高等学校における日本語指導の在り方に関する検討会議(第4回)議事録

1.日時

令和3年8月30日(月曜日)13時00分~14時30分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 高等学校における日本語指導の制度化に関する論点整理(案)について

4.議事録

【佐藤座長】 皆さんおそろいです。定刻になりましたので、ただいまから高等学校における日本語指導の在り方に関する検討会議、第4回になりますけれども、開催したいと思います。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。本日も新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、オンラインでの会議開催に御協力いただいております。また、ユーチューブ配信による傍聴を受け付けておりますが、会議冒頭から公開とさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、御発言されるとき以外はマイクをオフにしていただけばと思います。御協力のほどよろしくお願いします。
それでは、本日の出席委員の紹介と配付資料・議事の確認に移ります。事務局からお願いします。
【小林専門官】 それでは本日もどうぞよろしくお願いいたします。国際教育課の小林でございます。
本日は、欠席されている方はなく、全委員の御参加となっております。
次に、配付資料・議事の確認を行いたいと思います。本日の配付資料はお送りしている議事次第のとおりですが、不足等ございましたら事務局まで御連絡いただければと思います。また、資料1の「これまでの主な御意見」につきましては、第3回会議で頂いた御意見を追加したものをお配りしております。また、資料3といたしまして事務局提出資料、資料4といたしまして、前回会議で議論いただいた論点整理(案)に先生方から頂いた意見を反映した資料をお配りしております。また、参考資料につきましては前回の会議と同じ内容でございます。
また、本日の議事につきましては、論点整理(案)について御議論を頂く予定としております。
私からは以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございます。それでは、議事に入る前に、事務局から資料1と資料3について説明をお願いします。
【小林専門官】 それではまず資料1につきまして簡単に御説明させていただきます。 資料1についてですが、前回の会議で先生方から頂いた御意見につきましては、第3回会議と明記した上で下線を引いております。簡単に御紹介いたしますと、「制度化に当たって配慮すべき事項について」のところで、日本語指導が必要な児童生徒に含まれる帰国児童生徒・外国籍児童生徒の枠組みをもっと柔軟に考えて、真に必要な支援を受けられるようにすべきではないかという御意見ですとか。
【佐藤座長】 今まだ共有されていないんですが、皆さん、資料をお持ちですか。では手元の資料を御覧いただきながら、よろしくお願いします。
【小林専門官】 これで共有できたでしょうか。
【佐藤座長】 大丈夫ですね。ありがとうございます。
【小林専門官】 大変失礼しました。続けさせていただきます。
同じく1ページの一番下の方、2番、「高等学校における日本語指導の制度化の在り方」の「教育課程上の位置付けについて」のところですけれども、例えば、国語科の必履修科目をそのまま学習することは、日本語指導が必要な生徒にとって非常に厳しい。このため、例えば、必履修科目に代えて、「特別の教育課程」を編成した指導を実施することができると学校で運用しやすいのではないかという御意見がありました。
また、「特別の教育課程」による指導は個別に取り出して行うものであるため、当該生徒、その取り出しを受けている生徒のためだけに必履修教科・科目の教育課程編成を変えることは現実には難しいのではないかということですとか、日本語指導に関する学校設定教科・科目の設置と「特別の教育課程」の編成による個別の指導の両方を並行して実施することも可能であることを、もっと分かりやすく明確に記載すべきではないかという御意見も頂いています。
また、「日本語指導の対象とする生徒について」という内容につきましては、中学校で日本語指導を受けていた生徒が高等学校でも指導を受ける際には、中学校との連携はどうしても必要である。その際に、小・中学校の日本語能力の把握に関しては、文部科学省が開発したDLAが示されていて、これにより、日本語の指導を行うために子供の実態を評価することができる。このため、高等学校において「特別の教育課程」による日本語指導の対象とする際の判断に際し、DLAを参考にするというのもあってもいいのではないかという御意見を頂いております。
次に、「指導の内容について」のカテゴリーですけれども、「特別の教育課程」を編成して行う指導の内容について、教育委員会、学校で特色を踏まえて決めるとすると、その内容の適正性が担保できないのではないか。ある程度のルールや指導の指針を決めて運用すべきではないかという御意見ですとか、日本語指導の授業づくりの参考になるような事例をモデルとして示すべきである。その際には、高等学校の課程別や学科別に示した方がよいのではないかという御意見を頂いています。
次に3ページの下の方ですけれども、3番、「高等学校における日本語指導の制度化に当たっての充実方策」のうち、「学校における体制整備」に関することといたしまして、コーディネーターの役割としては、外国人高校生のキャリア教育や校内の多文化共生教育への支援を期待したい。一方、日本語教育機関の類型「生活」に設置されることとなっている「コーディネーター」については、そのような業務や高校生に対する日本語教育についての専門性は資格には含まれていないので、両者の相違を明確化する必要があるのではないかという御意見を頂いています。
また、同じカテゴリーの中に位置づけておりますけれども、教育委員会に高等学校に対するスーパーバイズを行う人を配置するなど、高等学校における日本語指導実施の推進力となるような取組が必要ではないかということですとか、「外国人児童生徒等教育アドバイザー」を高等学校においてきめ細かく活用できるようなことが検討できないかという御意見。一般入試で高等学校に入学した外国人生徒など、ある程度日本語の習得ができていて母語による支援は不要と判断されることがある。しかし、生徒とその保護者の関係性が構築できておらず、様々な課題から中途退学するようなケースもあり、保護者も含めた母語によるサポートは適切に実施されるべきであるという御意見も頂いております。
また次の「教師等の専門性の向上」のカテゴリーにつきましては、日本語教師の資格を有する教師や多文化共生・異文化理解等に関する取組の経験がある教師など、専門性を生かした人事配置について教育委員会に対して提言していく必要があるということですとか、日本語教師の資格化に関する議論が進められる中で、特別免許状や特別非常勤講師などを活用した学校での指導についてもう少し議論を深めたいという御意見。神奈川県では、国語の領域の一つして日本語指導を行う特別非常勤講師を任命しているという御紹介もございました。
