特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議(第3回)議事録

1.日時

令和3年12月20日(月曜日)14時~16時

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 大学、小学校及び教育委員会からのヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

加治佐座長、森副座長、安藤委員、市川委員、喜多委員、木舩委員、坂越委員、濵田委員、樋口委員、宮﨑委員

文部科学省

山田特別支援教育課長,小林特別支援教育課特別支援教育企画官,分藤初等中等教育局視学官,嶋田特別支援教育課課長補佐,宇野特別支援教育課課長補佐

オブザーバー

宍戸オブザーバー

5.議事要旨

【加治佐座長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議」を開会いたします。
 委員の皆様には、大変御多用の中にもかかわらず、御出席いただきまして本当にありがとうございます。
 本日も現下の情勢を踏まえまして、ウェブ会議システムを活用しての開催とさせていただきます。
 初めに、本日の会議の進め方及び配付資料について、事務局から説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
【小林特別支援教育課企画官】  事務局でございます。まず、会議の進め方についてですけれども、本日もウェブ会議システムを活用することから、委員の皆様には御発表、御発言に当たりまして、お願いしたい事項を別途メールで送付しておりますので、そちらを御参照いただきますようにお願いします。
 また、本日の出欠状況につきましては、田中委員が御欠席となります。
 事務局からは以上でございます。
【加治佐座長】  ありがとうございました。それでは、議事に入ってまいりたいと思いますが、その前に資料1を御覧ください。前回の第2回検討会議において、特別支援学校教諭免許状の教職課程及びそのコアカリキュラムの在り方について、議論をいただいた際の御意見の概要を議事要旨としてまとめたものであります。
 先週12月16日に、「特別支援学校教諭の教職課程コアカリキュラムに関するワーキンググループ」第1回を開催いたしました。本検討会議で出されたコアカリキュラム策定の基本的な方向性及び資料1の議事要旨について、議事要旨をワーキングの委員の方々と共有をいたしたとともに、これらを踏まえながらコアカリキュラムの素案を作成するように指示をしたところであります。
 作業の進捗状況については、今後の検討会議において、適宜、安藤主査、樋口副主査から報告をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ってまいります。資料の議事次第を御覧ください。
 本日は議事の1にありますとおり、大学、小学校及び教育委員会からヒアリングを行います。その趣旨としては、本検討会議において、特別支援教育を担う教師の養成、採用、育成やキャリアパス、管理職養成に係る推進方策を議論し、来年3月までに報告書をまとめることとしております。その検討を有意義に進めるため、現場の取組状況や課題などについて、聴取するものでございます。
 詳細について事務局からの説明を資料2ですか、お願いいたします。
【山田特別支援教育課長】  特別支援教育課長でございます。前回御説明を申し上げました資料のおさらい、これからヒアリングを行っていただくに当たりまして、こういう観点であったよねということを思い出していただこうというものでございます。
 前々回の資料のこの3点のうち、2点目はワーキングで、今まさに並行して検討いただいているので、1点目と3点目に関連して、今日ヒアリングをお聞きいただきたいなと思っております。
 ここにありますように、教師の養成、採用の在り方とか、その強みを伸ばす育成、キャリアパス、管理者養成の在り方ということで、場合分けをして御提案を申し上げたのは、まず特別支援学校の教師として、養成、採用ということでは先日御議論いただいたように、免許状の中に自立活動だとか重複障害、発達障害、そういったところを盛り込んでいこうということでしたり、このキャリアパスということでは、例として挙げておりますように、免許状の保有率の向上とか、免許を持っていないときはどういう場合にそれが猶予されるのかを明確化しようということだったり、小学校等との人事交流、特別支援教育コーディネーターの在り方や位置づけ、インセンティブであり得るのかということを御議論いただいてはどうかと申し上げておりましたし、特別支援学級、通級についてですけれども、単位の取得の推奨というのが1点目の例です。2点目の魅力の発見、動機付けのための方策ということで、教育実習における経験の推奨ですとか、介護等体験の一体としての推奨ですとか、学校体験活動における経験の場というのを特別支援学校に限定するというやり方もあり得るのかなということでしたり、採用の際に特別支援関係の経験を採用試験において考慮いただくといいのではないかという考え方もあろうかと思います。
 続きですけれども、キャリアパスということで育成ですけれども、特別支援学校教諭免許状を計画的に取っていただくべきじゃないかということであったり、教員育成指標の中に特別支援関係のものを盛り込んで研修等で実施をしていただくということ。また、特別支援学校教諭免許状の保有率の向上と、あとはそういった単位の修得状況だとか研修の受講について、各教師の評価、配置に反映できる仕組みを設けたり、その学校内だったり域内の教師間で相互乗り入れをしたり、OJTの仕組みを持って、必ずしも担任ではなくても、そういう特別支援を身につける教師を増やすことが考えられないかということ。それとキャリアパスとして、特別支援教育コーディネーターの在り方、位置づけ、また、管理職になる上でもその育成指針の中に特別支援教育を明記する、あるいは管理職選考に当たってそういった経験を考慮するということを推奨できないかという御提案をしておりました。
 また、その他の関係といたしまして、特に視覚、聴覚ですけれども、免許を取得できるような課程あるいは専門とする大学教員が少ないということに対してどう対応すべきか、ということで、複数の大学の専門分野を持ち寄って取得ができるような取組だとか特総研における取組の継続実施とか、ほかに協力を求めて広げていくとかということも考えられるんじゃないか。また、研修に当たっても教職大学院と連携した管理職の資質向上といったことも考えられるのではないかということで、御提案をしておりまして、本日ですけれども、そういった観点から、4つの主体からヒアリングを実施させていただきたいと思っております。
 群馬大と札幌市立の新陵小学校と東京都教委と長崎県教委ということで、30分ずつ、15分プレゼン、15分質疑という形で進めていただければなと思っておりまして、具体的には先生方が言っていただければと思いますけれども、群馬大学さんは宇都宮大学さんと連携をして、共同教育学部で5領域取れるようになっていますとか、現職教員の資質向上にも貢献なさっているというお話。札幌市立の新陵小学校については、校内の連携体制であったりとか、特別支援教育の専門性を高める研修と校長に求める資質能力についてお話がいただけると伺っております。東京都教委については、今パブコメを実施なさっているということですけれども、現職の教師の資質向上のための取組について、例に挙げておりますような免許状の取得だったり、人事交流だったり異動・配置といった点について、プレゼンをいただけることになっております。最後、長崎県教委からも人材の育成のための採用・配置、異動と校長等の資質能力の育成、管理職育成に当たっての大学との連携といったことについて、お話がいただけると伺っております。
 以上でございます。
【加治佐座長】  ありがとうございました。それでは、早速ヒアリングに入ります。
 まず、群馬大学共同教育学部、霜田浩信副学部長と金澤貴之教授より資料3に基づいて、御説明、御発表をよろしくお願いいたします。
【国立大学法人群馬大学(霜田)】群馬大学共同教育学部の霜田浩信と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 話題提供の後半では、同じく群馬大学の金澤先生からも話題提供させていただきます。併せてよろしくお願いいたします。
 では、私のほうで画面を共有させていただきますので、しばらくお待ちください。画面のほう皆様に共有できていますでしょうか、大丈夫でしょうか、ありがとうございます。
 本日の話題提供の柱といたしましては、2点ございます。まず1点目としましては、特別支援教育を担う教員の養成の在り方についてです。2020年に群馬大学と宇都宮大学は共同教育学部を設置しましたが、その中で、特別支援学校教諭の免許状を、共同教育学部設置を機に拡大してきた取組についてお話します。2点目が、現職教員の資質向上についての取組です。群馬大学では現在手話サポーター養成プロジェクト事業に取り組んでおります。その取組を現職の先生方などにも公開していく中で、現職教員の資質向上に生かそうとした取組についてお話をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、1つ目の柱についてです。先に述べたように宇都宮大学と群馬大学が2020年に共同教育学部をスタートしてきました。その中では、この共同したことによるシナジー効果、相乗効果を示すことが求められます。幾つか考えてきたわけですが、その一つとして、特別支援学校教諭免許状の障害領域を5領域に拡大しました。
 共同教育学部の中で、授業をどのように実施してきているのかということを示しているのがこのスライドになるわけですけども、見ていただくと分かりますように、卒業単位のうちの約31単位分を相手側の大学の授業を受けていくということになります。合計しますと62単位分は何かしらで、この遠隔メディアシステムを使って、学生たちは授業を受けているということになるわけです。そして、その遠隔メディアシステムを使って行う授業のことを我々は斉一科目と呼んでいます。この特別支援学校の免許を取るためにも、専攻の学生たちは12科目・22単位分の斉一科目で、遠隔メディアシステムにより授業を受けているということになります。学生対が履修している科目の具体については、また後ほど少しお話をさせていただきます。
 次に、課程認定上の担当者の話をさせていただき、どのように5領域を実現してきたかということについて説明をしていきたいと思います。
 まず、共同教育学部になる前における特別支援学校教諭免許状の障害領域についてですが、単独の宇都宮大学といたしましては、3領域(知的・肢体・病弱)を出し、教職大学院を担当されている先生も含めまして、4名で担当しておりました。
 群馬大学につきましては、そこに聴覚障害を加えて4領域を出しておりました。加えて群馬大学では特別支援教育特別専攻科も設置しておりましたので、その専攻科の専任教員を含めて6人で担当してきたわけです。
 共同教育学部の課程認定上は、両大学を合わせて一つの課程認定を構成できればよいということにはなるのですが、だからと言って共同教育学部の課程認定のみを考える状況にはありませんでした。群馬大学では専攻科を大変重要視しております。その理由といたしましては、特別支援学校教諭免許状を取得し、特別支援学校等に勤務する先生方における免許の保有率を上げることに資するものと考えているからです。しかも、本学の専攻科で学ぶ方のなかには、現職の方たちも含まれますので、よりよりこの専攻科を重視していました。
 加えまして、各県で実施される免許状の認定講習において、実施した際に、少なくとも知的・肢体不自由・病弱につきましては、地元の大学が担当できるようにしていくということも免許保有率を上げるためには重要として考えました。
 そのような状況において現有の教員で5領域を出すための課程認定担当者を考えた場合に、視覚障害を担当できる1名の方が足りないという状況になりました。この1名につきましては、宇都宮大学において新規採用という形を取った結果、ここに示したような課程認定での配置ができ、5領域の免許を出すことが可能になったということになります。
