「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議(第14回)議事録

1.日時

令和5年6月26日(月曜日)13時00分から15時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 報告書(案)について
  2. その他

4.議事録

【清原座長】  皆様、こんにちは。本日は、皆様、大変御多用の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 ただいまから、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議(第14回)を開催いたします。
 本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をオンラインにて配信しておりますので、どうぞ御承知おきください。それでは、よろしくお願いいたします。
 事務局より、まず本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  お手元の議事次第を御覧いただければと思います。会議資料といたしまして、資料1、2-1、2-2、3を用意しております。また、参考資料も御用意しております。よろしくお願いいたします。
【清原座長】  皆様、御確認、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入ります。
 本日の議事は、1、報告書(案)について、2、その他の2点となります。
 本日は、私たちが審議してまいりました報告書(案)に関する議題が中心となります。その報告書(案)を御議論いただきます前に、前回の会議の中で岩本委員より島根県教育委員会の学校支援に関する取組の情報提供に関するお申し出をいただきました。
 また、先日、文部科学省より、令和3年度の教育委員会の現状に関する調査の結果が公表されております。そこで、報告書(案)の検討に入るに当たりまして、新たな事例や教育委員会の最新の現状に関するデータを踏まえて議論していきたいと考えています。
 それでは、まず島根県教育委員会の取組について、岩本委員と島根県教育委員会の長谷川様より御説明をお願いいたします。
 それでは、10分程度でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
【岩本委員】  どうぞよろしくお願いします。学校の運営支援のために果たすべき役割についてというところに関して、事例の提供ということでさせていただけたらと思います。最後に、この報告書(案)に関する、そこから得られる提案というか、まとめについても一言述べさせていただけたらと思います。
 それでは、時間もありませんので、長谷川さん、お願いします。
【島根県教育委員会(長谷川様)】  それでは、事例の御紹介をさせていただきます。
 まずは、本日は貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございます。島根県教育庁の長谷川勇紀と申します。
 私からは、学校運営支援のために教育委員会が果たすべき役割について、島根県での事例を御紹介させていただければと思っております。今回は、特に高校の自主性、自律性を促す取組として、地域・高校現場への伴走支援体制の構築についてお話いたします。時間も限られているので、幾つかのスライドについては、参考資料として説明を割愛させていただくことを御了承いただければと思います。
 では、改めましてお話をさせていただきます。
 まず初めに、島根県の状況として、高校の配置状況の一覧となっております。島根県では、県立高校が36校あるような形をとっております。
 島根県の高校教育の方針としましては、平成31年2月に策定した県立高校魅力化ビジョンがございます。ここには「地域社会との協働による魅力ある高校づくり」と銘打ち、向こう10年間の教育の方向性と具体的な取組内容を示させていただいております。この県立高校魅力化ビジョンを絵に描いた餅にしないよう、魅力化ビジョン推進本部という機能を立ち上げ、教育委員会内で課を超えた議論、対話、進捗管理を行っております。
 県立高校魅力化ビジョンを実現させるための一つのマイルストーンとしましては、新指導要領完成年度である令和6年度末に置いております。ここまでに、各校の観点からいうと、上部に書いてあるとおり、グランドデザインの実現、そして島根県からの観点でいうと、主体性・探究性などの資質能力の向上を掲げております。この目標達成に向けて、下に記載されているとおり、教育委員会が果たすべき役割として、現場への伴走支援というものを掲げさせていただいております。
 各校のグランドデザインについてもう少し詳しく見ていくと、島根県では2つの指標でモニタリングしていくことにしております。一つは、進路実績や資格等に関するA指標、もう一つは、学びに向かう姿勢・意欲に関するB指標ということで、主には全県で実施している高校魅力化アンケートの数値を指標として設定しております。
 高校魅力化アンケートの詳しい説明は省きますが、生徒の主体性、協働性、探究性、社会性を図るとともに、なぜその数値が伸びたのかを実践した教育活動とひもづけながら、振り返るような機会を各校で設けております。
 教育委員会が果たすべき役割である伴走支援の話に戻りますが、その一つの取組として、年間を通じた課題解決型、PBL型の研修の実施があります。年3回ほどの集合研修の一番最初に課題を設定し、その課題解決のために知識や他校事例の提供、集合研修の合間での学校訪問による現場の伴走支援などを行っております。特徴的な課題解決型、PBL型の研修としては、このグランドデザインPDCA研修、地域との協働体制を生かしたテーマを推進する研修があります。この研修では、外部の研修講師の進行の下、教員だけではなく学校運営を共に支える地域の方々にも御参加いただきます。この研修を通じて、学校と地域とが共に支え合うコアチームの形成を促し、従来、学校単独では実現できなかったような教育活動の実現を具体的に目指していきます。また、集合研修の合間には、高校、市町村それぞれに対して個別の伴走支援を行い、よりよいコアチームの形成に向けバランスを取っていく役割を県教委として担っています。
 このような現場への伴走体制を整えていく中で、そもそもグランドデザインを実現させる伴走支援とは一体どういったものなのかについて、県教委内でも議論が巻き起こりました。
 伴走と一言で言っても、そのやり方、考え方は人によってばらつきがありました。そうであるならば、その伴走という言葉のニュアンスを県教委内でしっかりすり合わせようということで、「伴走の約束」策定プロジェクトというものを昨年度立ち上げました。
 まず、よりよい伴走支援を考える際、伴走の具体的なやり方はもちろん大切ですが、その全ての土台にある伴走の姿勢、スタンス、マインドなど、伴走の在り方について共有できる指針をつくっていこうと動き出しました。
 策定しようとした伴走の約束は、現場を支援する際の行動指針として定義しています。この行動指針の策定には、一つの部署ではなく多様な部署が参画する形で策定を進めていくとともに、外部団体の知見も活用しながら、できる限り多くの関係者の声が反映されていくことを重視しました。
 詳細は省きますが、全7回ほどの対話の場、ワークショップの場を設けて、行動指針となる言葉を紡ぎ出していきました。
 これは、その策定ワークショップの様子となっております。簡単な動画をちょっと御覧いただければと思います。
(動画上映)
【島根県教育委員会(長谷川様)】  これらワークショップを通じた策定プロセスは、外部パートナーに協力してもらって、このようなグラフィックレコーディングでまとめてもらい、県教委全体にも共有させていただきました。
 こちらは、ワークショップの感想文となっております。
 こちらが最終的に策定された伴走の約束、伴走の行動指針です。昨年度、この行動指針をチェックリストとして、学校訪問による伴走支援を行った指導主事にアンケートを実施しました。その結果、ここに記載されているとおり、行動指針の中にある、現場に耳を傾け、共に考える姿勢を持って接する関わりは比較的できていると分かった一方で、新しい視点や切り口を提供し、深い学びにつなげる関わりや、互いの強みを活かし、チームで対応していく関わりは比較的課題であることが見えてきました。
 現在は、その課題を受けて伴走支援のやり方を強化するとともに、伴走支援の際のサポートツールの開発を行っているところです。
 1つ目の具体的な取組としては、学校伴走のための勉強会を実施することです。多角的な視点での対応・支援ができる素地を整えるとともに、県教委内で気軽に相談し合えるようなチームづくりを狙っています。
 もう一つは、伴走支援のツール整備ということで、例えば地域との協働体制のあるべき姿をルーブリックの形に落とし込んだ高校魅力化ルーブリックなど、外部団体とともに開発をしております。詳細は、配付スライドのほうを御覧いただければと思います。
 話題提供の最後となりますが、こちらは高校魅力化アンケートの過去4年間分の推移となっておりまして、徐々に各項目が高まってきている状態ではございます。これらの成果は、今日御紹介させていただいた地域、高校への伴走支援の取組による結果だけではないとは思いますが、これら全体の数値を見たり、各校の数値を見たりしながら必要に応じて引き続き検討していければと思っているところです。
 まだまだ伴走支援の体制は始まったばかりですし、試行錯誤の部分は多々ありますが、高校の自主性、自律性を促していくことを目的に、現場からも様々に意見やフィードバックをもらいながら、自分たちの役割の解像度を上げていければと思っているところです。
 最後に、岩本さんのほうにお話を渡させていただければと思います。
【岩本委員】  そうしたら最後、学校の運営支援のために教育委員会が果たすべき役割についてというところに関して、この報告書に追加が必要と考えられる観点3つ、最後申し上げて終わりにしたいと思います。
 1点目が、今年度できました教育振興基本計画にも非常に大きく盛り込まれている話ではあるんですけれども、データを活用したPDCAサイクル、評価・改善の推進というところです。都道府県等においては、学校のPDCAサイクル及び教育委員会の教育政策に関するEBPMを推進するための環境整備をしっかり進めるとともに、データの分析・提供及び客観的根拠に基づく評価・改善をしっかりと行っていくということや、文部科学省におかれましては、データを活用したPDCAサイクルに関わる情報収集及び情報提供を行うとともに、積極的な取組を促していくこと。ここら辺の観点がまだ報告書に入っていませんでしたので、これはやっぱり、しっかり入れるべきではないかなというふうに思います。
 2点目が、学校と関係機関等の連携・協働に向けたコーディネート機能というところです。教育委員会は、えてして学校ばかりにフォーカスをして、様々なアプローチを学校に対してかけるわけですけれども、学校にやらせようとするというだけではなくて、教育委員会自身がコーディネート機能を活用して、学校に関わるステークホルダー、県立高校においても地元市町村の首長部局とか産業界とか様々あるわけですけれども、そういったところに、学校にやらせるだけではなくて、教育委員会自身がコーディネート機能を発揮し、連携支援について必要な取組を行っていくということは非常に重要なポイントだと言われていますし、また、文部科学省におかれましても、コーディネート機能の充実に取り組む教育委員会に対しての事例創出・横展開を含めた積極的な支援というところが望まれるかと思います。
