「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議(第1回)議事録

1.日時

令和3年9月28日(火曜日)15時00分から17時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 座長の選任
  2. 会議の公開に関する規則の制定
  3. 議論を進める上での共通認識及び検討すべき課題について
  4. 自由討議
  5. その他

4.議事録

【荒瀬座長】 それでは、「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議を開催いたします。
先ほど本会議の座長に選出いただきました荒瀬と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
一言御挨拶を申し上げたいと思います。この会議は、いろいろな通信制高校の質の保証・向上ということでこれまでも議論をしてまいりました前身の会議を受けて、今回また新たに検討するということで開催されるものであるというように認識しております。委員の皆様の中には、これまでもこの会議に属していただいておりました方が多くいらっしゃいますし、新しく加わっていただいた方もおいでです。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
通信制高校について検討するということでありますけれども、高等学校教育の、どうあるべきかということの話というのが常に重なって議論になっていくと思いますので、高等学校教育の質の保証・向上ということをしっかりと考えながら、通信制高校の在り方について検討してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、座長代理をお引き受けいただきました日永先生からも御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【日永座長代理】 改めまして、山梨大学の日永龍彦でございます。多分、通信制高校のことを10年ぐらいやってきたからというだけの理由で座長代理になったのではないかなというふうに思いますけれども、常に通信制高校に対する認識を新たにしながら、万一、荒瀬座長が欠けられるような場合には、万全の会議運営ができるように努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、本会議の議論を進める上での共通認識及び本会議の検討課題につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。酒井参事官補佐、よろしくお願いいたします。
【酒井補佐】 失礼いたします。参事官補佐の酒井でございます。私のほうから、資料3を用いまして、本会議の議論を進める上での共通認識、そして本会議の検討課題について御紹介させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
画面を共有させていただきますので、少々お待ちください。よろしゅうございますでしょうか。
そうしましたら、資料3に基づきまして御説明をさせていただければというふうに考えております。お時間30分ほど頂戴して御説明させていただきます。
まず、資料3の3ページをお願いできればというふうに考えております。高等学校通信制課程の概要でございますけれども、高等学校通信制課程は、勤労青年に高等学校教育の機会を提供するものとして戦後に制度化されまして、教室授業を中心とする全日制、定時制とは異なり、通信手段を主体として、生徒が御自宅等で個別に自学自習することとして、添削指導、面接指導、試験の方法により教育を実施するものというふうにされているところでございます。また、これらに加えまして、多様なメディアを利用した指導を行うことができるというふうなところでございます。近年では、学習時間や時期、方法を自ら選択して、自分のペースで学ぶことができる通信教育ならではの特徴を生かして、多様な生徒に対して教育機会を提供する、そういう制度といったものでございます。
通信制高校の学校数でございますけれども、近年、全日制、定時制の高等学校の校数は全体として減少傾向にある一方で、通信制課程を置く高等学校の校数は増加傾向にある状況でございます。公私別に見た場合、公立通信制の校数は僅かに増加しておりますけれども、私立の通信制の校数は大きく増加しているという状況でございます。
次、5ページでございます。この中でも、いわゆる広域通信制高校、3つ以上の都道府県で通信教育を行う広域通信制の学校数につきましては、平成10年以降に急激に増加しているという状況でございます。平成10年から10年間で66校増加し、平成20年からの10年間で32校増加しているという状況でございまして、詳細はグラフのとおりでございます。
次に、生徒数でございます。高等学校の生徒数につきましては、少子化の影響もありまして、近年、全日制、定時制の生徒数は減少傾向にありますけれども、通信制課程の生徒数は全体として増加傾向にある状況でございます。公私別で見た場合、私立の通信制高校の生徒数が大きく増加している一方で、公立通信制の生徒数が徐々に減少しているという状況でございます。
これを、学校基本調査を基に、都道府県別で見た場合でございます。まず公立でございます。ページで申し上げますと7ページになりますけれども、公立通信制に通学する生徒数は、この20年間で、全国で5割近くが減少しているところでございまして、ほぼ全ての都道府県において減少傾向が見られるところでございます。
一方、資料の8ページでございますけれども、私立、この場合、学校法人立と株式会社立含めて私立というふうに申し上げさせていただきます。私立の通信制高校に通学する生徒数というのが、この20年間で倍増している状況でございますが、実は都道府県ごとに状況が異なっている状況でございます。具体的に申し上げますと、東京都や大阪府が所轄する学校の生徒数は減少する一方で、例えば、グラフにありますように、北海道や茨城県、鹿児島県、沖縄県などが所轄する学校の生徒数、これが大幅に増加している傾向が見られるところでございます。
次に9ページは、通信制課程の年齢別の生徒数でございます。通信制課程の生徒数は全体として若年化している傾向にございますが、10ページでございます。公立の通信制の場合は、生徒数の若年化が見られますが、若年層のみならず、多様な年齢層の生徒が学んでいる状況にございます。一方、私立の通信制高校においては、従前から若年層の生徒が数多く学んでいるという傾向を見てとることができます。
次に、11ページでございます。通信制課程の履修者数でございます。公私別にお示しをしてございます。いわゆる科目を履修した生徒の割合というところでございますが、私立の通信制高校のほうが公立通信制よりも高い状況が続いているところでございます。令和2年の状況では、公立通信制が65%、私立の通信制が95%という状況となってございます。
12ページは、全体の生徒のうち、単位を修得した生徒の割合でございます。これも私立の通信制高校のほうが公立通信制高校よりも高い状況が続いておりまして、令和元年度におきましては、公立通信制が49%、私立の通信制が85.9%という数値となってございます。
13ページは、年度途中の入学者の数でございます。年度途中の入学者数は全体として増加傾向にございますけれども、公私別で見た場合、私立の通信制のほうが公立通信制よりも高い状況が続いておるという状況でございます。
年度間の退学者数でございます。14ページをお願いできればと存じます。年度間退学者数は、全体としてはおおむね横ばい傾向というところかと存じておりますけれども、全体の生徒数のうち年度間退学者が占める割合は、近年、公立通信制のほうが私立通信制よりもやや高い状況が続いておりまして、令和元年度においては公立通信制が8.2%、私立通信制が4.7%という状況になっているところでございます。
通信制高校に在籍する生徒の就業状況及び実態でございます。通信制高校の在籍生徒に占める就業者の割合。もともと通信制高校の制度は、勤労青年を前提として制度化されたところでございますけれども、就業者の割合が減少する一方で、小中学校及び前籍校において不登校経験を有する生徒の割合が最も多くなっているというような状況でございます。そのため、昭和57年度と比較しても、通信制高校をめぐる生徒の実態、これが変容している状況にあるというふうに見てとることができると考えてございます。
次に16ページは、通信制課程の生徒の卒業後の状況でございます。全日制の生徒約56%が大学等に進学する一方で、通信制においては大学等の進学者が17%というような状況でございます。専修学校(専門課程)の進学者が23%、就職者が23.1%という状況になっているところでございます。
次に、通信制高校の通学コース、いわゆるサテライト施設、そして所轄庁の状況について御説明申し上げたいと思います。
18ページをお願いいたします。まず、いわゆる通学コースの設置状況についてでございます。通信制課程の正規の教育課程は、冒頭申し上げましたように、添削指導と面接指導、試験で構成されておりまして、そのほか多様なメニューを利用した指導を実施した場合に、面接指導の一部の免除が認められているところでございます。一方、通信制高校においては、日常的に学校に通学して学ぶ生徒が増えているところでございます。それは、いわゆる通学コースを設ける学校が多く存在しているという状況でございまして、そういったコースに在籍する生徒さんは、日常的に学校等に通学をし、学習活動の支援や生活面での支援を受けている状況かというふうに考えております。このうち、いわゆる通学コース、週1日以上通学して学習するコースについては、大きく、自校通学コース、主として高等学校の校舎または設置者が設置する施設において、高等学校の教職員が中心に指導を行うものと、提携通学コース、提携する教育施設、いわゆるサポート校が運営する通学コースであって、当該高校のホームページやパンフレット等において生徒が利用可能な通学コースとして紹介され、当該高校との連携の下に提携されるものに分類されているところでございます。