 続いてこの5領域を出すにあたっての教育課程の概要をイメージとしてお話しさせていただきます。少し細かい表になってしまって恐縮なのですが、まず表の左側、この授業科目名の前には、この免許状に関わる科目としての1欄から4欄の区分を示しています。
 続いて右側の備考ですが、ここにはメディアと書かれている科目が幾つかあります。これは先ほど言った斉一科目として、遠隔メディアシステムを使って授業を実施しているものとなります。
 この薄青のマーカーをつけたものは、群馬大学の教員が、群馬大学の学生に対しては対面で授業を行っており、宇都宮大学の学生はメディアを通して授業を受けているものです。逆にこのピンク色のマーカーがついているものは、宇都宮大学の教員が宇都宮大学の学生を対面として行っており、群馬大学の学生は、メディアを通じて授業を受けていくものになります。ここが先ほど申し上げたように、12科目で、22単位分設置されているということになります。そのほかのマーカーのついてない科目は、それぞれの大学の教員がそれぞれの学生に向けて授業を行っていく授業であり、同一の科目名で、そして統一したシラバスで実施していきます。
 学生たちは宇都宮大学の5名の教員、群馬大学の6名の教員、合計11名の教員から授業を受けていくことになり、これも共同教育学部としての1つの効果として挙げられるものと考えております。
 一方で、特別支援教育専攻の学生だけではなく、学部学生全体の状況について簡単にお話しします。この「教育の基礎的理解に関する科目」では、特別支援教育に関わる科目を1単位以上設置することが求められております。共同教育学部においては、それぞれの大学で、この1単位を設定しており、学生たちは遠隔メディアシステムを使って、両方の授業を受講することになっております結果として、特別支援教育に関わる科目では2単位分授業を受講することになっております。当該授業の内容を見ますと、宇都宮大学では基礎的な内容を担当しており、個別の指導計画や教育支援計画の話、さらには自立活動の話が入っています。群馬大学では特別支援教育に関わる事例研究として内容を構成しており、発達障害の子どもたちの理解と支援も含めて、授業が構成されております。
 さて、話題は、教育実習についても少し触れさせていただきたいと思います。
 群馬大学では、平成18年から現在の教育実習の仕組みをつくっており、その特徴といたしましては、1年次から教育現場に出かけていくことにあります。また、長期間の実習を行っていくことが特徴となります。それは、この教育現場の中で、実践的指導力を身につけさせたいという思いがあるからです。
 1年次では、9月に公立の小中学校に5日間出向きます。特別支援教育の専攻の学生では特別支援学級に配属されることもあります。教育現場において子どもたちとの関わりを体験して、教師の視点を学びます。この現行の取り組みを今後、調整すれば、特別支援教育専攻以外の学生も特別支援学級を含めた経験を実施することが可能となるのではないかと考えております。
 2年次では、附属の小学校、中学校、特別支援学校の授業観察を行います。この授業観察を通して子どもの理解や授業づくりを学んでいくことになります。
 3年生では、我々は本実習と呼んでいるのですが、まずは附属小・中学校で5週間、実習を行い、その後、公立の学校で3週間実習を行っていきます。
 加えて特別支援教育の専攻の学生は、11月に、2週間、附属特別支援学校で実習を行います。そして、4年次では、専攻の学生たちは、今度は、公立の特別支援学校で実習を行います。3年次はでの附属特別支援学校の実習では、主に知的障害の障害種となりますが、4年次の実習では学生によっては肢体不自由や聾学校での実習を経験することになります。今後、ここに盲学校の実習を入れ込むことができないかと現在検討しているところでもあります。さらに専攻の学生たちは特別支援学校の実習が終了後、希望があればほかの障害種の学校にもインターンシップとして出かけることが可能です。
 私からの最後といたしましては、共同教育学部の設置や特別支援学校教諭免許状の5領域の成果をお示ししなければならいと思っているのですが、いかんせん共同教育学部がスタートして2年目という状況では、教員採用試験等において相関が見られるような結果をお示しできません。ですので、ここ数年の群馬大学における教員採用試験の合格率を簡単にお話しします。国立大学全体における教員採用試験の合格率平均としては、65%前後ということになる一方、群馬大学では少しそれよりも多めの合格率となっています。今年度は70%を少し切る状況ではありましたが、特別支援学校の合格率としては、90%を超えている状況でもあります。もう一方では、入試の実施状況になりますが、共同教育学部がスタートするとなった年度の志願者倍率が3.1倍と下がった状況にありましたが、2年目では例年どおりの4倍を超える倍率があったという状況です。
 以上で私からは報告は終わりまして、この後、金澤先生から手話養成プロジェクトについて少しお話をしていきたいと思います。金澤先生、説明よろしくお願いいたします。
【国立大学法人群馬大学(金澤)】  では、バトンタッチします。群馬大学の金澤です。音声、大丈夫でしょうか。
 群馬大学でちょっと特殊なこととして、日本財団から助成をいただいて手話サポーター養成プロジェクト室なるものを実施していまして、准教授と助教と教員もこの予算で採用しているというところがあります。
 これ、2017年度から、群馬大学の学生に手話及び手話通訳の技術を身につけさせるということで始めたわけですが、今第2期に入っておりまして、見づらいかもしれないのですが、遠隔教育システムというところを御注目いただきたいわけです。つまり、群大の学生をモデルとして、手話のスキルを身につけさせるということは取りあえず完成したと。次は遠隔で、全国にそれを配信するということが狙いということで、ここは今日のお題であります現職教員の研修ということにつながってきます。
 次、お願いします。これは大学の中での授業の話ですけれども、ここで申し上げるべきは手話の習得及び手話通訳の技術習得というのはかなりやっぱり時間数を取られてしまうようなところもあるので、特別支援学校免許の単位にできるだけ入れ込まない構造にしているということに御注目いただければと思います。
 緑色の部分は教養教育の授業です。そして、その次2年、3年というところの薄い赤色のところは、共同教育学部の選択科目の授業として設定しているという形を取っていて、特別支援教育以外の学生も取れるという構造を取っています。
 手話通訳の技術を習得した上で特別支援学校、特に聾学校等で活用していくような授業が、4年次の黄色っぽい色のところ。これは特別支援学校免許の授業になっています。
 手話通訳士・者の資格を持っていた場合、群馬県の手話言語条例の関連ですけれども、教員採用試験の一次選考の点数に加点をするということを群馬県が行っていると、そこもちょっと注目していただければと思います。
 次をお願いします。これは今年度から始めたことですけれども、手話サポーター関連の授業の一部を公開講座としてオンラインで受講できるようにしました。手話の指導とか手話通訳の指導みたいなところはZoomのリアルタイムのオンラインという形を取っています。
 今申し上げたのが演習形式で、演習形式はZoomを使う形です。一方で、講義形式はオンデマンドで受講するということを可能にしています。オンデマンドといっても録画したものを見るだけで終わりではなくて、必ずGoogleフォームで質問を受け付けて、それに翌週の授業で回答するとかメールで回答するといったことも行っているという形です。
 この群馬県と大阪府と連携というのは、群馬大学はこういうような形で公開講座を行いつつ、県の独自の施策として、例えば受講生に対して県が本人に予算分を補助するとか、そういうようなことを行うということ。群馬県の場合、手話言語条例絡みで進めているところもあるので、群馬県の人に対しては受講料を取らないといったことも行っています。
 では、次をお願いします。こちらが最後です。長期目標ということでこれからやっていきたい、あるいはやれる可能性があるのではないかなと思っていることですけれども、対象のところに教員というところがあります。対象で、大学生、高校生、市民、手話通訳者、その次が教員。ここなんですけれども、免許法認定後通信教育ということが可能なので、その枠組みに乗せていくことができるといいなと思っています。
 ここでのポイントとして、いわゆる都道府県が行っている認定講習はとにかく「無免許」状態を脱するということで、二種免許を取らせるということが主目的だと思うのですけれども、さらなる専門性を身につけさせたいということを考えた場合には、一種免許あるいはその先の専修免許ということの枠組みがよいのかなと思うところもあります。というのは、手話の技術を高めるというのは聾学校の教員としては、もう子どもとコミュニケーションできないという問題を解決したいわけですから、それは非常に重要なわけですけれども、ただ、このことというのは、免許の授業ということで考えると、なかなか組み込むことが難しいわけです。そういうところもありますので、こういった専修免許みたいな枠組みなのかなと考えるところもあります。
 このような免許法の制度に絡めるという方法もありますし、あとは、今年度から行っている先ほど見ていただいた公開講座のような形で、単発で受講をしてもらうということも含めて、専門性を高めていくことができたらと思っております。
 こういうプラスアルファの専門性ということについては、あらゆる全ての5領域出しているようなところで行う必要があるかというと必ずしもそうではなくて、例えば群馬大学で、手話についてこういう特化した拠点的なものをやっているのであれば、全国で通信でそれを利用してもらうみたいなことというのも必要なのかなと思うところです。
 以上になります。
【加治佐座長】  どうもありがとうございました。それでは、ただいま御発表につきまして、意見交換を行いたいと思います。御質問、御意見がございましたら、この手を挙げるボタンを押してください。
 では、濵田委員ですかね、よろしくお願いします。
【濵田委員】  よろしいでしょうか。東京学芸大学の濱田です。同じ教員養成やっているというところで非常に勉強になりました。ありがとうございます。
 特に手話のほうなんかも遠隔を活用することで、蓄積したノウハウなんかが全国に広がるという可能性があるというのはすばらしいなと思って聞かせていただきました。その上で、2つの大学が協力して5領域出せるようになっていくという中で、ちょっと質問なんですけれども、特別支援を専攻している学生にとってはこの5領域というのが非常に魅力的ですけれど、特に特別支援を専攻しない学生さんたちの特別支援学校免許に対する動向みたいなところというのに何か変化があるようでしたら教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【国立大学法人群馬大学(霜田)】  ご質問ありがとうございます。では、私のほうから回答させていただきます。
 私どもの大学でも、専攻以外の学生が特別支援学校教諭免許状を取得することを可能としていますが、取得できる領域の上限を2領域に制限している状況です。それは、年間取得単位の制限(=キャップ制)によるものです。特別支援教育専攻の学生は5領域取得可能と拡大したのですが、専攻外の学生においては2領域からの拡大はしておりません。なお群馬大学では、専攻以外の学生が特別支援学校教諭免許状を取るのは各学年若干名となっています。
 ただ、先ほど群馬大学においては特別支援教育特別専攻科を重視しているとお話ししたように、専攻外の学生たちが特別支援学校教諭免許状を取得したい、または領域を拡大したいということであれば、ぜひ専攻科に入学してきてくださいと、伝えているところです。
