いじめ防止対策協議会(令和5年度)(第2回) 議事要旨

1.日時

令和5年10月20日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

Web開催 (Zoom)

3.議題

  1. 令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に 関する調査結果(いじめ関連)及び「不登校・いじめ緊急対策パ ッケージ」について
  2. いじめ重大事態調査報告書の分析状況について
  3. こども家庭庁が取り組むいじめ防止対策について
  4. その他

4.出席者

委員

新井委員、遠藤委員、清原委員、高田委員、河野委員、玉井委員、田村委員、豊北委員、中田委員、春山委員(原委員後任)、松谷委員、村山委員、八並委員、渡辺委員

文部科学省

伊藤児童生徒課長、仲村生徒指導室長

こども家庭庁

菊地支援局総務課企画官

5.議事要旨

※事務局より資料1・資料2の説明があった。
【座長】  いじめ防止対策推進法できて10年がたちました。いじめを見逃すまい、そして深刻化させまいということで取り組んできたわけですけれども、いじめを見逃すまいという認知のほうは大分進んでいる。しかしながら、重大事態が後を絶たない、ここに大きな課題があるのではないか。認知の問題、組織的対応の問題ということについて、御指摘いただいたと思っております。
 厳しい状況が続いているという中で、これから、皆さんから御意見をいただければと思っております。発言がございます方は、手を挙げるボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから指名をさせていただきますので、ミュートを解除して御発言をいただければと思います。
 なお、御発言が終わりましたら、忘れずに手を下ろすボタンを押していただくようにお願いいたします。
 それでは、ただいまの説明に質問あるいは御意見等があれば挙手をしてお願いしたいと思います。そうしましたら、今手が挙がっているのが委員、委員がこちらから見えますので、今、私が申し上げた順番で発言をお願いしてよろしいでしょうか。
【委員】  丁寧な御説明ありがとうございます。資料1に関して2つ意見があります。それから資料2に関して質問が1件あります。
 資料1に関しまして、4ページの下から7行目ですか、「心の小さなSOSを見逃さず、『チーム学校』で支援すること」。チーム学校というのは中教審で様々何度も出てくる言葉なんですけれども、チームのリーダーが誰かというのは、明記されたほうがいいと思うんです。
 校長先生が全てのチームのリーダーとして動くというのは現実的ではありませんし、例えば外から人が入ってこられて、対応するにしても、誰か責任者がいないとまとまらないし、前に進まないと思います。チーム学校という言葉が結構出てきますけれども、リーダーをどうするかというのはやはり明記されるべきではないかなという気がいたします。
 それから、資料1の12ページのいじめの重大事態について認知していたか、していなかったか、というグラフ。これ、事務局も非常に問題とするデータだとおっしゃったと思うんですけど、全くそのとおりと思います。やはりこれをできれば分析していただきたいと思います。後で重大事態の報告書の分析の数値が出てまいりますけれども、できればその数値だけではなくて、例えばそのいじめとして認知していたけれども、重大事態に発展した理由は何か。ちょっと書いてありますけれども、できればその逆ですね、いじめとして認知していなかったにもかかわらず重大事態が発生したということの、原因分析をできるだけしていただいて再発防止に生かしていただきたいと思います。
 資料2の質問は、「より課題を抱える重点配置校へのスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置充実」という文章なんですけど、より課題を抱える重点配置校というのは誰がどういう基準で認識して対応されるのか。スクールカウンセラーとスクールワーカーの配置充実というのは、今申し上げたような重点配置校というのを認知した場合に、何を基準にしてどう配置するかというのを誰が決めるのかというのがちょっと、つまり主語がよく分からないんですけども、これは誰を想定しておられるかというのを教えていただければと思いました。質問が多いので、後でまとめてでも結構でございます。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。一つずついきましょう、いっぱい出てきて分からなくなってしまうと困るので、今の御質問に対して回答のほうをお願いします。事務局のほうでどなたかお願いできればと思います。
【事務局】  まず、1点目の資料1のチーム学校ということに関してでございますけれども、このいじめ防止対策推進法に基づきます、学校内におけますこのいじめ対策の体制というところにつきましては、当然、主催者は学校の管理者であります校長先生なので、校長がリーダーシップを発揮しつつ、ただ、やはりそれぞれの担当、餅は餅屋ということもありますので、中核となってこの会議を準備し、動かしていくというところで期待されているのは、生徒指導担当の主事の先生を中心とした方がスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーであるとか、また、関係者と調整しながらこのいじめ、学校いじめ対策組織、こういったところで組織的に対応していっていただくということを想定して書かせていただいているというところでございます。
 あと次に2点目の、12ページの重大事案についての認知、あと、覚知する前の状況についてというところについて、より詳細な分析が必要なのではないかという御指摘でございます。
 今般、まずは速報的に、資料3で後ほど御審議いただきますけれども、これからこの重大事案分析をしていく中で、今日、委員からいただいたような御指摘、観点というところは、重大な分析の視点ということで取り組んでいく必要があるという認識でございます。
 引き続き資料2についてのスクールカウンセラー・ソーシャルワーカー配置に当たってのより課題を抱える重点配置校、この主語についてというところでございます。主語は大きく2つあると思っております。
 1つは、予算を我々支援させていただく国の立場としてということ、もう一つは、この補助事業という形でありますので、この補助事業を使って実施をする都道府県教育委員会及び政令指定都市がどう判断するかというこの2つの主語があると考えております。
 前者の国としてというところで、まだ、これ、今後より課題を抱える重点配置校ということで経済対策確保の上、実施していくというのはまだ予算の確保がこれから必要になっていくということでありますので、まだ成案の状況ではないでございますけれども、現時点我々考えておりますのは、例えば不登校においては、不登校発生率が全国平均よりも高いようなところ、また、このいじめの観点では、その認知件数に比較して重大事案の取組というところに課題があったり、また、いじめの認知をした後、引き続き対応中という件数が多いような学校と、そういったところは今取組に当たって課題を抱えているところということで想定されるのではないかと。今現状としては、そういう想定で考えているところでございます。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。お答え、助かりました。そうしましたら、続きまして、委員お願いしたいと思います。それで手が大分挙がっていますので、時間の関係もありますので、できるだけ手短に御発言いただければと思います。申し訳ありませんけれども、よろしくお願いします。
