「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録

1.日時

令和4年1月19日(水曜日)14時00分から16時00分

2.議事録

【荒瀬座長】  皆さん、こんにちは、荒瀬でございます。定刻となりましたので、ただいまから第5回「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議を開催いたします。御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。今日は全員の委員の皆さんに御出席いただいております。
 本日の会議も、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、ウェブ会議システム「Zoom」による開催とさせていただいております。傍聴者の皆さんにつきましては、ユーチューブにより御視聴いただいております。
 では、本日の会議開催方式、配付資料等につきまして、森下室長からお願いをいたします。
【森下初等中等教育局参事官(高等学校担当)付高等学校改革推進室長】  事務局、高校改革推進室長の森下でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 まず、初めにですけれども、今までこの立場でお話をさせていただいた参事官補佐の酒井が本年1月より異動になりましたので、本日は、私のほうから説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本日の会議の開催方式ですが、ただいま座長から御紹介ありましたとおり、ウェブ会議システムによる開催とさせていただいております。このため、ウェブを通じて御議論いただく観点から、毎度のお願いで大変恐縮でございますけれども、御発言に当たってはインターネット上でも聞き取りやすいようにはっきり御発言いただくであるとか、あと御発言の都度、お名前をおっしゃっていただく、あとは御発言時以外にはミュートにしていただくと、あとは御発言の際には手を挙げるボタンで、御発言の後に手を下ろすボタン、こうしたことにつきまして、御配慮を引き続きいただけたらと思います。御協力のほどよろしくお願いをいたします。
 本日の配付資料でございますが、議事次第にございますとおり資料1及び資料2と、あと参考資料1から4まで御用意をして、事前に委員の皆様にお送りをしておるというところでございます。また、会議の中で説明する際には、画面上に表示をさせていただきます。御不明な点等ございましたらお申しつけいただけたらと思います。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  では、引き続いて、本日の会議の内容についての補足と、今後の会議の検討の進め方につきまして、森下室長から御説明をお願いいたします。
【森下室長】  事務局でございます。本日でございますけれども、広域通信制高校と通信制高校に係る関係団体からヒアリングを2件予定してございます。1件目がクラーク記念国際高等学校様、2件目が全国高等学校通信制教育研究会、全通研様にヒアリングを御依頼を申し上げております。また、2月以降の会議でございますけれども、通信制高校の現状をさらに把握するために、さらに、通信制高校や関係団体からヒアリングを実施してまいりたいと思っているところでございます。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ただいま御説明いただきましたことで進めてまいりたいと思います。よろしいでしょうか。
 では、まず、通信制高校の現状や取組等について把握するために、今日はクラーク記念国際高等学校と、全国高等学校通信制教育研究会の2つの組織の方からこの順番に御発表いただき、それぞれに質疑応答の時間を設けたいと思っております。その後、意見交換の時間を最後にまとめて取りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、議事に入ります。まず、クラーク記念国際高等学校からヒアリングを行います。本日は大変御多用の中、副校長の岡田様、教育顧問の栗原様、東京キャンパスキャンパス長の保志様に御出席をいただいております。ありがとうございます。
 まず、20分程度で東京キャンパスキャンパス長の保志様から御発表いただき、その後、20分程度の質疑応答の時間を設けたいと考えております。
 それでは、保志様、御発表よろしくお願いいたします。
【岡田氏】  こんにちは。冒頭に、私、副校長の岡田でございますが、私から少々お時間いただいて、御挨拶をさせていただきたいと思います。
 私、北海道深川市の本校から今参加をさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、本日はこのような発表の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。クラーク記念国際高等学校は、平成4年に全国で6番目の広域通信制高校として、北海道深川市を本校として開校し、現在では45の都道府県を学区として、全国各地に約60のサテライト施設を有し、1万1,000人を超える生徒が学んでおります。
 これまで全国で多くの不登校経験者の生徒や、高校から転入学を希望する生徒を受け入れ、一人一人を大切にする様々な特色ある教育活動を展開し、今年で開校30年目を迎えます。このたび全日型の教育も含め、本校通信制課程の教育活動について発表する機会をいただきました。特に、本校における全日型の教育活動につきましては、開校当時より首都圏での取組の積み重ねが全国の施設のスタンダードになっておりまして、今回につきましては、首都圏地区を統括しております保志悦宏から、首都圏地区の取組について御説明をさせていただきます。
 それでは、発表に移らせていただきます。保志先生、よろしくお願いします。
【保志氏】  皆様、こんにちは。クラーク記念国際高等学校の保志と申します。本日は貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、画面の共有をさせていただきます。
 本日は、関東1都3県首都圏地区における学習等の支援を中心とした取組について発表をさせていただきたいと思っております。
 流れは次の4つとなります。まず、本校の紹介をさせていただきながら、土台となる高等学校通信教育について説明いたします。こちらが共通性の確保の部分に当たると考えております。そして、次に全日型、毎日通学をして学んでいる生徒に対しての学習等支援についての取組を説明いたします。こちらは多様性への対応という部分に当たります。そして最後に、昨年度、令和2年度の進路実績について、御説明をさせていただきたいと思っております。お手元の資料では令和3年度と記載をさせていただいていますが、正しくは令和2年度です。大変失礼いたしました。
 では、早速、本校の説明をさせていただきます。まず、行動指針は「夢・挑戦・達成」です。生徒もそして教員も夢に向かって挑戦し、達成をしていく学校です。
 我々教員は、次の3つを教育姿勢として常に心がけて教育に当たっています。それは一人一人、クラーク国際生をしっかりと信じること。そして、一人一人を伸ばしてこそ学校であること。そのためには、教育に限界を作ってはいけないこと。この3つを常に心がけて教育に当たっております。
 次に生徒数についてです。こちら関東1都3県の面接指導会場に在籍している生徒の人数を今日は記載しております。昨年12月末の現段階で3,652名の生徒が在籍しておりました。登校スタイル別にその内訳を記載させていただいています。その登校スタイルの違いについては、後ほど御説明をさせていただきます。
 この中で特徴的なのが、新入学と転編入学の割合です。本校は、新入学で入学をしてくださる生徒が多いというのが特徴と感じております。また、今年度入学をしてくださった新入生の中において、不登校の経験がある方が、どの登校スタイルにおいても半分を超えています。こちらも本校の特徴として考えております。
 具体的な登校スタイルはこちらになっています。まず、多様で様々なバックグラウンドを持っている子供たちが多く在籍しております。生徒たちが入学のときに抱えている不安については、まずは勉強面での不安を非常に強く持っています。毎日勉強できるだろうかとか、勉強についていけるのかなとか、そういった不安を抱えている生徒が非常に多くいます。また、通学においても、毎日学校へ行きたいけれども、行けるのかなと、毎日行かなきゃいけないのかなと、自分の時間を十分使えるのかなとか、そういった通学の部分に関しての不安を感じている生徒もおります。
 そして、友人との関係、あるいは先生との人間関係に対して不安を感じている生徒もたくさんおります。当然進級、卒業への不安、また、卒業のときに自分の夢を見つけて、そしてそこに向かって本当に希望する進路に進めるのだろうか、そういった不安を抱えている子たちが非常に多くいます。
 そういう背景からも、我々は多様な生徒に対応するために、全ての登校スタイルにおいて高等学校通信教育を土台として、毎日学びたいという生徒には、毎日通学して学ぶ全日型の教育、あるいは、オンラインでしっかり勉強したいという生徒に対しては、オンラインを中心とした学びをしつつ、対面のほうが効果的な学びは対面で学ぶオンライン通学型の学び、また、自分の時間を有効的に使い、自学自習を中心とする学びの在宅型の3つがございます。
