特別支援学校教諭の教職課程コアカリキュラムに関するワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時

令和4年2月15日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 各欄のコアカリキュラム(案)について
  2. 特別支援教育関係教員養成大学に向けた周知等について
  3. その他

4.出席者

委員

安藤委員、樋口委員、小林委員、澤委員、葉石委員、一木委員、丹羽委員、花熊委員

文部科学省

山田特別支援教育課長,小林特別支援教育課特別支援教育企画官,分藤初等中等教育局視学官、嶋田特別支援教育課課長補佐,菅野特別支援教育調査官、森田特別支援教育調査官、加藤典子特別支援教育調査官、加藤宏昭特別支援教育調査官、深草特別支援教育調査官、堀之内特別支援教育調査官、齊藤特別支援教育課指導係長

5.議事要旨

【安藤主査】  定刻となりました。ただいまから第2回特別支援学校教諭免許状の教職課程コアカリキュラムに関するワーキンググループを開催いたします。
 皆様には、年度末の御多用な中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。前回に続き、現下の情勢を踏まえ、ウェブ会議システムを活用しての開催となります。
 初めに、本日の会議の進め方及び配付資料について、事務局からお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【嶋田特別支援教育課課長補佐】  それでは、事務局の特別支援教育課の嶋田でございますが、私のほうから御説明させていただきます。
 まず、会議の進め方でございますが、本日もウェブ会議システムを活用させていただきますので、御発言に当たっては、いつも以上にはっきり、ゆっくり御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。そして、御発言時以外は、マイクをミュートにしていただき、御発言の際は手を挙げるボタンを押していただき、指名のあった方のみ御発言をお願いいたします。また、カメラにつきましては、御発言時以外にも会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。
 続いて、本日の御出欠状況でございますが、各障害者のサブワーキンググループより代表の委員の皆様全員に御出席いただいている状況でございます。
 最後に、本日配付させていただきました資料でございますが、まず議事次第と、議事次第の4の配付資料にも記載しております資料1、資料2、あと参考資料1から7をお送りさせていただいております。不足がございましたら、事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 事務局からの説明は以上でございます。
【安藤主査】  ありがとうございました。
 では、ここから議事に入ります。
 議事次第を御覧ください。本日は、「特別支援学校教諭免許状の教職課程コアカリキュラム」(案)について協議します。12月に開催しました第1回ワーキンググループの後に、各サブワーキンググループにおいて、第2欄と第3欄について、各障害領域の目標設定について御議論いただきました。
 本日は、各サブワーキンググループの代表者からその御報告をいただきます。また、同様に、全障害領域共通の第1欄及び第3欄の重複障害の領域につきましても、私と樋口副主査、事務局において検討しましたので、報告させていただき、こちらについても全体で確認できればと考えております。本日時点での各サブワーキンググループ等における案をまとめたものが資料1になります。御確認ください。
 次回3月に第3回目のワーキンググループを予定しておりますので、本日の会議を通じて、第3回目に向けた検討事項等を確認したいと思っております。また、会議の後半には、今後、コアカリキュラムが固まった後、実際に大学の先生方がシラバスを作成する段階を想定し、コアカリキュラムとあわせて、周知すべき事項などについても整理していきたいと考えています。
 それでは、資料1を御準備ください。まずは第1欄及び第3欄の重複障害についてです。事務局より御説明をお願いいたします。
【分藤初等中等教育局視学官】  失礼いたします。事務局の分藤でございます。よろしくお願いいたします。
 資料1の5ページ目を御覧ください。現行の教育職員免許法施行規則第7条に規定する第1欄の特別支援教育の基礎理論に関する科目について説明をいたします。
 親会議である特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議では、この科目に含める事項として、特別支援教育の理念並びに歴史及び思想と特別支援教育に関する社会的、制度的又は経営的事項とし、それぞれに目標を設定するよう方向性が示されました。
 目標の設定に当たっては、先行する基礎免コアカリキュラムの目標の示し方を参考に、基礎免コアカリキュラムで対象としていない特別支援学校を中心に、障害領域の共通性の高いものとして第2欄や第3欄との関連にも留意しながら作成していただきました。また、第1欄は単位数も少ないということもありまして、特にコアでミニマムとなるよう、一般目標と到達目標の精選にも努めていただきました。
 資料1の6ページ目を御覧ください。特別支援教育の理念並びに歴史及び思想に関する事項の目標の構成案です。特殊教育から特別支援教育へ、そしてこれからの特別支援教育は、共生社会の形成に向けてインクルーシブ教育システム構築のために必要不可欠なものとされる中で、特別支援学校の営みがどのように捉えられ、変遷してきたのか理解することを、本事項の全体の目標として設定をしていただきました。
 資料1の7ページを御覧ください。特別支援教育に関する社会的、制度的又は経営的事項に関する目標の構成案です。特に特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の方向性を踏まえ、(1-2)制度的事項には、教育課程に関する制度のうち、全ての障害領域の教育に関係するものとして、特別支援学校学習指導要領等が有する自立活動、知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科、重複障害者等に関する教育課程の取扱いについての基礎的な考え方を理解することについて、到達目標として設定していただいております。
 少しページが飛びますが、資料1の24ページを御覧ください。次に、教育職員免許法施行規則第7条に規定する第3欄の免許状に定められることとなる特別支援教育領域以外の領域に関する科目について御説明いたします。
 特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議では、この科目に含める事項として心理、生理及び病理と教育課程及び指導法とし、これらに関する目標を設定するよう方向性が示されました。また、この科目に含める領域のうち、コアカリキュラムとしてはほとんどの大学で授業が行われていた発達障害と重複障害に関して作成するよう方向性が示されました。ここでは重複障害について説明します。まずは参考の部分を御覧ください。
 第2欄で知的障害・肢体不自由・病弱の領域を定めた1種免許状の授与を受けようとする場合、第3欄で取り扱うことになる視覚障害・聴覚障害に関する教育の事項は、米印の3に示すとおり、既に第2欄にそれぞれ心理、生理及び病理と教育課程及び指導法に関する目標が示されているため、それらを参照するようなつくりとなっております。
 また、第3欄で取り扱うこととなるその他障害に含まれる領域は、米印4に示すとおり、「教職課程認定基準(教員養成部会決定)」の「4-5 特別支援学校教諭の教職課程」において、重複障害、言語障害、情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、自閉症と解説をされております。重複障害と学習障害、注意欠陥多動性障害、自閉症以外の領域については、大学の自主性や独自性を発揮した教育内容としているところが多いとの特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議での報告を踏まえ、米印4の後段に示すとおり、コアカリキュラムとして共通的には示さずに、各大学が責任を持って目標を設定することとしております。よって、第3欄でコアカリキュラムを作成する領域としては、重複障害と発達障害(学習障害、注意欠陥多動性障害、自閉症)となります。
 第3欄の科目は、心理、生理及び病理に関する科目と教育課程及び指導法に関する科目の双方について習得することが必要となりますので、米印2に示すとおり、重複障害に関する領域の教育において、第2欄の視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱または第3欄の発達障害に関する領域を含む場合には、重複障害に関する領域の教育課程に関する目標に加え、第2欄または第3欄に示している当該の障害領域に関する心理、生理及び病理と教育課程及び指導法に関する事項の一般目標と到達目標を参照するようなつくりとなっております。
 なお、特別支援学校教諭の教職課程コアカリキュラムに関するワーキンググループの第1回の会議において、配付資料4-2を使って説明をいたしましたが、親会議である特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の第2回におきまして、重複障害については第2欄でも扱うべきとの御意見に対し、第2欄については法令上あくまでも免許状に定められることとなる当該領域に関する科目の内容を扱うこととなっていることから、教職課程コアカリキュラムの性質上、重複障害については第3欄に明記する方法で整理することについて、特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の総意を得ているところです。ただし、この整理の考え方は、大学で実施されている実際の授業を制限するものではないと共通認識も得られております。
 そこでまた飛びますが、資料1の8ページを御覧ください。米印1として、第2欄の各領域の教育課程に関する事項において、第3欄に示している重複障害等に関する教育課程の取扱いに関する事項と関連づけて実施される実際の大学の授業を制限するものではないとして注釈をつけさせていただいております。
 以上、第1欄と第3欄に含まれる重複障害領域の説明を終わります。
【安藤主査】  ありがとうございました。樋口副主査、そのほか何か補足ございますでしょうか。
