学校における持続可能な保健管理の在り方に関する調査検討会(第1回)議事録

1.日時

令和7年5月19日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省※対面・WEB会議の併用(傍聴はYouTube Liveのみ) (東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 学校における保健管理の現状等について
  2. その他

4.議事録

【堤専門官】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第1回学校における持続可能な保健管理の在り方に関する調査検討会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、誠にありがとうございます。座長選任までの間、進行を務めます、初等中等教育局健康教育・食育課、学校保健対策専門官、堤と申します。よろしくお願いいたします。
 本来ならば、議事に入ります前に委員の皆様を御紹介させていただくところですが、時間の関係上、名簿の配付をもって代えさせていただくとともに、後ほど御発言いただく際に自己紹介もお願いできれば幸いです。
 次に、事務局を紹介いたします。
 初めに、望月初等中等教育局長。
【望月局長】  どうも、お世話になります。よろしくお願いいたします。
【堤専門官】  続きまして、樫原健康教育・食育課長。
【樫原課長】  よろしくお願いいたします。
【堤専門官】  次に、菊地健康教育・食育課企画官。
【菊地企画官】  菊地です。よろしくお願いします。
【堤専門官】  事務局は以上でございます。
 本日の出欠状況でございますが、全委員御出席でございまして、うち、富永委員、子吉委員、明神委員、弓倉委員、渡辺委員につきましては、ウェブでの御参加です。なお、富永委員におかれましては、16時半頃早退と伺っております。
 また、オブザーバーとしまして、こども家庭庁成育局成育基盤企画課、母子保健課、厚生労働省医政局地域医療計画課、同省健康・生活衛生局健康課も参加しております。
 オンラインで御参加いただいている皆様に御発言の仕方などを説明させていただきます。会議中、御発言の際には、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度、マイクをミュートにしていただくよう、お願いします。また、議題に対し御賛同いただく場合には、カメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨、確認させていただきます。
 ここで、配信画面のスクリーンショットを希望された報道機関の皆様につきましては、ただいまから1分間撮影とさせていただきます。
 ウェブ参加の委員におかれましては、誠に恐縮ですが、カメラをオンにしていただき、1分間の静止をお願いします。御来場の委員の皆様も静止をお願いいたします。
 それでは、撮影をお願いいたします。
(頭撮り)
【堤専門官】  これをもちまして、撮影終了とさせていただきます。
 委員の皆様におかれましては、御協力、ありがとうございます。
 次に、開催に当たり、望月局長より御挨拶申し上げます。
【望月局長】  初中局長の望月でございます。第1回目の本検討会に当たりまして、大変お忙しい中、委員をお引受けいただきまして、どうもありがとうございます。また、本日も、実際に会議に参加をいただきまして、感謝申し上げます。
 健康診断のことのみならず、児童生徒の保健管理の観点というのは、大変日常的なことで、しかも、こうした現代、いろんな社会環境の変化の中で、大きく揺れ動いたり、あるいは課題が出てきているということでございます。今、課長に確認したら、健康診断の項目でさえ見直したのが10年前ということでございまして、今、定期健康診断で全ての健康診断の項目をなかなかやりきれないことでありますとか、あるいは、学校医等の、地域のほうで人材の不足の問題でありますとか、処遇の問題も、私も直接聞いたりしていますけども、働き方改革、学校の働き方改革全体の中での保健管理の在り方、あるいは教師の負担軽減という観点なども出てきているというところでございます。今、新しい指導要領の検討が始まってございますけども、日常の児童生徒並びに教職員もですが、保健管理に関することは、基本的に学習を行ったことの基盤的になるものであるというふうに考えております。そういう意味では、久しぶりというか、新たな視点を持って、この会議で保健管理の在り方について、皆様方の専門的な知見から、現場が、学校のほうが、これなら結構、リーズナブルに、ワーカブルにできるなと、そして、今の世の中ではそれが自然だなと、そういった観点から御意見をいただいて、今よりも少しでも、現在の、これからの社会の変化も見据えた形の中で、あるいは、今の医学会とか保健管理、そうした社会の状況の中で、学校のそうした体制というのがこのままで持続可能かどうかということも含めて、御検討いただけないかと思ってございます。
 これ、終期はいつまでというふうに、一応、会議のほうはあると思いますが、ある程度、今日は自由討議になっていますけど、恐らく、通常の検討会だと少しテーマを絞りながらやらせていただいて、だんだん、いろんな学校現場等、御意見、ヒアリング等も行わせていただきながら、少し議論を収れんさせていただきたいというふうに思っております。
 専門的な皆様方から御知見をいただいて、これから検討会を開催させていただきたいと思ってございます。どうぞ、御協力、御理解、そして、忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、一言、御挨拶に代えさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
【堤専門官】  ありがとうございました。
 続きまして、資料の確認をいたします。本日の資料は、事前にお送りしましたとおり、議事次第を含め、3種類でございます。まず、今申し上げましたが、一つ目として議事次第、二つ目が、資料1、学校における持続可能な保健管理の在り方に関する調査検討会の設置について、最後、資料2が、学校における持続可能な保健管理の検討についての3種類でございます。議事に沿って画面共有にて御覧いただきますが、不足がありましたら事務局よりお送りいたしますので、コメントまたは御発言にて申し出いただければと思います。
 続きまして、座長の選出を行います。事務局案としましては、髙田委員を推薦したいと思いますが、皆様、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【堤専門官】  ありがとうございます。
 それでは、以降の進行を髙田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【髙田座長】  ただいま、座長をお引き受けすることになりました、髙田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 まず、学校における保健管理の現状等についてにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【堤専門官】  事務局でございます。資料2を御覧いただければと思います。タイトルが「学校における持続可能な保健管理の検討について」という資料でございます。
 めくっていただいて、1ページ目でございます。目次でございまして、当方から、現状について、現状等を踏まえた課題及び論点について、議論の進め方について、以上3点について御説明をさせていただきます。
 まず、現状についてでございます。3ページを御覧いただければと思います。下の樹形図でございますが、こちらは学校保健の体系でございまして、学校保健というのは保健教育と保健管理から構成されます。学校における保健管理については、学校保健安全法で定められているところでございます。
 次に、4ページ目を御覧いただければと思います。現状(2)の児童生徒を取り巻く現状でございます。肥満・瘦身、生活習慣の乱れ、アレルギー疾患、メンタルヘルスの問題など、児童生徒は多様な課題を抱えている状況でございまして、また、その背景には、いじめ、児童虐待、貧困などの問題が関わっていることもありまして、児童生徒が抱える現代的な健康課題は多様化・複雑化しており、個に応じた継続的な指導・支援の充実が求められるところでございます。また、支援・指導につきましては、養護教諭を中心に個別的な対応が学校によって行われている状況でございます。
 めくっていただいて、5ページ目でございます。現状(3)の学校における健康診断についてでございます。学校保健安全法に規定される健康診断は三つございまして、就学時の健康診断、児童生徒等の健康診断、職員の健康診断がございまして、このうち児童生徒等の健康診断につきましては、学校における保健管理の中核に位置しております。児童生徒の健康診断につきましては、学校保健安全法において、毎学年定期に、通信による通信教育を受ける学生を除くでありますが、児童生徒等に対しまして健康診断を行わなければならないと規定されておりまして、省令において、実施時期だとか、検査の項目、対象学年、方法及び技術的基準等が定められている状況でございます。児童生徒等の細かいところについては、下の表や、枠の中を御覧いただければと思います。
