特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議(第1回)議事録

1.日時

令和3年10月25日(水曜日)10時30分~12時30分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 検討会議の運営規則等の制定について
  3. 特別支援教育を担う教師の養成・採用・研修等の在り方等に係る最近の主な提言及び今後の検討事項について
  4. 養成課程における特別支援学校教諭免許状関連科目の開設の現状と課題について
  5. その他

4.出席者

委員

加治佐座長、森副座長、安藤委員、市川委員、喜多委員、木舩委員、坂越委員、田中委員、濵田委員、樋口委員、宮﨑委員

文部科学省

伯井初等中等教育局長,山田特別支援教育課長,小林特別支援教育課特別支援教育企画官,分藤初等中等教育局視学官,嶋田特別支援教育課課長補佐,宇野特別支援教育課課長補佐

オブザーバー

宍戸オブザーバー

5.議事要旨

【加治佐座長】 以上、本会議の立ち上げに必要な手続は終了いたしましたので、先ほど申し上げましたように、これより議事を公開いたします。
それでは、本検討会議の座長に私選出いただきましたので、これから議事の進行を務めさせていただきますが、その前に一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
改めまして、座長を拝命いたしました加治佐です。どうぞよろしくお願いいたします。
御存じのように、1月に取りまとめられました中央教育審議会の答申では、「令和の日本型学校教育」として新しい学校像とともに、それを実現すべき教師をめぐる理想的な姿が示されております。
これを受けまして、3月12日に中央教育審議会の総会で文部科学大臣から諮問を受け、「令和の日本型学校教育」を実現し、それを担う質の高い教師を確保するため、教師の養成・採用・研修の在り方について、基本的なところまで遡って検討を行い、必要な変革を実施、教師の魅力を向上してほしいというお話がありました。
このため、本年4月以降、中央教育審議会・教員養成部会及び「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会において5点、1つが教師に求められる資質能力の再定義、2つ目が多様で質の高い教職員集団の在り方、3つ目が教員免許の在り方、4つ目が教員養成大学・教職大学院の在り方、そして5つ目が教師を支える環境整備という、非常に多岐にわたる諮問事項について、今審議を進めているところであります。
この検討審議の中で、教師に求められる資質能力として、特別な配慮を必要とする子どもへの指導が柱の一つとなっております。こういう点からも分かりますように、特別支援教育は重要な観点となっております。
この教員養成部会及び特別部会と、本日開始いたしますこの検討会議が連動しながら、今回、副座長に就任いただきました森委員をはじめ、大学、教育委員会、特別支援教育関係者の皆様と、教職課程のコアカリキュラムを含め、特別支援教育を担う教師の養成、採用及び研修の在り方について、しっかりと検討を進めてまいりたいと思っております。御協力の方どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、副座長に就任いただきました森先生からも御挨拶をお願いいただけますでしょうか。
【森副座長】 副座長に選任いただきました滋賀県教育委員会の森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私には、先ほど座長様からお話しありましたように、教育委員会事務局としての見地からの意見を求められているところかと思っておるところでございますけれども、何分不慣れなため、座長の先生、委員の皆様方から学びつつ、この役目を務めさせていただきたいと思っております。
また、個人的には、私は、もともとは特別支援学校の教員で、そのことを専門としてまいりましたので、そして、今年が教職の最後の年ということでもありまして、今後の特別支援教育を担う人材の養成ということにしっかりと思いを込めて参画をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【加治佐座長】 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、早速議事に入ってまいります。議事の(3)からになります。「特別支援教育を担う教師の養成・採用・研修等の在り方等に係る最近の主な提言及び今後の検討事項について」、事務局から説明をお願いいたします。
【山田特別支援教育課長】 ありがとうございます。座長、副座長から、また局長の伯井からも申し上げたところとかぶる部分もあると思いますが、現在の特別支援教育を担う教師の養成・採用・研修に係る最新の動向と、今回、御議論いただきたい内容につきまして、私、特別支援教育課長の山田ですけれども、私の方から簡単に御説明を申し上げたいと存じます。
令和元年に設置されまして、今年の1月に、宮﨑先生を主査としておまとめいただいた「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」についてです。、現在、特別支援教育の関係の様々な施策は、基本的にはこの有識者会議の提言に従いまして進められているということでございます。今年の1月におまとめいただきましたのが、この概要にございますような報告でございます。左下に赤い枠囲みをしておりますが、これが宮﨑先生におまとめいただいた報告、今年の1月に出たものでございます。
教師の質向上、この特別支援教育の充実の肝だと我々も認識しておりまして、左下のとおりの赤い枠囲みをしたところのような提言を頂戴してございます。1.全ての教師の方に適用すべきことと、2.特別支援学級や通級による指導の担当教師に適用すべき事項と、3.特別支援学校の教師ということで、3つに分けまして報告を頂戴しております。
全ての教師の点については、発達障害をはじめとした、OJTを中心とする支援体制の充実でございますとか、教員育成指標に特別支援教育を位置づけるということ、また、人事交流の推奨ということを御提言いただいております。
2ポツのところですけれども、OJTやオンラインなど研修の充実ということと、特別支援学校教職課程の一部単位の修得の推奨、また、免許法認定講習の活用といったことを、2.特別支援学級、通級の担当教師の資質向上策として御提案をいただいてございます。
3つ目、特別支援学校の教師については、先ほど座長の御挨拶にもございましたけれども、教職課程のコアカリキュラムの策定でございますとか、一番下にございます優良事例の収集・周知といったことも提言としていただいております。
また、ほぼ同時期にいただいた「令和の日本型学校教育」の構築を目指してという中教審の答申にも、ほぼ同じ枠組みで「特別支援教育を担う教師の専門性向上」ということが、全ての教師、特別支援学級、通級、③として特別支援学校という形でまとめていただいておりまして、かなり提言の内容も共通する部分が多いところでございますけれども、ここで抜粋させていただいているように、おおむね先ほど1月の提言のところで申し上げたような内容について載っているということで、こういったところが基盤になっていくのかなと思います。
今お示ししているのが全ての教師に求められるということで、赤字にしておりますけれども、障害の特性に関する理解ですとか、基礎的な知識、こういったものが必要ですということ。また、多様な教育的ニーズがあることを踏まえた学級経営・授業づくりということもお示ししております。
2つ目として、特別支援学級、通級については、より個別になりまして、特別な教育課程の編成、個別の教育支援計画、個別の指導計画、こういったことがより重要になってくるということと、人事配置についても、特別支援学校での勤務経験などを積んだ方を担当させるのが望ましいと。なかなか全学級でというわけにはいかないと思いますが、そういった提言もいただいております。
これが特別支援学校の教師ということで、重複の話でございますとか、障害の程度に応じた対応が必要だ、能力が必要だということですとか、学校全体としての専門性の担保、共有ということをクローズアップした提言を頂戴しております。これが現状の把握です。
ここからは、同じ答申の中ですけれども、どういった手段でやったらいいのかということも併せて御提言をいただいておりまして、真ん中の下の辺りです。①として、教職課程の内容の整理ということや、自立活動とか発達障害の位置づけをその中で考えましょうということ。2番目として、教職課程のコアカリキュラムを策定。3番目として、学修の成果を高める、例えば事例共有等の工夫が示されております。
