GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第3回)議事録

1.日時

令和4年4月26日(火曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

Web会議による開催

3.議題

  1. クラウドを利用したサービスの活用事例について
  2. 教育情報セキュリティについて
  3. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

石井委員、石田委員、井上委員、今井委員、清野委員、小﨑委員、妹尾委員、髙橋邦夫委員、高橋純座長代理、鶴田委員、中村めぐみ委員、中村義和委員、福原委員、藤村委員、堀田座長、水谷委員、山口委員、渡部委員

文部科学省

茂里 大臣官房学習基盤審議官、村尾 財務課長、板倉 学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、伊藤 学校デジタル化プロジェクトチーム専門官

オブザーバー

東京都世田谷区教育委員会 教育長 渡部 理恵 委員、東京都世田谷区教育委員会 教育政策部教育ICT推進課長 齋藤 稔 氏、静岡県三島市教育委員会 教育総務課長 杉山 慎太郎 氏、福島県磐梯町教育委員会 教育長 髙梨 哲夫 氏、福島県磐梯町教育委員会 教育課主査 穴澤 佳一 氏、株式会社東京個別指導学院 渉外部部長 石田 奈緒子 委員、株式会社東京個別指導学院 IT戦略室長 塚越 隆行 氏、株式会社東京個別指導学院 第一事業部長 藤田 光 氏、デジタル庁国民向けサービスグループ、文部科学省総合教育政策局教育DX推進室、文部科学省初等中等教育局財務課、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

6.議事録

GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第3回)

令和4年4月26日

 
 
