いじめ防止対策協議会(令和5年度)(第4回) 議事要旨

1.日時

令和6年2月1日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web開催 (Zoom)

3.議題

  1. いじめ重大事態の国への報告を通じた実態把握・分析、ガイドライン改訂等に ついて
  2. その他

4.出席者

委員

新井委員、遠藤委員、清原委員、熊谷委員、高田委員、玉井委員、田村委員、中田委員、春山委員、福島委員、村山委員、八並委員、渡辺委員

文部科学省

井川生徒指導調査官

こども家庭庁

菊地支援局総務課企画官

5.議事要旨

※事務局より資料1-1の説明があった。
【座長】  どうもありがとうございました。事務局から、重大事態調査の標準的な調査事項に関連して、ガイドラインの現状、そして、改定を検討すべき論点について3つ示されたと思います。1つ目は、重大事態調査において、調査すべき事項をどう整理していくのか。2つ目は、いじめの事実と重大事態の関係性についてどう捉えるのか、どこまで捉えることができるのかということ。そして、3つ目が、個別に違いはあるということですけれども、標準的な調査事項を踏まえたときの調査期間の目安、これを示す必要があるのかどうか。そのような3つの論点を示していただいたと思います。
 それでは、今申し上げました検討すべき論点について、改定の方向性など、どのようにしていくべきか、皆様から御意見、御質問等があれば、お願いいたしたいと思います。なお、こうした3つの論点以外でも、このテーマの中で検討すべき内容があれば、積極的に御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  ありがとうございます。今の事務局の御提案に関して意見を述べさせていただきます。
 標準的な調査事項というところは、非常に難しいと個人的には思っております。と申し上げますのは、事案がいろいろ異なることが1つと、もう一つは、この制度が医療事故調査制度と違って、秘匿性も独立性も非懲罰性も全く担保されないという制度で、任意で聞く。言い方を変えると偽証はフリーだと。黙秘権もあり、捜査権はないというような形で情報を聴取する場合に、今、文部科学省さんが御提言された3つの問題の前半の2つというのは、まず前提としないほうがいいと思うんです。つまりどういうことかというと、唯一情報というのは、医療情報で言えば、診療録とかゴールドスタンダードがありますけれども、今回の場合はあくまで聞き取りで、記憶に基づく証言が全ての情報になってしまうということから考えた場合に、例えば聞き取り者の聞き取り方によってバイアスがかかってしまうと、この情報が果たしていじめと関連したのかどうかという判断を聞き取り者がしかねないと思うんです。
 だから可能性として、判断するのはあくまで委員会で判断すべきであって、聞き取り者が判断すべきではないので、項目はあまり細分化せずに、可能性があるような情報を全て聴取し、委員会のほうでそれを分析するというのが本来の在り方ではなかろうかと思うんです。つまり、関連性があるかないかというのは、複数で第三者が判断するべきであって、当該証言者を前にした聞き取り者がバイアスがかかるような質問をあまりされないほうがいいと思うので、もし調査項目を、ある程度決めるのであれば、最低限これとこれだけは確認してほしいということにして、それ以外は、気がついたこと、考えられることを1人でも多く聴取するべきではなかろうかと思います。
 もう一つ気になるのは、先ほど申し上げましたように、事故調の場合は、関係者から事情を聴取する際には、秘匿性と独立性と非懲罰性をちゃんと担保するということを明言して質問に入ります。証言をしていただくことになります。この場合に、例えばこのガイドラインを読みますと、被害者のほうの意向に沿って公表すると。個人情報はそこまで重視しないで、可能な限り公開すると言われると、黙秘権があるわけですから、発言者の不利な情報だと思った場合は、話す必要がないということになるわけです。そういうことを前提としてこの調査が行われるという方向にするのか、それとも秘匿性とか独立性を担保するということをある程度今回の改定でお考えになられて、例えば加害者とか、それから関係者の児童生徒とか、少しでも多くの方々から事情をどういう形で、どういうスタンスで調査されるかというコンセプトを明言されないと、発言者というか、証言なされる方のほうは、やはり意識せざるを得ないと思うんです。それで不十分な情報で委員会を開いたときに、後から出てきますけれども、再調査というときに、十分な調査をしていないからまた再調査をするという、非常に抽象的な判断で再調査をされるようになっていますけれども、不十分な調査しかできないような情報しか集まらないで委員会の委員の先生が苦労して作った報告書を、不十分な調査だからということで片づけてしまうのはできるだけ避けたいということを考えれば、できるだけ多くの情報が入るような環境整備も必要ではないかなと思います。
 そういう意味で、項目をどうするかという前に、どういう視点で意見を聞き取るのかというコンセプトを明確にし、それを意見を聴取する方々に提示するかしないかというところをちゃんと押さえておかないと、根本的な、委員会がもとにする情報のベースが信頼性がないものであれば、ちゃんとした委員会が開けないんじゃないかな、調査もできないんじゃないかという危惧があります。その辺りの御検討をしていただければありがたいと思います。
 私のほうは以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。もちろんいじめ防止対策推進法の下で調査が行われるので、ある意味、法が規定していることに由来する限界性がある。捜査権がないわけです。それから今、委員が御指摘されたように、話さなくてもいいと認められているなかで聴き取りが行われ、どこまでが真実か、事実かということもはっきりさせることが難しい状況の中で、報告書がまとめられていく。実際に委員をやった方たち、私もそうですけれども、もどかしさのようなものを感じながらまとめていかざるを得ない。そこをどうするのかという非常に本質的な議論が提起されたと思います。
 今、委員手が挙がっておりますけれども、今の委員の御発言に関連して御意見があれば、まずそこを伺いたいと思うのですけれども、どうでしょう。関連しているでしょうか。
【委員】  お世話なります。委員の御意見、全く同感でございまして、同じようなことを発言しようと考えていたところでございます。
【座長】  お願いいたします。
【委員】  ここでは調査すべき事項ということで、その中で本人の特性とか家庭の状況について、もしこの項目を調査すべき項目だというふうに入れるのはちょっといかがかなと私もちょっと違和感を覚えております。やはりいろんな複合的な要因があって、その中でも、もちろん本人の特性、それから御家族、家庭の環境というところも多く影響しているところもあろうかと思いますけれども、いろいろ、こういうことを、こういう項目も調査してはいかがかという、その調査の項目例みたいなところで挙げるのはいいかなと思うんですけど、調査すべき事項として挙げるのも、これはやっぱり調査委員会のほうでの御判断になるのかなと思いますので、必ず最低限、こことここは調査すべき事項だということと、それからこれによっては、場合によってはそれぞれの委員会の判断で、追加でというか、こういう調査も考えられますよという例示みたいな形で示すのもよろしいかと思いました。あとは委員の御意見に全く賛同でございます。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 そうしましたら、委員、お願いします。
【委員】  委員の御意見に全く私も同じ考えですが、特に虐待の事案なんかを扱うときに、我々のようなカウンセラーが何か聞くのではなく、司法面接で得た情報が大切になる。だから虐待を通報する際もなんかが通報でしたときに、あまり学校とかいうところでは細かいことを聞くなということが、虐待のケースのときには指摘をされております。
 それともう一つは、委員にぜひお聞きしたいと思っておりましたけど、1月30日に熊本のいじめ自殺の件についていろいろ報道がされておりました。これは第三者委員会が作った報告書を黒塗りした部分があるんですけど、その部分を開示しろというような請求をして開示されました。そうしたら、その中の内容を見て、新たにまたもう一人、家族の方が訴えられたというようなことがありましたけど、この資料の1-1にありますけど、この調査は、民事・刑事上の云々という、責任を問わないというのがありますけど、実際にその報告書の中を見られて、裁判がそういうふうに実施されるということがありますので、これはどのように対応したらいいのかなと。弁護士さんの立場で御意見を伺いたいなと思いました。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。今お二人、委員の御意見に、大枠ではそのとおりだということだと思います。非常に難しさがあるということが浮き彫りになってきたと思うのですけれども、委員からも御意見を伺えればということですが、いかがでしょうか。
