令和4年10月18日(火曜日)14時00分~16時00分
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催
荒瀬克己座長 池田彩乃委員 氏間和仁委員 梅田真理委員 奥住秀之副座長 帯野久美子委員 喜多好一委員 櫻井秀子委員 笹森洋樹委員 滝川国芳委員 竹内哲哉委員 中田寛委員 野口晃菜委員 平野真理子委員 藤井和子委員 馬飼野光一委員 宮﨑英憲委員
安彦広斉初等中等教育局審議官 山田泰造特別支援教育課長 生方裕特別支援教育課特別支援教育企画官 菅野和彦初等中等教育局視学官
独立行政法人国立高等専門学校機構
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害児・発達障害者支援室
国立障害者リハビリテーションセンター
【荒瀬座長】 皆さん、こんにちは。荒瀬でございます。定刻となりましたので、ただいまから、第4回通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議を開催させていただきます。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとございます。
本日も現下の情勢を踏まえて、ウェブ会議システムを活用しての開催とさせていただきます。
本日の御欠席でありますが、市川宏伸委員、市川裕二委員、そして、小枝委員が御欠席ということを聞いております。
では、議事を進めさせていただきますが、まずは、今回から新しく帯野委員に御参画いただいておりますので、事務局の方から御紹介をお願いします。続けて、資料、議事の説明につきましても、お願いいたします。
【生方企画官】 事務局、特別支援課の生方でございます。よろしくお願いします。
本日の事務局の体制につきましては、お配りしております座席表にて代えさせていただきますが、9月1日付で、安彦広斉大臣官房審議官、初中局担当が着任し、本日出席しておりますので、御報告させていただきます。
また、先ほど座長からも御紹介ございましたとおり、株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役の帯野久美子委員が新しく就任されております。帯野委員におかれましては、キャリア教育の御専門でございまして、大阪市教育委員としての御経験もお持ちでございます。本会議におきましては、今後、高等学校段階における障害のある生徒への支援の在り方について御議論いただきたいと思いますことから、荒瀬座長、並びに奥住副座長の御了解の下、今回から御参画いただくことになりました。
それでは、帯野委員より一言御挨拶をお願いいたします。
【帯野委員】 ありがとうございます。帯野でございます。
今、御紹介いただきましたが、キャリアも専門というほどのこともなく、このような専門家の皆さんの間に入れていただいて良いのかなという疑問はございますが、特別支援教育については、中教審委員を務めておりますとき、指導要領改訂の際に、障害を持った児童生徒たちの学びの目的が自立支援だけで良いのかな、より豊かに、もっとより美しく生きていける、そのようなことも盛り込めればなというような思いは持っておりました。ただ、障害の程度も様々でございますし、また、障害の種類も多岐にわたってきております。そのようなことが、どの程度可能なのかということも含めて、今回の検討会で勉強させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【生方企画官】 帯野委員、ありがとうございました。
それでは、本日の議事及び配付資料の確認をさせていただきます。
資料につきましては、まず、議事次第、続きまして、検討会議の開催要綱、こちらは別紙の名簿のほうを、帯野委員を追加させていただいてございます。その後、資料1から4と参考資料の方を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局まで御連絡くださいますようお願いいたします。
また、このほか、委員の皆様に御発言、御発表等に当たりましてお願いしたい事項を送付してございますので、そちらを御参照いただきますようお願いいたします。
本日の議事でございますが、高等学校段階における通級による指導のさらなる充実に向け、自治体の工夫をお伺いするため、議事の1としまして、兵庫県教育委員会からヒアリングをさせていただきたいと思います。
続いて、議事の2としまして、馬飼野委員から、都立高等学校における、通級による指導について、御報告を頂きたいと思います。
最後でございますが、議事の3としまして、先日行われました、国連の障害者権利委員会の対日審査の状況につきまして、事務局より御報告をさせていただきます。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。帯野委員、是非よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。今も御紹介いただきましたように、今日は2件のお話を伺うということと、最後、報告が入っております。
まず、1つ目でありますけれども、高等学校における通級による指導について、兵庫県教育委員会事務局特別支援教育課、副課長でいらっしゃる榎本好子様、主任指導主事いらっしゃる赤井育代様から御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【赤井主事】 兵庫県教育委員会特別支援教育課の赤井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
資料の方、画面共有しますので、しばらくお待ちください。御覧できていますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、始めさせていただきます。こんにちは。兵庫県教育委員会特別支援教育課から報告させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
本県の高等学校における通級による指導ですが、なりたい自分に近づくためには、通級による指導が、研究指定を受けて最初に始められた西宮香風高校という学校がありまして、その通級指導担当教員の先生が、生徒たちに説明する際に使われて、今も続けられている言葉です。通級が障害や困難があるからではなくて、なりたい自分に近づくために一緒に学びませんかというような前向きなメッセージでアナウンス、働きかけによって取り組んでおられるので、その言葉を、紹介させていただきました。
それでは、本県の取組について、お伝えいたします。本日は、特に、通級による指導の担当教員の専門性の向上というところで説明の依頼をいただいたのですが、本県の取組、教育委員会の取組ですとか拠点校、巡回校の取組、協力校の取組を紹介したいと思います。
その前に、まず、兵庫県ですけれども、北は日本海に面し、南は瀬戸内海から淡路島を介して、太平洋へと続いています。大都市から農村、離島まで様々な地域で構成されておりまして、多様な気候と風土を通して、海水浴やスキー、温泉などの多彩なレジャーが楽しめることから、日本の縮図と言われています。特に歴史や風土、産業などの違いから、摂津(神戸・阪神)、播磨、但馬、丹波、淡路の個性豊かな5つの地域に分けることができ、五国と呼んでおります。
それでは、本県の特別支援教育です。平成31年から、兵庫県特別支援教育第三次推進計画を策定し、推進のキーワードを縦横連携として、共生社会の実現に取り組んでいます。就学前から卒業へと引き継ぐ縦の連携と、本人、保護者を中心に据えて、教育、福祉、医療、労働等関係機関がつながる横の連携、縦横連携を進め、共生社会の実現に向けた教育のさらなる充実を図っています。
次に、本県の特別支援学校特別支援学級在籍者数、及び通級による指導を受けている児童生徒数です。御覧のとおり、上から約10年で、特別支援学級は約2倍、特別支援学校は約1.4倍、通級による指導は、御覧のとおり4.7倍になっております。子供の数は減っている現代において、支援を必要とする子供が増えているのではないかというような疑問の声もありますがそうではなくて、特別支援教育に関する理解が深まり、その期待が高まったという表れだと考えられます。
次に、高等学校における特別支援教育の必要性について、まず、左側ですけれども、本県特別支援学級を卒業した生徒の進路状況ですけれども、全体の31.4%が高等学校へ進学しています。また、右側は、通級による指導を受けた生徒の進路についての調査ですけれども、約9割の生徒が高等学校に進学し、その約半数、約半分が公立の高等学校に進学していることが分かります。
こうした状況から、特別な支援を必要とする生徒が高等学校に進学した際にも適切な支援が引き継がれるように、中学校から高等学校への支援の引継ぎが大切となっています。引継ぎを適切に実施するように、本県では、平成29年度からガイドラインを策定し、追跡調査を行っています。スライド中央に記載のあるように、昨年度と比べて引継ぎを行っている中学校やその生徒数の割合が増えています。
次に、小・中学校等における通級指導教室数です。本県は、平成18年度からLD、ADHD等通級指導教室開始以降、通級指導担当教員を学校生活支援教員として配置しています。平成24年度から学校生活支援教員を、各市町の1小学校1教室以上、1中学校1教室以上に配置しております。そこで、小・中学校における通級による指導の理解啓発も進み、年々拡充が進んでいる状況にあり、通級による指導を受けた子供も高等学校に進学し、通級を希望するという状況が多く見られます。
左下は、神戸市を除いた県内、今年の通級指導教室数です。昨年度より44教室増え、小中学校等合わせて226教室となりました。基礎定数化に向けて、今後も拡充していきます。
そこで、本県の高等学校における通級による指導です。平成30年度、制度化に合わせて、9校から通級による指導が始まりました。今年度は拠点校20校、巡回校10校になりました。5月1日現在で137名、今日現在で160名になっております。
こちらが、県内の実施校の配置です。各学区、5学区に分けておりますけれども、その学区ごとに2校以上の配置を目標に進めてきました。まず、中学校で通級による指導を受けていた生徒が多く進学している高等学校に実地調査を実施し、ニーズの高い学校から地域が偏らないように選定していきました。また、高等学校において特別な支援、指導・支援を必要とする生徒が在籍し、学校長から自立活動等の必要性に関する要望に応じて、こちらも共に協議を行いまして、配置しています。現在、20校の拠点校に23人の通級指導担当教員を配置しておりまして、黄色で示している学校は巡回による指導を行っている学校です。