【樋口副主査】  特にございません。お願いします。
【安藤主査】  ありがとうございます。
 それでは、引き続き、私のほうから進行させていただきます。特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の方向性を踏まえ、例えば自立活動などに関する到達目標が第1欄にも設定されました。このことは大変重要なことであり、意義のあることだと考えます。目標設定自体は、基礎免のコアカリキュラムに倣い、ミニマムリクワイヤメント、つまり最小限必要な内容で示されている形となっていますが、特に各欄を横断するような教授内容については、実際にシラバスを作成したり、授業を計画したりする大学教員の立場に意識を置くことは大事な視点になります。
 ここで資料2の説明に入りたいと思います。資料2を御覧ください。資料2は、私が現在、大学で第1欄及び第2欄の科目を担当する授業者の立場から、コアカリキュラム案を踏まえたシラバスがどう作成できるかを確認したいという動機づけの下で作成したものです。この資料では、担当科目で取り上げるべき内容を、シラバス作成において重要となるキーワードに着目して整理しました。
 資料2は2枚から構成しています。まず、今お示ししている1枚目を御覧ください。コアカリキュラム案に対応した第1欄科目として、仮に特別支援教育総論を設けました。真ん中の薄い緑色の枠です。この科目では、薄いだいだい色に、これまで取り上げていた内容、薄い緑色に右に示したコアカリキュラム案の到達目標に対応した内容を盛り込むことになります。
 第1欄、(仮)特別支援教育論のキーワードを御覧ください。授業者としては、例えば教育課程、自立活動等のキーワードとしてそれぞれA-1からA-3、B-1からB-3の内容を総括的に取り上げ、障害横断型科目で、かつ基礎理論の内容であることから抽出したキーワードを再整理し、教育課程の基礎、自立活動の基礎としました。
 次に、2枚目の表です。第2欄の科目である『○○障害の教育課程及び指導法』、薄い水色になっているところですが、第1欄の科目と同じような手続をもってキーワードを抽出し、それらを再整理して、教育課程編成の実際、自立活動の指導の展開としました。1枚目の表の第1欄科目、特別支援教育論で抽出したキーワードと第2欄の抽出キーワードを一つの表に並べて、取り上げる内容の欄間での整合性、関連を読み取れるようにしたものです。
 コアカリキュラム案作成の議論においては、当然、全体目標から到達目標までの各目標の設定は重要であり、ワーキンググループ、サブワーキンググループにおいては中心的に検討すべきこととなります。
 一方、担当科目をシェアする大学教員にとっては、コアカリキュラム全体を俯瞰して、欄間や科目間の関連を踏まえたシラバスの作成は簡単ではありません。誰もが必ず作成するシラバスに着目し、キーワードをもって欄間あるいは科目間の関連を可視化することを意図して作成したものです。どうしても大学教員の間では、担当する科目については、御専門の立場から内容構成は可能だと思いますが、全体として関連がどう押さえられるかというときに、こういったものが必要なのかなという立場で作成しました。
 しかし、これはあくまで私案にすぎません。コアカリキュラムを大学に周知していく際に、シラバス作成の参考となるような補足資料などとして活用することも一つ考えております。
 こういったコアカリキュラムの活用の部分にも意識を向けながら、後ほど議論できればと思い、先に御紹介をさせていただきました。
 なお、先ほどの第1欄と第3欄に関する説明に対する質疑応答等については、第2欄を各サブワーキンググループの代表の委員から御説明いただいた後に、全体をまとめて時間を取りたいと思っております。
 それでは、各サブワーキンググループから御報告をいただきたいと思います。資料に合わせて、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、発達障害の順番でお願いします。時間が限られていますので、大変恐縮ですが、お一人8分程度を目安にしていただき、特に全体に関わってくるような事項及び、後半のテーマにも関わりますが、コアカリキュラムの周知に際して通知等で示すべきと考える事項についての2点を中心に、御報告をお願いいたします。
 それでは、視覚障害サブワーキンググループからお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【小林委員】  筑波大学の小林です。視覚障害のサブワーキンググループでの議論について御説明させていただきます。
 資料1の9ページ目です。まず最初に、心理、生理及び病理の理解及び障害の状態等の把握に関するものに関しては、基本的に事務局案に即して記載させていただきました。一般目標、到達目標等の「○○障害の起因疾患と心理面及び」というところを、視覚障害では「視機能の低下の要因」という表現にさせていただいておりますが、このほうが恐らく分かりやすいであろうという観点です。
 それから、全体に関わる事項として到達目標2)になります。事務局案では、「行動観察や検査によって視知覚や認知の特性を理解している」という形で示されましたが、「行動観察や検査によって」という前振りがなければ、視覚や認知の特性を知識として理解してもらえばいいであろうというのはすっと理解できるのですが、「行動観察や検査によって」という前振りがあると、検査によって視知覚や認知の特性を知識として理解していると捉えると何となくちょっと違和感があり、大学で学生に教える場合には、例えば観察や検査を手段として知識として持っているものも含めて、障害の特性を理解していくのだということをはっきりと伝えるために、到達目標2)にあるように「認知の特性を把握することを理解している」という表現例はどうだろうか。これは全体に関わって、ひとつ御検討いただければと考えております。
 次に、教育課程の意義及び編成の方法、資料1の10ページになりますけれども、こちらについては基本的には事務局案をそのまま踏襲しております。ただし、教育課程の意義及び編成、それからその次の資料1の11ページ目の各教科等の指導法の中に「各教科等」という表現があるかと思います。到達目標1)の1行目の文末、「視覚障害の状態や特性及び心身の発達の段階等」、ここも「等」があります。「並びに学習の進度を踏まえ、各教科等」とありますけれども、前回御説明があったときには、「等(など)」の使用は基本的になしにしましょうみたいなイメージがあって、ここは「等」があるので、学習指導要領をしっかり読んでおけば、各教科、道徳科、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動及び自立活動というのは分かると思いますが、周知すべき内容、通知等で示しておくべき事項で各教科等の内容を説明してもいいのかというような話は、視覚障害のサブワーキンググループの中で出てきました。
 引き続き、各教科等の指導法、資料1の11ページについてです。この11ページ、各教科等の指導法に関しては、事務局案にのっとり、小学部・中学部学習指導要領の第2章第1節第1款の視覚障害特別支援学校の配慮事項を基本的には踏襲して整理したものとなっております。
 最後に、全体に関わってだと思いますが、議論の中で、視覚障害も各教科等の指導法の中にコンピューター等の情報機器という文言はありますけれども、デジタル教科書であったり、ICTの活用、それからGIGAスクール等々ございますので、特に特別支援教育ではそういった情報機器等の活用も多いことから、どこかしらにアシスティブ・テクノロジーみたいな内容について、各大学において、コアカリキュラムには明記しませんけれども、いずれかの講義や演習の中で取り上げることが望ましいみたいな言い回しを、今の時代なりに取り入れてもよろしいのではないだろうかという議論がありました。
 さらに、コアカリキュラムを公表する際、通知等で示しておくべきと思われる事項として、先ほど安藤主査のほうから、資料2として、どうやってシラバスにコアカリキュラムを落とし込むのかという資料が提案されましたけれども、ぜひともこういったシラバスを作成しやすいような例示資料が示されるとよいのではないかというのが、視覚障害サブワーキンググループの意見でした。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【安藤主査】  ありがとうございました。引き続き、聴覚障害の領域をお願いいたします。
【澤委員】  東京学芸大学の澤と申します。よろしくお願いいたします。
 聴覚障害領域のサブワーキンググループで話し合われた内容の中では、特に全体に関わる内容ですとか、通知に記載すべき内容ということについては、御意見はあまり出てきませんでした。そこで、聴覚の障害のそれぞれの領域に関する説明をさせていただきたいと思います。
 まず、心理、生理及び病理の理解及び障害の状態等の把握に関することですけれども、事務局の原案では何々の疾患という用語が用いられていましたけれども、聴覚障害の場合、耳の疾患という、いわゆる感覚器官のみに限定するというのは、例えば症候群性の難聴とか中枢性、心因性の難聴などを考えた場合にちょっとしっくりこないのではないかということで、生理面、病理面、心理面という言葉を使わせていただきました。
 また、特に聴覚の障害の場合には、言葉の習得とかなり直接的に関係しているということで、言語面及び心理面ということで、言語という言葉を加えさせていただきました。
 それから、到達目標3)ですけれども、家庭、医療機関とともに、「福祉及び労働機関との連携」という言葉を入れさせていただきました。聴覚障害の場合ですと、特別支援学校の中に乳幼児相談とか幼稚部が設定されておりますので、どうしても補装具の給付、各種手続等々、福祉機関と密接な連携を取ることが求められるというふうに考えました。また、補聴器、人工内耳等の装用についても、やはり保護者の心理面との対応というものを考えたり、聞こえの状態や病理ということも踏まえておく必要があるということで、あえて「福祉機関」という言葉を入れさせていただきました。
 それと労働機関ですけれども、労働機関との連携の重要性ということについては、特にサブワーキンググループの委員の特別支援学校の校長先生方のほうから、大学の授業の中でぜひ教授してほしいという強い要望がありました。
 聴覚特別支援学校の場合は、高等部の職業コースや専攻科が設置されているということもあり、企業との連携ということも重視されています。また、職業体験なども実施しておりますので、労働機関のほうから聴覚障害への配慮に関する助言とか、具体的支援ということを学校側に問われるという場合もあります。