次に、19ページでございます。通学コースを利用している生徒の状況についてでございます。通信制高校の生徒のうち、半数以上の生徒が何らかの通学型コースを利用している状況でございます。この場合、公立は約4分の1程度の生徒の利用にとどまっているのに対し、学校法人立の場合は7割近い生徒、株式会社立の場合は半数強の生徒が通学型コースを利用している状況でございます。
特に広域通信制高校の場合の特徴的なものとして、いわゆるサテライト施設が設けられているところでございますが、20ページになります。広域通信制高校は、所轄の都道府県の区域を越えて教育活動を行い、その本校、実施校とは別に、面接指導や添削指導のサポートを実施するためのサテライト施設を広範に展開する学校が多く存在しているところでございます。これを具体的にお示ししたデータが21ページ以降になっておりますので、少し御紹介をさせていただきたいと思います。
いわゆるサテライト施設は、文部科学省が各所轄庁を通じて学校に調査をかけたところ、令和元年5月1日現在、全国で2,860施設ございます。このうち、令和元年度現在で面接指導を実施する施設というふうに御回答いただいた施設が1,160施設あるところでございまして、当該広域通信制高校が立地する県内に立地する面接指導を実施する施設が102施設、都道府県外に立地する面接指導実施施設が1,058施設となっているところでございます。
21ページを用いて、少し御説明をさせていただきたいと思います。これは広域通信制高校が展開するサテライト施設、いわゆる面接指導等実施施設の数のデータでございますけれども、所管する都道府県別に資料をお作りしております。すなわち、一番左、北海道のデータ、北海道の数値でございますが、これは北海道庁及び北海道内の市町村が所管する株式会社立の学校が設置するサテライト施設の数でございますが、水色のデータは当該都道府県内、北海道内に立地する面接指導施設の数、オレンジは当該都道府県外に立地する面接指導の施設、すなわち北海道外に立地する施設の数というふうになっております。すなわち、北海道の自治体が所管する学校のサテライト施設のうち、北海道内に立地している面接指導施設は僅かにとどまっておって、北海道外に立地する面接指導の施設が大多数を占めているという状況を見てとることができるというふうに見ていただければと思います。同じような傾向が他の都道府県にも見てとることができるというところでございます。
次に、22ページでございます。22ページは、今申し上げたサテライト施設、面接指導を実施する施設に通学する生徒数の状況でございます。この見方も、このデータの一番左、北海道のところを御覧いただきますと、北海道の自治体が所管する通信制高校において、サテライト施設で面接指導を受けている生徒の人数でございますが、水色のデータ、これは北海道内のサテライト施設に通学している生徒、オレンジのデータは北海道外の施設に通学している生徒の数というふうになっているところでございます。全国で申し上げますと、広域通信制高校が展開する面接指導を実施する施設に通学する生徒は全国で8万5,000人という数字になっておりますけれども、このうち当該高校が所在する県内に立地する面接指導を実施する施設に通学する生徒は1万2,000人にとどまっていまして、県外に立地する施設に通学する生徒が7万3,000人、すなわち当該都道府県外に立地する面接指導の施設に通学する生徒が大宗を占めているという状況でございます。この傾向は、特に北海道、沖縄、茨城に所在する高校において数多く見られるというところでございます。
次に、23ページでございます。今度は、同じ面接指導等実施施設の数なんですが、所在する都道府県別にお示しをしているところでございます。広域通信制高校の展開する面接指導を実施する施設ですが、御覧いただきましたら分かりますように、東京都でありますとか大阪府、神奈川県、福岡県、愛知県などに多く設置されているところでございます。例えば東京都のデータを御覧いただきますと、水色のところは当該都道府県内の所轄庁施設、すなわち東京都所轄の高校の施設でございまして、オレンジ色は東京都外の所轄庁の施設というふうになっているところでございます。すなわち東京都におかれては、ほとんどの施設が東京都外の自治体が所轄庁となった施設が所在しているという状況を見てとることができるというふうに考えております。
生徒数についても同様でございます。24ページになりますけれども、こちらも面接指導を実施する施設に通学する生徒数は、東京都、大阪府、神奈川県、愛知、福岡という大都市圏に集中しております。この5都府県の生徒数で全国の5割以上を実は占めているんですけれども、これらの施設に通学する生徒、これも都道府県外の自治体が所轄庁となっている学校の施設が大半を占めているという状況でございます。
今まで御説明申し上げましたのは、面接指導を実施する施設についてでございます。次は、添削指導のサポートを行うサポート施設、提携サポート施設についてでございます。
これは所在する都道府県別にデータをお出ししております。水色のグラフが通学する生徒数、オレンジの棒グラフは所在する施設数でございますが、多くが東京都や千葉県、神奈川県、埼玉県の首都圏の施設に通学をしていると、施設が集中し、生徒も集中している状況を見てとることができるというふうに考えているところでございます。
26ページをお願いできればと思います。次に、こういった広域通信制高校を所轄する所轄庁の状況でございます。最新のデータが少し古くて恐縮でございます。平成28年時点でございますけれども、広域通信制高校の設置認可、指導監督等の事務を執行する職員数でございます。平均しますと、都道府県で4.1人、認定地方公共団体、構造改革特区法に基づく株式会社立学校を認可した市町村でございますが、これが2.5人というデータになっておりまして、このうち教育行政経験を有する者の配置割合でありますけれども、学校種を不問にした場合、事務を執行する職員としましては、配置なしというふうに御回答いただいた都道府県が3割、認定地方公共団体が4割というデータになっております。このうち高等学校での勤務経験、高等学校に関する教育行政経験のある職員が配置されている割合でございますけれども、配置なしというふうに回答いただいた自治体が、都道府県で約4割、認定地方公共団体では95%に上っているという状況でございます。
次、28ページでございます。広域通信制高校の設置認可・監督をめぐる関係でございます。少し前後いたしますけれども、御説明させていただきたいと思います。実は、この広域通信制高校につきましては、実施校は、3以上の都道府県で生徒募集を行い、通信教育を実施する学校でございますけれども、実施校が所在する都道府県が、いわゆる所轄庁として、広域通信制高校や面接指導等実施施設の設置認可を行っているところでございます。また日常的な監督も担うというところでございますが、先ほどデータで申し上げましたように、実態といたしましては、それぞれの所轄庁の都道府県の県域を越えて施設が立地しているという状況でございます。先ほど申し上げましたように、具体的に申し上げますと北海道や沖縄県さんの学校が、所轄庁があるのに対して、実際にサテライト施設が集中しているのは首都圏であったりとか大阪府というところでございます。そういった場合に、都道府県の区域を超えた施設に対して監督を行うというのはなかなか難しい問題があるという課題が指摘されるということでございます。また、提携するサポート施設に対する監督でございますが、先ほど通学コースで、いわゆる提携サポート施設について御説明申し上げましたけれども、提携するサポート施設は当該学校とは別の主体でございますので、直接監督庁が監督を行うということもなかなか困難な状況があるというところでございます。
次に、サテライト施設が所在する都道府県からいたしますと、現行制度におきましては、当該都道府県内にサテライト施設があったとしても、そのサテライト施設に対しまして行政指導等を行う権限は有しておらず、サテライト施設が所在する都道府県におきましては関与ができないという状況がございます。また、実態を把握することについてもなかなか困難な状況があるということでございます。一部の都道府県からは、都道府県内の域内の子供たちに対する教育活動である以上、一定の責任を持って関与したいという御意見もあるところでございます。これらが現行の広域通信制の設置認可・監督をめぐる関係というところでございます。
こういった状況を踏まえまして、30ページをお願いできればと存じます。通信制課程に関します制度の主な変遷についてでございます。通信制高校については、昭和23年に学校教育法が制定されたときに、高等学校は通信による教育を行うことができる旨が規定されていたところでございます。この規定に基づきまして、まず最初は国語の1教科において通信教育が開始されて、以来、順次実施科目が拡大してきたところでございます。昭和31年には高等学校通信教育規程が改正されまして、現在のように、通信教育の方法として、自学自習をした上で添削指導、面接指導、試験で行うことが規定をされたというふうになっているところでございます。この後、昭和36年に学校教育法が改正されまして、通信制課程が正式に制度化されたと、全日制、定時制に並ぶ課程としての通信制課程が制度化されたといったところでございます。また、広域通信制高校が制度化されたというのも昭和36年でございます。
このときに、広域通信制高校の設置認可に関しましては都道府県が認可を行うと、所轄庁となるというふうになっておりましたが、文部大臣が承認をするという制度が採用されていたところでございます。しかしながら、これらの定めにつきましては、31ページになりますけれども、昭和58年の学校教育法の改正によりまして、広域通信制高校の設置廃止については、文部省文部大臣が承認をしていたものが届出制へというふうに変遷しておりまして、この届出制については現在も維持されているという状況でございます。
