GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第8回)議事録

1.日時

令和4年11月14日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議による開催

3.議題

  1. 令和4年度第2次補正予算(案)について
  2. 校務の情報化に関する調査結果及び次世代の校務情報化へのロードマップ(イメージ)について
  3. 校務DXの位置付けや校務支援システムが果たすべき役割等について
  4. ダッシュボード機能のデータ項目例について
  5. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

石井委員、石田委員、井上委員、今井委員、清野委員、小﨑委員、妹尾委員、髙橋邦夫委員、高橋純座長代理、鶴田委員、中村めぐみ委員、福原委員、藤村委員、堀田座長、水谷委員、山口委員、渡部委員

文部科学省

武藤 学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、桐生 教育DX推進室長、村尾 財務課長、伊藤 学校デジタル化プロジェクトチーム専門官、菅谷 財務課専門官

6.議事録

GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第8回)

令和4年11月14日

 
 
【堀田座長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまよりGIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議の第8回会議を開催いたします。
 今日の議事進行に係る留意事項や、議事進行のことにつきましては資料1を御覧ください。何か御不明な点がございましたら、事務局にチャットや電話でお知らせいただければ幸いです。
 早速ですが、それでは議題の1について、事務局より御説明をお願いいたします。
【武藤リーダー】  事務局です。武藤でございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、この間、令和4年度の補正予算をめぐる動きがございましたので、御報告をさせていただきます。
 前回の会議で、令和5年度概算要求について大きく2つ、次世代の校務のデジタル化の関係と、それから教育DXを支える基盤ツールの関係、御報告申し上げましたが、その後の政府全体の動きの中で補正予算を編成するという中で、これらについて補正予算に計上する形で、今、動きを進めているという御報告であります。
 資料2の1枚目でございます。これはほとんど前回御覧いただいたものと変わりません。
 背景・課題として、大きくデータ連携、働き方改革、その他ということで、現行の統合型校務支援システムの抱える、これは様々成果も上げてまいりましたが、現時点でこのような課題があるという整理。本検討会議で8月の議論を踏まえて、大きく7点、課題を整理しております。
 この課題を解決すべく、事業内容のところで、民間事業者を活用しつつ、教育委員会と現場の共通理解を得ながら、教育データの標準化の政府全体の検討状況、それから教育行政システムのデジタル化、こういった状況を踏まえながら、都道府県が域内の市町村と連携して、次世代の校務のデジタル化モデルの実証研究を実施してモデルケースを創出することによって、この事業が終了後に、全国レベルでの効果的、そして効率的なシステムの入替えを目指すということで、全国5か所―。これは都道府県と政令市、都道府県は域内の市町村との連携ということで、実証地域5か所ということで補正予算案に計上させていただいているということでございます。
 その後の未来イメージというのは、前回御説明したものと同様でございます。
 それから、2枚目でございます。教育DXを支える基盤的ツールの整備・活用ということで、これも同様でございますが、教育データの利活用の促進、これは背景・課題のところですけども、ルールとツールの整備が重要であるということ。これまでツールの整備をそれぞれの主体がばらばらに取り組んでいたので、全国共通で必要なものについては文部科学省として整備を行う必要があるということ。
 併せて、基盤ツールであるCBT、それからウェブ調査システム、これらは機能改善・拡充を実施していく必要がある等々の問題意識から、大きく3点、MEXCBTの改善・活用の関係の事業、それからEduSurveyの開発・活用促進、そして教育データの利活用に関する留意事項の策定と、大きく3つを要求、全体で4億円ということで補正予算案に入れ込んでいるというところでございます。
 説明は以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。これは補正予算案に入ったということで、これからこれが本当に補正予算になるかどうかというのはまだ確定しておりませんが、このようなこと、私どもが話し合ってきたことの延長にある、こういう事業が2つ、補正予算案に入ったということですので、御理解いただければと思います。
 何かこの件について御質問等ございますでしょうか。
 いずれも、ここの会議の場では話題になってきたことでございます。特に1つ目の件は、「統合型」という言い方でクラウド以前にいろいろ計画された考え方を今後修正していくに当たって、急にはできませんので、まずはモデル実証研究を行い、その成果を踏まえて段階的に各自治体が新しい形に変えていく、そのモデルケースを創出するというものでございます。
 特になければ、また先で、ほかの議論と組み合わせて御意見いただければと思うところでございます。
 今日の議題、4つのうちの1つ目は報告ということで、今のような形でございました。
 次の議題の2については、校務の情報化に関する調査を文部科学省で行っておりまして、それを基に今後のロードマップイメージ、段階的整備の時間的な話について整理をいただいていますので、こちらについて文部科学省から御説明いただき、この後、議論の時間を取っていますので、ぜひ皆さん、御意見をいただければと思うところでございます。
 では武藤リーダー、よろしくお願いいたします。
【武藤リーダー】  続けてよろしくお願いいたします。資料の3で、校務の情報化に関する調査結果、本年9月時点という資料でございます。
 一枚めくっていただくと資料の概要がございまして、全国の都道府県と市区町村の教育委員会、それから学校組合等々を対象にいたしまして、大きく2ポツの1から5に渡る調査を行いました。
 これ、後ほどと重複してくるのでここは割愛しますけれども、今年の8月10日から11月9日までに、回答数で1,815ということで、そこにあるような回答の数をいただいております。
 一枚めくって具体のところに入ってまいりますと、まず、丸1 -1ですけれども、「学校における校務の処理を電子化していますか」という非常にストレートな質問でございまして、統合型の校務支援システムを導入しているというところが73.4%、統合型でない校務支援システムが8.5%、校務支援システムは導入していないけれども、校務処理用のコンピューターで校務処理している15%、一切電子化していないというところが3.1%、残念ながらというところでございました。
 それから丸1 -2です。クラウド化の状況ということで、オンプレミスが37.7%、閉域網でのクラウドとお答えのところが29.5%、そしてネット経由で接続したクラウド14.0%、校務支援システム未導入が18.9%ということでございました。
 一方で、その次のページですが、校内ネットワークの状況ということでございまして、アクセス制御を前提として、まさにこの検討会議の中間まとめにもあるようなイメージでございますが、アクセス制御を前提としてネットワークを統合しているところが2.6%、校務系と校務外部接続系、それから学習系、3層分離というところが22.9%、校務・学習に2層分離が72.7%と、こんな状況でございました。
 おめくりいただいて丸3 でございますが、「教員は校務用と業務用の端末を使い分けていますか」という質問に対して、「使い分けていない」と。これは校務支援システムを導入している自治体の中で、「使い分けていない」というところが12.9%。そして、「使い分けている」、すなわち2台以上でやっているというところが66.3%。それから、今度は校務支援システムを導入していない自治体で、「使い分けていない」が5.0%、「使い分けている」が15.8%というような状況でございました。
 全体として言うと、いろいろシステムのありなしはあるんですけど、結局、2台持ち3台持ちみたいになっているところが、右下の赤くなっているところでも8割以上が複数台を使用しているんだというような状況なのかなと思います。
 おめくりいただきまして、丸4 -1でございます。「教職員は、自宅から校務支援システムを使うことができますか」ということで、「できる」というところがまだ6.0%にとどまっているという状況でございまして、まさに先生方に御議論いただいている新しいシステムの意義が、ここからも分かるのかなと思っております。
 それから、「教職員は、自宅から校務支援システム以外の業務上必要なシステムを使うことができますか」。例えば、※印にありますように学納金の徴収だったり、備品管理とか経理とか、いろんなものがあるわけですけれども、これも自宅からできるというところは5.2%にとどまっているというような状況でございました。
 丸5 に参りまして、統合型校務支援システムの導入・更改予定時期。これは現時点では統合型というふうに聞いておりますが、要は校務支援システムの更新の予定というのを聞きました。
 そうしたところ、結構きれいにばらついているのかなと思いますが、令和7年度17.5%と。1年度ごとに17.6%、11.9%、20.9%、19.4%と。あとは、校務支援システムをそもそも導入していなくて予定もないというところが残念ながら12.7%あるということでありまして、まさに先生方に御議論いただいている次世代の校務支援システム、これからより小規模校で、学校数が少なかったり児童生徒数が少なかったり、そういったところも含めて、より多くの自治体にDX化で裨益していただくということでいうことでいうと、この回答6.のところも含めて大きな課題であるのかなというふうに思います。
 特にこの丸5 を踏まえまして、次のページで、これは全くのたたき台というかイメージに過ぎないのですが、次世代の校務情報化へのロードマップというものを載せております。
 これも階段状になっているんですけど、大きく一番上に時系列で、R4からR12までありますと。R4のところで、ちょうど今、まさにこの会議で御検討いただいているという中で、R5のあたりでモデルケースの開発。先ほど、今日冒頭に申し上げた次世代の校務支援システムの実証事業、こういうものがR5からになっていますけれど、もしこれ、補正が仮に成立するということであれば、R4の最後のほうから、このモデルケースの開発というのは進んでいくということかと思いますが、何年かかけてこれを進めていくということになりますが、そこに、ちょうど一番左側ですけれど、一枚前の資料で、うちはR7に導入・更改をするんだ、R8なんだというところが、時系列でポンポンポンと一番上から一番下までいろいろあるわけですけども、最終的に、この検討会議で御議論をいただく中で、何らかの数字を目安として入れられたらいいのかなというふうに思っています。
 ちょっと一枚戻っていただくと、例えば2ポツの令和8年度で、今319の自治体、17.6%の自治体がR8にシステムの更新を予定しているということなので、これで行くと、令和8年度のところで、この予定どおりに行くのであれば、17.6%の自治体が次世代の校務支援システムを稼働させていただけるというのが理想なのかなと。
 それよりも前の2年ないし3年間をかけて、実証研究、実証事業をやってもらって、その実証事業を横目で見ながら、各事業者の方々におかれても、ぜひこの次世代型というのを導入いただくと。そうすると、マーケットにそういう商品がたくさん出ていくという中で、新しく校務支援システムを入れる、あるいは校務支援システムを更新するという自治体が新しい校務支援システムで契約をしていくということが、だんだんだんだん階段状になっていく場合に、R12ぐらいまでかければ、基本的にはクラウド、そしてネットワーク統合、そして様々なデータ連携が低コストかつ円滑にやりやすくなるような、そういう未来像を描きつつ、最終的にはこのロードマップの中に何らかの目安となるような数字をお示しして、自治体の取組を促すと。こんなことができたらいいのかなというふうに思って、試みに作成してみたものでございます。