 最後、こういったことをやっていくに当たって、再三言われてきていますけれども、外部機関等との連携、活用による学校支援の推進というところで、都道府県等においては、やはり専門性を有する外部機関、団体等との協働というところに取り組んで、教育委員会自体が社会に開かれた教育行政にまずなっていくというところ、そして文部科学省、国においても、外部機関との連携・協働等に関わる事例の収集だとか効果を含めて広く周知をしていくというような項目なんかも、改めてしっかりと明記していく必要があるかなというふうに考えております。
 すいません、雑駁ですけれども、事例の提供は以上にさせていただきたいと思います。どうもお時間いただきまして、ありがとうございます。
【清原座長】  どうもありがとうございます。
 島根県教育委員会の長谷川様、そして岩本委員におかれましては、主として県立高校の学校の伴走の約束プロジェクトについて御紹介いただきながら、改めて教育委員会による学校支援の在り方について、大いなるヒント、そして御提言をいただきました。感謝いたします。
 それでは、続きまして、令和3年度の教育委員会の現状に関する調査の結果を含めた、教育委員会の現状に関するデータ等について、事務局より御説明をお願いいたします。
 まず、資料2-1について、伊藤補佐より御説明をお願いします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  それでは、お手元の資料2-1、御覧いただければと思います。5月末に教育委員会の現状に関する調査を公表しておりまして、その内容を中心に御説明をしたいと思います。
 まず2ページ目でございますが、教育委員会会議の開催状況についてのまとめでございます。都道府県・指定都市では年間平均27.8回、市区町村では年間平均15.2回というデータが出ておりまして、都道府県・指定都市のほうが、回数が多いということが分かっております。市町村の中でも人口規模が大きい自治体ほど、回数が多い傾向にあるということが分かっております。
 また、3ページ目でございます。教育委員会会議の年間傍聴者数でございますが、0人の自治体が約7割あるということが分かっております。こちらも規模が小さい自治体ほど、傍聴者0人と回答した自治体が多いという結果となっております。
 また、4ページでございますが、教育委員会会議の議事録等の作成・公表についてでございます。こちら、法令上は努力義務として規定されているものでございますが、会議の詳細な議事録を作成していない教育委員会は、都道府県・指定都市で2(3%)でございます。市区町村では546、こちらが31.8%でございます。また、詳細な議事録を公表していない都道府県指定都市は3(4.5%)、市区町村918(53.4%)でございました。このように取組ができていない自治体も一定数存在するということが分かっております。
 また、5ページでございますが、教育委員会会議の運営上の工夫でございますが、こちら、例えば移動教育委員会の開催ですとか、事前勉強会の開催、委員からの提案に基づく議題設定など、教育委員会の会議の運営上の工夫について調査をしておりますが、多くの取組において、市区町村の取組状況は都道府県よりも低調となっているということが分かっております。
 6ページでございます。教育委員の研修の実施状況でございますが、都道府県が域内の全市区町村の委員を対象として行った研修は、年間0.6回、域内の一部市区町村の委員を対象として行った研修は年間1.1回、また、教育委員1人以上が参加した研修会の回数の平均でございますが、都道府県・指定都市で4.2回、市区町村で2.1回となっております。
 下のほうに経年変化を載せておりますが、平成30年度、こちらはコロナ禍前の数字でございますが、コロナ禍前の数字と比べて大きく下がっているというような状況が分かると思います。
 7ページは、いわゆる教育行政職の採用に関するデータでございまして、都道府県・指定都市教育委員会において26.9%、約3割の自治体で独自採用があるというようなことが分かっております。
 8ページ、こちらはあまりこちらの会議でも触れていないテーマとなりますが、点検・評価についてもデータを取っております。点検・評価は法令上義務づけられているものでございますが、点検・評価を行っていない教育委員会が市区町村で6%あるということが分かっております。
 9ページでございますが、こちらは都道府県教育委員会の事務局職員の教員籍の割合がどれくらいあるかということを文部科学省で調査をしたデータとなります。教育事務所を除く本庁で約4割、教育事務所で66.5%、約7割、教員籍の職員がおられるということが分かっております。
 10ページと11ページは学校の裁量に関するデータでございまして、前回の資料にもおつけしていたものです。それぞれ資料のとおりとなっておりますので、御確認いただければと思います。
 また、12ページ、総合教育会議でございますが、開催状況、都道府県・指定都市で年間平均1.5回、市区町村で1.3回となっているというところで、開催しなかった自治体も一定数存在するということが分かっております。
 次のページは、総合教育会議の会議の内容でございますが、大綱の策定に関する協議が一番上にございますが、それ以外に、例えばアの学校等の施設の整備ですとか、ケのICT環境整備、その下のコ、1人1台端末環境の利活用など、条件整備に関することがテーマとして取り上げられる傾向があるのかなというところでございます。
 14ページでございますが、会議の事務局担当部局についても調査をしております。都道府県・指定都市のうち17(27.0%)、市区町村のうち715、約5割の自治体が首長から教育委員会事務局に事務委任するか補助執行させているということが現状として出ております。
 また、その次のページの議事録等の作成・公表につきましては、こちらも同様に努力義務となっております。こういったデータが出ているというところでございます。
 また、16ページでございますが、総合教育会議を通じた首長部局との連携についてでございまして、こちらが連携を進めることができたとか、連携を継続させることに資していると回答した自治体が、都道府県・指定都市、市区町村ともに9割を超えているというような結果も出ております。
 続きまして17ページ以降でございますが、こちらは小規模自治体に関連するデータとして、資料として設けているものでございますが、まず、指導主事の数の推移でございますが、こちらは平成25年度以降の指導主事の数の推移が、こちらの表のとおりとなっておりまして、おおむね増加傾向にあるということが分かっております。
 他方で、次のページでございますが、こちらの会議でも何回か取り上げさせていただいておりますが、指導主事を配置していない市区町村が393(22.9%)あるということが分かっておりまして、規模別でも、規模が小さな自治体ほどの指導主事が配置されない傾向にあるということが分かるかと思います。
 その次のページが、指導主事に準ずる者の配置状況でございまして、例えば校長経験者など、一定の経験を有する方が指導主事に準ずる業務を行っているかどうかというところでございますが、指導主事を配置していないと答えた自治体の教育委員会における指導主事に準ずる者の配置状況でございますが、約4割、36.1%の自治体において、そういった方を配置しているということも分かっております。
 20ページでございますが、こちらは教育委員会事務局の職員数でございまして、職員数10人以下の教育委員会数が26.3%、474の自治体で職員数が10人以下であるということが分かっております。
 こちらが都道府県教育委員会における市区町村への支援に関する内容でございます。例えば、財政的な配置支援を行っている都道府県が17%、市区町村への訪問支援を行っている都道府県が78.7%あるということが分かっております。
 また、最後のページでございますが、事務の共同処理の状況についてもデータとして把握をしております。こちら、地方教育行政法におきまして努力義務とされているところでございますが、事務の共同処理を実施している市区町村教育委員会の割合といたしまして、以下の図のとおりとなっているというところでございます。
 駆け足で恐縮ですが、データにつきましては以上となります。
【清原座長】  ありがとうございます。
 それでは、皆様、資料2-2を御覧ください。これは、この調査の結果を踏まえて、文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長の堀野課長より発せられた通知ですが、この調査研究協力者会議の担当は堀野課長でいらっしゃいまして、なかなかこの通知を発出した方から直接御説明を伺うことはないので、今日は特別に堀野課長から、この資料2-2について御説明をよろしくお願いいたします。
【堀野初等中等教育企画課長】  それでは、資料2-2についてでございます。先ほど伊藤より説明いたしました調査結果を踏まえまして、5月末に教育委員会と首長さん向けに通知を発出しております。
 主な内容といたしましては、1ページ目のア、総合教育会議の部分につきまして、1ページ目から2ページ目にかけてですけれども、統合教育会議の開催回数について1回と回答した自治体が最も多く、総合教育会議のさらなる活用が必要であるということ、また、いじめの重大事態に関する措置等をはじめとする緊急の場合に講ずべき措置を協議・調整する場だということも法律に書いてあるわけですけれども、こういったことを適切に開催する必要があることということでございます。まさに法律において、総合教育会議の招集は首長さんの権限だというふうにしているというのは、しっかり自治体を挙げて教育に取り組んでほしいということですので、しっかりこれを意識して活用していただきたいという趣旨でございます。
 それから、2ページ目のイですけれども、教育委員会会議の議事録の作成・公表については、法令上、努力義務とされているということを踏まえて、原則として議事録を作成して、ホームページ等を活用して公表するということが強く求められておりますので、そのことをお示ししております。
 3ページ目のウ、総合教育会議についても同様でございます。
 それから、4ページ目のイの部分ですけれども、教育委員の研修につきまして、コロナ感染症が流行する前の回数と比較して少なくなっているというところですので、研修機会の確保に向けて積極的に取り組んでいく必要があるということを述べております。
 それから、4ページ目から5ページ目にかけて(5)ですけれども、法令上義務となっている点検・評価を実施していない自治体が一定数あるということから、これは実施していない自治体は速やかに実施する必要があるということでございます。
 それから、5ページ目の(6)番、指導主事が配置されていない市町村等に対して、各都道府県教育委員会は域内の教育水準の維持向上の観点から、状況を踏まえた支援を行う必要があることをお示ししております。
 このほか、教育委員会会議の活性化や教育委員の選任に関する内容、近隣市町村との事務の共同処理に関する内容等も記載をしております。これは毎年の調査が出れば送られている通知ということで、多少アレンジはありますけれども、だんだんマンネリ化していきがちですので、今回この有識者会議の提言をまとめていただきますと、こういった調査の意義もまた伝わっていくと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【清原座長】  堀野課長、大変にありがとうございました。
 ただいまのように、調査をした結果を踏まえて、自治体の首長と教育委員会宛てに今のような通知を発出していただいています。
 私がちょっと興味を引きましたのは、4ページ目の上の段落でございまして、教育委員会の委員に女性が選任されていない市町村がまだあるということです。「適任者がいないというようなことを言われているけれども、ぜひ2025年までにゼロにするという、女性の教育委員のいない教育委員会の数の目標を踏まえて選任されたい」というのも書いていただいているので、こういうきめ細かい通知が出ていることを私たちも共有して、今後の議論に進めたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。報告書(案)の議論に移りたいと思います。