 また、聴覚障害の方の場合、就職した後の離職率の高さということがしばしば指摘されています。その原因として、対人認識とか、自己理解とか、障害認識といった心理面での課題が非常に大きく影響しているということもありまして、労働機関との連携の重要性ということを理解していることが、大学の中で教員として養成していく上では重要なのではないかと考えました。
 それから、2つ目の教育課程の意義及び編成の方法につきましては、基本的に事務局の原案に従った形で書かせていただきました。特に大きな変更はありませんでした。
 それから、各教科等の指導法ということについてですけれども、到達目標につきまして、例えば1)については、聴覚活用や音声、文字、手話、指文字といった具体的なコミュニケーション方法を表す用語を含めさせていただきました。これは聴覚障害の教育においては、教育を行う前提として的確な意思伝達ですとか、多様なコミュニケーション方法の活用というのが必ず必要になってきますので、その部分はコアカリキュラムの中でしっかりと押さえておきたいということです。
 それと2番目として、言語概念の形成ということを入れてあります。この言語概念の形成についても、聴覚の障害と非常に強く関連する事項ですので、乳幼児期からの教育、あるいは指導の中で確実な言語概念の獲得を目指したい、そういう力を教員にも持ってもらいたいという意味で、コアカリキュラムの中に含ませていただきました。
 それから3)、これにつきましては事務局の原案では情報機器及び教材・教具の活用ということが挙げられておりましたけれども、そこに「学習環境の整備」という言葉を盛り込みました。聴覚特別支援学校の場合には、視覚的な情報環境というものを整える必要があることとか、あるいはいずれの特別支援学校でも集団補聴システム、あるいは補聴援助システムといったような特殊な機器を設けております。この管理に関すること、あるいは聴覚検査であるとか、聴覚管理を行う上での特別な施設や環境づくりということが必要ですので、その文言を盛り込ませていただきました。
 聴覚障害に関する説明は以上になります。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【安藤主査】  ありがとうございました。それでは、知的障害の関係でよろしくお願いいたします。
【葉石委員】  埼玉大学の葉石と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、知的障害領域のコアカリキュラム案を検討するに当たって、宿題が幾つか出されておりました。まず、知的障害と自閉症が並存する児童生徒について、第2欄と第3欄の内容を整理しながら、どう記載していくかということについて検討すること。各教科の取扱いとともに、教科や領域を合わせた指導の取扱いをどうするかということを検討すること。知的障害領域における教科の連続性について検討すること。知的障害領域における各教科の位置づけについて検討することといったところです。そういった内容をコアカリキュラム案のほうへ盛り込む内容を検討いたしました。
 まず、心理、生理及び病理の理解及び障害の状態等の把握についてです。全体目標ですけれども、こちらのほうは起因疾患という言葉が使われていた事務局案についてなんですけれども、知的障害では起因疾患を特定できない原因不明の者が多くおりまして、ダウン症など病理が明確なもののほうが少数であるという実態がございます。前者を生理的要因によるもの、後者を病理的要因によるものなどというふうに分類して説明がなされるわけです。そのため、ここでは知的障害の要因という言葉を使いました。それとあわせて病理が明確な者もいますので、併存症・合併症というのにその後続けていく。そのような記載の仕方にいたしております。
 次に、知的障害の状態や適応行動の困難さ及び認知の特性等を理解するという点についてですけれども、知的障害は知的機能の低下と適応行動の問題というのが発達期に合わせて現れるものを指します。ですので、そういった事柄が十分把握されるようにということで、この適応行動、認知の特性といったところで、知的障害の状態を捉えるということが分かるように記載いたしました。
 次に、到達目標1)ですけれども、ここに先ほど言いました併存症・合併症というところがまた出てくるわけですけれども、ここで併存症・合併症ということに関して何か具体的に例を挙げるかという点について、まず議論されました。
 特に教育の現場の中では、自閉症を併せ持つ児童生徒の教育の難しさというものが大きな課題の一つであるということは事実ございます。ただ、複数ある、自閉症以外にもある併存症・合併症の中で自閉症を特別に挙げるということが妥当かということについて、判断できなかったところがあります。到達目標にもしこれを挙げるとすると、自閉症等などとせざるを得ないということがあるわけですが、そういった「等」という表記はこの到達目標ではしないということだったと思いますので、ここでは自閉症の表記というのはあえてしないという選択をいたしております。
 ただし、先ほども言いましたように、自閉症と知的障害を併せ持つ子供の教育というのは非常に大事な内容であるということは確かです。ですので、この点については、障害のある子供の教育支援の手引というものを参照するようにという形で、通知等で誘導してはどうか。そちらに併存症・症合併症の代表的なものとして自閉症というのが挙がっておりますので、そのような誘導をしてはどうかということに今のところ落ち着いております。
 次に、教育課程の意義及び編成の方法についてです。まず、一般目標ですけれども、2行目で「教育実践や知的障害のある児童生徒の学びの連続性を踏まえた教育課程編成の方法云々」という文言にしております。学習指導要領改訂のポイントの一つである知的障害児教育における学びの充実、学びの連続性というものの意識というのを、ここで表現しておく必要があるのではないかということです。ただ、まだ十分表現の仕方について議論がし尽くされているという状態でないところもありますので、表現の仕方について引き続き検討する必要があるというふうに認識しております。
 教育課程の編成の方法とカリキュラム・マネジメントの到達目標1)ですけれども、こちらは知的障害の各教科の目標及び主な内容並びに全体構造を理解しているということの中に、最初述べました各教科の位置づけの理解という宿題の中身は反映されているのではないかと考えております。
 ただし、一般目標で先ほど申し上げました学びの連続性の理解ということを挙げているわけですけれども、知的障害領域における学びの連続性ということをここで到達目標につながっていく形で示すとすると、1番なんじゃないかということで、ここをどのように明確に示すかということについては、引き続き検討していこうと考えております。
 教育課程の編成の方法とカリキュラム・マネジメントの到達目標3)と4)についてです。ここは個々の実態に応じた指導について表現した4)のところですけれども、ここに「各教科等別の指導に加えて多様な指導の形態があり得る」という文言があります。効果的な指導の形態を選択、組み合わせするという前提として、教育形態として多様なものがあり得るということを表現しているわけですけれども、説明的にここは「各教科等別の指導に加えて」というのを付け加えてはいるんですが、こういったものを含めて多様な指導の形態というのではないかという考え方もありますので、ここについてももう少し文言を整理していく必要があると考えております。
 次に、各教科等の指導法についてです。こちらは事務局案として示していただいたものにそれほど大きな手は加えておりません。知的障害の状態や特性を踏まえて、以下の点を明確にする必要があるという内容で構成されていると理解しております。
 まず、生活との関連で具体的な活動を中心に据えて、分かりやすく指導するということが大事であるということ。ただ、このときに生活といったところで「日常生活や社会生活」という言葉を使って、学習指導要領と使われている文言との結びつきが分かりやすくなるようにというふうに言葉を補いました。
 それから、環境の整備や集団を意識するということで見通しや意欲を持てるようにというようなことで、到達目標2)で言葉を補ったところがございます。学習の環境を整えるであるとか、あるいは集団活動における役割を意識するといったようなところで、意欲を持つという内容として非常に大事だろうということで、そのような言葉を補いました。
 それから、指導の効果を高めるために情報機器を含む教材・教具を活用するということの重要性から、到達目標3)の内容を構成されていると理解しております。
 それから、授業改善のための見直しを継続的に行っていくということ、それが到達目標4)の中身として示されているということになります。
 我々のほうから全体を通しての議論をしていただきたいと考えているところは特にございません。
 以上です。
【安藤主査】  ありがとうございました。引き続き、肢体不自由のサブワーキンググループからの報告、お願いします。
【一木委員】  失礼いたします。それでは、肢体不自由について御報告いたします。
 まず、心理、生理及び病理の理解及び障害の状態等の把握に関する科目につきましては、事務局案をもとに検討がなされまして、本日、全体に係る事項として御報告することは特にないかと思います。
 続きまして、教育課程の意義及び編成の方法、それからその後の各教科等の指導法に関する科目ついてですけれども、まず大前提としまして、第1欄との関連において検討する必要があるということが意見として多く出たところです。第1欄との兼ね合いを踏まえて、最終的な文言として検討していく必要があるだろうということが、意見として出されたということになります。
 例えば教育課程の意義及び編成の方法で申し上げますと、(1)に教育課程の編成の意義とありますが、サブワーキンググループでの話題といたしましては、先ほど安藤主査からエクセルの資料を御提示いただいたところですけれども、教育課程編成の基本については第1欄で押さえた上で、肢体不自由特別支援学校における教育課程編成の実際について、その背景を踏まえ、理解を図るということが第2欄の役割になるんじゃないかといった意見。
 それから、(2)教育課程の編成の方法とカリキュラム・マネジメントの到達目標3)ですけれども、「教科と自立活動の目標設定に至る手続きの違いを理解している」というのが到達目標に挙がっていますが、この辺りの手続の違いの理解は第1欄で扱うことになるんじゃないか。それを踏まえて、肢体不自由の子供を具体的に想定しながら、指導の実際について考えるということが第2欄の役割ではないか。こういった意見が寄せられたところです。
