特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議(第8回)議事録

1.日時

令和4年3月17日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議方式

3.議題

  1. 特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援の在り方等について(主に学校外での対応策)

4.議事録

【岩永座長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第8回「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」を開催いたします。
座長の岩永です。お忙しいところ御参加いただきまして、ありがとうございます。
本会議につきましては、報道関係者等より録音・録画の申出がありまして、これを許可しておりますので、その旨御承知おきいただきたいと思います。
まず、本日の議事に入る前に、本日の会議資料の説明を事務局からしていただきます。お願いします。
【川口学校教育官】 本日の会議資料について御説明します。本日は、資料1、2及び参考資料1、2がございます。
参考資料1は、前回の会議で皆様からいただいた御意見を、昨年取りまとめいただいた「論点整理」との関係で整理したものです。
また、参考資料2は、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導・支援に関連して、文部科学省が既に実施している施策をまとめたものです。本日のヒアリングの中で、この中の一部の施策について触れられると聞いておりますので、まず事務局から簡単に御説明をいたします。
まず資料、ページ番号振ってございます2ページを御覧ください。
文部科学省では、将来のイノベーションの創出を担う科学技術人材の育成を図るため、先進的な理数系教育を実施している高等学校等を「スーパーサイエンスハイスクール」に指定しています。
令和3年度は218校を指定しており、来年度新規指定校については現在審査中です。
続いて3ページを御覧ください。Society5.0をリードし、SDGsの達成を牽引するイノベーティブなグローバル人材を育成するリーディングプロジェクトとして、「ワールド・ワイド・ラーニング・コンソーシアム事業」を実施しています。
高校生に高度な学びを提供するカリキュラム開発拠点校となる高等学校について、現在、指定校数は28校ですが、全国50校程度の配置を目指して、来年度新たに4校を採択する予定です。
次に、4ページを御覧ください。理数分野で特に意欲や突出した能力を有する全国の小中学校を対象に、大学等が特別なプログラムを提供し、その能力等のさらなる伸長を図る「ジュニアドクター育成塾」を実施しています。来年度は30機関程度の大学において実施予定です。
5ページ、また、卓越した意欲・能力を有する高校生を対象として、「グローバルサイエンスキャンプ」を実施しています。こちらは来年度、12機関程度の大学等において実施予定です。
6ページ、さらに、主に理数系の意欲・能力が高い中高生が研さんする場である「国際科学オリンピック」への支援や、「科学の甲子園」「科学の甲子園ジュニア」の開催も行っています。
このほか、スポーツ分野や文化分野においても、次世代アスリートや世界で通用する若手芸術家育成に向けた取組を行っております。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。それでは、ヒアリングに移りたいと思います。
昨年末に取りまとめました「論点整理」におきましては、議論の枠組みとして、「学習活動の困難への対応」か「学校生活の困難への対応」かという軸、そして「教室・学校内における対応」か「学校外における対応」かという、2つ目の軸を設定して、これを直交させてマトリックスの形に整理しております。
以前、皆さんのところに送ってあります資料にありますように、前回は、「主に教室・学校内での対応策」について、山形県天童市立天童中部小学校の大谷校長先生、それから広島県教育委員会の蓮浦センター長からヒアリングを行いました。
これが、「教室・学校内における対応」で、1つは「学習活動の困難への対応」、1つは「学校生活への困難への対応」ということでした。
今回は、「主に学校外の対応策」ということで、別のお二人からヒアリングを行った上で、議論を深めていきたいと思います。
具体的には、「学習活動の困難」と「学校生活の困難」のそれぞれについて、学校外での学びの場を活用して困難を解消する方策について議論をしていただきたいと思います。
一つ、御発表に入る前にお断りしておきたいと思うんですけれども、実はこの有識者会議の出発点、テーマは、「学校における」という条件がついておりまして、議論そのものをその条件のとおりにやるとすると、学校外というのは少し、厳密に言えば、場として矛盾する話です。
ただこれまでの様々な議論の中で、日本のこの社会、現代社会においては、学校内における才能者に対する、特異な才能のある子供たちに対する議論だけをしていたのでは、現状が分からない。
学校外で実は様々な取組が行われているということも分かってまいりまして、それに対してもしっかり見ておくという必要があるというのを、先々回、そしてその前の段階で確認をしていたところです。
その結果として、先ほどのようなマトリックスが、合意の上でつくられたわけですけれども、そこで今回は、学校外の学びの場を活用して困難を解消する方法、方策ということで議論をしていただくということになっております。
ここで改めて、「論点整理」の関係する部分について振り返ります。参考資料1の関係部分の画面を共有していただきますと、見にくいかもしれませんが。ありがとうございます。
まず、学習活動の困難については、例えば、ア、学校外の学びの場を提供する団体等を拡大し、質を保障する観点からの支援策をどう考えるか。
イ、特に義務教育段階においては、社会性の育成を含む包括的な教育の提供という学校の役割も踏まえつつ、学校外の学びの場における成果の把握も含め、学校や教育委員会との連携をどう考えるか。
ウとして、高等学校段階においては学校外学修の単位認定や大学の先取り履修、大学飛び入学などの既存制度をどう活用するか、と記載されております。
また、学校生活の困難については、例えば、ア、教育支援センター等の学校外の学びの場を提供する団体等における集団での生活に向けた支援策等をどう考えるか、と記載されています。
本日はこのような論点を中心に、ヒアリングを踏まえて、具体的な議論を行っていきたいと考えております。
それではまず、NPO法人カタリバ代表の今村久美委員から、「GIGA前提時代だから実現できる誰一人学びから取り残さない公教育へ」ということで、シェア型教育支援センターの実証報告と題して御発表をいただきたいと思います。
なお本日、二方からの発表を用意しておりますけれども、発表に対する御質問や御意見については、お二人の発表が終わった後の意見交換のタイミングで承りたいと思っておりますので、御了解いただきたいと思います。
それでは今村委員、よろしくお願いいたします。
【今村委員】 御紹介いただきました今村です。今、御紹介いただきましたとおり、学校外という立場からではあるんですけれども、学校に協力をさせていただきながら、様々な支援を行ってきた立場から、その子供たちの日常的な支援をどのように行ってどう届けていくのか、という点についてのお話を、私からさせていただきたいと思います。
一緒にお話を、うちのメンバーと一緒にお話をしたいと思っております。
では、まず大前提ですけれども、私たちは、今、ここの有識者会議で議論されているような、特異な才能を持つ子供たちに対する支援に特化して、研究開発してきた団体でもなければ、そういった子供たちの線引きをするという方針を基本的には取っていない団体です。
その子供たちの見立て方というところはまだまだ悩みながらではあるんですけれども、そういった中から見えてきたことについてお話をさせていただきたいと思います。
シェアできますでしょうか。ありがとうございます。
また、今からお話をさせていただくことは、そういった意味で、不登校の子供たちに対して行っている支援施策でございまして、特定の分野にたけた子供たちだけではないということも含めて、まず、お話の最初のところで、現状不登校がどうなっているのかということについても簡単に触れさせていただきます。
では次のスライドをお願いします。改めてですけれども、現在、長期欠席の子供たちが29万人もいると。不登校というくくりだけで見ると19万人と言われていますけれども、様々な意味で長期欠席をしているという子供たちがいる、29万人もいる。ほかのデータによると、中学生では本当に、これの何倍もの子供たちが不登校傾向にあるということも聞きます。
様々な特異な才能を持ったお子さんのお母さんたちに、私もお話を聞いて歩いているんですけれども、かなり不登校になる危険との背中合わせの中で生活しているという方や、既に不登校になったり、学校に行ったり行かなかったりするという方も大変多いので、この中にはそういった様々な特性がある子たちが含まれていると思います。
次のスライドお願いします。その不登校の施策において何が問題なのかというと、端的に申し上げますと、特異な才能がある子供たちについてもそうですけれども、その学びを支える資源が家庭負担になっているということで、家庭が全てのお金を負担しなければいけない状況にあるということを、とにかくきちんと受け止めていかなければいけません。
特に日本においては、まだ教育支援センターや適応指導教室のような施設がないような地域も4割あるという実態がありますし、施設があっても、なかなか遠くて、送り迎えをしているうちに親御さんが働くことができなくなるということもありますので、支援が届いていない実態がすごくたくさん、多くの場所で見られています。
次のスライドお願いします。これがどういった意味を持っているのかですけれども、私たちが独自に不登校の御家庭に対して実施したアンケートによると、不登校になる前と不登校中と現在とで、保護者のうち32%の方が就労形態を変化させていると。特に25%の方の年収が低下しているということも、見えてきています。
特に年収200万未満の保護者、これは主たる養育をしている方ということでお母さんが99%ですけれども、全体の60%を占めています。
中にはそのお子さんの特性から育てづらさが夫婦げんかになったりして、その後離婚してしまい、それによって親子共々貧困に転落していってしまって、生活も本当に大変な状況になっているという例もあります。
なので学びの特性を、何らか引き延ばすような学びを、例えばフリースクール等に通うなど、とても考えられないという声も聞いています。
次のスライドお願いします。ということで、そもそも1人で子育てをされている方のほうが不登校の出現率が高いということもいえています。
次のスライドお願いします。中山間地域では支援施策がないということもこちらに書いてありますので、御覧いただければと思います。
その次のスライドは、保護者の方がどのような深刻な悩みを持っていらっしゃるかというところで、子供の、今回のこの有識者会議は、基本的に子供たちの学びをどう支えていくのかという場所ではあるんですけれども、子供たちが笑顔で、毎日充実した日々を前向きに過ごしていくためには、御家庭が安心・安全な場所でないとそれが実現されないし、それを養育している方々が、本来、一般的には憲法で定められているとおり、無料で義務教育段階の学びにアクセスできるということが憲法に決まっているのにもかかわらず、そこが経済的に家庭負担になっているということが、子供たちのどんな生きづらさを生むような家庭の状態になっているのかということを、私たちは理解しなければいけないと思います。
次のスライドお願いします。そのような中で、昨年私たちは、経済産業省の「未来の教室実証事業」の枠組みの中で、オンライン教育支援センターというものを設立しました。
今、教育支援センター、適応指導教室の資源、不登校の学びを公的に支援する資源は、文部科学省さんとしては、設置は努力義務となっているかと思うんですけれども、地方財政にほぼ委ねられているようなものですので、そういう意味では自治体ごとに専門家を雇ったり、自治体ごとにスクールカウンセラーさんを配置したり、自治体ごとに施設を運営したり、自治体ごとに学びの支援の何らかの学習支援員を雇ったりということになっています。そうすると、不登校のお子さんがいる時には、すごく繁忙でとても手が回らないという自治体もあれば、何かまだ不登校の子がいないからずっと暇してますみたいなところも、大げさに言うとあるという実態があります。
でもこのGIGAスクール時代、そういった学びの支援や伴走の支援、または専門家のリソースも、オンラインでシェアしていくということもやりながら、リアルとの往還を考えていく、リアルで支援している方々との往還を考えていくというやり方があるのではないかと思っています。
ここからカタリバの瀬川が、今どんな支援施策を実行しているのかということについて、お話をさせていただきます。
【カタリバ(瀬川氏)】
私から、カタリバで取り組んでいるroom-Kという事業について、少し御紹介させていただきます。
カタリバで取り組んでいるオンライン教育支援センター事業という、経済産業省の「未来の教室実証事業」で採択いただいて、この1年、取り組んできた事業です。