【委員】  日本社会福祉士会と申します。よろしくお願いいたします。
 資料1の4枚目だったと思いますが、文科省の対策のところがあったと思いますけども、その中で「アウトリーチ機能の強化による教育相談体制の充実」というふうに書かれております。具体的にこれはどういったことを想定されているのかというところの質問でございます。
 私、スクールソーシャルワーカーやっているんでけども、やっぱりこういったいじめの案件なんかも家庭訪問したりするアウトリーチ機能、我々、スクールソーシャルワーカー、発揮できる強みがございますので、ぜひそういったところで積極的なスクールソーシャルワーカーの活用というところで、このアウトリーチ、学校側としてアウトリーチは当然のことながら、やはりこういった専門職のアウトリーチ機能ということで、できるだけ具体的にそちらのほうをスクールソーシャルワーカーなんかのアウトリーチ機能というところの発揮というところも、ぜひ御活用いただきたいと思いますので、もうちょっと何か具体的にお示しいただくとありがたいなというふうに思いますし、今想定されているこのアウトリーチ機能の充実というところは、どういったところなのかというところを御質問させてください。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。それでは、事務局のほうから、よろしくお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。おっしゃるとおりアウトリーチ機能というのはこれ、特にいじめもさることながら不登校のお子さんで、学校内外で専門的な相談指導を受けていないというお子さんが、今年の調査においては小中で不登校全体約30万人のうち、今申し上げたような相談、学校内外で相談、指導を受けていない児童生徒数は11万人に上るといった大きな課題がございます。
 そういった観点から、まさにアウトリーチ機能というところで、今相談につながっていないお子さんに対して、例えばそのアウトリーチと家庭訪問という方針も、方法もあると思っておりますし、まずはオンラインで面談の機会等を充実するという手法もあろうかと思っております。
 そういったときに御指摘ありましたとおり、当然、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの方々のアウトリーチの専門機能というところに頼るというところもございますし、また、各自治体に設置されております教育支援センターというのは、子供の不登校等の総合的な対策の中心であるという認識から、こういったところにそういうアウトリーチ機能を強化していくということも必要かと思っております。
 令和6年度の概算要求でもそういう方針を示させていただいておりまして、その取組を今回経済対策の中でも前倒しして、機能強化していきたいということで書かせていただいているというところでございます。
【座長】  どうもありがとうございました。続きまして、委員、お願いいたします。
【委員】  簡潔に3点です。
 第1点目ですが、資料1の5ページの折れ線グラフがあります。折れ線グラフと下の下の表と対照すると特別支援学校の記載がありません。特別支援学校3,000件ぐらいなので、折れ線グラフの高等学校よりも少なくなります。しかし、誰一人取り残さないと言いつつ、この折れ線グラフで特別支援学校を明記しないというのは矛盾すると思います。記載しないのであれば、注記するのがよいと思います。
 第2点目は、14ページです。皆さんが違和感をお感じにならないかもしれませんけど、児童生徒1,000人当たりの発生件数で、Y軸のスケールを見ていただくと、0.05件刻みなんですよ。0.05件刻みで、棒グラフが上下しています。非常に棒グラフが、自治体ごとにで上下していますが、スケールが0.05件ごとなので、グラフの中のつくり方によって、わずかな増減が顕著な差があるように見えてしまいます。読者をミスリードさせないためには、問行調査の本文の中では都道府県別の実数、つまり件数が書かれています。その件数で棒グラフをつくるほうが、適切だと思います。
 第3点目は、同調査ではいじめが原因の自殺が5件あります。今のプレゼンでは、いじめ自殺に関しては示されていません。問行調査上では、いじめと自殺が別立てになっていますが、やはりいじめが原因の自死が5件あるというのはすごい重大なので、その点もふれた方がよいと思います。 以上です。 
【座長】  ありがとうございました。
【委員】  以上は、意見です。
【座長】  今のご意見については、どうでしょうか。
【事務局】  いずれも3点ともに、次年度に向けてしっかり見直しと表記の仕方というところの工夫も検討してまいりたいと思います。
【委員】  よろしくお願いします。
【事務局】  ありがとうございます。
【座長】  貴重な御意見ありがとうございます。
 そうしましたら続きまして、委員、お願いいたします。
【委員】  よろしくお願いします。資料1に関する質問なんですが、8ページのいじめの解消状況で、高等学校のところのその他が他校種に比べて2.0%と、私は多いなと思ったんですが、その他の内容というのが即答いただけるのであれば教えていただきたいと。高等学校におけるいじめ予防、防止に参考になることなのかなと思って御質問しました。お願いします。
【座長】  お答えいただけるようでしたらお願いいたします。
【事務局】  こちらについてなんですけれども、調査票上、例えば転校した場合というのがこちらのほうに計上されることになってございまして、そうすると小中よりも高校のほうが、そういった意味で増えているという傾向があるのかなということでございます。
 以上でございます。
【座長】  よろしいでしょうか。
【委員】  ありがとうございました。
【座長】  そうしましたら続きまして、委員、お願いいたします。
【委員】  ありがとうございます。ただいま御報告いただきました調査結果や緊急パッケージについて意見を申し上げます。
 1点目です。今回の調査結果が公表されまして、小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数が前年度に比べ、1割以上増加したことが社会的に注目されています。もちろん背景としてはいじめの定義や、いじめの積極的な認知に対する理解が広がったということや、積極的な認知の取組が反映していることと思います。
 しかしながら、やはり児童生徒の皆さん、保護者の皆さん、また、教員の皆様や地域の皆様全体がこの調査結果を見てやはり一定の衝撃を受け、できる限りいじめを防ぎ、そして早期発見・早期対応につなげていきたいと、このような思いを新たにしたのではないかと認識しています。
 そこで、だからこそ資料2に、不登校・いじめ緊急対策パッケージが直ちに公表されたことが意義があると思います。やはりこのような対応が国としてしっかりまずは明示されたという、その意義を1点目に申し上げたいと思います。
