「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議(第13回)議事録

1.日時

令和5年5月15日(月曜日)13時00分から15時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 学校運営の支援のために果たすべき役割について
  2. とりまとめ骨子(素案)について
  3. その他

4.議事録

【清原座長】  皆様、こんにちは。本日は、大変御多用の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 ただいまから、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議(第13回)を開催いたします。
 本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をオンラインにて配信しておりますので、御承知おきください。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず事務局より、本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  お手元の議事次第を御確認いただければと思いますが、会議資料として、資料1から資料3まで、また、参考資料を1から7まで御用意しております。よろしくお願いいたします。
【清原座長】  御確認いただけましたでしょうか。
 さて、令和5年、2023年度も1か月余り過ぎまして、新年度も少しずつ落ち着いてきた頃だと思いますけれども、皆様と御一緒に、本日これから議事に入ります。
 本日の議事は、1、学校運営の支援のために果たすべき役割について、2として、とりまとめ骨子(素案)について、3、その他の3点となります。
 それでは早速、議事の1、学校運営の支援のために果たすべき役割についてに移りたいと思います。
 本日は、これまで御指摘をいただいておりました危機管理対応について、学校への支援の観点もあることから、戸ヶ﨑委員より、戸田市教育委員会の事例について御発表いただきます。その後、皆様と質疑、そして意見交換をしたいと思います。
 それでは、戸ヶ﨑委員、御発表をお願いいたします。
【戸ヶ﨑座長代理】   まず、委員の皆様方には、いつも御指導ありがとうございます。本会議で2度目となりますが、大変僣越ながら、教育委員会と首長部局との有機的な連携、特にいじめ重大事態等の緊急時の対応について、かつて本市で実施したいじめ重大事態の訓練の様子を中心にお話を申し上げていきたいと思います。急ごしらえの資料のため、内容があまり濃くないことをあらかじめ御了承いただけたらと思います。早速、それでは始めさせていただきます。
 まず1つ目。こちらは私自身、着任より8年間貫いてきた戸田市の教育改革のコンセプトであります。AIでは代替できない能力や、それを活用できる能力の育成ということで、最近はチャットGPTなど、生成AIも教育委員会では日常使いしています。2つ目は、広く産官学と連携した知のリソースを活用する、それもファーストペンギンを目指していくことです。3つ目は、経験、勘、気合の3Kから脱し、エビデンスを重視した教育に転換することです。最後4つ目ですが、教育は黒魔術ではなく、科学的であるべきで、データの利活用を積極的に進めるなどして教育を科学することであります。
 その科学する対象として今考えているのは、授業、生徒指導、学級・学校経営、この3つがございます。特に現在は生徒指導を科学することに力を入れています。
 こちらは、戸田市のいじめ根絶の「ピースプロジェクト」になります。本日はその中でも特徴的な取組の一つである教育委員会ロイヤー研修会、それを簡単に御紹介申し上げたいと思います。
 まず、教職員の生徒指導対応力向上や、リーガルマインドの涵養が必要と考えました。画面の左上の写真は、教育委員会ロイヤー研修会で、左下の写真は、子供たちや保護者向けに、弁護士の方による動画を作成していただいて、特別授業を実施したものであります。この動画は、これまでのいじめ事案の訴訟に携わった中で作成していただいたものとなります。本日は時間の関係上、左上の教育委員会ロイヤー研修の様子をお伝え申し上げたいと思います。
 本市では、弁護士の方を教育委員会ロイヤーとして委嘱し、教育委員会の相談だけではなく、学校現場への研修も行っていただいています。この3年間で市内全小中学校の全ての教員が研修を受講いたしました。特に教育的思考と法的思考について御指導をいただいているところであります。法的な思考を取り入れることで、学校、教師、子供たちを守ることができて、学校の適切な判断の背中を押すことができるというふうに考えているところであります。直面する様々な課題、問題に対して、教育的思考に加えて法的思考を併せ持ちながら、迅速、的確かつ組織的に対応していくことが何より重要だと考えております。
 こちらは昨日、私のフェイスブックにも上げましたが、学校管理職によく話をしている内容は、「法規を学ぶことは、優秀な管理職である十分条件ではないけれども、必要条件ではあるということ。」、また「法規を振りかざすと学校は動かない。しかし法規を知らないと、それ以上に動かないということ。」、また「日本も間違いなく訴訟社会の傾向が一層強くなっていき、学校村、教育村であっては、教育的思考、誤った配慮――ここではいじめ問題で、特に安易な仲直りということをキーワードにしていますが、安易な仲直り等で物事が進行していくというのは非常に危険であり、今後はリーガルマインドとコンプライアンスが、いじめ問題はもちろんのこと、危機管理の要諦としてますます重要となってくるのではないかということ。」です。
 こちらは、いじめの撲滅強調月間を設定していますが、市長に加えて教育委員、議員などにも御協力をいただき、市内にある3つの駅の駅頭でティッシュ配布を行って、いじめの撲滅等を訴えてきました。各中学校の生徒会の役員や教師、PTAも一緒に参加していただきました。また、いじめの早期発見や児童生徒の実態の把握のために、市内の全ての中学生を対象にして、年に2回、5月と11月に学校生活アンケート、また、市内の全小学生を対象にして、やはり年2回の心のアンケート、そして保護者面談時には、いじめに関する聞き取り等も行っています。
 学校生活アンケートでは、今まで紙ベースで行って、複数の市の臨床心理士がその紙を見て、結果を学校に渡すという形式でしたが、令和4年度からはこれらを全てデジタル化したことで、アンケート終了から数日で、緊急性の高い子供の結果を学校に返却できるようになりました。また、デジタル庁、今はこども家庭庁ですが、それの実証事業を受けて、教育委員会及び市長部局に散在している子供に関わるデータについて、教育分野を軸にした教育総合データベースを整備、分析をしているところです。それにより、いじめを含めて、小さな変化、いわゆるサインをデータにより早期発見することで、経験、勘だけではない、プッシュ型の支援を行う先手の対応に転じることを目指しています。これによって、教師や保護者の気づきを少しでもサポートできるものと考えています。
 それらの分析のために、専門家から成る教育政策シンクタンクを令和元年6月に、教育委員会内に立ち上げました。アドバイザリーボードも設置して、画面にあるような様々な分野の日本を代表する方々から随時、指導、助言をいただいています。ここでは教育学に造詣の深い弁護士の方や、また個人情報保護が御専門の弁護士の方にも御助言をいただいています。
 ここからは、平成27年のちょうど私が着任したときに、いじめ重大事態対応訓練の説明となります。その具体的な内容ですが、まずは平成25年にいじめ防止対策推進法が施行されて、いじめ重大事態の定義がなされました。当時は、正直申し上げますと、教育委員会はもちろん、市長部局でも、いじめ重大事態への対応の仕方の理解が不十分な状況でありました。そこで、教育委員会を超えて、学校、市役所が自分事として理解、確認をしようとなりました。目的については、こちらに記載されているとおりです。
 こちらは訓練の会場図ですが、市役所の大会議室において、机をそれぞれの関係部署に分けて訓練をいたしました。こちらは市議会議員席で、実際には市議会議員の約半分に当たる13名の議員の方々にも御参加をいただきました。また、指導者として、当時の文部科学省の地方教育行政専門官や児童生徒課の生徒指導室長にもお越しいただいて、御指導を仰ぎました。
 この訓練で使用した仮想事例ですが、学校で嫌がらせを受けているという訴えがあった中1の男子生徒が、その後学校を休みがちになって、7月3日に自宅マンションから転落して重傷を負ったと、こういう仮想事例を扱いました。また、その事案の背景についても詳細に記して、訓練を開始いたしました。
 まず事件発生の第一報を指導課長から教育長や教育部長が受ける、そして教育長から市長へ第一報を報告するという流れになります。そして、市長から市議会へ報告をいたします。ここからはあくまでも翌日になるという想定ですが、臨時の教育委員会と総合教育会議の開催へとつなげていきます。それに並行して、戸田市いじめ問題調査委員会、いわゆる第三者委員会を招集して、当該生徒の保護者へ連絡をして、調査への御協力のお願いと御意向を伺うという想定にしました。その後、委員会で協議の上、必要な生徒への質問紙調査を実施して、併せて調査委員会による教職員への聞き取りを行い、質問紙調査の集計結果に基づいて、関係生徒への聞き取りも実施していきます。
 実際には、ここはケース・バイ・ケースになりますが、記者会見や臨時保護者会を開いて、現段階の情報を適切に伝えることになるかと思います。この訓練では、学校や教育委員会への取材依頼が複数あったために、翌日になってから戸田市役所で教育委員会事務局が記者会見を行ったという想定をしています。また調査が進んで、ある程度調査結果がまとまった1か月後に、学校長が立会いの下で教育委員会事務局が記者会見を開くという設定で行いました。ここには実際の報道関係の方々、たしか6名ぐらい参加していただいたと思いますが、事案に関する質問が交わされました。本物の記者の方ですので、かなりリアリティーのある質問がされて、本番さながらの厳しい意見で返答に窮する場面もあり、大変緊張感に満ちていました。市内の全ての管理職もこの場には参加しておりました。
 記者会見から約3か月経過して、事件からは4か月が経過している想定をしています。調査委員会の調査報告書がまとまって、教育委員会への報告を受け、教育長は市長へ報告することになります。総合教育会議で、市長の意見を基に再調査委員会が招集されると、再調査委員会の所管である、本市ではこども青少年部ですが、そこの部長へ連絡をして11月20日に再調査委員会を招集するという流れになりました。日付が、ちょっと時間がたって2月になって、事件から、想定では7か月後になりますが、市長は再調査の結果報告を受けて、自身が会長であるいじめ問題対策連絡協議会を招集して、委員に報告をする想定になります。そして、最後に市長から市議会への報告ということで、結果の報告と再発防止策の提言があり、いじめ重大事態訓練そのものは終了になりました。
 その際、最後に当時の文部科学省の生徒指導室長さんから講評が全部で8つありました。その中では主なものとして、調査委員会の介入するタイミングを整理しておく必要があるだろうということ、教育委員会と学校の役割を明確にしておく必要があるだろうということ、または、いじめ重大事態の第2号事案の場合のいじめ調査委員会の立ち位置、また警察との連携などの御示唆をいただきました。