どのようなことをしているかというと、まず特徴を3つ挙げさせていただきますと、オンラインで学びの場をつくって、オンラインの居場所の運営をしております。こちらは後で動画で、このようなものですよというのをお見せしたいと思います。
ほかにもオンライン上に、コーディネーターと呼ばれる専門スタッフが配置されていて、コーディネーターがオンラインで支援を行う、子供たち一人一人の個別支援計画を作成して、その支援計画に基づいて、子供たち一人一人、それから御家庭の支援を進めさせていただいております。
それから、子供たち一人一人に、専門研修を受けたメンターと呼ばれるスタッフがついて、定期的な一対一の面談を行っております。この面談で、子供たちと安心できる関係性を築くことで、オンラインでの様々な学びの機会に子供たちを接続していく、そういったきっかけをつくっております。
ここで、動画で、そのオンラインの学びの場の様子を見ていきたいと思います。
メタバースのようなもので、オンラインにアクセスすると、子供たち、スタッフはこのキャラクターを動かすことができるようになります。
これは実際に、オンラインの居場所の中で動いてみる動画ですが、このように何人か、キャラクターが見えると思います。
ここに、カーペットの上にキャラクターが3人いるのは、3人がアクセスしています。こちらでは2人ソファーに座っていますが、同じところに座るとZoomで会話するように、オンラインで会話ができるようになっています。
こういったものを使って、子供たちとの面談を行ったり、同じ場所に集まって、今ここに何人か、子供たちとスタッフが交ざっていますけど、オンライン上で学習プログラムを、オンライン授業のようなイメージをしてもらえればと思うんですけれども、そういったプログラムを提供しています。
スタッフは常に、学校では職員室といいますか、この特定のスペースに控えていますので、何かあったときには、ここからカタリバのスタッフが出ていって、子供たちに対応することができるというような、そんな仕組みになっております。
実際に、今はキャラクターが動いているだけですけど、同じところに近づいて集まると、このZoomのように上にこう顔が出るようになっていまして、今お子さんの顔は消しているんですけど、スタッフと、右端には家庭から1人で接続している子供がいて、場所によっては今、地域の教育支援センターなどとも連携しているところがあるので、ここの真ん中は教育支援センターから、教育支援センターのスタッフと一緒にアクセスしているような、そのような形になります。
ここはチャットでコミュニケーションもすることができるので、なかなか声を出したり顔を出したりと、そういったコミュニケーションが難しい、苦手な子は、チャットでやり取りをするということもしております。
これは実際、プログラムをやっている時の写真ですけれども、例えばZoomのようなこういった画面で、講師が教科にまつわるもの、クラブ活動のようなもの、子供たちの興味・関心に合わせたプログラムを提供して、子供たちはそれに参加しているというような姿があります。
これも画面オフで参加している子が多いのですが、画面オフであっても参加できるような形で、プログラムが進行しています。
ほかにもメンターとは、Googleチャットというツールを使って、コミュニケーションを取れるようになっています。オンラインの面談のスケジュールを確認したりするところでやり取りをすることが多いんですけど、それ以外にも関係性ができてくると、例えば、これは一部プライバシーのために消していますけれども、子供から何かこう相談事が持ちかけられたりして、メンターがそれに対応していくというようなこともあります。
関係性を築いていけることによって、学びの提供はもちろんですけど、それ以外の生活だったり、メンタル面の支援というのもできるようになっているという印象がございます。
もう少し支援の特徴について説明していきますと、僕らのこの支援の中で、コーディネーターを務めるスタッフ、つまり家庭との間に立って子供の支援の計画を立てていくスタッフというものは、ある意味では、専門資格がある方もいれば、資格がない中で活動している、研修を受けて活動している者もいます。
その中で、例えば困難なケースに出会った時、支援の方法に迷った時に、専門家に相談できるような体制を築いています。児童精神科医の方や臨床心理士だったり、社会福祉士だったり、こういった専門家の皆さんに相談したり、場合によってはリファーすることができる体制を備えることで、支援者の皆さんが安心して活動できる制をつくっています。
また、こういった体制を組むことで、支援できる子供の人数を量的に拡大していくことができるという、そういったメリットもあります。
それから、メンターのスタッフは、子供たちに意欲を引き出すような関わりを行っていくんですけれども、まず信頼関係を構築して、その中から、子供たちの興味関心を見つけて、やってみたいこと、チャレンジしたいこと、それを目標設定していく。
その中で、例えばメンターが一緒に行動したり、何かこうプログラムに参加するような目標を立てるのであれば、一緒にプログラムに参加してみる、チャレンジを実行するためのサポートを行う。そして、定期的に目標を振り返って、子供たちの中で、目標を持って行動していくということが習慣になっていくような、そういう支援をしております。
なかなかこうやって、オンラインで情報収集をしながら支援をしていくのは、簡単ではないんですけれども、スタッフ同士が緊密に情報共有をして、子供の状態を見立てて、今この子にとってどのような学びに接続することができるんだろう、どのようなニーズを持っているんだろうということをしっかりと情報共有をしながら、メンターが学びの機会に誘い出して、そこでプログラムの講師を務めるような、また別のスタッフが子供たちに関わっていく。
子供たちの意欲を引き出して、実際に学びの場に接続していく、その接続すること自体にもサポートをしていくというのが、この支援の大きな特徴になっているかなと思います。
学びのプログラムのパターンは様々に用意していまして、個別の学習支援もあれば、先ほど少し動画や写真で共有したような、集団で学ぶ教科の学びだったり、ソーシャルスキルトレーニングがあったり、興味・関心のあるテーマで集まって楽しむことができるクラブ活動なものがあったりということで、様々な子供のニーズを基につくっているプログラムを、今は20種類ほど、日々実施しております。
最後に、ここまでの成果について簡単にお話しすると、こういったオンラインだからこその学びにつながれる子供たちが一定数いるというのを実感しております。
今、六十数名の子供たちを支援しているんですけれども、半数以上が1年間以上不登校状態でいた子供たちです。その子たちがサービスの利用を開始して、週1回以上、学びの場に参加できた子供たちが8割を超えています。
オンラインだからこそ参加しやすい、オンラインだからこそ個別に、対応することができるからということがあるのかなと思っております。
さらに、オンラインであることで、支援者が全国から集まるということも実感しております。
例えば子供支援を担当するメンターには、40名程度が今活動しているんですけども、説明会には800名以上が参加をしていまして、非常に高い倍率で採用することができております。
リモートワークであることで、全国の支援者がこれだけ集まるということで、この仕組みを活用すれば、なかなか支援者を集めることができない、リソースが不足する地域であっても、不登校の子供たち、このような環境にある子供たちに支援を届けることが可能なのではないかなと考えております。
次に、オンライン支援に必要なツール等は、今でも十分にそろっていると思っております。僕たちも独自で開発しているシステムもあるんですけれども、その多くを既存のシステムを活用しながら支援を行っております。
例えばGoogleの、学校でも使われているようなGoogle Workspaceでしたり、保護者の方との連絡用に公式LINEアカウント、それからZoomなども使っていますし、既存のツールを組み合わせることで、オンラインで子供たちを支援することができる環境はつくれると捉えております。
現在は様々な自治体、学校と連携させていただいているんですけれども、未来の教室実証事業においては、中野区、広島県、それから世田谷区と連携をさせていただきました。
BtoCの支援だけでは、ある意味では、本当に支援を届けるべき子供たちに届けることができない、感度の高い保護者の方にしか届かないという側面もございます。
自治体と連携することで、本当に支援が必要な子供たちに支援を届けることができるというところがあると思いますので、だからこそ自治体、学校との連携は重要と捉えております。
ここで一旦、room-Kの話、カタリバの取組は最後になるんですけど、総括すると、オンラインの支援でも子供の意欲を引き出すことは十分にできると捉えています。オンラインだからこそ学べる、オンラインだからこそ支援とつながるという子供、保護者の方は多いと捉えております。
専門家と連携をしていくことで、多様な人材を担い手としながら、様々な支援を広げつつ、支援の質も担保していくことができると捉えているので、多様な人材を担い手としながらも、専門家の皆さんとしっかり連携する体制をつくることというのが、一つの重要なことかなと思っております。
なかなかその、自治体と連携するに当たって、民間団体の信頼性、なかなかこの僕らの支援については、信頼をいただくまで時間がかかったり、緊急度の高い案件であっても、情報交換が難しいタイミングがかなりありましたので、そういった民間団体への信頼性を例えば国で担保していただくなど、何かそういう仕組みが取れるといいのではないかなと今感じているところです。
ここからは、具体的な支援事例について、今度は阿久津から共有させていただきたいと思います。
【カタリバ(阿久津氏)】 はじめまして、カタリバの阿久津です。このようなオンラインをメインにした支援活動を進める中で出会ってきたお子さんの事例について、幾つか紹介をさせていただきます。
今日は支援事例の2と5を主に紹介できればと思っています。
まずこちらの支援事例2、こちらはオンラインの支援だけではなく、リアルな場における支援者も探して、現地の教育支援センターとも連携を図りながら支援をさせていただいているケースになります。
このお子さんは特に、幼い頃から科学の分野に強い興味を示して、年長さんの時から大人が読むような専門書を欲しがるというように、特定の分野への関心が非常に強いお子さんです。
1、2年生の頃から、ただなかなか学校の学びに合わず、お子さんも保護者の方も、校長先生や担任の先生との折り合いがなかなかつかなかったり、合理的配慮の調整もうまくいかなかったりなどして不登校になったというお子さんでした。
とはいえ本人はすごく、特定の分野への興味が強かったので、保護者の方が、学校のイベント、学校の外のイベントやワークショップなどに熱心連れて行ったり、塾に通われたりはしていたんですけれども、学校などに頼りにくいというそれまでの経緯もあって、どこにも相談ができず、保護者が非常に孤立されているという状態でした。
そこでカタリバとしては、もちろんオンラインの支援は続けるんですけれども、本人のリアルな場における友達づくりであったり、保護者のリアルでの支援先、相談先をつくる必要があるなと考えました。
調べてみると、地域に幾つか教育支援センターもあったんですけれども、丸々君には合わないのではないかと先生から言われたりして、保護者の方が傷ついていた、そこに通えないと思っていたという経緯もありました。
でも、よくよく調べてみると、様々な発達特性にも理解のある教育支援センターが地域にありそうということが分かりまして、保護者の方の承諾を得た上で、教育支援センターとの橋渡しを行わせていただきました。
カタリバはこの事業で、オンラインを軸にして、オンラインの可能性を追求していきたいというのはあるんですけれども、それだけではなくて、地域の学校や教育支援センターなど、行政の皆さんとの連携も非常に大切にしております。
今後もオンラインとリアルのよさを組み合わせて支援をしていきたいと思っている事例です。
続いて支援事例の5についても追加をさせてください。こちらは、今のところはオンラインの支援をメインにサポートさせていただいております。
こちらは、ある遠隔地に暮らしている、特に生き物に関してかなり豊富な知識や興味を持っているお子さんです。小さい頃からほぼ学校には行っておらず、母親以外との交流はほとんどないという状況でした。
地域性もあるので、身近に頼れるリソースもほとんどなく、こちらも同様に保護者の方がかなり孤独でいらっしゃったケースです。
こちらの子は、カタリバにつながった後は、まずはメンターの一対一の関わりを重点的に行って、家族以外とのつながりを持つというところからサポートを行いました。
そこで徐々に関係性を築きながら、本人の生き物に関する探究学習に伴走させてもらいながら、例えば生き物の探究ノートを一緒につくってみたり、みんなの前で発表するという機会を徐々に増やしたりしながら、本人の興味・関心を伸ばす伴走を行いました。
その結果、オンライン上での友達もできたり、それだけではなくて、今はほかの教科学習への興味・関心も芽生えてきていて、AIドリルを使った学習習慣も、今ではつくようになったという事例になります。