 2点目に、しかしながら、そうは言いながら今回の内容を見ていて改めて確認しましたのが、いじめの重大事態の件数が増加しているんですけれども、その重大事態として把握する以前には、いじめとして認知していなかったということが12ページでしたか、約4割あるということが示されたと思います。すなわちいじめとして認知していなかったにもかかわらず、実は重大事態となったというようなことでございます。
 そこで、2点目に申し上げたいのが、このいじめに関する緊急対策の中で、国による分析強化、個別自治体への指導助言、体制づくりが位置づけられていることが大変有意義と受け止めます。
 1つ目の丸の、重大事態の国への報告を通じた実態把握・分析、ガイドライン改訂等による全国的対策の強化。これはもちろん重要なんですが、私は、これが2つ目の丸の重大事態の未然防止に向けた、国の個別サポートチーム派遣による各自治体等への取組改善の実施ということと密接に関連づけて進められればなと願っています。と申しますのも、この2つ目の丸の対象者には、認知件数が少ないのに重大事案が多い自治体を対象とすると書かれておりまして、これは資料1の全体の調査の中で浮かび上がってきた重大事態をめぐる現状を反映した重点的な対応だと思います。
 ですから、ぜひこれはしっかりと進めていただいて、その上で、ガイドライン改訂等による全国的対策の強化に関連づけて進められればなと思っています。
 その際、ぜひお願いしたいことがあります。各自治体等への取組、改善の実施というのはまさに国が課題解決に取り組む自治体に寄り添う取組だと認識します。その寄り添うというところが強調されるべきだと思います。そうでないと何かともすると文部科学省、あるいはこども家庭庁が、いじめを発生した学校や教育委員会を何か指導監督するという上から目線のところだけが強調されるのは好ましくないと思っていまして、むしろ、子供たちの視点、そして、学校の改善の視点に寄り添いながら取り組むということになります。
 そうであるならば、総合教育会議の構成メンバーである首長や、あるいは首長部局の子供部門、福祉部門も加わりながら、総合的に解決に向けて支援していただくことをお願いしたいと思います。
 なお、自治体においても公立学校だけではなくて、私立学校への支援も視野に入れて取り組んでいただいていますので、ぜひ、国とパートナーとして、学校教育委員会のみならず首長部局の子供、あるいは福祉、あるいは私立学校を支援する部門と連携して、このような実態の課題解決が進むことを願っています。
 このことに関連した報告を申し上げますと、今年の5月30日に、初等中等教育企画課長さんから、各都道府県知事や各都道府県教育委員会、指定都市市長や指定都市教育委員会宛てに1通の通知が発出されています。それは総合教育会議の開催状況が令和3年度下に、あまりしっかりと行われていなかったという調査結果が出たからなんです。全く1回も開催がなかった自治体が、都道府県、指定都市で4ありましたし、市区町村で232あったそうです。
 しかも、開催回数の多くが1回であって、平均しても都道府県、指定都市で1.5回、地区町村で1.3回ということで総合教育会議がなかなか機能していない。そして、いじめ重大事態に係る措置をはじめとして、命に関わるテーマについてしっかりと首長部局と教育委員会が連携するための総合教育会議でございますので、ぜひこのいじめの問題の解決のときには、繰り返し総合教育会議において、首長部局と教育委員会が連携をするということを発信していけたらなと思っています。
 次に、申し上げます。あと、2点だけ急ぎ申し上げます。
【座長】  まとめてください。大分時間を取っておりますので、申し訳ないです。
【委員】  すいません、資料で申し上げますと、都道府県のデータが示されていますが、都道府県は市区町村で構成されています。ぜひ市区町村の多様性、離島であるとか、過疎地であるとか、小規模自治体にも視野に入れた都道府県のデータの中に市区町村の実態が埋もれないような分析、定量的な分析に隠れない定性的分析を示していただければと思います。
 最後に、9ページのいじめの対応について、小中学生がリアルな言葉によるからかいや物理的な点が高いのに対して、高校生がパソコン等でのいじめを示しています。これは将来的には、この点が増えていくと思いますので、いじめの対応についても、ぜひ丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 以上です。時間を取ってごめんください、よろしくお願いいたします。
【座長】  どうも貴重な御意見ありがとうございました。
 そうしましたら、委員お願いいたします。
【委員】  すいません、もう既に大分御指摘はしていただいたかなというか、触れられた方が多かったんですけども、資料1の12ページの「重大事態」について、重大な被害を把握する以前のいじめの対応状況というところで、いじめとして認知していなかったというところが38.7%で、いじめとして認知していたというところが61.3%ということで、その中には、解消に向けて取組中だったというところとか、あるいは解消したと判断していたというところがあって61.3%ということで、この中でどこが問題かというときに、いじめとして認知していなかったというところが、これが少ないからというか、ここのところの認知を早めることが大事なんじゃないかということで、対応といいますか、先ほどの御説明でもそうでしたし、緊急対策パッケージのほうでもそこのところが赤く囲ってあったりして、そちらの認知を早くするということは大事なんだけれども、そもそもいじめとして認知していた中で重大事態が起こってしまった、あるいは既に起こっていたけれども、把握ができていないところも含まれるのかもしれないんですけれども、せっかくいじめを認知していたのに、あるいはその解消したと判断していたというのは少ないですけど、解消に向けて取組中だった中で重大事態が起こってしまった、あるいはいじめとして認知していなかった中でも、いじめに該当し得るトラブル等の情報があったと、トラブル情報はありながらそれをいじめとして認知していなかったという、そこも含めて一定のトラブルがあったというふうに思われるところが、それを足すと77%ぐらいになるのかなというふうに思うんですけど、これを先ほども文科大臣のほうでお話しいただいた中で、重大化させないというところがやっぱりそのポイントなんだということのお話があったようですけども、そこへの対応として、これをやっていくんだということを、つまりそこへはいじめとして認知していて、解消に向けて取り組んだりあるいはトラブルがあって、そのトラブルにどう対処していくのかということについて学校だけで判断するんじゃなくて、やっぱりそのチーム学校として組織的な対応を専門家の意見を入れながら、その日常的な中で、そこで重大化させない、あるいは重大事態、重大な結果が既に発生しているのであればそれを早く把握するという、そういうことをしていく必要があるんだと思うんですけども、そこをやっぱり明確に出していく。ここをやっていく軸があるんだということを、やっぱり示していく必要があるような気がするんです。
