生徒指導提要の改訂に関する協力者会議(第8回) 議事要旨

1.日時

令和4年7月22日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

Web開催(Zoom)

3.議題

  1. 生徒指導提要の素案について
  2. その他

4.出席者

委員

   浅野委員,新井委員,池辺委員,石隈委員,伊藤委員,井上委員,岡田 俊委員,岡田 弘委員,奥村委員,栗原委員,七條委員,髙田委員(代理人出席),土田委員,野田委員,針谷委員,藤田委員,丸山委員,三田村委員,三村委員,宮寺委員,八並座長,山下委員
   

オブザーバー

   髙橋オブザーバー,滝オブザーバー,宮古オブザーバー  

文部科学省

   小林生徒指導室長

5.議事要旨

【事務局】  第8回生徒指導提要の改訂に関する協力者会議を開催する。
 昨年度から、委員、オブザーバーの交代があったので、紹介させていただく。国立青少年教育振興機構理事として、伊野亘委員に代わり、井上智朗委員、国立教育政策研究所総括研究官として、小野憲オブザーバーに代わり、髙橋典久オブザーバーに御協力いただく。
【座長】  今年の3月29日の会議で改訂試案を示し、約3か月、新井副座長を中心に編さん委員及び執筆者で打合せを行ってきた。
 今回は、素案をお示しする。去年の7月7日の1回目会議であった「生徒指導提要の改訂にあたっての基本的な考え方」の2の改訂の基本的な考えの中で今回の改訂のポイントを示している。
1点目は「積極的な生徒指導」の充実。一般的な生徒指導の捉え方としては、事後対応的になってしまう部分をより開発的あるいは予防的な生徒指導重きを置きたいと思っている。2点目は個別の重要課題を取り巻く関連法規等の変化の反映。例えば、いじめ防止対策推進法は、現行の中で反映はされていない。それ以降も、自殺対策基本法の改正、あるいは児童虐待防止法の改正、直近では少年法の改正等があった。教職員に関しては、法律を背にした生徒指導という点で、法知識が大切である。新学習指導要領やチーム学校の考え方も盛り込んでいる。特に、働き方改革も背景にある。
 また、今回の提要に関しては、2の基本的な考え方に沿って、教職員、学校の教員だけでなくて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの方々、あるいは関係機関の方々が読者であると想定して、内容や書き方を配慮している。また、利用者が参照しやすくなる工夫ということで、デジタルテキストにする。注意していただきたいのは、当初は本体の分量に関して極力削減ということを留意していたが、分量はかなり多くなっている。特に第II部の各トピックを読むと、未然防止から、対応、再発防止、法律、関係機関との連携の概要が分かるという方針で作成したため、結果的には分量が多くなった。
 資料2は、今回の目次構成である。全体的には2部構成で、第1章が生徒指導の基礎。第1章は、生徒指導の基礎で、生徒指導の定義、構造、方法、基盤、それから、取り組み上の留意点という構成。第2章は、特に学習指導要領との関連で、生徒指導と教育課程についてである。児童生徒の発達を支える教育課程、教科・科目等の目標と重ねて行う生徒指導、道徳教育と生徒指導、総合的な学習(探究)の時間と生徒指導、特別活動と生徒指導。第3章は、チーム学校による生徒指導体制ということで、教育相談体制、危機管理体制等を含めている。
 第II部の個別の課題に関する児童生徒への対応に関しては、いじめや暴力行為等。特に今回の改訂版では、第13章の多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導は、現行の提要にはない現代的なトピックを扱っている。
 第1章の生徒指導の基礎では1.1で特に生徒指導の定義を記載した。この定義に関しては、12ページの中段にあるとおり、「生徒指導の定義 生徒指導とは、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと児童生徒が、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことである。なお、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う。」としている。あくまでも子供自身を中心に置いて、自分らしく社会的な自己実現をできるかという点を強調している。ただし、これは教職員が何もしないというわけではなく、組織的・計画的に児童生徒をサポートし、いじめ等の課題が発生した場合は、指導や援助を行うという考え方で定義をしている。そして、この定義を受けて、目的ということで、「生徒指導は、児童生徒一人一人の個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達と、同時に、自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を支える。」としている。
