通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議(第6回)議事録

1.日時

令和4年12月16日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について
  2. 学校教育法施行令第22条の3の障害の程度に該当する児童生徒に対する通常の学級での支援について
  3. その他

4.出席者

委員

荒瀬克己座長 池田彩乃委員 市川裕二委員  氏間和仁委員 梅田真理委員 奥住秀之副座長 帯野久美子委員 喜多好一委員 小枝達也委員 櫻井秀子委員 笹森洋樹委員 滝川国芳委員 中田寛委員 野口晃菜委員 平野真理子委員 藤井和子委員 馬飼野光一委員  宮﨑英憲委員

文部科学省

藤原章夫初等中等教育局長 安彦広斉初等中等教育局審議官 山田泰造特別支援教育課長 生方裕特別支援教育課特別支援教育企画官 菅野和彦初等中等教育局視学官 

オブザーバー

独立行政法人国立高等専門学校機構
国立障害者リハビリテーションセンター

5.議事録

【荒瀬座長】  皆さん、おはようございます。荒瀬でございます。音声は、きちんと届いていますでしょうか。定刻となりましたので、ただいまから第6回通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議を開催させていただきます。
 本日もまた御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。現下の情勢を踏まえまして、今日もまたウェブ会議システムを活用しての開催といたします。
 本日の出欠の状況でありますが、市川宏伸委員、竹内委員が御欠席、市川裕二委員が途中で御退出になるという予定であります。
 初めに、本日の会議の進め方及び配付資料につきまして、事務局の生方企画官から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【生方企画官】  事務局、特別支援教育課、生方でございます。本日はよろしくお願いします。
 事務局の体制につきましては、座席表にて替えさせていただきます。
 早速、本日の議事及び配付資料の確認をさせていただきます。資料につきましては、議事次第、資料1から3と参考資料をお送りさせていただいております。資料1につきましては、前回委員の皆様から頂いた御意見の概要を議事要旨としてまとめ、委員の皆様には御確認いただいております。その他、不足等ございましたら事務局まで御連絡ください。
 続きまして、議事次第を御覧ください。まず、本日、議事の1といたしまして、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について、事務局より御報告をさせていただいた後、委員の皆様から御意見を賜りたいと考えてございます。続きまして、議事の2としまして、学校教育法施行令第22条の3の障害の程度に該当する児童生徒に対する通常の学級での支援について、事務局より御説明させていただいた後に、委員の皆様から御意見を賜りたいと考えてございます。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今、御説明いただきましたように、本日の議事は2件でございます。
 では、まず、議事の1に入りたいと思います。先日、13日に公表されました、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果につきまして、事務局から御報告をお願いいたします。生方さん、よろしくお願いいたします。
【生方企画官】  それでは、資料2に基づきまして、本体の概要の方をお配りさせていただいておりますが、概要で説明をさせていただければと思います。
 おめくりいただきまして、1枚目でございます。こちらは調査概要でございます。調査の目的としましては、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の実態と支援の状況を明らかにし、今後の施策の在り方の検討の基礎資料とすることを目的として実施してございます。対象地域、学校でございますが、全国の公立の小中高等学校の通常の学級に在籍する児童生徒を対象としてございます。高等学校につきましては、今回の調査から対象としてございまして、全日制及び定時制に在籍する1~3年生を対象としてございます。通信制につきましては、除いてございます。
 小中学校、高等学校、それぞれ600校程度を抽出しまして、各学年において1学年を無作為に抽出、原則、小中学校においては10名程度、高等学校には20名程度を無作為に抽出してございます。
 回収状況でございます。対象児童生徒、8万8,516人、うち7万4,919人、回収率84.6%でございます。
 回答者でございます。調査対象の学級担任等が記入し、最終的には校長の了解の下で回答を頂いております。これは医師の診断や専門家の判断ではない、学級担任からの回答というものでございます。
 質問項目につきましては、学習名、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する。行動面につきましては、不注意、多動性、衝動性、対人関係やこだわり、こういったことについての質問項目を準備させていただいてございます。
 以下の基準に該当する児童生徒について、それぞれカウントしているという状況でございます。
 2枚目をおめくりいただければと思います。続いて、2ページ目でございます。こちらは調査結果でございます。まず、児童生徒の困難の状況をお示しさせていただいております。左側の表、カラーのものが今回の調査結果でございます。学習面、又は行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合、小中学校で8.8%、高等学校で2.2%という結果でございます。小中学校におきますと、8.8%ということでございますので、35人学級であれば約3人程度在籍している可能性があると推定されます。
 以下、学習面で著しい困難を示す割合は6.5%、高校が1.3%、行動面で著しい困難を示す割合が、小中が4.7%、高校1.4%と。学習面、行動面共に著しい困難を示す割合が2.3%、0.5%となっております。
 学習面、行動面を見ますと、学習面の方が高い傾向が見受けられます。前回調査も同様でございます。
 御参考までに、右の方が平成24年、10年前の前回の調査結果、そして、その前、10年前の平成14年の調査結果を参考として記させていただいてございます。ですから、前回と単純比較は、少し一部、調査項目等の変更もございましたので、単純比較はできませんが、前回が6.5%だったものが、今回、小中学校で言えば8.8%という状況でございます。
 その下のグラフでございます。こちらは、学校種別に学年間の比較をしてございます。小中学校とも、それぞれ学年が上がるにつれて、困難を示すとされる児童生徒の割合が低くなる傾向が見てとれます。
 3ページ目をお開きいただければと思います。こちらの方が、先ほどの小中学校での8.8%の可能性のある児童生徒の受けている支援の状況を調査したものでございます。まず、校内委員会において、現在、特別な教育的支援が必要と判断されている割合、前回の調査よりは増えているものの、著しい困難を示すとされていながら、約7割は教育的支援が必要と判断されていないという状況が見てとれます。
 右が通級による指導を受けている割合、こちらも前回より増えてございますが、10.6%、その隣が授業時間内に教室内で個別の配慮、支援を行っている割合を示してございます。具体的には、座席の位置の配置ですとかコミュニケーションの配慮、習熟度別学習における配慮、こういったものの配慮を行っているかという割合については54.9%。その右でございます。特別支援教育支援員の対象となっているか、13.8%。下の段でございます。個別の教育支援計画を作成しておりますかというものについて、左が、全体が18.1%でございます。ただ、校内委員会において特別な教育的支援が必要と判断された児童生徒に関しましては、48.8%の割合で作成されている。個別の指導計画についても同様、21.4%。特別な教育的支援が必要と判断されている児童生徒につきましては、54.2%という状況でございます。
 おめくりいただきまして、4ページ目でございます。こちらは本日、参加いただいております、宮﨑委員を座長とします有識者会議において、今回の調査結果を踏まえた考察でございます。
 まず、1ポツ目でございます。下の方でございますが、前回の調査から10年で義務教育段階において、通級による指導を受ける児童生徒の割合が、数が2.5倍になっていることを踏まえると、今回の数値については驚く数字ではないものと考えられると考察いただいております。
 2ポツ目でございます。前回から増えている増加の理由についてでございますが、2段落目の後段でございますが、増加の理由を特定することは困難であるが、通常の学級の担任を含む教師や保護者の特別支援教育に関する理解が進み、今まで見過ごされてきた困難のある子供たちにより目を向けるようになったことが1つの理由として考えられる。そのほか、子供たちの生活習慣や取り巻く環境の変化により、言葉や文字に触れる機会が減少していることですとか、あとはインターネット、スマートフォンが身近になったことで、対面での会話が減少傾向にあること、体験活動の減少などの影響も可能性として考えられるという考察を頂いてございます。
 1つ飛びまして、4ポツ目でございます。中学校1学年と小学校6学年と比較しますと、学習面、各行動面、それぞれ割合が大きく減少していると。これにつきましては、当該生徒に関する個別の教育支援計画等の活用や効果的な引継ぎが十分になされていないため、必要な情報が蓄積されないことや、中学校において、通級による指導の設置が余り進んでいないため、生徒の実態について、参考となる情報が得られにくいなど、関係しているのではないかと考えられるということでございます。
 続きまして、1枚おめくりいただきまして、8.8%の子供たちに対する支援の状況についての考察でございます。
 1ポツ目、先ほども少し触れさせていただきましたが、校内委員会において、特別な教育的支援が必要と判断されていない児童生徒については、そもそも校内委員会での検討自体がなされていないことが考えられると。そのため、校内委員会が効果的に運用されていないなど、学校全体で取り組めない状況が見受けられる。管理職によるリーダーシップの下、校内支援体制の構築と充実を図るとともに、それを支えるための仕組みについても検討する必要があると。
 2ポツ目、2段目からでございますが、小中学校において、これは通級による指導の部分でございますけれども、推定値10.6%となっており、通級による指導を受ける機会の充実が図られていると考えるが、高等学校においては、推定値5.6%となっており、高等学校における通級による指導の充実を図る必要があると。
 4ポツ目でございます。授業時間内の教室での個別の配慮、支援を行っているかという設問に対して、54.9%となってございまして、個別な配慮、支援について校内委員会等で検討するなど、学校全体の取組として、更に進めていく必要があると。
 最後でございます。福祉機関等の外部機関との連携については、実施している学校はあるものの、まだまだ十分とは言えない状況であることがうかがえる。
 以上のような考察を頂いております。
 あと、詳細につきましては、別添で本体をおつけしてございますので、そちらの方を後ほど御確認いただければと思います。簡単でございますが、以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 宮﨑先生、今、生方企画官から概要の御説明を頂きましたが、特に何か付け加えていただくとか、あるいは、実際に調査結果を御覧になっての、先生のこれまでずっと関わってこられた中での御印象など、何かありましたら、いかがでしょうか。
【宮﨑委員】  ありがとうございます。宮﨑でございます。
 今、生方企画官からお話をされたとおりでございます。今回は、本調査結果に関する考察ということで、私の名前で出ておりますが、委員全体でかなり突っ込んだ議論をした中身が考察として出ております。