 6ページから10ページは、学校保健安全法の関連する部分、また、省令の関連する部分でございます。
 ちょっと飛んでいただいて、11ページ目でございます。児童生徒等の健康診断の実施に当たってのことでございますが、昨今、学校と学校医との間で共通理解が十分でなかったことや、児童生徒等及び保護者への事前の説明が不足していたこと等から、児童生徒等のプライバシーや心情への配慮に欠けた健康診断が行われるなど、これまで発出した健康診断に係る通知や事務連絡等の趣旨が徹底されていないと思われる事案が発生したことから、令和6年9月に改めて事務連絡を発出したところでございます。また、日本医師会と協力しまして、学校医に健康診断について説明するためのリーフレットも作成しておりまして、そちらが12ページ目でございます。
 続いて、13ページ目でございます。児童生徒等の健康診断は毎年6月30日までに行うこととされておりますが、健康診断を受けることができなかった児童生徒等に対しては、健康診断を受ける機会を確保する必要がございます。その例として、教育委員会の取組例でございますが、下に二つある表のうちの上のところでございます。
 また、健康診断の実施に当たっては、限られた日時で効率的に行うことが求められることから、学校や学校医等の負担軽減の取組が行われているところもありまして、それが下のほうの表でございます。このようにいろいろ取り組まれている状況がございます。
 続いて、14ページ目でございます。ここからは、現状(4)の養護教諭の職務についてでございます。養護教諭の標準的な職務の内容及びその例でございまして、例えば、保健管理に関することでありましたら、四つございまして、一つ目が、健康診断、救急処置、感染症の予防及び環境衛生等に関すること、二つ目が健康相談及び保健指導に関すること、三つ目が保健室経営に関すること、四つ目が保健組織活動に関することでございまして、養護教諭の先生がいろいろ仕事をされている状況でございます。
 次に、15ページ目でございます。令和4年度に実施しました教員勤務実態調査集計結果の概要でございまして、こちらは10・11月分の集計結果でございます。例えば、教師の1日当たり在校等時間でございますが、平日の養護教諭のところを見ていただければと思いますけれども、例えば小学校でございますと、平成28年は10時間7分だったところが、令和4年度につきましては9時間53分で、在校時間は減っているという状況でございました。
 続いて、16ページ目でございます。次は、養護教諭等の業務支援に関する取組についてでございます。例えば、一番多かったところは、校内の他教職員との業務分担・連携の割合が高かったというところでございました。その内容について、自由回答の結果によりますと、健康診断等の実施に当たり、全教職員が業務を分担する等、養護教諭1人に負担がかからないように配慮されているという状況でございました。
 次は、学校における働き方改革等の中教審答申の抜粋でございまして、こちらは情報提供であります。
 また、18ページ目も、今、まさしく国会で審議中でございます、いわゆる給特法の改正案の概要でございます。
 続いて、19ページ目でございます。次は、現状(5)の学校医、学校歯科医、学校薬剤師についてでございます。学校保健安全法において、「学校には、学校医を置くものとする。」とされておりまして、また、「大学以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤師を置くものとする。」とされております。学校医、学校歯科医、学校薬剤師の職務の執行については準則として定められておりまして、それが下の三つの枠の中でございます。それぞれ定められている状況でございます。
 続いて、20ぺージ目でございます。次は、学校医等の数のお話でございます。学校医に限って見てみますと、全国における1校当たりの学校医数は、開設主体全体で、小学校ですと2.81人、中学校ですと2.77人、高等学校ですと2.52人となっております。また、下の青、黄色、赤のグラフは公立学校の状況を都道府県別に見ているグラフでございますが、見てのとおりでございますけれども、ばらつきが大きい状況にあるということでございます。なお、この学校医等の数字ですが、これは延べ人数になってございまして、1人の医師等が、2校ないし3校、それ以上兼務している場合もありまして、留意が必要であります。
 次は、21ページ目でございます。学校医の確保に関する事例についてでございます。こちらは、厚労省の検討会の資料、令和4年に出されたものですが、とあるA市とB市の状況についての事例でございまして、A市では、例えば、60代以上は57%、70代以上は23%と、高齢化が進んでいるところでございまして、あと、診療科によっては学校医の兼務の状況というのはかなり大きい数字になっているところでございます。また、B市については、学校医が兼務を行っていることに加えて、学校医を募集しても応募者がいないということもあるなど、学校医の確保が困難な状況にあるとのことでございます。
 また、そういった現状の中で、厚生労働省のガイドラインには、5―3の部分ですが、「産業医・学校医・予防接種等の公衆衛生に係る医療の提供状況等が考えられる」ということで、現時点で不足している外来医療機能の中に学校医も含められているという状況でございまして、厚労省と連携しながら取り組んでいる次第でございます。
 以上が、簡単ではございますが、現状についてでございました。
 次は、2の現状等を踏まえた課題及び論点でございます。24ページ目を御覧いただければと思います。今、現状で申し上げましたのが、この矢印より上の部分でございます。これを踏まえまして、当方として考えられる課題としては三つ挙げられるのではないかと認識しておりまして、一つ目は「学校における健康診断について、児童生徒等の健康課題の変化、プライバシーへの配慮、学校医等の確保が困難にある状況、学校における働き方改革等を踏まえた実施項目や実施方法」、二つ目は「学校における働き方改革が求められる中における、保健管理の実施にかかる教職員の負担軽減」、三つ目は「学校医等の確保が困難にある状況等を踏まえた、学校における持続可能な保健管理の確保」ということが挙げられるのではないかと思っております。
 それを踏まえまして、3の議論の進め方でございます。26ページ目を御覧いただければと思います。今申し上げた課題を踏まえまして、主に以下の3点について検討してはどうかということになります。繰り返しになりますが、(1)学校における健康診断の今日的意義の再確認のほか、児童生徒等の健康課題の変化、学校医等の確保が困難にある状況、学校における働き方改革等を踏まえた実施項目・実施方法、児童生徒等のプライバシーへの配慮等、適切な実施方法などの健康診断の実施の在り方、(2)養護教諭や学校医等の学校における保健管理を担う者の負担軽減、(3)その他関連する事項について、検討したらどうかと考えております。また、その検討に当たっては、参考人として、医療関係団体、学校の設置者等の関係者、教職員、保護者等を招致しまして、様々な観点からヒアリングを実施してはどうかと考えております。また、そのヒアリングの実施に当たっては、後ほど27ページ目で説明させていただきますが、着眼点を設けて行ってはどうかと提案させていただく次第でございます。
 また、今後の予定としましては、委員による意見表明や、参考人からのヒアリング等を次回以降行っていきたいと思っておりますし、また、今年度、公益財団法人日本学校保健会が保健管理の実施体制等について調査を行うと伺っておりますので、その調査結果を来年の春頃に報告いただければと思っております。また、ヒアリングなどが終わりましたら、今後の持続可能な保健管理の在り方を検討していくという予定でいかがでしょうかということでございます。
 そして、27ページ目でございますが、先ほど申し上げましたが、着眼点についてでございます。ヒアリングの主な観点としましては、繰り返しになりますが、二つあると考えておりまして、健康診断の項目について、実施する意義、実施方法、実施時期についてが一つ目、二つ目は養護教諭や学校医等の学校における保健管理を担う者の負担軽減というものが主に挙げられるところでございます。
 そして、着眼点でございますが、一つ目は健康診断の項目についてでございます。こちらについては、以下の5点としてはどうかと考えております。1点目は、対象とする健康診断の項目についてでございます。検討する健康診断の項目の実施によって判明する健康に関する事象とは何かということでございます。2点目でございますが、1点目の判明する事象を踏まえまして、学校において把握する必要があるのか、また、学校生活を送ることで増悪したり、支障を来すものであるのかということを確認する必要があるのではないかということを挙げさせていただいているところでございます。3点目は、検査の実施方法等についてでございます。検査の対象集団や方法等が確立されたものであり、また、準備等において教職員の負担が小さいもの、または現行の実施方法よりも負担軽減につながるものであるかということを確認する必要があるのではないかと考えているところでございます。4点目は、検査の実施時期についてございます。先ほど説明させていただきましたが、省令で6月30日までに行わなければならないとされているところでございますが、その事由はあるのかということを確認できればと思います。5点目は、事後措置についてでございます。検査の実施によって判明する健康事象を有する児童生徒等に対して、学校において配慮すべきことは何か、また、その配慮は学校等において対応可能か。さらに、事後措置として受診勧奨をする場合において、専門医療機関への受診等について、地域にかかわらず支障はないかという点は確認する必要があるのではないかということで、健康診断の項目については、以上の5点を着眼点としてはどうかと考えているところです。