 また、1つ上の到達目標2)ですけれども、「年間指導計画を踏まえ、個別の指導計画を作成」という文言になっていますが、「各教科等」とあって、ここに自立活動も含むとなると誤解を招くんじゃないか。ここで学生に何を理解してもらうのかということを考えたときに、双方の計画の関連について理解を促すということであれば、そのことが伝わるような文言とする必要もあるんじゃないか。
 この辺りが全体にお諮りしたいこととして出されたところです。
 それから続きまして、各教科等の指導法に関する科目についてですけれども、各教科等の指導法ということで、「等」の中に自立活動も含むということになろうかと思いますけれども、実際のところ到達目標を見ますと、1)から3)は各教科の指導を行う際の配慮事項がこちらに該当するんだなというふうに見えるといったときに、基礎免コアカリキュラムとの関係、目標の系統性というものを踏まえると、自立活動についてもう少し見える形にする必要があるんじゃないか。こういった意見も出たところです。
 このほか、今日、全体にお諮りしたいことがございますが、第1欄や第3欄とも関連しますので、また後ほど申し上げたいと思います。
 以上です。
【安藤主査】  ありがとうございました。続いて、病弱(身体虚弱を含む)のサブワーキンググループからお願いいたします。
【丹羽委員】  失礼いたします。関西学院大学の丹羽と申します。よろしくお願いいたします。
 病弱に関する領域について説明させていただきます。
 まず、病弱の子供たちに関しましては、病気の種類は多岐にわたりますので、要因などを含めて、そこら辺については特に記述しておりませんけども、病状のことに関しましては、病気の状態という形で幾つか統一しておきたいところがあります。というのは、障害の状態と病気の状態と少し混同するところもありますので、今後この3つの領域に関しましては、病気の状態や障害の状態という形で併記するのか、病気の状態という形で統一するのか、そこら辺についてはサブワーキンググループのほうでもう少し練っておきたいと思っているところでございます。
 また、一般目標にあります関連機関との連携に関しましては、ほかの障害種と違いまして、特に退院した後、もといた前籍校に戻る子供たちもたくさんいますので、関係機関との連携に関しましては学校間というものを入れさせていただいております。
 また、現在、感染症対策を含めて、予防ということもとても重要になってまいりますので、予防を特に担っています保健機関についても入れさせていただいて、ほかの障害種と違うのは、そういうふうな中で特に強調した形で書かせていただいているところでございます。
 多くの幾つかの障害種で労働ということが出てきました。病弱におきましても労働のことについては検討しているんですけども、今現在、少し悩んでいるところです。というのは、今現在、病気の子供たちに関しましては、20歳を過ぎる前後の、いわゆる小児科領域から成人医療領域にかかりますトランジションというのが大きな一つの課題になっているんですけども、このトランジション、移行期医療といいますけども、移行期医療において将来にわたって考える場合、労働ということもとても重要になってきます。また、病弱の特別支援学校は高等部があるところが少ないこともあって、ここら辺を入れるべきかどうなのかということについては、もう少しサブワーキンググループで検討させていただきたいと思っているところでございます。
 また、病弱とか身体虚弱ということについて理解がしにくいところがありますので、実は到達目標の下に、病弱とはこういうふうなことを言うんです、身体虚弱とはこういうふうなことを言うんですという説明を、米印をつけて補足させていただこうかと思っているところです。この辺りについては今回の資料には書いておりませんけれども、到達目標の下のところに、そのような形で病弱や身体虚弱の説明文を入れていただく予定をしておるところでございます。
 説明しておかなきゃいけないところがもう一つありました。ごめんなさい。認知の特性というところが一つ、一般目標のところにあるんですけれども、少し説明させていただきたいのは、病弱の特別支援学校は今現在、精神疾患の子供たちがかなり増えてきております。その精神疾患の子供たちの中には、自閉症という診断を受けたりADHDの診断を受けたり、それから小学校に入ってきますと鬱病と診断を受けたり、そして高学年に入ると双極性障害という診断を受けたりして、病気の名前が変わっていく子供たちが結構多いです。そういう子供たちの認知特性ということがとても重要になってきますので、このような辺りで社会性の発達及び認知の特性という形で加えさせていただいておりますので、ちょっと前後しましたけども、改めて説明させていただきたいと思います。
 次のところをお願いいたします。カリキュラム・マネジメントを含む教育課程の編成のことについて説明させていただきます。
 先ほど説明させていただきましたように、一般目標のところを見ていただくと分かるんですけれども、「幼児、児童又は生徒の病気の状態や特性及び心身の発達の段階等」と書いていますけども、ここでほかの障害種では障害の状態という形で書いていると思うんですけども、病弱の場合、病気ということを前面に出したほうが分かりやすいだろうということで、病気の状態という形で書かせていただいております。
 ただし、ほかの障害種と同じように、障害の状態ということも併記したほうがよいのではないかという意見も出ておりまして、ここについては今現在、次回のサブワーキンググループでどういう形で整えるかということについて検討する予定としております。
 また、その下の方にあります到達目標の中で、「教科と自立活動の目標設定に至る手続きの違いを理解している」という形で書かせていただいている箇所でございますけども、これは教科の配慮事項の中で、病弱に関しましては自立活動の内容と各教科の配慮事項とを関連させながら指導することを特に重視しております。というのは、自立活動の時間の指導におけるだけじゃなくて、教科指導においてもかなり綿密に取り上げていただく、関連づけていただく必要がありますので、そのようなことがはっきりと分かるように、こういう形で到達目標のところに入れさせていただいたところでございます。
 次のページをよろしくお願いします。最後、各教科等の指導法に関しましてですけども、多くのところは事務局案のとおりですけども、先ほど言いました病気の状態や障害の状態という明記につきましては同じように検討させていただきたいと思っているところですけども、ほかの障害種と違うのは、到達目標のところにICTという形で書かせていただいております。
 ここら辺に関しましては統一するべきなのかどうなのかということについては、委員の中でもいろいろと検討が出たんですけども、特に現在、こういう遠隔教育も含めて、かなりネットワークを活用することも出てきておりますし、それから病弱の教科の配慮事項等におきましては、仮想現実とか仮想社会、今で言うメタバースとか言われる仮想空間の活用ということについてもかなり書かせていただいていますので、あまりネットワークとか機器という形で書くよりも、ICTと少し幅広く書いたほうがいいんじゃないかということで、今現在、「ICTの有効な活用及び教材・教具や補助用具を工夫すること」という文言にさせていただいているところでございます。
 以上です。
【安藤主査】  ありがとうございました。それでは、最後になりますけれども、発達障害の部会からお願いいたします。
【花熊委員】  関西国際大学の花熊と申します。発達障害サブワーキンググループから報告させていただきます。
 今回の特別支援学校教諭免許状のコアカリキュラムでは、第3欄で発達障害を明確に位置づける必要性があるということを特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議及び本会議で強く指摘されているところでございますので、この御指摘をもとにサブワーキンググループで検討いたしました。
 まず、画面に出ております資料1、25ページの心理、生理及び病理の理解及び障害の状態等の把握の事項では、第1に、一般目標及び到達目標の2)に二次的な障害についての理解ということを明記いたしました。二次的な障害はどの障害種においても生じるものですが、特に発達障害では深刻であり、一次的な障害以上に学校生活や社会生活の妨げになるケースも多いことから、このことを明記するようにいたしました。
 2つ目は、到達目標3)の冒頭の文言が、事務局原案では「行動観察や検査を通して」となっていたのですが、行動観察ではなく観察というふうにいたしました。これは教育現場での支援を考えるに当たっては、検査のようなフォーマルアセスメントに加えて、インフォーマルアセスメントが重要になること。また、インフォーマルアセスメントにおいては、行動面だけではなく、子供のノート、学習プリント、テスト結果、製作品といったものの様子からも子供の特性を把握することの大切さを考えてのことでございます。この点、行動観察よりもさらに広い概念として、観察という言葉を用いてはどうかということをぜひ全体でも御論議、御検討いただければと存じます。
 それから3つ目は、一般目標及び到達目標4)の連携の重要性の部分に労働機関を加えました。労働機関との連携については、特別支援学校の幼稚部教育要領、小中高等部学習指導要領、発達障害者支援法などに挙げられているということに加えて、特に発達障害では、学校教育期の段階から将来の社会的自立、就労に向けての取組と児童生徒自身の自己理解の育ちが重要であって、その点で医療・福祉機関だけではなくて、労働機関との連携が不可欠になるのではないかということが委員の一致した意見でございました。
 この心理、生理及び病理の事項に労働機関を含めるということについては、いろいろな考え方があろうかとは思うんですが、ICFなどに示されておりますように、障害者の心理、生理及び病理は個人因子と環境因子の相互作用によって規定されるものですし、現在進行形で成長し続ける児童生徒の心理に大きく影響してくる機関の一つとして労働機関の果たす役割は重要でございますし、また今、求められておりますキャリア教育等とのつながりからも、労働機関との連携の必要性の理解ということを盛り込むことは不可欠ではないかというのが、サブワーキンググループの意見でございます。
 その次の事項、資料1の26ページですけれども、教育課程の意義及び編成の方法の事項では、一般目標と到達目標に特別の教育課程と通常の学級の教育課程との関連の理解ということを明記いたしました。これはインクルーシブ教育の理念や、令和の日本型学校教育の答申に示されました個別最適な学びと協働的な学びの概念などを踏まえたもので、特別の教育課程だけに特化するのではなくて、小学校、中学校、高等学校の学習指導要領を基盤にして考えることが大切ではないかという視点に基づくものでございます。ただし、文言についてはもう少し練る必要もございますので、この表現方法というか、文言については引き続き検討を続けていく予定でございます。
