令和4年7月12日(火曜日)16時00分~18時00分
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催
荒瀬克己座長 池田彩乃委員 市川宏伸委員 市川裕二委員 氏間和仁委員 梅田真理委員 奥住秀之副座長 喜多好一委員 小枝達也委員 櫻井秀子委員 笹森洋樹委員 滝川国芳委員 竹内哲哉委員 中田寛委員 野口晃菜委員 平野真理子委員 藤井和子委員 馬飼野光一委員 宮﨑英憲委員
山田泰造特別支援教育課長 小林美保特別支援教育課特別支援教育企画官 菅野和彦初等中等教育局視学官
独立行政法人国立高等専門学校機構
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害児・発達障害者支援室
国立障害者リハビリテーションセンター
【小林企画官】 定刻となりましたので、ただいまから、第2回「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」を開催させていただきます。本日は御多忙の中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日も現下の情勢を踏まえて、ウェブ会議システムを活用しての開催とさせていただきます。
初めに、本日の会議の進め方及び配付資料について、事務所から説明します。本日、ウェブ会議システムを活用することから、委員の皆様に御発言、御発表に当たってお願いしたい事項を送付しておりますので、そちらを御参照いただくようにお願いします。
本日の出欠状況ですが、市川裕二先生、藤井先生が途中退室なります。また、事務局の出席者については、資料と一緒にお送りしている座席表のとおりです。
また、本日の配付資料ですが、議事次第、資料1から4と参考資料1、2をお送りしておりますので、不足がありましたら、御連絡ください。
【荒瀬座長】 それでは、皆さん、座長の荒瀬でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。議事に関する流れにつきまして、また、引き続き、小林さんの方から御説明をいただきます。お願いします。
【小林企画官】 まず、資料の1-1と1-2を御覧ください。資料1-1は、前回の会議で委員の皆様から頂いた御意見を議事要旨としてまとめたものです。また、資料1-2は、同じく前回の会議で頂いた御意見を主な論点ごとに整理をし直したものです。
先日、お示しした本会議の2つの検討課題について、今年度末まで、会議ごとにテーマを設定しながら、委員の皆様から御意見を頂いて、肉づけをしていくイメージを考えております。
本日から、まず、数回にわたって、検討課題の1の通級による指導の更なる充実に向けた取組等の在り方について焦点を当てて議論を深めていただきたいと考えております。お配りしております、資料の議事次第を御覧ください。
まず、議事の1は、「小中学校における通級による指導の現状と課題について」です。事務局から通級による指導の制度の概要について、補足の御説明をさせていただいて、学校現場の状況や課題認識について、全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会会長の喜多委員に20分ほど御発表をいただきたいと思います。
続いて、議事の2は「通級による指導の充実の在り方について」です。事務局より、昨日公表いたしました、令和2年度全国の通級による指導の実施状況に関する調査結果の御報告をした上で、その充実の在り方について、論点提起をさせていただきます。その後、議事の1と2について、合わせて委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。1時間程度を予定しております。
続いて、議事の3は、第3回会議のヒアリングについてです。教育行政における課題認識や先進的な取組を把握する必要があるため、次回、第3回以降の会議において、教育委員会等からのヒアリングを設けたいと考えております。事務局からの説明の後、委員の皆様からヒアリング候補などについて、御意見を頂きたいと存じます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今、御説明いただいたような形で、本日6時を目途に、皆様方から御意見を頂きたいと思っております。
では、議事の1と2は後ほどまとめて御意見を頂くということでありますけれども、議事の1の方から御説明をよろしくお願いしたいと思います。まず、資料2-1につきまして、小林さん、お願いいたします。
【小林企画官】 今、資料の2-1を画面に共有させていただいておりますので、こちらに基づいて御説明をさせていただきます。
喜多会長からの発表に先立ちまして、通級による指導やその目標、内容となる自立活動について、概略を述べさせていただきます。
1ページ目のスライドと、2ページ目のスライドは、特別支援教育の全体像を示しているものです。こちらにございますとおり、義務教育段階の児童生徒のうち、特別支援教育を受ける児童生徒は、56.9万人、5.9%となっております。2ページです。障害のある子供の学びの場として、特別支援学校、小中学校の特別支援学級と通級による指導があるということと、56.9万人のうち、16.3万人が通級による指導を受けているということなどを説明したものとなっております。
3ページです。こちらは通級による指導の概要をまとめたものです。上の枠にございますとおり、通常の学級に在籍して、通常の学級での学習におおむね参加できて、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対して、障害に応じた特別な指導を行う指導形態を指します。その目標について下に記述しておりますが、主に自立活動の指導となります。障害のある児童生徒は、その障害によって日常生活や学習場面において様々なつまずきや困難が生じることから個々の幼児、児童生徒が自立を目指し、個々の障害による学習上、又は生活上の困難を改善、克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を養うための指導を行うものです。具体的な目標や内容は、特別支援学校学習指導要領に示されております。
少し飛びまして、6ページです。こちらは自立活動の根拠規定としておりますけれども、自立活動の教育課程上の位置づけについて、簡単にお話しさせていただきます。自立活動は学校教育法第72条に定められる特別支援学校の目的を受けて、学校教育法施行規則第126条により、特別支援学校の教育課程に位置づけられております。また、その下の第138条、第140条でございますとおり、小学校、中学校等の特別支援学級や通級による指導において、自立活動を取り入れた特別な教育課程を編成することが可能となるように、特に必要がある場合には、特別な教育課程によることができるということを規定しています。
この規定を受けて、下にあります小学校学習指導要領等で特別支援学級や通級による指導において、特別な教育課程を編成する場合については、特別支援学校学習指導要領第7章に示す自立活動の内容を取り入れる、又は参考とするということが定められています。
1枚前に戻りまして、5ページです。自立活動の内容は、こちらに示しておりますけれども、特別支援学校学習指導要領において、27項目を6つの区分に分類整理して、示されております。下の注釈にございますとおり、6区分27項目は、全てをそのまま指導するわけではなく、個別に設定する自立活動の指導目標に応じて、この中から必要な項目を選定して、それらを相互に関連付けて、具体的な指導内容を設定する必要があります。自立活動の教育課程上の位置づけや該当障害種における具体的な自立活動の指導方法は、特別支援学級や通級による指導の先生に御理解いただくことが不可欠な内容ですが、それ以外の小中学校等の全ての先生方においても、通級による指導や自立活動の教育課程上の位置づけを理解しておいていただくことが求められているところです。
以上、雑ぱくではございますが、制度について簡単に御説明させていただきました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
では、引き続いて、資料2-2を御準備いただきまして、喜多委員から御説明をよろしくお願いしたいと思います。喜多委員、お願いいたします。
【喜多委員】 皆さん、こんにちは。御紹介に予りました、全国特別支援学級通級指導教室設置学校長会、会長の喜多でございます。本協会は、全国で小中学校、義務教育学校3万校ある中の約1万7,500の学校の校長が加盟している団体となります。これからスライドに沿いながら、小中学校等における通級による指導の現状と課題につきまして、発表させていただきます。
次の3点について話をします。1つ目は、小中学校の通常の学級に在籍する障害のある児童の現状と特別な教育課程の現状です。2つ目は、小中学校の通級指導教室を担当する教員の現状と課題です。3つ目は、通級指導教室を担当する教員に身に付けてほしい専門性についてです。
1つ目は、小学校の通常の学級に在籍する発達障害等の診断のあるお子さん、あるいは疑いのあるお子さんの在籍状況です。このことについて、全国連合小学校長会の特別支援教育委員会で全国調査をしておりますので、その調査結果から抜粋をして、説明をさせていただきます。
昨年度の結果では、回答数718校のうち96.6%、ほぼ100%近くの学校で、発達障害等のある児童が在籍していることが分かりました。その在籍率は5.7%となります。平成24年度の6.5%と比較して下がっていますが、全ての学校で発達障害を含む子供が在籍しています。
次のスライドをお願いします。この調査を回答している校長が、指導上に困難を感じていることについての結果です。発達障害等の障害のある、疑いのあるお子さんの困っている状況についての現状です。割合の高い順に7つありますが、下線のある回答は、主に発達障害の特性に起因すると思われます。読み書き、計算の問題は学習障害の特性に当たります。こだわり、社会性やコミュニケーションの問題は自閉症スペクトラム、ASDのお子さんの特性です。持ち物の管理ができないは、ADHDのお子さんの特性です。
そのようなお子さんに対して、どのような特別な教育的支援をしていますかという質問には、通常の学級の中ですので、担任によるできる範囲での支援が一番多いのですが、担任以外の教職員による支援が9割近くありました。また特筆すべきは、通級指導教室での指導や支援が6割あることが分かりました。今後も通級指導教室との連携が重要になってくるかなと考えます。
次のスライドをお願いします。これは通級による指導を受けることが望ましいと就学判定を受けているお子さんのうち、通級指導教室に通っていないお子さんの割合を聞いています。令和3年度は34.9%となり、平成23年度よりは1.5倍ほど増えているのが結果から出ています。その理由としては、当該児童や保護者が通級による指導を望んでいないが8割。また、通級指導教室がいっぱいである、希望があるが家庭の事情で通えない、自校、近隣に通級指導教室がないという回答が続いています。このようなことから、なかなか通えていない現状です。なお、対象児童の在籍率は1.1%でした。
次のスライドをお願いします。特別支援学校、特別支援学級に就学することが望ましいという障害のあるお子さんが通常の学級にどの程度、在籍しているかという質問をしたところ、68%の学校で在籍してるという結果となりました。1校当たり4人、1.1%です。先ほどと同程度の人数のお子さんがいるということです。対象の子供の障害種は、自閉症、情緒が75%、続いて知的障害が74%です。その他の障害種はかなり少なくなっているので、この2つが主となります。
