いじめ防止対策協議会(令和4年度)(第5回) 議事要旨

1.日時

令和5年3月23日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

Web開催 (Zoom)

3.議題

  1. 医療事故調査制度に係るヒアリングについて
  2. いじめ重大事態調査の今後の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

新井委員、遠藤委員、高田委員、小正委員、田村委員、手島委員、中田委員、松谷委員、村山委員、八並委員、渡辺委員、渡邉委員

文部科学省

清重児童生徒課長、小林生徒指導室長

こども家庭庁設立準備室

鍋島こども家庭庁設立準備室参事官

5.議事要旨

【座長】  皆様、こんにちは。年度末のお忙しい時期にお集まりいただき、どうもありがとうございます。それでは、議事に入っていきたいと思います。
 議題の1といたしまして、医療事故調査制度についてということで、委員から御紹介をするようにお願いをいたしております。前回からいじめの重大事態調査の改善に向けた検討を進めてまいりましたが、医療の分野においても、医療事故で患者の方が亡くなることもあります。その際に、再発防止を目的として医療事故調査を行うことが求められております。医療事故調査においても、調査組織の公平性・中立性の確保や、あるいは御遺族との調整など、いじめ重大事態調査にも共通する課題があり、これまでも様々な取組を行っておられます。
 本日は、委員から医療事故調査制度について御説明をお願いし、そして、いじめ重大事態調査の改善に係る検討の参考にしたいと考えております。まずは委員による御説明を20分程度いただき、その後、質疑応答の時間を設けさせていただきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
【委員】  座長、ありがとうございます。委員の皆様、今日はプレゼンをさせていただきます。
 これまで委員会で何度か「医療事故のような」という表現をしてまいりましたのは、私が知っていたのでその表現をしましたけれども、委員の皆様にとってみますと、何のことか分かりにくかったと思います。このたびは座長からお時間をいただくことになりましたので、今、医療界が取り組んでいる医療事故調査制度に関して概略を述べさせていただきます。これがいじめの重大事態調査にどのようにつながるか、また委員の皆様で御検討いただければと思います。
 というわけで、始めさせていただきます。医療事故調査制度は、1枚のスライドで言うと、大体こんなものを今から御説明することになります。医療の安全の確保のための医療事故の再発防止ということで始まりました。
 この制度は、もともとどちらかというと、医療事故に対して刑事罰を適用することに対して、医療界のほうが自律的にその調査を行うことによって刑事罰をできるだけ避けたいというところから、始まったところがございます。
 非懲罰性というところを強調する理由は、黙秘権を使わないで当該者が意見を述べるようにということを建前としておりますが、実はその点はいまだに問題となっておりますので、これは後で述べさせていただきます。
 それから、一生懸命自律しているわけですけれども、その自律の内容もなかなか難しいし、遺族も100%それを信用しているわけではないので、最後にも述べますけれども、10%ぐらい、センター調査という2回目の調査が行われているという現状がございます。
 もともとこの制度は医療法に準じておりますので、厚労省のホームページにもこのような記載がございます。Q&Aがございまして、学習を目的としたシステムなので、非懲罰性で秘匿性で独立性の考え方において行うものだということが明記されています。
 医療事故調査制度は、調査を行う事例が法律上定まっております。基準が2つありまして、1つは医療に起因すること、もう1つは、それが予期しなかったものだということです。あくまで医療に起因した死亡例、もしくは死産であって当該者が予期しなかったものに対して調査を行う制度になっています。つまり、左の上にございます2つのところの重なった部分の医療事故というところだけ調査を行うので、それ以外のものは調査もしないことになります。
 まず、医療事故を疑うような状況があった場合に、当該者が管理者にこのような事例があったと報告しまして、最初は管理者が判断すると書いてあったんだけれども、今は医療安全管理部門、つまり複数で判断してくださいと。単独では判断しないでということです。この基準に該当しなかったら、ここでおしまいです。基準に該当したら、ここですぐに委員会を立ち上げて、予期されたことをもう一度確認してくださいということです。ここまでがすぐに行わなければならないことになります。
 医療に起因しなかった死亡ということになりますので、そうすると、これはこの基準を満たしたことになりますので、ここから調査に入り、報告書を作るという作業になり、そのときに、こういう理由で対象となりましたのでということを必ず遺族に説明をすることが基本的になります。センターにも、これから調査に入りますということを報告する形になります。報告書は、調査が済んだ後で報告をすることになります。
 この制度のもう一つの問題は、遺族がこれはおかしいから調査をしてくれと言ったときに動かないことです。つまり遺族の意向ではこのシステムは入らずに、あくまで管理者の判断の下に当該する・しないということが決まることになりますので、管理者がそうじゃないと言ってしまったところと遺族の判断が異なる場合は時々問題になることがあります。
 留意点でございますけれども、問題は、厚労省のホームページでは、原因を明らかにするけれども、明らかにならない場合もあるということが書いてはございます。つまり、調査をすると必ず答えが出ると患者さんたちは思うんですけれども、医療界の中では原因が明確にならないこともあります。再発防止策を書くようにということでございますけれども、これも一例だけで再発防止策というと、ヒューマンエラーと言われることが多いので、大体複数で判断すべきなので、このような書き方になっております。
 先ほど述べましたように、調査をすると決まった段階で、まず、遺族に状況を説明します。通常は6か月以上かかると一般的には説明するようになっていますが、これより遅くなることもありますという説明をします。後でどのぐらいかかるかは述べますけれども、結構時間がかかっております。それから、委員などの手続とかも時間がかかることと、このような説明をちゃんとすること、それから、途中で連絡をすることが非常に重要であると、これは実を言うと弁護士さんからも言われておりまして、必ず連絡を取るように、連絡は途切れないようにということが言われております。
 一番大事なことは、恐らくいじめも同じだと思うんですけれども、証拠をきっちり残すことです。医療のほうでも一番問題なのは、診療録の保存とともに、例えば心電図とかモニターとか、時間がたつと消えてしまうものは必ずすぐその場で残すようにすること、改ざんをしないようにメモなども全部整理をして残すことが推奨されております。
 それから、24時間以内には、医療事故ですので、死因究明には病理解剖もしくはAiというのは、これは死体のCTスキャン、画像診断ですけれども、そのようなものもできるだけ行うように、それから証拠保全、環境保全なども必ず行うことが推奨されています。必要であれば、医師法21条に該当する場合は警察へ届ける必要があることになります。
 委員の選任に当たっての注意事項がございます。これは必須ではありませんけれども、医師会で大体、委員として適切でない者。適切でない者というのは、当該医療機関の管理者、顧問弁護士、損保の関係者。当然当事者は心理的なものも、感情的な部分も入りますので、そのような方も入らない。
 当事者と親しい関係者。これはどういうことかといいますと、医者というのは大体どこかの大学の医局に属していることが多く、大体そちらの方と親しい方が多いので、できる限り大学も卒業大学も異なる方を入れたいということが、この意味でございます。
 係争中の弁護士さん。お互いに入ると、要するに再発防止の委員会でございますので、法的な話等ではございませんので、弁護士さんはどちらも入らないことになります。
 同じ医局の出身というのは、大学の卒業以外も、医局というのが医者の場合はございまして、どこかの大学の医局という、例えば小児科なら小児科の医局に入ると、卒業大学が違っても、同じグループに入るというイメージになります。そうすると同じ仲間と見られるので、できる限り医局も異なる形で外部委員を加えるという配慮をするようにということです。
 それから、どのような調査をしたらいいかということも一応は書いてあります。これはいじめとは若干違うと思うんですけれども、基準が書いてあると思っていただいたらいい。
 それから、遺族への説明に関しても、報告書が出たときに遺族にどのように説明をするかというのが問題になりました。この医療事故調査制度が始まったときに、患者さん側の団体の方と医療側の一部の方が一番もめたのは2点で、1点は、遺族に報告書を渡すか渡さないか。渡してもいいように思うんですけれども、渡さないという意見がございまして、結局はこのような非常に曖昧な文章になって、これは医療事故調査程度が始まる前日までもめた話で、結局は報告書を手渡すかどうかは管理者が決めるけれども、渡さなくてもよいということで、遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならないこと。それともう一つは、再発防止策を必ず書くか、必須ではないかという点の2点でした。
 これは私が委員会でも少し述べましたけれども、委員の選択、いざ調査をしようというときに、推薦する委員が推薦しやすいことを述べたのはこの辺で、私が属する県は広島ですけれども、広島県で全ての科の先生に事前に協力を依頼して外部委員リストに入っていただいており、例えば耳鼻科の事例だったり、眼科の事例だったり、麻酔科の事例があると、そのリストの先生の中から、先生、行ってくださいねという形で委員に瞬時に行っていただくという形をとっております。当然、複数というか、たくさんの委員を選別して、同じ大学、同じ医局じゃない方が含まれるように、できるだけ幅広い形で委員をリストアップして、定期的にこの委員の先生方には事故調の研修会を受けていただくという制度をとりました。