【堀田座長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」の第3回会議を開催いたします。
 前回に引き続き、オンライン、Zoomによる開催とし、事前に登録のあったメディア、あるいは一般の方にも御覧いただいているところでございます。
 本日の議事に入る前に、ウェブ会議の留意事項等について、確認いたします。
 まず、御発言の際は、挙手ボタンを御利用ください。発言時以外はミュートでお願いいたします。
 本日の資料は、資料1から資料3、及び参考資料となっております。資料1なんですけれども、資料1は、これまでの議論の重要なところを整理しておりまして、これはだんだん今後、論点整理、報告書とつながってまいりますので、お気をつけて御覧いただければと思います。
 また、前回の会議で、事務局から「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂の方向性のお話をいただきましたけども、今回、本年3月にガイドラインが改訂されましたので、参考資料1として、改訂後のガイドラインを掲げてございます。
 また、新年度を迎えまして、委員の御所属等に変更がございましたので、名簿を更新して参考資料2としてございます。これらの参考資料につきましては、時間の関係上、御説明は省略させていただきます。何か御不明な点等ありましたら、事務局にチャットやお電話でお知らせください。
 本日は、多くの委員にお時間を作っていただいております。執行委員は、今日は御欠席でございます。
 議題に入ります前に、本日の大まかな流れを確認しておきたいと思います。今日は、議題1の「クラウドを利用したサービスの活用事例について」ということで、学校関係では東京都世田谷区、静岡県三島市、福島県磐梯町の3つの教育委員会より、それぞれクラウドを利用した校務の情報化の事例につきまして、御発表いただきます。また、その後に、民間事業者における業務のデジタル化の例として、石田委員が御所属の株式会社東京個別指導学院からも御発表いただくということになっております。それぞれが10分ずつ御発表いただいた後、一括して、その後、質疑、意見交換の時間を設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 後半、議題2の「教育情報セキュリティについて」においては、髙橋邦夫委員より、昨今の動向等を20分ほど御説明いただきます。その後、質疑応答の時間を設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、早速議題1の「クラウドを利用したサービスの活用事例について」に入ります。まずは、東京都世田谷区教育委員会から御発表をお願いいたします。世田谷区教育委員会の皆さん、よろしくお願いいたします。
【渡部発表者(委員)】  皆さん、こんにちは。世田谷区教育委員会教育長、渡部理枝でございます。今回、初めてこれに参加させていただきます。
 それでは、これからの世田谷区の取組について、お話をさせていただきたいと思います。
 まず、世田谷区紹介を御覧ください。世田谷区は、東京23区南西に位置する人口約92万人の自治体です。小学校が61校、児童数が3万8,394人、1,247クラス、中学校は29校、生徒数1万1,512人、359のクラスがある大きな自治体になります。
 本日の説明内容は、世田谷版教育DXに関する中長期的な取組推進に向けた統合型校務支援システムの導入と、学校緊急連絡情報配信サービス、「すぐーる」を活用した教育委員会・学校・保護者間での迅速かつ双方向型の情報共有の実現の2点になります。世田谷区は、これから統合型支援システムに取り組むところです。まだまだこれからというところですが、世田谷区がどのような形で進めていくかということについて、お話をさせていただきたいと思います。1番は私から、2番はICTの推進課長から御紹介をさせていただきたいと思います。
 それでは、「「世田谷版教育DX」推進に向けた取組について」を御覧ください。まず初めは、「システム統合及び学びのデータの共有、利活用」についてです。現在は、児童生徒がタブレット端末により学んだデータは、授業、学習で利用する教育ネットワークに蓄積されており、教員が利用する校務支援システムにはデータが連携されていません。そのため、校務支援システムを活用するには、教育ネットワークの端末の画面からの入力が必要になってきます。学校の様々なデータを連携させ、機能統合による効率的な運用を実現するため、総合型校務支援システムをクラウドに構築することを予定しています。
 次に、教育ICTの統合支援を御覧ください。画面の下側を御覧いただきたいのですが、統合型校務支援システムの導入を契機に、ネットワーク統合による全体コストの最適化、利用するシステムごとに使っていたIDを統合して利用できるように、統合IDの管理、児童生徒数の変動など、必要に応じて、柔軟に拡張できるクラウドを活用すること、端末の集約などを目指します。あわせて、学校へのサポート体制強化のため、統合支援委託を導入し、ICT環境の整備とコストの最適化を図ります。現在は、統合型校務支援システムの構築、及び現行システムからのデータ移行を行う事業者選定のプロポーザルを行っております。今後、世田谷区はGIGAスクール構想によって実現した学校のICT環境を活かし、教育のデジタルトランスフォーメーションの推進に様々な方法でアプローチをしてまいります。
 それでは、次に、ICT課長よりお話をさせていただきます。
【齋藤発表者】  世田谷区教育委員会教育ICT推進課長の齋藤稔です。
 世田谷区では、昨年度、令和3年度より、学校緊急連絡情報配信サービス「すぐーる」を導入いたしました。導入の経緯といたしましては、従来の使用してきた緊急情報メール配信サービスが令和2年度で撤退を表明したために、令和3年度より、新たな保護者向けの緊急情報配信メールの移行が必要となりました。各社のサービスを比較検討した結果、経費も低く、柔軟性と拡張性を有するサービスとして、「すぐーる」の採用を決定しました。従来の緊急情報メール配信サービスが単に電子メールの配信にとどまっていた機能に比較して、「すぐーる」の主な機能は、電子メールの配信に加え、学校のお便りなどの印刷物デジタル配信やアンケートの実施、集計機能、児童生徒の欠席、遅刻連絡等があります。全ての機能を保護者の方に利用いただくためには、保護者の方にスマートフォンやパソコンなどの電子機器が必要になりますが、学校と保護者の間の連絡手段のデジタル化が特徴となっております。
 「すぐーる」の導入効果といたしましては、アンケート機能をつかうことにより、回収の確実性の向上、それから集計作業の時間短縮や欠席確認機能による朝の電話対応の時間減少、情報共有、さらには、お便りの電子配信機能による印刷時間、印刷コストの削減等となっております。教育のデジタルトランスフォームは、児童生徒に対するDXと教職員へのDXを考えられますが、保護者をはじめとした学校関係者に対するDXに寄与すると考えており、既存の機器やシステム、慣習にとらわれずに、教育のDXを推進する予定です。
 世田谷区からは以上になります。ありがとうございました。
【堀田座長】  これで、世田谷区の御発表は全てということですね。ありがとうございました。
 続きまして、静岡県三島市教育委員会から発表をお願いいたします。
【杉山発表者】  三島市教育総務課の杉山と申します。よろしくお願いします。
 本日は、本年1月より実証事業として始めたサイボウズのクラウドサービスであるkintoneの活用による校務の業務改善について、説明させていただきたいと思います。
 説明内容については、まず、本市の小中学校における校務の環境と課題、kintoneを始めた経緯、kintoneとはどういうものか、長所短所、導入の決め手、実際の運用とそれにかかる競争体制、今後の展望についてお話しします。
 まず、市内小中学校の校務環境については、文部科学省が過渡期の構成として例示されているオンプレミス型の校務系システムと、GIGA端末導入とともに開始した学習系クラウドにより運用している状況にございます。
 次に、校務系システムの全体像ですが、掲示板やメッセージ機能等のグループウェアと、学籍管理や出席管理、成績管理などを担う校務支援システムを平成25年度から導入し、更に、令和3年度から新型コロナウイルス感染症対策として、LEBERというアプリを導入しております。LEBERに関しては、電話連絡の減少により、教職員の負担軽減につなげられて非常によかったと感じております。しかし、欠席連絡を校務支援システムに自動連携できればよかったんですが、ここは教員による手入力という状況になっております。
 次に、校務支援システム導入後、3年を経過した平成28年度に実施したアンケート調査結果の抜粋になります。これだけの環境を整えても、9割以上の教員が週に1日以上勤務時間内に仕事が終わらず、6割以上の教員が週に1日以上持ち帰って仕事をしており、6割以上の教員が月に2日以上、休日に学校に行って仕事をしている状況にあります。また、仕事量的に負担と感じている業務は教育委員会などから来る調査や報告などの業務であると、多くの教員が答えております。
 課題をまとめると、校務支援システムやグループウェア等を整備しても長時間労働、休日出勤が常態化している。校務支援システムでは対応できない業務で、紙やエクセルで行っている業務が多数ある。LEBERとの自動連携ができず、欠席情報を校務支援システムにて入力している。いつでもどこでも仕事ができる環境は整っていないなどが本市の課題であると認識しております。
 次に、kintone導入の経緯ですが、きっかけは昨年の夏頃、働き方改革の先駆者であるサイボウズが経産省の未来の教室実証事業で、学校BPRをテーマにしたことがきっかけになります。また、ちょうどその頃、教員が持ち帰って仕事をするために、個人的に用意したUSBメモリを紛失するという事件が起きました。教育委員会では、個人のUSBメモリは使わないというルールだったにもかかわらず、端末側の制御をしていないという何ともお粗末な環境下でした。この事件を契機に、市長、教育長から、校務のクラウド化を検討するようにという指示が出たところであります。
 それから、校務システムに対応しない業務で、教育委員会と学校との間で、未だに紙やエクセルでやり取りしている業務が多数あることが分かったことです。また、学校では、児童生徒の個人情報を扱う業務が多く、現状では、個人情報保護条例のオンライン結合禁止を乗り越えるためには時間がかかることが分かり、教育委員会が学校に報告を求めている業務で、個人情報とは関係のない学校施設や備品等の修繕依頼業務がkintoneを使った業務計画の第一歩として最適ではないかということで、サイボウズから提案を受けたことがきっかけになります。教育総務課としても、修繕依頼業務に関し、担当者が課題を感じていたときでありまして、すぐに始めてみようという機運が非常に高まったタイミングでした。
 次に、kintoneとはどういうものか、ざっくりですが、説明させていただきたいと思います。kintoneはCMでもおなじみだと思いますが、ビジネスアプリ作成クラウドサービスで、現場の人が主体の業務改善を支援するツールであります。作りたいものは自分たちで作ることができるクラウドサービスになります。データとプロセス管理とコミュニケーションが一体化されていて、情報共有が簡単にできます。ノーコード、ローコードによる開発環境で、難しいプログラミングを習得しなくても、直感的に業務アプリを作成できるプラットフォームになります。最近では多くの自治体でも導入されておりまして、新型コロナウイルス対応状況管理システムとして使われたりしています。情報セキュリティに関しては、情報セキュリティマネジメントシステム認証を取得しておりますので、安心して使えるものかと考えております。
 私が感じたkintoneの長所、それから短所についてですが、良くも悪くも自分たちで業務用アプリを作らなければならないということになります。ただ、これは業務フローの見直しには非常に良い機会かと感じております。それから、私もMicrosoftのアクセスによるデータベース作成で経験があるんですが、複雑な構造のアプリは作った人しかカスタマイズできない可能性もあるということになります。一方で、費用対効果については、1人1アカウント900円のサブスクリプションになっておりまして、作った業務アプリに比例して増大していくということになります。つまり、作れば作るほどお得なサービスであるということになります。また、パッケージのソフトと違いまして、カスタマイズ費用は原則発生しません。更に可能性を感じているのは、自治体での利用が増えれば、業務内容は同じものが多いと思われますので、業務アプリの横展開が期待できるのではないかと感じております。
 kintoneの導入の決め手なんですが、実証事業としてきたサイボウズの社員が三島市出身であったこと、それから一番大きな要因ですが、サイボウズのパートナー企業である市内のアイティエスというIT企業がGIGA端末の管理も請け負っておりまして、業務アプリ開発にも協力いただけることが非常に大きかったことになります。