 ただいま岩本委員、そして長谷川様からの御報告、また、事務局より御説明いただいたことを踏まえて御議論をしていただきたいと思いますので、報告書(案)の説明に移らせていただきます。
 これまで私たちの調査研究協力者会議では、委員の皆様の御発言、そして各教育委員会等の事例についてヒアリングをさせていただきました。そのことを踏まえて、1点目に教育委員会の機能強化・活性化、そして2点目に首長部局との効果的な連携の在り方、3点目に広域行政の推進のための方策、そして4点目に学校運営の支援のために果たすべき役割の4つのテーマについて審議を重ねてまいりました。13回にわたる議論を踏まえて、私と戸ヶ﨑座長代理と事務局とで、皆様のお手元にお送りいたしましたような報告書(案)をまとめさせていただいております。事務局がこれまでの私たちの審議を丁寧に把握して、かなり幅広く反映した案をまとめていただいております。
 しかしながら、私たちとしてはさらに幅広く地方教育行政の充実のために内容を深めていきたいと思っておりますので、今日は、まずは伊藤補佐より資料3に基づいて、案について説明していただいた後、皆様からの御意見をいただいて内容を深めてまいりますので、よろしくお願いします。
 それでは、伊藤補佐、御説明お願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  それでは、お手元の資料3を御覧いただければと思います。ちょっと時間の関係もありますので、ポイントに絞った形で御説明をしたいと思います。
 まず1ページ目でございますが、「はじめに」のところでございます。令和3年に出された「令和の日本型学校教育」に関する答申以降、本調査研究協力者会議で議論を行うことになった経緯ですとか、また、本調査研究協力者会議の議論の推移について簡潔に記載をしているところでございます。
 2ページ目を御覧いただければと思いますが、2ポツというところで、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の在り方に係る基本的な考え方というところでございまして、これまでの議論を基に新たに記載を整理した章になります。
 まず、地方教育行政を取り巻く状況についてでございますが、もろもろ記載をしているところでございますが、3ページ目の1つ目の丸、「平成26年の法改正」と始まるところですが、平成26年の地教行法の改正におきまして様々改正がされたところでございますが、新たな教育長のリーダーシップによる意欲的な改革ですとか、総合教育会議を通じた連携・協働による様々な成果が出ている一方で、総合教育会議は十分に機能していないというような指摘もされているところでございまして、課題も見られるところでございます。
 そういった平成26年の法改正以降の成果と課題を整理して、今後の教育委員会の在り方を展望することが求められているというようなところで、その26年法改正を踏まえた今後の教育委員会の在り方というところも記載をさせていただいているところでございます。
 また、その下は社会状況による様々な変化、人工知能やビッグデータ、IoTなどのSociety5.0時代の到来ですとか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など社会状況の変化、また、学校におきまして子供が直面する課題の多様化、複雑化、教育DXの推進等の新たな対応などについて触れているところでございます。
 その下の丸でございますが、令和3年答申における記載事項ですとか、また次のページ1つ目の丸でございますが、令和の日本型学校教育を各学校において実装する教師が、その意欲と能力が最大限に発揮できる環境整備につきまして、令和4年12月に「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について答申が出ておりまして、また、先日5月には「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について諮問がされているところでございます。
 また、その下の丸、教育振興基本計画、先日閣議決定されておりますが、その中に教育環境の整備を着実に進める観点から、教育委員会の機能強化・活性化ですとか、教育委員会と首長部局との連携等の推進を図るということが記載をされているところでございます。
 このような中で、多様化・複雑化する社会状況や学校現場が抱える様々な課題をしなやかに受け止め、各学校において「令和の日本型学校教育」の実現に向けて着実に取組を進めていくために、各学校を所管する教育委員会や都道府県教育委員会の役割が極めて重要であるということをここで述べさせていただいております。
 必要な方策などにつきまして、次のページ、5ページの2ポツの基本的な考え方のところで触れさせていただいているところでございます。
 まず1つ目の丸でございますが、教育委員会のあるべき姿といたしまして下線を引いておりますが、指導等を通じて学校の教育活動を適時適切に軌道修正していくことも必要でございますが、各学校の積極的な取組を促していく姿勢が重要であるということを記載をしております。
 また、その下で、都道府県教育委員会は、域内の市町村教育委員会の機能を補完する役割を担う広域自治体として、課題を抱える自治体への支援を積極的に行うことが求められているということを記載しております。
 その具体的な教育委員会の在り方といたしまして、その下の丸以降で記載をしておりますが、その下の丸が教育委員会の機能強化・活性化の必要性に関する内容でございまして、次のページ、6ページ目の1つ目の丸が首長との連携に関する内容、また、その下の丸が小規模自治体への対応に関する内容について、それぞれこういったことが必要であるということを記載しているところでございます。
 具体的な記載につきましては、7ページの3ポツのところでございますが、具体的な方策等という、この章の中で言及をしているところでございます。
 また、この章の中身についても少し見ていきたいと思いますが、まず、教育委員会の機能強化・活性化のところでございますが、教育委員会会議のより一層の実質化というところで、8ページ以降にもろもろ記載をしているところでございます。
 8ページの一番上の丸でございますが、教育委員会会議の事前勉強会の開催ですとか、教育委員の提案に基づく議題設定など、会議の議論を活発にするために、会議のテーマについて教育委員が議論を行いやすいような工夫を行うこと。また、その下の丸でございますが、地域に開かれた教育行政を推進する観点から、地域住民との意見交換会や移動型の教育委員会などを行うこと。
 また、9ページの一番上の丸にオンライン会議システム等を積極的に活用した教育委員会会議の開催について記載をしております。
 また、その下の記載でございますが、文科省の取組といたしまして、教育委員会会議の活性化に資する事例等を情報提供することですとか、教育委員会の取組の振り返りなどのためにチェックリスト等の作成、周知を行うことについて記載をしているところでございます。
 また、11ページでございます。教育長や教育委員の人選、資質・能力の在り方についてもろもろ記載をしておりまして、12ページを御覧いただければと思います。1つ目の丸でございますが、教育長に求められる資質・能力について記載をしておりまして、その下以降で首長による教育長の選任に当たっての留意事項などについて記載をしております。具体的には、各地域の教育の状況ですとか候補者の資質・能力、様々なバックグラウンドに応じた特性などを踏まえて選任を行うべきではないかといったことを記載しております。
 また、13ページの一番上の記載でございますが、議会として、例えば教育長の候補者が所信表明を行った上で質疑を行うなど、教育長の選任に当たっての丁寧な手続を踏むことが重要であるということを記載しております。
 また、その下以降でございますが、将来的に教育長になり得る人材を中長期的に育成することですとか、資質・能力を伸ばす観点から、教育長を対象とした研修会等へ積極的に参加する必要があるといったことを記載しております。
 13ページの3つ目の丸のところに文科省の行う取組を記載しておりまして、教育長を対象とした全国的な研修の機会に係る情報収集、情報提供、また、教育長を対象とした研修会について、アンケート等を通じた効果検証、取組の見直しを行うことについて記載をしております。
 14ページを御覧いただければと思いますが、1つ目の丸で教育委員について記載をしております。教育委員には、女性や保護者委員を含めた多様な人材を選任すること、また、教育以外の分野の専門家などを選任することで、より的確な意思決定に資することが考えられることを記載しております。
 また、その下、委員の就任時に教育委員に求められる役割や権限、教育委員会の運営に係る様々な留意事項等について確実に説明を行うこと。また、教育委員を対象とした勉強会、学校訪問の機会の確保ですとか、他自治体の教育委員会の視察の機会の確保などの資質・能力の向上に向けた取組を行うことなどについて記載をしております。
 16ページ以降に教育委員会事務局の在り方についてもろもろ記載をしております。
 まず、17ページの指導主事をはじめとする事務局職員の資質・能力の向上についてでございますが、17ページ2つ目の丸でございますが、指導主事に求められる資質・能力に言及をした上で、様々な研修の機会なども通じて現代的な教育課題への対応等に係る専門性を含めた指導主事の資質・能力の向上を図ること、また、一番下のポツでございますが、指導主事の任用前の行政事務に係る研修ですとか、指導主事向けの業務マニュアルの作成等の支援を行うことなどについて記載をしております。
 18ページ、2つ目の丸でございますが、事務局職員の資質・能力の向上に向けて、大学・教職大学院での学び直し等の機会を積極的に活用していくことについても記載をしております。
 また、18ページ、19ページで一般行政職と教員籍職員の役割分担、連携、また、19ページで教育行政職の採用についても記載をしているところでございます。
 飛びまして、22ページ、23ページでございますが、こちらも事務局の機能強化の観点から、外部人材の活用、関係機関との連携についてもろもろ記載をしているところでございますが、特に23ページ、関係機関や地域との連携についてでございます。
 1つ目の丸で、社会に開かれた教育課程の実現が重要となるというところに下線を引いておりますが、この観点から、様々な関係機関に加えまして、コミュニティースクールも活用した地域との連携についても記載の充実を図っているところでございます。
 25ページを御覧いただければと思います。2ポツといたしまして、教育委員会と首長との効果的な連携の在り方についてもろもろ記載をしております。
 まず、25ページの上から3つ目の丸以降に記載をしてございますが、危機管理についてでございます。
 まず、25ページの最後の丸でございます。事務局も含めた教育委員会における危機管理体制を適切に整えた上で、非常時に最前線で対応を指揮監督する教育長がその対応を十分に理解し、学校との間で認識の共有を図ること、また、教育長のリスクマネジメントに係る知識や理解のアップデートを図ることについて記載をしております。
 また、その下でございますが、26ページの1つ目の丸でございます。いじめ重大事態に係る措置をはじめとする緊急の場合に講ずべき措置について、速やかに総合教育会議等で協議・調整を行い、確実に首長と教育委員会が連携して対応すること。
 その下の丸でございますが、総合教育会議について学校安全や学校における災害発生時の対応に係る議題で開催することですとか、いじめ対応に関する連絡協議会を開催することなどを通じて、首長と教育委員会の間で危機管理対応に係る認識の共有を図ること、こういった記載をさせていただいているところでございます。
