特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議(第5回)議事録

1.日時

令和4年2月24日(木曜日)15時~17時

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 特別支援学校教諭の教職課程コアカリキュラムの検討状況について
  2. 特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する報告素案について
  3. その他

4.出席者

委員

加治佐座長、森副座長、安藤委員、市川委員、喜多委員、木舩委員、田中委員、濵田委員、樋口委員、宮﨑委員

文部科学省

淵上初等中等教育審議官,山田特別支援教育課長,小林特別支援教育課特別支援教育企画官,分藤初等中等教育局視学官,嶋田特別支援教育課課長補佐,宇野特別支援教育課課長補佐

オブザーバー

宍戸オブザーバー

5.議事要旨

【加治佐座長】  定刻となりましたので、ただいまから第5回「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議」を開会いたします。
 委員の皆様には、大変御多用の中にもかかわらず、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日も現下の情勢を踏まえまして、ウェブ会議システムを活用しての開催とさせていただいております。
 初めに、本日の会議の進め方及び配布資料について、事務局から説明をお願いいたします。
【小林特別支援教育課企画官】  事務局の特別支援教育課でございます。
 まず、会議の進め方についてです。本日もウェブ会議システムを活用することから、委員の皆様には、御発表、御発言に当たってお願いしたい事項を送付しておりますので、そちらを御参照いただくようにお願いいたします。
 また、本日は坂越委員のみ御欠席となります。
 続いて、本日の配布資料ですが、議事次第、資料1から5と参考資料をお送りしております。不足がありましたら、事務局まで御連絡ください。
 以上でございます。
【加治佐座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。資料の議事次第を御覧いただければと思います。そこにありますように、議事の1は特別支援学校教諭の教職課程コアカリキュラムの検討状況について。議事の2は特別支援教育を担う教師の養成の在り方に関する報告素案についてでございます。
 これらについて、事務局より、本日の審議の流れの説明をお願いいたします。
【小林特別支援教育課企画官】  議事1につきましては、昨年11月に本検討会議でまとめていただいた、コアカリキュラムの作成の基本的方向性に基づいて、ワーキンググループにおいて、検討が進んでおります。今日は資料1に基づいて、ワーキンググループ主さの安藤委員より御説明を頂いて、その後、意見交換を予定しております。
 今後のスケジュールとしましては、本日の意見交換を踏まえて、ワーキンググループにおいて必要な見直しを行い、次回の検討会議で素案を皆様に再度確認いただいて、確定を頂く予定です。
 続いて、議事2については、特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する報告素案でございます。資料2として、前回の会議で、報告の骨子案について、皆様から頂いた御意見を整理しております。資料の2でございます。また、資料3として、前回の会議で御欠席された全国特別支援学校長会会長の市川委員より、骨子に関する御意見を準備いただいております。さらに、資料4として、全国特別支援学級通級指導教室設置学校長協会の会長の喜多委員から併せて御意見を準備いただいております。前回会議の議論と市川先生、喜多先生からの御意見を踏まえて、座長、副座長と御相談して、資料5のとおり、報告素案を事務局で用意しております。
 このため、本日は資料3について、資料3について市川委員、資料4について喜多委員より御説明を頂きまして、その後、資料5について事務局より御説明させていただいた後、報告素案について、委員皆様による意見交換をお願いしたく存じます。
 今後のスケジュールとしては、本日頂く御意見を素案に反映して、次回の検討会議で再度議論を行っていただき、報告を取りまとめていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【加治佐座長】  それでは、今の流れで進めます。
 まず、議事の1です。安藤委員より御説明をお願いいたします。
【安藤委員】  安藤でございます。特別支援学校教諭の教職課程コアカリキュラムに関するワーキンググループ、以下、ワーキンググループとします。この主査を仰せつかっている立場から、このことに関する検討状況を御報告いたします。委員の皆様には、随時、お手元の資料等を御参考ください。副主査である樋口委員及び事務局には、必要に応じて補足等をお願いいたします。
 ワーキンググループでの検討状況を、本検討会議にて御報告いたしますのは初めてとなります。そこで、初めに、これまでのワーキング等の開催状況を簡単に御紹介し、その後に、ワーキンググループでの議論について御報告いたしたいと思います。
 まず、ワーキンググループ等の開催状況です。令和3年11月25日に開催された第2回検討会議において、ワーキンググループの設置が決まりました。ワーキンググループでは、教育職員免許法施行規則第7条の特別支援教育に関する科目のうち、特別支援教育の基礎理論に関する科目である第1欄及び第3欄の重複障害の領域については、主査、副主査と事務局において、第2欄及び第3欄の発達障害の領域については、その全体目標、一般目標、到達目標等を6つのサブワーキンググループを設けて、専門的な議論とそれぞれの関連を踏まえた検討を行うこととなりました。
 ワーキンググループは、これまで令和3年12月16日と令和4年2月15日の2回、開催されました。第1回、ワーキングでは、資料1-2に基づき、検討会議での議論を踏まえた特別支援学校教諭免許状の教職課程コアカリキュラム作成の基本的方向性と考え方について、提案を行いました。このことは、本検討会議、第2回の議事、特別支援学校教諭免許状及びその教職コアカリキュラムの在り方として、事務局から概略説明を頂いております。
 また、第2回検討会議における委員の御意見、すなわち、コアカリキュラムはミニマムエッセンシャルとすること。既に作成された教職課程コアカリキュラムとの関連を持たせること。各障害者の専門事項に特化し過ぎず、障害のある子供たちが生きていく支援をするためのコアカリキュラムを作成する観点を共有した議論であること。自立活動、発達障害、知的障害、特別支援学校の各教科等、そして、重複障害者等に関する教育課程の取扱いなどの位置づけについても、事務局より併せて御説明を頂きました。
 ワーキンググループの委員からは、第1欄基礎理論の単位数、2単位15コマのままで、例えば自立活動を取り扱う内容に十分な時間を充てることはできるのか、あるいは重複障害者等に関する教育課程の取扱いについては、重複障害に限った規定ではないことから、第1欄でも扱うべきではないかといった御意見を頂きました。ワーキンググループ終了後にはサブワーキングを開催し、その後の日程確認を行うとともに、第1欄及び第3欄の重複障害領域の素案との関連を踏まえた、第2欄及び第3欄の発達障害領域のコアカリキュラム作成に向けた具体的な議論を行うことといたしました。
 第2回ワーキンググループは、サブワーキングの代表者の出席の下、2月15日に開催いたしました。ここでは、各サブワーキンググループでの議論を受けて、主に次の2点について、検討が行われました。1つは、全体に関わる事項です。各障害領域を横断するような内容になった。もう一つは、コアカリキュラムの周知に際して、通知等で示すべきと考える事項についてです。
 まず、前者についてです。障害種によっては、到達目標に記載する用語に差異があることです。例えば、資料1-1の9ページ以降を御覧いただきたいと思いますけれども、心理、生理、病理の理解、及び、障害の状態等の把握の到達目標、3)において、連携する期間等を家庭や医療機関とする場合や家庭や保健、医療、福祉及び労働機関とするような場合があり、それぞれの根拠についても御説明を頂きました。
 このほかに、教育課程の意義及び編成の方法、カリキュラムマネジメントを含みますけれども、2)、教育課程の編成の方法とカリキュラムマネジメントの到達目標、1)における各教科等の「等」の扱いについても話題となりました。「等」とは何を指し、どこまで扱うのかに関わる内容となります。これらについて、それぞれ意見を交わすとともに、今後、引き続きこれを検討することとなりました。
 全体に関わる事項として、第1欄と第2欄、第3欄など欄干、1欄、2欄の欄の間、欄干等の関連において整合性が確保されているのか、ミニマムエッセンシャルとして取り扱うべき内容がきちんと位置づけられているかについて、全体を俯瞰(ふかん)して確認をいたしました。コアカリキュラム案の骨子及び各目標の構成に関しては、大枠御確認を頂いたと考えております。
 なお、今後、今回の議論の成果と課題を踏まえた検討の積み上げに対する期待の意見がありましたことも併せて御報告いたします。
 次に、後者、すなわちコアカリキュラムの周知に関して、通知等で示すべきと考える事項について、紹介いたします。教職コアカリキュラムの作成後、これに基づき、ユーザーとして大学教員、あるいは課程認定を受ける教授組織が担当、あるいは、開講科目のシラバスに具体的な内容として落とし込むことが重要となります。
 そこで、私が大学で第1欄及び第2欄の科目を担当する立場から、到達目標との関連からシラバス上で取り上げるべきキーワードを具体化し、欄干、あるいは到達目標とキーワードとの関連を可能な限り可視化できる表を作成いたしました。これは私の私案として作成したものです。コアカリキュラムの周知に当たり、通知等での活用の可能性をお諮りしたいというものでございます。このことについては、各委員からその必要性について賛同する御意見を頂きました。提示に当たり、大学教員及び課程認定を受ける大学に負荷がかからないような示し方の工夫も重要となることが、併せて確認されました。
 なお、作成した資料は、検討途上にありますことから、本検討会議の席上では資料として配付いたしませんでした。御了解ください。