 説明は以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。この後、皆さんの御意見をいただきますが、今の最後のロードマップというか階段状のものですね、これは一番最後の5段目で、R11で新しい校務支援システムが稼働するというふうになっている、このR11のあたりというのは、恐らくこの次の学習指導要領が全面実施される頃が、R11とか12とかかなと。今のがR2でスタートしていますから。
 そう考えると、それまでずっと、今までのやり方で大丈夫なのかという心配というか懸念はありますが、現実的に考えるとこういう形で、これが少しでも良いものを私どもが提示できて、少しでも前に倒しながら進めていくということができればというふうに願うところでございます。
 調査の結果と今のロードマップについて御意見ある方、ぜひ挙手機能でお示しいただきまして、そして私のほうで指名差し上げるという形になります。いかがでしょうか。
 ちなみに、質問の丸3 は、「使い分けていますか」と聞いていますけど、使い分けてほしいのか、使い分けないでほしいのかは言っていないわけですよね。
 使い分けるということのメリットは、安全かもしれないけど複数の端末が必要になって、それがコスト高とか煩雑さとか、あとネットワークを分離しているからこっちのデータをこっちではすぐに参照できないとか、そういう課題があるということですかね。
【武藤リーダー】  はい、おっしゃるとおりです。課題を全て示した上で、こうだとか、こっちの方向がいいとか、そういう取り方はしておりません。
【堀田座長】  分かりました。純粋な聞き方で聞いてみているということです。
 では、石井委員、中村委員の順番でまいります。石井委員、お願いします。
【石井委員】  石井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。端末2台使いの現状についてお話しさせていただきます。
 本市の場合には、端末1台で校務支援システムとネットワーク接続切換えによるクラウドの利用により、子供たちの学習用端末ともつながるという環境を整備していますが、授業をするに当たって先生方からは、子供たちと同じ端末で学習系のネットワークを使って授業をしたいという希望がありましたので、2台目として学習用端末と同様の端末を整備しています。
 そのため、この調査の意図とは違う2台目の整備という回答もあるのではないかと考えながらこちらの調査結果を見ておりました。本市の場合には、ネットワークを切り替えて使うことで、1台の端末で全ての校務が実現できる環境となっております。
 2点目ですが、先ほどの資料の中に数値を入れていくということなのですが、結局、校務支援システムの整備の仕方が県一括調達であったり市単独であったりということで、県調達のところは各自治体で話合いをする必要があると思っておりますので、もしかするとこのロードマップには書き切れない、各県が近隣の町村を集めて会議をもつ等、様々な準備が必要であると思っておりますので、しっかりスケジュール感も打ち出していきたいなということは感じておりました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。県域の重要性はこの会議でも議論が出ていますし、そのための話合いの期間、調整の期間等がこういう文書に書き込まれておいたほうが、より適切だということかと思います。ありがとうございました。
 続いて中村委員、お願いいたします。
【中村(め)委員】  中村でございます。どうもお世話になっております。
 見通しを持った予算編成と、それから計画的な取組ということでお示しいただきました。ありがとうございます。
 実は、「自宅から教員が校務支援システムを使うことができるか」という部分について、少し課題感を感じているところです。
 何かと言いますと、自宅に持ち帰ってよい端末を、自治体が教員に配付しているかどうかというところになります。
 先ほどのような、例えば学習者用と同じGIGA端末であると、スペックが低い。例えばこれがクラウドであれば、ネットワークにつながっていればいいのではないかという部分もあるんですけれども、例えば校務支援システムに対応できるようなスペックのある端末を自治体が教員に配付していて、それを持ち帰ることができているのか。もしくは、教員がBYODで自宅にある端末から活用させようとしているのかといったところが、どちらなのかなという方向性を少し明確にしていただけるとありがたいなと思っております。
 中には、若い先生では自宅にインターネット自体がまだしっかりと整備されていない御自宅、独り暮らしの先生もいるというのが、オンライン学習が始まったときに実は課題となっておりました。実はネットワークがつながっていない若い先生にはモバイルルーターを配付したというような経験もございましたので、割と家でつながる、つながらないといったところの、もう少し細かい粒度の調査も必要なのかなと思ったところです。
 すみません、意見となります。失礼いたします。
【堀田座長】  ありがとうございました。今の話は非常に大事な話で、また働き方改革と関係する話かなとも思いますので、私どもも慎重に議論しなければいけないところだと思います。
 「自宅から校務支援システムを使うことができますか」という質問は、そのための端末が家にありますかとか、持って帰れますかということを知らないとうまくできないという話にもつながるということを御指摘いただいたのかなと思います。
 一方で、それを持って帰ったとして、ネットワークのシステムがあるのかとかそういう話がありますけど、これからの時代を考えると、多分どの端末でも、あるアカウントでちゃんと入れば大丈夫ということで、先生用の重要な端末を持って帰ったりするということをあまり重視しないほうがいいのかなとは思いますが、一方で、「家でも仕事させるのか」みたいな話は必ずあるし、でも、家から仕事できることで働きやすくなる可能性はあるわけで、この辺りをどのように整理するかというのは、これは校務支援システムだけではない問題といろいろつながるのかなと。
 あと、外からどこまでデータを見られるか。これはアカウント次第ですけど、そこのところのセキュリティとの関係もあるのかなと思います。貴重な御指摘をいただきました。ありがとうございました。
 この後、妹尾委員、井上委員、山口委員の順番で御指名いたします。
 妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  妹尾です。おはようございます。お世話になります。3点ほど、少し申し上げたいと思います。
 1点目は以前の会議でも申し上げたのですが、今の校務支援システムなり統合型校務支援システムが、正直、使い勝手が悪いという声について。業者は様々頑張られているとは思うんですけれども、ユーザー目線で見るとまだまだ課題があるというところもあると思うので、そこはこの会議でも出ましたように、まだ先生方が慣れていないからだというような要素ももちろんあるんでしょうけれども、一方で、改善の余地もあるというのも恐らく確かだと思いますから、慣れていない方にとっても非常に親切なものになっているかとか、あるいは、ICTなり校務支援システムは導入されたものの、あまり業務負担軽減にはなっていないとかいう声もよく聞きますので、そういった声も、今回のアンケートはもういいんですけれども、国とか、特に設置者、自治体はもっと把握してほしいなというのが、僕からの注文の1点目です。
 あと2点目、そことも関係するんですけども、システムを導入しているかどうか以前の問題で、ちゃんと必要な業務のプロセスの改善なり、業務そのものの見直しが起きているかどうかというのも、やっぱり注目してほしいなと。
 これもまた繰り返しで恐縮なんですけれども、以前も三島市であったように、修繕業務とかでも非常に帳票類が邪魔くさかったり、非常に帳票とか、業務の手順だとか、決裁の仕方だとか、そういうことに問題があるということであれば、幾ら校務支援システムを導入していてもあまり効率的ではないじゃないかという話になりますので、その辺は教育委員会にとっても業務負担軽減なり、教頭職とか事務職員とか教員にとっても負担軽減なりというwin-winの部分をぜひ目指してほしいなというのが2点目です。
 次、3点目なんですけれども、ちょっと僕、これは細かくは分かりませんが、最後のロードマップのあたりなんですけれども、これ、一概にこうは言えないとは思いますけれども、正直、下のほうの、大分あとの年度で更改する自治体にとっては、そこまで本当に学校現場がもつのかと言ったら恐縮ですが、古いままで、またUSBメモリの紛失だとか、いろいろニュースが起こるためにげんなりするのですが、何というんですか、もっと早くアップデートしようよというメッセージを、文部科学省の権限からはなかなか言いにくいかもしれませんけれども、こういう会議で、何年度までというのは言えるかどうか分かりませんが、こういう点は少なくとも早めにアップデートしてくださいというのはもっと言わないと。こんな、令和7年8年9年とか、待っていられるのかというのが正直思いました。そこはまた、ぜひ委員の皆さんの御意見も伺いたいと思っています。
 以上です。
【堀田座長】  妹尾委員が最後におっしゃった件は、私も懸念して、先ほどちょっと言ったところでございます。
 あと、校務支援システムで業務改善がされているのかという話は、従来の業務に合わせた校務支援システムを入れれば入れるほど業務が変わらない可能性もあって、業務が変わらないことに対する不満が、「校務支援システムを入れても意味がない」みたいな、校務支援システムのせいにされているところもあって、これは微妙なところですけど、業務フローをどうやって変えていくかというのは、これからのDXの大事な考え方だと思いますので、そのようなことも含めて、詳細な調査をできるタイミングでは、そういうこともやっぱり聞いてみる必要があるなと。
 でも、自治体が入れていますから、本当は自治体がちゃんとそれでうまく効果が出ているかを調べなきゃいけないんだろうなと思うと、国がどこまでできるかというのはちょっと検討事項ですけども、御意見は承っておきたいと思います。ありがとうございました。
 では井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  JMCの井上でございます。私も妹尾委員とか今の座長の意見に賛成で、やっぱり業務フローが大事だと思いますので、そこら辺はぜひ見直しをしていただきたいなというふうに思っております。
 それと、校務ベンダーの代表という位置付けでも私はありますので、そこでちょっとお願いと確認なんですけれども、先ほど武藤リーダーのほうから御説明があった導入スケジュールのところですけれども、もし令和8年度から導入しようとすると、我々はAPPLICというところで標準仕様を作って、それで相互接続イベントというのをやって、実際にお互いの製品の間でデータ連携が可能かどうかというテストをして認定しております。
 そのためには、仕様化して、告知してという準備が必要なわけです。そうすると、7年の初めぐらいには仕様化が固まっていないとうまくいかないという話になりますから、実証事業のデータをいつちゃんと公開いただけるのか。
 先ほどの御説明では、各校務ベンダーが勝手に作ってください、みたいな説明に聞こえたので、それではやっぱり現場に導入したときにトラブルが起こる可能性がありますから、最低限、APPLICみたいなところが認証をして、ちゃんとデータ連携はできますよ、子供たちが引っ越したとき、転校したときにはデータが移行できますよ、というようなことは保障しておかなきゃいけないと思いますので、そこら辺は、スケジュールを考えていただくときに、ぜひ仕様はいつまでに固めてというような話を、ぜひ一緒にスケジュールの中に入れていただけるとありがたいなというふうに思っております。
 私のほうは以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。井上委員たちのところの御協力なしには、これは進みませんので、また御相談差し上げたいと思います。ありがとうございました。
 山口委員、お願いいたします。
【山口委員】  よろしくお願いします。ほかの方々の御意見とも重なりますが、私はやはり今後の整備のロードマップ、分かりやすくて具体的なロードマップをしっかり提示するというのはとても重要だと考えています。