次に、本県では、平成30年度から高等学校における通級による指導、実践研究事業に取り組んでいます。この事業形態の中で、教員の専門性向上も図られる仕組みとなっています。まず、県教育委員会の取組として、有識者、専門家、小・中学校長代表から成る通級指導運営協議会を設置しています。そこで、課題整理ですとか、それから今後の方針ですとか、そういったところを協議しながら進めているところですけれども、そこには、巡回校や協力校と言いまして、後で説明しますけれど、特別支援学校が協力しているのですが、そこも含めて、通級指導担当教員の先生方には、オンラインによりオブザーバーで出席していただいています。また、県立特別支援教育センターにおいて研修会の実施ですとか、こちらからも拠点校に訪問指導に行くなどの取組も行っています。
そして、その下にありますリーフレット等ですけれども、これは、通級指導運営協議会で委員の先生方の御指導によって、理解啓発に向けたリーフレットや実践事例集等を作成しております。また、この後、説明いたしますが、高等学校における通級による指導実践研究協議会を今年度も月末、10月31日に予定しており、拠点校の通級指導担当教員や協力校の担当教員による実践発表や通級による指導を受けた卒業生やその保護者によるパネルディスカッション等を含めた行事を行っています。また、ほかに、合同研究会や大学の連携事業といいまして、教員養成課程を有する大学と連携して、そこにもこちらから理解啓発という形で進めています。
こちらは、昨年度、通級指導運営協議会において指導いただいてつくった、連携による効果的な実践普及啓発リーフレットです。生徒が困ったときに、どんなところに相談すればよいのかを生涯を通じて、様々な支援につながるようにということで、様々な関係機関があるということを教員にまずは知ってもらいたい。そして、生徒に支援が届くようにということで、教員を対象に向けてつくったリーフレットで、これは事例Hさんの場合というところですけれども、生徒が就学前から卒業後への成長の中で、どういった関係機関と連携していくことができるのかということを挙げています。
こちらが、先ほどお伝えした高等学校における通級による指導実践研究協議会です。これは昨年度の様子です。高等学校で通級による指導を受けて、卒業後、進学や就職した卒業生とその保護者を招いて、卒業後への影響などが語られています。自らの障害理解を深めて、自分らしい生き方を考えたこと、それぞれの場所で自分なりの工夫をしたり、相談をしたり、支援を求めたりしながら頑張っている様子を発表してくれました。通級が自分を変えるための努力を助けてくれる場所でした等、本当に生の声を聞かせてもらうことによって、我々がこういった通級による指導や特別支援教育を進める上での大きなヒントをたくさんもらう機会となっています。今年度も、10月31日に予定をしております。
次に、大学との連携事業ですけれども、これは教員養成課程のある大学の学生を対象にお話をしています。リーフレットのHさんの事例を基にして、自立活動についてのグループ協議等も行っています。
また、こちらですけれども、特別支援教育に関わる教員長期派遣事業ということで、これは本当に長きにわたって、昭和の時代から始まっているということなのですけれども、1年間または2ケ月間、現職教員が大学や特総研に行って、こういった個人で課題を見つけて研究を行う等の研修の機会があるということです。これらの研修に出た教員が通級を担当するというようなこともあります。
また、こちらが本県の特別支援教育センターで実施している研修一覧です。こういった形で行っています。
次に拠点校、巡回校の取組ですけれども、まず、拠点校は、特別の教育課程の編成等の研究ですとか、個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成、それから校内研修、年3回ということ。それから、小・中・高等学校、特別支援学校等及び関係機関との合同研究会といいまして、学区と淡路地区において年2回、それぞれその拠点校が企画運営しまして、研究会を行っております。この合同研究会に近隣の高等学校にも呼びかけ、参加を募ったり校内研修や教育相談等を行ったりし、理解啓発も行っています。
右側の週程表に実際の担当指導教員の時間割と活動について、お示ししています。巡回校も同じく校内研修を年2回、専門家を招いて校内研修を行っております。
次に、協力校です。こちらは特別支援学校です。拠点校に対して、特別支援学校が持っているノウハウや強みを拠点校に生かしていただいておりまして、訪問支援をし、個別の教育支援計画とか個別の指導計画の作成ですとか、関係機関との連携についての助言等を行っていただいております。特に、特別支援学校は右側にありますように、様々な関係機関とつながりのノウハウを持っていますので、こういったところを高校の先生に情報提供していただいたりする中で、高校の先生も支援の幅が広がったということを聞いております。
そして、こちらが合同研究会です。学区、地域ごとに、小・中・高等学校・特別支援学校の特別支援教育コーディネーターとか通級指導担当教員等を対象に、それぞれが学校での指導について情報交換を行ったり、通級による指導の充実に関する協議を行ったりしております。そして、いろいろなそれぞれの学校でのノウハウをみんなで共有したり、連携に関して、顔の見える関係性の構築を目指したりしています。
これが実際の様子です。こういった合同研究会等の取組も、教員の専門性向上にとても有効な研修の機会となっております。
事業が制度化して、5年が経過しました。卒業生も今のところ93名になっておりまして、生徒からは、自分自身の弱みと強みを知ることができ、高校生活を前向きに取り組むことができるようになったという声が多く見られています。また、教員、保護者にとっても、発達障害の理解の深まりですとか、子供が自分と向き合うことで成長したという声が大きく寄せられています。ですが、課題としまして、高等学校卒業後の生活を見据えた指導のさらなる充実を行っていくことと、どの高等学校に進学しても、希望すれば通級による指導が受けられるよう体制整備をしていく必要があります。
そこで今年度の新たな取組です。どの高等学校においても、希望すれば通級による指導が受けられる体制づくりとして、地域連携モデルの構築ということで、兵庫県北部に位置する但馬地区の高等学校を対象に、但馬モデルの研究に取り組んでいます。但馬地区を4つのエリアに分けまして、4つの拠点校がそれぞれのエリア内の高等学校にサポートを行います。左下にありますように、年間、校内研修ですとかケース会議ですとか教育相談等を実施しております。その中で、今のところ、来年度の巡回に向けて準備が進んでいますというような報告もあります。
また、ご依頼いただきました阪神昆陽高校と阪神昆陽特別支援学校について、少しお伝えします。こちらは特別支援学校と高等学校が同じ敷地に内にある、全国的にも珍しい学校です。高等学校が左側にございます。特別支援学校はこの右側にありまして、グラウンドですとか体育館ですとか、校舎を共用で使っております。両校の校長は1人おられまして、特別支援学校には副校長がおられます。両校合わせて阪神昆陽と呼んでおりますけれども、そこでは交流及び共同学習を通じて、共生社会の実現を目指しているという様子です。
これが一緒に学んでいる様子ですけれども、阪神昆陽高校、阪神昆陽特別支援学校が、共に行事ですとか授業、部活動など、様々な活動で交流を行っている様子です。
そして、こちらは授業ですけれども、「共同の学び」ということで一緒に取り組んでいます。左側は両校の1年生と聞いておりますが、体育とか美術、音楽、芸術分野に関しては一緒に授業を受けていますし、右側は特別支援学校の生徒が高等学校の授業を受けている様子です。選択によって学びたい科目を必要に応じて履修登録をして、共に授業を受けていると聞いております。
それでは、最後に、これが本県の通級による指導の授業の様子です。各校それぞれタブレット等のICTを活用した取組ですとか、それからATMに実際の預入金を行う等、いろいろな工夫をしていただきながら学校の方で取り組んでいますし、人数の多い学校は、こんなふうにゲーム形式ですとか少人数制とかというような形で取り組んでいます。
以上、兵庫県からの報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。大変充実した取組をなさっていらっしゃるというのが、ありありと分かってまいりました。
今、御発表いただきました内容につきまして、意見交換を行いたいと思います。御質問、御意見がおありでしたら、お願いしたいと思います。「手を挙げる」のボタンを押していただけますでしょうか。笹森委員、お願いいたします。
【笹森委員】 国立特別支援教育総合研究所の笹森です。兵庫県の報告、どうもありがとうございます。研究所の方にも、たくさんの先生を派遣していただいて、お世話になっております。
質問を2点、お願いをしたいのですけれども、中学校と高等学校の引継ぎの話がありました。市町村の所管と県の所管とで、公立学校は違ってきます。いわゆる所管が違うので、とても中学校から高等学校の引継ぎというのは大事だと思っているのですが、実際に、誰が、誰に、どんな内容の引継ぎをされているのかというところを伺いたいと思っています。要は、支援が必要な子供についての情報を、こんな支援を中学でやっていましたので高校でもお願いしますということが中心なのか、それを例えば中学校のコーディネーターの先生等が、高校ではどなたに伝えていくのかというあたりのところを伺いたいのが1点目です。
もう1点、お伺いしたいのは、兵庫県は人材育成を、とても積極的に取り組んでいただいているので、高等学校の先生方の特別支援教育に対する意識が高まってきているのかとは思うのですけれども、例えば、校内研修とかをするときには、当然、一般の教科担当の先生方も含めて校内研修をするのではないかと思うのですけれども、これまで特別支援教育に関する教育制度、システムがない高等学校の先生方に、校内研修でどういったところからお伝えをしていくと、高等学校の先生の意識、認識みたいなものが高まっていくのかというあたりのところをお伺いできたらうれしいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。お願いいたします。
【榎本副課長】 兵庫県教育委員会特別支援教育課の榎本でございます。質問ありがとうございます。
まず、中学校から高等学校への引継ぎについてなのですけれども、兵庫県では、中学校から高等学校や特別支援学校に進学をする際に、中学校で特別の支援を受けていた生徒の引継ぎの情報について、基本的には個別の教育支援計画と個別の指導計画を引き継いでいただくのですけれども、それに加えまして、中・高連携シートという共通の様式をつくっております。その中に支援に関する引継ぎの情報と、それから保護者同意が得られているということを記載した上で、高等学校でしたら合格発表後、速やかに中学校から高等学校に資料を引き継いでいただくというルールをつくっております。
そのためのマニュアルを作成しまして、全ての中学校にお届けすることで、引継ぎの件数が年々、上昇してきています。更に、受け取った側(がわ)の高等学校も、その支援の情報を指導に役立てている。そのことが中学校にも伝わることで、中学校も更にちゃんと引き継がなければいけないという意識が高まっているということを感じています。
