GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第4回)議事録

1.日時

令和4年5月24日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

Web会議による開催

3.議題

  1. 校務支援システムについて
  2. クラウドを利用した校務支援システムの活用事例について
  3. 論点整理について
  4. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

石井委員、石田委員、今井委員、小﨑委員、執行委員、妹尾委員、髙橋邦夫委員、高橋純座長代理、鶴田委員、中村めぐみ委員、中村義和委員、福原委員、藤村委員、堀田座長、水谷委員、山口委員、渡部委員

文部科学省

村尾 財務課長、板倉 学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、武藤 学校デジタル化プロジェクトチーム企画官、伊藤 学校デジタル化プロジェクトチーム専門官

オブザーバー

鳴門教育大学大学院 学校教育研究科 教授 教員養成DX推進機構長 ICT CONNECT21校務系ー学習系情報連携SWGリーダー藤村 裕一 委員、茨城県大子町教育委員会 指導主事 大森 和行 氏、茨城県大子町立南中学校長 益子 直之 氏、デジタル庁国民向けサービスグループ、文部科学省総合教育政策局教育DX推進室、文部科学省初等中等教育局財務課、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

6.議事録

GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第4回)

令和4年5月24日

 
 
【堀田座長】  皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただ今より「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」の第4回会議を開催いたします。
 前回に引き続き、今回もオンラインによる開催とし、事前に登録のあったメディアや一般の方々にも御覧頂いております。
 議事に入る前に、ウェブ会議の留意事項及び配付資料について、確認いたします。
 まず、発言の際は、これはいつものことですけど、挙手ボタンを御利用の上、お名前を冒頭におっしゃって頂きますようお願いいたします。発言時以外はミュートでお願いいたします。
 
