通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議(第7回)議事録

1.日時

令和5年1月26日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 特別支援教育に関する諸外国の状況について
  2. 通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

荒瀬克己座長 池田彩乃委員 市川宏伸委員 氏間和仁委員 梅田真理委員 奥住秀之副座長 帯野久美子委員 喜多好一委員 小枝達也委員 櫻井秀子委員 笹森洋樹委員 滝川国芳委員 竹内哲哉委員 平野真理子委員 藤井和子委員 馬飼野光一委員  宮﨑英憲委員

文部科学省

藤原章夫初等中等教育局長 安彦広斉初等中等教育局審議官 山田泰造特別支援教育課長 生方裕特別支援教育課特別支援教育企画官 菅野和彦初等中等教育局視学官 

オブザーバー

独立行政法人国立高等専門学校機構
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害児・発達障害者支援室
国立障害者リハビリテーションセンター

5.議事録

【荒瀬座長】  皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第7回通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議を開催させていただきます。本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 初めに、本日の会議の進め方と配付資料につきまして、事務局からお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【生方企画官】  事務局、特別支援教育課の生方でございます。本日はどうぞよろしくお願いします。
 本日の事務局の体制につきましては、座席表にて代えさせていただければと思います。
 本日も、現下の情勢を踏まえまして、ウェブ会議システムを活用しての開催とさせていただきます。なお、本日、帯野委員が御発表いただくということ、また、会議後の御都合のために対面での御参加となってございます。
 続きまして資料でございますが、まず議事次第、そして資料1から4、最後に参考資料をお送りさせていただいております。
 資料1につきましては、前回、委員の皆様からいただいた御意見の概要を議事要旨としてまとめ、委員の皆様にも御確認いただいているところでございます。
 その他、不足等ございましたら事務局まで御連絡を頂ければと思います。
 続きまして、資料の議事次第を御覧ください。まず議事の1としまして、特別支援教育に関する諸外国の状況について、国立特別支援教育総合研究所から御報告を頂いた後に、委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。
 次に議題の2におきまして、帯野委員から御発表をされたい旨、お申出がございましたので、荒瀬座長にも御許可を頂きまして、帯野委員から発表していただきたいと思っております。
 続いて、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告素案について、事務局の方から御説明をさせていただければと思います。その後に、委員の皆様から御意見を賜りたいと思っております。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。本日は私、荒瀬は職場から参加しておりまして、お手をお挙げいただいたときとかについて、もし私が気づきませんでしたら事務局の方からお助けを頂きたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事の1番目に入りたいと思います。
 第5回会議におきまして、小枝委員から障害者権利条約対日審査に関する諸外国の状況について御意見を頂きましたので、本日は、国立特別支援教育総合研究所の棟方哲弥上席総括研究員より御報告を頂きたいと思います。
 棟方先生、よろしくお願いいたします。
【棟方上席総括研究員】  よろしくお願いいたします。資料を共有させていただきます。
 国立特別支援教育総合研究所より、特別支援教育に関する諸外国の状況について、障害者権利条約第24条に関する総括所見の内容を中心に御報告を申し上げます。
 本日の発表の内容は、スライドにあるとおりとなります。
 まず、諸外国のインクルーシブ教育システム構築のアプローチの特徴について、2枚のスライドで御説明をいたします。このスライドは、8か国の障害のある子供の教育の場について、全児童生徒に対する支援を受ける子供の割合と、その内訳として特別な学校、特別な学級、通常の学級の在籍状況を示したものです。我が国で言えば、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を受ける場合とお考えください。
 日本については、前回の6.5%の調査時点である2012年の統計情報を示しております。なお、参考までに6.5%も加えたグラフを示しております。その他につきましては、国により2011年から2015年のデータを示しています。厳密な比較はできませんけれども、その特徴を御覧いただければと思います。
 グラフを御覧いただきますと、支援を受けている児童生徒の割合の大きな国がイギリスとアメリカとなります。両国共、当時の日本の6.5%を加えた合計よりも多くなっていると。
 また、教育の場として特別な学校の割合が多いのがドイツとなります。その反対に、特別な学校の割合が極めて低い国がイタリアです。
 ここに示されているドイツのような傾向は、障害のある子供と障害のない子供の教育の場が明確に区別される2つの教育システムを持つ国とされており、イタリアはそれが区別されない単一路線型の教育アプローチの国に分類されています。
 一方、日本・フランス・韓国は、3つの教育の場がそれぞれ一定程度あり、多様な学びの場を提供する国として分類されます。この3つの分類は、欧州特別支援教育機構という欧州委員会の下に置かれた独立機関が2003年に報告書で提唱したものとなります。
 次は、岡山大学の吉利先生がまとめられた、特別な教育のニーズのある児童生徒に占める特別な学級と特別な学校の設置率についてのグラフです。
 縦軸が特別な学級への在籍率、横軸が特別な学校の在籍率となっています。各国の情報をプロットすることで、図のように大きく3つの領域として示すことができるとしています。
 特別な学校と特別な学級を共に分離措置と位置づけて分類をしているものです。1つ目が通常学級措置群、2つ目が通常学級分離教育措置並立群、3つ目が分離教育措置完結群という形になっております。
 ここまで、諸外国の教育システムの構築の分類について紹介をさせていただきました。
 続きまして、総括所見が採択されるプロセスを御説明いたします。
 黒ポツの1つ目ですけれども、締約国報告は条約の批准後2年以内に一度、更にその後委員会の要請に応じて、あるいは少なくとも4年ごとに提出の義務があるというふうにされています。
 締約国報告の審査のプロセスは、添付資料の3に経過の説明を書いてございますけれども、初回の審査とそれ以降の審査で違いがあります。初回の審査では、締約国報告が提出されると、それを確認した障害者権利委員会は事前質問事項を提示します。このとき、市民団体等から事前質問事項に入れるべき内容の提案があり、それを含めて締約国報告の内容に対する事前質問事項が委員会から締約国へ示されます。
 締約国はこれに回答し、対面審査に臨みます。対面審査は総括所見を採択する前段階となります。この審査に向けても、市民団体等から総括所見に盛り込むべき内容に関する意見や文書が招請されており、これらを踏まえた総括所見が採択されます。
 2回目以降は、簡素化された手続が適用されます。締約国報告の前に権利委員会から事前質問事項が示され、それへの回答が締約国報告となります。
 いずれにしましても、市民団体からの意見は、多くの場合、事前質問事項、総括所見の内容に大きな影響を与えるとされています。日本の審査に関しましても、21件の市民団体からの意見等が提出されているところです。
 ところで、委員会が締約国にどのような対応を求めているのかということについて、締約国報告の内容を定めたガイドラインや、一般的意見と言われるものがあります。ガイドラインは、添付資料の1と2に抜粋を載せています。
 一般的意見は、諸権利の基準や加盟国の義務について基準を定めるために採択されるものであり、条約によっては勧告とも呼ばれるものです。第24条教育の場合は、一般的意見第4号「インクルーシブ教育への権利」と題されて、このスライドの資料の最終ページに、インクルーシブ教育、インクルージョンについての定義をはじめ、条約を履行するための指針が示されている文書となります。
 それでは、韓国、ドイツ、フランスに対する総括所見について紹介をいたします。
 韓国です。韓国は日本と同様に多様な学びの場を提供する国とされます。権利条約の批准が2008年で、既に2つの審査を終えています。2回目は結果として4年ごとで8年がたち、第2次と第3次の審査を併せた審査となっています。
 総括所見を言うのは、形式としまして、まず採択の経緯、それから肯定的側面というのを述べた後で、各条項に関して締約国に対する懸念が表明され、それに基づく要請が行われるというような形式になっております。
 韓国は、初回の締約国に対する総括所見で、スライドにあるような指摘を受けています。インクルーシブ教育ポリシーはあるものの、通常の学校の障害のある子供が特別な学校に戻っていること、通常の学校に在籍する障害のある生徒がニーズに応じた適切な支援がある教育を受けていないことを懸念する。現行のインクルーシブ教育ポリシーの有効性の研究の実施。そして、学校やその他の教育施設における合理的配慮の提供の一層の促進。通常学校の教員と職員への訓練の重点化が必要であるとの指摘をされています。
 そして、第2次・第3次の総括所見の要請は、一般的意見第4号と、SDGsの目標4.5、「質の高いインクルーシブ教育」ですけれども、を想起し、前回の勧告を繰り返し、締約国に以下のことを要請する。「前回の勧告を繰り返し」という記述があって、指摘がされています。
 初回の総括所見では、障害のある子供に支援を提供し、通常の学級に受け入れるという韓国の統合教育の定義がありますけれども、その勧告のインクルーシブ教育ポリシーの存在を認めた上で、その有効性についての研究を要請していました。
 これについて、2次・3次の合併報告の事前質問事項で、この進捗状況が問われていました。しかしながら、報告者が締約国報告を読んだ限りはその直接な回答は得られておらず、パラグラフの50のaにあるように、新たに包括的なポリシーの構築が要請されている状況と理解をしています。
 次はドイツです。ドイツ連邦は2007年に障害者権利条約に署名し、2009年に批准しています。
 ドイツの総括所見では、法定的側面という項目で、権利条約の実施に向けた10年間の連邦政府の国家行動計画を2011年に採択したことが称賛されています。
 これは、2009年のドイツの批准の翌年から、障害者の意見も反映させる形で策定準備を進めてきたものであり、全体で213のプロジェクトが書かれて、2015年の総括所見の出された翌年に、その第2版が採択されているというようなことです。
 ドイツの総括所見ですけれども、権利の委員会は、締約国が障害のある多くの児童生徒が隔離された特別な支援のための学校に通うという教育制度を有していることを懸念しているとした上で、4つのスライドにあるような要請がなされました。
 特にドイツは、16の連邦州がそれぞれに教育を担当することから、全ての州で質の高いインクルーシブな教育制度へのアクセスを提供するため、戦略、行動計画、期限、目標を直ちに策定することとされています。
 ドイツは2次・3次の合併審査に入ったばかりですが、そこでは既に全ての連邦州でインクルーシブ教育を行うポリシーが策定されたことを報告しています。
 次にフランスです。フランス政府は2007年、権利条約に署名し、2010年に批准しています。2012年が締約国報告提出の期限でありましたけれども、2016年5月に提出をしています。
 フランスは歴史的に、障害のある子供の教育は厚生省管轄で行われてきた経緯があり、2005年に全ての障害のある子供は居住地の通常の学校の学籍を持つことを教育法典で定め、教育省で教育を行う方向性で移行中ですが、十分ではなく、委員会は多数の障害のある子供たちが寄宿型の医療・社会施設を含む分離された教育状況に置かれているということを懸念しているとしております。