 訓練を行うことによって、画面のような成果と課題が見えてきました。訓練の狙いの中に、まず流れを知って、危機管理意識を共有することがありましたので、先ほどの訓練は平成27年の1度だけ実施しています。これだけの多くの人が一堂に会することの難しさもありますが、当時からメンバーも大分変わってきているということもありますので、今後改めてこのことも実施していかなくてはと考えているところであります。現在は、多くの関係者が出席して年2回実施しているいじめ問題対策連絡協議会、この中の内容を、これだけ画面にあるようなメンバーが集まっていますので、この充実を図っているところです。
 ここからは、この3月1日に、実際に市内の中学校で発生した不審者侵入による教員切りつけ事件の発生時に、行政と教育委員会が協働的に総合教育会議を開催していることについて、簡単にお話をさせていただきます。
 今年の3月と4月に、学校安全を議題とした総合教育会議を開催いたしました。構成員は御覧のとおりであります。
 こちらは今年の3月20日の総合教育会議になります。資料及び議事録は、画面のURLに書いてあるとおりであります。今日時点で全て公開してあります。
 関係課から学校の安全対策について様々な提案があった後に、教育委員から多くの意見が市長に寄せられました。いじめ問題だけではなく、教育委員会、教育委員の方々が直接市長に意見をしたり協議したりできる場があることは大変貴重であって、緊急時は特にそういうことが大切なのだと実感しています。
 3月の具体的な内容ですが、資料1は、事件発生からこれまでに対応した主な取組になります。資料2は様々な対応を時系列でまとめたものであります。上の資料は、事件翌日に市のホームページに掲載した記者発表の資料になります。下の資料は、同じく翌日に各小中学校へ教育長から通知、指示した内容になります。
 上の資料は、さらにその翌日の3日に続報として、市のホームページに掲載した記者発表資料です。下の資料は、3月3日に開催された戸田市議会の定例会で、本事件について市長が発言した内容になります。
 こちらは3月6日に行われた校長会議で、私のほうから市内の各小中学校へ指示した内容になります。この場では大きく3つの依頼をしました。1つ目は、授業時の門扉や昇降口が閉じていることの確認、2つ目は、校舎に出入りする人の確認、3つ目は各学校で作成されている危機管理マニュアルに基づいた対応の確認です。そして、マニュアルを作って終わりにするのではなくて、マニュアルを形骸化させないためにも、全教職員を見直しに関わらせながら毎年更新させていくということ、また、1人の教職員に頼る対応ではなくて、いかに組織的に児童生徒や教職員を守る対策を考えていくかが重要であるということを伝えました。
 ここからは私の「いのちメッセージ」という、保護者にもその内容と教育委員会の対応についてお伝えしたところであります。
 こちらは、校長会から出された不審者対応に係る緊急要望についての文書です。
 左側は、困ったり悩んだりしたときに相談する電話やメール、SNSの連絡先、また、右側は学校の安全対策についての方向性についてです。
 現在、4月の総合教育会議でも報告を行って、早速6月の補正予算でもさらなる安全対策を実施する予定となっています。会議の席上では、教育委員の皆さんから多くの意見が寄せられました。そのときの資料及び議事録については全文、こちらも公開しておりますので、記載されているURLから御覧いただければと思います。
 また、総合教育会議の場において、私から大きく3つのことを申し上げました。1つは、今年の4月1日に、こども家庭庁の設置と同時に、こども基本法も施行されることもあって、どの自治体でも首長部局と教育委員会の切れ目のない連携体制の構築や、関係機関も含めた有機的な持続も不可欠になっているということ。2つ目は、ハード面では閉じる方向に強化しつつ、ソフト面、つまり教育活動では開くほうにどんどん力を入れなくてはならないということ。3つ目は、マニュアルというものは、ある意味、基礎基本を言語化したものであって、大切なのは、やはり臨機応変の応用力であり、マニュアルどおりに動くのではなく、マニュアルを知って動けるようになるということ。4つ目は、再発防止策、必要ではあるものの、やはり戸田市だけでそれをやるのは限界があり、文科省や国、防犯や安全対策の専門家の方々に何らかの検証をしていただきたいと思っているということをお伝え申し上げました。
 3月20日に続いて、4月20日に開催した総合教育会議の様子であります。こちらにおいても各課のたくさんの資料を基に、教育委員の皆さんから多くの意見が寄せられました。そのときの資料、また議事録については、3月同様、全文公開しておりますので、こちらもURLから見ていただけるとありがたいです。
 少々口早に申し上げましたが、説明は以上になります。総合教育会議の内容なども含めて、私個人のフェイスブックでも戸田市の取組中心に、1日も休まず発信を続けております。noteも開設しておりますので、ぜひ御覧いただいて、御指導いただけますと幸いでございます。
 以上で説明を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
【清原座長】  戸ヶ﨑委員、どうもありがとうございます。私たちは、学校運営とその支援のために果たすべき教育委員会、そして首長部局の役割について検討する中で、具体的ないじめ重大事態対応訓練を実施されていらっしゃる戸田市の取組について御報告をお願いしたところです。多くの皆様から、平常時はもちろんのこと、危機管理の場面における学校運営の支援というのは極めて重要であるし、そのためにも教育委員会と首長部局の連携が適切に行われなければいけない、そのような問題意識が私たちの中で顕在化してまいりましたので、本日御報告いただきました事例というのは、まさに具体的に私たちにそのことを示していただいているように思います。
 それでは、今の戸ヶ﨑委員の御報告に対して御質問、御意見いただきたいと思うんですが、実は本日、文部科学省の会議室では、委員としては、これまでは私1人しかおりませんでしたが、本日はお隣に大分県玖珠町の梶原教育長に来ていただいておりまして、今日は大変今まで以上に心強く思うのですが、梶原委員はじめ、オンラインで強力に結ばれている私たちですから、これから質疑応答、意見交換に入らせていただきたいと思います。どなたからでも、挙手ボタンを押していただいて、ミュートを外して御発言いただきたいんですが。
 それでは、藤迫委員、村上委員の順で、まずはお願いします。
【藤迫委員】  戸ヶ﨑委員、どうもありがとうございました。一番衝撃だったのは、重大事態訓練というのが、規模的にもですし、議会も巻き込んで、実際に報道関係者も参加してというくらいなので、非常に衝撃的でした。今回のテーマの学校運営について支援するという観点でいうと、やはりいじめの問題って大きな割合を占めていると思うんですね。いじめというのは大きくなればなるほど、もう学校ではどうしようもないような状態になりますので、教育委員会としても非常に注意しているんですけども、我々も今苦慮していますのは、後で質問したかったんですけども、まず我が市の状態で言いますと、年間1桁の後半ぐらいの重大事態が発生しています。8件、9件、大体平均して発生しています。
 それで、これまでには、いわゆる第三者の調査委員会をしたのが1件あります。もうこれ終了しています。それから、今2件、重大事態の第三者調査委員会を進めているんですけれども、なかなか進まないという案件が2件。もう1件は市長に対しての再調査、市長が再調査するかどうかということの検討に入っている案件ということで、今現在進行形で3件持っているんですけども、我々の問題意識は何かというと、重大事態の第三者調査委員会、お金の話をして申し訳ないんですけども、1回解決するのに約1,000万円ぐらいかかっているんですね。このお金の問題が1つあるのと、今2件あるんだけど、なぜ進んでないかというと、先方が代理人を立ててくれないんです。代理人を立ててくれないので話がなかなか前へ進まない、第三者調査を我々もすると、ここまで腹くくっているんですけども、そこに行くまでに話が、またそこは当事者同士でやるわけですから、こじれるということで、代理人を立てるという仕組みづくりができないのかというのが2点目の悩み。
 3点目は、職能団体に委員として出してほしいということを依頼するんですけども、かなりの確率で断られる。内容を言うと、お断りしますということで、こちらの委員も構成できない。だから何か人を送ってもらえるような仕組みがないかなというようなところで悩んでいるという、我々の悩みをまず御紹介させていただきまして、戸田市さんのほうで実際に重大事態というのは、大体ここ数年で何件ぐらいあったのか、もしくはないのか。それから、実際に第三者調査委員会を立ち上げてやった事例はあるのかというのをちょっと参考に、その2点お伺いしたいと思います。
【清原座長】  ありがとうございます。藤迫委員から具体的な、今直面されている事例を御紹介いただいた上で、戸田市さんの重大事態に関する件数など、具体的なデータについての御質問です。よろしくお願いします。
【戸ヶ﨑座長代理】  重大事態については、重大事態として認識したのは昨年度1件だけですが、第三者までは立ち上げておりません。様々な事案はありますが、今のところはそこに至るまでに解決されています。
 それから、藤迫委員から発言のあったお金の件については、例えば重大事態になり委員さんを招集するときは、報酬として数万円かかっているぐらいであります。それから代理人は、立てたことはありません。また、職能団体については、本市の場合には弁護士、大学教授、福祉関係など様々ありますが、それぞれ推薦していただいて、応諾していただいております。
【藤迫委員】  ありがとうございました。
【清原座長】  ありがとうございます。藤迫委員はよろしいですね、今のお答えで。
 ありがとうございます。
 それでは、村上委員、続いて梶原委員でお願いします。
【村上委員】  どうもありがとうございました。以前も申し上げたんですが、やはり今日扱うようなテーマだけで1つの会議体を立ち上げてもいいぐらいの重要なテーマだと思います。今日戸田市さんの取組を聞かせていただいて、非常にいろいろ示唆するところが大きいというふうに思いました。
 質問は簡単に、2つあるんですけれども、1つは、私は実務家ではないので、ちょっとよく分からない面があるので、もしかしたら教育長の方々からすると当然のことなのかもしれませんけども、こういった大きな事態にならないためには何が結局肝になるのかということを、これはエビデンスがなくても、経験と勘でも構いませんので、戸ヶ﨑委員のお考えをお聞かせいただきたいです。先般京都市の事例で聞いたのは、総務課にとにかく全ての情報が集まってくるので、そこで行政職も含めて関わることができるのかなというふうに思ったんですけれども、結局、いじめの重大事態において事を大きくしないためのポイントはどこにあるのかなというのをお伺いしたいのが1点目です。
