通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議(第1回)議事録

1.日時

令和4年6月14日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 検討会議の運営規則等の制定について
  3. 通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の現状及び今後の検討事項について
  4. その他

4.出席者

委員

荒瀬克己座長 池田彩乃委員 市川宏伸委員 市川裕二委員  氏間和仁委員 梅田真理委員 奥住秀之副座長 喜多好一委員 小枝達也委員 笹森洋樹委員 滝川国芳委員 竹内哲哉委員 中田寛委員 野口晃菜委員 平野真理子委員 藤井和子委員 馬飼野光一委員  宮﨑英憲委員

文部科学省

淵上孝審議官 山田泰造特別支援教育課長 小林美保特別支援教育課特別支援教育企画官 菅野和彦初等中等教育局視学官 嶋田孝次特別支援教育課課長補佐 宇野将至特別支援教育課課長補佐 齋藤綾子特別支援教育課課長補佐

オブザーバー

独立行政法人国立高等専門学校機構
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害児・発達障害者支援室
国立障害者リハビリテーションセンター

5.議事要旨

【荒瀬座長】では、本検討会議の立ち上げに必要な手続は全て終了いたしましたので、これから議事を公開いたします。
 先ほど検討会議の座長に選出いただきました独立行政法人教職員支援機構の荒瀬でございます。私の方から、この議事を進行する前に一言御挨拶させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 令和3年1月の中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」では、2020年代を通じて実現すべき教育の姿が示されました。御案内のとおり、「はじめに」のところに、一人一人の子供を主語にする学校教育を実現していくのだということが述べられております。
 これらを踏まえて、現在、教育関係者においては、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく育み、多様な個性を最大限に生かすため、「個別最適な学び」と「協働的な学び」との一体的な充実による質の高い学びの実現に向けた取組を進めていただいているところでございます。
 こうした学びの充実を図っていく上で極めて重要なのは、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒をはじめ、多様化する子供たちのニーズに対応して、いま申しました「個別最適な学び」及び「協働的な学び」を実現しながら、学校の多様性と包摂性を高めることにより、全ての子供たちが質の高い学びへとアクセスできるようにすることと考えております。
 今回副座長に御就任いただきました奥住委員をはじめ委員の皆様と共に、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒の学びを一層支えていくための方策につきまして、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。皆様の活発な御意見を頂戴するとともに、進行に関しまして御協力を賜りますように、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、奥住副座長からも御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【奥住副座長】  先ほど副座長に就任いたしました奥住秀之と申します。ふだんは東京学芸大学で特別支援教育に関する科目を広く担当しております。私の専門といたしましては、発達障害や知的障害の教育心理に関しまして広く研究しているというところでございます。教育研究の傍ら、大学の管理運営業務としては学長補佐をしておりますが、その業務の一環として本学の障害学生支援室長を拝命しております。本学でも、当たり前のことではありますが、発達障害を含めて障害のある学生が年々増加しつつありまして、その支援や理解推進は大学全体の重要な責務の一つとなっているところでございます。
 また、少し自分の話で恐縮でございますが、私の所属大学が平成29年度に東京都教育委員会に大学教授を派遣して指導主事業務を経験させるという取組を行いました。そのとき私に白羽の矢が立って、指導主事業務を半年間、朝から夕方までさせていただいたという経験がございます。多くの高名の委員から見れば少ない経験だとは存じますが、こうした種々の発達障害に関わる経験がこの会議の検討に少しでもお役に立てればと存じております。何とぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  奥住先生、ありがとうございました。
 それでは、議事の3に入りたいと思います。通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の現状及び今後の検討事項につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【小林企画官】  ありがとうございます。それでは、今、画面に共有している資料3に基づいて御説明をさせていただきます。
 1ページは目次となっております。
 まず、1の特別支援教育の現状についてということでおさらいをさせていただきます。
 まず3ページ、特別支援教育とはということですが、障害のある子供たち一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指導と必要な支援を行うものということです。下の点線の発達障害につきましては、次ページに概要をまとめていますので、後ほど御覧ください。
 5ページは、義務教育段階の特別支援教育を受ける児童生徒の人数です。令和3年度は全体の5.6%の約53万9,000人であり、この10年間でほぼ倍増している状況で、特別支援教育のニーズや重要性が高まっています。
 特別支援教育では、多様な学びの場を用意し、指導・支援が行われております。この会議の焦点は通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援ということですので、右の赤枠の通級による指導がキーワードとなってまいりますので、その概略を御説明いたします。
 通級による指導は、ほとんどの授業を通常の学級で行いながら、一部の授業について必要な特別の支援を行う教育形態です。ここに記載される障害種が対象となっており、小中高等学校において、通級による対象者数は13万4,200名です。平成5年に小中学校において導入され、平成29年度から児童生徒13人に対して1人の教員を配置する基礎定数化を開始しました。また、平成30年度からは高等学校で導入され、加配定数措置が行われています。このほか、表の下の注釈のとおり、通常の学級には、発達障害の可能性のある特別な支援を必要とする児童生徒が6.5%ほど在籍するという調査結果もございまして、全ての学校・学級において、発達障害を含めた障害のある児童生徒が在籍することを前提とした学校経営が求められております。
 9ページは、小中高等学校における通級による児童生徒数です。特に発達障害関係が近年顕著に増加しています。
 続いて、11ページです。障害の程度に着目したデータでございます。平成29年度の調査によれば、学校教育法施行令第22条の3に規定する特別支援学校の指導の対象となる障害の程度に該当する比較的程度の重い障害があると判断された児童生徒は、公立小学校に1,443人、中学校では671人おり、通常の学級に在籍するということが分かっております。
 次に、これまでと今後の特別支援教育を巡る動向について御説明します。12ページ、まず、障害者権利条約です。2006年に国連で採択され、教育分野でインクルーシブ教育システムの理念について提唱しています。日本は2007年に署名し、障害者基本法の改正や障害者差別解消法等の関係法令を整備して、2014年に条約を批准しています。
 14ページです。こちらのスライドは、障害者基本法と障害者差別解消法の教育関連部分を示したものです。詳細は省略いたします。
 15ページです。この動きを受けて、2012年に中教審において、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進について報告がまとめられております。
 16ページです。この報告を踏まえて、2013年、従来、学校教育法施行令第22条の3の該当者が原則として特別支援学校に就学するという仕組みが改められ、同条に規定する障害の状態に加えて、教育的ニーズ、本人及び保護者の意見等を総合的に勘案して、その子供の就学先を個別に判断・決定する仕組みへと改められていることは御存じのとおりです。
 17ページです。このスライドは、それぞれの学びの場の対象となる障害の種類と程度の概要をまとめたものです。特別支援学級や通級による指導の対象となる詳細な障害の種類及び程度については、平成25年の局長通知で示されているところです。これらについても、その対象となる障害の状態を示したものであり、学びの場については、障害の状態に加えて、教育的ニーズ、本人・保護者の意見等を総合的に勘案して判断・決定するとされています。
 19ページです。文部科学省では、障害のある子供一人一人の教育的ニーズを踏まえて、学校や学びの場が適切に選択され、就学後も支援の充実をより一層図る必要があるとの考えから、従来の解説書を見直しまして、昨年6月、「障害のある子供の教育支援の手引」として公表しております。この手引では、子供の教育的ニーズの整理や、就学に向けたプロセスや就学後の支援に関する記載内容の充実が図られております。
 20ページから、本会議の設置の背景に関連して幾つかトピックを御説明いたします。
 1点目です。文科省では本年4月27日に全国の教育委員会に向けて、交流及び共同学習の在り方を含めて、特別支援学級と通級による指導の適切な運用を徹底するよう通知をしております。本スライドの下、「改善が必要な具体的な事例」に示しておりますけれども、昨年度末文科省が行った実態調査によれば、特別支援学級に在籍している児童生徒に対して、大半の時間を通常の学級で交流及び共同学習で過ごさせるなどして、特別支援学級で障害の状態や特性、心身の発達の段階などに応じた指導を十分受けられていないケースなどが見受けられました。
 このため、この通知では、第1として、通級による指導の対象となる児童生徒について、その子が通学する小中学校等において通級による指導を担当する教員が配置できないような場合だからといって、安易に教員が確実に配置される特別支援学級を開設することは適切でないこと、また、第2として、特別支援学級に在籍している子供について、ほとんど通常の学級で過ごすことで十分学べている場合には、通級による指導を受けることを検討すべきであることや、特別支援学級に在籍している児童生徒について、原則週の半分以上は特別支援学級で障害の状態等に応じた指導をしっかりと受けるべきである旨について周知をしております。また、この趣旨については、さきに御紹介した手引においても言及しているところです。