 今後、3月8日に予定されている第3回ワーキンググループでの検討及び事務局との確認の上、その活用の可能性について検討してまいりたいと考えております。
 以上、大変雑ぱくではございますが、これまでのワーキンググループにおける特別支援学校教諭免許状の教職コアカリキュラムの検討状況についての御報告とさせていただきたいと思います。副主査である樋口委員、事務局から補足等がございましたら、お願いいたします。
 以上です。
【加治佐座長】  ありがとうございました。樋口副座長、それから、事務局何か補足ございますか。
【樋口委員】  樋口です。私からは特にございません。
【加治佐座長】  事務局の方いかがですか。
【山田特別支援教育課長】  特にないです。
【加治佐座長】  分かりました。
 それでは、ワーキンググループでコアカリの検討、作成を行っていただいていますが、今の御報告をお伺いしました。それで、質疑応答したいと思いますが、御意見等ございませんか。それでは、特にはよろしいですか。もしワーキングの方で、何か御意見等ございますれば、おっしゃっていただいてもよろしいかと思いますが、いかがですか。よろしいですか。分かりました。時間があれば、また後でも結構ですので、それでは、安藤委員、それから樋口委員におかれましては、本当に引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事2の方に入ってまいります。まずは、市川委員より資料3に基づいて、10分程度で御報告、御説明をお願いいたします。
【市川委員】  全国特別支援学校長会の市川でございます。
 前回の会議で欠席させていただいて申し訳ございません。また、本日意見を述べる機会を設けていただいて誠にありがとうございます。特別支援教育を担う教師の養成の在り方に関する意見ということで、少しお話をさせていただきます。
 校長会の方で恐縮な意見になるのですが、校長、各地の校長と話をする中で、各学校現場における具体的な職務と、なかなか教師を養成する大学における学習の内容が離れているのじゃないかということというのは、よく私の耳に入ってきます。大学において、実践力に直結するような学生を育ててほしいという意見を多く聞きます。これはどうしてなのかといろいろ考えてみたのですけれども、特別支援学校の役割とか施設設備、就学相談、転学相談等、また、学級編制とか教育課程の編成というのは、法令根拠に基づいて決められておりまして、これを具現化するというのが学校経営になりますし、教員の仕事になるのです。教員の初任者の方に、正直言いまして、特別支援学校に入学してくるお子さんはどうしてあなたの目の前にいるのと聞きましても、ハテナという顔をするのです。これはもちろん就学相談によって特別支援学校へ就学したお子さんたちなのですが、これはもう制度なので決まっていることなのです。区市町村がどのように相談をして、どこが権限を持ってどのようにしているのかというのは、もう正に法律に基づいているものです。
 また、学級の編成についても決まっていますので、どうしてこういう編成になっているのかということも法律に基づいて動いています。特段、特別支援学校の教育内容というのは学習指導要領に基づいて実践されていて、それは各年間指導計画の作成や各事業の計画も、特別支援学校学習指導要領に記載されている内容をいかに具現化していくかということが教師の仕事になると思っています。そう考えますと、特別支援学校での学校運営とか教育活動というのは、文部科学省とか学校設置教育委員会である指針に基づいて、それを具現化していくことでありますので、学校長としては、特別支援学校を担う教員には、是非具現化の過程について分かってほしいと思っています。
 そのためには、私が思うには、具現化の過程を知っている人間を教えなくてはおかしいだろうと思っているのです。私は幸い校長もやっていますし、その前は都の教育委員会の指導主事でしたが、教育課程編成指針をつくっているのです、指導主事というのは。それに基づいて各学校に指導しますので、文部科学省がどういう趣旨で学習指導要領をつくって、それを都道府県がどのような考え方で編成指針をつくって、それを各学校におろしていくかという過程が分かっていますので、分かっていますというか、分かっていました。そういう経験をした方が学生に教えていただくと、非常に具現化された話になるのかと思っています。
 このためには、大学において指導主事とか学校長等の経験のある実務家教員の登用について、しっかり促進をしていただきたいと思っています。また、今、コアカリキュラムの話がありましたが、コアカリキュラムということで、どこの学校でも教える内容が決まっても、誰が教えるのかという問題に差がありますと、これは教える内容が一定化しないと思っています。どのような専門のある方というか、どのような経験を持っている大学の先生が教えるのか。少し言いにくい言葉ですけれども、教壇に立ったか、立たなかったか、教育課程を編成したことがあるのか、学習指導案を書いたことがあるのかないのかということも踏まえて、是非一定の基準が必要ではないかと思っています。そのためには、文部科学省の方で、恐縮なのですが、養成課程についてはどのような先生方が登用されているのか、情報を把握していただきながら、必要な指導助言を求める必要があるのではないかと思っています。
 また、2番目は特別支援学校の学習指導要領に基づく指導力の向上なのですが、先ほどコアカリキュラムの話がありましたが、特別支援学校の学習指導要領に基づいて教育というのは行われていて、それをどのように理解するのかということが一番重要だと思っています。年間指導計画も各事業も全て学習指導要領に基づいているわけなので、学習指導要領に基づく理解、これが重要だと思っています。また、特別支援学級の指導において、特別支援学校ではなくて、これは小中学校の学習指導要領を基本としながら、特別支援学校の学習指導要領を参考にしているわけですが、これは自立活動というものがどうなのかということが重要になりますので、是非自立活動について、各大学でしっかり教えていただく必要があるかと思っています。飽くまで、これは学習指導要領に書いてある自立活動であって、特定の心理学的アプローチとか、特定の何かの障害の理解ではないと思うのです。自立活動を教えるべきだと思っています。
 次に、通級による指導欄ですが、特別支援学校は学習指導要領に基づいて動いているわけですけれども、もちろん特別支援学級もですが、通級の指導というのは、残念ながら自立活動を参考にできるということになっているのですけれども、なかなかこれの具体的なものというのが分かりにくいのではないかと思っています。公教育を行うことにおいて、指導するに当たって、国とか教育委員会が示す一定の指針や基準に基づいて、指導内容や指導計画を作成することが私は大切だと思っていますので、そういうことが分かった上で、通級指導学級の担当の先生が指導するべきだと思っています。そのためには、残念ながら学習指導要領がないので、例えば文部科学省がつくっている初めての通級による指導の担当する教師のためのガイドというものがありますが、これをもう少し詳細化していただいて、学習指導要領の代わりに、基本的には、これが我が国の通級指導の指導内容として作っていただいて、それを学校、大学においても教えていただきますと、全ての先生方が等しい知識の下、通級指導の教員を目指せるのではないかと思っています。
 以上です。
【加治佐座長】  ありがとうございました。よく分かりました。
 それでは、続いて、喜多委員より、資料4に基づいて、10分程度で御報告、御説明をお願いいたします。
【喜多委員】  全国特別支援学級通級指導教室の喜多と申します。
 では、資料に基づいてお話をさせていただきますが、今回、特別支援教育に携わる教師の専門性の向上について、本協会の会員の意見を求めたところですので紹介します。また、全国調査結果からも会員の声が上がっていますので、その部分を今回の議論と併せた形で、お伝えいたします。
 資料の2ページ目、お願いします。 最初、本協会で捉えている特別支援教育や特別支援学級並びに、通級指導教室の先生方の現状について触れさせていただければと思います。1番目の特別支援学級等における正規教員の1人の割合がとても高いことが、ここ何年間かの調査で明らかになっています。知的障害特別支援学級61%、自閉症・情緒障害学級56%、通級指導教室60%で、その中には再任用や常勤講師、産休代替も含んでいるのですが、1人で担任になっている学校がとても多いという結果が出ています。また、文科省の調査結果には、臨時教員が23%にのぼることが出ていました。また、正規教員が配置されていないこと数%あることも分かりました。
 次に知的障害特別支援学級等の主任の経験年数ですが、3年未満が4割となります。11年以上が28%となり、大体二極化されています。更に3年未満の若手の経験の浅い先生方が主任をしていることもわかりました。免許の保有率も主任はどちらも4割ぐらいです。全国で1人の先生が学級や通級指導教室を持ち、そのうち3年未満の先生方が4割を占め、免許も4割程度だという現状があるということです。このことからも専門性の向上が喫緊の課題であることが言えます。最後の設置校長の特別支援学級等の経験年数については、小学校では3割程度、中学校では3割を切るという現状で、かなり少し寂しい状況が続いています。
 正規教員の育成、教職課程の養成、採用、さらには研修の在り方、人材配置等について様々意見を頂いていますので、順に説明させていただきます。
 1つ目の育成指針に関わってですが、今回、文科省からは、全ての教員が身につける資質能力として、学習指導と生活指導に加えて、特別な配慮や支援を必要とする子供への対応が示されました。今後は、特別支援学級や通級の先生に身に付けてほしい資質、能力、専門性に関した育成指標を検討していただけばと思います。
 次のページを御覧ください。通常の学級を担当する教師の特別支援教育に係る育成指標の例として1から9まで示しました。特に1番目の障害者への正しい人権感覚や、子供を大切にする心、がとても大切だという声が上がっています。また、発達障害等も含めた多様な障害の子供たちが、今、通常の学級に在籍していますので、その見方や接し方を身に付けることが必要です。そして特別支援学級の子供たちが交流及び共同学習の一貫して通常の学級で学習していますので、その子たちへの接し方、支援の仕方についても必要になってきています。