【委員】  いじめ重大事態調査が、民事・刑事の法律的な責任を明らかにするという視点じゃないんですよということは様々なところで触れてはあるんだけど、実際上は使われてしまうことがあるわけですね。それ自体は、もうしようがないと言ったらおかしいですけど、重大事態調査委員会の視点で考えたときにはこうなんだという、そういう意味しか持たないですよということで、そういう観点で報告をするという限りでいいのだと思います。それしかできないわけですから。だからそこの辺りは、このガイドライン等でも明確にしておいて、その上で民事・刑事の裁判資料にしたいというか、使われていってしまうのは、止めることはできないことだろうとは思います。ただ、今回のこの調査委員会で把握できたことはこの限りですよということを報告書のほうに、むしろそれを書いていくという方向が望ましいのではないかなというふうには考えています。
 あと、黒塗りになっていた部分について、開示されて知って裁判に使われてというのは、多分個人情報的な特定の部分のところが被害者側の方に伝わって、それがその後、民事などに使われる可能性が出てくるという問題なのかなとは思うんですけれども、ここに関しては、委員会としての判断事項との関係での関連性と、どの程度の開示の必要があるのかという開示の問題と情報公開の関係の問題で、つまり、公表版なんかだと黒塗りになっている場合が多いわけですけども、そこのところは個人情報保護の観点になるでしょうし、それから、被害者側への説明の中でということになると、事実関係としてはできるだけ明らかにしなきゃいけないということにはなるので、そこを含めてどの範囲で伝えていくのかというところは、調査委員会のほうで、事案に応じてどういう表現をしていくかというところも含めて検討されているというのが現状じゃないかなと思っているんですけれども。
 先ほどの調査すべき事項というふうに決めてしまうと、そこがはっきりしてないとか、はっきりできなかったじゃないかということで再調査に行ってしまうということはあり得るので、項目としてはこんなことが考えられるけど、こういう限界もあるというようなことも含めて書けるかどうかという、ガイドラインの中で書けるかどうかというところが課題になってくる可能性はあるかなというふうにも考えています。
 すみません、御質問といいますか、説明をというところに合っているかどうかちょっと自信ないんですけど、いかがでしょうか。
【座長】  委員、いかがでしょうか。
【委員】  ありがとうございます、御説明いただきまして。私自身が心配したのは、危惧するのは、このように、第三者委員会が調査をするときに、民事・刑事に関係ないと説明しても、後々そういうふうに活用されると思えば、調査をするときに、将来のことを考えて発言されなくなるんじゃないかなということを思いました。本来の目的は再発防止ですが、将来的に裁判を起こされたときに不利になる。だから、そういう発言はしないというようなことにならないかなという心配をしました。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 委員、お願いいたします。
【委員】  委員がおっしゃられたというのは、実は医療事故調査制度でも事実起きていることでございまして、訴訟には使わないと一応、文言が書いてあるんですけど、もう何件も訴訟になっています。医療事故調査制度の報告書をネタに、それが出たものだから裁判になります。非常に詳しい調査で、真面目な医療者ほど正直にしゃべっていると、それで裁判になって、実際に訴訟されてしまっているケースは多いです。多いといっても何十例もありませんけど、数例から十数例はもう既に存在します。
 そうしたらどうなったかというと、全く委員がおっしゃったとおりでございまして、じゃあ、黙っておこうなんです。言わなきゃいいんですね。言わなきゃ事実は明らかにならないけど、自分にとっては保身になるわけで、それに対する刑罰はないんですね。黙っていても何も、自分以外は、自分は得をするし、誰も問題ないけれども、何が問題になるかというと、事実が明らかにならないで再発防止に至らない。全くそういうことになります。事情を聴取する際に、秘匿性と非懲罰性と独立性というのは担保されるのかどうかという、こういう基本的なコンセプトを聞く側にも示すのか。調査をする基本的なコンセプトにそれを遵守するのかしないのか。それとも、被害者がおっしゃったとおり全部、聴取して公開して個人情報は限りなく制限をするという現行の方法をそのまま進めていくのか。それは、再発防止策とか、そちらにあまり寄与しなくなってしまうんじゃないかという危惧があります。
 それでもし可能であれば、やっと報告制度が始まった今の重大事態の調査、後から恐らく報告書の結果が出てきますけれども、数値ではなくて内容の分析をぜひしていただいて、やはりそれで問題があると思われるのであれば、ガイドラインとか、場合によっては、法律を見直すような提言をしていただきたい。そうじゃなくて、やはりちゃんと真摯に対応すれば現行の方法でも可能なのであれば、その使い方をもう少し具体的に、恐らく今我々が、話をしているのは、事故調とかいろんなところでそういう事例を経験しているのでそういう危惧を持っているわけですけど、学校の現場の先生方は、ほとんどが性善説に成り立って子供に対して一生懸命接しておられるので、僕らのように、一般論で言うと、すれたというんですか、そういうようなことまで考えないで真面目に対応されて、後からほぞをかむというのでは、もうその先生は二度と協力してくれなくなるということを考えると、まず最初のスタンスを明確にし、どういう方針で情報を収集していくか、相手にどう伝えていくかということを、ガイドラインの調査の方法とかというところに記載したほうがいいんじゃないかなと思います。
 私が読んでも、いい言い方をすると現場に任せている。悪い言い方をすると、現場に責任を投げている。どちらとも取れるんですけれども、僕らはできるだけ後者のほうを取らないように、現場の先生方の御負担を限りなく少なくし、精神的な負担をできるだけ少なくするようにガイドラインを親切につくる必要があろうかと思います。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 そうしましたら、委員、お願いします。
【委員】  ありがとうございます。委員の御発言から始まった今の視点、論点について、私も大変共感をしながら聞かせていただきました。
 まず1点目に、委員が言われた、この重大事態調査に向かうときの基本的な視点といいますか、在り方といいますか、あるいはこの調査が置かれている法律に基づく制約とか条件とか、そういうところを明確にした上で調査に入って、協力をしていただくということが重要だということを再確認させていただきました。
 おそらく一般的には、この調査においては、いじめと、それから重大事態に対する因果関係を明確にすることが期待されているのかもしれませんけれども、実質的には、そのことをするのにはなかなか困難があるということも、今までの実態調査等から少し言えるのではないかと思います。あわせて大事なのは、再発防止と、また当該の被害・加害の児童双方、あるいはそれを取り巻くクラスメート、あるいは御家族や様々な関係者に対して「適切な支援」を行いたいということです。そのための調査であるという趣旨が徹底されるということが重要だと思います。
 2点目に、制度の建て付けとしては、民事や刑事の訴訟のための調査ではないとされながら、実質的にはそういうことがあるということについては、おそらく今日、後半で私たちが検討しなければいけない資料1-2の「調査結果の説明及び公表」に関わることではないかなとも思いまして、本日の論点の2つというのが密接に関係しているということも問題意識として持ったところでございます。
 特に委員がおっしゃいました聞き取りをする人の恣意性ということが出ないように、できる限り気づいたこと、考えられることを聞き取っていただいて、判断は極力、より多様な視点、そして専門性のある第三者の中でしていくことが望ましいとおっしゃったのは、本当にそのとおりだと思います。できる限り「第三者性」と「専門性」を担保する、そうした重大事態調査の在り方を改めて強く主張していかなければいけないと思いました。
 最後に、今まで出てきませんでした論点で、本日お示しの検討すべき論点の最後に、「事案によって異なるものの、調査期間の目安等を設けること」についてどのように考えるかということについて、ちょっと意見を申し上げます。
 私は、調査を徹底的に行うことを当事者は願っているでしょうし、なかなか調査期間の目安は取りにくい、設けにくいとは思うのですけれども、当該の子供の視点に立ったとき、特に不登校の事案の場合には、今後の進学ですとか進級に影響するということもありますので、いたずらに長期化するのはよくないとも考えます。そこで、例えば不登校の事案については、当該の児童生徒の進学・進級までの間に、できる限り速やかに一定の取りまとめをすることも1つの目安になるのではないかなと思います。このぐらいしか期間の目安については思いつかなかったのですが、意見として申し上げます。
 以上です。皆様ありがとうございます。