 それから2点目が、国に検証をしていただきたいというのが39番のスライドで出てきたんですけれども、この会議でよく出てくるのは、国や県が何ができるのかというところがあると思いますので、基礎自治体にとって国や県にどういったところを期待したいのかということをお伺いしたいと思いました、私自身は、以前も申し上げたとおり、国や県に常設の第三者機関があってもいいんじゃないかというふうに個人的には思っているんですけれども、それはいじめ対策のほうになるんですが、例えば学校での様々な事件事故を含めて、国や県の役割というか、基礎自治体にとって、国や県に期待をしたいとか、それから関わってほしいところはどういったところがあるのかという点をお伺いしたいと思います。
 以上の2点になります。
【清原座長】  ありがとうございます。1つ目は、重大事態に至らないために、どのような取組が有効であるか。2点目は、いじめの対応について、国及び都道府県等の役割、期待される部分はどうかということです。では、戸ヶ﨑委員、よろしくお願いいたします。
【戸ヶ﨑座長代理】  まず1点目については、これはお話があったように、明確なエビデンスは何もありませんが、初期対応に尽きるかと思います。いかにしてチームで迅速に的確な対応をするかが、やはり後々に大きく響いてくると思います。併せて、もっと具体的な内容で申し上げると、学校には、先ほど言った、法的な思考より教育的思考が中心になってしまう、つまり、仲直りを比較的早くやってしまいます。これを本市では「安易な仲直り」と呼んでいますが、この「安易な仲直り」が非常に危険であると考えています。要は十分に納得することを強制してしまったことによって、後々色々なものがこじれてくるということが往々にしてあるので、この辺がキーワードになると感じています。
 それから、国の関与ということであれば、3月30日に、「学校安全の推進に関する有識者会議」の有識者の方々と、文科省の御担当の方々に実際に現場を見ていただきアドバイスを様々いただきました。高い視点から御指導いただくことによって、新たな気づきが生まれることもありますので、大いにそういう場面では、国の方や、総合教育会議には県の方も来てもらいましたが、違った視点から参加いただくのは大変有効だと思っています。
 以上です。
【清原座長】  戸ヶ﨑委員、今、3月に文部科学省の会議体等が、あるいは検討が入ったというのは、中学校における侵入者の件でしょうか、それともいじめに関する件でしょうか。
【戸ヶ﨑座長代理】  すみません、侵入者の件です。
【清原座長】  侵入者の件ですね。中学校に侵入者が入って、それを防ごうとした教員が負傷したという件について、国及び県の調査あるいは対話の中で改めて気づいたことがあったという御報告ですね。
【戸ヶ﨑座長代理】  積極的にこういうものも受け入れないと、例えば拒否なんかしてしまうと、そこで終わってしまいますので、総合教育会議には私のほうから、ぜひ入ってもらいたいと先に申し上げてありました。
【清原座長】  ありがとうございます。また、「安易な仲直り」というキーワードもいただきまして、仲直りを進めればそれで解決するわけでもないということもいただきました。
 村上委員、いかがでしょうか。
【村上委員】  1点目についてはよく分かりました。やはり危機管理は初期対応が大事というのがセオリーだと思うんですけども、そのとおりだということが分かりました。
 2点目に関しては、多分いじめ問題と、学校の侵入者のような事件の場合と、それから防災のようなことの場合それぞれで、国と県の役割が違ってくると思うので、同じ危機管理でも国や県の役割というのは、ある程度異なるのかなというふうに思いました。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。今、村上委員が御提起されましたように、学校における危機管理においても、防災、防犯、あるいはいじめ、いろいろな種類があるでしょうし、また通学路の交通安全というような観点もあるでしょうし、そういう意味では少し類型化をして整理する必要というのもあるのかもしれませんね。ありがとうございます。
 それでは、梶原委員、お願いいたします。
【梶原委員】  お世話になります。梶原でございます。今日は座長の横でお話しさせていただいています。よろしくお願いします。
 この重大事態対応訓練を伺って、大変すごいなと驚いたんですけども、こういう教育委員会だけじゃなく、市議会、市長部局もそうですけども、警察関係、いろんな委員会が入って、本来でしたら数日間かかる会議を、時間的なものをこの一瞬の場面でやってしまうという、私どもよくこういう訓練は、机上ではマニュアル化されて、実際に動きはない。例えば防災の訓練だったら動線的な動きですが、これを見ると皆さんが非常にチームでシステム、そしてそれぞれの役割ということで、実際のトレーニングをやっているということで、今までは訓練といいますと、訓練に参加したという視点で皆さん参加したので、これは企画という、訓練、皆さんで企画してつくったということは非常に大事な内容かなと。勉強するところかなと、参考にしたいと思いますが、これをするには、それぞれの準備といいますか、打合せといいますか、どういうふうにしてそれぞれのチームの連携を図ることができたんでしょうかと思いまして、それを伺いたいと思います。
 以上、よろしくお願いします。
【清原座長】  ありがとうございます。戸ヶ﨑委員、確かに時系列的に見れば、会議の当日、そして翌日、さらに二、三か月後、7か月後というふうに、タイムスケジュールも考えて訓練をされたようですが、その企画、準備段階は、どのようなメンバーが、どのように行ったかという具体的な御紹介をいただければありがたいです。よろしくお願いします。
【戸ヶ﨑座長代理】  かなり前のことなので、正確ではありませんが、主導というか、原案は、当然教育委員会のほうでつくらざるを得なかった部分もあり、積極的に教育委員会からイニシアチブ取って首長部局に呼びかけて、さらに議会のほうにもという形を取りました。確かにこれをやるために、かなりの期間は必要だったかもしれません。
 そのため、これを次にやるときは、そのものができていますので、比較的簡単にできるかと思いますが、様々な想定やレクチャーを議員の方々に行う必要があると思います。お話にあったように、ただ傍観的に参加していただくのではなく、できるだけ当事者意識を持って参加していただこうということで、事前のレクチャーも行ったように記憶しています。このような流れなので、このような立ち位置にて参加いただきたいということを具体的に申し上げながら、当日を迎えたと思います。ですから、量的な、どのぐらいの期間かまでは覚えていませんが、かなり時間を要したかと思います。
【清原座長】  ありがとうございます。梶原委員、どうぞ。
【梶原委員】  ありがとうございました。
【清原座長】  戸ヶ﨑委員、やはり今回御報告いただいた中で、私も注目したのは、時間軸というのを置きながら、流れを踏まえて取り組まれたというところで、市長部局で、市長を中心に調査するのにも数か月かかるということもあらかじめ想定しながら訓練計画を図ったこと。それから適時適切に、記者会見も必要であるということで、模擬記者会見も位置づけられたというところが、まさにこういういじめの問題であっても、重大事態になったときに、閉じるべきところは閉じるにしても、開くべきところは開くというようなことも示されたのではないかなというふうに私も受け止めまして、準備段階で、こうしたケースに遭遇したことがない皆様にも分かりやすく御準備されたのだなというきめ細やかさを感じました。ありがとうございます。
 どうぞ。
【戸ヶ﨑座長代理】  追加で申し上げますと、レクチャーしたときに一番時間がかかったのが、恐らく、市長だったと思います。そこに、いじめ重大事態とはどういうことなのか、さらには地教行法に関するものや法改正されたもの、いじめ防止推進に関する法律のことなど、そういうことは事細かく共有化して、今後の市長の立ち位置はどういうふうに変わっていくんだとか、様々な疑問に対して答えながら進めていったという部分では、首長との打合せに一番時間がかかったと思います。
 以上です。
【清原座長】  それはとても大切な追加の御説明だったと思います。口では、教育委員会と、あるいは教育長と首長部局の連携というふうに申しますけれども、やはり制度について、特に法改正がありました直後でもありましたので、そういうことを正しく理解していただいた上で、市長の責任の所在を認識しながら、法令にのっとった手続を進めていくと、主体的に進めていくということについて、事前のレクチャーを含め、当日の実践も含めて、市長と教育長が、あるいは関係者が共有できたというのが、この訓練の一つの大きな意義かなと再確認させていただきました。ありがとうございます。
 それでは、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  青木です。ありがとうございました。コメントと質問、いろいろなんですが、御報告資料の7枚目については大変感銘を受けましたというコメントになります。やはり公選職の市長さん、議員の方、それから政治的任用職の教育長、教育委員が打ちそろって駅、街頭に立つということは大変いいことだと思います。対住民コミュニケーションを買って出るにふさわしい方たちですよね、これは大変いいことで、指導主事とか、それから学校の先生方も対住民コミュニケーションの担い手にはなり得るとは思うんですが、やはり今申し上げた方たちがまず率先してなさるというのは、非常にいいことだと思いました。
 12枚目についてはお尋ねしたいことがありまして、これもほかの委員の皆様がおっしゃっているとおり、訓練というものについては大変いい試みではないかなと思っています。そして、12枚目で図示されているんですが、お尋ねしたいのは、学校から一報が入ったときに、基本的には窓口になるのは指導主事だと思うんですが、結構学校と、いろいろ電話があったりとか、こういういじめ関係で、もう日々連絡というか、相談も来ていると思うんですね。結局そこがボトルネックになってしまって、その一報がどこかで止まっちゃうという可能性もあるんじゃないかと思うんですが、それについてはどう対処されているのかということと、指導主事がいないような自治体を考えると、例えば行政職にも当事者意識を持ってもらうとか必要なのかなとか思ったんですが、その辺りについて伺いたいということです。
 最後です。37枚目ですが、事件があった後の対応ということで、地域に置かれている防犯カメラも含めての取組ということがあって、これは言わばバスケでいうゾーンディフェンスみたいなもので、非常に既存のリソースをきっちり使い切るという意味でいいと思うんですが、学校の中の防犯カメラというのは結構議論があるところだと思うんですけれども、これについては現状どのようになっていて、教育委員会としてはどういう方向性でお考えになっているのかなと。
 もうちょっと言うと、私は防犯カメラをもっと学校の中にじゃんじゃん入れたほうがいいと思っているんですが、それに対しての反発というか、ちょっと腰が引ける校長先生もおられると思うんですが、その辺り教育委員会から見てどう思われているかというのを伺いたいということです。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。御質問としては、学校からいじめの一報があったときの対応の体制、そして2点目に学校内の防犯カメラについてどのように考えるかという、その2つについてお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
【戸ヶ﨑座長代理】  追加で1点、7ページ目のティッシュ配布については、市長がこのときからまた替わり、現市長においても参加して、同じようにやっていただいています。積極的に参加してもらって、駅頭で配ってもらっています。