 では、実際に運用している修繕依頼業務について説明します。従来、学校から施設や備品などの修繕を依頼する場合、破損箇所、修繕希望箇所の写真をデジカメで撮影し、そのデータをパソコンに取り込み、エクセルで作成した専用の様式に張りつけ、必要事項を入力し、メールに添付して教育総務課へ送付しておりました。教育総務課では、受信したファイルを確認し、現場確認、業者へ見積り依頼、発注という流れで進めておりましたが、ファイルに必要事項が記載されてなかったりした場合は、再度学校に電話確認するなど、二度手間が発生することも多々ありました。この流れを今年1月から教員専用のGIGA端末であるiPadから直接ブラウザベースのkintone上の入力フォームから必要事項の記載と、現場写真をアップロードして報告するようにいたしました。デスクに戻っての作業が減った形になります。
 実際の入力フォームを見ていただきます。左から右に3つ、縦にフォームがつながっております。必須項目をフォームに設定することで入力漏れがなくなるなど、二度手間がほぼなくなった状況になっております。また、コミュニケーションスペースが案件ごとに設定されておりまして、どの案件に対する連絡かが一目瞭然という形になっております。また、ステータス設定をすることによって、修理依頼案件の進捗状況が誰でも分かり、修理漏れが一切なくなった状況にあります。
 実際の支出に関する教育委員会の中での事務処理に関しては、まだ紙による決裁なので、支出関係の処理をするときには、添付書類として修繕案件のファイルをエクセルに吐き出し、印刷するということを行っております。このエクセルへの吐き出しもクリック1回で自動生成していただけるので助かっております。
 これまで3か月半ほどを運用してきましたが、次のような効果が現れております。まず、修繕依頼業務は、主に非常に忙しい教頭先生にやっていただいておりますが、作業時間の削減、決裁承認が非常にスピーディーに行われるようになりました。教育総務課の修繕担当が一番効果を実感していると思いますが、再確認の頻度が少なくなったこと、修繕漏れがなくなったこと、学校別修繕履歴がすぐに集計できるなど、かなりの業務効率につながっております。これまでしばしばあったことなんですが、学校から修繕依頼をしたのにどうなっているというような問合せを受けることがあったんですが、これも進捗状況が確認できることによって、ほぼ無くなった状況にあります。
 これから効果が期待できるものとして、まず、学校施設の維持管理の質の向上と、修繕依頼がきっかけで他の業務に応用できないかなど、当事者意識の変化が期待できるかと感じております。
 ここまでスピーディーに運用が始められたのは、やはりサイボウズと地元企業のアイティエスの共創体制があったからと思っております。今後もこの体制で、新たなアプリ開発により、教員の幸せにつなげていきたいと思っております。
 最後に今後の展望ですが、校務支援システムの次の更新時には目指すべき姿として示されているゼロトラストによる校務のクラウド化に移行したいと考えております。しかし、校務支援システムのパッケージでは網羅できない業務も多数ありますので、まず、今年度中には学校の備品管理業務のアプリ開発、それから、年度当初の業務として、教員のかなり大きな負担となっている家庭環境調査票のアプリ開発を目指しております。これによって、保護者がスマートフォンから入力し、学校ではkintone上で業務ができるように改善してまいりたいと思っております。
 参考までに、最後のページに、家庭環境調査票のサンプルをお示ししております。恐らく全国の小中学校でも似たようなものを提出を求めているのではないかなと思いますが、こちらは学校教育課の指導主事からの提案だったんですが、これが実現できれば、教員は本当に非常に喜ぶということなので、これを何とか実現したいと思っております。
 以上になります。
【堀田座長】  大変詳細な御説明ありがとうございました。
 続きまして、福島県磐梯町の皆様、よろしくお願いいたします。
【髙梨発表者】  皆さん、こんにちは。令和4年4月より磐梯町教育長に就任いたしました髙梨哲夫と申します。よろしくお願いいたします。
 磐梯町では、現在、佐藤淳一町長の下、自治体DXを強力に推進しております。令和元年11月には、日本初の自治体CDOを委嘱し、様々なジャンルでデジタル化を推進してまいりました。その中でも、教育、保育の分野では、磐梯町が目指す幼小中一貫教育の実現に向け、GIGAスクール構想でもあるデジタル教育の活用を進めており、1人1台端末の活用や施設と保護者の間を結ぶコミュニケーションアプリ、「CoDMoN(コドモン)」の導入などを行ってまいりました。
 本日は、コドモンの導入の経緯や活用方法などについて、当町の取組を御紹介いたします。詳しくは担当の穴澤より説明させていただきます。
【穴澤発表者】  磐梯町教育委員会の穴澤と申します。
 続きまして、磐梯町におけるコドモンの活用について、説明をさせていただきます。
 磐梯町には、保育施設と教育施設が合わせて7施設ございます。コドモン導入のきっかけとしては、令和元年度現在で、施設と保護者間でのコミュニケーションツールがない施設が約半数あったということがございます。幼稚園、小学校、中学校では、全国的にシェアのあるメール配信システムを利用していましたが、残りの3施設では、保護者とのやり取りは全て電話と紙で行っていました。導入するのであれば、メール配信機能だけでなく、保育施設の業務全般に対応できるシステムを入れようということで、初めに日々の連絡帳などの業務が大きなウエートを占めている保育施設での導入を検討しました。令和元年度に幾つかのシステムを比較しましたが、ユーザーインターフェースとサポート体制、価格の面からコドモンを選定し、令和2年8月から保育所での運用を開始いたしました。
 コドモンはもともと保育施設向けに開発されたシステムであり、打刻によって、児童の施設利用時間を自動集計する登校園管理機能や保護者との日々の連絡をデジタル化した連絡帳機能、月間、週間の指導案管理機能などが搭載されております。施設で行っている写真販売を代行するオプションなどもありますが、オプションを組み合わせて、システムの利用料金を決定するモデルのため、最小構成で取りあえずスタートするということも可能です。
 導入当初は、現行の紙での運用と並行での作業であったため、一時的に職員への負荷が増えましたが、連絡帳や日誌等の入力作業が空き時間にタブレットから行えるようになり、日誌から連絡帳へのコピーなども簡単に行えることから、徐々に省力化が図られてきました。また、施設からの情報発信もプリントの印刷、配布業務が削減され、省力化だけでなく、コスト面でもメリットが出ています。連絡機能については、配信先をグループや個人で柔軟に選択できることに加え、受け取った保護者の既読、未読が分かることから、新型コロナウイルス感染症対策で大きな役割を果たしました。
 導入に当たっては、保護者側への説明も必要でしたが、特に若年層では電話による連絡に心理的なストレスがあったのか、おおむね好意的に受け入れられました。実際に導入してみると、施設からの連絡がスマホにすぐ届き、我が子の様子が写真付きで見られたり、連絡帳を手書きしなくてもよくなったと好評をいただいております。
 こちらは実際の使用シーンです。コドモンの設計に当たっては、導入研修が必要無いシステムをというコンセプトで作られているとのことで、実際の画面はかなり直感的な操作が可能になっております。また、オンラインマニュアルやヘルプデスクサポートも充実しており、現場の困り事は、ほぼ現場で解決できるという状況になっております。
 保育所でのコドモン導入を好事例として、令和3年4月には、幼稚園、こども館、児童館の3施設での運用を開始しました。また、文部科学省の学校保護者間連絡に関する通知を受け、コドモンの機能を学校施設向けにカスタマイズした学校版コドモンがリリースされたことから、令和3年11月には、町内の小中学校へもコドモンを導入いたしました。小中学校への導入については、学校施設側の省力化ももちろんですが、保護者から見たときに「生まれてから義務教育修了前まで、1つのアプリで全ての教育保育施設と連絡ができるワンストップなサービスを提供する」というのも大きな目的の1つでございます。
 データをクラウドにアップロードすることに関して、セキュリティ面での不安も聞かれました。しかし、適切にクラウドストレージの選定やアクセス管理等を行うことで、これまでのローカルでの運用と比較しても、セキュリティレベルの向上を図ることができるということが分かりました。現在、磐梯町では、マイクロソフト365を利用して、自治体の業務をクラウドに移行する取組を行っております。今後、町職員のセキュリティポリシー改訂等に合わせて、教育、セキュリティポリシーも改訂を行い、使用する端末に、2要素認証やEDRを導入していくなど、更なるセキュリティ対策を講じる予定となっております。これにより、より安心安全な運用を目指してまいります。
 最後に今後の課題でございますが、1つ目は、磐梯町独自の取組、磐梯版ネウボラ構想との相関性を高めていくということでございます。この施策は、妊娠出産から中学校卒業まで、教育委員会と保健師が子供一人一人のデータを共有し、切れ目ない支援を行っていくという取組でございます。現在、コドモンでは、施設ごとにデータの受渡しができない仕様となっているので、必要に応じてアナログな手法も組合せながら、より利便性を高めていきたいと考えております。
 2つ目は、それぞれの課題に対してスピーディーに対処するために、良いとこ取りで、色々なツールを導入しておりますが、それらを整理しながら、全体的なデザインの中に落とし込んでいくことで、ツールの乱立を防いで一体感を出していかなければならないというところでございます。デジタルはあくまで手段ですので、目的とそのために適切な手段を取れているのか、今後もしっかりと確認をしながら進めていきたいと考えております。
 以上で、磐梯町における施設保護者間コミュニケーションアプリ導入に係る説明とさせていただきます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 最後に、株式会社東京個別指導学院から発表をお願いいたします。
【石田発表者(委員)】  東京個別指導学院の石田でございます。本日はこのような貴重な発表の機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
 教育の業界は、ほかの産業に比べてDXが遅れていると言われてまいりましたが、東京個別指導学院では着実に取り組んでおります。本日は、教室業務のDXを推進するに当たり、どのような考え方を基にしたのか、そしてどのような過程を経て仕組み化をしたのかを、当社IT戦略室室長の塚越より御説明申し上げます。また、DXに関する考え方と仕組みを全国266に及ぶ教室現場にどのように浸透させてきたのか、その浸透の手法を個別指導授業担当で、東京都内にて70あまりの教室を取りまとめております第1事業部の部長の藤田より御説明申し上げます。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これより塚越にバトンタッチいたします。塚越さん、お願いします。
【塚越発表者】  今、御紹介いただきました、塚越と申します。本日は貴重なお時間ありがとうございます。本日は東京個別指導学院の取組ということで、少しお話をさせていただければと思います。
 まず、我々の取組をこの後、御説明させていただくんですけれども、その話をする前に当初の企業理念、ここが我々の活動の根源になっておりますので、ここの御理解をいただきたいという形で、1ページスライド作らせていただきました。我々は、やればできるという自信、チャレンジする喜び、夢を持つことの大切さ、この3つの教育理念と、ホスピタリティというところを全ての企業活動の基軸としております。笑顔あふれる人の未来に貢献すると。企業教育理念とホスピタリティというところを、我々社員というところは全ての活動の基としているというところを御紹介になります。
 ページ進ませていただいて、今回、コロナに端を発して、学びの在り方というものを改めて我々でも考えました。大きく3つ、ポイントとしてはございます。1つ目、学びを止めない、2つ目、安心して勉強を進めるための環境づくり、3つ目が今回の情報化に近いところではあるんですけれども、人にしかできないこと以外をシステム化という形の3つの活動方針の下、活動してまいりました。
