令和7年7月17日(木曜日)13時00分~15時00分
文部科学省※対面・WEB会議の併用(傍聴はYouTube Liveのみ)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)
【堤専門官】 機材トラブルにより、定刻より2分遅れましたが、ただいまより第2回学校における持続可能な保健管理の在り方に関する調査検討会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、誠にありがとうございます。本日もよろしくお願いいたします。
はじめに、委員の交代がございます。辻野委員に代わりまして、吉田委員が新たに加わっておりますので、御報告いたします。
次に、本日の出席状況についてでございます。本日も全委員御出席でございまして、うち、遠藤委員、富永委員、子吉委員、藤高委員、渡辺委員につきましては、オンラインでの御出席です。また、本日は参考人として、公益社団法人日本小児保健協会会長・国立研究開発法人国立成育医療研究センター成育こどもシンクタンク副所長 山縣様、一般社団法人日本児童青年精神医学会代表理事・奈良県立医科大学精神医学講座教授 岡田様、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター情報管理・解析部臨床研究計画・解析室室長 竹田様、一般社団法人子どものこころ専門医機構理事長・社会医療法人啓仁会堺咲花病院副院長 村上様、独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター小児アレルギー科医長 土生川様に御出席いただくほか、本日もオブザーバーとしまして、こども家庭庁成育局成育基盤企画課、母子保健課、厚生労働省医政局地域医療計画課、同省健康・生活衛生局健康課も出席しております。なお、一部のオブザーバーにつきまして、早退の可能性がございますので、あらかじめ御承知おきください。
次に、オンラインで御参加いただいている皆様に、御発言の仕方などを御説明させていただきます。会議中、御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックいただきまして、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いします。また、議題に対し御賛同いただく場合は、カメラに向かってうなずいていただくことで、「異議なし」の旨、確認させていただきますので、よろしくお願いいたします。
続いて、資料の確認を致します。本日の資料は、事前にお送りましたとおり、まず議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、あとは参考資料が4種類ございまして、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4です。
なお、主にユーチューブ配信傍聴の方への御案内になると思いますが、資料2につきましては、後日、ホームページ掲載とさせていただきますので、あらかじめ御了承ください。
議事に沿って画面共有にて御覧いただきますけれども、不足がございましたら、委員の皆様に事務局よりお送りさせていただきますので、コメントまたは御発言にてお申出いただければと思います。
それでは、以後の議事進行につきましては、髙田座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【髙田座長】 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、本日より新しく加わっていただきました吉田委員より、自己紹介等お願いいたします。
【吉田委員】 よろしくお願いいたします。全国養護教諭連絡協議会の吉田と申します。
本年6月から、前任の後任として会長になりました。現職養護教諭の立場から、本会検討委員を務めさせていただきたいと思っております。
私は35年間、高等学校の養護教諭として勤務してまいりましたが、養護教諭の代表として、幼、小、中、高、特別支援学校など様々な校種や地域の養護教諭の目線を忘れずに参加させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【髙田座長】 ありがとうございました。
それでは、議事次第に沿って進めていきたいと思います。まず、弓倉委員より資料の御提出がありましたので、御説明をお願いしたいと思います。御説明のお時間は10分程度で質疑10分程度、合わせまして20分とさせていただきたいと思います。それでは弓倉委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【弓倉委員】 ありがとうございます。日本学校保健会の弓倉でございます。
前回の検討会で私が発言した内容について、資料を使って説明させていただきます。本日お話しする内容は、学校医が不足している現状と将来、そして日本の学校健康診断の歴史を振り返りまして、その項目や考え方がどのように変遷してきたかの概要を簡略にお話しいたします。文部科学省の方が参考資料4として今日御提出いただいておりますが、それをまとめたようなものになります。
現在の法律では、学校健康診断は学校医が行うことになっております。しかしながら、学校医は多くは診療所の医師であること、したがって地域の医療資源に依存するということを前提にお話をさせていただきます。キーワードは、医師の高齢化、医療機関の偏在・減少、診療科の偏在及び人口減少と考えております。
まずは医師の高齢化と医療機関の偏在・減少についてお話しいたします。これは、厚生労働省の令和4年の医師・歯科医師・薬剤師統計の概況から、医療機関の施設別医師数の推移を示したものでございます。医育機関は大学病院です。診療所の医師は緩やかに増加していましたが、高齢化が問題になっております。令和4年の時点で、開業医の平均年齢は60.4歳となっております。開業医の高齢化が目立っております。
これは、都道府県別に県単位で見た医療施設に従事する人口10万対の医師数でございます。西高東低の傾向があり、埼玉県が人口10万台では最も医師数が少ない県となってございます。
これは、厚生労働省が令和6年に行った、新たな地域医療構想等に関する検討会の資料のスライドをお借りしてまいりました。そこでは、医師偏在指数という指標を使いましても同様の傾向が見られております。
先ほど診療所は微増しているとお話しいたしました。しかしながら、地域の人口減少は医療機関の減少につながります。同じ検討会の資料でございますが、厚労省は、診療所の医師が80歳で引退し、継承がなく、二次医療圏で新規開業がないと仮定した場合においては、関東地方においても人口減少に伴い、2022年の診療所医師数3万7,596人が2040年には2万2,011人と、41.5%の減少が見込まれております。なお、青塗りされているのは、50%以上、診療所医師数が減少すると予想されている二次医療圏になります。
先ほどは関東を示しましたが、中部地方においては、同様の条件で2040年には48.4%の診療所医師が減少すると言われ、50%以上減少する青の範囲が広がっております。このように、学校医を担う診療所医師は激減していく可能性が高いとされております。
次が診療科の偏在でございます。平成20年を起点としてどのような科を医師が選択しているかということをお示ししておりますが、一番上の4つは、リハビリテーション科、形成外科、麻酔科、放射線科の4つでございます。学校医を担う内科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科は、微増あるいはほとんど増えておりません。医師数全体は増加しても、これらの科の医師不足は続くと考えられます。
御存じのように、公立の学校は原則として教育委員会からの推薦依頼を地区医師会が受けて推薦するところが多いのですが、今まで示したように、医師の高齢化、診療所の偏在・減少に伴い、学校医の交代時に新しい学校医を推薦することが困難になってきており、日本医師会レベルでも問題化してきております。
まとめますと、学校医は地域の医療機関、特に診療所に依存しております。学校医不足は、診療所医師の高齢化、医療機関の偏在と減少・診療科の偏在、人口減少が大きな要因と考えられます。厚生労働省でも様々な対策を取っていただいておりますけれども、医師の養成には十年、二十年という期間が必要になること、それから人口減少地域では医療機関の減少がやはり続くだろうと考えられることから、学校医不足は大きな課題であると考えております。
学校医の現状についてもほとんど知られておりませんので、1つ紹介させていただきます。
学校医に対する全国調査というのはほとんど行われておりません。眼科医会、耳鼻科医会の医会単位では行っているようでございますけれども、私の知っている限りでは、学校医全体について調査したのは、平成28年に日本医師会が全国の地区医師会に依頼して行ったアンケート調査が最新だと思っております。日本医師会の御了解を得たのでその内容をちょっと紹介させていただきます。
平成28年のものでございますけれども、内科学校医の当時の年齢分布でございます。この時点では50・60代が主でしたけれども、これらの学校医が交代せず継続していたとすると、ほぼ10歳ずつ高齢化してきていると推察されます。ちなみに、私も内科の学校医をしておりますけれども、この当時は61歳でしたが現在71歳になっております。ちょうど10年たって、高齢化してきているということになります。
これは、眼科学校医や耳鼻科学校医が配属されていない学校で、内科の学校医がそれらの科の健康診断を行ったかということですけれども、僅か15.1%しか行われていないという状況でございました。
これは、健診以外の学校医業務に学校医がどれだけ従事してきたかという内容でございます。
問題なのは、学校医の約30%、ここでお示ししているのは内科・小児科の学校医ですけれども、その35%が、感謝されたことがない、やりがいを感じたことがないと回答しているということでございます。学校医の報酬は地域差が多いと言われております。やりがいがないという医師で、ちょうど下のほうのクエスチョン25のところです。「義務」、「業務」、「医師」というキーワードの割合が多かったというのは、学校医になるのも、これは大体、医師会から推薦されるために、自分が希望して学校医になるわけではないということも影響していると思われます。
学校医が今後の学校保健活動をよりよくするために重要なこととしては、教職員等とのコミュニケーション改善、マニュアル整備、新たな検討課題に対して整形外科や精神科、産婦人科、皮膚科の医師に協力医になってもらう、適正な学校医報酬にしてもらうなどの回答がございました。
学校医は産業医と異なりまして、自分が希望して学校医になるというのではなくて、医師会や医会の推薦で学校医になるケースが多く、義務感で学校医となっている場合もある。その際にはなかなかやりがいが得られないということが言えるかと思います。最近の脱衣に対する批判は学校医のやりがいをさらに悪化させているのではないかと推察いたします。学校医は産業医のような単位取得を必要とする研修会がないため、マニュアル整備を望む声も多く、日本医師会は令和6年に「学校医のすすめ」というマニュアルを作成いたしました。このようなことが現状の学校医の状況かと思っております。