 現段階でも、各地域とか、各校のレベルで、なかなか、県レベルではシステムの整備が進まないので、各校のレベルで独自のシステムを構想したり、構築したりということで校務改善をしている例がたくさんあります。
 また、同じ県でも、県と政令指定都市でそれぞれ、どれも前向きなのですが、それぞれでプランを立てて進んでいくという状況があります。それが最終的にみんな同じ方向に一つになっていけばいいんですけれども。
 結局、先々、国全体としてこういうふうになるんだという明確なロードマップが提示されれば、いろいろなところでこれから新たにプランを立てるに当たって、最終的な目標は同じ方向でというふうになっていくと思うのですが、何か現在はまだまだ、それぞれのところで工夫をしてという状況になっています。今回、たたき台が出ましたけれども、さらに分かりやすくて具体的なロードマップの提示が重要だと考えています。よろしくお願いします。
【堀田座長】  貴重な御指摘ありがとうございます。
 では鶴田委員、お願いいたします。
【鶴田委員】  お願いします。私は感想と質問があります。
 まず感想についてなのですが、今回のこの資料、すごく分かりやすくて、私は非常にいいなというふうに思いました。
 今まで、日本全体でどれくらいクラウドを活用しているかというのは非常に漠然としたものだったんですけども、例えばオンプレミスで統合型校務支援システムが全く入っていないという自治体もある中で、自宅から校務支援システムを使うといった自治体もあるんだというのが理解できるとか、こういったデータというのは非常に貴重だなという印象を受けました。
 それから一番最後、7ページのロードマップも、非常に明確で分かりやすいなと思いました。
 それで、例えば県域でする場合は、自治体によって既に契約しているシステムの更新時期というのがばらばらになってきているかと思いますので、県域でする場合には、また別の調整をする期間等が必要になってくるのだろうなというふうに思いました。
 それから4ページの、端末の使い分けです。この辺り、恐らく自治体にとっては、2台を1台にするということで費用面でちょっとメリットがあるのではないかというふうに思うのですが、実際、この使い分けも結構いろんなパターンがあるみたいで、学校によって、自治体によっては、本当に先生方一人一人に2台、校務系と学習系を2台持たせているというところもあるのですが、場合によっては、職員室で校務系のパソコンは2台だけみたいな形で、基本的には学習者用、教務用をベースにしているところとか、あるいは逆で、校務用をベースにしながら、教務系の端末は職員室に数台だけというところもあったりすると思います。自治体によって、そういった一つに統合するときの費用的なメリットというのも、結構大きく変わってくるのかなというふうに思います。
 今回の調査では、恐らくそこまで調査はされていないと思うのですが、それに該当するようなデータというのは文部科学省のほうで持たれているかというのをお聞きしたいと思いました。
 以上が質問です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では事務局、お願いします。
【伊藤専門官】  鶴田委員、ありがとうございます。最後の御質問の点なんですけれども、校務系の端末を中心として、サブで学習系を使っている自治体もあれば、学習系の端末を中心にして校務系の端末をサブというか、職員室でシステムを使うときだけ使っているという自治体もあるというふうに、実態は多様であって、そのグラデーションというか、どっちをメインにしているか、どっちをサブにしているかが分かるデータが文部科学省にあるかという御質問かと思いますけれども、申し訳ございませんそういった点を類推できそうなデータというのは、近々の調査ではないのかなというふうに思っております。
【堀田座長】  武藤リーダー、どうぞ。
【武藤リーダー】  すみません、ちょっと補足で。ありがとうございます。
 いずれにせよ、本日の冒頭の資料2の「未来イメージ」というところにありますように、1台化を進めていく方向で考えたいなと。いろいろと恐らくおっしゃるとおりで、実態は様々なんですけれども、働き方改革をさらに進めていく上でも、あるいはデータの連携を進めていく上でも、1台化というのを進めていきたいなというふうに思います。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。非常に重要な論点をいただいたかと思っております。これからのことを考えると、やっぱり1台でいろんなことが済むというふうにしたほうが、コスト的にも、いろいろ調達も、いろんなことが大事な考え方なんだと思います。
 一方で、現在、実際に児童生徒用の端末で、割と堅牢で安価な端末が入って、それと同じ物を先生も持っていたほうが指導しやすいみたいな話がある。これは石井委員もさっきおっしゃいましたね。
 でも、先生が持っている1台、校務で活用するそのパソコンで教材も作れて、教室に持ち込むことができて、児童生徒と同じようにクラウドにアクセスできれば、指導にはそれは困らないみたいな、そういう運用をしている自治体もあると。
 この辺りが、いろんなケースが現状であって、これらを1台に統合していくときにどうするかというのはケース・バイ・ケースで、このことを鶴田委員が今、おっしゃったのかなと思います。
 文部科学省がどこまで厳密に把握できるかはともかく、そういうケースを把握して、モデルで見せていくというのは非常に大事なことかと思います。
 貴重な御意見、皆さんありがとうございます。次に石田委員、どうぞお願いします。
【石田委員】  恐れ入ります。
 私がお伺いしたかったのは、もしかしたらもう委員の皆様、お話しされたかもしれませんが、校務情報化のほうに使っている先生方のパソコンのリプレイスの時期と、それから生徒さんたちが使うパソコンのリプレイスの時期というのは決まっているのかというのをお伺いしたかったんです。文部科学省のほうで、大体3年で新しいのに替えるとか、5年で新しいのに替えるのか。
 と申しますのは、先ほどのこの最後のページの、7ページのところですね、令和11年のときに完全に新しい物に全て入れ替えて、皆さんが同じ物を標準化として入れられるようになるのが令和11年で実行するのであるとすると、その間に何回かパソコンの導入があったときに、またそこで新たなる手続や作業が発生するのではないかなと思って、ちょっとお聞きしたかった次第です。よろしくお願いします。
【堀田座長】  事務局、お願いします。
【伊藤専門官】  御質問いただきありがとうございます。事務局の伊藤でございます。
 御指摘のとおり、実態は自治体によって様々ではないかなというふうに推測しております。
 文部科学省として実際パソコンとかを導入しているわけではないんですけれども、話を聞いておりますと、校務支援システムと校務用の端末と学習者用の端末、それぞれ別の時期に調達しているというふうな事例もあるのかなというふうに思います。
 他方で、自治体によっては、ネットワーク、校務支援システム、学習者用端末、指導者用端末等をトータルパッケージとして導入できているところもあるようです。このように、導入時期がずれてしまっているところもあれば、トータルでできているところもあるというのが実態なのかなと。
 それで、ずれている場合には、そこをうまく組み合わせていきながらやっていただく必要があるのかなというふうには思っております。
【堀田座長】  回答になりましたでしょうか。
【石田委員】  ありがとうございます。そういたしますと、大体何年で切替えということは決まっていないんですね。その地方自治体によって決められているという認識で合っておりますでしょうか。
【伊藤専門官】  御認識のとおりかとは思いますけれど、一般的には、5年程度で例えばリース期間を定めていらっしゃったりするような自治体も多いのかなというふうに聞いております。
【堀田座長】  もともとの予算の出元がちょっと違うとか、あるいは日持ちが、どのぐらいのスペックの物を入れたかで違うとか、いろいろそこはあるわけですけども、一斉に入れたほうがいいというときと、あと、行政の予算ですから一斉に入れる予算を1年で用意することは難しいとか、いろんなことが組み合わさって、今のような回答になります。
 ただ、国が制御しているわけではなくて、ただ、見通しを持っていただくような支援は国としてはやらなきゃいけないということかなと思います。
 ありがとうございました。御意見、一通りいただいたと思います。私としては、この丸1 -1の質問のところで、私どもがこれから考えなきゃいけないことがもう少しあるかなと思っています。
 一つは、丸1 -1では統合型導入が73.4%と回答が出ていますが、統合型でないものを入れているところが8.5%あります。これは進んでいると考えればいいのか、統合型を入れ切れなかったと考えればいいのかというのも、ちょっと両極あるのかなと思います。
 私どもが今検討しているのは、この統合型、何でもかんでも全部校務支援システムに入れるという、そういう巨大なシステムをイメージするのはあまり今日的ではなくて、むしろ汎用のクラウドツールでいろんなことができるようになっているので、今までの統合型と言われているものとはちょっと違う、もうちょっと役目を細かいツールに任せていって、それでも残る部分のコアの部分を校務支援システムとして残していくことが適切ではないかと。
 そうすると、ただ、システム間のデータ連携は非常に重要で、セキュリティも非常に重要になるので、この辺りが教育データの利活用の話と関係するし、今のようなことにすることによって、あるデータは家からは見られないけれども、あるデータについては十分に家からも触れるので、そうすると働き方改革にもつながるのではないかというような話です。
 今一元化していることのメリットもあればデメリットも生じているという、こういうことかなと思っております。
 もう一つは、校務処理は一切電子化していないという回答が3.1%あって、これはどうでしょう、皆さんから見たら適切な数字なんでしょうか。
 あまりにも超小規模校で、現状の帳票を作るのには電子化する必要はないということで、校務支援システムを入れていないというところもあると思うんですよね。これはこれで一理あるし、コストが合わないんだと思います。
 一方で、全く電子的にその子たちの記録が残らないということのリスクも、災害等を考えればいろいろあるのかなと。あと、今後のデータ引継ぎを考えるといろいろあるのかなと思いますので、この辺も論点としては整理しなきゃいけないところかなと思います。
 ぜひこの辺りについてはいつか、鶴田委員のような離島がいっぱいあるような長崎県ではどういうふうに考えていらっしゃるかとか、こういうあたりを御指導いただければと思いますし、先生たちはそういう中で御異動されて勤務されますから、あるところへ行ったら入っていないとか、あるところへ行ったら入っているとかということがどうかということも、また議論が必要かと思っております。
 というわけで、調査していただいたおかげで、ある程度、議論の論点が定まってきたというのが、この議題2でございました。ありがとうございました。
 では続いて議題3に参ります。議題3は「校務DXの位置付けや校務支援システムが果たすべき役割等について」ということで、これもまた資料4について、事務局より御説明をいただきたいと思います。お願いいたします。
【武藤リーダー】  武藤でございます。資料4で御説明を申し上げたいと思います。
 この資料は、前回の御議論の中で、かなり議論の内容が広範囲にわたって、それぞれのいろんな関係の省庁がやっていることとかにも関係する議論でやっていただきました。
 そういう中で、会議の最後に私、事務局のほうから、少し全体像を整理する中で御議論をやっていただく必要があるのかなということを申し上げたもので、宿題になっていた事柄でございます。
 1点目が各省庁取組の相互関係という資料でして、一番上に模式図というかイメージ図があって、大きく左側の首長部局の行政系のシステムがあり、この中に児童手当、生活保護、児童扶養、学齢簿、就学援助等々があって、その隣に学校関係があって、教育委員会ということで言えば、首長部局のある学齢簿、就学援助なんかも入って、赤い線で囲っているところが教育委員会の所轄というようなことになっていると。
 この大きく行政系、灰色のところと校務系の間もネットワークが分離をされているし、そして校務系、緑のところと、学習系、まさにこれ今勃興して、非常に大量のデータが蓄積されつつあるわけですけど、学習系のシステムの間もネットワークが基本的には分離されていることがほとんどであると。先ほどの調査の結果からもそれは明らかであると。