 その中で一番重要だと思われるのは、まず、学習面や行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合の推定をする調査であって、いわゆる発達障害や知的障害のある児童生徒の割合を推定する調査ではないということは、皆さんで強調したところでございます。その上で、今回の調査には、高校まで対象としたので、小学校と中高とは調査項目が違っているといったことで、24年の調査とは単純な比較はできませんよということで述べてある中身でございます。
 最後に、企画官からお話を頂いた、児童生徒の困難な状況について、幾つかの取材を受けたのですけれど、まず、今日の中でいうと、4ページ目の2ポツ目、ここに対する質問は大変多かったです。具体的に増加の理由を特定するということは困難であるのですが、とりあえず、いろいろな御意見を5行ぐらいに収めてあります。これを特定するというのはなかなか難しいと思います。
 あとは、5ページのところです。児童生徒の受けている支援の状況について、これは、この調査そのものが今日の会議と重なるわけですけれど、通常学級に在籍する特別な教育支援を必要とする児童生徒の実態の把握と今後の施策の在り方の基礎資料になるのだということで、そこへ効果として検討していただくと有り難いと思います。
 ただ、今回の調査で分かったことは、かなりお子さんを担任の先生方が把握ができるというか、把握している状況が生まれている。ただし、それを具体的にどんな形で支援をしていくかという中身について、まだまだ十分ではないのではないかと。それから通級による指導等も、併せていろいろ質問が出たりしたのですけれど、それぞれの都道府県で違う状況があったりしますので、少なくともこの会議体では、グッドプラクティスというか、そういったものを是非書き起こしていただければいいのかなと思います。
 それから、併せて最後のところです。関係機関との連携の在り方がまだまだ不十分であるということで、今後、そこをどのように整理していけばいいかという辺りを是非御議論いただくことになるのかなと思いながら、この調査に参加させていただきました。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【荒瀬座長】  どうも宮﨑先生、ありがとうございました。
 それでは、皆様からの御意見を頂戴したいと思いますが、御質問等も含めまして、なかなか数字を見ると、いろいろと考えるところが多いようにも思います。どうぞ、どなたからでも手を挙げていただきまして、よろしくお願いいたします。
 1つ私の方から確認をさせていただきたいんですけれども、高等学校の率が、2ページの表の中でも、小中学校は8.8%となっているところが高等学校は2.2%と、数字のことについて、どのように見ておられるのかというのを、これは生方さんにお尋ねしたらいいですか。
【生方企画官】  高等学校につきましては、まず、通信制が今回、対象から外れている。これは調査方式自体が、学級担任の日頃の見立ても含めて判断いただいているということでございますので、通信高校の特性から、そこの部分は対象外とまず、してございます。
 あと、実際の高校の部分の分析が詳細の資料の方にございまして、まず、高等学校におきましては入学者選抜というものを経ている、あとは多様な学科編成されている、そういったようなことも影響して、一気に今回の調査の結果として、率は下がっているというような状況も見受けられます。
 あとは、それぞれ適正の学びの場で学んでいるということもあって、1年生から3年生を比較しても横ばいというような考察を頂いているところでございます。
【荒瀬座長】  なるほど、ありがとうございます。偏りが、高校の場合は相当生じているということでしょうか。今、中教審の初中分科会の下に置かれている高等学校教育ワーキンググループというのがありますが、そちらの方で、具体的にものを考えていくときに、通信制課程というのか、もう変な言い方ですが外せないというのでしょうか、非常に高校生全体は減っていっているわけですけれども、通信制課程に在籍している生徒の数が増えているという状況があります。とりわけ広域通信制にたくさん行っているということもありますので、そういったことも踏まえて考えていく必要があるかなあということを思いました。
 すみません。市川裕二先生、お願いします。
【市川(裕)委員】  すみません。この後、別の会議に出なくちゃいけないので、一言だけ、幾つかお話をさせていただければと思うのですが、この調査を見て非常に、私、前の調査もそうだったのですけれど、注目している点が、小学校の1年生から年齢が上がるにつれてどんどん下がっていっているという理由、これについては、なぜなのだろうと分析する必要があるのだろうと思っています。
 それに伴って、4ページの丸の4つ目ですか、中学校第1学年は小学校第6学年と比較すると、学習面と行動面でそれぞれ割合が減少しているけれど、このことは当該制度に関する個別の教育支援計画の活用や、効果的な引継ぎが十分なされていないことなのだということが1つ書いてありますが、これの意味が分からなかったんです。というのは、引継ぎをしていれば困難だということに気がついたけれど、引継ぎをしていなかったから気がつかなかったのかと。実際問題、児童生徒は担任等が見ているわけですから、そこが、この理由が表に出るのは少しなぜなのかと思ったことと、もしそういうことであれば、中1から中2に対してもっと上がらなきゃいけないのではないかと思うのです。ここは上がらないのはなぜなのだろうということを少し気になったところです。
 それと、一番大切なのは、3ページの表で、学習面、行動面で著しい困難を示しているけれども、そのお子さんがどんな支援を受けているかの割合が出ているわけですが、逆に言うと、これは支援を受けていない方の割合があるわけで、そこら辺が出てくるということが、今日、会議で議論している通級による指導をどのくらい受けていったらいいのかということに、逆に言うとつながるのかなと思いますので、10.6%がいいのではなくて逆という意味ですよね。90%の人が受けていないんだということが少し課題と考えればよろしいんでしょうかというところです。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。では、山田課長、お願いいたします。
【山田課長】  ありがとうございます。当時というか、分析をしていただいた中で、委員の先生方からあったお話を御紹介しますと、例えば多動だとか、これは世界的に見ても年齢を追うごとに一定程度、落ち着いてくるというか、というものが含まれているので、年齢を重ねれば、そういった傾向が落ち着いていくというのは、世界的に見ても、世界的なほかの研究と比べても、整合性が取れるというお話を伺っています。
 ですから、大体、年齢が下がってくると、この率が下がってくるはずなのですが、だから、中1がぼこんと下がっているというのは、議論の中では、小学校6年間かけて、1人の子を注意が必要だねといろいろな蓄積をして支援につなげていくんですが、個人情報の問題もあって十分、引き継がれないまま中1に行きますと、そこで、年齢が増えることによる減り以上に、減っている部分があるのではないかと。それが中学2年生になって、多少回復するということで、6.2%から6.3%と横ばいの数字に、結果としてなるのではないかという御意見があったように思います。
 9割通級による指導を受けていないというのは、我々も課題意識としては、先生と全く同じでございまして、左上の28.7%、これは会議でも指摘されましたけれども、ちゃんと組織的にこの子を支援しようという網が、まだ十分かかっていないのではないかと。個別の先生の支援にとどまっている部分があるので、この網をより細かく、より広く掛けることによって、著しい困難がある子たちですから、10.6%というものを改善していくより、9割の支援を受けてない子に対する支援にもつなげていけるのではないかと、そういう意見がございました。
【荒瀬座長】  市川先生、どうでしょうか。3つ目は、表の見方の問題かと思うのですけれども、まだまだ先は長いねというのをここから見るということが大事かと思うのですが、2つ目の話は、十分、引継ぎができていないから見えていないみたいなところがあるのかということかと思うのですけれど、どうでしょう、市川先生。
【市川(裕)委員】  よく分かりました。ただ、1つの見方としてはそうだろうけれど、こういう理由というのが表に出てくると、例えば小学校5年生と6年生のところは何で上がったのかという矛盾点も出てきてしまうので、余りこれが1つの理由だ、みたいなことを持たれていない方がいいのかなと個人的には思いました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 では、すみません。私が気がつきませんでした。馬飼野委員、野口委員、奥住副座長の順でお願いいたします。馬飼野委員、お願いいたします。
【馬飼野委員】  よろしくお願いいたします。まず、念のためといいますか、確認なのですが、例えば2ページの表を見ますと、高等学校で、0.何%とかという数字が並んでいるわけなのです。こういった結果が出るような、非常に小さい数字だと思うのです。こういった結果が出るような調査をするときに、サンプル数なのですけれど、高等学校ですと3万4,000ぐらいというサンプル数です。
 これが、これだけのサンプルで、実際、実情をある程度、正確に把握することができるのか、誤差が大きくなってしまいやしないかというところが、恐らく大丈夫なのだろうと思うのですが、その辺のところを確認をしたいということと、実際、先ほどもお話がありましたが、高等学校の場合には、入学選抜があったりとか様々なタイプの学校があったりとかということで、入学する生徒は一様ではないんです、学校によっていろいろ違うと。
 そういったときに、無作為に高等学校を選ぶということだったかと思うのですけれど、そうしたときに、サンプル数によっては、実情を的確に捉えられるのかと。無作為に選んだ学校が、少し実情とは違うところ、実情を外してしまうようなことがあるのではないかというところを、心配をしました。ですから、その辺、大丈夫かなというところです。
 それはそうとしてなのですが、実際問題、小学校、中学校では、著しい困難を示すのが8.8%、高等学校でも2.2%もいるということなのですよね。2.2%といいますと、通常の学校でも2桁、10人ぐらいは、そういう生徒がいる、多い学校だと20人ぐらいいると。単純にそんな計算になるかなと思うのですが、それを考えると、この会議もそうなのですが、実際、対応を本当に真剣に考えていかないといけないんだなと考えております。
 すみません、もう一つなのですが、先ほどの5ページでしたか、5ページのところの小中学校では9割の子供たちが通級による指導の対象にはなっていないということが話題になりましたけれど、実際、最初のお話で、この調査は著しい困難を示すということで、必ずしも発達障害とか知的障害とか、そういうことではないというお話でした。今、通級による指導は、例えば都立学校では、発達障害というのが対象になっているわけなのです。ですから、著しい困難を示す児童生徒の全てが通級による指導の対象というわけではそもそもないのだろうなと思っています。
 そう考えたときに、ここには10.6%が機会の充実が図られていると、割と高い評価になっていますので、そもそも通級による指導が必要だという児童生徒に対する割合というのは、どれぐらいのものなのだろうと。それを見ないとなかなか評価というのは難しいのかなと思います。
 いずれにしろ、高校の場合は、5.6%でまだまだということですので、ここはしっかり本当に取り組んでいかないといけないところだなと感じております。
 すみません、感想になってしまいましたが、以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。
 今、御指摘のあった、御質問もあったかと思うのですけれども、あと最後、まとめて事務局の方でお願いしたいと思います。では、野口委員、お願いいたします。
【野口委員】  ありがとうございます。調査をおまとめいただきまして、ありがとうございます。
 今回、先ほど御指摘のあったとおり、発達障害のある子供ということではなくて、教育的支援が必要な、先生から見て教育的支援が必要な子供たちの割合ということで、今の学級や授業の在り方との相互作用で支援が必要と見られている子供たち、つまり、今のままでは支援が足りていないという先生たちの、ある意味、SOSなのではないのかなと思っています。
