GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第5回)議事録

1.日時

令和4年6月28日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

Web会議による開催

3.議題

  1. 校務支援システム事業者よりヒアリング
  2. 論点整理について
  3. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

石井委員、石田委員、井上委員、今井委員、清野委員、小﨑委員、執行委員、妹尾委員、髙橋邦夫委員、高橋純座長代理、中村義和委員、福原委員、藤村委員、堀田座長、水谷委員、山口委員、渡部委員

文部科学省

村尾 財務課長、武藤 学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、伊藤 学校デジタル化プロジェクトチーム専門官、菅谷 財務課専門官

オブザーバー

株式会社EDUCOM取締役CSO 下村 聡 氏、スズキ教育ソフト株式会社 営業部長 爲 聰隆 氏、株式会社システムディ 公教育ソリューション事業部長 江本 成秀 氏

6.議事録

GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第5回)

令和4年6月28日

 
 
【堀田座長】  皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより、「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」の第5回会議を開催いたします。
 前回に引き続きましてオンラインによる開催とし、事前に登録があったメディアや一般の方にも御覧いただいております。
 議事に入る前に、ウェブ会議の留意事項及び配付資料について確認いたします。
 御発言の際は、挙手ボタンを御利用の上、お名前を冒頭におっしゃっていただきますようお願いします。また、御発言時以外はミュートにしていただきますようにお願いいたします。
 本日の資料については、資料1から資料5までとなっております。資料あるいは会議について御不明な点がございましたら、事務局にチャットまたはお電話でお知らせいただければと思います。
 本日の出欠ですが、鶴田委員が御欠席でございます。また、髙橋邦夫委員が遅れて御参加いただく予定でございます。山口委員は公務の都合上、途中退席の予定でございます。
 本日の会議は大きく2つの議題がございます。まず、大まかな流れを最初に確認申し上げたいと思います。
 1つ目、議題1ですが、こちらは校務支援システムの事業者さんよりヒアリングをいたします。具体的には、株式会社EDUCOM様、スズキ教育ソフト株式会社様、株式会社システムディ様の3社より御発表いただきます。
 各社からは主に、先月の第4回会議で委員の皆様に御議論いただきました論点整理に向けた検討資料という資料がありまして、こちらを事業者の皆さんに御提示し、それについて御意見等を御発表いただくという形となっております。それぞれ15分ずつ御発表いただいた後に、一括して質疑応答、意見交換をいたしたいと思いますので、個別の発表の後は特に質疑は取りません。
 その後、今日の議題2に入ります。後半のところですけれども、前回の会議で論点整理に向けた検討資料というのを配りまして、皆様に御意見をいただきました。修正版を今回、用意しています。
 論点整理をこれからしていくわけですけども、これにつきまして事務局より5分ほど説明していただいて、その後30分ほどの意見交換をするという予定になっております。
 私どものこの会議体、間もなく中間まとめをし、そしてまた何か月後かには最終まとめを出すという形で進めてまいりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 では早速、議題1に入りましょう。議題1は校務支援システム事業者からのヒアリングでございます。
 お忙しい中お越しいただきました3つの会社の方々、本当にありがとうございます。
 まずは株式会社EDUCOM様より下村聡様、資料2について御発表いただきます。よろしくお願いいたします。
【下村発表者】  株式会社EDUCOMの下村と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 まずは資料を共有させていただきます。
 そうしましたら、今から15分間お時間をいただき、前回の会議で提示されました、「GIGAスクール構想の下での校務の情報化に係る論点整理に向けた検討資料」の内容を踏まえながら、弊社の考えるGIGAスクール構想下での校務の情報化の在り方、特に統合型校務支援システムを中心とした次世代学校支援システムの在り方について発表させていただければと思います。
 まずは、簡単に弊社についての紹介をさせてください。弊社は、現在約450の自治体、9,000校に統合型校務支援システムを導入し、長いところでは23年にわたり御活用いただいております。
 そして、本題に入るに当たり、まずはそもそも校務の情報化がなぜ必要なのかということについて、再確認させていただければと思います。
 校務の情報化の目的は、大きく校務の効率化と教育の質の向上の2点にあると考えています。その上で、今回のGIGAスクール構想が校務の情報化に与える影響について考えてみました。ここでは3つにまとめております。
 1つ目は、児童生徒1人1台端末についてです。GIGAスクール構想にてGIGA端末が導入されたことによって、まずは児童生徒のアウトプットのデジタル化と、学校教育ICTの中心が職員室から教室にシフトするということが起こり始めています。
 2つ目は、クラウド化と校務系・学習系のシステム連携です。学校教育ICTの中心が子供たち、教室に移っていく中、まずは全国多くの地域で、Google社やMicrosoft社が提供するような汎用的なクラウドサービスが活用されるようになりました。
 また、同時により多くの情報が学習系のシステムに蓄積され始めていて、従来のネットワークの分離をベースとした情報セキュリティのモデルの形骸化が起こり始めているというふうに考えています。
 3つ目は、新しい学習指導要領と子供たちの学びの変化です。新しい学習指導要領で示されている教育を実現するには、GIGA端末の活用は必須であると認識しています。
 そして、それによって授業も、先生が教える授業から、子供たちが主体的に学ぶ授業への転換、個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けての授業の改革が始まろうとしていると認識しています。
 次は、それを踏まえて、今後校務の情報化がどのように進化すべきかということを、ここでは週案を例に考えてみたいと思います。
 まず週案についてですが、週案がそもそも何のために存在するかということなんですけども、ここでは週案を、年間の指導の計画を週単位に落とし込んで、週単位での授業の振り返りを行い、学習指導要領で示されている学びを実現するという目標に向けて、必要な調整や改善を行うためにあるというふうに考えました。
 このように考えると、週案の作成とか運用というのはあくまでも目標達成のための手段であって、重要なのは、的確な指導のPDCAを行うことにあると考えました。
 そこで、ここはGIGAスクール構想前と後で、あるべき指導のPDCAについて考えてみました。GIGAスクール構想の前と後で行うべきことは基本的には同じものを並べていますが、GIGAスクール構想の前においては、最初と最後の項目だけは校務支援システムで行えますが、授業中に行う活動については、多くの場合、紙をベースとした記録になってしまい、データの利活用というものは難しい状態になります。
 もう少し詳しく見てみます。まずはGIGAスクール構想前の状態です。
 最初に週案を作成します。校務支援システムが導入されている地域では、年間指導計画と時間割を基に週案の作成を行います。そして、次は実際に授業を実施します。現状ほとんどの地域では、授業中は校務支援システムにアクセスできないので、週案の内容を授業中に活用したり、電子的にアシストログを残したりすることはできません。もちろん、GIGAスクール構想の前は、児童生徒が学習記録や振り返りを電子的に記録することもできません。
 そして、授業が終わってから、先生は職員室で何か書き留めておきたいことがあれば、振り返りとして校務支援システムの週案機能に入力をします。
 これが、GIGA端末が整備されるとどのようにできるか考えました。
 週案を校務支援システムで作成するのは先ほどと同じです。そして、児童生徒1人1台の端末があれば、校務支援システムに登録した授業の計画のうち、その授業の狙いや、利用する資料やシステムはあらかじめ登録していくことによって、授業が始まったとき、子供たちは自らの端末からそれらの情報にアクセスして、先生が教室に来なくても、主体的に学習を始めるということが可能になります。
 そして、デジタル教科書を見たり、デジタルドリルを解いたり、Googleのスライドに調べたことをまとめたりすることは、全て学習のログとして記録されています。
 さらに授業中、先生が気がついたことがあれば、それは教室から利用できる校務支援システム、電子教務手帳のようなものを利用すれば、アシストログや評価のメモを残しておくことができます。
 そして、授業が終わったら、子供たちは最後の5分、あるいは家に帰ってから、その授業の振り返りを電子的に残しておきます。
 そして、先生による授業の振り返りでは、元々の授業の計画、児童生徒の学習活動、アシストログ、児童生徒の振り返りなどを1つの画面で確認をして、次の授業の改善に役立てることができます。
 今御紹介したのが、GIGAスクール構想後のあるべき指導のPDCAの一つのイメージではないかと思います。
 本日、皆さんに是非お伝えしたいことは、今御紹介したシステムや機能のほとんどは、既に実在していて提供可能な状態にあるということです。
 今から3つほど例に取って説明させていただきます。
 1つ目は、校務支援システムと自動的に連携して、児童生徒に時間割や授業に必要な資料を提示するシステムです。
 昨年度、当社の校務支援システムの新機能として、「授業の記録」というものをリリースしています。そして、そこで作成した時間割は自動的に当社の子供向けのシステム「スクールライフノート」から閲覧できるようになっています。このスクールライフノートはクラウド型のサービスですが、校務支援システムで登録された児童生徒のアカウント情報や時間割などは、自動的にこのサービスに連携するようになっています。
 そして、今年度の初めに多くの自治体で問題となった、学習系のシステムの児童生徒のアカウント情報の年次更新も、全て自動的に行えています。
 今後は、このスクールライフノートを学習eポータル化することによって、先ほど述べたようなデジタル教科書やデジタルドリルにシングルサインオンできるような機能も実装していく予定です。
 2つ目に紹介するのは、先生が教室から安全に利用できる電子教務手帳のような校務支援システムです。
 このシステムを利用することによって、先生は教室から欠席情報や健康観察の情報、また、授業中に児童生徒について気がついたことやアシストログなどを、直接、校務支援システムに登録することができます。
 当社の校務支援システムには、もともと役職だけでなくクラス担任の情報なども登録されていて、これらの情報を基に、非常にきめ細かなアクセス制御を実現しています。
 さらにこのシステムでは、同じユーザが同じ情報にアクセスする場合でも、職員室と教室では異なるインターフェース、異なる機能でアクセスするという仕組みを導入することによって、先生方は安心して教室からでも校務情報を操作できるようになっています。
 3つ目に紹介するのは、授業の後、児童生徒が教室や家庭で入力した授業の振り返りを、授業の計画、指導の記録などと併せて閲覧し、授業を振り返ることができるシステムです。
 先ほどのように、GIGA端末を日常的に活用する状況において、子供たちの学びの記録はデータとして蓄積されますが、当社の校務支援システムを活用することによって、それらの内容は、校務支援システムからもダッシュボードや授業の記録という機能を通じても参照できるようになっています。
 スクールライフノートには、大阪市のスマートスクール実証事業で使われた「心の天気」の機能が実装されていますが、これ以外にも、1コマ1コマの授業を受けての子供たちの心情を記録していく「学びの天気」というものが実装されていて、これらは「心の天気」と併せてダッシュボードや授業の記録で確認できるようになっています。