この後、平成15年には、学習指導要領の改訂によりまして、従来は放送による指導が認められていたところですが、多様なメディアを利用した指導というふうに変わりまして、いわゆるインターネットを使った指導が可能になったところでございます。また、構造改革特区法が改正されたことによって株式会社立学校が制度化されたり、平成16年には設置基準の大綱化、さらに平成18年には、通信教育規程の改正によって、他の学校等の施設及び設備の使用を可能にしたというようなところでございます。
通信制高校をめぐる、ここ五、六年ほどの国の取組でございます。32ページになりますけれども、平成27年にウイッツ青山学園高等学校によります高等学校等就学支援金の不正受給の事案が発覚いたしました。これを受けまして文部科学省では、広域通信制高校に対します質の確保のための様々な方策ということで、タスクフォースの設置でありましたり、いわゆる集中改革プログラムの策定、また、現在もございますけれども、通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインを策定、通知をしたといったところが平成27年から28年にかけての動きでございます。
また、本会議の前身の前身というふうになると思うんですが、広域通信制高校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議というものを立ち上げまして、平成29年7月には、その審議まとめをいただいたところでございます。また、この29年からは、国と所轄庁による共同での点検調査も開始したというところでございます。また、本会議の前身になりますけれども、通信制高校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議が令和元年に設置されまして、令和3年の3月には、調査研究協力者会議の審議まとめを受けました、学校教育法施行規則の改正でありますとか学習指導要領の改訂、ガイドラインの改訂を行ったところでございます。
33ページは、国と所轄庁が共同で点検調査を行っているといったところをお示しした資料でございます。
34ページは、直近の制度改正、令和3年2月の、本会議の前身であります調査研究協力者会議の審議まとめをまとめた資料でございます。この審議まとめを受けまして制度改正を行いましたのが令和3年の制度改正でございます。資料36ページになりますけれども、高等学校通信教育の質の保証というところで、まず、通信制課程における教育課程の編成・実施の適正化を図るために、通信教育実施計画の作成・明示を行うこと。同時に面接指導を行う生徒数としまして、40人を超えないものを明確化したこと。関係法令の趣旨明確化といたしまして、試験はその内容・時期を適切に定めないといけないといったことを学習指導の中に位置付けるということ。また、ガイドラインの中に、いわゆる集中スクーリングは多くても1日8単位時間までを目安とするといったことをお示しをするといったようなことを改正させていただいたところでございます。
また、マル2番で、サテライト施設の教育水準の確保といったところでございますが、いわゆるサテライト施設につきましては、通信教育連携協力施設ということで、法的位置付けを明確化したといったところ、またサテライト施設については、本校の基準に照らして適切な編制、施設、設備を備えないといけないといったことを明確化したこと。また、所轄の都道府県の区域外に所在するサテライト施設については、所在地の都道府県知事が定める認可基準を参酌して、その適切性を学校が確認するといったこともお示しをさせていただいたところでございます。そのほかに、教育活動等の情報の公表についても新たにお示しをさせていただいたところでございます。
しかしながらでございますが、37ページ、前後いたしますけれども、いわゆる点検調査を通じまして、広域通信制高校につきましては不適切な事案というのがこれまでも多数見受けられるところでございます。例えばでございますが、学習指導要領で定める面接指導が未実施であった事例とか、面接指導の回数が不足していたような事案、また、教員免許を有していない者が添削指導や面接指導を行っていたという事案。複数の科目の面接指導を、1人の教員が同一の教室で同一の内容で実施していたというような事案、面接指導において生徒の出欠を確認しないまま、生徒の履修状況を確認しないまま単位認定を行っていたような事案など、様々不適切な事案が確認されたといったところでございます。
令和3年1月には、中央教育審議会の答申が出されたところでございます。「令和の日本型学校教育の構築を目指して」といったところで、これからの我が国の初等中等教育の在り方についてお示しをいただいたところでございます。この中で、2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿といたしまして、大きく2つの柱をお示しいただいています。個別最適な学びと協働的な学びでございます。これは、それぞれの学びを一体的に充実して、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげていくといったことがお示しをいただいているところでございます。今回この資料を盛り込ませていただきましたのは、こういった中央教育審議会が出していただきました令和の日本型学校教育といったものを、この通信制高校の中でいかに実現していくか、こういったところがいまだに課題となっているといった点でございます。42ページには、参考といたしまして、通信制高校に関します関係の答申もお示しをさせていただいています。
少し長く御説明申し上げましたが、こういったことを踏まえまして、本会議で御検討いただきたいことでございます。大きく2点でございます。
1点目は、教育方法や学習支援体制に関する課題についてでございます。45ページでございます。資料上部に水色であるところでございますけれども、通信制高校に関しましては、勤労青少年を前提といたしまして、通信教育の方法を用いて、自学自習によって高校を卒業を可能とするために必要な設計を行っているところでございます。しかしながら、現在通信制高校に在籍する生徒の多くは、制度が想定する生徒像とは異なって、勤労青少年ではない、様々な事情を抱えた生徒が多数を占めているという状況でございます。これらの生徒の中には、全日制や定時制よりも手厚い学習サポートを求めている者も数多く在籍しているのではないかというふうに考えております。また、通信制高校の中には、全国各地に生徒が在住している大規模な学校であったりとか、集中スクーリング形式による面接指導を通じた単位認定を行っている学校も数多くあるところでございます。また、サテライト施設や提携するサポート校での学びを選択する生徒も数多く在籍しているという状況でございます。一方で、法令遵守がなされていなくて、不適切な教育活動が行われている実態もあるといったことでございます。
こういったことを踏まえまして、全ての生徒が自学自習できることを必ずしも前提とするのではなく、通信制高校の現在の実態を踏まえた通信制高校の新たな学習形態、これを検討していくことが実は求められているのではないかというふうに考えています。その際には、さきの中央教育審議会の答申でお示しをいただきました、子供たちの知・徳・体を一体で育む日本型学校教育を通信制高校においても確実に実現し、高等学校として適切な水準の教育を担保する、こういった点に意を用いて検討を進めることがまず求められているのではないかというふうに考えているところでございます。
もう1点は、設置認可基準や所轄庁に関する課題についてでございます。46ページでございます。繰り返しになりますけれども、広域通信制高校の設置数が急激に増加している中にありまして、一部には不適切な学校運営、不十分な教育活動の実態も見られるところでございます。また、サテライト施設が所轄庁の県域を越えて全国に設置されておりまして、所轄庁の県域を越えた監督にも課題があるところでございます。一方で、サテライト施設が所在する都道府県からすると、その生徒はそれぞれの当該都道府県在住にもかかわらず、都道府県庁が関与することがない状況でございます。
また、高等学校通信教育規程は大綱化されておりますけれども、実際の設置認可に際しては、各所轄庁が定める認可基準によるところとなるところでございます。一方、サテライト施設の設置に当たっては、設置認可を行う所轄庁の認可に係る基準が適用されますので、同一都道府県に設置されているサテライト施設であっても、教育の質であったり教育環境は施設ごとに差異が生じている状況であるというところでございます。加えて、学習サポート活動については、法令上の位置付けもないというところでございます。
こういうことを踏まえまして、所轄庁の県域を越えて設置される広域通信制高校とそのサテライト施設について、ふさわしい所轄の在り方、こういったことも検討していくことが必要ではないかというふうに考えております。こちらも日本型学校教育を通信制高校においても実現する観点から、所轄庁の設置認可基準の在り方や所轄庁間の連携の在り方も検討を行うことが必要であろうというふうに考えております。その際には、国と地方の適切な役割分担、こういった観点も必要ではないかというふうに考えております。また、最後でございますが、設置後においては、組織運営、教育研究活動の状況を定期的に事後確認するような仕組み、これも検討が必要だというふうに考えております。第三者による評価を促進するような方策についても検討が必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
最後、47ページでございます。今後の検討方法についての御提案でございますが、今申し上げました検討課題それぞれごとに、論点の整理に向けて検討を行っていただくということはどうかというふうに考えております。その際には、関係の団体でありますとか学校関係者の皆様からヒアリング等をさせていただいて、適宜実施を進めさせていただいてはどうかというふうに考えているところでございます。