 次に、養護教諭や学校医等の学校における保健管理を担う者の負担軽減については、以下の3点について着眼点としてはどうかということを提案させていただきます。1点目は、現状において、どのような点において負担になっているのかという点を挙げさせていただいたところでございます。2点目は、負担となっている点について、それに対する対応策や取組について、好事例や先行事例はあるかということを聞ければと思っています。3点目は、好事例や先行事例がある場合、全国的な実施は可能かということを着眼点として設けてはどうかと、事務局より提案させていただく次第でございます。
 28ページ目は、平成25年、前回の健康診断等の見直し時の検討会のまとめペーパーの抜粋でございますが、こちらをベースに健康診断の項目の着眼点を作成した次第でございまして、参考として載せさせていただきました。
 事務局からは、以上でございます。
【髙田座長】  御説明、ありがとうございました。
 ただいま事務局から、学校における保健管理の現状、現状等を踏まえた課題・論点、議論の進め方について、まとめて御説明いただきました。事務局の説明等を踏まえまして、各委員の現状の認識等について、各委員の自己紹介も兼ねまして、5分程度、御発言いただきたいと思います。御発言いただく順番につきましては、早退されると伺っております富永委員より御発言いただきました後、委員の名簿に沿って、五十音順で御発言いただくよう、お願いいたします。
 それでは、まず、富永委員から、よろしくお願いいたします。
【富永委員】  皆さん、こんにちは。富永です。現場にも行けなくて、早退までするということで、すみません。
 私は、日本薬剤師会の常務理事をしておりまして、薬剤師会では薬事衛生と一般用医薬品を担当しており、また、学校薬剤師部会の部会長をやっております。学校薬剤師も長いんですけども、学校現場では養護教諭の先生方は本当に頑張っておられて、応援しなくちゃなあと思っているところです。
 先ほど御説明の資料にもありましたように、学校保健を推進するという観点からは、保健教育において、今、オーバードーズとか大麻乱用対策としての薬物乱用防止教育やくすり教育を手伝っているところです。ただ、今回は保健管理ですから、保健管理においては、薬事衛生をバックボーンとして、医薬品や薬物、環境衛生検査機器、備品等の管理とか、水、空気、照度、騒音など、学校環境衛生活動に携わっているところです。学校現場での意見が述べられればと思っておりますが、私は小学校と高校を担当しておりまして、プールが外部使用となったり、検査が外注になったりしています。水道水についても、子供が少なくなる中で、なかなか塩素が出なかったりということもあるみたいです。コロナ等がありましたので感染予防等のために換気が励行されましたが、この感染防止効果については、有用であると認められました。ただ、いつもは学校環境衛生基準に照らした日常点検と定期検査を実施していて、定期検査は学校薬剤師が主に学校に出かけていって実施しますけども、日常点検とか、先ほど申しました外注をする部分については、その検査結果を全て学校薬剤師が把握して、確認して、もし改善点があれば、学校管理者、校長先生に御報告して、改善に向けた検討を行うということになります。ただ、検査結果や取組においては、学校保健委員会等で共有して、次の学校保健計画や環境衛生活動を行う上で検討課題となっていくわけです。
 コロナのことを申しましたけれども、コロナで換気が有効であるということで、ふだんは換気の基準として二酸化炭素濃度で空気の汚れ具合を示しますから、1,500ppm以下が望ましいとされておりますが、コロナのときは1,000ppm以下が望ましいだろうということで、それを推進しておりました。その健康習慣といいますか、もちろん消毒も手洗いもそうなんですけど、それが結構身についた学校が多いというか、やめていいですかと言った学校もあったんですが、やめるんじゃなくて、せっかくいい健康習慣だから続けていただきたいということで御説明して、以前よりも1割2割多くの学校が換気や消毒をやられていて、今回、年末年始にインフルエンザが猛威を振るいまして大変だったんですけど、換気等に力を入れていただいたという話はお聞きしております。これが現場の話かなあということです。コロナで培われたといいますか、衛生への意識とか健康習慣は今後も続けていくべきだと思っております。また、コロナでGIGAスクール構想の前倒しがあって、ICTの機器が導入されて、今後、いろいろ疫学調査も行われて、スクリーンタイムが家でも増加していますから、その辺もちょっと気になるところです。学校では普通教室もコンピューター教室も同じだという認識で、環境衛生基準というか、照度基準も見直されればいいのかなと思っております。
子供を取り巻く生活環境は相当変わっておりますので、健康診断はもちろんなんですが、オーバードーズなどで言うように、心の問題等もやはりやっていかなければならないと。それにはメディアの情報の整理も必要だと考えておりまして、この辺が保健管理にどうつながるかというところはこれからまた考えなきゃいけないんですけども、時代に合った保健管理を進めることで子供たちの健康課題解決につながることをこの検討会で期待しております。以上です。
【髙田座長】  ありがとうございました。
 それでは、以後、委員名簿に沿って、五十音順でお願いいたします。
 まずは、遠藤委員から、お願いいたします。
【遠藤委員】  皆様、こんにちは。女子栄養大学の遠藤でございます。
 本学は、栄養学部の単科大学ですが、1980年から養護教諭の養成をしておりまして、現在、約2,000名の卒業生が養護教諭として働いています。私自身は、看護師の養成教育をしていたこともありましたが、23年前に本学に移りまして以降、養護教諭の養成に従事しております。また、現在は、養護教諭の養成課程を持つ大学が集まって組織しております日本養護教諭養成大学協議会の会長を務めております。この会は、養護教諭の制度や、養護教諭を養成する教員の資質向上などを目的に活動している団体です。
 そういった立場から少しお話しさせていただきますと、学校における保健管理の現状ということにつきましては、本検討会の主題でもあります、学校における健康診断に加えて、もう一つ、健康観察の実施方法やその活用についても課題があると認識しているところです。今回の検討会では、学校における健康診断が中心になるということは、先ほどの堤専門官のご説明でよく分かりました。議論の進め方や着眼点もとても宜しいと思いました。ただ、学校における持続可能な保健管理といった場合には、健康観察の方法とその活用についても加えていただく時間があれば幸いでございます。
 まず、健康診断についてですが、先ほどの資料でもお示しくださったように、恒常的な学校医の不足ですとか、健康診断に対する家庭や児童の意識の変容というのが大きくありまして、中心となって健康診断を企画・運営する養護教諭ですとか、管理職はじめ教職員にとっては、今、過重な負担になるケースなどが散見されております。また、そういった中で、健康診断の方法等について児童生徒や保護者とのトラブルが生じており、先ほどの資料にもあったように、令和6年9月に「学校健康診断実施上の留意点」などの事務連絡が出ましたけれども、今も同様のトラブルが生じているような現状です。
 一方、御担当くださいます学校医の先生にとっても、今の状態ですとボランティア精神なくしては担当できないのではないかなというような、御負担であることはもはや共通認識はあると感じています。
昨日も養護教諭が集まる会議で健康診断の話題が出ておりまして、県教委のほうに、児童の保護者から、今年の健康診断で、内科健診を待つ間に下着を取って体育着1枚にさせられたということ、そして、聴診の際にはその体育着をまくるように指示されたことについて、「非常に娘は傷ついた、ちょっと学校には行けない」というような抗議を受けたという養護教諭の発言がありました。また、それを聞いた他の養護教諭からは、「前の学校では、下着を着けたまま、体育着も着たままで行ってもらえたのに、この学校では駄目なのか?変えてほしい」といったようなことがあったと話し、「このような事があるので、いっそ学校健康診断として統一してほしい」という嘆きというか、要望が聞かれました。このような現状から、今回、本検討会が設置されて、改めて、健康診断の意義の確認や健康診断項目とその有用性の評価、また、方法について検討してくださるということを大変ありがたく思っているところです。