それから、研修ですけれども、高等学校で通級による指導を始めるに当たりまして、まずは、高等学校にも、中学校で特別の支援を受けてきた子供たちが進学しているということ、そういった子供たちが具体的にどんなことに困っている可能性があるかということですとか、特別の指導、特に自立活動の指導というのはどういった指導なのかといったことについて、研修を行っています。更に、様々な支援を受けることによって、高等学校での学習や生活がうまくいっている事例などの紹介もさせていただいております。
高等学校の先生も、そういった機会に、もしかしたら、少し気になっている子供のこと、生徒のことについて、相談を私たちにしてくださいます。そのときに具体的な対応策などを一緒に考えることによって、通級による指導はこういった指導するのだとか、こういう支援があると、その生徒たちが高等学校でうまく生活できるのだということを実感していただくことによって理解が深まっていると感じております。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。笹森先生、よろしいですか。
【笹森委員】 高等学校で情報を受け止めて活用されるキーパーソンというのはどなたになりますか。
【榎本副課長】 基本的には、特別支援教育コーディネーターになります。
【笹森委員】 分かりました。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 どうもありがとうございました。それでは、池田委員、お願いいたします。
【池田委員】 山形大学の池田です。本日はありがとうございました。
私の方から1点、御質問させてください。資料の中で、中学校からの進学や引継ぎのデータというものをお示しいただいたと思うのですけれども、特別支援学校の中学部等から高等学校への進学を考える方たちもいらっしゃるかと思います。そちらに関しては、通級というところが引継ぎとして、非常に重要になってくるかと考えているところなのですけれども、県の方で、特別支援学校と高等学校とのつながりといったところは、どの程度把握されているのかなどの情報がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【榎本副課長】 ありがとうございます。実際には、件数はとても少ないのですけれども、最近の事例ですと、聴覚特別支援学校から高等学校への進学が最近、目立ってきたということを感じています。その場合、兵庫県では聴覚特別支援学校が、高校生も対象に教育相談等も行っておりますし、高校に進学した後のフォローも引き続き行っています。
また、支援情報についても引継ぎをしますし、特別支援学校の教員が高等学校に出向いて環境の整備ですとか必要な支援について、情報の提供ですとか、共にいろいろな研修を行っています。
【荒瀬座長】 池田先生、よろしいですか。
【池田委員】 ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。それでは、氏間先生、お願いいたします。
【氏間委員】 すみません、遅く参加して申し訳ございません。資料は拝見させていただいています。
1つ教えてほしいのですけども、弱視のお子さんが、入試があったときにはどのような対応になりますでしょうか。
【榎本副課長】 高等学校に弱視の生徒が入学した場合ということですね。拡大教科書について、申請があったこともあります。それから、座席の配慮ですとか必要な支援機器の用意など、一人一人のニーズに合わせて、その都度、高校教育課と連携しながら受入れの体制づくりをしています。
【氏間委員】 ありがとうございます。非常に手厚いと思うのですけども、例えば弱視のお子さんは、支援機器の扱い方ですとか、より効率的な受験のときのスキルですとか、あるいは大学進学の際の配慮申請の場合の評価ですとか、そういったあたりも各学校で対応していると考えてよろしいでしょうか。
【榎本副課長】 弱視の場合は、視覚特別支援学校と相談をしながら進めているところです。
【氏間委員】 では、弱視の場合は、そういうふうに特に通級指導教室という場はなくて、特別支援学校の通級を利用しているということで。
【榎本副課長】 そうですね。今、兵庫県では、通級指導教室を発達障害の生徒を対象にした教室のみ、高等学校は発達障害のみを対象にしておりまして、そのほかの障害種については、特別支援学校のセンター的機能を活用しながら支援体制を整えるという支援を行っています。
【氏間委員】 その場合も、通級指導教室と同じように出席カウントにはなるのでしょうか。
【榎本副課長】 いいえ、出席のカウントにはしていないです。
【氏間委員】 その辺りで、若干扱いやすさ、利用のしやすさが変わってくるということもありますか。
【榎本副課長】 そうですね。もし将来的に、週1時間とかの継続的な支援が必要というケースが出てきたときには、通級の対象として専門の教員を配置するかどうかというのは検討することがあるかもしれないですけれども、今の時点で、そこまでのニーズについて把握していないので、毎週ということではなく、学期に1回ですとか必要なときに支援をするという形になっています。
【氏間委員】 なるほど。分かりました。
ただ、難聴とか弱視の場合は、確かに小中学校のときに通級指導教室などを利用していると、それなりのライフスキルに対応するための自分の支援器具を扱ったりするような技術というのは、大体身についているので、高等学校に上がったら、新たに発生する高等学校での課題ですとか、大学受験に向けての課題へのピンポイントの対応になってくると思うのです。この辺り、障害の多様化に対応した、公正に個別最適化された通級指導の考え方というのが大事だと考えられますので、できたら、学期に1回とかであっても、出席カウントができるとかなっていくと、更に公平性が担保できるのかなということを感想として思いました。
しかしながら、全体として、弱視や難聴の研修会などを実施してくださっているようですので、そういったのがすごく浸透していくといいなと思いました。貴重な情報をありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。ほかに、宮﨑委員、お願いいたします。
【宮﨑委員】 大変丁寧な御説明ありがとうございました。
幾つか御質問をさせていただきたいのですが、先ほど池田先生からあったことと少し関わってなのですが、高等学校における特別支援教育の必要性ということで、卒業生の状況、中学からの状況についての資料、6ページにあった中で、特別支援学級の在籍者のうち、高等学校には30%以上、進学をなさるということで、これにかかって、ここはかなり多くの通級による指導をなさっているのだと思うのですが、一方で、通級による指導ではかなり限定的な中身で指導されると思うのです、教育課程上。そのほかに、配慮しなければいけないようなことが、もしあったら教えていただきたいのが1点です。
特別支援学校については、先ほど御説明があったので省きます。
私がすごくいいなと思ったのは、引継ぎのガイドラインをお作りになって、そこを念頭に置きながら、積極的な引継ぎを行っていらっしゃることは、先ほどのお話でよく分かりましたが、一方で、引継ぎを受けた高等学校が132校、80%とあって、実際には通級による指導に関しては、現在のところ、まだまだ自校通級、巡回を含めても30校ということですので、大分開きがあるような気がしたのですけど、この辺りについて、今後どんな見通しで、通級による指導を展開していかれるかというのを、先ほどの動きの中で、御説明も少し、但馬モデルなどを検討されているので、そこで更に発展させていかれるとは思いますが、その辺りの見通し。
あと、最後に1点、研修講座というのは、これは特別支援教育に関わる様々な観点からの講座なのですが、通級による指導で一番大事にしていらっしゃる研修の中身というのがもしあったら、そこだけを少し、高校の支援につながると思いますので、何かありましたら、その点は教えていただければ有難いです。
以上でございます。
【榎本副課長】 ありがとうございます。まず、通級による指導以外で高等学校において行われている取組についてですけれども、支援員を配置するですとか、あと、よく行われているのは学び直しといいますか、高等学校の学習をしていく上で、もう少し中学校時代の内容について復習を兼ねた教育が必要という場合の様々な入門科目の設定ですとか、そういったことも行われますけれども、あと、通級による指導を取り入れたことで、通級による指導を行っていない学校にもいい効果があったと感じているのが、分かりやすい授業、視覚支援ですとかユニバーサルな授業づくりですとか取り入れて、障害のある子供がいるかもしれない、その可能性を考えて分かりやすく工夫する授業が、結果として全ての生徒に分かりやすい、そういった理解が高等学校の先生に広がったということが、大変効果の高いことだったと思っています。
それから、引継ぎについてですけれども、引継ぎを受けることによって高等学校が合理的配慮ですとか、少し気にかけるというだけでも、学校生活がうまくいっている生徒もたくさんいますので、引継ぎのあった生徒が、全て通級による指導が必要ということでもないと考えています。また、特別の指導が必要な生徒について、希望すれば、できるだけ通級による指導が受けられるように、今後は拠点校もですけれども、巡回による指導を行う学校を拡充していって、どの学校でも受けられる体制づくりをしていきたいと考えています。
それから、研修についてなのですけれども、高等学校の先生にとって、これが効果的だと今、感じているのは、卒業後の生活に向けて、生徒本人が自分の苦手なことですとか得意なこと、そういったことをしっかり理解して、支援が必要なときには支援を求める力をつけるということがとても卒業後の生活に役立つ、そういった援助希求についてセルフアドボカシーの力をつけるということが大事なのだということを、高等学校の先生に伝える研修というのが、重要だと考えています。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
【宮﨑委員】 ありがとうございました。
【荒瀬座長】 宮﨑先生、よろしいでしょうか。
【宮﨑委員】 はい、ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。では、藤井委員、お願いいたします。
【藤井委員】 よろしくお願いいたします。いろいろ教えていただきまして、ありがとうございました。
質問させていただきたいのですが、タイトルになりたい自分に近づくためにとあります。そうしましたときに、生徒さん自身が自立活動の学びの必要性、意義を感じ、そして主体的に学びを続けるために、自分に必要なものは何か、どんな学びをしたらいいのかということが分かり、そして、更に学び続けていくということが行われるのだと思うのですけれども、その学びをつなげていく、小中設置があるところに、通級対象児が多かったところに高等学校の通級を設置するであるとか、工夫がお話しされました。