 それから、指導主事と学校からの連絡という部分について、これはおっしゃるとおりです。例えば教育委員会で、本市でもそうですが、研修会の対応などで全く指導主事がいないこともあります。いつでも常にいるわけではないし、または休日の日に何かあったときにどうするのかということも含めて考えていく必要があります。まずは、平日であれば、課業時間帯であれば、誰が電話を出たとしても対応ができるようにというような体制をしいています。全員が第一報を受けるかもしれないという体制をしいて、受けたらどうするかは周知しています。それから休日は休日で、万が一連絡がどこから入るか分からないので、学校から連絡があった場合、基本的には生徒指導担当と指導の課長が休日窓口にしていますが、そこでも電話に出られない場合もありますので、全員が、それぞれの学校の学校長の電話番号と体制、その後どういう連絡をするかについては、事前に研修を行い、頭に入れているということが1点目です。
 それから2点目の、32ページの防犯カメラのことですが、全ての学校にあります。ただ台数等について、細かいことについては、警察のほうからまだ捜査が続いている部分もあり、詳細については述べないようにと言われていますので、この場では、コメントは控えさせていただきます。よろしいでしょうか。
【清原座長】  一般論的なところですよね、青木委員が聞かれたのは。いわゆる通学路などには一般的には防犯カメラが徐々に整備されるようになっていますけど、学校施設の中に防犯カメラを設置することに対する、教員であるとか保護者であるとか教育委員会の認識とか意識は現状どんなところかということについてはどうでしょう。
【戸ヶ﨑座長代理】  というよりも、もう既に整備してあります。この事件が起こるよりも前から設置されていましたので、当然そういう中には映っていることも確認しているということです。
【清原座長】  なるほど。青木委員、いかがでしょうか。
【青木委員】  ありがとうございました。最後の防犯カメラについては、捜査のこともありますので、その辺、すみません、あらかじめ申し上げておけばよかったんですが、失礼いたしました。
 それで、一連のお話を伺いまして、冒頭の駅頭での対住民コミュニケーションについて一言だけ申し上げると、やはり市長さんというのは、この間、統一地方選挙もありましたが、代替わりすることがあります。それで、それに伴って教育長さんも替わることがあります。そうすると、やはりこれで、市長がいじめ案件でコミットするということが決まってはいるけれども、誰もレクをしないということも十分考えられるわけですので、ここについては、例えば国として、新しく市長になった方とかにレクできるような教育委員会向けの資料、簡単なものがあれば、もちろんあるんだと思うんですけど、そういうようなものがあれば、どんな自治体でも首長さんが御認識を深めていただけるのではないかなと思いました。ありがとうございました。
【清原座長】  ありがとうございます。どうでしょう、いじめに関して、首長あるいは教育長の対応について、一定の標準的なテキストというか説明書というか、そういうものは用意されていますかね、どうでしょう。
 もしあるようでしたら、堀野課長、お願いします。
【堀野初等中等教育企画課長】  私も正確に理解しているわけではないですけど、恐らくこの手の重大事態に関する対応の仕方みたいなことは相当、様々な資料が提供されてはいると思いますので、忙しい首長さんが一目で分かるものかどうかというのはあるかもしれませんけど、資料はいろいろあるかと思います。
【清原座長】  ありがとうございます。ちょうど現職市長の吉田委員から手が挙がりましたので、では、まずは御発言をお願いいたします。
【吉田委員】  まず、せっかく戸ヶ﨑先生がすばらしい発表をしていただいたにもかかわらず、私、今日どうしても用事があり遅参いたしまして、本当に失礼いたしました。
 以前から、実は教育委員会、これは首長部局もそうなんですけれど、特に教育委員会、お子さんのことでいろいろなことが起こり得る。その危機管理をどうしていくのかということを、もう少し全国的なテーマでしっかり考えていくことが必要だということを、ずっと私は言い続けております。というのも、私は市長になってもう17年なんですけれども、私が市長になった次の年だったんですが、実はある中学生のお子さんが自殺をしてしまったんですね。これは自宅で自殺をしてしまったんですが、何が原因だったかということで、実はいじめなのではないかと疑われ、大変な騒ぎになってしまったんです。お子さんが1人亡くなっていますから、これは軽々に、ああだった、こうだったと、ここで言う話ではないんですけれども、果たして本当にいじめだったのかというと、実はそれは非常に判定としては難しい。ただ、いじめではないかという話が流れた瞬間に、何が起きたかというと、新聞社だけでなくて、テレビ局まで、大勢、本庄市に押しかけまして、登下校のお子さんにマイクを向けちゃうんですね。非常にこれは大変な事態でございました。
 当時の教育長は本当に苦労しまして、記者会見を開いていろいろと報告をしていたんですけれども、これは教育委員会が、そのときにはまず全面的に、この窓口及び記者会見のときも矢面に立ちましてやっていたんですけど、私も逐一情報は得てはいましたけれども、明らかにいじめかどうかといわれると非常にグレーであった。結果として、いじめだったというような認定も実はされておりません。途中から、どうもいじめかどうか分からないというところまで行ったら、マスコミの方々がさっといなくなりまして、ただ、いなくなったのはいいんだけれども、その間に起きた混乱というか、非常に大変だったものですから、これは私自身、何か起きたときの危機管理の対応の仕方等含めて、いろいろな事案があるし、いろいろなことで、もちろん原因究明と、もしそれが学校に原因があったりしたのであれば、これはもう本当にしっかりと対応していくことが必要ですけども、マスコミ等への対応も含めて、危機管理体制どういうふうにしていくのかなというのはずっと問題意識としてあったものですから、実は今、途中から来まして、戸ヶ﨑先生のまとめていただいたものを、傍らに職員がいまして、いろいろ事後で報告してもらったんですけれども、これは非常にすばらしい取組、こういうことが本当に大事だと思っておりますし、いろんな面で、一つのマニュアルというか、我々が実地でもって、実際に訓練に参考にさせていただければよろしいんじゃないかなというふうに思っているところです。
 何をおいても、やはり教育委員会と首長部局の意思疎通だと私は思っております。意思疎通と、教育長と首長の信頼関係、これがまず根本だろうというふうに思っておりますし、その上で、いろいろあるんですね。私が先ほど申し上げた以外にも教育委員会でいろんなことがあったときに、マスコミにどういうふうに対応するかということで、教育長とは考え方が一致したのですが、県がそこで違うことを言ったり、県にもちょっと文句をつけたりとかいうことも実は過去にありまして、やっぱり当事者同士がお互いに意思疎通を図るというのはもちろんですけれど、なかなか簡単にはいきません。まずは首長と教育長、そして首長部局の職員と指導主事の先生、この方々の意思疎通が何より大事だというふうに思っております。
 今日は本当に、戸ヶ﨑先生、また後でゆっくりと勉強させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【清原座長】  吉田委員、ありがとうございます。
 今、各委員から戸ヶ﨑委員の御報告に対して質疑や御意見いただきましたが、私も市長経験者として、今、吉田委員がおっしゃいましたように、教育長と首長の確固たる信頼関係と、意見が違っても構いませんので、きちんと対話し、意思疎通を図り、それぞれに法令にのっとった適切な責任の取り方ができるような対話が基盤になければいけないということを認識しながら取り組みました。また、青木委員が御指摘されました、首長、議員、あるいは職員による啓発事業でございますが、私自身は、いじめについての啓発事業を市長在任中行いませんでしたが、児童虐待防止であるとか、あるいはたばこのポイ捨てをやめてほしいとか、子供の視点に立ったとき歩きたばこが危ないとか、あるいはもちろん、ごみの減量であるとかリサイクルであるとか、あるいは社会を明るくする運動という更生保護であるとか、年間通じて多くの取組を駅頭等でキャンペーンすることでいたしましたときに、やはり市議会議員のみならず、都議会議員の有志がキャンペーンに参加してくださったり、もちろん市民団体の皆様が連携して参加してくださったり、そうすると、やはり駅に立つことについて市民の皆様が、「私は三鷹市民じゃないんだけれども、こういうことは大事ね」と、パンフレットを持っていってくださったり、あるいはボーイスカウトであるとか子供会のメンバーが参加してくれたりしましたので、戸田市では、いじめ撲滅のための駅頭活動を今回は例示として出していただきましたけれども、恐らくほかにも子供に関わる、虐待防止等の取組もされていると思うんですね。
 こうしたことを改めて見える化することで、公選で選ばれた首長や、あるいは議員さんだけでなく、議会で選任同意を受けた教育長、そのほかのメンバーも関わっている、そして一般市民が連携しているという、問題意識の見える化というのは極めて大事かなと思いました。
 いずれにいたしましても、この重大事態訓練は、いじめを基礎にしながら、首長部局と教育委員会が連携することによって、現場の学校運営、学校の危機管理の支援として大変有力に果たしたのではないかなということを理解させていただきました。
 それでは、御報告いただきました戸ヶ﨑委員に感謝したいと思います。ありがとうございます。
 それでは続いて、学校運営の支援のために果たすべき役割について、これまでの御発表等を踏まえて、もし御意見、補足ある方については御意見をいただきたいと思いまして、資料2を説明していただけますか。よろしくお願いします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  それでは、お手元に資料2を御用意いただければと思います。
 学校運営の支援のために果たすべき役割について、今後の論点をまとめておりますけれども、まず1ページ目でございます。目指すべき方向性について記載してございます。
 1つ目の丸でございますが、これまで教育委員会の機能強化・活性化のための方策、教育委員会と首長部局との効果的な連携の在り方、小規模自治体への対応・広域行政の推進のための方策の各論点について検討してまいりましたが、学校運営の支援の充実に向けて教育委員会が講じていくべき施策の在り方についても積極的に検討を行っていく必要があるということを書かせていただいております。
 そして、その下でございますが、このような観点から、国や教育委員会が取り組むべきこととして、大きく3つ、ここで記載しておりまして、学校の自主性・自律性を促す取組の実施、指導主事に係る体制整備の支援、教師が職務に専念できる環境整備、この3つについて、次のページ以降で御説明を差し上げたいと思います。