 それをやっていくことによって、学校の対応についても信頼されていくでしょうし、ここのところがうまく働かないと、学校の対応が支援されないということになって不信感があって、さらに重大事態として調査をしていく中でも、物すごく混乱するという事態を招いていくもとになると思われるので、その辺りを強調していくということを少しお考えいただく必要があるのかなと思って、申し上げた次第です。
 取りあえずこのところでは以上です。
【座長】  ありがとうございます。次の分析のところにも絡んでくると思うんですけれども、いじめというふうに捉えていながら、なぜ重大事態化させてしまったのかというところを少し掘り下げていく必要があるのだろうなと思っております。
 そうしましたら、最後に委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  いじめの早期発見の強化という点だけお話しさせていただきます。資料2の1ページのほう、いじめの早期発見の強化。特に右側です。それでこの間、現場での事件を見て、保護者との連絡というのが非常に足りていない、保護者から早く兆候について聞いて対応していればということが結構ありました。
 この通常の業務の中で、保護者と連携を取るというのは難しいんですけれども、保護者からの情報提供というのは、いじめ早期発見の非常に大きな課題になるかなというのが1点です。
 それから2点目は、いじめ早期発見の強化の2つ目の丸なんですけど、「子供のSOS相談窓口・子供たちからの情報提供」というのを入れてもいいかなと。本人も、情報を訴えるということは大事なんですけども、周りが、友達があの子、最近ちょっといろんなことで困っているよと、これも早期発見にはすごく重要な状況なので、加害者も言わないし、被害者も言えないとしたら、やっぱり第三者がどうやって伝えるかという、ここのシステムというのも重要かなと思います。
 それから、先ほど3点目は皆さんもいろんな問題、なぜ重大化したかという御意見を出されておりますけれども、今回のいじめ防止法の定義で言うと、かなりいじめに至る前の人間関係全般という、かなりそういう問題を含んでいるので、早期発見には人間関係の変化、兆候を捉えると。ここがあれば恐らくこれはいじめなんだというふうに認識できるんですけど、いじめに、これはいじめなのか、いじめでないのかということを議論しているうちに、いつの間にか事態が進行していると。
 人間関係でもつれがある、何か兆候が出てきたというのは分かっていながら、いや、これは子供のいつものふざけだよね、子供のけんかの中で、そのうち収まるんじゃないみたいなところもやっぱり現場ではあります。だから、そこが兆候として捉えられるのであれば、これはいじめに発展する可能性があるというふうに入れておくと、いじめというものを広く捉えて、これを早期発見できる状況になるかもしれません。
 以上です。
【座長】  どうもありがとうございます。様々意見が出てまいりました。
 出た意見、受け止めて次に反映するように、ぜひお願いしたいと思います。そうしましたら以上で、1の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査と緊急対策パッケージについての議論は、ここまでとしたいと思います。また、関連して後で出てくると思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、いじめ重大事態調査報告書の分析についての協議をしていきたいと思います。今年度4月から、文部科学省及びこども家庭庁において、重大事態調査報告書の収集、分析を行っております。前回会議の際にも、その分析状況について委員の方々から御意見をいただいておりましたが、事務局のほうで資料3のとおり、現時点での分析状況をまとめていただいております。
 まずは、事務局のほうから資料について御説明をお願いいたしたいと思います。その後、また皆様から質問や御意見いただきたいと思いますので、事務局から、説明よろしくお願いいたします。
※事務局より資料3の説明があった。
【座長】  今の時点で収集できている調査報告書35件、これを基に事務局で、様々な観点から整理、分析をしていただきました。こうした分析結果については、今後、重大事態調査で調査すべき標準的な内容の整理、ガイドライン等の見直しの検討材料としていきたいと考えております。
 事務局の分析結果をよりよいものにしていくために、ぜひ委員の皆様から御知見をいただければと思っております。分析に当たっての工夫点や追加で整理すべき項目など御意見、御提案がありましたらお願いしたいと思います。1ページ目の論点というところを参照して御意見をいただければと思います。
 繰り返しになりますけれども、また、発言のときには手を挙げるボタンを押していただく。そして、発言の後は下ろすということで、質問、御意見、よろしくお願いいたします。
 そうしましたら、委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  日本医師会です。簡潔に意見を述べさせていただきます。
 前にも申し上げましたように医療事故調査制度というのは、基本的に原因分析と再発防止策というふうにポリシーを明確にして、報告書を出すようにしております。それを公表することによって、自分たちがどういう形でどの程度の報告書を書けばいいかというのが分かってくるということで、標準化が図れるというメリットもございます。
 そういった点で、まず一つはこのデータを可能な範囲だけでも数値を公表していただくことを考えていただければいいんじゃないかなと思います。
 もう一つはその報告書を書くポリシー、目的を明確にやはりしておいてあげたほうがいいと思うんです。要するに責任追及ではなくて、あくまで原因分析と再発防止策のために報告書を書くんだということを示してあげる必要があろうかと思います。そういった点で付け加えていただきたいのは、さっきも87%が書いていないと言われた家庭環境や、本人の既往歴などです。なかなか踏み込めないところですけど、個人と学校の先生の関係だけの報告書ではやはり再発防止に役立たない。大体教師が気がつかなかったと書かれたり、それから、加害者が悪かったと書いたりということで終わってしまうことが多いということをよくお聞きします。
 できれば聞きにくいけれども、この背景、本人の家族歴とか環境とか別に本人の責任ではなくて、例えば児童虐待でもやはり受けた者が保護者がそれを繰り返すということも明らかになっておりますので、できればその点を記載するように努力をしていただくようにお願いしていただきたいと思います。なかなか難しいとは思いますが。
 もう一つは、性別はなかなか出せないと思いますが、数字だけでも、学年ごとに男性、女性、加害者、被害者の性別が分かったら、いいかなと思いました。
 以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。今の点について、事務局のほうで説明等があればお願いします。
【事務局】  冒頭おっしゃっていただいたとおり、我々もこの調査の目的というところはまさに原因分析、再発防止というふうに考えておりますので、そういう部分の今後の見直し、国の指針の見直しというところには、そういうところも含めて検討していきたいというふうに考えています。
 それから、家庭環境ですとか、あるいはそういう部分につきましては、この点も今後のガイドラインの標準的な調査項目の整理の中で、検討していきたいというふうに考えています。