 その上で、8項目の懸念条項と、それに対応する8項目の要請条項があるという形で、他の国に比べると多い要請を受けているということになります。
 また、フランスは2017年に国連障害者権利特別報告者、スペシャル・ラポーチャーと言われる専門官ですけれども、訪問調査を受けております。
 2019年に教育分野では6項目の要請事項があり、その1つは、ここで懸念が表明された寄宿型の医療・社会施設を廃止し、そこで措置されていた全ての子供に必要な支援を行って、通常の学校に受け入れるということの指摘でした。
 次に、最初にお示しした児童生徒の就学の場について、この10年間の3カ国の推移を記載いたしました。
 表は、全ての児童生徒の特別なニーズの対象者の割合、通常学校に通っている児童生徒の割合、それから特別な学校に通っている児童生徒の割合ということになっています。
 ドイツはこの10年で、通常の学校在籍が20ポイント増加して、特別な学校の在籍が20ポイント減少しています。ドイツは特別な学級がなく、日本でいえば巡回指導に似たシステムを行っているとされています。
 フランスはこの10年で、通常の学校在籍が7ポイント増加し、特別な学校の在籍が8ポイント減少しています。通常の学級で80%以上過ごす子供というのは、やや少ない状況になっています。
 韓国はこの10年間、在籍の状況にほぼ変化はありません。
 日本ですけれども、フランスとほぼ同じ数値で変化をしております。
 次に、追補で書かせていただきましたのはイタリアとスウェーデンの例ですけれども、単一路線型の例となるイタリアについては、まずインクルーシブ教育が法律で位置づけられていることを評価した上で、質の高い教育を通常の学級で実現させるリソースの不足が指摘されているということになります。具体的な文言は下に記してあります。
 スウェーデンの例ですけれども、締約国報告においてインクルージョンが原則である場合には、教育上の必要性と保護者の意思による通常学校以外の教育の場――特別な学校ですけれども、それが評価されている。委員会はインクルーシブ教育システムとして、1.5%の子供が家族による決定により通常の学校以外で授業を受けていることを称賛するという記載があります。
 スウェーデンの締約国報告は、1行目において「スウェーデンの教育システムはインクルージョンの原則に基づいている」と明記をした上で、知的障害の学校の存在を説明しているものです。
 もう一つ追補とさせていただきましたのは、一般意見第4号の中で、知的障害者は具体的で視覚的、読みやすい教材等を用いて、静寂で構造化された環境において、自立生活と職業の文脈において児童生徒を準備させるような指導を「インクルーシブで相互作用のある教室」において提供されなければならないとしています。
 分離の教育をあくまでしないということをしてきている委員会ですけれども、一般的意見第4号ではこういう記述が明記をされていますので、これは少し検討していく必要があるというふうに思っております。
 まとめです。まとめの1点目、2点目、3点目、4点目はこれまで触れてまいりました。
 5点目につきましては、イギリスの例について触れたいと思います。
 イギリスは、特別な学校の存在に関して留保宣言をした上で権利条約を批准して、それを維持してきました。権利の委員会からは、事前質問事項でその留保の撤回について問われ、その回答では撤回しないことを明言していましたが、総括所見では委員会の撤廃を求める要請には変わりがなかったということを付しておきたいと書かせていただきました。権利委員会の考え方を示したものであろうというふうに考えております。
 説明は以上となります。御清聴ありがとうございました。
【荒瀬座長】  棟方先生、ありがとうございました。
 それでは、ただいま御発表いただきました内容につきまして、御質問や御意見がございましたらお願いしたいと思います。「手を挙げる」のボタンを押していただきまして、御指名いたしましたら御発言をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では小枝委員、お願いいたします。
【小枝委員】  棟方先生、どうもありがとうございました。ほかの国はどんなのか、是非知りたかったものですから、大変勉強になりました。ありがとうございます。
 まずドイツでは、分けられた学びの場での行き来ができているのかどうか。もう、決められたらずっとその場で教育を受けなきゃいけないのか、あるいは、ある事象が解消されたら行き来ができるのかということをお伺いしたいなと思いましたのと、それから、イタリアでは随分とこのインクルーシブ教育が進んでいるように拝見いたしましたが、いわゆるアウトカム、社会参加の率はどうなのだろうと。
 教育の中ではこういったことはできているのだけれども、社会の出口のところで、そういった社会参加に結びついていないとあまり意味はないのかなと思ったものですから、こういったインクルーシブ教育の予後といいますか、アウトカムというのも非常に大事なものですから、その辺りを教えていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 それでは棟方先生、よろしいでしょうか。
【棟方上席総括研究員】  ありがとうございます。直接お答えができないのですが、ドイツのことですけれども、ドイツにつきましては、行き来があるかというのは把握ができておりません。
 ただドイツ自体は、先ほどは触れませんでしたけれども、いわゆる判定のある児童生徒のほかに、学習に困難のある児童生徒を校内委員会等で把握をして、別途支援をしているのだということが、ヨーロピアン・エージェンシーの資料として載っておりました。
 それからイタリアの件ですけれども、確かにヨーロッパのそういう単一路線の国ですけれども、小学校段階から中学校段階に行ったときに、中学校段階の在籍率というのでしょうか、それが下がっているという情報はあったと思いますので、アウトカムについてはかなり課題があるのだろうというふうに思いますけれども、また改めて確認をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【小枝委員】  どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 棟方先生、本当に丁寧な御説明ありがとうございました。小枝先生もおっしゃいましたけれども、諸外国のことがよく分からないまま、我々の国の取組がどうなっているのかということを議論するというのも、これは十分でないというふうに改めて思った次第です。大変分かりやすい御説明、本当にありがとうございました。
【棟方上席総括研究員】  ありがとうございました。
【荒瀬座長】  それでは、よろしければ次の議題に移らせていただきます。
 議題の2といたしまして、事務局の方から御説明いただくのですけれども、その前に帯野委員から御発表を頂きますので、帯野委員、よろしくお願いいたします。
【帯野委員】  
 資料をお渡ししていると思うのですが、発表というよりは単なる意見で、手短に分かりやすく説明できるようにということでお配りしております。
 まず、この報告書作成に当たって、社会全体にアピールできるように、社会の変化に伴って障害者の就業が多様化していること、特に知的障害者の活躍の場が拡大しているということを入れていただきたいと思っております。
 それで、そこにお示ししているのが、アメリカの例でございます。直近5年間で、知的障害者・発達障害者の雇用の場が、例えば知的労働で3.4倍、マネジメントで4.8倍、幹部職員で6.5倍と、このように急増しているということでございます。
 それと、何か日本の例がないのかということで、少し身近な例でつくってまいりました。
 これはエアコンのダイキンのグループ会社で、製造部門、技術部門、そしてエアコン修理の部門から成る特例会社であります。従業員のうちの92%に当たる195名が障害者の方たちで、実際この会社も見学に行ってまいりましたが、通常の合理的配慮に加えて、生産ラインに社員の皆さんが改善を繰り返して、どんな障害を持った人も働けるという工夫がしてありました。
 少し実感していただくために、次のページ、その次のページ、その次のページ、そしてその次のページ、4ページに生産ラインの写真を入れてございます。実際見学したところ、健常者の方が働いておられるのかなと思うくらい、障害者の方が普通に働いておられ、その次なのですが、その結果でありますけれども、今、障害者の管理監督者の登用が33名。そのうち、黄色のラインを入れておりますがリーダー職で精神障害の方が3名、そしてサブリーダー職で精神障害の方が7名、知的障害者の方が2名と、極めて普通の企業活動をしておられて、しっかりとした年俸も取って立派な社会活動を行って、ダイキン社の貴重な戦力になっているということであります。
 さて、こういう知的障害の多様なキャリアを前提とした教育が必要ではないかというところで、以前に少し申し上げました特別支援学校、これにおいて英語教育を必須化してほしいということを申しました。
 これにはいろいろ議論があると思いますが、やはり今、特別支援学校の高等部の3割が軽度の知的障害・発達障害であることを考えれば、英語は「学んでもよい」ではなくて必須化できないものかなというふうに考えております。
 ちなみに、次のページでありますが、特別支援学校の方から大学に進学している、特に知的障害、特別支援学校、知的障害の人たちですね、特支の専攻科も含んで0.4%と、非常に低い率になっています。
 特別支援学校の高等部から大学に進学を希望する人がどれくらいいるのかということはありますけれども、やはり大学では、教養で英語が必須になっておりますし、センター試験でも英語がございますので、公平性の担保というところから、それは入れた方がよいのではないかなというふうに考えております。
 ただ、それはこの報告会の議論の場ではありませんし、また、それについては背景もいろいろありますので、私自身も少し勉強して、別の場でそういう意見が出せればなと思っての参考意見でございます。
 それと、あと一番大切な普通高校、通級による指導の場の拡大ということでありますけれども、これについては以前申し上げましたように教育ログ、今日はアメリカの例が出ておりませんでしたが、アメリカでインクルーシブ教育が進んでいるのは、カルテがしっかりしているということを見聞したことがあります。
 そこで、引継ぎという点では意見もたくさんありましたけれども、是非幼稚園・保育園から大学まで、一貫した教育ログの推進に取り組んでいただきたい。
 例えば幼稚園・保育園で手当を受けても、小学校に行くとそれが分断されてしまう。保護者からの申請では、それが伝えられる能力のある保護者もいれば、できない人もいます。それから高校から大学においても、高校でどのようなケアを受けてきたのかというところを大学にも伝えられるように、是非一貫した教育カルテ、教育ログをつくっていただければと思っております。
 それから教員養成課程、これについてもたくさん御意見がありましたが、やはり今の特別支援を2単位から最低4単位、そして是非お願いしたいのは、教育実習に特別支援の実習を入れていただきたい。これは文科省の設置基準を改正すればよいことなので、是非お願いしたいと思いますし、また、それが実現するまでの間として、今、教員採用試験で特支の資格を持った人には加点するということをしている教育委員会も多いと思いますが、それだけではなく、特別支援のボランティアに参加したとか、ゼミに参加したとか、何かそういう活動も評価することができればなというふうに考えています。
 それから阪神昆陽高校、これは本当に理想的なモデルでありますし、全国でもそういう取組も少しずつ始まっているように聞きますが、やはり教育格差、地方のことを考えますと、もともと高校も少ない、複式学級がどんどん増えている地方もありますので、合わせてデジタルインクルーシブの推進、これは是非書き込んでいただきたいと思っております。
 それから、最後のページに、今、特別支援学校の高校で転入者が4,451名とあります、大阪においても普通の中学校から特別支援高校に転入してくる軽度の知的障害・発達障害の学生が増えています。
 これの分析というものがあればよいのではないかと考えます。というのは、この原因が、通常の学校での学びの場がないから特別支援に来てということであれば通級指導を増やせば数は減るはずなのですが、何かそこに保護者の選択があるのかもしれない。普通の高校に行くよりも特別支援に行った方が就職に有利であるとか、手厚い教育をしてもらえるのか、もしそういう思いもあるのであれば、やはりそこのところもフォローしていかなければいけないということで、可能であれば、通級指導で学ぶ高校生の出口、小中学校は出口がなくても、高校というのは出口の保障が必要になりますので、可能であれば通級による指導を受けた高校生の進学率であるとか就職先であるとか、こういうものを何らかの形で、まだ5年目ですのでサンプル数が少ないかもしれないけれども、それを示すことによって、通級に進学するという動機づけになるかもしれないと思いますので、そういうものがあればなと思っております。
