学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 議事録

1.日時

令和4年12月20日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

Web会議による開催

3.出席者

委員

石井委員、木田委員、柴田委員、高橋委員、堀田座長、水谷委員

文部科学省

藤原 初等中等教育局長、寺門 学習基盤審議官、山田 修学支援・教材課長、武藤 学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、髙本 GIGAスクール推進チームリーダー、中嶋 修学支援・教材課長補佐

4.議事録

学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議

令和4年12月20日

 
 
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議を開催させていただきます。
 本日は皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は、修学支援・教材課GIGAスクール推進チームリーダーの髙本と申します。本日、冒頭の議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日の会議については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、Zoomウェビナーによる開催とし、事前に登録のあったメディア、一般の方にも御覧いただけるようにしております。
 それでは、冒頭、配付資料の確認をいたします。本日の配付資料は、議事次第のとおり、資料1から5の5種類、それから参考資料1から4の4種類となっております。不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。
 それでは、開会に当たり、文部科学省を代表して初等中等教育局長の藤原より一言御挨拶させていただきます。
【藤原初等中等教育局長】  文部科学省初等中等教育局長の藤原でございます。委員の皆様方におかれましては、大変御多用の中、この会議に御参画をいただきまして、誠にありがとうございます。
 GIGAスクール構想でございますけれども、1人1台端末ということで昨年4月にスタートし、1年半が経過したわけでございます。この間、全国の自治体や学校現場をはじめ、多くの関係者の皆様方の創意工夫と試行錯誤の結果、本格的な利活用が推進されてきたというふうに存ずる次第でございます。
 しかしながら、その一方で、ICTの利活用につきましては、地域間で、あるいは学校間で格差が大変大きくなっているという指摘もあるわけでございます。こうした課題に対応するため、文科省といたしましては、令和4年度第2次補正予算、また現在、最終的な調整中でございます令和5年度の予算案におきまして、GIGAスクールの運営支援センター整備事業を盛り込み、都道府県レベルでしっかりとこの地域間のばらつきを解消していくような、そういった事業を推進していきたいと考えているところでございます。
 こうした中で、ICTの環境整備を進めるに当たってのよりどころとなってきたのが、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画でございます。今年度がその最終年度に当たるというわけでございますけれども、このGIGAスクール構想、これは世界に類を見ない大規模なプロジェクトでございまして、この事業をしっかりと持続可能なものとして、今後さらにつなげていくということが極めて重要であると考えているわけでございます。そのためにもGIGAスクール構想を踏まえ、改めて今後のICT環境整備の在り方について論点を整理し、新たな整備方針の策定に向けて議論を進めていくことが必要とされているところでございます。
 こうした状況の中で、委員の先生方におかれましては、専門的な知見を生かしていただいて、どうぞ忌憚のない御意見をいただき、今後のGIGAスクール構想の推進に向けてお力添えを賜れればと考えておる次第でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  ありがとうございました。
 続きまして、委員の皆様を御紹介させていただきます。大変恐縮ですが、時間の関係上、五十音順にお名前のみの御紹介とさせていただければと存じます。
 まず、八戸市教育委員会総合教育センター主任指導主事、石井委員でございます。
【石井委員】  どうぞよろしくお願いいたします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  続きまして、鹿児島市教育委員会事務局学校ICT推進センター所長、木田委員でございます。
【木田委員】  よろしくお願いいたします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  続きまして、神奈川県立希望ケ丘高等学校校長、柴田委員でございます。
【柴田委員】  よろしくお願いいたします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  続きまして、東京学芸大学教育学部教授、高橋委員でございます。
【高橋委員】  よろしくお願いいたします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  続きまして、東北大学大学院情報科学研究科教授・東京学芸大学大学院教育学研究科教授、堀田委員でございます。
【堀田委員】  よろしくお願いいたします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  続きまして、愛知県春日井市立高森台中学校校長、水谷委員でございます。
【水谷委員】  よろしくお願いいたします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  以上、6名の皆様に委員として御参加いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、座長の選任に入らせていただきます。事務局といたしましては、現在のICT環境整備方針の策定にも御尽力いただき、GIGAスクール構想をはじめ、学校におけるICT環境整備やその活用・指導方法など、教育の情報化に関する全般的な助言・支援に深く関わっていただき、学校現場のICT利活用の実態について熟知していらっしゃる堀田委員にお願いしたいと考えておりますが、御異議ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、以後の進行は、座長である堀田委員に司会をお願いいたします。
【堀田座長】  それでは、改めまして堀田でございます。ただいま大役を仰せつかりましたが、よろしくお願い申し上げます。
 座長を務めさせていただくに当たりまして、一言だけ御挨拶を差し上げたいと思います。先ほど、藤原局長もおっしゃいましたが、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画というもの、これは各教育委員会の整備のよりどころになっているわけですけれども、この最終年度を迎えているということです。この計画のもとになったものは、5年前につくったICT環境整備方針ですが、この有識者会議と同じ名前の有識者会議を当時やって、そして計画のもとをつくって、そのもとに合わせて5か年計画ができ、そして地財措置が動いたということになります。
 私は5年前のときの座長も拝命しておりました。ただ、この5年間の間に、我が国の学校のICT環境は、先ほどこれまた局長がおっしゃったように、大いに劇的に変化しております。したがいまして、5年前に作られたこの整備だけでは十分ではない可能性が今後出てくるということです。とはいえ、まだGIGAが始まって2年ですので、今すぐにもっとこうすべきだ、ああすべきだというところは難しく、しかも補正予算あるいは通常予算等で新たないろんな整備が後追いで今動いている部分もございます。実際に、GIGAでは情報端末と校内ネットワークが整備されましたけれども、そのネットワークの高速化でありますとか、周辺機器、通信費、あとはICT支援員、あるいは支援センター等がいろいろ動いていますし、これは各自治体で措置している部分もあります。地財措置がそういうふうに講じられているわけですけれども、このGIGAスクール構想によって、かえって周辺機器の重要性というのは改めて確認されていますし、そうすると、この5年計画の存在感というのは、また改めて再浮上しているというふうに私は考えております。
 なので、ここから先検討していくのは非常に難しいことでありますが、GIGAスクール構想の今後を決めていく上でも、学習環境の整備というのは非常に重要なことだと考えておりますので、皆様のお力をお借りして、よりよい計画になっていくように努めてまいりたいと思います。
 私の御挨拶は以上とさせていただきます。
 それでは、本会議の運営につきまして、事務局から御説明をいただきます。お願いします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  事務局でございます。それでは、資料1を御覧ください。
 資料1ですが、有識者会議の設置要綱でございます。まず、1ポツの趣旨でございますけれども、「GIGAスクール構想」を踏まえた今後の学校におけるICT環境整備の在り方や地方公共団体のICT環境整備計画の策定促進等を図る観点から、「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」(以下「有識者会議」)を設置する。
 2.主な検討事項でございます。(1)1人1台端末を活用した学校におけるICT環境整備の在り方について。
 それから、(2)地方公共団体におけるICT環境整備計画の策定促進に向けた方策について。
 続きまして、3.実施方法でございます。(1)有識者会議の委員は別紙のとおりということで、先ほど御紹介させていただきました6名の委員の方にお願いをしております。
