特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議(第14回)議事録

1.日時

令和4年9月26日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議方式

3.議題

  1. 審議のまとめ(案)について

4.議事録

【岩永座長】  定刻となりましたので、ただいまから第14回特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議を開催いたします。本日は大変御多忙の中、会議に御参加いただき、誠にありがとうございます。
 本会議につきましては、報道関係者等より録音・録画の申出がありまして、これを許可しておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
 まず、本日の会議資料の説明を事務局からお願いします。また、前回の会議資料の修正がありますので、これも併せて説明をお願いします。よろしくお願いします。
【川口学校教育官】  本日の会議資料について御説明します。本日は、資料1-1及び資料1-2をお配りしております。資料1-1は「審議のまとめ(素案)」について、前々回及び前回の議論を踏まえて修正を行ったものになります。また資料1-2は、修正の履歴を残したものになります。よろしくお願いいたします。
 また、前回会議の資料で、「審議のまとめ(素案)」に対する国民の皆様からの意見募集の結果に関する資料に修正点がございましたので、御報告させていただきます。本資料においては、意見を提出いただいた保護者関係団体の団体名を御紹介させていただいておりましたが、その中で「子供の成長を支援する保護者の会」様の記載が漏れておりました。資料に当該団体を追記した上で、文部科学省のホームページ上で修正し差し替えておりますので、御報告いたします。大変失礼いたしました。
 事務局からの説明は以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日の議題は、審議のまとめ(案)についてとなっております。まずは事務局より、第12回会議で提示した「審議のまとめ(素案)」からの修正点について説明をお願いいたします。
【石田教育課程企画室長】  資料1-2に基づきまして御説明いたします。この審議まとめ(案)でございますけれども、先ほど座長からお話がございましたように、第12回の会議に提示いただきました、「審議のまとめ(素案)」について、国民の皆様からの意見募集、公聴会及び教育委員会、関係団体からのヒアリングを踏まえまして、岩永座長の御指示の下、委員の皆様と御相談しながら修正を加えたものとなります。つきましては、この審議のまとめ(案)につきまして、素案からの修正点のうち、主だったものをその修正の趣旨と併せて御説明をいたします。
 まず「はじめに」のところでございます。国民の皆様からの意見募集、校長会並びに教育委員会関係団体からのヒアリングでの御意見を踏まえ、委員の皆様から本有識者会議の思いや考えが十分に伝わっていないところがあるのではないか、しっかりと趣旨をお伝えすることが大事ではないかという御指摘を頂戴しました。そこで、「はじめに」の2ページから3ページ目にかけまして、有識者会議での議論の趣旨ですとか、その基本的な考え方などを明確にお示しする形で修文をしてございます。
 また、少し戻っていただきまして、1ページの脚注の1でございます。主に国民の皆様からの意見募集におきまして、「特異な才能のある児童生徒」との用語につきまして、ともすれば誤解や偏見につながるおそれがあるのではないかとの御意見が寄せられてございました。この点につきまして、誤解や偏見につながることがないよう、国に対してその趣旨を丁寧に説明することを求める旨、追記をしてございます。
 続きまして、少しページが飛びます。11ページでございます。2の特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援に関する課題の下の脚注の23でございます。この章は、昨年の8月から9月にかけて実施しましたアンケート調査でいただきました事例を基に、特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援に関する課題をまとめているところでございますけれども、このたび、7月から8月にかけて実施いたしました「審議のまとめ(素案)」に対する意見募集におきましても、当事者であるお子様を含め、特異な才能のある児童生徒が置かれた切実な状況を含め、多くの御意見をお寄せいただきました。そのことについても脚注として明記をしてございます。
 また少しページ飛びます。20ページでございます。3の、今後の取組の基本的な考え方のところの脚注の26でございます。本有識者会議としましては、ラベルづけや過度な争等につながる懸念があることから、何らかの特定の基準や数値によって才能を定義し、定義に当てはまる児童生徒のみを特異な才能のある児童生徒と取り扱うことはしてございません。この点につきまして、意見募集や関係団体のヒアリングの中では、何らかの特定の基準や数値を設けることで、特異な才能のある児童生徒の対象を明確にすべきとの御意見も寄せられたところでございます。
 こうした御意見があること自体は受け止めつつも、国におきましては、有識者会議の考え方等を丁寧に説明することに加えて、実証研究を通じて実際の教育現場で参考となる考え方、あるいは多様な事例を提供することが重要である旨、追記をしてございます。
 続きまして、21ページでございます。2つ目の丸でございます。意見募集では、特別支援教育の考え方も取組の参考となるのではないかとの御意見をいただきましたので、その旨、追記をしてございます。
