「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議(第8回)議事録

1.日時

令和4年6月24日(金曜日)15時00分から17時00分

2.議事録

「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する
調査研究協力者会議(第8回)
令和4年6月24日
 
 
【荒瀬座長】  では、皆さん、こんにちは。荒瀬でございます。定刻を過ぎました。ただいまから第8回「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議を開催いたします。御多忙のところ、いつもありがとうございます。
 では、本日の議題並びに配付資料につきまして、松田参事官補佐から御説明をよろしくお願いいたします。
【松田初等中等教育局参事官(高等学校担当)付参事官補佐】  松田でございます。本日はありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。
 本日の議題と配付資料でございますけれども、資料1の論点整理案、こちらを基に御議論いただきたいと考えておりまして、また、これに関連した資料として、参考資料1から3までを御用意してございます。
 ウェブ会議システムを活用していただきますので、毎度のことになりますけれども、インターネット上で聞き取りやすいようにはっきり御発言いただく、御発言の都度、名前をおっしゃっていただく、発言時以外はミュートにしていただく、御発言に当たっては「手挙げる」ボタンを、また終わった後は「下ろす」ボタンを押していただく等の御配慮をお願い申し上げます。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 今日は、ヒアリング等はなしで、論点整理案について、時間いっぱい御議論いただくということでございます。よろしくお願いします。
 では、議事に入ります。資料1の論点整理案につきまして、松田参事補佐から御説明をよろしくお願いいたします。
【松田補佐】  それでは、私から資料1、論点整理案について御説明をさせていただきます。画面共有しながらお話しさせていただきます。
 まず、通信制高校を取り巻く現状・課題でございまして、通信制高校は、当初は勤労青年を主たる対象としておりましたけれども、現在は、不登校経験など、様々な事情を有する者が多数を占めており、制度の前提が変わってきているということ、また、広域通信制高校の設置者は近年急増している状況にあり、生徒数も大幅に増加しているということ、近年は、添削指導にインターネットを活用する学校等も見受けられるということ、一部の通信制高校においては、違法、不適切な学校運営や教育活動が行われている事例も見受けられるということ、こうした通信制高校の監督に関しまして、所轄庁に配属されている職員の多くが教職経験や教育行政経験がないために、専門的見地からの監督が実質的に困難であるといった課題や、広域通信制高校のサテライト施設が所轄庁の圏域を超えて教育活動を展開しているために、監督することが物理的に困難であるといった課題が生じているということを記載してございます。
 2つ目、基本的な考え方でございます。指導方法、指導体制に関しましては、令和3年1月の中教審答申で、個別最適な学びと協働的な学びの実現、これが示されておりまして、通信制高校においても、このような学びの姿を実現しながら、学習指導要領を着実に実施していくことが必要であるということ、また、学校には学習機会や学力を保障するという役割のみならず、全人的な発達、成長を保障する役割、また、福祉的な役割が求められておりまして、生徒一人一人の実態に応じて伴走して支援を行う体制を構築していくことが必要ということを打ち出しております。
 また、質保証の方策、所轄庁の在り方でございますけれども、令和3年3月に関係法令等を改正しておりまして、これらの遵守を徹底していくとともに、開かれた学校づくりを推進していくことが必要ということ、また、所轄庁に関しまして、国が中心となって所轄庁の指導力の向上を図っていくことや都道府県間の連携協力体制を構築していくことが必要ということを記載させていただいております。
 3つ目、考えられる対応策でございます。1つ目は指導方法の在り方で、その中でも学習量の確保ということを(1)で示しておりますけれども、高校の学習指導要領では、35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする旨が規定されておりまして、通信制課程においても、同等の学習量が求められることは言うまでもないものの、現状では、各教科、科目の1単位当たりの添削指導回数と面接指導の単位時間数が規定されているのみでございます。
 このため、1単位当たりの面接指導と添削課題、また、これに類するものも含めまして、これらに要する学習時間の総計が35単位時間以上となるように設計するなどして、高校の学習指導要領に定める目標を達成するように教育を行わなければならない旨を明記していくことが考えられるということを打ち出しております。
 また、添削指導、面接指導、試験の在り方に関しまして、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通じて、主体的・対話的で深い学びを実現していくということを令和答申でうたわれておりますので、これを促す観点から、現行のガイドラインの規定ぶりを改めて見直していくことが考えられるということで、具体的には、添削指導に関しましては、思考力、判断力、表現力を育む観点から、一定量、記述型を取り入れるべきことを明記していくことが考えられること。また、試験に関しましても同様に、一定量記述型を取り入れるべきことを明記していくこと。そして、面接指導に関しましては、年度途中で集中スクーリングを行う場合であっても、その後の生徒の学習上の課題を踏まえて適切に指導を行うことが可能な環境、体制を整える必要があることを明記していくことが考えられると書かせていただいております。
 また、添削指導、面接指導における主体的・対話的で深い学びを実現するためのモデル事業を国が行っていくことも考えられると書かせていただいております。
 また、メディアを利用した場合の面接指導時間数の減免に関しまして、現行制度ではメディアを利用して行う学習を継続的、計画的に取り入れた場合、その成果が満足できると認められるときは、各教科の科目の面接指導等時間数を減じることができるとなっておりまして、こちらのメディア利用の在り方に関しまして、例えば、少人数かつ同時双方向型で行うなど、個別最適で協働的な学びを実現する形での利用を推奨していくことが考えられるというように書かせていただいてございます。
 2つ目、指導体制の在り方でございます。現行制度においては、教員数の定めについて、5人以上とし、かつ教育上支障がないものとするとされております。これは、かつては生徒数に応じて教員数が規定されていたのですけれども、平成16年に規定の大綱化をしておりまして、今の書きぶりとなってございます。一方で、通信制高校においては、今、不登校経験者など、多様な生徒が多数在籍しておりまして、当初の勤労青年を対象の中心としていた時代とは状況が大きく異なっているために、組織的な学習支援体制の整備が従来以上に求められているということ、また、平成16年の大綱化以後に設置された私立の通信制高校では、旧規定を満たさない学校が58%に上っているという研究結果もあること、また、不適切な学校運営、教育活動を行っている学校も少なからず見られるために設置者の判断に委ねるだけでは十分な教員配置が実現できない可能性が高いこと、そして、個別最適な学び、協働的な学びの一体的な充実を通じた主体的・対話的で深い学びを実現していく必要があること、こうしたことを踏まえれば、指導体制を確実に確保していく必要があると。
 そのために、通信制高校においても、クラス担任制のように生徒一人一人の状況をしっかりと見て、適切な対応を取ることができるよう、例えば、必要な教員数の算定に当たっては、生徒数当たりの教諭等の数を設定していくことが考えられると記載しております。また、あわせまして、収容定員について、現行規模の下限を240人以上と現行規定は定めておりますけれども、こちらを見直していくことも考えられると記載しております。
 専門・支援スタッフの配置に関しまして、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、特別支援教育支援コーディネーター、こうした専門支援スタッフの配置について、後ほど御説明させていただきます、自己点検チェックシート、こちらに盛り込むなどして、改めて徹底していくべきではないかということを書かせていただいております。
 3、質保証の在り方でございます。令和3年3月に制度改正を行いまして、例えば教育活動等の情報公表を義務づけておりますけれども、いまだ適切になされていない学校も見受けられる状況でございます。また、学校教育法等に基づいて、自己評価の実施や結果公表が義務づけられておりますけれども、こちらの取組も必ずしも十分でない学校もいまだ見受けられるという状況でございます。このため、関係法令、ガイドラインで定める内容を実施できているか確認するための自己点検チェックシートを国が作成して、所轄庁を通じて各学校に活用を促し、改めて法令で定める事項の遵守を徹底していくことが考えられると記載させていただいてございます。
 また、サテライト施設の情報の整理、可視化というところでございまして、各都道府県に設置されている他の都道府県の所轄の最新のサテライト施設の情報、例えば施設名のほか、収容定員、生徒数、教職員数、立地など校舎に係る情報、各学校評価の実施状況等を含めまして、こうした情報を把握するすべが今のところない状況でございまして、国において、これを一覧化できるサイトを構築して、これをもって必要な情報を周知、共有していくことが考えられるということを記載させていただいてございます。
 また、第三者評価の活用促進でございます。現行ガイドラインにおいては、学校の実情に応じて第三者評価を活用することが考えられるという記載にとどまっておりまして、もっと積極的な活用を促す規定ぶりに変更する、自己点検チェックシートに盛り込んでいく、サテライト施設の情報を一覧化できるウェブサイトにおいて、第三者評価の実施状況も含めて公表、周知していくことが考えられる、そのような打ち出しをさせていただいてございます。