 それから、(2)有識者会議に座長を置き、事務局が委嘱する。
 (3)必要に応じ別紙以外の者にも協力を求めるほか、関係者の意見等を聴くことができるものとする。
 4.その他、有識者会議の庶務は、初等中等教育局修学支援・教材課において処理する。
 以上でございます。
 続いて、資料2を御覧ください。資料2ですけれども、有識者会議の運営でございます。
 まず、第1条ということで、有識者会議の運営については、以下のとおり定めるとしています。
 第2条でございます。座長は、有識者会議の議長となり、議事を運営する。それから、座長がやむを得ない理由により有識者会議に出席できないときは、この有識者会議に属する委員のうちから座長があらかじめ指名する者がその職務を代理する。
 第3条でございます。有識者会議は原則として公開。ただし、委員の自らの識見に基づいた専門的・学術的な審議及び率直かつ自由な意見交換を確保する必要があり、または審議内容に個別利害に直結する事項に係る案件を含み、座長が非公開とすることが適当と認める場合には、その一部または全部を非公開とすることができる。
 それから、第4条、会議資料ですけれども、原則として配付資料をホームページへの掲載等により公開する。ただし、座長が非公開が適当と認める場合には、その一部または全部を非公開とすることができる。
 第5条、会議の議事については、議事概要等をホームページへの掲載等により公開する。ただし、座長が非公開が適当と認める場合には、その一部または全部を非公開とすることができるということです。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。何かこれについて御意見等ございますでしょうか。
 特にございませんでしたら、本会議の運営につきましては、この案のとおりとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。資料2にありますように、基本的に会議や会議資料、議事は公開であると。原則として公開であるということですので、非常に大事な会議としてまいりたいと思います。
 では、ここから議題に移らせていただきます。まず、議題の1につきまして、資料3について事務局から御説明をお願いいたします。
【山田修学支援・教材課長】  事務局でございます。資料3を御覧いただければと思います。学校のICT環境整備に関する近年の取組と現状ということで説明させていただきます。
 現行の整備方針、整備計画を策定したときのことをまずは振り返ってみたいということで、説明させていただきたいと思います。「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」及び「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」(2018~2022年度)でございます。
 この会議は、先ほど堀田座長からお話がありましたとおり、同じ名称で5年前に開催させていただきまして、このような形で進めさせていただいたということでございます。
 その結果、2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針についてというものができたということでございます。文部科学省が現行の学習指導要領の実施を見据えた2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について2017年12月に取りまとめました。生涯学習政策局長及び初等中等教育局長の連名で、各都道府県・指定都市教育長に通知をしたということでございます。この整備方針は、今後の学習活動において最低限必要とされ、かつ優先的に整備すべきICT機器などの設置の考え方及び機能の考え方などについて整理したものでございます。
 骨子ということで、こちらにございますが、第1から第5までございます。
 第1として、まずはICT環境整備の必要性ということについて記載してございます。
 それから第2で、学校におけるICT環境整備の検討に当たっての視点ということで、それぞれ記載してございます。
 第3ということで、これからの学習活動を支えるICT機器などと設置の考え方ということで、ここに具体的に、大型提示装置、実物投影装置、学習者用コンピュータ、指導者用コンピュータ、充電保管庫、ネットワーク、いわゆる「学習用ツール」、学習者用サーバと記載がございます。
 第4に、校務におけるICT活用ということで、校務用コンピュータ、ネットワーク、校務用サーバ、ソフトウェアとございます。
 第5に、ICT環境整備促進と同時に必要な対応事項ということで、例えば教室等の考え方ですとか、あとは教室への設置の仕方、さらには児童生徒の情報活用能力の育成、教員のICT活用指導力の向上、外部専門スタッフの活用、情報セキュリティの確保、学校の施設・設備と、全般的にこの方針が記載されているということです。こちらは文部科学省のホームページにも掲載しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 この方針を踏まえてこの5か年計画がつくられたということでございます。現行の学習指導要領においては、情報活用能力が言語能力、問題発見・解決能力などと同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置づけられ、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」ことが明記されるとともに、小学校においては、プログラミング教育が必修化されるなど、今後の学習活動において積極的にICTを活用することが想定されています。
 このため、文部科学省では、現行学習指導要領の実施を見据え、「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」を、先ほど御説明しましたとおり取りまとめるとともに、この整備方針を踏まえ、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」を策定しました。また、このために必要な経費については、2018~2022年度まで単年度1,805億円の地方財政措置を講じることとされていますということで、下に目標としている水準の記載がございます。学習者用コンピュータにつきましては、3クラスに1クラス分程度整備。これは、1日1コマ分程度、児童生徒が1人1台環境で学習できる環境の実現という想定でございます。
 指導者用コンピュータにつきましては、授業を担任する教師1人1台、大型提示装置・実物投影機につきましては100%整備。各普通教室1台、特別教室用として6台。インターネット及び無線LANにつきましては100%整備、統合型校務支援システムも100%整備。ICT支援員につきましては4校に1人配置ということでございます。このほか、学習用ツール、予備用学習者用コンピュータ、充電保管庫、学習用サーバ、校務用サーバ、校務用コンピュータやセキュリティに関するソフトウェアについても整備しているということでございます。
 ということで始まったICT整備なのですが、ただ、これはもともと3クラスに1クラス分程度ということで、この緑色の部分ですね、目標を設けたわけなんですけれど、実態としてはなかなかそこに及んでいないということと、さらに整備状況の地域差が顕著になっているという状況が出ているかと思います。
 また、これはOECD・PISA2018年調査のものでございますが、科学的リテラシーや数学的リテラシーは引き続き世界トップレベルである一方で、読解力は、高得点のグループに位置しますが、前回より平均得点・順位が有意に低下しているという状況です。これはコンピュータ上での長文読解の慣れなどの要因が複合的に影響した可能性があるという分析でございます。
 また、同じくOECD・PISA2018年調査(質問調査)のほうでございますが、日本は学校の授業(国語、算数、理科)におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中最下位であるという調査結果でございます。また、学校外でのデジタル機器の利用状況は、チャットやゲームに偏っている傾向があるということで、ネット上でチャットをする、1人用ゲームで遊ぶ頻度はOECD加盟国中1位である一方で、コンピュータを使って宿題をする頻度はOECD加盟国中最下位であると、そういう調査結果が出ております。
 という中でGIGAスクール構想が出てきたということで、これは令和元年12月の総合経済対策、閣議決定されたものでございますが、学校における高速大容量のネットワーク環境(校内LAN)の整備を推進するとともに、特に義務教育段階において、令和5年度までに、全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこととし、事業を実施する地方公共団体に対し、国として継続的に財源を確保し必要な支援を講ずることとするとなっております。このポイントは、端末よりもネットワークのことがまず先に書かれているということなのかなというふうに理解しております。いかにネットワークがこのGIGAスクール構想において重要であるのかということが閣議決定文書にも示されているということだと承知しております。
 という経済対策の中で、GIGAスクール構想の実現ということで、総額4,800億円余りの予算がついて、それぞれ端末整備支援ですとか、あとは学校ネットワーク環境の全校整備、GIGAスクールサポーターの配置促進、緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備、学習系ネットワークにおける通信環境の円滑化といったような、それぞれの項目に設置されたということでございます。
 このGIGAスクール構想を基盤として、令和の日本型学校教育、これは中央教育審議会の答申にも記載されているものでございますが、これを目指す基盤となるということでございます。目指すべき次世代の学校教育現場において、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現ということで、4つほど丸が真ん中に書いてありますが、個別最適な学び、協働的な学び、校務の効率化、教育データの利活用による効果的な学びの支援ということでございます。