【座長】  ありがとうございました。目安ということも出てまいりましたけれども、調査の基本的な在り方をどうしたらよいのか。現行の中で運用という点でやっていくのか、あるいは、この調査の在り方の本質的なところをガイドラインで示せるように、委員からは法律の見直しということも踏まえて、調査自体を少し本質的なところで見直す必要があるのではないかという御指摘があったと思います。調査期間の目安については少し後に持っていって、本質的なところですね、期間が本質的ではないということではありませんが、もう少しまた違う視点からも御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どなたか。
【委員】  今の先生方のお話、そのとおりだと思って聞いております。このガイドライン、我々もそういう事案をいっぱい抱えて、被害者の側の感情的な発言で、こういう調査をしてこれを明らかにしてほしいというのにどうしても流されてしまうんですね。だからそこが、それはマスコミも含めてあおられるという傾向があって、この調査自体が、結論ありきの方向に持っていかざるを得ないという傾向も出てくると。これがやっぱり難しさなんです。
 我々は客観的に、第三者が中立的に対応はするんですけれども、どうしてもそこに調査の限界が出てきて、因果関係がはっきりしないもの、それから、本当にちょっと言ったようなことが大きく取り上げられて、内容がだんだんそっちの方向に結論づけられてしまうこと、こういうことがたくさんあります。ガイドラインの概要のところでその辺りは書いているんですけれども、本当は、ちょっと私、こういう言い方をすると学校関係者を守っているというふうにしか言われないんだけど、調査の難しさということ、調査自体が困難であるということもガイドラインの概要の中に入れていただくと、少しは学校の先生もほっとするということもあるんですよね。どうしても調査が始まると、学校が責任追及のターゲットになってしまうという傾向があって、そこが学校の先生からすると、調査をすればするほど損をするという、そういう意識になってしまう要因になっていると。これがやっぱり現実ではあるんですよね。だから、客観的であるということは、学校の責任も含めてちゃんとそこは調査をするんだけど、一方でこの調査の難しさということの両面を何か最初のガイドラインのところの大きな趣旨で入れていただくとありがたいなと思います。調査委員会の秘匿性や中立性、これは大前提として入れざるを得ない内容だろうと思います。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。調査の限界について書く、ということですね。被害者というところに視点が行きますから、特に関連性を捉えたときに、その関連性が強く出てこないと、言い方が少し適切でないかもしれませんが、再調査になっていく可能性がある。その辺も含めて、調査に当たった方も本当に御苦労だし、個人情報に関するところが黒塗りになっているなかで、対象となった学校の対応については表に出てくる。あるいは、聞き取りに関しても、教職員は応じなければならない。しかし、関係生徒からは全て意見が聞けるわけではない。そういう限界性の中で、ある種の因果関係に近い関連性を書いていくということの難しさ、この辺をどうしたらいいのかという御指摘が続いているように思いますが、いかがでしょうか。ここで様々な考えを出しておいて、よい方向を見いだすようにしていきたいと思いますので、忌憚のない御意見を皆様から伺えればと思います。よろしくお願いします。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  全日本中学校長会でございます。委員の先生方のお話をずっと聞いておりました。本当にいろんな立場の方が学校現場の困難さを分かっていただけることに、まずは感謝申し上げたいと思います。
 やはり被害生徒を守ること、再発防止は大事である。これは当然のことですが、学校現場としては、加害生徒のことも、当然、自分の生徒、児童ですから考えなきゃいけない。加害生徒となった子については、担任を含めて日頃から見ているわけで、どうしても客観的な事実確認となっても、日頃見ている先生たちからすれば家族的なもので、客観と主観がついつい混ざってしまう。例えば――例えばって変ですね。加害生徒の中に、一般例、一般的な話です。ある例ではなくて一般的なことで言えば、加害生徒の中には、もしかすると医療的な措置が必要だなと感じる子もいます。ただそれは、聞き取りを行った担任、教員が、客観ではなくて主観的に思っていることで、それを客観的に証明するためにやっぱりきちんと医療の検査を受ける等々があるので、それを報告書に載せるということはできない。となると、聞き取った教員のほうは、この子、ある程度医療的なケアが必要だなと思いつつも、それを報告書に聞き取った教員の主観として書くことは恐らくできないんだと思います。そんな中で、加害をした事実のみを書くとなると、被害の事実は事実としてあるんですけれども、加害生徒がなぜ加害に至ったかというところに全く目を向けられないまま事が進んでいくということにもなり得るかなと思っています。
 とても、まだ実は手を挙げられないなと思ったのは、自分の中で、教員が聞き取ることに対して本当に難しさを感じていて、どういうところが落としどころかというのは私も見えていないんです。ただ、このガイドラインの中には、加害者のケア、加害者の親御さんのケア等も何か記しておいていただければいいのかなと思っています。本当にまとまらないまま話しているのは重々承知です。この私の話を機会にまた広がっていただければ嬉しいです。失礼します。
【座長】  ありがとうございます。
 委員、お願いいたします。
【委員】  私、たくさんしゃべったので、今手を挙げたのは、1つは、委員のお考えに賛成ですと言いたかったのです。任意の調査ですので、やっぱり調査に限界があるというのは、医療事故調査制度の一番最初の文章に書いてあります。つまり、原因究明を行うんだけれども、分からないことがあるということが明文化されて一番最初に書いてあります。任意で調査をするわけですから、初めから結論ありきの調査ではないはずなので、結論が出ないこと、因果関係が分からないという結果が出るということは当然あり得るということを明記すべきだというのは、全くそのとおりだと思います。
 2つ目は、私の前にお話をなさっていただいた委員のお話ですけど、僕の立場で述べていいのか分からなかったんですけれども、加害者の環境とか、それから医療的な結論が出ていないのに、可能性があることに対してどう考えるかですけれども、1人でも多くの方々の証言を集めて、それが複数あった場合は、ある程度それは現場の意見として書くことができるように、できるだけ多くの情報を集めたほうがいいという意味で先ほどのような発言をさせていただきました。
 秘匿性とか独立性が明記されていなければ、先現場の教員の先生方は、この発言が自分にとって不利になるんじゃないかと思ったら発言しないという選択肢を選ばれるのは当然のことだと思います。そういう負担を取ってあげることを配慮した調査制度に少しずつ変えていく必要があるんじゃないかと思います。今の法律と、それからガイドラインができたのは、そのときの社会情勢に応じた形でできたと思うんですけれども、それが円滑にこのまま継続していくことが望ましいのか、それとも、現状に応じて少しずつ見直す部分を考えるのかというのは、今、重大事態の今、報告書が出てきておりますので、それらの数値の数の部分だけじゃなくて、内容分析もちゃんと行っていただき、それから後で出てくる再調査のもし項目があれば、再調査の報告書も含めて、在り方を見た上で、今後どのように展開していくかの参考にしていただきたいと思います。ぜひ数値以外の分析も文科省は進めていただきたいと思います。
 以上でございます。すみません。
【座長】  ありがとうございます。ここまでの議論、大きな流れとしては、法ができたとき、それからガイドラインがつくられたときと、今は情勢がかなり違う。あのときの社会的な雰囲気という言い方をしていいのかどうか分かりませんけれども、そういう中で、法もガイドラインもつくられていった。そして、そこから10年たって報告書も数多く出てきた。再調査報告書も、数は限られていますけれども、ある。果たしてこれで最終的ないじめ防止というところにつながる背景調査になっているのかどうかということを改めて点検すべきじゃないか。その点検に基づいて、少し制度設計、法の見直しというようなことも含めて、この防止対策協議会としてどのような提言をしていけばいいのかということを考えるべきなのではないかという意見が大勢であるように思います。まずは調査の限界性ということをガイドラインの中で明記すると。ですから、関連性が全て分かるというようなものではない。そしてもちろん、民事・刑事につながるものでもないということも、現実は別として示す。
 それから、聞き取りに応じた人の発言の匿名性、秘匿性、独立性というようなものをきちんと担保できるかどうかというようなことも示さないと、なかなか中立的・客観的なところに行けないのではないかという御意見が提起されたというふうに、少し乱暴ですけれども、まとめてみました。
 というところで、さらに御意見があればお願いしたいと思いますが。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  ありがとうございます。座長、的確におまとめいただいて、私もそのような方向性に賛同いたします。その上で、現行においても、そして今後においても、やはり重大事態調査、あるいはいじめに対する対応については、とにかく現状を冷静に見ながら、再発防止と予防、そして当該の被害・加害の児童生徒、あるいはその保護者等々、クラスメートに対しても適切な支援をするためであるという調査の目的や理念については改めて確認したいと思います。
