生徒指導提要の改訂に関する協力者会議(第7回) 議事要旨

1.日時

令和4年3月29日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

Web開催(Zoom)

3.議題

  1. 生徒指導提要の改訂試案
  2. その他

4.出席者

委員

   浅野委員,新井委員,池辺委員,石隈委員,伊藤委員,伊野委員,大字委員,岡田 俊委員,岡田 弘委員,奥村委員,栗原委員,笹森委員,七條委員,髙田委員(代理人出席),土田委員,野田委員,針谷委員,藤田委員,三田村委員,三村委員,宮寺委員,八並座長,山下委員
   

オブザーバー

   小野オブザーバー,滝オブザーバー,宮古オブザーバー  

文部科学省

清重児童生徒課長, 鈴木生徒指導室長

5.議事要旨

【座長】  第7回生徒指導提要の改訂に関する協力者会議を開催する。本日は、昨年末からの経緯や今後の流れについて事務局より説明していただき、私から生徒指導提要の試案の内容を説明し、デジタルテキストのデモンストレーションを行う。残りの時間をフリートーキングとさせていただく。
【事務局】  原稿については、1月末から本会議の委員及びオブザーバーに編さん作業を実施させていただき、第6回会議において委員の皆様に素案をお示ししたところだが、原稿については、中身の精査を行うため、事務局としてはもう少し御議論いただく時間をいただきたいと考えている。
 具体的には、新年度4月以降、各章御執筆いただいた方や委員の協力を得ながら、それぞれの章を少し詳細に詰めていく作業を進めさせていただきたい。可能な限りこの会議の委嘱いただいている委員の皆様におかれては、令和4年度以降も協力をお願いできないか。
最終的には夏頃をめどに完成させていただき、文部科学省のホームページ等々で公表できればと考えている。
【座長】  皆さまの御協力で一通りのものはできたが、御執筆いただいた原稿を基に全体の一貫性などを調整していきたい。各章の記載の調整も、委員の協力を得ながら調整を進めたい。事前にいじめや自殺の現状等についてヒアリングをお願いした新井委員に副座長として各委員の協力を得ながら、各章を集中的に御確認していただくことを考えているがよろしいか。
(「異議なし」の声あり)
【座長】  それでは、今後の確認に関しては、各執筆分に関わる委員の協力を得ながら、新井委員を中心に調整を進めていく。もちろん私も当然参加する。最後の刊行に関しては、デジタルテキスト化という大きな作業が残っており、私と事務局で進めていきたい。
 では、続いて資料3の生徒指導提要の試案の内容に関して、改めて御説明させていただく。
 第Ⅰ部は生徒指導の基本的な進め方で、第1章、生徒指導の基礎、1.1が生徒指導の意義・実践上の視点、1.2が生徒指導の類型、1.3が生徒指導の方法、1.4が生徒指導の基盤、1.5が生徒指導の取組上の留意点となっている。特に外部から御要望があった点に関しては、1.5のところで、児童の権利の理解やICT関係等々記述はしている。
 第2章が生徒指導を意識した教育課程で、特にここは学習指導要領と生徒指導の関連性に関して記述したものである。2.1が児童生徒の発達を支える教育課程。新学習指導要領では、総則部分で、児童生徒の発達の支援が小・中・高一貫して出てくる。特別の教科道徳や特別活動は、学習指導要領の領域ということで入れている。2.1が児童生徒が発達を支える教育課程、2.2が生徒指導を意識した教科の指導、2.3が生徒指導を意識した道徳教育、2.4が生徒指導意識した総合的な学習、もしくは探求の時間、2.5は生徒指導を意識した特別活動になっている。
 今回、力を入れているのは第3章の生徒指導体制である。いわゆるチーム学校を意識した生徒指導体制である。3.1がチーム学校における学校組織、3.2が生徒指導体制、3.3が教育相談体制となっている。3.4が、従来の学級担任、あるいはホームルーム担任が1人で抱え込むような生徒指導ではなくて、教職員がチームとなって支援していくチーム支援に関して書かれている。具体的には、生徒指導と教育相談が一体となったチーム支援、3.3が危機管理体制である。3.6が生徒指導に関する法制度等の運用ということで、校則、懲戒等々を扱っている。3.7が学校・家庭・関係機関との連携・協働になっている。
 第Ⅱ部は個別の課題に対する生徒指導で、関連法規、あるいは組織面、体制面、未然防止、早期発見・早期対応、課題解決という構成になっている。第Ⅱ部では、先生方がもしトピックとして何か勉強したいときには、各章を取り出して見ていただくと、必要な法的な知識、組織体制、あるいは未然防止の考え方、早期発見・対応の考え方や課題解決の方法を理解できるようにしている。現行の生徒指導提要はこの部分は非常にページ数も少ないが、今回の改訂版では、Ⅱ部は肉厚になっており、内容も異なっている。