 例えば個別最適な学びにつきましては、知識・技能の定着を助けるデジタルドリルというのは分かりやすい例でございますが、それ以外にも、不登校児童生徒への支援の充実、障害のある児童生徒への支援の充実といったような側面ももちろんございます。
 それから、協働的な学びにおきましては、学びの基礎となるデジタル教科書、それから意見・回答の即時共有を通じた効果的なグループ別学習、病院に入院している子供と教室をつないだ学びといったような、ほかにも幾つかございますが、こういったもので日本型の学校教育を目指しているという図でございます。
 GIGAスクール構想によりまして学校のICT環境は劇的に改善されたという表でございます。教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数については、1台当たり0.9人ということで、1人1台に達したという状況でございます。
 一方で、学校のネットワークは整備したわけなんですけれど、ネットワークというのは学校の中だけではなく、学校の外ももちろん重要でございまして、そういう観点で申し上げますと、特に大規模校におきまして、まだネットワークの遅いところというか、そういうところが見られるようになっているというわけでございます。
 GIGAスクール構想を立ち上げて環境整備が終わり、運用が始まったということでございますが、このSTEP1のところに課題が幾つか書いてございます。運用に地域差がある、ネットワーク回線が遅い、教師に設定等の負担が集中、指導者用端末などが未整備・古い、遠隔授業実施環境が不十分、それから、デジタル教科書の導入が不十分という課題がそれぞれございます。それらに対しまして、GIGAスクール運営支援センターですとか、教師にも1人1台端末、高機能なカメラやマイク、大型提示装置などの整備ですとか、デジタル教科書の活用、配信基盤の整備といったようなことを国において実施してございます。
 次は、高校の1人1台端末整備に向けた取組ということで、こちらにつきましては、まず、整備に向けた通知の発出を文部科学省初等中等教育局長から通知させていただきました。
 また、②といたしまして、文部科学大臣・デジタル大臣からメッセージも発信してございます。ということで、令和4年度中に全ての都道府県、これは政令指定都市を含みますが、令和4年度1年生の1人1台端末環境が完了予定であると。また、令和6年度までに、学年進行による整備を進める自治体も含め、全学年の1人1台環境整備が完了予定ということになっております。
 こちらは、都道府県別の整備の状況ということで、設置者負担を原則としているところと保護者負担を原則としているところが、ほぼ半数に分かれているという状況でございます。
 こちらは、現行の学習指導要領とGIGAスクール構想の関係ということで、基盤となっているGIGAスクール構想がある中で、これを実施することで個別最適な学び、協働的な学びが達成され、それを一体的に充実することで主体的・対話的で深い学び、さらには資質・能力の育成ということで、その中の1つに情報活用能力が含まれているということでございます。
 これは、教育・学習におけるICT活用の特性・強みということで、GIGAスクールの標準仕様において活用できるソフト・機能の例でございます。多様で大量の情報の取扱い、また容易な試行錯誤ということで、これはソフト・機能といたしましては、ウェブブラウザのほか、文書作成、表計算、プレゼンテーション、プログラミングといったようなソフト・機能があります。
 ②といたしまして、時間的制約を超えた情報の蓄積、過程の可視化ということで、この①のソフト・機能に加えまして、クラス管理、写真、動画撮影、編集、保存といったような機能がございます。
 ③といたしまして、空間的制約を超えた相互かつ瞬時の情報の共有、これは双方向性ということでございますが、①のソフト・機能に加えまして、コメントやアンケート、チャット、電子メール、ウェブ会議、ファイル共有といった機能がございます。こういったICT活用の特性・強みを生かすことで、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善、それから個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実につなげていくと。従来はなかなか伸ばせなかった情報活用能力などの資質・能力の育成ですとか、また、今までの学習方法では困難さが見られた児童生徒の一部への効果の発揮、今までできなかった学習活動の実施が可能になるということでございます。
 これは活用支援の充実ということで、まずは運営支援ですが、先ほど申し上げましたICT支援員ですとか、GIGAスクール運営支援センター、さらに校務につきましては、現在、専門家会議を設置して議論中でございます。
 学習指導等の支援につきましては、GIGA StuDX推進チーム、ここで優良事例の情報発信、オンライン相談会、研修会、メールマガジンなどの発信を行っております。プッシュ型・伴走型の支援ということでございます。また、これは教職員支援機構とも連携いたしまして、オンライン研修プログラムの充実ですとか、ICT活用教育アドバイザーによる専門的助言、研修支援を実施してございます。
 先ほど申し上げました校務の情報化に関する専門家会議ということで、現状の校務支援システムはインターネットとつながっていない自治体が半数程度あると。多くの自治体で学習系データと連携していないことや自宅から利用できないことなどの課題があるということで、今後はクラウドサービスの利活用を前提とした運用になるのではないかということから、学校における働き方改革をより進めるための校務の情報化の在り方ですとか、校務系システムのデータと他のシステムの連携の可能性等について、今後の方向性を示すことを目的として現在、検討中でございます。
 文部科学省CBTシステム、MEXCBTについてでございます。これは文部科学省が開発いたしましたComputer Based Testing、CBTシステムでございます。現在、公立小中学校の約80%が登録をしております。1人1台端末を活用したデジタルならではの学びを実現できるということでございます。
 このCBT化につきましては、「全国的な学力調査のCBT化検討WG」というところで検討を行いまして、令和3年の7月に最終まとめを行ったという結果が紹介されております。
 また、教科書・教材・ソフトウェアの在り方につきましても、中央教育審議会の特別部会の下にワーキンググループを設けまして、教科書・教材のデジタル化を推進するとともに、既存の教科書・教材等との関係を整理し、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実するため、次の事項について検討ということで3つほど挙げられております。
 教科書・教材・ソフトウェアの在り方を考えるということは、学びをどうするかという在り方を考えることにかなり近いものがございまして、そういった観点から、特別部会などと連携しながら進めているという状況でございます。
 次のページは、これは全国学力・学習状況調査の令和4年の結果から、1人1台端末を授業で活用している学校の割合という御紹介でございます。これは活用している学校の割合という質問の仕方でございますが、「ほぼ毎日」と「週3回」の学校で約8割達成してございます。これは全国平均です。しかし、地域差が出ているということで、中には2割ぐらいのところもあったり、逆に8割ぐらい行っているところもあったりという状況でございます。
 これは、自分で調べる場面で、小学校ですけれど、ICT機器を使っているということになりますと、「週3回以上」という部分が、先ほどは8割だったんですが、6割と大きく下がっているという状況でございます。
 教職員と生徒がやり取りする場面でICT機器を活用している学校の割合ということでございますが、「ほぼ毎日」、「週3回」というところはもとより、「月1回未満」=ほぼ使っていない学校というのが増えてきているというところがポイントかなと思っております。
 自分の考えをまとめ、発表・表現する場面でICT機器を使用している学校の割合という設問でございますが、これは、「月1回未満」が相当数存在するということと、「ほぼ毎日」と「週3回以上」は、合わせて4割以下と下がっているという状況でございます。
 生徒同士がやり取りする場面でICT機器を使用している学校の割合ということでございますが、「ほぼ毎日」、「週3回以上」で3割弱というふうに数字が下がっている一方で、「月1回未満」が増加しているという状況が見てとれます。
 今度は、家庭で利用できるようにしている学校の割合ということですが、「毎日持ち帰り&利用している」というのと、「毎日持ち帰り&時々利用している」というのは2割強の数字にとどまっており、「非常時のみ持ち帰り」、「持ち帰り禁止」というものも、上から出ているものですけれども、多数存在するという状況でございます。
 という中で、令和5年度の概算要求や令和4年度の補正予算についての御紹介です。
 今まで説明していますとおり、GIGAスクール構想で利活用が始まっている一方で、自治体・学校間の利活用状況、教師の指導力の格差が拡大しています。また、単なる紙からデジタルへの置き換えにとどまり、子供の学びの変革につながっていないという現実があります。また、校務のデジタル化が進んでおらず、教師がデジタルの恩恵を受けていないという状況がございます。という課題があるので、これを今後数年間で集中的に課題解決に向けた取組を進める必要があるということでございます。
 先ほど3つほど掲げました課題を解決するために、格差解消ですとか、効果的な実践例の創出、その普及・横展開、次世代の校務デジタル化の推進ということを令和5年度概算要求に計上させていただきました。
 これは今年の夏に概算要求させていただきましたものでございますが、子供の学びの変革、校務・教育行政のDX、地域・学校間格差の解消という3つのカテゴリーに分けて、それぞれ予算要求してございます。