 加えて、委員もおっしゃいましたが、加害の児童に対しても適切な支援をしていくことが今後の再発防止、そして予防についても、あるいはいじめに関わる様々な問題を大きくしないために重要な視点だと思いますので、そのことも明記していければと思います。ぜひぜひ、単に因果関係を解明するということのみが目的ではなくて、それも重要な1つの要素ではあるけれども、現行制度では一定の限界がある中、これまでの10年の取組を真摯に、客観的に検証しながら、よりよい方向を御一緒に目指していきたいと思います。ありがとうございます。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  ありがとうございます。日本PTA全国協議会でございます。なかなか参加できなくて大変申し訳なく感じておりますが、先生方の御意見を聞いて、今本当にいじめ・不登校に関しても、昔と比べて多くの児童生徒たちがそういう部分で増えてきている現状において、今回のこの重大事態調査というものに関して、やはり1つの原因というものをしっかり調査する必要はあるのかなとも感じております。
 ただ、私も話がまとまっておりませんが、調査の難しさというのもありますし、今の現行の中でいけば、先生方がまたこれをやっていくというところもあるとは思うんですが、先生方がおっしゃるとおり、私は現場に任せるんじゃなくて、現場の負担も多くなっていく中でいけば、調査の本質的なところをしっかりと見直しながら、専門性の方がやっていっていただくということがとても重要なのかなとも感じております。
 専門性ということでいけば、被害者・加害者の個人的な情報的なことも含めた中で、専門的な方が第三者的な客観的な立場でしっかりと調査をしていくということもやはり重要であって、それが被害者にしても、または起きた学校単位であっても、今回のこの重大事態はどうだったかということが、何か全然分からないような部分でこれが流れていってしまうと、それが今後のいじめ防止の対策につながらないかなと思ったりもします。調査自体難しいことも分かっておりますが、この調査の目的というものが、今後はやはり、いじめがなくなっていくという部分において、正しいまたそういう調査が行われることを、また、現場にあまり負担がなく、客観的な本質的な調査が行われることを、ガイドライン等を含めて、訂正すべきところがあれば、この機会にちょっと見直していっていただいたほうが、時代とともに被害者の、保護者も含めていろいろ変わってきているという部分は、そこら辺のしっかりとした部分を打ち出していかないと、この問題がやはり起きない。また、児童生徒たちも、本当にしっかりこのいじめ対策に関しては考えもあると思いますし、児童会、生徒会がこのことをしながら、保護者とともにいじめ対策をしていくにしても、ちゃんとした調査というものが重要かなと、ちょっと感じております。
 日頃は、全国の児童生徒のためにいろいろ先生方のお世話になっていることは冒頭に話すべきでしたが、本当に感謝申し上げております。ありがとうございます。
 以上になります。
【座長】  ありがとうございます。
 委員、お願いします。
【委員】  先ほど来の限界性というところで、今の議論やガイドライン自体が、いじめ被害・加害の両者が在籍していることを暗に前提にしているような感じがします。
しかし、現状では卒業後に遡及的に重大事態の申立てがあります。この調査は、極めて難しいです。中3でいじめ被害にあったが、卒業後に重大事態の申し立てがあると、両者が卒業した状態で、どのようにヒアリングするか難しい問題が生じます。
 また、委員が言われたように、加害児童生徒に発達特性があって、自分自身のやったことがうまく認識できない場合、どうするのか。これも、非常に難しいです。あるいは、加害者不定の場合、どうするのか。加害者を特定できない。特定できないがいじめはあったとなった時も、調査の限界性は見えています。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。ほかいかがでしょう。
今すぐに結論とかということではないのですが、ここまで出てきた調査の限界性というもの、また、今、遡及的な調査というのも出てまいりました。そういうものを明記して調査の限界性というものを示す必要があるだろうということかと思います。
 そして、これは私の意見ですけれども、1号重大事態と2号重大事態で実際の調査の仕方が大分変わってくる。この辺も少し示す必要があるのではないかと思います。負担というのが、学校はもちろんですけれども、設置者、教育委員会も、実際に調査が始まったときに大きくなっていく。そこの中で負担を減らし、かつ、中立性・客観性というのをどう担保するのか。学校の調査のときには教育委員会がかなりサポートしているというが現実にはみられます。
 ですから、そういうところも含めて、できるだけ調査がしやすいように、限界性に基づいて、制度的なものの見直しも含め、法を見直すということの提言も含めて、少し根本的なことになりますが、この調査がどういうもので、何を目指し、どこまでやれるのか、どこに限界があるのかというようなことを示して、もう少し調査をしやすくし、その上で再発防止につなげていく。こういう方向性を、大変ですけれども考えていこうということなのかなというように皆様の意見を伺いながら思っているところです。その辺を受け止めて継続的に、これまでに示された観点に立って、今後の方向性を具体的に見いだすことをやっていくということになろうかなと思います。
 時間も限られておりますので、目安については、先ほど委員から意見が1つ出ましたけれども、調査期間の目安ですね、もしも、その点で御意見がほかにあれば出していただきたいと思います。 
【委員】  第三者委員の経験からすると、事案の難度と複雑性によって、調査期間も変動すると思います。第三者委員会の場合、弁護士・医者・大学教員も本務を抱えています。本務との兼ね合いを調整しながら、委員全員の日程を決定していくのは、非常に難しいです。また、自ずと委員会の頻度も、それによって、制約を受けます。さらに、会議だけでなく、児童生徒や教職員のヒアリングをセッティングするのは、非常に難しいです。
 つまり、事案の難度と複雑性、委員会の運用やヒアリング、報告書の作成方法などが絡み合ってくるので、調査期間の目安を事前に伝えるのは、極めて難しいような気がします。この点も考慮して、少し議論をしていただければなと思います。
【座長】  分かりました。
【委員】  よろしくお願いします。
【座長】  早くやりたいのはもちろんだけれども、なかなか事案の内容等によっては難しい場合もある。確かに委員の方、私も何度かやっておりますけれども、夜の会議、それもかなり遅い時間になって開催しているケースも少なくない。ですから、場合によれば、被害を訴えている保護者、児童生徒に対して、今こういう状況になっているということは伝えていくのですけれども、なかなか短期間では終わらないものもあるということかなと思います。
 ほかいかがでしょう、調査期間の目安ということに関して。一定示す必要はあるだろうけれども、必ずこうだというのは言えないというようなことを少し整理していくということでよろしいでしょうか。
 そうしましたら、また戻ってくることもあろうかと思いますけれども、ここまでの議論と関係が非常に密接にあると思いますので、続きまして、4の調査結果の説明及び公表、再調査、この点について検討をしていきたいと思います。
※事務局から資料1-2の説明があった。
【座長】   どうもありがとうございました。事務局から調査結果の説明及び公表、そして再調査に関連して、ガイドラインの現状と改定を検討すべき論点として3つのことが出てきたと思います。
 1つは、調査結果の公表に係る個人情報保護法との関係の整理、これをどうしたらいいのか。公表のことですね。それから2つ目、公表して終わりということではなくて、調査結果を踏まえた実効的な再発防止の取組、これを調査の延長上にあるものとしてどう取組を進めていったらよいのかということ。そして3つ目が、再調査。実際、再調査をするかどうかということで、知事や市長などが、なかなか判断できないというようなことを伺うこともあります。再調査をどう捉えたらいいのか。再調査の考え方、調査の流れというようなもの。以上3つの論点を示していただいたと思います。
 今の公表の件、再発防止に向けての取組、そして再調査について、これからの改定の方向性などをどのようにしていくべきなのか。先ほどの議論とまた重なるところも出てくると思いますけれども、皆様から御意見、あるいは御質問等があればお願いしたいと思います。また、同じように、この3つの論点以外でも、このテーマの中で検討すべき内容があれば積極的に御意見をいただければと思っております。それでは、また御意見をよろしくお願いいたします。
 そうしましたら、委員、よろしくお願いします。