 2ページ目を御覧いただければと思います。学校の自主性・自律性を促す取組の実施についてでございますが、まず1つ目の丸でございます。学校が主体的かつ機動的に教育活動を行うためには、学校に権限を与え、自主的・自律的な学校運営を行えるようにすることが重要ということを記載しておりまして、その前提といたしまして、学校に係る裁量の拡大が効果的に機能するためには、教育委員会や学校が、学校のあるべき姿、目標等を明確にしつつ、それに向かって、意欲ある校長のリーダーシップの下に各学校が創意工夫しながら進むことができる環境を整える必要がありますけれども、このような前提の上で、教育委員会が有する権限を積極的に各学校に委譲していくことが重要ではないかということを記載しております。
 その下でございますが、通常、学校管理規則におきまして、学校が自主的に決定して処理すべき事項、教育委員会の判断を仰いで処理すべき事項等が規定されておりますけれども、各地域の状況等に応じまして適切な役割分担となっているかどうかを、各学校の意見を踏まえつつ、定期的に点検していくことが重要ではないかということを記載しております。
 また、その下でございますが、これまで教育委員会の許可や承認などが必要であったものを届出に改めたり、あるいは学校との間の事務手続を見直すなど、各地域において、学校の実情を踏まえつつ、教育委員会の定型的な関与等については縮減する方向で取り組むことが重要ではないかということを記載してございます。
 その下でございますが、今度は予算の話でございますが、学校予算につきましても、自主的・自律的な学校運営を実現する上で裁量の拡大が重要ではないかと。例えば学校の企画・提案に基づいた予算配分をするなど、各学校の意欲や意向が反映されやすい学校関係予算の編成ですとか、校長の裁量によって執行できる予算措置をするといった工夫が考えられるのではないかということを記載しておりまして、その下の予算確保の方法についてでございますが、自治体の予算を活用するほか、地域住民や民間企業からの寄附、ふるさと納税、クラウドファンディングなどにより、外部から資金を獲得する取組も見られるところでございまして、このような運用上の工夫は多くの自治体にとって参考となるのではないかということを記載してございます。
 また、3ページ目でございますが、学校の裁量拡大に関する取組につきまして、地域や保護者の理解、後押しを受けながら、校長のリーダーシップの下に進めていくことで、取組の一層の充実が期待できるのではないかということで、学校運営協議会等を通じて、地域や保護者の参画を得ながら進めていくことも重要ではないかということを記載しております。また、教育委員会の関与でございますが、各学校の取組状況をフォローし、必要に応じて軌道修正をするなどのバランスの取れた対応を行う必要があるのではないかということを記載しております。
 また、国としてでございますが、各自治体の検討に資するよう、学校予算を含む学校の裁量拡大に関する取組について、具体的な事例などについて示していくことが考えられるのではないかということを記載してございます。
 4ページ目でございますが、指導主事の話でございます。指導主事に係る体制整備の支援についてでございます。
 1つ目の丸で、指導主事の役割について記載しておりまして、学校現場におきましては、経験豊かなベテラン教師が大量に退職しております一方、若手教師への指導技術等の継承が大きな課題となっていると。こうした状況の中で、指導主事による各学校に対する支援は非常に重要な役割を担っております。また、不登校児童生徒ですとか外国人児童生徒の増加などの多様化とともに、GIGAスクール構想により整備された1人1台端末も活用した主体的・対話的で深い学びが求められ、今後の社会を見据えた新たな学びを創造する必要性もある中で、指導面で高い専門性を有し、幅広い教育行政に関する知見も有する指導主事の役割は一層大きいものとなっているということを記載しております。
 その下でございますが、指導主事につきましては、地教行法の18条第4項におきまして、教育に関し識見を有し、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならないというふうにされておりますけれども、実際の業務は非常に多様でございまして、例えば学校訪問等を通じての教科に関する指導助言、これに限らず、教育行政に係る企画・立案、教育委員会と学校の間での連絡調整、各種文書作成や予算執行等の事務処理など様々なものがありまして、指導面のみならず、管理面での見識も必要となってきます。また、都道府県教育委員会の本庁や教育事務所、市町村教育委員会でも指導主事に求められる役割は異なってくると考えられます。
 このような多様な実態を踏まえますと、指導主事に求められる資質・能力の在り方につきましては、配置される教育委員会等で求められる役割の違いを踏まえる必要があるのではないかということを記載しておりまして、その下でございますが、このように指導主事の資質・能力につきましては、多様な実態を考慮する必要がございますが、各都道府県・市町村教育委員会におきましては、実態を踏まえた研修が行われたり、また、一部の都道府県教育委員会につきましては、市町村の指導主事も対象とした研修カリキュラムが設けられるなど、一定の取組が行われているものと考えられるということを記載しております。
 その下の「他方で」と続く文章でございますが、特に問題意識といたしまして、小規模自治体におきましては、指導主事が配置されていない自治体が約3割存在して、こうした自治体では十分な体制が確保されない状況であると考えられます。なのでまずは、特に小規模自治体の指導主事に係る体制整備の支援について検討を行うべきではないかということを記載しております。
 また、参考で、下に指導主事の配置数の推移について記載しております。指導主事の全体的な配置数自体は増加傾向にありますけれども、今回は特に小規模自治体にスポットを当てた記載をさせていただいております。
 5ページ目、一番上でございますが、国として、特に小規模自治体の指導主事などを対象として、情報交換やネットワークづくりを支援し、指導主事の資質・能力の向上ですとか教育委員会間の連携を促していくこと、こういったことが考えられるのではないかということを記載しております。
 最後に、その下の丸でございますが、国として、このような小規模自治体が質の高い教育活動を行っていくことができるよう、各自治体の取組も参考にしながら必要な対応を検討していくべきではないかということを記載してございます。
 最後、6ページでございますが、教師が職務に専念できる環境整備についてでございます。一番上の丸でございますが、学校現場の様々な課題に迅速に対応しつつ、各学校の教師が目の前の教育活動に集中して取り組むことができる環境の整備も教育委員会に求められる重要な役割であるということを記載してございまして、こうした教師の負担軽減の取組として、改めてどのようなことを行うことが考えられるかということを書かせていただいております。
 その下の丸でございますが、教師が職務に専念できる環境整備の観点から、教員業務支援員ですとかスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の支援スタッフを学校に置き、校長のリーダーシップの下、教師やスタッフが自らの専門性を十分に発揮し、チームとしての学校の総合力、教育力を最大化できる体制を整備することが重要であるということを記載しておりますけれども、特に学校事務職員に焦点を当ててここでは記載してございまして、学校事務職員もこの中で非常に重要な固有の役割を担っているということを書かせていただいております。学校事務職員が校内の業務改善を提案し、実行していくことで、教師の負担軽減につながると考えられ、また、校務をつかさどる存在として、学校経営に積極的に参画し、副校長、教頭とともに校長を補佐する役割を果たすことが期待されてございまして、積極的な学校経営は、学校の組織力の強化、ひいては教育力の向上に直結するものと考えられます。
 このように、学校改革に取り組む学校事務職員の役割の拡大が期待されていく中で、教師が職務に専念できる環境の整備、学校の組織力の強化等が実現できるように、教育委員会として支援に取り組んでいく必要があるのではないかということを記載しております。また、その下でございますが、教育委員会が主体となって、教師の負担軽減、事務処理の効率化などを検討するに当たっても、教育委員会のみで課題を抱えるのではなく、学校現場の実情をよく知る学校事務職員の知見を取り入れることで、より実効的な対応を行うことができるのではないかと。国として、各自治体におけるこのような学校事務職員に係る取組について事例を収集しまして、周知を図るべきではないかということを記載してございます。
 一番下の丸でございますが、学校事務の組織体制の強化についてでございます。例えば教育委員会に学校支援センターを整備し、学校が抱える事務を学校事務職員が集中的に処理する機能を教育委員会が担う取組、こういったものも存在しておりまして、このようなセンターや共同学校事務室の設置など、効率的に事務処理を行うことができる体制の整備が有効であり、さらなる活用を図っていくことが重要ではないかということを記載しております。
 また、7ページ目でございますが、こうした体制の整備ですが、都道府県が主導して小規模自治体も包含する体制を整備することですとか、広域連携を通じまして、近隣の小規模自治体とも連携して必要な体制を整備していくことも考えられるのではないか。このような取組事例について、具体的な方法も含めて積極的に周知を図ることが必要ではないかということを記載しております。
 最後に、学校事務職員の資質・能力につきましてですが、正確・迅速な事務処理能力、学校事務に関する知識・理解等々ございますけれども、国として、共同学校事務室の室長を含む学校事務職員のこのような資質・能力の向上に関する取組事例を収集し、周知を図る必要があるのではないかということを記載してございます。
 8ページ目以降は、参考データとしまして、学校の裁量に関する取組ですとか、指導主事の配置状況についてデータを掲載しております。
 駆け足でございましたが、以上でございます。
【清原座長】  伊藤補佐、ありがとうございます。資料2、学校運営の支援のために果たすべき役割について、今後の論点案について御説明いただきました。
 1ページの目指すべき方向性について書かれているところが、この資料2の概要、骨子に当たる部分でございますけれども、この項目について、さらに深く検討すべき内容に対する御提案や、あるいはこれ以外に検討すべき内容がありましたら、ぜひ御発言をいただきたいと思います。どなたからでも御発言をお願いします。挙手ボタンを押してください。
 それでは、小﨑委員、お願いいたします。
【小﨑委員】  よろしくお願いいたします。ちょっとタイムラグが出てしまっているんですけど、先ほどの戸ヶ﨑教育長さんの話がすごく衝撃的というか、印象的で、まだちょっと余韻が残っていまして、今の説明を聞きながら考え方を整理しているんですけども、2つあって、戸ヶ﨑教育長がおっしゃったことの中で印象的だったのが、マニュアルとかガイドラインというのはよりどころであって、そこからアレンジしたり柔軟に対応する、そこが人間の勝負だよねというような御発言があったのも腹落ちしましたし、想定するとか予測するとか、そういうことはみんなやるので、こうなったらこうしようという決め事はたくさんするんですけど、実際に組織づくりでイメージしたことをやってみるという、その実行に移してみるという段階は、ものすごくハードルが高いと思っています。うちの県で戸田市と同じことを、焼き直しでいいからやってみようと思ったとしても、とてもとても、どれだけの準備と労力と調整が要るんだろうと考えたときに、すごいことをやってしまっているなというのが感想です。すみません、これは時間枠をはずれて、前の話なので。