 21ページ、通知の続きです。第4は、通級による指導の更なる活用について言及しております。まず、その前提として、通級による実施形態について補足をいたしますと、三つほどございます。一つ目が、児童生徒が在籍する学校において指導を受ける自校通級、二つ目は、ほかの学校に通級し指導を受ける他校通級、三つ目は、通級による指導の担当教師が該当する児童生徒のいる学校に巡回して指導を行う巡回指導がございます。
 このうち、他校通級については、児童生徒の移動に時間が掛かって前後の授業が受けられなかったり、子供が小さい場合には保護者が日中に送迎を行う必要があるなどにより本人・保護者に負担がかかっていたり、あるいは共働きで送迎できないなどの理由で通級による指導が受けられないケースも多くあるとされております。
 このため、この通知の第4では、実施形態の選択に当たり、児童生徒が自分の小中学校で専門性の高い通級による指導を受けられるように、自校通級や巡回指導を一層推進することが望ましいこと、また、今後文科省において関係者の意見を聴取して、より教育的な効果の高い運用の在り方について検討を行う予定であることについて言及をしております。これを受けた検討について、本会議で御助言を賜りたいと考えております。
 22ページのスライドは御参考になります。この動向を踏まえて、先週、政府の骨太の方針において、通級による指導の円滑な運用を含む特別支援教育の充実について盛り込まれたところです。
 23ページ、次のトピックでございます。文科省では現在10年ぶりに、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の実態と支援状況について調査を行っています。スライド真ん中右枠に前回調査からの変更点とございますが、これまでの対象は小中学校だけでしたが、今回は高等学校も調査対象に加えております。スライド下に記載のとおり、本年の1、2月に、抽出された学校に調査を実施済みです。本年度集計を行い、冬頃に結果を公表する予定です。平成24年の調査では6.5%という数字でしたけれども、障害について学校現場での理解も進んでいる中、より割合が高くなっているという可能性もございます。また、高等学校にも一定の割合で発達障害などのある生徒がいることも想定されます。これを受けた政府の対応についても御助言を賜りたいと考えております。
 24ページです。次のトピックでございます。文科省で鰐淵文部科学大臣政務官を座長とする今後の特別支援教育の在り方に関するタスクフォースを設置しまして、主に三つの検討事項について議論を取りまとめて、昨日検討結果を公表したところです。この三つのうち、検討事項の1の高等学校段階における障害のある生徒への支援の検討結果が25ページのスライドになります。ポイントとしましては、高等学校には、通級による指導を受けたくても、体制が整わず、受けられない生徒がいるということで、今後取り組むべき内容として、高校における通級による指導については、指導の実態等を把握した上で、潜在的な対象者数も踏まえた教員定数措置等の在り方の検討を進める必要があるということが盛り込まれております。
 26ページ、次のトピックです。知的障害の児童生徒に対する支援についてです。知的障害のある児童生徒については通級による指導の対象外となっておりますが、これは、従来の調査研究で、知的障害のある児童生徒への指導においては、知的障害の状態が特別な教育課程による指導を必要とする場合には、ほとんどの時間を通常の学級で過ごして限られた時間のみ指導を受けるよりも、特別支援学級という小集団において特別な教育課程によって個々の教育的ニーズに応じた指導を体系的に行うことが効果的であるとされており、文科省においてもそのような運用をしてきております。
 一方で平成27年、一部地域の教育委員会から、国の規制緩和の一環として、就学先決定プロセスの制度改正によって実際に通常の学級にも知的障害のある児童生徒が在籍しているということを踏まえて、通級による指導の対象となる障害の種類を見直して、知的障害を通級による指導の対象に加えるべきだという提案がなされました。そして、これに関する実践研究を行う旨が閣議決定されております。これを踏まえて、現在文科省において、通常の学級に在籍する知的障害のある児童生徒に対して、通級による指導を行う研究事業を実施しているところです。この結果も踏まえて、外部有識者の協力を得て検討し、令和5年度中までには結論を出すこととされており、本会議でこの対応についても御助言を頂きたいと考えております。
 27ページ、5点目は、障害者権利条約の動きについてです。日本は、2016年に条約に基づく義務の履行等に関する第1回政府報告を国連の障害者権利委員会に提出しています。この夏、ジュネーブで日本を含む各国の対面審査が行われ、9月9日に提案・勧告を含む国連の文書として総括所見が採択される予定です。
 以上、今後の動向について、多岐にわたり御説明させていただきました。本会議では、これらのことを念頭に置いていただきながら、御助言、御検討を頂けましたら幸いです。
 次に、近年の施策について御説明をいたします。30ページです。令和元年9月に新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議を設置し、令和3年1月にその報告を取りまとめていただきました。同じ時期の中央教育審議会答申にもその施策内容が盛り込まれているところです。
 その報告の概要がこちらのスライドになっておりまして、ここでお示しいただいた方向性に基づいて、文科省において取組を進めております。
 32ページからは、通級による指導の制度や状況についてポイントをまとめております。
 こちらのスライドは、関係法令となりますので、後ほど御覧いただければと思います。
 35ページです。平成25年の初等中等教育局長通知では、学校教育法の法令の規定を踏まえて、通級による指導の対象となる障害の種類及び程度について、アからクにおいて詳細を明らかにしています。次のスライドも通知の続きですので、後ほど御覧ください。
 このスライドは、平成29年に義務標準法等を一部改正して、通級による指導の担当教員を基礎定数化した際の通知の抜粋となっております。平成29年度から令和8年度の10年間にかけて、児童生徒13人につき教員1人をそれぞれ算定する基準を新設するとされています。
 42ページです。こちらは平成30年度から制度化した高等学校における通級による指導について、令和元年度の実績を調査したものです。通級が必要と判断された生徒2,485人のうち、1,085人は学校の指導体制が取れなかったため、通級による指導が受けられなかったことが明らかになっています。
 43ページは同じく、2年前の制度開始時に通級による指導を実施するための通級指導教室を設置する予定と答えた高等学校の数を都道府県別に示したものです。地域によりばらつきがあることが分かり、充実のための方策が求められております。
 44ページ以降は、特別支援教育を担う教師の専門性向上に係る方策に関する最近の報告や、小学校等における教員以外の支援スタッフの充実、合理的配慮の提供に関する最近の取組をまとめておりますので、後ほど御覧ください。
 53ページです。4の本会議で想定される主な検討事項と検討スケジュールについて御説明します。
 54ページです。本会議で主に検討いただきたい事項を大きく二つ例示させていただきました。1点目は通級による指導の更なる充実に向けた取組等の在り方ということで、一つ目の○、学校種や障害種における現状を踏まえたそれらの課題について、二つ目の○、各三つの実施形態などの現状を踏まえた課題について、そして、三つ目の○、特に義務教育段階から高等学校や高等専門学校など、学校間の引継ぎの現状を踏まえた課題などについて、御意見を頂きたく存じます。
 2点目は、学校教育法施行令第22条の3の障害の程度に該当する児童生徒の支援の在り方についてということです。一つ目の○、合理的配慮の提供や、特別支援学校による小学校等への指導助言ということで、そのセンター的機能を通じた支援の状況。二つ目の○は、校内支援体制の整備、特別支援教育支援員の配置の状況について整理して、好事例を後押しするような方策について御助言を頂きたいと考えております。また、三つ目の○は、先ほどの地方からの提案を受けて、知的障害のある児童生徒の学びの場について結論を得るための御検討をお願いします。
 55ページです。会議の開催についてです。月に1回程度を目安に、オンラインにより開催いたします。都道府県等へのヒアリングを通じた実態把握等によって、成果や課題に関する整理を行います。この間、発達障害に関する調査や障害者権利委員会による総括所見も公表される予定ですので、これらの動向も踏まえつつ、今後の方策について年度内に報告を取りまとめていただきたいと考えております。
 最後に、第2回の開催予定です。7月12日ということで、通級による指導の在り方について議論を掘り下げていただければと考えております。
 私からの御説明は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変丁寧に御説明いただきました。とりわけ、途中でもございましたが、最後のスライドでも主な検討事項の例ということで、あるいは我々に依頼されている議論の内容についても、今後こういったことについて考えていくべきだというお話がございました。
 そういったことを含めまして、今日はこの後、委員の皆様から、御自身の御紹介とともに御意見、お考えをお聞かせいただければと思います。御質問がございましたら、また適宜、事務局の方から御回答を願いたいと思います。名簿の順でお願いをしたいと思います。
 それから、国会日程の関係で少し遅れておられますが、途中、淵上審議官がお越しになりましたら、その時点で御挨拶を頂くことになるかもしれません。
 名簿順と申しましたけれども、奥住副座長が早めに御退出ということを聞いておりますので、まず奥住副座長の方から、今の説明を含め、お考えをお聞かせいただくということで、よろしくお願いいたします。その後、池田委員、市川宏伸委員、市川裕二委員の順でお願いをしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
 では、奥住副座長、何度も申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
【奥住副座長】  奥住でございます。本日は別の業務がこの後にございまして、会議終了の少し前に退出させていただきます。恐縮ではございますが、最初に発言をいたします。
 自己紹介につきましては、先ほど申し述べましたので、ここでは割愛をいたしたいと思います。
 ただいま事務局から、最近の動向、それから、施策などにつきまして簡潔かつ丁寧な御説明をいただき、改めてここ数年の特別支援教育の充実・発展について理解いたしました。最後に提起していただきました二つの検討事項でございますが、いずれもインクルーシブ教育システムを更に発展させるために極めて重要であるということを改めて実感したところでございます。
 具体的には、一つ目の通級による指導の更なる充実というところですが、御説明にもありましたとおり、それを受けている児童生徒が年々増加しており、改めてその効果や意義を感じております。国の施策を見ても、高等学校における通級による指導の制度化であったり、あるいは教員の基礎定数化などであったり、ここ数年の制度改正は著しいなと感じています。
 ただ一方で、希望する児童生徒が、より負担の少ない、自校での通級による指導を受けられているのかどうか、あるいは学校間の進学の際に通級による指導の引継ぎが実質的に行われているのかどうか、あるいは通級による指導と在籍学級との円滑な連携はなされているのかどうかなどについては更に検討すべき課題であるのではないかと感じているところでございます。
