「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議(第10回)議事録

1.日時

令和5年1月12日(木曜日)15時00分から17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. これまでの議論の整理について
  2. その他

4.議事録

【清原座長】  皆様、新年おめでとうございます。
 定刻になりましたので、ただいまから「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議第10回を開催いたします。
 本日は、新年早々の大変御多用の中、皆様に御出席いただきましてどうもありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をオンラインにて配信しておりますので、皆様、御承知おきください。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、事務局より、本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  お手元の議事次第を御覧いただければと思います。資料1、資料2として、これまでの議論の整理の概要と本体を御用意しております。また、参考資料1から4まではこれまでおつけしていたような資料ですが、参考資料5としまして、関連する事業の概要を新たにおつけしています。
 以上でございます。
【清原座長】  伊藤補佐、ありがとうございます。
 それでは、早速議事に入ります。
 本日の議事は、1、これまでの議論の整理について、2、その他の2点となります。この会議は、大きく4つの課題について議論することとしております。これまで、1、教育委員会の機能強化・活性化のための方策、2、首長部局との効果的な連携の在り方、3、小規模自治体への対応、広域行政の推進のための方策について議論してまいりました。4の学校運営の支援のために果たすべき役割については、今後議論を行うことを予定しております。
 さて、この1から3までのテーマは、地方教育行政を検討する上で大変重要なテーマであります。そこで、ここで一度、これまで皆様とヒアリングなどを行ったり、あるいは皆様から御発表いただいたりして議論を積み重ねてまいりました内容を御一緒に確認し、整理したいと考えています。なお、来週18日水曜日に中央教育審議会初等中等教育分科会の開催が予定されております。その場で、現時点の審議経過として、これまでの議論の内容を報告する予定になっております。
 それでは、事務局より資料の説明をお願いして、その後、皆様とテーマごとに区切って意見交換を行いたいと考えております。もちろん内容は関連いたしますけれども、まずテーマごとに区切って、皆様に改めてこれまでの審議の内容を振り返りつつ、新たに御意見をいただいていきたいと思います。
 それでは、まず、1の教育委員会の機能強化・活性化のための方策について、伊藤課長補佐より説明をお願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  それでは、資料1と資料2に基づきまして御説明したいと思います。
 まず、資料1でございますが、先ほど座長よりお話がありましたとおり、来週、初中分科会におきまして、この会議の審議の経過について御報告したいと考えております。その際に、時間の関係上、こういった概要資料で御説明したいと考えており、本日は資料2に基づきまして御説明していきたいと考えております。
 まず、おめくりいただきまして2ページ目でございます。(1)の教育委員会の機能強化・活性化のための方策についてでございますが、まず、それぞれのパートで目指すべき方向性について冒頭触れておりまして、この(1)についてでございますが、まず、1つ目の丸でございます。この会議体が「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた検討ということで、それに沿った形で記載しております。
 まず、各学校において「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実していくためには、教育委員会が、一つ一つの学校に対して個別最適な支援や指導等を行う役割を果たせることが重要である。そのような役割を的確に果たしていくためには、各学校の自主性・自立性に委ねた取組を促していく風通しの良さとともに、教育行政を取り巻く状況が日々変化していく中で、社会の変化に素早く的確に対応できる組織づくりが必要であるといったことを1つ目のポツで書かせていただいています。
 2つ目のポツでございますが、この点、教育委員会は首長から独立しておりますので、関係者との連携や組織の活性化等に意識的に取り組まなければ、教育行政が硬直的・閉鎖的になってしまうおそれもあるというところで、続いて3つ目のポツでございますが、教育委員会が風通しが良く、社会の変化に素早く的確に対応できる組織であるためには、教育委員会外の人材ですとか関係機関との連携を図るとともに、教育行政へのチェック機能を果たす教育委員が十分に活躍できる環境を整備するなど教育委員会の機能強化・活性化を図ることが必要不可欠であるといったことを記載しております。こういったことに取り組む必要があるのではないかということで3つほど挙げておりますが、事務局の機能強化、教育委員会会議の活性化、教育長及び教育委員の人選、資質・能力の向上について、これまで議論してきたような内容について書かせていただいております。
 3ページ目についてでございます。こちらから各論について、これまで検討してきた内容について触れさせていただいておりまして、特に赤字の点がこれまで議論してきた内容からの追加、変更点でございます。主な追記や修正ポイントに絞って御説明します。
 まず、教育委員会事務局の機能強化についてですが、1点目が職員の資質・能力の向上についてです。こちらは、1ポツで学び直しや教育現場での経験を積む機会について記載しておりましたが、3つ目の丸、赤字で記載しておりますが、教育委員会事務局には一般行政職採用の職員と教員出身者の職員がそれぞれ存在しますので、それぞれの特性や専門性、従事している業務内容等が異なることから、それぞれに応じた学びの機会を提供する必要があるのではないかということを記載しています。
 その下、一般行政職出身者と教員出身者の連携についてです。こちらも従来の記載に補足する形で、1ポツ、3ポツについて記載しております。特に内容についての大きな変更点はございません。
 4ページ目でございますが、1つ目のポツは先ほどの続きです。こちらは赤字で記載しておりますが、教員出身者と一般行政職出身者の連携について、実際に職員同士が議論や連携して一体となって業務できるような配置にすることが必要と考えられるといったことを赤字で追記させていただいております。
 その下、教育行政職の採用についてですが、ここも基本的に文言を補っているようなところでございますが、2つ目の丸のところで、国として、各自治体における教育行政職採用に関する事例を情報収集しつつということで、国が行うべきことについて記載を補足させていただいています。
 また、一番下のところにちょっとイメージが湧くような形で、教育行政職採用のイメージ図も追記させていただいています。
 5ページ目、6ページ目につきましては、教育委員会事務局の業務の役割分担に関する文部科学省の調査のデータです。
 7ページ目ですが、外部人材の積極的な登用についてです。1つ目の丸の3行目ですが、外部人材は、公務員にはない知見や専門性を有したり、常識にとらわれない発想で組織に変革をもたらし得る存在であるが、外部人材が活躍するためには、受入れ側である行政のサポートやフォローも必要不可欠であるといったことを追記しております。
 また、その下の丸でございますが、国として、外部人材を受け入れるメリット、留意点や実際の活用事例等について分かりやすく周知していくことが必要ではないかといった点についても記載しています。
 8ページ目でございます。教育委員会会議の活性化についてです。教育委員会会議のより一層の実質化について、上から3つ目のポツでございますが、オンラインを活用した教育委員会会議について、ここでオンライン会議システムの活用の必要性について補足する観点から記載を加えております。
 また、その下ですが、紋別市教育委員会さんにヒアリングを行いまして、その際に地域住民の理解や関心を得ていく姿勢が重要であるといった観点から御発表いただきました。そのヒアリング内容、御意見を反映する観点から、ここに記載を追記させていただいております。
 また、最後の丸でございます。こちらは国が行うべきことについて、前回複数の御意見をいただきました。1つの御提案といたしまして、ここで各自治体の取組に資するような形で国としても事例等を情報提供するとともに、教育長や教育委員が自らの教育委員会の取組を適切に振り返り、改善に向けた取組を行うことができるよう、チェックリストなどを作成し、これを各種研修等の機会も活用して周知することが考えられるのではないかといったことを記載しています。
 9ページは、教育委員会会議の運営上の工夫等についてデータを掲載しています。
 10ページでございます。こちらは教育長、教育委員の人選、資質・能力の向上についてです。1つ目の丸ですが、人選について、首長と議会双方の責任をもって行う必要があるといった原則論について改めて記載させていただいております。
 2つ目の丸ですが、教育委員が自ら教育委員会においてどういった権限を有するかなどについて、十分な情報を把握していることが重要であるといったことが書かかれておりまして、それに追記するような形で、教育委員会の職責や権限などについて国として整理を行い、各種研修等の機会も活用しつつ分かりやすい形で周知する必要があるのではないかといったことを書かせていただいております。
 また、その下でございます。こちらは、教育長の資質などについて記載を少し追記させていただいておりまして、教育長は、法令上、単に教育に関し識見を有するだけではなく、教育行政に関する識見を有することが求められているといったところでございまして、その下、「また」と書かれておりますが、教育行政を取り巻く社会状況が日々変化する中で、学校教育以外の分野の動向を把握し、これを教育行政に適切に反映していく感度の高さや柔軟性も求められると考えられるといったことを記載しております。
 11ページでございます。このような高度な専門性や識見が求められる教育長に適任の者を任命するために、首長において把握しておくべきこととしてもろもろ記載しておりまして、その下の丸でございます。行政職出身者、教員出身者、民間企業出身者ごとにそれぞれ想定されるメリットやデメリットのようなものを一般論として記載しております。
 また、将来的に教育長を担い得る人材を中長期的に育成していくことも重要であると考えられまして、職員に積極的に教育行政の経験を積ませることですとか、資質・能力の向上を図る過程で教職大学院への学び直しの機会を積極的に提供したり、行政職の採用を図ることもこういった人材の育成に資するのではないかといったことを書かせていただいております。
 また、特に小規模自治体を念頭に、教育長の人材確保が難しいといった課題もございますので、例えば他自治体の教育長経験者で成果を上げた者などの人材を外部から抜擢することですとか、都道府県から助言を得るといったことを一つの工夫として記載しております。