 また、分析の項目として性別というお話がございました。この点も記載が確認できるものについては整理が可能だというふうに思いますので、対応していきたいというふうに考えています。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。委員、よろしいでしょうか。
【委員】  結構です。ありがとうございます。
【座長】  そうしましたら、委員、お願いいたします。
【委員】  よろしくお願いします。これは、感想です。
 最後の図表11のところで、事務局も指摘はされましたが、教職員の法律等の理解が浅く、初動での対応ミスが多いと思います。昨年刊行した『生徒指導提要』の目的は、いじめの未然防止や重大事態への対応を含めているので、『生徒指導提要』の基本的理解を促していただきたいと思います。また、いじめへの対処では、平成30年の総務省の勧告と同一で、組織的対応がうまくいっていないと思います。このような分析から、重大事態の未然防止に関する提言ができればと思います。
 また、この中に自死事案がもし入っているのであれば、自死事案だけは取り出して、集計というか分析するほうがいいと思います。
 なお、特別支援学校の重大事態の件数は少ないと思いますが、その分析をやっていただければと思います。恐らく特別支援学校の重大事態のこの調査報告書は、一般の学校における特別な配慮を要する児童生徒課が対象になったケースにおいて、示唆に富むであろう思います。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。データを分析し、それを実践につなげていくと。特に自死あるいは特別支援学校のものについては、もう少し掘り下げて調べる必要があるのではないかという御指摘かと思いました。ありがとうございました。
 委員、お願いします。
【委員】  まだ数が少ないので、今の時点ですぐということではないと思いますけれども、今後クロス集計を恐らく一定程度想定されているのかなというふうに思っております。事案と終結までの期間であるとか、それから内部の学校関係者のみで調査委員を設けた場合と第三者等が入った場合でその期間がどの程度、どうしてもやっぱり外部の方を選んだり、調整というところで時間がかかるというのはこれまでの協議会でも出ていたところですので、そういうことの傾向なども今後見えるようになっていくとよいのかなというふうにまず思っております。
 それから先ほど、ほかの先生方からも出ていますけれども、家庭環境もそうですし、御本人さんの特徴に関しても、もし、性別なども含めてある程度分かるところがあれば、それも決してそういう方々がいじめられやすいとか、あるいは加害側になりやすいということを言うわけではないんですが、やはり何か傾向が見られるのであればそれを把握することとか、いじめ防止のための教育に役立てていく。その知識の提供というところで役立てていくことができるかなというふうに思いますので、今後把握していただけるとありがたいです。
 それから、さっき議題の1のところで出ていたお話ともちょっと重なるんですけれども、どの程度の自治体規模といいますか、地域規模といいますか、そういうことによってもそもそも重大事態が起こったときの調査委員を選定して、実際にそれを始めること自体も大変だというお話も以前ありましたので、自治体規模との関係と言うんでしょうか、今これまだ数が少ないので、地域とかが特定されちゃうといけないでしょうから出せないと思うんですが、データがたくさんたまってきた段階では、そういうことも入れていただけるといいかなというふうに思います。
 それと、冒頭の委員もおっしゃったんですけれども、やはりこれは今後の重大事態を起こさないために重要な資料収集だということを前提にしていただいて、極力分かっていることをつぶさにお書きいただけるものになっていくとありがたいというふうに思いますし、そのことを周知徹底を繰り返していただきたいのと、あとは委員も言われたように事例性といいますか、数量で分析するだけではなくて特定の事案に関して詳しくその事例を追っていくということももう一方で必要かと思いますので、そこはどうしても匿名にしながら、どこまでこういった協議会で公表いただけるかというのは難しいところもあるとは思うんですけれども、やはり本当に自死事案などに関しては、その事例の特異性というよりもそこについて何が足りなかったのかということを、やはり謙虚に検証する必要があると思いますので、それもいずれお示しいただけるようになればというふうに思います。
 以上です。ありがとうございました。
【座長】  どうもありがとうございました。データ数がもう少し増えてきたらクロス分析をしたり、あるいは細かいところの分析を進めたりすることが可能になるのかなと思います。そういう点で今、質的な分析も必要だろうということも出てまいりました。そのところも受け止めて、分析を進めていただければと思います。
 そうしましたら、委員、お願いいたします。
【委員】  聞こえますでしょうか。
【座長】  聞こえております。
【委員】  私学の代表です。よろしくお願いいたします。
 やはりこの分析をするときに家庭環境とか、背景というものは大切になってくると思います。第三者委員会を設置しても、第三者の先生方に判断するときにもそういう状況がいろいろ違ってくるのではないかというふうに思います。そういった意味で家庭環境や背景が、状況が分かるようなものが必要ではないかと思います。そういったことで原因分析とか、再発防止策ではないかと思っています。
 同じ意見ですが、以上でございます。
【座長】  どうもありがとうございました。総合的にデータをそろえ、分析していく。調査もいろいろ限界があって難しいところがありますけれども、もう少し幅広く原因分析が、各調査でできるように少し後押しができればよいという御意見かと思います。
 そうしましたら、委員、よろしくお願いします。
【委員】  すいません、ありがとうございます。
 家庭環境のところというのはなかなかその調査を進めていくときに、それを取り上げようとすると今の現状の状況だと、そこは違うでしょうという形で調査を拒否されちゃうというような問題とか、不信感を招いてしまったりとかという問題が起こってくるということもいろいろ聞いていますから、その辺も配慮しながらそこを考えていかなきゃいけない問題なのかなと思いますが、データとして集まってそれがきちんと検討できるような状況にしていけるのであれば、それはあったほうがいいんだろうなと私も思いますが、なかなか難しい課題があるかなと思います。
 あともう一つ、今回の例の中では、そういう再発防止策と言いますか、図表の11の関係のところでの上がっているかどうかというところで、今回上がっていないのかもしれないんですけれども、最近、調査報告書での再発防止策についての検証といいますか、フォローアップをどうしていくかというようなことにも取り組んだらいいんじゃないかという形で進められているところも出てきているやに聞いておりますので、その辺も今後出てきましたらここへ上がってくるような形で、想定をしておいていただけるとありがたいかなというふうに思いました。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。報告書をまとめた後にどのように再発防止につなげていくのか。校内研修あるいは市教委、市町村レベルで研修するとか、いろいろな方法があると思いますので、そんなところも拾えればいいなという御指摘かと思いました。ありがとうございます。