 二つ目の論点の学校教育法施行令第22条の3の障害の程度に該当する児童生徒の支援についてでございますが、御説明があった就学システムの改正を受けまして、いわゆる種別と程度による就学から、それを土台としつつも、一人一人の教育的ニーズに応じた就学システムへと制度が変わりつつあり、結果的に多様な障害のある児童生徒が小学校等で学んでいるという実態を改めて認識いたしました。
 特別支援学校のセンター的機能の活用であったり、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成と活用、あるいは特別支援教育支援員の配置と活用、合理的配慮の実施、そして、全ての教員の専門性の向上など、これまで国が進めてきた取組を更に充実させることがまずは大切だなというふうに聞いておりました。一方で、更に有効な取組が考えられるかどうかなどについては、検討していく必要があるだろうと思っております。いずれにしましても、より実質的で効果的な施策につながるような検討がここでできればと思います。
 長くなりましたが、以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、引き続きまして、池田委員、お願いいたします。
【池田委員】  山形大学地域教育文化学部の池田彩乃と申します。私は肢体不自由児教育を専門としておりまして、特に通常の学級に在籍する肢体不自由児に対する個別の指導計画の作成に関わる研究や、肢体不自由児に対する自立活動の指導における実態把握に関する研究などを行っております。
 本研究会議における主な検討事項に関しまして、私の専門分野における課題と考え得ることについて少し意見を述べさせていただきます。ほかの障害種と同様なのですけれども、肢体不自由児においても、インクルーシブ教育の充実や就学制度の改正などにより、小中学校等の通常の学校に就学する児童生徒は増加傾向にあります。そのような中で、合理的配慮の提供や学校設備のバリアフリー化、また、GIGAスクール構想などにより、着実に通常の学校を学びの場として選択する肢体不自由児にとっての学校教育の施設、また、機器などのハード面の充実は進んでいると考えております。
 一方で、肢体不自由児に対する通級による指導を受けている児童生徒数を見てみますと、数としましては、平成23年度が9名、令和元年度は124名と大きく増加しているものの、ただ、都道府県別で見てみますと、そのうち80名、6割以上が千葉県での取組であるなど、地域による差が非常に大きいことが特徴となっております。ほかの障害種と同様、今後より一層通級による指導の重要性が増すと考えられますけれども、全国的な支援の充実になかなかつながっていかない現状が課題としてあります。
 なぜ通常の学級にいる肢体不自由児に対する通級による指導が進まないのかについては、一つは先ほどの御説明でもありましたけれども、やはり児童生徒の移動の困難さといったものがありますので、他校通級が非常に難しいといった特徴があり、今後、やはり自校通級やまた巡回通級の形態をより多くの地域において整備することが必要であると考えております。また、特別支援学校におけるセンター的機能の充実もより一層求められることとなると考えております。
 また、通常の学校の教師の障害特性の理解にも課題があります。肢体不自由児は運動動作の面以外にも、物の見方、捉え方といった視覚認知面においても課題を抱えることが知られておりますけれども、そのような課題は運動動作の不自由という見えやすい障害に隠れてなかなか担当する教師が気付かないといった報告がされております。体制整備と同時に、教師に対する障害特性の理解啓発なども重要な取組になると考えております。
 また、そもそも通常の学校にいる肢体不自由児がどのような場でどのように学んでいるのかについての学術的な整理や調査は、一部の地域を限定した調査にとどまっているのが現状でありまして、今後、全国的な現状把握を含めた調査研究、また、必要な支援体制についての検討もまだまだ必要であると考えております。
 本検討会議において、自身の立場から様々な課題について検討させていただくとともに、先生方の御意見を頂戴し、見識を深めてまいりたいと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは、市川宏伸委員、お願いいたします。
【市川(宏)委員】  日本発達障害ネットワークの市川と申します。私は発達障害の方と40年ぐらい向き合ってきておりますので、それについて少し触れさせていただきたいと思います。
 あまり学問的なことというよりは、私が今見ている限り、生徒さんの方について、これは私は医療関係者でもあるということもあるんですけれども、ICD-10の段階では、発達障害の中でも知的障害は別扱いにしていたんですが、ICD-11がもう英文は出ておりまして、日本語は今年の1月までにという話があったんですけれども、いまだに出てこないので、これは厚労省の方の問題でよく分かりませんが、その中で、知的障害と、それから、自閉症、自閉スペクトラム症、あるいはADHD、あるいはLD等を同等の位置において論じているわけです。医療の方というのは割とエビデンスがあると考えられるとどんどん変えてしまいますから、教育の方は私の理解している限りでは非常にゆっくりですね。だけど、現場の方から見れば、やはり同等に見ていかなければいけないんじゃないかなと思います。その点については、いろいろ文科省の方に伺っても、法律があるので大変なんだという話はよく伺いますけれども、それだけでずっと来てしまうというのはいかがかなという気もいたしますので、その点はよく検討いただければと思います。
 それからもう一つは、教える側の問題だろうと思います。私はもちろん教員のライセンスは持っていますが、実際教える立場にはないんですけれども、現在でも特別支援教育の現場の運営委員会の座長をやったり、それから、先日も小学校の見学で、そこに発達障害の人がいて、先生方が困っているのでコメントを下さいというような話を伺うこともあります。
 これは私の印象で申し訳ないんですけれども、やはり特別支援教育が始まってから、多くの先生方と言ってもいいんでしょうかね、非常に理解が進んできてすばらしいと思う反面、一部旧態依然としている先生もいらっしゃるなというか、両極化しているんじゃないかなという気がいたします。いろいろ講演会なんかでもそういう話をして、もう熱心に聞きに来てくださる先生がいる一方、絶対そういうところには来ない先生がいらっしゃるような気がいたしまして、そういう先生のボトムアップというんでしょうかね、これを今後どうするか考えなければいけないのかなと思っております。
 私はそういうことで少し立場が違うんですけれども、是非、特別支援教育を充実させていただきたいと思っておりますので、そういうことで勉強させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは、市川裕二委員、お願いいたします。
【市川(裕)委員】  全国特別支援学校長会の市川でございます。所属は今、都立のあきる野学園の方に所属しております。通級による指導、通常の学級における特別支援教育の推進に関することなんですが、我々特別支援学校の方の立場から言いますと、センター的機能をいかに発揮して、通常の学級若しくは通級による指導をどのように支援していくかということが大きな課題になっていくと思っております。
 本校においては、実は東京都の施策で、今年度から近隣の高等学校の特別支援教育の支援というセンター的機能を行うことにしましたが、正直言いまして、高等学校の特別支援教育というのは非常に難しい。我々が支援するといっても、本校は知的障害と肢体不自由の特別支援学校でございますが、どんな専門性があるんだろうということから悩んでしまう状況であります。また、高校の先生とお話をしていると、ここにありますが、どこの高校でも、引継ぎのことについては非常に大きな課題だとおっしゃっていますが、高校は非常に幅がありますので、工業高校とか普通、全日制とか定時制とか、学校ごとの課題というのは非常に幅があるということが分かってきたところでございます。
 また、2番の学校教育法施行令第22条の3のことについて言えば、知的障害のある児童生徒の教育効果を高めるための指導や支援について考えていくときに、教育課程を中心に考えるべきだと思っています。特に今回の学習指導要領では、特別支援学校の学習指導要領が小中学校の学習指導要領の連続性ということで、非常にそこが大きな改訂のポイントになっています。どんな教育課程を組むことによって知的障害のある子供も含めて障害のあるお子さんにどのような支援がどの場でできるかということを考えていかないと、ただ単にその学校で支援ができるかできないかという話になってしまいますので、教育課程ということについてやはりしっかりと踏まえるべきではないかなと思っています。
 最後になりますが、本日午後、障害者政策委員会に参加しますが、その中で、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針が今、改定されていますが、政策委員会の中では、学校において障害のある方の理解啓発をしっかり進めるようなことが議論として上がっていますので、恐らく通常の学級の特別支援を考えるときにも、教育内容や教育課程だけではなく、理解啓発という視点も大きなことではないかなと思っています。
 また、同じ障害者政策委員会の中で、本日、障害者の権利に関する条約の実施状況に係る障害者政策委員会の見解をまとめる話になっています。その中の話等を聞いていますと、特別支援学校や特別支援学級の児童生徒がすごく増えてきている中、やはり通級の指導も含めて、通常の学級における合理的配慮とか、どのような支援をしていくかについてしっかりやっていくことがインクルーシブ教育システムの構築につながるのではないかというふうな意見も出ています。今回の検討委員会では、非常に重要な課題、また、非常に難しい課題を検討することになると思っております。よろしくどうぞお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、氏間委員、お願いいたします。
【氏間委員】  お世話になります。広島大学大学院人間社会科学研究科の氏間でございます。私の立場としましては、まずは視覚障害教育の研究者ということ、そしてあとは、支援技術の研究者、そしてあとは、発達障害全般の研究者というような立場があります。そしてあとは、大学業務と併せて、附属特別支援教育実践センターで相談業務、学習支援業務を行っておりまして、大体年間に400ケースほど関わらせていただいているという立場がございます。そして、その前は12年ほど公立学校で教員をした経験もあり、さらに、私自身が視覚障害者ということで、視覚障害という処遇を受けながら学んできたという、そういった当事者としての視点でも御貢献できようかと考えております。
 その中で、まずは視覚障害関係の研究者としましては、例えば支援の障害による濃度の差があるかなと思っております。既に数字でも御説明いただきましたけれども、非常に弱視の児童生徒というふうにいいますと非常に数が限られておりますので、通級指導の定数なども定めてはいただいて、非常に制度的には進歩しているんですけれども、やはりそこに視覚障害ということでなかなか専門的な指導が受けにくいという状況を目の当たりにすると。実は今も全国の保護者からいろいろと相談が来ていたりする状況を鑑みましても、それを肌で感じるという状況がありますので、そういったところ、希少の障害だからこそといいますか、手厚い支援があるといいなということでございます。
