養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議(第2回)議事録

1.日時

令和4年6月13日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に向けた方策について

4.議事録

【坂越座長】  時間になりましたので、ただいまから、第2回目になります、養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議を開催いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、事務局の方から配付資料等の確認をお願いします。
【事務局】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第の方を御覧ください。議事次第の4.の方で配付資料一覧を書かせていただいております。資料1といたしまして、前回、第1回にいただいた意見の概要、また、資料2から資料5につきましては、今回委員の先生方から御提出いただいた資料、小林委員、三木委員、長島委員、鈴木委員から御提出をいただいてございます。また、参考資料といたしまして、こちらは委員の方々のみにお配りしておりますけれども、50ページ強の基礎資料を配付してございます。
 基本的には、こちら前回配付したものと同じでございますけれども、1点、前回の会議でも言及がございました学校栄養職員の配置状況に関する資料を14ページの方に追加してございます。前回申し上げましたが、この資料につきましても最終的には公開できればと考えておりますので、御承知おきください。
 先ほど、資料としてお送りさせていただきましたZIPファイルが開けないという話でございましたので、もし今、資料をダウンロードできていない先生がいらっしゃいましたら、事務局の方にお申し出いただければと思います。
 また、この場をお借りして、ウェブ会議進行に当たってのお願いとなりますけれども、御発言に当たっては、聞き取りやすいようはっきり御発言いただく。また、御面倒ではございますが、御発言の都度御名前をおっしゃっていただく。また、御発言時以外はマイクをミュートにしていただく。また、御発言の際にはZoomの挙手ボタンを押していただく。また、御発言の際に資料を参照する際は、資料番号でございますとか、ページ番号、また、ページ内の該当箇所をお示しいただければと考えてございます。また、委員の先生方が大勢いらっしゃいますので、1回1回の御発言はなるべく簡潔にしていただいて、長くとも2、3分程度にとどめていただけばと考えてございます。
 また、本調査研究協力者会議につきましては、前回と同様、YouTubeにてリアルタイムで公開しておりますので、併せて御承知おきください。
 以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 委員の皆様、資料の方は大丈夫でしょうか。
 では、お手元にあるということで、それでは、これから議事に入らせていただきます。
 今日の議題は、前回同様ですけど、養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上についてということになります。
 前回の議論の振り返りも含めて、事務局の方から資料1が出ていますので、これについての説明を10分ほどお願いしたいと思います。
【事務局】  それでは、資料1を御覧ください。資料1につきましては、第1回会議においていただいた意見を便宜的に事項別に整理させていただいたものでございます。
 一番最後のページになりますけれども、事項ごとに、「○」、「◇」、「□」というマークを付しております。こちら「○」が主に養護教諭に関する意見、「◇」が栄養教諭に関する意見、また、「□」は養護教諭と栄養教諭双方に共通する意見を事務局の方で整理したものでございます。
 1ページ目にお戻りいただきまして、まず、「令和の日本型学校教育」において求められる役割として、養護教諭関係では、1つ目の丸にございますけれども、学校保健を推進するために、学校における多様な職種と連携しながらコーディネーターとしての役割が求められているのではないか。
 それから、申し訳ございません、2個目の丸については、事務局の方で委員の御意見を取り違えていたようでございますので、そちらの方は削除とさせてください。
 続いて、栄養教諭関係でひし形が4つございますけれども、概ね同じ意見と理解してございまして、1つ目の事項で申し上げますと、2文目から、栄養教諭自身が児童生徒等の健康に関わる大事な職であることを自覚するとともに、学校全体でもその認識を高めていくべきという意見をいただきました。
 また、それぞれに共通する意見として、自らが児童生徒等の指導にどのように関与できるかという観点からの発信力に課題があり、その結果として、養護教諭や栄養教諭が有する専門性を生かし切れていないのではないかという御意見もいただきました。
 2ページ目に参ります。
 こちらは教員養成に関するものということで、コアカリキュラムや教職課程についての御意見をまとめております。
 コアカリキュラムについて、1つ目の四角のところで、現在コアカリキュラムが作成されていない専門科目、養護教諭であれば養護に関する科目、栄養教諭であれば栄養に係る教育に関する科目についてもコアカリキュラムの作成を検討すべき。また、それに当たっては、その下に四角が2つありますけれども、指標もしくは教育研修計画との関連を図るべき、そういった御意見をいただいております。
 教職課程のところでは、これは、「教育の方法及び技術」の中で、ICT活用能力の修得に係る指導がきちんと行われているかどうか担保されていないのではないか、そういった御意見をいただいております。
 次に採用に参りますけれども、これは主として栄養教諭関係に関するものと認識してございます。栄養教諭について、栄養教諭の免許を有しながらも学校栄養職員としての採用になる自治体があり、その結果、栄養教諭としての専門性を必ずしも十分に発揮できてないケースがあるのではないか、そういった御意見をいただいております。
 3ページ目の研修に参ります。
 まず、研修の位置付けとして、教育公務員特例法に基づく初任者研修や中堅教諭等資質向上研修、指導改善研修について、養護教諭と栄養教諭が法律上では対象となっていないことが課題なのではないか。また、最低限必要な研修について国が何らかの方針を示すべきではないかといった御意見をいただいております。
 また、教育公務員特例法に基づいて、資質の向上に関する指標というものを任命権者、つまり教育委員会等が作成するとなっておりますけれども、その指標について、教員自身が把握していないのではないか。また、教育委員会等がつくる指標の内容自体についても、養護教諭や栄養教諭について見たときに、全ての自治体において必ずしも適切に設定できているわけではないのではないか。こういった御意見をいただきました。
 続いて研修内容のところですけれども、専門職としての知識・技能を常にアップデートしていくことが必要。また、2つ目の四角でありますけれども、組織としての学校の一員として活躍するために、養護教諭、栄養教諭としての研修に加えて、学校経営等に係る研修も重要なのではないか。そういった御意見をいただいております。
 研修手法のところに参りますけれども、手法として幾つか御提案いただいたものとなってございます。
 1つ目の四角のところで、最新の情報について、教育委員会、具体的には指導主事等が訪問指導することによってインプットしていく、こういうことも考えられるのではないか。
 2つ目の四角でございますけれども、ICTを活用して複数校によるネットワークの構築、また、拠点校の形成、そういったものを進めていくことも考えられるのではないか。
 3つ目の四角、こちらは校内研修の重要性が今後ますます大きくなることを踏まえた上で、校長先生が管理職としてのマネジメント能力を発揮して、校内研修の充実を図ることが必要なのではないか。そういった御意見をいただいております。
 4ページ目になりますが、多職種連携ということで、専門性を伸ばすといったときに、それぞれの職種の能力の専門性を伸ばす縦の専門性、また、他の職種との理解、協働する力、そういう横の専門性の双方を伸ばしていく必要があるのではないか。また、具体的にはということで、この会議自体が養護教諭と栄養教諭それぞれを対象にしておりますけれども、その養護教諭と栄養教諭について見ても、お互いの専門性を生かした連携を行うことで画期的な指導ができるのではないか。そういったような御意見をいただいております。
 その他としておりますけれども、これは養護教諭と栄養教諭ともにですが、大半の学校で一人配置となっていることから、経験が浅い若手教員の資質能力の向上をどう図るべきか。また、若手以外の教員についても、自分のやり方を変える、改善することが難しい状況にあるのが課題ではないか、そういった御意見をいただきました。また、養護教諭や栄養教諭から校長等の管理職へのキャリアパスを明確にすることが必要では ないかといった御意見をいただいております。
 特にということで栄養教諭関係のところに参りますけれども、栄養教諭として採用された後は、教諭としてのスキルアップに加えて、管理栄養士としてのスキルアップの双方が必要ではないか。そのために栄養教諭は、文科省主催であったり、教育委員会主催であったりのものも含むかもしれませんけれども、そういった研修だけではなく、自己研鑽に努め、自分たちで栄養教諭の意義・役割を自覚すべきではないか。
 また、3つ目のひし形になりますけれども、我々文科省に対しての話として、栄養教諭が最低限果たすべき役割についての研修を実施して欲しいと。
 4つ目のひし形で、食育に関する研修の機会として、栄養教諭に限らず、一般の教諭も含めて、共に学ぶことができる研修があるといいのではないか。そういった御意見をいただいております。
 最後5ページ目になりますけれども、環境整備のところで、養護教諭や栄養教諭の業務の高度化、もしくは効率化のためにはICTの活用が必須であると。そのための環境整備が不可欠ではないか。また、ここは養護教諭と書いておりますけれども、業務の補助としてスクールサポートスタッフの活用が有益ではないか。