 ということで、知的障害者を含む障害者に幅広い教育の機会を与えるということが必要であって、それが最終的には社会の活力になるということを考えつつ、そのための教育投資であると。報告書は関係機関に出すだけではなくて社会全体に出すものですので、まだまだ社会全体では、知的障害を含む障害者の就業の場が、第1次産業、第2次産業に限定されているような考えを持った人もたくさんおりますのでそういうところを論理的に示すことで説得力が出ると思います。ちなみに以前、私、関西経済同友会で、貧困の子供の教育について、その問題を放置すれば社会的損失が40兆円になるというデータを示したことがありました。
 それがインパクトを与えられたと思いますので、そういう書きぶりも一つ必要かなと思って、本日発言させていただきました。失礼いたしました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。具体的にデータのお話なんかも出たわけですけれども、事務局、いかがでしょうか。これについて、今の御発言について何か補足等ございましたらお願いします。
【山田課長】  ありがとうございます。特別支援教育課長でございます。
 データも含めてキャリア教育のお話を頂戴いたしましたし、英語の指導についてや、幼稚園から大学まで一貫したログについて、あるいは養成の中での実習の話、デジタルインクルーシブ。
 また高校通級、委員御指摘のとおり始まって間もないので十分なデータがない部分はありますけれども、その重要性でございますとか、そういったところを重視することによる経済的な影響というところまで、多岐にわたる御意見を頂戴いたしました。
 これから事務局の方で、報告案につきまして御披露というか、御紹介を申し上げますが、今の御意見も含めまして、次回に反映させられるところはしていきたいと考えています。ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 帯野委員、ありがとうございました。
 それでは続いて資料4の、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会報告(素案)につきまして、御説明をお願いしたいと思います。
 生方企画官、よろしくお願いいたします。
【生方企画官】  よろしくお願いします。それでは、資料の4に基づきまして御説明をさせていただきます。
 こちらにつきましては、前回までの本会議におきます御議論を踏まえまして、荒瀬座長、奥住副座長に御相談申し上げ、事務局として報告素案という形でまとめさせていただきました。そちらの方について、全体にわたって少し丁寧に御説明をさせていただければと思います。
 まず1ページ目、項目でございます。こちらにつきましては、1ページ目にございますように、大きく6つの柱で構成をしてございます。
 1ポツ、「はじめに」。2ポツ、特別支援教育に関する校内支援体制の充実。3ポツで通級による指導の充実。4ポツで高等学校における通級の指導の充実。そして5ポツで特別支援学校の専門性を生かした取組。そして「おわりに」という構成でございます。
 まずページをおめくりください。「はじめに」でございます。
 こちらの検討会を設置した、まず背景としまして、少子化により学齢期の児童生徒が減少する中、特別支援教育に関する保護者等の理解や認識の高まりといったこと。
 また、平成25年度学校教育法施行令改正による就学先決定の仕組みの見直し、更には合理的配慮提供の法的義務化、こういったことを踏まえまして、特別支援学校だけではなく小中学校、高等学校等におきましても、特別支援教育を必要とする児童生徒が増加しているという状況。
 2ポツ目でございますが、少し理念的なところでございますけれども、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進が必要とされていると。インクルーシブ教育システムの構築のためには、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り同じ場で共に学ぶことを目指すべきであり、その際には、それぞれの子供が授業内容を理解し、学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごしつつ、生きる力を身につけていけるかどうかという最も本質的な視点に立つことが重要であるということ。
 3ポツ目でございますが、小中学校等における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場において、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援が行われることが必要であるということ。
 4ポツ目でございますが、これは前回でも御報告させていただきました、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合につきまして、小中学校では8.8%、高等学校においては2.2%いると。全ての通常の学級に特別な教育的支援を必要とする児童生徒が在籍している可能性があるということ。
 また、特別支援学校への就学相当である学校教育法施行令22条の3の障害の程度に該当する児童生徒が、合理的配慮を含む必要な支援を受けながら通常の学級等で学んでいる実態があるということ。その下でございますが、国においてはそのための環境整備が行われているということを記載してございます。
 次のポツでございますが、これらのことを踏まえて、インクルーシブ教育システムの理念の更なる実現に向けて、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒へのより効果的な支援施策の在り方について、主に校内支援体制や通級による指導の充実、特別支援学校の専門性を生かした取組等を中心に、本会議において検討を行ったところ、最後は、国や教育委員会に対しまして、関係施策の一層の充実を求めるといったことを記載しているところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、具体的な中身でございます。
 まず2ポツ、特別支援教育に関する校内支援体制の充実ということでございますが、こちらは先ほど申し上げましたように、前回御報告しました通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果を踏まえて、見えてきました課題等への対応ということでございます。
 最初でございますけれども、特別な教育的支援を必要としている児童生徒に対して、適切な指導や必要な支援を行うためには、校長自らが特別支援教育や障害に対する理解や認識を深めるとともに、自身のリーダーシップを発揮して校内の支援体制を構築し、組織として十分に機能するよう、更なる充実を図る必要があるということ。
 具体的に、校内委員会の機能強化について、以下に示してございます。
 2ポツ目でございますけれども、調査結果では、著しい困難を示している児童生徒のうち、校内委員会において特別な教育的支援が必要と判断されていないことから校内委員会の機能が十分発揮されていないなど、学校全体で取り組めていないという状況が見受けられるとの指摘がございました。
 これを踏まえまして、最後のポツでございますけれども、各学校においては校長のリーダーシップの下に、どの学級にも特別な教育的支援を必要としている児童生徒がいることを前提とした校内委員会の在り方について再度点検をいただき、例えば校内委員会自体が形骸化しているなど、本来の果たすべき役割が機能していないといったようなことであれば、必要な見直しを図っていただき、全校的な支援体制を確立していくことが必要であるということ。
 次のポツでございますが、校内委員会で支援の検討の対象とすべき児童生徒については、今回の調査結果で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合を念頭に置きつつ、幅広く学校全体で支援を必要としている児童生徒の把握及び状況の共有を教職員間で図るべきであるということ。
 その次でございますが、校内委員会の在り方として、中段になりますけれども、まずは学級集団における授業の工夫や合理的配慮の提供、特別支援教育支援員の配置などにより十分学べるのかどうかということなど、通常の学級の中でできる方策を十分検討した上で、通級による指導や特別支援学級の必要性を検討していくという、段階的な検討のプロセスが大切であるということ。
 さらには、子供の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら、学びの場が変更できるということを全ての関係者の共通理解とすることが重要であること。
 以上が校内委員会の機能強化でございまして、続きまして個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成・活用のところでございます。
 まず最初のところは、個別の教育支援計画の作成の目的について記載してございます。ページをおめくりください。6ページでございます。
 最初のポツは制度の立てつけとしまして、個別の教育支援計画につきましては、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を受けている児童生徒については義務づけられています。その一方で、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒につきましては、個別の教育支援計画の作成・活用については努力義務となっているということ。
 次のポツは支援内容等の引継ぎでございます。先ほど帯野委員からもカルテといったような発言もございましたが、こちらは学校生活のみならず、家庭生活や地域での生活も含め、長期的な視点に立って幼児期から学校卒業までの一貫した支援を行うことが重要であること。各学校においては、個別の教育支援計画について、本人や保護者の同意を得た上で、進学先等に適切に引き継ぐよう努める必要があること。
 また、各自治体の関係部局や関係機関等が連携し、就学、進学、就労等の際に円滑に引き継ぐことができる体制の構築に努めることも重要であること。
 次のポツは、国から示した個別の教育支援計画の参考様式、こういったものも参考としていただいて、各学校や教育委員会において定めている個別の教育支援計画の様式を、可能な限り域内において標準化して充実・活用する方向で、学校や学級担任等が替わっても、教育上の合理的配慮を含む必要な支援の内容の提供が切れ目なく、確実に引き継がれるよう努めることが重要であるということ。
 続きましてのポツからは、個別の指導計画の記載でございます。最初のところは同様に目的についての記載。一番下のポツにつきましては制度の立てつけとしまして、個別の指導計画につきましても、個別の教育支援計画同様に義務づけと努力義務となっているところでございます。
 ページをおめくりいただいて7ページ目、最初のポツでございますが、これは東京都などで御発表もございましたけれども、活用されている連携型の個別の指導計画についてということで記載してございます。こういったものの活用についても促進する必要があるということを記載してございます。
 3つ目のポツでございますが、これは、個別の教育支援計画・個別の指導計画につきまして作成することが義務づけられていない、通常の学級に在籍する、著しい困難を示す児童生徒に対しても、同計画の作成を求めるといった内容のことを記載してございます。
 続きまして、外部機関との連携でございます。これも調査結果では、福祉関係機関の外部機関との連携について、まだまだ十分とは言えない状況にあるといった指摘がございます。
 中段でございますけれども、外部機関等に教員が相談しやすい体制を構築するなど、校内の資源の活用方法を考えていくことが必要であるということ。また、外部機関等から学校に恒常的に助言や支援がなされる体制についても検討等をしておく必要があるということを記載してございます。
 8ページ目、囲みの中に、具体的な方向性ということで、先ほど来御説明した内容のポイントを記載しているということでございます。
 3ポツ、通級による指導の充実でございます。まず、最初のポツは制度の変遷を記載しておりまして、次のポツにつきましては通級による指導を受けている児童生徒の現状を記載してございます。