 そうしましたら委員、お願いいたします。
【委員】  ありがとうございます。
 まず、重大事態調査報告書を分析していただいてありがとうございます。大変理解が深まりました。
 1点目に申し上げます。図表の3で、ページ数についてお調べいただきました。そうしましたら1号事案の場合、2ページ程度とページ数の少ないものがあり、9ページ以下が5割ということも分かりました。薄い理由には、重大事態として調査したけれども、結果として相対的に重たくない事案もあったかもしれませんし、割合の多い学校中心での調査の場合、聞き取りの内容に個人情報が多く含まれて、書き方に慎重な場合があったかもしれません。しかし、だからこそ基本的、標準的な調査項目やガイドラインを示す必要をこのページ数からも再確認することができたように思います。
 2点目です。図表の4で、調査主体に学校のみが意外と多いということが分かりました。また、図表5から、保護者からの申立てが77.1%と多いことも分かりました。そこで、委員構成の第三者性の担保ということについて問題提起をしたいと思います。
 すなわち、学校関係者であるか、なしかの判断なんですが、例えば学校や教育委員会の顧問弁護士の方ですとか、あるいは有識者であっても、学校運営協議会の委員をされている場合ですとか、スクールカウンセラーであっても当該の学校担当の場合などは、学校と関係が深いと想定されますので、第三者と判断してよいのかということについては、例えば保護者の視点や当事者の視点からは、懸念が生じるかもしれません。
 そこで、第三者というのはどういう立場が第三者の委員なのかということについて、一定の基準といいましょうか、学校との関係での外形性の担保について考慮が必要なのではないかなと、このように受け止めました。今後分析する上で、この委員は学校あるいは教育委員会との関係で、第三者の委員なのかどうかということを委員構成を分析する上では、明確にしておいたほうがいいのではないかなと思いました。
 3点目は、11に学校の課題や再発防止について列挙されています。これは私たちの課題であります未然の予防や今後の対策について、重要なヒントとなる項目が列挙されていると思いますので、本会議で今後の検討に活用していけばと思います。
 最後に1点だけ質問なんですが、図表10の態様についてです。いじめの態様については、単独の理由がほとんどなんでしょうか。それとも、複合的に、複数の態様が一人の児童生徒にいじめとして受け止められているのかどうか、複合化の判断について分析の際、どのように検討されたか、その点だけ質問です。
 以上です。ありがとうございます。
【座長】  そうしましたら、図表の10、複数、ダブっているものもカウントしているのかどうかということですので、事務局から説明をお願いします。
【事務局】  すいません、事務局です。基本的にはダブってはないとは思ってはおるんですけれども、こども家庭庁さん、ここってコメントできますか。
【こども家庭庁】  こども家庭庁のいじめ・不登校防止担当です。
 このいじめの態様を集計するに当たりましては、例えば一つの報告書の中で、必ずしも当事者同士のやり取りは一つの行為というわけではないので、その報告書の中で例えば同じ児童生徒間であっても、例えば冷やかし、からかいをした上で集団による無視があればそれぞれについて一個ずつ事案数として上げておりますので、複合というよりは、一つの報告書の中で複数のことが整理されていれば、それぞれ一つずつ項目に数字を計上しているという整理になっています。
【委員】  分かりました。SNSのことなど今後リアルないじめと、そうではないものとが複合化するようなことも考えられたものですから、何か分析されるときに、先ほどの第三者性とともに態様の複合化についても、報告書をお読みになって御検討いただければと、これはお願いです。
 以上です。ありがとうございます。
【座長】  どうもありがとうございました。
 そうしましたら、委員、よろしくお願いします。
【委員】  図表11に関してです。
先ほど委員も言われたんですが、いじめの対処で、多いところで校内の教職員の体制、それから迅速な対応、それから保護者との連携、これは結果として再発防止に重要だということは認識されたんですけども、実はこのことが学校関係者に原因としてあるんだという視点が弱いので、やっぱり分析として、最初にこの観点でどうだったかということを検証してもらうと。ここは非常に重要な点かなというふうに思います。
 このほかには原因としては、保護者の発達課題がある場合とかいろいろな場合があるんですが、ただ、ここでの我々の対応、学校の対応としてはここを学校関係者が認識するということは重要かなと思います。
 以上です。
【座長】  どうもありがとうございます。図表の11は、これからの対応に生かせるものが多いと思いますので、よりデータが集まり精緻な分析ができるといいなと私も思っております。
 そうしましたら、委員、お願いいたします。
【委員】  日本臨床心理士会と申しますが、まず、委員が御指摘された第三者委員ということですけど、そういう臨床心理士を第三者委員として推薦している立場で言いますと、先ほど御指摘いただいたようなことはほとんどその地域から外れた、例えばもう県外の委員を推薦するというような形になっておりますので、そういう影響は今は物すごく少ないんじゃないかなと思いますし、また、そういうふうな保護者の方々がそういうふうな強い要望を持っておられますので、そういうような形になるだろうというふうに思ってます。
 それともう一つ、スクールカウンセラーとしての立場で、いろいろ経験を述べさせていただきたいと思いますけど、そういういじめを受けて、また第三者委員会の報告を保護者が持ってこられてこれをどう思うかというふうによくカウンセリングの中で見せられるんですけど、確かにこれではもう保護者が納得しないだろうと。
 例えば2ページとかそういう報告書を見たときに、これで何が原因か分かるのか、再発防止になるのかというのは思われますし、10ページ以内ということでいろいろまとめて書く必要もあるとは思いますけど、中にはこれじゃもう全く保護者は納得されないだろうなということを思うことはありました。このページ数が出してあるというのは非常にユニークだなというふうに思いました。
 もし、第三者委員会でこういうのを出された結果が、例えば被害者のほうの保護者がこれで納得されたのかみたいなことが、結果が分かれば非常にいいなというふうに思ったりもします。
 それともう一つ、皆さんのお話を聞いていて思いましたけど、家庭の問題を触れるというのは物すごく難しいです。まず、第三者委員会でいろいろ調べられたときに家庭の問題を書くとか、その辺のお話をしたときに、被害者側の保護者が認められることはまずないと思いますし、また、加害者が御家庭のほうも、こういうことが問題ということをなるほど、そうだというふうに思ってもらえることは極めて少ないだろうというふうに思っています。