次のページに参りまして同じ辺り、④といたしまして、特別支援学級、通級による指導の担当教師については、免許法認定講習等のうち一部単位の修得の推進というようなことが書いてあったり、⑤として、研修プログラムの開発ということが書かれている。今、大体申し上げたのが最近の政府の検討状況、こういったことを前提にしていただければというところです。
ここから制度の話になりますけれども、特別支援教育の免許状制度ということで、これは教育職員免許法施行規則の7条を抜き出しておりますけれども、免許制度は、先生方御案内のとおり、基本的には学校種ごと、小学校の免許、中学校の免許、高校の免許というのと同じように特別支援学校の教諭の免許状というのがありまして、その必要単位数を定めたのがこちらです。
専修免と一種免の最低取得単位は、最低のところは同じですけれども、第一欄、基礎理論に関する科目は2単位、第二欄の特別支援教育領域に関する科目、取ろうとする領域です、視覚なら視覚、聴覚なら聴覚、これを16単位。第三欄はそれ以外、視覚と聴覚を取る人だったら、知的と病弱と肢体といったことについて5単位。プラス教育実習が3単位という構造に専修免、一種免はなっているということです。
それが今、このお示ししているページの左側に出ている、同じことを横書きにしただけですけれども、右側にありますのは現職教員で勤務年数、一定数、良好な勤務をされた方については、必要な修得単位数が一番下にお示ししてあるとおり、かなり減らされて取りやすくなっている。現職経験を重視して取りやすくしているということになっています。
また、一番上を御覧いただければと思うのですが、箱の中に入っている1つ目ですけれども、ほかの教諭の免許状と同じように、小学校の教諭をするのであれば小学校の教諭の免許状が必要だというのと同じように、特別支援学校の教諭をするには、基本的には特別支援学校の教諭の免許状を持っていなければいけないのですが、ここに米印で書かれていますとおり、附則で経過措置が設けられていて、当分の間、持っていなくてもいいですよということが書かれているということでございます。
今、どういうふうな保有状況になっているかということですけれども、近年、先生方の御努力、また、関係機関、大学等の御努力によりまして、かなり以前に比べると保有率が全体でも、また新規採用者についても上がってきているという傾向ではございますけれども、依然として、全体で言いますと15%ぐらいは持っていないという状況が続いているということでございます。
特に、このグラフを御覧いただきますと、これは領域ごとの免許状の取得率をお示ししておりますけれども、赤囲みをしております視覚と聴覚、これは取れる大学もかなり限られております。国立特別支援教育総合研究所の免許法認定講習で取れる部分もあるのですけれども、それで伸びてはいるのですが、いまだに視覚、聴覚の領域の免許状の取得が進んでいないということが言えるのかなと思っております。
また、中教審での議論ですけれども、全体の教師の資質能力についても御議論いただいておりまして、その中に(5)ですけれども、特別な配慮を必要とする幼児、児童及び生徒への指導に関する事項というのは、教員育成指標の重要な観点の一つとして位置づけられていると承知しております。
ここからは、こういった状況を前提といたしまして、これから先生方に御議論をいただきたい事項をまとめさせていただいております。3つに分けていて、2番目がコアカリキュラムです。コアカリキュラム以外の養成・採用・研修に関することが主に1というふうに御覧いただければ分かりやすいかと思います。
そのコアカリ以外でどんなことを御議論いただきたいかということでございます。ここは前提ですけれども、(1)特別支援学校、(2)特別支援学級、通級について、どう養成、採用していくのか、どういったキャリアパスを考えるべきなのかということを示しております。ここから、今までの前提状況を踏まえた上で事務局でまとめたといいますか、こういったところを議論してくださいというお願いをするものでございます。
まず1、養成、採用でございますけれども、先ほどの各種の提言でもございましたように、特別支援学校の教諭の免許状の課程に自立活動でございますとか、あとは知的障害のある子どものための各教科、あるいは重複障害に関する教職課程といったことの内容と、あとは発達障害に関する事項を加えてはどうかということを御議論いただきたいということでございます。
2、現職教員の育成、キャリアパス、管理職養成ということでございますけれども、特別支援学校の先生方については、特別支援学校教諭免許状の保有率の向上に向けた取組ということで、免許取得計画の作成や進捗の把握、あるいは様々な取組、県によって変わりますので、そういった事例集を作ってはどうかというようなことを例示させていただいています。
2つ目のところは、先ほど申し上げた経過措置の規定でございますけれども、今は当分の間、持たなくていいよというふうに法律がなっておりますけれども、この猶予されている内容、方向性、こういったものを明確化するということがあるのではないか。何でもかんでも持たなくていいよということではなくて、例えば当該教員の前任校が小中学校であって取得中であったり、あるいは取得する計画がある場合には持っていなくてもいいよとか、そういった限定を、これは法令によるか、あるいは通知等によるか、方法はいろいろあると思いますけれども、そういうことが考えられないかというのが2つ目の例示でございます。
3つ目の例示は、一方で小学校等との人事交流を拡充できないか。これは両方にとってメリットがある。特別支援学校の先生方については、一定規模の集団に対する指導とか力量の形成ということができるということもありますし、もちろん特別支援学校に小中から来る方については、専門性の向上というメリットもあろうかと思います。
最後に書いてございますのは、特別支援学校の中に特別支援教育コーディネーターがいらっしゃいますけれども、その位置づけについても改めて考え、人材育成の仕組みについても構築する必要があるのではないかということをお示ししております。
次に、特別支援学級、通級による指導についてでございます。1つ目の例としては、小学校の免許を取ろうとしている学生さんに自立活動等の単位を取っていただくことを推奨してはどうかということでございますとか、特別支援教育に近づいていただくために、例えば教育実習のときに小学校の免許状を取る際にも特別支援学校・学級での経験を推奨するとか、2つ目のチェックのところでは、介護等体験の体験先として、特別支援学校等に積極的に行ってほしいということを推奨するということですとか、3つ目のチェックのところですけれども、今、学校体験活動を一定程度していると、特別支援学校教諭の免許状でも、小学校教諭の免許状でも教育実習の単位を減らせる仕組みがありますけれども、特別支援学校の教諭を目指すのであれば、特別支援学校に学校体験活動を限るということもあるのではないかということをお示ししております。
2番目として採用の在り方ということで、特別支援学校教諭免許状の単位の取得だったり、そういったボランティア、特別支援教育支援員の経験とか、そういったことを採用試験で考慮していただく、活用していただくということが考えられないかと書いています。
先ほど申し上げたように特別支援学級とか通級は、小学校とか中学校の中にあるものでございますので、別の免許状を設けるというのはなかなか難しい分野なので、何かほかの工夫ができないかということで、こういったことをお示ししております。また同様に、教員の強みを伸ばすということで人事交流の拡充ですとか、その際に免許取得計画を設けるとか、あるいは教員育成計画に特別支援教育の内容を盛り込むと、また、初任研とか中堅教諭等資質向上研修等に特別支援教育を盛り込むというようなことが考えられないかということを2点目に書いてございます。
3点目は、先ほど申し上げたとおり、免許状を持っている必要はないのですが、そういったものを推奨して保有率を向上するということも考えられるかどうかということ。また研修として様々な、国立特別支援教育総合研究所も「学びラボ」をはじめとして研修システムを持っていますけれども、そういった履歴を把握したり、評価に反映できるような工夫というのがないのかということをお書きしております。
一番下は交流系の話ですけれども、通常の学級と特別支援学級とか、そういったものを学校内、あるいは域内で相互乗り入れ授業的にやるということが考えられないかと。学校内で、特別支援学級で交流とか共同学習が実施されるときは、大抵特別支援学級の先生は通常級に何人か児童生徒を送り出して、通常級の先生が見るというようなことが普通になっていると思いますけれども、担任も併せて入れ替えてみるとか、あるいは逆に、通常級から何人か特別支援学級に来てもらって、先生もそこで入れ替わったりとか、いろいろな形でお互いをお互いがよく知るということが同じ学校の中なのでできるのではないかと思っております。