 ページをおめくりだきまして、通級による指導の意義・課題ということ。最初のポツは通級による指導の目標について記載。そして次のポツにつきましては意義でございますが、これはいろいろな委員からも御意見を賜りまして、本人や保護者が通級による指導の意義等を理解した上に指導を行い、通級による指導を活用してよかったといった成果を出すことが重要。通級による指導で学んだことが学校での学習や生活の向上につながっていることを実感するとともに、将来の生活へつながっていくということを理解することが、通級による指導を主体的に受けることにつながる大切な視点であるということ。
 以下、課題等でございますけれども、通級による指導は特別支援学校の自立活動内容を参考に指導を行うべきところであるが、単なる各教科の遅れを補充する指導を行っている学校もあるので、通級による指導の目的等について改めて認識する必要があるという指摘。
 次のポツでございますが、通級による指導を受けることが適切と思われるにもかかわらず、様々な理由により受けていない児童生徒が存在していること。また、中学校ではあまり伸びていない実態がある。通級による指導を受けたいと思えるシステムづくりや、受けたいというニーズがある場合には確実に受けることができるよう、場の確保等の量的な拡大も急務であるということ。
 最後のポツでございますが、通級による指導については、自治体によってその運用に差があるのではないかといったような意見を頂いております。
 10ページ目でございます。続きまして、通級による指導の実施形態についてでございます。
 もう御案内のとおりでございますけれども、通級による指導の実施形態としては、自校で受ける自校通級と、他の学校で通級による指導を受ける他校通級、及び通級指導教室担当教員等が対象の児童生徒の在籍する学校へ巡回する巡回指導、この3つのパターンが存在し、それぞれ表に示しておりますようにメリットや課題が存在しているというものでございます。
 ページをおめくりください。11ページ目でございます。
 これらのメリット・課題等を踏まえますと、通級による指導の実施形態については、他校通級に伴う児童生徒や保護者の送迎等の負担を軽減すること。児童生徒が在籍校の慣れた環境で安心して指導を受けられるようにするためには、自校通級や巡回指導を一層促進させる必要があるということ。
 ただし、障害の特性による指導効果、または本人・保護者の意向等により他校通級を望む場合もあることから、それぞれの実情に応じた柔軟な対応が求められることに留意する必要があるということ。
 2つポツを飛んで4つ目でございますが、国においては、巡回指導担当教員と巡回先の学級担任との連携の在り方をはじめ、効果的な巡回指導の在り方についてのモデルを構築し、それを全国に普及することが求められると。
 併せて、現在進行中の小中学校の通級による指導の基礎定数化を着実に進めるとともに、自校通級や巡回指導を促進する自治体に対して支援をすることが求められるということ。
 次のポツは、通級による開始・終了の判断については、本人や保護者と十分に相談をし、校内委員会等において慎重に検討する必要があるということ。
 続きましてICTの活用ということで、先ほどの発表の中でもデジタル・インクルーシブといったようなことがございましたけれども、学校におけるICTのインフラ整備が進む中、自立活動についてもICTを活用したオンラインで数人一緒に学習するといった工夫もあり得るのではないかと考えられるということ。
 特に弱視や難聴をはじめとする在籍者数が少ない障害種の児童生徒や担当教員にとっては、ICTを活用したオンラインでの指導や支援は、通級による指導を充実するために有効な手段になるということ。
 さらには、当該児童生徒が通級による指導を受けやすくするためにも、周囲の児童生徒に対する、障害特性や障害に対する理解啓発を進めることが大切であるということ。
 枠囲みは同様に、具体的な方向をポイントを絞って掲載してございます。
 続きまして、通級による指導の評価・検証でございます。
 通級による指導の内容について、児童生徒にとって本当に必要な内容か、児童生徒に何を目標として、何を学ばせるために、何を指導したのか。その結果がどうだったのかという評価・検証が必要であるということ。特に、社会に出ていくために必要な力について考えた上で、実際にそれができているのかという視点は大切であるということです。
 次のポツでございます。同じ発達障害の診断がなされた児童生徒でも、一人一人の教育的ニーズが異なり、置かれた環境にも影響されやすいことから、通級による指導を行う際には、障害の状態等の把握のみならず、様々な要因についても把握することが重要であるということ。
 ページをおめくりください。13ページ目でございます。続きまして、通級による指導を担当する教員等の専門性の向上でございます。
 まず最初のポツで、管理職をはじめ通級による指導を担当する教員、通常の学級担任と全ての教師が特別支援教育に関する理解を深め、専門性を高めることが重要となっているということ。
 次のポツ。通級による指導を担当する教員においては、単純に障害の特性に関する専門性が高いのみでなく、個々の児童生徒の教育的ニーズに応じた多様かつ柔軟な指導方法を併せ有するとともに、通常の学級への助言・提案力が求められ、どのように通常の学級で実行可能な計画の提案ができるか、通常の学級と連携・協働できるかという観点でのスキルの向上が大切であると。引き出しの多い教員を増やすといったような御指摘もありまして、まさにこういったことかということでございます。
 3ポツ目でございますけれども、課題として、自立活動の指導について十分に理解しないまま指導する教員や、それを指導する管理職の在り方が課題となっているという御指摘がございました。
 次のポツ。通級による指導では、OJTでの教員育成が非常に重要であるということ。特に巡回指導の担当となっている教員は困難を抱えているケースが少なくないため、管理職においては、通級指導教室担当教員を複数名配置したり、各教室に特別支援学校や特別支援学級での教員経験、一定のスキルや知識を持った教員を充てたりするなど、人材育成を見据えた人事配置も求められるということ。
 最後のポツでございますが、令和4年3月の「特別支援教育を担う教師の養成の在り方に関する検討会議報告」において、全ての新規採用教員がおおむね10年以内に特別支援教育を複数年経験すること。また、管理職の登用に当たっては、特別支援教育の経験も含めて総合的に考慮することなどの方向性が、令和6年度からの実現に受けて示されているということ。文科省からも局長名通知で、この報告の趣旨を踏まえた取組について、各教育委員会について要請を行っているということ。
 最後のポツでございますけれども、今後、国においては、各自治体における令和6年度からの検討会議報告の実現に向けて、管理職の登用等に当たって特別支援教育の経験を考慮すること。特別支援教育に係る経験を有する教師を増やすための取組を一層促進する必要があるということ。
 おめくりいただいて、15ページ目でございます。こちら、特総研に、現状においてもオンライン学習コンテンツ等、様々なコンテンツの充実に努めていただいているところでございますが、引き続き、特総研においてはこういった教材の取組をお願いしたいということを書いているところでございます。
 おめくりいただきまして、16ページ目でございます。
 こちら、高等学校における通級による指導の充実でございますが、3ポツで、通級による指導の充実に加えまして、高校に特化することを記載しているということでございます。
 1ポツ目、高校の通級につきましては、平成30年度から制度化されて5年が経過したと。いろいろな声が届いており、一定の成果が上がっているという評価がある一方で、発達障害等のある児童生徒に対する指導経験が十分蓄積されていないなど、義務教育段階とは異なる課題も抱えているという状況。
 2ポツ目。直近の調査、通級による指導が必要と判断した生徒、これは全国調査でございますが、2,400人中、実際に通級による指導が行われた生徒1,300名。実際に通級による指導が行われなかった1,100名の理由としましては、「本人や保護者が希望しなかった」が一番高い4割。その次に、「通級担当教員加配が措置されなかった」という条件整備面での理由という順になっているということでございます。
 1つポツを飛んでいただきまして、下から2つ目のポツでございます。
 通級による指導を受けたい生徒のニーズがあるにもかかわらず、担当教員の配置等の体制の問題により受けることができない状況を改善するためにも、担当教員の配置を含めた高等学校における通級指導体制をそのニーズに合わせていく必要があるということ。
 ページをおめくりいただきまして、17ページ目でございます。
 現在の高等学校においては、地方財政措置によって毎年度加配措置ということでなされておりますが、通級による指導の担当教員につきましても、計画的かつ安定的な配置ができるよう工夫する必要があるということ。
 次のポツでございます。高等学校において指導を受けるに当たっては、小中学校等での指導や合理的配慮の提供などが十分に築かれていないという状況があると。先ほども御説明しましたように、個別の教育支援計画や、これまで各地域で共有されてきた関連資料を活用することが、高等学校における通級による指導を充実させるには重要であるということ。
 その下でございますが、こちらの東京都での取組でございますけれども、特別支援学校を中心としたエリア内の高等学校を支援するネットワークを形成し、高等学校における通級による指導を充実させるためには、このような取組も有効であるということ。
 続きまして5ポツの、特別支援学校の専門性を生かした取組等でございます。最初のポツは制度の概要等の現状を記載してございます。
 18ページ目でございます。センター的機能の類型につきましては、枠囲みにありますように、以下の1から6が整理されているという状況。
 次のポツでございますが、27年度の文科省調査におけます公立の特別支援学校のセンター的機能を果たしている状況を記載してございます。
 最後のポツでございます。以上の調査経過からも、小中学校等へのセンター的機能が発揮されている状況が見て取れると。
 ただその一方で、特筆すべき課題としては、地域の相談ニーズに応えるための人材を校内で確保すること、及び多様な障害に対応する教員の専門性を確保すること、こういったことが難しいということが課題として挙げられているということでございます。
 1つ飛びまして、2つ目のポツでございます。
 弱視、難聴、肢体不自由、病弱・身体虚弱、いわゆる在籍者数の少ない障害種の児童生徒につきまして、通級による指導がなかなか受けづらいと。受けている児童生徒が少ないというような実態も踏まえまして、最後の方でございますが、障害の種類によって対応に差異が生じることのないよう、特別支援学校のセンター的機能の発揮により、小中学校の教員・保護者・児童生徒への支援等に係る機能の一層の充実を図ることが強く求められるということでございます。
 続いて、通常の学級に在籍する22条の3に該当する障害の程度の児童生徒の支援ということで、まず最初のポツは現状について記載してございます。
 ページをおめくりいただきまして20ページ目でございます。最初のところも現状についてでございますが、学校教育法施行令第22条3に規定する障害の程度に該当し、特別な教育的支援を必要とする児童生徒については、小中学校へ一定数程度就学している状況があるということ。これらの児童生徒に対しては、特別支援学校のセンター的機能を発揮して、更なる充実を図ることが求められているということ。
 3ポツ目でございます。就学時のみならず、就学後も引き続き教育相談を行う必要があること。支援の目標や教育上の合理的配慮を含む必要な支援の内容について、評価に基づき、学校や学びの場を柔軟に変更できるようにしていくことが重要であるということ。
 具体的な方向性のところでございますけれども、22条の3に規定する障害の程度に該当しつつ、小中学校で学ぶ児童生徒が多く存在しているものの、十分な指導を受けられていない状況を踏まえ、特別支援学校のセンター的機能の充実を検討する必要があるということ。
 続きまして、特別支援学校を含む複数校が一体的に取り組む特別支援教育体制の構築でございます。これは、前回の会議で野口委員からの御提案、また兵庫県・阪神昆陽の取組などを受けての記載ということでございます。
 最初のポツからは、本提案の背景ということで記載をしていただいております。
 21ページ目を御覧ください。最初のところでございますが、「一般に」のところでございます。
 一般に障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が在籍している小中学校では、いわゆる交流及び共同学習、こういった環境を整えやすいと。その一方で、障害のある児童生徒のみが在籍している特別支援学校では、その立地場所も影響し、難しい場合があると。