 これは12月上旬ですが、決まりました第2次補正予算についてでございます。こちらも同じそれぞれの項目におきまして、合わせて99億円の措置がされたという状況でございます。
 すみません、長くなって恐縮でございます。事務局から説明は以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。事務局からは、資料3について大変詳しく説明していただいたところでございます。これは、私どもがこれから長い時間をかけて、恐らくこのICT環境整備の在り方を検討していくことになると思うんですけれども、そのためには現状を明確に把握する必要があります。しかも、これを決めたのがコロナ前、GIGA前ですから、GIGAでいろいろ環境が変わっています。にもかかわらず、まだ入れていないみたいなところもあったり、変わったからもうこれからここは不要だと独自に判断してしまうみたいなことがあったりする可能性があります。ただ現状は、今年度まではこれがずっと続いているということで、今年度の段階で達していないというのは、やっぱり大丈夫なのかというところがあって、それが地域格差につながっていないかということを確認する意味で御説明いただいたということです。
 この資料3について、現時点で何か御質問、あるいは御意見等ございましたら、今拾いたいと思います。御発言の場合は挙手機能で挙げていただきまして、発言時以外はミュートでお願いしたいと思いますが、まず、資料3につきまして何かございますでしょうか。
 皆さん、ここにいらっしゃる委員の方々は御理解されて、それで進めていらっしゃる方々ですので、質問も何もないのは当たり前かなと思うんですけど、せっかくですので、石井先生と木田先生には、いろいろこの方針とか5か年計画で、GIGAもあっていろいろ御苦労されたんじゃないかと思いますので、一言ずつこの資料3について何かお話しいただければと思います。まず、石井先生、お願いします。
【石井委員】  石井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 こちらの2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について、それを受けての5か年計画を作成していただいたことで、教育委員会としては、こちらを常に財政や上司への説明等に持ち歩き、何回これを印刷したことかと思うほど使い倒しております。これに近づくように近づくようにと進めてきました。結局、5か年計画を見ますと、子供たちが使うであろう内容、先生方が使うであろう目標としている水準というところで大きく柱は示されているんですが、さらに整備する側の教育委員会として、やっぱりこれは必要だというところにお金をかけているがために、どうしても太い文字のところで現在も本市で目標達成していないところもあります。ただ、これは市の課題として必要だと思うところにお金をかけたという現状になっておりますので、この方針や5か年計画をバイブルとしこれを達成できるよう、そして整備するよう、日々努力している状況であります。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 木田委員、お願いします。
【木田委員】  木田でございます。私も県におりましたので、本市、本県におきましても、この5か年計画の基準というのは非常に有効でございまして、これを基に各自治体、どういうふうな方向で整備を進めていけばいいのかという一つのやはり方向性を示していただいたという意味では、非常に有効であったと考えております。
 この資料3全体ということであれば、24ページ以降にございます、例えば1人1台端末を授業で活用している学校の割合とか、自分で調べる場面でのICT活用の割合を見たときに、今後学びの質が変わっていかなきゃいけないと思っています。ですから、ただ端末を使えばいいのかということだけではなく、どういった場面で端末をどのように使っていくのか。まさに学習指導要領で求める学びの姿を実現するためには、ここで示されたどういう場面のICT活用がどのぐらいの頻度で上がっていくのか。ここもしっかり見ていくことが、これから本当の意味での質の高いICT活用の学びの姿につながっていくのではないかなと考えているところで、非常に興味深く見せていただいたところでございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。今、お二人は、初等中等教育の特に市町村の立場でお話しいただきましたけど、せっかくですので、高校という観点で柴田委員、何か今の学校、あるいは神奈川県でこの指針についてどうだったかという辺り、コメントいただけますか。
【柴田委員】  ちょうどこの5か年計画を受けて神奈川県の5か年計画を策定するときに、当時、教育委員会のICT推進担当課長という職をしておりまして、国の整備計画があるのは本当にありがたかったです。それを盾に予算を確保し、しっかり計画を進めてきたと。ただ、途中からコロナのこともあり、GIGAスクールの計画が前倒しになったというところが、非常に県としては対応に苦労しまして、結果的には保護者負担で1人1台端末を今、高校1年生から整備をしたところで、保護者のおかげで成り立っています。全国的に見ると、ちょうど自治体が整備するところと保護者負担で整備するところが真っ二つに分かれていて、これもどこかで方針をはっきりしたほうがいいのかなと。川を越えると整備の仕方が違う状況に今あるというところが高校の課題かなと思っております。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。大変貴重な御意見をいただいたところですが、私からも少しだけ発言をさせていただこうと思います。
 先ほど申し上げましたが、私はこの整備の方針を決めるときの座長を拝命しておりまして、とても苦労しました。そのとき委員だった方々、皆さんそうだったと思うんですけど、希望としては、もっとこれもあったほうがいい、あれもあったほうがいいとなるわけですね。でも、これが予算措置のもし積算の基準になるとしたら、そうもいかないわけです。なので、どこまでがマストかということです。これはやや禁欲的にやらなきゃいけなかった。しかも、その時点では、子供が情報活用能力を身につけるということはもう学習指導要領に書かれ、そしてそれを確実に実行するために、でも端末がほとんどないみたいな状況の中で、せめて3クラスに1クラス分は入れたい。これは学習指導要領をもとに計算をいろいろしてそういう基準になったわけですけど、そのときに、端末だけあったらいいのかと。じゃあ、大型提示装置とか、実物投影機は要らないのかといったら、そういうわけにもいかないという辺りの調整が非常に難しかったことを思い出します。
 ただ、今何人かの方々がおっしゃっていただいたように、これが教育委員会、特に市町村なんかそうだと思うんですけど、予算獲得をしていただくときの非常に大きなよりどころになったという御発言がありましたが、これは全国的にそういうふうに御利用いただいたと思います。これは地財措置ですので、どうしても各自治体の判断でお金を使うということになりますし、こういうものがなければ、「何言っているんだ。お金ないんだぞ」と言われて終わるものを、ここにこう書いてあります。国の方針です。これ、5年かけて何とかそろえなければいけませんということがもし追い風になっていたなら、とてもよかったかなと思いますし、一方で、教育委員会の御苦労、財政当局等へ働きかけて予算を獲得する御苦労をもっともっとこれからも応援していく必要があるなと思っております。
 一方で、GIGAで、先ほど柴田委員もおっしゃいましたけど、いろんな環境が激変したんですけれども、この激変した環境の導入にも、国が措置できた範囲と、あと自治体が頑張らないといけなかった範囲があって、予定外の予算をつけたりいろいろされたと思います、順番を変えたりですね。その結果、この整備方針に書かれているものを買わずにほかのものを買うということを急ぐ必要があった。そういう判断になった自治体もあったかというふうに聞いていますが、自治体によっては、GIGAでお金使ったんだからもうこれはいいだろうみたいな形で、買い控えと言ったらいいんでしょうか、そういうようなことも起こったというふうに聞いております。
 その結果、例えば私、ついこの間行った学校で、端末は入っていて子供たちみんな持っているんだけど、大型提示装置がなくて、結局、誰が何やっているかを例示して先生が説明したり子供が説明したりするときに困るみたいなことが起こっていたり、紙で教えることはもちろんたくさん今ありますし、子供が書いたもの、あるいは何か見つけた実物を映そうと思っても、映しようがないみたいなこともあったりするので、今までの日本型学校教育のよさを生かすためのものは、端末のみではやっぱり難しかろうと。この辺りをしっかりとこの整備計画に目標となる水準として書いたわけですけど、これがGIGAの外乱もあってなかなか達成できなかったというところもあったのかなと思います。
 なので、いずれまたこの整備計画を考えていくわけですけど、そのときは、現行のものを単純に更新するという話ではなくて、むしろ全面的にGIGA環境と令和の日本型学校教育と、そして次の学習指導要領を見越して決めていく必要があるのかなというふうに私は考えております。
 そういうことを念頭に置きながらこの検討をこれから進めてまいりたいと思いますが、そこで、事務局から今後の新たなICT環境整備の方針の策定に向けて、どういうふうにしていくかという方針の説明をいただければと思います。では、事務局、お願いします。
【山田修学支援・教材課長】  事務局でございます。資料4です。今、画面投影されていますが、御覧いただければと思います。
 「新たなICT環境整備方針の策定に当たり確認すべき事項」というタイトルでございます。平成29年度に「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」を踏まえた教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(平成30年度~令和4年度)ということでございますが、これを策定しており、現行のICT環境整備計画は今年度末で期限を迎えるという状況でございます。こうした中、学校のICT環境整備を持続的・継続的に進めていくことは極めて重要でございます。