次は学校健康診断について、歴史を簡単に振り返らせていただきます。
法的位置づけのスライドは省略いたします。
これは、学校健康診断の目的と役割、実施体制などですが、こちらも省略いたします。
学校健康診断の歴史は、明治11年に西洋体操を導入して、その効果を判定するために活力検査を開始したことが始まりと言われております。その後、明治30年に学生生徒身体検査規程が公布され、スライドに示すような項目が定められました。学校医制度が創設されたのは明治31年でございます。
昭和12年に学校身体検査規程が公布され、そのときに、身体検査は6月末までという規定が生まれました。ちなみに、水泳授業のきっかけになった紫雲丸の沈没事故は昭和30年でございます。昭和33年に学校保健法が制定され、「健康診断」となり、昭和48年に心臓の疾病及び異常の有無や尿検診が追加され、平成28年には四肢の異常が追加されました。これらは時代の変遷に伴う改定とされておりますけれども、6月末までという期間制限については継続したままでございました。
これは参考スライドでございます。健康診断が6月末までと定められた昭和12年の学校身体検査規程でございます。当時の官報を確認いたしました。多くは身体計測で、内科として取り上げられたものは栄養、その他の疾病でカリエスに注意するということになっております。カリエスは、御存じのように結核性疾患です。
スライドは、昭和19年の学校身体検査規程でございます。第4条は主に身体計測に係るところで、疾病異常の内容がより具体化されておりますが、内科疾患は結核性疾患、身体虚弱、精神薄弱、及び運動機能障害ということになるかと思います。
これが最後のスライドです。学校健康診断の歴史を振り返りますと、栄養状態、身長、体重等が重視されておりまして、6月末までと規定された昭和12年の身体検査規程の検査項目は、現在の学校健康診断の内容、特に学校心臓検診や尿検診などのない時代のものであり、健診項目や6月までの規定についても、必要に応じて見直されることはやぶさかではないと考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
【髙田座長】 ありがとうございました。
ただいま弓倉委員から、学校医の不足、学校医の実情、それから学校健診の歴史的推移につきまして御説明をいただきました。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら挙手をお願いしたいと思いますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
明神委員、お願いいたします。
【明神委員】 浜松医科大学の明神でございます。
質問というか意見になるのですけれども、私自身、地域医療構想の研究班に入らせていただいていまして、今、弓倉委員がおっしゃった内容に関しまして、現状や今後の医師数の見込みというのは強く同意するところがあります。実際、診療所であったりクリニックの医師数は、都市圏の一部を除いては、もう間違いなく減っていく。そうすると学校医の先生方も減るというのが、間違いないかなと思います。ただ、10年後、20年後というのは、今また事情が変わっていると思いまして、今足りているところが、将来まだ足りているエリアもあれば、足りなくなると。ただ、今足りていないところが、そこから正直、医師数が増えるというところはあまり考えにくく、ただその後、10年後、20年後にまだ足りないケースであったり、お子さんが逆にいなくなって、そもそも需要がなくなるケースというのも、それぞれあると思います。今回、こちらの検討会というのが、持続可能なというところに重きを置いていると思いますので、それぞれ今足りている地域もあれば足りていないところもあって、それぞれの地域に応じて持続可能なところを見つけていくのがいいのかなと考えております。
以上でございます。
【髙田座長】 ありがとうございました。弓倉委員、何かございますか。
【弓倉委員】 ありがとうございます。私も強く同意するところでございます。
今足りていない地域というのは、実は地方ではかなり多くて、学校医の先生方が頑張って複数校を持っていることで、それがあまり顕在化していないというだけでございまして、そういう先生方が逆に言うと高齢化して、もう辞めますというときに、複数校の整備を、では新しい学校医の先生方になっていただける方がどれだけいるかということも大きな課題になるだろうと思います。もう既に人口減少で、私の知っている某県の医師会長も、新規の会員がほとんどいないと、どんどん辞めていくとおっしゃっておりますので、実際、もうそういうことは現実に起きていると考えてよろしいかと思います。できるところとできないところが分かれておりますが、複数校とかそういうところ、要するに学校医への負担がどんどんかかってきていて、そこを何とかみんな、学校医の先生方がしのいでくれている状況なのだろうとは思っております。
【髙田座長】 ありがとうございました。明神委員、よろしいでしょうか。
【明神委員】 大丈夫です。ありがとうございます。
【髙田座長】 そうしましたら、オンラインで参加いただいております渡辺委員、お待たせしました。御発言をお願いいたします。
【渡辺委員】 私は弓倉先生の御発表に対して、まず異論などは全くなくて、同意しているところですけど、少し述べておきたいのは、1つは、弓倉先生の資料の17ページに記載があるように、示されたアンケートというのは悉皆調査ではなくて、地区医師会に一定数の、例えば耳鼻科が何件、内科系が何件という形でアンケートを取っていますので、バイアスがかかっていることを御承知おきいただきたいということです。13ページに書かれている15%というのは、内科校医が代替して診療しているということになっていますけれども、実際に耳鼻科・眼科検診を実施できていないところは多数あるし、御存じのように、全く眼科と耳鼻科が配置されていない県も存在しますので、この数字はあくまで今回の対象を限定とした数字と解釈していただきたいと思います。
それから、偏在というのは、数もそうですけれども、科による偏在というのも実際に存在しておりますので、先ほど明神先生がおっしゃられた、地域に応じたというのは、言葉としては非常にいいんですけれども、逆に言うと、地域差があるような学校健診であってもならないと思うんです。一定レベルはある程度キープした段階で、地域の特性に即したということをぜひ検討していただきたいと思います。そういう点で、医師が確保できないところで、現時点で6月末までに健診を実施しなければいけない必然性と、子供たちにきちんと健診をするということの質の担保を、ぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
【髙田座長】 補足説明と貴重な御意見をありがとうございました。弓倉委員、追加でございますでしょうか。
【弓倉委員】 私からは特にございません。ありがとうございます。
【髙田座長】 ありがとうございます。そのほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、弓倉先生、本当にありがとうございました。
続きまして、議題2の関係団体等へのヒアリングについて行っていきたいと思います。
本日は、公益社団法人日本小児保健協会、山縣参考人、一般社団法人日本児童青年精神医学会、岡田参考人、竹田参考人、一般社団法人子どものこころ専門医機構、村上参考人、土生川参考人より御説明いただきます。ヒアリングにつきましては、それぞれ御説明10分程度と質疑10分程度を合わせまして、20分とさせていただきます。なお、各参考人におかれましては、質疑終了後、御退席していただいて差し支えございません。
それでは、公益社団法人日本小児保健協会、山縣参考人よりヒアリングを行います。御説明資料につきましては、資料2となっておりますので、よろしくお願いいたします。
山縣先生、お願いいたします。
【山縣参考人】 日本小児保健協会の山縣でございます。今日はこのような場を与えていただきまして、ありがとうございます。
まず、日本小児保健協会は、小児科学会、小児科医会、小児保健協会、あとは小児科外科学会と、小児科の四者協と呼んでいますが、そういった小児科の主要な学会の一つということになっております。さらに、ほかの3団体が医師で構成されていることに対して、日本小児保健協会は多職種で構成されております。中に17の委員会がございまして、その中に学校保健委員会もございます。最近ではコロナ後の学校生活に関するポイントを示したものを小児保健協会から提示しているということであります。今日は小児保健の視点から見た学校健診ということでお話をさせていただきます。
学校健診の意義を小児保健の立場からお話しすることと、私たちが今考えています課題について御説明いたします。
まずここにあるように、学校健診というのは、学校生活を送るに当たって支障があるかどうかについての疾病スクリーニング、そして健康状態を把握するという役割と、その課題を明らかにして健康教育に役立てるということであります。
では学校生活で必要な、支障があるとはどういう健康状態なのかということでありますが、学校生活というのは、教科課程、それから教科外活動、給食、掃除等と、言ってみれば児童生徒の生活そのものでありまして、この児童生徒の生活に支障がない健康状態というのは、もうまさに子供たちの健康そのもの、バイオサイコソーシャルに健康であるということであります。
例えば教科に関しては、最近、医学の発達で、学習障害というのを早期に発見して早期に介入することによって、子供たちの困り具合も改善するというように、こういったことについても早く把握をしておく必要があるものだと思っております。また、学校健診は、児童生徒の心身の健康状態を把握できる項目であるべきなのですが、限られた時間と限られたリソースの中で、他の健康関連情報といったもの、児童生徒の健康カルテのようなものを作って、総合的に支援していくということが必要であろうと思っています。
公衆衛生、保健の視点から言いますと、ポピュレーションアプローチというのが重要で、御存じのように、ポピュレーションアプローチというのは、集団の健康課題を明らかにして、集団の健康リスクの軽減を図るということです。具体的な手法としては、まず健康課題の把握。これはまさに健康診査が中心になってくるわけですが、この際に、横断的ではなく、経年的な変化というのが非常に重要視されています。さらには、それに関連する生活習慣など、生活の情報なども必要です。既に学校では、経年的な変化を見て、成長曲線を活用した健康支援も行われているところであります。
それから2番目に、解決課題の優先順位を決めていくと。これはまさに、健診結果を集団としてしっかり分析すると。そのためにはデータの利活用が必須でありまして、現在、学校保健情報のDXも進められていますが、こういったものはとても重要な視点だと思います。
3つ目に、その解決方法として、1つは予防の視点から、健康教育による健康行動の改善、それから第2次予防として専門家との連携というのが現在もされているところですが、やはりまだまだ地域差があるということは先ほどのお話でもあったように思います。