次に、最後の「その他」のカテゴリーですけれども、日本語指導が必要な生徒の中には、中学校の学習の遅れが生じたまま高等学校に入学したというような生徒も多く、日本語指導と同時に、各教科等の学習を着実に定着させるような指導も併せて検討する必要があるということですとか、DLAの測定ツールは高校生相当の年齢には対応していないので、高校生用の測定ツールを開発する必要があるのではないかということ。また、現行では、様々な高等学校において生徒の日本語の能力を評価する方法が取り組まれているので、このような取組をどのような形で示すのが適当かということについては検討する必要があるということ。生徒の日本語能力の評価に関してはプレースメントテストを学校で使用しているが、NPOが作成したものですとか学校独自のものなどがあり、こういったプレースメントテストによる日本語能力の評価については、ある程度ノウハウが蓄積すれば十分に学校でも取組が可能であるので、日本語能力評価の取組のモデルを幾つか示すとよいのではないかという御意見。また、学校や自治体による取組への温度差を少なくするために、学校評価において「特別の教育課程」の実施にどの程度取り組んでいるかを評価するようなことを提案していけないかという御意見。また、「特別の教育課程」編成に関する制度を普及させるためには、各都道府県にモデル校を指定して、実際の取組内容を示すようなことが必要ではないかという御意見を頂きました。
こちらの資料の、追加の内容については以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございます。続きまして資料3もお願いできますか。
【小林専門官】 続けて資料3について御説明させていただきます。
今ほど、紹介させていただきましたとおり、高等学校における必履修教科・科目と、日本語指導のための「特別の教育課程」を編成して実施する指導とを代替することができないかという御意見を前回の会議で頂いておりました。そちらについて事務局で資料を作成させていただきまして、御説明させていただければと思います。
まず、資料3の1枚目のページでお示ししているのが必履修教科・科目等についての考え方でございます。平成28年12月の中央教育審議会答申におきましては必履修教科・科目がどういった性質のものかが分かりやすく示されていますので、そちらの内容をこの資料の1番のところに抜粋させていただいています。ここにまとめさせていただいたとおり、必履修教科・科目につきましては、高等学校において「共通性の確保」の観点と「多様性への対応」の観点の両方の両立が求められる中で、普通教育として、全ての生徒に対して、日常生活を営む上で共通に必要とされる知識・技能を習得させ、それを活用する能力を伸ばし、調和の取れた人間の育成を目指すとの観点から必履修教科・科目が設定されています。こちらの必履修教科・科目につきましては「高等学校とは何か」ということを学習内容の面から国が示したものであると理解されていまして、全ての高校生が必履修教科・科目等の内容事項を履修する必要があることが明確になっています。
一方で同じページの2番に、「特別の教育課程」を編成して行う日本語指導の目的について明記しております。生徒が日本語を用いて学校生活を営むとともに、日本語を用いて行われる各教科等の学習に取り組むことができることを目的とするものでありますので、日本語指導の実施をすることによって、これを各教科・科目を履修したとみなすことはちょっと難しいのかなと思っています。
結論としては、「特別の教育課程」を編成して行う日本語の指導を必履修教科・科目に替えることはできない、と整理させていただく必要があるのかなと思います。
替えることはできないとなると、必履修教科・科目は履修しながら日本語指導も併せて実施していくことになりますので、そういった際の、学校での履修の工夫などをある程度は行っていただく必要があるのかなと思っています。
例えば指導順序の工夫としまして、2枚目のページにあるとおり、「特別の教育課程」を編成して行う日本語の特別の指導について、もちろんその日本語能力に応じてですけれども、ある程度集中して実施していただいて、日本語指導が必要な生徒が日本語を用いて行われる各教科等の学習に取り組むことが一定程度できるようになった後に必履修教科・科目の履修ができるような、教育課程編成などの配慮を行っていただくこと。
また、必履修教科・科目の方の指導方法の工夫といたしまして、第1回、第2回の会議でもヒアリングをさせていただいた学校でも取り組まれていましたが、習熟度別の指導ですとか、取り出しによる各教科の指導などの、指導方法の工夫を行うですとか、また、学習指導要領上で増加単位ということもできるようになっていますので、そういった仕組みの活用などによりまして、生徒の実態に応じた日本語の指導ですとか必履修教科・科目の指導を行っていただくようなことが考えられるかなと思います。
もちろん、「特別の教育課程」を編成して実施する日本語の指導につきましては、これまでの論点整理でも示させていただきましたけれども、生徒が在籍する学校以外で日本語指導を丁寧にできるような拠点校のようなところがあれば、そちらに行って、いわゆる他校通級のような形で履修するですとか、また、オンラインなども活用したような指導の工夫などもできると思いますので、そういったことを組み合わせながら工夫を学校現場で行っていただく必要がどうしてもあるのかなと思っております。
資料の最後のページに、高等学校における障害に応じた特別の指導、いわゆる通級による指導が、現状、既に高等学校において取り組まれていますけれども、こちらを例として記載させていただいております。高等学校における通級による指導につきましては、こちらもやはり「特別の教育課程」を編成して、障害に応じた特別の指導を実施するという仕組みでございますけれども、障害に応じた特別の指導を高等学校の教育課程に加えることができます。又は、選択教科や科目の一部に替えることができるという制度になっています。障害に応じた特別の指導に係る修得単位数を、年間7単位を超えない範囲で卒業までに必要な単位数に含めることができる仕組みになっています。ただ、障害に応じた特別の指導につきましては、必履修教科・科目等には替えることはできないとされていまして、選択教科や科目等を代替することはできるんですけれども、やはり必履修教科・科目については、こちらの資料の1枚目で説明させていただいたように、全ての高校生が履修するべき内容とされていますので、代替はできない制度になっていますので、これは参考として御紹介させていただきたいと思います。
資料3につきましては以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
資料1の1ページの最後から2ページにかけて、この前、必履修科目に代えて「特別の教育課程」を編成した指導を実施することができると学校では運用しやすいという、御意見が出されました。現行の枠の中では代えることはできないということで、それに対して幾つかの工夫について資料3で示していただきました。この資料1と資料3に関しまして御質問等があればお願いいたします。浜田委員、どうぞ。
【浜田副座長】 詳しい説明、ありがとうございました。とてもよく分かったと思うんですけれども。ちょっと確認をさせてください。
そうしますと必履修教科・科目等に代えることはできないということなのですが、実際は1年生はほとんど必履修教科・科目の高校が多いと思いますので、その場合は、もう実質的には「特別の教育課程」を普通のカリキュラムの中で設置するのは難しいと。例えば、今御紹介くださったような習熟度別指導というふうな位置づけにするか、あるいは増加単位ということでやるしかないという理解でいいのかどうかということと、その増加単位になった場合に、やはりどこかの科目にぶら下がって行うような形になるということなのかということ。それからもう一つ、実際に特別支援の対象に、障害に応じた特別の指導をされている高校でどのような形でされているかということをもし御存じだったら教えていただきたいと思います。