 第4章いじめ、第5章暴力行為、第6章少年非行、第7章児童虐待、第8章自殺、第9章中途退学、第10章不登校、第11章インターネット・携帯電話にかかわる問題、第12章性に関する課題となっている。
 第13章に関しては、現行の生徒指導提要にない、現代的な課題を取り入れた。節としては、13.1は発達障害等に関する課題と対応、13.2で精神疾患に関する課題と対応、13.3で健康問題に関する課題と対応、13.4で家庭的状況となっている。
 第1章の意義のところで定義を述べている。皆さんから御指摘もあった自己指導力に関しては、それに関しては生徒指導の意義部分で述べている。
 第Ⅱ部との関連で重要になる類型に関しては、編さんチームの見解も含めて、このような形で提示している。現行の成長を促す指導は、改訂版では発達支持的生徒指導としている。この指導は全ての児童生徒が対象で、日常の授業での生徒指導や社会的な資質・能力の育成に働きかけるものを含む。
 課題予防的な生徒指導は、現行の提要とは若干異なり、2つに分けて、課題未然防止教育と早期発見・早期対応となっている。通常予防的といったときには、日常会話のレベルでは、防止教育も含まれているという意味で、この類型に課題未然防止教育を含めている。
 課題解決的生徒指導に関しては、従来と同じ。
 発達支持的生徒指導と課題未然防止教育を、ブルーで色分けし、積極的・先行的としている。課題未然防止教育は先手打って防止教育を実施するという意味で、積極的・先行的である。アメリカのスクールカウンセリングは、脚注にも書いているが、いわゆるプロアクティブと呼ばれる生徒指導である。プロアクティブとは、積極的、先手を打つという意味で、先手型とも呼ばれている。今回の改訂版の中では、課題が起きてから何かをするのではなくて、起きないようにどうするか、あるいは、子どもたちの個性やよさを発見や、社会的資質を伸ばしていくことを支えるということを重視している。
 生徒指導の方法では、児童生徒理解ということで、児童生徒理解の全般的な留意点を述べている。
 課題解決的生徒指導では、児童虐待やネットを利用したいじめ等もあり、学校だけで対応することは非常に難しい。教職員個々が抱え込むのではなく、児童生徒の実態把握、アセスメントを行い、それに基づきどのように解決していくかというプランニングをする。アセスメントからプランニングという手順を踏んで、組織的に展開するチーム支援のポイントと留意点を示している。
 現行の提要に記載のない部分は、生徒指導の基盤である教職員の同僚性である。職員室の雰囲気や教職員の人間関係が、生徒指導では非常に大事である。また、人を相手にする場合、教職員個人が、自己のメンタルヘルスをどう維持していくかが非常に大事になるので、それについても述べている。
 生徒指導マネジメントに関しては、PDCAサイクルということで、計画・実践・点検・次年度の改善というスパイラルな広がりについて述べている。
 家庭や地域の参画に関しては、方法論としては非常に難しいが、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動を活用して、地域を巻き込んだ生徒指導が非常に大事になってくる。その意味で、家庭や地域の参画を入れている。
 1.5は、特に御要望のあった点である。児童の権利の理解ということで、特に4つの原則を述べている。これは、教職員、児童生徒、保護者、地域でも必須だということを強調している。
 ICTの活用では、GIGAスクールの進行により、生徒指導と学習指導との関連づけが可能になる。学習情報、つまずき、悩みなどのデータを利用して、早期に課題発見して対応していくことが、可能となる。また、不登校児童生徒等の教育機会の確保という点でも、ICTの活用は非常に有用であると述べている。
 幼児教育と小学校の生徒指導の接続ということを取り上げている。これは現行の提要にはない。
 また、社会的な自立に向けた取組ということで、特に民法改正で18歳に引き下げられることに伴って、ひきこもりも視野に入れて、子ども・若者育成支援推進法等を踏まえた支援も必要であると述べている。
 2章のほうは、生徒指導を意識した教育課程ということで、学習指導要領との生徒指導の関連について述べている。
