GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第6回)議事録

1.日時

令和4年8月26日(金曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

Web会議による開催

3.議題

  1. GIGAスクール構想の下での校務の情報化に係る論点整理(中間まとめ)(案)について
  2. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

石井委員、石田委員、井上委員、清野委員、小﨑委員、執行委員、妹尾委員、髙橋邦夫委員、高橋純座長代理、鶴田委員、中村めぐみ委員、中村義和委員、福原委員、藤村委員、堀田座長、水谷委員、山口委員、渡部委員

文部科学省

武藤 学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、伊藤 学校デジタル化プロジェクトチーム専門官、村尾 財務課長、菅谷 校務改善専門官

6.議事録

GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第6回)

令和4年8月26日

 
 
【堀田座長】  それでは、皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより、「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」の第6回会議を開催いたします。前回に引き続き、今回もオンラインによる開催とし、事前に登録のあったメディアや一般の方々に御参加いただいております。
 本日の議事に入る前に、ウェブ会議の留意事項及び配付資料について確認いたします。御発言の際は、画面下の挙手ボタンを御利用の上、お名前を冒頭におっしゃっていただきますことをお願いいたします。また、御発言時以外はミュートにしていただければと思います。
 本日の資料につきましては、資料1、資料2及び参考資料となっております。配付資料含め、会議に関して御不明な点がございましたら、事務局宛てにチャットで、あるいはお電話でお知らせいただければと思います。
 本日の出欠ですが、今井委員が御欠席でございます。また、渡部委員は公務の都合上、途中退席の予定と伺っております。
 議題に入る前に、本日の大まかな流れについて確認いたします。本日の議題は、中間まとめの案です。GIGAスクール構想の下での校務の情報化に係る論点整理、これを中間まとめの案としておりますが、これについて御検討いただくことでございます。この資料につきましては、これまでの会議における皆様の御議論の結果や、この会議の場において色々な方からのヒアリングで得られた知見について、あるいは前回や前々回の会議において御議論いただいた論点整理に向けた検討資料、これに対する御意見を踏まえておるということ。また、前回の会議の後にメール等でいただいた皆様からの御意見も踏まえており、事務局とも相談しながら中間まとめ案というのを準備して、本日提示しております。
 本日は、この中間まとめ案につきまして、これまでの審議経過も振り返りながら、20分ほどで事務局よりまず御説明いただき、その後、意見交換の時間とさせていただきます。本日の意見交換の結果を中間まとめ案にまた盛り込んでいくという形にしてまいりたいと思います。意見交換に当たっては、分量が多い関係で、委員の皆様には事前にお伝えしておりますように、トピックを区切りながら議論を進めてまいりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より、資料につきまして御説明をよろしくお願いいたします。
【武藤リーダー】  失礼します。学校デジタル化プロジェクトチームの武藤です。よろしくお願いいたします。資料1と2に基づきまして御説明いたします。
 まず、資料1の1枚目ですけれども、専門家会議の審議の検討経過でございます。この専門家会議は、GIGAスクール構想が進展する中で、働き方改革をより進めるための校務の情報化の在り方と、校務系システムと他のシステムとの連携の可能性、この2点を検討事項といたしまして、関係団体、先進自治体、事業者などからのヒアリングや、関連する政策動向に関する説明、こういったものを聴取しながら、これまで5回の議論を重ねてまいりました。
 1枚おめくりいただいて、そのうちヒアリング等から得られた主な知見、これは各委員に見ていただくのは初めての資料になりますけれども、事務的にまとめさせていただいたものであります。
 まず1つ目が、GIGA端末で利用可能なクラウドツール、これが校務にも活用可能であること、具体的に言えば、教職員間での情報交換の迅速化、あるいは会議のペーパーレス化、生徒への資料配付、保護者アンケートのデジタル化、こういったことで負担が軽減されるとか、あるいは保護者との日常的な連絡や、施設管理等の業務でも負担軽減が可能である。クラウドツールの活用経験が授業の活用と結びついていって、学びの質の向上にもつながり得る。校務支援システムが担うべき校務と、クラウドツールでやることができる校務について、セキュリティ、個人情報保護の観点から、何らかの基準・方針が求められるのではないか、こんな御意見がございました。
 また、小規模自治体でも校務支援システムの導入を可能とするサービスが出てきていて、一方、オンプレミスでサービスを提供してきた業者においてもクラウド化の動きがあると。また、クラウドを活用した業務効率化のビジョンをしっかり考えてシステム設計することが大事で、その際、端末の1台化、これが校務の効率化に寄与するということですとか、あるいは、校務支援システムを含めたシステム全体のクラウド化がテレワーク環境の実現や災害対策としても有効であると、こういった知見も得られております。
 また、データの利活用が課題であるということで、校務と学習のネットワークが分離した状態でデータ連携を進めるためには、中間サーバが必要であり、費用面での負担が大きくなるとか、あるいは、その次ですけども、学校・自治体ごとのデータ集約の標準モデルが必要なのではないか、教育、保育、福祉、医療等のデータを連携するシステムや体制を整備して、真に支援が必要な子供の発見や、プッシュ型の取組をすべきではないか、こういった点がございました。また、校務支援システムベンダにおいては、児童生徒ダッシュボードを実装したり、あるいは教育委員会向けのダッシュボードを開発する、こういった動きもあるということが知見として得られたところでございます。
 次の3ページ目に参りまして、これは前回と前々回で御議論いただいた、まさに本日の中間まとめ、論点整理に向けた検討資料ということで、2回にわたって御議論いただきました。これについて説明は割愛させていただきますけれども、本日の中間まとめ(案)を作るに当たっての方向性をお決めいただいたものというふうに認識をしております。
 こういった事柄を踏まえまして、座長、座長代理と十分御相談の上で、資料2の中間まとめの案を作成しております。
 1枚おめくりいただきまして、まず「はじめに~校務DXに関する問題意識」ということでございます。統合型校務支援システムの整備率は年々上昇しておりまして、校務の効率化に大きく寄与してまいりました。しかし、多くの教育委員会ではシステムを自前のサーバに設置して、閉域網で稼働させておりまして、校務用端末も職員室に固定されていることが多いという現状がございます。そういう中で、GIGAスクール時代の教育DXや働き方改革の流れに適合しなくなっているなど、様々な課題が指摘されている。
 こうした中、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインも文科省で改訂いたしまして、今後はクラウドサービスの利活用を前提として、ネットワーク分離を必要としない、アクセス制御による対策を講じたシステム構成を目指すべきということで既に打ち出しておりますが、クラウド上での機微情報の取扱いについて十分整備、整理されていない中で、こうした取組を本格的に検討する教育委員会も一部に留まっております。その一方、何度かここで御紹介申し上げているように、教育データ連携を巡る政府全体の検討が今現在進行形でございまして、そんな中、どのように校務DXを進めていけばよいか分かりにくくなっているという現状があるのではないか、そういう中で、校務系データと他のシステムとの連携や、働き方改革を一層促進するための校務DXの在り方等について、現行のシステムの課題を整理した上で、具体的なビジョンと政府が講じるべき施策を示す必要があると、こういった形で初めに問題意識をまとめさせていただきました。
 その上で、以下、課題を9つに渡って列挙して、整理をしております。
 1枚おめくりいただきまして、働き方改革に関する観点を、まず列挙しております。1つ目が、汎用クラウドツールと校務システムの一部機能との整理ということであります。上に具体的な課題、下に改善の方向性ということになっておりますが、まず校務支援システムの中で提供されてきたグループウェア機能、あるいは学校の管理運営に関する諸業務については、汎用クラウドツールで代替実施可能な状況が生まれている。こういうツールは職員室以外の場所からでもアクセスが可能であり、保護者など校外の関係者や教育委員会職員等との連絡にも利用できると、こういう校務支援システムに必ずしもない利点を有しているということで整理をしております。
 その上で、改善の方向性ですけれども、最初の2行目です。学校と保護者等の負担軽減やコミュニケーションの活性化のため、汎用クラウドツールの積極的な活用が考えられるのではないか。新たな校務DXの在り方を検討するに当たっては、校務支援システムで扱うべき機能と、汎用ツールを活用すべき機能を整理する必要があるのではないか。そのことによって調達コストの縮減も考えられるとか、あるいは施設管理業務などについても汎用クラウドツールの活用で、これは学校だけではなくて、教育委員会の負担の軽減も図ることが可能ではないかという形で整理をしました。
 また、次のページに参りまして、同様に働き方改革ですが、自宅や出張先での校務処理ができない、ワーク・ライフ・バランスの改善が困難であるという点でございます。多くの教育委員会で校務支援システムを自前サーバで設置して、職員室に固定された端末からのアクセスを前提として運用しているという中で、ライフスタイルに応じた柔軟なテレワークの実施等ができないですとか、あるいは緊急時に校務を継続することが困難。こういう中で、例えばUSBメモリ等を校外や自宅に持ち出す先生方が後を絶たず、情報漏えいリスクが常に生じている、こんな課題がある。
 方向性としては、校務支援システムのクラウド化、そして端末の1台化を進めることによって、教職員一人一人の事情に合わせた、柔軟で安全な働き方を可能にするとともに、出張時、緊急時における業務の継続性も確保する必要があるのではないか。そして、こういう校務DXの取組は、教職を目指す学生に対して、教育現場を旧態依然としたものにしないという強いメッセージにもなり、教師の魅力向上にも資するのではないか、こういう整理をしております。
 次のページに参りまして、教育委員会ごとにシステムが大きく異なって、人事異動の際の負担が大きいという点でございまして、いきなり改善の方向性に移りますが、これは7番で後述する帳票類の標準化の促進ですとか、校務DXに関する自治体間の情報交換や協議の促進、それから共同調達の推進等によりまして、異動前後におけるICT環境の変化を最小限に抑えて負担軽減をする必要があると整理をしております。
 次のページに参りまして、校務支援システムの導入コストが高くて、小規模自治体の教育委員会で導入が進んでいないという点であります。先ほど来、申し上げているオンプレミス型、これは初期の導入コストが高くて、学校数に応じてシステム利用料が設定されることが多い現状があります。このため、小規模校を多く抱える教育委員会では、導入コストを上回るメリットが感じられにくく、結果として校務の情報化の恩恵を受けることができていないとの指摘がある。実際これはデータでも、校務支援システムの導入をしていない、あるいは予定なしというところを見ますと、学校数が1から5ぐらいの小規模自治体が多くて、また1校当たりの子供の数も100人以下が多いということがデータを見ていくと分かるところでございまして、こういうデータについても場合によっては、まとめに付け加えていくことも考えられるかなと思っております。
 改善の方向性として、校務支援システムをクラウド化することによりまして初期の導入コストを抑えたり、あるいは学校数だけではなくて、児童生徒数にも応じた柔軟な料金設定などを推進することによって、全国全ての自治体・学校で校務DXを推進する必要があるということでございます。
 ここまでが働き方改革の観点でございまして、次のページからは、データ連携に関する観点を列挙しております。