例えばデータとしては、これは我々のデータですが、生活習慣とメディアの時間によって、生活習慣が非常に影響を受けていると。であるから、メディア時間に関しては改善していかなくてはいけないということを、これによって地域で啓発したデータとして使われています。
同じく、例えばネットの使用時間に問題があるお子さんは、やはり就寝時間が遅くなりますし、さらには鬱傾向、これはバールソンのデプレッションのスケールを使ったものですが、それでも明らかに出ており、こういったデータをやはり学校の健康支援につなげていくということも、データを解析することによってできると思います。
次は、ライフコースアプローチの視点であります。国の健康づくり運動として「健康日本21」、その小児・母子保健版として「健やか親子21」がありますが、いずれもやはり将来を見据えた、特に「健康日本21(第三次)」、昨年から始まっているものについては、「ライフコースアプローチ」という言葉が初めて入りました。その中で、子供たちに対する健康支援に関して、将来を見据えた健康支援が必要だということであります。
「健康日本21(第三次)」の中では、子供の生活習慣というのが指標としてなっておりますが、これは、成育医療等基本方針に基づく成育医療と、それによる運動であります「健やか親子21」の指標と同じく、整合性を合わせています。
その中で、やはり子供の健康の問題というのも指標として挙げられているところですし、それからプレコンセプションケアについては、まだ十分な資料がなかったのですが、今年5月に推進5か年計画の中に指標が入ってきましたので、次回からはこれと整合性を合わせたものになっていくと理解しています。もちろん、歯科の領域も重要です。
こういった将来にわたってというのは、もう科学的に、御存じのように、DOHaDの概念、Developmental Origins of Health and Diseaseという、胎児期から新生児期の環境というのが将来の生活習慣病等に影響するということが明らかになってきていて、例えばそういう情報も、乳幼児期からのデータと学校健診を結びつけて解析することによって、これは我々が2007年に出しているものですが、妊娠の初期に喫煙をしているお母さんから生まれたお子さんというのは比較的小さく生まれるわけですが、5歳のときには肥満のリスクが4倍以上ですし、まだ学童期でもそれが2倍残っているといったことを明らかにしているものです。
心の問題というのは、私たちはやはりとても重要だと考えております。学校保健安全法の中の健康相談で、児童生徒等の心身の健康に関して健康相談を行うとありますが、健康相談を行うためには健康状態の把握が必要で、第1には、子供は毎日変わりますので、毎日の状況の把握をする。これは結構、最近、文科省のGIGAスクール構想の中で、1台1端末で、朝、元気かどうかというチェックをして、それを担任の先生が見ながら声かけをしていくというようなことも広まっており、これは非常にいいと思います。2番目は、保護者等からの情報の把握。そして、本質的には、しっかりしたスクリーニングとしての健診の中での把握というのが必要ではないかと思っております。このような形をすることによって、ポピュレーションアプローチ、全ての子供たちに対して、問題を早いうちに見つけて、そして専門家につなげていくことが必要だと思います。
学校健診の課題ですが、私たちは最近、不登校のお子さんが、文科省の情報でも小・中学校で35万人近くなっている中で、そういうお子さんたちの健康支援・健康管理というのを誰が行っていくのかということに関して問題意識を持っております。そういった仕組みづくりというのが必要ではないかと考えています。
それからもう一つは、学校健診の精度管理であります。つまり、今行っている健診の効果というのを見ていく必要があると。例えばそういう中では、ビッグデータの活用、健診データと疾病発症、例えばレセプトや、学校医の先生からの情報によって、そういうものを連結することによって、より効果的な健診を進めていくことができるのではないかと思っております。今年度から、乳幼児健診に関しては、そういった研究班が立ち上がりましたので、今後、様々なデジタルトランスフォーメーションがつながる中で、こういった分析が必要になってくるかと思っております。
余計なことですが、戦後、200万、お子さんが生まれたときに、ただ1歳になることができなかったお子さんが20万人もいて、今は、一昨年は1,326人ですが、このことは、いわゆる子供たちの多様化によって未知なる課題が出てきたときには、今後ますます進んでいく医学の進歩を、なるべく早く社会に実装していくこと。そして、多職種による連携というのが、ますますこういった課題の解決には必要ではないかと思っております。
以上です。どうもありがとうございました。
【髙田座長】 山縣参考人、ありがとうございました。御説明いただきました内容は、小児保健の視点からの学校健診の意義ということで、学校健診の意義について、ポピュレーションアプローチの視点やライフコースアプローチの視点、心の健康状態を把握することの意義、それから学校健診の課題について、分かりやすく御説明いただきました。
御説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】 日本医師会の渡辺です。いつも山縣先生にはお世話になっております。ありがとうございます。
山縣先生がまずおっしゃった、学校健診と健康管理や健康教育に関する対応というのは全くそのとおりだと思います。健診をしたまま終わるのではなくて、やはり子供のヘルスリテラシーの向上に役立てるような活用と、それから先生がおっしゃられた母子保健との関連もあると思うのですけれども、DXなどのデータ管理をして利活用するという概念をぜひ進めていただきたいと思います。
もう一つは、学校医、特に内科系の学校医のほとんどが実は内科医だというのは、先生も御存じだと思うのですけれども、ほとんどの学校保健に関する研修会というのは、小児科学会や小児科医会など、先生のところの小児保健学会もそうですけど、小児科医の学会関係が多くて、内科関係のところはほとんど実施されていないというところがありまして、そこがやはり学校医の意義も理解できないし、先生が今日御提示された情報も十分周知しないまま学校医に就業するというような状況があるのではないかと思います。ぜひ先生の学会でも、内科系の医師と関係するような形で情報の周知をしていただきたいなという、これは希望でございます。
それから12ページ、学校健診の精度管理は非常に重要な視点で、私も以前からこの点を文科省の方にお願いしているところでございますので、ぜひこの観点を委員の先生方も御理解いただき、やったからおしまいというのではなくて、ちゃんとできたかという検証をすることをぜひ御検討いただきたいと思います。
最後に不登校に関しては、これも文科省の方とも話してきた内容なのですけれども、不登校の児童生徒の健康管理を学校がやるのかと聞かれたときに、そう言われても、というのが正直なところでした。ですから、不登校の児童生徒の健康管理というのを学校がするのかどうかというのも含めて、また御検討いただきたいと思います。
私からは以上です。
【髙田座長】 ありがとうございます。山縣先生、いかがでしょうか。
【山縣参考人】 渡辺先生、本当にいつもありがとうございます。今日も重要な御指摘をありがとうございます。特に、情報の利活用や精度管理の問題に関しては本当にやっていかなくてはいけないことだと思っております。
それから、内科系の先生方の学校健診に関する研修というのは本当に重要で、結構、医師会などでもいろいろとされていると思うのですが、やはり学会としてもそういう取組を本当にしていかなければいけないなと思っているところであります。本当にどうもありがとうございました。
【髙田座長】 ありがとうございました。渡辺委員、追加で御発言はございますでしょうか。
【渡辺委員】 先日、日本プライマリ・ケア連合学会と、日本臨床内科医会、理事長さんにお会いして、学校保健に関する情報提供をこちらがさせていただくことと、各団体において学校保健に関する情報を周知できるような場をつくるか、活動していただきたいというお願いをしたところでございます。できれば、山縣先生が主催なさっておられるような、小児科系が中心になった、これまでの歴史のある学校保健の活動と、内科の先生が多く入っておられる医療団体との連携をぜひ深めていただきたいと思います。以上です。
【山縣参考人】 ぜひその際には渡辺先生、お力をいただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。
【髙田座長】 ありがとうございました。そのほか、御質問、御意見等ございますでしょうか。
そうしましたら長沼委員、お願いいたします。
【長沼委員】 学校歯科医の立場からですけれども、結局、学校で学校健診を行って、専門家としての意見を言いたいのですが、要は学校保健委員会が、設置はされているのが100%だと思うのですけれども、実施されているところが多分少ない。ましてや、2回開催されているところはもっと少ないということで、学校健診をやっても、そのデータが我々のところに入ってこないし、ましてや、そこで意見を言う場がないというところも現実にありますので、できれば文科省から、働き方改革もあるでしょうけれども、やはり学校で学校保健委員会をしっかりと開催して、学校健診を有効に活用するようにすることが、データの利活用になるのではないかと思います。以上です。
【髙田座長】 ありがとうございました。山縣先生、特に何かございますか。
【山縣参考人】 では一言だけ。先生の本当に重要な御指摘で、実は2001年から始まっています「健やか親子21」の指標の中にも、学校保健委員会を開催している学校の割合というのが指標に入っておりまして、先生が言われるように、100%設置はされているけど、実際にやっているところはあまり多くなかった。ただ、その後かなり、恐らくこれは医師会の先生方の呼びかけだと思うのですが、開催されてはきています。ただ、中身がどういうものかという、次はそういう話かなと思いました。どうもありがとうございます。
【髙田座長】 ありがとうございます。長沼先生、追加で御発言はよろしいでしょうか。
【長沼委員】 ありがとうございます。結構です。
【髙田座長】 ありがとうございます。そのほか、よろしいでしょうか。
それでは、山縣参考人へのヒアリングは、これをもちまして終了させていただきたいと思います。お忙しいところ、山縣先生、ありがとうございました。
【山縣参考人】 ありがとうございました。
【髙田座長】 山縣先生におかれましては御退席いただいても構いませんので、よろしくお願いいたします。
続きまして、一般社団法人日本児童青年精神医学会、岡田参考人、竹田参考人よりヒアリングを行います。資料3につきまして、竹田参考人より御説明いただけるとのことですけれども、御準備はよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
【竹田参考人】 よろしくお願いいたします。国立精神・神経医療研究センターの精神科医をしております竹田と申します。このような機会をいただきまして、ありがとうございます。それでは、発表させていただきます。