教育的支援の状況ですが、先ほどと同様に、担任によるできる範囲での支援が9割、担任以外が8割となっています。具体的には、特別支援教育支援員であるとか、管理職、副校長や教頭が支援に関わっていることが見えていました。通級指導教室からの支援も35%近くあるということが出ています。
次のスライドをお願いします。そういったお子さんが通常の学級に在籍することに決定した理由なのですが、先ほどと同様に、当該児童や保護者が望んでいないという回答が87%弱、残りは転学を前提としているとの回答でした。あと、少ないですが、インクルーシブ教育への強い思いからという理由が11%ありました。近隣に特別支援学級や特別支援学校がないというのも、先ほど通級指導教室同様に数として挙がっています。
次のスライドをお願いします。続いて2番目の通級指導教室の現状についてです。ここからは、本協会の全国調査の中から抜粋してお伝えしします。全国の設置校の10%、約1,700校から回答を頂いています。通級指導教室の在籍人数ですが、17人以上が小学校は一番多い、中学校は9人から16人が多いということが分かります。
しかしながら、正規教員の数ですが、小学校だと一番多いのが1人で54%、中学校も1人が多く66.4%です。在籍人数から考えると、1人で担当するはかなり厳しい状況の中であることが分かります。また、ゼロという回答も小学校5%、中学校8.4%となります。そうなると、正規以外の教員で担っているという現状が見えてきます。
次のスライドをお願いします。担当教員の現状です。主に主任教諭の教職経験年数等を聞いています。一番上の表ですが、教職経験年数が多いのは31年以上が小中学校ともにでした。ただ、経験年数のグラフで見ていただきたいのは、6年目未満が12%、中学校では24%となり、かなり高い数字であると思います。通級指導教室の担当教員の特別支援学級での経験年数は、一番多いのが11年以上でした。ただ、3年未満の経験はやはり3割ぐらい、3、4割いるという結果でした。
特別支援学校教諭の免許の取得状況では、保有率と書いてありますが、現在、習得中も含めて、小学校44%、中学校34.8%となっています。
次のスライドをお願いします。これまでの調査結果をまとめると、通級指導教室の正規教員の割合、担任が1人の割合がとても多い、6割ぐらいあるということ。知的障害、自閉症・情緒障害特別支援学級も同程度の結果でした。正規教員が配置されない割合が6.7%でありました。ただ、知的障害、自閉症・情緒障害特別支援学級に比べると、配置されていない割合が高いことが見えてきました。主任の経験年数も二極化している現状がうかがえます。特別支援学校免許状の保有率は、特別支援学級の主任と同程度となっています。設置学校長の特別支援学校での経験は、小学校3割、中学校25%であり、専門性の向上に向けてまだまだ足りないと感じています。
次のスライドをお願いします。通級指導教室における自立活動の指導の状況です。先ほど紹介がありました。自立活動の指導を行う上で個別指導計画を作成していきますが、その際に、特別支援学校の自立活動を参考にしている割合が小学校9割、中学校の9割近くあります。ただし、その内容を踏まえているのは小学校6割、中学校も6割となり、その差が30ポイント近くあります。
管理職の指導、助言に関しては、小学校7割、中学校7割近がしていると回答がありました。通常の学級の教員に対して100%していることから、そのことに比べれば高いとは言えない数字です。
次のスライドをお願いします。指導上の課題です。最初に小学校の課題ですが、自立活動の指導を充実させるためには、通常の学級との連携が課題と回答した割合が9割近くありました。その後、教員の専門性の向上、校内支援体制、小中連携が挙がっています。
次のスライドをお願いします。続いて、中学校に関して同じ質問をしています。中学校では、小学校から中学校への引継ぎ、小中連携を意識した回答が一番多かったです。あとは、小学校同様に、専門性の向上研修、校内支援体制の充実、あとは通常の学級と連携が続きます。
次のスライドをお願いします。この後は、本協会の会員から声の紹介です。通級指導教室を充実させていく上で課題として幾つかありますが、担当教員の専門性の確保の向上が一番大事だという声が一番多かったです。2番目は通級指導教室が機能すると、学校全体にも良い効果が現れるから、そこの担当教員の専門性を確保していかなきゃいけない、育成をしていかなきゃいけないという声がありました。担当教員の高齢化への懸念の声もあります。先ほど経験年数が11年以上とかありましたけども、後継者の育成も非常に必要です。
2つ目は、巡回指導、自校通級の必要性についです。これも大きな声がありました。他校通級だと保護者の送迎の時間や負担が大きいことがあげられます。言語障害の教室学級は、原則、他校通級で負担が大きいようです。通級指導教室がそもそも少なくて通う換気用が整っていないことから、巡回による指導をお願いしたいという声が多かったです。
3つ目は、小学校の課題でありましたけども、在籍学級との連携の必要性です。通級指導教室そもそもが、在籍学級での適応を図ることが大きな狙いですので、連携を図っていくことが必要です。他校通級だと担当教員が、在籍校を尋ねて担任の先生と連携するには工夫が必要だという声がありました。
次のスライドをお願いします。指導の継続性については、小中連携、中高連携も重要です。中学校特別支援教室が少ないという声も、会員の中からは多くありました。
5番目ですが、在籍の児童、在籍学級の子供、また、保護者の特別支援教育に対する理解、啓発の必要性です。
6番から11番に関しては、環境設備の課題、年度途中子供の数が増えても、なかなか人員配置されない問題、特別支援教育への主任を必置主任にという内容です。基礎定数化である13人に1人の早期実現化、専門家の配置、あとは、全ての管理職向けの手引きの必要性もありました。
次のスライドをお願いします。通級指導教室担当教員の専門性、身につけてほしい専門性についてです。基礎的な素養に関しては、これは通級指導教室だけではなくて、全ての教員に必要な感性、素養についてです。様々な障害の特性を理解した上で、アセスメントする力、自立活動に係る個別指導計画を作為して小中高へ学びの継続性を図る力、そういったものが必要かと思います。特別支援教育コーディネーターを担うことが通級の先生方は多いですので、記載した力もが必要かと思っています。
校内や在籍校との教職員との連携、家庭との連携、保護者の理解、啓発等に関しても、これも通級指導教室の教員に身に付けたいマストの力なのかと感じています。
以上、雑ぱくですけども、通級指導教室等に関わる現状と課題についてでした。ありがとうございました。以上です。
【荒瀬座長】 喜多先生、ありがとうございました。大変丁寧に御説明いただき、現状と、それから課題も、タイトルどおり、本当に詳しく御説明いただきました。ありがとうございました。今回、御質問とか御意見とかおありかと思いますが、先ほど申しましたように、次の議事の2と併せてお願いしたいと思います。
では、議事の2の通級による指導の充実の在り方について、山田課長の方から御説明、お願いいたします。
【山田課長】 皆様、こんにちは。特別支援教育課長の山田でございます。今、座長から御紹介いただきましたとおり、通級による指導の充実の在り方につきまして、私の方から御説明を申し上げます。
次のページをお願いします。まず、冒頭少し御紹介したいのは、今朝の新聞にも幾つか出ておりましたけれども、令和2年度の通級による指導の実施状況の調査結果を、昨日、公表いたしました。結果を簡単に御紹介したいと思います。
次のページをお願いします。これまでどおりといいますか、児童生徒数の推移ということですが、どの障害種もかなり増えているという状況です。今年から調べ方を変えまして、5月1日現在ということではなくて、3月31日を基準としましてというか、通年でどれぐらいいたかということを、数字として掲載させていただいております。
次のスライドをお願いします。これは学校種別です。傾向としては、もちろん全ての学校種が増えていますということで、人数的には小学校が多いので全体も増えているというのが御覧いただけると思います。
次をお願いします。具体的な障害種ごとの、先ほども議論出ましたけれども、自校、他校、巡回の別も合わせて御紹介を申し上げますと、小学校、14万人ですけれども、自校が6割ちょい、他校が3割ぐらい、巡回が6.6%という状況になって、昔よりは他校の割合が少し減っているかなという感じですけれども、こういう状況です。同じくというか中学校の方が、若干自校と巡回が多くて、自校が66%、他校が20%、巡回が12%という形、高校はそもそもサンプルというか、人数が少ないので比較が難しい部分ありますけれども、自校が88%と、他校が2.7%、巡回が9.3%という形になっております。障害種が下のところに分かれておりますけれども、傾向としては、いわゆる発達障害と言われるようなものが多くて、小学校、これは特に低学年だと思いますけれども、言語のところは、小学校に特有というか、かなり多くなっているというのを御覧いただけるかと思います。
次をお願いします。これが障害種ごとに、自校、他校、巡回、どういう割合かということを調べたものでございます。大半の障害は、青色の自校が多いという形になっていて、逆に言語だとか難聴、弱視、こういったところは多分大人数でやった方がいいということもあったりだとか、そういうコミュニティーをつくりたいということもあったりして、他校が逆に多くなっていると。そういった特性を今後、検討いただく上で踏まえていただく必要があるかと思っております。
次をお願いします。何コマぐらい受けているのですかというのが、このスライドです。御覧いただくと分かるように、週1コマの児童生徒が大半です。灰色の部分の週2コマというのを入れて大体9、1コマ、2コマで大体9割ぐらいかという形になっております。
次をお願いします。高校における通級による指導、始めたばかりと言えば、始めたばかりですが、どういう状況かということです。2,400人程度、通級指導が必要だといったうちの半分ぐらいしか通級指導を受けられていないということです。受けられなかった理由は本人が御希望にならなかったとかいうのが4割で一番多いのですが、その他のところで、体制が整わなかったとかということが理由として挙げられているという状況で、こういったところも改善に向けて、この場で御議論いただきたいと思っております。
次をお願いします。あとは定性的なところですけれども、その他が何があったのかというのについては、ここに掲げているような理由が挙げられておりました。
次をお願いします。じゃあどうしたかということで、ほかのところでフォローしましたというのが、こういった通常の学級における指導の工夫とかいうことを、それぞれ工夫をされていらっしゃるというところです。
次をお願いします。具体の工夫の内容がこちらに掲げたとおりでございます。
次をお願いします。我々も様々、通級による指導について、御指導をいただきやすいように様々な資料を作成し、皆様に御覧いただいているということです。もちろんこれだけで、専門性がすぐ上がるというわけではありませんが、こういった取組をしております。
次をお願いします。これは前回、御覧いただきました、この会議における検討事項、2つの柱があります。1つ目が通級による指導のさらなる充実ということと、もう一つは、ある程度の障害のある児童生徒が通常の学級にいる場合にどうするか、この2つの検討課題がございますけれども、今日は喜多先生の御発表もありましたので、特に通級の実施形態等について、御議論を深めていただけると有り難いと思っております。