 まず、学習系と校務系データの連携が困難だという論点であります。GIGAスクール構想の中で、膨大な学習系データが生成されつつありますが、ネットワーク分離の場合、円滑なデータのやり取り・活用が困難である。もちろん中間サーバを設置してやる方法もあるわけですけれども、やはりコスト負担が大きいということと、リアルタイムでのデータ連携がなかなか難しいということ。また、中間サーバを設置する場合、特定のデータのみを通すことの前提で構築する場合が多いので、連携するデータを追加する場合にシステム変更が必要である。また、このネットワーク分離が、校務と教務でそれぞれ別の端末を用いざるを得ない場合が多いので、整備コストの増加等の要因になっているということで、方向性としては、いわゆるゼロトラストの考え方に基づきまして、アクセス制御による対策を講じることで、ネットワーク分離と同等以上のセキュリティを確保し、ネットワークを統合するということが必要ではないか。また、円滑なデータ連携を促進することは、一人一人の状況に合わせたきめ細かな指導、データに基づく学校経営の高度化、あるいは政策決定を進めていく上で不可欠な環境整備であるというようなこと。また、端末1台化を促進することで、校務の効率化、端末整備のコストの低減にも資するのではないというふうに整理をしております。
 次のページに参りまして、教育行政・福祉系データとの連携が前提となっていないということ。これはGIGAスクール構想の進展に伴って、色々データ連携の期待が高まっている中、文部科学省では、基盤的ツールであるウェブ調査システムEduSurvey、あるいはCBTシステムのMEXCBT、こうしたものの開発と運用をしておりまして、それらも活用した様々な行政調査の電子化、あるいは全国学調のCBT化、こういったものを推進しております。それに併せまして教育データの標準を設定する取組も行っているということを御紹介申し上げております。
 その一方、現行のシステムは、こうした多様なデジタル情報との連携を前提としたシステムになっていないのではないかという課題。そして方向性としては、校務系・学習系システムに蓄積される様々なデータや、首長部局が有する、例えば福祉に関するデータ、こうしたものを相互に連携して可視化したり分析したりということで、個別最適な学びの推進、支援を要する子供の早期発見、あるいは学校経営の改善や学校経営指導、あるいは教育施策の高度化、こういったものを目指していくべきではないか。このため、文科省の教育データ標準の改訂状況ですとか、デジタル庁の実証事業の進捗、こういったものも踏まえながら次世代モデルを提示していく必要があるのではないかという論点でございます。
 そして、次に参りまして、帳票類の標準化が道半ばであるということでございます。APPLICの長年にわたる取組で、校務システムが扱うデータの一部はシステム間で移行を可能とする標準化が行われている。その一方で、各教育委員会・学校が帳票等を過剰にカスタマイズした結果、互換性が失われて、データを引き渡すことが困難なケースが生じております。例えば出席簿とか名簿、在学証明書、学校日誌、通知表等、様々なカスタマイズが行われて、コストの増加を招いている状況があります。加えて、校務支援システムの入替えに当たってのデータベース移行が困難という指摘もございます。
 方向性としては、転校・進学時のデータの円滑な引渡しを実現することによって、業務負担の軽減と、一人一人の状況に合わせた指導を、転校後、あるいは進学後も切れ目なく実現していく。また、そのためには国が各設置者、関係団体等と丁寧なコミュニケーションを取りながら、原本の電子化を前提としたデータの標準化も思い切って進めて、そうしたことを前提とした校務システムの在り方を提示していく必要があるのではないか。また、システム間でのデータベース移行を容易にするための標準化の可能性についても検討していく必要があるのではないかということでございます。
 1枚めくっていただいて、今度は大規模災害におけるレジリエンスに関する論点ということであります。校務支援システムが災害対策の不十分な自前サーバに設置されているということで、大規模災害で学校施設、教育委員会の庁舎等の損傷とか損壊に伴って校務系データが喪失する危険性が高く、学校再開に当たって大きな障害になっている。大規模災害時に避難所等からでも児童生徒の安否確認、健康状態確認、あるいは学習支援等々を行うことができるようにする必要があるのではないか。
 方向性としては、大規模災害への対策も適切に考慮されたクラウド上で、校務支援システムをはじめとするICT基盤をゼロトラストで、安全を確保した回線を利用することで、災害が発生した場合も業務の継続性を確保する必要があるのではないか。
 最後、その他ということで、学校のデータを教育行政向けに可視化するインターフェースがないという論点であります。現行のシステムの中には、児童生徒の重要情報を1画面に統合する児童生徒ダッシュボードが実装されているものも一部にございますけれども、教育に関する様々なデータを学校レベルで統合・可視化する、そういったダッシュボード機能は一般的ではないという状況があります。
 今後ですが、丸5 、丸6 で述べましたように、校務系・学習系データのみならず、首長部局が有する福祉系のデータなども学校レベルで統合し、可視化したり、あるいは学校間の違いを可視化するといった機能を実装することで、校長の学校経営を効果的にアシストしたり、あるいは教育委員会でデータに基づく学校経営指導、施策の展開に生かしていく必要があるのではないかと、こういう機能を校務支援システムの中に構築するか否かについては引き続き検討が必要ではないか、こういう論点であります。
 今、課題を列挙してまいりましたが、その次のページでございまして、以上のような課題と改善の方向性を踏まえて、今後、国において、アクセス制御による対策を講じた上で校務系・学習系のネットワークを統合するということ、それから、汎用クラウドツールで対応できない、真に必要な機能に絞った上で校務支援システムをクラウド化していくと、こういったことを強力に進めまして、全ての教育委員会における導入を推進していくことが望ましい。こうした次世代の校務DXの実現に当たって、校務の県域レベル、あるいは全国レベルでの標準化を進めることが望ましい。具体的には、紙の書類を前提とした業務や業務フローを抜本的に見直し、デジタルの効果を最大限に発揮させるものにするとともに、校務支援システムのコスト増、あるいはデータ移行の障害となるカスタマイズについても強く抑制する方向で見直すべきではないかというまとめにしてございます。
 その下には、今までまとめてきました事柄を、試みとしてフローチャートにしてみたものであります。この辺りもお気づきの点、御意見いただければと思っております。
 最後のセクションが、今後取り組むべき施策ということであります。
 まず1つ目が、モデルケースの創出ということです。2ポツで述べました具体的な課題と改善の方向性を踏まえまして、各教育委員会では、ネットワーク統合あるいはクラウド化を達成した上で、種々のデータの連携を進めて、指導や支援の充実に取り組むことが期待される。一方、各設置者の実情は様々なので、学校数や学校規模、ネットワークの状況、財政事情、これらを踏まえた参照可能なモデルケースが不可欠であると。このため文科省においては、教育データ標準の改訂状況、あるいはデジタル庁の実証事業の進捗も踏まえながら、次世代の校務DXのモデルケースを創出する方策を検討すべきというまとめにしております。
 また併せて、校務DXガイドラインの策定としております。このモデルケースの創出と並行して、関係団体と丁寧なコミュニケーションを行いながら、例えば紙ベースでの業務フローを抜本的に見直して、校務の原則デジタル化を推進するとか、あるいは過剰なカスタマイズ抑制の観点から、帳票類等を標準化するとか、校務支援システムで取り扱うべき業務と汎用クラウドで実施可能な業務の整理、あるいは教員、事務職員、ICT支援員、教育委員会の役割分担の整理、こういったことを総合的に行った上で校務DXガイドラインを策定して、アジャイル方式でアップデートをしたい。あるいは、システム開発事業者への丁寧な情報提供と、モデルチェンジの働きかけを行うべきではないか、また、こうした実践から得られた課題、モデルケースの創出過程で判明した問題点なども踏まえまして、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインもアジャイル方式でアップデートすべきではないか。
 次のページに参りまして、加えて、過渡的な取組ということで、今まで未来の理想像というのを書いて参りましたけども、過渡的な取組として、直近でネットワーク分離と自前サーバを前提として校務支援システムを作った教育委員会におきましても、こうした次世代の校務DXをめぐる取組を注視しつつ、できるところから校務の情報化を積極的に進めるべき。例えば、汎用クラウドツールを活用した情報交換の励行、会議資料のペーパーレス化、スケジュール管理のオンライン化、あるいは会計事務や物品管理等々における民間企業向けクラウドツール、これは一部、色んな自治体からのヒアリングでもございました。保護者への連絡・情報交換におけるツールの活用、あるいは、校務標準化に関して国が検討しますので、それを踏まえた帳票類や業務の見直し、こういったことを積極的に進めていただくべきではないか。こういうことをしていくことによって、いずれ機が到来したときの次世代の校務DXを円滑に進める上でも重要な足場かけになるのではないか、こういった整理をしております。
 最後のページです。14ページですが、今後の本専門家会議、まさに中間まとめを取りまとめていただいた後の検討の進め方の案ということで整理をしてみたものであります。
 以上に取りまとめた提言案について、専門家会議で更に検討を加えて、更なる充実を図るべき。その際、特に下記の諸点については、実態を踏まえた精緻な検討が必要である。
 1つ目としては、校務DXの定義ですとか、その中で校務支援システムがカバーすべき範囲、データについて、データ連携に取り組んでいる先進自治体の状況把握なども行った上で、更に整理を行う必要があるのではないか。また、丸2 ですが、システム更改のタイミングや、その検討に要する時間、あるいは大規模災害対応の必要性等も踏まえまして、次世代校務システムへの移行年限について何らかの具体的な目安を示すことを検討すべきではないか。このため、検討に先立って、各教育委員会におけるシステム更改のタイミング、あるいは認識されている課題について実態調査を実施すべきではないかということ。それから、クラウド上で取り扱う情報の機密性の度合いに応じた望ましいセキュリティ確保の考え方について、外部からのヒアリングなども踏まえつつ、一定の考え方を示す必要があるのではないか。また、次世代校務を推進するための財政支援の在り方についても継続的に検討する必要があり、一定の考え方を示すべきではないか。
 最後に、最終的な取りまとめに当たっては、個人情報保護制度の観点、あるいはコスト、校務DXの推進に当たっての障害を教育委員会が乗り越える一助となる取りまとめを目指すべき。また、この取りまとめが教育委員会の予算折衝の根拠となることも踏まえて、見やすく、分かりやすい形で示すべきと、こういった形で、先生方の意見をなるべく網羅する形で取りまとめてみたものでございます。
 説明は以上でございます。ありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。詳細に御説明いただきました。
 これより意見交換に入りたいと思います。今日の中間まとめ案を作るために、事務局と私と座長代理の高橋委員とは何度もやり取りしました。色んな論点があるものですから整理の仕方が非常に難しかったわけですけど、やっぱり校務の情報化というのは、何よりも先生方が働きやすくなるということが最大の重要な観点だろうということ。あるいは、データの連携がうまくいけば、いちいち入力しなくても色々なことが把握できて、そして指導の高度化につながることができるというようなこと。あるいは災害対策とか、こういう整理枠で整理をすることにいたしました。
 皆様はそれぞれ、今までもたくさんの御意見をいただいておりますけど、それぞれのお立場で、今日の中間まとめの案を聞いていただいて、更に、ここはもうちょっとこうした方がいいんじゃないかとか、あるいは、この点には非常に賛同するとか、書き足した方がいいのではないかとか、そういうような色んな御意見をいただきたいと思います。
 冒頭に申し上げましたとおり、トピックを区切りながら進めます。まずオレンジ色で書いてあるタグに従いまして、最初は働き方改革に関する観点についてのページからです。具体的に言うと2ページから5ページ、ここまでを最初に議論したいと思います。20分ぐらいかなと思っていますけど、その次はデータ連携、これが6から8ページです。その次が大規模災害におけるレジリエンス、これが1ページ分と、あと、その他1ページ分、これについて。一番最後に、改善の方向性と今後取り組むべきことについて議論するという形になります。一番最後の14ページの、これから私たちのこの会議が、今後、中間まとめの後どういうことを議論していくのかということについても一番最後に議論したいと思います。私の方でそういう制御をさせていただきますので、とはいっても、この観点に絞られた話だけではなくて、つながっている話も出てくるかと思いますが、一応議論の整理のしやすさという観点で、このようにさせていただきたいと思います。