【濵田委員】  ありがとうございます。特別支援学校の免許というのは、もう先生方御存じのとおり通常の小中高の免許の上に特別支援の免許を取るという形になるものですから、どうしても取得免許単位数が増えるんですよね。そういう中にあって、先ほど霜田先生がおっしゃったいわゆるキャップ制ですよね。年間取得単位の制限があるというのが裾野を広く特別支援の免許を取らせるということの一つのブレーキになっている面もあるかと思います。その辺りも検討していく必要があるかなと感じました。
 ありがとうございました。
【国立大学法人群馬大学(霜田)】  ありがとうございます。
【加治佐座長】  それでは、安藤委員、お願いいたします。
【安藤委員】  安藤でございます。今日は話題提供いただき、誠にありがとうございます。養成の機関の在り方の中で、今回話題提供いただいた共同教育学部の発想というのは非常に先進的で、それを実現された群馬大学、宇都宮大学に敬意を表したいと思います。
 それでは、私のほうからちょっと先行するグループの一つとして、ちょっとお尋ねしたいんですけれど、日本特殊教育学会で、教員養成についての調査をしたところ、200近くある大学の中で、5領域のうち免許の課程認定を受けているのは、ほぼほぼ知・肢・病です。盲・聾が本当に少ない。だからこそこういうのに意味があると思うんですけど、しかし、その理由はあると思うんです。つまりなかなか専門の先生が得られないということと、やっぱり知・肢・病だけで教員がほぼもう使って、要するに枠がないというところで、群馬大学については前から聴覚については話題があったように教員がいて、そこで宇都宮大学と連携する形で、宇都宮大学で視覚障害の担当教員を採用したと。これが両方で共有することで、5領域可能になったということだと思うんですけど、今お話ししたように、なかなかそれぞれの大学では、現有体制の中でやっぱり5領域に持っていくというのは難しいんじゃないかなと私は思っているんです。
 そういう意味では、今回のこの両大学の共同教育学部というのは、ある意味恵まれた状況の中で設置できたという経緯もあるやに思います。ちょっと意地悪な言い方。恐らくこの取組については、特に国立大学法人の養成系のところで非常に関心高いと思うんですけれど、そういうほかの大学に対して何かメッセージとして、やっぱりこういうことの成果とか課題とかということの問合せやあるいはそのメッセージとして何か今の段階であるんであれば、ぜひお知らせいただければいいのかなと思って、手を挙げさせていただきました。
【国立大学法人群馬大学(霜田)】  ご質問ありがとうございます。これも先に私からまず答えられるところでお答えさせていただきます。
 安藤先生がお話しくださったように、今回この5領域が出せたというのは、幾つかの好条件が重なったところも正直あります。それは何よりも視覚障害を担当することができる教員が、もともといたということになります。それによって、新規に1名採用していくことで、5領域が実現したということになります。
 しかしながら一方で、我々がこの共同教育学部を構想していく際に、その効果を活かして、「5領域を出したい」旨を役員会に諮るなどの計画・ビジョンがあって実現したものでもあると思います。
 そういうことからしますと、大学における教員養成のビジョンに5領域化を入れ込むこむことが重要ではないかと考えます。金澤先生からもお願いします。
【国立大学法人群馬大学(金澤)】  少し、割と私は群大が長いので、その中で申し上げますと確かに好条件もあるのですが、「ずっと狙ってきていた」ということを申し上げておきたいと思います。養護学校教員養成課程をしていたときから、当時4領域という言い方ではなかったですけど、聴覚の免許を出せないかということを狙ってきて、平成19年のタイミングで聴覚を出したということもありますけども、その後もとにかく5領域を何とかして出せないかと、学外の調整で何かいい案がないかというものを常にいろいろ考えていろんな案を出しながら狙ってきたところに、宇都宮大学との共同教育学部化というのがあったので、ここを逃したらもうないなという形で動いたというのは、一つ申し上げておきたいと思います。
 そういう意味では、先ほど安藤先生のご質問は、全然「意地悪」でも何でもなくて、むしろちょっと私のほうが意地悪にお答えしてしまうと、他大学の先生方で国立大学の先生方、「意地でも5領域取るぞ」、「人を確保するぞ」という覚悟、決意、案というのを果たしてつくっていますでしょうかと申し上げたいところがあります。そして、190、200ぐらいたしか特別支援学校免許を出している大学があるわけですけども、その中で私立学校が結構増えましたよね、ここ最近。私立のところはとにかく3領域でも私は個人的にはしようがないなという気はしますけども、各都道府県に一つだけの国立大学では何らかの方法で5領域出すことが、国立大学の使命だというぐらいの思いでいろんな交渉に当たっていくということが必要なのではないかということが一つ。
 もう一つは文部科学省として、ぜひともインセンティブなり通知なり何でもいいですから、5領域出すことを推奨するという一文でも例えばあればと。それもできれば特別支援教育だけじゃなくて、国立大学も運営とかそういうところの中で、何かの一文が入ったものが役員会なり上のほうにぽんと話が下りてきていれば、こういう理由で人を一人欲しいんですと現場サイドから言いやすいんじゃないでしょうかと思います。
 以上です。
【加治佐座長】  大変よく分かりました。ありがとうございました。
 木舩先生どうぞ。
【木舩委員】  九州産業大学の木舩でございます。5領域を取れるようになさったというその御努力に敬服いたします。私どもの大学では知・肢・病の3免許ということで認定を受けております。学生は3免許、3領域を取って卒業していくわけです。3免許はもちろん取りますけれども、先ほどの濱田先生からの御質問への回答で上限2領域という回答がございました。基礎免許の単位数を考えても、2領域にされた理由というのがどこにあるんだろうかとちょっと思いまして、その点についてお教えいただければ幸いです。
【国立大学法人群馬大学(霜田)】  ご質問ありがとうございます。私の説明が上手でなかったので申し訳なかったのですが、特別支援教育専攻の学生たちは5領域取れる設計をしておりまして、私が先ほど2領域と申したのは、特別支援教育専攻以外の学生、例えば国語とか数学とか専攻している学生たちが、特別支援学校の免許状を取ろうとした場合には2領域までに制限をしているという状況にございます。その辺の説明が不十分で申し訳ございません。
【木舩委員】  ありがとうございます。そうしますと特別支援の学生が5領域ということでいきますと、基礎免許の場合は例えば小学校一種でございますか、それとも二種でやられているんでしょうか。
【国立大学法人群馬大学(霜田)】  卒業要件といたしましては、小学校もしくは中学校の二種で設定しております。ただ多くの学生は小学校もしくは中学校の基礎免許を一種までにして取得していると御理解をいただいてよろしいかなと思います。その代わり大変たくさんの単位数を取得しているという現状もございます。
【木舩委員】  ありがとうございます。御苦労なさっていると思います。これからもぜひその方向で頑張っていただければと思います。ありがとうございます。
【国立大学法人群馬大学(霜田)】  ありがとうございます。
【加治佐座長】  ありがとうございました。その5領域を出すことが、国立大学のミッションであるというお話があって、それを実現するためには今先端的に採用されたこの共同の教育学部とか、あるいは新しく制度化された共同教職課程、こういうものが必要になってくるんだと思いますね。分かりました、よくメッセージは伝わったかなと思います。ありがとうございました。
【国立大学法人群馬大学(霜田)】  ありがとうございました。
【国立大学法人群馬大学(金澤)】  ありがとうございました。
【加治佐座長】  それでは、次のヒアリングに入ります。
 札幌市立新陵小学校の猪股嘉洋校長より、資料4に基づいて説明をお願いいたします。
【札幌市新陵小学校(猪俣)】  皆さん、こんにちは。北海道札幌市立新陵小学校校長、猪股嘉洋でございます。全特協の副会長も務めさせていただいております。初めのうち間違ってカメラをオフにしておりました。本当に申し訳ございませんでした。
 私からは、小中学校等で特別支援教育を担う教師の育成、それから管理職育成について、大きく3点につきまして、まず、1つ目は全職員が特別支援教育に取り組むための体制について、2つ目が特別支援教育に係る専門性を高めるための方策について、3つ目が学校管理職の資質能力についてという点で大きく3点、校長の立場から現場の声として、取組や課題などについてお話をいたします。
 まずは私のことなんですけれども、私自身は支援というのは、支援を必要とする児童生徒だけではなくて、その保護者にも担任にも支援を行うものだと考えております。そのことは教職員にも伝えておりますし、すいません、子どもにも、だからこそ学校全体でチームで動くことが必要であると。チームで動くためには、みんなが対応の仕方などを知っていなければいけないなどということを常々話しています。
 その基になっているのが14年前なんですけれども、教務の担任外になったときに、教務の仕事をしながら、今で言う特別支援教育コーディネーターのような仕事をさせていただきました。その際に担任が対応を分からず、どんどんどんどん疲弊していく。保護者も学校の話を聞くたびに頭を悩ませる。スクールカウンセラーと私自身が連絡を取りながら、私自身も勉強しながら対応していきました。つまり私の言うチームというのは、学校内だけのチームではなくて、保護者も子ども本人もその上で関係機関と考えています。まず私たち全学校職員が知らないといけない。そこでまず全職員が特別支援教育に取り組むための体制について、学校経営方針への特別支援教育を位置づけと校内連携体制についてお話をしたいと思います。
 次のページをお願いします。北海道を25地区、私たちの団体では分けております。特別支援教育について、学校経営方針の柱の一つとしている学校は非常に多いという結果が出ております。本校と同様に3つ目、4つ目の丸にあるように、全職員を意識している学校が非常に今多いと考えております。
 次のページをお願いします。校内連携体制について2つお話をしたいと思います。
 1つ目は、これは本校の例ではないんですけれども、違う小学校の実践例です。小学校には中学校のように生徒指導部を設置していない学校が多いということから、チームでの対応が難しいというのが実情です。そこで多様で複雑化する生徒指導を専門に担当する組織ということで、校務分掌に児童支援部を設置、御覧いただいているような体制を組んでいます。部長は、特別支援教育コーディネーターが兼任しています。
 ここで言う副担任、丸1のところに書いていますけれども、ここで言う副担任というのは、担任外の教諭のことです。中学校で言う副担任とは実は意味が違います。この場合の副担任というのは担任外の教諭のことで、さっきも言いましたけど担任外の教諭で、1、2年生に1名、3、4年生に1名、5、6年生に1名を配置します。このことは保護者、それから児童にも周知いたします。
 それで突発的な事案が起きた場合の初期対応はまず担任が行い、副担任が教室へと入ります。ここで大事にしたいのは、子どもを主語に自己決定を促しながら支援の手だてを考えるということです。もっと言うと子どもあるいはその保護者は誰に困りを聞いてほしいのか、まず考えるということです。担任だけでは困難な事案の場合は、個々の対応からまず学年で相談、そういうことで教職員同士のケアができます。その上で学年・児童支援部から校内学びの支援委員会へと相談を組織化していくということになっています。