 続きまして、土台となる高等学校通信教育についてです。こちらが共通性の確保の部分になります。単位修得に関わる①から④の学びは当然のこととして、多様な生徒に対応するために進路指導、そして生活指導にも力を入れております。
 年間の教育活動概要は次のとおりです。1年間を前期後期に分けて、このようなスケジュールで教育活動を行っております。また、進路指導、生活指導においては、年間を通して継続的に行っております。ここまでが共通性の確保に当たる土台となる高等学校通信教育の部分になります。
 続きまして、全日型の学習等支援についての御説明に移らせていただきたいと思っております。土台となる高等学校通信教育の部分と、そして、学習等支援の時間を合わせますと1週間に30時間、年間で200日程度の教育活動になります。ただ、先ほども申し上げたとおり、本校には様々なバックグラウンドを持つ生徒たちがおりますので、この学習等支援の時間を有効的に活用し、一人一人の不安、悩みを解決しながら、次のステージに自信を持って進めるような教育活動が必要だと考えております。
 学習等の支援の時間では、習熟度別授業や特化型コース授業、探究学習に力を入れておりますので、それらの点について、もう少し詳しく説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、習熟度別授業です。国語や英語、そして数学といった科目を最大6段階の習得度別に分けて授業を行っております。キャンパスの規模によってクラス数は異なりますが、特徴的なのは2番目です。学習等支援の時間においては、クラス別に到達度目標を分けて設定をしております。例えば、まず中学校の範囲をしっかり学びたいという生徒たちには、その中学校範囲までの目標を設定し、高等学校の学習範囲をしっかり理解し定着を図りたいというのであれば、そのような目標を設定します。そして、それ以上に学びたいという生徒たちには、高等学校の学習範囲以上の学びを設定します。このように、生徒の理解度に合わせて、学習等支援の時間においては到達度目標を分けております。
 学び方についても、多様な生徒に対応できるように、ICTを活用しながら動画教材も使用し、個別最適な学びを子供たちができるような環境を用意し、そして、協同学習を取り入れながら生徒同士の教え合いの場、あるいは学びを深め合う場など、協働的な学びを行えるような環境も準備して取り組んでおります。この個別最適な学びと協働的な学びの融合という点にも、力を入れて現在取り組んでおります。
 続きまして、特化型コース授業です。こちらは生徒に自信をつけてもらいたいと、そして、生徒の才能を大きく開花させたい、そういう思いで行っております。ですので、特徴としては、その各分野のプロの方々から教えていただきながら、学校の中だけではなく、様々な企業や大学と連携をして、リアルの現場で学ぶことができるように努めております。そして、生徒の興味関心、やってみたいなという気持ちを大切に、基礎からでも学べることを意識して行っております。
 主な特化型のコースラインナップはこちらになります。例えば1番のインターナショナルコースですが、こちらは英語を毎日学習をしながら、地球的視野で物事を考えていけるような人を育てていきたいという思いで学習支援を行っております。今年の2年生の例で、実は中学校時代、実用英語技能検定を受けたことがなかった生徒がおります。本校に入学後、初めて英検3級に挑戦をしました。そこで合格することができて、その喜びを味わい、主体的に学習に取り組むようになりました。そして1年後の今年、2年生で準1級まで合格することができたという生徒もおります。そのように好きという気持ちをとことん突き詰めることで、得意と自分の中で意識をすることができるようになり、自信につながっていくのだと感じております。
 続きまして、探究学習についてです。こちらは、自らの夢に向かって主体的に課題に向かい、解決していく力を育むために、課題解決に必要なステップと、その中で必要なアイデア創出のための方法を学べることが特徴となっています。そして、一つのテーマについて、興味関心が異なる、様々なコースの生徒が一緒になって取り組むことで、新しい価値の創造には、多様性の融合も非常に重要だと気付ける学びとなっております。
 実際に、本日は東京キャンパスの例を用いて、指導目標と取り組んでいるプログラムについて、御紹介したいと思っています。まず、1年生は、社会課題の解決に向けて、適切に判断・行動できる人材の育成を目指しております。そのために、地域課題の解決を目指すプログラムに取り組んでおります。その学習において、主体性、協働性、多様性、思考力、判断力、表現力といった資質能力を生徒たちには身につけてもらいたいと考えております。
 2年生では、視点をビジネスに置き換えて、この変化する時代に対応した、新しい価値を生み出すことのできる人材の育成を目標として、商品開発等を行うプログラムに取り組んでおります。ここでは、1年生同様6つのスキルにプラスして、新しい価値を生み出す創造力を育成していくということも目標としております。
 3年生では、それまでの学びを通じて、自分はどんなことができる人で、そして将来どんなことをやっていきたいのかということを自分自身でまとめながら、自己理解を深め、そして、進路活動に結びつけていくプログラムに取り組んでおります。
 探究学習の一つの学習ステップを御説明をさせていただきます。このようなステップで、子供たちには課題解決能力を身につけてもらいたいと考えています。例えば、1年生の地域課題を解決するプログラムに取り組むのであれば、最初にその地域の課題にしっかりと目を向けるところからスタートします。その中から、自分なりに問いを立てて、なぜその課題や問題があるのかを考えます。次に、解決するためのアイデアを自分たちで考えます。そして、本当にその考えが有効的なのかどうかを検証しながら発表していきます。この一連のステップを子供たちには学んでもらいたいと思いながら、探究学習を行っております。
 ただ、ここで非常に難しい課題だと感じているのが、問いを立てたり、アイデアを生み出したりすることが、誰にとっても簡単にできることではないということです。ですが、一人の生徒も取り残すことなく行うためには、どうやったら問いを立てることができるようになるのかという手法も、併せて子供たちには学んでもらいたいと思っております。
 例えば問いを立てるためには、2番の下に附箋が貼ってある写真がございますが、2軸図という方法を用いながら問いの立て方を学び、あるいは、アイデアを生み出すためには、3番の下の写真にありますように、強制連想法(マトリックス法)という方法を用いて、アイデアを生み出す術を学んでもらいます。アイデアを発散させたり、収束させたりしていく中で、本当に有効的なアイデアを生み出す方法というものを子供たちは学んでもらいます。そして実際に課題に直面したときに、自らの力で乗り越えていくための方法を学んでもらいたいと考えながら探究学習に取り組んでおります。
 最後に、令和2年度の進路実績について御説明をいたします。この見方によってはいろんな見方ができると思いますが、本日御説明したいのは、その他の欄のところになります。進路未決定の生徒の割合についてです。全日型を見ていただきますと9.9%となっています。こちらは、ほかの通学スタイルと比較をしてみますと非常に少ない割合になっています。このことから、高等学校通信教育を土台としながらも、学習等支援の時間が充実すればするほど、次のステージに夢を持って進んでいく生徒たちが増えていくと感じております。
 しかしながら、在宅型の生徒たちは44.6%が未決定という現状があります。今後の課題は、この土台となる高等学校通信教育の質を充実させていくことだと考えております。
 まとめますと共通性の確保として、全ての土台となる高等学校通信教育の質の向上と、多様性への対応としての学習等支援の時間の質向上、この2つが非常に重要だと感じております。
 最後に、学習等支援の時間の中での生徒の様子について、映像を皆様に御覧いただきたいと思っております。BGMは本校オリジナルソング「アンビシャス」となっておりまして、校長の三浦がエベレスト登頂を目指す際に応援ソングとして作られた曲です。では、よろしくお願いいたします。
(動画上映)
【保志氏】  本日は貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 クラーク記念国際高等学校の発表は以上となります。ありがとうございました。
【荒瀬座長】  どうもありがとうございました。今御発表いただきました内容についての御質問をいただきたいと思います。委員の皆様、どうぞどなたからでもお手を挙げていただければと思います。では、原口先生、お願いいたします。
【原口委員】  横浜修悠館高校、原口でございます。
 本日は、温かい気持ちになるような発表ありがとうございました。本校に昨年、クラーク記念国際高校のある学校から編入してきた生徒さんがいるのですが、その生徒さんの話によりますと、とても担任の先生と話す機会が多くて、自分の気持ちを聞いてもらえたということも伺っております。
