いじめ防止対策協議会(令和3年度)(第4回) 議事要旨

1.日時

令和4年2月21日(月曜日)13時30分~15時30分

2.場所

Web開催 (Zoom)

3.議題

  1. いじめ防止対策協議会における今後の論点(案)
  2. その他

4.出席者

委員

新井委員, 池辺委員, 金田委員, 高田委員,小正委員,菅間委員, 中田委員,原委員, 笛木委員, 松谷委員, 村山委員,八並委員,渡辺委員, 岩永様(田村委員代理)

文部科学省

江口児童生徒課長, 鈴木生徒指導室長  

5.議事要旨

【冒頭】  事務局より、資料1、2に基づいて、「いじめの重大事態調査に係るアンケート」について説明があり、委員からの質疑応答。
 
【座長】 それでは、ただいまの事務局からのアンケート結果の御説明につきまして、調査に対する質問、あるいは確認したい事項がありましたらお願いします。
【委員】  資料1の4番の私立学校等の実績がないという回答が多かったということなのですが、私立学校での重大事態調査の有無に関しては把握していない。これは、あくまでの支援を受けたかどうかというところの分析結果だけをお示しになっていただいていると理解したらいいですか。
【事務局】  今回、私学を担当している知事部局にもいろいろ声かけをしてみたのですが、把握していない知事部局が多かったものですから、数か所にいろいろインタビューしてみました。そういったところで、私学において、重大事態が発生したときの協力体制はどうなのかというときに、教育委員会はノウハウがあると思いますので、公立である都道府県の教育委員会が私学の知事部局、もしくは私学自身に対して協力したり、手助けしたりとかいろいろあるのだろうという疑問点があったので、そこを聞いてみたら、なかなか実績がないという結果が出てきたというのが実情です。
【委員】  よく分かりました。いや、私学はなかなか把握しにくいと思ったので、その辺りをお聞きしました。ありがとうございました。
【委員】  今の私学の関係については、実績がないとはなっているけども、資料2の22ページなんかを拝見しますと、指導、助言は可能と答えているところもそれなりにあるという理解でよろしいんでしょうかということが1点と、それから、資料1の2.実施前の段階においてというところの黒丸の3つ目のところでの専門家の関係ですけれども、これは資料2のほうでいくと4ページのところにありますが、スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーとか学校医が多かったというところは、そういう経験を持っておられる方という趣旨なのか、実際に、そこの当該学校のスクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーとか学校医がという趣旨でしょうか。
【事務局】  まず、私学のほうですが、もしするとすれば可能かといったときに可能ですと教育委員会が答えたというところがあるので、結局、じゃあ実際やったことあるのと聞いてみると、その実績はないというところの結果です。
 また、2つ目でございますが、学校自身が調査をすることの難しさというところもあろうかと思いますが、学校主体で調査委員会を設置するというときに、その要となるメンバーとして、スクールカウンセラーだったりソーシャルワーカーだったりというところがあると思うのですが、実際に経験している人もいれば、実は実績ゼロの経験していない人もそれぞれ入ってきているという状況があったようです。ですから、これに関しては、職種としてはこういう人が入っているけども、経験のある、なしの人たちがここに入ってきているというのが実情のようでした。
【座長】  今の委員の質問で、学校主体の調査の委員会のときに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが加わると、これが職種として加わっているのか、それとも、その学校に配置されているスクールカウンセラーが加わっているのか、その辺はいかがでしょうか。
【事務局】  調査だけでは読み取れないですけれども、どちらもあると思います。
【事務局】  実はそこまで聞いていないのですけども、ある程度書いている、自由記述しているところからすると、両方入っているなという感じです。
【座長】   両方あるということですね。
【事務局】  その学校自身のスクールカウンセラーも委員になるという実態もあるかと思います。
【委員】   今の調査結果、それから、それを踏まえた今後の論点のところにも関わるかと思うんですけども、基本的な方針、それからガイドラインが4割は、逆に言うと、学校に浸透していないという驚きの結果かと思います。もちろん人材の問題、それから予算の問題、それもあると思いますけども、そもそもそういった重大事態が起きたときに、学校や教育委員会がどのように動いたらよいのかという、そういった基本的なガイドライン、方針、それから手順書やQアンドA、マニュアルなんかもあったほうがいいという御意見も出ていたということは、もっと具体的にそのような事態が起きたときにどう動けばよいのかを丁寧に国のほうからもお示しして、実際、すぐ初動の体制が発動できるように、もう少し丁寧な、手順のところをしっかりと共有するというところ、これがまずは優先課題のように私は捉えたのですけど、その辺りはいかがでしょうか。
【事務局】   実際、自由記述から結構抽出していますが、先生御指摘の通り、手取り足取りしてくれないかというところの現場の切実な思い、もうガイドラインでも相当細かく記載し、研修会も実施しておりますが、一度起きたときに完全マニュアルみたいなものを参考に、進められればうれしいという感触はありました。
【座長】   こちらについては、教育委員会としては、しっかりと理解しているけれども、各学校現場というところに行くと、重大事態が全く起きていない学校というのもあるでしょうから、そこに浸透していないと、そういう理解でよろしいわけですよね。
【事務局】  はい。かつ、そもそもガイドラインも基本方針も読んでいないところが4割あったというところから分かるとおり、起きてから熟読するという実態もあるかと思います。
【座長】  少なくとも基本方針のほうは、日常的な取組が書かれているわけだから、見ていないというのはショックなところがありますけれども、ありがとうございます。
【委員】  私学のほうのいろいろなお話が出ていたので、現状のお話をしますと、必ず重大事態のことについては、私学部のほうには各学校から連絡をしていると思います。ただ、教育委員会との関わり合いというのは、具体的にそういった活動は事務局がお話しのように、あまり関わり合いがないのではないかと思っています。そんな中で、第三者委員会を設置し、各保護者と学校でのやり取りをしっかりやっているというのが現状だと思います。
【委員】  先ほどの話と大分被るのですが、6割の自治体が浸透していて、4割が浸透していないと。そして、4割の浸透していない理由が何なのかということを、先ほどお伺いしたいと思ったのですが、6割の自治体が予算を確保できているけれども、一方では、確保できていない。そのできていないことの関連について、先ほど回答が幾つかあったかと思うのですけど、その辺も併せて、もう少しお話ししていただけないでしょうか。