 その結果、特別支援学校においては、例えば年に一度の文化祭等で地域の小中学生を招待するにとどまるなど、必ずしも交流及び共同学習といったものの取組が十分でない状況が見られるということ。
 次のポツは、兵庫の方で発表いただきました阪神昆陽の状況を記載してございます。
 2つ目のポツ、「そのため」のところでございますが、将来的に、特別支援学校が有する特別支援教育に関する専門的な知見や経験、及び施設等のリソースを生かし、自治体等の判断により、特別支援学校と小中高等学校のいずれかを、例えば「共生教育推進学校(仮称)」として一体化することも可能とする制度設計を念頭に置いた取組を進めることが必要と考えられる。
 具体的には、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が交流及び共同学習を発展的に進め、一緒に教育を受ける状況と、柔軟な教育課程と指導体制の実現を目指し、特別支援学校を含めた2校以上で連携して取り組もうとする教育委員会及び学校をモデル事業として支援することにより、一つの新たな可能性を示すべきではないか。その成果を踏まえ、制度化に向けた更なる検討が可能となるのではないかと考えられるということでございます。
 具体的な方向性としましては、よりインクルーシブで多様な教育的ニーズに柔軟に対応し、障害のある児童生徒の学びの場の連続性を高めるため、特別支援学校を含めた2校以上の学校を一体化することも可能とする制度設計を念頭に置いたモデル事業の実施を検討するということでございます。
 22ページ目でございます。続きまして、知的障害を対象とした通級による指導でございます。最初の1、2、3までは、前回会議でも、なぜ現行、知的障害が通級による指導の対象となっていないかといった理由、これまでの経緯、あるいは文科省での研究事業の状況について記載をしているところでございます。
 下から2つ目のポツでございます。現時点で、全国の小中学校で知的障害を対象とした通級による指導を導入した場合、教科指導の補充といった誤った運用を助長しかねないところ、先ほど申し上げました共生教育推進学校(仮称)構想においては、様々な障害の程度等の児童生徒が在籍するとともに、専門性の高い教員も在籍することを想定しているため、この実現には適切な場であると考えられると。
 2ポツ目でございます。現在進行中の研究事業の検証も踏まえ、共生教育推進学校構想に向けたモデル事業の中で、教育課程の在り方も含め、試行錯誤を繰り返しながら、知的障害を対象とした通級による指導を実施することが適当であるというふうに結んでございます。
 最後、「おわりに」でございます。23ページ目でございます。
 3つ目のところ、障害者権利委員会の勧告の趣旨を踏まえ、インクルーシブ教育システムの理念の実現に向けて、障害のある児童生徒一人一人の多様な教育的ニーズに柔軟に対応し、障害のある児童生徒の学びの場の連続性を高めるため、特別支援学校と小中高等学校いずれかの学校と一体的な連携を推進する共生教育推進学校構想の実現に向けた取組に期待したい。
 また、次のポツは、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」を踏まえて、早急に校内支援体制の一層の充実を図ることを求めたいということ。
 「さらには」のところでございます。通常の学級には、学習面または行動面で著しい困難を示す児童生徒以外にも、弱視、難聴、肢体不自由、病弱・身体虚弱などの、在籍者数の少ない障害のある児童生徒も同様に支援を求めている実態があることに留意し、これらの児童生徒に対しても、これまで以上に目を向け、通級による指導等の支援の充実を図ることを求めるといったこと。
 ページをおめくりいただきまして、教員の専門性を向上させるため、各教育委員会におかれては、令和4年3月の検討会議報告で示された方向性の取組について、令和6年度からの実現に向けて一層の促進を求めたい。
 最後、国においては、本報告に示した具体的な方向性、その実現を図るべく、関連施策の充実に努めるとともに、各自治体等における取組について必要な助言等を行いつつ、その進捗状況についてフォローアップを行っていくことを強く求めるということでございます。
 以上、長くなりまして恐縮でございますが、以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました内容につきまして、これが今後、報告という形にまとめられていくものでありますけれども、御質問や御意見を頂戴したいと思います。また「手を挙げる」のボタンをよろしくお願いいたします。
 今日は残りの時間、3時少し手前まで、この議論を重ねたいと思います。よろしくお願いいたします。
 池田委員、お願いいたします。
【池田委員】  よろしくお願いいたします。まずは丁寧な御説明を頂きありがとうございました。私の方から4点ほど、意見という形でお伝えさせていただきたいと思います。
 1点目が5ページのところですが、通常の学級の中ででき得る方策を十分に検討して、その上で取り出して指導する必要があると判断した際に、通級による指導や特別支援学校を検討するという、そういった段階性を持ったプロセスが大切であるというふうに書かれておりましたが、そのプロセスというのは、まさに学習上・生活上の困難さから課題を見いだしていく自立活動の考え方であると言えるのかなと。自立活動の指導の視点というところになるのかなと思います。
 この点からも、今、全ての学校に勤める教師に自立活動の専門性を高めることが求められているわけですので、ここでも改めて、そのような自立活動の視点の重要性というところをお示しいただくことにより、より意図が伝わるのではないかなと思いますので、すみません、意見ですけれども、よろしくお願いいたします。
 もう1点が13ページのところで、自立活動に関わる専門性の向上について問題提起がなされているところですけれども、こちらに関しては、この検討会議の中でも何度も議論になったところだと思うのですが、ただ、どうしていけばいいのか、課題は課題としてあって、ではどうしたらいいのかという解決策や具体的な方向性といったところの記述がないというところで、難しいところではあると思うのですけれども、一例なども合わせて載せていただくことも検討いただきたいなと思います。
 例えば、各地域においては教員を中心に自立活動研究会というものが、地域に根差して研究会がありますし、各学校において自立活動の専門性を高める取組という実践や研究はなされておりますので、それらの成果を生かす方法を考えていく、そういった記述になるといいなと考えております。
 3点目が20ページになるのですけれども、通常の学級に在籍する22条の3に該当する障害の程度の児童生徒への支援として、センター的機能の充実について記述いただいているところですが、こちらは非常に重要なところであると私も考えております。
 19ページにも書かれておりましたけれども、やはり専門性を有する、特に特別支援学校の教員も含めて、そういった教員の加配ということが非常に重要になってくるかなと考えますので、そういった加配も含めて検討いただきたいなと思います。
 すみません、最後です。21ページの最後に出てきました「共生教育推進学校」というところですけれども、この理念自体に異論はなく、どんどんこういった取組が進むといいなと考えているのですが、ただ、まだこの名称について、仮称ではあるのですけれども、突然、唐突に出てきた印象を受けます。
 用語の与えるインパクトというのはすごく大きいものかなと考えますので、この用語で本当にいいのかというところを慎重に考えていく必要があるかなと思います。
 また、取組の内容については、それぞれ一体化することで、これまで培ってきたそれぞれの教育の成果が薄まらずに、むしろ高め合えるような形となるように検討を続けていく必要があると思いますので、どうぞ御検討よろしくお願いいたします。
 すみません、長くなりましたが以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変重要な御指摘を頂いたと思います。
 後からまとめて、事務局の方からまた必要なコメントをお願いしたいと思います。
 それでは、今手を挙げてくださっていますのが笹森委員、梅田委員、喜多委員、市川委員、小枝委員でありまして、この順番に、ではよろしくお願いいたします。
 笹森委員、お願いいたします。
【笹森委員】  ありがとうございます。では前の方から順番なのですが、まず特別支援教育に関する校内支援体制の充実で、とても基本的に押さえなければいけないことがたくさん書いてあるのですが、校内委員会の機能強化にしても、個別の教育支援計画・指導計画を誰が中心につくっていくかにしても、外部機関との連携とかということにしても、特別な教育的ニーズのある子供、生徒指導関連も含めてたくさん増えている中で、やはり特別支援教育コーディネーターの専任化というのがそろそろ大事になってきていると思います。
 特別支援教育コーディネーターが一人でいろいろな役割を担うというのは、もはや難しい時期に来ているだろうと思います。ましてや通級による指導とか特別支援学級とか、通常の学級の担任を持ちながらというのはとてもハードルが高いかなと思います。是非専任化の方向も御検討いただければ有り難いなと思いました。
 2つ目です。通級による指導の実施形態のところですが、10ページ、11ページ、それから12ページに、文科省が令和5年度にモデル事業を打ってくださるのですが、私は前の会議でも申し上げましたが、他校通級というのが、やはり子供の教育のニーズを考えると、残しておくべき要素があるんだのろうなと思うのです。
自校・巡回、それはシステム的には自分の学校で受けられることというのは大事なのですが、やはり通級による指導というのは指導を受ける子供さんのニーズを十分に満たしていく必要があるということを思うので、この3つの形態はやはり大事かなと思っていて、それを考えると、これから是非モデル事業の中で自校通級・巡回指導の先進的な取組とともに、他校通級の先進的な取組も併せて取り組んでいただくことが大事かなと思います。
 もう自校・巡回で行くのだというふうな流れになってしまうような、少し危惧があるものですから、他校ですごく充実して上手にやっているところがあるはずなので。
 あと2つです。18ページの特別支援教育のセンター的機能のところです。
 前回、特別支援学校にも通級による指導のような機能をというようなお話をしたと思うのですが、③のところ、18ページの2つ目のポチの①、②、③というところで、実際に直接的な指導・支援を行っている例が書いてあります。
 ただ、特別支援学校のセンター的機能って間接的な支援を中心に行うというような、もしかすると自治体もそういう理解のところがあると思います。「直接的支援に関わっている特別支援学校がある。」というのはとても大きな要素なので、センター的機能には間接支援と直接支援が両方できるのだというところも、改めて自治体に言っていただけるといいかなと思います。
 最後です。先ほども御指摘があった共生教育推進学校、ネーミングももちろんそうなのですが、もしこれを動かすとするならば、教育課程の一体化が考えられないと、結局2つの学校で2つのカリキュラムでやっている。たまたま同じ敷地にあって1つの学校と銘打っているけれども、やっている中身は別々だというのでは意味がないかなと思いますので、教育課程の一体化も含めて、このモデル事業は動かしていかなければいけないかなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。笹森委員からも具体的な御指摘を頂きました。これも後ほどまた事務局の方から、よろしくお願いします。
 では梅田委員、お願いいたします。
【梅田委員】  ありがとうございます。詳しく御説明いただいて、特にこれからの体制を考えていく上で重要なポイントが網羅されていたのではないかと思いました。重ならない部分をお話しさせていただきたいと思います。
 5ページ、上から2つ目のポツになります。特に、「なお、現状の校内委員会の在り方として」以下のところの、中段ですね、「まずは、学級集団における授業の工夫や合理的配慮の提供」、ここを私はもう少し強く打ち出していただきたいなと思いました。
 今までの会議の中でも意見を述べさせていただきましたが、もちろん通級による指導の充実であるとか、特別支援学級の専門性向上ということ、特別支援学校のセンター的役割の強化ということはもちろん重要なのですけれども、通常の学級に、例えば12月の調査結果のように8.8%の子供が特別な教育的支援を必要としているとすれば、その子たちを全てどこかの誰かにお願いするということは不可能なわけで、その子供たちをまずもって通常の学級の担任が、通常の学級でどう教育していくのかということが重要になります。