生徒さん自身の側(がわ)に立ったときに、学びの自己評価をつなげていくような工夫であるとか、その工夫の1つとして個別の指導計画が、例えば活用されているであるとか、そんなことについて、お聞かせいただければと思いました。よろしくお願いいたします。
【榎本副課長】 ありがとうございます。今、一番課題となっているのは、小・中学校から市での支援に関する情報は引き継がれていくのですけれども、なかなか評価の部分について、自立活動の評価の部分について、どこまで情報が引き継げているかというと、まだそこは足りないところだと感じています。
ただ、生徒は小学校でも中学校でも、学んできたことの積み重なっているという実感が持てるようにということで、何を学んできたかということを、高等学校の通級の担当の先生がしっかりと聞き取るということについては、力を入れて行っていただいているところです。
【藤井委員】 ありがとうございました。生徒さん自身が分かる、自己評価ができて適正に、適切に自分のことが理解できて学んでいけるということが一番大事かなと思いましたので、質問させていただきました。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。あと、奥住委員と野口委員も手を挙げてくださっています。次の議題の関係もございますので、取りあえずお二人まで、まず、お話を聞いて、時間を見て、また考えたいと思います。
では、奥住委員、お願いいたします。
【奥住副座長】 奥住と申します。本日は貴重な情報をどうもありがとうございました。3点質問いたします。既に御報告のあった内容でしたら恐縮にございます。
1点目ですが、通級による指導を受ける生徒の開始と終了の決定をどのようにしているか教えてください。
2点目ですが、通級による指導を受ける生徒がどの時間帯で指導を受けているのかについて教えてください。つまり、教育課程に加えるのか、一部に変えるのかということでございます。
それから、最後3点目ですが、通級による指導の担当の先生の時間割の例が出ていましたが、通級指導以外にも御専門の教科・科目を教えられているように読めるのですが、通級による指導の担当の先生は、それに加えて御自身の教科・科目もご担当されているということが標準になるのでしょうか。
以上3点、よろしくお願いいたします。
【榎本副課長】 ありがとうございます。まず、開始と終了についてですけれども、開始の前には教育相談ですとか面談を行ったりですとか、保護者のお話も伺ったりですとか、まずニーズの確認、通級による指導が必要かどうかということについて、十分に本人、保護者とも相談をしていただき、校内委員会等で通級の指導が必要という場合に、個別の指導計画を作成し、指導を始めるというところが開始になります。
そのタイミングは、高等学校は年度途中から始めて、次の年度をまたいでも単位認定ができるということにはなっていますけれども、特に加えるではなくて替えるとなりますと、授業が始まってしばらくしてからというのが難しいところもありますので、前期、後期の間ですとか年度末、年度初めのタイミングということが実際には多いかと思います。新入生については、どの学校も放課後を利用して加える教育課程になっている生徒が多いように感じています。
できるだけ多くの生徒が受けられるように、教育課程の対応ができるようにお願いはしているので、継続的に受けるという生徒については、替える対応がかなりできてきていると思っています。
それから、通級指導担当教員なのですけれども、基本的には通級による指導の専門の教員として加配をしておりますので、まず通級に係る業務にあたります。巡回による指導に行くときにも、かなりの時間を割きますので、特別支援教育に携わるということが一番なのですけれども、高校の教員免許を持った教員を充てておりますので、授業に実際に入ることで、その生徒の様子を確認するために、ティームティーチングで副担当として入って生徒の様子を見るという時間を取っていることもあります。
【奥住副座長】 どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】 よろしいでしょうか。それでは、野口委員、お願いいたします。
【野口委員】 ありがとうございます。すみません、私は遅れてきたので、もしかしたらもうお話しされていた内容だったら申し訳ないのですけれども、2点お伺いできたらと思っています。
1点目は通級を卒業した子供たちの進路が今のところ、どういったところに行かれる方が多いのかというのを是非お聞きしたいです。それとも関連するのですけれども、個別の教育支援計画や個別の指導計画の策定に生徒自身がどれぐらい参画されているのかということもお聞きしたいです。海外だと、高校段階になると、トランジションプランという形で、移行計画という形で将来に向けた計画が作成されると思うのですけれども、先ほどセルフアドボカシーについての内容をすごく大切にされているということで、権利条約等も踏まえたときに、高校生の段階で、子供たちが、自分自身がどういう権利を持っているのかということを知ることがとても大切だと思っています。合理的配慮の申請の手続の仕方ですとか、あるいは利用できる福祉制度、障害者手帳の取り方など、そういったことも含めて、社会資源とかについても、自立活動の中で扱っていらっしゃるのか、また、そういったことを学ぶに当たって、個別の教育支援計画や指導計画に子供たちがどれぐらい参画されているのかというところを教えていただけたらと思います。
以上です。
【榎本副課長】 ありがとうございます。卒業後の進路ですけれども、全てを把握できているわけではないのですけれども、進学は、大学や専門学校に進学し、専門学校の進学の方が多いように思っています。就職をした生徒もいますし、障害者雇用枠での就職についての報告も聞いています。
そういったときに、全てのケースではないのですけれども、できるだけ進路先への個別の教育支援計画の引継ぎということについても、お願いをしているところです。個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成に当たっては、高等学校では通級による指導の単位認定の際に、個別の指導計画の目標が達成できているかというところが単位認定の基準になってきますので、その目標を設定する段階で、生徒、保護者とその内容について確認をしながら作成しています。
あと、生徒によっては、利用できる様々な福祉制度等について、学ぶ機会も通級による指導の中に取り入れていますし、自分のトリセツをつくるという取組をしている学校も多くて、自分のことが説明できるとか、こんな制度が利用できるというようなことを自分でまとめるということを、自立活動の1つの指導の内容として取り組んでいる学校も多いように思っています。
【野口委員】 大変参考になりました。すばらしい内容だと思います。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。ほかにもうお一方ぐらいは時間があるようなのですが、よろしいでしょうか。では、帯野委員、お願いいたします。
【帯野委員】 私は制度的なことをお伺いしたいのですが、現在、20校で自校通級をしておられるということですが、指導教員が加配措置になっているのかどうか。その場合の費用が県費になっているのかどうか、また、今後、支援員の配置を増やして、どの学校でも受けられるようにということでございましたので、その辺りの費用負担について、詳しい数字は結構ですので、どういう風になっているのか、それからまた今後、多様な障害、特性を持った子供が増えてくればくるほど、教員数も必要になると思いますので、兵庫県として、その辺りをどのようにお考えなのか、どういう計画なのか、教えていただけたらと思います。
【榎本副課長】 ありがとうございます。通級指導担当教員については、加配の措置がされていまして、国から頂いた加配の定数を活用して担当教員を拠点校に配置をしています。支援員につきましても、地方財政措置の対象となっておりますので、これは高等学校については高校教育課が担当しておりますけれども、必要な学校に配置できるように計画していると考えています。なので、県で何か負担していることは大きくはないと考えています。
【帯野委員】 それが今後、増えてくる見込みであるとか、そのことについて県としての課題、特に今、兵庫県の場合は、大きくクローズアップされているということではないのでしょうか。
【榎本副課長】 希望する生徒が増えてけば、また、加配の希望を、少し枠を増やしてお願いするということになりますけれども、今ちょうど、まだ地域のバランスもよく配置できていますので、ニーズの状況を見ながら増やしていく、計画的に増やしていくことが必要になるかと思っています。
今、そこは学事課等と相談をしながら、定数が増えるだけでなくて、それを担当できる教員の育成、専門性のある教育の育成ですとか確保ということも、同時に考えなければいけないので、そこは計画的に進めていきたいと考えています。
【帯野委員】 ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。最初に御説明いただきました、赤井主任指導主事、それから、また今、御回答いただきました榎本副課長、大変分かりやすく御説明いただきまして、また、お答えも非常に的確にしていただきまして、ありがとうございました。今日はお忙しい中、御参加いただきまして、心から感謝申し上げます。
私、お話を聞いておりまして、阪神昆陽の取組というのは、非常に今後の重要な鍵になるのではないかと思いながら、承っておりました。これからもまた最初のところで、さっき藤井委員もおっしゃっていましたけれども、なりたい自分に近づくという、全ての子供たちがその実現に向けて、歩みを重ねていけるように、また御尽力いただければと思います。今日は本当にありがとうございました。
それでは、議事の2つ目に入ります。都立高等学校における通級による指導についてということで、こちらの方は、馬飼野委員から御発表をお願いしたいと思います。馬飼野先生、お願いいたします。
【馬飼野委員】 馬飼野です。よろしくお願いいたします。パワーポイントの画面を共有させていただきます。こちら、お手元にPDFで資料がおありかと思うのですが、資料3になります。御覧いただけますでしょうか。
それでは、発表させていただきます。私からは、高等学校における通級の指導を充実させるための取組や課題ということで、東京都の施策にも触れながら、本校での取組を中心に発表させていただきます。
最初に、東京都の基本的な取組です。東京都では、東京都特別支援教育推進計画として、共生社会の実現に向け、4つの方向性に沿って施策を進めています。ここに、都立高校等における特別支援教育の充実や体制の整備、充実がうたわれています。国の学習指導要領の改訂、GIGAスクール構想、中央教育審議会答申といった動向を踏まえて、都としても、東京2020大会による共生社会への機運の拡大を捉えて、学校においても、オリンピック・パラリンピック教育のレガシーとしての教育活動を行っています。