次をお願いします。1つ目が、メリデメを、我々の方でこれまでの資料を参考に作成したというところがございますので、それを御覧いただいて御議論いただきたいというのが一つと、もう一つは、他校でなくて、自校、巡回、こういったものを広げていく際に、どういったことが課題になるのかということについても、併せて御指摘を頂ければ有り難いと思っております。
次、最後のページでございますけれども、これは先ほど申し上げました、我々の方でいろいろな資料から引っ張ってきた通級の指導形態ごとのメリデメをお示ししてございます。一番上は自校ですけれども、児童生徒の通学の負担が少ないし、教師に相談しやすいし、担任と連携が図りやすいというのが当然メリットとして挙げられて、右側、課題、留意点ということですが、これは学校種によりますけれども、自校の生徒に知られたくないというような学校段階のお子さんもいらっしゃる。
一方、他校通級ということで、児童生徒が少ない学校でも、行けばいいので実施が可能だということと、人数がある程度集めやすいので、グループ的な指導がやりやすいというメリットがある一方、子供が移動する、その時間は授業は受けられないし、特に小学校が多いのですけれども、移動に保護者の送迎が必要になると。先ほど喜多先生からもお話がありましたけれども、そういったデメリットがあるのかとか、また、子供が動いているだけなので、先生同士の連携がなかなか難しい。あと、時間割も学校によっていろいろなので調整が難しいということです。また、これも学校段階によりますけれども、別の制服を着た学校に通いにくいとか、若干抵抗がある場合もありますし、保護者との連携に留意が必要だったりというようなことがございます。
巡回ですけれども、左側のメリットのところですが、子供が少なくても先生が回っていけばできますということと、先生が行くので、行った先で先生同士、連携、共通理解というのが他校よりは図りやすいのかなというところです。課題としては、先生ができる授業の時間ということでは少なくなるということだったりとか、移動の負担が大きかったりとか、命令の任命権者、設置者等の指示・命令を明確にすること、また、旅費の措置を計画的に行うことが必要だということが書いてあります。逆に言うと、でも、こういったものを乗り越えていけば、他校通級よりも、より有力な形になり得るのではないかということから、一番下は、どの方法であっても考えられる課題というもの、例えば一番下の理解が不足しているといったことも含めて、課題として挙げられたらと思っております。
私からは以上です。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。充実の在り方ということでありましたけれども、充実の在り方を実現していくためにはいろいろと課題があるということで、その御紹介をいただきました。山田課長、メリデメというのを2回使われましたけれども、これはメリット、デメリットということの意味として理解してよろしいですか。
【山田課長】 大変失礼いたしました。メリットと課題、留意点でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。デメリットと言ってしまうと、それは駄目みたいになってしまって、今もおっしゃいましたけれども、乗り越えるべき課題として考えられるということで、そこを乗り越えていかない限りは、例えば関係者の理解とか、そういったことも、そこを乗り越えていかなければどうにもならないということがあり得ると思いますので、その辺、皆さんは当然、御了解のことかと思いますけれども、よろしくお願いします。
前回、私があまり詳しく知らないにもかかわらず、座長を務めるということで、本当に皆さんには御迷惑かけるんですけれども、専門用語は別といたしまして、お使いになっておられる、ふだんお使いになっておられる略語等については、可能な限り、元の言葉を使っていただくということで、場合によっては地域によっても違う略し方があったりするのではないかと思いますので、その点、御協力よろしくお願いいたします。
そういたしましたら、今3つの御説明があったわけでありますけれども、これにつきまして、少し時間を取って御意見を頂きたいと思います。5時40分ぐらいまで約1時間、お願いしたいと思っております。どなたからでも手を挙げていただきまして、私が順番どおりできないかもしれませんが、市川先生、お願いいたします。
【市川(裕)委員】 恐れ入ります、全国特別支援学校協会の市川でございます。すいません。この後、別の会議が入っているので言いっ放しで申し訳ない、退席をしなくちゃいけないんですが、今、山田課長の方の話がありました、各実施形態のメリット、デメリットということについて、私の、今は校長なんですが、その前は教育委員会にいたしまして、東京都では全ての学校に特別支援教室を設置して、巡回の通級をしながら、自校通級を行ったということで、ここに書いてある課題等について、例えば、任命権者のこととか兼務発令のこととか旅費のこととかというのは、多分東京都の実践があると思うので、何かの折に東京都からのヒアリングを聞いていただけるといいんじゃないかと思っています。
ただ、これをやったときに、自校通級であろうと他校通級であろうと、先生方の専門性の部分というのが大きな課題になるということで、特別支援教室を設定したときでも、どの先生が通級の指導を行うのかと、どんな専門性があるのかということが大きな課題になっていました。そのときに、私、今回、通級の指導における、通級の指導の課題を検討するときにつらつらと考えてみたんですが、確かに実施形態というのが最終的な大きな形であるんですが、そもそも通級の指導について、通級による指導を更に充実するためには、もう1回見直す必要があるんじゃないかと思っています。というのは、具体的に言うと、通級による指導の教育課程における指導内容って何なんだろうというところが、1回整理をする必要があるのかと思っています。というのは、文部科学省さんの出している障害に応じた通級による指導手引等を読ませていただいても、通級による指導って何が指導内容なのかというと、正直言って、これというのが分かるような分からないようなという形になって、読んでみると自立活動に相当する指導なんだけど、特に必要があるときは各教科の内容を扱えるんだけど、それは単なる各教科の遅れを補充するものとはならないですよということになっています。だから、どういう形態だろうと、何を教えるのかというところをもう1回整理する必要があるのかと思っています。それが今回、大きな課題なのかと思う。
それで、先ほど喜多先生の話を聞いて、この話はすごく納得がいったというか、これから少し調べなくちゃいけないところだと思うんですが、通級の指導の、先ほど喜多先生の話の中で、学習指導要領の自立活動を参考にしている学校というのが60%ぐらい、もしくは踏まえたのが60%、じゃ、残り4割、3割の学校は何をやっているんだ。課題があって、もしかすると、これは抜本的に、最初に私が言った特別支援学校の自立活動に相当する内容で、教科の補充というのは基本的にはやらないんですというのが、もしかすると合っていないのかもしれない。それは、特に高校通級が始まった今、小中高という年齢も踏まえると、考えていかなくちゃいけないのかということを思ったので、指導の形態ということも大切なんですが、ここで1回、通級による指導の内容について、よく整理する必要があるのかと思いました。
それと、喜多先生の話の中で、これは形態もそうなんですが、通級用の指導の就学判定というお話があって、確かにこれは区市町村、こうやっている学校はすごく多いと思うんですけど、就学相談の過程から考えると、就学の判定というのは、あくまで特別支援学校と小中学校への就学のみなので、通級の指導を判定して、この子は通級の指導が必要な子供なんだという言い方をするべきなんだろうかと。それが先ほどの山田課長の高校の通級の必要なお子さんの中で、しているお子さんがそれほどいないということになるんですが、ここが特別支援学校のように、学校教育法施行令22条の3項に該当するみたいなことがないので、通級による指導の基準、この辺も考えていかないといけないのかと思っています。
というのは、先ほど山田課長の話があった指導の形態なんですが、東京都の方で、私が指導の形態で特別支援教室を立ち上げるときに関わっていた結果から見ると、通級指導を利用する方が非常に多くなってきていると。先生方もそれをどう支援していいのか分からないと。教室も非常に足らなくなっている中、どういう形態をやれば、児童生徒の必要なお子さんが、全て通級の指導が充実するのかということを踏まえて、東京都は恐らく特別支援教室という発想に変わったと思っているんです。私もそれに関わっていたので、思っているんですというのも変な話なんですけども、そう考えると、通級指導の必要なお子さんってどういう子なのと、それって判定なの、いやいや、それじゃなくてもう少し何か別の相談みたいなことなのかということも考えていかなくちゃいけないのかと思った次第でございます。
それとあわせて、指導の形態について、これから検討していくんですが、いずれの形にしても、学級が非常に今多くなっているという中で、通級の指導っていつまで続けるんでしょうとかというところも考えていかなくちゃいけないことなので、まず、通級の指導の在り方ということを1回整理した上で、最終的に、それが巡回相談の形なのか、自校通級になるか、いろいろな考え方があるのかということについても整理をする必要があると思いますので、指導の形態だけを取り出して議論するというのはなかなか難しいんじゃないかと思っています。
この後、別の会議がもう始まっちゃうので、言いっ放しで申し訳ないんですが、以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。先生、最初におっしゃった、東京都からのヒアリングというのは、後からまた、いろいろな教育委員会からのヒアリングを、どういうところからすればいいかということを、また御意見を頂きますので、そのときのものをあらかじめ言っていただいたと受け止めさせていただきます。
それと、何が指導をするべき内容なのかというのは、非常に大きなといいますか、重い問いかけを頂いたと思っております。そういったことを含めて、皆さん今日、議論を詰めていただいて、具体的に、先ほど小林さんの方からありましたけれども、論点整理の方に向けて、これはすぐにはできないですけれども、やっていきたいと思っております。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。野口委員、お願いいたします。
【野口委員】 ありがとうございます。喜多先生、あと、山田課長、御発表ありがとうございました。
御質問も含めてなんですけれども、事務局の方にも喜多先生にも是非お伺いしたいのは、地域差というのが調査の中でどれぐらいあったのかというのが非常に大切なのではないかと思っています。あと、例えば、そのほかにも自校通級だとかなりハードルが低いので、自校通級を実施している学校の通級の対象者と、他校通級をしている学校の通級の対象者って、私の肌感覚だとかなり差があると思うんです。なので、そこの違いとかは調べられているのか、データがあるのかというところを是非お聞きしたいということと、あと、先ほど資料をぱっと見たんですけれども、自治体ごとに通級に通っている人数を出してくださっているんですけど、割合で見ないと、子供の母数が分からないので、どれぐらいの割合の子たち、それによって地域でどれぐらい差があるのかというのが分かるので、そういったデータがないのかというのを是非お聞きしたいと思いました。