 質問ですが、不登校経験がありながら、200日間にわたる全日型の学習支援のためのコースに通うことができるその最大の理由は何なんでしょうか。例えば全日だと絶対欠席の連絡等を必要としていたりするのですが、そういうことは必要なのか、登校スタイルは年度途中に変えることもできるのか、最終的に全日型の生徒さんが履修登録したものはどのくらい単位修得まで至っているのか、その辺りをお聞かせ願えませんでしょうか。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。では、御質問一つ一つお答えいただくということでお願いしたいと思います。保志さん、いかがでしょうか。
【保志氏】  御質問ありがとうございます。まず、不登校の経験がある子たちが、200日間登校ができるようになる要因についてですが、様々な点が考えられますが、一つの大きな特徴と言えば、本校では教員が心理学の勉強を継続的に行っていることが考えられます。教員の経験や感覚で生徒に対応するのではなくて、理論に基づきながら、接している部分が非常に大きいのかなと思っております。
 また、これは私の感覚ではありますが、多くの子供たちが過去につらい思いを経験していますので、他者に対して優しい気持ちを持って接するよう心掛けている人が多いと感じています。そういったところで、学校に通いやすい雰囲気があるように思います。さらには、協同学習の時間においても、他の生徒の意見を否定しないで受け入れるというようなことも授業の中で意識しておりますので、そういった観点から、自分の考えを受け入れてくれる場所があるというところを感じてもらえているのかなと思っています。
 そして、コースの変更についてですが、こちらは変更可能です。生徒の状況に合わせながら毎日通学をするスタイルから、オンライン中心のスタイルに変更することは柔軟に対応することができます。そして、単位履修のところでは、基本的にはその年度のそのコースで履修した科目に関しては、担任がこまめに連絡を取り、サポートをしているため、しっかり履修することができています。
【原口委員】  ありがとうございました。よく分かりました。
【荒瀬座長】  原口先生、よろしいですか。
【原口委員】  ありがとうございました。
【荒瀬座長】  では続きまして、日永委員、そして森田委員、岩本委員の順にお願いをしたいと思います。では、日永委員、お願いいたします。
【日永座長代理】  よろしくお願いいたします。日永でございます。
 実は2010年に文部科学省の委託事業を受けて通信制高校の調査をした際に、クラーク国際高校にもアンケート調査等に御協力をいただいておりまして、その当時から生徒数の多さ、卒業率の高さ、5割を超える進学率を確保されているということで、訪問調査に行くべきだったと思いながら今日の御発表をうかがっていました。御発表に関連して2つお聞かせいただきたいと思います。原口委員のお話にもありましたが、通学型のコースを使いながら効果的な教育をされているんだろうと思うんですけれども、これまで通学制の大学に進学していった卒業生たちが、その後うまく大学生活に適応できていっているかどうかなどの追跡調査をなさったことはあるでしょうかというところが1点です。
 もう一点は、資料の中にクラス別の到達目標を設定してきめ細かく、とあり、最後の発表のまとめのところで共通性の確保というのがありました。これを両立するに当たって、最終的な卒業時の到達目標にはある程度共通性を持たせているのかということ、これを聞かせていただきたいなと思いました。
 やはり高校教育の質の維持のことを議論するに当たって、示唆的な情報になると思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします。
【保志氏】  御質問ありがとうございます。まず、1点目、大学等に進学した後の継続率等に関してですが、コロナ禍以前に調査をしたことがございます。ただ、全ての生徒からヒアリングすることが難しいのが現実でございますが、推薦入試等での継続率は調査できました。
 平成29年度の調査では、進学した1年後の継続率に限ってとなってしまいますが、指定校推薦と公募推薦で進学した生徒の1年後の継続率は、87.8%でした。ただ、一般入試や当時のAO入試を含めた正確な数字は現在持ち合わせておりません。卒業後も、子供たちがしっかりと学びを継続できているかどうかというのは、我々も大事にしていきたいと考えております。
 また、生徒たちの学習到達度の部分においてですが、ここが我々の課題だと思っております。全教科満遍なく、全員が目標に到達することはできておりません。
 しかしながら、特化したコース授業等を通じながら、自分の興味がある分野であれば、驚くようなその成長を遂げ、目標を超えていく生徒もおります。
【日永座長代理】  ありがとうございます。本会議だけに限らず高校とは何かを考える中での重要な課題だと思いますので、ぜひ今後も取り組んでいただければと思います。ありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、続きまして、森田委員、お願いいたします。
【森田委員】  では、私から質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 本当にすばらしい実践の報告をありがとうございました。私の質問は、既に他の委員の方が御質問されている内容とも重なるのですけれども、まず、スライドの中で進路指導や生活指導を充実させているとのことでした。また、先生方が心理学も修得されておられるとのことでした。この点について、学校に通学している生徒さんには比較的対応しやすいと思うのですが、在宅で学んでいる生徒さんたちに対してどのような形で進路指導ですとか生活指導を行っておられるのか教えていただきたいというのがまず1点目になります。
 次に、2点目としましては、キャンパスが都内に9施設あるということなんですけれども、心理学の専門の知識を修得した先生、教員がそれぞれ何人ぐらいおられるのか、それから、一人の教員が何人ぐらいの生徒さん、通学している生徒さんもしくは在宅で学んでいる生徒さんを担当されておられるのか教えてください。また、一人の教員がクラス全員を見るようなクラス制になっているのか、それも複数の先生が協働で担当するようになっているのか、複数の教員が協働している場合には、学習の記録や、どんな支援をしたのかという記録をどのように受け渡しているのか、具体的な生徒の進路指導や生活指導のやり方について、もしよかったら教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。
【保志氏】  御質問ありがとうございます。まず、生徒への生活指導や進路指導に対しては、基本的にはどの登校スタイルにおいても、同様な形で行っております。例えば、登校に不安があるような生徒に対しては、電話連絡であったり、登校したときの声かけは丁寧に行っております。ただ、実際には、通ってくる頻度が大きく異なりますので、支援の回数には差があるというのが現状です。
 在宅型の生徒に対しては、添削指導の状況に応じてであったり、面接指導や試験の際に合わせての対応が中心です。ただ、生徒たちも自ら先生に連絡してくれることも多いので、そのときはすぐに対応しております。
 また、クラスの生徒数ですが、毎日通学するコースでは、1クラス30名から35名ぐらいです。クラスによってはもっと少ないクラスもあります。ただ在宅型の生徒によっては、登校頻度が大きく異なりますので、一人で60人、70人見ることもあります。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。森田先生、どうでしょうか。
【森田委員】  ありがとうございました。私のほうは以上で、ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございます。それでは、岩本委員、お願いいたします。
【岩本委員】  岩本です。声は大丈夫でしょうか。大変勉強になる御発表ありがとうございました。その中で私は大変興味を持ったのは、探究学習だとか、特化型のコースで多様な協働的な学びなんかもされているというのは、見させていただいてすばらしいなと思ったところですが、この探究学習で書かれていたものというのは、基本全日型の生徒さんたちがされているということでよかったでしょうか。
【保志氏】  御質問ありがとうございます。全日型の生徒に対してもそうですが、オンライン通学型の生徒たちにも行っております。
【岩本委員】  分かりました。ありがとうございます。
 ちょっと質問としては、この探究的な学びとかを例えば今回の話でいけば在宅型の生徒さんとかは、どういうふうな形でされているのか、もしくはこれからしようとしているのかというか、何かこの探究的な学びとか多様な人たちと協働しながらの学び、協働的な学びというのが、今後はきっと誰一人取り残さずにではないですけれども、何か土台となる教育のところに入ってくるものではないかなと思う中で、そういった例えば在宅型に代表されるような生徒さんたちには、今後探究的な学びだとか協働的な学びは今もされていると思いますけど、どんな形で今してて、今後はどういうふうにされていこうとされているのかというところ、ちょっとお伺いできたらと思います。
【保志氏】  ありがとうございます。まず、まだ探究学習は、我々も日々試行錯誤を繰り返しながら行っておりますので、確実にこうやったら大丈夫という段階ではありません。