 それから次のページ、資料1の27ページの各教科等の指導法につきましては、ここに挙げました資料のとおりでございますが、到達目標の1)から3)のように、ここでも連続性のある多様な学びの場の充実・整備ということや、学習の最適化あるいは個性化といったことを意識した内容としております。
 御報告は以上ですが、御意見、御検討よろしくお願いいたします。
【安藤主査】  ありがとうございました。私の進行がちょっとせっかちで急ぎ過ぎたところがあり、先生方の御協力もあって、かなり予定よりも早く進んでございます。
 時間も若干できたところですので、私のほうから幾つか先生方にここで提案させていただきたいと思っていますけれども、まず全体のサブワーキンググループでの検討を伺いまして、1つは基本的には事務局のコアカリキュラム案の骨子、各目標の構成など、これに関しては大枠を賛同あるいは確認いただいたかなと感じております。
 ただ、具体的な記載、記述については、障害領域の特性等を踏まえた適切な用語の使用について、それぞれのサブワーキンググループから提案があったというふうに理解いたしました。今なお、具体的な検討段階であるということでもございますので、私のほうでちょっと確認させていただいた上で、全体の議論に入る前に、せっかくの機会ですので、各サブワーキンググループ間で、ここで確認や質問などがあればお出しいただくのもいいのかなと思っておりますけれど、これも限られた時間です。何かございますか。ほかのサブワーキンググループに対して。全体の骨子については、ほぼほぼどのサブワーキンググループもこれで賛同いただいたと理解したんですけど、いかがでしょうか。それでは、葉石委員お手が挙がってございますが。
【葉石委員】  よろしくお願いいたします。先ほどいろんなサブワーキンググループから、心理、生理及び病理の中身として、家庭、医療機関を含めた連携の重要性というものについて幾つか言及があったかと思います。この言葉そのもの自体、家庭や医療機関あるいは労働といったところとの連携が大事だというのは、特別支援教育上の意味としては特に異論はないんですけれども、これが心理、生理及び病理のところに位置づいているということについて、ちょっと違和感を感じるところが実はありまして、サブワーキンググループのほうでここはちょっと見落としていたところなんですけれども、ここの中身をいろんな理由で充実させるということになっていけばいくほど、これが心理、生理及び病理の内容に含まれているということについて、ちょっと疑問が出てくるなと思ったところがあります。
 心理、生理及び病理の理解において、例えば医療機関との連携が大事だというのは非常によく分かるので、そこまでの内容に我々の領域のほうではとどめているんですけども、将来の生活に向けてといったようなところなどが含まれてきますと、指導法の内容との関連で述べるべき内容ではないかということを思ったものですから、そういった辺りどういうふうに解消したのか、どういうふうに考えられたのかということについてお聞きしたいところです。
【安藤主査】  ありがとうございます。何人かの委員から手が挙がってございます。何せ時間が限られていますので、今の葉石委員の御質問に対していかがでしょうか。自分のサブワーキンググループではこう考えたよと。特に私のほうから指名はしませんけど、とても大事なことだと思うんです。小林委員、手を挙げていただきましてありがとうございます。
【小林委員】  視覚障害サブワーキンググループの小林です。
 今、葉石委員から御指摘があったことは、視覚障害サブワーキンググループでも議論されて、森田調査官を通して、他のサブワーキンググループでは福祉・労働等が入っているけれども、視覚障害ではどうなんだという話になりました。それで、各大学でそういった内容が触れられているということは確認しましたけれども、それらは心理、生理及び病理ではなくて、教育課程や指導法であったり、実習科目の一連として取り上げているので、コアカリキュラムとして入れるのは家庭、医療機関で十分ではないのかという結論に視覚障害サブワーキンググループでは至りました。
 以上です。
【安藤主査】  ありがとうございます。同様な指摘があって検討して、今御紹介いただいたような結論がサブワーキンググループではあったと。ほかはいかがでしょうか。同じような議論があったところから手を挙げていただけますか。申し訳ないです。よろしいですかね。
【花熊委員】  申し訳ありません。発達障害サブワーキンググループの花熊でございます。
【安藤主査】  よろしくお願いします。
【花熊委員】  それでは、実は発達障害のサブワーキンググループでも労働ということ、事務局原案の中には医療・福祉ということはもう既に含まれていて、そこに労働ということが入ってくるべきではないかという意見が出て、今、葉石委員の御発言にありましたように、心理、生理及び病理の領域に労働というのが入ってくることが本当にしっくりなじむんだろうかということは、実はかなり時間をかけて論議した点なんです。
 しかし、心理というのを狭い意味での心理、今の子供の心理状態というスタティックなもので考えるのではなくて、むしろ発達障害の場合、子供さん自身の将来に対するいろいろな見通しとか、あるいは自己理解といったような、むしろそういう成長していくダイナミックな心理過程として捉えれば、心理、生理及び病理のところに入っていても構わないんじゃないか、むしろ入れることが必要じゃないかということが、委員全員の意見であったということでございます。
【安藤主査】  分かりました。ありがとうございます。では、澤委員、お願いいたします。
【澤委員】  今の点ですけれども、花熊委員のお話とかなり通じるところがあると思うんですけれども、そもそも聴覚障害とか視覚障害の領域というのは授業で取得すべき単位数も多いということで、生理、病理と心理というのを分けてもいいんじゃないかという意見もありました。
 特に労働機関ということに関しては、現場の校長先生方から非常に強い要望があったというのがまずあるんですけれども、心理というときに聴覚の障害の心理って考えると、自己認識とか他者理解というコミュニケーションの障害というところがかなり根底にありますので、どうしてもその部分、ほかの人とどうやって通じていくのかというところがかなり心理の中でも重要になってくるということです。
 それが一番如実に現れてくるのが職業生活の部分で、非常に離職率が高いというのは現実問題としてある。それから、一般企業というんでしょうか、企業就労する生徒さんが大変多いということもあって、これは学校を卒業してしまえばそれでおしまいということではなくて、卒後の職業生活というところまで考えると、労働機関というのは外しにくいんじゃないかということが挙げられました。
 確かに生理、心理、病理の中にこれが位置づくのかどうかというところに関しては、葉石委員のおっしゃるとおりで、もしかすると各教科等の指導法というところに分類するということも一つあるのかなと思います。
 以上です。
【安藤主査】  ありがとうございました。丹羽委員、お願いします。
【丹羽委員】  先ほどの説明の中でも少しさせていただいたんですけども、病気の子供の場合、18歳未満の場合は主に小児慢性特定疾病という、いわゆる児童福祉の領域で様々な取扱いがされるんです。ですので、福祉機関というのは実は医療と、特に小児慢性特定疾病に関しましては福祉機関と切っても切れないところがあります。
 また、これがちょうど制度が変わります20歳のところで、実は医療費助成などを含めてなくなってしまうというところがあるのですが、、病気でいる方々の中には病気を理由に就職できなくなってしまったり、辞めさせられてしまうことが非常に多いんです。その関係で、労働機関等を含めた移行期について、ものすごく考えないといけないというところがあります。
 だから、これは心理、生理及び病理の病理、生理には該当しないけど、心理には影響するところがかなりあるので、教育方法ではないんだけども、子供の心理的な安定ということを考えると、ここら辺は入れざるを得ないかなというのが出てきたということです。
 ただし、今の現状ではそれを入れていいかどうかということは、ほかの障害種との並びもありますので、ここら辺については今ペンディングさせていただいて、表記のところには入れていないという形でさせていただいているところです。
 以上です。
【安藤主査】  ありがとうございます。このことについては、多くのサブワーキンググループでは十分検討されたと私は今理解しております。
 ただ、今後については、今度は障害間の、まさに表記の整合性をどうするかという問題が今の議論から浮かび上がっていますので、検討途上にあるというグループもございますから、この辺は少しまた事務局と詰めていくことが必要なのかと思っております。
 この点については、ここで一つ区切りとさせていただいてよろしいですか。引き続き何か、特にサブワーキンググループ間の話題としてここで確認しておきたい、検討しておきたいということがございましたら、手を挙げてください。丹羽委員、お願いします。
【丹羽委員】  どうもありがとうございます。把握の意味でちょっとお聞きしたいことがあるんですけど、よろしいでしょうか。実は文部科学省で発達障害という名称を使うときは、発達障害者支援法でいう発達障害という形になっております。発達障害者支援法でいう発達障害というのは、実は60以上の疾患を対象としているんです。今回のコアカリキュラムのところで発達障害だけ3つの主な発達障害のことしか書いてなくて、「等」ということが書かれていないんですけども、ここら辺、発達障害はこの3つだけだというふうに限定すると、吃音などが発達障害じゃないという形になりかねないんですけど、そこら辺、御意見とか、サブワーキンググループの中で検討されたことがあったのかどうか教えていただけたらと思います。
【花熊委員】  御指摘ありがとうございます。実は今、丹羽委員さんに御指摘いただいたことは、一番最初に私どもの中で論議になったところなんです。発達障害者支援法に挙げておられる数というのは非常に種類が多いですし、それから特に学校現場においてはLD、ADHD、ASDに加えて、最近DCD(発達性協調運動障害)が非常に課題になっている。そういったことは入れる必要があるんじゃないかということは、私を含めてほかの委員さんからもかなり出てきたところなんですが、ここで事務局といろいろお話をしたときに悩んだのが、「等」という言葉は使わないということで、例えばDCDまでも含めないとしたら、LD、ADHDそれから自閉症「等」という形、「など」という形で入れたらどうなんだというのがその文言の使用のところで引っかかったので、今この形になっているという状態でございます。