 もう一つは、先に申し上げました健康観察ですが、検討して戴ける時間があれば幸いです。日常的な健康観察というのは教職員が行うことになっておりまして、保健管理の重要な一部と認識しております。特に朝の健康観察は、通常、クラス担任が行うものですが、その結果を回収して、分析し評価をする。そして、その結果を活用して、心身の健康に課題がある児童生徒を早急に把握して、健康相談や保健指導につなげるという一連の行為は、養護教諭の主要な職務です。先般、新型コロナが猛威を奮った際の健康観察では、一時的にICTを活用する学校が出ましたけれども、それが過ぎてしまいますと、多くの学校では、呼名式、つまり、手を挙げて、「元気ですか、元気じゃないですか」と問う、というような、朝の健康観察に戻っております。呼名式ですと、クラス全員の前で、体調不良、特に月経痛などの症状を抱えている女生徒は多いわけですけれども、そういったことを申告できないというような課題が以前からありましたし、また一方で、紙で行っている場合は、全校分をなるべく早くに回収して集計しなければならないという作業は、毎日のことですから養護教諭の大きな負担になってくるということをよく聞きます。私どもも行っていますが、幾つかの先行研究では、アプリケーションなどICTを使った朝の健康観察を行っています。実際に小・中・高等学校で使用していただいた結果、短時間で効率よく健康観察データを回収し、集団の感染症予防や心の問題を抱える児童生徒の早期発見に役立ったという報告がございます。学校のWi-Fi環境をはじめ、校務支援システムや、パーソナルヘルスデータとの連携などの課題はありますが、自殺念慮をもちながらも相談希求のできない児童生徒の増加などの現状を考えれば、健康観察の方法と活用の検討も持続可能な保健管理の課題の一つと認識しているところです。
 以上です。
【髙田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、柏原委員、お願いいたします。
【柏原委員】  狛江市教育委員会の教育長の柏原聖子でございます。このたびは、このような検討会議の仲間に入れていただきまして、また、学ぶ機会をいただきましたことを感謝申し上げます。ありがとうございます。
 先ほど事務局のほうから説明を受けまして、私もやはり、次期学習指導要領の改訂に伴いまして、グローバル化、デジタル化を、社会に向けた視野と持続のための視点は、健康管理も保健管理に関しても、逃せないところかなと思っております。しかし、これまでは、健康管理に関して、あるいは保健管理に関して、日本では一定の効果があった、あるいは成果があったと思います。その構築を大切にしながら、今後は、私は東京都であるということから、他府県では恐らく前提条件となる、医療機関の数や校医の数であるとかということは違っているということを承知の上で申し上げたいと思います。健康診断、健康相談、保健管理に関しましては、働き方改革が言われていますが、子供たちが自らの健康管理ができるようにするということが起点になるかと思います。その上に立って何が必要になってくるかを考えたときに、やはり、現代的課題と社会の流れから、心の問題をクローズアップせざるを得ないだろうという状況にあります。
 そして、2点目は、6月30日という期日を決められていますが、プールの指導というのが大きく関わってきているというのが現場であったと思います。ところが、本市も民間委託になり、プールの指導が5月から11月までの期間になっております。となると、外でのプールの指導というものが今後は変化をすることに思いをめぐらしたときに、6月30日が妥当であるのかどうかということは、やはり考えていかなくてはいけないことと思っています。
 それから、3点目ですが、デジタル化についてです。教育DXが進む中で、今般、学校の健康診断の情報分析というのが各市区町村で行われており、これは市区町村によって違いますが、今回、業者の方から国のマイナポータルの事業によって、この事業の機能が補完されることが方向づけされているとのことです。事業の運営にかかる費用対効果から、今後、マイナポータル事業に移管していくということで契約がなくなっていったというようなことが、今春ありました。先ほど遠藤委員からもお話があったように、教育DXに向けての校務システムが入ること前提で社会全体が動き始めているということだと思います。今後、教育DXに向かう保健管理の仕方ということも視野に入れていくべきだと思います。
 この期間、学ばせていただくことも多いかと思いますけれども、御指導いただきながら、教育行政としてどういうような方向づけがふさわしいのかということを考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【髙田座長】  ありがとうございます。
 続きまして、名簿順ですと私になりますので、私から簡単にお話をさせていただきたいと思います。
 私は、公衆衛生で、専門は学校保健ではなくて、産業保健を専門としております。産業保健の現場では、産業医として労働者の健康管理に携わっております。その中で実際に保健指導等を行っていく上で、やはり、学校保健の部分、特に小児の生活習慣、そういったところに対してしっかり対応していただくということの重要性というのは日々痛感しているという立場でございます。「健康日本21(第三次)」におきましても前後のライフステージを重視しているということもございますけれども、実際に学校健診を健康診査が満たすべき18の要件ということから考えて、厚労科研費のほうで評価している研究がございますが、その中で不十分な部分というものも指摘をされているところでございます。さらに、前後のライフステージの健康事象の考慮というところの重要性というのも、その中では指摘をされております。保健指導や健康教育、保健管理から少し外れる部分も出てまいるかと思いますけれども、そこでは、生活習慣病等、現在並びに将来を見据えた健康管理・疾病予防が重要であるというような提言もなされているところでございます。そのような観点から、今後を見据えて健診項目を検討する上では新たな視点というのも考えていただくということが必要になってくるかと思いますし、学校健診を将来的にはほかの健診と結びつけていくということで評価をしていく必要性も出てくると公衆衛生の立場からは考えております。
 一方で、私、産業保健のほうで労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会のほうに関わらせていただいておりまして、今、一般健康診断の項目の検討をさせていただいております。その中では、一般健康診断の目的というものを踏まえて健康診断の項目を検討する際の要点や着眼点というものを設定して、健診項目の追加等についての検討を進めさせていただいているところでございます。この学校健診におきましても、学校保健における目的というものを十分に捉えて、現在、それから、今後の健康課題というものも見据えた形で着眼点というものを設定して検討されていくというのが望ましいのではないかというふうに考えております。
 私からは、以上となります。
 続きまして、田中委員、よろしいでしょうか。お願いいたします。
【田中委員】  東京都中部学校経営支援センター支所長の田中妙美と申します。
 まず、初めに私の自己紹介ですが、私は、公立の中学校、高等学校の養護教諭を経て、その後、教育委員会に入り、そして、令和4年度から令和6年度まで東京都立の高等学校の校長を3年間務めました。養護教諭の経験を踏まえながら、現在の学校の経営・運営という視点でこの委員に招聘されたのではないかというところで、管理職の立場、そして、現在は都立高等学校約40校を所管する教育委員会の支所長としての立場として、学校の実情等をお話しできればと思っております。
 まず、今回、着眼点2点に絞ってヒアリングをするということは、非常によいと思います。養護教諭の方や学校医の方からの直接的な御意見、場合によっては保護者の方からもお話を聞くことにより、様々な立場における忌憚のない意見も出るかとは思いますが、ただ、何でもかんでも意見を聴取するのではなくて、絞られているというところで、2点、意義と負担軽減になるかと思うんですけれども、まず、健康診断の意義が学校教育にとって非常に必要不可欠であるというところはしっかりと押さえた上で、現在の健康診断の項目や、実施方法を精査していく。それと併せて、負担軽減になっている場面については、どうやってもう少し業務を削減というか、精査することができるかというふうに進めていくことが重要と考えます。負担軽減が先になり、本来の健康診断の意義が損なわれてしまうと、これは児童生徒の生命の安全・安心の環境を守っていく学校経営・運営としては、非常に危機感を感じるところでございます。