東京都特別支援教育推進計画第2期、第2次実施計画では、3点の施策、インクルーシブな教育の推進、医療的ケア児への支援の充実、デジタルを活用した教育の推進、これらを重点的に対応し、全ての学びの場における特別支援教育の充実を図り、共に学び支え合う共生社会「インクルーシブシティ東京」の実現を目指しています。
このように、令和4年度から令和6年度までを期間とする第2次実施計画を策定し、取り組んでいるところです。
通級による指導もその取組の1つで、発達障害のある生徒を対象に実施しています。こちらの左側の表は、東京都教育委員会が行った令和3年度の調査で、都立高校に在籍する発達障害の可能性がある生徒の人数です。全日程で40人に1人、定時制では7人に1人の割合になります。定時制の1クラスの定数は30名ですので、クラスに四、五人いる計算になります。もちろん一律に分布しているというわけではありませんので、ほとんどいないクラスもあるかもしれませんが、逆に言えば、3分の1ぐらいの生徒が発達障害か、またはその可能性があるというクラスがあってもおかしくないかもしれません。
ですから、東京都では、全ての学校、学年、学級に発達障害のある生徒が在籍しているという認識の下、通級による指導だけでなく、在籍学級などを含む学校全体で組織的に取組を進める必要があると考えており、通級による指導については、全都立高校で、右側のリーフレットを配布しています。実際に、このリーフレットを生徒や保護者にどのように配布するかは学校に任せられているところですが、本校では、後でお話ししますが、ホームルームで全生徒に配布することとしております。
こちらは少し字が小さくて申し訳ありませんが、特徴的なところとしましては、まずはQアンドAのQの2にある、自分が在籍している都立高校で、在籍校の先生と専門的な知識やノウハウのある支援員によるティームティーチングの形式の指導が受けられますというところです。そして、Q6で、通級による指導だけでなく、通常の授業でも個別の配慮や教室のユニバーサルデザイン化による学びやすい環境づくりなどが考えられるということが書いてあります。
通級による指導は、通常の事業の指導方法の工夫や配慮、それに教員だけでなく、学校内外の人的資源の活用だけでは、障害による困難者の改善が難しい場合に検討されるものですが、通級による指導が実施されたからといって、通常の授業中の支援や人的支援の活用が必要なくなるというわけではなく、これらが連携することが大切です。
さて、都立高校における通級による指導ですが、対象生徒は、まず、全ての都立高校の生徒です。もちろん都立中等教育学校の後期課程も含みます。先ほどお話ししたとおり、全ての学級に在籍しているとの認識の下、昨年度からこの形でスタートしました。しかし、実情としては、この9月時点で実施している学校は、40校、40課程で、受講生徒は128名となっております。都立高校、都立中等教育学校が約200校あることを考えれば、まだ少ないと思われますが、昨年度開始してから、だんだんというよりは、どんどん増えていると、そういう状況です。これから、本校もそうですが、早くから取り組んでいる高校の実践を広めることで、この制度をより多くの生徒に届けられると考えております。
実施の方法ですが、まず、先ほど申し上げましたとおり、教育課程上に特別の教育課程として位置づけ、特別支援学校の自立活動を参考に、一人一人に適した内容を検討し、指導しています。都立高校では、全ての学校で自校実施できることと並んで、大きな特色と言えるのは、外部人材を高校通級支援員として活用しているところです。1講座の生徒数は基本的に1名です。障害の内容や指導内容が同じであれば、同一講座で行うこともできますが、実際には、ほとんどの場合、一人一人異なりますので、個別の講座ということになります。それぞれの講座に、担当教員と高校通級支援員がつくこととなります。つまり、全ての受講生徒が自分の学校で、自分の先生の授業を受けているということです。このことについては、後ほど改めてお話しします。
外部人材ですが、東京都では、全都立高校対象の通級による指導を始めるに先立って、連携事業者を募集しました。募集内容としては御覧のとおりで、発達障害のある生徒への指導について、経験やノウハウを生かし、様々な支援を受けることを目的としています。実は本校も、これによって決定した連携事業者のうち、1社から高校通級支援員の派遣をしていただいて、大変お世話になっておるところであります。あわせて、東京都では個人として協力していただける方として、発達障害等のある生徒に対する指導の経験がある方も募集しておりまして、学校としては、こちらを活用することもできます。
この後、本校の取組についてお話しさせていただきます。都立高校には、様々なタイプの学校があります。生徒は、自分に適した学校をそれぞれ選んで入学しています。この中で、本校は昼夜間定時制高校の1つで、弾力性に富んだ教育活動を行っており、また、交通の便がいいこともあり、非常に多様な生徒が学んでいます。
本校は、平成19年に、昼夜間3部制という新たなタイプの定時制高校として開課程しました。荻窪高校は、もともと存在はしていたのですが、課程がこのように変わったということです。また、多様な生徒が学んでいる学校だとお話ししましたが、その中には、発達障害、不登校、外国ルーツなどの生徒も少なからずおりまして、進路も多様です。地域のセーフティーネットとしての自負を持って生徒指導に当たっています。
学校には、教務部、生活指導部、進路指導といった校務分掌を担う部署があります。また、教育相談や特別な支援も大切な仕事の1つですが、多くの学校では、これを委員会で行ったり、生活指導部の業務分担としたりしているところが多いです。荻窪高校では、教務などの分掌と並べて総合支援部という部署をつくりまして、御覧のように、その総合支援部を中心に、様々な外部人材と連携して生徒への支援体制を取っております。3つ目のユースソーシャルワーカーというのは東京都独自の取組で、若者の自立を支援するユースワーカーとソーシャルワーカーを一体化した役割を担っておりまして、不登校、中途退学未然防止対策として、都立学校に派遣されている自立支援チームの構成メンバーです。この自立支援チームは、全ての都立高校に派遣されているというわけではありませんが、本校はお世話になっている学校の1つです。
精神科医も全ての学校に配置されているものではありませんが、本校では、必要とする生徒も少なくなく、また、精神科受診をためらう生徒や保護者でも、学校医ならばということで相談できるケースもあるので、大変助かっております。また、専門的見地から、我々教員にも研修を実施していただくこともあります。
都立高校の通級は、平成30年度に秋留台高校で始まり、昨年度から全都立高等学校等で実施可能となりました。本校では、昨年度の開始に向けて、前年度から様々な準備を進めました。まず、12月に、全校生徒向けに通級の案内を配布しました。全校生徒に案内した理由は、本校には通級のニーズがある生徒が多いだろうと考えたことに加えて、特定の生徒のみに教員の主観で案内をすることを避けるためでした。
並行して、通級による指導の指導体制を協議し、本校では原則として、1年次には1単位、2年次以上には2単位の授業を他部選択科目として置くこととしました。本校は3部制定時制の学校ですので、基本的には部ごとの時間帯に、1日4時間の授業があります。それに加えて、別の時間帯で受ける授業を他部選択と呼んでいます。例えば、午前の1部の生徒にとっては、1時間目から4時間目の4時間がコアタイム、そして5時間目と6時間目、これが他部選択ということになります。
そのような設定で募集をしたところ、複数の希望者がありました。申請には発達検査結果の添付が必要で、自分で医療機関等で2年以内に受けた生徒はそれを提出し、受けていない生徒は学校で受けさせることとしました。特別支援教育心理士派遣の事業を利用して、心理士さんを紹介していただいた上で、教育委員会より検査キットを借りて実施しました。申請書類は、このほかに保護者が記入するものや、担任など学校で作成するものがあり、これらを整えた上で申請をしました。
ちなみに、前回の会議で話題となりました、医師の診断書ですが、発達検査結果があれば提出していただきますが、なければ、必要な検査は学校でやっていますので、診断書等は必要ではありません。通級による指導は、教員と高校通級支援員のティームティーチングで行っております。担当教員は、教科の免許に制限は特にありませんので、本校では特別支援教育に意欲や関心のある、申出があった教員に任せています。そして、都立高校では通級支援員と呼んでいる外部人材ですが、本校は、東京都の連携事業者の1つであるGrow-Sという会社に派遣を依頼しました。Grow-Sさんは、1990年より発達障害教育に取り組んでおり、30年近い歴史の中で培われた経験値と専門性を有する会社で、発達障害教育への取組として、さくらんぼ教室の運営等を行っていたり、また、東京都の事業であります、コミュニケーションアシスト講座の委託会社でもあります。
担当教員は、関心意欲はあったものの、どうしても知識や経験は少なかったため、高校通級支援員と連携することにより、教材作成や日々の指導内容検討など、多くの支援を受けています。生徒のニーズに合わせた目標設定や教材の準備は高校通級支援員の支援を受け、毎回、事前の打合せの時間を取ることができますので、入念に打合せをした上で、直接の生徒指導は教員が進めるという形で本校は行っております。ふだん関わっている教員が対応することで、コミュニケーションに課題のある生徒でも、安心感を持つことができているかと思っています。
また、発達障害等のある生徒への指導は、通級による指導で完結するわけではなく、日常の様々な指導の中で行われますが、本校教員が指導の主体となることで、通級による指導と通常の授業との連携が取りやすくなっているかなと思っております。例えば、通級担当教員が、生徒の担任や教科担当に、通級の中でこんな課程ができるようになったと伝えれば、それを意識して生徒を観察することで、褒めどころを適切に捉えることができるようになるというようなことなどです。
こちらは、初回授業で行ったアセスメントアプリというアプリを使った、自己分析の結果です。自己分析をした結果を基に指導の計画を立て、進めています。こういった教材も高校通級支援員から提供を受けています。ところで、資料の画像ですが、大変画質が悪くてすみません。ファイルサイズを小さくする関係で、解像度を落としてしまって、こんなふうになっています。あくまでサンプルとして、イメージをお伝えするのが目的ですので、御了承いただければ有難いです。
このような教材を使って、文書を読み取るインプットの訓練や、自分で表現するアウトプットの訓練などもしています。生徒によっては、スマートフォンやタブレットを活用して、スケジュール管理や文字入力など、ふだんの生活に役立つスキルを身につけています。これらの教材や記録は、生徒ごとに保管することになります。