 また、生徒指導上の実践上の視点として、自己存在感の感受、共感的な人間関係の育成、自己決定の場の提供、安全・安心な風土の醸成の四つに留意しながら生徒指導を実践していただきたいと考えている。
 1.1.3の生徒指導の連関性で、特に生徒指導とキャリア教育(進路指導)の関連性を示し、生徒指導とキャリア教育(進路指導)、あるいは生徒指導とキャリア教育(進路指導)の相互関係を示している。その後、生徒指導と教育相談の関係性を明示し、生徒指導と教育相談が一体になった形でのチーム支援の重要性を記述している。
 1.2の生徒指導の構造では、2軸3類4層構造を示している。図1.1を見ると、ベースは発達支持的生徒指導である。現行の提要で言えば、成長を促す指導に相当する。課題予防的生徒指導は、現行の予防的な指導に相当する。困難課題対応的生徒指導は、現行の課題解決的な指導に相当する。現行と異なるのは、課題予防的生徒指導を、課題未然防止教育と課題早期発見対応に分けている。子供たちの課題性に着目した4層構造、対象が全ての児童生徒か、一部の児童生徒か、特定の児童生徒かという対象に着目した3分類。また、2軸というのは時間に着目している。先行的・常態的な生徒指導、つまり、プロアクティブな生徒指導と、即応的・継続的な生徒指導、つまり、リアクティブな生徒指導である。課題性、対象、あるいは時間という観点から整理を行い、2軸3類4層構造という重層的支援構造を示した。
 1.3の生徒指導の方法では、児童生徒理解について、共通要素を書いている。ガイダンスとカウンセリングは、第2章の教育課程と関連している。現行の学習指導要領の総則に児童生徒の発達の支援が新設された。また、学級経営の充実、生徒指導の充実、キャリア教育の充実の3本柱は小・中・高で貫徹されるという形になっている。特に、学級経営(ホームルーム経営)の充実の中で、ガイダンスとカウンセリングの双方による支援が明示されている。さらに、チーム支援の特色を示している。
 1.4では、生徒指導の基盤として、教職員の人間関係、すなわち、同僚性の重要性を記述している。生徒指導マネジメントでは、家庭や地域の参画と観点でで、特に、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動を取り上げている。
 1.5の生徒指導の取り組み上の留意点は、非常に重要で、現行の提要で触れられていない児童の権利に関する理解の重要性を指摘している。また、ICTを活用した生徒指導は、今後GIGAスクール下で、実践の蓄積がなされると予想している。また、不登校児童生徒への支援においても、非常に有効であると考えている。その後、幼児教育との接続の重要性を記述し、社会的自立に向けた取り組みということで、特に、子ども・若者育成支援推進法に基づくサポートも考えていく必要があることを示している。
 2章の生徒指導と教育課程に関しては、2.3において、学習指導要領の総則での児童生徒の発達の支援について記述している。2.2は、各教科と生徒指導の関連性である。
 2.3に関しては、道徳教育と生徒指導ということで、特に今回、「特別な教科 道徳」が新設されたため、その点を含めて生徒指導の相互関係に関して記述がされている。
 2.4の総合的な学習(探究)の時間と生徒指導は、総合的な学習(探究)の時間と生徒指導の関係に関して、記述されて、また、2.5は特別活動と生徒指導では、特別活動との関連性が記述されている。特に、特別活動の場合は内包している領域が多いので、分量も他より増えている。
 第3章はチーム学校による生徒指導体制ということで、量はかなり多くはなっている。
 3.1と3.2では、チーム学校という観点から、生徒指導の組織的実践を示している。
 3.3は教育相談体制である。現行の提要では、第5章で教育相談は独立した章にしていたが、今回は、生徒指導体制の中に入れ込んだ構成にしている。
 また、生徒指導と教育相談が一体となったチーム支援を明示している。いじめ等が起きてから事後対応的に行うチーム支援に関して、3.4.2以降に書かれている。チームの種類については、担任や生徒指導主事等が最小限の機動的連携型支援チーム、ミドルリーダーのコーディネーションによる校内連携型支援チーム、学校外の関係機関と組んだネットワーク型支援の3形態を示している今回は、発達支持的な生徒指導、あるいは課題未然防止教育におけるチーム支援プロセスを示している。チームで、授業改善や社会性を育成するプログラム等を開発・運用する重要性を記述している。
