養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録

1.日時

令和4年12月23日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に向けた方策について

4.議事録

【坂越座長】  皆様こんにちは。ただいまから、第5回養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議を開催したいと思います。
 お忙しいところ、委員の皆様御出席いただきましてありがとうございます。
 今日は貞廣委員が所用によって途中退席されます。
 皆様本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは最初に、事務局のほうから、配付資料等確認をお願いします。
【事務局】  事務局でございます。
 配付資料の確認をさせていただきます。本日の議事次第に記載しておりますとおり、資料1として議論の取りまとめ(案)、資料2として養護教諭及び栄養教諭に求められる役割について(案)、資料3として養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に向けた事例集の案、また、こちらはまだ非公表という扱いにしてございますけれども、参考資料として基礎資料を配付しております。資料の不足等がございましたら事務局までお申し出ください。
 また、会議に際しまして毎回のお願いとはなりますけれども、ウェブ会議を円滑に行う観点から、御発言に当たってはなるべく聞き取りやすいようはっきり御発言いただく、御面倒ではございますが御発言の都度お名前をおっしゃっていただく、御発言時以外はマイクをミュートにしていただく、また、御発言される際にはZoomの挙手ボタンを押していただく、資料を参照する際には、資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所等を分かりやすくお示しいただくなどの御配慮をいただきますようよろしくお願いいたします。また、1回の御発言は可能な限り簡潔にお願いします。
 なお、本日は158名の方の傍聴登録をいただいてございますが、本協力者会議につきましては、これまでと同様、YouTubeにてリアルタイムで配信されますので、併せて御承知おきください。
 事務局からは以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 それでは、これから議事に入らせていただきます。
 本日は議事1件、議論の取りまとめ(案)について意見をいただいて、最終的にこれを成案とします。
 まず、その取りまとめ(案)についての事務局説明を、ポイントを絞ってお願いします。
【事務局】  事務局でございます。
 資料1から資料3を御覧ください。
 資料1、「議論の取りまとめ(案)」は、9月に取りまとめていただいた議論の整理を基に、最終的な取りまとめ(案)として作成いたしました。
 1ページ目、最後の段落について、この取りまとめ(案)の内容については画一的な解を示す性質のものではなく、この取りまとめを契機として、養護教諭や栄養教諭本人、もしくはそれ以外の学校関係者や教育関係者、行政関係者を含め幅広い関係者における議論が喚起されることを期待するものというような位置づけとしております。
 2ページ目には、養護教諭、栄養教諭についての法的位置付けや養成、採用、任用・配置について、それぞれの段階の現状をデータで示しております。12月21日付けで学校基本調査の最新版が公表されていますが、この資料には反映できておりませんので、後日反映をさせていただきます。
 4ページ目。任用・配置について。現状として念のため御説明させていただきますけれども、任用・配置のところで養護教諭については全体として比較的配置率が高いものの、設置主体、要は国公私立ごとに配置率に差異が見られます。また栄養教諭については、これは必置ではないこととも関わりますが、全ての設置主体を通じて配置率が低い傾向にあります。さらに、公立学校について申し上げると、地域間でも大きく差異が見られるという状況となっています。
 5ページ目。「2.課題及び解決に向けた方向性について」。その段落の2行目、この議論の取りまとめについても、教職一般を通じた課題を俯瞰するものではなく、養護教諭や栄養教諭の資質能力の向上に関して特に重要と考えられる点に要点を絞って示しております。その上で、(1)から(4)の4点を大きく指摘をさせていただいている状況です。
 まず1点目の(1)求められる役割の明確化について。これは当然ではございますが学校に置かれる職の具体的な職務内容は、服務監督権者である教育委員会が定めることになります。その上で、養護教諭、栄養教諭については、他の教諭と同様、教師であるため、学校経営に参画するとともに、養護教諭や栄養教諭の専門性を生かした職務として、6ページ目に掲げているような職務を担うものと考えられます。
 1つ目の丸。これらの職務について、そこに含まれる全ての業務を単独で実施するのではなく、他の教職員との連携、役割分担の中で実施するものであり、その上で養護教諭や栄養教諭には、全校的な推進体制の中核として、教職員間の連携をコーディネートすることが求められていると記載させていただいております。
 3つ目の丸について。新型コロナの対応や、個別支援が必要な児童生徒への対応というものも相まって、養護教諭や栄養教諭の業務負担が更に大きくなることが懸念されているということを記載させていただいております。
 7ページ目の一つ目の丸。養護教諭や栄養教諭が置かれている状況について関係者から必ずしも十分理解されていないのではないかといった指摘がありました。これらは、学校保健、食育を推進する全校的な体制が十分に機能していないことが最も大きな要因ではないかと考えられます。
 2つ目の丸。「加えて、栄養教諭について」のところで、学校給食の管理に関する業務に比重が置かれているのではないか、それを受け、食に関する健康課題のある児童生徒への個別的な相談・指導等、栄養教諭でなければ実施できない業務について、関係者のほか、栄養教諭本人の自覚も必ずしも十分ではないのでないかといった指摘があったとさせていただいております。
 それを受け、7ページの「考えられる検討の方向性」では、教諭や事務職員について、学校管理規則の参考例、標準職務例が示されております。7ページ目の2つ目のひし形でございますが、養護教諭や栄養教諭についても国において同様の取組を進めるとともに、それを踏まえた上で教育委員会において職務内容を定め、求められる役割の明確化をすべきと記載させていただいております。
 8ページ目、1つ目のひし形。これは後ほど資料2で御説明させていただきますが、「その際には」以降で、他の教職員との役割分担をはじめとした業務の適正化というものを併せて進めることが必要であること、そのための留意事項や考え方を資料2で示させていただいています。
 2つ目のひし形。栄養教諭について個別の案件でございますけれども、栄養教諭でなければ果たすことができない役割として、食に関する健康課題のある児童生徒に対する個別的な相談・指導といったものの重要性について、栄養教諭本人も含めて教育委員会や学校関係者の間で認識を再共有すること、栄養教諭の任用・配置による効果が目に見えて実感できる取組を具現化して、早急に進めていくべきであることと書かせていただきました。
3つ目のひし形。「栄養教諭の採用について」、栄養教諭に求める役割等踏まえた上で、それらを担うことができる方を適切に任用できる仕組みになっているかどうかという観点から、教育委員会において検討することが望ましいというふうにさせていただいております。