 支援の質をより高めるということですけれども、教職員がお互いにケアをして組織で意思決定をする。このことで担任の負担が大きく減ります。組織で大切にしたいこととしましては、先ほども言いましたけれども、子ども、保護者に自己決定を促す。打てる手を早期に確実にしたいということです。ここに載せているのは、中学校では当たり前のことだと考えますけれども、小学校ではかなり画期的と言ってよい取組だと思います。この取組から小学校と中学校で共通していることは、子どもを主語に支援、指導を行う、自己決定を促す。マンパワーに頼らず組織で対応するということです。違うのは発達段階によって、子どもへの担任への依存度は変化するということです。もちろん子どもや保護者の実態にもよりますけれども、連携が取れていれば、ほかの教師が専門的に関わることがあってもよいと思っています。ただこの実践の場合、キーなるのが校長先生が元教頭まで中学校だったということなんです。それで校長として小学校に来たということが一つと、元校長先生だった方が再任用でこの小学校に着任したということが大きいと考えています。
 そういう意味では人材育成、それから、小中の人材交流が大切なんだということが非常によく分かると思います。
 次のページをお願いします。通常の学級と特別支援学級担任が交換授業をするという実践例です。特別支援学級担任は、通常の学級で特別支援教育についての授業や教育、教科についての授業を行います。特別支援学級では、通常の学級担任が自分の得意な教科の授業を行います。
 効果としては、大きく2つ挙げられます。1つ目は、通常の学級の子どもたちと担任にとって、特別支援教育や特別支援学級についての理解を深めることができるということです。通常の学級の子どもたちが特別支援学級の子どもたちのことを詳しく知ることで、中休みや昼休みの交流の機会が増えましたし、通常の学級で困りを持っている子どもが特別支援学級へ遊びに行きやすくなった。抵抗感が小さくなったという事例があります。通常の学級担任にとっては、個別の対応のよさや大切さを実感できる場になります。
 効果の2つ目としては、特別支援学級の子どもたちにとってより充実した授業を受けることができるということ。特別支援学級担任にとって、特別支援教育の専門性を生かすことができる。それから、特別支援教育や特別支援学級について広めることができるということが言えます。また、各教科、各単元の系統性を意識することの必要性を感じることもできます。
 交換授業の充実に向けては、そこの下に書いてあるとおりですけれども、ここには載せていないんですけれども、北海道は広大で小規模校やごく小規模校というのが多いという地域があります。そういう学校では教員数が少ないことから、校内学びの支援委員を全職員がやっているという学校もあります。
 次のページをお願いいたします。特別支援教育に係る専門性を高めるための方策についてお話しいたします。
 次のページをお願いします。多分ふだんでしたら校内学びの支援委員会や特別支援教育コーディネーターが中心となった実践例をお話しするべきだと思うんですけれども、ここでは3点についてお話ししたいと思います。
 1つ目、校内研究・研修体制についてです。これは本校の場合です。校内研究を3つの部会。1年生と2年生の低学年部会、3、4年生の中学年部会、5、6年生の高学年部会、4つ目、特別支援学級部会の4部会を設置しています。特別支援学級部会には、本校は担任2名ですので、2名と研究部会が1人の計3名が所属しています。チームとして取り組むことで研究授業づくりの負担が大幅に減っています。
 また、特別支援学級の研究事業の指導案に必ず個別の指導計画を載せています。本校では、算数科を通して授業改善を行うことにしていますので、算数科の単元を通した子ども一人一人の目標、それからこの時間、授業する時間の一人一人の目標、子ども一人一人の自立活動の目標が載っています。全ての教員の個別の指導計画への理解や自立活動、個別の対応についての理解が進んでいます。
 画面下の「授業後の話合いから」を読んでいただけるとよく分かっていただけると思います。また、特別支援学級担任にとっても、教科授業の進め方について多くのヒントをもらうことができます。
 次のページをお願いいたします。2点目です。2つ目の丸について御説明いたします。
 例えばこれはどういうことかというと、例えば特別支援学級にAさんという3年生のお子さんがいるとした場合、交流学級は3年生になるわけですから、特別支援学級担任もAさんの所属する通常の学級の3年生担任として、学年打合せ等に参加するということです。そうすることで、通常の学級の3年生担任たちは、Aさんを含めた学年経営を意識していきます。それは特別支援学級のAさんだけではなくて、通常の学級にいる困りを持っている子どもたちにとっても非常に効果があるという報告を受けております。
 次のページをお願いいたします。これは北海道と札幌市の特別支援学級担任の採用についての説明です。丸のところにありますように、特別支援学校小学部あるいは中学部で受験します。これは全国どこでも同じだと思うんですけども、北海道での採用も札幌市での採用もここは同じです。
 札幌市の場合、特別支援学校小学部あるいは中学部で受験して登録された、登載された者の中から、札幌市教育委員会が、小学校あるいは中学校の特別支援学級担任として採用ということになります。ですから、札幌市で登録あるいは採用されている特別支援学級担任の特別支援学校免許保有率は100%ということになります。ただし、期限付に関しては、免許がなくても採用ということがありますので、全体で見ると80%から85%ぐらいということに札幌市ではなります。
 また、北海道のほうなんですけれども、北海道の免許保有者は登録された場合、登載された場合は特別支援学校小学部あるいは中学校部での採用が非常に多くなっております。それは道立の特別支援学校、特別区が多いということが理由の一つだと思います。
 ですから、ここに書いてあるように、免許を持っていない教員に対しては、免許を取得するための研修や通信教育の受講を促しているということになります。ただ、札幌の場合は免許の保有率はかなり高いのは確かなんですけれども、反対に私もそうなんですけれども、管理職で特別支援学級を担任したことがない割合が非常に多いものですから、どうしてもその支援を必要とする子どもたちへの対応は、特別支援学級担任に任せっきりになってしまうという課題が非常に多くなっております。
 また、北海道の場合はこれは全国共通だと思うんですけれども、やっぱりその校内人事で特別支援学級の担任に誰を持っていくかというのが非常に大きな問題になっているということになります。
 次のページお願いします。ここは特別支援学校のセンター的機能ということで、北海道で特別支援教育パートナーティーチャー派遣事業を行っているということですので、このページと次のページをお願いします。11ページをお願いします。このページと次のページは後でお読みください。
 それでは、最後のページお願いいたします。よろしくお願いいたします。もう時間もないので、ちょっと早口になりますけれども、まず自分が管理職になって一番思うことは、校長が特別支援教育に対する正しい理解をすることが必要であること、まず、管理職がしっかりと勉強しなければいけないということです。
 実際に文部科学省、それから都道府県教育委員会、各市町村教育委員会は、多くの研修を設定していますし、声をかけています。でも、ここに載せている3点は私が言うまでもなく、以前から言われ続けていることではないのかなと感じています。
 では何が必要なのか、それは私たち管理職の意識を変えることだと考えています。この声は私だけではなくて、北海道、いろんな校長先生から同じような声を聞いております。どうしても仕方ないことなんですけれども、例えば先ほど言いましたけれども、私たち北海道の校長先生で特別支援学級担任経験者の割合は昨年度の場合、小学校で24%、中学校で16%しかありません。札幌はもっと少なくて、小学校はたった4%です。中学校に至っては3%の校長先生しか経験していません。その中で、特別支援教育の推進に当たって、リーダーシップを発揮するのが非常に難しい、そういう校長先生が多いのは事実だと思います。
 ですから、私たちがどうしたらいいかということを考えたときに、担任や保護者に任せきりにするのではなく、それぞれの困りや疲れもこちらで受け取って一緒に対応していく、つまりチームで動くということを私たち管理職が意識する、それを、同じことを教職員も意識づけする、そのためには私たちが詳しいことを知らなければいけないと考えています。
 実際に、私たち札幌、それから北海道各地では、設置学校長協会、あるいは各校長会が管理職向けの研修を開催していますし、石狩地区、あるいは上川地区では、校長会が主催となって行って、必ずそれを、2回研修を受けるということも行っているところもあります。
 また、もう時間なので、今後、先ほどいろいろと大学のほうからも話がありましたけれども、そういう取組も含めまして、今後、私たちも校長として、いろいろな取組をしていきたいと考えております。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
【加治佐座長】  猪俣先生、どうもありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見をお願いしたいと思いますが、それでは、まず、森委員、そして市川委員、樋口委員、この順番でお願いします。また、時間も限られておりますので、できるだけ質問は簡潔にお願いいたします。では、森委員からどうぞ。
【森副座長】  ありがとうございます。滋賀県教育委員会、森でございます。
 今ほどのお話を伺って、一貫して特別支援学級だけで解決するのではなくて、学校全体でということが非常にいろいろな角度から取り組まれていること、聞かせていただきました。その中で3点、質問させてください。
 私も特別支援学級の担任の在り方というのは、非常に課題がいろいろあるとは思っているんですけども、先ほどの採用のこともありますので、特別支援学級ということで最初から採用されるという方も多いということの中で、継続年数、どれぐらいの、ずっと担任されて、特別支援学級ではないと思うんですが、どのような形になっているか、お聞きしたいと思っております。
 2点目は、教科担任制が今後、小学校の高学年等がなったときに、私どもとしましては、教科担任制のよさもあり、先ほどの交換授業のような形というのも考えられますけれども、一方で、情報共有を、リアルタイムという話がありましたけれども、しっかりと1人の子どもを1日通して見ていくような視点も必要じゃないかと思いますが、その辺り、どのようにお考えかお聞かせいただければと思います。
 3点目です。きっと通常級のほうにもいい影響が出ているんだろうとは思うんですが、授業のユニバーサルデザイン化みたいなことは進んでいらっしゃいますかというか、多分進んでいるんだろうと思いながら、聞かせていただきたいと思います。
 以上、3点お願いします。
【札幌市新陵小学校(猪俣)】  ありがとうございます。
 まず、1つ目の継続年数、特別支援学級の1人の担任が継続する件数ですけども、札幌市の場合は、先ほどお伝えしましたように、採用されてからずっと退職するまで特別支援学級担任ということになります。本当に何%がというか、1%にも満たないぐらいの先生が通常の学級のほうへ、異動するときに通常の学級のほうに行くという話を聞いております。北海道の場合は、そういうわけにはいきませんので、校長先生によっては、力のある先生を特別支援学級の担任にするとしていますので、その学校にいる間は特別支援学級、ですから、5年、あるいは6年、7年と持っている先生もおりますし、そうではなくて、校内事情でなかなかそういうわけにはいかないという場合には1年、あるいは2年というのが通常のようです。また、校長先生によっては、いろいろな先生に特別支援教育に関わってもらいたいということで、1年ごとに変えていく先生もいますし、1年じゃあれだから2年という先生もいるというのが実情だと思います。
 2つ目の情報共有の件ですけれども、それは、学びの支援委員会に限らず、本校の場合で言いますと、必ず特別支援コーディネーター、あるいは教頭が中心になって、ミニケース会議というものを1週間に1度、あるいは2度、もっと言うと必要に応じて行っております。それをみんなで伝えるということを常々行っておりまして、多分小学校はそういう学校が多いんじゃないかと考えています。
 また、3つ目の通常の授業でのユニバーサルデザインについてですけれども、これは本校の場合は先ほどの研究授業の例にもありますように、例えば教室の中の環境整備も含めまして、非常にここの、僕が来てからでもかなり進んできていると感じています。