 ニーズは認識しているけれども、でも、そこに対してどうしたらいいか分からない。手だてに困っているというような状況が見えてくるのではないのかと思います。今も委員からの御指摘にあったように全ての子供、ここで言われた8.8%、全ての子供について、別の場で個別的な支援が必要かというと、そうではないと思っています。この結果を踏まえると、具体的な今後の施策としては、通常の学級にこれだけ支援が必要な子供がいるということを前提として、学級経営や授業づくりをするということ。その上で困難さを、それでも困難さがある子供については、個別的な支援を検討するというプロセスが、2段階のプロセスが大切だと思うのです。
 今はどうしても通常学級で困難さがある、イコール、個別的支援が必要だと。別の場での支援が必要とどうしてもなってしまっていると思うのです。本当は、それ以外にも通常学級でできる支援はたくさんあって、授業づくりの工夫とかもあって、例えば、ある自治体では自由進路学習の方式で授業をしたところ、それまでは個別的支援が必要とされていた子供も問題なく授業に参加することができたというような事例ですとか、別の学校では、行動面で行動上に困難さのある子供がいたときに、その子供に対して支援をするだけではなくて、学校全体で子供の行動を支援する、学校規模で取り組む、ポジティブな行動支援という仕組みを導入したところ、それまで個別的な支援が必要だと思われていた、行動上問題が出ていた子に問題が見られなくなったということもあります。なので、通常学級の先生たちがそういう取組を知るということがとても大切なのではないかなと思います。
 アメリカでは、特別支援教育の対象になるかどうかについては、今、お伝えしたような形で、まずは通常学級において予防的なユニバーサルな支援をした上で、それでも難しい子供について、特別支援教育の対象とするかどうかというのを検討する、Response to Interventionという仕組みが導入されているところがたくさんあります。今、私が助言をしている学校では、この仕組みを参考にして、学期に1回、学年担任たちと、あとコーディネーターと一緒に、通常の学級の子供たち、全てのこれまでのテスト結果の状況とか生活に関するアンケートとか、先生の所見などのデータを一緒に眺めながら、この学級に対して通常学級全体でできることは何だろうということを検討しています。それでも難しい子供については、通常学級で個別的な支援、その先生が実現可能な個別的な支援はどういうことなのだろうということを一緒にプランニングするようなことを学期に1回やっています。
 どうしても今の校内委員会の進め方として、既にニーズが顕在化している段階で、個々の支援を検討しているケースが多いので、そうなると、どうしても個別の支援に偏りがちだと思っています。そうなってしまうと、どうしても学級の中で3人も個別支援が必要だ、私はできませんという話になってしまうので、そうではなくて、集団の中でできる集団全体に対する工夫は何なのか。集団の中でできる、その先生にとって実現可能な個別的な支援は何なのか。それでも難しい場合に通級による指導とか特別支援学級の必要性を検討していくという、そのプロセスがとても大切なのではないかなと思っています。
 それをファシリテートしたり助言をしたりするという役割が必要で、ちなみにアメリカの場合は、スクールサイコロジストがその役割を担っているケースが多いと聞いています。例えば、日本でいうとコーディネーターがその役割を担えるように、今の業務負担を例えば減らすのがいいのかとか、あるいは別のそういう人が必要なのかなど、そういった通常学級における支援の在り方ということを校内全体でどう検討していくかという、それをどういう体制だったらできるのかということを検討していく必要があるのかなと思いました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変具体的な御提案を頂戴したと思います。ありがとうございました。
 それでは、奥住委員、次、御発言いただきますが、その後、平野委員、氏間委員、梅田委員の順でお願いいたします。大変申し訳ありませんが、もう1件の議題もございますので、一旦、梅田委員までとさせていただきたいと思いますが、この件に関して、御発言を考えていらっしゃる方がいらっしゃれば、今、手を挙げていただけますでしょうか。では、喜多委員、ほか、よろしいですか。じゃあ、もう一度申し上げます。今から奥住副座長に話をしていただいて、御発言いただいて、平野委員、氏間委員、梅田委員、喜多委員までと、一旦させていただきます。よろしくお願いいたします。
 では、奥住副座長、よろしくお願いいたします。
【奥住副座長】  奥住でございます。副座長の立場ですが、失礼して意見を申し述べさせていただきます。
 まずは、生方企画官、宮﨑委員、御説明ありがとうございました。大変分かりやすい御説明を感謝申し上げます。
 お二人の話を伺って、各担任教員の子供の実態把握の力量が高くなったと、見ることができるだろうと思っております。この点こそ、この10年間で大きく向上した教師の資質とまずは見ることができると思います。
 一方で、そうした中で、どうしてもいまだに担任教員お一人お一人が抱え込んでしまい課題を校内委員会などの校内全体での解決につなげられていないという結果が反映されているのではないかと思っています。このことについては、担任の先生教員が単独で解決できると思ってつなげないのか、それとも、つなげたくても校内全体での解決につなげにくい状況にあるのかということの判別は難しいのですが、少なくとも校内委員会を形骸化させない取組は重要です。校内全体で特別支援教育を取り進めるということの意義を改めて見直す必要があるのではないでしょうか。
 また、先ほど野口委員の御発言と重なるところもございますが、困っている子供それぞれが、どのレベルで支援を必要としているのかについて校内全体で検討することが必要なのだろうと思います。例えば、学級の中での担任教員による配慮や工夫で活躍できる状況にあるのか。特別支援学校のセンター的機能等の活用など外部専門機関との連携が必要なレベルなのか。特別支援教育支援員等による支援が必要なのか。それでも支援が十分ではないために通級による指導という特別な教育の場での指導につなげるのかなど、支援を他水準に考えつつ、校内委員会で検討することが必要なのだろうと思って読み取らせていただきました。
 以上を整理すれば、校内全体で支援の取組を進めていくことの重要性、そして、必要な児童生徒が確実に通級による指導を受けられる体制づくり、通級による指導の量的拡大の必要性が読み取れたと思います。ありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今、奥住先生のお話を聞いていまして、これって実はカリキュラムマネジメントとして、しっかりと校内に位置づけていくことによって、校内委員会の活性化みたいなものも考えていくということが大事かなということを思いました。ありがとうございます。
 平野委員、お願いいたします。
【平野委員】  お願いします。調査と見解など、ありがとうございました。
 私の経験上の話なのですけれども、私の経験上の話なので、どこまで正しいかが分からないんですが、今回のデータの読み取りとか、それにある背景とか原因が正しく、そこを考えられないと、今後のことを考えるに当たって方向がずれてしまったりすると思うので、私の経験上の話をお話しさせていただきます。
 最初に、話が少し議題に上がった、小から中への引継ぎができていないことが原因になっているのではないかという、最初にお話があったと思うのですが、私の経験ではそれはないのではないかと。そこが原因ではないような気がします。といいますのは、私は静岡県で教師をしていて、そのとき小学校、中学校両方とも経験があります。そのとき、小学校から中学校への引継ぎはかなり綿密に行いましたし、中学校側のときも、小学校の先生からの引継ぎの資料というのはしっかりと、一人一人にこの子はどういう支援が必要でみたいな、必要ならば直接お話しして、というぐらいの感じで、割と引継ぎはされていたと思いました。
 そして、もう一つは、現在の住んでいる山梨県のお話ですけれども、ここでは、私は保護者として、自分の娘が特別支援学級に、小学校のとき所属していて、中学校に上がるときに、どういう教育環境でお願いするかと考えたときがあったんですけれど、そのときも小学校のときの担任の先生と、それから今度、お世話になる中学校と、両方の先生とよく話をさせていただいて、自分の娘がどういう形で、どういう支援が必要で、実際、どういう教育形態を取らせていただくかみたいな話を結構させていただいたりしていましたので、引継ぎはちゃんと行われていたなと感じています。うちの娘の場合は、小学校の6年間で割りと成長したかなと思ったので、小学校、中学校、それぞれの担任の先生というか、学校の先生と話をさせていただいて、通常学級で授業を受けさせていただきながらも、特別支援学級の先生にもフォローしてもらうみたいな形を取らせていただいたのですが、だから引継ぎ、小学校、中学校が同じ地域で引き継がれている場合に限るとは思うのですが、割とそこの引継ぎについては、しっかりなされているのではないかと、2県については思います。
 ただ、中学校から高校とか、又は私立とかで受験して遠いところに行った場合は、私にも分かりませんが、今後のことを考えるに当たって、正しい理由が分かっていた方がいいのかなと思ったので、自分の経験をお話しさせていただきました。参考になれば、今後に役立てていただければと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変重要な御指摘であると思います。1つのデータをどう読み取るかというところで、非常に参考になるお話を頂きました。ありがとうございました。
 では、氏間委員、お願いいたします。
【氏間委員】  ありがとうございます。調査の詳細について御説明ありがとうございました。
 資料の4ページ目の、2つ目の丸ですけれども、本文中にもありますように、本調査は困難を示す児童生徒の割合を推定する調査であることと、増加の理由を特定するのは困難であることと前置きがございまして、それはそのとおりだと思いました。個人要因を同時に取得して、関連性を検討できない以上、この考えはとても妥当だなと考えられました。
 そのような限界があることを前提にしながらも、理由について言及している理由について、説明していただけると有り難いなと思います。と申しますのも、このように想定される理由を挙げることによる影響はとても大きいと思われますので、可能性のあるものといったような前置きをしながらも、この理由を具体的に記すということは可能な限り、避けるべきではないかなと思われます。何かエビデンスが特にあるのであれば、もちろんそれはその限りではありませんけれどもということで、その辺り、もう少し説明いただけると有り難いなと思った次第です。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。こういったことにつきましても、最後まとめてお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 では、梅田委員、お願いいたします。
【梅田委員】  調査の御報告ありがとうございました。詳しいデータを見ることができてよかったと思っています。
 パーセンテージが増えたことについては、御説明のとおりかと思っています。10年間たったことで、教員の見る目というものも変わってきたということと、特別な支援を必要とする子供についての認識ができるようになってきたんだと思っています。
 ただ、そう考えたときに気になるのが、先ほど御説明にあったように、6年生はまた5年生より上がっていますが、全体的に年齢が上がるにつれて、パーセンテージが下がっている。これは前回の調査も同じだったようには思いますけれども、それが、支援の効果とか単純に考えていいのかということです。今のように、見る目がということであれば、先ほどの引継ぎが本当になされていないせいかどうかは不明だとは思っていますが、説明もあったように、見る目ということで考えると、小学校の教員より中学校の教員、中学校の教員より高等学校の教員の方が、乱暴な言い方をしてしまえば、見る目が育っていない、ということは全く考えられないのかということです。
 高等学校については、私も先ほど馬飼野先生がおっしゃったように全く同感で、通信制にはかなり流れていると感じています。要は、不登校、学習の困難が起きて不登校になって学校に行けなくなった子供たちが、かなりの割合で通信制の高校に行っていますので、今回、定時制は対象にはなっているものの、通信制高校が外れていることの影響はないかと考えます。実際の教員の子供に対する捉え方とか受け止め方とか感受性というものが、小中高でどのように違うかということについて、今回の調査の委員会では、どのように検討があったのかということは、私も伺いたいと思っているところです。