 センター調査というのは要するに国から委託を受けて、センターという形で情報を全部集約して、それを分析する作業をしているセンターがございます。このセンターが全国のデータを集積しておりまして、再調査も行いますけれども、それに関して述べさせていただきます。
 ここに書いてある369というのが、調査が始まって報告書ができるまでの時間でございます。最初は67日とか180日とかぐらいでちゃんと報告書ができていたんですけれども、だんだん延びていまして、今は大体369日、1年かかって報告書を作るのが平均値です。長いのは461日というところもありますけれども、早いのはひと月ぐらいで書いている、平均で1年間かかるという状況になっております。
 では何で遅くなったかということもちゃんと述べておりますが、答えにならないような答えが一番多く、報告書の作成時間を要するというのが34。ただ、恐らくまとめるのが難しいんじゃないかと思います。それから、委員会の日程調整が25、これが大変だと。これも恐らくいじめも同じかなと思います。今回増えたのが、コロナのために時間を要する。これが結構多いかと思います。
 外部委員がどのくらい入っているかということが経年的に示されてございます。当初は1人だけ入ったのが大体29%、実は参加がなかったというのが、5分の1今でも10件のうち1件は外部委員が入っていないところがあります。問題だとは思うんですけれども、なかなかこれは自律性のものなので、減ってはいるんですけれども、これがゼロにはならない。大体2人か3人ぐらいの外部委員が入っているところが比較的多いことになっている。あまりたくさん入っていただくと日程調整が難しくなるので、大体二、三人は入っていただいて、その先生のどちらかお一人が委員長がされるという形をとっています。
 再発防止策の記載は、94%は一応書いてあります。結構患者団体さんが心配されたんですけれども、大体9割以上の記載がございます。
 報告書のページ数、多ければいいというわけではないんですけれども、1ページから3ページというのはいかがなものかと私どもは思うんですけれども、2016年は13%が3ページ以内の本当にペラペラの報告書です。さすがに今は2.1%になったと。大体普通はこの辺りですね。だから7ページから大体15ページぐらいまで。25ページ以上の対策も結構ございます。こ長い文書がいいわけではないんですが、詳細に検討して報告書を丁寧に書いていくと、だんだん文書が長くなってしまうのは当たり前のように思いますので、この辺りがちゃんとうまくいくようになってきていると。調べる人はちゃんと調べてくれるようになったと思います。
 センター調査というのがございます。これは先ほど述べましたけれども、センターが調査を行うと。どういうことかと申し上げますと、先ほどの管理者が、医療事故調査制度に該当するので調査を行うと言ってセンターに報告した時点で、遺族、もしくは当該医療機関は、センターに調査を依頼することができるということです。つまりセンター調査は、遺族がしてくださいと言っても、当該医療機関管理者がそうじゃないと言ったらセンターの調査はできないということで、難しいかもしれませんけれども、そういう建前になっています。センター調査を行うとき、遺族は、当然ですけれども、当該医療機関が行っている調査に対する信頼性がなければ、調査を行えと大体普通言うはずです。後で述べますけれども、それが一番多いです。
医療機関が依頼するのは、実際に医療事故が起こったけれども、自分で調べるのはとても手に負えないといった場合に、当該医療機関がセンターに調査を依頼をすることになります。調査を依頼されたほうは資料を集めてきて、調査委員会で調査をして報告書を書くことになります。ですからこれは、全く第三者が資料だけに基づいて調査・分析を行うという形の調査になります。このセンター調査というのは、品川にございますセンターに、このような学会から登録された委員の中から選別をされて、分析を行って報告書を作成するという建前になります。
 センター調査がどのぐらい行われているかということですけれども、これまででセ大体9.1%、約1割がセンター調査になっております。つまり、10分の9は当該医療機関の調査に対して、一応というんですか、納得された、受け取られたということで、9%ぐらいはそうじゃないか、もしくは医療機関から依頼があったかという形でセンター調査が行われています。
 これの中身が右側にございますけれども、遺族から依頼されたのが大体8割。この遺族からの8割が、当該医療機関の調査は、はっきり言うと、いま一つ信用が置けない、そういうことで再調査をしてくれというところが圧倒的に多くいです。医療機関が2割というのは、自分の手に負えないからということで、減ってもいないし、増えてもいないし、同じような率で大体来ています。だから大体このぐらいのところが、問題なのかどうかは別にして、再調査が行われているとお考えになっていただいたらいいと。
 再調査が必ず上位にあるとは考えていないし、センターも、こちらの後からやる調査のほうが正しいと言っているわけではないんですけれども、遺族は往々にして、センターが行う、なおかつ大きな学会から委嘱されている委員が行う調査は正しいんだという印象を持たれることが多く、最初の委員会の報告書と違う報告書の結果が出た場合に訴訟になるケースが一、二件、今まであります。
 再発防止の作成に関しては、本来はセンターが報告書を集めて分析をして、再発防止委員会の中でどのような再発防止をしたらいいかという検証を行って、再発防止策を提示して公表するということです。これまで十数の報告書が出ていまして、これを全ての医療機関に配布しているわけです。例えば酸素と笑気という麻酔の管をつなぎ間違えて亡くなられた方の症例が続いた際に、最初の一、二例の場合はほとんどがヒューマンエラー、つまり、つなぎ間違えた看護師さんとか麻酔科の先生が悪いんだというような対応だったんですけれども、結局これは数例同じような間違いがあるということで、今ではチューブの色も変えて、コネクターといって、チューブとチューブ、麻酔と酸素がつなげなくなっております。形が全く違うので、はまらない。そうすることによって、そういう事例はゼロになっています。
 つまり、複数例集まって分析して、こうすればいいということが分かれば、その対応が根本的に解決できるというのが再発防止の意味です。単独では再発防止は正確には分からず、数例集まって、これはこのポイントを改善すれば再発しないことが分かるということが事例として複数集まっておりますので、医療界とは違うとは思いますけれども、医療界としてはそのような対応をしています。
 報告書に対して遺族がどう思っているかというのは、古いデータしかなくて再調査がないので参考にならないんですが、平成22年、実を言うと、この医療事故調査制度が始まるかどうかという頃に調べたデータでございます。調査終了後の報告書に関して、医療機関はいいのができたと思っている人が90%です。いいのができたと思っているんですけれども、遺族は実は6割ぐらいしか、これはいいですねと思っていないんですね。何度も医療者から報告書の内容を聞いてやっと分かったのが35%で、8%の人はどうも理解できない。さっきの9%が再調査を希望したというのも何となく分からないではないところがございます。これは昔のデータなので、今は改善してくれていることを望みたいんですけれども、このような調査は今は行ってないということなので、行っていただきたいと要望いたします。つまり、これをお示ししたのは、報告書を作っても、作った側の認識とそれを読んだ側の認識が違うことを申し上げたかったわけです。
 まとめを申し上げます。全くこれは私見でございます。私が事故調といじめの調査が似ているところはどこかなと考えた場合に、調査する側と調査される側が大体対立構造になっています。これは事故があったんじゃないかという形で入ってくるわけですので、大体一緒にしちゃいましょうとなっているケースは非常に少ない。
 だから、当然ですけれども、調べられる側は調査に対して客観性を求めます。外部委員はちゃんと入っているのか、どういう調査をしているのかということに対する要望が非常に強くあります。
 調査を行う人員の確保が困難。これは医療事故調査制度という特殊なものであったとしても、外部委員をどのように選別してどう確保するかというのは困難ですので、先ほどのようにリストアップという方法をとっているのも、その一つの手段と考えていただければと思います。
 報告内容を遺族に説明する。これは分かっていただかなきゃいけない。報告書は再発防止のためだけだ、遺族をないがしろにするというのは本来の趣旨ではございませんので、報告書はちゃんと遺族に説明するし、調査経過も報告する必要がある、それによって遺族に納得していただくということです。
 遺族側、遺族というのは事故調ですけれども、被調査側が納得がいかない場合に再調査を求めるところも、よくスタンスが似ているように思います。納得がいくというのは難しいんですけれども、遺族の思っているような結果が出なくても納得がいく内容である、これだけ分析したら確かにそのとおりだというような報告書であれば、説明をした場合に納得されることが多いように経験的には思いました。
 それから、例えば事故を起こした者が悪いんだという形の調査ではないんだということが強調されていますし、いじめの場合も同じことではないかなと思います。
 メリットは何かなと思うんですけれども、これは調査制度の標準様式を示すと、どういうことを調査されるかというのが調べられるほうも分かりやすいし、理解しやすくなるんじゃないかと思います。また、協力もしてくれやすいんじゃないかと。
 調査をする側のマニュアルが示される。どういう方法がいい、どういう手段でどういう形で行うといいということを示すと動きやすいのではないかなという印象を持ちますし、それから、国がこういう形で委員を選別したほうがいいということを提示されると、自治体も、もしくは教育委員会も、委員を招聘しやすくなるんじゃないかと思います。