 という中で、今、各省庁がどんなことをやり、あるいはやろうとしているのかというのを整理したのが、この図の下の丸1 、丸2 、丸3 というところです。
 1つ目は、丸1 、この模式図の中の、校務支援システムから学習eポータルに破線が行っています。それからeポータルとMEXCBTとか学習デジタル教材のところに、同じく丸1 と書いてあると思うのですが、その辺りに関する事業でして、「教育関連データのデータ連携の実現に向けた実証調査研究」という名称でございまして、何をやっているかというと、校務支援システムと学習支援システム、学習eポータルですね、それから学習アプリ間で主体情報の連携をテスト環境下で実証するということであります。
 主体情報というのは、児童生徒の氏名や学籍、いわゆる子供の情報でして、これが今、極端な例でどんなことが生じているかというと、せっかく校務支援システムに名簿情報が全部あるわけですけど、学習アプリを使うときにそれを打ち直したりみたいなのが、極端に言えばそういう状況がある中で、そうならないように、ここを改善すべく、今、実証をしつつあると。こんな状況でありまして、基本的にはネットワークが今、分離されているという現状の中でやろうとしているという状況であります。
 それから丸2 が、この模式図の一番下のあたりに2つ破線があるかと思います。これもデジタル庁でありまして、「こどもに関する各種データの連携による支援実証事業」ということで、R3・R4で7億円・7地域というふうにあります。
 これも校務・学習のネットワークの分離というのは一応前提にしながら、校務・学習系システムの一部のデータと、行政系システムのデータ連携を実証して、特にハイリスクの子供たちへの対応等々も含めて充実させていく必要があるんじゃないか、こんな問題意識の下でやりつつあるという事業であります。
 まさにこの検討会議で今日も冒頭に申し上げた、「次世代の校務デジタル化推進実証事業」というのは、校務と学習のネットワーク分離を解消した上で、そして校務系システムに蓄積された多様なデータ、この中には名簿だけじゃなくて成績情報も、体力測定みたいなのもあるでしょうし、保健室の利用状況みたいのもあるんでしょうけれども、校務系システムの多様なデータと行政系、左側のグレーのところと、右側の青いところ、学習系のデータを円滑かつ低コストにネットワークの分離を解消するので、ここを円滑かつ低コストに連携を可能とするような、そういう新たな仕組みを実証しようじゃないかと。その中で、校務系システムというのはどうあるべきなのかというのも併せて考えていこうじゃないかと。
 こういうコンセプトでありまして、丸1 とか丸2 の、これはまさに走りつつあるので、そういったところもきちっと踏まえたり横目で見たりしながら、丸3 についても取り組んでいきたいなというふうに思っているところであります。
 それから、一枚おめくりいただいて、ちょっと似通った資料で恐縮なのですが、教育データ利活用における校務DXの将来的なイメージ(案)というふうに書きました。
 案ということですので、ぜひここは先生方に御意見いただきたいですし、こんなところが足りないとか、ここをもうちょっと言語化したほうがいいよということがあればぜひお願いをしたいと思うのですが、これも同様に首長部局と学校、それからそれらを少し乗り越える形で教育委員会が赤で囲ってある、ここは一緒でございます。
 特に学校のほうを見ていただくと、大きくいえば、基本的にはインターネット、クラウド環境の中に、左側の校務系システムと右側の学習系システムをそれぞれ入れていくということです。
 この模式図の真ん中にありますように、ネットワーク統合による相互の接続、低コストでリアルタイムのデータの連携がこのことによって可能になるというのを基本的にイメージしつつ、校務系システムの下にあるボックスを見ていただくと、こっちはやはり、同じようにクラウドで使うといっても機微度が高い情報を扱うことになるわけですから、教職員のみが利用するというのが原則なのかなと。その上で、多要素認証等によって厳格にアクセスを制御していくということが基本かなと思っています。
 そしてその右側、学習系システムの下のボックスですけれども、こちらは学習系システムなので、児童生徒だけじゃなくてこれは教職員も利用するわけでありまして、ここは利便性の観点も踏まえながら、アクセスを制御していくということなのかなと。
 具体的には、この資料の一番下に※印がございます。例えば、子供一人一人の情報を、それぞれの子供が見るのは当然、自分の学習履歴だから当然なわけですけど、児童生徒全員分の学習履歴みたいな、そもそも一人一人の子供が見るべきでない、アクセスが適切でない機微度の高いものについては、教職員しか利用できないように、ここは厳格にアクセスを制御していくということが基本だろうと。ここはいろいろ多分、グラデーションもあるのだろうと思います。
 そして、大きくこんな形でございますが、これはいろんなシステムが3つ、大きくあるわけなので、この模式図の一番下に、「学校と学級のダッシュボード機能」というのがオレンジで書いてあります。
 これらは様々な教育データを総合的に可視化して、学校経営あるいは学習指導の高度化を図っていくと、まさに中間まとめでもまとめていただいた内容でございます。
 そんな機能が、これからの校務DXの中にはやはり備わっているべきではないだろうかということと、併せて教育委員会向けに、設置校全体を見渡せるような教育委員会ダッシュボードみたいなものを作ることも一案であろうというふうに考えております。
 現時点では、こういうダッシュボード機能を校務系システムの側に実装するのか、あるいは学習eポータルの機能にするということもあるかもしれませんし、あるいはそれらとは独立したものとして提供される場合も想定されるのではないかなというふうな感じで考えておりますが、ここもぜひ御意見をいただきたいなというふうに思います。
 併せていうと、このダッシュボード機能の中には様々なものが流れ込むわけですけれど、そのうちの一番、特にこども家庭庁あるいはデジタル庁の今の実証事業の肝になる部分としては、左側のグレーの行政系システム、特に児童手当や生活保護や扶養手当みたいなところのデータと連携していくということもあり得るのではないかと思っていますが、これらのデータをマイナンバー利用事務系ネットワークの外で連携することの可否というのは、自治体のそれぞれのセキュリティポリシーと少なくとも現状は異なっているのだろうというふうに思います。
 併せて、EduSurveyとの関係についても、これからちょっとこれは走りながらですけれども、学校DXの総合政策局のほうのチームと連携しながら、うまくEduSurveyとも連携を図れる形でダッシュボードというのを考えていけたらいいなというふうに、現時点では思っております。
 もう一枚おめくりいただきますと、校務DXの位置付けと、それから校務支援システムがその中で果たすべき役割という、たたき台ということで用意をした資料であります。
 基本的には8月末の中間まとめをベースに書いておりますが、大きく、一番上の左側で従前の校務情報化、かなりこれはシンプルに書きましたが、基本的には紙ベースで作られた様々な帳票をうまくデジタルを使うことによって効率化していこうと、こういう発想だったのだろうと思います。そして、先ほど座長からもありましたように、一つの校務支援システムに様々な機能を統合していこうという方向性でございました。
 一方、今後でございますけれども、単に紙ベースの業務の効率化というのではなくて、一番上の黒丸ですが、まさに先ほど妹尾委員がおっしゃったように、紙ベースの業務の抜本的な見直し、これを行いながら、業務用端末の1台化、あるいは業務のロケーションフリー化、そういったことを進めて、さらに効率化を進めていこうということが最初の黒丸です。
 そして、様々なソフトウェア、クラウドベースでいろんなものが出ているということがありました。そういった様々なソフトウェアとうまく組み合わせて、全体として最適な役割分担をして、それを一定的に運用していく。
 ソフトウェアもいろいろ、お値段もいろいろですし、本当に無料のものから、お金がそれなりにかかるものもあって、自治体ごとにそれぞれあるんだと思うんです。セキュリティポリシーもいろいろですし、ソフトウェアもいろいろなので、これがシングルアンサーというのは多分ないのだと思うのですが、いずれにせよ、校務のシステムといろいろあるソフトウェアをうまく組み合わせて、それぞれの自治体ごとに最適なものというのを作っていくということが大事なのかなというふうに思います。
 そして、データ活用による学習指導、学校経営、そして教育施策の高度化ということも併せて追求をしたいと。こういうことが次世代のDXが目指すべき方向性ということかと思います。
 そしてその中で、特に次世代の校務支援システムが果たすべき役割というのがその下でありまして、ネットワーク統合を前提としたクラウド化によって、データ連携をしたり、データ分析をしたり、そういった機能を実装することが必要であろうということがあるのかなと思います。
 もう少し言えば、例えば子供の出席情報とか保健室の利用状況とか、日々の生活情報を収集する基盤としての機能があるでしょうし、それから先ほどの資料でグレーだったところ、首長部局が運用するシステムと教育のほうのシステムが連携する上で、窓口としての機能があるんじゃないかと。
 もうちょっと言えば、その後に小さい字で書いてありますけども、福祉の受給状況、こういう非常に機微性が高い情報とデータ連携を行っていくためには、どこでそのデータ連携をやる窓口を作るのかといえば、やはり、この中でいうと校務と学習、両方あるわけですけれど、どちらかといえば成績情報等、機微度の高い情報を扱う校務システムのほうに窓口機能を持たせるということが考えられるのではないかなというふうに書いております。
 それらを少し模式図にしたものなんですけれども、左側が既存の校務支援システム、右側が次世代、そして汎用のクラウドツール例と書いてありますが、もともとある既存の校務支援システムで教務・保健・学籍、それからグループウェア等々いろいろあったわけですけれども、次世代のほうは教務とか保健とか学籍みたいな基本的なところは当然残しつつ、丸2 のところですが、何らかのダッシュボード機能というのを実装したいなということとか、このダッシュボード機能が校務支援システムになるのかどうかというのは、もちろんその議論もあるというのは先ほどの資料のとおりですけれども、こういう機能を備えた校務支援システムも想定されるのではないかということと、これはAPI連携、首長部局のシステムや学習eポータル等学習系システム、こういったところと連携するための、連携できる機能の実装ということで、API連携というものが入り込んでくる必要があるのではないかなと、こんなふうに試みにまとめてみた、たたき台でございます。
 すみません、少し長くなりましたけども、説明は以上です。よろしくお願いします。
【堀田座長】  ありがとうございました。大変詳細に状況の整理をいただき、これからの形、私どもが今まで話し合ってきたことを図式化していただき、ポイントをまとめていただいたと思います。
 この後、皆さんにこれについていろいろ御意見をいただきたいと思います。何度も出ていますが、自治体、設置者によって、導入されているものも導入されている形も違うし、更新の時期も違うし、かけられるコストも違うし、大規模校が多いとか超小規模校が多いとかいろいろな実態も異なります。
 だから、あんまり完璧な一般化は難しいんですけど、私どもが国としてこういう方向感を明確に出しておかないと、今までのやり方が繰り返されてしまって、DXになかなか向かわないということになりかねないので、こういう形で今整理していただいているというところでございます。
 今、挙手を待っていろいろ話してみていたんですけど、皆さん、挙手ボタンを押していただいて、御発言いただければと思います。
 では、いつものように石井委員、トップバッターをお願いいたします。
【石井委員】  石井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の資料作成ありがとうございました。見える化していただいたことで、私たちがお話ししてきたことがこういう順番で進んでいけば、将来像につながっていくというところが明確になったと思っております。
 しっかり検討していかなければならないと思っている点あるので、お話しさせていただきます。