資料、少し大量で申し訳ございませんでした。事務局からの説明は以上となります。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。大変たくさんな中身をご説明いただきました。これまでの検討状況がございますので、見た覚えのある資料もありましたが、今回新たに出していただいた資料とかもあり、これらを基にして共通認識を図り、今後の検討を進めたいと思います。
御質問とか御意見を頂戴するんですが、淵上大臣官房審議官がお越しになりましたので、御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【淵上大臣官房審議官】 御紹介いただきました淵上でございます。7月21日付けの人事異動で初等中等教育担当審議官を拝命いたしました。どうぞ先生方にはよろしくお願いいたします。
本日は、大変お忙しい中、「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議ということで御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。今、事務局から御説明をさせていただきましたとおり、当初の制度の立てつけから、大分年月が経過する中で、通信制教育の在り方についての課題も見えてきているという状況でございます。これから本当に質の高い通信制教育の課程を子供たちに提供するためにどういう在り方がいいのかということを、ぜひ先生方の御知見をお借りしながら、いいものをまとめていければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
それでは、先ほど酒井参事官補佐のほうから御説明いただきました内容につきまして、まず御質問をお受けしたいと思います。御意見につきましては、後から、残りの時間を使って、いろいろとおっしゃっていただきたいと思います。今日は初回でもありますので、お一人ずつお話をいただきたいと思っておりますが、まず御質問、いかがでしょうか、どなたか。たくさん内容がありましたので、すぐに質問といいましても、質問事項を探すこと自体がなかなか難しいかもしれませんが、よろしいですかね。
では、また後ほど質問事項……、すみません。大河原委員、お願いいたします。
【大河原委員】 ありがとうございます。今の御質問というのは、参考資料等についてお伺いするのも可能なんでしょうか。
【荒瀬座長】 はい。どうぞお願いいたします。
【大河原委員】 ありがとうございます。そうしましたら、参考資料2の28ページになりますけれども、各所轄庁での調査に関しての統計が出ているんですけれども、この調査に関しましてはどういった法的な根拠で調査をされているのかというのをお伺いできればと思います。あるいは任意でやっている調査なのかということをお伺いできればと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。お願いいたします。
【酒井補佐】 失礼いたします。事務局でございます。こちらのアンケートにつきましては、どういった法的権限に基づいて調査を行っているかといったところまで実はお取りをしているものではございませんので、恐らく各所轄庁によって様々な形態かというふうに承知をしております。恐らくなんですが、ただ、多くは任意の調査、もしくは地方自治法上のいわゆる行政指導ということでの、指導助言の中での調査ということで恐らく取られているのではないかというふうに推察をしているということでございます。
【大河原委員】 ありがとうございます。また後で、意見のところで申し上げるんですが、要は設置校に向けた調査なのか、あるいは法人の調査の中で、何というか、部分的に行われている調査なのかというのをちょっと知りたかったんですけれども、その辺りもまた今後何か統計等が出るといいなと思っております。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。後からまた御意見のときに、改めて時間を取って御説明いただいた上で、おっしゃっていただきたいと思います。ありがとうございます。
ほかに御質問よろしいでしょうか。
では、さっきもちょっと言いかけましたが、途中でまたお尋ねになりたいことができましたらおっしゃっていただくということで、御意見を頂戴したいと思います。皆さんにお話しいただくと申しましたけれども、どなたからでもお願いできればと思いますが。
今、森田委員が手を挙げてくださいました。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【森田委員】 早稲田大学の森田です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回いろいろ手厚くこういったデータをそろえていただきまして、本当にありがとうございます。おかげでいろいろな状況が見えてきたということで、これを土台に議論をすることができるということで、非常に実りある会議になるというふうに信じています。
まず、少し簡単に、幾つか話をしていきたいんですが、大きく3つになるかと思います。お時間いただきます。
まず、質確保と質保証に関してです。こちらについて今いろいろとデータが出ているところですけれども、やはり認証評価というんでしょうか、高校自体がきちんと運営されているかどうかというところについて、やはりきちんと評価をしていかなければいけないであろうというふうに考えています。現在のところ、一部、機関が立ち上がりまして、活動しているところではありますけれども、これは義務化されていないんですね。そうしますと、各学校に経費負担を要請していますし、またそれによって参加が全部ではないということで、今のところうまくそれが進んでいるような気がしないと。
そうしますと、うまくいかないということを是正するためには、やはり文科省側から何らかの、何というんでしょうね、法律まではいかない、法令まではいかないんですけれども、何かしらある程度やっていただかないと、高校として難しくなりますよというような、まず勧告ですとか、それからそういった制度の導入に向けて動きが必要なのではないかと。それに向けて各通信制高校が自己点検などを行いながらPDCAを回していく、サテライト施設に関しても、やはり所轄庁がきちんと監督できるような制度をつくっていく、そしてもちろんその事務を執行する職員についても、国が責任を持ってそこのところに配置をするといったような法的な制度を整えていく、ここまでを、すぐにできるとは思いませんけれども、やはり順序よくやっていかなければいけないのではないかなというのが、まず最初のポイントとなります。
2点目です。2点目は、令和の日本型教育ということで、先ほど資料もお示しいただきましたけれども、質の高い通信制教育というものを目指すというときに、まずやはり対象となっている生徒さんの特性に合わせた形で運営をするということになるかと思います。先ほど少し、いろいろな資料が出てきましたけれども、通信制高校には、やはり様々なバックグラウンド、背景を持った生徒さんがいらっしゃって、例えば自学自習を旨としながら、自学自習が難しい生徒さんが多い。結果的には、先ほど示した資料のように、通学をしていただいて手厚く支援をするということになっている、そういったところがありますので、ちょっとこれはデータをベースにしたわけではないんですが、むしろ全日制の高校のトップの生徒さんたちのほうが通信制のように自学自習ができて、逆に通信制に通っている生徒さんのほうは、もう対面で手厚く指導しなきゃいけないという、逆転現象が起こってしまっている。
つまり、もうちょっと言うなれば、そもそも全日制、定時制、通信制という区分自体を、ひっくり返すことはできないと思うんですけれども、もう少し緩やかに融合できるようなもの、例えば通信制の機能を持っているけれども、全日制の生徒さんたちも活用できるとか、それから、通信制に通ってはいるんだけれども、全日制のように、授業のような形できちんとフォローができるような、少し、ある程度融合したような形の制度を認めていかざるを得ないのではないか。設置のところでかなり厳しく区分があるものですから、それがうまくできないかもしれませんけれども、実験的にそういったことをやっていくチャレンジも必要なのかなというふうに感じているところです。
特に多様なメディアを活用した授業の部分、こちらが多くの問題を引き起こしている部分でもあるんですが、こういった研究に20年ぐらい関わっている身としては、20年前に比べたら、かなり有効性の高いオンラインの学習の方法というのがもう分かってきてはいます。ただ、これについて通信制高校で十分に研究したものがないんですね。これは3点目にまたもう一回言いますけれども、そういったところを踏まえると、新しいメディアを活用した授業についてもやはり何かしらの効果を生むというふうに考えていますし、そういった意味では新しい、令和の日本型教育に向かったチャレンジをするようなものが必要だと思います。
それにつきまして、3点目のポイントなんですけれども、長くて申し訳ありません。これについて、既に国の経費でもってある程度、学校を選んで、そういった実証的な研究に入っているところではあるんですけれども、もう少し特色のある通信制高校を意図的につくっていくような制度があってもいいのかなと少し思っています。例えば、先ほどの令和の日本型の資料のところにありましたものなんですけれども、何ページだったか。すみません、ちょっと時間がもったいないところで、申し訳ないんですが。
【荒瀬座長】 いえいえ、大丈夫ですから、どうぞ。