 それを踏まえた上で、今回の調査については、あくまでも特別な教育的支援を必要とする子供ということで、発達障害のある子というわけではありませんので、全ての子供が通級指導教室で指導を受ける必要があるとは考えていませんけれども、そうなると、逆に通常の学級の担任の専門性がもっと上がるべきではないか。先ほど野口委員のお話にもあったように、通常の学級での授業というものをもっと考えていく、あるいは、学級定員というようなことを考えていく必要があるのではないかということ。加えて、校内の組織化というか、校長のリーダーシップの下、学校が組織として対応する、チーム学校というものをどう運営していくかというあたりが非常に大きな今後の課題になっていくのではないかなということを強く感じました。
 また、先ほどお話があったように、私自身もインターネットうんぬん、ゲームうんぬんという原因の推定が若干挙げられているわけですけれども、それがどこまで影響があるかということについては、更に、もしこういうことがここにもしかしたらということで挙がるのであれば、今後、そういったことについても、本当に影響があるのかどうかというようなことを調査していく必要があるのではないかと思いました。
 すみません、雑ぱくになりましたが、以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。重要な御指摘であったと思います。この辺も含めまして、後からまとめてコメントいただきたいと思います。
 では、喜多委員、お願いいたします。
【喜多委員】  詳細な調査の結果ありがとうございます。待ちに待ったというか、調査の結果を踏まえての会議で、検討していくことになるのだろうと思いますので、その根拠になるものが示されて有り難いなと思いました。
 1点です。私は、概要版ももちろん今、説明していただいて、了解したのですけれども、その前に、調査結果の詳細の方を見せていただいたところなのです。そこで、小学校だと、私は小学校ですので、10.8%の子供たちが、何かしら特別な教育的支援を通級指導教室に在籍の子供たちがいるということが出ていて、そうだなと思いましたし、実際、先生方や保護者の障害に対する理解が広く進んでいるからパーセンテージが上がったのだろうなというのはすごく感じて、すごく納得したところではありました。
 本文の中に、今回、学習面、行動面について、領域別に示した表の4というのがあるのですけれども、そこの分析が書かれていて、すごく私はそこを注目したのです。
【荒瀬座長】  喜多先生、申し訳ありません。ページを、7ページでしょうか。
【喜多委員】  これ私は本文の話でさせていただきたいと思って、ページで言えば、概要版の2です。
【荒瀬座長】  概要版の2ですか。
【喜多委員】  2のところでいいかと思うのですけれども、読む、書くとか、計算する、推論するという困難さを示すというものが、話す、聞くという困難さよりも、非常に増加率が高まっているであるとか、これは本文に書かれているのですけれども、不注意という問題行動を表すという児童の割合が、多動性、衝動性とか、対人性、こだわり等の問題を著しく示すよりも多かったということが書いてあるのです。そこはすごく大事だなと思うのです。
 これまで顕在化している、目に見えるような障害のある、障害というか、教育的支援が必要な子供たちに対しては、非常に目について、先生方も支援して、このように上げてきたと思うのですけれども、今回、そういった読み書き、計算、推論、あるいは不注意というような、少し見えにくい障害というか、教育的支援の必要な子供たちに対して、今回、調査結果で数値が上がってきたというのはすごく大事なことだなと思っています。
 今、現場でも、読み書き、計算、推論に関しては学習障害と言われていますけれども、学習障害に関わる特性のあるお子さんはすごく増えてきていて、ただ、お子さんに対しての通常学級の担任の支援というのは、なかなか行き届かないというのが正直なところです。正直、通級による指導を担当する先生方の専門性もまだ十分ではないところで、そういった子供たちがこれだけ顕在化している中で、どれだけ今後、手当てをしていくのかというのはすごく大事だなと、この調査を見て感じたところです。
 この調査で、概要版の3ページにあります、校内委員会において、教育的支援が必要とされている判断の割合だとか、通級による指導を受けている割合であるとかというのが出ていますけれども、学習面と行動面、分けて結果を出して分析してみると、また、違う計画が出てくるのではないかと、すごく個人的に感じたところです。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。先生の、しっかりと見て対応していくという力、それを学校全体でどうしていくのかということに、ほかの委員の方も御指摘あったわけですけれども、今、実際に小学校にいらっしゃる先生から、喜多先生からそういうお話を聞いて、ますます、こういうデータの共有とか、それに基づく、それぞれの学校での具体的な取組をどうしていくのかというのを考えていく。そのためにも、また研修をどうしていくのかということも非常に重要だなと思いながらお聞きしました。ありがとうございました。
 帯野委員も手を挙げていただいていますので、帯野委員、お願いいたします。
【帯野委員】  番外で申し訳ないのですが、先ほどの平野委員のお話から、私は重要なヒントを頂いたような気がしますので、一言だけ手短に。
 平野委員の経験的な話というのは、大変参考になりました。恐らく多くのところで引継ぎというのはなされていると思うのですが、問題は経験的ではなく、これを制度として定着していかなければならないということだと思うのです。小中高大であるとか、国公私であるとか、特に自治体間で、どれぐらい情報を制度として共有できるかというところだと思いますので、例えば、私は初等中等のことは分からないんですが、今、内申書のフォーマットというのも、恐らく自治体で異なっていると思うのです。だから、そういうフォーマットを統一するとか、伝達方法のところで制度として工夫できるところがないのかどうか、これを、事務局の方で御検討いただいて、教えていただけたらと思います。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。内申書というかあれですね、指導要録ということになるのですかね。
【帯野委員】  はい、失礼しました。
【荒瀬座長】  分かりました。ありがとうございます。
 では、一旦ここまでとさせていただいて、今、委員からいろいろと御指摘を頂きました。御質問もありました、まず、生方企画官でよろしいでしょうか。お願いいたします。
【生方企画官】  いろいろ御指摘、御質問ありがとうございました。
 まず、最初に馬飼野委員の方から、高校におけるサンプル数とか、あとは実態をなかなかつかみ切れてないのではないかという御指摘に関しまして、一応、こちらの有識者会議におきましては、統計学の先生にもお入りいただきまして、今回、高校が初めてということで、いろいろ検討いただいた結果、最初の概要の1ページにもございますように、抽出数としましては、中学校の児童生徒数で言いますと、約1万8,000人に対して、倍の3万5,000人近くから抽出してございます。学科も高等学校は多様でございますが、それぞれ全日制、定時制と、あとそれぞれの学科、バランスを考慮した上で抽出をしているというものでございます。
 ただ、一方で、今回、この調査の対象が、私立が入っていないということ、また、先ほど来、話がございましたように、通信制課程、繰り返しになりますが、これは教員の回答というものでございますので、なかなか通信制課程の生徒さんだと接する機会が少ないといったようなことから把握しづらいということで、今回は外してございますので、そこら辺が除外されているということからすれば、実態を的確に踏まえているかと言われれば、難しい一面もございますが、基本的には、統計学的にサンプル数等については十分ということでございます。
 あと、10.6%というものがございましたが、どのくらいのレベルが適当かということにつきましては、こちらの方としましては、定量的にはなかなかそういった調査を行ってございませんので、はっきりは申し上げられないんですが、一方で、高校につきましては、平成30年度に制度化をしてございまして、一応、そのときに、最近の調査では、2,400名ぐらいが通級による指導を希望していると。そのうち約半分の1,200名ぐらいが通級による指導を受けているという結果もございますので、そういった意味においては、しっかりそういったニーズがあれば、先ほど奥住副座長からもお話ございましたように、今後、通級による指導の量的拡大というものをしっかりしていくなど、条件整備をしていく必要があるのかなと。失礼しました。最近の調査では、2,400名のうち1,300名が通級による指導を受けていると。ですから、そういった意味ではニーズをしっかり捉えられていない現状がございますので、高校も含め、しっかり今後、充実していく必要があると考えてございます。
 あと、氏間委員の方から、理由のところでございます。基本的に今回、検討会議で考察いただきましたように、増加理由については、はっきりは分からないというところでございますが、一方で、具体的な理由を示しているというところと、あと、エビデンスということでございました。
 繰り返しになりますが、今回の調査は、発達障害のある児童生徒の割合を推定するものではないこと。あくまでも学習面、行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合を推定しているものということを御理解いただければと思います。その上で、子供たちの生活習慣や取り巻く環境の変化として考えられる影響として、可能性として例示したもの、そこのエビデンスとしましては、学力状況調査、全国学力状況調査の質問紙調査などの結果なども考慮して、子供たちの生活習慣、取り巻く環境の変化ということで、有識者会議において御指摘を頂いたということで御理解いただければと思います。
 取りあえず、私の方からは以上でございます。
【山田課長】  引き続きまして、特別支援教育課長の山田でございます。
 大変、この調査結果を受けまして、委員の先生方の大変示唆に富んだ御意見、御感想を賜りまして、ありがとうございました。
 今、質問事項については、生方からお答えを申し上げたとおりでございます。我々も、この調査自体も悩みながら、高校の出し方、学校をどういうふうに選ぶのかとか、難しい課題を承知しながら、抽出という形でやって、誤差の範囲も、2ページのところには表示をしておりますけれども、実施をしているというところと、小中高と上がるに従って、小学校は全教科を見ていたりとか、中高になると教科別になるとか、あるいは、高校には特別支援学級がないこともあって、特別支援教育を、専門性が高い先生が少ないのではないかみたいな御指摘も当たっている部分もあろうかと思いますけれども、そういった課題を把握して、この会議で御議論いただくためにやったという意味では、今日、先生方からいろいろ御意見を伺ってよかったなと思っておりますし、例えば通常の学級でどういう支援ができて、その次に取り出して何をするのかと、そういうプロセスの議論も大変重要だなと拝聴いたしました。是非、今日頂いた御意見を踏まえて、今後、年度末に向けて、我々と事務局としても、必要な資料もお出しし、報告案も作成したいと思っています。ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今、まとめた形でお話しいただきましたが、加えて何かございましたら、お願いをいたします。よろしいでしょうか。
 では、これをしっかりと見ながら、今、見方についても様々な視点があるということも改めて確認をしたところでございますので、具体的にどういう形で、一人一人の子供にとって、学級ないしは学校での学習によいことになっていくのか、良い環境がつくれるのかということを考えていくために、調査結果も大事にしていきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議事に入ります。前回の会議におきまして、今後、更に検討を深めていくべき事項として、「学校教育法施行令第22条の3の障害の程度に該当する児童生徒に対する通常の学級での支援について」を挙げていただきましたので、改めて、今日、時間を設けて御議論いただきたいと思っております。