この辺は釈迦に説法かと恐縮でございますけれども、メンタルヘルスといいますと、病気の予防だけではなくて、他者と関わりながら自分らしく生活できる意欲的な精神状態、いわゆるメンタル・ウェルビーイングの状態であるということがWHOでも定義されております。
その中で、子供たちの低いメンタル・ウェルビーイングというのが、ユニセフの調査でOECD38か国中、37位と。もちろん、10代の自殺率が高いということもございますが、生活満足度10のうち6以上と答えた方が、日本の子供たちは6割と、他の先進国が80%を超える中でかなり差があるというところが課題としては指摘されております。
そういった中で、これは出生コホートで一番有名かと思います。ニュージーランドのダニーデンコホートですが、一方で15歳までに34%、18歳までに59%、さらに45歳までに86%が少なくとも1つの精神疾患の診断基準を満たすというような報告がされておりまして、ほかの報告でも70%を超えるようなものがほとんどということで、誰もがメンタル不調を生涯のうち1度は経験し、特に小・中学生での対応が重要であるということが示されております。
さらには、これは有名なハーバードの成人発達研究でございますけれども、実際、ウェルビーイングに何が関係しているのかという研究の中では、様々な要因よりは、やはり良好な対人関係というのが非常に重要であるということも示されております。
そういった中で、私どもは児童・思春期を中心に、生涯において誰もがメンタル不調を経験するということを踏まえて、子供のときからメンタルヘルスケアを当たり前にする、不調になる前から日常的に実践し、個々のセルフケアを高めるといった観点で、今、研究を進めております。
今回、児童生徒が日常生活で容易にアクセスし継続できるオンラインメンタルヘルスケアシステム、KOKOROBOの中学生版、小学生版というものを開発し、効果検証と社会実装を今行っているところでございます。そちらを御紹介させていただきます。
児童生徒におきましては、家族・友人・先生の悩み、あるいはそういった方々に相談できない悩みというものも十分考えられております。さらには、学校で全てを解決しなければならないということで非常にこれまで取り組まれていたところがあるとは思うのですが、学校で解決できないもの、あるいは学校だけで解決する必要がないもの、そういったものを、外部のものを使って協力しながらやっていければなという観点でございます。学校と連携し、学校の負担を軽減する。第3のつながりとして、家庭・学校以外のつながりを提供すること。それから、こういうメンタルヘルスの横断的な評価の限界でございます。特に子供たちの変化は様々でございますので、縦断的に毎月チェックできるようなシステムを入れていく。それから、医療へと最終的につながるようなセーフティーネットを持っているパッケージとして提供するということで、今、AMEDで研究しております。
今、東京多摩でも少し進めておりますが、メインとして三重モデルということで、5つの市町の教育委員会・教育長の御了解・連携の下、今、使用感調査を進めております。こういった教育委員会の全面協力、それからハブとなっております三重大学の教育学部の松浦先生、もともと御自身も教育者でいらっしゃいますけれども、そういった方々との連携の中で、私どものNCNP、それから奈良県立医科大学、杏林大学、それから三重県の連携医療機関の皆さんと連携しておりますし、またNPOさんとの連携、それから自治体様、健康福祉部等の連携で、広報や、中3から高1に移動すると、高校生からはもう既に実装しております成人版のKOKOROBOというのがございますので、そちらへ移行していただいたり、子供の評価だけではなく、保護者が悩みを相談できるKOKOROBO成人版の活用に対する普及といったことで、学校・教育を基盤として、医療・保健・自治体連携ということを進めております。
KOKOROBO中学生版は、GIGAスクール構想で各生徒に配られているICT端末を使って行います。図の右側にありますように、QRコードとランダムIDをそれぞれに付与しまして、その中に、ホームページにアクセスいただいて、まずは説明動画、子供たちが分かりやすい、親しみやすいような動画を3本ほど作っておりまして、こちらを見ていただいた上で同意を取らせていただいています。その上で、基本情報として、学校生活、家庭生活、悩み事、友人のことといったコミュニケーションについての質問をさせていただくとともに、評価尺度としてSDQやそれ以外のPHQ-Aなどの鬱・不安の尺度などを取らせていただいて、その結果を基にフィードバックとして、チャットボット、AIチャットボットやSNS相談、それからオンライン相談などをお勧めして、ほかの相談を使っていただくと。それで、オンライン相談の回数を踏まえた上で、必要となれば連携医療機関におつなぎすると。このシステムを1か月ごとに再評価していただきながら、ふだん使っていただこうといったシステムでございます。
質問への回答というのは、これは実際の画面でございますが、こういった基本情報、それからSDQでは、気分、不安、食行動の尺度を取らせていただきまして、右側が結果表示です。軸はポジティブな軸にして、どのぐらい自分が健康度かというのを示しておりますけれども、それとともに、何か困り事とか、この結果のことでもいいですし、何でもいいので相談したい場合は、下の相談を使ってくださいという形で提示しております。
オンライン相談については、もともと自然災害や地震のときなどに対面で行う心理的応急処置PFAというのがありまして、当センターでも全国的に、一般市民向けですけれども、こういった検証を行っておりましたが、今回はrapid PFAという、専門家、心理士や保健師、精神保健福祉士らが使うような、少し認知行動療法のエッセンスも入れたような仕組みを、日本語版をつくりまして、研修を行って、そういったものに、研修を修了した医師あるいは心理士が、大体Zoomを使って40分間ぐらいで無料で相談に乗るという仕組みでございます。
こういったもので、昨年の秋から春にかけて使用感調査をしておりまして、三重モデルの中で、5市の教育委員会さんとの連携で、基本的には全公立中学校での実施とさせていただいております。中学3年生などで受験期ということで省かせていただいたところもございますけれども、それで登録が1万2,000名ぐらい、研究等いただいた方が8,000人を超えておりまして、全ての項目に答えていただいた方が5,000人弱でございました。それぞれチャットボットやSNS相談へのアクセスがこのぐらいで、オンライン相談はなかなか相談に至らないというところがあったのですけれども、チャットボットはこの半分ぐらいの方はきちんとつながって、しっかりと御相談いただいたという経緯がございます。
生徒たちにもアンケートをしておりまして、質問や選択肢についてはおおむね好評で、ただ結果についても好評ではあるのですが、もう少し詳しいことを知りたい、もっとどうすればいいのか知りたい、対処法を知りたいという積極的な、自由記載のところに書いていただいているところもあるので、今そこを修正しております。
学年と性別はこのような形で、特に大きな隔たりはございません。
コミュニケーションについて我々は注目しておりまして、家族とのコミュニケーション満足度。ほぼいいのですが、やはり七、八%、10%弱の子供たちが、少し問題を抱えていそう。それから、困ったことを相談できる先生がいるかどうかで、3分の2はいるのですが、3分の1は少し、そういう先生はいませんと答えています。それから親友と言える友人については、10%弱の子供たちが、そういう友人はいませんと答えています。
相談については、親や先生の身近な対面でふだん接する大人以外に、そういう人たちに相談できないことで、ほかの人に相談したいという子供たちが17%ぐらいいて、多くは勉強の悩みが多いんですけど、実際には家族の悩みとか、自分の性同一性障害の悩みとか、かなりシビアなものであったり、ヤングケアラーとしての問題点などを記載していただいている生徒さんもいらっしゃいました。
我々成人版でも、もう既に論文化しておりますが、やはりコミュニケーションが非常に重要、つながりが重要ということで、家族とのコミュニケーション、友人、親友がいるかどうか、それから悩みを相談できる先生がいるかどうか、それから親や先生以外に相談したいことがあるかどうか。こういったもので分析をしております。
こういった形で、今後学校との連携を強化していきまして、もう既に各教育委員会ともミーティング、教育長とも意見交換を実施しておりますが、今後、保護者へのフィードバック、生徒へのフィードバックをしながら、メンタルヘルス教育というものを少し入れながら、教員の研修も、今、実施しております。それから、質問項目を簡便化して、4つのつながり項目である程度リスクは簡便に予測できますので、そういったことを使いながら、簡単にQRコードでいつでもどこでも生徒が使えるようにしていこうということを試みております。
今後、クラスターランダム化試験を実施していこうということで、全ての子供たちのレジリエンスや生活満足度を上げるために使っていただく。それから、一時的な変動とリスク変動の見分けですね。本当に横断的に見てしまうとリスクがありそうなんですけど、実際にはその次の月に見るとそうでもないということもありますので、そういったことをきちんと見分けるような仕組みを入れていくと。そして、リスク集団というのは先ほどの4項目でも大体15%ぐらいいますので、そういった子供たちの改善、それから学校単位でもスクールエンゲージメントの向上であったり、不登校生徒の孤立・孤独(COCOLOプランとの連携)といった形をしながらアプリ化し、全国実装に持っていけないかということを我々は考えております。
すみません。時間を超過しております。
こういったKOKOROBOを使いながら、我々は実際にはプラットフォームという将来的なことも考えておりまして、児童生徒が学校を中心に地域や社会と多様なつながりを持ち、メンタルヘルスケアを当たり前にできるような環境づくりといった第一歩として、ツールとしてKOKOROBOの中学生版などを御活用いただければと思っておりますので、今回、御紹介させていただきました。
以上でございます。
【髙田座長】 竹田参考人、ありがとうございました。「児童・思春期におけるオンラインメンタルヘルスケアシステム」ということで、KOKOROBO-Junior、中学生版を中心にお話をいただきました。
ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】 日本医師会の渡辺です。
竹田先生の試みは大変興味がありますし、私も学校保健の担当であり、かつ学校医を長くやった関係の理解もありますので、非常に重要な問題だと以前からも思っていますし、これからも進める必要があろうかと思います。
資料の7ページで、三重県モデルのところなのですけれども、三重県モデルの研究者というところが、岡田先生や竹田先生が奈良医大とか国立精神・神経センターにおられるのでこういう形になっていると思うんですけど、三重県の連携医療機関というのを、どういう選択をされたのかなというのが気になりました。例えば学校で、幾ら心の問題だから医療とは直接関係がないとはいえ、三重大学なら教育学部以外に小児科とか精神科に入っていただいてもよかったかなと思ったし、少なくとも学校保健会ぐらいは書いていただけたらよかったかなと、ちょっと私の立場で感じました。なぜ学校保健会が入らなかったのかというのが1点気になりました。