 それから、報告書は分析して再発防止に役立てることが必要ではないかなと、私個人としては考えてございます。報告するだけではもったいないし、その分析をすることが大事ではないかなと思います。
 それから、再調査が本当に妥当なのか、最初の調査が本当に悪いのかということも、データを集めて分析することによって分かるのではないか。つまり、最初の報告書、調査が十分やっておられたことを、後から再調査で否定されることに対する妥当性もちゃんと見ておいたほうがいいのではないかと考えてございますが、これも全く私の私見でございますので、委員の先生方の御意見を頂戴できればと思います。
 私からは以上でございます。御清聴、ありがとうございます。
【座長】  委員、どうもありがとうございました。最後のお話にもありましたとおり、医療事故調査制度といじめの重大事態調査とでは、御遺族や被害者側が結果に納得がいかないという場合に再調査がある。あるいは、委員の人選等にも、プールしてある場合にはうまくいくけれども、そうでないことも委員内ではあるんだと。そういう点で、調査が抱えている課題に共通点が非常にあるかなと思います。もちろん、加害・被害が調査をする対象の中にあるのと、医療側と医療を受けている側という違いもあろうかとは思うんですけれども、参考となる部分が非常に多いように感じられました。
 それでは、ただいまの委員からの御説明の内容について、質疑応答に入らせていただきたいと思います。御発言がございます方は、「手を挙げる」のボタンを押していただきますようお願いいたします。私から指名させていただきますので、そのときにミュートを解除して御発言をいただければと思います。なお、御発言が終わりましたら、忘れずに「手を下ろす」のボタンを押していただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、質問あるいは意見、今の委員の御説明についてありましたら、どなたからでも結構ですので、お願いいたします。いかがでしょうか。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  すいません、ありがとうございました。まず、よく弁護士の立場から医療事故調査制度についてお聞きしたりすることもあるんですけれども、詳しくは存じ上げなかったので、ありがとうございました。
 質問ですが、調査のときに資料とするものについては、例えば担当された方などからのヒアリングなどもされるんでしょうか。それとも、カルテといいますか、医療記録とか、看護記録とか、いろいろな医療関係の様々なところで記録されているものが、あると思いますけれども、そういったものだけになるんでしょうかというところと、それと、再調査に当たるセンター調査になった場合に、従来の資料に限らずといいますか、新たな資料が出てくるようなことがあり得るんでしょうか。これはケースによって違ってくるのかなとは思いますけれども、全体としてはどんな感じで進められているんでしょうかということをお聞きできればと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
【座長】  ありがとうございます。委員、よろしくお願いします。
【委員】  御質問ありがとうございます。関係者全てにヒアリングは行います。当該医療者、それから例えば、その時間に勤務していた、例えばNICUならNICUで勤務していた職員全員ですね。看護師、関連する人、当該医師、上位の医師に対して、全てヒアリングを行います。ヒアリングをする際に、バイアスがかからないようにということで、決して詰問調にならないようにするとか、いろいろ細かいマニュアルが作ってあります。複数で囲むようにしたらいけないとか、座り方まで書いてございまして、意見を押しつけるような形は絶対に避けたい。それから、責任を取れというような形の発言は決してよろしくないという形でヒアリングを行うようにということになっています。
 実を言うと、遺族の方にもちゃんと情報が伝わっているか、どのような形のムンテラというか、IC、インフォームド・コンセントができていたかということも調査するようになっているんですけれども、私が関連した調査、大体20例以上あるんですけれども、多くは遺族の方への調査・ヒアリングがあまりできていないというのがあります。ヒアリングに関しますと、大体当該医療者からの情報が多いというのが1つです。
 そのヒアリングの内容と、これは医療者側の話なので分かりにくいかもしれませんけれども、医療者側の診療録と看護記録と検査結果、この辺がすごく重要な情報ですけれども、医者が書いている診療録はあまりよくなくて、看護師さんの看護記録が一番信用ができると言われております。
 それから、センター調査でございます。基本的には最初に行った院内調査の資料だけの紙媒体だけでセンター調査を行い、新たな資料が出ることはほとんどございません。なので、先ほど申し上げましたように、同じ資料を使って違う結果が出て訴訟になることがありました。最初のセンター調査の1例目が出たときに、全く違う結果が、東京都の事例ですけれども、出まして、どうするんだと実を言うと関係者の間で問題になったことがありました。ちゃんと調査というか、関係ない者が第三者でやったから違う結果が出たことは独立性があってよいのかもしれませんけれども、どちらが正しいのかと言い出すと切りがなくなってしまうところが非常に問題でございます。
 以上でございます。
【座長】  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 ほか、いかがでしょう。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  大変貴重な説明、ありがとうございました。医療事故といじめの話を頭の中で交差しながら聞いておりました。大変参考になりました。
 最後のほうに出てきたことで一つ質問というか、具体的なことを聞きたくて手を挙げました。それは遺族の方がモデル事業において評価の受け止め方という話が出ていましたが、よく理解した、了解したという遺族が納得しないことが大体どのぐらいあるんだろうかと思いました。というのも理解していれば、それはイコール納得になるのかなと私は思ったんです。これはいじめも多分同じで、構造とか背景を全部理解すれば、不本意かもしれないけれども納得となるのかなと私は思っていました。実際医療現場ではどのような受け止め方でしょうか、教えていただければと思います。
【委員】  ありがとうございます。一般的には先生がおっしゃられるところですけれども、医療側の説明の流れはよく分かるけれども、実際にそのようなことが。例えばこれは死因を究明するわけです。どういう理由で亡くなったかということを調査するのが主目的。だから死因究明の調査ですね。その死因の原因が分かって、もう死因の原因をなくすようにしようということですので、どうして亡くなるかということの過程は分かるけれども、その結果は納得しないという遺族の方がおられるということです。
 だから医療界というのは白黒がはっきりしている部分もあるんですけれども、分からない点が非常に多くあります。正直に言いますと、何で亡くなったんだろうというのが当事者が全く理解できないで亡くなられるケースもあるんですけれども、遺族の方からすると、それが理解できないと。だから訴訟が一番多いのは産婦人科で、次が小児科です。子どもは死なないという先入観がありますし、分娩は安全だという先入観がおありになるんですけれども、分娩は何%か必ず亡くなりますし、子どももそうですけれども、助からない病気というのは存在するんですけれども、親御さんとか当事者から見ますと、普通の子が生まれて当たり前だという前提があると、いや、これはよく分からないんですということの説明の言っていることは分かるけれども納得はできないということが医療界ではありますの。だから理解はしたけれども納得しないという方がどうしても何%がおられるところがございます。
 説明になっていないようなところがございますけれども、もともと医療というのは白黒がはっきりしない部分のほうがむしろ多いので、最初にお示ししましたように、厚労省のホームページにも再発防止とか原因究明が分からないことがあるということが文書に書いてあるのも、そういう理由でございます。すいません、説明になってないかもしれませんが。
【座長】  ありがとうございます。委員、よろしいでしょうか。
【委員】  はい。本当によく分かります。いじめにおいてもきっと同じようなことが起きるのかなと思って、できれば解決策を知りたいな、答えを知りたいなと思って聞いたところです。難しさはよく分かっております。ありがとうございました。
【委員】  それに対しては、医療者はとにかく説明を尽くすということを絶えず伝えています。つまり、調査をスタートするところ、それから調査をする経過、どういう形で調査に入ってきて、何を今調べて、あとどのくらい時間がかかって、分かったときに、こういう方にこういう説明をして、こういう情報を得てこういう分析をしたということを事細かく説明をするようにと僕らも指導しますし、そこでできる限り、今、先生がおっしゃられたように、理解はできるけれども納得しないという方を少なくするように努力はしております。以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。個人的なことで申し訳ないですけれども、私も自殺の背景調査をしたときに、御遺族から、よく分かりました、理解はできました、しかし納得できませんということを言われたことがございます。死を受け入れるところと重なってくるのかなということを、今、お話を伺いながら思いました。横からで申し訳ないですけれども、付け加えさせていただきます。
 ほか、よろしいでしょうか。何か、この辺がもしかしたらいじめの重大事態に生かせるんじゃないかというようなところはいかがでしょうか。どなたか。