 28ページを御覧いただければと思いますが、総合的な施策の大綱についてここで記載をさせていただいているところでございます。2つ目の丸で大綱の記載内容について少し列挙させていただいておりますけれども、3つ目の丸のところで、総合教育会議等で大綱を踏まえた取組の進捗状況などを適切に共有し、また、さらなる推進が必要な点などについて必要な予算措置を講じる等の教育行政の充実に向けた取組を行うことについて記載をさせていただいております。
 また、29ページ以降、総合教育会議の在り方についてもろもろ記載をしているところでございます。
 30ページの一番上の丸でございますが、総合教育会議のさらなる活用を図り、活性化を図るために、定例会だけではなくて、大きな課題が生じた際に、柔軟に総合教育会議の開催の必要性を検討するという姿勢で臨む必要があることについて記載をしております。
 また、その下でございますが、総合教育会議の活性化の観点から、例えば有識者等の様々な者を議論に参加させることですとか、首長が会議に先立ち学校視察等を行うこと、また、その下でございますが、総合教育会議の下に有識者等が参画したワーキングチームなどを設けて専門的な議論を深めることなどについて記載をしております。
 また、総合教育会議の議題についてでございます。31ページの上から4つ目の丸について記載をしております。ここは先ほど申し上げたいじめ重大事態等に係る措置をはじめとする緊急の場合に、確実に首長と教育委員会が連携して対応する必要があるといったことを改めて記載をさせていただいております。
 32ページでございますが、上から2つ目の丸でございます。事務局を教育委員会に任せる場合でも、引き続き首長において会議の運営や議題設定等において問題意識を持って関わっていくこと、また、その下の丸でございますが、首長部局に教育委員会との連絡・調整等を行う担当部署を設けて、総合教育会議の事務局を担わせることなどについて記載をしているところでございます。
 34ページと35ページを御覧いただければと思います。34ページでございますが、教育委員会事務局と関係部局との連携の促進として、専門家の配置や職員の併任について、また、35ページで、組織改編等による機能集約についてそれぞれ記載をさせていただいております。
 続きまして、36ページを御覧いただければと思います。学校運営の支援のために教育委員会が果たすべき役割についてでございます。こちらは前回議論をさせていただいたところでございますが、まず、学校の自主性・自律性を促す取組の実施のところでございまして、こちらは学校の裁量拡大に関する取組について記載をしているところでございますが、37ページの最後の丸を御覧いただければと思いますが、まず一番上のポツで、学校の実情を踏まえつつ、教育委員会の形式的な手続などについては縮減する方向で取り組むこと。また、その下のポツでございますが、各学校の意欲や意向が反映されやすい学校関係予算の編成ですとか、校長の裁量によって執行できる予算措置等に取り組むことについて記載をしております。
 また、38ページの一番上の丸でございますが、地域住民や民間企業からの寄附やふるさと納税、クラウドファンディング等により外部から資金を獲得して取組を行うことも考えられるといったことも記載をさせていただいております。
 文部科学省の取組として、その下に記載をしておりますが、学校予算を含む学校に係る裁量の拡大に関する取組について具体的な事例等を示していくといったことを記載しております。
 また、40ページ以降、指導主事に係る体制整備の支援について記載をしております。
 41ページの一番上の記載でございますが、指導主事の共同設置等の促進も含めて、小規模自治体の指導主事に係る体制整備の支援について検討を行うこと、また、その下の丸でございますが、特に小規模自治体の指導主事等を対象として、オンラインによる情報交換やネットワークづくりの場を設け、指導主事等の資質・能力の向上や教育委員会間の連携を促していくことについて、国の役割として記載をしているところでございます。
 また、その下の、教師が教育活動に専念できる環境整備のところでございますが、42ページの上から2つ目の丸のところに記載をしております。学校事務職員の役割の拡大がますます期待される中で、教師が教育活動に専念できる環境の整備や学校の組織力の強化等が実現できるように教育委員会として支援に取り組んでいくこと、また、その下の丸でございますが、そういった取組を行うに当たって、学校現場の実情をよく知る学校事務職員の知見を取り入れること、また、43ページの一番上の丸でございますが、共同学校事務室の設置など、効率的かつ効果的に事務処理を行うことができる体制整備についてさらなる取組を行っていくことなどについて記載をしてございます。国の役割としては、これらの取組に資する情報収集や情報提供について記載をしているところでございます。
 44ページを御覧いただければと思います。4ポツ、小規模自治体への対応、広域行政の推進のための方策について記載をしているところでございます。ここの章は特に重要な点ということで、一つの章として記載をするということでこの報告書でも反映しているところでございます。
 まず、現状と課題のところでございますが、44ページの一番下から45ページにかけて、少子高齢化ですとか過疎化が教育行政においても深刻な影響を及ぼしているといったことを記載しておりまして、そういった中で、必ずしも十分な体制が構築されていない中で様々な課題への対応に迫られている小規模自治体も少なからず存在するということを記載しております。
 また、下から2つ目の丸のところでございますが、都道府県教育委員会による支援も重要でございますが、各自治体において様々な創意工夫の余地があり、広域連携も含めたより一層の取組が必要であるといったことをここで記載をしております。こういった現状と課題を踏まえて、次の46ページ以降で必要な方策について記載をしているところでございます。
 まず、市町村を支える都道府県の役割でございますが、46ページの上から2つ目の丸のところで、都道府県教育委員会は、域内の市町村教育委員会が抱える課題の解決や、教育のさらなる充実に向けて指導・助言・援助を通じて適切な支援を図るというようなことについて記載をしておりまして、その下で、具体的な指導・助言・援助の例について記載をしているところでございます。
 また、一番下の丸のところでございますが、都道府県教育委員会の本庁や各地域の教育事務所が、市町村教育委員会の連携を積極的に促していく役割を担っていくこともより一層期待されるということを記載しております。
 また、47ページの一番上の丸で文科省として取り組むべきことについて記載をしておりまして、各都道府県教育委員会における市町村教育委員会への支援に係る取組の実施状況について定期的に状況を把握して取組を促していくこと、また、域内の小規模自治体への支援を行う都道府県教育委員会に対して、事例創出や横展開も含めて積極的に支援を行うことについて記載をしております。
 また、48ページ以降は教育事務所の在り方でございます。
 48ページ上から2つ目の丸のところでございますが、教育事務所について、各市町村教育委員会のニーズ、教育課題等の様々な状況を踏まえて、小規模自治体への最適な支援を行う観点から、適時適切に見直しを行っていくこと、また、一番下の丸、文科省が行うべきことでございますが、各都道府県教育委員会の域内の自治体の支援体制に係る検討に資するよう、教育事務所の再編等に関する取組について、事例収集、周知を図るとといったことを記載しております。
 また、51ページ以降は広域連携等の促進について記載をしております。
 51ページの上から2つ目の丸のところでございますが、広域連携に関する各制度の活用等を通じて、小規模自治体同士が互いに協働・連携して、事務を共同で実施する体制を構築するということを記載しております。
 また、文科省の取組といたしましては、51ページの上から3つ目、広域連携に係る各制度のさらなる活用を促すために、制度の特徴や活用に当たっての留意点等を改めて整理して示すということ、また、その下でございますが、各自治体における取組について、事例創出、横展開も含めて積極的に支援をしていくことについて記載をしております。
 また、53ページ以降は地方教育行政を担う人材の確保についてもろもろ記載をしているところでございますが、53ページ上から2つ目、3つ目の丸につきましては、指導主事の体制整備の支援に関する内容の再掲となっておりまして、54ページの一番上の丸のところでございます。指導主事に係る体制の整備・充実の観点から、自治体が近隣自治体等と連携して指導主事を共同設置することですとか、校長経験者等の教育に関する識見や学校教育に関して専門的な知見等を有する者をアドバイザー等として、学校の教育に関する専門的事項の指導に係る事務に従事させることなどについて記載をしているところでございます。
 また、55ページ、デジタル技術の活用等について記載をしております。
 55ページの上から2つ目の丸でございますが、オンライン会議システム等を活用した近隣の市町村との教員研修の合同実施、学校事務の共同実施、あとは指導主事の事業参観に係る講評や、授業検討会を行う場合にオンライン会議システム等を活用するということ、あとは、小規模自治体への対応や広域連携を進めるに当たってオンライン会議システム等の活用を図ることなどについて記載をしております。
 また、最後の丸のところでございますが、校務支援システムですとか運営支援センターに関することを例示として挙げておりますけれども、小規模自治体への支援の観点から、デジタル技術を教育行政に活用する場合においても積極的な役割を果たすこととして、都道府県の役割として記載をしているところでございます。
 最後、56ページのところで、「おわりに」の章を設けております。こちらは各主体においてそれぞれ行うべきことを簡単にまとめておりますが、56ページの一番下の丸から57ページにかけて、この報告書の中で随所で、文科省の取組として、取組事例等の周知の必要性について触れておりますけれども、各自治体が参酌しやすいように、留意事項等とともに手引のような形で体系的に提示されることが重要であるため、そのような周知に当たっての対応も求めたいというようなことを記載しているところでございます。
 以上、駆け足でございましたが、報告書(案)に関する説明については以上でございます。よろしくお願いいたします。
【清原座長】  伊藤補佐、御説明をどうもありがとうございます。
 皆様、目次をちょっと見ていただきますと、1と2のところは私たち調査研究協力者会議の役割について、また、基本的な考え方をまとめたところでございますが、3、4につきましては、この間、委員の皆様、あるいはお願いをした自治体の教育委員会の皆様や有識者の皆様からいただきました事例をなるべく簡潔に紹介しているとともに、例えば9ページのところに四角に囲んで取組の方向性として、都道府県・市町村の取組の方向性、そして文部科学省の取組の方向性が書かれておりますように、本文だけではなくて、できる限り事例や取組の方向性が分かりやすいように表記されております。その内容を踏まえまして、これから皆様の御意見をいただいて、内容の充実を図っていきたいと思います。
 そこでお願いがあります。1点目は、今お聞きになってお気づきのように、各章は相互に関係をしております。章としては分けておりますけれども、本当に関連する論点が随所にございますので、これから伺う御意見は各章ごとではなくて報告書全体を通じて、どこからでも御意見をいただければと思います。
 2点目のお願いは、これまで委員の皆様に御発言いただいた内容は、もうかなり最大限反映しておりますが、どうぞ、これは取りまとめの案でございますので、可能な限り、今まで御発言されたことでもさらに強調したいこと、さらに、ここのところはぜひ皆様に強く訴えたいというところについては、御遠慮なく御発言をいただければと思います。