 養護教諭関係のところに参りますが、保健室の機能強化、児童生徒の心と身体のよりどころであるということを踏まえて、人・物・環境の充実が必要ではないか。
 栄養教諭関係では、1つ目のひし形にありますけれども、給食の管理業務に労力が割かれ過ぎて、食の指導に時間が割けない現状があると。そういったことを解決するために、ICTの活用が必要ではないか。
 また、栄養教諭、これは本来は養護教諭もかもしれませんけれども、ICT活用能力を育成する。また、その前提として、職場環境に無線LANであったり、端末であったりの整備が必要ではないか。
 最後、3つ目のひし形になりますけれども、ICTについて、必ずしも適切な言い方ではないかもしれませんが拒否反応を示すのではなく、積極的に活用していくことで管理業務の負担を軽減して、栄養教諭が本来担うべき業務に注力することができるのではないか。そういった御意見をいただいております。
 また、一番下になりますけれども、この協力者会議本来の審議事項ではございませんけれども、定数・定員配置についても様々な御意見をいただきましたので、そのことについても一番最後に記載させていただいております。
 事務局からは以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 前回いただいた御意見を事務局の方で整理をしていただきました。
 これについては、今日の時間の後半の方で、今、項目立てしていただいているような、求められる役割だとか、養成、採用、研修だとか、このようなくくりをした上で皆さん方にまた御意見をいただきたいと思いますので、今のところは説明をして確認をしていただいたというところで置いておきたいと思います。
 続いては、今日いろいろな議論を深めていただくために、小林委員さん、三木委員さん、鈴木委員さん、長島委員さんより資料の御提供がありました。順番に、プレゼンテーション、説明をいただきたいと思います。
 御発表の委員の皆様、すみませんが、時間の都合がありますので、たくさんの資料本当にありがたいのですが、何とか5分ぐらいでまとめていただくようにお願いをいたします。
 では、小林委員さんから、養護教諭という観点からの御発表でございます。よろしくお願いします。
 資料の方は、皆さんお手元の方から見ていただければと思います。
【小林委員】  それでは、よろしいでしょうか。
【坂越座長】  お願いします。
【小林委員】  それでは、私からは資料に書いてあります3点について説明いたします。
 まず、1点目ですけども、養護教諭のコーディネーターの役割についてです。
 現状は、資料にもございますとおり、取組の状況には差はありますけども、様々な関係者とコーディネートに取り組んでいるということがうかがえます。
 養護教諭は職務の特質を生かし、目の前にいる子供たちの心身の健康課題を抱えている子供の早期発見、早期対応に努めております。私も今まで保健室で子供との関わりの中で、いじめ、発達障害、摂食障害、自傷行為、性に関する問題、虐待、父親のDVなどが明らかになり、関係者と連携を図りながら支援をした事例があります。
 このように、年々子供たちの健康課題が複雑、多様化しておりますので、様々な視点からの対応というのが必要となってきております。
 そんなところで、このコーディネーターの役割についての課題について申し上げます。
 まず、養護教諭がコーディネーターの役割を果たすためには、子供の健康課題の理解、見極めることが重要だと思います。課題の理解に必要な知識を得るために、養護教諭は日々努力はしておりますけども、今後さらに医学的な情報や現代的健康課題などについて、最新の知見を学ぶ機会の充実が課題と考えております。
 また、養護教諭は、子供や保護者の心情、不安や課題に寄り添いながら、教職員や関係者とのコーディネートに取り組み、支援を継続しております。そこに多くの時間を費やしておりますので、時間の問題や業務の多忙化が課題となってきております。きめ細やかな支援を継続して子供の健康課題を図るために、養護教諭の複数配置の必要性がますます高くなっていると思っております。
 2点目です。研修体制の整備についてです。
 ここには好事例を2事例示させていただきました。指導養護教諭と養護教諭指導リーダーの2つの事例について御紹介いたします。
 それぞれの概要は、資料に示してあるとおりです。特徴的なのは、私が聞き取りをしました指導養護教諭ですが、処遇などの改善も図られ、複数配置校に配置されているということです。
 成果につきましては、2事例とも、まずは人材育成が図られていることが挙げられておりました。また、経験の浅い養護教諭が学校組織の中で一人職として抱えている悩みや課題に経験豊富な養護教諭が共感して、寄り添いながら、業務に関する具体的な指導ができるために、対象者の心理的負担の軽減であったり業務改善がすぐに図れるというようなことが挙げられておりました。さらに指導養護教諭については、モチベーションの維持向上につながるというふうに聞いております。
 課題につきましては、指導養護教諭からは、指導者の研修や交流の場の増設や地域のネットワークの中核的役割を果たせるような体制整備などが挙げられておりました。養護教諭指導リーダーからは、訪問指導や公開指導等により、所属校における業務に費やす時間に影響が生じ、負担が増しているということが挙げられております。この制度をさらに発展させるためにも、複数配置が改善の1つかなというふうに考えております。
 3点目です。スクールサポートスタッフの活用について、好事例を資料に示しておきました。
 スクールサポートスタッフには、感染症対策をはじめ様々な養護教諭の業務補助をしていただいている学校が多くあり、大変感謝しております。私が勤務する学校には、教員の多忙化解消として1名のスクールサポートスタッフが配置されております。33学級の大規模校ですので、学年や学級の校務支援業務もたくさんあり、養護教諭の負担軽減の解消には難しいのが現状となっておりま す。今後、養護教諭のサポートを行う保健室サポートスタッフの配置などの検討が必要かと思います。
 簡単ですが、以上で私の説明を終わりにします。
【坂越座長】  小林委員さん、ありがとうございます。
 すみません、ちょっと私が最初聞き逃しちゃって、資料の一番最初の現状についてで、コーディネートがありますよね。88%というのはどういうパーセンテージでしたでしょうか。
【小林委員】  申し訳ありません。養護教諭が、教職員及び校内組織とコーディネートしていると答えた養護教諭が88%。
【坂越座長】  教諭の方が、こういうコーディネートというか、こういう連携をしていますよという回答が88%あったと。
【小林委員】  はい。で、保護者とのコーディネートが76%というふうに、それぞれコーディネートをどのくらいやっているかというのを聞いた数値でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。すみません、座長だけ先に質問してしまって申し訳ないです。
 それでは、すみません、続けて三木委員さん、お願いします。
【三木委員】  失礼いたします。発言は、育成指標とICT関連について申し上げます。
 第1回会議で、三木課長より説明された本会議開催に当たっての論点と関連させて述べます。
 まず、育成指標についてです。埼玉の場合を例に申し上げます。資料にいろいろ書いてあるので、特徴だけ申し上げます。
 特徴は、作成した指標を大学の授業でイメージ化したこと、指標の具現化のために、現職養護教諭研究会や地域の学校保健会等と協力し、児童虐待などの現代的課題を取り上げて、演習を中心に研修会を実施したことなどです。
 その結果、養護教諭が自己評価することで、現在の資質能力を振り返り、例えば、自分は専門的知識はある。しかし、多職種との連携で、いわゆる連携するタイミングとか中身がちょっと分からなかった。また、コーディネーターという役割を十分に果たしているかどうかが不安だという意見がありました。また、養成機関と研修のつながりができた。等です。
 育成指標と第1回に示された論点との関連でいえば、論点2では、指標を踏まえた研修を効果的にするための運用や方策についてとあります。その観点に照らして2点ございます。
 論点5にあるように、指標は、養護教諭が日常の実践に生かしてこそ成果につながると思います。指標活用の意義を全ての養護教諭が確かにする、そんな意識改革とその研修が必要であると思います。
 2つ目です。現職での指標と養成課程での指導内容との関連が必要です。理由は、埼玉県に限らず、出身養成機関によって採用時に身に付いた資質能力が違います。新任のスタートの足並みがそろわない実態があります。このため、現職の育成指標と養成機関のコアカリキュラムとの相互の関連を持つことで、全国の養護教諭の一層の資質向上につながると考えます。
 次に、ICTについて申し上げます。詳細は参考資料のとおりです。
 日本養護教諭関係団体連絡会では、養護教諭のコンピューター環境の整備やICTに関する調査を1,464人を対象に実施いたしました。その結果は、資料にあるように、ほとんどの養護教諭はパソコンの活用をしているが、いわゆるICT環境等が不足である。オンライン保健指導やオンライン健康相談が喫緊の課題であること。情報活用についての技術不足などが分かっております。
 想定できるICTの活用の場面については、参考資料及びスライドに示したとおりです。
 まとめます。第1回提示の論点との関連からです。ICT活用の必要性についての関心、意欲は高いが、Wi-Fi環境などの整備不足、ICT関連の知識や技術不足という結果がございます。
 今後、コロナ禍や自然災害などで子供たちが学校に登校できない等想定できます。また、保健室登校の子供たちは、養護教諭とつながりたい、保健室だから学校に行きたいのに、様々な理由で学校に来られない状況があります。その解決手段として、論点3のように、オンライン健康相談、オンライン保健指導などの活用が期待されます。その整備が喫緊の課題と考えます。
 さらに、論点6の観点から、今後、会議、研修などの企画参加の在り方、各種学会のオンライン研修への参加など、ICT時代の今だからこその研修の在り方を検討すべきと考えます。