 この件に関しまして、まず、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【生方企画官】  ありがとうございます。続きまして、施行令22条の3の障害の軽度に該当する児童生徒の現状について、御説明を、まず、させていただければと思います。
 まず、1ページ目でございます。こちら、22条の3の関係法令等につきまして、確認をさせていただければと思います。まず、学校教育法第72条、こちらの方で特別支援学校の目的が規定されてございます。75条におきましては、72条に規定する視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、又は病弱者の障害の程度は政令で定めると。実際に、施行令の22条の3で定められていると。75条の政令で定める視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由者、又は病弱者の障害の程度は次の表に掲げるとおりと、この規定等によりまして、特別支援学校に就学する障害の程度が規定されているというものでございます。例えば視覚障害者であれば、両眼の視力がおおむね0.3未満の者、知的障害者であれば、知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で、日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度の者ですとか、肢体不自由者であれば、肢体不自由の状態が補装具の使用によっても歩行、筆記等、日常生活における基本的な動作が不可能、又は困難な程度、こういったように規定されているところでございます。
 おめくりいただきまして、2ページ目でございます。こちらのそれぞれの対象となる特別支援学校、特別支援学級、通級による指導と、対象となる障害の種類と程度が示されているものでございます。
 3ページ目でございます。こういった障害のある子供に対しまして、今は現行、多様な学びの場ということで、特別支援学校、小中学校の特別支援学級、通級による指導、こういった場合において、少人数の学級編制、特別な教育課程により、指導及び支援が実施されていると。幼児、児童、生徒数を見ますと、特別支援学校であれば、義務教育段階でございますが、全児童生徒数の0.8%、右の特別支援学級であれば3.4%、通級による指導は1.7%という状況でございます。学級編制は、特別支援学校ですと1学級6人、高校ですと8人、重複であれば3人、特別支援学級であれば1学級8人、通級による指導であれば13人に1人の教員を措置と。こちらにつきましては、今、段階的に基礎定数化をしているという状況でございます。そのほか教育課程については、この後、別途御説明させていただきますが、それ以外に、先ほどの調査の結果でも出てございましたように、個別の教育支援計画、個別の指導計画を作成することを義務づけているところでございます。
 おめくりいただきまして、4ページ目でございます。実際、児童生徒の就学決定のプロセスでございます。まず、4月1日に入学する前の、入学前の年度、10月31日までに学齢簿の作成、そして就学時健康診断、先ほど御説明しましたように、施行令22条の3の障害の程度に該当するか否かと。25年以前であれば、これが該当しますと、原則特別支援学校へ就学する。ただ、小中学校において、適切な教育を受けることができると認められる者については、小中学校に例外的に就学するという制度が取られていました。こちらの方につきましては、25年度に見直しを行いまして、該当した場合におきましても、保護者等の意見聴取、意見確認、そして教育的ニーズの整理、必要な支援内容の検討、更には専門家からの意見聴取、こういったことを総合的に判断し、合意形成した上で就学先を決定するというプロセスになってございます。その結果、特別支援学校、ないしは小中学校の方に就学すると。就学した後におきましても、在籍校と教育委員会等が連携した学びの場の変更ということで、総合的に判断、見直していくというような立てつけになってございます。
 5ページ目でございます。実際に、22条の3の規定に該当する、障害の程度に該当する子供たちの調査結果でございます。これは令和元年度の調査で、新しく小学校に就学する1学年の状況でございます。ですから、30年のときにどういうところに就学しているかというものを調査したものでございます。実際には、全体として、平成30年度に市町村教育委員会等の調査、審議対象となったものが6万2,442人。そのうち、1万887人が学校教育法施行令22条の3の該当と判断され、その中で、1万887人の内訳としましては、約73.5%が特別支援へ、26%が公立の小学校の方に就学しているというものでございます。
 6ページ目でございます。これは、先ほど新1年生の調査でございますが、令和元年度の全学年を見ますと、例えば小学校ですと、約92.2%、1万5,858人のお子さんが特別支援学級の方に在籍している。通常の学級には1,344名、そのうちに通級による指導を受けている者は227名という状況です。中学校も以下同様でございます。
 (2)でございますが、これは障害種別ごとに分布して示したものが以下のとおりでございます。こちらは通級による指導を受けている者のところで、知的障害のところは斜線が引いてございますが、現状は制度上、知的障害の方の通級による指導は対象外となっているという状況でございます。こういった通常の学級に在籍する22条の3に該当する生徒への具体的な支援について、御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、7ページ目でございます。こちらは特別支援学校のセンター的機能ということで、学校教育法74条の方に規定されてございますが、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、又は中等教育学校の要請に応じて、障害のある児童、又は生徒の教育に関し、必要な助言、又は援助を行うよう努めるものと、いわゆるこれがセンター的機能というものの規定でございます。
 特別支援学校、小中学校の学習指導要領におきましても、小中学校等の要請により、各学校の教師の専門性や施設設備を生かした地域における特別支援教育のセンターとしての役割を果たすよう努めることということが記載されてございまして、逆に小学校の指導要領におきましても、特別支援学校等の、助言、又は援助を活用することとなってございます。
 具体的には、下の方に1から6とございますように、特別支援学校の専門性を有する教員等から小中学校との教師への支援機能ですとか、3番のところにありますように、障害のある幼児、児童生徒への指導支援機能、また、5番のところにありますように小中学校との教師に対する研修協力の機能、こういったことで支援を行っているというものでございます。
 また、8ページ目につきましては、22条の3に該当する通常の学級に在籍する子供たちに対する通級による指導の充実ということで、自立活動を中心とした教育課程を編成し、支援を行っているというところでございます。
 9ページ目、これは推移でございまして、右肩上がりに通級による指導を受ける児童生徒が増えているというところでございます。こちらの資料の方では、いわゆる先ほど来から話がありましたように、発達障害のお子さんを対象とした通級による指導が増えてございますが、そのほかにも弱視、難聴、肢体不自由、病弱等につきましても、こちらの通級による指導を受けているという状況にございます。
 10ページ目でございます。こちらは、そのほか特別支援教育支援員、こういったものを通常の学級に配置いただいて、そういったお子さんへの支援を行っているというものでございます。
 11ページ目、こちらの方は、先ほどの支援員の配置の状況でございますけれども、配置実績を踏まえて地財措置をしている、予算措置をしているという状況でございます。
 12ページ目でございます。駆け足で恐縮でございますけれども、先ほど通級による指導の対象に知的障害の児童生徒がなっていないという御説明をさせていただきましたが、現状の検討の状況でございます。まず、これは古いんですが、なぜそもそも通級による指導の対象になっていないのかというところでございますが、知的障害については、精神発達の遅れやその特性から、小集団における発達段階に応じた特別の教育課程、指導方法が効果的であり、このため、原則として、主として特別支援学校において、いわゆる固定式による指導をすることが適切であることが述べられているとか、あと、Q&A等におきましても、知的障害については、知的障害者に対する学習上、又は生活上の困難の改善、克服に必要な指導は、生活に結びつく実際的、具体的な内容を継続して指導することが必要であることから、一定の時間のみ取り出して行うことはなじまないことを踏まえ、現在、通級による指導の対象とはなっておりませんといったような理由から、現行は対象にはなっていないということでございますが、27年に地方からの提案等も頂きまして、そういったことも踏まえて、現在、通常の学級に在籍する知的障害のある児童生徒に対する通級による指導を行う研究事業を現在、文部科学省で行っているところでございます。
 具体的には次のページ、13ページ目でございますけれども、中ほどでございますが、令和3年度、4年度、2か年度におきまして、宮城教育大学、狛江市教育委員会におきまして、通級による指導の有効性等について調査研究を行っていただいているという状況でございます。
 14ページ目でございます。こちらの特別支援学校ですとか特別支援学級、通級による指導などにおきましては、特別な教育課程を編成することができることになってございます。まず、特別支援学校でございますけれども、自立活動の実施に加え、障害の状態に応じた弾力的な教育課程が編成可能となってございます。また、知的の特別支援学校では、知的障害の特性等を踏まえた各教科が設定されております。編成の主な例でございますが、下学年の教育課程を編成することができる。また、2ポツ目、知的障害特別支援学校、各教科に一部又は全部を替えた教育課程を編成することができる。更には、自立活動を主とする教育課程を編成することができる。こういったことが、弾力的にできるようになってございます。
 右の方、特別支援学級でございますが、自立活動の実施に加えまして、実態に応じて特別支援学校の、先ほど御紹介しました、学習指導要領を参考とした特別な教育課程が編成可能ということでございます。更には通級による指導でございますが、通常の学級の教育課程に加え、又は、その一部に替えた特別の教育課程を編成し、自立活動を実施することができるとされてございます。一方、通常の学級においては、特別な教育課程を編成することはできないということでございます。
 以下、15ページ目、先ほど特別支援学校、特別支援学級等、特別支援学校等の具体的な編成例ということで、下学年の教育課程を編成する場合の例ですとか、続きまして、こちらの方につきましては、例えば、4学年で編成される下学年の教育課程の例として、国語、算数については、小3のものを使うといったような教育課程の例でございます。
 16ページ目、こちらの方は、特別支援学校、知的障害、各教科の一部、又は全部を替えた教育課程を編成する場合の例というものでございます。
 最後、17ページ目、自立活動を主とする教育課程を編成する場合の例ということでお示しをさせていただいてございます。
 18ページ目は関係する法令を列挙しているところでございます。
 駆け足になって恐縮でございますが、以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは、委員の皆様からの御意見を頂ければと思います。御質問も含めてお願いをいたします。また手を挙げていただけますでしょうか。馬飼野委員、野口委員、帯野委員、そして笹森委員、まず、4人の方、この順番でお願いいたします。では、馬飼野委員をお願いいたします。
【馬飼野委員】  御説明ありがとうございました。私は高等学校の教員ですので、高校の教員としての立場からお話をさせていただきたいと思います。
 まず、高校なのですけれど、高校というのは入学者選抜があるわけなのですが、要はどこを受けるかというのは、これは、最終的には保護者本人が決めるということになります。先ほど小中ですと、様々な検討の機会があって、保護者本人の意見を尊重して、最終的には教育委員会が決定ということなのですが、高校の場合は、保護者本人が最終的に決定をするということになります。ですので、よりいろいろな情報というのはきちっと伝えて、的確な判断ができるようにしていかないといけないなと思っております。