 形式的なこととして、今回デジタルテキストで刊行をするが、分量は現行の生徒指導とほとんど変わらないぐらいではないかと思っている。最終的には、デジタルテキストでホームページの公開を考えている。去年も第1章の「生徒指導の基礎」と、第Ⅱ部の第4章「いじめ」のサンプル原稿を、私が作成した。今回も、第1章と第4章のデジタルテキストを、私が作成したのでお見せする。
 PDFを表示しているが、左側にあるのはいわゆるしおりと呼ばれているもので、このしおりから簡単にジャンプが可能になっている。目次をクリックしてもらうと、目次からも指定箇所にジャンプできるようになっている。
 デジタルテキストに関しては、推敲中のものなので、完成版ではない。ラテフまたはラテックと呼ばれて論文作成のフリーソフトを利用して、デジタルテキストを作成しようと考えている。本文が12ポイントで、かなり文字は大きい。脚注の文字が小さいと思われれば、簡単に拡大・縮小を行える。それも、デジタルテキストの利点である。
 文字の赤いところには、外部リンク先を埋め込んでいて、クリックしてもらえば、該当するホームページが開く。
 索引もあるが、最終の索引ではあいうえおを付記しようと思う。索引のブルーの頁数をクリックすると、該当ページにジャンプする。
 第Ⅱ部に関しては、関係法規や学校の組織体制、未然防止、早期発見・対応、関係機関等で統一しているので、各トピックごとに取り出し、関連研修に使えるという形にしている。法規等については、今後改正があると思うが、そのときにはすぐデジタルテキストを事務局で修正し、マイナーバージョンアップできることもデジタルテキストの利点である。
 以上、私のほうから説明は終わらせていただく。
 それでは、次年度以降の改訂スケジュール及び生徒指導提要の試案等の内容について、御質問とか御意見があれば発言していただければと思います。
【委員】  さらに議論が必要ということで、八並座長、それから新井副座長で執筆者と詰めていくということは承知した。デジタルテキストについては、現場の教職員が御自分のパソコンのトップページに置き、いつでも見られるようになればいいと思う。
 類型に関しては、現行の提要では、3類型で発達支持的、課題予防的、課題解決的と呼応する。課題未然防止教育が、現行の提要では発達支持的生徒指導の中に含まれている。これは、発達支持的というのは全ての生徒を対象としているので、授業や行事、チーム学校で、教育課程も含めて全て行うという意味で、発達支持的のほうに入るほうがおさまりはいいと思う。
 生徒指導、教育相談、特別支援教育、学校保健の大学生も読む教科書に既にこの3つの類型が含まれているので、若い人にも通じやすいと思う。
 全ての子供へのいわゆる積極的な生徒指導が極めて重要で、全ての生徒に授業型という生徒指導ができれば、予防的なところ、問題解決のところのニーズは少なくなる。この基盤をしっかりさせることが、今回の提要の大きなところ。ここは、本質的で大きな議論なので、Ⅱ部のいじめ、非行、学校保健、不登校等も含めて、引き続き中心課題として議論していただきたい。
Ⅱ部を読むと、11月時点での目次に沿って、未然予防というのが発達支持的と同じように書いてあるところもあれば、少し今回の類型に合わせて修正しているところもあり、この辺の統一は必要。
 予防という概念はとても大事で、今の教育相談の議論の中でも、課題予防というのを取り上げることがあるが、これはリスクの高い子供たち、転校生とかLGBTに関しては、未然防止はプラスアルファで、一部の子供にもやるという方向になっている。発達支持的は全ての子供、課題予防的はさらにその上に付加的に付け加える一部の子供への援助、支援、生徒指導。それから、課題解決は発達障害や長期の不登校など、本当に個別支援が必要な人へのプラスということで、途切れのない3階建てという理解がいいのではないか。
【座長】  例えば、薬物乱用防止教育は、学校保健の中では3類型のどこに入るのか。
【委員】  薬物乱用防止教室は、まずは全ての児童生徒に情報を伝えて、要するに基礎となる知識を与えるということが大事であり、発達支持的生徒指導のところに入ると思う。それがやはり基盤になれば、その後のいろんな課題が未然に抑えられるということで、一番基礎的なことになっている。
【座長】  ここの部分はⅡ部の個別のトピックとも関連するので、4月以降の冒頭でも吟味はしていきたい。
【オブザーバー】  学校現場としては、例えば今の薬物乱用防止に関してももちろん全ての子供たち対象ではあるが、特定のものだけではなく、そのほかのあらゆる教科の授業を生徒指導の視点で考えていくべきであり、それを発達支持的生徒指導と捉えている。学校ではなかなかそこのところがつながらなくて、例えば薬物乱用防止教育のように何か課題的なものが頭についたときに生徒指導をイメージできる。そうすると、課題が頭につくものばかりが「全ての子供たちを対象にした」生徒指導というイメージになってしまい、発達支持的な生徒指導にこれらを含めてしまうと、それだけやっていればいいとなってしまう恐れがある。現状はそうなりがちである。