【丹羽委員】  どうもありがとうございます。平成19年に文部科学省が出した通知文との関係があって、ここら辺がちょっと気になったので確認させていただいたんですが、やっぱり発達障害サブワーキンググループの委員のほうでもそういう話が出たということで安心いたしました。そこら辺についてはまた文部科学省とやり取りしながら、決めていっていただけるとありがたいと思っております。どうもありがとうございます。
【花熊委員】  ありがとうございます。
【安藤主査】  この議論の過程は事務局の皆さんも御覧になっていますので、これについてどうするのかについては、また事務局を交えて検討することになろうかと思います。
 ほかいかがでしょうか。ございませんかね。小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  視覚障害サブワーキンググループの小林です。
 この後の議論になるのかもしれませんけれども、心理、生理及び病理の理解及び障害の状態等の把握の到達目標の2)で、視覚障害サブワーキンググループのほうから出ている行動観察や検査を通して理解していると捉えるのか、行動観察や検査を通して何々を把握することを理解していると捉えるのかという点は、ほかのサブワーキンググループと足並みをそろえたいなと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【安藤主査】  今、視覚障害の領域からどういうふうに対処するかということで具体的にお話がありましたけど、既に議論でこのことが取り上げられたグループはございますか。先ほどの報告ではなかったかとは思うんですけれど、なければないで、繰り返しになりますけれども、引き続きこのことについてもサブワーキンググループの中での議論、あるいは全体の中での議論でもう少し確認する必要があるかなと思います。
 それでは、次の話題にいかせていただければと思います。ありがとうございました。
 改めて、第1欄から第3欄までの資料1にあります現在の案について、質疑応答及び検討の時間をここから設けたいと思います。今、各サブワーキンググループ間での調整というところでお話をしていただきましたけれど、特に制限を設けずに、最初、冒頭に全体に関わっているような事項について、ここで絞って話題に取り上げたいと思っております。
 いかがでしょうか。先ほどの各サブワーキンググループからは、どちらかというと今話題になったようなことが中心に御報告がありましたけれど、例えば肢体不自由のほうから全体に関わることとして何点か挙げられたかと思います。
 では、そこから始めたいと思います。一木委員のほうから、全体に関わることとして、第1欄も含めてということになると思いますので、よろしくお願いいたします。
【一木委員】  失礼いたします。今回、特別支援学校教諭のコアカリキュラムを検討するに際しまして、12月のワーキンググループでも事務局からお話があったところですが、現行の教育職員免許法施行規則の枠組みの下、行われている養成段階の課題として指摘されていたのが、自立活動、教育課程の考え方について十分に養成段階で扱われていない。こんな課題整理がなされたかと思います。
 現行の枠組みを確認しますと、理念、歴史等に関する事項、それから社会的、制度的等の事項について含むものとすると。この2点だけになっている中で、先ほどのような課題が指摘されたということですが、今回、第1欄の中で自立活動の意義や指導の基本、教育課程の考え方も取り入れますということなんですが、下敷きになさったコアカリキュラムが基礎免のコアカリキュラムで言うところの理念、歴史等に関する科目のコアカリキュラムと社会的、制度的事項等に関するコアカリキュラム、この2つを下敷きにしておられる。
 この中で、実質的には自立活動の指導法に関する科目の内容、それから基礎免のコアカリキュラムで言うところの教育課程に関する科目の内容を含むものとするという設計に、私自身はちょっと無理があるんじゃないかということを感じております。また、基礎免のコアカリキュラムの特別支援教育に関する1単位科目の中には、一般目標で教育課程及び支援の方法に関する一般目標の下の到達目標の一つに、自立活動を掲げているところです。そういった意味で通常の1単位科目との目標の系統といった点も考慮した検討が必要ではないかということを感じております。
 また、自立活動については到達目標一つで言及するにとどまるという点について、特別支援学校教諭の免許でも同様の扱いという辺りは、特別支援教育の本丸ですよというメッセージが伝わりにくいかなと感じております。
 それからもう一つです。私自身、基礎免のコアカリキュラムの作成に携わった立場から申し上げたいと思います。当時、コアカリキュラムを作成するときに、1つの科目に対して全体目標が1つあって、一般目標は多くて3つ、ここを目安に絞り込もうということがございました。
 その観点から見たときに、例えば第1欄ですと、本日の案では全体目標が2つ、一般目標6つの到達目標11、それから全部挙げると切りがありませんので、例えば第3欄の発達障害についても検討を重ねていただいて、全体目標が3つになっています。実際は1科目2単位で授業せざるを得ない現場もたくさんある中で、全体目標3つ、一般目標4つ、到達目標12と。重複障害に至っては、心理、生理及び病理については第2欄を参考にということです。
 そうしたときに、今後のコアカリキュラム対照表を作成して大学に提出を求め、課程認定という作業が、再課程がないまでも実際行われるかと思います。この辺りどんなふうにイメージしたらいいかなと。もう少し基礎免コアカリキュラムの構成を参考に、シンプルにしていく必要はないかなということを感じています。
 関連して、今回、私自身は第2欄の検討に携わる機会をいただきましたが、第1欄や第3欄の書きぶりを参考資料として拝見させていただく中で、目標の水準に非常に差があるなと。第2欄の特に指導法に関する科目については、非常に具体的な各教科の配慮事項一つ一つが到達目標に挙がるような、この辺り欄間を視野に入れて目標の水準をならすということも必要ではないか。そんなことを感じております。
 以上です。
【安藤主査】  ただいま全体に関わることとして、肢体不自由のサブワーキンググループから幾つか提起がございました。繰り返しませんけれども、ほかのサブワーキンググループなどから全体に関わることで同様な御意見とかございますでしょうか。あるいは異なったものでも結構でございますけども。丹羽委員のほうから病弱のことですね。
【丹羽委員】  どうもありがとうございます。一木委員の言われた意見に対して話をしたいなと思ったけど、私のほう、意見がまとまらないので、今現在、一木委員から出していただいた意見に対しての御意見ではありませんけども、最後の第3欄と関連するところの、重複障害について少し私の方から意見をさせていただきたいと思っています。
 実はそれぞれの障害種で重複障害というのはかなり重要な視点になってきているんですけども、第3欄だけで話をするのはかなりしんどいなという思いはしております。ですので、実際には第2欄の話をする中でも入らざるを得ないということをまず前提条件として話をした上で、その上で重複障害に関しては様々な重複障害があって、重複障害の教育課程の取扱いは特に重要な点になってくるんじゃないかと思うんですけれども、重複障害者の教育課程の取扱いにつきまして少し押さえておいていただきたいのは、下学年の教科内容等を取り扱うことが、重複障害者等の教育課程の取扱いの一番最初に出てきているということなんです。
 きっとこれは特別な教育課程を編成する上で特に重要になってくるし、特別支援学級においても重要になってくるんですけども、特別支援学校のところで取り扱っていることなんですけども、特別支援学級の先生方が特別支援学校の学習指導要領を参考にする以上は、実は下の学年の教科の内容をメインとして取り扱うのは、特別な教育課程を編成しているんですということが分かるようなものを何かしてもらえないかなと思うんです。
 今現在、私もいろんな特別支援学級の先生方と話をしていて思うのは、下の学年の教科を取り扱うことは特別な教育課程とは認識していない先生方が非常に多いです。そのために自立活動はやらなくてもいいという感じで取っている方々が非常に多いです。ここら辺は自立活動を特別支援学級はしっかりやってくださいよという話をしなくてはいけないとき、その根拠となるものがもう一つ分からないという形になっていますので、何らかの形で重複障害者の教育課程の取扱いの辺りで、広範囲では見られないけど、通知文のあたりでしっかりとそこら辺は伝えていただくとか、何かしていただけるとありがたいと思っているところです。
 以上です。
【安藤主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。ほかの委員。澤委員。
【澤委員】  細かいところというよりはもっと大枠のところで、これは私の理解が至っていないところがあるんですけれども、今回コアカリキュラムを策定するというときに、私、最初に、1種免許を想定するのか、2種免許まで含めるのかということを伺ったときに、1種免許を想定しているということだったんです。ただ現実には、それぞれの大学で2種免許を出しているという学校もあるかと思うんです。その辺りのところはコアカリキュラムをどう反映させるのかということ。
 それから、視覚障害とか聴覚障害は、先ほど申しましたけども、単位数が多いんです。その場合に、例えば生理、心理、病理のコアカリキュラムの内容を1科目の中に収めなければいけないのか、あるいは分散していいのかというところ、その辺りのコアカリキュラムの取扱い的なところをきちんと定めておく必要があるのかなと。
 先ほど冒頭に安藤主査がおっしゃったように、シラバスに反映させるというところにも関係してくると思うので、コアカリキュラムの取扱い方というんでしょうか、見方というか、その辺のところが示されるといいなという個人的な意見です。
【安藤主査】  ありがとうございます。今日の全体での2点目に関わることかなと、今お話を伺っていて思いました。非常に貴重な御示唆をいただきました。いかがですか。
【山田特別支援教育課長】  事務局からよろしいですか。特別支援教育課長の山田です。よろしくお願いします。