 さらに、22ページ、23ページでございます。校長会や教育委員会関係団体のヒアリングでは、教師の負担軽減、あるいは予算や人員といったリソースの確保が必要との御意見を頂戴しました。こうした意見を頂戴したことにつきましても、しっかり受け止め、盛り込んでいるところでございます。
 最後に26ページ、今後取り組むべき施策、4の部分でございます。本章の冒頭では、本有識者会議が想定する、あるべき姿をお示しいただいてございますけれども、こうした姿は学校間、地域間の格差なく実現されるべきであることを明記してございます。この点については、意見募集でも、格差のない取組を求める御意見をいただいていたところでございます。
 続いて28ページ、2つ目の丸でございます。提言いただきました5つの具体的な施策につきまして、それぞれの施策の成果を往還させることが重要であることは、これまでも御議論いただいておりましたが、その点が明確になるよう修正をしてございます。
 それでは、個別の具体的な施策ということでございます。
 丸1につきましては、意見募集におきまして、教員養成段階からの対応を求める意見が寄せられていたことを踏まえまして、国に対して教員養成段階に関する対応を求める記述を29ページにもかけまして追記をしてございます。
 続きまして、32ページでございます。丸3、特性等を把握する際のサポートということに関連する部分でございます。ここでは国に対して得意な才能のある児童生徒の認知や発達、行動の特性等を把握するためのアセスメントツール等に関する情報の収集を求めていたところでございます。3つ目の丸にございますように、校長会や教育委員会関係団体のヒアリングにおきましても同様の意見をいただいており、その旨を追記してございます。
 前後して恐縮ですが、2つ目の丸、「そのためには」のところでございますが、委員の皆様からは、まずは児童生徒との関わりの中で、子供たち一人一人が抱える困難や周囲の環境を丁寧に見取っていくことが重要であり、ツール等を用いるにしても、児童生徒との対話の中で実態を把握することが肝要であるとの御指摘がございましたので、その旨、追記をしてございます。
 33ページでございます。国が収集した多様なツール等に関する情報は、実証研究を行う学校において、実態に応じて活用できるように提供する必要がある。これと併せて実証研究の中でツール等の改善が図られることが期待される旨、追記をしてございます。
 続きまして35ページから36ページ、丸5の実証研究を通じた実践事例の蓄積に関わる部分でございます。36ページの1つ目の丸でございますが、関係団体でのヒアリングでは、これまで特異な才能のある児童生徒を念頭に置いた指導・支援の取組はほとんどないことから、戸惑いや弊害が生じるおそれがあるとの懸念が示されてございました。こうした懸念を解消するためにも、実証研究において事例を蓄積し、可能な限り類型化・体系化を行い、学校や教育委員会に共有していくという国の役割について追記をしてございます。
 加えて39ページでございます。実証研究のアウトプットに関しまして、その時点では課題の解決につながらなかった実践事例など、実践の中で明らかとなった課題についても重要であることも追記をしてございます。最後に実証研究の成果を踏まえ、国において対応が必要となり得る事柄について、より具体的に整理をしてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
【岩永座長】  ありがとうございました。今ほどの石田室長からの説明にもありましたけれども、審議のまとめ(案)については、委員の皆様と共に御相談させていただきながら、素案に修正を加えたものになります。既に各委員の皆様からは、前回までの会議や事前にも御意見を伺いながら調整してきているものと承知しておりますが、今ここで何か御意見がありましたら、手を挙げるボタンを押していただくようにお願いいたします。
 根津先生から手が挙がっております。根津先生、よろしくお願いします。
【根津委員】  早稲田大学の根津です。お取りまとめ、ありがとうございました。細かいことですけれども、9ページです。資料1-2の9ページの注の17です。資料1-2、9ページ注の17、2023年は令和5年かと思うんですけれども、御確認いただければと思います。以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。まさにそのとおりですね。西暦の1の位に2を足すと令和の年号になりますので、令和5年ということで。私もじっくり見たはずですけども、うっかりしていました。ありがとうございました。大変助かります。
 ほかにありますか。これはもう来年のことになりますね。よろしいですか。何か事務局から。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。それでは、今の根津先生の御指摘以外に特段の御意見なしということで、こちらで我々有識者会議の取りまとめとしたいと思います。特段の決を採る方法は考えてないんですけども、御了承いただける場合には、画面上でうなずくなど何らかの意思表示をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
(「異議なし」の声あり)
【岩永座長】  皆さん、強くうなずかれた方もいらっしゃいますし、軽くうなずかれた方もいらっしゃいますけれども、意思表示をしていただきましてありがとうございました。それでは、異議なしということで進めさせていただきます。御了承いただけましたので、この案にて取りまとめということにさせていただきます。