 また、一番下でございますが、教育長に着任してからも、自身の知識・経験のアップデートを図ることが重要であると考えられまして、各種研修への参加のほか、教職大学院において、教育行政のリーダーを育成するような取組も見られますので、こういった取組に積極的に参加していくことが必要ではないかといったことを記載しております。
 12ページは、教育委員会会議の運営上の工夫等について参考でデータを掲載しております。
 (1)につきましては以上でございます。
【清原座長】  御説明ありがとうございます。
 皆様と御一緒に教育委員会の機能強化・活性化のための方策については検討を重ねてきました。委員の皆様の御報告、そしてヒアリング対象者による御説明を受けての意見交換などで、かなりの論点を整理してきたと思います。そこで、今の御説明を踏まえまして、改めまして(1)の教育委員会の機能強化・活性化のための方策について、新たな御意見を御発言いただいてもよろしいですし、資料の何ページのこの部分はより重要であるとか、こうした具体的な方向性があるのではないかというようなことで結構でございます。どなたからでも結構でございますので、挙手ボタンを押していただくか、その場で手を挙げていただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑座長代理】  今年もよろしくお願いしたいと思います。
 今さらという感じがありますが、各教育委員会の積極的な取組を促していくためには、やはり各教育委員会が自らの取組を適切に振り返る機会を確保して、適切にPDCAを回していくことが重要であると改めて感じています。これまで、何度か国の役割についての問題提起はありましたが、最終的なこの取りまとめに書かれるようなことについては、教育委員会が自らの取組を適時適切にリフレクションできるような仕掛けが必要であるとともに、国に任せきりではなく、主体的に自らを評価できるようにしなければならないと考えています。
 例えば、この資料等にもありますが、国において特に改善のポイントとなる取組等を示していただいて、教育長や教育委員が自らの教育委員会の取組を改めて見つめ直せるリーフレットを作成したり、これは令和の時代にそぐわないかもしれませんが、その中にチェックリストを設けたりするなどして、周知するような取組も考えられると思います。
また、このチェックシートは、首長と教育長と教育委員それぞれがセルフチェックできるものに留まらず、それぞれが異なった視点から被評価者となって互いに相互評価ができるような構成であるとよいのではないかと思います。
【清原座長】  ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。すなわち、各教育委員会が主体的に自らの取組についてPDCAサイクルを回すとともに相互評価するような、そうした主体性を尊重しつつも、より客観性を担保する仕組みをつくっていくことが重要であるという御指摘でした。ありがとうございます。
 それでは、ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。どうでしょう、どの角度、どの論点からでも結構でございます。事務局で整理していただいた項目も、多くの項目が列挙されております。
 それでは、小﨑委員、お願いいたします。
【小﨑委員】  小﨑です。本年もよろしくお願いいたします。
 ちょうどこの会議を始めた頃に、私は全国の指導主事に「今はどんな状況ですか」というのを質問したんですけど、それぞれの自治体の規模のこととか、地域性のこととかで悩み事は多様だけれども、その地域の課題だよねということと、これは北海道から沖縄まで共通だよねというようなことで幾つか整理できそうなことが見えてきたように思います。もし、まとめとか提案とかいう何らかの形にするときには、こういうことは全国共通の課題としてあって、こういうのは中規模自治体のところの悩み、小規模のところの悩みですよね、ということがあればいいと思いました。後のほうで小規模自治体のという項目としてあるので、それでクリアできるのであればあえて分けなくてもいいんだけど、それが意識されているような書きぶりがあれば、「あっ、これはうちのことだよね、こうだよね」というのが分かってもらえていいのかなと思ったのが一つです。
 もう一つは、結構、指導主事なり教育委員なり、私も教育委員会事務局で10年以上働いたので、中にいてると、これはなぜこうなんだろうとか、もっとこうしたらすごくよくなるのにというような、「こうしたらいいのにな」と思っていることが結構たくさん出てくるんですね。ただ、なぜそうなっているのかという事情をしっかり聞いてみたら、「ああ、それは難しいんだな」、「あっ、こういう事情があったのか」と理解してはいくんだけれど、それで結局みんな、いい意味で言わないというか、仕方ないよねと諦めているところがあるので、できるかできないかは別にして、今の課題はこうだよねということをお互い言えるような形が、教育行政には必要ですよねというようなメッセージがどこかに含まれていたらいいのかなと思いました。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。確かに教育委員会と一言で言ってしまっても、指定都市のような大規模な自治体もありますし、人口が数千人の町村もあるわけでございますから、教育委員会の在り方を示すときにも一定の類型化というか、そういう視点が必要ではないかという御指摘。それから、教育委員会が共有すべき課題についてオープンに話し合えるような場づくりもというような御提案でございます。ありがとうございます。
 それでは、次に村上委員、そして青木委員、岩本委員の順でお願いいたします。
 村上委員、お願いいたします。
【村上委員】  村上です。皆様、今年もよろしくお願いいたします。
 私は事務局に対する質問になるかと思いますが、まず、多岐にわたる意見を適切に的確に取りまとめいただいた事務局の皆様に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 その上で質問ですが、あるいは清原座長にお答えいただくかもしれないんですけれども、取りまとめのイメージというのがどういう形になるのかということによってこの資料2をどう見るかということが変わってくるので質問します。最終的なアウトプットというのは、資料2を文章化して報告書のような形にまとめるというイメージでよろしいのでしょうかということをお伺いしたいと思います。
 関連して、今までの意見というのが参考資料4で毎回の意見の積み重ねたものが載っているんですけれども、こちらは最終的な取りまとめのときに、例えば参考資料という形で公表をするのかどうかということも併せてお伺いしたいと思います。
 というのは、資料はどうしてもポイントになっているので全ての意見が載っているわけではないということがあります。例えば私が意見を申し上げたところで言うと、法改正に関わるようなところ、例えば教育長の承認に教育委員会が関与したほうがいいんじゃないかということを申し上げたんですが、そうした点は入ってなくて、割と運用上の工夫に特化して資料2のほうは取りまとめがなされていて、それは他の委員の方から御意見がなかったということももちろんあるかもしれないんですけれども、例えばこうした参考資料4に書かれてあるようなことが参考資料としてあるのであれば資料2はポイントのみでもいいと思うんですけども、その辺りの取りまとめのイメージというのがどのような感じになるのかなということをお伺いしたかったということです。
 質問の意図が伝わっているかちょっと自信ないんですけども、以上になります。
【清原座長】  村上委員、大変重要な御質問をいただいたと思います。他の委員の皆様も、私たちが検討してきたものをこれからどのようにまとめて、どのような対象にどういう手法で発信していくかということは極めて重要ですし、それはぜひ委員の皆様にも建設的な御提案をしていただいて、私たちの検討が訴求力を持って現場の課題解決に届くようにしていきたいと私自身は思っております。
 そこで、今の村上の御質問について、事務局としては報告書というか提言書というか、私たちは諮問を受けて始めているわけではないので、一応検討の取りまとめの形はイメージしながら意見交換していくということも重要だと思いまして、現時点のイメージについて、堀野課長でしょうか、伊藤課長補佐、どちらがお答えいただけますか。では、伊藤課長補佐、お願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  現時点のイメージでございますが、村上委員からおっしゃっていただいたとおり、資料2には割とポイントに絞って記載しております。これは受け取る側の自治体として、多様な意見が集約された形ですと少し咀嚼が難しいかなというところもあって、資料2はポイントに絞った形で記載しています。今回の資料で言いますと参考資料4という形で委員の御意見をまとめたような資料についても毎回お配りしておりますが、委員の皆様の御意見が自治体へ周知する際にも伝わるような形で、資料の取扱いについても今後検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
【清原座長】  まず、報告書としては項目を列挙するようなものではなくて、文章として一定の報告書、あるいは提言書みたいな形で発表する見込みでしょうか。あるいは、今回のように要点を列挙した分かりやすいポイントのような形で発信するのでしょうか、その辺はどうでしょう。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  現時点では、今お示ししているような形で、少し自治体が分かりやすいような形でお示ししたほうがよいのかなと考えておりまして、現時点で自治体にヒアリングした事例なんかは載っていないんですけれども、これに事例もおつけして示すとポイントがより分かりやすいのかなということはイメージとして持っていす。
【清原座長】  村上委員、今、現時点の事務局としてのイメージでございますが、それをお聞きになって、何か御提案とか御意見があれば、どうぞおっしゃってください。
【村上委員】  ありがとうございます。趣旨はよく分かりました。
 これは、個人的な意見ということで申し上げたいんですけれども、資料2のような要点を関係者、特に教育委員会の関係者に分かりやすく伝えるということはあっていいというか、あったほうがいいと思いますが、検討するべきなのは、調査研究協力者会議という形態だといろいろなやり方があり得るとは思うのですが、個人的には文章のものもあってもいいのかな、でも一方でお手数をおかけするというか、事務局にも御負担をおかけすることではあるんですけども、文章でもあってもいいのかなというのが個人的な意見です。
 もう一つ申し上げると、これまでの委員の意見も参考資料としてはあったほうがいいのではないかということです。これはもちろん個人的なお一人だけの意見ということも含まれるんですけれども、2013年の中教審のときも、書いてあったことが結果的に現実の改革に生かされるというようなことが幾つかありまして、アイデアとして載せておくということもあっていいのではないかと個人的には考えておりますが、この辺は委員の皆様や、それから事務局の皆様の御意見も踏まえてということになるかなと思います。
 以上です。
【清原座長】  今、村上委員から、本日項目別にさらに意見交換を深めていく段階において、取りまとめのイメージについて御質問いただきまして、今やり取りがありました。