非常にその本人の興味・関心をきちんと大切にしながら伴走をしていくというケースを御紹介させていただきました。
あとほかにも、ぜひ御紹介した事例はたくさんあるんですけれども、今日のところは2つの事例を御紹介させていただきました。
【今村委員】 ということで、資料には5つの事例を載せていますので、また御覧いただければと思います。
私たちとしては、とにかくどんな環境に生まれ育って、どんな特性を持っていらっしゃる方々も、この可能性を伸ばしていける日本にしていきたいという思いで、これからも一つ一つ、事例を積み上げながらやっていきたいと思っております。
発表は以上となります。ありがとうございました。
【岩永座長】 お三方、どうもありがとうございました。
先ほど申し上げましたように、質問等は次の隅田先生の御発表の後ということに、御一緒にということにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは続きまして、愛媛大学教育学部の隅田学教授から、「全国の特異な才能をもった子供たちが輝く教育」と題しまして、御発表いただきたいと思います。
隅田教授は、先ほど事務局から説明のあった「ジュニアドクター育成塾」及び「グローバルサイエンスキャンパス」の推進委員会委員も務めていらっしゃいます。また、愛媛大学附属高等学校の校長でもいらっしゃいますので、それぞれのお立場からの御発表が伺えるものと思います。
それでは隅田先生、よろしくお願いいたします。
【隅田教授】 ありがとうございます。愛媛大学の隅田でございます。
高校から今日参加していますので、チャイムや生徒の声が聞こえるかもしれませんが、御容赦ください。
それでは今日、大きく3つ用意いたしました。1つ目がジュニアドクター育成塾、これは主に中学生、小学校高学年から中学生を対象とした、学校外のプログラムでございます。
2つ目は、主に高校生が大学で学ぶ、JSTのグローバルサイエンスキャンパス事業、それともっと幼少期、愛媛大学で私がやっている、愛媛大学Kids Academiaの話を少し挟ませていただいて、そして最後に愛媛大学附属高等学校の話をさせていただければと思います。
ではジュニアドクター育成塾の話に入ります。
グローバルサイエンスキャンパスのところで少し前後しますが、私が契機だったと思うのは、第4期の科学技術基本計画の中で、次代を担う人材の育成で、この優れた素質を持つ児童生徒、才能を伸ばすための「一貫した取組」と、こういう言葉が出たことです。
それまで才能伸長についは高大の接続の話が多かったのが、この一貫したという言葉が入ったおかげで、義務教育段階を考えてくれる視点が出たのではないかと思います。
これが、先ほど最初に事務局の方から御紹介あったように、現在のジュニアドクターがどのようなところでやっているかと。30機関です。
2017年度、10機関でスタートいたしました。仙台高専から琉球大学まででございます。
これが今年度、この第1期の最初にスタートした機関の事業期間が終わります。今10件、募集が出ていますので、うまく10件採択されれば、取りあえず30は続きます。最初こそ10機関ですが、それから減り気味だったので、これはもう少し考えていただければなと、そこは最後にお話しいたします。
この才能の伸長に関わるJST、様々な事業をしていただいていると思います。私も関わったものがたくさんあります。この辺り、未来の科学者育成講座というのを最初にこういう分野でスタートして、それからこの辺りずっとそうですが、アジアサイエンスキャンプなども私引率しましたし、審査もいたしました。科学の甲子園がスタートする時も、JSTの方とアメリカのサイエンス・オリンピアドに視察に行ったりして、関わりました。
未来の科学者育成講座が次世代科学者育成プログラムにつながって、そこからグローバルサイエンスキャンパスとジュニアドクター育成塾に分かれていったと、それが分かりやすい流れだと思います。
科学の甲子園は2011年にスタートして、ジュニアが2013年にスタートしています。これも私両方、最初に関わっていたのですが、甲子園がスタートしてからジュニアって、これは比較的スムーズだったと思います。
でも、このグローバルサイエンスキャンパスはともかく、未来の科学者、次世代から、そこからジュニアまで、この大学主体の特殊な突出した高校生向けのプログラムから、それを義務教育段階へというのは少し時間がかかっています。このジュニアドクター育成塾が、でも逆に言うと一番新しい事業ということになります。
現在の実施機関です。この特徴は、実施期間が大学だけではないということです。
大学は17ありますが、国立大学だけではなくて私立大学もあって、高等専門学校も8つございます。あと株式会社リバネスさんや、非営利活動法人も2機関、実施機関として入っている。この多様性が、この義務教育段階の才能伸長事業としてとても面白いことを今日は紹介したいと思います。
昨年からのコロナ禍は、本当に大変でした。特に小中学生は、学校区だって狭いんですよね。移動範囲が限られる。そういう中で苦労したと思います。
でも皆さん、オンライン等をうまく使いながら、きちんと選抜をしながら、事業が継続されているということです。
データが一部分からなかったところもありますが、どの実施機関もICTをうまく活用しながら継続できていると思います。
幾つか紹介いたしますと、まずこれ、旭川工業高専の例ですが、旭川高専に限らずジュニアドクター事業の特徴は、長く子供と関わりながら才能を伸ばしているということ、これを短期間的なイベントではないということをお伝え、お話ししたいと思います。
ですから、第1プログラム、1年目があって、もう一度選抜してさらに深めたい子には2年目があります。2年かけて子供たちを育てていますということを、まず知っていただきたいです。
2つ目、これは新潟大学の例ですが、その地域の豊かな自然のリソースを使ったり、あるいは脳研究や、復興のロボット、臨海実習など、この大学が関わることで、実現できる高度で地域密着な内容が含まれていることです。
これは慶応義塾大学です。慶應さんも2年にまたがってやりますが、後でも少しお話ししますように、メンターで企業人の方が入っています。メンターに特徴があるプログラムもあります。
この静岡大学のSTEMアカデミー、STEMのような分野をいち早く取り入れながら事業を展開していたような大学、実施機関もあります。
NPOだからできる、非常に特化した、サンゴ礁の研究であったり、これは沖縄のグループですが、そういう分野・場所を特化したことも行われていて、面白いです。
30機関の特徴をまとめるのは難しいんですが、受賞実績もたくさんあります。文部科学大臣賞のような賞を受賞した例もたくさん出ていて、文部科学大臣何人いるんでしょうというぐらいな実績がずらっと並びつつあります。
全体の特徴の別なものとして、メンターの役割が大きいと思います。特に義務教育段階の子供達を対象とする事業ではそう思います。シニアメンターを雇われているところが多いです。
学生メンターでも通常の学生だけというわけではなく、選抜して研修をしてメンターをさせている大学が多いです。
慶応義塾大学のような企業に勤務している社会人をメンターにしているところや、地域で分散してメンターを配置して、子供たちの地域格差にも応じた形でやっているようなところもあります。例えば三重大学は、3つの地域に分けて、コアサイエンスティーチャーの資産を受け継いでメンターが参画しています。
あと、教育委員会と非常に密接に連携をしないと、義務教育段階のことはうまく進みません。どの実施機関も、教育委員会の方が運営に関わっていますし、附属学校が関わっているケース、地域の理科教育センターが関わっているケースもあります。
あと企業でいきますと、この琉球大学など面白くて、日本トランスオーシャン航空との連携があります。離島が多いんですね。だからこの航空会社と連携することで、離島から参加する子のディスカウントチケットをつくってもらうなど、工夫しています。
東京大学さんは日立理科クラブと連携して実施している例です。愛媛大学は動物園や博物館など、地域の社会教育施設と密に連携して実施しています。リバネスさんのように卒業生が助成金を申請できる制度とつなげる例、あとプログラミングに関して企業と連携している例、グローバルサイエンスキャンパスと合同で放送大学と連携しているような事例もあります。
この愛媛大学、これ愛媛の例だけ挙げてみて、愛媛大学の先生に頂いたデータですが、第1段階プログラムへの参加者の居住地域です。愛媛大学は松山にありまして、松山市から参加している子供は多いです。それでも、これだけ分散すると、簡単に公共交通機関だけで愛媛大学へ来るとことは難しいのです。
そう考えますと、これ、左上に全国の実施機関のマップですが、義務教育段階を対象に、こうした豊かなプログラムを提供しようと思ったら、各県に1つぐらいは拠点があって欲しいです。もちろんそれぞれが連携をオンラインでできますが、豊かな地域のリソースを使いながら体験的に学ぶためには、各県に1つぐらいは拠点が欲しいです。
では、少し対象の学年段階を移ります。高大連携を主体とした才能伸長はもう少し早くて、2006年第3期の科学技術基本計画まで戻ることができると思います。
第3期の科学技術基本計画の中に、「才能ある子どもの個性・能力の伸長」と、こういう文言が明確に入った、歴史的なインパクトがある文書でした。
内容は高大の接続に関するものが多います。それで考えると、グローバルサイエンスキャンパスは、大学が高校生に新しいテーマを開いていく事業です。前身の「未来の科学者育成講座」事業では第1期の採択機関が筑波、千葉、埼玉、京都、岡山ででした。
京都大学の先生が、小林益川理論が出たこの教室で高校生に授業をしたいと、熱く言っておられたのが私の記憶に残っております。
そこから始まって、次世代科学者育成プログラムになって、グローバルサイエンスキャンパスになって、現在があるということです。
現在14の大学等が実施期間です。緑色でお示ししているのは、ジュニアドクターと両方が採択されている実施機関です。慶應義塾、愛媛、琉球、東京、広島、金沢です。
それらの実施機関はジュニアドクターからグローバルサイエンスキャンパスの連携についても、トライアルといいますかそういうこともできると期待できます。
このGSCの取り組みについては、生徒が英語で発表してディスカッションして、国内外の学会で発表したり、受賞したり、学術雑誌に論文を書いたり、場合によってはもう海外の大学に行ったりなど、そういう事例がたくさんあります。
では今度は幼い子はどうかという事例です。才能教育に関わる相談では、幼い子供を持つ保護者からの相談が多いと思います。私がやっている愛媛大学の例も少し紹介します。
コロナ禍があったので、今までは愛媛大学に幼い子を集めていたんですが、オンラインに切り替えました、この2年間。いろいろな困ったこともありますが、オンライン化の利点は居住地域を超えて全国の子供が関われるということです。メンバーは全国に散らばっています。昨年、イタリアから、海外メンバーもできました。
サマースクールなどもオンラインでできました。
これはサマースクールの1シーンですが、糸電話をつくるとかだったら普通にやっている園などはあると思います。、じゃあそこから条件を変えてみよう。これぐらいもやっている園などはあるかもしれません。
でもそれで、例えばこういう子供たちに、さらにどんな自分で実験をやってみたいかなと尋ねると、もう5分間ぐらいアイデアが止まらないのです。
私は、子供からアイデア出なかったらと思って、コップの大きさ変えるとか、材質変えるとか、糸の太さを変えるとか、考えていましたが、全く必要ありませんでした。子供からもう止まらないぐらい、じゃあこんなんだったらどうだろうといったさらにユニークな実験デザインが出てきました。
ICT機器を使って、オンラインで、音の波長をアプリケーションで見せることもできました。夏だったので、子供たちに、自分が考えた夏の音声を先に送ってもらって、それらの子供たちのオリジナル音源を組み合わせて作曲をしたりできました。
さらに、耳の中でどう音が伝わっていくかなんていう、生体的な話をしても喜びました。それは、電気的な信号の話がつながっていきます。
これはウインタースクールです。今度は、女の子だけを集めてやってみました。体のことなどをテーマにして学ぶこともあり、女の子だけで講座を行ってみようと思い、実施してみました。
コロナ禍において、幼稚園児や年少児に感染が少なかったわけではありません。そうした時に、STEAMエデュケーションってこれは一つのトレンドですが、MでMedical、Medicineなど、そういうのもMで入れてみようということで、薬のことや体の中のことなど、子供たちと一緒に活動をしました。
時間がなくて紹介できませんが、最後の発表会で、例えば音に興味を持った女の子がいて、この子はトイレットペーパーの芯をどんどんつなげていくことで、波長がどう変わるのかを比の点から考えて、研究して発表しました。小学校1年生の女の子でした。
では、愛媛大学附属高等学校の話に戻っていきたいと思います。
愛媛大学附属高等学校は平成20年、それまでは農学部附属の農業高校でしたが、改組しまして、今は総合学科で1学年120名の小規模の学校です。
それがスーパー・グローバル・ハイスクール指定を平成27年度受けました。平成26年からは、これは愛媛大学が採択ですが、大学教育再生加速プログラムで高大接続を進め、これもS評価をいただきました。