 以上です。すいません、時間がかかりました。
【加治佐座長】  ありがとうございました。市川委員、お願いします。
【市川委員】  全国特別支援学校長会の市川でございます。
 特別支援学級の授業を通常の学級の先生が教えるというのは、私はとてもよい取組だと思っているんです。その上で、もし知っていたら教えていただきたいんですが、小学校の場合は、小学校は全科なので免許のことはあまり考えなくていいんですけども、中学校の場合は教科免許が出てきますので、こういう通常の学級の先生が特別支援学級を教えるという機会は多くなるのではないかと思うんですけど、中学校のほうの事例を知っていたら教えてください。
 以上です。
【札幌市新陵小学校(猪俣)】  ありがとうございます。
 先ほどお話しした場合は小学校の例ですのであれなんですけども、中学校では、隣の中学校のほうで、そういう取組をやろうかという話をしているという話は聞いたことがあります。ただ、今後、小中一貫教育になっていきますので、授業の乗入れですとか、そういう意味では、先生がおっしゃるように増えていくのではないかと考えておりますし、本校の場合は、隣の中学校まで、徒歩で5分ぐらいのところになります。もう1個、小学校がすぐ近く、神陵東小学校というところがありまして、神陵東小学校と神陵中学校というのは道路を挟んで向かい同士なので、そこのところで特別支援学級の子どもたち同士の交流、それから、先生と神陵東小学校の特別支援学級の先生と、神陵中学校の特別支援学級の子どもたちの交流というのも今のところ視野に入れて、まだ実現はしていないんですけれども、そういうことも視野に入れて今、話合いを進めているところです。
 すいません。答えになりませんでした。申し訳ありません。
【加治佐座長】  それでは、樋口委員、お願いします。
【樋口委員】  お願いします。ありがとうございます。
 私も実際に特別支援学級の担任をしていた経験から、1年目の採用についてなんですけれど、特別支援学校小学部や中学部で受けて、特別支援学級担任として採用されるということで、特別支援学級の担任というのは、1校に2名か3名いるということが最近では多いと思うんですけれど、学校全体、小学校全体の仕組みを知らないで特別支援学級担任をするというのは結構ストレスといいますか、仕事がかなり難しいんじゃないかと思うんですけれど、そういうことで、他県とかは新卒1年目で特別支援学級というのはできるだけ行わないようにしていると思うんですけれど、これは新卒で特別支援学級担任になった場合、その先生方を支える何らかの仕組みというのはあるんですか。
 以上です。
【札幌市新陵小学校(猪俣)】  御質問ありがとうございます。
 今おっしゃるように、札幌市の場合は、もう新卒1年目で特別支援学級ということになりますので、それで、札幌の場合、どこの地区というか、どこでもやっていると思うんですけども、初任者研修という形で、必ず1週間に1日、あるいは2週間に1日、その先生の指導のために他校から派遣されるといいますか、そういう制度を札幌では行っています。
 もう一つ、それと校内研修、初任者に対する校内研修というのも必ず校内で何時間やると札幌市では決まっておりますので、その中で特別支援教育のこと、それから各校全体のこと、例えば、それ以外にも通常の学級での過ごし方ですとか、例えば給食のことですとか、そういう細かいことから授業の在り方、そういうことについても、まず、1年間かけて、校内でも、それから派遣する教委からも研修を受けるという体制ができております。
 以上です。
【加治佐座長】  ありがとうございました。質問が終わられた委員の方は手を挙げるボタンというのを消していただけますか。よろしくお願いします。ということで、大変校内で、共有化といいますか、特別支援教育が全ての先生に行き渡るような、いろいろな工夫がされているのかなということは本当に思いました。
 札幌市では、特別支援学級の教員として採用されると、よほどのことがない限り、ずっと続けられるということです。分かりました。ありがとうございました。大変参考になりました。
 それでは、3つ目のヒアリングに入ります。東京都教育委員会の山口紀子教職員任用担当課長、荒木進太郎選考課長、島添聡特別支援教育指導課長、お三方より、資料5に基づいて御報告をお願いしいたします。よろしくお願いします。
【東京都教育委員会(島添)】  東京都教育委員会です。よろしくお願いします。
 先ほど委員長からありましたとおり、現在、東京都特別支援教育推進計画第2期第2次実施計画を素案として、今、パブリックコメントをやっております。本日、テーマに即した内容も素案に書かれておりますので、この内容につきまして、人事部の担当の荒木と山口のほうから御報告をさせていただきます。それでは、よろしくお願いします。
【東京都教育委員会(荒木)】  それでは、よろしくお願いいたします。私は選考課長の荒木と申します。
 まず、私のほうから免許に関しまして、お話をさせていただきまして、その後、山口のほうから配置関係についてのお話をさせていただきます。
 それでは、1枚目、今、映していただいている1枚目についてでございます。こちらは、まず、特別支援学校教諭免許状の取得による専門性の向上であります。その上で、(1)は特別支援の学校のほうの教員、学校教員の免許の取得促進についてであります。まず、こちらで御紹介させていただいておりますのは現在の取組についてでありますが、都教育委員会では、こちらの免許法の認定講習、それから認定通信教育の受講費用の補助、これによりまして、特別支援学校教員の特殊免許取得の促進を行っているという状況であります。これにつきましては、今後も、引き続き免許法認定講習を夏季休業期間中などに活用するとともに、特別支援学校教員が免許状の授与に必要な単位の修得の機会を確保していくということとともに、それから同様に、認定通信教育、こちらにつきましても受講していただきまして、免許を取得していただいた場合への受講費補助、こちらについても継続をしていこうというものであります。
 少し補足をいたしますと、認定講習については、今現在、新型コロナ感染症の感染拡大の防止のため、昨年度、令和2年度は中止、それから令和3年度について、今年度については、規模を縮小いたしまして、夏は実施できなかったので、冬休みに実施するという状況であります。通常のときはどれぐらいの規模でやっているのかということを少し申し上げますと、令和元年度のときは約900人ぐらいが、実人数として900人が受講をいたしました。領域としては、全5領域、講座数は全部で26講座でありました。
 それから、認定通信教育につきましては、特総研などでやっているものについては無料ですけれども、それ以外の、私どもは今、放送大等を使っておりますけど、こちらについては費用がかかりますので、こちらの部分を支援しております。免許取得を要件としておりまして、約5万円のお金を支援するというようなものでございます。
 平成27年度ぐらいから実施しておるんですけども、これまではそれほど規模としても多くなかったんですけれども、今年度、コロナの感染拡大防止ということで、なかなか認定講習ができないという状況でありましたものですから、認定通信を御利用いただく先生が増えまして、今年は今、180人ぐらい受講エントリーをしています。
 それでは、次のスライドをお願いします。次は特別支援学級、こちらは学級のほうの担当教員の免許の取得促進であります。こちらも現在の取組でありますけれども、特別支援学級担当教員、こちらの方に対して特殊免許の免許法認定講習、これを先ほどと同様に、夏季休業期間中等に開講しておるところであります。それから、今年度から開始したんですが、令和3年度から開始しました、特別支援学級担当教員が今度は通信教育、免許法認定通信教育を受講し、免許を取得した場合に、受講費用の補助も特別支援学校と同様にやっていくということ、これを継続してまいります。
 なお、規模的なもの、先ほどの認定講習、夏に行っている認定講習につきまして、約900人ぐらい受講していますということを申し上げたんですが、これが約半分ぐらいが、こちらの特別支援学級の先生方であります。
 それから、次のスライドをお願いいたします。こちらのスライドからは、実は来年、令和4年度からの実施を目指して今、検討しているものであります。予算編成の調整中ということでありますけれども、特別支援学級のうち、特に教員の数も多いところに焦点を絞って授業を実施していきたいというものであります。
 まず、1つ目のポツのところであります。固定学級の中では、知的障害学級に在籍する児童・生徒数の割合が多いということを踏まえまして、知的障害学級の担当教員のうち、当然免許を持っていない方を対象に、免許取得の前段階、前の段階として、免許法認定通信教育の、こちらは知的に関する科目を受講して単位を修得した場合について、その単位の取得にかかった費用を補助するということを検討しておるものであります。
 それから、次のポツであります。それから通級指導学級、こちらについてでありますけれども、特別支援教室、東京都の場合は、特別試演教室というんですが、これは全国で言うところの情緒障害等通級指導学級と大体同じなんですけれども、全国の場合は、子どもさんが教室のほうへ集まってくるイメージだと思いますが、東京都の場合は、先生が各学校を巡回するような形を取っておりますので、名前が変わっております。戻りますが、特別支援教室に在籍する児童・生徒の割合が非常に多いということを踏まえまして、特別支援教室の担当教員のうち、当然免許を持っていない人に対して、今度は免許法認定通信教育の発達障害、こちらに関する科目を受講して単位を修得した方に対して、受講費用をこれからやっていきたい、そのように考えておるところであります。
 次のスライドをお願いします。あわせて、次が通常の学級の教員に対する理解促進、発達障害に対する理解促進であります。発達障害の可能性のある児童・生徒は、通常の学級を含めて、全ての学校が県に在籍していると考えられますので、全ての教員の発達障害に関する理解、そういったところを高めていくことが重要だと考えております。そこで、通常の学級を含めた都内公立学校の全教委、教員全体が、これらの基礎的な知識等を習得し、理解することができるよう、同様に免許法の認定通信教育の発達障害に関する科目を受講して単位を修得していただいたという方に関しては、新たに受講費用を補助するということを検討しておるところであります。
 以上、3点ほど、検討中のものについて御紹介をいたしましたけれども、いずれも通信教育を利用するということ、それから免許に至る前の前段階としての単位でもいいですとしたところが特徴的なところであります。
 免許に関しましては以上でありますので、これから山口のほうに交代したいと思います。
【東京都教育委員会(山口)】  それでは、次に、異校種期限付異動による専門性の向上について、御説明いたします。
 まず、(1)として、異動の仕組みでございますが、マル1として、現在、都教育委員会では、異なる学校種別で勤務し、多様な経験を積んだ専門性の高い教員の確保や、その育成、活用を図る観点から、小・中・高校と特別支援学校との間において、3年間の異校種期限付異動を実施し、教員の特別支援教育に関する専門性を高める取組を行っております。
 マル2といたしまして、今後もこうした異校種間での人事異動を一層促進する中で、異動期間中に得られた知識や経験を異動前の学校や区市町村教育委員会により実効的に波及させていくためには、期限付異動期間中の、さらなる意図的、計画的な人材育成が必要です。規模としては、特別支援学校から小中高、小中高から特別支援学校にそれぞれ異動した総数は、毎年おおよそ40名程度となっております。
 次に、マル3として、今後のこととなりますが、教員の公募、異校種への移動、異動先から戻った後の成果還元という異校種期限付異動の一連の流れをより計画的に進めるために、管理職及び教員向けに育成ガイドライン、これは仮称でございますが、を策定することなどにより、人材育成を推進していく予定です。