 あとは、実践家としての立場としましては、特に通常の学級で学びにくさに直面する児童生徒さんの数が多いなということに驚いています。私の研究室でも、次回の予約が10月以降でないと取れないというぐらい混み合っている状況でございます。ですので、やはり今回のこういった委員会で、通常の学級でのお子さんたちへの実質的で実効性のある支援が整っていくということは非常に有り難いと思っております。
 そのとき特に感じるのは、指導される先生方の指導方法のバラエティーの狭さです。例えば漢字の指導につきましても、ドリル学習以外の学習方法が提案できていないとか、子供たちの実際の認知スタイルに合わせた指導方法、学習スタイルの指導のバラエティーの少なさとか、あるいは合理的配慮など、あるいは関連制度の普及の格差といったものに直面します。やはりこういった辺りも、子供からすると、直接指導を受ける先生方の指導のバラエティーとか合理的配慮を含めた知識の平滑化といったものは非常に重要だなと思っておりますので、その辺りも、指導というのは今回はなかなか直接的には関われないかもしれませんけれども、何か含めるといいかなと思っております。
 あと、学校教員であった経験からしますと、なかなか受けたい研修が受けられないという状況が実際にはあったりします。例えばどこかの大学の更新講習を受けたいと思っても、うちのところはここの大学に行きなさいみたいな緩やかな制限があったりして、そういったことが実際にはあったりするというようなこともあったりしたり、あるいは夏休みは忙し過ぎてなかなか自分が自由に学べないといったような状況もあったりします。ですので、もう更新講習はなくなりますけれども、そういった教員研修といったものも非常に重要だなと思っていたりします。
 あと、当事者目線としましては、指導者の質の格差に非常に悩まされたという時期がございました。やはり学習指導要領などでも個別の教育支援計画の作成と活用がうたわれているわけですけれども、そういったものの実質的な利用が非常に待たれるなと考えております。
 そして、それらを解決する上では、やはり2点、私の中としてはありますのは、まずはインクルーシブ教育システムを含めた権利条約とか関連法令あるいは対応指針などの基本的な理論と、そして、妥当な解釈、そういったものを現場の先生方に平滑的に浸透させるといったようなことが進められるといいなと思っております。
 さらに、行き届いた端末と高速ネットワークを活用した効果的な指導・支援・研修といったところが、特に希少障害の視覚障害とか、あるいは研修とか、そういったものを含めて重要かなと思います。特に通級指導教室などでも、今、うちの研究室は文部科学省様の事業を受託してさせてもらっていますけれども、遠隔での、専門家がスーパーバイズする、そういった事業なども行っておりますけれども、そういったものも、特にこれからの顕在化する通級指導教室を有効に活用するといった上でも、一つのかなり有力なソリューションではないかと思ったりしておりますので、そういった点でも御議論いただきたいなというふうに思ったりしております。
 以上です。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、梅田委員、お願いいたします。
【梅田委員】  宮城学院女子大学の梅田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。最初に自己紹介をさせていただきますが、私自身も長く現場の小学校の教員をしておりました。当時の養護学校が初任でございましたが、その後、小学校を長く経験して、言語の通級の担当者を一番長く経験をしておりました。その後、市の福祉行政の方に移りまして、発達障害者支援センターの相談業務に当たっておりましたが、その後、国立特別支援教育総合研究所で7年間いろいろと業務に携わらせていただきました。今の場所に来てからはまだ6年しかたっておりませんので、大学教育に関してはまだまだ初心者かなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 私自身は発達障害を専門としておりますが、今、企画官の説明や先生方の御意見を伺いながら改めて、平成27年、28年に国立特別支援教育総合研究所で全国の市町村に対して通級指導教室に関する全国調査をさせていただいたときのことを思い出しておりました。当時、既に市町村では、他校通級の保護者の負担あるいは子供の負担の緩和ということで、特に村とか小さな町ではなかなか巡回による指導も厳しいということで、教育委員会がタクシーを使ったり、バスをチャーターしたり、幾つかの町で合わせてバスを使ったりというようなことをされていました。また、あるいは保護者に経済的に援助をするというようなこともやられている市町村もありました。そういったことを考えると、市町村自身の取組が今後ますます進んでいくという部分と、巡回による指導が、当時も既に行われていましたが、更に進んでいくといいのかなとは考えております。
 ただ、そのことを考えるときに大きなハードルとなるのが、巡回先の学校の担当者との連携ということです。来てもらうのは有り難いけれども、自分たちのところの教員ではない人が来るわけですから、在籍校との連携というのは非常に大きな、当時も課題でしたけれども、今も大きな課題ではないかと考えています。
 先ほど来先生方のお話を伺っていると、通常の学級の担任の資質向上というようなことも話されていますが、インクルーシブ教育が進んでいく中では、やはり通常の学級での障害のある子供も、ない子供も含めた学び、障害だけではなく、多様な子供たちの学びを充実させていくというのはとても重要なことだと思っています。しかし制度が整ってくると起きがちなのが、やはり専門家や担当者にお任せということがあるように感じています。
 通級指導教室はまだまだ数が足りないと私自身は感じておりますけれども、やはり通常の学級の先生方が、ふだんはほとんど通常の学級で過ごすわけですので、通常の学級での指導を更に充実させていくということが非常に重要だと思っております。教員の働き方改革も叫ばれていますので、その辺りどうしていくかということは非常に難しい課題が山積していますが、教員免許の中にようやく1単位以上ということで特別支援教育に関する単位が入りましたけれども、まだまだ足りない、もっと特別支援教育に関する学びを通常の学級の担任がしていかないと、現場の通常の学級での指導には生かせないのではないかと感じています。
 併せて、通級に関しては、中学校通級の数が少な過ぎるということです。それは、中学校という年代における難しさはあるとは思いますが、本来は、小学校が非常に増えているんですから、中学校がもっと増えて、その先に高校があるべきなのに、中学校通級の数があまりにも少な過ぎる。その辺りをどう考えていく、どう検討していくかということは是非この会議の中でも検討がされていくべきだと思っております。
 併せて、この会議自体は免許のことを検討する会議ではございませんが、通級による指導の担当者の資質ということを考えたときに、特別支援学校教諭の免許で果たして十分かということは検討されるべきではないかと考えております。別にそれでは問題があるということではなくて、更に学んでおかなければいけないこともあるのではないかなと感じております。その辺りも検討されると有り難いなと思っております。
 2番についてですが、高等学校とも関わらせていただく機会が、国立特別支援教育総合研究所時代あるいは大学に来てから増えました。そうすると、高等学校には非常に多様な子供たちが在籍していることがわかりました。高等学校の先生方には更に出先という問題がありますので、御苦労されている現状があります。私自身も大学という場に来て、障害を見過ごされてきた学生が多いということも感じています。ですから、早期の気付きを早期の支援につなげるような体制整備は非常に重要だと思っています。気付きながらも支援に結び付けられないという現状がやはりどこかにあるのではないか。先ほど申し上げた、通常の学級の担任の先生方の資質向上ということも含めて、その辺りも私自身もこの会議で学ばせていただければと思います。長くなって失礼いたしました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは、喜多委員、お願いいたします。
【喜多委員】  私、全国特別支援学級通級指導教室の設置学校長協会の会長をしています喜多と申します。所属は江東区立豊洲北小学校で校長をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 本協会は、全国の小中学校、義務教育学校の8割から9割ぐらいになりますが、特別支援学級や通級指導教室を設置している校長が会員になっている協会です。そこで特別支援学級や通級指導教室の教員の専門性や設置校の校長の専門性を高めていこうという取組をしていますが、全国の小中学校、義務教育学校の通常の学級に在籍する配慮を要する子供たち、特に障害のある子供たちへの支援についても、この協会の中で話題にして発信をしているところです。今回、通常の学級に在籍する障害のある子供たちのへ支援の在り方を検討していただけることがすごく有り難く、本協会としても意見を述べやすいと思っているところです。
 今回の検討課題として、通級による指導の更なる充実に向けた取組の在り方について挙げていただいています。通級による指導については、通級指導教室が今、全国に増えてきたことに対していろいろな問題点が出ています。
 特に、まず担当する教員が不足していることが大きいのですが、若手教員等が増えてきて、そもそも自立活動等の指導が十分にできていない問題があります。また、それを指導する管理職等についても課題であると挙がっています。このことに関しても是非、問題点、課題としてこの会議で触れていただけると有り難いと思っています。
 通級による指導の実施形態に関わっては、今ほぼ全国的には他校通級が多いとは思いますが、今、私のいる東京都では、拠点校方式で巡回指導による通級をしています。もう何年も実施しているわけですが、保護者の負担も減っていますし、子供たちが1時間や2時間取り出しの指導をしていく中で、非常に効果が出ていると思います。ただ、先ほどから話題に上がっていますように、巡回教員が、自校であれば、在籍学級の教員との連携は取れますけれども、巡回先の教員とまたその学校とどう連携を取っていくのかは大きな課題にこれからなっていくと思います。
 いずれにしても巡回指導による通級はとても効果があると思っていますので、是非検討を進めていただくと嬉しく思います。東京都は、巡回指導の通級をするに当たって、個別の指導計画に加えて連携型の個別指導計画を作成し、巡回先の先生方と支援の在り方を共有しています。通級での指導を在籍学級での適応にどのように生かしていくのかという辺りをその計画で補完しています。このことも話題にしていただければと思っています。
 通常の学級には、今、障害のある子供たち、発達障害も含めてかなり多くの子が在籍しています。全国調査結果からは、発達障害等は6.5%在籍していると出ていますが、特別支援学校や特別支援学級での教育環境が適しているというお子さんに関しても1.1%ぐらい在籍しています。本校でもそのぐらいの数の子供たちがいます。そういった子供たちに対して、先生方がどのように障害を理解して支援していくのかということがとても課題になっています。通常の学級の担当する教員の特別支援教育に関わる専門性の向上、身に付けるべき資質・能力は何なのという点も明らかにしながら、どのようにそれらの先生方を支えていくのか、研修も含めて支えて仕組みを作っていくのかも大事になってくるかと思っています。