それから、さっき申し上げたように、連携医療機関につなげるというところの8ページですけど、この選択がなかなか難しくて、例えば、この次に発表なさる土生川先生の御発表もそうなんですけど、チャットボットとかSNSの相談とかオンライン相談をされて、臨床心理士さんとか医師が、これは医療系につなげようと思ったところの、つなげる先の医療機関がなかなか見つからないか、紹介しようと思っても、なかなか待ち時間が長い。3か月も半年も待つというのが、地域ではあります。恐らく東京の都内ではないかもしれませんけど、地方ではよくある話なので、連携医療機関のつなげ方の工夫をどういうふうにお考えになっておられるかというのを後で教えていただければというのと、それに関連する10ページのところに、無料オンライン相談が、研修を修了した心理士または医師ということになっているんですけど、どういう方がどういう場でどういう対応をするかというところが、きれいに整理できて、今後これが全国展開されるとお聞きしたんですけど、された場合に、どういう形でこのシステムを動かすかという構想を持っておられたらぜひお教えいただきたいと思いました。
質問が多くて申し訳ありませんが、以上です。
【髙田座長】 ありがとうございます。竹田参考人、お願いいたします。
【竹田参考人】 先生、ありがとうございます。
連携医療機関については、一応、公的な医療機関さんとも優先スキームをつくって、これは公開していないのですけれども、スキームをもうつくっておりまして、どこに最初にアクセスし、その後の準備として次にどの機関と相談してという、医療連携体制の中のスキームをうまく使っていくということで、岡田先生と御相談させていただいてつくっております。その場合、医師会やその他の各地域の先生方との御相談というのは今回していないのですが、もともとKOKOROBOの成人版自体を、今、14の都道府県ぐらいで、対象地域として使っていただいているのですが、そのときのつくり方として、我々の研究班の中でよく存じていて連携が取りやすい医療機関さんにお願いして進めていたというところがございますので、そういった研究班主導での連携医療機関の構築というのがありまして、それを中学生版でも踏襲しておりましたので、そういった形で岡田先生との連携の中で、御相談の中で、公的な基幹病院さんとの連携と、その連携の中に通常の医療連携体制を組み入れて進めていたということでございますし、先生の御指摘の点は今後、当然しっかりと考えていくべきところかなと思っております。
それからオンライン相談につきましては、もともとジョンズ・ホプキンズ大学で作られたrapid PFA日本語版を、当センターの認知センター長の久我先生、九州大学の中尾教授と作られて、それは厚労省の研修事業にもなっていたものでございますので、きちっとした研修事業のテキスト・動画もございますので、そういったものを見た者が担当しております。今は、我々の研究班の中の研究員、心理士が担当しているところでございます。
【髙田座長】 ありがとうございます。渡辺委員、追加で何かございますでしょうか。
【渡辺委員】 先生、ぜひ全国展開していただきたいというのと、もう一つ、恐らくこの後の発表も関係してくるんですけど、様々なアプリとかシステムが今できつつあります。それで、どのシステムがどういう効果がどうあってという、実際の検証がまだ明確に出ていないような気がしていて、我々としては、どのシステムをどこにどう展開していくのが一番望ましいかというのを、今、模索しているところです。恐らく、まだ実証される分析が十分ではない段階なのかもしれませんけど、どういうものの疾患とか子供の異常、生きづらさに対して、どのような形で効果があって、先ほど山縣先生は精度とおっしゃいましたけど、要するにフォールス・ネガティブとかポジティブがどの程度あって、結果的にどういう効果があったかという検証を、我々のような素人に分かりやすく説明していただきたいと思います。期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
【竹田参考人】 先生、ありがとうございます。
すみません、一言だけ。RCT自体は、今年度の終盤あるいは来年度には遅くとも開始するような形で、三重モデルの中でクラスターランダム化試験を実施させていただこうと思っておりますので、その中できちんとした効果検証、先生がおっしゃられたようなアプリあるいはこういったウェブベースのもので、きちんとした効果検証データがまだ日本にはございませんので、そこをぜひ実際、しっかりとやっていきたいと思います。ありがとうございます。
【髙田座長】 ありがとうございます。そうしましたら、オンラインで御参加の富永委員、御発言をお願いいたします。
【富永委員】 日本薬剤師会の富永です。竹田先生、いろいろ知らないことを教えていただいてありがとうございます。
今、渡辺先生もおっしゃったように、子供たちの生きづらさ起因したオーバードーズの話をしておきたいものですから、少しお話しするのですけれども、日本薬剤師会としては、やはり自傷行為として捉えておりまして、一般用医薬品が目的外使用されることに、我々は非常に責任を感じて残念に思っているところです。ただ、当会といたしましては販売規制等にももちろん取り組んでまいりますが、コミュニケーション不足がやっぱり原因なのかなと考えております。今、子供会等という地域コミュニティーが少なくなっているとお聞きしており、その辺が鍵かなと考えていたところですので、オーバードーズも、やはりメンタルヘルスの専門家の対応が必要かと考えておるところです。ぜひ、ネットも含めて地域コミュニティーの復活に対して少し御意見をお伺いしたいと思いまして、よろしく御指導ください。
【髙田座長】 ありがとうございます。竹田参考人、いかがでしょうか。
【竹田参考人】 ありがとうございます。
我々も今回、コロナ禍を契機にオンラインのシステムをつくろうということでやっているのですけれども、最終的にはここにあります図の右側の真ん中にある、各地域のリアルサポートシステムとの連携というのを書いておりまして、やっぱりそれが大事で、自治体との連携もなんですけど、地域で自治体がやられていること、それから自治体がなかなか手が回らず地域の方でやられていること、そういったところとちゃんと連携していくと。その連携は、学校が1つのハブ、基点になれるのかなとは思うのですけれども、我々はこれはオンラインで解決するとは思っていなくて、オンラインは1つの手段として使ってもらいながら、リアルサポートシステムと連携していくということ。それから、今後の将来的なプラットフォーム構想の中では、ユーザー自身、だからピアサポーター、実際そういう問題を抱えた経験のある人たちを含めて、何か語り合える場をつくっていく。これは、オンラインであってもリアルであってもですけれども、そういったところをしっかりつくっていくのが、ある種のメンタルヘルス教育でもあり、子供のときから当たり前にメンタルヘルスケアをするということにつながると思っていますので、ぜひそういった活動をされている先生方とももちろん連携していきたいしというところを考えております。
【髙田座長】 ありがとうございます。富永委員、いかがでしょうか。
【富永委員】 ありがとうございます。いろいろここまで進んでいるとは、我々も勉強不足で知らなかったものですから、どうこれから対応していけばという手がかりになったと思います。これからも御指導ください。ありがとうございました。
【竹田参考人】 ありがとうございます。
【髙田座長】 ありがとうございます。そのほか、御質問、御意見等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
そうしましたら、まず先に遠藤委員、お願いいたします。
【遠藤委員】
竹田先生、ありがとうございました。非常に興味深い試みだと思いました。これをもし全国版で実装するといった場合に、学校がハブということになりますと、例えばスクリーニングした人(先ほどは健康相談をオンラインで、臨床心理士さんとか、そういった方たち)が担当なさるということでしたが、スクリーニングの結果、対処介入必要と判断された場合に、学校医や、かかりつけ医がまず対応するということになりますでしょうか。今回の議論が、学校の教員の負担軽減ということもありますのでお聞きしています。私どもの学生もそうですが、今すぐに診ていただきたい学生の診療でも精神科ですと一か月、三か月待ちでということもよくありますので、そういったところ、どのように誰が担当して行っていくのかなど、お考えをお聞かせいただけるとありがたいです。
利活用に関してですが、こういったオンライン相談などいろいろ健康情報を取得し、つなげることに賛成です。先ほど山縣先生が御発表になった、健康観察のICT利用についても進めていっていただければと思っています。横断的に点で見るよりも縦断的に見ていけるほうが、学校の子供たちにとっては救いになるかなと思っております。
【髙田座長】 ありがとうございます。竹田参考人、いかがでしょうか。
【竹田参考人】 ありがとうございます。やはり医療連携のところ、我々のほうは、かかりつけ医とか学校医という形ではなくて、基幹病院さんからトップダウンでいくと。それで、非常に入院とか緊急性のあるものは、どう対応をするかというのは一応実は決めておりまして、それを稼働させる準備はできております。もちろん、それが全国になった場合、どうするかという課題は出てくるのですけれども。
岡田先生、何か追加がもしあれば。
【岡田参考人】 私は児童青年精神医学会の理事長をしておりまして、各都道府県によって医療体制というのはかなり違いがあります。ですので、三重の地域事情というものに合わせて、先ほどトップダウンという話がありましたが、ちょっと非公表なのでここには出しておりませんけれども、三重県の子供の基幹病院あるいは精神保健医療センターとか国立の病院機構、それから一般の病院というものも含めてヒエラルキーをつくっておりまして、そこでも対応できない場合には、隣の県である奈良で対応するというようなシステムもきちっとつくっているんです。ですので、各地域に合わせた形で、そういうシステムとの連携、連動を図っていくことがまず大事です。
それともう一つは、学校医だけで対応できる部分が果たしてどの程度あるのか。あるいは、私も学校医をやっていますけれども、学校から医療機関につなぐというときでも、精神医療機関がもう新規の受入れを停止していたりというような状態がありますし、それから、それ以外の専門の先生では対応できないことも多いわけです。それで、今回のシステムでは、その地域の医療システムだけではなくて、オンライン相談、チャットボット、いろいろな形で、その人のニーズに合わせて使い分けることができるということが1点。それからもう一つは、そういう形でオンライン相談をすることによって、取りあえず受け止めて、それで振り分けるということですよね。医療が必要なのか、あるいはチーム学校というもので支えることができるのか。そういうクッションを置くことによって、チームへの、学校への御負担というものを軽減できるというのが1つの利点ではないかなと思っております。