【清原座長】  いえ、大変重要な御指摘だと思います。どうぞ続けてください。
【小﨑委員】  今のお話の中身で言うと2つありまして、1つは、私も指導主事が長かったので、17年近くその役割を果たしたときに、前にも言ったことあるんですけど、学校の先生とのやり取りの中で期待されている部分というのは、寄り添ってほしいとか、分かってほしいという、その思いの部分があるんです。だから実際に、こういうことだよね、こういうことしていくといいですよねという内容が正しいことであっても、そこに納得したり腹落ちしないと進めない。じゃあみんなでやっていこうというときには、やはり何を目指そうとしているのかとか、ほかの人たち全体がどういうほうへ向こうとしているのかということは非常に大事で、そこのものを考えていくときに、私たちを見てくれていること、これだけ頑張っていることを知ってくれているんですかという点がとても大事な要素になっていて、それが寄り添ってほしいという言葉になって表現されているのかなと。
 つまり、信用された指導主事じゃなくて、信頼された指導主事というふうな言葉のほうがしっくりくるんですけど、結局、どんな実績があったかとか、こういうことをやってこういうことになったという、過去や現在の状況に対してはまあまあ評価があるんですけど、信頼して任せるとか、今後どうなっていくか分からないときに頼りたいんですというときには、やっぱり人は途端に弱くなって、本当にそれでいいのという気持ちになるときに、そこはもう個人の力量ではなく、組織だったり、先ほどの全体での取組がバックアップしているよということが、私たち指導主事にとってはすごく心強いというのがあるので、教師にも今、多様性が求められていると感じています。
 学生を見ていても、実際授業をしている先生たちを見ても、もう今までのような、こんな先生がいい先生だよね、こういうことをしていたら大丈夫だよねという、先輩たちのノウハウが通用しない。今まで誰も経験していないような場面も出てきたときに、それこそ先輩を頼っても、友達を頼っても、誰も経験していないようなことで孤独に陥りがちになるそこでヒントとなるのは、僕はやっぱり、だれかと一緒にするということだと思います。自主性・自律性という視点で、個人で磨くというところもあるんですけど、一緒にやりましょうとか、指導主事と先生で一緒に悩みましょうとか、先生同士でということの、子どもたちだけではない教師にも求められる多様性にもしっかり応じられるように。これが人数なのか、本人の資質・能力なのかというのはまだまだ議論が必要なところだと思うんですけど、とにかく一緒にというニュアンスが出て、教育長だからこれしなさい、指導主事だからこれしなさい、先生たちはこれしなさいではない、それぞれの役割もありながら全体で協働してしっかりやっていこうというニュアンスがもう少しあればいいのかなと思いました。これは感想レベルなので、すみません。
【清原座長】  ありがとうございます。目指すべき方向性について、私たちが会議としてまとめるときに、今御指摘されましたように、キーワードとして「多様性」ということ、そして、戸ヶ﨑委員が戸田市の教育改革のコンセプトの冒頭で、「AIでの代替は難しい力などの育成」というふうに示されていましたように、私たちは多様化だけではなくて、AIやICTや、いわゆるGIGAスクールというのが手法として当たり前になっている時代にあって、あえて、指導主事であれ教師であれ、学校教育の現場にいる人材の皆さんが現場をきちんと見詰めた上で、お言葉をお借りするならば、「寄り添うことができる内容になっているか」ということを確認して取りまとめていきたいなというふうに私も思いました。
 それでは、これから岩本委員、戸ヶ﨑委員、梶原委員の順で御発言をお願いします。
 では、岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  岩本です。よろしくお願いします。学校の自主性・自律性に向けてのところで、3つの意見と、1つ情報提供ということでさせていただけたらと思います。
 1つ目は、2ページ目などに書かれている裁量の拡大という方針のところです。この指摘はまさにそのとおりだと思っておりまして、そこに書かれている予算面の裁量の拡大については、そもそも学校ごとでふるさと納税だとか寄附とかを集められるような仕組みがまだできていない自治体というのが非常に多く存在していて、学校で何とかふるさと納税とか寄附とか予算集めたいというふうに思ったとしても、今はやはりそれが、なかなか学校、自治体によってはできないというところがありますので、少なくとも各学校ごとにふるさと納税とか寄附とか、そういったものを集めたりできるような最低限の仕組みみたいなものを全国で整備していくようなところから、そのためにどうしたらいいのかということを国としても整理した上で、事例とともに周知を図っていくという部分も追記していただいたほうがいいのではないかというところが1点目です。
 2点目は、この裁量拡大に関して、教育活動面と学校予算面の裁量というのに加えて、やはり人事面の裁量拡大というところの検討や促進も今後必要ではないかという意見です。例えば小規模自治体や、離島や中山間地域などの小規模校では、管理職の異動というのは非常に早い。2年とかで替わっていくということは普通にありますし、教諭ではなくて、講師の割合なんかも非常に高かったりとかして、教職員の異動サイクルも早くて非常に人事面で苦慮しているというところが、教育委員会側も、当然学校側も地域側もあるという実態です。
 そのため、この自主的・自律的な学校運営というのを、そういった小規模校とか含めて考えたときに、例えば学校運営協議会なんかとしっかりと連携しながら、例えば管理職や教職員の公募や推薦制みたいなことをそういったところが行って、うちの地域、うちの学校はこういう方向でやっていきたい、これを一緒にやっていく教職員や、場合によっては管理職にぜひうちに来てくれないかというか、一緒にやっていかないかというような動きだとか、もしくは教職員、講師、あとは支援スタッフなんかも、場合によっては地域人材なんかを積極的にそういった中で採用とか集めたりというようなことも含めて、人事面での裁量拡大に関しても国として整理した上で、具体的な事例なんかとともに周知を図っていくというようなところも併せて追記していただけるといいのではないかというのが2点目の意見です。
 3点目は、都道府県と市町村の協働のベストミックスによる学校運営の推進・実現というところです。公立高校においては、小中学校と違って都道府県が設置者になっているというところで、地域リソースだとか地域の協働というということを考えたときに、都道府県立高校の場合、その中の内部資源だけでなく、やっぱり市町村との連携協働というのが欠かせないということで、都道府県立である、都道府県の強みを生かしながらも、市町村の持っている強みだとかリソースもハイブリッドに活用していくような動きというのは、今全国ですごくニーズが高まっています。
 また、市町村によっては、都道府県立高校の運営だとかにもっと協働していきたいとか、高校運営に参画していきたいという市町村なんかもあったりしますので、そうしたときに都道府県と市町村の双方の強みを生かした学校運営というところで、例えば地教行法の事務処理特例制度だとか、地方自治法の事務の委託なんかを活用すれば、都道府県立の高校であっても、学校運営の一部だとか、例えば寮の運営とかも含めて市町村が担っていくというような、例えば都道府県立市町村運営みたいな運営形態なんかも制度上可能だというようなところも含めて、やっぱりここら辺も国として明確化した上で、そういった制度の周知だとかも含めて図っていくというあたりも追記いただけるといいかなというのが意見の3点目です。
 すみません、ちょっと長くなって。最後にしますけども、学校の自主性・自律性を促す方策で、先ほど小﨑委員言われましたところは私も非常に共感するところで、島根県の教育委員会なんかでも、学校に対して指導管理という目線から、伴走支援という目線だとか発想に切り替えていこうというところで、先ほど寄り添いという言葉があったかと思いますけども、それに近い部分なのかなとは思いますけども、そういうふうに意識を切り替えていくために、高校と教育委員会の間での伴走のグランドルールというようなものだとかを策定、共有したりとか、実際、学校の自走、もしくは教育委員会の伴走に向けたルーブリックとかカルテとか評価みたいな各種ツールをつくって活用できるようにしていくだとか、あとは指導主事がそういう形で関わっていけるような指導主事向けの伴走の研修だとか、チーム教育委員会として向き合っていけるような情報共有とか内部体制づくりとか、あとは先ほどありました自主性、自律性を言うだけではなくて、やっぱり学校同士の協働性を高めていく、学校同士の学び合いの場をつくっていくみたいなところなんかも、教育委員会側の伴走の一つのツールというかサポートの方法で、そういったところの取組をこの数年、いろいろやってきているところありますので、また次回でもしよければ、少し情報提供なんかもそういったところでさせていただければ、何か参考になるところもあるかなと思ったというところです。
 すみません。以上です。
【清原座長】  岩本委員、ありがとうございます。ぜひ具体的な情報をもしお持ちでしたら提供していただきたいと思いますが、裁量の拡大というときに、予算面の内容の具体化、あるいは人事面についての、さらなる学校運営協議会との連携も含めた自立性、柔軟性の実現。また高校を中心として、都道府県と市町村との連携の在り方についての御提案もいただきました。そして、「指導管理から伴走支援へ」という、まさに大きな潮流の変革を意識した御提案もいただきましたし、「協働」というキーワードもいただきましたので、これらは今後また皆様と御議論をしながら、どのように反映できるか検討していきたいと思います。
 それでは、戸ヶ﨑委員、梶原委員、そして青木委員と、御発言続けてお願いします。
 戸ヶ﨑委員、お願いします。
【戸ヶ﨑座長代理】  先ほどはありがとうございました。私のほうからは、今いろいろお話ある自主性、自律性に対して、また学校の裁量拡大に対して、どうも光と影の部分があったときに、光の部分が殊さら強調されることに対する危惧があります。全体的に苦言を呈するような発言になって大変恐縮ですが、やはり言うべきことは言っておかないといけないかなと思って、発言させていただきます。
 学校の自主性・自律性が重要であることは、そのとおりであるとはもちろん私も思っています。一方で、教育改革そのもののマインドを醸成しないままに、例えばいきなり教育委員会の関与を縮減したり、学校の裁量の拡大を図ったりしても、これは多分絵に描いた餅になってしまうと思います。まずは、学校の裁量の拡大がなぜ必要なのか、どのような条件で機能するのかについて、それぞれの教育委員会や学校がしっかりと理解した上で取組を行っていく必要があると思います。そもそもが拡大、自主性も持たせてもらいたくない、裁量の拡大は別にやってほしくないと思っているところもないわけではありません。また、教育委員会というこちらの立場で言うと、各学校に改革のマインドを持ってもらえるようなイニシアチブを教育委員会が発揮したり、時には学校、先ほど支援という言葉とか伴走という言葉もありましたが、教育委員会の役割は、学校の適切とは言えない取組を軌道修正したりするという、非常に重要な役割もあることも忘れてはならないと思っています。