 小中高あるいは幼稚園・保育園から高等学校まで、卒業までも含めてなのかもしれませんけれども、校種間の引継ぎも大きな課題になっています。個別の指導計画、個別の教育支援計画が作成はされていますけれども、実際にそれをどのような形で円滑に連携しているのかもしっかりと実態把握しながら手立てを打っていけたらいいと思っています。
 検討課題の2に関わるところでは、先ほど申し上げましたけれども、通常の学級の先生方は、発達障害のある子供であれば通常の学級での指導を行うことは当然なのですけれども、それ以外の障害のある子供に関しては、理解や支援がなかなか困難な状況にあります。特に人的支援に関しては、全国の会員からも求められているところです。スクールカウンセラー、SSW、特別支援教育支援員等々のある程度の支援も必要になってくるかなと思っています。
 様々ハードルが検討課題1、2に関してはあるかと思うので、皆さんで御意見を出していきながら、検討できればいいかなと思っています。よろしくお願いいたします。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは、小枝委員、お願いいたします。
【小枝委員】  国立成育医療研究センターこころの診療部におります小枝達也と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私は小児科医あるいは小児神経科医でございますので、恐らくそういう医療関係者という立場でこの会議に入れさせていただいたんじゃないかなと思っております。
 東京の成育医療研究センターに来させていただいて8年目になりますが、その前は鳥取大学におりました。その頃から特別支援教育については導入の頃から関わらせていただいて、随分とテーマがそのときそのとき折に触れて変わってきて、今回は通常の学級における子供たちをどうするかというふうに、テーマがここまで来たんだなというようなことを思っております。
 初期は、特別支援教育の導入で、なかなか学級の中での悩みとか問題が先生のレベルを超えてあんまり学級から出てこなかったんじゃないかなと思っているんです。それが特別支援教育が始まって、先生がクラスの子供たちの悩みや心配を学校の中でいろいろな体制の中で相談できるようになってきたし、子供たちも一つの学級に固定してしまうのではなくて、いろいろな行き来ができるようになってきた。そんなようなことが特別支援教育導入から今までの経過ではなかったかなと思いながら今日の資料を見させていただきました。
 資料の54ページにあります検討事項として挙げられているのは、そういった意味で非常に的を射たよいテーマが並んでいるなということを思っております。1番の通級による指導の更なる充実に向けた取組につきましては、この3点はやはり外せない大事な問題かなと思っております。東京に来て、平成28年から東京都では全ての学校に通級指導教室を作るという目標でやっておいでになって、私の患者さんも随分とそこで今お世話になっているんですね。そういったことを見ていきますと、やはり通級担当者の研修の充実も、この更なる充実には入ってきてほしいなというような思いがございます。教える側の引き出しをたくさん増やすというのは、やはり充実にとって大事なことではないかなと思っております。
 それから、先ほどクラス、学級での問題・悩みが学校の中に出始めたのが特別支援教育だったんだと私は申しましたけれども、今後は、学校から更に外に行き来をしていくようなこともして、通級指導担当の先生方が、外のいろいろな方から、やり取りをしながら教える引き出しを増やしていくというようなことができていくとより充実していくのではないかなというようなことを考えております。今後はやはり学校にとどまっていてはいけない、教育にとどまっていてはいけなくて、福祉分野、保健分野、医療分野等、外とのアクセシビリティーを上げていくという、そんなことが一つ通級指導教室ということを介してできていったらいいのかなというようなことを思っております。
 それから、2番目の学校教育法令に関する、これも4点挙げてありますが、非常によいテーマが挙げてあるのかなと思っております。やはり学ぶ場を確保しておくということは大事なことで、それをした上で、学びの場を子供の状況によって行き来するといいますか、柔軟に対応していくと。やはり情緒障害の特別支援学級が東京都は非常に少なくて、ずっと悩んできたこの数年間なんですが、一昨年ぐらいから少しずつ作っていいよという話になってきたんですね。そうすると、本当ににっちもさっちもいかなかったお子さんが、そういった場で丁寧に教えてもらえて、自分の教室なんだと思えると急に俄然元気なってきたりという子が多いんですね。なので、いろいろな学びの場を準備しつつ、柔軟に行き来ができるようにしておくということが実現できていくといいのかなというようなことを考えておる次第でございます。
 それで、頂いた資料3で、早めに見ておけばよかったんですが、この資料を手にするのがなかなか、少し私、技術的というか、セキュリティーが厳しかったのか、難しくて、修正版を今朝ほど手にしたんです。4ページの学習障害のところに、文字がひっくり返って見えるという例が挙げてあるんですが、これはもう一度再検討していただけたらと。いわゆる読みができないお子さんも私は診療の対象として37年ぐらいやっていますが、文字がひっくり返って見えると言った子は1人もいません。なので、是非これについてはもう一度御検討いただいて、こういった資料がずっと国民の皆様の前に出てまいりますので、これについてはもう一度御検討いただけたらと思っております。もっと早く見て、事務局の方に申し上げればよかったんですが、申し訳ございません。
 以上でございます。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。御指摘もありがとうございました。
 では続きまして、笹森委員、お願いいたします。
【笹森委員】  国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育推進センター長をしております笹森といいます。私自身はもともとは小学校の教員をしておりまして、発達障害を対象にした通級指導教室に長く携わらせていただいた後、教育センターで教育相談、教育委員会の指導主事をさせていただいた後、発達障害のセンターで、研究は発達障害がもちろんフィールド、専門なんですけれども、学校現場にできるだけ発達障害の情報提供をしようということで、ウェブサイト等で今、情報発信をしているという仕事をさせていただいています。
 検討会議の大きな柱について少し思っていることをお話ができればと思っています。まず、通常の学級で学校教育法施行令第22条の3等の様々な障害のある子が在学をしてきている中で、先生方の障害特性の基本的な理解は大事だと思うんです。ですが、学校の学習上・生活上の中での困難さをどう捉えていくかという視点は、障害特性から入ってしまうと、障害があるのでここがきっと難しいはずだというところで、狭い範囲の理解で終わる可能性があるかなと思うんです。肢体不自由の方だって認知特性で偏りがある方もいらっしゃれば、それこそ視覚・聴覚の中で発達障害と重複の方もおられたりするわけですね。
 通常の学級でいわゆる困難さの気付きをアセスメントとか指導支援につなげていくためには、学校の中で担任の先生がお一人で抱えていくというのはとてもハードルが高い話なので、それを考えると、外部の支援の方たちの力を借りることも含めて、校内委員会、校内でそういったことを検討する仕組みを整備していかないと、通常の学級の先生だけが個々で力を高めていっても、その先生が担任を終えられて次の学年になったときにうまくつながるかというと、それは学校が組織としてシステムとして作っておくことが大事かなと思いました。
 その中で、今言いました地域資源だったり、特別支援教育支援員の活用だったり、それから、特別支援学級とか通級だとか、今、小枝先生がおっしゃった柔軟なたくさんの学びの場を利用できるようなということも、担任が一人で決める話ではないので、子供のアセスメントの中で何が今ベターなのかという選択なのかなと思いましたので、校内のそういう仕組みづくりを抜きにしては通常の学級の支援の在り方は充実していかないのかなと思っています。
 私自身が通級を長くさせていただいた立場で、いろいろ近年の動きの中で思うことがあります。一つは、通級と特別支援学級の役割です。特別支援学級はどういうところで、通級指導教室はどういうことを狙っていくのかというようなところが、きっちりと線引きができることではないと思うんです。私自身は、通級は、指導の成果・効果が上がっていって、通常の学級で自分の力が発揮できるようになっていけば、フェードアウトしていける仕組みになっていくのが理想だと思うんです。ただ、併用することで自分の安定が図れる子供もいますので、そうすると、特別支援学級と通級と通常の学級が連続的な学びの場になっていくのかどうかという辺りのところでもう一度役割が整理されるといいのかなと思います。特に自閉症・情緒障害学級ですね。自情学級は知的なハンディがない子供たちが措置されているケースがとても多いですので、自情学級で自立活動の指導で行っていくようなことと、通常の学級の交流及び共同学習の中で学ぶことがあるかなと思います。
 通級に話を戻しますが、通級は、障害種で区切った方がいいのか、生活上・学習上の困難さという視点で個別的なニーズがある子供に個別的に専門的な指導を行うという考え方もあるかなと思っています。
 それから、中学校、高等学校の通級。高校は30年度から始まりました。今、国立特別支援教育総合研究所でもいろいろな研究で、高校通級も情報を得ていますけれども、小学校の通級と中学校の通級と高等学校の通級は少し意味合い、役割が違うかなという気が最近してきています。高等学校は、卒後、社会人になる子たちもいます。もちろん大学に進学する子もいます。ですから、キャリア的な要素がすごく出てくるんです。でも、小学校は義務教育になるので、中学校があります。だから、中学校の思春期をどう迎えたらいいかというつなぎの役割があるのかなと思うので、ライフステージは抜きにして考えられないかなと思います。
 もう少し遡って、実は発達通級は、療育機関を利用しているケースがどんどん増えてきています。就学前の支援機関ですね。そうすると、就学前の支援機関でウエートを置いてくださっているのは、本人への指導支援とともに子育て支援なんですね。保護者支援のウエートが結構大きいので、学校に上がった途端に、保護者への丁寧な相談がすっと薄まってきてしまうことのリスクもあるかなと考えると、少なくとも小学校の通級は手厚く保護者の面談とか相談とかを受け入れる要素は不可欠かなと思います。
 最後ですが、通級の担当者の専門性の話も皆さんしてくださっていて、通級の担当者の専門性は、子供の指導・支援の専門性はもちろん担保として必要なんですけれども、いかに生活で関わっている人たちにAちゃん、Bちゃん、Cちゃんの適切な関わり方を上手に伝えていけるかというふうなコンサルテーションだったり、あるいは周りの人たちの支援に関する相談対応だったり、そんな役割もあるかなと思っています。よくお話をするのは、学校担任へのコンサルテーションと保護者の子育て支援と、あとは地域の関係機関との密な連携によって専門性が高まっていくことをいつもお話ししています。また、次回から通級がメインになるということですので、少しずつお話ができればいいかなと思っています。