 もちろん、できない部分があるということは百も承知の上ですけれども、どこまでできる、何をどこまで提供できるかということを考えていく。これは多分、国連の勧告にもあった部分、通常の学級の教員の専門性をもっと高めよというような指摘があったかと思いますが、その辺りも含めて、通常の学級の担任の専門性というか、指導力向上、通常の学級の担任が特別な教育的支援を必要としている子供も含めて、学級経営をどのように行っていくか、教科の学習指導をどのように行うか、学級集団をどう育てていくかということを考えていくこととつながります。また、そのことを学校組織として、学校がどのように支援をしていくかということを、もう少し強く打ち出していただきたいと思いましたので、この5ページに書いてあることを、「おわりに」辺りに書いていただきたいと思います。もう一段落作っていただくか、あるいはもう一つ、「おわりに」の6の前にもう一つ項目を作っていただいて、「通常の学級の指導力向上」とか、「通常の学級での支援について」というような項目を是非設けていただきたいと思いました。
 そのようなことが、通常の学級に在籍している障害のある子供たちにとっても、非常に効果があるのではないかと感じています。
 また、最後のページになります、「おわりに」の24ページの部分で、一番上の丸のところです。2行目辺りから「管理職をはじめとする教職員及び障害のない児童生徒に対して、障害特性や障害に対する理解を深める取組を進める」。これ、非常に私としてはうれしい部分でありました。
 特に障害理解教育、障害のない子供たちが障害のある子供のことをどう理解していくかということについては、従来、ずっと必要なことであると言われ続けている割には、体系立った障害理解教育、障害を理解するための教育、幼稚園・保育所から高等学校段階までどのように系統立てて教育していくのかということは、あまりにも研究がされておらず、。ぽつぽつと散見されることは散見されるのですけれども、研究が進んでいないと思っています。
 ただし、昨今の状況を見ていますと、テレビドラマ等々でもたくさん障害のある方々が取り上げられているような状況の中で、やはり教育分野でも、障害のある子供を理解するための教育というのはどうあるべきかということについて、是非取り組んでいただきたいと思いますので、ここももう一言二言加えていただくまたは、一段落として加えていただけると、各自治体での取組にも弾みがつくのではないかと考えておりました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ありがとうございます。具体的に――先ほどから何度も同じことを繰り返して申し訳ありませんが、最後に事務局の方からお願いをしたいと思います。
 それでは、氏間委員も手を挙げてくださいました。では喜多委員、市川宏伸委員、小枝委員、氏間委員の順番でよろしくお願いいたします。
 喜多委員、お願いいたします。
【喜多委員】  ありがとうございました。何点か感想と、是非ここら辺は少し課室で検討していただきたいなと思うことをお伝えします。
 まず1番の「はじめに」の2ページのところの2ポツ目3ポツ目なのですけれども、学校教育における特別支援教育の在り方というのがしっかり明記されているなと、私はすごくこの文章、これまでも様々通知等でも拝見はしているのですけれども、この報告書でこういった形でまとめられるのはすごく意義があることだなというふうに思うのです。
 ほかのポツと同じレベルで書かれる内容ではないなと。先ほど企画官からも、これは理念ですという話があったのですけれども、この大事な理念はしっかりと強調していただくのが大事かなというふうに、私はすごく感じました。
 特に、交流及び共同学習に関しては、在り方が問われているところです。2つ目のポチはそのことをしっかりと踏まえた上での文言かなというふうに感じたところです。感想です。
 2つ目です。校長のリーダーシップが、4ページ目からずっと書かれているところです。
 それに関わってなのですが、13ページのところの表記が「管理職」になっているのです。上から3つ目のポツは管理職の在り方が課題となっている。4つ目のポツは「管理職においては」と書いてあるのですが、これは「校長」って直接書いていただいた方がよろしいのではないかなというふうに、すごく感じました。
 3つ目です。9ページ目と11ページに関わるんでのすが、9ページ目の上から2つ目のポチ、「本人や保護者が通級による指導の意義等を理解した上で指導を行い」とあります。
 11ページには、上から5ポツ目の2行目に、「本人や保護者と十分に相談をし」と書いてあるんでのすが、本人・保護者の合意形成というのはすごく通級による指導をする上で――就学はもちろんそうなのですけれども、大事になってくるかと思うのです。本人・保護者の合意をしっかり得るということ、そこを強調していただくのがいいのかなというふうに感じました。
 最後です。梅田委員もおっしゃっていました12ページのところ、上から1つ目のポツのところ、障害者理解教育に関してはとっても大事な視点で、交流及び共同学習においても、通級による指導においても、これはこれから課題になってくるところです。是非具体的な方向性のところにしっかり触れていただきたいなと感じたところです。
 以上です。ありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。最後の御意見は、私も今、改めて読みながら感じておりました。ありがとうございます。
 では市川宏伸委員、お願いいたします。
【市川(宏)委員】  ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの市川でございます。私自身、教育の外にいる人間ですが、特別支援教育が始まる前から少し関係を持たせていただいて、有り難く思っております。また、この間もやはり、本日の報告なんかも伺っておりますと、確実に進歩してきているなと思って、頼もしく思っております。
 少し総論的なことに関係するかもしれませんが、日常、私は週3日外来をやっておりますけれども、2か所でやっているので月に450人ぐらい外来の方を診ておりますので、そういうところから少し感じることを、総論的な話になりますが、させていただきたいと思います。
 大体秋口になりますと、私は東京を中心にやっておりますけれども、お母さんから幾つか相談、何人かから毎年相談を受けます。なぜかというと、「うちの子、発達障害なのですけれども、先生、知的障害って書いてください」って言われるのです。
 なぜかというと、知的障害と書かないと知的障害の特別支援学校に入れてくれないからということが、現実にあると言ってもいいのでしょうかね。この辺りも、私もいろいろな特別支援学校の方を知っている限りでは、割と融通の利く学校と、もう全然、文科省が言っているから駄目というふうなしゃくし定規な対応になっているところもあるのです。
 医療と教育は違うと言えばそうかもしれませんけれど、医療の方では、もう神経発達障害という診断名の中に知的障害も発達障害も全部まとめるような方向に行っております。
 私もよく話を伺って、少し知的障害とも言いにくいところはあるけれども、これは特別支援学校に通うべき、通った方がいいかなと思う方については、「知的障害あり」と書くことがあるのです。
 なぜかというと、現在の医療ではIQという数値はもう存在していないですので。医師が知的障害ありと判断すれば知的障害ありになってしまうというか、診断基準の文章はあるのですけれど、文章の解釈でできるようになっていますから、うそをついていることにはならないです。
 また、私の経験ではやはり、是非特別支援学校がいいのではないかなと思ったのですけれど、かつてはなかなか固い、東京だと副校長先生が担当されているのですかね、絶対出ないというふうなことで、そういう方が何人かそのままひきこもりになっちゃって、大変な状況になっている方も知っていますもので、その人の将来を考えたら仕方ないかなと思っています。
 こういう話は、実は私、もう四、五年前から教育の関係の方にお話ししておりますし、大南先生なんかにお話しすると、いや、それは法律を変えなきゃいけない、大変なことだから簡単には言えないよということは分かりますけれども、保護者も分かっていて、「うちの子は発達障害なのですけれど知的障害って書いてください」というのが現状だということを考えると、やはりそろそろもうこの辺りのところをきちんとしていただけたらと思います。
 まあ、「はい」なんて言えるような話ではないでしょうけれども、現実には少しでも近づけていっていただきたいと思いますので、あえて言わせていただきました。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 続いて小枝委員、氏間委員ですが、藤井委員も手を挙げていただきましたので、その順にお願いしたいと思います。
 小枝委員、お願いいたします。
【小枝委員】  よろしくお願いいたします。重ならない部分についてお話しさせていただこうと思います。
 非常によく書いてあるなというふうに思いました。1点目、具体的な話ですが、20ページ目の3つ目の丸のところに、「就学時のみならず」という文言があるのですけれども、これはやはり「就学前から十分に準備をした」みたいな形で書いていただくといいのかなと思いました。就学時だけの問題ではなくて、就学前から子供たちを把握して、学校が準備して就学を迎えてあげると。そうすると明るく元気に行けるようになるのかなと思いますので、是非、少し就学前を意識した書き方にしていただけると有り難いなと思いました。
 2点目は、少し書いていなかったかなと思うので、是非校内で、あるいは各自治体の中で、好事例なんかの成果発表会をして、自分の経験を文にまとめ、それをお互いに共有するような発表会をし合うと、だんだんとお互いが高まっていくのではないかなと思いましたので、経験で終わらせるのではなく、それを文章にまとめるという作業を通して、やはり確かなものになっていくと。それを人に伝えると言ったことはすごく大事なので、校内での発表会、そして、その自治体の中での発表会といったものも、是非推奨していただけるといいなと思いました。
 それから3点目、これもなかったかなと思うのですが、インクルーシブ教育していくときに、どうしても障害のあるお子さんの自己認識をどうするのかという視点は欠かせないと思うのです。
 やはり一緒にやっていきますと、自分との違いに気づいていく子も随分います。そのときに自分を卑下するのではなくて、肯定的に捉えて、前向きに、自分は何者ぞということを捉えて、だけれど自分はこれでいいのだという気持ちになって育っていくということは、キャリア教育においてもすごく大事で、最後の出口のところで、自分は何をしていくのかといったことにも関係してくるかなと思っています。
 なので、この自己認識についても何か、インクルーシブ教育する中で入れていただけるといい文言かなと思いましたので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今、キャリア教育といいますか、そこの部分は本当に大事なことだと思いますので、是非考えたいと思いました。ありがとうございました。
 では氏間委員、お願いいたします。
【氏間委員】  非常に複雑な議論を整理していただきまして、ありがとうございます。私も今までとできるだけ重ならない部分でと思っております。
 まず1つ目が、支援機器に関するところです。11ページのところにICTやGIGA端末の活用についての言及がありますけれども、この書きぶりを拝読する限りでは、自立活動の指導に限定的なように読み取れなくもないかなというふうに思われます。
 ですので、例えば5ページ目の2つ目の丸ですね、「通常の学級の中でできる方策を十分検討した上で、多様な学びの場となる通級による指導等」うんぬんとありますが、これ非常に、私はここの段落はすばらしい考え方、きっとRDIなども踏まえた御検討なんだろうと思うのですが、非常にそうだなと思ったのですけれども、例えばこの辺り、あるいはこの前後に、デジタル教科書などの普及もこれから想定されているかと思うのですが、例えばデジタル教科書なども多くのリーダーでアクセシビリティ機能が充実していたりします。
 ですので、例えばデジタル機器、デジタル教科書や、あるいはそれ以外のGIGA端末等、あるいはBYODなどの端末なども含めたアシスティブテクノロジーの効果的な活用といったような文言を、是非どこかに入れていただくことはできないかなというふうに考えるところです。