【事務局】  まず、財政の部分と、それから理解していない部分は少し切り分けなきゃいけないと思っております。そもそも理解していないというか、浸透していないという度合いもあると思うんです。実際に、自分の県に対して相当厳しい教育委員会もいれば、感覚的に、まあまあ、うちの先生たちは結構穏やかな人が多いかなぐらいのニュアンスの把握の仕方のところもあればというところがあるので、これが今回のアンケートの長所でもあり短所かと思います。また、今回の調査は相当自由記述が多かったので、そこのニュアンスをエッセンスとして引っ張り上げているのは資料1になります。このため、本当に悉皆調査で、ぎりぎりやった調査で4割かというところはあると思います、浸透していないのは。ただ、各自治体の認識としては、うちは浸透していないというところは4割あったというところです。一方で、準備という段階で、予算を用意するというところについて、もしかして浸透していない4割とリンクするのかもしれませんけども、財政当局に積極的に交渉しようと。交渉して予算化しよう、例えば常設化しよう。委員を、もう謝金を最初から渡しておいて、委嘱しておこうというところについては、6割はあったのだけども、4割は財政当局の理解は得られなかったということではないかと思います。そこは重大事態調査というものが、年1回あるかないか分からないところもあるわけです。もちろん基本方針の中で、体制を整えなさい、こうしなさいというところはありますが、それとは別に、重大事態調査がない年が数年続くことだってあり得るわけです。そこに議会として予算の袋を用意できるかというと、なかなかそこら辺は財政当局が理解してもらえないというところは、今回のアンケートの中でも少しかいま見えたかと思っております。
【委員】  今の浸透している、浸透していないという話ですが、細かいニュアンスで申し訳ないのですが、浸透していない、イコール読んでいないと、そういうニュアンスが先ほどあったと思いますけど、それは違うと思っております。浸透しているというのは、どの程度の状態を浸透していると、それぞれの教育委員会が思っているのか分かりませんけど、例えば、私自身も基本方針やガイドラインは読んだことはあるけれども、1から10まで頭に入っているかと言われると、それはない。それイコール浸透していないと言われると、全然、例えば重大事態云々を自分の学校で経験したことのない校長というのは、多分浸透していないに入ってしまうのではないか。だから、そこら辺のニュアンスの取り方を、方向性を一致させておく必要はあるかと思います。
【委員】  今のことに教育委員会として回答いたしましたので、そのときの考え方についてお話をさせていただきます。今、委員からもありましたが、様々な資料がございます。それがまず、困難な点とあった中で、それを1から10まで全部なんていうことは誰もできないと思いますが、本県としては、学校におけるいじめ問題についての基本的な対処方針、考え方というのをそれぞれの学校が作成しております。また、そういうことを考えれば、どこをもって満点とするかは別ですが、基本的には浸透していると、いじめ問題というのは重要な案件だということは認識して考えていると判断して、浸透していると回答したところでございます。
【事務局】  資料2の9ページを見ていただければと思います。自由記述のところを見ていただくと、少し感触が伺えるかと思います。8番のいじめ防止法管理基本方針ガイドラインは学校現場に浸透していると感じるかというところで、感じると感じないという、少し抽象的ではあるのですが、こういう形になっております。自由記述にどのように浸透しているのか、浸透していないのかというところについては、例えば、自由記述のところは基本方針のみ浸透しているとか、逆に学校現場の負担感が浸透を妨げていると感じるとかという回答もございました。まさに先ほど弁明のように少し説明してしまいましたけども、学校というか、教育委員会によっても、学校現場に対するニュアンスというものはグラデーションがあって、その中で浸透していないというところが4割あったと。ただ、その中には、実は様々な条件下における浸透の度合いだったり、解釈だったりというところがあります。もしかして、4割というのは厳しめの4割なのかもというところもあろうかと思います。
【座長】  質問自体が抽象的ですので、浸透というのをどう捉えるかというところで難しいところがあったろうと思うんですけれども、思っているほどうまく活用されるような段階に行っていないところがあるのかなというのが、この数字の示すところなのではないかと感じるところです。
【委員】  今の資料2の11ページを開いていただいて、ここでは、いじめの重大事態調査の実施段階において、1で、例えば報告書の章立て、構成等について、事前のフォーマットなどを用意しているかと。これは、「あり」という自治体が30あったということでよろしいでしょうか。フォーマットを用意しているのが、「あり」が30で、「なし」が37です。「あり」と回答した自治体の、実際に、そちらの文部科学省のほうで、「あり」と答えた自治体のフォーマットというのは収集されていますでしょうか。
【事務局】  そこはしていません。
【委員】  過去の重大事態の委員経験から言うと、初めて弁護士の方であっても、臨床心理系の方であっても、これは報告書を必ず作成しなくちゃいけないので、どのように書くかという、報告書の章構成から議論をしていかなくちゃいけないというところもあるんです。そういう意味では、追加調査していただくのが一番いいかと思うのですけが、「あり」と回答した自治体が一体どういったフォーマットを用意しているのかというのを具体的に収集することも必要かと思います。それから、関連すると、その後に、14ページの3で、調査の実施に当たり、加害児童生徒や職員への調査方法やケアに関するマニュアル等はあるかと。これは「あり」というのが19自治体あるわけです。これも、「あり」と答えた自治体のマニュアルというのは、収集はされていますでしょうか。
【事務局】  しておりません。
【委員】  こういったマニュアルがあると答えているところはあるわけですから、これも、だから収集したほうがいいのかなと思います。特に今回は、調査の中で、最初の委員の方が言われたように、もう少し手順というか、重大事態の対応の手順に関する具体的なマニュアルを作成するかどうかは別としても、作成してほしいという要望がありますから、「あり」と答えた自治体に追加調査していただいて、実際の現物、フォーマットであるとかマニュアルを収集されたほうが、より議論は具体的に進むのではないかというのが1点です。それから、もう一つは重大事態に関しては、公立学校の場合は特に地方自治体の長に報告することになっているので、地方自治体は、長がどういった認識かというのも、これは追加調査するか分からないですが、必要じゃないかと。特に市長部局は再調査とかとなれば動いていくので、そういった自治体の長の方の重大事態に対する認識というか、意見なんかも聴取する必要があるかと。特に、以前も発言したのですが、こういったものも総合教育会議なんかで俎上にのせていって、平素から自治体として、教育委員会だけに任せるのではなくて、自治体全体として、こういった責任体制というか、あるいは情報共有を進めていくという必要はあるんじゃないかという気はします。そういう意味では、自治体の長の方への意識調査というか、そういうものも重大事態ということに関しては必要じゃないかと思います。
【座長】 マニュアルやフォーマットについては、具体的につくるという方向が決まれば、追加調査で内容について、つくっているところのものを参照していくと、そういう手順でいくということでよろしいでしょうか。
【事務局】  「ある」としたところのデータはこちらが持っていますので、そういったところに追加で聞くことは可能だと思います。ただ、自治体に対する、そもそもの聞き取りがどこまでできるかというのは未知数なところがあるので、重大事態が発生すれば、我々も指導、助言、調査の対象となり得ますが、何もない状態で調べられるかというところは難しさがあると思いますので、検討してみます。
【座長】  自治体の長への聞き取りなり、アンケートというのは難しいかもしれませんけれども、可能性を探ってみるということでお願いしたいと思います。特に再調査の基準がないということを自治体の長から聞いたことはあります。そんなところも一つ検討する必要があるのかなということかと思います。ありがとうございます。