 そして、在宅型の生徒に対してのというところにおいては、まだ十分な学習の場というものが用意できてない現状があります。ですが、全日型等で今取り組んでいる内容の精度を高めていって、そして、在宅型の生徒の皆さんにも、スムーズに取り組めるようにしていきたいと考えております。ただ、在宅型の生徒たちの支援というのは、生活面でのサポートであったり、そういった部分がまだ非常に大きいというのも現実であります。
 ですので、我々の生徒対応のスキルを高めていきながら、学習に早く目を向けてもらえるような環境をつくっていかなければならないと考えております。
【岩本委員】  すいません、現状分かりました、ありがとうございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  ありがとうございます。青木でございます。大変すばらしいお取組をなさっているということがよく理解できました。ありがとうございました。
 その上で伺いたいのですが、行政との接点について伺えればと思います。この会議の問題関心としましても、設置認可をした所轄庁と通信制の高等学校の間で情報のコミュニケーションが必ずしも十分ではないという問題意識を持っております。逆に行政としてはクラークさんのようなすばらしいお取組をどのぐらい知っているんだろうかということも気になりまして、その辺りのことを御存じの範囲でお答えできる範囲で結構ですので、お教えいただければと思います。
【荒瀬座長】  お願いいたします。
【岡田氏】  私からでいいですか、クラーク記念国際高校は、本校は北海道深川市ですので、所轄官庁は北海道庁総務部の学事課になります。毎年サテライトの新設ですとか廃止ですとかということが起こるものですから、学事課とは、私や事務局の担当者が頻繁に出入りをしておりまして、事あるたびに本校や本州のキャンパスでこういうことをやっているみたいなお話も結構親しくさせていただけているように、自分では思っているところです。
 多くの所轄庁で状況がわからないという話を聞いている中では、きっと身近に感じていただいているのではないかというふうに理解をしております。たくさん生徒がおりますので、事件・事故の報告も少なくなく、かなり頻繁にやり取りをしておりますので、そこら辺の意思疎通はよくできているのではないかと私は考えているところです。
【青木委員】  大変よく分かりました。やはりコミュニケーションが密になされているということで、大変すばらしいなと思います。ありがとうございます。
【岡田氏】  ありがとうございます。
【荒瀬座長】  岡田先生、ありがとうございました。ほか、大河原委員、お願いいたします。
【大河原委員】  大河原でございます。すばらしいお取組の御発表、誠にありがとうございました。
 今の青木先生のお話に少し関連するかもしれないのですが、一言だけ御質問させていただきます。御校の場合は本部が北海道ということで、基準は北海道のものが適用されることになるのかなと理解しているのですけれども、首都圏のほうにこういった施設がある中で、そちらにも北海道の基準、規定が適用されることによって、何か課題ですとかあるいは不都合とか、そういったことはございますでしょうか。
【岡田氏】  北海道庁が不都合に思っているかどうかということについては分かりかねますが、どうなんでしょう、私どもとしては新しくキャンパス、出先を設けるいうことになりましたら、北海道庁、とても真面目に法令遵守に取り組んでおられる所轄庁で、実際に現場現地まで行って、様子、周りの環境、その教育活動を行うにふさわしい場所なのか、建物なのか、施設設備がどうなのかということがちゃんと見ていただいて、いいとか悪いとかということを判断していただいています。道庁の方々は本当に大変だろうなというふうには思います。
 人数も以前のこの会議で話題になっていましたが、そんなにたくさんの担当者がいるわけじゃありませんので、本当に御苦労されているんじゃないかというふうには見てとれます。
 すいません、そんな答えでよろしいでしょうか。
【大河原委員】  ありがとうございます。1点だけ、ほかの首都圏に本部がある学校においては、このような基準で施設を設置できるのに、北海道の基準が適用されることによって、貴校として何かデメリットですとか不都合とかそういったものが生じてないかというのをちょっとお伺いしたかったんですけれども、その辺りはございませんでしょうか。
【岡田氏】  あくまで私の感覚なんですけども、北海道の基準は恐らく他県に比較して厳しいのではないかと思っています。なので、北海道の基準に適合していれば恐らくどこに造っても大丈夫なのではないかという感覚を個人的にはもっています。栗原先生、どうですか、この辺り。
【栗原氏】  御質問ありがとうございます。今、岡田副校長もお答えしていただいたんですけども、今のところ北海道庁の基準が厳し過ぎて、他の所轄庁の基準に合わせられればいいのになということは感じていません。逆に北海道庁から大丈夫とおっしゃっていただければ、生徒の学ぶ環境として大丈夫なんだろうなという安心の下、教育活動が展開できますので、そういった面でありがたいなというふうには思っております。
【大河原委員】  どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ほかに御質問はいかがでしょうか。青木先生、加えての御質問でしょうか。
【青木委員】  よろしいでしょうか。
【荒瀬座長】  どうぞ。
【青木委員】  ありがとうございます。青木でございます。
 今の大河原委員の質問にまた少し関連するんですけれども、クラークさんのグループといいますか、各地域に学校が設置されています。その地元のといいましょうか、地元の県庁、所轄庁ではないですが、地元の県庁の私学の所管の部門と何かコミュニケーションというものはあるんでしょうかというのが一つ。
 もう一つは、北海道庁の立場からすれば、クラークさんの全国に広がる学校、あるいは施設を見るというか、チェックする責任があるんだと思うんですが、全てを毎年行くわけにはいかないという物理的な、人員的な制約もあると思います。学校設置するお立場からして、それでも所轄庁に情報提供して、こういう活動をしているということがあるんだと思いますが、現地で訪問調査を迎え入れることができない場合にどのような情報提供を所轄庁に行えば、円滑なコミュニケーション、情報のコミュニケーションができるとお考えでしょうか。最近だとこういうオンラインで見てもらうということも、私どもはあり得るのではないかなと考えているところなんですが、その辺り現状での御様子を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
【岡田氏】  所轄庁が北海道外にある出先のキャンパス、サテライト施設の様子を把握するためのすべは何かないだろうかという御質問でよろしかったですか。そうですね、現時点ではやっぱり図面ですとか何かの変更があれば変更に伴う資料や写真のやり取りで、北海道の事務局の担当者が行って説明をする程度でしょうか。今先生が言われたように、ここ何年かで随分オンラインの設備も環境も変わってきましたので、そういうことで情報交換ができる可能性は大きいのではないかと思います。
 栗原先生、何か付け加えありますか。
【栗原氏】  あと地元の所轄庁と北海道庁との連携ということも御質問されたかと思うんですけども、グループ内には高等専修学校も抱えておりまして、そこで学ぶ生徒は高等専修学校に在籍をして、かつクラーク国際記念高等学校にも在籍をして学ぶという学びのスタイルとなっておりますので、高等専修学校については、地元の所轄庁がやはり点検調査に入られます。そうした情報がまた、これは専修学校のことだけれどもということで、情報提供が所轄庁から北海道庁になされることもございます。
【青木委員】  どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
 今お答えいただいたことで青木先生のほうも、大河原先生もそれで了解ということのようでありますので、必要ないかとも思いますが、あえて申し上げますと実際に教育内容とかの具体の把握というのを所轄庁がなさると、もっと具体にクラークさんのやっていらっしゃることのよさが理解されていくんじゃないかなと思いますことと、それから実際のところ所管庁は人も少なく、なかなか北海道庁のように全国に実際見に行くということをできないところもたくさんあると聞いていますので、北海道庁はすごいなと思うんですが、むしろ学校のほうから所管庁のほうにいろんな情報を出していただけると、一層スムーズなコミュニケーションが保てるのではないかなということを思いました。またお考えいただければと思います。
 ともあれ今日本当に丁寧な御説明をいただき、本当にすばらしいなと思いました。とりわけ高等学校教育を議論するときに必ず大きな話題として出てきます共通性の確保と多様性への対応というこの2つのことについて、いろいろ心を砕いていらっしゃるということもとても大事なことであると思って承っておりました。
 原口先生、どうぞ、お願いいたします。
【原口委員】  すいません、あと2点だけ、学習活動の質問に戻ってしたいことがあるんですが、よろしいでしょうか。
【荒瀬座長】  どうぞ。