 GIGA端末だけに限定すると、例えば、その子供が必要な機能がGIGA端末で備わっていない場合があるので是非BYODというようなところで明記いただけるといいのかなというふうに思っております。
 もう一つは高等学校の通級による指導のところ、16ページになりますでしょうか。この辺りも非常に書きぶり、有り難いです。特に希少障害についても御配慮いただいた書き方をしていただきまして、非常に彼らも学びに光が差すのかなと思います。
 特に通常の学級でということが今回テーマですので、通常の学級で点在化あるいは個別化して学んでいる希少障害の人たちに明るい光になるなと思っているのですが、特に高等学校のところでは、この「発達障害等」というようなところが、非常にこう、ギラギラしておりまして、これは実際にあった話なのですけれども、通級による指導、高校でやっているのでしょうと。この高校に弱視のお子さんがいて、学び方で非常に困っているので、通級による指導を利用できないですかというと、「うちの自治体では発達障害のみが対象です」というふうに言い切られたりするのです。
 ですので、この辺りがやはりもう少し、この最後、19ページの5の前に囲みとかあったりしますけれども、高等学校の通級指導教室は、「発達障害等」というのは小中学校の通級による指導で対象になっている全ての障害を含まれているといったような、是非具体的な明記があるといいのかなと。
 この報告書の中でも言及いただいておりますように、特にそういった病弱・身体虚弱や難聴、弱視といったような子供たちは、本当に通級による指導を二、三回受けると劇的に学習効果が上がって、夢の実現に近づけたりするのです。
 ただ、それがないことによって、例えば大学受験でうまくいかなかったり、あるいはそこで先生方が、合理的配慮を考えたり、大学入試センターの配慮要求願を出すときに非常に非協力的だったりして、非常に不利な状況で受験を受けざるを得ない状況があるので、本当に、そこはいいと思うのです、遠隔で非常にこういった我々の専門家のつながりで、ちょいと助言するといったようなことでもいいと思うので。通級による指導の先生がいる中でですね。
 だから本当に回数は多くなくていいので、だけれどその一回二回のアプローチは非常に効果が出やすい障害種かと思いますので、「発達障害等」ではあるのだけれども、そこが一体何を意味しているのかというところが、もう少しどこかに書いていただけると、彼らに光が差すのかなというふうに思った次第です。
 勝手気ままに申し訳ありませんが、お願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 それでは、次に藤井委員ですか。その後、櫻井委員、馬飼野委員、滝川委員、そして竹内委員の順でよろしくお願いいたします。
 藤井委員、お願いいたします。
【藤井委員】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 私は自立活動の指導を担当する教員の養成、それから現職の先生方の育成という視点からの立場でお話しさせていただきます。そういったことから話題提供もさせていただいたのですが、やはりその部分から懸念がございます。
 まず21ページ、池田委員もおっしゃっていましたが、共生教育推進学校、やはり唐突感がございます。
 これにつきましては、前後の文面を見ますと、当然、平成15年の「今後の特別支援教育の在り方について」最終報告からも、地域の総合的な教育体制、支援体制の構築ということが、これまでずっとされていたところだと思うのですが、その評価というものが、地域においてどういった状況にあるのか、自覚されているのかといったところとも、非常に関連があるかなと思いまして見ておりました。
 笹森委員もおっしゃっていましたが、やはり教育課程の問題、同じ敷地内に学校が2つあると。廊下ではつながっていると。そういった状況は、特に今のことではなくて、随分以前からそういった学校は地域において設置されているわけです。
 ですが、そういった学校の現状を見まして、先生方の専門性、自立活動の専門性といったところで、お互いの学び合いが、交流があるのかどうかといったところの評価、実態調査といったところからも含めて、これからもまた検討されていくことがとても大事なのではないかなというふうに感じているところです。
 あとは、5ページとか13ページに、コーディネーターの専門性であるとか、通級による指導、それから特別支援学級の先生方の専門性について書かれておりますが、やはり私が地域の中で感じているところは、この先生方の専門性向上ということについては、非常に育成困難、OJTのことも書かれていますけれども、まずもって自立活動について学んだことのない先生たちがOJTの担当を担わなくてはいけないという実態も見えております。そういった中で、非常にそういった部分に懸念があります。
 特別支援学校の教員免許状コアカリキュラムは、ようやく今年度まとめられたところで、まだまだこれから育成が正式に始まるわけですので、そういった現状も踏まえて、この共生教育推進学校、制度設計はとても大事なことかなというふうに思っているのですけれども、やはり動かしていく先生方の養成・育成といった視点での記述といったものが、非常に重要かなというふうに思います。
 非常にこういった仮称の名称というのはインパクトがございまして、現場の学校においては、自治体、特に県教委などからの指示・通達が非常に影響を及ぼします。そういった意味で、各自治体の裁量性が非常に高まっている状況かと思いますので、まずは地域の、あるいは学校のこれまでの蓄積といったものを踏まえて、今後よりよい制度設計をしていくといったことを、また改めて県教委、市教委なども専門の指導主事がいらっしゃらない地域もあるというふうにも聞いていますので、そういった状況も踏まえて、また記述がされていくと、より効果的なのではないかなというふうに感じたところです。
 以上になります。ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 それでは櫻井委員、お願いいたします。
【櫻井委員】  私も重なるところは省略をさせていただきながら、時間の関係で端的に申し上げたいなというふうに思います。よろしくお願いします。
 13ページの丸の4つ目、「通級による指導では」というところでございます。「OJTでの教員育成が非常に重要である」。ありがとうございます。
 しかしながら、その4行目、「管理職においては、通級指導教室担当教員を複数名配置したり」というような文言がございます。また、下の行もそうなのですけれども、ここ、もし「管理職」という言葉でなくて、先ほど御指摘いただいたような「校長」というふうになるとするならば、私たちができる権限の守備範囲を超えている状況がございます。
 市教委や県教員も含めて、やはり通級指導教室の担当とか、それから一定のスキルの知識を持った教員を充てたりすること、人材育成を進めていくこと、人事に関することについては、そこの段階からもより、校長が校長がというふうに言われるところのもう一つ手前で意識をしていただけると大変有り難いのかなというふうに、書きぶりのところでございますが、御意見申し上げました。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。全くごもっともな御意見かと思います。
 それでは、続きまして馬飼野委員、お願いいたします。
【馬飼野委員】  よろしくお願いいたします。大変丁寧な報告、それと説明、ありがとうございました。2つほど、お話をさせていただきます。
 まず、21ページにあります共生教育推進学校についてですが、まず、この推進校につきましては、これを足がかりにして、将来的にはこういった理念を全てというか、いろいろな学校に広めていくということかなというふうに思うのですが、将来的にこの推進校だけの取組になってしまう。
 つまり、小中高があって、特別支援学校があって、第三の学校として共生教育推進学校があるということになると、そこだけで共生教育ということになってしまいますので、それはいかがなものかなというふうに考えます。
 つまり、保護者の中には、例えば一般社会の厳しいところで卒業後過ごさないといけないということを踏まえて、障害のない方々と学校で過ごして、様々な経験をしたいというような考えの方がいらっしゃるのです。そうしたときに、この共生教育推進学校がそのニーズを満たすかどうか。こういった学校があれば、恐らく共生教育に関して意識の高い方々が入学してくるのかなと。
 そういうことを考えたときに、先ほど申し上げましたような保護者や生徒のニーズを満たすことができるかというのが少し懸念されるところですので、その推進校の取組が推進校だけのものになってしまってはいけないかなというふうに考えます。
 それからもう一つ、すみません、22ページのところで、4つ目の丸ですかね、「教科指導の補充という誤った運用を助長しかねない」というくだりがあるのですけれど、通級による指導ということになりますと、これは誤った運用ということになるのかもしれないのですが、例えば知的障害を持った方々に対しては、通級による指導だけではなくて教科指導の補充ということもどうしても必要になってくる部分はあるのかなというふうには思います。
 ですから、通級による指導はそれはそれとして、こういった教科指導の補充というのも併せてやっていき、前回も申し上げましたように、いかに単位認定をするかというのが高等学校の場合は重要になってきますので、この辺のところも、是非お考えいただけると有り難いなというふうに思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。誤解のない形の表現にしなければなりませんね。おっしゃるとおりだと思います。
 では滝川委員、竹内委員、そして宮﨑委員の順でお願いいたします。
 滝川委員、お願いいたします。
【滝川委員】  よろしくお願いいたします。私も21ページの②のところの共生教育推進学校(仮称)というところで、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 第5回、第6回のところでも特別支援教室構想のお話をさせていただいて、その部分も含めて、こういう形でまとめが出てきたのかなというふうに思っています。
 つまり、通級指導教室、それから特別支援学級の制度を残しつつも、将来的に何か独自に、それぞれの学校で特別な支援が必要な子供たちのニーズに応じた教育を展開できるようにしていこうということで、この文章にも「将来的に」という言葉が入っていると理解しました。そう考えたときに、いつも特別支援教室構想の話を大学の授業でもしているのですが、このときに難しくなるのが、やはり教員の配置です。現行の義務教育標準法に基づいて教員配置を考えたときに、どういうふうに配置していくのかなというところで、いつも「これが問題なのですよね」という話をしているのですけれども。
 今回、自治体の判断により、特別支援学校と小中高いずれかを、例えば共生教育推進学校と称して一本化して制度設計していくということを考えたときに、自治体は恐らく、教員をどのように配置するのか、人事異動をどうするのかというところがすごく悩ましいところではないかなと思いますし、そこの部分を思うと、勢い都道府県立の特別支援学校と都道府県立の高等学校については、一体化というところは兵庫県立阪神昆陽高等学校・特別支援学校のように行いやすいのですけれども、市町村立の学校と都道府県立の特別支援学校とが一体化するというのは、かなり自治体にとってみると、二の足を踏むというと言い過ぎですかね、やってみようという意欲がかなりないと、一体化は行われないのかなと思っています。
 そういう意味で、是非、この文面の主旨を残しつつ、将来的にモデル事業であったり整備体制事業というものがセットで今後の展開がなされるといいなと考えております。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 では竹内委員、お願いいたします。
【竹内委員】 皆さん、お疲れさまです。ありがとうございました。少し漠とした感想になってしまうかなと思いながらしゃべりますが、お許しください。
 インクルーシブ教育システムというところで、障害のない人に対する視点が入ってきたというのは、梅田先生とかがおっしゃっていたとおり、僕も評価というか、いいなと思っています。
 ただ一方で、先ほど多分小枝先生がおっしゃっていたのだと思うのですけれど、一般級で学ぶということは、障害のない人が障害のある人を理解するだけではなく、障害のある人が障害のない人を理解する場でもあると思っています。
 ですので、何が言いたいかというと、その双方向的なことがきちんと伝えられるようにしていっていただきたいなというようなことを思っています。