 1つ目です。まず、学びを止めない。コロナ禍で通塾できない生徒さんが受験を控えて、どうしても行動制限をせざるを得ない生徒さんが多数いました。我々は、それらの生徒たちに、安心な授業の場と学びを止めないという形で、オンライン授業というものを作ってはいるんですけれども、単純にオンラインというのは、ただ授業をするための手段だということで、我々ではハイブリッド個別指導というものをサービスとして実現いたしました。これは、対面個別とオンライン個別を、生徒さんのその時の環境によって自由に選択できると、「今日は対面でやります。」「今日はオンラインやります。」これを自由に選択できるサービスを開発しました。下の赤字に書いてあるとおり、その時その生徒にとって一番安心して学べる環境は何かというところを自らの問いに立てて、単純にオンライン授業を開発するのではなくて、オンラインと対面を選択できるようにするためには、どういう業務サービスにしたらいいんだというのを考えて、ハイブリッド個別指導というものを提供させていただくことになりました。これが1つ目の学びを止めないという形になります。
 2個目が、安心して勉強するための環境づくりということになるんですが、当然先ほど御説明させていただいたオンライン授業、ハイブリッド個別指導というのも、安心して勉強するための環境づくりの一環ではあるんですけれども、我々が安心してというところに着目して、学ぶということについて生徒が一番安心する環境というのは、オンラインだろうとオフラインだろうと先生、講師の方との結び付きであると考えております。これが、立ち話と書いてあるんですけど、対面個別で行くと、必ず通塾いただくと、事前に少し雑談というか立ち話をして、今日あったこととか悩んでいることとかをお話をした上で、生徒と一緒にブースに行って勉強する形になっています。これがどうしてもオンラインになると、ある時間になったら一斉に集まって勉強するみたいな無機質になってしまいますので、凄く些細な話なのかもしれませんが、こういう立ち話、いかにオンラインにおいても生徒との距離を縮めるかというところを、非常に工夫した中の1つなのかと思っております。これをすることで、安心して授業に入れると。通塾しているのと変わらない、対面で実施しているのと変わらないというところを、安心してというところで非常に重要視してきました。これは実際、ZoomとかTeamsとかいろいろオンラインの会議ツールがあるんですけれども、事前にエントランスホールというものを作りまして、エントランスホールで一旦生徒さんとお話をすると。そのエントランスホールから授業ブースに向かうという、オンラインでも対面に近い形で動線を作ったという形になります。
 3番目、こちらが人にしかできないこと以外をシステム化ということで、弊社は去年、大きな基幹システムを導入しております。システム化による業務効率化というところを、システム化すると優先しがちなんですが、我々はそこを今回は最優先とはしておりません。個別指導においては、その生徒にとって考える時間、何ができるかという時間、その時間を創出させるために、人にしかできないこと以外をシステム化するという形で、あえて遠回りな言い方にはなるんですけれども、人にしかできないことを見つけようという形で活動してまいりました。
 中段にあるとおり、弊社266教室全国にあるんですけれども、当然システム化するに当たって、どうしても各教室は、各教室のベストプラクティスがありまして、どうしても授業教室ごとによって、運営の仕方とか業務の流れ方が異なってしまうところがどうしてもあります。これらを全部の教室を、言い方が難しいんですが、満足するような形でシステム化をしようとすると、非常に時間がかかってしまいます。ですので、我々はDX推進に向けて試験システムを構築する際は、初めから最終的なゴールを作るのではなく、あくまでも35年間で培われてきたノウハウ、このノウハウを全システムが踏襲しておりますので、それの必要最低限の機能を、まず基礎として構築して、あくまでも拡張性のあるシステムという形で、こういうことが主体となったらすぐ拡張できるという形で、スモールステップな形で基幹システムを作りました。
 その結果、今は安定稼働しており、いろいろな教室からこういうことをやりたいというものが上がってきた上で、それを全教室で、これはみんなでやろうかという形の、全体的な活動として拡張できるかという形でシステムを構築しておりました。
 実際、どうやってやったかというところなんですけども、どうしても必要最低限な機能と一言で言っても、どういう機能がどうあるべきなのかというのを理解しないとシステムは構築できませんので、我々はアプローチを5つ作りまして、まず、現状の業務のプロセスとシステムの調査を徹底的にしました。その上で、時間がかかっているところという部分について、要因分析をしました。それがなぜ時間がかかっているのかと。時間がかかっている要因を解決するための方針を検討して、次期システムの方針を作るという形で、いわゆるポピュラーなやり方だと思っているんですけれども、ここに凄く注力をしました。
 ここがシステムの概要になっているんですけども、弊社のサービスは、大きく左側に3つサービスがありまして、教室の種類としては、個別指導の教室とサイエンス文章の教室と併設教室と、教室の種類も3種類ございます。それを教室長が管理をしておりまして、その中で、システムの流れを絵にして、最終的に分析まで行くという形の大きなグランドデザインを作った上で分析を始めた次第でございます。現在、分析基盤については、まだ推進中でありまして、完成には至っていないんですけれども、今、去年刷新した授業管理で蓄積されていくデータを、今後色々なものに活用していくということを想定しております。
 先ほどの人にしかできないこと以外をシステム化というところで、時間に着目したというところではあるんですけども、これは凄く一部なんですけれども、例を実際に御紹介させていただければと思いますが、赤字にしています、「講習会のスケジュールの日程の調整に時間を要する」と、これが19万時間。これは266教室で、トータルで19万時間かかるだろうという試算をしております。講習会のスケジュールの日程というのは、具体的に言うと、講師の日程と生徒さんの日程を組み合わせる作業になるんですけれども、講師は講師の日程、授業できる時間と、生徒さんは生徒さんの授業を受けられる時間というのが双方ありますので、それを担当講師ごとに、生徒ごとに一人一人講習会のスケジュールを組んでいくというところが実はすごく時間がかかっていたと。19万時間が、当初分析したタイミングでは非常に長いだろうと我々は思っておりました。これを効率化することというのは、すごく企業にとってメリットが凄く大きいのではないか、システム化する価値があるのではないかと思いました。ですが、実際に中の業務を、先ほどの現状調査というところで色々分析をしていきますと、教室には教室のやり方があって、先ほど立ち話というお話もさせていただいたんですけれども、立ち話の最中に、例えば今週は部活で、大会前で練習が忙しいとか、仕事の関係で引っ越しすることになりました、お父さんが今日はいません、今週はお父さんが出張で家にいないんですとなったときに、例えば講習会の配置にするにしても、このお子さんはまだ小さいお子さんなので、なるべく午前中に授業を入れてあげようとか、そういう配慮というかホスピタリティ、我々はホスピタリティと呼んでいるんですけれども、そういうことはどうしても今の機械ではできなくて、実はそれを考える教室長というのは、非常に教室長としての価値というか、我々の価値だと思っております。なので、そういう価値を消さずに、不要なところだけをシステム化、人にしかできないところ以外をシステム化するという形で、システム構築に取り組んできた次第でございます。
 どうしてもこの辺のところは、現状のIT、AIを含めて、ITとかシステムと呼ばれているものではなかなか解決することが難しい、そのとき、その子にとって一番ベストは何かというのは、なかなか人間でしか考えられない。こういうところを我々は重要にして、それ以外のシステムでもいいところというのをシステム化するという形で、システム化してまいりました。
 先ほどもずっと、しつこいようで申し訳ないんですけれども、そのとき、その生徒にとって一番よいことは何かというのは、どうしてもシステムだけでは完結できません。これは教室長、講師が生徒を思って考える力、この考える時間を創出するためのシステム、これを非常に大切にしているところでございます。
 我々の取組は以上になります。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 それでは、以上の4つの御発表を踏まえまして、委員の皆様それぞれのお立場から、質疑を含めて、25分ぐらいの意見交換を行いたいと思います。時間が限られておりますし、色々なお立場の方に御報告いただきましたし、色々な御発言もいただきたいところですので、御発言は簡潔にお願いいたします。それでは、御意見のある方は挙手ボタンで意思表示をしておいてください。時間で入る範囲で、私の方で指名したいと思います。
 では、妹尾委員、石井委員の順番で、まず参ります。妹尾委員、お願いします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。御報告ありがとうございました。
 主に三島市さんにお伺いしたいんですけれども、1つはコメントで2つ質問です。
 1つのコメントとしては、御案内のとおりですけど、教頭の業務がもの凄い忙しいということだとか、あるいは、修繕業務を学校事務職員がやっている場合も、学校によってはありますけれども、そういった方々の負担軽減と、あと教育委員会の負担軽減と両方図るというのは非常に大事な発想だと思いますので、ぜひ今後も大事にしたいと私自身も思いました。
 2つ質問なんですけれども、1つは個人情報絡みのことが時間がかかるということなんですが、僕は詳しくないんですけども、オンライン結合については、確か平成29年度だったか、総務省が見直していいと方針を出していたと思いますし、その辺りも含めて、なかなか進まないとすれば、それはなぜなのかということをお分かりになりましたら、教えていただければありがたいと思います。
 あるいは、これは次回以降で結構なんですけれども、事務局の文科省の皆さんも、これは1つの例なんですけれども、なかなか各自治体内で阻害になっている要因だとか、うまく進まない要因というのをぜひ分析していただきたいというリクエストをしておきたいと思います。
 2つ目に、三島市さんへの質問なんですけれども、家庭環境調査票をアプリ開発したいということは、僕も保護者なので、すごく喜ばしいことだと思っています。毎回、4月に本当に何度も同じようなことを書かされて不満たらたらなんですけれども、学校によっても違うかもしれませんし、自治体と違うかもしれませんが、紙で保護者が書いたものを学校側が何か入力していたりとか、そういう、一手間、二手間かかっているということなんでしょうか。あるいは、これこそまさに個人情報の固まりだと思うんですけれども、そういったことがどうなっているかと、この辺りも教えてください。よろしくお願いします。
【堀田座長】  ありがとうございます。では、三島市さん、よろしくお願いします。
【杉山発表者】  まず、個人情報保護条例というのがありまして、そこに当然、オンライン結合の場合は、審議会にかければ使えるような形、クラウドが使えるような形になるんですが、実務的なところを言うと、これは市長部局の法規担当のところが担当していて、これは年1回しか開催してないという話があります。臨時的な場合もあるということなので、何とかそこの2月ぐらいに個人情報保護審査会があるので、そこにかけて家庭環境調査票をクラウドで扱えるような形で何とか突破していきたいというところで今、考えております。
 また、家庭環境調査票については、これは全て今、紙管理になっていまして、特に入力とかはしていないと学校からは聞いています。これは家庭環境調査票だけではなくて、健康関係の書類を含めて、全部で6枚から7枚、年度当初に保護者に書いてもらって提出していただいているという話なので、それを取りまとめるだけでも、先生の業務は非常に苦労しているという話も聞いたので、そこを何とか改善していきたいと思っております。
 以上です。
【妹尾委員】  ありがとうございます。応援しております。
【堀田座長】  ありがとうございました。では、石井委員、お願いいたします。
【石井委員】  よろしくお願いいたします。御発表ありがとうございました。世田谷区さんは校務支援システムのクラウド化に向けて、三島市さんは、GIGA端末のネットワークでつなげてできる業務のクラウド化、磐梯町さんは既存アプリを教育、保育での活用に広げること、東京個別指導学院さんは、DXだけれども、これまでの対面との距離感を大切にしているということが伝わってまいりました。これからも自治体DXが進む中で非常に大切なところを御提案いただいたと思っております。
 そこで、三島市さんと磐梯町さんへの御質問なんですけれども、次の一歩ということへの、非常に次の大きな目標は御提示していただいたんですけれども、じゃあ次、やる手軽な校務の情報化ということで、何かお考えがありましたら教えていただければと思います。お願いいたします。
【堀田座長】  すぐ次にやることは何でしょうかという御質問です。三島市さんからお願いします。