 次のスライドに移ります。(2)特別支援学校の教員の育成ですが、特別支援学校の教員は、小・中・高校に3年間の期限付で移動することで、小・中・高における集団指導や教科指導の経験を通じて、特別な支援を必要とする児童生徒が抱える困難さへの理解を深めることができます。特別支援学校に戻った後は、特別支援学校におけるセンター的機能の充実に寄与する人材となるよう育成していきます。
 次のスライドに移ります。小・中・高校の教員の育成についてですが、マル1として、特別支援学校の教員が小・中・高校に3年間の期限付で異動することで、授業の中でのOJTや校内研修会での講師をすることなどで、異動先に在籍する教員の特別支援教育への理解を促進し、指導力向上の役割を担います。
 マル2として、小・中・高校の教員が特別支援学校へ3年間の期限付で異動し、障害の特性に応じたきめ細かい指導を経験することで、小・中・高校に戻った後は、特別支援学校との連携を推進する役、区市町村における特別支援教育の研究会等で情報提供する役など、地域の特別支援教育を推進する役割を担う人材となるよう育成していきます。
 次のスライドに移ります。3として、短期人事交流による専門性の向上について御説明をいたします。まず、(1)として、交流の仕組みですが、小・中学校の特別支援学級担当教員と、特別支援学校教員を1年間の期限付で相互に派遣する短期人事交流をモデル実施し、その効果を検証していきます。
 次のページに移ります。(2)として、特別支援学校の教員の育成ですが、特別支援学校における指導の中には、集団に対する学習指導や生活指導に関する専門性が養われにくい一面があります。短期間であっても、小・中学校での実務を経験し、多数の様々な児童・生徒に対する状況に応じた学習資料や生活指導、保護者対応を行うことで、専門性を広げる貴重な機会となります。身に付けた知識や経験を特別支援学校に戻って還元することで、より小・中学校の実績を踏まえた適切な支援ができ、特別支援学校のセンター的機能を発揮する際の活躍が期待されると考えております。
 (3)として、次のスライドに移ります。小・中の教員の育成ですが、特別支援学級を担当する教員には、特別支援教育に関する専門性がより求められます。短期間でありましても、特別支援学校での実務を経験し、障害特性や一人一人の教育的ニーズに応じた支援や指導を行うことで、特別支援教育の本質を理解する貴重な機会となります。身に付けた専門性や実践力などを元の所属の小・中学校の特別支援学級等に戻って還元することで、指導力の組織的な向上が期待されると考えます。
 次のスライドに移ります。最後に、4、特別支援学級での勤務経験を活用する異動の実施ですが、こちらは小・中学校の教員異動の配置の考え方とも言えます――に関しまして、来年度より、特別支援学級中核教員の認定を予定しております。小・中学校の特別支援学級では、年度末の学級数の増減に伴いまして、指導経験豊かな教員が人事異動により転出し、新規採用者など指導経験の少ない教員の割合が大きくなる傾向がございます。そこで、特別支援学級での勤務経験や特別支援教育に関する専門性を有し、熱意のある教員を中核に据えることで安定した人材育成を図り、特別支援学級の組織体制を強化してまいります。
 具体的には、特別支援学級での勤務経験や一定の専門性を有する教員を特別支援学級中核教員として認定し、認定された教員を中心に、小・中学校の特別支援学級を運営していくことで、校内の特別支援学級担当教員の育成を図っていきたいと考えております。
 以上です。
【加治佐座長】  ありがとうございました。
 それでは、質問や御意見をお願いしたいと思います。木舩委員、お願いいたします。
【木舩委員】  九州産業大学の木舩でございます。どうも御発表ありがとうございました。
 最後のページの4、ここの一番下の丸なんですけども、中核教員として認定された教員を区市町村教育委員会の状況に合わせて計画的に配置するとあります。これは以前、平成24年の共生社会の形成におけるインクルーシブ教育システムの会議で報告されたような中で報告された、スクールクラスターというものをつくった上で、スクールクラスターの中に計画的に配置しているということなんでしょうか。というのは、区市町村教育委員会の状況に応じてとありますので、簡単にまとめますと、スクールクラスターというものを想定して、これを配置していくのかという御質問でございます。よろしくお願いいたします。
【東京都教育委員会(山口)】  これは通常の学級の経営でということで、スクールクラスターを前提にしてはございません。
【木舩委員】  ありがとうございます。スクールクラスターというものをこれから念頭に置いて進んでいくという方向性については、いかがでしょうか。今のところ、答えられますでしょうか。
【東京都教育委員会(島添)】  特別支援教育指導課長の島添でございます。
 これは計画するに当たって、今、山口のほうが申し上げたとおり、区市町村教育委員会の状況というのは、人事異動の状況ということでございまして、特にそこのスクールクラスターのところまで考えているところではないということです。
【木舩委員】  ありがとうございます。
【加治佐座長】  森委員、お願いいたします。
【森副座長】  滋賀県教育委員会、森でございます。ありがとうございます。2点質問をさせてください。
 免許取得の取組におきまして、補助制度を積極的に取り入れていらっしゃるということで、1つお伺いしたかったのは、免許にしてもいろいろな資格、民間の資格等もございますけれども、そういったところも個人の免許や資格になっていくんですけども、補助されることで、そこは補助制度をされた効果というのは絶大なものがあったのかということでお聞きしたいと思っておりまして、先ほど、今、言いました、民間の通級による指導の場合は、アセスメント力とかがかなり高いものを要求されるので、特別支援教育士ですとか臨床発達心理士、国家資格になりましたけども、こういったものを取得する教員もたくさん出てきていますが、そこからは声として、公的な補助があればということも聞くんですが、その状況について、1つの質問に2つ入ってしまっていますけども、お願いします。
 2点目は人事交流についてです。3か年の交流ということですけども、これは希望制でいらっしゃるんでしょうか。本県においても、3から5年の公私間交流と、もう一つは、なかなか本人が希望しても学校の体制上、出しにくいということがありましたものですから、今はもう一つ、長短期の3か月の小・中学校から特別支援学校という交流も行っておりまして、これなら希望すれば、ある程度できるということになっております。希望の有無等々をお伺いしたいです。よろしくお願いいたします。
【東京都教育委員会(荒木)】  それでは、免許に関しまして、荒木のほうからお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、免許の取得費用の補助という観点でありますけれども、さきに申し上げたように、実は27年度から、この制度を開始はしておったんですけれども、皆さん、取得については、認定講習のほうがなじみ深いようで、ほとんどの場合は認定講習のほうに流れていったと。今年度から、コロナ禍の状況に合わせて、通信教育を利用していただく方が大幅に増えてきたという観点のように思います。ですので、おっしゃっている効果という点では、何が因果関係まで、そこまであるかというのは、何ともまだ現時点では言えませんが、少なくともコロナなり、何なりで、いわゆる集合して開催することが難しい中で、通信教育の有効性というものを認識してくれた方が、今年度において180人近くいたのではないかということは言えるかと思います。
 それから、次に免許以外の資格についてということであると思います。これは、特別支援における、いわゆる資質能力を何としてみる、何をもって資質能力を測るのかという根源的な問題に直結していると思います。ですが、一方で我々、都教育委員会におきましても特別支援学校、それから特別支援学級においての免許の取得率というのは、政策的な目標として1つ掲げております。となると、都民、国民の中から、分かりやすいものの1つとして、全てを全てやっていたとしても、これは、この資格は何ですかと聞かれても困りますし、この部分については、少なくとも現時点では、ほかにある資格等を何か駄目なものと考えているわけではございませんが、我々として分かりやすく、そして今回のものとして、政策目標として掲げている、これにまずは向かっていこう、まずはと申し上げますが、伺っていきたいというものであります。
 こんな形でよろしいでしょうか。では、次をお願いします。
【東京都教育委員会(山口)】  人事交流についての御質問についてお答えいたします。
 まず、1つ目の希望制かどうかということでございますが、今までは希望制でやってまいりました。ただ、希望制で書類選考、また、面接等もございますので、必ずしも希望に沿った形で期限付の交流ができるということではございませんでした。次年度以降も、基本的には希望制、そしてまた、選考等もすることにはなるのですけれども、全体の中で、まだ2割ほど異校種期限付の交流ができていないような地区もございますので、今後は地域バランスも含めて考えて、教員の希望だけによるのではなく、その辺、希望がない場合にでも、ない地域にどうやってやっていこうかということも考える必要があると考えております。
 また、来年度から考えております、短期交流につきましても、原則は希望制ということを前提としつつも、今、こちらについては、まだやり方を検討中でございまして、なかなかセンター的機能を持つ特別支援学校と、それに対応する小・中学校との間でと考えているので、希望だけに頼っていますと、また、人選ができないようなことも考えられるため、今、制度を構築中で、検討中ということでございます。
【森副座長】  ありがとうございます。本県も希望だけでもちろん動くわけではないんですけども、今後も検討は必要かと思いましたので、お聞かせいただきました。ありがとうございます。
【加治佐座長】  ありがとうございます。いかがですか。
 それでは、私のほうから今の御質問、御回答と関連しますが、希望制であると、これは、先ほどたしか毎年40人ぐらいとおっしゃったと思いますが、東京都という人口の非常に多いところ、教職員数の多いところからすると、それほど多くないのかという気がします。この取組は、特別支援教育の理解を全教員に広げる、全学校に広げる、あるいは専門性の高い方を養成するという意味で非常に意味があると思います。ただ、先生方が、ある意味で、特にどちらもそうですか、特にいわゆる小中高から特別支援学校に行くというのは、なかなか新たな負担というようにも捉えられると思うんです。何らかのインセンティブなり、刺激策なり、そういうものも必要なんじゃないかという気もするんですが、そこらはいかがでしょうか。
【東京都教育委員会(山口)】  現在は、小・中・高の特別支援学級や特別支援教室に在籍している教員が、より自分の専門性を高めたいということで、特別支援学校に期限付で異動するというところ、基本はそれだけになっております。
 確かに、東京都の教員の規模からすると、あまり全体としてそんなに多くないところでやっているというところがございまして、ただ、特別支援学校が全部で現在57校ですので、その中で3年間、大体毎年1人は受け入れていると。どこの学校でも1人を受け入れて、それで3年間というところで、今ぐらいの規模かというところがございまして、ですので、インセンティブがなくても、大体今ぐらいの規模ですと皆さん自発的にやってきてくださるというところがございます。
【加治佐座長】  分かりました。特別支援学級の先生が特別支援学校に行かれるということですね。分かりました。
 それでは、よろしいでしょうか。東京都さん、どうもありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、4番目、最後になりますが、長崎県教育委員会、義務教育課の大場祥一人事管理監より、資料6に基づいて、御報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