以上、3点です。
【佐藤座長】 前回、文科省の方からお話を頂いて、浜田委員の1番目の質問については1年生の段階で必履修科目の前に「特別の教育課程」を編成して、その後に必履修科目を履修するという順序性の話はしていただきました。それは可能であるということだったと思います。2番目、3番目について、事務局で今お答えできる範囲で結構ですのでお願いします。
【小林専門官】 増加単位につきましては「特別の教育課程」のことではなく、各教科・科目の指導に関して、高等学校学習指導要領において示されている標準の単位からさらに増やして、もう少し手厚い指導ができる仕組みと御理解いただければと思います。
3つ目の特別支援の高等学校における通級指導ですけれども、担当課から聞いている話では、取り組まれている高校においては、通常の教育課程に加えて特別の指導を実施するというケースが多いと伺っています。
【浜田副座長】 ありがとうございます。
では確認なんですけれども、その順序を工夫するといった場合に、でも例えば1年生の科目を2年生でその人だけが履修するというふうなことになるわけなので、やはり実際はすごく難しいのではないかな、何か実際工夫されてそれがうまくいっている例があるのかなと思ったので、そういうふうに発言させていただいたということ。あと、その増加単位についても、例えば国語の単位を増加させるということであれば、国語の科目の中で一定日本語の指導が必要な生徒さんに焦点を当てたような部分の単位を増やして、それを例えば6時間、7時間目とか0時間目とか、そういった形で履修するというふうなことになるということでよろしいでしょうか。
【小林専門官】 そうですね。特に国語もしくは数学、いろいろな教科で苦手な部分がある生徒に対しては、そういった指導時間を延ばす、単位数を増やすというふうなことで、より丁寧に指導していくというふうに、先生がおっしゃるとおりでよろしいと思います。
【浜田副座長】 ありがとうございました。
【佐藤座長】 小林さんの音声が今日、少し聞こえにくいです。
【小林専門官】 分かりました。確認します。申し訳ありません。
【佐藤座長】 もし何か対応可能であればお願いします。
【小林専門官】 承知しました。
【佐藤座長】 今の件に関して、額田委員、何か実際にやっている事例や情報があれば提供いただければと思いますが、いかがでしょうか。
【額田委員】 実際、例えば本校では1年生はもう必履修でいっぱいなんですよ。したがって、放課後に週4回、日本語補習を入れるという形で対応しています。そのような対応をしないと必履修をやり切れなくなってしまうところがあるので、1年生については放課後補習、週4回程度ですね。で、2年生、3年生には学校設定教科としての日本語I、日本語IIとか、日本語上級というのがありますけれども。それとあと、先週までやっていましたけれども、夏休みの短期集中講座として日本語能力試験の対策講座というのがあって、そこでかなり密度の高い、実際に試験に向けた、単位を修得させた上での取組をやっています。
ですから1年生に「特別の教育課程」を入れるということは、ほかの生徒との関係でちょっと難しいなというところは感じています。
【佐藤座長】 ありがとうございます。今の件に関して、高橋委員あるいは山本委員、何かあればお願いします。浜田委員の御指摘は、現場では質問として出てくる可能性がありますので、我々としても共通理解をしておきたいと思います。何か御発言があればお願いします。高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 どうもありがとうございます。
やはり高校1年生の段階で必履修科目がすごく多い中で、今の仕組みだと、日本語指導が必要な生徒がやはり必履修科目を1年次でやるのがメインになっていることが前提になっているということだと思うんですけれども。その中で、私が前にいた高校では、やはり、より日本語指導が必要な生徒では厳しい科目、歴史系とかそういう科目を、1年次に、一般の生徒はそういう歴史の科目をやるんですけれども、そこと抱き合わせで日本語の科目をやって、それで2年次にまたそれを取れるような組合せを工夫してやったことがあるんですね。ですから、確かに必履修が前提にはなると思うんですけれども、やはり工夫のしようによっては必履修科目を少し2年生、3年生に展開できるものについては、日本語指導が必要な生徒はそこで取れるような仕組みを、むしろそちらで取った方が日本語は身についていいだろうという科目もあると思うので、その辺の工夫も考えた方がいいのではないかと思いました。
【佐藤座長】 ありがとうございました。次の資料4でもこの問題が記載されていますので、御意見があれば後ほど伺いたいと思います。この資料1と資料3についてこれで一旦終えて、今日の本題の「高等学校における日本語指導の制度化に関する論点整理(案)」に移っていきたいと思います。
前回の会議で論点整理(案)について御議論いただきました。本日は、その前回の会議で頂いた御意見などを追加した資料を準備していますので、こちらについて検討していきたいと思います。まず事務局から資料の説明をお願いします。
【小林専門官】 それでは資料4についてですけれども、第3回、前回の会議から変更した部分を中心に御説明させていただきたいと思います。
まず1ページ目の四角囲みの1、「はじめに」のところですけれども、こちらについてはこのカテゴリーごと今回新しく追加させていただきました。(1)日本語指導が必要な児童生徒を取り巻く現状と課題につきましては、文部科学省で把握しているデータ的なところですとか、また、これまで支援のために実施してきた施策の状況などを記載させていただいているところです。
次に2ページ目の(2)検討の経緯ですけれども、こちらについては、この検討会議を設置して検討に至るまでの経緯などについて御説明させていただいております。
次に、少し飛びますけれども6ページの3番、「高等学校等における日本語指導の制度化の在り方」の(1)基本的な考え方ですけれども、2つ目の丸のところに丸1から3まで、高等学校における教育の特徴などについて詳しく追加させていただいております。
次に7ページの(2)教育課程上の位置付けについてのところですけれども、下から2つ目の丸につきましては、先ほど御説明させていただいた資料3で説明した内容を踏まえまして、必履修教科・科目等の履修時期の配慮などについて記載させていただきました。
その次の丸、7ページの一番下の丸ですけれども、こちらにつきましては、前回頂いた先生方の意見を踏まえまして、「特別の教育課程」を制度化した場合も、学校設定教科・科目を設置して日本語指導を行うことですとか、生徒の状況に応じて学校設定教科・科目による指導と「特別の教育課程」による指導を選択するまたは組み合わせて実施できることを明記させていただいています。
次に8ページです。(3)日本語指導の対象とする生徒についての2つ目の丸ですけれども、こちらについては前回の委員の皆さんからの意見を踏まえまして、小・中学校における日本語指導との継続の配慮から、JSL評価参照枠の活用が考えられるのではないかという意見を追加いたしております。
同じページの一番下の丸ですけれども、これにつきましては日本語指導の内容構築についてある程度の指針を示すべきではないかという御意見ですとか、高等学校の取組事例を課程別・学科別に示すとよいのではないかという御意見を踏まえまして、そういった内容を書かせていただいております。