 3.6は生徒指導に関する法制度等の運用ということで、校則に関して記述をしている。文部科学省の校則の見直しに関しても通知も踏まえている。校則の策定や運用に関する留意点を示している。また、教職員の不適切な指導や体罰の禁止を含め、服務の遵守を強調している。
 3.7で学校・家庭・関係機関等との連携は、チーム学校下での地域を巻き込んだ地域支援システムの構築の重要性を記述している。特に、学校外で連携・協働可能な具体的な関係機関を、教育、司法、福祉、医療等から記述している。
【委員】  私からは、第II部のトピックごとに、どのような構成になっているのかということを説明させていただく。第4章のいじめから第13章の多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導まで、全部で十個のトピックを取り上げている。恐らく今の生徒指導提要に比べて、ボリュームが相当に増えている。デジタルテキストであるということをぜひ生かして、活用してほしい。そういう意味で言えば、例えば、いじめの問題が起きる前に、いじめが起きないように備える。備えるという意味で、例えば、第4章のいじめの章を見れば、校内研修の教材として使える。ここを一つの材料としながら、校内研修の中で教職員が検討・議論し、自分の学校の実情に照らして、これからどうしていこうかということを考えていく、そういう手がかりになればよいと考えている。そういう取組をしても、いじめ事案が起きる。あるいは、場合によれば、重大事態というようなことも起きかねない。そのときには、その対応をめぐって、研修のときに一度見ているにしても、もう一度ひもといて、マニュアルのように使えないだろうか。使ってほしい。そういう意図で作っていた。したがって、章ごとにある程度独立している。つまり、同じようなことが、例えば、第4章と第5章の暴力行為の中で、あるいは第11章のインターネットに関わる課題で出てくることもある。しかしながら、各章が独立したもの、独立した単体として活用していただけるものという、そういうコンセプトで作っていった。
 各章とも、まず、リード文を冒頭に置き、それぞれの章に係る課題の現状、そして、その章の概要等について、記載している。そして、章の構成としては、「積極的な生徒指導」を進め、それから、法の改正が様々あった、そしてチーム学校体制で臨むということを受けて、まずは、現在の生徒指導提要から新たな改訂版に至るまでの間にどのような法整備がなされたのか。あるいは、その法に関連して、国の基本方針・通知等がどう出されたのか。それが子どもの抱える課題にどう関連し、教職員の働きかけの中で何を求めているのか。法の理解をしっかりしようということで、まずは第1節に関連法規・基本方針等を置いた。そして、それに基づき、子どもの課題を捉え、まずは学校の中でどのような組織体制を築くのか。同僚性に基づく協働性が発揮できるような組織体制を、例えば、いじめの防止に向けて、あるいは不登校対策において、どのように進めていくのか、組織の在り方。アセスメントに基づいて、PDCAサイクルで対応していく。年間計画、年間の指導計画をどのように作っていくのか。これが第2節となる。そして、第3節に関しては、未然防止・早期発見・対応、こういう一つの流れになる。事が起きてからの対応ではなくて、まずは未然防止。そして、早く気づいて、早く関わり、深刻化させない。それでも難しい問題が出たときには、継続的に対応していく。2軸3類4層構造で生徒指導を進めていくということになっているので、重層的な支援構造がそれぞれ、いじめに関してどうなっているか、暴力行為に関してどうなっているのかということを示した。そして、第4節で、社会に開かれたチーム学校という視点から、関係機関等との連携、保護者・地域とのつながりというようなことをそれぞれ、不登校に関して、あるいは自殺の問題に関して、どのような連携が必要なのかを書いていくということで、全体の構成、各章の構成を作り上げていった。そして、第13章に関しては、現行の生徒指導提要にはない形で、今、子供の抱える課題が非常に多様化している、様々な背景を持つ児童生徒への生徒指導をどう進めていったらいいのか、本当に重要な課題であるということで第13章を設けて、発達障害に関して、あるいは精神疾患を抱える児童生徒に対して、健康の問題、あるいは虐待等も含めて家庭の状況、そのような非常に多様な課題について、これからどう対応していけばいいのか。多文化主義に立って多様性を認めていくという中で、生徒指導において多様な背景を持つ児童生徒にどう関わっていくのか。これを第13章という形で設けた。第4章のいじめを例に、具体的に、お示しする。