最後、特別支援学級、通級による指導を担当する教師のキャリアパスとして、今でもいらっしゃいますけれども、特別支援教育コーディネーターについて、どう在り方を整理していくのか、また位置づけていくのか、そういった人材をどう育成するのか、そのために与えられるインセンティブは何かないのかというようなことを例示として書いております。
あとはここに書いてありませんけれども、キャリアパスとして例えば考えられるのは、これは関係者の間での議論が必要だと思いますけれども、例えば採用前に、あなたは初任で特別支援学級を担当してもいいですかということを聞いて、いいですとチェックをしていた先生が採用されたとしたら、そういった先生を積極的に新任で特別支援学級のある学校に配置して、特別支援学級に担任として入ってもらうと。最初の方にそれをやってもらって、指導教官がいるうちに資質を高めるというようなことも考えられるかもしれません。
また、管理職の養成というところで、管理職の教員育成指針に特別支援教育というものを明記してはどうかということ。また、管理職選考に当たって、特別支援教育に係る経験、特別支援学校、特別支援学級、通級、特別支援教育コーディネーター、こういったことの経験がある人を積極的に採用するようなことが考えられないかと。
今かなりの割合の学校に特別支援学級があるにもかかわらず、校長も教頭も一度も特別支援学級に携わったことがない、そういう学校にいたことすらないみたいな二人組でやっていたりするというような状況が結構あると伺っておりますけれども、そういった条件を改善して、この人は優秀な教員で、ゆくゆくは教頭になる、校長になるということが望まれる先生だとすれば、なるべく早く特別支援教育に携わらせようというような方向に向かうためにはどうしたらいいかなということをぜひ先生方と議論をさせていただきたいと思っております。
2番は、後でスケジュールをお見せしますけれども、コアカリキュラムをどうするかということも含めて、教職課程について御議論をいただきたいと思っているところです。まずは、教職課程の整理、先ほど申し上げた自立活動とか発達障害の位置づけをどうするかというのが1点ですし、下の方に書いております教職課程コアカリキュラムというものを策定すべきではないかということについて、できればそれぞれの障害種の専門家に集まっていただいてワーキンググループを設けて検討いただいてはどうかと、このように考えております。
それ以外ということで、先ほどちょっと特別支援学校教諭免許状の保有率について申し上げましたけれども、特に視覚、聴覚において、取得できる大学が少ないし、専門とする先生方が少ないということをどう改善していくべきかということで、例として3つ挙げておりますけれども、大学間連携で複数の大学の専門分野の強みを持ち寄って、なるべく近くで免許が取れるようにしてはどうかというようなことですとか、今、国立特別支援教育総合研究所でやっていただいている免許法認定通信教育の実施と主体の拡大ということも考えてはどうかということ。また、管理職の資質向上という点では教職大学院と連携した資質向上というものも考えられるのではないかと考えております。
事務局が想定しておりますスケジュールを最後に申し上げて、私の説明を終わりたいと思いますが、今、先生方にお集まりいただいている検討会議、親会議が左側でございます。今日は第1回会議ということで、会議を重ねていただいて、第2回は例えばワーキングの設置を御検討いただいてはどうか。ワーキングを設置いただいたら、右の方でそれぞれのコアカリキュラムをそれぞれ専門分野に応じて検討していただいてはどうかということを並行して、それ以外の、ワーキングでコアカリキュラムを検討していただいている横で、この親会議でその他の論点についてヒアリングを行ったり、論点整理を行ったりということで御議論をいただき、一度年度末ぐらいで方向性を明らかにして、必要があればパブコメとか、そういったところに進んでいければありがたいと考えております。
私からの説明は以上です。どうもありがとうございました。
【加治佐座長】 どうも山田課長、ありがとうございました。
今の御説明に関する御質問、御意見があると思いますが、次の議事の後にまとめて御意見をお伺いしたいと思います。議事(3)及び(4)に関する自由討議の時間を1時間弱設けておりますので、その際に御意見、御質問をお願いいたします。
それでは、次の議事(4)「養成課程における特別支援学校教諭免許状関連科目の開設の現状と課題について」に入ります。
安藤委員から御発表をいただきます。安藤委員におかれては、本年3月まで一般社団法人日本特殊教育学会の理事長を務めておられました。同学会は、昨年度の文部科学省実践研究充実事業を受託され、特別支援学校教諭の養成課程の実態の把握・分析に取り組まれるなど、特別支援学校教諭免許状等の在り方に関する検討に自主的に取り組んでおり、安藤先生は、その研究を牽引されてきました。
それでは、安藤先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【安藤委員】 ただいま御紹介いただきました安藤でございます。
本日は、スライドに示しましたように、「養成課程における特別支援学校教諭免許状関連科目の開設の現状と課題について」、話題提供いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
限られた時間に多岐にわたる話題提供となりますことから、お手元の資料を基に簡潔な説明となりますことを、あらかじめ御了解いただければと思います。
本話題提供は、一般社団法人日本特殊教育学会が令和2年度文部科学省委託事業「特別支援教育に関する実践研究充実事業」(政策課題対応型調査研究)を受けて実施した、「特別支援学校教諭免許状等の在り方に関わる学術的調査研究」に基づくものです。以下「調査」とします。
日本特殊教育学会では令和元年度から、先ほど御紹介いただきましたように「特別支援学校教諭免許状等在り方検討ワーキンググループ」を設置し、本年9月の第59回学術研究大会において、学会企画シンポジウムとして最終報告を行い、その後ワーキング報告書をまとめました。本話題提供においてお示しする調査結果は、ワーキンググループの議論に供するものとして実施したものでございます。
なお、本会議では、日本特殊教育学会を代表して発表するものではなく、あくまでも個人の立場から話題提供することであることを併せて確認しておきたいと思います。
調査は、予備的調査と本調査から構成しました。詳しくはこの後に説明いたします。
まずは、予備的調査について概略説明をいたします。予備的調査は、教員養成大学・学部等における特別支援学校教諭免許状関連科目等の開設状況及び教授内容の分析を目的としました。地域、設置者等を考慮して10大学を抽出選定いたしました。内訳は、スライドに示したとおりです。選定した大学のシラバスを分析し、関連科目の開設状況及び教授内容を明らかにいたしました。
なお、分析の対象は、特別支援学校教諭一種免許状、かつ、知的障害、肢体不自由、病弱の3つの教育領域の免許状の関連科目といたしました。これも先ほど御説明ございましたように、視覚、聴覚の領域については認定を受けている大学が少ないとか、サンプリング上、なかなかこの数が十分得られないという事情でございます。
スライド4でございます。大変申し訳ございません、修正がございます。表の第3欄のLD等の科目数が8となっています。これは18の誤りです。申し訳ございません、御訂正ください。
関連科目の開設状況の結果は、科目数、単位数、担当者、教授内容としてのキーワードで示しました。
第1欄では、対象とした10大学のうち、2大学で2科目開設されていましたが、残る8大学では最低修得単位数である2単位1科目の開講でした。全て2単位科目で開設していますので、1科目のみの開設という状況であることが分かります。
第2欄の心理・生理・病理及び教育課程・指導法は、知的障害が肢体不自由及び病弱に比べて開設科目数が多く、肢体不自由及び病弱は、ほぼ第2欄の最低修得単位数の4単位程度の開設にとどまっています。
第3欄のLD等に関する科目は、多くの大学で複数開設されているのに対して、重複障害者に関する科目は各大学で1科目を開設する状況でした。
ここからは、教授内容の分析です。この分析では、私を含めたワーキンググループの中に調査作業部会を設け、メンバー3名が入手したシラバスからの教授内容とみなせるキーワードを抽出しました。
第一欄に関しては、181種類、296キーワードが抽出できました。抽出キーワードは、免許法施行規則第7条備考1に規定された教育の理念、歴史・思想、社会的・制度的・経営的事項の各カテゴリーに分類しました。教育の理念では、キーワードは14種類で総数28。歴史・思想カテゴリーは24種類で総数38でした。表では、頻度の高い順にキーワードを示しました。