 3点目です。本日、文部科学省の会議室には青木委員も来ていただいて心強く思いますが、皆様なかなか対面でお会いできなかったので、オンラインだと遠慮がちだと思いますが、とにかく全員に1回は御発言いただきますが、時間の許す限り何度でも発言していただいて、それぞれの皆様の御意見に触発されて、またここを追加したいとかということもしていただければということです。あとちょうどまだ1時間ございますので、皆様からしっかり御意見をいただきたいと思います。
 それでは、いつものように挙手のサインをしていただくとありがたいです。どなたからでも。
 では、まずは戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑座長代理】  まず、これまで委員の様々な意見や全国の自治体の事例をこのように大作として見事にまとめていただきまして、そのことを事務局の皆様に深く感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 私からは、今、座長からもお話がありましたように、記載内容で改めて強調したいと思うことを中心に、大きく5点ほど申し上げたいと思います。
 1つ目は、いわゆる教育委員会の役割についてです。先ほどの御発表にもありましたが、近年、教育委員会の役割として「伴走」という言葉をよく耳にします。お手元の資料5ページのちょうど真ん中辺りで、私も強調させていただいたと記憶していますが、「指導等を通じて学校の教育活動を適時適切に軌道修正していくことも必要であるが、各学校の積極的な取組を促していく姿勢が重要であり」という記載があります。ここも非常に重要だと思っていますが、一方で、学校の管理運営を行う教育委員会という立場として、例えば生徒指導や教職員の事故防止、日々の危機管理や学習指導要領など、文科省、県または市教委の通知からどうしても逸脱してしまう学校の活動を軌道修正することも重要な役割の一つであることを忘れてはいけないと思います。近年、「管理」という言葉が毛嫌いされる傾向にありますが、いわゆる強制や強要、締めつけなどの意味ではありません。大事なことは、間違っていることや逸脱していることがあった場合には、しっかりと正すことも「支援」の一つだと考えています。
 その辺りのバランスを踏まえた記載をしていただいていると感じていますが、教育委員会に求められる役割をどのように表現していくかは大変重要な点ですので、この際改めてこのことについても強調させていただきたいと思います。
 2つ目に、現状に関する調査の通知内容の反映についてです。先ほど御説明いただいた「教育委員会の現状に関する調査(令和3年度間)」の調査結果の通知の中にも記載していただいている、教育委員会会議の議事録の作成・公表に関する内容や教育委員会の点検・評価に関する内容、また、総合教育会議の開催など、これらは極めて基本的なことですが、なかなか対応できていない教育委員会も全国には多くあるのが現実です。これは、基本的なことですが、教育委員会の機能や役割として極めて重要な役割であり、改めて報告書の中にも強調して記載したほうがよいと思いますので、ぜひその辺の御検討もお願いできればと思います。
 3つ目に、保護者などへの対応についてです。地域や保護者等からの過剰な苦情や不当な要求がエスカレートし、学校だけでは解決が難しい事案に発展する場合が多々あります。学校現場においては、こういったことに苦慮している教職員も多いのではないかと思います。
 私自身もこれまで何度もそういう経験をしてきました。教師という仕事は、全人的に子供たちやその親と関わっていく仕事です。多様な価値観を持っている多数の子供たちや親と対峙していく必要があります。思い返してみると、かつては教師に対してリスペクトがあって、保護者はある意味、若い教師の成長をおおらかに見守ってくれるようなことがありました。しかし、現在、どうしてもこの学校教育を、厳しい言い方をすると、サービス業と捉えているような風潮が強まっていることもあって、教師を見る目の厳しさが増していて、教師の精神的な負担が増しているのではないかと感じます。
 こういった状況下であっては、教師が本来の教育活動に専念することが困難になってしまいます。学校の管理運営を行っていく教育委員会としては、このような学校が抱える課題の解決に向けて、主体的かつ積極的な役割を担うべきということも、報告書に記載してほしいと思います。
 また、併せて国の役割として、このような教育委員会の取り組みを国としても支援していくという記載もあると、なおいいのではないかと感じています。
 4つ目は、対策としてまとめられている報告書の周知についてです。この報告書では、直近の教育委員会の現状に関する調査を用いつつ、教育長の資質・能力や総合教育会議の在り方も含めて検討しており、この御説明にもありましたが、平成26年の法改正以降の地方教育行政の振り返りという点でも、大変意味のある内容となっていると考えています。IIで、平成26年の法改正の成果と課題の振り返りという点について触れていただいていますが、本報告書の周知に当たっては、そのような点も改めて強調していく必要があると考えています。
 また、振り返りという観点から申し上げますと、教育長の資質・能力の向上については、改めて、具体的かつ簡潔に、どのような資質・能力が求められているのかの記載を、もっと分かりやすく充実してもいいのではないかと思いました。
 また、今後の各教育委員会において、この報告書の内容を基に、運用の改善や取り組みのさらなる充実を行っていただくことが期待されます。「おわりに」でも記載していただいたように、参考となる取組事例等の周知に当たっては、ぜひ各自治体が参酌しやすいように、手引のような形で体系的に提示されることが重要だと思います。
 今後、この会議に限らず、文科省全体のことで申し上げますが、文科省のポータルサイトを見直していただいて、例えば「教育行政の広域化に向けて」など、小規模自治体が参考になる取り組みをワンストップで容易に検索できるポータルサイトになると大いに活用できると思います。これは今後ぜひ工夫をお願いしたいです。
 5つ目に、教育委員会事務局が役所の行政職にとって魅力ある職場になるようにということについてです。簡潔に申し上げますと、教育委員会の機能強化・活性化のためには、これまで論議されたように、事務局職員等のスキルアップや教育枠採用などももちろん大切ですが、今できるものとして、一般行政職員にとって数ある役所の異動先の中でも選ばれる魅力ある組織、存在となる必要があると思っています。教育委員会事務局の特色は、簡単に申し上げますと、行政職が教員籍の指導主事や校長、教頭などと一緒になって仕事に取り組むという点があります。鍋蓋組織とやゆされることがありますが、そのマネジメントの在り方や指導主事が現場で培ってきた様々な経験を見聞きすることは、役所の中では得られない様々な刺激があり、行政職の今後のキャリアアップにも少なからず役立つことがあると思います。
 さらに強調したいのは、今後、各自治体のファシリティマネジメントやシティセールスに関して考えてみると、ソフト・ハードの両面から学校の再整備を抜きにしては絶対語れないと思います。自治体の公共施設の在り方全体を左右する重要な課題です。また、少子高齢化の時代にあって、質の高い教育内容や施策は、若い子育て世代や未来の子育て世代への強力なアピールとなり、生産年齢の増加、自治体の活性化につなげていくという面からも非常に重要な施策であると思います。
 優秀な行政職員が教育委員会事務局でぜひ働いてみたいと希望されるようになることで、さらなる教育委員会の機能強化、活性化につながっていくのではないかと思います。
 以上です。
【清原座長】  戸ヶ﨑委員、ありがとうございます。
 1点目の教育委員会の役割として、「伴走」ということを実施するとともに、「管理」や「危機管理」というような点についても丁寧に補強したいと思います。
 また、現状の調査に基づいた通知で指摘されている総合教育会議の開催回数のことやら、適切な点検・評価のことなども補強すべきだと私も思います。そして、保護者への対応等含めて、教師が置かれている課題についてもしっかりと国の支援も含めて、これから学校における働き方改革を含む「質の高い教師の確保特別部会(初等中等教育分科会)」も開催されていくということですので、それとの関係でも重視したいと思います。
 また、周知についてはごもっともでございまして、実は資料2-2の宛先が各都道府県知事と各都道府県教育委員会、各指定都市市長と各指定都市教育委員会となっておりますが、今回の私たちの取りまとめは小規模自治体のことも書かれておりますので、可能であれば、この取りまとめられましたという通知の際に、全市区町村長と全市区町村の教育委員会に出していただけるとありがたいかなと思いました。特に小規模自治体に届いてほしいなというふうな思いを強くしました。
 最後の魅力ある職場にということは、本当に極めて重要なことでございますので、そうした思いを反映していきたいなと思います。最後まで磨き上げていきましょう。
 それでは、次に御発言いただける方いらっしゃいませんか。どうでしょう、どなたからでも。
 それでは、村上委員、お願いいたします。
【村上委員】  取りまとめ案を作成していただいた関係者の方々、どうもありがとうございました。非常に幅広い意見を適切にまとめていただけたことに感謝申し上げます。
 私自身は、法改正とかまで踏み込むこともあり得ると個人的には思っているんですけれども、会議全体としては運用の改善やそのメニューを幅広く出すという方向性なのかなというふうに理解をしています。
 私からは2点なんですけれども、1つ目は、戸田市の事例がありまして、11ページのところになりますが、「教育委員会活性化の10の心構え」というのを出していただいています。教育委員会の活性化とか教育委員の機能強化というのを考えるときに、やはりよくあるのは、教育委員に情報が届いていないとか、ややもすると教育委員が軽視されているという教育委員会もなきにしもあらずということを時々聞くことがあります。この会議ではあまり同意を得られなかった気がするんですが、私も幾つかの自治体では、教育委員に十分情報が届いていないんじゃないかという例を耳にすることがあります。
 申し上げたいのは、「教育委員会活性化の10の心構え」の2番目、3番目、4番目辺りは、これは本文に入れてもいいような事柄ではないかということです。例えば、教育委員にしっかり情報を伝えるのが教育長と事務局の務めであるとか、結論が出ていない場合でも教育委員ときちんと相談をして、風通しのよいように知恵を出し合うような関係にしましょうとか、そうしたことは事例の中だけではなくて本文の中にも入れて、我々自身でもメッセージを出していいんじゃないかというのが私自身思ったところです。ここがやはり問題になることがあるように思いますので。特に「教育委員会活性化の10の心構え」の、繰り返しになりますが、2番目、3番目、4番目辺りを、本文の中にその趣旨を入れ込んでもいいんじゃないかなというふうに思いました。これがまず1点目になります。
 2点目は、これは何ページという特定の箇所を指定するわけではないんですが、いじめ対応、いじめ対策であるとか危機管理対応のときに、全体のニュアンスとして私自身が感じたのは、設置者である自治体自身で解決するというのはもちろん原則なんですけれども、国とかほかの自治体による支援とか、あるいは場合によっては関与という形もあり得ると思うんですけれども、そうした点が弱いというか、言及があってもいいんじゃないかなというふうに思いました。教育委員会で対応できなければ、首長と教育委員会の連携で解決をする、対応するということが書かれていて、設置者である自治体が全てを担うということが原則ではあるとは思うんですけれども、自治体が対応し切れなくなった場合に、国ないし他の自治体、つまり設置者以外の自治体による支援、関与ということもあり得るということが本文中にあっても、またそういうことも重要であるということは、危機管理上の問題として報告書にあってもいいんじゃないかなというふうに思いました。
