養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議(第1回)議事録

1.日時

令和4年5月12日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に向けた方策について

4.議事録

【事務局】  第1回の養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議を開催させていただきます。
 皆様におかれましては、御多忙のところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 議事に入るまでのしばらくの間、事務局で進行を務めさせていただきます。

 それでは、本調査研究協力者会議の開催に当たりまして、その趣旨、目的等を含めまして、事務局を代表いたしまして、大臣官房審議官の淵上より御挨拶申し上げます。
【淵上審議官】  初等中等教育担当の大臣官房審議官の淵上でございます。
 養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
まず、委員の皆様におかれましては、御多用の中、本会議の委員への御就任を御快諾いただきまして、誠にありがとうございます。
 御承知のとおり、令和3年1月に中央教育審議会の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」が取りまとめられておりまして、2020年代を通じて実現すべき令和の日本型学校教育の姿や、Society5.0時代における教師及び教職員組織の在り方などについての考え方が示されてございます。
 そのことを受けまして、令和3年3月には、令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修等の在り方について調査、審議するため、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の在り方特別部会」が設置をされて、現在審議が行われているところでございます。
 この調査研究協力者会議におきましては、令和の日本型学校教育を担う教師の在り方に係る議論の動向、並びに当面する学校保健及び食育に関する課題等を踏まえつつ、養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に向けた方策について、御審議をお願いしたいと考えております。
 本会議には、学識経験者や行政関係者をはじめ、日頃より養護教諭や栄養教諭に様々な観点で関わり最前線で御活躍の皆様にお集まりいただいておりますので、委員の皆様におかれましては、その専門的な知見を基に、忌憚のない御意見を頂戴することをお願い申し上げまして、簡単でございますけれども、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】  続きまして、本調査研究協力者会議の委員の皆様方の御紹介となりますけれども、お一人お一人からの御挨拶につきましては、後ほど御審議の際にいただくことといたしまして、この場では委員のお名前のみの御紹介とさせていただきます。
 まず、全国養護教諭連絡協議会会長の小林委員でございます。
 広島文化学園大学・短期大学長の坂越委員でございます。なお、坂越委員にはこの会議の座長をお願いしてございます。
 千葉大学教育学部教授の貞廣委員でございます。
 神奈川県立保健福祉大学栄養学科長の鈴木委員でございます。
 公益社団法人全国学校栄養士協議会会長の長島委員でございます。
 公益財団法人学校給食研究改善協会副理事長の中村委員でございます。
 日本養護教諭関係団体連絡会会長の三木委員でございます。
 公益財団法人日本学校保健会専務理事の弓倉委員でございます。
 なお、本日は御欠席でございますけれども、兵庫県教育委員会体育保健課長の北中委員にも、本会議に御参画いただいております。
 次に、事務局の出席者でございますけれども、先ほど御挨拶申し上げた淵上孝大臣官房審議官、また、健康教育・食育課長の三木忠一。そして私、健康教育・食育課で企画官をしてございます宇高でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これより議事の方に入らせていただきますので、以後の進行につきましては、座長でございます坂越委員にお願い申し上げます。
【坂越座長】  
 広島文化学園大学の坂越と申します。
 私の専門は教育学で、必ずしも栄養とか養護の専門の世界に詳しい者ではないのですけれども、先ほど御挨拶にありましたような令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会ですとか、教員養成の部会の方に関わっていまして、そういう関係で、一応座長をお引受けしたというようなところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 審議官の御挨拶の中にもありましたけれども、日本型学校教育の改革、それから教員養成の在り方も含めて、今、本当に学校教育を大きく改善、改革しようというような流れの中にあるというふうに思っています。中でも今回、私たちの協力者会議に関わる提言といたしましては、「生涯を通して心身ともに健康な生活を送るための資質能力を育成するための方策」が項目で挙がっていますし、健康リテラシーとか、それから食育とかいうようなキーワードも学校教育改革の中で求められています。さらには、チーム学校ですよね。いろんな課題がある中で、専門的な知識、能力をお持ちのスタッフが協力して課題に当たっていくということも言われています。
 そういう中で、養護教諭の先生や栄養教諭の先生方も、本当に今、求められる大事な戦力といいますか、人材というふうに位置付けられると思います。その先生方の資質能力をいかに向上していくのかが、この会議のミッションでもあろうかと思います。どうぞ先生方の御協力をよろしくお願いいたします。
 すみません。それでは、これから議論を始めたいと思いますけど、まず、事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。【事務局】  配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料3を配付資料として御用意してございます。また、それ以外に参考資料1から6を御用意させていただいております。このうち参考資料1として配付している50ページ強の資料につきましては、最終的には公表させていただきたいと考えておりますので、この議論の場においても、御意見等あればいただければと思ってございます。
 資料の確認は以上でございます。不足等がございましたら、事務局までお申し出ください。
【坂越座長】  それでは、次に、議論の前提ということで、事務局から配付資料の説明をお願いしたいのですけれども、まずはその冒頭ですね。審議官のお話にもありました、中央教育審議会の令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会の議論の動向について、総合教育政策局の教育人材政策課の方から御説明をお願いしたいと思います。
【教育人材政策課】  教育人材政策課でございます。私からは、資料3に基づきまして、中教審の令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会における議論の動向について、現状を御説明させていただきたいと思っております。
 資料2ページを御覧ください。
 当特別部会の前提になっています中教審の教師に関わる包括諮問の概要を載せさせていただいています。上半分の方は、いわゆる令和3年1月の令和答申の教師に関わる部分をダイジェストで載せているというところでして、教師に関わっては、令和の日本型学校教育の実現に当たって、ざっくり申し上げると、学び続けるということはかねてから言われているところではありますけれども、それに加えて、子供一人一人の学びを最大限に引き出して、主体的な学びを支援する伴走者としての役割といったことですとか、あと、集団としては多様で質の高い教職員集団が実現し、多様なスタッフとチームとなって、校長のリーダーシップの下で学校、家庭、地域が連携して学校運営がされるということなどが理想的な姿として提言されているというところであります。
 こういった令和答申の提言を受けまして、教師の在り方について、根本的なところまで遡って議論を行うということで、下半分でありますけれども、令和3年の3月に中教審に諮問をいたしまして、教師の養成・採用・研修に係る包括的な諮問ということで、1から5までの五つの柱について、諮問して今、議論の途中にあるというところの状況でございます。
 今回はそのポイントとして、この12345の3の中で、教員免許更新制の抜本的な見直しについては、先行して議論をして結論を得るようにというふうな形で諮問させていただいていまして、こちらにつきましては、つい先日、法案の方も成立したということもありまして、動きがありましたので、こちらを中心に御説明しつつ、今後の動きについて御説明してまいります。
 資料は、次の3ページを御覧ください。