 実情を申しますと、令和6年1月22日に文部科学省が「児童生徒等のプライバシー心情に配慮した健康診断実施の環境整備について」という通知が発出され、都立高等学校の校長連絡会で東京都教育委員会から周知されました。この件については、学校としても喫緊の課題で、特に内科健診の実施については学校が非常に苦慮しているところです。通知文の内容は、学校医とよく相談をして、プライバシーの配慮を十分考慮した上で進めてください、そして、保護者の理解も求めてください、でした。ただし、ここで学校が非常に苦慮したのは、学校医の方との共通認識を図ることです。先ほど事務局の方からもお話ありましたが、健康診断の意義というのは、疾病のスクリーニングをして、健康状態を把握して、健康教育に役立てる。学校と学校医、社会が求めている定義づけが非常に定めづらい。学校によっては、内科健診を着衣のまま、聴診器を胸のところに当てて実施をしている学校もあれば、下着を脱いで、学校医の前で生徒自ら胸部を出して診断を受けるといった学校もある。そういったことで保護者も非常に過敏になっておりまして、他校ではそういうことができるのに、なぜ自分の子どもの学校ではできないのですかというような意見も複数出ているといった実情もございます。このため、スクリーニングをどのように定義づけするのかということや、先ほど私が冒頭で話しました健康診断の意義というものを3者がしっかりと共通理解を図って、なぜそれをやっていかなければいけないのかというところをしっかり協議、検討を十分重ねるということは必要かと考えております。
 私からは、以上です。
【髙田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、辻野委員、お願いいたします。
【辻野委員】  全国養護教諭連絡協議会会長を務めております、辻野智香と申します。よろしくお願いいたします。今回は、このような調査検討会を開いていただき、大変ありがとうございます。
 最初に、少し自己紹介をさせていただきます。私は、今年の3月まで、41年間、昭和、平成、令和と、小学校の養護教諭を務めてまいりました。その間の4年間は、さいたま市教育委員会の指導主事として、兼任をしておりました。そのときに、皆さん御存じかもしれませんが、「ASUKAモデル」という、体育活動時等における重大事故発生時の対応マニュアルの作成に携わりまして、この3月で定年退職をいたしました。
 私からは、現状ということで、先ほど御説明のありました資料2の3ページに学校保健の全体像がありますが、保健管理の中で健康観察と健康診断について、最近の小学校の例をお話しさせていただきます。
 まず、健康観察ですけれども、朝の健康観察は、朝の会で健康観察簿を見ながら、担任が子供1人1人を見ながら呼名をして、子供たちが、「はい。元気です」とか、「ちょっとおなかが痛いです」とか、そういった返事をいたします。欠席も連絡帳等や電話等で把握しておりました。その記録を朝のうちに保健室に届ける。保健室で養護教諭は全校を集計して、集団感染の兆しや、欠席しがちなお子さんの今日の様子などを確認して、朝のうちに管理職に報告をしております。管理職とともに、前日までの様子と併せて、今日の対応は何が必要かということを確認するというスタイルが今も続いております。一方で、コロナを機にデジタル化が進んで、端末を1人1台持てる学年については、学校に来たら、朝、各自のノートパソコンで自分の今日の元気度をクリックするというようなシステムもあって、これがあると、担任や養護教諭、管理職は、その場ですぐ管理画面を見ると確認ができるという、デジタル化も進んでおります。今もそうだと思うのですが、令和6年度までは両方で、始めております。
 保護者からの欠席連絡は、ここ数年でとても大きく変化しております。以前は近所の子供に連絡帳を渡したり、電話で欠席連絡とか、そういったことがあったかと思いますが、今はデジタル化が進んでおりまして、ほとんどの保護者が携帯端末を所持しておりますので、さいたま市では、これも100%ではないんですが、欠席等の連絡はアプリで入るようになりましたから、始業前に見ようと思えば、アプリの管理画面で、養護教諭でも、管理職でも、担任でも、ダイレクトで確認をすることができて、そこはいろいろ書き込みもできますので、「先日、何ちゃんにこんなことを言われて、今日は行きたくないと言っています」とか、そういう具体的なことを入力されると、そういうことは早期に対応することができますし、教員も若い先生がすごく増えておりますので、文章を見る見方というのもいろいろあるので、複数の目で見ると、これはすぐ連絡したほうがいいよとか、これは確認を取ったほうがいいよとかいうことを管理職等が教員にアドバイス・指導をするというような、早期の対応にも役立っているかと思います。
 それ以外にも、例えば、健康診断にもつながっていくのですが、宿泊前とか、水泳指導前、持久走の練習前の保健調査というのも、今まで紙媒体で行っていたのですけれども、そういうのも携帯の端末で収集して集計表が出てきて、それを個別対応につなげていくというように働き方改革というのが進んでいます。一方で、その集計を活用するためにパソコンの前に座っている時間がとても長くなっているなあというのを感じておりました。
 二つ目に、健康診断についてですが、さいたま市は、大変ありがたいことに、内科、耳鼻科、眼科、歯科と、それぞれに健診することができるんですね。全国的には、お医者様の不足でできなかったり、できていても、さいたま市も一部そうだと思うんですが、学年が限られていたり、健診項目が決まっていたりする場合もあるんですけれども、健診をする前には、それぞれの科の保健調査票というのを配付します。保護者に記入してもらって、回収して、抽出をしたりなどをいたします。例えば、内科健診は、調査票に加えて、結核健康診断前の調査票を、運動器検診調査票を配付して回収をするというようなことをしております。私がいた学校は児童数で言うと1,000人を超えておりまして、1回の健診で1,000枚集まってきます。全部集まればいいんですけれども、欠席しているお子さんとか、提出できないお子さんとか、そういうのは個別対応が進んでいきます。最終的には、健診当日の朝に、電話でおうちの方に項目を全部読み上げて、こちらで丸をつけるとか、そういったことをしながら、本人とお医者様の前にいる人はちゃんと合っているのかということを確認しながら健診をするということになります。効率よく学校医に伝えて、健診をスムーズに短時間で終了するようにということで、最大限の努力を全国でしているのかなあと思います。
 健診後は、受診が必要なお子さんには保護者宛てにお知らせ等を作成しておりますし、健診を欠席すると、その後の受診についてを伝えるということになります。
 あと、尿検査などもありますけれど、こちらは全校実施ですが、長期欠席のお子さんですとか、全員実施するのには、大変な、いろいろな人の苦労があります。そういったことは、担任の先生たちに御協力いただけるように、事前に実施計画などをすごく細かく作成して、最終的には、検査機関が受け付けてくれる期間内に、コロナの後ぐらいですと、家庭から医療機関に持ち込めないため学校で受け取り検査機関に、自転車で数日に渡り届けに行った年もありました。
 一方で、コロナ禍の頃から、先ほども出ていたのですが、スクールサポートスタッフさんという役割の方が配属されてサポートしていただけるようになって、私がいた学校はそれがずっと続いていて、量の多い事務的な仕事をサポートしていただき、働き方改革が一歩進んだなというふうな感じがあります。
 最後に、先ほどの説明の学校保健の全体像というのを見たときに、保健管理は必ずやらなければならないものなので、これをスリム化することができたら、さらに保健教育とか組織活動といったところを活性化させる一端を担えて、今でも来室児童に対応しておりますが、もっと丁寧に来室児童を見て、いじめとか、虐待とか、そういったことの継続支援とか、そういったところにも関われていけたらいいなあというふうに思っております。
 
【髙田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、長沼委員、お願いいたします。
【長沼委員】  マイクがそっちというか、スピーカーがそっちを向いているので、こっちはあんまりよく聞こえないんですけど、聞こえます? 私の耳が悪いのかな。
 じゃあ、ちょっと大きな声で話します。私は今、日本学校歯科医会の専務理事をしておりまして、学校歯科医に携わって、平成9年から学校医をやっております。今担当しているのは、王子特別支援学校と言いまして、児童生徒が700人近くいますので、多分、日本で一番大きな特別支援学校じゃないかと思います。そんなところで、日々、健康診断に携わっているんですけども、日本学校歯科医会の専務理事の立場からすると、学校歯科医会、健康診断のために、いろいろと統一化、キャリブレーションをそろえなければいけないということで、我々としては、研修を行って、日々、同じ目で健康診断ができるように努力をしているつもりでいますが、全国的にはいろんな健康診断のやり方がありまして、なかなか統一化ができてないところも事実でございます。そういうことで、我々、健康診断だけではなくて、安全教育ということも含めて、安全管理というところで、今、マウスガードや何かにも力を入れて、高校野球にできるだけマウスガードを推奨してもらおうと思って働きかけもしているんですけども、推奨以外に義務というところのマウスガードもありますが、学校で休み時間に転ぶと、口の中にけがをしたり、歯を脱臼したり、歯牙を破折したりという事故が多いので、そういうことも含めて、我々も取り組んでいるところでございます。