 そう考えたときに、どんな教科でも発達支持的生徒指導の視点をより明確にするために、課題を想定しないことに特化した生徒指導として発達支持的生徒指導を当てる。そして、例えば薬物乱用といったように、すべての子ども対象であっても、何かの課題が頭につくようなものとして課題未然防止という立てつけにしておいたほうが学校としてもしっかり区別して取り組んでいけると思う。
 だから、改訂試案のイメージのほうがより伝わりやすく、こちらに賛成させていただきたい。全ての子供たち対象とした指導には、個別も集団もある。集団の質を上げる集団指導と、個々の子供たちに対してということを明確に区別できないかという悩みもあり、改めて発言させていただいた。
【座長】  発達支持的生徒指導は日常の授業も含む働きかけである。小学校でも、例えば自分のいいとこ探しなどによる自己理解や他者理解の活動、キャリア教育も発達支持的生徒指導に入る。そういう点では、課題未然防止教育に関しては、こちらの類型のほうが分かりやすいだろうという御意見であった。
【委員】  多分課題未然と早期発見とをセットにして課題予防にしているのが分かりにくい。課題未然防止は発達支持的に極めて近くて、発達支持的生徒指導(課題未然防止教育を含む)とするか、あるいは課題予防的生徒指導という言葉のどこかに持っていくとして、発達支持的という基盤があって、課題未然があって、早期発見・早期対応があって、課題解決があるという4つで整理するか、いろいろな議論が出てくるかと思う。様々な授業の中で人を大事にする、心と体を大事にするというのが発達支持的な生徒指導と理解しているので、課題未然防止教育の位置づけは、どこに近いかということも含めて、さらに議論ができればと思う。
【委員】  いじめの類型図について、もともと未然防止を発達支持に入れて考えてきたが、人権教育や市民性教育、あるいは多様性を認め合うというような日々の授業、あるいは特別活動等を通して行っていくものを発達支持的生徒指導としている。そして、道徳、学活、ホームルーム、あるいは総合的な学習の時間等でいじめ防止の取組を行う、いじめ防止という課題を明確にした課題未然防止教育、あとはアンケート、面談習慣、健康観察、ある意味発達支持的なところにも入ってくるけれども、子供たちの変化を見逃さないようにということで、早期発見・早期対応ということで予防的生徒指導のところに入れてスクリーニング的な要素を持たせる。そして、いじめの疑いが出てきた、あるいはいじめ事案ということが明確になったところで、適切かつ迅速な対処をするということで課題解決的生徒指導という考え方でよろしいのか。
 書いていきながら私の頭の中では4で考えていた。3というのにこだわらなければ、例えば、未然防止的生徒指導を入れて4類型という考え方もできるのかなということは、実際に本文や図を書き直していく中で感じたところ。実質的に考えると、4類型と言ったほうがすっきり分かりやすいのかなという思いがある。
【座長】  現行の提要をベースにしているので3類型にこだわったところもあって、今後もう少し詰めて、この類型のところも議論が必要と思う。
 あと、2章のほうはいかがか。
【委員】  2.1のところ、児童生徒の発達を支える教育課程となっているが、これが目次構成案のほうを見ると、児童生徒の発達の支援を支える教育課程となっているのでそこは修正いただきたい。「児童生徒の発達を支援する教育課程」という言い方もあるし、「児童生徒の発達を支える教育課程」というのもある。
 以前の案では、それぞれ教科の指導における生徒指導、それから道徳教育における生徒指導、総合的な学習の時間における生徒指導、特別活動における生徒指導という、何々における生徒指導となっていた。恐らく議論をされた上で、生徒指導を意識した教科の指導、生徒指導を意識した道徳教育という形になっている。今までの感覚でいくと道徳教育における生徒指導、教科における生徒指導という感覚があるので、そこをあえて変えた意図があれば、御説明いただきたい。
【オブザーバー】  実はこれがベストだと思っているわけではない。従来との関係で「おける」というほうで通りがいいのであれば、こだわる気はない。ただ、いろんな授業の場面で生徒指導的な視点というのは必要という話がある。そういう意味では生徒指導が機能概念という表現をされているということは非常にいいことと考えている。