 所轄庁の在り方でございます。その中で、まず1つ目、所轄庁の指導力の向上でございますけれども、国において、通信制高校に関する専門家等をアドバイザーとして所轄庁に派遣するなど、各所轄庁における点検体制の充実に向けた方策を講じていくことが考えられると打ち出しております。もう一つ、所轄庁が設けている設置認可基準につきまして、所轄庁の参考となるような策定内容の標準例を国において提示すること、その際、子供たちの教育環境を確保するためには、全国的な少子化の状況を鑑みながら見込まれる入学生徒数の動向、また、学校が用意している指導体制、施設設備、こうしたものを踏まえて、適切に定員設定と設置認可をしていただく、また設置認可後のサテライト施設に対する適切な監督をしていただく、そうしたことを標準例の中に盛り込んで促していくことが考えられるということを書かせていただいております。
 また、あわせまして、所轄庁が通信制高校の教育の質確保・向上に重点的に取り組むことを可能とするために、所轄庁の広域通信制に関する事務で、現在、学則変更は全て認可事項としておりますけれども、教育の質確保・向上とは直接的に関わらない事項については、届出としていくことも考えられると記載してございます。
 また、都道府県間の連携協力体制の構築というところでございまして、所轄庁とサテライト施設が所在する都道府県間で協議をしていただいて、合同でサテライト施設に調査を実施すること、また、調査をサテライト施設が所在する都道府県に委託することなどを通じて所轄庁間の連携協力をより深める方策を検討して、この方策をガイドラインでも規定していくことが考えられるということを記載させていただいておりまして、また、各都道府県において、域内のサテライト施設の設置状況を把握することは適切な定員管理を行う上で必要なことでございますので、繰り返しになりますけれども、広域通信制高校のサテライト施設の情報を一覧で確認できるウェブサイトの活用などにより、これを担保する仕組みを検討していくことが考えられると記載させていただいてございます。
 「おわりに」のところ、こちらはまだ文章化できておりませんけれども、高校の多様性・共通性や、全日制・定時制・通信制の連携、第三者評価の在り方など、今後、通信制に限らず、高校教育全体で検討を要する事項を書かせていただきまして、次以降の検討につなげさせていただく、そうした形でまとめさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。これまでの皆さんの御議論、ヒアリングの中身も含めまして、大変丁寧に盛り込んでいただいたと思います。
 今からこれにつきまして、御意見を頂戴したいと思います。内容は、割と幅広くあるんですけれども、どこからでも結構ですので、御質問、御意見を賜れればと思います。ちなみに、何ページのどれかというのを御指摘いただきますと、皆さん、分かりやすくなるかと思いますので、よろしくお願いいたします。では、「手を挙げる」のボタンを押していただければと思います。いかがでしょうか。
 では、時乗先生、光富先生の順番でよろしくお願いいたします。
【時乗委員】  よろしくお願いします。細かなところまで話せば、随分とありますが、1つは3ページの1番の指導方法の在り方ですが、まず(1)番として、高校教育としてふさわしい学習量の確保という形で、ここでいきなり学習量というキーワードがどん書かれているところが気になります。これは私の考え方にもよっているところがありますが、基本的に、点検調査に行って話をするときは、当然、学習量という部分についても言及はしていますが、ここでは(2)番で書かれている高等学校としての教育の質を上げていくために、結果として、一定の学習量が必要になるということを申し上げています。
 まず、最初に、身につける資質・能力を確実につけていくために、どのような教育活動が必要なのか、そのためには一定の学習量が必要になるという流れが自然だと思うので、できれば、(1)と(2)の順番を逆にした方が良いと思います。
 この会議は、通信制高等学校の教育の質の向上・確保を目的としていることを考えても、(1)で、まずは質をきちんと確保し、その次の(2)で、学習量とすべきだと思います。
タイトルも高校教育としてふさわしい学習量という、何となく漠然としたものではなく、本当に質を確保する、質を向上するために必要な学習量を確保する、そういったタイトルに変える必要があり、中の書き方も、基本的には学習指導要領に35単位時間と書かかれているので、35という数字は当然出てきて仕方と思いますが、質を上げるために学習量を確保しましょうという書き方にしていただきたいと思っています。
 現行のままだと35という数字だけが独り歩きしていってしまう懸念もあるので、質を上げるためにというところを前面に出すような、そういった書き方にしていただけるといいと思います。それがまず、1点目です。
 2点目は、6ページですが、6ページの1つ目の丸で、クラス担任制のようにという形で書いてありますが、これは私、前回の会議のときにも話しましたけども、基本的にこれからの、これは通信制だけじゃなくて、全日制もそうだろうとは思いますが、本当に多様な生徒が来ている中で、担任が全てをやるという時代ではもはやなくて、チームによる支援体制というところが必要になってくと思います。
 どうしても特別活動などは、いわゆる担任などの教諭が行う必要があると思いますが、それ以外の部分は、いろいろな専門性を持った人がスタッフとして入り、みんなで1人の生徒を支えていく、そういった体制が必要だと思っているので、クラス担任制という部分をもう少し、チームによる支援ということが感じ取れる表現にする。例えば、3行目で、必要な教員数というように、いわゆる教員免許を持っている人の数と限定している部分を、単なる教員数だけはなく、チームとしてやっていくために必要な数を意味する表現にすべきだと思っています。
 以上、大きなところで、この2点、お願いいたします。以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。時乗先生、今おっしゃった必要な教員数の部分で、教員だけでなくというのは、もっといろいろな専門職を含めたチームのことを想定しておっしゃっていらっしゃるんですか。
【時乗委員】  そうです。
【荒瀬座長】  分かりました。ありがとうございます。
【時乗委員】  恐らく、この形だと莫大な教員数になっていく可能性があると思っていて。それは現実的ではなく良いことだとも思っていないので、教員以外のスタッフがたくさん入っていけるような形がいいと思います。
【荒瀬座長】  なるほど。教員数も当然必要だけれども、現実的にはいろいろな形で関わる人がたくさんいるということが大事だということですね。
【時乗委員】  そうですね。
【荒瀬座長】  分かりました。ありがとうございます。
 では、光富委員、お願いします。その後、原口委員、お願いいたします。では、光富先生、どうぞ。
【光富委員】  光富です。よろしくお願いします。
 先ほど時乗先生がおっしゃって、荒瀬先生がおっしゃってくださいましたけど、教員の数のことです。教員数だけではなくて、そういう専門スタッフも入れてのチームというのはすごく大事と思っていまして、本校でもそういうことで専門スタッフをできるだけ入れてやっているんですが、教員の数というのに私はこだわっているところがあります。なぜかというと、添削指導というのは、そこをもう1回確認をさせていただきたいんですけど、通信制の添削指導というのは、採点ではなくて添削なんですということをすごく言われていて、だからレポートが出てくると、結構時間かかるんです。添削する人は、教員免許のある者じゃないといけないということがあって、添削ですのでアドバイスを書き込んだりとか、それこそ赤でいろいろ入れたりすると、ただの丸したり、ぺけしたりとかだけだと早いんですけど、結構時間がかかるんです。ですので、やはりそういう部分では、ある程度、生徒数に対しての先生の数がないと回っていかないというところがあって、本校なんかでもすごく、通信の生徒に対して教員の数、特に支援の必要な子が多いと、添削にものすごく時間がかかったり、書くことに困難のある子だと読むのにすごく困ったりとかいうこともあったり、そして、教科書の何ページを見てごらんみたいなアドバイスを書いて、再提出のときに戻したりとかということがありますので、専門スタッフも必要だし、添削を指導するときの先生のことを考えると、生徒数に対しては、ある程度先生の数は適正な数というのを考えていかないと難しいのかと私は考えているところがあります。
 添削について、私はそのように考えていますけど、そこを、そういう考えでいいのかどうかというか、自動採点とか今、すごく言われているんですけど、添削になると、自動採点というと、マル・バツだといいんですけど、ある部分が自動採点で、ある部分はみたいな形で合理的にやっているということなのか、そこのところがよく分からないところがあって、オンラインを活用してとかという御意見もありましたけど、どこまでそれが従来で言われている添削に活用できるのかということを、また教えていただけたらということで手を挙げさせていただきました。そういうのを参考にしながら考えていけたらと思っています。すいません、よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。異なる意見が出てきたということではなくて、やはり通信制高校の質の確保、向上のためにはどうしたらいいのかということで、今、最後におっしゃった添削についてということなんですけれども、これはいかがでしょうか。田中さん、お願いします。
【田中初等中等教育局参事官(高等学校担当)】  参事官の田中でございます。御指摘ありがとうございます。
 添削の在り方については、今回、現場の校長先生も何人も入っていらっしゃいますので、私から申し上げるのも若干僣越ではありますけれども、文部科学省としての考え方を少し述べさせていただきますと、基本的には、添削というのは採点ではないというのは、今、御指摘いただいたとおりかと思っております。ただ、もちろん基本的な知識を問うようなものもあってもいいと思いますし、それについては、採点的な部分というのは出てくることもあろうかと思いますけれども、今回、記述式のことも書いているわけですけれども、添削というのは、本来、もともと全日制、定時制の授業に相当するものであるというところが考え方としてスタートしております。