 続きまして、今、取りまとまりました「審議のまとめ」を文科省にお渡ししたいと思います。手順がありまして、プレスが会場に入りますので、少しお待ちいただきたいと思います。よろしくお願いします。
(プレス入室)
【岩永座長】  それでは、取りまとまりました「審議のまとめ」をお渡しするに当たって、一言座長としての御挨拶を申し上げたいと思います。
 この有識者会議は、児童生徒を特定の基準や数値で選抜し特別な英才プログラムを提供するといったようなことを目指すものではなくて、特異な才能のある児童生徒を含む全ての子供たちの多様性を認め合い、高め合える個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の一環として考えていくということを基本的な考え方として検討を進めてまいりました。
 私たちとしては、こうした基本的な考えの下、特異な才能のある児童生徒について、その才能や特性ゆえに抱いている心理的な、あるいは集団への不適応などの社会的な困難に着目いたしまして、そうした困難を解消するとともに才能を伸ばしていくことが必要であると考えております。ぜひ、この「審議のまとめ」を今後の行政施策に生かしていっていただきたいと存じます。
 一方で、国民の皆様や学校関係者の声を聴くと、こうした有識者会議の基本的な考え方が報道関係者も含めて皆様にまだまだ十分に伝わっていない場合もあると実感しておりますので、文部科学省においては、その点丁寧に説明を尽くすとともに、着実に特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援に関する取組を前に進めていっていただきたいと心より思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、お渡ししたいと思います。
 それでは、有識者会議としての審議のまとめを手交いたします。
(「審議のまとめ」手交)
【岩永座長】  ここで、藤原初等中等教育局長から発言を求められておりますので、藤原局長、よろしくお願いいたします。
【藤原局長】  それでは失礼いたします。9月1日付で初等中等教育局長に就任いたしました藤原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま「審議のまとめ」を岩永座長からいただきました。岩永座長をはじめ委員の皆様方におかれましては、昨年7月より14回にわたって精力的に御議論いただきましたことをここで改めて感謝を申し上げたいと存じます。これまでの精力的な御議論が本日「審議のまとめ」という形でお取りまとめいただいたということで、心より御礼を申し上げたいと存じます。
 文部科学省といたしましては、この「審議のまとめ」を踏まえまして、しっかりと予算の措置、それから特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援の取組を前に進めてまいりたいと考えております。また、その際には、岩永座長からも御指摘をいただきましたように、本有識者会議の基本的な考え方、これをしっかりと文部科学省が責任を持って説明を尽くしてまいりたいと考えております。
 この取組は、まさにこれがスタートであると考えております。どうぞ委員の先生方におかれましては、引き続き御指導、御支援のほどをお願い申し上げまして、御礼の御挨拶といたします。誠にありがとうございました。
【岩永座長】  藤原局長ありがとうございました。それでは、ここでプレスは退出ということになります。よろしくお願いいたします。
(プレス退室)
【岩永座長】  プレスが退室しました。それでは、皆さん御承知のように本日が最後の会議ということになっておりますので、委員の皆様より、昨年から議論を行ってきた感想や、今後のこの件に関しての期待などについて、それぞれ、大変恐縮ですけど3分程度で御発言いただきたいと思います。いつも私が一番だということを秋田委員から伺っておりまして、大変恐縮ですけども、あいうえお順、名簿順ということで秋田委員からお願いいたします。よろしくお願いします。
【秋田座長代理】  ありがとうございます。学習院大学の秋田喜代美でございます。このたびは14回の中でこの「審議まとめ」がまとめられたこと、多くの委員の皆様や様々な御関係者の声が一つになって、私たちの願いとしてこれがまとめられたということは大きなことだと考えております。3点申し上げたいと思っております。
 1点は、特定分野に特異な才能を持つ子供たちという、今まで焦点が当たらなかった子供たちにも焦点が当たったということが、これまで最大公約数的な教育を目指してきたところから多様性というものを認め合うというサブタイトルにあるような教育がこれから求められているというメッセージを強く出すものだと考えております。それは特定の分野の特定の子だけを取り出して特定のプログラムをやるというようなところだけが強調されるような、そういうものではなく、多様性を認め合うことがこの根幹の哲学だというところがサブタイトルに出ているというところが重要なところだと私は考えています。
 そして2点目には、どの子供も課題の困難を抱えていて、しかし、その強みを生かすという、これは特定分野の子供だけではなく、全ての子供に当てはまることである。ただし特に困難が通常のお子さんと、定型発達のお子さんとは違うところにおいては、これからさらに事例を収集することによって、より有効な手だてを開発していくことが意味があるだろうと考えているというところが2点目です。