 まず、第4章、いじめについて、例として説明をさせていただく。4.1の前に、いじめの問題に取り組む留意点ということを、全体の状況を見渡し、何をしていけばいいのか、ここで何が書かれているのかということを簡潔にまとめる形で、リード文を示している。
 そして、4.1、いじめ防止対策推進法等についてということで、まず、いじめ防止対策推進法が成立するまでの経緯、法の目的といじめの定義ということを書き、そして、それに基づいて、国の基本方針がどのように策定され、どのような方向性を持っているのかということについて示している。それと、いじめの重大事態については、ガイドラインが出ているので、ここで、いじめの重大事態に対してどのような対応が必要なのかということをガイドラインに即して示している。
 そして、2節では、いじめ防止等の対策のための組織をどのように構成し、どのような役割を果たすことが求められているのかということが図示され、そこに役割として列挙されている。そして、実効的な組織体制をどう動かすか。それを基盤に年間の指導計画をどんなふうに立てていくのか示している。
第3節で、いじめに関する生徒指導の重層的支援構造。2軸3類4層を重層的な支援構造として、発達支持的生徒指導として、いじめに関して言うと、児童生徒が「多様性を認め、人権侵害もいじめもしない人」に育つように、人権教育や市民性教育を通じて、教科、教科外の活動、あらゆる日常的な教育活動の中で働きかけ、そして、いじめという課題に焦点化した形で道徳科や学級活動・ホームルーム活動、あるいは、それ以外の教科、教科外の活動も含めて、児童生徒主体のいじめ防止の取組を行っていく。そして、課題予防的生徒指導において、早期発見・早期対応。例えば、アンケートをする、面談をする、さらには、日々の健康観察の中で子供の変化に気づき、もしも予兆を感じたり、あるいは、いじめが見えてきたら、深刻化させないように即応的に対応して、特に被害児童生徒の安全を確保していく。そのような対応をしても、なかなか問題の解決が難しくなっていく場合も出てくるかもしれない。それを困難課題対応的生徒指導ということで、いじめの根本的な解消に向けて組織的な指導を継続的に進めていく。いじめ防止対策組織がケース会議を開き、被害児童生徒をケアし、加害児童生徒に対して成長支援も含めてどう指導し、関係修復を図っていくのかというような構造をまず図示し、そして、それぞれ発達的生徒指導で具体的にはどういうことがあるのか、また、いじめの未然防止教育にはどういう取組が考えられるのか、そして、いじめの早期発見対応おいてどのような点に気をつけなければならないのか、さらに、困難課題対応的生徒指導ということで、重大事態に発展させないようにどんな取組をしていけばいいのかという実際を示している。
 そして、最後の4節、関係機関等との連携体制。社会に開かれたチーム学校という視点から、関係者の連携・協働によって、いじめ対応をどう進めていくのか。そして、保護者・地域の人たちとの連携をどう進めていくのかというような構成で書かれている。
 同じように、5章以下も、今の構成に従って、なるべく全体の統一を図るというところで現在に至っている。もちろん課題によっては先ほどの重層的な支援構造にぴったり当てはまってこないものもあるので、その課題については、無理をして重層的支援構造に図式的にはめ込むということではなくて、発達支持から困難課題対応までということを意識しながら、その取組の方法・内容について書いた。
【座長】  最終形は、デジタルテキストとなる。「ブックマーク」は、アプリによっては「しおり」と呼ばれ、表示することができる。デジタルテキストの特色としては、例えば、2軸3類4層構造を見たいという場合には、目次から即、ジャンプができる。元に戻るときは、例えば、「しおり」のほうから即時的に戻ることができる。
 今回示した素案は、WordファイルをPDFにしたものである。今後、私がデジタルテキストを作成する。
 外部からの御要望にもあったが、文字が青になっているところは、脚注に回している。脚注も、例えば、赤で表示されたものをクリックしていただくと、即、皆さんがお使いのブラウザーで、該当のホームページを即開くようにしている。索引に関しては、例えば、「あ」、「い」、「う」とつけて、分類しようと考えている。索引からもジャンプできる。