 また、各教科等で生じる困難さに対する支援が育成指標に示されましたので、その具体的な理解と支援の実施、指導力が必要になります。また、通級での指導を在籍学級で生かす力や、発達障害の子供含めた支持的な学級経営の在り方を身に付けることも重要です。
 次のページを御覧ください。特別支援学級であれば、知的障害と自閉症・情緒障害がとても多いことからその障害特性の正しい理解とアセスメントをする力も大事です。自立活動を踏まえた個別の指導計画の作成力、小中高への指導の継続性も重視したいところです。
 また、専門的な指導力では、知的障害学級において、自立活動の指導、教科別の指導、教科を合わせた指導する力、障害者理解教育を促す力を身に付けさせたいです。通常の学級の子供たちに障害者、障害をどのように理解啓発し、ケアできる力も必要です。また、異学年の集団を一斉指導する力もあります。多くの様々な学年の子たちを一緒に指導しなければならないですので、その力は必須です。あとは6番目にありますように大体複数教員で担任していますので、同僚性の大切です。
 次のスライドを御覧ください。通級指導教室であれば、発達障害等の障害特性の理解とアセスメント、あと、3番目の自立活動に係る個別指導計画、4番目は、先ほど市川委員からありましたけれども、発達障害に係る自立活動の指導力が求められます。
 次のスライドを御覧ください。教職課程の学生における特別支援教育に係る養成に関してですが、そもそも大学の段階で、特別支援を専攻する学生は、何かしら障害のある方と関わっていることが多いのではと思いますが、通常の教員を目指している学生はその経験が少ないと推察します。教員を目指す学生には、中学、高校での障害者理解教育の推進を更に進めていく必要があると考えます。教育実習では、特別支援学級と通級指導教室での体験を奨励していき、特別支援教育にかかわる体験を積ませていくことが必要です。
 教員採用に関しては、大学と教育委員会が連携して、優先的に採用していくというのも必要ではという声が上がっていました。いずれにしても、大学の段階、また、その前の段階で障害者と触れ合う、あるいは特別支援学級等での指導を体験する、そういった機会や場をもっと増やしてほしいという思いです。
 次のスライドを御覧ください。特別支援学級に関わる育成ですが、特別支援学級というくくりではなくて、全ての教員が特別支援学級や通級指導教室の担任を経験しておいてほしいという声がとても多かったです。例えば、新採初異動あるいは10年目以内の教員は特別支援学級の担任を必ず経験させる制度があるよいとのことです。実際、特別支援学級の担当をしてみたら面白くて継続するという先生方もでてくるでしょう。一方、やってみて通常の学級担任がよい、自分には向いているという先生も多いかもしれません。しかし、その場合でも、通常の学級で特別支援学級で学んだ経験は必ず生かされるので意義があるとのことです。
 また、先ほど申し上げましたが特別支援学級は1人担任が多いので、学び合う機会がとても少ないので、教員相互が学び合う授業研究会等の充実、必要です。また、優秀教員制度など、文科省でもありますけれども、熱心で若手教員を発掘する仕組みも必要です。
 次のスライドを御覧ください。4番目ですけれども、特別支援学級等で経験があって指導力のある教員や再任用や定年延長による専門性の高い教員を特別支援教育アドバイザーに指名して活用する仕組みが必要です。前回の会議で、スクールクラスターの話題が出ましたが1人担任、あるいは少ない担任の特別支援学級では、中で、どのように自分が指導していけばいいのかというのを学ぶ機会が本当に少ないので、実際、具体的に学校に来て、授業を参観してもらい、その中で指導してもらうような仕組みをつくることも必要と考えます。また、臨床心理士が巡回して、アセスメントや支援についての助言する仕組み、外部人材を利用するということも話題としてあがりました。
 次のスライドを御覧ください。次は研修についてです。今、教員はとても忙しく働いていますが、特に特別支援学級の先生方は、それにも増して子供から離れられない状況にあります。研修時間をどのように確保していくのか、学校教育だけで何とかしようとしない、連携体制づくりの構築が必要です。デイサービス等の連携も必要です。
 研修に関しては特別支援教育に関わる研修を必修化している学校が多いのですが、その際は、特総研のコンテンツを使用した研修を実施するのもよいと考えます。国立附属特別支援学校の期限付配置というのも良いのではないかという話もありました。
 次のスライドを御覧ください。最後です。人事配置については、特別支援コーディネーターの専任化があがっています。特別支援学級や通級指導教室の先生方がその任についているケースが多いです。今後は、そのような経験を経た教員が、校内全体の特別支援教育に関わって指指導する立場になるということが重要です。それが管理職への道につながるとの声もありました。また、特別支援学級と特別支援教室の主任を必置主任にすることによって、更に意識だけでなく、専門性も高まっています。
 校長に関わっては、特別支援学校や特別支援学級での経験のある校長が先ほど3割ぐらいとの話をしました。このことからも小中の管理職と特別支援学校の管理職との人事交流は意義があると考えます。また、育成や研修の段階で、管理職が特別支援学級、通級指導教室の教育課程を編成できる力、自立活動の指導を評価できる力を高める内容を扱っていく必要があります。
 特別支援教育の専門性のある指導主事、の育成、配置については、独立行政法人の教職員研修支援機構の研修であるとか、特総研の研修とかで育成されていますが、更にそういった研修を充実していただくとともに、専門性のある指導主事が先ほど同様、各学校で授業を観察して、指導、助言するシステムをきちっとつくっていくことが、専門性向上には重要であると考えます。
 以上です。ありがとうございました。
【加治佐座長】  ありがとうございました。
 それでは、最後の説明になります。資料の5です。報告書の素案について、事務局から説明をお願いいたします。
【小林特別支援教育課企画官】  資料の5を御覧いただければと思います。
 まず、目次の1ページのところですけれども、構成になりますが、1「はじめに」、2、「現状」ということで、特別支援教育に関わる、教師を取り巻く現状についてデータを用いて説明しております。
 3の「主な課題」ということで、「特別支援教育を担う教師の養成、採用・研修の在り方」、そして2で「コアカリキュラムの在り方について」、項立てをしております。
 4では、全ての教師と特別支援学級通級指導の担当教師と特別支援学校の教師、3種の対象者ごとに分けて、教師の専門性の向上のための具体的方向性について記述をしております。
 2ページ目ですが、5の「各関係者に求められる具体的方向性」として、管理職、教育委員会、大学、特総研ごとに期待される役割や取組を期待しております。
 次の6ですけれども、コアカリキュラムの活用に期待される方向性を述べており、最後に今後の検討スケジュールということで、3月15日の会議がございますけれども、それ以降のスケジュールについて述べております。
 最後、8に「終わりに」ということで、締めくくっております。
 3ページ目でございます。まず、「はじめに」というところですけれども、なぜ特別支援教育を教育関係者全体で充実していく必要があるのかということの説明となります、1の丸ポツですけれども、令和3年1月の中教審で、「『個別最適な学び』と『協働的な学び』を適切に組み合わせた学習を実施していくべきである」という方向性が示されております。2つ目ですけれども、特別支援教育においては、既に、個に応じたきめ細かな学習の工夫を実施しておりまして、これらの考え方というのは、特別支援教育分野のみならず、また、障害の有無に関わらず、教育全体の質の向上に寄与するものであるということ、また、パラグラフの3個目ですけれども、今の特別支援教育を受ける児童生徒の増加や、通常学級においても発達障害等の子供たちが増えている中で、通常学級の教師を含めて多様な学び場の連続性の観点から、特別支援教育の理解や専門性が求められているということが述べられています。
 4つ目で、答申と同月、策定された新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議の報告において、教師の求める資質能力等に関する、具体的に取り組むべき内容については、別途検討することが必要であると示されたこと、経緯を振り返っておりまして、最後の5ポツ目ですけれども、これらの報告や現在、別途進行中の令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会における議論の方向性を踏まえて、本検討会議において、特別支援教育を担う教師の養成、採用、研修等に関して、国や教育委員会、大学、そして学校において取り組むべき内容の方向性を示したものであるということで、趣旨を記載させていただいております。
 また、4ページ目でございますけれども、最後ですけれども、本報告の具体的方向性について、法的な強制力というのはないのですけれども、今後、国において必要な調査を実施して、進捗状況をフォローアップすることによって実効性を担保していくという方向性も記載しておりまして、現場の教育関係者の取組次第であるということで、具体化に向けて御尽力いただきたいというメッセージを書いております。
 5ページ目から9ページまでは現状ということで書かせていただいております。基本的には、これまでお示ししているデータなどを記載しておりますので、割愛させていただきたいと思いますけれども、例えば、7ページあたりだけ触れさせていただきますと、今、喜多先生からお話ありましたけれども、最初のパラグラフ、「校長の特別支援教育に関わる教職経験」ということで、特別支援学級等での教職経験のない校長が小学校で7割、中学校で75%を占めるということで、多くの学校で特別支援学級等の教職経験のない校長が特別支援教育を含めた学校経営を行っているという現状について提起させていただいております。
 また、2つ目のパラグラフ、「特別支援学級担任の雇用形態等」ということで、これは1月末に文科省から教師不足に関する実態調査として報告をさせていただいた結果の抜粋でございます。小学校や中学校の臨時的任用教員、通常学級に比べて特別支援学級や特別支援学校における臨時的任用教員の割合が多いということで、特別支援教育に関わる教師がほかの教師と比べて、長期的な視野に立って、計画的に育成、配置されているとは言い難(がた)いという現状をお示ししております。