 本日の資料は、資料1から資料4となっておりますので、もし不足しているもの等ありましたら、事務局にチャットか電話かで御連絡を頂ければ、すぐに対応するということになっております。
 本日の出欠ですが、井上委員と清野委員が御欠席でございます。
 本日の議題に入る前に大まかな流れを確認します。議事次第が手元にあろうかと思いますが、本日の議題は3つでございます。
 1つ目は、議題1、「校務支援システムについて」ということですが、これは藤村裕一委員より、校務支援システムの歴史や今後の在り方について、一番詳しいお立場で論点について御発表頂くということになります。20分ほど説明頂いて、その後また20分ほど意見交換をしたいと考えております。
 そこまで行きましたら続いて議題2です。「クラウドを利用した校務支援システムの活用事例について」ということで、こちらは、フルクラウド型の校務支援システムを導入されている茨城県大子町の教育委員会より15分ほどで御発表頂くということになっておりまして、その後に、同じく15分ほどの質疑を設けるという予定でございます。
 最後に議題3、「論点整理について」です。この会議、今回で第4回です。今まで3回いろんな議論がありまして、皆様からの御意見を頂戴しております。そろそろ中間まとめに向けて論点を整理する必要があろうかと思いまして、これまでの議論を踏まえて論点整理のための検討資料を事務局に作って頂いております。後ほど、これについて事務局より10分ほどで御説明を頂いた上で、それから30分ほどの時間が多分取れると思いますので、皆様でこの論点について意見交換をしていきたいと思います。そして、この論点整理をどんどん精緻化していくという形にしたいと思っておりますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 では、議題1に入りましょう。早速、藤村裕一委員より御発表をお願いいたします。
 藤村委員どうぞ。
【藤村発表者(委員)】  それでは、よろしくお願いいたします。
 それでは、私から校務支援システムの変遷・功績とGIGAスクール環境に対応した今後の校務支援システムの在り方ということで、幾つか論点をお話しさせて頂きたいと思っております。鳴門教育大学大学院で、教員養成DX推進機構長をしております藤村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日はICT CONNECT 21で、校務系学習系情報連携サブワーキングのリーダーもしている関係で、校務系と学習の連携に関する知見などについても少し触れさせて頂きたいと思います。
 まず、最初に校務の情報化の歴史的変遷とそれぞれの功罪ということで、何ができるようになって何が問題なのかということを少し振り返ってみたいと思います。
 左側にあります、およその普及時期ですけれども、これは地域や会社によってまちまちですし、更にシステムができてから普及するまでにタイムラグもありますので、単なる目途ぐらいのつもりで御覧頂ければと思います。
 一番最初に校務支援が始まったのが自作校務支援ソフトということで、BASICなどを活用して自分たち先生方が作ったソフトウェアですとか、それからエクセル等の表計算ソフト等を活用した校務ツールというものが最初に普及し始めました。この時でさえ十分に手書きとか手計算とかで大変だった成績処理等の業務が電子化で負担軽減されて、みんな助かるとかということでお互いにシェアされたりもしていました。ただ、この時の問題はノーセキュリティ、もう本当にファイルそのまま保存しているだけとか、そして取組もあくまでも個人単位という感じでした。
 それが1990年代頃から、市販の単機能の校務支援システムというものがたくさん出てまいりました。色々な成績処理のソフトですとか保健管理システムですとか、そういったものです。これは専門家の設計ですので非常に高機能化しましたし、また、高付加価値化、例えば成績で言えばレーダーチャートみたいなものが表示されたり、いろんな工夫がありました。ただ、この段階でもあくまでもそこにあるデータを保存し、その時に暗号化するとかといったところまでのセキュリティはありませんでしたし、また、この時点でも個人が購入して使うというような感じでした。
 それが2000年代になりまして、単機能から統合型校務支援システムということで、様々な学校で必要な校務の機能を統合して、しかもそれをサーバーで運用すると。これまではPCの中にインストールして運用するようなものでしたけども、サーバー運用に変わりました。これによって、あちこちで名簿を別途入れるんじゃなくて、一つの名簿で運用できましたし、機能連携で様々なことができるようになり、そしてこれまで以上に更に負担軽減もできました。何よりも大きいのは、ID・パスワードにより管理ができるようになったということです。ここで少しセキュリティが上がりました。導入も学校単位で導入することが増えてきましたので、みんなで同じように使えるという良さもありましたし、この頃から、通知表なども印刷するみたいなことが盛んになってまいりました。
 ただ、学校サーバーですので、大規模災害等には非常に弱いというような部分もございました。
 2010年代に入りまして、今度は統合型校務支援システムが教育委員会サーバー、プライベートクラウドみたいなものもありましたけれども、そういった教育委員会で全ての学校に使えるようにして提供すると。この時代の特徴は、校務系と学習系という2層分離や、そして、大分後になりますけれども、その後の3層分離みたいな分けて使うという考え方が始まった時代でもあります。
 教育委員会単位の導入でしたので、漏れなく皆さん使えるようになったということと、特徴は先ほど申し上げた校務系・学習系の分離です。単一回線で使うという非常に危険な状況にこの時代ありましたので、そういった意味ではセキュリティが大きく向上しました。
 そしてまた統合型になった上にグループウェア、皆さんの情報共有のシステムですとかホームページをワープロソフトのように簡単に作ることができるCMS、コンテンツマネジメントシステムが入っていたり、また、緊急連絡網システムがあったりとかということで、非常に便利に使われるようになってきました。グループウェアなどによって情報共有が大きく進みましたし、ペーパーレス化もどんどん行われるようになってきました。
 そして教育委員会によっては、初めてやったのは和歌山県教育委員会さんですけども、指導要録等も原本を電子化するということも始まりました。
 ただこの時代、様々な帳票をこの統合型校務支援システム外のものとの連携みたいなことをするために、USBメモリ等の使用を許可しているところが多かったために、その紛失ですとかによって情報漏えいが多発することになっていきました。
 そして2010年代の後半からは、統合型校務支援システムがクラウド、コミュニティクラウドやパブリッククラウドなど、一般のクラウドを利用して、広く運用していくようになりましたし、それから、スマートスクールシステム、これは後ほど触れていきますけれども、校務系と学習系の情報連携みたいなことも始まりました。
 また、一部の自治体では多要素認証、ID・パスワードだけでは危険ですので、顔認証ですとかUSBキーによるハードウェア認証ですとか、そういったことも行われるようになりましたし、テレワーク等も始まっていきました。
 これによって運用コストが低減されたり、大規模災害にも耐え得るデータセンターで運用していくということで強靱化が図られたりしました。これは2010年代の前半、2011年に起こった東日本大震災で、学校サーバーがみんなやられてしまった。そして紙だから大丈夫と思っていて、耐火金庫の中にあった指導要録や通知表等は、実は耐火金庫が津波に浮くために流されてしまって再現不能になったということもありましたので、それを踏まえると非常に安全になってきました。
 スマートスクールなどの校務系・学習系情報連携による個別最適な支援ですとか、学校経営改善、Evidence based school managementができるようにもなってきました。また、教育委員会のEBPMなんかも行われるようになりましたし、そしてワーク・ライフ・バランスの改善みたいなこともテレワークによってできました。一番大きな改善はセキュリティの向上だろうと思っています。大規模データセンターで運用することで、クラウド利用で非常に良くなったなと思っています。
 これは実は一般の方からは、かえって危ないんじゃないかという声も聞きますが、そういう方にはよく例え話として、タンス預金と銀行預金どちらが安心ですか、セキュリティのプロが24時間見守っている、そのほうが安心ですよねみたいな話もよく当時言われていました。
 ただ、この時は自治体間の格差が拡大していった時期でもあります。入っているところと入ってないところで大きく違いますし、どんなものが入っているかも違う。そして、学習系と校務系が3層分離、2層分離によってデータ連携が非常に困難であるという問題も顕在化してきたところです。
 これらを受けて、GIGAスクール構想に入ってきて、何が変わってきたのかなということについて少し考えていきたいと思います。
 GIGAという言葉ですが、単位のメガに次ぐギガみたいな、かけ言葉ではありますが、これに意味を込めてくださいました。Global and Innovation Gateway for All、つまりイノベーション、改革のため、全ての人の改革のための入り口ですよということです。これは非常にいいネーミングだなと私も感心しました。
 そして目指すところは、タブレットを使うのが目的でも何でもなくて、ICTを効果的にフル活用した教育改革をすることなんだということです。令和の日本型学校教育の理念として、一人一人の子供を主語にする学校教育という言葉なんかが言われました。とてもいいことだと私も思います。
 そしてまた昨年度には、日本政府の教育目標が一人一人のWell-beingとその総和としての社会全体のWell-beingと変わり、それを支えるものでもあると言われました。Well-beingというのはちょっと英語のままで恐縮ですが、幸福とかよりよい人間として生きようとする姿などの多様な意味があります。ですので、一語で日本語に翻訳できない、そのまま使っていますけども、やっぱり子供たちも含め一人一人のWell-beingが大事、そしてみんなのWell-beingも大事ということです。
 そのために現在学校現場では、GIGAスクール構想の下、児童生徒のWell-beingを目指して、変化が激しく予測困難な時代を明るく前向きで主体的・協働的・創造的に生きる強くしなやかな子供たち、そういうレジリエントな子供を育てるということ。
 そして、学力観としても知識・技能だけではなく、学びに向かう力や人間性、そして思考力・判断力・表現力等の学び方等も育てていくんだ、そして、授業観としては主体的・対話的で深い学び・個別最適な学びにいく。これは皆さん十分理解されていて、うまくいっているかなと思います。
 しかし、私はここで一つ落ちていないかなと危惧しています。それは何かというと、教職員のWell-beingということです。これはどういうことかと言いますと、まずは、一人の人間として教職員もWell-beingであるべきだと思うんです。ブラックな仕事だとかよく言われて、教員の成り手が減ってきています。それでは駄目だろうと思います。
 そこで校務支援システムを入れて負担軽減をして、それをフル活用して負担軽減し、それによってきつい仕事としての教員イメージを払拭して、教員の成り手をどんどん増やしていく、いい先生方にどんどん来て頂く。そして、例えば子供を保育園に迎えに行かなきゃならないとか介護しなきゃ、いろんな事情を抱えた方々もワーク・ライフ・バランスを改善して、人間性豊かな教職員になる。そして、そういうゆとりの中で初めてうまくいく部分というのはあるんだと思います。
 また、グループウェアなどを使ってコミュニケーションとか情報共有が随分うまくいくようになりました。それで同僚性が向上して、チーム学校として非常に動きやすくなったという話も聞きます。更に少ない負担で教育改革やったり、御自身の力量を向上させて、やりがいや働きがいも向上したりしていくと。
 そういう先生方がどんどんWell-beingになって、初めてこの子供の側のWell-beingを支え、強力に推進できるのではないかなということで、GIGAスクールでは、1人1台タブレットの子供側の活用だけじゃなく、是非とも教職員のWell-beingを目指した校務支援システムの活用ということもお考え頂きたいなと思っております。
 その背景にあるのは、2017年に文部科学省の財務課さんが行って頂いた教員勤務実態調査で当時出された時に大変話題になった、小学校の先生方の約3分の1、中学校の先生方の過半数が過労死ライン超えているという非常にショッキングなデータが出たんです。もう本当にこれで校務支援システムによる業務改善必要だとつくづく私も思いました。
 結果どうなったかといいますと、その翌年の平成29年から見ていきますと、当時まだ半分にも満たなかったものがどんどん整備が進んできて、令和3年の3月、この3月には73.5%まで普及してきました。
 しかし、これは普及してきたという意味ではいいんですが、まだ26.5%が未整備です。これは非常に大きな問題だと思っていますので、是非早急に100%にして頂きたいと思います。そしてまた物理的負担の軽減だけではなく、先生方は校務に非常に大きなストレスを感じていらっしゃいます。
 先生方というのは、子供に対しての仕事はあまりいとわない、そんなにストレスは感じない。私は一番ストレスを感じるのは保護者対応かなと思っていたんですが、実際調べてみたら校務処理でした。ですので、こういう校務処理みたいな事務処理に関しては、是非無駄をなくしてストレスを軽減してあげたいなと思います。ですから、負担感の軽減という部分が必要でもあるんです。
 そして、在り方として考えたいのは、教員の負担軽減方策です。これは物理的負担の軽減と精神的負担感の軽減の二手に分かれるかと思います。そしてここから先の話は、短期的に考えることと中長期的に考えることの二通りあると思っていまして、業務時間の短縮、これは効率化です。それには電子化による効率化と同時に業務の見直しが必須です。ただ電子化しただけでは駄目で、標準化したり要らない業務を廃止したりということも必要ですし、更に中長期的には業務負荷の分散という形で、チーム学校の実現のために情報共有や同僚性の向上のために活用するということ。