これも同様な教材です。実際に、生徒が書き込んでいるものなので、ところどころ付箋やペンで目隠しさせていただいております。
こういった教材は、なかなか一般の高校教員ではつくることは難しいですし、小学校、中学校の通級の指導による資料は結構あるようなのですが、高校生向けというものがまだ少ないようですので、そういう中で、高校通級支援員の存在は大変助かっているところです。
先ほどから、画像、写真が大変不鮮明で、申し訳ありません。こちらも輪をかけて不鮮明なのですが、生徒からの承諾を得るのが間に合いませんで、大変申し訳ありませんが、お許しください。上の写真は、生徒が教員と一緒に行っている水やりの様子です。野菜を育てています。下の写真は、採れた野菜を近隣の子ども食堂に提供している様子です。これも通級による指導の学習の一環として、こちらは教員側(がわ)から提案して行っています。野菜栽培は定期的な水遣りであったり、あるいは時期ごとに必要な作業があったり、計画性が求められます。また、相手は生き物ですから、さぼるわけにもいかず、責任が求められます。そして、取り組んだ結果として植物が成長し、野菜が収穫できるという成果を実感できます。更に、それを子ども食堂に提供することは、知らない大人とやり取りをするということです。様々な準備の上で取り組んでいますが、非常に高い教育的効果が得られると考えました。
特に、最後の野菜の提供は、外部の方と接することもあり、保護者の希望のあった生徒のみ行ったのですが、準備段階では気乗りがしない様子だった生徒が、渡したときには非常に感謝されて、終わったときには、次はいつ行きますかと逆に聞いてくるなど、大変変容が見られました。この講座を開始したところでは、このようなコミュニケーションを取ることなど考えられなかったのですが、期待以上の効果があったと言えます。どうもこちらについては、生徒以上に担当教員が喜んでいたということもありました。
次に、本校の通級による指導における課題をお話しします。
まず、通級による指導を必要とする生徒をどのように受講につなげるかです。実は、昨年度、開始するに当たって、2つの正反対のトラブルがありました。1つ目は、生徒や保護者が通級による指導を希望していないにもかかわらず、通級を勧めたというケースです。障害の受容の程度は、生徒、保護者によってかなり幅があるため、このような対応はトラブルの元になりかねません。本校では、それを防ぐために、先ほど申し上げましたとおり、基本的には全員に案内を配布するという形にしたところです。
2点目のケースでは、生徒や保護者が通級を希望すると相談してきたことに対して、学校としては、授業での工夫や配慮などの支援でよいのではないかと考えて、その生徒には、○○さんは入学しても頑張っていて、状況もよいので必要ないのではというような対応をしたケースです。その生徒は、小学校や中学校時代も通級による指導を受けておりまして、高校でも通級がスタートすることに期待して入学した生徒でした。
どちらも幸い大きなトラブルになることはありませんでしたが、通級に関しての認識を教員間で広く確認する必要性を感じさせる事例でした。
本校では、現在14名の生徒が通級による指導を受講しています。これは本校在籍生徒の約2.7%に当たります。最初にお示しした発達障害の可能性のある生徒の割合は、全体で3.4%、定時制では14.4%です。これを見ると、本校の通級による指導もまだ行き渡っていないのかもしれません。申請に係る発達検査の日程調整、心理士の手配、検査キットの調達など、担当教員にはそれなりの負担がかかりますので、これも課題です。
時間割の編成と教室の確保については、本校が3部制で、朝から晩まで授業が詰まっている上に、教室が少ないという本校特有の事情がありますが、多かれ少なかれ、このことはどこの学校でも課題になるかと思います。
この会議でも話題になるかと思いますが、発達障害の特性がありながら、知的障害や不登校傾向がある生徒の支援は、これをどうするかということは、大きな課題となっています。
最後は、今のところ、外部人材による支援を前提に行っているということです。高校の教員として、発達障害に対して、更に理解を深めていかなければいけないと考えております。
さて、何度も申し上げていますが、発達障害のある生徒などの特別な支援を必要とする生徒は、どこの学校にも在籍するという認識に立ち、全ての学校で取り組む必要があります。しかし、実際に高校が通級による指導を実施するとなれば、様々な課題が存在することも事実です。そこで、東京都として、高い知識と経験を有する特別支援学校が高校を支援できるよう、連携を更に強化すべく、都立学校発達障害教育推進エリアネットワークを構築しました。通称、都立版エリアネットワークといいます。これは、高校の発達障害教育を推進するため、経験やノウハウを有する特別支援学校が、高校を組織的に支援するセンター的機能が、より有効に活用される仕組みができました。東京都としては、発達障害のある生徒への適切な指導、支援は、通級の指導だけでなく教育活動全般の中で行っていく必要があること。そのときに、通級と通常学級がしっかりと連携することが大切であること。例えば、通級で学習したことが、別な場面で実践できたときに評価するなど、学校全体で取り組むことで効果が上がること。そして、特別な支援を必要とする生徒は決して特別な存在ではなく、どの学校、学年、学級にもいるという認識が大切であることを踏まえて、関係機関とも協力しながら、生徒の将来の自立に向けて取組を推進しております。
荻窪高校としても、生徒の将来の幸せのために通級による指導をはじめとする特別支援教育を充実させるよう、様々な機関と協力しながら、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
以上で、発表を終わります。御清聴ありがとうございました。
【荒瀬座長】 馬飼野先生、ありがとうございました。御自身のいらっしゃる荻窪高校のことも含めて、大変丁寧に御説明をいただきました。
それでは、ただいま、御発表いただきました内容につきまして、意見交換をいたしたいと思います。先ほどと同じように、御質問、御意見のおありの方は「手を挙げる」ボタンをお願いいたします。では、野口委員、お願いいたします。
【野口委員】 すばらしい御発表ありがとうございました。3点、お聞きできたらと思います。
まず、1点目です。総合支援部を校務分掌として設けられているということは、非常に興味深いと思いました。障害のある子のみでなく、いろいろなニーズがある子供に対して、例えば多分、複合的なニーズのある子もいると思うのです。特別支援教育が必要で、例えばソーシャルワークが必要など、そういった複合的なニーズに対して対応ができる体制で、縦割りになりづらいですし、役割分担がしやすいのではないのかと推察しています。
具体的にどのような役割を担っていらっしゃるのかというのをお聞きしたいと思いました。例えば、定期的に支援が必要な子供についてケース会議をされているのかとか、どういう頻度で集まってどんな話をされているのかということを是非お聞きできたらと思います。それが1点目です。
2点目です。発達検査を皆さんされるということなのですけれども、検査結果を踏まえた上で、何をもって通級の利用対象なのかというところ、診断書は必要ないというお話でしたので、どういった形で判断を、誰がどのようにされているのかということを、すみません、私が聞き逃したかもしれないのですけれども、そこについて、改めて教えていただけたらと思います。
3点目です。地域のセーフティーネットとして機能されているということで、すばらしいと思ったのですけれども、そうなったときに、先ほど東京都の方針にもあったように、発達障害の子供のみでなく、多様な子供がいることを前提として、通常の学級の授業の在り方や学級経営の在り方などを恐らく工夫されているのかと思ったのですけれども、何かそういった事例が、例えばこういう工夫を通常の学級でやっている。このようにすることで、いろいろな子供たちが参加できるような仕組みになっているなどありましたら、教えていただけたらと思います。
以上です。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】 馬飼野先生、お願いいたします。
【馬飼野委員】 まず、総合支援部についてですが、こちらは、基本的には様々な、いろいろな困り感を持った生徒が本校、いるわけなのですけど、そういった生徒に対して、基本的に、まず、学級担任ですとか年次担任が対応することにはなります。ただ、そこではなかなかやりきれないと、そういった生徒に対して、総合支援部が取り上げて対応していくということなのですが、その対応が、多くの場合、学校の中だけではなかなか収まらずに、スクールカウンセラー、こちらはほぼ学校の中ですが、スクールカウンセラーですとか、あるいは、先ほど申し上げました、YSW、ユースソーシャルワーカー、こういった方々、あるいは、子供家庭支援センター、場合によっては児童相談所といったところと連携する必要がありまして、そういったところをコーディネートするような役割を担っております。
それから、そういった生徒の情報交換というものを、週1回のペースで集まってやっております。メンバーは、総合支援部の者と、それから各年次の代表、それから生活指導部、それに管理職といったメンバーが集まりまして、支援方針会議という名前で会議を行っております。そこでいろいろ情報交換をしまして、必要な生徒については、どういった支援を行うかということを話し合うと、そんな形になっております。
それから、発達検査に関しては、まず、学校としては、そういった形で資料を用意するのです。それで、ある規定があるのですけど、つまり発達障害、または、その疑いのある生徒というのが対象になるわけで、その対象になるか、あるいは、知的障害ですとか、あるいは不登校に該当すると、これは該当者にならないので、そういうことがないかとかということは一応チェックした上で、その上で資料をそろえて東京都教育委員会の方に申請をするという形になります。
実際に、受講対象になるかどうかというのは、教育委員会の方で判断をするというところになります。その判断の中身については、私どもでは分かりかねますので、申し訳ありません。
それから、セーフティーネットですが、セーフティーネットになっているというと言い過ぎかもしれないのですが、セーフティーネットを自負しているといいますか、目指していると言いますか、そういう形なのですが、実際、様々な生徒が入学してきておりまして、それに対応ということなのですが、例えば、外国ルーツの生徒さんですと、なかなか日本語に課題があったりするわけなのですが、それでも書いてあるものに、漢字にルビが振ってあれば、それだけで何とかなるという生徒も少なからずおりますので、まず、様々な配布物にルビを振るですとか、あるいは、学校内に案内版を、分かりやすいイラストというのですか、そういったものをつけて掲示して、校内も分かりやすく動けるようにするですとか、あるいはそもそも授業を、それぞれの授業を極力、基礎基本を重視して分かりやすく行うとか、高校の内容だけではなく、中学校や小学校に遡って、復習しながら進めるですとか、そういったところに気をつけまして、授業は進めております。