 実際、障害の程度に関わらず、受験ができるということです。高校なのですけれど、高校入学すると、学校生活の中で様々なことを体験していろいろ身につけて、卒業するということになります。ですから、卒業が1つの目標ということです。卒業なのですが、高校の場合ですと、卒業するためには、教科科目の単位認定というのがあります。要するに、取り組んだその成果、取組を含めて、そういった姿勢も含めてですけれど、教科科目の目標に照らして、満足がいくようであれば習得を認定するというようなことになります。
 知的障害がある生徒さんなのですけれど、そういった生徒に知識や技能、思考力や判断力、表現力と、そういったことで満足いくような成果を得るというのは、これはなかなか簡単なことではないと思っています。何をもって満足するかというのはいろいろあるかなとは思うのですけれど、少なくとも、公平性ということは確保しないといけない。つまり、ある生徒の成果で修得を認めたということであれば、ほかの生徒が同じ成果を上げているのであれば、そちらも認めないといけないのかなと思います。もちろん様々、障害のある生徒へは、学校生活を送る上での様々な配慮ですとか支援を行っていくわけなのですけれど、ただ、全てできるかというと、どうしてもできることとできないことというのがありまして、単位認定をする際のいわゆる基準、これを下げるというようなことはできないことになるのかなと思います。教科とか科目の評価というのは絶対評価ですので、個々、到達目標が同じではなくてもいいというようなことがあるのですけれど、そうは言っても、現場では、なかなかそうも言っていられないというか、ある程度、一定の公平性は必要だなというところです。
 そう考えますと、特に知的障害のある生徒の高校での学習指導というのは非常に課題があるなというところです。問題提起ということだけで大変恐縮なのですけれど、単位認定というのはどうしても避けて通れないということで、何とかしないといけない課題かなと思っております。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。現実的なお話を頂いたということで、本当に高等学校教育のある意味、難しさを言っていただいたと承りました。ありがとうございました。
 では、野口委員、お願いいたします。
【野口委員】  ありがとうございます。事務局の方で丁寧にまとめて御説明いただきまして、ありがとうございます。
 22条の3に該当する、つまり支援の必要性がとても高い子供について……。
【荒瀬座長】  野口委員、すみません。ちょっとお待ちください。どなたかマイクが入った状態、事務局ではないですね。マイクがもしオンになっていましたらミュートにしていただくようにお願いいたします。すみません、野口委員、お続けください。
【野口委員】  大丈夫です。22条の3に該当する子供たちというのは、つまり支援の必要性がとても高い子供たちだと思うのですけれども、そういった子供たちについて支援体制、人的資源というところをどう整えるかというのと、あと教育課程をどうするのかという2つが大きな論点なのかなと思っています。
 つまり特別支援学校における特別の教育課程が適切だから特別支援学校にこれまでいたわけであり、その子供たちが通常の学級においても特別の教育課程を学べるようにするためにはどういう仕組みが必要なのか、これは前回も国連勧告を踏まえて御提案した、原則通常学級に在籍して、必要に応じて別な場で学ぶという特別支援教室構想を具体化する上でもすごく重要な論点かなと思っています。
 先ほど事務局からのお話にありましたが、知的障害のある子供の通級による指導のモデル事業というのを、私も少し関わらせていただいているので、そこで分かったことを共有したいと思います。これまで1年半ぐらい取り組んでいて、子供たちにも通常の学級にも変化が見られつつあります。知的障害のある当事者の子供たちはできるようになったことが増えていて、通常学級ではユニバーサルな学級経営とか授業づくりというような観点で、先生たちが工夫をすることが増えたりとか、あと、授業の中で、その子がその子に合った学びにアクセスするための工夫というのが実践されるようになってきているかなと思います。
 知的障害がある子供は通級による指導の対象と、先ほど説明にあったように今はなっていませんけれども、支援体制を工夫することで一貫した指導や支援というのは可能なのではないかなと思っています。
 ポイントとしては、まず、学校全体で取り組むということです。校内研修でインクルーシブ教育やユニバーサルの支援について扱うことによって、今は全ての学級の学級担任が、例えば指導案においても、インクルーシブな工夫としてこういう工夫ができるのではないかということを位置づけたりということが検討されています。
 また、2つ目は通級による指導の担任が通常の学級に柔軟に入り込み支援をしている、この入り込み支援というのがかなり肝でした。ただ、子供たちを取り出して通級指導教室で教えるというだけではなくて、その子の日常の生活の場である通常の学級の中に入り込んで一緒に方針を決めていく。あるいは、逆に通常の学級の担任が空(あ)いている時間に通級による指導を見に来るなど、そういうことが実践されていまして、綿密な連携がされて、子供だけではなくて、教師が柔軟に場を行き来できるということもかなり肝かなと思っています。そうすることで一貫性が保たれて、かつ役割分担ができると。
 あとは、学習サポーターという形で、支援員のような方が通常学級において、その子の方針に基づいて支援をしているということ。あと、やはり大きかったのは、私自身が助言者としても関わらせていただいていますが、特別支援教育の専門家が定期的に、通級指導担当教員だけではなくて通常の学級の担任の先生に対して、通常の学級の中でできる工夫というのをお伝えしたりとか、そういう時間をかなり定期的に丁寧に設けているというのも肝だったかなと思います。
 つまり、特別支援教育の専門性というところと、通常学級における専門性、集団における支援というのが融合されて、学校がチームとして支援ができる体制が肝なのかなと思っています。1人の先生が全てやるって無理なので、柔軟に役割分担ができるようにする。限界がありますよね。専門性を高めればいいとずっと言われていますけれども、それってやはりすごく限界があるので、結局チームとしてどうやっていくか。それができる体制をどう整えていくかというのが肝かと思っています。
 先ほどのような調査結果を含めても、障害のみではなくて、不登校だったり家庭に困難さがある子供とか、先日、報告が出ましたが、ギフテッド傾向のある子供だったりとか、いろいろなニーズのある子供たちにとって、そうやって柔軟にチームが組めるような体制というのは、すごくいい体制ではないかなと思います。
 これを実現するためには、通常の学校と特別支援教育の専門性を一番持っている特別支援学校が、今よりもっと密にチームとして連携できるというのが理想的なのではないかなと思っています。今もセンター的機能がありますけれども、やはり物理的に離れていますよね。なので、頼むのはすごく頼みづらいです。通常の学校にいて、センター的機能を頼みたいなと思っても、すぐに来てもらえるわけでもないですし、頼みづらいですよね、関係性上も。密な連携が難しいです。その結果、子供たちも交流及び共同学習が限定的にならざるを得ない状況になっていると思います。年に1回、行事のときだけというところが多いと思うのです。それって果たして国連の勧告にあったように、共生社会を形成するためのインクルーシブ教育なのかという疑問もあると、皆さんもそうなのではないかなと思います。
 それを踏まえると、以前、御発表にあった兵庫県で、高等学校と特別支援学校が施設を共有している阪神昆陽の実践がすごく参考になるのではないのかなと思っています。例えば同じ敷地内に通常の学校と特別支援学校があって、子供も教師も柔軟に行き来ができるような体制をつくる。通常の教育と特別支援教育の融合というか、一緒に考えていくことができる、教師も協力し合って、子供たちも日常的にインクルーシブな環境にいるということができるのではないのかなと思っています。
 これは前回、私が御提案した特別支援教室構想というのを、通常の学校の中だけではなくて特別支援学校も含めて実現していくというような、そういう御提案です。どこまでハードルがあるのか分からないですけれども、例えばモデル実践のような形で、まずは研究開発的に実践をして、その中でどういうふうに教育課程の問題をクリアしていくかというのを検討していけると、いい実践ができるのではないかと。そこからヒントを得て、全国に広めていけるのではないのかなと思いました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今、お話の中で御指摘いただきました、第4回のときに、兵庫県教育委員会から御発表いただきましたが、その際、阪神昆陽の取組についてお話を頂きました。これ、出ますかね。ありがとうございます。ここの部分です。もう一度、簡単に見ていただきたいと思うのですが、阪神昆陽の、これは正に1つの敷地の中に2つの学校があって、今、野口委員がおっしゃったように、本当に近いし、行ったり来たりというのは、これも野口委員がおっしゃっていましたけれど、先生もできるし、生徒もできると、こういう状況です。これがまだ僅かな例であるということですので、注目を集めているわけですけれども、こういったものが具体に広がっていく、数が増えていくということがとても大事なのではないかなということを思いました。
 岐阜市に、岐阜市立の中学校で、名前を今忘れてしまった。不登校の子が集まる中学校があります。その中学校は、教室とか、あるいは時間割とか、そういったものが極めて子供たちベースで成り立っているのですけれども、その学校というのも珍しいので注目を集めるわけですが、それをそうではなくて当たり前にしていくということが大事だというお話を、岐阜市の元教育長とか関わった方々がおっしゃっていましたけれども、阪神昆陽もこれが特別なものではなくなっていくということが本当に大事なのかなと思いながら、お聞きしました。ありがとうございます。事務局の方、出していただいて。
 それでは、御意見、続けてお聞きしたいと思います。帯野委員、お願いいたします。
【帯野委員】  ありがとうございます。意見ではなく質問なのですが、多分私以外の全ての先生はよく御存じのことだと思うのですが、私も含めて、もしかしたら社会一般で分かりにくいのかなと思いましたので、資料の15ページと16ページですが、教育課程を編成する場合という例が挙げられておりますが、例えば15ページの左の7つの緑の教育課程と、右の4つの教育課程、この関係、そして、16ページの下の8つのブルーの教育課程と、上の9つの教育課程、ここの御説明だけ一言教えていただけたらと思います。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。よろしいですか。
【菅野視学官】  御説明ありがとうございます。視学官の菅野と申します。
 今の御説明でございますが、まず、15ページでございますけれども、緑で示させていただいておりますのは、いわゆる教科として示されているもの、そして、青で示されているものが領域ということになっておりますので、学習指導要領上は、各教科等として示しているということで色分けがされているということでございます。
 それから、次の16ページでございますけれども、同様に中学校の教育課程の教科とされているものは、学校教育法施行規則上、国語から始まっている緑があります。そして、青で示されているのが領域ということになります。色が同じだったので分かりにくかったかもしれませんが、下の青色の教科は、学校教育法施行規則に規定されております、先ほど御説明しました特別支援学校の知的障害のある子供たちのために、特性を踏まえて準備された各教科ということで整理がされているということでございます。よろしいでしょうか。
【帯野委員】  分かりました。ありがとうございます。ただ、更なる質問なのですが、そうしますと、特別支援学校の児童生徒のために指定された8つの教科の中で、普通の通常の教育課程の英語、外国語が1つだけ、知的障害の子供のためには、そこに加えられていないと、なぜ外国語が特別支援の子供のところには置き換えられるというか、加えられていないのかというところで、先ほどの御発言で公平性というお言葉がありましたので、外国語というのは極めて、通常であれば義務化されている部分ですので、なぜこれが不必要なのかという、その判断についてお伺いしたいと思います。