 続いて9ページ目の(2)。こちらの資質の向上に関する指標は任命権者である教育委員会が策定することになっております。この指標について、養護教諭や栄養教諭の職務の専門性というものを鑑みると、他の教諭と共通なものではなくて、個別に策定する、もしくはその観点を追加するとか、そういったことが望ましいと考えられるものの、現在必ずしもそうはなっていないのではないかということを書かせていただいております。
 その上で「考えられる検討の方向性」の1つ目のひし形の2段落目のところで、「指標の策定に当たっては」ということで、養護教諭や栄養教諭の養成、研修に知見を有する大学であるとか、そういった方々の参画を得た上で、その専門性というものを適切に反映するのが望ましいとさせていただいてございます。
 10ページ目(3)。研修の機会の確保について、教職員が受講する研修について、いろいろな分類があるにしても、それぞれ大きな意義を有するものということをまず言わせていただいた上で、11ページ目の2つ目の丸で、養護教諭、栄養教諭につきましては、一人職、一人配置の学校が多いこともあって代替が困難であり、それゆえに研修機会の確保が難しい。加えて、初任者等、経験が浅い教師に対するOJT、日常的な指導の機会が十分ではないのではないか、また、初任者に限らず自分の仕事のやり方を見直す機会がないといった指摘もあると書かせていただいております。
 「考えられる検討の方向性」の3つ目のひし形で、先ほど(1)のところで申し上げた求められる役割等を踏まえた上で、養護教諭や栄養教諭が実施主体として行う業務の整理を行った上で、研修に参加することができる時間的余裕を確保することが重要であること、また、研修についてもやり方として、研修内容に応じて、リアルとオンラインを組み合わせた実施形態を常に模索するのは不可欠であること、ICTを積極的に導入するということになりますけれども、過去そうだったから対面だというわけではなくて、「前例踏襲」に陥ることなく、いろいろな形でICTを活用することが重要と考えております。
 12ページ目。そうはいってもリアル、対面での実習、協働というものは不可欠な研修もあると思います。そういったものについては、指導主事や退職教員、そういった様々な人的資源を活用した上で、OJTによる指導であったり、もしくは職場を離れて研修を受ける機会等を充実させたりすることが必要と書かせていただいております。「その際」以降ということで、教育委員会等の主導により、例えば、複数校によるネットワークの徐家構築、または拠点校の形成、そういったものを進めつつ継続的、組織的な体制を構築することも有効というふうにさせていただいております。
 (4)のICTの積極的な活用について、13ページ目の2つ目の丸のところで、養護教諭や栄養教諭の業務において、ICTを活用できる余地が少ないということではないだろうと考えております。例えば、養護教諭であれば保健管理、健康相談、また、栄養教諭であれば給食管理や食に関する指導を含めて、幅広い分野での活用を進めるべきといった指摘があったとさせていただいております。
 「考えられる検討の方向性」では、会議の中でも御指摘があった、養護教諭や栄養教諭の置かれている環境の整備が遅れている現状があるのであれば、早急に整備を進めるべきであること、その上で、3つ目のひし形で、ICTを効果的、効率的な業務の推進のためのツールとして捉えて活用を進めていくことが不可欠とさせていただいております。
 最後14ページ目の「3.今後に向けて」。これは冒頭でも申し上げましたけれども、最後のところで、我々文科省はもちろんのことですけども、養護教諭、栄養教諭を含む学校関係者、教育委員会関係者、行政関係者等の幅広い関係者による議論が続けられることを期待したいというふうに結ばせていただいてございます。
 資料2については、先ほど、職務の明確化のところでお話ししたとおり、職務の明確化に向けて、教諭もしくは事務職員については平成31年の中教審答申で述べられております。業務の効率化や最適化もしくはその効果、成果の最大化を進めるために、留意して検討していただきたいことを書かせていただいております。
 2ページ目以降、養護教諭の職務の範囲について書かせていただいております。①から⑩を掲げております。この場では説明を省略させていただきますが、この考え方としては、この2ページ目の下の「また」以降に書かせていただきましたとおり、それぞれの職務について、養護教諭が校内の中心的な役割を果たすべきものと、他の教職員との役割分担の中で適切な役割を果たすべきものに分かれるだろうと考えております。
 養護教諭につきましては、まず9ページ目で、他の教職員との関係、労働安全衛生法上の衛生管理者との関係、11ページ目で、保健主事との関係についても書かせていただいております。実態では、養護教諭が衛生管理者となり、もしくは保健主事に充てられているケースというものが多いと聞いておりますが、それはあくまでも校長等の管理職が校内全体の業務分担体制を把握した上で、慣例的に養護教諭を充てるのではなく、学校保健活動全体をより効果的に機能させるというから選任する必要があるとさせていただいてございます。
 11ページ目の下以降、栄養教諭について書かせていただいております。こちらも個別には御説明を省略させていただきますが、12ページ目の真ん中に記載のとおり、現状を申し上げると、栄養教諭が配置されていない学校というのも少なからずある状況です。そういった学校においても、ここで書かれているような職務、特に言わば食に関する指導については、他の学校とか教育委員会に配置されていてこの学校を担当する栄養教諭が、必要な指導・助言を行った上でこれらの職務を行うことが重要であると書かせていただいております。
また、学校給食の実施方式によって、栄養教諭の主たる勤務場所が校内ではない場合も想定されます。食に関する指導というものを考えた際に、どこでそういった主たる勤務を行うのが適切なのかという観点については、服務監督権者である教育委員会もしくは校長等の管理職が適切に判断することが必要とさせていただいております。
 栄養教諭で申し上げますと、13ページ目の3つ目の丸で、例えば共同調理場など学校ではない場所で勤務している場合についてあえて書かせていただいておりますが、ICTを活用することで同じ学校はもちろん、異なる学校であっても、食に関する指導を行うことも可能であり、積極的な活用を検討すべきであるとさせていただいております。
 補足として、最後15ページ目の<学校給食の管理>で、これも会議の場でも御指摘をいただきましたけれども、栄養教諭の職務の明確化を行う趣旨といったときに、学校給食の管理はもちろん栄養教諭の仕事ではあるものの、本来、学校給食の管理に含まれない業務まで栄養教諭に委ねられているのではないかという指摘もございました。その観点から<学校給食の管理>の下2段落で、そういった業務については見直しを行うことが望ましいというふうにさせていただいております。
 最後、資料3では、「ICT活用に関する事例」と「養護教諭と栄養教諭の連携に関する事例」を挙げさせていただいております。
 こちらも個別の御説明は省略させていただきますが、ICTの活用について、学校保健については5事例、また、食に関する指導、学校給食の管理については3事例、また、養護教諭、栄養教諭の連携方策については2事例を挙げさせていただいております。これらについては、教育委員会、学校のほうに周知、広報させていただく趣旨で作成させていただきました。