 私としては、ただいま村上委員も言われましたように、この間、各委員の皆様が提案された御意見や改善の方向性については、参考資料として本日はお配りしておりますが、これは一つひとつ丁寧に皆様に確認していただきながら積み上げてきたものでございます。したがいまして、私たちの調査研究協力者会議においてこの積み上げてきた内容というのは大変有意義なものだと思っております。いずれにしましても私たち調査研究協力者会議の一つの成果の形として、各回の意見交換を取りまとめたものについては公表する方向が望ましいのではないかなと思いますが、この点についてだけ、皆様、今、すみません、ミュートを外していただきまして、御意見がありましたら、あるいはその方向性で検討していくことについて、もしよろしければ、いかがでしょうか。うなずいてくださっていますが。
 そして、文章化していくかどうかについてはもう少しお時間をいただきまして、私も経験的に、文章化した答申であっても、結果的にはパワーポイント画面の1枚あるいは2枚に要約したものが一番流布されて共有されるというようなこともあります。村上委員もおっしゃってくださったように文章化には一定の時間がかかるかもしれませんけれども、その労を惜しむことは事務局にはないと私は考えております。ただ現時点では今日配付させていただきましたような論点が明確になっているものをまずは積み上げていって、その上で最終的な発信のときに文章化するかどうかは、さらに皆様の御意見とともに確認して、よりよい訴求力のある方向で私たちが発信できればと思っております。
 では、重要な問題提起をいただきましたが、現時点では次にまた検討するということをお約束して、ほかの委員の皆様の御意見に移りたいと思います。
 それでは、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  青木です。まず、1つコメント、それから後で1つ具体的な提案です。
 1つ目は、ここの1の論点で、特に執行機関としての教育委員会という、その構成主体としての教育委員なり教育長としての自覚を促すという書きぶりがたくさんあって、これは大変いいことだなと思います。というのも、新教育委員会制度に移行してから、ともすれば教育委員の力が弱まったというような認識、誤解が広がっていたわけですけれども、執行機関として残された意味というのは大事だということだと思います。さらに、いじめ防止法などを見ますと、以前よりも教育委員あるいは教育委員会の役割というのは明確になって、とても重い責任も負っていますので、その意味でもこうした書き方はいいことだなと思いました。
 それから提案は、11枚目の3つ目のポチなんですが、教育長さんになられる方というのは、必ずしも教員籍の方ばかりではありません。むしろ多様な人材を登用していくという趣旨だと思いますので、ここに学び直しの場として教職大学院とだけ書いてあるんですが、ここは教職大学院等としておいたほうがいいのではないかと思います。例えば公共政策大学院ですとか一般の大学院等もございますので。
 私からは以上です。よろしくお願いいたします。
【清原座長】  ありがとうございます。確かに御指摘のとおり教育委員会の執行機関としての意義というのを踏まえた意見交換をしてまいりましたし、また必ずしも教育長が教育経験者ということだけではなくて、多様なということであれば「等」を入れるだけでも広がりますし、あるいはもう少し具体的な教育機会を含めてもいいかもしれません。ありがとうございます。
 それでは、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。よろしくお願いします。ここまでの議論の整理、本当にありがとうございます。
 前回、これを整理していくに当たって、じゃあ、国としてできることはどういうことがあるのかというような意見が幾つかあって、私もそれに賛同するところですので、じゃあ、ここで国としてというところが幾つか今までの議論をさらいながらありますので、そこに関して意見させていただけたらと思います。
 1つ目は、一般行政職と教員出身者の連携というような辺りに関してです。今、学校では教職員などが専門性を発揮し、本来の職務に集中できるようにするためにということで、事務職員や教諭の標準的な職務の明確化に関わる参考例というのを国でつくられて、通知、周知しているというところがあるかと思います。こういったような形で、例えば指導主事などがその専門性を発揮して本来の職務に集中できるようにするために、指導主事等の標準的な職務の内容及びその例を参考例として明確化して、国として周知していくことが必要ではないかというのが1つ目です。
 大きく2つ目は教育委員会の事務局職員の資質・能力の向上に関して、ここもいろいろな議論があったかと思います。その中で、私、3つほど拾ってきましたけども、1つ目は、教員に関しては、例えば教員の資質・能力の向上に関する指針だとかガイドラインで教員育成の体系的なものというのをつくっていますが、これが教育委員会の職員のほうにはないですので、例えば指導主事や教育行政職員に求められる資質・能力及び育成指標などを明確化していくとともに、体系的な研修育成に関する参考例やガイドラインなどを整えて周知し、共有していくというようなことも国としてできることが一つ必要ではないかということです。
 2つ目は、新任の教育委員さんだとか教育長さん、あと指導主事や教育行政職員などの研修機会の充実というところは皆さん意見があって、まさにそうだと思いますし、研修の充実に加えてあった意見ですが、相談や学び合いができるような全国単位の例えばオンライン上のコミュニティだとかプラットフォームみたいなものを構築していきながら、なかなか相談できる相手がいないとか、学び合いみたいな機会というのが少ないという声がたくさんあったかと思いますので、そういう全国単位の動きみたいなものを国として構築していくということも必要ではないかというのが、これに関する2点目です。
 3点目は、教職員の意欲を高めて資質・能力の向上を図るという目的で、文部科学大臣による優秀教職員表彰というのが毎年開催されているかと思います。そういったものが教職員向けにあるように、指導主事や教育行政職員の意欲や資質・能力の向上を図るための表彰、もしくは優秀教職員表彰において、場合によっては指導主事だとか教育行政職員の枠といったところもつくっていって、なかなか光が当たらない、当たりにくいところですけども、本当に全力で頑張られている教育委員会の事務職員はたくさんいますので、さらにその意欲を高めたり、知見や資質・能力の向上、知見の展開だとかも含めて、こういったところも国としてできることなのではないかというところで、今までの議論を拾いながら、国としてというところでの記述でこういったところも追加できるのではないかということでお話しさせていただきました。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。私たちは地方教育行政を検討しておりますが、その充実、向上のために国ができることについてのご意見ということです。
 ここで堀野課長、よろしいですか。今、岩本委員から、例えば指導主事や、あるいは新任の教育長とか教育委員さんに対して、できる限り支援するための参考例だとか、あるいは指針だとか、さらには、特に小規模自治体の場合にはなかなか研修といっても難しい中、広域的な連携の中で相談とか交流できるような取組みについての御提案ですけど、その辺りの展望はいかがでしょうか。
【堀野初等中等教育企画課長】  堀野でございます。
 いろいろ御指摘をいただきまして、確かに全部標準モデル例として国が示すのがいいのか、ベストプラクティス形式がいいのか、それは物によってちょっと検討は要ると思いますが、典型的に現場で、まず指導主事の方々は、最初指導主事になったときは初めての行政だと、行政職の1年生だということになってしまって指導に行く時間がないというようなことに陥りがちですので、現場の指導をしてこその指導主事で、指導がなくなっちゃったらもうただの事務職員になっちゃいますので、そういったときに指導主事の心構えみたいなところでよくある注意点としてきちんと指導するとか、現場に行ったら、たとえ目の前に先輩の校長がいても、それは教育委員会を背負って来ているんだからきちんと御意見、助言をさせていただきますというような姿勢で臨まなければいけないし、現場の学校で起こったことは教育委員会の自分のところで起こったことで、あっちの校長先生の場所で起こっているということじゃなくて自分事なんだということだとか、そういう基本的に気をつけなければいけない点というのは共通的にあると思いますので、そういったものをしっかり示していくということは我々も考えていきたいと思います。
 また、教育委員さんは御指摘のとおり執行機関の一員だとはいえ、なかなか立ち位置が、自分でどこまでやっていいのか分からないという方が多いのは事実でございまして、そういった意味で、今実際に教育委員を集めた全国的な研修会みたいなこともやってはいるんですけれども、そうしょっちゅう顔を合わせられるわけではないので、もう少し意見交換が気軽にできるような仕組みがあるのかなというところは少し考えさせていただきたいと思います。
【清原座長】  突然ですみません、ありがとうございました。
 第1番目の論点で皆様からいろいろご提案をいただきましたので、担当の課長さんとのやり取りも含めさせていただいておりますが、お待たせいたしました。梶原委員、お願いいたします。
【梶原委員】  ありがとうございます。皆さん、またよろしくお願いします。
 全体的にきちんとまとめていただきまして、ありがとうございます。特に10ページ、11ページは、我々教育長として、ちゃんとやらんといかんなというところを思った次第でございます。
 全体的にまとめていただいたので、ちょっと感想と今後についてですが、閉鎖性とか連携というところがキーワードで出ているようでございますが、これは今から私ども教育委員会が社会の動向を意識しながら、社会とともに開かれた教育委員会といいますか、教育委員会がどういうことをやっているかということを社会に見えるようにしなくてはいけないかなと、このまとめを見て感じたところです。
 ということは、説明責任といいますか、教育委員会の説明責任、アカウンタビリティを果たさなくてはいけないなということで、そこ辺りが少し説明責任という形で、手段はいろいろありましょうけど、そこはもう少しやっていかないと教育委員会の今後の信頼性とか、首長部局と連携するとか、社会とのつながりの中で信頼を獲得することが大事かなと感じたところです。
 もう一つは人材育成のところにつきまして、教師と教育出身、自治体の職員という視点がありますけど、もう一つ、学校事務職員の、県教委は交流していますけど、市町村との学校事務職員の交流も一つ大事かなと感じたところでございます。
 今、感想と、もう一つ反省も入れまして述べさせていただきました。ありがとうございました。
【清原座長】  ありがとうございます。ただいま御指摘のアカウンタビリティ、説明責任、そして開かれた教育委員会という方向性は皆様の出発点で、私たちの中で共有できている部分だと思いますが、改めて梶原委員から御指摘いただいたので、もっと明確にそういう方向性を示していったほうがいいかなと再確認させていただきました。ありがとうございます。
 それでは、藤迫委員、お願いいたします。