 今、「ダッシュボード」というキーワードが出てきましたので、これについて簡単に触れさせていただきます。
 当社は、スマートスクール実証事業において、児童生徒一人一人について様々な情報を一つの画面で確認できる「児童生徒ボード」、学級全体の様子を確認できる「学級ボード」という2つのダッシュボードを開発し、既に多くの自治体・学校で御活用いただいております。
 そして、このダッシュボードは今後、他のシステムとの連携を増やし、より多くの情報を集約していくと同時に、校長先生が学校全体の様子を確認できる「学校ボード」、教育委員会の担当者が自治体内の学校全体の様子を確認できる「教育委員会ボード」も現在開発中で、今年度内にはリリースを予定しております。
 以上、GIGAスクール構想が校務の情報化に与える影響、特に教育の質の向上にどのような貢献をできるかということを、週案を例に取って見てきました。
 本日は時間の制限もあり、当社が考える教育DXのごく一部しか御紹介できませんが、当社としては、今回御紹介した週案の事例のように、今後は通知表、成績処理、指導要録など全ての業務について、GIGAスクール構想下でのあるべき姿を考えて、必要な機能の実装を続けていきたいと考えております。
 そして今後は、職員室で使う校務支援システムという固定概念にとらわれない、子供たちが毎日学校に行くのが楽しくて仕方ない、勉強が楽しくて仕方ないという状況を実現するために必要な次世代の学校支援システムを、先生方並びに他社の皆様と作り上げていきたいと考えております。
 最後になりますが、前回の会議で提示されました検討資料の内容に関して、統合型校務支援システム並びに次世代学校支援システムを開発するメーカーの立場から、幾つかコメントさせていただければと思います。
 時間の関係で、それぞれの回答に至った背景などを説明している時間が十分取れませんので、重要な点につきましては資料のほうに補足として記載しておりますので、お時間があるときに目を通していただければと思います。
 まずは1点目、汎用的なクラウドサービスの校務での活用についてです。これについては、情報セキュリティの問題や、データの2次利用、3次利用の問題などを十分に考慮した上で、利用することが合理的と考えられるものについては積極的に活用していくことが望ましいと考えています。
 情報セキュリティの問題とデータの利活用の問題につきましては、次のページの補足1、補足2のほうで、その詳細を説明しております。なお、補足2で触れている保護者とのコミュニケーションにおける汎用的なクラウドサービスを活用する際に考えられる課題と、それに対する具体的なソリューションについては、本日の資料の一番最後のページのほうに参考資料としてつけておりますので、そちらのほうも御参照いただければと思います。
 次は、校務支援等のクラウド化についてです。これについては、賛成です。
 校務の効率化、教育データの有効活用をさらに進めていくためには、ネットワーク分離によるセキュリティ確保からアクセス制限によるセキュリティ確保への転換を図り、校務支援等のクラウド化を進めることは必須であると考えています。
 ただし、実施に当たっては、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの更なる改訂を並行して進める必要があると考えています。そして、その理由については、次のページの補足3において説明をしております。
 3つ目は、学習系データと校務系データの連携についてです。これについても賛成です。
 ただし、補足3でも説明しているように、教育情報システムを学習系と校務系に分離して整理すること自体の妥当性が既に薄れていると考えているため、今後は校務支援システム、学習eポータル、デジタル教科書、デジタルドリルなど、これら全てを含めた教育システム間での連携を推進していくと捉えるほうが妥当であると考えます。
 最後に一点、これは前回の検討資料では触れられていないのですが、今後の教育データの利活用を考えていく上で大きな課題になると考え、記載をさせていただいております。
 内容は、現在様々なシステムの連携が議論されていますが、児童生徒一人一人の学習履歴などを継続的に蓄積していくためには、異なる自治体の校務支援システム間でのデータの連携を行う方法について考える必要があるというものになります。これについても、またお時間があれば、是非御検討いただければと思います。
 以上、駆け足になりましたが、GIGAスクール構想下での校務の情報化についての、株式会社EDUCOMからの発表とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。下村様、どうも詳しく御説明いただきまして、また非常に緻密な資料を作っていただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
 続きまして、スズキ教育ソフト株式会社から御発表をお願いいたします。爲聰隆様、お願いいたします。資料3となります。
【爲発表者】  ただいま御紹介に預かりましたスズキ教育ソフトの爲でございます。よろしくお願いいたします。
 弊社ですけれども、創業から37年経ちます教育ソフト専門の開発をしているメーカーでございます。本社は静岡県の浜松市にございます。
 本日の発表内容ですけれども、前回の資料4に関する、我々としての考えだとか意見というものを中心に、今日は発表させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速移りたいと思います。
 短期的に目指すべき目標のところにありました、汎用的なクラウドサービスをできるところから活用するというところに関して、我々の考えを少しお伝えしたいと思います。
 こちらに関しては校務支援システムとは関係ないところになりますけれども、以前に便利だったことが現在では問題になってしまうというところがこれに当たるかなと考えます。
 左側の絵図にありますけれども、Excelとかoffice等で利用したデータをローカルに保存したりだとか、データを持ち運ぶ際にUSBメモリを使用したりする。こういったことが今まであったかと思うのですが、これに関しましては、もうリスクがあるということは明らかになっているかなと思います。
 ですので、今後そういったデータは、汎用的なクラウドサービスが提供しているストレージを利用することによって、先生方の危機感というか、データを持ち運ぶというところに関しての負担を減らすということもできるのではないかなと思っております。
 ただ、このサービスを利用する際のルールを定める等、そういった検討すべき条件はあるとは思いますけれども、ローカル保存だとかUSBメモリを使うということを無くしていくということが、まず、できることから活用するということに当てはまるのではないかなと考えます。
 続きまして、大規模災害や感染症による緊急時における業務の継続性確保についてでございます。
 こちらは、今、伝えたテーマだけではなくて、校務系ネットワークと学習系ネットワークが分離している環境でも使える、そういったところでも同じようなことができればいいかなと考えております。
 具体的にどういうことかというと、一般企業が閉域ネットワークに構築した社内システムを出先からアクセスするために使う技術、こちらを活用することで、校務系と学習系が分離している環境でも利用することができるのではないかなと考えております。実際にはセキュリティを担保しつつ、ロケーションフリーな状況で校務処理を可能にすることができると考えます。
 実際のイメージです。学校内からのイメージになります。校内の端末の仮想領域からセキュアコンテナ方式の対応製品、ゲートウェイサーバを経由することによって、校務系のサーバ、校務の領域のものを触ることができるという形です。
 さらに、自宅から、家庭から触るという場合には、同じように端末の仮想領域を利用するのですが、SSL-VPNを経由して、同じようにゲートウェイサーバに接続することによって、校務系の必要な情報を触るということができるという形です。
 こうすることによって、クラウドサービスだけの話ではないのですが、大規模災害や感染症による緊急時において、どの場所にいても、セキュリティを担保しつつ校務支援システムを使っていただけるという形になるかなと考えます。
 続きまして、短期目標にすべきところにありましたけれども、授業等においてクラウドサービスの活用。こちらはいい影響を及ぼすのではないかという形なのですが、先ほど少しお話をさせていただきましたけれども、先生方が日常的にこういったクラウドのサービス、ストレージを利用するということが当たり前になった場合には、先生方のノウハウだとか経験値も蓄積されて変わってきますので、必ずいい影響を与えると我々は考えます。
 続きまして、保護者との連絡・情報公開に関する業務の効率化です。
 今ここに示させていただいているのは、我々のサービスの構成を一部書かせていただいております。一番左に校務支援システムがあり、真ん中のところにedu-cubeというものがあるのですが、こちらは、我々のほうで既に提供しているクラウドサービスになります。
 そのクラウドサービスの中にcubellという、スマートフォン用のアプリがございます。こちらを保護者のスマートフォンに入れていただき出欠の連絡だとか学校からの連絡を実現しております。また、ゲートウェイサーバを介すことによって、edu-cubeとスズキ校務のクラウド、データサーバを連携させることができるというような形になります。
 次に、既存の校務支援システムで処理すべき校務と、汎用的なクラウドサービスの活用。汎用的なクラウドサービスを使えば事足りる校務を分けて考えることが適切ではないかというところに関して、我々の意見をお伝えしたいと思います。
 校務支援システムで取り扱う情報を大きく分けると、ここに書いてあるように、左側にある、まず児童生徒に紐づく情報とそれ以外の情報というような形で分かれると考えております。
 既存の校務支援システムで処理すべき校務というのは、まず児童生徒に紐づく情報、こちらは既存の校務支援システムで処理すべき校務だと考えます。
 ここに少し書きましたけれども、名簿だとか出欠席、保健、生活、成績、またそれらの公簿、これに関するものに関しましては、既存の校務支援システムで処理すべきだと考えます。
 実際のイメージはこのようになります。1人の子供の名簿があったときに、その子たちの下に、名簿それぞれにこういったデータがぶら下がっているようなイメージを持っていただければと思いますので、汎用的なクラウドサービスではなく、既存の校務支援システムで処理すべき校務というのは、児童生徒に紐づく情報であると我々は考えております。
 こういった情報ですけれども、1人当たり年間800項目ぐらい入力されるというようなことも、我々のシステムを使っていただいているお客様から聞いたことがございます。1年当たり800項目になります。
 続きまして、汎用的なクラウドサービスで活用すれば足りる校務ですけれども、それ以外の情報という形で書かせていただいていますが、ここに3つ、少し書かせていただきました。教師同士のコミュニケーションだとかスケジュール管理、あとは定型文書の管理だとかファイルの共有、そういったところをメールだとかチャットだとかカレンダー、スケジュール、ストレージを利用すればできるのではないかなと考えます。
 次に、少し補足になるのですが、校務支援システムベンダーだから実現できることというところを、少しお話をさせていただきたいなと思います。
 ここに今7つ書かせていただきましたけれども、校務支援システムベンダーの皆さんであれば、誰もが経験していることだとは思います。
 法改正だとか帳票類の様式変更、それに対して迅速に対応しなければいけない。あとは、進級だけではなくて転入出、小学校から中学校への進学、そういったところも考慮しなければいけない。特別支援学級への柔軟な対応もしなければいけない。
 あとは、センシティブな内容のデータを取り扱うこともありますので、十分配慮しなければいけない。あとは、複合的なデータの利活用、こちらは、昨今、データの利活用というところを言われていますので、イメージはつけやすいかなと思っています。あとは、学習系データと校務系データの連携。
 最後に、情報の可視化という形で、学校や学年・学級単位の集計だけではなくて、一人一人のものが求められていますと記させていただいております。これはいわゆるダッシュボードの話です。