 そのことはこの法律ができるきっかけになりました大津の事案でもそうですけど、お父さんがずっと最高裁まで裁判をやられて、家庭に問題があるのかどうかということが争われて、最高裁では、3割、家庭にも問題があるんじゃないかと言われましたけど、お父さんはやっぱりそういうことでは納得されないだろうと思いますし、この第三者委員会の報告書に家庭の問題、そして御本人の子供たちのそういう資質、パーソナリティ、はっきりと発達障害という診断をもらっているということになれば別ですけど、そうでないけど、その子たちの様子を書くであるとか、保護者の養育態度を指摘するとかいうのは極めて難しいだろうなというふうに思います。
 あとは委員が言いましたけど、責任追及ではないというふうに言われましたけど、第三者委員会の報告書を求められる保護者というのは、それはやはりどうしてもどこに責任があったのか、どこがまずかったかということは物すごいやっぱり考えられるだろうなというふうに思いました。
 そして原因のところで、例えば教職員間の連携が足りなかったとかいうようなことがありますけど、この中に教員の資質ということは入らないでしょうか。これを言いますと責任追及に私はなると思いますから上げられないとは思いますけど、この担任でなかったら、そういうことは起きなかったんじゃないかとか、そういうふうなところが、組織として対応するということをいつも言われますけど、我々もチーム学校としてその辺のところがお互いに連携しながらということがありますけど、保護者の方がよく指摘されるのはあの先生でなければと、先生の資質をかなり言われますけど、これをやっぱり書くのは物すごく難しいだろうなというふうに思っています。
 今回このような第三者委員会の報告書を、もう数量的にまとめるというのは非常に僕は画期的だろうと思いますし、その目的も示すことができるんじゃないかなというふうに思いますし、そのことが再発防止ということが究極の目的にはなりますけど、保護者の方々はどこがまずかったのかということをかなりやっぱり納得されない、どこが問題かが分からないと、納得されないんじゃないかなということは思いました。
 以上です。
【座長】  委員、どうもありがとうございます。私も、私見ですけれども、背景調査をやってきて、家庭の問題とか背景に踏み込むのは非常に難しい。もう一つは権限です。これもこれから考えていかなければならないわけですけれども、要するに同意が得られなければ、聞き取りもできないわけです。被害者あるいは加害者本人に対して。教職員に対しては聞き取りができますから、そこの情報は集まってくる。そういう非常に限界を持っている中で、一方で、言葉が不適切かもしれませんけれども、被害者、被害保護者にはある種の処罰感情のようなものもないわけではない。しかし調査報告書はそこに答えるのが目的ではなくて、何があったのかということを明らかにし、そして再発防止に資することが目的であると共通理解する必要があると思います。
 ですから、その中で一定の限界性ということも押さえておかないと、調査がやれなくなるのではないかという危惧もあります。そんなことも視野に収めながら、どんな調査報告をしていけばいいのか、どんなやり方があるのかということをぜひこの協議会で詰めていければと思いますし、本当に事務局の御努力でデータを今整理しているところですが、ぜひそんなところをいじめが起きないように、重大化しないようにというところにつなげていけるように、ぜひまた皆さんから御意見をいただければと思っております。どうもありがとうございました。
 いただいた意見、あるいは提案を踏まえて、今後さらに分析を進めていただければと思います。報告書がだんだんたまっていくと思うので開催時に、その都度その時点までの分析状況等についての報告をお願いします。そこから見えてくるものがあるのではないかと思いますので、御苦労ですけれども、事務局のほうでよろしくお願いいたします。貴重な御意見、皆様ありがとうございました。
 そうしましたら最後に議題の3です。こども家庭庁が取り組むいじめ防止対策についてとして、こども家庭庁の取組について、説明をお願いしたいと思います。
 事務局から資料4に基づいて説明をお願いします。よろしくお願いします。
※こども家庭庁より資料4の説明があった。
【座長】  どうもありがとうございました。こども家庭庁におきまして、市長部局からのアプローチによって、いじめの防止、解消に向けた仕組みづくりを行っているとのことです。また、重大事態調査における第三者性の確保に向けて、いじめ調査アドバイザーによる助言等の体制、取組を始めているという説明もありました。
 今の説明につきまして、時間も少なくなってきておりますけれども、何か皆様から御発言があればお願いしたいと思います。そうしましたら手の挙がっております委員、お願いいたします。
【委員】  家庭庁のほうにお願いがあります。やっぱり文科省は恐らく家庭に問題があるというよりは、学校の問題を自分たちで捉えていくということになると思うんですが、文科省と独立して家庭庁ができたということで、一つはまず家庭への啓発というのは、ここをできればお願いしたいなと。
 といいますのは、やはり学校の責任というのがこの間問われると。そのことは私も教員養成にいますので、非常に重く受け止めておりますけれども、そのことばっかりが強調されると学校の先生が病んでいくと。そして、だんだん教師の成り手がなくなって、もう教員の志願者がどんどん減っていくと。これはやっぱり本来の教員の資質の問題、教員の資質を問う声も当然それは分かっておりますけれど、そのことが世論として出てくると教師自身がだんだん意欲をなくしていく。このことについてはやっぱり国全体の教育の質としては、ゆゆしき事態になってきていると。そういうことからすると、やっぱりいじめの問題はいじめの問題として対応したいんですけど、そこの保護者への啓発、これについてはぜひお願いしたいなと。
 それから、やはり理念としては掲げるというわけにはいきませんが、側面から学校、教師を応援していただきたいなと。やっぱり教師にも問題はあるんだけど、教師を支える側として、家庭、地域から教師を応援していただく。これも長期的な問題としては大きな課題になると思います。この点、お願いできればと思います。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。こども家庭庁、よろしいですか。
【こども家庭庁】  家庭に対する啓発というのは、こども家庭庁だけでどうするかということではなくて、やはり文科省であったり、学校現場であったり、または私どものほうであったり、様々なルートから耳に入っていくような形にするのがいいのだろうと思います。
 ただ、それぞれにその得意分野はあると思っていますので、例えば学校以外のこどもが集まるような場所であるとか、そこに関わる大人の方々に対するこのいじめについての理解、当然学校の関係者よりも地域の方々、今の法律の制度であったり、いじめについての理解というのもかなり差はあると思っていますので、そういったところではこども家庭庁もしっかり力を出せるんじゃないかと思っております。
 それから、側面から教員、学校を応援してほしいという話でございますけれども、こども家庭庁と文部科学省は先ほど申しましたように常に密接に連携をしていきたいと思っております。決して学校に対するその対立する構図でこども家庭庁が何かを取組をするということではなくて、それぞれの持っている力、資源を出し合うことで、大切なのはこどもを真ん中に置いたときに周りの大人が何ができるのかという視点だと思っておりますので、おっしゃっていることについては、十分私もよく理解をした上で取組を進めたいと思います。ありがとうございます。