【委員】  現場と、それから教育委員会の視点で言うと、浸透してないというのは、要するに、例えば指導、助言する県教委とかの立場で言うと、重大事態になるとこのようになってしまうのだから、初動でこういう手を打つべきだという指導、助言を多分毎日していると思います。なので、基本マニュアルを読む、読まないということではなくて、日常に起きていることが重大事態に発展するというのはどういう意味なのかということを理解してほしいというのが、指導をする立場の切実な思いです。そうすると、40%ぐらいはというのは、多分そうなってしまうと思います。逆に、現場のほうではマニュアルを要望していますが、はっきり言って、人権であって、相手の立場に立って行動するということ以外は、そんなに簡単なマニュアルというのは多分成立しないというところもあり、なので、そういうところに難しさがあるのではないか、要するに40%というのは知識ではなくて、危機管理の部分だと思います。
【座長】  実態として、なかなかうまくいってないところがあるという感覚の中で出てきた4割ではないかという御指摘かと思います。ありがとうございます。
 そうしましたら、アンケートの結果につきましては、これからの議論で踏まえて、また出していただくということで、質問、確認事項につきましては、取りあえずここまでとしたいと思います。
 その上で、今のアンケート結果に加えて、資料の3を御覧ください。第2回会議で委員からヒアリングをいたしました。そして、第3回会議でヒアリング協力者から聞き取りをいたしました。ヒアリングのポイントが資料3に示されております。もちろん皆さんもそこに立ち会っていただいたわけですけれども、弁護士の立場からの御意見、それから、いじめ被害の当事者の保護者の立場からの御意見、また、NPO法人団体の代表としても活動している、そういう立場からの御意見を伺ったわけです。それを一つは踏まえて、これから、どういう方向で重大事態の背景調査を進めていくのかというところに、御意見を踏まえて皆さんからの意見を伺いたいと思っております。 あわせて、資料の4も御覧ください。重大事態の背景調査を中心に、いじめ防止対策協議会における今後の論点(案)というのが資料の4にございます。当初、出てきたものを、これまでのヒアリングやアンケート調査の結果を踏まえてアップデートしていったものが、現時点で資料4であるということです。重大事態調査における課題を洗い出したもの、これを今後の論点という形で中間的なまとめとしてお示ししてあるものです。各課題に対する対処方針について、本協議会として、これから皆さんの議論を踏まえて示していかなければならないだろう、そのように思っているわけです。以上、アンケートの結果、それからヒアリングのポイントを踏まえて、さらに資料4の論点、これを参考にしながら、皆様のほうから御意見をいただきたいと思います。特に論点で示されているところについて、もう少し加えたほうがいいのではないかということ、あるいは、これでは不十分だということがありましたら、先ほど申しましたようにアンケート結果、それからヒアリングのポイントを踏まえて御意見をいただければと思います。もちろん委員の皆様の御経験も織り交ぜながら、時間の許す範囲でフリートーキングをしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。先ほどの議論で浸透しているか、浸透していないかという観点に立ったときに、教育委員会からの声としては、現在の基本方針、それからガイドライン、とりわけ重大事態の背景調査ということで、今はこの議論を進めているわけですからガイドラインに関わるところが大きいわけですけれども、いじめの重大事態調査について、より詳細な指針、マニュアル、あるいは、聞き取りをする時のポイントですとか、そういうもう少し詳細な指針を示す必要があるんじゃないかという声が出て、そこをどうするのかということで、委員からも具体的な内容が必要になるんじゃないかという御指摘もありました。この辺について、まず、どうでしょうか。
【委員】  私が第2回で申し上げたところとも関連しますが、重大事態の調査を始める、調査体制をつくるときの配慮と言いますか、どういう展開があり得るかという関係で、ある程度、詳細なというか、バリエーションに応じた、ガイドラインというのか何と言うのかはありますが、こういう場合は、こういうことに配慮しないと危ないですという辺りを、先ほどの学校現場や教育委員会のほうでの配慮といいますか、浸透といいますか、この辺の理解をバリエーションに応じて示す。自分が今現実に起こっているところがどの辺りにあるのかということが分かるような形でお示しすることで、多分その後の重大事態調査が紛糾しないで本来の調査がスムーズにできるような体制をつくれるようになるのではないのかなと思います。それからヒアリング協力者からも御指摘があった、職能集団に推薦を受けた場合でも、あまり御理解いただけていない委員の方もおられるんではないかというところに関して、これをどうするのかという問題での研修とかということについて、どうしていくのかというのを、これをまたもう一つ別の問題として考える必要があり、これは職能団体などとの研修体制とか推薦体制とかとの関係、これもまたすごく微妙な問題が関わってくる問題なのかという感じがして、そこは分けて考えたほうがいいんじゃないかということが1つあります。もう一つ、資料4のほうの今後の論点のところで、これは前回から上がっているところではありますが、3の保護者対応の2つ目の丸のところで、学校側と保護者側が対立構造に陥りやすいという関係のところで、中立性を担保しつつ被害者側の心情にも寄り添えるような仲介役となる第三者の措置についても検討してはどうかとある点で、この可能性をどう考えていくのかということがあります。これはとても大事なところだとは思うんですけれども、重大事態調査との関係がどうなっていくのか、そこの構造というか、重大事態調査に当然に伴う問題なのかどうなのか。これは、なお書きで書いてあって、重大事態の調査委員会自身がそういう役割をしなきゃいけない部分もありそうだとしつつ、慎重に検討する必要があるという書き方になっているとは理解しているんですけど、現在の学校、設置者、それから、第三者重大事態調査委員会という枠組みとはまた別の構造の中で、どの辺りに位置づけていくのかというところを少し整理する必要があるのかなと拝見していて思ったところでしたので、この辺りを意識する必要があるのかと、ひとまず、御意見を申し上げたいと思います。
 この仲介役というところの趣旨は、重大事態調査に入る前とか、あるいは並行してと、そういうことで理解すればよろしいでしょうか。ここはどういう形での仲介役の位置づけになるのかという辺りの認識を少し整理しておかないと、議論が混乱というか、あまりすっきりいかなくなってしまう場合が出てきかねないので、確認をしたかった次第です。
【座長】  1つはいろいろなバリエーションがある、それに応じて体制づくりから、スタートアップの時点からどうやればいいのかということは明確に示す必要があるのではないか、つまり詳細な資料が必要だろう、これが1点。それから、職能団体の研修等については、それは切り分けてマニュアルやフォーマットとは少し違うと、別の問題として考えるべきだということ。私もこの点は非常に難しいと思っておりますが、仲介役というのをどう位置づけるかですよね。現時点では、学校の設置者が委員会をつくる、第三者委員会、あるいは附属機関を動かす。その委員会が微妙な立場の中で公平性、中立性を担保しながら、被害者、あるいは被害者の保護者、御遺族等に寄り添うという形で進んできているのだけれども、そこに何かもう一つ別の仲介者を置くようなイメージでここでは書かれているが、この辺をどう捉えたらいいのか。ここは、もしやるとしたら大きな変更になると思いますが、この辺についてどうでしょうか、3点目の点について。事務局のほうは何かありましょうか。