 しかし、対面のよさもございます。コミュニケーションとかそういうことを考えたら、対面の方がよい場合がありますので、ハイブリッドの兼用などのICT活用を工夫すべきだと思います。
 令和の時代の保健室経営を見据えた保健室環境や養護教諭のICTの知識・技術の習得が望まれます。これは、保健室の物・人との課題と関連すると思います。
 以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 三木委員さん、大変詳細な資料を頂きまして本当にありがとうございました。
 それでは、続けて、長島委員さんにお願いしたいと思います。栄養教諭の観点からになりますね。よろしく。
【長島委員】  長島です。よろしくお願いいたします。
  発表に先立ちまして、大変申し訳ありません。スライドを用意していますが、扉のページを1ページとして、6ページまで、皆様におかれまして番号を打っていただけませんでしょうか。それに沿って説明をさせていただきます。
 本日は栄養教諭の具体的役割を明らかにする必要があるという視点に立って発表させていただきます。
 栄養教諭は、管理栄養士としての高度な栄養に関する専門性と教育に関する資質能力を併せ持ち、栄養の管理と指導を一体的に担うことから、職務内容が多岐にわたっている現状があります。一方、時代の変化に伴って求められる姿も変わってきており、栄養教諭の働きが見えにくい状況にあります。
 まず、栄養教諭自身が自らの職責を自覚するとともに、学校組織等において共通理解を図ることができるよう、専門性を発揮し、具体的取組を示すことが求められます。加えて、国及び都道府県、市区町村等における栄養教諭の専門性を生かした具体的役割についての一定のゴールを共通認識することも大切です。
 2枚目に参ります。
 まず、管理における栄養教諭の職務は、適切な栄養管理と給食の教材化にあります。管理においては、栄養教諭としてやるべき業務を明確にし、設置者との役割分担を明確にする必要があります。一方、食に関する指導では、各々の場面において、内容、方法等の格差をなくし、全体的な指導のレベルアップを図ることが大切です。そのためには、ICTの活用等により、効率的で効果的な指導を展開するスキルを身に付けることも望まれます。
 また、栄養教諭が行う連携・調整の在り方を明確にする必要があります。校内連携の一例を申しますと、不登校児童の指導を全職員体制で行っている場合、最も登校を渋る月曜日、学校長の声かけにより、1、2時間目は該当児童に対して栄養教諭による食に関する個別指導を行うこととし、栄養教諭が興味関心を引く題材と教材を用意して担当することで、徐々にスムーズに登校することができるようになったという事例があります。
 3枚目に参ります。
 ここでは、学校給食施設の設置者が調理場のデジタル化導入により、作業管理の効率化が図られ、栄養教諭の指示、確認、帳簿管理等の膨大な管理業務が軽減され、学校における食に関する指導時間が確保できている事例を紹介しました。
 4ページです。
 総合的な学習の時間と給食の時間の指導を、給食を教材としてつなぐ事例です。授業計画の段階から参画し、資料を収集、作成し提示、TTで指導を行います。総合的な学習の時間のねらいを深め、学習活動を広げるために、食育の視点を押さえた指導を組み合わせます。さらに、給食の時間に地域食材を実際に食べることで、学習内容を再確認し深めます。また、資料提供あるいは指導に参画する形で、社会科学習につなげます。さらに、これらの取組を家庭や地域に、給食だより、食育だより、学校のホームページ等で掲載して発信をします。
 5ページです。次に、特別支援学校における個別相談指導の事例です。
 休校中の児童生徒の食事の様子や摂食状況について、Googleフォームを活用してアンケート調査を行い、把握し、登校時の摂食指導につないでいます。取組にあたっては、栄養教諭の企画提案により、教職員間連携、校務分掌部連携の連携体制を構築し、アンケート結果を教職員間で共有し、保護者面談における指導や給食時の個別指導に生かしています。
 6ページです。
 全国における食に関する指導の計画整備状況調査結果から、全体計画を青い線、年間計画を赤い線で示していますが、栄養教諭の働きかけにより、これら計画は概ね整備されてきています。しかしながら、栄養教諭の役割が明確ではない中、計画そのものがはたして生きた計画になっているか、各学校において検証する必要があると思われます。
 まとめとして、栄養教諭の具体的役割を栄養教諭自身もしっかり捉えること。そして、学校現場はもとより、広く周知理解を図るため、取組を発信することが必要と考えます。それには、栄養教諭の発信力向上、ICTのスキルアップは必須だと考えます。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます、長島委員さん。
 それでは、最後になりますが、鈴木委員さんの方からの御発表をお願いいたします。
【鈴木委員】  よろしくお願いします。
 栄養教諭がICTを活用した授業について、事例を御紹介したいと思います。
 今だからこそできる授業で、栄養教諭が実施する授業を多くの皆さんに知っていただければと思います。
 2枚目です。
 今回の事例は、武庫川女子大学の藤本勇二先生がコーディネートされて、沖縄と北海道の栄養教諭が連携をして、2022年の4月に距離を超えた交流を持った授業になります。題材は「昆布ロード」です。この発表は、藤本先生、沖縄県の玉城先生、小笠原先生に御協力をいただきました。
 3枚目です。
  昆布ロードというのはどういうものなのかというのが、3枚目、4枚目に書いてあるのですが、藤本先生は北海道の栄養教諭の先生とまず交流を持って昆布ロードのことを知り、何かこれを違う土地の子供さんに言ってあげられることはできないんだろうかと。いろいろ模索して、Zoomをつないで授業をすることがとても魅力的になるのではないかという発想から、昆布ロードを題材として授業を行いました。北海道と沖縄をつないでいく昆布ロードに関して、子供たちで学習を深め合っていきましょうということです。
 まず、事前学習として5枚目になります。沖縄県では、北海道がどのような所なのか、昆布はどのようにとることができるのか等の事前学習と、北海道に興味を持ってもらうために、事前学習から、栄養教諭だからこそできる給食にその題材を入れ込みます。北海道の名産であるタマネギであったり昆布であったり、これらを使った給食を提供し、事前学習で行いました。
 また、北海道利尻島の学校では、ニンジンしりしりなどの沖縄ならではの料理を給食で2日間にわたって提供する事前学習を行いました。
 6枚目、7枚目になります。7枚目は当日になります。
 当日はZoomを使って北海道の利尻島と沖縄の阿波連小学校とを結びまして、栄養教諭が主体となって、子供たちから子供たちへいろいろな質問をしたりして流れをつくりながら、昆布農家の方にも御協力いただいて、昆布の取り方を実演いただいたりします。
 沖縄から昆布の沖縄での食べ方や、沖縄の風土などを学習してもらいます。それが8枚目です。
 9枚目には、利尻島の小学校で、沖縄での大晦日や正月に食べているものを知るとともに、昆布がどれだけ活躍しているのかということを学んでいきます。また、10枚目は、沖縄の児童が利尻島から来た昆布を受け取って、利尻島がどれだけ昆布を生産しているかを学んでいきます。これがZoomを通した授業になります。
 藤本先生が振り返っていらっしゃるのは、食文化の継承を題材とした場合、今回の授業がとても有効だということと、もう1つは、ここの11枚目に赤字で書かせていただきましたが、栄養教諭が関わることによって、学校給食に地域の食文化を取り入れた献立を提供することです。これは担任の先生だけではなかなかできません。給食の中に授業を展開していくということですね。食べる体験が実感や手応えとして学習を深めることに大きく貢献するということです。栄養教諭ならではの授業の実施と考えます。
 交流学習を実現させるためには、これまでの栄養教諭の学校での実践的な積み重ねと、日常的なコミュニケーションがあったからこそできた授業です。ここで藤本先生も、栄養教諭に必要なコミュニケーション能力は、このように学校内でもコミュニケーションを取り、違う場所の栄養教諭ともコミュニケーションを取ることが重要だということを伝えていただいています。
 12枚目になります。栄養教諭のICTの活用について、まとめました。
 授業面としては、今まで、時間、場所、人材、経費によって阻まれていた授業が、ICTの活用によって可能となる。これは国内だけではなく海外も。これには栄養教諭を主体として動くことが必須。動くためには、様々な能力、総合的な能力が必要となる。もう一つ、ICTを活用するためには、栄養教諭の企画、運営をサポートするプラットフォームが必要となります。ただ単に栄養教諭一人が学校内で頑張っていてもなかなか難しいこともあります。
 栄養管理業務に関しましては、先ほど長島委員がお話ししたとおり、私たちはICTを利用することによって、個別的な相談・指導を有効に進めることができます。給食管理業務は、これは管理栄養士の面なんですけれど、ICTを使うことによって効率化し、それによって授業をしっかりとできる時間を創出できると考えます。
 長くなりました。以上です。ありがとうございました。
【坂越座長】  ありがとうございます。何かすごく楽しそうな実践で。
 4人の方、御発表ありがとうございました。せっかくの御発表です。もし今の時点で、事実確認的な御質問がありましたら、意見交換は後として、お願いします。
 挙手ボタンが上がれば御指名しますが、今の時点では特に手が挙がらないようですね。
 それでは、今日の4人の御発表、それから前回の意見交換のまとめられた資料を基に、委員の皆さんの意見交換を進めていきたいと思います。先ほど申し上げましたように、大きく3つぐらいのパートに分けて、役割の問題、役割の再確認、それからあとは養成、採用、研修、それから環境整備、こういった3つぐらいで進めていきたいと思います。