【長崎県教育委員会(大場)】  検討会議の皆様方、こんにちは。私は長崎県教育庁義務教育課で人事管理監を拝命しております、大場祥一と申します。検討会議に「長崎県の特別支援教育に係る取組の現状と課題、そしてこれから」という題をつけまして、お話しをする機会を得たこと、長崎県教育庁義務教育課の小中学校人事班として、誠に光栄に思っております。
 本日いただいておりました、お題の3点、人材育成、キャリアパスを念頭に置いた採用、配置、異動、そして配置の考え方、小・中学校等の校長等に求められる資質能力の育成、教員養成、研修、管理職育成等における大学との連携について、本県のこれまでとこれからについて、その状況を説明させていただきます。
【山田特別支援教育課長】  大場課長、カメラをオンにできますか。
【長崎県教育委員会(大場)】  どれかな。カメラはどうすればいいの。入っていますか。
【山田特別支援教育課長】  まだ拝見できません。ごめんなさい、時間もあるので進めていただけますか。すいませんでした。映りました。ありがとうございます。
【長崎県教育委員会(大場)】  出ていますか。
【山田特別支援教育課長】  はい。
【長崎県教育委員会(大場)】  いいですか。
【山田特別支援教育課長】  大丈夫です。
【長崎県教育委員会(大場)】  まず、1点目の人材育成、キャリアパスを念頭に置いた採用、配置、異動、そして配置の考え方、このことについて、一定の成果を得ていると私どもは捉えております。指導教諭の配置と、それに至る背景について、目的など基本的な考え方、指導教諭の役割、その後の活躍についてお話をさせていただきます。
 まず、背景を含めた経緯についてでありますけれども、本県では、長崎県特別支援教育推進基本計画を平成23年度に策定し、障害のある子どもたちの教育の充実に努めてまいりました。平成25年度から27年度にかけて、特別支援教育地域支援事業を実施し、地域の特別支援教育のリーダー的人材を育成する研修に取り組んでまいりましたこともその1つであります。その当時、検討に活用した資料を2枚目以降、示しておりますが、小・中学校における特別支援学級や通級指導教室の設置数が大幅に増加しており、そこで学ぶ児童生徒の障害の重度、重複化、多様化が進んでおりました。
 このような中、特別支援学級や通級指導教室を担当する教員の中には、初めて特別支援教育に携わる者や経験の浅い者も少なくなく、特別支援教育に携わる者の専門性をいかに向上させるかが本県の大きな課題となっておりました。また、通級学級にも、特別な配慮を要する児童生徒が一定程度、在籍しており、特別支援教育の核となる教員を中心にしながら、特性に応じた適切な支援や学びやすい事業づくりなど、全ての学校で特別支援教育を全県的に、組織的に、計画的に推進することの必要性を関係者一同が実感する状況となっておりました。
 そこで、特別支援教育に係る文部科学省や本県独自の研修を実施することを通して、特別支援教育に関する高い指導力等を備えた者を指導教諭へ任用することで、これらの長崎県の現状や課題に対応しようと考えたのであります。つまり、特別支援教育に関する高い指導力等を備えている者を指導教諭に任用することで、所属校において、授業を受け持ちながら、特別支援教育コーディネーターを務めるとともに、所属する学校のみではなく、配置市町内の学校の児童生徒の実態を踏まえ、他の教員に対して特別支援教育に関する指導、助言を行うことを目的として、その役割として、平成27年度から特別支援教育の充実に向け、その特別支援教育に特化した指導教諭という形で配置をしたのであります。
 配置を希望する市、町に1名ずつ配置をしております。5名の配置からスタートをして、現在11名の配置となっております。成果としては、月の半分くらいは配置市町内の学校への対応ができております。特別支援教育担当者への児童生徒や、通常学級での配慮を要する児童生徒への対応、課題、疑問、困り感などへ様々な支援ができていることが成果として挙げられます。この中から教頭等の管理職へ昇任させることも指導教諭を配置した目的の1つとしております。この狙いとして、指導教諭の経験の中で、学校の特別支援教育に関する課題に向き合わせること、また、通常学級における支援を必要とする児童生徒へのユニバーサルデザインの視点による指導、支援の在り方を模索させること、それらのことをキャリアパスとさせたいと考えたわけであります。
 先ほども申し上げましたが、長崎県では学級担任を持たせず、授業時数も一定軽減し、特別支援教育に特化した指導教諭を11名、定数に加えて配置することができております。今後、国からの指導教諭のための加配等の支援をいただければ、当初の目的であります、本県21市町の学校に配置すること、1名は可能となると思いますので、未配置市町の求めに応えることができること。また、1つの課題となっておりますが、中学校に配置が1名でありますので、こういった小・中学校の切れ目のない支援が可能となると考えております。中学校の指導や支援が実践的な指導、助言となることも期待できていくと思いますので、これまで以上の御支援をいただきたいと考えておるところでございます。
 続きまして、校長が管理職を特別支援コーディネーター、教育コーディネーターとして任命することの意義、メリット、成果、その後のキャリアパスにどう役立っていっているのかということについて、お話をいたします。
 まず、現状についてですが、管理職員が特別支援教育コーディネーターを兼ねているのは、小学校で29校、中学校で5校であります。合計としては、34名の職名別の内訳が、副校長が小学校に2人おりますが、残りは小・中学校全てが教頭ということになります。32名であります。管理職員が特別支援教育コーディネーターを兼務している学校の意図としては、特別支援教育コーディネーターを複数配置することの必要性から、管理職員と管理職以外で、その役割を担当させるというもの。あるいは小規模校であり、教職員数が少ないため、校務分掌の一部を教頭が担当するという考え方の下等があり、様々であります。
 その意義や成果として、そこに書かれておりますが、管理職員である教頭が兼務することにより、市長、教育委員会をはじめ、関係機関との連携、調整が円滑に行えるようになったこと。特別支援関係の保護者対応時に特別支援教育コーディネーターである教頭が対応することにより、保護者からの信頼度が高まったこと。校内特別支援教育体制について、他の教職員からの信頼度が高まってきたこと。校内特別支援教育体制について、教頭が兼務していることにより、情報が整理され、校長や保護者、外部との情報共有が円滑に行われるようになったこと。また、教頭を含んだ特別支援教育コーディネーターのチームにより縦の連携、あるいは方針の共有や支援の必要な児童生徒の保護者との対応も円滑になったこと。管理職員が特別支援教育コーディネーターを兼務することにより、経験値が蓄積されてきていることなど、校内外における意義、メリットが多数上がっております。この役割を通した特別支援教育への理解と経験が、やがて校長となるにおいて、指導管理経営にされ、多様な教育的ニーズのある子どもがいることを前提とした学校経営につながっているところであります。
 一方で、教頭業務が多忙であることには変わりはございませんので、特別支援教育コーディネーターの関係の業務が優先度として低くなってしまう場合があるようです。教頭業務の精選を図って、学校運営における特別支援教育の力強い展開をより可能とするためにも、教頭業務を助ける人事配置や支援が模索できないか、いただけないかと考えているところです。学校における働き方改革と絡めた、国の抜本的改革もお願いしたいところであります。
 本県では、長崎大学大学院との連携により、教員の資質向上の一環として、希望する教職員を長崎大学大学院に1年、ないし2年間派遣し、研修させる制度を設けております。目的として、的確な子ども理解力を起点とした現場力の育成を目指し、児童生徒のニーズに的確に対応できることができ、学校現場でリーダーとなれる教員及び学校の機能を向上させるためのマネジメント力を備えた教員を養成することとしております。
 派遣先の長崎大学大学院には幾つかのコースが設定されておりますが、特別支援教育の学びを学校現場の教育活動に生かしていくこと、そのコースとして、特別支援教育を主とした、例えば、子ども理解特別支援教育実践コースが挙げられます。狙いとしては、子どもたち一人一人の個性と教育的ニーズを的確に把握し、その指導と支援を行うことができる高い専門性と知識、豊かな実践力を持つ教員を養成することとしてあります。履修科目としては、特別支援教育のシステム論、特別支援アセスメント事例研究、発達障害児の理解と支援、特別支援教育の整備、病理学、肢体不自由児の理解と支援、病弱児の理解と支援、あるいは重度重複障害児の理解と支援などが設定されており、障害のある子、もしくは障害の可能性のある子どもの障害の実態や発達に関連した諸課題など、それぞれのニーズ、課題に合った教師の対応力を養っています。
 また、管理職養成コースというのがございます。長崎県の校長等としての資質の向上に関する指標を踏まえ、高い実践力を持ったスクールリーダーとしての資質、あるいは学校教育の現代的課題を解決する実践力、よりよい学校組織を構築するマネジメント能力を高めております。その中の1つとして、特別支援教育に関する理念を理解するとともに、全ての児童生徒の発達を支援する学校教育を組織的に展開していく、その資質能力を育成することを目指して、特別支援教育の理解と実践や特別支援教育コーディネーター論、あるいはインクルーシブ教育システムの構築などについて学ぶように設定をされております。
 特別支援教育を教育活動の重要な視点の1つとして、学校経営を展開する管理職員を即戦力として養成するコースとしてしつらえられております。過去3年間で、20名の修了生がおり、そのうちの5名が校長職、10名が教頭職、主幹教諭として1名がそれぞれのキャリアの中で、自身の職名として、学校経営に生かしているところであります。本年度は6名の者が学んでおります。一人一人の児童生徒の実態に合わせて的確に対応できる人材育成にもつながっていると考えております。
 最後に、子ども理解・特別支援教育実践コースの学びを教諭として、そして、主幹教諭として、学校で展開してきた女性教頭がおります。その者の言葉を最後にお伝えして、私の説明を終わりたいと思います。
 読み上げますが、「私は、特別支援の免許を持っていなかったため、大学院では、それまで学んだことがない内容があり大変であった。しかし、学んだことがないことだからこそ、役に立ったことも多い。特に、2年前5年生を担任していたとき、登校傾向もある2名の児童が在籍していたが、当該児童はもとより、保護者との連携を深め、安心して学校に来れるようにできたことは、大学院での学びの成果の1つであると。現在、教頭として努める中で、職員から相談を受けることも多いが、支援の仕方等について学んだことを生かして具体的なアドバイスをすることができている。また、大学院で紹介された書物などを職員にも伝えることができている。加えて、保護者との面談も多いが、子どもの支援について、視点を明確にして話をすることができ、信頼関係の構築につながっていると感じる」というものです。
 以上、説明として具体性を欠き、皆様の求めに合致したものとなったかどうか不明でありますけれども、長崎県の特別支援教育に関わる取組の現状や課題についての説明を終わります。ありがとうございました。
【加治佐座長】  ありがとうございました。
 それでは、御質問などをお願いいたしたいと思います。安藤委員、お願いいたします。
【安藤委員】  話題提供ありがとうございました。大変興味深く拝聴いたしました。
 それで、今回、お話しいただいた中で、指導教諭のことについて何か補足等ございましたら、お話いただければと思っております。個人的には、ずっと今まで話題になった特別支援学級等の担当者の専門性をいかに向上させるかというときに、免許を取ってもらって、その専門性を育成する、確保するというのが第一前提、条件となってくると思うんですけども、しかし、なかなか校内の人事、あるいは学校間、人事のルールの下で人が定着しない、短期間で人が変わるという中で、どうしても免許の保有率も上がっていかないというのも現状だと思うんです。そういう中で今回、学校に着目するんじゃなくて、地域の中でこれを支えていく体制をつくるという意味で、指導教員というのはとても有効なのかと思っております。