 その授業というのは、一方通行で、先生がチョークアンドトークでしゃべって、それを一生懸命メモして覚える、理解するというだけではなくて、当然、双方向のやり取りがあるものですので、添削というのは、まさにそういったところで使われるものであると捉えておりまして、もちろん自動化して、この知識は合っている、マル・バツとする部分があってはいけないということじゃないですし、そうやって合理化する部分はあってはいいと思うんですけれども、記述式のことも含めて、授業に相当するということからすると、それを従来型の赤ペンでやるのか、それともネット上も使って打ち込んでやるのかと、あるいは、場合によっては今後、同時双方向でフォローするというのもあるかもしれませんけれども、御指摘のとおり、採点ということではなくてコメントを何らかの形で伝えて、それがまた生徒のほうの学習につながっていく、気付きを与える、そういった要素というのは必要なのではないかと考えております。
 そのためには、自動化で合理化できる部分はいいと思うのですけれども、一定数の教員が必要になってくるんじゃないか、それなりに手間がかかるんじゃないかということにつきましては、全く御指摘のとおりかと考えております。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。光富先生、よろしいでしょうか。要は、学習指導要領に書かれている学習評価の在り方そのものだということですよね。結果的に、生徒の学習意欲を引き出していって、次の学びにつながっていくようなものにならないと、ただ単に、あなたは何点だというだけの話ではなくて、生徒を主語にするという、まさに令和答申の考え方は学習指導要領から出ているものですので、その意味では、本当にそのとおりのことだと思うんですが、丁寧にやればやろうとするほど、本当はいろいろな人が必要になってくる。ところが、それをお手軽にやってしまっている面があるんじゃないかということで、見ていかなければならないと思います。ありがとうございました。光富先生、よろしいですか。
【光富委員】  はい。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。では、原口先生、その後、日永先生の順でお願いいたします。原口先生、お願いいたします。
【原口委員】  よろしくお願いします。一番初めに、時乗委員がおっしゃったことの1点目と全く同様でございます。3ページの学習量の確保と、(1)と(2)の質の問題でございます。質を確保するために学習量の確保が必要ということで、学習指導要領のほうにも1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする。ただし、通信制の課程においては、後に定めるところによるものとするとありまして、通信制の課程における教育課程の特例というものが記載されていることから、現実的に年間200日ある全日制で行われている標準と、通信制において、本当に少ない登校回数において取り組める時間数、量というのはやはり違うと思います。でも、質は確保しなければならない。そちらのほうを重要視していきたいと考えます。
 35単位時間をここに書くと、35単位時間が独り歩きをすると考えております。例えば、コロナ前に、全日制で35単位時間をしっかり確保しているかということが県のほうから言われ、公立高校の全日制では、確保するために50分授業を52分授業にするとか、そういうことまで厳格化していた事実もあります。ですので、大切なことは、量的な部分の厳格化ではなくて、質の確保、向上、そちらが第1であると、そんな書きぶりになると非常にありがたいと思っております。
 2点目、光富委員がまさにおっしゃった、6ページの問題ですけれども、担任制です。私もクラス担任制は必要だと考えております。それは、広域通信制と狭域通信制においては生徒の層に大きな差があります。一方では不登校の生徒が非常に多い、他方では、狭域においては、特別な指導・支援を必要とする生徒が非常に多い。そういう中にあっては、まずは、担任制の確保、そして、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーも、ぜひ配置がほしいのですけれども、これは、国としては設置者に任せているということです。
 ところが、設置者としては、両方ともに国の基準がはっきりしない。それで、担任数、教員数のほうも国の基準が非常に少ないので、多くすることはできない、そう言っている現状があります。ですので、そこの乖離はなかなか埋められないんです。この部分は設置者に託されているんですということが認識できるような書きぶりであれば非常にありがたいです。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。加えておっしゃっていただきました。
 それでは、その後、日永委員、お願いしまして、吾妻委員、続けてお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【日永座長代理】  よろしくお願いします。山梨大学の日永です。
 3ページのところで、学習量のことが問題になって、今、原口委員からも御指摘がありましたけれども、これは質の定義をどうするかということだと思うんです。質の定義についてはもともとインプットされる様々な資源の量で定義していた時期が長かったんです。それがいつの間にかアウトプット、アウトカムベースになったけれども、特に資質能力を育成しようとすると、その測定が非常に難しい。結果として、学習に投入される資源であるとか、どういう学習プロセスが予定されているかが質の確保に不可欠なものになってきているとまず、思いました。
 そういう意味では、量か質かではないというところは確認をしておく必要があるんじゃないかと思います。もちろん現行の学習指導要領で特例があるのですが、この間の通信制高校の議論で、ほとんど学習しないまま卒業できてしまっているという問題からスタートしていたのであって、そのときに、今回、3ページの1、2つ目の丸の一番最後のほうに設計という言葉があるんです。この言葉が、すごく大事だと思っています。今後、高校もポリシーを定めて質保証をしていく中で、当然、予想される平均的な生徒像というのがあるはずで、そういう生徒たちが、添削問題を解く時間、それから、面接指導を受ける時間、それからメディアを見る時間で、1単位あたり35時間程度の学習量が保障されるという授業設計をしていくということを考えるべきだということをこれからの質保障論議の一番基礎として、再確認するべきことなんじゃないかということを思いながら、皆さんの意見を聞きました。
 現場感覚として、確かに35時間が独り歩きするのは決してよろしくないことなのかもしれないけれども、今、目安としてあるものが35時間ということからすると、一定程度の時間が確保できるような添削問題を作らなきゃいけないというのが、その次に出てくるわけです。面接指導も、どうかすると近隣にある博物館とか美術館を見てくるだけみたいな面接指導が現に行われてきたわけなので、そうじゃないということを明確に打ち出せるといいなと思うし、メディア視聴も5分メディア視聴したら、6割減していいという話じゃないはずなんです。だから、一定程度、質の確保をしていく、質を保障していくという上で、量ということに着目しながら、うまく着地できるといいなということを思いました。
 こういう方向を打ち出せると、実は、通信制高校の議論がほかの高校、あるいは、さらには大学の質保証の議論に影響を及ぼし得るんじゃないかということを思った上での発言です。なので、今回いろいろ御提示されている、例えば添削指導は択一式じゃ駄目だなんていうのもすごく納得いくところですし、あと、面接指導の在り方、それからメディア視聴の在り方についても、一定程度、規制をかけるような形になっていますが、それぞれの書きぶりというのはすごく納得のいくところだと思っていたところです。
 また、教員数については万を超える生徒がいる高校が出てきている中では、教員数が5人以上という設定は見直すべきだろうと思います。
 それから第三者評価についてもお話をさせてください。現行のガイドラインで、第三者評価は確かにそれほど強く言われていないんですけれども、この書きぶりを改めるとなると、ほかの学校にも影響を及ぼすわけです。もしガイドラインの修正をするのであれば、以下の点を検討するとよいのではないかと思います。現行のガイドラインの自己評価の中に、重点目標を絞った改善目的の評価と、数年に一度、問題点がないかの点検評価を組み合わせて設計しろと書いてあるんですが、後者がほぼほぼ無視されている状態、あるいは自己評価が中途半端に点検評価活動になっていて全く機能していないということがあります。そこで、第三者評価を入れるとすれば、自己評価活動として示されている数年に一度の点検評価の中に、専門家を交え自己評価チェックシートを使った網羅的な点検評価を行うのがいいんじゃないのかということを思いました。第三者評価をただ強化するじゃなくて、具体的にこういう場面でというところまで、もし打ち出せればプラスになるのではないかと思いました。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。
 設計という言葉に注目された御発言がありましたけれども、その点というのが、実はカリキュラムマネジメントをしっかりやっていくということにつながっていくんだと思うんですが、どうもこれをやる、あれをやるというのがばらばらにあって、その中には美術館へ行って見てきなさいとか、この放送を聞いときなさいみたいなことになってしまっているということで、基本的にカリキュラムがマネジメントされていないということの問題点かと思ってお聞きしておりました。ありがとうございました。
 それでは、吾妻委員、お願いいたします。