 また、次のパラグラフですけれども、「校長及び教師としての資質の向上に関する指標」ということで、文部科学大臣の定めた指針に基づいて、各自治体における教師の育成指標というのを示しておりますけれども、2つ目のパラグラフにございますように、この指標に特別支援教育に関する事項を明示している任命権者が少ないという分析がございます。
 割愛いただきまして、10ページ目から12ページ目では主な課題ということで、お示ししております。これは時間の関係上、省略をさせていただきます。
 13ページ以降に、Ⅳということで、具体的方向性について記載しておりますので、こちらを中心に説明させていただきます。
 まず、13ページの1の「全ての教師」ということで、これに関しては、特別支援教育の知見や経験を蓄積するための組織的対応が必要であるということで、白い丸は方針を示しておりまして、四角の枠の中に具体的な方向性を示しておりますので、こちらを中心に御説明をいたします。特別支援教育に係る経験を有する教師を増やしていこうということで、原則として、全て教師が比較的、思考が柔軟で若い時期に特別支援教育を担当することが最も有効であるという考え方に基づきまして、具体的方向性の1つ目ですけれども、校長が学校内等における交換授業等によって、OJTによる資質、能力の向上を図って経験者を増やしていくこと。
 そして、2つ目がメインのものになりますけれども、教育委員会、及び校長は全ての新規採用教員がおおむね10年目までの期間内において、特別支援学校の教師、特別支援学級、通級指導教室の担任を複数年経験することとなるように努めることということで、新しい取組内容を記載させていただいております。
 また、3つ目のポツですけれども、札幌市の例にございますように、例えば免許状保有者のみを特別支援学級担当として最初から採用して配置しているような自治体もあると思いますので、そうした場合においては、特別支援学級担当以外の教師に対して研修機会の提供等によって、知見や経験を共有できる体制を確保してくださいということを記しております。
 4つ目は、長崎県の例にも関係しますけれども、教育委員会や校長は、主幹教諭及び管理職のキャリアパスとして、特別支援学級担任や通級指導や特別支援コーディネーターなどの特別支援教育に関する経験を組み込むように配慮することということで、キャリアパスにしっかり位置付けていくように求めております。
 次に、14ページ、2の特別支援学級、通級による指導を担当する教師についてです。まず、採用、配置の在り方ですけれども、具体的方向性、3つ目のポツを御覧ください。これも議論、意見を頂きましたけれども、校長及び教育委員会は、特別支援学級や通級指導におけるキャリアを積み、特別支援教育の中核として活躍する教師と、それ以外、通常学級も経験しながら、全体的な学校経営の経験を積む教師と計画的に育成していきましょうということを述べております。また、その次ですけれども、教育委員会、校長及び特総研は、そのための適切な研修を設けてくださいということをお願いしています。
 次に、15ページの人事交流の促進になります。特別支援学校との人事交流等に関しまして、具体的方向性として、設置者間における交流人事協定書において、人事交流の目的を明確化したり、あるいは、特別支援学校教諭免許状を人事交流期間中に策定するための計画をつくり、取得に向けたサポートを行うように工夫を講じていたりしてくださいということを記載しております。
 次に、小中学校における特別支援教育コーディネーターの充実についてです。具体的な方向性として、2つ目にございますが、特別支援教育コーディネーターは、現状、特別支援学級の担任が主に担っているという実態がございますけれども、特定の教員に負担が偏ることなく、また、特定の学級だけではなく、学校全体を見回して関係機関と調整を行える立場の方、そして、資質能力を有する教師を充ててくださいということと、最後に書いておりますけれども、国は特別支援教育コーディネーターの法令上の位置づけを検討することと書かせていただいております。
 また、16ページを御覧ください。3の特別支援学校の教師ということで、まずは、特別支援学校の教師の免許保有率の向上について、記載しております。上の丸ですけれども、教育職員免許法附則第15項の将来的な解消を見据えつつ、引き続き、関係者が保有率100%を目指して取組を進めていくということとともに、人事交流により幅広い人材育成が可能となるような対応の方向性を明確化するということで、具体的方向性に記述しております、趣旨としては、免許状の未保有の状況が猶予される状況をより狭めていくという考え方でございます。
 1つ目の丸ですけれども、各特別支援学校の設置者は必要な領域を定めた特別支援学校教諭免許状を有しない教師を特別支援学校に配置する場合においては、1、当該教師の前任校が小学校や中学校等のほかの学校種であったということ、又は、これは新しく配置される特別支援学校の障害領域とは異なるほかの障害種を対象とする特別支援学校で勤務していたという状況であり、かつ、2ですけれども、新しく配置される障害者の特別支援学校の教師として、必要な特別支援教育領域の特別支援学校教諭免許状を取得していく計画があるものに限るということで示しております。
 次に、小中学校等への人事交流につきまして、これは小中学校等の、先ほどの15ページの中段の具体的方向性と同じことを書かせていただいておりますので、省略いたします。
 16ページ下の特別支援学校における特別支援教育コーディネーターの充実ですけれども、17ページの具体的方向性に示しておりますが、基本的には、先ほど同様ですけれども、特別支援学校のコーディネーターは小学校のコーディネーターの役割に加えて、センター的機能を効果的に発揮することが必要という役割もございますので、小中学校等における状況を理解して、外部の専門家とも連携しながら、効果的な支援ができる者を配置してくださいということを記載しております。
 次は18ページでございます。5ということで、各関係者に求められる具体的方向性を述べております。
 まず、1の管理職についてです。最初の丸にございますが、管理職は、特別支援教育を学校運営の柱の1つとして据えて、自らの専門性を高め、特別支援教育をリードしている存在にあるということを述べた上で、具体的方向性におきまして、1つ目ですが、管理職は学校経営方針や学校経営計画において、特別支援教育に関する目標を適切に設定して、学校評価の中核となる評価項目等においても必ず盛り込んでくださいということ、そして、2つ目に各教師と積極的な対話を図って、必要な経験を積んでいってくださいということを述べております。
 次に、2の教育委員会についてです。19ページの具体的方向性を御覧ください。1つ目ですけれども、任命権者は、教員育成指標に特別支援教育に関する指標を設定して、各種研修において、内容を充実してくださいということ。そして、2つ目に、研修においては教職大学院等との大学とも運営して、充実していってくださいということを書いております。
 19ページの下の方ですけれども、特別支援教育に関する専門性が評価される仕組みの構築ということで、20ページの具体的方向性を御覧ください。2つ目ですけれども、任命権者が校長等管理職選考に当たって、特別支援教育の経験を考慮することをして、人事計画の中で経験する機会を提供していってくださいということ、そしてその次ですけれども、校長のみではなく、教育委員会においても、任命権者は教師経験者を教育委員会の幹部として任用する際に、特別支援教育の経験が生かされるように考慮してくださいということで、教育政策を横断的に見るような立場の方を任用する際に、特別支援教育の経験を生かされるように配慮してくださいということを述べております。
 次に、3の大学についてです。1つ目の大学の資源の有効活用による教職課程の充実ということで、具体的方向性において、国内の地域ブロック単位で、大学の資源を相互に活用、共有して、5つの障害領域を計画的に取得できるようにしてくださいということを記載しております。
 また、教育委員会との連携による実践力の養成ということで、21ページの具体的方向性にございますが、1つ目は、特別支援学校教諭免許状等の教職課程において、特別支援教育に造詣の深い方を実務家教員として積極的に登用して、学校現場のニーズに即した具体的な指導の充実を推進してくださいということ。そして、2ポツ目ですが、教育実習においては、これも特別支援学校教諭免許状に限ったことではございませんが、実習校と密に連携して運営を行ってくださいということ。そして、3つ目に、教職大学院における現職教員を対象とした課程においても、特別支援教育を位置づけてくださいということを記載しております。
 次の小学校等教諭免許状の教職課程における教師の人材育成、確保ということで、具体的方向性に書かせていただいていますのは、2つ目ですけれども、今は中教審の特別部会の方でも検討が進んでおりますけれども、例えば、小学校等教諭免許状の教職課程における教育実習時に、特別支援学校や特別支援学級などで経験する機会を増やしていくことですとか、あと、2つ目の例示でございますが、介護等体験、これについても7日間のうち、特別支援学校が2日間マスト、そして、福祉施設ということで実習先が設けられておりますけれども、今後、特別支援教育の充実のために、7日間を特別支援学校、又は特別支援学級で実施をすることも積極的に行っていくことが、方向性として挙げられているところですので、これらを推進していくことと記載しております。
 22ページ、4に国立特別支援教育総合研究所について、設けさせていただきました。学習コンテンツの質保証を行う仕組みの構築ということで、具体的方向性に、1、教員育成指標の内容等と、あとは特総研が設けている学習コンテンツの関連付けを行い、計画的に作成、提供していってくださいということですとか、2つ目の学びラボとかいろいろな研修コンテンツがございますけれども、改めて一元的に整理して、提供を行って、活用事例も含めた分かりやすい研修の手引きを作成していくということを記載しております。
 23ページでございます。これは新しい6の教職課程コアカリキュラムの活用についてです。大学関係者と任命権者と国、それぞれに対してコアカリキュラムが有用に周知、活用されるように、それぞれ期待を述べております。