 事務局からの説明は以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 もう御説明いただいたとおりですけど、我々の協力者会議の議論のまとめというのが資料の1で、これが全体的なもの。その中で4本柱があって、その中でとりわけ職務の範囲の明確化について、かなり踏み込んで考えたものが資料の2ですね。それから、研修やICTのグッド・プラクティスとして御紹介すると、ぜひこういう取組をというのが、資料3という組立てになっています。
 これから委員の皆さんの御意見いろいろお伺いしたいと思うんですけれども、どこからでもいいのですが、できれば、全体のまとめ、それからまた明確化、こんな感じでいければいいと思います。この協力者会議も、今回5回目の会議で、その中で委員同士の意見交換とか事務局の打合せ会等もやってきました。そろそろ取りまとめを視野に置いた話合いができればと思いますので、その辺り御配慮いただいて御発言いただければ幸いです。よろしくお願いします。どなたからでも挙手ボタンをどうぞ。
 貞廣委員さん、お願いします。
【貞廣委員】  千葉大学の貞廣です。途中退出をしますので、僭越ながら、先に発言をさせていただきます。
 これまでの会議の専門家の方々の意見を、バランスよくおまとめいただきましてありがとうございます。その上で、今回全体を読ませていただいて少し気になった点がありましたので意見を申し上げたいと思います。
 そもそもこの検討委員会の最大の目的というのは、栄養教諭、養護教諭の専門性の観点からその職能等を再考することを通じて、子供たちの育ちや学びの充実がいかに実現できるのか、そこが究極の目的であろうと思います。
 そのように考えたときに、その本来の目的に対する言及が少ないかなという印象を持ちました。その点からしてとりわけ、二つのキーワードと概念をできればどこかに入れていただきたいと思っています。それは、ケアの視点と子供のウエルビーイングの実現、この二つです。
 まずケアの視点ですけれども、御承知のとおり、現在、教育とケアを輻輳させて社会的包摂を意識した制度設計が求められています。パンデミック下における休校措置下では、その必要性が赤裸々に表出したというところがありますけれども、学校という場やそこでのつながりというのは、子供たちが教科教育を受ける場という価値以上に子供たちの物理的、精神的居場所であり、教育活動を通じた福祉や人間的で健康的な生活をおくる場であるという前提に立つ必要があると思います。
 まさにこの点について養護教諭の先生方や栄養教諭の先生方の果たす役割というのは大変大きいと思われますので、やはり先生方の専門を生かしてより子供、若者たちが学びやつながりを奪われるようなことがないように、ケアの保障を確保し、心の安全や基盤となる生活を前提とする、これについて貢献していただくということを書いていただきたいということが1点です。
 もう一つこの教育やケアを輻輳させるその究極の目的は、やはり子供たちのウエルビーイングの実現であると思います。現在検討されている次期の教育振興計画でも、その大きな柱がこのウエルビーイングの実現ということになっています。
 ただし、御承知のとおり現時点では学習の前提となる子供のウエルビーイングの格差が存在をしていて、それが十分な学びの実現に結びついていないという実態があります。この辺りについても養護教諭の先生方や栄養教諭の先生方の役割というのはとても重要だと思いますので、ぜひ、この検討委員会の究極の目的は職能の再検討ということではなくて、その先を見据えた子供たちの育ちの充実であるというところを強調していただきたいと思うところです。
 以上が書き込んでいただきたい二点です。一つだけあと最後に申し上げます。最後のところに多様な方々を巻き込んだ議論が必要だということを書いていただいているんですけれども、今までもそう言われていてなかなかそれが実現してこなかったということですよね。書いていただくことは別として、校長職を含めた他職を巻き込んで、議論していけるような仕掛けや工夫が必要だと思います。これは本体ということではなくて意見です。
 長々と、最初に何かしゃしゃり出てすみませんでした。以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 いや、本当に大事なことで、事務局でもぜひ検討お願いしたいと思いますが、私が聞きながら、それぞれの本論のほうはそれこそ職務だとかかなり踏み込んで書いているので、今委員さんおっしゃってくださったようなことを書くとすれば、最初の辺り、扉の辺りで、養護、栄養の先生方が特に力を発揮していただきたいこととして今日の教育課題としてケアやウエルビーイングについて、1文でも1段落でも入ればいいかなと感じました。事務局としてはどのような受け止めでしょうか? すぐにここをこうしますということは難しいとしても。
【事務局】  養護教諭と栄養教諭のそれぞれ書くか、それとも今座長がおっしゃったように前文、最初のページで書くか、やり方は幾つかあると思うんですけど、養護教諭と栄養教諭で求められる役割が違うかどうかということも含め、改めて整理し、何らかの形で盛り込みたいと思います。
【貞廣委員】  ありがとうございます。
【坂越座長】  ぜひそうしてください。ありがとうございます。
 それじゃあ次の方、どうぞ。あんまり手が挙がりませんけれども、いかがでしょうか。
 今日は、皆さん方がこうやってオンラインで直接、意見交換するのがひょっとするとこれで終わりぐらいかなと思ったりするので、ぜひ全員の皆さんに感想なり、あるいはもちろん御意見でも結構ですが御発言をいただきたいと思っています。
 小林委員さん、手が挙がりました。
【小林委員】  小林でございます。お願いします。
 とても分かりやすくまとめていただきまして、感謝を申し上げます。
 その中で、栄養教諭や養護教諭自身はもとより、このこと、特にこの職務につきましては、教育委員会はじめ学校、特に管理職等への理解がこれを基にさらに進むとよいなとは思いますが、現実的にはそこの理解のところ、周知の仕方等が課題になると思うのですが、その辺はいかがお考えか教えていただけますか。
【坂越座長】  まとめた後の展開ですよね。どうですか、事務局のほう。
【事務局】  事務局でございます。
 御指摘のとおりで、これまでの養護教諭や栄養教諭について、色々な検討がなされてきたのは事実ですけれども、その結果まとまったものというのが、養護教諭や栄養教諭本人には行っても、教育委員会であるとか、校長等の管理職に向けた発信というのが、文科省としても少し反省点を感じております。
 今回、この議論の取りまとめ等を取りまとめていただいた後に関しては、養護教諭や栄養教諭本人への周知はもちろん必要ですが、それに加えて教育委員会や校長等の管理職に向けて、具体的にこうするという話までは申し上げられませんが、発信の方法なり主体・客体なりについてはこれまでとは違った形で、直接届くような形で広報をしたいというように考えています。
 特に職務の明確化というところで、学校管理規則を変えるという話になれば、当然教育委員会の理解が得られなければ何もやりようがありませんので、それはもう我々としては、様々な機会を通じて、もちろん個別の教員とか学校に向けてもそうですし、全体に向けてもしっかりと周知、広報に努めていきたいというふうに考えております。
 その際にはぜひ先生方におかれましても、それぞれの関係団体等に対する周知・広報への御協力をお願いいたします。
【坂越座長】  小林委員さん、よろしいですか。
【小林委員】  はい。よろしくお願いします。
【坂越座長】  三木委員さんのお手が挙がりました。どうぞ。
【三木委員】  よろしくお願いします。