 より具体的には事後の関与であるとか、あるいは私自身が以前に意見として申し上げたような、国や都道府県に常設の第三者機関を設けるとかいったことがあり得ると思うんですけれども、設置者である自治体で対応し切れなかった場合に、そのサポートをどうするのかということが、いじめ対策とか危機管理対応において書き込んでもいいんじゃないかなと思いました。これが2点目になります。
 以上、2点になります。
【清原座長】  村上委員、ありがとうございます。
 1点目の戸田市の「教育委員会活性化の10の心構え」の中の項目について、できれば本文中にということ、これは十分反映できると考えます。
 2点目のいじめ対応でございます。これについて私も同様の意見を持っておりますので、村上委員に触発されて申し上げますと、例えば26ページのところ、その前の段階から、「教育委員会と首長との効果的な連携の在り方」について書かれていて、特に「いじめ重大事態に係る措置をはじめとする児童生徒の生命云々、それについては、教育委員会と首長が協議・調整することとなっている」ということで法のことが紹介されていますけれども、これは、これまでも例えば藤迫委員がいじめのことで御発言もされましたし、戸ヶ﨑委員が事例をお話ししてくださるときにも、あの訓練のときにもやはり文部科学省の方が同席をしてくださっているということが大変有意義だったというふうに御報告を受け止めました。
 したがって、とりわけいじめ重大事態等に関わる、まさに子供たちの命が関わることについては、御指摘のように首長部局と教育委員会のみならず、例えば都道府県であるとか国であるとかがしっかりと支える体制を持っていくということが重要だろうと思います。
 特に文部科学省は、既にこども家庭庁と、こども家庭庁ができる前から、いじめであるとか不登校については協議を重ねて、どのように連携していったらいいのかということを進めていて、それはいわゆる教育の分野と、それから福祉の分野が密接不可分であって、いわば教育委員会と首長部局の連携に象徴されるように、文部科学省とこども家庭庁、あるいは厚生労働省等が連携していく、あるいは内閣府も加わるかもしれませんけれども、そういう分野だと思いますので、今、村上委員が言われましたような広域自治体や、あるいは国の支援が必要だということが書いてはあるんですが、さらにしっかりと書くことによって、現場がより安心感を持って命に向き合えるのではないかなと感じました。ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。それでは、梶原委員、手が挙がっております。御発言をお願いします。
【梶原委員】  ありがとうございます。本当に立派な報告書で、どこから言っていいのかちょっと分からないような感じでいるんですけれども、私どもの隣町と共同で設置をしている研究協議会を入れていただいて感謝しているんですけれども、この協議会で今、部活動の社会体育とか、もう一つは通知表をなくそうじゃないかということで、隣の首長と会議を開きながら、週に3回も4回も隣町の教育長と話しをしながら、また今週も教科書採択でも話しをするんですけれども、そこでちょっと感じるのは、やっぱり学校は市町村で異なりますと、画一的になかなか新しいものを受け入れる体制ができていないというか、なかなかこれまでの前例を踏襲するというか、それぞれでこうあるべきだとか学校の姿がどうしてもこう、こちらがせっかく働き方改革などで学校に柔軟に、もう少しこうしたらと言うんですけれども、なかなか学校側がそういう文化なんですかね、受け入れることができません。今後、協議会をする中でも、隣の市町村となかなか考え方に少し相違があるものですから、やっぱり子供を中心に置いて、子供の側からといいますか、学者視点で少し全体的に考えなくては、どうしても指導者側の視点、指導主事側の視点で、教える側の視点ばかり論議があって、子供にとってどうかという、子供の選択肢を柔軟にできるようにということをもう少し打ち出すところがあったらなと思います。やっぱり答えは学校現場にありということだと思いますが、実践現場にありということを。だから、教育委員会サイドの理論だけではなくて、もう少し学校サイドということです。
 今日午前中、私どもは教育委員会を開いた中で、この会が始まるぎりぎりまで事務点検・評価の審議をしていました。どうしても事務点検・評価する中で、評価する側の、評価すればいいというんじゃなくて、これがどういうふうに教育効果として評価が有効なものかということをもう一度確認していないと、ただ評価するためだけにエネルギーを使っているだけじゃないかと感じました。この事務点検・評価が今度は町長のほうの総合教育会議にかけるんですけれども、その辺りを十分、首長のほうにも意味といいますか趣旨を分かってもらって、どういうふうにこれを具体的な教育施策として動かしていくかということを伝えないと、はっきり言って評価して終わってしまっているところが今まであったんです。評価すればいい、評価でもう私たちは終わったんだよという、評価することが目的になっているということがございます。
 それで、何が言いたいかというと、やっぱり今からの組織の在り方は、せっかくこういう地方教育行政の手引をいただくなら、これで再度、自治体と我々はどういうふうにこれを具体的な改善を図るかということです。それで原点に返ってしないと改善にならないんじゃないだろうかと思っています。
 そのためにはやっぱり、ここに書かれている中にちょっと出てくるんですけれども、柔軟性、しなやかさといいますか危機への強さとか、やっぱりコロナ以降の回復力とかいう、いわばレジリエンスですね、これが大事かなと思って。これがやっぱり私たち教育行政と連携する、また、自治体間の連携、企業との連携、地域との連携、お互いに相手を認めるとか柔軟さがないとできないんじゃなかろうかと思います。キーはレジリエンスと思っています。そして、組織としてやっていくべきかなと思っています。個別にはなりませんけれども、大きな考え方として。ありがとうございます。
【清原座長】  ありがとうございます。協議会とかあるいは連携とかいったときに、できる限り「こどもまんなか」、児童・生徒を真ん中において考えていくということ、そして、点検・評価に当たっても、それをしたら終わりではなくて、いかに改善に結びつけていくかというような方向で今後の手引なども作成していくということですね。柔軟性、それから危機への対応力、レジリエンスというキーワードもいただきました。ありがとうございます。
 それでは、藤迫委員、そしてその後、吉田委員にお願いします。
【藤迫委員】  それでは、まずはこの報告書の案を作っていただいて、本当にうまくまとめていただいて感謝したいなというふうに思っています。全国の教育委員会の困り事の解決のヒントがここに盛り込まれているような報告書になればいいなというふうに思っています。
 私具体的に3点あるんですけれども、まず14ページの教育委員に関わるところで、これ言葉遊びみたいなことになって細かいことを言って申し訳ないんですが、14ページの丸の2つ目の、教育委員の就任時に、教育委員に求められる役割を確実に説明する必要があるという、この「就任時」という言葉にちょっと引っかかっていまして。といいますのは、私どもはここはすごく丁寧にやっていまして、市長からこういう人を教育委員にしたいんだよと聞いたときには、市長ちょっと待ってくださいと、私が出向いてその人に説明しますということでこういう説明をしているんですよ。だから、タイミングとしては就任時ではなくて、例えば「首長が教育委員を選任するに当たっては、あらかじめこうする」という、その段階で説明するということが必要なのかなと。そうしないとミスマッチになってしまって、こんなつもりではなかったんだけれどもって、こういうことになるんで、ちょっとここ、すいません、言葉遊びみたいな言い方していますけれども、ここはちょっと工夫して、もっと早くに、それを了解の上で教育委員になるという、こういう書き方のほうがいいのじゃないかなというのがまず1点です。
 2点目は、34ページ、35ページぐらいの辺りなんですけれども、教育委員会事務局と関係部局等の連携の促進の中でいろいろ書いていただいていますので、これはこれでいいんですが、ここはちょっとこの会議ではあまり議論されてないんですけれども、ちょっと私が読んでいて引っかかったのは、これから出る報告書であるということ、かつ、文科省に置かれた我々の会議であることからいうと、一方で議論されてきた就学前と小学校とつなぐ架け橋期の話があったんですけれども、その言葉が一つも出てこないというのがちょっと気になっているんで、ここは教育と福祉の連携という観点で一元化したらどうだという方向だけが書かれているんですけれども、今新たに、やっぱり就学前の幼稚園ですとか保育所ですとか認定こども園と小学校をつなぐ、この架け橋期が大事ですよというのを一方で文科省で議論されているんで、何かその架け橋期という言葉が、例えば「架け橋期の重要性に鑑み何とか」というぐらいだけでもいいんですけれども、何かそのフレーズがあったほうがいいような気がしたというのが2点目と。
 3点目は、これ全く感想なんですけれども、42ページ、43ページ辺りの学校事務職員の役割、確かにここに書いてありますように教師の負担軽減とかいろんなことがあるんですけれども、私は常々言っているのは、どうしても教頭という管理職が理想の上司像じゃないという、僕はこの会議でも何回も言っているんですけれども、多分これ、いろんな全国の教育委員会も困っていると思うんです。管理職の成り手がないという。そこで出番が出るのは学校事務職員だと思っているんで、例えば我々の場合は、ここに例で書いてもらっています学校事務センターを整備して学校事務職員の仕事を取って、学校事務職員は教頭が持っている事務的な仕事を取って、教頭は本来の学校運営方針の実現に向けてやるというような切り口が少しあったほうがいいのかな、これはもう感想です。
 勝手なことを言いましたけれども、以上3点です。
【清原座長】  いや、大変具体的な御提案ありがとうございます。確かに教育委員さんにお願いするとき、私もお引受けいただくことを前提ではなくて、どういうお仕事かということを説明することから始めましたので、就任前から、あるいは就任を依頼する段階からとか、丁寧に書くことはできると思います。
 また、34、35ページにつきましては、文部科学省でも架け橋の言葉を使って、架け橋委員会というようなことで検討もして報告書も出ておりますので、その趣旨はとても大事だと思いますので、ぜひそれは補強したいと思います。
 最後のところにつきましては、学校事務職の在り方というのは本当に今後、私たちのこの調査研究協力者会議だけではなくて、学校における働き方改革でも、あるいは教育計画を実施する段階でも重要なことになってくると思いますので、藤迫委員からも御提案いただいたことなども含めて、もう少し幾つかの具体的な在り方を示すことはできると思います。具体的な御提案、ありがとうございます。
 それでは、吉田委員お願いいたします。
【吉田委員】  大変お疲れさまでございます。非常に大部にわたる案を取りまとめられたことに敬意を表したいと思います。
 その上で、全般的なことでまず1点ちょっと気づいたというか感じたことがございます。実は財政面で厳しいとか、あるいは人材がなかなかそろわないとか、もう少し具体的な困っている状況みたいな記述が少ないかなというか、あまり見受けられないかなと。個々の具体例の中ではあるんですけれども。実際のところ、その小規模自治体、実は小規模自治体に限らず、財政的に非常に厳しいというのが今の地方自治体を取り巻く状況でございます。それは、ひいては人材を確保できないということにも実はつながってくるわけなんです。人手不足というのももちろんございますけれども、教員の場合は財政だけではない、実は人が集まってこない、辞めてしまうという状況もあるということは私も重々承知しています。