 僕自身の経験ですけれども、僕はやはり一般級にずっと通っていて、その中で障害のない人との距離感や、こういう考え方をするのだな、みたいなこともずっと学んできた経験があり、それが社会に出て役立っているというところもありますので、そういったところがインクルーシブ教育の大事なところなのではないかという軸をなくさないでほしいなと。
 どうしても、「学ぶ」ということになると、学校で学ぶというと勉強を学ぶということになってしまうような気がしているのですが、本来は、前に平野委員がおっしゃっていたように、社会の縮図であると思っているので、いろいろな人間関係を学ぶとか、そういったことも含めて学校で学ぶということだと思うのです。
 勉強だけに特化するのだったら、僕は塾に行けばいいと思っているので、そういうことではない学びの場なのだということを含めて、どこをどうしろという書きぶりの話ではないのですけれども、そういうふうに感じているというところです。
 あと、この報告書がどなた向けに向けられているのかというのが、少し僕が悩ましいなと思うところもありまして、いわゆる自治体向けなのか、もしくは保護者、子供向けに理解してほしいものなのか、どういった方向なのかなというのが気になりました。
 例えば自治体向けに書いていらっしゃるということであれば、先ほど校長先生が、というようなくだりのところがあったと思うのですけれど、これを出されて校長の負担が増えるだけなのかって、すぐ思ってしまったのですよね。
 そうすると、校長に対してどういうことをしていけばいいのだろうみたいなくだりが全くない。で、校長裁量って今もされていて、校長先生の裁量で本当にいろいろなことが決められてしまっているのだけれども、その校長先生のベースとなるものをどうやって培っていくのということに対して、何かクエスチョンマークがいっぱいあるなというような気がしたりとか、あと、一般級で通級による指導をするといったときに、どういう情報を保障して提供するのかというところが、もし制度上あるのであれば、それがそのまま保護者や当事者に伝わるわけですよね。
 だから、そういうものではないのかもしれないのですけれど――すみません、僕がこういった会議に出たことがなく、考えていくと、そういうものをどういうふうに伝えていけばいいのかなというふうに思いました。という、感想で大変恐縮なのですが、何かそういったことも含めて、最終的には、少しきれい事を言うような話になって、そんなものは報告書で出すものではないよということではないかもしれませんが、やはり一義にあるのは子供たちの教育というか、子供たちがどういうふうに成長していって、どういうふうに社会に出るかということを目指すものであるならば、子供たちに沿った中身になってほしいなと。
 こちらで、何かすごく不遜な言い方かもしれませんが、パターナリズム的なものとして、こういうふうにした方がいい、みたいなことで書くのではなくて、少しうまく言えないのですけれども、提案できるような形になっていく方がよいのではないかというふうに、すみません、感想でした。ありがとうございます。
【荒瀬座長】  大変ありがとうございました。しかも、誰向けかというのは非常に大事なことかと思うのですけれども、基本的には学校関係者、これは設置者である教育委員会を含めた学校関係者と国に対して、我々が検討したことを伝えるということでありますので、直接子供にということではないかと思いますが、しかし、こういったものをまた読む子供たちも当然いるでしょうし、今おっしゃった子供の視点というのでしょうか、子供の声を聞くというのは大変大事なことかと思います。
 ただ、少し今これを具体的にどうするか、事務局ともまだ相談をしていませんが、基本的に宛先は今申し上げたようなところかと思います。
 すみません、宮﨑先生、お願いいたします。
【宮﨑委員】  ありがとうございます。時間のない中で、少し気になった点だけ何点か。
 まず「はじめに」のところなのですけれど、ここは今日、特総研の棟方先生が、障害者の権利条約24条に関する総括所見の様々な国への対応ぶりについてお話を頂いたのですが、そのことと関わって日本が勧告を受けた中身を、これから何とかしなければいけないということも、今回の中には入っていると思うのです。
 初めのところの2つ目の丸は、平成24年7月の中教審報告です。で、今回新しくできたのが3ページの2つ目の丸ですよね。
 このことで、国連の勧告や、棟方先生が補足資料として出していただいたインクルージョンに係る定義等を念頭に置いたとき、十分かどうかというのを少し検討する必要があるのかなというふうに、改めて思った次第です。
 日本はこれで行くということも考えなければいけないので、これはこれでいいのですけれど、少し整理の仕方を考えた方がいいのではないかという、これが1点目です。
 2点目は、4ページ、5ページ辺りに書かれていることなのですが、校内委員会の機能強化のことで、笹森先生がコーディネーターのことについて、専任化のお話をされました。
 私もそれは賛成なのですけれど、小中学校における設置主任のこととの関連でどう考えるかというのが、少しあるかなというふうに思いました。
 5ページの3行目、4行目に、「コーディネーターを適切に指名し、その役割を校内において十分に果たせるような体制を整える必要がある」と、もうこれは出来上がっているのですよね。どの学校でも各学年にコーディネーターを置くというのが、通常教育の中でも、小学校、中学校でも行われるようになっていますので、改めてこの役割の徹底化と、もう一つはその体制がどんなふうに整備されていくかというあたりに、もう少し、これだと少し前のトーンになってしまうのではないかと。ここは工夫が必要かなというふうに思いながら伺いました。
 それで、先ほど池田先生からお話があったようなこととも関わるのですが、2つ目のポツのところに合理的配慮のことなどが書いてあるのですが、今回の学習指導要領に別表で、教科についてきちっと、合理的配慮の提供に関わって、困難さへの対応とか手立てについて書き込まれているのです。
 この充実が最も大事なことなので、もう少しこの辺り、学習指導要領との関連も少し合わせて書いていただくといいかなというふうに思いました。
 それから、7ページのところに外部機関との連携があるのですけれど、これは外部機関の支援を求めるときの学校側の対応について、連係プレーが必要になってきます。外部専門家も、学校を理解してもらうような仕組みが必要になります。そういうようなことの双方向での連携の書きぶりも、合わせて考えていただくといいかなというふうに思いました。
 最後のところは、私も共生教育推進校、突然出てきたので、少しこれ、どう書けばいいのだろうと思ったのですけれど、皆さんが思われていることと大体私も同じだったので、この点はもう少し丁寧な書き方というか、検討していかれるといいのかなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変具体的なお話をありがとうございました。
 共生教育推進校というのは、確かにこうして漢字になってぽっと載ると、こういったものがもう想定されているというふうなイメージが強くて、共生教育を推進していくような学校の在り方が望ましいという表現とは大分違ってくるなというのを、御指摘を受けて考えて、改めて思いました。ありがとうございました。
 奥住副座長、いかがでしょうか。今、全体のお話をお聞きいただきまして。
【奥住副座長】  ありがとうございます。時間のないところでございますが、最後に出てきている共生教育推進学校のところは、もう少し丁寧な議論と丁寧な書き方が必要だろうということは改めて理解いたしました。
 あとは、各委員からいろいろいただきましたことについては、どれも大事なことだと思いますので、できる限り反映する方向にしたらいいのではないかなというふうに聞かせていただきました。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。
 それでは、若干時間を延長させていただくことになるのですけれども、今いただきました御指摘とか御質問もあったかと思いますが、これにつきまして、ポイントを絞って、山田課長の方からコメントをお願いできますでしょうか。
【山田課長】  ありがとうございます。山田でございます。
 大変貴重な御意見をたくさん頂戴いたしました。先生方の御意見を踏まえて我々も作成したつもりではございますけれども、今、改めていただいた御意見を踏まえて、更に次回、反映したものを先生方にお見せできるようにいたしたいと思います。
 少し数が多いので、一つ一つ言及するのは差し控えさせていただきたいと思いますが、財政的な出動が必要なものについては、先生の意見があったのではい載せます、というわけにいかない部分もありますが、基本的には御指摘を踏まえて記載をしたいなと思いました。
 先生方の修文の意見というところで除いて申し上げると一番多かったのが、共生教育推進学校のところの御指摘が多かったかなというふうに思いますので、現在、私の考えだけですけれども、兵庫県さんに御発表いただいて、阪神昆陽、私も実は視察をしました。すばらしい取組だなと思いまして、そこでは2校で1人の校長先生で、教員の先生方が兼務をしながら、工夫をしながらやっていらっしゃるということで、これは現在の制度をベースに、それぞれの学校の教員が連携しているという形です。
 それを国としても、インクルーシブを進める上で、そういったところを現在の制度を使いながらやるということを、まずはモデル事業として御支援申し上げると。その結果、いいものができれば、新しい学校を種としてつくるかどうかと、その次の検討になっていくというふうに考えております。
 少し名前をつけたのは大層だったのかもしれませんけれども、そういう認識ですし、今考えておりますのは、その阪神昆陽でやっていらっしゃるように、高校は高校の教員の配置があって、特別支援学校は特別支援学校の教員の配置があって、教育課程もそれぞれありますと。それが連携をしながらどこまでできるのということを、将来的には一つのということはあり得るかもしれませんが、モデル事業をやりたいという考えでございます。
 また、今日いただいた御指摘を踏まえて、そこも含めて次回、皆様に、座長、副座長の御指導を頂きながらお示しができればいいなというふうに考えております。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。少し私、一言だけ申し上げておきたいと思っていますのは、喜多委員がおっしゃった障害者理解教育であったり、最後に竹内委員がおっしゃった双方向での理解という、そういう点でいうと、ここもまた、この部分はこれでいいのかもしれないのですけれども、例えば12ページの上の枠囲みの直上というのですか、すぐ上のところに「さらには」といってそういったことが書いてあったりするのですが、この「さらには」の使い方が、12ページの「さらには」と、23ページにも一番下の段落で「さらには」とあるのですけれど、23ページを見ると、ここの「さらには」というのは、今現在はすぐにはできないのだけれども、今後こういったことも視野に入れていく必要があると考えられますね、というふうな意味合いに取れるわけで、ならば12ページもそれでいいのだろうかというふうなことを考えると、これって本当にもう取りかかろうと思えば幾らでも取りかかれる話であって、という、そういったような違いもあるなと思って、細かい話ですけれども、今日いただいた御意見というのは全体的に、少し私が最近聞いて大変感銘を受けた言葉として、「特別支援教育というのは特別ではない支援教育が大事なのだ」という、そういう言葉を聞きまして、それを思うと、今申し上げたようなことも、少し書きぶりを変えることによって随分と伝わり方も変わってくるし、共有の仕方も変わってくるのではないかなということを思った次第です。
 すみません、余計な時間を取ってしまいました。
 それでは、次回の日程をお話しいただきたいと思います。
 生方さん、お願いいたします。
【生方企画官】  本日はどうもありがとうございました。
 次回は2月15日、10時から12時に開催させていただき、本日、委員の皆様からいただきました御意見を踏まえまして、事務局として修正した報告案を再度提示させていただく予定でございます。
 本日はお忙しいところ大変恐縮でございます。ありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは次回、またよろしくお願いいたします。御意見いただけなかった委員の方もいらっしゃいますので、また、いつものようにメール等で事務局の方にお送りいただければと思います。
 本日は本当にありがとうございました。終了いたします。失礼いたします。
 
 
―― 了 ――

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