【吾妻委員】  吾妻でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、私も3ページの点につきまして、最初、お話しさせていただきたいのですが、ふさわしい学習量の確保が1番で、主体的、対話的な、最適な学びと協働的な学びの一体的な充実が(2)ということで、時乗先生、原口先生がおっしゃったことは、確かにそのとおりなのですが、学習量の確保のほうを(1)に持っていかなければならない今の現状があるのではないかと。日永先生がおっしゃったのと、私も同じことを申し上げようと思っていたのですが、やはり公立、私立でも、学校によっては1回のスクーリングを、NHK講座を1時間見ればオーケーみたいな、まだそういう勘違いをされている学校さんもあるのではないかという状況を考えると、一番気になっている部分がここなのではないかと感じました。
 そういう意味では、本当に日永先生がおっしゃったことと同じですが、設計という言葉がここは非常に大切で、どのように、成長のために設計をしていくのかという、いろいろな教育システムの組合せで設計をしていくのかということが非常に大切ではないかと感じました。できれば、もう少しここのところが強調できるような表現であったほうがいいかと感じた次第です。
 次に、4ページ目、5ページ目のところでございます。これも先ほどから議論がございます教員数の数についてでございますが、例えば、本校におけるPT比、教員1人当たり生徒は何人ぐらいという状況で数えてみると、大体20人程度という状況になっているのが現状です。本校は通信も使っていますので、ごく一般的な通信制の学校の現状とお考え頂き、学校の形式によっても、様々、違いがあるかと思いますが、我々の肌感覚では、この人数で決して余裕があるわけではなく、生徒に目が届くぎりぎりのところかなぐらいな気持ちでおりますので、例えば、これが100人を超えるような状況であったときに、果たしてどのようにやればうまくいくのかというところが非常に疑問なところでございます。そういった点についても、ある一定の標準値を設けていかないと、実際には正しい、きちんとした教育ができないのではないかという感じを持っております。
 また、先ほどの収容定員に関しても、これも関係してくると思いますが、まず、下限が240人以上というのも、これも、先ほど日永先生のお話もそうですが、制度的な、時代的な背景があると思いますが、今は逆に240人以下でも、非常に伴走的な教育を行うというような可能性は当然ございますし、非常に多くの収容定員に対する教員数ですとか、環境がきちんと確保した上で、収容定員を認められているのかというのは、非常に大きな問題ではないかと感じております。
 全日制で言いますと、各校がいわゆる生徒定員を増やしたり、減らしたりする際には、いろいろな地域との相談もしながら、例えば中学校をつくるとすると、高校の定員を減らして中学校の定員数を確保するとか、教室の数ですとか教員数なんかも厳格に見ながら進めている部分があって、同じような形で通信制ができているかというと、決してそうではないのではないかというところがございます。教育の質を確保する上では、収容定員についても、もう少し具体的に検討を進めていく必要があるのではないかと感じております。
 以上、2点でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。さっきも同じことを申しましたけども、異なる御意見というよりも、その両方をどうバランスよく述べていくかということがとても大事なんだということを思いました。ありがとうございます。
 では、時乗先生と、それから篠原先生の順でお願いいたします。時乗先生、どうぞ。
【時乗委員】  山手学院の時乗です。すいません、度々。先ほどの日永先生の御意見を受けてですが、私も日永先生のおっしゃること、吾妻先生のおっしゃること、そのとおりだと思います。
 でも、たまたま日永先生がおっしゃったように、美術館に行って何時間というような、そういうケースがあるというお話でしたけども、例えば、授業を設計する上においても、基本的には何を目指して、何のために、最終目標は何なのかということをきちんと押さえた上で設計していく形にしていかないと、本当に1回美術館に行っていたのを、じゃあ美術館に行くのを、例えば10回に増やそうとか、そのように単純に数だけを増やすということになってしまう可能性はすごく高いと思います。
 いろいろな学校に行って思うことは、現在、学習指導要領で、1単位について面接指導1回とか、1単位について添削課題が3回だとか、そういう回数とかを示されているから、学校は何をやっているかというと、1回やればいいんだ、3回やればいいんだという形で、その中の質の部分はほとんど考えていないんです。ということを考えると、まさに日永先生とか吾妻先生がおっしゃっていることを実現しようと考えたら、まず、最初に、質の話をしておいて、そのための設計はどうあるべきなのかという形に持っていかないと、結局、回数は増やしたけども、時間数は増えたけども、じゃあ質のほうはどうなのという形になってしまうので、うまくそのことが伝わるような書き方に、ぜひ、していただきたいと思います。私も、日永先生、吾妻先生が考えていることと、ベースのところは全く同じだと思っていますので、書き方を工夫していただけるとありがたいと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。今後まとめていっていただく上で、事務局のほうに御負担をおかけしますけれども、とても大事なことですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、篠原先生、その後、青木先生でお願いいたします。篠原先生、どうぞ。
【篠原委員】   ありがとうございます。NHK学園、篠原です。
 教育の質という、皆様にとっては普通の言葉なのかもしれませんが、一般的な言葉として考えると、とても難しいことなのではないかということを、今のお話を聞いていて思いました。何をもって高等学校の卒業の資格を、卒業証書を渡すのかということについて、実際の現場にいたときに迷うことがとてもたくさんあります。決して安易に卒業を認めているわけではない。ただ、様々な環境、状況を考えたときに、この子は補習をやって、その後、卒業したほうがいいと判断を迫られるような場合もたくさんございます。
 ですので、質ということを、質、量どちらが大事ということでは全くないというのは賛成の上で、高等学校の教育の質って、皆さんに分かりやすく説明するためにはどうしたらいいのかということを、今自分でも分からないと思いながら、話をしております。ですので、その辺りのことを少し深められたらいいなと思いました。
 先ほどの学習量の35単位時間ということで言いますと、私も35単位時間という数字が独り歩きしてしまうことについては懸念を持っております。先ほど添削指導という話がありましたけれども、自学自習というものを標榜している私たちにとって、どのように学ぶかというのを、まさに生徒が設計することに私は意味があると思っていまして、それは添削に取り組むことだけではないかもしれない、教科書をじっくり読んで、その後、自分の好きな、もしかしたら関連する本を読むことだって、その子にとっては学びかもしれないということを考えると、ある枠にはめるような形の学習というものの定義というのは、通信制は、逆に言うと、そこから別のベクトルに移れる可能性のある課程だとすれば、全日制に寄っていくような形で単純に考えるのは少しもったいないのではないかと思いました。ですので、この辺り、私もまだ回答がないのですけれども、どうやって組立てていくかということが大切だと感じています。
 もう1点は、とてもぼやきに聞こえてしまうかもしれないのですけれども、今回の全てのまとめは、すごくごもっともといいましょうか、このとおりに本当にやるべきことがまとめられていると感じています。ただ、例えばですけれども、6ページの専門・支援スタッフの配置ということについて、養護教諭、カウンセラー、ワーカー、私ども国立の本校ではきちんと常勤のスタッフがいるんですけれども、本校並みに、広域通信制の全国30のブランチでそれが達成できているかというと、全くできていませんというのが正直なところで、例えばですけれども、4年前に東京都が、この設置についての助成をするということを発表してくださって、私どものスタッフもそこに行って説明を聞いているのですが、そういうときにも助成の対象は全て公立だけであって、私立は除外されてしまうんです。ですので、私立にはこれは無理なのでしょうかということを、その場で手を挙げて聞いたけれども、今は無理ですという回答でしたといって、その職員は帰ってきています。スクールソーシャルワーカーの人ですけれども。
 そういう状況の中で、それであっても必要なスタッフはそろえようということで、ある意味、必死にやりくりしているというのが今の現状でして、様々なことをきちんと整えて、それが公に公表されていくということを考えれば、そこがきちんとできているところに、生徒さんも、保護者さんももちろんそちらの学校を選んでいくのだと思うのですけれども、現実問題として、本当にぼやきですけども、公私のこういう差がある中で言いますと、これをさらされたときに困る私立は大変多いのではないかとも感じました。その辺り、全くこのとおりだからこそ、そしてこれを実現したいからこそ、何か手段がないのかなと。全・定・通というのが、今や何十年も前の学校の制度、課程とは違うレベルになっているんだとすると、その質と内容について、もちろん同じであるべきだと思いますし、そうであれば、それを支えていく土台の設計も、ぜひ一度考えていただきたい。それがないと、なかなか実現できないところがいろいろあるのではないかというのは、すいません、率直な思いでございます。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。大変重いお話であると思います。その辺のところについては、全日制に関しても、中教審でよく私学の中高連からも御指摘があったりするわけですけれども、これは本当にしっかりと見直していかないと、子供がどこの学校を選ぶかというときに、結果的に入ったところが公立か私立か、あるいは、A校かB校かで学びの場のチャンスというのが違ってくるとか、条件が違ってくるというのは、これはその子の責任ではないので、用意する我々の側で本当に考えていかなければならない問題だということを本当に真剣に考えていかなきゃいけないなと思いました。田中さん、そうですよね、これ。いかがですか。