 25ページでございますけれども、7の今後の検討スケジュールについてということで、まず、コアカリキュラムについてですけれども、今後、3月の会議で素案をお認めいただきましたら、その後、パブコメ等を行いまして、7月頃までにコアカリキュラムを策定して、大学関係者に周知を行う。そして、7月以降は、大学の負担を考慮して、再課程認定は行わないのですけれども、新しいコアカリキュラムに基づいて、大学において、教職課程の点検や見直しを終わっていただき、早ければ、令和5年の4月から、遅くとも令和6年の4月までにはコアカリキュラムに基づく教職課程を開始いただきたいということを記載しております。また、それ以外の、コアカリキュラム以外の今、述べさせていただいた方向性については、速やかに各関係者で着手して、令和6年度には実現できるように取り組んでほしいということを述べております。
 26ページと27ページに、8で「終わりに」ということで、最後締めくくっております。4つ目ですけれども、重要なメッセージということで、インクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進のためには、全ての教師が主体的に研修に打ち込む、そしてそれが評価されるという環境整備を行っていくことが重要であるということなど、メッセージを述べております。
 27ページですけれども、その際に、環境整備を行っていく際に、教育委員会や管理職のリーダーシップやマネジメント能力が不可欠であるということ、そして、最後の4つでございますが、文科省においては、進捗状況、フォローアップをしっかり行っていくこととともに、必要な財源の確保が不可欠であるということ。そして、各大学においても、コアカリキュラム等を含めて、体系性を持った教職課程になるように、教育委員会においても、これまでの方向性を踏まえて、人材育成、キャリアパスの仕組みの構築の具現化を図っていくということ。そして、学校においては、管理職が中心となって支出を向上させていくような取組を期待しているということで示しております。
 長くなってしまいましたが、以上でございます。
【加治佐座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、とりわけ報告書の素案、こちらの文書をちゃんと作っていただいて、もうほぼ報告書の形を成しているわけです。今日の御意見を基に、また当然修正になります。ただ、事実上、今日が大きな修正ができることとしては最後になるのじゃないかと思いますので、是非しっかりした御意見等をいただければと思っております。
 それでは、特にどこからということは指定しいたしませんので、皆様の方からいろいろな御意見をいただければと思っております。いかがでしょうか。挙手のボタンを押してください。それでは、まず、樋口委員、お願いします。
【樋口委員】  ありがとうございます。お願いします。かなり思い切った表現があるなということで、意気込みが感じられる素案だと思いました。
 13ページのあたりと、先ほどの喜多委員の御意見とも関係するのですけれど、経験をさせる、特別支援教育の経験をさせるということが大切だということが各所にありまして、具体的方向性のポツの2つ目に、特別支援学校の教師とか複数年経験することとなるようということで、いろいろなところで経験をする。実際、私の経験から考えても、実際にその場で働くということが最も特別支援教育に関する理解を深めるものだとは思うのですけれど、教師の側(がわ)から言いますと、非常にいい勉強にはなりますけれど、担任される子供の側(そば)からすると、全く経験のない先生がいきなり担当されるというのは、非常に、はっきり言って迷惑ということもあると思います。特別支援教育の世界は、いろいろと専門性と言いますけれど、何年もやった上で、初めて独り立ちできるような技術的な面、技能的な面もあると思いますので、経験するということは非常にいいことだと思うのですけれども、その際の支えをしっかり保証するということをどこかに書いてほしいということで、14ページに、具体的方向性の一番下のところに適切な研修を設けることとあるのですけれど、経験の浅いときに適切に支えられるような仕組みということを各教育委員会がきちんと整えるということが必要かと思いました。
 以上です。
【加治佐座長】  なるほどですね。単に経験してもらうだけじゃなくて、特に経験の浅い方は、若い先生が特別支援教育の専門性がないのにやれるのかと、かえって迷惑だから、そういう先生を支える仕組みといいますか、そういうものも必要じゃないかということで、何かまた書いていただければと思います。
 それでは、森委員、お願いします。
【森副座長】  ありがとうございます。今の件に関わってなので、急きょ、手を挙げさせていただきました。私も喜多先生が本当に、校長先生方の切実ないろいろなことから提案してくださったことについては、なるほどということは思うのですが、ただ、樋口委員おっしゃったような経験年数のこと、そして、学校規模や学級数によっては、なかなか教科との関連等がございまして、配置できるのかと。教育委員会からすると、本当に10年以内に全員できるかしらというのが危惧されます。法的な制約はないということではあるんですが、例えば、「特別支援学校の教師、特別支援学級、通級指導教室の担任や授業担当を」と少し入れると、中学校の教科担任制ですとか、それから小学校の教科担任制の高学年等でも複数年、そういう授業をしっかりと持つということもできるかと思いました。
 以上です。
【加治佐座長】  ですから、13ページの具体的方向性の2つ目の中ポツの中に、経験の内容を少し広げるということですか。
【森副座長】  はい。授業担当、担任というと、非常に大丈夫かということを思ったものですから、提案自体を否定するものではないのですけれども、各自治体というか、市町立の小中学校の方で大丈夫かということを危惧したところです。
【加治佐座長】  分かりました。また、そこも考慮いただければと思います。
 それでは、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  お世話になっております。どういう部分で話をしていけばよいかというところはあるのですけれども、私の研究フィールドの1つが、専門は視覚障害なのですけれども、特総研で関わっていた授業との関連で、日本人学校支援というところにも取り組んでいるのです。そのときに強く感じるのは、日本人学校における特別支援教育の推進においては、いわゆる特別支援教育コーディネーターの果たす役割が物すごく大きいのだということなのです。当然、小中高等学校にも特別支援コーディネーターが指名されるわけですけれども、端的に申し上げますと、指名されても、実際にどのように動いていいのかという、もっと言えば、校内体制をどうするかということがなかなか理解できていない。
 そういうことで言うと、具体的な名称は避けますけれども、私が関わった日本人学校では、いわゆる文部科学省から派遣した教員が、日本の特別支援学校においてコーディネーターをされていて、赴任した日本人学校で、正に校内における特別支援教育体制をしっかりつくり上げていたと。その結果、支援の必要な子供たちへの対応が非常にスムーズになっていった。ひいては、特別支援学級の設置にまで至っていったということが実際にありました。そういう意味では、特別支援教育コーディネーターと人事交流というところで何か書いていただくと、実際に、小中高等学校側は随分、変わるのじゃないかと個人的には思いました。
 以上です。
【加治佐座長】  今のお話は、これは日本人学校のことを出されましたけれど、この報告は日本人学校については何の言及もないわけですけれど、日本人学校のそういう特別支援コーディネーターをされていた方が校内体制をつくったとか、あるいは特別支援学級の設置につながったということで、結局、日本人学校にもそういう特別支援教育のコーディネーターができるような人を配置すべきだと、そういう御意見ですか。
【田中委員】  いえ、もちろんそれもあるのですけれども、実際に、小中高等学校のコーディネーターになる人のことを考えると、特別支援学校でコーディネーターの経験のある方が人事異動で小中高等学校に移られると、随分変わるのじゃないかなと、そういう意見です。
【加治佐座長】  分かりました。それに類したような表現はなかったですか。私も記憶ありませんが、また、そこも考慮いただければと思います。
 それでは、お三方から手が挙がっております。安藤委員、濵田委員、市川委員です。それでは、安藤委員からお願いいたします。
【安藤委員】  私は、ここでは大学の教員の立場から、大学がどういう役割を担うかということについて、いろいろ話題となっているところでもありますので、私個人が考えているところを紹介させていただきたいと思っております。
 今回、提示いただいた報告者案については、基本的には私自身も賛同するものです。この後の議論をどう行うかということもありますけれども、その中で、今日、市川委員からも、かなり大学の在り方について厳しい御意見を頂いたところで、プラクティカルな、より実践的なことをもっと展開できるような能力を身に付けてくれという話ではありました。確かにそのことは、我々の養成段階において果たすべき役割として、これは考慮しなきゃならないところである一方、今の養成の考え、原則は戦前と異なって公開性で行っていますので、例えば、私が所属していた筑波大学は、課程認定は受けていますけれども、養成を目的とする大学ではないわけです。そういう中で、学生をどう教員の養成にコミットさせていくか、教職へコミットさせていくかというときに、実践的なことはもちろんそうなんですけれど、附属なんかを活用する。一方で、きちっと理論的な枠組みの中で物事を捉えるということもしっかり享受すべきだろうと考えていました。
 例えば、自立活動なんかもそうです、教育課程もそうです、これは用語としては施策用語になりますけれど、では、学術的にはこれをどう考えるのだと。例えばカリキュラム論の内外の成果と、教育課程という考え方がどう整合するのか、整合していないのか、常にこういうものを客観的に享受するということが、大学としてもこれは非常に重要だろうという考えています。ちなみに、筑波大学では教員経験がないというのがほとんどなので、本当筑波大学では教員養成できないという話になってしまうので、必ずしもそうではないだろうと。否定するものではないけれど、しかし、これだけで議論するのはそうではないだろうということを一言申し上げたいと思いまして、手を挙げさせていただきました。