 最後に書かせていただきましたけれども、変化する学校現場に合わせて、様々なことを専門的に分析や解析をし、安全に効果的なサービスを提供することができる。それは校務支援システムベンダーしかできないかなと考えております。
 昨今ありますダッシュボードのことを少し御紹介させていただきたいと思います。
 今、こちらのほうで利用シーンを書かせていただいております。一番左が、いわゆる普通に学校で先生方が日常的にデータを入力しているイメージになります。
 各学校は、日常的に先生方がダッシュボードのためにデータを入力するというわけではなくて、日常使っているデータをサーバが吸い上げ、しかるべき形で必要な情報を提供するというようなことができるようになっています。
 教育委員会であれば、自分たちの地域の学校の状況だとか、不登校の状況だとか感染症の状況というものも、各学校が入力したデータを吸い上げることによって可視化することができ、様々な判断をしていただくことができるかなと思います。
 また、学校長に関しましては、自校の状況というものも、同じようなデータを吸い上げて、様々な形で可視化し、分かりやすい形にすることによって、自分たちの学校の傾向だとか対策といったところを認識していただけるというようなものになっています。
 GIGA端末が普及してからは、一人一人の傾向だとか対策というところも求められておりますので、地域だけでなく、学校だけでなく、学級だけでなく、個人に対してもドリルダウン式にデータの可視化というのが進んでいっていますというような形です。
 こういったものに段階的にきめ細かく対応するというものも、校務支援システムベンダーでないとできないかなというふうに考えます。
 続きまして、中期的・短期的に目指す方向性についてです。こちらのほうは、信頼できる認証基盤を利用して、ゼロトラストセキュリティを実現させるということが最適かなと考えます。
 サービスごとに利用できる端末だとかアカウントの制限、あとは認証方法ですね、生体認証を用いることによって実現できるのではないかなと思います。
 ここに簡単にイメージ図を書かせていただきました。利用者が何かサービスを使いたいというときには、左側にある認証サーバから信用情報を発行してもらい、その信用情報を今度は使うサービスのほうに提供することによって、そこで認証され、使いたい人、利用者によって必要なサービスのみを提供することができる。そういった認証を用いたセキュリティの制御、ゼロトラストセキュリティを実現することが必要ではないかなと考えます。
 あと、こういった目標を目指す上で障害になり得る事柄を書かせていただきました。
 今も実際起こっていることだと思うのですが、端末の数が増える、クラウドを使う、ネットワークを使うというところがもう当たり前になっていますので、学校から教育委員会、教育委員会からその先のインターネット回線、そういったところも十分配慮して整備しなければ、クラウドサービス自体があったとしても意味のないものになりかねないかなと思っています。まずはこういったところを、私たちとしては障害となり得るかなと思っています。
 次に、情報セキュリティ意識の向上と書かせていただきましたが、これは何かというと、利用する一人一人の情報セキュリティ意識が向上しなければ、それは障害になり得ると思っています。どれだけゼロトラストセキュリティを実現したとしても、利用者が、なぜそれをやっているのか、それをやらなければどうなるのかというところを理解しないまま使っていただいたとしても、少し現実的ではないかなと思います。
 続きまして、校務支援システムの今後の在り方についてです。
 愛媛県の西条市、これはスマートスクール実証事業とかでも様々なところで発表されている事例になりますけれども、クラウド上の閉域に学習系と校務系のシステムを構築し、VDIをさらに経由することによって認証を分けているというようなものになります。
 これ、実際に公表されている資料です。さらに、利用シーンによってこうなりますよと書かれているんですが、簡単にちょっと要約をさせていただきますと、こういった形のものになります。
 学校から校務用に入るためにも校務用のVDIを経由しますし、自宅から校務系を触るときにもテレワーク用のVDIを経由し、さらに校務用のVDIも経由して、初めて校務系に入ることができる、そういった形の構成になっております。
 こちらの事例は、今までお話しさせていただきました提案内容をその当時に近い形で実現しています。テレワーク用・校務用、それぞれVDIを経由してしかるべき情報を使っているという形です。
 では、今後の在り方のところになりますけれども、実際にオールクラウドで動いた場合に、校務と学習系、それぞれクラウドで動いた場合に、どのようにデータを受け渡すかというようなところが次の問題になってくるかなと思います。
 それに関しては、我々としては、セキュリティゲートウェイ、オープンAPIという形で書かせていただきましたけれども、APIを我々がオープンすることによって、各学習系クラウドサービスもそういったところに対応していただければ、我々としては、限定したサービスとしか連携できないというわけではなくて、その自治体が使っている様々なサービスとデータ連携できるのではないかなと考えます。
 校務支援システムの今後の在り方としては、こういったオープンAPIを用いるということが必要条件であると考える次第でございます。
 すみません、色々ありましたけれども、私からの発表は以上となります。御清聴ありがとうございました。
【堀田座長】  どうもありがとうございました。
 それでは最後に、株式会社システムディ様から発表をお願いいたします。江本成秀様、よろしくお願いいたします。
【江本発表者】  江本でございます。私どもシステムディからは、私、江本と、本日質疑応答に対応するために、課長の中村の2名で出ております。中村のほうは質疑が終わりましたら失礼させていただくかもしれません。御了解ください。
 早速なんですが、私どもの校務支援、私どもなりの意見でございます。
 まず、弊社製品なんですが、「School Engine」という名前で、ブラウザ型の校務支援システムを提供しております。小学校・中学校・高等学校・特別支援学校、全ての学校種に対応する形です。
 ちなみに会社としては、全250名でして、5つの事業部を持っておりまして、京都本社、それから東京支社、札幌支社の3拠点で対応させていただいております。
 今回御意見をさせていただくベースとなりますSchool Engineの導入実績なんですが、御覧のとおりで、共同調達から小・中学校、高等学校、特別支援学校というふうにありまして、ここでお話しさせていただきたいのは赤字のところですね、自治体名が赤字になっているのはクラウドで提供しているということで、クラウドという動きが出ているんですが、既にこれだけクラウドでお使いのお客さんがいらっしゃるということを、ちょっと御理解いただければと思います。
 下のほうの注釈なんですが、「クラウドによる提供」という意味は、クラウドは最近色んな理解がありますのであえて定義しますと、ここでは弊社の管理下のサーバ、資源において、資源の調整とかメンテナンスを、我々が責任を持って行っているというものを、クラウドとして赤字にしております。自治体指定のデータセンターとかいうものは、この分類上はクラウドにはしておりません。
 それから御参考までに、会社の案内がてらなんですが、当社は他に大学向けの、高等教育機関向けのシステム「Campus Plan」という製品がありまして、メインの学籍・教務情報、大学の学籍管理、履修管理ですね、この辺りの製品が全国に約200校の導入実績がありますので、会社となりでちょっと知っていただければというふうに思います。
 早速資料の本題ですが、まず、短期の方向性についてです。
 現在、校務系ネットワークと学習系ネットワークが分離されている環境、ガイドラインでは分離は不要となっておりますが、現在のところ分離されておりますので、セキュリティを担保しつつロケーションフリーな、要は端末一台でどこからでも、職員室でも教室でもという形で処理ができるようにする方策が必要であろうと思っております。
 現在のところはそういう現状なので、校務中間サーバ、真ん中のグリーンの絵がありますけれども、これを経由して学習系とつないだり、外部とつないだりということが今、必要な状況にあります。現実、今、外部とつなぐにはこういう方策になろうかと思われます。
 それから、方向性ですね、そういう前提の上で、処理すべき校務と汎用的なクラウドサービス等を活用すれば足りる校務を分けて考えることは適切ではないかとの記述がありますが、当社としては、役割分担を明確にしたシステム調達を提案したいと思っております。
 例えばグループウェアでは機微情報は扱いませんし、自宅からの利用なんかもしたいというのがあります。それならグループウェアはグループウェアだけで調達すればいいと思っております。
 ということで、真ん中の図でありますが、必要なサービスを自由に選択できるシステムが望ましいであろうと考えている次第です。
 各種、下のほうですね、各業務に必要なサービスを選択して活用という意味では、現状では各種のサービスや製品を一括で調達するケースが多いんですけども、そうしてしまうことで途中の柔軟性が失われるんじゃないかと思っております。
 例えば、途中でこの製品はあまり良くないから他に変えたいとかいうのも、契約の縛りがあってなかなか変更ができない。結果として5年間ずっと使うというようなことが起こり得ると硬直してしまうということです。
 同時に、必要なサービスを自由に選択できるという調達のあり方と、各サービスのアカウント統合とか、ID・パスワードの利便性確保も必要になろうかと思います。これは後半のほうでさせていただきます。
 繰り返しになりますと、クラウド・SaaSという言葉で言われる、必要なサービスだけを個別に調達できるというのが、方向性としては望ましいのではないかと考える次第です。
 短期の方向性、その方向を目指したときの懸念ですね、将来的な教育データの利活用への対応ということで、今、校務と明確に分離されております。ということで、私どもなりの私見では、大胆なデータ活用は難しいという状態になるのかと思います。現在では学習系を主体としたデータ利活用に偏らざるを得ないだろうと思っています。
 ここでちょっと注釈を入れていますが、「大胆なデータ活用」というのは、色んな言い方がありますが、当社の場合は、外部ツールを用いた学校又は自治体単位の、欠席傾向とか成績傾向の視覚化とか、保健なんかも一部始まっておりますけども、こういう統計取りなんかが大事だと思っております。
 それから、校務処理の方からよく言われるんですが、学習情報、時間割情報を見ることで、外部からのサジェスチョン機能なんかができるんじゃないかということも、データの活用としては考えられると思っております。
 校務支援システムのデータというのは、当社の場合は基幹データであると考えておりますので、それを使っていただくためにネットワーク分離の廃止、または超えた利用が必要であろうと考えております。
 3番目は似たような話で、端末が今は分かれておりますので、なかなか、さっきのロケーションフリーで使うということに関しても同じなんですが、ネットワーク分離の解消が期待されていると考えています。
 それから中長期の方向性ですが、似たような話になります。やっぱり私どもが考える軸でございますので、校務支援システム、それからちょっと色を変えて書いておりますがグループウェア、先ほどと同じ絵なんですが、当社の製品です。それから、それ以降のGoogle以降は当社以外の製品です。この辺を自由に組み合わせて、IDのサービスを利用して独自の基盤と接続したり、セキュリティ対策を適宜導入というような、柔軟な採用の仕方、構築のやり方が望ましいだろうと思っております。
 柔軟な、サービスを色々選択すると、もちろん認証ですね、ガイドラインで言われておりますきっちりした認証を行う、多要素認証ということですが、ここで気をつけないといけないのは、クラウドサービスごとに異なる認証を採用すると当然お金がかかりますし、利便性も低下しますと。それから同一パスワードの濫用と色んなことが起きますので、当社が求められた場合は、FIDO2規格の認証とか基盤、それからSAML認証であるとか、そういうテクノロジーを使って、できるだけシングルサインオンでシームレスにつながる方法を今考えたりしているところです。
 パブリッククラウド検討の際に検討される事項。通信の秘匿性ですね。これはTLS通信、古くはSSLと言いましたが、標準のサービスで実装しておりますので、これは対応可能と。言い換えると、一定強度の暗号化と前ページまでの端末認証で担保すべきと考えています。ちなみに弊社クラウドサービスの仕様書では、データ通信の暗号化というものをはっきりお約束しているところです。