 小林委員と同様ですが、このまとめ全体を、また、5回の検討議事録の様子から、まさにこれ発想の転換で読むと理解できると思いました。
 なぜかというと、養護教諭や栄養教諭はこのことについては十分に理解しつつも、31年の働き方答申からも教諭のほうもそうですが、子供のために何としてもやりたい、このことも必要だとずっと頑張ってやってきたと思います。
しかし、この議論のまとめは、養護教諭でなければならないこと、栄養教諭でなければならないこと、その専門性をいかに発揮するかと自分がやるべきこと、専門性を生かすこと、あとは、他の教職員と役割分担でやることを区別して捉える必要があるという記述であると考えます。
 そうであれば、その専門性をいかに生かして、仕事を効率化したり、適正化したりするという底を流れる精神は理解できました。
 その意味で、小林先生と同じですが、例えば「管理職の管理監督の下で」が随所に記述されています。また、「周りの教職員の理解を得ること」、それから「教育委員会と連携すること」という記述は、逆から言うとそれだけ理解されていないし、管理職の理解が足りなかったからこのように書いて理解をしてほしいという願いが込められているのではないかと思います。また、そのような見方をすると、養護教諭だけではなくて周りをどう巻き込んでいくのかという考え方が、ここの底を流れる精神かだと理解をいたしました。
今後、この議論のまとめが関係者に周知されるような方策を考えていくと、本来の目的が果たせると思います。
 あともう一つありますけども、後で発言させてください。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 この流れの中で指名すると大変お気の毒ですが、行政の立場のほうで、あんまり現場とか、教育委員会や学校のほうにこういうのが伝わりにくいのではないかというそういうことに関して、兵庫県は決してそうではないと思いますけれども、北中委員さん、ちょっとコメントを。
【北中委員】  兵庫県、北中でございます。ありがとうございます。
 議論を聞いておりまして、まず、全体通しまして、冒頭から座長のほうからも御指摘ありました今回この取りまとめの内容につきまして、踏み込んだ形でということのコメントをいただいております。我々も着目しましたのは7ページ辺りの、先生方の個業、一人で担わざるを得ない状況がたくさんあること、あるいは、本人、御自身自体もやるべき仕事ができなくて、あるいは理解されてないということです。その主たる要因が、8ページにも書かれています。我々が注目しましたのは、特に学校長を含めた管理職の理解が進んでないとの内容が、今回踏み込んで具体的に記載されている個所と認識しております。今回こういった形で明記されていましたこと、我々が今後こういった職務内容を明確化していく上では大きな指針をいただけたものと、大変感謝をしているところでございます。
 それを踏まえまして、先ほどから御指摘あります、教育行政現場としてこれをいかに管理職にということでございますけれども、本県も幸い管理職研修というものを定期的に開催しております。あるいは、月に1回、あるいはそれぞれ地区のいわゆる校長会あるいは教頭会のように、一堂に会して教育行政的に発信する場というのは各方できておりますので、当然国からいただきました通知、通達等も含めまして、必要なときに必要なタイミングでこれらを正確にもお伝えしていきたいと考えております。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。
 これは事務局から周知を図る際にお願いなのですが、教育委員会とか校長先生に意識していただいてこういうことを理解いただくところで、学校の中に来たときにチーム学校とか言われる形で動くときに、ほかの一般の教諭の先生方も養護や栄養の役割、機能というのを共通に理解してもらわないといけないわけで、校内研とかそういう学校内での共通理解にも校長先生がぜひ力を発揮していただけるように、配慮もお願いしますね。
 長島委員さんのお手が挙がっています。どうぞ。
【長島委員】  ありがとうございます。長島です。
 先ほどから養護の先生方がおっしゃっていることと同感です。栄養教諭も養護教諭と同様に一人職種でありますので、日頃からおのおのの立場で本当にそれぞれみんな頑張っていますが、果たして私の職務の取り組み方はこれでよいのかという振り返りの時間が確かに少なかったと反省をしております。このたびの議論を踏まえながら、栄養教諭の職務の在り方について明確化を図っていただいてまいりましたので、これを基に今後頑張って取り組まなければならないと思っております。
 そして、貞廣委員からもお話もありましたが、まずは児童生徒のためにという視点に立って、方向性として、栄養教諭自身が自らの専門性をしっかり認識して、先ほどから出ているチーム学校の一員としても、どのように手だてを図っていくべきか、「栄養教諭でなければならない」、「栄養教諭だからできる」ということをしっかり示すことができる、職務の取組方をしていかなければならないと強く思っております。
 その上で、本日まとめられた内容が、「教育委員会や学校に期待されている・期待するところ」というような表現が何か所かありますので、やはりこれを周知していくことが大きな課題だろうと思います。
 先ほどの兵庫県の取組はかなり全国的にも前向きな取組だと思いますが、栄養教諭への理解については各都道府県の温度差が非常に大きいと思います。養護教諭の先生以上に、必要性に対しての温度差が非常に大きいと思います。栄養教諭の配置の必要性について、全ての都道府県、市区町村に行き渡るように、具体的な方策を講じていただきたいというところが大きな願いです。
 私ども全国学校栄養士協議会の組織については、改めてこのたびの職務の明確化を踏まえて、栄養教諭の資質向上をめざし、具体的なゴールを視野に入れて研修会等を今後行ってまいりたいと思っております。このような職務をしっかり推進し取り組むことを通して、周囲に御理解を広げながら、栄養教諭の配置促進につながっていくことを願っております。引き続き皆様におかれましても御支援をお願いいたします。
 ありがとうございました。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 事務局からも出ましたけれども、委員の先生方はいろんなネットワーク、いろんな協会とかそこでお持ちですので、ぜひそういうところでも浸透といいますか共有をお願いしたいと思います。
 それではそのほかにどうぞ。
 弓倉委員さん、お願いします。
【弓倉委員】  学校保健会、弓倉でございます。
 おかげさまで、資料を拝見いたしまして非常によくまとめていただいたなと思っておりますし、私どもの意見もかなり入れていただけたのかなと思っております。
 気になった点は一つです。資料1の、議論の取りまとめ14ページの最後。今、「今後、この議論の取りまとめを検討の一助として」について、「議論が続けられることを期待したい」と事務局からお話がありました。
 皆様言ってらっしゃることと同じですけれども、結局この取りまとめができたことで、どのような議論を誰がどういう目的でしていくのかというところが足りないのかなと思って。この文章だと、この取りまとめだけつくったので、あとは皆さん勝手に議論してくださいと読めてしまう。もう少し目的性といいますか目標といいますか、そういうものを明確化されたほうがいいのではないかと思いました。
 以上でございます。
【坂越座長】  弓倉委員さん、もう少し事務局にヒントを与えてあげてくれませんか。