【委員】 13~14ページの生徒指導の実践上の視点のところに、4点、自己存在感の感受、共感的な人間関係の育成、自己決定の場の提供、安全・安心な風土の醸成ということが書いてあって、これから私が意見を述べる、授業における生徒指導というか、生徒指導を生かした授業というところで、(2)の人間関係、(4)の安全・安心な風土は触れてあって、とてもいいなと思う一方、(1)の自己存在感、特に(3)の自己決定の場ということで「主体的・対話的で深い学び」というところが少ないように感じたので、そこをもう少し書いていただければというところで、43ページに飛んでいただき、これは授業づくりのところだが、次の44ページに行っていただいて、この辺りに、「主体的・対話的で深い学び」であるとか、「令和の日本型学校教育」は御存じのように「個別最適な学び」「協働的な学び」を強調しているから、授業でそういうことを通して、子供の生徒指導というか、自己指導能力、さっきの自己決定等を育むというようなところがあるといい。
 もう1点は、チーム学校の図で右下に専門スタッフ、SC(スクールカウンセラー)・SSW(スクールソーシャルワーカー)というのがあるが、これを上のブルーゾーンに入れていただければと。チーム学校の方針ではスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを専門スタッフとして位置づけるということと、2017年の学校教育法施行規則で、スクールカウンセラーは心理の専門家、スクールソーシャルワーカーは福祉の専門家ということで、外部あるいは外部との接点というよりは、内部のほうで位置づけられたので、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは一緒に生徒指導を支えるチームになっていただくということで、養護教諭の隣ぐらいはどうか検討していただければ。
【座長】  最初のご指摘から、学習指導要領の教科と生徒指導の関連において、第1章で示した留意点や令和の日本型学校教育の視点を取り入れる。
【委員】  学習指導要領や「令和の日本型学校教育」という、教科の授業の中でやっていることをもう少し強調できればいいと思う。
【座長】  チーム学校に関しては、SCとSSW等をブルーゾーンの校内の中に入れ込んだほうがいいという御意見。そのほか、いかがか。
 キャリア教育との関連性はこのような形でよろしいか。
【委員】  語句の件で1点だけ。「キャリア形成」という語句が随所に見られるが、その言葉の解説が、207ページの欄外に「キャリア形成とは」とされている。しかし、Ⅰ部でも「キャリア形成」という言葉が大分出てきており、内容の理解に資するためⅠ部の早い段階で、語句の解説を入れていただきたい。
【座長】  生徒指導とキャリア教育の関連性で「キャリア形成」の文言を入れるようにしたい。
【委員】  提要は私たちの共通理解では、デジタルテキストの中に様々なマイナーチェンジがされていて、それぞれグレードアップしていくというふうに理解している。全体的なバージョンアップを10年のスパンで考えるよりは、デジタルトランスフォーメーションの流れとか、コロナを踏まえた、いわゆるグレートリセットと言われるようなものが速やかに行われていく可能性を踏まえると、5年ぐらいをめどにしたほうがいいのではないか。
【座長】  デジタルテキストのメリットは、例えば直近であれば、こども基本法が公表されたように、刊行後の法・通知等の変化にマイナーバージョンアップで、随時対応可能である。昨年の会議で、学習指導要領と同じように10年ぐらいのスパンでの改訂と、室長が言われていた。次の学習指導要領の改訂時に、改訂せざるを得ないが、その間をマイナーバージョンアップで対応していくのか、それとも、5年程度を区切りにして、メジャーバージョンアップをして、学習指導要領の改訂時もう一回メジャーバージョンアップをするのか。この点に関しては、最終回の検討材料にしてはいかがと思う。
【委員】  92~93ページ、チーム学校について、その前のところでは課題解決的なことについてかなり丁寧に書かれていて、ここは発達支持的生徒指導および課題未然防止教育におけるチーム支援ということで、これが今回新たに加わったので、それはよかったと思う。ただし、これで具体的に分かるか、懸念がある。93ページの頭のところに「漠然と取り組むのではなく、目標を立て、それに向けて計画的なプロセスをたどることが必要です。」とあり、そのとおりではあるが、これで先生方がイメージできるのか。
現行の生徒指導提要では、ガイダンスプログラムやピア・サポートという言葉もあった。例えば、そういうようなものとか、道徳や特活といったものを使いながら、系統的にやるみたいな文言が数行でも入っていたほうがいいのではないか。