【委員】  まず、一個一個いきますと、調査結果の公表という言葉がすごく曖昧なので、個人情報保護法に関して、ガイドラインに書いてあることがすごく分かりにくいと思います。例えば、事故調査センターなんかで言うと、報告書がまず結果なんです。報告書を患者側に開示するかしないか、それがまず法律上の問題だったわけです。報告書を示すか示さないか。その報告書が調査結果ですけど、ガイドラインを読みますと、調査結果の報告書なのか、それとも調査結果の経過のメモを含めた情報全てを、被害者側とか、ホームページにどこまで掲載するのかというのが明確じゃないと思うんです。だから、調査結果という言葉をもう少し整理していただいて、調査に関わった情報なのか、それとも最終報告書のことを意味するのかによって意味が全く違うと思います。
 というのは、調査結果の報告書を書くときに、例えば、秘匿性とか独立性を配慮した形で、個人が特定しにくいような形で報告書を書くことは可能なわけですけど、口頭でそれを、個人名を全部出すということになると、もともとの情報の制度の在り方に関係してくることになります。だから、この調査結果の公表、ホームページに掲載するというこの調査結果って何だ。報告書のことを言っているのか、そうじゃなくて、言葉で、付随した情報を全て示しているのかというところをもう少し明確に分けていただかなければ議論にならないと思いました。
 仮にこれが調査結果報告書、最終報告書同等と考えたのであれば、報告書の書きぶりによってどこまで公表するかということが関係してくると思います。そこを明記しないと、聞き取りの際に関係してくるわけですので、そこの書きぶりは当然、委員の先生方、調査委員会の報告書を作成される際に、どこまで配慮されるかどうかにかかってくると思います。この調査結果の定義を明確にしていただかないと、公表の程度とか、個人情報の在り方は議論にならないとまず思います。
 2つ目に、再発防止の取組というところもそうですけれども、多くの場合にトラブルがあると、大体ヒューマンエラーか個人に懲罰を期すということで日本というのは終わってしまうことが多いですけど、組織的なもの、環境的なものがあったかどうかという、加害者側のそういうようなことも含めた形で、組織の問題があったのなら組織の問題も明確にし、それを継続的に検証する体制がなければ、例えば10年たてば学校の先生方、職員、恐らくほとんどが入れ替わると思うんです。となると、風化してしまうのが一番意味がないので、やはり継続性、つまり個人だけが心に傷を負って、学校の先生なら学校の先生がそれをずっと心に残したままで転勤されるのではなくて、それも含めて、やはり組織として対応するということを絶えず考えなければなりませんので、再発防止というのは、個人ではなくてやはり組織を考える必要があろうかと思います。
 それから、再調査に関しましては、これは以前から申し上げていることですけど、これまでの再調査が本当に妥当に再調査として行われたかどうか。つまり、被害者の方が自分の納得しない結果だった場合に、十分な調査ではないというふうにお考えになるのは当然だとは思うんです。それが本当に第三者的に十分検証された結果であるのかどうかということをちゃんと分析する場があっていいと思います。言った者勝ちになってしまうのが一番よくないので。それで、組織の長というんですかね、行政の長が再調査に無理やり踏み切ると、当然、調査に入る段階でもうバイアスがかかってしまうということが起こり得ると思います。
 それから、その再調査に関しても、改めて調査をするのか、それとも既存の委員会が行った情報に基づいて分析を改めてするのかというようなところも、やはりある程度方向性を決めたほうがいいと思うんです。現場の負担を考えれば、記憶がより薄くなっている段階でバイアスがかかった調査をもう一回する意味があるかないかということは考えていただく必要があろうかと思います。
 そう考えれば、既に行った情報を検証するところを最初から見直すという形を取れば、再調査の負担というのはある程度減るんじゃないか。これは医療事故調査制度がそういう立てつけになっているわけですけれども、そのような考え方も、再調査ということで考えていただきたい。十分な調査が尽くされてない文章はできれば外していただきたいし、調査委員の人選に関しても、する前から分かっていることを後づけで言われるというのは、苦労された委員の先生方の努力を無視することだと思いますので、その辺りもちゃんと御配慮いただきたいと思います。
 今回の3つのところにはないんですけれども、これは全く私見でございますが、加害者の懲戒の検討をするという、「懲戒」という言葉。教育の立場におられる方々は、子供を守るという視点がある場合に、いくら加害者であれ、懲戒という言葉を残すのは、医療者からすると意外なんですけれども、これはこのままでいいのかどうか。僕は専門ではありませんので、教育者の方、ぜひ御検討いただきたいと思います。懲戒をするのは社会であり、警察ではなかろうかと思うんですけれども、これは全く本論から外れておりますので、議事録から外していただいても結構でございます。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。3つプラス1ということでご意見を出していただきました。関連するところもありますけれども、少し分けて考えていったほうがいいかなと思いますので、まず、調査結果の公表、調査結果とは一体何を指すのか。報告書そのものなのか、あるいは付随して得られた様々な情報なのかということですけれども、この点についてはいかがでしょうか。事務局として、もしも見解があれば。調査結果といったときの定義ですね。調査報告書を指しているのか、得られた情報、総体を指しているのかというところが不明確という御指摘ですが、いかがでしょうか。
【事務局】  調査結果というとき、これは法文上そういう言い方をしていたのでそういうふうな使い方をしましたけれども、基本的には報告書に当たります。最終的な報告書を提示するということだろうと思いますので、そのように解釈していただければと思います。
【座長】  ありがとうございます。最終の報告書を指しているということですね。ですから、曖昧性があるのであれば、報告書というふうに明記したほうがいいのではないか。その上で公表というようなところ、また、先ほどの、聞き取りに当たって、それをまとめていく上での秘匿性、独立性というようなものとの関連でどうしていけばいいのか。個人情報保護法等の関連もあるということで、調査結果、最終的な報告書の公表ということについて御意見をいただければと思います。
 委員、お願いします。
【委員】  ありがとうございます。調査結果の説明、公表の在り方について申し上げます。ここでは重要な法令として、「個人情報保護法等の関係法令に基づいた対応」というふうに明記していただいておりますが、市長経験者として申し上げますと、各自治体はほとんど「情報公開条例」というのも持っております。「個人情報保護法」、あるいは「個人情報保護条例」ということで、個人のプライバシーを特に適切に保護し秘匿するという責務もございますが、併せて住民の皆様の「知る権利」を保障するという責務も自治体にはございます。
 したがいまして、その兼ね合いの中で、いかに当該当事者のプライバシー、個人情報を保護しながら、この問題に対する住民の皆様の御理解を得ていくかということは大変難しい兼ね合いの問題が所在いたします。特に小さな自治体、小規模自治体においては、いじめの重大事態というのがそんなに件数も多くないことから、調査報告書を公表する責務はあるとはいえ、そのことによって啓発の効果もあるかもしれませんが、個人が比較的容易に特定されたり、それによって何らかの誹謗中傷を受けたりする可能性もあり、子供本位に人権を守っていくということと、情報公開における自治体の責務ということの両立について苦慮があるのではないかと推察しているところでございます。
 そこで、あくまでも自治体の責務ではあるかと思うんですけれども、その報告書等の公開をするときに、自治体の規模によってはその方法について判断がなかなかつかないことも想定されます。個人情報を保護しながらの公表について、どのように責任を果たしていくべきかという悩みがあるのではないかなと思いますので、そのような問題についての適切なガイドライン等の作成が必要と考えます。よろしくお願いします。
【座長】  ありがとうございます。
 そうしましたら、委員、お願いいたします。
【委員】  ありがとうございます。今日は遅くなりまして、申し訳ございません。途中からの参加ですので、冒頭のほうで既にもしかしたら出ていたら申し訳ないんですけれども、今の公表というところに関して、先ほど委員もおっしゃったように、調査結果というのが何を指すのかというのは本当に大事だと思いました。調査報告書なのだという御説明を受けて考えるに、もしこれ、調査結果がホームページ等で公表されるということになりますと、要するに誰でも見られるということになるわけですので、もちろん関心のある方が中心には御覧になるかもしれませんが、その学校のお子さんたちも、見ようと思えば見られるということになると思います。