令和2年度から、スーパー・グローバル・ハイスクールの後継事業となるWWL、ワールド・ワイド・ラーニング・コンソーシアムの事業に採択されており、加えて今年度から文部科学省の研究開発学校指定を受けて、テーラーメイド型の教育の開発というのをスタートさせたところです。
これまでの経緯で、たくさんありますが、今日の内容に関連する特徴としてまず大きく2つあります。大学に高校生3年生が全員行き昨年からはオンライン受講になりましたが、試験を受けて、そこで一定の基準を超えれば、愛媛大学に入学後、愛媛大学の単位と、高校の単位の二重単位を付与する制度ができているということと、大学からの特別講義などもたくさんあるんですが、特に課題研究は、愛媛大学の全学部の教員に関わっていただいて、指導ながら高校生が研究を行っているということです。
そういうことを実施していくために、組織的な体制の整備が欠かせません。
愛媛大学長直下に、高大接続推進室というのができていまして、そこの室長が教育担当理事です。
その高大接続推進室のところに、附属高等学校連絡委員会というのがあり、そこの委員長は、教育・学生支援機構の副機構長です。その下に課題研究のコーディネーター会議があり、その委員長は同じく副機構長になっていまして、全学部から委員が出ています。そnコーディネーター会議は、附属学校側の教員も出席して合同で開催されています。
こうした学内体制があって、附属高校と大学との特徴的な高大連携ができているということです。
WWLが採択されまして、そこがさらに、拡充されました。
AL(アクティブ・ラーニング)ネットワーク運営会議、これは教育担当理事、教育・学生支援機構長が議長となります。現場サイドの有識者から成る運営指導委員会と、国際機関などの人が入ってくるこの国際カウンシル、それと第三者による検証委員会も立ち上がりました。
これで、附属高校の活動が高度化・多様化するとともに、アドバイスとチェックが入る体制ができて、高大だけではなくて社会ともつながる、世界ともつながる教育が展開でき始めたというところです。
テーラーメイド型の教育、これはもうこの部会の先生方にはお示しするのも恥ずかしいようなシンプルな図ですが、今までのように全員が同じように学ぶとか、同じようなルートで学んでいくのではなくて、凸凹がある中で、今まで想定したよりも上の子もいれば、上に出る領域もあれば、足りない部分もあり、そういう個々の生徒の特性を包摂的しながら才能を伸ばしていこうという取組です。
そのときに、協働化と越境化と、分離越境的な領域の学習や、IC Tも活用した指導方法や分析、加えて教育学部のインクルーシブ教育センターとの連携と、大学等との課題研究のサイバーメンタリングの連携、この辺りをつなげることで、計画しています。1年目です。
これがWWLの時につくったカリキュラムですが、1年生から高大連携の授業があります。今日特にお話しするのは課題研究のところです。
ちょうどWWLに採択され、移行期でしたのが、現在のカリキュラムでは、2年生全員が課題研究1を選択して、その中でさらに深めたい生徒については、課題研究2を選択できるように変えました。
まだ今年は、課題研究2を実施していませんので、その前の課題研究、3年生が全員やっていた時のものを少し紹介します。
大学に行って、高校生が大学で教員より指導を受けると高校生は喜びますし、保護者も喜んでいましたが、残念ながら遠隔でやらざるを得ませんでした。遠隔で全部実施しました。
ただ、コロナ禍で大学の先生は出張がなくなりましたから、今までよりも指導を密にしてくれたという例もあったようには聞いています。
愛媛大学、法文、教育、社会共創、理、医、工、農の7学部がありまして、そこから57名の教員がこの課題研究の指導に関わってくださりました。
それぞれ15回を、どういう指導方法だったかと記録をしたところ、メールやオンラインでほとんどできていました。
どうしても対面で実施したものとしては、例えばインタビューをしなくてはいけないような調査の時や、あるいは匂いをテーマにした研究で、どうしても匂いを試験的に調査しなくてはいけないような時など、そういう場合はありましたが、基本的にはオンラインでどうにか実施できました。
発表会もオンライン公開しました。閲覧数は現地で開催するよりも増えました。昨年は2,000を超える閲覧数で、今年は3,000近い閲覧数があり、県外からのアクセスも増えていました。
テーマ例です。全学部の大学教員が関わっていますので、本当にテーマが多様です。
法文学部や教育学部、社会共創、そして医学部、こういうテーマが出ています。フィリピンへの日本人移民送出の歴史的背景とその活動、高畠華宵の作品の魅力、モザンビークの話、制服のリユース、これらは生徒がNPOと連携して研究を進めたものです。薬膳、医療と笑いなど、本当に多様なテーマがあります。
これは理系、理学部、工学部、農学部に関わる課題研究テーマです。数学もあれば、データサイエンス的なものもありますし、ロボットをつくるのに、キュウリ収穫ロボットをつくろうとしたような生徒もいます。本当に多様なテーマです。
今年度の課題研究で、成果が既に学会、地質学会で発表するような達成につながったり、ポスター賞など、理系だけではなくて、起業コンテストで賞を受賞した事例などもあります。
WWLのテーマがSDGsに関わる高大連携、国際化でしたので、生徒の課題研究をSDGsの観点からまとめたパンフレットを今年は作成しました。
分類して、アブストラクトの一部分を英語にすることで海外発信もできます。大学教員と高校教員がペアになって指導しておりますので、誰が指導したのかというのがこうやって分かるようにし、ました。
コロナ禍においても少しずつ国際的な活動が広がっています。これはEカフェです。愛媛大学の留学生を雇用して、高大連携の国際化が進んでいます。県内のSSH校も国際交流が制限されていたので一緒にやってみたいとか、英語圏だけではなくてフランス語圏の留学生がいる時は県外でフランスとの交流に興味を持っている高校が参加したり、中学校の生徒が参加したり、保護者で興味がある人が参加したり、愛媛大学の大学生が参加したりしまた。今年1年間、延べ数でいきますと、参加生徒数は916名でした。28回開催しましたので、毎回30名ぐらいの参加者がいることになります。
1学年120名の小規模校でこれだけ集まると。生徒の意欲や主体性はかなり上がっていることを実感できます。
アメリカとの交流は時差があるので困ったなということで、動画の文通ができるような、Flipgridを使いますと、対象は2年生だったのですが、1年生も120名中70名が、自分たちももう今からやってみたいということでやり始めたり、あとNPOとつながることで、県庁のオリパラ推進室など関わって、モザンビークのパラリンピック選手の応援企画をやったりもしました。
愛媛大学から支援をいただいて、大学が協定を結んでいる海外の附属高校との国際ネットワークをつくろうということもやりましたし、メタバースを使って、プレサミットをやったりもしました。
コンテストに出る生徒も多数いまして、この左側の生徒はリバネスさんから研究助成を頂いて、企業の研究者から月1回オンラインでメンタリングを受けながら研究を進めた生徒でした。その研究は後輩に引き継がれています。。
これは1年生です、右も左も。3人組で、左側の生徒達は、文部科学大臣賞を受賞したり、国連大学のサステーナビリティの高等教育研究所の所長賞を受賞しました。
右側も面白くて、ごみを集めて競うコンテストがありまして、これ地域予選、全国予選まであります。ルールがあり、ポイントで競うのです。全国大会が東京都墨田区であって、全国優勝しました。
修学旅行が行けなくなったら、台湾だったのですが、中止になりました。残念だったで終わるのではなく、青年会議所が主催している、松山の魅力を台湾に紹介する動画コンテストに応募し、準グランプリを取った生徒や、ビジネスプランで、大学生に交ざって優秀賞を取った生徒とか、そういう事例もありました。
生徒たちは、創造的に、自分たちで新しいことを企画したり、コンテストを見つけてきたりなど、自分たちでどんどんやっています。いずれも簡単にできるわけではなくて、コミットメントして自分たちで準備して、仲間をつくって、やっています。例えば、先ほどの高校1年生、3名、3名、理科とスポゴミですが、予選を通して、全国大会で1位になった生徒が、6名います。120名の中で6名、日本一に勝ち抜いていった子がいる。そんな個性輝く高校です。
最後もう少しだけ、2011年から免許状更新講習で私この才能教育に関わるものをやっていました。昨年で、この制度自体が終わりましたが、約10年、行いました。さらに加えて、愛媛大学で、学部生、教育学部の学生を対象に、「才能教育論」という授業科目を2019年から選択科目でスタートしました。この授業科目は2016年に設定したのですが、4年次の履修科目なので、実施開始したのが2019年となります。
最後に、その免許状更新講習で、受講された先生方に、自分が接した才能児の特徴やエピソードを書いていただきました。どんどん出てきます。
面白いですね。学校の勉強だけではありません。バットやボールに名前をつけて会話をしていた、変わった子だったと思っていたけれど、その子が今、オリンピック日本代表になっているとか、いろいろな事例が出ています。
だから結局、これは、こういう才能をもった子たちは身近にいるのです。でもこれまで多くの先生はそういう目で、才能ある子供を気づく視点を持っていませんでした。でも気づけば、こうやって、幼い時期から高校段階まで、いろいろな教科、学校段階の中で見つけることができるのです。
そういう子供たちに、実際にカリキュラムをつくったり、それを実践したり評価できるような先生が増えることを願っております。
長くなりました、以上です。
【岩永座長】 どうもありがとうございました。とても詳しい御発表をいただきました。
それでは、これから会議終了までの時間を、先ほどのカタリバの今村先生ほかの方々の発表も併せて、質疑応答、それから意見交換の時間としたいと思います。
その際、参考資料の1、最初に提示いたしました参考資料の1も、適宜御参考にしていただきながら、「論点整理」の各論点、特に本日の主眼である「学校外での対応策」について、より具体的な方策を検討していくという観点で、積極的に御意見を出していただければと存じます。
なお、議論を焦点化するため、特異な才能のある児童生徒を念頭において御検討いただくようお願いいたします。
また、今村委員、それから隅田教授への質問などがあれば、今日の御発表以外のことでもいいと思いますけれども、行っていただければと思います。
それでは、御発言のある方は「手を挙げる」ボタンを押していただきますという前に、まず、松村先生から手が挙がっているようです。松村先生、お願いします。
【松村委員】 はい、松村です。実は前回の最後のお話で、時間切れになって私は話しきれなくて、そこでの話がちょうど今村先生のお話に続くので、最初にお話しさせていただきます。画面共有しますね。
大事な話をしますので、スライドにまとめました。お二人分まとめて、5分程度でお話しします。
まず、今村先生の御発表についてです。この前、最後で、広島県の不登校のスペシャルサポートルームのお話をされて、そういう教育支援センターやサポートルームでは、才能のある子の存在は把握されていないで、それを意識した、特化した支援は特に行われていないということでした。
従来の教育支援センターに行かれている子も含めた実態調査でも、そういう才能による困難というのが全く報告されておらず、認識されていないんです。ということは浮きこぼれの子、不登校の才能のある子は、学校や教育支援センターからははみ出てしまっている。オンラインやフリースクールのところにいるのではないか。
そうすると、そういう才能のある子が、教育支援センターへ、さらには教室へ行きたくなるために、どのような個別最適な学びや学習・社会情緒的困難に配慮した、才能のある子に魅力的な支援を提供できるかが課題となります。
そのためには、内部からだけではなかなかどうしたらいいか難しいので、そういう浮きこぼれの子に関わる外部機関や団体からの提言が有用ではないか。
前回ここまで言いたかったんですが、これは言えませんでした。
ちょうど今日、カタリバの取組として、自治体との連携の話をされて、広島県のことも触れられて、そこでのサポートルームから、家庭のアウトリーチとして、でもその誘い出しの手法がなかなか難しいので、それを工夫して、支援の充実につなげているというお話でした。
支援事例の2ではさらに、オンラインから教育支援センターに橋渡しして、支援事例の5などは、幼少期から才能行動の片りんを見せていましたけれども、通所に向けて調整されているということで、事実上そういう才能のある子への支援、不登校の才能のある子ですね、それの支援も行われている、たくさん行われているはずです。
そうすると、才能のある子が行きたくなる学校内の教室というのは、学校内の個別最適な学びから変えていけるんでしょうけれども、才能のある子が行きたくなる教育支援センターというのを、学校外の取組から、こういう子はこのようにしたらうまくいきますよみたいな、そういうエビデンスに基づく改善案を出して、それで連携していくというのが有効ではないかと思った次第です。
それから、カタリバなどでは、特にそれだけ取り出しておられませんけれども、才能のある子の才能に着目、注目して、それを支援していくという実践は十分蓄積されておられるはずなので、このようにしたらいいんじゃないですかみたいな、そういう連携の体制をつくっていく。