 それでは、いつものように挙手をいただいて、できるだけたくさんの御意見をいただければと思うところです。今日は時間十分ありますけど、一人一人の御発言はできるだけ手短に、そしてテーマが変わったらまた御発言いただくという形で参りたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 では、最初の働き方改革に関する観点、2から5ページにつきまして、御意見のある方、挙手をお願いいたします。
 では、石井委員からお願いいたします。
【石井委員】  石井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の、まず働き方改革に関する観点のところですが、小規模自治体でも安心して取り組めるという内容が盛り込まれているところを評価しております。また、これまで導入してしまった、オンプレミスで導入してしまった自治体に対しても、このように取り組んでいけばいいというところの指針も見えていて、大変よくまとめていただいたなと思っております。ありがとうございます。
【堀田座長】  よろしいですか。
【石井委員】  以上です。すみません。ありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございます。これは難しいところで、国はこういうふうに舵を切ったといっても、実際は設置者がそんなすぐには対応できないわけですから、少し時間遅れを計算に入れた形で移行していくと。だからといって進めないわけにはいかないという、そういう考え方でやっております。よろしくお願いします。
 この後ですが、髙橋邦夫委員、妹尾委員、鶴田委員、水谷委員、石田委員の順番で参ります。
 髙橋邦夫委員、お願いいたします。
【髙橋(邦)委員】  髙橋邦夫です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、総務省のテレワークマネージャーという役も担っておりますので、先生方の働き方改革には大変関心を抱いております。今日はある小規模自治体にお邪魔しておりますが、こういったところこそ、いち早く校務支援システムを入れて、先生方の負担軽減につなげていかないと、働き方改革は進まないと思っております。
 ただし、今日私が居る自治体に関しては、県が主導して、県で統合型校務支援システムを入れて、特に小規模自治体は非常に助かっている実情があります。こういった事例、「県単位で」という表現はございますけども、改善の方向性に県の役割をもう少し加えていただく方がいいと思いました。
【堀田座長】  ありがとうございます。都道府県が市町村の設置者に対してどこまでイニシアチブを取るかというのは今日非常に重要なところかと思いますので、これについての御意見がある方、是非また加えていただければと思います。
 妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。非常に詳細にまとめていただいて、大変ありがとうございました。私からは、気づいた点で、ちょっと順不同ですけども、4点ほど申し上げたいと思います。なるべく短くやりたいんですが、4つほどあります。
 1点目ですけれども、働き方の関係で言うと、この会議の第1回で教頭会からお話があったと思いますが、特に教頭先生方なり教職員にとって負担になっているのは、やはり教育委員会からの文書とか書類が多過ぎるという問題ですよね。もちろんそれが電子化されているかどうかというだけの問題じゃなくて、そもそも多過ぎるという問題だとか、教育委員会なり首長部局も含めて、縦割りで色んなことを最前線の現場の学校に聞いていて、結構非効率が発生していたりするというところなんかもあります。あるいは、様々ですけれども、教育委員会からの文書とか手続などが結構色々邪魔くさくて、やりにくくて、電話で結局一々学校と教育委員会が確認したりして、かなりローテクで進んでいるというところもあるので、そんなところの問題意識ももう少し深めていただいた上で、どこかにもうちょっと入れられないかなとか、情報化だけでは解決できない話もあるんですけれども、申し上げたいところが1点目です。
 2点目は、そういったことにも関係しますけども、後でもちょっと出てきますが、やはり教育委員会と学校との役割分担をもっと抜本的に考えないといけないということを申し上げたいと思います。もうちょっと言うと、単なる校務の情報化だけとか、クラウドの活用だけを考えるんじゃなくて、そもそもその業務の必要性だとか在り方を見直せ、というメッセージをもっと強められないかと思っています。例えば、典型例ですが、施設管理をクラウドサービスを使って効率化できましたみたいな話は前回もあったし、それはどんどんやっていただきたいんですけども、そもそも施設の点検だとか、点検のプロじゃない教員がやっていてどこまで意味があるのかとか、もっときちんとそれは業者委託などして専門家が見ないと、子供にとっても教職員にとっても危ないんじゃないかとか。この間も校長先生が、樹木が倒れて亡くなったという例がありましたけれども、要するに情報化云々の話だけではなくて、業務そのものの必要性だとか、学校に任せ過ぎという問題が負担増も招いているし、サービスの低下というか、要は質も悪いということも招いているので、ここを是非問題意識を高めていただきたいというのが2番目です。
 3番目はちょっと具体的な話で、3ページ目のことについて申し上げたいんですけれども、テレワーク等云々の話は、もちろんできるようになった方がいいと思うし、大事なんですけれども、ここは、もうちょっと言うと、関連した問題が2つあります。
 1つは、先生方の自宅の持ち帰り仕事というのは、やむなく持ち帰っている方も多いわけですけれども、正直それを誰もモニタリングしていないという問題があります。要するに在校等時間のモニタリングから外れていて、先生方が結構善意で色んなことを残業していて、結局誰も管理できていないという問題があるので、ある自治体は、ちゃんとテレワークの環境を整えた上で、そこも在校等時間から含めていくというようなこともやっているので、そんなことも含めて先生方の健康管理のためには大事であろうということを申し上げたいし、企業の働き方改革なんかでは、パソコンの起動時間とかもちゃんとモニタリングしていて、この人は働き過ぎだということをちゃんと分かっているわけで、そんなことも含めて、学校、教育委員会はもっと考えていただきたいというのが1点目です。
 もう一つは、今は在校等時間の管理ばっかりで、多忙の内訳とか要因が分かっていないんですよね。ほぼそういうのも、例えばこういうファイルを多く使っていたとか時間使っていたとかいうのがすぐ、多分今の技術では分かると思うので、本当はそういう、先生方が時間を使っているのは何なのかみたいなものを分析できると本当はもっといいと思うので、この辺のアプローチはもっと色んな方法があるなというのが、大きくワーク・ライフ・バランス系の話では申し上げたいことです。それが大きな3つ目。すみません、色々と。
 あと1点だけですけれども、4番目としては、学校現場での不満とか気づきとか問題点が改善につながっていないということを申し上げたいと思います。つまり、文科省、教育委員会と学校とのコミュニケーションが悪過ぎだということを申し上げたいんですね。一例を挙げると、ちょっと文科省さんには耳の痛いことかもしれないけど、教科書を受け入れたときに学校がシステム入力する、エクセルみたいなやつがありますけども、あれ、めちゃくちゃ使い勝手が悪いというのはもう有名な話で、さっき見たらマニュアルだけでも65ページもあるんですけど、要するに、もっとこういうふうにしたら使い勝手がいいだろうとかいうのは皆さん思っているわけです。
 あるいは教育委員会から来た事務作業とか、もっとこんなふうにすれば賢いのにって、現場の人は気づいていることもあるはずなのに、やっぱり我慢して仕事をこなしちゃって、結局次の年も同じようなことが来るみたいな話になっているので、それは別に文科省さんとか教育委員会ばっかりが悪いと言うつもりはないんですけども、ユーザーの不満とか気づいていることをもっと、コミュニケーションをしっかり取っていただきたいと。どこのスマホアプリで六十何ページもマニュアル読ませて使わせるものがありますかという話と一緒なんですけど、そういうコミュニケーションの活性化とか円滑化みたいなのを、働き方だけじゃないけど、是非意識していただきたいなと思います。
 すみません。長くなりましたが、以上です。
【堀田座長】  いずれも貴重な御意見だと思います。本当にありがとうございます。
 鶴田委員、お願いいたします。
【鶴田委員】  県の教育委員会からという立場で、気づきとかを話させていただきます。
 ここに書かれている働き方改革に関する観点は、全てごもっともだなというふうに思います。実現したらよいなと思っています。その上で、印象なんですけど、参考資料では、少し先の将来こうなったらいいよねという理想的なものから描いているようなことがあるんですけども、見たときに、既存の校務支援システムの機能をベースにこんな課題があるから、こんな改善の方向でいこうというふうに、ちょっと見えてしまったというところがあります。
 例えば4ページのところの校務支援システム自体の共同調達というのはすごくいいことで、長崎県でもやっているんですけれども、人事異動の際の負担が大きいというのはもとより、子供たちが転入転出する際に、電子を原本としていればデータ上でやり取りできるので、非常に先生たちが楽になると。もうちょっと大きく見ると、教員は市町間で異動するんですけど、子供たちは県域で小中高というふうに進んでいきますので、例えば理想の姿として、小中高を含めた統一のシステムで、データでやり取りが出て、例えば出願であったり、抄本の提出であったりというのが先生方は楽になるという将来像を描くであるとか、あともう一つ、例えば1ページに、保護者、校外の関係者や教育委員会連絡にも利用できるというふうにあるんですけれども、既存のクラウドツールとか校務支援システムの中で情報資産分類の4に当たるような、保護者が見てもよいようなものというのは、今はホームページとかで発信して保護者に見せているんですけど、クラウドツールみたいな形で保護者が見に行けば、いつでも子供たちの学習の状況で見れるであるとか、情報資産分類の3とかの中でも、自分の子供の学習の履歴なんかは保護者が自分で見に行けるとか、そういった大きな目指すべき理想像みたいなのが描かれていると分かりやすいなというか、いいなというふうに思いました。すみません。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、この後ですが、水谷委員、石田委員、井上委員、執行委員、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いします。
 では、水谷委員、お願いします。
【水谷委員】  水谷でございます。おまとめ本当にありがとうございます。働き方改革に関する部分について、特に異論はないですが、強調したいということで、少し発言させていただきたいと思います。
 とにかくGIGAのクラウド環境で十分コミュニケーションが便利に取れるということを何度もこの会議でもお伝えしてきましたが、どうもその便利さが本当に伝わっていないなということを感じています。それはどうしてかというと、体験したくても使わせてもらえない地域が多く、結局、そんなに心配なく使えるものを、なぜか使えない状況にしているところが実は問題があると思います。一度体験してみて、何ができるかということをそれぞれの自治体が経験すれば、本当に校務支援システムで必要な機能というのもよく分かってくると思いますし、それによって、ここにも書かれているように、校務支援システム自体が安くできると思います。
 また、校務支援システムができたとき、導入したとき、これからは一々報告しなくても、そこに蓄えられているデータで色々なことが分かるから大丈夫だよというような議論があったと自分は記憶していますが、現在も学校で蓄えたデータを調査ということで再度集計して提出しているわけで、あまり変わっていないと思います。クラウドになったら、いつも情報を共有しているので、一々何か調査しなくても大概分かるということにもきっとできるだろうと感じています。この便利さを、特に管理職層が体験できれば、どんどん進むのではないかと感じております。是非、この1枚目の部分、ここをまずは全部の自治体が体験して、進むようにと祈っております。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。多くの場合、教育委員会による過剰な制限といいましょうか、これが結局利用を妨げていて、利用していないので便利なツールは使えず、結局は新しい考え方が伝わっていかないという、これの繰り返しが起こっているなと思います。ありがとうございました。
 石田委員、お願いいたします。
【石田委員】  皆様、おまとめありがとうございます。私からお話しさせていただくのは2つです。
 まず3ページ目のところで、先ほど妹尾委員もお話しされましたが、私の方ではテレワークに関することをお話ししたいと思います。テレワークをする際に、残業ということで、持ち帰ってお仕事を先生方がされる場合、今、企業の中では、例えばですけれども、午後11時でパソコンが使えなくなるようにするとか、あと、この人は何時間本当に仕事をしているかとか可視化できるように、ITシステムが全てを見ているんです。健康経営、健康管理というところの視点で、そういったことをまずしています。それから、セキュリティが非常に強くなっていて、人によって、職務権限によって見られる場所が区切られていたりもします。このように安全を図りながら仕事をしているということがあります。