【森田委員】 ありがとうございます。新しい資料で42ページのところに、これはもう中教審が出された資料なんですけれども、右の(3)番に定時制・通信制課程と書かれていて、その下に実はSTEAM教育などが書かれているんですね。STEAM教育というのはプログラミング教育などを含むものだと思うんですけれども、意外と、通常の全日制の学校になじめないお子さんたちが、こういったプログラミングに特別な能力を発揮したりとか、例えばSTEAM教育として教科横断型でやるときに、高等学校があまりも時間割と教科に分かれているためにうまく授業を実施できないところで、通信制高校であれば、ある程度時間割を自由に組むことができるということで、プロジェクト型の学習を自由に進めることができる、こういったものを新しく通信制高校の特徴的な学びとして、実験的に進めていく必要があるだろうと。これについては、やってみろではなくて、やはりエビデンスを取りながら、それがどのような効果があるのかというのを明らかにしながら、新しい令和の日本型教育をつくっていくというようなことを実践的にしていく必要があるのではないかなというふうに思っている次第です。
ちょっと長くなりましたけれども、大きく3点、感じたことをお話しさせていただきました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。森田先生、最後におっしゃった資料ですけれども、41ページですかね、今配られている資料は。
【森田委員】 そうですね、失礼しました。41ページになりますね。申し訳ありません。
【荒瀬座長】 STEAMがちょうど(4)番ということで、説明がございます。
【森田委員】 そうですね、(4)番のところに書かれているような内容が現在の全日制の高校で、今、SSHにいろいろ関わっているんですが、うまくできない。時間割が非常にしっかりしていて、総合的な探究の時間というのがあるんですけれども、十分にプロジェクト型の学習を進められる環境にないんじゃないかと感じています。そういった点でコメントさせていただきました。まずは、です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。今の話は、もちろん通信制の話ですけれども、むしろ全日制の学校の在り方にも深く関わる話で、そういったことを、さっきも申しましたけれども、一方では視野に入れながら考えていくということが大事であろうなということを思います。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
では、日永先生、お願いいたします。
【日永座長代理】 山梨大学の日永でございます。時間がもったいないので、空いている時間で時間で少し発言をさせていただきたいと思います。
今、森田先生、やはり教育の方法の部分、内容の部分というところで、すごく貴重な御示唆をいただいたなというふうに、本当にいつも思っています。それで、プロジェクト型の学習なんかも確かにすごく必要で、そのときに、やっぱりどこかのタイミングで、先ほど評価の話もされましたけれども、通信制高等学校の質というのをどう定義するのかということを皆さんで共通理解を持つというのが結構大事になってくるのかなというような感じがしています。教育の質というと、それぞれが思い描くもので議論しがちなので、まさに評価を本当に入れようと思うと、かなりしっかりした定義みたいなものを持っておく必要があるのかなというふうに思いました。
そのときにやっぱり、私自身が、もう今から七、八年前に委託事業を受けて、通信制高校の第三者評価の基準づくりという事業を受けたんですけれども、そのときも結局、高校あるいは通信制高校というのは非常に多様であるから、なかなか統一した基準がつくりにくいというふうなことで、その中で取り組まなければいけなかったということがあるんですね。そうなってくると、今のプロジェクト型の学習もそうですけれども、どうでしょうね、今までどちらかというと教育の質、大学も含めてそうですが、学習の成果であるとか教育の成果という、成果のところにかなり重点が置かれてきたように思うのですが、むしろ、いろいろな諸条件の整備という法律に合致している、インプットをきちんと整えているということと、あと教育のプロセス。先生方の努力による教育のプロセスと、今どき、もうICTでかなり学習ログとかも取れるようになってくるとすると、生徒さん側の学習のプロセスという、3つのデータを基にして質の定義というのを考えていく必要があるかなと思うし、あとはそれぞれの学校の多様性に応じたきめ細かい基準設定というのもしていく必要があるなと。そういう意味では、かなり時間をかけた制度設計というのを考えていく必要があるなというようなことを感じました。
あともう一つ、評価の対象というのが、もしかしたら個別の高校だけではなくて、設置者も含めた教育行政全体の評価というのも評価対象にしていくという、その両面から見ていかないと、なかなか難しいかもしれないですね。先ほど申し上げたように、インプットの部分については、かなりこの間、法規制が徐々に強化されてきたと思うんですが、そこの部分で、最後の難関であるサポート施設について、どこまできちんと質の確保ができるようなものができるのか。
一方で、教育のプロセスであるとか学習のプロセスについてはやはり、これも森田先生のほぼ受け売りになるんだろうと思うんですけれども、どう言ったらいいでしょうか、それぞれのグッドプラクティスというものを抽出して、いろんな種類に応じたグッドプラクティスを抽出して、それを基準化していくという、これは極めて教育専門的な部分で話を進めていくという2段階。なので、いろんなマトリックスができてくると思うんですが、きめ細かく制度設計をこの会議などでもできていくといいなというふうなことを思いました。
以上です。長くなりました。
【荒瀬座長】 いや、ありがとうございました。一方では、共通する根本的な質の保証に向けて何をしなければならないのかということと、もう一方では、各学校がそれぞれの特色を発揮して取り組んでいることをどう認めていくかという、両面がやっぱりあるんでしょうね。ですからなかなか難しいところなんですけど、今やはり問題になっている、共通してここのところは絶対に譲れないんじゃないかというところがまだ十分に行き渡ってないという面がある中での議論なので、そこのところの優先順位のつけ方も含めて、なかなか難しいなと思いながらお聞きしておりました。ありがとうございます。
では、大河原委員、いかがですか。先ほどおっしゃっていたことにつきまして。
【大河原委員】 ありがとうございます。今、森田先生、日永先生がおっしゃっていた第三者評価の話につきまして、私も全く同意見でございまして、私自身、法律家なので、あまり教育内容自体に精通しているわけではございませんが、やはり方法論として、質保証のためにそういった第三者評価をしていく、具体的には評価機関とか評価人材の育成を図るということがやっぱり大事になってくるかなというふうに思っております。
質保証のもう一つのアプローチとして、この所轄庁の話があるのかなというふうに理解しているんですけれども、それで先ほどちょっとお話しした調査の話でございまして、前回の、この前身の会議のときにもたしか、宮城県でしたかね、所轄庁の方がいらっしゃって、お話をしてくださったんですけれども、そのときに、調査の法的根拠として私学振興助成法、いわゆる私学助成法に基づく調査をされていたというお話がございまして、逆に言うと、その私学助成を受けていない法人については調査の対象外なので、その設置校については調査をしていないというようなお話があったと記憶しております。
ということで、先ほどの質問をさせていただいたのは、調査の実態が、それぞれ各所轄庁であるということなんですけれども、その調査の法的根拠が今この資料では明らかになっていないので、場合によっては、調査をしているといっても、限定された法人、学校に対する調査しかしておらず、通信制高校全体に対して調査が各所轄庁できていない可能性もあるので、その辺りをもう少し、全国的な状況を把握した上で、調査の在り方というのをこの中でも議論していければと思っております。私も何も調査を、行政が介入どんどんしていくべきだと言うつもりはないんですけれども、やはり調査によって行政から受けた指摘というのをてこにして各学校が改善を図っていくというのが、1つ有効な質保証のアプローチになるというふうに私も思っておりますので、その辺りを特に関心を持って議論していきたいと考えております。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。第三者評価といいますか、外部評価といいますか、周りからどう指摘を受けるかというのは、これは非常に大事なことだと思いますので、それをどう入れていくかですが、所轄庁も、これまでの議論といいますか、前身の会議とかの議論の中でも、所轄庁というんだけど監督庁ではないということですので、なかなか口を出せないというんでしょうか。口を出すのがいいかどうかというのは、今、大河原先生おっしゃったとおりなんですけど、その辺りも含めて難しいところがあるし、恐らく所轄庁によっても考え方が、相当ばらつきがあるのではないかということも思われますので、そういったことの調整というんでしょうか、そういうことに資するような議論ができればいいなということを思います。ありがとうございました。
実際に学校を経営なさっている校長先生方、どうでしょう。今のお話をお聞きになって。
では、吾妻先生、お願いいたします。
【吾妻委員】 東海大望星高校の吾妻です。よろしくお願いいたします。
私、前回の会議にも参加させていただいておりまして、今回論点のところを拝見させていただくと、ちょっと前回の審議がまだやり切れていないなという部分をうまくまとめていただいて、次につないでいただいたということで、拝見させていただいて大変ありがたいなというように感じました。