【菅野視学官】  ありがとうございます。特別支援学校、知的障害以外の学校については同様に、このように教科になっております。一方、知的障害の方におきましても、ここには示しておりませんけれども、外国語活動として、こちらの方に設定できることとなっておりまして、施行規則上は、それを取り扱わなければならないとはなっていないんですけれども、知的障害の状態等を踏まえて、しっかりと外国語活動を含め、これを取り扱うことになっておりますので、先ほどの委員の御指摘の点につきましては、きちんとそれで補償がされているというような状況でございます。
【帯野委員】  なるほど。ただ、公平性という意味では、できるということと、そうでなければならないというのは大きな違いがあると思いますので、公平性を考えると選択ではなくて外国語も学ばせるべきではないか。というのは、成果という言葉もありましたが、外国語活動、これは検討会の検討事項とは外れるかもしれませんが、読み、聞き、書く、話すというコミュニケーションだけではなくて、異なった文化に触れる、それによって人生がより豊かになるとか、外国語活動、外国語を学ぶ目的も多様ですので、公平性という意味では外国語だけが、例えば15ページの表でも、道徳や特別活動と同じように外国語活動が要するに英語が取り扱われているのは少し違和感あるのかなと思いますので、その点だけ、意見を申し上げさせていただきました。
【菅野視学官】  ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変重要な御指摘かと思います。
 具体的には教育課程を考えていく上で、専門的な検討がなされておりますので、そういったところへも、また御意見を伝えていただくということで、お願いしたいと思います。
 では、あと笹森委員、池田委員、中田委員、滝川委員、平野委員、それから宮﨑委員、梅田委員、小枝委員が手を挙げてくださっています。誠に申し訳ありませんが、本日は小枝委員までとさせていただきます。それと、時間の関係で、大変申し訳ありませんが、お一人2分程度で御発言を頂ければと思います。十分言い足りないということも当然あろうかと思いますので、その点につきましては、大変申し訳ありませんが、また事務局にメール等で御連絡ください。よろしくお願いいたします。
 では、笹森委員、お願いいたします。
【笹森委員】  ありがとうございます。それでは、できるだけコンパクトにお話をしたいと思います。
 前半の調査のことも少し絡むんですけれども、校内委員会できちっと判断した子供については、やはり支援にしっかりとつながっているということを考えると、校内委員会、校内の支援体制をつくるための機能の充実が大事だろうと思っています。となると、中核となる特別支援教育コーディネーターの専門性というのが、22条の3の子供たちの支援を考える上でもポイントになってくるのだろうなと思いますので、学校とか教員を支える仕組みをどうやってつくっていくかが大事かなと思います。そういう意味では、外部の専門機関の話にもつながるのですが、特別支援学校のセンター的機能の、さっき野口委員からもお話ありました、少し同じような、あるいは発展的に考えていて、センター的機能を間接的な相談や助言にとどまらず、例えば通級による指導の機能を持たせて、特別支援学校の先生が地域の学校に巡回指導ができるという形、障害の特性について専門性を有している先生方が、地域の小中高等学校の直接的な指導・支援についてもサポートに回れるということはとても大事なのではないかなと思いました。
 それから、通級による指導ですが、今回、学習指導要領に特別な配慮が必要な児童生徒で、不登校とか外国につながりのある子供が挙げられました。ということは、いわゆる小中高等学校で特別な配慮が必要な子供たちはたくさんいて、そのための通級による指導という仕組みをもう少し広く捉えてもいいかな、その中で、障害のある子供についても、通級による指導というものが活用できるという落とし方をするという考え方も、これからはインクルを考えると大事かなと思っています。最後、14ページの教育課程編成ですけれども、通級による指導のところを読むと、「通常の学級の教育課程に加え、又はその一部に替えた特別の教育課程を編成し、自立活動を実施」という部分ですが、自立活動が障害の状態の改善、克服が前提になるので、通級による指導という仕組みを少し広く考えると、指導内容(自立活動等)についても広く捉えられるといいかなと思っています。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。具体的なお話ありがとうございました。では、池田委員、お願いいたします。
【池田委員】  御説明いただいてありがとうございます。私の方から3点あるのですけれど、第22条の3に該当するお子さんというのは、従前、特別支援学校での教育が適切ということで定められていたと思うのですが、というよりも、特別支援の専門家の指導が必要なお子さんたちだということだと思いますので、そういって考えると、場所が今後、通常学級等の多様な場になっていくとなったときにも、その子たちを指導する教員が、専門家である必要がやはりあるだろうということになっていると思うのです。その1つが、免許があることなどが1つの基準として考えられるかなと思うと、特別支援学校の先生の、免許のある特別支援学校の専門家の先生方が、もっとより通常の学級等で活用されるですとか、交流人事ですとか、あと、また加配といったようなことが同時に、教員の量の担保といったところも含めて、同時に検討されていく必要があるのかなと思います。
 支援員の配置の方が進んでいるのはとてもいいことだとは思うのですけれども、支援員というよりは、22条の3のお子さんたちの教育に関しては、しっかりとした専門的な知識のある教員の配置というところにも、もう少し検討いただければなと思っております。
 もう一つが、阪神昆陽の取組など、私はとても貴重だと思うのですけれども、まだ教育課程の課題というところは残っておりますので、その辺りも今後、いろいろな場で検討されていく必要があるかなと思います。あとは、当面は交流及び共同学習といったところのより一層な推進というものが大事になるかなと思っていくんですけれども、先ほども申し上げたように、教員の行き来も含めて、交流、共同学習といったところが進むといいなと考えております。
 あと、すみません、最後なのですが、野口委員からありました、知的障害の通級による指導のところの取組で、大変成果が上げられているということで、また、いろいろ教えていただきたいなと思っているところですが、お聞きしていると、成果が上がったことの中に通級による指導だけの取組ではないと思うのです。様々なことをやって、いろいろな取組をやって、特に通常の学級での教育の質といったところへのアプローチとか、通常の学級の先生方へのアプローチとかといったことも含めた結果、通級指導教室の子供たちが成果があって変わったというような結果だと思うので、通級による指導という形の成果なのかどうかというところは少し慎重に考える必要があるかなと思いました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、中田委員、お願いいたします。
【中田委員】  今日もありがとうございました。前の議論も含めて、感想みたいなことになってしまいますが、申し訳ございません。
 1つ目、前の議論で平野委員が小中の引継ぎのことを言われました。これは平野委員の言われたことは本当にそうだなと思いながら、本県においても、移行支援会議という形で、幼保から小、それから小から中、中から高という形で位置づけてやっております。管理職も含めて、それぞれの学校の担当者や保護者の方も一緒に会議を行っておりまして、こうした引継ぎというものにはかなり力を入れているところ、おられる県が多いのではないかなと思います。
 2つ目です。野口委員の話、本当に今後、とても大事な部分だなと思いました。ただ、現状はどうなのかなと思うのですが、先ほど来の困難性のある子供たちがいた場合、すぐ特別支援学級につなげるという傾向が強まってきているのではないかなということを感じているのが現状です。全国的にも多分特別支援学級の数というのは増加傾向にあるのではないかなと思います。本県と同じような傾向にある県も多いのではないかなと思います。インクルーシブの考え方とは、もしかしたら逆行するような状況というのも起こっているのではないかなということを心配しております。
 そこで、今日たくさん話があったんですけれど、通常の学級における集団の中での指導の在り方というのをしっかり研究していく必要があるなと思っておりまして、本県としてもその辺り、今後の1つ、キーになるのではないかなということを、教育委員会内でも話をしているところです。
 3つ目です。通級による指導のこと、話が今日もたくさん出たんですけれど、実際、通級の待機児童といいますか、そういう子供さん方が出ている状況にあるのではないかなと思ってはいるところです。本県においても、通級の加配といいますか、担当の教員として配置される数というのが少なくて、もう少し必要感、数としての必要感を感じているところです。これって、5月1日の児童生徒の数によって決められる部分があるのではないかなと思いますが、実際のところ、通級による指導を受ける児童生徒の数はどんどん、2学期、3学期で増えていって、5月の数に比べて12月とかは1.5倍になったり2倍になったりというような状況もあると思います。国としての配置の考え方を少し検討していただくことも必要なのではないかなと感じているところでございます。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、滝川委員、お願いいたします。
【滝川委員】  よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
 通常の学級に在籍する施行令22条の3の障害程度に該当する児童生徒といったときに、病気の子供のことを考えてみると、病弱の特別支援学校、特別支援学級、それぞれ、学校教育法の72条と81条の第2項で設置されているわけですけれども、実際の法律の制度の設置の仕方と実際の運用について、22条の3に該当する子供、それから特別支援学級に該当する子供、通級による指導、通常の学級と捉えたときに、法律等で位置づけられているところと実際の運用とが異なっている。
 例えば、小児がんの拠点病院、全国に15ありますけれども、入院する子どもの病状としては全て22条の3に該当するわけですけれども、実際に病院に設置されている学校、学級は、特別支援学校が設置されている病院もあれば、小中の特別支援学級が設置されている病院もあるわけです。つまり、22条の3に該当する子は全て特別支援学校に在籍しているということではなくて、22条の3に該当しながらも特別支援学級に在籍しているという状況があること。それから、もう一つは、病状の変化によって22条の3の程度に該当したり非該当になったり、再び該当したりするというように病状が変わるので、22条の3にずっと固定的になっているわけではなくて、病状がよくなれば通常の学級で在籍することになります。そうなりますと、通常の学級においても、22条の3に該当する病気の子供に対応できることが一番、望ましいと思います。
 ただ、それはなかなか難しくて、実際に通常の学級、病弱・身体虚弱の特別支援学級、病弱の特別支援学校との連携の下で子供たちを支えていくことが、これからますます重要となると思います。もう一つ、日本の学校の公立の教育の制度は、住民票のある自治体に設置する学校に在籍するというのが大前提ですけれども、病気の子供たちは、自治体の圏域を越えて転出入を送り返すということで、ますます学校間の連携、そして情報共有ということが重要になるので、今後、私たちも研究の一環として取り組んでいきたいと思うのですが、国としても、22条の3の程度に該当する児童生徒や特別支援学級、通級指導教室、通常の学級に在籍する子供の教育の在り方を考える際に、是非、病気の子供のことも視野に入れて検討していただけると、よりよい教育制度になると思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、平野委員、お願いいたします。