 これこそがある意味大切な支援ですが、例えば、叱らない、怒らないことが大事なんだと誤解されては、やはりまずいだろうと思っていますし、そういう意味では、よいことは大いに伸ばすことも大事です。しかし、間違っている、また適切でないということは、毅然として軌道修正するような、そういう厳しさとのバランスが取れることが何よりも重要だと思っています。資料にもその点を多分意識して記載されていると認識していますが、こういった取組自体が自己目的化しないことが大変重要であるということを改めて申し添えておきたいと思っています。
 さらに、学校の裁量権の拡大に伴って留意すべきことというのは、保護者や、また幅広い地域社会の理解がやはり必要です。具体的には、恐らくどこの自治体でも経験あると思いますが、他校や、場合によっては近隣自治体の学校と比較して、同じ公立学校なのに何でこんな違うんだという指摘がされることが往々にしてあります。学校の自主性、自律性を促す取組については、やっぱりこの辺は教育の関係者のみならず、社会全体の理解も伴っていかないと非常に厳しいと思います。
 それから、次の指導主事に係る体制の整備のことについては、「指導主事間の情報交換やネットワークづくり」も特に人手不足に悩む小規模自治体にとって、特に重要な指摘です。ここにおいても、やはり改革のマインドのある指導主事がネットワークをつくらないと、何でそんなことやらなくてはいけないのかといったように、いっときはできたとしても長続きしないだろうと思いますので、今後の取組にあっては、そういう指導主事のマインドづくりも大事ではないかと思います。
 あわせて、これは自治体にもよると思いますが、指導主事は、指導主事の選考や、また教頭選考等の選考の合格者の中から任用する場合が恐らく多いのではないかと思います。ですから現在の管理職選考の倍率の低下の実態を鑑みますと、管理職選考や管理職の在り方とも関連させて議論していく必要があるのではないかと思っています。
 最後に、教師が職務に専念できる環境整備という観点に関しては、学校の事務職員が非常に重要な固有の役割を担っているのは、資料に記載されているとおりです。事務をつかさどる職として、学校改革の文脈の中で、業務改善の提案や学校経営への参画等の役割を発揮していくことが、大いに期待されていると考えています。そうすると、学校事務職員の役割というのは、教師が担当する教務ではなく、固有の事務を担うことであって、学校における唯一の行政職としてその役割を果たして、学校改革や学校運営の改善を進める中で、教師が職務に専念できる環境整備につながっていくということを改めて強調させていただきたいと思います。
 私からは以上です。
【清原座長】  戸ヶ﨑委員、ありがとうございます。学校の自主性、自律性を促す取組についても、教育改革のマインドというのを共有することが前提で進められなければいけないということ、そして指導主事についてもさらに、選考の合格者ということであれば、管理職の課題と密接に結びつけながら体制整備について考えていく方向性を御提案いただきましたし、教師の働き方改革の中においても、職員の行政職としての役割、それについてより重視して取り組んでいくと、これはいずれも私たちの目指すべき方向性について欠かせない留意点だというふうに受け止めました。どうもありがとうございます。
 それでは、梶原委員、お願いいたします。
【梶原委員】  岩本委員さん、戸ヶ﨑教育長さんと少し内容的にはダブるところもあるかと思うんですけども、まず私は、この地方教育行政の改革の3つの大きい柱の中で、働き方改革と教師不足という視点から、小規模市町村の意見として申し上げます。もう極小規模になりますけど、申し上げます。
 まず1つは働き方改革で、勤務時間の時間外とか時間数の問題が大きく取り上げられていますが、教師の誇りとかやりがいとか生きがいとか、教師、すばらしいんだという部分を学校で感じるためには、やっぱり管理職のリーダーシップといいますか、カリキュラムマネジメントが非常に大事かと思います。この辺りをもう一度、採用した任命権者として責任持って、教育センターあたりで、そういうやりがいを感じる、生きがいを感じるような研修にもう少し重点を置くべきではないかと思っています。
 次に、指導主事の関係ですが、私ども小規模になりますと、学校現場から優秀な教員を指導主事に引き上げますと、学校の教育がおろそかになるというのがあります。今も迷っています、来年どうしようかと迷っています。だから今私ども、3名OBを、小さな市町村ですが、指導主事にしました。今後、1人の指導主事の給料でOBの2人はどうかなということも考えています。そういうふうに経験もあり、力もあり、以前指導主事経験者をOBとして活用することも小規模の財政の厳しい市町村はいいのではなかろうかということで、これも教師不足と関係します。だから学校とつながるということで、そういうことも一つあるのではなかろうかと思っています。
 また今度、教師が専念する環境というところですが、これは以前も発表でちょっと言わせていただいたんですが、イギリスのフェデレーションシステムです。学校間の調整、小規模学校がどこかの教育センターと共同実施が挙がっていましたけど、共同実施するところで予算管理を一括してやるとか、そうすれば、大きな備品を一個一個買えなくても、1か所で買えるとか、そういう学校間連携が必要。そのためには、統括事務長とか統括事務職員が必要かなと思っています。既に私ども玖珠町では、統括センター長、校長格と同じように、校長会にも出ていただいて、役場の本所の課長と同じ権限の、100万の権限をあげています。そういうことも一つ今後、小規模の自治体は必要かなと感じています。
 以上、働き方改革、教師不足と関連して、この行政改革も、先ほど戸ヶ﨑先生言われたとおり、全部の教育改革を含めた形でやらないと、この1点だけ、2点だけでは難しいかなと思っています。
 以上です。
【清原座長】  梶原委員、ありがとうございます。実はこの後の議題で、とりまとめの骨子素案についても、短時間ですが検討していただきますが、今御発表いただきました「小規模自治体への対応」というのが、私たちの会議体としては極めて重要な提案の中身になってくると思います。今3点、集約して言ってくださいました。教師不足との関連における小規模自治体の、例えば定年退職した教員の指導主事における活躍であるとか、そういうようなことも含めて、ぜひ積極的に提案をしていただきたい内容を御発表いただいたと思います。ありがとうございます。
 それでは、このコーナーの最後に青木委員、御発言をお願いします。
【青木委員】  ありがとうございます。青木です。
 1点目です。戸ヶ﨑委員の御発言に絡むところですが、学校の裁量拡大といった場合に、受皿としての学校についてやはり注目せざるを得ないと思います。その点で、まず2枚目のスライドでは、そういう受皿的なものが大事だというのを少し書き加えていただけないかということが1つで、それに絡んで6枚目のスライドで、学校の事務職員についての言及がありますが、これは私、現在の最新の制度を十分承知しているわけではないんですが、市町村費による学校事務職員の雇用というのも行われている自治体があるかと思います。それを財政的に、大々的に推奨する、学校事務職員、市町村費の雇用を大々的に推奨するのがこの会議体の趣旨かどうかちょっと分かりませんので、せめて市町村費で事務職員を雇用している自治体の事例などを取り上げるとか、そういうような形で少し事例を紹介、事例から何か言えないのかというようなことを記述いただければなと思います。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。大切な御指摘で、学校の自主性、自律性を促す取組の実施についても、しっかりとした受皿としての学校の在り方というものに触れることや、事務職について、都道府県だけではなくて、市町村で対応しているような創意工夫を事例として紹介するような御提案、大変具体的な内容の御提案だと思います。ありがとうございます。
 以上、本日テーマにいたしました学校運営の支援のために果たすべき役割についての論点案に、さらに委員の皆様から、深みと、それから留意点、具体例など御発言いただき、ありがとうございます。
 あと20分足らずとなりましたけれども、最後の議事でございまして、議事の2、とりまとめ骨子(素案)についてに移らせていただきます。
 それではまず、これまでの令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の充実に向けた4つの論点をどのように取りまとめていくかについて、事務局で素案を作成していただきましたので、その内容の御説明をお願いします。それでは、伊藤補佐、お願いします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  それでは、資料3を御覧いただければと思います。とりまとめ骨子(素案)といたしまして、報告書の構成のようなものを資料として1枚にまとめてございます。
 まず1つ目は、1ポツの「はじめに」で、議論の背景ですとか会議の趣旨について記載をする予定でございます。
 2ポツ目でございます。「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の在り方についてということで、今後、教育委員会について、どういう在り方を目指していくのか、その理念やイメージなんかについてここで共有できればというふうに考えております。
 また、3ポツでございます。地方教育行政を実現するための方策についてということでございますが、ここで教育委員会の機能強化・活性化、教育委員会と首長との効果的な連携の在り方、学校支援のために教育委員会が果たすべき役割について取り上げることを予定しております。各項目につきましては、これまで御議論いただいた内容をベースにというふうに考えておりますが、首長との効果的な連携の在り方につきましては、米で記載しておりますとおり、危機管理対応も含めた今日的な課題に係る対応についてもここで記載をしたいと考えております。
 最後、4番でございますが、小規模自治体への対応、広域行政の推進のための方策につきましては、この会議でも一番最初に議論したとおり、非常に優先的な課題であるというふうに捉えられていたかと考えております。ですので、少し項目のほうを特出しするような形で、最後まとめていければというふうに考えているところでございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。
【清原座長】  ありがとうございます。それでは、資料3のとりまとめ骨子(素案)につきまして、皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。まだ素案の段階でございます。これまでの皆様との御検討を踏まえて、取りまとめに向けて一定の整理をさせていただいたものでございます。皆様、これに対して、どの角度からでも結構でございますので、御意見をいただければと思いますし、御確認の御質問があればどうぞ、どなたからでも。いかがでしょうか。
 吉田委員、手を挙げていらっしゃいますね。よろしくお願いします。
【吉田委員】  ありがとうございます。この後また所用がございますので、先に発言させていただいて、失礼させていただきます。
【清原座長】  はい。お願いします。