ちょっと話がそれてしまうんですが、今、来年度の学習指導要領の改訂に向けて、本校のほうでは特に観点別評価をどういうふうにやっていくのかということを早急に議論して、準備をしている状況でございます。全日制と違って、通信制の今の学びの中で、添削指導の中で何をしていくのか、面接指導の中で何をしていくのか、いわゆるメディアを使ったそういった教育の中で何をしていくのかということを、やはりそれぞれのところでどうやって観点別評価をするかというよりも、どうやって思考力や判断力、こういったものをどういう形で具体的にやっていくのかというようなことを、それぞれ今、細かく考えながら検討している途中なんですが、そうやって考えていくと、むしろ全日制の学びよりも効果があるんじゃないかと思われるような、例えば個別最適な学びというのは、今まで添削指導、いろいろ個別でやってきた通信制ならではのいろんな特徴を生かしてやれる部分もあろうかと思いますし、そういった形で、観点別評価のためのというよりも、どうやっていかにこれからの先の見えない社会の中で対応できるような力をつけさせるのかというところの部分の具体的なところの検討が、これはちょっと逆に言うとやりがいがあるなと思いながら、今、検討を本校ではしているような状況でございます。
具体的に実際来年度からどこまでできるかという部分はあるんですが、そういった通信制ならではの教育システムの中での教育的な目指す効果とか、そういったところの、今まで森田先生や日永先生がおっしゃっていただいた部分もそういう部分につながっていくのではないかなというふうに考えておりまして、ぜひそういった部分の観点から議論させていただいて、そういった中で、いわゆるサテライト施設の環境がどうなのかということも、単なる設置基準に適合できるかどうかということだけではなくて、どういう教育をすべきためにこの施設では十分なのか不十分なのかというような議論も必要ではないかなというように思っています。
そういった意味で、これからの通信制の在り方についてのそういった議論と、それから一方では、現実的に不適切な事例がいろいろ上がっておりますので、その事例を拝見すると、ちょっとその次元ではない問題もあろうかなと。ですので、そういった両面から検討していくことが必要なのではないかなというふうに感じました。
感想めいた話で大変恐縮でございますが、以上でございます。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。観点別評価は全日制でも本当に今、悩ましいところだと思いますが、そういったことについて、これはまた別の話になるかもしれませんけれども、通信制の取組が全日制にも生かされ、全日制の取組がまた通信制にも参考になっていくという、そういうやり取りも含めて、日本の高校教育全体を考えながら進めていければいいなということを思います。ありがとうございました。
では、原口先生、お願いいたします。
【原口委員】 横浜修悠館、原口でございます。よろしくお願いします。
さきのお三方、森田委員、日永委員、大河原委員がおっしゃってくださっていた第三者評価については、実は各都道府県、公立高校の設置者である各都道府県の公立の通信制高校の教育の質を高めようという意識も非常に大切だと考えております。ですので、広域のみならず、狭域、そして公立までしっかりと幅広く見ていきたいと考えております。
今の話は、本会議の検討課題の46ページにあったことだと思います。その1つ前の45ページに本会議の検討課題として、教育方法や学習支援体制に関する課題、ここではようやく「全ての生徒が自学自習できることを前提とするのではなく」という文言が入ったなと思っております。今でも通信制高校においては、自学自習という言葉が本当に生きているんですけれども、実態としては非常に厳しい、組織的な学習のサポート体制は絶対に必要であると実感しております。その実態として、今御説明いただきました中の15ページ、触れられてはいなかったんですけれども、15ページに、通信制高校に在籍する生徒の就業の下に、実態というのがあるんですね。この実態を我々はしっかりと見定めていかなければならないと思っております。
15ページは、平成29年の文科省の委託事業で調査研究された報告書にあるんですけれども、狭域通信制と広域通信制との生徒実態の差です。これを見ていくと、上から3つ目の、ひとり親家庭の生徒が1.4倍、狭域のほうが多い。それから、下から2つ目の特別な支援を必要とする生徒は、広域と狭域を比べると、狭域のほうが4倍多い。そして心療内科等に通院歴のある生徒も、広域と狭域を比べると、狭域のほうが2.3倍多いと、つまり、自学自習という名の公立であっても、やはり生徒の実態はそれに追いつかない。それが、このコロナ禍においてオンラインでやっていくのが、先ほど森田委員がおっしゃってくださった、全日制の学習意欲の高い生徒さんはできるけれども、通信制の生徒にとっては非常に厳しいということがはっきり分かってしまった。
そういうことを今回テーマとして、組織的な学習サポート体制、それについて、今回たくさん校長先生方が委員として名を連ねていらっしゃいますので、そこで検討できたら、こんなにうれしいことはないと考えております。どうぞよろしくお願いします。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今御指摘いただきました資料の15ページのところですね、資料3の15ページのところ、これはちょっと、本当に大事な数字だと思いますので、こういった現状にちゃんと立脚した上での議論を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。
時乗先生、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【時乗委員】 時乗です。よろしくお願いします。私は今、山手学院という私学の高校にいるんですけれども、前職というか、神奈川県の県立高校の校長をずっとやっていまして、原口先生がいらっしゃる横浜修悠館とか、あるいは厚木清南高校という、神奈川で2校目の通信制を持っている学校なんですけれども、その辺に関わってきた関係とか、あるいは、先ほどちょっと話がありましたけれども、通信制高校の外部評価なんかにも関わっている関係で、今こういった会議に参加させていただいているだろうというふうに思っています。
それらの経験から話をすると、今、原口先生がおっしゃったように、これは公立も私立も変わらないとは思うんですけれども、基本的に自学自習ができるという前提で生徒に指導していくと、もう成り立たないような状況になっていると思うんです。とにかく、自学自習できない生徒を何とか自学自習ができるような形にして、そして卒業させていくというような形なんだろうというふうには思っています。
その中で、特に私立のほうは、実はサポート校というのが、実際これは直接的な添削とか面接指導だとかという、そういった指導には関わってはきてないんですけれども、簡単に言うと、塾みたいな感じでこのサポート校というのが非常に大切な位置づけになって、それぞれの生徒が勉強しているという実態があるんです。だから、このサポート校、サポート施設というのをどれだけきちんと担保していくのか、その質をコントロールしていくのかというのがすごく大事になってくるんだろうというふうには思っています。
そういった意味では、第三者評価等を含めての、今はそれなりに何とか自分たちの努力でやっていこうという学校が、一生懸命そういった外部評価なんかを取り入れてやっていますけれども、そうじゃなくて、ある程度の制度化みたいな部分を国のほうがリードしてやっていかないと、一部の頑張っている学校はいいけれども、そうじゃない学校は、「うん、ま、いいよね」みたいな形で終わってしまっているところがあるので、そこをなんとかしていきたいなという思いがあります。
もう一方で、通信制はそういった自学自習ができないという生徒が入ってくる側面のほかに、特に最近の傾向としては、要は全日制含めて、通常の学校教育では、高等学校の教育では飽き足らないという、満足できないという、そういった生徒が入ってきているという側面もあるんです。いわゆるギフテッドという生徒たちが入ってきていますので、こういったギフテッドというような生徒たちを、どうやって通信制の中で花開かせていくのかというのも、恐らくこれから通信制が持っている非常に大きな要素になってくるんだろうと思っていますので、そういった議論もできればいいかなと思っています。
最後ですけれども、先ほど森田先生のほうから、全日制、定時制、通信制、そういった課程間をまたぐような教育活動というような話がありましたけれども、実は、先ほどちょっと私が関わったと言った神奈川県立の厚木清南高校、前身は厚木南高校と言ったんですけれども、この厚木清南高校をつくるときに、今まさに森田先生がおっしゃったような、全・定・通の壁を取っ払って3課程を一緒に運営していこうと。全日の生徒が場合によっては通信の授業に出る、通信の生徒が場合によっては全日、定時の授業に出る、そういった3課程を一緒にした、ただ単に入ってくる入り口だけが全日制の入り口、通信の入り口、定時の入り口として、入り口だけが違って、中に入ったらもうみんな一緒だよと、そういう形の学校をつくろうということで、厚木清南高校をつくったんです。
一応、開校が平成16年、2004年なので、もう十七、八年ぐらい前にそういった学校をつくったんですけれども、現状は、現制度下ではいろんな理由の中で、最初の理念どおりに厚木清南高校はまだ動いてない部分があるんじゃないかなというふうには思っていますけれども、そういった全・定・通の壁を取っ払った教育活動というのも、ぜひこの場で議論できればありがたいなと思っています。
私からは以上です。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。森田委員がおっしゃった全・定・通の壁を取っ払うということで今、時乗先生からもそういった取組をしていこうと思っているけど、なかなかうまく動いてない面があるという、その辺り、なぜうまくいかないのかというところもまた今後お聞かせいただければと思います。
実際に定・通を行き来していらっしゃる生徒がいらっしゃるというのは、前身の会議でも太平洋学園から御発表をいただきました。私、実際にこの4月に伺っていろいろとお話を聞きまして大変感動をいたしましたが、太平洋学園の光富先生、先生のところのお取組の御紹介も改めてしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【光富委員】 太平洋学園高等学校の光富です。よろしくお願いします。