 しかし、繰り返しになりますけれど、反省もあります。では、現場の先生方から厳しいお言葉を頂いて、反論しろというときに、個人的には反応するところがたくさんあるのですけれど、組織を代表してとなった場合、大学を代表して、こういうことはあるということは受け止めています。特に、ここをこう変えてほしいということではなくて、そういう立場で述べさせていただこうと思いました。ありがとうございます。
【加治佐座長】  ありがとうございました。私も同じような立場におりますので、同じようなことを感じました。ありがとうございます。
 それでは、濵田委員、お願いいたします。
【濵田委員】  ありがとうございます。私の勤務しております東京学芸大学は、もう正に教員養成大学ですので、市川委員から言われたことなんていうのは、毎回ですけれど、耳が痛い内容です。なるほど、そのとおりという部分が多いですけれども、要するに、教員養成の理論の部分と実践の部分というのをどうバランスを取っていくかと考えたときに、今の大学人事だと非常に硬直化して、なかなか現場にフィットするような、そういう人材を大学教育の中に入れるということができていないのじゃないかという御指摘だと思うのです。
 教職大学院等では、実務家教員ということでの枠を使って、経験のある方に来ていただいたりということがあるわけですけれども、例えばですけれど、21ページの人事というあたりです。大学に関する教育の具現化ができる云々(うんぬん)というところがありますよね。そういうところに積極的に登用していくという表現のところに、例えば、大学と教育委員会の人事交流みたいなものも積極的に活用してということを入れていただくといいのではないか。例えば、実務家教員として、5年間大学に勤務していただいて、その後、また教育委員会へ帰っていただくと。そういうことが、教員にとってもある種の研修というかスキルアップということにつながるでしょうし、また、逆に大学の側(がわ)は、非常に現場のホットな状況というのを教えていただける。そして、また教員間でも文化というか、雰囲気というか、そういうものが広がるいいきっかけになるのじゃないかということを感じました。
 全体としては、非常に踏み込んだところまでやっていただいて、いい展開ではないかと感じております。以上です。
【加治佐座長】  人事交流のことも記述できるのであれば、また考慮いただきたいと思います。
 この後、市川委員、宮﨑委員、田中委員です。では、市川委員、お願いいたします。
【市川委員】  市川でございます。私は障害のあるお子さんのことを理解するという意味において、いろいろな理論があるということについて、否定するつもりでは全くなくて、特別支援教育を担う教師、要するに、学校に入ってくる教師を養成する場合にこういうことが必要だということをお話ししたと理解をしていただければ幸いです。
 全く別件なのですが、濵田委員から話があったことについて、特別支援教育をこれから担っていく方を育成するときに、教職大学院ってすごくいい制度だと思っているのです。学校で習った人が特別支援教育を習いたいということで教職大学院に行くわけですけれど、ただ、全然教職大学院のことについて分かっていなくて言っているのかもしれないのですけれど、とあると言ってしまっていいかどうか分からないのですけれど、教職大学院がどこの大学院も定数割れしていて、応募の方が非常に少なくなっているという話を聞いたことあるのです。
 こういうことを考えると、ここに教育委員会との連携とありますけれど、教職大学院に行きやすい制度を作らないといけないのではないかと思っています。どういう制度がいいのかは、教職大学院に所属している大学の先生に聞いていただくのがいいかと思うのですけれども、教職大学院を現職の教員がすごく利用できやすいような制度をつくっていただくことがいいと思っていますので、そういう視点も必要かと思っています。
 以上です。
【加治佐座長】  是非その方向で進めていただきたいと思います。私は教職大学院協会の会長です。今おっしゃったことが最大の課題かつ難題で、もう日々というか、ここ何年も、それでずっと悩んでいます。特に特別支援教育に対するニーズは非常に高いのです。ですから、本当に、この報告書にも書いていただいていますように、例えば教師の学習指導、生徒指導、それからICT、それと並ぶ力として、特別な支援を必要とする子供たちへの指導能力ということが出てきましたので、教師の基本的な資質、能力になっていますので、そういう点からも、これから教員になろうとする人も、それから、現職の方も、是非教職大学院で学んでいけるような仕組みをお願いしたいと思います。是非特別支援教育の校長会とか、そちらの方からも是非御支援いただきたいと思います。よろしくお願いします。もう少し強く書いていただけるんだったら、それが一番いいのですけれども、また御検討いただければと思います。
【宮﨑委員】  それでは、宮﨑ですが、よろしいでしょうか。
【加治佐座長】  宮﨑委員、どうぞよろしくお願いします。
【宮﨑委員】  それでは、私は1点質問と、あとは意見です。
 まず、報告の素案、皆さんがおっしゃるように、相当まとまっているということで、感謝申し上げます。それを受けて、教師の養成、採用、研修に関して方向性を示したものということなのですが、特に養成の段階で相当力を入れて検討していただいているのは、教職課程のコアカリキュラムだと思います。特別支援学校の教員免許状での位置づけとかということも含めて、検討していただいていているのですが、今日、資料1-1で示された中身は本体の中に入るのか、別紙で入れられるのかについて、今回の大きな重要な柱だと思うので、その位置づけというのはとても大きいものですから、これを見た範囲では、どこで、どんな形で報告の中に入るのか、別冊で出されるのかということをお尋ねしたいのが1点です。
 その上で、今度は別の観点です。実は今日、話題になった中で、小学校における特別支援教育コーディネーターの充実という具体的な方向性が4つ、ポチで示されているのですが、実は、文部科学省は教育支援体制の整備ガイドラインを平成29年に改定をしているのです。この中に、コーディネーターについては具体的な対応の中身が書いてあって、この中で特に大きなことというのは、コーディネーターさんとしては実態把握、情報収集、それから巡回指導員とか専門家チームとの連携というのがあるのです。去年の有識者会議の報告の中の5番目に、関係機関との連携ということを挙げてあるのですが、これはいろいろなところに関わってくるのですけれど、ここで入れるとすると、特別支援教育コーディネーターの充実などのところに、そういったことが書かれた方がいいのかと思いながら、見せていただいたところです。御検討いただければと思います。
 それから、市川委員からお話があった大学における実務家教員の考え方についてですが、飽くまでも、私の受け止めは、養成に関して実務家教員がいることで、大きく学校現場との連携とか、そういったことなども併せて対応ができるということを念頭に置きながら考えていただければというぐらいのことなのだろうと思って、お話としては承りました。実務家教員が教員養成に関わることで教育課程をきちっと教えていくという体制ができるのじゃないかということだと思います。
 そういう意味では、先ほど濵田委員がお話をされた人事交流で入れていくというのは、とてもいい考え方だと私も思いました。実際に、岡山県はこれを導入しているのです。岡山大学と岡山県は、そういう相互の協定を持っているやに聞いているのですけれど、そういった体制を教育委員会と大学がお取りになると、かなり進むのかということも思いながら、大学の先生方と学校現場とのやり取りを聞かせていただきました。
 以上です。
【加治佐座長】  ありがとうございました。宮﨑委員がおっしゃった1番目のところ、これはコアカリと報告書の関係ですが、ここをお答えいただけますか。山田課長、いかがですか。
【山田特別支援教育教育課長】  いろいろ御指摘を賜りまして、ありがとうございました。
 まず、宮崎先生の御指摘については、基本的には、検討会の報告の付属資料というか、一体のものとして定める。ただ、コアカリについては、もう少し時間を頂く必要があるので、2段目のロケットになるのかと。ただ、最終的には、今、おまとめいただこうとしている報告の一部として付けさせていただこうと、我々としては考えています。
【加治佐座長】  ありがとうございました。
【山田特別支援教育教育課長】  それと、すみません。頂いた時間で恐縮なのですけれども、いろいろ今まで先生方に御意見を頂いて、一々ごもっともだと思いながら拝聴しておりました。
 26ページのところに「終わりに」とあって、最初の方の2、3個の丸のあたりで、我々の苦悩を書いているのですけれども、今回は特別支援に関わる先生方の検討をしましたと。言わば、特別支援教育天動説的に、特別支援のことばかり、大事だ、大事だと言っているというところはあるのですけれども、2つ目の丸のところですけれども、それも、先ほどの喜多先生のお話にもありましたけれど、発達障害の子はほぼ全ての学校にいるのではないかという状況と、8割以上の学校に特別支援学級が設置されているという状況でありまして、もう既に特別支援というのは一部の専門性の高い人だけに押しつけていけるというものではないのではないかということが、悩んだ末、書かせていただいて、その中で、先生方の協力者会議で御提言いただくものを、現実的に可能な範囲で書かせていただきたいというのが、我々の悩みを書いたところでございます。
 支える体制、最初の方から頂いた御意見ですと、特別支援学級の担任を支える体制、樋口先生のおっしゃるとおりだと思います。どこまで国で財源を確保できるかというのは別の話ではありますけれども重要だと思っておりますし、特別支援教育コーディネーターの人事交流というのも重要な観点だと思います。
 森先生から頂いたところは、我々も高めの球を投げているというのは認識をしてございます。ただ、一方で、全ての教員が特別支援教育に向き合っていただきたいという考えに立って、もちろん腰掛けで、中途半端な気持ちでやられるというのは、子供たちにとっても迷惑だとは思いますけれども、そうは言っていられない時代なのではないかと考えまして、担任として複数年ということで、少し高い球を投げさせていただいてきました。先生方の御意見を踏まえて、この記載については改めて相談をさせていただきたいと思います。