 あともう一つは、やはり学校は教育委員会ごとによって大分考え方が違うんだなというのが私自身分かってまいりました。どういうことかと申しますと、学校によっては、職員全員にメールアドレスが付与されているところと、それが副校長先生しか付与されていないところというのがあります。これは何で分かったかといいますと、外部の団体とのやり取りをしている際に、一般の企業さんからはメールで申込みがあるけど、学校はほとんどファクスだよというお話がありました。ファクスはあまり今一般の企業では使っていないんですが学校は、副校長先生にわざわざメールをプリントアウトしてもらうのが申し訳ないというところから、メールを使わないということも分かってきました。そうすると、先生方は自宅に帰ってから、例えば外部の業者さんとやり取りするときは皆さんどうされているのかなと、ちょっと思ったりもしました。そういったところで時間的なロスもあるのかなというふうに思いました。
 今、私もこの会議に参加して、色々学ばせていただきました。御家庭と先生とのやり取りはアプリとかそういったもので、出欠に関してもすごく短時間でできるし、あと情報の共有とか学校の行事とか、スムーズに対応できていると理解しましたが、学校と生徒さん以外の、他の企業さんたちとのやり取りは進んでいるのかなということをちょっと思いました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。昨日、中央教育審議会のデジタル教科書等のワーキングがあったんですけど、そこでも、デジタル教科書のアカウント等について学校とメールでやり取りしようと思っても、メールの返事が返ってこないとか、メールアドレスがないとか、色んなことがあって進まないんだというのがありました。そもそも今どきメールアドレスが付与されていない会社とかいったらあんまりないと思うんですけど、もうその辺の遅れから始まっていて、かなり累積した学校の情報化の遅れが、今、ここに来て露呈しているんだなというふうに思います。色んな理由でそうしてきたのかと思いますけども、結果として世の中の常識から大きくズレてしまっており、今、石田委員が御指摘いただいたことは、私ども、非常に重要な観点だと思っております。本当にありがとうございます。
 では、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  井上でございます。よろしくお願いいたします。
 丁寧にまとめていただいてありがとうございます。私は、データを基に少しお話をさせていただいて、水谷委員がお話しになったようなことの補足となることをさせていただけたらというふうに思っております。画面を共有させていただきます。
 これは私が所属しておりますJAPET&CECの国内調査部会というところで、2年毎に、大規模な調査をしておりまして、今年の6月に報告書を出したものです。去年の8月、夏休みに調査をさせていただいて、これは全国の小中学校を所管している教育委員会千七百余りにアンケートを出して、約460の教育委員会から回答をいただいたものです。今日の資料のエビデンスにもなるかなと思って、見ていただきます。
 まず、校務データを保存するサーバの設置場所について聞いてみました。校内に置いているところ、この緑色のところは町村なんですけど、町村はやっぱり校内に置いているところが結構多いです、教育センタですとか自治体の。また、丸4 です。今回のテーマになるのは丸4 のところだと思うんですが、外部のデータセンタやクラウドサービスを利用しているところは、政令市等というのは政令市、東京都23区、それから中核市、これを政令市等として分類しております。そこは6割近く持っているんですが、それ以外のところは、まだそこまでは行っておりません。
 実際、この丸4 のところの自治体様の中の分類を見てみたいと思います。外部のデータセンタやクラウドサービスはどのような形態での利用かと聞いたときに、ほとんどのところが丸2 、データセンタを利用しているというのが現状です。データセンタの利用に関しましては、自治体規模に大きな差はなくて、大体6割以上です。今回我々がやっぱり意識しなきゃいけないのは、丸4 です。民間のパブリッククラウドサービス、これを利用しているかというと、全体でいくと15%、政令市等では4.2%しかない、5%以下しかないというのが今の実態です。
 それに対して、学習用のデータです。機微なセンシティブデータを含まないデータのサーバに関しましては、学校も多いんですけども、外部のデータセンタも結構あります。この丸4 のところの中身を見てみると、丸4 の民間のパブリックサービス、これは自治体規模に差がなく、65%以上が今はパブリックを使っているんです。こういうふうに進んできているということは、いずれ多分校務の方もこうなってくるのではないかなというふうに期待をしております。
 これに対して、先ほどの水谷委員の発言に補足する形でデータをお見せしたいんですが、学校外での校務処理を認めているか、認めていないかという質問をしました。そうすると、セキュリティを確保して可能としているところは全体でも15%ぐらいです。希望者にのみ可能としているのは13%ぐらい、合わせても30%ぐらいです。実はそれ以外のところ、ほとんど丸3 です。要は、認めていないんですね、教育委員会として。ですから今の状態でも、持ち帰って作業することは可能なところがほとんどだと思うんですが、それがルール的に許されていないというのが現状だというのは、是非御理解いただき、ですから水谷委員がおっしゃるようにはできないんですね。実際多くの学校がこれを触ることができないというのが現状だというふうに思っています。
 ですから、せっかくいいふうにまとめていただいて、事実が書かれているんですけども、やはり必要なのは、自治体のルールを変えて、自宅でも、持ち帰りの業務、また出張先での業務というのをできるようにする。クラウドにすれば可能というのと、規則として認めるというのはちょっと別の話だと思っていますので、規則として認めるというのを、是非そこに一文入れていただけたらありがたいなというふうに思っております。
 私の方は以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 執行委員、お願いいたします。
【執行委員】  よろしくお願いします。ありがとうございます。働き方改革の点で、特に自宅や出張先での校務処理ができない、いわゆる職員室でしか仕事ができない環境にあるというところを明確に記載していただいて、そのこと自体が非常に課題もあるんだということで、そういうふうに書いていただいているところはありがたく思います。
 実は私もこの夏休み中に、やっと3台あるパソコンが2台になり、教員の方も、いわゆる席上、机上にある端末から外部のインターネットに接続できる環境になりという、速度のペースとしては、やっとそういうところの段階に来ているような状況です。そういった中で、かといって、他の先進的な自治体では、やっぱり校外でも校務の処理ができる状態があるという、そういったところの格差がどんどんどんどん広がってはいないかなというところで、やっぱり早くそういったところの標準化というのを示していく必要があるだろうなというふうに思っております。
 それから、実は本校は学校の老朽化とともに、新しい校舎の改築等を進めているんですけれども、他にも学校の老朽化で、今、学校施設が建て替えになっているところというのは結構増えてきていると思うんですね。そういった老朽化から新しく改築していくときに、どうも以前の学校のスタイルで、例えば教職員室に関しても旧態依然の環境でやっていこうというふうな考え方がどうしても拭えず、例えば私なんかはフリーアドレスで、もうちょっと、教員も含めて、地域の人たちも含めて協働的に仕事できるようなワークスペースみたいな環境にしてもらいたいんですみたいな話をしても、いやいや、そんな気はありませんみたいな形を言われてしまうと、やっぱり、何というんですかね、環境を新しくしていきながら、これからの学びのスタイルにしていこうというときに、そこも含めて。やはり通信環境や職場環境や情報化の環境も、全体の環境の一つに、改善していくポイントの一つだということをもうちょっと打ち出していけるといいのかなというふうに思っているところです。
 なかなか新しいことに取り組むというのは時間がかかることではありますけれども、やっぱり言うべきところはしっかり言っていかないと、結局遅々として進まないというところがあるのかなと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 最後の話はちょっと悲鳴のようなお話でした。皆さんに一通り、色々な御意見をいただきました。働き方改革の観点は非常に重要だと、あとこういうところを足してほしいという御意見が色々出たかと思います。本質的なところも議論は必要で、かといって、それはこの会議体で十分に結論が出せるという話でもない、そこが悩ましいところだなというふうに感じました。
 非常に貴重な意見色々いただきましたが、観点、他にもありますので、次に参りたいと思います。
 続いて、データ連携に関する観点ということで、6、7、8ページの3ページ分につきまして御意見をいただければと思います。是非またたくさんの御意見をいただければと思っております。御意見のある方、挙手をお願いいたします。
 では、藤村委員、山口委員の順番で、まず参ります。
 藤村委員、よろしくお願いいたします。
【藤村委員】  ありがとうございます。まず、このまとめですが、とてもよく整理していただいて、本当に、座長をはじめとして、座長代理、文部科学省の皆さんとも、心から御礼申し上げます。きっとこれが自治体に渡っていったときに、すごい説得力になるだろうと思いました。
 私からは2点申し上げたいと思います。1点目はデータの標準化の話です。資料でいきますと、8ページ目の「帳票類の標準化が道半ば」と書いてあるところです。実は校務の情報化を実際にやってみると、自治体があまり意味のないカスタマイズをいっぱいしています。縦書き・横書きや、出席簿が小中でも形が違うとか、指導要録ですら、ほぼ参考様式でいいはずなのに、なぜかカスタマイズしているとか色々な問題があります。そこにカスタマイズコストがかかるとともに、共同調達の障害になっているということがあるかと思います。先ほどの働き方改革をするためには、実は標準化が絶対条件なのだろうと思いますし、もし標準化ができれば、先ほど皆さんおっしゃっていた県域共同調達だけではなく、小規模自治体が県をまたがっても共同調達できるほか、私立学校も安価に調達できるという良さができるはずなので、それをお考えいただきたいというのが1点目です。
 ただし、これには大きな問題があります。なぜかというと、国がこれを決められないということです。これは学校設置者の権限、地方自治の範囲なので、文部科学省が、これが標準です、これにしてくださいと言えないので、ここから先は、自治体が協議して「これでいきましょう」と合意形成することを、先ほど県がリーダーシップを取って市町村をまとめるのと同様に、国がリーダーシップを取りながら、自治体が合意形成できるよう導いていって、是非これをやってほしいなというのが私の1点目のお願いです。
 2点目です。2点目は、GIGAスクール環境下での校務ですから、これは是非、今の校務支援システムを前提にするのではなくて、先ほど妹尾委員もおっしゃっていましたけども、こんなことをやればもっといいデータが取れて改善ができるよねという、そういう校務DXというのをもっと強く打ち出していいのではないかと考えておりました。すると、先生方も働きやすくなり、結果、子供にとってもいい教育ができるというのができないといけない、多分先生が楽になるだけでは校務の情報化は意味ないかと思っているので、是非その辺お願いしたいと思います。
 例えば、「GIGAスクール端末で色んな学習系データが取れているのに、相変わらず通知表は紙物だ」ということがあります。実は堺市は、先生方が授業中、巡回しながら、子供たちの写真を撮ったり、ムービー撮ったりとかしているんですね。本当はそれを有効活用すると、マルチメディア通知表すらできる。韓国は、学習の通知は学期末に受け取るのではなくて、都度リアルタイムで子供がどんな学びをしているか見られるという状況にあります。そういったことも含めて、データの有効活用のための校務DXを考えていただきたいと思います。