 新たなICT環境整備方針の策定に当たりましては、GIGAスクール構想を踏まえたこれまでの成果、課題について検証するとともに、児童生徒1人1台のICT端末を活用しました個別最適な学びと協働的な学びの目指すべき姿、また、「個別最適な学び」、「協働的な学び」の実現のために必要となるICT機器とその整備の在り方、校務のデジタル化に必要となる環境整備の在り方、1人1台端末の活用支援体制やデジタル教材などの整備の在り方など、検討すべき多くの論点が存在しております。
 こうした状況を踏まえますと、新たなICT環境整備方針の策定を行うまでに一定の時間を要することが考えられます。ということですので、現行のICT環境整備方針に替わる新たなICT環境整備方針の策定について、令和7年度に向けて検討を進めることとしてはどうかという御提案でございます。
 また、そのため、現行のICT環境整備方針を踏まえ策定していますICT環境整備計画についても、計画期間を令和6年度まで2年間延長することとしてはどうかと考えております。
 また、最後の米印のところですが、今後の1人1台端末の更新に係る費用負担の在り方につきましては、利活用を強力に推進するとともに、地方自治体や関係者の意見なども聴きながら検討していくことが必要だと考えております。
 事務局としては以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。今事務局から、これは非常に大事なことかと思いますが、文部科学省としての今のお考えと言ったらいいでしょうか、それについて、次の整備計画を決めていくに当たって今確認しておきたいことということで説明がありました。ポイントになるのは、現行の指針に代わる次の指針は令和7年度スタートになるようにつくってはどうかということですね。そうすると、令和4年で切れる今のやつはどうなるのかということになるので、令和5と令和6は、まだ環境変化が大きかった残りがありますので、検証も含めて時間がかかるので、この2年間は今の整備計画の延長で進めてはどうかということでございます。これについて、委員の皆様からの御意見をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 石井委員、お願いします。
【石井委員】  石井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 1人1台端末が配付されて変わったことということでちょっと考えてみました。2018年からの5か年計画であれば、3クラスに1クラス分という形が1人1台になった。それ以外に変化していることといえば、指導者用コンピュータや大型提示装置、こちらはそのままあって今使われているというものだと思っています。1人1台端末が入ることで大幅にこの計画とフィットしないことが出てきたのであれば、急遽の方向転換は必要かなと思っておりますが、現在一番大きい1人1台端末が変わっても、ほかのものは絶対今必要で、なくては困るというようなものが記載されていると思っております。
 ですので、変化してもやはり今のものを継続していくという考え方、そして、変化していく中で、今、1人1台端末が段々に先生方が慣れる段階から自分たちで使っていくという状況に入っている中で、何が必要なのかというのがこれから見えてきて、私たちも確認していく必要があるのかなと思っておりますので、事務局からの御提案、私はこの考え方でいいのではないかなと思っております。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 水谷委員、お願いいたします。
【水谷委員】  水谷です。よろしくお願いいたします。5年前も関わらせていただいたのですが、端末について、あの当時も1人1台あるといいなとか思いながら、現実的に3人に1台、そして、まずは1日1回の活用した授業というところで、あのような基準になったと思います。それを基に本市も整備を進めてきました。
 GIGAになって何が変わったかというと、やはり1人1台とクラウドを使うようになったことがとても大きく、それは前の指針を考えたときには、ほぼ考えにはなかったところと思います。クラウドを使うようになり、いろんなコンテンツも、今までだったらオンプレで、学校か市教委のサーバーに入れる形だったものが、クラウド上で使うようになってきて、この先どうなるか、よく様子を見ないと分からない状態にあると思います。1人1台になって、端末さえあればいいでしょうと言ってみえるような自治体もないわけではなく、ちょっと混乱している状況があるので、ここは落ち着いてどのような活用が今後進んでいくのかといったことや、新しい環境になって何が必要なのかといったことを見極める必要があると思っています。
 また、前回のときはあまり言われなかった働き方改革ということも、もちろん校務支援システムを入れようということはありましたが、教員の働き方のことを考えると、職員室等に整備するものを少し考えたほうがいいのではないかと思います。本市もその動きをしているところです。といったことなど、今すぐに変えたい部分もありますが、今動いてしまうと時期尚早になる部分もあると思いますので、いろいろな活用が落ち着くのを確認しながら、2年間しっかり検討していく時間にしていくほうが、この先よりよいものにつながるのではないかということで、私も事務局の提案に賛成の立場でお話をさせていただきました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。石井委員、水谷委員と大体同様の意見だったかと思います。
 では、次、木田委員、柴田委員、そして高橋委員にお願いしたいと思います。木田委員、お願いします。
【木田委員】  よろしくお願いします。私も基本的に整備方針の策定については、これでいいのではないかなと思っています。ただ、特にGIGAで入れた端末整備等を考えたときに、早ければ令和6年、普通なら7年ぐらいから整備が始まるというのを考えたときに、自治体の立場から考えますと、その1年前に予算要求を上げなきゃいけないというふうになります。1年前に予算要求を上げるのであれば、それまでにある程度どのような整備をしていくのかというのを固めていく必要がございますので、そう考えたときに、この審議の過程を、恐らくそうされるのだと思うんですけれども、途中でもこういうふうな整備の検討が進んでいますというのを自治体のほうに少しでも発信していくことによって、自治体がこれからどういうふうな整備をすればいいのかということについて、ある程度見通しを持って進めていくことができるような気がいたします。そのためにじっくり検討を進めながらも、途中でそういうふうな形の情報発信をしていただくということをお願いしたいなと思うところでございます。
 以上です。
【堀田座長】  貴重な御意見でした。ありがとうございます。
 柴田委員、お願いします。
【柴田委員】  やはり高校は小中学校とはかなり事情が違う部分があります。まずは、この2年間で検証をしっかりやらなきゃいけないのは、保護者負担の場合と自治体負担の場合、それぞれメリット、デメリットがあると思うんですが、それを検証した上で、この2年間を使って、その先の自治体が整備したほうがいいのか、保護者に負担をお願いしたほうがいいのか、または、保護者負担であっても、経済的に厳しい家庭に対する支援もするのかしないのか、そういったものもセットでやっていくと自治体の判断がしやすくなるんじゃないかなと思います。今、それぞれの自治体が考えているので、選択肢を用意するというのが一つ、この2年間で検証していく必要があるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。
 では、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】  よろしくお願いいたします。私も前回のこの会議に出させていただきまして、非常に厳しいやり取りがあったというふうに少し記憶しております。1人1台どころか、3人に1台という言い方ではNGで、やっと3クラスに1クラスという着地を見るような厳しい闘いも当時あったんじゃないのかなと思います。当時の、先ほどの資料にもございましたが、最低限必要とされ、かつ優先的に整備すべきという、こういう方針で今回の整備方針も改めてつくるのだというふうに考えると、かなり実践が落ち着いてきてというか、状況が落ち着いてこないと判断を誤りやすいんじゃないのかなという気もちょっとしています。
 特に、資料4のところにも書かれていましたが、1人1台端末の更新に係る費用負担、この1人1台が最終的にどういうふうな次の姿になるかによって、授業のイメージも活用のイメージも予算の枠組みも非常に変わってくると思いますので、それがある程度固まるまでは現行の方針で、つまり2年間、今のものを延長していくというこの御提案というのは、私も非常に妥当ではないかというふうに考えるところです。
 私からは以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。今、一通り委員の皆様に御発言いただきまして、これを総合しますと、事務局の資料4での説明内容についておおむね御賛成いただいているというふうに考えてよろしいかと思います。事務局の説明について、私どものこの有識者会議で確認をしたということでよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。