【藤迫委員】  皆さん、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 うまいことまとめていただいているなと思いますので、私のほうからも感想的にはなるんですけども、今この時期だからということで、特に毎年この時期になると思うようなところを感想で述べたいと思います。
 教育委員会の機能強化・活性化といいますと、教育委員会そのものと教育委員会事務局の2つの切り口があると思うんです。教育委員会については、私らはもうずっと言い続けているんですが、教育委員は評論家であってはならないということで、この10ページにも書いていただいていますように、まさに執行機関たる教育委員会の意思決定に対する責任を有するものだということで言い続けています。なので、誤解のないように申し上げますと、うちの教育委員会は結構それができているんですが、何が言いたいかというと、来年度予算に向けて「こんなこともしたらいいよな」、「あんな人がいたらいいよな」ということじゃなくて、選び捨てることを教育委員としてしなければならないということです。だから、こういう人がいるべきだ、じゃあ、今までいたこの人らはこの職種は辞めてもらおう、あるいはこの予算をつけるべきだ、じゃあ、長年やってきたこの政策はこの際やめるべきだという決定をしないと、評論家のように「こんなことがあったらいいよね」、「こんなこともしたいよね」では駄目ですよという、そういう力を教育委員さんにはつけていただきたい。そのためには、事務局は正しい情報をできるだけ多く教育委員に伝えて、その判断材料を提供しなければならないというように思っているのは教育委員会のほう。
 それから、教育委員会事務局のほうは、これはもう毎年この人事の時期に悩むんですが、やはり戦略的な人事がなかなかしにくい。先ほどから出ていますが、私は事務局の機能強化・活性化は指導主事が占めていると思っている派なんで、指導主事を育てていくということが必要なんですが、管理職不足というようなことがあって、人事はどっちかというとパズルのようになってしまっている、そこをもう少し戦略的な人事で強化していくことが大事だなというのが、この時期ならではの教育長としての感想です。
【清原座長】  重要な御指摘だと思います。私たちは絵に描いた餅のような内容ではいけないと思っていて、やはり今、藤迫委員が言われたような現実を踏まえたものであるべきです。あれも欲しい、これも欲しいというようなことでは教育行政も進まないと思いますから、しっかりとした判断、決断をするための適切な情報と、そして必要な決断力と、限られた人材の中での戦略的な人事を、ということでした。
 それでは、少し第1のところで私も含めて力が入ってしまいましたが、次の2番目のテーマにここで移らせていただきます。2番目のテーマというのは、教育委員会と首長部局との効果的な連携の在り方についてでございます。
 それでは、伊藤補佐、御説明をお願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  それでは、資料2の13ページから御覧いただければと思います。(2)の教育委員会と首長部局との効果的な連携の在り方についてでございますが、ここも同様に目指すべき方向性について記載しております。
 基本的には(1)で検討した流れをくみまして、社会の変化に素早く的確に対応できる組織づくりを行うためには、組織内に閉じた対応を行うのではなく、教育委員会外の人材や関係機関との連携を図ることが必要であるといった必要性について触れております。
 連携の一つの方策といたしまして、総合教育会議などを活用して首長や他部局との連携を図ることも重要であるといったことを記載しています。
 総合教育会議の意義についてそのあと記載しておりまして、総合教育会議は、首長と教育委員会が円滑に意思疎通を図り、教育の課題及び目指す姿などを共有しながら連携して効果的に教育行政を推進していくための会議ですが、教育委員会だけでは解決し切れない分野横断的な課題が多く存在する中で、首長との連携を図りながら教育行政を展開することが可能となるといったところでございます。また、専門家の配置や組織改編などにより、社会福祉等の他の行政分野との融合を図っていくことも考えられるといったことについて記載しておりまして、その方策として総合教育会議の充実、あるいは関係部局との連携の促進について、大きく2点触れています。
 14ページを御覧いただければと思います。またこちらから(2)の各論について触れておりまして、まず最初に総合教育会議についてです。1つ目は総合教育会議の活性化についてでございまして、1ポツは外部有識者などの参画の重要性ですとか、2ポツ目については専門的な議論を深める検討の在り方について触れておりまして、4ポツ目は赤字で記載していますが、国としてできることの一つの御提案といいますか、外部有識者の参画も含めまして、各自治体における総合教育会議を通じた連携に関する取組について、国として、事例創出・横展開も含めて積極的に支援していくべきではないかといったことを記載しています。参考資料5に予算事業を資料として御用意しておりまして、まだ予算成立前ですが、こういった事業も念頭に好事例について今後支援していければと考えています。
 15ページを御覧いただければと思います。総合教育会議の事務局については、これは文言を補足するような形で記載を追記しています。
 その下の総合教育会議の開催頻度についてです。まず、1つ目ですが、文部科学省の調査では、過半数の自治体で年間の総合教育会議の開催回数が1回以下となっておりまして、必ずしも教育委員会と首長との連携が図られていないにもかかわらず、開催頻度が低調となっている自治体もあると考えられます。
 その下でございますが、開催頻度自体は、各自治体が抱える課題等の個別事情に応じて決められるものでございますが、各自治体の取組に資するように、どのようなテーマでどのような成果が上げられたかを含めて、各自治体の取組について積極的に情報提供していくことが必要ではないかといったことを書かせていただいております。
 また、定例会だけを念頭に開催を考えると議論が形骸化するおそれがありますので、大きな課題が生じた際には、まず、総合教育会議の開催の必要性を検討するといったような姿勢で臨む必要があるのではないかといったことについても記載させていただいております。
 16ページと17ページにつきましては総合教育会議の状況や議題について、参考でデータを掲載してございます。
 18ページでございます。ここは大きな記載の変更はございませんが、関係部局との連携の促進についてもともと記載しているところでございます。2ポツ目はつなぎの文章として記載しておりますけれども、従来、福祉部局や子育て関係部局等について重点的に記載しておりましたが、ほかにも地域振興ですとか産業振興など様々な分野が考えられますので、そういったことについても冒頭で記載しております。
 最後のポツでございますが、今後、専門家の配置や職員の併任、組織改編による機能集約、こういった点につきまして、その事例や効果などについて広く周知することが考えられるのではないかといったことについて記載しております。
 (2)については以上でございます。
【清原座長】  御説明ありがとうございます。教育委員会と首長部局との効果的な連携の在り方について、これまでの文部科学省の調査による実態なども踏まえてまとめたところでございます。この点について、皆様から御意見をいただきたいと思います。どうぞ、御意見のある方は挙手ボタンを押してください。
 それでは、吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 私は、常々首長部局と教育委員会部局というのは、制度というのがあって初めて会うのではなくて、ふだんから意思疎通をしげく図るということがすごく大事だということで思っております。実は、例えば私と教育長は、何がなくても必ず月曜日の朝は一緒にお茶を飲みながら、副市長あるいは総務部長、企画財政部長の5人で、とにかく何がなくても朝8時半には集まって、30分間お茶を飲んでいろいろお話をするということをやっております。ずっとこれは続けています。こうやって顔を合わせるというのは非常に大事だと思うんです。
 私もちょっと残念だなと思うのは、総合教育会議の頻度が、うちの市はコロナでいろいろありましたけど、年3回のときもありましたけど、基本的に年4回はやっているんです。年4回やっているだけじゃなくて、何かあると会うということは、これはなるべくしげく会うような形。
 実は今日も一つ、うちのほうではふれあい教室という名前で呼んでいるんですけども不登校のお子さん方を支援する、うちの市と周辺の町と一緒にやっている、適応指導教室ではないんですけども、ふれあい教室といって学力の低下を招かないようにということで、学校に復帰するためのことを目的とした不登校児のための学校があるんですけども、この建物が大変老朽化していまして、それをどうしようかということで、実は教育委員会部局とうちの市長部局の企画課で連携を取って、市内にある大学の施設の一部をお借りすることができるようになりました。これは、やっぱり普段から教育委員会部局と市長部局の、実は企画課がうちの場合は総合教育会議の事務局をやっているんですけども、普段から顔を合わせていると。小さな7万人の市ですから、教育委員会部局の事務方に市長部局の事務方が行くというか、人事異動でどんどん回ってはいるんです。学校の先生方で指導主事で入ってこられた先生方と一緒に協調してやっているという状況ではございますけども、小さな自治体だからできるのかもしれませんが、とにかく顔を合わせるということはすごく大事だと思っております。ですから、頻度が少ないというのは、もっと何がなくても会うみたいな形というのは、私はあってもいいんじゃないかなと。もちろん形骸化としてはいけませんけども、しかし回数は、やっぱり年に1回ではあまりにも少な過ぎるんじゃないかなと、これは首長と教育長の意識が問われるんじゃないかなと、私はあえてここで申し上げたいなと思っております。これは国が言うと自治体に対してどうなのかという話になってしまうのですけども、例えばこういう会議の中ではもっと増やしたほうがいいという強い意見が出たというようなことでもきちんと記録しておいていただいて、ぜひ促していただくことって大事じゃないかなというように思っているんです。それが1点です。
 もう一つなんですけども、ただ会っているだけで危機的な危機管理の状況のときにうまく機能するかというと、平常時はいいんですけども、例えばいじめなどの重大事案であるとか、あるいはいろいろな学校を取り巻く問題が起きたときに、このときの危機管理体制というのは実はすごく大変なわけです。これはもう御経験されている教育長の先生方もいらっしゃるでしょうし、首長もいらっしゃる、清原座長も多分いろいろな御苦労があったと思うんですけど、うちのまちも、例えば去年、5歳児の虐待死事件がありました。これは非常に残念なことで、検証委員会の検証がもう少しで終わって、またその結果について我々はどうすべきだったのかということについてはきちんとはっきりと外に向けて発信していかなければならないんですけども、これがもし5歳児じゃなくて6歳児、7歳児だったら学校が絡んできただろうなというように思うわけです。5歳児で保育園だったんです。保育園のありよう、市のありよう、県の児相のありようはどうなのかということを今検証しているわけですけれども、これがもし6歳児、7歳児だったら学校が絡んでくるわけでございます。学校の先生方も教育長も矢面に立たなければならなくなってくるわけです。