あわせて、地域による差というところをどうして見ていく必要があるかというところなんですけれども、私は今、いろいろな自治体さんに関わっていて、関東も関西も見させてもらっているんですけれども、かなり地域によって通級の運用に差があると感じています。例えば特別支援学級をたくさん設置している大阪府のような地域においては、通級の対象者が少なくなっていて、特別支援学級を設置していない地域においては、通級の対象が例えば多くなっているなということとかもすごく肌感としてあるんです。また、そのほかにも、子供の実態に応じて通級は週8時間までオーケーとなっていますが、自治体によっては原則1、2時間だというところだったりとか、あと期間も東京都とかは原則1年だとなっていたりして、そういったところの、自治体ルールみたいなのがかなり違うんじゃないのかと思っています。
私が先生にヒアリングをしていくと、いやいや、8時間までできるんだったら、本当はこの子は通級の対象にしたいけれども、でも、8時間できないから今の設定だと。だから1、2時間しかできないから、それに合わせてやるんだったら、この子は特別支援学級しかないと、そういう判断の仕方をされているというのをすごく感じます。本来は、子供の実態に合わせて、この子は8時間まで、通級であれば特別の過程で8時間までオーケーなので、それの範囲内でできるのであれば通級の対象になる。先ほど誰を対象にしていくのかという話ですけれども、そういった教育課程で決めるべきだと思うんですけれども、そういった決め方がなされていない。自治体のルールによってとか、環境とか体制によって、子供にとって何がいいのかという決め方になっちゃっているので、それは何か本質じゃないというところを思っています。
保護者も同じように、通級か特別支援学級かと選ぶときに、通級は週1、2時間しか支援を受けられないから特別支援学級にするみたいな、そういう決め方になってしまっているんじゃないのかと思っています。なので、先ほどの市川先生の話もありましたが、何をもって通級が適切であると判断しているのかという、本来、通級が適切だけど通級に通えていない人というデータが先ほどありましたけれども、それも結局、何か判断力がかなり自治体によって違うんじゃないかという印象を持ちました。まず、そこの部分を細かく調べていかないと、何がいいという判断がしにくいんじゃないのかと思っています。
そのほかにも個別の教育支援計画と指導計画の在り方というのも、通級の先生が中心でつくる自治体もあれば、通級の先生と通常の学級の先生が一緒につくる自治体もあれば、通常の学級の先生がメインでつくる自治体もあれば、それもかなり違うと思うんです、自治体によって。そういうところを見ていかないと何が、地域ごとの施策がどういう施策が打たれていて、それによってどういうデータが出ていて、それで何が課題なのかという整理がしにくいのではないのかと思いましたので、もし今の時点で地域差について分かることがあれば、是非教えていただきたいと思いました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今、御説明をいただいたわけですけれども、今のお話だと、これは地域差って一言ではなかなかくくれない面もあるように思います。ですので、今、可能な範囲、こういった観点での地域の差があるのではないかとか、あるいは、対象者でありますとか自治体ごとの人数の割合とか、こういったことで今、お答えできる範囲でお答えいただければと思いますが、喜多先生、お尋ねしてよろしいですか。
【喜多委員】 ありがとうございます。地域差に関しては、確かにあるのかなと、話を聞いていてとても感じています。一番最初に、自校通級と他校通級の対象者の違いについてお話があったかと思うのですが、基本的には実施体制の違いだけであって対象者は、これは変わらないのではないかと捉えています。ただ、対象者の判断は、自治体が独自に設置している就学支援委員会のような会議で入室・入級の検討の段階でしているものなので、違いは出てくるのではと思います。
以上です。
【山田課長】 私からも補足よろしいですか。
【荒瀬座長】 お願いいたします。
【山田課長】 ありがとうございます。もう御指摘のとおりで、多分、地域差って物すごく大きくて、喜多先生がいらっしゃるような東京は、かなり通級を頑張っているというか、特別支援学級よりも通級がかなり大きな役割を果たしているのかなというところもあるし、さっき野口さんが挙げられた自治体なんかでも、逆に特別支援学級が中心になっていて、通級指導はあまり実施されていないと、こういうような実情の差はかなり大きくあるのかなと思っています。
御指摘のとおりですという話なのですけど、一方で、自治事務なので、国が一個一個、この子は絶対こうだとかとはめていくという作業では、ここはないのかと思っていて、ある程度のばらつきは想定しながらも、通級制度というのは、もう何十年もやっているのですけど、定着しているところとそうでないところと地域差は、御指摘のとおり、ありますが、最初の小林の説明にもあったかとは思うのですけれども、通級は基本的に教科指導を補うものではなくて、自立活動をやるものなので、あまり週に8コマ、9コマ、自立活動ばかりやっているというところは、多分あまりないんだろうと思うので、そういった通級は通級で、さっき話が出ましたけども、物すごい数が伸びていて、市川先生から御指摘があったような、中身の問題というのは大変大きな問題なのですけれども、それは中身の問題もあるかもしれないし、そもそも通級を教えられる先生が、専門性という意味で、十分通級制度を理解して教えられる先生が十分に育っていないというのも、もしかしたら中身の問題としてというか、表れてしまうような変革期にあるのかと思っています。
我々も、自治体によってかなり、自治事務とはいえ、通級、特別支援学級の運用に差があるので、先日、通知を出して、こういう運用にしましょうみたいなのをお示しはしておりますけれども、それでも、かなり地域差があるという状況は、御指摘のとおりだと思いますので、ここでの議論を、そういった地域差も踏まえて、是正できるところで是正しつつも、本来の通級制度だとして、どう進めていくべきか。また、本来の制度の在り方で進めていく上で、こういったことが国としてすべきじゃないかみたいな御指摘も頂けると大変有り難いと思っています。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。これは、データというのはあれですか、ほかにはあるんですか。すいません、梅田先生、お願いします。
【梅田委員】 失礼します。仙台の梅田でございます。
私が前に国立特別支援教育総合研究所で笹森先生も一緒にデータをとったんですが、平成28年でしたか、27年、26年でしたか、2年間の研究で、全国の通級指導教室に関しての実態調査を行いました。全ての市町村にアンケートを、教育委員会にアンケートを送りまして、6割ぐらいでしたか、返ってきたのが、そんな程度だったと思っておりますが、小さな市町からもお返事を頂きましたし、指定都市のような大きなところからもお返事を頂きました。
その中で明らかになったのは、指定都市のような大きな市、大きな町に、自治体に関しては、教育委員会の体制がかなりしっかりしていて、そもそも特別支援教育の担当指導主事もしっかり何人か複数名いるという中では、ほとんどの指定都市に関しては、通級についての、さっき市川先生は何をもって適不適とするのかとおっしゃいましたが、一応、市なりのガイドラインを、基準を持っていて、そこに対して、この子供が通級に適なのか、あるいは、例えば特別支援学級の方がいいのか、いや、通常の学級で経過を見るのがいいのかという判断をしているという回答でした。
ただし、小さな市町に関しては、そもそも指導主事がいないという教育委員会もあります。また、指導主事はいるけれども、1人か2人で、特別支援教育担当指導主事がいないというところもあって、そういったところがどのように判断をするかというと、担当者で相談をして、適不適を検討するという判断をしているところもありました。ですから、そこの辺りの判断が非常に難しいという回答もありました。
だから、その辺りが今の地域差ということにも通じているのではないかと思いますが、そもそも、だとすると特別支援学級も含めて、市町村教育委員会における特別支援教育、少し話が広がっちゃうんですけど、特別支援教育自体をどう進めていくかというところにもかなり地域差があるという現状があるんだと思います。
ただ、回答頂いた市町村では、通級による指導が必要だと回答されているところが多くて、しかし、担当者がなかなか先ほどの話にあったようにいないであるとか、あるいは財政的な問題があるということでできていないという自治体もありましたが、今ここに、正に巡回のところに出たように、すごく工夫をしているところもあって、タクシーを村で借り上げて、親が送迎できないので、村が借り上げたタクシーで送迎しているとか、あるいは、3つぐらいの町でお金を出し合ってバスを借り上げて、通級による指導をバスで送り迎えしているなんていう市町村もありました。ですから、小さい町は小さい町なりの、先ほどの話でいけばデメリットもあるんですけども、知恵を出し合った工夫をしていらっしゃるんだということはありますので、国立特別支援教育総合研究所に、少し古いデータにはなりますが、そういった研究の成果もございますので、また御覧いただければ、有り難いかと思いました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。御説明いただきました。そういったデータを、また今後、必要に応じて事務局の方で御用意いただいて、見ていくこともしなければならないのかと思いました。
今朝、教育振興基本計画部会というのがありまして、今後の我が国の教育をどうしていくかという議論が進められているところなんですけれども、今日は誰1人取り残さないということのテーマが、テーマはほかにもあったんですけれども、1つありました。誰1人取り残さないと、よく言葉では使われるんですけれども、具体の問題で、今のお話で、小さな村がタクシーを借り上げて、それで親が十分できない部分があったとしても、サポートすると、そういったことは本当に大事だと思うんですけれども、そんなことが日本中のあちこちで、本当に、具体にその子に必要な学びの場がちゃんと用意されていくという方向で、この会議も議論をしていければと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、氏間先生、お願いいたします。
【氏間委員】 非常に貴重な資料を御披露いただきまして、ありがとうございました。
こういった資料を拝見するたびに感じるのが、発生頻度との関係ということがあまり取り扱われないというところがあるかと思っております。特に私、視覚障害を主にやっておりますけども、視覚障害は本当パーセンテージで見ると非常に低いわけですけども、ただ、通級指導教室による教育的効果ということで見ますと、例えば、レンズの使い方、あるいは視覚補助具の利用の仕方、あるいは、ミシンとかカンナとか試験管の扱い方みたいなことを、しっかりと個別で取り出して指導すると、それで、劇的に学習への参加状況が変わってくるということがございます。
しかしながら、弱視ということで言いますと、頻度が低いわけですので、それで通級指導教室が設置されないという自治体がほとんどではないかと思われます。広島市などでも1校あって、そこには他校通級で通ってくるというお子さんが、可能な方はいらっしゃるということがありますので、是非そういった障害種、特に発生頻度による視点からのクロス集計というものはあってほしいということがあります。