 教員免許更新制の抜本的な見直しに関わっては、既に令和3年11月のときに、特別部会における審議まとめという形で、一旦議論の取りまとめがなされたというところでございます。ここに書いています新たな教師の学びの姿という形で表現しておりますけれども、今後の教師の学びのありようについて、包括的に御議論いただいた上で、今回法立改正につなげているというところでございまして、詳細なところについては、ちょっと説明はできないんですけれども、一番下のところですね。
 新たな教師の学びの姿と教員免許更新制というところについて御覧いただきたいと思うんですけれども、教員免許更新制につきましては、教師の学びの機会の拡大など一定の成果は上がってきたというところですけれども、自律的、主体的に学ぶ姿勢が発揮されにくいですとか、10年に一度の講習で、常に最新の知識技能を学び続けていくということと整合的でないということ、それから、個別最適な学びが教師にも求められる中で、免許更新制であると、共通的に求められる内容が中心になるということで、方向性が異なっているということ。それから、校内研修をはじめとして現場の経験を重視した学びが当然求められているわけですけれども、そういった現場に即した学びというのは、更新制の客観的な要件としてはなかなか位置付けづらいというふうなこと、それから、本質的には免許更新制は免許の更新ということですので、本質的に個人的なものとならざるを得ず、組織的なものとする上で限界があると。
 様々な指摘がありまして、こういったことを踏まえつつ、今回、新しくこの法案で実現しようとすることでもありますけれども、教師の新たな学びの姿を実現する方策ということが提言されていますので、そういったことと併せて、実行していくことによって免許更新制については発展的な解消をし、新しい教師の学びの姿を実現していくことで、教師の専門職性の高度化を進めていくと。こういった結論が出ていたというところでございます。
 次の4ページを御覧ください。
 こちらは昨日、参議院本会議の方で成立したものですけれども、まだこれ、案はついていますけれども、昨日成立しております法律の概要になっております。教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律ということで、大きな内容の柱としては、概要の枠の12を御覧いただければと思うんですけれども、今回の教員免許更新制の発展的解消と併せて、教育公務員特例法改正で行う主な柱として、研修記録の作成と資質向上に関する指導助言等を制度化するというところが基本的な内容になっておりまして、1として書いています任命権者が、校長、教員ごとに研修等に関する記録を作成するというふうなこと。それから、2と書いていますけれども、指導助言者と書いていますが、※2にありますとおり、こちらについては、県費負担教職員の場合は市町村教育委員会、それ以外の場合には任命権者である教育委員会のことを指すんですけれども、この指導助言者が、校長、教員に対して資質向上に関する指導助言等を行うというふうなことと、そのときには、1に示しました記録を活用して、この指導助言等を行うというふうなことを大きな内容としているものであります。
 こちらについては、法律だけでいうとこういった内容になるんですけれども、それをもう少し、全体を俯瞰してイメージにしたものが5ページにあります。
 5ページが令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿の全体像としてイメージ図にしたものでありまして、基本的な内容については、上に書いてあるところですけれども、まず、左側の上の方にあります教育委員会・学校管理職等、いわゆる校長などというところになりますけれども、こういったところと、右の上の方に教師と書いていますけれども個々の教師、この二者の間で、研修の受講・振り返り、それから、研修の実施/受講の奨励ということで、対話をしながら資質向上を図っていくというふうなことを基本的な内容とするものであります。
 キーワードとなるところについて少し御紹介しますと、左上の教育委員会・学校管理職等の緑色のところを御覧いただければと思うんですけれども、例えば研修機会の充実、研修内容・方法が適時見直される仕組みをつくるということや、校内研修等を充実させていく。それから、学びの成果の可視化と組織的共有と、そして、学校管理職等のマネジメントの下での協働的な職場づくりや主体的・自律的な研修に向けた全校的な推進体制、それから一番下に書いています、そのためにも学校における働き方改革を推進していくというふうな、こういったキーワードでございます。
 対しまして、右上の教師のところを御覧いただければと思うんですけれども、教師の側からすると、教師自らの主体的な学びのマネジメントができるということ。それから、教師にも個別最適・協働的な学びが求められるということ、そして、資質向上に当たっては適切な目標設定と現状把握が前提であるということ。それから、いわゆる校内研修などに代表される、自らの経験や他者から学ぶといった現場の経験を含む学びを重視するということ。こういったことを通じて、学び続ける教師ということを新たな学びの姿として実現していくというふうなこと。
 こちらが先ほど法案で実現しようと言っていたところの柱になっているところですけれども、それ以外にも、下の方に書いています教職員支援機構を御覧いただければと思うんですけれども、教職員支援機構の方では、この新しい学びの姿を実現していく上での基盤として、例えば一つ目に書いていますように、研修受講履歴記録システムといったことを構築、運用するというふうなことに主体的に参画することによって、三つの仕組みというふうに書いていますけれども、この三つの仕組みは、その上の右の真ん中辺のところに書いています新しい高度化を支える三つの仕組みとして提言されている、学習コンテンツの質の保障、それから、ワンストップ的に情報を収集・整理・提供するプラットフォームの構築、そして、そういった学びの成果を可視化するための証明の仕組みと、この三つのことを言いますけれども、この三つの仕組みを研修の履歴記録システムと併せて構築・運用していくというふうなことが提言されていたりとか、あとは教育委員会と質の高いコンテンツを継続的・計画的に協働的に作成していくということ、そういったことが教職員支援機構の方に期待されていることとして提言されていたりですね。
 あと、文部科学省の役割としては、その下の方にありますけれども、昨日法律が成立いたしましたので、その法律を受けまして、文部科学大臣が定めております教師の資質向上に関する指針の改正、そして、それに基づいて、ガイドラインの策定をこの夏を目途に定めていきたいと思っております。それから、更新制がいわゆる制度として廃止されるというふうなことにも伴いまして、様々な教員免許をお持ちの方がいらっしゃる中で、そういった方々を学校現場に教員として迎えていくための支援ということで、ペーパーティーチャー等のための学習コンテンツの開発といったことについても、今年度中にやっていきたいと思っているところです。
 以上、5ページの御説明でありました。
 それと、6ページの方を次、御覧ください。
 6ページはこの後の議論の流れのことを御説明するものですけれども、令和3年11月の段階で、当特別部会において検討の方向性として中間的な方向性を整理したものですけれども、真ん中のローマ数字Ⅱの検討の方向性のところに、四つのカテゴリーに分けてテーマを少し絞った形で、議論の方向性を提出しております。養成、採用、社会人等の登用促進、それから研修という四つです。
 それぞれのテーマに即して、今、この特別部会の下に基本問題小委員会というふうな小委員会を置いて、専門的に議論を進めさせていただいているところでして、この夏頃までをめどに一定の結論を得るというふうな見通しで、議論を進めていただいているところでございます。
 資料としては以上になります。私からは説明、以上です。
【坂越座長】  ありがとうございました。
 今説明いただいたような、教員全体に関わるようなこれからの方向性、これを踏まえて、私たちの委員会で具体的に養護、栄養に関してどんなふうなことが考えられるかということになると思うのですけれども、質問をお受けする前に、私たちのこの会議のミッションについて、事務局の方から説明をお願いしたいと思います。その後、御質問をお受けします。
【三木課長】  坂越座長、ありがとうございます。この調査研究協力者会議の事務局の担当課長でございます三木と申します。座長をはじめ委員の先生方、お忙しい中、本当にありがとうございます。
 ミッションということですけれども、資料2に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。この調査研究協力者会議で、どのような論点があるかということを事務局の案としてまとめたものでございます。簡単にその中身を御説明させていただきたいと思います。
 養護教諭や栄養教諭の資質能力の向上に向けた論点ということですけれども、ただいま教育人材政策課の担当官が御説明を申し上げましたし、坂越座長からもお話がありましたように、1つ目ですけれども、令和の日本型学校教育において求められる養護教諭や栄養教諭の役割について、どのように考えられるかということは、1つの論点かと思っております。