次が10ページです。上から2つ目の丸のところですけれども、現在、高等学校において取り組まれている日本語指導ですとか各教科等の授業の学習評価の事例を収集し、示すとよいのではないかという御意見を前回頂いておりますので、そういった内容をこちらに追記いたしております。
次が11ページの4、「高等学校等における日本語指導の制度化に当たっての充実方策」の(1)高等学校の体制整備等についての一番下の丸でございます。この丸については、日本語指導に加えて各教科等のきめ細かな指導を実施することも重要であるという御意見を頂きましたので、そういった内容を追加しております。
その次に(2)教育委員会の役割についての1つ目の丸です。こちらについては、学校において期待されるコーディネーター人材の役割と日本語教育コーディネーターが担う役割が異なることについて留意すべきであるという御意見を頂きましたので、そちらについては少し丁寧に書き分けさせていただき、注記でも追記させていただきました。
次の12ページですけれども、上から2つ目の丸につきましては、専門性を有する教師の人事配置を工夫することを提言したいという御意見を頂きましたので、そういった内容を追記しております。
また、(3)国の役割についての2つ目の丸でございますけれども、高等学校段階の生徒の日本語能力を評価するツールの必要性ですとか、現在、各高等学校で活用されているプレースメントテストの事例収集なども役に立つのではないかという御意見を頂きましたので、その2点の内容をこちらに書いております。
また同じ12ページの一番下の丸でございますけれども、高等学校における日本語指導を推進するために、スーパーバイズを行う人材の配置などが必要であるとか、そのような人材の配置についてはアドバイザー派遣などの既存の取組が活用できるのではないかという御意見を頂きましたので、そちらの2点の内容をこちらに追記しております。
今回この資料において事務局で追加、修正等をさせていただいたのは以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
それでは今日は2時半までの予定ですので、限られた時間ですけれども、資料4について議論をしていきたいと思います。今、事務局から説明を頂きましたように、前回の会議資料に追加された部分がございます。この点を中心にして御意見を頂ければと思います。順番に議論をしていきましょうか。まず1番目の「はじめに」、ないし2番目の「制度化の必要性等」のところで御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
後ほど今回のメインである3番と4番についてお伺いします。1番目の「日本語指導が必要な児童生徒を取り巻く現状と課題」については前回よりも詳しく記載がされています。2ページ目の検討の経緯については前回お示ししたものとあまり変わっていません。それから「日本語指導の制度化の必要性」もこの前から変化はございません。「はじめに」、それから2番目の「日本語指導の制度化の必要性等」のところで何かもし御意見があればお願いします。ここまでよろしいですか。
それでは「高等学校等における日本語指導の制度化の在り方」の追加された内容、あるいはそのほかのことでも結構でございます。御意見等があればお願いいたします。いかがでしょうか。
前回から変わっているところが、基本的な考え方のところに、高等学校のありようといいますか、高等学校のそもそも論が書き込まれています。7番目のところについては、先ほど事務局から1番、3番で説明があったようなところが書き加えられています。いかがでしょうか。
【額田委員】 いいでしょうか。
【佐藤座長】 はい、どうぞ。
【額田委員】 額田です。
この「特別の教育課程」について、今見ている資料よりももっと前に、今日の資料3の3ページ目、ここに、現在行われている「障害のある生徒に対して『特別の教育課程』を編成し」というところがあったと思うんですが、このところに「年間7単位を超えない範囲で卒業認定単位に含めることができる」となっています。最終的にこの日本語の指導が必要な生徒のための「特別の教育課程」ということになるんですけれども、具体的にこれくらいの単位数になるんでしょうか。
【佐藤座長】 事務局からまずお願いできますか。
【小林専門官】 指導の時間とか単位数につきましては、資料4の9ページの(6)指導時間・単位数についてのところに、小・中学校の「特別の教育課程」による日本語の指導については、授業時数の標準が年間10単位時間から280単位時間とされていて、その日本語指導の授業時数の標準を一つの目安として検討することが考えられるのではないかというふうになっています。この10単位時間から280単位時間、これは義務教育段階の時間数ですので、そのまま高等学校に当てはめることはできないのですけれども、そのボリューム感を参考にしながら、実際の修得単位数の上限ですとか、そういったものを検討してまいりたいと考えております。
【佐藤座長】 額田委員、何か御意見があれば是非お願いします。
【額田委員】 例えば上限の280単位時間というと、高校でいうとこれは単位時間ではなくて単位という言い方になるんですけれども、そうすると280割る35が上限ぐらいと考えてよろしいですか。
【小林専門官】 高等学校の単位に置き換えるとどの程度の時間になるのかというのと、あとは例えば中学校で「特別の教育課程」を編成して実施する時間数が、学年ごともしくは3年間の授業時数の標準として示されている内容に占める割合ですとか、そういったものも検討して考えたいと思います。
【佐藤座長】 山本委員、ではお願いします。
【山本委員】 この特別な日本語指導に関する「特別の教育課程」を編成というときに、制度という言葉から受けるイメージは、既存の枠組みを超えて何か教育カリキュラムが編成できるというような印象を受けるんです。ですが、例えば習熟度別に講座を組むとか、日本語の科目を何単位置けるかというのは、学校設定科目の枠組みがあってそこで置けてしまうので、今言われているような内容であれば、既存の枠組みの中で割と実施が可能だと思うんです。
それを学校に「特別の教育課程」で日本語をというときに、どんな説明をしていくのかなというのがこの間からずっと考えているところで。必履修科目が例えば代替できれば特別なというような感じにはなると思うんですが、それができないということは非常に納得感はあり、例えば学校設定科目とか専門科目の上限も決まっているので、例えばそれを超えられるとか、何か既存の枠からあってということにはならないのかということと。その日本語科目を7単位とか8単位とかで例えば認めることと、学校設定で日本語の科目を置いていって、学校設定の枠はもっと大きいので、それとどこら辺に違いがあるのかがやや分かりにくいかなとは思います。
日本語指導をやっていくということが大事で、これから進めていくというコンセプトは非常に分かるんですけれども、学校はどういうふうに運用していくのかなと。オンラインとかでそれはもう今の枠組みの中で割とできると思うし。というようなことはちょっと思います。
【佐藤座長】 ありがとうございます。まず、では御意見を伺いましょうか。角田委員、どうぞ。
【角田委員】 今、8単位ぐらいというお話がありましたけれども、海外からダイレクトで高校に受験してきた生徒や、来日して数年という生徒たちのことを考えますと、8単位では不足する場合もあると思います。この上限というのは、弾力的に増やすとか、柔軟性は、あるのかどうかご質問したいと思います。私としては、生徒に合わせてもう少し多い単位数を用意することもできるというのがいいのではと思います。