 実はうちのまちでは、これは15年前ですか、中学校の生徒さんが自殺するという大変残念な事件がありました。このときは当時の教育長が非常に御苦労されました。危機管理体制のときというのは、対市民はもちろんですけども、対全国なんですね、これはマスコミを通じて。そのときにどういう対応をするかということについてはすごく暗中模索があります、これはどの自治体も大変な状況があると思います。もちろん自治体の不作為というものについては反省し、検証して直していかなければならないと思いますけども、とにかく一度にマスコミが押し寄せてくるわけですから、そのときの対応というのは非常に大変なんです。だから、そういう危機管理体制のときに危機管理をどうすべきかということについては、これはやっぱり一基礎自治体だけじゃなくて、例えば県全体の知見をためておくとか、そういうことが非常に大事なのではないか、いろいろなマニュアルとかを作って、どうやって対応すべきかということについて普段から研修等をしっかり積んでいくということが大事なんだと思うんですけど、そういう研修の機会等はあまりないように思います。起きてしまった自治体を見ると大変だなというように思っているんですけど、明日は我が身かもしれない。問題は問題としてきちんと向き合って解決しなくてはいけないのは当然ですし、しっかりと公開してやっていかなければならないのは当然ですけども、しかし現実はバッとマスコミが来られてその対応にも大変苦労する、ちょっと言葉を間違うと、その部分だけが切り取られるような形で全国に流れる、そうなると何が起こるかというと、全国から電話がかかってくるわけなんです。教育委員会であれ、市長部局であれ、対応する課はそれだけでパンクしてしまうんです。非常に職員も疲弊してしまう。こういうことにどう対応すべきなのかということについてはいろいろな知見に基づいて、専門的な人材を育てることも必要ですし、情報共有する中でマニュアル等を作っていくことも大事ですし、我々も研修を積んでいくことも大事です。
 ですから、そういう意味では、普段から教育委員会と市長部局がしげく意思疎通を図ることはもちろんですけども、こういった危機管理のときにどうすべきかというのは、もう少し専門的な知見をどうやったら基礎自治体がしっかり持って、基礎自治体の教育委員会がちゃんと持って対応することができるかということについてしっかりとした考察、そして実効的な事業というか制度設計というか、必要かなと感じているところでございます。
 以上でございます。
【清原座長】  吉田委員、ありがとうございます。何よりも総合教育会議の開催数の増加をいうことです。もちろんただ回数が多ければいいというわけでありませんが、年に1回だけというのはちょっとどうか、という本当に率直な御意見がありました。ただいまの危機管理について、教育委員会と市長部局が日常的な関係も含めつつ対応をしていくということは極めて重要です。子供に関わる、あるいは学習者に関わる重大事案だけではなくて、水害とか地震の災害時において教育委員会と市長部局は市民の命を救うためにも連携が求められるわけですし、何らかの犯罪やそうしたものに巻き込まれたときにも当然危機管理ということについて、リスクマネジメントという点についても、ぜひ私たちは教育委員会と市長部局の効果的な連携の中に明示していきたいと思います。
 それでは、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑座長代理】  前回も申し上げたと思いますが、このいじめ重大事態など教育委員会だけで処理できない事案が生じた際には、教育委員会会議で教育委員を含めてしっかりと対応を検討するということは至極当然として、総合教育会議等を通じて首長と連携して対応していくということが極めて重要です。
 いじめ問題等については、関係機関や首長部局との連携は必須であって、特にいじめ防止の観点については、首長部局と教育委員会で連携して同じベクトルで施策を講じる必要があります。そのために、総合教育議会はもちろん、いじめ防止対策推進法の第14条に掲げられている「いじめ問題対策連絡協議会」の活性化などを通じて、日頃から関係者が連携を密にしておく必要があります。
 また、特に昨今、いじめ対応について、教育委員会に教員出身者が多いので、どうしても学校寄りの対応がされる傾向にあるのではないかという指摘があります。そのときに「第三者性確保」や学校外からのいじめ防止対策アプローチの確立の必要性も問われていると思います。
 本市の例を挙げて恐縮ですが、本市では教育委員会のほうで、弁護士でもあり教育学が御専門の方を「教育委員会ロイヤー」という形で委嘱し、日常的に学校や教育委員会の相談に乗っていただいております。その際、その方からの御指摘で、教員の出身者は「教育的思考」に偏りがちであるとの厳しい御指摘を受けております。そのことを受けて、令和2年度から、私を含めて教育委員会事務局職員対象と、市内の全ての小・中学校の教員を対象に「教育的思考と法的思考について」と題した研修を別個に実施し、実際に発生した具体的な事例を基にしたロールプレイで、指導主事や教師の法的な思考力の育成に努める取組を行っています。
 そのほかにも、全ての中学校で本市のいじめ問題調査委員会の委員長の弁護士である方に、これはまた別の弁護士の方ですが、実際に発生した「いじめ重大事態」事案の調査段階において課題となった「被害及び加害生徒の教師による聞き取り」について、ここに問題があることが非常に多いのですが、これの流れなどについて、そこにある問題点など教師自らの気づきを促す研修も行っております。
 また、こちらもしかしたら一部前回申し上げたかもしれませんが、本年4月1日に内閣府の外局として「こども家庭庁」が発足します。こども家庭庁には、これまで各省庁が別々に行ってきたこども政策の総合調整を担って、こどもの視点に立った政策の司令塔としての役割が期待されています。このこども家庭庁の設置と同時に「こども基本法」も施行されますが、この法律によって、各自治体には地域におけるこどもの状況に応じた施策を策定し、実施するという責務が課されることになります。さらに、政府がつくることになる「こども大綱」を勘案して、自治体ごとで「こども計画」を定めることや、自治体による関係機関や民間団体との「有機的な連携の確保」も今後努力義務となります。このようにこの4月からは、どの自治体にあっても首長部局と教育委員会の、先ほど吉田委員が言われましたが、切れ目のない連携体制の構築が不可欠となってきます。
 個人的には、恐らくどこの自治体でもこれから課題になると思いますが、各自治体で「こども計画」をつくる際に、どの部局が担うのかが気になっています。
いじめ、不登校に加えて児童虐待や貧困対策などに関しては、各自治体レベルで首長部局と教育委員会の連携強化に加えて、それらを主導、調整する体制づくりも求められてくると思います。
 そのことと関係して、これまでも、教育大綱と総合教育会議は存在しています。しかし、これらは、先ほど吉田委員が指摘されたようにあくまでも計画であったり、年数回の会議であったりと、いうなれば不連続な連携です。今後は、日々の業務の中で、より迅速かつ柔軟な関係部局の連続した切れ目のない連携体制づくりが求められます。そうしたフェーズの中で各自治体が教育委員会と首長との連携について、再構築していく必要があり、そういうものが今のこういう会議が主導できるような形になっていくといいと思います。
 ちょっと長くなりましたが以上です。
【清原座長】  戸ヶ﨑委員、ありがとうございます。重要な御指摘で、吉田委員に続きまして、いじめの対応一つ取ってもきちんとした政策法務的な対応をしなければいけませんので、法律の専門的な学びというものを首長部局においても、教育委員会においても伴いながらしていくことが求められます。
 それから、さらに重要な御指摘は、この4月1日にこども家庭庁が設立されるだけではなくて、こども基本法が施行されますので、こどもの基本的人権の保障、とりわけこども政策についてはこどもの意見を聞き、そして反映するという責務が各自治体には生じるわけです。さらに、今までの連携で言えば要保護児童対策協議会、すなわち虐待の対応についても市長部局と教育委員会は連携してきたわけでございますので、今、戸ヶ﨑委員が言われましたように連続性を持って柔軟に迅速な取組ができるようにという方向性を、さらに今のお話から私たちとして発信していきたいと思います。
 それでは、青木委員、続いて岩本委員でお願いいたします。
【青木委員】  青木でございます。私からは1点、総合教育会議の議事録について意見を申し上げます。
 今回の資料2で言うと14枚目に当たるかなと思いますが、特にそこにとにかく入れてくださいという意味ではなくて、今後の議論でも意識していただければという意味です。もう14枚目もかなりスペースがパンパンになっているので、あまり今から入れ込んでくださいという感じではないんですが、研究している際に、総合教育会議の議事録というのは非常に役立つんです。これは市民の皆さんが教育政策の立案の過程をトレースする際にも同じように役立つと思います。というのは、教育委員会の会議というのは議事概要にとどまることも多くて、相対的に総合教育会議の議事録が持つ意味というのは非常に重いんです。研究上も役立つということなんですが、新教育委員会制度に移行してから四捨五入すると10年を迎えつつあるこのタイミングなので、何かいろいろな事情があってだと思うんですが、初期の総合教育会議の議事録がそれぞれの自治体のウェブサイトから消えている場合があるんです。もちろん、私の場合にはしつこくインターネットアーカイブで発掘を試みてはいるんですが、なかなかアクセスのしづらさが最近散見されるんです。新制度になって10年になろうかというこのタイミングでこの私たちの会議体から、今のうちに手を打っておくためにも、議事録は首長や教育長が代替わりしても、とにかく公開されている状態を保ってもらうというようなことはメッセージとして発していただければなと思っています。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。先ほど梶原委員が説明責任、アカウンタビリティということを強調していただきました。議事録の公開というのもその一環ではないかと思います。
 それでは、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。よろしくお願いします。私、先ほどに引き続いて地方教育行政の充実に向けて国としてできることというのが何なのかということに関して述べさせていただけたらと思います。
 1つ目は、市町村を支える都道府県の役割の辺りに関してです。都道府県は、市町村、特に小規模自治体等に指導主事を派遣、配置する場合だとか、もしくは、場合によっては首長部局等に指導主事を派遣、配置していくという場合に、代替教員の加配措置などの人的支援というのがあるとそういったことがより促進されていくということで、これも一つ国としてできることなのかなと思います。
 2つ目は、自治体内外の連携の部分に関してです。小規模自治体間での教育委員や指導主事などの兼任だとか、もしくは教育委員会と、あと大学などのクロスアポイントメント、兼業・副業というんですか、例えば教員養成系の大学の教員と教育委員会の指導主事の兼任みたいな形だとか、こういった人的リソースのシェアリングを柔軟かつ円滑に行えるような形にしていくということが、自治体間の広域連携だとか、教育委員会と大学などの連携促進というところにつながりやすくなる国としてできることなのかなというのが2点目です。