 私から一つ、質問と意見ということで、センターにたくさん人材が各診療科ごとにプールされていますよね。どうしても今、いじめの重大事態調査でなかなか人選が進まない。成り手がいない。この人というのがなかなか偏ってしまったりして、1人の方がたくさんやっていたり、なかなか成り手がいないという実情があるんですけれども、その辺いかがでしょう。こうやって調査に当たる人を準備しておくときに、モチベーションというか、やりますよという感じはどんなところから出てくるのか、教えていただければなと思うんですけれども。
【委員】  一番最初のときに申し上げましたように、この制度がもともと、医療事故に対して警察・検察が介入してきたところから始まっております。東京のある病院で看護師さんが点滴をするときに薬液を間違えて亡くなられたという事例に対して、医師法21条の関係もあったんですけれども、管理者が逮捕されて、結局最高裁まで行って有罪になってしまったということに対して、これは事故を報告するということに対してもっと真摯に向き合うべきではないか、それによって司直が入らないようにしようというところから入っていますので、医師の自律性、いい言い方をするとプロフェッショナル・オートノミーというんですけれども、要するに自律性を期待して、この制度を動かそうということでございます。だから医師としては、参加する委員の給与は非常に安うございますけれども、医療の自律性を維持するためにぜひ協力をしてほしいという、そういう意味でのモチベーションを学会とか医師会として医師に突きつけて、ぜひ協力をしてくれという形をとっております。
 だからこれはいじめと立てつけが違うかもしれませんけれども、でも根本的なところは僕は似ているように思っていまして、いじめをこのまま放置してよいのかと。重大事態に対して、これは単純にこの2人の加害者と被害者だけの問題だと。根底に流れているものは何かということを分析して再発防止に役立てるためには、社会にもう少し貢献してくれてもいいんじゃないかというような、あくまで医療者側に協力を求めるとすればですよ、できれば、金銭も確かに大事だとは思いますけれども、気持ちとしてこういう社会貢献をすることが必要ではないかというモチベーションが必要かなと思います。
 医療者側は、今申し上げた形で、ぜひ協力していただきたい。医者側はヒエラルキーがはっきりしているので、先輩が後輩にお前ちゃんとやれと言ったら、大体言うこと聞くようになっている場合が多いところもあるかもしれませんが、そういう方法を使ってでも、そういう協力者を増やすという形をとっております。
 以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。参考になりました。
 委員、お手を挙げられているようですので、よろしくお願いいたします。
【委員】  2点お伺いします。
第一に、調査報告書の書き方やフォーマットはあるのでしょうか。
 第二に、調査報告書を書く場合に、医療の専門家同士のレビューがあるのか、それとも遺族の方が読んでも分かるように、例えば専門用語に何か説明がついているのでしょうか。
 以上です。
【委員】  ありがとうございます。1点目でございますけれども、フォーマットは決まっております。医療事故調査制度の調査の手引きとかというのがたくさんできていますし、日本医師会も作っておりまして、どういう項目をどう調べて、どこを書きなさいということが、全部きっちりできております。そこにちゃんと書いていくと、普通、僕らで言うと、大体10枚前後になります。普通にやると8枚から10枚ぐらいになります。だから私も、3枚とかというのは何を書いているのか、1行か2行ぐらいしか各項目に書いていないんじゃないかと思うぐらいのもので、普通に書いてあるフォーマット順に書いていきますと、大体どんなに短くても五、六枚には最低なってしまうようなものになります。だから、その項目を埋めていくという形の報告書になりますので、本来であればそんなに時間がかからないと私は経験的には思っております。
 それから2点目は、実を言うと微妙な御質問ですけれども、遺族を意識するのが2つございます。1つは先生がおっしゃられたとおりでございますけれども、遺族が読んで分かるような報告書ということをとにかく指導していますし、そのようにマニュアルにも記載がございます。つまり、遺族が読んでも分かる言葉になるようにということですので、サチュレーションとか書いたら酸素分圧、酸素分圧とは何かというようなことまで全部報告書に記載をして、遺族が読んでも一応分かるようにはしておりますが、説明するときに、遺族が読んで分からないところは口頭で説明を加えるという形で、それを補充する形をとってございます。
 もう1つは、これは言いにくいんですけれども、遺族がそれを読んで裁判の資料にすることを前提にしているということでございます。ですから公開されることを前提に我々は書きます。遺族に渡す必要はないと医療法には記載がございますけれども、通常は私どもは渡すようにしています。渡されてお読みになって、それを裁判の資料にされることは想定をしますので、間違ったことを書くとか、内容を変えるというのではなくて、文言に対しては非常に気をつけて書きます。だから断定的にここが悪いとかいうのではない、分からない場合は分からないとか、その辺は推測の文章はできるだけ書かないようにして、遺族がそれに対して誤解が生じないように、かつ、それが、揚げ足というのは言い方が悪いかもしれませんけれども、そのような誤解を生まないような表現に非常に苦労して書きます。だから記載をするときに、正直言いますと、弁護士の先生に相談することも多々あります。
 以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。委員、よろしいでしょうか。
【委員】   すいません、調査報告書では原因論と再発防止の2つは必須項目で書くという理解でいいでしょうか。
【委員】  原因論というか、死因に関する分析をきっちり書いていきます。考えられるものは全て書いています。再発防止策は、書くように努力をすることに一応なっておりまして、先ほど資料をお示ししましたように、94%の報告書では再発防止策の記載がございます。
【委員】  分かりました。どうもありがとうございました。
【座長】  ありがとうございます。死亡事故に限定されているところがあるということですけれども、フォーマットがあるとか、それから聞き方についてもかなり細かいマニュアルが用意されているとか、御遺族に対してどのような意識を持つのかということも非常に参考になるかなと思って聞かせていただきました。
 様々な御質問、御意見、どうもありがとうございました。また、委員におかれましては、貴重な御説明をいただき、本当にありがとうございました。
 それでは、ただいまの議論、それから委員の御説明も踏まえて、議題の2に入っていきたいと思います。いじめの重大事態調査の今後の在り方についてということです。議題2では、参考資料1の「いじめ防止対策の強化について」で示された14の検討項目のうち、5番目の「重大事態の認知から調査開始までの迅速な処理に向けた検討」、それから8、「重大事態調査における課題抽出に向けた報告書の分析方法の検討」、この2つについて、それぞれの項目ごとに、これから議論を進めていきたいと思います。
 まず初めに、5、「重大事態の認知から調査開始までの迅速な処理に向けた検討」について、いじめ重大事態調査を迅速に進めていくために今後取り組むべきと考えられる事項について、資料2の1ページに今後の論点として示していただいております。まずはこれについて、文部科学省の事務局事務局から御説明をお願いしたいと思います。事務局よろしくお願いいたします。
※事務局より資料2の説明があった。
【座長】  今の説明の中にもございましたように、近年、重大事態の件数が増加しており、令和3年度は1号重大事態が過去最多にもなっております。そして、様々な指摘が重大事態調査においてなされていると。そういう課題を含めて、今後、課題を踏まえて、どう円滑かつ適切に調査を実施していけばいいのか、そのために文部科学省から今、改善に向けた論点を幾つか示していただいたと思うんですね。この説明の内容、示された論点について、御質問や御意見、あるいは具体的にこういうことをやるべきじゃないかというところまで踏み込んで御発言をいただければと思います。繰り返しになりますけれども、御発言がございます方は、「手を挙げる」のボタンを押していただきますようお願いしたいと思います。
 それでは、いじめ重大事態調査の今後の在り方について、何か質問や御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  すいません、先ほど話をしたのに、何か意見が言いにくいのでどうしようかなと思っていますけれども、あんなにしゃべってまだしゃべるのかと言われそうで申し訳ない。
【座長】  いえいえ、お願いします。
【委員】  私としては、基準となる調査項目という形はあってもいいんじゃないかなと思います。理由は何かというと、事故調もそうですけれども、実際に私は、県の医師会にいたときに、地方というんですか、県内の市町で事案が起きたら、そこに通って、調査のしかたや報告書の書き方を実はずっと指導しておりました。二十数件、経験があると。自分のところではなくて、広島県内の3年間で二十数件という感じでございます。
 それを見ていますと、何を調べてよいか、何をしていいかというのは、当該者はほとんど分かっておられなくて、項目に関しても、この項目をどう調べてどう書いたらいいのかというノウハウから、本を読んだだけでは分からないということがございます。でも、なければもっと分からないという感じです。
 標準的な項目をつくっていただけるメリットは何かというと、最後に分析をするときに、共通部分があるので、最低そこは共通した統計がとれるというか、分析ができると。事案によっては当然ですけれども、いろいろなバリエーションがあるので、統一したものができるわけではないけれども、共通部分があれば、まず調査に入りやすいし、報告書も書ける。それから、集まった報告書の内容分析をする際に、共通部分が明確であれば、そこの部分だけを共通して対応することができるので、基本的なところを基本項目みたいな形でつくっていただければ。事案がいろいろあると思いますので、全部詳しく項目を作ると、縛りが強くて、かえって動きにくくなることも、あると思います。最低この部分だけは調査をしてくださいという形をとっていただくほうがいいのではないかと。それに対しては、どういう形でこの情報を集めて分析をしてくださいというところまで書いてあれば入りやすいのではないかなと経験的に思います。だから、詳しくなくてもいいので、基本項目をつくっていただくほうがいいと思います。