 それで、前回もいろいろな御意見をいただいたんですけれども、こういうことを再度確認するのは申し訳ないようなことですが、私たちのこの会議のミッションは、養護教諭、栄養教諭の皆さん方の資質能力向上をどうやっていくかという課題でございまして、当然ですけど、いろいろな御意見いただいた中にも、定数だとか配置の問題というのがベースにはあることはあるんですけれども、まずは養護、栄養の先生方の資質能力を向上させるために何が必要なのか、どんな取組が必要なのか。もし、今それが若干でも妨げられているとすれば、それはどこが原因であって、どういうふうに解消していけばいいのか、そんな観点でお話をいただけたらと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、1つ目のくくりという形で、令和の日本型学校教育において、養護教諭あるいは栄養教諭に求められる役割についてです。長島委員さんの御発表の中でしたかね、最初のスライドの中で、それこそ栄養教諭も含めて、あるいは学校教育関係者が栄養教諭の仕事って本来何なんだろうかとか、その辺の意識化、明確化が必要だというようなことも御指摘いただいているんですけれども、特にこの辺りが基本かなというふうにも思います。
 すみません、ちょっと座長がしゃべり過ぎましたけど、今、栄養、養護の先生方に求められる役割について、前回の意見交換資料なども踏まえながら御意見をいただけたらと思います。よろしくお願いします。挙手ボタンでお願いします。
【坂越座長】  弓倉委員さん、すみません、確認できました。お願いします、弓倉委員さん。
【弓倉委員】  日本学校保健会の弓倉でございます。今日はいろいろな御発表をありがとうございました。とりあえず今のところをまず3つぐらいに分けたところの、日本型教育において求められる役割の部分ということでよろしゅうございますでしょうか。
【坂越座長】  はい。
【弓倉委員】  養護教諭の先生のところでちょっとお話をしたいと思うんですけれども、養護教諭の先生の方の場合、やはり保健主事との役割分担と、その役割分担の明確化がやはり大事ではないかなと思っています。養護教諭の先生方が恐らく保健主事も兼任していらっしゃるところがかなり多いというふうに私伺っておりますけれども、コーディネーターの役割だとか、非常に様々な役割があるわけですが、反面、今度は働き方改革という面から考えますと、私も第9期の中央教育審議会の特別部会で呼ばれましてお話をさせていただいたことがあるんですけれども、平成28年度の文部科学省の教員の病気休職者のデータを見ますと、養護教諭の病気休職率というのは一般教諭並みに多いということが分かっております。
 学校の児童生徒に対する対応だけではなくて、いわゆる学校が50人以上の場合には、産業医の配置の他に衛生管理者を出すわけですけれども、その衛生管理者には大体、保健体育の先生か養護教諭の先生あるいは衛生管理免許取得者のどなたかがなるということで、養護教諭の先生がなっていらっしゃるということも伺っております。
 日本学校保健会が平成28年度に調査した保健室利用の状況に関する調査報告書を見ましても、教職員の方々が養護教諭に対して、教職員自身の体の問題についての相談であるとか、教職員自身の心の問題についての相談であるとか、教職員自身の救急処置の相談とかがあるということが報告書でも出ております。やはりそういうことを考えますと、養護教諭の先生方のお仕事というのは児童生徒に対するものだけではなくて、教職員に対する内部的な、別の仕事もかなりあるということも考えた上で、いかに養護の先生方が働きやすい環境を整備していくかということも考えて議論を進めていただきたいと思っております。
 以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 その他に御意見をお願いしたいと思いますが、指名するのは恐縮ながら、北中委員さんが前回御欠席されていて今日……、ごめんなさい、三木委員さんの手が挙がっているので、北中委員さん、次に御意見をお願いしたいと思いますので、ちょっと心積もりを。
 三木委員さん、すみません、先にどうぞ。
【三木委員】  今の弓倉委員と小林委員のお話にちょっと追加するというか、考えていることを申し上げたいと思います。
 小林委員も弓倉委員もコーディネーターのことをお話しされておりましたけれども、私が聞いた例を申し上げます。コロナ禍の時代に養護教諭が一人での対応は到底できないので、いろいろな方との連携は必要です。連携は共にやることで、コーディネーターは、他の人をどのように生かしていくかという2つの役割があると思います。さらに、養護教諭自身の本務もあります。コーディネートする事前の準備も必要です。さらに、事中の準備、事後の処理、そのための資料づくりが必要です。これからの時代に、多様な現代的課題問題が出てくる状況なので、コーディネーター及び連携が大きなキーワードの1つになると思います。
 この観点からの意味で、いわゆる、コロナの場合には、養護教諭が自身の専門性を生かすか、他職の専門をどのように人を生かすか、いつ生かすか、タイミングをどうするかと、これは児童虐待対応も性的被害の場合も同じです。すなわち養護教諭の専門性を生かしつつ、連携相手の特質を知る必要があると思っています。それは保健主事の連携も同様に、保健主事は学校全体のマネジメント、養護教諭は専門性を生かすという点からの区別と協力が必要であると思います。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 すみません、三木委員さんにちょっと私から質問で恐縮なんですけども、弓倉委員さんが言われた、学校教職員に対するケアというか相談業務、確かにチーム学校の中では大事な役割だと思うんですけれども、今……、ちょっとこういう言い方は適切かどうか分かりませんが、養護教諭としての職務としてどこまで関わるべきなのかどうなのか。ちょっと委員さんの御意見があれば。
【三木委員】  私も養護教諭生活27年ぐらいやっておりましたので、教職員の相談はたくさんございました。自分のクラスの子供たちや保護者の問題などです。また、自身の家族の問題など、いろいろ悩み事もございました。
 大切なことは、あくまでも子供たちのため必要な教職員の対応という視点で、相談しておりました。また、自分だけではなくて管理職に相談を進めたり、プライバシー保護の問題を勘案しつつ対応しています。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 すみません、指名してしまって。北中委員さん、ぜひ御発言を。
【北中委員】  兵庫県教育委員会の北中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 前回欠席をさせていただいたんですけども、議事録等も拝見いたしまして、また今日の話もお聞きしまして、まず、我々県の方でも、栄養教諭、養護教諭の先生方個人の資質につきましては、大変高度な専門的な知見をお持ちの先生方が非常に多いとは考えているんですが、その一方で、今回もそうなんですけど、いわゆる発信力とコーディネーターとしての役割を担っていく部分での、この辺りの実態は果たしてどうなんだろうかということは常々問題の意識もありました。研修会等でも、発信力というものをこれからお願いしますと、持てる知見をいかに、栄養教諭も養護教諭もそれぞれ学校の教育活動全体を通じてというキーワードの中においては、どれだけ他の先生方を巻き込んで、それぞれ学校保健あるいは食に関する指導を推進していっていただけるのかというとこら辺を問題視しながら、常々協議もしているところでございます。
 そういった意味におきまして、今日もありましたように、やはりICTの活用というのがもうこれからは――これは今まで劣っていたのではなくて、これから使えるツールとして、まだまだポテンシャルといいますか、潜在的な力を発揮するものになってくるんじゃないかなということが、各委員方の今日の御発言も聞きながら、非常に我々も胸にとめたところでございます。今日も幾つかの事例も発表ございましたので、こういったようなものをいかに県の中で推進していけるのかというようなことを1つは強く感じたところでございます。
 取り急ぎ、以上でございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 本当に、求められる役割とか機能というのもちゃんと発信して、学校全体なり社会なりで共通理解していただかないといけませんね。ありがとうございます。
 求められる役割について、他に御意見ありましたらお願いします。
 鈴木委員さんですかね、お願いします。
【鈴木委員】  鈴木です。栄養教諭に関して求められる役割について、私は様々な都道府県の栄養教諭の皆さんとお話しするときに、栄養教諭が担う給食管理業務とは何なのかの議論になります。
 基本的に、ある程度の基準をもって、その範囲内で少しぶれるというのであれば話は分かるのですけれど、あまりにも栄養教諭が担う給食管理業務の考え方や基準が違います。ある程度、栄養教諭が担う給食管理業務に基準があるのであれば、配置に大きな差が表れないと考えます。また、栄養教諭の役割である栄養管理業務や、授業を行う時間も確保できると考えますが、現実は全く違っています。そもそも学校栄養職員という仕事があって、後発として栄養教諭の業務がプラスされたために、栄養教諭が担い給食管理業務が明確にならない状態で発進したのではないかと考えます。
 都道府県が配置について考えるということになっていますので、より不明確な傾向が大きくなって、もうそろそろ約20年経ちますので、栄養教諭が担う給食管理業務、栄養教諭が必ずやるべき給食管理業務、栄養教諭が絶対にやるべき児童生徒への栄養管理業務と授業、これらについてある程度の標準化や基準をつくるべきではないかと私は考えます。
 これらの基準を踏まえて、能力や資質の向上、研修などを考える必要があると思います。先ほどお話ししたように、いろいろな連携をしている栄養教諭もいらっしゃれば、給食管理の業務が多過ぎてなかなか手を出せない栄養教諭もいらして、必要な資質能力を明確にして向上できるのかをどのように考えればよいか疑問が常にあります。ぜひともこの会議で、ある程度の給食管理業務、栄養管理業務、授業の標準化の検討を指示していただくことを入れていただきたいという意見になります。
 ありがとうございました。