 それから、個人情報保護審査会ですね。外部業者にデータを委託するに当たって、個人情報保護審査会を通しなさいというのがよく規定でありますが、実は先ほどのパブリッククラウドのお客様で、結構それなしで普通にクラウドを採用している学校が多いです。
 どちらかというと、審査会を通したいので補佐してくれと言われることはあまりなくて、いわゆるゼロではないんですけど、何か所かはありますけど、それ以外は割と普通にクラウドで調達というふうにされております。
 結果として、審査や諮問の結果、やっぱり許可されないということで断念したことというのはないです。全て、通したところは全部通されています。
 また今後、個人情報保護法統一の動きがありますので、この辺りの手続も簡素化を期待したいところです。
 ガイドラインの3番目、サービスの必要性、端末認証の必要性です。これは先ほどのページで出たところでございますので、割愛をさせていただきます。
 懸念事項、中長期、児童生徒アカウント管理の問題。
 色んなサービスを使うためには、当然ながらIDが必要で、それを統一しないといけません。これは色んな会議で出ていますが、統一IDの早期確立ができるだけ早く必要であろうと考えております。
 自治体単独内なら何とかなるんですけど、自治体を横断した場合とか、例えばここに同席されているEDUCOM様とかスズキ教育ソフト様との情報交換なんかをした場合は、必ずIDを特定しないといけない。
 それから、標準のデータフォーマットの普及、それから、クラウドサービスを自由に選択する感覚・環境ということで、はっきり言えば、調達の在り方というのがもう少し柔軟にならないかなと、事業者としては思っているところです。その他、デバイスの文字コードの対応であるとか、意外と大変なところでございます。
 先駆的な事例としては、アクセス制御ベースの校務支援の事例というのは、今ようやくそれが示された直後でありますので、当社が知る限りは実際の事例には至っていないです。
 それから2番目にありますように、そういうベースで提案してほしいというお客様はかなり増えてまいりました。これが今、現状の実態でございます。
 それから、ちょっと毛色は変わりますが、今後ということで、クラウドを活用した先行事例ということで書かせていただいております。小中学校から高校へのデータ引継ぎ等がありまして、これはちょっと資料を見ていただきます。
 次のページ、これは高知県の事例でございます。県内の小中学校から県立高校へデータを引き継ぐ。最終的には12年間の子供のデータの見取図というものを形成しますというのが、今取り組んでおりまして、これは省きますが、次のページ、これは日経新聞に載りました高知県の教育長が挙げられている記事でございます。
 詳しくは見ていただければと思うんですが、左下のほうに、さっきと同じような大原則が書かれております。こういうのを当社としては色々取り組んでいるところです。
 次のページが、クラウドを利用した保護者・家庭への校務データ配信。これは、当社の場合は校務支援システムと保護者をつなぐということで、実際のところ、これは今年ようやくモデルのお客様ができまして、昨年度末に無事テストは終わったところでございます。
 これでやっているのは、取りあえずやったのは、通知表を保護者向けにデジタル配信しますと。校務支援で作れるものをそのまま出すということで、そのほかには、同じ仕掛けで欠席連絡もできますし、出席簿を管理したり、健康診断票を保護者が参照できたりというようなことをやって、基幹システムを軸に、自治体・学校と家庭をつなげていくというのが、先駆的な事例として取り組んでいきたいと思っております。
 最後でございますが、データの利用。これは先ほどからのダッシュボード的なものです。
 当社の場合、教育委員会機能というのがありまして、色んな統計が出るんですが、これをもうちょっと視覚化して、学校や教育委員会の役に立てるデータが出せないかと、今色々研究しているところでございます。なかなか、実例はまだございません。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 それでは、以上の御発表を踏まえまして、委員の皆様の御意見をいただきたいと思います。委員の皆様には質疑あるいは御意見を、30分程度の意見交換の時間がございます。是非たくさんの方に、それぞれのお立場から御発言いただければと思いますので、御発言は簡潔に御協力をお願いいたします。
 なお、恐縮ですけども、御発言後はまたミュートにしていただくという形にしたいと思います。
 挙手ボタンを使っていただきまして、私のほうから御指名させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に石井一二三委員、お願いいたします。
【石井委員】  どうぞよろしくお願いいたします。石井です。3社の御発表ありがとうございました。今の私たちがこれから考えるべき内容を、業者さんとしてどのような方向で改善できるのかな、今あるものを改善できるのかな、または今後使っていけるのかなというところをお話しいただけたなと思っております。大変参考になりまして、ありがとうございます。
 そのお話を聞きながら、私たちが考えていくべきことは、教員の働き方の一日の流れに合わせて、どのようなクラウド利用が可能なのかということであると思っております。
 例えば朝、教員が出勤した後、保護者からの欠席の連絡を受けるとして、ここでどういうものが使えればいいのか、また、これは校務支援システムとどう関わっていけば、教員の一日の働き方に合ったクラウドシステムの利用につながるのかというところも考えていくと、より具体的な方向性というのが見えていくのかなということを考えておりました。ありがとうございました。
【堀田座長】  今のは御意見ということでよろしいですかね。
 後ほど、またまとめて各事業者様にお答えいただくこともあろうかと思いますので、その時はよろしくお願いいたします。
 続きまして藤村委員、今井委員、中村義和委員の順番でまいります。
 藤村委員、お願いいたします。
【藤村委員】  大変貴重な、最新の情勢についてお教えいただきまして、どうもありがとうございました。各社の皆様が、学校のニーズに応えながら様々な機能を開発されている姿に大変感銘を受けました。ありがとうございました。
 それで、私のほうからは2点、共感した点と、それから皆さんがどうお考えになるのかということでお聞きしたい点がございます。
 1点目は、先ほどEDUCOMの下村様のほうからお話がありましたように、校務系・学習系というのを分断して考えるのではなくて、それらを一体のものとして考えてデータの利活用ができるようにしていくのがGIGAスクール時代に非常に適切じゃないかという点は、大変共感を覚えながら聞いておりました。
 私も、前回のときに、Secure Educational Information Utilizing System、SEIUSという形で、セキュアに教育情報を一体のものとして使う、そういう工夫をしましょうということをお話しさせていただきましたが、是非そういう理念の下で校務支援ベンダーさんも進めていただければいいかなと思い、感銘いたしました。
 2点目でございます。これはざっくばらんな御相談なんですけれども、私もAPPLICで、今回も委員として参加されておりますJMCの井上様などのお骨折りで標準仕様を作りまして、そして小中高がつながるなどということを実現可能にしましたが、一つ心残りだったのが、校務支援システム間で一括してデータを受け渡す仕組みを作れなかったことです。
 それによって、自治体が次の新しい別な事業者さんのシステムに行くとき、別途その都度、移行システムを作らなければならなくなったりだとか、先ほどEDUCOMの下村様が最後におっしゃっていた、それがあれば小中高、そしてさらには大学とか幼児教育もデータの標準ができれば、全て一気通貫でできたり、それから転校処理もボタン一発でできるようになります。
 韓国はもう15年以上前からボタン一発で転校処理が完了できるというようなこともございますし、是非そのような、校務支援システム間で一貫してデータの受渡しができるようなものの必要性というのを考えていただきたいと。
 そして、お聞きしたいのは、今の点について、校務支援システムベンダーさんにとってはどうなのかなと。実は調達側としては欲しいけども、その負荷は大変なんだとか、ざっくばらんな御意見を頂戴できればと思って質問させていただきました。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございます。後でまとめて、またベンダーさんにはお回ししたいと思います。ありがとうございました。
 今井委員、お願いいたします。
【今井委員】  今井です。ありがとうございました。
 私も、藤村委員が御指摘いただいた校務支援間のデータの連携について、是非ともベンダーさんの御意見を伺いたいと思い、発言しました。
 校務支援システム間の連携において、先ほどEDUCOM様が、4の校務支援システム間での連携という問いを出されました。実際に、それぞれのベンダーさんが他の校務支援システムと連携を取っていくときに、障壁となるデータの仕様にはどのようなものがあるのかについて、御意見を伺えたらと思います。よろしくお願いします。
【堀田座長】  これもベンダーさんへの質問というふうに理解してよろしいですかね。では後ほどまたと思います。
 次は中村義和委員ですが、その後、妹尾委員、小﨑委員の順番で行きます。
 中村義和委員、お願いいたします。
【中村(義)委員】  中村でございます。ありがとうございます。多くのサービス機能が既に利用されていて、教職員の負荷低減もかなり進んでいるように感じました。
 今回御質問させていただきたい点は、それを日々運用していくという点で見たときに、そのコストはどうでしょうか。クラウド化をすると一般的にコストは下がっていくと思いますが、日々の運用の点ではどうでしょうか。
 また、運用にあたって専門性のスキルが逆に必要になってくることがあるのかどうか。この辺りはどうでしょうか。
 先ほど江本様より、シングルサインオンなどでコストを抑えていくというのがありましたけれども、ステークホルダーが生徒・児童、先生だけではなく、保護者やICT支援員と広がっていくと、その方たちが使っているクラウドサービスも多く様々なものが考えられます。それら全てと連携していくのもかなり困難ではないのなと少し思うところもあるのですが、この辺りも教えていただけますと幸いでございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  御発表ありがとうございます。3社の方どなたでも結構なんですが、よければ2つの質問についてお答えいただければと思います。
 1点目は、先ほどの他の委員の方の質問とも被りますけれども、こういったクラウドサービス等々を利用することでコストメリットをしっかり出したいという思いは、自治体側等にはすごくあると思いますけれども、僕も民間の立場なので共感するんですけれども、事業者側とすれば、しっかり投資に向けて、ある程度当然儲けないと、安かろう悪かろうでは困るということだと思うんですよね。
 その辺りで、ちょっとばくっとした質問で恐縮なんですけれども、例えば、先ほども自治体の調達の在り方などについても問題提起、若干ありましたけれども、しっかり事業者側もWin Winで、学校・自治体側にとっても非常に使い勝手の良い校務支援システムとなっていくために、もっとこういうところをちゃんと考えてくれだとか、あるいは本当にスケールメリットを発揮するために、もっと共同調達をたくさんしてくれとか、何かこうアイデアとか要望があればお聞きしたいなというのが1点目です。
 次に2点目なんですけれども、EDUCOM様の発表で週案のお話など幾つかあって、具体的に分かりやすかったんですが、そういうところも含めて、本当に単なる業務の効率化、負担軽減だけではなくて、教育の質の向上につながるためにということで。ちょっと素人発想で恐縮なんですが、例えば今までの校務支援システム等と学校の情報化というと、やっぱり各学校に閉じたことだったと思うんですけど、もっと全国で、例えばですけど、週案なのか単元計画なのか、あるいはこんな発問が良かったよということなのか、もっと先生方の暗黙知というのをもっと共有して、何か教育の質の向上につながるようなノウハウ等が共有できるシステムとかサービスができないかなと、素人発想では思っているんですけども。その辺りも含めて、何かもっと発展形みたいなことが思いつかれることとかありましたら、教えていただければと思います。