【田中参事官】  御指摘ありがとうございます。おっしゃること、本当にそのとおりだと思いますし、今、分かりました、来年からスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーを全部つけますと言えないことも大変心苦しいところであります。御指摘いただいたことは重く受け止めさせていただきまして、また、そういった御要望を団体のほうからもいただいておりますので、私学の話というのは、また、別の部署もございますけれども、よく相談していきたいと思いますし、また、例えば、全てにというのは難しいとしても、この中でもモデル事業で、いろいろ先進的な取組をやっていくということも書かせていただいているわけですけれども、そういった中で、カウンセラーとかの配置があって、それで具体的にこういう効果が上がったみたいなところは示していければいいのかなとも今、お伺いして感じました。
 なかなか高校のお金の支援というのは、義務教育と高校でかなり差がありまして、義務教育は国の責任であるということで、かなり国が下支えする財政的な面での制度、これは特に公立についてはあるわけですけれども、高校のほうのお金というのは私立も含めて、実は私学助成もそれほど額が多いわけでもないですし、公立のほうも地方財源で基本やっているというところがございまして、なかなか文科省として全部を支えますとは、宣言することが簡単ではないというところはあるわけですけれども、御指摘のところは、本当にしっかりと受け止めさせていただいて、先ほど申し上げましたこと、モデル事業とかを含めて何ができるかというのは考えていきたいと思います。また、事務局として、今日、いろいろな先生方からいただいた意見を反映させていただいて、また御相談いたしますけれども、そういった中で、どう盛り込むかということも御相談させていただければと思っております。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。この会議が終わったとしても、引き続きいろいろな場面で、本当に学びの場の条件整備をどうしていくのかというのは考え続けていかなければならないと思います。すいません、青木先生、お待たせしました。どうぞ、お願いいたします。
【青木委員】  東北大学の青木です。資料1に関して意見を申し上げる前に、今、スクールカウンセラーの問題が出たので、ここは思いつきに近いんですけれども、通信制高校という設置形態を踏まえて、何か現状の生徒が抱えている問題を、通学制の高校や、小中学校におけるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとは違う形で何か手当てができないかと思いました。通信制を基本としている学校ですので、オンラインのカウンセリングですとか、それからチャットですとか、そういうものを使うことによって、困り事が少しでも解決に向かうようなことというのはあるかもしれませんので、そういうのは研究などを委託していただくとか、そういうところからもアプローチできるのではないかと思いました。
 では、資料1について意見を申し上げます。全体的には、これまで委員会で、委員の先生方私も含め、申し上げた意見がバランスよく反映されているように思います。その上で、私が今回、資料1を拝見する際に、最も基本の視点としたのは、高校卒業の学歴というものの質の保障であります。言い換えると、日本の教育システムの、国際的信頼性や国内でのジョブマーケット等での、あるいは、より上位の学校へ行く際の信頼性ということを考えました。この会議の前身に当たる幾つかの会議体での問題意識もそこにあったように思います。
 その上で、所轄庁の指導力というんでしょうか、監督力に関わること、それから教諭等の数について改めて規定をするということ、また、国の役割をより踏み込んだ形で記載されている、この3つについて、特に私は賛意を示しているところです。それを踏まえて、少しマイナーな意見になりますが、まず、ウェブで公開をするということについてです。国がメタレベルでウェブサイトを開設することはとてもいいことだと思います。それを前提とすると、各学校、各法人で、ウェブで必要な情報は公開してもらうというのは大事なことではないかと思います。公開といっても、いろいろな公開の在り方がありますので、やはりウェブがいいんじゃないかと思います。
 もう一つは自己点検チェックシート、この位置づけは、まだ少し曖昧な書き方になっているように思いますので、ガイドラインの附属物なのかとか、何かその辺の位置づけを明確にしてみるといいと思います。それと、資料1の中でチェックシートが出てくるのが少なくとも3か所あったんですが、「後述する」と書いてあって出てきて、また、「前述の」と出てくるので、なかなか読み取りが難しかったというのもありました。まだドラフトだということですので、申し上げました。
 あと、下限240人以上というのが、日本語の語感として何だかよく分からなくて、下限というのであれば、240人と言えばいいのではないかというのが1つあります。
 最後です。法人や学校が、この文章を受け止めたときに、これまで通信教育の規程ですとかガイドラインとか、いろいろな文書類があるわけですので、主体別に所轄庁ですとかサテライト施設のある都道府県ですとか、あと学校ですね、主体別にやるべきことを表にしていただくといいかと思います。これはメッセージをより明確に伝えるためにも必要なことではないかと思いますので、事務局の負担を増すような形の意見で恐縮ですが、御検討いただければと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。今の点も、ぜひ御検討いただければと思います。それでは、光富先生、どうぞ。
【光富委員】  すいません、光富です。篠原先生のぼやかれたところを聞きながら、私もすごくそれを前からぼやきたくて、しょっぱなのときに吾妻先生と、私学だと教員に対して、うちは定時制と通信があるんですけど、定時の場合だと教員に対する一応補助があるんですけど、通信の場合はないんです。なので、そして、教育相談体制のとか私学の特色ある取組に対して私学助成というのがあるんですけど、本当に金額が少なくて、そんなに再々来ていただけない。オンラインでという話が、さっき青木先生から出ましたけど、例えばスクールソーシャルワーカーの場合、本校だと保護者が動けなかったりするので、一緒に行政についていって支援金の書類を出すのを手伝ったりとかと、今はマイナンバーカードでするんですけど、なかなかそれを打ち込んだりするのも難しいので、学校においでいただいて、ずっとついてやったりとかいうことが必要だったりして、そういう子供だけじゃなくて保護者支援の部分があったりもするんですけど、それについて、私学については本当に自分たちで何とかしなくてはいけないというところがあって、本校もスクールソーシャルワーカーも、スクールカウンセラーも全部、40時間とか配置していますけど、なかなか大変なんです。経済的にしんどいおうちが多いので、授業料を上げるわけにもいかないというと、どこかを削らなければいけないというのがあって、文科省の取組に手を挙げて、さっきモデル校的なという話もあったんですけど、そのときは、そういうところでお金を頂けて、いい成果がありました。でも、その後、モデル事業が終わると、せっかくいい成果があるから続けていきたい。そうしたら、続けるためのものは自分たちで何とかしなくてはいけないということで、今すごくやっています。
 いいことなので、教員の数にしても適切な数、そして、いろいろな専門スタッフを置くというのもすごくいいし、大学生なんかもうちも入ってもらったり、いろいろやっているんですけど、正直なところは、子供たち一人一人を大事にしようと思えば思うほど、経費がかかります。その分、私学の場合は大変で、ただ、卒業させたらいいじゃないですけど、そういう御意見もありましたけど、抜け道を使おうと思ったら使えたりするじゃないですか。人数にしても何にしても、上手にやれば。そうしたら、生徒数がすごく多いけど、人件費をそんなにかけなくてもいいような方法をすれば、ものすごくもうかるところはあると思うんです。学校の中で子供たちを大事にするのには、人件費がやはりすごくたくさん必要で、それに対して私学はすごく厳しいという現実があるということを知っていただきたいし、そういうモデル事業をさせていただくのはうれしいんだけど、せっかくいい取組であってもそれが終わってしまうと、あと続けていくために、また大変な状況があるということを知っていただきたいと思います。
 そして、今回の8ページですけど、8ページの所轄庁の在り方の部分で、「具体的には」という(1)のところです。国のほうで、専門的なアドバイザーの方を各都道府県にというところがありますけれども、前に、人権教育10年のときに、そういう部分で、知事部局のほうに専門家の先生を配置していただいて、各私学を回っていただいていろいろ指導していただいたということがあります。ですので、なかなか各都道府県というか、知事部局で難しい場合は、そういう専門的な方を配置するというのを国のほうで動いていただいて、各私学に回っていただくというのはすごくありがたいと思うので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 すいません、私もぼやきました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。吾妻先生、どうぞ。
【吾妻委員】  すいません、吾妻です。私はこれまでの会議において、私学経営に関してのことはあまり触れてきていない、ここでは議論の場ではないというように思っていましたが、あえて一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 やはりきちんとした教育をやろうという形で、通信制で考えていたときに、財政支援が今の状況であると、経営を継続するということが難しい現状にあるということだと思います。ですので、教育の質の向上を同時に図りながら、一方ではそういった支援も併せて進めていく必要があるのではないかと思っております。
 申し訳ございません。以上です。