【坂越座長】  難しい課題ですね。でも確かに、学校栄養職員の方と、栄養教諭を兼ねておられる場合も多いのかな、その辺りをどう整理できるのか。いろいろな採用側というか、行政側の考え方もあるんだろうと思うんですけどね。御指摘ありがとうございます。
 その他いかがでしょうか。小林委員さんお願いします。
【小林委員】  じゃあお願いします。
 コーディネーターの役割については申し上げたんですが、その他にもいろいろ役割があるかなといます。やはり生涯を通じて健康な生活を送るための資質能力を育てるところが、栄養教諭も養護教諭にも求められているところかなと思います。そういう健康教育の充実に向けて、養護教諭なり栄養教諭はどうやって教育課程の中に参画していくかとか、そういうところの議論というか役割をさらに明確にするというのも必要かなと考えております。
【坂越座長】  そうですね、ありがとうございます。
 他に御意見ありましたらお願いします。
 この役割というか、本当に大げさに言うと存在意義みたいなところというのはもう基本問題、基本中の基本だし、何を考えるにしても出てくるところなので、また後でもこれに関する御意見があったらぜひよろしくお願いします。
 会議の方は、次のカテゴリーに、これも大きいですけどね、養成、採用、研修、こちらの方へ意見交換を進めていきたいと思います。ぜひ、どうぞよろしくお願いします。
 弓倉委員さん、お願いします。
【弓倉委員】  研修についてですけれども、私も日本学校保健会も様々な研修会をやらせていただいておりますし、私も日本学校保健会に来る前は東京都学校保健会も長いことやっておりましたので、そういう経験から、感想になってしまいますけれども述べさせていただきます。
 1つには、様々な好事例の御紹介もございましたけれども、やはり自主的な活動では偏りが出てしまうので、具体的な研修カリキュラムないし研修目標の設定というものはある程度必要になってくるのではないかと考えます。
 あと、前回、ICTを使った勉強会のようなものはどうかという御提案がございました。実際コロナが流行する前は、養護教諭の先生方が地域ごとの分科会なり、集まって様々なそういうことを対面でやられていたと私は理解しております。ただし、それが地域ごとに個別に行われているということになりますと、質とか内容の差がどうしても担保できないというところがあるのではないかと思いますし、参加についても、ある程度自由参加という形になると、モチベーションのところでいかがなものかなというふうに考えるところもございます。
 あと3点目、これ大事なことかと思うんですけれども、いわゆる研修会への参加が認められたとしても、それを仕事の一環として出張として行ける場合と、学校でそれを認めていただけなくて自分でお休みを、時間を取って行かなければいけない場合があるというような状況を私ちょっと知っております。そういうことになりますと、やはり研修の機会の平等性であるとか、そういうものに問題が出てくるのではないかなと思いますので、その3つを指摘させていただきます。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 最後の研修参加の職専免の問題は、これから多分、養護や栄養の先生以外にいわゆる更新制がなくなって、研修を受けるという――それを記録として残していくということになると、全ての教諭にかかってくるだろうと思いますよね。ありがとうございます。
 今、主に研修についてお話しいただいたと思うんですが、その他の御意見をお願いいたしたいと思います。
【三木委員】  恐れ入ります。養成、採用、研修の一貫して資質を高めるということは、教特法でも言われていますし、そのとおりだと思います。実際には、養成機関での内容と現職での内容についての関連です、先ほども意見で申し上げましたが、育成指標は教特法で決められております。現職養護教諭は、自身のキャリアステージにおける育成指標がきちんと分かっていること、それを意識化するということが大事だと思います。
 それと同時に、養成機関の方でも、育成指標との関連を図りつつ、コアカリキュラムとの相互内容の一貫性を図ることで、養成、採用、研修が内容的につながっていくと思っております。
 研修においても、育成指標をどのようにそれを活用していくか、もう一度、教育委員会だけの努力ではなくて、各養護教諭それから栄養教諭の先生方も、自分に今どの資質があるのか、今後どういう資質が必要かという見通しを持った自分自身の研修計画なりが自己研鑽の中の1つとして必要だと思っております。
 もう1点、過日、貞廣委員から、校内研修の充実は管理職の指導というお話がありました。確かに栄養教諭も養護教諭も一人職でありますので、校内で育つことも大事ですが、校内に同職種がおりませんので、どうしても出張して様々な資質を高めることが必要となってくると思います。
 その意味では、一人職であるがための専門性の充実とコーディネーターの形、それを養成、採用、研修の一貫した流れの中で、どのようにして資質を高めるかという内容的関連が必要になってくると思います。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 三木委員さん、座長の方からまたです。前回の意見整理の中でも、コアカリというのが1つ挙がっていまして、三木委員さんに御指摘いただいているのですけれども、私の生半可な知識で、例えば養護の教諭に関していうと、看護職、看護師をベースにしたものだったり保健師をベースにしたものだったり、そうじゃなくて必要な単位を4年間で取っていくものだったり、いろいろ入り口が違っていて、共通的なものがどうやったらできるんだろうかという疑問もあるんですが、三木委員さんはどうお考えですか。
【三木委員】  それは、各大学、養成機関でいろいろ違うからこそ、その科目に最低必要な内容というものをきちんとつくっていく必要があると思います。
 教諭の教科専門の場合は、学習指導要領があります。それにもとづいて、そこをどう充実していくかだと思います。養護教諭の場合は、参考資料1、23頁第2欄の解剖学、生理学とか細菌学とか9科目、例えば最近できた新たな科目の「健康相談活動の理論及び方法」、最低これだけを教えるということはどこにも書いてないです。それは大学独自で考えるわけですが、大学によっては、先の資料の第4欄の教育相談やカウンセリングに置き換える場合もあります。健康相談活動の理論及び方法というのは、養護教諭の職務の特質とか保健室の機能とか、子供の心と身体の両面から関わるという特質があります。そういうことを考えたときに、免許法のその科目の目的や到達目標等、最低限標準化した内容を国レベルで最低でも示しておくことによって、各大学がその教科に関する最低教えなくてはならないものがあることで標準化できると考えます。その際は、当然大学の独自性がありますので、研究すればいいと思います。そこが教諭と養護教諭の違いだと思っております。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 コアカリについては、やはり検討課題であろうかと思いますので、また他の委員の皆さんの御意見もいただけたらと思います。
 すみません、まだ手が挙がってないうちに、中村委員さんとか貞廣委員さんにもお願いしたいと思うのですが、どちらを先にしようかな。どちらかでも。
 中村委員さん、いかがですか。
【中村委員】  はい、先ほどからの研修のお話の中で、効率化のためにICTを活用するという御意見がたくさん出ておりました。私は現場の当該者ではありませんが、感じていることは、研修のテーマとして重要なICTの技術や認識に関しては、世代間で御経験や知識の差が随分あるように思っています。ですから、一律にすべての栄養教諭の方々に同じレベルのICTの研修というのは少し違っているのではないかと感じています。
 ICTに関するさまざまな処し方を既に日常的に身に付けて着任しておられる年代の方々と、そうでない背景の年代の方々との間には、非常にギャップがあるということも実態としての課題の1つではないかと思います。ですから、最初から苦手意識のある世代の方々へのICTの研修については、ある配慮を要するということもテーマの1つではないかと思います。これは栄養教諭の先生方に限らず、学校全体、日本全体にも言えることではないでしょうか。だから、その苦手意識を克服して、まず気軽にICTを学ぶような方法あるいは環境づくりも必要ではないかと思います。
 例えばスマホやiPad、パソコンなどを使ってできるような、簡単なクラウドの初心者向けのツールがありまして、それは誰もが簡単にクラウドを利用しながら情報交換ができる仕組みなので、私のような高齢者も利用できています。今まで苦手意識が先行して消極的だった方々でも自然に馴染んでいつの間にかその効果を理解して使えるようになる、という一例ではないかと思っています。このような環境が、関連するそれぞれのポイントで可能な範囲で調っていけば、自然にデジタル化による効率の良い取組が得られるようになるのではないかと思います。周囲の認識や理解を得ることによって、体系的な環境の改善につながり、業務の効率化が進んで、栄養教諭の方々の指導時間や環境にゆとりが生まれて、資質向上の1つに至るのではないかと考えます。子供たちに導入されたICTの環境レベルと同様に、栄養教諭の資質向上に向けての業務の効率化を図るために、まず、ICTをしっかり取り込んで、活用できる環境が必要ではないかと考えます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 50代でもばりばりやっておられる方もおられると思いますけどね。
【坂越座長】  ちょっとこっちから投げかけてすみませんけど、鈴木委員さんに、さっきすごい実践報告をいただいて。あれは完全にICTだとか、いろいろなツールを活用したものですよね。
【鈴木委員】  そうですね。
【坂越座長】  ああいうのは現場の先生方の間では、何ていうんですか、まれですか、それとも、あれぐらいは普通ですか。ちょっとその辺りを。
【鈴木委員】  Zoomのようなリモート授業は多くの学校で実施していると思います。  個人的でも、今、私は日本栄養士会の副会長も務めているのですけれど、研修会ではリモートでのセミナーを実施し、多くの栄養教諭、学校栄養職員の方も入ってこられていますから、普通に使うことができる状況になっていると思います。