 今までは、校務支援システムが中心にあって、今後の情報化が進んでいくという形で進められてきたと思うんですけれども、今、学習系システム側にある学習eポータルも、連携を図っていく中で非常に重要なものとして扱っていく必要があるなと考えております。今回、ダッシュボード機能も掲載していただいたことで、学習eポータルでの活用もできる、校務支援システムの活用もできる、そして全てのデータを連携していくことのよさ、デジタル化というところが非常に明確に打ち出されており、教育委員会としても、何をやっていけばいいのかというのが見えるようになっていると思っております。
 2ページ目、何度も「アクセス制御」という言葉が四角で囲まれて出てきていますが、1ページ目のところはアクセス制御なしの状態で書かれていて、2ページ目がアクセス制御が非常に重要になってくるのかなと思いますので、色を変えてみるとか、「アクセス制御を使った場合」等、強く打ち出していくと、明確になると感じておりました。
 何もせずに1から2に進んでいくのかなというような誤解を避けるため、そこを打ち出す必要があるのかなと思っております。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 この後たくさんの挙手をいただいて、ありがとうございます。まず水谷委員、福原委員、中村めぐみ委員の順番でお願いいたします。
 水谷委員、お願いします。
【水谷委員】  おはようございます。よろしくお願いいたします。
 先ほどの御発言や、前回自分が発言したことも含めてですが、まず、おまとめいただきまして本当にありがとうございます。非常によく分かりますし、この方向性だと自分も思います。
 先ほども話がありましたが、結局、業務フローの見直しにつながるというと、やはりこのダッシュボードの活用は非常に重要だと思います。
 前回も発言しましたが、これまでの校務支援システムはやはり帳票印刷を省力化するためにということが発想の第一歩にあったので、どうしてもそれに縛られていて、業務フローを変えるというと、確かに楽になったことはなったのですが、現状のクラウド活用のための業務フローの改善にはつながらない部分が多いと感じています。
 今まででいえば、このダッシュボードは学校日誌や保健室日誌など、アナログのダッシュボード的なものがこれまで存在していたわけで、今でもそれは使われているのですが、それを作るために労力をかけているわけです。実はデータはたまっているわけで、それを見ればいいので、帳票印刷ではなくて、現状でもたまっているデータをどう見える化するかという観点でダッシュボードを現場に広めれば、これは広く受け入れられて利用が進むのではないか、業務改善につながるのではないかと感じているところでございます。
 また、学習系のデータは、現在ではクラウド上で子供たちが作るいろいろなものがたまっています。それをどのように見える化するのかという課題がありますし、セキュリティや個人情報の扱いは、また別途検討する必要がありますが、もうどんどんいろいろなものがたまっているので、それをぱっと見て子供の学習状況が分かるように、これまでは通知表しかなかったり、要録しかなかったりしたわけですが、この辺りも変わってくるわけで、そのためにもダッシュボードは非常に重要な存在であると感じています。
 また、いろいろ調査がありますが、実はそれはほとんどこのダッシュボードを見ていただければ分かるわけで、今でも調査のたびに、このデータは、あそこにあるのになぜ聞かれるのだろうかということをよく思います。
 ですので、調査はいろいろありますが、調査項目を整理していただくとともに、そういうものが自動的に、こちらが出さなくても自動的に見ていただけるようなものになっていけば、これは大きな業務改善につながるのではないかと思っております。
 いずれにしても、帳票印刷のためのものから、ダッシュボードを中心に自分たちがいろいろ見て、いろいろ判断ができるものへの変化ということがこれで可能になってくると思います。現場としても、そのような方向に動いていると感じながら、いろいろ取組をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。今の話は説得力がありますね。
 大学では、ちなみに僕らは研究業績を公表するわけですけど、しなきゃいけないわけですけど、大学はそれを僕らの評価に使うわけで、そうすると、昔は何本論文を書いて、どんなのを書いたか一覧表を書けというのが来ていましたけど、今は、「いついつ頃見るから、ちゃんとそれまでに入れておきなさい」と。で、クラウドで公開されているのを見て、自動的にAPIでわーっと回収していくみたいな形になってきています。
 だから、やっぱり大きく変わりつつあるというところなんだろうなと思います。ありがとうございました。
 福原委員、お願いいたします。
【福原委員】  ありがとうございます。本当にこういうふうに進むといいなというふうに、私も感じています。
 ただ、最終的に学校の教員が、次世代の校務のところで使っていく立場の先生たちに、どういうふうに便利になるんだよとか、こう変わるんだよというところを、まずは大枠を全部作ってやっていかなきゃいけないのは分かるんですけども、やっぱり現場の先生方は、本当にいろんな福祉のデータまで全部見たいのかといったら、見たら仕事が増えちゃうんじゃん、とかネガティブなことが出てきてしまうことを避けるために、やはりそういうようなものは、分析はもう自動的にやってくれて、先生たちはこんなに便利になるからこれはいいんですよというような、そういう、次のステップになるのかもしれないですけど、そういったような学校へのアピールもいただけると、学校を預かる者としては、これをさらに応援することができるかと思いました。よろしくお願いいたします。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では中村めぐみ委員、お願いいたします。
【中村(め)委員】  つくば市、中村でございます。今、福原委員がおっしゃったことをちょうど言おうと思っていたところですので、その点ありがたいと思います。
 私からはやはり、まず見え方という部分が1点。それからシステムという部分で、つくば市が今やろうとしていることを踏まえて、ちょっと感想をお伝えいたします。
 今この一覧がどういった文脈で、どの説明場面でこのポンチ絵が出されるのかは、ちょっとまだ理解していないところですので、違っていたら申し訳ありません。
 やはりこの全体像が描かれた先に何ができるようになるのか。何のためにこのシステム統合、大きく大きくいろんなものを連携していくとどんないいことが待っているのかといったところが少し入ってくると、この図の見え方として、学校教育としてはそういういいことが待っているのねと。例えば行政側としてはこういういいことが待っているのね、といったところまで踏まえたポンチ絵になってくると、データに対する「怖い」という意識が少し薄れてくるのかなと思うところです。
 2つ目は、システム連携のところです。つくば市は、私たちも行政のほうの仕組みといよいよ連携しようという話をし始めているところですが、非常に課題になっているのは、既に出来上がってしまっている学習eポータルと、それから校務支援のダッシュボードのほうから行政システムと連携しようとすると、そこに、その既存の仕組みを連携してくれる行政システムというのは本当に限られてしまうんですよということを言われてしまって、「ゼロから作り直したほうが早くないですか」と言われてしまうこともあるんです。
 そういった部分も踏まえて、この辺がどこの担当になるのか分からないのですが、今つくば市は非常にそこで、じゃあどうすることが、今の仕組みを上手に活かしながら、行政系の機微情報と連携できるのだろうかといったところで、今悩んでいるところです。
 今現状をお伝えいたしました。
【堀田座長】  ありがとうございました。進まないと課題もはっきりしないし、進めていると今のような、これはどっちがやるのみたいな話が起こるしという、この、走りながら考える難しさを、先に走っていただいているつくば市として御指摘いただいたと思います。ありがとうございます。
 この後ですが、清野委員、妹尾委員、髙橋邦夫委員の順番で御指名いたします。
 清野委員、お願いいたします。
【清野委員】  よろしくお願いいたします。今、皆様がお話しになられたことを私も同様に感じました。学校はいろいろな職員がおりまして、管理職、一般教員、そして学校事務職員もおります。それぞれの職務において必要な情報というのは様々であって、先ほどお話があったとおり、教員が全ての情報を知っておくべきなのかというと必ずしもそうではない。管理職は全てを知っておく必要があるかもしれませんが、一般教員よりもむしろ学校事務職員が必要とする情報もありますので、その辺は、こういったシステムが構築された後に、そこを整理していくのはやはり学校の仕事なのかなと思うんですけれども、その辺もちょっと御配慮というか、目配りをしていただけるとありがたいかなというふうに思っております。
 私からは以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。「チーム学校」と言っている時代ですから、今の御指摘、非常に重要な御指摘かと思います。ありがとうございます。
 妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  大変整理された資料を用意していただきましてありがとうございます。私からは二、三、申し上げたいと思います。
 1点目は、システムなりの改修とかの話なんですけれども、先ほどの前の資料でも、そのスケジュールが大分違うという話なのですが、これは僕もあまり詳しくないので、間違っていたら教えていただきたいのですが、大分クラウドベースになるということになってくると、一遍に何か大きなシステム改修が必要というよりは、アプリとかごとに向こうで修正していただけるというふうにどんどんなっていくと思うので、大艦巨砲主義と言うと言い過ぎかもしれないけど、何か大きなものを用意して、改修するときにものすごいお金もかかる、みたいな形が随分変わってくるのかなと思うので、その辺は自治体側への、コストメリットも含めてメッセージ性になっていくんじゃないかなとは思っています。当然、このZoomのアプリなんかもそうですけど、頻繁に更新することでセキュリティだとかサービスがよくなっていくということだと思うので、その辺りもPRできるといいかなと思ったのが1点目です。
 あと2点目で、先ほど福原委員や中村委員もおっしゃったように、こういった校務情報化のDXというのが、人によって結構イメージがまちまちだと思うんですけれども、それをこういったパワーポイントなども通じて伝えていくというのは大事だと思いますし、結局これのメリットとか、何のためというところももっともっと強調していきたいなと思っています。
 若干繰り返しになって恐縮ですけれども、恐らく大きな業務負担の軽減を図っていくというのはもちろん大事な視点なのですが、それ以外にも、例えば2つぐらいあると思っています。1つはエビデンス・インフォームドな授業とか学級づくりとか教育政策づくりみたいなところかなと思っていて、さっきのダッシュボードなんかはそうなんですけれども、今まで授業参観したりとかで、ある程度授業のうまい方とか、子供たちへの引出しがうまい方は定性的にいろいろ分かっていたと思うんですけれども、それがそういうデータと、直接見たような結果とをいろいろ組み合わせながら、よりできるかなと思いますし、自治体が推進しているいろんなことだとか国がしていることを、早めにいろいろダッシュボード等を通じてキャッチできるみたいなところも含めて、そういった指導とか学びがより高度化できる、あるいは暗黙知を可視化していけるみたいなところにできるといいかなと思っているのが1点目の効果です。
 2点目は、そこと一緒のことを言っているだけかもしれないけれども、もっと子供へのケアを早期対応にしていけるということかなと思っていて、要するに、福祉のデータと学びとか子供のデータを組み合わせていくというのは、しんどい子たちとかを、今はケース検討会議とかいって、かなり悪化した状態でケアをしていくのが多いと思うんですけど、もっと早期対応していかないといけないので、あるいは早めに声をかけていくみたいなところにつなげていけると、これは子供にとっても教職員にとってもwin-winのことになっていくと思いますから、その辺り期待しております。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。最後の御意見は特に、こういうデータ連携をすると仕事が増えるというふうに感じてしまう現場と、そのことによって早期対応で、大きくなる前に火が消えるので、そういう意味では非常にコスト、先生たちの苦労も減るのだという考え方と、そこをうまく見せていく必要があるなと思いました。