 そうなった場合に、やはり書き方が、調査の結果何が分かったか、そこから言えることは何かという事実が書いてあることが、イコール今後の再発防止策を考えるために、もちろん有効な材料なんですけれども、少しワンクッション置いていろいろな角度から検討し直さないと、にわかに報告書を再発防止策のために使うというか、理解するというのは難しい場合もあると思うんです。ですので、調査報告書自体の公表というよりも、そこから得られた知見自体を公表するということであれば、よその、あるいはこれから予防していこうという方たちにとっても有意義な情報になると思うんですけれども、個別具体の事案の、つぶさに明らかになったことを公表することというのは、どちらかというと、ちょっと言い方が悪いんですけれども、何か事件に対しての関心をあおるとか、場合によってはそこに出てくる方々の個人がやはり特定されてしまって、結果的に望まなかった結果、二次被害とかそういうことも受けかねないと思うので、かなり慎重にする必要があるのではないかと思います。
 ですので、報告書の公表ということではない形で、調査結果に基づく提言とか、そこから言えることとか、そういった部分を調査委員の方々が報告書に書いてくださる、もしくは調査の結果を受けてどこかで検討したことを公表するとか、そのようにちょっと分ける必要があるのではないかなと思いました。
 あと、個人情報保護法がすごく大事だと思うんですけれども、性別とか年齢とかが書かれなくて固有名詞も出てこなくても、あの子のことだな、この子のことだなということが現実に分かってしまうということはあると思うので、個人情報に触れなければ大丈夫というふうにはなかなか言いづらいところが現実にはあると思います。そこがプライバシーに関する留意というふうに記載してくださっているんだろうと思うんですけれども、個人情報保護法が独り歩きし過ぎてしまうと、そこにさえ触れなければいいんだという感じになることがちょっと心配かなと思いました。その辺りは弁護士の先生の御見解等も伺う必要があると思うんですが、私はちょっと気になったところです。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。現状で公表されたものを見ていくと、調査報告書そのものが出ていて、黒塗りが行われているという場合、それから、事実関係も含めて、匿名性を担保するような形で概要版が作られて、それが公表されている場合。もう一つは、
課題と提言というところに限って、事実関係には触れずに、提言内容が公表されている場合。大体分類していくと、その3つかなと思います。その辺を、事案に応じて調査委員会、あるいは被害児童生徒・保護者の意向もふまえながら、どう公表するのかということで取り組んでいると思われますが、その辺をどう進めていけばいいのかという議論になるのではないかと思います。その辺のことについて、個人情報保護法、あるいは条例等の関連も含めて、もう少し御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
 こちらから指名させていただいて申し訳ないんですが、委員いかがでしょうか、法的な観点から、お願いいたします。
【委員】  調査結果について公表といいますか、説明をしなきゃいけないということになってくる部分では、法律上書かれているのは、被害者側に説明しなきゃいけないということになっているというところですよね。まずそこのところで、被害者に渡すときに、その報告書の中の情報について黒塗りをするのかしないのかという問題と、それから調査結果の調査報告書を、先ほど座長のほうから御紹介のあった、現在行われているような大方3つの方法でホームページに載せたり、いろいろ提供したりとかということが行われていると思うんですけれども、それをどういう基準で出していくかというところでも個人情報保護法の関係が問題になってくるんだと思います。ただこの観点だけだと、それは結局自治体のほうの判断でやっていくことになると思うんですけれども、実際に行われた黒塗り版であったり、概要版であったりとかというのを、調査委員会のほうでこれはいずれ公表されるという前提であれば、どういう表現にしていくか、黒塗りをつくらないようにして、公表された場合に、皆さんが分からなかったり、何か不信感を招かないような形で調査報告書を書いていくという工夫もされていると認識しています。そこの段階でどういうやり方をするかということについては、その地域の事案に応じてどういう影響を与えるかという、先ほど御心配の御指摘がありましたけれども、二次被害をどうやって防ぐのかという辺りの観点は、既にいろいろ考えられて報告書の表現が検討されているものと理解しています。
 ただ、そこの先の問題で、調査結果というところのまさに調査結果の部分について、被害者側というか、当事者側というか、自己情報の開示の請求といいますか、要求が出てきた場合に、調査記録であったり調査結果であったりとか、その間のヒアリング記録だとか、報告書を書く段階での経過のメモであったりとかということも含めて開示請求されたりする例があって、そこのところをどうしていくのかということが問題になったりしていますよね。
 ヒアリング記録なんかについては、さっきの調書のときの秘匿性の問題なんかで、それを個別に聴取をするときに約束していたり、加害者には伝えてほしくないというような前提で話してくれているというようなことで、また、そういうふうに公にしないという約束の下で聞いていたりとかということもあったりして、その約束が守られないと、冒頭のほうでも御心配のあった、結局ヒアリングが成立しなくなっちゃうじゃないかという、そういう問題があります。それの辺りに関しては、情報開示の中でも、その場合に非開示にするということが許される項目になっているのかなというふうには理解しているところですけれども。
 もう一つは、それとともにこの問題を考えるときに、再調査の問題なんかにも影響してくるもうちょっと根源的な側面があります。重大事態調査自体の中で、そういうふうに扱われたりすることを見越して、要は開示請求であったり、情報公開請求も出てくる可能性があり、それへの対応が大変だから記録を残さないということをされたり、保存期間を極めて短くつくっておいて、それで廃棄しちゃうというようなことが行われたりしているとも聞いたりしています。それをやられてしまうと、再調査をやろうとしても、本来であれば再調査では重大事態調査の段階でどこまで調査したについて、そのときの調査資料がきちんと残されていれば、それに基づいてさらに先の調査をしていくということができるのだと思うんですけど、走破ならず、もう一回、ほとんどやり直さないといけないということが起こったりもしていると聞いています。だから、記録の保存の問題というのをきちんとやっておかないと、それもきちんとガイドラインの中にコメントしておいて、ちゃんと残さなきゃいけないんですよということを書いた上で、個人情報保護の関係の問題を書いていくということになるのかなというふうに、この関係ですとそんなふうに思っていますが、お答えになりましたでしょうか。
【座長】  ありがとうございます。1つは保護者への説明、それから最終報告書、ここがちょっと違ってくるところがあるのではかないかということだと思います。個人情報保護法、それから情報開示請求との絡みで言えば、前半の議論と関連してくるわけですけれども、秘匿性を担保しなければ、恐らく自己防衛に走って言わなくなる可能性は高い。だから、そこを担保しなければ、本当の意味での再発防止につながるような聞き取りに基づく調査報告書をまとめていくというのは難しいということが改めて認識されたのかなと思います。
 その上で報告書をどういう形で公表していくか。これは事案に応じて、現実的には違いが出てくるのではないか。再調査とも絡んできますけれども、記録の保存というものをきちんとガイドラインの中で明記して、仮に再調査になるという場合もないわけではないので、記録の保存について示しておくことが必要なのだという、そんな御指摘と承りました。ありがとうございます。
 今のことを踏まえて、ほかどうでしょう、委員の方、御意見があれば。
 そうしましたら、調査結果ということが何を意味しているのか。報告書、あるいは被害児童生徒・保護者への説明というようなところをきちんと分かるように示す必要があるだろうという御指摘。公表については、個人情報保護法と非常に悩ましい情報開示請求が出てくる、あるいは条例というようなものの絡みの中で、事案に応じてどうしていくのかということを、設置者なりが公表に当たって困らないように示していく必要があるのではないかという御指摘と受け止めました。
 それで、実効的な再発防止の取組を後に回して、再調査のほうについて少し御意見をいただければと思います。今、記録の保存ということも出てまいりました。あるいは、再調査ということの項目が先ほど4つ示されたわけですけれども、これだと実際に調査に当たった者が一体何なのだろうと思うところがあると思われますので、再調査の在り方ということについて意見をいただければと思います。自治体によっては、首長が判断するために、再調査をするべきか否かということについて意見を具申するような委員会をつくっているところもみられます。再調査について御意見があれば、よろしくお願いいたします。
 委員、お願いします。
【委員】  ありがとうございます。質問をさせていただいてもよろしいですか、この件について。
【座長】  はい。
【委員】  再調査をする必要がある場合って、4つ挙がっているんですけれども、今ちょうど幾つものところから重大事態調査の報告を上げていただいて、分析も文科省のほうでしてくださっていると思うんですが、実際に、特に丸4番の調査員の人選の公平性・中立性に疑義がある場合というのは、恐らく利害関係というか、学校内で何か都合の悪いところは出さないようにするみたいなことがあったりしちゃうと、中立性や公平性が疑われるということなのかなと思うんですけれども、そういうことってどのぐらいの割合であるのでしょうか。もしそういうことが分かりましたら、ちょっと教えていただければと思いました。