【弓倉委員】  そうですね、例えば、養護教諭や栄養教諭のこの議論が続けられることと、今議論がじゃあどんな議論があるのかなというところからまず問題になってくるかと思うのですが、栄養教諭の例えば配置促進を目指した議論なのか、養護教諭の役割分担をもう少し明確化したり、一人配置ではやはり問題があるので例えば、ほかの養護教諭によるヘルプの事業とかもあったりそんなこともやっている県がございます。そういう働き方に関する議論なのか。何か、ただ「議論を期待したい」というふうに書かれると、何を議論すればいいのかという話になってしまうと思いました。
 以上でございます。
【坂越座長】  すみません、再質問して。
【弓倉委員】  だから私自身も、今現在、都道府県、あるいは教育委員会によって考え方に差があるだろうと思います。そういうところにぽんとこれが出て、ただ「議論してみてください」と言うだけではどうなのかなと思ったのです。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 我々の協力者会議が何のためにやってきたのか、そしてそれこそどういうことについて議論を深めてほしいと思ってこれを出しているのか。
 基本的には我々は、もちろん一人配置の問題もあるけれども、その職務の専門職化、その深化といいますか、それから研修、資質能力の向上、ひいては、最初に貞廣委員さんおっしゃってくださったように、児童生徒たちのウエルビーイングというような、そこに資するような議論をというような形かなと思ったりしますので、ちょっとまたそこは事務局と相談をさせていただこうと思います。
 鈴木委員さん、ごめんなさい、お待たせしました。
【事務局】  座長、1点いいですか。
【坂越座長】  はい、どうぞ。
【事務局】  すみません。
 弓倉委員の御指摘に関して、この議論の取りまとめの中では、例えば、考えられる検討の方向性のところで、こういったことをすべきとかこういった検討をすることが望ましいというふうに書かせていただいていると思います。このそれぞれについて例えば文科省であれば、標準職務例、職務の明確化というのをこの取りまとめの中で、教諭や事務職員と同様に行うべきだというふうに御指摘をいただいております。それを受けて、じゃあ今すぐそれは書きますという話でもちろんないと思っていて、その個別の論点ごとに検討を進めていく必要があると思っております。
 この議論取りまとめの中では、「国が」とか「教育委員会が」とか「管理職が」というふうに、主体を書かせていただいているつもりではあるのですが、そういったものを、恐らくこの議論の取りまとめで全てについて、例えば終わりに書き出すとすごく膨大な文章になります。我々が周知する際に、その周知する主体、客体に応じて、教育委員会の方々にお願いするのはこれですよ、こういったことをやってほしいというメッセージを、我々から説明する際にうまく伝えていくという話であるとお聞きして感じたところです。
【坂越座長】  まあまあそれでも、もう少し何のための議論かぐらいは入れてほしいです。せっかく、最後のところでここ大事なところなので、やっぱり最終的な目標を少し大きくてもいいから、こういうことを目指すんだということがちょっと入ったらなと私自身も思いますので。
【事務局】  承知しました。
【坂越座長】  よろしく。
 鈴木委員さん、お待たせしました。
【鈴木委員】  取りまとめいただきありがとうございました。
 確かに職能的な要因が強くなってしまい、今まで、子供たちに対して栄養でどれだけ助けてあげられ、サポートすることができるかという思いが強過ぎて、そちらの方向で議論を進めてしまい、貞廣委員のご意見を伺い反省する次第です。
 子供たちにとって食べることは大人以上に欠かすことはできず、何げなく食べていてもその状況によって発育・発達は大きく変わってしまうところを、これだけ議論していただいたので、今回の議論をどのように周知するかについては先ほど先生方がいろいろ提案しくださって、たくさんの項目で話し合われるだろうと考えます。
 たくさんの提案をいただいても、栄養教諭が各学校で自分たちが主体的に動かない限りは、教育委員会のみなさんや校長会で協力をいただいてもなかなか実現することではないと思うのですね。様々な事象がたくさん起こる学校の中で、今回の議論を踏まえて栄養教諭がどれだけ動いてくれるのかを私はとても心配しています。
 この私たちの時間を無駄にしないように、栄養教諭たちがしっかり動くことが第一で、それによって何を実行したかを示してもらいたい。栄養教諭たちの活動が、各学校で何をもたらしたのかを示すことによって、教諭のみなさん、校長先生、教育委員会、県や文科省を動かすことになると信じています。
 この会議から何が生まれて何を今年は実行して、そこからどのように変化があって、変化できなかったところは何だったのか、それを次につなげて変化を起こすというように、ぜひとも今回の議論から毎年毎年、栄養教諭は栄養教諭から、養護教諭は養護教諭からしっかりと発信して進めていければ、この会議が無駄にならないと考えます。来年度以降、心からの喜びとなると思っていますので、栄養教諭は一生懸命に栄養教諭としての業務を行い、日本栄養士会としても全学栄と共に支援していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしますという、決意表明みたいになりましたが、おまとめいただいて本当にどうもありがとうございます。よろしくお願いします。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 それから、すみません、指名してしまって。中村委員さん、コメントをお願いしたいと思います。
【中村委員】  ありがとうございます。
 私も皆様のご意見と同様にこの取りまとめを読ませていただいて、ほとんどのご意見を酌み取ってここまでまとめて下さったことに、感謝しております。ありがとうございました。
 私からは、課題及び解決に向けた方向性の中で「議論のとりまとめ」6ページで絞り込まれた点のうちの、2.の(2)「資質の向上に関する指導」を基軸とした養成と採用及び研修の接続・連携にある「連携」の部分。それから(4)の職務遂行のインフラとしてのICTの積極的な活用について、私の今後の取組と関連させてお話したいと思います。
 連携については、前回資料の2-4の中で「養護教諭、栄養教諭は学校保健活動や食育を推進するだけでなく、全校的な推進体制の中核として、教職員間の連携をコーディネートする能力が共通して求められることも改めて確認された」と記載されています。さらにこれは、先ほどの貞廣先生からのご発言にも全く合致するところですが、「児童生徒などの心身の健やかな成長を担う」という最終目的を同じくする一人職の職種として、養護教諭と栄養教諭がお互いの職種について理解し合い、協働して学ぶことが今後ますます期待されている」と続いています。
 この件については本会議初回において、養護教諭のご代表である三木先生がまず、「養護教諭と栄養教諭が連携して取り組むことが重要」と発言され、その後も度々繰り返して言及しておられました。私も全く同感でありましたので、ずっと今も印象に残っております。
 特に個別指導などにおいて、昨今のコロナ感染拡大により不登校児が増えてきております中、お互いの専門性を生かした情報を連携、そして補完し合いながら学校全体として強固なチームを組むことによってしっかり個別のポイントを押さえた効果のある指導を実践して、児童生徒の心身の健康改善につなげていただきたいと心から願っております。
 また、(4)の職務遂行のインフラとしてのICTの積極的な活用につきましては、中身の濃い当該事例の中で、「業務の効率化によって本来の食の指導内容が充実」「研修受講時間の確保」「オンラインによって相談しやすくなった」など、たくさんの成果が紹介されていました。特に今回の事例はICTの事例が多く、充実していましたので、非常に参考になる筈と思っていました。