 あと、クラウドツールのバージョンアップの仕方等も、いつもクラウドツールを使っている人には常識的だけど、学校は今までそういうものが入っていなかったので、そこにお金がすごいかかるというふうに思われてしまっているところもあるのかなと思います。ありがとうございました。
 ではこの後、髙橋邦夫委員、小﨑委員で、ここまでとさせていただくつもりです。
 髙橋邦夫委員、お願いいたします。
【髙橋(邦)委員】  髙橋です。よろしくお願いいたします。私からは3点、お話ししたいと思います。
 まず、私が関わっている教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの話に関係すると思うのですけれども、2スライド目にこれからはアクセス制御による、これまでのネットワーク分離ではない仕組みを考えていくものとあります。校務系と学習系を連携させる上では、これまでは校務系には多要素認証等の厳格なアクセスが求められていましたけれども、2スライド目を見ると、学習系にもアクセス制御をしっかりやらなければいけないという、この一文が入って注意マークが付いている以上、これからは学習系に対しても多要素認証を求めていくべきと考えたところです。
 多要素認証というと生体認証をイメージされる方が多いのですが、そのようなものでなくても、ストレスフリーな多要素認証も出てきておりますし、非常に安価に入れることもできてきましたので、ゼロトラストの考えに近づくためには、しっかりとした認証を考えないといけないというのが1点目です。
 2点目ですが、私は行政系システムの管理者を長年務めておりました。特に豊島区役所時代は行政系と校務系を連携したという実績も持っております。
 過去の実績から考えると、当時は行政系と校務系を連携させようとすると、ドメインの連携という、高度な技術が必要だったけれども、3番目のスライドにあるように、時代が変わってきています。
 従前の校務情報化と今は時代が変わってきたように、ネットワークの在り方も変わってきていて、行政系のシステムにもゼロトラストの考え方を入れていく必要があると思っています。
 これは文部科学省だけでできる問題ではなくて、当然総務省への説得が必要ですけども、今回オブザーバーにデジタル庁も入っておりますので、デジタル庁のお力も借りつつ、総務省に働きかけて、行政系システムのゼロトラスト化、そうすることによる子供のデータ連携を図っていくべきと思っております。
 そして最後、3点目ですが、つくば市からなかなかうまくいかないという話も出ましたので思ったのが、行政系のシステムと連携しようとすると、当然、首長部局の強い抵抗があると思います。
 なぜ抵抗があるかというと、これまで行政系のシステムと教育委員会等を連携させようとすると、行政系のシステムを教育委員会側に渡すという、そういうイメージがあります。
 行政系としては、自分たちのデータを第三者、行政機関として別機関になりますので、そこに目的外利用として渡すこと、第三者提供が許されるかという問題になったと思っていますが、今回API連携という言葉があったように、データを出す必要はないのです。
 教育委員会側に福祉系のデータを持つという、その考え方を捨てないといけないと思っていまして、先ほど座長が良い例をお話しされたのは、大学の各研究室、教授の方々がどういう論文を書いたとかを、一昔前はそれを大学側に提供していたけれども、今は自分たちのシステムに大学側から見に来る。まさにこの考え方でいいと思っております。
 教育委員会が必要と思ったデータを首長部局側に見に行ける仕組み。首長部局側から出してもらうのではなくて、必要なデータだけを見に行ける、取りに行けるような仕組みを作ることが大事かなと思います。ここでも認証です。どういう人、どういうケースだったらデータを見ることができるということを考えていくことが必要と思いました。
 以上3点です。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。今のデータ保持の話とデータの参照の考え方の話は非常に参考になる話だと思いますので、文部科学省側でもそこをうまく言葉を使い分けて、何かこう、やっていけるようにできればと思いました。ありがとうございました。
 では、最後になりますが小﨑委員、お願いいたします。
【小﨑委員】  よろしくお願いいたします。この一連のまとめの部分のデータの流れ、管理の部分についてはとてもよくまとめられていると思いまして、こういう手順で進めていくんだなということはよく理解もできましたし、私たちがしていくべきこともよく分かりました。
 私は今、県レベルでデータを扱うことを検討していく中で、奈良県でしたら小学校の通知書はもう全部共通でいいよね、と一つのフォーマットでまとめてみたりとか、標準化についてチャレンジもしていますし、今後ももっと進めばいいと思います。特に校務のデータの扱い方というのは大事だと感じています。
 それを進めていくに当たって、非常に大きな気づきが出てきています。そもそも扱う教育に関するデータの多くは子供たちに紐づいているものですので、未成年の子供たちに関する情報なんですよね。
 それは、大人たちが持っている情報を、それぞれの責任でお互い扱いましょうということとは、全く違うんです。
 つまり、その教育データ一つ一つは、全部保護者という存在がバックにあって、学校の子供の情報だから自由にしていいということではなく、それについて、これは学校の先生がこう扱いますよ、こう扱いますよという親に対する了解があって初めて成り立っていくところがあります。そもそも子供が良い悪いという判断ができないものを、大人が、もちろん勝手にではないんだけど、必要だから扱っていくんですけれど、子供が自覚的でなくても、私たち大人がしっかりとこういう目的を持ってこうやって扱っていく、そのために必要だからこうなんですよ、ということを、校務支援システムの中で自覚的に作っていって、このレベルだったら、よく考えたら親にも了解を取っておいたほうが安心だよねとかを考える必要がある。行政とつなげていくときにはお互い情報を渡し合うとかいう発想じゃなくて、共通のところに置いておいたものを必要なときにお互いが使って、必要がないときにはちゃんとしたところで管理しておくということでいいですよね、という、ひたすら合意を取っていく必要があるんです。
 それが面倒とかではなくて、今はとても大事なことで、「未成年の子供たち」というキーワードでざくっと括ってしまう中には、やっぱりこの、今の全体の構想の中にも、保護者に対してはどうなのということが大事だと思います。先生たちが家に持って帰るとか、子供たちが家で学習するということは、そこには「保護者」がいますし。
 内容によっては、「保護者」が難しいときには「必要な支援をしている人たち」に確認しましょうとかいうことで、アカウントの情報一つにしても、保護者に見ていただこうとしても、今は非常に難しい問題がどうしても出てきますから、そこは、だからできないではなくて、そういう人たちもイメージしたようなもので、誰がどう関わるのか、範囲というのはこういうことですよね、ということを、かなり広く見ておきながら、今回のシステムだったらこういう手順で扱いましょうということを明示しておけば、皆さん不安に思わないと思います。意外にトラブルが起こったり物事が進まないところというのは、想定していなかったもっと外の人たちとの関係であったり、流れであったりというのがあるな、というのが、最近の実感です。
 ですから、この図面というか、この方針として、これで僕はもうばっちりオーケーだと思うので、じゃあ、これを実際に動かす、先生が触る、子供たちが家で何かをするというときに、その周辺にいる人たちにも見せるのか、見せないのか、どう扱うのかということは、もしうまく事前に整理できていたら、多くのみなさんに理解して応援してもらえるんじゃないかなというふうに感じました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。非常に貴重な御指摘をまた最後にいただいたかなと思います。
 今のは、突き詰めれば校務とは何かという話にはなるのかなと思いますし、開示する情報、例えば通知表は保護者に配るわけですけど、正直なことを全部書くわけじゃないわけですよね。
 だからこのあたりが課題で、データを生出しで見せるかどうかというような話と、でも、そうじゃないと意味がないようなことも恐らくあって。
 私たちは、ダッシュボードをどうしても管理する側に向けて作ろうとするんだけど、もちろん、さっきリーダーがおっしゃいましたけど、学習者が自分の学習の状況を把握するために、もちろんやるんだと。ただ、それは校務の中には今入れていないから、ここに明確に書いていないんだという話で考えれば、校務とは何で、校務の周りにはどういうものがあって、どれはどこまで開示するかみたいな話と、今の権限の話、許諾の話がつながっているのかなと。これは教育データ利活用の話とも関係しますので、非常に大事な話だというふうに承っております。
 ということで、この議題3については一通り御意見をいただいたと。今日はたくさん御意見をいただく日として考えておりますので、皆さんの御協力、感謝申し上げます。
 最後の議題4に参ります。これは、今のようなダッシュボードをもし作るとしたら、こんなデータ項目の例があり得るということを、これは国が決めることではないんですけど、今後、自治体がいろいろと取り組んでいくために必要な目安を、私たちが今回のヒアリング等を通して整理してみたというようなものでございます。
 では、また武藤リーダー、お願いいたします。
【武藤リーダー】  失礼します。資料の5を御覧ください。今、座長からありましたように、今日何度も出てきているダッシュボード機能のデータ項目の例でございます。例として、試みに作ってみたものであります。
 1つ目の黒丸にありますように、教育委員会が設置校全体を見渡せるような教育委員会ダッシュボードみたいなものと、学校長が学校全体を見渡せる学校ダッシュボード機能、これについて、中間まとめ後の最初の会の、渋谷区から御発表いただいた、あの時の発表資料と、それから、ある校務支援システム事業者においても、また異なる取組をされていたので、それをちょっと事例として整理をしたものです。
 最初に一枚めくっていただくと、まず渋谷区の例、前回御発表いただいたときはたくさん資料があったのですが、これを少し整理しました。
 一番左側に通し番号があって、ダッシュボードの対象の範囲、それからデータ項目、備考、発生頻度、収集頻度、こんな感じでなっております。
 一度御発表いただいたので、私から簡単にと思いますけれど、まず最初、データ項目のところで行けば、パソコンの操作ログ、ウェブアクセスのログ、検索キーワード、LTEの利用量、体力テスト、出欠情報。それから子供たちの今の心の状況について入力してもらって、その結果が可視化されるツールの情報、保健室の利用情報。それから、HyperQUとありますけれども、子供たちの満足度とか意欲とか学級集団の状態を質問して測定する、そういう民間のサービスの状況。それから生活アンケート、全国学調、東京都の学びに向かう力を捉える意識調査の結果。こんなのがあって、これらが様々なダッシュボードにどのように反映されるのかというのを、その右側に丸とか三角で示しております。
 ちなみに三角というふうに示したのは、一番下の注の左下にありますけれど、これは、教育委員会はそれぞれの学校単位のデータは参照可能になっています。なので、クリックしてそれぞれの学校のところへ行けば、言わば学校ダッシュボードみたいなものを教育委員会が見られるということでありまして、今日1枚目の冒頭に書いたような、設置校全体の状況というのが可視化されたり比較されたりという形にはなっていないと。こういう意味で三角をしているところであります。
 もう一枚めくっていただくと、これは校務支援システムの事業者、A事業者のお作りになっているものでありまして、これも同様に整理をしているのですが、データ項目で言えば、体力テスト、出欠情報、保健室の利用情報、学級閉鎖等々の閉鎖情報、不登校、検診記録、住所情報、定期テスト。これは観点別の得点とかですね。学級数、在籍児童生徒数、転入・転出者数、行事予定、通知表、生徒指導情報と、こんな感じになっております。
 やはり校務支援システムなので、校務支援システムでもともと持っていたデータがうまくダッシュボードになっていると。こういう状況、情報でして、渋谷区とは良い意味でもいろいろ対比できるのかなというふうに思います。