 それと、そのようなことをするには、「お金がかかって駄目だ」と自治体は言いそうですが、実はゼロトラストセキュリティで、端末1台で学習系端末で校務もできると、これまで校務用端末をわざわざ別途買っていたのが要らなくなりますから、自治体にとっては大きなモチベーションになるのではないかとも考えています。ですから、安全かつ便利に、子供のためになるし、先生のためにもなることができて、是非「校務DX」という言葉が定着するといいなと考えておりました。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございます。藤村委員からは、専門家として非常に貴重な御意見をいただきました。特に前半の帳票等の不統一みたいなことが共同調達の妨げになっているとか、これはつまり、先ほど執行委員からも出ましたけども、自治体、設置者に色んな権限がある一方で、設置者ごとのレギュレーションが強過ぎて、なかなかそこが一つの大きな壁になっていると。さっきメールアドレスのこととかも出てきましたけど、国、都道府県、そして市町村のそれぞれの役割分担というのが非常に重要で、この会議以外のところでも色んな施策に対してを、そこが課題になっている例が多くみられると思っております。
 一度事務局にお渡ししたいと思いますが、今出た意見等につきましていかがでしょうか。
【武藤リーダー】  事務局のPTリーダーの武藤です。委員の皆様、御意見ありがとうございます。幾つか私の方から、補足説明したいと思います。まず、執行委員からあった施設の件です。あれはまさに、実は今年の3月に、文教施設企画部の方でやっている有識者会議、これは高橋座長代理にも御参画いただいている会議でございますけれども、そこからも報告が出ていて、そこで、先生方がまさに、新しいICT環境が求められる中で、効果的、効率的に色んなお仕事ができるような執務環境、ふさわしいものを整備していこうという考え方ですとか、あるいは多様な人材と交流できるような、例えばオンライン会議をするためのスタジオを作る等、様々な革新的なアイデアもそこで提言をしていただいております。
 これは議論していけばしていくほど、単に校務支援システムの話ではなくて、学校全体のDXということなのだろうと思うので、例えばこういうレポートのことにも言及しながら、先々新築、増築あるいは改築、こういったことをやっていくところにおいては、こうしたレポートの内容にも留意しながら改善を図っていただきたいと、こういう内容を盛り込むことも考えられると思いながら伺っておりました。
 あるいは、石田委員からありました、職員全員にメールアドレスがあるところもあれば、そうでないところもあるという話とか、あるいは、水谷委員からありましたけれども、教育委員会が過剰な規制をしていて、クラウドツールを、子供だけじゃなく、先生方がきちんと活用できていないような現状があるのではないか、これは本当に憂慮すべきことだと思っていまして、現在検討している調査、端末の活用状況等を把握する調査を考えておりますけれども、こういう過剰な制限ですとか、あるいはメールアドレス、クラウド全般、あるいはセキュリティのブロックのやり過ぎとか、こういったことも含めて実態を把握した上で、私共としても助言や指導につなげていきたいということも考えておりますので、御紹介させていただきました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。藤村委員の御指摘を踏まえて、色々国としての動きを御紹介いただいたところですが、もうかねてより国としては、結構自由に、学校ごとの違いとか子供ごとの違い、もちろん教師ごとの違いとかを認める方向で色々提言を出しているわけですけども、それがなかなか設置者のレベルに到達しないという課題、これは校務に限らずですけど、非常に大きな課題かと思っております。
 では、この後、山口委員、妹尾委員、井上委員の順番で参ります。
 山口委員、お願いいたします。
【山口委員】  よろしくお願いします。委員の山口です。特別支援学校長会の立場からお話をさせていただきます。
 今回の中間まとめ(案)は、全体としてすごくすばらしいですし、分かりやすくまとまっているなというふうに思います。今話題になっているデータ連携についても、よりスムーズにいくというのは誰にとってもプラスになるだろうというふうに考えています。ただ、申し訳ない、今までの流れと、それからこの全体のトーンにちょっと水を差すような形の発言になってしまうのですが、先ほどから話題になっている8ページの、帳票類の標準化が道半ばのところの具体的な課題の記述になりますけれども、やっぱり特別支援学校というのは、一人一人の児童生徒、個に応じた指導というのがベースで今までも来ていて、ある部分、何というか、関わっている者みんなの頭の中に、「いかにカスタマイズするか」というような、そういう文化がベースとしてはあります。そのため、帳票類のカスタマイズがやめられないということはもちろんないし、データ連携をスムーズに進めていくにはその方向がいいのは分かっているのですが、今回の中間まとめの段階で、この具体的な課題の3行目、各教育委員会・学校が帳票類を過剰にカスタマイズした結果という、この「過剰に」という言葉はちょっと、私の立場からすると強いかなという印象なんですね。ここを、「様々にカスタマイズした結果」とか、何かもうちょっとマイルドな表現にしてはどうだろうかというのが私からの意見です。
 大きな流れとしてはこの方向が必要なことは十分、私だけでなく、特別支援の立場の者も分かると思うのですが、そこはちょっとお考えいただけたらと思います。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。山口委員、ちょっと質問ですけど、今の、一人一人にきちんと応じるために、子供たちに応じて支援を変えているというお話について、例えば帳票に「各学校で工夫してやっていることはここに書きなさい」というふうに統一するみたいなことはできると思うんですけど、いかがでしょうか。
【山口委員】  ですから、中長期的には特別支援教育の分野もこの発想でいかないといけないと思うのですが、今までの流れは、例えば埼玉県でも、県が提示したある様式について、私たちが指導している児童生徒のことを表現するには、もうちょっとこの様式をこう変えたいとかということで、県が示したものを学校レベルでもカスタマイズしてというのは割と意義あることとしてやってきている歴史があるものですから、今回の8ページのところで「過剰に」という言葉はちょっと強いかなという、そういう意味です。
【堀田座長】  なるほど。分かりました。ありがとうございました。
 では、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。二、三申し上げたいと思います。
 まず、こちらのペーパーの7ページ目の辺りだと思うんですけど、具体的な課題のところの書きぶりは、こういうのもあると思いますけど、改善の方向性とうまく合っているのかどうか。CBTの話とかも書いてもいいけど、あんまり関係ないような気もして、ここはもうちょっと考えた方がいいかなと思いました。
 さっき藤村委員がおっしゃったことにも関係するんですけど、この7ページの下の改善の方向性の1番目に書いてあるように、これは皆さんも御存じの方が多いように、箕面市だとか幾つか先進例があるように、色んなデータ、学習系、校務系、あるいは首長部局のデータとか色んなことを照らし合わせることで、見落としがちな子とか、マークしていなかった子のケアがより進めやすくなったりとか、先生方の経験と勘でやっていた生徒指導だとか子供のケアとか学習支援だとかが、そのデータ等でサジェスチョンを受けることで、より高度化したりとか見落としがなくなったりするという、まさに先生たちの負担軽減だけじゃなくて、子供たちのためにもなるというところは非常にミソだと思います。だから、そこをもっと全体として強調するべきだし、7ページのところも、そういったところがまだまだ一部の自治体にとどまっているだとか、なかなか学習系と校務系、連携した方がいいよねと頭では分かっていても、その必要性だとか効果があまり伝わっていないのでなかなか推進されていないだとか、その辺の課題だとか問題点をもうちょっと書いた方がよりいいんじゃないかなというのが1点目としてあります。
 あと2点目は、この箇所なのか別の箇所なのか分からなかったんですけど、多分こういった文科省さんの検討会議って、ほとんど教育委員会向けのメッセージとか、あるいは文科省の施策とかの話なんですけど、やっぱり弱いのは私学をどうするかという話だと思っていて、私学は私学でもちろん、より自主性、自律性は大事だとは思いますけど、公立と関係するところであれば、例えば高校入試なんかでは、私学がてんでばらばらの入学書類とかで、本当に中学校の先生方が非常に苦労されているというのがあります。一括でぽっと、エントリーシートみたいな感じで出せれば早いのにといったようなことがあるので、さっき自治体間の連携を国がいかに促すかという話が藤村委員からもあったんですけど、私立なんかも含めて、本当にもっと生徒のためにも、あるいは教員の負担軽減にもなるような機運を高めていく、仕組みを考えていくというのは、国ができることも限界はありますけれども、そんな場を作るだとか働きかけをするということはもっと考えていただきたいなと思います。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、この後ですが、井上委員、福原委員、中村委員、ここまでとさせていただきます。
 井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  井上でございます。私からは2点、お話をさせていただきたいと思っております。
 1つ目は、資料7ページのところの具体的な課題の2つ目のポチです。「その一方、現行の校務支援システムは新たな政策展開の中で生成される多様なデジタル情報との連携を前提としたシステムになっていない。」という、この書き方なんですけれども、私ども校務支援システムの団体として、この書き方はちょっと納得できないところがあります。
 なぜかといいますと、例えば、PHRの観点で今、国の校務支援システムのデータをPHRで、マイナポータルから閲覧できる、つなぐという話なんかは、国がその方針を決めた段階から、文科省さんと打合せをして話を進めておりますし、それから、ここに出ているEduSurveyよりも1つ上になると思いますが、国の統計システム、学校基本調査のようなものに関しては、XMLを取り込む入り口があるのであればXMLに書き出しましょうというような打合せを、実はもう、先にしているわけなんですね。そのようにして、進めてやっているわけですけれども、今この7ページ目に示されている、例えばEduSurvey、これは今年できたばかりだと思いますが、これをお作りになるときに、校務支援システムの団体に一切話はないです。全く話がない段階で、これができていないと言われても、ちょっとそれは困ります。
 もし国の方で校務支援システムとの連携を考えるのであれば、事前に打合せをさせていただいて、これはできる、これはできない、こうしたらできるんじゃないかという話をさせていただけた上で、ここに書かれるならいいですけど、それがない段階で、なっていないと書かれるのは、ちょっと校務支援システム側としては心外です。ここの書き方は少し考え直していただきたいなというふうに思っております。
 それともう一つ、帳票関係の話で少し、また画面共有をさせていただきたいんですが、先ほど御紹介したアンケート調査の中で、これは校務支援システムを入れたときに、これまでのルールを変更しましたかという質問に対してのものです。青いところが「変更した」で、赤が「変更していない」ですが、町村とか全体でも、変更していないところが約半分あるんですね。実際変更していないということは、基本的に紙での運用がそのままだということなんですよ、せっかく校務支援システム入れても。そこが結構大変だということ。
 「変更した」と回答したところに関して、どういうことを変えましたかということを見ていただくと、出席簿とか指導要録とか、システムから出力したものを公簿としたと。出力したものを公簿としたということは、結局紙で運用されていることになってしまっているわけです。せっかくデジタル化するために入れた校務支援システムを使いながら、やっぱり紙での運用なんだということになっている現状を変えていかなければいけない。帳票の統一というのはあるんですけど、統一しても結局出力して紙で使うのであれば、あまり意味がないわけで、やっぱりそれは、帳票の統一は電子化するための統一だということを明確にしていただけたらありがたいなというふうに思っています。
 それともう一つ、ここには校印を廃止したとか教師印を廃止したとか、印に関してのことを聞いていますが、押印を廃止したというところは非常に少ないです。結局紙で運用することがベースに考えられていますので、これが変わっていないということです。ここら辺のところを是非見直していただく、要は、この辺がやっぱり帳票の統一とともに、運用ルールを見直して、それから押印だとか、そういうルール、文書規程を見直すと、例えば二重線を引いて訂正印を押すみたいな文書規程を変えていただけたらありがたいなというふうに思っています。
 それと、私ども文科省さんと色々お話をさせていただいて、教育課程企画室さんなんかとお話をさせていただいて、指導要録の参考様式のところから、印のしるしを削除してもらえないかとお願いしたことがあります。指導要録は必ずしも押印しなくてもいいんだというふうに書かれてはいるんですけど、参考様式に印があるだけで、現場は印を押さなきゃいけないものだというふうになっちゃっているんです。それを文科省さんにお願いしたことがあるんですが、今変えるつもりはありませんと一言で片づけられてしまって、これは健康診断も同じです。健康診断票も同じで、やっぱりこれは、自治体の方で決めることかもしれませんが、少なくとも参考様式、国の方が率先して印を外すとか、そういうようなことをするだけでかなり変わると思いますので、そこら辺は是非考えていただけたらありがたいなというふうに思っております。