 そして、更に中長期的に負担感の軽減のためにストレス軽減として、自動化や容易化みたいなことや、それから、ベテランの先生が減っていて若い先生が増えているとかというので非常に負担を感じていらっしゃる方も思いますが、そういった方々にはグッドプラクティスを共有し、それを基にしてリコメンドを出していくなんていうことも大事だろうと思います。また、更にはワーク・ライフ・バランスを改善するためにテレワーク、リモートワークとも言いますけれども、そういったことも必要だろうと思います。
 このようなゼロトラストセキュリティとクラウドの利用によって場所を選ばない安全な業務ができるようにして、それを次世代の校務支援の在り方として御検討頂ければと思います。
 ここから後は、短期と中長期に分けて、少しお話をさせて頂きたいと思います。
 一つ気をつけなければいけないと考えていますのが、地方公共団体によって予算取る時、校務支援システム、予算つけてくださいという時に、よく言われるのが教員の負担軽減ですと言うんです。そうすると、財政部局から県費職員のためになぜ市町村が予算つけなきゃならない、そんなのおかしいだろうと言われて予算がつかないということがあります。
 そこで、実は教職員のWell-being実現のためなんですが、児童生徒のWell-being実現のためでもあるという説明のロジックが必要だと思っています。下にあります電子化による業務の効率化すると子供のための時間が増えますよ、そして、子供と向き合う時間が増えますよということです。それ以外に左にある情報連携による質的改善、業務連携の質的改善と、それから右側にある安全の確保、データを一元管理して強固に守っていく。それは当然緊急連絡網システムですとかそういうのも必要でしょう。既に幼児教育ではクラウドによる保護者との連絡システムみたいなのが一般化しています。それを小学校以上でも実現するといいと思っています。
 また、教員について言うと、子供に関する情報を共有して複数の目による教育を行ったり、教材・指導法を共有するということで、指導改善もできたりすると考えています。子供のための教育改善というロジックも是非つけてください。
 業務改善としては、これは札幌市の例ですが、ただ校務支援システム入れておしまいではないと考えています。校務支援システムの導入はスタートであると考えていまして、こちらの学校では会議場所を会議室から職員室へ移動し、職員朝会を全廃しました。小学校の場合、教室から職員室に来て戻るまで、移動に5分5分で10分、そして打合せに10分ということで合計1日20分浮いた。
 そして、職員会議もここの学校は普通に2、3時間職員会議やっていたんですが、60分限定で年4回にしたと言うんです。どうやったかというと、グループウェアで事前提案を共有しておいて、異議がある場合はそこに書き込んでもらう、そして異議があったものだけみんなで職員会議にて検討し、なかったものは了解したものとして通す、それによって合理化したんです。
 そして、緊急の場合には職員会議を20分、金曜日の放課後にやるみたいな感じで、そして、いろんな帳票や業務を見直した。校長先生のリーダーシップが非常に重要だと思いますし、うまくいっている地域の共通点は各職種別の部会を持っている点です。
 そうするとこれは大阪市のデータですけども、年間200時間以上時間が浮いたということです。直後には業務が増える、慣れるために負担が増えるということがあっても、長期的には減っていきます。そして減った時間はここにあるように、小中の教員とも授業準備、教材研究にかける時間を増やす、子供と触れ合う時間を増やす、そして小学校の先生方は子供やノートの作品を見る時間を増やす、中学校の先生は部活動指導の時間を増やすとかという方向に働いています。保護者もそういった子供に向き合う時間を増やすということについては、納得されて8割以上の方々が支持しています。
 また、過渡期ということで言いますと、校務系・学習系が分離していてもバーチャルデスクトップを使ったりして、顔認証も使いながら、愛媛県西条市のように家からでも安全に業務できるということも可能です。
 GIGAスクール構想のお話に行きますが、これ中長期的に言うと、これまでGIGAスクール構想前は職員室の校務系回線でしか使えなかったので、出欠情報とか成績とかも手書きして、職員室に戻ってから流し込むということをしていました。
 また、学習系でもいろんなドリルとか電子ドリルとかCBTとかあっても、校務系に流し込めないという問題がありましたが、スマートスクール実証事業、文部科学省で言うと次世代学校支援モデル構築事業、これは私どもが提案して、私の方がスマートスクール構想検討ワーキングの座長をさせて頂きましたが、これで初めて校務系・学習系情報連携できるようになりました。
 そこでその特定の学校だけで、GIGAスクール構想以降はこの校務系と学習系が連携すべきだと私は考えております。学習系システムの利用は飛躍的に増大しましたし、「発生源入力」が可能になりましたし、システム単位の管理からシステム間の情報連携に移行すべきだと。そのためには情報種、全体最適、セキュリティということを考えなきゃいけないですし、情報連携を前提とした新たな標準化も必要だと思います。
 そのために文部科学省はこういうデータ標準化も進めましたし、全体像をどうするかという全体最適も進めてきました。これからは中長期的に言うと、この校務系・学習系の情報連携、点線の部分の統合型校務支援システムは学習系から素点データが流れ込むとかスマートスクールにも流れ込むとかといった部分を実現して頂きたいと思います。
 発想としては、これまで校務系と学習系を分離していましたけど、ここにあるように子供たち向けの学習系はフロントエンド、校務系はバックエンドと考えて、ここにありますようにセキュア教育情報活用システム、SEIUSと言います。Secure Educational Information Utilizing Systemですけども、こんな発想で作って頂けるといいのかなと思っています。
 最後に論点についてお話しして終わりたいと思います。今後の校務支援システムの在り方ですけれども、短期、過渡期、中長期と分けますと、まず短期では1点目、働き方改革の観点で求められる在り方として、テレワーク(リモートワーク)対応とワーク・ライフ・バランスの改善ということがあるのかな。そして、業務の効率性の確保のために、1人1台端末でのセキュリティを担保し、校務系・学習系の両業務ができるようなことも検討して頂きたいと思います。
 また、過渡期にはオンプレミス/クラウドの棲み分けですね。オンプレミスがどうしても一部残る過渡期というのはあるかと思いますが、その時セキュリティ対策をどうするかということを御検討頂きたいと思います。
 また、ゼロトラストセキュリティの8重のセキュリティで、USBメモリ等による情報漏えいを根絶する、もうUSBメモリが必要ないという時代を作って頂きたい。そして大規模災害時にも学びを止めない「レジリエントスクール」を実現すると。全面クラウド化をして頂くと、今後予想される南海トラフ地震等が来ても大丈夫かと思います。可能であれば至急やって頂きたい。
 そして中長期では、校務系・学習系の情報連携を前提とした再設計をして頂きたいなと思っています。学習eポータル標準モデル・NGDLE、Next Generation Digital Learning Environmentですね。この校務分野に拡張していくと、そういう全てのものがつながるというものを作ってほしい。そして校務系・学習系情報連携の標準仕様も是非そのために策定して頂きたいと思います。
 最後です。4点目は、校務支援システムの今後の情報の取扱いは是非ここで御議論頂ければと思います。統合型校務支援システム、そしてスマートスクールシステムで扱う情報というのは一体何があるのか、それを特定して見直していくこと。各データの保存場所、パーソナルデータストアとかそういったものも含めて、セキュリティレベルの再検討を校務系、そして学習系も含めてやっていく必要があるだろう。そしてカスタマイズなしで、低コストで共同利用を実現するような業務・帳票の標準化の推進を是非して頂きたいと思います。また、カスタマイズが一番お金かかりますから、低コストで、一部の機能とか出力をカスタマイズできるようなツールも実装して頂きたい。もう実装している会社もありますけども、それを一般化してほしいということと、まず、そのためのインターフェースを標準化して情報提供頂ければと思います。
 私の方からは以上でございます。どうぞ御検討よろしくお願いいたします。
【堀田座長】  ありがとうございました。歴史的な観点から色々と我が国の校務の情報化の進み具合を整理して頂きまして、そして今後の課題についてもお示し頂いたところでございます。
 これについて皆様で15分ほど、お時間かけまして、話合いをしたいと思います。御発言のある方は挙手ボタンでお願いしたいと思います。
 最初に、挙手があるまでに私の方からちょっと藤村先生に御質問させて頂きますが、校務系と学習系の情報連携は今後必須になろうかと思いますけども、現状においてはこれを実現する時の幾つかの課題のようなものがあるかと思うんですが、先生の目から見るとどういうふうに整理されますでしょうか。
【藤村発表者(委員)】  1点目は、すぐにやろうとすると2層分離、3層分離ということで、校務系と学習系を分離しているところがまだ多いですから、その時には特定のデータを特定の方法で流すということが必要になって、そのために自治体ごとに中間サーバーを設置しなきゃならなくなるんです。これは結構コストもかかりますし、セキュリティの安全を担保するには確かに有効なんですけども、大変かなと。なので、これらのものを全自治体共同利用できるものを作るだとか、それからそもそもそこを省いてゼロトラストセキュリティのフルクラウドモデルで、安全に情報連携できるということを考えていく必要があるかなと思っております。
【堀田座長】  ありがとうございます。自治体間の情報のやり取りというのはもう難しさがすごい付きまとっているところかなと思います。ありがとうございます。
 では、挙手頂いた方々から順番に御指名してまいります。まず、今井委員、石井委員、妹尾委員の順番でいきます。今井委員、お願いします。
【今井委員】  藤村委員、ありがとうございました。
 委員にお伺いしたいのは、校務系と学習系のデータの連携という点をずっと終始、課題として挙げられていたと思います。このデータ連携に関して、今、委員が考えていらっしゃる、クリアしなければいけない課題というのはどこにあるのかというのを教えて頂けないでしょうか。よろしくお願いします。
【藤村発表者(委員)】  分かりました、ありがとうございます。
 実際にデータ連携する時に、連携させて有効なデータは何だろうかというのをまず特定する必要があると思っています。例えばスマートスクールの実証実験でやった大阪市などの例から言うと、まず保健室の利用記録だとか、こころの天気図、その日の心理状況だとかそういうのを校務系から持ってきて、学習系で成績の変化みたいなものと照らし合わせると、実はこれは背景に何かこの子は悩みを抱えているから、学習指導をどんなに頑張るより先にそっちを解決すべきだろうだとか、そういう有効なデータから何があるのかというのは、過去3年間の実証実験でかなり見えてきました。
 ですから、様々なドリルデータだけではなく、従来あまり教育そのものに使われてこなかった校務系のデータも実は非常に有効なんだということが見えてきましたので、それはまず特定するところからやっていかなきゃいけないと思います。
 2点目は、先ほども少し申し上げた情報連携の課題ですね。あくまでも分断した線が全く別物みたいな状態ですので、その時にどう連携するのかということですね。一番単純なのは、CSVで出力して移すというのは低コストでできるんですが、そんなことは非現実的だと思っています。
 リアルタイムで連携できるとかということでいいので、そうなると先ほど申し上げたような中間サーバーを置いて、例えば職員室に来た電話記録でさえも、欠席連絡でさえも教室に伝えられないという、先生が走って行って、何々君、休みだそうですとかって言わなきゃいけない。
 それも例えば職員室で受けた人が、そのまま校務支援システムで教室にいる先生に連絡できるとか、逆に出欠の記録も教室で出欠を取っているのに校務支援システムに入れないだとか、なのでそういったところも特定方法で特定のデータを整理して流したりしなきゃいけないということをどう解決するのかという課題が2点目にあると思います。
 ただし、それはゼロトラストセキュリティで、クラウドモデルにすれば一気に解消する部分でもありますので、それは是非、そっちを優先させて頂けるように国として方針を打ち出せればいいかなと思っている次第です。
 以上です。
【今井委員】  ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。石井委員、お願いします。
【石井委員】  ありがとうございます。先ほど藤村委員から御説明頂いたところ、まさに本市も、校務をクラウドにするかどうかという検討をしているところです。
 GIGAと同じように校務支援システムも先生方がお使いになると便利であること、そして共有することの良さというところに気づいてきております。ただ、GIGAの方は最初からクラウドで用意されており、校務支援の方はオンプレミスで用意されているというところで移行するためのコストであったりとか、セキュリティというところ、非常に問題であって、頭を抱えている状況であります。今回教えて頂いた大規模災害との関連であるとか、GIGAでの先生方の便利であるという感想等は一貫しておりますので、そちらの2つの視点を強く打ち出していくことで、校務のクラウド化に向けた情報化というのが進んでいくと考えます。今後私たちが考えていかなければいけないことというのは、GIGAの整備を通して学んだこと、また出欠アプリ等を全て連携させて、校務だけ、教育や授業で使っているものだけではなく、どちらのことも考えて、全体像を考えていく必要があると藤村委員のお話を聞いて新たに感じました。ご丁寧な説明、ありがとうございました。
【藤村発表者(委員)】  とんでもありません、おっしゃるとおり大規模災害のために絶対必要ですという自治体の中での予算取りみたいなものも、色々やっているところがありまして、高知県教委さんは南海トラフ地震、28メートルの津波みたいなことがあるので、そんな時の学びのためのいわゆるレジリエントスクールを今私たち一緒に考えているんですけども、レジリエントな子供とそれを守るレジリエントな学校、学びを止めない学校ということで、フルクラウドモデルというのが今後必要ですよということは強く言えるのかなと思いながらお話聞いていました。どうもありがとうございました。