 こういう2つの例を、1枚目に戻っていただくと、試みに整理をした結果がこうであったということで、丸とか三角がついているところはそれぞれのデータがあるなしと。あった場合の位置付けというのを整理していて、大きく事例のところで渋谷区とA事業者が一応対比のような形になるような、そんな感じですけども、全体として言うと、やはりさっき申し上げたように、渋谷区の場合はかなり学習系のデータとか行政調査のデータを入れ込んでいるというところ に大きな特徴があります。
 A事業者は、校務支援システムで培ってきたというか、蓄積してきたいろんなリッチな情報を可視化するというところに特化しているというような状況があって、全体としてまとめるとこんな具合なのかなということでございます。
 さっき、冒頭に堀田座長からもありましたように、このダッシュボードというのは、こうでなければいけなくて、こういう項目が絶対なければいけないというところまで整理することはあまり適当ではないのかなというふうに思いまして、これから各事業者だったり、あるいは各自治体がこういった機能というのを実際に実装したり、作っていくときに、ゼロから検討するというよりは、おおよそこういう項目が検討し得ると。これは採用するかしないかは別として、一つテーブルの上に項目が並んでいたほうが、検討も恐らくスムーズなんだろうということで、まずは第1弾として御用意したものでございます。
 本日お願いをしたいのが、2つ目の黒丸でございます。今日まさにこの検討会議がメインになるわけですけども、今日、御意見をぜひたくさん頂戴したいと思いますが、時間も限られているということもあるので、今日御意見いただいた上で、さらに先生方、まさに委員の先生方と、それからデータ利活用の関連の会議の先生方、2つ重複している先生におかれては一つでいいと思うのですが、何らかの、こんなことをこのダッシュボードに入れていくと望ましいよというような御意見を頂戴するアンケートをこの後実施して、それをまた取りまとめていったらどうかなということも考えております。
 場合によってはデジタル庁と連携して、もう少し広めに御意見を伺うこともあるのかもしれませんけども、いずれしても、ちょっとそんなことをこの会議の後、やりたいなというふうに思っております。
 すみません、以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。最後の件は皆さんへのお願いになるわけですけども、これは、ほかの方々よりも先んじてこれらのことを議論して、考えている人たちの意見をできるだけ聞きたいということです。
 それである程度整理が進んでいけば、もちろんそれは広く国民に御意見を聞く、各学校に御意見を聞くみたいなことをしていくと思いますけど、最終的には学校の規模とか、いろんな実情によってこの手のデータ、必要なデータは変わってくると思いますので、あくまで国としては想定されるものをテーブルに並べておく、材料を見せておくという、そういうことになります。
 これについて御意見がある方はぜひ挙手をいただいて、こんな項目もあるんじゃないのとか、こんなふうにグループ分けできるんじゃないのとか、こういう観点が漏れているんじゃないのとか、何かそういうようなことを言っていただければと思います。
 今井委員、お願いいたします。
【今井委員】  岐阜大学の今井です。よろしくお願いします。
 これまでの議論とかなり重複すると思いますが、第1回の会議で全国公立学校教頭会の長谷川さんが話をされていた内容が、この会議で校務の情報化の在り方を示す際にすごく参考になるのではないかと、今回の資料を拝見しながら考えました。
 どういうことかといいますと、教頭会の事例報告で一番の問題としてあげられていたのが、外部からの調査対応に時間がかかっている点で、そこをぜひとも改善してほしいという御報告だったと思います。その部分をダッシュボードの項目に反映させられると良いと思います。例えば、文部科学省が毎年行っているとか、2年に1回必ず行うとか、3年に1回必ず行うといった調査に該当するデータがダッシュボードのどの項目に当たるかが分かると良いのではないかと思います。また、教育委員会が自動的に収集して回答できるデータについては、校務支援システムのどこに入れておくかが理解できれば便利になるのではないかと思います。
 私は、ダッシュボードというのはかなりユーザーに近い部分にあるところなので、用途イメージというものをしっかり示すことが重要だと思います。例えば、学級担任に必要な項目としてはこういうもので、これは教育委員会とか。学校現場で既に使って、いろんな問題をご存じの委員の方たちに協力していただきながら、学級担任の先生だったらこれを毎日つけているよね、これを毎日つけることによって、こういうデータが自動的に教育委員会のほうに持っていくと、今までの集計する手間が省けましたよとか、あるいは、研究推進の担当になった場合、子供たちのこういうデータを自分の手元に取り出すことができると非常に便利になりますよと。管理職はこうです、事務職員はこうです、あるいは養護教諭の先生はこうです、栄養教諭の先生はこうですというように、職種ごとに、この校務のシステムのところに入ってくるデータがどう使えるのかというイメージを持たせると、あとは自治体ごとに、うちは学級担任の項目はここは要る、要らないという判別ができると思います。先ほどの資料はシステムの機能イメージを表していると思います。ダッシュボードについては、用途イメージを、こちらの会議で出していくと、校務の情報化の在り方に関しての提案が具体的にできるのではないかなということを感じました。
 以上です。
【堀田座長】  貴重な意見、ありがとうございました。いろんなプレーヤーがいますので、そういう方々のそれぞれに対して、これらのデータがどのように役に立つかというイメージを一緒に提供するということかと思います。ありがとうございます。
 ほかに挙手ございませんけど、いかがでしょうか、御発言。
 じゃあ、高橋純座長代理、お願いいたします。
【高橋(純)座長代理】  よろしくお願いします。ダッシュボード機能についてですが、私は、データ項目というのはどんどん増えていくし、変わっていくものだと思うので、なかなか判断が難しいと思うんですけども、特に2枚目のダッシュボード対象範囲ですが、そのデータの項目が誰に提供されるのかとか、こういう枠組みで考えていくんだということとかが、物すごく僕は重要な考え方だなというふうに思います。
 データ項目だけ見ちゃうと、私は要るとか要らないとか、見たほうがいいとか見たくないとか、そういう話になってしまうと思うので、こういうような枠組みで渋谷区が動いている、データ項目があれば誰でも見られるのではなく、教育委員会、学校、学級、生徒と、分けて対象範囲を検討するとか、三角の記号があるとか、こういう項目が必要、不必要の間にある対象範囲の考え方が非常に重要なんじゃないかなというふうに考えております。
 あと、前のほうで言えばよかったんですけど少しタイミングを逃していることで、このダッシュボードの機能も含めて考えると、この会議は多分、校務支援システムそのものの議論に集中するというか、首長部局との連携の話は分けて議論していくほうがいいかなというふうには少し感じます。
 もちろん連携はしなきゃいけないわけなのですが、今ある校務支援システムの改善とか高度化みたいなところに、この会議は多分すごく責任を負っているというふうに思いますので、これらも、まずは今の校務支援システムで扱われるデータのうち、よく使われるデータ、ダッシュボードに載せるべきデータは何なのかというふうに考えていくのかなというふうに思っています。
 データの取り扱いの際に保護者同意などの許可を得るべきかという件です。校務支援システム自体は御提示されたような新しいものができそうですけども、私自身の印象では、学校単位で見れば既に多くのデータは電子化されていて、場合によっては共有フォルダとかに入っていると。それをまた新たに校務支援システムでもっとシステム的に扱っていくということですので、許可が必要というお話もありますけど、こういうものを作っていくときに、今、既に電子化されて、教員同士では共有されているようなものに対して、どこまで許可が改めて必要なのか。それは県域で扱うからじゃないかとかいうときに、このダッシュボードでいうと渋谷区の教育委員会は三角になっている、みたいな。閲覧だけとか、この中途の考え方が非常によくて、そうすれば、今までの多くのルールでそのまま活用可能だと。一つ一つ許可を取っていけば進みは遅くなりますので、そういうような判断とか、そういったことは少し議題になるかなというふうに思います。
 ちょっと長くなりますがもう一つですけど、こういうデータを見ると、これは必要なのか、余計に仕事が増えるのでは、先ほどもすごく話題だったというふうになったと思います。
 ただ、冒頭から、DXというのは手順が変わったり、手順が消えていくことだというふうに、ずっとお話が出ています。
 こういうシステムを作るときには、当然手順が省略されたり、手順が統合されて消えたりすることが前提ですので、つまり、このデータが役に立つとか立たないとかじゃなくて、仕事の仕方そのものがもっと適正化されるというふうに考えれば、このデータを見て何に使えるのかと考えるように、本質的な手順に向けて統合や省略を検討していくことこそ非常に重要で、その時に、こういったデータは材料というか、料理の材料に過ぎなくて、料理という仕事の手順、フローのほうを見ていくのかなというふうに思います。
 今までの仕事の仕方で見れば、データの数が増えて扱いにくいという話だと思いますけど、そもそも手順が省略されるんだということをイメージすれば、かなり業務改善が当然起こるのかなというふうに私は思っています。
 私からは以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。今の最後の話は、例えばPHRとかああいうので、保健室の情報とかそういうのを、時々調査が入って抽出されて、それで当たったところは「今年当たっちゃった」といって一生懸命データを答えて送る、みたいなことをしているわけですけど、各校がちゃんと入れておいてくれれば、後はそれは、ばっと見れば取り出せるというか、参照できると。
 これによって先生たちの仕事は減るし、データはあって、必要なときにみんなが見られるようになるしということかなと。権限の問題もあるけども、今までのやり方で情報をどうするか、みたいな話ではなくて、新しいやり方を一緒に考えることが大事だということかと思います。
 ちょっと深い話だったので、これからまた、最終まとめに向かって議論しなきゃいけないことかと思っております。
 妹尾委員、御意見をお願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。改めて見ますと、渋谷区のものでは、例えば心の天気ですとか保健室だとかHyperQUのように、子供たちの広く言えばウェルビーイングというか、福祉の状態というか、心身共に健康かどうかといったような情報も結構充実していて、興味深いなと思いました。これは感想ですけれども。
 そことも関係するのですが、先ほどの料理と食材の例えなんかも本当に参考になりますけども、ちょっと気になっているのは、先行指標と遅行指標の違いと言いますか、例えば民間で言うと、宿泊業で言うと売上げが上がるかどうかとか、例えばホテル業とかだと稼働率が上がるかどうかみたいなのは、大分あとになって分かってきますから遅行指標だと思うんですけども、先行指標としては、例えば従業員のスキルがアップしているかどうかとか、宿泊したお客様の満足度がどうかみたいなものはありますけど、例えばHyperQUとかでその学級の状態が良いとか、子供の心身の健康状態がよさそうだというのは、結構遅行指標に近いかもしれないなという気も、両方にも見られると思っていて――ちょっとうまく整理できないまま、すみません、しゃべっちゃっていますけど、要するに、もっと手前の情報とか、こういう学級づくりとか、指導とかの情報が今ほとんどないので、こういうアプローチをするとこういう学級になっているよとか、こういう子供の状態が良いよみたいな、もうちょっと何か、もっと手前の情報を取れるのかどうかとか、そういうのはあまり定量的なデータになじまないのかどうかとかも含めて、もやもやしたまましゃべっていて恐縮なのですが、そういった部分も含めてやらないと。結局、通知表も結構似ていますけども、5、4、3、2、1みたいな結果が渡されても、もう遅いみたいな。もっと手前で、じゃあ何したらよかったの、みたいなことが、後で答え合わせされても遅いみたいなことになってもいけないなと思うので、そこをぜひダッシュボードではまた検討されるといいかなと思いました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。いつでも参照できるメリットを感じるような指標を持ってくる必要があるということかと思います。
