質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会(第1回)議事要旨

1.日時

令和4年12月20日(火曜日)9時00分~11時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 調査研究会に運営について
  2. 質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等の現状
  3. 委員からの発表
  4. その他

4.出席者

委員

青木委員、植村委員、鍵本委員、川田委員、齊藤委員、貞広委員、戸ヶ﨑委員、藤原委員、善積委員

文部科学省

藤原初等中等教育局長、寺門大臣官房学習基盤審議官、堀野初等中等教育局企画課長、村尾財務課長、鈴木初等中等教育局企画官、樫原教育人材政策課教員免許企画室長
北川財務課教職員配置計画専門官、廣石財務課課長補佐、栗山財務課課長補佐

5.議事要旨

  • 事務局から、委員・文部科学省出席者を紹介。
  • 資料2に基づき、調査研究会における運営について、案のとおり決定。
  • 資料3に基づき、村尾初等中等教育局財務課長より説明。
  • 資料5及び資料6に基づき、青木委員、藤原委員より発表。その後、意見交換。主な意見は以下のとおり。

〇今回の議論に当たっては、教師をとりまく政策には、国の政策や制度、学校、個人という複層的な論点があることを意識した上で、給与のみならず、勤務制度や教職員定数、支援スタッフ、働き方改革、業務改善等を含めて一体的に検討を進めていく必要があるのではないか。

教員の養成、採用、研修といった各段階に応じた適切な政策が講じられることが必要ではないか。

〇文部科学省が、給与や勤務時間をはじめとする政策課題に主体的に取り組むことが期待されるとともに、自治体の取組状況を踏まえた支援の在り方も今後は重要ではないか。

〇数十年前と比較して、ICTを活用して客観的に在校等時間を把握する取組が大幅に進んできた中、把握の対象となる在校等時間の在り方もまた変化していることも踏まえながら検討を進めるべきではないか。

〇中教審答申「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」など教員養成制度が前提とする学び続ける教師像と整合性を有した形で、教員給与及び教員の業務の在り方について検討すべきではないか。

〇国際的にも、時間外勤務に係る仕組みをはじめ、教師の処遇の在り方については、唯一最善のモデルがあるわけではなく、前提となる教師像を含め、各国の状況に応じた仕組みを取り入れ、改善を進めているという状況にある。

〇教職は、我が国の未来を担う人材を育成するという崇高な役割と職責を担っており、そういった給特法や人確法の精神は維持していくべきではないか。

〇政策や制度に関して文部科学省の役割が大きいことは確かだが、任命権者及び給与負担者でもある都道府県、また、服務監督権者及び学校の設置者である市町村の果たすべき役割も大きいということを、改めて確認しておくべきではないか。これら3者がそれぞれの役割でできることが少なくないことを自覚した上で、志ある優れた人材が教師を目指して、働きがいのある職場で、誇りを持って安心して教育活動に専念できるように、それぞれの立場でできることに積極的かつ果敢に取り組んでいく必要があるのではないか。

〇働き方改革を進める上では、校長の役割が極めて大きく、校長のマネジメントで進めることができる業務改善が多くある。校長のマネジメント力の違いによって、働き方改革の学校間格差が生じており、その格差が広がっていると感じる。
同様に、働き方改革については自治体間格差も開きつつあるように感じている。国の政策や制度だけが課題となっているのではなく、それらが改善されたときに生かすことができるよう、教育委員会や学校が主体的、自発的に取組を進めていくべきではないか。

〇学校現場からは、教育の質を担保しながら働き方改革を進めていくには、限界が近づきつつあるという声もある。このような声に対して、教育委員会等による具体的な支援の在り方についても問われているのではないか。

〇学校間や自治体間の取組の格差が生じないようにすることが、都道府県や文部科学省の役割の一つになるのではないか。

〇議論を行う上では、給与や勤務制度、定数との関係で、教師の担う業務の量や内容といった点も重要になるのではないか。

〇教師が担う業務の量や内容については、平成31年にとりまとめられた中教審の答申において示された業務の分類を議論の出発点として、業務を担うべき主体について、業務の削減、廃止も含めた議論をすべきではないか。また、その際には、業務の適切な分量についても議論すべきではないか。

〇給特法の制定当時は、学校に勤めていたのは教師が大半であったが、今日の学校を取り巻く状況も踏まえると、教職員による業務分担の在り方だけではなく、業務を学校の外部にアウトソースすることも踏まえた議論が必要ではないか。