 それから、2つ目でございます。教職生涯を通じた資質能力の向上に向けた方策についてということでございます。もう少し具体的に申し上げますと、御案内のように、平成28年の教特法の改正によりまして、任命権者が資質能力の向上に関する指標を定めることになり、それを踏まえた研修を行うということが制度化されておりますけれども、それの実際の運用、それをよりよく効果的にするためにどのようなことが考えられるかといったようなことは1つの論点かなというふうに思っております。
 3つ目でございますけれども、ICT活用能力の向上のための方策についてということでございます。皆様も御案内のようにというか、実感されていると思うんですけれども、学校における情報環境の急激な進展が進んでおります。子供たちの1人1台端末ということもありますけれども、校務としても、学校の教職員の方々がパソコンを使って仕事をしていただくという状況がどんどん進んできていると。そういう状況にあって、養護教諭の方や栄養教諭の方の職務について、ICT活用能力の在り方とか、そして、それを涵養するために、資質能力の向上としては、養成段階も含めてどのように考えるのかというのが、1つの論点かと思っております。
 4つ目でございますけれども、各種資格制度による学びの成果のさらなる活用についてということでございます。生涯学習の充実といった観点や学びの成果をしっかり循環させていただく、拡大していくということは一般に非常に重要でございますし、学校保健や食育に関する専門性をさらに深めていくという期待もございます。養護教諭や栄養教諭の資質能力の確保や向上に向けて、各種資格制度というものや、そういったものの学びの成果をどのように活用できるのかどうなのかといったところも、1つの論点かなというふうに考えてございます。
 5つ目でございますけれども、日常的な資質能力向上機会の充実ということです。少し細かい論点かもしれませんけれども、今日もお話出てくると思いますが、従来から皆様御案内のように、養護教諭や栄養教諭の方々が学校でいわゆるお一人で仕事をしていただいている、個業というような中で、日常的な資質能力の向上機会は、たくさんいらっしゃる教職員よりも、そういった状況から困難な面もあるというふうに考えられますし、そういう指摘がございます。そういうような状況の中で、日常的な資質能力の向上の機会をどのように充実させていくのかと、どのような方策が考えられるのかというのが1つの論点かと思います。
 6つ目でございますけれども、今、申し上げました5つ目の論点に関連しますけれども、オンラインを活用した研修の充実ということも、論点の1つかというふうに思っております。コロナ禍におきまして、ICTを使った、本日の会議を含めて会議や研修というのが一層進んできております。先ほど申し上げましたような個業になりがちなお忙しい養護教諭、栄養教諭の方について、オンラインを活用した研修の充実のための方策ということは、栄養教諭、養護教諭の方々、まさに現下の課題であれば感染症の対策でありますとか、現代的な健康課題への即応という観点から必要なことかなというふうに考えておりまして、オンラインを活用した研修の充実方策というのも1つの論点かなと思っております。
 この6つの論点は、事務局がこの調査研究協力者会議をスタートするに当たって、例えば考えられる論点として挙げたものでございますので、これに限って御議論いただきたいという趣旨ではございませんで、委員の先生方におかれましては、大所高所から御議論をいただければ幸いに存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 事務局から六つの論点をいただきました。もちろん委員の先生方からこういうこともあるんじゃないかという形で、新たに付加していただいても結構かというふうに思います。
 私が受け止めます限りなんですけれども、養護と栄養という二つの専門領域があって、それぞれの二つの独自の課題だったりということもあるんでしょうけれども、それはそれでまた考えていく必要があると。ここの会議では、今挙がった六つの論点というのは、基本的には教諭、教員としてどう資質能力を向上していくのかというような観点なのかなというふうに受け止めました。また御意見を後でいただきます。
 ちょっとごめんなさい。いきなり事務局に返すのも申し訳ないですけど、確認のために繰り返しますね。今、六つ論点いただいて、それぞれ「どのように考えるのか」という形で整理していただいています。私たち会議のメンバーの役割は、この「考えるか」の問いかけに対して、こういう課題があるのではないかとか、それに対してはこういうような取組が必要ではないのかというような、一つのコメントというのもおかしいですけれども、有識者なりの意見を整理してまとめていく、そういうミッションとして受け止めていいですか。課長さんか企画官かお願いします。
【三木課長】  座長お尋ねのとおりでございまして、この論点に限りませんけれども、この調査研究協力者会議で皆様方から御意見をいただきたいことは、この養護教諭と栄養教諭の資質能力の向上について、どういうことが今後施策としてやっていったらいいのかということを、この現下の状況、冒頭お話のあった令和の日本型学校教育の構築とか、教職員の今後の在り方というようなものを踏まえながら考えていくということですので、委員の先生方、それぞれバックグラウンドがあって専門性がございますので、この論点に限りませんけれども、この二つの職の資質能力についての現状や課題をお示しいただきながら、そのためにはこういうことが必要ではないか。例えば養成段階ではこういうことをしていったらいいのではないか、現職の研修ではこういうことをしていったらいいんじゃないかということをお話をいただき、委員の先生方で御議論いただいて、何と言いますか、アドバイスをいただきたい。そして、それを取りまとめていっていただきたいということでございます。
【坂越座長】  分かりました。ありがとうございます。
 委員の皆さん、お待たせしました。御意見については、また後で時間を取って伺いたいと思いますので、今、御説明いただいた、日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会の動向、あるいは今挙がっている六つの論点、これに関しての御質問がありましたらお願いいたします。最初にありましたように、挙手ボタンを押していただければ私の方から指名させていただきますので、ミュートを外して御発言ください。よろしくお願いします。
 最初はまだあまりお手が挙がらないようですがいかがでしょうか。
【事務局】  座長、特段質問がないようであれば、後の議事の中で恐らく質問も出てくるかと思いますので、次に行っていただいて構いません。
【坂越座長】  そうですね。もうそれじゃあ質問ということではなくして、今日の、本当に初回の会議ですので、資質能力向上に関する論点、あるいはその背景の教員養成改革研修、そういったことに関しての御意見。本当に御専門の先生方、いろいろ御意見をお持ちだと思いますので、その御意見をいただきたいというふうに思います。繰り返します。養護、栄養教諭に共通するような、教員としてその資質能力向上に関する論点、あるいは養護教諭関係のもの、栄養教諭関係のものという辺りから御意見いただければというふうに思います。どうぞ、どなたからでも、挙手ボタンを押してください。
【坂越座長】  それでは、三木委員、よろしくお願いします。
【三木委員】  私は、日本養護教諭関係団体連絡会で会長をしている三木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 発言いたします。日本の養護教諭は昭和16年に制度化されて、80年経ちました。その配置根拠や資質を担保する法律があり、世界に類のない制度と言われております。養護教諭について、四つの視点から申し上げます。
 一つ目です。養護教諭に求められたコーディネーター的役割が、大変重視されたことと保健室の役割の変化についてです。まず、養護教諭のコーディネーター的役割の重要性については、平成20年の「子供の健康を守り・・・答申」を皮切りに、平成27年度の「チーム学校・・・答申」、令和3年の「令和型学校・・・答申」に一貫して提言されております。これは従来にはなかった、養護教諭に求められた新たな役割と考えられます。
 ということは、平成20年に答申で示された、具体的な養護教諭の職務役割とは異なる養護教諭の機能的な役割と考えられます。学校現場の子供たちの健康課題は複雑化しており、特にコロナ禍の対応においては、多様な職種と連携が重要であり、加えていじめ、虐待などの心の健康問題のケア等が大変重要視されて、SC、SSCの導入等の制度改正がなされました。
 これらの現代的な健康課題の解決や法改正を実効性あるものにするには、その調整役、交通整理役のコーディネーター役が欠かせないと思います。その役割を担うのは、養護教諭の職の特質から、当然な指摘であると考えます。
 しかし、現場の養護教諭の先生方から、「先生、そうは言っても養護教諭がコーディネーター役を確実に果たすためには、多くの時間と知識とエネルギーが必要です」という声が聞こえてきます。すなわち、養護教諭の質と量を担保する必要があるだと思います。