 そして3点目としては、これからへの期待として、社会の中で、先ほどもございましたように、誤解なく、この審議のまとめが広く全ての子供たちの教育や子供の見方への新たな光をともすものになっていくこと、また、それを具体的に実現するためには、実証研究が非常に重要だと考えています。ただし、その実証研究が特定の方や行政にお任せになることなく、例えばそれがどのように進んでいるのかということを、プロセスを見守ったり、支援するような専門家チームがつくられるなどして、実のあるものになっていくことを大いに期待したいと思っています。
 お世話になりまして、ありがとうございます。以上になります。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、続きまして市川委員、お願いいたします。
【市川委員】  市川です。今、秋田先生がおっしゃってくれたことともかなり重なるんですけれども、この有識者会議で審議してきたことを、途中のまとめにおいてもかなりの誤解を受けるということがよく分かりました。一方では、これは要するに特定の一部の子供たちに対して学校が英才教育をしていくと、それを結果的に国力増強に結びつけていくのだというように受け取られる可能性もかなりあったと。実際にそういうことを期待している人もいるでしょうし、また、そういうことをやっている国もあるということも紹介されてきたと思うんです。
 ただ、この有識者会議ではそういう考え方ではない。むしろ本来は、個別最適な学びの一環として全ての子供たちを対象にしたいと。しかし、これまであまり光の当たってこなかった子供たちの困り感、才能あるがゆえに、かえって困り感を感じているような子供たちにも光を当てたい。しかも学校だけにお任せするということではありません。地域も含めて社会全体で担っていくんですということで、最終的にもちろん国力増強に結びつけばいいですけれども、それが中心的な目的ではなくて、一人一人のニーズ、困り感に応ずるのだとまとめられたのはすごくよかったことだと思います。
 これが出ることによって、これまでそういう子供たちが、どうも自分たちの困り感を表明しにくかったと。学校の授業だけでは物足りませんとか、なかなか、これまで保護者も子供も言いにくかったと思うんです。これからはむしろ学校側も率先して、そういういろいろな困り感や不満があれば、どうぞ言ってくれていいんですよと。それは学校が全てできるわけではないけど、地域のどこに行けばこういうようなプログラムもあるとか、そういう情報提供も含めて、社会全体でどう担っていくのかということを考えるし、また、保護者や子供にそういう場を提供できるようにしていくというふうに一歩進めばいいのではないかと思っています。どうもおまとめありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。続きまして今村委員、お願いします。
【今村委員】  今村です。長くこの議論に参加をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございました。私自身も、この会議に参加しながらどうあるべきかということを、もう右へ行ったり、左へ行ったり、上へ行ったり、下へ行ったりしながら、深く考える機会そのものになったんですけれども、これだけたくさんの有識者の皆さんの議論を聞いて考える機会をいただいても、まだもやもやしているという段階が現在地です。
 私も、この一律の基準を設けないことに決めたというのは一つの意思決定だと思っていまして、現段階では納得をしていますし、それがよかったと思っているんですけれども、これは一方、現場の裁量に任せるということにもなるわけだということは自覚的であるべきかと思っています。
 そうなることで、本当に意図している世界観が実装できるのか、運用できるのかということについては、どうでしょう、3年か5年後の点検評価会議みたいなものを設けるとか、本当に、全てがうまくいくとはとても思えないので、5年間何もなかったということも含めて見直すということが大事かと思うんですけど、相当難しいことを現場にお任せしようとしている方針なので、どこかで点検する、評価するという会議体なり仕組みなりが必要じゃないかと感じています。
 また、これから始まる、今、既に動いている教育振興基本計画の中にどのように盛り込むか。また、次の次期学習指導要領にどのように盛り込むかということについても、できれば本当は具体的にこの会議体として意見を明確に出せたらとは思っていたのですけれども、この中に盛り込まれているとは思うものの、その会議に参加する方々にこの思いを引き継いでいけたらと思っています。
 私からの要望は、点検評価会議を設けるということ自体を、できれば決めておくということが重要かと思っております。ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。私も全く同感ですけど、一つだけ。基準を設けないということはこの素案の中でも、審議のまとめの中でも言っておりませんで、例えばIQのような、これまでよく使われてたような特定のツールを使うことは差し当たりしない。ただアセスメントツールに関してはその有効性も含めて今後検討していくというようなことは書いてありますので、認定をしないとか測定をしないとか観測をしないというようなふうには、これは大変苦しいところだったんですけども、まとめていなかったので、そこだけ付け足させていただきます。
【今村委員】  失礼しました。今後の実証研究の中で、ツールを含めて明らかにしていくということですね。
【岩永座長】  はい。明らかになればいいんですけども、そちらの方向で検討していくということで。
【今村委員】  最も重要な点だと思います。ありがとうございました。
【岩永座長】  どうもありがとうございました。続きまして大島委員、お願いします。
【大島委員】  ありがとうございます。長きにわたりまして議論を重ねていくことによって私も非常に学ぶことが多くて、刺激的な委員会でございました。取りまとめていただきまして誠にありがとうございます。