 以上です。
【堀田座長】  小﨑委員を御指名しますが、そこで一度、3社の方々に一旦の御回答をいただきましょうか。たくさんの質問で大変申し訳ありませんが、何とぞよろしくお願いします。
 では、まず小﨑委員、お願いします。
【小﨑委員】  御説明ありがとうございました。丁寧に御説明いただいたのでよく分かりました。
 私からは1つです。統合型という言葉があって、校務支援システムに色々な機能を搭載することによって、今まであった仕事はすごく効率化されて時間が生まれたのは分かるんですが、これまでになかったことが加わって、やるべきこと、できることというのがどんどんどんどん増えていく。色々な機能が増えることによって、これもできるよね、あれもできるよねとなっていっていて、開発する事業者が先生方の個別のニーズを聞いて、要望を取り入れていくことによって、システムでできることが増えていって、結果的に、今までしなくてよかったことも増える、もしくは、せっかく生まれた時間に新たなことをどんどんつぎ込むことによって、効率化はされているんだけど、やらなきゃならないことがすごく増えていっているということが見えてきているんですけども、そういうのは、ベンダーさん、事業者さんのほうで、先生のニーズを聞くがために増えていっているのでちょっと困っているという点とか、システムは制約的に作っていかないと、先生たちも逆にどんどん仕事を増やすことになるような気もするので、抑えるという点でどういう努力をされているとか、教えていただけたらと思います。
 よろしくお願いします。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 いずれも大きな問いですので、3社の皆様には、それぞれの会社のお立場もあろうかと思いますが、可能な範囲で、しかし、ここはこれからの校務支援システム、校務支援はどうあればいいかという議論の場ですので、是非忌憚のない御意見をいただければと思います。
 御発表の順番で指名いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まずはEDUCOM様、下村様、お願いします。
【下村発表者】  たくさん御質問いただきまして、順番に答えていきたいと思うんですけども。
 そうしましたら、一つは校務支援システム間での連携の話なんですけども。大きくはシステムリプレース時のデータのポータビリティの互換性の問題と、あともう一つは、今日テーマにしたのは、それよりも転学・進学の際のポータビリティをどう実現するかということで、ちょっと画面の共有をいただきますと、私どもで今考えているのは、校務支援システムのほとんどはオンプレであるということと、例えば、弊社でいっても自治体数で450、多分システム数にしても300とか400ぐらいの数があるんですけども、それらがメッシュ型でそういったところの転校を対応するのは多分相当難易度が高いだろうなと思っています。恐らく理想の形というのは、ここにあるような転学・進学センターみたいなものを作って、例えば大阪市から札幌市に転校するみたいな場合、大阪市で札幌の学校を選んで転学処理をポチッとやると、その情報が一時的にこの転学・進学センターのところに投げられて、札幌市のほうの校務支援システムでは、まず、ホームページのトップページを立ち上げると、常に、ここに自分の学校に来る生徒がいるのかみたいなことを見に行って、それで、受入れが必要であれば受入れをするみたいな、そういう仕組みの構築が必要かなと思っています。
 それをやることによって、例えば今後考えられてくる学習eポータルであるとかLRSにためられている学習履歴とかも、それをトリガーとして連携するみたいなことが実現するんじゃないかということは考えています。
 ただ、いずれにしても複数の自治体であるとか複数の校務メーカーが関わるところのプロジェクトになることと、そもそもこの転学・進学センターというのは誰が持つべきなのかというところも含めて、1社で考えて進めていっていいものだろうかみたいなところは、いつも内部で検討しているところになります。
 それ以外の質問に関してなんですけども、コストの問題の一番大きな要素というのは、我々は標準化のところの問題だと思っていまして、弊社450の自治体に導入していますけども、例えば指導要録一つとっても、ほとんどの自治体が何らかのカスタマイズが入っています。そういったところで、実はAPPLICの標準仕様は決まっていますけども、あの仕様でデータをやり取りしても、書かれたもの、すべては次の学校には渡らないような状態が現状です。そういったところも含めて、指導要録のデータの項目みたいなものを完全に統一するといったところからまず始めていってシステムの標準化を図っていかないと、クラウド化してもどんどんどんどんコストが上がっていっちゃうみたいな形になるんじゃないかと思います。妹尾委員から出ましたように、共同と調達というのはそういう意味では一つの非常にいい手段だと思っております。
 あとは、そうですね、やるべきことが増えていく、我々から見て、正直まだまだ改善、ここをこうすれば良くなるだろうなみたいな部分は非常にたくさんあると思っていて、そういったことをまずしっかり潰していくことと、その上で逆に、教育の質の向上を図るためにやるべきことというのは、より便利にできるような機能として新しく提供していきたいというのが弊社の考えであります。
 大体そんなところでよろしかったでしょうか。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、スズキ教育ソフトの爲様、よろしくお願いいたします。
【爲発表者】  よろしくお願いします。
 まず、校務支援システム間のデータ連携に関してなんですけれども、こちらは、各社それぞれどういったデータの構造になっているかというのは分からない状態で校務支援システムを提供していると思っております。ですので、こちらとしては、そういったデータの持ち方、そういったものが共有化される、共通化されるということができれば、データの受渡しができるかと思いますが、そもそもデータの持ち方自体に各社アイデンティティを示している可能性もありますので、共有化するのであれば校務支援システムベンダー間で必ず協力して、そのルールに則ってやるということが一番実現しやすいかなと思っています。
 クラウドのコストに関してなんですけれども、コストが下がる、下がるというような形で見えるのですが、もちろんデータセンターを用意したりサーバを自治体が保守していくというものに比べれば、クラウドのほうがコストは下がるというふうに見えます。先ほど下村様もお伝えしていた部分も一部あると思いますが、やはりカスタマイズが発生してしまっているというようなところ、こちらによって、パブリッククラウドでサービス提供したとしても、やはりシングルテナントでのクラウドサービス提供にせざるを得ないという状況になってしまいます。自治体ごとにクラウドのサービスを提供しなければいけないとなったときに、どうしてもコストとしては上がってきてしまうかなと思っています。Google社だとかMicrosoft社が提供しているパブリッククラウドでマルチテナント運営するとなれば、コスト的にはもちろん下げることができるのですが、校務に関しては現状ではシングルテナントで提供するというところが、セキュリティも含めて最適なことかなと思っています。
 あと校務支援システムの機能が増えることによって先生方がやらなきゃいけないことが増えてしまうということですが、これは、もともと紙ベースで行っていた校務を電子化するというような形のものになっていますので、もともとその紙でやっていたものをいかに再現できるか、校務の情報化で取り入れることができるかというような形のものが進んでしまっています。ですので、紙ベースありきではなくて、校務で本当にこういった情報が必要で、こういった保管方法で、こういった形で閲覧するというようなものが標準化されれば、それに合った形でシステムベンダー間で提供することができれば、より先生たちの業務としては減らすことができるのではないかなというふうに、私は考えます。
 私のほうからは以上となります。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 それでは、システムディ様、江本様、よろしくお願いします。
【江本発表者】  江本から回答します。
 まず、データの流通の問題、先ほどのAPPLICと一緒にやっていますので下村様と同じで、データの互換性というのが、どうしてもカスタマイズが入ってしまうもので取れない。APPLICでせっかく指導要録とか健康診断票データを決めているんですけど、それと項目が変わってしまうために流通ができないということがあります。これは是非統一化を国でやっていただきたいと、これしか使ってはいけないというぐらいにしてもらわないと、ちょっと無理かなと思っています。
 それはAPPLICができてからの話なんですが、それ以前の話だと、やっぱりそれまでの契約の立てつけ上、既設システムのデータが開示されないという問題があって、データが分からないと移行のしようがないですということで頓挫してしまう。結果としては、学校の先生方に手作業で御負担をおかけするというようなことが結構ございました。これも今後の契約としては、データを出せというふうにしていただければ、ちょっとは良くなるのかなと思っております。
 それからクラウドによるコストですね、これは明らかに安くなると我々は考えております。共有化することでコストが安くなります。もちろん専用環境にすればその分高くなりますけれども、それ以外にやっぱり運用コスト、お客様側のサーバを維持、メンテナンスするコストは要りません。それから、先ほどスズキ教育ソフト様からカスタマイズという話がありますが、これは私どもの場合は作りの問題で、マルチテナントにおいてもお客様の契約先ごとにプログラムをデータのセットがありますので、カスタマイズは可能になっていますから、そこは作りの問題だろうと思います。ですから、トータル的には安くなろうかと我々は考えている次第であります。
 それから、先ほどの妹尾委員から、学校に閉じたものになっているという、これは先ほどのAPPLICにも関わるんですが、教育データの標準化というのがどんどん進んでいければ、学校からデータを出して使っていただく、それから受け入れてそれを活用するということがどんどん進むんだろうなと思っているところです。校務支援システム側としては、もちろんAPPLICとか他の色んな規格ができつつありますけれども、そういうものに対応してやっていこうと思っているところです。データを出し入れするについては、セキュリティガイドライン、データの流通というところが関わってきますので、データが揃えばできるというものではないので、そこはお国の支援をいただきたいところですね。
 それから小﨑委員が言われた、先生の仕事が増える一方であるということ。現実問題として、確かにそうかなと思っています。例えば、データを欲しいと言われても、今までだと、そんなデータは無いから出せないと。今は校務支援システムにデータが取り出せる状態であれば、それを作って出してしまいますね。そういうのができる一方、先ほどスズキ教育ソフト様も言われたところですが、今まで紙でやっていたものを電子化して紙で作りたい、紙、PDFなんかで作りたい。そのためにデータを入れましょう、マスタを設定しましょうと、仕事というか機能がどんどん増えてしまう。それを何とか整理できれば負担は減るのではないかなと思っています。
 私ども、メーカーの立場としては、学校というよりも教育委員会さんと常にこう打合せをさせていただいて、全体の流れを見据えながら、できるだけコンパクトにと思っていますが、残念ながら実際にはどうしても要望があって増えてしまっているのが現状でございます。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 続いて、残り時間が短くなっておりますが、4名の方、ここまでにしたいと思います。順番を申し上げておきます。渡部委員、執行委員、井上委員、福原委員の順番でお願いいたします。よろしくお願いします。
【渡部委員】  貴重な情報をありがとうございました。
 私は教育委員会の立場として、少し細かい質問ですがお願いいたします。
 教育の質の向上と教員の負担軽減というのを目指していくのが私たちの役割ではありますが、先ほどEDUCOM様の電子化された教務手帳というのが衝撃的でした。授業が終わった後に子供の記録を取るというのは、教員の大事な役割であり、それに膨大な時間を使っているわけです。先ほど御提案いただいた中には、授業中にそれを教員がやれるということでした。