 私の方は以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。文科省にとってちょっと耳の痛い話もあったかもしれませんが、参考様式なので、やっぱり先進的な参考にしておくという御指摘かと思います。どうもありがとうございます。
 福原委員、お願いいたします。
【福原委員】  ありがとうございます。私も、今、井上委員がおっしゃったように、参考様式とかあると、学校はどうしてもそれに流されて、同じように作ろうとしてしまうというふうに思っています。
 私からは、ちょっと視点がずれてしまって申し訳ない。データ連携に関する観点ですけども、これを実際にやっていくためには、最終的には学校に指示が来て、そのシステムを使っていくのですが、では、それを学校の教員、要するに学校の先生たちはそれに慣れなければいけないんですけども、そこの部分に関しては、例えばそういうところに対してサポートが入るとか、誰か専門の先生がサポートするとか、実際にやっていく上での観点というのは今回の中には入らないのかなというのをちょっと思ったので、実際に使っていくのは学校だと思うので、その辺はどうなんでしょうか。
【堀田座長】  今のことについて、事務局、何か発言ありますか。
 福原委員、もう1回、今の、端的におっしゃっていただけますか。
【福原委員】  ごめんなさい。データ連携に関するこういうようなシステムが入ってきたときに、実際に使うのは学校の教員が使うわけですけども、その教員に対する指導とか教員のサポートという観点は、今回のところでは、まずそこの前段階のところを考えるということになるのでしょうか。
【堀田座長】  なるほど。事務局、お願いいたします。
【武藤リーダー】  まず前段階ということだとは思うのですけれど、おっしゃるとおりで、最終的にはうまく使っていただけなければいけないというところで、サポートのことも併せて書くというのは十分あり得ると思いますし、校務DXのガイドラインを作るというのも後半の方に出てまいりますので、そういうことも含めて考えるべきと思います。例えばこの前、某自治体でデータ連携をして、非常にいい取組なんですよね。例えば子供たちがGIGA端末を使って、そこで検索をしたときの検索ワードの中に、要注意の、例えば自殺やいじめ、こういう情報が入ってきたときに、これをスピーディーに学校の管理職や教育委員会が知り得る状況にして、アラートを出して取組を進めると。非常にいい機能があるというときに、しかしながら先生方はまだ半分しか使っていないみたいなことを、その某自治体の首長さんが非常に嘆いておられて、こういうことも含めて、良いものをまず作るということと、そのサポートをしっかりする、これはセットであるというふうに考えております。
【堀田座長】  ありがとうございます。
【福原委員】  ありがとうございます。高校であると情報科の教員というのがいるんですけども、どうしてもそういう一部の人に仕事が偏ってくるというところがあるので、そういったところにならないような何か、お話になっていくといいなと思いました。ありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では最後に、中村委員、お願いいたします。
【中村(め)委員】  つくば市、中村でございます。本当におまとめありがとうございます。私からは、何回も委員の方から出てきております帳票の標準化についてです。
 実は、8ページにありますような帳簿類、たくさん種類が出ておりますが、これを法定帳簿とそれ以外というふうに考えて分けていく、スモールステップは取れるのではないのかなという感想からです。実は学校は、特に通知表といった法定帳簿ではないもの、通知表とかというものに関しては、学校運営や理念などという、非常にこだわりを持って取り組んでいらっしゃるんですね。そうすると、これを統一のものにするというふうに標準化していきますと、非常にやっぱり先生方からはカスタマイズのお願いをされてしまいます。また、これを、長年使ってきた思いのあるものということを変更するに当たっては、やはりそのステップを取って、変更には説明を伴っていくというようなことも考えられます。
 ただし、これについては、通知表というのは非常に、全国的に連携させたりとかというものではなくて、ある意味お知らせというような役割から言えば、法定帳簿ではないので、そこを先にカスタマイズするということは、ちょっと優先順位から下なのかなというふうに感じたりもします。ただ一方で、保健帳票などについては、実は茨城県なんかは県下で1つ、県に出さなくてはいけない帳票の様式がありまして、大体のメーカーさんはそれに対応していますよというふうに言ってくださるんですね。それは大変ありがたいことで、やっぱり標準仕様というものが出ておるという、法定帳簿については標準仕様が出ておって、県内ではその様式でほとんどの設置者が運用しているということであれば、今後、転出入のデータ連携といったものも非常にハードルが下がっていくのかなと思っています。
 そうなると、先ほど出てきたような標準仕様、参考様式といったものの優先順位、どこからそれを作っていただいて、メーカーさんがそれぞれそれは対応していくというふうに、国の方が言っていただくのか、どなたかがイニシアチブを取って、メーカーさんも、じゃあそれは踏襲していきましょうというふうになっていくのかとなってもらうといいなというふうに感じたところです。というふうに、非常にスモールステップで優先順位をつけていく、壁の高いものは長期的に考えていくというような方法だといいのかなと。
 もう一つは、ビッグデータの関係といったところを見たときに、最終的に国の方でもビッグデータを利活用することを明言されているということからは、まずは、このデータはどこの自治体からも欲しいというようなところが明確になってくると、その辺の標準化から始めればいいのかなというような一つの道標も見えてくるというふうに、私たちデータを収集する側としても考えられるのかなという、ちょっと感想めいたところになってしまいまして、意見とさせていただきます。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。では、データ連携につきましてはここまでとさせていただきます。
 残り時間、ちょっと押してきております。続きまして、9ページ分と10ページ分です。大規模災害におけるレジリエンスの件と、あと、一応その他になっていますけども、要するに教育行政が各学校の様子をモニタリングするという、そこのところです。この2ページ分につきまして御意見をいただければと思います。
 では、石井委員、お願いいたします。
【石井委員】  石井でございます。お願いいたします。
 まず、丸8 のところです。災害時のところですけれども、上の1点目の具体的な課題は大変良いと思って見ておりました。データが無くなる可能性があるということは、八戸市もデータセンタが川のすぐ側にあり、津波等の被害に遭ったときに、一番にデータがやられてしまうのではないかということで、実はサーバを3階に上げるという試験を行ったところ、すごい予算がかかると言うことが分かりました。そこで、オンプレミスで有していくことよりも、やはりサーバで運用していくことが、こういう大規模災害では大変安全にデータを保管できるのではないかというところを非常に痛感しておりましたので、1点目、大変いい観点だなと思います。
 ただ、2点目のところなんですけれども、大規模災害時に、本当にどこからでも安全に業務ができるというところが、ちょっと命の大事さというところの優先順位からして、通常の、日常の活動ができるようなところで、このような書き方をしていると思うんですけれども、ちょっとそういう誤解を招くところもあるのかなと思います。
 そして、改善の方向性、2行目です。「安全性を確保して回線を利用することで」ということは、大災害時にも使える校務データ、校務のDXと、ネットワークの準備、「避難所等」でのというところで含んでまとめられているのか、それともそこまで大きい話ではないのかというところです。ここで回線が出てくるところに、引っかかりました。
 また、丸9 の学校のデータの可視化というところですが、深いところまで全てを可視化するということを、これまでやってきていないというところで、こちらは各学校から、しっかり教育委員会が確認しながら、連携を取って、協力して学校運営に関わっていきますよという共有できるような書き方というところも大事であると思います。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。特に大規模災害のところについては、先生も災害を受けている可能性がありますし、その辺りについての書きぶり、勉強どころじゃない子供もいるかもしれない、色んなことに配慮した書きぶりが必要かというふうに思っております。どうもありがとうございます。
 藤村委員、お願いいたします。
【藤村委員】  ありがとうございます。私も今、堀田座長がおっしゃったこと、すごく感じています。大規模災害のとき、一人一人がどんな状況に置かれているかをちゃんと把握してサポートすることが大変大事だと思っていますが、現状の学校の状態だと、全ての仕事が止まってしまいます。特に私がいるところは南海トラフ地震が想定されていますので、「まず電源がなくなる、回線もなくなる」、そういった中で安否確認とか心理的なサポートだとかがちゃんとできるように、大規模災害が来ることが分かっているのであれば、対策をしておきたいという気持ちが強くあります。
 そこで、文部科学省さんにお願いでもあるのですが、実は私、胆振東部地震の際、ちょうど出張先で被災しました。ところが、札幌市の学校は全て正常に、ブラックアウトしていても、ちゃんと電源があって、動いていたのです。なぜならば、全ての学校の屋上にソーラーパネルがあって、発電できて蓄電池もあって、避難所名簿の作成システムも先生方の校務も動くという状態でした。
 だから、そういうようなことを考えると、これは文部科学省マターだけではなくて、総務省さんとも連携して、学校は広域避難所になるわけですから、そういったような、システムだけではなくて、その他、電源など、何とか市民の命を守るためにも、レジリエントな学校「レジリエントスクール化」することも大事だということを、連携して実現していただけるとうれしいと思いましたので、申し上げました。実際、東日本大震災のときに、テレワーク環境を整え、安否確認システムを入れていたところは、他はみんな避難所回りして安否確認をようやく何日かでできたのに対し、当日の夜までに全員の安否確認が終わったという、実際に実証実験していた環境でそういう事実があったものですから、この辺は盛り込んでいただければうれしいと思いました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、この後、中村委員、小﨑委員、妹尾委員、ここまでとさせていただきます。
 中村委員、お願いします。
【中村(め)委員】  中村でございます。度々申し訳ございません。
 まず1つ、10ページ目についてはお願いになるかと思います。実は校務系データと学習系データ、また行政系データというものを私たちも連携したいんですね。連携させて、有効なフィードバックをして、更に施策に反映させていきたいというふうに非常に強く願っているところです。
 ただし、その上で何が今課題となっているかとすれば、それぞれデータを集約している、機能を持っているシステムの母体が、そのデータを相互に、データを共有して提供するということが可能かどうか、提供いただけるかどうかといったところが、今、私どもの一つの懸念点となっております。そういった意味で、校務系や行政系とか、全てのデータを連携するということで、これからはデータを利活用していくんだよ、やっぱりこれを使うことが、校務系も、それから行政系も学習系もデータを使って施策を打ち出していくということも非常に有効なんだよということを、もっと全国的に、データを使っていくんだという発信を、是非この10ページのところの言葉に併せて、強く言っていただきたいなと思っています。
 なぜかというと、まだまだデータを提供するとか、行政系のデータにつきましては、データを利活用する上での心理的不安とかというものが非常に大きく、なかなか変えたいように、可視化したいようにできないというようなところがあります。本当に是非、このデータを利活用していく社会になっていくんだというような部分を、文科省様をはじめ皆様に支援していただきながら、声を大きくしていただけるとありがたいなという、ここはお願いでございます。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、小﨑委員、お願いいたします。
【小﨑委員】  ありがとうございます。この内容、とてもよくまとまっていると思いました。多分、教育関係の方にも事業者さんの方にも中身はよく伝わるんじゃないかなと思いました。