 今までにない視点で、とてもチャレンジングな内容だったんじゃないかと思います。一方で、議論を重ねながら、いろいろ課題はあるかとは思いますけれども、取りまとめとしては非常に充実した内容になったんじゃないかと思っております。私から、先生方と重なるところもありますけれども、3点申し上げたいと思っています。
 まず、特異な才能のある児童生徒ということで、この間のヒアリングを聞いていましても、特異というワードに関して結構誤解を持たれている方々が多いと思っています。一方で、今まで着目されていなかった児童生徒ということで、多様性、そういうダイバーシティー・アンド・インクルージョンという観点では、そういうことを通して、対話をしながらこういうことを進めていくことが大事じゃないかと改めて思いました。
 一方で、誤解というんですか、一つは、令和の日本型学校教育というのは、個別最適な学びと協働的な学びとこの両輪だと思うんです。でも、なかなか最近どうしても個別最適な学びに着目される傾向があって、何かそこが先行してしまって、そういう誤解にもなっているんじゃないかと思っております。学校で協働していくということが学校生活で非常に大事なことだと思いますので、協働的な学びという観点も今後、強調していく必要があるんじゃないかと思っています。
 2点目は、今村委員もおっしゃっていたんですけれども、これから実証というんですか、やっていく際に、現場の先生がかなり戸惑っていらっしゃっていて、現場の先生方に負担が過度に出てくるというのは問題になるんじゃないかと思っています。優先順位ですね。やる観点というのはすごくたくさんあると思うんです。なので、その優先順位を決めながら、できるところからレイヤー化していって、ステップを踏んでいくという。短期、中期、長期というんですか、そういう計画を立てていくことが大事かと思っています。
 その際に、これは3点目になるんですけれども、実証研究が大事で、そういうレイヤー化していったりとか、ステップ化していくという、そういう体系化を何らかの形で示さないと、なかなか、先生方にやってくださいと言っても難しいのかと思っています。なので、それを今後どういう形でまとめて発出するかというのも結構大事かと思っています。
 もしかしていろんなそういうデータというんですか、連携先のグッドプラクティスも、あとうまくいかなかった事例も含めて、何かそれを、最近のワードでよくプラットフォームというんですけど、それが適切かどうかは分からないですけれども、何かそういうことを共有できるような場を、実証研究などを含めて何かしていくということは大事だと思っております。私からは以上です。本当にいろいろとありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは中島委員、お願いします。
【中島委員】  皆様、本当にありがとうございました。私自身もここでいろんな刺激をいただいて、あとこれを見ている方々からもいろんな御意見とか議論とかに進むことができたので、非常に取りまとめも含めて感謝しております。あと、いろんな意見を本当にインクルーシブに入れていただいているので、でもここからだと思いますので、また、これからもよろしくお願いいたします。
 それだけ注目を浴びているということを、すごくこの途中で感じました。それこそメディアもそうですし、一般の方々もそうですし、注目を浴びている、イコール課題を感じている、困っているとか、本当にこれでいいんだろうか、今の学校とかに対して、もっと何か多様な人が多様に輝けるような形があるんじゃないかということを、みんながみんなになっているかどうか分からないですけれど、多くの方が持っているんだと感じました。
 なので、秋田委員からとかもありましたけれども、多様性ですね。大島先生もおっしゃっていましたけれど、一人一人が全員違っていて、今回は特に困っている子たちを割と注目はしていたものの、最終的に、その思想にあるように全員が全員いろんな特性を持っているので、そういう一人一人がみんな特異な才能を持っていて、その人たちをどう輝かせるかという議論だったんだと思って、非常に興味深く伺っておりました。
 簡単に、幾つかあるんですけど3点。
 まず、哲学とか文化というのが非常に大事だと思っています。今回これを出すことで、まず文化、考え方というものが非常に提示されたと思っています。まさに今言ったことです。特定の人たちだけを取り出して何かをするという分断型のものじゃなくて、本当に、今日一緒に共にいるという状態、あとはその一人一人に可能性があって、それはどんな方にもあって、それをうまく引き出していくにはどうしたらいいのか、可能性をちゃんと肯定していくということを、文化変革だと思っているので、何かそこの部分をもっと発信して押し出せたらいいと思いました。
 あと、それに伴いますけど、弱さが受け止められる社会ということが大事だと思っています。それの文化を支えていくためにも仕組みが必要であると。それは制度かもしれません。インクルーシブ、今日共にいる。今までは取り出し型でいろんなことをやってきた。もちろんこれからも取り出して何かをすることを否定することではないんですけれども、でもそれだけじゃなくて、一律に同じことをするのではなくて、多様な状態で、多様な選び方、多様な生き方があって、その方々が、ある種同じ空間である必要もないかもしれないけれど、何か取り出されるという形じゃなくて、一緒に生きていくことができる、そういう仕組みのつくり方というのは、さっきの弱さを受け止めるもそうですけど、制度とかにも関わってくるんじゃないかと思います。