【委員】  道徳教育のところは、今度、道徳は教科化が図られたということもあって、見出しのところの「道徳教育と生徒指導」というのは、3月の段階では「道徳科を要とした道徳教育と生徒指導」としてあったかと思う。道徳科を強調するかどうかという意味合いで、いま一度、御検討いただきたい。
【座長】  続いて、第II部のほうの御意見をいただきたい。
【委員】  1点目は、少年非行への視点ということで、153ページ。第2パラグラフの2行目の「子供を育てづらいと保護者が感じた場合等には、愛情が十分に与えられなかったり、適切な世話がなされず」というところの「愛情が十分に与えられなかったり」というのはなくてもいいかと。「適切な世話がなされず放っておかれたり」というのは事実の観察なので分かるが、「愛情が十分に与えられなかったり」というのは物事の解釈の部分になる。これから保護者支援をする立場では、この文章は再検討していただければと。
 もう1点は、261ページの13.1.3の発達障害が抱える課題のところで、「発達障害が抱える課題」というのは、今回、「課題」ということを生徒指導提要では一貫して使っているのでこういう表現になったのかなと思いながらも、どう理解するのか、多様な理解がありそうで、「発達障害に関連する課題」というほうが分かりやすい。
 それから、そのパラグラフで、(1)の自閉症の上の4~6行で、「暴力行為、不登校、不安障害など様々な二次的な障害による症状」というところだが、最近、いろんな方と話していると、「二次的な問題」ということをよく聞く。この文脈から言うと、不登校は障害ではない。ここは「暴力行為、不登校、不安障害など、様々な二次的な問題が出てしまう。」というほうが誤解はない。同じように、その次の行の「これらの二次的な障害による不適応の問題を考える際は」というのは、「これらの二次的な問題(不適応の問題等)を考える際は」というふうにすると伝わりやすい。
 最後に、153ページの「愛情が十分に与えられなかったり」の次のパラグラフで、「また、幼児期(3~6歳)には、愛情を得るために保護者の大切にしている物にいたずらしたり」とあるが、保護者との連携で言えば、「保護者の注目を得るために」としたほうが通りやすいかと。
【委員】  細かいところでの表現で気になったときの扱い方のタイムスケジュールを先に教えていただきたい。
【事務局】 今日いただいた御意見も、文言修正などは事務局のほうでさせていただくが、内容的に座長をはじめ委員の先生の御協力をいただきながら直すところもある。事務局で直すところは直しながら、委員の先生に御協力いただくところはお声がけさせていただき、もしこの会議内で細々としたところで言いそびれたというところがあれば、メールでいただければ、それも併せて事務局のほうで統一・修正をする。
【座長】  どうしても表現の仕方にある程度ばらつきが出てしまう。今、御指摘のあったような細かい表現に関しても、会議の後に修正意見の収集をする。編さん委員のほうでもかなり読み込んではいるが、時間の制約もあって、見落としがあったり、気づけていない箇所もあるので、委員の皆さんで再度、差し替え版のほうを読んでいただき、微細な修正でもよいので指摘していただきたい。 文章を客観的に読んだ時に、主要な読者の教職員だけでなく、一般の方々も含めて、この表現であれば、一意に内容が読み取れるというレベルまで持っていくほうがよいと思うので、細かい点まで御意見をいただければと思う。会議の後に、御意見をいただくようにしたいと思う。【委員】  大きめのところで2点、6章の非行に関するところで、保護観察所、あるいは保護司の対応のところが十分書けていない。例えば、司法手続と少年院は書かれているけれども、保護観察、これは仮退院の場合とかで、中学生や高校生だと保護観察がつきながら頑張って学校を出るという子供たちもいる。ここのところは関係部局との調整含みで提案あるいは修正が必要かと思う。
 それから、これもむしろ3章のほうに大きく影響するが、例えば、7章の虐待であるとか、あるいは13章の家族のところとの関係で、市町村の役割、それから、今回の話で言うプロアクティブ的な意味で言うと、虐待の通告のことは3章に書いているが、要保護児童の通告であるとか、要支援児童や特定妊婦についての情報提供の部分が読み取りにくい立てつけになっている。平成28年以降の法改正で市町村の役割ということが現行の提要ともかなり変わっているので、整理が必要。
例えば、非行の部分の要保護児童通告の場合、その通告先には市町村が入るので、市町村と児相との連携という問題になるので、選択肢としてはそういうことがあり得る。厚生労働省のガイドラインのほうもそういう書き方を最近修正されて書かれているので、それに対応する形でまたお伝えしたい。