 従来的に言うと、例えば道徳教育における生徒指導と言うと、何かこのことをやっていることが生徒指導になると思われてしまい、これさえやっておけばよいという話になってしまうのも困る。むしろ、いろんな場面で先生方が、それこそ生徒指導の意義を考えていただく、あるいは教育相談的な視点を入れていただくことの中で言えば、こんな生徒指導のことを意識したらこんな特別活動になった、道徳になったと変わっていくということが望ましいのではないか。
 生徒指導のことを強く意識して自覚してやっていくことが、積極的な生徒指導ということだろう。意識したということの中で本当の意味で積極的に関われないかというところで、これに今のところ落ち着いている。この辺はもちろん4月以降の議論の中で、やっぱりこっちのほうがいいとか別な言い方がいいという提案があれば、ぜひ出していただきながら、そこは変えていくべきことだろうと思っている。
【委員】  内容に関して、ここを読んでいただいたときに、ほかを読まずとも道徳教育というのが教科になった、その趣旨がどういうことであるのかを、道徳を専門としている方は当然分かるが、ここだけを読んでもある程度理解できて、なお生徒指導とのつながりについても捉えていただけるようになればということで、もう少し丁寧な説明あればと思う。もし可能ならば、その点で少し増やした方がよいところもあので、御検討いただければと思う。
【オブザーバー】  それぞれの節のところでこだわりたい部分というのは当然ある。ただ、そこの部分をどこまで残すかとなったときに、取りあえずその3つの部分、道徳と特活と総合的な学習の時間の中で、共通に出せるものみたいなものをまず必ず残そうということで、そこを選んだ。
 例えば、御自分のところの学習指導要領はよく御存じだとして、例えば総合的な学習の時間の学習指導要領を仮に読んでみて、自分が専門ではないが、読んでみたとしたら、ここのところは大事だな、必ず共通して大事だなというところと、ここは総合の時間としては書きたいだろうな。でも提要に入れることだろうかみたいな感じのところがある。ぜひこの3つの部分に関して、あるいは私も含めれば教科の部分もそうだが、ほかの学習指導要領の部分もお読みいただいた上であえて、ほかと横並びにはならないが、やっぱりこれは入れておかなければいけないというものであればぜひ御提案いただいて、それを入れていければと思う。これは4月以降の中で、提案していただきたい。
 元の文章を見ながら、そこのところを生かしつつ直すという話を考えたときに、学習指導要領の総則編、それからそれぞれの、例えば、道徳の小学校編、中学校編、高等学校編を読みながら、なおかつ出てきた原稿を見ながら、部分的に直すと思うと難しい。
 私としては、一貫性を担保することのほうが重要と思う。どうしても国として責任持って出すといったときに、どこの根拠から持ってきたものなのか明確にしておきたく、趣旨は生かさせていただいたが、元の原稿が見えないとなっている。
 いずれにしても入れておく必要があるというところに関して、ぜひ意見を出していただきながら、そこの部分を含めて、検討できればと思っている。
【委員】  現場の先生方にとって、積極的な生徒指導、発達支持的な生徒指導を、いわゆる学級経営にどう取り入れたらいいかという点で参考になるような形で、さらに若い先生方にも、特別活動の考え方や、やり方、望ましい集団活動あたりをデジタルテキストも活用して新採用の先生でも分かるように御検討いただければと思う。
【座長】  例えば、望ましい集団づくりの説明情報のあるホームページを、各委員の先生方からいただいて、脚注もしくは本文で、クリックしたら該当箇所が開くということは可能である。
【委員】   第2章の生徒指導を意識した教育課程がほかの章とトーンがやや違う。ここは学習指導要領との関連のところであり、執筆者と、例えば国研の教育課程研究センターの研究官の方にも入っていただき、検討していくのもよいのではないか。
 それから、またICTの活用ということを考えると、デジタルテキストは必須であり、ぜひお願いしたい。
【座長】  2章に関しては、この後新年度に入ってから、執筆者の方、あるいは教育課程研究センターの専門官等も入っていただいて、検討していきたい。
【委員】  ここ2年間のコロナ禍の状況で現場で強く感じていることは、制約が多くてできなかった特別活動が、いかに学校の中で重要だったかということ。
 教育課程の第2章のところに、学習指導、生徒指導、特別活動、3つの三角形をいかにバランスよく大きく、しっかり教育課程の編制や実施の中でやっていくことが重要か、子供の健やかな成長により一層つながるかなど、特別活動自体を重要視するような表現があると、現場も今の実感に合う感じが伝わってくる。