 以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。基本項目をフォーマット化しておくことが必要だろうと。それから、調査に当たってのマニュアルのようなものもあっていいのではないかという御指摘だと思います。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  重大事態には1号事案と2号事案がありますけれども、同じように進めるのは難しいかなと思ったものですから、この論点整理の場合には、同時並行なり、あるいは別々に議論するというお考えがありますか。
【座長】  いかがでしょう。
【事務局】  取りあえず問題点というか、今、重大事態を取り巻く課題を提示させていただいて、その結果の論点ということでお示しをさせていただいていますので、まずはこれについて御意見いただきたいということと、あと、1号事案と2号事案で、それぞれの逆に言うと違いは何なのかということも含めて、実際調査を進めるに当たって、むしろ御指摘いただけたらいいのかなと思っております。
【座長】  よろしいでしょうか。
【委員】  特に自死とかいうことがあった場合には、その背景にいじめがあるかどうかということを考えていって、そこにいじめの背景があるのであれば、そのようなことが起こらないようにという背景があるんだろうと思います。実際そういうことをやられて調査をされた学校で、同じようなことが数年以内にあるというようなことを僕はあまり聞いたことがないので、それはかなり再発防止に役に立っているんだろうとは思います。
 だけれども、2号事案の場合に、例えば30日休むとか、30日休んだら不登校になるとか、その辺りのところが、そのようないじめの現状があって登校できないことを、なかなか判断するのが難しいと。よく学校現場の先生方にもお聞きするんですけれども、一緒に仲よく遊んでいるように見えたりして、その陰でいろいろなつらい思いをしているという場合に、そのときにそれをすぐ2号議案として扱うのはどうか。実際に現場ではいじめが背景で不登校として学校へ来なくなった、1週間2週間休むようになったということになれば、そこにいじめがないかということはすぐ介入しておられると思いますけれども、それを重大事態として調査するのかどうかという、それを調査とするのか、それとも一般的な指導として関わるのかという、この辺の違いをはっきりしないと、学校現場で混乱を招くんじゃないかなと思いました。
 1号事案の場合には、もう亡くなっておりますので、そこのことでのいろいろ事実関係を過去に戻って調査することになるんだろうとは思いますけれども、2号事案の場合には、僕はかなり迅速に対応しないと、ますます状態がエスカレートすることになるんじゃないかなとは思いました。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。1号事案でも、自死だけではなくて、ほかのケースも、命がある状況の中での1号事案もあるわけですけれども、先ほどの死亡事故とはバリエーションがいじめはたくさんあるんじゃないかということで、どのように分類してフォーマットなりをつくるのかというところも課題かなという御指摘かなと思います。ありがとうございます。
 委員、お願いいたします。
【委員】  先ほど委員の御発言がありましたが、調査の標準的な項目とか内容は示すほうがよいと思います。現状のガイドラインの改定版を作成していただくと、いいのではないかと思います。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。非常に調査が難しいケースがある。その辺まで目配りをして、今あるガイドラインの改定を進めていったらどうかということですね。
 ほか、いかがでしょう。
 委員、お願いいたします。
【委員】  ありがとうございます。標準的な調査項目を示していくことももしかしたらあり得るのかなとは思うんですけれども、今、議論にも出てきましたように、1号の中でも、あるいは2号の中でもバリエーションがあって、実際に調査報告書なんかのお話を聞きますと、本当に簡潔なというか、特に2号の場合だと非常に簡潔な調査報告書になっている場合もあったりして、それを標準項目に従って書きなさいということになると、またこれも現場の方たちの負担が大きくなっちゃったりとかということも、あるいは出てくる可能性があるのかなという感じもして、その辺、どう書くのかなというところが工夫が要るところかなと思いました。
 それと併せて、丸の2つ目のところに書いてある、重大事態調査の実施に当たって必要な一連の対応の留意点という、この辺りのところは、昨年の防止対策協議会の中でも議論してきたところとも重なってくるうと思うんですけれども、この辺のところを早く出していく必要があるんじゃないかと思っているところです。ですので、そのやり方は、先ほどのガイドラインの補充というか、もうちょっとガイドラインについて詳しく解説するなものを作っていくという方向で、いろいろなバリエーションに応じて、いろいろな組織の仕方があったり、そこで配慮しなきゃならない事項があるように思いますから、それをきちんと早めに出していくことが必要じゃないかなと強く思っているところです。
 基本的な項目についてどうしていくのかというところは、基本的なということになると、最低限これだけみたいな形で、重大なというか、非常に課題が大きくて、いろいろ検討してもらわなきゃならないときに、基本的な項目だけでいいですよという形になってしまうと、そこのところも心配なので、マニュアル化ということで、これだけやっていれば大丈夫ですよとならないような形で、この間やってきていただいている重大事態調査委員会の方たちは、いろいろ悩みながら報告書を作成していただいているのを拝見していますから、そういうことはないんだろうと思いますけれども、そういうことにならないように配慮していく必要があるかなと思いました。
【座長】  ありがとうございます。確かに、例えば保護者にどの段階でどのように説明するのかとか、調査開始の段階でどのようなところまで被害者あるいは被害者の保護者なりに説明するのか、あるいは加害者に対して報告書が出来上がっていく段階でどう説明するのかとか、いろいろ具体的な問題が出てくると思うんです。ですから、それを縛るという意味ではなくて、こういうやり方もありますよという形で、少し場合分けをしながら出していくことも現実を考えると必要なのかなと、今、委員の御意見を伺いながら思った次第です。
 ほか、いかがでしょう。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  何度もすいません。質問というか、今、現場にいて、こういういじめが重大事態になりそうな件というのは本当に日常茶飯事であるのを実感しています。その中で、今後の論点の中にある一連の対応とかノウハウ・留意点を示してはどうかとありますが、まさにそのとおりだと思いました。私たちはいじめはたくさん対応していますが、重大事態が起こる経験は、ほとんど私としても経験がないです。なので、そういう事態になったときに、これが重大事態になるんだという認識が薄い管理職も、あるいは教員もいることも否めません。その中で、このことが再発防止策の普及啓発につながるのかなと思って意見を述べさせていただきたいと思いました。
 先ほど委員から遡及的という話もありましたが、いじめが発生したときに、私たちはメモを取るとか証拠を保全するという感覚がやや弱いところもあります。それで結局、言った・言わない、やった・やらないというのが、結局強く言った人の意見が通ってしまったり、何か熱情であったり、何か非常に根拠のないまま話が進んでいったりして、余計複雑化していくようなケースも見ています。その中でノウハウとか留意点がもし分かっていれば、メモを取る段階でも、ああ、こういったノウハウ、こういった留意点で調べていくんだなというのを教員が分かっていれば、メモや証拠保全なんかも必然とする意識が高まって、最終的にはそれが防止策の普及啓発につながっていくのかなと思いました。
 意見です。以上です。
【座長】  ありがとうございます。意識をする、そのための留意点・ノウハウを示していくことも、いじめ防止にももちろんつながっていくという御指摘だと思いますし、本当に想定していなかったことが起きたときに、どうしたらいいんだ。それを全てということではないけれども、ある種のスタンダードになるようなものがあると動きやすいんだろうなということは、ここまでの皆さんの御意見を聞いて思うところです。
 ほか、いかがでしょう。よろしいでしょうか。
 恐らく臨床心理士会なんかも、背景調査の進め方はかなり示されていると思うんです。それは臨床心理士会としての心理学的な立場で入ったときの捉え方。もう一つ、全体として調査委員会としてどういうことをやればいいのか。そこには弁護士さんも入ったり、あるいは社会福祉関係の方も入ったり、あるいは教育学関係の方もいろいろ入ってくる。そういう中でどんなまとめ方をしていけばいいのかということを、文科省として早い段階でという御意見もありました。示す方向で少し具体的に進めていただければということなのかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、そことも関連してくるところもあるわけですけれども、続きまして、8の項目、重大事態調査における課題抽出に向けた報告書の分析方法の検討。先ほど委員からも、ある共通項目があれば、分析に生かせるという御指摘もありました。分析をして、いじめ防止というところにつなげていくことを考えると、ある種の共通した項目を立てて調査をすることが必要なのではないか。そういう意味で、4月からいじめ重大事態調査報告書の提出を求めているわけですけれども、それに当たって、報告書の分析、活用の方向性について、資料の2の2ページに示していただいております。まずはこれについて、事務局から御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【事務局】  よろしくお願いします。今、座長からもいろいろお話ありましたように、一つ前の重大事態調査の在り方の論点とも相通ずるものがありますけれども、重大事態調査の報告書を、今後7月以降、実際に集めることになるわけですけれども、その収集・分析に当たって、幾つか今後の分析というか、方向性みたいなことの案を示させていただいております。