 そのときに得た情報が細かいことまで書き込んでいけるのか、後で見た作品などから子供たちの評価をしていくことが今までは当たり前でしたが、授業中にできることが例としてあるというお話を伺ったので、成果と課題について伺いたいと思いました。
【堀田座長】  後ほどベンダーの皆さんに回したいと思います。
 執行委員、お願いいたします。
【執行委員】  御発表ありがとうございました。
 今までの御発言、感想を言っていただいた方ともしかすると重複している部分もあるかもしれませんが、私の意見としてお話をしたいと思います。
 私は学校の立場でお話しさせていただきますけども、教育のDX化というのは、やっぱり教員がそもそも子供たちの主体的な学びを促すための時間、つまり学びをコーディネートしていくための時間、直接的に関わっていくための時間の創出のために、効率良くいかにやっていくかという側面もあると思っています。
 今、ずっとお話にあったように、様々な情報をデータ化して、その後に見るときには非常に参考になるんですけども、そのデータを作ろうといったときに様々なアプローチ、観点から、入力することに忙殺されているという事実もあります。じゃあそれを入力しないでどうデータ化できるかということができればすごくいいなと思うんですけども、例えば今までだと、こういう手帳とかを使って、メモ書きして、教員は例えば子供が発言したことをバッと記録したりとかしていたんですけど、それが何かこう瞬時にデータ化されていくのであれば、わざわざ手で入力して、個別にこの子はこういう発言をした、こういうことを言ったとかということをしていくと、それがまた時間を取られることになるので、やっぱり学習系の子供たちのログのデータと先生が見取ったデータと、そこをうまく、もうちょっと効率良く記録できないのかなと思った次第です。
 それから、通知表に関してもお話がありました。これも、もし子供の学習データと先生の記録のデータが随時、リアルタイムに更新されていくのであれば、学期に1回とか年間に2回とかだけしか保護者に適切な情報が与えられないということももっと、リアルタイムにできて改善されていくんだろうなと思います。そうすると、そもそも通知表というのは要るのか要らないのか、要らないんじゃないかというふうにもなりますし。指導要録だって何のためにあったのかというのは、やっぱり次の学年に引き継いでいくためという意図もあったと思うんですけど、それも、ずっとデータが残されているのであれば、わざわざそれを作っていく必要性も無くなるし、そんなところでもっと効率良くできるというところで、そもそも何のためにこのDX化をしていくのかを改めて確認したいなと自分でも思ったところです。
 以上、感想でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  JMCの井上でございます。よろしくお願いいたします。
 ちょっと時間が押しておりますので、APPLICという、要は業界団体の立場で少し補足と説明をさせていただきたいと思います。
 まず、今APPLICで取り組んでいることを御紹介しておきたいと思うんですけれども、国との連携がベースになってきております。一つは、国のほうでガバメントクラウドを作って自治体業務の統一化を図ろうとされています。17業務で始まって、今20業務になっているんですけども、その中で教育に関係するものとすれば、学齢簿と就学援助、これはもう国として統一しましょうと。ですから、各自治体のカスタマイズを許さないという形で進められています。
 そうすると学齢簿情報が固まります。今APPLICとしては、各自治体さんの学齢簿情報をオプションで取り込めるようにしているわけですけれども、それが確定すれば、相手はクラウドになりますけれども、その情報を持ってこられれば、各学校で名簿の入力をしなくても済むようになるはずですから、それを実現するように持っていきたい。今はオプションですけども、できれば必須にしたいなという考えで相談をしたいと考えております。国としてガバメントクラウドで仕様が統一されれば、当然ですが、外字が統一されることになるかと思いますので、それもAPPLICとしては取り込んでいきたいというふうに考えております。
 それともう一つ、今国の方針としてマイナポータルから健康情報を閲覧できるようにするというのは決まっております。学校には健康診断情報がありますので、その情報をマイナポータルから閲覧できるようにするということが、もう国として決まっているわけですね。今、文部科学省、デジタル庁と一緒に、その仕様に関して打合せをしております。データの連携に関してはほぼ決まって、それから、受渡しの方法も大体決まりかけている、確定ではないですけど、決まりかけているというふうになっております。
 そこでは、そのシステムを使って、マイナポータルから入っていただければ健康情報が見られると、そういう仕組みができ上がろうとしています。そうすると、今話題になっているように、これは実は健康情報だけではなくて、あの通知表のデータだって日々の情報の連絡だって、別にそこから見られるようにすることは可能なわけです。そういうふうに使ってもいいですよねと確認したところ、別にそれは制限ありませんという話でしたので、そういう利用もできるようになるはずなんです。今、各ベンダーさんで色々工夫はされておりますけれども、そういう仕組みができ上がれば、そういう仕組みを持たれてないベンダーさんであったとしても、情報のやり取りができるようになる。そこら辺は是非我々として進めていきたいと思っております。
 あと、感染症の情報、以前はインフルエンザだけでしたが、今コロナがあります。これを報告しなきゃいけない。これも実は自動的にできるようにしようということで、今、文科省さんと打合せをしているところでございます。
 それともう一つ、全ての先生に影響があるわけではないんですけども、統計の話があります。学校基本調査ですとか教員統計とか国で決められた統計の情報があります。これは一部の先生の負担になっているわけですけれども。この統計情報を今、文部科学省さんと打合せをしておりまして、システム改修をしていただいて部分取込みができるようにしていただきました。ということは、各学年の生徒数だとかクラス数、学級数の男女比だとかそういう部分、面積的には結構大きいんですが、その部分のデータを校務支援システムから持っていける、そういうところも今、話をしておりまして、これも近々実現できるようにしたい。これはちょっと標準仕様とは違う話になるかと思いますが、それも対応できるようにしたいと考えておりますので、そういうようなところで国との連携を今、事務局側としては進めていきたいと考えています。
 それと、先ほど藤村委員のほうから全体がデータのやり取りができないというのがありました。そこら辺をちょっと説明しておきますと、下村様のほうからも話がありましたけども、実は国が示している指導要録だとか健康診断票はみんな参考様式でしかないんですね。標準様式でないので、みんな各自治体さんでカスタマイズが発生していて統一したものがないものですから、データの受渡しができない。ですから、例えば出席簿に関してもやりませんかって何度もお声かけしたんですが、結局まとまらなかった。それは標準仕様、標準様式がないからなんですね。そこら辺を国として進めていただければ、要は、自治体業務さえ、ちゃんと国として統一するわけですから、学校の業務のほうも統一されても、私はいいのではないかなと個人的には思っております。
 私のほうは以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 福原委員、お願いします。
【福原委員】  ありがとうございました。
 私は学校のほうから、執行委員がおっしゃったように、学校の立場に立った形での導入をお願いしたいと思っています。
 それと、基本的には我々紙ベースで色んなことを行ってきたものをデジタルに置き換えようとしているところに無理があるのではないかなと思います。初めからデジタルでやるために統一の様式を作った上で、そちらに学校も乗っていかなければいけない時代が来ているのではないかなというふうに、学校の現場を預かる者としては思っています。是非、中途半端な形ではなくて、学校も変わるところは変わっていく、そして学校を便利にして、先生たちに時間を与えてもらえるような改革になってもらえればと思っています。
 ありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 では、もう時間が過ぎているものですから、3社の方々に一言だけお願いしたいと思います。
 また、下村様からお願いします。
【下村発表者】  渡部委員、執行委員から御質問がありました電子教務手帳のシステムなんですけども、実はもうリリースしたのは4年も前です。ただこれが、正直、普及してないです。普及しない一番の理由は、先生が教室で使う端末が無いからです。元々はタブレットを使うような想定で、タッチパネルで画面から子供を選んで、コメントもあらかじめ先生がテンプレートを入力しておいて、例えば、気づいたこととかをポンポンポンポンたたいていけば記録を残せるようなシステムになっています。ただ、端末が無いために使われてないというのが現状です。
 あと、先ほど執行委員がおっしゃられましたように、やっぱり通知表とかもおっしゃるとおりだと思っていて、紙の時代はそれしか方法がなかったから学期に1回ああいったものを作っていたけれども、これからデジタルの時代で、それこそ学習塾に通わせている親御さんというのは、今日、何を塾でやったかというのはオンラインで全部確認できる。そういったことが学校で始まってもいいんじゃないかと思って、今、そういったシステムの開発に向けて準備を進めております。
 以上です。
【堀田座長】  スズキ教育ソフト、爲様、お願いします。
【爲発表者】  ありがとうございます。
 私のほうで少し感じたことをお話しさせていただきます。
 普通教室のところで情報を入力するということなんですが、これは今、下村様も言われたことにつながるかもしれないんですが、端末だけの話ではなくて、いかに入力を円滑に進めるかというところが非常にポイントになるかなと思います。やはり先生1人に対して子供が30人いた場合に、30人分データを入力するとなってくると、場合によってはそれだけで授業が終わっている可能性もあるかなと思いますので、そういった入力に関する課題はあると思います。ですので、手帳で記入しているという文化は、私はいきなり否定するということではなく、手帳に書いて今まで事足りていたものに関しては続けられたほうがいいかなと思います。それをデジタルに起こすときにどうするかという判断が今後必要になってくるかなと思います。
 あと校務支援システムに関してですけれども、やはり学校で扱っているデータを全て入力するのが本当に正解かどうかというところは、少し判断をされたほうがいいかなと思っています。手帳に書かれていることを校務支援システムでデータ共有されて、本当に大丈夫ですかというのは、私の経験値から少しお伝えしたいことかなと思っています。先生方の見取りだとか気づきの部分で、過去の経験値からくる判断というのをデジタル化する、エビデンス化するというのはとても難しいことかなと思っていますので、今後、若手の先生が出てきたときに、そういった経験値をいかに伝えていくのかというところは、もしかすると校務支援システムの世界ではなくて、違う世界の話なのかもしれないかなと感じました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 システムディの江本様、お願いします。
【江本発表者】  江本でございます。
 まず、先ほど執行委員がおっしゃったデータの入力の効率化というところですね。ITやっておきながら何ですが、やっぱりアナログの部分はどうしても残ろうかと思いますし、何もかもを共通でやろうとすると、手間ばかりかかってしまいますので、まだ技術がそこまでいってないと思います。ちなみに、私共もタブレットを使った教務手帳というのを一遍作りかけたんですが、やっぱりセキュリティガイドラインで、先ほど下村様と同じで、使ってくれるところがないので結局頓挫したということがあります。
 それから最後の、先ほどの事例と帳票のことで思い出したんですが、一つの事例として、当社のお客様の中で奈良県内の小・中学校の通知表と指導要録は全て完全に統一しております。学校が移動になっても通知表のレイアウトを全く気にすることなくそのまま使えるので、ちゃんと協議をして取り決めればできるという事例を一つ御紹介しておきたいと思います。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございます。