【遠藤委員】 ありがとうございます。先ほど、不登校の児童生徒の保健管理を誰が担うのか、どうしていったらいいのかということがありましたが、オンライン相談というのはこれから活用できるものだと思っており賛成しています。養護教諭関連の学会でも、養護教諭が不登校児童生徒に対してオンライン相談を始めているところがあって、効果が出ているとの報告がされておりますので、ぜひ進めていただければと思います。ありがとうございました。
【髙田座長】 ありがとうございました。
そうしましたら、事務局からということでお願いいたします。
【樫原課長】 健康教育・食育課長、樫原でございます。本日は貴重な御説明をいただきまして、ありがとうございます。
それで、委員の皆様の半分は教育関係の方でいらっしゃるものですから、そういうことも意識しながらの御質問になりますが、まさに三重モデルということで、教育委員会だったり学校現場だったりというところと連携されている中で、これはもう率直に申し上げて、自分たちとしてはこういうふうにしたいけれども、なかなかここはうまくいっていないというところがあれば、特に教育委員会とか学校現場との関係で、なかなかここは解決が難しくて今スタックしているなどというのがあれば教えていただければと思います。、また、そうすると実際の教育委員会の皆様でしたり現場代表の方が、それはこうなんだということを、もしかしたら御発言いただけるかもしれませんので、ぜひよろしくお願いいたします。
【髙田座長】 ありがとうございます。竹田参考人、いかがでしょうか。
【竹田参考人】 非常に貴重な御提示をいただきまして、ありがとうございます。1つは、今回、参加いただいている教育委員会、教育長とも何度もお話しさせていただいて、やはり非常にありがたいなという部分は、学校だけで抱えてはいけないということを教育長自らおっしゃっていて、きちんと外部と連携しましょうと。それで、これなら連携できそうだから、ぜひやろうというふうな、非常に積極的に変えていこうということで協力できているというところが非常に大きな点かなと思います。
1点、課題はセキュリティーの問題で、ICT機器で全ての生徒にアクセスできる機会をと思ってやっているのですけれども、やはりセキュリティーの問題があってかなり難しくて、何とか使用感調査をやったのですけれども、メールアドレスが使えなかったり、もちろんアプリ化してしまえばというところはあるのですが、アプリ化にもかなり予算も要りますし、そういった個人の情報を使えなかったり、ZoomもZoomのアプリ自体が使えないようにブロックされている場合もあって、今回、我々はZoomで、我々のオンライン相談の特定のURLだけをクリアにしていただくという非常に特殊なやり方をして、オンライン相談につなげるということをしていたりしますので、その辺のセキュリティーの問題は非常に難しいとは思うのですけれども、何かこういうものを日常的に子供たちが自由に使えるためのケアみたいなことで、もう少し御相談できればいいのかなと。教育委員会の先生方は非常に我々に調整してくださってはいるのですけれども、なかなか全体としての流れというのは難しいところもあるのかなと思っていますので、その辺は一緒に問題解決としてやっていきたいなと思っております。
【髙田座長】 ありがとうございます。ぜひ学校現場から御発言のある委員の方がいらっしゃいましたら、挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。特にはよろしいでしょうか。
そうしましたら、柏原委員、お願いいたします。
【柏原委員】 御発表ありがとうございました。大変勉強になりました。
私は義務教育の機関をつかさどっているわけなのですけれども、養護教諭から心の健康状態をアセスメントするというのは、健康課題として外せないだろうと伺っております。ところが、それを健康診断の中に入れ込むというのはなかなかタイトで、そのままやればいいから入れましょうと言われても、学校には限界がある。それから、小児精神科医や心療内科は、青年期義務教育段階の子供たちを診ていただく方が、先ほどから言われているように、すごく待ち時間があったり、せっかくつないでもそこに行かなかったりというようなことが現状としてはあるので、まずはアセスメントというのが手法の一つとしてあるという御提案は大変貴重だと思いました。
以上でございます。
【髙田座長】 ありがとうございます。竹田参考人、いかがでしょうか。
【竹田参考人】 ありがとうございます。やっぱり先生方に何か見ていただくのは限界もあるし、御負担も大きいかなと。今、三重モデルでやっているのは、先生に相談できる子は何でも言ってね、でもできない場合とか難しいことだったら、こっちのKOKOROBOでいいんだよというふうなことを広げていただくという形を、今、取り始めていますし、学校のいろんなところにQRコードを貼っていただいて、自由にできるようにするというような形で、先生に言いにくいことは違う形でもいいんだよということをしっかり言っていただくと。そして、それがすぐにアクセスできる状況にするということを、今、教育委員会様とも相談して、そういう形にどんどんしていこうと。オンライン相談についても、こういうところに御相談していいんだよと。それで、すごく難しい悩みではなくても相談していいんだよと。そういうものなんだということを学校からも言っていただくということで、さらにこの取組を、RCTする前に向けて、しっかりとやっていきましょうということはしておりますので、そういった意味では、先生方が全部自分でという形にならないような形で、うまく使っていただければなと切に願っております。
【髙田座長】 ありがとうございます。柏原委員、何か追加でございますでしょうか。
【柏原委員】 ありがとうございました。これは今後、定期健康診断の目的というところの中の2番目の、健康課題を明確化するというところにも恐らく関わってくることだと思いますので、引き続き御指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【髙田座長】 ありがとうございました。そのほかに何かございますでしょうか。
そうしましたら、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 このシステムについては、結論から申し上げますと、先進的なシステムだなと思っています。ただ、幾つか課題があると考えます。一つは私は今、東京都の都立学校を所管している教育委員会に所属していますが、所管する学校において地域差はあります。実際にこのようなモデル事業が円滑に進む地区と進みづらいところ、あるいは進んだとしても、医療機関、児童心理の専門医につなげるまでに期間が空いてしまい、タイムリーな支援につなげられないといったことにより、生徒だけではなく、保護者の不安が生じてきます。そのため、支援までに期間を要する場合のフォローアップ体制を考えていかなければいけないと思います。
二つ目は、学校への負担は過重なものにはせずにというふうに竹田先生からもお話がありましたが、学校も心の健康問題への対応を非常に必要としている意識がある分、このシステムを学校に導入した場合に、誰がこれをコーディネートするのか。ただ単にこれを進めましょうということでは、恐らく円滑な導入プラス発展的な展開にならないですし、かつ全教職員が一人一人の生徒の健康状態をしっかりと的確に把握して、生徒自ら健康管理をできる力を身につけられるようにする、すなわち健康教育につなげることを考えたときに、やはり学校の現場でどういうふうにコーディネーターを充てたほうがよいのか、窓口は誰にするのかを考えていかなければなりません。そうすると、中核となる者が養護教諭、あるいは特別支援教育コーディネーター、あるいは副校長となると、様々な業務も担っています。学校現場のマンパワーにも、正直なところ、限界があるのではないかと思います。
あと、もう少し掘り下げますと、現在、新規採用教員の各校配置が非常に多い状況です。東京都教育委員会をはじめ学校は、経験の浅い教員たちに対しての指導・育成をしながら、新たなこういう取組を進めていくことについて、円滑にどう進めていくことも課題です。
以上です。
【髙田座長】 ありがとうございます。竹田参考人、いかがでしょうか。
【竹田参考人】 ありがとうございます。
まず、地域差ですね。もちろん、これは今、三重モデルで、一部、東京地区でちょっとだけ始めているのですけれども、成人版でも我々は離島で試すなどというのを、この後、秋から始めていくところなので、やっぱり地域差はしっかり見ていきたいと思います。
それから、5市の教育長ともお話ししていますが、各市の中でも大分違うんです。比較的都会にあるのと、少し地方にある都市にある中学校では全然違うということがあります。そういったことも含めて、その差もきちんと検証できるように、今後、RCTをするということは、我々の研究班としてはやるのですけれども、それだけではなくて、社会実装するときには、それぞれの地域特性、それから医療体制も違いますので、そこはおっしゃるとおりかなと思いますので、そこは、このモデルで全てがいけるというわけではなくて、三重モデルが踏襲できる地域には三重モデルで、そうでないところには違うモデルでやっていくという形が一番いいのかなと考えております。
それから学校については、今回、使用感調査の中では、教育委員会さんによって違いますが、ある程度、各学校で、それの担当する先生みたいな形で、教育委員会の先生がきちんと説明を、各学校に回っていただいて、各学校でそれを受けて、まとめ役の先生がいてというふうな形でやっていただく場合もございましたし、一斉にやっていただく場合もありましたので、我々のほうでもコールセンターとか、実際の運用のところについては、こちらに全て聞いてくださいと。親御さんにもいろいろ質問しますので、親御さんであっても生徒さんであっても、研究班のコールセンターに聞いてくださいという形にしていますので、学校の先生で、何か先生がいろいろマネジメントしないといけないということはありませんという形で実施しておりました。
逆に教育委員会からは、もっと我々もやりますので、うちのコールセンターだけではなくて、同じようなことはもう学校全体に周知してくださったら、もっとうまくやりますよみたいなこともおっしゃっていただいていたので、その辺はどこまでを御負担のない形でやるかというのは、ケース・バイ・ケースでちゃんと考えていきたいと思うのですが、基本的にシステム側で、ある程度のものは全部受け取っていくという形にはしております。まだこの辺は検討課題かなと思っておりますので、引き続き頑張ってまいりたいと思います。ありがとうございます。
【髙田座長】 ありがとうございました。田中委員、追加はよろしいでしょうか。
それでは、大分時間が押しておりますけど、どうしても御発言を御希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。岡田参考人・竹田参考人のヒアリングをこれで終了させていただきます。岡田参考人、竹田参考人におかれましては、御退席いただいても差し支えございません。本当にお忙しいところ、ありがとうございました。