本校は、昼間定時制と通信制課程のある学校です。入学のときは、当然定時制か通信制かで入ってきますけれども、ある程度柔軟に単位を取るのを定時の子が通信を取ったり、通信の子が定時を取ったり、特に不登校でなかなか学校に通うことが難しかった子供さんが、まずは週1回通う通信で入学をします。先ほどサポート校という話もありましたけれども、本校はひとり親家庭であったり、保護世帯であったり、経済的に大変厳しい御家庭が多いですので、サポート校とかいってお金を出すということがまずできませんし、塾とか行くのは難しいですので、学校で補習の時間を設けています。ですので、まず週1回、授業として来る。スクーリングとして来る。そして、あともう1日、レポート等を教員と一緒にするということで補習に出てくる。そして、場合によっては、図書館で一人で本を借りたりしたことがないとか、公共交通機関に乗ったことがないとか、コンビニで買物をしたことがないとかいう生徒もいますので、そういう生徒と一緒にそういう練習をするというふうな日も用意して、週に、初めは1日から2日、3日と増やしていきまして、中には定時制で自分が受けたい科目を取って、毎日学校に来れるようになった時点で校内転籍として定時制のほうに移るとかいうふうな支援体制を一応今取っています。
今日お聞きしたいろんなお話の中で、広域の通信と、狭域の通信と、そこでいろんな違いもありますし、言ってみれば、すごくスポーツをやりたいとか、芸能活動をしたいとかということで通信を選んでいる生徒さんもいれば、本校のように、中学校時代に60%ぐらいの子は不登校を経験していますし、30%ぐらいの子がもう診断名があります。そういうような状況で自学自習は本当に難しい。スクールソーシャルワーカーも、スクールカウンセラーも、40時間で常駐をして、一緒に病院へ行ったりとかいろんなことをしています。家庭訪問したりとか。
その中で、オンラインでやり取りするのも、ゲームがすごく得意な子がいたりして、すごくたけている子がいるんです。そういう子にはそういうものを使って、学校に出てくるのが怖いとかいう状況であれば、まずそこで会話をして、仲間づくりというか、教員とつながるということをしながら、学習の支援に持っていくということで、今手探りですけどいろいろやっています。
今回、初めてこの会議に参加させていただいて、ちょっと手探りですので、今は皆さん方の御意見を聞かせてきていただきながら、いろいろ考えていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。また御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、村松先生、お願いできますでしょうか。
【村松委員】 失礼いたします。島根県立宍道高等学校の村松と申します。今回初めて委員として参加させていただきます。先ほどから大変勉強になるお話を伺うことができまして、いろいろと気づかされることが多く、大変ありがたく思っております。
私が勤務します宍道高校は、定時制それから通信制を併置しております開校12年目を迎える公立の独立校でございます。通信制のほうには、今までのお話の中にありましたように、入学してくる生徒たちの若年化とか、あるいは多様化というのが本当に進んでおりまして、今までのお話にあったように、もう本当に自学自習を前提とするというような、そういう制度自体に対応できていないというのは、実は昨年の赴任したときから感じていたところでございました。
本校は、通信制のほうでもいろんな教育相談のニーズとか、それから離島、隠岐を抱えますので、隠岐で学ぶ在校生たちの学習の機会の保障といいますか、そういうことも同時に抱えております。教育相談については、定時制がある関係もありまして、スクールカウンセラーからスクールソーシャルワーカーさんが、本校には県の事業として配置をされているというような、通信制単独ではもしかしてうまくいかなかったかもしれないところが、定時制と一緒にあるがために、一緒にそういう制度を活用しながら生徒さんへの対応をしているというところなのですが、ただ、本当にそれで足りているかといいますと、なかなか体制的には足りてはいない。それから、特別支援教育コーディネーターも、本校の人的な配置をやりくりして、今年度、通信制のほうには、1人担任を外して専任のような形で置きましたけれども、ただそれも学校内での工夫でやったことで、できればそういうことが制度化されていくと、いろいろな生徒のニーズにも応えていくことができるのではないかなということも改めて思ったところでございました。
先ほど来から、全日制、定時制、通信制の区切りのところをもっと柔軟にといいますか、緩やかに考える、そういう発想というお話を伺っておりまして、私も入ってくる生徒さんの実態を見ると、この生徒さんは本当に通信制がベストマッチだったのか、もしかして定時制のほうが実は学びやすかったのではないかと思うような実際の例もありますので、先ほどのお話を伺いながら、そうか、今まで私たち自身が縛られていた部分を、もっと柔軟に考えていくということも大事だなということを改めて思いました。
感想めいて申し訳ありませんが、今後ともいろいろと勉強させていただきたいと思います。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。ぜひまた、よろしくお願いいたします。
それでは、篠原先生、お願いいたします。
【篠原委員】 NHK学園の篠原と申します。私も全くの新人でございますので、いろいろと勉強させていただきながら、考えていきたいというふうに思っております。
先ほど来、本当にいろいろと刺激的なお話をいただいていて、私も全く感想めいたことになってしまうんですけれども、実感から幾つかお話をできたらと思いました。
まず、先ほど時乗先生がギフテッドとおっしゃってくださいましたが、私たちの学校にも大勢のギフテッドが在学しております。物理君と私は言っていますけれども、物理が本当に得意で、私が読めないような本を世に著して、外国の大学に進学してしまったような、そんな生徒さんもいます。
ですので、とても難しいなと思いますのは、通信制に通う生徒なのでこういうことは難しいのではないかということを、一つくくってしまうことの難しさというのがありまして、本当に一人一人違うんですよね。ですので、そこにいかに寄り添えるかといいましょうか、一人一人をまさに個別最適に指導ができるかという、その仕組みをどういうふうにつくっていけるのかということがとても大切だと思っています。
全・定・通の話で言いましても、私どもの学校、スタンダードコースという、メディアを使いましてNHKの番組を見るということで、月に1日、2日の登校日だけのコースと、登校コースというのが、東京の国立本校だけですけれども、週3日通うという通学型を持っております。
それからもう一つ、先ほどからキーワードに出ておりますけれども、不登校を経験した方への専門の教育課程を設けているライフデザインコースというコースを設けております。それぞれが、例えばですけれども、最初にお母様方、あるいは御本人もそうですが、なるべく学校に通いたい、通わせたいという方がとても多くいらっしゃいます。でも実際は、もしかしたら通えないかもしれないんです。であっても通いたいといって、その辺りは入学の面接でかなりお話をしながら、いやいや、3日本当に大丈夫ですかと言いながら、その決意といいましょうか、気持ちがある方が今、登校コースに通っているのですが、そういう生徒さんたちが、通信制の学び、まさに自学自習の学びを体験しながら、例えば3年生になったら自分はもうスタンダードでいいやといって、要するに自分の時間を自分でコントロールできるようになっていくというふうな生徒さんもいらっしゃいます。
ということは、自学自習が、最初はもちろんできないかもしれないんですが、本人の努力、周りのサポート、いろいろな形の力をそこに加えていくと、その生徒さんが自立して学習ができる人になっていく可能性というのは、とても多くの例を見ているように思っています。ですので、私は通信制のことを、保護者の皆様ですとか、入学相談の会で説明するときに、少し早いけど大学のような学びだというふうに思ってくださいと。まさに自分でカリキュラムを考えてそれを学んでいけるかどうか、そういうことができると自分で思うならば、ぜひここにいらしてくださいというようなお話をするんですが、通信制の若い生徒なので自学自習は無理だということも、何か一概には言えないのかなあという実感を少し持っております。
ただ、原口先生がおっしゃってくださった組織的サポートは圧倒的に必要で、これを私どもは今、細々と自分たちでスクールソーシャルワーカーを常勤といいましょうか、置いてやっておりますので、そういうことで言うと、本当に何とか組織的なサポートというのを、通信制の生徒に限らずかもしれませんが、どういう形で、どういう生徒にサポートをすべきかということを、全体の枠組みの中で考えていきたいというふうにとても思っております。
最後に、長くなってすいません、私たち、まさに広域通信制で、今日最初からずっと話題になっていた部類に入っております。先ほど、広域と狭域の数字の違いについても御指摘がございました。私もこういう数字を見るのは初めてでしたが、なぜこうなんだろうということをぜひ分析したいと思いました。私たちは、その形と、その中にいる生徒たちというのを、あまり簡単には何か分類できないんじゃないかという気がしております。根拠がなくて申し訳ないのですけれども。ですので、全・定・通ということと、様々な今の枠組みということを、そういう形式論ではなくて、こういう生徒にはこういう学校という、そんな発想ができると、新しい令和の教育になっていくのかというふうに思っています。
具体論を申し上げることはできませんが、そんなことを私なりにも考えていきたいというふうに思いました。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。本当に高校生は多様だと言いますけれども、多様だと言ってしまっておしまいにするんじゃなくて、本当に個々様々で、一くくりにはできないということの認識が、高校教育を考えていく上で非常に大事だということを思っております。ぜひまた、よろしくお願いいたします。