 しかし、実は「児童生徒には1人1台の端末環境やそれを効果的に活用するための教室などの無線LAN整備が進む一方で、特に栄養教諭、養護教諭にはそれらの環境整備が行き届いていないのではないか、それに伴いICT活用が進んでいないのではないか」と、しっかり言及されています。
 そして更に、「データ活用や情報機器操作の習得による資質の向上にICTや情報、データの利活用の事項を定めることとされていることからも分かるように、ICTの活用は避けて通ることはできない」と明記されながら、非常に難しい現場の実態も指摘されています。実際共同調理場やセンターなどにおいては全くWi-Fiの環境のない現場が多くありまして、情報の交換やオンラインミーティングなどの対応も非常に困難な状況があって、私どもも度々経験しております。
 資質の向上に向けて最重要とされるICTの環境整備は、必須でありますから、まず、できるだけ早く、せめて児童生徒と同じ環境を、指導者に対してもぜひ提供していただきたいとこの取りまとめを拝読して痛感しました。
 私は子供の健やかな成長に向けて、ICT環境の現状を解決するために、何ができるかという観点でこのたびこの会議に参加させていただき、私どもの立場として可能な取組をスタートさせていきたいと考えております。いろいろな形の処し方があると思いますが、私たちの立場でできる範囲内で重要な点を解決すべく、実際に取り組んで、「子供の健やかな健康」という最終目標につながっていくことになれば、今回参加させていただいたことの大きな意義となると思っております。
 本当にありがとうございました。たくさん学習させていただき、心から感謝しています。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 いやもう、早速具体的に取り組んでいただけるということで、本当に感謝したいと思います。
 三木委員さん、もう一つおっしゃりたいことがあると言われていました。
【三木委員】  ありがとうございます。ひとつ質問があります。まとめの7ページに、事務職員の職務内容を定める際の基礎資料とするために、学校管理規則の参考例及び標準的な職務の例とあります。また、別添の「職務の明確化に向けて」では、今後早急に養護教諭及び栄養教諭の標準職務を明確化するという記述がございます。ということは、今は役割、職務の範囲の明確化という議論してきましたけれども、今度は、標準職務の観点で、いわゆる31年の働き方改革答申に倣い、
養護教諭及び栄養教諭のほうも、その標準的な職務の明確化を、しかも、「早急に」と記述されています。これを踏まえ、この方向をいつどのような形で進めるのでしょうか、この資料が多分そこに生きてくると思います。そのことをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
【坂越座長】  事務局、いかがですか。
【事務局】  ありがとうございます。
 あくまで取りまとめをいただいた後の話になりますけれども、例えば教諭と事務職員については、平成31年1月に中教審答申がまとまった後、令和2年7月になりますけれども、そこで標準職務例と呼ばれる職務の内容と、後、学校管理規則の改正なりの内容を示す通知を出させていただきました。
 この取りまとめを踏まえた上でまた少し考えたいとは思っておりますが、なるべく早期にと言われており、養護教諭と栄養教諭の職務についてはこういったふうに規定するといいんじゃないかという標準的なものをお示しする予定です。その上でそれを、服務監督権者である各教育委員会において、養護教諭というのはこういう職務をする職なんだよ、栄養教諭というのはこうなんだよというのを明確化してもらいたいというふうに考えておるんですね。
 例えばどのタイミングで我々がモデル的なものをお示しするのが教育委員会にとって一番効果的なのかということを考え合わせながらかなと思っておりますが、例えば、そこは、すみません、北中委員にも御意見を伺いたいところではあるんですけど、例えば年度内とか、もしくは年度内からもっとずらしたほうがいいのか、そういった御議論あると思いますので、そこは教育委員会とうまく意見交換をしながら、実質的に意味がある職務の範囲というのがちゃんと明確にできるような仕組みとして、時期も含めて考えたいなと考えております。
 とはいえ、年度というのが一つの区切りになるのかなと思ってございますので、準備のほうは早急に進めたいというふうに考えてございます。
【三木委員】  ありがとうございました。
【坂越座長】  ということでございます。
 もう1回北中委員さん、すみません。こういう指針が出てくると、現場というか教育委員会当局としてはどうなんですか。年度で受けて、その後の動きみたいなのはスムーズにいけますか。
【北中委員】  早急にいただいたとしても、年度内というのはかなり加速した整理が必要です。例えば、栄養教諭について、食材の物資の仕入れの際、栄養教諭が立会うかどうかというところまで整理するのかというような議論も現場では出てくるものです。
 ただ、行政的にそういう本当にミニマムな部分までを整理し切れないと思います。そこは実情に合わせてやるしかありませんので、グレーゾーンのすみ分けも含めた、整理も同時にしていかないといけないのかなと。ただ、繰り返しになりますけども、国からいただきました標準的なモデルのグレーゾーンを整理していくには、一定のお時間は必要です。以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 そうですね、確かに標準モデルなのでね。一般教員の場合もそれこそ何から何まで、逐一逐条的に決めているわけじゃないですからね。それはそうですよね。
 ありがとうございます。
 一通り皆様からの御発言はいただいたのですが、まだ時間は少しありますので、どうぞ、ほかに御意見とかありましたらお願いします。
 いや、委員の皆様からいろいろな御発言、御指摘もいただきました。基本的にはこの取りまとめにこれまでの御意見は基本的に反映されていて、必要なことは取りまとめられているとおっしゃっていただきました。事務局にも委員の皆様にも御協力いただいてこういう形になったところです。
 事務局のほう、特に委員の皆様からの御発言がなければ、そろそろ「終わりに」に入っていってもいいですか。
【事務局】  では、1点だけ、すみません。
 本日貞廣先生や弓倉先生、他の委員の先生方を含めていただいた御意見を踏まえて、もう少しまた考えるべき点は考えたいと思っています。ここで1点だけ、さっきの貞廣先生の御趣旨とも関わるんですが、今、この議論の取りまとめの中では、養護教諭と栄養教諭に共通する部分として、子供の心身の健全な発達を担うということを書かせていただきました。
 ただその中で、養護教諭と栄養教諭で少し子供たちに対する視点が現状で違うのかなというように思っていて、特に養護教諭は学校が主たる勤務場所となっていて、実際保健室で子供に直接接するというのが通常だと思います。
 栄養教諭から見たときに、児童生徒に対する姿勢として、直接的に児童生徒に対して接することよりもむしろ、食に関する指導の部分がメインになって、例えば子供たちから見たときに栄養教諭の先生がどう見えているのかなというところで、少し養護教諭と違った部分があると感じているところがあります。