【平野委員】  お願いします。私は親として、自分の娘を進学させるときに、自分の親としての理想としては通常学級に、自分の子供が発達障害があるのですが、通常学級に入って、専門的知識のあるT2みたいな支援の先生についてもらって、必要なときは支援をしていただく、休み時間とか少し距離を取っていただいて、友達との関係もつくってくれる、そういうときは、少し離れて見守ってもらうというような、これは理想です。そういう理想を自分は願っていました。
 でも、現在の学校教育の現場では、それは無理、自分の子供専用にT2の先生がついていただけるなんていうのは無理で、学校で1人とか、学年で1人とかという形になって、自分の娘に専用でついていただくというのは無理なので、それで現状は、娘にとって一番いい形は何かと考えたときに、専門的な教育というか支援と、あと、仲間というか、同級生や友達との関わりの両方を一番、両方が一番現実的に近いのは何かと考えたときに、特別支援学級を選択しました。それで、私は小学校入学のときに特別支援学級を選択しました。
 ただ、本当に理想なのですが、野口委員の御提案にあったのに本当に大賛成で、もし自分の地元にそういう学校があったら、私はそこに入れたかった。自分の娘をそういうところに入れたいなと思います。やはり本当の意味でのインクルーシブというのは分けることではなくて、専門的な教育を受ける環境はもちろん大事にしたいんだけれども、年に一度の行事的な関わりとかではなくて、一緒に日常的に過ごすこと、そしてお互いがお互いを知ること、もうそれが日常的で当たり前の社会というか、学校がそういうインクルーシブな社会の縮図であって、子供の頃からそういう学校生活で一緒に過ごすことが結局インクルーシブな社会をつくる子供たちの心の基盤をつくると思うので、本当に理想です。将来的にはそういうものを目指していってほしいなと私は願います。
 ただ、その考えは変わらないんですが、現状、今すぐは難しいと思うので、できればモデルケースとして、そういう学校を進めていただいて、同時に、現在できるだけ現状の学校教育の中で改善できることとしては、前、梅田委員でしたか、御提案もあったとは思うのですが、大学生の免許を取る段階での学習の中に、もっと障害児の教育に対する授業をもう少し盛り込んでくるとか、例えば、教育実習で1週間とか必修で、必ず特別支援学校とか特別支援学級とか、そういう障害のある子供たちとの教育実習も、期間をどのぐらいがいいかというのは、私にはまだはっきり分からないんですが、期間を設けて、これを必修にするとか、あと、これからつくる、もしつくることがある特別支援学校があるとしたら、それはできれば、通常の学校にも近いところにつくって、先生たちや子供たちも気軽に行き来できたり、協力し合ったりできるようにする。現状は、特別支援学校が結構離れているところにあって、私は特別支援学校に勤めていたこともあるのですが、もう周りは山と川と、もう本当に田舎で、ほとんど人目につかないというか、学校の外を散歩していてもほとんど人に会わないような場所でした。でも、そうではなくて、学校の外にちょっとお散歩に出たら、すぐにほかの学校の子供たちに、「おーい」と言えるような、「一緒にたまに交流しようよ」なんて言えるような、そういう環境があると、野口委員の御提案してくださった同じ敷地内が理想ですけれど、そうではなくても、近いところにあるだけでも、かなりいろいろなことができるようになるのかなと思います。
 すみません、いろいろ、よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。時間の関係で何も申しませんけれども、本当に大事なお話でありました。心して承っておりました。ありがとうございました。
 では、あと宮﨑委員、梅田委員、小枝委員の御発言をお願いしたいと思いますが、時間が少し過ぎてしまいます。申し訳ありませんが、よろしくお願いをいたします。では、宮﨑委員、お願いいたします。
【宮﨑委員】  ありがとうございます。簡潔に申し上げます。
 まず、5ページ、6ページの点でお願いをしたいことが1つあります。と申し上げるのは、令和元年度のデータで止まってしまっていますので、就学についての、その後の動向がどうなっているかというのは、検討に値する中身が出てくると思いますので、もし可能ならば、直近のデータ等も含めてお願いできればと思います。なぜかと申し上げますと、知的障害をどうするかというのは、6ページのところでありますように、通常学級に在籍するデータが非常に大きいんですよね。この人たちの支援は、担任だけでできるということではありません。通級による指導が今、現状できない状況で、どうやって対応しているかというのは大きな問題で、いろいろな人がこれについては提案をされているとおりだと思います。そういう意味では、特別支援学校のセンター機能をどう活用するかというのも含めて、検討の必要性があると思っています。
 12ページのところに、これは新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議の報告で、引き続き知的障害についての検討について書いてあるんですが、これについて言えば、宮城教育大学が今、実践研究をやっているんですけれど、モデル事業を令和3年、4年以前に既に対応しているんです。こういったことも是非ここで上げてもらうといいと思います。宮城教育大学附属小学校に、宮城教育大学附属特別支援学校の教員が支援をするという仕組みで対応されているんです。これは、非常に優れた実践がされているなと思っているんですけれど、この辺りについても、今後の大きな検討材料になるのかなと思っています。
 以上です。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、梅田委員、お願いいたします。
【梅田委員】  時間のないところで申し訳ありません。簡潔にお話しさせていただきたいと思います。
 1つは、今回の原案については、やはり私は通級による指導ももちろん重要ではありますけれども、ただ、通常の学級にこういった22条の3に該当する子供がいるから、じゃあ、その子供たちを通級指導教室でという話ではなくて、そもそもの就学支援の在り方の見直しであるとか、通常の学級の、先ほどの意見にも通じますが、抜本的な改革が必要なのかなと思います。
 通常の学級の学級定員が今、35人でストップしていますが、それでも中学校まで35人でいっているわけではありませんので、本当に40人で、こういった子供たちがいても支援をしていくことができるのかどうか、35人だったらいいのか、じゃあ30人なのかということも含めて、改めて通常の学級の授業というか学級経営も含めて、もう一度、考え直していく必要があるのではないかと思います。
 当然ユニバーサルデザインとか授業改善とか、校内体制の充実というところもそこにかかってくるとは思いますけれども、私は是非そこの議論をしていただきたいなと思っています。それとあわせて、先ほどの笹森委員の話にも関係するんですが、特別支援学校のセンター的役割は、遠いということはある気がするんです。ですから、市町村教育委員会に置けるかどうかは別ですけれども、教育委員会にセンター的機能の先生方が派遣され教育委員会にいて、ある程度、五障害を中心とした先生方がいらして、そして、圏域というか、その市町村の中での子供たちのニーズに応えられる。あるいは特別支援学級の専門性が低い場合には、そこの支援に当たれるというような、もう少し特別支援学校のセンター的機能が特別支援学校に固定されるのではなくて、場所を移して、もっと活用しやすい在り方を考えていけないかとも思いました。
 そういったときに大切になるのが通常の小中高等学校にいるコーディネーターの専門性の強化だと思います。そういったセンター的機能、派遣された方々としっかり結びついていって、校内の体制を充実させていくようなコーディネーターの専門性強化ですので、是非単独配置というような話をしていただけたらいいかなと思っております。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、小枝委員、お願いいたします。
【小枝委員】  では、手短にコメントを2つ申し上げます。
 まず、最初に、通常の学級にいる特別な支援教育が必要なお子さんの頻度調査についてなのですけれども、高等学校の頻度は、思った以上に少なかったなと思っています。これは、私はある意味、インパクトがございました。小学校、中学校と結構いるのに、高校になるとここまで先生方が必要だと感じている子が減るんだなということを思いましたので、要するに、高校になると自分に合った学校を選んでいきますから、そういうなると、特別な支援教育が必要だと学校の先生は思わなくなるんだなと思いました。ですから、これはADHDRSとかASSQとかを使っていますけれども、疾患と思われるようなお子さんの頻度調査ではなくて、あくまで先生方がお感じになっているお子さんの頻度なのだろうなということを思いました。
 それから、ほかの要因は全く調査されていませんので、推定であっても、原因なんかはコメントするのは慎重にされた方がいいかなと思いました。
 それから、知的な遅れがあるお子さんと思われる方の通級による指導については賛成でございまして、これは通級指導担当の先生がいろいろ工夫したのを通常の学級の先生にお伝えして、それを授業に反映させていただく。そうすると、分かり方が随分とまた変わってきますので、ほかの子供も喜びますし、通級指導教室に通っているお子さんもやがて通わなくていいようになっていくのではないかなとか、そんな好循環が生まれていくといいかなと思いますので、是非そういったお子さんを、通級指導担当の先生が非常にその子の特徴を見抜いて、その子に合った教え方を工夫して、それを授業に生かせるように、元の学級の先生にお伝えしていただくと、そういう好循環をつくっていただけると1つのいいきっかけになるのかなと思いました。
 そういった意味で、通常の学級の先生方に授業の準備の時間がもっとあるといいなと思っていまして、なかなかお忙しくて、授業の準備が十分できていないのではないかなと思うのです。だからいろいろな雑用、雑用じゃない、校務分掌もあるとは思うのですけれども、それをなるべく減らして、授業の準備、分かりやすくて面白い授業をするんだと、先生方の力をそちらに注(そそ)げるような、そういった工夫なんかもお願いできたらと思っております。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変短い時間で御発言いただきまして、申し訳ありませんでした。いろいろ感じるところ、また、申し上げたいと思うこともございますけれども、時間の関係で、それは私の方では抑えまして、最後に、山田課長、全体を通じて何かありましたらお願いいたします。
【山田課長】  ありがとうございます。大変貴重な議論を頂戴しました。施行令22条の3について、教育課程とかは、学校、学級ごとで、障害に合わせてつくっている。一方で、就学先はどう決めるのかというと、本人や保護者の意見を最大限尊重しましょうと、その摩擦がある部分がありまして、これはなかなか、このボタンを押せば解決するというボタンが見つからないなと悩みながら、御提案、御説明を申し上げました。
 ただ、今日、様々な委員の先生から、体制の充実のお話もございましたけれども、例えば、阪神昆陽の例を柔軟にモデルとして使えばいいのではないかとかいった御意見も頂戴しました。貴重な御意見だと思いますので、今日頂きました御意見を踏まえまして、次回以降、また御議論いただけるようにしていきたいと思います。ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 それでは、次回の日程につきまして、お願いいたします。
【生方企画官】  どうもありがとうございました。次回は、年明けの1月26日、木曜日、13時から15時に開催させていただきたいと思います。なお、本日の御議論を踏まえまして、事務局としまして、少し報告案といったようなたたき台を御提示させていただければと思っておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。繰り返しますが、御意見、まだおありの方は、是非事務局の方にお届けいただきたいと思います。
 次回は、来年1月であるということで、本年最後の会議でございます。コロナの状況も心配なところもございますが、どうぞ皆様、御健康で良いお年をお迎えくださいますように。
 では、本日、これで終了いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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