 というのも、基本的に国のほうからいろいろお示しもされていて、年月をかけて重大事態調査の在り方についても知見が蓄積されてきていると思いますので、かなり、そもそも適切に行おうとしていらっしゃるところが多いんだろうと思うんですね。ですけれども、再調査をやる必要があるということになるとすると、ここに書かれているような丸1番、新しいことが出てきたとか、そういう場合というのは確かに追加の調査が必要になると思うんですけれども、それは再調査というよりも、追加の調査ということになるんじゃないかと思うので、委員を交代する必要はないと思うんです。同じ委員さんが一旦終結したと思ったけど、もう一回続きをやりましょうという話だろうと思いますし、また、2番や3番に関しても、十分調査が尽くせなかった理由が、調査員の人選の仕方によるものなのか、それとも誰がやってもなかなか得にくい、先ほどの手前のところで議論されていたように、協力が得にくいとか、医療情報が開示されないとか、いろいろなことがあると思いますので、それらは委員の人選の問題とは別だと思うんですよね。ですから、ここだと、1から3番までと4番というのがちょっと意味の違うことでの再調査というお話になるように思うんですけれども、現状としてどちらのほうがより多いのかとか、そういうことがもし分かっているのであれば教えていただければと思います。
 すみません、質問が長くなって申し訳ありません。
【座長】  事務局としては、いかがでしょう。
【事務局】  再調査の件数、幾つか挙がってはきているんですけれども、数件の状況ですので、まだちょっと細かく分析は行っていないところです。なので、この4つのうちどれかというところ等々はまだ調べ切れていませんので、次回、やり方は考えたいと思いますけれども、この会議でも報告できるような形でお示ししたいと思います。
【事務局】  問題行動調査のデータで言うと、再調査の件数というのは、令和3年度までは大体10件ぐらいで推移をしていて、令和4年度については30件程度でした。ただ、再調査についても、年度に起きた重大事態調査はその年に再調査しているというようなカウントの仕方ではなくて、何年か前の調査結果がまとまって、その年度に再調査したものも含まれるので、そういう数字の対象ではないんですけれども、規模感としてはそんな感じです。
 再調査の理由については、問題行動調査上、統計調査になっているので、どういう理由で再調査に至ったかということまでは把握はしていないです。調査報告の分析で見える部分はあると思うので、それはまた御説明させていただければと思います。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。ほかどうでしょう、今の再調査に関して。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  ありがとうございます。今、委員から御指摘のあった追加調査というところですよね。
ありがとうございます。今、委員から御指摘のあった追加調査というところですよね。これは今でも、誰がどうやって判断するというような問題はあるのかもしれないんですが、今日のこの資料1-2の8ページ辺りのところに書いてある、これは現在のいじめ重大事態の調査ガイドラインですけれども、この第10の下の丸4のところ、「※ただし」ということで、「重大事態の調査(当初の調査)の主体において、追加調査や構成員を変更した上での調査を行うことも考えられる」という、これが現在あるんですけれども、これと再調査の関係というか、これが当初の設置主体においてということになると、報告はしたけれども、例えば教育委員会のほうが首長に報告はしたんだけれども、教育委員会のほうで再調査をしてほしいという意向が示されて、その意向の調査事項はどういうものかを確認したりして、そういうことならば、もう一回追加調査してみましょうかねと設置者の側で追加調査をするという判断をされるような場合なのかなと考えられます。
 この判断には、首長さんのほうの判断が入ってくるのか入ってこないのかという辺りのところが現在の書き方だけだとよく分からなくて、この関係のところで混乱しちゃったというような例も聞いたりしているものですから、この辺のところの整理も含めて、先ほど委員から御指摘のあった、該当する要件においては、そういう形で追加調査をしてもらうことも考えられるという形になるのかどうなのかというところも、ちょっと検討してみる必要があるのかなと思います。それでやっていけるんだとすると、再調査は首長さんのほうで判断してやるということで、どう考えるかということはあるんですけれども、審級の利益みたいな部分があるのかなということもあるので、最初の重大事態調査の設置主体のほうが追加調査をしてもいいですよというふうに言っているときは、再調査に上げないで済むような形の流れをつくっておいたほうがいいのかなというふうにも思うんですけれども、この辺りはいかがでしょうかということです。
【座長】  どうでしょう。再調査、追加調査。追加調査の場合には、例えば設置者が、報告書が出てきたときに追加調査の必要があるというふうに見てやる場合もあり得るのではないか。首長まで上がって、首長が再調査という決定をする場合もあるし、追加調査という場合もあるかもしれない。その辺が明記されていないので混乱があるのではないかという御指摘かと思います。
 それから、1から4についても、これでいいのかという御指摘があったと思いますので、その辺の検討が必要なのかなと思います。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  ありがとうございます。今、大変重要な論点が出されていると思いまして、私も重要と思っています。さて、先ほど委員が御紹介されました、資料1-2の8ページの第10の「地方公共団体の長等による再調査」の再掲部分で、「地方公共団体の長等に対する所見の提出については、被害児童生徒・保護者は、調査結果に係る所見をまとめた文書を当該報告に添えることができる」となっております。
 先日、ある市長さんから問題提起がありまして、文書を添えることができるのは「被害児童生徒・保護者」となっているんだけれども、総体的には、被害児童生徒よりも保護者から出されるケースが多いのではないかということ、いじめにおける被害と加害の立場には相互性がみられることもあることから、被害者だけではなくて、加害児童生徒・保護者にとっても、ひょっとしたらこの調査報告書に対して一定の不十分さが、あるいは意見がある場合もあるのではないかというような内容でした。確かにここには、「被害児童生徒・保護者が所見を添えることができる」となっていますが、加害児童生徒はないわけで、それは当初においては一定の根拠があってそうだったのかもしれないんですけれども、この辺については、これまで検討されたことはあるでしょうか。あるいはこれはもう、ある意味、前提のこととしてこれまで進めてきたことでしょうかということが1点です。もう一つは市長さん、首長さんの中には、やはり自分自身の判断をする上で、先ほど御紹介がありましたように、再調査の必要性についても第三者の専門家の方に御判断いただいて慎重に判断していこうという動きもあるようでございまして、再調査に関する首長の判断の重さというのも痛感しているところでございます。再調査の検討についてどのような決断のプロセスを踏むことが可能かということなどについても、ガイドラインでもう少し例示をしてもいいのかなと、そのようにも感じたところです。
 以上です。ありがとうございます。
【座長】  ありがとうございます。どうでしょう、事務局のほうで何かあれば。
【事務局】  事務局です。所見書については、おっしゃるとおり、再調査という制度がつくられている趣旨は、そういった重大な調査結果の中で不十分な部分があった場合に、再調査ということができるということで制度がつくられているというところについて、被害側から実際に不十分な点というところを首長に対して指摘等が行えるという観点でつくられているものだというふうに理解はしております。
 ここは基本方針等でつくられている部分ですので、法律ができた後にこういうものが実際には必要じゃないかということでつくられているというふうには理解をしています。加害側のほうというところについては、ここまでそういった意見は特にないですので、まさにこの見直しに当たって、そういった部分、どういうふうにここの記載を考えていくかということは検討すべき観点だろうと思っております。
 すみません、所見書の部分については以上です。
【座長】  ありがとうございます。先ほども加害者に対してのアプローチという視点が出てまいりました。あるいは報告書のことに関しても、今、同様の御意見が出てきました。加害者に対する成長支援も含めてどういう指導をしていくのか。あるいは、聞き取りのときの応じ方というような辺りがあまり細かには検討されてこなかったということがあるのかなと思いますので、1つの検討課題になると考えます。それから、首長判断が難しい中でどんな手続を踏んでいくのかというようなことも例示があってもいいのではないかという御意見かなと思いました。