そのときに、そういった低発生頻度障害を専門にする研究者の立場から申し上げますと、要するに、そういったことの専門性を持っている指導主事がまずいないし、学校の教員もいないということが実際的に大きな、深刻な問題になっています。特に弱視とかという状況になってきますと、見えないわけではないですので、何とかそれなりについてくるということで、更に見えにくいですから、行動的な問題と扱われるような行動も起こしにくいということがありますので、学校における課題としては、非常に過小評価されがちだというところがあります。
しかしながら、発達段階に応じて、例えば低学年では、アカデミックスキルだとか、あるいはレジリエンスに関すること、高学になってくると、専門の教科への対応とか、更に中学生になると受験への対応といった具合に、段階に応じて、高校生になったら大学受験に向けてといった具合に、段階によって様々な問題が発生してくるんですけども、それに対する専門家の介入の頻度というのは、恐らくかなり低いんじゃないかと思われます。
例えば、大学の障害学習支援を受けている弱視や視覚障害の状況を見ましても、ここ10年間で増えているんです。200人から300人ぐらい増えているんです。どこが増えているかというと、弱視の大学生の数が増えているんです。何でかというと、高校での弱視の措置の仕方が、改善してきているとも捉えることができるかもしれませんけども、それとあわせて、合理的配慮という視点がなかったところが社会的に変わってきて、そういったことが訴えやすくなってきたという当事者とか、関係する人たちの意見を伝えやすくなったという社会的な状況の変化もあるかと思います。
しかし、それに対して、それを受け止める側が成熟していないということがあるんです。ですので、意見が長くなるのでここで終わりますけども、ここで考えていきたいと思うのが、1つは他校通級にしましても、先ほど梅田委員もおっしゃられましたけども、「通えない」と「使えない」では、やはり、先ほど初めにありました資料にもあったように、うまくその制度が機能しないと思うので、是非そこを使う必要があるんだけども、そこをいかに使えるようにしていくのかというところを、是非具体的に議論できるといいなということと、もう一つは、教員免許の問題です。高校通級担当するのは高校の免許が必要ということになっていると思うんです。これは制度的にそうなっているんだと思うのですが、だからそこまでこの委員会で取り上げるのが是か非かというのは、それは事務局の方で整理していただく必要があるかと思うんですけども、ただ、自立活動を基本的に通級で取り扱うということであれば、免許にあまり縛られ過ぎてしまうと、特に希少障害の場合は、本当に専門家がいないんです。
ですので、例えば、教科に関することは教科の免許が必要かと思いますけども、ただ、このお子さんは数学を解くのに弱視レンズが必要なのか、拡大読書器が必要なのか、その使い方をどうするのか。あるいはセンター試験のマークシートがいいのか、あるいは手書き解答がいいのか、そういったことを判断するのには教科の専門性ということよりかは、視覚障害の理解の方が勝ると思うんです、専門性としては。ですので、そういった免許の枠組みというものも、是非何かしら議論の中に入れていただけると有り難いと考えました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。竹内委員、先ほどから手を挙げていらっしゃるというのを送っていただきましたか。すいません。
【竹内委員】 じゃ、しゃべりますけど、よろしいですか。
【荒瀬座長】 お願いします。
【竹内委員】 まず、僕がこれで知りたいことは、通級をしていて、例えばこういう自主活動の内容がいろいろ挙がっていますけれども、生徒たち、子供のアセスメントはしているんでしょうか。つまり何が言いたいかというと、こういうことをやりましょうと言っていて、彼らにとっていいことだったら続ければいいと思うんですけど、そうじゃないんだったら、やる必要性をあまり感じられないということを思ってしまったんです。なので、通級をすることが、我々が大事だと思って与えているんですけど、本当にそれが大事なのかというのは、僕にはよく分からないというのが、まず1点目に大きな課題としてあるのではないかと感じています。
例えば、すいません、これはうちの息子の例で大変恐縮なんですが、うちの息子は11年前から通級に行っていました。それによって学んだことが、今生きているかと言われると、はっきり言ってほとんどないと思っています。うちの息子の場合は弱視と発達障害、両方抱えていました。弱視は、最初は弱視学級に行っていて、弱視学級が終わって、というのは、目の視力が上がってきたので弱視じゃなくなったというだけなんですけれども、その後、発達支援の方に行きました。というのも、たかだか週8時間は行かないですけど、週2時間とか週4時間で何を学んだんだろうということが、全く僕には見えてきませんでした。
プラスでいうと、学校側からの説明もあまりないですし、連携みたいなものもあまり、行っていたことはありましたけれども、中学になるとほとんどなくなっていくというような状況だったので、これ、自立活動の内容も分かるっちゃ分かるんですけど、要は、子供に何を目標として何を学ばせるために、つまり将来、学校って18歳とか大人になっていくための過程の中で、何を学ばせることなのかということが明確にならない限り、これはどういうことなのかというのが、ずっと僕の中では疑問として付きまとっています。なので、こういうことやったらこうなんだみたいなデータは取っておいた方がよいのではないかと思っています。
それが1点と、あとは、地域差なんかもありますし、メリットと課題みたいなことを言ってしまうと、はっきり言って、自校通級していても、他校通級していても、巡回通級していても、この子、違うことやっているよねというのはばればれなので、どうやったってそれは子供の負担にはなるわけです。それを言っていたら、多分通級というものが成立しないんじゃないかと思うんです。
だからそうじゃなくてどのようにしていくのか、それはほかの子供たちにもちゃんと理解をさせるとか、そういうことが大事なんだと思うんです。通常の学級学級級と通級等は多分僕はセットだと思っているので、そういったことをきちんと学ばせていく。僕は心のケアという言葉が大嫌いなので、使いたくないんですが、心の教育とか大嫌いなんですけど、使いたくないんですけど、それは当たり前にして持つようにしていくことが本当は大事なんだと思っています。
ですので、そこら辺からスタートしないと、通級のメリット、あと、先ほど梅田先生がおっしゃったように、特別支援学級にしてもそうですし、特別支援学校にしてもそうですし、大きな話になってしまうのは重々承知で言いますが、そこから生徒たちが本当に社会に出るために何が必要だからこれを学ばせるんだ、この時期にはこれが必要なんだということを明確にするためにも、すいません、繰り返しで恐縮ですが、そこを明らかにしてから進めた方が、議論が進むんじゃないかと思っています。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。非常に重要なことを御指摘いただいたと思います。具体のケースで言っていくと、それがどうして意味があるのものになっているのか、なっていないのかというのが、具体の連携の仕方であったりとか、あるいは学校の指導の方針であったりとか、その子に応じた対応ができていたかどうかと、そういったことを見ていかないといけないので、そのことはそのことで、とても大事な点ですから考えていかなければならないと思うんですが、一方で、必要な自立活動に向けての通級における指導というものが要るか要らないかというと、やはり必要であるのではないかと私は思うんですけれども、その辺りも含めて、根本的なところから考えていく必要があると。
最後、まとめる形でおっしゃった、途中でもおっしゃっていましたけれども、社会に出るためにどういう力が必要なのかと、本当に考えた上での段階に応じた指導していくと、これは本当に重要なことだと思いますので、そうなっているか、なっていないかということも、その視点からも実際の指導に対する評価というのもしていく必要があるということかと思います。
冒頭おっしゃったデータということなんですけども、今日はデータの話がほかにも出ましたが、子供にとってどうなのかと、こういったデータというのはあるんですか。これ、さっきの梅田先生のお話は、これはそういうデータではないですよね。どうぞ、梅田先生、お願いします。
【梅田委員】 国立特別支援教育総合研究所で行った研究は、あくまでも教育委員会へのアンケート調査ですので、教育委員会担当者が回答していますが、その中で、子供に成果があったかどうかということは聞いております。そのことのデータは上がっています。
ただ、今、手を挙げていらっしゃる方もいるので手短にですけど、基本的には、私も通級を担当しておりましたが、必ずアセスメントは事前に行います。そうやって子供の実態に応じた指導を行っているはずですが、ただ、そこが今、通級指導教室が非常に増えている状況と指導者が追いついていかない状況があり、また、地域差という問題もあり、それぞれの通級指導教室を指導する教育委員会の体制というものもあって、なかなか全ての通級指導教室が、担当者がきちんとアセスメントしている、あるいは教育委員会単位できちんとアセスメントをして判断をしているとか指導を行っているとはなっていない現状があるのではないかとは思います。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。一方、これも私は大変大きな意味であると思ったんですけれども、周りの子供たちといいますか、大人も含めて理解をどう進めていくのかという、正にインクルーシブ教育をやっていく上での根幹に関わるお話も出たかと思います。こういったことについても、今後、しっかりと議論ができればと思いました。
では、御発言が、たくさん手が挙がりましたのでお願いいたします。笹森委員、池田委員、藤井委員の順にお願いをいたします。笹森先生、どうぞ。
【笹森委員】 笹森です。ありがとうございます。そもそも通級による指導ですけれども、小林企画官の説明にありましたように、通級の対象となる児童生徒は通常の学級に在籍して通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童生徒ですから、竹内議員のお話もありましたが、通常の学級の状況と離して考えるわけにはいかないです。判断でいうと、A君の子供の状態、障害の状態だけで決まる話ではなくて、A君が在籍しているクラスの中でどういう状況にあるかというところが当然関わってきますので、それは同じ発達障害のある、Aさん、Bさんでも、適応の状態は様々な違いが出てきてしまうところがあるので、そこも含めたアセスメントは大事です。先ほどの担当の専門性、担当者の専門性の一番大事なところはアセスメント、アセスメントは、子供個人だけのアセスメントだけではなくて、周りの子供との関係であったり、先生との関係であったり、在籍しているクラスでの環境のアセスメントも大事なのかと思います。そもそも通常の学級の先生が、どうもこの子が、適応が難しそうなので通級を利用してはどうかという短絡的な結びつきを考えているとうまくいきません。中学校、高校の通級もいろいろ回らせていただいて、本人に必要感が出てこないと、本人が何を学ぶかというのがある程度、納得できないと通級を利用する意味がないんです。違う場所で、何で自分だけ個別に勉強しなきゃいけないんだということになります。だから、決して周りの大人だけで決めない。障害や診断名だけで決めずに、トータルな状態像の中で、今、何が必要なのかというところの判断が大切です。とても高い専門性なのかもしれないと思いましたけれども、それがまず、1点目です。