 もっと議論したいところですけど、ちょっとお時間の関係でここまでとさせていただきます。
 私も色々意見がありましたが一つだけ申し上げると、福原委員がおっしゃったように、やっぱり今まで紙の文化で色々やってきたことを私たちは校務支援システムにお願いし、そしてそれが入ったときに現場の先生たちは何と楽になるんだと非常に感激した、そういうことがありました。これから先は、自動的にデータが収集されていくような時代に入ります。そういう時代において、校務というのをどういうふうに考え支援していくのかということを、私たちは未来を見て考えなきゃいけないということかと思いますので、次世代の校務支援システムの在り方、クラウドとの連携の在り方、こういうことを議論していかなきゃいけないんだというふうに思います。
 そのことも含めて、今から議題2の論点整理についてお話合いをしたいと思います。
 前回までずっと毎回議論していることで、だんだん付け足されて検討資料ができております。今回、まずはこの事務局側から御説明をいただきまして、その上で皆さんの御意見を賜ろうかと思います。
 では、事務局より資料5の御説明をお願いいたします。
【武藤リーダー】 資料の5に沿って簡単に御説明をいたします。
 これは前回先生方からいただいた御意見を基に、大きく変わったところを赤字で示しております。全体としては、前回の検討資料、これは論点整理だったので、それぞれの項目が、「~ではないか」という形になっていましたけれども、大筋、意見がなかったところについては「である調」で整理をした上で、赤字で先生方の御意見を付け加えております。
 まず総論の1つ目は、校務の情報化の今日的な意義を改めて整理する必要があるということ、情報化の意義を整理する際に、教育委員会が予算折衝する際の根拠となることも踏まえて、教職員の負担軽減だけではなくて、教育活動の充実、保護者とのコミュニケーションの活性化も強調すべきである。また、今後教職を目指す学生に対しても、教育現場が旧態依然としたままではないというメッセージになる。個人情報保護やコストなど、校務の情報化の推進の上での障害を教育委員会が乗り越える一助となる取りまとめを目指すべき、こういった内容を付け加えております。
 それから、下から2つ目の丸ですけれども、こうしたことを進めていく上で、既存の紙ベースの業務フローの見直しも含めて、デジタル化の質を高める観点も重要である。その際、教員が行うべき業務とそうでない業務を仕分けて、ICTの専門家や事務職員等の教員以外の者も含めて対応していくことが必要であると。
 また、その次の丸ですけれども、2行目ですが、中期的・段階的に目指すべき方向へ着実に進んでいくべきであるという中で、教育委員会が現状を踏まえて段階的に、これ、色んな事情がございますので、段階的にステップアップを目指すことができるような、そういうまとめにする必要があると、こういう御意見を付け加えております。
 1枚めくっていただいて、各論の短期の目標のところですけれども、校務の情報化の在り方を考える際、負担軽減、コストダウンの観点からクラウドの積極的な活用を推進すべきだと。その際、校務支援システムのフルクラウド化は有益な手段として検討されるべきであると。3つ目の矢印のところですけれども、教職員同士の連携という観点や保護者との連絡・情報交換の効率化の観点からもクラウドが望ましいんだと、こういう形で修正をしております。それから、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインについても、必要に応じて見直すべき。そして、クラウドサービスの活用は、大規模災害や感染症などの緊急時の業務の継続にも役立ち得ると。
 もう1枚めくっていただきまして、中期的・段階的に目指すべき方向性というところの最初の丸の中ほどですが、ネットワーク分離によるセキュリティ確保から、アクセス制御によるセキュリティ確保への転換を目指すとともに校務支援等のクラウド化を進めるべきであると。従前のガイドラインで示されてきたネットワーク分離によるセキュリティ確保、それからアクセス整備によるセキュリティ確保の相違点を明らかにした上で、最終的にはアクセス制御によるセキュリティの確保につなげていくことが重要である。こうした取組を進める際には、教育委員会間の連携協力も重要である。学習系ネットワークと校務系ネットワークを統合することで、教職員が1台の端末で校務・教務を処理できる環境を整備すれば、負担軽減のみならず、コスト面の合理化にも資すると、こういう御意見を付け加えております。
 またその次の丸で、学習系データと校務系データの連携を進めるべきであるという中で、これは1つ目ですけども、負担軽減はもとより効果的なデータの利活用にも資するという御意見。その2つ下、校務と教務のみならず、行政系データとの連携も整理が必要ではないか。これ、今日3社の御発表の中でも様々なダッシュボード的なものが色々入っておりましたけれども、行政系データとの連携も整理が必要ではないかというのを付け加えております。
 最後、各論のその他のところですけれども、学校段階の移行に伴うデータ連携、それから校務支援システム等の入替えに伴う円滑なデータ移行、こういったことを想定した標準化の推進、ノウハウを示していく必要性。それから3つ目の丸ですけども、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの普及啓発をしていくとともに、情報セキュリティの確保や個人情報保護の観点からも、クラウドサービスを活用しやすくなるような視点での改訂を、このガイドラインについても随時進めていくべきである。その際、校務で扱われるデータを整理・分類した上で、その内容の機微性は濃淡がありますけれども、セキュリティの観点からそれぞれのデータの取扱いを整理する必要がある。こういった内容を付け加えております。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 ただいまより、これについて皆様の御意見を色々いただきたいと思います。残り時間20分ほどになりますが、御意見、よろしくお願いします。
 ちょっと私のほうから付け足しておきますと、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインはもう随分改訂は進んでいるんだけども、そのとおりの形で各自治体設置者がそういうふうに対応できているというわけではない中での、校務支援システムベンダーさんの商売があるわけです。この辺り、そういう意味で今のところ分離している状況の中でどうするかという色んな御意見をいただきましたが、少し遠い目で見れば、ここはもう統合していくということを前提に議論できるかなと思っております。
 また、データを学校に問い合わせて出してもらうみたいな習慣も、いつでもデータが可視化されていれば、ダッシュボード化されていれば、それはできることなので、一部の方々に調査の負担がかかっているという井上委員の話もありましたけど、そういうことをできるだけ避けていきたいというふうに考えている。あるいは、匿名化して2次利用するデータが教育ビッグデータとして価値があるみたいな話も一方で出てきていますので、そういうものとこの校務のデータをどういうふうにしていくのかというような議論の論点もあろうかと思っております。
 是非皆さん、御意見をいただければと思います。また同じように挙手をいただきまして、御指名差し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、高橋座長代理お願いします。
【高橋(純)座長代理】  高橋でございます。よろしくお願いいたします。
 この論点整理に向けた検討資料について、具体的にここがということはないんですが、さらに強調していただきたいというか強調する必要があるんじゃないのかということでコメントさせていただきたいと思います。
 それは、総論の部分なんですけど、我々も含めて、もう少し高い視点に立つべきじゃないのかというふうに思っております。やはり、我が国は教育の情報化に限らず、デジタル化全体が遅れておりますので、民間とて決して世界から見れば進んでいるわけではないというふうに思います。
 現場の先生方のお話を聞いてシステムを構築していけば、当然、ますます世界と差がついていくばっかりですので、もう少し、何のために校務支援システムを入れていくのかということを考えていかなきゃいけないなと思っています。そのことは総論のところには、私は含まれていると思いますが、これまでやっているもののごく一部をデジタル化して、そして業務改善して少し楽になったという程度では非常に厳しいかなと思っています。
 実は、海外も当然校務のシステムがありまして、私がこの分野を志したときから、MS-DOSとかそういうベースで動いているものを英国で見ておりました。英国とかの校務支援システムのカタログを見る限り、非常に今日の議論は怪しい気がしますので、改めてそういうことも視野に、射程に入れながら、本質的なところから見直しを図っていくということが大事なんじゃないのかなというふうに思いました。
 私からは以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 水谷委員、お願いいたします。
【水谷委員】  水谷です。よろしくお願いをいたします。
 今の高橋委員の話につながる部分もあるのですが、これまでの我々が、我々というか学校側がやっていた業務を置き換えようとすると、何か今までの流れのとおりになっていってしまうわけで、先ほどお話があったような、本当にそれが必要なデータなのか、指導要録の様式は色々あり、みんな違っていて、本当に必要なデータは何だろうかという議論がされないままシステム化が進んでいって、結局、自分たちの首を絞めているような状況もあるということを伺いました。
 そこでやはりこの際、本当に必要データは何かということと、日々の業務の中でその頻度はどのぐらいあるのだろうか、機微な情報を扱って、それを大事にしなければいけないことはよく分かるのですが、そのことをシステム化したとして、それは年に何回使われるのでしょうか。最近GIGAでクラウドを使うようになって、なぜ便利になったと思うかというと、それは日々の本当にちょっとしたコミュニケーションが非常にやりやすくなったというところにあって、今便利になったという部分をまず短期的には狙って改善をしていくことのほうが大事ではないかと感じています。色々守るべきデータ、先のことはありますが、とりあえず、今、業務改善で負担軽減になって便利になるという部分をやっていかないと、結局使われないものになってしまうのではないかなということも思います。
 さらに、先ほどから入力するという話もありましたが、実は今GIGAになって、入力しなくても山のように溜まっている子供たちのデータがあるわけで、それをいかに見えるような形にするか。ですので、先ほどの通知表の話もありましたが、通知表で通知するのではなくて、子供の溜まっているデータを上手に見えるように、それをどのようにするかは、まだ自分には考えが無いのですが、これを上手に見えるようにして保護者に返していけば、もう学期に一度の通知表は必要が無いというようになると思います。今まで紙ベースでやってきたことを基にした校務支援システムではない考え方で進めていかないと、繰り返し同じことになっていくのではないかということを少し心配しながら、今日の議論を聞いておりました。
 まずは、もう1回繰り返しますが、最近便利になったと思う、その頻度の高い部分をきちんとシステムに入れていく、クラウドにしていくということから始めるのではないかということを思って、発言をさせていただきました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 この後、今井委員、妹尾委員、石井一二三委員の順番で参ります。
 今井委員、お願いします。
【今井委員】  今井です。よろしくお願いします。