【事務局】  実はヒアリング協力者から聞いた話だと、学校側でもなければ、どちらかというと、いじめ被害に遭った保護者だという形で入り込んでくると、従前から全然話を聞いてくれなかった保護者に対していさめるというか、真面目に対応し、調査し、報告しようとしている学校側に対して、なかなか聞いてもらえなかった保護者に対して説得するとか、そういうことをやっていると伺っております。そうすると、そういう意味での話が1つと、もう一つは、調査する際には保護者側、被害者側、児童生徒側にお話をしなきゃならない、調査をしなきゃならない、聞き取りをしなきゃならないというときに、第三者委員会ですら、学校教育委員会側から報酬をもらっているという意味で、学校側は教育委員会側、要は被害をした側の組織なので話は聞きたくないというところから、もう少し一段、間を置いた人という形でないと、なかなか保護者や被害者、児童生徒は接触してくれないという話もあります。
 また、現代的な話ではありますけども、弁護士と弁護士、要は学校側の弁護士、被害を受けた児童生徒側の弁護士ということで、一見、専門的な方達同士で話ができるのかと思うと、今後起こり得るだろう民事での裁判などを想定していますので、なかなか円滑なコミュニケーションが取れず、逆に壁ができてしまうということもあるという話も聞いております。実は、ここで言っている第三者の措置というものが様々な条件下において少し違ってくるのかなというところは、話を聞いていて日々、重大事態調査の課題を聞いていて、そういうことがあるとは、事務局としては聞いております。その上での第三者なのかなというところだと思います。
【委員】  この点は、私がずっと最初から言っているところになるところかと思います。被害者側に寄り添う仲介役、第三者という部分は委員会内でもいいし、別に外部でもどちらでも僕はいいと思っています。被害者に寄り添うことによって、一番問題なのは、要は調査が長期化するとか、あとは、ここにも書いてありますけど、保護者との間に軋轢が生じると、そういうことによって時間ばかり食ってしまって、結局何だったのか分からなかったとか、結果、大分被害者に寄り添う形にならないというのが一番の問題だと思うので、スムーズに保護者の心を開くという意味でも、そういう心のケアを専門とするものがきちんと整備されていれば大分違うのではないかと思っております。保護者は、もう最初から、例えば学校だとか教育委員会とか設置者、調査委員会とかのところに不信感があってしゃべらなくなっているわけではないと思います。恐らくは。最初は公平にと思いながら話をしているのだけれども、これも少し言っていますけど、どうしても公立、公平性を保とうと思って杓子定規になってしまう。このことにより、何となく寄り添ってもらえていないじゃないのかという意識が、だんだんと不信感になって軋轢になっているということで、最初から軋轢があって話さないということではないと思います。なので、そこに第三者が最初から少し寄り添っているという人がいることによって、スムーズに調査委員会が進むのではないかと思います。
【委員】  仲介役というのは非常に難しいと思いますが、医療事故でもよくあるのが、お互いの言い分を誰が聞くか。さっきおっしゃったように、委員会の委員が聞くとバイアスがかかると受け取られやすいので、事情を公平に聴取する人というのが、最低、必要だと思います。寄り添うというと、片方にどうしても寄ってしまうので、そうじゃなくてお互いの言い分を公平に、言いたいことを全部述べてもらうということを聞ける人というのが、最低に必要なことだと思います。正確なというか、お互いが言っていることを、まず、情報をきっちり収集するという形が必要です。寄り添う方とか心理の方というのは、また別の立場の方でないといけないと思います。情報収集する人と寄り添う人は別にすべきだと思います。それから、研修の話が少し出ていたのでついでに言いますと、例えば同じような医療事故でも、調査をする委員が片方に寄っているのではないかという認識を持たれることが非常に多い。事前に団体から何人かの登録をしてほしい、エントリーをしておいてほしい。その中で、事例に一番遠い方、例えば、医者で言うと同じ医局とか同じ大学出身者ではない委員を選ぶという形で、事例対象者に対して第三者性を保つように努力をするのと一緒で、各団体から何人かの登録をしておいていただいて、その学校の事案に一番関係性の遠い方を委員に選ぶことによって少しでも保護者の、被害者の方に対して第三者性を高めていくという努力を示すことが大切です。事前に登録をしておくと、一番難しいのは委員の選別なので、団体からの推薦を待っているといくらでも時間がかかるというのが多いことですから、ある程度の数を確保しておくこと。それから、よく専門性がある人がいいと私は言っているのですが、そういるわけではないので、その場合に、ある程度リストをつくっていると、リストの方に研修するということは、ある程度、数を絞れるし、リストに挙がった方は自分が委員になるかもしれないというモチベーションを持っているわけですから、研修も非常にやりやすいということから、できるだけ第三者性を確保しつつ、委員を選別する時間を極力減らしていくというのが、具体的にできることではないかと思います。委員が選別しにくいところというのは、自治体を越えて協力をするという形を取れば、今のオンラインという制度があれば、ある程度は可能ではないかと思います。なので、先ほどの第三者というのは、まず、公平に意見を聞く方を設置するというのが、まず最低必要なことではないかと思います。
【座長】  仲介役と寄り添うというのは別だと。公平性、中立性をきちんと担保した調査委員会つくる。そのためには人材をプールして登録しておいて、そして、最もその中から公平性、中立性が保てる人を、例えば10人登録しておいたら、そのうちの弁護士さん1人とか、精神科医から1人とか出していくと、各県にそういう人材をプールするのか、あるいはブロックなのか、国なのかとかいろいろあると思いますが、あらかじめ人材をプールするというやり方で、そこはクリアできるのではないかという御意見だと思います。
【委員】  今の人材をプールするというやり方、そういう形でできると、多分、より公平な形でできるようになるのではないかとは思いますが、二、三年前に東北地方の中核都市で、そこの市のいじめの施策の検証の委員会に出たときに、あちらの心理の先生でしたけれども、何かあったときに受ける人が全然いないんだと、だからいつも同じ人間になる。これは東北地方の一番大きな都市ですから、地方47都道府県、いろいろなところを見たときに、多分プールするほどの人材が確保できるかどうかも分からないし、そこのところができないならば、さらにもう一つの仲介役、そこまで準備していくとなかなか現実問題として厳しいのではないかと思います。そこまでできれば、多分話がスムーズに進んでいくとは思いますけれども、現実問題、なかなか難しい。さっきの報酬の支払いのことがあるから、調査委員会は教育委員会とか学校寄りじゃないかという意識があるというお話もありましたけれども、じゃあ仲介役の人には誰が報酬を払うのか。それはボランティアでやるのか。そういう方はどこまでいるか、なかなかいらっしゃらないような、だから現実問題として、なかなか仲介役というのは難しい状況なんじゃないかとは思います。
【委員】  今、御指摘いただいたように、職能団体で推薦するなり、紹介するような立場ですが、本当に今言われたように、地方によってはこの人がいつも行くようになるとかいうことが現実的にあります。今までも人材バンクを作ろうとか、いろんなことも試みたのですが、登録するということが、協力していつも何かあったらすぐに行けるという人を探すのがなかなか難しいのが現状です。第三者という公共性を保つということで、距離的なことを言って隣の県から行っていただくとかいうのが、せいぜいやれるような状況かと思います。それと、先ほどから言われている、そういう心のケアをしながら第三者委員会として関わるというのは、これはかなり難しいことで、心のケアをするのは心のケアをする、そういうアプローチをする。そして、第三者委員会で調べるときには、心理の専門家としての立場からそういう調査をするということが必要になるのではないかと思います。