 3点目が、地方教育行政を担う人材の確保のところで書かれている、地方教育行政を支援する人材が広く活躍できる仕組みというところがあるかと思います。この仕組みで一つ非常に参考になるかなと思って、もしくは活用できるかなと思うものが、今総務省が持っています市町村や外部の専門家を、地域人材ネットというのに登録されているものなんですけども、こういった外部人材を招聘して指導・助言を受ける際の経費というのが年間の上限560万円まで特別交付税で措置されるという総務省の外部専門家制度なんかがありますけども、これの例えば教育行政版みたいな、総務省の場合は市町村しか使えないですけど、都道府県教育委員会も活用できるようなものを構築していく、もしくは、今あるこの地域人材ネットにも教育の専門人材というのは何人か登録されていますので、場合によっては総務省のこういったところを活用させていただいて、地方教育行政の支援を行えるような専門人材みたいなのも積極的に登録して教育委員会に周知していくと非常に活用しやすくなるのかなというところが3点目です。
 最後、先ほど説明の中であった好事例の創出及び横展開に向けた来年度からの事業は非常にすばらしいなということで、期待して見させてもらったところです。今後ぜひああいった動きを、例えばEBPMだとか、子供たちの声をどう教育政策に反映していくようなことを教育委員会がやっていくのかとか、あとは外部人材、外部機関と連携しながらの外部資源の確保、もしくは外部の財源確保みたいなことをどうやっていくのか、もしくは教育委員会自体の人材育成や組織開発、DXみたいなテーマに関する好事例をつくって横展開というようなところにも、今回、来年度からできるであろうこういった事業をさらに広げていってやっていくと非常に地方教育行政のさらなる充実につながっていくかなと思いますので、こういったこともできることとして必要ではないかというようなところで、何か出てくるといいかなというように思いました。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。今、岩本委員が言っていただいたことは、3番目の小規模自治体への対応、広域行政の推進のための方策とも関係して、連携といっても1つの都道府県内あるいは市区町村内の首長部局と教育委員会の連携だけではなくて、小規模自治体と他の自治体や教育委員会との連携という視点も踏まえるとともに、今回、ひょっとして私たちの会議の中で首長部局と教育委員会の連携についての議論が深まっていることも予算獲得に多少なりとも貢献したのではないかなと思いますが、国ではそういう補助事業も構築されているようですので、こうしたことによって国の支援がインセンティブになるということも期待したいと思います。ありがとうございます。
 それでは、吉田委員、何か訂正がおありになるようで、どうぞ御発言を。その次に村上委員でお願いします。
【吉田委員】  先ほど私の言葉の中で、何か本庄市が年4回ずっとやっているような言い方になってしまったんですが、過去を調べて、年3回が大体通常でございました。4回やったときもございます。そういうことで、何かずっと4回やっているような威張った言い方をして、どうも申し訳ございませんでした。3回やっているという状況でございます。訂正させていただきます。
【清原座長】  御丁寧にありがとうございます。
 それでは、村上委員、お願いいたします。
【村上委員】  先ほど吉田委員、戸ヶ﨑委員から学校教育の危機管理について御発言があって、私も非常に共感しているとともに、これは非常に大事なところで、教育委員会制度が揺らいだというのも、もともとは危機管理がきっかけになったところですので、これはいじめとか虐待だけではなくて、清原座長がおっしゃったように災害であるとか、あるいは事件、事故もあると思うんですけども、そうした様々な危機管理というものがあると思います。
 ここは、今回のまとめの中にも独立して例えば項を設けたり、あるいは、聞くところでは様々な工夫を自治体ではされていて、例えば戸田市のように教員の研修を行うであるとか、あるいは、私が以前に見聞きしたのは県の教育事務所に行政職だったと記憶しているんですけども危機管理担当の人がいるなど、様々な工夫を自治体がされているので、教育の危機管理に関して好事例を国として収集して発信すると。危機管理は各自治体の文脈などいろいろな事情にも左右されると思うので、アイデアとしてこういうのがあるということを自治体が知ると、首長さんや教育長さんにも非常に参考になるのではないかと思います。あるいは、この会議のような危機管理に関して特化した会議を設けるとか様々なアイデアがあると思いますし、重要なところなので、何か独立してポイントを立てて事例を収集してもいいのかなと今のお話を聞いていて思いましたので、追加の意見として述べさせていただきました。
 以上です。
【清原座長】  御提案ありがとうございます。私も同感でございまして、うなずいている委員の方もいらっしゃいます。やはり命をお預かりするのが教育行政であり、首長、首長部局も市民の皆様の命をお預かりしているので、いろいろな危機に対して、もちろん今直面している新型コロナウイルスのような感染症も言うまでもないのですが、そういう意味で危機管理、命を守る、あるいは安全を確保する、健康を確保するという方向での首長部局と教育委員会の連携の中での取組を特記するとともに、好事例を挙げるということはとても望ましいと思います。ありがとうございます。
 それでは、(2)の教育委員会と市長部局の効果的な連携の在り方でも幾つか御意見をいただきましたが、私から1点だけ、18ページだったと思うんですけれども、職員の併任ということについて触れています。すなわち、首長部局と教育委員会と職員が両方に関わるという併任という仕組みもあり得るということで、私は、戸ヶ﨑委員も言われました来年度からこども家庭庁の設立、こども基本法が施行になって、こども部局と教育委員会というのはさらなる密接な連携が求められる場合に、全員である必要はありませんが、しかるべき人材は併任ということもあるのかなと思ったりしまして、この記述というのは、具体的に好事例などを集めて発信していく意義があるのではないかなと思いました。
 それでは、3点目の論点に移ります。小規模自治体への対応、そして広域行政の推進のための方策でございます。これにつきまして、まず、伊藤補佐より御説明をお願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  それでは、最後、(3)でございます。19ページを御覧いただければと思います。
 こちらは、冒頭で目指すべき方向性について記載しております。まず、1つ目の丸でございますが、現状について記載しておりまして、少子高齢化や過疎化の進展により、特に地方において学校数や児童生徒数の減少が続いているが、教育委員会においても人材不足などの影響があり、職員数10人以下の教育委員会は全体の約4分の1に上っているといったことを御紹介しております。
 2つ目の丸でございますが、特にマンパワーが不足する自治体を中心に、教育委員会の機能強化・活性化や首長部局との連携に十分な対応が難しい教育委員会も相当数存在すると考えられるが、このような自治体が「令和の日本型学校教育」の推進に向けて着実に取り組んでいくためには、小規模自治体においては、自治体内外の連携に積極的に取り組みつつ、また、都道府県においては、小規模自治体を積極的に支援していく必要があるといったことを記載しておりまして、具体的な取組として都道府県の役割、自治体内外の連携の促進、地方教育行政を担う人材の確保、デジタル技術の活用などについて記載しております。
 具体的な各論につきましては20ページ以降でございます。こちらもまた追記等をした点について赤字で記載しておりまして、まず、1点目が市町村を支える都道府県の役割についてですが、2つ目のポツで、特にその役割について具体的に記載しています。赤字で少し膨らませるような形で記載しておりまして、例えば域内の市町村の取組事例を収集し、参考となる取組について情報提供することとか、あとは、域内の教育のデジタル化の推進など小規模自治体では対応が困難な事務や都道府県が主導して対応することが推奨される事務等への対応について、積極的な役割を担っていくことが重要ではないかといったことを記載しています。
 また、その下は教育事務所の在り方についてですが、1点、赤字で追記しています。教育事務所の機能を補完するような観点ですが、指導主事による授業参観や指導等にオンラインを活用することも柔軟な支援を行うための工夫として考えられるのではないかといったことを記載しています。
 21ページは教育事務所の配置状況についての参考データでございます。
 22ページでございます。こちらは自治体内外の連携等の促進について記載しておりまして、もともと広域連携制度についてのみ記載していましたが、2つほど丸の記載を追加しております。
 まず、1つ目でございますが、都道府県による支援については先ほど記載について御説明をしましたが、このほか、小規模自治体が教育行政を持続的に行えるようにする工夫も必要であるといったところで、例えば、教職員研修や学校事務の共同実施、教材教具や施設整備の共同調達・共有、デジタル基盤の共同運用など、自治体内外で相互に有する物的・人的資源を共有したり、地域資源を有効活用していくことで、効率的・効果的な行政運営を行うことができるのではないかといったことを記載しています。
 また、(1)でも記載していましたが外部の関係機関との連携も有効と考えられまして、ノウハウを有する大学や研究機関、社会教育施設、民間企業等の関係機関と小規模自治体が積極的に連携を図ることが、教育行政の充実に資するといったことについて記載を加えています。
 また、最後のポツですが、こちらも参考資料で御紹介した事業の中で、自治体間連携についても積極的に支援していくというところを方向性として書かせていただいております。
 最後、23ページでございますが、最後のデジタル技術の活用等についてのところでございます。こちらも少し記載を加えておりまして、もともとオンラインによる教員研修の実施について例示として挙げさせていただいておりましたが、オンラインによる学校事務の共同実施や、加えまして、特に、十分な職員数の確保が難しい自治体において、先ほど御説明したような指導主事による授業参観や指導等をオンラインで実施していくような工夫といったものも考えられるのではないかといったことを追記しています。
 主な変更点については以上でございます。
【清原座長】  どうもありがとうございます。
 それでは、小規模自治体への対応、広域行政の推進のための方策について意見交換をしたいと思います。このテーマにつきましては、この会議が開始されて一番最初に皆様と意見交換、議論した課題でございます。その後に、先ほど来意見交換をさらに重ねました教育委員会の機能強化・活性化のための方策や、首長部局との効果的な連携の在り方の議論等を踏まえて追加すべき事項があるのではないかなと思います。先ほど、岩本委員も既に関連した問題提起をしていただいております。
 私は、特に(1)(2)のときには具体的に触れていないのですが、この小規模自治体への対応については、特に地理的な困難を克服するというような趣旨でデジタル化の活用ということが指摘されておりますが、恐らくこの望ましいデジタル技術の活用は全体を通して今後私たちが地方教育行政の充実や質の向上を考えていくときに、共通して必要になってくる課題ではないかなとも考えております。そこで、この小規模自治体への対応、広域行政の推進のための方策について、これまでのテーマも含めてさらに御意見をいただき、深めてまいりたいと思います。