 それでお伺いしたかったのが、養護教諭と栄養教諭との違いとして栄養教諭の先生方にとって、直接児童生徒から、例えば頼られるような存在として、栄養教諭が目指す姿としてはそこにあるのか、それとも他の教職員を支援して結果的に子供たちの心身の健全な発達に資するというのが職務なのか、どちらが目指すべき姿なのかなということについて、御意見があれば先ほどの貞廣先生の御意見を反映する際に参考にさせていただきたいと思ったのですが、これについて栄養教諭関係の先生方でお考えはございますか。
【坂越座長】  ごめんなさい、鈴木先生にちょっとお願いしますけど、要は事務局からの質問は確かにそうなんだろうと思いますが、理想モデルはあれかこれかの二つには分けられないのではないですかね。
 学校全体の子供たちの栄養だとか健康、心身ということを考えるときにはみんなで協力し合わないといけないでしょうし、それから個別に、この子供、それこそコロナの中で、給食がなくなって、食が確保できないというような子供がいたときに、その子供へ目配りしてあげるなんていうようなことも当然出てくるだろうし、理想モデルという形では二分できないような気もするのですが、鈴木委員さん、いかがでしょうか。
【鈴木委員】  ありがとうございます。御指摘いただいた点について発言の機会をくださりありがたいです。
 栄養教諭が配置されている学校に関しては、給食時間にラウンドをしています。給食時間に各教室をラウンドすることによって、担任の先生が気づかない食べ方や喫食量の変化、身体の状況など個人に関する気づきや、残食から考察できるクラスの状況などを確認することができます。確認した内容について、担任の教諭たちと連携して、栄養教諭しかできない介入や支援を行うことができます。
 多くの自治体の状況である5校に一人しかいない場合には、学校内でそのような働きをするチャンスが多くないため、栄養教諭の活動・働きを見ていただけない現状があります。給食の時間は決められていますので、その時間に実行できることは限りがあります。理想形としては、栄養教諭たちは少なくともランチタイムのときにラウンドをすることによって子供の様子を確認し、その状況に基づき栄養教諭としての業務を実行する。特に「食」が多様化している昨今、必須の業務であると考えます。栄養教諭のあるべき姿としては、各学校において給食時間に毎日、ラウンドすることを第一歩として、追い求めていかなくてはいけないと、私だけではなく、私が関係する栄養教諭も管理栄養士たちも、学校関係者も考えていると思います。
 ありがとうございました。
【坂越座長】  ありがとうございます。
長島委員さん、お願いします。
【長島委員】  ありがとうございます。
 先ほど事務局で言われたような分け方はできないと思います。私も先ほど鈴木先生がおっしゃっていたのと全く一緒で、栄養教諭がそんなふうに教諭等の後ろ盾になって、教諭等を支援することで子供に対するというような、間に誰かを挟むという関係性ではなくて、望んでいるところはやっぱり養護教諭の先生と全く同じような状況で子供と接するというところであります。そうしないと、完全にチーム学校の一員としてはいつまでも抱えていただけないことになります。それでは困ります。
 結局、栄養教諭は先ほど鈴木先生がおっしゃったように給食の時間は今、人数は少ないので行き渡らないところは多いですが、それでも可能な限り必ず給食時間は教室を回って子供たちの食事の様子や、あるいは、子供たちそれぞれの背景にある家庭環境とか、先生方では日頃気がつかれないところをふっと見つけることもありますし、それから給食の片づけ等の場面で一緒に作業しながら、担任には言えない悩みを栄養教諭に打ち明ける子供も結構数多くいます。私も現場にいるときに、担任から「どうして自分たちに言ってくれないんだろう」というようなことを栄養教諭に相談していた子供がいました。ちょっとみんなから外れているような、問題を抱える子供たちが話しかけて来てくれる、拠り所としてくれる傾向にありました。
 そんなふうに本当に身近に子供と接する立場にありますので、ぜひともそういう書き分けではなくて、同じ学校の中で活躍できる栄養教諭として捉えていただきたいなと強く思います。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 三木委員さん、どうぞ。
【三木委員】  事務局のお話を伺って、それは両方だと私は思います。
 貞廣委員のおっしゃったことについて、ウエルビーイング、それからケアの精神というようなことは、基本的には養護教諭の職務である「養護をつかさどる」に包含していると思っています。それを前提の上でこの資質向上の会議の臨んでいると思っています、貞廣委員の意見はもっともだと思います。子供たちのためにというのは当然のことなのでまとめに書くとすれば、前文に触れた方がよいと考えます。
例えば養護教諭の場合は10項目がございます。その10項目の中に全てその精神が含んでいます。担任を介して子供の自己実現に寄与する場合もあるし、養護教諭が直接的に子供に関わって保健指導、健康相談、救急処置のなかにウエルビーイング、それからケアの精神が含んでいると考えます。そのようなことを養護教諭は日々の職務の中で担っているというような捉え方を私はしております。
【坂越座長】  ぜひ小林委員さん、御発言お願いします。
【小林委員】  そうですね、養護教諭は本当に三木委員がおっしゃったとおりです。子供たちの今の健康課題が本当に複雑化、深刻化して、この健康課題の解決を図るためにチーム学校で、管理職をはじめ、栄養教諭も養護教諭も一緒に取り組み、子供の課題解決を図るためにみんなで頑張っているところがあります。あと食育も推進をしていますので、そこで別に直接とか間接的の考え方はあまりないと思っております。でもやっぱり養護教諭は本当に日々子供の命に直面した職務で毎日学校にいるというところと、今おっしゃったように5校をお一人で分担をしているような栄養教諭の先生は、その学校で定着して日々子供と過ごす機会が少ないです。環境の違いがあり、今後の課題なのと思っています。思いは皆さん同じ、子供のためにというところで同じかなと思います。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 すみません、感想めいたことで。鈴木委員さんが言われたみたいに、給食のときに現場を回ってずっと子供の顔を見られる、だからそういう環境があるかないかという前提も難しいところありますよね。それこそ学校全体でそういう環境をつくってもらわないと難しいですね。
 事務局から、いかがですか。
【事務局】  ありがとうございます。
 すみません、どちらかといった趣旨ではなくて、どちらかというと、栄養教諭の先生方は、養護教諭とは違った環境の中で働かれています。児童生徒に対して、児童生徒に寄り添う姿勢、心というのは必ずあると思いますが、それが子供から見ても見えづらい環境があると考えておりました。
 ですので、もちろんその環境整備といった面もあるでしょうし、またその栄養教諭、それは養護教諭もかもしれませんけども、御本人の意識の面も充実させていく必要があると受け止めておりますので、貞廣先生の御意見も踏まえつつ修正を考えます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 長島委員さん、お願いします。
【長島委員】  栄養教諭は、子供との関わりが少なく子供のほうからも見えづらいのではないという御心配があるようですが、食の力はとても大きくて、子供たちは自分の食と直結している職種にいる栄養教諭をとってもよく知っていますし、よく慕っています。その辺りでの対話もとても多いので、ひょっとしたら教科や学習の場面で相対しているよりももっと人間的な触れ合いのところで理解をしている場面もあります。