 なので、文化、思想があった上で、その仕組みをどうつくっていくか。これは実証にも関わってくると思っています。先ほどプラットフォームという言葉もありましたけれども、そういうものが実証を通して全体として俯瞰的にどんな仕組みがあれば、そういうものが回るのかということを考えることが必要だと思います。
 より具体に3点目で、研修とかアセスメントツールとか、今課題になっているのが、悪気がなくて他者理解ができていないということが今たくさんあるんだろうと思います。一人一人違うということに気づくまでに結構時間がかかったり、葛藤があったりすることが多いと思うので、何かそういう多様性の理解が、ひいては自分たち、自分自身の理解にもつながるということで、その手の実証を今後たくさんされると思うんですけれども、そこはすごく大事かと。
 先ほど今村さんからもありました、現場任せじゃなくて、いろんな、このやり方もあるんじゃないかみたいなことを提示していくことが大事だと思いました。最終的に、とにかくいろいろやってみるということ。まだまだ分からないことがあったり、一人一人違うからこそやってみようとか、あと発信しよう、先ほど、自分から言ってみる、市川先生から、もうちょっとこうしたいとかが、あと自分がちょっと違うとか、そういうことがあったらとにかく言ってみるとか、先生方も思ったことを言ってみるとか、そこを通して時にぶつかりながらも議論が深まるんじゃないかと思います。
 あと巻き込んでいくということで、先ほど先生とか子供たちももっと巻き込めるといいんじゃないかと思いますので、そんなことがここからできればいいと思います。本当にいろいろありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは根津委員、お願いします。
【根津委員】  早稲田大学の根津です。若干ということで、少しお話をさせていただきます。
 まず、今回を通して、当事者の子供の意見を含めて調査の結果が私は非常に興味深かったです。この調査の結果を、先生方への研修などでもぜひ個人的には活用してみたいと考えております。公表されている分についてです。
 もう一つ、この会議のテーマは、この調査の結果から見ると、幼小と中高、またあとは小中の義務教育という、いろいろな区切りといいますか、あるいはそのまとまり、かたまりというものがあるんだと改めて確認できた次第です。
 次ですけれども、そもそも大多数の子供が公立の小学校に通っているわけですが、その多様性ということに関して考えさせられる会議だったと思っております。先日、個人的な経験で恐縮ですけども、都内の公立小学校に行く機会がありまして、高学年の授業を参観しました。40名近くです。もう教室の中にみっちりと詰まっていたのが印象的で、先生方が机の間をスムーズに歩けない。そこにタブレット型の端末ですとか、またいろいろ机の上に広げているわけですので。こうなりますと今回のこの有識者会議での論点を含めて教員の労働条件という意味でも、1学級当たりの人数をもっと大胆に引き下げれば、子供や家庭への細やかな対応が可能になるだろうとは感じました。
 最後にですけども、私の専門はカリキュラム研究です。カリキュラムというと、どうしても国家あるいは行政機関が一律の教育内容を提供するというイメージが非常に強いんですけども、今回の会議を通じて、それだけではないと改めて実感をしました。今回の会議では逆で、子供に合わせた学びのメニューを学校や諸機関でどういうふうにつくっていけばいいのかという、学習者から見たカリキュラム研究の課題だったんだと改めて思っているところです。
 先ほどからの御発言にもありましたように、個別最適な学び、協働的な学びという考え方から見ましても、実証研究を含めて今後も検討が必要だろうと思っております。この間の議論やお取りまとめ、誠にありがとうございました。大変勉強になりました。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは福本委員、お願いします。
【福本委員】  多様な観点を盛り込みながら、本当に一つの形としてまとめてくださったことにまずは感謝をいたします。様々な方々が、子供も含めて声を上げてくださって、その声を基に議論を進めることができたということが非常に有意義だったと思います。
 今、自分らしい学びや自己実現ができていない苦しみの中にある子供たちや、それを支えておられる保護者の方々、あとはサポートをどうすればいいのかということで悩まれている先生方、行政の方の声を今後も聞いて対話をしていく中で、今本当に求められている必要な支援の形や学び方が何かということが、今後も在り方を浮き彫りにしていくことができればいいかと思っています。
 その上で、それぞれのニーズをつないで個別に支援が走るということではなくて、補完的な接続部分をきちんと作用させていきながら機能していかなければ、結局のところ子供の生活、学びの環境が変化していかないと思いますので、そこは今後の実証研究や、その後の検証を含めて、類型化・体系化ということを通じて、学校現場、家庭、あるいはその他の子供たちを支える、現場で運用ができるという形にまできちんと具体的に落としていくことがこれから大事かと感じています。
 今回の会議の本当に革新的だったと思うのは、時代の変化に伴う中で、人間の才能とはどういうものだろうかということを大きく考えていく、価値観を考えていくというところに意味があったのかと思います。その中で学びという、特異な才能という言葉で様々な議論が行われたわけですけれども、多様な生き方や学び方がどんなふうに変化していくのか。その学びの中でハード面、ソフト面がアップデートしていく必要があるんじゃないかというタイミングで、この議論が日本の中でもきちんとされたということが、本当に大きな一歩になったんじゃないかと感じています。