外部の機関、団体から御意見を頂戴して、不登校の子を学校につないでいく、そういう体制づくりが保障されるモデルができるように、文科省が支援していただきたいなと思いました。
5分以内ということで、次、隅田先生の御発表についてです。
これはCSTIのまとめですが、お話しされた科学技術人材育成支援をまとめたものですね。これらはトップ人材育成の取組と位置づけられます。それと連携して、裾野の拡大というのがあります。
そういうトップ人材育成については、今の第6期の科学技術・イノベーション基本計画でも、突出した意欲・能力、出る杭とか言っていますが、CSTIでも、今までいろいろな言葉で議論をされてきまして、「異能」とか、「ギフテッド」とか、「Gifted and Talented」など用語が混乱していました。12月のワーキンググループの中間まとめでは、その素案では、「ギフテッド」だったんですが、それが「特異な才能」になった。ところがそれに「Gifted」が併記されて、それはIQ130以上と仮定するというようなことが書かれています。
要するに、念頭に置いているのは、そういう突出した才能なわけですね。そういうトップ人材育成と、裾野の拡大というのが連携する取組として構想されている。
愛媛大のKids Academiaというのは、直接その裾野の拡大プログラムとして開設されたのではないのですが、年少者が未来の優れた科学技術人材にも成長することが期待されています。
有識者会議のスタンスとしては、突出した才能のある子に特化した新たなプログラムを提案するものではないという、そういう方針は確認しています。一方、学校と既存の学校外プログラムとの公正な連携の在り方、それは検討に値するわけですね。その際に配慮すべき要因として、まず、そこに参加する子供たちのレディネス、現状の能力や意欲に、家庭の教育格差が表れている。
つぎに保護者が要するに申し込むわけですから、小さい子だとか、障害を併せ持つ子供が、公正にアクセスできるかというような課題がある。
それから、いろいろな特別プログラムは、全国全部合わせても、キャパは全体から見ると小さい。そうすると、ある意味不公正ですけれども、これを広く拡大する、もっと増やせばどうかということになると、そこへ参加する時、あるいはその終了後に、受験競争に利用されるというネガティブな面もあるわけです。だからそこは考慮しないと。
しかし、そのプログラム自体をどうされるかというのは、有識者会議が扱うところではありません。
ということで以上です。
【岩永座長】 はい、どうもありがとうございました。
ほかに何か御意見、御質問がありましたら。市川先生から手が挙がっております。市川先生お願いします。
【市川委員】 どちらの先生も御発表ありがとうございました。
私からは、それぞれの御発表に対して、基本的には質問したいことを1つずつです。
まず、隅田先生の御報告を聞いて、ここまで今、いろいろな大学とも連携しながら、このジュニアドクターや、あるいはこのGSCというんですか、やっていらっしゃって、すばらしいなと思いました。
大学がこれだけ深く関わっているとすごく専門性も高いですし、これだけかなりレベルの高いことをやりますから、興味ある子供たちは来てくださいと、これ小中高とも、かなり集まるんだろうなとは思いますし、そこで非常に満足できるような活動が子供にとっても展開されているんだなと思いました。
その成果も、いろいろな受賞歴などを見ているとすばらしいなと思いました。
私から伺いたいのは、大学が今、社会貢献ということも言われるようになったので、随分こういうことをなさるという時代にはなったと思うんですけれども、特にすばらしいと思ったのは、これ教育学部の先生だったら、まだ教育ということがかなり仕事、研究になっていますから、こういうモチベーションは高いと思うんですけれども、教育学部だけではないですよね。関わっているのが、医学部だったり工学部だったり。
こういう先生方が、ふだん自分たちの研究も抱えながら、子供たちに対してこういう活動をしていくということのモチベーションを、どうやって引き出していらっしゃるのか。しかも継続的にやっていらっしゃると、この点をぜひ伺いたいなと思いました。
一方では大学の研究者って、かなりこう、きゅうきゅうしているところはありますよね。
どれだけ自分たちの研究成果を上げなくてはいけないか、具体的な論文を書かないといけないか、それからいろいろな外部資金を獲得しなければいけないかというようなことで、かなりきゅうきゅうとしている中で、これだけやっていらっしゃるのはすばらしいと思うんですけれども、その大学の研究者、あるいは大学院生などのモチベーションを引き出す仕方のようなところをぜひ、ポイントとして伺いたいなと思いました。
それから、今村委員たちから、このカタリバの実績を含めて、オンラインの教育支援センターですか、これもすばらしい取組だと思いました。
私は対照的な発表だなと思ったんですけれども、この教育支援センターはすごく間口が逆に広いと思うんです。
個々の子供たちが抱えている課題というのはもういろいろで、一方では、学力不振に陥っていてそのための支援が必要な子もいると。不得意な教科もいろいろとか。
一方では、かなり、先ほど松村先生もおっしゃった、浮きこぼれのような、もう学校の授業では易し過ぎてつまらないというような子供たちもいて、その子たちにも対応すると。
これをする人たち、支援する人たちというのは、私はある意味大変だろうと思うんですけれども、どういう方たちであって、どのようにこの研修や、この方たち、メンターや支援員の人たちを育てているのかなというのを、すごく知りたいところでした。
この方たち、全国からたくさん応募があったというんですけれども、これを仕事としてなさるという方なのか、ボランティアなのか、ですね。集まってくれた方、いろいろな方がいると思うんですけれども、まだその資格制度みたいのは、こういう領域でできてないと思うんです。どういうことが要件であって、どのような研修などを積みながら育てていくかと。
これがしっかりしていれば、先ほど課題だとおっしゃった、信頼をどうやって勝ち得るかということ、つまり、保護者、あるいは学習者本人、学校、教育委員会が、この支援センターというのは非常にしっかりしているところですと言えます。で、ここに相談していただけるとすごく安心ですというような、そういう信頼感を得るためには、どのような方たちで、そしてどのような研修体制みたいのをつくっていらっしゃるのか。
この辺りをぜひお聞かせ願えればと思いました。
私からはそれぞれ、基本的には1つずつの質問です。
【岩永座長】 ありがとうございました。まず、質問の順序ですので、まず隅田先生から、今の市川先生の御質問に対して、御回答があればお願いします。
【隅田教授】 ありがとうございました。関係する大学教員のモチベーションの問題について、愛媛大学附属高校の高大連携なのか、ジュニアドクター、GSC全部なのか、その辺は難しいんですが、愛媛大学の高大連携の事例と、あとJSTで私が委員として参加している感想を、個人的な感覚を含めてお答えさせていただければと思います。
まず、参加する子友達が優秀です。生徒がやる気を持って、自分から手を挙げて参加表明をし、そこである程度選ばれて、あるいはマッチングをしてきて来る生徒ですから、学ぼうとするモチベーションやある程度能力も高いです。大学教員の方が指導をしてみてびっくりすることもあるようです。
幼い子であっても、こちらが知らないような本を、専門的な本をもう読んでいる子がいたりしますし、こちらも学ぶことが多い、はっとするようなことがあります。
それと、関わっているメンター自体の成長もあるでしょう。大学生教えながら自分たちもかなり刺激を受けていることもあると思います。
あと愛媛大学の高大連携でいきますと、愛媛大学のその研究室に行きたいと、大学の進路志望が具体、明確になり、優秀な地域人材の獲得につながるケースもあるように思います。高校生の段階から、その先生のところで大学院まで行きたいとか言いながら熱心に研究してくれると、大学教員も頑張ろうかなという気になるように思います。
加えて学内の制度として、愛媛大学では、大学から関係する、1テーマにつき幾らという、研究予算を大学教員に配分しています。GSCやジュニアドクターでも、大学の中で参画している教員をそ評価するよう仕組みを取り入れている大学はあります。
以上でよろしいでしょうか。
【岩永座長】 ありがとうございました。市川先生よろしいですか。
【市川委員】 どうもありがとうございます。私はこういうことは、非常にいいことなので、やると、そのやった大学の先生方もある意味評価されるということは、すごく大事なような気がするんです。
研究者というと、いつも評価は、例えば論文数だったり、獲得外部資金だったりする中で、社会貢献の一環としてこういうことをやってくれた先生は、何らかの評価を与えられるという、こういうシステムにもなっているのかなと、今伺って、そういうこともあるんだというように思いました。
【岩永座長】 ありがとうございました。
それでは、今村委員への質問で、どうでしょうか。
【今村委員】 市川先生、御質問いただきましてありがとうございました。今いただいた御質問につながるところなので、まず私たちの支援の上での大前提のところ、補足させていただきたいんですけど、とにかく支援する手数と量的な拡大が必要と思っています。
またもう一つ、低学年から支援をするということによって、学びのレディネスを奪わないというところ、これもとても重要だと思っています。
なので、専門的な学びにつなぐもっと手前のところにすごく時間をかけているというのが、私たちの、かなりの子たちが、低学年の段階で自信を失ってしまっている、自分を否定してしまっているというところに手がかかっているというのがあって、もっともっとあなたは魅力的な人だということを伝えるためには、対話的にその子の話をゆっくりと聞いて受け止めて、伴走しながら次これやってみようかということを、連れ出す、学びに誘い出すというところに、です。
そういう意味では、本当に多様な人たちが、学びへの誘い出しのリソースにはし得るなということで、専門性の高い人たちというよりは、優しくて人の気持ちが聞ける、寄り添えるような方々を募集させていただいて、その方々に、研修をさせていただきながらやっています。
その後のところで、多少高学年になってきたところ、もしくはすごく専門性がもう明確に向かうべき専門性がある子たちには、こういった先ほど隅田先生が例示いただきました学びのような形につないでいくと、すごく伸びるというところがあるんですけれども、その橋渡しも一つの役割かなと思っています。
阿久津さんから、どのように研修しているのかについて、補足をお願いします。
【カタリバ(阿久津氏)】 ありがとうございます。研修、そうですね、一つまず、どのような採用要件にしているのかというところに関しては、まずしっかり事業を少しでも、事業の特徴や、私たちが大事にしたいことなどを理解した上で応募してほしいなということで、説明会を結構な回数、実施しております。
そこで事業の説明などをするんですけれども、そこで応募資格としては、1年以上、何らかの教育現場で働いたことがある方というのを条件にしております。
その上で採用させていただいたメンターさんには、先ほど瀬川からお話しさせていただいたような、こういった子供たちと関係性を構築したり、一緒にチャレンジを見つけたり、一緒にチャレンジを習慣化していくというようなミッションを持って、子供たちに関わってもらいます。
なので、研修としては、まず初期6回にわたって、90分の研修を6回行います。ここで前提となる不登校ってどんなことだっけというような、不登校理解に関する研修であったり、子供たちとの関わり方だったり、コミュニケーションに関する研修、あとは様々なリスクに関する研修を行います。
その初期研修を経て、毎月1回ずつ、定期的に研修を行っております。ここでは様々なケースについて共有しながら、振り返りをみんなで行ったり、ある特定のテーマに関して、みんなと対話を深めるなどです。
一方的に知識を伝えるというだけではなくて、メンター同士、スタッフ同士で考えるというような、研修の在り方を中期育成計画という意味では大切にしています。
以上になります。
【今村委員】 待遇についても、補足をお願いします。
【カタリバ(阿久津氏)】 待遇。はい、待遇でした。
待遇は、月に35時間で4万円という待遇です。週に10時間程度稼働していただくことが可能な方で、月に40時間程度働いていただくという契約になります。
【今村委員】 なので完全にボランティアではないんですけれども、これは労働基準法などいろいろとあるので、労働になってしまうのか何なのかというところの整理が必要ですが、学ぶ意欲が高くて、結構企業で働いている若い方々が、やりがいを持って取り組める場所を探してエントリーしている枠なんて形の兼業も増えてきているなと思っています。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。市川先生、ひとまずよろしいでしょうか。
【市川委員】 分かりました。有償ボランティアぐらいの感じかなと思うんですけれども、もともと何か特定領域に、メンターの方たちがものすごい専門性を持っているというわけではなくても、子供と伴走する、あとメンター同士もいろいろ協力し合って、それぞれ出てきた問題に寄り添って、一緒に考えていくようなそういうスタンスでやってくれる方はたくさんいると思います。