 一番の課題は、1校に1名いないということです。そこは、だからできないという発想ではなくて、今後そういう環境になっていくように、体制を整えていきたい、また整えていただきたいという希望を持ちたいと思っています。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 委員の皆様、そろそろ取りまとめにかかろうかというところですが、本当にこの場でぜひ御発言をということがありましたらお願いします。
 中村委員さん、お願いします。
【中村委員】  ただ今の長島会長のご発言と、鈴木先生に私もまったく同感です。先ほど私が連携についてお話したことも、文科省の皆様が取りまとめてくださった中でも、最終ゴールは「児童生徒の心身の健やかな成長」です。「共に心と身体の健康を担うという最終目標を同じくする一人職の職務と言及し、記載されておられるわけですから、決して振り分けられる職務ではないと思います。
 4回目の会議でお話しましたが、日本では「バランスの取れた食生活」がいかに重要かという認識が低く、発病を未然に防ぐために、学校給食を通して「食の指導」を行う栄養教諭制度があるということが、しっかり認識されていないことはとても残念で、心配です。
 この二つの職務が合体して子供たちを支えているという認識からも、例えば不登校の子供たちが教室には入れないけれども学校給食だけは食べに来るとか、保健室にはやってくるといった実態もいっぱいあるわけですから、このコロナ禍で非常に不登校の子が増えてきている中で、栄養教諭と養護教諭の方々が心身で支えてくださり、共に学校が一体となって子供たちを護る、こういう子供のためのチーム構成をぜひお願いしたいと思います。
 以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 ほかの委員さん、いかがですか。事務局からもいいのでしょうか。
(「なし」の声あり)
【坂越座長】  ありがとうございました。
 特にこの場での御発言ということがないようでしたら、以上で議論を閉じたいと思います。
 今日もいろいろ御意見いただきましたし、これまでの会議でも皆様方から本当に多様な、そして大事な御意見をいただいて、そういう御意見が今回の取りまとめに反映されていると思います。
 座長からのお願いですけれども、今日見ていただいた議論の取りまとめ案、さらに本日いただいた御意見を反映させながら、座長と事務局のほうで相談しながらこれを最終形に持っていくということにしたいと思います。それが出来上がるのが恐らく年明けになるだろうと思いますが、議論の取りまとめとして公表する、そんなふうに考えておりますのでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【坂越座長】  ありがとうございます。
 この調査協力者会議、こういうオンラインを通して対面での開催というのは今回最終回になります。本当に、皆様御協力いただきましてありがとうございました。
 差し出がましいですけれども、座長を務めましたので御挨拶をさせていただきます。
 本当に委員の皆様、御協力いただきまして何とかこういう形での取りまとめ、事務局にも助けていただきまして、感謝申し上げます。
 私自身、自分の大学で、養護教員の養成と、それから栄養教員の養成はやっているんです。もちろん学生がどういうことを勉強しているかぐらいのことは分かるんですけど、本当に正直申し上げて、研修だったり現場に出てからどういう課題を持って取り組んでいるのか、そんなことは本当のところよく分かってない部分があって、今回この会議で専門家の皆さんからいろいろ教えていただいて感謝申し上げたいと思います。
 今日の話題にも出たんですけれどもウエルビーイングの話、子供の心身の健康の話、とりわけ、コロナ禍での学力状況調査の結果が出て関連の分析の中でコロナの影響のことも触れられていましたが、やっぱり、学力的なテストの点数ではあんまり影響がなかったかもしれないけど、子供たちの様々な人間関係や家庭との関わりの中で、それこそウエルビーイングということに関しての差が出てしまっている、そんなような問題も指摘されています。
 やっぱり、子供たちがいかに健全に健やかに育っていけるのか、これはもう教員も行政も、それから、今日集まってくださっている養護の先生、栄養の先生、みんな同じですよね。そこの目的を共有しながら実際に何ができるのか、今回一つのステップかなというふうにも思います。
 皆様から御指摘いただいたように、せっかくこうやって5回プラスアルファの意見交換会を踏まえて出来上がったものをぜひ、各教育委員会、それから各学校に共有していただいて取り組んでいくことができたら、私たちとしては本当によかったなというふうに思うところでございます。
 先生方、皆様御協力いただきまして本当にありがとうございました。
 事務局のほうからも御挨拶いただけますかね?
【安彦審議官】  文科省大臣官房審議官の安彦です。
 坂越座長をはじめ委員の皆様方、本当に精力的な御議論いただきましてありがとうございました。
 この取りまとめ案の内容につきまして、先ほど座長からもお話がありましたとおり、様々な意見を踏まえて取りまとめられるということになりました。これが取りまとめられましたら、広く様々な方に御理解いただけるようにしっかりと周知徹底を努めていきたいと考えております。
 また、当然子供たちをめぐる状況というのは複雑化、多様化しております。先般私も、福島の原子力災害の被災地域、子供たちが戻ってきて学校が再開したというところに行ってきました。そこで給食を食べながら子供たちの様子を見ていたのですが、その給食をめぐって栄養教諭の方とも本当に元気そうに話をして楽しそうに話をして、またそこに養護教諭の方も一緒にいて、子供をしっかりと見取りながら話を聞いていらっしゃいました。
 子供たちはただ単に学校に勉強だけをしに行っているわけではなくて、やはり自分の生きる力だとか目標だとか色々なものを自分で探しながら、そこでどれだけ楽しい思いをすることが、ウエルビーイングというか自分の生きる力につながってくるかということを目の当たりにしましたので、非常にこれからますます子供の健康課題、そういったものへの対応も大変重要になってきますし、特に養護教諭や栄養教諭も福祉的な側面で学校の中にはなくてならない非常に大事な専門性を持った方々だと思いますので、私も学校現場に4年ほどいて実感はしていましたけれども、こういった様々な課題の多い状況になればますます活躍は期待したいなと思います。
 そのためにも、養成段階もそうですけどもこれから研修の仕組みも大きく変わりますので、その中で、どういう新しい仕組みの中でそれぞれ専門性を高めていただいて、それを学校現場に生かしていただく、またその養成の方々の学術的なところともしっかりと、それぞれの持っている強みをぶつけ合いながら、養成や研修の体制をつくっていくことがとても大事だと思っています。
 資質能力の向上に向けた議論をしてきたわけですけれども、今後も引き続き皆様方の御協力をいただければと思っておりますので、これからも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本当にこれまでどうもありがとうございました。
【坂越座長】  審議官、御挨拶ありがとうございます。
 それでは、これをもちまして養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議、閉じさせていただきたいと思います。委員の皆様、事務局の皆様、本当にありがとうございました。
 
―― 了 ――

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文部科学省健康教育・食育課