本スライドでは、社会的・制度的・経営的事項にカテゴライズされたキーワードのうち、頻度の高いものを示しました。制度的事項にカテゴライズされたキーワードが最も多く、取り上げる内容に偏りが生じている可能性が示唆されました。
本スライドは、第二欄、心理・生理・病理の教授内容です。知的障害、肢体不自由、病弱の別に、キーワードを頻度の高い順に示しました。知的障害の教育領域では、13科目においてキーワードは146種類、総数237でした。肢体不自由では6科目で101種類、総数136でした。病弱では7科目で94種類、総数140のキーワードが挙がりました。知的障害を御覧いただくと分かるように、知的障害では上位にASD、発達障害、ADHDが取り上げられていることが分かります。
本スライドは同じく第二欄、教育課程・指導法の教授内容です。知的障害、肢体不自由、病弱の教育領域別に、キーワードを頻度の高い順に示しました。知的障害の教育領域では17科目においてキーワードは181種類、総数326抽出できました。肢体不自由教育では12科目で152種類、総数270でした。病弱では9科目で94種類、総数223のキーワードが抽出できました。
重複障害の科目とLD等の科目に分けてキーワードを分析しました。第三欄の教授内容です。重複障害の科目のうち、シラバスの教授内容が得られた9科目を分析の対象としました。抽出されたキーワードは138種類、総数171でした。抽出されたキーワードで頻度の高い上位は表に示すとおりです。重複障害、医療的ケアなどが多く取り上げられていました。LD等の科目、17科目から抽出されたキーワードは141種類、224でした。抽出されたキーワードの頻度は、ADHD、LD、ASD、発達障害が上位を占めていました。
次に、本調査の結果となります。特別支援学校教諭免許状関連科目の開設上の工夫、課題等を明らかにするために、一種免許状の課程認定を受ける全国163の大学・学部学科等を対象として質問紙調査を実施いたしました。86大学から回答が得られ、回収率は52.8%でした。
なお、ここでは小学校等の免許状取得に係る「特別の支援を必要とする児童等の理解に関する科目」については割愛します。
学科等の基本情報です。認定を受けた免許状の種類は、知的障害、肢体不自由及び病弱領域で90%を超えているのに対して、視覚障害、聴覚障害領域では10%前後でした。ちなみに知的障害は100%でありました。
開設科目を担当する教員、専任教員は平均4.24名でした。
特別支援学校教諭免許状取得に関わる基本情報です。1学年の学生定員は95名で、認定を受けた全種類の免許状の取得を卒業要件とするのはおよそ40%でした。基礎免許状取得に関する学生へのガイダンスでは、60%を超えて小学校免許状の取得を基本としていました。
特別支援学校教諭免許状取得における認定を受ける学科等以外の学生受入れは約半数で実施されていました。受入れ学生数は、平均すると約20名となっています。
受け入れていない理由について回答いただきましたものを整理すると、「実習先の確保が困難」が40%ぐらい挙げられている。それから「受講者数の適正化」が4分の1が挙げられている。「事前、事後の指導が丁寧に行えない」、こういった理由が上位に挙げられていました。中にはその他として、「学科として受けている課程認定の要件にはないので受け入れられません」というところもございました。
次のスライドです。開設科目群の構造や系統性の具体化を図るためにどんな工夫をしているかということでございます。例えばカリキュラムマップなどを作成しているかについてです。その結果、回答があったうち、約70%の学科等が「作成している」としていました。具体的な作成を回答していただきましたところ、ここに挙げられたような内容が得られました。全体を見てみると、カリキュラムマップやカリキュラムツリーの作成、あるいは科目ナンバリングなど、キーワードとしてこういうものが取り出せる。それから同じようなことですけれども、履修系統図の作成、こういったことも工夫として具体的に行われているようです。
養成したい教員像について、教育職員免許法等で規定された特別支援学校教諭一種免許状の単位数の修得でこれを担保できるかというものを示したものです。「担保できる」としたのはおよそ70%、「担保できない」とする割合は20%弱です。それ以外は、「どちらでもない」という回答でございます。
「担保できない」とする理由を挙げていただきました。これらがその理由でございます。例を挙げると、「特別支援学校教諭免許の基盤となる子どもの理解の力は学科の指導科目群で養われるものと考えられるため」などが挙げられました。以下は御参考ください。
続いて、「担保できない」ことへの対処、どういうふうに対処されていますかという内容でございます。その例がここに書かれてございます。これは一部でございます。例えば、「特別支援学校でのインターンシップ、ボランティア養成講座への参加、公開研究事業への参加を推奨し、実践感覚を補うことを意識している」というようなことが挙げられてございました。
続いて、特別支援学校教諭免許状第二欄における科目の必修単位数の設定に関する結果です。関連する結果は、10大学を分析対象とした予備的調査においてもお示ししましたが、改めて全国調査の項目としたものです。免許法施行規則に定める最低限の単位数を設定するのは回答のうち3分の1で、残りは最低限の単位数を超えて設定していました。
右側を御覧ください。知的障害、肢体不自由及び病弱教育領域に着目すると、肢体不自由、病弱は第二欄の最低修得単位数を僅かに上回っているのに対して、知的障害教育領域では7単位を超えて設定していました。障害領域によってどうやら若干差が生じている、そういう結果として受け取れます。
次のスライドです。第三欄における発達障害科目の開設状況です。83回答があったうち、82の学科等で設定をしていました。発達障害の科目については、ほとんどの大学で開設しているということです。主な内容については、スライドに示したとおりでございます。
科目開設上の課題です。回答のあった学科等のうち、学科等における多様な専門領域の教員の確保、特定領域を専門とする非常勤講師の確保の困難さがそれぞれ過半数を占め、上位に位置づいています。多様で総合的な専門領域を網羅する人材の確保が大きな課題となっていることが示唆されます。
最後に、科目の編成上の課題についてです。時間割編成上、学内共通科目などとの調整の困難さが最も多く、過半数の学科等で指摘されました。続いて、履修における順序性の確保の困難さが挙げられていました。その他、多く回答が寄せられたものの一部を下に示しましたので御覧ください。
以上をもって話題提供とさせていただきます。この後の活発な自由討議に供することができれば幸いでございます。御清聴ありがとうございました。
【加治佐座長】 安藤先生、ありがとうございました。
それでは、先ほど事務局から説明のありました議事(3)、そして今の議事(4)の安藤委員からの御発表、これを踏まえまして意見交換を行いたいと思います。
まずは、各委員から順番に御発言いただきたいと思います。資料1の別紙の裏の委員名簿、あいうえお順になっていると思いますが、この順番で参りたいと思います。
今、御発表いただいた安藤先生からになりますが、安藤先生、よろしいですか。
【安藤委員】 分かりました。時間はどれくらいを目安にすればよろしいでしょうか。
【加治佐座長】 1時間弱になりますので、委員の方が11人おりますので、長くても5分ぐらいですかね。よろしくお願いします。時間があるようでしたら、また機会を設けますので、よろしくお願いします。
【安藤委員】 了解いたしました。私から簡単にお話をさせていただければと思っております。話題提供した立場から、こういった調査を行って、どんなことを直感的に感じ取ったか、そういうお話が私にとってはいいのかなと思っております。
先ほど山田課長さんの方からも話題が出ましたけれども、教員養成、あるいは課程認定を受けて特別支援学校の免許が取得できるというのは、量的にはかなり整備されてきたなという実感がございます。ただ、取組にかなり機関差があるな。あるいは障害教育領域に、視覚、聴覚は先ほど話題となっていますけど、実は知・肢・病にも開設状況によっても違いがあるなと。これはもともと歴史的に言うと、知・肢・病に関しては養護学校教員養成課程で知的障害教育を前提として養成が行われてきたという背景が今にもあるのかなと。ですので、多くの先生が知的障害領域を専門とされて、課程認定の際に関連の業績上げて肢体不自由や病弱の認定を受ける、あるいは非常勤として地域から専門家を得るというような現状が私は見えたのかなと思っております。