 自立活動について、一木委員から大変重要な御指摘がありました。特別支援学校教諭の免許状の取得の課程の目玉だと思います。大変重要であるにもかかわらず、今、教育職員免許法施行規則第7条を見てもどこにも自立活動って書いていないので、その重要性に鑑みてバランスがおかしいということを我々も考えておりまして、書かせていただくし、コアカリキュラムにも掲載していただきたいと思っております。
 どこの欄に何をお願いするかということですけれども、省令を見ますと、第1欄というのは基本的な理論について、基礎理論に関する科目なので、何で自立活動が必要なのかということとか、そういう全体に関わるようなことについて第1欄で扱っていただく。
 我々が省令で書き込もうとしていますのは、第2欄のところで自立活動について扱ってくださいねと。それは教育課程上も指導法的にも大事なので、第2欄の下の部分で自立活動を扱っていただくという形で、その他のもの、例えば知肢病の課程を持っている大学で4、4、4と仮に第2欄科目があったとして、それで16単位取らなくちゃいけないので、残り4を例えば知肢病共通の科目を立てるとか、そういう工夫をされている大学は今もありますけれども、自立活動全体の話をするということになると、そういうところで扱ったりとか、あとは他の障害種については第3欄で扱っていただくということになろうかと思うんですけど、第2欄に自立活動の中心がくるというイメージを持っております。
 安藤主査から何回もご指摘いただいておりいますけれども、教育職員免許法の単位がこれで収まるのか、これは認定講習になると、6単位に収めなくちゃいけなかったりするので、さっき御指摘ありましたけれども、2種免許もそんなので収まるのかという御指摘があるのは我々も重々承知をしておりますし、それはいずれ対応しなくちゃいけない課題だと思っておりますが、今の状況は、本来、特別支援学校教諭免許状を持ってなくちゃいけないのに、教育職員免許法附則で例外的に持たなくていい状態になって、我々のほうでも100%に近づけるように今取り組んでおりますけれども、みんなが特別支援学校教諭の免許状を持ちましたねというところまでまず持っていって、そこからどういう充実を図っていくのかという順番だろうと私は思っておりまして、そういう中で先生方に、今我々の仕組みにあるそもそもの矛盾、不足を御指摘いただくと、おっしゃるとおりそのとおりだとしか申し上げられないんですが、2種免許とか認定講習も含めてどう対応するのかというのは大変大きな課題だと思います。
 これで本当に収まるのかというと厳しい部分はあるというのは承知の上で、こういう過渡期的な状況なので、皆様にこういう作業をお願いしているということです。
 基礎免との並びについても、我々の力不足で、もうちょっと本当は並びを厳密に取ってと思っておりましたけれども、先生方にミニマムエッセンシャルとか言いながら、我々もやっぱりこれは要るかなというのをどうしても入れたくなってしまって、科目ごとの目標がちょっと多くなってしまっているというところは反省をしております。
 あと、最後に出た取扱い方については、この後の議論の中でお話しいただくのかなと思っております。大学の先生方のお役に立つような示し方については、御意見を頂戴しながら検討していきたいと思っています。ありがとうございます。
【安藤主査】  ありがとうございます。この会議が始まるところから、今、山田課長のほうから御説明いただいたように、今回どこまで目指すのかという議論、お話を伺いました。私自身もいろいろ感ずるところはあるんですけれど、ステップ・バイ・ステップ、一歩ずつ議論が進めばいいのかなと思って、第1欄などの議論にも関わったつもりでおります。
 しかし、そうはいっても今回いただいた御指摘については、改めて議論として共有していければ、限られた中かも分からないですけれども、さらに次の議論につながるようなものになるのではないかと思っておりますので、特に欄間の問題、それと小学校等の教職はカリキュラムでの特別な配慮と。あれについても私もすごく気になっているところで、特別支援学校の免許を取得する場合の学びが基礎免を取る上で学ぶものと同じ水準であってはいけないだろうというのがございますので、そういったところとの関係ももう少しこれから全体を通して、あるいはサブワーキンググループなどでも意見を出していただいて、先ほど山田課長のほうからありました見通しに沿えるようなものになればいいかと思っております。私がここで変にまとめる必要はないのか分かりませんけども、そういうところもぜひ御理解いただければと思っております。
 一木委員いかがでしょうか。
【分藤初等中等教育局視学官】  分藤でございます。一木委員、安藤主査ありがとうございました。
 今、山田課長がおっしゃったことと重複することは避けますけども、これは第1欄の自立活動にポイントを当てていえば、教育課程に関する制度というところから、学校教育法施行規則の129条から教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する特別支援学校の学習指導要領に飛ぶわけですけども、基礎免コアカリキュラムで押さえる小中学校等の学習指導要領にはない特別支援学校学習指導要領に位置づいている、特別支援学校における教育課程の基礎的な要素としては知的障害領域の教育課程の意義及び編成の方法の到達目標の部分、いわゆる教科の種類と、あと各障害領域共通の自立活動の教育課程上の位置づけ、ここは小学校の総則にも確かに位置付いてますが、特別支援学校を参考にということで、自立活動の内容を取り入れると解説には書いてあるわけです。それが反映されて、基礎免コアカリキュラムの到達目標には、「通級による指導及び自立活動の教育課程の位置づけと内容を理解している。」となっています。逆に基礎免コアカリキュラムで取り扱う範囲も広いなって私たちも思うんですけども、それに加えて、重複障害者等に関する教育課程の取扱いの定めというのがあるわけです。その規定がなぜそこにあるのかというところ、特別支援学校学習指導要領の総則上の範囲の中でここの到達目標をイメージしながら、安藤主査や樋口副主査などに御議論いただいていたということです。
 ただ、おっしゃるとおり、基礎免コアカリキュラムの自立活動の教育課程の位置付けとあるにもかかわらず、特別支援学校のコアカリキュラムでも自立活動の基礎的考え方を理解している、の基礎的考え方の範囲がどこまでなのか、重複しているところがあるのではないか。まだまだ研ぎ澄ましていかなければいけないところが確かにあるなと思いながら、御意見を伺わせていただきました。
 以上です。
【安藤主査】  ありがとうございました。それでは、ちょうど想定していた時刻になります。今いろいろ御議論いただいたことについては、今後もう少し掘り下げる形で検討したいと思います。その見通しについて、次回以降のことを含めて、事務局のほうでどうなるか簡単に御紹介いただいてよろしいでしょうか。これに限定するものではないと思うんですけど。
【嶋田特別支援教育課課長補佐】  特別支援教育課の課長補佐の嶋田でございます。
 今後の御予定についてでございますけれども、今現在考えている御予定といたしましては、2月24日にこのワーキンググループの親会議であります特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議がございまして、そこにおきまして現在のサブワーキンググループでの議論の状況を安藤主査のほうから、親会議である特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議で御報告していただきまして、3月8日の第3回のワーキンググループにおいて、2月24日に親会議のほうで出された議論や今回いただいておりますような議論を踏まえて、最終的なものを反映させたものを3月8日の第3回のワーキンググループで共有していただき、結論を得るという形で、ワーキンググループとしてはそこで結論をいただいておきまして、その後、最終的に親会議である、3月の特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議のほうで内容を上げていただき、親会議のほうで最終的に結論を出していただくという状況で今考えているところでございます。
【安藤主査】  具体的に御紹介いただいてありがとうございます。親会議のほうにこの検討について、サブワーキンググループでの検討も含めて報告をさせていただくと。そこで御意見を頂戴して、第3回目のワーキンググループに臨むという手順になってございますので、ここで検討したことに加えて、親会議のほうで出された意見などについて第3回でフィードバックして、そこでさらにこのことについてどうするかという話になろうかと思います。一応そこで成案をつくるということになろうかと思います。そういう今後の予定ということでよろしいでしょうか。
 澤委員、お願いします。
【澤委員】  そうなりますと、今日もいろいろな御意見を聞かせていただいた上で、サブワーキンググループでこの後何か検討するという、タイムリミットというんでしょうか、その辺りというのは2月24日をにらむのか、3月8日なのかとか、そういった期限みたいなものはありますでしょうか。
【安藤主査】  嶋田課長補佐はいかがでしょうか。
【嶋田特別支援教育課課長補佐】  この後、2月24日の親会議のほうで議論いただきますけれども、そういったものを事務局からサブワーキンググループにフィードバックさせていただきまして、それらの議論を3月8日の第3回ワーキンググループの会議までの間に、サブワーキンググループのほうで議論していただくということを考えているところでございます。
【澤委員】  ありがとうございました。
【安藤主査】  大事なところですね。先ほどの議論をどう生かすかという場を、改めてまた検討いただくようなことになろうと思います。
 大変申し上げございません。本当に貴重な御意見をいただき、時間の関係上、取りあえず一旦ここでこの話題については閉じさせていただきます。
 2つ目の議事になります。特別支援教育関係教員養成大学に向けた周知等について、改めて嶋田課長補佐から御説明お願いいたします。
【嶋田特別支援教育課課長補佐】  それでは、私のほうから御説明させていただきます。議題2といたしまして、特別支援教育関係教員養成大学に向けた周知等についてでございます。
 こちらは特に資料は用意しておりませんが、今後コアカリキュラムが確定した際に、各大学に対してその趣旨等を周知していかないといけないと考えているところでございます。