 そこで、長くなって申し訳ないんですけども、2つ質問ございまして、これらの指導教諭という方については、資料にも書いてございますけども、具体的にどのような基準で選考されるのかということを、もう少しお教えいただくといいかと思いました。
 それから、もう一つは、これらの先生は、いわゆる特別支援教育に関して専門性が高いと。あるいは、職務としては、かなり多岐にわたる業務を担うことから、それなりの負担というのも生じてくると思うんです。そういう中で、担当する先生の何らかのインセンティブというものがあるのか、付与するような考え方を持って臨んでいるのかどうか、この2つについて御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【長崎県教育委員会(大場)】  ありがとうございます。冒頭の中でお話ししたように、求められるものが特別支援に関する経験が少ない者が、どんどん、どんどん特別支援学級が増えていくことで、それを担当する時が来ておりまして、特別支援教育地域推進支援事業というものを、当初は特別支援教育室が3年間の計画でやっておったんですけども、それは簡単に言えば、裾野を広げるということになります。その指導教員が、おっしゃっていただいたとおり、市町で力を注いでいく、支援をしていくということになります。
 具体的な基準の選考ですけれども、これはそれぞれの市町で活躍をしている特別支援教育にたけた者、文科省のそういう研修を受けた者、あるいは長崎県で独自で行っている研修を受けた者の中で、経験値の豊富な力量、知識を有する者を本人の意思を基に、市町の教育委員会から推薦をして、もちろんある程度の選考のための基準のある論文を書いたりであるとかという選考基準はございますけれども、市町から推薦をいただくと。その中で、指導教諭として抜てきできるかどうかということを選考しております。
 多岐にわたる業務になりますので、負担は多うございます。しかし、先ほど申し上げたとおり、学級担任はさせないと。しかしながら、授業を受け持つという中で、それぞれの市町で活躍をしてもらうということで、一定の軽減をしながら各市町の特別支援教育のリーダーとして、裾野を広げていくということをしているところです。
 以上でよろしいでしょうか。
【加治佐座長】  それでは、木舩委員、お願いいたします。
【木舩委員】  どうも御発表ありがとうございました。
 お話を聞いていて思ったのは、東京都教委さんの中核教員と共通するものがあるということを感じました。画面としては、先ほどの絵を出していただきまして、これを拝見しまして、先ほど申しましたインクルーシブ教育システムの報告のスクールクラスターと非常に共通するものがあると感じました。こういう形で特別支援学校の先端的機能プラス地域の小・中学校のどれかが、また、地域のセンター的機能を発揮するということは非常に有効じゃないかと感じております。
 そこで質問ですけれども、先ほどの質問と同じく、長崎県では県内のスクールクラスターの構築について、取組の状況なり、何なりはいかがでございましょうか。
【長崎県教育委員会(大場)】  スクールクラスターとしての取組という部分については、特別な仕組みを持って運用はしておりません。ただ、しかしながら、この絵に出しておりますとおり、市町で任用した指導教諭において、これが市内の小学校、特別支援学級の担当者、様々な者からの疑問やら投げかけがあったときに、そこに出向いていって直接、お話をして広げていく。あるいは、その市の中での研修会の中で、指導、助言をする、講師として話をするということで広げていくということは続けておりますけれども、意図的にクラスターを起こそうとしているところではございません。結果的にそうなっているのかもしれませんけれども。
【木舩委員】  どうもありがとうございました。
【加治佐座長】  それでは、もう少し時間がありますが、いかがですか。
【樋口委員】  お願いします。
【加治佐座長】  それでは、橋口委員と坂越委員ですね。じゃあ、樋口委員からお願いします。
【樋口委員】  すいません。もし時間があるのでしたらということでお願いします。
 教頭先生の特別支援教育コーディネーターの兼務に関してなんですけれど、成果についてはよく分かります。学校で、校長先生の次に責任のある方が特別支援教育のコーディネーターをしてくださることで、非常に円滑に進むということなんですけれど、特別支援教育コーディネーターはそもそも、期待というところで、特別支援教育の専門性のあるものが校長、教頭と、もう1人、またいるということで、校内の委員会をまとめてという、そもそもの思いがあったと思うんですけれど、これで教頭先生の職務が超多忙になるんじゃないかということと、先ほどの指導教諭も特別支援教育コーディネーターとして活躍するというあたりの、教頭先生のお仕事をどうするのかということと、指導教諭の特別支援教育コーディネーターを務めるというところの整合性というのはどのようになっているんでしょうか。お願いします。
【長崎県教育委員会(大場)】  教頭が特別支援教育コーディネーターを務めるということについては、実際、39という数を申しましたけれども、ある市においては、教頭が特別支援教育コーディネーターを兼ねなさいということを求めているところもあります。その市の小学校においては、25%を占めております。このことは、その力量がある特別支援コーディネーターと教頭が様々な場面の窓口になることで、その力量をお互いにシェアしていくというか、高めていく。教頭の特別支援教育に対する造詣も深くなっていくという意図があります。
 それから、指導教諭との違いという部分については、特別支援教育コーディネーターを務めるのは、その市町の考え方もあるんですけれども、指導教諭として活躍するというのは、どんどんこれは裾野を広げていきたいということの市町の思いとの部分になりますので、そこが求めというか、スタートラインが違うと私どもは捉えているところです。
【樋口委員】  分かりました。ありがとうございます。
【加治佐座長】  坂越委員、お願いいたします。
【坂越委員】  広島文化学園大学の坂越です。よろしくお願いします。
 発表されていないことをお尋ねするのは大変恐縮なんですけど、長崎大学の大学院と連携しながら専門性を高めていらっしゃるということはお話しいただいたんですが、養成する大学のほうとしては、学部の教員養成に関して、実践現場とどういう連携があるのか、もちろん特別支援学校教諭免許を取る人たちは実習を受け入れると思うんですけど、それ以外に、一般に教師を目指す人たちが何かボランティアを受け入れたりとか、もしそういう情報がありましたら教えていただきたいと思いまして。
【長崎県教育委員会(大場)】  大学の中にも、どこの県にもありますけれども、附属小・中学校であったり、附属特別支援学校というのがありますが、そういった場面に出向いていって、少しボランティア的なことの中で力量を高めていくということも大学の中であっているようです。そういう情報は得ております。
【加治佐座長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 以上、今日は4件の御発表をいただきました。最後の長崎大学の御報告、本当にありがとうございました。
 4件、御説明いただきましたが、それぞれ言わば、特別支援教育についての先端的な取組をされているということがよく分かりました。特に印象に残ったことを一言ずつ申し上げますと、まず最初の群馬大学、宇都宮大学の事例は、特別支援教育を充実させる、この場合は5領域の免許を出す体制を整えるということですけども、資源の集約といいますか、集約することによってとりわけ地元の期待に答えられるということがある、そして、できているということを強く感じました。
 それから、2つ目の札幌市立の神陵小学校は、北海道札幌市の人事政策が、特別支援学級の先生方を、その者として選考するということで、その後も原則としてお勤めいただくということで、特別支援学級の教員の育成ということに非常に力点が置かれているということと、それから、学校の中での、これは小学校ですけれども、十分に共通理解とか、あるいは共通の取組を個々の子どもの立場に立ってつくっていくということがよくなされているのかと思いました。
 それから、東京都の場合は、こちらは免許取得への支援と、そして異動による配置、特別支援学校と通常の学校の特別支援担当の教員ということでしたけれども、そこの交換を通じて、特別支援教育を担う中核的な教員を育成しようという非常に積極的な取組だと思いました。
 そして、長崎県教育委員会、指導教諭の新たな役割付与といいますか、そういうものがされているということです。特別支援教育に特化したような指導教諭の地方への配置、しかも、これが地域単位での活用になっているということです。それから管理職養成にも力を入れておりまして、教頭が特別支援のコーディネーターを兼務するとか、あるいは、長崎大学の教職大学院での力量育成を図っているということで、管理職の育成の仕方としても大きな参考になったかと思います。ありがとうございました。
 それでは、今回、御発表のありました取組や課題、委員の皆様の意見交換の内容を踏まえまして、私と森副座長で事務局と相談しつつ、次回、第4回の会議の際に議論の土台となる論点整理案を提示したいと思います。委員の皆様におかれても、引き続き、御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、次回の日程等について事務局から説明をお願いいたします。
【小林特別支援教育課企画官】  事務局でございます。
 資料2にもございますけれども、次回の会議、第4回会議は1月24日の4時から6時に開催させていただきます。御参加いただけない委員の方には、別途御意見を聴取する場を設けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【加治佐座長】  本日の議事はこれで終了となりますが、最後に、本検討会議のオブザーバーである国立特別支援教育総合研究所の宍戸理事長から、本日のヒアリングと意見交換について、一言お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【宍戸オブザーバー】  すいません、特総研の宍戸です。ありがとうございます。
 養成、採用、研修、教員の3つの循環をどのように円滑に図るかというのが、きっとこの在り方を考える上で重要なんだと思いながら聞かせていただきました。それで、最初、共同教育学部については私も興味があって、その内容が分かったということで、とても有意義だったと思います。現在、コロナ禍でオンライン授業とかありますが、それをもう少し確認をして考えると、工夫次第ではこういうことも可能なのかということで、ぜひ各地で、それぞれの特色に応じて、こういう試みをやってもらうといいかと思いました。
 それから、もう1点は、ほかの発表の中でも大事だと思ったのは、校長先生方の指導力、マネジメント力が大事なんだということを改めて考えさせていただきました。札幌市の交換授業や東京都の人事交流、そして長崎県の指導教員の活用、これはいずれも教育委員会の仕事ではあるかもしれませんけども、それに基づいて行う具体的な取組は校長先生の指導力によるんじゃないか、マネジメント力によるんじゃないかと思いましたので、そういう意味でのこれからの管理職の方々の御尽力に期待したいと思いました。
 以上です。
【加治佐座長】  宍戸理事長、どうもありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会させていただきます。本日は御出席を賜り、誠にありがとうございました。これで終わります。
 
── 了 ──
 

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