【座長】  どうもありがとうございました。そうしましたら、委員お願いします。
【委員】  ありがとうございます。今、委員がおっしゃいましたように、このいじめの問題をまさに学校だけに閉じ込めずに、地域における課題としてその防止や、あるいは対応の体制を構築する。その方向性についてこども家庭庁から御説明をいただいて心強く思います。
 特にもう既に具体的に、市長部局からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けて取組をされている幾つかの自治体の事例を知ることができまして、改めてやはり市長部局と教育委員会、とりわけこども、児童生徒を真ん中に置いたときには、学校・教育委員会だけではなくて、市長部局のこどもや、あるいは福祉や、あるいは保護者の生活支援を担当する部門が総合的に体制をつくっていくということのメリットを幾つかの事例から確認しました。
 それから、私も市長経験者として、全国市長会や町村会の首長さんのお声に出会うことが多いのですが、多くの方が重大事態に直面した際に教育委員会といかに適切に連携できるかということで悩んでいるという本音をおっしゃいます。したがって、今回、委員にもお引き受けいただきましたいじめ調査アドバイザーの皆様の御活躍が、本当にありがたいことだと思います。
 自治体の自立性、自主性を尊重しつつ、ぜひ専門家として支援をしていただいて、少しでもこどもたちを、あるいは保護者を、教員を救っていただければと願っています。
 以上です。ありがとうございます。
【座長】  どうもありがとうございました。そうしましたら、委員お願いします。
【委員】  すいません、何度も申し訳ない。この学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証ということで予算をつけていただいて、自治体の首長部局での開発・実証を取り組まれている例が出てきているということですけど、こどもたちのいじめ相談というふうに言ったときに、いじめの問題しか駄目ですよという形でのアナウンスになっちゃうと、なかなか我々こどもの相談を弁護士会などでもやっているわけですけれども、そのいじめの相談というふうにはっきり出てくると。
 それから、いろんなことで学校で、この不登校なんかのところもそうだと思うんですが、行き渋りというか、ちょっと学校で嫌なことがあるんだけどという形で学校の先生の話だったり、何かいろんな話の中で出てきて、最終的に背景的にはいじめがあったというようなことが分かるようなケースも結構あるのかなと。こどもたちの相談の仕方のところで、だから、そうするといじめも掲げていただいていいんだけど、いじめだけじゃなくて相談できるんだよという辺りのところも含めた形で進めていくような、そういう事業の提案についても、この予算が取りあえずつくというような仕組みにしておいていただくほうがいいのかなと。
 その辺も含めて、アナウンスしておくということのほうがいいのかなという感じがしましたので、その辺、どういうふうにお考えになっているのかという辺りも、実態が分かれば教えていただければと思いますが。
【座長】  ありがとうございます。こども家庭庁、お願いします。
【こども家庭庁】  今日、お示しした資料は、いじめの取組だということでいじめの窓口をつくります、いじめの担当窓口をつくりましたということを強調した資料になっておりますけれども、こどもからの声というのは必ずしも十分に整理されていない場合もあったり、悩み事というのはきれいにいじめかどうか整理できないものもあると思いますので、必ずしもいじめ以外は受け付けないということではないと思います。まだ各自治体の計画レベルの取組を並べていますので、これから取り組んでいく自治体ともコミュニケーションを取りながら、今いただいた御意見についてもしっかり踏まえさせていただければと思います。
【座長】  ありがとうございます。そうしましたら時間も迫っておりますので、委員、最後にということでお願いします。
【委員】  先ほど教員の資質というふうなことを少しお話ししましたけど、私は27年間、スクールカウンセラーを現場でやっておりまして、先生方の大変すばらしい資質であるとか、そういう人格的に優れた方とかということに、ほとんどの方はそうであるということ、先ほど言葉足らずだったというふうに思っておりまして、すばらしい先生方、たくさんおいでになります。
 そのところで委員からも言われましたように、地域ということに関しましては、また保護者ということに関しましてはスクールカウンセラー、また、スクールソーシャルワーカーの方と連携しながら、我々がもっともっと頑張らなきゃいけないというふうに自覚しております。
 また、地域のそういう関係機関とも連携を取りながら、学校の外からも入る人間として、また学校の生徒とも連携する人間として、こども家庭庁の方々とも連携しながら、ぜひともこどもたちを地域全体でフォローしていければいいというふうに思っております。
 まだまだ我々も未熟ですけど、スクールカウンセラーとして腕を磨いてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【座長】  どうも皆様、貴重な意見ありがとうございます。
 私、こども家庭庁の施策を見まして、ぜひ「学校におけるアプローチ等と相まって」と書いてあるところを大事にしたい。何か外からというところがあまり強調されると、学校ができないから違うとこからやるよではなくて、学校ができないで困っているところについて、一緒にやって補っていきますよという、そういうメッセージがもっともっと出てくるといいなと思っています。そうでないと、何か学校ができないからやるよというふうに誤解されてしまうと心配ですので、その辺ぜひ密接な連携をお願いしたい。もう既に取っているわけですけれども、学校と共にということをぜひ強調していただけるとありがたいなと思っております。
 時間が参りましたので、もし御意見等がありましたら事務局に、メール等で教えていただければと思います。本当に貴重な御意見、多数ありがとうございました。
 次回以降、重大事態調査の運用改善に向けた検討、さらには今日も出ました重大事態の原因分析等について、議論を進めていきたいと思います。
 最終的には、いじめのない社会ができればというのが願うところでありますので、ぜひ皆さんのお力を集めて、よい方向に政策が展開できればと思っております。
 最後に事務局から発言を求められておりますので、よろしくお願いいたします。
【事務局】  本日も皆様方、お忙しいところ、御出席くださいまして、また、貴重な御意見、多岐にわたっていただきまして、本当にありがとうございました。
 次回日程につきましては、こちらから改めて御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【座長】  それでは、以上で第2回いじめ防止対策協議会を閉会といたします。委員の皆様、それから事務局の皆様、貴重な御意見どうもありがとうございました。
 以上で閉会といたします。
 
―― 了 ――

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