もう一つが、地域差の話がありましたけれども、首都圏を想定すると、1学級の人数がすごく多い中での、例えば発達障害なら発達障害の子供の不適応な状況が見えるわけですけど、地域によっては、クラス全体が5人とか6人とか、複式学級もあります。そこにも発達障害の子供さんがいて、丁寧に子供に一人一人に対応をしていることで、例えばADHDの特性がみられても通級が必要ではないケースもあります。また、自治体によっては障害種別の看板は外しているところがあります。困難さとかニーズで通級を判断していくというところもあります。
最後ですけれども、高等学校の通級が始まって、中学校の通級の情報を集めにあたり、子供の意識が違うので、今日の前半で実施形態の自校、他校、巡回が話題になりましたけれども、もう一つの要素として、指導時間の問題があります。授業中に抜けて別の教室で指導を受けるのか、授業時間外の放課後に指導を受けているのか。子供には大きな課題となります。中学、高校では放課後に指導を受けているケースが割合として多くみられます。授業時間は抜けずに放課後、放課後でもし他校だとすれば、自分の学校の子供たちにはあまり関係しないで、学習塾に通うような形で通っていくスタイルで実施している自治体もあります。中学校になると高校受験が出てきます。ですから、学習支援の要素はウエートが大きくなってきますし、高校になると、今度は就職だとか大学進学が出てきますから、キャリア教育的な要素が出てきますので、小学校で友達と仲よくやっていくためのSSTの指導とは内容が違ってくるというところも通級の難しさであるかと思います。
長くなりました。以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。本人の必要感という言葉をおっしゃいましたけれども、これは本当に大切なことで、周りの大人が勝手に決めてしまうというんじゃなくて、本人の希望というんでしょうか、思いというんでしょうか、そういったものにしっかりと視点を当てていくということの大切さ、それが高い専門性だということですので、そういう力を周りがつけていくということが本当に大事なんだと思ってお聞きしました。ありがとうございました。
では、池田先生、お願いいたします。
【池田委員】 よろしくお願いいたします。先ほどの地域差の話がありまして、判定基準や時数などの地域差の検証というところで、野口委員の方からお話がありましたけれども、私も地域差に関しては非常に大事だと思っております。
その視点の1つとして、今後のヒアリングのところの観点ともかかわるかなと思うんですけれども、地域の資源といったところも1つ、観点に入れていただきたいと思っております。例えば、交通網がどれだけ発達しているかとか、あと、当該障害種の特別支援学校が、それこそ地域で1校しかない、県の中で1校しかないとなりますと、遠方に巡回相談に行くとなると、なかなか時間もかかるし大変だと、そういった地域差なんかもかなりあるのかと思うので、そういった地域の資源といったところも、1つの分析の観点、ヒアリングの観点として入れていただきたいと思います。
こちらは体制ですとか、そういったところになるので、いわゆるデメリットといいますか、乗り越えられる課題なのかと思うので、そういったところの整備というのが大事かと思います。
もう1点なんですけれども、喜多委員の御発表の中で、保護者や本人が望まないから通級につながらないといったところが、そこは関係者としては非常に大きいなと、私は勉強させていただいたんですけれども、先ほどの竹内委員の御発言とかもありますが、保護者や関係者にとって、本人もそうです、もちろんですが、通級による指導がいいものであるというか、本人にとってとてもいいものであるといったところの理解、啓発、私も必ずしも通級による指導をしなければいけないと考えているわけではないんですけれども、本人にとって、それがいいものであればやるべきであろうと思っているんですが、そういったところで保護者や本人への理解、啓発、もちろん周りの学級の子供たちへの理解、啓発といったところが非常にこの問題は大きいのかと思っております。
そうしますと指導形態、通級の形態と絡めますと、巡回通級といったものを肢体不自由の分野でも充実させていかなければと考えているところなんですけれど、そういったときに、巡回相談、巡回通級の場合、どのタイミングで保護者と連携するのか、保護者の理解、啓発と言いますけれども、もしかしたら、保護者と会う機会がほとんどないかもしれないと考えますと、そういったところの具体的な方法論の検証なんかも、例えば、連絡帳などを用いて、すごく上手にやられている学校に対して、少し事例を挙げていただくなどしていただけるとすごく参考になるのではないかと考えております。
最後に、先ほどから通級が本人にとっていいかどうかというところなんですけど、通級で、シビアではあるんですけど、やってよかったという成果を出すというところが非常に大事なのかなと。通級による評価といったところになるんですが、私の知り合いの通級の専門性の高い先生は、短い時間であるけれどもやってよかったと、本人も保護者も思うように、成果を出すのをすごく意識して通級をやっているとおっしゃっていたので、そういったところはすごくシビアな指導なんだろうと思います。
そうなりますと、誰が担うのか、質といったところもやはり同時に高めていかなければならないので、少し大きな話にもなってしまったんですけれども、そういった通級の質といったところも併せて考えていく必要があるのかと思います。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。ヒアリングの観点も御発言いただきましたし、最後おっしゃった成果という言葉が、これは誤解を受ければ困ると思うんですけれども、本当に行ってよかった、やってよかったという、そのことの納得が、正に成果であると思いますので、そういったことが、これ、事例ということになりますと、これも何らかの形で、そういったものの御発表がいただけるようなところを探してもらうということも含めて、これもヒアリングの中でお願いできればと思いました。ありがとうございました。
では、藤井委員、それから市川委員、そして櫻井委員、滝川委員の順でお願いしたいと思います。藤井委員、お願いいたします。
【藤井委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。藤井です。
今ほど、いろいろな先生方からの御意見等、発表等ありがとうございました。それで、どのお子さんを対象にするのであるとか、何を指導する、何を学ばせるのであるとか、つまり指導目標や指導内容の選定に関わることかとも思います。それが有休大休の問題にも通ずるわけなんですけれども、通級による指導というのは指導の1つの教育形態であると学習指導要領にも書かれております。内容は障害に応じた特別の指導、すなわち自立活動ということなんですけど、そもそもなんですが、今日は形態の話、通級実施形態というところが1つ論点になっているのですが、そもそも形態もあるのですが、障害に応じた特別な指導、自立活動ということについて、どの程度学んだ上で、この形態の指導、活用というものが各学校においてなされているのかということについては、非常に大きなことであろうと思っております。
私は、通級の先生であるとか、特別支援学級の先生、あとは、特別支援学校の先生方を対象にした現職研修に関わる実践であるとか、研究をさせていただいておるところなんですが、やはり特別支援学校においても、自立活動とは何か、どのように進めるのかといったことについて、まだまだ十分でないところもあるように感じているところであります。
通級においては、なおのこと自立活動が導入され、展開されるということになった今、現状において、これまでも平成5年度からの実績がございますけど、自立活動として位置づけられたのは、本当に29年改定のときであるということも考えますと、なかなか自立活動の理念、考え方というものが十分に行われていないこともあるのではないかということも考えながら、現職研修に携わっているところであります。
特に指導内容、目標指導内容選定に係る、特別支援学校の学習指導要領を参考にと書いてありますけれども、第3、第7章、自立活動、第3の個別の指導計画の作成と内容の取扱いの部分を、どのようにそれを参照とされているのかということも非常に気になるところでもあります。
自立活動は、学校種、障害種に限定されるものではないと捉えており、自立活動の観点から実態をみることも必要なのではないかと思います。また、通級の形態としては、コーディネーターが必ず関わると思いますので、コーディネーターの先生御自身の、そういった自立活動に関わる御理解というものが、また影響するものであって、それが現状の多様性というものを生み出している要因にもなっているのかと感じながら聞いておりました。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。手を挙げていらっしゃる方たくさんいらっしゃいますので、私はもう単純に、次へ次へと進行してまいります。よろしくお願いいたします。
では、続きまして、市川宏伸委員、お願いいたします。
【市川(宏)委員】 市川でございます。今、お話伺っていて、私は全然違う視点から見ていまして、もう40年ぐらい児童精神科医をやっておりまして、今も週3日、外来でそういう子供さんとお話しして、40年前、一番私が対応するのは不登校の子供さんだったんです。40年たっても、まだ不登校の方なんです。優秀な先生方が多いので、私の商売が繁盛しているんだろうと思っておりますけども、本人がどう思うか、これは先ほど、笹森先生がおっしゃっていましたけど、これは重要な視点だと思うんですよね。
私はもちろん、どういうあれかという難しいことはあるんでしょうけども、例えば通級学級に行って、子供さんが行ってみて、これいいやという方は必ずうまくいくんです。今、通常の学級よりあっちの方がいいという子供さんはうまくいっていますし、そうじゃなくて、あそこに行くと、週の何時間だけ同じ授業が抜けちゃうから嫌だという子がいたり、それから、通級に行くと、おまえ何やっていたんだよとみんなから嫌み言われるから嫌だとか、そういう方は続かないんです。僕は選択肢としての通級というのはありだという気がしております。要するに、受ける側を主体に考えないといけないんじゃないかと思っていますので、そういう点では、もちろんいろいろ難しいことが書いてあるのは分かりますけども、やはり通級というのも選択肢として存在していていいんじゃないかと思いますし、これは例えば、逆の言い方をすると、学校にずっと行っているんだけど、急に行かなくなっちゃった。よく聞いたら、担任の先生が変わっちゃったからというのは、特に学年が下の方の子はよくありますから、そういう点で言えば、選択肢があって、これがいいやと行ってくれる子供さんはうまくいくだろうと思います。
主体は学校に通う子供さんだろうと思いますので、僕はそういう視点があってもいいんじゃないかと思って、発言させていただきました。どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。では、櫻井委員、お願いいたします。
【櫻井委員】 櫻井と申します。どうぞよろしくお願いします。1回目、不参加で申し訳ございませんでした。
様々な御高名な先生の御意見を聞いて、もう正にそのとおりと思うばかりなんですけれども、私自身、実は明日から特別支援教育を担当してくださいと言われて、指導主事になった経験がありまして、その後、市教委、県の特別支援教育課、そして管理職と、もう1回、また市教委を経験して、ここに戻ってきているわけなんですが、通級指導教室は自校にあった方がいいなと思います。発達に課題がある、あると思われる子供が、必ずしも不適応を起こすわけではないんですよね。教員の指導でいかようにも変わっていくところを、たくさん経験をしてきています。