ですので、こういったことが個々の大学で機関努力に委ねられるものなのかどうかという問題もあろうかと思いますが、座長の先生については兵庫教育大で、私も以前、上越教育大というところにおったものですから、比較的教員の数は多くて専門領域が分けられるんですけれども、国立の養成系も必ずしもそうではない状況があるということで、今後どういうふうに養成段階での偏りを改善できるのかなというふうには、今回の調査からまず感じたところです。
以上です。
【加治佐座長】 大変よく分かりました。共通の認識も持てるところになりました。ありがとうございました。
それでは、市川委員、お願いいたします。
【市川委員】 全国特別支援学校長会の市川でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
特別支援教育を担う教員の育成ですが、非常に多岐にわたる課題があるのかなと思っています。今日お話しすることもうまく整理ができるか分からないんですが、今思っていることを幾つか述べたいと思っています。
まず、特別支援学校長会から教員の養成について意見交換をしたときに、どこの校長からも出る意見が、恐縮なんですが、大学での学びが実際の特別支援学校の教育現場と乖離していると、正直言います。これはどこも出てきます。これは何かというと、教育課程について御理解をしていただいていない学生さんが多いということが校長として出ます。
先ほど安藤先生のお話からも、障害ということで知的障害、視覚障害等の障害の理解という観点は、確かに大学の先生とすれば、そちらの観点の専門家なんだと思うんですが、学校長の立場から言いますと、我々は教育課程で考えているんですね。特別支援学校の教育課程は3つあります。準ずる教育課程と知的の教育課程と自立活動を主とした教育課程と、その教育課程においてどういう実践を行っていくかということが教員の専門性になっていきますので、やはり教育課程ということで今後の教員の養成を考えていかなくてはいけないのではないかなと私は思っています。
2点目が特別支援学校の現状を言いますと、単独の障害の学校もありますけれども、複数のな障害に対応している学校が多くなってきています。視覚障害と知的障害、もしくは知的障害と肢体不自由、そういうところも多くなってきています。学校によって障害種別で学部等を分けていない学校もあります。、例えば視覚障害教育部門とか知的障害教育部門と分けていないところもあるんです。そうすると、コアカリキュラムの話になるんですが、今回の教員免許法自体がそういう設定になっていますが、視覚障害、聴覚障害、知的・肢体不自由・病弱という3種類の分け方ではなくて、特別支援学校としての教員免許として、全ての障害種別をある程度理解しているような教員免許が必要になるのではないかと思います。というのは、うちの学校でも視覚障害のある知的障害のお子さん、聴覚障害のある知的障害のお子さんが在籍しておりますので、教員としてはそういうふうな多様な障害を合わせ有する児童生徒に対する指導力が必要になってくるのではないかなと思っています。
また、教育課程の方から考えますと、教員の養成の中にあります自立活動、これがすごく重要な要素で、今の特別支援学校の教育課程は、小学校や中学校の教育課程と連続したものになってきています。知的障害のある子どものための各教科の指導が小中学校の教科の指導と連続したものになっていますと、特別支援学校の教育課程の特徴というのは自立活動になると思っています。ですから、自立活動についてがすごく重要な内容にになると思っています
一方、自立活動だけで非常に幅がありますので、それが先ほどの御提案の小学校の教員の免許状を取るときにも自立活動に関する単位を入れるということですが、どこまでそれが担保できるのか。特別支援学校の教員でさえ自立活動の幅というのが広いと考えます。そうした中、小学校の教員に免許状取得に、自立活動をどのくらいの単位とするべきかは、大きな課題になるのかなと思っています。
【加治佐座長】 3点、よく分かりました。
それでは、続きまして、喜多委員、お願いいたします。
【喜多委員】 皆さん、こんにちは。全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会会長の喜多と申します。よろしくお願いいたします。
今回、特別支援学級・通級による指導の教員の採用、育成に関わってこういった議論をされるということで、参加させていただきありがとうございます。勉強させていただきたいと思います。
本協会は、全国小中学校義務教育学校3万校ある中の1万7,000校ぐらいの校長が参加している団体であります。大体6割弱ですけれども、その中で、様々全国の会員の皆様から声が届いているところです。また、それは全国調査等でまとめて国に届けている、そういった団体でもあるんですけれども、今回いろいろ資料の方を拝見させていただきました。有識者会議に関しては、本協会の前々会長がずっと参加させていただいて意見を届けてきたところです。
今回に関わっては、様々いろいろな視点があるところなんですけれども、学級と教室の教師に対してなんですけれども、小学校や中学校の中での免許で、特別な免許はなかなか難しいということで、今回このような認定講習というような形が出たと思うんです。本来であれば、発達障害であるとか、自閉症であるとか、そういった方の特別な免許状は必要だなというふうには思っているところであります。
それに代わるものでありますので、認定講習に関わっては、さらに自立活動というのが、先ほど市川委員からありましたように、かなり専門性がすごく必要なものなんですね。解釈であるとか、指導内容、方法に関しても、ある程度専門家がしっかりとカリキュラムを立てないと指導できないものですので、それに関わる大学でのカリキュラムをきちんと立てていかなければいけないんだろうなというふうにとても感じているところです。
免許状に関しては、今、支援学級・教室とも3割ちょっと、今年の調査では4割近くになりましたけれども、なかなか上がってこない状況がありますので、認定講習を今後活用できればいいかなと思っています。
あと特別支援学級・教室ともに自立活動、あるいは各教科の指導を踏まえながら指導していくわけですけれども、なかなか全国的に若い先生なり、経験のある先生が少し減ってきてしまっている状況があり、その方々の養成というものが、研修が必要になっている状況があります。それについては、また、機会があれば目指していただきたいと思うんですけれども、なかなかそこが今、各学校では悩んでいるところがあります。
最後に、もう1点だけ。全ての教員に関わる特別支援教育の専門性についてなんですけれども、今、各教科に想定される障害による困難さであるとか背景、手だてが、学習指導要領の各教科に全て載っています。通常学級の先生方は全てそれを理解した上で各教科を指導していくわけなんですけれども、それと自立活動の指導をしっかりとリンクさせていきながら教職課程の中で扱っていただけるとすごくありがたいかなと思っています。
また、通常学級の中に配慮を要する子がかなり多くいて、その子たちの接し方であるとか、見方であるとか、受け止め方というのが一番今大事なところ、大切なところなんです。学校経営上、肝になっているところですので、示されているように思惟的な学級経営であるとか、ユニバーサルデザインであるとかというあたりを重視しながら取り扱っていただきたいなと思うところです。
長くなりました。以上です。
【加治佐座長】 ありがとうございました。
それでは、木舩委員、お願いいたします。
【木舩委員】 木舩でございます。私は長年にわたって特別支援学校教諭免許状の教員養成に携わってきております。中でも専門は肢体不自由でございます。その経験に基づきまして、3点ほど申し述べたいと思います。
先ほど市川委員より、学生の教育課程の理解が不足しているという御指摘がございました。誠に申し訳ない思いでいますけれども、言い訳になるかもしれませんけど、限られた単位数と限られた時間の中で、特別支援学校の教育課程の基本的な考え方、学校教育法施行規則にある126条から127、128、129まで教えて、その上で、今度は合わせた授業、特別な教育課程、こういったことを教えながら、そしてもう一つ、これが2点目になりますけれども、自立活動を重視する。これは本当に大事だと思って自立活動を取り上げて、それを例えば2単位の15コマの中でどう教えていくか。また、自立活動の個別の指導計画を作成、実習というふうなことを授業内で行いながら、自立活動の広さ、深さ、こういったものを教えるように工夫はしてきております。ただ、工夫が成果になかなかつながらないという苦しさは感じてきております。
最後に、3点目、こういった多岐にわたる内容、あるいは特別な教育内容を担当できる教員の確保と、私の大学でも多くの非常勤の先生にお願いしておりますけれども、その確保が非常に難しいという状況にあって、苦慮しています。以上、教育課程、自立活動、そして教員確保という3点について、簡単ですけど、申し述べさせていただきました。