【荒瀬座長】  本当に重い話だと思います。私は公立高校に長くいましたけれども、公立高校の場合は、教育委員会に必死に頼めば、それでもお金を何とか出してくれることとかがあったわけで、そういったことが私学の場合は、全部御自分でやっていかなければならないということですから、ただ、今、お話になっていただいた3人の先生方の学校というのは、本当にきちんとやろうとしていらっしゃるところの、その中でのしんどさとか悩みみたいなことをお持ちなわけで、そうではないところが、現実にまだ残念ながらあるということを何とかしていきつつ、それによって、一定の社会的な理解も得ながら、何とかやっていける道を探していかなければならないんだろうということを思っております。また、もしありましたら、ぜひおっしゃっていただければ、田中さんは大変困られるかもしれませんが、でも、ちゃんと受け止めてくださいますので、ぜひおっしゃっていただければと思います。
 では、続きまして、日永先生と時乗先生の順でお願いいたします。
【日永座長代理】  山梨大学の日永です。二回目の発言ですがよろしくお願いします。まず、先ほど3ページのところの議論については、その後、時乗委員もお話ししてくださって、基本は同じことを言っているんだというのを改めて確認しました。今の学力観に基づく資質能力というのは、確かに測定するのは難しいけれども、そこを育成するためにと、それをどう実現していくかというところをカリキュラムマネジメントで努力していくというのが多分質の維持に一番必要なことなんだろうということを思いました。
 なので、学習量の確保という言葉ではなくて、カリキュラムマネジメントであるとか学習の設計であるとかという別の言葉で表現し直すというのはありなのかということを思いました。
 あと、もう一つ。第三者評価に関連して比較可能なようなサイトをつくるという話があり、また、所轄庁の指導力の向上のところでも、今回、国のほうでも本当に踏み込んで書いていただいていて、要は、都道府県間でこんな違いがあるというのが分かれば、多分所轄庁同士で一定程度、牽制の機能も期待できそうな感じがしますし、それこそ消費者の側としても、そういう緩いところで認可された学校のサポート校がここにあるということが分かるだけでも随分違ってくると思います。なので、ぜひこういう国でしかできないような取り組みというのはぜひお願いしたいと思います。同時に、学校評価はもともと政策を見直すきっかけになるようなものでなければならないと思うんです。全て学校の自己責任で終わるとするのではならないと思うので、せっかく比較対照ができるようなサイトが仮にできるのであれば、そこから私学助成の在り方であるとか、それぞれのスタッフ配置の在り方であるとかという政策立案に結びつけられるような道筋を考えたいというようなことを「おわりに」に一言書いてあるといいのかなということを思ったりしました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。「おわりに」に何を書くのかというのは非常に大事なことだと思いますので、今の御提案、非常に重要なものと受け止めさせていただきました。
 では、時乗先生、どうぞ。その後、原口先生、お願いいたします。
【時乗委員】  山手学院の時乗です。よろしくお願いします。
 私からは、また別の観点というか箇所でお願いいたします。4ページの上から3つ目の丸で、加えて「モデル事業を国が行っていく」ということが書かれていますが、これはすごくいいことだと思いますし、ぜひやっていただきたいと思います。その際に、実は6月2日に内閣府の総合科学技術イノベーション会議というところから、Society5.0に向けての政策パッケージというものが発表されて、その中に、個別最適化と協働的な学びの実現ということが書かれていますが、私はあの文章を読みまして、実は一番通信制の学校が書かれていることに近い、将来、通信制高校はこうあればいいという内容が書き込まれている、そういう思いで、あの文章を読んだんですけども、ぜひここのモデル事業としてやっていくときは、あの文章に書かれている教育活動を想定した形で、もっというと、ネットワークだとか教育DXだとか、そういった部分を上手に使って、未来の通信制高校はこのような学校だ、というものが出せる、そういったモデル事業をぜひやっていただければ、ありがたいと思っています。
 次が、その下の丸で、「メディアを利用した学習による」という部分とそれから先にもメディアという言葉がずっとありますが、メディアの中にインターネットを使った様々な教育活動だとか、VRだとか、そういったものが入ると思いますが、もしそうであれば、もう少しきちんと書いて頂いた方が、今の学習指導要領も、メディアという表現でひとくくりにされていて曖昧になっているところがあるので、インターネットを活用した活動とリアルによる活動、それらを一体化させて教育効果を上げていく、実際にインターネットを活用して非常にいい取組をやっている学校もありますので、ただ単純にメディアという表現でのくくりじゃないほうが分かりやすいし、これから先の学校の在り方を考えると、ただ単にメディアという形くくらない方がいいと思っています。
 あともう一つ、その下の丸、「一方」から始まるところと、その次の丸もそうですが、同時双方向型という表現がありますが、この書き方であれば、同時双方向型じゃないと駄目だという誤解を与えると思います。また、同時双方向というものをどう扱うのか、現在、様々な意見があり、同時双方向に限定するような書き方をすれば、混乱が生じると思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。具体の書きぶりとか、あるいは、また厳密さというんでしょうか、そういったことについても御指摘をいただきました。時乗先生、6月2日って、これはCSTIの政策パッケージということですよね。
【時乗委員】  そうです。
【荒瀬座長】  これ、具体的に、確かに私も会議に参加しておりまして、多様な学校の在り方という点で、通信制高校のことも頭に浮かびながら議論に参加しておりましたので、場合によっては、最終的にまとめをつくっていく上で、参考になるのではないかと思いますので、簡単な御説明をいただくことも、また事務局のほうで御検討いただけますでしょうか。よろしくお願いします。
【時乗委員】  ありがとうございます。とてもこれは参考になると思いますのでよろしくお願いします。
【荒瀬座長】  そうですね。いろいろな、多様な子供がいて、その多様な子供に対して、今までは一様の取組しかしてこなかったのを、子供主体ということを考えれば、どのような学校が望ましいかと、すぐにはなかなかできないんですけれども、方向性を示したという点で非常に大きなものだと思います。事務局のほうでよろしくお願いします。
 では、原口先生、どうぞ、お願いいたします。
【原口委員】  横浜修悠館高校、原口です。よろしくお願いします。
 今後、今日の論点整理をたたき台として、審議のまとめやガイドラインが新しく作られるものと思います。これまでの経緯を考えると、全国の学校も設置者も所轄庁も、そのガイドラインや審議のまとめをしっかり読み込む時間や力があるかというと、なかなかないのが実情だと思います。ですので、先ほどの3ページの学習量に戻りますけれども、日永先生がおっしゃってくださった、学習の設計という名称に変えたらどうかというのは非常にありがたいご指摘だと思いますし、3ページ、(1)の2丸目の下から2行目、高等学校学習指導要領に定める目標を達成するよう、この「目標」の内容が35単位時間以上となるような目標ではないということを明確にしたいんです。ですので、この「目標」を「質の確保の目標」とか、その下と連動させて、学習指導要領の目標とは数だけではないんだということを、ぜひ書き込んでいただければと思います。
 それから、4ページ、先ほどのオンラインの話が出ましたけれども、オンラインの同時双方向で、毎年全通研に質問が出るんですけれど、オンラインだけでは卒業はできませんと、面接の代わりにはなりませんと、そういうことだと思うんです。そのことを言っていると思いますので、そこは誤解のないように書いていただければと思います。それは要望としてはあるんです。要望としてはあるんですけれども、文科省としては、まだそこまでは踏み込んでいませんということだと思います。この解釈で大丈夫ですよねという確認です。
審議のまとめは分かりやすく書くことが大切だと考えます。そのために今までの審議のまとめも、脚注をたくさん付けたりしてきました。これから先、自己点検チェックシートがもっと細かくなっていくと思うんです。そういう細かいものを各学校が活用できるか、設置者がしっかりと活用できるか、所轄庁が活用できるかと、そういう側面も考えていただきながら、一緒につくっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。1点今、同時双方向型のオンラインのお話がありましたので、それは、田中参事官、お願いします。
【田中参事官】  御指摘、御質問ありがとうございます。時乗先生、それから原口先生から話のあった同時双方向の件ですけれども、原口先生がおっしゃっていただいたように、これは、今のいわゆるスクーリング、面接指導の部分をリアル、対面じゃなくて同時双方向でやればいいじゃないかということを言っているわけではございません。そういう議論もあり得るかもしれませんけれども、スクーリングを同時双方向でやれば、学校に1回も通わなくて済むということを言っているわけじゃなくて、あくまでメディア利用の中で、最近いろいろな取組が進んでいて、まさにこの会議は今、Zoomで、同時双方向でやっていただいているわけですけれども、メディア利用によって6割、あるいは8割の減免をするのであれば、こういう同時双方向のやり方を取り入れると、それはそれで、単に動画を見るだけよりも効果的な場面もあるかもしれないということで、使えるところは使ったらいいんじゃないかと、そういうつもりで書かせていただいたんですが、今御指摘いただいたことを踏まえて、もう少し分かりやすく記述したいと思いますし、原口先生から御指摘あったとおり、いろいろ注をつけたりとか、先生方の間で活発に意見交換をしていただきました、3ページの学習量のところとかも含めて、これはまだ粗々の骨子でございますので、言いたいことが全部正確に表現されているわけじゃありませんし、また、今日本当にいろいろ御意見いただいて、どんどん深まってきていると思いますので、そこは注で書く、あるいは文章の中でしっかり表現していくということを、今日いただいた御意見、我々も議事録をちゃんと確認した上で、次の会議に向けては反映していくようにしたいと思いますし、また、いろいろ御指摘をいただいて、御指導いただいて、よりよいものにしていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。原口先生がおっしゃった、注がいっぱいあってというのは、注をいっぱいつけないほうがいいという御指摘ですか。注がいっぱいあると読みづらいということですよね。