 そして、研修につきましても第三者委員会の研修というのは実施したことはありません。いじめの研修で緊急介入であるとか、また、そういういじめの法律の勉強をしたりすることはありますけど、第三者委員会に選ばれるためにどう研修するかということはなかなか成り立ちませんし、企画しても誰も参加してくれませんし、ですから、その辺りは実際にどう進めていくかということは難しいとは思っています。
【座長】  仲介役と調査は分けるという御意見が多いかと思います。加えて、人材プールが望ましいけれども、地域によってはかなり難しいという御意見も出てまいりました。
【委員】  おっしゃったように、人材を確保するというのが確かに難しい。だからさっき申し上げたように、自治体ごとにできないところは、より大きな自治体、例えば、我々の組織で言うと、市郡地区の医師会ができないことは県の医師会がカバーするという形で、市町の教育委員会が各々にプールするというのは、まず、無理だと思います。だから、医療者側でも、そういうプールというのは県単位でやっています。そうじゃないと、人材がおられないところのほうがむしろ多いわけです。
 団体のほうには、とにかく社会的なニーズがあるのだから、団体としての矜持として推薦してくれという形です。成り手がいないなら役員でもいいから参加してくれと、そういう形でやります。おっしゃるように自分が手を挙げて自らやる人ってそういないです。最初に御指摘があったように、金銭的に言えばボランティアに近いわけですから、そういうことに対してお願いしますというのは、本当に社会的な使命を持っている人がそう多くないぞとおっしゃるのは全くそのとおりなんですけど、それをあえて団体にお願いをして、困っている人がいるんだから、団体として存在する以上は、ぜひ団体として協力をしてほしいと。もう無理でもいいから、だから第三者委員会への研修ではなくて第三者委員会に出ていくために、委員として参加したときに、いじめのことを全く知らないで、委員会だけ出てくださいというのでは駄目ですので、参加する予定の登録した方に、事前に年にいっぺんぐらいe-ラーニングでもいいので、こうなっているんですよと、現状はこうですとか。それから、調査マニュアルというのも作っていて、物すごく細かい内容です。例えば、話を聞くときに正面に座らずに、90度に横に座るとか、それから話すときの言葉はどう使うとか、それから人数は必ず、向こうが1人だったらこちらも1人か、最低2人ですよね。だけど、あまり人数がないようにするとか、物すごく細かいマニュアルをつくって、それに配慮して聞いてくださいとか、議論するときはどういう手順でしましょうとか、本当に子供に教えるようなマニュアルをつくって、対応しているわけです。でも現実には、聞くと、ぶっきらぼうになってしまったり、命令口調になったり、上から目線で質問したりということが結構現場では多くて、聞かれるとむっとするとか、いろいろあって、その辺りも問題が生じないような本当に細かく記載した、マニュアルが要る。言われると難しいんですけど、実際にはあったほうがいいのは、現場の先生方もそう慣れておられる方ではないし、委員だって当然、初めて参加する委員の先生も多いので、そのような流れも実際には分かっておられたほうがいいかと思います。だから、研修というのはそういう意味で、呼ばれたら何をするかということを分かって委員会に出席するのか、初めてそこで知るのかで全然意味が違いますので、そういう意味での事前の研修というのを、ターゲットを絞ればできやすいと思います。ただ、これがいじめの第三者委員会に、全くそれが代用できるかというのはやってみないと分かりませんが、現状を考えれば、何らかの対策をしないといけない。頑張ってくださいと努力を要請するだけでは変わらないのではないかと思ったので、提案させていただいた次第です。
【座長】  1つは人材をプールしていると、例えば弁護士会なんかも、子供の人権委員会の委員の方が結構入ってくるということがあると思いますので、人材プールという方向性は1つ、県単位、あるいはもう少し何県かを全くブロック単位というのもあり得るかもしれないということを考える。それから、かなり細かくなるかもしれないけれどもマニュアルも必要じゃないか。これ、臨床心理士会なんかはかなり詳しいマニュアルを出していますよね。
【委員】  臨床心理士会もですけど、心理臨床学会。
【座長】  心理臨床学会でね。だから、そういうものを少し第三者委員としての役割というところを、もう少し細かく出したほうがいいのではないかという御意見が今、出ていると思いますけれども、そのような方向性についてはいかがでしょうか。
【委員】  弁護士側の体制というか、そこの観点からいくと、人材バンクとか人材をプールする形で確保していく制度が取れるところというのは、よほど大規模会で人数がたくさんいるところでは何とかなるかもしれません。しかし、ただ、そうすると、例えば弁護士の場合ですと、利益が相反する仕事が受けられないという弁護士倫理上の問題があって、それに登録するということになると、結局、学校を相手にしたり、学校の代理人になったり、そういう事件ができなくなってしまったりします。あるいは、子供の関係の問題でも、一定のところは制限を受けたりとかということで、弁護士業務を一定程度、自分で制約しなきゃいけないという問題なんかも出てきます。この辺のところは、例えば、児童相談所の関係で入っていくときも、子供の相談の当番を受けられなくなるなど自己規制をしないといけないという問題が出てきます。ほかにもスクールロイヤーで学校に入っていったりということなんかもありますが、その辺のところの受任なんかも回避しなくてはいけなくなったりします。弁護士はそれぞれ自営業者として事件をやりながら生活していますから、その辺が非常に難しくなってしまって、大規模会でもそういうところは難しい問題が起きます。弁護士会は物すごく大きいところから小さいところまで、100人程度とかぐらいの規模でやっていたりするところもありますから、そういうところで利益相反を避けながらやることについては、適任の人材を集めていくのは非常に難しい、あらかじめプールしてしまうのは難しいところがあります。現状では、その都度、その都度で、その事案に応じて地元でできるのか、あるいは、周りからの支援と言いますか、そういう形で入っていくことが必要なのかという判断をしながら決めているところで、プールできるだけの人材をあらかじめ確保しておくのはなかなか難しいというのが実態です。
 ただ、研修とかそういうことに関しては、重大事態調査の場合にはこういうことに注意しなきゃいけないという、経験交流集会とかそういうので全国の単位会に向けて情報発信していってということは、ずっとやっておりますが、なかなか、この前のヒアリング協力者のお話なんかでも、そこら辺が必ずしも十分浸透していない部分があるんじゃないかという御指摘があった点については、何とかしなければいけないと考えております。
【座長】  ありがとうございます。利益相反等でいろいろな御事情があるということですね。
【委員】  あと補足しますと、先ほど仲介役の位置づけについて、別枠で考えたほうがいいと申し上げたのは、いじめの問題で、子供同士、あるいは学校設置者との関係での様々なコンフリクトが起きて、それで紛糾してしまうケースがあるということ。そういう状態から、それを収めていくというか、解消していくために様々な立場の違いについて、中立的な立場で仲介していくという役割、例えば最近言われているメディエーター的な役割といいますか、その役割をどこかが担うことによって、紛糾を避けてというか、緩和・解消して、被害を受けた方たちが、立ち直りというとちょっとおかしいですけれども、そちらのほうに向かうことに資することができるのではないかという意味で、そういう役割としてどこかに位置づけていって、制度化ができればいいのにというところは考えていく必要があるとは思っております。ただ、重大事態調査そのものとの関係の中で、これをどう位置づけるかというところは少し慎重に考えていかなきゃいけない部分もあるのではないかと、そういう趣旨で申し上げた次第です。