 また、大学と教育委員会の人事交流は大変重要なことだと思っておりますし、実務家教諭の充実ということも、多分、市川先生も全部そうしろということでおっしゃったわけではなくて、当然に理論に裏づけられた学術の先生がベースとしていらっしゃる中に、こういった実務経験のある方を人事交流であれ、採用であれ組み込んでいただきたいということかと思いました。教職大学院への派遣も含めて、記載ぶりについて、改めて検討をさせていただきたいと思います。
 あとは、小学校の特別支援教育コーディネーターの関係機関との連携も重要な指摘だと思いますので、反映できるように、検討させていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【加治佐座長】  山田課長、ありがとうございました。それでは、この後、田中委員、木舩委員、森委員です。では、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  それでは、別の観点から話をさせていただきたいのですが、先ほど市川委員の方から、大学で教えている先生が、どういうバックグラウンドで、どういうことを学んできた人が教えているのかという話をされていましたが、私の知る限り、文部科学省は、この辺りを大変厳密に見るようになってきているように思います。以前は、恐らく名前だけで通っていたというか、誰が教えても余り関係がなかったというか、言葉が難しいのですが、最近は結局、どういうバックグラウンドがあって、どういう実務経験があり、どういう研究をしてきてということをしっかり調べて、文部科学省が審査をしていただいている。
 これ自体はとてもいいことだと思うのですが、その反面、私のような視覚障害教育に関わっている大学教員が非常に少ないということもあって、認定講習とか、それから他大学の臨時講師みたいな形の依頼が非常に多くなってくるんです。大学には大学の事情があると思いますが、こと認定講習については、私は特別支援学校の現職の管理職が担うということがあってもいいのかと思います。そういうことによって、先ほどから出ている大学と教育委員会との関係というのも道ができやすくなるのかと思います。
 それから、もう一つ、特総研の役割、これは大変私も重要だと思いますが、例えば特総研が提供するコンテンツの質の担保ということで言えば、そもそも特総研にいる人たちがどういう人たちなのかというところも大事になってくるのかと思います。私事で恐縮ですけれども、視覚障害担当で言うと、なかなか学校現場経験の方がいなくなりつつあるという状況があります。この辺りは、いわゆる研究畑の人と、実務経験のある、学校経験のある人のバランスというのも当然お考えだとは思いますが、考えてほしいと個人的には思っているところです。
 以上です。
【加治佐座長】  ありがとうございました。分かりました。また、いろいろ御考慮いただければと思います。
 木舩委員、お願いします。
【木舩委員】  木舩でございます。13ページの4、教師の専門性の向上のための具体的方策、ここについて、意見を申し述べたいと思います。先ほど樋口委員の方から、経験のない先生方を支える仕組みが必要というお話があったと思います。仕組みということで、センター的機能、これについて申し述べたいと思います。
 センター的機能につきましては、16ページ、これは大きな4の3、特別支援学校の教師の中のコーディネーターというところで、74条に基づくセンター的機能という記載がございます。次、17ページに具体的方向性の1番目のポツに、特別支援学校の設置者、校長はセンター的機能を効果的に云々(うんぬん)という記載がございます。樋口委員がおっしゃったとおり、私も仕組みということで全ての教師、あるいは特別支援学級、通級担当の先生方、あるいは特別支援学校の先生、こういった先生方の専門性を向上させることが必要ということで、仕組みとして、あるものとしてはセンター的機能は最も重要じゃないかと思っております。
 そうしますと、4につきましては、先ほど申し述べたとおり、まとめ方としては、1、全ての教師、2、特別支援学級通級担当の教師、3、特別支援学校の教師ということで、教師、教師、教師ということでまとめております。この中に、4として、例えば教師を支える仕組みとしてのセンター的機能の推進とかという形で項目を設けていただければ、仕組みということが大きく浮かび上がってくるのではないかということを考えてみました。まとめ方としてどうなのか、難しい点もあるのかという懸念も感じておりますけれども、御検討いただければ幸いですというところで、以上でございます。
【加治佐座長】  教師を支える仕組みですね。センター的機能と併せて、それをどういう構成にするかも含めて、御検討いただきたいという御意見だったと思います。御考慮いただきたいと思います。
 それでは、森委員、お願いいたします。
【森副座長】  森でございます。2点、中身というよりも、「はじめに」と「終わりに」というところにしっかりとメッセージを込めていきたいという思いから、2点申し述べさせていただきます。
 「はじめに」の3つ目の丸のところで、以前にはなかったかと思いながら、特別教育から特別支援教育への流れのことを書いていただいているのですけれども、少し気になりましたのは、特別支援教育を受ける児童生徒の増加、それから、通常の学級でも増加していることを踏まえて、特別支援教育の理解や専門性が求められているという流れになっているのですけれども、ここに有識者会議でもありましたインクルーシブ教育システムの構築が求められていて、必ずしも増加したからというだけではないかと思いますので、そういうメッセージが、終わりの方には少しそういったくだりがあるので、そこの整合だと思うのですが、入れていけないかということを思います。急ぐ内容ではないかとは思うのですけれども。
 同じように、大きな観点で言いますと、「終わりに」の26ページの2つ目の丸のところなのですけれども、先ほど山田課長様が悩ましいところを開設していますとおっしゃっていたのですけれども、特別支援、要するに、障害のある子供たちのことをしっかりと書き込んでいったということをここで書いているわけですけれども、例えば、2行目から3行目にかけての「発達障害があると見られる児童生徒が各学級に存在し得るとともに」とあるのですけれども、障害があるからみんな理解が必要というだけではなくて、発達障害については、特に理解をして適切に支援することで学びの困難さが軽減するという社会的モデル的な考え方も、ここに是非とも入れていただいて、増加しましたからとか障害がありますからというだけではないインクルーシブ教育システムと社会モデル的な、私たち教員は環境でもあるので、環境側が変わりましょうということも込められないかと思いました。
 以上です。
【加治佐座長】  なるほど、そうですね。結局インクルーシブ社会ということが目指されているということですよね。そのことは「はじめに」の最初のところには少し言及があると思うのですけれど、そこをもう少し強調いただきたいということですし、「終わりに」のところでは、学校そのものが一言で言うと、インクルーシブ社会にならなきゃいけないということを言われているのかと思いました。そういうことも、また考慮いただければと思います。後で事務局の方、御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
 それでは、樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】  ありがとうございます。まず、質問1つなのですけれど、15ページ、17ページにあるのですが、特別支援教育コーディネーターの充実の一番、具体的方策の一番下のところに、国は特別支援教育コーディネーターの法令上の位置づけを検討することとあります。これは確かに、教えているときに特別支援教育コーディネーター、通知に載っているのですという話を学生にすると、納得しないような顔をされることが多いのですけれど、かつて特別支援教育コーディネーターを何らかの位置づけをしたいという検討は、文部科学省内で行われたという話を聞いたことがあるのですけれど、ここまで書いてしまって大丈夫なのかというか、見通しがあるのですかというのを、もし明かせるものならお聞きしたいということが1点です。
 それから、意見としては、先ほど私が支える仕組みということで言ったのですけれど、充実したり、支えたりするために、複数の人が連携するってすごく大事なことだと思っていまして、私は今年度、長野県に戻ってきて、特別支援教育コーディネーターを小学校などが複数指名しているという例を、学校の名簿を見て大分増えたということに気がつきました。実際に教育実習で訪問したところで伺ったところ、複数いることで熟練しているコーディネーターが若手のコーディネーターと一緒に活動しながら、役割を継承していける、連携機関とつないでいけるという非常にいい点があるという話を聞きました。ですから、法的に位置づけるとともに、できるだけ多くの者が担当して、協力してやっていくということも必要かと思います。
 特別支援学級の担任は、比較的学校内に複数配置されている、複数配置というか複数の学級があることで、協力しながら、教わりながらやっていけるのですけれど、通級指導教室の担当というのは、基本的にマン・ツー・マンで子供を相手にしていて、そこに別の先生がいるという状況は余りないのです。そうすると、ベテランの技能を継承していくということが非常に難しくなっていきますので、これはたしか横浜市さんとか東京都さんも、センター方式といいますか、通級による指導を行う場所を幾つかの学校に限定しておいて、そこに子供たちが集まり、通級指導教室を幾つも置くことで先生方が協力しながら、共に研修しながらということをやっていました。これは逆に、今は巡回型の指導が増えているということを考えると、通級指導の専門性の継承という点、また少し難しいと思うのですけれど、複数で協力して連携してという辺りを、コーディネーターの充実とか専門性の向上というところに入れられないか。そうすると、先ほど担任というのがきついというお話がありましたけれど、副担任のような形で関わるということも考えられるのじゃないかと思っています。
 すみません、長くなりました。以上です。