以上です。ありがとうございます。
【佐藤座長】 ありがとうございます。
小林さん、まず何か今のところでお答えできる範囲で結構ですのでお願いします。これはここでみんなで考えることでもありますが、取りあえず事務局からお願いできますか。
【小林専門官】 はい。まず山本委員がおっしゃっていた内容ですが、資料4の4ページから5ページにその内容を書いてはいるんですけれども。
まず、習熟度別指導とか取り出し指導と日本語の「特別の教育課程」編成が混同するような説明をしてしまったので、大変申し訳ありませんでした。習熟度別の指導とか日本語の能力に応じた取り出しの指導については、あくまで教科・科目の指導の仕組みの話で、これは先生がおっしゃるように現行でもちろんできますし、実際、日本語指導が必要な生徒が多い高校で取り組まれていることだと思います。学校設定教科・科目についても、日本語に関する内容を設定して指導も実際にされているところです。
「特別の教育課程」を編成した際に何が違うのかというところですけれども、「特別の教育課程」については個々の生徒に対して指導計画をつくって、日本語の授業を、個別の指導として行うことができます。実際に制度化するとそういったことが高等学校でできるようになりますし、指導計画を立てて日本語指導を行った内容が指導計画上の目標に照らし合わせてしっかりと身についていると判断されれば、単位として認定することも可能となります。
学校設定教科・科目の日本語の指導については、生徒の日本語能力に応じた個別の目標ではなくて、その学校設定教科又は科目の目標を学校で設定して、それにのっとった授業を行って学習評価を行うことになっていると思いますので、これは個々の生徒の日本語能力それぞれに事細かに応じるというよりも、学校でつくられた科目又は教科の指導内容に準じたものを行うことになると思います。つまり、日本語の個別の指導ができるのか、一斉の授業をして一定の評価基準で評価をしていくのかというところが、「特別の教育課程」による日本語指導と学校設定教科・科目による日本語の指導では違ってくるところかなと思います。
このため、学校設定教科・科目である程度指導はしたとしても、その生徒の日本語の力によってはそれだけではどうしても理解できない部分があるとか、どうしても苦手な部分があるとか、そういうこともあると思いますので、そこの力を伸ばすために「特別の教育課程」を編成して個別の指導をすることももちろんできると思います。いろいろな学校で、又は生徒の日本語の能力に応じて組み合わせて指導するとか、指導の選択の幅が広がっていくのが、この「特別の教育課程」を制度化するメリットなのかなと思っています。
また、単位としても認定することができますので、日本語の指導を受けたことを卒業に必要な単位数の中に組み込んでいくことも、これはもちろん学校設定教科・科目も同じではあると思うんですけれども、個別の指導の部分も単位化することができるのも一つのメリットにはなるかなと思っております。
角田先生から頂いた質問でも、説明ぶりが分かりづらい面がありました。例えば資料3の3ページの高等学校における通級の指導の例ですが、これは年間7単位を超えない範囲になりますので、1年生で最大7単位、2年生で7単位、3年生で7単位までという制度になっています。資料4の先ほど御紹介いたしました9ページの(6)の指導時間・単位数につきましても、これは授業時数の年間の、1年次、2年次、3年次の授業時数の標準ですので、例えば中学1年生であれば、10単位時間から280単位時間までを標準として指導時間数を設定する、2年生で、3年生でということになります。
また、柔軟な教育課程編成ができるようにという御指摘は本当にそのとおりであると思っていまして、日本語を身につけた上で授業に参加することが初めてできるようになるような生徒もいる中で、日本語の指導の単位数については、先生方の御意見を踏まえて、なるべく学校に応じて柔軟な単位の設定ができるようなことを検討していきたいと思っております。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。山本委員の御指摘ですが、4ページ目に学校設定教科・科目とこの「特別の教育課程」の説明は書かれています。しかし、習熟度別や取り出しについて補足的な説明が脚注などにあれば分かりやすいかもしれませんですね。4ページに脚注があればいいように思います。
授業時間数は、小・中の場合、年間280時間までですので、今35時間で割るというような話でしたので1年間で7単位から8単位、そうすると全部で二十何単位になります。それをどう運用するかというのは、各学校の裁量です。それから年間7単位を上限にするのか、それとも一つの標準、目安にするのかというようなところは議論の余地があるかもしれません。
資料4で、9ページに単位数について記載する必要あるかどうかについて事務局とも議論したんですけれども、当面これでという話になりました。具体的な単位数は記載していませんが、これを上限にするのか標準にするかは議論する必要があります。標準とすることが望ましいのではないかという意見もいただきました。ただ、額田委員の御質問にもありましたが、どうするかということはまだ検討の余地があるかなと思いました。
ほかにいかがでしょうか。浜田委員お願いします。
【浜田副座長】 すいません、今と同じことなんですけれども、やはりどんな選択肢があるかということを少し分かりやすく示していただいて、それにメリット・デメリットみたいなものまでここで述べられるかどうかは分からないですけれども、例えば対照表みたいなものを巻末につけていただけると、いろいろな人が議論しやすいかなと思いましたので、御検討いただければ幸いです。
【佐藤座長】 はい。ではオチャンテ委員、どうぞお願いします。
【オチャンテ委員】 ありがとうございます。
以前も多分伝えたと思うんですけれども、モデル学校とか、実際もう既に実践されている学校とかがあると思うので、既にそういった取組がされている学校でどのような工夫をされているとか、カリキュラムとか単位認定とかを具体的にどこか参考資料とかに載せた方が、多分これを見た人、読んだ人が「こういう取組なら、私たちもできるんだ」と思うようなことも、具体的に伝えた方がいいのではないかなと思いました。8ページとかに高等学校が日本語指導の内容を構成したカリキュラムとかを、あと12ページにもカリキュラムづくりやガイドラインのことを学校に提供する必要があると書いてあるんですけれども、併せて今まで調査にあった学校のこともどこかに、これとはまた別に参考資料とかを出せたらどうかなと思いました。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。もしよろしければ、この4も含めた議論をしながら共通理解をしていきたいと思います。「日本語指導の制度化に当たっての充実方策」で、前回皆様から頂いた意見をここでは随分取り入れてあります。資料3、4も含めて一括で議論していきましょうか。3のところでももちろん結構ですが、いかがでしょうか。では高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】 ちょっとこの間、いろいろ高校の先生方もそうですけれども、小学校・中学校の先生方にもこの「特別の教育課程」としての日本語のところについてはいろいろ御意見を伺ったんですけれども。もともとやはり、実は小学校・中学校の先生方でも、今、多分、この定着がちょっと頭打ちというか、なかなか「特別の教育課程」とか、DLAの活用とか、個別の教育計画というところが、多忙なのか、やはりノウハウがなかなかまだ浸透していないのか、それから活用する部分がどういうふうに活用されるかというところが見えにくいとか、様々な問題があって、課題を感じておられていて、小・中学校段階でこの制度自体がまだまだ定着を図る必要があるんじゃないかというのは、まず前提なんですね。