 ただ、最後の方で私が発言しましたが、全国の栄養教諭同士の連携を図るためのプラットフォームつくりが今後、必要になると考えます。ICTの活用は当たり前だ、その次として、何をサポートすれば、栄養教諭たちがもっともっといい授業ができたり、交流ができたりするのかを考えるべきだと思います。
【坂越座長】  ありがとうございます。
【鈴木委員】  ICTを使えると思います、普通に。それから、管理栄養士養成校ですと、栄養教諭の課程だけではなくて、ICTを活用した授業や演習があります。セキュリティー面に問題がなければ、問題なくICTを使うことができます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 中村委員さんの御意見、それから鈴木委員の御指摘、私の受け止め方として、やはり1つは、さっきから出ていますように一人職ということもちょっと影響があるのかなと。つまり、なかなかICTとか新しいものに取り込めないというか、1人でずっとやっていらっしゃると、そのままのやり方がつながってしまうので、なかなか切り替えてデジタルにとかいう話になりにくいのかな。そういうことでいうと、言われたみたいなプラットフォームだったり同職の先生方との間のつながりですよね、そんなのができれば、また力になれるかなと思ったりもしました。ありがとうございます。
 貞廣委員さん、いかがですか。
【貞廣委員】  私は専門が遠いので申し訳ないなと思いつつ、ちょっと言い方が難しいんですけれども、ここにはとても、超上澄みの先生方が集っていらっしゃるだと思うんですよね。そうするとやはり求めるレベルがすごく高くなるんですけれども、それが全てのところでできるのかどうかという心配が若干あります。
 いわゆる教諭の養成課程には教職に関わる科目のコアカリキュラムショックというのが数年前にありました。全国の教員養成系大学が、もううちのところでは教員養成できなくなるみたいな感じで大騒ぎをして、かなり急ごしらえの無理をせざるを得なかった実情があります。
 この点と、後に申し上げる幾つかの点から考えて、養成課程をあまりに厳格化、規格化するというよりも、入り口の多様性をむしろプラスと捉えて、入職後の研修をしっかりとやっていくという方向性の方が現実的なんじゃないかなと思います。
 三木先生の御気持ちも、私も重なる部分がすごくあって、それはちゃんと保健室のことを勉強してから来てくださいというのはあると思うんですけれども、各大学の御事情なり方針なり、それによってもたらされている多様性の良さというものもあると思うので、コアカリキュラムというよりも育成指標をしっかりとつくって、それを個人個人が自分の成長のプロセスとして見ていくということが必要なのではないかと思ったところです。
 こう思いました2つ目の理由は、先ほど小林先生が冒頭おっしゃっていた養護教諭のコーディネート機能に関わる点です。これとても重要な役割だと思うんですけれども、残念ながらちょっと養成段階では学べないと思うんですよね。
 例えば実習でも、個人情報の問題があるので、コミットできる程度は限られています。その上大人の学びは、全部で10のうち、7経験から学び、2優れた他者から学び、1座学から学ぶと言われているんですね。従って、現場に出て経験に根差したところの学びというものが、こういうナイーブな問題に関わる養護教諭であるとか栄養教諭の方々の学びにとってはむしろ重要なんじゃないかと思います。何かすみません、本当に素人の考えとして間引いて聞いていただければいいんですけれども、もし方向性を考えるのであれば、コアカリキュラムの厳格化の前に、育成指標をしっかりと見ていくという方なのかなと思います。
 もう1つ、3点目としましては、これは先ほどの理由ということではないんですけれども、三木先生がお示しくださった育成指標、とても詳細にかなり練られてつくられている、埼玉県の指標を拝見しました。同時に、ネットで検索をして、幾つかの栄養教諭の育成指標をつくっていらっしゃる自治体さんのもの、ネットで見られるものを見させていただいているんですけれども、結構温度差があるなと思いました。
 どの観点から温度差があるかというと、専門職としての働き方はどちらも充実しているんですけれども、学校経営全体への参画であるとか、または授業をするのであればカリキュラムマネジメントに関わっていなければいけないと思うんですけれども、その辺りのコミットの仕方が養護教諭の先生方と栄養教諭の先生方の間に若干温度差があるように見えます。この辺りをいかに埋めていくかというところも1つ課題なのかなと思います。
 いずれにしても、北中先生がおっしゃったように、特に栄養教諭の方々の効果が、恐らく学校関係者の中ですら広く、確信を持って共有されているとは言えない状況にあるというのが、最も大きな課題なのだと思います。その効果をちゃんと発信をして、現場の方々や地域保護者の方々に欠くべからざる存在としての腹落ち感を持っていただくということが、まず必要なのかなと思います。
 すみません、本当に門外漢が勝手なこと言って、何を言ってるんだと思っていらっしゃると思うんですけど、失礼がありましたら申し訳ありません。
 以上でございます。
【坂越座長】  いえいえ、ありがとうございます。いやいやもう本当に、いろいろな意見交換をやりましょう。やはり、そうですね、そうですね、だけでは話が回らないので。
 この辺ちょっと聞きにくいなあ。やはり、行政側で北中委員さん。栄養教諭の効果というか、私自身の乏しい情報でも、やはり行政の採用の仕方、職員とどう違うのかということもあるだろうし、ある教育委員会だったら、何か保健所と同じような形で採用したりみたいなところもあったりするようなんですが、兵庫県教委は別として、行政として、例えば栄養教諭さんの位置付けとか、もちろん必要性は感じておられると思うんですけども――これも言い方が難しいですけど、当事者としていかがでしょうか。御発言を。
【北中委員】  採用につきましては、国の方から教員採用のいわゆる標準法というものがありますので、法に則った形で、生徒数とか学級数、例えば養護教諭でしたら複数配置のぎりぎりの800人のところですよね、あれでよく小林委員の方からも問題提起もあると思うんですけれども、そこは国の方の法的な側面からルールがあるので、それに従うのは当然であるということ。ただ、我々、例えば県教委でしたら、兵庫県でしたら、栄養教諭のところにもありましたように、例えば管理栄養士といったさらなる高度な知見を持たれている方には加点措置をしながら、より専門性の高い先生方の採用に向けての枠組み、フレームをつくって採用を行っていくよう努めているところでございます。
 冒頭にも申し上げましたように、そういった中で、本当にマンパワーが足りないとか、知見をさらに高めるための研修機会をもっと増やさないといけないけども、いろいろな課題的な側面があるという意味におきましては、繰り返しになりますけども、多くの先生方からもいただいていますようにICTの活用が、これは単に先生方個人がICTの活用能力を高めるということに加えまして、我々教育行政の方でも、例えば各学校間の連携もありましたけども、実例で申し上げますと、栄養教諭の先生が共同調理場で仕事を終えられて現場に足を運ばれて、今日は3年1組で食に関する指導をやりましょうという授業をされますと。ただ、他のクラス、他の学年、当然学校の給食は1年生から6年生まで同じものを食しているはずですと。あるいは地域でもっても同じものを食べているはずですと。ただ、せっかく栄養教諭の先生が現場に足を運ばれても、たった1クラスでしか指導は行えないと。
 この部分をいかに広めていくのか、多くの先生方を巻き込んだり、隣の学校でも同じ食材を地域の食材を食べているんだったら、いかにその先生の知見を活用しながら全ての先生方が、教材の部分をサポートしながらより効果的なものに進めていくのかという、ICTを活用するフレームづくり、そして、それを活用しながらさらに高められるような、今後の例えば食に関する指導の在り方。この部分は、先ほど言いましたけど、先生方に欠けているのではなくて、今の時代に応じた新たな資質向上のポテンシャルの非常に高い分野なので、そこをどう高めていくのかということは我々大いに注目していますし、期待もしているところだということで発言をさせていただきます。すみません。
【坂越座長】  いやいや、無理やり発言をお願いしてすみません。あわせて、北中委員さん、研修については兵庫県教委なんかどんな感じなんですか。
【北中委員】  研修は、これは当然国の方の指針に基づきまして、我々、指導の重点というのがあるんですけども、それは各領域の中身、それから、それぞれの研修ごとに栄養教諭、一般教諭、養護教諭のキャリアステージの中で身に付けていただきたい指針というのを定めてございます。
 これは兵庫県の方も、全小中高、特別支援学校、高等学校全教職員1人1冊、年度当初に配付してございますので、各研修におきましても、これを見ながらですとか、あるいはこの研修を企画する指導主事とかも、このステージごとの研修の中身をしっかり踏まえた上での研修を実施していくというスタンスで臨んでいるところでございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 その他の委員さん、御意見いかがでしょうか。
 三木委員さん、お願いします。
【三木委員】  今、貞廣委員から御発言をいただいて、なるほどなあと思いつつ、それに関してお話しさせていただきます。
 コーディネーターについては、養成大学では無理ではないかというお話がありましたけれども、今、インターンシップ、学校の長期体験、養護実習などの体験学習がございます。
 今後、そのコーディネーターは、令和の時代に最も必要になってくる役割の1つかと思います。養護教諭が最低なすべき仕事、職務内容は、参考資料4頁にございます。それとは別に、それらを機能的に、円滑に進めていくためには調整役としてのコーディネーターが学校では必要になります。それは誰かといったときに、やはり学校保健関係の知識に詳しい養護教諭になると思います。各種の答申で、今後コーディネーターの役割が必要だと提言され、これは必要であるからその答申で提言されていると思います。養護教諭がそれを担うために、知識、技術、ネゴシエーション、コミュニケーション能力、コーディネートする資質が必要となってきます。