私も教育大系の学生さんや、まだ本当に先生の卵ですけれども、そういうモチベーションはすごく高くて、受け持った子供たちについてすごく一生懸命考えてくれるので、むしろこう一緒に成長していくという感じの人たちがたくさんいると思うので、すばらしい試みだなと思っています。ありがとうございました。
【岩永座長】 ありがとうございました。
【今村委員】 市川先生の認知カウンセリングは、常にみんなで勉強させていただいております。
【市川委員】 こちらもよろしくお願いします。はい、どうも。
【岩永座長】 ありがとうございました。それでは、三方、今の段階で手が挙がっております。秋田先生、一番早かったので、お願いします。
【秋田座長代理】 ありがとうございます。お二方の御発表、本当にわくわくしながら拝聴させていただきました。日頃からいいなと、前にも聞かせていただいて、今日もまた思ったところですが、それぞれ2点伺いたいと思います。
まず、カタリバの実践というのは、本当に困っている人たちが本当に伸びていく姿を私たちに届けてくださっていると思うんですけれども、不登校のお子さんであったり、オンラインで支援しようとすると、短い期間ではなくて、どれだけその子たちが立ち直ったり、能力を発揮していくのかというのの、時間の見通しというのはなかなか立ちにくい部分もあるだろうと思います。
そういう中で、これを事業として持続可能な形でやっていくために、例えば今回の場合であれば、未来の教室の検証事業であったり、自治体との連携というようなことをされていて、多分保護者からお金を取るのではない形で支援をしていく仕組みというのを学校外でつくられていると思うんです。
【岩永座長】 申し訳ありません、肝腎なところが今聞こえませんでしたが、どうしたんでしょうか。秋田先生、通信状況があまり。こちらの問題ですか。
ほかの方どうでしょうか。秋田先生の今の御質問、聞き取れましたでしょうか。特に今村さんが聞き取っていないと困るんですが。
【秋田座長代理】 学校の場合は、公費でそういう支援ができるわけですけれども、この学校外の支援の場合に、今後こうしたものがより一層持続可能な形で、体制としていくためには、どのような仕組みがあるといいと考えられているのかなというところが、先ほど少しボランティアの、ボランティアではないけど、若干の謝礼でというようなお話があったんですけれど、こうしたものが今後全体として持続可能な形でやっていくためには、どういうことがあったらいいと今考えておられるのかということを、期間が、未来の教室など、予算がついて、自治体なども数年単位でプロジェクトが組まれていくんだと思うんです。
そういうものではなくて、長期的にこれからこういう子たちを学校外で支援するための仕組みを、どうやったらいいのかというところについてのお考えを伺いたいということです。
それからもう一点は、保護者等支援したりしながらも、学校とも連携を取られていると思うんですけれども、こうしたことを学校と連携もしながら支援していくことによって、先生の側がカタリバさんから学んだり、何かこう教師が変わるということがあるのか、もうむしろそういう、学校は外へお願い、ということになっていくのか、この辺りは今後、学校と学校外の両面で、その子たちを支えていくというときの鍵に、どのような連携があったらいいのかというのがあるだろうと思ったので伺いたいと思ったところです。
次に、隅田先生の御発表も、また今度は保護者や家庭の困難というより、本当に輝いている子供たちがさらに伸びていく姿というのを拝見したんですけれども、特定の大学やJSTなどが支援をしているわけですけれど、こうしたものがさらに広がっていくための持続可能な体制をつくっていくために、どうしたらいいんだろうというようなところと、それから本当にすごい子たちだなって、研究タイトル伺っても思ったんですけど、こういうこの伸ばし方のようなのに、先ほども教育委員会やいろいろなメンターが出ているんですけど、学校教師というのはあまりないわけです。
外からの支援の在り方から学校の先生が学びたいと思ったり、そこに参画して学んでいったりということがあるのかどうかというようなところが、私は知りたいなと思ったので、よろしければそれぞれを、持続可能な体制と、学校教師との関係、在り方というところについて、伺わせていただけたたらと思います。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。一つお願いがあるんですけれども、確かに不登校の問題、非常に大きな問題で、とてもこの有識者会議の中だけで議論できる問題ではないんですけれども、この有識者会議のテーマということですので、できましたら御回答は、特異な才能のある児童生徒に対する対応というところに焦点を絞って、これは隅田先生も同じだと思うんですけども、お答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
今村委員から、まずお願いします。
【今村委員】 はい、御質問の一番最初のビジネスモデルをどうするのかというところについては、それは特異な才能のある子供に限ったやり方をしていないのでお答えがしづらいんですけれども、ビジネスモデルという意味では現状は、目指している姿は自治体から受託するという形で、完全にお子さんたちには無料でアクセスできる状態を提供していくということを目指しています。
これはちゃんと費用を、一定のところのモデル化ができたら算出したいと思っているんですけれども、自治体ごとに、特異な才能のある子供たちに対する支援施策を、人を雇用して自治体ごとにやっていこうとしたら、お金がある自治体ではできても、私たちがこれから主な対象にしていきたいと思っている沿岸部や島や、中山間地域ではとても難しい。
ということで、これは不登校に限ったことではなくて、あらゆるマイノリティーの子供たちの施策において同じことが言えると思っているんですけれども、そういったこともこういったシェア型、行政施策をシェアしていけるという形にすれば、きっと自治体ごとに設置するよりもコスパがいいはずということを思っているので、そこまでやりながら、今はもう寄附を投入したり、完全にこちらの財源を投入してやっているんですけれども、そういった形でやっていますが、最終的にはそこを目指していこうと思っています。
そして2つ目の学校事例ですけれども、瀬川か阿久津か、どうですか。お願いします。
【カタリバ(瀬川氏)】 瀬川から。例えば特異な才能を持ったという子供たちの支援というところに絞ると、まだなかなか、学校とのはっきりとした連携事例というのは僕らとしても具体的なものはないんですけれども、秋田先生のほうでお話いただいた、学校とこういった私たちのような外部の団体がお話しすることで、先生たちに何かこう変化があるかどうか、何かお互いにいい影響があるかどうかというところで言いますと、僕らとしても、生徒さんをもうオンラインの支援で、ある意味施設に丸投げされているとか僕らだけで抱えているというわけではなくて、定期的に学校の先生方とケース会議等を持っている場合がございます。
先日も連携している学校の校長先生からお電話をいただいたりもしたんですけれども、オンラインでどのように子供たちが過ごしているか、どのように学んでいるかというところを学校の先生に伝えることで、改めて学校でもその子の状況が正確に把握できる。
学校では、そもそも子供たちの様子を把握すること自体がかなり難しいというようなことも聞いていますので、こちらでのお子さんの様子を学校に共有していくことは、学校としてこれから子供が、また直接関われるようになった時にどう関わっていくかですとか、保護者の方とどうコミュニケーションを取っていくかというところに対して、有用な情報提供できているのではないかなと思っていますし、ケース会議を一緒にすることによって、先生たちにもその子供たちの特性といいますか、なかなかこう、よくよく、日々関わっていないと理解できないようなところまで理解をしていただいて、であればこのように関わっていくとよさそうだなというようなことをお話しすることはあります。
ちょうどこの前も、教室にはなかなか入れないけれども、ほかの場所であれば学ぶことができる子に対して、教室に入らない要因、どういうところに困難を抱えているのでしょうかというところは僕らに質問をいただいたことがありまして、僕らでは、特にその子が敏感に感じるところなどをお伝えした上で、であればこういう配慮ができそうですねとか、であれば別室でこういった支援ができるとよさそうですねという、そのような話をちょうど数日前に会話したことがありました。
そのような連携が今できているなと捉えております。
【岩永座長】 ありがとうございました。隅田先生いかがでしょうか。
【隅田教授】 御質問ありがとうございます。1つ目の、継続的にどうやっていくのかということ、ジュニアドクターやグローバルサイエンスキャンパスのところも、自走化の問題は大きなところです。一般的には、学校外でも学校内でも、いかに多様な連携、サポーターやファンを増やしていくか、企業などと連携を進めるというのはよくされているところだと思います。
ただ、私、先ほどお話ししました、まず高大接続からスタートし、今度義務教育段階まで、このジュニアドクターや科学の甲子園ジュニアなどが展開した経験から見ますと、この義務教育段階に下りたというのは、大きな、広くつなげる一歩だったと思っています。
格差を越えて、全国津々浦々、学校を拠点に、特にこの有識者会議の先生方にお願いしたいということは、そういう関連する経験をいかに学校に取り入れていくかが重要に思います。義務教育段階でで展開できれば、広く持続的に機会を提供できる一歩になると思います。
伸ばし方のところで、教員の関わりについて、実際に教員が入ってくれているGSCやジュニアドクター育成塾の実施機関はあります。
先ほどの附属高校の例も、高校が大学に研究指導を丸投げするのではなくて、高校の先生も必ず一緒にアドバイザーで指導するようにしています。あとは、先生がJSTの関連事業を知って、保護者として自分の子供を行かせている先生、結構いるように思います。そういう意味では、間接的なサポーターの先生はかなり増えていると思います。
それらも踏まえまして、いかにそのインフォーマルで得られている知見をフォーマルに、トランスフォームするのかとか、あと連携するのかというときに、免許状更新講習や私が教育学部で授業を開講したような、教員養成の中にああいう内容が入ると、それはまた別の視点から、学校における持続的な支援が展開できるかなと思います。以上です。
【秋田座長代理】 ありがとうございます。大変貴重な御示唆、感謝申し上げます。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。あとお二方、手を挙げていらっしゃいますけれども、根津先生、お願いします。
【根津委員】 御発表ありがとうございました。最近、滑舌が悪いので、チャットに少し質問事項をまとめさせていただきましたので、補足的にそちらを読み上げるような感じで、感想と質問を述べさせていただきます。
まず1つ目の御発表についてですけれども、感想になります。
保護者、子供にとって、学校でも家庭でもない場所としてNPOや諸機関の果たす役割というものは、本会議の趣旨から見ても非常に重要であると思います。
とりわけ、オンライン化の進展により、これまで課題であった地域の偏り、これにもある程度対応できているだろうと見ています。
もう一つ、今日印象的だったのは、教科の学びに加えて、誰かとともに学んでいる、伴走という言い方もありましたけれども、一人ではないという、これが非常にもう一つの大きな重要な学びではないかなと思います。これも提供できていたと思います。
一つ、スライド番号の20のところ、83%という数字が上がっていたと思うんですが、2割弱の通えなくなるといいますか、続かなくなるお子さんには、その後どのように対応されているのかというのは気になったところです。
事例が幾つか示されたわけですけれども、うまくいった事例、なかなかうまくいかなかった事例というのは出しにくいわけですが、うまくいった事例だけではなかなか判断が難しいところもあります。
先ほど来、事業の自走可能性のところの議論もあるわけですけれども、事業の規模が大きくなってきてスタッフが増えて組織化されて、プログラムや仕組みが整っていくというのは、何となくもう一つの学校をつくっているような気がするんです。
既存の学習塾や学校にどんどん近づいていってしまっているのではないかという、その辺りは何とも言いようがないんですけども、印象としては思ったところです。
2つ目の御発表については、質問、基本的なところも含めてなわけですけれども、1つは、御発表の中にもありましたJST、ジュニアドクターの関連機関というものは、御所属先を含めて、国公立の大学や高専が多いと。特に国立が多いかと思うんですけども、地方の私立大学がほとんどないと。
これは科学技術基本計画との関係かもしれないんですけれども、基本的になぜなのかなというのは素朴に疑問に思ったところです。
学部の偏り、専門の偏りというところはあるのかな、あるいは大学院というところかなというように思うんですけれども。
もう一つは、先ほどの秋田委員からのお尋ねにあったところ、私も非常に関心があるところでして、最後のくだりとしては、免許状更新講習の受講者のエピソードというのは、印象的で興味深かったです。