【座長】  現場の先生方のお話をすると、やはり特別活動の重要性、あるいは学校行事の重要性を改めて感じる。また4月以降のブラッシュアップのところで、今、御指摘があった点も含めて検討していきたい。
【委員】  17ページだったと思うが、発達支持的な生徒指導の何をするかというところで、そこには「自己理解力や自己効力感、コミュニケーション力」といって、「などを含む社会的資質・能力」という言葉と、次がキャリアとなっている。これが学習指導と絡んでキャリアとなっているが、教育相談となるとやっぱり個人的な資質というかパーソナリティの問題が当然あり、このことが入らなくてよいのか。
 それともう1点が、チーム支援のところで「課題解決的生徒指導におけるチーム支援のプロセスを示しましたが」と書いてあって、発達支持的生徒指導と課題予防については省略しますと書いてある。今回の生徒指導提要の1つのトピックは、発達支持的な生徒指導、教育相談をどう進めるかだと思うので、短くてもいいから書いたほうがいいのではないか。
 発達支持的な生徒指導と課題予防的な生徒指導の基本的な進め方、具体的には生徒指導、生徒指導主事と教育相談コーディネーターが協力するなど、そこに特別支援のシステムを入れるなど必要なのではないか。
 私の危惧としては、発達支持的というと何か発達に縛られる感じがある。成長支援といった言葉のほうが個人的には腑に落ちる。
【座長】  今回「総則」において、児童生徒の発達の支援が明記され、発達という用語が使用されている。成長は物理的な伸びを指すような用語なので、発達と用語を選択した。また、促進も、教職員がそれを押し進めなければならないという印象を与えかねないということで、編さん委員の先生方の議論から支持という用語にしている。
【委員】  第3章に関しては、実は一部1章のほうにあったのを移した。分量のこともあり、主に課題解決的なところで生徒指導と教育相談が一体になっているというのがもともとあったものであり、それを生かして、最後に言い訳のようにこう書いてある。
 学校として、例えば課題を見いだして、全校体制で生徒指導、教育相談を核にしながら子供の成長が個性の発現、社会性というのが身につくように、学校としてどうやっていくのかということを進めていくというのを書いていくということが、分量的にも許されるのであれば、また4月以降検討していく中で、検討していきたい。
【委員】  アセスメントという感覚は、教育相談では比較的当たり前のように取り上げられる概念である。それを例えば生徒指導の先生方や担任の先生と共有して、こういう課題がある、これにどうやって教育課程の中でやっていくかといったことが、発達支持的な生徒指導には重要だと思う。
【委員】  今回また本当に先生方、推敲に推敲を重ねていると思う。これから読み込んで、次の会議でまた感想を述べさせていただきたい。
【委員】  豊富な事例や方法が盛り込まれていて、量が多くても本当に必要なときに必要なものをピックアップでき、非常に使いやすくなってきているのではないか。
生徒指導提要は、私も長年すごくよく活用させていただき、最初にこれを読んだときに、何か吸い込まれるように情報が私の中に入っていって、自分の経験とあまり齟齬なく、あるいはでも発見があって、すっと入っていったという思い入れがあった。やはりすっと入ってくるようなものが重要。
 例えば、チームという言葉がたくさんある。チームというのはすごく奥が深くて、ある目的を持って形成された体制ということの意味が、チームという言葉の定義づけの中に込められている。チームといっても重みを分からないでほとんどの人は多分読むと思う。現場の職員が手元で吸い込むためには、用語の使い方を、特にⅠ部はやっていただいたほうがいいと思う。改訂試案を読んだときの感想で、ちょっと用語がハードルになりはしないかなというのがある。読みやすさというところも追求していくことが、本当に浸透していくことになると思う。
【委員】  Ⅱ部を読んでいくと、立てつけが法から始まって、そして組織のことがあって、そして取組として未然防止、早期発見・対応、関係機関等との連携というということで執筆をしていただいた。例えば、いじめのところで関係機関との連携で書かれていることと、今度は不登校のところで書かれているところが重複する。通して読んでくと、また出てきたなって感じがする。これから詰めていく作業をしていく中で、考え方として、いじめはいじめで完結しているものと見るのか。暴力行為について見るときにはここで見る、だから、関係機関との連携とか体制とかといったときに、同じような記述が4章でも5章でも10章でも出てくるということをよしとするのかどうなのか。