 そして、健康診断の話になりますけども、健康診断につきましては、歯科は、ほかの医科とは違いまして、時間がかかります。それは、歯牙1本1本を判断するというか、キャリブレーションとしては、スクリーニングではあるんですけども、それを判断していかなければいけないということで、大体、耳鼻科、眼科の健康診断に比べると3倍ぐらいの時間がかかっているんじゃないかと思っております。そんなところで、3倍の時間、我々は学校へ赴くわけでございますけども、学校歯科医の手当は学校医と一緒だというところで、全国的にも学校歯科医の手当がばらばらだというところも問題なのかなあと思っております。地方交付税交付金で文科省は統一的な金額を出しているんですけども、それが地方に行くと減額をされ、下手をすると出面になっていると。1回行くと幾らというような形で支給されているところもあるということを聞き及んでおります。
 そして、歯科健診、28本、32本と本数がありまして、健診項目も多いので、どうしても健康診断の管理の問題で養護教諭の先生方には大変御苦労をかけているというところで、文科省も校務支援システムを100%近く反映されましたけども、校務支援システムに移行するのにも時間がかかるんじゃないかというところでございます。そんなところで、それを解決するためにDX化ということで、我々も調査研究をして、どうしたら早く健康診断の結果や何かを事後措置に結びつけられるかというところでいろいろ検討している結果、健診ソフトがありますので、できればそういうのを校務支援システムに組み込んでいただければ、比較的早く健康の管理が改良・予後につながるのではないかというところでも、結果、そういう調査が出ているところでございます。
 そして、我々、今後の問題としまして、老人のほうではオーラルフレイルが問題になっておりますけども、児童生徒に関しましては、口腔機能の発達不全ということが健康診断の中で見落とされたところがございますので、どうしたら短い健康診断の中でそういうところを発見できるかというところも、今、研究しているところでございます。
 それから、今、特に全国的に問題になっているのは、通信学校というのがございます。そこの健康診断の問題が出ていまして、我々、健康診断を行う上で、一開業医として、そういう通信学校から生徒の健康診断をしてくれというような形で我々のところへ来るわけです。そんなところで、一体、費用をどうしたらいいのか。これをどういうふうに反映していったらいいのか。それから、通信学校ではなく、フリースクールの児童生徒や何かにはどうしたらいいのかというところで、そんなところも、今、全国的に非常に問題になっているところでございます。
 そんなところで、健康診断の管理というところでは、歯科的なことではいろいろな問題点はあるんですが、特に、せっかく校務支援システムができたので、そこにつなげられるような健康診断ができ、児童生徒が自分でよりよく健康管理ができるということが、先ほどおっしゃっていましたけども、重要なことではないかと思っております。
 以上です。
【髙田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、オンラインで参加されております、子吉委員、お願いいたします。
【子吉委員】  こんにちは。オンラインで失礼します。石川県にあります金城大学の看護学部の教員をしております、子吉と申します。このような会に参加させていただいて、ありがとうございます。
 かつては関東のほうの公立大学で保健師教育に携わっていて、そのときの上司が東京都のほうで養護教諭を長くしていた方だったんですけど、学校現場のこともよく知ったらいいよということで勧められたりして、教育委員会のほうにちょっとお話を聞きに行ったり、調査もさせていただいたこともあります。気になるお子さんに関して、乳幼児健診から学校にどうつなぐかということを研究してきました。そのような内容で東京学芸大学のほうでも研究してきたこともあるんですけれども、現在は保健師に特化した内容の研究をしておりまして、今、5歳児健診の研究をこども家庭庁の研究班のほうでやっています。その研究班で研究している中でも、地域の乳幼児健診におきましても医師の確保というのがすごく課題になっておりまして、今までも、全国、離島なんかの保健師さんからも、お話を聞いたり、伺ったり、現状把握してきたりはしていますが、本当に地域差はいろいろあるなあということで感じています。学校現場のほうにおきましても、学校医の不足、健康診断の実施に関する様々な課題を抱えていらっしゃるということをお聞きしまして、この会議に参加させていただく中で、学校現場のことをよく御存じの皆様の御意見を伺いながら、また、畑違いではあるんですけれども、私のバックグラウンドを踏まえて、御一緒に考えさせていただけたらなと思っています。よろしくお願いいたします。
【髙田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、藤高委員、お願いいたします。
【藤高委員】  皆様、こんにちは。私は、熊本市立春日小学校で校長をしております、藤高ちよと申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 現在は小学校の校長をしておりますが、以前はというか、採用された当時は養護教諭でございました。その後、指導主事等を経験させていただいて、管理職を経て、再度、教育委員会のほうに教育審議委員として教育行政に長く携わったところでございます。児童生徒の健康教育に長く携わっているところでございます。そういったところで、そういった経験を生かして学校保健管理の在り方というところを検討させていただくということは、大変ありがたいなと思っているところでございます。
 さて、本校では、全国どこの学校ででもありますけれども、今、健康診断の真っ最中でございます。4月から6月にかけて、健康診断を計画して、実施しております。先ほどから何度も出てきておりますけれども、健康診断は、子供たちが学校生活を送るに当たって支障があるかどうかについて疾病をスクリーニングして健康状態を把握するという役割と、学校における健康課題を明らかにして健康教育に役立てるという役割があります。特に、さきに述べました健康状態を把握するために、学校は、健康診断の結果、異常が疑われる場合には受診を勧奨しますとともに、支障がある場合には医師の診断に基づいて学校生活において管理を行っております。また、学校生活において配慮して、全ての子供たちが安心して安全に学校生活を過ごせるよう、全職員で対応できるように取り組んでいるところであります。その意味で、健康診断というのは、学校においてはスタートであるというふうに、子供たちの健康管理や健康保持・増進を図っていくためのスタートであるというところで、大変有意義なものである。また、これまで行ってきた健康診断が子供たちの安全・安心にとても有意義であったというところでございます。
 昨年度、健康診断については通知がありまして、児童生徒の心情やプライバシーの配慮というところですけれども、現場レベルというのはまだまだ十分にできていないというような状況があります。健康診断を実施していただく学校医の先生方と学校の十分な打合せが不足していたり、あるいは、保護者や学校職員への周知、その辺りもまだまだ課題があると思っているところです。その課題を解消すべく、養護教諭を中心に、管理職も含めて、今、一生懸命対応しているところですけれども、そういったところをきちんと整理しながら取り組む必要があると思っております。
 また、先ほどから健康観察のこともありますけれども、やはり健康観察を踏まえてというところがあります。家庭における健康観察もありますけれども、学校における健康観察も、とても重要な意義があるところでございます。健康診断を行うに当たって、健康観察ということはとても重要であると考えているところです。
 また、熊本市のほうでは、学校医等が何校も掛け持ちをされているということもあります。そういったところで、全国的には学校医の不足等も課題になっている地域もあるとお聞きしております。でも、児童生徒をお預かりする学校としては、子供たちの安全・安心が最優先で、持続可能な保健管理の在り方についてしっかり検討していくことが、子供たちの将来にわたる健康づくり、そして、子供たちの安心・安全な学校生活につながると思いますので、この会を含めて、しっかり検討できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、オンラインで参加されております、明神委員、お願いいたします。
【明神委員】  よろしくお願いいたします。浜松医科大学の明神でございます。本日、ヨーロッパ出張のため、ウェブ参加にて失礼いたします。
 自己紹介としましては、私は、システムエンジニアに従事した後に、現在、病理診断医をしながら、公衆衛生、疫学や医療情報を専門としております。私も小児自体の専門ではなく、公的ビッグデータをはじめとする、リアルワールドデータの構築や運用、分析やデータ連結などをやらせていただいています。リアルワールドデータだけじゃなくて、いわゆる臨床研究のデータ収集だったり、あと、厚生労働科学研究として、地域医療構想に関するものも携わらせていただいております。
 本検討会発足に当たって、お声がけいただき、ありがとうございます。公衆衛生、疫学の立場から、幾つかコメントをさせていただきます。