 質的には、教育職員免許法施行規則、養護教諭養成カリキュラム及びコアカリキュラム等に反映すること、量的には、新たな役割を担うこと及び働き方改革の観点からも、養護教諭の複数配置の基準等を下げる必要があると考えます。
 次に、「存在としての保健室」とともに、「機能する保健室」の重視です。平成21年改正の学校保健安全法第7条では、保健室の設置目的として、健康診断、健康相談、保健指導、救急処置とあります。保健指導は新たに追加されたものです。保健室は子供たちが「腹痛」や「けが」などで来室します。同時に、保健室登校などの対応や個別の保健指導をしております。すなわち、保健室は、教室にはない空間であり、心と体の居場所と言われています。
 一方、平成24年の答申では、保健室は、学校保健活動のセンター的役割が提言され、人、物、環境等々を生かした活動が求められます。また、保健室のICT環境整備については、本会実施の調査によると、情報モラル必要性、Wi-Fi環境の整備、個人の技術不足対策、オンラインを活用した健康相談等、時代に合った環境整備が必要と考えます。このように保健室はいわゆる存在としてのみならず、機能する保健室と変化しております。この変化に合った資質と環境が必要と考えます。
 二つ目です。養護教諭養成教育について2点申し上げたいと思います。
 1点目は、平成10年改正の教育職員免許法施行規則第9条養護教諭養成カリキュラムは、「養護解説」、「健康相談活動の理論及び方法」の2科目が新設されました。この新設によって養護教諭の専門性の担保に大きく寄与したと考えます。
 しかし、その後、平成27年、「これからの教育を担う・・・答申」で、「養護に関する科目」、「教職に関する科目」、「養護又教職に関する科目」の3区分を撤廃されました。そのとき、総単位以外は省令で決めるとなったときを好チャンスとして、例えば保健室を経営する科目や、子供特有の疾患を学ぶ科目等を要望いたしましたが、実現に至らず積み残しとなっております。
 2点目です。参考資料1、ページ22の2欄の養護に関する科目内容について、一定の水準を保つコアカリキュラムの必要性についてです。教職に関するコアカリキュラムは、養護教諭にも共通しており、平成29年に作成されました。また、教諭の教科のコアカリについては、令和3年8月に学習指導要領を核として作成公表されています。養護の科目にもコアカリが必要と思います。その理由は、養護教諭養成機関は大学、短大、種別では教育系、看護系、体育系、福祉系等、多岐にわたっていること、養護に関する科目は教科のように学習指導要領に基づく内容設定がないこと等です。そこで、養護教諭免許を取得する全ての養成機関が、「養護に関する科目」について共通的に学ぶコアカリキュラムを国としてのスタンダードを示すことが必要と考えます。それを各養成機関のシラバスに反映することで、一定の水準を保つことができると考えます。
 その際は、各大学の自由度を確保することはもとより、県の育成指標との関連を図る工夫も必要だと思います。このコアカリキュラムを大学養成機関のみならず、現職研修でも活用されれば、養成、研修を一貫した資質能力の向上につながると思います。
 なお、このことについては日本教育大学協会養護部門や、日本養護教諭養成大学協議会でも既にコアカリキュラムを作成し研究されていることを申し添えます。
 三つ目です。初任者研修制度です。平成元年、実践的指導力と使命感を養うことを目的に、教育公務員特例法が制度化されましたが、養護教諭はそのときには対象ではございませんでした。あれから35年経過しました。子供たちの健康課題も大きく変わり、養護教諭の役割も変化し、特にコロナ禍においては、子供の健康管理はもとより指導面を一体的に取り組んでいます。「養護をつかさどる」養護教諭は、子供の健康を保持増進する全ての活動を担っており、子供の命を守り、育て、使命感と実践的指導力を発揮しています。さらに、各県の研修事業では、法定研修ではないので予算措置がとても不安ですという声も聞こえてきます。また、平成20年中教審では、この教育公務員特例法についても提言されております。この制度の目的に照らして、ぜひ、養護教諭の初任者研修を制度化すべきだと考えます。
 四つ目です。養護教諭の配置についてです。調査によると、複数配置だったからできたこと、複数配置による教育効果が上がったことなどが分かっています。また、保健室のセンター的役割コーディネーター的役割など、職務を円滑に機能する役割が増えたこともあり、平成20年答申及び27年の「チーム学校・・答申」でも指摘されているように、養護教諭の複数配置の基準の引下げについて、その実現が望まれます。なお、養護教諭未配置校の解消や、高等学校の養護教諭の必置が重要と考えます。
 ちょっと長くなりましたけども、5団体を代表して申し上げました。以上でございます。ありがとうございました。
【坂越座長】  三木委員、ありがとうございます。
 4点にわたってお話をいただきました。お話しいただいた中でも、養成の話、研修の話、この辺り、本当に資質向上に直結するところだと思いますし、また、求められる資質能力として、コーディネーターの機能だったりという辺りは特に大事なことだと思います。ありがとうございました。
 別に領域順番というわけでもないのですけれども、せっかく三木委員にお話しいただきましたので、例えば小林委員とか弓倉委員とか、御意見ございましたら続けてお願いしたいと思います。いかがでしょう。
 弓倉委員さん、お願いします。
【弓倉委員】  日本学校保健会の専務理事の弓倉でございます。今日はどうもありがとうございます。
 私、日本学校保健会といたしましては、毎年文部科学省の方に、全国の学校保健調査会でまとめた要望事項の提出をさせていただいております。私は今年の6月に本会の専務になって8年目に入るんですが、私が専務になる以前からもうずっと、養護教諭の複数配置基準の緩和と、それから研修の充実という、この2点を要望させていただいておりましたけれども、なかなか実らないままでおりました。
 複数配置基準の緩和につきましては、これは教職員の数にも関わることであって、困難さは理解いたしますけれども、研修の充実については、現実味が高いのではないかと思いますし、ぜひこの会議で御検討いただければというふうに思っております。
 今、三木先生からもお話がございましたけれども、現在、養護教諭の初任者研修や、中堅教諭等の資質向上研修につきましては、一般の教員と異なりまして法制化されていないので、研修や研修内容等で、地域によって大きな差が見られると思っております。令和元年度に日本学校保健会が実施いたしました養護教諭の職務に関する調査によりますと、全国で6%の養護教諭が、自らの資質向上のための研修に取り組んでいないという実態がございました。養護教諭の方は1人配置が大半でございますので、経験の浅い方の場合は知識を得られる機会が限られております。複数配置を整備して、地域差をなくして、養護教諭の資質向上を図るということは喫緊の課題ではないかというふうに考えております。
 先ほどの教育公務員特例法の初任者研修及び中堅教諭等の資質向上研修等の対象である教諭に養護教諭を入れていただくことを強く希望するものでございます。
 また、子供たちの健やかな体の育成のためには、食育の推進も非常に大切でございます。食物アレルギー対応や生活習慣病の予防、養護教諭と栄養教諭との協働する体制が望まれますので、近年の全国学校保健会も集まるこの中央大会や、今年度の各地区からの要望でも、やはり養護教諭と並んで栄養教諭の方の配置促進について、全国の教育委員会から要望が出されているところでございます。
 地域によって栄養教諭に対する考え方がいろいろあることは存じておりますけれども、このような状況を踏まえて具体的な改善を要望しているところでございます。
 あと二つ、ちょっとこれに関連して申し上げさせていただきたいんですが、もう一つは養護教諭の方のキャリア形成を含めた資質能力の向上が大切ではないかというふうに思っております。養護教諭出身の方の管理職、特に校長先生は非常に少ない。養護教諭の方のモチベーションアップのためにも、やはり管理職になるための資質能力向上の機会を用意すべき、あるいは提供すべきではないかなというふうに考えているところでございます。
 あと、教育支援機構のお話がございましたので、ちょっと三つ目で、研修の在り方についてちょっとお話をさせていただきます。私も教育支援機構で講師を何年かやらせていただいたことがございますので、状況はよく存じているつもりですが、この3年間、合宿形式のああいう研修や、あと、それからグループワークなどのようなものができなくなって、現在はほとんどオンラインになっているんだろうと思っておりますけれども、オンライン研修だけですと、参加者は増えるんですけれども、受動的研修、教育になりますので、どうしてもやはり、知識の伝達には有効でございますけれども、技術ですとか態度ですとか、そのようなものの研修にはあまり向いてはいないというところがオンライン研修の課題であろうと思っております。
 養教教諭の先生方には、コーディネーターとしての役割も非常に大切でございますので、管理職だとかキャリアアップ、さらにコーディネーターとしての役割を身に付けていただくためには、以前のようなグループワークなどアクティブラーニングが入ってくるということが必要ではないかと。