 その場合、この米印のところにあるように、一番下ですね、高橋委員が今まさに触れられましたけれども、今後の1人1台端末の更新に係る費用についてはどのようにあるべきかということについて、今もう議論はいろいろスタートしているんだと思いますけれども、利活用を強力に推進するという前提で各自治体や関係者の意見を聞きながら検討を進めていくと、これは事務局がおっしゃったことですけれども、そういうふうにするということが必要かと思います。今後の検討を国のほうで進めていくためには、成果の分析が一定程度必要、検証ですね。これは先ほど柴田委員もおっしゃったように、特に高等学校においては、「情報Ⅰ」が必履修になったのが今年からで、これは大学入学共通テストに「情報」が入ったとかそういう話との関係もあるかと思いますし、不可欠なICT環境でありながら、どこまで国があるいは自治体が費用負担するかというのは、義務教育とは違うのでそこがまた難しいところで、この辺りについても議論が意見の一致をまだ見ていない段階かと思いますので、こういうようなことを積極的に議論して、関係者で意見交換をして進めていくというふうにしていくことが重要かということを再認識したというところでございます。
 これについて、今委員の皆さんはそういう御意見でしたが、事務局からはいかがでしょうか。
【山田修学支援・教材課長】  事務局でございます。委員の皆様におかれましては、御確認ありがとうございました。これも踏まえまして、文部科学省としましては、現行のICT環境整備方針に替わる新たなICT環境整備方針の策定について、令和7年度に向けて検討を進めてまいります。そのため、現行のICT環境整備方針を踏まえ策定していますICT環境整備計画につきましても、文部科学省としては、計画期間を令和6年度まで2年間延長する方向で調整を進めてまいります。
 あと、この米印のところの確認ですが、今後の1人1台端末の更新に係る費用負担の在り方については、利活用を強力に推進するとともに、地方自治体や関係者の意見も聴きながら検討していくことが必要であるという認識でございます。
 事務局から以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。もう一つだけ、木田委員がおっしゃったように、この会議は公開だということが決まりましたので、今後もできるだけ動きが自治体に分かりやすくなるように、できるだけ早めにいろんな準備を自治体側ができるように配慮していただければと思います。ありがとうございました。
 では、資料5の説明を事務局からお願いいたします。
【山田修学支援・教材課長】  事務局でございます。資料5を御覧ください。画面投影されているものです。
 「GIGAスクール構想を踏まえた新たなICT環境整備方針策定に向けた主な論点」ということで、本日たたき台をお示しさせていただきました。一番最初、米印がございますが、新たなICT環境整備方針の策定に当たっては、まずはGIGAスクール構想における1人1台端末などの利活用促進に伴い見えてきた課題や成果について検証することが不可欠であると認識しています。その上で、例えば、以下の論点について議論していく必要があると考えられるということで、たたき台をお示しさせていただきます。
 まず、総論です。GIGAスクール構想下における新たなICT環境整備方針の策定に当たっての基本的視点ということで、最初の矢羽根のところです。情報活用能力をはじめとした子供たちの資質・能力の育成を目指す学習指導要領の趣旨の実現に向けて、端末を活用した個別最適な学びと協働的な学びの目指すべき姿をどのように考えるか。
 2つ目の矢羽根です。目指すべき学びの姿を実現していくための「理想とするICT環境及び機能」をどのように考えるか。
 3つ目、全国の学校において最低限保障すべき「標準的なICT環境及び機能」をどのように考えるか。
 4つ目、端末の活用実態をどのように考えるか。
 5つ目、地域や学校、教師によって生じている端末の活用状況の差をどのように考えるか。
 6つ目、障害のある児童生徒や日本語指導が必要な児童生徒など、特別な配慮を必要とする児童生徒に対するICT活用の今後の在り方をどのように考えるかといったことが論点として挙げられると思っています。
 次に、各論でございます。(2)のところです。先ほど総論で申し上げたような「個別最適な学び」「協働的な学び」、これらの実現のために必要となるICT機器とその整備の在り方についてでございます。
 まず1つ目、活用実態や児童生徒の発達段階などを踏まえ、今後の1人1台端末に求められるスペックや機能を含めた整備の在り方をどのように考えるか。
 次が、予備機の整備や端末の保守の在り方、調達方法、これは購入もしくはリースということですが、これらをどのように考えるか。
 それから、指導者用のICT端末、これは教務用、校務用、両方ありますが、に求められるスペックや機能を含めた整備の在り方をどのように考えるかということです。
 次のページに移りまして、校内ネットワークの整備や通信環境の在り方をどのように考えるか。
 大型提示装置や実物投影機など、周辺機器とその整備の在り方をどのように考えるか。
 情報セキュリティ環境の整備の在り方をどのように考えるか。
 災害等の緊急時においても学びを継続するためのICT環境整備の在り方をどのように考えるか。
 (3)でございます。「クラウド時代」における校務のデジタル化に必要となる環境整備の在り方でございます。学校現場における校務のデジタル化の実態をどのように考えるか。
 クラウド活用を前提とした校務のデジタル化に必要となる環境整備の在り方をどのように考えるか。これは別途設置されています校務の情報化に関する専門家会議における議論の状況も注視しながら検討が必要ということでございます。
 (4)ICT環境整備と同時に検討が必要な事項といたしまして、1人1台端末の持ち帰りを含めた日常的な活用をさらに推進させていくための方策についてどのように考えるか。
 教師のICT活用指導力を向上させるための方策についてどのように考えるか。
 ICT支援員をはじめとした支援体制の在り方についてどのように考えるか。
 デジタル教科書やデジタル教材、ソフトウェアなどの整備の在り方をどのように考えるか。これにつきましては、中央教育審議会の教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループにおける議論の状況も注視する必要がございます。
 先端技術や教育データの効果的な利活用を推進していくための方策についてどのように考えるかといったそれぞれの論点、視点があり得ると思っております。たたき台ということですので、ぜひ御議論をお願いしたいと思います。
 事務局から以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。ただいま事務局から御説明いただきましたが、資料5を見るだけでも、新たな環境整備方針を決めていくには考えなきゃいけないことがいっぱいあるということがお分かりいただけたかと思います。このほかにもまだ何か、もっとこれが足りないんじゃないかというような御指摘があるかもしれませんし、あるいはまだ最初なので、たたき台なのでばくっと書いてありますけど、これについてもうちょっと細かく、こことここがこうなんじゃないかみたいなことも御意見があるかもしれません。この後、皆様に挙手いただいて、いろいろこの資料5についてもっとこういうことも考えていくべきじゃないかというようなことを御意見いただきたいと思います。
 なお、現行のものについては2年間延長するという話がありましたが、なのでこの2年間何もしなくていいという話ではないということですよね。現行のものがちゃんと達成できているか、あるいは石井委員がおっしゃったように、自治体の判断で今こういう順番でやっているからまだ100になっていないみたいなことをちゃんと丁寧にチェックしていただいて、この水準を目指していろいろ整備していただくということが、次の学習指導要領が見え始めた今としては非常に大事なことかなと思っております。
 では、各委員の皆様に一通り御意見をいただければと思いますので、意見のある方から挙手をお願いしたいと思います。
 いつもありがとうございます。石井委員、お願いします。
【石井委員】  石井でございます。よろしくお願いいたします。
 多分、前回の整備方針を決めるときには、児童生徒用の学習者用と指導者用ということでしっかり線引きされていて、ここのデータは絶対にまたいではいけないというようなすごく大きな壁があったものが、クラウド化によってなくなっていった状況で今度は整備方針というのを考えていかなければならないと思っております。今のところは、GIGAスクール構想下における子供たちの整備だったり、校務の整備だったりという形の枠組みですが、この枠組みも本来どうなっていけばいいのかというところを検討していく必要があると思っております。すみません、大きいところしかお話しできないのですが、以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。大変貴重な御意見です。だから子供の学習環境だけでなく、今働き方改革も言われていますし、先生たちが余裕を持っていろいろと判断できるように、そういう余裕も与えないと、この新しい環境を生かした次なる教育は目指せないわけで、そういう意味で重要だということがあります。
 あともう一つは、学習系データのところで、デジタル教材とかデジタル教科書をたくさん使われていくと、そこにいろんな学習のログがたまり、それがいわゆる校務、そことどういうふうにつながっていくかというのは非常に重要な点で、今までネットワーク分離だったのが、今ネットワーク統合になってゼロトラストになっていくという、そういう環境変化と言ったらいいでしょうか。行政の環境変化と言ってもいいでしょうかね、そういうような大きな流れの変化があります。残念ながら、その変化に十分にまだついていけない時間遅れをしている自治体はいくつもありますし、これからそこを改善されていくんだと思いますし、そこも見越した次なる方針を考えなきゃいけないのかなと思いますし、あとは調達をしていただく企業等がまだ以前の商習慣でとどまってしまっているという場合も事例によってはありますので、クラウドベースで考えると、今までのやり方を大きく変えるほうが全然合理的だというようなこともたくさん出ているかなと思います。こういうようなこともチェックしながらこの論点をはっきりさせていく必要があるというふうに私も思います。ありがとうございます。
 水谷委員、お願いいたします。