【竹田参考人】 ありがとうございました。
【岡田参考人】 ありがとうございました。
【髙田座長】 ありがとうございます。
続きまして、最後に、一般社団法人子どものこころ専門医機構、村上参考人、土生川参考人よりヒアリングを行いたいと思います。資料4につきまして、土生川参考人より御説明いただけると承っておりますので、御準備がよろしければお願いいたします。
【土生川参考人】 本日、このような機会を頂戴しまして、本当に感謝申し上げます。どうもありがとうございます。
本日は、「体とこころの学校健診」について、国立病院機構南和歌山医療センター、土生川千珠がお話をさせていただきます。
本事業のメンバーは、全国の子どものこころ専門医、及び特別支援教育専門の教員の方にお入りいただいています。
こころの学校健診は、2018年度から9年間、文部科学省の科研費の助成をいただきまして開発してきました、学校健診のシステムです。こころの学校健診は、文部科学省のウェブサイトにも掲載していただいています。加えまして、2022年度から6年間、AMEDからの助成もいただいて開発しています。
不登校は10年連続で増加し、自殺も過去最多であり、小学校の低学年からの増加、小学生の増加が課題となっております。
文部科学省の委託を受けて、研究所が不登校のきっかけ・要因に関しての調査を行っております。子供と保護者さんの認識では、80%近くのお子様が体のつらさをまずは訴え、そして不安になり、朝起きられない、眠れないということから始まったとお話をされています。一方、教員の方々の認識は20%程度でした。そして、子供の体のつらさが適切に医療につながっていないのがほとんど現状でした。
そこで私たちは、学校と医療が連携することによって不登校を予防する、こころの学校健診のスクリーニングを実施してきました。2018年から和歌山県、大阪府等、他府県の教育委員会様と連携させていただき、2万人を超す子供さんたちに御参加いただきました。学校現場では、不登校、いじめの案件がありますと、本当に教員の先生方の御負担が増えます。不登校になる前の登校渋りの段階で、子供たちが朝起きられない、眠れない、頭痛、腹痛、倦怠感を訴えています。そこに予防的に早期に医療介入することによって、先生方の御負担を防ぐということがポイントになります。困り事を持つ子供さんの特徴としましては、自分の心のつらさに気づくことができないことです。何か困ったことがあるの?とスクールカウンセラーさんに聞いていただいても、分からない、別にと答えます。子供の特徴は言語化の未熟性であり、それに伴い、身体症状が表面化します。心がつらくなると、何となく不安になって、身体症状が表面化する、いわゆる心身症を起こします。そこに、かかりつけ医の先生方が、予防的支援として、子供のニーズである身体症状へ介入していただくというのがコンセプトになります。
こころの学校健診のフローをお示しします。保護者さんから同意をいただきましたお子さんは、学校の1人1台端末から、私たちが開発しました「ケンシンクン.net」に回答していただきます。回答時間は10分程度です。登校できている子供さんは学校で、不登校の子供さんは家庭で回答していただきます。「ケンシンクン.net」に関しての質問の項目の回答はシステムに集計され、システムが、医療介入が必要なハイリスク群と健常に分けて判別します。健診結果は、学校と保護者さんに回答が返されます。ハイリスクな子供さんの保護者さんの携帯画面には、かかりつけ医を受診する医療機関名が明記されています。そして、身体症状、生活リズムに対処いただきます。そこで症状が持続し、より精査が必要な子供さんは、地域の2次病院の小児科を受診していただきます。そこから、必要なケースは子どものこころ専門医や、子どものこころの診療の専門医の先生方につないでいくシステムです。
システムから学校に、保護者への説明文を配布させていただきます。保護者さんは自分の携帯からQRコードを読み取っていただいて、同意表明していただきます。そこから学校では、生徒用のQRコードをお配りして、子供が1人1台端末を有効活用してQRコードを読み取っていただきます。ダウンロードは必要ありませんので容量負荷がかかることはございません。同意をいただいた子供さんの回答は1つずつ回答できますが、同意しない子供さんはスクロールしかできないようになっています。
「ケンシンクン.net」は、25項目の3因子から成ります。「生活リズムとからだ」、「学校での困りごと」、これはじっと座っているのがつらいとか気が散りやすいとか、発達特性を聞く問題です。次に「げんき度」についての項目があります。人前でちょっとしたことで涙が出るとか、挑戦できないとか、不安が高いことに対する質問があります。その3因子の項目に回答していただきます。これは医療対応が必要かどうかを検出するスクリーニングの質問紙になっています。こちらは、6,000名を超す子供さんたちで、医学的正当性・妥当性の検証が進んでおります。また、点数化はされませんが、「おうちのくらし」として、家で何かつらいことがありますか、家で病気の家族の面倒を見ていますか、ヤングケアラーの問題を聞いていることが追加されています。こちらの点数は、学校医、かかりつけ医の先生や、学校の先生方は見ることができますが、こちらの回答を保護者さんは見ることができません。
健診結果は、システムから学校と保護者さんに回答が送られます。学校はパスワードで学校の生徒さん全員の結果を見ることができます。保護者さんは自分の子供さんの点数だけ見ることができます。そして、ハイリスクな子供さんは、受診先の医療機関が明示されていますので、そちらに受診していただきます。診察は1か月以内に受診できるようにしてあります。受信先の医師は、パスワードを入力することで子供さんの健診結果を見ることができますし、医療介入の継続によってどう変化したかを見ることができ、それは学校も把握して閲覧できるようになっています。
「ケンシンクン.net」は、困り事を可視化し、最適な介入者へつなぐ、教員の負担を軽減するものです。地域の医療・人材資源を活用したBio-Psycho-Socialな支援とステップ診療です。まず、子供が体のつらさを訴えれば、かかりつけ医の先生方を受診していただきます。不安が高い子供さんは、スクールカウンセラーの先生と専門医が当たります。発達特性が疑われる場合は、子どもの心相談医や、子どものこころ専門医など専門医が当たります。また、虐待やヤングケアラーの問題があるような子供さんは、子供の養育環境を一番理解している学校が、児童相談所やソーシャルワーカー、行政と対応することになります。
2024年度に、4,300人を超す子供さんたちに学校健診をさせていただきました。健診結果を解析しますと、現在登校できている状態で、早期に検出が可能でした。ハイリスクな子供さんに対する予防的支援の価値があることが分かりました。加えまして、未発見の器質的な疾患、体の疾患が発見され、生命の安全が確保されています。心の問題だと考えられていた体のつらさに、重篤な器質的疾患が含まれていることが分かりました。これらの子供さんは、かかりつけ医から地域の2次病院に対応され、緊急で手術したケースもあります。心身症であったり、神経発達症のグレーゾーンが発見されたり、虐待やヤングケアラーの問題も発見されています。
2024年度のハイリスク児の子供さんで医療機関を受診した後の経過です。横軸は受診回数です。縦軸は「ケンシンクン.net」の合計点、赤いラインはカットオフの26点で、高いところがハイリスクな子供さんです。医療機関を受診しますと、1回目、2回目、3回目とも軽快しています。
また、各因子、「げんき度」、「生活リズム・からだ」、「学校で困ること」も軽快しています。
生活リズムである朝食を毎日食べる子供さんが増加し、また就寝時刻が早くなっていることがわかります。介入した子どもたちの多くは、登校が維持できていました。
不登校が長期化すると、20%以上がひきこもりになり、自死の10%が不登校を経験されておられます。こういった子供さんたちは共通した困り事があります。それは、早期には、身体症状と生活リズムが乱れることです。学校と医療をつなぐ早期のスクリーニングとしての「こころの学校健診」を実施することによって、早期改善が期待できるかと考えています。
自殺対策基本法も、「学校における心の健康の保持のための健康診断等の措置」という文言が加わっています。
学校健診は、子どもの健康を守る1次ゲートキーパーであり、全ての子供が学校に在籍しています。全ての子供が心身の健康を守られる権利があります。就学前には発達の健診があります。そして、成人は職場でメンタルヘルスの健診があります。ですが、就学してから社会に出るまでの期間、子供から大人へ、不安が高くなる思春期の時期に、心のスクリーニングはありません。この年代に不登校と自殺が増加しています。不登校や外出できない子供さんは、現行の学校健診にも参加できていません。そして、ヤングケアラーや虐待の子供さんは、家庭での健康観察は期待できません。医療機関への受診もできないのが現状です。全国の共通基準として、心のスクリーニングがある学校健診が必要だと考えています。
「こころの学校健診」として、子供たちの健康課題であるメンタルヘルスの悪化、不登校、自殺への対策として、医師による予防的支援により教員の負担が軽減されます。メンタルヘルスの初期のサインは、身体症状・生活リズムの乱れです。ここに、早期に医療介入し、プライマリケア医から2次病院が対応することによって、地域の人材・医療資源を活用するステップ診療
により、全国で実施することができ、均てん化が可能だと考えています。医療介入の必要性を検出できる全国共通のメンタルヘルススクリーニングシステムが「体とこころの学校健診」だと考えています。子供たちのために、ぜひ全国で実施できるように御指導いただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
【髙田座長】 土生川参考人、ありがとうございました。資料4に基づきまして、「体とこころの学校健診」ということで、内容を御説明いただきました。御説明につきまして、御質問、御意見等がある委員は挙手をお願いいたします。
遠藤委員、お願いできますでしょうか。
【遠藤委員】 土生川先生、御発表ありがとうございました。心の問題のスクリーニングには大賛成ですので、取組を興味深く聞かせていただきました。
質問ですが、子供たちは今1人1台端末を持つようになり、本当にすぐ慣れてしまって、できると思うのですが、保護者から同意書が送られてこなかった場合、どの子供の同意書がまだ来ていないかなどというのは、学校でも自動的に分かるようなシステムなのでしょうか。というのは、これを学校で行うとしたときに、同意書が回収できていない保護者を抽出して、連絡するというふうな行程があるのかどうか教えてください。また、表示いただいたフローでは、健診結果が保護者宛になっていますが、どうしてかかりつけ医または学校医に行かなくてはいけないのかということがよく分からないまま、学校医、かかりつけ医の所に行った際、それが期待されているような対応にならなかった場合に、やはり学校でそこの間を調整するといったことが必要になるのか、また学校医、かかりつけ医の先生方、先ほど弓倉先生からも、これから学校医の方がすごく少なくなって、より御負担がかかるというお話もいただいておりましたので、少し心配でお聞きするのですが、この学校医、かかりつけ医の次のステップは、先生方が次のステップにつなぐ役割をすることになるのかなど、そういったことを教えていただきたいと思いました。