【座長】  検討の方向性ということで、人材のプールが可能かどうか、それから詳細なマニュアル的なものが必要なのではないかということが出てきました。それから、仲介役も必要だけれども、どう位置づけるのか、重大事態の調査という、その枠の中で考えていくのは難しいだろうという御指摘がここまで出てきたと思います。 
【委員】  重大事態調査は第三者委員会ということで進めていく段階で、学校でも保護者のほうも、どういう段階でやっていくかという内容を理解していくことが大切だと思っています。そういう中で、どのくらいの時期を要するのかということも、ある程度の調査の段階、生徒の面接も含めてですが、それから学校側の考え方、方針、内容とかといったことが分かるようなものがマニュアルの中に入っていれば、ありがたいのかと私は感じますが、いかがでしょうか。
【座長】  こういう調査だということが分かるような、被害者なり被害者の保護者なり、あるいは、場合によれば加害者ですよね。加害者に対する聞き取りというのも同意を得ないとやれないという点で非常に難しい、そういうところがこういうものだということが保護者、あるいは本人に周知できるものが欲しいという御指摘かと思います。
【座長】  今、こんなマニュアル的なものはつくるという方向性、つまり今のガイドラインだけでは不十分だろうと。そこに盛り込むもの、スタート段階で、どうバリエーションを考えて、どんな今、位置にいるのかというのをやっていく。それから、内部的に分かるだけじゃなくて、外の実際に調査の対象になるような方がそのことを理解できるようなマニュアルにしておくことも必要だろうという御指摘なのかと思います。
【座長】  今、マニュアルの盛り込む内容のような、かなり具体的なところも出てまいりましたけれども。ほかの論点でも構いませんので、御意見があればお願いします。
【委員】  別の論点になるのかと思いますが、今日の資料のところにもお示しいただいております、今後の教育の在り方についてということで、重大事態に至るのを防げるのか等の重大事態調査の実施前の局面についてということで、若干予防的なところも少し触れられているのかと思いますが、発生予防というところについても、ぜひ今後、協議が必要なのかと思っております。例えば、私も今、スクールソーシャルワーカーをやっておりまして、各学校の中で、いじめ防止対策委員会のメンバーとして、勤務校の担当スクールソーシャルワーカーとして、いじめの重大事態まではいかないんだけれども、定期的な委員会、それから何か事態が発生したときの民事で行ういじめ防止対策委員会に出席しているんですけども、そういった校内で設置されているいじめ防止対策委員会と重大事態が起きたときの今回の調査とのリンクでありますとか、平時のときの校内の今の支援体制、いじめに関する委員会、チームとの連携といいますか、そこら辺の防止という点からすると、ふだんは校内でそういう組織がありますので、そことリンクさせていくということも非常に大事かと思いますので、その辺りの予防という観点での論点をぜひ入れていただけるといいのかと思いました。
【座長】  予防一般ということよりも、重大事態と絡んで、例えば校内対策委員会と調査委員会ができたらどう関係するのかということも、もう少し詳しく具体的に書いたらいかがかという御指摘かと思います。
【委員】  今、御指摘あったように、学校の中にはそういういじめの委員会もあります。第三者委員会にまで発展したときには、学校の中のいじめの委員がいろいろな情報を提供するということは、これはまたものすごく誤解を招く恐れがあり、こちらとすればより詳しい情報をと思ってやっているのですけれども、そのように誘導したのではないか、情報が偏るのではないかということがあって、なかなか現実的にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの方々が現場でやっておられることも、第三者委員会のときにはむしろ調査の対象になるのだろうと思います。その調査の対象になる人間が第三者委員会にいろいろ物を申し上げるというのは、なかなか難しいのではないかと現実的には思いました。
【座長】  学校の対応というところで課題になって、そこの調査をしたときには、学校のいじめ防止対策委員そのもの、メンバーそのものが調査対象、聴取の対象になるということがあり得る。そういう関係の中でどう組んでいけばいいのかということも触れていく必要があるのではないという御指摘かと思います。
【委員】  今の議論に関連して、私も実際、第三者調査委員の委員長をさせていただいたときがあって、そのときに、関係の子供さんたちのケアの部分が、予防のところにも入るかもしれませんが、そこら辺の難しさというか、第三者委員として、被害者の方と面談をして聞き取りしていく中で、いろいろな悩みとか相談を委員長のほうにしてくることが結構多くて、そういうケアを教育委員会とかも相談をして、いろいろな専門職につなげていったりとかそういう話をしたりというアドバイスもしてはいたんですが、なかなか教育委員会とか学校に不信があると、学校関係のスクールカウンセラーだとかスクールソーシャルワーカーがなかなか介入しづらい、ケアに入りづらい側面がそこに生じてしまっていて、なかなかそこの難しさがあって、そこがどんな形でいくとスムーズにいくのかなというところを調査しながらも、対象の児童生徒をいかに大事にしていくかというか、サポートしていくかという側面も並行的に必要になってくるので、そこの部分をどうやっていくかという論点も、もしかしたら必要なのかということを、私が経験した中で感じた部分があったものですから、一言、述べさせていただきました。
【座長】 調査、それからその中で出てくるケア、それをどう誰がするのかというのはあるのだけれども、調査ということに加えて、ケアということについても、どういう形で入れるかはありますけれども、考えなければならないという御指摘だと思います。
【委員】 先ほど意見も出たのですが、今のいじめの重大事態の調査に関するガイドラインというのは、恐らく教職員向けにつくられているのだろうと思います。今、いろいろな報道関係を見ても、前のヒアリング協力者に関しても、そういう当事者になった方はガイドラインを読みます。法律も勉強するし、ガイドラインも見て、ガイドラインに照らして違うのではないかということになってくるかと思います。そういう意味では、今、現状のガイドラインというのが教職員向けなので、先ほどどなたか委員が言われましたけども、教職員プラス親と子供にも読んでもらうガイドライン、つまり調査段階で合意形成するときに、ガイドライン自体を渡して、これからやる調査というのはこういう調査であると、このように進みますと。そういうことを文書でも渡して合意形成していくというほうがいいのではないかと。そういう意味では、少し手間になるかもしれませんが、要は保護者と子供にも読んでもらうガイドライン、そういったものを最初の段階でお互いが共有して、特に今、重大事態では、特に我々は司法じゃないので、調査というのは、できない部分はできないところがあります。だから、そういう点では、この調査の目的、特に再発防止ということをうたっているけれども、そういうのがよく理解してもらえないとか、そういう意味では、先ほど御意見があったように、ガイドラインも教職員プラス保護者と子供のお互いの合意形成のためのガイドラインという形で作成するのも一案かなと。だから初動段階でそれをお互いが共有して出発していくと。それから、少し遡りますけど、仲介者の件に関しては、前に指摘があったように、1つは、我々が教育委員会で謝金をもらうのは、謝金もらうことと、謝金をもらうから、そこに偏るということではないと思います。仲介者の方に関しては、僕は1つ注意しなくちゃいけないのは、要するに、第三者にもいろいろな個人情報を渡してしまうということです。仲介するのだけれども、いろいろな過程でいろいろな人たちの個人情報を、要するに、善意の人であっても、そこに渡すというか知られることがいいかと。個人情報の観点も注意しておかないと、仮にボランティアであっても、いろいろな被害者、加害者の家庭状況だとか、その子の健康状態、いろいろなことをその方が持っていくので、個人情報の保護という観点からも少し慎重に議論したほうがいいのではないかと思いました。