【堀田座長】  妹尾委員、お願いします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。大変丁寧に教えて頂いて、3点ほどちょっと質問、お分かりになる範囲でお願いしたいんですけれども。1点目はあまり印象論で語ってもいけないんですが、校務支援システムを導入されたのはいいけど、あんまり楽になってないよという現場の声もたまに聞くこともあって、これはもちろんどういう業務についてそう言っているのかとか、そういう会社さんの性能とかにもよるとは思うんですけれども、あるいはそのネットワークの問題だったりとかいろんな問題があるので一概に十把一絡げには言えないと思うんですけれども、これは半分、文科省さんへの注文なんですが、校務支援システムの整備率、これはもちろん大事ですけれども、その活用の状況とかユーザーフレンドリーにどこまでなっているのかどうか、もっと調査研究する必要があるんじゃないかなと思います。既に何か研究等されているものがあれば教えてください。使い勝手がいいかどうかというのが1点目の質問です。
 あと、2点目は、カスタマイズなしでというところがクラウド利用ってすごく大事だし、コストメリットというのはよく分かるんですが、これも御案内のとおりですけど、本当に分権化されているよさでもあるんですけれども、本当にばらばらのところがあって、例えば卑近な例で言うと、通知表のフォーマットですら、同じ市の中でも学校ごとによって違うみたいなことがあって。それって学校の独自性要らないでしょうって文句言ったことあるんですけど。その業務の標準化とかBPRみたいなところを同時にやっぱりやっていかないと、どんどんカスタマイズできるよというのは本当に危険だなと思っていて、そういうところをどういうふうに本当に標準化とかBPRを進めていけばいいか、一言、二言でなかなか言えないと思いますけど、そこを是非また教えて頂ければなというのが2点目です。
 3点目はちょっと半分コメントになるんですけど、その校務の情報化なりその事務作業の軽減等で子供と向き合う時間が増えますねというのはいい点ももちろんあるんですけど、僕も注意しているんですけど、それ言い過ぎちゃうといつまでも多忙が解消しない、ワーク・ライフ・バランスよくならないんです。
 また、部活長くやったりとか、添削長くやっちゃったりする人もいて、それは先生の良さでもあるんですけど、だからちょっとその辺の時間の使い方とかまさにワーク・ライフ・バランスとか子供と向き合うばっかりじゃなくて、自分と向き合ってよ、という話をよくしているんですけど、ちょっとそういうところも含めてこの会議の文章とかになる時には要注意だなと思っているところです。すいません、長くなりました。
【藤村発表者(委員)】  そうですね、3点目は全く同感でして、先ほど教職員のWell-being大事でしょうと、それがあって初めて、子供たちのWell-beingを支えられる、全く同感です。ありがとうございます。
 1点目、2点目はお答えしたいと思います。まず1点目、使い勝手なんですが、これは会社によって違うとかというレベルもありますが、実は文部科学省の財務課さん、給与だとか教職員の労務管理をしていらっしゃる財務課さんの委託で研究した時に、実は同じシステムを入れても同じように使わないし、楽になり方が劇的に違うということが判明しました。これは何かと言うといろんなグッドプラクティス、こう使うと便利だよねみたいなのを共有しているところと、機能があるのにそれを十分使いこなしてなくて、昔風にやろうとして苦労していたりとかあります。
 その辺、先ほど札幌でBPRの例、校務支援システム入れてもそれだけで楽にならないと、これが入ったからこういう使い方すると、例えばさっきの職員会議を減らしていくためには事前に提案を共有して、そして意見を事前に書き込んでもらう。意見が一致したところはもう時間をかけないで、意見が異なるところだけ検討する、まさにBPRですよね。これの効果としては、非常に学校運営、民主的になったそうです。笑っちゃったんですけど、いつも職員会議が大きな声出す人の意見が通りがちだったのが、みんなの意見受けて、意思決定できるようになったって先生方も非常に評判よかったと、そういった点もある。
 だから、やはりどう使うのかという、先ほど業務の見直しとセットで考えないと駄目だし、そういう知恵を共有する。大阪市さんは非常に負担軽減されていますが、あれは知恵を共有する、お便りをどんどん発行しているんですね。そういったことを是非やって頂きたいと思います。
 2点目のカスタマイズは、おっしゃるとおり標準化すべきですけど、学校は通知表が全く違いますし、他にも色々あります。統一しちゃっても大丈夫なものと、通知表みたいに教育に直接関わるものはやはりカスタマイズが必要。ただ、それをプロに頼むと高いので、それで前に提案して作って頂いたのは、先生方がデータは共通なので、レイアウトだけ違うとかちょっと観点が違う程度なので、それはツールを実装すればコストをかけずにカスタマイズできるんです。非常に簡単にできちゃうというのをもう既に実装している会社もあります。
 ですから、そういったこともちょっと推奨していくと、カスタマイズのカスタマイズで基本いけるのかなと思っている次第です。
 以上でございます。
【妹尾委員】  ありがとうございます。
【堀田座長】  挙手頂いているのは以上ですが、他にありますか、よろしいでしょうか。山口委員、お願いします。
【山口委員】  全国特別支援学校長会から今回参加させてもらっています、大宮北特別支援学校の校長の山口と申します。
 今の御議論で「カスタマイズがどのくらいできるかどうかという、あまり何でもありになっちゃうのはよくない」というところは全くそうだと思うのですが、今、先生のお話にもあったように、特に特別支援学校の通知表ですとか、いろんな指導計画などは小中学校、高校というのは大きく違って、記述式がメインになっています。これはこれで特別支援学校として色々見直していかなくちゃいけない部分もあるのですが、今現在はとにかく小中学校とは大きく違う作りでできているので、国全体でこういうデザインをしていくという時に、「もうカスタマイズはできません」というメッセージではなくて、特別支援教育では特別支援教育として使えるように、そういう余地は是非残して頂くというか、特別支援教育の現場でもやりやすいような仕組みを入れて頂きたいと考えています。お願いいたします。
【藤村発表者(委員)】  ありがとうございます。実はこの校務支援システムの全国共通仕様を作っておりますのは、私が長らく主査やったりアドバイザーやっているAPPLICという、総務省さん主管で、そこに文部科学省さんもオブザーバーとして入っている組織がありまして、そこで標準仕様を決めています。
 そこでは、実は特別支援のための標準化というのもしていまして、それだけ切り分けて配慮して、今校長先生がおっしゃったようなことが実現できるように標準化もしておりますので、また、そのような点で御意見等頂戴できれば、僕は特別支援は本当にそういうものだということをとても大事にしたいと思います。
 特別支援の中での標準化を考えると、小中高を揃えちゃうとえらくきついんですけど、特別支援のそういう特殊事情に応じた仕様作りというのは、おっしゃるとおりとても大事だと思いますので、今後も大事にしていきたいと思います。御意見どうもありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。それでは、御意見頂きましたので、ここまでとさせて頂きたいと思います。
 文部科学省の方から板倉リーダーに一言お願いいたします。
【板倉リーダー】  ありがとうございます。文部科学省の板倉でございます。
 大変参考になる御意見をたくさん頂きまして、誠にありがとうございます。特に妹尾委員がおっしゃられた、どこまでを標準化し、どこまでをカスタマイズしていくかといった観点は、非常にこの話を考える上で大変大事だと思っています。また最後に特別支援教育の話を山口委員からもおっしゃって頂きましたが、恐らく一定程度整理をする必要が出てくるかと思っています。例えば学習であれば個別最適な学びということになりますので、その部分に対する考え方と校務のことに関してどう考えるかというのはまた整理をして分けて考える必要があるかと思っております。
 今、文部科学省の方としては、「StuDX Style」というページを出しているところでございますけども、その中でも、学習と校務両方の事例を出しております。例えば保護者との連絡をデジタル化していく、ですとか、あるいはその個人面談日程の調整をデジタル化していく、そういった事例でありますとか職員会議をある意味オンライン化してペーパーレスにしていくといったような形です。
 この手の話というのは恐らく従来型の仕事の仕方を前提として考えるのか、あるいはGIGAスクール構想の端末が入ったことで、その働き方そのものが変わっていく中で、そのGIGAスクール構想の端末も使いながらどう考えていくかということが出てくるので、恐らく校務支援システムの在り方というのも、GIGAスクール構想の端末が入った中でどう考えていくかということも一方で考えなければいけないのかなと考えております。
 ありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。皆さん御意見頂きまして、また、藤村委員からはかなり詳しく御説明頂きましたおかげで、大変知識が深まったかと思います。この専門家会議のタイトルは、「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」ですので、まさに今板倉リーダーがおっしゃったような形で進めてまいりたいと思います。
 藤村先生にも歴史的な変遷を御説明頂きましたけども、つまりクラウドになる前、あるいはGIGAスクール構想の前に検討された、その時は最適だと思われていた考え方と、技術が進んでいろんなことが便利になった今では、昔のやり方のままだとかえって働き方を束縛してしまう可能性があります。
 この校務支援システムについては、いろんなメーカーがクラウドを用いたいろんな便利ツールを作っていて、このことをこの専門家会議でも幾つか御紹介頂いているところでございますし、しかし、それが入ったからといってすぐに楽になるわけではないというのはまさに藤村委員おっしゃったように、これは運用問題で管理職等のマネジメントとか教育委員会があんまり締めつけないとかいろんな工夫の必要があろうかと思います。
 更にはデータの標準化の話が出ましたけども、どんなツールを使っていても、この形でこのデータとこのデータをちゃんと入れるということが決まっていないと、相互運用ができないということになります。幾つかのレイヤーでこうやって整理しないといけないということがまた改めて明らかになったところかなと思います。本当にありがとうございました。
 それでは、続きまして、次の議題2ですが、「クラウド化を利用した校務支援システムの活用事例」ということで、茨城県の大子町教育委員会より御発表を頂きたいと思います。大子町の先生方、お願いいたします。
【大森発表者】  ただ今から、茨城県大子町におけるクラウド型校務支援システムの導入について説明いたします。本日、本町から2名参加させて頂いております。私は、大子町教育委員会指導室指導主事の大森和行です。
【益子発表者】  大子町立南中学校校長の益子直之と申します。よろしくお願いします。
【大森発表者】  益子校長は、昨年度まで本町教育委員会指導室指導室長という立場で、クラウド型校務支援システムの導入に関わり、現在は町内中学校校長として、実際に活用しております。具体的な導入の経緯や実際の活用については、益子校長からお話をさせて頂きます。
 最初に私の方から、大子町の紹介をいたします。大子町は、茨城県の最北端に位置し、西は栃木県、北は福島県に接しています。山に囲まれた自然豊かな町で、人口は約1万6,000人、日本三大名瀑の一つである袋田の滝があり、多くの観光客が訪れます。
 学校は現在小学校6、中学校4、合計10校です。児童生徒数は約780人ですが、県内で最も少子高齢化が進み、年々児童生徒数は減少しています。小学校では6校中4校で複式学級がある状況です。こうした中、教育の力で町を変えていこうと、ICTを積極的に導入し、活用を進めております。
 平成30年度には、全国に先駆けて、Chromebookを各学校に1学級分導入しました。そして現在は、GIGAスクール構想による1人1台端末をフルに活用し、授業改善を進めております。なお、2校がGoogle for Education事例校の認定を受けております。
 それでは、クラウド型校務支援システムの詳細について、益子校長からお話をさせて頂きます。
【益子発表者】  ただいま御紹介を頂きました、大子町立南中学校、益子直之と申します。今年の3月まで大子町教育委員会指導室に在職しておりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、最初に大子町のICT環境について簡単に御説明いたします。こちらのスライドのようなネットワークの構造となっております。令和元年度までは、学校のインターネット接続は町のサーバーを通して接続されていましたが、令和2年度の途中からは、学校から直接インターネットへ接続するよう変更したことから、高速通信ができるようになりました。
 次に、大子町がクラウド型校務支援システムを導入するに当たっての経緯について、少しお話をさせて頂きます。私自身、平成12年度から断続的に大子町内の複数中学校3校に、合計12年間勤務させて頂きました。その時から校務支援システムは是非導入して頂きたいものでした。しかし、学校から要望を出しても、高額なことからなかなか導入されることはなく、せめて通知表だけは独自にデジタル化しようと思い、校内で使えるマクロを作成し、活用しておりました。町内の一部の先生方からは、校務支援システムについては手書きでも十分だよねといった声も聞こえておりました。
 そのような中、平成29年度にGoogle for Education Chromebookの導入が決まり、平成30年度からG-Suite、現在のGoogle Workspaceが稼働し始めました。Chromebookは1クラス分と少ないものの、同時に校内Wi-Fiも設置されたことから、クラウド化された教育環境での学習がスタートしました。