 この三つをちょっと私の方からお話しさせていただきました。どうもありがとうございました。

【坂越座長】  弓倉委員、ありがとうございました。いずれにしても、研修も大事だし、それから教職員支援機構なんかが盛んにやってくださっているオンラインも、これもやっぱりアクティブなものにしていかなければ、いまひとつ効果がないという御指摘、それから、何より私自身勉強になったのは、やっぱり養護の先生と、それから栄養の先生が連携・協力して、健康の指導を行うということ、これはやっぱりこれから大事ですよね。ぜひ考えていきたいと思います。
【弓倉委員】  はい、大切だと思います。
【坂越座長】  ありがとうございました。
 それでは、小林先生は現職の先生です。よろしくお願いします。
【小林委員】  全国養護教諭連絡協議会の小林と申します。私は、群馬県の840人の大規模校で、今、一人で子供たちの健康管理の方を務めております。
 そんな中で、先ほど三木委員と弓倉委員からいろいろお話をいただいたんですが、現場の養護教諭としまして、やはり3点、課題を考えさせていただきました。
 一つ目はやはり研修の充実についてというところで、これは栄養教諭とも共通する点が多いかなと思うんですが、やはり法制化されてないというところで、研修内容や日数等に地域差がかなり生じているのではないかなと感じております。やはりそこのところを解消できる方策を考えていくということが必要でありますし、先ほど個業というお話が出ましたが、やはり一校一人配置が大半ですので、経験の浅い養護教諭も今、大分増えております。その中で、必要な知識とかを得られる機会というのが限られているという現状がありますので、やはり子供たちの健康課題を適切に解決に向けて図るためには、実践的な資質能力向上を図るような機会を考えていかなければいけないのではないかなというふうに考えております。
 また、専門職である養護教諭や栄養教諭というのをサポートできる指導主事であったり、主幹、栄養教諭、養護教諭等の配置や育成というのを行っていただいて、日常の指導とか支援をする体制を構築するということも、実践的な資質能力の向上に有効であると考えております。
 二つ目なんですけども、先ほど来、お二人の委員の先生からお話がありました、やはり適正配置について御検討いただければと思っております。参考資料1の中に、資料4、7ページに示されているように、養護教諭未配置校があります。高等学校も今、「置くことができる職員」というふうになっておりますので、必置になっていないというところもあります。あと、複数配置もしていただいているんですけども、その基準が、小学校ですと851から複数配置、中学校ですと801から複数配置ということで、今、本校が840人で1人でやっているような現状になっております。そうしますと、やはり今、保健室に支援を求めてくる子供たちって非常に多くなってきておりますし、健康課題も本当に多様化、複雑化、このコロナ禍においては深刻化もしております。そんな子供たちには、個々に応じたきめ細やかな対応というのが必要であり、そこに対して、私たちはやはり参考資料の4ページに示していただいている職務内容のほかにも、保健室登校の対応であったり、スクールカウンセラーやソーシャルワーカー、専門スタッフとの連携、そして、家庭との連携等をコーディネートする役割、何よりも校外の学校医の先生たちとの連携というのも大変重要になってきておりまして、そういうコーディネーターの役割、それから、あとは各種会議、そういうものの参加等というのが、本当に業務が拡大しております。そこにコロナ対応というところがここ3年間ありまして、養護教諭というのは献身的に、チーム学校の中心でコロナ対応に努めておりますけども、本当に業務が今、逼迫しているような状態になっております。
 そんな中で、やはり養護教諭の専門性を生かした保健教育の充実とか、個に応じた指導・支援の充実、組織的な学校保健の推進を図りたいと思いますので、やはり未配置校の解消であったり、高等学校の必置、複数配置の基準の引下げと、この配置基準などの見直しというのを考えていったらどうかなというふうに考えております。それから、複数配置というのは、やはり養護教諭同士の資質向上を図ることにもつながると思いますし、働き方改革の視点からも有効かなというふうに考えております。
 最後の三つ目なんですけども、ICTの活用能力の向上という論点がありましたけども、ICT環境というのが、保健室の環境というのは、やはり地域差がかなりあります。それで、養護教諭もICTを活用して業務をやっておりますし、保健教育でも必要です。ですから、やはりICTの環境整備、それからそれを活用できる研修の充実というのを考えていただければありがたいなと思っております。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。論点としていただきたいというふうに思います。
 すいません、座長はあんまりしゃべらない方がいいのですが、ICTに関して、本当に私も関わっている教職のコアカリキュラムというものがあります。そこでいわゆる一般の学校教員に関しては、例の教育の方法・技術というところの教職科目で必ずICT活用を1単位入れなさいという話になって、必修扱いになっています。ただ、養護の教職課程の場合、御存じのとおり、ここがくくりで6単位になるので、本当に養成段階の学生に対してICTがどれぐらい伝わるのかというのも、ちょっとこれは考えなきゃいけないのかなというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、すいません、順番というわけでもないのですが、栄養関係の先生方からの御意見をぜひ伺いたいと思います。
【長島委員】  長島です。全国学校栄養士協議会の長島美保子です。全国の栄養教諭の立場から述べさせていただきたいと思います。
 栄養教諭は学校教育法において、栄養の指導と管理をつかさどる教員ということで規定をされております。近年、変化の激しい社会情勢や生活環境の中で、健全な食生活を実践する場面が大変難しくなってきており、子供たちにはこの困難な時代を力強く生き抜いていく力を育むことが重要な課題となっております。義務教育段階において、子供たちへ食の大切さを意識付け、自らの生活の中で実践することのできる力を身に付けさせることは、国民の生涯の健康を支える基礎を築くという上からも、大変重要であると考えております。
 私たち栄養教諭はこのような現状を踏まえ、栄養に関する専門性と教育に関する資質に基づき、子供たちの育成に取り組んでおります。今後、栄養教諭のさらなる資質能力の向上を図りつつ、全ての子供たちに同等の食育を行うことができることを目指して、次の三つのことを述べさせていただきます。
 一つとして、子供たち一人一人の個別の課題に寄り添った食に関するアドバイスや支援をするためには、給食管理業務の効率化を図り、学校において教員とともに連携して、計画的で継続的な食育を行うことができる時間を確保することが必要であると考えております。また、食に関する指導場面におきましても、子供たちが各々持っているタブレット等を活用した食事内容や生活リズムの指導など、効果的なデジタル活用も積極的に推進する必要があると思っております。
 このたびのコロナ禍において、長期休業中、学校での給食も休止となり、食育も途切れ気味だったのですが、この食育を途切れさせたくない強い思いの中から、ICTを活用した食育をオンラインで家庭や在宅の子供たちに発信をしてまいりました。しかしながら、全国的に見ると、専用パソコンや端末の環境等の足並みがそろっていない状況もあるように見受けられ、各自治体において整備が進むことが望まれます。また、先進的な取組事例を積極的に発信していただいて、学び合う機会も必要だと考えております。
 二つ目に、栄養教諭は教員の資質と管理栄養士、または栄養士の資質を併せ持つ業種であることから、日々進化する専門領域のエビデンスに基づいた情報を個別的な相談指導等に反映させていくためには、研修の機会は常に必要です。また、先ほどから養護関係の先生方の御意見にもありましたように、児童生徒理解や学校経営等に関する学びを通して、チーム学校の一員として、他の教職員とともに子供たちの幸せのために手を携えて協働する力を身に付けることも重要であると考えております。
 このような状況ではありますが、栄養教諭も養護教諭の先生方と同じく、教育公務員特例法上の研修の対象ではないために、各自治体に行われる研修に参加する機会があるわけですけども、研修の機会、あるいは内容共に差があるように感じており、他の教諭と同じように法的な位置付けをもって確実に力を付けることができる研修の機会を担保していただきたいと思っております。
 三つ目に、栄養教諭の配置促進についてです。私たち栄養教諭は、日常、給食の時間には各クラスを巡回しながら、給食を実際的な教材として、栄養バランスや食べ方などの指導を行い、また、家庭科や保健などの教科等の時間には担任教諭等と連携しながら食育に取り組んでおります。さらに、食物アレルギーなど命に関わる食に関する課題を持つ児童生徒への個別相談指導や、保護者支援を行っております。さらに、地域の生産者や関係団体、医療関係者等との専門家との連携を図り、子供たちの教育活動の充実や、子供たちが抱える食生活や健康の課題などに対応できるよう、ネットワークを構築するなどして、コーディネーターの役割も果たしております。