では、委員の中では最後になりましたが、青木先生、よろしくお願いいたします。
【青木委員】 御指名ありがとうございます。まず、今日御提示いただきました、御説明いただきました資料や、それから資料を踏まえた課題認識について、違和感を覚えておりませんということをまず申し上げて、妥当な資料と、それから課題認識だなと思いました。
その上で、先生方の御意見等を伺った上で、4点に絞ってお話ししますと、まだ、こうあるべきだという意見ではありません。私自身、まだもう少し知りたいなということも含めてでございます。
まず、定通法の第1条を見ますと、今日議論に出ていたような勤労青年を名宛人としたものだということが分かります。とするならば、自学自習という概念が法令等のどのレベルで出ているのか分かりませんが、そういったことも踏まえて、不登校等の生徒さんが増えている実態を法令のどのレベルでどう表現するかということが、一つ議論になるのではないかなと思いますし、その際、機会均等原則が第1条には込められていますので、ここも、例えば不登校の生徒の機会均等というものをどう表現するかということも考える必要があるかなと思いました。
それから、指導監督のことが、一つ大きな問題として認識されているようです。知りたいなと思ったのは、一般の私立高等学校の指導監督とどういう違いがあるのかということです。それに関わって、私立、株式会社立の通信制高等学校に対して指導した結果、改善されたケースがあるということであれば、ぜひ知りたいなと思いました。それを全国展開すればいいのかなというふうに思います。
また、指導監督に関わっては、所轄庁が遠方にあるサテライト校等をオンラインで現地調査ができるようなことが法令上可能になって技術上可能になれば、もしかしたら問題が解決するかもしれないなと思う一方で、そこがなかなか難しいのであれば、現地にある所轄庁のカウンターパートに当たる疑似的な所轄庁に事務が委託できるようにするにはどうしたらいいのかなあということを考えました。
また、私学が私学の自由度を発揮して、私は、これはニーズの掘り起こしにある意味で成功しているんだと思います。不登校生徒さんを含めて。やはり学校に通いたい、なかなか困難も抱えているけど、やっぱり学校に行ってみたいというニーズがあった。これは非常に評価すべきことだと思いますが、一方で、公立の通信制の生徒さんが減っているということなのであれば、これは実態について気になるなと思いました。
最後になると思うんですが、パンフレット問題がどうもあるようですね。学校の実態に対して事実誤認を与えるような書きぶりがあるということなのであれば、こういったものは例えば、いわゆる広告の規制みたいなものがあると思いますので、消費者保護みたいな考えが応用できるのであれば、こういったパンフレット問題にも役立つ何かヒントがあるのかなあというふうに思いました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。全体を聞いていただきまして、いろいろと重要な御指摘をいただきました。御質問については、今お答えいただける部分はありますか。それとも、整理した上で。
【酒井補佐】 失礼します。事務局でございます。
御質問いただいた点、また整理してお答えをさせていただきたいと思いますけれども、ただいまいただいた御質問の点というのも、恐らくこの議論を通じて解消していただくということも重要かと思っております。
今後の議論の中で、様々資料を御用意したりとか、場合によっては、また今後、座長と御相談の上、ヒアリングみたいなことで、まさに取り組んでいただいている方からヒアリングをさせていただくことで、実態を少し認識を共有させていただく、そういった機会を設けさせていただければというふうに考えてございます。
【青木委員】 よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
だんだんと終了時間に近づいてまいりましたが、全体を通じまして、改めて御意見を頂戴するというのはいかがでしょうか。
日永先生、先ほど、時間を空けるともったいないということで最初に御発言いただきましたけれども、いかがでしょう。
【日永座長代理】 ありがとうございます。もう、皆さんの御意見を伺いながら、本当に感想になってしまいますけれども、どう言ったらいいでしょうか、個別最適化された学びというところを保障するためには、本当にきめ細かい対応が必要なので、そうすると通信制高校に配置される教員の数であるとか、教員の種類であるとかって、法令面に今度こそ手をつけざるを得ないのかなというふうなことが、やっぱりこう、感じられました。
その上でなんですけれども、先ほどの繰り返しになりますが、条件整備面ではかなりストリクトなものがある程度必要でしょうし、その一方で教育保障の部分については、今日のお話を聞くと、僕は、最近スクールミッションなんていうのがあるので、学校単位ぐらいの多様性でいいのかなと思っていたんですが、もうちょっと細かい、細分化も必要になってくるのかなと思うと、ちょっと気が遠くなりそうな感じもしたというのが正直なところです。
でも、基本的には、一人一人に寄り添うというところは決して忘れないように、そういうふうなことで、どうですかね、学ぶ子供たちが通信制高校、これまで思うのは、ある種、安易に卒業して通学制の大学に入ってきて、物すごく苦労しているんですね。なので、そういうふうなところを考えると、一人一人をきちんと送り出せるような、そういうふうなものにするためにはということで、皆さんでしっかり知恵を出し合ってお話合いができるといいかなということを思いました。
以上です。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 どうもありがとうございました。
1月26日の方針についても、先ほど御説明がありましたけれども、その答申に盛り込まれた高等学校ワーキングの議論というのがありました。その高等学校ワーキングの審議まとめには、前身のこの通信制の会議の議論がたくさん反映されているわけですけれども、高校ワーキングのまとめのはじめにのところには、生徒一人一人を主語にした学校をつくっていくんだということがうたわれておりました。
今日のお話を承っていまして、高校生一人一人を主語にすること、高校生一人一人がしっかりと学んで力をつけて、自分の人生を幸福に生きていくために自分の道を開いていくということにつながるような高等学校教育が実現しなければならない。とにかく卒業させるというのは、これは全・定・通全てそうですけれども、単に卒業させることが目的ではなくて、力をつけて卒業させる。そのためには何をしていったらいいのかというのを、また皆さんと一緒に議論してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最後になりましたが、伯井初等中等教育局長に御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【伯井初等中等教育局長】 皆様、こんにちは。文部科学省初等中等教育局長の伯井でございます。先週、初等中等教育局長に発令されましたので、本日は遅れての参加ということで大変失礼申し上げました。
第1回の「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議の委員ということで、大変お忙しい中、委員をお引き受けいただいたことに、まずもって感謝申し上げたいと思います。
御議論の中でも説明させていただいたと思いますが、今年の3月に関係法令の改正を行って、教育課程の編成・実施の適正化、サテライト施設の教育水準の確保を受けた取組などを進めてきているところでございますが、一方で、本日のお話にもございましたように、通信制高等学校は、制度の創設当初の勤労青少年を前提とした教育の在り方から、近年、先ほど来の議論にあったように、生徒の多くが不登校経験者など、16歳から18歳までの生徒になっていたり、非常に多様な生徒の実態があり、大分当初に想定していた生徒像とは異なるものとなってきているという実態を踏まえた検討が求められているということ。
さらに、通信制高校も、公私立の設置形態、あるいは広域、狭域であるかどうか、あるいは全日制、定時制との併置校であるかどうかなど、通信制高等学校自体も非常に多様な存在になっているということでありますので、そうした生徒の実態、通信制高校の実態を踏まえた、そこを十分勘案してよりよく生かすための制度の見直しというのが不可欠になっているのでないかというふうに認識をしております。
そうしたことを踏まえまして、委員の先生方におかれましては、これまでの御経験、御見識を踏まえまして、通信制課程における教育のこれからの在り方と、具体的には通信制課程の教育方法や学習支援体制の在り方、設置認可基準、所轄庁の在り方等につきまして、本日ありましたように、生徒の個別最適の学びを実現するという観点から、建設的で積極的な御議論を今日と同様、今後も頂戴できればなというふうに思っております。
どうか活発な本議論をお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
それでは、本日はここまでとしたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
では最後に、今後のスケジュールにつきまして、御説明をよろしくお願いしたいと思います。
【酒井補佐】 次回の会議につきましては、10月26日火曜日、15時より開催させていただきます。詳細につきましては、また改めて御連絡させていただきます。
【荒瀬座長】 10月26日ということであります。よろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
 

(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)