 それを踏まえまして、私が県域でのシステムをまとめたときに引っかかったことが含まれているかどうかも確認していただけたらと思います。まず1つ目が、例えば、帳票とか押印に関連したことです。井上委員の指摘とか、藤村委員が先程からおっしゃっていることを考えたときに、結局、県の教育委員会とか市町村の教育委員会と話をして大体合意が取れたとしても、自治体のルールでNGということが結構ありました。押印のことも、教育委員会としては、もう無くていいよねとなっても、公文書として残すときは、やはりこうすべきだよねという自治体側からの指摘があります。そういうところで結局、独立はしているけれど、同じ行政という枠の中で動いたときに、教育委員会は自治体としっかり連携していくことが大事だなと思いましたので、自治体との関係性のことなんかもニュアンスとして含まれていたらいいなと思ったことが1つです。
 2つ目は、先ほど座長からとかもありましたけど、横並びで色々協議していくのが難しいときに、組織としてもう一つ上の段階で調整をするということは非常に有効です。市町村の連携のときには県が役割を果たすし、県同士でやるときには国です。学校同士を結びつけるのは市町村教育委員会ですし、先生同士を結ぶときは学校の組織です。各研修だったり、色々なことをやりながら進んでいっているんですけれども、役割がありますよということを示す、この中間報告のまとめの中になくてもいいかもしれませんが、いずれは示していかないといけないのかなと思いました。
 3つ目は、最終的に実現できたこと、実現できないことと考えたときには、やっぱり先生の理解なんです。このまとめを見たときや、提言をしたときに、学校の先生がそれをぱっと見て、ああ、そうだよねと思えるものであれば非常にスムーズに進みますし、これはどういうことなんだとか、こういうことを言ったって机上の空論だよねみたいな話になったら進まないという現実がありましたので、やはり先生目線というのもしっかり入れたニュアンスが書けていたら、有効に働くのではないかなと思いました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。役割分担の件は非常に重要なところかと思います。ありがとうございます。
 妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。10ページについて一言二言、コメントします。
 もちろんこの10ページに書かれてあることは賛成ですし、データに基づいて教育政策、しっかり考えていただくというのは、国とか自治体でも大賛成です。一方で、参考資料かもしれませんけど、この具体的な例だとか、どういうことをイメージされているのかなというのは、もうちょっと丁寧に書いていった方がいいということと、もう一つ課題としては、これはICTと関係あるかどうかあれですけど、うまくデータをどういうふうに料理して、どんなふうに本当に有効活用していくかというのは、かなり自治体の力量とか、専門家がいるかどうかにも関係するかなと思います。
 例えば、全国学力・学習状況調査の結果も学校別に得点率をがーっと出して、それでむげに学校にプレッシャーをかけているような基礎自治体とか県も一部にあるわけで。そういう使い方は文科省さんも推奨していないとは思うんですけれども、各学校の改善につなげていただくという方が大事ですけれども。当然家庭環境とかによっても学力テストの結果は変わってくるわけだからというのは分かり切った話なんですけど、もうとにかく一覧表でがーっと出しているみたいな教育委員会も一部にあったりとかするので、教育委員会のデータの使い方とかも課題があるし、専門家とかがいないのであれば、それをどう調達するかということも考えないといけないかなと思います。
 それとともに、学校の校長とか教職員の本音というか、心情を推しはかりますと、正直、教育委員会からごちゃごちゃ言われたくないという気持ちもあるんですよね、ストレートな表現をすると。要するに、色んなデータが教育委員会に渡ることで、教育委員会からむげに色々、また関与が増えまして、忙しい中更に面倒くさくなるというようなことが多分あるんですね。だからそれで、総論は賛成でも各論はどんどん後回しになったり、トーンダウンしたり、あるいは今の勤務実態、在校等時間のデータだって教育委員会に、ほとんどのところはもちろん出していますけど、教育委員会から指導が厳しくなるのが嫌なので過少申告がいっぱい起こっているというようなことがあって、つまり学校側も教育行政も、今日冒頭申し上げたように、もっと両者のコミュニケーションと信頼関係を良くしていくということと、そのデータをいかに賢く、ちゃんと有効な形で、子供たちのためと教職員のためにも、あるいは家庭のため等に使っていくかということを、もっと丁寧にやっていかないといけないということを強調したいと思います。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では最後に、高橋座長代理にコメントいただきまして、このページの議論をここまでとさせていただきます。
 高橋座長代理、お願いします。
【高橋(純)座長代理】  高橋でございます。よろしくお願いいたします。
 最後の方の校務DXの実現に関してコメントさせていただきたいと思います。DXはやはり、皆さんももう御承知のとおり、ICT技術のみならず、人との関係というんですか、人が、習慣というか、慣れていくことで起こっていくことだと僕は思いますので、利用者のことについて少しコメントしていきたいというふうに思います。
 実は昨日、あるところで校長会の研修の講師をしたんですが、そこでは校長先生皆さん、パソコン、GIGAの学習用端末をお持ちになって、メールはもちろん、チャットをやろうと言ったら、すぐチャットができて、非常に先生方のリクエストに応じながら、柔軟な校長の研修ができました。その一方で、先ほどの話題のように、メールアドレスももらえていない学校の、普通の教諭の先生もいらっしゃるわけです。このことを考えると、かなりばらつきがあることは当然なんですけども、こういった議論も理解の度合いが全く異なるんじゃないかなというふうに、私自身思っているわけです。
 先ほどから帳票のことも話題ですけども、多分、見た目の帳票の話と、データ項目の統一の話がごちゃごちゃになっているかもというふうに思います。最終的に電子化していくのであれば、項目が統一されていくということが、ある意味標準化されていくことが非常に重要で、見た目は各校や各地域でカスタマイズ、それぞれしていただければいいというふうに思いますので、そういったことも慣れていけばすごくよく分かりますし、水谷委員からありましたGIGAの汎用のクラウドシステムみたいなものが、先ほどの校長会の先生みたいに、校長先生もそういうふうに慣れていらっしゃれば、現在の校務システムも全く別の要求や形になる可能性も僕は秘めているなというふうに思っていますので、利用者との関係というのが非常に大事なんじゃないかなと、その辺り、この後考えていく必要があるかなと思っております。
 最後に1つ、セキュリティについてなんですけども、やはり先生方が悪意なく、標準的な普通の注意義務を払って使えばセキュリティ事故が起こらないような、そういうような安心できるシステムがあると、ますますDXは進みやすいなというふうに思います。今はかなり、相当な注意義務を払ったり、特別な注意義務を払わないとセキュリティが担保できないような仕組であることもありまして、一部の先生にとっては、気持ち的にも触らぬ神に祟りなしみたいな、そういうような校務の情報化という部分も、自治体によると思いますけど、そういったこともございますので、そういうようなネガティブな部分をノンネガティブにしていくみたいな取組とともに、先ほど申し上げたポジティブな、より一層活用していくみたいな利用者の面と技術が両輪になれば、一層DX、進んでいくんじゃないかなというふうに思っております。
 私からは以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 これからの議論も出ていましたので、ちょっと事務局に、今後のことを画面共有していただけますでしょうか。
 今、11ページには、具体的な課題と改善の方向性ということで、赤い字で丸1 、丸2 と書いてあります。要は校務系・学習系ネットワークを統合していくんだということと、汎用クラウドツールで色々やれるので、それでやれることはそれでやると。でも、それだけではできない、真に必要な機能というのはやっぱり残るはずで、校務支援システムというのをその機能にうまく絞るということについての御意見を皆さんにいただきたいということで、次のページへ行っていただけますか。今後私たちが進めていく議論が3ページにわたって書いてあります。
 1つは、次世代の校務DXのモデルケースを出すということ、次が校務DXのガイドラインのようなものを出すということで、その次のページに、過渡的な取組としてはこういうふうに考えるんだというようなことが書いてあります。その次、14ページに、この専門家会議、中間まとめですから、ここまでが前半戦で、ここから後、後半戦で議論すべきこととして、丸1 、丸2 、丸3 、丸4 と、読みませんけど、そういうようなことが書いてございますので、是非皆さん、残り時間で、今御提示したページについて御意見を賜れればと思うところでございますし、時間、20分弱になっておりますので、手短な御発言を、できるだけたくさんの方にお願いしたいと思います。
 では、まず清野委員、山口委員、石井委員の順番で参ります。
 清野委員、お願いします。
【清野委員】  よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。
 私からは2点です。まず1つは、ガイドライン実現に向けたスケジュール感みたいなものが出せるのかどうか、これは最終まとめになるのかもしれないんですけども、例えば向こう3年間で、現状の仕組みの中でここまでは行こうとか、あるいはその先はここまでというような、そういった出し方ができるのかどうか。もしそういったことができると、学校の先生方も、心の準備というとおかしいですけれども、より一層ICTを授業を含めて、しっかり使っていかなきゃいけないということが更に心に刻まれるのではないか。ICT活用の技術向上を図るなど、更に準備が進んでいくのかなというような気がしております。
 それからもう1点は、盛んに議論されておりますが、教員が極力少ない負担で活用を始めることができる、そういう工夫を是非お願いできればというふうに思います。
 私の方は以上です。どうもありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 山口委員、お願いします。
【山口委員】  山口です。今の清野委員の御意見とほぼ同じです。中間まとめの段階では難しいかと思うのですが、今後の大まかな見通しというか、スケジュールやロードマップみたいなものが分かりやすい形で提示できると、学校現場もそうですし、教育委員会レベルでも見通しが立つし、今後、例えば学校で新たに設備を整備するときにも、ロードマップとしてこういうものがあるので、今までの枠にとらわれず、こういうような施設設備というのはどうでしょうかというのが提案しやすくなると思います。簡単ではないと思いますが、何かそういうものを作っていければというふうに思っています。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、この後ですが、石井委員、髙橋邦夫委員、鶴田委員、水谷委員、妹尾委員、ここまでしか入らないかもしれません。よろしくお願いします。
 石井委員、どうぞ。
【石井委員】  石井でございます。よろしくお願いいたします。まず、ガイドラインの作成をお願いしたいと思います。整備する自治体側としては、説明資料として大変有効なものになると思います。
 そして、14ページ一番下のところです。予算の折衝に向けて、また補助金等についても検討していければ、各自治体が導入を進めやすくなると思いますので、ここを強く、この後話し合っていければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【堀田座長】  分かりました。ありがとうございました。
 髙橋邦夫委員、お願いします。
【髙橋(邦)委員】  教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改訂に関わっている者としてお話しさせていただきます。この新たなガイドライン等を作るに当たっては、セキュリティポリシーとの調整は非常に大事と思っています。ここに書かれていますように、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインについてもアジャイル方式で、随時アップデートをかけていくことは大事だと思いますし、次のページに書かれている個人情報保護法が今回改正されて、各自治体の個人情報保護条例が廃止されるという動き、これがまだまだ先生方に知られていないのです。この辺はしっかりとお伝えしないと、今までのように自治体の条例でクラウドは使えないとか、個人情報はクラウドに預けられないといった誤解が生じていますから、そういったものは来年度にはなくなりますとしっかり伝えるべきだと思っております。