しかしながら、持っている課題があって、週に1時間、2時間程度、ソーシャルスキルも含めて自立活動ができれば、子供たちにとってはとてもいいことだと思うんです。それが他校に通うには、保護者の送迎が必要であったりだとかいろいろなことが生じてくる。だとすると、自校にあるというのは有り難いとは思っています。
しかしながら、自校にあるとなった場合に、これ、どなたが持つのかというところでは、本当に専門性というところでは大変大きな課題があります。実は、本校も発達障害、情緒障害の通級指導教室を3つ持っています。3つあるので、そのうち3人とも特別支援学校教諭免許状を持っているかというと、持っておりませんし、中には再任用の方もいらっしゃったりだとか、試行錯誤しながら子供たちを担当しているというのが正直なところであります。なので、指導者の育成というところではやはり大きいのかなと、ここでの話ではないのかと思うんですけれども、通級を持たれる先生方の専門性の向上、それから人材の発掘、育成というよりは見つけてやっていくというためには、現場の管理職の先生の理解とか、そういったところも必要になってくるなというのが正直なところであります。
いずれにしても、子供の特性に応じた自立のための支援がどんなところでできるのかというところでは、通級が自校にあればすごく有り難いと思いますし、管理職も含めた指導育成というところでは大きな課題であるのかなというのが正直なところでございます。
長くなりました。以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。では、滝川委員、お願いいたします。
【滝川委員】 今日は貴重なお話をたくさん頂き、ありがとうございます。
発達障害という視点ではなくて、病弱、身体虚弱というところの専門として意見を述べさせていただきたいと思います。
障害のある子供の教育支援の手引にも、当然のことながら病弱、身体虚弱の子供たちも通級指導教室の対象ですということで、明記されています。それで、今日のデータではないんですけども、令和2年度の通級による指導実施状況調査を見ますと、公立の小学校、病弱、身体虚弱の通級を設置していない自治体が31、それから中学校の公立で設置していない自治体が都道府県のうち、33ございます。実際に実施している都道府県を見ると、数が比較的多いというところで、やっているところはやっている。やらないところはやっていない。
やっているところはどういうことをやっているのかということを思いました。これは、研究者としては、もっと実施状況の把握をやっておかなければいけなかったところかと反省しております。それで、今日の山田課長さんの資料にもありましたけれども、病弱、身体虚弱の92名、全体で92名のうちの自校が72、それから他校が14、巡回が6とあります。先ほどの特定の自治体というと言い過ぎですね。やっている自治体の中で、他校通級で病弱、身体虚弱の子供たちに対応しているというのは、どのようにして行っているのかと。もしかすると、専門の先生のところに集中して集まっているのかなんていうことを思ったりもします。
通級による指導、前回の会議のときもお話しさせていただきましたけれども、病気で学校に行けない子供たちにとっては、かなり有効な仕組みじゃないかと思っています。じゃあ、実際にやっているところがどういう実態で行っているのかというのを、是非今後把握していきたいと思いますし、この会議の中でもそういう議論が少しあるといいなと思いました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。では、小枝委員と、次に中田委員までとさせていただきます。申し訳ありません。よろしくお願いいたします。小枝委員、お願いいたします。
【小枝委員】 それでは、手短にお話をさせていただきます。自校通級、他校通級という話がたくさん出ていますが、田舎に行きますと距離もあるので、他校通級は難しい、そういったところがございます。やはり自校通級があるといいんでしょうが、自治体の規模だと、それを担当する教員もなかなか確保できないと、そういった問題もございます。なので、1つの可能性として、オンラインでの通級という、そういったものがあっていいのかと思うんです。なかなか教育はオンラインでは難しいという御意見があるかもしれませんが、コロナ禍でいろいろなトライアルもされてきておりますので、そういったインフラの整備と、それから、自立活動の内容を見ますと、オンラインでもできそうなものもあるかと思うんです。
ですから、1つの可能性として、新しい形としてのオンラインの通級、そういったことも御検討いただけたらと思っています。私は今、心の診療部というところで医者をさせてもらっていますけども、オンラインの診療というのはだんだんと広まってきているんです。当初は無理だろうと思っていたんですけど、今、オンラインの発達相談というのを私は担当していますが、オンラインでも、かなりのことがお伝えできて、御家族も満足してお帰りになるということがありますので、1つの選択肢として、自校通級が無理な場合には、幾つかのオンラインで自立活動を数人で一緒にゲームなんかやるといった工夫なんかは、これからあっていいのかと思っております。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。大変具体的なお話を頂きました。では、中田委員、お願いいたします。
【中田委員】 失礼いたします。今日、ずっと先生方のお話を聞かせていただいておりまして、とてもポイントになる部分、一番大事な部分について、たくさん前半、御議論いただいていたんじゃないかと思います。
本県に当てはめながら考えていたんですけど、特別支援教育という考え方でスタートして以来、県全体で、かなりスタート直後、学びが進んだという印象を持っております。その財産が、今、鳥取県の場合はまだ生きているんじゃないかと思います。例えば指導内容、自立活動ということも、どの市町村も、それはどの学校も、ある程度、認識しながら進めていると思いますし、就学の判定だとか基準だとかというのも、アセスメントをしながら、通級入級までの流れというのもきちんと持っているのではないかと思っています。こういった部分で、特別支援教育がスタートした、そのときに財産が、うちの県としてはまだ生きているのかと思います。
ただ、時代が流れてきまして、前回も言ったんですけど、こう着化している部分というのも否めない部分もあると思います。特に、管理職に特別支援教育、あるいは通級の考え方というのがどこまできちんと入っているのかというのは心配な部分。それから、若手が増えてきていますので、若手の教員が特別支援教育、あるいは通級の考え方について、どこまで入っているのかというのを少し心配しているところです。
それが1点、感想めいたもので申し訳ございませんが、もう一つ、今日は、形態のことで話があるということでしたので、本県の状況を見てみました。自校通級の全児童に対する割合というのが、本県の場合は49%ということで、全国より少し低めです。それから、他校通級が22%、そして、巡回が27%ということで、かなり巡回に軸足が移りつつあるということを感じます。巡回のよさというのが、児童生徒が慣れた環境の中で指導を受けることで、先生が回っていくということで、安心感があるというところが評価されているのではないかと思います。また、幾つかの学校、その1人が担当しているんですけど、曜日を決めて勤務の割り振りもして、朝から晩まで火曜日はこの学校にいると、そういう状態をつくっている学校が多いですので、通常の学級の担任の先生とのやり取りだとか、それから、放課後に保護者とのやり取りだとか、そういうことも、こういう形だとできるというメリットもあるんじゃないかと思います。
どのような形が適しているのか、その地域、地域によって、また違いがあるんじゃないかと思いますが、また、これから話を進めていくことができたらと思っております。
以上です。長くなりまして、ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。先ほど申し上げましたように、一旦、中田委員までとさせていただいて、今、宮﨑委員も手を挙げてくださっていますし、最後に、奥住副座長の方からお願いをしたいと思っておりますが、その前に、資料4について、これは次回以降の具体的な、先ほどからお話もありましたヒアリングのことについての御提案です。これをごく簡単に、小林さんの方からお話を頂いて、残りの時間を使って御意見をまた、頂きたいと思います。では、どうぞ、お願いします。
【小林企画官】 ただいま画面に共有させていただいております、資料4を御覧ください。
まず、1ページ目です。次の回、9月9日ということでセットをさせていただきまして、ありがとうございます。次の回と第4回で、現場における課題ということで聴取したいと考えております。
まず、第3回ですけれども、都道府県や市町村の教育委員会より、小中学校にフォーカスを当てて、通級による指導の充実のための課題や取組に関して、お伺いしたいということと、あと、次に小枝委員と書いております。これは学校教育の外であり、かつ連携先である医療ということで、貴重なお立場かと思います。これまで学校との連携でうまくいったケースやうまくいかなかったケースなど様々あるかと思いますが、それらを踏まえた上での課題や学校の通級による指導への期待などについて、お話を頂いてはどうかと考えております。
また、第4回ですけれども、これは、今度は高等学校における通級ということに焦点を当てまして、馬飼野先生、高等学校の校長先生ということでもあり、また、高等学校長会の声なども御説明いただければと考えておりますし、また、高校における通級による指導に、一生懸命取り組んでいるような都道府県教育委員会をお呼びしてはどうかと考えております。
2ページ目でございます。ヒアリングの観点ということで、たたき台をつくりました。都道府県と市町村で確認したい点も違うかと思います。都道府県の教育委員会では、例えば巡回通級を拡大していくために、通級担当教師の配置を工夫していたり、あるいは市町を越えて先生が回っているような兼務発令をしている事例などがあればということですとか、あるいは、利用者の少ない障害種の児童生徒に関しては、特別支援学校のセンター的機能を活用しているような事例、あるいは、小枝先生からもありましたけれども、ICTの活用によって、子供たちにリーチしているような事例、あるいは人材育成ですとか、また、高等学校における通級による指導ということで、小中学校等からの引継ぎや、先ほどお話もございました、本人たちへの理解ですとか保護者への理解啓発も重要ですが、調査によれば、高等学校で本人、保護者が希望しなかったというケースも多いので、合意形成について、どう図っていくべきかという観点も伺えればと思っております。
先ほど、地域の資源ですとか、通級の成果といったことも観点として挙げていただきましたので、それらも確認していければと思っております。
また、市町村教育委員会ということで、こちらに並べておりますとおり、自校で指導を受けることができる取組の工夫ということで、こちらに書かせていただいております。