 まず、ヒアリング実施に当たって、今後の議論の進め方というところに関しては、着眼点であったり、事務局の方針というのは、異論ございません。ポピュレーションアプローチとしての健診というものの視点だけでしたら、様々、健診項目というのは出てくるとは思うんですけれども、それとともに、検査の実施時期であったり、健康教育に役立てるというようなところまで考えると、先ほど事務局であったり委員の先生方がおっしゃっていただいた着眼点というのは必要かなあと感じています。あと、事務局の着眼点にある負担軽減に関しては、人口の観点から見ると、子供の数というのは減っているというのは御存じのとおりですし、今後、もっと減ると。ただ、今日の資料であったり、報道にあるように、メンタルも含めた健康課題を抱える子供の割合というのは増えているので、その時点で、養護の先生だったり、養護以外の学校の関係者の負担というのは増えていると。さらに、働き方改革があるというところで、負担軽減を前提に考えることというのは重要だと感じています。
 そして、私自身、大阪のベッドタウンのとある市の幼稚園で産業医をしておりまして、嘱託なんですが、幼稚園のスタッフだったり、先生、事務の方の人員確保というのは、もちろん、それはそれで苦労されているんですけれども、それとともに、園医の先生の確保の関係というのも苦労されているというふうに聞いています。こちらでは小児科の園医の先生はいらっしゃるんですけれども、ただ、この地域に小児科自体は一つしかないんですね。そして、病院という、いわゆる有床の医療機関というのはない。なので、その小児科の先生が複数の幼稚園だったり学校を担当されているというふうに聞いています。なので、ここでも挙げられたように、学校医だったり園医の確保が難しい地域というふうには感じています。ただ、医師会だったり、歯科医師会、薬剤師会の先生方がいろいろ尽力されて、何とか回しているというふうには聞いています。地域医療構想の研究班にも入らせていただいていますけど、ここで、かかりつけ医、外来機能のガイドラインに学校医の項目を入れられたのは、とても大事なことだと思います。もちろん、項目が入るだけで解決するわけではないので、そこに対して何とか解決を目指すというところにはなってくると思います。
 最後に、地域医療構想関係でいきますと、人口の構造の大きな変化に伴って、今既に、大都市圏を除いた多くの地域、いわゆる東京や大阪を除いた、ほかの地域というのは、多くの場所で外来の患者さんというのは減っています。入院患者さんももうすぐ減るだろうと言われていたんですけども、実際、もう既に減っているんじゃないかとも言われている。そうすると、医療機関がなくなるんですね。医療機関がなくなったら学校医や学校薬剤師の確保というのはより困難になるというふうな悪循環になる可能性があるというふうに感じていまして、このように課題は山積しているんですけれども、何とか打開できるような落としどころができるような、検討会の一助になればいいなというふうに考えています。
 以上でございます。今後とも、よろしくお願いいたします。
【髙田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、オンライン参加の弓倉委員、お願いいたします。
【弓倉委員】  弓倉でございます。私は、バックグラウンドは循環器内科の医師でございまして、平成8年から子供たちの学校心臓健診に携わったのが御縁で、ずっと学校保健の仕事をさせていただいております。もう10年ほど日本学校保健会の仕事をさせていただいておりますので、いろいろな関係団体の方といろいろな話をさせていただいています。その中で気になったことは幾らでもあるんですが、今日は、時間もございませんので、ヒアリングの実施に当たっての着眼点にも、事務局の方が二つ出してくださっておりますので、それに沿って、お話を5分ほどさせていただきたいと思います。
 まず、負担軽減のお話ですけれども、学校医だけの話をさせていただくと、渡辺委員がまたお話しされると思いますが、私は全国の大会でいろいろな学校の教育委員会や医師会の会長の先生方とお話をする機会がございます。医師会長の先生方は、学校医を交代するときに、代わりがいない、探すのが大変だと、必ずおっしゃいます。また、その地域での会員がどんどん閉院していっているというお話がございます。これは厚労省も様々な資料を出してくださっておりまして、一つには学校医の高齢化ですね。診療科の医師の平均年齢は大体60代です。医師の偏在に関する指標を出している、厚労省の委員会の資料を見ますと、これから、継承もせず、新規開業もなく、診療所の医師が80歳で廃院をした場合に、2040年には関東でも41%の診療所の医師がいなくなると言われております。これは厚労省が出した指標ですね。ですから、ほかの地域はもっとすごいことになる。そのような状況にあって、様々な学校健康診断の対応の仕方につきましては、きちんとSDGsの形での考え方を議論していくことは非常に大切というふうに思います。
 それから、健康診断の項目ですね。学校医が不足していく中できちんと学校健康診断ができるようにしていくということは非常に大切ですし、学校健康診断というのは、明治の時代に活力検査から始まって、時代とともに項目も内容も変わってきております。そういう意味では、学校現場に負担にならない形で、しかも効果的な健診項目について、検討することが必要だと思います。
 二つ、例を申し上げますと、一つは脱衣ですね。内科の健康診断につきましては、聴診と、皮膚の変化と、胸郭と脊柱の変化を診なさいと、これが法律に書かれております。ですが、脱衣のままではそれができないんです。プライバシーであるとか、そういうものに配慮した結果、それぞれの先生方が学校と相談して、それぞれのやり方でやっているために、恐らく学校によってやり方がちょっと違うという、先ほどのどなたかの話が現実に起きているんだと思います。だから、そういうところをきちんと議論していくべきだと思います。ただし、脱衣しないということになりますと、私が知っているだけでも、学校健康診断で脊柱側弯を見落とされたということでの裁判が、今、既に数件起こっております。ですから、プライバシーを優先するのか、あるいは、内科健診のどの内容を優先するのか、変えるのか。私も内科の学校医を二つやっていますけれど、本当に健康診断をするたびに困るんですね。法律に書いてあるのに、それをやっちゃいけないと。あるいは、非常に不安定であるといいますか、精度の低い形でやらなければいけないというのも、非常に難しいことでございます。その辺についてはきちんと議論していただいたほうがよろしいと思います。
 それから、6月30日の問題ですけれども、これも、先ほど水泳教育の話をされましたが、私の知る限りでは、この6月30日というのが出てきたのは、昭和12年(1937年)に学校の身体検査の規定が公布されたときに出たもので、御存じのように、水泳授業ができてきたのは、1955年に紫雲丸の水没で多くの子供たちが犠牲になったということで、それに対して、水泳授業をしなければならないということで始まったということになりますので、水泳授業のために6月30日が決まっているんじゃないのです。皆さん、水泳授業のためなんだろうというふうに後づけで理解している方が結構いらっしゃるんですけれども、実は歴史を見るとそうではない。ですから、6月30日に、身体の予防・鍛錬を適切にし、体位の向上と健康の増進を目的とした健康診断というのが始まって、身体検査が始まったんですね。この辺は、恐らく、身長、体重、視力、内科診察ぐらいの非常に簡単な項目だったんだろうと、私は推測します。ところが、今の学校心臓健診の精密検査であるとか、尿健診のエコーの検査であるとか、どんどん医学が向上して求められるものも増えている現代においても、6月30日までに終わらなければいけないのか。学校保健統計の問題もありますので、当然、身体計測等はある程度、6月30日までに必要なんだと思います。成長曲線を描く上でも、そうだと思います。しかし、そうでないものもあるのだろうというふうに思うので、そういうことについては、ぜひここで議論していただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
【髙田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、オンライン参加の渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】  日本医師会の渡辺でございます。弓倉先生は内科ですが、僕は小児科の開業医で、月曜の朝と土曜の朝だけ広島で診療していますので、今日はそちらに伺えないので、オンラインで参加させていただいております。
 5年前に日本医師会の常任理事になりましたが、それまで35年間、小学校の学校医をしておりました。私は広島県の呉市に住んでおりまして、これまで、延べで18年間、学校保健を担ってまいりましたので、市町の教育委員会、県教育委員会、それから、養護部会、学校医、医師会という、広島県での人間関係や環境はよく分かります。ただ、他県はいろんな事情があるようでございますので、それは先生方の御意見を参考にさせていただければと思っております。
 先ほど述べましたように5年前に日本医師会の常任理事になって以来、弓倉先生とも相談しつつ、文科省に学校健康診断の検討をしていただきたいと三木課長のときからずっと言い続けてきまして、やっと会議を設置していただき、それから、十数年前に1回しかやっていない全国の学校保健の健康調査、健康診断の調査もやっていただけることになりまして、これに関しては、文科省の方には大変感謝しております。