【水谷委員】  お願いいたします。改めてお示しいただくと、確かにこういうことを考えていたと思いましたが、たくさんのことがあると改めて思いました。座長が話されたように、今までと状況が変わってきて、今までだったら、校務と教務というような分け方など、一面的な分け方だったと思うのですが、いろいろな分け方があって、それぞれの論点、各論はこれでおおよそ十分と思いますが、分け方については、ちょっと考えていかないと、一面的な見方で終わってしまうとまず思いました。切り口がいろいろあり過ぎると思います。
 具体的に言えば、例えば使う場面で考えていくとどのように考えられるとか、誰が使うかで考えるとどうなるかとか、このような論点で整理するといいのかなと思いました。
 その他に、現在活用が進んでいて、何が遅れているのかということを考えると、1人1台整備はされたけれど、やはり問題になっているのは、ネットワークインフラのことが一番大きいような気がします。ですので、例えば各論の(2)で、いろいろなことがあるのですが、ネットワーク整備とか通信環境の在り方は、取り出して大きく扱ったほうがインパクトがあるというか、よく伝わるのではないかと考えます。特出しするものがやはりあったほうがいいのではないかと思ったところです。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。GIGAの端末で端末数がすごく増えたのに、回線速度はちょっとしか上げなかったと。利用頻度が上がっている分、それによって、結局ネットワークのためにうまく使えない。その結果、これでは使えないよといって使い控えをしてしまったり、あるいは、クラウドを前提にいろいろ考えられている学習指導がちっとも根づかずに、結果的に個別最適な学びや協働的な学びが動かないというようなこともありますので、今水谷委員がおっしゃったネットワークですね、特にこれは学校までのネットワークと言ったらいいでしょうかね、そこの回線速度の担保というのは非常に重要なことかと感じております。これについても、もしほかの委員の方、また御意見がありましたらお願いします。
 柴田委員、お願いいたします。
【柴田委員】  やはり高校と義務教育の違いのところを言うと、高校生はほとんどスマートフォンを持っています。スマートフォンでもフィルタリングがある程度かかっていますが、学校だけがちがちのネットワークでフィルタリングかけたら、生徒はスマートフォンでいいやと流れるだけなんですね。だから、あまりフィルタリングは、スマートフォンと同じ高校生向けのフィルタリングで神奈川の場合は十分やれているのかなと思っています。
 それから、パソコン教室、高校は情報の授業がありますので、パソコン教室を取り上げるという方針は多分ないのかなと思うんですが、やはり1人1台端末が整備されると要らないんじゃないかという話がどうしても出てきてしまうので、もっと明確な、例えばスタジオ化するとか、ロボットを扱えるようにするとか、大判プリンターを使えるような部屋にするというような機能を強化したパソコン教室として残す、その方針も明確にしたほうがいいのかなと。ある自治体や私立の学校ではどんどんパソコン教室がなくなっているという話も聞きますので、そこの整備もお願いしたいなと。
 あと、BYOD、保護者負担で買っている自治体からのメッセージとしては、生徒の端末はOSや、それから機種の種類、それが違っても何も問題ないよというメッセージを伝えたいなと思っています。放っておくと、端末をそろえたがりますし、OSもそろえたがりますけど、今クラウドベースの授業になっていますので、そういったところも検証して示すといいのかなと思います。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。最後のメッセージは非常に力強く、あと私どもも現場を回っていて体感するところで、クラウドベースにしたツールを使えば、例えば先生用と児童生徒用が違うOSでも、同じクラウドツールで動いて困っていないというところもあるかと思います。教師が使うほかのソフトウェアを考えると、OSは何か考えて選定しなきゃいけないということもあるし、一方で児童生徒は、クラウドベースでの学習をしていくことを考えれば、実は安価なものでよいというようなこともはっきり出てきているように思いますし、先ほどのコンピュータ室の話は、つい先般も文科省も通知を出しマスコミでも挙げられていましたけれども、コンピュータ室に新たな機能をちゃんと持たせることで、一人一人の端末は重たい機能を持たなくてよいというトータルコストではかなり、あと使い分けを理解する練習にもなるかなと思いますので、こういうようなことも考えて次の構想を描く必要があるというふうに思いました。ありがとうございました。
 木田委員、お願いいたします。
【木田委員】  よろしくお願いいたします。先ほど水谷委員もおっしゃられたように、教育用ネットワークと校務のネットワークが今後一対になっていくというふうに考えたときに、校務のデジタル化ということと、そのほかの教育のデジタル化ということを完全に分けて考えてしまうことが、かえってデジタル化の方向性を見えにくくしてしまわないかなということを考えました。ですから、一つのトータル、大きな枠の中で考えていくということがやはり重要になってくるかなというふうに考えます。
 卑近な例ですけれども、例えば、先生が使う校務用の端末みたいなやつは、今後は多分、指導者用の端末と一対になっていく、一つになっていくということが考えられると。そうした場合には、例えば先生が授業で使うんだったら、指導者用端末はモバイルで使いやすいほうが、小さいほうがいいけど、校務用で使うとなると、あまりにも画面が小さ過ぎて使いにくいと。そうしたらどうするかとなったときには、端末を少しスペックのいいものにして、例えばディスプレイをつけて、仕事をするときはディスプレイでして、授業するときはそこから外して持っていくみたいな考え方もできるなと思ったところでもあります。
 そういった感じで大きく枠を考えていく必要があるかなというのが一つありますのと、あと、ネットワーク環境、これは非常に今、自治体でも苦労しているところがありまして、先生の学校の負担も考えたときに、例えばネットワークがつながらないとなったときに、じゃあ誰が動くかと。とすると情報の担当の先生が動くか、あるいは支援員さんが常駐しているところはそこが動いてくれたりするでしょうけど、行ってみると、結局、APの再起動で直ったりとか、ポートの差し直しで直ったりということが結構あるわけですね。
 そうした場合に、例えばそれをいち早く教育委員会のほうで確認できて、そして電話1本で、ここをこうしてここが多分止まっているので再起動ですぐ直りますよということがすぐにできれば、授業を止めたりとか活動を止めたりすることなく活用が促進されると思うので、そういった、例えばネットワーク管理とかネットワーク監視、そういった場合の環境の在り方みたいなものもどこかに記載することができれば、学校の支援、あるいは教育委員会の支援になるのかなと思うことではありました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。木田先生、鹿児島市はネットワークのそういう監視はしていますかね。
【木田委員】  鹿児島市では、全学校のネットワーク状況、例えばルータ、スイッチ、APの死活監視とか、あるいは状況を全部管理して各学校のマッピングをつくっています。もしトラブルがあったら、これは第2号棟の1階のスイッチが止まっているからここの電源を入れ直してもらったら直りますよというふうな形ですぐ対応できるような体制を取っているところでございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。そういうことも人員が少ない中で安全に動き続けなきゃいけないという意味では、そういうものを可視化するということも考える必要があろうかと思いました。
 一方で、ネットワーク速度が遅い理由は、単に回線速度が遅いだけではなくて、違うところでルータとか、そういうところで止まって遅くしてしまっているスイッチの問題もありますので、こういうようなことはネットワークのアセスメントをするようにというふうに文科省側から自治体に依頼しているわけですけれども、自治体側でそこまでやっているかというような、これまた人手の問題と予算の問題があろうかと思うので、例えばそういうようなことも早急に考えていかなきゃいけないことかなと思います。
 あと2人、石井委員、先に行きましょうか。それから高橋委員、まとめも兼ねて御意見をいただければと思います。石井委員、お願いします。
【石井委員】  申し訳ありません、あともう一点付け加えさせてください。以前の3クラスに1クラス分のものと1人1台端末で大きく違ってきているのは、家に持ち帰れるという状況が増えたということではないかなと思っていますので、そこの点、先ほどの説明の中でも、全国的に持ち帰りというところ、学びの連続性というところでは非常に効果があるはずなのに、そこがなかなか進んでいかないというところで、そこの点についても議論していく視点として入っていけばいいなと思っておりました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。
 では、高橋委員、お待たせしました。お願いします。
【高橋委員】  ありがとうございます。この論点のたたき台について、新しく追加するような項目があるというよりかは、むしろ中身の議論に近いことについて少しコメントさせていただきたいと思います。
 まず、私、振り返りますと、GIGAスクール構想の整備の方針というか、整備の精神というのは本当にとてもよかったなと思っています。機械自体は非常に低性能で低機能なものだったと思いますけれども、技術が発達したこと、要はクラウドを使うことによって安価な整備、シンプルな整備ができたというこの精神を多分受け継いでいくのが重要と思います。改めて高機能・高性能なものというよりかは、技術で乗り越えて、しっかり全ての子供にICT機器が届くようにしていくんだなと思っています。なるべくシンプルにしていくことが結果的にセキュリティとか保守とかをまたシンプルに楽にしていくことになるかなと。ただ、シンプルにすることが多分難しいんだと思いますけど、意見集約も含めて、その辺りを考えていくんだなと思っています。