【座長】  調査自体も、公表という段階になったときに個人情報をどう扱うのかということも、非常に難しい。結果的に全部が黒ぬりになってしまうということも起こってしまう。
【委員】  今日いただいた資料の中の24ページを見ますと、学校現場としてはQアンドA、対応の事例集等があると、見通しを持った対応ができ非常にありがたい、また、さらに学校からすれば、未然に防ぐ、または軽い段階で解消していく。これが一番です。学校、教師を含めた現場の願いかということを考えますと、未然に軽い段階で解消する、未然に防ぐことが一番大切です。そのためには、教員の研修が必要になってきます。今は働き方改革の流れの中で、特に教員免許制度の発展的解消が言われております。そのためにも。充実した研修ということが今重要になっております。話題がそれてしまうかもしれません。例えば初任者研修が軽減されて、2年、3年目、さらに5年目以降の研修の場を生かし、長期的に研修の場として、「教員のいじめ防止対策に焦点を当てた研修計画」を、ぜひ設け、実際にそういう場に遭遇した方の意見を聞くなど、身近にいじめ防止対策の必要性を切に感じて、真剣に取り組まなくてはいけないという意識を持てる、研修を含めた取組にしていただけるとありがたい。次に先ほどから伺って、本当になるほどだと感じていました第三者委員会の人選については、公平性、客観性とかそういうものが非常に求められているわけですが、先ほど言われましたように、弁護士さんが対応するとなると難しい問題があり、お金の問題があり、それぞれの立場から参加するとなると、非常に事前に登録しておくのは難しい。でも何とかしなくちゃならないとなると、第三者委員会や法律的に見てどうなのかという見方ができる方を、自治体でプール、リストアップしておいてもらう。さらに、教育的に見てどうなのかという、教育経験者等の人材をプールしておく。また、保護者、例えばPTA、該当する教育委員会のPTA関係だと近過ぎてしまいますので、広域で、そういう方々のリストアップをしておき、そのリストをさらに精選しながらも活用できるような状況にしていただく。そういう方を、他市と近隣の市と町と、紹介し合いながら進めていく。難しいところはありますが何か現実的に対応できる方法を考えていかないと、公平性云々というと人材がとにかく難しいので、できるところからやっていく方法を見つけていくのがいいのかなと感じました。
【座長】  公平性、中立性を担保するための人材の確保、人材プールができれば一番いいのだけれども、難しいところもある。でも、やれるところからリストアップをするとか、やれないところがあるからやらないというのではなかなか先へ進めないかなということを、今、皆さんの御意見を伺いながら思ったところが1つあります。それから、アンケートで学校、あるいは教育委員会が重大事態調査をやるときの体制面、運用面、この改善を図っている。どんなところに困り感があるのかということを見ていくと、体制をつくるということが、まず、人材の確保からできないというところが1点。それから、被害を受けた本人、あるいは保護者、場合によれば御遺族、あるいは調査の対象になる加害者、理解がなかなか得られない。だから協力してもらえるような理解を得るための今のガイドラインに加えて、手順書ですとか補足マニュアルですとか、あるいは解説書ですとか、被害を受けている子へのケアというのを調査委員会がやるのではなくて、別のところでやっていくことも含めて活用できるものがあるといいのかと。先ほど御指摘があったように、24ページを見ると、補足マニュアル、手順書のようなものが必要だ。さらに、加えて対応事例集、QアンドAというものが求められているということが出てくるわけです。ですから、その辺に対して、本協議会としてガイドラインをベースにしながら、改訂版、ないしは今言ったような手順書だとかというのを出していくということが必要であろう。その中で、具体的に人材をどう確保していくのかということも示す必要があるのかということを、これまでの議論で思っているところです。クリアしなければならない課題はたくさんあるのだけれども、だからやらないということではなくて、やれるところを探っていくということで進めていければということを今、御意見を伺いながら思いました。
【委員】  今回のアンケートの結果の中で、一番機能していない理由は、被害者なりその保護者なりが納得していない、協力していない、または調査自体が加害側からも被害側からも理解をされていないことであることは明白です。そこをクリアするためにどうすればいいかという体制なり人員を考えるというのもそのとおりだと思いますが、それは単なる不信感、信頼性という問題ではなくて、先日のヒアリングのお話にもありましたとおり、そもそも、当事者である加害側、被害側の保護者が重大事態調査を理解しているかどうかというより、それを望んでいないと言ったら失礼かもしれませんが、望んでいることと、重大事態調査の枠組みがあっていないために、あえて対立を生んでいるようなことになっているのではないかとも思いました。その観点から、今の枠組みである重大事態調査を、子供の支援と同時に再発防止に生かすという本来の目的に合わせたときに、できるだけよりスムーズに進めるための方策。それは新たなガイドラインで、先ほどの委員のお話のとおり、第三者委員会だけではなくて関係する人たち全員が読めるガイドラインというか、合意できるための枠組みを説明する資料というのは必要であると思います。と同時に、裁判とは違うというのは当然ではありますが、重大事態としての認定は関係者本人たちの思いや希望ではなくて、法律的なというか、規定によって重大事態になっているので、当事者たちが望んでいる形での、例えば、調停とはまた違うとは思いますが、調査を経るかどうかは別としても、第三者委員会によって白黒つけようという考え方ではなくて、当事者たちが何か望ましいオプションみたいな、こちらも選択できる、もしくは第三者委員会による重大調査も選択できるみたいな、主体的に選んだような形ができると、もう少しスムーズにいくこともあるのかと、そんなことを少し感じました。
【座長】  少しずれるかもしれませんけど、私も調査に携わってきて、公平、中立に、再発防止に向けて真実を明らかにしていく。でも、望んでいるのはそこではないいう御意見も出てくる。あるいは、もうそっとしておいてくれと。法では調査をと言っているのだけれども、してほしくないというのもないわけではない。その辺で、今、オプションとおっしゃいましたけれども、調査をどう進めていくのか、それも法の下でということになるので、法がやれと言っていることはやらざるを得ないのだけれども、何か構造的に軋轢が生まれてしまうのではないかという御指摘で、私もそれは感じるところがある次第です。 それをマニュアルやガイドラインの改定で示せるのかどうかというのは、なかなか難しいところではありますが、調査をして当事者が、もしかして不幸になっているようなことがあったら、何のための調査かということにもなってしまう。そうならないように努めているのだけれども、そういう構造が生まれてしまうこともないわけではない。そんなところをどうクリアしたらいいのかということなのかと思ったりもします。