【座長】  各トピックが、完結型であれば関係機関の記載は必要となる。全体を読むと、同じような関係機関の記載が繰り返しになる。その辺は、議論の余地があると思うがいかがか。
【委員】  各章が方針が同じならいいが、微妙にずれていたりすると、混乱させる。また、少ない学校では、教員が十数人、多い学校でも二、三十人であり、組織といっても、多様に組織をつくれるわけではない。生徒指導の部会があり、それとは別に特別支援校内委員会があり、またそれとは別にいじめ対策委員会があると、メンバーにもかなり重複があったり、でも違う人がいたり、また、その取り扱う内容も微妙に違ったり、そうすると今度、それぞれ違う委員会同士の横の連携ということも出てくる。もっと効率的な組織を描けないかと常々思っている。
 生徒指導提要ができて、様々模範を示すことはいいが、その辺の整理の仕方だとか、つまり、国語、社会、数学それぞれ教科は違うけれども、学習の指導のポイントは共通している部分の押さえ方をどうしていくか、今後の1つ詰めていくときの課題と感じている。
【座長】  小学校でも、例えば1学年単学級がある。その中でチームを組みなさいと言われても非常に難しい。生徒指導体制では、学校規模による物理的制約を考慮した記載も必要だと思う。今後のブラッシュアップ段階で、御意見いただいた点を反映したい。また、執筆協力者の方や関連する専門家にも参加していただいて、再検討が必要だと思う。
その他、例えば、13章の多様な背景を持つ児童生徒の生徒指導は、今回現行の提要にはない現代的なトピックになっているが御意見ないか。
【委員】  気になった1つは、その章で完結させるのか、それとも、共通項を引っ張り出すかということで、13章の部分はほとんどがほかの項目と重なる、あるいは、ほかの項目の下に必ず下位概念として理解しなければならない部分が入ってくる。やはり使い勝手を考えると、ある程度そこの項目を見たときに、主にはそれに関わるような出来事が起こったときに、慌ててそこを見たときに、少なくとも最低限そこの中で頭出しはされてないといけない。深く研究するときにはリンクで飛ぶということでいいと思うが、多分現場はクリックして飛べるぐらいでも間に合わないくらいの火事場のところで使われることになるかと思うので、少なくともそこだけで一応完結を目指しつつ、奥の深いところをどう考えていくか。
 例えば要対協の応用編としてどうなのか、あるいは今回の中では事実確認というのがいじめだとか非行だとか虐待だとかいろんなところで重要だが、先生が生徒に質問することについて、慎重にやらなきゃいけない部分があるというあたり、ある項目でちょっと丁寧に書いていただいており、そこへ飛ぶようにしようというようにしたような部分もある。各章の完結を前提にしながら、そちら側へ必要に応じて飛べるという、電子版の強みを生かした構造でいいと考えている。
 また、1点、最近話題になる生理の問題は健康との関係で触れておかなくていいのかなというのは、ちょっと先日来気にはなっている。
【委員】  13.4のところは、掘り下げていくともっと深いところで、先生方にもたくさん知っていただきたいという部分に欲張った形になってしまって、もっとページ数も必要かなと思っている。先生も、新任の方とかであれば、本当に基本的な部分というところは御存じないかなと思うので、基本的なところをしっかり書き、法律本当に変わってくるので、そこをしっかり改訂して、法的根拠がしっかりあるものについては、そこをしっかり押さえていただけるといいと思っている。ここの部分も編さん委員の先生方にまたブラッシュアップしていただければと思う。
 また、これは法的な部分でも、言葉の使い方というのはあるが、いわゆる「こども」、平仮名で書く「こども」、あと「子供」を「子」に「共」と漢字で書く「子供」というのと、あと児童という言葉、あと児童生徒というような言葉が結構入り交じってくるので、そこのところはそこの根拠に伴って書いているのかと思うが、最終的なところでは、しっかり統一できるとよいと思う。
【座長】  提要の執筆要領では、原則、「児童生徒」を用いる。引用以外では、「子供」を用いる。
【委員】  生徒指導に関連して、児童生徒の基礎的な健康について正しい知識が大切である。基礎知識を共通認識することで、突発的な事案や難しい問題に、担任が個別に抱え対応するのではなく、チーム学校として見通しを持ち対応できるような内容となることが望ましい。
【委員】  チーム学校の図、先ほど52ページで新しいものを示していただいたが、チーム学校は、学校の中で専門スタッフを含めて連携を強化しようということと、学校、家庭、地域が連携しようということがある。そうしたときに、この図では家庭や地域、それから関係機関となっているが、もう一つの選択肢としては、左側の上を家庭ということにして、右側を地域にして、地域の中に隣人もいればいろんな方がいて、関係機関もあるという図もあるのではないか。学社連携、学社融合ということで、コミュニティ・スクールも含めていろいろな地域の方が子育て、学校と一緒に連携することが増えてきているのでということが1つと、家庭というのは、生徒指導、子育てを考える上で、家庭や地域の中に1個に入れるよりは、家庭を左上に置いて、右側が地域で、地域の中の1つが関係機関という選択肢もあるのではないか。
【委員】  不登校というのは背景に多様な問題をはらんでおり、その辺をどう書けばいいかという点が難しい。あと、確保法でも定められたように、「不登校というだけで問題とはみなさない」ということもはっきり定められている中で、未然防止という点についても矛盾なく伝えられるか悩ましい。
 文科省のほうで不登校に関する会議も続行中で、そちらとの兼ね合いも考えねばならない。今後御指導いただいて、書き直していくべきところは改善していきたい。
【委員】  学校のチームの組織図で、地域と家庭が一緒で、家庭からすると、いつも家庭があって地域がと考えられており、1つには分離するというのもあると思う。
【委員】  1次予防、2次予防、3次予防という考え方というのは、ある意味では公衆衛生学的な概念で、ある意味では病気に関わる概念だと思う。それを問題、課題というところに当てはめたとき、例えば不登校の先ほど未然防止という言葉がどうなのかという話もあったが、そういう病気に当たるような概念を課題のところに当てはめると、どうしてもちょっとずれが出てきてしまうというところがあると思う。予防を教育の概念としても非常に使っていくのか、それとも、未然防止とかいう言葉をもう少し、例えば不登校のところでは言葉を、不登校になる以前にできることとかいうような形で、少し柔軟に使っていくのかというのも1つのやり方としてあるかと思う。
【委員】  3.1.1の図について、家庭と、やっぱり取り囲む社会環境は別物。保護司会からしても、やはり地域の教育と家庭の教育は全く違う部分で、地域の教育によって育てられるということの重要性が最近は非常に取り上げられている。その部分が希薄になったということで犯罪も起きやすくなったということもあり、家庭の教育というのは学校と似た面もあるし、全く違う面もあるというのがあるので、その間に立つ地域の重要性は、これからも取り上げられていくものと思う。
 それから、13章に関して、宗教上の問題で学校の教育と反する部分が出てきたりするので、こういった部分の解決はどうしたらいいのかというのが悩む先生も結構おり、この辺については、どうしたらいいのかということがある。
 全部を読んで理解するというのは不可能で、まずそこのところで章に飛んで、そこで完結できるということが大事だと思う。先ほど同じことが何回も出てきてという意見があったけれども、それで私はいいと思う。どれだけ厚くなろうと、そこの部分で完結できるということが、私は大切だと思う。
【委員】  3点あります。一点目ですが、サンプル原稿では、17ページの図に、最終目標はキャリア達成と書かれていた。何を目指すための類型化なのか、最終目標があったほうがいいと思う。
 2点目ですが、52ページの家庭が地域に入るかどうかという議論の図について、私は学校も含めて地域だと思う。全体が地域で、その中でいわゆる家庭というファクターがあって、あるいはその地域なり事業所を含めて機関というファクターがあって、学校も地域だと思う。学校と地域という2極対立を考えている段階で、学校は社会化しない。学校と地域から対極するような概念を植え付けないほうが今後はいいと思う。
 そして3点目、第2章に「生徒指導を意識した…」とのタイトルが続くが、「…を意識する」という表現はそれに取り組む主体に依存している表現である。むしろ、「生徒指導の視点から見た…」のようなニュートラルな形で表現したほうが誤解を招かないと思う。
【座長】  ご意見をいただき感謝する。読者は現場が教職員の方なので、教職員の方が、すっと入ってくるような表現や構成が大事である。また、4月以降に皆さんには御協力いただいて、ブラッシュアップしたいと思う。
 以上をもって、第7回の会議を閉会する。
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