 今、お見せくださった検討資料のところで一番私が気になったのは、せっかくデータとして持っているわけですから、データを処理するというところまで話を持っていかないといけないと思います。つまり、アナログデータをそのままデジタル化するのではなく、デジタル化することによって、先ほど水谷委員がおっしゃられたように、コンピュータだからこそすぐに可視化できる、あるいはコンピュータだからこそすぐに修正できる、そのデータはどのようなものなのかをまずは考えなければいけないと思います。何でもかんでもデータにするというのも、考え方としてはありかもしれませんが、それは校務の情報化の本質ではないと思います。校務を便利にしていくということは、例えば、毎年毎年依頼されるアンケートで、パラメータだけを少し変えればいいものはデジタル化にしておいたほうが楽とか、そういった、本来デジタルにすべきものは何なのか、それが学校の中でどのようなものがあるのかということをもう一度棚卸ししていかないと、本当の意味で、先ほど堀田座長が言われました将来に向けてのデジタル化というところの議論が充実していかないのではないのかなと思いました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。
 妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。3点ほど大きく申し上げたいと思います。
 1点目はそんな難しい話じゃなくて、今回はこの論点整理ということなので抽象度がある程度高くても結構かなと思うんですけれども、やはり僕も含めてなんですが、そんなに詳しくない人とかあるいは学校の先生方も、あまり抽象度高いとイメージがつかない。結局文科省や委員はしっかり考えているかもしれませんけれども、どんどん学校現場に近づくほど結局伝わってないという、コミュニケーションギャップが生じやすいので、例えばどういうことなのかとか、こんな先進事例があるよみたいな話はできれば、参考資料はつけられるんでしょうけど、本文の中でももうちょっと何かあったほうがいいのかなという、今後のアウトプットに向けてはそういうところを1つ注文として申し上げたいと思います。
 2点目なんですけれども、ちょっと僕もまだ十分整理できているわけじゃないですけれども、そのデータの様々な利活用といったときに、多分色んな種類があると思っていて、今3種類ぐらいちょっと思いついているんですけども。1つは、本当に自動化とか仕組み化がもっと進むみたいなところがあって、今日のお話にありましたけど、先生方が一々入力しなくたって勝手にダッシュボードで出てくるだとか、あるいはプロがしっかり分析をしてくれていいものが、学校側は読み取って活用していくほうに集中すればいいとか、そういう自動化とか仕組み化みたいな話が1つ。2つ目は、各学校だけじゃなくて色々な学校が使えるみたいな、広域的な利活用だとか。3つ目としては、学校間でデータが引き継がれて連携していくと、小・中・高と引き継がれるみたいな話も今日もありましたけど。ちょっと分かりません。これ以外もあるかもしれませんが、データの利活用といったときに色んな局面があると思うので、その辺りも整理しながら、例えばということも含め、できるといいかなと思います。
 といいますのは、多分少なくない小・中学校さんが、今、全国学力調査でさえ十分利活用できているのかって言われると、ちょっとかなり怪しいんじゃないかなと思っているので。正直この校務の情報化についても、まだまだ色んなところでもっと考えていかないといけないかなと思います。これが2点目です。
 3点目なんですけれども、この今回のまとめで、1ページ目で特に今の紙ベースの業務フローを見直せということも書いていただいているので、それは評価できるんですけれども。今日のお話も踏まえますともっと業務の標準化の話だとか、カスタマイズをどんどんしていくというのが今まではよかれと思ってやってきたし、地方分権の世界なので文科省さんもあまり強く言わなかったんですけれども、それが今、非常に邪魔になっているという部分がある。邪魔というかデメリットのほうが大きくなっているという部分があると思うので、そこはしっかり議論をされて、もっと国としてこういう方針でいくぞと、最低限の、カスタマイズを全部認めないというわけじゃないけど本当に最小限にしてほしいとか、こういうカスタマイズは認めないみたいな方針も、何かどこかで出るのか、あるいは別の会議で出していくのかということはあったほうがいいと思います。
 個人的な意見で、これは皆さんも賛否あると思いますけれども、指導要録だとか通知表は、僕もなぜ学校ごとにカスタマイズが必要なのか、必要性がほとんど分からないというか、別にそういうところで学校の独自性は要らなくて、学校行事だとか教育課程で独自性を発揮すればいいと思いますし。これは別の会議でしょうけど、指導要録だってほとんど、正直、学校現場から見ると、あまり引継ぎにも使えてないわけで、そういうことも含めて、本当に業務の在り方そのものとかをしっかり議論しないと、単なる電子化とかICTの活用と言ったって、まず、そもそも業務の必要性だとか帳票等の在り方をしっかり検討してほしいということを強調すべきではないでしょうかということです。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 石井委員、お願いします。
【石井委員】  石井です。よろしくお願いします。
 まず、総論のところをもう1回確認しました。出だしのところではGIGAスクール構想の下で、児童生徒の1人1台端末や学習系ネットワークが整備された今日の学校を前提とし、ということなので、やはり子供たちが1人1台端末を持っていて、学習系ネットワークを使ってどんなことをしているのか。また、今使っている校務支援システム、校務系との連携というところが一番重要になってくると考えています。
 まずGIGA端末を使って子供たちが自分たちの作品を作ったり自分の考えを書いている。それについて子供たちが振り返りを書いている。子供たちのデータは、クラウドの中に蓄積され、さらに今先生方がそれに対してのコメントを返したりしています。これが実は評価の1つの材料として使えているんですが、こちらは学習系ネットワークの中で使っている。そして、本当は今書いたコメントをそのまま校務支援システムのほうで使っていきたいけれども、すぐ使えないというところがあるため、連携する必要がある。また、今後もこのような内容がどんどん増えていくと思いますので、ここのスムーズな連携を図るためにやるべきことは何なのかというのをここの中に入れていきたいと思います。
 あと、紙からデジタルになって一番良かったと思われるものは、やはりアンケートです。保護者も学校側も紙からデジタルになるとすごく便利だという声を聞いています。また、お手紙等もデジタルで見ると、今まで白黒で何を印刷しているのか分からないような写真がしっかり見えるとか、欠席の電話等についても、コロナウイルスの感染が拡大している時期は、1時間以上待たないと学校に保護者が電話をできないとか、そういう状況から考えていったときに、やっぱり紙からデジタルになった方が便利だ、または効率化が図れるというところで、紙からの脱却という良さをある程度感じて進んでいるのではないかなと思いますので、学習系ネットワークと校務系ネットワークのデータの共有、また、保護者とのデータ共有も、うまく進められればいいなと思っております。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 挙手はここまでかと思いますが、ほかにどうしても御意見のある方、いらっしゃいますでしょうか。
 はい、小﨑委員、最後にお願いいたします。
【小﨑委員】  すいません。
 全体の感想としては、もう少し未来志向でもいいのかなという感じがしています。何かこれまでの今ある課題とか先に予想されているような課題にこうやったら対応できるよねということで、私も教員ですから、経験も当然大事だし、今までやってきたことが便利になったよね、良くなったよねということで、この先進んでいけるということは嬉しいんですけど、それはあくまでも現状のキープではないかと。これからの改善ということにはつながっていくんだけど、やっぱり教育というのはもう少し先を見ていかないと駄目だと思うのです。今の課題の解決にとどまっているというようなまとめ方になっていると感じます。もう少し、本来的にこうあるべきだよねとか、こういうことを目指すべきだよねとか、先生たちの仕事というのは、何かをこなしていくという仕事ではなくて、今無いものも含めて新たに生み出していくんだよということを感じられるような書きぶりにしたらどうかなと思いました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。たくさんの御意見をありがとうございました。
 私も一言だけ申し上げておくと、この資料5の総論の丸の1つ目の3つある項目の1番目に、教職員の負担軽減だけでなく、教育活動の充実や保護者とのコミュニケーションの活性化も強調と書いてあるんですね。そのとおりで、教育の情報化に関する手引にも、校務の情報化というのは当初から、校務の効率化で先生が楽になるという話だけではなく、教育の質の向上を目指すのだというふうになっています。というので、この2つ、特に先生を楽にするだけじゃないということがやたらと強調されてきた節があります。
 一方で、今は先生たちの働き方改革が十分に行われ切れずに、その結果、教育活動が充実しないとか、そういうことになっているんじゃないかと思います。保護者とのコミュニケーションは、学校が色んなこと、アンケートとかそういうのをデジタル化するだけで保護者とコミュニケーションが円滑になるし、保護者も楽になることを考えると、まず水谷委員のおっしゃった頻度の高いところ、あるいは石井委員のおっしゃったそういう保護者とのコミュニケーション、そういう辺りからデジタル化するというのが得策だと思います。が、その上でですけども、教育活動の充実のためにも、私としては、今の段階では教職員の負担を軽減するためには、校務のどこに一番負荷がかかっているかという働き方の観点からの資料と突き合わせてプライオリティを決めていくことも必要かと思います。
 そのことと、少し先の未来を見たときにデータの利活用ですね。このことは別の教育データの利活用の会議でも議論されていますし、ここの中にも重なっている委員の方もいらっしゃいますけれども。データをどう標準化するかという話は進んできたものの、それをどのように安全に受け渡せるかということについては、具体的な話になかなかなりにくいというところがあります。教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインについても随分改訂は着々と進んでいますけど、最終的には設置者は自治体のネットワークですので、そこに十分に介入できないという、ちょっと痛しかゆしの部分もあります。
 以上のようなことから、小﨑委員には手厳しく言っていただきましたが、今のところこうなんだけど、こっちに向かって行っているよというのを見せつつ、まず足元はこの辺、次は少し先にこの辺、将来的にあるべき形はこうだみたいなことを、グラデーションで見せていくという方法しかないのかなと思っております。その観点から言えば、今日の修正版は確かに、まだちょっと現実的過ぎて、あまり未来感がないものになっているのかもしれないなと思いました。
 ここから、ちょっと提案というか段取りの話をしますと、次回は中間まとめの案みたいなことを事務局に作っていただいて、それを基に議論ができればと思っています。皆さんからの御意見を今日もいただきましたが、もし足りない意見があればメール等でいただきまして、私と事務局でたたき台を準備させていただいて、次回、中間まとめの案として議論していただくと。
 そして、中間まとめはあくまで中間ですけど、私たちが今まで議論してきたこと、あるいはこれは中期的にはこうだとか長期的にはこうだみたいな話と、短期的にはまずここからやらなきゃいけないみたいなことを、切り分けて見せるようなことをまずいち早く社会に提示するという意味で、中間まとめはちゃんとまず出したいと思います。
 次回を踏まえても議論はまだ残ると思いますので、その部分については、また意見交換を重ねまして、最終まとめ、年末か年度末かと思いますけど、その頃の最終まとめにつなげてまいりたいというふうに思います。
 今日の議事はここまでなんですが、事務局から何かございますでしょうか。
【伊藤専門官】  本日はありがとうございました。
 次回、第6回の会議の日程に関しましては追って御連絡差し上げられればと思います。御多用のところ恐縮でございますけれども、また引き続きまして御協力のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日のGIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議はここまでといたします。皆様、御協力ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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