 一つは丸1番ですけれども、重大事態に至るに当たって共通する要素がないのかなといったことを把握して、それに対してどう対応して未然防止につなげていくかといったことでございます。
 それから、2つ目の丸2番のところですけれども、子ども家庭庁の重大事態事案、文部科学省もそうですけれども、両省で重大事態事案に対して助言や支援をしていく、そういうことにつなげていくことも一つございます。
 それから、丸3番のところにありますように、実際、重大事態事案をやるに当たって、実際の御担当の方々の困り感、そういったものの解消に向けて、調査の運用の在り方であったり調査すべき内容を検討していくといったことでございます。
 それから、丸4番にありますように、重大事態事案の認知と調査の開始と迅速な対応、こういったことのあるべき流れといいますか、そういうものの検討といったことも、今後、分析・活用の方向性として必要なのかなということでございます。
 あともう一つ、最後の黒丸のところにございますように、分析自体は、個別の調査事案といいますか、個別の事案について評価を行うといったものではなくて、あくまでも重大事態事案の適切な運用と未然防止をしっかり検討していくことを目的としたいと考えております。
 私からは以上でございます。
【座長】  ありがとうございました。いじめ重大事態調査の収集・分析を通じて、調査の目的でもある重大事態への対処の改善強化を図る、そして未然防止策の構築へつなげていくと。そのようなことを目指して、報告書の分析、活用の方向性を御説明いただいた次第です。
 今の説明内容につきまして、御質問、御意見があれば御発言をお願いしたいと思います。繰り返しになって恐縮ですけれども、御発言がございます方は、「手を挙げる」のボタン押していただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  日本社会福祉士会です。両省庁に集めて分析をするところ、分析はよく分かったんですけれども、具体的にじゃあ、分析をした後、どのようにそれを生かしていくことができるのかという、アウトプットのところの活用というところが、いまいち漠然としてよく分からなかったんですけれども、現時点で具体的にどのように、例えば助言とかというのもありますけれども、どのようにされようとしているのかというところ、もう少し教えていただけたらと思います。以上です。
【座長】  ありがとうございます。事務局さん、よろしくお願いします。
【事務局】  今後分析を進めていく過程で、いろいろ活用のありようみたいなものも出てくると思うんですけれども、今のところ想定されているのは、一つは先ほど1点目の論点でも示させていただきましたけれども、重大事態調査の在り方、そちらで、例えば調査項目みたいなものであったり、それも当然、御意見いただいたように、調査によってバリエーションがあるということであれば、そこも含めて事例によって分析ができないかなということもありますし、あと何よりも、重大事態事案に至ったケースにおいて共通する項目がある程度見いだせることは、それはすなわち、いじめ自体を当然積極的に認知していただいた後に、いかに重大化させないことのノウハウを、そういう意味では抽出されてくるのかなという気もしますし、また、ところどころ調査を進めて行かれた中で御苦労されたことが、どういった分でより緩和ができたり負担軽減につながるかという部分も、こういったところから見えてこないかなといったことで、それが逆に我々として、あるいは子ども家庭庁として、必要に応じてアドバイスしたり御助言できたりしないのかなといった活用につなげていければということで、1点目の論点の話と今の分析の方向性は、かなり表裏一体的なものがあって、分析によって得られることで、今の重大事態調査の様々な課題の解決の道筋にもなればということも考えております。
【座長】  ありがとうございます。委員、いかがでしょうか。
【委員】  よく分かりました。もちろん活用できるところはたくさんあると思います。一方で、個別事案というか、本当に地域の背景事情によって起こり得るものとか、国が一括して助言ができるものと、もっと地域単位というか、何か県単位でのものがあるかもしれないので、もう少し、国から各都道府県にアドバイス行くと思うんですけれども、その中で、そこから先に何かつながるような、例えばこれに関する担当者みたいな、何か委員を、全国の都道府県の教育委員会さんの中で、どなたか担当窓口みたいな方を置いて、そこからまた下に助言を下ろしていくような、もう少し国からぽんと下ろすだけじゃなくて、その先の枝葉になるところをしっかりやっていって浸透させていくところも大事かなと思いました。すいません、以上です。
【座長】  ありがとうございます。ほか、いかがでしょう。
委員、お願いいたします。
【委員】  日本精神保健福祉士協会です。いつもお世話になっております。今の委員の御意見とも重複するかもしれないんですけれども、共通する要素を抽出していただいて、再発防止とか未然防止につなげるってすごく大事なことで、ぜひそれができたらいいと思うのと、一方で、共通する要素はなくても、ヒヤリ・ハットというか、病院の医療事故とかもそうですけれども、1件何かあったときには、その背後に30件、300件の実はリスクがあることも言われているように、共通項とまでは言っていないけれども、1件の出来事から汎化できるような、そういう教訓はぜひ生かしていける仕組みになるといいのかなと思いまして、それは意見ですけれども、この調査報告書が出された後に、それを年単位とか、もしくは数年単位のものをしっかり検証していくことを、ごめんなさい、私、全然把握できていなくて申し訳ないんですが、これまでもされていたり、また、そういうものを活用した何か調査研究のようなものがあったり、そういうことはこれまでにもあるんでしょうか。そこは教えていただけたらというのと、そういうことでのもし報告書みたいなものが既にあれば、お示しいただければ、私どもの職能団体でも共有することによって、各都道府県でスクールソーシャルワーカーをやっていたり、事故調査の委員として参加したことがある者もおりますので、今後またお声がかかることもあり得ますので、共有させていただければと思いますので、そういう意味での質問です。よろしくお願いいたします。
【座長】  お願いします。
【事務局】  今まで重大事態事案については、毎年のうちの行政調査で、件数としては全体は把握しておりましたけれども、個別の事案、エピソードについては把握はしていませんでした。たまにいろいろ社会的に影響を及ぼすような事案があったときに、個別に関係する教育委員会にお問合せをさせていただいたり、あるいはホームページ等で報告書が公表されたりしていますので、そういうものを拝見したりということをしておりましたので、今までは、重大事態事案の報告書、そもそも事案が発生しましたという、その時点での御連絡であったり、調査が始まりましたということの御連絡であったり、あるいは最終的にまとまりましたという報告書をいただくことは一切行っていなかったということでございます。
【座長】  よろしいでしょうか。
【委員】  ありがとうございます。じゃあ、今後そういうのを行っていこうとしているということで、今回ここに示されているということですよね。そういう理解ですね。
【事務局】  そうですね。あと、前回の会議でも、重大事態事案が発生した時点で、教育委員会は市町村長さんに報告することになっていますけれども、そのときに合わせてうちにも御報告いただくという一つの第一段階と、その後、調査が開始されました、調査が始まりましたという御連絡と、あと、最終的に報告書がまとまりましたのでという御報告をいただくという、その3段階については、前回の会議で流れ図みたいなのをお示しさせていただきまして、それを4月以降、子ども家庭庁と連携しながらさせていただくということでございます。
【委員】  分かりましたというか、それは今回の事故についてはということになるのかなと思うので、汎化させていくという発想で報告書を分析していただくことは、ぜひお願いできればと改めて思います。ありがとうございました。
【座長】  ありがとうございます。4月以降、重大事態の調査報告を必ず国にも上げると。これを分析していく。そこから出てきたものについて、アドバイスに生かしたり、あるいは問題行動調査でまとめて概要や背景を分析しているように、何らか報告書にまとめるなりして、それを学校現場・教育行政に生かしていくという活用について、具体的に今後、次年度からの取組になるわけですけれども、考えてほしいというのが、委員、委員からの御指摘だったと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  私は、まず、文科省の資料2ページ目の流れというのは非常にいいと思います。ぜひやっていただきたいと思います。
 先ほど、国が集めて分析することの問題点で、地域性はどうかという御意見があったんですけれども、医療事故調査制度をまずセンターが分析することにした理由は2つございまして、1つは地域性というか、例えば都道府県ごとに再発防止策をやった場合に、個人情報が明らかになってしまいやすいと。極端な言い方をすると、どこの事例だとすぐ分かってしまう。なので、それを避けるために、できるだけ広い範囲で情報を集めて分析することから、ブロック単位も一度検討されたんですけれども、つまり広島で言うと中四国でやろうという意見はあったんですけれども、最終的にセンターに集めたのは、そういう個人情報に配慮したということがございます。