先ほど強調されておりましたように、高等学校から義務教育段階というお話ありましたけれども、逆の発想からすれば、幼少期から義務教育でというところが、以前の調査の結果からでも分かったと記憶しておりますので、義務教育段階の教職への働きかけや研修の内容として、先ほども少し御示唆いただいたと思うんですけれども、今後さらにこの有効な策や内容、具体的な内容としてはどういうものがあるのかというところについて、お考えをお聞かせいただければと思いました。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。こちらも、お二方にそれぞれ御質問が出ていますので、まず、順によって、今村委員からお願いできますか。
【今村委員】 大切な御指摘をどうもありがとうございました。先ほど、未来の教室実証事業の中でも、不登校の子供たちをオンラインで支えるという取組はこの数年、幾つかの事例が報告されています。
その中でも、かなり学習を継続して行うということがオンラインで、別の団体の事例でいうと、当初200名ぐらいいた登録者の方が最後5人ぐらいも通えてなかったという事例が、発表されたチームもありまして、それなりに難しいことであるということと、前提が整っていないという、ここまで、学校教育の中で、様々な失敗体験を経た子供たちということになるので、それは大変難しい、関わり方はこれは学校に通うという意味でも、リアルな地域の教育支援センターでも難しいので、オンラインでも難しいということで、この8割というところをどう取るかというところは、感想は人によると思います。
その上で、私たちもどうしたらこの、誰でも救えるのかなということは大変悩みながらやっているんですけれども、大切にしているのはこの2割弱の通えなくなった子供たちの親御さんとはずっとつながり続けています。
親御さんの伴走をかなり強化しながら、何とかその親御さんとの声かけによって、子供たちをいつでも待っているよということの誘い出しを行っていくということ、これを大切にしているという意味では、同じ、そういう努力をしているということを報告させていただきます。
取組が大きくなったときにどう仕組み化していくのかというところは、本当に、どう捉えるかです。学校に近くなっていくということもあるかもしれないんですが、これは今後学校教育法が、就学義務の保障という、就学義務から学習権の保障というところに私は転換していくべきだと思っていまして、その学習権の保障をされた状態というのが、例えばもう一つの学校が地域の中にあって、またはオンラインにあって、それを学習していると認めていくのかどうかというところも関連すると思うんですけれども、何もせず放置しているよりはよっぽどいいということをどう受け止めていくのか。
そこは、私はできれば、そういった学校外のものは学校とコミュニケーションをしながら、とにかく子供たちの学習に伴走していくことが大切だと思っています。
補足でした。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。
【根津委員】 ありがとうございました。
【岩永座長】 それでは、隅田先生、お願いします。
【隅田教授】 御質問ありがとうございます。1点目について、まずそれらの事業について特に応募の制限はございません。どこでも応募できます。
ただ理系、科学技術系である程度しっかりした基盤がないと、プログラムを組みづらいのかなというのはございます。
例えば、九州の北部でありますと、有明高専さんですが、例えば熊本高専や久留米高専さんと連携して共同機関としていたり、あと実施機関は別のところですが、近隣の市立大学とも連携しながらプログラムをしている、運用している実施機関はございます。
ただ見た目的には、御指摘のとおりかなと思います。
2点目の教員免許状更新講習の件で、義務教育段階については、そのとおりで、もう本当に私は義務教育段階に下りてきたのを期待しているところです。
教職や研修への働きかけについて、一つは、先ほどのKids Academiaの取組の中で、オンラインにシフトしたことで、オンラインセミナーを開催することにしました。これまで26回やりました。
海外のゲストから来ていただいたこともありますし、実践的なこと、ジュニアドクターやグローバルサイエンスの例を発表していただくこともあります。
アンケートを取っていまして、どういうところにニーズがあるのかなというのを今試して調べてみます。参加者は保護者や教育関係者が多いのではないかなと思いますが、より効果的な展開へ向けて、次のステップへ探っていきたいと思っています。
大学の講義科目「才能教育論」でどのような内容を扱っているのかということについては、15回の講義の中で、才能児に関して、松村先生が紹介されているような一般的な幾つか、諸外国も含めた定義や、制度のことを紹介したり、あとカリキュラムのつくり方、エンリッチメントとアクセラレーションの話、評価、あとTwice Exceptionalのような困難を持っている、才能と困難を併せ持つような子供の話、保護者の関わり方、それと格差問題のような現代課題も含めて、全部で15回というように構成をしております。
以上です。
【岩永座長】 どうもありがとうございました。
【根津委員】 ありがとうございました。
【岩永座長】 根津先生、よろしいですか。今、後半の、御質問に対する隅田先生のお答えにもありましたけども、教員養成のプロセスでどのようなモデルカリキュラムができるかとか、それからその才能教育に関する、教育養成の中でのコースをどのように組立てていくかというのは大きな問題で、隅田先生のような実践を積み重ねていくことでスタンダードができてくる。日本的な意味でのスタンダードができてくるのではないか。
どこかよその国でやったやつをそのまま翻訳したものではない、日本の風土や子供たちや、あるいは社会の在り方に合ったものができるのではないかと私も期待しているところですので、最後のお答えのところは大変、うれしい内容だなと思いました。ありがとうございました。
続きまして、手が挙がっていらっしゃるのは、あ、手に敬語を使ってしまいました。福本委員ですね。よろしくお願いします。
【福本委員】 ありがとうございます。お二方の非常に意義のある取組を広範囲で実施されていて、本当に価値ある御発表ありがとうございました。
まず、カタリバさんの、感想と簡単な質問になるんですけれども、本当に不登校という支援、不登校というところから入ると、家庭や親御さんへのアプローチも増えるし、また連携先もかなり多岐化するということになってくると思うんです。
その中で、子供の発達特性や特出した才能にも出会う機会というのを非常に多くつくられているなと思いまして、先ほど根津先生もおっしゃっていましたけれども、何かサードプレイスとしての公教育のような存在感を結構放ってらっしゃるなと思いました。
そういう意味では、デマンドサイドからのニーズを拾っていく、実践をされているなということで、本当に意義が深いなと、聞かせていただきました。
その上で、先生方からもう既に、質問がかぶっているところもあるので、かぶらなかったところだけ御質問したいんですけれども、多数の人たちがスタッフとして関わっていくことで拡張していける、それがなおかつオンラインでも広がっていくというところで、可能性自体は広がっていると思うんですけれども、その中で、不登校の子供たちに、特異な才能を持つ子供たちが、どんどんと発掘されていったりケアされたりフォローされたりするというときに、かなり繊細な個人情報に出くわしたり、扱うことにもなると思うんです。
それ自体は非常に意味があって、なかなか学校では把握しきれない、そういう情報にもアクセスされている可能性あるのではないかなと思うんですけれども、それを公教育の中でつなげていくことで、公教育の中でも連携をしやすくなったり、親御さんや子供さんへのケアというものが行き届きやすくなるなと思っています。
その辺り、カタリバさんの中で、個人情報の取決め、取扱いや、あと免許を持っていないといけないという壁を崩しながら、いろいろな方々が子供たちに関わるということを実践されていると思うんですけれども、その免許制度の緩和というもので、今、実際に学校と連携していこうと思ったときに、ストップがかかってしまうところがどこにあるのか、逆にそれが突破できるとスムーズな学校内外の連携が実施できると思いますので、そこの実践についてぜひ御意見をお聞きしたいなと思いました。
隅田先生に関してですけれども、隅田先生も貴重な御発表ありがとうございました。先生の取組の中で、本当に、年長の小さなお子さんから、それから大学生までの幅広い年齢を包括しながら、ここまでチャレンジできたり伸長できる、才能を伸長していくという場をつくっておられるということが、非常に意義があるなと思いました。
特にその研究、大学でやっているというところにおいて、その発達段階に応じた介入やサポートの違いなども、体系化していけるようなコミュニティーがもう既に育ってきているのではないかなと思っていまして、その辺り、発達年齢に合わせて介入していくときの違いなどが出ておりましたら、ぜひ御共有いただきたいなと思いました。
もう一点は、大学だからこそ、高い専門性や、あと学生さんの存在ということが、学生さん自体も学びながら育成されているし、育成に携わるということで、御自身の専門性をさらに生かしていくという、とてもいい循環が生まれているんだろうなと思うんですけれども、たくさん仕組みを、既存の枠組みを並走させながら今、やっていらっしゃると思うんですが、それ自体が、より何か情報連携できて、なおかつセンター機能としてどの地域にも備わっているものとしていくときに、例えば大学コンソーシアムのようなものがあればいいのか、どういう形が理想形としてあり得るのかというところなどをぜひ聞かせいただきたいなと思いました。
もう一点、今、高大接続のモデルが愛媛大学中心にされていると思うんですけれども、義務教育に下りていくということ自体に意味があるとおっしゃっていて、私も本当にそうだなと思うんですけれども、小中高大というように接続を一貫して広げていくときに、何か今やられている高大接続の仕組みの中で、ヒントがあるとしたらどういうことが挙げられるかというのをお伺いしたいと思いました。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。いかがでしょうか。まず、今村さんからお願いします。
【今村委員】 ありがとうございます。大変、この取組が、特に子供たちの支援のデータをオンラインという場で活用していくということ、また、行政のくくりを超えて、様々な人がアクセスしていくことによって支援を成り立たせるという意味で、本当にそこが最大の悩みといいますか、まさに開発ポイントだと思っています。
実際に行政と連携して取り組んでいるところについて言うと、個人情報保護条例2000個問題に代表されるように、もう全てルールが違うという前提で取り扱ってやっていますので、例えば世田谷区との連携においては、世田谷区の公共施設に行かないと、世田谷区の公共施設から世田谷区の子供の支援ができない、みたいなところもありますし、広島県の子は世界中のメンターが支援できるみたいな、これはもう全部ルールが違うという中で、どのように行っていくのかということは大変悩みながら行っていますし、デジタル庁の、まさにロードマップの中でどのようにここを議論されていくのかというところに沿っていきたいなと思っています。
今できていることについて言いますと、簡単に言うともう、保護者同意を取りながら、保護者に許諾していただいた範囲の中で、子供たちの支援情報をその周辺の方々と共有するというところに立ち戻るということに尽きるかなと思っています。
ただ1点、大変難しいのが、困難を背負った家庭についての、例えば虐待のリスクなどを発見してしまうということもあります。このときはもう、児相や行政施設につなぎながら相談をしながらやっていくなど、そういったやり方をしているというのが現状です。
瀬川さん、補足ありますか。
【カタリバ(瀬川氏)】 そうですね、補足でいうと、まさに自治体と連携して支援していくことで、本当に必要な御家庭、子供たちに支援が届くと考えていますので、ちょうど来年ですよね、2023年の4月から改正個人情報保護法が地方公共団体でも施行されまして、それに基づいて、事業者である我々には、法に基づいたというか、自治体から求められるその安全管理措置にしっかりと対応していく必要がありますので、今のうちからどういったセキュリティー体制、安全管理措置を僕らが取れるようになるべきなのかというところは、ちょうどホームの人間とも今、話を始めているところで、しっかりとその自治体で求められるレベルの個人情報の管理というのは、僕らとしてはしていきたいと思っていますし、先ほど今村も話しましたけど、何よりも保護者の方の同意をいただいた上で、しっかり扱っていくというのが最も重要かなと思っております。
【今村委員】 以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。それでは、2つ質問がありましたね。隅田先生からお願いできますか。
【隅田教授】 御質問ありがとうございます。1点目のところ、愛媛大学で考えますとKids Academiaが年少期にあって、ジュニアドクターが実施されていて、グローバルサイエンスが実施されています。愛媛大学のジュニアドクターとグローバルサイエンスは私JSTで利益相反なので、関わってはおりませんが、見ていた感じでいくと、家庭と学校と、社会というか大学と、外の機関と、そこの関わる比率が変わるかなという気はします。