 ごめんなさい、長くなりました。以上です。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、滝川委員、お願いいたします。
【滝川委員】  皆様、こんにちは。京都女子大学発達教育学部教育学科の滝川国芳と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 大学では、特別支援教育の基礎理論に関する科目と、病弱・身体虚弱児の指導法、教育課程、心理等を担当しています。自己紹介を少しさせていただきますと、私自身は福井県の出身で、福井県で、知的障害と病弱の養護学校、それから、県の特殊教育センター、そして、福井県教育庁と19年間教職の仕事をさせていただきました。
 今日の検討会議に関する関係する仕事の一つとして、福井県の特殊教育センターで6年間勤務しておりました。当時、先生方の教員研修等も担当したのですが、教育相談、とりわけ、通常の学級に在籍している、当時、情緒や言語に気掛かりな子供たちを対象にした小中学校への巡回指導を担当しておりました。これは福井県の特殊教育センターに公用車があって、県内の学校へ出向いていって、個別の取り出しの指導をしたり、あと、担任あるいは管理職の先生、あるいは市町の教育委員会の担当者の方からの相談を担当したりしました。学校に到着すると保護者の方が待っていて、子供は横にいて、保護者のお話を聞いて終わるというようなことも多々ありました。平成7年から12年までということで、先ほど計算してみると、今から27年前のことになります。まだ、通級の制度が平成5年にスタートしたすぐ後の頃で、LD、ADHDというような用語も世の中にようやく出てきた時期でした。
 そのときに巡回指導をさせていただいていて一番思ったのは、子供たちが巡回指導の日に待っていてくれることでした。巡回指導のない日は、朝、保護者が「学校へ行きなさい」と言ってもなかなか学校へ行かない子供たちが、巡回指導の日は「まだ行ってはいけません」というくらい早く出ようとするというお話を聞いて、やはり個別の指導というのは必要なんだなということをずっと思いながら仕事をしていました。
 その後、7年間国立特別支援教育総合研究所の方で仕事をさせていただいて、特別支援学校・特別支援学級の教育課程、交流及び共同学習、特別支援教室構想に関する研究、障害種別では病弱教育研究班に所属しておりました。今日この会議に参加させていただいているのは、病弱教育という視点からも意見を述べないといけないのではないかなと思っているところです。
 検討事項の通級による指導に関して述べますと、病弱・身体虚弱の子供たちももちろん通級指導の対象になっているのですが、実際に指導を受けた子供たちの数は、先ほど表にありましたけれども、平成9年が全国で4人、そして、令和元年が50人ということで、この数だけを見ても、通級指導教室といったときに病気の子供たちを想定する人は非常に少ないのではないかなと思います。
 ただ、その一方で、通常の学級に在籍していて、不登校を理由に年間30日以上長期欠席している子供が約11万人いるんですけれども、その子供たちと別に、病気を理由に長期欠席している子供たちが約4万6,000人います。この4万6,000人が多いのか少ないのかというのを学生に話をするときに、全国の全ての特別支援学校の小学部に在籍する子供の数が4万4,000人と示しています。通常の学級に在籍していて、病気を理由に学校に行くことができない子供が4万6,000人もいるんだということにやはり着目して、通級による指導の対象が令和元年度50人だったというところのすり合わせをうまくできないかなというようなことをずっと思っていました。特に病気により長期欠席せざるを得ない子供たちが、通級による指導を利用して少しでも学校にアクセスできるようになるのではないかと思っています。
 もちろん平成30年9月に、小学校・中学校段階で病気療養する子供に、小学校・中学校による同時双方向型の授業を行った場合、指導要録上の出席としてカウントできるという通知は出ましたけれども、この通知が出たことを知らない先生方も多いのではないかと考えています。小学校で行っている先生方の授業を在宅で療養している子供たちに配信することによって、出席になるんだということが広まっていくといいと思いますし、是非、先生方がそういうふうにご自身の授業を配信していただけるといいなと思っています。
 もう一つ指標として、小児慢性特定疾病児童医療費助成を受けることができる小児慢性特定疾病児童等データベースの登録数が、これは18歳未満ですので乳幼児も含む数ですけれども、8万3,000人強です。まだ十分登録されてないというところも課題になっているようですけれども、それでも既に登録している数が8万3,000人いるということで、病気を持ちながら、あるいは療養しながら通常の学級に在籍している子供たちが非常に多いという現実を踏まえて、通級による指導の更なる充実の取組というところを是非、委員の皆さんと一緒に考えることができたらなと思っています。そういう意味でいうと、学校教育法施行令第22条の3の障害程度に該当する子供になったりならなかったりするというところがまた病弱・身体虚弱教育の少し難しいところだなと思っています。
 それから、特に今、病弱の特別支援学校中学部・高等部で課題になっていますのは、精神性の疾患、精神及び行動の障害のある子供たちの授業の在り方です。特に発達障害の二次障害も含めてどのように対応していくかということも必要ですし、もう一方で、教育相談等を経て病弱の特別支援学校にたどり着いた子供はまだ幸せだと。たどり着かずに、ひきこもりになり、家から出ることができない子供たちをどうするのかというようなことを考えていくと、学校教育にアクセスできない子供たちをどのようにこの日本は教育していくかということを考えていかないといけないのではないかなと思っています。
 以上、思ったことを述べさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。この後の方に大変申し訳ないんですけれども、私、皆さんと違って専門家ではないので、お話に随分聞き入ってしまいまして、時間のことをついうっかりしておりました。あと約30分ということで、7人の委員の方にお話しいただくことになります。大変申し訳ありませんが、3分から4分ぐらいでおまとめいただけますと有り難いです。よろしくお願いいたします。では、竹内委員、お願いいたします。
【竹内委員】  では、3分で巻いてしゃべります。それが仕事柄なので。すみません、NHKの解説委員をしております竹内と申します。よろしくお願いします。僕は取材者ですので、いろいろな先生にこれまで取材をさせていただいて、今回委員になっている先生にも取材をさせていただいており、本当にありがとうございます。
 多分、僕は取材者の立場ということもあるんですが、僕自身、皆さん画面で拝見したことがあるとお分かりだと思うんですが、僕自身が車椅子ユーザーです。ちょうど養護学校義務教育化の年に小学校に入学した人間でして、通常の学級に行くのか、養護学校に行くのかというような境目の世代で、長野市出身なんですけれども、長野市の市政の中では初めて通常の学級に行った肢体不自由者として名前が刻まれているらしいですというような立場と、あともう一つは、うちの息子が650グラムで17年前に生まれていまして、今、高校3年生なんですけれども、発達障害があって、小中は通級に行っていました。今、高校生でサテライト校みたいなところに行って学んではいるんですけれども、少しこれからの将来は心配かなというような状況でいます。
 先生方のお話を聞いていていろいろ、本当に僕の勉強も取材もまだまだ足りないなと思いつつも、取材者の立場から言うと、そもそも特別支援教育ということ自体に対して疑問を向けている立場であります。というのは、インクルーシブ教育自体が本当に僕は大事だと思っていて、僕も通常の学級にしか行ったことがないので、肢体不自由者の立場からすると、やはりそこで学んできたこと、そして、一緒に学んできたことが、僕の友達も含めて大きな影響を与えていたのであろうということをすごく感じています。
 うちの息子に関してもそうなんですが、小中学校で通常の学級、今も通常の学級といえば通常の学級なんですけれども、学んだときに、確かにいじめに遭ったりもしたんですが、今の高校は結構発達障害のある子たちとかもいっぱいいるんですけれども、それよりも通常の学級で学んできたときの方がよかったというような言い方をしているんです。通級は、巡回じゃなくて、通っていたりしてなかなか大変だったんですけれども、それは何が大変だったかというと、通常の学級における勉強もしなければいけなくて、通級に行ってもやらなければいけないから、ダブルで勉強しなければならないということになるとすごい負担だったんです。
 だから、本当に、何というか、少し話がまとまらなくなっているんですが、通級に行くことの必要性をどうやって吟味していくのか、若しくは通常の学級に行って何を学べるのか。これだけ多種多様な障害のある人たちに対して本当に、先ほど委員の方でおっしゃられた方がいらっしゃいましたけれども、先生だけに頼っていていいのか。つまり、僕みたいな身体障害の子を見た先生が次に発達障害の子を見られるかといったら、僕は見られないような気がしているんですね。そういったことも含めて検討していかないといけないのではないかなと思っています。
 3分ぐらいでしょうか。以上です。また、今度お話しさせてください。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。御協力いただきまして、申し訳ありません。
 では、中田委員、お願いいたします。
【中田委員】  失礼いたします。鳥取県教育委員会で教育次長をしております中田と申します。よろしくお願いいたします。
 鳥取県はとても小さい県、日本で一番小さい県ですが、その小ささを有効的に利用しながら、全県でいろいろな教育充実に向けて取り組んでおります。特別支援教育も同じような視点で、県と市町村、学校が一緒になって取り組んでいくという姿勢をこれまでずっと持ってきております。
 ただ、本県における特別支援教育の中での発達障害に関する取組が進んだのは、今回の委員にもなっておられます小枝先生が鳥取大学におられて、そこから本当に急速に充実、研究が進んだなと思っております。今、東京におられるわけですけれども、時々鳥取にもおいでいただいて御指導を頂戴しておるわけですけれども、大きな力を頂いたなと思っております。
 本県の特別支援教育の特徴といたしまして、今ちょうど今後の特別支援教育の在り方検討を行っておりまして、基本方針を立てようとしています。たくさんあるんですけれども、幾つか紹介いたしますと、幼児教育段階から小中高と継続性のある支援を考えて取り組んでいく必要があるということに力を入れております。
 5歳児健診、これも小枝先生にお世話になって、ほぼ全県で行っております。それから、高校の通級も平成30年からスタートしたんですが、本年度一つ増えまして、5校ということで取り組んできております。高校の通級で本県の特徴としましては、高校の教員が研修を積みまして、高校の教員が通級担当となって校内で通級を行っているというところが大きな特徴なんじゃないかなと思います。センター的機能を使ってという取組もあろうかと思いますが、やはり子供のことをよく知っている高校の教員が取り組むということは、一つの特徴なのかなと思っています。