以上でございます。
【加治佐座長】 どうもありがとうございました。3点、ありがとうございました。
それでは、坂越委員、お願いいたします。
【坂越委員】 広島文化学園大学の坂越と申します。よろしくお願いします。
私どもの大学では、知的と肢体不自由、病弱の課程を持っていまして、小学校を基礎免にして特別支援学校に採用される者、それから中学校は音楽を基礎免にして採用される学生が数人ずつ毎年出ているというような状況です。
ただ、私の専門は、申し訳ないんですけれども、言わば教育学一般の方で、必ずしも特別支援ということは専門ではありませんので、いろいろ学びながら参加させていただきます。何で私がここに呼ばれているのかと言いますと、恐らく教職課程コアカリキュラムを作ったときに関わらせていただいたので、そんなことが少しでもお役に立つということかなと思っております。
これからワーキングの方でいろいろ詰められるんだろうと思うんですが、ちょっと先走り過ぎるかもしれませんが、教職課程コアカリキュラムを作ったとき、いろいろな論点もあり、議論もいただいたんですけど、その中で、例えば教職課程に盛り込みたいことはたくさんあります。先ほど15回の授業で木舩先生がどういう授業をするかということを言われたんですけど、やっぱり基本的にはあれもやりたい、これもやりたい、あっちも必要だし、これを欠いてはいけないということがいっぱい出てくるんですね。
しかし、それで本当にこの単位設定で、この15回の設定できちっと教えられるかどうかという問題が当然出てきます。いろいろなスタンスはあり得ると思うんですけれども、やっぱりコアカリキュラムの本来は、ある意味ミニマム・エッセンシャルズであって、どの大学の課程であっても、ここを修了した学生はこれだけの知識、力がついているという部分をどう精選するかということかと思います。
それとあわせて、当然ですけど、いろいろな大学がいろいろな設置理念なり、カリキュラムポリシーに基づいて養成を行っています。それぞれの大学の特徴を生かすというか、それぞれの裁量の余地も絶対必要ですよね。だから、コアカリと大学の裁量の余地のバランスをどういうふうにしていって特徴のある特別支援関係の教員を養成していくか。この辺りがこれからのコアカリキュラムの一つの論点になるのかなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【加治佐座長】 分かりました。ありがとうございました。
それでは、田中委員、よろしくお願いいたします。
【田中委員】 お世話になっております。帝京平成大学の田中でございます。
私自身は視覚障害教育を専門として、ずっとこの分野に関わってきているわけですけれども、本学では、まさに視覚、聴覚、知的、肢体不自由、病弱の5つの領域の特別支援学校の免許が取れるということで教員養成に携わってきているわけですけれども、そういった意味では、先ほど安藤委員の方から大変丁寧に御説明をいただいたところだったんですが、正直申し上げると、学生の負担が非常に大きくなっているというようなことも事実です。ですから、例えば安藤委員の中に、特別支援学校免許に関わる学生の受入れの問題ですよね。取得単位数が増え、学生の負担が大きくなり過ぎるためというのは、ほかの学科からの受入れというようなことにかかわらず大きくなっているという部分と、それから、先生方御承知のように、現在、これも文部科学省の要請もあり、単位の上限というのが厳しく設定されているため、私たちが学生の頃とは随分状況も違うのかなと思っています。
何を言いたいのかと言えば、単位数そのものもあるんですけれども、やはり中身をどう考えていくかというようなことだろうと思います。先ほど市川委員の方から自立活動のお話が出てきておりましたけれども、私も各障害種別の専門性というのは、まさに自立活動の考え方であるか、自立活動の指導をいかにしっかり、自立活動における指導と自立活動に関する指導をしっかり考え分けて、学校教育活動全体を通して自立活動の考え方を浸透させることだと理解しているんですが、この辺りが、例えば視覚や聴覚のような感覚障害、あるいは肢体不自由の身体障害系だと自立活動の考え方は非常に分かりやすいわけですけれども、一方、これもちょっと私どもの大学の愚痴みたいなことになってしまうんですけど、教員養成に関わっている教員が、特に知的障害教育分野で教えている教員の知的障害教育における自立活動の考え方がどのようになっているのかというあたりは、なかなか議論がかみ合わないようなところもあって苦慮しているというのが実情です。
それから、話変わりますが、喜多委員の方からは認定講習の話が出ておりました。実は私、この夏も幾つかの県で認定講習を実施させていただいているわけですけれども、以前ですと、いわゆる盲免、視覚障害領域だと認定講習を受ける受講者の数というのは10人、20人というのが関の山でした。ところが、どの県も例外なく、場合によっては100人ぐらいになるというようなことが平気であります。それは幼稚園から高等学校までの先生、みんな受けてくださっているんです。そういう意味で、免許の取得率という意味では貢献していることにはなるんだろうと思うんですけれども、私が困ってしまうのは、つまり、本来であれば盲学校の教員、視覚特別支援学校の教員に話すべき内容なんですけれども、それをかなり内容を薄めて話をしていかなければいけないような事情があります。
ただし、そういうふうに薄めて話をしたとしても、いや、ちょっと話が難しかったというようなコメントをいただくようなこともあって、この辺りは免許の取得率という部分と、それから再三出ている自立活動の指導を中心として、各障害種の専門性の部分をどう担保するかということが、少しもろ刃の剣のような部分があるのかなと感じているところです。
最後に、全ての教員に関わる内容というようなことで言いますと、私、他大学でいわゆる特別支援教育の概論的な講義を15回にわたって、制度から各障害種別にわたって一般的な話をさせていただくわけですけれども、その折に、学生に毎回リフレクションを書かせているんですけれども、それを見ますと、どの学生も異口同音に「初めて知るような内容だ」というような感想といいましょうか、時には質問をいただいたりすることもあるんですけれども、そういうことを考えますと、これは何らかの形でしっかり小学校の免許、あるいは中学校、高等学校の免許を取るといいましょうか、その教師を目指している学生たちにも特別支援教育の理念であるとか、各障害種の一般的なことについては理解していただくということが必要なのかなと強く思っているところです。
以上、取り留めのない話ですが、話させていただきました。ありがとうございました。
【加治佐座長】 どうもありがとうございました。
それでは、濵田委員、よろしくお願いいたします。
【濵田委員】 皆さん、こんにちは。東京学芸大学の濵田です。
本学は、いわゆる国立の教員養成大学ということで、障害の領域でいうと聴覚障害、知・肢・病ということで4領域を出しております。また、日本教育大学協会の特別支援部門の代表もさせていただいておりますので、養成大学の立場からということでこの委員会で関わらせていただき、発言していきたいと思っております。
そういう中にあって、さっき市川先生から、東京にある特別支援学校の先生から言われると本当に頭痛いんですけど、なかなか十分現場で生きるようなことが指導できていないんじゃないかと言われて、本当に申し訳ないなと思っております。それと同時に、先ほど田中委員もおっしゃられましたけど、大学の中で起こっていることを申し上げれば、CAP制と言って1年間に取れる単位数が制限されてきているということがあります。
それからもう一つは、複数免許をできるだけ学生たちに取らせることが望ましいという声が強いということがあります。、特別支援専攻の学生にも小学校免許だけじゃなくて中学校免許も取らせるというように複数免許を取らせないといけない。それでいて年間の単位数は制限されるというような中で、何をどう学ばせていくのかというところで頭を悩ませているという現状が一つあります。
それからもう一つ、学生を養成していて感じることとしては、僕は専門が聴覚障害なんですけど、せっかく聴覚障害の得意なというか、そこに軸足を置いたような養成をしてきても、その学生が必ずしも聴覚特別支援学校だとか、あるいはきこえやことばの教室に採用されるかというと、全くその約束はないというような状況もあるわけですよね。そうすると、養成から採用のあたりのところということも、やはり課題はあるかと思います。もちろん特別支援教育全体が、先ほど来報告にありましたように、対象となる子どもたちの重複化のようなこともありますので、1つの障害種だけでずっていくというような教員モデルというのは、今後あまりよくないと思うんです。ただ、そこに自分が軸足を置いて学んできたことが生かされないなんていうのは、やはり採用のありようとして今後検討すべきところはあるのではないかと感じているところです。