 実はこの二、三か月ぐらい国に対して非常にお願いしてきたところは、骨太の方針の中にGIGAスクール構想の中のタブレットの更新、これは何としても国としてやっていただきたいということを、これは全国市長会としてもずっと言い続けてまいりました。一定の方向性というんでしょうか、国策として始めていると、やっているんだということで、国が更新しますという言い方はちょっと盛り込まれませんでしたけれども、国策としてこれはやっているということから、更新に当たっては国が責任を持ってやってくれるという意思は示されているのかなと思いますけれども、しかしそこには自治体としては歯がゆさがあるわけでございます。教科書と同じようにこのタブレットを配っていただいたわけでございますので、当然これは国としてやっていただかなければと。そこをもう少し力強く打ち出していただきたかったという思いも実はございます。
 そういうことから感じますと、地方行政の充実に向けて大変すばらしいことが書いてあるんですけれども、もう少しアグレッシブに、やっぱり予算が必要だというような記述は、もう少し入っていてもいいのではないかなというのが首長としての率直な感想はございます。それが1点。書いていないとは言いません。ニュアンスとしてもありますけれども、もう少しやはり財政面で、しっかり国に面倒を見てもらわなきゃしようがないと。面倒というか、国がしっかりやっていこうという意思がもっとなければしようがないなというふうに感じているところでございます。それが1点。
 もう一つは、これは本当に所感でございます。例えば総合教育会議等も、ここにいろいろと提言盛り込まれておりますけれども、実際やっている当事者として感じることは、これはやっぱり、しっかりこれに向き合おうという意思をみんなで確認していかないと、こういう会議というのは、やっぱりほっておくと容易に形骸化するもの、やればいいということになっていってしまう。これは何でもそうだと思うんです。日本人は協議会とか会議が好きなんですよね。それはやっぱり情報共有って、昔から情報共有をして、合議なんて言葉に示されるように、みんなで分かっておいて。みんなで分かっておけば、これは進めてもいいでしょうという合意形成で、それはそれですばらしいプロセスだと私は思うんですけれども、ともすると、この会議というのは、情報は共有するけれども、そこからこれを解決していきましょうみたいな、エネルギーをそこから生み出そうとすると、これは実は非常に労力のかかるものです。ああ、こういう問題があるんだ、そうだな、大変だねで終わってしまうということが往々にしてあると。それではやっぱりいけないんですよね。そこから踏み込んで、じゃあ実際にそういう問題があるんだったらどう解決していくかということに行かなきゃならない。その何というんですか、思いみたいなものというのはもうちょっと書き込んでもいいのではないかなと。
 要するに、ほっとくとこういう会議というのはすぐ形骸化しちゃうんだよ。だからやっぱり我々は不断の努力が必要なんであって、これをこうしたから会議はうまくいきますという問題じゃなくて、会議に臨む我々が常に不断の努力で、問題を我が事として解決しようと努力していかないと会議をした意味はないということを、これ、自分のところの総合教育会議に出ていてつくづく感じるところがあるものですから、ぜひそういう意味では、全国のそういった総合教育会議、現場の場面で物事が形骸化しないようにみんなで努力していきましょうみたいな、そういう文言がもうちょっと、文学的な表現なのかもしれませんけれども、盛り込まれてもいいのではないかなということを感じたところでございます。
 いずれにいたしましても、しっかり細部にわたって、これだけのことをまとめるというのは大変なことでございます。それ自体は大変心から敬意を表する次第でございます。
 私からは以上です。
【清原座長】  吉田委員、ありがとうございます。私も市長経験者として同感でございまして、やはりいろいろな政策を進めていくには、人材と財源というのは全く密接不可分でございます。もちろんお金をかければいいものができるわけでもないし、お金がなくたってやるべきことはやらなきゃいけないんですが、しかし、公教育をしっかりと保障していく上で、その財政については、引き続き地方教育行政については基本中の基本の課題であるということを、より一層、読んでいる方が分かって共感できるように記述をしたいというふうに私も思いました。
 それから、総合教育会議でございますが、おっしゃるとおりで、どの会議であれ、ほっておけば形骸化する。26ページに、首長との連携等含めて会議のことについてもこのような、例えばいじめ重大事態だけじゃなくて防災対策とか学校安全だとか、そういうことを平時から話していくことが緊急時に役立つというふうに書いてありますし、私たちは常に、首長であれ教育長であれ、市民の命を、あるいは県民の命を預かっている立場としては、総合教育会議を通じて、どんなテーマであっても必ず解決の方向性を具体的に生み出していきましょうということを、繰り返し繰り返し確認し合っていくということだろうと思います。
 それともう一つ、吉田市長のご発言から、やっぱり首長と教育長の関係というのも極めて重要だなと改めて思いまして、総合教育会議はそういう意味で、法律に基づいてしっかりと市長と教育長、知事と教育長が出会って、町村長ももちろんですが、審議していく仕組みですから、その関係も、いい緊張感と、いい権威の持ち合いの中で成り立つと思うんです。何か機微にわたることで、なかなかそれは、それこそ吉田市長がいつもおっしゃる文学的表現になってしまうかもしれませんけれども、何か「はじめに」か「おわりに」か、そういうところに私たち調査研究協力者会議のメンバーの思いというんでしょうか、要するに形骸化しないで少しでも中身を、もう魂を入れていきたいんだということをメッセージとして出すようにしていきましょう。改めてそういう思いを喚起していただきありがとうございます。
 それでは、岩本委員、続いて青木委員でお願いします。
 岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  岩本です。この報告書の取りまとめに関しては、本当にすばらしくまとめていただきまして、本当にありがとうございます。
 私からは3点、全体に関してあります。
 1点目が、ちょっとなかなか入っていなかったんじゃないかなと思うのが、教育委員会、特に事務局におけるウェルビーイングの向上という、ウェルビーイングという視点です。今、教育振興基本計画でもウェルビーイングが大きな柱になってきています。学校現場で当然重要な概念だと思いますし、それは、ひいてはそれを支える教育委員会においても、こういった教育委員会にいる人間のウェルビーイング、また、そのやりがい、意欲、ここら辺をしっかりと向上を図っていくという方向性はやっぱり重要ではないかなと思います。
 そのときに、前に一度申し上げましたけれども、例えば教員においては、優秀教職員表彰とか表彰なんかがありますけれども、教育委員会の中にいる人間というのは、なかなか光が当たらないというところで、こういったところの、場合によっては表彰みたいな話なんかもあるかと思いますし、また、教育委員会で働く魅力をしっかりと発信をしていく、そういうツールというか媒体というのか、何か広報というか、やっぱり教育委員会ってどうしても悪いイメージが世の中的にはついている部分があるかと思いますし、教員にしろ行政の職員にしろ、教育委員会への異動となると、ちょっと意欲が落ちてしまうというか、はあみたいなところになりやすい傾向が一般的にあるのかなと思うんですけれども、これだけやりがいがあるんだという、そういう場所なんだということを、やっぱりもっとこう、発信を自らしていけるために、全国ですばらしい取組が今回いろいろありましたし、そういった教育委員会で働くということの魅力をもっと発信していく必要性だとか、国なんかでもそういったところをやっていけるといいのではないかというのが1点目です。
 2点目は、先ほど吉田市長が言われたところに非常に私も共感するところがありまして、大きな課題はやっぱり予算が取れないということで、やっぱり国だとかがやるべきところってあると思いますし、それに加えて、教育委員会事務局側が予算の確保に向けた積極的な意欲と能力を持っていかないといけないというところで、そこはやっぱり教育委員会事務局はもっとアグレッシブになっていく必要があると思いますし、その予算確保に向けて必要な能力を身につけて、勝負していくだけのところをやっていかないと、いいことを言っているからといったって予算がつかない、現実的にはそういう世界ですから、そこのための施策というか、そういう予算とか財政的な確保に向けた、やっぱりその力をしっかりとつけていく職員に、そういうことも国も含めてやっていかないといけないのではないかという、この視点はもっとはっきりと打ち出して、日本全体でこの教育予算をしっかり確保できる、そのための意欲・能力を市町村、都道府県含めて上げていくということを、課題提起とともに解決の方向性で示すということが必要ではないかというのが2点目です。
 最後、3点目に関しては、外部人材の活用、外部機関との連携のところに関してです。ここにおいては、情報とか事例の収集をしていこうというようなことは書かれているんですけれども、事例収集に加えて、こういう地方教育行政に関して支援する専門人材のプールというか、専門人材とか専門機関がどういう人たちがいるのか、どんな団体がそこに関してのプロフェッショナリティーが非常に高く知見を持っているのかとか、そういうことを可視化というか見える化していく。教育委員会も頼みやすくなっているみたいなことも検討していくべきではないかと。
 以前も一度申し上げましたけれども、総務省は地域人材ネットというところで登録していて、それに関する、地域に関わる様々な専門人材がキーワードで検索できるようになっていて、そこに登録されている人材を招致する場合には、特別交付税で560万までつくみたいなやつだって持っていますし、それの地方教育行政版だとか、場合によっては、少なくとも今回、こういったところをやっていこうというテーマを幾つか出していますけれども、このテーマに関する専門人材だとか専門機関みたいな知見を有しているようなところは、事例とともに、本当にこれをやりたいと思ったら、こういう専門人材とか団体があるとかということをちゃんと見えるようにしていく、もしくは、プラスそういった専門人材を呼ぶときの支援みたいな、財政的な支援も含めて検討していくというようなところが必要ではないかというのが3点目です。
 すいません、以上です。
【清原座長】  岩本委員、ありがとうございます。
 1点目の教育委員会事務局をはじめ、ウェルビーイングについては、4ページのところに、私、提案して丸の2つ目ですけれども、教育振興基本計画は閣議決定されたタイミングでしたので入れていただいたんですが、その基本的な理念に、まさに社会の創り手をつくるということと、日本型ウェルビーイングの発信というのがあるということをさらに補強して、一貫性を持っていくということが必要なのかなと気づかせていただきました。確かに、「令和の日本型学校教育」をまさに推進していく「教育振興基本計画」の理念について、私たちもしっかりとそれを反映した取りまとめをしなければいけませんので、キーワードは反映すべきだと思いました。