 また、通級指導の在り方ということも、この特別支援教育の在り方検討の中でも話をしております。巡回指導のことがたくさん出てまいりましたが、本県はまだ巡回指導が増えているといった段階ではありませんが、実施している学校の教員の話を聞きますと、やはり保護者の負担だとか、それから、その学校の先生と一緒になって子供たちのことを考えることができるということで、効果としては高いのではないかなという話はしておりますので、またこの会議の中でもお話をさせていただければなと思います。
 大きく二つ柱があってのこの会議でございます。鳥取県は取り組んでいることがたくさんあるわけですけれども、少し課題としては、硬直化している部分あるのかなというようなことを感じております。整備は進んできていますが、そこから更に一歩進んだものにつなげないといけないのではないかなと思っています。例えば通級で学んだことをいかに通常の学級で担任と一緒になって取り組んでいくか、この辺り、校長先生方と話をしますと大きな課題として感じておられて、通常の学級の担任が苦戦をしているというような話も聞きます。
 今回こうやってこの会で一緒に学ばせていただく中で、いろいろと私自身も勉強させていただきながら、鳥取県の教育に返していくことができたらなと思います。教育行政という立場ですので、その辺りも少しずつお話ができたらなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、野口委員、お願いいたします。
【野口委員】  皆さん、こんにちは。野口晃菜と申します。私は、昨年度まで障害のある方の支援をしている株式会社LITALICOという会社で10年間働いていました。今もアドバイザーとして関わっておりまして、小学校等における個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成をサポートしたり、eラーニングを視聴したり、教材をダウンロードできるシステムを開発して、現在、自治体で導入しており、実質的に質を向上させる仕組みとして機能しつつあると評価を頂いているところです。そのほかに現在、一般社団法人UNIVAという法人を立ち上げまして、そこの理事としていろいろな自治体の教育委員会のアドバイザーや共同研究などをしています。あとは、先ほど梅田委員からもありましたが、大学の教職課程の必修科目となった特別支援教育概論の担当などもしております。
 私からは、様々な自治体の学校現場で感じる課題とか、民間機関としての関わりの中で得られた知見や気付きなどお伝えしつつ、この検討会で皆さんと一緒に考えていきたいなと思っております。
 今日頂いた二つの論点は両方すごく大事だと思っております。皆さんおっしゃっていただいたとおり、どの自治体でも特別支援学級在籍の子供やニーズが増え続けている状態だと思います。どの自治体で関わっていても思うことは、やはり通常の学級の在り方を多様な子供がいることを前提としていかなければならないなというところです。通常の学級における支援は果たしてどこまで可能なのか、実施すべきなのか、そのための環境整備をどこまでしていくのか、最低限やるべきことは何なのかということが整理されないと、少しこの子少し支援が必要となるとすぐに別の場みたいな形で、どんどんニーズは増え続けるのではないのかなと思っています。
 もう一つ思うことが、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育推進の報告が出て10年がたつと思います。果たしてその中で共生社会に向かっているのかなということを疑問にいつも思います。ある調査では半数の人がそもそも障害のある人と接した経験がないという調査結果が出ていたりもします。教職課程においても、これから必ず障害のある子と接するよということで、「じゃ、障害のある人と接したことありますか」と聞くと、ほとんどの学生が接したことがない、あるいは接したことがあるとしても本当に一時的なものであったというところで、どう接したらいいか分からないというようなそういうところとかもあって、非常に課題と思っております。
 子供たちは将来、障害のある人を含む多様な人がいることを前提とした社会を創っていく担い手であるかと思いますので、その中で改めてこの検討会でも教育で担うべき役割は何なのかということを考えていけたらなと思っております。市川委員や梅田委員、竹内委員からもありましたが、そういった点においても障害のない児童生徒も含めたインクルーシブの文化形成などについても検討していく必要があるかなと思っています。
 権利条約の審査も始まるということで、権利条約を踏まえると、やはり地域の学校を原則としつつ、小枝委員のおっしゃるとおり柔軟に場を選択できる、行き来できるシステムである必要があると思っています。今は果たして柔軟なのかというと、1回場を決めたらそれで終わりというふうにやはりなっているところが多いのではないかなと思います。なかなか柔軟になれていない状況、それを阻んでいるものは何かということを考えていく必要があるのではないのかなと思っています。笹森委員がおっしゃったとおり、それぞれの場の役割を改めて何なのかというところを整理する必要もあると思っております。
 早口になりましたが、皆さんと一緒にこの検討会で考えられることを楽しみにしております。よろしくお願いします。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、平野委員、お願いいたします。
【平野委員】  平野真理子と申します。平野卓球センターで老若男女100人ぐらいの、下は3歳から上は80代までの方たちに卓球を教えております。娘が3人いるんですけれども、長女が東京オリンピックに卓球選手として出た平野美宇です。ただ、今回この会に呼んでいただいたのは、三女が、竹内さんの息子さんと先ほどお話を聞いてたら同級生だと思ったんですが、現在高校3年生で、その子が発達障害がありまして、恐らく保護者の立場として今回お声掛けいただいたのかなと思っております。大変光栄に思っております。
 最初は実は少し荷が重いのでお断りしようかと思っていたんですが、夫に、自分のやってきたことが社会に反映されたり、少しでも役に立てるんだったらすごいことだし面白いんじゃないのと少し背中を押されて、今回お引き受けさせていただきました。勉強しながら頑張りたいと思います。
 自己紹介を簡単にさせていただきますと、私は小さい頃から小学校の教員になりたいという夢があって、実際、学校教員を約10年やっておりました。ただ、最初の赴任校がたまたま特別支援学校、このとき、肢体不自由の学校で一番重度のクラスでマンツーマン指導を3年間経験しました。このときに実は障害のある方たちと初めてちゃんと接したんですが、本当にこのときに私は命の重さとか、あと、一人一人に対する個別指導案があったりする、個を大事にする教育に衝撃を受けて、自分はこれからこういう教育にずっと関わっていきたいなと思っていました。
 3年間終わったときに、普通の通常の中学校に異動したんですが、そのときも特別支援学級の担任を5年間させていただいて、その後、自分のもともと夢だった小学校の方に移って、小学校のクラス担任をしました。その小学校のクラス担任のときは、今度は特別支援学級の生徒を交流学級の方として受け入れる側の担任としての経験もそのときさせていただきました。
 夫の仕事の都合というか、私は静岡で教員をやっていたんですが、夫が山梨県出身だったので、山梨の方に夫が就職が決まったところで移ったので、その時点で県の採用なので退職をして教員を辞めたんですが、その後、今の平野卓球スクールを立ち上げて卓球指導を始めました。
 教員を辞めてから2、3年後ぐらいに三女が生まれたんですが、その三女に発達障害があるということが3歳ぐらいのときに分かって、今度はそこからは、今まで指導者だったのが今度は保護者として、今17歳で、今度誕生日が来ると18歳になるので、約18年間、今度は保護者という立場で障害のある子に関わるというか、保護者としてほぼ当事者の状態でずっと一緒にやっております。
 平野卓球センターにも100人ぐらい生徒さんがいるんですけれども、そのうちの1割ぐらいが障害のある生徒さんで、小さい子から大人の方までいろいろな、聴覚障害の方もいるし、発達障害の子もいるし、いろいろな障害の種類の方が卓球を習いに来てくれています。
 なので、教師歴10年、保護者歴17年、卓球指導者として障害のある選手とも関わって約20年ぐらい、いろいろな立場なんですけれども、いろいろな自分の経験してきた立場で少しでもお役に立てる発言ができればいいなと思っております。皆さんのお話を聞きながら、勉強もしながら、少しでもお役に立てる御意見が出せればいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、藤井委員、お願いいたします。
【藤井委員】  上越教育大学の藤井と申します。本検討会議に参加させていただき、ありがとうございます。
 本学では、大学院で特別支援学校教諭免許状取得に対応したカリキュラムを設定しています。私自身は自立活動及び言語障害教育に関する授業を担当しております。また、教職大学院であるため、学校実習を担当しておりますが、そこでは、特別支援学校及び小学校の自立活動の授業づくりに関する内容に取り組んでいます。研究についてですが、通級担当教師の養成及び現職研修に関わる研究、特に自立活動の指導及び教師の職能成長の視点から研究、現職研修の実践に取り組んでいるところです。私自身は、特別支援学校教諭、それから、乳幼児を対象とした療育センターでの言語聴覚士としての経験を経て現職に至っています。
 その関係で言語・難聴通級の先生との関わりが多いのですが、そしてまた、聴覚障害・言語障害については通級の制度化に大きく貢献したと言われているところでありますが、その先生たちの養成や現職研修については大きな課題が残されていると考えております。特別支援学校教諭免許状の取得も求められていません。今回の学習指導要領では自立活動を参考とすることが明記され、それから、個別の指導計画作成が義務付けられましたが、そもそも自立活動の理念、すなわち、障害種別を問わず、個々の子供たちが障害による学習上・生活上の困難を改善・克服するための知識・技能・態度及び習慣を養うといった、そういった力を養うという理念を学ぶ機会が得られないまま日々の指導に追われているという実態もあるかと思います。
 また、通級、校内において自立活動についての理解が共通となることにおいて大きな課題もあると考えられます。先生方の指導への不安が大きい中で、専門性の継承自体も先生方に委ねられているという現状もあるようです。地域の特別支援学校の専門性の活用についても課題が大きい現状があります。
 そして、通級対象児の実態は、いわゆる言語障害だけではなく、言語障害通級指導教室に通ってくるお子さんも複数の障害種を併せ有している実態も見られます。そのようなことから、より自立活動の理念を踏まえて指導していくことが必要になると考えます。そのような中で、自立活動の理念を踏まえた個に応じた通級による指導が展開されるよう、研究や教育に取り組んでいるところです。
 私自身は、この会議に参加させていただくことを通して、先生方からの御意見から多くの知見を学び、また、私自身の経験を踏まえまして本検討会議の検討に貢献していければなと考えているところです。
 以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、馬飼野委員、お願いいたします。
【馬飼野委員】  都立荻窪高等学校の馬飼野と申します。よろしくお願いいたします。私はこれまで高等学校の教員しかやっておりません。ですので、様々な障害とかそれを持った児童生徒への教育あるいは特別支援教育ということについては専門的な知見が特にあるわけでもなく、また、都立高校あるいは高等学校について把握しているというわけでもありませんので、どれだけお役に立てるかというのは非常に不安なところがあり、恐縮ですが、私自身は非常に勉強させていただけるなと考えておるところです。実際に現場にいるということで、現状や実践していること等を踏まえて何か参考にしていただければとは考えております。
