 まだまだ大切なことで、いろいろ御意見あるかと思うんですけれども、時間に限りがございますので、この件に関しての今日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。今回も非常に貴重な御意見、大変ありがとうございました。
 今回、今年度最後ということで、今回3回目ですけれども、今年度は、新しく委員に加わっていただいたこともありまして、また幅広い視点から議論してこられたかなと思います。ただ、今日も御案内ありましたように、ずっと高止まりというか、こういうことに関わってきた人間としては、非常にじくじたる気持ちでずっと過ごしておりまして、抜本的にというか、かなり踏み込んで関わっていく必要があるかなということを痛感しています。
 そういう意味で、来年度に予定されているモデル構築、そこに既存の取組というか、そういうことも含めてきちんと位置づけていくことでありますとか、ICTの活用については、懸念点というか、十分出ましたけれども、そういうことに、一緒にまた考えていけたらと思っています。
 両方の議題で、繰り返し先生方が出ていましたし、私も常々感じてきましたけれども、実施体制というときのマンパワーの強化というか、抜本的なそこら辺の改革みたいなことは、常々文科省からおっしゃってくださっていますけれども、チーム学校、それから生徒指導提要の中でも、校内外の連携構築というか、協働体制みたいなことは繰り返し言われていて、そういう意味では、その辺りの体制整備ということにもより力を入れて、文科省としても取り組んでいただけたらということを改めてこの場をかりて申し上げたいと思います。
 最後に事務局からもまとめをいただくことになっておりますので、どうぞ。
【事務局】 座長をはじめ、御協力いただきました各先生方におかれましては、この1年間、協議会に御協力いただきまして、大変ありがとうございました。事務局を代表しまして、改めて感謝申し上げたいと思います。
 児童生徒の自殺が令和4年に過去最多となり、昨年も引き続き、高い水準で推移しておりまして、児童生徒の自殺対策が喫緊の課題であると認識しております。子供たちを取り巻く環境が大きく変化し、様々な悩みや困難を抱えた子供たちが増加する中、安全安心な学校環境を整えることはもちろん、生涯にわたる心の健康につながる自殺予防教育の充実や、ICTを活用した早期把握の仕組みの充実や、教職員が子供たちの心の叫びを受け止める力を向上させることも、また重要になっております。学校現場の負担が増加する中、自殺予防についても学校内外の連携に基づく組織体制づくりが必要と考えてございます。
 今年度の議論を踏まえて、来年度も自殺予防の取組の強化充実に取り組んでまいります。最後の議題の背景調査に関しましても、貴重な御示唆いただきまして、ありがとうございました。
 引き続き、来年度も、御指導のほどを何とぞよろしくお願い申し上げます。本日は大変ありがとうございました。
【座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の会議は以上となります。どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 
―― 了 ――

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