 特別支援教育コーディネーターも校務もあるように、学校保健に関する健康課題解決のコーディネーターの役割というのは今後ますます必要になってくると思います。 すなわち、このことを踏まえた場合、大学には無理だということではなくて、どうやったら大学でこのようなことができるのかということも今後検討していくべきではないかと思います。現在、いろいろな大学においても学校体験等において、どういうふうな役割が必要かということを教授しているときいています。それはこれからの課題だということも踏まえて申し上げたいと思います。
 それから、コアカリのことなんですけれども、今、日本養護教諭養成大学協議会という養護教諭を養成する組織がございます。そこではコアカリキュラムをつくってございます。同時に、教育大学附属養護部門でもコアカリをつくって研究されております。それは、いわゆる団体ですので、それらのエキスを、最低限必要な内容の標準化したものがあれば、先ほど言ったような各大学でのことと育成指標と、2つがマッチすればと思います。
 育成指標を基準にすることは当然だと思っています。私も貞廣委員と同じです。育成指標がきちっと分かって、それを持っていくというのは大事だと思います。それに重点を置くにしても、養成機関の最低限の足並みをそろえた科目の目的や内容が必要であると考えます。当然、大学の事情と重要視することは当然であり、それを厳格化という必要はないと、私もそれは貞廣委員と同じ考えでございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 この論題の中で、もう本当に皆さん方は御理解いただけたと思うのですが、まずは養成段階で何をどこまで求めるのか、それをどういう形で担保しようとするのか、これからいろいろ御意見いただいて考えればいいと思うのですけど、いわゆるコアカリという形を取る方がいいのか、あるいはそこまで言わずに、例えばモデルカリキュラムというのか、あるいはいろいろな組織団体が提供するモデルシラバスみたいなものという形にするのか。
 これは教員養成の養護、栄養に限らないのですけど、やはり我々教員養成に関わっている人間は、どこまで保障して送り出すのか。即戦力、即戦力と言われるけれども、何が即戦力なのか。畳の上の水練でどこまでいけるのか、ずっと悩んできていまして。
 さっきから話題になっているコーディネートなんかに関しても、コーディネートができる力というのは、例えばコミュニケーションの力であるとか、いろいろな他者との対話の力であるとか、そういう形で落とし込んでいけばある程度考えられると思うのですけれども、実際に自分がコーディネーターになって回せる、そこまで到達できるかどうか……。その辺が、大学で担保するところ、それから採用されて、研修、オン・ザ・ジョブの中で伸ばしていくところ、考えなきゃいけないところかなと理解しています。
 今日のいただいたいろいろな意見の中で、さらに検討すべきものとして、コーディネーターの機能をどこでどうやっていくのか、あるいは大学で養成すべき、その資質能力について、どこまで共有化ができるのかできないのか、そのようなことが出てきたかなと理解しております。
 また、御意見があれば伺いたいんのすけれども、3つ目の論題に行きます。
 3つ目は、環境整備その他について、定数配置はちょっとここでは置いとこうという話を先にさせてもらいましたので、それが前提だと言われれば前提になるのですけど、それはそれとして、何が必要なのか、さっきからもうICTの方はたくさん出ているのですけど、これもこんな素人の質問をして申し訳ないですが、例えば現場をよく御存じの小林委員さん、養護の先生はタブレットをお持ちか――多分、保健室にはパソコンありますよね。
【小林委員】  パソコンもありますし、私はタブレットも使っています。
【坂越座長】  その辺のハード面は大丈夫で、そのネットワークは、学内の教職員の皆さんと共有されるということなのでしょうか。
【小林委員】  はい、そうです。ただ、その環境面のところが自治体によってまだちょっと地域差があるというのは、調査からは把握しています。本校なんかは恵まれていますけど、まだ担任までしかタブレットが配付されないで、養護教諭とか栄養教諭には行ってないなんていうところの話も聞いております。
【坂越座長】  そうか、難しいですね。さっき北中委員さんにお話しいただきましたが、法定基準でここはこうだと決まっているところは手当てされるけれども、ここは努力義務みたいなところは、やはりなかなか行き届かないところもあるんですかね。  すみません、私が勝手な感想を。環境整備その他、御意見お願いします。  弓倉委員さんと鈴木委員さんの手が挙がっています。弓倉委員さん、お願いします。
【弓倉委員】  学校保健会の弓倉でございます。
 環境整備、ICTにつきましては、やはり保健室にWi-Fiが届いてないとか、そういうような声はやはりよく聞きます。職員室にはある、校長室には届くけれども保健室には届かないとか、その辺はやはり地域によって様々なようでございます。やはりこれからICT活用が求められる時代においては、GIGAスクールの時代になりますので、ぜひ保健室にまでWi-Fiがきちんと整備されるようになることを期待しております。
 あと、複数配置のところは今日はなしということですので。
【坂越座長】  すみません。ありがとうございます。ICT、これはもうやはりちゃんとつけてもらわないといけないところですね。
 鈴木委員さん、お願いします。
【鈴木委員】  はい、ありがとうございます。
 これは学校だけではないのですけれど、栄養や食事が本当に目まぐるしく変わる時代になっています。何を言いたいかというと、今、給食で提供されている食事は普通の食材からつくっているのですけれど、スーパーやコンビニで購入する際には、たんぱく質が強化されていたり、ビタミンが強化されていたり、さまざまな食品が売られています。学校給食で食事についてスタンダードな教育をしたとしても、将来生きていくためには、それだけの知識で生きていけるかというと、もう多くの日本人は生きていけない世界になってきていると考えます。Society5.0を見据えた栄養教諭の役割も、議論をしていただきたいと思います。
 今は配置のことは言わないようにしますけれど、栄養教諭に一度も習ったことがない児童・生徒が存在し、管理栄養士の養成校に1度も栄養教諭に出会ったことがない学生もいます。
 誰でも栄養素などが調整された食品が購入できる時代に向けて、健康教育や食教育は社会の変化に対応して展開しなくてはいけません。
 これからの食に関する指導は、今までどおりバランスよく食べることを教えるだけではなく、時代に即した一生使える食に関する教育を実施するためにも栄養教諭の役割は今まで以上に重要になると考えます。これは希望とこれからについての話題提供です。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 委員が発言された中で、いわゆる給食業管理業務と、それから教諭として教えることとか、その辺がはっきりしないというか、やはり実態としては、さっきの事例報告もありまして、いろいろだということは分かりますけれども、やはりその給食指導というのが、一番大きくはなっているのですかね。
【鈴木委員】  給食管理業務というのは、つくる方なんです。例えば、調理員さんが欠席したから栄養教諭がその代わりをするとか。これは長島委員に言っていただく方がいいかもしれないんですが、給食業務の人員が足りないときに「じゃあ、その分栄養教諭入ってよ」と、「いやいやいや、ラウンドすることになっているんだけれど」って言っても、「いや、作る方が重要でしょ」みたいに、つくらないと給食提供できないですよね?言われたら、本来、代替の人を呼ぶこともできるのに、また、栄養教諭が給食をつくる要員としてカウントされているとか。
 私が言いたい給食管理業務は、栄養教諭が担う必要がない業務まで行っているのではないかと思うのです。栄養教諭が担うべき業務をしっかりやるべきであって、欠員補充要因のような業務がすべきでないと考えます。栄養教諭が担う給食管理業務が、確立されていない、そこで、標準化をしていただきたいです。
【坂越座長】  座長ばかり聞いちゃいけないのですが、でも、やはりもう一つ教えてください。私の近隣の地域でも、給食が集中センター方式になって、自校方式というのがほとんどなくなっているんです。そういう中で今、栄養教諭さんは、学校に配属されている場合は、いわゆるもちろん給食管理というのは少し違った状況になっているのかなと思うのですけど、いかがでしょう。
【鈴木委員】  学校全体で、例えば1センターで中学校20校ぐらい持っている場合に、栄養教諭が3人配置だとすると、1人の栄養教諭が6~7校持ちます。そうすると、月、火、水、木、金それぞれ1日ずつ行けるのかというと、センターの中での仕事、給食管理業務もありますので、月に1回その学校に行けるかどうかという状態です。そもそも自治体は、初めから分かっていることですよね。6~7校を1人で担当したときに、全員に顔を覚えてもらえるぐらい、学校の先生方に発信力を持って栄養教諭が動けるかといったら、そういうことはあるわけがない、できるわけがないということが分かっていて配置されているとしか私は思えないのです。
 また、複数校を担当している場合、本務校と兼務校を持っていて、6~7校あるうちの1校が本務校であとは兼務校です。本務校には毎週のように通うけれども、兼務校に関しては月1行ければいいかなという、そのような状況も多くあると私は聞いています。
【坂越座長】  ありがとうございます。あまりものを知らないもので、分かりました。ありがとうございます。  長島委員さん、やはり今お話しいただいたような状況は、同じような状況でしょうか。