 2つ目です。子供もそうですけれども、保護者も、大人というか先生も、関係者全員が情報端末をいつでも使えるような環境に僕はなったんだなと思います。保護者もスマートフォンとかをお持ちだと思いますし、子供も端末を持ち、先生も持っているわけです。ネットワーク分離と統合というのは技術的な話だと思うんですが、要はそういう技術的に障壁を感じさせないように業務で使っていくんだと。結局それは要らなくなる業務の手順とか、要らなくなる仕事とか、そういうのが、いろんな仕事が統合されたり省略されていくような、そういう時代も想定してやっていかなきゃいけないと思いますし、教員養成とか教員研修にも幅広くこの環境整備が影響するというふうに思っていますので、やはり大人の社会というか、世の中でやられていることとなるべく似たような環境を整備するし、大人、社会人が使うようなソフトウェアとか、仕事の仕方をきちんと学校でも導入して、学校だから特別なソフトとか特別な環境とやってしまうと、教員養成、研修全て非常に困難になるような気がしますので、やはりこういった意味でも、僕はシンプルということが非常に重要かなと思っています。
 あと、近未来で考えてみますと、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実がありますが、これが一定程度成功している学校の様子を見ますと、もちろん授業観の転換もありますけれども、ICT活用観というか、ICT活用にも古いと新しいがあるんだなということを非常に感じることがございます。技術の進展というのは、言うまでもなく非常に速くて、一応、2年後に向けてつくっていくということだとは思いますけれども、クラウドみたいなことも前の整備方針のときに、じゃあ、実用的だったのかと考えると、やはり少し厳しくて、そういうアイデアが浮かばなかったわけですけど、その数年後には、たちまち実用的なレベルになってGIGAスクールが実行できたということを考えると、こういう検討を長期にわたってやっていく、その最中にも変わっていく可能性があるので、そこら辺は具体の例示みたいなところは常に見直しをしていく。大方針はしっかり固めつつも、そういうような、大方針として例えばシンプルとかそういうのは変わらないとしても、具体のものは変わっていくなというふうに思っています。
 実際に、今現実も、子供の情報端末が首長部局で使っている、自治体が使っている端末よりも最新というような、そういう笑えない事態も起こっていて、その結果、最新の端末が非常に古い使い方にルール上も技術上も制約を受けて、実際には使えないという事態も起こっている自治体を僕も目の当たりにして愕然としておりますが、そういった自治体もありますので、この新しさとか時代の変化、ICT活用観も含めた変化というふうに、どういうふうにキャッチアップしていくのかということを検討したいなと思います。
 できれば、本当は夢のような話ですけど、これまで量の確保ということで基準が決められてきたわけなんですが、それがGIGAの精神とかでうまくいっている自治体に関しては、量から質というところに転換しているところもある。ここが差が大きいということの一つだと思いますけど、そういったことも考えていくのかなというふうに思っております。
 余計なことになるかもしれませんが、文部科学省も僕、職員全員が持ち帰り可能なノートパソコンを持つだけではなく、スマートフォンを貸与されているというような、こういうような状況が、いろんなものの考え方を変えるきっかけに僕はなっていると思いますし、現実、学校現場も、1人1台パソコンによって、使えば使うほど先生方の考え方は変わっていますので、この1年、2年の間にも大きな変化があるというふうに私自身思っていますので、そういう心積もりで議論というか発言をしていきたいというふうにも思っております。
 ちょっと長くなりましたが、以上になります。
【堀田座長】  ありがとうございました。皆さん、一通り御意見をいただいたので、座長を拝命しています私も一言御意見申し上げたいと思うんですが、校務なのかあるいは学習系なのかということを、これからはあまり分けないようにするというのは非常に重要な大方針かと思います。
 一方で文科省内は、これは何課、これは何課というふうに分かれていまして、そこが課題かもしれないと。最近、こういうICTとかデジタルに関係する課はやたらとあっちの人とこっちの人が話し合っていろいろ、それぞれの審議会が進むと、またぐような事案が出てくるものですから、そういう方向に向かっていて私は大変よい傾向だと思いますけど、これは文部科学省だけの話ではなくて、もしかしたら、各市町村の教育委員会とか都道府県の教育委員会も、そういうふうに行政の構造の縦割り化によってトータルソリューションにならないみたいなことがあるのかもしれない。これ、高橋委員がおっしゃったことですけど、仕組みも変わるとか、いろんな前提が変わっていくということも一緒に私たちはウォッチしていかなきゃいけないんだなと思います。
 このことは例えば、私、先ほどから話題に出ている中教審の教科書・教材・ソフトウェアのワーキンググループの座長をやっていますけど、デジタル教科書の在り方みたいなことを議論していくと、どういう授業で使うデジタル教科書の話なのかということが不明瞭なまま在り方をやると、紙とどっちが効果があるのかみたいな話に拘泥してしまったり、あるいは、今までのように先生が主導する使い方を前提にしてしまったりします。持ち帰りとか、著作権法等のいろんな弾力的な運用も含めて、そういうようなこともいろいろ変わってきている環境から考えれば、もっと大胆にいろんなことができると思いますし、それは学習指導の変化、あるいは、その考え方としての個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実というのがありますし、これはいずれ教育課程の変化、学習指導要領ですね、が生じざるを得ないと思います。そのときに、授業観やICT活用観が、高橋先生の言い方で言えば、それが変わっていない自治体や学校ではさらに遅れが生じる可能性があると。それが変わるにはどうすればいいかといったら、やっぱり便利なICTを使ってみないと変わらないし、じゃあ、便利なICTはどうかというと、せっかく入れたけど、やたら便利じゃないレギュレーションをいっぱいつけてしまって、そういう旧来の縛りをかけてしまう前提もあったりするときがあるということですね。
 私は情報活用能力という言葉が、学習指導要領の総則で学習の基盤となる資質・能力として明記されたことは非常に意味があると思っています。今までのパソコン室は、子供が電源を切って、また電源を立ち上げたら全部元のとおりに戻るみたいな、そんな機能がありました。それは情報活用能力が十分でない人が困らないようにするために、いつも同じ立ち上がり方をするという機能だったと思うんですよね。情報活用能力がある人というのは、OSがちょっとぐらい違っても、クラウドがちょっとバージョンアップしていても、そういうツールを予測して使いこなせるような、新しい機能をうまく使っていこうと、そういう精神を持っているようなそういう人であるべきだと考えるわけです。そうすると、教師が全部管理するとか、次これやってください、次これやってくださいといつまでも指示するというのは、一人立ちした自己調整ができる学び手を育てるという観点でも、やっぱり違うだろうなと思うし、そうなると、児童生徒に情報活用能力が育ったこれからの時代のICT活用というのは、今までのICT活用観とは変わらざるを得ないと思うわけです。
 そういうふうなことを考えた上で、例えば全国学力・学習状況調査はCBT化に振り切ろうとしているわけで、紙のテストがよいかCBTがよいかとかいう議論ではなく、みんな端末を持っていて使い慣れているんですよね。それを使って行うという、いつでもそういうふうにテストを受ける、そういうようなことを経験するということが学習経験として意味があるという話なのかなというふうに思います。
 私も長々しゃべってしまってすみませんが、そういう意味で、いろんな価値観も一緒にGIGAとコロナ禍を経験したことでいろいろ変わろうとしているこの時期に、次なる方針を決めていくということはかなり難しいことだというふうに感じますけれども、皆さん、あるいはまたこれからメンバーを増やすのかも分かりませんけど、いろんな方々の御意見をいただきながら決めてまいりたいと思います。
 皆さん御意見いただきましたので、少し早めですけれども、こんな感じでと思うんですが、よろしいですかね。
 では、今日の会議はこの辺までとして、今日の議論を踏まえた今後の方針等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【髙本GIGAスクール推進チームリーダー】  事務局でございます。本日はお忙しい中、忌憚のない御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。本日御議論いただきました内容ですが、各委員の先生方からいただきました御意見などを事務局で整理させていただきまして、今後お示しした上で、さらに議論を深めていただければと思っております。
 また、次回の会合の日程については、調整の上、今後、委員の皆様に連絡をさせていただければと思います。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。今、調整という話がありましたけど、中教審も義務教育ワーキングとか高校教育ワーキングとか動いていますし、さっきのデジタル教科書や教材の話もありますし、教育データの利活用の話も随分進んできましたし、校務のDXも動いていますし、とにかく様々なものが動いていて、教員研修のことも変わってきているし、働き方改革のこともありますし、などなどを考えると、いろんなことをトータルに一斉に見直す機会かと思いますので、調整大変かと思いますが、事務局におかれましては、丁寧な対応をお願いしたいところでございます。
 ほかに何か連絡ありますか。よろしいですか。
 それでは、本日はここで閉会させていただきたいと思います。皆様、御協力ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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