【原口委員】  1点目は、探究活動の学習ステップのところの写真に、付箋やボードで問いを立てたり、アイデア創出をするということがありますけれども、全日型で、当然1人1台端末は入学時に購入させていらっしゃるのか、また、スクーリングではどれぐらい、1人1台端末、全日型で使っていらっしゃるのかというのが一つです。
 それからもう一つは、昨日本校にもクラーク国際高校から、年間最後の転入生を受け入れますという2月1日転入のお知らせがファクスで来たのですが、2月1日に転入を受け付けて3月31日までの間にどのくらい単位履修を、また修得を認めていらっしゃるのか、この2点をよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  どちらでお答えいただけますでしょうか。
【保志氏】  まずICTの端末については、全日型の生徒であれば1人1台、入学のときに御用意いただいております。基本的にはiPad等ですけれども、生徒によっては、学ぶ内容でPCが必要な場合もあります。その場合は、PCを用意していただいて、基本的にはそれを使いながら日々の学習というものは行っています。ですので、使用頻度としては毎日活用しているという状況になっております。
 ただ、在宅型の生徒とかであれば必須というわけではありませんので、日々の学習の中で使用はしておりません。履修についてはどの生徒も年間30単位まで認めています。ただし、2月1日以降だと期間も短いのでそんなに多くの単位を修得することは難しいと思います。
【原口委員】  ありがとうございました。よく分かりました。
【荒瀬座長】  本当にたくさんお答えいただいてありがとうございました。
 それでは、クラーク記念国際高等学校のお三方、本当にお忙しい中、ありがとうございました。丁寧なお答えもありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきたいと思います。お三方、どうぞ御退室いただきましたらと思います。本当にありがとうございました。
 では、お待たせいたしました。全国高等学校通信制教育研究会のヒアリングを行いたいと思います。
 本日は会長の南斉様、事務局長の村越様に御出席をいただいております。ありがとうございます。
 やはり20分程度で御説明をいただくということで、村越事務局長様から御発表いただいて、その後、質疑応答の時間を設けたいと思います。では、村越様、よろしくお願いいたします。
【南斉氏】  皆さん、こんにちは。全通研の会長を務めております、東京都立砂川高校の南斉でございます。本日はこのような機会をいただいて本当にありがとうございます。
 全通研という組織ですが、この後、事務局長の村越から御説明をいたしますけれども、大きな特徴といたしましては任意の研究団体であるということが一つ。
 ですから、何か強制力を持って各地の学校を統括するような団体ではないということ。それからもう一つが、全国を7つの地区に分けた7地区の連合体、集合体であるということ。地区ごとにやはり状況が全然違うというところがございますので、そういった共通点を緩やかにつながりながら、任意で研究をしているという団体でございます。
 毎年全国大会を行っておりますけども、その際には文科省の皆様にも御協力をいただいておりますし、本日出席されておられる先生方、森田先生をはじめとして様々御協力をいただいております。この場を借りて御礼申し上げます。
 それでは、事務局の村越から、詳しく御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【村越氏】  皆さん、こんにちは。全通研事務局長の村越と申します。どうかよろしくお願いいたします。
 全国高等学校通信制教育研究会の取組ということでお話をしたいと思います。全通研の概要ですが、全国高等学校通信制教育研究会、「全通研」と言っております。通信制の課程を設置する高等学校によっても構成をされています。前身は、昭和25年2月に結成された全国通信制教育研究協議会連合会、「全通連」と当時言っていました。そこがスタートですが、後に組織の名前を改めました。
 加盟校ですが、当初全ての加盟校が公立通信制教育実施校だったものですから、通信制高校イコール全通研あるいは全通研加盟校という状況でした。それで他の課程と併記された通信教育部から通信制課程、さらに通信制独立校が設置されるなどして、加盟校の編成がありました。私学の通信教育は昭和33年に開始され、昭和39年に私学の広域通信制高校が加盟したということです。特に平成10年代になって多くの新設の私学通信制が加盟をいたしました。
 各地区、地域で定時制通信制教育の再編整備が進行する中で、公立の伝統ある通信制課程が閉課程となる一方で、新しい通信制課程が開設されて加盟しているということになっています。
 3番目、全通研の目的ですが、会員の研究発表、知識の交換並びに会員相互間及び関連学会団体との連絡提携の場となっています。そして高等学校通信制教育の進展と振興に寄与することを目的としています。下にありますように、①から④の事業を行っています。調査・研究、それから研究協議会・研修会の開催、通信教育用学習図書の編集、会報の発行、関連学会・団体との連携という事業です。
 「地区通研」ですが、先ほど会長からお話がありましたように、全国を7地区に分けてあります。それぞれに地区の高等学校通信制教育研究会、東北・北海道地区通研という言い方をしております。各地区で、それぞれ特色のある研究活動を行っています。なお全通研への加盟は、実施校単位で各地区通研へ加入をいたします。地区通研から推薦を受けて、理事会の議決、それから総会で承認ということで全通研に加盟することになります。
 次に、全通研の事業ですが、通信制教育に関する調査・研究として、本部で2つの研究委員会が活動しています。放送教育研究、それから全通研大会における本部発表、これは通信教育実態調査を主に行っています。毎年2校ずつ放送教育研究校として委嘱をしております。下に赤で入れたものはそれになります。全通研大会の開催は、地区通研との共催となっています。1年ごとに地区が変わっていくということになります。
 それから全通研大会には、一般参加も認めております。全通研に加盟していなくても参加できるようにということで、加盟してない通信制高校には事務局より御案内を差し上げております。かつては認めていなかったのですが、きっかけとなりましたのが平成30年、令和元年度の文科省の開発事業、「広域通信制高等学校における教育の質の確保のための研究開発事業」、この委託を受けまして、2年間行いました。その中で公開して一般参加も認めて、通信教育に携わる先生方も加盟しなくても参加できるようにしようということで進めております。放送教育研究委員会、放送教育研究の委嘱、これは先ほどありました毎年2校ずつ委嘱をしていますが、NHKからの依頼でもあります。NHKから委嘱のための研究のための費用として、委嘱校にはお金をいただいております。それから、通信制教育あり方研究委員会、これはちょっと大げさな名前ではありますが、この委員会の調査研究が本部発表となって、全通研大会で発表しております。いろいろな委託、調査・研究をしたり、あるいは当日調査結果に基づいて先進的な通信制高校に発表をお願いしたりして情報を共有していこうということで進めています。それから通信制教育に関する実態調査、文部科学省からの委託事業、各地区から要望を受けての全国加盟校への調査をして、それをまたフィードバックをするということも行っています。
 研究協議会・研修会の開催ですが、研究協議会は第1回総会・研究協議会、全通研大会と言っていますが、第1回が昭和25年に開催され、以後毎年行っております。全通研研修会はそれとは別に、全通研本部で企画をして運営をいたします。特定のテーマによる研修会を開催し、同一地区内に学校数の少ない通信制高校の現状の中で、会員に対する貴重な研修の機会を提供しています。
 最近のことですと、令和元年には、著作権について研修会を東京と大阪2回行いました。今日御参加の森田先生にもそこでお話をしていただきました。令和2年、一昨年ですが、これは全通研大会がコロナ禍の中で中止になり、そこで発表する予定だった2校が発表するという研修会を、Zoomで開催をいたしました。
 3つ目は「放送教育研究」「放送教育だより」の発行です。放送教育研究委嘱校の2年の研究成果及び各地区通研の放送教育の取組を毎年6月に冊子にして「放送教育研究」として発行しております。全通研加盟校に配布をしています。また、各地区通研大会での放送教育の発表を放送教育研究委員会が報告をする「放送教育だより」というのがあります。これを毎年2月に作成し、メールで加盟校に送付しています。各地区の地区通研大会に放送教育委員会のメンバーが参加し、指導助言という立場にはなっているのですが、そこで情報を得て、それを1年間のまとめとして、それを「放送教育だより」として発行しています。
 この2つとも全通研ホームページにも掲載し、誰でも見られるようになっております。
 会報ですが、「全通研発」を年に7回程度、加盟校の校長宛てに送っております。理事会や常務理事会の報告を中心に本部からの連絡事項を載せて送っております。これも今はメールで送信しております。
 5番目の通信教育用学習図書の編集です。通信教育においては、教科書に加えて「通信教育用学習図書」を使用するということから、通信教育発足当初から「学習書」の発行・供給が学習条件整備の重要な課題でありまして、全通連が結成された理由の一つが「学習書」の迅速な発行・供給を実現することでもありました。