【長島委員】  そうですね、鈴木委員よく御存じで、お話しされているとおりだと思います。ただ、今後一番見直していかなければいけないことは、栄養教諭として行う職務の軸足をどこに置いているか、栄養教諭として大事だとしているものが微妙に違う。つまり、大事にしているものが子供にとってどうかという視点に立つことが求められます。各々が、1日に給食管理業務が10あるとしたら、7は給食管理だね、あとの3で学校へというふうに言っている人もいれば、いやいや教諭だから7は学校で、3は給食管理でというふうに、栄養教諭自身も見ているところが違うというか、大事にしているところが違うということが懸念されます。ここはやはり私も発表で言わせていただいたように、ある程度一定の、栄養教諭だからこそできる、やらなきゃいけないというところを明らかにしていく必要があるし、各都道府県とか自治体に任せるのではなくて、国のレベルでここまではという一定の目指す指標を具体的に示していただくことも必要ではと思っています。
 ICTについても、きちんとエビデンスを捉えてなくて申し訳ないのですけど、ハード面でまだ十分ではない人もたくさんいますが、簡単なZoomの連絡とかは概ねできて、コロナも長引きましたので、各都道府県内の栄養教諭同士の研修会等はオンラインでやるというぐらいのところまでは行っています。ただ。これを教科指導の中に、あるいは自分の行う食に関する指導の中にどう生かしていくかというノウハウはまだまだ個人差がとても大きいと思いますので、今後そういう形での研修も組んでいただけたらいいなと思っています。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 三木委員さん、手が挙がっていますか。
【三木委員】  環境のところです。小林委員の発言のように、ICTの技術については地域差や年齢差があります。しかし、技術を学ぶ機会があって、今までできなかったことが急にできるようになっていると聞いています。技術面についてはすぐ習得すると予想しております。それと同時に必要なのは、子供たちに関わる指導とか相談のソフト面です。それに関わる保健室環境なり、そういう環境が必要になると考えます。
 子供の成長、発達、子供の悩みを解決するようなことにどのようにICT技術を使うかということです。私が準備したスライドで、オンライン健康相談とかオンライン保健指導のスライドに載ってございます。それについては、それができているということではないのです。こういうふうなことが想定できるということです。
 オンラインのツールには幾つかあります。子供たちと今まで関わっていたのにコロナ禍によって関われなくなったとか、不登校の子供たちとか、それから保健室登校で毎日保健室を居場所としていた子供が学校に来ることができなくなった、また、災害等もあります。この問題は、今後何が起こるか分からないこの不透明な社会においても子供とつながることが必要です。であれば、そこを何でつなげるか、オンラインでつながるという知恵を私たちはこのコロナ禍で得たわけです。
 その知恵をオンライン健康相談に生かせないかということで、ある学会では、そのマニュアルを作成しています。
 オンライン健康相談を円滑に進めるためには、保健室にプライバシーを保てる設備などのスペースがあるのかどうか、オンライン相談用のタブレットなり、機器があるのかどうかが課題となります。また、保護者との連携の際でどのようにプライバシーを守りながら子供とつながっていくかというような様々な課題があります。ここにもっと物、人とか、環境が必要になってくると思います。
 この議論が環境の中に入るのかICT技術の中に入るのか、それから、いわゆるこれからの養護教諭の役割、論点で言えば、役割の第1のところに入れるのかどうか分からないけども、総合的に言えるのは、子供たちのためにどんな成果を求めるのかという視点から考えたときに、今後のことを考え、未来を考えていく必要があるだろうなということが、この令和の時代に必要な環境ではないかなと思っているところです。
 それからもう1点ですけども、健康教育をするためには、養護教諭と栄養教諭が協力してやっていった方がいいのじゃないかという声がたくさんあります。それは私も経験上、本当にそのように思います。例えば健康教育、生活習慣に関する肥満の問題、やはり栄養教諭の先生と、その頃、栄養職員だったけども、非常に連携していったからこそ成果が上がったという例がたくさんあります。
 そういう意味で、各学校で栄養教諭と養護教諭が協働、協力するのも必要ですけども、研修自体も、栄養教諭、養護教諭の合同研修のようなものを企画して、そして効果的に健康教育というものについて課題を共有し、解決策を求めるということでは、栄養教諭と養護教諭が本当に大事な連携で考えていくというのもあるし、今後、教特法でいわれているように研修も一緒にやる機会があってもいいのではないかなと、このように考えます。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 委員さんが最後に言われた、栄養、養護の先生方の連携、これは前回もそうですし、私たちのこの会議の方で基本的に皆さん理解できる方向性だというふうに改めて確認したいと思います。
 また、ICTに関しても、三木委員さんから関連団体の詳細なデータ、調査結果をいただいていまして、それもまた参考にさせていただけたらと思います。ありがとうございます。
 大分時間も迫ってきたのですが、いろいろ意見交換をいただいて、また、今日最初には4人の委員の方からプレゼンテーションしていただきました。全体を通しまして、さらに御意見、これまでまだなかったようなことがございましたら、よろしくお願いします。
 小林委員さん、お願いします。
【小林委員】  すみません、全体じゃないですが、先ほどの環境面で1点。学校健康診断のPHRの活用というのが国の方で進められていると思うのですけども、それにあたり、データの入力作業等をしてくれるようなスクールサポートスタッフみたいな、また人材になってしまうのですが、そういう人的な配置の環境整備というのも考えていただけるとありがたいなと思います。
 本校840人の子供の健康診断データを今、私1人で入力していますが 、やはりそこのところで時間的にも大変な作業になっておりますので、そういうPHRの活用というのが進む、推進されるときに、そのような点も考えていただければと思っております。
 以上です。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 最初の資料の論点のところにもスクールサポートスタッフということが挙がっていました。御指摘いただいたところです。今、もちろん養護だけではなくして、学校の補助員ですよね。いろいろなサポートをしてくださる要員をつけるというような予算措置も動いてはいますけれども、それを学校内でどう活用されるのかというところはやはり管理職をはじめとするマネジメントの中なのでしょうね。でも、御指摘ありがとうございます。
 他に何かありますでしょうか。
 長島委員さん、お願いします。
【長島委員】  すみません、新しいことではないんですけど、先ほど三木委員から非常に心強い御発言をいただいて、大変ありがたく思っています。
 私も在職中にとてもやる気満々の若い養護教諭と一緒に勤務いたしましたので、1年間かけて「栄養教諭と養護教諭の協働について」、という研究に取り組んだことがあります。そのときに、養護教諭においては、「丈夫な歯と歯磨き指導」、栄養教諭は「歯の健康と食生活」「おやつについて」を担当し、指導や調理実習を一緒に行い、取組成果を一緒にまとめて家庭に発信する、学校内に発信するという取組をして、大変成果のある取組になった経験があります。
 やはり一人職種である、養護教諭、栄養教諭が学校内で共に手を組むと、例えばノロウイルスやインフルエンザ等の予防と対策などいろいろなときに一緒に職員会等で発信して、とても強いパイプで取組を推進していくことができました。このことから、ぜひ養護教諭、栄養教諭の連携の必要性・在り方をこれから明記していただきたいと思います。
 次に研修について、私どもの県では、新採研修あるいは10年目経験者研修等において、1日目は栄養教諭、養護教諭が各々受講し、宿泊研修により、2日目は一緒に共通内容を受講するというように、内容によっては一緒になったりまた別々になったりということで研修が組まれております。このような研修の在り方も事例として検討いただけたらと思います。ありがとうございます。
【坂越座長】  ありがとうございます。
 グッドプラクティスみたいなものを今日もいただきましたけれども、そういうのをどこかでプラットフォームで発信できるようなことができればいいですよね。
 以上でよろしいでしょうか。
 本日、いろいろ御意見をいただきまして本当にありがとうございます。今日の御意見は事務局の方でまた整理をしていただいて、次回の意見交換に生かしたいと思います。
 前回と今回と、委員の皆さんのいろいろな御意見をいただいた上で、予定としては、そろそろ次回ぐらいから、私たちの会議の方で何を打ち出していくのか、その辺りの方向性を含めて議論をしていければなと思っています。事務局の方は、そのような形で準備をお願いしたいと思います。
 なお、限られた時間ですので、御発言できなかったことだったり、あるいはまた新しいお考えがありましたら、メールなどで事務局の方にぜひお届けください。第3回目の意見交換のときにそれを踏まえて、また皆さんと一緒にお話ができればと思います。
 今日は本当にありがとうございました。本日の議論はここまでとしたいと思います。
 事務局の方から連絡はありますか。
【事務局】  本日は様々な御意見を頂戴し、ありがとうございました。
 次回の会議、第3回につきましては、今、日程調整を行わせていただいているところですので、決まりましたら追って御連絡させていただきます。
 また、本日の議事概要につきましては、第1回同様ですけれども、事務局の方で作成させていただいたものを後日皆様にメールでお送りし、御確認いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【坂越座長】  本当に今日は皆様御協力いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、第2回目になりましたけれども、養護教諭、栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議、以上で閉会としたいと思います。
―― 了 ――

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