 2つ目は、分析することを前提に医療事故調査制度は動いたんですけれども、それでも最初の再発防止策を提示されたのは2年後です。つまり、情報がたくさん集まって、共有部分が何かという同様な事例を幾つか集めて初めて分析ができるわけで、収集できたらすぐに分析できるなんていう簡単なものでは決してないので、医療事故でさえそうですから、このような、これまでマニュアルができているわけでもないし、項目も共通をしていないし、いじめにバリエーションが非常にある中で、情報を集めて、軽々に再発防止策が出ることはないと僕は思っております。
 でも、それに取り組まなければ、いつまでたっても分からないままなので、情報を集めて分析して、それから何が出てくるかということに取り組むことの、まず姿勢が大事じゃないかなと思います。それによって、この項目とこの項目はできれば共有してほしいというように、進みながら前に行くのが、恐らくいじめの調査制度の在り方かなと思っております。
 だから、法律ができて、もう立てつけもできて、こういう形で分析をしようということで項目まで最初につくってスタートした事故調と違って、これまでやってきたことをまず集めて、どのように分析していくかという後づけで調査に入るという、非常に難しさがあると思いますけれども、前に進まなければ事は改善しないので、ぜひ少しずつでも進めていただきたいと。
 恐らく一番難しいのは、誰がどう分析するかじゃないかなと思います。だからその辺りは、分析するのもセンターでは、委員が委員会を組んでやっておられますので、文科省がなされるのか、子ども家庭庁がなされるのか、主導権がどちらに来るのか分かりませんけれども、ある程度の委員を組んで分析に入られたほうが、それによってまた、委員が変わっていく可能性もあるし、加える必要もあるかもしれないと。そういう現状に合わせて対応しないと、いじめの調査報告書の分析は非常に難しいんじゃないかなと、専門外で考えております。
 だから、まず動かしていただきたいなということです。結論は恐らくすぐに出ないことを理解していただきながら進めないと難しいんじゃないかなと思っています。以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。ともかく取組を進めていくと。試行錯誤になるところも出てくるかもしれないけれども、そこから最終的にいじめ防止につながるところに行きたい。そうすべきだという御指摘かなと思います。そのときに、分析をどういう人がどのぐらいのヒューマンパワーでやるのかということも課題になるのかなと、今、お話を伺いながら思った次第です。ありがとうございます。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  私も分析を集めてということについて、3月10日の重大事態に関する国への報告について依頼というので発出されて、4月1日からの、そうやって集めて報告を受けて報告書を集めるところまでやって、それからさらに役立てていくということが、各地に伝えられているのかなと理解しています。私もこれ自体は、報告書を今までいろいろな形で公表されたものについて、公表バージョンですから、いろいろな、マスキングしてあったり、そういう配慮があって、必ずしもはっきりと把握できない部分もあるわけですけれども、そういうところなどについて、非常に御苦労されて出された報告書で、どういうことが起こって、どういう対応が問題だと指摘されたのかという辺りについては、今後の参考にしていくために非常に大切なことで、これを集めてどうやって分析していくかというところがとても大事かなと思っているところでした。
 それで、先ほども御指摘あったんですけれども、どういう体制で分析をしていくのかというところも、ここも大事なところで、どういう教訓をそこから引き出していくかということも、これまで様々いろいろな分野で考えてこられた方たちのお知恵も拝借しながら出していくことが大事なのかなと思ったところで、どういう体制で分析されていくという形のところが、もし構想が既にある程度できておられるのでありましたら、その辺のところをお聞きしたいなと思った次第です。
【座長】  ありがとうございます。事務局さん、いかがでしょう。
【事務局】  専門家の知見の方々にどういう御協力いただくかというのは、まだ現時点では未定の状態です。
【座長】  よろしいでしょうか。現在は、まだ専門家をどう活用するのかということについては未定であると。
【委員】  この間も文科省でいろいろ相談などもお受けになったりして、それで対応もされてきたところがあるので、多分大丈夫だとは思いますけれども、子ども家庭庁とも協議しながらということで、分析してやっていくということであるとお聞きしておりますけれども、その辺のところで、ある程度いじめの事案について、どういったことが背景であったり、どういったことに配慮しなきゃいけないのかという辺りについての分析の仕方も、ある程度の専門性といいますか、そういったところがいろいろな分野も含めて必要な場面が出てくるのかなとも思いますので、その辺のところも御検討いただければと思っている次第です。
【座長】  ありがとうございます。体制をつくり、その中で、どう分析し、誰がやっていくのかという辺りも検討しつつ、進めていただきたいということかなと思います。ありがとうございます。
 委員、お願いします。
【委員】  調査研究をいろいろしていくときには、いろいろな方法があると思いますけれども、後調査、いろいろあったデータをそのように集めて、どういうことが共通して言えるのかという後調査をする場合と、それと前調査として、こういうことがあって将来どのようになったと調査研究する方法もあると思いますけれども、今回の調査の場合には、そういう重大事態をそのように国で一貫して集めて、その共通点を見ていくということで、そういう因子はかなり出てくるんじゃないかなと思いますし、その辺を挙げられて検討していくといくことは重要だろうと思いますし、先ほど委員さんのプレゼンの中にもありましたけれども、チューブの取付けを間違えたということで、色を変えるようにしたらかなりそれが減ったとかいうような、あのようなことが発見されていければ非常にいいんじゃないかなと思います。
 それと、そういう後調査をやっていくときに、この報告書の中で、よく個人情報の問題が上がってきますけれども、私の少ない臨床経験で言いますと、そういう遺族、あるいはいじめの家族の方々が、そういう報告書を見て最終的に言われるのは、このことを通して、いろいろな学校でこのようなことが起こらないように参考にしてほしいということをかなり言われて、かなりその辺の報告書の内容を隠すとかいうようなことはないだろうと思います。ただ、いじめの問題に関しましては加害者もいますので、加害者のそういう個人情報をどのように守るかというのも非常に重要になってくるんじゃないかなとは思います。
 そして、この次の調査の位置づけのところで出てくるんだろうと思いますけれども、家族の中には、そのことをはっきりして、その先の裁判とか、そういうことに発展したいとかいうようなことを考えておられるなり、そのように思われる人もおられるのかなと思います。委員さんの報告の中で、報告書を家族に説明するときには、ある程度そのような活用もされることも想定して作成すると言われましたけれども、そのところは十分検討する必要があるんじゃないかなと思いました。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。なかなか難しいところではありますけれども、そこもきちんと検討していくことが必要だろうなと思います。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  私立中高連でございます。諸先生方の話の中でも重複するかもしれませんが、いじめの定義をつくってここまで来て、学校現場でも、各学校で調査委員会とか、それから生徒の指導についても、いじめに対する取組はしているのではないかと思います。そういう中で、さらにまたいじめが起きていることも事実でございます。そういったために、未然防止策という意味では分析することが大切かと思いまして、委員会を設置して、いじめがどのような種類で、どのような原因があってということを分析したことを、委員会で考えていただければありがたいなと思います。それが、そういった結果を基に、未然防止策の一つにさらに加えて、事前に未然に防止できるような、そういったことがこのことによってとれればと思いますので、分析・活用をぜひお願いしたいなと思っています。
 以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。ほか、いかがでしょう。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  それでは、お時間があるようですので、私からお願いがあります。報告書の活用の方向性ですけれども、先ほど言いましたが、啓発や普及に向けては教員向けのリーフレットを作ってほしいと思っていますが、それと同時に、児童生徒、また保護者に向けても、活用するリーフレットのようなものを作っていただいて、とにかく広く普及してほしいなと思っています。こういうことは本当に駄目だよというのをみんなが共通認識を持っていれば、こういった事態に至ることも減っていくのかなと思っています。要望でございました。
【座長】  ありがとうございます。学校教職員だけにとどまらず、児童生徒自身、それから保護者、場合によれば地域というところに普及していくという御指摘かなと思います。ありがとうございます。ほか、いかがでしょう。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  ありがとうございます。小学校長会です。各委員の皆様の御発言内容、本当に皆さん網羅していただいているかと思っています。感想程度で申し訳ないんですが、2ページの丸1にある、共通した要素を抽出・分析していただいての未然防止策、これは非常に大きいと思っています。