その上で、そういった個別指導計画にのっとって勉強してきた子供たちが高校に入るときに、また高校でその子供たちにどういう日本語をやっていくかという、言わば観点も小・中と高校だと大部違う部分があって、その辺のきちんとやり取りを小学校・中学校段階の子供たちの日本語教育と、やはり高校というとすごく将来も考えなければいけないところで、いろいろな日本語指導ということを取り組むのに、まだまだベースとなるような取組を充実させていくとか、もうちょっと中学校・小学校の管轄の自治体と都道府県の管轄の自治体との違いもやはり大きいので、その辺を都道府県単位でもう少し取組なんか、仕組みとか、これは本当に人的な配置、予算も含めて充実を図っていかないと、やはりこれはこのままだと果たしてうまく高校に導入されるかという不安は皆さんすごく強いんですね。正直なところ。
だからそういう意味だと、やはり何らかきちんとした位置づけというか流れ、そういう「特別の教育課程」でいえば流れですけれども、流れのところをきちんとつくっていくとか。それからあとは、やはり何年かしてもう一回ちゃんと見直さなければいけないんじゃないかと思うんです。実際これをやったことが、実際高校でどうなっているのか。中には先生方が心配されているのは、こういう形で日本語指導が必要な生徒が高校に入ってくること自体も結構ブレーキがかかるんじゃないかというのを心配されている方もいらっしゃるんですね。こういうような「特別の教育課程」をやる必要のある生徒を高校で受け入れるべきかみたいな議論まで起きてくる可能性もあるので、やはりその辺は少し流れをきちんと見える化して、そういう子たちにどうやって高校で日本語指導をやっていくかという道筋がきちんと見えるような形を考えていかないといけないので。この4番がやはりすごく大事かなと個人的には思って、その中にそういった視点が入れられないかなと思っています。
【佐藤座長】 ありがとうございます。確かに大変重要な指摘です。小・中学校で「特別の教育課程」を実施していない大きな理由は、やはり教師がいない、つまり担当する教師がいないというのが最大の理由です。人的配置を含めて予算措置はこうした新しい政策を打ち出していくときには必ず必要なことだと思いました。
ただ、こうした制度をつくるとそうした子供たちまで受け入れなければいけないということについては、そうした子供たちがしっかりと勉強できるようになる制度だということを強調していった方がよろしいのではないかと思います。この制度をしっかり理解をしていただくようにすることが大事なのではないかなと思います。
とりわけ、今、高橋委員から4番のところが大事だということです。これに関してでも結構ですけれども、ほかに何か御意見があればお願いいたします。角田委員、どうぞ。
【角田委員】 意見を反映していただきましてありがとうございます。11ページの「4.高等学校等における日本語指導の制度化に当たっての充実方策」の「(1)学校の体制整備について」のところです。ある高校で「日本語支援・多文化共生委員会」という校内分掌を立ち上げた経験がありますが、「学校全体で指導体制を構築する」ために、「校務分掌」がしっかり明記され、「管理職や日本語指導が必要な生徒の指導に関わる教師が中心となって」、さらに「教育委員会・NPO等から派遣される人材やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等との連携」の文言を入れていただきまして、高校の現場にいるものとしまして、とても意義あることだと思いました。
さらに、同ページの「4.高等学校等における日本語指導の制度化に当たっての充実方策」の「(2)教育委員会の役割について」についてですが、公立高等学校はそれぞれの都道府県教育委員会が大きな役割を果たしています。どこの教育委員会も、この課題に対しての総合的・横断的な組織をなかなか置くことができていないようです。この「特別の教育課程」を円滑に動かしていくためには、やはり教育委員会自体の組織も再編成あるいは新たな組織づくりをしていくことが必要だと思います。教育委員会の中で組織が整備されていくことが望ましい、というような文言がさらにあるといいかと思いました。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。どういう文言がよろしいでしょう。角田委員、何か案があればお願いします。あるいは山本委員、実際の教育委員会の立場からして、今、角田委員からの御指摘がありましたけれども、教育委員会でこういう教育がうまく回っていくため、あるいは必要な体制整備に関して、何かアイデアがあればお聞かせいただければ有り難いのですが、いかがでしょうか。まず角田委員、何か案がありますか。
【角田委員】 例えば東京都教育委員会では、教育庁指導部や都立学校教育部、地域教育支援部、総務部などに分かれていますが、「日本語指導・多文化共生教育部」のような総合的で横断的な新たな組織をつくってはどうかと以前から思っておりました。
【佐藤座長】 分かりました。山本委員、もしアイデアがあればで結構ですが御発言ください。
【山本委員】 私も、おっしゃったとおりいろいろな課があって、日本語指導に特化した課をつくるという人的配置の余裕があるかどうかは別として、小学校・中学校・高校とを横で切らないような組織があったら理想だなとは思うんです。やはりどこの都道府県も小学校担当、中学校担当、高校担当、私学は私学という感じで、学年で切れているので、そのつながりの部分については情報交換をしたとしても難しい面はあるので、多分、今、そういう趣旨だったと思うんですけれども、小学校が始まってから高校を出るまでを全部見られるような組織だったら理想だなとは思います。
【佐藤座長】 よく分かります。ありがとうございます。どこまでここに記載できるかどうか分かりませんけれども、御意見として貴重な意見ですので承りたいと思います。
ほか、いかがでしょうか。3番でも結構です。4番でも結構です。浜田委員、どうぞ。
【浜田副座長】 3点ほどお願いします。
まず1点目ですけれども、2のところの最後に、日本語指導が必要な生徒が日本社会で生きるために必要な学びの指導・支援が行われることが重要という1項目を入れていただいて、とても大事なことなので有り難いと思っています。
ただ、それに対応するような内容が、今、3のところに含まれていないんですね。これは別に「特別の教育課程」でやっても、先ほどのような学校設置科目でやってもかまわないんですけれども。例えば3の(4)の指導内容についてのところに、今回も事例報告としてたくさん外国人生徒のキャリア支援ですとか、あるいは多文化の背景を育むような事例について対応されているといったことがありましたので、この指導内容についてのところにも、そういったことにちょっと触れていただくような項目を増やしていただけたらと思います。それが1点目です。