 それでは、挙手ボタンをまた押していただければ指名させていただきます。どなたからでも結構でございます。いかがでしょうか、小規模自治体への対応について。
 では、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑座長代理】  何度も何度もすみません。
 小規模自治体への対応というのは、本当に当初から申し上げていますが、喫緊の課題だと認識しております。ただ、何か一つ対策を講じればそれで一挙に解決するものでは当然ないので、都道府県と小規模自治体双方の地道な努力が必要であると考えています。また、広域連携の推進についても対症療法的な対応だけではなく、持続可能な自走した取組を検討しなければならないと考えています。小規模な自治体では現状として人員も十分ではないことがあります。資料の22ページにも記載がありますが、各制度の理解促進や留意点等の整理、現在も取り組まれている地域教育アドバイザーのような人員配置など、国としての支援も必要ではないかと思っています。
 あわせて、先ほど座長のほうからもお話がありましたが、デジタル技術の活用ということで様々解決可能な課題というのも一定程度当然あると思います。例えば指導主事が不足しているところであれば、オンラインで授業参観や指導を行うような工夫など、現在のようにデジタル技術が発達している中において、このような様々工夫した取組については、厳しい言い方をするようですが、この令和の時代にあって待ったなしで実践される必要があると考えているところです。
 大変申し訳ないんですけども、この(3)以外の部分でちょっとだけ発言、よろしいでしょうか。
【清原座長】  どうぞ、続けて御発言ください。
【戸ヶ﨑座長代理】  今、こういう様々な方々からのプレゼンやこれまでのヒアリングを通して多くの意見をカテゴライズしながらまとめている状況です。地域の規模や特性など様々あって、一概に簡単に示していくことは難しいのは承知していますが、この会議として理想像とする教育委員会の姿はどういったものかを皆さんで共有できないかと考えています。
つまり従来の教育委員会をステージ1とするならば、自主的・自立的な取組を進める学校を積極的に支援でき、社会の変化に素早く的確に対応でき、また教育委員会としての機能が強化され、欲を言えば首長部局との連携も促進され、外部人材の活用、社会との連携も円滑に行われているという、こういう理想とするステージ2に位置する教育委員会とはどういう教育委員会なのか、そのあるべき姿を明確にして、広く共有化する必要もあるのではないかと思っています。
 これまで議論された論点はたくさんあり、どれも大切なことは言うまでもありません。一方で、現在詰めを迎えている「第4期教育振興基本計画」においては、5つの基本的な方針を定めています。学校教育に関するキーワードだけを抜き出すと誰一人取り残さない共生社会の実現に向けた教育、教育DXの推進などが挙げられています。また、先月19日に「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申が出されました。この答申に基づいて、全国どこでも新たな教師の研修が開始されます。さらに個別最適な学び、協働的な学びの推進が進んでいますが、こういった背景を鑑みると、おのずから優先順位というのが見えてくると思います。こうした社会の変化や動きを学校の教室の中に取り入れつつ、質の高い教育活動を行う学校現場を支援していくことが、いろいろな役割はありますけれども第一義的な教育委員会の役割だと思っています。
 そう考えると、今まとめていただいたこの論点の中でも特に今後膨らませていかなくてはいけないと思うのは、それを牽引していく教育長に求められる資質・能力、先ほどから話が出ていますけれども指導主事などの教育行政職員に求められる資質・能力、さらには、これから議論は進められていくわけですが、様々な学校運営の支援とは最優先で内容をもっと膨らませていくべきだと考えています。一度にあまり多くの課題解決を教育委員会が求められても、それは無理だと思います。大事なことは自分事として各教育委員会がスモールステップを積み重ねて、実感を伴って着実にスキルアップできる仕組みをつくっていくということが大切だと思っています。
【清原座長】  いいえ、ありがとうございます。
 ここで、今小規模自治体の対応について、都道府県の役割であるとか、例えば地域教育アドバイザーの活躍であるとか、そうしたものがさらに前進していかなければいけないという問題意識をいただいた後に、教育委員会の望ましい在り方について、さらに皆さんと共有したいという問題提起をいただきました。
 それで、堀野課長は後の会議が重なっているようなので、ここの段階で堀野課長、すみません。私からもお願いなんですが、さらに私たちが課題として求められている4点目の学校運営の支援のために果たすべき役割というのは、まだこれから本格的に議論しなければいけませんし、ただいま問題提起いただきました教育委員会についても、これまでの議論を踏まえてさらに少し具体的なビジョンを提案していくことが必要です。あるいは4月にこども家庭庁が設立されることによる教育行政に対する影響とか、望ましい連携の在り方とかを含めた検討が必要です。今は1月でございますので、何となく皆様の中には年度末に何かまとめなきゃいけないのではないかという気持ちがおありになるといけないので、私たちが今問題提起いただいたようなことを年度を越して検討させていただけるようなことが可能かどうか。実は、先日、18日に初等中等教育分科会でこれまでの審議を報告するタイミングであったものですから、藤原初等中等教育局長と、私たちのこれまでの議論について御報告するとともに、今後の課題についても共有する場を持ちました。それで、まだまだ私たちが検討できていない課題があるというようなニュアンスをお話ししたんですけれども、もう少し検討する時間的猶予は、課長さん、ありますでしょうか、いかがでしょうか。
【堀野初等中等教育企画課長】  今、座長からお話もありましたとおり、中教審には途中経過を報告しますけれども、中教審のほうは一回人事の機会が、委員の入替えみたいな機会がありますので、一旦そこで区切りになっちゃうわけですが、我々のこの有識者会議は特にそういう区切りはございませんので、まだ残された課題、4番目の課題もあるし、これまで積み上げてきた議論をさらに厚くしていかなければいけないという議論も多々いただいておりますので、ぜひ年度を越えた形でさらに議論した上で、報告書になる前に、一言で言うと教育委員会はこう変わっていくべきなんだというビジョンみたいなものをトータルとして、一番最初にどういうものを形で見せるかということも議論させていただければと思います。
【清原座長】  ありがとうございます。
 とは申し上げても、無期限で私たちの議論をしていくというのも望ましくないと思いますので、今、戸ヶ﨑委員からいただいて、堀野課長からお答えいただきましたように、私たち委員としてできる限り望ましい今後の教育委員会の在り方、地方教育行政の在り方について、総意で提案できるような、成熟した議論をするには、3月を越えて来年度の前半ぐらいまでお時間いただくことになるかもしれないなというような思いで、さらに議論を深めていただければと思います。
 年度末になると何となく区切りをつけたくなるような想いが市長経験者としても、大学教員研究者としてもあるんですが、戸ヶ﨑委員の問題提起もいただき、皆様の問題意識も踏まえて、もうちょっとだけお時間をいただいて議論を深めたいと思います。
 それでは、小規模自治体への対応等について、小﨑委員、お願いいたします。
【小﨑委員】  私のいる奈良の場合は、39の自治体のうち、もう30超えが小規模なんです。なので、基本的には小規模が集まって一緒に頑張りましょうということがすごく大切だというのは皆さんの認識にもあって、この会議の公表されている議事録も皆さん共有しているんですよ。それで、こういうことをテーマに4つのうちの3つ目に挙げてくれて、それで全体でやるべきことと都道府県がやるべきことと、自分たちがやっていかないといけないレイマンコントロールのことも明確に示してもらっていて、すごく期待するという声が、おべんちゃらも含めてなんでしょうけど、すごく前向きに捉えてくれている意見が多くて、ということは、考えてみると、すごく課題がいっぱいあるので、それを何とかしよう、してほしいという思いがいっぱいあると。
 自治体を見ても、教員が中心になっていてというようなことを言う小規模もあれば、教員が1人もいなくて、全員が市町村部局の事務職員で、教育のことを誰も分からずに頑張っているんですよというところもあれば、まあ、それは実態がいろいろあるんだなということは共通なんですけども、皆さんが口をそろえて言うのは、今言ったような規模感の中で好事例も挙げてもらって、戸田市の好事例とか生駒市の事例とかあったときに、やりたいと、ただ自分たちでそんな予算規模のこととか、企画段階がうまいことできなくて今までは諦めていたんだけど、それを国が何とか支援事業とか、教育活動アドバイザー事業とかいって、同じようなことを広域とか国のレベルで支援してくれることによってすごく実現できるようになってきたということは、奈良もよく考えたら、全員集まっていろいろなことをやりましょうというときには、必ずその背景に文部科学省の通知文があって、こういうことを広域だったり協力したり手を組むことを圏域でやったら半分補助金が出ますよとか、一応それが最終的にどうなるにしろ、基本の考え方は広域で手をつなぎましょうとか、場合によっては、そういうことをどんどん積極的にやっていってくださいねという大きいメッセージは、できるだけ広いところを見ている国とか都道府県というのがしっかり主張して、あと個別の事業は、さあ、任せたのではなくて、そこは寄り集まってというときに横同士で話したほうがいい内容と、横同士ではなかなかお互いのこともあったりして話がつきにくいから全体として提示してほしいということが、こういう何かまとめとか提言の中に、基本はみんなでやっていきましょうよねという空気感を出してほしいという声が非常に大きいので、デジタル技術にしても、教職員のことにしても、そういうレイマンコントロールにしても、インセンティブ設計というんですか、これを頑張ったらこうなるよねとか、お金や何もなくてもいいんだけど、頑張ったらちょっとした表彰というかみんなの場で紹介されるとか、そういうことはやっぱりいいと皆さんが言っていますね。さっき岩本委員がおっしゃっていたのは、指導主事もそうなんですけど、結局やりがいがあるというのは、別にその目的がとか、質の高さとかレベルのことじゃなくて、「ああ、やったことが生きたな、次も頑張ろう」という次につながるということが大事だというので、今回のまとめを見るとそれが上手に中身は全部入っていると思うので、その辺をもし何らかの形でするんであれば、これが現状はこうなんですと、もっと実はこういうこともできそうなので、皆さん、これから知恵を絞っていろいろやっていっていいんですよというようなメッセージ性が含まれていたらいいよねというのが、私の周りの小規模自治体の方の意見でしたので、意見というか、これを読んでの感想と、紹介させてもらったということです。
 以上です。
【清原座長】  ありがとうございます。本会議を注目していただいているということはありがたく思います。岩本委員も言われましたけれども、とりわけ指導主事の皆様のように、教員の皆様だけではない教育行政に関わる皆様の実績が正しく評価されて顕彰されるという、いい意味でのインセンティブが重要であるということも受け止めたいと思います。