主な取組としましては、例えば、そんなところかと思います。以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
【野口委員】 ありがとうございます。非常に参考になりました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今、あと手を挙げておられるのが、梅田委員、笹森委員、滝川委員、氏間委員でいらっしゃいます。氏間委員までで、今回はここで止めさせていただくということでお願いします。
最後の案件が残っておりますので、御質問とお答えと、両方とも大変申し訳ありませんが、できるだけ端的にお願いをしたいと思います。では、梅田委員、お願いいたします。
【梅田委員】 非常に興味深い発表ありがとうございました。たくさん学ばせていただきました。御質問等2点、せん越ですが、もう1点は意見を述べさせていただければと思いました。
1点目は、スライドの4枚目で、都立高校の通級による指導は全ての高校でスタートできるというように伺った記憶があるのですが、今200校程度ある中で、40校ほどスタートしたということをお話しくださったと思うのですが、それ以外の高校についても、今後、名のりを上げて、例えば荻窪高校のように、こんな形でということを決めて申請をすれば、通級による指導が始められるという仕組みが東京都では整っているということかどうかをお伺いしたいと思いました。
2点目です。最後の方のスライドです。最後、17枚目のスライドのところで、馬飼野先生がお話しくださったように、現在は、外部の支援員という人材を活用した指導を行っているのだけれどもというようなお話の中に、暗に私は、実際に高校で勤務する高校の実際の学級担任であるとか教科担任が、今後、専門性をつけていく必要があるのではないかとお考えなのかなと伺ったのですが、例えば、そういった高校の先生方に対する研修、発達障害のある生徒さんへの指導に関する研修であるとか、あと、18枚目のスライドにありますように、都立学校発達障害教育推進エリアネットワークがつくられたということなのですが、特別支援学校が、必ずしも通常の高校にいる、発達障害のある生徒さんに対する指導のノウハウを持っているとは限らない場合もあるのではないかと思うのですが、その辺り、更に高い専門性を、特別支援学校の先生方にもつけていただくためのエリアネットワークを構築していくための研修とか、あるいは、高等学校の先生方向けの研修というようなものが、実際、東京都で計画されているかどうかというあたりも、今後の他地域の参考として伺いたいと思いました。
最後は、簡単な意見なのですが、先ほどお話があった、せっかくWISCであるとかWAISという検査を取られるということが、今のお話で分かったのは、東京で通級に適するかどうかの判断のための1つの資料として挙げられるということなのですが、もし可能であれば、今後、せっかく検査を取られたものが各学校で、先ほど野口委員からありましたように、個別の教育支援計画や個別の指導計画に生かされるように、生かされる重要な資料にもなるかと思いますので、そういった方面で活用されるといいんじゃないかと感じました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。御質問が2件と、最後は御意見も頂戴いたしました。では、馬飼野委員、2件の御質問についてお願いいたします。
【馬飼野委員】 まず、最初に御質問いただきました、実際にやっているのは今40校だけですけれども、というところなのですけど、ほかの学校につきましても、もう既に希望者がいて、申請がされれば、東京都の方に私ども同様、申請することはできます。当然、これからもできるということになります。恐らく増えていくのかと思っております。
それから、今現在は、外部人材に頼っているところなのですけれどもというところなのですが、どうしても高校の教員ですと、発達障害の対応というのは、なかなか知識も技術的なものもないので、今のような対応となります。
ただ、これについては、これから恐らくどんどん増えていくと思うのです、対象生徒は。高校の教員もそういった力というのはつけていく必要があるかと考えておりますし、恐らく東京都としましても、教育委員会としましても、そういったところの研修というのは行っていくのではないかと思っております。実際、今でも、例えば大学等でそういった講座を受講する場合については、その教員に対して補助が出るとか、そういった制度もございますので、これからどんどんそういったところも進めていくのかと、私は思っております。
質問については、以上の感じでよろしいでしょうか。
御意見につきましては、大変貴重な御意見ありがとうございます。参考にしたいと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
では、笹森委員、お願いいたします。
【笹森委員】 1点だけ、では、絞ってお話を伺いたいと思うのですが、通級を利用される生徒さんの立場で伺いたいと思っていて、3ページのところで都立高校の通級による指導ということで、全生徒に配布をされます。通級による指導のリーフレットです。そこに発達障害とか障害とかという用語が使われているのかどうか。そして、9のところで通級ってこんなところですということが書かれていて、恐らく中学校で通級を利用している子供の数はそんなに多くないはずですから、高等学校で初めて通級というものを、リーフレットを見て、もし、発達障害とか障害というフレーズがなく、丁寧な個別指導が受けられるような内容で記述されているとするならば、希望される方がいらっしゃるかもしれないと思っています。東京は学校も多いし、生徒さんも多いので、通級という制度をきっちりと東京都が踏んでいると思うのが、その後の入級までのハードルが高いというところです。発達障害のリスクがある方じゃないと対応をしていただけない、対象にならないというプロセスをたどらなくてはいけない。そこのところが自分としては、多様なニーズのある生徒さんの対応は、授業の中の個別的な配慮というのが基本になってきますから、発達障害の生徒は自立活動の指導の対象に乗っかるわけですけど、そうじゃない方は、個別に配慮、放課後見てもらっても、それはあくまでサービスであって、あとは授業の中でというような対応になってくるかと思うのです。多様な人数の子供たちに全て間口を広げてくださいと申し上げるわけではないのですが、発達障害にある程度絞って東京都が取り組まれているという感じを受けました。
生徒さんが、通級のリーフレット、パンフレットを見たときに、どう思われるのかなというところを、もしお分かりになれば、教えていただければと思います。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。笹森先生、今、御質問は1点とおっしゃいましたけれども、発達障害といった用語が使われているのかという御質問……。
【笹森委員】 生徒さんのニーズをということで。
【荒瀬座長】 分かりました。では、馬飼野先生、お願いいたします。
【馬飼野委員】 まず、募集段階で発達障害という言葉は使っているはずなのです。そもそも対象生徒が発達障害のある生徒ということですので、そういった形で募集をしております。ですので、こちらのパンフレットにつきましては、大きな文字では書いていないのですけれど、私は細かいところ、記憶があやふやなのですけど、恐らくどこかに書いてあるのではないかなと思いますが、ここに書いていなかったとしても、そういった文言を使って募集をすることにはなるかと思います。
ですので、おっしゃるとおり、いろいろなところで困っているといったときに、発達障害ではないのでということで、手が挙げづらいというところが、もしかしたら、あるかもしれません。ただ、確かにそういったところをどう対応するかというのは確かに課題ですので、これから考えていくところかと思います。
あとは、様々な御意見も頂いたように今、認識しましたが、こちらもありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。それでは、滝川委員お願いいたします。
【滝川委員】 よろしくお願いいたします。実は東京都立の通級による指導の取組について、大変詳しく御説明いただきまして、ありがとうございました。私の方からは、少し病弱教育という視点からも含めてお話をさせていただきたいと思います。
先ほど課題の中に、スライド17枚目のところに、発達の特性がありながら、知的障害や不登校傾向のある生徒への支援ということが課題だということでしたけれども、病弱の特別支援学校の高等部には、年度途中で県立高校、あるいは私立の高校から転学してくる子供たち、生徒さんたちが非常に多く在籍しております。そのお子さんたちのかなりの割合で発達障害の診断を受けていたり、発達障害の可能性がある子供たちが含まれています。
病弱の特別支援学校の高等部というのは、御存じだと思いますけれども、病弱部門を持つ特別支援学校の約半数にしか設置されていなくて、あとの半数は小学部と中学部しかありません。では、病弱の高等部にどのような生徒さんを受け入れていくかというのは、それぞれの都道府県の考え方、方針によって随分と様々です。ですので、病弱の特別支援学校の高等部に在籍している子供さんの病状というのは、本当にもう様々な状況があります。そういう中で、全日制、定時制という仕組みと、もう一つ、通信制の高等学校というものがあります。全国的に全日制、定時制でなかなかうまくやっていけない子供たち、生徒さんたちは、あるいは退学、もしくは転学、転出という形で、通信制の高等学校へ行くのではないかと予測しています。その一部が病弱の特別支援学校にやってくると。
東京都は、たしか3つの通信制の高等学校がありますし、それから、サテライト施設のある通信制の高等学校が数多く設置されています。そういうところで、実際に、都立の高等学校に入ってきてサポートをしているのだけれども、転学、転出してしまう子供たちというのを、どのように今、実態があるのかということを、是非教えていただきたくて質問させていただきました。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【馬飼野委員】 すみません。東京都全体の様子というのを私が把握しているわけではないので、申し訳ないのですが、病弱の方が、例えば全日制でなかなかやっていけないという状況の中で、定時制ですとか、あるいは特別支援学校に転学をしているという状況については、そういった状況がある、あるいは、あるだろうというところの認識はあるのですけど、具体例としてどれぐらいあるかとか、異動した結果、どのようになっているかといったところまで、すみません、ちょっと私の認識不足で申し訳ないのですけど、なかなか答えられなくて申し訳ありません。