それから2点目ですけれども、指導者のことについてなんですが。基本的にはやはり「特別の教育課程」の場合には高校の免許を持った教員が当たることということで、それには全く異存はないんですけれども、以前、外国人児童生徒等教育の充実の有識者会議で特別非常勤ですとか、あるいは特別免許状について提案をさせていただいたんですが、高校の場合にはもしそういうことができるのであれば、それも入れていただけたらというのが2点目です。
それから3点目ですが、外国人児童生徒等教育アドバイザー派遣について積極的に活用するようにということを入れていただいて、これも大変有り難いと思うんですけれども。ただ、今、人数が割と限られていたり、あるいは全ての都道府県に先生方が配置されているわけではないので、もしこういうふうになるとしたら、例えば各都道府県にお一人ぐらいのアドバイザーの方を置けるような、アドバイザーの制度の拡充も併せて検討していただけると有り難いかなと思います。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。3点御指摘を頂きました。書き込めるか、あるいはこれをどうやって膨らませるかというようなところで検討していきたいと思います。
ほか、いかがでしょうか。皆さんから頂いた御意見を反映していきますので、是非お願いします。
なければ、今、浜田委員が提案されたことについて若干コメントします。多文化共生であるとか、キャリア形成という点については重要ですので、これをどのように記述するか。
それから特別講師、非常勤の話は前回の議論でも出ましたが、13ページの最後のところに、具体的な表現ではないですが2020年の3月の有識者会議で提案された日本語教師の学校での活用ということが書かれています。特別講師、非常勤講師などの活用についてというような文言が入るかどうか検討したいと思います。
それから外国人児童生徒教育アドバイザー、これは文部科学省がアドバイザーをお願いしているわけですけれども、この制度を拡充するか、あるいは各都道府県に新たにアドバイザーを置くようにするかという議論だと思います。ただ、各都道府県におく場合には予算措置も絡んでくるので、その辺をどうするかということについて議論する必要があります。
では高橋委員、どうぞお願いします。
【高橋委員】 取り出し授業について記載されているんですけれども、ちょっとやはり取り出し授業というところも、実は指導のスキルは結構重要というか。何か取り出して授業すれば生徒たちが理解できるというような何か誤解を生みかねないんですけれども。
むしろ取り出し授業でやる教科の、特に必履修科目を取り出してやるときのその教科の指導はかなり専門性が要求されると思うんです。ある意味、日本語の指導が必要な生徒がこの必履修科目において同時並行的に取り出し授業を受けるケースを考えると、むしろそちらの日本語の方との連携もそうですし、取り出し授業の中でうまく日本語の理解も進めるとか、そういうところを意識しながら必修の科目の取り出し授業をやることはすごく大事なんですけれども、その辺の観点が、やはりこれはもう専門性、それこそ専任教諭を充てるとか、いろいろ取り出し授業の中での連携、積み重ねとかを持っていくということ、これは高校ではすごく大事な視点なので、何かその辺の記述をもうちょっとより深めないと。日本語指導だけ入れれば大丈夫みたいな、取り出しで分ければいいみたいな、そういうおそれもあるので、その辺をもう少し充実を図るようなことが。やはり両方リンクすると思うんです。日本語指導と取り出しでの教科の理解がリンクすると思うので。その辺がもうちょっと何か必要性を訴える記述が必要かなと思います。
【佐藤座長】 これは確認ですが、「特別の教育課程」による指導とは、個別の指導計画を作成する中で、今、高橋委員がおっしゃったような教科に対する授業の補足であるとか、それについていくための支援を個別に行っていくという、そんなイメージです。高橋委員がおっしゃったのはそれとはちょっと違うということでしょうか。つまり、個別の指導計画をつくり、そしてその個別の指導計画に基づいて指導していくというのがこの「特別の教育課程」の趣旨です。個別の指導計画の作成で、今のような話が出てくればいいのかなと思っていたんですけれども。それとは、違うご意見でしょうか。
【高橋委員】 それはそれで一つきちっと記述されていると思うんですけれども。一方で、現実的にはやはり高校1年生で日本語の、例えば「特別の教育課程」をやるとしても、残りは必履修科目になって、それが先ほどの議論だと、習熟度であったり個別の取り出し授業になったりする、そこのところですね。そこのところがやはりある程度「特別の教育課程」の、今、佐藤委員がお話しになったようなものとうまくつながらないと、何か取り出し授業は個別にやって、普通の授業をやれば済んじゃうみたいな錯覚にならないようにする。そこの専門性なんかも実は言及しておく必要がすごくあるのではないかと。ただ、どこに記述するかは明確にはわからないんですけれども。どこかでそこも付記しておかないと。
【佐藤座長】 なるほど。
【高橋委員】 はい、そういう趣旨です。
【佐藤座長】 分かりました。先ほど山本委員からの御質問とも重なってくるので、取り出しのこの個別の「特別の教育課程」と、それからその教科における取り出しあるいは習熟度別指導とどう関連させていくのかという話だろうと思います。これは説明としてはきちんとするということと、それから実際の運用上ではそういうものを有機的に関連付けて、学校のそれぞれの条件の下で実施してくださいというようなお願いをするんだろうと思います。その辺の切り分けが分かりにくいということだったので、そこは工夫した方がよろしいかなと思いました。
ほか、いかがでしょうか。もうちょっと時間があります。いかがでしょうか。オチャンテ委員、どうぞ。
【オチャンテ委員】 オチャンテです。
直接関係する話ではないですけれども、私が以前お願いしていたロールモデルとの交流とか大学生・社会人との交流ということは書いてあって、非常にうれしいです。
最近よく高校の先生とか高校生と話をしていて、高校でいろいろな資格を取ったりする若者が多いんですけれども、その中でやはり経済的な面でそういった資格を受けること、例えば日本語能力試験、英検だったり様々な資格があるけれども、そういったことでやはり経済的な面で受けることができない生徒もいる。キャリア支援の一つではあるかと思うんですけれども、どういう形で書くのか分からないですが、何かそういうことも励ましていけるような、支えるようなことも必要ではないかなと思うんです。キャリア支援の一つとしてそのような取り組みは重要となります。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございました。経済的な支援では何らかの支援が必要だというのは非常によく分かります。そうしたものをこの「特別の教育課程」のところで書き込めるかどうか。これは事務局とも相談して検討したいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
【額田委員】 よろしいですか。
【佐藤座長】 はい、どうぞ。額田委員。
【額田委員】 小学校・中学校と高校の大きな違いは、高校は入学者選抜を受けないと入れないということなんです。神奈川県の場合、一般の受検者とは別に、日本語指導が必要な生徒のための定員枠を設けている学校が多く存在しているので、そこで入ってくることができるということなんですけれども。やはり、文部科学省がまとめるに当たって、全ての都道府県でそれを実施するのは難しいかもしれませんけれども、入り口ですね、入学者選抜での工夫、特別な定員枠を設けるなどの工夫は必要だということをもうちょっと強調していただけたらと思います。