 時間のほうが大分迫ってきていますけれども、再調査について、御意見がほかにあればお願いしたいと思います。
 委員、お願いします。
【委員】  まず、加害者に関しては、僕は委員の御意見に賛成でございます。その視点でぜひ御検討ください。
 それから、再調査に関しまして、これも以前からお願いしていることなんですけど、やはり感性で話をしても、どうしても現実と離れてしまうのはよくないと思うので、エビデンスを示していただきたい。つまり、年間これまで10件ぐらい、令和4年で30件という再調査の結果が、報告書が出されているらしいんですけれども、ぜひ内容分析をしていただいて、再調査の結果と調査報告書と、それから再調査にならなかった報告書を入手していただいて、内容分析していただいて、その再調査が論理的に妥当だったかどうかということを、座長、どこかのワーキンググループでもいいですので、ぜひ分析をしていただいた結果を示していただいた上で、この再調査の在り方をもう一度検討していただきたく思います。どうしても論理的な話だけでいくというのではなく、やはり根拠があって議論に入っていただいたほうがよろしいんじゃないかなと思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。
【座長】  分かりました。再調査になったケース、ならなかったケース、特になったケースを中心に内容を分析し、比較し、何が再調査につながっているのか、あるいは、
再調査に行ったことが正しいのかどうかというようなことも分析する必要があるのではないかという御指摘だと思います。ワーキンググループなりをつくって、そこを検討していきたいと思いますので、事務局としてもよろしくお願いいたします。
 そうしましたら、実効的な取組ということで、先ほど懲戒というような言葉はどうなんだろうかという御意見も出されました。調査報告書をまとめて、答申して、それが公表されて終わりということではなくて、再発防止に実際どうつなげていくのか、という点についてお考えがあれば、少し短めにまとめていただいて御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
 委員、お願いします。
【委員】  1点だけ申し上げます。もちろん、再発防止の主体というのは、当該のいじめ事案が生じた学校であるわけですが、やはりまちぐるみ、地域総ぐるみでいじめの再発防止に取り組んでいくということも必要で、例えば、コミュニティスクールを実施しているところでは、学校運営協議会がいじめの再発防止のネットワークとして活躍していただいてもいいですし、主体は学校かもしれませんが、ぜひ、例えば児童主体、生徒主体でいじめを僕たち私たちの学校では起こさないというような機運を醸成しながら、児童生徒本位の活動、ムーブメントにしていくような機運づくりというのを再発防止には原動力にしていただければと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【座長】  調査報告書の活用によって、実効性のある再発防止の取組というところに少し絞って御意見をいただければと思います。
【委員】  最近集まってきている調査報告書の収集の中の再発防止策の中にどういう項目があるのかということについて、この間も御質問をさせていただいてきたところとも関連するんですけれども、調査報告書の中に、その報告書の再発防止策について、こうやってフォローをしていくといいますか、毎年とか、何年かごとにその辺のところを点検していってくださいというような具体的なやり方を求めたりする。そんな方法もありますよということを例として書き込んでおくということも有効なんじゃないかなと思っていたところですので、意見として申し上げました。
【座長】  どう点検していくのかということも書き込む、あるいは、先ほどの委員ので言えば、地域ぐるみでやっていくというようなことを今後の方向性、提言という中に組み込んでいく、そういう視点も必要だろうという御指摘だと思います。
 委員、お願いいたします。
【委員】  時間のないところ、すみません。再発防止というと、当該児童生徒の個別対応の充実をお願いしたいと思っています。生徒については、例えば加害児童生徒については、小さい頃、小学校あるいは小学校へ入る前から、いじめはいけないということを至るところで指導を受けてきています。でも、このような事態が起きてしまいます。また一方、被害生徒児童についても、いじめられそうになったとき、あるいはいじめられたときのサインの出し方等を学んできて、やっぱりでもこういうことが起きてしまう。ということは、個別対応を充実していただくことで再発防止の根幹につながるのかなと思っています。
 また、最後に、考え方としては、これは学校での話ではありますが、未来にわたって、卒業後のほうが人生長いので、そこにわたっていじめない、あるいはいじめられたときの対応を、体制をつくるような、そういうことの未来志向の考え方で再度まとめてほしいなと思っています。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 続きまして、委員、お願いします。
【委員】  一言、学校が調査の当事者になっているのは当然なんですけれども、幾つかの意見にもありましたけど、教育委員会、行政の支援というのが非常に重要です。それで、例えばカウンセラーを派遣するとか、それから調査に関しては、様々な予算を工面するとか、行政の支援というのをどこかで明記していただければ、学校の負担というのもかなり軽くなるかなと思います。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。行政の支援。小さい自治体だと、本当に指導主事が1人というような教育委員会事務局もありますので、それに対して、もう一つ大きい教育事務所なり都道府県レベルでどう支援するのかという辺りも、地方の自治体を考えたときには必要になってくるかなと思います。今出ましたような意見を少し集約しながら、検討課題をもう少し詰めていければと思います。
 時間がもう来ていますけれども、議題の2について、先ほど、内容分析も必要だという御意見もことが出てまいりました。そんな観点も含めて、いじめ重大事態調査報告書の分析状況についてということで、事務局からかいつまんで説明をしていただき、どうしてもという御意見があれば出していただいて、本日のいじめ防止対策協議会をまとめていきたいと思います。
 では、事務局から、説明をお願いいたします。
※事務局より資料2の説明があった。
【座長】  ありがとうございました。報告書の分析ということで、主に量的な分析になっているわけですけれども、全部ということではなくて、少しピックアップしてでも内容分析の進めていく必要があるのではないかということです。私もそう思いますので、その御指摘を受けて内容分析、もっと遡ってやるものも出てくると思いますけれども、進めていっていただければと思っております。様々な観点から整理・分析していただいたこと、本当に御苦労様です。
 ただいまの説明について、また御質問、御意見があれば、12時をちょっと回っておりますので、端的に短い時間でお願いしたいと思います。いかがでしょうか。特にはよろしいでしょうか。
 そうしましたら、今、私のほうで言ってしまいましたけれども、委員の御指摘も受け、内容分析のほうを進めていく必要があるだろう。再調査との関連もそこで見ていく必要がある。ワーキンググループをつくってということですので、文科省の事務局、そしてこの委員のなかから分析を進めていくメンバーをお願いして取り組んでいくことにしていきたいと思います。そのときには御協力をよろしくお願いします。
 本日も本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。まだ方向性を示したというところで、こうだというところまでは行っていませんが、根本的なところを見直していこうという、方向が出てまいりましたので、ぜひ事務局で、前回、そして今回の議論を踏まえてガイドライン等の改定に向けて検討していただければと思いますし、分析に当たって、ワーキンググループをつくるということもしていかなければならないなと思っております。
 それでは、最後に事務局からの発言を求められておりますので、よろしくお願いいたします。
【事務局】  すみません、先ほどの再調査の件数なんですけれども、令和3年度まで10件程度で、令和4年度30件と申し上げましたけれども、令和4年度が30件で、令和2年度以前が10件程度でしたので、修正いたします。分析については検討したいと思います。
 それでは、本日も貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 次回の日程については、こちらから改めて御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【座長】  それでは、皆様どうもありがとうございました。第4回いじめ防止対策協議会、これで閉会といたします。本日も貴重な御意見をいただいて、本当に感謝申し上げます。皆様、御苦労さまでした。
 
―― 了 ――

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