 最初は文部科学省が「学習書」を出していたのですが、それを全通研が担うことになっています。学習書を作るというのが、発行するというのが全通研加盟校の先生方の悲願でもあったということです。
 全通研が、本部の事業として「学習書」の作成を開始したのは昭和29年、37年にNHK出版からの一括発行となり、発行所の確保という難題が解決をされました。以降今日まではそれが続いております。
 6番の関連学会・団体との連携です。定通四団体の連携事業というのを行っています。全国高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会の実施。これは定通教育新聞の発行年3回です。定通四団体というのは全通研とここにあります公益財団法人全国高等学校定時制通信制教育振興会、全振と言っていますが、これが一つ。それから全国高等学校定時制通信制校長会、定通校長会と言っています。それから、全国高等学校定時制通信制教頭・副校長協会、全教協と言っています。この四団体が協力して、連携事業を進めているということです。
 それから2番目が、日本通信教育学会との連携ということになります。この日本通信教育学会は、全通研の会長が理事となっています。会議に出席するのは、代行として事務局長となっております。
 全国の高等学校数の推移ですけども、文部科学省の基本調査によると、全日制と定時制、それから通信制の公立、私立の学校数はこのようになっています。赤字になっているところ、平成17年に公立と私立の通信制高校の数が逆転しています。全日制・定時制高校というのは減少しているのですが、逆に通信制高校が増えているという状況になっています。以後、公立高校はそんなに多く増えることはなく、私立の通信制高校は、増加傾向にあります。
 通信制課程の生徒数の推移は表のようになっています。青のところが全通研の過去の調査結果を記しましたが、集計が誤っているかもしれません。一応入れておきました。私学の通信制が非常に多く増えている一方で、全通研加盟校の生徒数が激減しているというのが続いています。
 学習書の発行ですが、発行科目は現在30科目を発行しています。発行部数、印税収入は後ほどお話をしたいと思います。編集委員の数は例えば30科目だと、5人でしたら150人の先生が必要になる。ところが、そんなに通信制の先生はなかなか見つからないということで、全日制の先生に、あるいは定時制の先生に手伝っていただいて作っています。
 通信制教育の課題ですが、事務局として、あるいはかつて通信高校の校長を務めていた経験から、日頃思っていることを列挙してみました。
 1番目、初任者研修をはじめとする研修体制がない。都道府県教育委員会による研修がないんです。教育公務員特例法では、研修をしなければいけないということでかなり充実はしているのですが、通信制教育についてはない。全通研がそれを代わりに行っているようなところがあります。
 2番目、通信教育の教員の不理解と。通信制高校卒業した教員、指導主事がいないんです。要するに相談相手がいないということになります。むしろ教育委員会が公立の通信制高校に聞きに来るような状況になっています。それから面接指導を授業と捉えがちになる。スクーリング、面接指導を行っているんですが、生徒も教員も授業と言ったほうが通りはいいし、分かりやすいということになっています。そういう言葉の使い方がいいのかどうか。面接指導の在り方が明確になっていない、要するに面接指導を授業として捉えてやっている先生がかなりいるように思います。
 3番目、メディア視聴による面接指導の減免制度の不理解。これは非常に誤解が多くあって、まだ十分理解されていない。ガイドラインにも示されてはいるんですが、ガイドラインも読んでいないという状況があります。
 4番目、「学習図書その他の教材」の解釈がどうもまだはっきり定着してないと。通信教育においては、生徒に「通信教育用学習図書その他の教材を使用して学習させるものとする」とあるんですが、この意味を十分まだ捉え切れてないというところがあります。
 5番目、各県通信制教育課程の学校間の連携ができない。公立の場合ですと、通信高校が各県に1校から3校しかありません。学校間の情報交換ができない。そうすると必然的に全通研との情報交換ということになって、全通研が間に入って全国の通信制高校と情報交換をしていくという形を取っています。
 6番目、通信制の教育制度の運用で、全日制のカリキュラムを組んで教育している学校があるのではないか。以前全通研に加盟していない私学のホームページを見たら、そういうような私学の通信制もある。それは認められるのだろうか。
 7番目、通信制生徒への不十分な支援体制がある。週1回の登校では、専任の養護教諭は置けないという状況があります。
 8番目、生徒の家庭におけるICT環境の不備もあります。これだけではなく随分話題になりましたが、7人に1人は困窮家庭だと言いますが、定時制通信制で考えるならば、比率はもっと高くなるでしょう。
【荒瀬座長】  すいません、音声が今消えてしまいました。申し訳ありません。
【村越氏】  全通研の課題としては挙げてみました。
1番目、有意義な研究・研修の取組をどうしたらいいか。管理職が中心になっていますので、管理職の負担が非常に大きくなっているということです。
 2番目、全通研加盟の難しさ。ガイドラインを守っていることが加盟の条件になっているのですが、ガイドラインを守ってない学校もどうもあるようだということでなかなか難しい。教員数の少ない私学の通信制の場合は全通研に加わることが非常に負担になっているということもあって、いろんな研究活動ができないというお話も聞いています。現在、公立が多いものですから、どうしても公立のほうの中心の話になってしまいますが、このような状況にあります。
 3番目、全通研予算の減少です。会費は1校2万7,000円ですけども、116校で313万2,000円。全体の収入予算の16.8%でしかないということになります。学習書の印税で成り立っているんですが、加盟校生徒数の減少で学習書の売上げが随分減っているということで、全通研組織としての取組が難しくなってきているという状況です。
 全通研学習書の推移は割愛します。何か御質問あれば、御説明したいと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問をお願いしたいと思います。また、手を挙げるボタンをよろしくお願いします。
 ただいまの御説明につきまして、御質問を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。
 では、時乗委員、お願いいたします。
【時乗委員】  山手学院の時乗です。どうも今日は御発表ありがとうございました。
 私もかつて通信制高校にいたことがありますので、全通研さんにはいろいろとお世話になったところなのですが、2点ほどお聞かせいただきたいと思います。まず1点目は、先ほどのクラークさんの発表の中にもありましたけども、これからやっぱり大きな流れというのは、探究活動を学校教育の中でどうやって入れ込んでいくのか。毎日やってくる、毎日通ってくる登校型だとかはある程度やりやすいでしょうけども、やっぱり週に1回とか限られた回数しか学校に登校してこない生徒たちに、いかに対話的で協働的な学びをさせていくのか、探究活動をさせていくのか。これは、ある意味これから通信制高校が乗り越えていかなきゃいけない大きな課題だと思っていますので、そういったものに対して全通研さんとして、何らかの研修会等のアプローチを考えておられるかが1点目です。
 2点目は、この有識者会議の中でも度々話題になってくるところなのですが、第三者評価という部分を各学校がやっていく必要があるのではないかという話が出ていますが、そういった第三者評価に対して、全通研さんとしてはどうお考えなのか。全通研として統一的な取組をしていこうと考えているか、あるいは全通研はそのような機関ではないので、距離を置いていくなど、いろいろな考え方があると思いますが、お聞かせいただければありがたいと思います。
 以上です。
【荒瀬座長】  では、すいません、お答えをお願いできますでしょうか。
【村越氏】  探究の時間ですよね。これをどう進めていくかというのは、まだ研修の中では上がってきてないんですが、実は課題がたくさんありまして、今話題になっているのは、去年からですが、観点別評価をどうするのか。通信制高校の場合にどのような評価をしていったらいいのか。多くの公立高校は週1回の登校になっていまして、その中で何を見てどういうふうに評価するのかということが課題になっていまして、先ほどご説明した「在り方検討委員会」が観点別評価について調査をいたしました。全通研岐阜大会の第1分科会で発表します。
 まだスタートしてないものですからどこも非常に困っている。全通研にも、他県ではどうなっているんだろうか、何か情報はないだろうかというの質問が来ます。東京都の教育委員会では、教科別の観点別評価の在り方についてはもう検討され、やがて公表されると聞いています。これは教科別なんですよね。では通信制における観点別はどうするのかということについては、ほとんど教育委員会では話題になっていないだろうと。そこが問題のような気が私はしています。それが教育委員会と一緒になってこういうふうにしようという発想が、教育委員会も余裕がないと言えば余裕がないんですけども、全通研としての立場あるいは通信制高校の立場で言うと、余裕がないということで済まされるのかという思いも、言い過ぎになるかもしれませんけどもちょっとあります。