【原口委員】  いやいや、注を細かくつけていただいたのは、こういう会議の内容をしっかりと伝えるために、やはり今までも付けざるを得なかった。それによって、何とか読み取れて、本当に伝統的な公立通信制高校の学校文化が進んできたことは事実だと思います。ですので、審議のまとめはもっともっと読んでもらいたい、全国の学校に。まだまだ読み込みは不十分だと思っております。誤解もありますし、その誤解から生まれることもたくさん不適切な教育に結びついていると思いますので、とにかく所轄庁や設置者の中に、通信制を知る指導者たちがなかなかいないのが現状です。ですので、そういう方たちをどうやったら通信制高校の質の向上のための学校運営に引き込んでいけるか、それが大切かと思っております。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。私が先走って解釈をしてしまいました。申し訳ありません。大変御配慮を込めていただいた発言、ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。日永先生、どうぞ。
【日永座長代理】  度々すいません、山梨大学の日永です。いろいろなところで御議論があった中で、例の教諭等の数のところに関して確認なんですが、先ほど吾妻委員のほうからもST比という言葉がありましたけれども、実態として、通信制高校、どの程度なんだろうということを見てみる必要はあるような感じがしますし、また、特に数千人、数万人規模で生徒がいるときに、実際教諭数ってどのぐらい配置されているのという実態、あるいは、きめ細かい教育をしていく上での目安みたいなものがないものか、今日すぐではなくてもいいので調べてみていただけないかということを御発言したいと思いました。よろしくお願いいたします。
【田中参事官】  よろしいでしょうか。
【荒瀬座長】  はい。
【田中参事官】  御指摘ありがとうございます。私どものほうで、正直言うと、まだ整理中でございまして、そういった資料は必要かと思います。今日、単に教員だけで考えるんじゃなくて、チーム学校でやっていくべきだという御意見もありましたし、そのとおりだと思いますが、一方で、ST比というのも大事だということで、今日の案としては、教諭等の数について書かせていただいて、その方向性について賛同があったかと思いますので、今、日永先生から御指摘いただいたようなことを、我々のほうの整理が追いついていなくて大変申し訳ありませんでしたけれども、じゃあどれぐらいの数がいいのかというのを、残りの会議の中で御検討、御議論いただけるように、資料は準備してまいりたいと考えているところでございます。そこは私どもの手が十分及んでおらず、大変申し訳ありませんでした。
【荒瀬座長】  ほかにはいかがでしょうか。では、時乗先生、どうぞ。
【時乗委員】  よろしくお願いします。山手学院の時乗です。
 大体、私もこのペーパーについて言いたいことは発言しましたが、最後、7ページの上から2つ目の丸で、基本的に、所轄庁の指導監督、これらが円滑化ということが書いてありますが、いろいろな形で所轄庁の方と関わっていて感じるのは、学校がやっている自己評価の公表だとか、少なくとも法令を遵守した活動をしているのか、という部分の把握は所轄庁に義務があるという形にしないと、なかなか所轄庁は動いてくれないという印象を持っているので、制度的に難しいということは十分承知していますが、所轄庁の義務に変えることができれば、今回、ここで示されている自己点検チェックシートの活用だとか、あるいはウェブでの情報公開だとかがもっと進んでいくと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。いろいろと御意見、本当に具体の御意見をたくさんいただいて、都度、田中参事官のほうからお答えをいただいたりしているんですけれども、文科省、事務局として、今までのところで何か全体について御発言があれば、どうでしょう。
【田中参事官】  ありがとうございます。御指摘いただいたことを繰り返しになりますけれども、次の会議に向けて、しっかり反映をしていきたいと思いますし、時間が限られるかもしれませんけれども、そこは十分、委員の先生方と御相談しながら進めていきたいと思っております。何か特段、ここのポイントについて付け加えるということはございませんけれども、また御指導いただければと思っております。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。岩本委員がお入りになったようですが、こんにちは。
【岩本委員】  すいません、最後のほうで、オブザーバー参加です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。今、具体的に論点整理案が出て、それについて、冒頭から本当に様々な視点で見ていただいていたんですけれども、何か特に気がつかれたこととかありましたら、お願いしたいと思います。
【岩本委員】  ありがとうございます。また、今日どういった話があったのか、また見させていただいて、それで個別のところはコメントさせていただけたらと思いますが、一旦、途中、内閣府のCSTIのほうの話も一つ参考にということで、私もそちら参加させていただいていたので、非常にあの話も参考になる部分があるだろうと思いました。
 それと合わせてと言ったら語弊があるかもしれませんが、昨日、経済産業省のほうがやっている教育イノベーション小委員会というので、未来の教室のビジョンをそこで御議論をしているという中で、恐らく来月なのか、ちょっと分からないですけども、そこでも今、取りまとめみたいなことをされていて、その中でも、通信制の未来の姿みたいなのが議論されて、資料でも出ていましたので、場合によっては、当然内閣府のほうの話も大事だと思いますし、場合によっては、そういったところで出てきているものも、省庁横断的な視点というところで、それがすぐに参考になるかどうかは分からないんですけども、場合によっては、共有があった上で、じゃあ私たちはどう考えるのかというところで、そっちの視点もあってもいいかもしれないというのは、先ほど話を聞いて思ったところです。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。ただ、あれですよね。岩本さん、CSTIのほうは、もう世に問う形で明確に出ていて、中教審も含めて正式な形で議論してきたものなので、今、経済産業省でやっていらっしゃるのが正式じゃないというわけではなくて、ともかくCSTIの話をまずは共有させていただいて、その中で、岩本委員が参加していらっしゃるということで、そこでの、また議論といいますか、どういう話になっているかを加えていただければと思います。CSTIの議論のほうは経済産業省からも入っていらっしゃったし、そこでの検討会議の委員もいらっしゃいましたので、まずはそちらを、ただ、時間的になかなか今後、この会議もいつまでもやっているわけではないので、そういったところもありますけれども、また事務局のほうでも御判断いただいて、お進めいただければと思います。
 村松先生、もし何か今、お聞きいただいてお感じになったこととかございましたら御発言いただけると、いかがでしょうか。
【村松委員】  島根県宍道高校の村松と申します。ありがとうございます。
 いろいろな先生方、委員の皆様がおっしゃったことを本当に、私も思っていたこととかなり重なる部分があったので、いろいろごもっともだと思いながら、納得できるなと思いながら聞かせていただいておりました。
皆さんが議論なさった中で、私として、ぜひこうなるといいなと思ったのは、6ページのところの専門・支援スタッフの配置のところでございました。実際、公立の通信制と定時制の併設校で勤務している立場からすると、クラス担任制に近いものを取っていますけれども、特に通信制の生徒たちの抱える背景の多様性というのを考えると、チーム学校という言葉がありましたが、教員だけではなく、いろいろな専門スタッフの必要性というのを、定時制よりも、より通信制のほうで強く感じるものでございます。設置者である教育委員会は、定時制、通信制を1つにして捉えることがあるのですけれども、定時制と通信制の違いというものもあると思いますし、そういうところが、設置者のほうにも伝わって、特に通信制に必要な支援というのが明確に認識していただけるようになるといいなと、特に専門・支援スタッフの話のところで感じたところでございました。ありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。公立は公立で、なかなか設置者との関係というのも、またいろいろと課題があるなということを思いました。ありがとうございました。
 原口先生、どうぞ。
【原口委員】  横浜修悠館、原口でございます。
 最後に、先ほど来、内閣府の議論、それから経産省の議論は、私もいろいろ拝見しておりますが、あれを見ると、多分わくわくすると思うんですが、要するに、通信制のシステムを、これから国際的な競争力を高めていくために積極的に活用していくという点に関して、文科省はどのように考えていかれるのかなといつも思いながら、ああいう議論を見させていただいておるところでございます。今日は、もしお答えいただけるのならば、少しお答えも聞いてみたいところでございますし、無理であれば、またどこかでと思っております。
 以上です。
【荒瀬座長】  いかがでしょう。
【田中参事官】  じゃあ、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 CSTIの議論も、それから経産省さんの議論も、岩本委員は両方関わっていらっしゃいますし、荒瀬先生もCSTIにおいて議論に関わっていただいているかと思います。
 私どもからすると、必ずしも通信制で、今、こういう理論をしている前提というのがない上で、ああいう議論をしていただいているのかと思ってはいるんですけれども、可能性として、そういう議論ってあると思うんです。この会議の中でも、荒瀬先生からも何度か御指摘いただいていますし、そもそも通信制の議論をしていると、そもそも高校教育って何なのだろうということ、そこで培うべき資質、今日も資質能力の議論がありましたけど、何なのかということと、それから全定通という枠組みの在り方、これ自体も、この会議で結論を出していただくという性質のものではないと思っていますけれども、そういった議論というのもあると思うんです。