 医師会は、基本的には日本医師会、都道府県医師会、郡市区医師会というふうに3層に分かれていまして、日本医師会は、少なくとも都道府県とは、直接、情報をやり取りすることができます。メーリングリストを使って、ほぼリアルタイムに情報を得られますので、配信もできるし、そのレベルでの情報集約はできますので、この検討会の内容をできれば向こうに報告し、現状での意見を反映したいと思います。と申し上げますのは、トップダウンで下りた健診、つまり、現場が納得できてない、十分理解できてない健診は、うまく実施できません。非常に混乱したのが運動器検診で、これからやりましょうと突然出てきてしまって、内科の先生はいまだにあっぷあっぷしております。なので、2次検診の受診率は高くないという現状になります。今、それを一生懸命支援していますけれども、同じことが起きないように、医師だけではなくて、養護の先生とか、それを支援する現場の先生方が十分理解した形で学校健診を行える体制にしないと、円滑に実施できないと思います。
 先ほど弓倉先生もおっしゃったように、脱衣とか側弯症の問題というのは、医師会は今、マスコミに結構たたかれております。それで、意見を集約するだけではなくて、自らも考えなければいけないと思って、会内の学校保健委員会では、先ほどお話しされた弓倉先生が副委員長で、『学校医のすすめ』という本を作っていただきました。現在、その委員会では、学校健診の項目の再検討と、児童生徒のメンタルヘルスの対応を検討中でありますので、また、医師会の意見、全養連の辻野先生もこの委員会に入っていただいているので、養護の先生の意見も反映した形での意見を、述べる機会があれば、述べさせていただきたいと思います。
 それから、弓倉先生も、田中委員もおっしゃったと思うんですけども、健康診断の意義をもう1回改めて考え直す必要があると考えております。これは私も全く同意でございまして、そこが共通認識を持てないから、脱衣が問題になる。僕は医者ですから、どちらかというと弓倉先生が発言された内容に賛同する部分があるんですけど、いや、そうじゃないだろうという意見があって当たり前だと思うんですね。そのすり合わせを十分しないから、脱衣という、本来、健康診断をするということと本筋が違うところで問題視されるというのは、あまりやってほしくないことだと思います。そういう意味で、できる限り共通認識ができるような体制ができるように、それから、その経緯も分かるように、この委員会でうまく円滑に情報を公開していただきたいというふうに思っております。
 それから、これはちょっと本筋からずれるかもしれませんけど、座長は産業医が御専門だとおっしゃっておられたので、この検討会で教職員の健康管理を協議するんだったら、ぜひ、学校保健安全法と労安法の区別をちゃんとしていただいて、小児科の医者に小学校の教職員の健康管理をしなければいけないという体制を再検討していただきたいという希望がございます。これは、座長、もし機会がありましたら、御検討いただきたいと思います。
 それから、先ほど、どなたか委員がおっしゃったと思うんですけど、健康診断というのは実施したら終わりではなくて、そのデータを利活用して児童生徒にヘルスリテラシーを身につけていただくような体制が必要だと思います。そのためには、クラウド型の校務支援システムを早く全国に導入していただいて、PMHを介したPHRを実施して、できれば母子保健とか医療データを連結することにすれば、養護の先生の御負担も減るし、個人のヘルスリテラシーにも役に立つと思います。お金と時間がかかるので、ここで話すことではないと思うんですけど、そういう観点でぜひ、健康管理というか、健康診断を考えていただきたいと思います。
 最後に、これは文科省の方にお願いなのですが、おそらく日本学校保健会が委託されて調査が行われると思いますが、ぜひ地域差に関するサブ解析を行っていただきたいと思います。医師会として、学校健診についていろんな方から聞いたり、実際に行ってお聞きしたりすると、地域差が非常に大きいです。医師の偏在もあるし、実施内容もあるし、教育委員会の方針もあるし、それから、北海道のように、やろうと思っても健診ができない地域がたくさんあるというところもあります。今回の調査は、全国でどうだというのではなくて、できれば都道府県の差というのも御検討いただき、この検討会の場で御協議いただきたいと思います。今回の文科省の資料で一番ありがたいのは、資料2の27ページの一番下の「好事例や先行事例がある場合、全国的な実施は可能か」という文章が僕は非常にうれしくて、これを入れていただいた文科省の方に大変感謝しております。先行事例とか好事例集というのは、誰もできないようなことをやって褒められるような好事例集がいつも多いんですけど、何の意味もない。学校健康診断というのは、全国の子供、児童生徒が均等にちゃんとした健診を受けられる体制でなければ意味がございませんので、この最後の文章が生きるような形でぜひお願いしたいと思います。
 私のほうからは、以上でございます。
【髙田座長】  ありがとうございます。
 ただいまで、全員の委員から御発言いただいたところです。御発言の中で既に、議論の進め方とか、ヒアリングのことについても触れられている委員の方もいらっしゃいましたけれども、ここからは、今までの御発言の中で発言し切れてないことがございましたら、追加でいただきたいと思います。特に、27ページ目のヒアリングの実施に当たっての着眼点につきまして、追加等で御意見がございましたら、ぜひ、本日、忌憚なく御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 そうしましたら、渡辺先生と弓倉先生の「挙手ボタン」が上がっているのですけれど、渡辺先生は御発言された直後なので、まず、弓倉先生から行きましょう。お願いします。
【弓倉委員】  僕は、発言というか、質問なんですけど。
【髙田座長】  では、渡辺先生からお願いします。
【渡辺委員】  弓倉先生、申し訳ない。
 ヒアリングの選択は、委員の意見を反映されるのかどうかお聞きしたいのです。ヒアリング先は文科省が一方的にお決めになられるのか、それとも、委員の意見がある程度反映されるのかだけ、教えてください。
【堤専門官】  事務局でございます。ヒアリングのところにつきましては、もちろん委員の先生方とも調整しながら詰めていければと思っております。
【髙田座長】  渡辺先生、よろしいでしょうか。
 続きまして、弓倉先生、お願いいたします。
【弓倉委員】  ありがとうございます。私も、いろいろな団体とお話をしますと、それぞれに主張はあって、それぞれに納得できるものはたくさんございます。ぜひ、ヒアリング対象として、日本眼科医会さんと日本耳鼻咽喉科医会さんですね。特に耳鼻咽喉科医会さんは、重点健診(重点的健康診断)という概念も提唱しておられますので、ぜひ意見を聞いていただいて、そういう対応でもいいんじゃないかというようなことを、逆に言うと、医師不足の中で認めていただく方向になっていくかどうか、分けるかどうかというのも、お願いしたいと思います。
 それから、脱衣に絡んで、脊柱側弯ですね。これについては、臨床整形外科医会の先生方にヒアリングをしていただきたい。脱衣をしない形で脊柱側弯を診ろという場合に、今の状況ですと、現場が非常に困っているんですね。ですから、そういうところにつきましては、それぞれの団体さんからのヒアリングをぜひ受けていただきたいと思います。
 以上です。
【髙田座長】  ありがとうございます。
 事務局はよろしいでしょうか。
 そのほか、御発言ございますでしょうか。会場の委員の方で、追加で御発言を御希望の方はいらっしゃいますでしょうか。
 オンライン参加の委員の方で、何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 事務局、追加で何か確認をしておいたほうがいいことはございますか。
【堤専門官】  特にないです。
【髙田座長】  よろしいでしょうか。
 それでは、本日は、様々な御意見をいただきまして、また、議論の進め方やヒアリングの実施に当たっての着眼点についても御意見等をいただいたところでございます。特に大きな変更点の御意見はいただいておりませんので、問題なければ、この着眼点につきましては、この事務局案に従って、第2回の検討会の準備を進めてまいりたいと思いますけれども、委員の皆様、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 そうしましたら、二つ目の議題のその他について、事務局より特段ないと伺っておりますので、本日の議題につきましては、これで終了となります。
 進行を事務局にお返しいたします。
【堤専門官】  事務局でございます。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
 次回の本検討会の日時につきましては、後日、事務局より御連絡させていただきます。
 本日は、以上でございます。改めまして、本日は誠にありがとうございました。
 
── 了 ──
 

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