 令和元年度3月からは、コロナ禍のための臨時休校が実施され、大子町ではいち早くGoogle Workspaceを活用したオンライン学習を開始いたしました。これを機に、当時大子町教育委員会指導室に在職していた私は、GIGAスクール構想の実現と同時に、校務支援システムの導入を検討いたしました。
 校務支援システム導入の最も大きな壁は予算獲得でした。事前調査でもかなりの高額であることから、年度当初予算に計上することも難しい状況でした。しかし、色々と調べていくうちに、完全クラウド型だと大幅に経費が削減できることや、教職員の働き方改革にもつながることが分かり、教育委員会としてクラウド型校務支援システムを令和4年度から稼働させることを決定いたしました。
 これは高梨大子町長が示すビジョンの一つに、学校におけるICTの推進があったことも大きな後押しとなったことを感じています。大切なのは、クラウド型校務支援システムを導入するという意思を教育委員会として強く掲げ、財政当局をはじめ町長部局とも連携し、共有しながら進めていくことだと感じております。付け加えますと、現在は導入したばかりであることから、既存のファイルサーバーや共有ドライブを教師用端末で継続利用しております。
 本年度、大子町で導入した完全クラウド型校務支援システムは、モチベーションワークス株式会社が提供するBLENDです。入札で決定したことからも分かるように、最も安価な金額を提示された会社が提供するシステムです。スライドにも示されていますが、児童生徒数×単価というシンプルな料金体系であり、また、物理的サーバーを用意する必要がないため、トータルで金額が小さくなったと思われます。更に、教職員が日常的に使用しているブラウザで動作するため、特別なアプリケーションに依存することなく操作できる点も大きなポイントでした。小規模で財政的に厳しく、校務支援システムの導入を見合わせている自治体であっても、導入が可能になるシステムであると考えます。
 クラウド型の大きな強みの一つに、災害や緊急時の素早い対応があると考えています。クラウド型でありブラウザで動作することから、緊急時に学校に出勤しなくても、必要に応じて校長の判断の下、校務支援システムのアクセスが可能となっています。
 また、管理職が出張等で不在の場合、外出先から児童生徒の出欠状況や各種日誌などに目を通すことが可能です。更に、教員連絡ツールを使用することで、電話やメール等を使用することなく、セキュリティが保たれたシステム内で連絡調整をすることができます。
 しかし、裏を返せば、日常も自宅等でシステムにアクセスできる環境があるわけなので、勤務時間外の使用については適切な校長判断が必要です。決して仕事の持ち帰りを推奨するものであってはなりません。教職員のアクセスについては操作ログが残るため、管理職が適切に対応することができます。
 3.11東日本大震災や3年前の台風19号による水害被害、今日のコロナ禍対応であるなど、あらゆる緊急事態に備えていくことも重要なことであると考えます。
 校務支援システムは個人情報が多く登録されており、取扱いについては厳重な運用が必要です。特に校外からのアクセスについては、機能別に権限を付与することが重要だと感じています。例1にあるように、情報分類1に当たる内容が多い保健関係については、保健室からのアクセスに限定し、新規アクセスに対しては2段階認証を採用しています。
 また、例3にあるように、通常は「校内のみ利用」の機能を緊急時には自宅で使用できるよう、アクセス権を変更することも可能です。いずれも文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」におけるアクセス制御の考え方に基づき、アカウントや場所による認証などを実施していくことが必要です。
 これは児童生徒の出欠を確認するイメージ図です。紙媒体の出席簿を利用している時は、教室に登校した児童生徒を確認しますが、欠席については、事前に連絡を受けている場合を除き、教室で欠席理由を確認することはできませんでした。
 しかし、教員用Chromebookを教室に持っていくことにより、リアルタイムに出欠を入力することができ、更に保護者からの欠席の連絡を受けることもできます。これまでは保護者が学校へ電話をし、欠席の連絡や理由を職員室にいる職員へ口頭で連絡をしていました。このシステムを利用することにより、教室にいながら確認することができるわけです。もちろん、放課後に担任からの電話等での確認は欠かせません。
 これは先ほど触れた保護者からの欠席連絡に加え、遅刻連絡や体温報告などの健康調査結果についてアプリを使って学校へ連絡するイメージ図です。保護者がBLENDアプリを使用し、学校へ欠席等の内容を入力することで、該当の教職員端末へ通知が行きます。担任や学年担当職員等、閲覧の権限を与えられた職員がこの連絡に対応することで、保護者が無事に学校に連絡がついたことを確認できます。同時にこの内容は出席簿に反映され、新たに指摘する必要はありません。
 これは、学校で作成している各種日誌関係の管理、相互閲覧についてのイメージ図です。学校には多くの日誌や諸表簿がありますが、大子町では、日常的に作成したり相互閲覧をしたりする日誌をクラウド化し、一元管理できるようにしました。アクセス権も厳密に管理し、校長が許可すれば外部からの端末からもアクセスできるようになっています。
 校務支援システムが、教職員の負担軽減につながることは既に周知のとおりです。私はこれをクラウド化することにより、劇的に働き方改革が進んでいくのではないかと期待しています。職員室に縛られない校務遂行体制の構築や保護者とのスムーズな情報共有、情報の一元管理と教職員、児童生徒、保護者アカウントの共存、ペーパーレス化の推進など、可視化できる理由は幾つもあります。
 負担軽減のための業務の見直しを行う中で、どうしても外せない手続等はあると思います。これがクラウド化されたシステムにより、少ない手順で、より短時間に行うことができるようになることが重要だと思います。この小さな積み重ねを増やすことこそ、働き方改革の推進につながるものと信じております。更に強靱なセキュリティやデータや紙媒体の資料を持ち歩かなくても良いという安心感など、メンタルな部分のゆとりができることも大きな効果であると感じています。
 大子町は、クラウド型校務支援システムをこの4月に導入したばかりです。様式の微調整や操作慣れなど、まだ十分に活用している状況にはありません。しかし、この5月、既にこんなこともできるんだ、いやあ、これは便利だねといった先生方の声も聞こえてきています。大子町では、Google Workspaceの上位プランであるEducation Plusを今年度導入いたしました。Google Workspace for Education PlusのQuery機能によって、子供たちの学習過程、成果を分析し、これまでに見えなかった児童生徒の努力を可視化し、3観点評価に生かしていきたいと考えています。
 更に、これまで別々に稼働しているAI教材などとの連携や新たな校務系データとの連携についても、今後、検討していきたいと考えています。連携が進むということは、リスクも増えると考えることができます。リスクマネジメントの視点を持ちながら、これまでの固定概念にとらわれず、歩みを止めず、次のステップを見据えて努力していきたいと思います。そして、教職員はもちろん、児童生徒や保護者もうれしいクラウド活用で、一人一人に寄り添う学校運営を進化させていきたいと思います。
 私からの発表は以上です。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。
【大森発表者】  以上で、大子町の方からは終わります。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。今、お二人の大子町教育委員会、元教育委員会の先生も含めて御発表頂きまして、非常に便利になりつつあるというお話だったかと思います。この後、委員の皆様の感想、御意見、あるいは質問等をとりたいと思いますので、是非挙手ボタンを押して頂ければと思います。お考えの間に私から1つ質問というか、意見というかですが、児童生徒の出欠確認というのは、公簿である出席簿に書かなきゃいけないということもそうですけども、そもそも安全管理とか、災害時のこと等も考えると非常に重要ですし、あるいは休みがちとか遅刻がちみたいなことが及ぼす色々な影響がございますので、様々な観点からこれを正確に把握する、リアルタイムに把握する、あと、保護者と連絡がつくということは非常に重要かと思いますが、今までは人が動いてやっていた部分があったかと思いますし、回線数の少ない電話でやっていた部分もあったかと思います。
 これは、このシステムが入って、保護者側から何か声は届いているでしょうか。先生方は便利になったと言っているという話は先ほどありましたけど、保護者の声がもし聞こえておりましたら、益子先生、何かありますでしょうか。
【益子発表者】  実は本校では、これから各1件1件のQRコードを発行して、保護者登録を進めていくところですが、既に小さい学校では稼働している学校もございます。まだ直接、保護者の方からの生の声というのは届いてはおりませんが、いかんせん保護者からの欠席連絡等が便利であると、まず、先生方は間違いなく実感をしているところです。更に、職員室ではなく直接教室にデバイスを持っている先生が、すぐ保護者からの入力が確認できる、これは今、御指摘があったように、まさに子供の安全安心をリアルタイムで確認するためにはとても便利なところです。
 今後、我々は保護者の意見をきちんと汲み取って、実際これにどれぐらい保護者がいいと思っているかどうか、これを検証していくことも重要なところだと思っておりますが、現在、生の声はまだ届いていない状況です。今後、しっかり見極めていきたいと思います。ありがとうございます。
【堀田座長】  分かりました。大変今後期待しておりますので、また、是非教えてください。
 では、今4人挙がっていますので、少なくともこの4人にはお話し頂こうと思います。福原委員、鶴田委員、執行委員、水谷委員、いずれも現場の先生ですが、この4人にはお話し頂こうと思います。まず、福原委員お願いいたします。
【福原委員】  こんにちは。よろしくお願いします。
【堀田座長】  お願いします。
【福原委員】  すばらしい取組だと思って聞かせて頂きました。質問させて頂きたいことが1点あります。クラウド化されているところは、インターネットでつながっていますので、先生方のメールの機能が使用可能であると思います。メール機能が利用できると、情報が添付ファイル等で外部に出てしまうということがあるのではないかと考えます。この点は全てのログを記録しているということで制御されているのか、情報漏えいに関しては、どのように制御されているのか教えてください。よろしくお願いします。
【堀田座長】  お願いいたします。
【益子発表者】  ただいまの質問にお答えしたいと思います。まず、先生方は大子町教育委員会が付与するGoogleのメールアカウントを全員持っております。そのGoogleメールアカウントでBLENDにもログインすることにより、Googleと、それからBLENDのセキュリティ、そういったものが私は担保されていると思っております。
 また、Googleのメールについては、先生方についても、それから教育委員会から発行されているものでございますので、これについては、あくまでも学校の校務に使用するアドレスというところで、先生方にお願いしているところでございます。セキュリティについては、メールに添付したり、学校間でのやり取りということにほとんど使うことはございません。というのは、今のところ、各学校のデータのほうは、メールサーバー、ファイルサーバー共有システムをまだ稼働しておりますので、現在それを使っているところですが、メールについては、今後、クラウドのほうに全て移行していくことになるかと感じております。
 いずれにしても、Googleアカウントのアドレス、教育委員会が使用を勧めているアドレスによってのメール使用ということになっておりますので、セキュリティは担保されているものと考えております。
 以上でございます。
【福原委員】  ありがとうございます。他のメールアドレスというのはもう使えないような形になっていると考えていいんでしょうか。例えば校長先生が、学校が許可した端末でアクセスができるとお聞きしたんですけども、そういった端末は個人の端末だったりした場合には、メールアドレス、メーラーが他に動いていて、アクセスしたデータをそちらのメーラーで外部に送信してしまうということがあるのじゃないかという危惧があるんですが、そこはいかがでしょうか。
【益子発表者】  それについては、複数のメールアドレスは、多分多くの職員が持っているんじゃないかと感じております。実際に使うデバイスについても、教員用のChromebookを推奨しているところでございます。それ以外に、学校の校務で使うメールアドレスは、実は茨城県の教育情報ネットワークというところで一人一人、メールアドレスが県のほうから付与されているものがございますが、それはまた別のシステムで動いているところなので、先生方が個人で使っているアドレスと、今回のGoogleアドレスとの協働については、学校の校務の中では、そういった、そこからの情報が流れるということは、教員用のChromebookを使っている上では、今のところ、ないのではないかと考えているところです。
 以上です。
【福原委員】  ありがとうございました。物理的にそういうのができないという設定になっていると、分かりました。どうもありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。鶴田委員、お願いいたします。
【鶴田委員】  すいません。失礼いたします。ものすごく勉強になりました。感想を1つと、質問を2つさせてください。
 まず、感想ですけども、クラウドといっても、ネットワークで制御したクラウドを活用、いわゆるVPNのようなものを引いて、パブリッククラウドに接続するような形式ですと、いわゆる学校の中の、学校に行かないとアクセスできないので、例えば、自宅で何かをするであるとか、学校以外の場所でアクセスするということができなくなるので、同じクラウドといってもかなり違うというような印象を受けました。