 しかしながら、栄養教諭の配置定数は、学校数ではなく児童生徒数によるものとされているために、一人の栄養教諭がたくさんの複数校を抱えている状況があり、栄養教諭の対応が追いついていけない現状が起こっております。
 栄養教諭の配置が増えることによって、子供たちへの指導や保護者への支援、給食時間の巡回や指導、担任教諭等と協働した教科等における食に関する指導の充実を図ることができ、全国全ての子供たちが、一定水準の食育を受けることができるようになることから、栄養教諭の速やかな配置促進を強く希望しております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【坂越座長】  ありがとうございます。資質能力の向上を求めるなら研修をちゃんと担保してくださいよという、本当に基本的な御意見で、確かにこの辺りは私たちのこの会議としてもきちっと押さえていくべきことです。それにやっぱり、栄養教諭の先生方もコーディネーター機能が必要で、私なんかも教育委員会に関わっているのですが、地産地消というようなことを、本当にJAの方とか市役所の方とか、いろんなところで相談しながらセンター機能を果たしているというようなことも見聞きしています。ありがとうございます。
 それでは、鈴木委員さん、ちょっと手が挙がりかけていたのかな。お願いします。
【鈴木委員】  私も栄養教諭について話をさせていただきます。神奈川県立保健福祉大学の鈴木です。どうぞよろしくお願いします。私は管理栄養士の養成校において、栄養教諭過程を持つ大学に所属しています。栄養教諭免許の取得に携わる立場で、栄養教諭の一種免許を中心に発言をさせていただければと思います。また、本学の卒業生の約1割が栄養教諭、学校栄養職員として働いております。現場の声が入ることも多々あります。その点も踏まえまして、発言をさせていただきます。
 管理栄養士、栄養士は国家資格です。管理栄養士は国家試験に合格した者であり、栄養士の資格も有しています。参考資料1にもありますように、栄養教諭一種免許を持っている者は、基本的に管理栄養士の資格を持っていると言えます。
 栄養士法において、管理栄養士の業務は、大きく二つの役割が書かれています。「傷病者に対する療養のための必要な栄養の指導」「個人の身体の状況・栄養状態に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導」、これがいわゆる栄養管理の業務と言われている部分です。もう一つが「特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設において、利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別な配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上に必要な指導を行う」という、これがいわゆる給食管理業務と言われているものです。それをなす者、業とするものというのが、栄養士法に載せられている管理栄養士の職務になります。
 管理栄養士は、高度な知識・スキルをもって、栄養管理と給食管理の両方の業務を担う人材です。学校栄養職員については、栄養士法でいう栄養管理業務を中心とした職務であるというふうに考えることができます。栄養教諭は、管理栄養士の資格により担保されている給食管理だけではなくて、栄養管理の高度な知識・スキルを基礎として、その上に教諭としての知識・スキルを身に付けて、栄養教諭としての職務に従事していると位置付けて大学等では、一生懸命教育をしているところです。
 栄養教諭一種の免許が大学等で始まって約20年が経ちました。栄養教諭になりたいという希望から、管理栄養士の養成校に入学してくる学生も毎年一定数おります。管理栄養士養成校では、栄養教諭免許の取得を希望する学生に対して、教諭としての教育をしています。これは教育カリキュラムが文科省から出ていますので、それに則り、現在の状況とか社会情勢とかも加味した上で教育をしております。
 栄養教諭として採用された場合には、新人としての至らなさはあるとはいえ、教育カリキュラムを通して養成されていることから、栄養教諭としての資質能力をある程度持っていると考えます。栄養教諭としての採用後については、研修や自己研鑽による教諭としてのスキルアップと、管理栄養士という栄養のスペシャリストとしてのスキルアップの両面の資質能力の向上をしていかなくてはいけないと考えます。
 管理栄養士養成校では、栄養教諭の免許を取得するための教育を行っていますが、栄養教諭の免許を持っていながら、採用が学校栄養職員の場合が多く存在します。都道府県によって栄養教諭の採用の方法と配置の状況が違いますので、学校栄養職員で採用されていても、多くの学生は栄養教諭の免許を持った状態です。そうしますと、栄養教諭の役割や職務の理解や、資質能力を持ち合わせているにも関わらず、採用が学校栄養職員のため、立場上、栄養教諭としての実力を発揮できない状況にあります。これは、児童生徒の様子から「栄養教諭だったらここまでやってあげられるのに」と思いながら、それができない状況ということが言えます。児童生徒のために、栄養教諭の免許を有している学校栄養職員には、栄養教諭としての活躍の場を拡充していただけるよう、切に希望しております。栄養教諭の免許を持ち、採用試験に合格し、栄養教諭となって働いている卒業生から、栄養教諭の職務について相談されることがあります。その中で多くの相談が、「給食管理業務を効率化して」「TTや給食の時間にラウンドして、課題や問題がある児童生徒に個別的な相談指導を実施できるように一生懸命時間を苦慮してやっているけれど、現実には児童生徒の食育や個別的相談指導が十分に実施できない状況にある」という、声です。
 栄養教諭がその資質能力を存分に発揮して活躍するためには、今後ICTの導入を積極的に行い、給食管理業務を効率化し、質を落とすのではありません、効率化することによって、栄養教諭の職務が十分にできる時間を取ることがとても重要だと考えます。
 また、社会環境の変化から、様々な面で多様化しています。その多様化は、子供たちの食事や栄養状態に負の影響をもたらしていることもあります。このような状況に対して、栄養教諭の役割は、養護教諭の先生方と一緒にますます高まると考えます。そのために、栄養教諭として、資質能力の向上、管理栄養士という栄養のスペシャリストとしての最新のエビデンスによる知識・スキルの更新が不可欠です。
 また、都道府県の配置の状況の差があります。それは資料の方を見ていただくと分かると思いますが、大きな差があります。食に関する教育の格差と私は考えています。幾ら求めていても、配置がされていなければ、地域によって、食に関する教育を豊かに受けている子供さんもいれば、ほとんど受けられない子供さんもいらっしゃるということになります。このようなことがないように、子供たちのために栄養教諭の配置促進を強く要望するところです。ありがとうございました。
【坂越座長】  ありがとうございます。そうですね、管理栄養士としての資質能力維持向上、教員としての資質能力維持向上、二面でということですね。ありがとうございます。
 中村委員さん、いかがでしょう。
【中村委員】  公益財団法人学校給食研究改善協会の中村信子です。私は今、発言されたお二人のお立場と少し違っておりまして、民間の公益財団法人に所属して公益活動を行っています。本日は、この立場で発言させていただきます。
 まず、当協会は毎年情報紙を発行しており、その主な発行目的は「子供たちの心身のすこやかな健康と栄養教諭・学校栄養職員の資質向上」ですが、一般社会では学校の栄養教諭等の業務内容やその存在すらあまり知られていないという実態があり、社会全体に栄養教諭による食育や活動内容を発信して周知するという目的もあります。このようなことを踏まえて、まず、栄養教諭等の取組の成果と関係のあることからお話します。
 現在、世界的に持続可能な社会を目指すSDGsの視点の中では、環境、経済、社会の様々な問題やひずみが子供たちの世界に大きく影響するという認識に立って、学校給食の推進はフードシステム解決策の最上位にある施策の一つとされています。すなわち、心身の健康に重要な食物と栄養から集中していくことがポイントとされて、学校給食の果たす役割の大きいことを世界が認めているという実態があります。そして、このように世界が学校給食に対して高い評価をするようになったきっかけは、「日本が学校給食を世界で唯一教育として位置づけ、肥満率の低さなど日本の栄養教諭の熱心な取組が世界中で報道されて、高く評価されたこと」によって、学校給食の役割が見直され、学校給食に対する世界の認識が高まったと私は思っています。本日は、このようなことを踏まえて、発言させていただきます。
 この困難な世界的状況の中で、「自身の健康管理ができて、しっかり生き抜いていくことのできる子供を育てる」ために、栄養教諭による充実した食に関する指導や教育は非常に重要です。すなわち、様々な厳しい環境と闘うための精神力と体力を、薬などの対症的な方法ではなくて、「栄養バランスの取れた食生活」によってしっかり身に付けていくということは、自身にとって闘うためのまさに最強の武器を体内にも持つということになります。