 特に、経産省さんの議論でも、多分、全日制と通信制のいいところを組み合わせていこうということなのかと思っています。
 ただ、その前に、足元のところで、通信制でいろいろ課題があるところ、そこをしっかりと、今、委員の皆様のお知恵をいただいて、まとめつつありますけれども、これも今に始まったことじゃなくて、ここ何年間とずっとやってきたところです。しっかり通信制の質を、質が何かという議論もありましたけど、上げていって、通信制に対する信頼を回復というか、確保した上で、その上で、全定通の在り方をどうするのかということも議論していくのかと思っています。
 今の通信制の議論が終わらないと次に進めないというわけじゃないんですけれども、やはり我々、22万人近い生徒が今通っている、もう決して学校教育の中でマイナーではない、メジャーな存在になってきている通信制というものの質というのをどうしていくのかと、ここをしっかりクリアして、その見通しを立てながら、新しい時代の高校教育をどうするのかというのを、また、いろいろな有識者の方の御意見、その際には、もちろんCSTIの議論であったり、経産省の議論というのも非常に参考になると思いますし、それを受けて検討を進めていくのかなと思っております。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。結局、コロナというのはやはり非常に大きかったなということを改めて思います。普通では絶対、実験的なことはできないと思うんですけれども、せざるを得ない状態で、学校に子供たちが来ないとか、あるいはオンラインを使って授業するとかに向かわざるを得なかったと。その中で、得たものというのもあったと思うんです。これを今、考える1つの材料にして、これからの学校教育を考えていくべきだと思っております。そういったことも含めて、ここでは意味のある議論がいっぱい行われていると思っていまして、これが、学校教育、とりわけ高等学校教育の在り方に繋がっていくということを改めて思っております。
 時乗委員、お願いします。
【時乗委員】  すいません。今、荒瀬先生おっしゃった部分は全くそのとおりだと思います。最終的にまとめの文章をつくられるときに、「はじめに」というところで、ぜひ今あった話だとか、通信制高校が持っている可能性だとか、そういった内容をまとめに盛り込んでいただいて、だから通信制の質を上げていけば、このような未来の学校があるというような、わくわくどきどきするような文章をここに書いてもらえると、とてもありがたいし、楽しいと思っています。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。私の今までの経験でいうと、「はじめに」は割と、中身について大枠を。
【時乗委員】  そうですか。
【荒瀬座長】  はい。私はこういう者でございますと自己紹介するのが、「はじめに」だと思うんです。「おわりに」がいろいろ書けると思うんです。
【時乗委員】  なるほど。
【荒瀬座長】  こういうことが議論できていないとか、あるいは、今後はこういうことをお願いするとか、だから「おわりに」に、思い切り書ければと思っております。でも、ありがとうございます。先生おっしゃる内容は全くそのとおりだと思います。
【時乗委員】  よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  こちらこそよろしくお願いします。篠原先生、どうぞ、お願いいたします。
【篠原委員】  NHK学園、篠原でございます。今、荒瀬先生がおっしゃったことと全く重なるのですけれども、先ほどの日永先生も、これからの政策決定に向けた、何か一歩になるといいとおっしゃってくださいましたけれども、終わりのところで、ぜひこの会議というのは、確かに質のレベルというところで、いかにそれを向上させるかというところが大命題だと思うのですが、大きく言って、全・定・通の枠組みや、これからの教育の在り方、必ずしも伝達式の教育だけではないと、まさに主体的な学びというのがどうあるべきかということを、1つのやり方として、通信制がもしかしたら示せるかもしれないという、そういう何か私たち自身も元気が出るように、そして、これを読んでくださった関係者の皆さんにもそういうモードが伝わって、かつ、だからこそ質をきちんとしていかなくちゃいけないし、その可能性があるのだということがきちんと分かるような「おわりに」を、私もぜひ期待したいと思いました。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。ほかにどなたか、すいません、光富先生、どうぞ。
【光富委員】  光富です。皆さんおっしゃったように、これからの子供たちが未来を描けるような、そういう最後に書けたらいいなと思いますが、そこで学んでいる子供が損をしないというか、それが一番大事なことだと思うんです。その中で、9番のところですけれども、各都道府県との連携体制というところになると思うんですが、もう既に入ってきているというか、できているところの指導と言っても、そこで学んでいる子供さんがいれば、なかなかすごく、いろいろ改善するのもすぐにはできなかったり、その子供たちにとってすごく混乱させてしまったりとかということもあると思います。
 せめて、これから広域通信制が増えていくとしたら、その場合には、認可を与える都道府県ですけど、サテライトとして受け入れる都道府県も前もって分かって、施設等がちゃんと子供に教育するのに適しているかとかいうことが分かるような何か方法というか、取っていただけたらと思います。そうしたら、後から後から、あれ、こんな学校が入っていたとかいうことに驚かなくて、初めからこういう学校が来て、ここでちゃんと授業してということで、各都道府県の担当のほうも、あるいは私学審議会が各都道府県あって、そういうところでも話し合われて、ちゃんとした教育ができるところであるということで協力し合ってやっていけるのではないかと思いますので、そういうところも連携の部分で入れていただいたらうれしいなと思います。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。9ページの部分ですね。ありがとうございます。日永委員、どうぞ。
【日永座長代理】  度々すいません、山梨大学の日永です。
 今の光富委員の意見を伺いながら、今、全体的にラップアップに向けて、皆さんこれから夢のある話をしようという話になっているところに水を差すのは本当に申し訳ないと思ってはいるんですが、指導体制の中でチーム学校の視点を入れるという話が出てきました。
 そのときに、今回の議論の中で十分尽くせていないので、今回すぐまとめの中に入れるのは難しいかもしれないんですが、サテライト施設については今回は所轄庁が監督すべき、対象として位置づけてきたわけですけれども、実は指導体制の重要な一部を担ってもいます。そうすると、今日の話の中で、全体教育体制を設計し、マネジメントしていくという上での指導体制の中に、サテライト施設がどう位置づいているのかというのを本当は示せればいいんですが、ここに関しては、実はまだまだ議論が足りないような感じがします。そういう意味では、次回以降の検討の課題として、サテライト施設への対応を少し予告的に書いておく必要があるような感じがしたということを言っておく必要があると思って発言させていただきました。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、いろいろ出てきたんですけれども、具体の詰めができていないというのも事実ですので、そういったことも今後の重要な課題ということで、次に引き継いでいくという意味で、「おわりに」には明記することが大事だと思います。
 それはまさに夢をかなえていくためにも、本当に実質的な担保ができていないとどうにもならないわけですので、その点はぜひ、また事務局のほうで、よろしくお願いしたいと思います。
 原口先生、どうぞ。
【原口委員】  横浜修悠館、原口です。私自身時代の先を読むのがうまくないかもしれないのですが、内閣府や経産省がやっていらっしゃる議論は、通信制のシステムをそのまま活用しなくとも、何かできる方法はないんだろうかということで、もろ手を挙げて通信制のシステムを積極的に使う方向に賛成では私はないんです。現状の通信制に通う生徒たちの多様化の状況は非常に厳しい。それが現実なので、それを一歩でも二歩でも改善の方向に進めたいというのが先でございます。
 失礼いたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。そうしましたら、今日の予定しておりました時間がもうほとんどなくなりました。特に何かということがございましたら、本当僅かな時間で申し訳ありませんが、まとめておっしゃっていただければと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
 では、今日の論点整理案につきましての議論はここまでとさせていただきます。大変ありがとうございました。たくさんの非常に重要な、しかも具体的なお話をいただきました。事務局でぜひまとめていただいて、次回の会議に反映させていただきたいと思います。
 では、最後に、次の開催予定につきまして、お願いいたします。
【松田補佐】  本日は活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
 次回、第9回の会議でございますけれども、7月15日、15時から17時までの開催を予定しております。詳細は、また改めて御連絡させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議事は全て終了ということで、終わりにしたいと思います。
 暑さに慣れない間に非常に厳しく暑くなったり、地震も起きたりもしております。どうぞ皆様、十分にお気をつけください。
 では、本日、これで終了いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)