以上、雑ぱくではございますが、都道府県や市町村の教育委員会などで、特にこの自治体が良いという情報ですとか、あるいはこうした観点をもっと確認した方がいいという御意見を頂戴したいと存じます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今、小林さんの方から最後にありましたように、御意見は事務局にメールを頂戴できればと思います。既に、東京都から聞いてはどうかとか、あるいは、また具体的な事例ですよね。好事例といいますか、そういったものについても調べてはどうかということでありました。その辺も含めまして、あるいは、また観点を加えるべきではないかとか、あるいはもっとこういった観点でまずはやってみたらいいんじゃないかと、そういう優先順位なんかも含めまして、御意見おありでしょうから、是非事務局の方にメールを頂戴したいと思います。
残りの時間でありますけれども、先ほど申しましたように、宮崎委員から御発言を頂いて、ほかにも、まだおありかもしれませんが、最後は副座長の奥住先生の方からお話を頂きたいと思っています。
それと、先ほどチャットで一度発言したのでみたいな文言がちらっと見えたんですが、私の目の前のタブレットは、チャットが見えてもすぐ消えちゃうんです。チャットを起こすためのものが見えないので、すいません、特に、この時間の中でどうしても御発言がおありの方は、手を挙げるボタンを押していただける方が有り難いです。時間の関係で、まとめていただかなければならないので、じっくりお話はいただけないんですけれども、また、御意見につきましても、別途メールを頂戴する、事務局でメールを頂戴するという形もございますので、それも含めて御検討いただいて、ただ時間内にどうしてもということでしたら、手を挙げていただければと思います。すいません、長くなりました。
宮﨑先生、お願いいたします。
【宮﨑委員】 すいません、時間のない中、宮﨑でございます。今日は皆様のお話をお聞きするだけにしようと思ったんですけど、発言の機会を頂きました。
喜多先生からお話があった中で、7ページのところに特別支援学校、特別支援学級への就学判定のある児童の状況というのがあって、親御さんの通常の学級を選択した理由が、当該児童、保護者が望んでいないというのと、インクルーシブ教育への強い意識、と分けた項目になっていますが、この項目は、非常に微妙な差異があるものの実は関連性が強いところだと思います。就学判定に当たっては、この点をもう少し細かくみる必要性があると考えています。
先ほど、竹内さんのお話を伺いながら私も考えたんですが、特に通級を利用するという基準、入室の基準というのを、それぞれの自治体でいろいろ検討されていると思います。東京都でいえば、そのことに関しては、本人や保護者の意向が尊重されなければいけないというのが大前提になっています。ですから、そうした基準について、是非、次回以降のヒアリングの際に、どのようにされているかというのを、是非入れていただければ有り難いと思っているところです。
その中で、今回は、発達障害の通級による指導が一番課題になって、今回のテーマになっていると思うんですが、そのことと先ほどお話があった、低発生頻度障害のお子さんたちへの支援の在り方って少し違うと思うので、この在り方については、別途で体制の整備はどうあるべきかとか地域資源をどう使うかという辺りを検討する必要があるかと思っています。重要なことなんですけど、例えば、東京都では弱視の通級指導教室というのは、本当に東京ですらも極めて少ないんですよ。そうすると、誰が支援をするかというのがおのずと出てくるんです。つまり、盲教育をなさっているところにちゃんと支援の手立てを考えてみるような仕組みとかということがあります。ただ、難聴についても似たようなところがあります。この辺りについては、それぞれの地域の現状を把握しながら対応する。
最後に、発達障害については、先ほど喜多先生の7ページを例に申し上げたのは、知的障害を伴う発達障害系の方々の支援をどうするかというのを、きちっと考えていく必要性があると思ったものですから、一言発言させていただきました。時間のない中で、ありがとうございました。
【荒瀬座長】 とんでもございません。ありがとうございました。繰り返しませんけれども、今、非常にすっきりと分けていく必要性というのも強く思った次第です。ありがとうございます。
では、最後に奥住先生、よろしいでしょうか。
【奥住副座長】 奥住でございます。まずは、話題提供をいただきました喜多委員、そして実施状況調査の報告、それから各委員の皆様の多岐に亘る御発言と、大変示唆に富む内容ばかりだったと思っております。
今後の会議の方向性やポイントがたくさん示されていると思いながら、聞かせていただきました。改めて整理をするのは私では荷の重いところではございますが、大切だと思ったことにつきまして幾つか申し述べたいと思います。
まず、本日の主たるテーマであります通級による指導の形態ですが、ここ数年、自校通級や巡回による指導が増えていることが、通級による指導を利用する児童生徒の増加と一定関係していることを改めて確認いたしました。他校通級に評価すべき点があるのは間違いないとは思いますが、自分の在籍する学校で通級による指導をできるだけ受けるためにはどうすればよいのかということを改めて検討する必要があるだろうと思いながら聞かせていただきました。
2つ目といたしましては、これは本日の本質的な議論ともつながりますが、通級による指導の意味を、本人や保護者が十分に理解して、主体的に受けるためにはどうしたらよいかの検討です。通級による指導が全ての学校に当たり前に存在し、それがあることが「普通」の学校づくりにつながることを考えつつ聞かせていただきました。そうした中で、通級による指導で学んだことが、在籍学級であったり、地域であったり、あるいは将来の生活にどのようにつながっているのかを理解することが、児童生徒が主体的に通級による指導を受けることにつながるのだろうと改めて思った次第でございます。
3つ目といたしましては、通級による指導を受ける児童生徒の増加の一方で、受けることがよりよいとみなせる児童生徒の中にも、いまだに通級による指導を受けていない者が多いことも分かりました。本人や保護者が希望しない場合、是非受けてみたいと思っていただけるシステムづくり、あるいは、受けたくても受けられない状況という理由の場合、その解決方法は何かなどについて検討することが必要だろうと思っています。
最後ですが、本日は地域差という言葉がいろいろなところで提起されました。次回以降の検討課題と理解しておりますが、東京のような都市部から、学校数や児童生徒数が少ない地域まで、必要とする全ての児童生徒が充実した通級による指導を受けるためにどうすべきかについては、当然継続して議論していく必要があるだろうと思っています。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。まとめていただくような形になりまして、奥住先生、本当にありがとうございました。
では、時間になってまいりました。今日、御指摘いただいた、次回以降のヒアリングですけれども、御指摘いただいたことも含め、先ほど申しましたことの繰り返しになりますけれども、是非メール等で御連絡を頂ければと思います。
山田課長の方から御説明いただきました、資料の13ページ、ここのところに、今回、特に御議論いただきたいということでポイントを書いていただいていました。形態のこと、それから、自校通級や巡回通級を妨げる要因、課題、あるいは、ここには具体には書かれていませんけれども、今日の御意見の中には、ではどうしていったらいいのかというところで、最後に奥住先生の方でまとめていただきました、本人や保護者の理解や納得に基づく通級、これは当然のことながら、途中の御意見にもありましたけれども、行ってよかったという成果が出るということが本当に非常に大事なことかと思います。
また、途中で私も申し上げましたけれども、そういった障害についての理解が、周りの子供たちや大人に社会全体でしっかりと備わっていくということがとても大事なことで、これはなかなか難しいわけでありますけれども、難しいからといって、やらなければいつまでたっても進みませんので、そういったことについても、我々の議論が少しでも理解を広げていく、深めていくことにつながるようになっていったらいいなということを思った次第です。
どの子も学ぶことを通して、将来必要な力を養っていく。それがちゃんとそういう場が整えられていくということは、周りの大人の、本当に必要な務めであると思いますので、その辺のことを踏まえながら、また今後も議論を進めていきたいと思います。
では、次回につきまして、小林さんお願いいたします。
【小林企画官】 ありがとうございます。
次回は9月9日、金曜日の16時から18時に開催をさせていただきます。また、それまでに関しても、ヒアリングに関する御意見や本日、時間の関係で御発言いただけていない御意見などについて、また、メールで御案内をさせていただきますので、教えていただけますと、大変幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
少し進行がまずくて、時間をオーバーしてしまいまして、申し訳ありません。本日、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
―― 了 ――
(会議中にチャット欄で寄せられた意見)
【野口委員】
先ほどは回答ありがとうございました。
地域差の話ですが、もちろん全国ですべて運用をそろえる、というより、最低限の運用をこちらで決めて、その上で地域ごとの人口規模だったり、体制状況によって類型化していくのが良いのではないかと思いました。
通級のみでなく、通常学級における支援体制を類型化していくような(例えば学級規模が少なければ通級で取り出すのではなくて、巡回指導をより充実させるとか、どうしても難しい場合はオンラインを活用するとか)イメージです。
どの自治体であっても、子供に応じて必要な指導・支援がなされるためには、ある程度類型を示していくのが良いのではないでしょうか。
そのためには、やはり地域ごとの様々な実態や施策、池田委員のおっしゃったような地域資源の状況などを踏まえて検討する必要があると思うので、次回の様々な自治体ごとのヒアリングを楽しみにしています。
上記を踏まえた上で、自校通級・他校通級のメリットと課題ですが、自立活動の指導の1-2時間を前提とするのであれば、やはり通常学級との連携がかなり肝になるため、当然基本的にどこも自校通級の方が良いのではないでしょうか。それが難しい場合には、上記のとおりそれでも保護者・子供に負担がない形で支援体制をつくれるように上記に示したように類型化をするのが良いのではないでしょうか。
子供が通いたいかどうか、っていうのは、子供側の問題じゃなくて、学校全体にまん延しているスティグマの解消が必要なのではと思います。「通いたい子だけ通える」といって子供の自己責任にしてしまうのもどうかと思います。
本人や周りの子供たちのスティグマ解消に向けてはいろんなノウハウがあると既に現場に思うので、集めて共有できると良いと思います。
ある中学校では、年度初めに偏見をなくすために通級の説明をし、誰でも休み時間に遊びにおいで、と伝えて、わかりやすい教材(リーディングルーラーやICT機器)などを通級から借りられる仕組みをつくったところ、子供たちがいつも通級に遊びにきていて、「通級いいな~」ってなってます^^
最後に、先生の専門性という観点だと、上記の1-2時間の通級で子供の過ごしやすさ・学びやすさを担保するためには、通常学級への助言・提案力が肝になると思います。単純に障害特性に関する専門性が高いのみでなく、どのように通常学級で実行可能な手立ての提案ができるか、先生とコラボレーションできるか、という観点でのスキルが大切だと思いました。
文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係