 高等学校にも、障害があって学校生活を送る上で支障をきたしている生徒は少なくありません。発達障害やその疑いを持った生徒は、多い少ないはあってもどこの学校にもいると思われます。ですが、実際には学校によって障害の認知ができていなかったり、専門性が追い付かなくて、実際の支援で苦労するというようなことも少なくありません。それでも、専門家の意見を聞くなどして各校取り組んでいる状況です。
 そういう中で、昨年度から発達障害を持った生徒を対象とした通級による指導が都立高校でも始まりました。本校でも8名の生徒がこれを活用して指導を受けたところです。先ほどどこの学校にもニーズはあると言いましたが、昨年度は、始まって、ふと周りを見ると、ほとんどの学校では実施されていないというような状況でした。結果的に先駆的な立場ということで、実践情報を発信していかなければいけないなと思っているところです。本校では教員が中心に行っていますが、教材や指導内容については、民間業者の支援を受けながら実施しております。受講者のほとんどは人との関わりがうまくなく、コミュニケーション力を付けたいという希望がありまして、そういった専門家の支援を受けながら一定の成果を上げているところです。
 この通級による指導自体、校内で様々な課題を抱えて、それを潰しながら進めているところですが、その他の通級の対象とならない生徒への対応も多くの課題となっています。例えば知的障害を持った生徒への対応は本当に難しいと実感しております。高等学校の場合、入学選抜がありますが、それでも入学することは可能です。ただ、義務教育と違って、専門的な検討の機会が必ず設定されるというわけではありませんので、保護者は十分な情報を得た上で選択しているのかというところはやや心配なところではあります。
 更に言えば、高校では教科・科目の単位を修得しなければ卒業はできません。障害を持ったお子さんにどうやって方程式や関数を学習させるかということは本当に悩ましいところです。また、卒業後の進路ということも考えると、非常に難しい課題を抱えているなと思っております。保護者にしてみれば、なぜ自分の子供は通級の対象にならないのかというようなことを考えているかもしれません。このようなことについてもこの会議での検討事項ということですが、正に大きな課題かと考えております。
 様々な課題を抱える現場からということで、何かお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、お待たせいたしました。最後に、宮﨑委員、よろしくお願いいたします。
【宮﨑委員】  全国特別支援教育推進連盟の宮﨑と申します。これまで長年にわたって特別支援教育に関わらせていただいてきております。今日皆様からのお話を伺っていて、様々な改革が取り組まれてきた中で、教育の現場等ではまだまだ課題が山積しているということを改めて感じ取った次第です。ただ、多くの皆様がそうであるように私ども特別支援教育推進連盟も、これらの課題に対して私どもでできることは、関係団体と連携しながら努力をしてきていることは間違いないと思いますが、制度面での一層の改革が求められていることから今回の検討課題が提起されたという点で、時宜を得たテーマの設定がされていると感じております。
 通級による指導の更なる充実ということが大きな課題になってきて、今回の大きなテーマになっておりますが、私どもも令和元年度にこのことについて様々な団体と連携しながら検討を進めてきた冊子を取りまとめたりしてきています。幾つか今日出されたことで課題になっている部分だけ申し上げます。まず10ページに掲げてあること、就学指導と関わることですが、学校教育法施行令第22条の3の規定に該当するお子さんたちの約3割が公立小学校へ入っているという資料に注目いたしました。平成29年度までのデータですので、この後がどうなっているかというのも少し気掛かりですけれども、約30%前後が何らかの課題を持ちつつ、公立小学校を選択されているわけです。
 これは大変大きなことなので、ここの支援をどうしていくかというのが次の11ページと関わっているわけですけれども、その中で、知的障害者への支援が課題となっている。現在の状況は、斜線になっているということ、つまり、通級の対象となっていないということですが現場感覚から言えば、これは今回検討いただきたい大きな課題になっていると思います。学校種や障害種における現状を踏まえてどうするか、特に知的障害の通級をどう考えるかというのは今回大きな検討課題になっているのかなと思います。そういった際に一番問題になるのが法令だと思いますが、通級による指導の関連法令、34ページのところ、ここをかなり弾力化していかなければいけないのかなというような問題も同時にあると思っています。
 細かいことは飛ばしまして、私どもの調査研究によると、小学校、中学校における通級による指導の形態が充実してくればくるほど、これまで、先ほど希少障害とおっしゃられたんですが、難聴・言語は非常に充実をしているけれども、ほかの障害種については課題が出てきています。この通級による形態をどう考えていくかというのが、今後大きく考えられなければいけないのではないか。
 東京都の特別支援教室構想、情緒障害通級指導と連携をしながら整備をされている中身をつぶさに検討していくと、方向性が見えてくるような気がしています。その際、皆さんからお話があったように、通級指導担当の先生方と通常の学級の担任の連携が極めて重要になってくるのかなと思っています。この辺りの工夫については、国立特別支援教育総合研究所が手引書を出されていたりしますので、この点のお話もお伺いしながら再整理していく必要性があるのかなと思いながら聞かせていただきました。
 時間がないので、このぐらいにしておきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。これで委員の皆様全員から御発言をいただきました。終了時間が近付いてまいっておりますけれども、文部科学省の淵上審議官に来ていただいております。奥住副座長が最初にお話しになりましたが、その途中から御参加いただいておりまして、皆さんの御発言は全てお聞きいただいております。
 では、淵上審議官、どうぞよろしくお願いいたします。
【淵上審議官】  文部科学省の淵上でございます。本来であれば、冒頭で先生方に御挨拶申し上げるべきところ、少し遅れて失礼いたしました。ちょうど、明日が国会の閉会日でございますけれども、最終盤のところで、こども家庭庁の設置に向けての審議が行われております。このこども家庭庁は、もう皆様御案内のとおりでありますけれども、誰一人取り残されない社会を創っていく、子供真ん中の社会を創っていくと、こういう理念の新しい役所を創っていくという法案でございます。本日御審議をいただいております、障害のある子供たちへの支援の在り方に関する検討会議とも通底するテーマではなかろうかと思っております。
 さて改めまして、委員の皆様方におかれましては、御多忙の中この会議への御参画を御承諾いただきますとともに、本日御熱心な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。いろいろこれまでも文部科学省としても様々な状況を踏まえて各種の施策を取り進めてきているところでございますけれども、また新しいテーマとして今回のこの検討会議での御議論をお願いしているところでございます。
 実は私、昨日ちょうど出張がございまして、ある県の学校を見させていただく機会がございました。そこでは特別支援学校の状況も拝見をさせていただきましたし、また、ある小学校の特別支援教育の実情も見させていただきました。そこではたまたま、今日御出席の氏間先生の遠隔サポートのシステムも受けているという小学校の状況なども見させていただいたところでございます。それぞれの地域、学校でいろいろな工夫をしながら子供たちのために懸命の取組をされているなという状況をお伺いしましたし、併せて、さはさりながら、それぞれのところでなお課題があるということも感じたところでございます。
 この会議を通じて、インクルーシブ教育システムの更なる実現に向けて、通級による指導の充実をはじめ通常の学級に在籍する障害のある子供たちへのより効果的な支援施策の在り方について御意見を頂きまして、施策に反映していきたいと考えております。
 本日、それぞれの先生方から既に御知見、御経験に基づく多様な論点、課題意識なども頂いたところでございます。次回以降も、積極的な御議論を賜りまして、施策に結び付けていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは、時間が過ぎておりますので、今日皆様がおっしゃった中で幾つか重なっている部分がありまして、そういったことがこれからの議論の上で非常に重要になってくるのかなということを思いましたが、改めて申し上げることは致しません。
 私、大変勉強になりました。さっきも申しましたように、専門では全くありませんので、また、馬飼野委員と同様と言うと馬飼野委員に失礼ですけれども、私も高等学校に長らくおりまして、そこでいろいろな障害のある生徒とも関わりを持ってまいりましたが、ただ、今日この専門でない私がお話を聞いておりましても大変勉強になりました。拙い進行役でございますけれども、改めてどうぞよろしくお願いしたいと思います。皆様と御一緒できることに大変安心感と、それから、期待を持たせていただきましたということを申し上げておきたいと思います。
 もう1点、専門でないということで大変御厄介を掛けるのですけれども、また、これはユーチューブで配信しておりまして、いろいろな方に是非傍聴していただきたいという思いもございますので、専門用語は別といたしまして、いわゆる専門の方同士で通じる略語のようなものはできる限り使わないでいただけると大変有り難いと思います。専門用語はもちろん専門用語ですからそれはそれといたしまして、通じるので略語でついついということがありますけれども、広く知っていただくという意味でも、その点御配慮いただければ幸いでございます。
 本日の御意見、大変貴重な御意見をたくさん頂きましたので、私の方で奥住副座長と事務局とも御相談の上、論点を少し整理させていただきたいと思っております。次回の検討会議でそういったこともまたお諮りしながら、深い御議論にお願いできればと思っております。よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【荒瀬座長】  ありがとうございます。
 では次回の日程につきまして、小林企画官、よろしくお願いします。
【小林企画官】  ありがとうございます。次回は、資料にも書かせていただいたとおり、7月12日の火曜日16時から18時に開催させていただきます。お忙しい折、大変恐縮ではございますが、引き続きよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 では、本日はこれで閉会させていただきます。延長してしまいまして、申し訳ございませんでした。ありがとうございました。

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係

(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係)