 ただ、これについては、今の委員の先生のお話と一緒で、どうそれを現場にフィードバックするかというのは、現場感覚で言うと、事例集みたいな形で来たものを研修の素材として使っていくところまではできるのですが、それを現場のアンテナとしてどう活用していくかというところまで落とすのが、どこまでできるかというのは少し気になるところではあります。
 むしろ非常に期待しているのは、3番の、重大事態調査に係る混乱や現場の困り感の解消に向けての、恐らく今回初めてこれを文科省さんで集約していただいて分析するプロセスの中で、報告書を見ただけでは見えなくて、なぜここにこれだけの時間がかかっているかとか、なぜここでこういう対立が起きているのかとか、そういったところが、報告書には出てこないことが、恐らくヒアリングをしていただいて見えてくることがあると思います。この部分って、先ほどの委員のお話の中にもありましたけれども、これをやるからすぐ結論が出るわけではないけれども、これから積み重ねていかないと見えていかないという、文字どおりその作業であり、この間、この協議会で、重大事態調査をどうやって速やかに進める、そのための課題は何かということを皆様で議論、情報共有してきたのですが、一番コアになるような情報が、そこに何か埋もれているのではないかなと思って、大変期待しているところであります。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。以前にアンケートを各教育委員会等にもやりました。それを生かしつつ、また報告書も分析して、表に出てこないところも見ていく必要があるんじゃないかという御指摘かなと思いますし、学校現場にどうやって生かしていくのか、研修の在り方とか、それから活用のための事例集なり、あるいは報告書のまとめ方なりということも、学校現場に生きるようにしていくことが大事なのかなという御指摘だったと思います。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょう。ここまでのところ、全体を通してでも結構ですので、何か御意見等があればお願いしたいと思います。感想でも結構です。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  すいません、今日の議題というか、これまでの防止対策協議会で議論されてきて、いろいろ動きをとっていただいているところでの全般的なところでの印象といいますか、感想ですけれども、それでもよろしいでしょうか。
【座長】  はい。
【委員】  前回の防止対策協議会で御紹介のあったところなどに基づいて、2月7日に「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について」という通知を全国に出していただいているところで、弁護士会などのところでも御紹介したり、どのように受け止められているかという辺りについてもお話をしたりする機会がありました。そこの中で、スクールロイヤーなどで学校の相談を受けている方たちがおられて、そこからの受け止めとしても、とにかく警察に相談すればあとはやってくれるんですねみたいな雰囲気で受け止められてしまっているところがどうも少し出てきていて、そういうことじゃないんだというようなことでは御説明はいただいていたという報告を受けたりしました。あの通知自体は、警察への相談・連携と併せて、ほかにも3項目が挙がっていたと思うんですけれども、そういった全体として、こちらで、こういった観点で徹底してくださいねと申し上げていた観点が、現場でどのように受け止められているのかという辺りについても、配慮といいますか、留意しながら今後進めていく必要がどうもありそうだなというところがあります。先ほど申し上げた3月10日に依頼の連絡をしていただいていますけれども、そこの中でも既に、いろいろ報告してもらえれば、その後の経過についても御相談も受けられますよということもお伝えいただいたり、説明会などもされているようですので、そこの中でも、そういった通知の趣旨が十分に理解されて運用されているかどうかという辺りも御配慮いただきながら進めていっていただけるといいのかなと思いましたので、発言させていただきました。すいません、よろしくお願いいたします。
【座長】  ありがとうございます。どう伝わっているのかということを、ちゃんと確認していくと。それが何か任せればいいというような感じになったり、あるいは報告書出せというのが、出せという言い方はよくないんだけれども、学校に負担になっていってしまうと、それも問題だし、その辺のどう伝わるのかということを踏まえた伝え方というところもよろしくお願いしますという御指摘だと思います。ありがとうございます。ほか、いかがでしょう。
 委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  事務局にお聞きしたいんですけれども、前回から子ども家庭庁との連携ということになっていると思うんですけれども、例えば厚労の母子保健課なんかもそのままそっくり移行すると。霞ヶ関ビルまで4月1日に動きますよとか言われて、組織ごと動くようですけれども、いじめ防止対策協議会は文科省のままで存続をするんでしょうか。子ども家庭庁が始まった場合の連携というのは、どういう形で連携。まだ決まっていないのかもしれないんですけれども、連携というのがいろいろなところで出てくる。僕、母子保健と学校保健やっているものですから、いろいろなところで関係してくるんですけれども、連携しますとか言われたりするんですけれども、どうするんですかと。いや、それはこれからとかとおっしゃるところが多くて、いじめ防止も、せっかくこれだけ委員の先生が御経験のある方が集まられて議論を継続してきて、子ども家庭庁が始まると、流れが変わるということがあるのかなと思ったものですから。今後、この協議会は文科省のまま残って続けるのか、それともまだそれも決まっていないのかという、分かっている範囲内で今後のことがもし分かっていれば、お教えいただけるとありがたいんですけれども。
【座長】  よろしいでしょうか。
【事務局】  いじめの法律自体は主務大臣は文部科学大臣になっていますし、いじめ防止対策協議会は、これは法律としての位置づけではないんですけれども、基本方針のところで位置づけられていますけれども、そこ自体の立てつけそのものは変わりません。ただ、既に連携は準備室ができた時点で始まっておりますけれども、引き続き4月以降も子ども家庭庁と連携しながらやっていただきますし、子ども家庭庁の担当参事官にもオブザーバーという形で参加もいただいているといった状況でございます。
【座長】  現状はそうで、この先はもう一つまだはっきりしていないということでよろしいんでしょうか。あくまでも所掌は文科省であるという。
【事務局】  いや、はっきりしていないというか、それは変わらないということで認識いただければと思っております。
 今、こども家庭庁準備室がお話をしたいようなので、代わりますので。
【座長】  よろしくお願いします。
【こども家庭庁準備室】  先生方、いつもお世話になっています。子ども家庭庁の準備室です。
 先生方おっしゃるとおりですけれども、いじめ防止対策協議会は文部科学省さんで設置をされて、すばらしい先生方に毎回貴重な御意見をいただいているわけですけれども、特にいじめ防止対策につきまして、子ども家庭庁も、前に少しお話ししたかもしれませんけれども、教育委員会、学校さんだけじゃなくて、首長部局の皆様にも担っていただいて、そういった取組を応援していきたいとか、第三者性を確保した委員会構成なんかの応援をしていきたいと思っております。
 秋ぐらいからこの防止対策協議会にも毎回参加をさせていただいていることもあるのと、途中で御紹介しました関係省庁の連絡会議を文部科学省さんと一緒につくらせていただきましたので、先ほど委員さんからお話しいただきました厚生労働省さんも、現在は子ども家庭局長さんがメンバーとなっていただいて連携させていただいているんですね。4月以降は、子ども家庭局長さんでしたり、先ほどの母子保健さんのところもそうですし、子どもの虐待防止のところの部署もそうですが、間もなく4月になって子ども家庭庁が正式に発足しますと、そういった課の方々も全部子ども家庭庁に合流されまして、より子ども家庭庁で一元的にそういった取組ができるようになりますので、これまで以上に文部科学省と子ども家庭庁との連携は深まりますし、内容も、今はいじめ防止対策の第三者的なところに子ども家庭庁としては少しとどまっている部分もありますが、福祉の観点での部局が入ってまいりますので、4月以降、子ども家庭の中でもそういった体制を組んだりとか、情報交換をするとか、しっかり対応していきたいと思いますので、またぜひ医療の立場からもアドバイスいただければと思います。ありがとうございました。
【座長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 なかなか本当に連携するってどういうことなのかなというのは難しいところもあって、二重構造になってしまったり、変な縄張意識みたいなのが起きないとは思うんだけれども、そうならずに、子どもが幸せで元気でいられるような対策を、社会的に、あるいは国としてやっていく、その中枢を本当に文部科学省と子ども家庭庁が担って進めていくことが本当の意味で連携してできるといいなと思いますので、大変だとは思いますけれども、ぜひその辺お願いしたいと思いますし、我々としても協力をしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、時間も大分押しておりますので、本日の会議、ここまでとさせていただきたいと思います。委員からプレゼンテーションをどうもありがとうございました。それから、皆様から貴重な御意見をいただいたことに感謝申し上げます。
 それでは、以上をもちまして、第5回いじめ防止対策協議会を閉会といたします。委員の皆様、そして文科省の事務局の皆様、1年間、どうも本当にありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室