 これらのことを基に本会議のテーマである養護教諭・栄養教諭の資質向上について、私の考えを以下のとおりお話しさせていただきます。
1. 栄養教諭の置かれている立場
資料によりますと、養護教諭・栄養教諭の配置の要件や配置率を比べると大きな差があり、養護教諭の100%に近い配置率に比べて、栄養教諭は実に23.9%とはるかに少ないのが現状です。自治体によって状況はかなり異なりますが、中には20校も抱えている栄養教諭もあると聞いており、実際のところ、このような環境では十分な指導を行うための基盤がまず、できていないということであり、たいへん驚いています。そして、給食現場で栄養教諭が積極的に指導に出かけることに、自治体、管理職の理解を得ることができているのか。要は、栄養教諭として学校に出かけていって、食の指導や学校給食を通しての授業のできる時間が担保されているか、ということです。
2. 重要な役割を遂行するための効率化
まず、栄養教諭の力を十分発揮できる、また、取り組む基盤となる体制を整えていただきたいと考えます。23.9%の配置率ではとても無理です。
栄養教諭としての業務内容や、その次の充実のための効率化が必要です。栄養教諭として子供の前に立って、その能力を発揮し、充実した食に関する指導を実施するためには、先ほどから何回もお話に出ていますが、ICT活用や現在の業務内容を効率化していく必要があります。しかし、効率化するためのタブレット端末などは、全員に配付されていないという実態があります。ほぼ全ての子供たちには配付されているのに、栄養教諭には全員に行き渡っていないという現状があります。そういうことを包めて、効率よく業務に集中できる環境つくりへの基本的な具体策を講じて、実施していただきたいと思います。
 最後に、先ほど養護教諭の方々からのご意見の通り、栄養教諭と養護教諭の方々がお互いにしっかりと協働し、学校が一体となって子供たちの健康のために取り組むことができれば、大きな効果につながっていくと思っています。そして、栄養教諭の十分な配置を実現していただいて、世界が最重要の一つと認めている学校給食を通して、栄養教諭がこの国で存分に力を発揮できるような環境をまず整えていただきたいとお願いいたします。
【坂越座長】  ありがとうございます。中村先生からは特に強く、それから、養護の先生からも、適正配置ということは、もうどなたもおっしゃることではありますので、やっぱり基盤の大事な問題だというふうには受け止めます。ただ、適正配置に関しての、制度化実現ということに関しては、またいろんな提言のルートがあろうかと思いますので、またそういうところも考えていただかなきゃいけないかなというふうに思います。
 貞廣先生、今までちょっと発言されていなかったのですが、ほかの養護・栄養の先生方の御発言とかもお聞きいただいて、御意見をお願いしたいのですけれども。
【貞廣委員】  千葉大学の貞廣と申します。先生方の熱い意見に気圧されて、ちょっとおなかいっぱいな感じなんですけど、すみません、私は坂越先生以上に皆さんの分野とはすごく遠くて、私は条件整備であるとか、財政を専門としている教育の研究者ですので、とてもアウェー感があって申し訳ないなという感じでおります。
 皆さんの御意見、全てごもっともで、確かにそうだというふうに思いましたので、その上で、私は先ほど人材政策課の中村さんから御紹介がありました令和の日本型学校教育を担う教師に関わる基本問題委員会にも籍を置いておりますので、特に中村さんからお示しいただきました資料3の5ページ目ですか、教師の学びのイメージというところに関わって、3点申し上げたいと思います。できるだけ重ならないところをと思いまして、こちらの資料を取り上げさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、パンデミック下で学校が休校になったということで、新たにそのケアの視点と子供たちのつながりが非常に重要だということが見直されてきています。そうしますと、養護教諭や栄養教諭の先生方の役割というのはさらに重要なものだと、クローズアップされていると思います。その中で、じゃあ、どのように学びを担保していくかということで、3点申し上げたいと思います。
 一つは、私、チーム学校作業部会の委員でもありました。そのときに出てきたものとして、縦と横の専門性を伸ばす学びを確保していくべきだということを1点目として申し上げたいと思います。縦の専門性というのは、養護教諭、栄養教諭の先生方のそれぞれの独自の専門性をより高度にするということです。ただ、いろいろな職種の方が学校の中にいらっしゃるときに、それぞれの職の方って、価値の序列が割とちょっと違ったりするんですよね。今、こちら養護教諭の方と栄養教諭の方がいらっしゃいましたけど、スクールカウンセラーの方とかスクールソーシャルワーカーとか、学校の先生方の中でどれぐらいのスパンで物事を解決するかとか、何を教育活動の中で最優先と考えるのかとか、結構価値が違っていて、お互いに反目したりとか、向こうはちょっと何か言っていることおかしいんじゃないかとか、私の方が正しいんじゃないかのような、うまく協働にならないことも、残念なことにあるんですね。やはりお互いの専門性の違いをお互いに理解して、相手のリテラシーを受け入れて理解した上で協働すると。こういう協働できる専門性というのに「横の専門性」という言葉を充てたいと思うんですけれども、縦の独自の専門性をより高度にさせるだけではなくて、学校内の他の職の方と協働できる、お互いに理解し合って協働して、お互いのよさを生かしていくような専門性、これもぜひ蓄積して伸ばしていただきたい、この視点を持っていただきたいと思います。
 それで、関連して2番目でございますけれども、研修に当たっては、初任者研修であるとか中堅研修のお話が出てきました。確かにそうだと思いますけれども、ぜひ校内研修で、チームの学びとしての充実をしていただきたいと思います。教諭の先生方も免許更新講習が発展的に解消されて、研修の軸足がどこに移るかというと、それは校内研修。それも教職員同士の協働的な学びの中で学んでいき、職能開発をするというところが重要だというふうに言われています。むしろ、そういう学びこそが先生方の職能を増進させるがゆえに、むしろ免許更新講習は発展的に解消されるということになったんだと思います。職の専門性が違う一人職の先生だからこそ、校長先生のしっかりとしたマネジメントの下で、協働的に学ぶ校内研修で職能を開発してほしいと。これは先生方というよりも、校長先生のマネジメント力によるので、ここの部会で申し上げることではないかもしれませんけど、頑張れ校長ということです。
 3点目でございます。一人職での学びを一人で個業・孤立化させない、それでも日常的な学びを保障するということで、先ほど小林先生でしょうか、指導主事の配置のお話もありましたけれども、すぐに指導主事の配置ができないのであれば、例えばICTなどでつないで、他校とのネットワーキングを組んで、場合によっては非常に経験値の高い先生がいらっしゃる学校を拠点校として、協働的に養護教諭同士、栄養教諭同士、または養護教諭、栄養教諭が共同で学んでいくという、このネットワークの構築によって質を向上していくということも必要なのかなということを、以上、資料3の5ページ目の「これからの学びのイメージ」に関連して申し上げました。
 最後に、本当に誤解のないように聞いていただきたいんですけれども、私は冒頭に申し上げたとおり、養護教諭の先生方も栄養教諭の先生方も欠くべからざるものだと思っていますので、一人どころか全ての学校に複数配置をされてほしいと思っているところでございます。うちの附属校もそうなったらいいなと思っているんですが、残念ながらそうはなっておりませんけれども……。先生方の御意見もすごくよく分かります。ただ、坂越先生が先ほどおっしゃったように、適正配置というルートがすぐに実現できないのであれば、それを言い続けることは大切なんですけれども、量を増やすだけではなくて、機能強化・効率化によって、今の力をパワーアップさせるというような知恵を出していくということも同時に必要なのではないかと思います。なかなか難しい方程式ですが、先ほど来、お話を伺っていますと、まさに最前線で活躍されている、専門的な知見をお持ちのすばらしい先生方で構成されている委員会というふうに受け止めましたので、併せて、次善の策ではございますけれども、量に拘泥するだけではなく、ぜひ機能強化の側面についても先生方の御意見を伺っていきたいと思ったところです。
 最後は感想でございます。ぜひ誤解のないように、量なんか要らないよという意味ではありませんので、それがちょっと遠いのであれば次善の策ということで、意見を言わせていただきました。
 以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。貞廣委員さん、本当にうまくまとめていただいて、教師の在り方特別部会の論議の中に、私たちの会議の論点をどうやってうまく落とし込んでいったらいいのか、そういった辺りのポイントをお話しいただけたのじゃないかなというふうに思います。