また一方で、養成課程だけで全てきちんと1領域であっても教えられるかというと、もはやそういう状況ではなくなっているということを考えると、やはり研修のところ、そこのところに大学としてもきちんとコミットしていくということが求められるかなと感じているところです。特に免許の更新講習というもののありようというのが、免許更新制というのは1回閉じて、新しい形での研修ということが議論される中にあって、先ほど来あったような、例えば通級だとか、特別支援学級の先生方に教職大学院の単位を、教職大学院じゃ駄目なのかな。養成大学の単位を取得させていって、何単位かそこで資質を現すようなものにつなげていくなんていうことも一つあるかなと思います。いわゆるポイント制の導入なんていうのもありますけれども、そういうことを活用していくというのも一つの知恵かなと感じているところです。
最後にですけど、僕も安藤先生の報告いただいた委員会に少し加わらせていただきましたけれども、そのときに感じた難しさというのが、自治体ごとに実態が相当違うと、学校現場の実態も違う。例えば特別支援学校における「重複の子どもたち」という一言に対して、イメージする子どもたちの像が実は結構ばらつきがあるんですね。例えば知的な能力が高いという子たちも含めて重複というふうにくくっている自治体もあれば、重度の子どもたちだけを重複というふうに言っているイメージのところもあるかと思います。何が正解かということではなくて、自治体の実態によってそれが違っているということを受けて、必要な人材をどう養成していくかということを考えるということは、今後、重要なことではないかなと感じております。また一緒に議論させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【加治佐座長】 どうもありがとうございました。
それでは、樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】 よろしくお願いします。私、松本大学の樋口と申します。
今年、松本大学に異動してまいりました。こちら特別支援教育、特別支援学校の免許状に関しては知的障害、それから肢体不自由、病弱ということで、単位数としては最低限ぎりぎりで免許を出しているというところです。その前は東北福祉大学におりまして、こちらは単独の大学としては特別支援学校教員を、卒業生の中で毎年ランキングで1位になるという、大変特別支援学校教諭免許状と現場で働くということを意識した大学だったように思います。
専門は発達障害でして、どちらかというと特別支援学校よりは、小中学校等で困っているお子さんたちの支援を中心に考えてきた者です。その立場から特別支援学校の専門性ということを考えると、やはりセンター的機能が非常に期待されていると思います。そのときに小中学校の方では、専門家が来るから何か問題解決法を教えてくれるんじゃないかという期待が物すごく強いんですけれど、実際には特別支援学校の先生方は、小中学校の現場経験のない方が多い地域もありまして、都道府県によって教員採用の仕方が大分違いますので、例えば私が現在おります長野県は、小中学校の義務教育と特別支援学校を同一の枠で採用しているという時代が長かったものですから、特別支援学校の先生は小中学校の経験がある。小中学校の先生の中に特別支援学校の経験があるという先生が非常に多いところなんですね。ですから、そういったところでは小中学校の担任の大変さを理解した上での一緒に問題解決していきましょうという態度が自然に身についているんですけれど、特別支援学校のことだけを知っている先生がいきなり小中学校に来ますと、一人一人に応じた指導をしましょうというのは正論なんですけれど、学級の担任ができるかできないかということをちょっと度外視して助言される場合があって、結構現場に波紋が起きてしまうということがあります。
ですから、カウンセリングマインドとよく言いますけれど、そういった悩みに寄り添って一緒に解決していきましょうという技能がセンター的機能を発揮するにはどうしても必要であると同時に、小中学校の現場も知っておく必要があると思います。ですから、特別支援学校の教育相談を担当している先生方の中に、小中学校の実態を本当によく分かって助言、援助に携われる先生の数というのは意外と少ないのではないかなと感じています。
それから、先ほど安藤先生の御発表の中にもASDとか、発達障害に関する知識とか指導、技術、基本的なことに関して、特別支援学校教諭免許状の取得のために教員養成段階で扱っているというお話がありましたけれど、何といってもASDに関しては、特別支援学校では5障害に一応入っていないわけなんですけれども、物すごく重要であって、知的障害はもちろん、それ以外の障害種の特別支援学校でもかなりASDを重複しているお子さんは多いというところから、発達障害でもASDというのは落とせない内容だと思います。
一方、LD(学習障害)に関しては、通常の教育課程の中で大きく困難がクローズアップされてくる障害だというところから、できればそこまで分かってほしいですけれど、発達障害の中でも、どこにウエートを置いて教えていくのかというのはコアカリキュラムの中になるんですかね、少し考えておく必要があるのではないかなと思いました。
あとは制度的なことで、田中委員さんもおっしゃっていたと思うんですけれども、教育全体の歴史の中で、特に平成19年から始まった特別支援教育というのは、通常の学級にも大きく影響する、歴史上、非常に重要なものだと思いますので、そういった大きな教育史の中で特別支援教育の理念等を扱っておけば、初めて特別支援教育に関する話を聞いて知ったという学生は少なくなると同時に、そこでももう1回聞くことによって、確かな知識として現場に出ていけるのではないかということを思いました。
以上です。ありがとうございました。
【加治佐座長】 どうもありがとうございました。
それでは、宮﨑委員、よろしくお願いします。
【宮﨑委員】 宮﨑でございます。今日はありがとうございます。
まず、1月に報告を出させていただきました「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」の中で、特に資質に関わる記述、今日の資料3の4ページから6ページに係る中身ですが、この有識者会議が基本的には学校現場を預かる校長を中心として論議させてもらった経緯があります。もちろん大学の先生、様々な方が出ていらっしゃるんですが、多くは各障害種の代表の校長先生、小中高校の校長先生方の意向が強く反映されて整理をされた中身と思っていただければと思います。従いまして、特に学校現場が抱えている課題について、今回求められる資質、専門性について言及した中身になっているということをまず知っておいていただきたい。そういう意味では、先ほど市川委員からお話があったようなこととも関連をしています。
今日、安藤先生から出していただいた、特に養成課程の現状がどうなっているか。大変興味深く見せていただいたんですが、そことの関連性をどうしていくかというのは非常に大きいなという気がしてお話を聞かせていただきました。このことは後でまた申し上げますが、今回、座長の加治佐先生からご説明くださいました3月の中教審の諮問を受けて、特に大臣指針の資質能力の構造化の試案、7項目が出されているんですけど、これに関わって、特別支援学校免許状、つまり養成の側が様々な免許状の中でどんなふうに位置づけて考えていくかというあたりの整理を是非しなければいけないんだろうと思います。
実践的な技量というのは例えばどういうことかというと、教職や科目の専門的な知識ですとか、指導技術とか、あるいは経験や研修を通じて指導技術を蓄積していくというようなものというのは教えやすいし、学びやすいし、そして具体的な力がついていくんだろうと思いますが、実際上、特別支援教育に関わる課題で一番問題になるのは、例えばこの構造化の試案の中の(7)に関わるようなこと、例えば児童生徒と保護者、それから同僚との関係調整をしていくとか、あるいは人間性ですとか、課題や問題への対応とか心構えといったような問題に関しては、かなり課題も出てくるだろうと思います。
特別支援学校のマネジメントのことなどもあるわけですが、これは全体で学んでもらうというようなことも踏まえて、やはりカリキュラムの整理をする必要があるんだろうと思いながら考えているところです。特に今の免許状でいうと、二欄、三欄のところについては各大学の、先ほど坂越先生からお話があったこととも関わるんですが、当然各大学のカリキュラムポリシーというのがあって、それで対応するということは当然あってしかるべきなんですが、整理の仕方として、かなり独特というと語弊がありますが、各大学の教員によって差異が出てきているので、ここもコアカリキュラムで一応整理はしてあるのですが、十分であるかどうかというのはまた別問題ということになると思うんです。