【髙田座長】 ありがとうございます。土生川参考人、お願いいたします。
【土生川参考人】 御質問ありがとうございます。同意書に関しましては、前日までが同意を取る期間になっています。ですので、学校の先生方に御負担がなくて、親御さんに配ったときに前日までに同意表明がなければ、同意しないという形になっています。
もう一つ、フローの中で、学校医、かかりつけ医と書かせていただいているのですけれども、各地域によってちょっと異なるシステムにさせていただいています。まず医師会さんに御説明と御相談に行かせていただきます。その地域の医師会さんのほうで、学校医でいきましょうとか、いや、ここはかかりつけ医にしてくださいとか、いろんな意向がございますので、かかりつけ医の医師のところに行きたいというところは、かかりつけ医のところになっています。
もう一つ、親御さんのほうで、なぜ行くのかというのは、体の点数が何点など、合計得点ではなくて各因子の点数が記載されていることと、BPSモデルの中で、心の心配をする前に、まずは体の病気がないかどうか。実際、私たちのところでも、重篤な器質的な疾患が見つかっていますので、まずは体のほうで見ていただいてください、そこがまず第1段階ですと説明を記載させていただいています。医師会様にはマニュアルを全部配らせていただいていて、この健診で来たときにはこういう対応をしてくださいねということでマニュアル掲載させていただいていますので、同じレベルで診察をしていただいているというのが現状かと思います。
以上です。
【髙田座長】 ありがとうございました。遠藤委員、いかがでしょうか。
【遠藤委員】 ありがとうございます。学校医または精神科の受診を保護者に勧めてもなかなか協力を得られないケースも多々ありますので、健診結果が保護者に届いた段階で、学校医のところに行かなくてはいけないか、どうしてこれが来たのだろうかといった問合せが学校にあることが想定されたので、質問させていただきました。
なお、学校の健康診断で行うということになりますと、基本的には1年に1回です。子供たちは前の日に嫌なことがあったり、そのときの心の状況に大きく左右されると思うので、カウンセリングや受診の必要のない割とたくさんの子供がスクリーニングされてしまうという懸念もあったりしたものですから質問させていただきました。ありがとうございました。
【土生川参考人】 ありがとうございます。
【髙田座長】 ありがとうございました。そのほか、御質問、御意見等ございますでしょうか。
【土生川参考人】 すみません。追加でよろしいでしょうか。
【髙田座長】 お願いいたします。
【土生川参考人】 こころの学校健診は、年1回の実施が基本ですが、学校様のご希望で、学期毎に継続的対応をさせていただくこともあります。
あともう一つは、保護者様は、いろんなふうに考えられている方もいらっしゃるかもしれないですけど、やはりかかりつけ医の先生のところにかかるというのは、小児科医としても対応しやすい利点があります。かかりつけ医のところにまず相談できるというのはお母さん方もハードルが低いということなので、このようなシステムにさせていただいています。
【髙田座長】 土生川参考人、ありがとうございました。
そうしましたら、吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】 ありがとうございました。拝見させていただいていて、これが全て実現するのであれば理想的だなと思う反面、学校現場の人間として、幾つか感想を含めて発言をさせていただきます。
先ほどの、ヒアリング2でも、柏原委員や田中委員が学校現場へ導入するに当たって幾つか危惧される点について御発言があったかと思うのですけれども、まず健康診断について、養護教諭の立場からもう一度確認させていただくと、これは持続可能な保健管理という検討会の趣旨に沿って考えると、健康診断は「診断」という文言を使っていますが、学校としては究極の健康教育として、子供たち一人一人が自分の健康について振り返り、そして保護者の方たちと一緒に子供たちの発育や健康について考える一番の究極の機会だと考えています。私は高等学校に勤めていますが、在校中に健康診断の重要性をきちっと子供たち自らが自覚し、社会人になったときにも、健康診断に自ら向かえることということも1つの目途として行っています。
ただ、先ほど来、学校医の不足の問題、医師不足の問題、地域の問題、それから保護者の方の考え方やスタンス、かかりつけ医を持つ・持たないという保護者など、様々な家庭の問題を勘案して、だからこそ学校の中でやることの意義があり、こういった先進的な「こころの学校健診」についても今議論されているということは改めて腑に落ちたのですが、逆に学校の中で子供たちに接している我々は、たくさんのものが導入されてくると、学校の中にある一番必要な、子供たちと対面で接するゆとりが失われないのかということを危惧してしまっています。保健室は、もしかしたらそのゆとりの究極の専門家ではないかと、今、幾つかの御提案をいただきながら感想を持ちました。
メンタルヘルスケアも体のケアも、医師や心理職の方や様々な専門職の方に御相談しながら進めなければいけないのですが、学校現場で教職員や養護教諭が子供たちとゆとりを持って接することができないとそのこと自体が難しくなります。子供たち自身は学校に来て、学校で自己実現したい、保護者の方も、できれば学校の中で育ってほしいという願いを持っています。その学校にゆとりがなくなってしまうと、本末転倒になって持続可能ではなくなってしまうのではないかと思います。これは最先端のたくさんの御発表があった中で恥ずかしい発言になってしまうかもしれないのですが、現実、子供たちと接している養護教諭として、率直な気持ちになったというか感想を持ったので、ちょっとここで発言させていただきました。
以上です。
【髙田座長】 ありがとうございます。土生川参考人、ただいまの御発言について何かコメントがございましたらお願いできればと思います。
【土生川参考人】 ありがとうございます。本当に先生のおっしゃるとおりで、学校の保健室というのは子供たちの安心の場だと思います。
私も学校医を務めさせていただいています。昨年は、田辺市の30校には、健康教育という形で、睡眠の指導や食事の指導に授業をさせていただいています。こころの学校健診をしていただいたところの現場の先生方は、子供が何に困っているのかということを、点数で教師も見ることができる。そして親御さんも見ることができる。教師の中で、やっぱりこの子はこれに困っているんだなということがポイントアウトできるので、介入も、子供たちの話と会話も進んでいくというふうなお褒めの言葉をいただいています。ありがとうございます。
【髙田座長】 ありがとうございました。吉田委員、追加はございますか。
【吉田委員】 ありがとうございます。この取組が、学校現場ももちろん、お任せというわけにはいかないので、どんなふうに、こういった取組を、どこの地域やどんな校種でもやっていけるのかということについては、また持続可能だというような視点で、いろいろ一緒にまた教えていただきながら考えていきたいなという感想を持ちました。ありがとうございます。
【髙田座長】 ありがとうございました。そのほか、御発言を御希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。
藤高委員、お願いいたします。
【藤高委員】 こんにちは。お世話になります。今日は、メンタルヘルスの課題について対応していくということで、お話をお聞きして大変勉強になりました。
今、1人1台端末を利用したいろんな取組というのをお聞かせいただいたのですけれども、これがやはり子供たちにとっては、発達段階に即したやり方でないと難しい部分もあると思います。本校は小学校ですので、小学生の子供たちには、やはりとても難しい部分もあると思っております。また、10分程度で終わりますというのが書かれてありますが、どういった時間でどんなふうに実施されているのかということであったり、あるいは保護者の同意が得られるというところであれば、もしかしたら本当に必要な子供たちに保護者の同意が得られずにというようなところもあるのかなと思っております。
また、先ほどから学校医の課題や専門医の課題というところがありましたけれども、地域によってはやはり格差があると思っておりますので、その辺り、どの地域でも本当に実施可能なのか、そういうことをしっかり考えながら、また勉強していきたいなという感想を持ちました。
ありがとうございます。
【髙田座長】 藤高委員、ありがとうございました。土生川参考人、いかがでしょうか。
【土生川参考人】 ありがとうございます。まず同意に関しましては、まだこれは研究段階ということで同意を取らせていただいています。先生がおっしゃられますように、本当に必要な子供さんがこの健診を受けていないのではないかという御指摘はごもっともだと思います。ただ、今の研究の倫理から言って、まずは研究の段階は倫理が要るでしょうということです。
もう一つ、学校で30分程度、全て説明も含めて小学校の、これは4年生からさせていただいているのですけれども、皆さん、どの学校もスムーズに進んでいるのが現状で、1限目、早朝であるとか、あとホームルームの時間帯とか、道徳の時間帯とか、そういうところでやっていただいています。ですので、学校の先生方からは特別に1時間、これを取ることだけでは問題がないのではないかなと御意見を伺っています。
【髙田座長】 ありがとうございました。藤高委員、追加でコメントはございますでしょうか。
【藤高委員】 いえ、ありがとうございました。
【髙田座長】 ありがとうございました。そのほか、御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、村上参考人、土生川参考人へのヒアリングは、これをもちまして終了させていただきたいと思います。村上参考人、それから土生川参考人、お忙しいところ、御発表いただきましてありがとうございました。
【村上参考人】 ありがとうございました。
【髙田座長】 御退席いただいて差し支えございませんので、よろしくお願いいたします。
【村上参考人】 失礼します。
【髙田座長】 本日のヒアリングについては以上となりますけれども、次は議題3、その他となります。事務局より連絡事項はございますでしょうか。
【堤専門官】 事務局でございます。委員の皆様、また参考人の皆さんにおかれましては、本日は誠にありがとうございました。
次回の検討会の日時につきましては、後日、事務局より御連絡させていただきますので、よろしくお願いします。
以上です。
【髙田座長】 ありがとうございます。
本日はこれにて閉会とさせていただきます。お暑い中、お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございました。
── 了 ──
文部科学省健康教育・食育課