 本当に、縦横という言葉使われましたけれども、確かにそうですよね。一人配置で御苦労は多いのだけれども、でも、今やもう本当に学校はチーム学校で、全員が一緒に子供たちの健康を考えなきゃいけないということになりますしね。また一方で、これだけ学校がネットワーク化というか、GIGAスクールだけじゃなくて、教員同士の、他校の教員とのネットワークもかなり取りやすくなっていると思うので、そういう中での、例えば栄養なり養護なりの指導教諭的な方ですよね、そういう方がちゃんと位置付いて相談ができるようになれば、やっぱり研修の質も上がるかなというふうに思います。ありがとうございます。
 まずは全員に御発言いただいたのですが、もう少しだけ時間ありますので、ほかの委員のお話を伺って、また何かお考えがありましたらお願いします。
【三木委員】  最初の資料で、また質問ありますかということで、いいですか。質問に入って。
【坂越座長】  どうぞ。
【三木委員】  参考資料1の養護教諭の職務についてです。職務内容のところの「児童生徒の健康、環境衛生の実態・・・云々」、これは、昭和47年の保健体育審議会答申での提言と思います。「令和の日本型学校教育・・・答申」の48ページに、「健康を保持増進する全ての活動を担う養護教諭・・」とあります。いわゆる「保持増進」の「保持」というのは、どちらかというと、職務の具体的内容の健康管理に入ると考えます。従って「保持」の文言を付けていただいた方が、健康管理のイメージにつながると思います。この辺は質問も兼ねて申し上げます。
【坂越座長】   令和の日本型学校教育答申と、それから先の保体審とが齟齬しているわけではないとは思うのですけど、もし事務局の方でコメントありましたらお願いします。
【事務局】  事務局でございます。三木先生おっしゃるように、元々この職務内容に書いてあるところについては、この令和3年の答申を必ずしも全ては踏まえられてないと思っております。ですので、この参考資料1につきましては、冒頭申し上げましたけれども、この会議の取りまとめの際に公表したいと考えてございますので、記載内容につきましても、御意見等あれば、それを踏まえて直させていただく、そういう対応を取りたいと考えております。今の三木先生の御意見については承りましたので、改めて検討させていただきます。
【三木委員】  ありがとうございました。
【坂越座長】  何か冒頭の事務局説明にもありましたとおり、この資料は確認いただいて、修正なら修正をした上で公開するという方針のようですので、またほかのところについてもお気付きがありましたらお願いしたいと思います。ほかによろしいでしょうか。
(「なし」の声あり)
【坂越座長】  1回目、先生方から本当にいろんな御意見をいただきまして、ありがとうございます。今日出たいろんな意見を事務局の方でまた整理していただいて、次回以降、論議を深めていきたいというふうに思っています。
 また、なかなかやっぱり限られた時間と、それからこういう場面で言い足りなかった思いもおありかもしれませんので、もし何かございましたらメールで事務局の方に送っていただけたら、次回の会議の中でそれをうけてまた考えさせていただくというふうに対応したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 特に委員の皆さんから御意見、御質問がなければ事務局に返そうと思うのですが、よろしいでしょうか。それじゃあ、事務局、お願いします。
【事務局】  今、弓倉委員でしょうか。
【坂越座長】  弓倉委員さん、ごめんなさい、手が挙がっていました。どうぞ。
【弓倉委員】  すいません、資料3の教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部改正の法律、これを改正されたということで、これは更新制のところだと思いますけれども、今日さんざん栄養教諭や養護教諭の内容について、例えば研修について、この法律、法定化されていないために課題である、問題であるということがお話に出ました。その辺は運用で何とかならないかという、ICT化で円滑化するという方向も出てくるのではないかというお話もございました。
 いずれにせよ、やっぱり一人職でいますと、どうしても養護教諭の先生方、特に若い先生方はなかなか成長しづらい。あるいはちょっと間違ったやり方で入ってしまうと、誰も咎めようがないというのをどのような形でケアしていくか、フォローしていくかと。ある程度やる気のある方々は御自分の時間を潰してでも研修の機会を取って勉強されたりするんですけども、なかなかそうでない方の場合にはそれをどうするのかということがございます。ここの法律を改正したことで、ちょっとここが私の質問なんですけれども、養護教諭の方や栄養教諭の方の研修を、例えば校長とかが認めることで研修につなげるというような、そういういわゆる運用としてのルートは可能なのかどうかと、この辺はちょっと事務局の方になってしまうのかもしれないんですけれども、法律の解釈についてちょっと教えていただければと思っております。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。すいません、また事務局にお願いしますけど、それこそ今日の報道なんかでも出ていましたように、具体的な運用についてはまだこれから詰めなきゃいけないというような話かなとは思うのですが、事務局、どうですか。
【事務局】  まず、大前提としてでございますけれども、この2時間の議論の中で、養護教諭と栄養教諭について、初任者研修と中堅教諭等資質向上研修、指導改善研修等について、法令上の対象になっていないという御議論がございました。一方で、資料3にございます教育公務員特例法と教育職員免許法について、例えばその指標の策定でございますとか教員研修計画の策定、また、研修等に関する記録というのは、それは教諭だけではなく養護教諭や栄養教諭も対象となってございますので、そういう意味では、初任者研修とか中堅教諭等資質向上研修とは異なりまして、養護教諭、栄養教諭も教諭と同じ形で適用されることとなります。
 なので、それは今、座長がおっしゃったように、運用面はこれから詰めていくことになると思うんですけれども、それによって養護教諭や栄養教諭が置き去りになるということにはならないと考えてございます。
【弓倉委員】  分かりました。ありがとうございます。
【坂越座長】  ありがとうございました。御発言が残っていたのに見逃してしまってすいません。
 よろしいでしょうか、ほかには。
【三木委員】  今の件ですけど、企画官がおっしゃったことで安心しました。というのは、この資料3は、いわゆる初任者研修のときには「教諭等」であり、養護教諭や栄養教諭は入らなかったので、これはいわゆる養護教諭も栄養教諭もここに入っているということで理解していいということが分かりましたので、ほっといたしました。
 また、事務局より、今日の論点の1から6まで説明されました。これについて座長の方から、これは教員として基本的なことも含むだろうということでしたので、私は、この論点一つ一つについて意見というよりも、包括的な内容で申し上げたということを御理解いただければと思っています。説明された論点と食い違うのではないかと気になっています。今日は、いわゆる団体としての今までの考え方で述べさせていただきましたことを申し添えます。ありがとうございました。
【坂越座長】  いえいえ、それはもうありがとうございます。
 ということで一応、今日の御議論は終わりにしたいと思います。委員の皆様方、御協力ありがとうございました。また引き続き、次回、論議を深めていきたいと思います。
 事務局の方にお返ししますね。
【事務局】  本日は本当に様々な御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
 今日いただきました御意見につきましては、事務局の方で整理をさせていただいた上で、今回御意見いただいたことについて、全てが全てこの会議で解決するための方策を出してくれということまで申し上げているのではございません。もちろん解決のための方策が出せるもの、また、場合によっては課題を指摘して、今後さらに検討すべき事項というものもあるかもしれません。そういった観点も考えながら、我々の方で少し今日いただいた御意見等を整理したいと考えてございます。
 また、本日の議事概要につきましては、後ほど事務局の方で作成いたしまして、委員の皆様の方にメールでお送りいたしますので、御確認の方をよろしくお願いいたします。
 また、次回の会議につきましては、5月30日にまたこのようなオンラインの方で開催する予定でございますので、御承知おきください。
 事務局からは以上でございます。
 冒頭、また、会議中も含めてでございますけれども、ICTの関係で御迷惑をおかけしまして、すみませんでした。
【坂越座長】  すいません、座長が最初からマイクをミュートにしていたのは本当に申し訳ありませんでした。
 これで第1回の養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議を閉じさせていただきます。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

―― 了 ――
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