したがって、大学の教員養成に単位修得の制限がある中ですので、養成や採用、研修の一貫した対応でここは考えていかなければいけないなと思っているところです。安藤先生の今日の報告の中で、私が幾つか気になったところでいうと、今の教員養成の在り方で、例えば教員免許法で規定された特別支援学校教諭の単位の取得でこの資質が担保できるかということで、おおむね7割ぐらいが「担保できる」というふうに回答していただいているんですが、2-1でそういう中身があるんですが、同時に2-3のところでは、「担保できない」ことへの対処として、「課程認定以外の特別支援教育関連科目を多く置いています」。この多く置いていますというのが具体的にどのような科目が置かれているのかなと思ったりするんですが、決して大学の先生方も単位数だけで満足されているということではないんだろうと当然思うわけです。そうしたときの中身の整理、つまり、コアカリキュラム論というのが当然起こるんだろうと思って聞かせていただきました。事務局の方で具体的に今後の整理の仕方をしていただいているので、ぜひこの視点でこの会議で継続した検討をしていただくと大変ありがたいと思いますし、学校現場感覚を超えて整理をしていただければいいなと思いながら話を聞かせていただきました。ありがとうございました。
【加治佐座長】 どうもありがとうございました。
それでは、森委員、お願いいたします。
【森副座長】 失礼いたします。時間も少なくなってまいりましたので、端的にと思っておりますが、たくさんのお話を聞かせていただきましたので、その中で少し違うことを中心にと思いながらお話をさせていただきます。
1点目が特別支援学校の教員の養成と関わってなんですけれども、思うところは、冒頭といいますか、最初の方に市川先生がおっしゃったようなことを非常に私も共感しながら、大学の養成がどうのというよりも、今の現状の教員の専門性の在り方という意味でどうなのかなということは共感させていただいたところです。というのが、知識はあるけれども、実践につながっていかないタイプの初任といいますか、教員もいれば、逆に行動力やアイデアはあるんだけれども、その根拠は何だと言ったときに教育課程についても、障害観、発達観についても少し不足しているのではないかというようなことも感じるところですので、私は特別支援学校の教員には、かねてから教育課程や障害に関する知識、そして、技術、技能、これは自立活動にも関わることだと思っておりますが、それからプロデュース力というんですか、企画力というんですか、これは特別支援学校に限らず、皆さん、非常に学生さんは学んでくるんですけれども、各校種の教員、みんな企画力というか、総合力みたいなことをつけてきてほしいなということを思うところであります。そして人間関係力は素養としてと思っています。特別支援学校については、特にそういったことを考えているところです。
2つ目に、特別支援学級、通級による指導のことなんですけれども、全てこの論の中で、2つを併せて述べられているところがたくさんあるんですけれども、この辺りは喜多先生の方もお感じかなと思うんですが、特別支援学級もさることながら、通級による指導の担当の専門性というのはかなり高いものが求められると思っております。アセスメントする力ですとか、それから保護者さんとか、いろいろなところに還元していくような力ですとか、ですので、これから先考えるときに、私は特別支援学級と通級指導を、そこは意識しながら論議する必要があるかなと、感想みたいなことなんですけれども考えています。
そして3点目に、コアカリキュラムとも関係するのかもしれませんが、もともと児童生徒の発達のことについては、どの課程でも学ぶということはあると思うんですけれども、特に私は特別支援教育という観点もそうですし、それから通常の学級にいる子どもたちのことも考えたとき、定型発達について、もう少し本当は掘り下げて学んでおく必要があるのではないか。そうすることで、どこでのつまずきは、次どのような手だてを打てばいいのかという自立活動の観点にも結びつくのではないかと思っておりまして、特に言語発達、対人面の発達、自我の形成みたいなこと、そして運動機能とか感覚機能云々かんぬんということで、そういった定型発達についてもう少し掘り下げておくことで、いろいろなことも次に考えられる、特別支援という考え方からすれば、じゃあどうすればいいかということが考えられるかなと思っております。
最後に4点目、管理職なんですけれども、管理職の方の考えようによって、小中学校の特別支援学級の在り方ですとか、体制ですとか、そういったことは非常に大きく変わってきますので、管理職について、資料の中では経験者をというような話もありましたけれども、経験者ということもありますけれども、機関連携をよく踏まえているとか、制度を理解しているとか、違う面での研修等々も必要だなと考えているところです。
すいません、早口になりましたけれども、以上でございます。
【加治佐座長】 本当にどうもありがとうございました。
委員の皆様に御意見をいただきました。今日提示された2つの報告、これを皆様、十分踏まえられて、非常に内容の豊かな御意見であったと思います。
少しだけ時間がありますので、私の方から簡単に出なかった意見を申し上げたいと思います。特別支援教育は、当然全ての教師に必要です。もちろん障害種ごとにそれぞれの専門性も深めていかなければいけない。あるいは特別支援学校、支援学級、通級指導、それぞれ求められるものもあるので、そのためのいろいろな準備をしなければいけないということ、御意見をいただいたと思いますが、そういうことをする中で、学部段階がもちろん一番中心になるのは間違いないんですが、同時に、特別支援教育の教員養成、あるいは特別支援教育そのものの研究は大学院レベルでも盛んに行われておりますので、そこにも視点が当たっていいのかなと思います。
例えば、兵庫教育大学だと特別支援教育専攻というのがありまして、非常にニーズが高いです。5領域の免許を出しておりますし、これから教員になろうとする者も、現職の教員も免許をたくさん取っているという状況があります。ですから、大学院レベルでの免許取得ということも一つ視野に入れてほしいということです。
それともう一つは、大学院レベルで今日も出ておりました特別支援教育のコーディネーター、そういうところに非常に力を入れて養成をしようとしています。一種のリーダー養成です。そういうこともありますので、裾野を広げるといいますか、特別支援教育について底上げというか、みんなが分かるようになると同時に、リーダーというか、より専門性のある方、より力のある方も同時に養成すると、そのための大学院もありますよということも言及していただけるとよろしいのかなと思いました。
時間も参りましたので、最後のまとめの方に入ってまいりたいと思います。
本当にたくさんの御意見ありがとうございました。本日の意見交換を踏まえまして、私の方で森副座長、事務局と相談の上、本日いただいた検討事項に関する意見の整理及び特別支援学校教諭免許状の教職課程コアカリキュラムの基本的な方針案を御用意し、お示ししたいと思います。それらを基に、次回の検討会議ではさらなる議論を深めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【加治佐座長】 ありがとうございます。それでは、事務局と相談いたしまして、次回検討会議に向けて、皆様に追って御送付いたしたいと思います。
それでは、次回の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
【小林特別支援教育課企画官】 次回は、来月11月の後半に開催させていただきたいと思います。具体的な日程は近日中に御案内させていただきます。お忙しい中、恐縮ではございますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【加治佐座長】 それでは、本日、1回目でしたが、大変活発な議論が行われたのではないかと思います。これを次につなげていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

―― 了 ――

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文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係・指導係

(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係・指導係)