 2つお伺いしたいんですが、今回、先生方が、校務支援システムにアクセスする制御というのが、アカウントとそれから2要素でやるというのを、権限によって変えるということだったんですけれども、これは端末でも制御されるのか、つまり、例えば家庭で個人が持っている端末なんかでもアクセスできるのかというのが1点お伺いしたいことです。
 もう一つは、統合型校務支援システムでそれぞれのデータを一旦、エクセルやCSVで吐き出すみたいな機能があると思うんですけど、危惧されるのがインターネット上にアクセスしてブラウザの中で見ているんだけれども、そのデータをダウンロードできちゃうと端末にデータが残っちゃう。そういったところというのは、何か制御されるような仕組みというのがあるのか、その2点をお伺いしたいです。
 以上です。
【堀田座長】  ちょっと細かい機能の話になりますが、益子先生、大丈夫でしょうか。
【益子発表者】  私の分かる範囲でお答えさせて頂くということで御了承頂けるとありがたいと思います。
 まず、個人のデバイスといいますか、自宅での制御については、基本的には教員用のChromebookの活用を強く委員会として推奨しております。まず、それを使って、こちらのシステムにアクセスしてもらうことが大前提ということになります。しかし、災害時、緊急時はそういう場合ではございません。家庭のデバイスからもアクセスができるように、権限の変更というのは考えていかなければいけないところです。
 そこで最も大事なことは、例えば、家庭用デバイスからアクセスした場合であっても、例えば、データのダウンロードをローカルに落とさないようにすること。家庭用のサーバー、ハードディスクであるとか、あるいはNASであったりとか、そういったところに一切落とすことなく、あくまでも校務支援システム上にアクセスをして、そこで加工して、ダウンロードの機能を使わないということが最も大事なことじゃないかと思います。
 しかし、これは本当に有事の場合に限りというところが私は前提かと思います。それは、こういったデータの秘匿性であったり、あるいはセキュリティの問題であるだけでなく災害時だけということと、もう一つは、先ほど申したとおり、うちで幾らでもできるようになると、本当に働き方改革と逆行する部分も出てくるかと思いますので、極力、勤務時間内に、学校の職員室以外の例えば特別教室であるとか、授業室であるとか、そういったところでの活用を第一に進めていきたいと考えているところです。
 今ので2つ、もし含まれているようであれば、お願いできたらと思うんですが、回答になっているでしょうか。よろしくお願います。
【鶴田委員】  大変勉強になりました。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。執行委員、お願いいたします。
【執行委員】  よろしくお願いします。
【堀田座長】  お願いします。
【執行委員】  今日はありがとうございました。益子先生のお話を聞いて、まだ校務支援システムを導入するまでに、大変御苦労されていた点ですとか、導入までのプロセスについてもお話し頂いたので、私は全国の小学校長会の代表でもあるんですが、他県と情報交換している中で、まだ校務支援システムが導入されていなくて、どのように進めたらいいのか、なんていう話をされている方もいたので、非常にそういった方たちにも参考になるのかと思って、質問させて頂きたいと思います。
 室長先生でいらっしゃった時に、私もその経験があるんですけど、財政当局に必要性を訴えていくところで、時間も非常にかかったでしょうし、校務支援システムを導入するまでの苦労の中で、その辺はどのように計画的に進めて、なおかつ、最終の決めのワードといいますか、導入を決めるに至ったところの簡単で結構ですので、ほかの県等に参考になる何かキーワードがあれば教えてください。お願いします。
【堀田座長】  お願いします。
【益子発表者】  ありがとうございます。まさに、そこが一番私も苦労したところでございます。私の発表の中にもございましたが、大子町は財政的には決して余裕がある自治体ではございません。もうここ十数年、20年ぐらい、校務支援システムのような高額なものは縁遠いだろうと、先生方も実は正直、諦めていたところがございます。しかし、私の発表の中にもありましたが、大子町長が学校のICTの推進を非常に強く押し出してくれているというところは、一番の大きな柱立てだったかと思います。もう強く、町長からも背中を押されて頂いた気持ちはございました。
 更に、なぜ校務支援システムが必要かということについては、当然もう先生方が便利になるということもあるんですが、紙媒体での記録ということからの脱却が、徐々に社会的に移行していく中で、大子町でも町長さんの方から、是非そういったことも今後、ICTの推進と同時に進めていったらどうだろうというお話もございました。GIGAスクール構想で、実は大子町は平成29年度に予算を計上し、予算をとって30年度にChromebookと、校内Wi-Fiを敷いたという経緯があったところから、そういった話合いの中で、財政課長、あるいは財政当局との情報の共有は本当に大事だと感じたところです。一番は、最終的には子供たちのためです。もうこの一言に尽きます。大子町は少子高齢化が進む中で、本当に子供たちの数が激減している中です。子供たち一人一人のために何ができるかということを町部局もたくさん案を出して、それについて町の施策として進めていく中で、こういった校務支援システムで、学校の中がどんどんICT化され、可視化され、データがデジタル化され、そういったことに進むことが子供たちのためになっていくんだということをきちんと説明をして、理解を頂いたということが、話は一番強かったんじゃないかと、そのように感じます。
 それから、教育委員会の中での、教育長をはじめ、教育委員会の管理職の中でも、これを進めていこうと、私1人が言っているのではなく、教育委員会全体で町長部局、町部局ともきちんと話ができたということも、とても大事なことだと思います。
 以上でございます。
【執行委員】  ありがとうございます。働き方改革のことだけで言うと、どうしてもそこで学校教員以外にも、長時間働いていて非常に苦労している人がいるじゃないかと、色々なことをおっしゃる方もいるので、未来を生きる子供たちが既にデジタル社会の中で生きているのに、学校だけが非常に遅れているというところで、どのように財政当局に説得しながら進めて頂いていたのかというのを関心もありましたので、お伺いしました。また、参考になりました。関係者には情報共有を今後もしていきたいと思います。ありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。水谷委員、お願いします。
【水谷委員】  お願いいたします。早くからGoogle Workspaceを使われて、要するに、我々と反対でクラウドをずっと使ってきたところに校務支援が入ってきたということで、自分たちのところとは反対の歩みをされたということですが、ずっと早くからクラウドサービスを使ってみえて、そこで色々な情報共有や共同作業をされてきた上で、クラウド型の校務支援を導入されたことについて、先生方の反応で使い分けの面などについて、お聞きします。自分たちの所では、使い分けのことを色々質問されたり、使いにくいと言われたりしているのですが、クラウドを使ってきて、そこにクラウド型の校務支援システムが入ってきたことで、どのように先生たちが反応してみえるかや使い分けのことについて、さらに最後のページにあった学習系のクラウドサービスと校務系のデータ連携ということにもつながっていると思うのですが、先生たちはどのような反応してみえるかといった点について少しお聞かせ頂けるとありがたいです。
 以上です。
【堀田座長】  お願いします。
【益子発表者】  ありがとうございます。実際、御指摘のとおり、かなり早い時期からChromebookを導入し、当時のG Suiteを使って、子供たちの授業の中でクラスルームであるとか、Jamボードだとか、そういったものを使っての授業の支援をしていたということは、今回のクラウド型の校務支援システム入れるに当たっては、とても私はプラスになったんじゃないかと感じております。
 当初、Googleのシステム、それからChromebookを導入するに当たっては、ほかに選択肢が実はたくさんございました。その中で平成29年度に、30年度当初予算でこれを計上するまでに、色々なメリット、デメリットを考えて、最終的にGoogleを大子町は選択をいたしました。
 それがまず、今回、大きな成功を得ているというところと、もう一つは、クラウドでやるということ、もう既に実は先生方は、平成30年度に学校外のところで、例えばデバイスを持ち出して、子供たちが撮った動画をクラスルームで共有して、総合的な学習の時間の発表に使うとか、もう非常にそういった具体的に手慣れた活動がもう既にできている状況で、今回、クラウド型の校務支援システムが入ったということは、非常になじみが早かったというところは、僅かまだ1か月少々の中ですが、先生方からの意見でした。
 ブラウザで動作するとか、あるいは、ウェブ上で全て完結するとか、そういったものについては、先生方の抵抗は、もしかしたら少なかったんじゃないかと思います。ただ、今後、色々な機能、まだまだ操作慣れができていないところ、あるいは、これから拡充されていく、そういった中身の新しいシステムなどもこれから出てくるのではないかと思っているところですが、そういったものについても、多分先生方は非常に取っつきやすく、ウェブでささっと直感で活用できるように、私はなるんじゃないかと。この何年間かの先生方のクラウドのシステムを使う姿を見ていて、今そのように考えております。
 また、それに応えるように、学校、それから管理職、教育委員会の方も進めていくことが私は大事じゃないかと考えています。
 以上です。
【水谷委員】  ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 それでは、ここまでとさせて頂きたいと思います。大子町教育委員会からのお話を頂きまして、フルクラウドによるコストダウンとか、かなり合理的に進むということが分かりましたし、多分恐らくこれから色々なものがサブスク化していくことを考えると、こういうビジネスモデルに対応できるように、柔軟に少しずつ変えていく必要があるのかと思ったということと、もう一つは、先生方がクラウドに慣れるということが、その後、学習指導等にも影響があるという話を聞いて、なるほどと思ったところでございます。
 ここまでが事例の報告でございました。
 続いて、議題3に残り時間をかけたいと思います。議題の3は論点整理についてでございます。論点整理というのは、いずれ私どもの専門家会議からの何らかの報告書、まとめにつなげていくものですけども、今まで皆さんから頂いていたたくさんの御意見を、論点ごとに事務局が整理し始めているというところでございます。今までお話が出てきたことを色々振り返ってみますと、校務、あるいは校務を取り巻く現状、働き方改革のこと、そういう話もありましたし、幾つかの事例の紹介もありましたし、クラウドサービスで比較的、会社が新しいビジネスイメージでやっている、そういうものもありました。
 一方で、またセキュリティのガイドラインの、これからどのように変わっていくべきかみたいな話もありました。今日は校務支援システムなるものの歴史的な系譜とか、今後の展望について、藤村委員から御説明頂きましたし、フルクラウド型にすると、このぐらい便利だというお話、まだ途中でしたけども、そういうお話を頂いたところでございます。
 私、座長としては、中間まとめをいつかしなきゃいけないわけで、それに向けた議論の整理をそろそろし始めていかないといけないことかと思っております。そこで、論点整理に向けた検討のたたき台のようなものを今、資料化して頂いたところでございます。ですので、今から御説明頂く資料4は、今後、論点整理をして、中間まとめ、いずれ最終まとめにつながっていくためのかなりコアになるような要素を整理して頂いているところでございます。まず、これについて、事務局より御説明頂いた上で、残っている時間で皆様から御意見を頂きたいと思っております。
 では、資料4につきまして、板倉リーダー、御説明をお願いいたします。
【板倉リーダー】  ありがとうございます。文部科学省の板倉でございます。
 資料4、GIGAスクール構想の下での校務の情報化に係る論点整理に向けた検討資料について御説明申し上げます。この資料でございますが、まず、総論、各論、短期的に目指すべき目標、各論、中期的・段階的に目指すべき方向性、各論、その他という4構成で作ってございます。
 まず、総論でございますが、GIGAスクール構想の下で、児童生徒の1人1台端末や学習系ネットワーク等が整備された今日の学校を前提とし、校務の情報化については、短期的に目指すべき目標と併せ、中期的・段階的に目指すべき方向性を示すような取りまとめを出してはどうか。校務の情報化が短期的に目指すべき目標においては、学校の教職員のみならず、教育委員会職員や保護者等の関係者の負担軽減を目指すことが望ましいのではないか。校務の情報化が、中期的・段階的に見直すべき方向性においては、学習系データと校務系データの連携の観点や、既存の紙ベースの業務フローの見直しを含むデジタル化の質を高める観点も重要ではないか。それぞれの地域は、その地域を取り巻く環境や首長部局も含めたICT化の状況、既存の業務システムやネットワーク構成など、地域ごとに異なる実情も踏まえつつも、中期的・段階的に目指すべき方向へ着実に進んでいくべきではないかとしてございます。
 次に、各論でございますけれども、まず、各論の短期的に目指すべき目標におきましては、関係者の方々の共通理解を得て頂く、進んでいくということを実感して頂くことという観点から、教職員の負担軽減の観点や保護者等との業務の効率化ということも加えさせて頂いているところでございます。