 今回の中間まとめでは、今後国においては校務・学習系ネットワークの統合ということで、ゼロトラストを意識したアクセス制御による対策を講じるということが丸1 で書かれていますけれども、これは簡単にいかないと思っています。デジタル庁や総務省が三層分離を打ち出していますので、これらとどう調整していくか、これから文部科学省と一緒にここを乗り越えないと、文部科学省が幾らゼロトラストにしていきますといっても、総務省側が相変わらず三層分離では、学校現場としては困ってしまうと思っております。
【堀田座長】  ありがとうございました。色んな省庁、関連団体との調整というのは、これから非常に重要かと思います。ありがとうございます。
 鶴田委員、お願いします。
【鶴田委員】  失礼します。11ページの一番下にある部分の目指すべき未来のイメージ、これは、小﨑委員からもあったんですけども、是非どこかのタイミングで、イメージ図のような形で、より具体的に、先生方に分かりやすいものにしていただくと非常にありがたいです。
 それと、12ページの校務DXのモデルケース、今後の話になると思うんですが、単一学校内でのDXであったり、自治体とか、あるいは県域レベルのDXと、それぞれあろうかと思いますので、そういった単位の切り方であるとか、また、導入段階も含めたモデルケースというふうにしていただきたいと、最終的にこうしましただけではなくて、そこに至るためにどうするか。例えば県域で入れたんだけれども、一斉に用意ドンですると、全部が電子化したのでやり取りがうまくいくんだけれども、どうしてもばらばらだと、ある自治体は電子だけども、もう一つの自治体は電子じゃないと、やっぱり紙で出さなきゃいけないとかあろうと思いますので、その辺りのことが含められるといいなと思いました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 水谷委員、お願いします。
【水谷委員】  水谷でございます。よろしくお願いします。
 今の鶴田委員の御意見とよく似た部分がありますが、とにかくガイドラインも重要ですが、それよりも、進めていくためには何ができるかの共有の方がずっと重要だと自分は思っています。ですので、モデルケースの共有ということで、まずは過渡的な取組について共有する。もう既に実は働き方改革の資料集に多くの事例が載っていますが、具体的に見える形で更に、すでに動画ができていますけれど、それを進め、将来的なこんなことができるよということを、文字ではなくて動画で示して、見ていただくことが大事ではないかということを思います。それとともにガイドラインをというような形の方が進みやすいのではないかということを感じていますので、一言述べさせていただきました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 妹尾委員、この後、中村委員、ちょっと手を挙げられたと思うので、中村委員にも指しますので。最後に高橋座長代理にお言葉をいただければと思います。
 妹尾委員、お願いします。
【妹尾委員】  二、三申し上げます。最初に、11ページ目にまとめがあって、上の方で丸1 、丸2 とあるんですけども、これはちょっと日本語の問題かもしれませんけど、丸2 で「汎用クラウドツールで対応できない」云々とあるんですけども、これ、多分メッセージとしては、まずは使えるものは汎用クラウドでやれよという話、あるいはそれをどんどん活用推進してほしいというメッセージだと思うので、それが分かるように書いた方がいいかなと思います。
 丸1 、丸2 と同列なのかどうか分かりませんけど、もうちょっと、各自治体独自じゃなくて、共同調達とか、色々複数で連携するだとか、そういう字句も多分大事かなと思うので、ここに書くべきかどうかまで分かりませんけれども、そこも検討してほしいなというのを14ページでは申し上げたいと思います。
 次に、そういったことにも関係しますけれども、中村委員が、通知表なんかもすごく学校はこだわりを持っていてというようなお話だとか、幾つか、その標準化だとかには結構抵抗感もある方も多いという話は、そういった実態はちゃんと踏まえないといけないと思う一方で、別に通知表とか保健の調書に学校の独自性だとか、もちろん特別支援学校と高校は全然違うでしょうけど、同じ小学校とか中学校の中で独自性は要らないと思うので、その辺りは単に、今まで使っていたやつを変えるのが面倒くさいという人間の現状維持バイアスが働いているだけだと思うので、そこは国なのか、各自治体、どちらかというと自治体の権限でしょうけれども、ちゃんと、何というか、つべこべ言わずにとにかくやってみようとか、共通してやった方がみんな楽になるからねということは、もっと働きかけていく必要があるということは申し上げたいと思います。
 最後に3つ目で、DXガイドラインの話で、さっき水谷委員からもおっしゃったことに関係するんですけども、じゃあガイドラインがあったらやるのとか、推進されるのかなというのが、ちょっとまだクエスチョンです。作ってみないと分からないけれども、要するに、今までの何が反省なのか、ガイドラインとか、そういう指針がなかったことが引っかかっているのか、本当はもっと別の原因があるのか、その辺りはもう少し冷静に見る必要があるなと思います。あるいは、藤村委員がおっしゃっていただいたように、もちろんガイドラインもあってもいいかもしれませんが、より国の役割としては、各自治体が、標準化だとか、色んなクラウド活用に向けて協議の場をもっと設けていくだとか、自治体間連携を促していくだとか、そういった方が多分大事じゃないかなと思うので、その辺も含めて幅広く検討してほしいなと思います。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 中村委員、お願いします。
【中村(め)委員】  最後に手短に、1点だけです。すみません。中村でございます。
 丸1 の汎用クラウドを積極的にという部分、とてもこれから必要だと思っております。基本的にはとてもいい考え方と思っているんですが、ただ一方では、これは教師間においてに有効だと思うんですけれども、例えばこれを積極的にどんどんといったときに、じゃあ保護者もどんどんそこの汎用クラウドに入れていっていいのかといった場合の取扱いについては、ちょっと慎重に考えることも必要なのかなと思ったところです。実際私も、自治体でもやっぱり危険な状況があったときもありましたので、そういったところの御提案です。また、先ほど執行委員からも、実は今、保護者さんのところには、連絡アプリというものが非常に汎用的に使われているところがございますので、そのアプリを通しての連携といったことも視野に入れていってもいいのかなというふうに感じました。
 以上、感想でございます。失礼いたします。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、高橋座長代理、よろしくお願いいたします。
【高橋(純)座長代理】  先ほどのお話と重なりますけども、今日の議論ずっと通しまして、長年の習慣を変える話、歴史という言葉も出てきましたけど、そういうような人に関わるような話と、ある意味、予算があって技術が導入されれば実現しやすいような話、この2つの関係を上手に整理しながら今後も議論していくことが大事かなというふうに感じました。
 何度か学校施設に関わる御提言もありました。私、学校施設の方の委員会に出ていますと、地域共生の話も出ておりますし、省エネとかカーボンニュートラルの話から学校に電源をというような話もあったりして、非常に、むしろ新しい情報技術の世界や環境の世界に学校施設の報告書はかなり対応しているなと思います。やはり建築家の先生のお話を聞いていても、長年の習慣を変えるのは環境しかないということで、非常に積極的に議論が進んでいった経緯があります。
 そういったことを考えれば、色々人の習慣や歴史を変えるのは簡単ではありませんので、そういう意味で技術で、つまり環境として使いやすい技術の導入をなるべく早くして、それに慣れていっていただくプロセスでだんだん校務が変わっていくことがもっともっと加速するというか、そういうふうなデザインになればいいかななんていうふうに感じた次第です。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。皆さん、たくさんの御意見をいただきまして、時間いっぱい使って今日はたくさん、指名した数で言うと延べ29の指名がありまして、大変活発だったかと思います。
 私も一言だけ申し上げておきます。今、高橋座長代理が学校施設の件のお話をされました。他にも学校の働き方改革の文脈で、これは財務課さんのところでやられている、クラウドを使ってこういうふうにやると便利に業務改善できますといったノウハウ集みたいなのも出ています。省内でも色んなそういう取組があるんだけども、じゃあそれがどのぐらい連携しているのかというのが、ある意味、文部科学省内の課題かもしれないなと私は思います。データ連携についても別のところでまた議論していますし、学習ログの基になる、色んなデジタル教材やデジタル教科書や、そういうものについては中央教育審議会のワーキンググループでの議論があります。それぞれがそれぞれに議論しているんだけど、いよいよ統合的に考えなきゃいけない、そういうタイミングに今来ているので、後半戦は、是非そういう学校教育全体のDXを観点に入れた話合いができればと思うところでございます。
 その際、今回のキーワードの一つは、やっぱり自治体間連携、それは区市町村間連携もあるし、県がそれをどうやってリードするかみたいな話もあるし、都道府県レベルをどういうふうに国がイニシアチブ取ってまとめていくのかという議論もありましたが、そういう有用な先例につきまして、是非事務局に情報提供いただいて、そういう方々にヒアリング等をしながら、後半、より一層充実する形で、そして先生方が少しでも働きやすくなるような形で進めてまいれればというふうに思うところでございます。
 データの標準化については、進んでいる部分、進んでいない部分あるかもしれませんけども、全体として、標準化は、井上委員をはじめとする皆様のお力で随分進んできているんですが、それが十分に社会実装されていないというところが大きな課題です。また、設置者がローカルルールをいっぱい作っているみたいな話、あと髙橋邦夫委員がおっしゃったように、それらを全部統一しようという大きな動きがある中で、このタイミングでこそ各自治体がやらなきゃいけないことがあろうかというふうに思っています。
 また、何度も出てきているように、色んな制限をかけて機能が使えないようにしている地域が、使わないがために先生方が新しい発想に行かない、そういう残念な課題というのが次々に今、露呈しております。そういう地域の方々に御理解いただけるためには、水谷委員は動画がいいんじゃないかというふうにおっしゃいました。そういうことも含めて、文部科学省側のプロモーションはこれから非常に重要かというふうに、私としても感じたところでございます。
 後半戦そういうふうに進めていくという前提で、中間まとめとしては今日のような方向で、後ほど今日の御意見を付け足して整頓して進めていくということで御了承いただくことでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、ここから先の中間まとめの公表までの修正については、各委員の皆様方にもしかしたら色々お尋ねする部分もあるかと思いますが、基本的には座長預かりとさせていただいてよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。では今後、事務局とも相談しながら、中間まとめの取りまとめを進めてまいりたいと思います。もし御意見十分に伝えられなかったという方いらっしゃいましたら、事務局まで後ほどメール等で御意見を提出いただければと思います。先ほど石井委員、ちょっとノイズが入った部分については、是非またメール等でいただければと思うところでございます。
 では、今後の予定につきまして、事務局より御連絡をお願いいたします。
【伊藤専門官】  本日は、お忙しい中、御議論いただきましてありがとうございました。
 第7回以降の会議の日程等については、また追って、調整させていただきまして、連絡をさせていただければと思いますので、その際よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 この中間まとめの案を作るまで、事務局は本当に御苦労されておりました。スライドの順番を再検討したり、いま一度、第1回からのヒアリングや、皆さんの御意見を全部さらってくれました。人事異動で担当者は替わっているんですけど、今回はそこまでしっかりやっていただいて、中間まとめまで間もなくというところまで来ております。後半戦の方が大変な部分色々あろうかと思いますが、また今後とも忌憚のない御意見を皆さんからお寄せいただければと思うところでございます。
 本日のGIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議につきましては、これにて閉会といたします。皆さん、御協力ありがとうございました。

―― 了 ――

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