 第三者評価については、これはおっしゃるとおり全通研が評価するような立場にはない。全通研が評価してしまうとその全通研がそういう立場にだんだんとなっていって、全通研のお墨つきを得られれば、それでオーケーになってしまう危うさがあるということになります。
 全通研は全てを把握しているかというと実は把握してない。今日のクラーク国際高校の発表にしても、要するに広域通信制高校をどういうふうにやっているのか、なかなか理解ができていないんです。私も通信制課程のある一橋高校の校長でしたけれども、広域通信制についてはなかなか理解はできなかったですね。そういう難しさがある。探究の時間の問題については、横浜修悠館の原口先生のほうが、横浜修悠館は少し進んでいるんではないかと思いますので、全通研加盟校として、あるいは常任理事として、常務理事としてちょっとコメントいただけるとありがたいんです。
【荒瀬座長】  原口先生。
【原口委員】  今ですか。
【荒瀬座長】  もしよろしければどうぞ。
【原口委員】  令和4年度全通研の岐阜大会、6月にやるオンラインの第1分科会の発表として、探究活動についても観点別評価についても公立、私立問わず先進事例校、その好事例を発表する予定でいますので、本校だけではなく、ほかの私立も公立もよくやっていらっしゃるアンケートに答えてくれたところを指名して、発表してもらう予定にはなっております。
 以上です。
【荒瀬座長】  すいません、原口先生、発表なさるということですが、先ほどの時乗委員からの御質問は、今後どのような形で限られた回数しか来ない生徒たちに探究活動を保障していくのかといった御質問かと思いますので、それに関すること、今お答えいただけるようでしたらお願いできるとありがたいなと思いますが。
【村越氏】  全通研としては、そういう情報はまだこちらでは持っておりません。これからの問題がたくさんありまして、全通研としては、そういう情報を得ていません。ただ今後、全通研はそういう情報あるいは実践例をたくさん集めてそれを公開していくと。加盟校あるいは加盟していない通信制高校と共有していくという作業がこれからますます必要になってくるんだろうと思っております。
【荒瀬座長】  ですから、御発表になるところのお話を皆さんが共有なさって、研修を深めていかれるという理解でよろしいでしょうか。時乗先生、よろしいでしょうか。
【時乗委員】  ありがとうございました。
【荒瀬座長】  では、日永委員、お願いいたします。
【日永座長代理】  日永でございます。よろしいでしょうか。
【荒瀬座長】  お願いいたします。
【日永座長代理】  今のやり取りにからめながら、ちょっとコメントをさせていただいた上で、一つだけ質問したいと思います。
 先ほどクラーク国際高校のときにも申し上げましたが、2010年の委託事業のときには全通研の皆さんには多大な御協力をいただいており、私も事務所に何度か足を運んだこともございました。その当時から感じているのは、先ほど学習書の共同発行ということもありましたけれども、戦後の高校における通信制教育の質の維持を全通研はずっと担ってこられたということです。また、当時、私が何度も公立の通信制高校関係者から聞いたのは、まさに添削問題をつくって学習させるところが授業なのであって、面接指導は必ずしも授業というわけじゃないということでした。
 このように長年にわたって質保証に取り組んでこられて、先ほど第三者評価の話がありましたけれども、実は一定の基準を設けて加入を認めるというこのスタイルはアメリカのアクレディテーション団体でやっていることそのままなのです。実はある意味もう既に第三者評価をやっていらっしゃるようなものだと私自身は認識しております。
 全通研に加盟できる通信制高校かそうじゃないかというところの社会的な認知がもっと高まっていけば、日本ではまだ十分実現できていないアメリカ型のアクレディテーションを導入する一つのきっかけにはなるんだろうなと思っているわけです。その意味では非常に期待もあるわけです。
 コメントが長くなりましたが、質問したいことは1点だけなんです。御発表の中にもあったように、私学の所轄庁との関係は非常に重要だと改めて思いました。
 それで、各都道府県の私学所轄庁と何らかの形で情報共有であるとか働きかけであるとか、そういうふうなことについて今やろうと計画されていること、実際にやっていらっしゃることはございますでしょうか。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】  よろしくお願いいたします。
【村越氏】  全通研として、組織としてそういうようなコンタクトは取っていないです。取れないというのかな、なかなかそこまで踏み込んでいけていません。最初の先生のお話のあったその観点別評価の在り方、通信制教育だったらこういうような評価の仕方ができるのではないかということを考えていかないといけない。ただ、公立高校の場合ですとそこに教育委員会が入りますので、教育委員会がそれを認めるかどうかという問題もあります。
 これは私個人の考えなんですけども、例えば全通研あるいは通信制高校、通信制高校と文部科学省あるいは教育委員会と連携して何かをつくっていけないだろうか。観点別をやりなさいと言ったきりで、その後どうしようかって、みんな困っているわけですよね。その後のフォローはないんですよ。各学校でやりなさいということで、実は教育委員会も困っているんだろうと思うんですけども、何かそういうところを全通研と協働で何かそういうものをつくり上げていくということをやっていかないといけないのではないのか。
 そういう意味では働きかけなきゃいけないんですけども、全通研というのは全国組織だから、そうするとやっぱり文科省になるのかと。文科省はそれを受けてくれるんだろうか。私は東京出身で、上野に事務所がありますが、東京都の教育委員会にお願いして、それをやってもらえるだろうかと思います。しかし、そういうことが必要なのではないかと思っています。これはちょっと別の話になってしまうんですが、画面共有しました。見られますでしょうか。
 これは岐阜大会向けの文科省への質問、要望です。岐阜大会で取り上げるかどうかこれから検討するんですが、学習図書その他の教材についての質問です。「生徒に通信用教育学習図書その他の教材を使用して学習させるものとするとあります。この場合、学習図書その他の教材に中点、中黒がないので、一つの言葉として認識されると思います。使用する教科書が学習書の基となった出版社でない場合、生徒が自学するに当たってどうしても不都合が生じてきます。その際、その他の教材を学習書に代わるものとすることは可能でしょうかと。不可能な場合、どのように対応すべきでしょうか」という質問が来るんです。
 文科省の資料にもありましたように、通信教育規程というのは、昭和30年代に、37年でしたか、できています。あれから大分たっているのにまだこういう質問が来るわけです。そのぐらいにみんな困っているというか、混乱しているというんですかね、そういうような状況がまだある中で、観点別評価がまた入ってくる。ですから、観点別評価も、「通信教育用学習図書その他の教材」もそうですけれど、これはこういうものなんだということをできれば確定をしたいんですよね、全通研としては、それをみんなが共有して、そこからスタートしないと、そのスタートの前で何か止まっているような感じがしています。
 そういう意味では、全通研のこれからやらなければいけないことがたくさんあります。
【荒瀬座長】  すいません、ちょっとお待ちください。すいません、皆さん、今の御説明全部クリアに聞こえていましたか、ほかの方、委員の方、大丈夫ですか。
 ちょっとこちらのほうは少し音声が途切れたりしまして、聞こえづらかった面がありますので、場合によってはまた後から議事録の作成の際にお願いをしまして、村越先生の御発言の内容を確認させていただくことになるかもしれません。よろしくお願いいたします。
 岩本委員、手を挙げていらっしゃる。岩本委員どうぞ。
【岩本委員】  岩本です。よろしくお願いします。
 今日御発表いただいて知らないことばかりで大変勉強になりまして、ありがとうございます。その中で全通研さんが把握されている課題というところ、スライド2ページにわたっていろいろ書かれてたと思うんですけども、その中で割と幾つか共通している課題があるかなと見えました。
 それは、例えば学校間の連携や情報交換があまりされていない、もしくはそういう機会がない。教員の研修だとか育成が十分に行われていない。また、その結果と言えるのかどうか分からないんですけども、教員の様々な点での不理解というものが起きているということがこの課題の中に多く書かれているように見えて、この教職員の研修とか育成の部分とか理解を促進していく、もしくは様々な知見だとかが学校を超えて共有されていくみたいなことを考えたときに、各都道府県で取り組むというのがなかなか難しい状況じゃないかというのは、このスライドでも書かれているとおりかなと思うんです。