 まず、教職員の負担軽減の観点からでございますけれども、校務の情報化の在り方を考える際は、クラウドサービスの活用を検討することが望ましいのではないか。当面オンプレミス型の校務支援システムを活用する場合であっても、できるところから効率化するため、汎用的なクラウドサービスの活用を検討することが望ましいのではないか。クラウドサービスの活用は、大規模災害や感染症による緊急時における業務の継続性確保にも役立ち得るのではないか。授業等で活用している汎用的なクラウドサービスを活用した校務処理経験の蓄積は授業等におけるクラウドサービスの活用にもよい影響を及ぼし得るのではないか。保護者等との連絡情報交換に関する業務の効率化においても、クラウドサービスの活用を検討することが望ましいのではないか。以上の観点から、業務の効率化を進める上では、既存の校務支援システムで処理すべき校務と汎用的なクラウドサービスを活用すれば足りる校務を分けて考えることが適切ではないか。クラウドサービスの活用に当たっては、例えば、適切なセキュリティが確保されているサービスを利用するなど、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを踏まえて進めるべきではないかとしてございます。
 そして、続いて、各論の中期的・段階的に目指すべき方向性でございます。こちらに関しましては、既にお示しさせて頂いています、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの中で、ネットワーク分離によるセキュリティ確保からアクセス制御によるセキュリティの確保への転換を目指すとともに、校務支援等のクラウド化を進めるべきではないかとしています。アクセス制御への転換や校務支援等のクラウド化は、できるところから少しずつ変えていくという姿勢が重要ではないか。1人1台端末により得られた学習系データと校務系データの連携を進めるべきではないか。学習系データと校務系データのスムーズな連携は、教職員等の負担軽減につながるのではないか。家庭や学習の状況と組み合わせた分析や学校段階をまたぐデータ連携は教育の質の向上にもつながるのではないか。行政系データとの連携も整理が必要ではないか。データの取扱いに関するルールの検討も必要ではないか。クラウド上での個人情報の取扱いについて、個人情報の保護に関する制度改正も踏まえた対応が必要ではないか。
 各論、その他でございます。学習系データと校務系データの連携を想定した標準化等も含め、校務の情報化において、様々な観点を考慮したモデルを研究開発する必要があるのではないか。教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを教育委員会等へ周知普及、啓発していくとともに、クラウドサービスをより活躍しやすくする観点での改訂を随時進めていくべきではないかとさせて頂いてございます。
 よろしくお願いいたします。
【堀田座長】  御説明ありがとうございました。資料4につきまして、お話を頂きました。この後、委員の皆様から自由に御意見を頂きたいと思っております。
 資料4は、何とかではないかと書いてあるというのは、これは論点ですので、そう書いてあるわけですけど、それについて議論したところ、現状においては、ここまで私たちとしては明確な方針が出ていると書いたり、あるいはこういうことについては明らかになったけども、こういうことについてもっと検討すべきだということが書かれたりしていくという形で、中間まとめとか最終報告につなげていくということですので、これ、一つ一つのクエスチョンというか問いに対して、ここについて、私はこう思う、こういう事例があるぞと、こういう考え方でいくべきじゃないかとかということについて、各先生方から御意見を頂く、それぞれの立場から御意見を頂くと同時に、更にこういう論点が加わるべきではないかということもお示し頂ければと思います。
 今日は、まだ結論を出す段階ではありませんので、是非残り時間30分弱ですけども、手を挙げた方から御発言頂いて、時間内に入るまでお話し頂ければと思うところでございます。できるだけたくさんの方に御発言頂きたいので、大変恐縮ですけども、挙手を頂いた上で、手短に端的にお話し頂ければと思います。一番最初に挙げていたのは、小﨑委員だった気がするんですけど、まず、小﨑委員がお話しの間、この後、どういう順番で当てるかを考えます。小﨑委員、お願いします。
【小﨑委員】  よろしくお願いいたします。御発表ありがとうございました。
 私が県域でシステムを導入した経験なんかを踏まえて、少し気になったことと提案の内容を端的お話しさせていただきます。校務支援システムのデメリットやクラウドを利用することのデメリットについて、セキュリティはどうなんだ、こうやったら心配だよねという議論も、今日も出ていたと思うのですが、教室には、子供の名前とか成績とかいわるゆる個人情報を書いた手帳を持ってくということは今までもやっていて、これまでもそれをそのまま置き忘れたり、見えてしまうというリスクがあったわけです。
 そうして、人の努力で守っていったものもあるのに、デジタルになった途端に、いや、これはどうなんだ、あれはどうなんだと厳しく言い過ぎているような、扱い方も変わりますので厳しいというのは大切なことでいいんですけど、デジタル化によって新たな課題が生じているということとは違うところに、世間の議論がよりがちになっていることが気になりました。
 あとは、システム化することによって、改善されたことがあるということについては、もうそのとおり、今日の藤村委員の発言なんかも含めてそうだと思うんですけど、そこにはそれだけで動いたものと、システムを導入したことによって、先生方の考え方とか動き方が変わって、システムの導入がきっかけになって他が変わって大きくということがあります。先ほど藤村委員がおっしゃっていた職員会議が民主的になったということなんかは典型的だと思うので、そういうことについても整理しておく必要があるかと思いました。
 保護者対応については、説明責任を果たす、業務の改善を可視化するということによって、業務の効率化も理解も進むのは間違いないですが、可視化される、見えることによって、たくさんの意見が、どんどん学校に入ってくるようになっているんです。それで、意見が増えて、考え方が多様になって、すべてに配慮しようとしてその対応にむしろ苦慮しているところがありますので、校務支援システムの導入によって可視化して、効率化されたことによって新たに生じる課題ということについても、見通しも含めて整理して載せておく必要があるんじゃないかと思います。
 あとは、改革と改善という言葉を、先生たちは非常に敏感に捉えるところがありますので、そこは新たなステージに向かう改革ということと、今やっていることの改善ということは、言葉をしっかり使い分けて整理してくことが大切ではないかと思いました。
 以上です。
【堀田座長】  私たちは今回、すぐにでもこのようにやらなきゃいけないんじゃないかということについては短期的にと言っているので、これはもしかしたら改善かもしれませんね。改革というのは、少し遠くを見てやっていくことかもしれません。用語についても御指摘頂きまして、ありがとうございました。
 この後、たくさん手が挙がっていますので、まず、これから当てる3人をお伝えしておきます。髙橋邦夫委員、妹尾委員、石井委員の順番でお話を頂きます。では、髙橋邦夫委員、お願いいたします。
【髙橋(邦)委員】  髙橋邦夫です。よろしくお願いいたします。
 今回の中間まとめの中に、情報セキュリティポリシーのことがたくさん含まれていることは非常にうれしいことですし、これから改訂していく身としては、非常に身の引き締まる思いだと思っております。
 情報セキュリティポリシーですけども、今日、藤村委員からの御発表にもありました。当面目指すものとしては、これまでのネットワークの分離型から、ゼロトラストというか、認証を中心にネットワークを超えたセキュリティ対策に移っていくと思います。
 ただ一方で、一朝一夕にできるものではありませんし、それなりにお金もかかるものですから、セキュリティを担保するとお金がかかるとか、セキュリティを担保すると仕事がしづらくなるみたいな、そういう雰囲気に持っていきたくはないと思っております。まず、短期的には、セキュリティポリシーをしっかり各教育委員会で考えて作りましょうということをやって頂きたいことだと思います。長期的にいうと、ここは文部科学省にも汗をかいて頂いて、個人情報保護と情報セキュリティというものを、どうすれば安全に、全ての教育委員会が一定の理解で、「この情報だったら扱っていいです」、「この情報だったら先生同士で情報共有ができます」というルールを示していく必要が出てくると思っております。
 そうしないと、各教育委員会任せになってしまい、これまでの2,000個問題が何も解決しないまま、結局自治体ごとでの判断になってしまうことがないように、我々、文部科学省の協力も得ながらやっていきたいと思っております。是非そういった視点も、この中に踏まえて頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【堀田座長】  ありがとうございます。そもそも校務とは何で、そこで扱われるデータにはどのような種類のものがあって、そのうち、非常に機微なものとそこまででもないものにはどういうグラデーションになっていて、クラウドで十分に扱うことが可能なのはここまででみたいな、かなりセキュアに守らなきゃいけないのはこれでということをうまく整理することが、これは皆様の御協力なしにはできませんが、文部科学省として、一定の指針を出していくということが重要であろうということかと思います。ありがとうございます。
 妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。3点ほど申し上げたいと思います。
 1つは、なぜ校務情報化が必要なのかというところをもう少し強調するような、もちろん各論にも散りばめられているんですけども、総論の部分でもっと大事かと思っています。というのは、今日もありましたように、結局色々文科省さんから言われても予算が取れないといった自治体もあるので、必要性をもっともっと強調してあげる必要があるとか、予算獲得の時の根拠なりを示す必要があるということです。あと、手段の目的化がすぐ起こるので、活用したり、どんなことにつなげていくのかのほうが大事なので、例えば先生方の負担軽減はもちろん大事で、それだけでも僕は予算獲得は大事だとは思っていますけれども、それだけだと取れないという自治体も多いので、教育活動の充実だとか保護者とのコミュニケーションの活性化とか、あと、更に言えば、学生さんとか教職志望の方に昭和のままだったら失望されますよねといったことも含めて、そんなことも含めて、色々もっと言っていってもいいんじゃないかというのが1点目です。
 あと、2点目は、短期、中期というのでいいのかもしれませんけれども、今日、藤村委員が校務支援システムの歴史で、バージョン0.5から4ぐらいまであるとおっしゃって頂いたように、多分、何をもって校務情報化というのかによりますけど、多分バージョンが違っていて、本当に校務支援システムすらないような学校から、クラウドでばんばんやっているところまで、多分レベルが、本当に1から4とか、4種類、5種類ぐらいあるんです。うちはここに行っていて、次のステップアップするためにはこれが必要だみたいなガイドがあったほうが、より短期、中期だけじゃなくて、自治体にはフレンドリーだろうと思うので、そこも大変ですけど検討する必要があるのかというのが2点目です。
 あと、3点目は、小﨑委員がおっしゃったことも関係するんですけど、推進する上での障壁とか課題をもう少し潰さないといけないので、よくありがちな言われることをです。個人情報保護が大丈夫かとか、何とか条例で引っかかるんだとか、あるいはコストの分で引っかかるんだとか色々ありがちなつまずきポイントに寄り添うような提言になるといいかと思っております。
 以上です。
【堀田座長】  大変貴重な観点をありがとうございました。続いて、石井委員、お願いします。その次、今井委員、福原委員、水谷委員の順番でいきます。石井委員、お願いします。
【石井委員】  石井です。よろしくお願いいたします。
 中期というところに入っている、アクセス制御というところですけれども、スタート時から意識してクラウド利用とアクセス制御というのをセットで考えていく必要があると思っております。なぜなら、ある程度、セキュリティを確保してクラウドを使えばいいと、詳しくない担当の方々が感じてしまうのではないかと考えるからです。この資料を基にして整備していくかと思いますので、最終的にはアクセス制御が重要であることを伝えた方が良いと思います。また、この間まで重要視してきたネットワーク分離と今回のクラウド利用との違いというところもしっかりお伝えしていく必要があると思っています。
 今後整備を進めていくに当たっては、近隣地域との連携や、情報共有等を踏まえながら皆さんと相談しながら進めていくことができるということも、加えていくのもいいのかと思っております。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございます。では、今井委員、お願いします。
【今井委員】  先ほどの妹尾委員の言われた「レベル」のところと関連すると思いますが、既に校務支援システムを入れている学校が、例えば、技術革新によって、あちらのシステムがいいとか、こちらのほうがいいとかと言った時に、データの囲い込みが生じて、次の新しいシステムに移行するのが難しくなるという課題が出てくることが考えられます。こうした課題は私も実際に体験しております。校務支援システムだけではなく、CMSなども含めて、技術革新がどんどん行われる分野こそ、データをどのように次に連携させていくのか、システム間の連携をどうするかを考えていく必要があると思います。また、慣れていない地域に対しては、機器更新時のデータ連携に課題が出てくる可能性があること、データ連携についてどのように対応していけばいいのかというアイデアなどを提供していく必要があるのではないかと考えました。
以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。続きまして、福原委員、お願いします。
【福原委員】  ありがとうございます。今、今井委員がおっしゃったのと絡むかもしれないんですが、小学校、中学校、高校と、それから、その先のデータ連携というか、色々な健康情報とか、そういうのを頂いたりするところがスムーズにいくような、そういったもっと先の、長期的にそういったデータのやり取りができるような、基礎となるデータの形式ですとか、そういうものをしっかり決めて、これができるようなものを今後、全国で広めていきましょうとかそういう形のものを、長期的になるかもしれませんが、将来的には、全部がそこのクラウド上でできるといいなと思いました。