【滝川委員】 ありがとうございます。是非通級による指導の取組でもっても、なかなかうまく対応できない子供たちをどうするかということも、また考えていく必要があるかと思いました。どうもありがとうございました。
【馬飼野委員】 おっしゃるとおりですよね。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 滝川委員、ありがとうございました。大事な御指摘かと思います。私も、そのまま馬飼野先生につないでしまって、申し訳ありませんでした。
【馬飼野委員】 いえ、とんでもないです。
【荒瀬座長】 このお話は、また別のことかと思います。大変失礼いたしました。
それでは、最後に氏間委員、お願いいたします。
【氏間委員】 ありがとうございます。東京都の最先端の取組、非常に参考になりました。
それで、これは確認なのですけれども、8枚目のスライドで、通級指導の取組の中に、不登校ですとか外国ルーツの話が記載されていますけども、あくまでもここは発達障害等というところに限定した話ということでよろしかったかということが1つです。
そして、あと、例えば、視覚の障害でいいますと、高校生ぐらいで発症する網膜、視神経の病気があったりします。ですので、高校1、2年生で急激に視力が低下して、大学入試どうするのだといった状況があったりする。しかし、視力としては、0.05ぐらいはあるような状況の病気があるのですけども、そういったお子さん、入ってきたときに、このモデルでいうと、どういった対応になっていくのかということを知りたいということがございます。
それで、この2点が質問です。1つは、スライド4枚目には発達障害等とあるのですけども、やがて発達障害等の「等」が消えていくのです。発達障害限定になっていく、文脈の中でそのようになっていくのが資料からも分かるのですけど、この辺りは意図的にそうなっているのか、あるいは、そうではないのかというあたりも、何かあればコメント頂けると助かります。すみません。
【荒瀬座長】 よろしいでしょうか。
【馬飼野委員】 よろしいですか。まず、先ほどの、本校の紹介の中で、様々な生徒がいるというところではあったのですが、都立高校の通級による指導の対象は、あくまでも発達障害等の生徒ということになります。
それから、最後に、お尋ねいただいた、発達障害等の「等」については、都立高校の通級による指導の要綱で発達障害等は「自閉症、情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害」と定義されています。発達障害のなかに情緒障害は含まれないという考え方もあるので、それを含ませるために「等」を付けていると思われます。
ですので、例えば、先ほども少し話題になりましたが、発達障害以外のところで支援が必要なところにつきましては、残念ながら、今のところ、こちらには含まれていないので、今後の課題かなと。本校もそういった課題はいろいろ抱えているのですけど、それも課題かと考えます。
それから、視神経の病気が発症してしまった生徒さんがいたとしてなのですけど、まずは、先ほどのお話にも少しありましたが、教科書の拡大版というのが東京都でも用意できますので、そういったものを用意するですとか、あるいは、生徒の求めに応じて相談しながら黒板の文字を大きくするですとか、そういったことでの対応になるのかと。あわせて、大学進学ということであれば、その大学と特別な措置について協議するとか、それ以外の進路というのもあるかと思うのですが、それぞれ必要な対応が出てくるかと思います。
ここのところ、そういったケースがないので、具体的なものはお話しできないのですが、何らかの対応は必要になってくる。それこそ、いろいろな方と相談して進めていくことになるかと思います。
以上です。
【氏間委員】 ありがとうございました。是非8枚目のスライドに身体障害も入れていただけると有難いということと、そして、あと、是非障害の種類によって、対応に差異が出てこないような、何か工夫が更に進むと有難いなと思います。
発達障害であれば、外部人材を登用して充実しているのだけど、視覚障害については、先生方も手探りで終わっているというのは、明らかにこれ、誰一人取り残すことのない個別最適化されたというところからは、少しずれていく可能性もあるかと思いますので、非常にすばらしい取組なので、是非そこを更に拡充していただけると、私どもとしても有難いと思ったところです。どうもありがとうございました。
【馬飼野委員】 ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。氏間先生の最後の御指摘、大変重要かと思いますが、馬飼野先生に受けていただくということもさりながら、我々として、この会議で議論していく中で、今後、我々の社会がどういった形に、よりよい形をつくっていくのかということで検討していければと思います。大変ありがとうございました。
あと時間は僅かでございますが、最後、3つ目といたしまして、障害者権利条約対日審査につきまして、山田特別支援教育課長から御説明をお願いしたいと思います。
【山田課長】 ありがとうございます。我々の方で、9月9日に受けました勧告を中心に御説明を申し上げたいと思います。
まず、そもそも何かというのが、1ページ目にございますけれども、50条から成るものなのですが、教育が24条のところに書かれておりまして、定期的に、拘束力はないのですが、委員会から法的な拘束力がないながら、総括所見というものが出されるということになっておりまして、次のページが24条の教育の部分ですけれども、インクルーシブ教育システムを進めるということと、障害者がその可能性を、能力を可能な最大限まで発達させるということが規定をされておりまして、次のページがこれまでの動きといたしまして、我々が、我が国が批准をしたのが国内法を整備して2014年ということで、今回が初めての対日審査というものが8月に実施され、9月9日に総括所見が公表されたということでございます。
次のページが、主に懸念と要請という形で分かれておりまして、まず、御覧いただいておりますのが、懸念というところでございます。全体として、いろいろなところに、この御指摘の根拠は何なのかというのが、必ずしも不明な部分もございますが、御懸念として示されたのが、障害のある子供の分離された特別教育が永続しているということだったり、通常環境での教育にアクセスできなくしているという懸念が(a)に示され、(b)のところで、通常の学校での受入れを否定しているとか、授業の半分以上を通常級で過ごしてはならないとした通知が発出されたとか、(c)のところで、合理的配慮の提供が不十分だとか、(d)として、インクルーシブ教育に関する技術の欠如と否定的な態度、(e)として、コミュニケーション情報様式の欠如、(f)として、高等教育の包括的施策の欠如というのが懸念としてございまして、次のページが、先ほど御説明を申し上げた懸念に対応する形で、要請という勧告が出されておりまして、(a)のところでは、分離特別教育を終わらせることを目的として、インクルーシブ教育を受ける権利を認識するということと、後段で、質の高いインクルーシブ教育に関する国の行動計画を採択すること。(b)のところにおきまして、通常の学校へのアクセシビリティーを確保し、拒否条項と政策を策定し、先ほど申し上げた通知を撤回すること。(c)のところで、合理的配慮、インクルーシブ教育の確保。(d)のところで、研修の確保、人権モデルに関する意識の向上。(e)のところで、コミュニケーション様式方法の保障。(f)のところで、高等教育政策についての包括的施策の策定といったものが勧告されました。
我々としては、この条約に批准しているものでございますので、当然、その趣旨につきましては尊重しながら、趣旨を踏まえて対策をしていきたいと思っておりますけれども、大臣が勧告の直後に実施されました会見におきまして、今、御覧いただいているとおり、一番上のところですけれども、勧告の趣旨を踏まえまして、インクルーシブ教育システムの推進に取り組みますということと、一方で、今、特別支援教育が、在籍するお子様が増えている中で、多様な学びの場において行われている現在の特別支援教育を中止することは考えていないということと、最後でございますけれども、通知については、インクルーシブを推進するものでございますので、通知の趣旨を周知していくという形で、趣旨については踏まえて、インクルーシブ教育システムを進めていくものの、特別支援教育を廃止することについては考えていませんということを明確に申し上げたというところでございます。
次は、2028年に次回の対日審査が行われる予定でございますので、国としても、その対応について引き続き検討し、対応していきたいと考えております。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。この件につきましても、御質問や御意見がおありかも分かりませんが、今日は時間の関係でかないませんので、また、事務局の方にメール等でお知らせいただくということでお願いいたします。
その状況を見まして、場合によりましたら、次回、引き続いて、この件について議論をするということも事務局と相談しながら考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今日は、事務局の方で御配慮いただいて、ヒアリングの件数を2件に絞っていただくということで、非常に時間の余裕があるようにしていただいたのですけれども、大変進行がまずくて、十分に御意見を発表していただくことができませんでした。また最後、馬飼野先生におかれましては、はしょるような感じで終わってしまいまして、大変失礼いたしました。
私、お話を承っておりまして、スライドの中で、特に自立支援の中でやっておられました、野菜を育てて、そしてそれを子ども食堂に持っていく、提供するという取組の中で、子どもたちが達成感とか喜びを感じていて、また行きたいと思っていらっしゃるというお話を聞きまして、本当にこういったことをきちんと積み重ねていくことが大事だなということを改めて感じた次第でございます。本当に御発表ありがとうございました。
皆さん、進行につきましては、本当に申し訳ありませんでした。では、本日はこれまでとしたいと思います。
最後に、次回につきまして、お願いいたします。
【生方企画官】 次回につきましては、11月17日、木曜日、10時から12時に開催させていただきたいと思います。お忙しいところ大変恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 それでは、本日はこれで閉会といたします。御出席いただきまして、ありがとうございました。
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文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係