 そのときに都道府県を超えて国だとか、分からないですけど、例えば教職員支援機構だとかそういう全国での動きをやっぱりやっていくような機関がある中で、全通研さんから見て、ちょっとそういったところで、この書かれている課題を改善していくために国なり何かそういう全国の機関なり、仕組みとしてこういうことを具体的にやっていくと、ここら辺の課題は改善されていくのではないかというところで何かお考えだとか御提案だとかありましたら、ぜひ伺えたらなと思うんですけど、いかがでしょうか。
【荒瀬座長】  お願いいたします。
【村越氏】  今具体的な動きというのはないんですよね。私はここで申し上げていいかどうかちょっと分からないところもあるんですが、実は毎年文科省への質問、要望というのは各地区通研から各加盟校から寄せられている。そこで文科省からおいでいただいて、お答えいただくということをしているんです。3年ぐらい前ですか、それをちょっとまとめたらどうかなということは考えてはいたんです。それでそれを積み重ねていって、こういう質問についてはこうですよというのがスタンダードになっていく。そういうものができないだろうかということはちょっと考えていたんですけども、なかなか実現させることができませんでした。
 ただ、これからそういうものをつくっていかないと、人事異動がありますので、また、みんなゼロからスタートするような形になるんです、先生は。それから、学校長も私も校長しましたけども、校長も分かってないんです。通信制高校に行くのは初めてですからそういう学校があるとは聞いていたけども、そうか、これがそうなのかと。通信教育規程を校長は読んだことないんですから。行って初めてこういうものがあるんだとそこで知るわけです。ですから、異動してくると全員がゼロからスタートします。みんな全日制で教育を受けて、先生の影響もあって教員になろうと思ってなった人。だから通信制高校に行こうと思ってなった人は皆無と言っていいぐらい。
 ですから、そういう人たちでもすぐ通信制高校を理解できるような、何かそういうシステムができないだろうか。それが本来は研修なんだろうと思うんです。だから、教育委員会がやる公の研修でそこで取り入れていただければ、そこで勉強して理解できるようになる。それがないものですから、ベテランの教員でさえ通信教育規程を読んでない可能性もある。
 そういうような研修体制を全通研がやるのではなくて、公の機関が行ってもらえると大変ありがたいというふうには思います。先ほど言いましたように、観点別評価を学校独自でやりなさいとか、あるいは全通研でやりなさいとかということではなくて、一緒になって考えて相談させてもらいながら、何かつくり上げることができると本当はいいのかなと思います。ただベストなものというのはつくることはできないだろう。ベターなものをみんなが試行錯誤やりながら共有していって、少しずつ変えてよくしていくという、結局はそういうふうにはなるんだろうと思うんです。
 そのスタートに立てないというのが、事務局としても申し訳ないなというのとずっと歯がゆい思いがあります。
【岩本委員】  すいません、ありがとうございます。何か管理機関側もそうですし、各学校の管理職教職員の研修というのか、育成というのか、自体の仕組みみたいなものが今何か課題があるんだなということなんかは、今回お話伺って非常によく分かりました。どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、村越先生、ありがとうございました。南斉会長もありがとうございました。
 今、岩本委員のほうから非常に厳しい現状についてのお話がありましたけれども、基本的には設置者の責任というのは当然のことながら大きいと思いますし、かつまたその各学校において教育課程の編成ということもありますので、その観点からカリキュラム・マネジメントを考える上では評価というのも非常に重要な要素としてありますので、一方で、学校の中でも取り組んでいただきながら、具体的に設置者あるいは文科省とも話をしていただきながらやっていただくということになるのかなと思いながら聞いておりました。
 ただ、大変おっしゃりにくい中身も含めて、丁寧に御説明いただきましたこと、心から感謝いたします。ありがとうございました。
 では、よろしいですかね。それでは、お二方、本当にお忙しい中、お待ちいただいて、しかも長時間ありがとうございました。どうぞ御退室ください。お世話になりました。
 それで残りの時間がもうほとんどなくなってしまったのですけれども、次回もヒアリングが予定されているということで、あまり自由に話をしていただける時間が取れないかもしれません。本日、残りの時間あと10分切ってしまっておりますが、お一人でもお二人でも、今日のお話含めて御意見ございましたら、おっしゃっていただければと思います。いかがでしょうか。
 原口先生、どうぞ。
【原口委員】  よろしくお願いします。横浜修悠館、原口です。
 先ほど全通研の発表がありましたが、全通研は研修機関として非常にありがたい機関で、私も9年間あそこでお世話になって育てていただいた。全通研の研修の中心は公立の学校文化なんですけれども、その公立の学校文化を新しく、私学の広域制通信制のよい文化と融合させて引き上げていきたいというのが、私の今後の通信制高校の学習の質保証に関する考え方でございます。
 最後に申し上げたいのは、この12月に本校から30代前半の教員経験8年目、9年目の教員3人が伝統的な広域制通信と、新しい大規模な広域制通信に視察に参りました。その結果をこの1月に、職員会議で全職員にパワーポイントで20分ほど視察報告をしたんです。公立の中堅教員が何を感じてきたか、次の3つのことを感じて帰ってきました。
 大規模な広域通信制高校では1つ目です。始めネットのみで開校しようと思ったけれども、保護者や生徒の要望が非常に強く、対面型を新設したと。やはり指導要領の通信制課程の特例である少ない時間での高校の出席、履修修得等を認める、この通信制の強みを対面で果たしていくということが、広域通信制の中にあっても大きいんだということが分かったと報告していました。
 それから2つ目、その新しいタイプの広域制通信が対面、リアルの場で何をしているか、実際には見せていただけなかったんですけれども、説明の中で、30代前半の教員が感じたことは、自分たちが大学の4年生の就職活動のときに盛んにやっていたプレゼンの練習、討議の練習、それとそっくりなことをやっている。まさにこれからの教育に求められている課題解決的なことをやっていることが実感として分かったと。本校としては、これをそのままそっくり教科の中に取り入れることは難しいけれども、まず、特別活動でやってみようと報告していました。
 次年度の、今文科の研究をやっていますけれども、2年目に、特別活動として、課題解決能力を生徒に育むために、1人1台PCを学校として教室内に設置をして、生徒にそれを使ってやりたいとのことです。表現活動の苦手な生徒が大勢いますが、表現したいことはみんな持っています。ですので、手段として端末を使って、リアルタイムにその場、その場で課題解決型の特別活動をやりたいと。生徒たちは毎日学校には来ませんから、通学型といえど毎日は来ません。次に来るのは本人たちに任されていますので、一回一回が勝負なんです。端末利用のいいところは、その場その回で結果が出るところだと思います。それをやっていきたいと言っています。
 3つ目、本人たちが行った伝統ある広域通信制のほうは、対面スクーリングの様子も見せていただき、端末の使い方は自分の学校とよく似ていると。ただ、自分の学校よりも、教員の負担を軽減するICT支援員であるとか、自校の教員の動画コンテンツの作成にしっかり組織的に対応しているので、そこがとてもうまく機能しているのがすばらしかったと報告がありました。
 私学の広域通信制を視察させていただいて、公立通信制高校の教員が非常にいい影響を受けて、自分の学校でこんなふうに活用したいと、もう本当に前向きに帰ってきてくれたので、とてもうれしかったという話を今日はぜひ皆様と共有したいと思って話をさせていただきました。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。とても大事なお話であったと思います。今おっしゃったみたいなそういう交流の場というのがなかなか持てないということなんですかね。今、原口先生のところではそういうことをやっていこうとしていらっしゃるわけで、ぜひそういったことも進めていただくということが大事なんだなと思いました。
 ありがとうございます。あとどなたか、もう一人、短い時間になりますけれども、お一人ぐらいしか無理かと思うんですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日はヒアリングに時間を取った形になりました。ありがとうございました。では、今日はこれで閉会をしたいと思います。
 次回以降の予定につきまして、お願いをいたします。
【森下室長】  事務局でございます。次回第6回の会議でございますけれども、2月21日月曜日の3時から開催を予定してございます。詳細は改めて御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【荒瀬座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議事は全て終了ということで、これで閉会いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)