【加治佐座長】  分かりました。また、後で山田課長にお答えいただきます。
 喜多委員、お願いします。
【喜多委員】  ありがとうございます。報告書を拝見して、本協会で思っているところにお答えいただいていると思って、すごくうれしくなりました。
 今、樋口委員からあったところ1点と、あとはもう1点、是非できればというところを一つお伝えしたいと思っています。教員が学び合うというところで、通級指導教室の教員が、なかなか人数がいないと、各学校1名とか2名という中で学び合うことが少ないという話がありました。東京都は拠点校方式で、本校は拠点校なのですが、四、五名の教員が巡回校として地区の2校の学校に、日ごとに、曜日ごとに何人かで集団で行って、そこで指導しています。とても効果が上がっています。そういった中で学び合うという体制ができるかと感じています。
 2点目です。先ほど御提案というか、御意見を述べさせていただきましたけれども、その中で、経験のある、指導力のある教員であるとか、アドバイザーのような方が、現場の先生に実際に行って指導する、助言するというシステムが是非できれば何て話がありました。先ほど木舩委員からもありましたように、そういった特別支援学級、通級指導の先生方を支える仕組みというものについても、どこかで触れていただけると有り難いと思っています。
 以上です。
【加治佐座長】  ありがとうございました。山田課長、田中先生以降、いろいろな御意見がありました。全部は難しいかもしれませんが、特に、お答えされたいことをお話しください。
【山田特別支援教育教育課長】  ありがとうございます。どの先生の御意見も、一々ごもっともだと思って拝聴をしておりました。
 木舩先生のセンター的機能を別建てにというのは工夫が要ると思って、どういう形でというのは、私の中でイメージがまだできていませんが、それぞれごもっともな指摘だと思いました。
 特別支援教育支援コーディネーターについては、例えば昨年、学校教育法施行規則を改正いたしまして、特別支援の関係で言うと、医療的ケア看護職員ですとか、特別支援教育支援員も、ある程度、現場に定着しているということで追記をいたしました。これは必置の職ではなくて、置けるということで書きましたので、機会があれば、設置の状況とかを見ながら、同じような形で特別支援教育コーディネーターの記載を施行規則の中で位置づけるということを、是非先生方の御提言いただければ、検討を進めさせていただきたいと思っています。
 そういった支える仕組みについて、いろいろ御発言があって、そこが大事なのは間違いないと思いました。多校通級だと、子供たちが集まってくるので、そこに先生が複数いるというやり方もあるのですけれど、一方で、親御さんが送り迎えをしなくちゃいけなかったりして、本来、通級に通わせたいのだけれど諦めるみたいなケースもあるので、多校通級は多校通級のデメリットもあるので、例えば、先ほど喜多先生のところで実施されているような、複数配置して、複数の先生が巡回するとか、そこも例の1つとして、大変優れた例かと私も拝見をいたしましたけれども、どこまで仕組みとして、書くかは別として、複数の先生、コーディネーターが助け合うようなことを今、今日、御意見としていただいたことをベースに、書き加えさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【加治佐座長】  ありがとうございました。それでは、時間も残りが少なくなってきたんですが、いかがですか。どうしても発言したいという方、では、宮﨑委員、お願いいたします。
【宮﨑委員】  ありがとうございます。1点だけ情報ということでお話しさせていただきます。
 今、通級による指導のことが話題になってきたのですが、実は新しい時代の特別支援教育の在り方の有識者会議の中で、小中学校における障害のある子供の学びの充実の中で、大きくクローズアップをしたのが通級による指導です。これについては、自校における通級による指導の環境整備と、それから通級による指導の在り方の検討、今後の検討課題も含めて書かれています。
 何を言いたいかというと、実は、東京都は確かに、拠点校に先生がいて多校通級を先生方が行っているということなのですけれど、行った先の学校の教員の受入れ体制は、実はそれぞれの学校のコーディネーターさんが対処しているのです。入室、退級のことも含めてコーディネーターがいるので、どの小学校、中学校にも各学年に1人ずつ、コーディネーターさんがいます。これは東京ではごく普通になっているのです。ですから、ますますコーディネーターの役割が大きくなっているということがありますので、今、山田課長からお話ありました、施行規則の方向というのは大賛成で、特別支援学校も含めて、コーディネーターの役割というのは非常に大きくなっている。
 それで、先ほど、喜多委員からお話があったように、例えば、必置主任というような話題も出ましたけれども、そういったぐらいの役割が、これからますます大きくなるということもあるので、是非ここは大事に書いていただけるといいのかと思いました。
 以上です。情報提供だけです。
【加治佐座長】  分かりました。ありがとうございます。
 それでは、よろしいですか。たくさんの御意見、本当にありがとうございました。また、報告書に反映いただいて、よりよいものにしていただきたいと思います。
 私が一番印象に残りましたは、森委員からインクルーシブ社会の到来ということをもっと強調すべきだということがありましたけれど、まさしく私もそのように思います。ですから、それを受けて、教師の基本、基盤となる能力の1つとして、特別支援教育ということが位置づけられようとしていますので、当然の流れかと思います。それで、資源は限られているわけです。資源は限られています。ですから、特別支援教育に、あるいはインクルーシブ社会に理解のない人から見ると、また、新たな負担が純増するというイメージになってしまうと思うのです。だから、そうではないということだろうと思います。
 つまり、結局もう本当に社会が変わっているわけで、我々の、ある意味、大げさに言うと、人間観みたいなものも完全に変わってきているのだと思うのです。ですから、そういう大きな点で、特に学校関係者はほぼ問題ないと思うのですけれど、外部にいる方々に対して、理解を求めていくというのですか、特にお金を出す財務省とかに、財務省も通級指導担当者の定数化を認めたのですけれども、さらに、そういう動きを強めていく必要があるのかということを痛切に感じます。本当にそう思います。だから、我々、教員養成を担当しているところでも、特別支援教育についても本当に、改めて、コアカリもできますので、力を入れていくという責任の重さを本当に強く感じております。
 それでは、今日の御意見を踏まえまして、是非、またいいものにしていただきたいと思います。次回、第6回の会議の際に、修正した報告書案を提示していただきます。引き続き御協力をよろしくお願いします。
 それでは、今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いいたします。
【小林特別支援教育課企画官】  ありがとうございます。次回の第6回の会議は、3月15日、火曜日の3時から5時に開催をさせていただきます。この日は報告の取りまとめを、特別支援学校教諭免許状の教職課程コアカリキュラムの素案について、御審議を頂きたいと考えております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【加治佐座長】  本検討会議による報告とコアカリキュラムは、中央教育審議会の教員養成部会等にも報告いたします。それとともに、報告書につきましては、現在審議を進めている令和の日本型学校教育を担う教師の在り方に関する答申にも反映していきたいと考えております。
 本日の議事はこれで終了となりますが、最後に、本検討会議のオブザーバーである国立特別支援教育総合研究所の宍戸理事長から、一言お願いいたします。
【宍戸オブザーバー】  宍戸です。今日は会議に参加させていただきまして、ありがとうございました。
 報告書案ができたということで、特総研も含めまして、関係者が力を合わせて、この内容の実現に向けて努力していくことが大切かと、加治佐先生のお話にもありましたけれども、そんなことを改めて思いました。
 また、コアカリキュラムの案もできました。こちらは教員養成に関わることですけれども、教員養成の質を高めることということで、大学への期待が大きいと思います。是非コアカリキュラムの内容の実現に向けて、大学とまた文科省で一緒になって進めていただければと思います。
 3番目で、1つだけ、学校現場での教員の資質向上ということで、交換授業をしながら進めてはどうかという案がありましたけれども、交換授業プラス、私は研究授業というか、札幌のある小学校で特別支援学級の研究授業を全校で取り組んでいるという実践を拝見したことがあります。そういうことが少しずつでも広がっていくといいのかということで、単に交換授業で見合うだけでなくて、研究授業をしていただいて、学校として特別支援教育を位置づけていくと。これには、管理職の先生方のお力添えが必要かと思いますので、そんなことも含めて、考えていけるといいかと思いました。
 最後に1点、研究所の職員のことで意見がありましたけれども、確かに研究畑から入った職員もいますが、研修でたくさん現場の先生方が研究所には来ています。現在はオンラインで実施をしていますが、ですから、学校現場の経験のない職員でも、学校現場の先生から学びながら学校現場と一緒に先生方の悩みに沿えるような努力もしているということもあわせて、御考慮いただけると有り難いと思っています。研究所の研究員の質の向上も図っていますと御理解ください。
 以上です。
【加治佐座長】  どうも宍戸理事長、ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。どうも御出席賜りありがとうございました。また、次回、よろしくお願いいたします。
 
── 了 ──
 

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文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係・指導係

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