子供だけでできる部分が多い時期もあるでしょうし、専門家がある程度関わる必要がある時期もあるでしょう。それぞれがサポートできるところとできないところがあって、機器等の環境も含めて、多様なリソースの求められる比率が変わっていくかなと思います。
能力に関しては後で、義務教育段階のところで私の印象を言います。
それと、プラットフォームのようなものがあるともう間違いなくよいです。ジュニアドクター紹介の際にも言いましたが、特に義務教育段階の子供は、移動の範囲も限られますので、各都道府県に一つぐらいはそういう拠点があって、もちろんネットでつながるんですけれども、子供はもちろん保護者や教員にとっても何かあったら相談に行けるような拠点があったらいいです。
あとは、高大接続やグローバルサイエンスキャンパスなどの話でいきますと、二重単位、今、高校生が大学の授業を受けて単位を認められるというのが、その大学に進学したときだけなのです。アメリカのAPはその成績によって、どの大学でも使えます。
そういう二重単位がもっとほかのところでも互換できるようになると、十分質が担保されているものとして展開するのは、お互いにとっていいのではないかなというのが1点目の私の意見です。
2点目の義務教育段階で困るのは、先ほどの繰り返しになるのですが、子供の移動です。一人で行かせることが難しいようなところが増えます。そういう意味で難しいところはあるんですが、こういう才能がある子に関わって何かを言う時は、そちらよりもむしろ、何か新しいことを学ぶ時や、あるいは自分が好きなことを学ぶ時に、年齢はあまり関係ないように思います。
むしろ、そういうのを超えてできる子がいて、そういう子に何をしてあげられるのかなみたいな部分です。中学生や高校生は学校のことでも忙しくなってきますが、幼い時期の子供は自由な時間が多い側面はあるかもしれません。以上です。
【岩永座長】 それに関して、私もあるんですけれども、司会の特権で。
今年度からですか来年度からですか、今まで単位を事前に取ったものについては、その大学に行くとその単位として認められるということはあったんですけれども、新たにその学習した期間も加算できるという制度に、制度というか仕組みになったんだと私は理解しております。
そうすると例えば愛媛大学で、特別聴講生なり何なりで学んだとしますよね。それで単位を取ったとすると、単位だけではなくてその1年間の学習期間も、実習の要件に、卒業の要件に加算できるということになろうかと思いますけど、そうすると、3年間で卒業ということができるということになりますか。
そのような仕組みにはしてないですか。
【隅田教授】 それ、私、愛媛大の場合は、行っている単位数は限られていますので、その時間だけで1年の履修とまでは認めていないと思います。
【岩永座長】 分かりました。特別聴講学生などそういう身分は付与してないわけですね。ただ単位を取っているということだと、理解してよろしいですか。
【隅田教授】 図書館などは全部使えるようにしていただいていて、大学のMoodleも使えるようにしていて、特別聴講生の届出を、希望申請を出しているかもしれません。不確かでした。
【岩永座長】 分かりました。私がふっと思ったこと言ってしまいましたが、そうすると実質的に、飛び級というのが後追いで成立してしまうかなと思ったんですけども、余計な質問でした。私のほうでも後で調べてみたいと思います。
福本先生よろしいでしょうかね、今の。どうもありがとうございました。
【福本委員】 ありがとうございました。
【岩永座長】 もう一方、本田先生からお手が挙がっております。本田先生お願いします。
【本田委員】 もう時間がないようなので手短にとは思うんですけど、大変興味深く聞かせていただきました。
私は公的な教育の中だけではまりきらない方って絶対いると思うので、こういう学校以外の場は必ず必要だと思っておるもので、特に発達障害をやっていると、そういう場が必要だということは常日頃考えて、感じているところです。
お二人にそれぞれに共通した質問で、秋田先生のほうで持続可能性という話が出たので、それに関連はするんですけども、導入ですよね、こういう方々の。
特に不登校のお子さんを前提にしたカタリバの枠組みだと、私も不登校の方は大学病院だと見ている方の何割かは不登校ですが、1回学校に行かなくなっているとそこから先、社会の場に参加する意欲がすごく下がってしまっている子が多くて、例えばカタリバのようなところだと魅力的なのでぜひ御紹介したいとは思うけれども、なかなかそこまで重い腰が上がらないお子さん方もたくさんいらっしゃるんです。
そういった意味で、不登校を前提にした取組ということだと、なかなかそこまでたどり着かないお子さん方もいるのかなという気もしています。
もちろん、そこに対して何か工夫をされているんだと思うのでそれをお聞かせいただきたいのと、あと特異な才能をお持ちの子供さん方のメンタルヘルスということを考えると、不登校になってからやっとカタリバを御紹介されるのではなくて、そうなる前から、例えば学校に入る段階でもう既にカタリバも併用しながら学校にも通うような形が可能なのではないかと思いますし、その辺りの何かアイデアをお持ちであれば教えていただきたいということがあります。
それから隅田先生は、こちらもう本当に大学の取組で、非常にシステマチックにやっていらっしゃるなと思って見ていたんですけれども、これももしその今後、大学という研究の場から下りて実装されることを前提とした場合に、どういうリクルートルートが想定されているのかということをお聞きしたいのと、あとこちらは、特に不登校とかそういうこと、メンタルヘルス的な問題があるなし関わらずもう募集されているので、いろいろな方々が来る可能性があると思うんですけども、そういった中でExceptionalな子供さんが出てきた場合に、必ずしもそういうお子さんばかりではないと思うんです。
そういったときに、個別最適化された教育を保障するとはいっても、例えば親御さんたちの思惑や子供さんたちの希望や、そういったものが様々に出てくると思うんですが、その辺りへの何というのかな、支援といいますか、方向づけなどその辺りはどのように考えておられるのかということをお聞きしたいです。
【岩永座長】 ありがとうございました。それでは、今村委員からお願いできますか。
【今村委員】 御質問ありがとうございます。本当に本田先生のおっしゃるとおり、子供たちの、とにかく心の全ての自信がなくなってしまっている。もう本当に、今日あしたにでも、自分なんて生きているだけ、息をしている機械でしかないみたいなことを言うぐらい、もう死んでしまってもいいというようなことを、大げさじゃなくおっしゃるようなお子さんもすごく多いというのが不登校の大きな問題というところからスタートするので、そこから最も難易度が高いと私たちが思っているのは、どのようなプログラムを届けるかのもっと前の、誘い出すというところだというところは、本当、先生のおっしゃるとおりです。
なので、どう誘い出すかというところはもう本当にオンラインなので、こちらは待っているしかないというところがあるので、周辺の先生方にどうリファーしていただくのか、学校の校長先生なり担任の先生が親御さんに丁寧に話していただいて、こちらにつながってくるというケースも大変多いですし、あと親御さんがとっても悩んで、こちらを探して、一緒にオンラインで、一緒に最初は出て、楽しいと思ったところで親御さんは離れるというような方もいらっしゃいますし、先ほどお伝えしたとおり、親御さんのメンタリングをずっと続けていきながらふっとお子さんがやってくるということもあります。
なので、全ての子供たちに、無敵な存在には全くなれてないんですけれども、周りの方々と連携しながらお子さんの誘い出しをしているというのが、1つ目の御質問の回答になります。
2つ目ですけれども、本当におっしゃるとおり、私としては、こういった取組は、就学前からというのもあるんですけれども、できれば学校の別室にGIGAスクールパソコンが配備されているわけだから、図書館からこの時間はこちらにつながってくるとか、例えば数学にたけた子がいるんだったら、その時間だけはこちらにつながってきて、別の時間は教室のもので体育の時間をやるとかという形で、合理的配慮の一つのツールとして、オンラインを活用していくという未来が、この先に準備されていることでかなり救われている子が、未然に救われる子が大変多いと思っています。
まさにこの特異な才能を持った子供たちの支援には、学校の中で別室をつくっていく、また就学前から併用を基本当たり前にしていくということも一つ検討していかなければいけない重要なところだと思っています。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。それでは、隅田先生お願いします。
【隅田教授】 御質問ありがとうございます。1点目の持続可能性に関していくと、私たちのコロナ禍の経験が、つらかったけど役に立ったところはあって、オンラインの活用は間違いなく省力化と持続化につながった経験だったと思います。
今まで、対面でというのはこだわってはきたのですが、やってみますと、例えばリーフレットをつくって配るよりもオンラインのほうが検索していただける要素はありますし、それで相談があって会員が増えて、もちろんタイミングとして対面で開催できるようになれば、短期集中的なことをやってもいいわけです。オンラインを活用することにより、持続可能性の点から新しく見えた部分はあったとように思えます。
2つ目の配慮が必要な場合というのは、結構あります。Kids Academiaでも、最初は、別に自然科学分野で興味があって相談に来るよりも、学校で困ってという内容から相談に来られる保護者の人がいます。
Kids Academiaに参加をする時、得意分野やエピソードとあわせて、配慮してほしい点や困難な点なども一緒に書いていただくことにしています。
あと才能教育プログラムの重要なところだと思うのですが、少人数ですね。一度に多数を扱うことは難しいです。そういうところもありまして、少なめの少人数で講座を行うことを、今まで続けています。以上です。
【岩永座長】 ありがとうございました。
【本田委員】 ありがとうございました。
【岩永座長】 時間も過ぎてしまいました。一つだけ今村先生に、今村さんに伺いたいんですが、先ほど、対応する以上に誘い出すことが大変だというお話をされましたけど、私この実践を聞いていて、誘い出す対応をする、そして最後に学校に返すというプロセスが、ゴールとして、あるいは目標として、あるのかなと思っていたんですけれども、必ずしもそういうことではないんですか。
例えば学校にいて、なかなか学校にずっといられないという子供、それから学校が不適応、そういう子供がカタリバにいらっしゃる。
これは、カタリバのほうがもう圧倒的に気持ちがいいんだということであれば、そのままカタリバにずっといるということでもいいとお考えなのか、それとも最後のゴールは学校に返すというところにあるのかということですけども、質問の意味は分かっていただけましたか。
【今村委員】 ありがとうございます。そこは本当にお子さん次第で、その子の見立てをしているというのが現状です。
例えば、都会、都内で暮らしている方々にとっては、学校に戻すという選択肢以外にも別の学びの機会に、こちらをステップとして使っていただいて、別のフリースクールだったら行けるようになったとか、教育支援センターにつながったというような方もいらっしゃるので、そういったステップにつながって、何らか学びにつながったというところをゴールにされるパターンもあるんですけど、私たちの実感値としては、地方には例えばNPOやフリースクールなど、そういったものがほぼないという地域がかなり多いです。そういうところにとって学校というのは、子供たちにとってとても重要な資源だということは、大前提です。
人が、人間が生きていく上で、親以外の誰かとつながっているということは、自立していく上でとても大切な機会ですので、学校に引きずってでも戻そうとは決して思わないんですけど、多様な人と関わるコミュニティーとして子供たちに学校という場所が機能していくということはとても大切なことなので、学校の考え方があまりに管理的だったらそれを強くは勧めないんですけれども、学校はとても大切な子供たちにとっての伴走機関だと受け止めながら、進んでいます。
【岩永座長】 ありがとうございました。今私がいる建物の大家さんたちのことを考えると、そういう結論になると大変ありがたいなという気がいたしました。余計なことでした。
時間が過ぎてしまいましたけれども、残念ながらいろいろ議論が、これから活発になりそうなところでしたけれども、今回は大変有益な御発表をいただいて、それに対する興味深いディスカッションができたなと思います。
時間になりましたので、時間を過ぎましたので、この辺りで議論を終了したいと思います。
最後に次回の予定について、事務局からお願いします。
【川口学校教育官】 次回、第9回については、日程決まりましたらまた追って御案内いたします。
【岩永座長】 期待したよりもずっと短い御案内でしたけど、それでは、本日予定した議事は全て終了いたしました。これで閉会したいと思います。
お忙しい中御参加いただいてありがとうございました。御退室ください。
ありがとうございました。

―― 了 ――