 それでは、梶原委員、続けて青木委員でお願いいたします。
【梶原委員】  極小規模の教育委員会としまして、先ほど戸ヶ﨑委員からあるべき姿を示したほうがいいんじゃなかろうかということと、小﨑先生と私も同じようなんですけど、実際私ども、こういう人口減少という中で小規模になっていく中で迷っているんですね、今後対策をどうしたらいいか、これは教育委員会だけじゃなくて市町村全体、自治体全体の一つの大きな課題でございます。
 その中で、今までの画一的とか一律というのがもう通用しない状況になっています。そういう中で小規模はマンパワーが非常に充分でないということと、町村合併したことによって一つ一つの自治体のエリアが広くなったんです。だけど問題は、エリアが広くなったのはいいんですけど、サービスとかが薄くなったんです。それと見えているものが見えなくなってきたというところがあって、その中で同一市町村内でも格差とか違いがあるということ、また隣の市町村とも非常に違いがあるということで、本当にそれをどううまくするかという中で、私どもは今デジタル化でシステムやオンラインで一緒にやっていくというのをやれないかとやっているんですが、各市町村でシステムの共通性がなかなかないということがございます。だからやりたいけど共通性がない、その辺りを県教委なりどこかで調整しないと、なかなか共通性がないということが一つの問題です。今、隣の市町村と協議会で職員研修とかをやっているんですけど。
 それともう一つ、学校教育ということ、今度、次回、学校運営とあるんですけど、教育委員会は社会教育、文化、体育、これはなかなか他の市町村とやりにくいということもあるんです。これは首長部局と連携しなくてはいけない部分が非常に大きいんですけど、この文化、体育の部分の扱い、また体育の部分でもそうですけど、今、学校教育で一番頭が痛いのは部活動を社会体育、これは私どもの小さな市町村では単独でなかなか持てないから、これこそ隣の町と一緒にできないかということもしています。教員研修は隣と一緒に協議会でやっているんですが、こういう部活動部分というか部門では、体育部分では隣と一緒にやる、文化ではなかなか、遺跡とかありますから観光とも関連しますからなかなかできないと。だから全体でドンではなくて、部門、部門を今後やっていかなくてはならないということがありますのでそれぞれの難しさも出ていますが、本当にどういう姿、あるべき姿とか、どこまで法的にできるのかという、先般も県教委、大分県教育委員会で丁寧に昨年教えていただいて、協議会方式の手続を取ればいいよということで教えていただいたので、本当にありがたいなと思います。その辺りを研究の御指導の中で姿、または国の姿というのが必要かなと思っています。
 ありがとうございます。
【清原座長】  ありがとうございます。実は、岩本委員と私は生涯学習分科会の委員も務めておりまして、今、社会教育、文化のお話、スポーツのお話をしていただいたのはとてもありがたく、教育委員会が所管している幅広い生涯学習、社会教育、文化、スポーツの分野についての小規模自治体への支援というのも極めて重要だと再確認させていただきました。
 それでは、最後に青木委員、御発言をお願いいたします。
【青木委員】  青木です。ありがとうございます。主として指導主事についての観点からお話しさせていただきます。
 振り返れば、1948年からスタートした教育委員会制度で、当初、教育行政の三職種として教育長、校長それから指導主事と、並び称されるものとして指導主事が位置づけられたわけですから、やはり指導主事の空白地域というのはあってはならないことなんだと思います。そのことから考えると、空白地域があるんだとしたら、国としてとにかくそこをどうにかしなきゃいけないという責任があるというぐらいの認識を、この会議としては示したほうがいいのではないかなと思います。例えば総務省では不採算地区病院の支援なんていうスキームがあるみたいですので、そういうのも参考にしていただくといいのではないかなと思います。今の問題意識を踏まえると、市町村の補完機能を持っている都道府県に対する支援というのがまずは必要ではないかなと思います。
 先ほど岩本委員も御紹介になった総務省の特別交付税の支援スキームというのが参考になると思いまして、例えばデジタル専門家派遣というのが今度事業化されるようですが、都道府県が市町村にそういう人材を派遣するときのスキームというのがどうもあるようです。こういうのは垂直支援ですので、地方自治法第252条の17に職員の派遣というのが規定されているわけで、幾つか事例を調べてみたんですが、市町村が人件費を若干負担するみたいな多少バリエーションがあるようなんです。ということも踏まえて、なるべく資源を持ち寄って設置できるんだったら、指導主事が設置できるようなことを促進する制度的な手当てだとか運用上の手当てなんていうのを会議として出せればいいのではないかなと思います。
 あと水平支援のことなんですけれども、先ほど来いじめ等の危機管理的な事案のことが話題になっていました。これは、考えてみれば、ある意味災害派遣スキームが応用できるのではないかなと思います。災害派遣のときには全国市長会や知事会がブリッジというかハブになって派遣のお世話をするということを聞きましたが、それに近い形で教育長や教育委員会の団体を糾合して、何かあったときに県境を越えてでも指導主事の派遣ができる、あるいは専門の教育行政関係の職員が派遣できるようなスキームというのもあっていいのではないかなと、これは年度を越えての検討ができるかもしれないと先ほど伺ったので、ちょっと先を見た話を最後に申し上げました。
 以上でございます。
【清原座長】  ありがとうございます。
 皆様からは指導主事の意義、そして小規模自治体が特に抱える困難、だからこそ、先ほどオンラインで授業支援というようなことも提案されておりましたので、ぜひ指導主事について現実に合わせた的確な提案もしていきたいと再確認しました。
 小﨑委員、もし御発言がありましたらどうぞ。
【小﨑委員】  いいですか、先ほどの続きで。
【清原座長】  どうぞ。
【小﨑委員】  デジタル化のことについて、状況を含めてなんですけど、デジタル化を進めるとかオンラインといったときに、今学校で、皆さんの地域もそうでしょうけど担任なしのまま学校が進んでいるというのは非常にたくさんあるんです。具体的な数となると、今度調査してどうこうになってしまうんですけど、「少しあるよね」ではもうないんですよ、実際もう担任がいない。管理職も立候補者がいなくて、教頭先生になる、試験を受ける、受けないといったときに、教頭先生の数以下しか教頭試験を受けないというようなところももう現実に出てきていて、とにかくいてないんです。教育委員会、県の教育委員会も人がいてないんです。
 それで、そうなってきたときに支援するも何も、もう学校そのものがあっぷあっぷで人が足りていなくて、そこに出すと、教職大学院の学生たちも「ちょっと学校へ応援に来て」みたいなことが今まで多かったんですけど、今はもう担任を持ってほしいという依頼が来るんですよ、もうすごい状態になっている。それを含めて考えたときに、人をくれとか、こういうことができるようにと、もう無理ですから、人口も減っていくんだし、ますますそういうところを考えたときに、「デジタル化というのはしたほうがいいよね」どうこうでなくて、もう必須になっているし、指導主事が勉強する場だと、自分のところの自治体でとか校長会で話し合いましょうといったって、一小と一中しかないところで校長会も何もないわけで、だから広域はもう絶対大事であって、指導主事だってほかの他府県の授業だってどんどん見てということの交流するぐらいのベース、無理やりしろといったらしんどくなるんで、そういうこともできますよというベースは、非常にデジタル化が背負っているところがあると。
 青木先生がさっきおっしゃっていた議事録のことなんかまさにそうで、本当は残していてぱっとやりたいんだけど、指導主事がかわいそうに文字起こしでガッとなって夜遅くまで残っているから「もういいですよ」となったりとか、公開して載せていたら「いつまで古いのを載せているんだ」という訳が分からない電話がババンとかかってきたりして、もう消しておけとか理由がしようもないところで、本来役立っているんだよというのを伝えてもらったら残すんだけど、もう消しておけとなったりするという次元の低いことだって一部はあるんですね、全部がそうじゃないと思いますけど。だからそういうことも、大丈夫ですよも含めて、いや、もうちょっとこうやっていこうと、みんなちょっと手をつなぎませんか、協力できませんかというイメージは、ストレートに書かなくてもいいから、何となくでもいいのでそういう空気感もあったらいいなと、それがデジタル化だと思います。
【清原座長】  どうもありがとうございます。
 それでは、ずっと私たちのやり取りを聞いていていただきました初等中等局担当の大臣官房審議官の安彦さん、もしメッセージがあればいただけないでしょうか。
【安彦大臣官房審議官】  非常にいい議論が展開されて、また年度もまたいでの議論というような積極的な御発言、御提案もありました。予算の関係で年度末までの任期という形になっていますけれども、これは局長の決定の会議ですので中央教育審議会とはちょっと別な形で、しっかりと中央教育審議会の議論も踏まえつつ、ここでの議論をどういう形で地方教育行政の充実のために発信していくのかというのはとても大事なテーマだと思っております。また引き続きいい意見をたくさんいただければと思いますので、また引き続きよろしくお願いいたします。
【清原座長】  すみません、突然御発言をお願いしまして。
 皆様、本当に充実した2時間の意見交換をしていただきました。本当にお仕事が御多忙の中、全委員が新年早々の会議でそろいました。とてもいい新年最初の会議になったと思います。
 今日もいろいろ残された課題が明確になってまいりましたので、決して散逸しないように焦点を集めつつ、建設的に現場の地方教育行政を担う皆様に理解して、実践していただくような取りまとめの方向にしていきたいと思います。
 なお、冒頭申し上げましたように来週18日開催の中央教育審議会初等中等教育分科会で、堀野課長と私とでこれまでの審議の概要について報告させていただき、委員の皆様からまた御質問や御意見があるかもしれませんので、それをまたフィードバックしながら皆様と議論を深めていきたいと思います。
 これで閉会となりますが、事務局から御連絡事項等がございましたらお願いします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  本日も活発な御議論、ありがとうございました。
 次回につきましては2月13日月曜日13時から予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
【清原座長】  新年を迎えて、全国いろいろな天候で御不自由な点もあるかもしれません。何よりも皆様が御健康で御活躍いただくとともに、この調査研究協力者会議を今年も充実して建設的に進めていきたいと思いますので、最大限の御協力をお願いいたします。
 それでは、第10回の調査研究協力者会議を閉会といたします。本日は誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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