 渡部委員、お願いいたします。
【渡部委員】  ありがとうございます。感想のような形になるかもしれませんが、随分と進んできたなというふうに感じていました。
 私は学校の現場に長くいましたし、今は教育委員会という立場ですので、今現場を持っている立場から意見を述べさせていただきますと、今の教員達は、まだダッシュボード機能というのがないので、データを、いろいろなところから持ってくるしかないという、ものすごく時間のロスを感じていると思います。
 そこで、こういうダッシュボード機能が出来上がっていくとロスはなくなっていくのかなと思いました。
 渋谷区の例と、あともう一つの例しかないので、その2つで見ても、物すごく差があるということに気がつきます。先ほど妹尾委員のほうからも、ウェルビーイングのような考え方を入れて渋谷区は作成したと伺ったので、区として、または自治体として、どういうものをダッシュボード機能に持たせていくのかというところが重要になってくるのだと思いました。
 先ほどの資料3のところですか、自治体によっての差を見て、驚きました。世田谷は5万人の子供たちがいるので、その中で考えていくわけですが、校務支援システムが要らないという地域もあるということをお伺いすると、また違ったものを考えていくべきであって、これは自治体間で違いが出てくるものだなと思いました。
 私は学校の現場に長くいましたので、データの処理をしていると、どうしても福祉や医療のことについて知りたくなっていきます。そうしたときに、首長部局とどうやって連携をしていくのかというところが重要になっていきます。世田谷区でも、そこには、大きなハードルがあると考えています。
 実際には保護者の了解を得ているのかなどの問題も出てきます。学校には知られたくないデータを、保護者が医療の分野や福祉の分野では出しているということも考えられるので、乗り越えなければいけないところはいっぱいあると思います。
 先ほどHyperQUの話を妹尾委員が出していたので、蛇足かもしれないけれどお話をさせていただくと、HyperQUの結果を見ると、前の年はどうだったの、2年前はどうだったの、子供はどういうふうに成長してきたのかというところに、どうしても視点が行ってしまいます。子どものデータという観点から考えると、経年記録なども加味しながら考えていく必要があると思います。
 以上です。雑多で申し訳ありません。
【堀田座長】  ありがとうございました。特に教育長の決意みたいなことが大事だという話は非常によく分かりました。本当にありがとうございます。
 鶴田委員、お願いいたします。
【鶴田委員】  失礼いたします。これまでの発言とちょっと重複するようなところもあるのですが、私の感想をお話しさせてください。
 この校務系データや学習系データを蓄積して、そしてデータ連携・分析をすることで教育の質の向上につなげるというのは、文部科学省のほうでもこれまで取り組まれてきた実証事業等がたくさんあろうかと思います。
 私が感じるのは、いわゆる散らばっているデータを集約して、先生たちが簡単に一覧化して見えるというようなパターンと、それから、それぞれの自治体の課題に応じて、このデータが必要だからこのデータを取る、そしてこれまでのデータと掛け合わせて何か新しいことが見えてくるんじゃないかというような、2つのパターンの取り方があったなというふうに感じています。
 一番最初の武藤リーダーのお話で、各自治体がゼロから検討するよりは、こういった項目があったほうがというお話で、すっと落ちたのですが、一般化して、絶対このデータを取らないといけないというのは非常に難しいと思うのですが、まず一つは、やはり一覧化して、散らかっているものを集約してという考え方でいくと、このために新たに何かのデータを取る、子供たちや先生たちに負担をかけるということではなくて、今既存にあるものをきちんと集約して見せるというやり方が一つ。
 そして一方で、それぞれの自治体でどうしてもやっぱりこれは課題になっているので解決したいということで、掛け合わせることができるようなものというような、そういった余地も残しておく必要があるんだなということを強く感じた次第です。
 感想になります。以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。とてもよく整理していただいたと。僕が最後に言おうと思ったことを言っていただきました。既にあるものを可視化できるようにしておくことの利便性ですね。
 再収集みたいなことをしないようにするということが重要だということと、それでもなお教育委員会として新しく、あるいは学校として新しく調査して、みたいなことを既存のデータと上手に掛け合わせられるようにしておくんだということかと思います。
 山口委員、石井委員、お願いいたします。
【山口委員】  よろしくお願いします。皆さんの意見と繰り返しになりますけれども、このダッシュボード機能の案を具体的に提示いただくことで、特別支援学校や特別支援教育の現場の者としては、これはすごく便利だな、使えるなというのを実感すると思います。
 新たに何か調査するのではなくて、既にいろいろなところにあるデータをいろいろなところで一目で見られるとか、報告も簡便になるということが、ダッシュボード機能というのをうまく使うとこういうふうにできる。これを提示できれば、すごく先に進むなという実感を持ちました。プラス、特別支援学校であったらこんな項目もというのはいろいろイメージも具体的に出てきます。今後のアンケートにも協力させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 石井委員、お願いいたします。
【石井委員】  石井です。よろしくお願いいたします。先ほどから出ているように、これを使うとどうよくなるのかというのが見える必要があるということでお話が進んだと思うんですけれども、こちらのダッシュボード機能のデータ項目例を挙げることで、例に挙げられた自治体を参考にして、市の課題や自治体の課題を解決することができるということを読み取ることもできると思いました。
 あえて「こうよくなります」と表記することも必要だと思うのですが、あまり縛らず、こういう組合せでこういうことができるということをイメージさせるような出し方もあるのかなと思って考えておりました。
 また、こちらのダッシュボード機能の一覧を出すことで、校務支援システムを導入していく必要感を未整備の自治体に対しても説得していく重要な資料になっていくのかなということを感じて、こちらの資料を見させていただきました。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、最後になりましょうかね、小﨑委員、お願いいたします。
【小﨑委員】  ありがとうございます。先ほどの高橋座長代理のおっしゃっていた整理とかが、もう、すごく大事だと思うんですけども、そもそもはこのダッシュボードを見る人が誰かとか、その人によって見たいものが違うということに対して、全部集めておいて、それが必要な人は必要なところだけ見てくださいというようなダッシュボード的な形も必要だと思いますし、その人に必要なものを作っていくということが必要かなというふうなのも感じました。
 それで、今、奈良でも同じようにダッシュボードの形でいろいろなデータを見えるようにしようということで、いろいろな方がチャレンジしていたり、作っていくのを見ていると、「これはこうだよね」というトータル的なものを作ると、「それだったらもっとここが知りたい」とか、もう一つ、見えているダッシュボードのデータを、「これとこれを組み合わせたらこういうことになるんじゃないの」と新たなデータが生み出されるようなイメージが湧いたりとか、「それだったらもっとこういうのが欲しい」とか、もうとにかく、出すことによってたくさんの情報がさらに生まれていくということになっています。
 ということを考えると、あまり固定的でもいけないんだろうなと思いますので、柔軟に、どんどん変えていくという意味ではなくて、アレンジができるという意味でもなく、まずはそのデータを、第一段階はこうだけど、それが何年も固定されて使って、こうだよねということだけじゃないような要素のために、項目というのも用意しておく必要があるかなというふうに感じたのが一つと、先ほどから言っている労力とか、このデータを、ダッシュボードを見て皆さんがどんな反応するかというと、先生たちは先生たちの反応があり、それをICT支援員の方たちが見たら、「こうですよね、こういう視点ですよね」という新たな気づきも教えてもらえますし、保護者なんかは見たいと思うんですよね。自分の子供だけなのか全体のことなのかというのはあると思うんですけど。で、事業者とかも関われたりとか、いろんな人に増えていくという可能性なんかもあるということは前提にしながら、先ほど座長代理がおっしゃったように、しっかり絞り込んで、校務に関してはこういう範囲のことでこういう扱いをしていくという、まずベースをしっかり作れば、そこから学習系とか、先生たちの業務とか、親に対する説明、通知表なんかこのダッシュボードがあったら要らないよね、みたいな話なんかにつながっていくんじゃないかなというふうに感じました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、意見も大体出尽くしたと思いますので、ここまでとしたいと思います。
 私が座長として聞きながら感じたことを一言だけ申し上げますと、これは理想が見えないところはまだやってもいない段階の話です。先行事例は幾つか出てきているけども、同じようなことを各自治体でやろうとすると、今はネットワーク分離の話とかいろんなことが、行政内の情報のやり取りの難しさとかいろんなことがあって、すぐにはできないと。
 そういうようなことなので、やれるところからやっていくしかないといういつもの形になるわけですけど、その時に、この既存のデータを上手に、見るべき人に見せる仕組みとしてのダッシュボードというのは、これがあれば、今度は仕事の仕方が変わるイメージが作られやすいんじゃないかという意味で、非常に重要なところになっているのかなと。難易度の高いものは、後に少しやっていくということなのかなと思います。
 この校務支援システムなるものがどうあるべきかというのが、私どものこの専門家会議の本質的なところなんですけども、この校務支援システムを考えたときに、従来の校務支援システムをどうよくするかという話だけではなく、その周辺にある様々な情報をうまく連携させることによって、働き方がうまく変えていけるんだ、学習指導がよりデータに基づいた形に高度化するんだ、教育委員会等や先生達、特に教頭先生の負担が、そういう意味では減るのだ、あと保護者あるいは子供たちにとっても自分の位置がよく分かって、より良い形で学びに向かう力につながるのだ、みたいな形にやっぱりしていかないといけないのだと思いますので、周辺の様々な学習eポータルの話や、教育データ利活用の話や、場合によってはこれからデジタル教科書、デジタル教材のログの話と、これは全部つながってくることかと思いますので、トータルに議論が進められていくべきだと思いますし、だからこそ、やれるところからやっていくしかないのかなというふうに思います。
 貴重な御意見をたくさんいただきました。先ほど事務局からもお願いしたように、皆さんには改めてまた御意見をいただくような機会をいただくことになるかと思いますが、御協力方よろしくお願い申し上げます。
 本日予定していた議題はここまでといたしますが、皆様のほうから何かお伝えになることはございますでしょうか。
 よろしいですかね。では今日、御意見を十分御発言できなかったという方は、またいつものようにメール等で御意見をいただければと思います。
 今後のことにつきまして、事務局よりお願いいたします。
【伊藤専門官】  事務局でございます。本日はお忙しい中、御参加いただきましてありがとうございました。
 第9回の会議日程等に関しましては、追って御連絡を差し上げたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
【堀田座長】  ありがとうございました。皆さんの御協力で5分前に終わることができます。本当に感謝いたします。
 今日の会議はここまでといたします。皆さん、御協力ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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