 様々な批判とか、あるいはこうした議論の中で、SNS等で炎上するということなんかもあったんですけれども、新しい価値観、視点を入れていく中で、今後も誤解を生じてしまうこともあると思うんですけれども、その中で真摯に対話を尽くして、そこには必ず目の前で生きている子供たちの姿があるということや、子供たちが幸福に生きて、自分らしく学んで、それを、才能を生かしていける社会の実現を最優先項目として挙げていく中で、本当にできないことと思っている制度の壁はどこなのか、予算の限界をどういうふうにクリアしていくのかというところに、本当に議論を尽くしていくことがすごく大事なことかと感じています。
 ですので、才能とは何かということを、今後も有識者会議の中でも議論をしていきたいと思いますし、逆に実証を通して具体的な事例が出ていく中で、本当に具体の多様な人たちの才能の在り方が共有化されていくということで、多様な人たちがそれぞれの力を発揮して、どのように共存していく世界が実現できるのかということは、長い時間をかけながら、引き続き皆さんでつくり上げていく必要があるかと感じました。
 本当に、このたびの一つの形がまとまっていったことを含めて、これからがスタートだと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。私も、実はこの会議で何かの結論を出すというよりも、ここが出発点だと常々考えておりまして、そういう意味で、このテーマに関するキックオフのいい会議になったのではないかと思っているところです。ありがとうございました。
 続きまして藤田委員、お願いします。
【藤田委員】  恐れ入ります。ありがとうございます。私も皆様と全く同じことを申し上げることになってしまうことを大変恐縮に存じますが、前提といたしまして、多様性を認め合う中での個別最適な学びであるということがきちんと情報提供といいますか、メッセージとしてお伝えできるような最終の取りまとめになったことは、委員の一人として本当にうれしいと感じました。
 皆様方も御指摘のとおりですけれども、取り出し方ではなくて、多様性を認め合う中で私たちがどういった子供たちの幸せを追求していくのか、それは先生方だけではなくて、地域社会全体で、日本の国全体で子供たちを支えていく、そういうメッセージになったのではないかと思います。
 また今、座長がおっしゃいましたように、今回のまとめの中で特に重要となるのは、今後の取り組むべき施策の中で幾つか挙げてございますけれども、皆様方もおっしゃっていますように、実証研究であったりとか、それから学校外の機関との連携であったりとか、あるいは特性等を把握するためのサポートであったりとか、そういったことをこれからやるんだということが明確に打ち出せたことも大きなことだと思います。
 最後に申し上げたいことですけれども、私たちはこれまで、平等な教育の在り方ということをずっと戦後求めてきたように思います。でも、ここの20年30年の間に平等ということから公正な教育の在り方とは一体何なのか。一人一人のニーズに合った教育とは一体何なのか。そういうことを私たちは議論の途上にあって、その途上の一つの大きなマイルストーンになるのが今回の取りまとめなのか、そんなふうに思いました。
 これから少子化は進んでいくとみなされていますけれども、多くの人たちが、この国で子育てができてよかった、どんな子供に恵まれたとしても、この国だったら幸せになってもらえる、そういうふうに思って安心して子育てができる国でありたいと思いますし、教育学に携わっている身としては、そういう学校教育、そして学校教育のみならず教育全体が保証できる在り方、そういうことを考えていきたいと思いました。
 先ほど根津先生もおっしゃっていたことですけれども、そういうことになってまいりますと、恐らく財政の在り方、教育予算の在り方、そういったことにも今後議論は発展すべきでしょうし、そういうことを抜きにして理想論を語ることには多分ほころびが見えてくるのか、そんなことも最後に少し感じた次第です。私からは以上です。
【岩永座長】  ありがとうございました。それでは、お待たせしました。松村先生、よろしくお願いします。
【松村委員】  待っておりました。今まで言いたいことをいろいろ言わせていただいて、これで最後です。言葉を切り詰めて4分間でお話しできるようにまとめてきました。5点あります。
 1つ目ですが、丁寧な説明についてです。「審議のまとめ」だけでは誤解される点も多くて、十分に説明し尽くせませんので、今後もその周知・研修等で説明を続けることが必要です。その点、「はじめに」や注24で「有識者会議の考え方を国が丁寧に説明する」と言及されているんですが、それは有意義だと思います。また、4の(2)丸1に、「有識者会議の知見をまとめた参考資料を学校や教育委員会に情報提供する、教員養成課程で活用する」というのがあるのですが、一般向けにもオンラインで広く情報提供していただきたいです。
 2つ目です。ギフテッドと特異な才能について。これは私もさんざん話しましたが、審議のまとめの最初の注1にも記されたように、一般にはギフテッドは意味を限定して用いられる場合が多いので有識者会議では避けてきました。しかし、報道では、有識者会議はギフテッドについて議論しているとか、文科省はギフテッドの支援に乗り出すなどと表現されます。今後もそうだと思います。
 結局、「特異な才能」が限定されたギフテッドの言い換えだと解釈されると、生じる問題は変わりません。その特異は突出ではない、特別ではない、特異な才能というのは広い意味を表すんだという、そういう念押しは今後も続けないといけないでしょう。