以上です。
【佐藤座長】 ありがとうございます。もっともな話です。今のお話は3ページに、高等学校が適格者主義の考え方から大きく変わってきたことが書かれています。外国人の高等学校への進学についてもいろいろな取組をされていますが、今後、増加することが予想されるため、さらなる拡充が必要であるといった文言が入ればいいと思いました。重要な指摘だと思いますので、そのような文言が入ればいいと思いました。ありがとうございます。
これまた事務局と相談して、どこまで書き込めるかということについて、次回までに、お示しできればと思います。ありがとうございます。
どこでも、そのようなことで結構ですので、多分、もしかすると今日が皆さんの意見をお伺いして反映できる最後かもしれませんので、最後は微調整になるかもしれませんけれども、積極的に御意見を頂ければと思いますがどうでしょうか。
【角田委員】 お願いします。
【佐藤座長】 では角田委員、お願いします。
【角田委員】 ありがとうございます。
9ページの「3.高等学校等における日本語指導の制度化の在り方」の「(5)指導の実施形態について」です。が、4行目、「他の高等学校等において日本語の指導を受け、それを在籍校の教育課程内で行われたものとみなす仕組みが必要である」という文言ですが、このように入れていただいたのはとてもよかったと思います。例えば全日制課程の高校の生徒が、夜に定時制課程の高校の「特別の教育課程」の授業に参加したり、あるいは定時制課程の高校の生徒が、逆に昼間の授業に出たりということも考えられます。三部制のような多部制の定時制高校ですと一つの学校でそれが可能になりますが、多部制の学校はとても少ないです。例えば東京都立高校の全日制課程の高校は170校以上ありますが、定時制課程の高校も実に55校もあり、外国につながる生徒が定時制課程の高校にとても多く通っています。日本語指導の必要な生徒たちの高校の授業への参加の方法を多様化し、在籍校とは別の学校と組み合わせて「特別の教育課程」が実施できるようになれば、より充実するのではないかと思います。
また、すでに通信制課程の高校との単位の併修を認めている高校も一部ありますが、「他の高等学校等における」という文言について、通信制課程の高校と連携した学習方法の開発など、今後さらなる可能性があると思いますので、注などで補足されるといいと思いました。よろしくお願いします。
【佐藤座長】 事務局、小林さん、「他の学校等」の「等」って何か意味がありましたか。
【小林専門官】 高等学校段階に含まれる中等教育学校の後期課程ですとか、また、障害のある生徒で、外国籍だったりして日本語の課題もある場合に、特別支援学校高等部ですとか、そういったところで「特別の教育課程」を実施することもあり得ますので、「等」と書かせていただきました。
【佐藤座長】 これはオンラインも含まれますか。
【小林専門官】 オンラインについても一定の要件をそろえた上で「特別の教育課程」を実施するのももちろんできます。
【角田委員】 なるほど。オンラインを活用した通信制高校との連携の取り組みはとても有効だと思います。さらに、高等学校以外の他の教育機関というのは、例えば高等教育機関の可能性もあるのでしょうか。
【小林専門官】 「特別の教育課程」ではあくまで同じ高等学校段階に限定されるかなと思うんですけれども、そもそも高等教育機関で履修した内容を高校で単位認定する制度は既存でありますので。それも学ぶ内容もきちんと勘案した上で単位認定をしていく必要はあると思うんですけれども、そういった制度は高等学校の教育の中でももちろん活用できると思います。
【佐藤座長】 将来的には、例えば日本語学校も可能になればいいと思います。でも、現行の枠だとこれは高等学校を指すと思います。額田委員、ほかの、高等学校以外のところで授業を受けて、それで単位を修得するということについてはいかがでしょうか。
【額田委員】 現行の制度の中で、学校外の学修による単位認定という制度がありますので、一定の単位時間、例えば35時間、日本語学校で受けたものを教育課程上にその学校の方で単位認定するところに載せてしまえば、現行の制度でもできるということです。
【佐藤座長】 分かりました。ありがとうございます。そうすると、これからの日本語教師の資格化の問題で、日本語教育機関の類型化なども始まっているようですので、この辺のところと将来的に連動していけばいいかなという感じがします。いずれにしても、この「他の高等学校等」というのは中等教育学校であるとか、そういうようなことを意味している。現行ではそうだという理解のようです。角田委員、どうでしょうか。よろしいでしょうか。
【角田委員】 分かりました。そのことを踏まえました上で、小林専門官からありましたように、高等教育機関との高大連携や高専連携も現行の制度の中でも認められており、今後もこの「特別の教育課程」を実施するうえで、さらなる可能性があるということですね。例としまして、単位認定まではいたっておりませんが、オンラインを活用した日本語指導の個別支援の補習の取り組みを、ある大学の先生と複数の学生とのあいだで連携し、いまわたしの高校でも試みています。教育効果が高いことがわかりました。
【佐藤座長】 現行枠でもできるということで。
【角田委員】 理解いたしました。
【佐藤座長】 額田委員からのサジェスチョンにあったように、大学の日本語教育専攻などでの学習でもって代えることはできるということですね。これは確認しないといけませんので、文科省内で確認していただいて、もし可能であれば、そのようなことも含めて、高等学校以外での履修の形態も可能だということを打ち出していきたいと思います。ありがとうございます。
【角田委員】 ありがとうございます。
【佐藤座長】 そろそろ時間が来ていますが、よろしいでしょうかね。今日皆さんから御意見を頂きましたので、できる限り反映させていきたいと思います。「特別の教育課程」ということでかなり限られた内容ですので、全てが全て書き込めるかどうかは検討してみないと分かりませんけれども、できる限り反映させていきたいと思います。
まだ御意見がもしもある場合につきましては、会議終了後、メール等で事務局に御連絡いただければと思います。
本日、限られた時間ですけれども、積極的に皆さんからまた御発言いただきましてありがとうございます。次回会議で、今日の議論を踏まえて事務局と相談して、報告書の案をお示しできればと思います。繰り返しになりますけれども、できるだけ今日の意見を反映させるような形で検討したいと思います。
最後に事務局より連絡事項があればお願いいたします。
【小林専門官】 次回の会議の開催日時ですけれども、資料5でお示しをさせていただいていますが、9月22日、水曜日の10時からを予定しております。また本会議に引き続きまして、次回会議もウェブ上での開催を予定しております。また、座長からも御紹介がありましたけれども、メール等で御意見をお寄せいただく場合は、9月15日、水曜日までに頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【佐藤座長】 ありがとうございました。
それでは本日の会議はこれにて閉会したいと思います。また次回、9月22日、よろしくお願いします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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