【委員】  お伺いしたいのですけれども、平成30年にいじめ対策に関わる事例集というのを文部科学省が作成しています。それはオープンになっていますけど、それが校内研修とかそういうところで使われたことはありますか。
【委員】  47都道府県から情報収集して、いじめの認知から始まって重大事態まで、いろいろな具体的な事例で、この協議会でも実は議論して、その後、出た事例集ですが、例えば先ほどご指摘があったように、予防という点では、こういった文科省が出している事例集なんかは、わりとよくできているとは思うので、そういったものを使って校内研修をやることも、特に若い教員も増えてきているので必要だろうと思いますが、学校現場では、平成30年度の事例集を用いて校内研修を実施する、あるいは、こういったものがあるので教員の人は読んでくださいとか、そういうことはあったのでしょうか。
【委員】  校内研修会の中で部分的に見たことはあります。ただ、あとはたくさん事例があるから読んどいてねという程度の見方だったと思います。なかなかそこまで時間が取れないというか、うちの学校のそのときの一番の課題が不登校だったので、不登校の対応のほうに、かなり重点を置いてやっていました。見ることは見ました。教員は全部見ました。
【委員】  小学校の場合ですが、結論から言うと当然見ていますし、研修でも使っています。文科省の事例集に加え、市内のこれまでの事例をもとに、管理職研修、教職員研修、学校内研修、等でそれをやってきています。今回の協議会の初回のときにもお話ししたとおりで、それらの研修により重大事態調査の大変さがよく理解されているので、日頃からの細やかな見取りや速やかな対応を心掛けるようになっています。それが今日の最初の資料の6割が浸透している、4割が浸透していないというデータとの関係では、市内や近隣で実際に過去に事案があった中での浸透性と、一切、そういう事例が周りにない中での浸透性は大きく異なるように思います。実際起こっている学校、起こっている委員会にとっては非常に大きな問題なので、当然、その前提として文科の資料も見ていますし、市独自で重大事態調査結果概要を含めた事例集をつくってやっています。
【委員】  高校の場合も同様で、ただ、全ての資料をという形では、私の場合はなかったですけれども、私が話すときにそういうところから持ってきて話をすると。あとは、実際、一番有効なのは、校内で重大事態につながるだろうということは必ずほとんどの学校であるのではないかと思います。重大事態には至らないけれども、これが1つ間違えば重大事態に至るんだと、そういうところを捉えて話をすると、これが学校の管理上というか、対応上、一番最悪のリスクはここにあるから、こういう初動が必要であるみたいな話をする中で、過去の事例を参照していくという形での活用、これは私なりのやり方なので、県立高校のそれぞれやり方はあるかと思いますけれども、そのような形で進めているところでございます。
【委員】  そのとおりだと思います。あと、重大事態に関しては、今、被害、加害の子供が焦点化していますけど、当然、第三者で学校対応も評価していく。評価の中で、今度は何が最悪起きるかというと、場合によっては懲戒処分と、教員にとっても本当に大変な事態も招き得る。そういう意味では、評価している調査によって、教員の皆さんが懸命にやっているのだけれども、場合によっては学校対応が不十分だということで、場合によっては懲戒処分というところまで行ってしまうので、これは本当に教員にとっても不幸といいますか、そのようなことになってしまうので、未然防止というか、そこに至らないと。前から言っている、いじめ自死ゼロ、重大事態ゼロというのは何とか目指していかないと駄目かなと。だから、これはもうお子さんたちだけの問題じゃなくて、子供と関わる我々自身にも関わる問題なので、そこら辺りも含めて、研修にせよ、未然防止を考えていく必要があるかと思います。
【委員】 私立のほうも同じで、各学校では差があると思いますけれども、学校内ではそういう重大調査委員とか、設置しながらやっている学校が多いと思います。これが、いわゆる学校経営にも影響するので、これに対する対策は各学校で取っているのが実態だと思います。
【座長】  時間のほうも2時間という予定で、大体そんなところに来ておりますが、今までの御意見を少し整理していくと、1つは重大事態の背景調査の在り方について、かなり具体的な方向性が出てきたと思います。1つは公平性、中立性を担保しているために、人材プールができればいいなと。なかなか難しいところがあるけれども、少なくとも少しリストアップしていく、やれるところはそういうことを考えていくということで検討していく、これが1点。そして、現在のガイドラインに加えて、マニュアル、手順書、そういったものを調査報告書のフォーマット等も含めて教職員、あるいは教育委員会だけじゃなくて、被害、加害の児童生徒、あるいは保護者、あるいは御遺族が読んだときにも分かるような手順書のようなものを示す必要があるのではないかということが出てきたと思います。これを具体的に進めていくということが1点。そして、まずはそこを詰めていくのが今の協議会の進め方だと思いますが、併せて未然防止、重大事態を引き起こさないために何をしたらいいのかということが、次の議論になってくるかなと。そこでは研修をどうしていくのかということも必要であろう、あるいは事例集の活用とかということも出てくるということかと思っております。具体的に、手順書やマニュアルを作っていくということになると、時間がある程度はかかるだろう。さらにその上で、未然防止のための予防というところにも本協議会で当然踏み込んでいく必要があるという御意見がたくさん出てきたので、それを受けて検討していくと。そんなふうに考えると、これから協議会は、3月に第5回の協議会を開催する予定ですが、今申しましたような議論を重ねていくということで考えると、年度を越えていく可能性が高いかと思います。そういう意味で、協議を継続しながら、まずは重大事態の背景調査が、関係者にとって意味のあるもの、あるいは被害者が、調査があってよかったと思えるような、あるいは加害者が反省するような、反省をさせるためのものではありませんけれども、ものになるようにどうつくっていくのかということをやり、その上で、予防もどうするのかというところに入っていくということで、恐らく年度をまたいでしまうだろう。できましたら、継続できる方は委員を続けて、今の議論をさらに煮詰め、具体化していくということでお願いできればと思っておりますけれども、いかがでしょうか。役職で入っていらっしゃる方もいますので難しいところもあるかもしれませんけれども、継続性ということで、そんなことも考えていただければと思います。今日、様々出ました意見を受けて、これからの協議の論点、先ほどの案のところをもう少し具体化して、第5回の協議会にお示しし、そして、できる範囲で資料を集めて、具体的な方向性について、次の回で少し詰めていきたいと思いますので、そのように展開できればと思っております。全体を通じてもし何かありましたら、進め方についてもよろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、今後の論点ということを整理し、具体的な内容に次回入って、そして、マニュアルや改定の手順書等もつくっていくということで進めていければと思います。時間になりましたので、フリートーキングはここまでにしたいと思います。本日いただきました皆様方の御意見を基に、事務局のほうで第5回に向けた準備をお願いしたいと思います。
 以上をもちまして、第4回の会議を閉会といたします。皆様方におかれましては、本日の会議進行に御協力いただき、どうもありがとうございました。次回も、またよろしくお願いいたします。では、以上で閉会といたしますので、御退室いただければと思います。御苦労さまでした。
 
―― 了 ――

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