【杉山発表者】  今、修繕依頼業務だけをやっているんですが、それに加えて、備品管理も、教育総務課から学校の現場に、備品の管理を1個1個お願いしている、それも紙でお願いしている部分もありますので、それをまず着手して、あと、光熱水費の管理とかも、これもエクセルで、メールで出してもらっているところもあるので、光熱水費の管理の部分と、あと、学校でそれぞれ会計を持っている、お金を管理しているものがあるという話なので、それも着手していこうかと。最後には、家庭環境調査票をとにかく入れないと、令和5年度の予算要求ができないんですということで学校にもプレッシャーかけていますので、ここを何とか突破していきたいと思っています。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。磐梯町さんお願いします。
【穴澤発表者】  磐梯町でございますが、今ほどコドモンの活用について、御説明をさせていただきましたが、正直申し上げますと、まだコドモンの機能を全て活用できるかというと、なかなかそうはいっていなくて、例えば、学校の行事をカレンダー形式で保護者さんに提供したりですとか、もろもろ機能がございます。そういったところを、先生方が、まず、コドモンを使って、これは便利だ、これは毎日使っていこうかと思っていただくところをスタートとして、そこから、いろいろな機能をどんどん使っていきたいと思っていくようになっていただきたいというところで、教育委員会ではサポートしているところです。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、鶴田委員、水谷委員の順番でまいります。鶴田委員、お願いします。
【鶴田委員】  失礼します。世田谷区様、それから磐梯町様にお伺いさせてください。質問です。
 保護者とのやり取りをするためのツールを導入されたということがありました。それで、目的以外の部分での導入による影響というのをお伺いしたいです。メールによる配信というのは一方向なんですけれども、どちらも双方向的なツールを導入されたと理解しています。
 それで、例えば、導入をして、アンケートの回収率であるとか、紙の時の方が回収率が高かったなんていう話をよく聞きます。回収率に変化がなかったのかとか、あるいは、欠席の連絡をデジタルにすることで、保護者の心理的負担が下がる。ただ、連絡するときの心理的ハードルが下がるので、逆に欠席が増えたとかという影響がないかとか、そういった導入することによる周辺の影響というのが、もしあったらお聞かせいただきたいということと、それらを緩和するために何か工夫をされていることがあれば、教えていただきたいと思います。
 以上です。
【堀田座長】  聞きたいところは世田谷区さんと。
【鶴田委員】  磐梯町さん。
【堀田座長】  磐梯町さん。じゃあ、世田谷区さんからお願いします。
【齋藤発表者】  世田谷区の回答です。お答えいたします。
 回収率についても、欠席率についても、正確には統計を取っていないので分かりません。ただ、導入したところで意外だったことというのは、教育委員会からのメールが多すぎて、どれが大切か分からない、埋没してしまうというお叱りのような御意見をいただいております。それが最も世田谷区では、導入時に想定していなかったことになります。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。磐梯町さん、お願いします。
【穴澤発表者】  世田谷区の渡部さんが手を挙げていらっしゃったようなので先に。
【堀田座長】  なるほど。教育長、どうぞ。
【渡部発表者(委員)】  私から、先ほどの質問についてお答えさせていただきます。
 世田谷区では、「すぐーる」を入れる前は連絡帳でやり取りをしていました。コロナ禍で保護者の方が届け方について心配されていたので「すぐーる」になって安心したという声をたくさんいただきました。アンケートも紙に書いて、それを子どもたちが学校で提出するという形式から「すぐーる」の中でできるようになったので、回収率はかなり上がりました。
 それから、先ほど、連絡帳ではなくなり、心理的なハードルが下がって欠席が増えたということは、聞いてはいません。
【堀田座長】  ありがとうございました。磐梯町さん、お願いします。お待たせしました。
【穴澤発表者】  アンケートに関してですが、実は、4月終わりに学校給食に関するアンケートを、教育委員会からコドモンを通して、幼稚園、小中学生の保護者さん宛てに一斉に送付をいたしました。送付が、夕方6時頃に一斉送信で約400件送付したんですが、次の日の朝には、200件ほど既に回答が来ていました。かなりレスポンスが早い方がいらっしゃる反面、どうしても遅い方というのもいらっしゃいます。そういったところは、誰が答えている、答えていないというところも全てデータで把握できていますので、できていないところには、アナログな手段を併用しながら対応しているところでございます。
 また、欠席に関しましては、現在、欠席率が上がったというデータは、こちらも把握はしておりませんが、保護者さんが休ませる連絡、気軽になったというところで、じゃあ子供を休ませようかとは今のところなっていないかと思っておりますので、そちらも注意して見ていきたいと思っております。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 続きまして、水谷委員、その後、福原委員、藤村委員の順番でいきます。水谷委員、お願いします。
【水谷委員】  お願いします。まず、コミュニケーションツールの活用ですが、本市も使っていて、保護者との双方向性が確保されています。また、配布物も、前回にお伝えしましたが、紙媒体ではなく、データを送ることができるようになって非常に便利です。しかし、今、お話があったように、ちゃんと見ていただけるところは、すぐ見ていただけるのですが、そうではないところもあり、紙媒体の場合も伝わっていなかった可能性があるとは思いますが、心配な傾向があります。ただ、今までのメールとは違って非常に使いやすいものですし、こちらの負担も減っていますので、これのような仕組みは、どこでも使われるといいかと思います。
 自分からの質問です。最初の3つの自治体の方にですが、自分たちもそうなのですが、便利になるからということで、単体で1つずつシステム化をしてきた部分があって、そのシステム化をした時は便利なのですが、色々なシステムが乱立してしまい、かえって不便になって、困ることもあります。この前に御報告したように、クラウドになってどこを使えばいいのかといったことが出てきています。1つずつ解消をしようと思っていますが、こういったシステムの乱立というようなことをどのように解消されていくかということについて、全体計画をきちんと考えて作ればよかったことで、走りながら考えてきた部分は、どこも同じだと思いますが、これからどのような工夫をされようとしているか、お聞かせ願えればありがたいです。
【堀田座長】  お願いします。世田谷区さん、どちらか1名で結構です。どうぞ。
【齋藤発表者】  世田谷区からお答えいたします。
 今回の統合型校務支援システムというのは、乱立したシステムを統合するという意味も多分に含んでおりまして、ドリルなどのいわゆる教育ネットワーク側からの情報を校務に流し込んだりするという連携を一応もくろんでおります。ですから、統合型校務支援システムというのは、全体ネットワークを統合していくということを目的としております。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。三島市さん、お願いします。
【杉山発表者】  三島市では、令和6年度に今、校務支援システムのライセンスの更新時期を迎えるので、それに向けて統合型のものを導入していこうということで計画しておりますが、ただ、パッケージの中に網羅されてない業務というのが多分あるということで、kintoneの中で、それらにない業務をここの中でやれたらというところで今、計画的には進めているところでございます。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。磐梯町さん、お願いします。
【穴澤発表者】  今ほどお聞きしましたように、本当に私も昨年の4月から1年間、教育委員会に携わらせていただいたんですが、物凄く今、過渡期といいますか、今までになかったところがたくさん入ってきているところがあって、これを学校の先生方にもかなり無理をしながらお願いしている部分があります。これを1年、2年で、じゃあ次はこれで、次はこれでというわけにもなかなかいかない部分がありまして、1つのシステム、大体3年くらいを目途に反省等を含めながら、次の大きな仕組みを考えていく必要があるのかと今の段階では考えております。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。この後、福原委員、藤村委員、あと清野委員の順番でまいりますが、お時間押し気味ですので、端的にお願いいたします。福原委員、お願いします。
【福原委員】  よろしくお願いいたします。学校現場で、我々は色々なシステムを使う立場になります。そこで、東京個別指導学院さんにお聞きしたいのですが、業務を改善するところで、現状分析等をされたと発表されていらっしゃいますが、どのような形で現状の分析をされたのでしょうか。教室でのシステムの仕組みを作る部門の方が考えるところと、利用する各教室の声をどのように聞き改善に取り入れたのか、教えていただければと思います。
 以上です。
【堀田座長】  東京個別指導学院の方、大丈夫でしょうか。お願いします。
【塚越発表者】  塚越から回答させていただきます。我々は266教室の全部を聞きに行くことはIT部門ではできませんでしたので、大きく分類したことがあります。例えば、200人いる教室と、100人いる教室と、50人いる教室で、どういう業務の流れになっているんだろうというところと、あのとき、当時分析したときは、教室長という生徒の数だけではなく、いろいろ時間をかけられているところがあったので、大きい教室にモデルを合わせるべきなのかどうかというのも含めて、教室の規模みたいなところはIT視点では正直ありました。
 その中で、大きい教室でやっているところは効率よくやっているんじゃないかとかという仮説を立てつつ、分類、カテゴライズして、その中で、ピックアップしたものを、まず、自分たちでヒアリングをしに行くということが1つありました。それとは別に、アンケートという形で全教室、今はウェブでアンケートも簡単に取れますので、全教室の方に実態調査をさせていただいたというところでございます。なので、全員の声は一応確認をしております。
 以上でございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。ここの場合は、いわゆる塾のようなところの対応ですけども、学校規模で考えれば教室の大きさというのは学校の大きさだと考えれば、どこに合わせてシステムを作るかという規模との問題は非常に重要なところかと思いました。参考になる御意見ありがとうございます。
【福原委員】  ありがとうございます。
【堀田座長】  続きまして、藤村委員、お願いします。
【藤村委員】  それでは、3点御質問させていただきます。世田谷区さんに御質問させていただきたいと思っております。
 1点目は、GIGAスクール構想の下での校務情報化の在り方という本委員会のテーマなんですけども、何が違うかというと、学習系のデータが直接電子化されて手に入るようになったのに、回線が分断されていて校務系に流し込めないというのは致命的だと考えておりました。そこで、世田谷区さんがネットワークを統合して、学習系、校務系での間のデータのやり取りをできるようにしたというのは、これは本当に画期的なことだと考えております。実際に、学習系のどんなデータをどのように校務系に流したり、また、その逆をしようとしているのかというのをお答えいただきたいのが1点目です。
 2点目は、ネットワーク統合というのを推奨したときに、怖いのが統合していいんだと安直につないでしまうことです。ゼロトラストセキュリティーの下で安全に統合しているんだと思うんですけども、どのようなセキュリティ対策を取って、その上で統合しているのかと、他が真似しようと安直に真似するんじゃなくて、ちゃんと考えて真似しなきゃいけないというポイントを教えてください。
 3点目は、実は東日本大震災で流出した指導要録やなんかの復元等で非常に苦労した、安否確認に苦労しました。その経験から、教員のリモートワークと緊急連絡網システムはすごく有効だと思いながら拝見していました。避難所からでも安否確認できる、ちょうどあのとき、某自治体で実証実験をやっていて、テレワークと緊急連絡網システム、安否確認システムを入れていたら、その日の夜までに安否確認をそこはできたけど、他は物凄く時間がかかった、避難所巡りしたと。その辺、セットでお考えかどうかというあたり、3点目、御質問したいと思います。
【堀田座長】  では、世田谷区さん、お願いいたします。
【齋藤発表者】  世田谷区からお答えいたします。
 まず初めに、統合についてはこれから実施するところで、まだ完成はしておりません。統合については様々な手法があると思いますが、文科省や総務省の実施モデルに沿って構築していきたいと思っていますので、相互の通信は特定通信という限られた通信の方法を得るとか、その他、ファイアウォールとかいろいろなゲートウエイを設置して厳重にしていきながらも、双方向の連携ができるように考えております。
 また、2点目については、これから検討ですけれども、セキュリティについては、いろいろな方法を使っていきたいと考えています。
 最後に3点目なんですけれども、まだ想定していない事案でして、正直な話が、確かにあの時代であれば非常に便利だと思うんですけれども、あれから約10年たった今、今後の課題だと認識しております。
 以上になります。
【藤村委員】  どうもありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。次の案件につながるような御質問をいただいて、大変感謝しております。
 続きまして、清野委員、高橋委員、小﨑委員の順番に行こうと思います。清野委員、お願いします。
【清野委員】  では、よろしくお願いいたします。個別指導学院様にお聞きしたいんですが、先ほどの質問にかなり似ているかと思うんですけれども、先ほどの御発表で、必要最低限のシステムを導入し、教室によって拡張するというお話があったかと思うんですが、同じ自治体の中であっても、学校規模、あるいは地域性、教職員の習熟度によって必要なシステムというのは、実は色々ある部分があるかと思うんですが、その辺り、どの程度、教室によってカスタマイズという言葉が正しいのか分からないんですけども、裁量、工夫をされているのか、そこを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【堀田座長】  ありがとうございます。東京個別指導学院の方、お願いいたします。
【塚越発表者】  システム的なところでいきますと、教室ごとに処理を変えることはもちろん可能です。なので、要望があれば、それが企業にとってベストであれば、この教室はこういう処理をさせようということは視野には入れていますが、ここは藤田さんの御意見も伺いたいんですけど、今、事業部については、そういう形で動かれてはいないのかと思っているんですが、システム的には全然教室ごとに可能ですし、エリアごとでも、地域ごとでも幾らでもカスタマイズは全然できるような形の拡張性を担保しております。構築しております。
 藤田さん、業務面ではどうでしょう。教室ごとに変えていますか。
【藤田発表者】  教室ごと色々な良い意見とかというのはたくさん上がってくるんですけれども、それを完全に教室ごとに実装していくのではなく、その中で本当に全社的に一番いい形、拡張はどれなのかということを、我々管理側が取捨選択をして、これを今回採用して全体に展開していこうみたいな形でシステムの改修に役立てています。もう既に、昨年から実装されてから、そういった現場のアイデアを拡張にして入れている事例というのもたくさんありますので、1つの事例が全体の事例にと、そういった形で今やっています。
【堀田座長】  ありがとうございました。続きまして、高橋委員、お願いいたします。
【高橋(純)副座長】  高橋でございます。よろしくお願いいたします。
 東京個別指導学院さんに質問をさせてください。御説明いただけなかった7枚目について少しお尋ねいたします。2点です。
 まず、事業管理のところに、クラウド上でスクラッチ開発と書かれております。なぜスクラッチ開発という選択をしたのかということをお尋ねしたいと思います。本会議は、GIGAスクール構想の下でということになっておりますので、開発手法について少しお尋ねしたいということ、もう一つ、色々システムにするとかしないということを大きな考えとしてお示しいただいたんですが、具体的に何がシステムになっていて、何が人の処理になっているかということを伺いたいんですが、お時間もないですので、特にここに書かれている、例えば進路指導とか教室美化みたいな話について、どの辺りがシステム化されたのか、あるいはされなかったのかということについて、お答えいただければ幸いです。
 以上です。
【堀田座長】  では、東京個別指導学院の方、お願いいたします。
【塚越発表者】  システム化のところのスクラッチの理由については、競争優位性というところで、東京個別指導オリジナルの拡張性を今後も求めていきたいと思っておりますので、どうしても世の中にあるLMSとか色々パッケージがあるのは理解しているんですけれども、どこかで、そこが耐えられなくなるというのがあるのかというところも含めてスクラッチにしました。
 また、開発手法を細かく言うと、先ほどの御紹介、ほかの自治体の方からもあった開発ツールも少し工夫をしておりまして、高速開発ツールを使いまして、直接プログラミングをコーディングするわけではなく、ビジュアライズされた、ビジュアル的にコーディングできるような開発手法を使っておりますので、将来的には、もっとみんなで開発できるような形に持っていけるんじゃないかという開発ツールも導入しております。
 2点目、具体的にシステム化しなかったところ、ここはまだ藤田と検討中ではあるんですけど、例えばカリキュラムとかカルテというところは最終的にデジタル化するためで、データの入力というのは用意しなきゃいけないかと思っているんですけれども、本当にそこを考えるところというのは、端末がいいのか、紙がいいのか、結局余白とかを結構、講師の方はいろいろ考えるときに使ったりする部分の人の価値をどこに求めるかというところが、今、結構検討議題に上がっているかと思っています。
 すいません。藤田さん、フォローをお願いします。
【藤田発表者】  やはり我々、直接生徒さんと対話する時間を最大化していくために、それ以外のところをいかにシステム化していくか、効率化していくかだと思っておりますので、同じ入力ですとかデータというところも、同じ作業をしているんですけれども時間が短縮されて、より対応の時間が増えていくとか、そういったところも必要かなと思っておりますので、今、塚越からお話があった部分と、そういった対話の部分というところを両方にらみながら、システム化していく部分とそうじゃない云々というのを検討したいと思っております。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。では、小﨑委員でラストにしたいと思います。小﨑委員、お願いいたします。
【小﨑委員】  お願いします。三島市さんに質問です。私は、三島市さんがGIGAスクール構想の整備をしたとき、外部アドバイザーの立場で関わり、三島市さんがお金もしっかりかけて、先生方の意見をたくさん聞いて、しっかりやっているなと感じていました。さらに今回、kintoneを導入されるということで、メリットを聞きたいのです。結局、導入して用意した仕組みがいくら立派なものであっても、先生が使わなかったら元も子もない。とにかく使ってもらうということを前提にして、私の知り合いの自治体と話していると、キーワードとして出てくる言葉は「便利だ」ということです。さらに、どういう点が便利かと訊ねたら、「必要なときに形にこだわらず、すぐ入力しておけるんです」とか、年度末の指導要録の記載みたいに「1年間やってみて、初めてこんなに楽ができるんだということがあったんです」とか、そういう声が幾つか上がってきています。三島市さんで先生方の前向きな声とか、kintoneを使ってみて、導入前と比べてここがいいと、評判がいいということがあれば、教えていただきたいです。
 以上です。
【堀田座長】  三島市さん。
【杉山発表者】  実は、今月の教頭会議の時に、実際に使っていらっしゃる教頭先生に、今の修繕依頼業務についてのアンケートというか、実際の声を聞きました。そうしたら、半分以上の先生がかなり楽になったということを聞きました。ただ、中には、まだ使っていらっしゃらない学校もあったりというところで、そこはうまく話を進めながらやっていくんですけど、かなりの先生が使い勝手がよくなったということも聞いています。
 あと、校長先生にヒアリングしたところ、先生にかなりメリットがないと、これはだんだん浸透していかないということも聞いているので、なるべく先生にメリットのある業務やれるようにというところで今、検討はしているところであります。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。皆様のたくさんの御意見、御質問等ありがとうございました。ここまでといたします。
 私、座長として聞いていましたが、この専門家会議の役割は、GIGAスクール構想で端末が入ったと、汎用的なクラウドシステムを色々な自治体が使っていますという前提の下で、今までの校務の情報化というのを、これはクラウド前に検討されていたものですから、それをもう少し見直してみると、クラウドツールだけで結構やれることがあるんじゃないか。一方で、そこのセキュリティとの境目をどうするか。あるいは、校務支援の専門のシステムじゃないとできないことは何なのかみたいなことを、そういうことを議論するために、まず、周辺部分から始めてやっていただいている自治体さんにお声かけをして、いろいろお話をいただいたというところです。
 そうすると、分かったことは、それぞれ無理のないところから始めて、無理のない学校から色々やっていくとそれなりに進むということと、一方で、個別のシステムがどんどんできてくる、さっき水谷委員は乱立とおっしゃっていましたけど、そのことによる不具合もいずれ生じるということ。つまり、これはデータの利活用の問題で、システムの機能というよりも、1つのシステムで全部抱え始めると、今度はどんどんシステムが巨大化してかえって使いにくくなるわけで、この辺り、データの利活用、流通と管理をどうするかと。どこをどのシステムに任せるかみたいなトータルな話になるのかと思いました。
 私の印象としては、東京個別指導学院さんのように、企業ですから明確な価値観があって、目的がばしっと決まっていると、割とそれに向けて最適化できるんだけど、学校って色々なことをやっているから色々多様で、どれが最適かよく分からないみたいなところにどうしてもなってしまうと、そういう状況がある中で、どこまでを教育委員会がしっかり管理し、どこは学校に任せ、どこを教員に任せるのかということが次なる課題としてはあるのかと感じたところでございます。
 それでは、次の議題にまいります。議題2は、「教育情報セキュリティについて」ということで、この分野の専門家でございます、髙橋邦夫委員にお話をいただきます。髙橋邦夫委員、よろしくお願いいたします。
【髙橋(邦)発表者(委員)】  今、御指名いただきました、髙橋邦夫でございます。
 今回のセキュリティポリシーガイドライン改訂の座長を務めさせていただいたこともありまして、このような場をいただきました。簡単に、15分から20分ほどで御説明させていただきたいと思いますので、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
 学校を取り巻く教育セキュリティの話をさせていただきますが、まず、文部科学省の教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの概要についてお話しさせていただきます。このたび、事務局または座長からお話がありましたけれども、本年3月に改訂がございました。後ほど御説明しますように、今回は小規模改訂ということでございます。
 そもそもセキュリティポリシーガイドラインとは何かということですが、ここに目的、経緯が書かれています。学校やそれに携わる教職員の皆様がICTを活用するに当たっては、何かしらのルールブックがないと安心して使えないだろうということで、ICTツールを安全安心に使っていただくために、ガイドラインを作ったということです。それが平成29年10月です。その後、度々の改訂がございました。平成元年12月にクラウド利用についての大きな改訂をしましたし、令和3年5月にはネットワークの在り方についての大きな改訂をさせていただきました。
 今回の改訂は、令和3年5月の改訂で、表現が曖昧だったところを整理するという形での改訂になったものです。平成29年10月に、最初のガイドラインを出したときには、ネットワークの分離ということで、機微情報とインターネットの脅威というものを分離しましょうという方向性を出しました。平成27年に日本年金機構で大きな事件が起きました。また、ガイドラインを策定している最中に佐賀県の高校で、外部の少年が友達の生徒のID、パスワードを使って成り済まして学習系のシステムに入って、そこからファイアウォールを突破して、校務系のシステムから情報を漏えいさせたという事件がありました。このような大きな事件があったことも踏まえて、当時としては、ネットワークを分離することでセキュリティを担保するという、これは総務省だけではなくて、経済産業省も厚生労働省も同じような考え方でやってきて、それに文部科学省も準じたということでございます。
 続きまして、令和元年の改訂では、クラウドをもっと活用しようという方向性を出しました。その後の令和3年5月の改訂では、クラウドを活用するに当たってネットワーク分離をしていると、先ほどの世田谷区の事例にもあったように、校務系のデータに学習系のデータを移そうと思ったときに、手作業でやらなければいけない不便が生じる。文部科学省ではスマートスクール構成の実証事業を行いましたけれども、そういったものを作るにはお金がかかるということで、ゼロトラストネットワークを意識した、ネットワーク分離ではなく認証の徹底によるネットワークの在り方を発表したのです。
 この背景にはGIGAスクール構想によるパソコン整備によって、子供たちが1人1台になり、多数の端末からインターネットに抜けるようなケースが増えたこと、特に学習系に関しては、クラウド上の学習系システムを使うことが多いですから、ネットワークがボトルネックになってしまいます。子供たちがインターネット上のシステムを使うとき、ここで遅延が発生する、こういうことがあってはいけないということで、当面の策としてローカルブレイクアウトを強化しました。令和3年5月の改訂のときに、ローカルブレイクアウトを発表しました。ただ、ローカルブレイクアウトは決して好ましいものではないです。一過的な仕組みではありますけど、クラウド上の学習系システムには個人情報が全くないわけではありませんから、安易にアクセスできてしまっていいのかという問題もあります。
 クラウド上にあるものに関しては、しっかりと認証を踏まえて、許可された人が許可されたパソコンから許可された時間内にといったアクセス認証をしっかりとした上で活用したらどうかという考え方に基づいたものです。
 クラウドサービスについては、今回のガイドライン(本日の参考資料1)の1.9に載っております。ガイドライン初版においては、クラウドサービスについては、やや消極的な書きぶりになっていました。その反省を踏まえて、令和元年12月の改訂で、もっとパブリッククラウドを積極的に活用してはどうかという書きぶりに変えました。今般、各府省が運用する情報システムについても「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」というものが出まして、もっともっと積極的に、そういった方向転換がありましたので、文部科学省のガイドラインも準じましょうということです。
 また、本日の資料にあるハンドブックにも、クラウドサービスの安全性を確認する規格として、ISO27017とかISO27018といった資格がありますので、こういった認証を取っているかどうか、しっかりと見据えて、クラウドサービスの利用を考えていただきたいという記載があります。
 そして、今回の改訂ですが、クラウドに対して学習系であれ、校務系であれネットワークを分離しないでアクセスする際には、リスクを分散させるような仕組みを作らないといけないということです。それが①にある「アクセス制御による対策」を講じる場合にはリスクベース認証とかふるまい検知、またはマルウェア対策や暗号化といった、様々な技術を組み合わせることで、機微な情報を守りましょうということを、明記しました。
 また、もう一つの改訂点としては、ネットワーク分離による対策とアクセス制御による対策の記述が、一緒のように見えてしまっていたので、これまでどおりのネットワーク分離による対策をやっている教育委員会からすると、これまでと何か違うことをやらなければいけないという誤解が生じておりました。また、世田谷区や三島市もおっしゃっていましたけども、将来的には、ゼロトラスト的なネットワークに近づけたいということを考えている教育委員会は多いと思いますが、その際には、今までのネットワーク分離による対策を講じていた場合と対応が変わってくるポイントとして、校務用端末の使い分けについて、対策ごとに記述を適正化しました。
 そして、もう1点は校務用端末の持ち出しに関する記述も適正化しました。これからは先生方も必ずしも学校という閉じられた中からのアクセスではないと思います。持ち帰りや校外学習、または先生方が長期入院のお子さんの指導を行うこともあると思います。このような場合であっても、校務支援システムに適切にアクセスできるような仕組み、こういったものを守っていただきたいと書かせていただきました。
 本日お伝えしたいことがもう一つございます。これは、個人情報保護の考え方です。三島市への質問にもありましたが、「個人情報保護法制2,000個問題」というのがありました。これが昨年の通常国会で成立しましたデジタル改革関連法法案、この中に、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」がありまして、この法律によって、個人情報保護法と行政機関の個人情報保護法、そして、独立行政法人等の個人情報保護法という3つの法律を一本化する作業が行われて、そこでは、個人情報保護法の範囲を広めて、これまでは自治体ごとに個人情報保護条例を作って、ある自治体はクラウド利用を禁止している、ある自治体においては、クラウド利用を積極的に認めている、このような温度差をなくしていく改正がなされました。
 法律が成立したのは昨年の通常国会ですが、施行されたのは今年4月です。ただ、3つの法律が一緒になったのは4月からですが、地方公共団体の条例の廃止に関しては、1年間猶予が与えられ、まさに令和4年度、1年間かけて個人情報保護条例を同じ足並みにそろえていく作業が行われています。
 本当に一本化できるのかについては、このような図が出されており、基本的には共通ルールになると言われています。三島市が先ほど個人情報審議会に諮らないとクラウド利用ができないという話がありましたが、今後は全国共通のルールで設定されますので、個人情報保護審議会に諮らなくても、クラウド活用ができるようになるはずです。ところが地方自治の原則を無視して、全ての規定を一緒にするかというとそうではなくて、上乗せ、横出しはありと言われています。1年間かけて各自治体が検討した結果、一定の上乗せ、例えば、あるケースでは死亡者の情報は秘匿するという上乗せ条例ですとか、このようなものについては審議会の意見を聴かなければいけないといった横出し、こういったものを全て否定するものではなく、自治体で考えてくださいという建て付けになっております。
 このお話しをしますと、2,000個問題は変わらないじゃないかと思われるかもしれませんが、2,000個問題には一定の解決が図られます。条例で定めることができるのだから独自条例はできてしまうかということについて、例えばオンライン結合に特別の制限を設ける規定や個人情報の取得を本人から直接取得に限定する規定などについては、許容されないと書いてあります。これはパブリックコメントへの回答です。このスタンスで今年度、総務省や個人情報保護委員会から通達が出ると思います。つまり、今後はオンライン結合については、一定のルールの下で認めなさいということです。うちの自治体だけはクラウドを使ってはいけないということはあり得ないことを御承知おきいただければと思います。
 まとめになりますけども、GIGAスクール構想によってパソコンが増えました。全国の教育委員会で様々なセキュリティインシデントが起きております。代表的なものを書かせていただきましたが、パソコンが増えれば増えるほど管理が難しくなります。校務用のパソコンがなくなってしまったということが起きて、この場合には、自治体がしっかりとログを取っていたので不正な利用はされていないということが分かりましたので、総動員して探した結果、校内のロッカーで確認され事なきを得たことがあります。このことを考えますと、資産管理は大事なので、資産管理ツールを入れて、どのパソコンをいつ誰が使っているかを分かるような仕組みを作るべきだと思います。
 また、総務省の事例でいうと、マイナンバー利用系は、本来、多要素認証が必須と言っていますが、実際には生体認証で認証されずにはじかれてしまったときにパスワードを打てば利用できるという運用をしている自治体があり、生体認証を入れた意味がないということもありました。
 このように、パスワードについては、例えばお休みの先生のアカウントに成り済まして入っている事例みたいなことがあってはいけない、そういう仕組みを作っていただきたいと思っております。
 また、昨今、コンピューターウイルスのエモテットというウイルスが、非常に猛威を振るっております。事例のように、市役所からも情報漏えいがあったということがあります。また、ランサムウェアと言われている身代金を求めるような、たちの悪いものも出回っております。これらはセキュリティパッチが当たっていないところを狙われています。または、VPN装置のID、パスワードが初期値のままだということが問題になっています。是非セキュリティに関して注意を払っていただきたいと考えています。総務省の「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」と、改訂された文科省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の一番の違いは、後者が情報の活用に重きを置いているところにあるのではないかと考えています。セキュリティというのは守るだけでは駄目で、使ってこそ初めてセキュリティですから、そういった意味では、教育委員会には、まずはデジタル化を進めていただいて、アナログの情報漏えいを減らすということに注意をしていただきたい。特に校務事務は機微情報を扱いますから、校務事務こそデジタル化をどんどん進めるべきかと思っております。
 その際には、これまで校務はクラウドが認められなかったかもしれませんが、認証規格等を取得していることを確認して、しっかりとした事業者のクラウドサービスを使うことを考えていただきたいと思います。更には、事業者の皆さんに対しては、製品にはセキュリティ対策を標準装備していただきたいですし、セキュリティ製品単体でなく総合的な提案、特にゼロトラストになった場合には、1つの製品だけでセキュリティが担保できるわけではありませんので、是非総合的な提案を行っていただきたい。
 そして、何よりも学校現場の先生方には、教育委員会が策定したセキュリティポリシーをしっかりと守っていただきたい。最後は人です。最後は作ったルールが守られているかどうかだと思いますので、ここを見直していただいた上で、校務事務のデジタル化を進めていただければとお伝えしまして、私の説明を終えさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。
【堀田座長】  ありがとうございました。大変重要なところを端的にまとめて御説明いただいたことを心より感謝申し上げます。
 この後、質疑応答、あるいは意見交換をしたいと思いますので、また、意見ある方は挙手をしていただいて、時間が10分ちょっとしかございませんので、御協力いただきたいというところです。ぜひまだ発言していない方とか、あるいは、とりわけ今回は教育委員会が非常に重要なポイントかと思いますので、教育委員会の関係の方とか、ぜひ御発言いただければと思います。
 中村委員、石井委員の順番で、まず、参りましょう。中村委員、お願いします。中村義和委員です。
【中村(義)委員】  御説明ありがとうございました。
 セキュリティガイドラインの整備、改訂によって、ネットワーク分離からアクセス制御に変化し、今後のいろいろなサービスの利用が拡大していくと改めて思いました。そのような中で、長年の自治体への働きかけ等からネットワーク分離を徹底するのだといったところが、このガイドラインで変化して、本当にクラウド化が進んでいくと思っています。
 そのような中で、2つ、こういう方向でどのような活動をしていくのかということを検討されていましたらお伺いしたいと思います。セキュリティポリシーに基づいて、いろいろな施策が取られたり、セキュリティポリシーを守っていくという運用が非常に大切だと思います。また、情報モラルが全ての方に浸透して、よりよい形に最終的になっていくのかと思います。最終的なゴールに向かってどういうステップを踏んで、その辺を浸透させていくのかということが何かありましたら、お話しいただけるとうれしく、自分自身でも検討していきたいと思っているところでございます。
 それと、自治体の規模が色々あると思います。そのような中で、このような方針を出して、より良いものだと分かったときに、第一歩を踏み出すときに、小さい規模ですとなかなか大きな壁がまだあるのかと思っています。このあたり、初めの第一歩を踏み込む、踏み出すためによいアイデア等ございましたら御指導いただければと思います。
【堀田座長】  髙橋邦夫委員、お答えできますでしょうか。
【髙橋(邦)発表者(委員)】  私の答えがおかしければ、文部科学省から補足をいただければと思います。情報セキュリティだけでは情報モラルが高まるとは思っておりません。情報セキュリティと、もう一つは情報リテラシーです。リテラシーの向上を先生方にもしっかりと身につけていただくということが大事だと思っております。セキュリティポリシーでがんじがらめにして、守らなければいけないというわけではなく、リテラシーを身に付けていただいて、教育現場の方々の底上げを図っていくことが大事と思っております。
 2点目の質問ですが、これも難しい問題というか、学校が2校しかないようなところと、世田谷区のように何百校もあるところと同じようなルールでいいのかというところはあるのかもしれませんが、最低限守らなきゃいけないことはあります。私がガイドラインを作っていて思っているのは、ガイドラインの一字一句を守ってくださいとは書いてないのです。ガイドラインの一番先頭に書いてあるのですが、このガイドラインはあくまで参考にしていただいて、是非とも自分たちの教育委員会の規模に合ったルールブックを作ってくださいというスタンスでおります。
 例えば、小規模の自治体のシステムは幾つかでまとめればいいじゃないかという話もありますが、それぞれに独自の教育理念があると思いますので、私はまとめることはあまり推奨していません。各教育委員会には自分たちの現場に即したルールブックを作っていただきたいと思っております。
【堀田座長】  ありがとうございました。今、文部科学省のという話が出ましたので、今日、お越しいただいていますので、学校デジタル化プロジェクトチームの板倉リーダーに、とりわけ情報モラルのあたりの話をお願いします。
【板倉リーダー】  ありがとうございます。文部科学省学校デジタル化プロジェクトチームリーダーの板倉でございます。
 今、お話のありました情報モラル、情報セキュリティの関係の問題なんですけれども、この話で整理しなければいけないことは、恐らく教育委員会がしなければいけない話、また、学校の管理職でありますとかが把握、あるいは情報セキュリティ担当者が理解しなきゃいけない話。そして、現場の教員の方々が把握しなければいけない話、また、児童生徒、そして保護者が理解して行動しなければいけない話というレベルが恐らくあるんだろうと思っております。とりわけ情報モラルに関しましては、恐らく一番子供に近い層のところでしっかりと把握しておくべき話ということになるかと思っております。その中で、恐らくレベルというものを少しずつ上げていく必要があるだろうということかと理解しております。
 その中で、情報モラルという言葉の中に全て含有されるかどうかということに関しては少し精査が必要だと思いますが、恐らく情報活用能力の中で、子供レベルでもしっかりと把握しておくべき話が恐らく発達段階ごとにありまして、そして、それは当然、先生方、保護者の方々にも共通理解していただくということかと思っております。
【堀田座長】  ありがとうございました。石井委員、鶴田委員、妹尾委員の順番に参ります。石井委員、お願いします。
【石井委員】  お願いいたします。私の教育委員会での職務はセキュリティポリシーガイドラインとともにあるかと思っています。3回の改訂が行われるのと同時に、本市でも改訂を行ってきております。改訂するだけではなくて、学校さんにも何が変わったのかというのを伝えるためのリーフレットを作成したり、実施手順を作成したりしています。そして、さらに、GIGAの端末が入ってきたということで、保護者に対しての同意書を求めるということを行ってきています。特に個人情報に関してということで、最初はクラウドを使いますという簡単な形で、昨年度同意書を取りましたが、今年度はクラウドの利用について、どういう内容を利用するのかということ、ログの取得についても同意を得るようにしております。本市といたしましてはネットワーク環境、そして端末利用について検討の大事な柱として活用させていただいているというのが「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」になります。
 以上です。
【堀田座長】  ありがとうございました。髙橋委員、何かコメントありますか。
【髙橋(邦)発表者(委員)】  一言だけ。本人同意というのは、これは新しい法律になっても非常に大事なことだと思っておりますので、是非ひな形を各教育委員会に横展開していただくといいと思います。
【堀田座長】  ありがとうございました。鶴田委員、お願いします。
【鶴田委員】  失礼します。今、GIGAスクール構想で、学習系のデータというのがだんだん蓄積されるようになると思うんですが、セキュリティポリシーガイドラインの中で校務系で扱う内容、それから、いわゆる学習系、クラウドを活用して学習する内容のすみ分けというところで、結構自治体によって判断が様々だと思っています。
 恐らく情報資産分類とかの関係になってくるのかと思うんですが、GIGAスクール構想で子供たちに端末が与えられて、学習的の情報が貯まってくるという中で、情報資産分類自体を今後、見直す可能性というのが出てくるのかとかという方向性を聞きたいと思います。もう少し具体的に言うと、今までは成績情報とされていたものは校務系の中で扱って、子供たちはアクセスできないということになっていたと思うんですけども、全体の成績情報はアクセスできなくても、子供たち個人の自分の成績情報にはアクセスできたほうがよいのだろうと思います。そういった場合の情報資産分類の考え方であるのかという方向性というのは、もし議論されていましたら、教えていただければと思います。
【堀田座長】  髙橋委員、お願いします。
【髙橋(邦)発表者(委員)】  鶴田委員からお話ありましたように、これまで情報資産分類、1、2A、2B、そして3という情報資産分類が、これからのGIGAスクール、または、これからのスマートスクール構想に合っているかどうかというところ、特にCBTが入ると大きく変わってくるものと考えておりますので、文部科学省との調整にはなりますけども、次の改訂のときには、是非資産分類の在り方についても考えていきたいと思っております。
【堀田座長】  ありがとうございました。では、続きまして妹尾委員、中村委員も挙げられました。じゃあ、そこまでとさせていただきます。手短にお願いします。妹尾委員、お願いします。
【妹尾委員】  丁寧に教えていただいてありがとうございます。情報セキュリティについて詳しくないので、素朴な疑問で恐縮なんですけれども、ネットワーク分離ではなくてアクセス制御なりをしっかりしていけばいいという考え方だということは分かったんですが、ネットワーク分離していた時代でも、あるいは今もそうだと思いますけども、アクセス制御なり、ユーザー認証というのは結構しっかりやってきたところがあると思うんですけど、なぜそのような変更なり、変化してもいいとなってきたのかということを教えていただきたいです。つまり、アクセス制御なりの、そういった技術的なものが、すごく高度化して大丈夫になってきたということなのか、あるいは、そういうのも含めて、クラウドの商品なりサービスというのが非常にセキュリティ上、安心になってきたということなのか、背景だとか理由を教えていただければと思います。お願いいたします。
【堀田座長】  これはよく学校の先生からも聞かれることです。髙橋邦夫委員、お願いします。
【髙橋(邦)発表者(委員)】  実は、総務省も先月にガイドラインの改訂が行われましたけども、総務省ガイドラインは、基本的にはまだネットワーク分離をそのまま続けております。今回、大きな見直しはありませんでした。文部科学省がいち早くアクセス制御の方式に変えていったというのは、学校というものの在り方です。先ほど私も言いましたが、これからは先生方の持ち帰り仕事だけではなくて、例えば校外学習でのアクセス、それから、先ほど言った病院等、長期入院の子供たちへの学習指導など、こういったことを考えますと、学校という建物の中からのアクセスだけではなくなってきたということです。昔は情報を扱うのは学校の職員室の中という、限られたネットワークでしか考えられなかったので、アクセス制御ではなくネットワーク分離でも十分にできたけれども、このように働き方の多様化、または学習の多様化が進んでくると、どこからでもクラウドにある自分の資産にアクセスできるような、そういう仕組みにしないといけない。
 その時に、これまではファイアウォールで守ってきたわけですが、そうではなくて、どのようなパソコンからアクセスしているか、誰がアクセスしているか、更に言うと、何時にアクセスしているか、または日本国内かとか、そういうことを判断した、許されたアクセスだけ、つまり髙橋邦夫という人間になりすました、例えば外国からのアクセスだったらそれは認めない、そうした上で、初めて学習や校務のデータにアクセスさせるという考え方が新しい考え方ですので、先生方の働き方の多様化と、あと子供たちの学びの在り方の多様化という両面から、文部科学省ではいち早くこのようなアクセス制御による対応をさせていただいたということです。
【妹尾委員】  ありがとうございます。
【堀田座長】  ありがとうございました。では、最後に、中村めぐみ委員、お願いします。
【中村(め)委員】  すいません、お時間のないところ。髙橋委員にもし伺えればと思っております。
 ゼロトラストに対する先ほどのアクセス制御、承認という部分なんですが、つくば市には、校務系のネットワークと学習系のネットワークというのが、まだ分離型になっております。これをゼロトラストにするには、非常に大きな予算をかけなくちゃいけないということもありまして、例えばなんですが、今、アクセス承認という考え方であれば、校務系のネットワークは分離されたままだけれども、一部必要な、例えば学習情報だったりとか学習系に必要な情報だけを承認させるという考え方で、一部ゼロトラスト的に考えるというような構築の仕方も今後あり得る、大規模に変えるのではなくて、少しずつ変えるということも、これはあり得る、ゼロトラストの考え方としては間違っていないんでしょうか。
【堀田座長】  髙橋委員、お願いします。
【髙橋(邦)発表者(委員)】  まさにその考え方です。例えば先行した事例としては、例えばアメリカの大手IT企業では、今現在、ゼロトラストのセキュリティ対策をやっていますが、いきなり大幅に、ある日突然ネットワーク分離だったものをアクセス制御に変えたというわけではなくて、少しずつ少しずつ何年もかけてネットワーク分離型からゼロトラスト型に変えていったということですので、つくば市の考え方は正しいと思います。できるところから少しずつ変えていくということで、限られた予算の中で、少しずつ将来的に目指す姿に変えていっていただきたいと思っております。
【堀田座長】  ありがとうございました。皆様、たくさん御意見ありがとうございました。
 私の印象としては、これ、髙橋邦夫委員が御説明いただいただけでも、今回で4回目ですか、大きな改訂が次々と起こっているわけですけど、教育委員会の方々が、これをどのぐらいちゃんとウォッチし、続いているかということが1つの大きな課題だと思います。これは予算の問題、人事異動の問題等色々あると思いますので、そう簡単にはいかないわけですけど、ましてや学校への周知徹底となると色々難しいとこもあるのかと思います。この辺りをうまく普及啓発していくような取組も、国として何らかのことが必要かと思ったところでございます。
 また、先ほど板倉リーダーもおっしゃいましたけども、情報セキュリティをこのようにしていくということは基盤整備の話ですけども、基盤整備の話と同時に、子供たちにしっかり情報活用能力を身に付けていくということです。情報活用能力の中には、機器の操作だけじゃなくて情報モラル的なこともあるわけですけど、情報モラルという概念も、昔は端末が学校の中になかったので、使わせない指導ばかり教育委員会がリードしてきたみたいなところがどうしてもあります。これから使う指導が必要ですので、どのように安全に使うかというリテラシーをしっかりと身に付けさせる、そういう変わり目に今ありますので、これを設置者の教育委員会の方々、あるいは校長先生をはじめ、管理職の方々が御理解いただくことが非常に重要なのかと思います。
 本日、まだ御発言いただけなかった委員、あるいは十分、意見が言えなかったという方は、事務局までぜひメールで御意見を提出いただければと思います。
 本日の議事はここまでとさせていただきますが、事務局より会議日程等を御連絡お願いいたします。
【伊藤専門官】  事務局でございます。本日はありがとうございました。
 第4回の会議日程につきましては、追って御連絡を差し上げたく存じます。本日は御多用のところ、誠に御出席ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日のGIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議はここまでといたします。皆様、御協力ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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