【吉田委員】  私は、全般的というか、この中でも特に3の2、関係部局等との連携の促進、そこに米印で、首長との連携を通じた危機管理対応も含めた今日的な課題に対応云々と載せていただいて、本当にありがとうございます。これをまず御礼申し上げます。
 全体的な中で、これは骨子なものですから、果たしてどうなのかという思いもあるんですけれど、あえて申し上げると、やはり教育行政、とにかくしっかり予算確保がどうしても大事です。これは私、本当に感じるところでございまして、いろんな分野において、何て言いましょうか、市長は金のことばかり言っているって言われるかもしれませんけど、お金がなかったら何もできないわけなので、こういう予算確保みたいなところをぜひどこかにしっかり盛り込んで、そのために予算が必要なんだよというようなことをぜひ盛り込んでいただきたいと、これは首長として、よろしくお願いしたいと思います。
 私、これで失礼しますが、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
【清原座長】  ありがとうございます。大変重要な御指摘でございまして、いろいろな政策の在り方、行政の在り方を提案させていただくにつけても、これがどのような予算組みで実現するのかということが重要であるということをしっかりと記載したいと思います。これは皆様と同じ思いだと思います。ありがとうございます。
 そのほかどなたからでも、いかがでしょうか。
 私、1つ、これは皆様にお聞きしたいと思っているんですけど、4の最後にデジタル技術の活用等についてというのが、小規模自治体への対応、広域行政の推進のための方策について、明示化されているキーワードなんですね。GIGAスクールを進めている学校、教室があるわけですし、そのためには端末の整備だけではなくて、コンテンツの充実もあるでしょうし、Wi-Fi等の環境の充実も必要でしょうし、これは小規模自治体の中でとりわけ重要な課題ではあると思うんですが、恐らく全体として、総合的な条件整備の中にも位置づけられるのかなと思いまして、必要な方策ですから、ここに入れておくとともに、ひょっとしたら全体として、「はじめに」なのか、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の在り方について、GIGAスクールあるいはAIをはじめとする情報通信環境の変化に対して、それをよりポジティブに活用して陰をなくしていくというか、そんな方向性を書けたらなというふうにも思うんですが、この辺りはいかがでしょうか。
 全てに満遍なくいろんな項目を入れるということはなかなか難しいので、「はじめに」の問題意識なのか、2の地方教育行政の在り方を考えていくときの前提なのか、その辺りに、今の学校教育のみならず、児童生徒、教師をめぐる環境について触れたいなというふうに思って、このキーワードを読んでおりました。
 私からは以上です。
 それでは、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑座長代理】  今の清原座長の御発言ですが、慎重にここの書き方をやらないと、特に小規模自治体の場合には、もうマストのものとして、それぞれ機動的な教育行政を行うためにマストなツールとして使っていくべきだという出し方を書こうということだと思います。しかし、一般のところにデジタル技術の活用を特出しみたいな形で書かれることになると、つまり、私が心配しているのは、ちょうどGIGAの端末更新の時期にもつながっていくことなので、それぞれの行政がしっかりと予算確保に動いていけみたいな形であり、そこである意味、教育格差のようなものが広がっていくことは、少々危険かと思います。GIGAスクール構想とICTを使った教育はほかのところでもやっていますし、もちろんこの中に書き込んでもいいと思いますが、あんまりそれが全面的に出るような書き方をされると、ちょっと違う形で捉えられてもいけないかと思います。それこそ自治体が頑張って予算確保してやっていきなさいよという取られ方すると、若干危険かなという気がしました。
 以上です。
【清原座長】  分かりました。留意したいと思います。
 それでは、梶原委員、お願いいたします。
【梶原委員】  私は今、小規模自治体の部分だけでお話しさせていただきますと、小規模は、僻地校同士の交流授業や複式解消の部分で積極的にデジタルを活用しています。また僻地校は、なかなか中心部に行くのに遠うございますので、教員研修にも活用させていただいているという状況ですので、デジタルの活用という部分については、小規模自治体の対応としては、具体的なそういうところがいいかなと思います。全体ではちょっとあれかもしれません。
 ただ、課題としましては、小規模自治体のデジタルの活用部分では、かなり市町村間で格差が出ます。ここをどうするかを。でないと、なかなか交流とかできないところがあって、そういうところの課題もいろいろありますけど、以上でございます。
【清原座長】  ありがとうございます。今のお話を伺っていて、戸ヶ﨑委員の御指摘もありまして、私たちが問題認識としてスタートしましたように、令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政というのは、やはり全国津々浦々、いわゆる格差なく、公正に適切に行われるためにどのような取組を推進していくべきかという基本的な認識を、「はじめに」あるいは2のところに書くということのほうが望ましいかなと思いますし、その格差をなくす意味でも、小規模自治体においては、これまで地理的な障害を克服するために、活発にデジタル技術も活用してきたということですから、それを支援することが有用であるというふうなことになるのかなと思います。ありがとうございます。
 それでは、岩本委員、お願いします。
【岩本委員】  ありがとうございます。3点ほどあるんですけども、1つ目は、2の地方教育行政の在り方についてのところで、先ほど言われたみたいに、やはりイメージが持てるということはすごく大事だなと、教育委員会の人間が見たときに、これからこういうことが必要なのかという。具体的にどういうふうにこれから取りまとめになるのか、ちょっと分からないんですけど、ぜひ、指導主事だとか教育委員会の関係者がここの在り方についてのところを見て、まず目指す方向性とかビジョンとかイメージが湧く、その先に方策に入っていくみたいなところで、うまく分かりやすくできるといいなというのが1点目です。
 2点目は、分かりやすさにつながるんですけども、いろいろ書かれる中で最後、国がやることと都道府県が特にやること、あと市町村教育委員会が特にやることみたいなのが、どこかでちゃんと少し整理されていたりだとか、市町村教育委員会がこれをやるのに都道府県教育委員会はどう関わっていくのかとか、やっぱり都道府県と市町村の役割違いますので、それぞれ一体どこの教育委員会のことを言っているのかみたいなのが途中段階なり最後なりにしっかりと整理されて、それぞれがどういう役割を果たすのかというのがここを見たら分かるというふうな感じになっていると、実際のアクションに結びつきやすいかなと思いますし、場合によっては、チェックリストじゃないですけども、各市町村や都道府県教育委員会が、自分たちは今どういう状態なんだろうか、ここができていなかったとか、ここをもっと伸ばしたいなとか、そういう形でちゃんと、漠としたイメージだけじゃなくて、自分たちを見直していけるような部分が何かあったりとかすると、これもアクションにちゃんとつながる、改善につながるために、そういうのがあるといいなというのが2点目です。
 最後、先ほどあった予算確保、お金の話です。教育投資をどう引き込んでいくのかみたいなところは、行政の中での予算の話だけにとどまらず、今日あったふるさと納税だとか寄附だとか、そういったところなんかも含めて、やっぱりリソース、特にお金というのは本当に重要なところですので、ここはここで、もうある種特出ししてでも、ちゃんとまとめたほうがいいんじゃないかというふうに思います。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。恐らく、2の「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の在り方について、しっかりとした方向性、ビジョンというものを書いた上で、じゃあそれを具体化するにはどうなのかということで3が書き込まれていくということですが、それを読まれる教育関係者や首長部局の方や、もちろん教員や指導主事、そしてコミュニティ・スクールなどに関係する人たちが読んだときに、では自分たちは何をすればいいのかということが分かるような構成、アクションを起こしやすいような、そういう構成にという御提案ですよね。しかも予算について、市長さんもこれが一番大事だとおっしゃいましたけど、自前でするときには鎌倉市の事例などをどこに入れるかというときに、学校支援のために教育委員会が果たすべき役割について入れるのか、全体としての、こうした政策を進めていくときの財源措置のようなところを項目としてつくるか、これは皆様の御意見聞きながら検討していくべきことかなとも思います。
 あと3分ぐらいになりましたが、今日の段階で、この資料3について、さらに御意見、御提案がおありになる方いらっしゃいますでしょうか。遠慮されずに、どうぞ思いついたことを今言っていただけるとありがたいんですが、大丈夫そうですか。
 それでは、このことについては、まだ本日、初見でございますので、ぜひこれをさらに読み込まれて、これまでの検討を振り返られて、この部分はどこに入るんだろうかとか、こういう提案をしたんだけれども、それが含まれるようにしてほしいとか、そういうお気づきの点がありましたら、随時に事務局までメール等でお知らせいただくとありがたいと思いますので、よろしいでしょうか、受け止めていただいて。事務局としては、この件についてはそれでよろしいですか、受け止めていただくということで。
 それでは、予定の時間となりまして、本日は戸ヶ﨑委員から、具体的ないじめ重大事案対応訓練についてのお話をいただいて、私たち大いに触発されました。その上で、学校教育をどのように支援することがよいのかということで、学校運営支援のために果たすべき役割についても深い議論ができたと思います。それをいよいよ取りまとめていく上での骨子の素案について、皆様から重要な方向性に対する御指摘いただきましたので、これをまた事務局と御一緒にまとめさせていただければと思います。本日も本当に活発な御議論ありがとうございます。
 それでは、本日の議論は以上にしたいと思います。事務局から連絡事項がありましたら、よろしくお願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  次回の本検討会につきましては、6月26日月曜日13時から予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
【清原座長】  それでは、以上をもちまして、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議(13回)を終了とさせていただきます。全国各地で思いがけず地震が発生したり、天候が不順でございます。どうぞ皆様、御健康に留意されまして、また6月、元気で皆様とお目にかかり、審議を深めたいと思います。本日はどうもありがとうございます。
 
―― 了 ――
 

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