 それが1つと、あともう一つ、妹尾委員がおっしゃっているとおり、現場の学校の先生方は非常に忙しいので、先生方の業務が軽減されたと実感してもらえるような形になるといいなと思っています。具体的には、本当に先生がやらなければいけないものなのか、例えば、ICTの専門員が学校に常駐してやって頂けるようなことがあるとなると、学校の先生方は校務が情報化することによって、本当に自分たちの仕事が、自分たちは生徒を見て、そこをしっかりと色々なものをそこに入力したら、その後は色々な方が手伝ってくれる、そんな世の中になってくると、先生を目指す若者とか本当に教育をしようと思う人たちが増えるんじゃないかと思いました。
 以上、感想です。
【堀田座長】  ありがとうございました。この後は、水谷委員、藤村委員、執行委員、高橋(純)副座長にお話し頂くという形になります。水谷委員、お願いいたします。
【水谷委員】  水谷です。よろしくお願いいたします。自分は、2回目の時に事例を提供させて頂きましたが、各論の短期的に目指すべき目標の1つ目のクラウドサービスの活用を検討することが望ましいということについて、再度お話をしたいと思います。
 GIGA環境が入って、端末の授業活用がうまく進まないとか、かえって負担が増えたという声が少なくない現実があると思います。クラウド活用できるようになって、しかし、それは知らない世界ですので、体験するしかなく、しかもその体験は自分たちの業務の中でやっていくしかないだろうと考えます。しかも、業務でやっていけば、こんなに便利だということが分かって頂けると思います。ですので、まずはクラウドで扱える情報、機微な情報以外はこのようなことができるということをはっきり打ち出していくことが大事で、その後は、何ができるか確認しながら進め、学校は情報の共有がうまくいくと色々進みやすく、それがうまく進まないことが負担感につながっている部分が多いので、情報がきっちり職員間、保護者とも共有できる仕組みがクラウドでできることを示していくことが大事かと思っています。
 文科省のGIGAスタの事例でも「職員同士がつながる」という事例が示されているわけで、それは短期に目指すべき目標の1つの事例だと思います。これなら安全にできるということを打ち出して活用を進めていくことが、まず、大事なことではないかと思って発言をさせて頂きました。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。続きまして、藤村委員、お願いいたします。
【藤村発表者(委員)】  本日は発言の機会頂きまして、どうもありがとうございました。私からは3点、お話し申し上げたいと思います。
 まず、1点目なんですが、御提案頂いた資料4の1ページの各論、短期的に目指す目標の中で、教職員の負担軽減の観点の項目の中の2つ目にクラウドサービスの活用は大規模災害、感染症等による緊急時における業務の継続性確保に役立ち得るのではないかというのが入っています。これは私の方でも先ほど申し上げたように、これはクラウドサービスに移行する時に必要性を訴える非常に大事な要素になるのかなと。自治体の財政部局説得に役立つと思われる、これは1つ丸を別に起こしてはいかがかと。レジリエントスクールみたいなものを、今後、早急に必要ですということで、別項目を起こすことを御提案したいと思います。
 2点目です。これは、私たちの方でも十分議論しなきゃいけないと思うんですが、これまで、こういう委員会で結構ロードマップを出してきたかと思います。議論の中で、こういう段取りで、こういう目途で進めていきましょうというのを指し示すことが各自治体の中での色々な移行の促進やなんかに役立つのかなという気がしておりまして、先ほどもお話があった、全国標準化みたいなものをいつぐらいまでにとか、それから圏域共同調達みたいなものだとか、国での全体で、圏域では無理だったけど、国全体共同で、色々なところのメーカーを共同利用するみたいな可能性も検討するみたいなことだとか、色々なロードマップに意味を込められるかということで、御提案したいと思います。
 3点目です。校務の情報化は帳票ベースで進んできたきらいがあります。そんな時代じゃないだろうと正直思っていまして、先ほども保護者連絡だとか色々なものがあったように、そういう一般のクラウドを使ってもできることもありますし、それから今ないものも考えてほしい、例えば保護者がスマートフォン上で子供の様子を見られるみたいな、マルチメディア通知表的なものも十分可能な時代に来ているのかというのもありますので、今ない校務みたいな可能性も検討して頂くことがあっていいのかなというのが3点目でございます。
 以上でございます。
【堀田座長】  大変貴重な意見でした。今のも是非検討してまいりたいと思います。執行委員、お願いいたします。
【執行委員】  短期的に目指す目標のクラウドサービスの活用、検討については望ましいという表現よりも、何か私自身が考えるのは、活用を検討することをもっと強く進めてもいいのか、そういう表現に変えてもいいのかと思っております。
 教職員の負担軽減の観点からということなんですが、負担軽減もあるんですけれども、むしろこれから様々な業務を効率的に、かつ効果的にデータ処理していくためには、クラウドサービスを上手に使っていけるようになることが大変重要と思います。それを有効活用して、子供の個別データだったりとか学校の校務の処理だったりとかもっとスムーズに処理できるようにすべきです。教員が1人で3台、4台のパソコンを使うんじゃなくて、1台でできることは1台でやれるように、もう少しICT環境そのもののハード面をスマート化をしていきたいと思っているところです。その辺りのところが、どこに出せるのかということを感想として持ちした。
 それから、もう1点なんですけど、その他のところで、学習データと校務系データの標準化を含めたモデル研究開発の必要性について述べて頂いています。私もとても進んでいる自治体に勤務していた時と、まだ発展途上のところと、中ぐらいのところと、様々な自治体を経験してきたわけなんですけれども、果たして今どこがどのように、本当に最先端でスマート的な学校運営ができているのか、学校も教員もそれから子供たちにとっても、どこまで進んでいて進められているのかというのが、正直言うと最近分からなくなってきているという感じがします。そこで校務のデータと学習系データの連携を進めていて、なおかつ、きちんとスマート的な職務が遂行されているような、そういったモデル開発・研究については、是非具体的な事例を知りたいですし、開発していかなきゃいけないのかと思っています。特に校務系については、校務といっても本当にたくさんの校務があり、必要のない校務、子供に直結していない校務というのは、あるようで実際はなくて間接的、直接的という表現をするならば、直接的には関与していないような校務もあるかもしれませんが、でも間接的には全ての校務が子供たちには関連しているものです。そこも含めて、校務の軽重を整理し学習のほうも、学習データというのはGIGA端末でとれる個別の学習データと端末ではログが取れない学習の記録というのもあるので、どう学びのデータを活用していくのかという点からも是非研究開発の必要性というのは感じているところです。ありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。では、高橋委員、お願いします。
【高橋(純)副座長】  ありがとうございます。本会議のタイトルにあるGIGAスクール構想の下でという部分が、非常に意味が大きいと思って会議に参加させて頂きました。
 大子町ですか、スライド4枚目の下のところに、結果、学習系と比較してクラウド化が遅れている校務系の不便さが、徐々に課題として上がるようになってきたというのが、GIGAスクール構想の下でのという時に象徴的な現象だと、校務を考える上で象徴的な現象だと感じております。つまり、これはGIGAスクール構想の標準的な環境のほうが校務の環境より進んでしまっていて、そこについて、先生たちが疑問に感じて進んでいっているということだと思います。
 ただ、その一方で、私も色々な自治体もありますけども、あえて不便なGIGA環境を提供して、こういうことが起こらないようにあえてしている自治体というところも、たくさん見ることがあります。例えば、汎用的なクラウドサービスは非常に柔軟ですので、これまでのような古い使い方もできますし、新しい汎用的なクラウドサービスの特徴を生かしたような活用の仕方もできます。
 例えば、更にメールアドレスなんていうものは普通に使うべきものだと僕は思いますけども、自治体によっては、教師に個人用のメールアドレスを配布しないという校務処理を強いているところもあります。この間、そのことについて教育委員会の方に尋ねたら、先生を守るためにメールアドレスを渡すことができないんだという説明を聞いた時に、大学生にもメールアドレスを渡すのに、社会人の先生には怖くて渡せないんだということで非常にショックを受けた覚えがあります。
 このように考えていきますと、具体的な教師の校務の活用イメージも含めて伝えていくということが非常に重要だと思います。自分のいる自治体が進んでいると思っていたら、実は遅れていたなんてことは、色々な自治体を横断的に回っている私から見れば、すごく感じるところがあります。
 したがいまして、その他の最後のところに、そういうガイドラインみたいなものに基づいて、こういうモデルを研究開発していく際に、技術的な観点ではなくて、それもすごく重要ですけど、教師はこういう活用をすべきだみたいな活用の具体的な方策、機能制限が色々な自治体で起こってしまうような気がしますので、そういったことがないような、具体的なモデルを示していく必要があるかなと思います。
 これは先ほどから出ていますとおり、自治体によって、色々なレベルというか状況があると思いますので、複数のモデルになると思いますが、その発展形、ロードマップみたいなものは、多分、色々セキュリティポリシーすら、しょっちゅう変わっておりますので、なかなか示しにくいと思いますので、将来像に関しては、大まかな大綱的なことを示して、今すぐやるべき選択肢を色々なルールに基づいた中で、いいモデルを作っていくということが大事かと思っています。
 そういうことと、あと、最後にもう1点ですが、アクセス制御やゼロトラストみたいなことを積極的に行っていくことができれば、先ほど予算がかかるという話でしたが、私も最高で校長先生の机に4台のパソコンあるという自治体を見たことがありますが、こういうコンピューターを減らすことができれば、その分、ゼロトラストとかアクセス制御に関する予算に振り分けていくことも可能なのではないかと考えていきますと、まだまだやりよう、工夫があると。そういった意味でも、最後のモデルというものが非常に重要視されると感じているところです。
 私からは以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。今、挙手頂いた方には皆さん御発言頂きましたので、ここまでとさせて頂きたいと思いますが、これからもこの論点については色々御意見を頂くことになりますので、今日、言えなかったものがもしあったら、メール等で事務局までお寄せ頂ければと思います。
 私、座長として印象的だったのは、ロードマップのようなものを提示してほしいという気持ちがある一方で、それを未来予測するのは技術開発が急速に進んでいくのでなかなか難しく、例えば校務支援システムの0.5の頃に4.0をイメージできたかと、できなかったわけで、そういった時に、このような校務支援、校務の情報化が進むといいなという先生方の仕事の仕方のイメージ、これは働き方改革と結びつきますけど、髙橋先生はそれをおっしゃったんだと思いますが、目指すべきグッドプラクティスのようなものを、きちんと私たちが見せていくことが大事かなと。それを実現するための障壁として、個別にはいろんなものがあるはずで、それを一つ一つ片づけていくということかと思いました。
 もう一つ重要なのは、割とハードウェアの整備の時期は、何%が入れたとか、そういう言い方で言いますけど、入れたところがうまく使えているかどうかは別だという議論も今日ありましたし、つまり、実際に教師が、校務がどのぐらい楽になっているのか、楽な気持になっているのかとか、こういうデータはこのようにやることが推奨されるけども、それができているのか、できていないのかみたいなことを達成度として図っていくような形の指標が、これから望まれるのかと感じたところでございます。
 これは、この会議体だけで決められることではありませんけども、あと、最大に難しいのは、国がモデルを示したところで、導入するのは自治体であり、学校の設置者とか任命権者とか、色々なことが横たわっていますので、こういうことについて、しっかりと教育委員会に御理解頂き、管理職に御理解頂き、先生方に御理解頂いて運用を進めていくということの難しさが何よりもあります。是非皆さんで、良い機運を作ってまいれればと思います。
 では、もし事務局から何かありましたらお伝え頂いて、もしなければ、会議日程等について御連絡を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。
【伊藤専門官】  それでは、本日はお忙しい中、御議論頂きましてありがとうございました。
 第5回の会議日程等は、また追って御連絡させて頂ければと思います。御多用中のところではございますけども、またよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 私の印象では、第1回の会議の時に、第4回がここまでぐらいという予測は、実は結構外れていまして思ったよりも進んでいます。それは皆さんに色々な角度から御意見を頂いた成果だと思っておりますので、これからも是非忌憚のない御意見を頂きまして、それを短期、中期、長期みたいな形で割り当てて、そしてまた、色々なレイヤーに割り当てて検討を進めたいと思いますので、これからも御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の専門家会議はこれで閉会といたします。皆さんどうもありがとうございました。
 

―― 了 ――

 

お問合せ先

初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチーム

(初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチーム)