高等学校における日本語指導の在り方に関する検討会議(第5回)議事録

1.日時

令和3年9月22日(水曜日)10時00分~11時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 高等学校における日本語指導の制度化及び充実方策について(報告)(案)について
  2. その他

4.議事録

【佐藤座長】 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから高等学校における日本語指導の在り方に関する検討会議、第5回を開催いたします。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
本日も新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、オンラインでの会議開催に御協力いただいております。また、ユーチューブ配信によって傍聴を受け付けておりますが、会議冒頭から公開とさせていただいています。
委員の皆様におかれましては、御発言されるとき以外はマイクをオフにしていただけばと思います。御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、まず、本日の出席委員の紹介と配付資料・議事の確認に移ります。事務局からお願いいたします。
【小林専門官】 失礼いたします。国際教育課、小林でございます。
本日御欠席の委員はなく、全員御出席いただいています。
次に、配付資料・議事の確認等を行わせていただきます。
本日の配付資料は議事次第のとおりです。不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。なお、資料1「これまでの主な御意見」につきましては、前回の第4回会議で頂いた意見を追加しております。また、資料2-1といたしまして報告書(案)を、資料2-2といたしまして前回会議で議論いただいた論点整理(案)から報告書(案)への修正内容を明記した資料をお配りしています。また、資料3といたしまして、報告書の概要(案)をお配りしております。参考資料につきましては前回と同じでございます。
また、本日の議事につきましては、報告書(案)につきまして御議論いただく予定としております。
以上でございます。
【佐藤座長】 議事に入る前に、事務局から資料1について説明をお願いいたします。
【小林専門官】
資料1につきましてですけれども、第4回会議で頂いた御意見を追加しておりまして、追加した意見については下線を付しております。
例えば、「2.高等学校における日本語指導の制度化の在り方」の「教育課程上の位置付けについて」というカテゴリーの中ですと、委員の過去の御経験として御紹介いただいた日本語指導が必要な生徒が苦手な歴史の科目を2年次に取れるようにし、1年次には日本語の指導を実施するということを行ったことがあるという内容ですとか、また、日本語指導等について、現行制度を含めてどのような選択肢があるのかということを、例えば対照表のようなもので示してはどうかという御意見を頂きました。
また、「指導の内容について」というところに書いておりますけれども、「特別の教育課程」または学校設定教科・科目等による授業において、外国人生徒のキャリア支援や多文化の背景を育むような内容を取り扱うことも示してほしいという御意見も頂いております。
また、「3.高等学校における日本語指導の制度化に当たっての充実方策」の中で、「学校の体制整備について」としまして、文部科学省で実施している「外国人児童生徒等教育アドバイザー」を拡充し、都道府県あたり一人のアドバイザーを置けるようなことが検討できないかということですとか、高等学校において「特別の教育課程」を編成し、日本語の指導を実施する際の流れを明確にする必要があるということですとか、また、制度を導入して何年か経過した後に、見直しを行うべきであるというふうな御意見も頂いております。また、教育委員会において、日本語指導や多文化共生について所掌する組織を設け、小学校から高等学校までの学校段階を通じて総合的に担当するようなことが理想であるというふうな御意見ですとか、都道府県教育委員会の役割として、都道府県単位で小中学校から高校までを通しての日本語教育を中心的に扱う「日本語教育支援センター」や「多文化共生教育支援センター」のような機関を設置するのが望ましいということですとか、このセンターを拠点として、国際交流協会、大学、NPOなど関係機関と連携し、日本語教育や相談支援など、様々な取組の展開が期待できるというような御意見を、こちらは前回会議終了後にメールでお寄せいただきました。
また、「教師等の専門性の向上」の中に書いていますけれども、令和2年に有識者会議に取りまとめていただいた「外国人児童生徒等の教育の充実について」の報告書において、日本語教師の活用について、特別免許状や特別非常勤講師等の制度の活用の提言がありましたが、今回の検討会議の報告でも同じような提言ができないかという御意見も頂きました。
また、「その他」に位置付けていますけど、各教科等の「取り出し授業」や習熟度別授業については、日本語の指導とは異なる内容であり、あくまで教科の指導であるということを脚注などに明記すべきではないかという御意見も頂きました。また、同じ「取り出し授業」の話ですけれども、日本語指導が必要な生徒だけ分けて指導すればいいというものではなく、日本語の指導との連携を図ることとか、教科指導の中でも日本語の理解が進むことを意識するとか、専門性の必要な指導であることを明記してほしいという御意見も頂きました。また、日本語指導が必要な生徒の高等学校への入り口を整備するという観点から、公立高等学校入学者選抜における工夫、特別定員枠の設置などは重要であるので、各都道府県において取り組まれるよう、強調してほしいという御意見ですとか、会議においてヒアリングを行った高等学校の取組について、参考資料として掲載してはどうかという御意見も頂きました。また、日本語能力試験や英検などの資格取得を目指す高校生に対する支援も必要ではないかという御意見や、学校外における学修の単位認定の制度を活用して、日本語の学習を促進することなども提言してはどうかという御意見も頂いています。
資料1に追加した意見につきましては、以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
それでは、早速、議題(1)「高等学校における日本語指導の制度化及び充実方策について(報告)(案)について」に移ります。
前回の会議では論点整理(案)について議論いただきましたが、今回は前回会議で頂いた御意見などを踏まえて内容を追加し、報告(案)の形にした資料を準備していますので、こちらについて検討したいと思います。
まずは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
【小林専門官】 それでは、資料2-2の方を使って説明をさせていただきたいと思います。
資料2-2につきましては、前回の会議で議論いただいた論点整理(案)に追加、修正した内容をそのまま残しておりますので、こちらで御覧いただければと思います。表現上の修正などについての説明は割愛させていただきます。
まず、5ページです。こちらについては、各教科のいわゆる「取り出し指導」、「取り出し授業」について、日本語指導とは異なるものである旨の注記を入れてはどうかという御意見を頂きましたので、脚注を入れております。
次に、少し飛びまして10ページです。(5)指導の実施形態についてのところ、こちらについては、日本語指導を行う人材を配置した拠点校を設けることとか、遠隔での指導を活用するなど、効率的、効果的な「特別の教育課程」の実施方法について追加をしております。
次に、12ペー、「4.高等学校等における日本語指導の制度化に当たっての充実方策」のところです。まず、(1)学校の体制整備等についての1つ目の丸ですけれども、「取り出し指導」では日本語指導との連携を図ることですとか、教科指導の中でも日本語の理解が進むことを意識するなど、専門性の高い指導であることを明記すべきという御意見を頂きましたので、こちらに関連の内容を追加しております。また、その次の丸についても、御意見を踏まえて新たに追加しています。
次に、13ページジにつきまし、学校の体制整備とは異なる学校での学習指導上の工夫などについて追記しましたので、こちらについては項目(2)を新たに立てました。内容としましては、1つ目の丸については日本語の指導と必履修教科・科目の指導順序の工夫について御意見いただきましたので、そういった内容を書いております。2つ目の丸につきましては、先ほど追加した「取り出し指導」の実施ですとか、実施する際の留意点について、この項目でも追加をしています。上から4つ目の丸の「また、高等学校外における学修の単位認定」というところですけれども、こちらは日本語学校ですとか大学で日本語を学ぶことや、学校外での学びを単位として認定することも考えられるという御意見等ありましたので、そういった内容を追加しております。その次の丸、「さらに」というところです。日本語の授業の中でキャリア支援や多文化の背景を育むような内容も取り扱うことを明記すべきではないかという御意見を頂きましたので追加をしています。その次の丸、「加えて」のところですけれども、こちらについては、英検ですとか日本語能力試験のような資格取得を目指す生徒を支えるようなことも必要であるという御意見を受けて追加をした内容でございます。
その次の教育委員会の役割のところは、学校における学習指導の工夫等についてという項目を設けたので、こちらは項目の番号を変えています。また、(3)の1つ目の丸につきましては、高等学校への入り口の整備として、公立高校入試における外国人生徒に対する特別な配慮を実施することが大事であるとの意見を受けまして、教育委員会の役割として追記しています。
次の14ページですが、上から5つ目の丸につきましては、教育委員会において日本語指導や多文化共生に関する所掌や組織を設けることとか、学校段階を通じた一貫した支援を行うことが必要であるとの意見を受けまして追記をした内容です。その次の丸、「特に」というところですけれども、都道府県単位で学校段階を通じた一貫した日本語教育を行うためのセンターなどの設置ですとか、関係機関と連携した日本語教育を推進するべきとの意見を受けまして追記をした内容でございます。
その次が国の役割の項目ですけど、こちらも項目番号を変えております。
追加した内容としましては、15ページの上から3つ目の丸です。こちらについては、公立高等学校入学者選抜における取組を都道府県で実施することが大事であるという意見を受けまして、国の役割として、促進という意味で追加した内容です。その次の丸ですけれども、都道府県あたり一人のアドバイザーを置くようなことができないかというふうな御意見を受けまして、「外国人児童生徒等教育アドバイザー」の内容の充実について追加をしております。
次に、16ページです。こちらのページの上から2つ目の丸につきましては、令和2年の有識者会議の報告書で提言をされた日本語教師の活用について、今回も同じような提言ができないかという御意見を踏まえまして、当時の提言と同様の内容を追記しております。その次の丸ですけれども、地域との協働での日本語教育体制づくりについて、国の役割ということで、こちらについても追記をしております。
最後、5.ですけれども、ここは「おわりに」という項目を設けまして、今後の展望に関するような内容を書かせていただきました。特に前回の会議で、高等学校における「特別の教育課程」の制度を導入した後、何年かたってから、制度の見直しですとか、そういったことも行う必要があるのではないかというふうな御意見を頂きましたので、そういった内容もこの「おわりに」の中に位置付けた内容となっております。
資料2-1、2-2につきましては、以上のような修正といいますか、前回の会議からの追加を行っております。
資料3につきましては、報告書(案)の概要を1枚で示した内容となっております。報告書の内容を抜粋したものですので、報告書の主な項目立てに従って、現状と検討の背景、高等学校での日本語指導の在り方に関する検討に至った背景と、また、高等学校で日本語指導の「特別の教育課程」を制度化する必要性などについて書いています。また、制度化の在り方のところでは、表の形にしまして、それぞれのポイントについて議論いただいて報告書にまとめた内容を簡単に抜粋しています。最後の充実方策につきましては、高等学校の体制の整備ですとか、教育委員会の役割ですとか、国の役割などの本当に主なところになりますけれども、報告書(案)に書いている内容を簡単に抜粋した内容としています。
長くなりましたが、資料の説明は以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
それでは、事務局の説明も踏まえて、これから議論をしていきます。
資料2-2については、追加された部分を中心に御意見をいただければと思います。まずは2番目の高等学校等における日本語指導の制度化の必要性等、3番目の高等学校等における日本語指導の制度化の在り方の部分について、皆さんから御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
資料1の4ページのところで、第4回会議終了後に教育委員会の役割として、小中学校から高校までを通して日本語教育を中心的に扱うセンターのような機関を設置するのが望ましいという御意見を頂いていますけれども、高橋委員、これに関して何か補足があるというふうに伺っていますが、いかがですか。
【高橋委員】 ありがとうございます。ちょっと私が作った資料があるので、共有させていただいてもよろしいでしょうか。
【佐藤座長】 どうぞ。共有できるようになっていますか。
【高橋委員】 お送りしたものがあるので、もし可能であれば。すみません、ちょっとできないかもしれない。小林さんの方で今日送ったPDFを共有していただけますか。
【小林専門官】 準備しますので、しばらくお待ちください。
【高橋委員】 じゃあ、先にお話ししたいと思います。
【佐藤座長】 どうぞお願いします。
【高橋委員】 見ていただきたい資料は、7月にe-Statという政府統計の総合窓口のところに公表された在留外国人の在留資格別、それから年齢別の統計、それについて、全国データは2012年から毎年公表されていたんですけれども、それに加えて都道府県別の在留外国人の0歳からの統計が発表されたんですね。それで、私の方ですごく気になって、在留資格別ですから、在留外国人の子供がどういうふうにこれから、高校年代の16、17、18歳ぐらいの子供たちが今の中学校の年齢代、それから小学校、さらには幼児期の子供たちがどういうふうにこれから変化していくかということを人口ピラミッドの形にしたんですね。
日本の人口ピラミッドは、もう御案内のとおり、少子化でどんどん数が減っていく中で、在留外国人の子供たちはどんどん増えていて、裾野がどんどん広がっているんですね。その中で、極端に増えているのは家族滞在の子供たちなんですね。全国の1歳ごとの統計を見ると、裾野がどんどん広がっていっていて、集住地域は、東京とか神奈川のデータも集めたんですけれども、今、高校年代の子供たちと幼児期の子供たちを比較すると、これですね、これが全国データですけど、青いのが総数です。在留外国人の下が0歳で、上が18歳の総数で、18歳は留学の子供たちが入ってくるので増えていますけれども、下のところはどんどん裾野が、全体の数も増えていると。それから、右のオレンジは家族滞在なんですけど、家族滞在は数を見て驚くんですけれども、この後、ずーっと5倍ぐらいに増えるんですね。2012年から全国の調査を追うと、家族滞在は一時期減る時期があっても、中学校以降、また増えるんですね。最終的には増える傾向なので、今、0歳、1歳、2歳の9,000人台が十数年後にはそのまま高校年代に上がってくるんですね。
こういうことを考えると、どんどんどん数が増えてくる状況にある。しかも、ちょっと下を見ていただくと、東京都は同じような傾向ですね。東京都は今、600とか700ですけど、下に行くとかなりの数、半数が家族滞在という感じですね。左側の青いのに対して、半数は家族滞在。それから、神奈川県も同じような傾向です。散在地域と呼ばれた、例えば富山県においても、やっぱ同じ傾向なんですね。どんどん増えていて、家族滞在も裾野がどんどん増えている。それから山口県もやっぱり同じ状況なんです。この次ですね。山口県もこんな感じで、特に家族滞在の裾野がどんどん増えている。それから次も、これは熊本県ですね。それから最後、沖縄ですね。
この子供たちの増加というのは、全国的に都道府県単位で、意識しなければいけない状況にあるということで、小学校、中学校というのは市町村教育委員会のマターだとは思うんですけれども、これがどんどん上がった場合、最終的に高校にどんどん増えてくる。残念ながら、今、高校の在籍数というのは、在留外国人の統計から見ると、大体、高校年代の子供たちが3万5,000人以上いるんですけど、冒頭で出た数字だと日本語指導が必要な高校生が4,000人を超えたというようなことが書いてありますけど、実際はかなりの子供たちが高校に入れていないという状況も見て取れるので、今回、法務省出入国在留管理庁がこうやってデータを出していただいたということはすごく有り難い初めての公開でしたけれども、これはやはり都道府県マターできっちり調査し、公開していくということによって、都道府県単位でどういった取組が必要かということも分かりますし、その拠点となる日本語教育センター的なものが都道府県単位で必要ではないかと思います。そこにやはり日本語人材を活用する仕組み、日本語教師がそこできちんと雇用されて活躍する仕組みを教育委員会単位でつくっていくこと。それから、こういった子供たちがどんどん増えていく中で、きちんと教育を受けるような仕組みとか、高校に入って社会に参加する仕組みをつくっていかないと、負の連鎖を生むと思います。どんどん増えて、こういう子たちが高校に行けない、教育を受けられないまま、非正規雇用の選択しかないというような状況をつくっては私はいけないと思うんですね。そういうことで、このデータを公開させていただきました。
お時間を頂き、ありがとうございました。
【佐藤座長】 高橋委員の御意見を踏まえながら、14ページの6つ目の丸にこのような文言を入れさせていただいています。今のデータを基にした御意見だというふうに承りました。ありがとうございます。
一言付け加えますと、法務省入管庁が外国人との共生社会の実現のための有識者会議を開いておりまして、私もそこに参加しています。そこで年齢別のデータが示されていて、就学前の子供が増えているということと、高齢者が増えていることが示されています。共生社会を実現していくためには、幼児から高齢者まで一貫した枠組みが必要であるというような提言がなされています。今、高橋委員が御指摘のようなことも提言として出されると思いますけれども、同じような問題意識だと思います。いずれにしても、高橋委員の御指摘を踏まえて、14ページのような形にさせていただいたということです。
そのほか御意見いただければと思いますが、どなたでも結構でございます。浜田委員、どうぞ。
【浜田副座長】 私たちが述べたことがたくさん報告書に取り込まれていて、大変有り難く思っています。
そのことにもう一つ加えてということなんですけれども、13ページのところで、日本語指導が必要な子供たちの指導に当たっては、彼ら、彼女たちの多様な文化・言語背景を強みとして活かすことが大事だということを書いていただいて非常に有り難いと思うんですけれども、もし可能であれば、例えば「はじめに」のところですとか、現状と課題のところですね、その辺りのところに、これからの日本社会がそういった多様性をむしろ日本社会の強みとして活かしていくためにこそ、高校で外国にルーツを持つ子供たちがしっかり学ぶことが大事なんだというようなことを少し理念的に書いていただくことができると、多くの方の御理解をいただけるんじゃないかなというふうに思ったんですけど、いかがでしょうか。
【佐藤座長】 取りあえず、今日は御意見として伺っておきます。ただ重要な指摘だと思いますので、前書き、あるいはどこかでもう少し強調できればと思いました。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。どこでも結構でございます。今、2と3のところと申し上げましたけれども、2、3、4、「おわりに」、どこでも結構です。高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 この表現の中で、「取り出し指導」、「取り出し授業」というところがちょっと気になっているんですね。これは指導者側というか、教員側からすると取り出しなんですけど、やっぱり思春期の子供たちが取り出しということにちょっと違和感を持つということで、この間、地域のお話を伺ったら、「取り出し授業」を拒否する生徒もいるらしいんですね。やはり自分はそういうことは望まないということで。言葉の使い方というのは、教員側に趣旨がきちんと伝わって、子供の指導のために必要だということの工夫が必要かなと思うんですね。取り出した、取り出されたというので、生徒にとっても、自分が悪い意味で特別視扱いされて取り出されている状態ということに対して、差別的なとまではいかないんですけれども、そういう違和感を持つ子供たちもいるんじゃないかと思うんですね。ですから、この言葉の取扱いをもうちょっと何か工夫して記述をお願いできればと思います。
以上です。
【佐藤座長】 何か高橋委員に案はありますか。
【高橋委員】 先ほど習熟度という言葉もありましたけれども、神奈川では個別対応授業という言い方をしているんですね。教員の中では、いわゆる「取り出し授業」という言葉も使いますけれども、やっぱり生徒向けでは個別の授業をやるよというような形の使い方をするところが多いようです。
【佐藤座長】 額田委員、いかがですか。学校現場でも個別対応授業というような形ですか、取り出しですか。
【額田委員】 「取り出し授業」という言い方もありますけれども、時間割上は個別対応授業という言い方をしています。どちらかというと、個別対応授業という言い方の方が一般化してくるんではないかと思います。やはり取り出しというのはあまりいい言い方ではなくて、一方で本校では在県外国人等特別募集枠で入ってくる生徒たちがいますけれども、今まではその子たちのことを在県、在県と言っていたんですけど、在県という言い方もちょっとこれからは考えなきゃいけないなというふうにも考えています。やはり言葉の使い方というのは結構、気をつけなきゃいけない部分というのを感じることがあります。
以上です。
【佐藤座長】 角田委員、「取り出し指導」に関してはいかがですか。
【角田委員】 私もそう思います。今まで現場で使われておりましたので、私も使用してきましたけれども、もっと望ましい表現が私もあると思いますので、是非そのような形で、この答申にも記載された方がいいかと思います。
【佐藤座長】 言葉の使い方はとても大事です。これを公開するときに、個別対応指導と「取り出し指導」を併記するか、「個別対応指導(取り出し指導)」というような形にするかは検討させてください。逆に、個別対応指導と言ってしまうと、どういうことなのか分からないということにもなりかねませんので、今の御意見を踏まえて、どうするかは検討させていただければと思います。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。どこでも結構ですけれども。じゃあ、オチャンテ委員、どうぞ。
【オチャンテ委員】 一つ、気になっているのは、小・中学校とかでも日本語の授業の時間とか設けられてはいるけれども、様々な行事で減ったり、結局、時間数が限られているような形になって、現場の先生が毎回悩んでいる部分ではあります。一番長くいるのは学級になりますね。そうすると、一人一人の先生の意識がとても重要になって、一つの授業でどれだけ工夫されているのかという、結局、そこが一番、日本語を学べるような授業になるんです。高校とかになってくると、中学校もそうなんですけど、教科によって先生が変わるので、ばらつきがすごく出やすい。一生懸命工夫されている先生とか、そうでない先生とか、非常勤とかで来られる先生が分からないとか、そういうことがないように、どこかでチーム学校として、みんなで支えていく。日本語の先生とか担当の先生はいるけれども、みんなで少しでも工夫をされていたら、子供たちが少しでも授業についていける、所属感も感じるようになると思うので、どこかにそういう、学校の研修というようなことは書いてあったけれども、「はじめに」とかどこかでチームとしてみんなで子供たちを支えていくような表現とかがあればなと思って見ました。
以上です。
【佐藤座長】 ここにあるけれども、もう少し学校全体での取組を強調したらどうかという御意見だったと思います。ありがとうございます。
じゃあ、角田委員、どうぞお願いします。
【角田委員】 今回、6ページのところですけれども、とてもよかったというところがあります。最後の○のところですけれども、外国人の子供たちが将来にわたって我が国に居住し、共生社会の一員として今後の日本を形成する存在であることを前提にというところは、よかったです。現場を踏まえて、将来性のある文言だと思います。そのようなことから、私は今回、当事者と、あるいは保護者の方の意見、今、シティズンシップという教育で、生徒も参加するというような試みがありますけれども、この課題に対しても、やはり高校生当事者、あるいは保護者の方の意見が反映できるようなことを今後、教育委員会、あるいは文部科学省で施策を進めていくに当たりまして、何かそのようなことができないのかということをひとつお願いしたいです。どこかにそのような意見を反映できるような、あるいは参加ができるような文言が入ればいいと思いました。
以上です。ありがとうございました。
【佐藤座長】 6ページのところを受けて、当事者自身が積極的に参加できるような仕組み、仕掛けが必要ではないかという御意見だったと思います。ありがとうございました。
ほかは。具体的にこの辺はもう少し強調した方がよろしいのではないかという意見があれば、是非伺っていきたいんですけれども、山本委員、いかがですか。
【山本委員】 教育委員会の役割のところを明記していただいて、入試制度のことなどが記載されていたわけなんですけれども、先ほど高橋委員のグラフとかをちょっと見ていて、やはり高校の関係者が主に関わるのは、高校に入学してくる日本語指導が必要な外国人生徒なので、そこからこぼれ落ちる生徒とか、高校に行かない相当数の生徒というのがどういう理由なのかとか、もうちょっと分析が要るんだなということを改めて思いましたのと、多くの県でやっている特別な入試制度というのは、多分、在留の期間で何年以内だったら、その制度でいけるということがあると思うんですけれども、在留期間と必ずしももしかしたら、高校に行けない、行かない生徒の層というのは違う感じがあるなと思いまして、どのような入試制度だったら、より広く日本語指導が必要な外国人生徒に資するのかというようなことをちょっともう少し考えてみる必要があると思いました。
【佐藤座長】 そうですね、高校に行かない子供たちも、先ほど高橋委員のお話にもありましたし、そうしたところまで視野を広げる必要があるという御意見だったと思います。これは全体の外国人児童生徒教育の施策そのものに関わってくると思いますが、この中で何かそうした文言が入るかどうか検討させていただければと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがですか。
【額田委員】 よろしいですか。
【佐藤座長】 はい、どうぞ。
【額田委員】 教育委員会の役割の中で結構書き込まれてはいるんですけれども、先ほど高橋委員の方からグラフを見せていただいてあったように、今、家族滞在が非常に増えています。家族滞在という在留資格の理解というものが学校現場では十分ではないのが現実なんです。だから、教育委員会の役割の中に、外国人の在留資格の理解を各学校で深めるような取組というものが一項、入ってもいいかなというふうに思いました。
【佐藤座長】 額田委員、今、教育委員会の役割というふうにお話を頂きましたけれども、学校での役割ということにも聞き取れるんですけれども、主体は教育委員会でしょうか、それとも学校ということでしょうか。
【額田委員】 学校独自でもできなくはないんですけれども、教育委員会の取組として、日本語指導が必要な外国人のための在留資格の理解を含めた研修とか、そういったものをやっていったらどうかなというふうに思います。
【佐藤座長】 なるほど、分かりました。家族滞在、いわゆる在留資格等の理解を含めた日本語指導に特化するだけではなくて、もう少し広い観点での研修の必要性ということだったと思います。ありがとうございます。
はい、高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 先ほど山本委員からもお話があった高等学校の入学者選抜についての記述のところですね、そこのところ、外国人生徒の特別措置という言い方をしていますけれども、ここの会議でも議論になったように、日本国籍であっても、やはり日本語指導が必要な生徒も増えつつあったりする中で、今までは外国籍であったり、それから中国の引揚者等の枠組みであったり、それに対して、海外帰国生徒という枠が設けられたりして、今、いろんな枠がいろんな形で都道府県に配置はされているんですけれども、でも、現実にはすごく多様化をしていて、そう考えると、やはり基本的に日本語指導が必要である生徒が配慮を受けて、その流れで高校でも日本語指導が必要だという流れが明確化される方が入試制度の枠組みとしても、そういう生徒を配慮して受け入れるんだと、高校でもそういう生徒を指導するんだというようなことが明確化されるのではないかなというふうに思います。ですから、その辺がもうちょっと、配慮事項の中で、日本語指導が必要な生徒が入れるような特別な受験枠とか、そういうものも検討してもらうような文言が入ってもいいかなと思います。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。日本語指導が必要な生徒、15ページの3つ目の丸のところに高等学校等への進学状況や、各都道府県における外国人特別定員枠ということが書いてありますが、これを広げることができないかという御意見だったと思います。今回は高等学校における「特別の教育課程」の制度化に当たってというところに焦点を当てていますので、全てが全て書き込めるかどうか分かりませんが、できるだけ意見を反映していきたいと思います。ほかに何かございましたら。
オチャンテ委員、手が挙がっていますか。
【オチャンテ委員】 はい。すみません、さっきの在留資格のことにつながっているんですけれども、これから大学進学を考えている若者も増えて、大学だけではなく、専門学校などにも、在留資格によって奨学金も得られないような事態もありますし、進学したい、勉強したい意欲がある若者に対して、こちらとしては支援していくような、ロールモデルとしての大学生・社会人等との交流というのは12ページの一番下の丸にあるけれど、大学に進学をする若者、大学に関心があるような若者に対して、そういった情報提供とかも、やっぱり今後も必要になってくるのではないかなと思うので、何か関係するような支援の仕組みとかがあればいいなと一つ思ったんです。
先ほどの高校入試の場合では、最近、日本生まれの子供たちとかで特別措置の6年枠に当てはまらないケースとかで、様々な課題があるような若者が非常に多くて、ですので、そういった特別な受験枠とか、もう少し年数にこだわらず、その子の持っている力を生かせるような制度とかも、今後も必要になってくるのではないかと思います。
以上です。
【佐藤座長】 大学に限らず、専門学校等への、高校を終えてからの進学に関する情報提供といったようなお話です。ありがとうございます。
角田委員、今、挙手されていますか。
【角田委員】 国の役割と教育委員会の役割のところですが、高校生の進路に関わるところで、今もお話がありましたけれども、関係の行政機関と、例えば就職に関わるところでしたら厚生労働省ですし、在留資格に関わるところですと法務省です。大学はまた別ですが、そのようなところと連携して、さらに制度を改善していく、法改正していく、そのようなことを今後、かなりスピードアップして進めていく必要があると思いますので、この中には反映されていると思いますけれども、明確にしていくといいのかと思いました。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。浜田委員、どうぞ。
【浜田副座長】 ありがとうございます、浜田です。
15ページになります。上から1つ目の丸になります。ここに日本語能力の測定についてのことを入れていただいていて、今後検討が進められることが期待されるというふうに書いていただいているんですけれども、かなり重要な問題なので、是非とも検討を進めていただきたいと、少し強めに書いていただけたら有り難いかなというふうに思っています。
それと、今、文化庁の日本語教育小委員会で「日本語教育の参照枠」という日本語能力の測定のための新たな目安をつくっておりまして、私自身もそれに関わっており、来月、国語分科会で審議をしていただく予定となっていて、最終段階に来ています。それが出来上がりましたら、恐らく今後、就労の分野での日本語能力の評価にも活用されていくことが想定されます。それを考えますと、例えば高校を卒業して就職をする生徒に対する先生方には、「日本語教育の参照枠」についても少し目配りをしていただくことが必要になってくるのではないかと思いますので、ここのところにも、参照すべき情報の一つとして、文化庁の「日本語教育の参照枠」についても触れていただけるといいかなというふうに思いました。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。そうですね、これは非常に重要なテーマですよね。出口の能力を評価するツールと同時に、高等学校での指導に資するための評価ツールというのも当然必要なので、そこを強調するということだと思います。「特別の教育課程」やJSLカリキュラムがDLAなど日本語能力の評価と結びつかないと、なかなかうまく機能しないというようなこともありました。浜田委員がおっしゃるように、期待されるということよりも、検討を進める必要があるというような表現がいいのではと思いました。この後、これに基づいて、概算要求につなげていくと思いますので、評価ツールの開発を実現していただきたいと思います。東京学芸大学が進めているプロジェクトも早期に利用できればいいと思います。
ほか、いかがでしょうか。大体、もう皆さんの意見は出そろったでしょうか。今日は最後の会議ですので、最後まで時間を使わなくてもよろしいと思います。いろいろと出していただきましたので、意見が反映できるところは是非反映していきたいというふうに思います。皆さん、意見、そろそろよろしいでしょうか。どうしてもこれだけは言っておきたいということがあればいただければと思いますけれども、よろしいですか。
じゃあ、先にオチャンテ委員、どうぞ。
【オチャンテ委員】 すみません、関係ないかもしれないですが、大学進学を希望しているけれど経済的な面で諦めるような若者が周りにたくさんいるんですね。在留資格によって奨学金を借りられないとか、様々な理由があるんです。ここは主に日本語指導のことを見ているんですけど、これからもう少しこういった若者を視野に入れて、大学における特別な入試枠とかを設けられるような、もちろん、奨学金とかもそうですし、国公立大学とかにおける特別な入試枠とかも、これからはどんどん必要になってくるのではないかと思うんです。どういった形で設けられるのか、かけられるかどうかも分からないんですけど、高校の進学率が増えている今、もう次のステップ、進学などを考えている、若者とかもたくさんいるので、そういったようなことをどこかに書いてもらえればなと思って提案をしました。すみません、それだけどうしても言いたかったです。
以上です。
【佐藤座長】 そうですね、これから共生社会に向けて、外国人の子供たちが定住し、日本の社会の市民となっていく上では、高等教育、大学、短大、専門学校等の機会を保障するというのは非常に大事なことですが、実際は大学がまだ開かれていないという面もありますので、ここは国立大学などをはじめとして対応すべきだろうと思います。ありがとうございます。
じゃあ、角田委員、お願いします。
【角田委員】 11ページの下の22のところですけれども、こちらを改めて今日見まして、私も定時制高校に長くおりましたけれども、日本語指導が必要な外国籍の生徒は、これを見れば分かるように、実は定時制高校に全日制高校より多く在籍しているということが分かっております。ただ、全国的には定時制高校は小規模であり、また、少なくなってきているのですが、定時制高校にこれだけの生徒がいるということですので、「特別の教育課程」を通じて、定時制高校を新たに見直して、夜間中学が今、見直されていますように、新たな日本語教育、あるいは「特別の教育課程」、多文化共生教育ということで焦点を当てて、学校改編をしていくようなことがあると、今後いい方向に進むのではないかと思いました。
ありがとうございました。
【佐藤座長】 11ページを見ると、定時制に非常に多く行っていることがわかりますので、定時制にしっかりと光を当てて、何かできないかという御意見です。ごもっともだろうというふうに思いました。ありがとうございます。
あらかた、よろしいでしょうかね。
限られた時間でしたけれども、皆さん、積極的に御発言いただいてありがとうございます。
本日の会議で頂いた御意見も大変貴重なものですので、先ほど申し上げましたように、追加・修正できるところはしていきたいと思います。追加・修正については座長に一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【佐藤座長】 これまでも御意見を寄せていただき反映させてきました。今日は、理念的な話も頂いていますけれども、できる限り反映させていきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、座長に一任していただいたということですので、事務局と相談しつつ、これから報告書を取りまとめさせていただきます。報告書がまとまり次第、公表したいと考えておりますので、公表日については事務局よりまた改めて皆様に御連絡させていただきます。
最後に、事務局より連絡事項があればお願いいたします。
【小林専門官】 それでは、最後に事務局から今後のスケジュールなどについて御連絡させていただきます。お配りしてある資料4を御覧ください。
資料4につきましては、前半の部分はこれまでのこの会議での検討状況について書いております。
「2.今後の予定」のところで、あくまで予定でありまして、今後変更もあり得るのですけれども、今後の予定を書いております。
令和3年度につきましては、この後、報告書を公表した後に、高等学校における「特別の教育課程」による日本語指導の制度化につきまして、中央教育審議会においても審議を行っていただきたいと思います。また、「特別の教育課程」の導入に向けまして、必要な制度改正などを実施できればと考えています。
令和4年度につきましては、「特別の教育課程」の制度の下での日本語指導の導入の準備ということで、都道府県教育委員会などへの周知ですとか、また、先ほど座長からも御紹介いただきましたけれども、大学に委託をして実施している指導資料の完成などに努めたいと思います。
令和5年度につきましては、「特別の教育課程」による日本語指導の運用開始というふうな今後のスケジュールで今のところは検討しておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
資料4の説明は以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
それでは、小松課長から一言、お願いいたします。
【小松課長】 小松でございます。
佐藤座長をはじめ、検討会の委員の皆様方におかれましては、5月26日の第1回の会議以来、真摯な御議論を賜りましたことを心よりお礼申し上げます。また、この間、新型コロナウイルス感染拡大の厳しい状況が継続しておりまして、本日も含めてオンラインによる開催ということになりました。御協力に改めて感謝申し上げます。
この会議では、本年1月の中央教育審議会答申を踏まえ、高等学校における日本語指導等の充実のための「特別の教育課程」編成の制度化について、その必要性や制度化により期待される効果、具体的な制度設計や充実方策等について、様々な角度から御検討いただいたところでございます。それを踏まえて、日本語指導の制度化に当たって配慮すべき事項、教育課程上の位置付けや対象となる生徒、指導内容、実施形態、単位時間、認定評価など、制度設計に係る事項、学校における体制整備、教師の専門性の向上などの制度化に併せて取り組むべき各機関の役割も含めた充実方策等について、幅広い御意見、御提言を頂いたところでございます。
今回取りまとめていただきました提言を踏まえまして、私ども文部科学省として、今後、高等学校における「特別の教育課程」編成の制度化に向け、必要な制度改正を速やかに実施いたしまして、新たな制度が高等学校において適切に実施され、日本語指導が必要な生徒への有効な支援方策の一つとなるよう、施策を充実してまいる所存でございます。今後とも共生社会の形成に向けて、様々な形で御指導いただきたいと思っております。
最後に、改めまして、佐藤座長はじめ、検討会の委員の皆様方にお礼申し上げ、御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
【佐藤座長】 小松課長、ありがとうございました。
それでは、これで閉会したいと思います。皆様の御協力、御支援のおかげで、なかなかいいものが出来上がったなというふうに思っています。最後に皆さんから御意見を頂きましたので、それらを反映させて、よりよいものにしていきたいと思います。
どうもありがとうございました。これで閉会にします。

―― 了 ――
 

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2035)