〇論点整理の中では、給特法が、民間部門の労働法制と異なる内容であるという点に注目するべきではないか。また、民間部門の労働法制との違いを考えていく際に、教師が担うのは公立学校において行われる教育であるという点は一つの着眼点ではないか。
また、公立学校において行われる教育に関しては、教育制度全体の中で、公立学校が担う役割という視点もあるのではないか。

〇業務の分類に関する基準が明確になれば、学校現場も業務の削減・廃止に取り組みやすいのではないか。また、本調査研究会のテーマである「教職の魅力向上に向けた環境の在り方等」に関して、魅力ある環境とは何かについてしっかり検討するべき。

〇採用試験の状況は年々厳しさを増しており、大変強い危機感を持っている。教育委員会では、大学と連携して教職の魅力を伝える様々な取組を進めているが、なかなか状況は好転していない。教職を志望しない理由として、教育現場の忙しさを挙げる者が少なくない。給特法の制定当時とは時間外在校等時間の状況が大きく異なっており、今後、給特法や人確法の精神は十分に生かしつつ、給与面で何らかの見直しが必要ではないか。
また、働き方改革の取組を更に進めていくためには、引き続き、定数改善や支援スタッフの配置等の施策の充実も必要ではないか。

〇日本では、時間外勤務手当を支給せずに教職調整額を支給するという仕組みになっているが、諸外国においても、時間外勤務を時間で測定し、それに対して追加的な給与を支給する仕組みは一般的ではなく、教職の特殊性を踏まえた仕組みをそれぞれ構築していることに鑑みれば、日本の現在の仕組みが他国と比較して例外であるとは言えないのではないか。

〇特別支援教育コーディネーターやGIGAスクール、情報教育を担当する主任などについて、手当の支給などによって、メリハリのある処遇改善をするという観点が必要ではないか。

〇教職調整額の維持か、時間外勤務手当を支給する仕組みにするか、といった議論の前提として、未来のこの国の日本をつくっていく子供を教え、導き、育てるという崇高かつ全人格的、また高度な専門職であるという教師の職務について、現在のように、単に在校等時間の把握ができるといったレベルではなく、本質的に勤務時間の内外を切り分けることができる性質のものであるのかどうか、という点がしっかり議論、検討されるべきではないか。

〇教師の職務の特殊性を踏まえたときに、個別具体の職務について、学校管理職が時間外勤務として認めることが現実的にできるのかどうか、しっかりと検討されるべきではないか。管理職の事前承認が増えることに加え、訴訟等のリスクを抱えることになれば、働き方改革への逆行になるとともに、学校現場がぎすぎすした雰囲気になってしまうのではないか。

〇地域毎の事情を考慮して、他職種と比較した場合の教師の給与水準に関する議論が必要ではないか。それに関連して、教師や教師を目指す者に対する支援としては、給与だけではなく、奨学金等も議論の対象となるのではないか。教師になる前にもメリットがあることで、教師志望者が確保されやすくなるのではないか。

〇登校時間を遅くするという韓国の例もあったが、共働きをしているため早く学校に子供を預けたいと考える保護者も多数いる中で、様々な関係者の間で議論を行う必要があり、導入には課題が多いのではないか。

〇今後、給特法の見直しを考えていく上では、時間外勤務かどうかの判断基準や、それを校長が承認するとなった際の事務的な手続き等も含め、非常に課題が多いのではないか。

〇文部科学省において、定数改善や支援スタッフの配置充実のための予算を確保しており、重要なことであるが、人材確保のためには、教師や支援スタッフを増やすだけでは必ずしも十分とは言えず、育成制度の一層の充実も重要ではないか。

〇諸外国の制度を踏まえても、全ての教師が納得する給与制度を作ることは難しいのではないか。また、教師の業務の特殊性や専門性を発揮するためには、子供たちと関わることが必要だが、関わる時間を増やそうとすれば在校等時間の短縮と逆行する側面もあって悩ましい。学校として様々な業務改善に取り組んでいるが、学校単位、教育委員会単位でできることには限界もあるのではないか。

〇教職のポジティブな側面により焦点を当てた情報提供や啓発が必要ではないか。
また、個々の教師の強みを管理職が中心となって生かしていくことにより、組織として良い学校づくりを進めていくため、様々な能力を持った様々な人材が学校現場で協働する体制を今後も構築していく必要があるのではないか。

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文部科学省初等中等教育局財務課企画調査係

(文部科学省初等中等教育局財務課企画調査係)