 3つ目ですが、特異な才能の定義と基準についてです。これも私ももう繰返しお話ししましたが、特異な才能を特定の基準で定義しないと論じたことが誤解や不安を招いてきました。誰が特異な才能を持つのかを判別する基準を示してほしいという声が上がります。これは当然です。しかし、国が「IQ130以上だよ」などと限定することは様々な問題を引き起こします。
 個別の取組の対象者について把握すべき才能特性、これはあります。それは目的に応じて個別に決まります。その個別の取組にふさわしい特性をどうやって把握すべきかは今後の事業の課題となるでしょう。だから、これは現場丸投げと言われますけれども、それは実証研究を進めていくなかで、知見を集めて発信するということが必要です。
 4つ目に、個別最適な学び、協働的な学びについてです。才能のある子の指導・支援は、学校内で個別最適、協働的な学びの充実の一環として実施可能なことが十分に認識される必要があります。障害のある子も才能のある子もインクルーシブに、個に応じた指導が可能なことがモデルで示されるとよいと思います。その実践に、例えば才能教育に起源のあるSEM(全校拡充モデル)のモデルが、理念・方法が相通じることなどはほとんど認識されていませんが、今後、周知・研修や実証研究を通じて、才能教育の背景の理解も実践に生かせると期待しています。
 5つ目ですが、才能が原因の不登校についてです。有識者会議には、「困っている才能のある子」の保護者から高い関心が寄せられましたが、不登校の問題について、これまで才能による困難の要素は認識されてきませんでした。今後、才能も意識した綿密な調査が行われて、民間と、学校や教育委員会の連携の実証研究から支援が進むことを期待します。
 以上のような点について、今後、丁寧な説明、これが本当に有言実行されて、理解と実践が広がるよう願っています。ありがとうございました。
【岩永座長】  ありがとうございました。ぴったり4分でした。ありがとうございました。
 それでは、これは職権でということになりますが、私からも御挨拶をさせていただきたいと思います。このコロナ禍の状況下で、14回全ての会議がWeb開催となりました。このことはとても残念だと思います。そもそも会議をして一緒に話し合うというのは、インスピレーション、インスパイアをするものでありまして、その空気とか、共に息をするというようなことは非常に重要なことですけれども、リモートという非常に制限的な状況の中で、その雰囲気が少し欠けていたことは非常に残念だと思います。
 その結果、どうしても会議が資料や報告がメインとなってしまって、それは私の全く責任ですけども、議論中心ということになかなかなってこなかったことが残念だと思っております。ただ、こういう制約の下ではありましたけれども、今まで私が出た様々な研究会とか会議とかの場と比べて非常に活発であったということは感じておりまして、これはこういう制限をかけた条件下で、皆様の熱心なお考えのたまものであると思っております。
 それから、会議のメインテーマ自体がこれまで十分な議論がなされてこなかった才能教育というジャンルに属するものだったということで、その意味でも大変難しい検討を皆さんにお願いしてしまったということで申し訳なく思っています。ただ、先ほど来お話がありましたように、これは結論ではなくてキックオフだ、結論でなくてチャレンジングな問題提示だと考えますと、これは非常に意味があったことだと。このテーマの議論をここから始めていくんだということでは大変意味があった。特にただいまの先生方の御意見にもありましたけれども、アンケートや調査の結果、真に問題を抱えている子供たちがいるのだと、それを問題として感じている保護者の方がいるのだということを量的にも把握できたことは、非常に貴重な結果ではないかと思っております。
 それにもかかわらず、非常に活発な議論をいただいて、その点で最後の最後まで私は非常に実りの多い有識者会議であったと感じているということで感謝申し上げたいと思います。御多忙な方々ばかりの委員構成でしたけれども、皆さん可能な限り熱心に御参加いただいて、活発に議論していただきましたこと、その結果として「審議のまとめ」がきちんとできましたこと、結実しましたことを心より感謝申し上げたいと思います。
 併せて、ここまで14回の会議をコーディネートしていただいて、「審議のまとめ」を取りまとめる上で大変な御助力をいただいた文科省の初中局の事務局にも感謝したいと思います。ありがとうございました。
 最後になりますが、先ほどの「審議のまとめ」の提案の最後で、何人かの委員の方から実証研究について言及がありましたけれども、私はこの実証研究が一つのポイントだと思っておりまして。ただの研究ではなくて実証研究という言葉が入っている背景には何があるかというと、もう既にそうした実践の芽はある。そういうものは既にある。それが、そういう我々が考えているような教育のものだという認識がまだされていないし、あるいは体系化されていないし、あるいは横の連携が取れていないしということが今問題なので、この実証研究をするというところに非常に大きな提言のポイントがあるのではないかと思っております。
 既にあるものをきちんとつぶさに見ていく中で、どれが有効なのか、あるいはどういうところに問題があるのか、どういうところに課題があるのかということを、実証的に明らかにしていくということが次の課題になっていくと感じております。最後、雑駁になりましたけれども、そういう感想を述べさせていただいて、私の所感とさせていただきます。
 何か言い忘れたようなことがありましたら、大丈夫でしょうか。
 これをもちまして、この有識者会議を閉じさせていただきたいと思います。本日は、それからこれまで長い間、14回の会議にわたって御参加いただき、ありがとうございました。深く感謝いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――