 事務局といたしましては、コアカリキュラムが確定した後に、コアカリキュラムにつきまして、特別支援教育関係の教員養成大学等に対しまして通知をさせていただくことを考えているところでございます。また、通知する文章の中に、趣旨等を含められればいいのではないかなとも考えているところでございます。また、通知のほかに、特別支援教育関係の教員養成大学に対しまして説明会を開催し、趣旨等を説明させていただければとも考えているところでございます。また、これ以外にも担当課と御相談しているところでございますが、課程認定の手引につきまして少し改訂することができないかどうかということも考えているところでございます。
 また、冒頭に安藤主査から御説明していただいたような資料を活用して、キーワードを各大学のほうに提示していただくというのも、周知の方法としてあるのではないかと考えているところでございます。周知の手段や周知すべき事項につきまして、先生方のほうから御意見を頂戴したいと考えている次第でございます。
 私からの説明は以上でございます。
【安藤主査】  事務局としてはもちろんコアカリキュラムの議論を尽くした上で、コアカリキュラムの骨子を示すと。それ以外に、これを使用する大学あるいは大学の教員にこの趣旨を徹底するための仕方について考えているということでございました。
 大変重要なことでございますので、このことについても先生方に改めて御意見あるいは御質問をいただく時間を取りたいと思います。十分弱ぐらいかなと思いますけれど、先ほど関連した御意見等もございましたけれど、改めてここでお話しいただいても結構ですし、御発言がなかった委員の中においても、改めて周知の方法等について御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 私のほうで、事務局とのやり取りの中で、ユーザーとしての大学教員がどこまでコアカリキュラムに基づいて、それぞれの御担当の大科目のシラバスを作成できるかというのは常に頭にあって、私のほうで自分が持っている授業でやってみて、本当に私案ではございましたけど、欄間の関係を押さえていけばいくほど、どこの何を取り上げるか難しいものでございました。こういうことを踏まえたときに、何らかの周知の手段を我々は持つべきかなという考え方の一つでございます。小林委員。
【小林委員】  失礼いたします。先ほども報告しましたように、視覚障害のサブワーキンググループのほうからは、シラバスが作成されやすいような具体的な例示をぜひ提示してほしいというリクエストがございましたので、今、嶋田課長補佐のほうから御説明があったような、例えばキーワードの提示であったり、安藤主査がつくられたシラバス案みたいなものはぜひ実現していただきたいと願っております。期待だけですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
【安藤主査】  ありがとうございます。樋口副主査のほうから挙手があったと思うんですけど。
【樋口副主査】  今、小林委員のおっしゃられたことと全く同じなんですけれど、それに加えるとしたら、説明会の出席者が事務的な担当者ではなく、大学教員も必ず出席しなさいというような形で、一緒に説明を聞きながら、シラバスの模擬的なものをつくりながら聞けるような時間が設けられると非常に理解が進むんじゃないかと思いました。以上です。
【安藤主査】  ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 私が示したものについては私案であるということと、あくまでも第1欄、第2欄の関係ということで枠組みを限定していましたので、先ほどの小林委員からありましたように、例えば各障害領域でこういったものを作成することというのは可能なのかどうか、その必要性があるのかどうか、どこまで作成すればいいのかという問題もあろうかと思うんです。その辺のところはいかがでしょうか。澤委員。
【澤委員】  小林委員のおっしゃったことはそのとおりだと思う一方で、先ほど課程認定の手引を変えるというお話も嶋田課長補佐からあったかと思うんですが、課程認定上受けるという立場に大学はあるわけで、そのときにシラバスの縛りというのが逆に足かせになるのは困るなというのは正直あります。
 こういうシラバスができますよというシラバス案というものを示したときに、それが逆に教員の課程認定上の縛りになって、このシラバスができなければ教員としては駄目ですということになってしまうのはちょっと困るなと。これはワーキンググループの中からも実は出ていて、発端はやはりコアカリキュラムというのがミニマムということではあっても、どうしても専門領域の中ではこれも必要だ、あれも必要だという意見が出てくる。一方で、それを全部盛り込んでいくとシラバスそのものもつくれなくなってくるだろうし、また課程認定上の課題というものも出てくるなと思ったんです。
 ですので、シラバスをつくる上での方向性というのは必要かとは思うんですけれども、例えば教職課程の特別支援教育のほうは、全部授業の中で何時間目にどれを確保したかというチェックを入れるのがありますよね。あれも組立て上は苦労していると思うんです。授業の中でどういう順番でどのように盛り込んでいくのかということにすごく苦労されているところもあると思うので、その辺りの形式的な部分というのは、私は緩くてもいいのかなというのが正直なところです。すみません。ちょっと余計なことかもしれません。
【安藤主査】  ほか御意見いかがでしょうか。
 時間もさほど残ってございませんけれども、また私の話をさせていただいて恐縮なんですけど、あくまでも私案だとこだわったのはそこなんです。これを金科玉条のように取り上げられると私も困るし、個々の教員あるいは大学の裁量というものは重要ですから、そこを縛ることはあってはならないと。そういう前提に立つものと私は理解をしています。
 ですから、大体こういう例示をするときは、大枠、概括的で、大体この想像でできるよねというぎりぎりのところを示すのが私は一般的なのかなと思っていますので、基本的には私は、今、澤先生の懸念されることについてはそのように対処すべきかと思っております。ここで私があんまり意見を言っちゃいけないんでしょうけど。示すことは大事だけど、示し方は考えますよねという話だと思います。一木委員いかがでしょうか。
【一木委員】  失礼いたします。先ほど話題になりました、例えば自立活動については教育課程に関わるような、あるいは指導法に関わるような内容を盛り込んでほしいんだけれども、様々な制約から制度的事項に入れている、この辺りはメッセージが伝わるような仕掛けは必要かなと思うのが1点です。
 それからもう1点、第3欄です。重複障害について、私も今、澤先生お話しいただいたように、あんまり縛らないほうがいいと思っています。一方で、コアカリキュラム対照表をつけたときに、丸がついてないと返されてしまうかと思います。そうしたときに、第3欄の重複障害について、心理、生理及び病理は当該のとなると、果たして何枚のものに丸をつけたシラバスをつくり上げなくちゃいけないのかなと。この辺り、御担当の方は非常に悩まれるかと思いますので、対応の仕方についてガイドがあるといいのかなと思います。以上です。
【安藤主査】  ありがとうございました。小林委員、挙手が上がっていますけれど。
【小林委員】  視覚障害サブワーキンググループの小林です。
 サブワーキンググループからの意見を持ち出して、たまたま前半で安藤主査の作成されたシラバス案が出てきたので、言葉として使わせていただいておりますが、決してあれと同じようなものを視覚障害サブワーキンググループは要求しているものではなくて、シラバスが作成しやすくなるようなヒントを各大学の教員に提示していただきたいという趣旨ですので、例えばキーワード等でも、こういう内容を大枠でシラバスの中に盛り込めばよいというイメージが持てれば、それで十分だと思いますので、シラバス案までは要求していないというところを押さえておいていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【安藤主査】  ありがとうございます。それでは、時間も来ておりますので、この辺りで質疑については打ち切らせていただきます。
 本日の検討は以上となります。皆様、貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、次回の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
【嶋田特別支援教育課課長補佐】  先生方どうもありがとうございました。先ほども少し次回以降の日程について御説明させていただいておりますが、改めて御説明させていただきます。
 来週の2月24日に親会議に当たります特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議が開催されます。その会議の場において、安藤主査より当ワーキンググループでの検討状況を御報告いただく予定となっているところでございますので、安藤主査におきましてはどうぞよろしくお願いいたします。
 当ワーキンググループといたしましては、先ほども御説明させていただいたように、次回は3月8日火曜日の10時から開催となっているところでございます。本日同様、各サブワーキンググループの代表の委員の先生方に御出席いただくことを予定しているところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 各サブワーキンググループにおいては、次回のワーキンググループまでに、本日の議論を踏まえて、それぞれのコアカリキュラムについて検討をお願いしたいと考えているところでございます。また、24日の検討会議において、追加で検討が必要な事項が出ました場合には、事務局を通じて御連絡させていただいく予定でございます。
 また、本日、安藤主査から御提案いただきました資料につきましては、資料の扱い方などにつきまして十分気をつける必要性があり、また、示す内容について、もう少し簡略なものがいいのではないかといった議論もいただいておりますので、こちらのほうを踏まえまして事務局においてフォーマットを作成させていただきまして、改めてメール等で送信させていただきまして、こちらについてまた御議論をお願いしたいと考えている次第でございます。
 当初お示ししているスケジュールとしましては、ワーキンググループとしては次回が最終回となっているところでございます。期間が短い中での御検討となり大変恐縮でございますが、どうぞ引き続き御協力よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【安藤主査】  それでは、本日はこれで閉会といたします。先生方には御出席を賜り、誠にありがとうございました。
 以上です。
 
―― 了 ――

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