 予算についてと外部人材、外部機関との連携についてですが、これはちょっと事務局に御相談なんですが、今年度、地方教育行政を充実するために、首長部局と教育委員会の連携でありますとか、あるいは広域連携の取組について支援する補助金の制度を運用していますよね。しかも、例えばコミュニティースクールであったら、全国にそのコミュニティースクールを推進するマイスター制度というのも設けて派遣して、この件の、例えばコミュニティースクールを活性化したいと思ったら、そのマイスターを派遣しているというようなこともありますから、この事柄について、金額は総務省ほどではないにしても、しっかりと文部科学省でも具体的な支援の取組を始めているので、そのことを紹介しながら拡充の必要性というんでしょうか、それを記述するというのはどうでしょうか、できますかね。どうでしょう。課長、御相談なんですけれども。要するに、文部科学省でも地域の教育委員会が活性化するための支援であるとか、学校教育が充実するための支援の様々な取組がありますけれども、気がついたら、あまりそれは具体的にここでは触れていなかったんですけれども。
 では、栗山さん、よろしくお願いします。
【栗山地方教育行政専門官】  現在ある事業でございますけれども、なかなか概算要求そのものについては、今後、事務的な調整がございますので、なかなか直ちに拡充とかといったことを直接書くのは、事務的にこのタイミングではと思いつつ、事業の必要性について、現在、既に記載がある状況ではございますけれども、また今日の議論も踏まえて、その必要性が少しでも分かりやすくなるように精査したいと思います。
 ありがとうございます。
【清原座長】  ありがとうございます。私もこのタイミングでこの取りまとめをまとめるについては、少しでも私たちが検討してきたことが具体的な文部科学省の施策、事業に結びついていただきたいなという思いで皆様と一緒にまとめてきたわけで、そのタイミングからいったら、恐らく7月、8月にこの内容が公表されるというのは、本当に全国の皆様の御理解をいただくだけではなくて、来年度の予算に向けても、少し具体的な活動を文部科学省の方にしていただけるタイミングなのかなとも思うんです。
 吉田委員からも岩本委員からも、ぜひ財政的、人的な支援を今まで以上に文部科学省にも拡充してほしいし、都道府県にも拡充してほしいし、市区町村は自ら重視して予算確保をしていきたいというような思いがあるようですが、それがニュアンスとしてより分かりやすくなるように文章を磨き上げていきたいと思います。
 なお、戸ヶ﨑委員も冒頭におっしゃいましたように、教育委員会事務局の職員にもっともっと誇りを持っていただくということが大事です。実際、私、三鷹市長在任中、教育委員会にはエースを送り出していたタイプなので、ぜひそんな機運が全国的にもさらに沸き上がっていくとありがたいなと思います。
 それでは、ごめんなさい、お待たせしました。どうぞ、堀野課長。
【堀野初等中等教育企画課長】  今のことに関連して、人材バンクとかそういう話でいきますと、恐らく総務省のほうも、ある特定の政策があって、その政策を支える人材として登録をするということで、今我々がやっている議論というのは、いわゆる地方の教育行政の中の教育部局がしっかり機能していくためにどうするかと。それは市町村長のほうでいえば、市町村長の部下の行政が充実するために人材バンクをつくるお金をつけるとか、そういうのとは多分違うと思うんですね。もっと違うそれぞれの政策の目的があって、それにのっとったバンクというのが多分それぞれにつくられることが望ましくて、教育委員会関係者としては、それが一覧的に、この政策だったらこっちに行けば見えるよ、この政策だったらこっちに行けば見えるよという形をつくっていきましょうという話だったら、そうかなという感じがするんですけれども。
 そういう意味で、予算の話も多分、教育委員会部局の予算そのものを増やすという、行政体制の予算を増やすというよりは、それぞれ個別施策の予算を増やしていくということにどう尽力していくかという話だと思いますので、総論としてしっかり予算獲得の気合を入れて取り組んでいきましょうという感じで触れていくというのはあると思うんですけれども。
【清原座長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりです。例えば私たちはかなり指導主事の重要性についても記述をしています。そういう意味では、教育委員会事務職職員の資質の向上とともに、指導主事についても触れているというふうに、人材についても一定程度触れていますけれども、外部人材がより一層、地方教育行政の中で活躍していただけるための、活躍しやすい制度という趣旨で岩本委員は問題提起をしてくださったと思いますので、そのような制度は、必ずしも人件費を必要としないボランティアによるものもあるでしょうし、少しでも意識のある方が子供たちのために、あるいは地方教育行政の充実のために連携したり活躍していただけるような基盤というんでしょうか、そういうのを提案していければなというふうに改めて思いました。ありがとうございます。
 それでは、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  青木です。ありがとうございます。
 まず、資料3の12ページですけれども、上から3つ目の教育長に関する記述について申し上げます。これは16ページからの教育委員会事務局の在り方とも関わりますが、12ページの記述だけを見ますと、行政職か教員籍出身者かという二者択一のニュアンスがちょっと強く受け止められかねないと思いますので、大事なのは、組織として行政職と民間出身者、あるいは教員籍出身者のバランスということだと思います。
 具体的に言いますと教育次長には教員籍が行った場合に、教育長には行政職の人がいるとか、そういう組合せでうまくバランスを取っている自治体が多いと思います。そういうようなことを教育長と教育委員会事務局の在り方、どちらに書くかは別として、少し御配慮いただければなと思いました。
 それから、18ページの2つ目の丸ですけれども、ここだけを見ますと、教員がこういった大学や教職大学院での学び直しというものの名宛人になっていないように受け止められてしまいますので、教員も含めた書きぶりにしていただければと思うということと、学び直しという言葉も確かに大事なんですけれども、高度専門職業人ですとか、一般の修士課程でも、今はアカデミックキャリアだけではなくて高度な能力を持つ職業人という育成目的が書かれていますので、そういう言葉を入れていただければなと思いました。
 続きまして、25ページです。25ページは、確かに両者の連携、教育委員会と首長との連携について書かれていて、それは非常にいいことなんですが、先ほど御紹介いただいた資料2-2の課長名の通知の(1)のアを見ると、やはり首長も特定の事柄については権限を持っているということですので、ここをもう少し踏み込んで書けることはないかなと考えました。25ページの3つ目の丸ですけれども、ここでは首長や関係部局と連携してと書いてあるんですが、緊急時にはやはり教育委員会からすれば、きちんと報告を一刻も早く首長にするということが求められるわけなので、そういったようなことはもっと具体的に書いてもいいかなと思いますし、一般論としても、教育委員会が主体的に先んじて首長に対して働きかける。やはり情報の非対称性というのが首長と教育委員会の間にあると思いますので、とにかく教育委員会から、何かあったら、あるいは日常的に首長に情報提供なり働きかけをするということを書いていただければなと思いました。
 すなわち、連携という言葉がどうしてもマジックワードになりがちですので、少しブレークダウンして、連携とは何ぞやというのが書けるところは書いたほうがいいかなと思いました。
 それから、36ページですけれども、36ページについては、これは先ほど岩本委員がおっしゃったように、ウェルビーイングと似ている表現で、指導主事の働き方改革という言葉で表現できるのであれば表現していただきたいなということと、ここから先、報告書に盛り込んでいただくというよりは議事録に入れていただく目的でしゃべりますけれども、やはり教育委員会が本庁に指導主事をたくさん抱えて、学校が大変なときにあまり労力を提供しないというのは私、管理部門としてはもったいないなと思いますので、忙しいときなどは労力の提供も今後はあっていいなと思うんですが、今、指導主事がお忙しいのはよく分かりますので、議事録に残ればいいなぐらいのニュアンスで発言しました。
 それからあと、資料2-1なんですけれども、これだけ1点コメントさせてください。4ページに教育委員会会議の議事録の作成・公表があって、15ページに総合教育会議の議事録の作成・公表があって、やはり総合教育会議のほうが議事録の公表の値が高いんです。今後やはり、こういう総合教育会議での体験を通じて教育委員会会議の議事録も公表されていくようになればいいなと思いますし、総合教育会議というのはやはりそういう意味で、教育行政の関係者にも気づきを与えるようなきっかけになっている制度ではないかなと思いました。こういうようなことが分かる「教育委員会の現状に関する調査」というのは非常にいい調査だなと思いますので、今後も続けていただきたいなと思います。
 以上です。
【清原座長】  青木委員、ありがとうございます。
 12ページについては、バランスについて配慮をするということ、そして、18ページについては、いわゆる専門職でしたっけ。
【青木委員】  高度職業専門人。
【清原座長】  高度職業専門人、そういうキーワードを反映するということと、25ページについては、首長の権限についても連携という言葉で象徴的に済まさないで、具体的に書けるところはもう少し具体的にということなどでした。そして、調査について実態がよく分かるので、こうしたことが改善に向けてつながっていけばという示唆もいただきました。ありがとうございます。
 以上、予定の時刻になりましたが、皆様の御意見に触発されて、ぜひという方いらっしゃいますか。大丈夫ですか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、伊藤さんから何かありますか、今までの御意見について一言、もしあれば。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  御意見いただきましてありがとうございました。本日いただいた意見につきまして、また事務局のほうで検討いたしまして、次回の会議の中でお示しをしたいというふうに考えております。
 ありがとうございます。
【清原座長】  それでは、限られた時間でございます。また皆様、ひょっとしたらこの後、お気づきのことがあるかもしれません。そのときには伊藤補佐までメールでいただければありがたいと思います。どうぞ、この先1週間ぐらいを目安に、もし気づきがありましたらメールで御意見をお寄せいただければと思います。
 本日も本当に活発な御議論いただきありがとうございました。原案について、さらに詳細な点においても、あるいは基本的な点においても皆様の御意見で補強されたというふうに思います。
 ただいま伊藤補佐から発言もありましたように、本日いただきました皆様の御意見を可能な限り反映して、次回の会議で再度、報告書の案をお諮りしたいと思います。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  次回の本検討会につきましては、7月18日火曜日13時半からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
【清原座長】  それでは、以上をもちまして「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議、第14回を終了とさせていただきます。皆様、積極的な御参加、どうもありがとうございました。どうぞ、お体を大切にお過ごしください。ありがとうございます。
 
―― 了 ――

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     初等中等教育局初等中等教育企画課地方教育行政係