【委員】  10年前は保護司のことが結構書かれていたが、あまりにも必要ない部分が多かった。今回のようにこざっぱりと書かれたことは非常に分かりやすいが、かえって分かりにくく、離れてしまったという感じがあるので、御意見をいただいた中で、もう一度持ち帰りまして、この辺までは入れたほうがいいというのを検討させていただければと思う。
【座長】  現行の提要は少年非行や保護処分はかなり詳細に書かれている。現状の記述でよいか、ご意見をいただきたい。
【委員】  今の保護観察に関しては、3章のところは保護司だけで、肝心の保護観察所並びに保護観察官が出てこない。そこの立てつけをしっかり書いてもらうことと、それから、6章の非行に関しての保護処分のところは、少年院までは書いてあるが、仮退院後の保護観察と家裁からの保護観察については、学校がどう取り組むか、どう理解するかということを含めて加筆が必要と思うので、その辺り、場合によっては私のほうと調整させていただくことも含めて、共有させてもらえればと思う。
【座長】  現職教員対象の生徒指導関係の研修の講演において、少年非行でそこまで研修等で説明しているものは意外と少ない。逆に言えば、提要でそこまで突っ込んで記述しておくほうが望ましいか。
【委員】  例えば、少年院に入った子が今までみたいにすぐ退学だというご時勢ではないので、戻ってくるぞというときに、学校はその後、どんなふうに絵を描いて受け入れたらいいのかというようなこととか、最低限のことでいいと思う。
 それから、3章の関係では、保護司が表に出ているのだが、保護司さん単独でその子の処分を決められるわけではないということとの関係で言うと、ミニマムなところで、保護観察において保護監察官がおり、非常勤の国家公務員である保護司さんがそれをしっかりサポートするという構造を数行書いておけばいいというイメージ。
【委員】  127ページの下のマル1の最後のところで、「児童生徒が「いろいろな人がいた方がよい」」という、すばらしい書きぶりだとは思うけれども、「いろいろな人がいて、互いを理解しようと努めるのがよい」と、その状況が違いを認め合うというところまで踏み込んだほうが、現場の感覚だと、意味が現場に届きやすい。
 同様に、222ページの(1)の2行目も非常にすばらしい書きぶりであると思うが、もし可能であれば、「互いの違いを理解しようと努め」ということを加えられたら、現場の人間としては分かりやすい。
【座長】  今回の提要ではそういった多様性を認めるというのは一貫しているので、その部分は修正したい。
【委員】  全体を通して、大変読みやすい、理解しやすい提要で、対象の先生方、大変ありがたい資料になると感じている。
 青少年教育振興機構ということで、子供たちの豊かな体験活動を通して健全育成を図るということが役割・使命なのだが、そういった意味でどうしても2.5の特別活動を中心に読んで、内容的に学習指導要領の関連項ということで分かったが、1件だけ、57ページにマル1からマル4まであるが、マル1の学級活動・HR活動、マル2の児童会・生徒会活動、マル3のクラブ活動については学習指導要領の目標に沿った記述がされているというふうに思ったが、マル4の学校行事だけは書きぶりがマル1、マル2、マル3とかなり違う。できれば、マル1、マル2、マル3と同じように、学習指導要領に沿った形で書かれていたほうが望ましい。
【座長】  この後に関しては、会議終了後に事務局のほうから、御意見を聴取するものをメールでお送りするので、そこに記入していただいて、返していただきたい。我々も時間とエネルギーを使って編集作業をやっているが、タイムリミットもあって、何回も読んだり、書き直したりもしているので、現状でも誤植があったり、先ほど言われたように、あと一言あったほうが分かりやすいとか、句読点をはじめ、単純な誤植から、こういった表現のほうがより分かりやすいのではないかなど、そういった細かい点まで、もう一回、御一読いただいて、意見をいただきたい。それを受けて、修正すべきところは修正していく。
【事務局】 今後のスケジュールについては別途御連絡申し上げたい。
【座長】  次回の会議で、最終回ということになると思う。その後、文部科学省のホームページの掲載手続ということになる。次回日程については、改めて事務局から御連絡をお願いしたい。
 それでは、これにて閉会とする。
                                                   ―― 了 ――
 

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課